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1968-03-06 第58回国会 衆議院 建設委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年三月六日(水曜日) 午前十一時三十四分
開議
出席委員
委員長
加藤常太郎
君
理事
金丸 信君
理事
砂原 格君
理事
丹羽喬四郎
君
理事
森下 國雄君
理事
渡辺 栄一君
理事
佐野 憲治君
理事
内海 清君
池田
清志君 稻村左近
四郎
君 浦野 幸男君 大野 明君 澁谷 直藏君 正
示啓次郎
君 田村 良平君 廣瀬 正雄君
井上
普方君 石川 次夫君
島上善五郎
君 下平 正一君
福岡
義登
君 吉田 之久君
小川新一郎
君
北側
義一
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
保利
茂君
出席政府委員
建設政務次官
仮谷
忠男君
建設大臣官房長
志村 清一君
建設省計画局長
川島 博君
建設省都市局長
竹内 藤男君
建設省河川局長
坂野 重信君
建設省道路局長
蓑輪健二郎
君
建設省住宅局長
三橋 信一君
建設省営繕局長
横山 正彦君
委員外
の
出席者
専 門 員 熊本 政晴君
—————————————
三月二日
委員西風勲
君及び
小川新一郎
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
井上普方
君及び
浅井美幸
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月四日
委員島上善五郎
君及び
浅井美幸
君
辞任
につき、 その
補欠
として
川崎寛治
君及び
小川新一郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月五日
委員川崎寛治
君及び
北側義一
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
島上善五郎
君及び
石田幸四郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月六日
委員石田幸四郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
北側義一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
三月一日
新橋駅前市街地改造
に伴う
補償基準
の
改正等
に 関する請願(
小峯柳
多君紹介)(第一九七八 号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
建設行政
の
基本施策
に関する件 ————◇—————
加藤常太郎
1
○
加藤委員長
これより
会議
を開きます。
建設行政
の
基本施策
に関する件について
調査
を進めます。
昭和
四十三年度
建設省関係予算
についてその
概要説明
を聴取いたします。
仮谷政務次官
。
仮谷忠男
2
○
仮谷政府委員
建設省関係
の昭和四十三年度
歳入歳出予算
につきまして、その概要を御説明いたします。 まず、総額について申しますと、
建設省所管
の
一般会計歳入歳出予算
といたしましては、歳入は二十九億七千五百余万円、歳出は六千七百三十二億七千五百余万円であります。 歳出におきましては、このほかに総理府及び労働省の
所管予算
として計上されておりますが、実質上
建設省所管
の
事業
として実施される予定の
経費等
がありますので、これらを合わせますと、昭和四十三年度の
建設省関係予算
は、七千七百二十億八千三百余万円となり、前年度の当初予算に比べ四百六十三億一千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三百三億六千六百余万円の増加となっております。 なお、
国庫債務負担行為
として、
公営住宅建設事業費補助
に三十四億九千八百余万円、
住宅地区改良事業費補助
に十九億四千七百余万円、
官庁営繕
に四十六億七千九百万円、
直轄道路災害復旧事業
に一億二千万円、
河川等災害復旧事業費補助
に八十九億円を予定いたしております。 次に
特別会計
の概略を申し上げます。 まず、
道路整備特別会計
の昭和四十三年度の
予算総額
は、
歳入歳出
とも四千七百九十五億五百万円で、前年度の当初予算に比べ二百六十八億余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百九十五億五千百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、
一般会計
からの
受け入れ
四千三百十億五千三百万円、
地方公共団体工事費負担金収入
三百六十四億七千八百万円、前年度
剰余金
の
受け入れ
二十億円を予定いたしております。 なお、
国庫債務負担行為
として、
直轄道路改築事業
に二百四十九億円、
街路事業費補助
に四十億円、
首都圏街路事業費補助
に二十五億円、
道路改築受託工事
に十六億円、
道路橋架設受託工事
に三十億七千六百万円を予定いたしております。 次に
治水特別会計
でありますが、本
特別会計
の昭和四十三年度の
予特総額
は、
歳入歳出
とも一千七百億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ百二十九億五千百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百十七億六千九百余万円の増となっております。 これを
勘定別
に分けますと、
治水勘定
につきましては、総額一千四百七十七億三千百余万円で、前年度の当初予算に比べ百十七億五千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百六億二千三百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、
一般会計
からの
受け入れ
一千二百四十一億三千四百余万円、
地方公共団体工事費負担金収入
百五十六億一千四百余万円、前年度
剰余金
の
受け入れ
三億五千万円を予定いたしております。 また、
特定多目的ダム建設工事勘定
につきましては、総額二百二十三億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ十一億九千三百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ十一億四千五百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、
一般会計
からの
受け入れ
百三十九億七千六百余万円、
地方公共団体工事費負担金収入
二十七億八千余万円、
電気事業者等工事費負担金収入
四十億五千五百余万円、前年度
剰余金
の
受け入れ
四億一千三百余万円を予定いたしております。 なお、
国庫債務負担行為
として、
直轄河川改修事業
に二十二億四千万円、
直轄河川汚濁対策事業
に五億七千万円、
首都圏河川改修費補助
に十二億五千万円、
多目的ダム建設事業
に七十一億三千九百万円を予定いたしております。 次に
都市開発資金融通特別会計
でありますが、本
特別会計
の昭和四十三年度の
予算総額
は、
歳入歳出
とも四十八億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ十二億二千八百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、
一般会計
からの
受け入れ
四億円、
資金運用部資金
からの
借り入れ金
四十一億円を予定いたしております。 次に個々の
事業予算
の重点について御説明いたします。 第一に
都市対策
について申し上げます。 人口及び産業の都市への急激な集中による
都市機能
の低下、
居住環境
の悪化に対処するため、新
都市計画法
及び都市再
開発法
を制定し、新
都市計画
の推進、新
市街地
の開発、都市の再開発、
公害対策
の推進、
都市施設
の
計画的整備等
に重点を置き、諸施策を強力に推進することといたしております。 昭和四十三年度における
都市計画事業関係予算
は、一千四百四億九千七百万円であります。このうち、
街路関係事業
の
予算額
は、
首都高速道路公団
及び
阪神高速道路公団
に対する
出資金
五十億円を含め、一千六十四億七千七百万円でありまして、これにつきましては、あとで御説明いたします
道路整備事業
に含まれております。
都市計画事業関係予算
のうち、
一般会計
に計上されている額は、
都市開発資金融通特別会計
への
繰り入れ金
を含め、三百四十億二千万円でありまして、これにより
下水道
及び公園の整備の促進並びに古都の
歴史的風土
の
保存等自然環境
の保全をはかることといたしております。
下水道事業
の
予算額
は、三百七億八百万円でありまして、第二次
下水道整備
五カ年計画の第二年目として、
水質汚濁対策
、
地盤沈下地帯等
の
浸水防除対策
及び新
市街地
の
下水道
に重点を置き、その整備をはかることといたしております。 なお、新たに都道府県を
事業主体
とする
流域下水道
の制度を設け、これに対する国の
補助率
を二分の一とし、
流域単位
の
下水道事業
を強力に推進することといたしております。 さらに、
公園事業
の
予算額
は、二十二億一千二百万円でありまして、これにより
国営公園
、
児童公園
及び運動公園の整備に重点を置き、公園の整備を促進するほか、新たに
公害防止
のための
緩衝緑地
の造成について補助することといたしております。 古都における
歴史的風土
の保存及び
首都圏
、
近畿圏
における
広域緑地
の
保全事業費
としての
予算額
は、七億円でありまして、これにより、
自然環境
の保全をはかることといたしております。 次に
都市開発資金融通特別会計
につきましては、
工場等
の
移転跡地
の買い取りに重点を置き、四十五億円の資金の
貸し付け
を行なうことといたしております。 第二に
土地対策
について申し上げます。 近年における急激な
都市化
による
宅地需要
の増大及びこれに伴う地価の異常な高騰に対処するためには、
公共施設
の整備された低廉かつ良質な宅地を大量に供給することが肝要であると考えます。 このため、
日本住宅公団
における
宅地開発事業
及び
住宅金融公庫
における
宅地造成融資
の充実をはかるとともに、
地方公共団体
及び
土地区画整理組合
が実施する
土地区画整理事業
についても資金の融通をはかり、
宅地開発事業
を強力に推進してまいる考えであります。 まず、
日本住宅公団
におきましては、
新規事業
として、
住宅用地
一千九百八十ヘクタール、
工業用地
百六十五ヘクタール、
流通業務用地
十ヘクタールの
開発事業
を行なうとともに、
住宅用地
六百六十一ヘクタールについて調査を行なうことといたしております。 また、
継続事業
として、
研究学園都市建設事業
を含めて一万四千七百四十四ヘクタールの
開発事業
を引き続き行なうことといたしております。 次に
住宅金融公庫
におきましては、一千六百五十三ヘクタールの用地の取得及び一千九百八十三ヘクタールの宅地の造成に要する資金の
貸し付け
を行なうとともに、
民間宅地造成
の促進をはかるため、新たに大規模かつ優良な
民間宅地造成
に対する
造成資金
の
貸し付け
の道を開くほか、
住宅融資保険
の
保険限度額
の引き上げ、
保険料率
の
引き下げ
を行なうことといたしております。
土地区画整理組合
に対する無
利子貸し付け
を行なう
地方公共団体
への
貸し付け金
は、これを八億五千万円に増額し、また、
地方公共団体
の行なう
土地区画整理事業
に対しては三十億円の
地方債
を予定いたしております。 以上のほか、宅地の大
規模開発
にあたって、その隘路となっている
関連公共
・
公益施設
の整備を促進するため、
日本住宅公団
に
債務負担額
二十一億円、
住宅金融公庫
に
貸し付け契約額
十億円が予定されており、これにより大
規模宅地開発事業
の円滑な推進をはかる考えであります。 また、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の
合理的利用
の促進及び環境の整備をはかるため、
防災街
区造成に対する
補助金
として、
一般会計予算
において三億九千万円を予定いたしております。 第三に
住宅対策
について申し上げます。 政府といたしましては、
国民生活
の
安定向上
と
社会福祉
の充実をはかるため、一昨年、現下の
住宅事情
を改善して、昭和四十五年度までにすべての世帯が安定した基盤の上に生活を営むことができるいわゆる一世帯一住宅の実現を目標とした
住宅建設
五カ年計画を策定いたしましたことは、すでに御承知のとおりであります。 昭和四十三年度においては、この計画の第三年度として計画の着実な実施をはかることといたしております。すなわち、
公的資金
による住宅は、
建設省所管分
三十八万四千五百戸、その他住宅十一万二千戸、合わせて四十九万六千五百戸の建設を計画しております。これは戸数において前年度より四万四千五百戸の増加となっております。これらに対する
予算措置
として、
公営住宅
については、
一般会計予算
において六百十二億五千五百余万円を予定し、第一種
公営住宅
三万五千二百戸、第二種
公営住宅
五万二千八百日計八万八千戸の建設に対し補助することといたしております。
住宅地区改良事業
については、
一般会計予算
において五十一億七千四百余万円を予定し、
不良住宅
の除却、一時
収容施設
の
設置等
の地区の整備及び
改良住宅
五千五百戸の建設並びに
住宅改修費
に対し補助することといたしております。 次に、
住宅金融公庫
につきましては、
資金運用部資金等
からの
借り入れ金
一千五百五十四億円のほか、
回収金等
を合わせて一千九百二十八億九千七百万円の資金及び
一般会計
からの三十六億五千百万円の
補助金
により、二十二万二千戸の住宅の建設と、さきに申し上げました宅地の取得、
造成等
に要する資金の
貸し付け
を行なうことといたしております。 また、
民間自力
による住宅の建設を促進する措置として、
住宅融資保険
について
保険価額
の総額の限度を引き上げるとともに
保険料率
の
引き下げ
を行なって、
民間住宅融資
の一そうの
円滑化
をはかることといたしております。 次に、
日本住宅公団
につきましては、
資金運用部資金等
からの
借り入れ金
二千百九億円のほか、
自己資金等
を合わせて二千三百五十九億九千九百万円の資金により、
賃貸住宅
四万三千戸、
分譲住宅
二万六千戸、計六万九千戸及び
住宅併存施設等
の建設を行なうとともに、さきに申し上げました
宅地関係事業
を行なうことといたしております。 第四に
治水関係事業
について申し上げます。
治水事業
につきましては、最近における災害の
発生状況
、
河川流域
の開発の進展及び
水需要
の著しい増大に対処するため、新たに昭和四十三年度を初年度とする
治水事業
五カ年計画を二兆円を下らざる
投資額
をもって策定することといたしております。 また、
一級河川水系
として、すでに
指定済み
の八十五水系に加えて、新たに六水系を指定する予定であります。 昭和四十三年度における
治水事業
としては、特に
中小河川対策
に重点をおいて
河川
、ダム及び砂防の各
事業
について
緊急施行
を要する
事業
を促進することとし、このため、
河川事業
に九百四十五億二千百万円、
ダム建設事業
に二百七十八億六千百余万円、
水資源開発公団交付金
に七十三億九千百余万円、
砂防事業
に三百十六億七千五百万円を予定いたしております。 まず、
河川事業
につきましては、
経済効果
の大きい重要な
河川
、災害の頻発する
河川
、
都市地域
の
河川等
の
改修工事
、東京湾、
大阪湾等重要地域
における
高潮対策事業
、大規模な
引き堤工事
、
放水路工事等
、
低地地域
における
内水排除施設
の
整備等
に重点をおいて
事業
の促進をはかる方針であります。 すなわち、
直轄事業
については、
改修事業
として一級河川百三
河川
、二級
河川
五
河川
及び
北海道特殊河
州十七
河川
を実施するほか、
河川汚濁対策事業
として一
河川
を実施することといたしております。
補助事業
については、
中小河川改修事業
及び
小規模河川改修事業
として
継続施行
中の九百九十五
河川
のほか、新規に九十七
河川
の着工を予定いたしております。 次に
ダム建設事業
につきましては、
経済効果
の大きい重要な
河川
、災害の著しい
河川
、
地域開発
に関連する
河川等
の
事業
を計画的に促進することといたしております。 すなわち、
直轄事業
では、
建設工事
として
継続施行
中の十二ダムのほか、新規に四ダムを施行することとし、また、
実施計画調査
として八ダムの調査を実施することといたしております。
補助事業
としては、
建設工事
として
継続施行
中の十六ダムのほか、新規に七ダムを施行することとし、
実施計画調査
として十五ダムの調査を実施することといたしております。 なお、
治水ダム建設事業
としては、
建設工事
として新規に五ダムを施行することとし、また、
実施計画調査
として新規十七ダムを含む二十二ダムの調査を実施することといたしております。 また、
水資源開発公団
において行なう
水資源開発事業
については、
ダム建設費
の
治水負担分
として
交付金
を交付し、その促進をはかることといたしております。 次に
