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1968-03-08 第58回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 森下 國雄君 理事 渡辺 栄一君    理事 佐野 憲治君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       大野  明君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       井上 普方君    石川 次夫君       島上善五郎君    下平 正一君       福岡 義登君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 横山 正彦君  委員外出席者         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    町田  稔君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本日、本件調査のため、日本住宅公団から総裁林敬三君、理事明君参考人として御出席を願っております。参考人の御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じます。さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  なお、この際、質疑をされる各委員に申し上げますが、理事会の協議によりまして、質疑はおおむね一人三十分程度にお願いいたします。  順次質疑を行ないます。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 大臣建設行政基本施策に関する所信表明ということで、先日の委員会におきまして所信表明大臣からなされたのでございます。私は、去る十二月に大臣建設大臣就任せられた早々大臣基本姿勢についてお伺いいたしたのでございましたが、そのときにも時間が非常に少なくて十分なことをお聞きすることができませんでした。きょうはその補完といたしましてお伺いいたしたいのでございますが、就任早々大臣所信表明の中にもありましてお尋ねいたしたところでございますが、今度の所信表明にも、最後に「事業施行にあたりましては、公正かつ効率的な運営について特に留意してまいる所存であります。」こう申し述べられておるのでございます。それで、もう大臣になられましてからだいぶ日がたちますので、大臣は公正かつ効率的な運営をどのように具体的にやられるおつもりか、ひとつお伺いいたしたいと存ずるのでございます。
  4. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく大事な国民の負担ないし国民の蓄積をもって公共投資を行なっていくわけでございますから、これが正しく、また効率的に使用されるようにということをひたすらこいねがっておるわけでございまして、その後だんだんいろいろの問題等について部内の考え方なりやり方なりを勉強してまいりました。私は、おおむね私の希望するようなふうに部内業務執行が行なわれておるというように、これは逃げことばではなしに、そう感じておる次第であります。現在のやり方をもってしても必ずしもけしからぬというようなところはまだ見出してはおらぬのであります。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 私は、この公正にして効率的な運営ということは特に必要だと思います。しかしながら、この効率的な運営ということに重点を置く場合におきましては、数々の問題が出てまいろうと私は存ずるのでございます。特に効率的ということ、すなわち、効率といいますと、能率ということにも相通ずると思うわけでございます。そういたしますと、どういたしましても執行部独走のおそれが出てまいりまして、特に民意を尊重しない、こういうような傾向が出てくるのではないかと私はおそれるものであります。特に土地収用法のごとく強権を強めました法律が出てまいりますと、特に官僚独善あるいは執行部における独走のおそれがなしとしないと私は考えます。いかにも、民主主義の世の中はあるいは民意を聞くという繁雑な手続が要ってまいりますけれども、いまの、人類と申しますか、人間が考えました最も理想的な政治形態としての中においてこれをやる以上は、十分民主的に行なわれなければならないと存ずるのであります。そういたしますと、どういたしましても能率ということ、あるいは効率ということに重きを置くと、官僚独善のおそれなしと私はしない。たとえて申しますならば、私の地元において行なわれたことでありますけれども、実は二級河川から一級河川に川がかわった。そういたしますと、いままで県が管理しておる管理権建設省にかわった。ところが、その下流におきましてノリ業者があるが、事務が繁雑になると同時に、その役所独善性が災いいたしまして、ために、私も中に入ったのでありますが、ノリの植えつけが実は十五日ほどおくれたがために収入がかなり減った。もちろん、その間にあって、地方自治体漁業権を設定する間におきましていろいろと手続上の不都合はありました。しかし、住民自体にとって、生活権を持っておる人間にとっては、これは全く一級河川になったがために生活までも脅かされるというような結果に相なったのであります。これは官僚独善性に私は原因があると考えるのです。特にこの点をお考え願いたいと存ずるのでございますが、大臣の御所見をお伺いいたしたい。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 井上さんの頭に描いておられる事例を私はつまびらかにいたしませんのでございますが、脱線になるかもしれませんけれども、私も実は河川状態を二、三つぶさに承知しているところもあるのです。河川保護ということは、その河川の流域における住民利益生活を守る上において、河川用途というものは、やはりできるだけ水害等を受けないように、そうして水が秩序正しく流れていくようにするということがその目的だと私は思うのであります。私もきわめて近いところに承知いたしておりますが、その河川が、住民利益ではあるけれども他の用途に使われる。たとえばいまのノリの栽培のごとくですね。そうしますと、その影響というものは相当大きくくる。私も自分の郷里のほうでそういう事例があるのです。そこで、そういう場合における河川当局者河川管理というものは、その業をやられる方からすると、ずいぶんめんどくさいことをおそらく言うのではないかと思うのであります。しかし、そういうめんどくさいことを言っても、河川目的あるいは河川使命というものを全うできるためには、河川管理というものが十分行なわれる一むしろ少し緩に過ぎているのではないかという非難を私は耳にいたしたのでございます。これはまあ事例が違うかもしれませんけれども、しかし、お話しのように、民主主義というものは、効率、効果だけを急いでおると非常に強権的になってくるから、気をつけていかなければならぬといわれることは全く同感でございますから、そういうふうに管理をいたしてまいります上につきましても、できるだけ住民との摩擦を少なくしてまいるように気をつけてまいりたいと思います。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 私は、公正にして効率的な運営ということについてお伺いしているのでございますが、ただ単に官僚執行権独走、あるいは官僚独善になる可能性があるので、特に大臣はこの点は注意していただきたい。なおかつ、公正にして効率的な運営といいます以上は、まず大臣は何を頭の中で描いておるのかと私はなにするのでございますけれども、現在のもう一つ大きい問題としては、官庁セクショナリズム効率をはなはだ妨げておるのではないか。この点について大臣はいかに感じられておるか、これの打破のためにはどうすればいいか、効率的な運営のためには現在の官庁セクショナリズムをいかにして打破せられるおつもりか、お伺いしたいと思います。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘の点は私も否定するものではございません。私はまだ足りないところがあろうかと思いますけれども、建設行政を推進してまいります上におきましては、せめて建設省内部でもそれぞれのあるいは法律あるいは予算、そういう執行上の責任を持っておるわけでございますから、そのことには忠実でなければならぬわけでございますけれども、しかし、建設行政のいただいております使命を遂行するにあたっては、全省一体という考えでやってもらいたい、たとえば住宅問題でありますとかいうようなことについては、それはもう住宅局だけではいかぬので、やっぱり計画局都市局一体となって住宅問題に取り組むというように、これはそれぞれの持ち場を守っておられる人にはそれだけの責任があるわけですから、そのことを否定するわけじゃございませんけれども、しかし、それを越えて、やはりある困難な事態に対処するについては、そういうセクショナリズムを打ち破って一体となって推進していくように実はやっているようなことでございます。しかし、今度は政府全体の関係、各省間のことを言うと、いろいろなるほどむずかしいものだ、こういうところまでひっかかってくるのかというようなことが、正直言って、あるわけであります。こういうことは何とか是正されていかなければいかぬじゃないか。行政管理庁がそういう点については積極的な姿勢をとっていただいておりますから、改善されていくことを期待いたしておるようなことでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 大臣は、せめて建設省の中におけるセクショナリズム打破したい、各省間の問題はむずかしい、こう言っておられるのでございますけれども、行政管理庁がはたしてそれだけの実力があるものかどうか、私は大きい疑問を持たざるを得ないのでございます。大臣は、効率的な運営と言われる以上は、役所セクショナリズム打破して建設行政に取り組むという強い決意を私は望むものでございます。特に、河野一郎建設大臣のときには、国道建設する場合に、中に入れるケーブルなんかも一体化しろ、あるいは下水道一体としてやっていけというようなきつい方針を出しておったことを私は記憶するのでございますが、せっかくりっぱな国道ができた、ところが、それが一年もするとやがて何か道幅を三分の一くらい狭めて、そこに電電公社アスファルトのコンクリートを切る道具がずっと出てくる。事実、電電公社アスファルトを切って、舗道を切って、そして新しいケーブルを埋め込んでおるという事例がたくさんございます。こういうようなことは、これこそ役所セクショナリズムで、せっかくりっぱな道路をつくり、多額の税金を使ったにもかかわらず、これをまた掘り返すというようなことがございます。これは一例でございますけれども、ほかにも、地方自治体との連絡が十分でないこととか、こういうようなことがたくさん出てまいります。下水道におきましても、そういうような事例もあるようでございます。特に道路の寿命も、そういうようなことをいたしますと、短くなってくる。こういうようなのに対して、大臣としてはどういう態度で臨まれるのか、お伺いいたしたいのでございます。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 全くそのとおりだと思います。そういうことがなくなるようにやっていただかなければならぬ。しかし、なかなか実際問題として、国道を開設する、そこに新たな需要が起きて電電公社なら電電公社がまたケーブルを埋設するというような事後の事態というものも起こるわけでございましょうから、それには、国道整備をするにあたっては前もって必ずどえらい経費をかけて共同溝でもつくっておけば、これは問題ないわけでございましょうが、そこまでの財政上のゆとりはございませんから、そこでやはり効率的な事業遂行をやっていただくという強い一面からの要請をしておるわけでございます。しかし、御指摘の点は、何とか避けられる限り避けてまいるということは正しい、私は井上さんと同様に考えます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 ともかく、大臣お話を聞いておりますと、どうもそういうのが決意の上側をすっと通るような感じがいたしまして、もう少し強い——実力大臣とおっしゃるのでございますから、ひとつ各省間のこういうようなセクショナリズム打破するために蛮勇をふるっていただきたいと思います。特に建設省内においても各局あるいは各課におけるセクショナリズムをなくしていくのだというお話でございますが、私の郷里の例をとりましてまことに申しわけないのでございますけれども、わずかな耕地面積、しかも美田のあるところでございますが、はたに吉野川が流れておる、これに堤防をつくるという計画があります。ところが、片一方におきましては、国道を開設するというので、美田のどまん中を、あるいは人家のどまん中を突っ走るような計画を実はやっておる。堤防の腹を使ったならば、美田もつぶさなくて村民も納得する。そこで、これがどうしてできないのだと、先日も河川局なり道路局お話いたしましたところが、いや、あれは堤防計画は三年くらい先だ、ところが、道路はことしじゅうに、四十三年につけるのだ、こういうようなことで、実際国土をもったいなく使用すると申しますか、と同時にまた、費用も非常に大きい費用をこれにつぎ込む。これこそ効率的な運営がなってない。大臣は、省内におけるセクショナリズム打破するのだとおっしゃられておりますが、一例としてこういうものが出てきておるのです。私どもといたしましては、どうしてもこの官庁セクショナリズム各省間におけるセクショナリズム、こういうものが打破せられない限り——使うのは同じ税金でございます。したがって、効率的な運営を行なう上におきましては、どういたしましても、セクショナリズム打破するために大臣としては蛮勇をふるっていただきたい、このように考えるものでございます。  都市計画法案を出されておりますけれども、これを出すまでに至る間に、あるいは農林省通産省あるいはまた厚生省でいろいろと計画があるようでございます。厚生省は新生活環境施設整備計画というようなものも計画しておりますし、通産省はまた、産業立地規制法というような法律も出そうとしておりますし、農林省農業適地法というような法律を出そうとしておる。これらが一体とならなければ日本国土の改善というものはあり得ないし、また、大臣が一番先に所信表明の中で、「広域的観点に立って、各地域の特性に応じた計画的かつ均衡のとれた国土開発を推進することの重要性を痛感する」とおっしゃっておりますけれども、こういうものは、各省間におけるセクショナリズム打破することによって可能ではなかろうかと私は思うのでございます。この都市計画法案提出までのいきさつにつきましては私は後ほど大臣にお尋ねいたしたいと思いますけれども、ともかく、各官庁セクショナリズム打破するためにいかに大臣は努力されるか、この決意のほどを、あるいはその方策についてひとつお伺いしたいと思います。
  12. 保利茂

