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1968-04-11 第58回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十一日(木曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    大野  明君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       田村 良平君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    阿部 昭吾君       石川 次夫君    工藤 良平君       島上善五郎君    下平 正一君       渡辺 惣蔵君    吉田 之久君       和田 耕作君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君  委員外出席者         参  考  人         (日本経済研究         センター理事         長)      大来佐武郎君         参  考  人         (日本不動産研         究所理事長)  櫛田 光男君         参  考  人         (国学院大学教         授)      高木 鉦作君         参  考  人         (東京宅地建         物取引協会千代         田中央支部長) 佐々木芳朗君         参  考  人         (全国農業共同         組合中央会常務         理事)     安井 七次君         参  考  人         (東洋大学教         授)      磯村 英一君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月十一日  委員井上普方君及び内海清辞任につき、その  補欠として工藤良平君及び和田耕作君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員工藤良平君及び和田耕作辞任につき、そ  の補欠として井上普方君及び内海清君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月十日  筑波研究学園都市計画公開に関する請願(河  野密紹介)(第三七五一号)  都市計画法及び都市開発法制定反対等に関す  る請願松本善明紹介)(第三七五二号)  同(森義視紹介)(第三八三四号)  深谷バイパス早期建設に関する請願(小川新  一郎紹介)(第三七七三号)  都市計画街路補助第一二八号線の拡幅工事促進  に関する請願岡崎英城紹介)(第三八九〇  号)  都市計画街路補助第一三〇号線の拡幅工事促進  に関する請願岡崎英城紹介)(第三八九一  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画法案内閣提出、第五十五回国会閣法  第一五二号)  都市計画法施行法案内閣提出第五六号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。都市計画法案都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  本日は、両案審査のため、参考人として、日本経済研究センター理事長大来佐武郎君、日本不動産研究所理事長櫛田光男君、国学院大学教授高木鉦作君、東京宅地建物取引協会千代田中央支部長佐々木芳朗君、全国農業協同組合中央会常務理事安井七次君、東洋大学教授磯村英一君、以上六名の方々に御出席を願っております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には、御多用中のところ、当委員会法案審査のため御出席いただき、ありがとうございました。どうかそれぞれの立場から忌揮のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、議事の整理上、初め参考人お一人十五分程度意見の開陳を願い、後刻委員からの質疑の際十分お答えくださるようお願いいたします。御発言の順序は委員長に御一任願ことといたしまして、大来参考人よりお願いいたします。大来参考人
  3. 大来佐武郎

    ○大来参考人 私、この都市計画法の問題につきまして、従来経済計画とか総合計画などを扱ったこともございますので、まず第一に、その全般的な国土利用という問題から考えますことを簡単に申し上げてみたいと存じます。  将来の日本経済成長人口都市化現象ということを考えてまいりますと、都市膨張、ことに大都市膨張というものの勢いがかなり長期にわたって継続するように存じております。それに対処する受け入れ側制度慣行等が、いろいろな面で立ちおくれてまいったのではないか、経済なり社会なり人口の実態の動きに対して、制度のズレと申しますか、地域問題を考えてまいります場合に、特にそういうことを痛感してまいっております。  今回この新しい都市計画法ができますことは、率直に言えば、もっと十年から十五年早くこういう法律ができておればなおよかったという感じを強く抱いておるわけでございます。もちろん、理想的に言えば、全国の総合的な計画国土利用計画なり土地利用計画がございまして、さらに大きなブロックあるいは府県、それが市町村につながってくるということが必要なわけでございますけれども、しかし、都市計画法を法を新たにするということは、現実日本人口都市化現象、特に大都市問題から見まして焦眉の急でございますから、理想的には全般的な土地利用計画の一環として都市計画考えられるべきだと思いますけれども、現在の事態においては、新たな都市計画法がある程度先行することは、やむを得ないといいますか、必要であろうと存じております。ことに今後の日本経済成長とか国土利用の姿を考えますと、かなり変転が大きいのではないか。ある地域工場用地考えておりましても、それが宅地に変わるかもしれない、住宅用地に変わるかもしれませんし、従来農地宅地に変わるという例もございましたし、いろいろな土地利用の転換ということが将来も起こり得るわけでございますから、計画においてかなりの弾力性を保つということが必要だと思います。  それから、従来私ども地域問題を見てまいりまして問題がどうしても出てまいりますのは、府県の範囲をこえた広域の問題、あるいは各省間にまたがる横の総合調整、こういう面で立ち件生というような現実問題がいろいろあるわけでございますけれども、その中で、こういう都市計画法——私も櫛田先生と御一緒に宅地審議会でいろいろ答申の検討に参画いたしておりましたのですが、とにかく都市計画法によって筋を通すということが、何はともあれ、先決ではなかろうかというふうに存じております。ただ、日本現実問題を考えてまいります場合に、これも諸外国との比較で感ずることでございますが、こういう面につきましてはイギリスがわりあいに制度が整備して進んでおるわけでございます。しかし、どうも過去の事態の推移を考えてまいりますと、必ずしもイギリス的なやり方日本でできるかどうか、私ども近ごろ非常に疑問を感じておる点があるわけでございます。  日本とたとえばイギリス比較してみました場合に、四つくらいの大きな相違点がある。  一つは、経済成長率日本の場合はイギリスの大体三倍あるということで、急テンポ事態が変わってきておるということ。  第二には、イギリス人口都市化現象はほぼ終了段階にきておる。農業人口労働力の三・五%くらいまで減っております。日本はまだ二〇%、昭和四十年で二五%農業人口があったわけでございますし、まだ今後農業人口の割合が減少し、農村から都市への人口移動が大きく起こる、その時期を終わっておらない。イギリスのような場合と比べましてその点も大きな違いだと存じます。つまり、高度成長産業構造の変化とが重なりまして、世界に類例を見ないような急テンポ人口都市化が起こっておる、そういう点、つまり、人口都市化の圧力というものが、たとえばイギリス日本と比べてみました場合に、段違いであるというような点、これが過去において、現実事態がどんどん先に進んで、いろいろな制度や取りきめがおくれた一つの原因にもなっておると思います。  第三には、いまのイギリス等に比べました違いといたしまして、私有財産考え方におきまして、まあ諸外国であれば、土地というものは他の種の不動産あるいは動産等の一つまり財産の一形態であるということで大体割り切れると思うのでございますが、日本の場合には、土地というものが非常に根源的な、財産の中でも特別の地位を持ったように考えられておるわけでございますし、事実、農民立場からいたしますと、土地というものが最後のよりどころだという考え方、気持ちというものは、なかなか取り去ることができませんし、また事実、過去における土地値上がり等から見まして、土地だけは簡単に手放せないという問題がございます。それで私ども、こういった都市計画法地価にどういう影響を持つだろうかという問題を考えるわけでございますが、その場合に、やはり公権力でやる部分と、経済的な、いわゆるマーケットメカニズム利用する行き方と、両方あわせて考えなければならないと思うのでございますが、これに関連して私思い出しますのは、イソップ物語に、旅人マントをはがすのに風の神太陽とが競争したということがございますが、ある意味では、土地をどうしても根源的な財産として手放したくない人たちから土地を得るということは、一面において、ちょうど風の神が強い風を吹かして旅人マントをはぎ取ろうというような点がございます。やはりわが国の場合は、太陽の神といいますか、だんだん気候をあたたかくいたしまして旅人がおのずからマントを脱ぐ、これは土地所有農民とその土地利用という問題と関連して、そういうたとえ話がある程度適用できるのではないか。そういう点も、日本イギリス等と比べました場合の重要な違いの一つの点であろうかと思います。  四番目の相違といたしまして、やはり法律に対する考え方なり土地所有権に対する考え方の違いでございますが、場合によると、立法いたしましても実行がなかなか困難であるというような問題が起こる可能性もあるわけでございます。これらの点を考慮して、日本的な基礎条件のもとで立法可能な手段というものを考えていかなければならぬ。そうなれば、あまり理想論的な土地利用ということもなかなかむずかしいわけでございまして、法律の内容にある程度弾力性を持たせながら、この法律では約十年間の都市人口膨張考えておるようでございますが、いまのような日本特殊性といいますか、それに基づいて、しかも私どものほうから言わせますれば、すでに十年、十五年立法のほうがおくれておったような気がいたしますが、これをすみやかに実行し得るようにということを期待いたすわけでございます。  なお、市街化地域指定された地域地価がどうなるだろうか、これは私どもも非常に関心があるわけでございますが、私の印象といたしましては、必ずしも市街化地域指定というものがその地域地価上昇には直接つながらないのではなかろうか。それはいまの日本大都市地価がどういうメカニズムで形成されていくか、これは学者の間にもいろいろ意見がございますので、必ずしも統一見解というものはないと思いますけれども、ある学者は、地価は、供給価格、つまり農地価格等と全く無関係にきまっているのではなかろうか、いわゆる限界宅地需要者支払い能力によってきまっておるのではないか——ということは、サラリーマンならサラリーマンが、自分の収入なり貯蓄なり、会社から借りられる金の限度で、最小限の独立の家を持ち得る。十坪か十五坪の家を四十坪くらいの土地に建てる、そうすると二百五十万円くらいの金がかかりますが、そういうものの支払い能力によって、それが、たとえば東京の場合には、片道一時間半か二時間で通勤できる肉体的な限界の中で限界宅地というものができてくる。その価格が坪三万円くらいになるのではないかという説もございます。そうでありますと、むしろ都市計画によって宅地として条件の整備された土地供給がふえてまいるということであれば、限界的な宅地需要が移っていく、その内側はそれに比例して土地価格が上がっておる、しかも広大な空地を残しながら先へ先へと限界宅地がいっておる現状から見ますと、市街化地域をはっきり整備することは、むしろ地価に対してある程度冷却効果を持ち得る面もあるのではないか。もちろん、これは通勤施設都市交通施設の整備が伴わなければなりませんので、市街化地域指定ということそのもの地価に直接影響するというふうにはどうも考えられないのではないか。地価形成メカニズムから見まして、そういうふうに感じております。むしろ住宅問題との関連が特に緊急でございますが、この点につきましては、逐次市街化地域の中で宅地化程度に応じましてやはりそれに相応した固定資産税というものをかける、それによって、空地をただ将来の騰貴のために保持していることがコストがかかる、土地を持っている人の相当な負担になる、何とか土地利用したい、できれば借家を建てて人に貸したいというような方向にだんだん誘導してまいりますと、土地所有者が必ずしも土地を手放さないで、自分土地を持ちながらそこに借家を建てるというようなやり方住宅供給が増加する。そういうふうなことになってまいりますと、住宅供給がふえて、家賃影響し、その家賃がさらに地価影響するというような形が出てくれば、非常に望ましいわけでございます。こういった市街化地域地価の問題は、この都市計画法の問題よりも、むしろ、いま申しましたような宅地供給なり関連税制問題等影響を受けるところが多い。あるいはそういう借家建設に対して適当な融資を行なう、地主に対して融資を行なうというような考え方もございますが、そういった方向で検討されるべきものではなかろうか。  二、三この法律につきまして私の考えを述べたわけでございます。(拍手)
  4. 加藤常太郎

  5. 櫛田光男

    櫛田参考人 櫛田でございます。結論から先に申し上げますと、この都市計画法を一日も早く成立させていただいて実行していただきたいということをお願いいたします。と申します理由をこれから申し上げたいと思いますが、私、宅地制度審議会、それから宅地審議会委員の一人としまして、この数年間、宅地問題について、主として制度上の問題でありましたけれども、いろいろなディスカッションに参加いたしました。そのときに、しぼってまいりますと、結局、土地合理的利用土地利用合理化土地利用計画を確立するということが、どうしても結論であり、また最初のスタートでもある。アルファーでありオメガーであるというふうな、何事をやるについてもそれが土台になるということを痛感いたしてまいったわけであります。  ところで、土地利用についてはいままでいろいろなプランがないわけじゃございません。国土総合計画地方計画あるいは市町村単位都市計画というものがあったわけであります。先ほど大来先生からおっしゃいましたような急激な経済成長人口集中というような事情に顧みまして、土地利用のあり方が急激に変化いたしてまいります。ことに著しいのは、市町村単位を越えて広域的に計画が立てられ、またそれが実行されなければならないという点なんですね。ところが、いままでの法制では国土計画その他上位計画が要するにマスタープランであって、一つの指針を示すという役には立ちましたけれども、簡単に申しますと、行政官庁に対する、あるいは国民に対する腹がまえとでも申すような役割りを果たしている。その実現についての担保にはならなかった。ところが、市町村都市計画がそれをやるわけでありますが、それは広域的に必ずしもできていない。ちょうどそこに大きなギャップがあったと思います。そのギャップをちょうどこの都市計画法というものが埋める役割りをして、上位計画と具体的な土地利用計画そのものを、計画規制力を持ちながら同時にその実現がはかれる仕組みである。そのような意味におきまして、いままでにない、日本都市計画考え方土地利用考え方から言いますと、あるいはおそきに失したかもしれないけれども、数歩、あるいは画期的な前進と言ってよろしいのじゃないか。このような意味で、昨年の三月でありましたか、宅地審議会において、土地利用合理化について建設大臣答申申し上げたのでありましたが、そこの趣旨としたところがほとんど全部——些少の点は相違があります。と申しますのは、既成市街地市街化地域市街化調整地域、それから保存地域といったような四つに分けたらどうであろうかという考え答申のほうではされておるわけでありますが、その既成市街地市街化地域を合わせてこの法案では市街化地域になっておる。市街化調整地域保存地域を合わせて調整地域というふうになっておるというふうなことはございますけれども、全体として宅地審議会答申の筋を貫いて立案されておるように私は存じますので、宅地審議会に関係しております一人といたしましても、何とかこのすみやかに成立させていただいて、早く実行移法案をしていただくことが、いまの混雑がますます激しくなるであろう国土利用一つの大きな目安を与えてそれを実現していくと思いますので、焦眉の急に迫られていると思うのであります。  少し余談になりますけれども、いまわが国経済は、大来先生や皆さんを前におきましてあれでありますけれども、大体四十三兆、千三百億ドルぐらいになっておるわけです。アメリカに比べますと、アメリカが八千億ドルですから、七分の一ぐらいのところになるわけであります。ところが、国土の点から考えますと、私どもGNP密度ということばを使いますが、国土面積GNPを割りまして、つまり国土単位面積当たりどのぐらいGNPができておるか、それでもって国際比較が可能であろうと思ってやるわけでありますが、そうしてみますと、日本の場合ですと、三十七万平方キロでありますから、大体一万平方キロで三十三億ドルぐらいになると思う。けれどもアメリカの場合にはとにかく九百万平方キロあるのですから、幾ら八千億ドルあるといっても、一万平方キロ当たり大体八億五千万ドルぐらいなんです。ですから、一万平方キロ当たりGNPを直してみますと、日本のほうがもう四倍くらいのものになっている。非常に密度が高い。非常に高密度社会になっている。人口密度から言ってもそうであります。そこへ持ってきてますます経済成長を遂げて、これを二倍にし三倍にし四倍にしよう、またなるであろうということが言われておるのでありますから、それをスムーズに実現するためには、密度のすでに高いGNP密度がうんと高くなるわけでありますから、これを合理的に有効に使用しなければならぬ。その有効に使用するという担保が実はいままでなかったと言ってよろしいと思うのであります。そのような見地からも、この都市計画法がそれを実現する一つの有力な手だてになる、さように思いまして、ぜひとも早く成立を実現しまして合理的なプランが進むようにしたい。  そこで、先ほど大来先生からもお話がございましたが、このようなことをすると、市街化地域ではうんと土地が上がるのではないか、また、市街化調整地域との間にいろいろ格差ができて、何か妙な現象が起きるのではなかろうか、お値段の問題があるいは問題の大きな部分を占めることがあろうかと思いますが、私も、この点については大来先生が先ほどおっしゃったのと同じような考えを持っております。現在むしろ土地値段といいますのが、乱雑にと申しますか、自由に立てられておる。それでスプロール現象が起きておりますのは、要するに、土地値段の低いところをねらって、ちょうど谷間を縫って水が流れるような調子でうちが建っていく。本来ならば市街化調整地域としていろいろなそのような住宅なり設備なりができないはずであろうところに、そのために道路をつくり、電線を引き、水道をつくり、下水をつくる、あとから投資が追っかけていく。迷惑千万なことが起きておるのであります。ところが、そのようなところがある値段が立ちます。買う人がいるわけです。そうしますと、やはりそれが先ほど大来先生の言われた限界価格というものを形成して、その内側土地値段をプッシュアップするというような傾向がないわけではありません。ですから、現状において、東京の五十キロ見当のところの、交通の便が悪い、あるいは平地林であってにわかに人の住むようなところでないようなところまでが、ある値段をもって買いあさられるという結果になっている。それが逆に及んできているということもないわけではない。それが市街化地域市街化調整地域とに分かれたとします。そうしますと、市街化調整地域においては、いまのような、安いから買おうといって、しかも住むに住めないようなところというものがすでに供給されなくなる、かように考えます。そのようなところにある限界価格が立たなくなります。そうだからといって、その市街化調整区域において土地を持っており、それを利用されておる方に何ら御迷惑をかけることはないのですね。そこで、従来のとおり、平地林を持ち、あるいは農業を営んでおられる、その限りにおいては——その持っておる土地が値上がりして、いつか売り離してやろうといって投機的な感じを持っておられる方々には、あるいは現状においてはある程度土地値上がり期待があるかもしれませんが、それがある程度鎮静化するということで、そのような意味ではそのアンバランスということが問題になるかもしれませんが、現状平穏無事に農業に専心しておられるような方々に対しては、むしろ調整区域をつくることによって、ずかずかと、まあ露骨にいえば、不動産屋さんであれの悪いような人が、早く売りなさいとかなんとか言ってくるような、花園の中に土足で踏み込んでくるような現象がなくなるというふうに私は感じております。市街化調整区域の効用なんですが……。  市街化区域のほうを考えてみますと、大体十年くらいの目標でもってお立てになるという感じなんですね。それは、世の中が変わりますから、五年くらいで再検討しよう、そこで人口とか産業とかその他あらゆる角度から見て、ここは市街化するのに適当なところであり、また、そこに集中、先行的に公共投資その他をやっていこうというプランを立てるわけであります。そこで、この十年ということを考えますと、その計算、もくろみが科学的に十分に立てば立つほど——つまり、住宅需要その他宅地需要に対する供給量が大体これで十分であろうという見込みで十年間ですね。そのようなところでなされるということになれば、つまり供給量に対する安定感というものが、需要に対してある程度——いまは、買えるか買えないか、高くなるかもしれないということで買いあさるということがありますが、市街化区域ができるということが需要に対してもやはり秩序を与える。ある程度それを計画的に冷静にですね。それが十年目標で立てられておるならば、ますますそういうことがあろうかと思います。しかも、そのときの値段はどんなふうにして立つであろうか。買う人があればこそ、ある値段が立つわけでありますが、公共投資が一度に全部ができるわけではありませんから、やはりプランで、第一年度はどこにどの程度、第二年度はどこにどの程度というぐあいに都市計画は進行していくであろうと思うのでありますが、そのようにだんだんなってきますと、それに応じた一つ値段は立つだろうと思います。さらに、用途地域地区制がいまはかなりルーズなところがありますし、また十分に施行されていないところもありますけれども市街化区域にそれが施行されるとしますと——いまの土地値段は、何に使われるか、一等高いところに売るというわけです。ところが、住宅専用地区となれば、工場をつくるわけではありませんから、その生産性にはおのずから差があります。商売をするわけでもありませんから、おのずからそこに限度ができます。したがって、価格秩序というものが、この都市計画ができ、それに基づいて用途地域地区制ができれば、おのずから秩序が立ってきて、乱雑に乱高下するということが、ある程度きちっと秩序が立ってくる、むしろそれがほんとうの安定的な意味を持つのではないか、そのように感じます。  時間が参りましたので、だいぶ言い落としたところもあるかもしれませんが、この程度で……。  土地利用計画都市計画というものは、先ほど申したとおり、土地政策のすべての初めであり、それが土台にならなければできない。そこで、私は、税制調査会の土地部会の特別委員をいたしておりますが、昨年いろいろディスカッションが行なわれましたときにも感じたのでありますが、固定資産税を私どものことばで言う正常価格、時価というものを標準にしておかけいただくということがまず第一でありますが、そのほかに、たとえば未利用地税でありますとか、都市計画税の付加税的な、開発利益吸収というような意味でいろいろな考案もされるわけでありますけれども、そういうものをやります場合に、やはり土地利用区分、この土地はどのように使うのが、その持ち主御本人も含めて社会のために一等いいのかという計画そのものが土台にありませんと、何とも手が出ない、そのような感じさえいたしますので、土地政策というものを、焦眉の急に迫られておるこの三十七万平方キロをどのように使うかということを具体的に推し進めなければならぬ、その土台になるものとして、何としてでもこの都市計画法を一日も早くつくり上げていただきたいと、私の立場からは切にお願いいたしまして、あとは御質問等ありましたらお答えいたしたいと思います。(拍手)
  6. 加藤常太郎

