○石川
委員 これは五カ年計画ですね。十カ年計画でいろいろな人たちが試算をしているのがありますけれ
ども、一戸当たり大体五十坪で、都会に集まる人間が大体七百二十万、これは十年間の計算です。それから都会へ集まっている人も少し住宅の過密化を緩和してやらなければならぬということで、十坪から二十坪くらいをふやすということを計算して、相当ゆっくりした角度で見ると、三十万ヘクタールという数字が出るようであります。ところで、毎年農地転用は三万ヘクタールくらいございます。それから林野も、
日本では相当広くて、大体二千五百万ヘクタールもあるというようなことを考えると、事、住宅の問題に関しては、もし勇断を持ってやれば、これは資金の問題があると思うのですけれ
ども、三十万ヘクタールを今後十年間で提供できないということはないのじゃないか。これは非常に雑な考え方かもしれませんけれ
ども、やろうとすればできる。やろうとしないからできないのだというふうに断定的に言うことは行き過ぎかもしれませんけれ
ども、大体私
どもそういう考え方で取り組んでもらわなければならぬと思う。
そこでこの問題は、この資金をどうするかという問題でありますけれ
ども、実は社会党では、公債を発行することには原側的に反対でありますけれ
ども、この宅地の問題あるいは住宅の問題に関しては公債大いにけっこうではないかという積極的な
意見を政審としても持っておるわけであります。もちろん、流通
制限をしないとインフレが助長されるのではないかという議論がありますけれ
ども、流通は
制限してもいいのではないか。それと、あとは、先祖伝来の
土地を売って公債で入ってきた場合に、それをすぐ売り払うという気持ちにはなかなかなれぬというのが、私は
国民の心情だろうと思う。そういうことから考えますと、資金の問題は、流通
制限つきの公債でもけっこうだけれ
ども、どこかで何とかくめんして、三十万ヘクタールの
土地のことでありますから、これは国有地も相当あることでもあるし、これは相当積極的にやろうとして具体的な案をいまからおつくりになれば、やってできないことではないのではなかろうか、こういう気持ちがしてならないのであります。しかも、現在住宅で一番困っておるのは庶民でありますから、そういう点もひとつ積極的に
保利大臣は御検討願いたい。これは公債発行を宅地に限ってはわれわれも積極的に支援をいたします。これはインフレの原因にはならないようにする方法もあるし、また、そうはならないという気持ちがしてならないので、この点をこの機会に申し上げておきたいと思うのであります。
まだいろいろ申し上げたいことがたくさんありますが、時間がなくてたいへん残念でありますけれ
ども、
土地の価格を形成しておる要素は一体何かということになりますと、大ざっぱに考えて、素地価格というものがあります。それから、道路あるいは水道、ガス、あるいは高速鉄道を設けたということのためにその地価が上がる、そういう環境
整備の費用というものがその
土地代に加算されるという要素が一つあると思います。それから、そこが非常に繁栄をしてきたというようなところから、外部
経済的な事情でもって
土地の価格が上がるということがあります。それから第四番目には、投機的な要因というものがある。これは需給の
関係から、先ほど
大臣が申されたような不動
産業者の跳梁ばっこというような
状態を引き起こして、そして投機的要因というものが相当ふえてくる。そこで、先ほど申し上げたように、年間大体二兆円程度の
土地の売買の金が動いておるというふうに推算されております。
そこで、これは一問一答でお伺いすればいいのでありますけれ
ども、中国の孫文という人が、
経済的にもいろいろな卓見があった人でありますが、地権平均説という説を出しております。これは、非常に昔こういう
意見を出しておるのですが、非常に卓見だったと思うのであります。これは、御承知のように、社会的な
開発によって
土地が上がったという場合の値上がり分というものは全部社会に還元させるべきであるというふうな
意見を、孫文は
学者でも何でもない政治家でありますが、こういう
意見を出しておったという記録が現在でも残っております。
そこで、一、二、三、四と、いろいろありますが、環境
整備ではいろいろなこまかい計算があるようでありますけれ
ども、東京都で上水道は一日一トンの設備をやるのに七万六千円かかって、四人家族で一日一・四トンということになれば、一軒五十坪として坪当たり二千円くらい上がる。環境
整備というものによって地価は上がってくる。これが高速道路になりますとなおさらこれがきびしくて、五十坪として、坪当たり二万円も上がるというようなことでありますけれ
