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1968-04-04 第58回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午後零時四十分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君    理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       大野  明君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       井上 普方君    石川 次夫君       島上善五郎君    下平 正一君       福岡 義登君    渡辺 惣蔵君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君  委員外出席者         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農地局計         画部長     加賀山國雄君         参  考  人         (東日本建設業         保証株式会社常         務取締役)   安田  清君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市計画法案内閣提出、第五十五回国会閣法  第一五二号)  都市計画法施行法案内閣提出第五六号)      ――――◇―――――
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  都市計画法案都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  本日は、両案審査のため、参考人として、東日本建設業保証株式会社常務取締役安田清君に御出席を願っております。  参考人には、本日、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございました。  なお、参考人の御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  両案に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  3. 福岡義登

    福岡委員 まず第一に、大臣にお伺いしたいと思うのですが、都市計画法案の第一条によりますと、国土の均衡ある発展をはかる、こう書いてある。ことばの上では私ども全く同感なのでありますが、具体的にその内容はどういうことが考えられておるかということをまず初めにお聞きしたいと思うのであります。  なお、第二条には、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」こう書いてあります。これもことばの面では全く私ども同感でありますが、具体的にどういうことが考えられておるのか、その具体的内容説明してもらいたい。
  4. 保利茂

    保利国務大臣 この狭小な国土でこれだけの密度の高い人口を擁して、しかも、この十数年来見ますような著しい経済成長から国民生活が漸次向上してまいっておることは、お互いに認めるところであります。さらに、とにかく今後世界経済の中に立って日本発展をはかってまいりますためには、狭小な国土でございますから、あるいは農業地域として、あるいは工業地域として、効率的な国土利用ということがより強く要請せられてきていると思うわけでございます。そういう見地から、いわゆる国土の均衡ある発展をはかってまいりたい。その一環としての都市計画法でありますことは、御理解をいただけることだと思うわけであります。  さて、その一環としての都市計画法を実施してまいります上において、日本の国情からいたしまして、あるいはまた、国民生活の実際からいたしまして、農林漁業との調整ということが現実的に最も慎重な考慮を要する点である。したがって、農林漁業としての振興方策をはかりつつ、そして農村の基盤を強化し、あわせて都市環境を整備していくということについては、格段の配慮を要するという意味に私は理解をいたしておるわけであります。
  5. 福岡義登

    福岡委員 そういう御説明なら、何も大臣から言ってもらわなくても、法案を読めばわかるわけです。問題は、書いてある「国土の均衡ある発展」とか、あるいは「農林漁業との健全な調和を図り」という、その具体的な内容はどういうことを考えられておるのか、ここをお聞きしたいわけです。いま説明されたようなことは法案に書いてあるのですから、それはもうよくわかっておる。その具体的な内容は何か。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 国土全体の利用計画というものはどうするのだという御質問であろうかと存じますが、その点につきましては、昨日もお答え申し上げておりますように、昭和三十七年に国土総合開発計画が持たれました、それを目ざしてやってきたけれども現実にはそうなっていないというようなことで、もう一度国土総合利用計画というものを見直していかなければならぬではないか、そういう点でただいま経済企画庁でその作業を進めていただいて、十月ごろまでには一般に公表できるところまで持っていきたいということで進められておる。それは、この都市計画の策定にあたりましても、それとちぐはぐにならぬようにやっていかなければならぬ、また、やる用意をしてかからなければならぬ、こういうふうなことであります。
  7. 福岡義登

    福岡委員 いまの御説明に関する限り、具体的な中身は、現在のところはない、将来こういう方針で検討していきたいということだと思うのです。  そこで、いままでの審議で明らかになりましたように、農林省関係では農業振興地域の整備に関する法律案、あるいは通産省のほうでは工業立地適正化法案というものがいろいろ検討されておる、しかも、これらの内容について必ずしも政府部内意思統一されたものであるというようにもとれないわけです。少なくともこれほど大きい都市計画法案というような法案審議しておるのでありますから、いま申し上げました国土総合開発計画がある程度頭の中に描かれて各省間の意思統一がされて、将来たどりつく方向というものは、おおむねこういうところにあるのだという程度のことはやはり明らかにしていただかなければ、法案だけを審議してもかえってその効果というものは期待できないのではないか、マイナスの面すら考えられるように思うのですが、どういう手順で将来の方向というものを検討されようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 昨日も、少し粗雑ではありますけれども、私の見解は申し上げたつもりでございます。農村をどうするか、都市をどうするかということの問題は、そこに焦点があるのだろう。したがいまして、農業振興地域法案というのが政府部内用意せられまして、近日中に御審議をわずらわすようになっていると思います。あと、何かおっしゃいましたけれども、それは私はまだよく承知をしていないのでございますけれども工業立地云々ということは、なるほど部内一部にはあるようでございますけれども、それは政府部内意見がそういうものを持ち出そうというようにはなっておりませんので、いま持ち出そうとして、私ども最大関連をさせつつ考えていかなければならぬのは、農業振興地域法という農林省関係法案、これは私は非常に重視し、あわせて御審議をいただいていかなければなるまい、こう思っておるわけです。ただいまのところそういうことでございます。
  9. 福岡義登