  7. 高木鉦作

    高木参考人 私は、地方自治とか都市行政を勉強している立場から、今回の法案についていろいろ感じました問題点を指摘してみたいと思います。  今回の改正は新しい法律をつくると同じだといわれておりますが、それはいまいろいろとお話にありましたような方式なりやり方制度化されておりますが、もう一つ現在の都市計画法の問題点というのは、その行政システムの中に、都市計画がうまくいかないそういう問題点が、大正八年に都市計画法ができた当時その立案者自身が悩みを吐露されている、そういう点が、今回の改正といいますか、新しい法案によってどうなっておるか、そういう点について、きわめて不十分でありますが、気のついた点を指摘さしていただきたいと思います。  いままでいろいろ都市計画がりっぱなプランが立てられながら実際うまく仕事ができなかった、したがって、絶えず計画が事実の前に踏みにじられていった、そういう理由の一つとして、その都市の自治体に都市計画をやらせない、要するに、国家が都市計画をきめて市に押しつけていくものだ、そういう考え方が基本にあった。したがって、市民の持っておる自発的なエネルギーというものが都市計画集中してこない、むしろ、市民からいえば、やっかい者だという印象を持たざるを得ないような既成の条件があったということが第一点だと思います。第二点は、国、地方を通ずる行政制度の問題になりますが、地方団体である市——特に市ですが、そこに十分な権限がなくて、その権限を中央各省が握っておる。ところが、その各省間の調整がほとんどできなくて、俗に言うところの縦割り行政というものが浸透していて、したがって、本来総合的に計画されるべき都市計画というものがこま切れになっていかざるを得ない、そういう制度的欠陥があったと思います。さらに、そういうばらばらのうまくいかない面が財政面で基礎づけられていた、こういうようなところに問題点があったと、いろいろな学者から指摘されております。今回の新しい法案は、そういう点についていろいろと改善の色が見られますけれども結論的に申し上げますと、実質的に言いますと、現行法の行政制度上の欠陥といわれるものはたいして改められていないじゃないか、こういうふうに感じます。  その三つの点に分けて指摘したいと思いますが、第一点は、都市計画に対する都市の自治団体というものがどういう地位にあるかということであります。都市計画の決定であるとか、都市計画区域の指定ということについては、従来の大臣の決定が知事に委譲され、場合によっては市町村がきめることになったようでございます。しかし、地方団体にまかせるといいましても、法律の文字で知事と市町村という使い分けがしてありますように、多分これは、都市計画というのは国の仕事で、それを知事に機関委任していく、こういう考え方だろうと思います。さらに、二府県以上にまたがる場合は建設大臣が決定するとか指定するという規定になっております。市町村が立てた計画がもし知事の立てた計画に抵触したような場合には、知事の計画が優先する、その他の規定を考えていきますと、結局、計画は知事がやるけれども、仕事の執行は市町村にやらせる、こういう規定であります。これは、事実関係から見ますならば、現行のシステムとほぼ同じことじゃないか、こういう点を感じます。特に、都市計画というのは市民の生活なり生業に非常に大きな影響を与えます。そういう場合の市民の政治参加という場合について、ここでは、計画案をつくったときに、公告し、公衆の縦覧に供する、意見を述べることができるということに規定されておりますが、宅地制度審議会答申で、公聴会なり説明会なりを開催しろという方式ですら、ここでは落ちております。要するに、いまのシステムでいきますと、都市計画関係の仕事が秘密のうちに進められて、そうしてきまってしまってから押しつけられてくる、そこで猛烈な反対運動が起こってくる、こういう点が、今回の法律によって制度的にさほど改善されていないのではないか、そういう点に疑問を感じます。むしろ、もっと市民が決定過程、実施過程において積極的に参加して、その参加の過程を通じて行政当局がいろいろ指導され、そうして都市計画というものの意味なり重要性を浸透させて、そして納得のいく都市計画ができるようにすべきじゃないか、こういうふうに感じます。  第二番目の点は縦割り行政の問題でございます。先ほど来指摘がございましたように、各種の土地利用計画というものがいろいろ制度化されております。それで問題は、土地利用の場合に、その利用を制限していく行為と、それからその土地を積極的に活用していくための各種の施設、サービスを実施していく、こういう二つの分野が総合的に有機的に実施されていって初めて都市計画の総合性、一体性が確保できると思います。ところが、この場合、それは都市計画事業という現行法と同じ考え方でございます。多分、都市計画事業というのは、個別的な事業を実施していくということになります。そうしてそれを施行者である主として市町村が知事の認可を得てやっていく。いままでの押しつけに比べれば市町村の自主性が尊重されておりますけれども、しかし、市町村がそれをやるかやらぬかというのは、結局金次第だろうと思います。そうなりますと、都市計画事業として都市計画をやることがどれだけ有利か損かという問題になろうかと思います。この都市計画の場合には、街路とか公園とか、下水道とか区画整理のほかに、学校をつくったり屠場をつくったり、いろいろな仕事がございますが、そういう仕事は、各省の権限ないし各省の個別補助金なり、あるいはその他の財政措置が講ぜられております。そうなりますと、結局、現在のシステムでいくところの広い意味で国の補助がどれだけつくかっかぬか、その有利を判断しておそらく市町村はやられるのではないか。そうなってまいりますと、都市計画事業というものが本来総合的なものであるべきにもかかわらず、それ自体縦割り行政の一部に組み入れられてしまって、必ずしも総合的な都市計画にならないではないか。そういう点からいきますと、結局、いろいろ国が重点的に事業をされるような場合積極的に補助がつけられます。そうなりますと、そういう仕事は優先するけれども、市民生活に必要な仕事というものが確実にこの法案を基礎にして進められていくかどうかということは必ずしも保障できない。むしろ、その都市生活のために必要な施設なり仕事というものは必ずやらなければならないという義務づけはされておりません。これはやはり市町村にやらせる以上、市町村の財政力がなければできないわけで、それに対して国が積極的に補助する体制、あるいは市町村が十分な財源を持っていない限りできないわけで、どうしてもそういう点から、団地はできても学校がなかなかできないという大都市周辺の現象は、依然として残りはしないだろうかというのが第二点であります。  第三点は広域計画の問題で、広域的な計画が樹立できるようになっております。しかし、現実都市計画事業の施行というのは個々の市町村でございます。そうなりますと、地域的にばらばらにしか事業が実施できないという現行のシステムはたいして変わりないじゃないだろうかと思います。さらに、今回の場合、とりわけスプロールの防止という観点から、市街化区域とか市街化調整区域というように定められておりますが、従来の都市計画というのは、既成市街地と、それから周辺地の計画の両方を含めておる。そういう意味で、現行法も早くから広域的な都市計画考え方を導入していたわけであります。今回はそれが、都市再開発法が既成市街地、そうして周辺がどちらかといえばこの都市計画法ということで二分されはしないだろうか。従来、都市周辺地域都市計画を早くやらなければならないということが、実は大正八年の都市計画法ができたときのねらいであったわけですが、現実には既成市街地都市中心部に重点が置かれて、そうして周辺のほうはほとんどあと回しにされ、しかもその周辺地域市町村の弱体な財政力にまかされた結果が、今日のスプロールと決して無関係ではなかっただろう、こう思います。そういう点で、こうした広域計画をやっていこうとされるならば、現在の地方財政あるいは地方税制、それから区域内市町村という負担区分をもっと明確にされていく必要がある、それを改善しないと、うまくいかないではないか。  さらにつけ加えて申し上げますと、いろいろな規制行為が規定されております。ところが、そういう規制がされた結果、そのあとにどういうものをつくっていくか、そういうこと、あるいはそういう規制された場合の農業をどうしていくかということは、これは農業政策等の大きな問題になってまいりますが、そういう面で、先ほど第二番目に申しました各省全体の計画、政策の調整ということが重大な問題になるのじゃないか。  そういう点から、結論的に申し上げますと、現行法のいろんな問題点が、形は変わっていきますけれども、やはり新しいいろんな問題点が今後出てきはしないだろうかという疑点を感じます。そういう点から申しますと、都市計画行政というものは、普通の都市行政を総合的にやるということと同じことだろうと思いますが、そういうためには、地方自治の、いまの三割自治といわれている現状を改善しまして、もっと都市が自主的にやれるようなそういうシステムにすることと、それから中央、地方を通ずる縦割り行政の是正、こういう問題を結びつけてやっていかないと、現行の問題点はあまり改善されはしないだろうというふうに感じます。  以上です。(拍手)
  8. 加藤常太郎

    加藤委員長 佐々木参考人
  9. 佐々木芳朗

    ○佐々木参考人 私は、大正十二年の関東大震災の直後から不動産の業務を行なってまいりまして、終始今日まで四十五年間、この道一筋に歩いてきたものでございます。  先ほどからお話を伺っておりますが、これから申し上げます私の説明は、自分の長年の、四十五年間の商売を通じましてはだに感じましたところの経験と勘をもとにして申し上げますので、基礎的な数字になりましたら、後ほど調査いたしまして、御必要があれば御報告申し上げるつもりでおります。  今回、この都市計画法案の資料をちょうだいいたしましてつぶさに読んでみましたところ、まことにけっこうな案で、何ら非の打ちどころがないのです。ただしかし、どんなりっぱな案であっても、一番大事な点が私は抜けておると思うのであります。私が関東大震災の直後この商売に入りました一番最初でございますから、いまでも印象に残っておるのでありますが、後藤新平さんがつくられたあのりっぱな復興計画がどうして実際は三分の一もできなかったかということを、この際皆さんが謙虚な気持ちで反省する必要があるんじゃないかと思う。これは結局地主勢力、土地の所有者の勢力に圧倒されたのです。この土地の地主というものはどういうことであったか、どういう主張をしたか、また、当事者はどういうふうな考えで臨んだかということは、私はこの商売に入った直後でございますから、いまでも非常に印象に深く残っております。これは時間がありましたら、皆さまの御質問によって答えます。きょうはそれは抜きにいたしまして、それではこの土地対策はどうやっていったらいいかということを御説明してみたいと思います。  土地価格は、昭和十四、五年ころまでは大体安定しておったのです。十年間の平均価格が三〇%ないし五〇%ぐらいしかふえておりません。それが戦後のインフレ景気と一緒になりまして今日まですでに上がりっぱなしで下がったことがない。戦争からこっち不動産だけは下がりたことはない、上がりっぱなし、まだこれがとまるところがないのでございます。まだまだ上がるという見込みが一般の常識になっておる。土地は完全な商品になっておる。こうなると、投資熱はますます盛んになって、買えばもうかる、買おうじゃないか、これは当然のことなんであります。終戦当時の何千倍になっておる物価がほかにありますか。ありません。商品としてみても、数千倍になっておる商品はほかにないのであります。政府がここまで無為無策でやってきたということももちろん責任がありますが、今日の情勢では、ちょっとやそっとの注射療法や薬ではききません。きき目はない。かえって反対に売り惜しみの心理を増長させまして、土地価格をつり上げる結果になる。ここへきましてはどうしても思い切った手術が必要になるのであります。  つきましては、この都市計画には非常に大事なことですが、この異常な値上がりの一番大事な原因はどこにあったかということです。戦後の異常な値上がりはどこにあったか。これは一般の方はあまり御存じないのでございますが、私どもは当事者として、事業をやっております本人として、一番よく知っておるのでありますが、戦後に施行された農地法、これはまことに適宜ないい法律でありましたが、これを今日まで二十何年間そのままにして、廃止しなかった。原因はここにあるのであります。土地は必要以上にあります。住宅地の場合なんかは農地法が壁になっておりまして、東京の場合は大体一カ年に、私の記憶では、三十万人ぐらいの自然人口がふえておるのであります。地方へいきますと、三十万人といえば大都会です。大都会が毎年東京に重なっておる。しかしながら、農地法という壁がありまして、横へ広がらない。三人しか入れないふろに五人入る、十人入るということになれば、どうしても住宅地が高くなるのは当然でございます。それでは、農地の転用はどういうふうに緩和されておるかというと、農林当局によりますと、緩和しておるのだと言いますけれども、実際やってみると、なかなか簡単には緩和はできない。  そこで、大蔵省のほうでは、今度は税法の操作で土地価格を押えようという法案があるように承っております。そう内容を聞いてみますと、長年論議されております土地の増価税、また空閑地税などを創設しようじゃないかという計画があるように承っておりますが、これなんかは、実際にやってみると、徴税はなかなかその基準がむずかしいのであります。たとえば、現在課税されております固定資産税の評価額というようなものは、実際の時価よりははるかに安いことは、皆さん御存じであります。これは低いから、安いから文句が出ないのでありまして、これを科学的にもっと十分に再評価いたしまして課税したならば、必ず異論が起こってくるのであります。不動産というものはまことに情けない品物でございまして、同じ銘柄が二つないのであります。何千何万ありましても、みんな違っておる。それを一つ一つの時価を算定するということは、われわれこれを商売にしております者であってもなかなかむずかしいのであります。それを、先ほどの土地増価税や空閑地税などで円満にこれを遂行しようと思うと、自然どうしても低額な税率になってしまう。わずかな低額な税ならば、これは取らぬほうがましでございまして、取るがためにかえって心理的に売り惜しみの結果を来たす、それだけ価格ははね上がって、事志と反対の結果になってくると私は思います。  このたびのこの都市計画法案を見まして、一定の区域に限って農地の転用を自由にするというふうに御計画がありますが、この点をもっともっと広げていただいて、少なくとも大都市の周辺だけでも、四十キロあるいは百キロぐらいでもけっこうです、思い切って無条件農地の転用を制限を撤廃なされば、農地法の撤廃をなさると、これはある程度効果があると私は思うのであります。  大都会の周辺の農家の収入を調べてみますと、野菜づくりが一番かせぎがいいのでございますが、これとても一反歩で一カ年の収入が三十万円をこえた農家というものは、よほど篤農家でも少ないのであります。御承知のとおり、都会周辺の農家というものは、野菜づくりをやっておる者は老人ばかりでございまして、若い者はみな都会へ出て働いておる。それが、土地を売れば譲渡所得税を取られますので、戦前のように坪当たり三十円ないし五十円ぐらいの地代で喜んで住宅地に賃貸するだろうと私は思うのであります。農家は手をよごさずに楽をして地代で生活していけるというふうに望んでくる。また、自分が希望すれば、分譲して住宅地に売ってもよい。また、力のある篤農家であれば、譲り受けた土地を五町歩ないし八町歩というような大農政策の、それこそ近代的な機械化農業ができて、米や野菜のコストも自然に下がってくるのじゃないか。戦争前に、東京の郊外の住宅地の三分の一ぐらいは借地権で家を建てた人があったということは、みな忘れておられる。三分の一は借地権でございました。いまは貸す人がないから買うのでありまして、大多数の大衆は、自分のうちを建てるというだけの資金は、今日ローンの利用やら、また貯蓄制度も非常に進んでおりますので、どうにかやりくりがつくのであります。土地が高いので家が持てない。われわれ不動産を営業しております者は、直にその事情をよく身にしみて感じておるのであります。ただ一つ農地法を撤廃するだけでも、需要供給のバランスはある程度円満にいきまして、土地価格は安定するということを私は信じております。  ときに、ここまできますと、公益優先の思い切った手術をしなければならぬ。ではどうしたらいいかということは、私いろいろ考えました結果、ここまでさましたら、ちょっとやそっとのことではこれは解決つきません。どうすればいいかというと、一番簡明な方法は、もう土地の自由売買を禁じてしまうのであります。土地の所有権はあくまで認めますが、政府が買い取り機関と売り渡し機関をつくるのがいい。それについては、現在の日本住宅公団をその買い取り機関、売り渡し機関に使ってもいいのじゃないか。現在政府が主食を食糧管理法で一手に全国の米を買い占めてこれを配給しておるというようなことから考えれば、至ってこれは簡単で、売りたい人は住宅公団に売る、買いたい人は住宅公団から買い取る。なるほど、複雑な物件でございますから、政府あるいは住宅公団が直接これを取り扱うことは困難でありましょうから、全国に何万人とおりますわれわれ不動産業者が、その事務を——調査、案内、また一切の手続を引き受けて、仲買い人としてわれわれがりっぱに営業も成り立って、手数料ももらえるのであります。こういうことを申しますと、われわれの商売からいうと自殺行為でありますけれども、自殺してもいいから、これは見ておれないのです。見ておれないから、私はこういうパンフレットも書いて申し上げるのです。住宅公団が金もうけをするはずはない。土地がこれ以上上がらぬということがはっきりわかれば、思惑というものは自然になくなる。土地の商品価値は即座に消えていくのであります。おそらくこれだけで現在の土地は半額になるだろうと思います。したがって都市計画法も非常に円満にいく。  土地収用法のことについても私は私なりの意見がございますけれども、もう少し時間があれば申し上げますが、時間が制限されていますから打ち切ります。  皆さんも御存じでございましょうが、大体普通の人が自分土地を買って家を建てるということが一生に何回ありますか。一般の人は、たいがいの方が一生に一ぺんではございませんか。二回も三回も家を建てるという人はまれじゃなかろうかと思います。また、事業会社が、工場をつくったり、あるいは工場を拡張したり、事務所をまた拡張したりというようなことは、大体十五年に一回ぐらいの割合でございます。ですから、毎日食わなければならぬ米を政府が買い取って配給しておるぐらいの業務からいえば、ごくわずかな機構でこれはできるのであります。これは私の勘でございますけれども、もしこれを実施いたしましたら、現在の売買件数が大体三分の一かあるいは四分の一になるのじゃないかと私は想像しております。  都市計画をなさいますには、どうしても土地問題の解決からかからなければ、せっかくの計画が骨抜きになって、後藤新平さんの二の舞いになるのじゃないかと、それをおそれております。  御参考までに簡単に申しますと、あの当時、道路問題を非常に進んだことをやったのです。焼けあとの全部、本所、深川、浅草、神田、芝、京橋、日本橋と、あの下町一帯でございます。焼けあとから約一割近い道路を取り上げて——それを後藤新平さんは一割五分取り上げようとした。ところが、それがどうしても反対を受けて、とうとう一割足らずであったと思います。これは一ぺん当局のほうでお調べになればわかりますが、それだけの面積を道路として取り上げた。道路というものは全体のものであって、その場所場所のものでない。今度の都市計画法におきましても、道路というものは東京都民全体の負担すべきものである。だからして、全体の計画地から一割なら一割というものは道路面積として取り上げていいと思います。しかし、現在家が建っておりますから、実際問題として事実上できなければ、その土地土地を時価に査定いたしまして、査定した時価によってその一割に相当するものを税で取り上げていいのじゃないかと思うのです。そうしてこれを都市計画の財源にすれば相当な財源が浮かんでくるのじゃないかと私は思うのであります。これは前例がありますから、できぬことじゃございません。関東大震災直後にやったのでございます。そうしてもう一つりっぱなことは、木造建築を禁止したのです。これからはどうしても鉄筋コンクリートにしなければいかぬというので、木造建築を禁止いたしまして、バラックも六年間は認めるが、向こう六年たったら必ず鉄筋コンクリートに建てかえろという法律を施行したのであります。しかしながら、ただそれだけでは財政的に困るだろうというので、特殊法人で帝都復興建築助成株式会社というのをつくりまして、非常に安い、十五年間の低利資金を貸して、しかもそれは鉄筋コンクリートの建築費の八〇%まで貸したのです。その当時木造建築は百円、そうして鉄筋コンクリートが三百円でできた。三百円の中の八〇%まで貸してくれる。木造建築を建てる金があれば鉄筋で建てたらこれは永久にいいので、非常な名案であったわけです。ところが、下町の家屋所有者というものは三分の一以上が借地でありまして、借地権者はやりたいのですが、地主が承知しない。たしか大正十年でございましたか、関東大震災の前にすでに借地借家法は施行されておりました。そうしますと、木造建築は三十年、鉄筋コンクリートは九十九年という借地年限が延びるために、地主が判を押さないのであります。承諾しないのであります。ところが、復興助成会社としてはそういうトラブルに入るのはいやだから、借地権者は必ず地主の承諾を得ろということが条件になっておった。ところが、どうしても地主が判を押さない。それで、六年たっても延期、また六年たっても延期、延期に延期を重ねてとうとう大東亜戦争まで持ってきて、国家総動員法ができた時分に初めてこの法律は廃止になったのであります。せっかくできた法律でさえも実行できない。もしあのときに地主勢力をもう一発押える力が政府にあって別の法律をつくっておきましたなら、今度の戦争に何万人の人が命が助かったのじゃないかと思いまして、今日もこれを返す返すも遺憾に思っておるわけでございます。したがいまして、今回の都市計画も、もっと土地問題を深く掘り下げて根本からひとつ土地というものと取り組んで御計画をやっていただかなければ、せっかくできた法律が飾りものになってしまいはせぬか、それを心配するものであります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  10. 加藤常太郎

