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1968-03-06 第58回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月六日(水曜日)    午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 佐野 憲治君    理事 内海  清君       池田 清志君   稻村左近四郎君       浦野 幸男君    大野  明君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       田村 良平君    廣瀬 正雄君       井上 普方君    石川 次夫君       島上善五郎君    下平 正一君       福岡 義登君    吉田 之久君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 横山 正彦君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 三月二日  委員西風勲君及び小川新一郎辞任につき、そ  の補欠として井上普方君及び浅井美幸君が議長  の指名委員に選任された。 同月四日  委員島上善五郎君及び浅井美幸辞任につき、  その補欠として川崎寛治君及び小川新一郎君が  議長指名委員に選任された。 同月五日  委員川崎寛治君及び北側義一辞任につき、そ  の補欠として島上善五郎君及び石田幸四郎君が  議長指名委員に選任された。 同月六日  委員石田幸四郎辞任につき、その補欠として  北側義一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月一日  新橋駅前市街地改造に伴う補償基準改正等に  関する請願(小峯柳多君紹介)(第一九七八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  昭和四十三年度建設省関係予算についてその概要説明を聴取いたします。仮谷政務次官
  3. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 建設省関係の昭和四十三年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は二十九億七千五百余万円、歳出は六千七百三十二億七千五百余万円であります。  歳出におきましては、このほかに総理府及び労働省の所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管事業として実施される予定の経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十三年度の建設省関係予算は、七千七百二十億八千三百余万円となり、前年度の当初予算に比べ四百六十三億一千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三百三億六千六百余万円の増加となっております。  なお、国庫債務負担行為として、公営住宅建設事業費補助に三十四億九千八百余万円、住宅地区改良事業費補助に十九億四千七百余万円、官庁営繕に四十六億七千九百万円、直轄道路災害復旧事業に一億二千万円、河川等災害復旧事業費補助に八十九億円を予定いたしております。  次に特別会計の概略を申し上げます。  まず、道路整備特別会計の昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四千七百九十五億五百万円で、前年度の当初予算に比べ二百六十八億余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百九十五億五千百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四千三百十億五千三百万円、地方公共団体工事費負担金収入三百六十四億七千八百万円、前年度剰余金受け入れ二十億円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に二百四十九億円、街路事業費補助に四十億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円、道路改築受託工事に十六億円、道路橋架設受託工事に三十億七千六百万円を予定いたしております。  