    保利国務大臣 各省各省それぞれの任務を持っておりますから、その任務に対してはもちろん忠実でなければならぬわけでございます。したがいまして、ただいまの都市計画法案、これは御審議願っておりますが、大方が認められておられるように、今日の都市化現象に対してどういう手を打っていくかという糸口を開くためにも、都市計画法の成立を心から願っているわけでございます。その都市計画法の波及によって、農政上の当局者はまた農政上の当局者として心配をされる、公害主管省である厚生省厚生省として心配をされる、あるいは工業政策主管である通産省が考えられる、まあ一応もっともなようなことでございますけれども、根は、先ほど来御指摘のようなことじゃないかと実は思うのでございます。したがって、その調整につきましては、これはもう閣議を中心として政府内部で御非難の起こらないように調整をしていかなければならぬ。この間からそのことを二、三回話し合いもしておるようなことで、政府部内において連絡調整を十分にやっていきたいと考えております。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 そのセクショナリズム打破ということが、効率的な運営においていかに重要であるかということを私は強調いたしたいのでございます。  さらに私は、談合とか、あるいは全部下請というような、大企業談合をやっておるのは、これは先般も申しましたけれども、公正にして効率的な運営を非常に阻害しておるのではないかと思うのです。特に、先般も申し上げましたけれども、利根川水系における各ダムを大企業の連中が——これは、神戸ダム鹿島ですか、それから沼田ダムは間がとる、あるいは八木沢はどこそこがとるといって、まだ入札にかかってないと思うのですけれども、巷間そういううわさが飛んでおる。事実、この間も大臣にお見せいたしましたように、間組の関連会社がそのダムサイト土地をすでに買っておる、こういうようなことが行なわれておるのです。これらの談合問題に対して大臣はどういうように対処するおつもりであるか。建設行政利権の巣といわれておりますが、まさに大手の業者利権を得るためにきゅうきゅうといたしております。そして、国民談合ということを憎み切っておると思うのです。これらの問題について、大臣は、この前の委員会におきまして、部下の役人の言うことを私は信用して公正にやっていくつもりだ、こういうお話ではございましたけれども、談合というのがもう業界においては常識になっておる、これらに対して大臣としてはどういう取り組みをされるおつもりか、御決意のほどを承りたいと思うのでございます。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 前回井上委員から御指摘をいただき御心配をいただいておる。私も実は前回までよく知らなかったのでございますけれども、いろいろその具体的な事例について、これは一体どういうふうにやったんだ、こうこうこうである、なるほどそうかということで、私はいままでの事例については一応そうかなということで納得をいたしておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、とにかく——これはこちらで申し上げたか、ほかで申し上げたか、とにかく、私の建設行政に携わる心がまえとしましては、何かこの建設行政利権の巣であるかのごとき誤解を持たれることすらたいへんなことで、これは就任にあたりまして、そういう誤解を受けやすいところだから、そういうことのないように十分気をつけてやってもらいたいということを総理大臣が特に私に注意をしておられました。そこで、私も、事業遂行にあたりましては、できるだけ公正な競争、しかしながら、公正な競争を進めていく上においては、やはり建設業界協調というか、協力ということが必要じゃないか、その協調ムードというか、そういうものが破れていくということになると、またいろいろな入札につきまとう好ましからざる状態も起きてくるだろうし、やはり協調というものも必要だ、だからといって公正な競争の原則を打ち破るようなことをしてはならない。いわんや、ただいまお話しのように、いつ工事に取りかかるかわからぬようなところが、もうこの工事はあの組だ、この工事はあの組だというようなことが伝えられておるというようなことがあれば、そういうふうに伝えられているところには入札に入ってもらわぬようにしたらいいじゃないかというふうにすら私は実は感じておるようなわけであります。実際の運営につきましては慎重でなければならぬと思いますけれども、大体そういう気組みでやらしていただいておるわけであります。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 大臣の、そういうようなうわさがある場合には指名から除くという御決意を聞いて、私は安心いたしたのでございます。特に現在の大企業の間においては合理化委員会なるものをつくりまして、そしてその中において工事費の千分の二を積み立てる、そして、それを何に使うのかは知りませんけれども、あるいは利根川水系においては神戸ダム鹿島が取るんだ、あるいは沼田ダムは間が取るんだ、しかも、間が取るという前提があるダムサイト土地をあのように関連会社が買っておる事実を私は知りました。やがて神戸ダムにおきましては入札が行なわれますが、どうかそういうような点を御配慮になっていただきたい。いまの利根川水系あるいは全国のダムにおいて、この業者が取るというようなうわさは私らのところには入ってまいります。そうして、いままで入っておりましたニュースが大体そのとおりになっております。これは偶然の一致といってあるいは逃げられるのがいままでの官僚の常でございますけれども、偶然の一致じゃない。どれもこれも、とにかく入札は、このダムはこれが取るんだという場合には、そのとおりになっていっておる。ここに政治姿勢の問題もございますけれども、同じような税金でございます。公正にして効率的な運営という面からしても、ひとつそういうようなうわさのある業者はその入札に加えないという御決意をはっきりとお示し願いたいと存ずるのであります。
  16. 保利茂

    保利国務大臣 河川局長はじめ道路局長、いわゆる大きな公共事業を受け持っておる諸君につぶさに聞いてみたわけなんであります。どうもあなたのおっしゃるようなことを部内で承知しておるという状態がない。私はその点において建設省担当者に対して絶対の信頼を実は置いておるわけであります。お話の点につきましては、そういう気持ちでとにかくやっていきたいということだけ申し上げて、御了承いただきたいと思います。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 気持ちでやっていきたいということでありますけれども、私が県会議員をいたしておりましたときに、県営のダムをつくったのでございますが、そのときに業者が、このダム鹿島と西松が取るのだといったら、そのとおりなんです。あるいは電機の受注にあたりましても、三菱電機が取るのだといったら、そのとおりなんです。そして金額までも予定価格とぴっしゃりと合うというような実例を私は身をもって体験いたしております。大臣部下を御信用になる、まことにけっこうだと思います。しかし、私は私の体験した一例を申し上げて御参考に供したいと思います。  そのダム建設にあたりましては、実は基礎単価の設計を、所長土木部長河川課、それと本省に持ってまいるものと四部つくりまして、当時は、三村通斉という、りっぱな人格者でございましたが、この人が建設省にまいりましてそして課長に説明をした。ところが、四国に帰りますと、次の日に業者がその設計した基礎単価を実は三村所長のところに持ってまいりまして、この単価ではできませんと言われたということを、ダムが完成したあとで三村所長から私は聞いたことがございます。それを課長が流したとは私は思いませんけれども、あるいはだれかが抜き取ったのかもしれません。そういうのが多いのです。事実、三村所長は涙を流さんばかりに建設省のずさんさというものを嘆いたことがございました。そういうのがわかっております以上は、当然——業者うわさどおりその入札に加わりながら仕事を取っていく、しかも予定価格ぴしゃり取っていくというようなことがあることをひとつ念頭に置いていただいて、そしてうわさのあるところには、少なくとも李下に冠を正さずで、ひとつ厳重なる処置をお願いいたしたいと思うのでございます。  私は、公正にして効率的な運営というような点について、いろいろと大臣に対しまして苦言を呈し、私自身が体験いたしました事柄を申し上げたのでございますが、総体として申し上げたいのでございますけれども、幹線の下水道一つの例をとりますと、日本におきましては、下水道の幹線の太いやつが耐用年数が四十年だといわれております。しかし、パリであるとか、あるいはロンドンというようなところでございますと、大体これが八、九十年から百二、三十年耐用年数があるそうです。事実パリに行った人に聞きますと、ジャン・バルジャンが働いたのはここだというようなことを言われる。ところが、日本では耐用年数が短い。同じことが国道についてもいえると思います。国道をつくる。つくったところが、歩道がない。そのうちに国道の周辺に人家がたくさんできてまいります。人間があぶなくなってくる。それじゃ歩道をつくらなくちゃいかぬということになると、歩道を拡張するためにまた立ちのきをする、非常な費用がかかる、こういうようなむだなことが非常に多い。また住宅についても、日本の住宅は大体十五年から二十年たったら建てかえておるようでございますが、こういうようなことが社会資本の充実にも大きい阻害となって、日本の社会資本の充実が期せられないゆえんだと思います。スケールを大きく持ってやっていただきたい、このように考えるものでございます。  次の問題といたしまして、大臣所信表明で、「特に広域的観点に立って、各地域の特性に応じた計画的かつ均衡のとれた国土開発を推進することの重要性を痛感する次第であります。」こう申し述べられておられるわけでございます。しかし、先ほども、都市計画法を提案しておるんだから、こういうことでございますが、都市計画法も見てみますと、実は広域的な観点には立っていない。旧来の都市計画法の区域のままで都市計画は新法を適用する、こういうことになっておるようであります。こういうような点を考えますと、実は広域的観点に立った都市計画法ではないと思います。大臣としては、広域的観点に立って国土開発を推進する必要を痛感せられておると申される以上は、私は、国土開発計画あるいは土地利用の基本計画というものをつくった上で初めて日本国土開発あるいは国土の保全ということがなされるのではないかと思うのでございますが、大臣、いかがでございます。
  18. 保利茂

    保利国務大臣 筋合いとしてはお話しのとおりだと思います。全体の計画はこうこうと立てて、そうしてここはどうしていく、ここはどういうふうにしていくということを持つことが一番望ましいと思うわけであります。しかし、現在の都市情勢に対応して都市計画を実施してまいりますためには、とにかく今回の都市計画法のねらっていることは、この区域については少なくもこういう扱い方をしてまいるという、それは同時に全体計画の上と見合いつつやっていくべきであろう、こういうふうに考えておりますが、順序としては、お話しのように、日本全体の総合計画というものを立てて、そして利用計画というもののきちんとしたものがつくられていくことは、筋合いとしてはそれは本道だろうと思いますけれども、そういうことはいつの日になるのか、実際問題として、長い期間、十年も十五年もかかってそういう作業をしていて、われわれの眼前に横たわっているこの姿が一体どうなっていくかということを考えますと、とにかく問題の困難性は、都市並びに都市周辺に起きておることであるから、それを何とか環境整備をはかっていくようにしなければいかぬのじゃないだろうかという、そういう差し迫った事情にあるということも考えなければならぬのじゃないかというように考えておるわけであります。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 私は、特に現在の日本の状況から言うならば、これは大臣も言われましたけれども、総体計画をまずつくるべきではないか。その国土開発の根本となるところの基本計画を全国的につくる必要がある。大臣もうなずいておられますので、これを現在はつくらなければならない、そのためには、どういたしましても土地利用計画というものを立てて、しかもそれは公共の福祉のために国民の所有する土地を用いる、こういうことを義務づけて、土地利用に関する権利の恣意的な行使に対しまして制限を加える必要があるのじゃないか、すなわち、土地問題と真剣に取り組む必要があるのじゃないか、このように私は考えます。先般私も予算委員会を拝聴いたしておりますと、阪上議員の質問に対しまして大臣はなにしておったようでございますけれども、大臣の考えられておる——あのとき問題になったのは、公共事業に対する土地の私有権の制限について賛成されたような感じがいたしたのでございます。しかし、私は、この土地利用計画というものは、あくまでも国民が所有する土地、私権を制限する以上は、公共の福祉ということを中心に考えなければならないと思います。その公共の福祉については、これは私どもの考えるところと、あるいは自民党さんの考えるところと、基本的に考え方が異なってくるかもしれません。しかし、どういたしましても、産業資本に奉仕するとか、あるいは米軍の軍用某地の取得等に権力を用いるということは、断じて排すべき事柄であろうと存ずるのであります。国に対してもこういうような制限を加えながら、公共の福祉のための土地の利用に対する国民の恣意的な土地の使用というものに対して制限を加える必要がある、このように考えるものであります。そのためには、どういたしましてもこの土地問題に対して真剣に取り組まなければならない。それは現在のこの資本主義の世の中におきましてもある程度の前進を私は期待できると思います。先般も私お尋ねいたしましたら、大臣はうなずいておられましたけれども、物価安定推進会議の提案、これなんかは、いま直ちにでも政府が真剣に取り組もうとするならば取り組める問題ではないかと存ずるのでございます。大臣はあのとき、推進会議の都留部会、第三部会の提案に対しまして、同感の意を表したようでございますが、開発利益の帰属の調整であるとか、あるいは統一的購入体制の整備と基準価格の設定であるとか、あるいはまた、取得手続の迅速化と収用委員会の強化であるとか、あるいは先買い権制度の改善強化、あるいは土地の公有制度を強化する、あるいはまた、被収用者の生活再建措置を講ずる、あるいは公共用地取得に関する統計の整備というような問題は、建設省が真剣に取り組むならば、やがて一年もあれば、これらの問題は現在の制度下においても実行可能な案であると考えるのでございますが、大臣としては、これらの諸問題、特に都留部会の提案についていかに取り上げようとされるのか。特に大臣の私的諮問機関としてだいぶ委員を委嘱せられたようでございますが、それらの御相談の結果は、私ら仄聞するところによると、もう土地問題についての提案は全部出され尽くした、あとは実行あるのみだ、こういうことを土地の専門家は言われたとか私どもは聞いておるのでございますが、要は大臣のあるいは建設省の態度いかんにかかっておると考えるのでございますが、大臣の御決意のほどをお示し願いたいと思うのでございます。
  20. 保利茂