    福岡委員 きのう佐野委員質問じゃなかったかと思うのですが、あるいは下平委員かもしれませんが、通産省のほうから、工業立地適正化法というものは考えておりますとはっきり言明されたわけであります。ただ、今国会実情から、提案をするということには時間的にも間に合わぬのではないかというような説明がきのうあったと思うのです。いま判明しておるのは、この工業立地適正化法案、これは過密、公害対策目的にしておるのだ、こういうことですが、この工業立地適正化法と、いま上程審議中の都市計画法案とは――中身は、まだ出されておらぬわけですから、よくわかりませんが、相当競合するといいますか、そういう項目が幾つかあるように聞いておる。これは一つの例なんですが、問題点は、国土総合開発というものが基本になって、そうして具体的にそれぞれの分野でやっていくということでなければ意味がないじゃないか。せっかく都市計画法というものを成立させてみても、そういう意思統一がされておらなければ意味がないのじゃないか、かえってマイナスの要素になりかねない、こういう点を指摘しておるのでありまして、どうも政府部内における考え方というものが統一されてないように思うが、そういう点についてどう考えておるのかということなんです。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 福岡さんと同様に感じますことは、これは政府提案した場合もあるし、議員提案でやった場合もありますが、この地域開発法というものがクモの巣のようにできてしまっておる。私はそういう意味からいいますと、かえって、ために、目的を達していくのに支障が逆に非常にきている場合があるのじゃないだろうかという心配すら持つものでありますが、そういうことで、今度の秋の国土総合開発関係でもいよいよ示されるという段階におきましては、一ぺんこれらの地域開発法案というものを国会でも真剣に見直していただかなければならないのじゃないだろうか、そうすることが妥当じゃないだろうか、こう考えておる一人でございます。  なお、通産省で立案を予想しておるといわれます工業立地適正化法案でございますか、どういうことをやろうというのか、私は実はわからないのでございます。ということは、要するに、都市計画最大のねらいというものは過密対策であるわけで、過密対策のない都市計画というものはおよそナンセンスじゃないか、何でよけいなことを考えるのだということでございますが、役所には役所のそれぞれの法律あるいは予算に基づいた権限がございましょうけれども、その権限がいろいろな方向発展していって、国民をにっちもさっちもいかないようにしてしまうおそれがある。だから、縄張りとか権限とかいうことにあまり――当面の目的は何であるか、このとうとうたる都市化現象に対してどう対処するかということから問題を考えていくべきじゃないか。そういう上からいきますと、私はもろもろの補完法案も必要であろうかと思います。そういうことは否定するものではございませんけれども、とにかく都市化現象に対する国民期待にたえるために一歩を踏み込む段階ではないか。それがやはりせっかく御審議をいただいております――我田引水じゃございませんけれども都市計画法一つのきっかけとなって、解決への一歩を踏み込む手段としてはぜひ持たしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  11. 福岡義登

    福岡委員 先ほども少し申し上げましたが、通産省説明では、過密対策公害対策の両面を目的として工業立地適正化法というものを検討しておりますということをこの委員会ではっきり言ったわけです。われわれの認識では、この都市計画法案はそういうことが目的でわれわれ審議しているのに、政府部内意見が統一されていないじゃないかということをいま指摘したわけです。これは佐藤内閣として意思統一してもらわなければならない基本的な問題だと思うのです。あとで申し上げる地価対策も十分講じられていない。あるいは、いま申し上げました政府部内意思統一も十分でない。さらに、過密、過疎対策の問題もまだ十分計画されていない。国土総合開発についてもこれという青写真がない。そういう実情の中で、いまこの時点で都市計画法を成立させるということは、時期尚早じゃないか。もう少し、申し上げましたような問題点佐藤内閣として整理をして、それから審議するほうがいいんじゃないか、こういう強い意見を私は持っておるわけです。時間がありませんから、この基本問題は指摘をしておく程度にいたしまして、次へ入りたいと思います。  次にお聞きしたい点は、今日まで、住宅でありますとか、工場であるとか、あるいはその他の公共施設などに相当多くの農地転用されておるわけです。これらに転用されておる農地は、年間大体どのくらい転用されておるのかということを私どもは非常に心配しておる。日本食糧事情とも大きな関係があるし、御存じのように、食糧自給率は七十数%である。相当多額の金を出して外国から農産物を輸入しておるという状態なんであります。今度この都市計画法に基づいて都市化が進められるということになれば、さらに一そう農地転用が多くなってくると思うのであります。  そこで、農林省関係にお伺いしたいのでありますが、一つは、年間どのくらい農地転用されておるのか、それに対してどれだけの農地開発というものを進めておるのか、それが第二点。  第三点は、今日の食糧自給率と、いま申しました農地転用との関係などを考えて、将来日本食糧問題をどのように考えておられるのか。  そういう点を、時間がありませんから、簡潔に……。
  12. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、農地転用という御質問でございましたけれども、われわれのほうでは、転用というよりも、田畑別拡張壊廃というような調査をやっております。壊廃の中で人為的壊廃が大体転用に類するかと思いますが、最近の傾向を見ますと、四十一年度でありますが、たんぼのほうで人為的壊廃が行なわれたのが約一万七千町歩くらいでございます。それから畑のほうで人為的壊廃となりましたものは二万八千八百町歩ということになっております。それで、同時に拡張のほうがございまして、拡張が、いわゆる開田あるいは開拓、干拓その他でございますが、それによりまして拡張いたしました田の面積が、昭和四十一年計で二万五千町歩になっております。それから畑のほうで申し上げますと、拡張いたしましたものが三万四千四百町歩でございまして、昭和四十一年におきまするトータル差し引きは、マイナス約七千町歩、そういうような数字になっております。  その次の御質問にお答えいたしますが、そのようなことで漸次農地転用等工場あるいは住宅等に食われていっておるという現実があるわけでございます。一方、農林省といたしましては、土地改良十カ年計画というものを、昭和三十一年の三月でございましたか閣議決定していただきまして、それに基づきまして、昭和四十年から四十九年を目ざしまして土地改良十カ年計画を進めております。それが総額約二兆六千億という金額になっております。四十二年度までの進捗率は大体九千億くらいでございまして、大体当初の予定どおり進んでおる、そういうようなかっこうになっております。ただ、ただいま御質問のように、かなり農地の改廃が進む傾向があるというのはわれわれも心配いたしております。それに見合うような農地造成と申しますか、それを土地改良十カ年計画の線に沿いましてやってまいりたい、そういうように考えているわけであります。  それから最後の御質問食糧自給率でございますけれども、これは私から申し上げるのはどうかと思いますが、昭和四十一年の自給率でございますが、先ごろの農業白書に掲載されておりますように、大体八一%くらいの自給率を保っておるわけであります。しかし、これがだんだんと、特に畜産関係のえさでございますが、これらの輸入が増大するような傾向がございまして、八一%の自給率が保てるかどうか心配でございますので、できるだけ高い水準にこれを保っていきたい、そのように考えております。
  13. 福岡義登