次に治水特別会計でありますが、本特別会計の昭和四十三年度の予特総額は、歳入歳出とも一千七百億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ百二十九億五千百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百十七億六千九百余万円の増となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額一千四百七十七億三千百余万円で、前年度の当初予算に比べ百十七億五千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百六億二千三百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ一千二百四十一億三千四百余万円、地方公共団体工事費負担金収入百五十六億一千四百余万円、前年度剰余金受け入れ三億五千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百二十三億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ十一億九千三百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ十一億四千五百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ百三十九億七千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十七億八千余万円、電気事業者等工事費負担金収入四十億五千五百余万円、前年度剰余金受け入れ四億一千三百余万円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に二十二億四千万円、直轄河川汚濁対策事業に五億七千万円、首都圏河川改修費補助に十二億五千万円、多目的ダム建設事業に七十一億三千九百万円を予定いたしております。  次に都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計の昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四十八億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ十二億二千八百余万円の増でありまして、主なる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四億円、資金運用部資金からの借り入れ金四十一億円を予定いたしております。  次に個々の事業予算の重点について御説明いたします。  第一に都市対策について申し上げます。  人口及び産業の都市への急激な集中による都市機能の低下、居住環境の悪化に対処するため、新都市計画法及び都市再開発法を制定し、新都市計画の推進、新市街地の開発、都市の再開発、公害対策の推進、都市施設計画的整備等に重点を置き、諸施策を強力に推進することといたしております。  昭和四十三年度における都市計画事業関係予算は、一千四百四億九千七百万円であります。このうち、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対する出資金五十億円を含め、一千六十四億七千七百万円でありまして、これにつきましては、あとで御説明いたします道路整備事業に含まれております。  都市計画事業関係予算のうち、一般会計に計上されている額は、都市開発資金融通特別会計への繰り入れ金を含め、三百四十億二千万円でありまして、これにより下水道及び公園の整備の促進並びに古都の歴史的風土保存等自然環境の保全をはかることといたしております。  下水道事業予算額は、三百七億八百万円でありまして、第二次下水道整備五カ年計画の第二年目として、水質汚濁対策地盤沈下地帯等浸水防除対策及び新市街地下水道に重点を置き、その整備をはかることといたしております。  なお、新たに都道府県を事業主体とする流域下水道の制度を設け、これに対する国の補助率を二分の一とし、流域単位下水道事業を強力に推進することといたしております。  さらに、公園事業予算額は、二十二億一千二百万円でありまして、これにより国営公園児童公園及び運動公園の整備に重点を置き、公園の整備を促進するほか、新たに公害防止のための緩衝緑地の造成について補助することといたしております。  古都における歴史的風土の保存及び首都圏近畿圏における広域緑地保全事業費としての予算額は、七億円でありまして、これにより、自然環境の保全をはかることといたしております。  次に都市開発資金融通特別会計につきましては、工場等移転跡地の買い取りに重点を置き、四十五億円の資金の貸し付けを行なうことといたしております。  第二に土地対策について申し上げます。  近年における急激な都市化による宅地需要の増大及びこれに伴う地価の異常な高騰に対処するためには、公共施設の整備された低廉かつ良質な宅地を大量に供給することが肝要であると考えます。  このため、日本住宅公団における宅地開発事業及び住宅金融公庫における宅地造成融資の充実をはかるとともに、地方公共団体及び土地区画整理組合が実施する土地区画整理事業についても資金の融通をはかり、宅地開発事業を強力に推進してまいる考えであります。  まず、日本住宅公団におきましては、新規事業として、住宅用地一千九百八十ヘクタール、工業用地百六十五ヘクタール、流通業務用地十ヘクタールの開発事業を行なうとともに、住宅用地六百六十一ヘクタールについて調査を行なうことといたしております。  また、継続事業として、研究学園都市建設事業を含めて一万四千七百四十四ヘクタールの開発事業を引き続き行なうことといたしております。  