砂防事業
につきましては、
直轄事業
として
継続施行
中の二十五
河川
のほか、新規に一
河川
及び
直轄地すべり対策事業
として
継続施行
中の四
河川
について
事業
を実施することとし、
補助事業
としては、特に重要な
河川
、災害の著しい
河川
に重点をおくほか、
土石流対策
の促進をはかることといたしております。 次に
海岸事業
につきましては、
一般会計予算
において五十六億六千六百万円を計上し、重要な地域における
海岸保全施設
の整備に重点をおき、
直轄事業
、
補助事業
を含め二百三海岸について実施することとし、また、
特定海岸
としては、すでに
指定済み
の十三海岸に加えて、新たに一海岸を指定する予定であります。 次に急
傾斜地崩壊対策事業
につきましては、
一般会計予算
において三億円を計上し、緊急に対策を講ずべき個所について
事業
を実施することといたしております。 第五に
道路整備事業
について申し上げます。 第五次
道路整備
五カ年計画の第二年度としての昭和四十三年度における
一般道路事業予算
においては、
一般国道
に二千二百八十五億七百余万円、
主要地方道
に七百四十一億五千九百余万円、
一般地方道
に六百九十億二千六百余万円、
市町村道
に五百三十四億三千余万円を予定し、これにより約三千二百キロメートルの
改良工事
と約五千六百キロメートルの
舗装工事
を実施することといたしております。 次に昭和四十三年度予算の
重点事項
について申し上げます。
一般国道
につきましては、交通上の隘路となっている区間の二次改築を促進するとともに、元二級国道については、昭和四十七年度に概成することを目途に改築を計画的に進めることといたしております。 次に
地方道
につきましては、重要な
地方的幹線
、
地方開発
を進めるための重要な路線に重点をおいて整備の促進をはかることとしておりますが、
市町村道
につきましては、
基本的整備方針
を確立し、効率的かつ計画的に整備を進める所存であります。 また、最近の
交通事故
の
発生状況等
にかんがみ、
人命尊重
の立場から
横断歩道橋等
の
交通安全施設等
の整備及び
踏切道
の
構造改良事業
を積極的に推進することとし、このため、
交通安全施設整備事業
に百九十六億三千五百万円、
踏切道構造改良事業
に二十六億八千九百万円を予定いたしております。
街路事業
の予算につきましては、さきに御説明いたしました
道路関係予算
に一千十四億七千七百万円が含まれておりますが、これにより大都市及び
地方都市
の重要な
幹線街路
を重点的に整備するとともに、街路の整備にあわせて
市街地
の再開発を行なう
土地区画整理事業
及び
市街地改造事業
の推進をはかることといたしております。 なお、
万国博覧会関連
、新
市街地関連
及び
高速自動車国道関連街路
の整備につきましても重点的に実施する予定であります。 次に
有料道路
について申し上げます。 まず、
日本道路公団
につきましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
百七十八億円のほか、
借り入れ金等
を合わせて二千三百五十二億九千七百万円の資金により
事業
を行なうこととし、
高速自動車国道
については、東名
高速道路
、
中央高速道路東京
−富士吉田間及び五道の建設の促進をはかるとともに、緊急に整備を要するその他の
高速道路
についても
整備計画
を樹立して着手する予定であります。 なお、五
道等新規高速道路
については、以上のほかに
債務負担
二百億円が計上されております。 次に
首都高速道路公団
につきましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
二十七億円のほか、
地方公共団体
からの
出資金
及び
借り入れ金等
を合わせて六百五十六億四千七百万円の資金により
事業
を行なうこととしており、継続九路線の建設を促進するとともに、新規に
首都高速
五号線二期及び
横浜市内線
の二路線に着手する予定であります。 次に
阪神高速道路公団
につきましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
二十三億円のほか、
地方公共団体
からの
出資金
及び
借り入れ金等
を合わせて四百五十三億五千九百万円の資金により
事業
を行なうこととしており、継続六路線の建設を促進するとともに、新規に
阪神線
及び大阪−
池田延伸線
の二路線を着手する予定であります。 次に
有料道路融資
について申し上げます。
地方公共団体
の行なう
有料道路事業
を助成するため、昭和四十三年度よりその
建設資金
の一部を無利子で
地方公共団体
に
貸し付け
ることとし、このため、
有料道路整備資金貸し付け金
として一億円を計上いたしております。 第六に
災害復旧対策関係予算
について申し上げます。
災害復旧対策関係予算
の総額は、六百十億七千五百余万円でありまして、その内訳は、
災害復旧事業費
に五百二十七億六千百余万円、
災害関連事業費
に八十三億一千三百余万円を予定いたしております。 そのおもな内容を申し上げますと、まず、
災害復旧事業
につきましては、
直轄災害
は、内地二カ年、
北海道
三カ年復旧の方針で、また、
補助災害
については、
緊要事業
は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針でそれぞれ
事業
の進捗をはかることといたしております。また、
災害関連事業
につきましては、
災害復旧事業
とあわせて適切な実施をはかり、再度の災害を防止するため効果をあげることといたしております。 第七に
官庁営繕事業
の予算について申し上げます。
建設省
で実施いたします
官庁営繕
のうち、
建設省所管予算
として計上されております額は、百二十七億五千余万円であり、これにより
中央官庁
、地方及び
港湾合同庁舎
の建設その他
一般官署
の建てかえを実施することといたしております。 以上をもちまして、昭和四十三年度の
建設省関係
の
一般会計
及び
特別会計予算
の説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。(拍手)
加藤常太郎
3
○
加藤委員長
以上で
説明
は終わりました。
—————————————
加藤常太郎
4
○
加藤委員長
質疑
の通告がありますので、順次これを許します。 この際、
質疑
をされる
委員各位
に申し上げますが、
理事会
の協議によりまして
質疑
は一人三十分程度をお守りくださるようお願いいたします。
福岡義登
君。
福岡義登
5
○
福岡委員
去る三月の一日に
保利建設大臣
が
所信表明
をされましたが、それに対しまして若干の質問をしたいと思います。 まず第一に指摘しなければならぬと思いますことは、
わが国
の
社会資本
が諸
外国
に比べまして非常に大きくおくれておるということであります。特に
生活環境施設
あるいは
住宅
などの
水準
が非常に低い
水準
にあるのであります。たとえば、
わが国
の
道路
の総延長は約九十九万キロ、そのうちで改良されておりますのはわずかに一六%でしかない。
舗装率
のほうも、さらに下がってわずかに七・四%という
状態
であります。これを諸
外国
に比べてみますと、イギリスの大体十三分の一くらい、イタリアの九分の一、西ドイツの八分の一というように、
日本
の
経済力
はこれらの国々にまさっておるのに、
社会環境施設
や——いま
道路
の例を申し上げたのでありますが、非常に大きくおくれておるということを指摘しなければならぬと思うのであります。
住宅
のほうを
考え
てみましても、私たちは七百六十万戸を五カ年
計画策定
にあたって主張したのでありますが、いろいろの経過を経て
政府
のほうは、六百七十万戸、これだけは五カ年
計画
で
建設
をしなければならぬというように
計画
をされましたように、非常に大きな
住宅難
におちいっておる。
道路
と同じように諸
外国
に比べましてはなはだ大きな立ちおくれといわざるを得ません。 さらに、その他
下水道
の
普及率
などを
考え
てみましても、
先進国
に比べまして問題にならぬほどおくれておるという
状態
なのであります。 これらの
事情
というものはなるべくしてなったというように私どもは
考え
ておる。言いかえれば、
歴代
の
自民党内閣
がそういう方向に意を用いなかったから、申し上げましたような立ちおくれをしたのである。戦後、
日本
の財政は御
承知
のように
公共事業中心
になっておるのでありますが、それは本来
産業資本
などが当然
建設
をしなければならぬ
工場用地
であるとか、あるいは
工業用水
、あるいは
産業用
の
道路
などを大量に供給してきたその反面、
国民生活
の
環境施設
あるいは
住宅
などが、先ほど申し上げたように大きな立ちおくれになっておると思うのであります。
建設大臣
も、
所信表明
で、
社会資本
を
充実
して
国民生活
の
向上
に寄与したいということは言われておるのでありますが、
歴代自民党内閣
がやってこられたのは、いま申し上げましたように非常に片寄って、本来
産業資本
が当然自前でやらなければならないものを、
公共事業
で
工場用地
であるとか
工業用水
、
産業
道路
などを大きくやってこられた、ここに問題があると思うのであります。 試みに、
昭和
三十三年から
昭和
三十五年を一〇〇といたしまして
昭和
三十六年から三十八年までの指数をそれぞれでとってみますと、臨海工業地帯の埋め立てを中心にするいわゆる港湾
整備
、これは実に六七九という数字になっております。
工業用水
道は五一一という指数になっております。
道路
、これはほとんど
産業
道路
中心にやってきた内容であると思うのでありますが、二四九。
住宅
は一体どういう指数になっておるかといいますと、わずかに二八六でしかない。上水道も一八五でしかない。
下水道
は一九二というように、この比較をいたしてみますと、指数に非常に大きな格差があるのであります。これらの事実は、先ほど申し上げましたように、
歴代
内閣がやってこられたその実績なんでありまして、
生活環境施設
や
住宅
などがおくれておるというのは、おくれるべくしておくれたのだ、ここに大きな問題があると思う。そういうことについて
建設大臣
は一体どういうようにお
考え
になっておられるか、今後どういう
対策
をとられようとしておるのか、まず承りたいのであります。
保利茂
6
○
保利
国務大臣
福岡
さんの御指摘の数字につきましては、いろいろ議論をするまでもなく、そうなっていると思うわけでございますが、私は
社会資本
が非常に立ちおくれをしておるということを
考え
ますときに、一体、戦前の
状態
を
考え
てみますと、終戦時点におきましても、今日はこれだけの進んだ国になっておりますけれども、極端に申せば
日本
に舗装
道路
一本もなかったというほど、
社会資本
の立ちおくれというものはたいへんなものであった。戦後の荒廃した中に、あの混乱の中から、いわば地ならしが済んで——
昭和
二十年代は戦後の地ならし時代だったと思うわけであります。三十年代になりまして初めて、この国土
建設
といいますか、新しい
日本
の姿を打ち立てようということで、
社会資本
の投資、公共投資に全力をあげだした。この十数年の短い期間にともかく今日の——これはもうお話にもならない非常な立ちおくれでもございますけれども、ともかく今日までやってきておる。そして、一級
国道
等につきましてはおおむね一〇〇%に近い舗装も達成できるようになっている、二級
国道
においても七、八〇%がそうなっているというようなことは、いかに戦後の国土のつくり方に、それは
日本
の姿の非常な変わりに応じて
社会資本
の
充実
に
歴代
政府
が力を入れてきたかを物語っておると私は思うのです。ただ、戦後よく申されますように、驚異的な
日本
の
産業
の発展といいますか、躍進といいますか、三十年代から引き続き今日に至るまで非常な勢いで高度成長を遂げてきている、それに対して
道路
やいろいろの
公共施設
等が追いついていけないというこの現実は正直に認めなければならぬと思っておるわけでございます。
政府
といたしましては、とにかくこの
社会資本
の立ちおくれを取り戻さなければならない、そしてわれわれのりっぱな国をつくり上げなければならぬという
考え
方で、
社会資本
の
整備
、公共投資につきまして、これは今年度の
予算
あたりにつきましては、いろいろ御批判もあろうかと存じますけれども、しかし、そこに相当
重点
を置いて
社会資本
の立ちおくれを取り戻そうとしていることだけは御了解をいただきたいものだと思うわけであります。特に
産業
や人口が傾斜的に集中してまいる、そのために、想像に余ることが
住宅難
等にあらわれてまいっております。本来言いますと、どうも
政府
のやっていることが事後追認の仕事に追われ過ぎているのじゃないかという御批判もある程度甘受しなければならぬ、長い将来にわたる展望に立って、できるだけ均衡のとれた
日本
の
開発
をはかっていくということが最も望ましい、そうでなくちゃならぬと思いますけれども、事態はあまりにどろなわ式といいますか、事後追認で追いまくられるというような
状態
になっているということにつきましては、深く反省をして今後の
施策
を取り進めてまいりたい。特に
生活
環境
の
整備
につきましては、本年度苦しい
予算
の中におきましても、
住宅
でありますとか、
下水道
でありますとか、
公園
でありますとか、そういうことにつきましてはとにかく格段の努力をいたしてまいったような次第でございます。
福岡義登
7
○
福岡委員
大臣は、反省をして極力努力をしていきたい、こうおっしゃるのでありますが、私どもが四十三年度
予算
を見ると、そういうようになっていない。あとでそれらの具体的事実は
住宅
関係を中心にして申し上げたいと思いますが、どうも口ではおっしゃるけれども実際問題ではできていない。
道路
の話がありましたが、確かに
国道
などはよくなりました。しかし、日常
生活
に直接関係のある
地方道
はほとんど手がついていないという
状態
なんです。あとでまた自動車
取得
税などの問題に関連して申し上げますが、さっき私が端的に数字をあげて言いましたように、
昭和
三十年から十年余りの
歴代
の内閣がやってきた実績というものは、
国民生活
に直接関係のある
社会資本
はあまり手がけてこなかった。
産業資本
が当然やらなければならぬような問題を中心にやってきておる。その姿勢が私どもは問題だと思うのであります。大臣もこれは否定されぬと思うのでありますが、
日本
のいまの
経済力
、工業生産高は、世界で三番、四番といわれておる。国の
道路
であるとか
住宅事情
であるとかいうことは、今日の
日本
の実情を
考え
てみるならば、りょう然としているわけです。ですから、申し上げました筋合いに基づいて、もう少し
国民生活
に直接関係のある
社会資本
の
充実
という方向に努力していただきたいということを要望しておきたいと思うのであります。 次の問題は、ここは
予算
委員会
じゃなくて
建設
委員会
でありますから、財政論争をここでやろうという気持ちはございませんけれども、
公共事業
関係で特に問題だと思う点についてもう一つ指摘をしたいのでありますが、
公共事業
の財政政策といいますか、これを見ますと、
昭和
三十年当時には、
一般会計
で六二%まかない、財投で三八%まかなっておったわけであります。ところが、
昭和
四十三年度を分析いたしてみますと、
一般会計
のほうは五四%しかない。財投が四六%、こういう割合になっておると思うのであります。これはどういうことを意味するかという問題なんであります。 申し上げましたように、基本的な財政論争をここでやるつもりはないのでありますが、
公共事業
の中に財政投融資の占める割合がふえるということは一体どういうことになるのか、ここが問題だと思うのであります。結論から言えば、
国民生活
をそれだけ圧迫する結果になっていないか。たとえば、
住宅
に例をとってみますと、
一般会計
の七百億に対しまして財投は三千六百六十三億、その割合は一六%と八四%、結局、財投のほうは借金なんでありますから、それだけやはり国民が
住宅
関係に出費を要請されるということになるわけであります。私どもは低家賃の
住宅
の提供ということを柱にいたしまして今日まで主張してきたのでありますが、いま申し上げましたような
状態
が招く結果というものは低家賃の
公営住宅
ができないということが第一番に言えると思うのであります。また、高家賃の公団
住宅
ということになってくると思うのであります。あるいは、持ち家中心の公庫
住宅
というものがこの中にあると思うのです。さらにまた、民間企業がやっております厚生年金
住宅
がふえてきておる、こういう事実は、私は大臣も否定できないと思うのでありますが、結果として
公共事業
の対象から低所得者をはじき出す結果になる。別の面からいけば、新しい負担を国民に課しておるということになっておると思うのであります。 いま申し上げましたようなことでありますが、
公共事業
に占める
一般会計
と財投との関係、これが年々歳々財投のほうが多くなってきておる。これは一体どういうことなのかということなんであります。そこのところを大臣のほうから所見を聞きたいと思うのであります。
保利茂
8
○
保利
国務大臣
住宅
問題に例をとられて、公共投資の
一般会計
負担分がだんだん少なくなってきて、財投が多くなってきておるじゃないか。今日の
住宅
問題に対処いたしますためには、とにかく持ち得る国民の蓄積、そういうものを投じ尽くして今日の
住宅難
解消に立ち向かうべきではないか。それぞれ
住宅