    福岡委員 将来の自給率はどのくらいまで考えられておるのか、お聞きしたい。
  14. 太田康二

    太田説明員 できるだけ高い水準に維持しながらということで先ほど加賀山部長から申されたわけでございますが、実は食糧総合自給率ということで、たとえば八〇%だ、八一%だという議論もあるわけでございます。先生も御承知のとおり、その中にはココアとかコーヒー等熱帯品等もございまして、そういったものを含んではたして総合自給率を出すことの意味があるかどうかという問題もございますので、われわれといたしましては、個々の品目別自給の問題につきまして現在検討いたしておる段階でございまして、むしろ、国内で合理的な生産が可能なものはできる限り国内自給でいく、しかし、いま申し上げましたような、たとえば濃厚飼料の原料になるトウモロコシ、マイロの問題とか、コーヒーココア等熱帯品等につきましては、これを国内自給するというわけにもまいらぬので、そういった意味での個別品目についての自給率の検討をいたしておる段階でございます。
  15. 福岡義登

    福岡委員 これも時間が十分ないので掘り下げることができぬのですが、先ほどお話のありました十カ年計画で二兆六千億、進捗率が九千億というお話であります。ところが、農林省がせっかく干拓をされましても、それが農地に使用されるのじゃなくて、工場用地などに相当多く転用されておる実情を私は知っておるわけであります。それもこの九千億の中に含まれていると思うのであります。これで十分な対策が立てられておるというようには私どもは考えられないわけです。ですから、この都市計画関連をしまして、将来農地開発自給率品目別に検討されるということなんでありますが、そういう上に立って農林省としてはもう少し具体的に将来の農地問題を積極的に取り上げていただきたいということを要望しておきたいと思うわけであります。  そこで、話が具体的な問題になるのでありますが、この都市計画法案で各委員が指摘しましたように、一番大きい問題点は、何といいましても地価対策がないということです。私は本会議でもこの法案が上程されたときに質問をしたのでありますが、地価対策がない都市計画法というものにはわれわれとしてはどうしても賛成することができぬのです。当然のこととして開発エネルギー市街化地域に集中するわけでありますから、地価が高騰してくる、これは否定できない事実だと思う。そうなってまいりますと、従来よりもたとえば住宅は建てにくくなるのじゃないか。地価が高騰するのでありますから、従来よりも家は建ちにくくなる、これは否定できないと思う。その辺について、一体建設大臣としては、各委員も指摘しましたような点を含めてどういう考えでおられるのか、この都市計画法案関連して地価対策を具体的に提起される用意があるかどうか、その点をお伺いしたいと思う。
  16. 保利茂

    保利国務大臣 今日の地価国民生活に及ぼしている影響等につきましては、すでに昭和三十九年の本院の共同決議にもあらわれておりますし、それからいろいろな審議会とか、あるいは物価会議等におきましても取り上げられてきておるわけでございます。これはせんじ詰めて申しますと、土地需給の著しいアンバランス、需給の不円滑からくるところに思惑投機が入り込んで油を注ぐような形になって、地価の異常な高騰を来たしてしまっておるという事態からいたしますと、結局するところ、需給経済法則と申しますか、大量な宅地供給確保せられるということになれば、その面からは一応押えられる。それから、土地の売り買いで不当――と言うてはあるいは適切でないかもしれませんけれども、これが金もうけの対象物として扱われておる。それが扱われないようになれば、地価は鎮静する。したがいまして、そういうことは都市計画法だけでそういうものをやるか――都市計画法一つ土地利用計画というものを具体的に、天井に絵をかくのじゃなくて、地に絵をかいて、着実な利用計画を立てて、その上でいろいろ補完的な、誘導的な諸施策をあわせて講じていかないと、これは早い話が、ぴしゃっといこうとすると、強権以外には扱いようがございませんし、そういう措置をとらない限りは、あらゆる面から総合して地価対策を講じてまいる、それについては、天井に絵をかくのじゃなしに、地に絵をかいて、それが実際に行なわれるような利用計画を持つ。その利用計画を持つということは、今日の宅地の必要な確保をしたい、あるいは商業地域としての地域確保したい、工場地帯確保をしたい、そういうことで都市計画というものが行なわれる、その場合に、それだけやればいいのかというと、そうはいかないので、いろいろの税制上の補完作用補完措置といいますか、そういうものもあわせ考えてやらなければ、都市計画法をつくったからこれで地価が安定するんだ、抑制されるんだというようには私も考えておりません。そういうほうからこれは皆さんとともにひとつ当面の地価問題に取り組む第一歩として取りかかってみたい、こう考えております。
  17. 福岡義登