  11. 安井七次

    安井参考人 事務局のお許しを得まして、「新都市計画法案に関する要請」を御配付申し上げておりますが、あとでごらんおきをいただきたいと思います。この要請を中心に、現在審議中の新都市計画法案につきまして、この成立なり今後の施行にあたって特にお願いをいたしておきたい点を申し上げたいと考えます。  この新都市計画法案は、基本理念としては、申し上げるまでもなく、無秩序な市街化を防止して、そうして農林漁業等と健全な調和をはかりつつ、よい都市生活、都市活動をはかるということが述べられております。この法案の内容と施行には農林漁業者が非常に重大な影響を受け、関係を持ちます。十分この点について御配意をいただきたいのでございますが、御配意をいただきたい点が四点ございますので、簡単に申し上げたいと存じます。  そこで、農林水産関係業者が非常な関係を持ちますと申し上げましたのは、この新都市計画の中におきます農地の割合を申し上げますと、これは建設省の都市計画局調査のものでございますが、農地は二百二十三万ヘクタール関係をいたします。御承知のように、農地全体は五百十三万ヘクタールでございますから、全体の四三%が影響を受けます。さらに、問題になります市街化区域及び市街化調整区域を定める都市計画の中に入ります農地は百六十万ヘクタールございまして、これは全農地の約三一%に当たります。したがいまして、問題になります市街化調整区域影響も見のがすわけにはまいりません。対象農家のほうを見ますと、都市計画法地域におきます農家数は三百五十一万戸でございます。全体で五百六十六万戸ございますから、これは六二%の農家が関係を持ってまいります。さらに、問題になります市街化区域及び市街化調整区域を定める都市計画の中に入ります農家の数は、特にこの際実施をされます十万人以上の都市の関係、この計画の対象になります地域に入ります農家は八十二万戸でございます。これは二三%でございます。  以上申し上げましたように、それぞれ非常に農業者のほうが関係をいたしますので、特に御配慮おきをいただきたいと思います。  そこで、問題の第一は、市街化調整区域の問題であります。この地域は、御承知のように、今度審議をされます農業振興地域の整備に関する法律案と、ここで審議をいただいております新都市計画法案との谷間になるおそれがございます。両方から力の十分入らない、日の当たらない谷間になるおそれがございます。御承知のように、農業振興地域の整備に関する法律案は、農業振興をはかりますために、主として、もっぱら農業の行なわれる地帯を今後五年間に二千五百ないし三千指定をいたしまして重点施策を施そうということになります。となりますと、やはり農業中心地帯から始まって、どうしても都市計画法の中に入ります地帯はおくれてまいると思います。一方、この新都市計画法のサイドから見ますると、これは都市化を抑制をするために、調整区域——いま申し上げておりますのは特に調整区域の問題でありますが、調整区域は、抑制するということで打ち切っておられますので、どうしてもこの谷間になる懸念がございます。  それでは一体どうしたらよいであろうかとわれわれが考えますと、この際はこの地域はやはり農業振興地域指定の中へ明らかに入れておくほうがよいであろう。市街化調整区域は谷間になりますから、ならないように、農業振興地域の区域へ入れておくことが、施策上あるいはそこの農民として最も安定をした生活ができ得る政治になるのではないかと思います。これが御考慮おきをいただきたい第一点であります。  第二点は、今度は調整区域ではなくて市街化区域において、この地域に入ったところは、農地法の改正が附則の第四項で行なわれますから、それに関連をして非常に課税が重くなります。この点はどういうぐあいに処置をすべきものであろうかという問題でありまして、市街化区域においては、特に農業を継続して行なう農家が先ほど申し上げましたようにやはり非常に多うございます。その中でやはり麦畑がある、農業を継続して生活を営む農民がたくさんございますが、これを農地法の転用許可の要らない地域にいたしてしまいますと、農業経営を保護する農地法の適用をなくいたしますから、非常に高い税金がかかります。その高い税金のかかる中で農業を営むという非常に矛盾をしたことになりますので、この点の配慮をいただきたいと思いますが、特に税といたしましては、固定資産税、それから都市計画税、さらに相続税が最も大きな影響を受けるようになります。この点は多少内容に触れて申し上げたいと考えます。  まず固定資産税でございますが、現在の農地は、これは皆さん御承知のとおりに、正常売買価格を基礎といたしまして、その五五%をかけましたもので固定資産税をかけております。したがいまして、米価のときよくわれわれが申し上げますが、反当大体五万円中心に課税がされております。そうしてこの農地というものの規定を、農林次官通牒なりあるいは農地法に基づきます農地区分によって、第一種、二種はそういう安いものでやります。農地法の転用許可をしなくてもよろしいに近い三種になりますと、非常に高い基準で固定資産税を取られております。したがって、この場合農地転用許可を要しない地域指定をされますと、まず固定資産税が非常に高くなります。その中で農業経営を営まなければならぬ農民としては非常に苦しい立場になりますので、この点をどう措置するか。  次に相続税の場合でございますが、これはいま申し上げました固定資産税を基礎にして、それに倍率をかけて相続税を取ることにいたしております。ところが、この市街化地域は、先ほど申しましたように、農地転用許可を要しない地域になって、固定資産税が上がると基本が非常に上がって、それに倍率をかけますから、非常な相続税を取られます。しかも問題は、相続税の倍率をかけますのが、所によっては百倍も高い倍率をかけておる実例はたくさんございまして、これは皆さん御承知のとおりであります。そのために、相続をされた者が農業経営ができなくて、農地を売らなければならぬという場合になります。  さて、そういう事態になりますと、この地域に対する措置を、農地転用許可を要しないものにするか、それにかわる方法を考えていただくか。私はやはり農地転用許可を要する地域にしておいていただきたいが、どうしてもできない場合、それが困難な場合、転用する場合にはその方は届け出をする。その届け出を受けられましたところは許可を要しません。届け出を受けられたところはそれで宅地に変更しちゃうということで、さらに、そうなりますと、その中において農業を営まれます方は届け出をいたしませんから、従前の課税対象標準額で進んでまいりますから、農業経営には支障はないのではなかろうか、この点を何らかの方法でひとつお考えおきを願いたい。  さらに、この農地についていままでの都市計画税をかけるということについて、宅地審議会答申あるいは税調の土地部会、これは都市計画税をかけたいという方針でお進みになっておりますが、これも農地として事実使っておるところについてはひとつかけないでやっていくという方法等の御配慮をお考えおき願いたいと思います。  次に第三点は、皆さんのお手元に御配付を申し上げております「要請」の最後の裏のほうになりますが、都市計画区域の決定及び市街化区域指定にあたっては、極力その範囲を縮小していただきたい。そして都市再開発を積極的に進めてもらいますが、国土の総合的有効利用を促進するという次元に立って、より効率的な都市計画を行なうことをお願いいたしたいと思います。  この中身の一つとしては、われわれも常に感じております建蔽率の問題、高い土地における現行の建蔽率がよいのであるのかどうか、さらに、先ほどそれぞれの方からもお話がありましたが、高い宅地に平家を建てておるという現況、まさに、こういうのを見ますると、横広がりばかりで、土地を要するだけの傾向に見えますから、この点の御配慮おきをひとつよくお願いいたしたい。  それから第四点は、都市計画の策定にあたっては、地区内農業者の意見が十分反映されるように措置をしていただきたい。  今度の法律案を見ますると、公示の日から特定の期限内にそれぞれ縦覧をさせて、よく見ておくように、そして意見のある者は届け出るようにということになっております。御承知のように、農業者、住民というものは、どうも縦覧とか意見書を出すというのはきわめてふえてであるようでございますから、私は、これは先ほど参考人の方からもお話がございましたが、公聴会等でよく徹底をさせ意見を求めるという、現状に合った方法をさらにお考えおき願ったらどうであろうかと思います。  それからもう一点は、計画を策定いたしますために、地方においては審議会を持たれます。審議会委員の構成にあたって、われわれ農業団体者を、学識経験の中と規定をされてもけっこうでございますが、それらを入れて十分意見を出させ、承知をさせ、そして計画を立てられるなら、全体もよく了解をするのではなかろうか。この点を第四点としてお願い申し上げたいと思います。  以上、総括いたしますと、法の制定なり施行にあたって、申し上げました四点に十分の御配慮をお願い申し上げたいということでございます。  時間が参りましたので、簡単でございますが……。(拍手)
  12. 加藤常太郎

  13. 磯村英一

    磯村参考人 磯村でございます。すでに五人の方からいろいろお話がございまして、幾ら専門の立場からいたしましてもかなり重複することがございますので、私は比較的あまり重複しない点だけを申し上げたいと思います。  まず、先ほどから非常に画期的な都市計画法の改正である、こういうお話でございますが、大正八年から今日まで五十年、五十年もたちますれば、画期的となるのは当然でございます。したがいまして、必ずしも画期的ということは考えられません。と申しますとたいへん恐縮でございますけれども、これは偽わらざる感情だと思うわけでございます。したがいまして、もし都市計画法を改正するとすれば、これから五十年先にどういうことを改正するかというぐらいのことも考えまして、その内容の中では、考え方の中ではそういうこともあってよろしいのではないか、こういう点で、いままで五人の方々のお話しになりましたことと重複しない範囲内で申し上げたいと思います。  第一に、都市計画考えました場合に、何か都市というものを物理的につくるということだけでございますけれども、しかし、基本的な考え方というものは、そこに住んでいる住民が一体そこでしあわせになれるかどうかという考え方がなければならないと思うわけであります。でありますから、都市計画というものを考える場合においては、やっぱり住民の人間計画である、しあわせ計画であるという考え方だけは、幾ら物理的な計画をする場合におきましてもこれは考えてほしい、こういうことであります。  そういう点からいきまして、新中央集権主義とかということがいわれまする時代におきまして、ある程度まで中央集権的なものを知事なりあるいは市町村という段階にまでおろしましたことにつきましては一つ考え方だと、先ほど高木さんも言われたのでございますけれども、しかし問題は、そういったような点の中におきましてやはり考えなければならない問題がある。それは一体何であるかと申しますと、都市計画といいますると、すぐに、地域地区の区分である、こう考えますけれども、この地域地区の区分というものを、いまの都市計画、提案されておりますようなものが考えられました形で進むことが、はたして大きな都市と中あるいは中以下の都市とを一緒にしましてこういう考え方で一体いいのかどうかという問題が一つございます。東京、大阪のように非常に人口の流動性の激しい、またその可能性のあるところにおきましては、こういろ考え方は成立しますけれども、現在の東京を中心にしました平均の通勤時間というものは、一時間から一時間半に延びております。こういったようなことは何かというと、新しい都市計画法ができればそうじゃないという御説明があるかもしれませんですけれども、これは考え方によってはさらに延びるおそれがあるのじゃないかということでございます。したがいまして、周辺を住宅地区にするとか、あるいは工業地区をどうするとか、こういう考え方の中に、もし将来一つの参考になるとしましたならば、むしろ混在した地域というものがあってよろしいのではないか。一方におきましては公害ということが非常にやかましくいわれておりまするときに、工場というものと住宅というものをそれでは完全に区別していいかどうか、こういう問題は、都市計画の新しい理念として考えていただきたいのでございます。これはまだ単に参考として申し上げますけれども、そういう考え方はあっていいのじゃないか。東京の周辺におきまして、現在都市計画法の適用を受けない地域の中に現実に工場が立地しております。その工場の大部分というものは、ある意味におきまして住民のしあわせに問題があるのでございますけれども、しかし、それでは東海道沿線にあるような工場というものがもし住宅と混在しても、それがこの都市計画の上からいって適当ではないということは言えないのじゃないか。そういうことを思いますると、いわゆる計画されたる地域といたしまして、むしろ、住居とそういう職場との混在的な地域というものもこれはあってよろしいのではないか。それが第一点であります。  第二点は、これはもうすでに先ほどからお話ございましたが、その考え方一つ延ばしていきますると、いま前の参考人のお話がございましたような、今度の市街化区域あるいは調整区域の中におきまして農地法の適用を完全に排除するということは、これはやはり一つ考慮すべき問題ではないか。これも農業構造それ自体の変化というものをやはり考えていくべきで、したがって、農村が都市化しているとさえいわれている今日におきましては、この市街化区域あるいは調整区域の中におきまして、農地であるからそのまま農地法の適用を排除してしまいまして、これをいわゆる都市的な生活空間の中にしてしまうことがはたしていいかどうか。これは一つは災害という問題も考えなければならないのでありまして、災害の場合においての一つの空間、それから災害の場合におきましての食糧の供給の問題、それから同時に、この都市という空間の中におきまして、近代化された農業というものが都市生活の中において非常に重要な役割りを占めるということになりますと、ここに問題が一つ考えられていいのじゃないか、これが第二の点でございます。  第三の点は、これはもう最初の参考人から始めましてほとんど皆さんが触れておられるのでございますけれども、何といいましても、都市計画というものの基礎になりますものは、土地であり、あるいは地価である、懇々とお話がございました。この問題につきましては、一つのまず当面の問題としましては、やはり土地価格といったようなものを調整する何らかの措置というものが、この法律とはあるいは別個に考えられていかなければ、ほんとうの効果というものは出せないのじゃないか。現実におきまして一つの例をあげますと、美濃部東京都政が実現しまして、そして住宅というものをさらに増加するという方針を立てたのでございます。いざ一年間たってみました場合にどういう結論が出たかといったならば、それは実行が不可能である、こういう結論であります。その結論は何かといいましたらば、地価が非常に高くなりまして、予算の八割から九割までは土地の買収とその補償のためにということになってまいりますと、これはどうにもならない。しかし、八割から九割までの予算を使いましてもできればまだよろしいのでございますが、それ以上になりますと、現在の財政の上においてとうていできないような状態になるというふうになりますれば、何らかの形でもって土地価格の調整あるいは土地価格に対しての的確な措置というものを考えなければ、せっかくの新しい都市計画法というものができましても、主として大都市の場合におきましてはかえって実行が不可能になるおそれがある。したがいまして、この面についての配慮をお考えいただくことが必要じゃないかというのが第三点でございます。  しかし、その点におきましてもさらにお考え願いたいのは、これはやはり同じ土地の問題に関するのでございますけれども、先ほど大来参考人からはイギリスの例をお話しになりましたが、私、二年前にイギリス住宅建設省から呼ばれまして、約一カ月半、イギリスのいわゆるニュータウン、それから都市開発の制度を見てまいりました。御存じのように、イギリス制度というものは、必ずしも国の制度でもって地方自治体全部をコントロールしているものじゃございません。私はリバプールの市長に会いました。その市長は、海員組合から選ばれました労働党出身の市長でございます。当選したばかりでございましたが、私が会いましたときに直ちに私に言ったことは、自分がこのリバプールの市長になってすることは何であるかというと、現在二五%までの土地の空間というものが市のものになっている、これを三〇%まで上げていくようになれば、住宅政策も道路政策も、そういうこともできるので、三〇%までこのいわゆる市有地というものを増すことに努力をする、これが自分都市計画というものをやる第一のスローガンだということを申しておりました。御存じのように、イギリスにおきましては、地方自治体の財政能力あるいはその自治体の規模によりまして、政府がある程度まで土地を自治体が持ちますことについて補助を出しています。やはり現在の日本の状態からいたしましても、こういう考え方というものがそろそろ考慮されてよろしいのではないか。したがいまして私は、この都市計画法現状の段階におきまして、決して画期的ではないなんというたいへん失礼なことを申したのでございますから、当然その実現ということはあたりまえのことと思うのでございますけれども、これに伴いまして、これがいわゆる都道府県なりあるいは市町村でやりやすいということのためには、いま申し上げましたような地価の措置、あるいは土地を地方自治体がある程度まで持ちますことを御配慮いただけないものであろうか、こういうことでございます。消極的に申し上げましても、地方自治体の財政をごらんいただきますれば、最後のところにいきますと、不動産の売却ということによって財政のつじつまを合わせるのが、これが自治体でございます。これはいわゆる地方自治体の都市建設におきます自殺的行為である、私はこういうふうに考えるわけであります。むしろ、こういう状態の場合におきましては、ある一定の限度、ある標準まで、その土地の事情によりましてそういうことがないようにしなければ、私は、いかなる方法をとりましても、高騰する地価というものを押えることはできないのではないか、こういうことを考えますので、ある意味におきましては、その土地の地方公共団体というものがこれを売却しないように、売却するということはほんとうのこれは例外措置であるというようなことがなければ、私は、新しい都市計画というものの推進は、特に大きな都市におきまして困難になってくるということを申し上げておきたいわけでございます。  これは最後の五点でございますけれども、いま前の参考人からお話もございました、以上のような意見はございますけれども、この都市計画法がすみやかに実現するということは、これは私は大多数の国民の要望であるということは申し上げられるのですが、しかし、ひとつ考えていただかなければならぬのは、この法律というものがいわゆる比較的民主化された現代においての考え方を入れているとおっしゃいますのですが、それじゃ実態においてどれだけ一体住民参加の方式がとられているか。なるほど、建設大臣の権限というものを知事とかあるいは市町村長に譲っておりますけれども、それじゃ一体現実に住民の意思がどのように反映されるかということにつきましては、ここではいわゆる中央の審議会、地方の審議会等におきます審議会というものを通じる以外にその方法は必ずしも十分ではない。その点で私はお願いを申し上げたいのでございますけれども、この審議会というものの実態をひとつお考えをいただきたい。審議会というものが、いわゆる地方自治体の議員の方々、それから専門の方々で、これは学識経験者という形でなっていると思うのでありますけれども、議員の方々は、適当な任期なりあるいはその考えによっておかわりになることがございますけれども、多くの場合、この地方審議会の場合におきましての学識経験者というものが非常に固定をいたしております。これが私は一つの問題ではないかと思うのです。もちろん専門ということはございますけれども、今日におきまして都市計画の場合において専門であるということは、もうかなり広い知識を要する専門でありまして、橋梁の長さをどうするかというような問題は、これは専門のまた専門でけっこうだ。地方自治体の有能な諸君というものが十分にそういう役割りを果たしていると思う。したがいまして、いわゆる学識経験者というような形で採用されるそういうこの地方自治体の委員というものは、あるいは二年とか三年とかいう形でもってかわるというような形でも、少なくともこれは実施の面で可能である、そういうことになれば、ある意味におきましてその地域意見というものを参考にすることができるのではないか。特にこれを申し上げますのは、今回の都市計画法によりましていわゆる新しいディベロパーというものをきめることができることになります。かなり一定の区域になれば、民間のお方であっても都市計画というものをやれるということになりますと、これはかなり大きな——ことははそういうことはを使ってよろしいかどうかわかりませんけれども、利害関係を生むものでございます。したがいまして、そういう利害関係というものが都市計画の審議会等でもし審議されるといたしましたならば、その点において、住民の考え方というものができるだけ公平に反映するような措置がありましたならば、非常にしあわせだと思うわけでございます。  最後に一言だけこれは申し上げますけれども、こういう機会でございますが、私は、先ほどからお話がございまするが、もしこれが五十年先にもう一回都市計画法というものが審議されるということになりました場合におきましては、日本国土というものは一体だれのものであるかということにつきましてもやはり考えるような時期がくるのではないか、あえて国土奉還とは申しませんけれども、そのような考えもひとつ政治の良識の中のどこかでお考えいただきましたならば、しあわせだと思います。(拍手)
  14. 加藤常太郎