が建てられればそれだけの財産形成にもなるわけでありますから、したがって、その全部を一般投資によるということは、それは必ずしも妥当ではなかろうと思います。ただ、どの程度に現実の国民の負担にこたえつつ、そうして
住宅難
を解消していくかという
考え
方の上に立ちますと、今日の場合としましては、持ち家であろうと賃貸であろうと、とにかく
住宅難
の解消というところに焦点を合わして需要に応じた
施策
をとっていくべきではないかというように私は基本的に
考え
ております。賃貸に
重点
を置くんだというようなそういう議論は二の次でいいのではないか。実際家を持ちたい、家を借りたいという方々に幾らかでもその苦痛を解消していく、緩和していくという方向に焦点を合わして
考え
ていかなければならぬのではなかろうかと思います。一般論といたしまして、私もそういう財政論議等を申し上げるような知識はございませんけれども、とにかくいろいろな
事業
が折り重なっている、それで、国民の直接の負担、税金の負担によって解決していくべきものと、将来特別の利益にあずかり得る人たちが幾らかその分に応じて負担をしていくということには、おのずからきまっていくところがあろうかと思うわけであります。しかし、それにしても、取り組まなければならない諸
事業
が山積いたしておりますから、そこのもろもろの
事業
の公平を失わないように取り進めていくことが肝要ではないか、こういうふうに基本的には
考え
ております。 答弁にならないかもしれませんけれども、そういうふうに
考え
ております。
福岡義登
9
○
福岡委員
大臣のおっしゃる、
住宅難
解消というものが焦点であって、持ち家制度とかあるいは賃貸方式とかいうのは二の次だ、それは認めるといたしましても、いまのようなやり方であっては、結果的にやはり家が持てない、
住宅難
は解消しないということに結論としてはなりつつあると私は思うのであります。さっきも言いましたように、七百億しか
一般会計
からは出していない。それは一六%です。三千六百六十三億というものは借金であるわけです。そういう
状態
では、ある程度以上の収入のある者は入れますよ。ところが、それ以下の低所得者層は、
住宅難
解消とおっしゃるけれども、できはせぬじゃないですか。さっきも言いましたように、私たちは、やはり
住宅難
をほんとうに解消されようとするならば、いわゆる低家賃
住宅
、
賃貸住宅
というものを大幅に建てていかなければいかぬじゃないか、こういうことであります。 そこで、具体的に
住宅
問題の中身に入って、いま大臣がおっしゃったようなことがそういう筋で進んでいないということをお尋ねしたいと思います。 まず第一にお聞きしたいのは、来年度五カ年
計画
の三年目を迎えるわけであります。私の試算によりますと、いま提案されておる来年度
予算
がそのまま実行されたといたしましても、
政府
施策
の二百七十万戸の約半分、五〇%しかいかないと思う。そうすると、残りますのは
昭和
四十四、四十五年度の二カ年であります。この二カ年間で、二百七十万戸という
公的資金
によるものが
建設
できるかどうか、目標が達成できるかどうかということをまずお聞きしたいのであります。
保利茂
10
○
保利
国務大臣 七百億の
住宅
の
一般会計
の
財源
、御案内のように、その大部分はやはり
公営住宅
の
建設
のために用いるお金であるということは御了承をいただきたいと思います。それじゃそのほうだけうんとやって、あとのほうはまあ結局国民の負担になることだからという御発言ではないと思いますけれども、やはり
政府
が助成してまいります一番大きなところば
公営住宅
に置くべきであろうということで、その
予算
の大部分はそれに充てるわけであります。その点はひとつ御理解をいただいておきたいと思います。 なお、
施策
住宅
の二百七十万戸の約半分が四十三年度で達成できるであろう、これは御指摘のとおりでございまして、したがって、あと五〇%近くのものを四十四年度、四十五年度に達成できるかどうかということは、非常に困難だと思います。私は困難だと思いますけれども、もちろんこれは今年度以降の
わが国
の経済情勢、したがってまた、財政
状態
によっても大きな制約を受けてまいることはやむを得ないことでございますけれども、しかし、とにかく五〇%以上のせきを乗り越えたということになりますれば、あと半分は二年で何とかやっていけるように、佐藤
自民党内閣
としても、とにかくこの一
世帯
一
住宅
という目標に向かっては最大の努力を払うということを申し上げてきておりますから、財政
事情
の好転等も
考え
ますれば、必ずしも達成困難ではないというように、また達成しなければならぬ、当局としましてはどうしても達成しなければならぬという決意をもって立っておるわけでありますが、平たく申しまして、私は、一〇〇%達成しなければ
住宅難
の解消はできぬのか、そこは非常に問題だろうと思うのであります。かりに
計画
の九〇%以上を達成するという
状態
になりますと、不足感といいますか、欠乏感といいますか、
住宅
に対する焦燥感というものが一般の方々から非常に薄くなってくるのじゃないか、そういうふうなところに持っていくことが、数字よりもより大事じゃないかというように
考え
ておりますので、何とか
住宅
不足の焦燥感から一般の方々が解放されるような日をどうしてもつくり上げなければならぬ、そういうことでねらいをつけてやっておるわけであります。
福岡義登
11
○
福岡委員
前の西村
建設大臣
在任当時の
委員会
で私質問したのですが、いま申し上げましたように、五カ年
計画
で二百七十万戸、こう言われるけれども、年度年度の
計画
が少ないじゃないか、このままでいったのでは五カ年間に目標達成できないように思うが、どうかという質問をした記憶があります。西村
建設大臣
は、いやそういうことはございません、五年間で責任を持ってやるということをたしかお答えになっておると思う。ところが、いまの
保利建設大臣
のお話を聞くと、少しニュアンスが変わってきておる。ですから、ほんとうに目標を達成されようとされるなら、もう第三年度でも、いわゆる来年度からもう少し
住宅
関係
予算
をふやされる必要があるのじゃないか。その辺は一体どうです。
保利茂
12
○
保利
国務大臣 大体は
福岡
さんも御理解いただいていると思うのでございますけれども、私も前大臣のあとを引き継ぎまして、やはり
住宅難
の解消ということは
建設行政
の中の大きな課題であるということを痛感いたしまして、だいぶ努力をいたしてみまして、何とか来年度
施策
住宅
は少なくも五十万という声は聞きたいものだということで最後まで努力をいたしましたけれども、ほぼ五十万戸というような、四十九万六千戸というようなところで、しかし全体の
予算
の組み方、
公共事業
の配分の状況からごらんいただきまして、
住宅
問題には——前
建設大臣
かおっしゃいましたように、何とかこの五年間で達成しなければならぬというその気持ちは、これはもう私も前大臣同様でございますけれども、何も数字を並べてそれで満足できるわけのものでなしに、われわれが実際の市民
生活
ないしは
国民生活
に当面してその課題にこたえ得るかどうかということが問題だと思うわけでございます。私は数字にそうとらわれることは——決して逃げるわけじゃございませんけれども、とらわれず、とにかく
住宅難
という当面している事態、その中に感ずる民衆の焦燥感、そういうものをひとつ何とか解消したい、今後とも全力をあげてまいるつもりでおるわけであります。
福岡義登
13
○
福岡委員
全力をあげていただかなければならぬし、それは私どももそれで了解できるのですが、問題は中身が伴っておらぬということを指摘したい。 たしかあれは公庫
住宅
でしたか、大蔵内示が九万一千戸だった。それを大臣折衝で八千戸ふえて九万九千戸になった。これは非常に私どもは喜んだのでありますが、中身を見れば、
予算
は九万一千戸のときと九万九千戸のときは全く同じだ。戸数は名目的に八千戸はふえたけれども、それに伴う
予算
がふえていないように思うのですが、その点一体どうなっているのですか。
三橋信一
14
○三橋
政府
委員
ただいまお尋ねの公庫の個人
住宅
の
貸し付け
につきまして、九万一千戸から最後の段階で九万九千戸になった差の八千戸について、
予算
がふえてないじゃないかというお尋ねでございますが、ふえてはおりません。と申しますのは、御存じのとおり、財政投融資なり何なりからもいろいろ金が参りますけれども、公庫自体の自己
資金
の計算のしかたにもいろいろ問題がございます。そこいらの自己
資金
のはじき方によりまして、ただいまの八千戸の
貸し付け
の所要
資金
というものを生み出したというようなことになっておりますので、表は戸数がふえたが、金はふえておらぬというような姿になったわけでございます。
福岡義登
15
○
福岡委員
それはうまく
説明
されますが、自己
資金
と、こうおっしゃいますけれども、あとで計算をしてみますが、どうもそういうことになってないのじゃないか、名目は八千戸だけふえて金が伴っていないのじゃないかという気がしてならぬのです。これはまたあとで私もよく検討してみたいと思うのです。 次に、先ほどの問題に返るのですが、来年度の
計画
で非常に持ち家主義が強く出ておるということを言いたいのですが、大臣がおっしゃったように来年度四十九万六千戸、五十万戸にならなかった。その中で持ち家が五四・五%、
賃貸住宅
が四〇・五%、給与
住宅
が五%、こういうことになっている。もう少し
賃貸住宅
を——少なくとも持ち家と賃貸の関係を反対ぐらいにはしてもらいたいと思うのですが、その点どうでしょう。
三橋信一
16
○三橋
政府
委員
ただいまの持ち家と賃貸とのパーセンテージの問題でございますが、私どもの計算によりますと、
公営住宅
、
改良住宅
、公庫
住宅
、公団
住宅
、その他の
建設省所管
以外の
住宅
を含めまして四十九万六千五百でございます。これの持ち家の比率は四三%でございます。借家、いわゆる賃貸の比率——給与
住宅
というのはすべて賃貸でございます。したがいまして、賃貸の
住宅
か持ち家かということになりますと、いわゆる借家というものと給与
住宅
とを含めて
考え
るのが至当ではないか。そう
考え
ますと、五七%が
賃貸住宅
になる。したがって、五七対四三というような比率になっておるということでございます。
福岡義登
17
○
福岡委員
これはちょっと計算が違うのですけれども、どういう計算で出されたか、ちょっと中身を具体的に戸数をあげてください。
三橋信一
18
○三橋
政府
委員
中身を申し上ます。 持ち家
住宅
につきましては、公庫の持ち家におきまして十九万二千戸でございます。それから公団におきまして一万七千戸、その他の
住宅
におきまして六千三百戸でございます。したがいまして、二十一万五千三百戸に相なりまして、これが四十九万六千五百戸に対しまして四三%でございます。なお、それ以外のものがすべて公営、改良、公庫の賃貸、公団の賃貸、それからその他
住宅
の賃貸、あるいは給与
住宅
の六千三百戸以外のものということになりまして、これを合わせまして二十八万一千二百戸になりまして、五七%ということに相なります。
福岡義登
19
○
福岡委員
わかりました。それにしましても、もう少し賃貸のほう、特に低所得者層
対策
としての
賃貸住宅
をふやしてもらいたいと思うのですが、これはいずれまた機会をあらためてあれしたいと思います。 今度は
公営住宅
についてちょっと中身をお尋ねするのですが、今度工事費が八・二%ないし一三・六%、これは要求はたしか八%だったと思うのですが、一応八・二%ないし二・六%引き上げられた。
用地
費のほうを見ますと、一〇%しか上がっていない。たしか
建設省
の要求は五〇%されたはずであります。この程度でもやれると思われるのかどうなのか。
土地
の上昇は御
承知
のような
状態
であります。
三橋信一
20
○三橋
政府
委員
確かに
用地
費の問題についてはつらいと思います。一〇%といういまのお説でございますが、確かに一〇%というのが普通の場合の
用地
のアップの率でございます。ただ、第二種
公営住宅
のうち、中層耐火のものにつきましては三十七・数%アップをいたしております。一番問題なのは、第二種
公営住宅
と申しますのは、御存じのとおり、所得が一番低い層と申しますか、そういう階層でございまして、これはやはり
都市
内の相当なところに建てないと、職業との関係でなかなか問題が多い。そういう関係で、特に第二種
公営住宅
の中層耐火につきまして
用地
費の値上げを大幅にすることにいたしまして、そういうことによっていま申し上げましたような関係を解きほぐしてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、一気にこれを解決できませんことはまことに残念でございますけれども、なお国有地なり公有地なり、そういう点の活用等も十分はかりつつ、将来に向かいましてこの関係を解決してまいりたい、そういうふうに
考え
ております。
福岡義登
21
○
福岡委員
解決されたいとおっしゃるのですが、もともとこの
用地
費のいままでの査定が低かった。それに対してわずかに一〇%しか上がっていない。だから、あなたのほうが要求五〇%されておるように——この五〇%でも私どもは少ないと思うのです。その少ないと思われた五〇%が、さらに削られて一〇%しかアップされてない。これは別の意味では
地方公共団体
の持ち出し分がふえる、こういう点もあると思うのです。 次の点は、いまの問題に関連してでありますが、新聞の報道したところによりますと、大蔵省の内示におきまして
用地
費の補助を打ち切るという記事がありました。その後大臣などの努力もあったと思うのでありますが、一応復活した。しかし、聞くところによると、来年度
公営住宅
法を抜本的に改正して、この
用地
費に対する補助を廃止する、こういう話があるのですが、これは事実かどうか確かめておきたいと思います。
三橋信一
22
○三橋
政府
委員
お答え申し上げます。
予算
の際におきまして、
公営住宅
の
用地
費を融資に切りかえるという議論がございましたが、少なくとも来年度四十三年度につきましてその
用地
費の問題だけを切り離して融資に切りかえる、ほかの手当てをしないでそれだけのことをやるということについては、これはただいまの
公営住宅
法のたてまえからまいりますと、家賃が値上げになるという法律改正をせざるを得ない。といいますのは、御存じのとおり、
補助金
以外の部分が家賃の対象になる部分でございます。したがいまして、その部分が多くなれば、償却が同じであるといたしますれば、それだけ家賃が高くなるという理屈に相なります。もちろん、その際にどういう政策家賃をとるかということがもう一つございますが、その場合に、政策家賃をとって家賃を低めますと、さらに公共団体の負担というものが問題になってくる。そこで私どもといたしましては、そのように
公営住宅
の補助を融資に切りかえるということだけを取り上げて直ちに実行するということについては、非常に問題が大きい、したがって、これは
公営住宅
法の改正を抜本的に
考え
たいと思っておりますが、それの一環として、一体補助というものはどうあるべきかということをベースにして
考え
てまいりたい、そういうことから融資を取り下げてもらったというようないきさつになっております。
福岡義登
23
○
福岡委員
経過はわかりました。たしかこれは百十九億でしたか、来年度は一応それでいいわけですが、将来一体どういうように
考え
られるのか。いま抽象的には
公営住宅
法の抜本改正の中で検討したいというお話なんですが、御
説明
のとおり、もしこれが補助打ち切りになって融資にでも切りかえられれば、それだけ家賃が上がることは間違いない。
地方公共団体
の負担分がそれだけふえるということです。ですから、将来の方向として、われわれはこの打ち切りには反対だという気持ちなんですが、どういうように
考え
られておるのか。
保利茂
24
○
保利
国務大臣 これは
福岡
さんのほうでもよくひとつ——私のほうは一生懸命で研究してみるつもりであります。問題を提起されたときに、融資に切りかえられる、これは
考え
方としてはそういうことも十分成り立つ
考え
方である。その
考え
方を否定するものではないけれども、しかし、家賃にはね返ってくるということになると、これはどうも
建設
当局としては了解がつかぬ。そこで、大蔵省のほうでもそういう点については十分の配慮をいたしますからということもあったわけです。しかしながら、いま局長が申しますように、この問題だけを取り上げますと、それは家賃を上げるんだというような無用の誤解を引き起こすおそれもあると存じましたので、あえて今年度はこれを拒否して、そして大蔵省が言うように、財政当局が言うように、融資に切りかえても家賃にはね返る心配がないという具体的
措置
を一体どういうふうにとる方途があるか、そういう方途が保障されるならば、これは
考え
方としては、
地方公共団体
がそれだけの財産形成をするわけでございますから、補助でいっても、あるいは融資でいっても、そうやかましく言うことはないんじゃないかと思うわけであります。それもありまするし、かたがた
公営住宅
には現在いろいろな問題が起きておるようでございますから、そういう点等をあわせて改正する方向が見出せるならばひとつ見出していこう、それで一年間みっちり勉強してもらって結論をつけたいという、ただいまの
状態
になっております。
佐野憲治
25
○佐野(憲)
委員
関連して。ただいまの
用地
費の問題ですけれども、この点につきましては、すでに
昭和
四十一年度の
予算
編成にあたりまして、やはり
用地
費を起債に切りかえろ、こういうことで
建設省
と大蔵省のやり取りが続いておったわけであります。当時