    福岡委員 大臣もおっしゃるとおりなんですが、私が指摘しておるのは、都市計画に基づいて開発エネルギー市街化地域に集中していく、そうしますと、どうしてもそこの地価が高騰するわけですから、大臣がおっしゃるように、それじゃ大量の宅地供給をする具体案というものがあるのかどうか、あるいは取引のやり方について、岡本委員が指摘しましたように、公的な機関で取引を考えるか、そういう具体的なことが考えられなければならぬということを言っておるわけであります。それがないからわれわれがいろいろ問題を指摘しておるのでありますけれども、いまのままでいけば――いままでは、どんどんというか、その速度はいろいろ議論はありましょうが、ある程度家が建っておった。それぞれがそれぞれの準備をいたしまして住宅を建ててきたのですが、今度とのように都市計画開発エネルギーを集中していけば地価が高騰してくるということになるのですから、いままで建っておった家が相当速度が落ちてくるということは間違いないと思う。大臣がおっしゃるように大量の宅地供給がこういう方法で考えられておるということなら、それは家の建つ速度というものは落ちないでしょう。そういう計画がないところにわれわれが問題を指摘しておる理由があるわけであります。具体的に、宅地大量供給とかあるいは取引適正化とか、そういうものについてぜひ考えていただきたい。考えられる用意があるかどうかという点だけお伺いしておきたいと思います。
  18. 保利茂

    保利国務大臣 こういう絵を描いてみたいということは、とにかく東京なら東京周辺で、あるいは大阪なら大阪周辺で、ここ十年くらいならばこのくらいの地域都市計画の中に入れればおおよそ宅地供給確保できるんじゃないかというところを描いて市街化区域というものを設定したいという法案期待なんです。そのとおりにいきますと――なるほど、お話しのように、農地、畑や山林にしてある現状よりも、そこへ水道が引かれる、下水道がつく、道路が通るというような都市基本施設が持たれるということになりますと、これはその限りにおいては利用度が非常に高くなるわけですから、したがって、土地の価格というものは上がる方向に向かうということは間違いのないところだと思うのですけれども、それじゃ非常に上がるのかということになりますと、それは十分そこに宅地として確保されれば、上がる傾向はあるけれども、そう著しい上がりはないんじゃないだろうか。しかし、上がった場合は、それは都市基幹施設あるいは道路下水道というものをやって、そして宅地として開発されるという期待がありますから値段が上がるわけであります。何も地主さんが、土地所有者がどうしたから上がるわけじゃございませんから、その上がった分については、これはいかに私有財産が保護されるとはいいながらも、ある程度社会還元といいますか、これはどうしても考える。この辺のところは大体常識的に今日はなっているんじゃないか。したがいまして、税制調査会で取り上げられている一つの大きな項目でございますし、私も内部にいささか立ち入ってきておりますけれども、必ずや福岡議員の御期待にはこたえ得るんじゃないかという実は見込みをつけて、あえて確信を持ってお願いをいたしておるようなわけであります。
  19. 福岡義登

    福岡委員 いずれにしましても、地価対策というのはわれわれが最も重視しておる点なんでありまして、審議過程におきまして別途われわれの意見を述べたいと思うのですけれども、特段の配慮というものをここでは要請しておくことにとどめます。  それから次の問題は、五十六条で土地の買い取りが規定されておるわけであります。ところが、生活再建の立場から考えてみますと、たとえば農業以外に生活手段を持たない人、土地を買い取られましてもその金で商売をするとかその他の職業に転業するということができない人、そういう人が想定できるわけであります。そこで私は、そういう場合には、政府が責任を持って、農業であれば農地をかえ地として出して補償していくという制度を――これは土地収用法のときにも私の意見を強く述べたところなんでありますが、そういうことについて考えられないか。これはさっき言いました食糧問題、農地全体の問題とも関連するし、直接的には、地主というか、農業をやっておる人の生活保障ということにもつながっておるわけであります。そういう点は考えられないか。
  20. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 五十六条は、都市計画施設につきましては、特別に知事が指定いたしました場合、あるいは市街地開発事業につきまして計画決定の段階で建築を禁止する、そのかわり買い取り請求権を与える、こういう趣旨の条文でございます。したがいまして、買い取らない場合には、当然従来の計画制限と同じような木造二階建て以下の建物が建てられるということになるわけであります。しかしながら、事業の段階におきまして、先生御承知のように、収用法なりあるいは公共用地の特別措置法なり――都市計画事業につきましても収用法が適用になるわけでございますので、事業の段階に応じまして、それぞれの実情に応じて、あの法律の運用を発動するということは可能かと思います。この場合はそういう規定だということを申し上げたのであります。
  21. 福岡義登

    福岡委員 それは承知しておるのでありますが、さっき問題を指摘しましたように、都市計画法の適用だけではなしに、そのほか公共事業、公共用地にも関連するわけですが、金銭補償が原則になっている。これを、代替補償といいますか、そういう制度を考えていくべきだというのが私の質問の趣旨なんです。それは考えていけるかどうか。現に公共事業で用地問題が暗礁に乗り上げておるものも幾つか聞いておるわけです。そういうことが考えられるかどうか、ぜひ考えてもらいたいということです。
  22. 川島博

    ○川島(博)政府委員 ただいま都市局長からお答え申しましたように、買い取り請求をする場合は別といたしまして、どうしてもかえ地がほしいという場合には、現行の収用法で、本人から収用委員会へかえ地補償してほしいという申請をすることができるようになっております。この手続によりますれば現在でもそういう道が開かれておるわけであります。
  23. 福岡義登

    福岡委員 そういうことは知っておるのでありますが、実際に現地の事情をいろいろ聞いてみると、やっかいだから、できるだけかえ地補償というものはしたくない。収用委員会へかけて、それからの作業としてはこれはやらざるを得ぬのですが、できるだけ金銭補償ということでいきたいというのが、御承知のようにそれぞれのケースでとられておる方法なのであります。私がいまここで指摘しておりますのは、積極的に、特に農地であるような場合には、全体的な農地開発との関係もあって公的機関で農地買い上げをしてかえ地補償をしていくというようなことが望ましい、そういうことを言っておるのでありまして、制度上できるという道があるのは知っておるのであります。積極的にそれをやるかどうかという点なのであります。
  24. 川島博