    保利国務大臣 大臣決意いかんにかかっておるというほど私はやさしくないと思います。こういうふうに人口、産業が激しい勢いで傾斜的に集中してきておる、そして異常な土地事情を発生しておる、これに対して、これを改善してまいるということは、建設省だけで腹をきめればもうたいてい片づくじゃないかというほど私はなまやさしく思っていないのであります。これはどういう為政者があらわれましょうとも——すべて革命的手段によってでもということになれば別でございますけれども、私どもは、できるだけ現状を尊重しつつ改革していきたい、こういう上に立っておりますから、それをやっていこうとしますれば、土地所有者といなとを問わず、その土地に対する観念というものが、私有財産として保護されてはおるけれども、その地域社会のために、ないしは公共のために十分利用せらるべき私有財産であるというふうに、土地観念に対する認識を一ぺん切りかえないと、その頭にならないと、何かやろうとしても、すべてあなたがきらわれる強権的なものになってくるのじゃないか。そうじゃないので、やはり、その土地は社会のため公共のために利用されなければならない、しかも、私有財産というものは尊重されなければならないという基本的な考え方の上に立ってやっていくべきじゃないか。そこで、物価安定推進会議の第三部会からいただいております意見につきましては、全面的に賛成する部分もございまするし、これは相当慎重を要するなと思う点も、私の乏しい頭をもってしても、そう考えられる節々もございますけれども、ただ、そういう社会的公共といいますか、少なくとも土地が思惑的な投機の対象として扱われるような世の中はなくしたいものだ、こういうことはだれしも願うところじゃないだろうか、そういうところに、制度上も考えなければいかぬ、あるいは税制上からも考えなきゃならぬところがあるように思います。そしてお話しのように、一生懸命で勉強はしております。勉強して——幸いに自民党のほうでも一生懸命で勉強していただいておりますから、われわれの立場は、とにかく現状に基づいてできるだけ時代に即応した改革をはかってまいりたいという基本的な考え方の上に立って、結論を得ましたならば、ひとつ御協力をいただきたい。いまのところそれについてはいろいろ意見があると思いますが、都市計画法一体どれだけの役をするか、再開発法がどれだけの役をするか、いろいろ意見はあろうかと思いますけれども、せめてこれだけでもひとつ握らせていただいて、そしてその一方へ踏み込ましていただくようにお願いできないものだろうかというように考えております。
  21. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 関連質問。ただいまの井上委員大臣の話の中で、特に土地利用の問題、土地政策の問題につきまして、大臣に一応確認しておきたいと思うのですけれども、その一つは、先ほど来の話の中で、大臣は、土地政策は非常にむずかしい問題だ——たとえば井上委員指摘したように、現在通産省が工場立地適正化法案を用意しておる、農林省は農業振興地帯の指定に対する法律案を用意しておる、あるいはまた、運輸省は臨海工業地帯の整備に関する法律案を用意しておる、土地政策が全くばらばらでないかと、各省セクショナリズムを追及しておったわけですけれども、この中で大臣は、非常に困難な問題だけれども、各省間の調整をはかっておるということが第一点です。第二点としては、とりあえず都市計画法案を通してもらいたい。当面の問題としてはこういう点を述べておられるわけです。この二つの中から、私は大臣にお聞きしたいのですけれども、一つは、国土総合開発法、これは昭和二十五年に制定されておるわけです。二十五年に制定された総合開発計画の中で、全国計画を立てなければならない、あるいは府県計画を立てなければならない、二つ以上の県にまたがる場合には地方計画を立てなければならない、特定地域の開発をやらなければならない、こういう点を明示しておるわけであります。と同時に、第一条の目的にも、国土の利用、開発、保全と目的を明確にしております。第二条におきましても、土地利用に関して、大体五つほど、都市と農村との編成に関すること、あるいはまた、国土の資源の利用なり、いろいろな項目をあげて具体的に指示しておるわけであります。しかるにかかわらず、こういう府県計画ができ上がりつつあろうとしておったり、あるいはまた地方計画も準備されておった、しかしながら、朝鮮動乱その他の結果として、特定地域の開発が先行してきてしまった。こういう経緯があったといたしましても、全国計画がなぜできなかったか。昭和二十六年に同じくして国土調査法ができておるわけであります。国土調査法の中身を見てまいりましても、目的の中に、土地利用に関する、あるいは国土の保全、これらのための調査であることを明確にいたしておるわけであります。前後してできておるわけであります。しかるに、今日に至るまで一体どういう推移をたどってきておるか、この点。しかしながら、昭和三十七年には全国総合計画ができてまいりました。この中身の問題は別といたしましても、終戦以来二十年間、この法に明示しておるようなことすらも全くでき得ないままに推移してまいった。こういうところに、政治に携わる者として、歴代内閣の国務大臣であった保利茂さんといたしまして、一体どういう感じを持っておられるか、こういう点をまず第一点として率直にお伺いしておきたいと思います。
  22. 保利茂

    保利国務大臣 昭和三十七年に国土総合開発計画が持たれるまで十年以上の歳月を費やしておった、そして三十七年の総合開発計画が立てられた。その当時の状況で立てられた総合開発計画を今日見直してみると、全く予想せざる日本の開発、発展といいますか、民族のエネルギーの爆発といいますか、この計画を考える時点で見ておりましたところとはるかに違ったような様相が各方面に出てまいっておることは、これはむしろある意味においては意外とするほどの喜びであったかもしれませんけれども、しかし、総合計画それ自体が、今日に至ってみますと、たいへん見直してみなければいかぬのじゃないかというところになって、経済企画庁を中心に、ただいまその総合開発計画の改定作業をされておるわけであります。この秋ごろまでには、聞き及んでおりますところでは、一応総合開発計画の改定版を打ち出されるというような事情になっておるようでございますから、その点はそういうふうに御理解をいただきたい。
  23. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私が前段に指摘いたしましたのは、二十五年に総合開発法ができながらも、府県計画が着手されておる、特定地域開発計画が先行してまいる、こういう怠慢を続けてまいって、しかも全国計画がようやく三十七年にできてまいった、と同時に、三十七年の新産業都市並びに今度提案になった都市計画法案を見ましても、全国総合開発計画に適合しなくちゃならない、これは前後してできました新産業都市の中にも、第五条ですか、この点を明示しておるわけです。あるいは十一条には、土地利用に関してもそういう規定を置いております。今度の新しい都市計画法案におきましても、十三条には、総合開発計画に適合しなくちゃならない、こう書かれておるわけですね。大臣は、三十七年にようやく出てまいった全国計画を、実は時代に合わなくなった、だから変えなくちゃならない、経済企画庁においては国土計画として何か考えておるらしい——となってまいりますと、この法律の中にこういうのを挿入しておるということ自身もおかしいのじゃないですか。どうもばらばらじゃないか。上位の計画がばらばらである。しかも、都市計画というのは、大体下位の都市政策だと思います。全国的な総合開発計画土地利用計画があって、その中における都市計画の下位部門だ。上位部門がでたらめだ、実は十何年間もかかったけれども、でたらめにしかされなかった、だから今度はつくり直しておるのだ、それに基づいて下部の都市政策を実はいま確立するのだ——どうも矛盾した感じを受けるわけです。国土調査法があり、十何年間おいた昭和三十七年に総合開発計画ができて政府責任を負わされておるのに、いかにも怠慢にやってこられた。三十七年にでき上がってまいりました土地利用に関するもの、これを大臣就任になってからお読みになりましたか。全く驚くべき案だと思うのです。一応参考までに大臣知っていただきたいと思います。この中に土地利用計画などというものは、どこの省の中にもないわけですね。総合開発計画の中に、国土の利用、保全、開発、そのために、都市が、農村がと、いろいろなことが規定されておるにもかかわらず、この中で出てきておるのは、第四章「産業基盤の整備」という項目の中をよく読んでまいりますと、二、三ページの中に、しかも一つの節として、第三節として、「広域的な土地利用に関する計画の作成により、用途地域制の確立をはかるとともに、とくに用地の合理的転用、土地の買収あるいは取得を円滑にするため適切な措置を講ずるものとする。」大臣、第四章の産業基盤整備の一環として「土地の利用」という第三節が出ているわけですね。第二節には「用水の確保」、第四節は「電力の確保」、その間にはさまって土地利用計画が出ておるわけです。一体こんなばかげた土地政策なんてありますかね。産業基盤整備の一環として、電力、工業用水なんかとからんで土地利用計画を言っておるのです。国土の利用、開発、保全——国土総合開発法に関しておる最もやらねばならない方向、これを全然無視されてしまっておるのが全国計画なんです。一体こんなでたらめな話があるかというのです。こういう混乱がなぜ起こってきたか。大臣がこの間予算編成が大詰めに来たときに漏らされたことは、ウサギが走り過ぎて全く困る、少し休んでくれればいいのに、カメは追っつかぬじゃないか、こういうお話があった中に——私は関連質問ですから、いずれまたもっと大臣の心境を聞きたいと思うのですけれども、昨年における政府の経済見通しの中で、いわゆる経済成長率一一・六%が二七・四%に上がってしまった、五兆九千億円見込んでおったのが、七兆一千億円になってしまった、国民経済を破壊するようなめちゃくちゃな経済成長をやっておる資本家の、企業サイドのもたらしておるいろいろな矛盾、この中にいわゆる生活基盤を中心とする社会資本の充実が妨げられておることに対する大臣の率直な気持ちがあろうと思いますけれども、私この点に対してもっと掘り下げて別の機会にいたしますが、ただ問題は、こういう土地政策が一だからこそ各省がはらはらな政策を出してくるわけです。上位の土地利用政策なり土地利用基本計画がない。産業基盤の一環としてしか見てない、こういう中で各省がばらばらに出してくるのは、私はあたりまえだと思います。ばらばらに出してきたのだから、しょうがない、これを調整しなくちゃならないというのが、いまの大臣の答弁です。私は不満だと思うのです。  それから、三十七年の全国計画は、これは矛盾が出てきておるから、これに適合するということが、いわゆる無謀な経済成長の結果として、国際収支の悪化、物価騰貴、地価騰貴の最大犯人であるところの経済成長を強引に推し進めてまいったこれらに対する規制、国民の側から来る規制、これらを中心とした土地の利用に対する基本計画を立てなければ、こういう矛盾というものはちっとも解決しないじゃないか。大切な上位計画をばらばらにしておいて、そこに一定の理念もなければ、基本的な思想もない、ビジョンもない。それで、現実がこうだからといって、各省セクショナリズムによる、いわゆる井上さんが指摘するような形が出てくる原因もここにあるのじゃないか。時間もありませんので、そういう意味におきまして、私は、一建設大臣保利さんではなくて、国務大臣としての保利さんに対しまして、重ねてはっきりと言いたいと思うのですけれども、土地利用計画に対する基本政策を確立する考え方があるかどうか、いま経済企画庁の立てておる中におきましても、どういう内容か知りませんけれども、土地利用に対するところの全国的な上位計画というものを、やはりビジョンを持って、あるいはまた、正しい土地政策の理念を持って、建設大臣としていろいろ関係の多い大臣として、国務大臣として、やはり明確な方針を出していただかなければ、同じことを繰り返すんじゃないか。都市計画法案のときにあたりましてももっと具体的に突っ込みますけれども、一応この機会に、井上さんの大臣とのやり取りの中に、何か問題の重要性からもう少し掘り下げてみなくちゃならぬのじゃないかという気がしたので、大臣の所見を一応伺っておきます。
  24. 保利茂