公営住宅
のために
地方
で約二百億円をこえる超過負担をやっておる。そこへ、
用地
費を起債に回す、こういうことで紛争した結果として建物の単価のほうは上がりましたけれども、
用地
費の単価の是正は全然なされない、こういう醜態を演じたわけですが、二百億円からの超過負担をやっている、この超過負担を解消すべきなのに、建物の単価は上げたけれども
用地
費は全然上げなかった——というのは問題が決着しなかったからだということで、またまた
地方
財政に大きな負担をかけた。四十二年度におきましてもこの問題が繰り返されておった。しかしながら、一応ここでは建物の単価並びに
用地
の単価はわずかばかり上がった。それでも本年度におきましてもやはり百数十億円の超過負担になっておるわけですね。ですから、この問題は非常に重大な問題で、
昭和
四十一年に問題が提起されてきておる。そのときも単なるかけ引きのために
地方公共団体
に非常に迷惑をかけてきておる。
公営住宅
をやるのに
用地
費を一銭も物価騰貴も地価騰貴の分も見ない。しかも大きな超過負担をしいておる。これは法律違反とも思われることが行なわれておったわけですね。そのときの尻ぬくいを——
建設省
と大蔵省が意見が一致しなかったから、起債か、あるいは従来どおりということの論争に明け暮れして、何らの
予算措置
もやらなかった。以来ここに二年間が経過して、三年目を迎えておる。ですから、いま大臣がこれからと言われ、
住宅
局長がこれからと言われるけれども、問題はすでに
昭和
四十一年度に大きく提起されておる問題だと思うのです。それに対して、本年度の場合を見ましても、百十九億円ですか、百十九億円の
用地
費に対して
一般会計
で一体幾ら見ておるのですか。——ではこっちのほうから言いますかな。十五億円しか
一般会計
で見ていないでしょう。
用地
費に対してはいま言われましたようなアップがありますね。しかしながら、公団の
利子
補給で四十八億円、
国庫債務負担行為
で三十四億円ですか、こういうような
予算
のワクのやり繰りにおいて
用地
費を捻出しなければならない、こういう
措置
をとられておるのじゃないですか。
三橋信一
26
○三橋
政府
委員
ただいまのお尋ねの点で、まず、四十一年度の
予算
編成のときに
用地
費のアップがなかったというお尋ねが一つございましたが、実は私当時在職してはおりませんけれども、
用地
費の値上がりは若干あったように聞いおります。これは後ほど取り調べます。 それからもう一つ、そのあと、今回の問題におきまして十五億円より
用地
費の計上がなかったじゃないかという御説でございますが、確かにあとでふえました
一般会計
の額は十五億円でございます。しかしながら、
さき
に内示されました大蔵省の内示額を、中を組みかえまして、ただいまお説のとおり
国庫債務負担行為
等を組み入れまして、それらによりまして
用地
費を割り出しまして、したがいまして、一般の工事費なり
用地
費なりの単価アップは、先ほど来いろいろとお尋ねがございましたように上げております。それらを確保し、かつ八万八千戸の戸数を確保し、そして質の
向上
も、若干でございますけれども確保しつつ、中の組みかえによって十五億円の追加だけによって百十九億円の融資の問題を補助に切りかえていったということでございまして、したがいまして、
用地
費は百十九億円ということの中に含まれておるということに相なります。
佐野憲治
27
○佐野(憲)
委員
その点につきまして、中身の内容を分析しますと、百十九億円というのはことし限りである、それで
住宅
予算
の中からやり繰りをしろ、こういう形で問題は一応とらえられておるんじゃないか、だから四十三年度限りで大体打ち切りということを前提としての何じゃないかという疑問が生ずるのであります。やはり根本的に
考え
なくちゃならない。そういう大きな問題を持っておるのに、
建設省
としては具体的な
方針
を今日までお持ちにならなかったか。局長は先ほど少しは上げたと言っておられますけれども、
政府
の出しておる
地方
財政
計画
の
説明
書の中に、きわめて遺憾である、こういうぐあいにして
用地
費を見ていないことを指摘しているわけです。これは
政府
の出している
地方
財政
計画
の中で
説明
されておることです。それはまた後ほど調べてもらってもけっこうだと思いますが、ただここで大臣にも
考え
ていだたきたいと思いますことは、そういう中にあって、東京都の三多摩の五つの市長さんが、
公営住宅
に対する超過負担に耐えられない、当然国がこれは負担すべきであるという行政訴訟を起こすための会合をやっておられる、その準備を進めておられることは、御
承知
のことだと思います。そこで、今度の
予算
編成にあたりましても、約二百億円にのぼるといわれている超過負担、当然の単価なりあるいはまた工事費なり
用地
費なりの不足分に対する超過負担として二百億近いものがある、この点について、自治省と大蔵省において、四十三年度から三年
計画
でこの超過負担を解消するのだ、こういう申し合わせが行なわれておるわけですが、ところで一体どうなんですか。いま大臣からもありましたし、局長からもありましたけれども、
公営住宅
法を根本的に変えなくちゃならない。
用地
費の問題は非常に重大な段階に立っておる。二年前から大蔵省が主張してまいったものに対して、手をこまねいておったところに問題があるといたしましても、非常に強い態度で出てきておる、ことし限りだぞというような約束があるとかいうことも伝えられておるわけですけれども、それはそれとして、片方におきまして超過負担の行政訴訟の準備が行なわれておる。だから、自治省と大蔵省では、四十三年から三年間で解消の具体策を講ずるんだ、こういうことをいっておる。片方においては、打ち切りだ、これは起債に切りかえるんだというような話が
建設省
と大蔵省の間に進められているとするならば、非常に不愉快な印象を受けるのですけれども、この点に対してもう少しはっきりした、現在皆さんのとっておられる立場を
説明
願いたいと思います。
保利茂
28
○
保利
国務大臣 来年度の
公営住宅
の
用地
費の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの面から詰めまして結論を得たい、こういうことで、現在そういう
状態
でございますから、その点はそう御了承いただきたいと思うわけでございますが、問題になっております超過負担の問題につきましては、
住宅
関係のみならず、中央と
地方
との全体のもろもろの問題をかかえておるわけでございます。佐野さん御指摘のように、超過負担のこの遺憾な姿を三年の間には何とか解消したいということについては、
政府
部内も一致した見解をとって、今年度それぞれわずかではありますけれども解消に向かって一歩を踏み込んだというところでございます。したがいまして、
公営住宅
の
用地
費の問題につきましては別としまして、建築費等の工事費等につきましても、そういう形で三年のうちには超過負担というような非難が起こらないように持っていきたいということには誠意を尽くさなければならぬと
考え
ておる次第であります。
佐野憲治
29
○佐野(憲)
委員
私はいずれまた別の機会にお尋ねしますけれども、やはり長期
計画
、長期政策によるいろいろな目標なり、あるいはまた
事業
量、こういうような達成を急ぐために、各省ばらばらで、しかも非常に実情に合わない単価なり補助対象なり数量なりをもってやっていく、ただ単なる
計画
上の数字を合わせる、こういうことに性急であって、実際の対象よりも低目の対象に押えてしまう。標準
建設
費なんかは、中身を見てまいりますと、単なる数字だけを合わしていく。実際はもう
地方
自治体に非常に大きな負担をかけておる。こういうことはやはり改めなければならない点だと思います。そういう点を指摘しておきますと同時に、もっと具体的な問題は、きょうは関連でありますので、いずれ別の機会にまたいろいろと深めていきたいと思いますけれども、これらの点に対しましても十分ひとつ検討していただきたいのと、ただそういう意味において超過負担を解消するのだ、そのことのために
用地
費を打ち切ってしまうとか、補助を打ち切って起債に回す、こういう安易な方向にいくことを——現に家賃に及ぼす影響、低所得者の
住宅
問題として真剣に
考え
ていただきたい。この二つの点を要望して一応終わります。
福岡義登
30
○
福岡委員
時間がもう残り少ないので、
住宅
問題で、答弁は要りませんから、問題だけあと二つほど指摘しておきます。 一つは、公
住宅
団の関係で、
用地
買収の方式が従来は三カ年
計画
で五、四、一という割合だったのが、今度は二、五、三に変わるというように聞いておるのですが、こういうやり方では、御
承知
のように
土地
が非常な勢いで上昇しておるのですから、結果的に家賃に影響してくる。ですから、これはぜひ再検討していただきたいということが一つ。 もう一つは、同じく
住宅
公団の
利子
補給三十九億ですか、四十二年度にあったのですが、これが削られてしまった。これも家賃にはね返ってくると思いますが、ぜひ再検討をわずらわしたい。 もう一つ、団地サイズの解消ということが問題になっておるのですが、
昭和
四十二年度では二〇%解消する、
昭和
四十三年度は五〇%の解消ということになっておったのですが、ぜひ五〇%の今年度解消というものはやっていただきたいということを要望して、時間がないので問題点だけ指摘をしておいて、次に移りたいと思います。 次は自動車
取得
税の関係、
道路
予算
とも密接な関係があるのですが、この
取得
税の配分は、県が徴税をして、その徴税費として五%取る、残りを七、三の割合で、県が三、市町村が七という割合で配分するというように聞いておるのですが、そのとおりであるかどうか。
蓑輪健二郎
31
○蓑輪
政府
委員
私もそのように聞いております。
福岡義登
32
○
福岡委員
道路
財源
全体が非常に少ない。さっき、
社会資本
が立ちおくれておるというときにも指摘しましたが、特定
財源
だけで、一般
財源
が非常にない。これは抜本的に——
建設大臣
に
保利
さんがなられたのですから、自民党の実力者でもあるし、これはぜひ何とかしてもらえると思って期待をしておったのですが、中身はそんなになっていない。ぜひ今後一般
財源
をふやすように努力してもらいたいのでありますが、問題はいまの自動車
取得
税の関係なんです。非常に
市町村道
がおくれておる。
国道
、県道はある程度改良も舗装も進んでおる。それに比べまして
市町村道
が非常におくれておる。ですから、今度の場合、ぜひ
建設省
としてはこの自動車
取得
税というものを市町村にそのほとんどを回すというようなことに要求される意思はないかどうか、そういうようにわれわれは求めたいのであります。一体どういうように
考え
られるか。
保利茂
33
○
保利
国務大臣 この自動車
取得
税の県と市町村の配分の分につきましては、いろいろお説のような御意見もかなり多いように思います。自治省は自治省の見るところでこういう配分をきめることが公正だという
考え
に立っておられるわけでありますが、これはこれとして、ただしかし、市町村の
道路
の
整備
が非常に立ちおくれておるというこの現状は、率直に認めなければならぬと思います。したがいまして、そうかといって市町村に過重の負担がこのためにかからないように今度の
道路
五カ年
計画
の中におきましても
整備
を急ぎたい、急ぎたいが市町村に過重の負担がかからないようにという、非常に苦しい
計画
を盛り込んでおるのもそういうところにあるわけでございますが、しかし、どちらにしましても、幹線道といいますか、
国道
、県道の
整備
がだんだん進んでまいり、どうしてもおくれておるのは
市町村道
でございますから、そこにこれから幾らか傾斜がかかっていくようにしなければならぬ、また必然的にそうなるべきであるということからして、この五%を除いた七、三の配分が適当であるかどうかということにつきましては、一年これでやらしていただいて、どうもおもしろくない、じゃないかというようなことであれば、これは私どももそういう
市町村道
の
整備
という観点からひとつお説のようなことを努力するにやぶさかでないわけであります。
福岡義登
34
○
福岡委員
道路
予算
全体が少ないわけでありますが、そこのところを特に努力をしていただきますようにお願いしておきたいと思います。 それから、
建設
業法改正の問題が去年ごろからいわれておるのでありますが、審議会が御
承知
のように答申を出した。いま
建設省
で検討しておるというふうに聞いておるのでありますが、この
建設
業法改正のいまの作業状況、今度の国会に出される意思があるかどうかということをひとつまずお伺いしたい。
保利茂
35
○
保利
国務大臣 私はいま頭にえがいておりますのは、とにかく総理大臣の施政演説でも指摘しておられますように、全国の
都市化
現象に対してどう対処するか、すなわち、
土地
の問題ないし
都市
の問題に対してどう対処するかということが当面の大きな課題になっておりますし、したがいまして、現在御審議をいただいております
都市計画法
や
都市
再
開発法
に対してもいろいろ御意見は多かろうと思いますけれども、せめてこの御審議を進めていただいて、皆さま方のエネルギーをこれに注いでいただくわけにはいかぬだろうかというのが、私の正直な願いなのであります。
建設
業法につきましてもいろいろ改正の意見もかなり前から上がっておるようでございます。審議会の答申もいただいております。これをただいま事務当局において検討いたしている段階でございます。これらは
委員会
の皆さま方の御意向もあわせ
考え
つつ、この国会に間に合うのかどうか、間に合わしたほうがいいということであれば、ひとつ間に合わせるようにしなければなりません。率直なところ、そういう
考え
でございます。
福岡義登
36
○
福岡委員
私どもは出してもらいたくない。いまのあのようなものは出してもらいたくない。出さぬということを言明してもらいたいのですが、問題は、審議会の
委員
の構成を見ますと、いわゆる中小企業者の代表が入っていない。どうも答申の中身というものが大企業中心になっておる。非常に中小の企業者が心配しておるわけです。もし答申の線に従って作業が進められるということになれば、零細中小業者、あるいは特に大工とか左官とかいうものは非常に仕事がしにくくなる。どこかの大企業の系列に入らなければならぬ、そういう心配もしておるわけです。ですから、もし
建設
業法を改正されるといたしましても、何らかの方法でそういう業者の意見を——大企業の意見は大体答申の中に出ておるのですから、それ以外の業者の意見を聞いた上で十分検討するということにしていただくように、きょうお願いしておきたい。この国会には出さぬということをひとつ大臣から言ってもらいたい。
保利茂
37
○
保利
国務大臣 これは
福岡
さん同様、私も地元に関係を持っておりまして、いろいろな業態の実態も幾らかは関心を持って
承知
をいたしておるわけです。まあ
福岡
さんには
福岡
さんのいろいろ御存じのあれがありましょう。私も存じ上げて、じかにいま申されましたような方々の意見も聞いております。もう一つ、これはお互いに
考え
ていただきたいと思いますのは、中小企業の倒産ということが非常に大事な課題として出ておりますが、その中小企業として数えられている中の
建設
業関係の倒産というものは意外に多い。これは非常に注目されるところであります。その実態を把握するのに非常に困難を覚えておるわけでございます。そうかといいまして、
建設
業は逐年一万ぐらいの
増加
を示している。倒産していくから減っていくのかというと、倒産してかえって激増しているという
状態
、この実態が一体どうなっているかということは、お互いに冷静にこれはひとつ拾い上げてみる必要があるのじゃないか。そういうところからして、中小の
建設
業を育成していく方向からいたしましても、ただ登録さえすれば、それは
建設
業だ、どの程度の仕事をされておるか、どの程度の経営能力あるいは工事能力を持っておられるか、そんなことは全くおかまいなしに、登録さえすればそれは
建設
業だというような形でこの
建設
業が扱われておるということはどういうものか。そういう点について、いや、そんなものは一切かまわぬで、
建設
業法改正などというのはやめちまえ、やめましょうということは、私も即断的に言明することはできません。よくそこらの実態をわきまえて、もう少し
考え
させていただきたいと
考え
おります。
福岡義登
38
○
福岡委員
時間が超過いたしましたので、もうこれで終わりにしたいと思うのですが、いまの点は、中小企業が倒産する、その中の相当なウエートを
建設
業者が占めておる、それはそれなりのいろいろな理由があるので、別な
施策
を施していけば倒産が救済できる面も相当あるのですから、これは大臣がおっしゃるように、中小企業の業者はあまりよくないのが多いから、それを整理することも
考え
なければいかぬのじゃないか、そういう意味なら、それには賛成できないのですが、いずれにしても、もし改正されるなら、そういう中小零細企業、大工、左官というような人々の意見が十分入るような方法を講じてもらいたい。そうでなければ改正してもらっては困るという意味なんでありまして、何でもかんでも一切法律改正をやってはならぬという意味ではないのです。 最後に、本州と四国の橋についてひとつ。一々御質問すれば時間が長くかかるので、まとめて二つ三つお伺いいたします。 一つは、先般工期、工費について試算を終わったわけでありますけれども、今度はおそらく
経済効果
の計算などをやられまして、最終的にルートをきめられると思うのですが、その作業は一体どういうめどといいますか、いつごろまでにやられようとされておるのか。 それからもう一つは、一応はああいう試算の結果が出たのでありますが、橋は六車線、