    ○川島(博)政府委員 収用の場合はいま申し上げたわけでありますが、収用によらない場合でも、都市計画事業の施行者と当該対象地域土地権利者との間で話し合いいたしまして、そういう要請をすることはあると思いますが、その際には、やはりこれは話し合いでできるものは話し合いすればいいわけでございますから、行政指導といたしまして、そういう要求に対してはなるたけ事業の施行者に対してそういう措置をしてあげるようにという行政指導は必要かと思います。
  25. 福岡義登

    福岡委員 そのほか市街化調整区域の問題でありますとか、開発利益の還元問題でありますとか、いろいろと問題点を持っておるのでありますが、きょう二時から本会議があるということで、それまでにどうしても終わらなければいかぬという制約を受けておりまして、いずれ機会をあらためてそれらにつきましては私の意見を述べたいと思うのです。  もう一つ、これは直接都市計画法関係があるということじゃありませんが、広い意味ではこれは大いに関係があるわけであります。といいますのは、公共工事の前払い金保証事業についてなんです。この事業が今日まで公共事業を円滑に行なうという点におきまして相当大きな役割りを果たしてきたことは事実でありますし、今後も都市計画事業などの推進のために一そうその役割りが期待できると思うのであります。ところが、この事業の実情というものがあまりにも大きい問題を持っておるように私どもは受け取っておるわけなんです。  第一に、私はここに資料を作成してきたのでありますが、建設大臣に見ていただきたいという点があるわけであります。いま大臣のところに出しました資料は、保証料と弁済保証の関係を年度別にとってみた資料なのであります。四十一年度で、東日本建設業保証会社に例をとってみますと、三万五千七百五十一件の保証をし、その保証料として二十一億一千六百四十九万二千円取っておる、こういうことになっておる。ところが保証弁済をいたしましたのは三十一件でありまして、保証しました件数に対しては一%にも満たない〇・八七%であります。弁済保証をいたしました金額は、わずかに五千四百二十一万九千円でしかない。去年私は、第五十五特別国会だったと思うのでありますが、建設委員会におきましてこの問題を取り上げたことがあります。そのときは資料が不十分であまり議論ができなかったのですが、調べてみるとこういう実情なんです。これは直接的な保険ではないのですが、それに類似しておるような性格を持っておる。保険数理から考えましても、二十一億の保証料、言いかえれば保険料と共通的な面があるのですが、そういうものを取っておきながら、弁済いたしましたのはわずかに五千四百万円でしかない。こんなもうけになる甘い汁が吸える株式会社というものは、金のわらじをはいて歩いても私は日本じゅうにないと思います。しかもこの保証会社というのは、建設大臣の認可がなければできない、日本に三つしかないのであります。一体建設大臣はこの事業が適正に運営されておると思われるかどうか、まずその点をお伺いしたい。
  26. 保利茂

    保利国務大臣 福岡さんからいただきました資料は、こまかい数字まで入っておりますから、このとおりであろうと思います。私が持ち合わせております数字は、全国数字になっておりますから、端的にはもっとわかりやすいだろうと思っておりますけれども、四十二年度で取り扱い件数が七万六千五百九十一、保証金額が三千六百五十一億七千四百万、収入保証料は三十六億五千三百万、支払い保証金が三億五千六百万、その支払い保証金の収入保証料に対する割合は九・七%と、こうなっておるわけです。実はこれを見まして私も、おやおや、これはえらいことじゃないのか、保証料の一割も――これはあるいは皆無であることのほうがもっと喜ぶべきことであるかもしれませんけれども、とにかく一割に満たない支出をされておる。そうすると、それはどうも保証料の取り過ぎではないだろうか。この制度は、公共事業を進めてまいります上において  今日中小企業の倒産がやかましくいわれる、その中で二割から二割五分は建設業が占めているというような状態、脆弱な建設業ということは全体としては言えるわけでございますから、そういう業界の中で公共事業を進めてまいる上において、事業半ばにおいて国が著しい損失を受けないようにするための保証措置としては非常に大きな役割りをしておる。そこで、だんだんこれの利用される率が高まってきておる。そうすると、保証基金というものは相当用意されなければならないということになってくるのではないか。一がいに、まだ日の浅いことでございますから、支払い保証金が収入保証料の割合に比して低いということだけを責めるわけにはいかぬのじゃないか。と申しますのは、この保証基金を充実してこの制度を円滑に運用してまいる、それにしても、一体この保証料というものは妥当であるかどうかというところは大いに検討を要するところであろうかと、私は問題を実はきのうから調べましてそういうふうにとって、保証料がはたして今日の妥当なところに押えられておるかどうかということは一ぺん検討してもらわなければいくまい、こう思っております。
  27. 福岡義登

    福岡委員 基金というものをある程度持たなければならぬというのはわかる。しかし、それはそれとして、その基金の積み立て方はいろいろと方法があると思う。さっき大臣もおっしゃったように、大臣の手元にあるのは四十二年度の実績のようであります。私の手元にあるのは四十一年度までしかないのですが、それにいたしましても、大臣の資料によりましても九・七%というのは、損保へ行きましても、こんな保険数理というか、料率というものは考えられないものでしょう。火災保険を考えてみましても、こんなもうかる制度にはなっていないと思う。これは大蔵省が監督しておるのでありますが、そういうことは許可しない。建設業会社だけがこれだけ甘い汁を吸うというか、会社からいえば甘い汁が吸えるわけです。ですから、基金が必要だというのはそれはわかるけれども、それはそれとして、別の考え方があるのではないか。そこで、この保証料についてぜひ下げるように検討していただきたいということをここで申し上げておきたいわけであります。これは時の大臣は野田卯一大臣だったと思うのでありますが、建設委員会ではっきり述べられておるわけであります。できるだけこの料率というものは下げるようにいたします。当初、これは昭和二十七年四月十五日、会議録を読んでみますと、時の建設大臣ははっきりそれを言明しておるわけであります。この料率については再検討されるということを私は特にここで要望しておきたいと思う。大臣から、そういう検討をし、できるだけ下げるということが約束できるかどうか、それを伺ってから次へ入りたいと思います。
  28. 保利茂