    保利国務大臣 おおむね御指摘のことを否定できないと思います。そこで、ただいま経済企画庁中心に作業されております全国総合開発計画は、全体として日本土地の利用はこうあるべきであるという指針といいますか、指標といいますか、そういうものであるわけです。そこで、特にその中で、それはまあ上位計画でございましょうが、たとえば異常な人口、産業の集中してまいりました地帯、首都圏、近畿圏、中部圏、この地帯ないしは新産都市、工業整備特別区域、そういうところの計画はこういうふうにやるべきであるという中位計画でございますか、これはいずれも私も計画責任を帯びておるわけでございますから、もう一ぺん全国総合開発計画が改定せられれば、その上に立って見直していかなければならぬと思っておるわけであります。  都市計画のほうでは、市街化区域と、市街化されては困るといういわゆる調整区域でございますか、そういうところを具体的に指定して利用計画を定めていくということになるわけでございますから、もちろん、全国総合開発計画がこの秋には出るわけでございますし、それとのにらみ合いを十分慎重にいたして具体的にきめてまいるということでございますから、まあ、順序から言えば、全国総合開発計画が打ち立てられて、それを見て都市計画法でも考えたらいいじゃないかということになろうかと思いますけれども、実施上、運用上におきましては、全国総合開発計画ないしは首都圏、近畿圏、中部圏あるいは新産都市、工業整備特別区域、そういうものとにらみ合って運用されていかなければならぬと思っておりますから、そこに矛盾はなかろうと実は考えるわけでございます。しかし、何さまこういうふうな新しい日本のつくりかえの状態に直面いたしておるわけでございますから、なかなか理屈どおりにうまくはいきかねるという点は十分覚悟してかからにやならぬ。しかし、同時にまた、そうは言いつつもそういうことでのがれちゃいかぬので、全体計画と行き違いの起こらないように、実施面においては特に慎重を期してまいらなければならぬ、こう考えております。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま大臣は、土地利用計画、あるいはまた全国的な開発計画についていろいろと御答弁になりましたけれども、ともかく現在のこういう政策を行ないます上におきましては、どうしても土地政策というものがなければならぬと思うのです。一例を言えば、新産業都市に指定になったところが、とたんにその土地が上がった。新産業都市で公共投資が行なわれる矢先に、土地の価格が上がってしまって、何もできないようになってしまった。おそらく、土地政策がない限り、この都市計画法自体も土地の値上がりを来たすばかりじゃないか、このような感を私は強くするのでございます。そういう点につきまして大臣もおわかりだろうと思いますが、こういう点をお考えの上でひとつ土地政策と真剣に取り組んで早急に打ち立てる必要がある、このように考えるものでございます。  なお、大臣は、それはわかっておるのだが、現状をその現状のままで改革していこうという考え方なんだから、なかなかむずかしいというお話でございますけれども、たとえば都留部会の提案なんかも、現状を認めた上においてこれは出しておるわけなんです。この点について、大臣も、できると思うところもあるし、できないところもあるとかおっしゃいますけれども、直ちにでもできるところは手をおつけになったらどうでありましょうか。こういう点は大臣も少し緩慢の度が過ぎるのではないかという感じがいたすのでございます。  時間がございませんので、特に次の問題といたしまして、先般福岡君の質問に対しまして大臣は、住宅問題について、五ヵ年計画の三ヵ年で五二%しか達成できていない、このままあと二年で一〇〇%できるのかというと、それについては明確な答弁はなしに、できないというような焦燥感を打ち破らなければならない、このようなお話でございました。しかし、私考えますのに、五ヵ年計画は自民党さんが選挙公約として打ち立てたものです。この公約を大臣はお守りになるつもりがあるのか。五ヵ年計画は、これはあくまでも達成しなければ、日本の住宅事情というものは少しもよくならない。現在の状況から見ますと、非常に悪くなっておる。質におきましても、また量におきましても住宅は戦前よりも悪くなっておるということは御存じのとおりだと思うのです。したがって、せめてこの五ヵ年計画の中の計画は十分にやらなければならないし、もし大臣の言うようなお考えで進むとするならば、これは公約違反であると私は考えるのでございますが、大臣の御答弁をお伺いしたい。
  26. 保利茂

    保利国務大臣 実は私は慎重にお答えをいたしておったわけです。可能だと思っております。また、公約は必ず達成しなければならない、こういうかまえでおります。それにしても、十分力を入れてやってきておるにもかかわらず、住宅難からくる国民生活の焦燥感というものは少しも解消されてこないという——少しもということは言い過ぎでございますけれども、なかなか解消されてこない。これはとにかく早く解消するということが第一じゃないか。その解消するというのが、五ヵ年計画は五ヵ年計画としてもちろん達成しなければならない、これはもう党の公約でもあるし、また国会の御意思でもあるわけですから、この点についてはもう少しもちゅうちょするところはないわけでありますが、私が申し上げておりますのは、とにかく、質だ、量だとかいう議論もあるようでございますけれども、そういうものが起こってくるゆえんというものは、一に住宅難の切迫した事情からくることであるから、とにかく一戸でも早く目的達成に進んで、それがおよそ達成近くなってくるところには、住宅に対する欠乏、不足感というものはなくなってくるのじゃないか、そうすると、本格的な——本格的というと語弊がありますけれども、また質の問題に入っていけるのじゃないか。だれしも質の問題に入りたいわけです。入りたいけれども、いまはそこにあまり議論を持っていくような時点ではないだろう。そこに持っていきたい、それには、とにかくある程度国民生活それ自体が住宅難というなにから解放されるというところへくればいいんじゃないだろうか、こういう趣意で私は申しておるわけであります。
  27. 下平正一

    ○下平委員 大臣もお忙しいようですから、質問しようと思ったのですが、関連で少しやらしていただきます。  おとといの福岡議員の質問、いまの井上議員の質問に対する大臣の答弁を聞いていると、非常に御認識が甘過ぎるような気がするわけです。先日福岡君の質問に、大臣は、五ヵ年計画は大体九〇%くらいいけばまあまあというものだという答弁をしておりましたが、少なくとも、昨年の臨時国会で佐藤さんは、クーラーとか例の三CのほかにHも入れて、マイホームというものを重点政策にするといい、保利さんも就任早々住宅問題を非常に取り上げまして、たいへんな熱を入れられたようであります。言うならば、佐藤内閣の実は国民に対する最も重要な政策の一つじゃないか、そう思うのです。ところが、考え方と、それから五ヵ年計画に非常にずれがあるような気がいたします。そこで、五ヵ年計画が達成できるといいましたが、実は達成できないと思うのです。公営住宅、公的資金で二百七十万戸建てるということにきまっていますが、この進捗状態、見通しは一体どうなっていますか。
  28. 保利茂

    保利国務大臣 達成が困難である、三年たって五〇%やっとこえる程度じゃないか。私は、今度、先般の予算編成にあたりましても、四十三年度の施策住宅を五十万戸だけは何とかこぎつけたいということで悪戦苦闘いたしたわけでございますけれども、四千戸ばかり及ばなくてなにしましたわけでございますが、しかし、ことしと同じような財政状態が続くものとは考えておりません。のみならず、政府全体としても、住宅五ヵ年計画は何としても達成しなければならないというかたい決意を持っておりますから、したがって、財政の事情が今日よりも悪くなれば、これは必ずやりますなんという大きなことを言って、あとでどえらいおしかりを受けることになりますけれども、そういう点を考えつつ最重点の施策として佐藤内閣としては取り上げて取り組んでまいるということにおいては、もし私が少し腰が弱いというようなことであれば、これはうんと御鞭撻を願いたいと思うわけでございます。
  29. 下平正一

    ○下平委員 それでは、関連でありますから簡単にしようと思ったのですが、大臣が行っちまったのでちょっと都合が悪いのですが、練達たんのうな政務次官が副大臣としておりますから、お答えをいただければ佐藤内閣の方針が聞けると思いますからお伺いしますが、一体五ヵ年計画を達成するかしないかというのは、数字的に私は詰めてありますから、あとで数字をあげて質問したいと思いますが、現状の住宅需給関係というものに対しては、重点政策として昨年の暮れから佐藤さんが取り上げたわけです。保利さんもこれは重点と言った。いまのお答えでは最重点政策だと言ったが、どういう現状需給関係の認識を持っておられるのですか、住宅の逼迫程度ということについてどういう認識を持っておられるか、まずその認識をお伺いしたいと思うのです。
  30. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま下平先生からのお尋ね、大臣がいろいろお答え申し上げまして、私それ以上つけ加えることはないのでございますけれども、形式的に申しまして、確かに政府施策住宅につきましては五〇%を若干こえたものになっております。それから民間の自力建設につきましては、これが五四%を少しこえております。したがいまして、両方合わせますと五二・八%くらいの大体実績になっておりますが、ただそこで問題なのは、公共施策住宅におきまして、いわゆる所得の低い方——と申しては語弊がありますが、そういう関係の方々の住宅が低過ぎるじゃないか、これにつきましては、先ほど来大臣にお尋ねのございましたように、この点は今後大幅に進めてまいりまして、そして五ヵ年計画で目標にいたしましたところまではこれはぜひとも持ってまいるように努力いたしたい。そういう意味で、ただいまの段階では計画とのずれはございます。これは認めざるを得ないと思います。しかし、それをあとのこの二ヵ年で取り戻すように精いっぱいの努力をいたしたい、そういうふうに思っております。
  31. 下平正一

    ○下平委員 ここはお経を読んだりしてありがたくやっているところではないのです。実際にやらなければだめだ。希望はみんな持っている。家を建てたいという希望は、建設大臣ばかりではなく、みんな持っていますよ。みんないい家に入ってもらいたい、それを達成する手段、政策、その裏づけがあるのかどうかということが実は問題になるのです。  そこで私は、現状を認識してどうするかということでお伺いしたいのですけれども、いまの五ヵ年計画は、大体持ち家というものがある程度中心に考えられております。特に民間の自力建設というところに持ち家と借家を含めて重点が置かれているような気がするのです。そうなりますと、一番困る問題は、要するに、五ヵ年計画の当初で低所得階層の住宅難の一〇〇%を救済する、こういうことで出ておるわけで、低所得層の住宅難というものが解消しないのではないか。たとえば、公団住宅もどんどんつくられておりますけれども、物価高、地価の高騰等々で相当高い家賃になっております。実はこのためにちょっと資料を見てきたのですけれども、公団の住宅については家賃が三万円近くなってきた。これは新聞に出ていたのを私見てきたのですけれども、都内の金町の公団アパートですか、昨年の十月入るようになっていたここなんかは、2DKの一部は家賃が一万八千円から一万九千円、この申し込みの倍率はわずかに一・四倍、普通の申し込みの五十分の一というふうに新聞は報じております。それから3Kに至っては家賃が二万三千七百円から二万六千四百円、申し込み率はやはり一般の申し込みの五十分の一くらいの一・八倍。隣の日ノ出団地は、2LKが二万三千七百円から二万四千三百円、3DKが二万五千六百円から二万六千二百円、倍率は四倍ないし六倍、従来の五十倍、八十倍、百倍という形が変わってきている。これは質の改良で住宅が高くなるんですけれども、二万三千円から四千円もの家賃では、入る人は借りられない場合があります。私は住宅調査の中で今度家賃の問題をやりますけれども、われわれは収入の大体一〇%を家賃に向けるというのが合理的な家賃だ、こう思っております。昨年から一昨年、大臣に聞いてみたら、政府のほうは二〇%ぐらいと思っているらしいけれども、それにしても月収が十万近くになっていかないとこういう家賃では入れない。十万から十五万でなければ入れないということになる。したがって、これからの住宅政策でも、やはり建てたくても建てられない、あっても高い家賃では入れない、そういう低所得階層の住宅難というものにある程度重点を注いでやらなければならぬと思うのです。そういう意味では、住宅、審議会で——私詳細に文章を読んでおりませんけれども、今日行なわれておる持ち家政策にやや比重を置いた政策は、やはり低家賃の公営住宅というところに重点を移すべきだという答申が行なわれているはずです。そういう点について、これは事務的じゃありませんので、政治的な判断の問題で、政策のポイントですから、これは政務次官のお答えをいただきたいと思うのです。
  32. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 住宅五ヵ年計画は、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、いかなる、ことがあってもわれわれは達成しなければならないと思っております。現在の住宅の需要にこたえるために政府の力だけでできないということも、これも私どもは十分理解しなければなりません。したがって、あくまでも民間の自力を活用してこの五ヵ年計画を達成したいと思っております。ただその間において、下平委員のおっしゃるとおり、確かに低所得層に対する住宅というものに対して公的資金のものを重点的に考えなければならぬということは当然でありまして、これは予算の配分上本年は特に大臣も非常に力を入れてやったわけですけれども、まだまだ大臣の期待するものは確保できませんでしたし、今後残された二ヵ年間には特にそういった公営住宅の面に全力を傾注するということにならなければならぬのは当然でありまして、私どもはそういうつもりで努力をいたしておるところでございます。
  33. 下平正一