道路
は四車線、発表されたとおりなんです。私どもが見ますと、あの試算、
計画
というものがそのまま一〇〇%再検討を必要としないというものでもないと思うのであります。そこで聞きたい点は、一応ああいう試算の結果は出されたのだけれども、他の、たとえば四車線ならというような想定で、あるいは鉄道併用でない場合、ある場合というような、発表された以外のそういう試算があるのかどうか、また、今後実情に即して、あの試算の結果とは別の試算を
考え
ることができるのかどうか、ちょっと言い回しが適当でないかもしれませんが、あの試算の結果をすべての基本にするかどうかということが一つであります。 それから第三にお尋ねしておきたいと思いますのは、五つのルートについて試算の結果が出ておるのですが、私どもは中心的には三つのルートが議論の対象になっておるというふうに認識しておるのですが、同時に二以上の着工というものは
考え
られるのかどうか。あくまでも西村
建設大臣
が話しておられたように、一ぺんに二以上というのは困難だ、一つずつということにならざるを得ぬのじゃないかというようなことに
考え
られておるのかどうか。 以上三つの点をひとつお尋ねしたい。それから最後に、これはあとで答えてもらいたいのですが、やはり
経済効果
という面と、それから
地域開発
という面と、議論の角度はいろいろあろうと思う。そこで、私はいまどのルートをあげてそれを優先すべきだという議論をここでする意思はありませんが、
経済効果
だけという議論よりも、やはり
地域
格差が非常に開いているのだから、
地域
格差是正という意味から、
開発
という面にもやはり相当のウェートをかけてもらいたい、これはひとつ要望しておきたいと思う。 以上で時間が超過しましたので、大臣のお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
保利茂
39
○
保利
国務大臣
建設
業法に関しまする
福岡
さんの御意見のほどはよくわかりました。私としても努力をいたすつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。 本州−四国の架橋問題につきましては、御案内のように、工期、工費の一応の
調査
の発表をいたしましたが、これは
建設省
としましてはいずれも六車線の構造として単独橋の試算をいたしております。そして昨年五月の土木学会の一応の結論をいただきまして、それで、かなり長い時間をかけて、事務当局で、今日の施工法をもって安全に工事を進めるとすればどのくらいの工期がかかるか、またどのくらいの経費がかかるかということをすなおに積算して出しておるわけであります。それだけで見ると、ここが割り安だからここへかけようというわけにもいかぬのだろう、それで、
経済効果
の
調査
とか、あるいは、何せ世界にずいぶん大きな橋があるようでございますけれども、そのいずれよりも、今度の瀬戸内海の架橋というのは、船舶航行上からいたしましても非常にむずかしい工事のようでございまするし、そういう点等もよく
考え
、その及ぼす
経済効果
も、ただいまお話しのように、
地域
格差の是正ということは、お互いこれはもう均衡ある国土の
開発
発展ということを念願しているものとしましては当然のことでございます。ただ、相当長い工期、示されておりますようにみんな十年以上もかかるような計算になっておるわけですから、十年と申しますと、過去十年のあとを顧みてみましても、四国にしましても中国にしましても、あるいは
道路
の
状態
にしましても、
交通
から来るいろいろの障害等、一体どの程度に十年後は
交通
が
整備
されているか、たいへん失礼だけれども、四国もそうたいして広いところではなし、あの県この県でなしに、四国一体として経済活動ができるような
状態
も当然
考え
ていいんじゃないかということから私どもとしては当分
考え
ておくべきだと思うのでございます。しかし、
建設省
の視角から見た
経済効果
の
調査
というもので一体足りるのか。いまお話しのように、やはり全体の総合
計画
というか、そういう上からも再検討してもらわなければならぬじゃないか。そこで、
建設省
の段階の
経済効果
の
調査
を急いでもらって、そしてその資料が大体でき上がりましたならば、当局者である経済企画庁にこれを移して、経済企画庁でもう一ぺん再検討願って、そして結論を見出すように持っていきたい、こう
考え
ておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。 とにかく、これだけの経済成長といいますか、国の発展をいたしてきておりますことでございますから、よくいわれますように、十年前に今日の
日本
を想像した者が何人おったかといわれるくらいで、十年後の
日本
がどういうところまで伸びておりますか、いろいろ長期展望はありますけれども、ああいうふうになりますれば、初めての長大橋でございますから、これをこなし得る技術陣というものは相当のものだろうと思います。そういう点等もどうも未確定の要素が非常に多うございますから、同時に着工できるかどうかということは軽々に申されませんけれども、とにかく、だれが
考え
てみましても、四国と本州がほんとうにフルに経済交流をするのに一本でいいだろうということを
考え
る人も少ないのではないか、私もそういうふうに
考え
ております。その程度です。
福岡義登
40
○
福岡委員
どうもありがとうございました。
加藤常太郎
41
○
加藤委員長
内海清君。
内海清
42
○内海(清)
委員
建設行政
の
基本施策
に関しまする大臣の
所信表明
に関連いたしましてはいろいろ問題があるわけでございますけれども、しかし、今日、先ほどの
福岡委員
のお話にもございましたように、
わが国
の
社会資本
の
開発
というものがおくれておることは、これはだれも認めざるを得ぬわけであります。たとえば
住宅
問題にいたしましても、あるいは
道路
問題にいたしましても、あるいは
都市
問題にいたしましても、ひとしくそういうものがあるわけでありますけれども、今日私
考え
まして、これらを解決いたします
わが国
の現状からいえば、地価
対策
というもの、これがきわめて重要な問題である、あるいは中心的な課題といってもいいのじゃないかというふうに
考え
ておるのであります。したがって、きょうは時間が三十分ということでございますから十分の質問はできませんが、若干これに対しまして御質問いたしたいと思うのであります。 それで、地価が高騰する、そのためにいろいろな障害が起きておるということは、いまさら申し上げるまでもございません。したがって、地価
対策
が最も緊急必要なものであるということは、すでに御
承知
のように、当初、
住宅
の総合
対策
懇談会、こういうものを
計画
されましたけれども、それが
土地
問題懇談会に切りかえられた、こういうことでございまして、これは大臣御自身も十分認識されておるところだと思うのであります。これに関しましては、
さき
の佐藤総理の施政
方針
演説におきましても、新しい国土
開発
を進めるためには、
土地
問題が公共優先の観点から再検討されねばならない、こう言われております。また、大臣も、
土地
問題懇談会の初会合で、これからの
土地
問題は公共優先の認識を徹底させないと解決しないというふうなごあいさつがあったように実は聞いておるのであります。 そこでお尋ねいたしたいと思うのでありますが、
土地
問題を公共優先の観点から再検討する、あるいはまた、公共優先の認識を徹底さすということ、こういうことは、従来から指摘されてまいりましたように、現在過度に保護されておる
土地
にかかる私権、これはあるいは語弊があるかもしれませんが、この
土地
にかかる私権の制限に踏み切るということであるかどうか、こういうことに対する大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
保利茂
43
○
保利
国務大臣 大きく申しますれば、
日本
のいわゆる農業国から工業国へ変貌をしてまいりました現在の
状態
におきまして、特に
産業
、人口が集中的に集中してまいりました地帯、その
土地
というものが一体どういうものか。私有財産としてその権利が保障されなければならぬことは、憲法上も当然なことでございますが、さればとて、そういう国情の変化——と申しますか——にこたえて、私有財産として
土地
は持っておる、しかし、その
土地
はやはり社会のため公共のために利用されなければならない財産であるということを、
土地
所有者関係者かそういうふうに頭を——おれのものだから、おれがどうしようと、寝かせておこうと使おうとおれの自由だというような
考え
方は、今日は通用しないのではないか。それが通用しないように、あたりまえに、
土地
というものは社会的公共的に利用せらるべきであるという
考え
方をみんなが持つようにならないと、これに規制、制限等の
措置
を加えますと、非常な強権的な摩擦を生ずることになるだろうし、まず、この
施策
の対象となる
土地
所有の方々に、その持っておられる
土地
というものにもし余分のものがありとすれば、それは社会のため公共のために利用せらるべきであるという
考え
を持っていただくことが何より大事ではないか。その点においては、この
土地
問題というものが取り上げられてから久しゅうございます。まだその辺のところに努力を要するのではないかというような感じが率直にいたしておるわけでございます。
内海清
44
○内海(清)
委員
大臣の御所見もっともだと思います。しかし、いま、
社会資本
の
開発
というようなものはいわば至上命令的に進めていかなければならぬ、これもまた事実でございます。そういたしますと、いま大臣のお話のような、すべての
土地
の所有者がそういう気持ちになるのを待つということのみも、国の
施策
としてはなかなかできないのではないか。そういうことになりますと、私どもは、今日まで、これはさっき申しましたように語弊があるかもしれませんが、過度に保護されてまいりました私権というものがある程度制限されてくるのではなかろうかというふうにも
考え
るのであります。もし、公共的な立場からある程度私権の制限に踏み切らざるを得ぬ、こういうことになりますと、 ここで一つお尋ねいたしたいのは、前国会で成立いたしました
土地
収用法の改正、これは御
承知
のとおりであります。それから
都市計画法
案にあります
土地
の利用
計画
、これらはいずれも私権がある程度制限されておるわけでありますが、そういうもの以外にどのような方策を今後なお進めていこう、こういうふうに
考え
られておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
保利茂
45
○
保利
国務大臣 問題は、相当長期に展望される
日本
の
産業
経済、
都市
状況等を
考え
まして、国土のどういう利用
計画
を持つかということが一番大事であろうかと思います。そういう上から、直接的にあるいは間接的にある程度
土地
を所有されている方々がそういう線に御協力を願わなければ、その利用
計画
の達成もできないと思うわけであります。そこで、まず私どもとしてやらしていただきたいと願っておりますのは、御指摘の
都市計画法
、
都市
再
開発法
等をふえんすることによりまして利用
計画
を持ち、同時にまた、
土地
税制の面からもそういうことが達成しやすいような税制の組み立てを願わなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに
考え
ております。
内海清
46
○内海(清)
委員
大臣は非常に慎重な御発言で、ぴんとそのものに来にくいのでありますけれども、税制の問題ももちろんございまが、私はこれはあくまでも補助的な問題だと
考え
ております。直接的にはやはり
土地
そのものに対して一つの
考え
方が出てこなければならぬのじゃなかろうかというふうに思っておるわけであります。いずれにいたしましても、いまの大臣のお話を聞きますならば、いわゆる
都市計画
におきまする
土地
の利用
計画
、あるいは
都市
の再
開発法
等にあります問題、さらには収用法というふうなもの、これらをさらに拡充して、できるだけ
土地
利用者の納得のいくような線でこれを解決していきたい、こういう御意向のように承りますが、大体そういうことでございますか。
保利茂
47
○
保利
国務大臣 大体そういうことでございます。
内海清
48
○内海(清)
委員
それでは次に移りたいと思いますが、この異常な地価の上昇であり、また、異常な速度で進行してまいりますところの人口と
産業
の
都市
への集中、これによりまする
土地
に対します膨大な需要が原因であることは申すまでもございません。しかし、この
都市
集中を生み出したものは何であろうか、ということを
考え
てまいりますと、
都市
のもたらしますところの集積の利益であるということが言えるのではなかろうか。この集積の利益というものは、
都市
を形成いたしますところの
地域
社会、この
地域
社会全体が生み出したものじゃないだろうか、そういうふうに私は
考え
るのであります。でありますから、根本的には地価上昇はこの
地域
社会によって生み出されたものである、かように
考え
るのでありまして、そういう点から申しますならば、この地価上昇によりまする利益というものは、本来
都市
を構成いたしますところの
地域
社会全体に帰属すべきものではないだろうか、こういうふうに私は
考え
るのであります。そういうふうに
考え
てまいりますと、地価の上昇による不労所得と申しましょうか、これが一部の地主に帰属しておるという現状であります。これがまず改められなければならないのじゃなかろうか。
宅地
の
造成
、こういうふうなことが行なわれました場合、あるいは一般物価上昇程度の
土地
の値上がり分は別といたしまして、
土地
にかかりまする利益と申しますか、利得と申しますか、これが個人に帰属いたしますことは排除されてしかるべき問題であろう、こう私は
考え
るのであります。その点に関しまして大臣はいかにお
考え
でありまするか、これをお伺いいたしたい。
保利茂
49
○
保利
国務大臣 地価の異常な上昇の主たる原因が内海
委員
も御指摘になりましたような
事情
によっておることは、私もそのとおりに
考え
ます。同時にまた、別の角度から見ますると、とにかく傾斜的な
産業
、人口の集中によって
土地
に対する需給関係が非常なアンバランスを生じた、そこにまた幾らか思惑的な、投機的な対象物として扱われたというようなことも、ますますこの上昇に拍車をかけてきているのじゃないかと
考え
るわけであります。それで、理論的には、お話しのように、みんなが集まってその
都市
を形成して、そしてそのために
土地
が上がったのだから、これはその
地域
社会の全体の人たちに均てんせらるべきであるという、これは理論的には私はそうじゃないかという気がいたしますが、しかし同時に、そこに持っておる
土地
の所有者の権利というものは、やはりまた別の角度から保護されなければならない。そこを社会的公共的にその私権との調整をどうはかって、どの程度に一体押えていくか、現実の問題としましては——いわゆる
開発
利益の社会還元という
考え
方を私は否定するものではございません。それをどの程度に現実に調和さして事態の改善をはかっていくかということが問題であろうというように問題を受け取っておるわけでございます。
内海清
50
○内海(清)
委員
もちろん、大臣のおっしゃるように、そのために私権が極端に侵されるということは問題であります。正当な地主というものがそのためにそこに利益を得るということは当然だと思います。だから、それ以上の場合、これが問題になる。よくいわれますゴネ得などの問題は解決しなければならぬというふうに
考え
るのでございます。きょうは時間がございませんから、なかなか突っ込んだ議論はむずかしいわけでありますが、私は、地価安定のためには、
開発
利益が不当に——不当にと言うことは当然たと思うのですが、不当に一部の地主に帰属するということはやはり排除されなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、そのためには、もちろん、さっき大臣もお話しになりましたような、これは補助的な役目は果たしますけれども、
土地
税制の問題もございましょう、同時に、
土地
の利用
計画
あるいは
宅地
の大量供給の問題、さらに地価の公示制度、これは
建設省
におきましても、公示制度につきましては、今日まですでにそれを
実施
するためにいろいろ
施策
をやっておられる。三十九年から毎年地価
調査
というものをやっておられるわけであります。これは公示制度に踏み切ろうという一つの前提である。こういうような総合的な
施策
がここに生まれてこなければならぬのじゃなかろうか。そういうような総合的の
施策
をやろうという
建設省
の意図は、私どもがこの四十二年度の「国土
建設
の現況」を見ましても十分うかがえるわけであります。あらゆる面にそういうことが出ておるが、しかし、現在までの
建設省
の
施策
は、いわば
宅地
の供給ということに非常な
重点
が置かれておる、こう言えると思うのであります。しかし、どんどん進行してまいります
都市
集中に伴う
土地
の需要に対して、それに見合うだけの
宅地
あるいは
工場用地
、こういうふうなものは、需要に応じてこれを供給するということはなかなか困難な問題である。非常な速度で発展しておりますために、このほうがおくれておるのであります。ところが、地価
対策
が行なわれていない現状におきましては、
住宅
公団あるいは名都道府県等で
公営住宅
などを