    保利国務大臣 これは民間の組織、民間の出資になっている、政府の出資を伴っていないわけでございますけれども、しかし、その公共的役割りというものはほとんど公益会社と言っていいと思うわけです。したがって、ちょっと聞いてみましたけれども、たとえば配当を行なう場合は一割二分をこえてはならない、あるいは人件費と役職員の待遇等は公団並みで押えておる、その辺の適否が、はたして妥当であるかどうか、これは一ぺん検討しなければならぬと思います。そういうことで、その限りにおいては必ずしもルーズな経営が行なわれているようには思えませんが、そうしてまた、二十七年以来今日まで、何べんか保証料率の引き下げをやってきております。さらに保証料率の引き下げをなし得ますかどうか、これはもうすでに、正確には私も覚えませんけれども、百四十億以上の基金が設定されておるようでございますから、そういう段階まで来ておるとするならば、この上積んでいってどうするか、無益の基金積み立てば必要ないことでしょうし――ですから、そういう点もあわせ考えて、来年はひとつ慎重に検討をして、御期待に沿えるものならば御期待に沿わなければならぬ、当然のことだと実は考えておるようなわけであります。
  29. 福岡義登

    福岡委員 それではもう一つの資料を大臣に私は見てもらいたいと思うのです。  いま大臣の手元へ出しましたのは、それぞれの建設業保証会社が大臣に事業報告をしたものの中から抜いたものであります。はたして、大臣がおっしゃるように、この保証会社の経営というものがまじめに間違いなく適正に行なわれておるとは、この資料からは私はうかがえぬのであります。  そこで、あと大臣にはまとめて御見解をお尋ねいたしますが、きょう、東日本建設業保証会社の安田さんに参考人として来ていただいておりますから、まずお伺いしたいのですが、調査研究費というのは一体何に使われるのかという疑問を持っておるわけであります。試みに、ここに数字が出ておりますが、東日本昭和四十一年度で八百三十八万三千円使っておるわけです。西日本建設業保証会社に至りましては、四千三百八十七万九千円の調査研究費を使っておる。何を研究するのにこんなに経費がかかるのかという疑いをまず第一に私は持つのであります。第二は交際費であります。あなたの会社は、昭和四十一年度で二千八百二十二万五千円お使いになっている。保証会社という性格からいたしまして、何に交際費が要るのか。西日本でも、ここに書いてありますように、三千百十八万九千円の交際費を使っておるのですよ。何に使っておるかということは私には全然見当がつかない。さらに会議費。これもわれわれの常識から考えますと、あなたの会社は四十一年度一年間で一千九百二十五万四千円お使いになっている。何にそういう会議の経費がかかるのか、交際費がこれだけ出なければいけないのか、調査研究費というものがこんなに何千万というものが何に要るのかという点が、私どもが見たところ、どうも得心がいかないのであります。そこで、時間が十分ありませんから、要点だけ簡単に答えていただきたいのですが、いま申し上げました点についてまず説明をしていただきたい。
  30. 安田清

    安田参考人 お答えをいたします。  わが社の数字をいまおっしゃいましたが、大体そのとおりだと思います。  まず第一に調査研究費でございますが、これは保証事業会社といたしまして、この保証という仕事をやりますのにいろいろと根本的に勉強しなければいかぬ問題がございますが、先ほど先生からも御質問がございましたように、保証料が高過ぎる、なるほど高過ぎるという感じがございますが、それでは、適正な保証料というものは、どういうふうな算定基準ではじき出せば適正になるかというような問題、引き合いに出されましたように、保険におきましては、なるほど保険数理が発達いたしておりまして、大数の法則によっていわゆる危険率を測定して適正な保険料が出るということでございますが、この保証というものに対します保証料というのは、先進国でありますアメリカの研究によりましても、これは保険数理的な統計ではいかないんだというようなことが出ております。簡単にということでございますが、要するに……
  31. 福岡義登

    福岡委員 時間がないから、項目と、委託をしておれば委託先と、そういう程度のものでいいから……。
  32. 安田清

    安田参考人 それは社内で研究会をやりまして、それに要する費用でございます。研究結果を出版もいたしております。
  33. 福岡義登

    福岡委員 社内で調査研究されるのに三千万も四千万も金がかかるのですか。
  34. 安田清

    安田参考人 お答えいたします。  私のほうは昨年度八百万でございます。
  35. 福岡義登

    福岡委員 西日本は四千三百万使っている。これはあと大臣に聞きます。  交際費はどういうことに使うのですか。
  36. 安田清

    安田参考人 交際費と申しますのは、いわゆる交際費ではございますが、実はわれわれのほうの経営費目のやり方につきましては、建設省の許可を得た費目に整理をしなければいかぬということになっておりまして、事業会社といたしまして事業をやりますのに、いわゆる新市場の開拓なりあるいは事業の推進なり、いわゆるお客さんをできるだけたくさんとるようにというような意味の市場開拓費なり、前払い制度の推進費というような費目がございません。現に中小企業の方にできるだけこの前払い金が出るように、その保証に基づいて資金を円滑にして公共工事をうまくやっていただきたいということで、現在まで前払い制度をとっておりません市町村その他に対しまして、非常に強力なるいわゆる推進をやっております。全国にあります市町村のうち、昨年度はこの前払い金を出してくれた市町村がわずかに二六・四%しかございませんでした。前々年度はもっと少なかったわけでございますが、それをできるだけ開拓して――いままで地方の小さな業者が、たとえば町なり村なりの工事をお受けになっても、前払い金が出ない、そういうところについては、できるだけ前払い金を出していただきたいというようなことで、説明会を開いたり、あるいはいろいろと懇談をいたしたりいたしました費用が、そういうふうな市場開拓費というような費目がないものでございますから、いろいろとお集まりいただいてお話をいたしまして昼めしを出しますと、これは交際費として整理をするよりしかたがないというようなことで、そういう費目もいわゆる純粋の交際費以外に入っておりましてこういう数字になっておるわけでございます。
  37. 福岡義登