    ○下平委員 方向としては、私の考えている方向と政府の考えている方向は違わないというふうに確認をいたしますが、現実は、政務次官、違うのです。たとえば、低家賃のための公営住宅に重点を置くといいましても、今度住宅政策にあげた今年度予算を見てください。おととい福岡議員が、持ち家と賃貸の比率は一体どうなっている、持ち家重点ではないか、こういう質問をしましたが、住宅局長は、そうではないのであって、賃貸五七%で、持ち家は四三%だ、こういう答弁をしました。これは質問者への答弁ではないのです。実は私が今度見てみると、去年は公的資金で一体どういう建設をしたかというと、持ち家は四一%です。賃貸が五九%です。ことしはその比率を変えて、持ち家を四三%、二%ふやして、賃貸を五七%、二%減らしているじゃありませんか。いま政務次官は、公的資金による住宅、特に低所得階層を救済するために公営住宅重点にいかなければならぬという私どもの考えと全く同じだ、一生懸命がんばってやりましたと言う。その一生懸命がんばった最重点政策のことしの予算で、賃貸が落ちて持ち家が上がるということはどういうわけですか。言っていることと、やっていることはうらはらじゃありませんか。お念仏ならナマンダブでいいけれども、それじゃ政策にならぬです。実際違っているじゃありませんか。その点はどういうことなんですか。
  34. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 結果的にはそういうことになっておりまして、私どもその点についてはまことに残念に思っておりますが、ただ、率直に申し上げまして、本年度予算の折衝にあたりまして、これは公営住宅のたとえば用地費の補助金等を打ち切るといったような大蔵省の考え方等もありまして、これを私どもの立場からいえば何とか現状を維持するということで全力をあげたといった関係では、大臣も、率直に言って、何とか五十万戸を確保したいという考え方で詰めたわけです。そして最後の五十万に届かすために特に折衝をしてふやしたのが、いわゆる公庫住宅のほうが特に総ワクがふえたという形で結果的には実はいま言ったような形になったわけでありまして、これはまことにわれわれとしても残念なことだとは思っておるわけであります。現実にはあくまでも公営住宅をふやしていきたいという考え方で進んだことには間違いございませんし、今年度の問題はぜひひとつ明年度には是正するように努力しなければならぬ、かように思っておるわけでございます。
  35. 下平正一

    ○下平委員 関連ですから長いこと言いませんが、公庫住宅の九千戸をふやした分がごまかしと思いますよ、政務次官。それはいま申し上げません。関連ですから、それはあとで申し上げますが、少なくとも一度政党が天下に公約をして、総理大臣が予算委員会で言明をした、建設大臣が言明をした施策の方針が、結果的には違ってますなんということで済みますか。  それでは、来年度から是正をするということについてできるかできないか、私はひとつ数字をあげてあなたに御質問いたします。  去年の八月、建設省住宅局関係の四十三年度の予算要求概要というものをわれわれに説明いたしております。これを見ますると、四十五年度を最終到達年度とした住宅建設五ヵ年計画は、四十五年度に一世帯一住宅という目標を完成するのだ、そのためには一体これからどういう建設戸数をどういう形でやっていかなければならぬかということをわれわれに説明したのであります。  全部の戸数がありますけれども、いま公的資金だけに例をとりますと、昭和四十一年度には四十万四千戸つくった。これは実績です。四十二年度は四十五万二千戸、そうして四十三年度には五十三万三千戸、四十四年度、最終年度の一年前には六十一万五主日最終年度には六十九万六千戸つくらなければこの目標は達成いたしません、したがいまして、四十二年度五十三万三千戸要求をいたしております。こういう説明です。ところが、現実には四十九万六千五百戸この差というものは約三万戸ですね。政務次官が来年度努力されるということになりますと、四十四年度の公的資金による住宅建設戸数は六十五万戸になるわけです。そうしますと、今年度の住宅建設からいって、物価の値上がりというものを一切ないといたしましても、予算額というものは三一%ふえなければだめです。そういうことが、政務次官、現実として可能ですか。経済状態が来年度そんなに好転しますか。ことしの国民所得の伸び率は一一%何がし、予算全体の伸び率が一一%何がし、住宅予算に重点を置いたという佐藤総理の言明にもかかわらず、ものによってもわずか二〇%しかふえていない。大体一七%増加じゃありませんか。経済事情の好転がそれほど見込まれますか。私は来年度においてそんなに好転するとは思っていない。それを一挙に三〇%増なんという予算が組めますか。あなた方の公営住宅の説明を見ると、もっとひどいことになる。公営住宅は、改良住宅を含めまして、今年度は十万六千戸の要求をしているわけです。現実にはこれが減りましたから、一体来年度どれだけつくらなければならないか。ことしは約一万二千戸予算では減りました。公営住宅はことし十万六千戸、来年度十三万七千戸、最終年度には十七万四千戸つくらなければ、低所得階級のための重点施策としては目標は達成しないでしょう。そうすると、伸び率は一体どのくらいになりますか。ことし約一万二千戸減らされましたから、来年度は住宅改良を含めて十五万戸建設しなければ予定の計画路線に乗りません。ことしの公営の一種、二種、改良を含めた総予算からいって、物価の上昇も何もないという仮定に立ってやりましても、この予算の伸び率は六一ですよ、政務次官。今日の政府の経済見通しの中で、六一%の予算増ということがはたして可能ですか。私は不可能だと思います。保利建設大臣がもしこういうことを知っておられて、安易に、五ヵ年計画はやるさ、やれるさ、こう思ったら、とんでもない間違いです。六一%の予算増というものが来年度予算で取れる自信があったら言ってください。おそらく佐藤内閣は来年度まで持つかもしれませんから、論争になりますよ。ほんとうにその自信がありますか。もし私の言っている数字に間違いがあったら、事務当局でその間違いを指摘してください。
  36. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 下平委員のおっしゃいました数字には間違いございません。確かに、来年度予定どおりやるということになると、大幅な増額をせなければなりませんから、これは決して私ども責任を持ってやるということは申し上げられないと思います。非常に困難な問題だとは思うけれども、先ほど大臣も申し上げましたように、全力をあげて最重点として努力をする、こういうことは、申し上げたとおりであります。  本年も、確かにおっしゃるとおりに、最初われわれが予算要求をしたときと比較をいたしますと相当額減りましたけれども、それにしましても、他の公共事業等の伸び、わずかに建設省は四ないし五%の中にあって、住宅だけは予算面でも一七%余り伸びておるのでありまして、相当努力は積み重ねてまいったつもりであります。明年度ももちろん予定どおりあなたのおっしゃる数字を確保するということは、これはよほどのことがないとなかなか困難かと思いますけれども、われわれは、五ヵ年計画を達成するために全力をあげて最重点的に努力をするということは、先ほど大臣が申し上げたとおりでございまして、そういう面で進めていきたいと思います。
  37. 下平正一

    ○下平委員 政務次官の気持ちとしては私はわかると思うのです。そして私たちもそう努力したいと思うのです。しかし、きょうは時間がありませんからこれでとめておきますが、その気持ちを実現するためにどうあらわすかという具体的な政策の提示がないと納得しないのです。そしてこれは結果的には国民をあなた方はだましたことになるのです。たとえば公営住宅の問題でもそうでしょう。もうすでに用地補償については補助を打ち切ろうという考え方が強く出ているでしょう。そのために、あなた方はこれを確保するためにたいへんこの予算の中で無理されているでしょう。予算を見ますと、公団に対する利子補給の四十六億円だって、もう中で操作をするといって、大蔵省の圧力でゼロになっているじゃないか。実はあなた方はそう考えてはおられるけれども、客観的な情勢というものは、現状のような認識、住宅政策に対する現状のような政府、自民党の態度では、とてもできないと言うのです。私は、きょうの質問は、大臣に、もう少し政治的なことで、将来一体あなた方はどうするのだという、そのどうするかという問題について、——たとえば民間の資金導入の点も、もっと何か考えられないことはないと思うのです。税制の面においても考えられないことはないと思うし、いろいろ達成するための手段も検討する余地があるのです。そのことについて議論をしたいと思いますけれども、これは大臣もおりませんから後日に譲りたいと思いますが、政務次官から大臣にお伝えいただきたいと思うのです。そんな、やりましょう、やりたいと思いますというようなことでは、とてもこの五ヵ年計画は達成できないのだ。六一%なんという予算増は不可能であります。こういう点だけはひとつ御認識をいただきたい。  関連質問ですからその点だけにしまして、あと具体的にどうするかということについては、日を改めてまた私の意見も申し上げますし、あなた方の御協力もいただきたい、こう考えますから、五ヵ年計画はそう安易にはできないのだということだけは申し上げておきたいと思います。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 ただいまいろいろと質問いたしたのでございますけれども、私は大臣所信表明を中心にして御質問を申し上げたわけでございます。ともかく、住宅問題でいま下平議員から指摘されたように、住宅問題について先日の福岡君への答弁と、建設省大臣である仮谷さんの答弁との大きい食い違いです。結局、下平議員の質問によって真相がだんだんわかってきたということになって、自民党あるいは政府がいままで公約してきた五ヵ年計画は達成できないのだということが明らかになったと存ずるのでございます。私どもといたしましては、住宅問題等々につきましては、あくまでも低所得者層を中心にした住宅の建設を行なっていただきたいということを強く要望いたしますとともに、先ほど来申し上げました、公正にして効率的な運営を、あるいはまた、国土開発につきましても、土地利用の問題あるいは土地政策について真剣に建設省当局が取り組まれんことを要求いたしまして、質問を終わります。
  39. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際暫時休憩いたします。  再開はおよそ午後一時二、三十分の予定でありますが、予算委員会の都合もあり、再開の時間は委員長に御一任を願います。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  40. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、各委員に申し上げます。参考人として日本住宅公団総裁町田稔君に御出席をお願いいたしましたので、御了承をお願いいたします。  質疑を続けます。北側義一君。
  41. 北側義一

    ○北側委員 大臣が予算委員会のほうに行かれますので、その問題だけ先に大臣にお尋ねしたいと思います。これは先ほども少し聞いておられましたので重複する点があるかもしれませんが、その点は御容赦願いたいと思います。  最近の都市におけるところの産業の集中、これに伴う人口の集中、これによって交通難、また住宅難、公害、これらは現在の大きな一つの社会問題となっております。特に建設委員会といたしまして、この深刻な住宅難、これにどのように対処していくべきか、現在の住宅対策につきましては、住宅対策がやはり一つの曲がりかどにきたのではないか、このように私は考えておるわけであります。と申しますのは、四十一年度から始まりました住宅建設五ヵ年計画、この六百七十万戸のうち、政府施策住宅、すなわち公的資金の住宅は二百七十万戸であり、しかも、最も住宅問題で悩んでいるいわゆる三万ないし四万円程度の低所得者用の住宅、これが五ヵ年のうちでは実質上は五十二万戸、いわゆる公営住宅の五十二万戸が低所得者用の住宅である、現在このように言っても過言ではない、このように私は思っておるわけであります。同じ公的資金で建てられるところの、日本住宅公団または住宅金融公庫、これらの住宅は、建設費及び用地費、これらが非常に高くなりまして、それが家賃にはね返り、低所得者のためには実際の用になっていない、これが実態ではないか、このように私は思うわけであります。そういう点、大臣も先ほどからいろいろお答えになっておられたようでありますが、大臣の確固たる——三万ないし四万円の都市周辺に集まってくる低所得者の住宅の悩みを一日も早く解決してあげるような方策としてどのようなお考えを持っておられるか、それをまず最初にお聞きしたいと思います。
  42. 保利茂