次に住宅金融公庫におきましては、一千六百五十三ヘクタールの用地の取得及び一千九百八十三ヘクタールの宅地の造成に要する資金の貸し付けを行なうとともに、民間宅地造成の促進をはかるため、新たに大規模かつ優良な民間宅地造成に対する造成資金貸し付けの道を開くほか、住宅融資保険保険限度額の引き上げ、保険料率引き下げを行なうことといたしております。  土地区画整理組合に対する無利子貸し付けを行なう地方公共団体への貸し付け金は、これを八億五千万円に増額し、また、地方公共団体の行なう土地区画整理事業に対しては三十億円の地方債を予定いたしております。  以上のほか、宅地の大規模開発にあたって、その隘路となっている関連公共公益施設の整備を促進するため、日本住宅公団債務負担額二十一億円、住宅金融公庫貸し付け契約額十億円が予定されており、これにより大規模宅地開発事業の円滑な推進をはかる考えであります。  また、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の合理的利用の促進及び環境の整備をはかるため、防災街区造成に対する補助金として、一般会計予算において三億九千万円を予定いたしております。  第三に住宅対策について申し上げます。  政府といたしましては、国民生活安定向上社会福祉の充実をはかるため、一昨年、現下の住宅事情を改善して、昭和四十五年度までにすべての世帯が安定した基盤の上に生活を営むことができるいわゆる一世帯一住宅の実現を目標とした住宅建設五カ年計画を策定いたしましたことは、すでに御承知のとおりであります。  昭和四十三年度においては、この計画の第三年度として計画の着実な実施をはかることといたしております。すなわち、公的資金による住宅は、建設省所管分三十八万四千五百戸、その他住宅十一万二千戸、合わせて四十九万六千五百戸の建設を計画しております。これは戸数において前年度より四万四千五百戸の増加となっております。これらに対する予算措置として、公営住宅については、一般会計予算において六百十二億五千五百余万円を予定し、第一種公営住宅三万五千二百戸、第二種公営住宅五万二千八百日計八万八千戸の建設に対し補助することといたしております。  住宅地区改良事業については、一般会計予算において五十一億七千四百余万円を予定し、不良住宅の除却、一時収容施設設置等の地区の整備及び改良住宅五千五百戸の建設並びに住宅改修費に対し補助することといたしております。  次に、住宅金融公庫につきましては、資金運用部資金等からの借り入れ金一千五百五十四億円のほか、回収金等を合わせて一千九百二十八億九千七百万円の資金及び一般会計からの三十六億五千百万円の補助金により、二十二万二千戸の住宅の建設と、さきに申し上げました宅地の取得、造成等に要する資金の貸し付けを行なうことといたしております。  また、民間自力による住宅の建設を促進する措置として、住宅融資保険について保険価額の総額の限度を引き上げるとともに保険料率引き下げを行なって、民間住宅融資の一そうの円滑化をはかることといたしております。  次に、日本住宅公団につきましては、資金運用部資金等からの借り入れ金二千百九億円のほか、自己資金等を合わせて二千三百五十九億九千九百万円の資金により、賃貸住宅四万三千戸、分譲住宅二万六千戸、計六万九千戸及び住宅併存施設等の建設を行なうとともに、さきに申し上げました宅地関係事業を行なうことといたしております。  第四に治水関係事業について申し上げます。  治水事業につきましては、最近における災害の発生状況河川流域の開発の進展及び水需要の著しい増大に対処するため、新たに昭和四十三年度を初年度とする治水事業五カ年計画を二兆円を下らざる投資額をもって策定することといたしております。  また、一級河川水系として、すでに指定済みの八十五水系に加えて、新たに六水系を指定する予定であります。  昭和四十三年度における治水事業としては、特に中小河川対策に重点をおいて河川、ダム及び砂防の各事業について緊急施行を要する事業を促進することとし、このため、河川事業に九百四十五億二千百万円、ダム建設事業に二百七十八億六千百余万円、水資源開発公団交付金に七十三億九千百余万円、砂防事業に三百十六億七千五百万円を予定いたしております。  まず、河川事業につきましては、経済効果の大きい重要な河川、災害の頻発する河川都市地域河川等改修工事、東京湾、大阪湾等重要地域における高潮対策事業、大規模な引き堤工事放水路工事等低地地域における内水排除施設整備等に重点をおいて事業の促進をはかる方針であります。  すなわち、直轄事業については、改修事業として一級河川百三河川、二級河川河川及び北海道特殊河州十七河川を実施するほか、河川汚濁対策事業として一河川を実施することといたしております。補助事業については、中小河川改修事業及び小規模河川改修事業として継続施行中の九百九十五河川のほか、新規に九十七河川の着工を予定いたしております。  次にダム建設事業につきましては、経済効果の大きい重要な河川、災害の著しい河川地域開発に関連する河川等事業を計画的に促進することといたしております。  すなわち、直轄事業では、建設工事として継続施行中の十二ダムのほか、新規に四ダムを施行することとし、また、実施計画調査として八ダムの調査を実施することといたしております。