ども、これは企業者が独立採算でもって収益をはかるということになるわけでありますから、これは当然企業者に還元をされるべき問題ではなかろうか。それから、第三の外部
経済的要因というものは、これは社会的なものとして政治的に解決をはかっていかなければならぬ問題でもあるし
——非常に寸足らずの短かい表現で恐縮でございますけれ
ども、時間がないので御了承願いたいといます。それから投機思的な要因というものは断固押えなければならない。こういうふうに考えますと、地価抑制のいろいろな問題の中で、この素地価格というものだけが
ほんとうの地価ということにならざるを得ないと思うのです。素地価格は一体どういうふうに計算をするかというと、先ほど申し上げましたように、上流の所得者でも坪三万円以上払えないというような計算が出てまいります。農地の収益還元の方法によりますところの素地価格というものは、こまかい計算は中途を抜きまして結論だけ申し上げますと、坪五百円、収益還元方式によるとこういうような非常に安い値段が出てまいります。これがいろいろな
関係で非常に高くなってくるということでありますけれ
ども、ここで地価抑制の一つの対策といたしまして、先ほど申し上げたように、大量に宅地を提供するということをもっと思い切ってやる。十年間なら十年間の先を見越して計画的に提供をはかるということをもっと積極的にやってもらいたいと思うのでありが、そのための資金は公債でやるという方法も一つある。それから基金制度ということが一つある。しかし、いずれにいたしましても、
土地が
開発されたということによって不当に利益をおさめるということだけは何としても押えてもらわなければならない、こう思うわけであります。
そこで、その方法としてはいろいろあるわけでありますけれ
ども、これは
イギリスの
土地委員会の出しておる白書でありますか、これは
保利大臣も御存じだと思いますけれ
ども、これは国家的、地域的及び地方的計画を実施するために、必要のときに必要な
土地が
利用できるようにする、こういうふうにはっきりと大上段に振りかぶった表現があります。それから、社会によりつくり出された
開発価値の大部分を社会に還元し、重要な
目的のために使う
土地のコスト高を軽減しようとする。これが有名な
イギリスのランド・コミッションがつくった白書であります。
それからあと一つ。これは三年前に来ました、
都市計画、地価の問題で
日本でもたいへん権威者として知られておりますウッド教授でありますけれ
ども、ヨーロッパには強力な行政措置で
土地を確保している国もあり、また反対に個人の
土地所有権の強いところもある、しかしながら、
日本ほど
土地所有の
権利が野放しになっているところはない、はっきりとこういう断定を下しております。
日本のように非常に
土地の狭いところで個人の
土地所有の
権利が野放しになっている、こういうことをはっきり言い切っております。私は、いまの
土地の値段というものは、いろいろな
経済外の事情で、
ほんとうに
経済的な要因ではなしに上がっておるということは、政治の責任だと思っておるので、こういう考え方を踏まえた上で対処してもらわなければならぬと思っております。
それで、イタリアなんかに至りましては、御承知のように、
都市計画の
審議決定の二年前にさかのぼって、財務省地方財務局によるところの地価の評価を基準として決定される。二年前ということは
憲法に違反するとかどうとかいうことで問題になりまして、敗訴になりました。しかし、これはまだ
ほんとうに決着はついておらぬようでありますけれ
ども、
日本の場合は
——計画決定時二年前ということはイタリアですが、
日本は計画決定時ではなくて、事業の認定時、しかもそれから、施工しようとするときには、それにスライドした物価の値上がりを換算するというようなことで、非常に私は後退しておると思うのです。で、イタリアでやっておるような思い切ったやり方というものをどうしても今後考えていかなければ、
土地の問題は解決は不可能じゃないか、こういう感じがするので、あえて申し上げるわけでございます。
とにかく、そういうことで
イギリスでは
開発の賦課金制度というものを出しておるし、イタリアも
土地増価税というものを設けておる。こういう事実はよく御承知だろうと思いますけれ
ども、こういうものをやると、とかく、何といいますか、
土地の流通、自由に移動するのを妨げることになる、したがって、そういう制度は、理論としてはわかるけれ
ども、やるべきでないという議論が非常に
日本では横行しております。しかしながら、私は
ほんとうに地価に対して
政府が取り組むのだという姿勢を示すということの
意味でも、これはぜひ積極的に勇断を持ってやってもらわなければならぬ性質のものではなかろうか、こう思っております。
