○
吉田(之)
委員 ところが
大臣、変更してもまた同じようなことになりはしないかというのが、いまの
現地の心配なんです。たとえばここに地図がございますけれ
ども、これが現在走っている二十四号線、
奈良のどまん中、シカの遊園地のまん中をダンプでみんな通り抜けるものですから、これでは観光になりません。したがって、ここに
一つの
奈良バイパスをつくろうじゃないか。ところが、発掘調査をしてみたところ、平城宮跡の東部を縦断することになるだろうから、考え直してほしいということが、文部省の記念物課長から去年の十一月八日に同等が来ておるわけなんです。
大臣のおっしゃるとおり、われわれもそれならばひとつこの
古都を
保存するために協力しようじゃないか。しかし、もう少し東のほうへひねってみると、またウワナベ、コナベという古墳にぶつかるわけなんです。これも非常に由緒ある古墳なんです。そこで、工事を始めたとたんに、非常に重要な史料が出てきたからストップ、そして結局ノーだというふうなことになったのでは、もうどこへ行ったって全部ぶち当たるばかりではないか。これではわれわれは近代社会に対応する生活ができないじゃないかという悩みをかかえておるわけなんです。たまたまそういうときに
建設大臣のほうからも、
古都をあるがままに
保存しようじゃないかと言わんばかりの表現の御
答弁がもしもあったとするならば、これはどちらを向いたって、われわれは救われないじゃないか。われわれは今日まで
地域の
住民の力によって
古都を守ってきたんだ、そして発掘調査に対してはわれわれも心よく
農地を提供してこれに協力してきたんだ、その協力したことがあだになって今日われわれが大きな制約と束縛を受けるというふうなことでは、われわれはしょせんどうにもならないじゃないか、たまらないじゃないかという気持ちが、悲痛な陳情として出てきておるわけなんですね。
大臣のおっしゃるような方法は、私は
一つだけあると思うのです。それは地上は現にあるがままに断じて守ろう、しかし、どうしてもそこに道をつけなければならない。ならば、全部地下道でも掘るというくらいのことをすれば、それはほんとうに守ることができると思います。しかし、そういう採算のとれないことはしない。ともかく協力しろというだけでは、これは今後の
古都を守っていくとか、あるいは緑地を守るとか、いわゆるこの
都市計画が
一つの大きな柱としております
保存の面を完全に遂行することができなくなるのではないかというふうな気がいたすわけでございます。その点いかがでございますか。