    保利国務大臣 いろいろな国民の各階層ごとに、この階層は住宅は手一ぱいでもういいのだ、あるいはこの階層はもう一つもないんだとかというようなことでなしに、とにかくどの階層にいたしましても、住宅難からくる住宅需要というものは非常に旺盛なものがありますから、公営住宅にしましても、あるいは持ち家住宅にしましても、各需要にできるだけ応じてまいる、そうして一日も早くこの住宅難時代から抜け出さなければならない、そのためには、私どもとしては最もこの公的施策住宅に力を入れていかなければならぬということは、もうお説のとおりでありまして、五ヵ年計画を策定いたしまして、四十三年度におきましてはまあ計画の半ばをこえるということころにまではたどりつき得ますけれども、あと四十四年、四十五年というところで、当初計画いたしております六百七十万戸、公的施策の二百七十万戸は何としても達成してまいりたいということを基本として努力をいたしておるような次第であります。
  43. 北側義一

    ○北側委員 そのお気持ちはよくわかるのでありますが、何といいましても、都市へ寄ってきて、あらゆる階層が住宅に困っておることは事実であろうと思います。しかも、何といいましても、都市へ寄ってくる労働人口は非常に若いわけです。その若い人たちはやはりどうしても所得が少ない、このようになっております。そういう面で私は先ほどそのように申し上げたわけです。また、公的施策二百七十万戸のうちの五十二万戸が公営である。その五十二万戸のうちに改良住宅が九万戸入っております。その改良住宅の九万戸のうち、三ヵ年たって一万五千戸が建っておるわけです。そうすると、あと七万五千戸残ります。この七万五千戸は、一体一種住宅に回すのか、二種住宅に回すのか。おそらく、このままではあと二ヵ年で七万五千戸建てられません。その点どうでしょうか。
  44. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま先生のおっしゃいますように、確かにこの三ヵ年で一万五千戸の建設ということになっておるのは、そのとおりでございます。実は先生もよく御存じのとおり、スラムクリアランスでございます。これはいま非常に悪い状態の地区を、そこに住んでいる人との話し合いで、そこへいい環境をつくって、いい住宅を建てて、そこに住まってもらうということでございます。この話し合いに非常に時間がかかります。それで、この三年間実はその点につきましては非常に進捗が悪うございましたが、ことしあたりから、その力を入れてまいりましたのがだんだんに効果が出てまいりました。したがいまして、確かに九万戸のうち一万五千戸より三ヵ年では進んでおりませんが、あとの二ヵ年で不良住宅地区の地区の決定、それから相当程度の着工ということは可能になると思います。したがいまして、この五ヵ年間で九万戸全部建ち上がるかということになりますと、私は正直に建ち上がらぬと申し上げざるを得ませんけれども、着工の運びまでには持っていきたいというふうに考えております。
  45. 北側義一

    ○北側委員 着工の運びと申しましても、実際上は、七万五千戸を二で割りますと、相当大きな数になるわけです。三万七千五百戸ですか、こういうことは不可能です。私は、そういうことよりも、むしろ五十二万戸というもの、政府国民に示したところの公営住宅としての数、少なくともそれだけは建てていただきたい。これは私の願いなんです。その点、大臣どうでしょうか。
  46. 保利茂

    保利国務大臣 万全を尽くして努力してまいるつもりでございます。
  47. 北側義一

    ○北側委員 まあ答弁としてはそのような答弁しかいただけないとは思っておりましたが……。  次に、ことしの一般会計の全予算額が五兆八千百八十五億九千八百万ですが、そのうちの住宅予算額が七百億八千百万円、これも一般会計です。このように見ますと、一般会計の住宅対策の予算というのは、これはあくまでも公営住宅に向けられる予算であります。と考えますと、そのように住宅で非常にお困りの方、いわゆる低所得者階級、これらの人たちが救われるのは、この一般会計の住宅対策の予算額七百億八千百万円、全体の予算額の一・二%です。だから、わが国の一般会計の全予算額のわずか一・二%だけが低所得者階級に向けられる。住宅で一番お困りの人が多いそういう人々に対して、それだけの予算しか取られていない。これがわが国の住宅対策費であろうと思うのです。そういう意味で、私は、たとえば国土のよく似たイギリス、西ドイツ、スウェーデン、これらの諸国と対比してこれらの予算額は一体どうなっておるか、そこらを一ぺん聞きたいのです。
  48. 保利茂

    保利国務大臣 なるほど五兆八千何百億の予算の中で七百億という一般会計の支出では乏しいじゃないか、数字的に言えば、それは否定するものではございません。しかし、この住宅の問題は、ただ政府が建てて差し上げるというものじゃございませんので、社会問題として住宅の持っておる意義というものが非常に大きい、しかもそれが非常に窮屈だ、何とかその住宅難を解消しなければならないということで五ヵ年計画も策定されておるわけでございます。お話しのように、世帯の細分化が一面においては非常な勢いで行なわれる、一面においては都市への人口流入が依然として続いておる、こういう状態でございますから、この既定計画を達成すれば十分まかなえるかどうかということは、いま判断はちょっとできないだろうと存じます。いずれにいたしましても、住宅難を解消することがやはり当面の一番大きな課題じゃないか。今回の予算編成にあたりましても、私どもも必ずしも満足いたしておりませんけれども、政府としましては、超重点の取り扱い方をいたしてこの要請にこたえていこうということで、こういう予算をつくっておるわけでございますから、この点をお含みおきくださるようにお願いしておきます。
  49. 北側義一

    ○北側委員 大臣は、政府としてはこの予算額を全力をあげてやられた、このようにおっしゃられた。これは見解の相違でありまして、やはり五十三万戸のいわゆる公的住宅すら削られて、五十万の大台を割っておる、これが実態です。そうしてここで考えなければいけないことは——なぜこのように私が申し上げるかといいますと、現在の公団住宅、公社住宅の家賃が最近非常に上がっております。御存じのとおり、2DKについて二万円3DKになりますと三万円近くになっております。これは公団住宅の応募実例でありますが、この間新聞に載っておりました住吉市街地住宅、ちょうど私も大阪でありますので、これを見てみますと、昭和四十二年十二月の六百八十三戸の第一回募集に応募したのが二百五十二人、平均〇・四倍で、現在無抽せんで入れるようになっております。なぜか。これは家賃が高いということが大きな原因になっております。また金剛団地にしましても、第一回の、これも最近入居した分ですが、あき家の七十戸を再募集したといっております。また、千里の青山台団地におきましても、平均競争率は〇・九倍、奈良県の桂木団地にいたしましても、百五十戸があき家であいておる、このようなことが報ぜられておるわけです。このようないわゆる公的資金の住宅ですらそのように無抽せんであり、また、あき家ができておる。家に困っておられぬのか。そうじゃないと思うのです。困った人が幾らあっても、そういう高家賃で入れない階層、そういう人たちがどうしようもなくてこういうあき家ができる、これが実態であろうと思うのです。そういう点で、これはやはり住宅対策の一つの曲がりかどにわが国はきたのじゃないかと、私たちは言っておるわけです。その点どのように大臣はお考えでしょうか。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘の新聞は私も拝見いたしまして、おやおやと実は思ったわけでございます。地域によりまして住宅事情というものもよほど違うんじゃないかということも考えなければならぬ。かりにあれが同じような交通状況の東京の近くでありましたときにそういう事態を起こすかというと、起こさないということは明瞭だろうと存じますし、全体として住宅問題がそういう意味において曲がりかどにきておるというのは、私、非常に憂えるのでございますけれども、住宅難が一応ある程度緩和されて、そしてあんな高いところはやめたというようなことであればいいですけれども、必ずしもそうじゃない。やはり北側さんおっしゃるように、低所得層の住宅需要というものは非常に強いんじゃないか。そういうところで、地域によって公団でも公社でも建設の場合によほど考えてやらなければいかぬじゃないか。実はその新聞を私も見まして、おやおやと意外な感じに打たれ、いろいろ教えられたように思います。全体がそうなってきた暁には、これはまた考えなければならぬと思いますけれども、全体としては依然として大衆の住宅難というものは続いておる、私はそう判断をいたしております。
  51. 北側義一

    ○北側委員 たとえ一部でもそのような——大阪といえば東京の次に位するいわゆる大都会です。そこでそのような現象があらわれたということにつきましては、やはりこれは大きな一つの関心を持っていただかなければならぬと私は思うのです。大阪あたりがそのようになってきたのは、やはり東京もそのようになる一つの数字を示すんじゃないかと思うのです。そういう点で、公団、公社、これらの住宅の家賃体系についてやはり大臣は考えていただいて、次に打つ手を考えていただきたいと思うのです。でなければ、このままいくと、市民としては、住宅に困っているのに、そのような無抽せんのあき家があるのを目の前に見ながら通っています。私は住吉のあの近所を知っております。あの団地の付近は決してそのようなりっぱな住宅街ではないのですね。私の友人はずいぶんあの辺におります。やはりみな家に困っております。しかし手を出せないのが実態なのです。その点をよく考えていただきたいのです。  次に、また私ふしぎに思うことは、ことしの予算額を見ますと、公社住宅また公団住宅、これらの賃貸住宅が五万三千戸、分譲が六万戸、計十一万三千戸、こうなっております。そうしますと、賃貸ですら、そのように再募集しなければならない実態であるから、分譲になるとこれはますます困るんじゃないかと思うのです。ことしの予算額を見ますと、分譲のほうがやはり七千戸多い。そういう点私はどうしても納得いかぬわけです。賃貸ですらそのように再募集しなければならないような実態にありながら——東京は大阪とそれは違いましょうが、大阪では現にそのような現象があらわれておる。しかも賃貸よりも分譲のほうが七千戸近く多い。これでは住宅に困る人はますます入りにくい、そのような施策に私は思えるのです。  たとえば賃貸と分譲の申し込み率がどうなっておるか、それを参考に申しますと、昭和四十一年、相模台団地においては、賃貸が八百二十六、分譲が百七十、応募者数は、賃貸八百二十六戸に対して一万二千九百十六名、一五・六倍、分譲百七十戸に対して千二十六名、これは応募数が六倍ですね。また、四十二年の清瀬旭が丘団地、これを見ますと、賃貸が千六百二戸、応募者が二万七千四百三十、一七・一倍、分譲が二百五十戸、応募者が千七百二十二、応募倍率は六・八倍、このようになっております。最もひどいのが四十一年の多摩川団地、これの分譲が、募集戸数八百十に応募者が五千六百八、応募倍率が六・三倍、そうして同じ多摩川団地の賃貸のほうを見ますと、募集戸数が七百五十、応募者が四万二百一、五三・六倍、これはもう大きな違いがあるわけです。  こういう数字を見ますと、やはり応募者の応募数に従った賃貸住宅なり分譲住宅を建てていく、これが政府姿勢であり、いわゆる政治そのものの姿勢じゃないか、私はこのように思うのです。そういう点私はどうしても納得いかないわけです。このようなことについてどうでしょうか。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 賃貸住宅、分譲住宅に対する申し込みの数字は、そのとおりだと思います。  住宅問題は私はこういうふうに考えております。自分の家を持てない、持つ希望が今日抱けない方には、とにかく公営住宅をもって相応じていくということで、かりに北側さんなら北側さんが、公庫の融資を受ければ、土地の手当ても済み、家も建てられる、それが予定の六倍とか五倍とかいうのを示しておるように——そういう人たちはすでに、自分たちの住宅を所有したいという希望を持って勤労の蓄積をやられた。その蓄積を長く生かしていくことは、私はこれは非常に社会的にもそうあってほしいことだと思うわけでございますから、そういうほんのちょっとした援護、助成によって希望が達せられるであろうという方々に対しては、なるほど五倍であるか十倍であるか、その辺は別としましても、それに応ずるのを処置をとっていくことが、政府として大事なことではないだろうか。だが、ゆえに、その公営のほうをおろそかにしていいということはもちろんないわけです。そっちが一番大事であるというようにも考えます。そういう考えでおるわけであります。
  53. 北側義一