補助事業としては、建設工事として継続施行中の十六ダムのほか、新規に七ダムを施行することとし、実施計画調査として十五ダムの調査を実施することといたしております。  なお、治水ダム建設事業としては、建設工事として新規に五ダムを施行することとし、また、実施計画調査として新規十七ダムを含む二十二ダムの調査を実施することといたしております。  また、水資源開発公団において行なう水資源開発事業については、ダム建設費治水負担分として交付金を交付し、その促進をはかることといたしております。  次に砂防事業につきましては、直轄事業として継続施行中の二十五河川のほか、新規に一河川及び直轄地すべり対策事業として継続施行中の四河川について事業を実施することとし、補助事業としては、特に重要な河川、災害の著しい河川に重点をおくほか、土石流対策の促進をはかることといたしております。  次に海岸事業につきましては、一般会計予算において五十六億六千六百万円を計上し、重要な地域における海岸保全施設の整備に重点をおき、直轄事業補助事業を含め二百三海岸について実施することとし、また、特定海岸としては、すでに指定済みの十三海岸に加えて、新たに一海岸を指定する予定であります。  次に急傾斜地崩壊対策事業につきましては、一般会計予算において三億円を計上し、緊急に対策を講ずべき個所について事業を実施することといたしております。  第五に道路整備事業について申し上げます。  第五次道路整備五カ年計画の第二年度としての昭和四十三年度における一般道路事業予算においては、一般国道に二千二百八十五億七百余万円、主要地方道に七百四十一億五千九百余万円、一般地方道に六百九十億二千六百余万円、市町村道に五百三十四億三千余万円を予定し、これにより約三千二百キロメートルの改良工事と約五千六百キロメートルの舗装工事を実施することといたしております。  次に昭和四十三年度予算の重点事項について申し上げます。  一般国道につきましては、交通上の隘路となっている区間の二次改築を促進するとともに、元二級国道については、昭和四十七年度に概成することを目途に改築を計画的に進めることといたしております。  次に地方道につきましては、重要な地方的幹線地方開発を進めるための重要な路線に重点をおいて整備の促進をはかることとしておりますが、市町村道につきましては、基本的整備方針を確立し、効率的かつ計画的に整備を進める所存であります。  また、最近の交通事故発生状況等にかんがみ、人命尊重の立場から横断歩道橋等交通安全施設等の整備及び踏切道構造改良事業を積極的に推進することとし、このため、交通安全施設整備事業に百九十六億三千五百万円、踏切道構造改良事業に二十六億八千九百万円を予定いたしております。  街路事業の予算につきましては、さきに御説明いたしました道路関係予算に一千十四億七千七百万円が含まれておりますが、これにより大都市及び地方都市の重要な幹線街路を重点的に整備するとともに、街路の整備にあわせて市街地の再開発を行なう土地区画整理事業及び市街地改造事業の推進をはかることといたしております。  なお、万国博覧会関連、新市街地関連及び高速自動車国道関連街路の整備につきましても重点的に実施する予定であります。  次に有料道路について申し上げます。  まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金百七十八億円のほか、借り入れ金等を合わせて二千三百五十二億九千七百万円の資金により事業を行なうこととし、高速自動車国道については、東名高速道路中央高速道路東京−富士吉田間及び五道の建設の促進をはかるとともに、緊急に整備を要するその他の高速道路についても整備計画を樹立して着手する予定であります。  なお、五道等新規高速道路については、以上のほかに債務負担二百億円が計上されております。  次に首都高速道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金二十七億円のほか、地方公共団体からの出資金及び借り入れ金等を合わせて六百五十六億四千七百万円の資金により事業を行なうこととしており、継続九路線の建設を促進するとともに、新規に首都高速五号線二期及び横浜市内線の二路線に着手する予定であります。  次に阪神高速道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金二十三億円のほか、地方公共団体からの出資金及び借り入れ金等を合わせて四百五十三億五千九百万円の資金により事業を行なうこととしており、継続六路線の建設を促進するとともに、新規に阪神線及び大阪−池田延伸線の二路線を着手する予定であります。  次に有料道路融資について申し上げます。  地方公共団体の行なう有料道路事業を助成するため、昭和四十三年度よりその建設資金の一部を無利子で地方公共団体貸し付けることとし、このため、有料道路整備資金貸し付け金として一億円を計上いたしております。  第六に災害復旧対策関係予算について申し上げます。  災害復旧対策関係予算の総額は、六百十億七千五百余万円でありまして、その内訳は、災害復旧事業費に五百二十七億六千百余万円、災害関連事業費に八十三億一千三百余万円を予定いたしております。  