○佐野(憲)
委員 私が前段に
指摘いたしましたのは、二十五年に総合開発法ができながらも、府県
計画が着手されておる、特定地域開発
計画が先行してまいる、こういう怠慢を続けてまいって、しかも全国
計画がようやく三十七年にできてまいった、と同時に、三十七年の新産業都市並びに今度提案になった
都市計画法案を見ましても、全国総合開発
計画に適合しなくちゃならない、これは前後してできました新産業都市の中にも、第五条ですか、この点を明示しておるわけです。あるいは十一条には、
土地利用に関してもそういう規定を置いております。今度の新しい
都市計画法案におきましても、十三条には、総合開発
計画に適合しなくちゃならない、こう書かれておるわけですね。
大臣は、三十七年にようやく出てまいった全国
計画を、実は時代に合わなくなった、だから変えなくちゃならない、経済企画庁においては
国土計画として何か考えておるらしい
——となってまいりますと、この
法律の中にこういうのを挿入しておるということ自身もおかしいのじゃないですか。どうもばらばらじゃないか。上位の
計画がばらばらである。しかも、都市
計画というのは、大体下位の都市政策だと思います。全国的な総合開発
計画、
土地利用
計画があって、その中における都市
計画の下位部門だ。上位部門がでたらめだ、実は十何年間もかかったけれども、でたらめにしかされなかった、だから今度はつくり直しておるのだ、それに基づいて下部の都市政策を実はいま確立するのだ
——どうも矛盾した感じを受けるわけです。
国土調査法があり、十何年間おいた昭和三十七年に総合開発
計画ができて
政府は
責任を負わされておるのに、いかにも怠慢にやってこられた。三十七年にでき上がってまいりました
土地利用に関するもの、これを
大臣就任になってからお読みになりましたか。全く驚くべき案だと思うのです。一応
参考までに
大臣知っていただきたいと思います。この中に
土地利用
計画などというものは、どこの省の中にもないわけですね。総合開発
計画の中に、
国土の利用、保全、開発、そのために、都市が、農村がと、いろいろなことが規定されておるにもかかわらず、この中で出てきておるのは、第四章「産業基盤の整備」という項目の中をよく読んでまいりますと、二、三ページの中に、しかも
一つの節として、第三節として、「広域的な
土地利用に関する
計画の作成により、
用途地域制の確立をはかるとともに、とくに用地の合理的転用、
土地の買収あるいは取得を円滑にするため適切な措置を講ずるものとする。」
大臣、第四章の産業基盤整備の一環として「
土地の利用」という第三節が出ているわけですね。第二節には「用水の確保」、第四節は「電力の確保」、その間にはさまって
土地利用
計画が出ておるわけです。
一体こんなばかげた
土地政策なんてありますかね。産業基盤整備の一環として、電力、工業用水なんかとからんで
土地利用
計画を言っておるのです。
国土の利用、開発、保全
——国土総合開発法に関しておる最もやらねばならない方向、これを全然無視されてしまっておるのが全国
計画なんです。
一体こんなでたらめな話があるかというのです。こういう混乱がなぜ起こってきたか。
大臣がこの間予算編成が大詰めに来たときに漏らされたことは、ウサギが走り過ぎて全く困る、少し休んでくれればいいのに、カメは追っつかぬじゃないか、こういう
お話があった中に
——私は関連質問ですから、いずれまたもっと
大臣の心境を聞きたいと思うのですけれども、昨年における
政府の経済見通しの中で、いわゆる経済成長率一一・六%が二七・四%に上がってしまった、五兆九千億円見込んでおったのが、七兆一千億円になってしまった、
国民経済を破壊するようなめちゃくちゃな経済成長をやっておる資本家の、
企業サイドのもたらしておるいろいろな矛盾、この中にいわゆる
生活基盤を中心とする社会資本の充実が妨げられておることに対する
大臣の率直な
気持ちがあろうと思いますけれども、私この点に対してもっと掘り下げて別の機会にいたしますが、ただ問題は、こういう
土地政策が一だからこそ
各省がはらはらな政策を出してくるわけです。上位の
土地利用政策なり
土地利用基本
計画がない。産業基盤の一環としてしか見てない、こういう中で
各省がばらばらに出してくるのは、私はあたりまえだと思います。ばらばらに出してきたのだから、しょうがない、これを
調整しなくちゃならないというのが、いまの
大臣の答弁です。私は不満だと思うのです。
それから、三十七年の全国
計画は、これは矛盾が出てきておるから、これに適合するということが、いわゆる無謀な経済成長の結果として、国際収支の悪化、物価騰貴、地価騰貴の最大犯人であるところの経済成長を強引に推し進めてまいったこれらに対する規制、
国民の側から来る規制、これらを中心とした
土地の利用に対する基本
計画を立てなければ、こういう矛盾というものはちっとも解決しないじゃないか。大切な上位
計画をばらばらにしておいて、そこに一定の理念もなければ、基本的な思想もない、ビジョンもない。それで、現実がこうだからといって、
各省セクショナリズムによる、いわゆる
井上さんが
指摘するような形が出てくる原因もここにあるのじゃないか。時間もありませんので、そういう意味におきまして、私は、一
建設大臣の
保利さんではなくて、国務
大臣としての
保利さんに対しまして、重ねてはっきりと言いたいと思うのですけれども、
土地利用
計画に対する基本政策を確立する考え方があるかどうか、いま経済企画庁の立てておる中におきましても、どういう内容か知りませんけれども、
土地利用に対するところの全国的な上位
計画というものを、やはりビジョンを持って、あるいはまた、正しい
土地政策の理念を持って、
建設大臣としていろいろ関係の多い
大臣として、国務
大臣として、やはり明確な方針を出していただかなければ、同じことを繰り返すんじゃないか。
都市計画法案のときにあたりましてももっと具体的に突っ込みますけれども、一応この機会に、
井上さんの
大臣とのやり取りの中に、何か問題の
重要性からもう少し掘り下げてみなくちゃならぬのじゃないかという気がしたので、
大臣の所見を一応伺っておきます。