    ○北側委員 私がお話し申し上げたのとちょっとお答えが食い違うようなんですが、私の申し上げたのは、やはり国民の要望の率に従って、当然、分譲も、マイホームもほしい、そういう人もあるでしょう。それは当然だと思うのです。その率というものは応募率に合うような率にしていただきたいというのです。私はそれを言っておるのです。分譲は六倍、賃貸は五十何倍、これじゃどっちが住宅に困っているか、応募率でわかるのですから、その点を伺っておるのです。何とか国民の要望の声の大きいほうにその率を合わせていくのが政治だと思うのです。その点を私は大臣お話し申し上げておるわけなんです。
  54. 保利茂

    保利国務大臣 これはいろいろ意見が出てくるところがございますけれども、私はほんとうに大衆のしあわせを築き上げていくということからいきますと、その勤労の蓄積が長く保たれて、かつ、その家庭生活を豊かにしていくという方向に持っていくべきじゃないか。しかし、そうだからといって、勤労の蓄積はそうたやすくはできない、持ちたくてもなかなか簡単に家が持てないという方が非常に多いわけですから、そういう方に対しては、こういう財政状況であるけれども、とにかく公営住宅を一戸でも多くふやしてその要請にこたえてまいるという両面からやはり問題を見ていくことが大事だろうと考えております。その扱い方についていろいろ御意見のあることはよく伺ってわかりました。
  55. 北側義一

    ○北側委員 大臣、もうけっこうでございます。御苦労さまでした。——大臣もお行きになりましたので、あともし建設省側でお答えになる点がありましたら、どうぞ政務次官のほうからよろしくお願いいたします。  ただいま申し上げましたとおり、大阪あたりでそのような公団住宅が非常に不人気で、無抽せんで入れるようなことになっておるのは、先ほど何べんも申し上げましたとおり、低所得者に向かない点がおもな原因であろう、このように私は思うわけです。それは何と言いましても家賃の高いこと、それと、どうしても安い土地を求めて遠距離にまいりますので通勤に不便を来たすこと、これらがその問題点であろうと思うのですが、その家賃の高騰の大きな原因というのは、やはり建設費及び用地費、これがおもなものであろうと思うのですが、その点どうでしょうか。
  56. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 やはりお話のように、用地費とか建設費の上昇によるものが大きな原因であろうと思います。
  57. 北側義一

    ○北側委員 そこで大事なことは、やはりそういう公的資金で建設される公団住宅、これは用地費、建設費、これらが家賃にすぐ響いてまいるわけですから、家賃の急騰を防ぐ面からしても、用地買収については神経質になってやっていくべきである、このように私は思うわけです。そういう点につきまして、私が調査したところによりますと、そういう精神に反するような点もうかがわれますので、一、二の実例をもって、公団の方がお見えのようですから、お聞きしていきたい、このように思うわけです。  まず最初に、奈良市及び京都府を含む平城ニュータウンの建設についてでありますが、これは日本住宅公団、当時の宮地大阪支所長名をもって、昭和四十年十二月七日付で、公団法第三十四条による奈良市の意見聴取の申し入れがあったと思うのです。また、続いて昭和四十一年十二月二十六日付で、同じく都市計画法第三条による建設大臣への決定手続についての配慮を求める申し入れが行なわれた、このように私は聞いておるわけでありますが、それに対する奈良市の回答は、この二度とも正式な文書では保留されておる、このように承っております。そうして翌年の昭和四十二年五月三十一日に正式回答がなされて、水の問題及び団地建設に伴うところの公共施設の財源問題、これらで団地建設には応ずることができない旨の申し入れがあった、このように私は聞いておりますが、その点どうでしょうか。
  58. 町田稔

    ○町田参考人 ただいまお話のございました平城地区につきましては、御指摘になりましたように、これは奈良市に大部分が属しておりまして、ここを開発いたすにつきましては、当初奈良市と十分協議をいたしまして、ことに水の問題等もございますので、その点も打ち合わせをして奈良市のほうで一応の了解を得ましたので、着手いたした次第でございます。ところが、御承知のように、奈良市はその後予想以上に人口の増加が激しゅうございまして、ことに四十一年には、奈良市を含めまして奈良県地方は異常な渇水状況で、そのために、奈良市民に対する上水を一時中止するというような状況まで起こったわけでございまして、そういう事情の変更がございまして、平城団地を造成いたすことにつきまして、いまお話のありましたように、一時奈良市からいろいろと御要望があったわけでございます。計画の実行等につきまして少しスローダウンしてくれというようなお話がありました。しかし、その後、私のほうも、また地元の奈良市も、政府関係機関に、平城を含めまして奈良市の上水の供給につきましていろいろ御相談をいたしました。幸いに現在では関係方面の御協力を得まして、だんだん明るい方向に向かっておると存ずるのでございまして、それに伴いまして、奈良市におきましても、所要の、たとえば宅地造成をいたしますためには都市計画上のいろいろな手続等がございますが、そういうものもだんだん進めてまいりましょうということに話がなっておる状況でございます。ただし、奈良市なり奈良県なりで一応上水につきまして根本的な施策をしていただくといたしましても、これが実際に水源としてあらわれますのは四十六年以降になろうかと思いますので、その間の手当てといたしまして、現在奈良市とも御相談いたしまして、平城地区につきましては、地区内で水源の調査をいたしております。この水源の調査につきましては、公団のほうでもいろいろ資金的にも御協力をいたすということで進めてまいったという状況でございます。
  59. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、現在平城ニュータウンの中で水源調査をやっておられる。こうなりますと、当然四十六年以降でなければ上水の水は引くことはできない、このようにおっしゃっておられるわけであります。そうしますと、初めからのこの平城ニュータウンの基本計画、これは当然変わってくると思うのですね。その点どのようになっておるでしょうか。
  60. 町田稔

    ○町田参考人 奈良市で現在水源の調査をいたしておりますのは、四十四年あるいは四十五年に平城付近に住みつく人たちの応急の水を供給いたしますために要る井戸を掘る、それに必要な調査を現在いたしておるのでございまして、先刻申し上げましたように、四十六年以降のことにつきましては、県なり政府機関等でいまお考えいただいており、検討していただいております。抜本的な方法で解決をはかる、こういうように考えております。
  61. 北側義一

    ○北側委員 そういたしますと、初めの計画どおり平城ニュータウンについてはやっていかれる。たとえば、平城ニュータウンの概要という資料によりますと、人口計画七万、一万七千戸の計画である、このように私は聞いております。そうして開発年次計画が四十一年から四十八年、このようになっておる。この当初計画はそのまま変わらないで執行することができるのでしょうか。
  62. 町田稔

    ○町田参考人 現在のところは、ただいま仰せのございました計画を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  63. 北側義一

    ○北側委員 この建設基本計画によりますと、いわゆる上水道の開始が四十五年の六月、こうなっております。この点どうでしょうか。
  64. 尚明

    ○尚参考人 ただいま先生のお話がありましたような人口約七万人の計画——当初は六万六千人がここを開発するときに立てた計画でございます。それから年次も、いま申されましたように四十一年から四十八年というように計画いたしたわけですが、先ほど副総裁から御説明いたしましたように、水の問題等について奈良市がこれに応じ切れないという折衝問題がありましたため、少しおくれております。それで、ただいまの都市計画上の手続から申しますと、あの地区は事業としては実は区画整理でやるわけでございますが、その事業の内容等はまだ公式の認可を得るところまでに至っておりません。それらを行ないますために、奈良市といろいろ負担問題等を協議しながら、かつ、人口につきましても、当初六万六千人の計画を持っておりましたが、場合によっては、今日のように住宅事情が非常にきつくなることを考えると、もう少したくさんの人に住んでいただくように、いまかりには七万五千人くらいの形においていい環境をつくれないかというようなことで作業はいたしております。しかし、この人をふやすということは、これまた、水の量とか、下水の処理の量というものに関連します。そういう案をいろいろ市とも折衝いたしまして、そしてまた金額の負担等、これから処理場なら処理場について市がどれだけ持ち、公団がどれだけ持つという話を数量的に詰めまして、それから成規の手続をして、それによって建設大臣の認可をいただいた計画で事業を進めるというふうにいたしたいと思っております。したがいまして、実を言いますと、年次計画はまだ概数的なんですけれども、端的に言いまして、当初の目的より一年半か二年くらい、若干おくれざるを得ないというような環境にあるのが、いま私ども作業しておる者の苦心しておるところでございます。
  65. 北側義一

    ○北側委員 副総裁が言われた答弁と変わってきたわけですね。副総裁は、おくれない、当初計画のままいく。あなたの答弁では、どうしても一年か二年くらいおくれるのじゃなかろうか、このような答弁なんです。その点はっきりしてもらわないと困るわけです。
  66. 尚明

    ○尚参考人 ただいま公団の中では、事業をやりますときに、地区を決定し、そして事業の概要を決定いたします。そのときの数字はまだ第一案になっておりまして、その変更計画というのはいま作業しておりまして、それはまだ理事会等にはかっておりません。しかし、実際問題としては、いま私が第二番目で申しましたような作業を行なっている、そういう意味におきまして理事会としてはまだ第一の案である、やがて変更されるかもしれない、こういう意味で私は申し上げたのであります。
  67. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、そのおくれというものは、そういう団地建設についての日本住宅公団側の要望に対して、なかなかこれに応じられないという回答が奈良市からあった。その回答からでも、すでに一年になっておるわけです。そういう点で、その計画の変更はやはりやらなければならない、このような実態になってきたということでしょうか。
  68. 尚明

    ○尚参考人 これはさらに少し詳細に申し上げますと、やはり一番大きくこの問題を左右しておりましたのは水道の問題でございます。奈良市は、ちょうど公団が三十九年当時、市と御相談を申し上げておったときに、市は市なりに一応の当時の拡張計画を持っておりました。そして、その拡張計画の中で公団の平城分くらいはまかなえるであろうというお話で、私どもも当時としてはそれでよかろうと思って話を進めておったわけです。しかるに、その後、奈良市及びその近傍は、最近に至りまして大阪通勤者の住宅地として、先生も御承知と思いますが、非常に急速な人口増加をいたしております。これは端的に言いまして、当時の奈良市の水道計画を立案するときのデータから見て、実は予測が少し不足していたんじゃないか。そこで、奈良市といたしましては、四十年、四十一年に実際問題として断水騒ぎが起きたわけです。そこで急遽奈良市としては当初の計画を変えて、もう少し拡大した計画を立てなければならぬという事態になったわけです。さて、拡大した計画として水源をより多く求めようといたしますと、これは市のみでは解決できない問題で、県あるいは京都府と近畿圏全体の水源の配分問題になってくるわけです。ただいまでもその配分問題は解決はしておりません。そういうことで手間どって、そういうもののめどがつくまでは住宅公団で急速に変更してもらっては困るというふうに、全く人口増加を中心にいたしました水源確保の見込みというものの問題から仕事がおくれているという状態になったわけでございます。
  69. 北側義一

    ○北側委員 その点はよくわかったのですが、奈良市の水の問題というのは、ただいまも言われましたとおり、非常に深刻な問題となってきているわけです。と申しますのは、あやめ池、学園前、あの辺は最近非常に開発されておるわけであります。ところが、あの辺におきまして住宅を建設する場合に規制を受けておるのが現在の実態なんです。私、これは何もいまに始まったことじゃないと思うのです。たとえば、公団が申し入れを行なった、それに対して、奈良市の市長がちょうどかわられた直後に、上水を送るわけにいかない、このようなことを新聞でちらっと見たわけであります。これは昭和四十二年にそのような実態があったのですが、公団法三十四条に基づいて申し入れがされたのは昭和四十年十二月、平城団地の場合は、買収にかかられたのは昭和四十年の三月、そういう点から見ますと、私は、むしろ初めの話し合いというものが非常にあいまいであったのじゃなかろうか、日にちの点から見ると、このように思われるわけなんです。その点、大体の経過、どうでしょう。
  70. 尚明