    加藤委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 加藤常太郎

    加藤委員長 これから参考人に対する質疑に入ります。田村良平君。
  16. 田村良平

    ○田村(良)委員 ただいま参考人の皆さん方からたいへん貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。都市計画法につきまして審議を進めておりますわれわれといたしまして、たいへん貴重な御指示をいただいたと思います。おかげさまでなおこれからの慎重審議のたいへん参考になると思いまして、まずもってお礼を申し上げます。  大来参考人にちょっとお伺いいたしたいのですが、私有財産考え方につきまして英国等の例をとられて御意見がございましたが、私は実は次のようなことを考えます。都市に集まってきた人の便宜をはかるために、公益優先という名において、たとえばお互いの私有財産が大きな犠牲を受けるというときに、国家が相当な力においてこれを補償すべきである。自分都市に生活する便益のために人の農地をかってに安く買い上げていく。買い上げられた土地はたいへんな値段になる。これがただいまだんだんにお話がありましたように、日本民族の歴史から申しますと、実は知らしむべからず、よらしむべしで、百姓とゴマはしぼれるだけしぼれ、こういうことで、非常な圧力を受けてきております。さらには、戦争の後には、占領下において坪一円かそこらで全部没収せられました。地主は目のかたきのように言いますけれども、何も盗んだ財産ではありません。昔は、百姓というものは、一代、五十年働いて一反か二反のたんぼを子孫に残すということが大きな労働でありました。ところが、最近は、何か都市優先といいますか、そういう形が非常に強くなったために、都会生活者にきわめて重大な国家資本を投下してサービスをするということがたいへん公益優先というようなかっこうにとられておるやに思います。したがいまして、私は、この都市計画を進めるにあたりましては、やはりその財産の評価にあたりまして、特に参考人にお伺いしたいのは、たとえば東京で坪百万するというのに、農地は一反、三百坪でこれから米が大体七、八俵とれますね。そうすると、この食糧というものは、お互い生命のエネルギー源でございます。コンクリートを食うわけにはまいりませんし、電気を食っても腹が張るわけではございません。そうすると、われわれ生命のエネルギー源であります食糧を生産する貴重な財産が、あまりにもかってに安く評価されておる。ここに、いわゆる都市化を進めるにあたりましても、用地買収その他で非常なトラブルが起こっておるのじゃないか。でありますから、大正八年以来約半世紀にわたって放置されました都市計画の新たな法律をつくるにあたりまして、いまこそ、過去の全歴史を反省していただきまして、そこにひとつりっぱな評価というものが生まれなくちゃならぬのではなかろうか、実は私はこういう疑念を感じつつこの都市計画法案の審議に参与しておるものでありますが、この点につきまして、これから農地というようなもの、あるいは食糧という経済財産をどのように大来参考人はお考えになっておられましょうか、この機会にお教えいただけましたらまことに幸いでございます。お願いします。
  17. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ただいま御質問の点でございますが、確かに日本土地問題の一つのむずかしい点と申しますか、都市周辺におきましても零細な農民の所有地が多いわけでございまして、公益という問題を考える場合に、先ほども私申しましたように、とにかく土地というものが唯一の生活の保障だ、これを手放したら先行きどうなるかわからないというような気持ちが、諸外国の場合と比べて非常に違う点であると思いますので、その点の考慮は十分に必要なのではないか。場合によれば、農民の所有地からその所有権を移転しないで、その農家が土地を持ったままで、それが有効な都市的目的に転用されるような各種の誘導手段と申しますか、ちょっと先ほども申しましたけれども、そういうことも十分に考慮してよろしいのではないか。もちろん、公共用地等につきましては公共団体にその所有権を移転しなければならない場合がたくさんあると存じますけれども、やはり地価の将来の値上がりに対して地主がある程度その利益を受け得るようなくふうというものは、確かに今後の都市計画なりその実行面で必要であろう。急いで土地を売った者があとで非常に損をするというような形をなるべく避ける。それは私、先ほど風の神太陽というようなことを申したのでありますけれども、そういうような考慮が必要だろうというふうに感じております。  それから食糧増産のことにつきましては、これはまた別の問題になるわけでございますけれども、大体土地経済的な価値として考えますと、農産物をつくる場合に比べまして、工産物といいますか、工業製品を製造いたしますと、同じ一反歩なら一反歩の生産高は大体五百倍から千倍に農産物に比べますと上がるわけでございまして、まあある意味ではそれだけ土地利用度が高まる、現在の地価上昇の中には、そういった土地利用目的の変換による土地利用価値の上昇が地価に反映している面があるわけでございまして、これは私どもは純粋な地価上昇と区別して考えるべき面があるように存じておりますけれども、ただ、食糧につきましては、生存に不可欠でございますけれども、まあ国際化時代でもございますし、日本経済のエネルギー消費全体の七割がすでに海外から輸入されておる、海外からのエネルギーの供給がとまれば、自動車も工場も、あるいは電気の供給もとまるような日本経済になってきておりまして、食糧の点につきましても、自給度が高いことは望ましいわけでございますが、これをあまり絶対的に、価格の問題を完全に無視してもというわけにはなかなかいかない事情があるかと思うのでございます。  土地面積からいたしますと、日本全体の土地面積から見まして、市街化を必要とする面積は思ったより少ないわけでございまして、全体の農地から見ますと、もしもこのスプロール現象がある程度規制されまして合理的な土地利用が行なわれますと、思ったよりも食糧生産に対する農地の転用が及ぼす影響は少ないと、私、現在正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、この土地都市利用という点ではわりあい少ないのでございまして、たとえば、現在一億の人口の半分の五千万は日本国土の一%の土地の上に生活しておるわけでございます。さらに、人口の半数以上がだんだんと都市人口にもなってまいりますと、やはり都市に住む人たちの生活ということ、便益ということにもかなり政策の重点が向けられざるを得ない。ことに最近の府県別の人口の出生率などを見てまいりますと、農村地域の出生率はかなり低くなりまして、大阪、神奈川、東京等の大都市の出生率が最も高い地域にもなってまいります。次代の国民の相当多数が今後は都市で生まれ、都市で育つということになってまいるといたしますと、やはり土地利用ということについて、農業的な利用都市的な利用との間のバランスをはかっていくということが必要になるのではないか、以上のようなことでお答えになるかどうか……。
  18. 田村良平

    ○田村(良)委員 ついでにもう一回お伺いしますが、実はいま七割輸入とかいろいろ申されましたが、やはりわれわれ日本国民というものは、食糧の自給というものが一番完全であることが理想でございます。したがって、わが国の農政からいけば、国内生産の食糧を一体何割確保するか、あとはやむを得ざるものとして輸入に待つという方向をきめませんと、現在、ちょっと資料を見てみましても、アメリカからだけで農産物が約十億ドル内外入っておりますね。特に大きいのは、マイロなんか八六%、さらにお互いの日常生活に不可欠でありますみそ、しょうゆ、とうふあるいは食用油、これらの原材料であります大豆、これは八二%の輸入であります。あるいはトウモロコシ、これはえさ関係でございますが、四七、小麦粉が約五三、特に一番やかましい米でございますが、大量輸入を行ないました一昨四十年は、準内地米七十六万トンのうちで、その四割がカリフォルニアの米がきておるわけでございます。こういう食糧の現状を私は考えたときに、日本の国の政治の上から、ただ、東京に来た人のみが下水道ができて、団地へ入ってけっこうなお住まいをする、そういうことのみに何か皆さんがわんわん言うて、一体自分の食っているものはどうなっているのだ、こういうことに私は総合的な御検討が要ると思います。したがって、たいへん失礼でございましたが、経済研究センターの理事長をなされておりますので、こういう意味においてあわせてお考えいただきますならば、この都市計画というものについても慎重に考慮すべき問題点がたくさんあるのじゃなかろうかというように考えましたから、一例をあげて申し上げたのです。特に私がこのことを強調いたしましたのは、この際参考人の御意見もお伺いいたしたいと思いますが、かつて、われわれの農村の先輩等は、窓税、門税というものをかけられております。つまり、百姓が門をつくると税がかかる、窓をあけると、採光施設といって銭をとる、そういうことで、百姓の生活を、肥えたごと継ぎはぎのぼろを着て、ほおかぶりをして、なた豆ぎせるを下げて、ばかの張本人が百姓、どろくさいのが百姓、こういうように軽べつされ、差別されてきた行政なきにしもあらずであります。したがって、その感覚がいまだに都市におる人にもし残っておるとすれば、これはたいへんなことであります。終戦後、二合一勺の配給では死ぬる死ぬると言うて大騒ぎをいたしましたが、私の知るところ、だれも死んでおりません。たった一人、神戸の判事さんでしたか、配給のとおりやって栄養失調でなくなったということを聞いております。みんな大きくなって、太ってきて、高度経済成長だということであります。しかし、その背後に、私が申し上げたように——米価は先般ようやく一万九千円台であります。ところが、終戦直後、われわれの農村では大体一升二百円でございました。そうすると、二十年たって百姓の米はようやく当時の需給のバランスの米価になったわけです。この間、農林官僚とずいぶん戦いました。なかなか米価を上げてくれません。私はそういうことを考えますと、坪当たり百万でころころ土地が転売される東京と、一反がわずか二十万か三十万で国鉄に買収せられ、建設省の道路に買収せられているこの貴重な財産の差別行政というものは、いま日本都市化並びにわが国一億全人口経済生活に私は基本的な問題だと考えております。したがって、たまたまこの都計法という、えらい半世紀の改革にぶつかりましたので、本日は参考人の皆さま方にも、こういうことを考えておる代議士もおるんだということを、私は率直に意見を申し上げて、各位の幅広い、底深い知識から、ひとつ何かと御指導願えれば幸いだと思います。こういう点で、どうでしょうか、かつての二十年間の米価とか、あるいはそれを生産する貴重な財産である農地、あるいはこの都市計画法による市街化ないし市街化調整区域、その中で、ただいま安井参考人が、ぜひとも農地を残してくれというようなことを強調されておりますが、これらをひっくるめますと、日本経済の将来、あるいはあすの日本経済の再建について、どういうように大来参考人はお考えになっておりましょうか、御意見をひとつ参考までに承りたいと思います。
  19. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ただいまたいへん感銘深く伺ったわけでございまして、過去の歴史を振り返ってみますと、確かに、日本農業というものは、苦しい立場といいますか、都市と相対的な格差ということが非常にあったわけでございます。ただ、将来につきまして考えますと、おそらく、私ども感じといたしましては、都市と農村のいろいろな意味での区別が少しずつ消えてまいるのではないか、生活様式におきましても、ものの考え方なり社会的な立場におきましても、いま御指摘のございましたような点についての差別感というものがなくなっていきつつある——もうすでにその点はかなり進行してまいったわけでございまして、今後ますますそういう差別が薄らいでいくような経済的、社会的な動きを示しておるのではないか、そのことがやはりたいへん望ましい姿ではないかと思います。都市計画の法の施行にあたりまして、十分に農業のほうの立場というものをお考え願うということは、私もそう感ずるわけでございますが、方向としては、その差別がなくなる方向に現在日本経済社会は動きつつある、将来もそういうことがだんだん可能な条件が出てまいるのではないか、そういうふうに感じておるわけでございます。
  20. 田村良平

    ○田村(良)委員 ありがとうございました。  それでは高木参考人並びに磯村参考人にお伺いしたいのですが、お話しになりました点で、りっぱな都計法ではあるけれども、やはり現在の官庁の機構からいうと、住民が喜んでみずからつくり上げた計画で、みずから実施しよう、そういう場合に、当該市町村なり府県なり、国のいわゆる強力な指導を受けるというような都計法でない、やはり内部の——上から圧力をかけたり、かってなことをせられて、住民不在のようなことでは、せっかくできた都計法も新たな混乱を起こすではないか、こういうように、まあたいして変わらぬというような高木参考人の御意見ではなかったかと思いますが、さらに磯村参考人から——私、逆になりますが、審議会を非常に強調されましたが、私は、この審議会という制度は全廃論者でございます。立法、司法、行政という三権分立のたてまえでありますから、もういつまでも占領下でもありませんし、官僚の隠れみのみたいな審議会をつくられて、議会の議決以前に妙な意思が出てきてみたり、行政当局が責任を持って立案すべき前に妙な審議会の委員に聞かねばならない、尊重しなければならないなんて、こんなことをやっていますと、国会も何も要らなくなる、審議会でみんなやってしまうのだから。その審議会の答申によってずいぶん国会が混乱し、迷惑した場合がたびたびあります。私は、こういう新しい、半世紀にわたって放置せられ、しかも行政の整備も全くおくれてしまって、いまやマンモス化する大東京、全く公害の町になっている。健康で文化的なんて、とんでもない話です。朝から晩まで人が死んでおる、こういうばかげた都市の生活を何とか私は是正しなければならぬと考えます。えらい知恵のないものだと思いますね。でありますから、この際、せっかく参考人の皆さんの御意見を伺いましたが、この都計法が、いわゆる住民が十二分に参加する、十二分に意思が入るというような方向にいくには、たとえばどういうふうにしたらよかろうかというようなことを、高木参考人から、地方自治その他の御経験から、この都計法にこういう画竜点睛をすればどうかというお話がもしあるとすれば、承りたい。  それから磯村参考人のほうからも、審議会でございますが、申し上げたように、やはり責任者は責任をとる、それで初めて政治がすっきりする。あくまでも執行権と議決権は対抗であります。完全なる平等の法律に立って対抗する。いわゆる理論と政策を立てた対決の中に新たな調和を見出して政治、生活は前進するということは、火を見るよりも明らかであります。あまりにも占領治下長い間置いてけぼりを食らいましてどっちが政府の職員やら、どっちが代議士やらわからなくなってきた、こういうことで、私は、選挙によって選ばれました、民意を代表する機関というものの権威がそこなわれちゃいかぬということを考えますと、この法律にもあります村議会が議決する、あるいは審議会が入ってくる、この議決と審議会の答申が違った場合にどうするか。先ほど高木さんが言われますように、末端が非常に混乱しはしないかということについて私は憂えるものでございますが、この機会に、この点を払拭するにはどういうような方法がよかろうかという御意見がございましたら、参考までに承らしていただきたい、かように考えますので、よろしくお願いします。
  21. 高木鉦作

    高木参考人 どういうふうにしたらいいかということについて、特別に妙案は持っておりません。ただ、一般論のような形で申し上げますと、やはり都市計画というのは、一方で規制をしながら、他方でいろいろな施設をつくっていくわけです。非常に市民の生活なり生業に大きな影響を与えてくるわけであります。そういった点で、できるだけ市民が納得する、あるいは市民が理解してその中からいろんな知恵を出しながら、かつ、きまったものに対して協力できていくという体制が必要だろうと思います。幸か不幸か知りませんけれども、大正八年の都市計画法にいたしましても、実質的な成果というのは、明治二十一年の東京市区改正条例がそのまま残ったものだと思います。それは基本的に言いますと、要するに、市民の代表である地方議会というものが信用できない、そういうところにきめさせたのでは何をやるかわからない、そういう不信感が前提になっておると思います。おそらくそういうことは現在でもいろんな意味で非常に強く感じております。  もう一つの問題は、やはり都市計画というのは非常に専門的な仕事でございます。ですから、特にフィジカルな、工学的な面について市町村がそういう設計図をつくったり、いろんな作業をしていく場合に、必要な職員ないし技術屋というものを十分備えていない、おそらく県庁所在地の都市ぐらいの規模のところでないとできないだろう、そういうような現状からしますと、ある程度、中央政府なりあるいは府県庁がその指導的な立場をとられてくるということもわかるような気はします。ただ私が指摘したかったことは、かりにそういう県庁の関係者、専門家がおつくりになったとしても、やはりそういう案を市町村に押しつけるのではなくて、やはりそういう案を、草案の段階でもっと市民の間のたたき台にして、そこで徹底的に議論されて、その上に当局の意向も述べられ、そして堂々と反対できるだけの自信を持ってもらったらいいのではないか。先ほどちょっとどなたか御指摘ありましたけれども、確かに道路は必要でございます。必要でございますけれども、道路に引っかかってそのために困っている人もたくさんいます。そういう人からいえば、なぜ自分だけが犠牲にならなければならないのか、そういうものに対する説得というものが、通常あまり自信がないような説明があるということをよく聞いております。そういう点で、これは法的に知事がきめられる、かりにこの法案のままにしましても、きめていく過程でもっと徹底的に下へおろして、そして建設の計画案というものを市民レベルで相当長期かかってそういう批判なり検討をされるということが必要じゃないか。そういうために、むしろ市町村と、それからもう一つは、事業の実施というような点からいきますと、かなり市町村が入ってまいりますから、それでその市町村のそういう決定機能というものを国なり府県が文字どおりテクニカルな意味で援助していく、そういうような形でそこと上位の計画との調整というものをうまくやっていかれるような、何かそういうような方式かできないものだろうか、そういうふうに感じております。
  22. 磯村英一

    磯村参考人 一番最初の御質問の点、全く同意見でございます。たまたま法案の中にございましたから触れましたのでございまして、その点は年来私そういう主張を持っております。と同時に、私はこの機会に申しますのは、国にたくさんございまする審議会、それから地方にございまする審議会は、私は、これは白書を出すべきじゃないか、こういうふうに考えております。どのくらいの方がどのくらいのことをなすって、何期おられるというようなことは、住民の多数の意見というものをできるだけ結集するという意味からいきましても、そういう白書というものが出されるべきじゃないか、こういうことを参考のためにつけ加えます。  それから後段のことにつきましては、それじゃ一体どういう住民参加の方式が考えられるかと申しますると、二つ申し上げます。  一つはどういうのかと申しますると、一応、いわゆる知事であろうと、市長であろうと、何かのビジョンを持ちましたら、そのビジョンというものをすみやかにその住民の全体に知らせるという方式をとってほしい。  一例を申し上げます。私が四年ばかり前にベルリンを訪問いたしましたときに、ベルリンの都市計画局に行きまして、図面を見せてくれ、こう申しましたらば、それではおまえをこれから連れていってやる。どこへ連れていってやるのかと思いましたらば、小学校の校長の応接室へ連れてまいりました。そこで図面を説明してくれた。どうしてこんなところへ来たのだと言いましたらば、これが一番新しい図面で、都市計画なんというものはそう簡単にできるものではない、いまの小学校あるいは中学校の生徒というものがやはりこれから十年先になって一つの市民となったときに理解がほしいのだから、そういうことをするのだという。私は、これは日本の建設省や何かでやられても決して悪い方策ではないということを、大臣おられるから申し上げますが、それからもう一つの方法としては、いわゆる都市計画というものは、そう申しますけれども、これは多数の住民のいわゆる個人の意見と、大きな意見というものが対立するものでございます。対立の緩和の方策として、何しろビジョンの理解を求めるという方策をとった上で、必要である場合においては、非常に大きな問題については何らか公聴会に準ずるような方式なんかもやはりお考えになる必要があるのじゃないか、この程度のことはあってもよろしいのではないか、これだけをお答えしておきます。
  23. 田村良平

    ○田村(良)委員 審議会の点でたいへんありがたい御意見を承ったのですが、私も考えておりましたことは、審議会というものは−私自身の考えでは、総理大臣の諮問機関なんというものは要らない。総理大臣が勉強し、行政の参考が要るならば、それぞれのブレーンの人を集めてお聞きすればいい。きょう参考人が来られておりますが、だいぶ私ども参考になりました。代議士には諮問機関はないですよ。自分ひとりで勉強しなければならぬ。そういうことを考えてみますと、行政のほうだけが、行政官でない者が行政官類似の行為をしたり、行政官でない人が行政官的な意思を発表してみたりして、それが原案になってくるということは、私としてはとても納得できないが、磯村参考人の御意見で、そのとおりだという御意見もございましたので、たいへん意を強うしました。  それでは最後に、農業団体の安井参考人にお伺いしたいのですが、ただいま四点お話がありましたが、この昭和四十三年度において講じようとする農業施策、これはいまお話がありましたように、農業地帯の保全、振興について——都市地域への人口集中、工業開発あるいは交通網の整備のために農地がどんどん破壊される、あるいは農地利用度がどんどん低下する、あるいは逆に地価が上がってくる、こういうことで、単に都市周辺のみでなく、農村地域にも激流のようなこうした問題が波及してきておる、こういう場合に、わが国農業の前途に対する基本的な施策としては、農業振興地域の整備に関する法律案というようなものが出されてくるわけであります。私はその前に同じ考え方でお伺いしてみたいのですが、これは極端な表現でございますけれども、たとえば農林省の経済局長、農地局長、畜産局長、これはあすにでも辞令一本でどこへでも飛んでいく。学校を出て、頭はいいかもしれませんが、どこへでも飛んでいくのですね。現実には全然百姓しておらぬ。そういう人が机上でプランを立てられて、そうして法律案というものが出てまいります。ところが、現実農業をやっている人は、ただいまの都市計画法というものの市街化調整区域を非常に心配しておられる。そうすると、全国生産農民を組合員とせられます農業団体御自身におかれて、この資本自由化の激流の中で国際経済にさおさして、わが国農業をより発展的な方向に持っていくにはどのような施策を生産者みずからが考えるべきであろうかということの御検討なり討論をせられて、その煮詰まりました結論をさげて農林省、政府をして施策たらしめるというように農業団体はあるべきではないか。できかかった法律案をちょこちょこあとからのぞいて、あれしてくれ、これしてくれとあわれみを請うてぶらさがっていくなんということは、どうもなさけない気がしてしかたがないのであります。ただいま四点お触れになりましたが、その前に、一体日本の百姓は、おれの生活はだれが守り、どうするんだということ、それは一番困っておる百姓が立ち上がるべきであります。したがって、農林官僚にぺこぺこ頭をさげて、関係のない法律案をつくってみて一そういうことを考えますと、農業団体が先般発表されましたが、ああいうものを中心にせられて生産者御自身の生活改善のプランを積極的に政党に、また政府に働きかけていかれるというような方向に転機すべきときではなかろうか。一都市計画法によって先へどんどんつまみ食いされていく、農業関係の法律はいつも後手後手と回っていく、こういうことを考えてみますと——当局への質問はきょうは遠慮しますが、生産者団体の代表であります安井参考人から、ここらについての組織としての御見解をまず参考に承りたいと思います。
  24. 安井七次