そのおもな内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業につきましては、直轄災害は、内地二カ年、北海道三カ年復旧の方針で、また、補助災害については、緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針でそれぞれ事業の進捗をはかることといたしております。また、災害関連事業につきましては、災害復旧事業とあわせて適切な実施をはかり、再度の災害を防止するため効果をあげることといたしております。  第七に官庁営繕事業の予算について申し上げます。  建設省で実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されております額は、百二十七億五千余万円であり、これにより中央官庁、地方及び港湾合同庁舎の建設その他一般官署の建てかえを実施することといたしております。  以上をもちまして、昭和四十三年度の建設省関係一般会計及び特別会計予算の説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。(拍手)
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。  この際、質疑をされる委員各位に申し上げますが、理事会の協議によりまして質疑は一人三十分程度をお守りくださるようお願いいたします。  福岡義登君。
  6. 福岡義登

    福岡委員 去る三月の一日に保利建設大臣所信表明をされましたが、それに対しまして若干の質問をしたいと思います。  まず第一に指摘しなければならぬと思いますことは、わが国社会資本が諸外国に比べまして非常に大きくおくれておるということであります。特に生活環境施設あるいは住宅などの水準が非常に低い水準にあるのであります。たとえば、わが国道路の総延長は約九十九万キロ、そのうちで改良されておりますのはわずかに一六%でしかない。舗装率のほうも、さらに下がってわずかに七・四%という状態であります。これを諸外国に比べてみますと、イギリスの大体十三分の一くらい、イタリアの九分の一、西ドイツの八分の一というように、日本経済力はこれらの国々にまさっておるのに、社会環境施設や——いま道路の例を申し上げたのでありますが、非常に大きくおくれておるということを指摘しなければならぬと思うのであります。  住宅のほうを考えてみましても、私たちは七百六十万戸を五カ年計画策定にあたって主張したのでありますが、いろいろの経過を経て政府のほうは、六百七十万戸、これだけは五カ年計画建設をしなければならぬというように計画をされましたように、非常に大きな住宅難におちいっておる。道路と同じように諸外国に比べましてはなはだ大きな立ちおくれといわざるを得ません。  さらに、その他下水道普及率などを考えてみましても、先進国に比べまして問題にならぬほどおくれておるという状態なのであります。  これらの事情というものはなるべくしてなったというように私どもは考えておる。言いかえれば、歴代自民党内閣がそういう方向に意を用いなかったから、申し上げましたような立ちおくれをしたのである。戦後、日本の財政は御承知のように公共事業中心になっておるのでありますが、それは本来産業資本などが当然建設をしなければならぬ工場用地であるとか、あるいは工業用水、あるいは産業用道路などを大量に供給してきたその反面、国民生活環境施設あるいは住宅などが、先ほど申し上げたように大きな立ちおくれになっておると思うのであります。建設大臣も、所信表明で、社会資本充実して国民生活向上に寄与したいということは言われておるのでありますが、歴代自民党内閣がやってこられたのは、いま申し上げましたように非常に片寄って、本来産業資本が当然自前でやらなければならないものを、公共事業工場用地であるとか工業用水産業道路などを大きくやってこられた、ここに問題があると思うのであります。  試みに、昭和三十三年から昭和三十五年を一〇〇といたしまして昭和三十六年から三十八年までの指数をそれぞれでとってみますと、臨海工業地帯の埋め立てを中心にするいわゆる港湾整備、これは実に六七九という数字になっております。工業用水道は五一一という指数になっております。道路、これはほとんど産業道路中心にやってきた内容であると思うのでありますが、二四九。住宅は一体どういう指数になっておるかといいますと、わずかに二八六でしかない。上水道も一八五でしかない。下水道は一九二というように、この比較をいたしてみますと、指数に非常に大きな格差があるのであります。これらの事実は、先ほど申し上げましたように、歴代内閣がやってこられたその実績なんでありまして、生活環境施設住宅などがおくれておるというのは、おくれるべくしておくれたのだ、ここに大きな問題があると思う。そういうことについて建設大臣は一体どういうようにお考えになっておられるか、今後どういう対策をとられようとしておるのか、まず承りたいのであります。
  7. 保利茂