建設
いたしておりますが、そういうふうな公的機関による
宅地
などの
造成
のために
土地
を買い入れる、こういうふうな事柄がかえって地価の上昇の一因となっておるのじゃなかろうか、こういうふうにさえ
考え
るのであります。したがって、そういう
状態
が続きますと、地価の上昇は一向にやまない。これはもちろん現状そのものでございます。それからまた、
土地
収用法の改正が行なわれますときに、もちろん一部は
考え
られております。公共
用地
の対象となる
土地
に対しては千二百万円まで控除というようなことも出てまいりました。ところが、この際も民間の私的売買に対してはございません。でありますから、
土地
収用法の改正と同時に行なわるべきでありました
土地
の譲渡所得税の強化策ということは、四十一年には提案になったのが、 四十二年には出てこなかった、削られた問題であります。これが行なわれておりません。さらに税制
調査
会や
土地
税制特別部会でもまだ結論が出ていないという
状態
であります。こういう点を
考え
てまいりますと、ここらにいろいろ問題があると思う。これは急がなければならぬ問題だと思うのであります。
土地
税制特別部会の結論、これは早く出していただかなければならぬと思いますが、これはいつごろ出される見込みであるか、四十三年度には出ておりませんが、四十四年度からはこの
土地
税制の改正が可能なのかどうか、こういう点につきまして御所見を伺いたい。
保利茂
51
○
保利
国務大臣 地価
対策
につきましては、衆議院におきまして、三十九年の国会でございますが、共同決議案も出されておるわけであります。また、四十年の十一月には、これを受けまして
政府
も、閣議了解をとりまして、
宅地
の需給関係から、大量供給をはからなければならぬ、以下数項の決定をいたしました。それに因由しまして、ただいま御審議をいただいております
都市計画法
ないし
都市
再
開発法
を成立さしていただきまして、
土地
収用法一連の
施策
をお願いいたしておるわけであります。しかし、補助的役割りであるかどうかは問題があろうかと思いますけれども、先ほどからの私権と公共性、社会性との調和をどうはかっていくかという上で一番のウエートはやはり税にかかってくるわけであります。御案内のように、一度は国会の御審議をいただくようなものも出ておりますけれども成立に至らなかったことは、まことに遺憾に思っております。昨年十月、税制
調査
会に対して、
建設省
としましては、御指摘の譲渡所得税以下数項にわたって税制
調査
会で御審議をいただいておりますことについて意見を申し出ておるわけでございます。税制
調査
会でも非常に慎重に扱われまして、お話のように
土地
部会で御審議をいただいておるようでございます。七、八月ごろまでには税制
調査
会の結論が期待できるのじゃないか。そういたしますれば、しょせんこれは国会の御審議を願わなければならぬことでございますが、大体の目標としましては、次の通常国会にはひとつ具体的に御審議をいただくような段取りに持っていきたいものだと願っております。
内海清
52
○内海(清)
委員
その点はよくわかりました。 次に、御
承知
の
都市計画法
案によりますと、
都市計画
区域を市街化区域と市街化調整区域に分けている。これによりまして
市街地
の無秩序な拡大を防ぎまして、
計画
的な
都市
づくりをしよう、こういうことであります。ところが、地価
対策
が何ら行なわれておりません。もし現在のままでこの
都市計画法
が施行されるといたしましたならば、この市街化区域の地価はどんどん上がってくると思うのです。したがって、この市街化区域内におりますところの地主は大きな利益を得るのに対しまして、市街化調整区域の地価というものは、横ばいか、あるいは場合によれば下落するような現象が出るのじゃなかろうかということを実は私は
考え
るのでありますが、もしそういうふうになるといたしますならば、その区域の地主はそれを指定されることによってむしろ損害を受けるような場合も出てくるのじゃなかろうかということを
考え
るのでございます。これでは両者間におきまして著しい不公平が出てくるのであります。そうなりますと、この
都市計画
区域内のすべての地主はこの市街化区域の指定を受けるようにということで、ここにまためんどうが起きてくる、混乱が起きてくるのじゃなかろうかということを実は心配いたすのであります。 そこで、せっかく
計画
的な
土地
利用
計画
というものを行なうための方法でありますから、合理的な
土地
利用
計画
を行ないますためには、どうしてもここに地価
対策
、ことに、外部経済といいますか、たとえば、その
地域
に私鉄が敷かれたとか、あるいはその他の
高速道路
ができたとか、外部経済の力によりまして地価が高騰した、この場合の
開発
利益の帰属に対する適正化方策、どうしてそれを適正にするか、これはどうしても早急に
考え
なければならぬ問題ではなかろうかと思うのであります。その点に対しまする御所見をお伺いいたしたい。
保利茂
53
○
保利
国務大臣
都市計画
区域内を市街化区域と調整区域に区分けをする、市街化区域に包摂されるところの
土地
の利用度は高くなるから相当値上がりを期待される、一方においてはいろいろ制限をこうむることになるから、場合によれば損失を受けるようなことになるかもしれぬという御懸念は、これは全く同感でございます。それだけにまた、区域の設定にあたりましては府県知事におかれましても相当これは慎重にやってもらわなければならぬし、そうかと申しまして、そういう区域を設定します理由の一つは、無秩序な
都市化
を防いでいくということでもありますけれども、一面におきましては、積極的な農業の振興と申しますか——調整区域というものは、多くは農村地帯になるわけであります。したがって、そこの農業の振興という積極的な意味においていろいろの
施策
が講じられていかなければならぬのではないか。しかし、線を引かれたために、こっちは上がらぬで、 こっちはべらぼうに上がったということでは、たまたま線の中におられた人が、放任しておけば不当な利得を受けるということになりますから、これはどうも公正の理念からいいましても、全部というわけにはいかぬでしょうけれども、ある程度の調整を行なわれなければならぬ。今日の頭でいえば、相当きびしい制約を受けられてしかるべきものじゃないかというような
考え
方であります。しかし、
都市計画
区域の設定、その中における市街化区域、調整区域の設定ということは、住民にとってはきわめて重大な利害を伴う問題でございますから、一面においては、これの指定にあたりましては、農政当局者、そういう関係から十分慎重に練り上げられなければならぬ、それを期待をいたしております。
内海清
54
○内海(清)
委員
この問題はいずれ
都市計画法
でもいろいろ論議されると思いますのでこの程度にとどめておきたいと思いますが、いずれにしても、この二つの
地域
の不公平が生じないように、これを適正化するための方策は必ず必要であるということを
考え
るわけでございます。 次に、
土地
の税制の問題でございますが、これは地価
対策
上から申しますならば、私が先ほど申しましたように、むしろ補助的な役割りをになうものじゃなかろうかと思うのでありまして、
土地
税制特別部会でもそういうふうに指摘されておるところであります。しかし、何といたしましても必要なことは直接的な地価
対策
であると思うのであります。 そこで、私がまずお尋ねいたしたいと思いますのは、三十九年に不動産鑑定士の制度が発足いたしました。そうして不動産鑑定士及び不動産鑑定士補というものが生まれたわけでありますが、これがいま全国で——四十二年の現状には大体数はございますけれども、現在においては何名登録されておるか、また、これが東京あるいは京阪神あるいは中京圏等それぞれの
地域
にどのくらいおるか、それから、不動産鑑定士がやるわけでございますけれども、不動産鑑定業者というものがそれぞれの
地域
別にどういうふうに分布されておるかということがわかりましたら、一応御
説明
願いたい。
川島博
55
○川島(博)
政府
委員
御質問の不動産鑑定士並びに鑑定士補でございますが、三十九年に法律が制定されましてから本年まで四年たつわけでございますが、その間に特別試験を三回、一般試験を三回やりまして、ただいま不動産鑑定士の資格をとった者が九百五十人、士補の資格をとった者が五百六十人、合計いたしまして約千五百人の鑑定士、鑑定士補の確保ができたわけでございます。また、資格をとりまして業として鑑定を行なっております業者の数は、登録数が約二百五十になっております。これらの鑑定士並びに業者は一応全国的に分布をしておりますけれども、何と申しましても、需要が多い東京、大阪に相当数が集中をしていることは当然でございますが、関東甲信
地方
で鑑定士が五百四十人ばかり、近畿には百六十七人、相当濃密に関東、近畿に存在しておるわけでございます。しかしながら、鑑定士に需要がございますれば、広域的にどこへでも行って仕事ができるわけでございますので、現在のところ需要に対して供給が間に合わないという
状態
ではございませんで、大体全国的に活動しておるわけでございます。
内海清
56
○内海(清)
委員
中京圏はどれくらいですか。
川島博
57
○川島(博)
政府
委員
鑑定士が七十人でございます。
内海清
58
○内海(清)
委員
三十八年七月に鑑定評価に関する法律でこの鑑定士のこともきまったわけであります。これはいわば
建設省
が地価の公示制度を
実施
する一つの前提であったと思うのであります。そこで、
建設省
は、これによりまして地価の公示制度を
実施
するために、その準備
調査
を東京都及びその周辺について三十九年から始められておると思うのです。それから京阪神
地域
では四十一年から
実施
されておると思うのでありますが、この地価公示制度に踏み切られるのは、これは私ども新聞を見ますと、四十五年をめどにするというようなことを見たように思うのでありますけれども、はたしていつから地価の公示制度に踏み切られるお
考え
があるのか、それをお伺いいたします。
保利茂
59
○
保利
国務大臣 今年から名古屋のほうでも始めておりますから、できれば四十五年度、おそくも四十六年度には
実施
に踏み切るべきであろうということで、事務当局で準備を進めております。
内海清
60
○内海(清)
委員
これは今日の地価の高騰の情勢から見ましてできるだけ急いでいただきたい、これは強く要望申し上げたいと思います。 そこで、この地価公示制度が行なわれるといたしますと、これはいろいろな
対策
が
考え
られるわけであります。そこで私は四つばかり
考え
てみたのであります。 その第一は何かと申しますと、公示価格を統制価格とするということ。それから第二番としましては、公示価格を準統制価格といたしまして、その作用を持たせるために、公共
用地
につきましては、その公共
用地
の
取得
価格の最高
限度
を公示価格とする、それ以上高く買ってはいかぬということ。それから私的取引につきましては、
土地
の私的取引価格が公示価格を上回ったときには、これは仮称でありますが、
土地
譲渡差益税、こういうふうなものでも設けて、そうして高率の累進課税によって公示価格以上の売買を自主的に排除していくということ。それから三番目として
考え
られますのは、今日の地価の評価額でありますが、これは時価と相続税の評価額、固定資産税の評価額、こういうふうなものとございますが、今日の状況を見ますると、時価を一〇〇とした場合に、大体相続税の評価額は七五程度じゃなかろうか、あるいは固定資産税の評価額は五〇%、これはところによれば時価の二十分の一というふうなものもあるようでありますけれども、大体五〇程度の割合になっておるのじゃなかろうかと思うのであります。こういう公的機関の評価額が不統一であるということはいかがであろうか。地価問題に対しても非常な問題があるのではなかろうか。そこで、これを公示価格に統一いたしまして、それぞれの税の性質上、税額について問題があるならば、これは課税比率で調整していったらどうだろうか、こういう一つの案であります。それから第四番目といたしましては、公示価格を一応の目安にしたいということ、この四つ程度が
考え
られるんじゃないかと思うのでありますが、地価の公示制度が
実施
された場合に、大体この四つの中のどれをお
考え
になっておるだろうか、どれをとられるのであろうかというふうなことを
考え
るわけであります。ひとつ御所見を伺いたいと思います。
保利茂
61
○
保利
国務大臣 たいへん大事な問題で、また御提案でございまから、十分検討をさしていただきたいと思うわけでございます。 公示価格をもって統制価格にしたらどうかということにつきましては、これはよく研究はいたしてみますけれども、単刀直入に言えば、いうところの公定価格、マル公になるわけでございましょう。それがはたして経済全体の体制とマッチするものかどうかというかなり深い問題が横たわっておるようでございますし、十分検討さしていただきたいと思うわけでございます。 財産評価、
土地
評価が税種によっていろいろ違ってきておるということは、これはもう御指摘のとおりで、現状はまさにそのとおりでございます。これをどう統一して、実際は同一評価額をもって税額を決定していく、税率がどうなるかということのほうで
考え
ていくことがほんとうだと思うのでございますけれども、これは容易な問題じゃないようでございますし、内海
委員
の御意見はわかりましたから、十分研究さしていただきたいと思います。
内海清
62
○内海(清)
委員
これで終わりますが、いずれにいたしましても、最初に申しましたように、いますべての社会
開発
の問題で突き当たっておる問題はこの地価問題だと思うのであります。したがいまして、
建設省
でも今日まですでにいろいろ
施策
についてはお
考え
の点が多いと思うのであります。実は私どももこの問題は早急に根本的に解決されなければならない問題だということで勉強いたしております。したがいまして、今後これらの問題につきまして、ひとつ
建設省
におきましても早急に結論を出していただきたい。また、私どももその案ができましたらまた卒直にお話し申し上げまして御検討いただきたい、かように
考え
ております。 〔
委員長
退席、砂原
委員長
代理着席〕 どうかひとつその点御了承願いたいと思います。 以上で終わります。
保利茂
63
○
保利
国務大臣 いろいろ御提案をいただきましてありがとうございました。十分勉強して——御鞭撻をいただきたいと思います。
砂原格
64
○砂原
委員長
代理
小川新一郎
君。
小川新一郎
65
○小川(新)
委員
建設大臣
にお尋ねします。
所信表明
の中で、大臣は「総合的な
土地
利用
計画
を確立いたし」、とございますけれども、この「総合的な
土地
利用
計画
」というのは、
計画
法とか再
開発法
とか収用法とかいう
土地
三法だけをさして
土地
利用
計画
というのでございますか、どうなんでございますか。
保利茂
66
○
保利
国務大臣 国全体の国土の利用
計画
というものは、御案内のように、国土総合
計画
を立てられて、そして利用
計画
が立っているわけであります。
建設省
の所管部分としましては、右の三法等を運用することによりまして中身を盛っていきたい、こういうように
考え
ております。
小川新一郎
67
○小川(新)
委員
それは私、
考え
方が違うかと思うのです。総合的な
土地
利用
計画
というものにちょっと欠けているやに
考え
るのでありますが、いまも同僚議員、先輩議員から
土地
に関するいろいろな問題が述べられております。そういうものを包含したところの
土地
利用
計画
というものがなければこれはだめでありますし、地価
対策
という面においても
政府
はまだ具体的な
計画
等を発表しておりませんが、そういう点を含まれてないのにかかわらず総合的ということばは、妥当でないように
考え
られるのでありますが、この点はいかがでございますか。
保利茂
68
○
保利
国務大臣 いろいろ、あるいは工業を興す地帯であるとか、あるいは商業の地帯であるとか、住居の地帯であるとか、そういうことが総合的に策定されていかなければならないという
考え
方は、私はいいんじゃないかと思うのであります。
小川新一郎
69
○小川(新)
委員
この点について議論しておりますと時間がかかりますので、また後に譲りますが、瀬戸山さんは、
土地
は商品でない、また西村さんは、特別な商品であるという
土地
の定義というものを打ち出しましたが、
保利
大臣はどのような
土地
の定義をお持ちでございますか。
保利茂
70
○
保利
国務大臣 私は、先ほど来お答えいたしましたように、今日の
日本
の現状下におきまして
土地
を持っておられる人は、ほかの私有財産と違った公共性、社会性の高い財産であるということを申し上げておりまして、それが商品であるかないか、どういう商品かということは、これはもう私は別にそういうことを申し上げようというような気はありません。そういう性質のものなんだ、それをいま普通の商品と違うのだということをおっしゃれば、そのとおりだと思いますし、それはもうどちらでも名づけはご自由で、私はこだわりたくないと思います。
小川新一郎
71
○小川(新)
委員
大臣も大体その特別な商品というようなものの定義の
考え
方をお持ちのようでございますが、大
都市
問題について
建設大臣
は総理大臣と意見が少し違うように私思っているのです。総理は分散論、
建設大臣
は大
都市
集中論というように、阪上氏の質問の中から、新聞だけで判断すると、そういうふうな答弁のあり方になっておるのですが、現在の
都市
問題で、大
都市
集中論か、それとも分散論でいくか、この二つの意見に分かれておりますが、どちらを大臣はおとりになっておりますか。