    安井参考人 非常に広い問題でありまして、私の答えがお答えになるかどうか存じませんが、私は最近こういうぐあいに考えております。やはり農業一つの大きな使命、役割りを持っていて活動をいたしておる。しかし、最近の情勢は、生産性が上がらないので困っている。しかし、それは最近のことではなくて、農業そのものはそういうものであろうと思います。しかし、農業は発展をさせなければ、いろいろな問題で国が困るでしょう。そこで、その発展のためにいろいろ努力をいたしております。もっぱら、御指摘のように価格問題でやっている。しかし、これはこれなりで私は農業団体の役割りがあると思うのです。先ほど大来参考人が、あまり深くはお触れにならなかったが、都市と農村の所得格差なりあるいは家計支出の格差というものは、だんだん縮まってきているのではないのかとおっしゃったところに私は一つの示唆を思い出すのですが、そういう状態にさらに進みますれば、今後のわれわれのやることは、価格問題はやや現状よりも後退をして、所得問題は生産対策に中心がいくであろう、こう考えております。  そこで、お話のように、われわれ昨年の十一月一日の大会で、農業の十年間を予見して、これから生産性を上げる対策を中心に農協全体が取り組む、こうきめております。その取り組み方は、簡単に言いますれば、集団生産制、集団生産組織をつくって、そこに一切の精力を集中する。生産対策も、施設も、あるいはそれを中心に流通部門も進出をする、そうして農家所得の増加に寄与するということを考えております。非常に広い話ですが、そういうことでとりあえず十年のうちの三カ年計画を立てて取り組むことにいたしております。  そこで、そういう観点と同時に、この都市計画法農業地域振興法——われわれは、どうしてもこの国土の有効利用、その土地割り、そうしてその中における最もいい政治、農業政策なら農業政策を行なうことが、国民全体として一番大事なことであろうと考えております。その場合に、市街化地域といえども農業を営む者がやはりいるのだから、これを大事にしてやったらよろしい、そのためには税制措置をお考えになることは決しておかしくないし、当然のことじゃないか、しかし、そのために土地が値上がりをした、それは譲渡所得等でどうせ売買されたときには国のほうへ納めるわけでありますから、その不公平なる措置はそこで解決するから、継続的に農業をやる者はその面で大事にして、税制措置等をお考えになることがいいのではないか。その次に、国土の合理的な利用の観点から、あいまいな調整区域、これをがんとした考え方で十分整理していく、それが今後の運用に最も大事なことではなかろうかということを私は痛感いたしております。
  25. 田村良平

    ○田村(良)委員 私一人で恐縮ですが、もう一回お尋ねしておきたい。  やはり生産者が自己の生活は一番よくわかっておりますから、生産者は——ただいまお話のように、たとえば、ことしの大会に出された集団生産組織ということはけっこうでございますが、私も日ごろ考えておりますが、たとえば石炭は生産目標を明示いたします。ところが、私なんかが今日まで体験したところでは、一体わが国は四十三年は何千万石政府が責任を持つかということについて具体的なお示しがない。でき秋のときに米価でたたかれる。そこで農村の不満が爆発する。だから、消費者の方からよく言われますが、とにかくとんでもない高い米だ、国際価格の倍も高い——それほど日本の米がおきらいなら輸入米でやったらよろしい。だから、思い切って切りかえるんですね、そうなったら。ところが、一体そう簡単に外国から米が入るか。昔から一番おそろしいことは、糧道を断たれることですね。もう食糧を断ったら、とにかく死ぬのですから。一万円札を食っても腹は張りません。そうすると、私がここで申し上げた転機というのは、八千万石あるいは六千万石、あとはやむを得ず輸入する、六千万石は絶対に確保するとなれば、あらゆる天然現象の危険の中で働く生産者に対しては、どうしてもそこに危険手当、あるいは来年度もどうぞあなたの米の耕作反別は落とさないように、換金作物に逃げないようにと、こうして大事にすれば、都市計画法というものの摩擦がだんだん減って、ほんとうに農民農地を守ろうという気概が出てくる。そういうものがないところに農村の貧困があるんじゃないかと思います。したがって、それを政府が叱咤激励することはけっこうでありますが、われわれ生産者自身もまた新たな資本自由化のこの大きな国際経済の中で生きていくのですから、わが国農業の劣悪な条件をどのようにして改善するか、また、その中でわれわれはどのようにして生産性を高めていくか。また、高いだけが能じゃありません。生産性を高めることによって低廉な価格供給することも必要でありますから、そういったことで、米とか食糧についての——生産者自身も、まことに失礼な言い分でございますが、思いを新たにしていただきまして、政府に要請すべき点、また、せしむべき点、みずから努力すべき点というものをひとつ区別していただきまして——私はもう一回お伺いしたいのですが、生産者団体としては、年間の生産目標、これに対する責任政治、こういうものをどうするかということをしみじみと考えます。そうでないと、都市周辺は、つくらず、ほうっておくほうがずっといいのですからね。日雇いさんを雇って、肥料を入れて、肥培管理をして米をつくるよりかずっといいのです。ほうっておいたら借りにきますから。法律上の土地にせずに、やみで貸せばいいのだから。毎日何千円かの賃料が入ってくる。そうすると、そんなばかなことはしなくなる。そうしてそのうち、もし世界的な大きな恐慌がきたときに、さあ輸入はとまった、食糧が来ない、油が来ない、一切こなくなったときにどうである、それはあまりにも愚かな政治じゃないかと思います。したがって、申し上げたように、民族の歴史の上からくる、農民というものをばか扱いし、何かくさいようなことを考えておって、自分たちの食う米だけは一銭でも安く食おうというようなことになってきますと、私はこの都計法に盛られている思想関係からも十二分に警戒をすべきだと思います。したがって、もう一回お伺いしたいことは、年間の生産目標、それについて生産者の団体は、われわれ生産者は最低何千万石だけは絶対供給する、そのかわり政府も責任をとれというような方向にいくようなお考えをお持ちになるかどうか、ちょっとこの点、参考にお伺いしたいと思います。
  26. 安井七次

    安井参考人 いま御指摘のように、具体的には農林省のほうに需給見込みをいま立ててもらっています。まず農林省のほうで需要量の確定を急いでいただく。おそらく六、七月ごろまでにおおよそのものはでき上がるでしょう。それを受けまして、われわれのほうで生産計画を今後立てていきたい、こう思っております。そこで、これからは需給の調整をした生産をしていくということになりますと、これの考え方に対して国も十分お考えにならなければいかぬのじゃなかろうか。御承知のように、農産物は豊作、凶作の差が激しい。需要見込みも狂いますし、生産見込みはもちろん狂います。その場合に、生産減退の場合に、供給不足の場合に、非常に大きな不安定問題を起こします。そこでかりに、いま先生おっしゃいましたように、需要見込みを国の責任で立て、それに即応する生産計画をわれわれが立てましても、そのような事情変化がございますから、それはやはり現在の制度で補完をしていく措置を十分お考えになっておく必要があるのではなかろうか、こう私は思っております。そこで、需要、生産及びその中における国の施策、三者一体で運用する以外にはないのではなかろうか、こういうぐあいに考えて進めております。
  27. 田村良平

    ○田村(良)委員 それでは、終わりにもう一回重ねてお伺いしますが、ただいままで生産者団体が大きく農政の前進としてやってこられましたことは、お話のように、価格問題であります。ところが、いつも私がふしぎに思いますことは、たとえば米価にいたしましても、御案内のように、指数化方式、所得均衡方式あるいは積み上げ方式と、いろんな形でやりますが、農林省自体が生産者の計算した数値について全く分析をしない。頼んでいない指数化方式を一方的にやってくる。あるいは畜産物にいたしましても、実は毎年同じことを繰り返しておる。たとえば農林省は平均五年をとる、生産者団体のほうは三年をとる。この物価変動の激しいときに、五年ものんびりしたものをとられたのでは、だんだん薄まっていくにきまっております。一番近いのは、去年と比較してどうだということが一番早いですね。こういう点についていつも考えますが、乳価にしても、あるいは畜産物一般にしても、あるいは肉の価格にいたしましても、米価、こういった重要な畜産物の価格あるいは農産物の価格につきましては、現在の畜安法なり農産物価格安定法なりを、生産者団体としても、こういう点が全く現実に合わないのだ、何ぼ理屈を言うても現実はそうではないではないかということを——洋服を着ておる人をつかまえて、おまえ、着物を着ていて何だと言っても、こいつは洋服なんです。そうしていつも計算方法の違いで無用な混乱を農政に起こしている。これについて生産者団体御自身も脱皮していただかなくちゃならぬ点があるのじゃないかと思います。したがって、これは日常、全中の組織を通じて農林省と十二分にいわゆる討論をせられまして、建設的な方向に持っていく。農民を管理しなければならない、農民を指導すると言う農林省が、いつも計算法では百姓とけんかをするのですね。こんなむちゃくちゃな政治は私はないと思うのです。つくっている人がこれだけ要るというのに、つくらない人がそれだけ要らぬなんというおかしな話はないですね。メーターが二百円出れば二百円なんですから……。高い安いは別ですよ。ところが、生産者が、これだけ生乳はかかります、これだけ豚の枝肉はかかりますと言っても、どうしても承知しない。そういうことは私はたいへんなことだと思います。  きょうは非常にいい機会でありましたから、参考人の方に私の所見を申し上げて、私は、あすの日本の農政並びに関連いたします都計法の前進とともに、農地だけが転落したり百姓だけが置いてけぼりを食らったりというようなばかは見たくないと思います。したがって、価格形成にあたりましても、ひとつ生産者団体におかれましては十二分の御検討をしていただいて、すみやかに同じ認識と理解の上に立ってわが国土の繁栄のための農業というような方向に生産者団体がリードすべきだということを特に申し添えて、御見解があれば承って、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 安井七次

    安井参考人 実は、農林省とわれわれの算定方式なり個々の内容の違いは、非常に不可解にお思いだろうと思います。それを一緒にする努力は、米価なら米価の時期、畜産なら畜産と、非常に重ねております。しかし、しょせん、農林省は予算の関係でやはり変えるところは変えざるを得ない。やはり財政支出の関係で最後は押えつけるところは押えつける、われわれの言うことを聞かないところは聞かない、合わないところは合わない、そういうことになっておる、十分なる連絡はつけておりますが、最後のところはそのところの違いだ、こう思っております。
  29. 田村良平

    ○田村(良)委員 では終わります。
  30. 加藤常太郎

    加藤委員長 岡本君。
  31. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 最初に磯村先生に伺います。  先生のお話の中の一番最後の、国土はだれのものかというおことばでございましたが、私どもは、今度の都市計画法が出てまいりました一番中心の命題はそれであった、こういうふうに理解をいたしております。  それで、いまだんだんと田村君からもお話がございましたが、農地はどんどん工場や住宅にスプロールされていっている。まあ東海道沿線あたりでありますと、坪一万円以下の田んぼはない。そういうことでありますと、もう農業の経営基盤が成り立たない。そういう意味でも、農地は確保して、農業地域として、工場や住宅のスプロールは許さない。同時にまた、それじゃ今度は、その市街化地域指定いたしましても、まあほしいままに、いや、おれは百姓をどこまでもやっていくのだとか、おれの土地自分が好きに使うのだというふうなことで非常に広大な土地を遊ばしておられますと、勢い都市計画をやっていきますのに、道路にいたしましても、上下水道にいたしましても、延長が伸びまして、公共投資の効率というものが非常に悪くなってまいります。だから、市街化地域市街化調整地域、それはことばをかえて言えば市街化抑制地域なんですね。だから、市街化地域と抑制地域とに分けて、農地は完全に保全する、そうして農業の経営基盤を強化する、一方では都市施設の効率をあげる、同時にまた、それを立体的に利用して土地利用効率も高めていく、こういうような観点に立って今度の都市計画法がその第一歩を踏み出すために出されてきたもの、出てきたもの、こういうふうに私どもは理解しておる。  したがいまして、国土というものは国民全体のものなんだ、所有権がある、その人が持っているということは、国民からその土地を有効に利用することをゆだねられているのだ、こういう理解の上に立たなければいけない、こういう考え方都市計画法と私どもは取り組んでおるわけなんでございますが、磯村先生の、五十年後にもしもう一度都市計画法の改正というものが出てくるならば、国土はだれのものかということが議論の対象になるであろう、こういうふうなおことばでございましたが、現在の時点において、国土はだれのものかということを一番の大きな命題としてこの法律案と取り組んでおるというふうに私ども考えておるのでございますが、磯村先生もそういうふうな意味において国土はだれのものかとおっしゃいましたのか、あるいは、国土はだれのものかというおことばは、もう少し違った内容を意味するのか、その辺を承りたいと思います。
  32. 磯村英一

    磯村参考人 ただいまのおことばでございますが、私が申し上げましたのは、ただいまの御発言のとおりでございまして、実は五十年後になんということを申し上げましたのは、私の一つのことばのあやでございまして、都市計画法自体の精神というものはやはりそこに向いているのではないか。現在の時点においてやはりそう向いている。いわんや、最近、経済企画庁あたりで高密度経済社会ということを申しますが、高密度経済社会といったようなものがもし考えられるといたしましたならば、私は、農業自体も、やはり高密度経済社会の中における農業考えられる。しかし、そういう場合におきましても、国土というもののいわゆる所有権というものが全く個人だけにございましたのでは、その目標というものはできない。したがって、いまお話のございましたような前段の意味におきまして申し上げました、あえて五十年を待つなんということは——それでございますから、皆さん方の政治の良識の上において御判断いただきたい、こういうふうに申し上げたのでございます。
  33. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 次に大来さんにお伺いたしたいと思うのですが、大来さんは所得倍増計画の立案を下村さんと一緒にされた知名な方として私は存じておりますが、昭和三十五年に所得倍増計画をされまして、今日までの間になるほど所得は倍増いたしました。しかし、同時に物価も倍増し、地価は、十倍増とまではいきませんが、五、六倍増ということになっておるのでございます。先年なくなりましたが、笠信太郎さんが昭和三十七年に「花見酒の経済」という書物を出されまして、大来さんもたぶんお読みであろうと思いますが、日本土地の値上がりによってものすごい信用インフレになっておる、このままほっておいたのでは日本経済そのものが基盤をくずされていく、だから、地価を何とか抑制しなければいかぬということを強く指摘しておられました。当時大来さんの出されました所得倍増計画の解説書を読みました。しかしながら、その中には、所得倍増計画でこうやれば地価が非常に高騰するんだというふうなことの指摘が少しもございませんでしたが、当時、高度経済成長政策をとることによって地価が高騰するということを予想しておられましたか、おられなかったかということ、その次には、もし予想しておられたとするなれば——また笠さんなんかは、あの人は経済人ではありません、新聞記者ですから、だから常識人として、地価の高騰というものは、高度経済成長と一緒に、また、ことに日本経済というものは信用インフレの上に成り立っておるから、借金だらけの企業が地価をどんどんつり上げておるということを特に強く指摘しておられました。こういうふうな意見も相当強く当時すでに出ておったのに、どうして経済成長政策の中に、地価の抑制というものを強く織り込まれつつ経済成長政策を進めていくという方針を強く主張していただけなかったか。先ほどあなたのお話の中には、この都市計画法案が出てくるのがおそ過ぎたというおことばがございました。確かにそうでございます。経済成長政策をとるときに同時に強い地価の抑制政策をとりつつやらなければならないのを、地価というものは野放しにしておいて、それで経済成長だけをやっていく、工場をどんどん建てるときには土地担保に金を借りながら、雪だるまのように借金をふやしながら工場がどんどん大きくなっていく、企業が成長していく、こういうようなことが一そう今日の地価の高騰を起こしておるのでございますが、その点、地価抑制をどうして考えていただけなかったかということ、それをまずお伺いいたしたいと思います。
  34. 大来佐武郎

    ○大来参考人 私、当時企画庁で計画の作成の事務的なことを担当しておったわけでございますが、御指摘の地価問題については、はっきり記憶をいたしておりませんが、確かに十分には触れておらなかった。物価問題についてはある程度触れております。これは昭和三十五年の倍増計画作成の当時までは比較的消費者物価も安定しておったわけでございますが、あのころから上がり始めたの経済全体として見れば、内容的な成長も行なっておるわけでございまして、物的な、鉄鋼の生産力とか自動車の生産力とか、そういうものの面から見ましても、必ずしも笠さんの言われるような影の成長といいますか、実態を伴わない膨張ということではなくして、生産力なり生産施設なり何なりもそれに見合って伸びておりますし、卸売り物価もそれほど上昇しないで、国際競争力もふえているという面が言えると思うのでございますが、地価の点につきましては、率直に申しまして、御指摘のとおり、まだ当時の認識は私どもとしても不十分だった点があると反省いたしておるわけでございます。ことに地価の問題は、都市計画全体を含めまして、マーケット・メカニズムといいますか、需要があれが生産もふえて値段も下がるというような形にまいりませんで、これはオランダのティン・バーゲンという学者も指摘しておりますが、土地だけは普通の商品と違う、つまり生産をふやすことができない、供給が有限であるから、商品の単なる自由な取引にまかしておいたのでは、土地利用が非常に不合理な形になる。したがって、オランダでは、保守党も社会党も一致して、土地利用計画土地利用規制ということは三十年来続けているんだという話を当時聞いたことを記憶いたしておりますけれども、その点もう少し強調すべきであったということは感じております。   〔委員長退席、金丸(信)委員長代理着席〕 ただ、一般の生産物であれば需給関係で動きますが、制度の改正を伴うことはなかなかすぐにはまいりませんために、現実事態からおくれたことがこのような地価の問題になっておる。しかし、これは非常に大胆な言い方でございますけれども、これから十年を考えれば、十年先の社会では地価問題はもうそれほど重大でなくなっているかもしれないということを近ごろ感じておるわけでございまして、一つには、こういう法律がいよいん当時と変わってまいりました。それから、一般の消費者の購売力と見合わない地価というものがいつまで維持できるかという点、たとえば都市生活者の所得を五つの段階に分けまして、第四分位と申しますか、下から四〇%ないし二〇%というような所得層がその所得の二割を住居費にさくという場合に、やはりさき得る住居の価額というのは、資本で二百五十万円ぐらいと見られております。そういうものが供給できないような地価、つまり、いまの地価というのは、架空需要に基づいて成立している点が非常にございますので、最終需要と結びついていない。土地を騰貴したり、土地を退蔵といいますか、売らないでもあまり損がいかないという状態が、法律なり制度なりの面で変わってまいりますと、長期的には一般の消費者大衆が払い得る地価というものに落ちついていくのではないかということも考えておるわけでございます。もちろん、公共事業等におきましても、工場等におきましても、地価の割合が大きい割合を占めております。その点で、経済的に見ますと、地価の上昇を通じまして一般の消費者の所得が地価の中にかなり吸収されまして、その土地の売却代金が土地所有者に移転する、その土地所有者がその資金を株式とか証券その他に投資するというような過程でありまして、ある意味では、地価の上昇を通じて資本蓄積をやったという、日本経済全体として見てそういう面があるわけでございまして、これは結果的には住宅生活条件の改善を延期して、生産といいますか、資本のほう、投資のほうに経済力が向いてまいったという点もありまして、これが一面、高度成長の、投資率が高いという形で、原因にもなっている。いままで、ある意味経済政策の基本が高度成長に置かれてまいりましたし、その盲点もあったように思うのでございますが、これからだんだんとやはり経済力の配分において生活面に重点が置かれるように向いていかなければならない。私ども、倍増計画の中にもあるして、たとえば、いまの段階でまた計画考えるということになりますと、当時とその面ではかなり変わった方向に向いていくのではないか。   〔金丸(信)委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、国民の生活内容を充実するという面についてもっともっと大きなウエートが置かれる形になっていくものだろうと考えておるわけでございます。
  35. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは企画庁におられて所得倍増政策を立案された大来さんから、日本のいまの経済成長は、国民の住生活の犠牲の上に成り立ったものであるというふうな御説明がございました。まさにそのとおり私どもも理解しておるわけなんです。だから、それを何とか切り開かぬといけない、こういうことでこの都市計画法が出てまいったのでありますし、私どももそういう姿勢で取り組もうとしておるのでございます。しかしながら、この都市計画法の中身は、こういう地価を安定せしめるという内容が何にもないわけなんです。逆に市街化区域地価を暴騰させるというような法律案になって出てまいっておりますので、私どもにいたしましたら、地価安定を目的にして出すことを要求しておきながら、出てきたものは地価暴騰法案であるというところで口あんぐり、むしろ非常な怒りを覚えておる、こういうことなんです。また、現実にこの間から委員会に連日たくさんの傍聴者が見えております。聞きますと、大工さんです。建築業者がどう言っておるかといいますと、いままでは農村地帯にどんどん家が建っていった。土地を売った農家が、次から次にアパートを建てたり、自分の家を建てたりして、それで自分らの仕事がうんとあった。市街化調整区域にそれがされてしまうと、もうそこの仕事がなくなってしまう。しかもそこへどんどん伸びていっておったところの開発エネルギーが、今度は市街化区域集中してくる。そこへ買いものが集まってまいりますと、市街化区域になるであろう、あるいは市街化区域指定されたというところがどんどん地価が上がる、そうすると、今度はそこで土地にすっかり金を食われてしまって、家を建てるということがもうできない、だから、結局この都市計画法地価暴騰法案であり、同時にまた、それが自分たちの仕事を奪う法律だ、こういうことで大工さんがたいへん大騒ぎしておるというのが実情でございます。  それでは、あなたは、この都市計画法を一日も早く成立させてもらいたいとおっしゃいましたが、そうおっしゃる都市計画法の中に、どういう形でこれが地価抑制的に働くか、歯どめがあるか。これを一日も早く成立させろとおっしゃいますが、私どもは、地価抑制の歯どめがつかぬ恨りはこれは成立させるわけにはまいりません、こう言っておるのでございますが、本法律案のどこにそういう地価抑制のための歯どめがあるか、それをひとつ御説明願いたいと思うのです。
  36. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ここであるいは櫛田さんからお答えがあったほうがよろしいのかと思いますが、私も先ほど申しました中で触れたわけでございますが、市街化区域地価が上がるだろうかと実は疑問に思っております。大体この法律でも十年間ぐらいの土地需要を考慮しておるわけでございますし、東京近郊におきましても、土地は絶対量として決して不足しておらない、ただそれがあき地で、使われておらないというところに非常に問題がございまして、もうすでに農地でなくなって、芝生や植木になっているところもかなり大量にございますので、もしも計画的な市街化が進められますと、先ほど触れましたが、それに通勤の施設をあわせて増強する。現在までは国電の通勤の増強は行なわれてまいりましたが、たとえば私鉄の複線化とか複々線化とか、車両の輸送力の飛曜的増大ということはいままでほとんど手が打たれておらなかったわけでございますので、そういったことで、市街化区域の取り方を適当にやりますれば、地価上昇という形にはならないのではなかろうか。地価の決定が、先ほども申しましたように、限界的な住宅地から逆にきまってくるというような点もございますので、その点を申し上げたわけでございますが、地価対策としては、これも触れましたように、やはり税制その他を含めまして、あるいは地主の土地利用促進を含めまして、さらにこの法律以外——都市計画法ができましても、これは将来相当長期にわたって、基本的な法律でもございますから、存続するわけでございますが、地価問題が現在の状況からかなり変わってもこの法律はそれ自体重要性を持つと思いますし、とにかくこのスプロール的な都市化現象を防止するという意味の積極的な役割り考えれば、一日も早く必要だというふうに感じておるわけでございまして、地価対策と非常に関連はしておりますけれども都市計画法そのものは必ずしも地価対策ではない、土地の合理的な利用と生活環境の改善というところに重要な意味があるわけで、地価対策はさらにほかのいろいろな問題と関連してやる必要があると存じますし、同時に、これによりまして、先ほど櫛田さんからお話がございましたように、こういう土地利用区分がある程度はっきりしてまいりますと、税制の上、法律の面でもいろいろの手段が具体的に施行できる。これがありませんと、どこをどうしていいかわからないということで、ほかの地価対策の手が打てない、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  37. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 あまり参考人と討論めいたことを避けたいと思いますけれども、先ほど櫛田さんから、宅地審議会のメンバーとして答申をしたがというようなお話もございましたが、宅地審議会答申の中には、地価を安定させるための方策としての土地利用計画というふうな形で御答申がございまして、その中には、やはり土地利用を促進させるような税制改革もやらなければならぬということがあったわけですね。ところが、今度の法律案には、土地利用の促進の税制ということが伴ってきておらない。そこにまあ私どもはこの法律案に対して非常な不満を持っておるわけなんでございますが、どうも大来さんにしても、それから櫛田さんにしても、先ほどのお話の中に、市街化区域地価需要者の支払い能力で頭を押えられるから心配要らぬとか、あるいは市街化区域指定は、相当広くやれば供給量がはっきりして安定感が出てくるから、それは地価を押える大きな要因になるというふうな御説明でございまして、地価の抑制効果が、そういう形で土地利用区分さえきめれば、そういう都市計画計画さえ立てれば地価が安定するかのような御説明でございましたが、これは、私どもにいたしますと、現在のきびしい住宅難、もう庶民の数限りない人が住宅を求め宅地を求めておる、だから供給があれば、少しでも安ければすぐそこへ食いついていくという、今日のきびしい住宅難というものを少し軽く見ておられるのではないか。だから、そういうことでは、とてもこの法律案が地価安定施策として有効なように私どもは思えない。そういろ意味では、私は、御両人の御口述の中にやはりはっきり、地価安定施策と一緒に両立さして出してほしかった、出すべきであった、こういうふうなお話がいただきたかったのでございますが、その辺についてはいかがお考えになりますか、お尋ねしたいと思います。
  38. 櫛田光男