    保利国務大臣 福岡さんの御指摘の数字につきましては、いろいろ議論をするまでもなく、そうなっていると思うわけでございますが、私は社会資本が非常に立ちおくれをしておるということを考えますときに、一体、戦前の状態考えてみますと、終戦時点におきましても、今日はこれだけの進んだ国になっておりますけれども、極端に申せば日本に舗装道路一本もなかったというほど、社会資本の立ちおくれというものはたいへんなものであった。戦後の荒廃した中に、あの混乱の中から、いわば地ならしが済んで——昭和二十年代は戦後の地ならし時代だったと思うわけであります。三十年代になりまして初めて、この国土建設といいますか、新しい日本の姿を打ち立てようということで、社会資本の投資、公共投資に全力をあげだした。この十数年の短い期間にともかく今日の——これはもうお話にもならない非常な立ちおくれでもございますけれども、ともかく今日までやってきておる。そして、一級国道等につきましてはおおむね一〇〇%に近い舗装も達成できるようになっている、二級国道においても七、八〇%がそうなっているというようなことは、いかに戦後の国土のつくり方に、それは日本の姿の非常な変わりに応じて社会資本充実歴代政府が力を入れてきたかを物語っておると私は思うのです。ただ、戦後よく申されますように、驚異的な日本産業の発展といいますか、躍進といいますか、三十年代から引き続き今日に至るまで非常な勢いで高度成長を遂げてきている、それに対して道路やいろいろの公共施設等が追いついていけないというこの現実は正直に認めなければならぬと思っておるわけでございます。政府といたしましては、とにかくこの社会資本の立ちおくれを取り戻さなければならない、そしてわれわれのりっぱな国をつくり上げなければならぬという考え方で、社会資本整備、公共投資につきまして、これは今年度の予算あたりにつきましては、いろいろ御批判もあろうかと存じますけれども、しかし、そこに相当重点を置いて社会資本の立ちおくれを取り戻そうとしていることだけは御了解をいただきたいものだと思うわけであります。特に産業や人口が傾斜的に集中してまいる、そのために、想像に余ることが住宅難等にあらわれてまいっております。本来言いますと、どうも政府のやっていることが事後追認の仕事に追われ過ぎているのじゃないかという御批判もある程度甘受しなければならぬ、長い将来にわたる展望に立って、できるだけ均衡のとれた日本開発をはかっていくということが最も望ましい、そうでなくちゃならぬと思いますけれども、事態はあまりにどろなわ式といいますか、事後追認で追いまくられるというような状態になっているということにつきましては、深く反省をして今後の施策を取り進めてまいりたい。特に生活環境整備につきましては、本年度苦しい予算の中におきましても、住宅でありますとか、下水道でありますとか、公園でありますとか、そういうことにつきましてはとにかく格段の努力をいたしてまいったような次第でございます。
  8. 福岡義登

    福岡委員 大臣は、反省をして極力努力をしていきたい、こうおっしゃるのでありますが、私どもが四十三年度予算を見ると、そういうようになっていない。あとでそれらの具体的事実は住宅関係を中心にして申し上げたいと思いますが、どうも口ではおっしゃるけれども実際問題ではできていない。道路の話がありましたが、確かに国道などはよくなりました。しかし、日常生活に直接関係のある地方道はほとんど手がついていないという状態なんです。あとでまた自動車取得税などの問題に関連して申し上げますが、さっき私が端的に数字をあげて言いましたように、昭和三十年から十年余りの歴代の内閣がやってきた実績というものは、国民生活に直接関係のある社会資本はあまり手がけてこなかった。産業資本が当然やらなければならぬような問題を中心にやってきておる。その姿勢が私どもは問題だと思うのであります。大臣もこれは否定されぬと思うのでありますが、日本のいまの経済力、工業生産高は、世界で三番、四番といわれておる。国の道路であるとか住宅事情であるとかいうことは、今日の日本の実情を考えてみるならば、りょう然としているわけです。ですから、申し上げました筋合いに基づいて、もう少し国民生活に直接関係のある社会資本充実という方向に努力していただきたいということを要望しておきたいと思うのであります。  次の問題は、ここは予算委員会じゃなくて建設委員会でありますから、財政論争をここでやろうという気持ちはございませんけれども、公共事業関係で特に問題だと思う点についてもう一つ指摘をしたいのでありますが、公共事業の財政政策といいますか、これを見ますと、昭和三十年当時には、一般会計で六二%まかない、財投で三八%まかなっておったわけであります。ところが、昭和四十三年度を分析いたしてみますと、一般会計のほうは五四%しかない。財投が四六%、こういう割合になっておると思うのであります。これはどういうことを意味するかという問題なんであります。  申し上げましたように、基本的な財政論争をここでやるつもりはないのでありますが、公共事業の中に財政投融資の占める割合がふえるということは一体どういうことになるのか、ここが問題だと思うのであります。結論から言えば、国民生活をそれだけ圧迫する結果になっていないか。たとえば、住宅に例をとってみますと、一般会計の七百億に対しまして財投は三千六百六十三億、その割合は一六%と八四%、結局、財投のほうは借金なんでありますから、それだけやはり国民が住宅関係に出費を要請されるということになるわけであります。