保利茂
72
○
保利
国務大臣 私もかけ足で勉強しておりますけれども、大体そういうう論議は、大
都市
集中論と分散論と、これは世界的にあるということを伺っております。けれども、現実の事態を処理すべき任務を持ちます者としましては、たとえば東京なら東京はどうするんだということから
考え
ていくべきじゃないか。それには、中枢部にいなくても大体その目的を達し得るようなものは、できるだけ分散していただいたらどうだろうか。また、今日の都心部にかかる通勤
状態
から見まして、何とかこの方々がもっと輸送施設を利用しなくても済むところに住んでいたならば、両面から事態の改善がはかっていかれるのじゃないかということから
考え
ますと、職場に近いところに住居をかまえていただくというようなことができないか、それは
都市
再
開発
論になってくるのじゃないか。それは、あるものについては分散論であり、あるものについては集中論になって、そういうふうに色分けされるとはなはだ私は迷惑ですけれども、そういうふうな
考え
を持って
都市
環境
の
整備
をはかっていくということが大事じゃないだろうか。議論はいろいろできると思いますけれども、事態はそういうふうに見ていくべきじゃないだろうかと
考え
ております。
小川新一郎
73
○小川(新)
委員
非常に現実的なお
考え
でございますが、現時点に立ったところの
都市
再
開発
というものはそれであってしかるべきでありますけれども、やはりマスタープランとか、総合
開発
計画
とか、
地域開発
計画
とかいう一つの未来というものに立ち至ったときには、ここにも大
都市
論をお書きになった局長さんがいらっしゃいますけれども、私あの本を拝見しておりましても、一体
日本
の国土というものはどういう方向の視野で進んでいかれるのか、その点において確たる目標というものを与えながら、いまはこういう時点だから困っているから両面もやるけれども、こういうふうに太平洋沿岸ベルト地帯に
日本
の人口の八〇%も集中するような、経済を基盤とする
都市
集中というものが行なわれているときには、いまのままでは飽和点になるから、こういう時点ならこうなるという一つの方策というものがおありだと思うのですが、それをお尋ねしたいのです。
保利茂
74
○
保利
国務大臣 これは小川
委員
の言われる分散論につながるかもしれませんけれども、新
産業
都市
あるいは工業
整備
特別区域の指定、そういうもので全国土の均衡ある
開発
発展を遂げていきたいということがこのねらいであったろうと思うわけでございますが、事実また経済的ないしは生産的なねらいは傾向としてはある程度達成せられつつあるようでございますけれども、おそらく新産
都市
ということをなにすれば、百万
都市
とかなんとかいう、人口もそこにある程度集中してくるのじゃないかというようなことが目算せられておったと思うわけです。そういうことには人口のほうがなかなか——ということは、生産の施設の合理化、近代化というものが進んで、比較的工場における労働量というものが減ってまいりましょうし、したがって、
産業
が興っているほど人口の集中は行なわれていない。それは初めから新
産業
都市
をねらったときに一体そういう想定をしておったかというと、そうじゃない。ある程度やはりその新
産業
都市
の
建設
が進んでいけば、人口も相当流れていくという想定だった。ところが、やはり人口は三大
都市
に向かって集中してくるというような
状態
が今日まで続いてきたというところに、反省を加えられなきゃならぬじゃないか。それで、そういう上から、国土総合
計画
もいまは再検討され、そして経済企画庁でその作業を進めているわけであります。そういう上で、お話のように、私ども、当面のごたごた、いわゆる修羅場に立って事態の事後追認的な仕事に追われている
状態
から、そうでなしに高いビジョンを持って、長期構想を持って仕事に取りかからなければいかぬじゃないかという御指摘は、これはもう私ども痛感をいたしておるわけであります。本州−四国の架橋問題や、あるいは本土の縦貫自動車道等々の
開発
がそこにねらいを持っておるということは、御了承いただきたいと思います。
小川新一郎
75
○小川(新)
委員
何だか大臣にごまかされちゃったような——大臣はどうも演説がうまいから——私は純情でありますから、そういう点はすなおにものを解決したく
考え
ております。 大臣にもう一点お尋ねしますが、大臣は、自力
建設
と
施策
住宅
、こういった公営でやるのを、六対四の割りでやっておられます。自力
建設
の六割ですが、一般のサラリーマンが、東京から一時間から二時間くらいの間に
土地
を買って家をお建てになるとすれば、一体幾らくらいの見積もりで、この六百七十万戸の家を自力
建設
、民間に依存しているのですか。どういう点に計算をお立てになっていますか。
保利茂
76
○
保利
国務大臣 お互いの社会
生活
はいろいろの関係の上に立っているわけであります。これを一律にとにかく裸でみんなそこでいるというものではないと思うのです。それぞれの家庭
環境
なり、あるいは縦の関係、横の関係、みんなそれぞれあると思うのです。小川さんの子供さんでも、かりにいらっしゃるとすれば、小川さんの力というものが子供さんの上にもある程度働くわけでございましょうし、そういうふうないろんな
環境
が千姿万態であろうと思います。したがって、そういうことなしに、現在とにかく五十キロ地点なら五十キロ地点に家を建てるとすれば、一番安く手に入る
土地
はどこか、そこで一番安く家を建てたらどうなるかというような計算は、これはできるかもしれませんけれども、私は、それはあまり価値ある計算じゃないんじゃないかと思います。ただ、実際に
住宅
公庫なんかに融資を希望してこられている人たちは、それぞれの
事情
を背景として申し込んできておられる。その需要には何とかこたえていって、小さな市民の願いを達成してあげるようにすることが大事じゃないだろうかというような私は
考え
方なんですよ。しかし、お話のようなことを計算してみろといわれれば、事務当局がすぐ計算するだろうと思うのです。
小川新一郎
77
○小川(新)
委員
それは大臣、結局われわれが
考え
なきゃならぬことは、現在の
住宅
五カ年
計画
が全部
政府
がつくるものならけっこうですが、われわれはやはり民間に依存しておる。そういう中で、一時間、二時間ということはたいへんな労働です。二時間を十年間やっておりますと、二年間は電車の中で暮らしている計算になるのです。それで、大体この間も、
建設省
もよくないですよ、
土地
の値段を発表しちゃったですね。十キロ圏は幾らだ、二十キロ圏は幾らだ、三十キロ圏は幾らだという、ああいうものを発表したということは、あの
土地
は
建設省
で認めているということになる。たまたま私の友だちがあれでやりますと、二十五坪の家を建てるのに六百五十万円かかるのです。
土地
が大体二百五十万、家が三百五十万かかる。一時間四十五分かかるその
土地
から通って、そのくらいの家を建てなければならぬ。それを
住宅金融公庫
とか、そういったところから金を借りるにしても、
土地
がなければ貸してくれない。そういう積算を——
保利
大臣は
住宅
をまず表看板に打ち立てられた非常に大衆的な
建設大臣
であるので非常に評判がいい。そういう大臣が、そういう下々の、また大衆の家を建てる積算がいまどれくらいに見積もりを立てられているか、そういう点をお
考え
になって、はたしてこの五カ年
計画
ができ上がるのかという点、これが第一点。 第二点は、
施策
住宅
にいたしましても、現在もう第三年目でまだ
計画
の半数で、残り百三十四万八千戸をあと二カ年で
建設
しなければならぬ、こういう見通しに立っておりますが、
政府
も
土地
の獲得というものが非常に大切で、たいへんであります。早い話が、
住宅
公団等は、埼玉県、神奈川県、千葉県では、もう入ってきてくれるなという公共団体がある。こういう
土地
の問題に対しては問題をはらみながら
住宅
を
建設
していかなければならぬという点に立って、大臣はいまの二点、はたしてこの五カ年
計画
ができ上がるのかという点について御決意を伺いたいのであります。
保利茂
78
○
保利
国務大臣 要するに、五カ年
計画
を策定いたしてその達成をはかっておりますゆえんは、何とかこの
住宅難
を解消したいというところに目的があるわけでございますから、私は、
政府
の施政
方針
でもその意図を明らかにいたしておりますように、
住宅
問題については何とかひとつ大衆の御期待にこたえ得るように、来年度から三カ年でございますけれども、三カ年で所期の期待だけは実現をしてまいりたい、こういうふうに
考え
ておるわけでございます。 なお、
宅地
を求めるのにだんだん公団でも公社でも困難を感じてきておる、これはお説のとおりでございます。したがいまして、都心部でもまだまだ家賃の関係が生じてまいりますから非常にむずかしいのでございますけれども、再
開発
構想が許されるということでございますれば、強力にもう少し
都市
環境
を
整備
しつつ
住宅
地としての都心部の
開発
というものが行なわれるべきではないか、そういうふうに
考え
ます。
小川新一郎
79
○小川(新)
委員
住宅
の問題で超過負担の問題がありますが、私の計算でいきますと、大体
公営住宅
で一戸七十万から八十万
地方
自治体が持ち出していく、こういうことで、現在超過負担の問題で武蔵野とか国立とかいう東京都下の五市で行政訴訟を起こすという動きがあるのです。こういうことは地財法違反にもなるわけです。
住宅
に関係して私はお聞きしたいのですが、国を相手どって
地方公共団体
が行政訴訟を起こすなんということは、これはゆゆしい問題です。埼玉県、千葉県の中でも、そういう国に対して超過負担の行政訴訟を起こそうなんという話がある市町村もある。こういう問題は大臣としてはどうお
考え
になっておりますか。
保利茂
80
○
保利
国務大臣 中央
政府
に対する財政需要が非常に高い、何とかその需要に応じていかなければならない。しかも、いわば国のつくりかえをやっているという
状態
でございますし、おのずから中央
政府
のやらんとするところのものも、国民の力にはそこに
限度
があるということは当然でございます。そこで、昨年から財政硬直がいわれる中において、中央の財政は非常に苦しいけれども、むしろ
地方
のほうが財政的には幾らかゆとりを生じておるんじゃないかというようなことが、この
予算
編成の過程においても一つの問題点に上げられておったようでございます。しかし、そういうことは別としても、とにかく超過負担を
地方
財政に大きくかけている現状は、
政府
もはなはだ遺憾とするところであるから、何とか向こう三年のうちにはひとつ解消したいということで、各般の
施策
について、今年度を初年度に、三年
計画
の第一年
計画
としてその意図をあらわしているわけでございますから、まあ、
地方
でもほんとうに困難を感じられておるところは私ともよく
承知
を——私も
地方
の関係からしましてほんとうに弱っているところがあるのでございますけれども、みんながお互いにしんぼうし合って、よき国をつくっていくようにということでしんぼう願いたいものだ、
政府
の誠意をくんでいただきたい、かように思います。
小川新一郎
81
○小川(新)
委員
年間一千四百億も、二千億に近い超過負担が、三年間で必ず解決できるのですか。
保利茂
82
○
保利
国務大臣 財政当局、自治省あわせてそういう意気込みで取り組んでおることを
承知
いたしております。
小川新一郎
83
○小川(新)
委員
この点はまたあとで本
会議
でも聞きたいと思っていることなんですが、先ほど、大臣が、
土地
について公益優先の観点に立っていろいろと御検討なさるということになっておりますが、どの程度私権の制限をお
考え
になっておりますか。
保利茂
84
○
保利
国務大臣 公益優先という見地で再検討をしなければならぬ段階にあるのじゃないかと総理が呼びかけておりますゆえんは、持っておられる
土地
というものは相当公共性、社会性の高いものであるということをひとつまず認識していただきたい。それで、いろいろの
土地
の利用
計画
を策定して、それを達成していきます上においても、それだけの余裕を持っておられる
土地
については、社会的、公共的に利用していただくというような気風が馴致されるということが第一の必要なことじゃないかということを総理は訴えているところだと私は思うわけです。そこで、どこそこの
土地
についてはこういう制限をつけるというようなことを、直接法的には私はそんなことは
考え
ておらない。ただしかし、出したくはないけれども、みんなのために、世の中のためになら出さなくちゃなるまいというようなふうには、それは国が制限するという場合もありましょうけれども、ある意味においては自分が自分の利用を制限するというような気持ちを持ってもらわないと、なだらかにいかぬのじゃないだろうかというような
考え
を持っています。
小川新一郎
85
○小川(新)
委員
土地
の制限ですけれども、三十坪とか五十坪の
生活
の本拠を取られる人と、何百坪と取られる人では違うと思う。
生活
の本拠を取られる方々に対しての制限というものは、私は
考え
ねばならぬ。二十坪とか三十坪やっとためたところが、たまたまそこが公共の
用地
に買収される、そのために私権が制限されるようなことがあったのでは、
保利
大臣のせっかくの御構想もだめになる。そういう点、
生活
の本拠を取られるものと、そうでないものとの段階は、大臣としては
考え
られておりますか。
保利茂
86
○
保利
国務大臣 そういうところはもちろん——そうかといって、そこへどうしても
道路
をつくらなければならぬ、
都市計画
上どうしても
道路
が必要である、そこがひっかかるという場合には、それはそれに見合う十分の補償が講じられなければならないということはもう当然でございましょうけれども、二十坪か三十坪のわずかなところだから、そんなものはよけて通れというような場合には、
計画
としてはできない場合が多かろうと思いますし、そういうことに対しては十分の補償を講ぜらるべきであるというように
考え
ます。
小川新一郎
87
○小川(新)
委員
それは
土地
収用法なんかでも、強化された収用法でもってやっていくわけですか。
保利茂
88
○
保利
国務大臣 よく言われますけれども、
土地
収用法というものは非常に強権的なものでございますから、どうしても話がつかない場合のことであって、収用法ができているからといって、話し合いを続ければつけられるところに収用法なんというものをひらひらさせるものじゃない。できるだけ当事者間の相談を任意にできるように——それがどうしても社会的、公共的、国家的に話がつかない、やむを得ないという場合にこそ、これこそいわゆる伝家の宝刀的な役割りをしなければならぬものだと
考え
ます。
小川新一郎
89
○小川(新)
委員
そうしますと、やはり私の希望している点には沿えないように
考え
てくるのですが、その点についてはまたあらためて大臣に追及していく
考え
であります。 私はきのうまで地震のほうを見てまいりましたが、東京がいま一番地震に弱い。町じゅうが掘っくり返されて、地面の下が空洞になっている。これが震度五とか震度六とかいうえびの地震のような地震がきたとき——東京の地面の下は、地下鉄だ、やあ共同溝だとかいう穴があいておりますね。そういう場合にどの程度まで大臣は安全度ということをお
考え
になってこれから
都市計画
をやっていかれるのですか。
保利茂
90
○
保利
国務大臣 これは十分やっていると思うのですけれども、事務当局のほうから……。
竹内藤男
91
○竹内(藤)
政府
委員
ただいまの御質問の、地下鉄なりあるいは共同溝なり、その他の地下の施設があるから、地震が起こった場合に東京の場合は特に不安心じゃないかという御指摘でございますが、私ども地下駐車場なり地下鉄なりつくりますときには、
都市計画
上の配慮はもちろんでございますが、どれくらいの地震がきた場合にそれが耐え得るかどうかという構造上の安全度は十分
考え
て施設をしているものと
考え
ておりますので、他の場合と比較して、そういう施設があるから安全じゃないというふうには
考え
ておりません。私自身専門的な技術屋でございませんので、こまかい点はわかりませんけれども、そういうふうに見ております。
小川新一郎
92
○小川(新)
委員
これは大事なことだと思うのです。大臣、磯村教授も、その他の
都市
工学の教授たちも、口をそろえて、現在の東京ほど危険な
都市計画
はないんだ、こんなに下を掘っくり返されていって、さらにまた掘っている。掘って掘って掘りまくって、地下にもぐることはいいけれども、
日本
のような地震国においてははたしてどの程度まで安全なのか、われわれはそういうことを言いたくないけれども、絶対大危険が起きるということを予言するということが新聞に出ておりますが、そういう何か人心が不安になるような、火薬庫の上に立っているような、いつどさっと落っこってくるかわからないような大
都市
の中にわれわれは集中している。先ほどの大臣のお話でいきますと、まだまだ分散論でもないらしいし、集中論のほうに力を注いでいる。確かに、
都市計画
をやられて再
開発
をなされて、どんどん上へ上がっていく、下を掘っていく。重量もかかってくる。三十六階だなんて相当な目方です。その下をまた掘ります。そうなってくると、われわれはやはり安全、快適、繁栄、こういった
都市
の五つの要素を含んだ
都市
生活
者としての権利がなければならぬ。こういう点については私は非常に不安を感じておるので、実は大臣から、だいじょうぶなんだ、まかしておけ、絶対そういう点だけは皆さんに御心配をかけないという確信に立っての
都市計画