それから、時間がなくて、四十分までということでございますから、あと二、三分しかありませんから、最後に一つだけ申し上げておきますが、実は、私、
昭和三十七年に
土地の問題で私案をつくったことがあるのです。これが一つも実現されてない。いまから五年も前でございますが、全然実現されない。さっき申し上げたようなことで、細々と実現には移されておるけれ
ども、思い切った実現はしておりません。私が当時考えた案でも、
都市計画のような一定の限られた区域内においては個人の自由な
土地の売買をやってはならぬというのは、実はなかなかきまらなかったのでありますけれ
ども、党の政審でもそうきめてもらったことがあるわけであります。いまでも私はその気持ちに変わりはございません。
都市計画法というものを今度つくって、そうして市街化区域と市街化調整区域というものができると、ある特定の場合にだけ、その買い取りは、
向こうから申し出があった場合には買い取るということになっておるようでありますが、そうじゃなくて、地価対策の一環として今度の
法案が出たということになれば、
ほんとうに市街化区域の中における
土地の売買というものは思い切って公的機関でやるというようなところまで積極的にやらないと、私は、
土地の値上がりを防ぐという効果をねらっておる面では効果が出てこないのではないか、こういう感じがしてならないのです。
実はこの
法案の中身についていろいろ
質問したいことがたくさんあったわけでありますけれ
ども、時間もありません。実を言いますと、調整区域の中ではいろんな制服を加えるということで、これは
憲法二十九条の逆の立場でございますけれ
ども、この補償をどうするかというような問題がある。それから調整区域と市街化区域をどう分けていくのかという現実の問題でいろいろ問題があると思っております。それから市街化区域の中でも住宅をつくるということにはいろんな許可制度が要るというようなこと、市街化調整区域のほうは今度は住宅をかってに建ててはいかぬということになれば、
都市計画の区域外のほうに住宅を見つけるということでさらにその面ではスプロールが促進されるという面をどう考えるかという問題もあるわけであります。それから市街化区域というものも、五年ごとに調査をしてまた再検討をすることになるのでありましょうが、そういうようなことで、どんどん
都市計画法の市街化区域というものが広がっていくというようなことにもなるのではなかろうか、非常に権威のないものになってくるのではなかろうかということもありまして、
法案それ自体についてもいろいろお伺いをしたいことがたくさんございますけれ
ども、しかし、いま申し上げたように、地価対策の一環として考えないで、これを
都市局のほうは計画局のほうの分野を侵害するとお考えかどうか知りませんが、
都市を混乱から救うためにということだけが重点となってこの
都市計画法というものがつくられておる、市街化区域、調整区域というものの
利用区分というものが考えられておるというところは、この点についてはわれわれにとっては
ほんとうに根本的に不満なんです。そういうことで、われわれとしては、この地価対策の一環としてこれはきわめて大きい
意味を持つのだということになりますと、どうしても
土地の基金制度というものを持ち、それから
生活保障対策というものを兼ねたそういった一元化された機関というものがあって、それでどんどん統制された地価公示制度によって
ほんとうにきめられた値段であればよろしいのでありますけれ
ども、とにかく公的機関がそれを買い取りをやるんだ、こういうことで積極的なところまでいかなければ、この
都市計画法というものを出した
意義は半分以上減殺されるというふうに私は思わざるを得ないわけであります。この基金をどうするかという点の問題や何かについては、きょうは時間がありませんから、あらためてこの点については
質問をしたいと思っておりますけれ
ども、私は、時間がありませんから、
質問しっぱなしにいたします。
質問しっぱなしにして、あとで再
質問をする時間を与えてもらいたいと思いますけれ
ども、どうしてもこの
法案が一歩前進である、今度この
法案が流れてしまうと、ざっくばらんに言いまして、この次また、さっき申し上げたようないろいろな各省のなわ張りというふうなものがあって、この
法案が再提出されるかどうかわからぬという宿命をになっておるのじゃないかという気も、私個人としてはいたしております。しかし、これを出す以上は、地価対策との密接な
関連がある、その効果をどうやって生かしていくか、これを生かしてもらわないと、このままでは私はこの
都市計画法は通しにくいように個人として感じたということだけを申し述べて、あとの
質問を留保いたしまして、きょうは時間がありませんから、私の
質問は終わります。