私どもは低家賃の住宅の提供ということを柱にいたしまして今日まで主張してきたのでありますが、いま申し上げましたような状態が招く結果というものは低家賃の公営住宅ができないということが第一番に言えると思うのであります。また、高家賃の公団住宅ということになってくると思うのであります。あるいは、持ち家中心の公庫住宅というものがこの中にあると思うのです。さらにまた、民間企業がやっております厚生年金住宅がふえてきておる、こういう事実は、私は大臣も否定できないと思うのでありますが、結果として公共事業の対象から低所得者をはじき出す結果になる。別の面からいけば、新しい負担を国民に課しておるということになっておると思うのであります。  いま申し上げましたようなことでありますが、公共事業に占める一般会計と財投との関係、これが年々歳々財投のほうが多くなってきておる。これは一体どういうことなのかということなんであります。そこのところを大臣のほうから所見を聞きたいと思うのであります。
  9. 保利茂

    保利国務大臣 住宅問題に例をとられて、公共投資の一般会計負担分がだんだん少なくなってきて、財投が多くなってきておるじゃないか。今日の住宅問題に対処いたしますためには、とにかく持ち得る国民の蓄積、そういうものを投じ尽くして今日の住宅難解消に立ち向かうべきではないか。それぞれ住宅が建てられればそれだけの財産形成にもなるわけでありますから、したがって、その全部を一般投資によるということは、それは必ずしも妥当ではなかろうと思います。ただ、どの程度に現実の国民の負担にこたえつつ、そうして住宅難を解消していくかという考え方の上に立ちますと、今日の場合としましては、持ち家であろうと賃貸であろうと、とにかく住宅難の解消というところに焦点を合わして需要に応じた施策をとっていくべきではないかというように私は基本的に考えております。賃貸に重点を置くんだというようなそういう議論は二の次でいいのではないか。実際家を持ちたい、家を借りたいという方々に幾らかでもその苦痛を解消していく、緩和していくという方向に焦点を合わして考えていかなければならぬのではなかろうかと思います。一般論といたしまして、私もそういう財政論議等を申し上げるような知識はございませんけれども、とにかくいろいろな事業が折り重なっている、それで、国民の直接の負担、税金の負担によって解決していくべきものと、将来特別の利益にあずかり得る人たちが幾らかその分に応じて負担をしていくということには、おのずからきまっていくところがあろうかと思うわけであります。しかし、それにしても、取り組まなければならない諸事業が山積いたしておりますから、そこのもろもろの事業の公平を失わないように取り進めていくことが肝要ではないか、こういうふうに基本的には考えております。  答弁にならないかもしれませんけれども、そういうふうに考えております。
  10. 福岡義登

    福岡委員 大臣のおっしゃる、住宅難解消というものが焦点であって、持ち家制度とかあるいは賃貸方式とかいうのは二の次だ、それは認めるといたしましても、いまのようなやり方であっては、結果的にやはり家が持てない、住宅難は解消しないということに結論としてはなりつつあると私は思うのであります。さっきも言いましたように、七百億しか一般会計からは出していない。それは一六%です。三千六百六十三億というものは借金であるわけです。そういう状態では、ある程度以上の収入のある者は入れますよ。ところが、それ以下の低所得者層は、住宅難解消とおっしゃるけれども、できはせぬじゃないですか。さっきも言いましたように、私たちは、やはり住宅難をほんとうに解消されようとするならば、いわゆる低家賃住宅賃貸住宅というものを大幅に建てていかなければいかぬじゃないか、こういうことであります。  そこで、具体的に住宅問題の中身に入って、いま大臣がおっしゃったようなことがそういう筋で進んでいないということをお尋ねしたいと思います。  まず第一にお聞きしたいのは、来年度五カ年計画の三年目を迎えるわけであります。私の試算によりますと、いま提案されておる来年度予算がそのまま実行されたといたしましても、政府施策の二百七十万戸の約半分、五〇%しかいかないと思う。そうすると、残りますのは昭和四十四、四十五年度の二カ年であります。この二カ年間で、二百七十万戸という公的資金によるものが建設できるかどうか、目標が達成できるかどうかということをまずお聞きしたいのであります。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 七百億の住宅一般会計財源、御案内のように、その大部分はやはり公営住宅建設のために用いるお金であるということは御了承をいただきたいと思います。それじゃそのほうだけうんとやって、あとのほうはまあ結局国民の負担になることだからという御発言ではないと思いますけれども、やはり政府が助成してまいります一番大きなところば公営住宅に置くべきであろうということで、その予算の大部分はそれに充てるわけであります。その点はひとつ御理解をいただいておきたいと思います。  