    福岡委員 あなたは少し何か勘違いされておるのじゃないですか。前払いを受けて直接的な利便を受けるのは請負業者ですね。請負業者がそういうように町村へ前渡金を出してもらえぬだろうか、保証のほうは保証会社にお願いするからと、そういう運動をするなら、これは話はわかりますよ。あなたのところは保証会社でしょう。それがこういうばく大な経費を使ってそういうことをやらなければいけないのですか。
  38. 安田清

    安田参考人 ことばが足りませんでしたが、まさにおっしゃるとおり、業者の方が前払い金をお受けになれば仕事がやりやすくなります。したがいまして、業者の方とわれわれのほうとで――われわれのほうも、そういうふうにいたしましていわゆる保証の範囲が広まれば保証額も上がっていくわけでございます。だから利害は一致いたしておりますので、業者の方と共同戦線を張りまして、具体的に申しますれば、建設業の地方の協会の方々と一緒に各市町村へ伺ったり、あるいは市長会なりあるいは町長会なりの席を利用して、いろいろとそういう陳情を申し上げているわけでございます。
  39. 福岡義登

    福岡委員 それなら建設業者がその経費を持つべきじゃないですか。保証会社がそんな経費を持つ筋合いはないでしょう。大臣が初めに言ったように、基金を積まなければいかぬとおっしゃれば、こういう、私どもに言わせればむだな経費を使っている――建設業者が当然負担しなければならぬものを建設保証会社が負担しておるじゃないですか。むだな金でしょう。しかも問題は――もうあと二十分しか時間がないから、また次にお伺いするかもしれませんが、たとえば「協会費及び諸会費」、こう書いてあります。あなたの会社は四十年度に比べて四十一年度は一千六十九万二千円ふえておるんです。これは何の会議であり、何の諸会費ですか。一年間に使っておるのは千九百七十一万九千円ですよ。これは何の会費ですか。
  40. 安田清

    安田参考人 協会費、諸会費は――御承知のとおり、われわれは建設業保証会社でございますが、建設業者の協会には、全国建設業協会があり、あるいは地方建設業協会があります。そういう協会の賛助会員なりあるいは特別会員になってくれということをおっしゃられれば、われわれも、いわゆるお客さまのつくっておられる協会でございますから、そういう協会の賛助会員なり特別会員になって会費を払っております。そういう会費がこの協会費その他でございます。
  41. 福岡義登

    福岡委員 これも本末転倒じゃないですか。保証をしてやる会社が、お得意さまに会に入れといわれれば入らなければなりませんと言う。そんなことは許されませんよ。もともとこれは税金ですよ、公共工事なんだから。あなたは保証してやる会社側でしょう。お客さまに対してなんというニュアンスは私ども疑いたいんだけれども、それも少々出すのならいいが、一年間に二千万円からの会費を払うというのは常識を逸脱していると思いませんか。  さらに私は問題を指摘したいのだけれども、保証会社の役員を調べてみたら、ほとんど三分の二くらいは  あなたは調達庁から行かれているのだけれども、全部役人の天下りじゃないですか。給料を調べてみたら、あなたのところは四十一年度七人の常勤役員で平均十七万七千円取っているのですよ。それは全部明治生まれです。役人を卒業した人がほとんどでしょう。それから剰余金処分について、あなたらが去年分けられた役員の賞与は、非常勤も含めて二十四人おるのだが、一人平均六十二万五千円取っているのですよ。こんなでたらめな経営のしかたがありますか。天下り人事もいいところじゃないですか。官僚の古手が行ってこういうばく大なあれを取っているじゃないですか。これをもって放漫経営じゃないと言えるかどうかという問題です。  さらに、寄付金というものもある。臭気ぷんぷんとしているじゃないか、その中身を見れば。一体どういう経営をしているのか。  私はここで大臣に聞きたいのだけれども、毎年保証会社は大臣に対して事業報告を出している。大臣は監査しなければいけない。いままで何年か監査されまして、いま私が指摘したような問題点が問題にならなかったかどうか、この保証会社はいずれもりっぱに適正に経営をやっておるかどうか、その点の見解をまずここで大臣に聞きたい。
  42. 保利茂

    保利国務大臣 私は、保証会社があるという話を聞いて、一体保証会社というのは何をやるのだということで――多少ざっくばらんな話を申しているわけですが、何をやるのだ、それはかくかくで、公共事業を円滑に推進していくためには、途中で倒れたり工事のし残しであと始末に困るというようなことのないように、工事を請け負った人が万一途中で挫折するようなことがあってもその公共団体に迷惑がかからないように保証するようになっておる。たいへんいい仕組みではないか。しかもその仕組みたるや、私は不案内でございましたけれども、それは法律ができてこういう制度が行なわれておる。問題は、民間会社ではありますけれども、そういうきわめて公益性の高い会社であるから、したがって、会社の運営については、それにふさわしい節度ある経営をやっていただかなければならぬ。そういう点で、私が一ぺん検討してみます。正直のところ、そこまで、これはどうなっていたか、これはどうなっていたかと聞かれても、私にはわからないのだから、それはもう一ぺんまじめに検討して、それで、何もこんなことをやらぬでもいいじゃないかということがあれば、ひとつ督励して、こういうことで無用の誤解や疑いをかけられるようなことのないようにしなければならぬ責任が私はありますから、そういたします。
  43. 福岡義登