    櫛田参考人 いろいろお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、この市街化区域というのが十年というものを単位にして——このごろは二十年前あたりから比べますと、たとえば地域経済についての産業連関、地域経済連関、シミュレーシヨン、分析とか、いろいろな科学的手段が進んでまいりまして、人口の動向とか産業の動き、あるいは住民のいろいろな生活水準に対する欲求の程度の計算とか、だいぶ進んでまいりました。新しい学問の分野がどんどん開けて、最近数年の間の進歩は相当なものがあると思います。これが今後ますます例のコンピューターの活用と相まって早くどんどんできるような時代になってきていると思うのですが、そのような科学的基礎に立った予測、それに基づく計画というものができてくれば、大体十年というものの間に宅地として需要されるものがこの程度であるということの確からしさがふえてくれば、先ほど申し上げましたように、市街化区域というものがきまれば、安定的な効果を漸次持ってくるということは言えると思うのです。  それからもう一つは、いろいろな土地価格問題、土地政策全般について、これだけがオールマイティーであって、何でもかんでもこれで一挙に解決するということはとてもできません。いろいろなことをやらなければなりません。ただ、どこまでもこれが土台になるということだけは痛感するものですから、これをつまり足台として、さらに情勢に応じていろいろな手は、税制の面からも、あるいは流通の面からも、やはり打たれなければならない。ただ現状においては、あまりそれが供給との関係において、お値段との関係において、東京の近所であれば、市街化するほうが不可能であろうとか、またそれを市街化したらとても負担がかかるであろうとか、そのようなところにまでどんどんスプロールして都市化が行なわれている。そうすれば、その人たちのために、いろいろな幸福のために、やはり割り高な投資も追加投資をしなければならぬ。このようなことはどうしてもいまの場合においては避けてやらなければならぬという見地から言いますと、これは何とか早く仕上げていただいて、これを一つの土台にしていろいろなこともあわせて考えていく。これは建設省のみならず、政府全体としてですね。  私は、簡単に申しますと、先ほど高密度社会のことをいささか申し上げたのですが、外国なんかと違って、日本の場合はもうほんとうに超高密度と言っていいくらいだと常に思っておるのです。そうしますと、これはたとえて言いますと、その中で一つの用途変更とか仕組みがえとかいうことを計画的に行なうわけでありますが、それは機械にたとえて言うと、運転させながらその部品を取りかえるというような仕事になると思うのです。もうたいへんな仕事なんです。これは世界じゅうでいままでやったことのない仕事に日本が当面しているのだというぐらいの覚悟を、政府はもとよりですが、一億がみな持たなければいかぬ。ですから、国土づくり、それから都市計画、あるいは片方に農村の振興計画その他ありますが、国土全体の有効利用について、適当なリーダーシップのもとで一億総がかりだという体制をつくらなければだめだ、そのくらいのことを感じているのです。その踏み台になるのが、スタートですね、これはなんであって、先ほど大来先生その他の方がおっしゃっておるように、実はおそきに失したぐらいの感じなんです。継続審議にならないで去年でき上がっておれば、一年助かったのではなかろうかとさえ思う感じなんですけれどもね。  それから、地価の暴騰−暴騰ということをおっしゃいますが、私は何か影におびえているような感じがするのです。それを申し上げますが、こういうことなんです。地価は下がったことがないと言う方もおられますけれども、今日の東京の都心部において、この二年間に一割以上下がったところがざらにあるのです。それから、名古屋の例を申し上げますと、名古屋の都心部では、いろいろな需給関係等から、この二年の間に三割下がっているのです。このように、下がるところもあり、また上がるところもある。それは要するにその用途、その働きですね、その土地がどのぐらいの快適性を生むか、どのぐらいの収益性があるか、どのぐらいの生産性があるか、そういった土地の効用を土台にして、それを目安にして、買う人があり売る人がいる、そのようなところででき上がってくるわけなんです。ただ、それが非常に市場が狭かったり、また需要が非常に強かったりというために、たとえば、災害があったら一たまりもないようなところに家を建ててみたり——そのようなところは自然安いんですよ。安いから買うということでは困るのです。やはりそれ相当の資本の投下が要るんです。けれども土地は簡単に——私のところで「全国市街地価格指数」というのを出しておりますが、これは全国の市街地の価格の平均とおぼしめしくだすったらよろしいのですが、これをこの間ちょっと計算してみたのですが、GNP、国民総生産との間にはある程度の相関があります。先ほどGNP密度ということを申しましたが、簡単に申しますと、GNPが上がれば、三十七万平方キロの土地の働きが上がったと同じことになるんですね。そうなりますから、したがって、ある程度相関があるわけですが、三十七年ごろまではいろいろ上がり下がりがありますが、なべてみますと、GNPが一割上がると土地が二割上がるという、いわゆる弾性値が二というぐらいの傾向だったのです。ところが、三十七年以後ずっと見ますと、それがさらに一以下になりまして、GNPが一割上がれば、土地は九%程度とか、だんだんそれが下がってきまして、去年あたりで言うと、弾性値が〇・七になります。これで相関のぐあいを別に計算してみますと、あと十年足らずの間に、かりに弾性値が〇・二、国民総生産が一割上がったら、市街地の平均は二%程度の上がりにしかならないだろうという傾向値が出るのです。これはいま言ったようなこととあわせてみると、理論的には非常につじつまが合うということなんですけれども、具体的には、まだそのほかに、たとえば税制関係その他いろいろな手を打たなければならない、これは申すまでもございません。ただ、いろいろ考えてみまして、何よりもこれが土台になるのだ、そのような意味で、一日も早くこれができ上がることをお願い申し上げたい、まあそういう感じなんです。少し横道にそれましたが、御参考になりましたら……。
  39. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この法律案が継続審査になったのは、野党の責任じゃないのです。これはもう会期まぎわより出せなかった政府・与党の責任なんです。それはひとつ御理解願います。弁解するのじゃないのですがね。  それから、土地面積一平方キロ当たりGNPという考え方と、人間一人当たりGNPという考え方と、これは大きな開きがあると思うのです。土地単位面積当たりGNPが高くなればなるほど、人間は超過密の生産なり住まいをして、非常な都市的公害に悩まされつつ暮らさなければならない、こういうことになって、単位面積当たりGNPが上がるということは、必ずしも国民のしあわせにつながっておらない。だから、そういう点をやはり考えていただいて、日本人が平方キロ当たりGNPが高いということは日本人の誇りでないと思うのです。これは日本人の一人当たりGNPが高いということなら誇りでありますが、その辺ひとつ——これは議論じゃないですから、それ以上そんな点について論争することもないと思いますが、そういう点で、私どもはそういう角度からものを申しているということだけは御理解願いたいと思うのです。  そこで、いま仰せの中で、まあまあ一歩前進だとおっしゃいますが、私どもはそうは思えない。やはりこの際どんずばりの地価抑制政策をやらなければいかぬ。そういうような意味から、ちょうど、たまたま、立場は違うのですが、おそらく佐々木さんは自民党の支持者であろうと私は考えておるのですが、たびたびパンフレットなんかいただきまして読んでおりまして、自民党の支持者であろう、こういうふうに理解しておる。その自民党の支持者であり、しかも不動産を扱っておられる人から、もうこんなにほっておいてはどうにもならぬ、だから土地は公的機関を通じて売買せよ、ちょうど私ども考え方と同じ御意見が、そういう保守的な立場にある人の中からも出てきておる。社会党は、今度は修正案といたしまして土地基金制度考えております。一切の土地の売買あるいは貸借、すべて土地基金を通じてやる。土地の要らぬ人は基金に売るなりあるいは貸すなりする、その土地を基金はまた必要な人に売るなり貸すなりする、こういう形でやるべきである、そうすれば地価はどんずばりおさまるわけなんです。今後そういう方向でいかなければならぬと思うのでありますが、それについて私ども一番心配しておりましたのは、不動産業者が多く失業するのではないかということを心配いたしており、同時に、そういうところに強い抵抗が出てくるのではないか、こういうふうに思っておりましたが、佐々木さんは、いやそんな心配はないのだ、土地というものは同じ銘柄はないのだから、いろいろあっせんしたり、そういうふうな行為の中からわれわれの生きる道はあるのだ、こういうようなことでございました。しかし、それでも、今日開発をやっている、たとえていえば、山林を買ったり、あるいは伊豆のたとえば温泉地域の山を買ったりして、どんどん開発して、別荘地帯を分譲しておる、そういうような人にとっては相当な痛手を受けてくることでありましょうし、また、それらの人が倒産することによって相当経済的な影響が出てくるのではないか、ここまで土地開発業者が非常にたくさんの負債を負いつつどんどん事業を拡大しておる、そうすると、いまそういう強い地価抑制政策が講じられますと、たとえていえば、今度の私どもの言うところの基金制度が採用されなくても、伊豆の山あたりで開発をやっている人たちはたちどころに倒産するだろうと思うのです。そんなことによるところの経済影響、これはどういうふうにお考えになりましょうか。
  40. 佐々木芳朗

    ○佐々木参考人 ごもっともなお話でございますが、土地造成をやっておりますものは、全国土地造成組合という不動産組合がありますが、ごく少数のもので、決して全国で何千軒、何万軒という数ではございません。一部ある程度そういうところの抵抗は覚悟しなければなりませんが、一般大衆がいかに住宅に困っておるかということを考えますと、一部のごくわずかな造成業者の犠牲というものは、これはある程度がまんしなければ、全部がいいようにという政治は、ここまでくると、できないのではないかというふうに考えます。  それからまた、もう一つつけ加えて、余談になりますけれども、私が長年やっておりました経験で、われわれがこういうことを言うのは非常におかしいのですが、土地の所有権というものは、私は法律家ではございませんから、むずかしい議論あるいはむずかしい法律上の解釈はわかりませんけれども、私が扱った範囲におきまして、土地の所有権というものは、ほかの所有権と比較しましてあまりに強過ぎる点がある。ここまで強くしなくともいいのじゃないかというふうに感じられる。これは明治初年に太政官布告というもので土地制度を初めて認めたロスが今日まで災いしておるのでありますが、日本人の土地に対する考え、執着というものは、先ほど先生たちからいろいろなお話もありましたけれども、理論からいえば、理論は成り立ちますが、土地には理論以外のものがある。土地に対する人間の執着、日本人の持っておる執着というものは理屈ではないのですね。ほかの商品を持つ考えと違います。土地だけはという、ともかく、何といいますか、執着心がちょっと割り切れないものがある。これをよくお考え願って御審議なさらぬと、役所なんかでやりますのは、単にテーブルプランでおやりになりますけれども土地に持っておる人民の心理というものは、ちょっと違うのでございます。非常に執着がある。これを断ち切るためにはどうしたらいいかということは、非常にむずかしい問題です。私はその点からいえば、ちょっと一例を申しますと——よろしゅうございますか、委員長——たとえば信州の山の中の地主と、東京でたとえましたら、東京の銀座のまん中の地主と同じ所有権を与えるのがちょっとおかしいのです。片方は信州の山奥のシシやクマが住んでおるところ、橋をつけるのも道をつけるのも自分の金でやらなければならぬ。ところが、銀座のまん中の地主は、坪当たり何百万円という土地を持っている人は、固定資産税は払っておりますが、一体今日までの環境をつくったのはだれの力か。何ら自分の資力、自分の能力でやったのではない。すべてわれわれの公共事業でやってきた。そうして偶然そういう立地条件と環境ができた。その人たちと同じ所有権をいま持たしておる。これをお考えになってもわかると思います。  もう一つは、これは私が何度もぶつかっておることでありますが、都心で高層建築をつくりたい。いまは社会的にいっても非常にもったいないから高層建築にしなければならぬ。ところが、自分で五、六十坪土地を持っている。五、六十坪でビルを建てると非常に損なんです。鉄筋のビルというものは広くなるほど有利であり、また便利である。隣の地主に一緒にやらぬかといって話をしますと、応じません。それじゃおまえの土地を買ってやるから売ってくれぬかといっても、これは売らない。それではおまえの土地を相当長期にわたって有利に賃料を払うから貸してくれといっても、貸しません。それじゃしかたがありませんから、一階と二階と三階をこちらの金で建物をつくってやるから、せめて空中権だけでもよこさぬかといっても、これも応じない。そうして、本人はどうしているかというと、全然使わずに、使う意思もなく、草をはやしてうっちゃっておく。むずかしく言いますれば、これは一国の生産力が、そのパート、その部分だけが停止している。そうして何の目的で持っておるかというと、将来の値上がりを待っておる。また、いままでの例を引きますと、こういう人が一番投資家としては成功しておるのであります。これをそのまま見のがしておいてはたして社会政策ができるかということをお考え願いたい。土地は、どうしても何ぴとかの手で大手術をここでしなければ、解決つかぬということを、私は首をかけて申します。  先ほど税制の問題で、税制で押えられるというようなお話もありました。絶対に税制では押えられません。すでに譲渡所得税が施行されましてかなりになります。あるいは半額免税になっていますが、これを全額免税にしたところが、結局売り惜しみができて買いかえ資産のほうへ逃げていく。いかようにも逃げ道がある。だから、税制で押えるということはできないということを頭に入れていただきたいと思います。そういうわけでございます。
  41. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私どもも、税制では困難だ、だから、むしろどんずばり土地基金制度でやれということを主張しておるのでございますが、現在の自民党の三分の二の国会勢力という形ではなかなかそれは不可能な模様でございます。そこで、勢い、税制ということになってくるのでありましょうが、あなたのパンフレットを見ておりましても、あるいはまた、宅地審議会答申なんかを見ておりましても、開発利益の社会還元をやるべきだ、結局、譲渡所得税でごっぽり取ればいいというような考え方が強く出ております。ところが、土地の保有に対して税金をかける、余分の土地をたくさん持っておるという人に強く税金をかけることによって土地の有効利用を要求するというような形の土地利用促進税というものがあまり強く論議されておらないかのように、宅地審議会なんかの答申を見ますと、そういう感じを受けますのですが、宅地審議会の中では、櫛田さん、大来さんお二人とも委員をしておられるのですか。——それではお二人にお伺いしますが、宅地審議会では、一体、土地税制の中で、開発利益を吸収するための、譲渡所得税によるところの開発利益の吸収と、それから未利用地に対して、不完全な利用に対して、十分な利用を促進するような国定資産税の累進課税ですね、ある限度をこえた土地の保有に対する固定資産税の累進課税という形におけるところの土地供給促進、こういうふうなものと、いずれが大きく評価されておりますのか、そういう論議の中での模様を少しお聞かせ願えませんでしょうか。
  42. 加藤常太郎

    加藤委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 加藤常太郎

    加藤委員長 速記を始めて。
  44. 櫛田光男

    櫛田参考人 土地税制の問題は、宅地審議会で、有力な手段の一つであろうということでいろいろ話が出たわけでありますが、関心は持っておりますが、専門家ではないのですね、そのような意味と、それから、やはり税の問題については、他方、税制調査会という機構があって、専門的な委員会がございますということで、考え方として、開発利益の吸収とか、あるいは開発費用の公費分担とでも申しますか、公の政府のほうではどのくらい分担する、また開発者、民間ではどのくらい分担するという分担の原則を、いままであまりにみんな政府に押しつけがましくきているから、それを立てようじゃないか——これは原則を立てますと、開発利益の費用のほうは先取りということになります。それから固定資産税の時価評価等のことはある程度議論になりましたが、そうしますと、これは開発結果保有課税でありますけれども値段が上がりますからね、そうすれば一部還元ということにもなろうかと思いますね。それから未利用地税あるいは利用促進税という問題も一つの構想でありますが、要するに、その土台となるあるものを越した場合にどのようにするか、利用の形態その他の問題についてなおいろいろ問題があろうかと思います。税のほうの原則としては、もう一つこういうことがあるらしいのです。徴税費がかからない、めんどうを起こさない、納税者との間にトラブルをできるだけ起こさない簡明な方法がよろしい、そういうような要請等を考えますと、一がいにそこで結論を出すのは尚早であるということで、未利用地税等についてはなお検討の余地がある。せいぜい、開発費用の分担原則を確立せよというところで、一応全体の共通的な意見としては結論が出た、そのように私記憶しております。大体そのような経過でございます。御了承願います。
  45. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いろいろ長い間、あるいは失礼なことを申したかもわかりませんが、この都市計画法につきましては、いま一番国民が困っているのは住宅です。それを解決するための地価問題、こういう気持ちで私ども取り組んでおりますし、また、宅地審議会でもそういう意味において御答申をいただいておる。したがいまして、地価安定についていまいろいろ野党の考え方も申し上げましたので、そういうことも十分御参考にしていただきまして、今後——この間のは中間答申であったと思いますから、答申されます場合には、もう一段と画期的などんぴしゃりのいい答申をしていただいて、ひとつ地価安定のために大きく貢献していただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  46. 加藤常太郎