ならば、これは国民も安心していけますけれども、現在のような、学者の方々は、あぶない、大危険が起きると言っている。けれども、
都市
工学のほうの権威者である執行部のほうはだいじょうぶだと言う。われわれは一体どっちをとったらいいか、いま思い悩んでおりますが、この点について大臣……。
保利茂
93
○
保利
国務大臣 言論の自由時代ですから、どういうことでも言われておるようですけれども、とにかく大事な人命にかかわる施設でございますから、想定される危険に対応して十分安全の
措置
を講じて行なわれなければならぬことは、もう申すまでもないことでございます。 〔砂原
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 私は、現状のもろもろの施設がそういうことに対して不安を感ずるようなものでないということは確信をいたしますけれども、小川さんのお説はごもっともでございますから、十分さような点についてはこの上とも私の及ぶ限りはひとつ配慮を尽くしてまいりたいと
考え
ますから、御了承願います。
小川新一郎
94
○小川(新)
委員
木造賃貸しアパートの不良が非常に目立っております。非常に高いです。こういった木造の不良、便所が一つしがなくて、一部屋しかない、そういうアパートの
建設
もこれは一
世帯
一
住宅
に計算されているのですか。 〔
委員長
退席、丹羽(喬)
委員長
代理着席〕
保利茂
95
○
保利
国務大臣 私もこの間——何もこと新しく見に行くまでもなく
承知
いたしておりますが、また江東方面に見にも行ってまいりました。実際そういうところがあります。しかし、当局で指導いたしておりますのは、とにかく小家庭は小家庭なりの
水準
、多数家庭は多数家庭の
水準
で民間
住宅
が建てられるように指導いたしております。これはひどいじゃないかというようなものを決して奨励しているわけじゃございません。
小川新一郎
96
○小川(新)
委員
でも大臣、便所が一つで、五人も六人も朝順番を待っている——きたない話ですけれども、お勝手も共同でお使いになる。これは人間の基本的
生活
の基準じゃないですよ。朝トイレの前へ並んで青い顔をしているような、近代国家の憲法で保障されている明朗にして快適な文化
生活
とはまことに言えない。そういう中に、六畳一間で一万二、三千円も払っている。私の現に使っている者でありますが、これだって一万二千円もする家賃を払っている。月給が四万円足らず、ほんとうに収入の四〇%も家賃に食われている。こういう建物を一
世帯
一
住宅
に
政府
が見ていくということは、私は基本的人権に関係していると思うし、また、これに対してはどういう適切な指導の手を伸ばされ——大臣も一応ごらんになっておりますが、
保利
大臣はごりっぱな大きな家にお住まいになっておりますから、そういう便所が一つしかない、朝こうやってバンドを押えて並んでいる悩みはわからないでしょうけれども、こういった若い人たちはこのために結婚もできない。佐藤さんは、自主防衛だ、国防だなんて言っていますが、まず第一にわが家の防衛からはかっていかなければならぬ。こういう点は
保利
大臣がほんとうに本格的に取り組んでもらわなければならない問題だと思いますが、この点について……。
保利茂
97
○
保利
国務大臣 小川さんにつり込まれてつい言うわけじゃございませんけれども、私も子供を独立させるためにほんとうに因っているので、つくづくそれをわかっているわけで、決してよそごとには
考え
ていない。お互い市民
生活
の多数の中にそういう姿があるということを認めなければならない。したがって、いろいろ理屈も多うございますけれども、何としてもやはり
施策
住宅
の率をふやしていく。もちろん、民間
住宅
につきましても、小家庭は小家で、多数家庭は多数家庭なりの
水準
をひとつ想定して指導はいたしておりますけれでも、やはり全体の
住宅
レベルが上がり、少なくとも
公営住宅
のところにまでは、どんな民間のいわゆる賃アパート等にしましても、そういうものではそれにだれも入り手がないというところまでいかなければならぬじゃないか、それでも入り手があるような
状態
をいつまでも続けておいたのではだめじゃないか。それが私の一番切実な願いであります。
三橋信一
98
○三橋
政府
委員
ただいま大臣のお答えで大体尽きておるのでございますけれども、御存じのとおり、一
世帯
一
住宅
と申しますのは、二、三人の小家族では九畳以上の居住、それから四人以上くらいの家庭では十二畳以上、これを称して一
世帯
一
住宅
と言っております。したがいまして、統計的に見まして六十何万戸建ったとか七十何万戸建ったと言っております民間
住宅
、その基準に合致したものだけを拾っております。それ以下のものは拾っておりません。しかしながら、なおそういうおかしな姿のものがそれ以外に建って、そこにいまお説のように非常に高い家賃で入っておられる方がおります。これは大臣もお答えのように、
施策
住宅
のシェアをふやしまして——なかなか一気にまいりませんけれども、この五カ年間においてそこへ到達するように努力してまいりたいと思っております。
小川新一郎
99
○小川(新)
委員
なお、法的には建築基準法違反とかなんとかで取り締まったり指導したりするわけにいかぬですかという点が一点と、結局、二階木造では補助の対象になっておりませんし、鉄筋の三階以上が助成の対象になっておる。そういった一番建築のパーセントの高い不良木賃アパート、いまの大臣のおことばだと、そういうものは必要ないというふうに早くするのだと言いますけれども、それまでにはなかなか時間がかかると言っております。そうすると、そういうものを建てさせていく、それを押えるという方法がない、規制がない。ただこれはしようがないというのでは、私は現在の
日本
の
住宅
問題というものがあまりにも底辺の犠牲者におっかぶさっていくのだと思うのですが、その点、局長どうですか。
三橋信一
100
○三橋
政府
委員
お説のとおり、そういう
住宅
がかなりある、これは私も否定できない事実だと思います。現在、
住宅建設
計画
法におきまして住居の居住
水準
をきめることになっております。実は私どもこれを
住宅対策
審議会に諮問いたしまして、居住
水準
というのは一体どうあるべきだということにつきましていろいろ議論していただいております。そこで住居はかくありたいという
水準
が出ると思いますけれども、しかし、それだからといって、それ以下のものが絶対いかぬのだ、建てちゃいかぬのだということまでは、これは私はなかなか言い切れない、そういうふうに
考え
ます。したがいまして、やはり
施策
として建てるものをふやしていく、そういうものがなくなるようにしていくよりしようがないのじゃなかろうかと思います。 そこで、お尋ねの第二点でございますが、しからばこういう民間のものを補助できないかというお尋ねでございますが、これは実は個人補助に対しましてはいろいろほかにも議論がございまして、これらにつきましては、現在の融資の制度がいろいろございますので、
施策
住宅
で
公営住宅
なり
改良住宅
をふやすとともに、公団、公庫の
住宅
、これは建てて貸すもの、あるいは融資をするもの、いろいろありますけれども、そういう道を拡張していく。一口で申しますれば
施策
住宅
を拡充するということで補っていくということが、やはり今後の進むべき道ではなかろうかと思っております。
小川新一郎
101
○小川(新)
委員
まことによく話はわかりますが、結局、とうとい、少ない
土地
を
不良住宅
に占拠されていく、スラムは続々できていく、こういう点は、国土総合
開発
計画
や
地域開発
計画
という一つのマスタープランがありながら、現在なおかつこういった
都市
問題が指摘されるゆえんであると思うのです。こういう点はやはり強力なる
措置
をとっていかなければ改正できない。すなわち、
政府
が責任をもって
施策
住宅
を完全にできるのかと言えば、
公営住宅
に入るのに一千倍も二千倍もの競争率を持っている、これがいまの偽らざる国民の
住宅
問題の世相だ。この点について私は大臣に今後前向きの姿勢で前進していただきたいことをお願いしたいのです。時間がないのでその次に
道路
問題をお聞きしますが、
道路
問題で、五カ年
計画
がございますが、ことし、
一般会計予算
ですね、この
予算
が減って、目的税のガソリン税のほうだけがふえていくというようなことはどういうわけなんですか。これは
道路
建設
の後退じゃないですか。
保利茂
102
○
保利
国務大臣 昨年
一般会計
から今年度八百二十二億の繰り入れが行なわれ、それが来年度は四百七十億に減りました。同時にまた特定
財源
のガソリン税等も増徴がなにされますから、全体としては、幾らですが、〇・七%ですか、そのくらいの伸びになっているかと思います。いませっかく特定
財源
以外の一般
財源
を八百億までも繰り入れるようにしていただきました与党の努力が積み上げられておりましたのに、これが四百七十億にあれしましたということは、これは全く私の微力のいたすところでございますけれども、御
承知
のような財政
事情
のもとで、最後までがんばってみましたし、また、与党の御心配をいただいてわずかでもかち取ることができておりますけれども、このことにつきましては私は非常に残念に思っております。しかし、なおひとつこれは深い御理解をいただきたいと思いますのは、特定
財源
の揮発油税等が、やはりこれは消費が伸びますから、ふえてまいります。そうすると、
道路
の特定
財源
に今日は確保せられておりますが、、財政当局は、苦しいものですから、もうこれを少しほかのほうに転用しようというような意見が出ておることは、御案内のとおりでございます。そういうことは、
道路整備
を急がなければならぬ現状においては、どうしても食いとめていかなければならぬ。のみならず、一般
財源
をもう少し入れてもらってほしい。そして、何といっても
国民生活
を
安定向上
させていきます。また国力をさらに
充実
させていきます基盤の
道路
であるという上からして、
道路整備
は手をゆるめてはならないという
考え
を持っております。そういう
考え
でございます。
小川新一郎
103
○小川(新)
委員
道路
に
重点
を置きたがる大臣が多い中で、じみちな
住宅
問題にも力を入れている
保利
大臣としましては、——与党はかりじゃないのです。私は野党の立場から
道路
問題は大事だということをいま述べているので、与党与党とおっしゃっていますけれども、与党ばかりじゃないのです。野党だって、それは大臣に対していろいろ注文もあるし、応援もしたいと
考え
る。
住宅
に対して非常に
重点
的にやっていただくことに対して、普通
道路
に
重点
を置く方が多い中で、まことにわれわれとしては見上げた大臣であると感心しているのでありますけれども、それはそれとしましても、
一般会計予算
からもう少し
道路
予算
に導入させていかなければならぬじゃないか、こういう点についていま質問したわけであります。 次に、これは地元のことでまことにおそれ入りますが、東北道の外環道、実は埼玉県の問題でありますけれども、東北縦貫自動車道の岩槻以南の基本
計画
の決定がなされておらないやに聞いておりますが、これは一体きまるのでございますか。また、外郭環状線の基本
計画
の早期の決定というものはいつごろ行なわれますか。この二点をお伺いしたいと思います。 〔丹羽(喬)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
蓑輪健二郎
104
○蓑輪
政府
委員
東北縦貫道の基本
計画
については、実は岩槻から以北を出しておりまして、岩槻から南は、いまのところ、御
承知
のように出ておりません。この理由は、やはり東京の外郭環状線をどの辺にするか、どこを起点として東北縦貫道を出すか、さらに外郭環状より中まで持ってくるか、この辺が実はまだ決定されないためにおくれておる次第でございます。実は岩槻の手前の東京側につきましても、もとの二級
国道
の東京−日光線でやっております際に、その中に高速自動車道が入るような
用地
はすでに確保してございます。そういうことでございまして、やはり外環の位置、この位置がはっきりきまるようになれば、できるだけすみやかに基本
計画
及び
整備計画
を出していきたいというふうに
考え
ております。 次に、外郭環状につきましては、これは
都市
局におきまして
都市計画
の決定を急いでおります。いまいろいろ地元との調整を終わりまして、大体五月くらいまでには
計画
決定をしたいというふうに聞いております。
小川新一郎
105
○小川(新)
委員
これは埼玉県の
地域
計画
ができないから、おまえのほうでそういうことを
計画
しないから決定しないんだということを、新聞では、吉兼さんですか
道路
局の次長さんがおっしゃっていますけれども、埼玉県の責任なんですか。そういうわけじゃないですか。
蓑輪健二郎
106
○蓑輪
政府
委員
これは別に埼玉県だけの責任ではもちろんないと思います。外郭環状になりますと相当大きな規格の
道路
でございます。それに合わせてどういうような
都市計画
をつくるかというようなこと、これは
土地
の利用
計画
も入ってくるかと思いますが、そういうことでわれわれもいろいろ検討しておる次第でございます。埼玉県だけの責任でおくれておるわけでもございませんで、慎重に検討しておるためにおくれているようなわけでございます。
小川新一郎
107
○小川(新)
委員
いつごろできますか。
蓑輪健二郎
108
○蓑輪
政府
委員
大体五月末にはできるように思います。
小川新一郎
109
○小川(新)
委員
最後に大臣に
都市
河川
についてお尋ねしたいのですが、大
都市
並びにその周辺
地域
を流れている川ですが、その川はもう
河川
としてだけとらえるのではなくて、
下水道
も含めた有機システム、両面から合わせていく
都市
河川
法というものをつくって、この
都市
の下水、排水また
河川
の問題等をとらえていかなければならないと思いますが、
都市
河川
については私ども公益
都市
河川
法というものをいま議員立法で出す
考え
を持っておりますが、こういったものの
考え
方についての
建設大臣
の御所見を承りたいと思います。
保利茂
110
○
保利
国務大臣 小川さんの御提案がどういうものであるかまだよく
承知
いたしません。いまお話を伺ったばかりで……。とにかく
都市
河川
を少し見直さなければいかぬじゃないか。これは昨年でございますか、佐藤総理大臣も、
都市
河川
、中小
河川等
については特段の
施策
を講じていかなければいかぬということを、
災害
当時に言っておられたように記憶いたしておるわけでございますが、今度お願いしようと思っております。新しい五ヵ年
計画
の中に、
都市
河川
、中小
河川
に
重点
を置いた五ヵ年
計画
を策定しようということになっておるわけでございますし、御提案の内容がどういうふうなものでございますか、とにかく
都市
河川
を一ぺん見直して
重点
的に
施策
を講じていかなければいかぬという
考え
方をとっておるわけであります。
小川新一郎
111
○小川(新)
委員
では最後に
建設大臣
にお願いしたいことは、いままで種々述べてまいりましたが、地価問題についていろいろと民社党の方からもお話がございましたが、大臣としてはこういう方法で地価を抑制していくんだというお
考え
を大臣からお聞きいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
保利茂
112
○
保利
国務大臣 すでに先ほど申し上げますように、衆議院におきまして各党一致の決議もございまするし、内閣の閣議決定の線もございまするし、それをどういうふうに実行してまいるかということについて着実な方途を
考え
なければいかぬじゃないかということで、はなはだどうかと思いましたけれども、
土地
問題懇談会等もお願いしまして勉強いたしておるところでございます。私も、仰せをまつまでもなく、ひとつ自分なりの道を求めたいと思っておりす。
小川新一郎
113
○小川(新)
委員
具体的にはまだございませんか。
保利茂
114
○
保利
国務大臣 できるだけすみやかに……。
小川新一郎
115
○小川(新)
委員
いつごろまとまるのですか。大体予想としては大臣の
考え
はいつごろまとまりますか。
保利茂
116
○
保利
国務大臣 いまお話がございますように(「すみやかに」と呼ぶ者あり)すみやかにと言ったって、そうすみやかにというわけにはいかないので……。とにかく勉強を詰めておるつもりでございます。
小川新一郎
117
○小川(新)
委員
一カ月以内……。
保利茂
118
○
保利
国務大臣 いやとても話になりません。できるだけ早く……。ひとつまたいろいろあなたのお知恵をお借りして結論を出すように……。 ————◇—————
加藤常太郎
119
○
加藤委員長
この際おはかりいたします。 本件
調査
のたす、来たる八日金曜日午前十時三十分より、
日本住宅公団
当局から参考人の出頭を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
加藤常太郎
120
○
加藤委員長
御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 なお、参考人の人選及び出頭手続につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御了承願います。 本日はどうも各員とも御苦労さまでございました。 次回は、来たる八日午前十時より
理事会
、午前十時三十分より
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十二分散会