    福岡委員 いまの大臣説明では私はとうてい承服できませんよ。この会社ができましたのは昭和二十七年の六月ですよ。いま昭和四十三年ですから、十六年経過している。ここ三十九年から四十一年までの資料をとっても、いま申し上げましたような問題点がある。それを、いまから検討しなければ何とも言えない……
  44. 保利茂

    保利国務大臣 いやいや、そうじゃない。
  45. 福岡義登

    福岡委員 だから、私のお伺いしておるのは、事業報告を毎年しているんですよ。建設大臣は監督しなければいかぬ義務があるのですよ。それをやられた結果、いまの建設業保証会社については問題はないと考えておるのかどうか、これを聞きたいのです。問題があると言われるのなら、どこどこにあるか。
  46. 保利茂

    保利国務大臣 これは、私が就任しましてこさいに検討していなかったことはまことに怠慢だと思って、私自身、あらためて検討いたします。私があなたの資料を見ましても、調査研究費で東日本は八百万、西日本は四千万も何で要るのだ、だれでも疑いを持つところだろう、そういう点を一ぺん調べてみます。そして本来の会社の目的国民の疑惑を受けるようなことなしに行なわれていくように最善を尽くしてまいりたいと思います。
  47. 福岡義登

    福岡委員 安田さんにまたお尋ねをするのでありますが、一つだけ、ちょっと言ってみてください。「協会費及び諸会費」というものをさっきあなたが説明されたのですが、私は承知できないんですよ。一番大きい会費はどの会費で、年間何ぼ払っているか。
  48. 安田清

    安田参考人 突然で、ちょっと私も確たる数字は手元にございませんが、一番大きく払っておるのは、全国建設業協会の会費だと思います。
  49. 福岡義登

    福岡委員 何ぼ払っておるか。
  50. 安田清

    安田参考人 年間一千万くらいだと思います。
  51. 福岡義登

    福岡委員 おかしいじゃないですか。あなたは常務ですか。
  52. 安田清

    安田参考人 そうでございます。
  53. 福岡義登

    福岡委員 常務として矛盾を感じられませんか。一千万もそこに払うこと……。
  54. 安田清

    安田参考人 私、常務でございますが、実は業務担当でございまして、いまの諸会費その他につきましては私の担当でないのでございますが、全国建設業協会は、御承知のとおり、建設業界の全国的な組織でございまして、会費をお取りになって運営をされております。しかし、経費も足りないというようなことからかもしれませんが、従来からわれわれのほうは、賛助会員といいますか、特別会員になっておりまして、会費が一応向こうの総会できまって、それを払っておるわけですが、先般向こうでも一般会員の会費の値上げがあり、ついては特別会員の会費の値上げもしてほしいというお話しがございましたので、いろいろと仰せられて相談された結果、こういうふうな会費を払うことになったものと了解をいたしております。
  55. 福岡義登

    福岡委員 これは保利建設大臣、保証料はいわゆる中小の建設業者が大部分――大部分というか、相当たくさん出しておると思うのです。割合はあとで資料を分析すればわかりますが、いずれにしましても、そういうもので集めた保証料、四十一年度でいえば、東日本建設業保証会社は、二十一億――大企業じゃないですよ。市町村の公共事業というのは中小がほとんどやっているのですから。中小のほうが多いんですよ。中小が相当量の保証料を出して、それで積み上げた保証料が、いま私が問題を指摘しましたように、あちこちに使われておる。財産の保管方法、利用方法についてもひとつ問題を指摘したいのです。東日本の場合は、投資有価証券を四十七億七千万も持っておられるでしょう。それをどういうぐあいに使っておるかというと、国債であるとか地方債を買っておるならまだわれわれ了解できますよ。国債はわずかに〇・四%しか買っていない。地方債は一・一%ですよ。一番大きく買っておるのは社債でしょう。二十五億七千万円だったと思うが、全体の五三%に当たる。貸付信託も二十数%買っておるので、持っておる財産の利用方法についても問題があるわけです。いずれにしても、中小建設業者が積み上げた金を、そういう特定の、しかも大企業の社債を買って利便を与えておる。一面では保証会社としては利益を追求しておる。大臣がおっしゃるように、基金はある程度持たなきゃいかぬ、それは私もある程度了解できる。しかし、その基金をどう使っておるかという中身にも大きな問題があるのです。けしからぬと私は思うのです。本会議が近いので、ここでこれ以上やりとりする時間がありませんが、一口にして言えば、零細中小企業建設業者から集めた金を、大企業に奉仕するために運用しておるということだけ指摘したい、そういうことです。社債を五三%買っておる。読み上げましょうか。全部ここに資料を持ってきているんだから。東京電力とか関西電力とか、そういうところの社債をほとんど買っているんですよ。公共事業をやる市町村の地方債を中心にしたらどうなんですか。そういう資産運用についても非常に大きな問題があると思うのです。これ以上申し上げる時間がありませんが、損益計算についても、この中身から見れば、相当でたらめをやっておりますよ。  結論として、私はきょう資料要求をしておきたいと思うのです。この交際費、寄附金、協会費あるいは諸会費――この協会費は、さっき聞いてわかったのですが、建設業協会に一千万出しておるという。建設業協会はまとめて自民党に相当政治献金をしておるでしょう。それなら間接的に保証会社の金が政治献金に入っておると言えるじゃないですか。筋としてはそういうことになるでしょう。
  56. 保利茂

    保利国務大臣 それはそうなれば……。
  57. 福岡義登

    福岡委員 だから、そういう点を私は問題にしたい。だから、ここにあげておる項目について、具体的な中身を資料として出していただきたい。その資料の上に立って、引き続いて私の質問をしたいと思います。  きょうは時間がありませんのでこれで終わりますが、いまの資料要求だけはぜひ確認をしておいてもらいたい。
  58. 加藤常太郎

    加藤委員長 参考人には、御多用中のところ御出席、どうもありがとうございました。  次回は、明五日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会