    加藤委員長 正示君。
  47. 正示啓次郎

    ○正示委員 時間がたいへんだって、参考人先生方御苦労さまです。  ただいま社会党の岡本先生からもお話がありましたので、私、簡単に申し上げますが、実は先般——もうだいぶになりますけれども、衆議院で地価安定の決議をやりましたときに、ただいま御質問になりました岡本先生たちと一緒に相談をしましてこの決議案をつくったわけであります。そのときの問題は、結局、土地利用計画をつくらないことには何ともならぬ。それがそもそも今回の都市計画法の生まれたゆえんだ、こう考えております。  御承知のように、いま世界を通じて金の問題が非常な問題になっておりますが、この黄色い金属に人類が支配されるのか、人類の英知が金を支配するのか。土地価格問題、これを日本人の英知が解決できるのか、地価の問題に日本人は抑圧されるのか。このためにこの都市計画法を断固としてこの国会において通すべきであるという見地から、先生方のきょうの御発言を私は先ほど来拝聴しておったわけでありますが、いろいろお話が出ました中に、私が思うことは、いろいろな地価対策というものが、国会の論議において、無為無策である、これは実は政府もそうであり、国会もそうであるというふうなことにいままでみんななっておって、そこを一歩踏み出すのがこの都市計画法だ。ところが、その都市計画法に対してさえも、まだいま通すという段階に至っていないということは、実に国民に対してわれわれは恥ずべきである。金の問題を解決する英知をもってするならば、地価問題というふうなものは何でもない、こういうふうにも考えて、先ほど来の御意見を拝聴したわけでございますが、さて、土地利用計画ということが、したがって都市計画法の通過によってできてくる、この利用計画ができたところで初めて税制問題もできてくる、こういうふうに順序を立ててこれから地価対策に取り組んでいくべきだと私は思います。  そこで、いま、大来先生櫛田先生、また佐々木先生からは、大体地価対策のことを伺ったようでございますが、私は、残った高木先生、それから、安井先生はちょっと専門が別ですから、しばらくおきまして、磯村先生に伺いますが、この地価対策のために、われわれはまず都市計画法で第一歩を踏み出して土地利用計画を策定していく、日本人の民族の英知、その上にいろいろの施策を講じていくという段階でいくべきだと思うのでございますが、そうした段取り、考え方方向、これについて、先生方は、地価対策の上からいって、まずその方向が正しいとお考えであるかどうか。正しいとして、しからば、この次に打つべき地価対策として、いままで各参考人先生方から出た御意見のほかに何か御意見があったら、この機会に伺っておきたい、かように存じます。どうぞよろしくお願いします。
  48. 磯村英一

    磯村参考人 先ほども私の考えは申し上げたと思うのでございますが、都市計画の問題はそのまま地価対策あるいは土地問題に通ずるということは、もう全く同じでございます。したがいまして、理想的に申しましたならば、現在の新しい都計法に関連しましてそういう措置がなされるということは一番望ましいことでありますけれども、しかし、都計法が一応案として私どもきょうの意見を申し上げることの焦点になっておりますので、したがいまして、先ほど申し上げましたように、当面これは通していただきたい。しかし、都計法のいわゆる基盤整備としては、どうしても土地価格の抑制のためには、その適正化をはかるためには、やはり一応土地の基準価格をつくるとか、あるいはその土地価格の公示制度をするということでもなければ、画竜点睛——画竜点睛までいけばけっこうでございますけれども、そういうことになるのじゃないか。さらに申し上げましたならば、特に地方公共団体というものに対してある程度まで土地の公共性というものに御関心をいただきたい、これが私の考え方でございます。
  49. 高木鉦作

    高木参考人 どうも土地政策ということは専門に勉強しておりませんので、あまりそのものがどうかということになると、ほとんど自信ございません。ただ、確かにこの都市計画法が、いまの都市計画法に比べて、かなり土地利用計画の面を重視してこられている、それはよくわかるのです。ただ、その場合はいわば一種の規制行為で、利用制限的な性格が多分にあるのじゃないか。現実にその都市計画の用途地域なんかが全国都市の中でもあまり実施されていない。そういう点からいきますと、はたして現実にそういうものが有効に動いていく保障というものは一体どこにあるだろうか、その辺がちょっと疑問のような感じがします。と申しますのは、最初にちょっと申しましたと思いますけれども、ゾーニングというものが、日本の場合は上から押えつけていく——と言うと変ですけれども、一方的に規制してきたものですから、現実にはそれを守るべき人たちがいかにしてそこから抜け出すかということが、地方の議員さんなんかの大きな活躍舞台であったろうと思うのです。ですから、そういう点からしますと、確かにやられればけっこうだと思いますけれども、どこまでそれが保障できるかとなりますと、実際よく知りませんから、はっきりしたことは申し上げられませんが、何かそういう実績を見ておりますと、どうもこれだけじゃ有効に動くかどうか疑問じゃないだろうかということだけです。
  50. 正示啓次郎

    ○正示委員 ちょっと最後に……。  先生方の御意見の共通の点は、要するに、土地の公共性、特に都市計画、いわゆる市街化地域というふうなものの公共性を高めていく。金問題も結局IMFを中心にいたしまして、人類に対する金の効用性、それをはっきりと位置づけたところに金問題の解決の曙光を見出したと私は思うのですね。先ほど佐々木さんが多年の経験を通じて喝破されたように、市街地における土地のわれわれに対するほんとうの効用というものを考えていくということが先ではないか。そうすると、都市計画ということによって公共性を高めていく。公共性を高めて、それの認識の上に立って、これに対して必要な税制その他の国の規制を加えていく。あるいはまた、先ほどおっしゃっておられまし実が、後藤新平のような先見性を持ったステーツマンが出てきて、この東京都の大問題を解決する一つのチャンスがあったのだというふうな事例まで引いてのお話、私は、やはりこういうことが今後の土地問題という膠着した非常な難問題を解決する上の非常に大きな手がかりではないか、こういう意味で、きょうは野党の先生方もおいででございますが、ひとつ都市計画法を通して、この難問題解決の手がかりをつくっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  51. 加藤常太郎

    加藤委員長 佐野君。
  52. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 時間もずいぶんおそくなりまして、私の割り当てが高木先生ということになっておるそうで、実はいろいろお伺いしておったわけですけれども昭和三十六年の五月号だったと思いますが、雑誌「思想」に先生が「地方自治と地域開発」の論文発表をされ、この雑誌は、「地方自治と地域民主主義」、こういう特集号だったと記憶いたしておるわけですが、それ以来、私は、先生が市政調査会のメンバーとして、「ジュリスト」なりあるいは「法律事情」というような形の先生の論文を読ませていただいておりまして、きょう偶然にも、党のほうから、高木先生に質問しろ、しかも、先生は非常に急いでおられるので簡潔にと、こういう指示がありましたので、私は奇遇だと考えるわけですけれども、やはりここで私らに考えさせられますことは、先生の御承知のとおり、最近の地方行政に携わる学者間から、地方自治の絶対的危機だ、こういう表現がしばしば使われておるわけです。最近の国会に提案してまいるいろいろな法案の中にひそんでおる危険な方向として、いわゆる地方自治の絶対的危機、こういうぐあいに指摘しておられる学者、そしてまた一面に、先般東京都並びに東京都市政調査会の要請によってロブソン博士が参られたその報告が明らかにされました。これも実は、日本現実における地方自治の問題に対して、成文法を持たないイギリス、憲法には規定はないけれども、定着した地方自治、その観点から、日本の諸問題、都市問題なり地域問題なりにメスを入れられたロブソン博士の論文というものは、私たちに非常な教訓と反省を促したと思うのであります。そういうさなかに、いま国会に都市計画法が提案されておるわけです。多くの関心を呼ぶことは私は当然だと思うわけでありますが、こういう中で、まず先生が御指摘になりました、改正案の新しい装いをやっておるけれども、運用面におきましては現行の都市計画法と何ら変わらない三つの重大な欠陥というのはそのまま残るのじゃないか、私も質疑の中からそういう危惧を持っておりましたので、大体先生意見と一緒なわけで、あえて質問することもないわけですけれども、そういう危惧の念を持ちながら、どこで欠陥を除いていくか、法律の上にどういうところに担保していくかというところに審議が集中されておるわけでありますけれども、そこで一応先生にお聞きしておきたいと思いますことは、第一に、地方自治に関しましてとにかく憲法が条章を設けておる、その中で、地方自治の本旨に基づいて地方団体の組織運営は法律で定めねばならないとなっている、そういう地方自治の本旨という観点から、この都市計画に対しまして先生はどういうお考えを持っておられますか。
  53. 高木鉦作

    高木参考人 憲法の地方自治の本旨の中身というのは非常にはっきりしない概念で、いまそのものからこの都市計画法案をどうこうということはちょっと自信ございませんが、私なりにきょう指摘さしていただきましたことは、新しく戦後地方自治法によって地方分権化されましたけれども、結局、組織のワクだけで、中身の仕事と、それから金の面では全然手がつけられなかった。現在の都市計画法が昔の市制町村制時代を前提にしていたものであるだけに、矛盾がよけいひどくなってきているのではないか。そういう点で、私は、いますぐにすべて市町村都市計画の権限をまかしたらうまくいくかというと、現状からしましてちょっとそれは自信がございませんが、ただまあ方向としていえば、やはり市民が都市計画の決定なり執行なりに参加して、そして先ほどちょっと危惧を抱きましたような、そういう土地利用なんかについても、そういう参加の過程で、ごね得してはいけないんだとか、あるいはこういうものはやはり必要なんだということを双方の話し合いでつくっていけるような、そういうことが必要だろう。そういう点からいきますと、方向としては、やはり府県市町村のほうの自治権なりあるいは財政の保障ということが必要じゃないだろうか。ただ無制限ではなくて、それに対する技術援助とか、そういう点で国なり府県なりの関係をつくっていく、そんなように考えております。
  54. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 非常に時間がないときに、抽象的な問題を持ち出したような印象を与えますけれども、私は、そうではなくて、やはり憲法制定のときにも地方自治の本旨をもう少し明確化すべきじゃないかという論議の中で、わかり切ったことではないか、こういうことで、あえて不特定概念だといわれる地方自治という規定を置いた。しかしながら、地方自治の本旨を尊重して運営、組織はきめられねばならないということの中で、やはり地方自治の本旨というのは、これはまあいろいろ問題が出てくるでしょうけれども、私は、ほんとに真剣に考える場合におきまして、やはり考えなくちゃならぬのは、基本人権と同じように地方自治権も人間固有の自然法上の権利だということになってまいりますと、いまのように、法律がきまった、国会を通った、だからこれは憲法に抵触しないんだという形で法律が憲法の解釈に逃げ込んでしまっておるという形の中で、この都市計画法というものは重大な問題を持っておるのじゃないか。自然法上の固有の権利だ、それを憲法が確認した、それを宣言したんだという意味に立って考えるならば、この都市計画法という重大な問題が、実は地方住民なりその市町村は何らほとんど関与しない。いわゆる大正八年に、大臣の決定権、大臣が機関委任として県、市町村に施行させる、こういう乱暴な法律だったわけですけれども、しかしながら、現在の中で見てまいりましても、やはり何ら変わらないんじゃないか。先生が御指摘になりましたような、国の事務として一応の権限を県なり町村に委譲しておる、こういう点が現在新しい法律にも出ておると思いますが、こういう点に関してですがね、本来、地方自治は、団体自治と住民自治だ、この二つの結合された中から生まれておるものとするならば、その住んでおる町の基本的要件である都市計画が、何ら町の権限でなくて、国の事務として権限が委任されておる、こういう形の法律の組み方はこれは一体どうだろうか。  それで、率直にお聞きしたいと思うのですが、やはり大胆に、ロブソンの勧告もありますように、地方自治体の事務として都市計画は定めらるべきじゃないか、それが本来の姿じゃないか、なぜ県や国がこれに関与するんだろうか、なぜ町村の事務としてこれを確定することができないのか、こういうことに対して、先生はどういうぐあいにお考えになりますか。
  55. 高木鉦作

    高木参考人 私が先ほど、いまの市町村にそのまま移したからといってうまくいくかどうか疑問だということを申し上げましたのは、やはり長い歴史の間で——先ほど縦割り行政の弊害ということを指摘しましたのも、実は中央政府だけが悪いのじゃなくて、地方団体自身がその中央政府にものすごく依存している、そういう中で、土地利用計画なんかにしましても、市町村がなかなかやりたがらない、そういうことはむしろ上でやってほしいというような空気が強いわけです。そういう点からいきますと、むしろ地方自治に即して地方団体の事務にしていくということを通じて、実は地方自治の確立というものをはかっていく必要があるのではないか。大正八年に都市計画法ができたときに、たぶん二代目の内務省の都市計画課長であられた前田多門さんが、本の中で、いまでさえ不十分な市は、都市計画法によってますます準禁治産者になった。そこで当時の立案者が市民の協力ということを非常に主張されたけれども、実際上市民の協力が得られなかった。そういう点から考えましても、もっと自治体の事務にしたほうが、そういう契機がつかめるのではないか、そこからあらためて中央との関係も考えられてくるだろう、そういう制度的な方向をもっと積極的に出すべきじゃないだろうかという点で、疑問を申し上げたわけです。
  56. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 問題はやはりいろいろな角度から検討しなくちゃならぬと思いますけれども先生も御指摘になったように、昭和二十五年に総合開発法が生まれてきました。その中に、土地利用、開発、保全、こういう制度を設けなくちゃならない、こういう規定を置いたけれども、実はできてまいらない。三十一年にようやく全国総合開発計画ができてまいりましたけれども産業基盤の一節として土地利用計画というものが述べられているにすぎない。こういう形で、国自体が、総合的な土地利用計画土地の開発、利用、保全、こういう大方針をつくるこの責任を国が怠慢になっておるところに大きな問題があるのじゃないか。そういう基本構想ができてまいりますならば、それに基づいて実施計画はどうしていくんだ、こういうことになれば、町村がみずからの事務としてやっていく上に何ら不都合はないのじゃないか、こういう点を第一点として私たちは論議しながら検討しておるわけですけれども、しかしながら、そういうものはできてないことは事実なんだから、しかしながら、法の中に、上位計画に適合しなければならぬ、整合しなければならぬ、これを非常にうたっているわけですね。その上位計画が実はできてないのだ。できてないのに、それに整合しなくちゃならぬというところに、この法律の矛盾がやはりずいぶん出てきていると私は思いますね。  同時に、もう一つは、都市計画のそういう上位計画ができていない、そこで、実施計画としての都市計画——土地利用の本来の上位計画ができてないのに、地域において土地利用計画を立てろ、これは少し問題がやはり混乱してくるのではないか。してくるから、国が監督権を強化しなければならない、まかせるわけにいかない、大臣の指示権もやはり保留しておかなくちゃならぬというような形の中央集権化が、まかせたような形でありながら、実はできてきておる。町村の場合も委任にはなっておりますけれども、基本的なものは県知事だ、しかも大臣の関係も出てくる、こういうことになっているでしょう。ですから、これは町村に委譲するのじゃなくて、町村の事務だ、こういう概念を明確にして、その上に第二段階としてやはり住民自治がこの都市計画の中において貫かれなければならない最善の原則じゃないか。ところが、これがいま抜けてしまっておりますね。地域住民が責任を負うのでなければならない都市計画だ。地域住民が責任を負わなくちゃならない都市計画でありますから、当然これに対しましてやはり地域住民の参加というものが考えられなければならぬ。参加があり、重大な関心を持ったといたしましても、利害関係の人たちが一番大きな問題があるわけですね。その利害関係者の人たちの権能と責任というものを明らかにしておかなければ、たとえそれが国から、上からの事務だといっても、やはり合理性と実効を保証することはでき得ない。何しろ利害関係者がこれに対しやはり参加してくるという筋道が手続上立てられなければ無理じゃないか。市町村の事務であり、かつ、地域住民が地域社会に対する関心を持って論議に参加してくる。特にいまの都市計画内における制限その他相当にきびしいものがあると私は思います。法律論上もまだ十分に熟していない面も取り上げておると私は思います。あるいは運用面において是正していくかもしれませんけれども、そういう未熟ないろいろな制限をやって、その制限下だれが一番影響を受けるかというと、利害関係者だ。その利害関係者が何ら参加することができ得ない、こういう策定手続上の問題ですが、その中における住民自治という、本来の地方自治の本旨という立場から、この法律というものはやはり大きな欠陥を一つ持っているのじゃないかということを考えるわけです。そういう住民の位置なりを保証する、担保するために一体どういう制度を設けるべきか、こういう点に対して先生に伺っておきたいと思うのです。
  57. 高木鉦作

    高木参考人 具体的なシステムとしてどういうのが有効か、ちょっと私も自信はございませんが、公聴会とか説明会とかいう方式も、公的なシステムとしては一つあると思いますが、やはり問題は、全体的な都市計画そのものについて、先ほど磯村先生がおっしゃったように、一定のビジョンというものについてとことんまで市民と理解し合うまでの議論をやる、そういう根拠の上で具体的なプランを確定していく、そういうことが、いままで、故意か偶然か知りませんけれども、避けられてきた。そういうのを避けていい、避けても別に問題にならぬというところに、実は委任事務という問題があったのだろうと思います。そういう点で、地方団体の事務ということになれば、やるかやらぬかは市町村の当局者の問題になりますから、はっきりしたことは言えませんが、しかし、そういうことをやらせられるような制度条件はできてくるのじゃないか。そういう意味で、もっと地方自治に即した制度にしたほうがいいだろうということを申し上げたかったわけです。  なお、念のために申し上げますならば、大正八年の都市計画法ができたときに、実は明治の地方制度そのものをある程度変えなければ、都市計画というのはうまくいかなかったのじゃないかと思うのです。ところが、それを変えるということは実際できなかった。そこで、都市計画法第一条にありますように、「重要施設」というような、わけのわからぬことで区別して、何とかつじつまを合わしたということを立案者は言っておられますけれども、そういう点からいきますと、やはり現実にはいろいろ問題があると思いますけれども、そういう方向のほうが私は望ましいと思います。
  58. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私は何としても、先生も御指摘になっておるように、機関委任事務、補助金制度、この二つにささえられて、地方行財政事務並びに財源の不均衡というものが地方自治そのものを非常に混乱におちいらせておると思います。地方制度調査会でもずいぶんそれは取り上げられておるのですけれども、そういう中にあって、住民不信——住民の現在の意識水準では自治能力に欠けておるじゃないか、だからこれに権限を与えてもしかたがない、その参加を呼びかけてもなおさら混乱するのじゃないか、こういう不信感がずいぶん出てきておるのじゃないかと私は思う。だから、これを払拭していくために、自治意識を高めるためにも、そういう策定手続の中に住民参加ということを規定していくことがいいのじゃないか、こういうぐあいに私は考えます。その方法は、公聴会その他ありますけれども、もっときめのこまかい、住民の位置なりを保証する、こういう法律的な担保が必要になってくるのじゃないか。こういう点に対して、地方自治の諸問題に対していろいろ研究しておられる高木先生なり、あるいはまた、磯村先生もお見えになっておりますので、別の機会にまた教えていただきたいと思います。そういう点に、この都市計画を通じて——私は、本来町村の存立にかかわる基本的な問題だと思います。こういう大きな問題を、憲法の地方自治の本旨に照らして、法律上十分な検討がなされないままにやってまいったという点に対して、私は非常に不満を持っているわけです。同時に、これからの審議の中におきましても、そういう問題を解明しながら、自民党の皆さんの地方自治に対する本旨にもとったいろいろな見解の中で法案の修正というものを何とかしていきたいと思っておりますので、またの機会におきましてまたいろいろ御意見を伺わしていただきたいと思います。  きょうは非常に御多忙な中を、しかも急いでおられる中をお願いいたしまして、ありがとうございました。
  59. 加藤常太郎

  60. 工藤良平

    工藤委員 きわめて簡単に申し上げたいと思います。  これは特に農業団体のほうから修正の意見も出ておるようでございますので、その点から若干確認をしてみたいと思うのですが、安井参考人にお伺いいたしますが、特にこの市街化区域の中の農業の位置づけという問題、税金の問題、あるいは農地の転用を制限するというような意見が出されておりますから、それを裏づけるためにも、この市街化区域の中における農業の位置づけ——これはさっき磯村先生が公害なりあるいは緊急事態に対する農業の位置づけという点を若干御説明になったわけですけれども、私はその点についても非常に同感ですし、そういった意味から、特にその問題について安井参考人の御意見をいただきたいと思います。
  61. 安井七次

    安井参考人 私は、市街化区域農業にはあまりむずかしいことを実は考えないのです。やはり継続して農業をやっていかなければならぬという方、このある現実を認めて生業を営まれる、農業生産を営まれる、これを認めていく以外にはないのではないかということを考えておるものです。
  62. 工藤良平

    工藤委員 いまの農業団体から出ております意見はそういうことだと思いますが、ただ問題は、この市街化区域の中で緑地帯として相当な範囲のものがとれればけっこうだと私は思いますけれども、そういうものがいまの現実の問題としてとれるかどうか、そういうことを考えてみると、やはり農業をある程度保護しながら、公害的な問題としてそれを解決する一つの手段として農業を見ていくということが、積極的な意見として農業団体として考えるべきではないだろうかというように実は私は考えているわけです。もちろん、調整区域というものは農業地域として残りますけれども、そういうことはやはり当然見ていくべきではないだろうかというようなことを考えておりますので、その点について農業団体としてそこまで考えるべきではないだろうかと思いますので、もう一ぺんその点を確認しておきたいと思います。
  63. 安井七次