    ○尚参考人 いまから顧みまして当時の申し合わせというものを見ますと、やはり多少不確かな要素というものがあったことはちょっと否定できないのでございますが、当時は、もちろん、水の問題、学校の問題その他いろいろな問題がございますから、当然、開発のときには、そのときの市の責任者とは相当協議しているわけでございます。当時の市としては、一応当時立てていた拡張計画の中に平城地区を含んでやれるだろうという見解だったわけです。その考えをもとにしておられた考え方というのは、これはちょっと私も正確にはわからないのでございますけれども、たとえば木津川等から水を利用するときに、まわりの府県なり何なりが了承してくれれば、暫定的にある程度の水を増量さしてもらうとか、あるいはこのまま引き続いて取らしてもらうとか、奈良市は奈良市なりに何とか水の拡張が当時のプラン程度ならできるという見込みを持っていたようでございます。私どもはそこまで立ち入ってはわからないわけでございますが、そういう市のあれに従ってやっていたわけです。しかるに、いまの人口増加等によって非常な事態になったわけです。そこで、新しい市長さんは、そんなことではとても平城みたいな二百万坪の開発なんというのを急に行なわれてしまってはたいへんだということで、正直に言いまして、前の市長さんよりきわめて慎重に現市長さんはお考えになった。そこで、当然、その計画というものは慎重に考えたほうが、いまから見れば正しかったと思いますけれども、そういうことについて私どもの交渉しておる市というものの考え方が多少変わってきたということで、そういう経緯になっておるわけでございます。
  71. 北側義一

    ○北側委員 そういたしますと、四十六年までにはそのようにしておそらく水が出るんじゃなかろうかと思うわけです。ところが、四十六年になりますと上水道の水はどこから引くようになるのですか。
  72. 尚明

    ○尚参考人 実は住宅公団はお願いする側で、市と一緒になりまして県及び建設省関係にお願いしておりまして、その上水をどこから取るかという問題につきましては、建設省、あるいはまた近畿圏整備本部が御中心になりながら、まず淀川、木津川の系統はどうか、あるいは吉野川の系統はどうかというようなことをいま御検討中でございまして、私どもといたしましては、これできまったというお話は承っておりません。しかし、いずれにせよ四十六年度くらいにはめどをつけられる可能性が出てきたということをお話として聞いております。
  73. 北側義一

    ○北側委員 私の聞いたところによりますと、現在奈良市の上水道は木津川から四万二千トン取っておるわけです。これでは足りないわけです。昭和四十五年に完成を目ざしております須川ダム、これが七万四千トン、この須川ダムができますと、木津川の四万二千トンというものは、現在のあれではもう取れないようになるわけです。私はなぜこのようにお聞きするかといいますと、これは建設省のほうでやっておるわけです。政務次官もおられます、また官房長もおられます、また河川局の方もおられるわけですので、できたら公団に有利なような水の配分を私からもお願いしよう、そういう意味で私はお聞きしておるわけです。ただここで問題となるのは、いまあなたの言われたように、四十六年、これも予想です。いまのあなたのお答えですと、四十六年か四十七年になるか、四十八年になるか、事実わからない。はっきりした計画がないのですから……。そうなると根本から当初計画というものはくずれてくる。そうしますと、去年八月で三十四億の契約金が用地買収で払われておる。そういう膨大な金というものが土地買収のために寝ていく。しかもその金には金利がついておる。そのついた金利というものは一体どこへそれがかぶさっていくのか。それは平城ニュータウンが建設されたときにそこに入居される者の家賃にかかっていく。これでは私も黙って見ておられないわけです。その点はどうでしょうか。
  74. 尚明

    ○尚参考人 おっしゃるとおりに、土地を買いましたときから工事の完成の間の時間が短ければ短いほど、金利等による値の響きというものはないわけで、鋭意そういうふうにいたしたいと考えております。いまおっしゃったように、金利はどうしても土地の処分価格に入れざるを得ません。そこで本件のような場合でございますけれども、当時の公団としては、市長さんその他に水の問題等も十分お聞きしてやったわけでございまして、決してそういうことを何も無関心にやったわけではございません。ただ、結果として、奈良市の急激な人口増加というものが市の計画も狂わし、あわせて公団もその中で計画が狂ってしまったということになるわけでございまして、結果から見れば、そこをもっと慎重にやっておけば、より正確につかめたのじゃないかという問題があるわけでございます。そういう意味で私どもは非常に貴重な経験をしたわけでございますが、何と申しましても、人口急増という予想はなかなか一般的にはつかみにくいわけでございます。そのほかに、水というものは、だんだん国民生活が上がってくるに従いまして一日に使う量もふえてくる。そういう点で市も見方が甘かった。それを信じて公団も甘かった。結果はそういうことになるわけでございます。そういうことで、これはたいへんな問題だということで、先ほど申しましたように、政府の各機関もお取り上げになっていただいておりまして、それで私どもは、将来計画は、少なくとも四十六年度くらいにぜひ水の増量をはかっていただき、その間の暫定措置を井戸を掘ることによってつないでいよう、こういうことでございます。御指摘のとおり、結果においては計画がもっとより正確であれば、そうした問題はより少なくして済んだわけでございますが、まあ多少残念な気がいたします。
  75. 北側義一

    ○北側委員 多少残念というより、それは入る側にとっては、また私らの目から見れば、やはり調査も不十分ですし、それだけ三十四億の金を使うのにあまりにも軽はずみ、このように私は思うわけです。時間がないから、まだいろいろ一ぱいあるのですが、もう二、三だけやらしてもらいますから、この分だけ区切りをつけましょう。金剛団地はこの次に回しますから。  私がこの問題についてもう一点不審に思うことがあるのです。といいますことは、この土地の買収価格が、資料によりますと、近鉄との契約が四千三百円、京阪三千九百円、富国開発三千七百円、このように非常に格差があるわけです。これを登記年月日及び地図の上で見てみますと、なぜこのような格差が出たのか、ちょっと不審になるのですが、その点どうでしょうか、簡単にお答えください。
  76. 尚明

    ○尚参考人 土地の値段をきめますときは、私どもは調査といたしまして、近傍類地の価格、それから鑑定評価、これも大体各地区につきまして鑑定評価を三者からとりましたわけでございますが、そういうことで値段をきめているわけでございます。なおそのほかに、この平城地区は二年にわたって買いましたので、その初めのほうと、おしまいのほうというので、多少時間的な問題も含まれていると思います。
  77. 北側義一

    ○北側委員 近傍類地の価格によると言われますが、富国と京阪の土地はこうなっております。このグリーンが富国です。これが相互、いわゆる京阪ですね。契約代理人が全くひっついておるわけです。それできっちり二百円の差があるわけです。どれを見ましても、どの登記年月日を見てもそうなっておるわけです。そこらが私は不審だというのです。あまりにも買い方が大ざっぱではないか。また、あなたが言われるように、なるほど土地の価格を鑑定評価する方はおるでしょう。この鑑定したのは、大和銀行もその中に一つ入っておりました。しかし、大和銀行というのは、これはもう近鉄と深い関係があるわけです。どういう関係かといえば、たとえば、大和銀行は近鉄に融資をしております。また西大和開発KK、これは土地会社です。ここは同じように資本を出し合って経営している会社です。そういうところが鑑定評価するのですから、これはだれが聞いたって、こういうことでは納得しません。そうして地図の上で見ると、やはりそのようになっておる。この安い富国及び相互関係、安いほうがむしろ奈良市に近い。山側の近鉄のほうが、へんぴなところが土地が高い。これは私、事実見ているのです。だから、これはまことに不審で、おかしいなあ、そういうふうに私は思ったわけなんです。しかし、いまここであなたにこのことを言ってもいたし方がないことですからやめますが、やはり土地を買収なさる場合には慎重にやっていただきたいと思うのです。そうでなくても、土地の買収についてはやはりその地元民が黒いうわさを流すのです。そこらを私は気をつけていただきたいと思うのです。  これを私が幾らここで追及してみたっていたし方ないからやめます。  いま一点お聞きしたいのですが、まだ買収すべき余地が残っておるのでしょうか。残っておったら残っておると、また、どこがそれを持っておるか、それを聞きたい。
  78. 尚明

    ○尚参考人 平城地区におきます用地買収はもう残っておりません。私のほうもたしかこの二月の末か三月の初めかでこれを最終といたしまして、以後買収いたしません。
  79. 北側義一

    ○北側委員 私がもう一点不審に思うことは、近鉄の価格というものは四千三百円一本できめられたのですか、その点どうでしょうか。
  80. 尚明

    ○尚参考人 近鉄から買うもの、それからいまの富国、それからもう一件、いずれも一つの価格で四千三百円、三千九百円、三千七百円という形できめました。ただし、それを算出しますデータとしましては、持っている土地の実際の面積、それぞれの地区における面積とそのお金、いろいろ差がございますから、それを計算してトータルして、これに合うという試算をいたしまして、そうしてあとはそれを一つの数字にして買ったわけでございます。
  81. 北側義一

    ○北側委員 たとえば、去年の八月まで四千三百円で近鉄で買っておられたことは、林総裁がタッチなさっておる。その後、四十二年十二月十二日、四十三年一月二十四日、二月二十二日、各契約年月日ですけれども、四千三百円、これは初めからそうなっておったわけですか。
  82. 尚明

    ○尚参考人 さようでございます。近鉄の分が長引きましたのは、向こうの希望で、全体としてこれだけ処分するけれども、その時期はこういうふうに割ってくれ、これは近鉄のほうの都合があったのだと思いますが、それでお金だけは初めにきめてしまったわけでございます。
  83. 北側義一

    ○北側委員 もう一点だけお願いいたします。この買収に当たりました契約代理人の富国開発でありますが、いただきました資料によりますと、この富国開発は、現在、本店が東京都千代田区内神田旭町十一、支店が枚方市朝日丘二ノ二十一番地、このようにこれは現在あるのでしょうか。
  84. 尚明

    ○尚参考人 この富国開発は、私どもが土地を取得するときに数名の方が契約代理者として来られたわけでございますが、この会社は、私どもが平城の土地の一部をいまの奈良県のほうから買いますときには、いま先生がおっしゃられたところに本店を持ち、支店を持っておったようでございます。ただし、今日は同じ富国開発という会社の名前で本店が枚方市のほうに移っておるようでございます。
  85. 北側義一

    ○北側委員 富国開発の資本金を見ますと、二百万円、このようになっております。二百万円の富国開発が、そのような膨大な土地をまとめるいわゆる契約代理人になるというところに私は不審を持つわけなんです。この件につきましては、地元でもいろんなうわさが流れております。この点、資本金二百万円でも、日本住宅公団としては信用できる契約代理人として取り扱うことができるのですか。その点はどうでしょうか。
  86. 尚明

    ○尚参考人 地主の方が、この場合はそろって、自分のところに持っておる土地を公団に売るについては、一々事務手続をするのはめんどうであるから、われわれの土地はこの富国開発という会社を契約代理人とする、それにすべての書類等をまかせるからと、地主の側が公団に参りまして、全員でそうおっしゃられたわけでございます。そこで私どものほうが富国開発と面接して諸般の交渉をいたしましたところ、富国開発は、私どもの買収の事務を履行するに足るだけの能力をちゃんと持っておるものと考えました。法律的に申しますと、おかしな話でございますが、かりにある人が私を代理人として——私ではぐあいが悪いのですが、だれかを代理人と指定して、これと契約代理してもらうと言えば、その方が後刻交渉して、こちら側が非常に不適任な方と思わない限りにおいては、全く資産のない個人の方でもそれはいいのでございます。法律的にはそれでよろしゅうございます。
  87. 北側義一

    ○北側委員 要するに、私のいろいろお尋ねいたしましたことは、あくまでもこのような住宅問題は、先ほど来申しておりますように、非常に大事な問題であります。そこでちょっとしたミス、これはやはり大きく影響するわけです。奈良市の人で平城ニュータウンを知らぬ人はないですよ。そういう点で慎重にやっていただきたい、そういうふうに思うわけです。あわせて建設省にお願いしたいと思うのですが、このような実態になっておりますので、一日も早く家に困る人たちが建設された団地に入っていけるようにお願いしたいと思うのです。  あと富田林の金剛団地の質問が全部残ってしまったわけですが、この次の機会にお願いしたいと思うので、委員長、その点ひとつよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  88. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次回は、来たる十三日水曜日に開会することとし、時間につきましては委員長に御一任願います。  なお、念のために申し添えておきますが、次回は、理事会の協議どおり、十三日は道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を審査いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会