    安井参考人 私は先生のおっしゃったとおりなんです。しかし、それ以上のものはあまり実は考えておりません。
  64. 工藤良平

    工藤委員 この点は、たとえばビル化あるいはその公害という問題の中から、そういう地域農業が成り立つかどうかという問題については、非常に問題があります。おそらくこれは自然消滅をしていくだろうということは、私どもも予測されるわけですけれども、しかし、市街化の一環として当然これは考えるべきではないか。これは後ほど委員会のほうでも私論議をしたいと思いますので、そういうことをぜひひとつ農業団体でもこの修正の段階では考えていただきたいということです。  それからもう一つは、先ほど佐々木さんのほうから、地価の高騰というものは、農地法があったから実は地価が高騰したのだという御意見があったのです。これはむしろ取っ払ったほうが地価の安定になるのだという御意見があったわけですけれども、もちろんそれは極論だろうと思います。私は、やはり、この農地法というものが都市のスプロール化を一つは抑制してきた、あるいはこの都市化を進める場合の一つの調整的な役割りを、本来農地法というものが、農業委員会というものが果たさなければならなかったと思うのです。ところが、現実の問題としては、農業委員会というものがブローカー的な役割りを果たしてきて、それが都市化を、逆に地価を高騰させる要因になってきたのではないか、逆の立場があったのではないか、したがって、この農業委員会役割りというものが——これは農業委員会のほうからは、都市区域内における農用地の転用等についても農業委員会意見等を聞くような修正案も出ているわけなんです。したがって、この農業委員会に対する農業団体の考え方といいますか、その点を安井参考人からお伺いしたいと思います。
  65. 安井七次

    安井参考人 私は、農業委員会役割りは現在の農地法から見ますと、だんだん役割りを多くしたほうがよい、こう思っておるのです。極端に言いますれば、よほどでない限りの転用、この許可、許可も、でき得るならば農業委員会までまかしたらどうなのだろうか。よほど大きなものは別です。現在の農地法の改正では、権利移動の関係はまかすことに大体方針がきまっておりますね。そこまで農業委員会に下げたらどうか。ただし、かなり農業委員会の関係者の猛省を促しながらそうされることがいいのじゃないか、私はこう思っております。
  66. 工藤良平

    工藤委員 最後に、いまの二つの問題について、磯村先生からもう一ぺん——二つの問題といいますのは、結局、市街地の中における農業というものの位置づけですね、それと、いま言った農業委員会の今後における、やはり都市計画を進めるものと、それから調整区域の関係からいって、役割りというものが非常に大きくなるのではないか、こういうように思いますので、その二点について先生の御意見をひとつ承りたいと思います。
  67. 磯村英一

    磯村参考人 ただいまの御意見ですが、先ほど申し上げましたことに関連しまして、私は、調整区域の中におきましても、現在の農地法が、あるいは農地委員会等の役割りがどうこうであったということは全然申さないのでございます。むしろ、もっと積極的にある一定の範囲の農地というものは保存すべきじゃないか。何かそういう特別な法律がむしろできてもいいのじゃないか、そういうことぐらいに考えております。  あわせまして、二つの問題に対するお答えといたします。
  68. 工藤良平

    工藤委員 終わります。
  69. 加藤常太郎

    加藤委員長 関連で阿部君。
  70. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 時間がありませんから、たった二つほどの問題なんですが、安井参考人にお伺いしたいと思うのです。  市街化区域の中で農業をやってきておった、しかもそれが優良な、農業の経営に将来とも熱意を持つもの、同時に、将来、農業以外に生計の方法というものを考えることができないという方々がたくさんいるわけであります。この皆さんを一体どうするのかということになりますと、そういう場合における——農業に熱意を持ち、しかも市街化区域の中に農地を持つ農民、しかもそれが一定の相当面積規模を持つ農民、その場合の皆さんに対して一体何で保障するかということになると、分合なり交換なり、そういうことで市街化区域以外の区域に農業をやっていける条件を保障していくということが必要だと思う。ところが、現在の都市計画法の中ではその保障は何らないわけで、このことは、農業団体の立場からすれば、やはり当然に一定の要望というものがあるというふうに、私ども地域現状の中では理解しておるのですが、いま全中が出しておられる要望点というのは、きわめて控え目に、ほんとうに言いたいところまであまり言わぬようにしておるというふうに思うのですが、その辺の事情について安井参考人の御見解を承りたい。
  71. 安井七次

    安井参考人 私は、冒頭申し上げましたように、やはり国土利用の観点から、そこでどうしても農業を営む方は必要なのだから、おやりになっている場合には、農業保護の立場から、市街化区域農地法上から除外されないほうがよい、こう申し上げておるわけです。それに関連して、税制問題がいわゆる軽くなるという措置が講ぜられておりますから、そういう意味において、積極的にそういう農民の維持、育成をおはかりになる必要がある、こう申しておるのです。さらに、いま、交換分合等ということになりますと、考えながらも、非常にむずかしいのではないか、こう思っております。
  72. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 わかりました。  議論になることはやめたいと思うのですが、先ほど磯村先生が、いろいろな事情が混在しておっていいのではないか、こういうお話があったのでありますが、現在の都市計画法の中でも、大阪や東京あるいは名古屋、こういうものと、地方の五万、十万の都市というものとの間では、たいへんに事情が違うと思う。現在の都市計画法というものが、かっこうだけはあまりにもすべてを明快にしてしまう。そのことは地方の中小都市段階に持ってまいった場合にたいへん不適合なものが起こるんじゃないかという意味で、磯村先生の御意見に全く同感だったのでありますが、その意味で、いまの地方末端の段階の場合に、都市周辺にも優良農家というのはやはり存在しておるし、将来とも存在していくだろうと思うのです。これが機械的に市街化区域の中であるということで全部いずれ十年なら十年以内に農業をやっていける条件を失うということになるなら、これは大問題になっていくと思うのです。したがって、その場合に、いま安井参考人がおっしゃる、市街化区域内といえども農地については農地法の保護を受ける、このことを歯どめにしたいというふうに承ったのでありますけれども、歯どめになっておっても、条件がみんな変わっていくわけですから、いずれやはり周囲がみんな変わっていった際に、そこだけを農地として残していくというわけにはいかぬようになってしまうと思う。条件以上に追い詰められた段階でもなおかつ農業以外に生計の道を持たないという層、こういう方々に対しては、やはり都市計画を進めていく政府なり自治体なりのそういう責任において、分合なり交換なりを相当力づくでやっても、農業を将来ともやっていける保障というものをやらないと、地方段階では困難が起こるのじゃないか、そういう意味で申し上げたわけです。答弁は要りません。
  73. 加藤常太郎

    加藤委員長 吉田之久君。
  74. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 たいへん時間がおくれてしまいまして、二大政党にはさまれて、民社党は時間がなくなりましたが、ひとつ国家のために参考人の皆さん方の若干の御協力をお願いしたいと思うのです。  実は、いろいろ先ほどから申し述べられましたが、現在のわが国の政治的な最大の課題は都市問題になってまいりました。しかも、都市問題はそのまま土地問題であるとも言われております。したがって、この地価の抑制をどのようにはかっていくかということが一番の問題になると思うのでございますが、先ほど櫛田さんのほうから、すでに東京や名古屋の一部においては、部分的にではあるけれども地価が一割程度下がっているところも見られる、今度の市街化区域というものが設定されることによって、地価問題もある程度の楽観ができるのではないかというふうな意味の御発言を賜わったわけなんですが、私は、今日この人口の動態がこのままであるとするならば、そういう論拠も成り立つと思うのです。しかしながら、世界に四大メガロポリスができる、その一つが東海道メガロポリスであって、東京から広島までのこの九百キロの中に現在四千万人の人口が住んでいるけれども、あと二、三十年の間には八千万人の人口がここに集まるであろうというふうなことを想定するならば、単に市街化区域を設定するだけで地価の抑制をはかることはむずかしいのではないか。特に日本不動産研究所のほうから出しておられる資料によりまして、建設省が発行いたしております「国土建設の現況」の中でも、櫛田さんのほうの研究所みずからが、一時地価の高騰がとどまるかに見えたけれども、四十二年になって再び上昇した。また四十一年度は前年度と対比してまた一〇%の値上がりを来たしている、こういう報告をわれわれも読ましていただいている状態でございますので、何らかの別の対策を講じない限り、地価を抑制することは不可能なのではないかというふうな気がするわけなんでございます。そこで、われわれ民社党のほうでは、「土地価格の抑制のための基本的施策に関する法律案」を提出すべきではないかということで、いろいろの検討をいたしております。  具体的に簡単に申し上げますと、まず第一に、土地の基準価格を設定し、これを公示する制度を設けよう。そして、その基準価格の決定は、都道府県知事が土地評価会に基準日現在における土地の評価を行なわしめる。この土地評価に基づいて決定しなければならない。しかも、その評価された価格というものは、直ちに土地基準台帳に登録して、関係者の閲覧に供する。それから、この土地の基準価格は、当分の間据え置くものとする。よほどの著しい変動等により適正を欠くに至らない限り、これを据え置くこととしよう。それから、国税たる土地高価譲渡税の制度を新設しよう。土地の有効な利用を促進するために、市町村税たる余裕地税の制度を設けてはどうか。こういうものを骨子とする法案を用意いたしまして、新しい都市計画法をつくりながら、それの裏打ちをして、土地の高騰を抑制すべきではないかという考え方を持っているわけなんでございますが、こういう点につきまして、磯村先生はどのようにお考えになりますか。  それからいま一つは、大来先生自身が——経済評論」の去年の十月号の中に、「メガロポリス論」の中で先生の説が引用されているわけでございますが、それは、一九六〇年の建設投資量の総量は六兆円であった、今後二十世紀の間、ここ三十年間におけるわが国投資量は六百三十三兆になるであろう、終戦後から十二年間に投じた三十兆の金の実は二十倍の投資をこれからの三十年間に行なわなければならないのではないかとおっしゃっているわけでございますけれども、この財源と申しますか、そういう巨大な資金のエネルギーというものははたして調達されるものであるかどうか。短期的に見て今日の財源不足をどのようにお考えになるか、あるいは長期的な展望をどのようにお考えになっているかということをお伺いいたしたいと思うのです。  いま一つは、高木参考人に御質問いたしますが、確かに、都市計画の決定に対して住民参加をさせなければならないというのは、きわめて重要なことであると思うのです。しかしながら、今日の地方自治体があまりにも小さい市町村が多過ぎるではないか、今日かくも小さい市町村一つ都市機能を備える都市計画を策定することは不可能ではないか。ならば、地方自治体の意見あるいは住民の意見を十分に尊重させるためにも、地方自治体の再編成を検討すべき時期に来ているのではないかという問題。  それからいま一つは、安井参考人にお聞きいたしたいのですが、どうしても農業を守りながらこの都市問題を解決していかなければならない。そのためには、できるだけ広範な農地を確保しながら立体的な都市を建設していかなければならない。こういう立体的な都市を建設していくためには、単に土地問題だけではなしに、水の問題というものをもっとこれからの都市計画の中で重要な要素として考えるべきではないかと思うわけでございますが、これらの諸点につきまして、各参考人方々から、簡単でけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思う次第でございます。
  75. 磯村英一

    磯村参考人 先はども申し上げましたように、私といたしましては、都市計画の基礎になりますのは、何といったって土地問題だということは、そのとおりでございます。先ほども申し上げましたように、土地価格の一応基準を設けるということ、土地価格公示制度を設けるということについては、全く同じ意見でございます。そう申し上げておきます。
  76. 安井七次

    安井参考人 御指摘のように、私は、この両区域の線の引きどころにあたっては、どうしても、経済事情の共通よりも、農業の場合では、水管理、水路の関係、それらを十分考慮して引いていただきたい、こう思っております。
  77. 高木鉦作

    高木参考人 広域的なプランを進めていく上で地方自治体の再編成が必要じゃないか、こういう御意見ですが、私は、二つ問題があって、一つは、今度の都市計画法でもかなり広域的な計画はできるシステムになっておると思います。問題は、プランはできても、実施のほうが、都市計画事業という個別的な仕事でやっていかれる関係上、市町村がかなり中心になってやっていくわけですから、そういう面ではたしてうまくいくかどうか、それを一つ疑問にしたわけです。ですから、今度は府県がかなりやれるようになっておりますが、そのかね合いがどういうふうになるのかよくわかりませんので、自信はありませんが、プランはできるのじゃないか。問題は、そのプランがどう具体化されていくか、その負担問題、その問題が一つあるだろう。もう一つ、そういう場合に、現実考えてみますと、東京都二十三区内より二十三区の外のほうで積極的な事業をやっておるわけで、小さいからといって必ずしもうまくいかぬという保証はないと思うのです。問題は、そういう小さいところが財政的に非常に困っておる、いろいろな点で隘路があるのを、そういう特殊事情のところに対して国のほうが積極的にめんどうをみていく、そういうのがないじゃないか、それを全国画一的にやっておる、そういうところに実は隘路があるだろう、それのほうが当面必要じゃないかと思います。
  78. 大来佐武郎

    ○大来参考人 ただいまおあげになった数字は、かなり前に計算したものでございますけれども、たしか今後の経済成長率をだんだん七、六、五%くらいまで逐次下がっていくと推定しまして、その将来のGNP、国民総生産を出しまして、国民総生産の中から社会資本投資に向かう割合を過去の実績等から推計して合計したものが六百三十三兆でしたかというようなことになったと記憶いたしておりますので、それらの前提にそうたいした見当違いなければ、このくらいは可能だということでございます。
  79. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いろいろとさらに伺いたいことが一ぱいございますが、時間の関係がございます。ただ、うちの党の和田委員一つだけ関連質問をしたい、こう申しておりますので……。
  80. 和田耕作

    和田委員 一つだけ関連質問させていただきます。  大来参考人櫛田参考人に御質問したいのです。  私どもは、この法案に対しまして、非常に内容もやらなければならない規定があると思うのですけれども、ただ一つ、疑問——というよりも、心配している点は、やっぱり市街化区域調整区域との間に、地価が片一方は上がっていく、片一方は停滞ないし下がっていくのじゃないかという問題に対する対策が一つもないということなんですね。そういうことがこの法案に対する私どもの一番根本的な問題なんですけれども、先ほどから御説明を聞いておりますと、そう心配することはないのだというような御意見を述べておられるようなんです。ただ、これはもう非常に単純化して考えますと、都市へどんどんと集まりたいという人がたくさんおる、そうして住宅がほしいという人もたくさんおる、そういう状態のもとで、ここまでは市街化地域として、いろいろな公共その他の投資集中していく、ここまでは市街化しない地域として抑制をしていくというなわ張りを引いた場合に、きわめて単純に考えた場合に、土地が上がらないという予想はつきにくいのじゃないかと思うのですね。むしろ土地が上がっていく、ごく常識的に考えてみて、そういうふうに考えられるのじゃないか。確かにそれは土地がなかなか一方的に上がるまいという要素もあると思います。しかし、大勢としては地価市街化地域でどんどん上がっていくということを前提にして対策を考えないと、とんでもない問題が起こってくる可能性があるということなんです。そういう問題について、まあそう単純に上がりはしないのだということはわかりますけれども、上がっていく趨勢はあるのだという問題は、大来さん、櫛田さんのお二人はどういうようにお考えですか。
  81. 大来佐武郎

    ○大来参考人 これは私のほうにもわからないこともたくさんあるわけでございますが、ただ、土地が、物理的には、たとえば五十キロ圏内を全部利用すると、五千万人ぐらいは比較的楽に入るという計算が出たり、土地が足りないというのは、物理的に足りないのではなくて、制度的な点があって非常に売り惜しみぎみがございまして、宅地として土地が提供されない。買い手のほうは、人口集中がございますものですから、所得もふえてまいりますので、需要のほうはある。供給制度の面からくる制約で非常に限られて、需要のほうが大きいために値段が上がるという面がかなりあると思いますので、その意味で、これは農業経済のほうの新沢助教授が言っておられる案には、いま比較都市に近い地域農地に大量な貸し家の建設が行なわれれば相当需給関係が変化するだろうということを申しておりますし、また先ほど申しましたように、一般の平均的な所得者、五分位の所得階層で第三分位、第四分位ぐらいの人たち住宅問題が一番重大だと思いますが、もちろん低所得者の問題もございますけれども、その人たちの所得から見て、あらゆる限度から見て、いまの土地価格というのはずっと上回っておるということで、この都市計画法、あるいは税制につきましても、譲渡所得税等ではあまり地価に効果がないと思うのでございますが、土地を保有していることについて経常的にかかるような税というのはやはり土地供給を促進することになりますし、それから郊外電車等の通勤施設の相当思い切った拡充等によりまして、土地及び貸し家等の住宅等の供給面がいまと状況が変わってまいりますと、地価の上昇の勢いが弱まってくる可能性があるのではないか。ことに昭和三十五、六年から四十年ぐらいにかけての一種の超高度成長人口都市化の勢いが爆発的に起こっている、今後も続くと思いますけれども、比率的に見ますと、農村の給源地帯の若い労働力、それが都会に出て結婚する、そして住宅を求めるというような労働力都市化の姿もだんだん変わってくる可能性もございますので、いろいろと一面で供給の対策が打たれ、他面において人口集中の勢いが比率的にはある程度緩和されるということが起これば、いまのような異常な地価というものが変わってくるのではなかろうか、そんな観察でございます。
  82. 櫛田光男

    櫛田参考人 私、先ほど来申し上げておりますのは、やはり土地の効用というものが上がれば価値が上がるわけですから、それと対比して売りと買い、需要供給の関係でそのスポットできまる。大勢的に見ますと、市街化地域になりますとやはり土地の生産性なり効用なりは上がるわけですから、その上がる程度においてはやはり上がる。けれども、いまのように生産性のないところまでスプロール現象でもって高く買い込んで、そのようなところが土台になって原価にかかって全体をプッシュアップする、そのようなことは、調整地域市街化地域と分けると、なくなるだろう。そのところの働きに応じた値段というものが立って、そこに一つの安定状態ができる。しかもその安定状態は、先ほど例をあげて大数観察から申し上げたのですけれども、いままでの地価の上がり方を平均してみますと、国民総生産と——私の計算では〇・九九二ですから、相当高い相関係数になるわけですが、三十七年ごろまではその弾性値が二ぐらいでありた。国民総生産が一割五分上がったとすると、市街地の平均価格が三割上がる、そのようなことがありましたが、三十七年ごろからずっとそれが鎮静化してきて、このごろになってきますと、たとえば国民総生産が一割上がれば、片方は七%上がる。弾性値が〇・七、その相関回帰式は、機械的になりますが、ほかの条件が全部同じだとすればという大前提が入りますけれども、それを延長してまいりますと、たとえば五年後十年後あたりの国民総生産の伸びをある程度想定しまして、それとかみ合わせてみますと、そのころは弾性値は〇・二ぐらいになる。つまり、国民総生産の上がり方よりも、だんだん土地の上がり方が低くなってくるという傾向が看取される。それが大勢でありますから、さらにそのほかに、この都市計画法自体を、国土有効利用計画を土台にしていろいろな手がさらに新しく発展できるでしょうから、総合してもっていけばそんなに暴騰暴騰というほどのことはないのでしょうかという意味で申し上げたので、御了承願いたいと思います。
  83. 和田耕作

    和田委員 お二人は土地問題に対しての権威者でございますから、一言でけっこうですけれども、確かにめちゃくちゃに暴騰するということはないとしても、この上がっていくという傾向を持っておることは御否定なさるわけではないし、したがって、地価対策として何らかの対策をこれとともに並行させなければならないということについては、そういうふうに思われると思うのですけれども、一言でけっこうですが、思われるか思われないか、御意見をいただきたいと思うのです。
  84. 大来佐武郎

    ○大来参考人 それはもうそのとおり、これだけでといいますか、都市計画法というのは、いまたまたまこういう時期なものですから、地価対策と重大な関係が考えられますけれども、長期的に見ましたら、都市計画法はそれ自体の重要な意味をいろいろ持っておるわけでございましょうし、また災害問題とか、今後非常にレクリェーションの需要が増大してくるということになりますと、市街化調整地域の持つ役割りというものは非常に今後の市民生活にとって重要な意味を持つと思いますし、そういう意味でこれはこれでぜひ必要だ、同時にあわせて、いまの段階に応じた長期的な地価の上昇が緩和する傾向がかりにあるといたしましても、それを促進するためのいろいろな政策を当然あわせて打つべきでございましょうし、その点はぜひ国会でも引き続きお考え願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 櫛田光男

    櫛田参考人 おっしゃるとおりでありまして、これが全体を解決する唯一のきめ手というわけではございません。むしろ私はこれがスタートだというように考えておりますので、あの手この手、一億総がかりでやらなければならぬだろうというのが私の感じでございます。
  86. 和田耕作

    和田委員 どうもありがとうございました。
  87. 加藤常太郎

    加藤委員長 他に参考人に対する質疑もないようでありますので、本日の参考人に対する質疑は終わりました。  参考人方々には、本日は、長期間にわたり、特に昼食の時間までもおさきになりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、両案審査に資するところ大なるものがあります。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、明十二日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十一分散会