なお、施策住宅の二百七十万戸の約半分が四十三年度で達成できるであろう、これは御指摘のとおりでございまして、したがって、あと五〇%近くのものを四十四年度、四十五年度に達成できるかどうかということは、非常に困難だと思います。私は困難だと思いますけれども、もちろんこれは今年度以降のわが国の経済情勢、したがってまた、財政状態によっても大きな制約を受けてまいることはやむを得ないことでございますけれども、しかし、とにかく五〇%以上のせきを乗り越えたということになりますれば、あと半分は二年で何とかやっていけるように、佐藤自民党内閣としても、とにかくこの一世帯住宅という目標に向かっては最大の努力を払うということを申し上げてきておりますから、財政事情の好転等も考えますれば、必ずしも達成困難ではないというように、また達成しなければならぬ、当局としましてはどうしても達成しなければならぬという決意をもって立っておるわけでありますが、平たく申しまして、私は、一〇〇%達成しなければ住宅難の解消はできぬのか、そこは非常に問題だろうと思うのであります。かりに計画の九〇%以上を達成するという状態になりますと、不足感といいますか、欠乏感といいますか、住宅に対する焦燥感というものが一般の方々から非常に薄くなってくるのじゃないか、そういうふうなところに持っていくことが、数字よりもより大事じゃないかというように考えておりますので、何とか住宅不足の焦燥感から一般の方々が解放されるような日をどうしてもつくり上げなければならぬ、そういうことでねらいをつけてやっておるわけであります。
  12. 福岡義登

    福岡委員 前の西村建設大臣在任当時の委員会で私質問したのですが、いま申し上げましたように、五カ年計画で二百七十万戸、こう言われるけれども、年度年度の計画が少ないじゃないか、このままでいったのでは五カ年間に目標達成できないように思うが、どうかという質問をした記憶があります。西村建設大臣は、いやそういうことはございません、五年間で責任を持ってやるということをたしかお答えになっておると思う。ところが、いまの保利建設大臣のお話を聞くと、少しニュアンスが変わってきておる。ですから、ほんとうに目標を達成されようとされるなら、もう第三年度でも、いわゆる来年度からもう少し住宅関係予算をふやされる必要があるのじゃないか。その辺は一体どうです。
  13. 保利茂

    保利国務大臣 大体は福岡さんも御理解いただいていると思うのでございますけれども、私も前大臣のあとを引き継ぎまして、やはり住宅難の解消ということは建設行政の中の大きな課題であるということを痛感いたしまして、だいぶ努力をいたしてみまして、何とか来年度施策住宅は少なくも五十万という声は聞きたいものだということで最後まで努力をいたしましたけれども、ほぼ五十万戸というような、四十九万六千戸というようなところで、しかし全体の予算の組み方、公共事業の配分の状況からごらんいただきまして、住宅問題には——前建設大臣かおっしゃいましたように、何とかこの五年間で達成しなければならぬというその気持ちは、これはもう私も前大臣同様でございますけれども、何も数字を並べてそれで満足できるわけのものでなしに、われわれが実際の市民生活ないしは国民生活に当面してその課題にこたえ得るかどうかということが問題だと思うわけでございます。私は数字にそうとらわれることは——決して逃げるわけじゃございませんけれども、とらわれず、とにかく住宅難という当面している事態、その中に感ずる民衆の焦燥感、そういうものをひとつ何とか解消したい、今後とも全力をあげてまいるつもりでおるわけであります。
  14. 福岡義登

    福岡委員 全力をあげていただかなければならぬし、それは私どももそれで了解できるのですが、問題は中身が伴っておらぬということを指摘したい。  たしかあれは公庫住宅でしたか、大蔵内示が九万一千戸だった。それを大臣折衝で八千戸ふえて九万九千戸になった。これは非常に私どもは喜んだのでありますが、中身を見れば、予算は九万一千戸のときと九万九千戸のときは全く同じだ。戸数は名目的に八千戸はふえたけれども、それに伴う予算がふえていないように思うのですが、その点一体どうなっているのですか。
  15. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまお尋ねの公庫の個人住宅貸し付けにつきまして、九万一千戸から最後の段階で九万九千戸になった差の八千戸について、予算がふえてないじゃないかというお尋ねでございますが、ふえてはおりません。と申しますのは、御存じのとおり、財政投融資なり何なりからもいろいろ金が参りますけれども、公庫自体の自己資金の計算のしかたにもいろいろ問題がございます。そこいらの自己資金のはじき方によりまして、ただいまの八千戸の貸し付けの所要資金というものを生み出したというようなことになっておりますので、表は戸数がふえたが、金はふえておらぬというような姿になったわけでございます。
  16. 福岡義登

    福岡委員 それはうまく説明されますが、自己資金と、こうおっしゃいますけれども、あとで計算をしてみますが、どうもそういうことになってないのじゃないか、名目は八千戸だけふえて金が伴っていないのじゃないかという気がしてならぬのです。これはまたあとで私もよく検討してみたいと思うのです。  次に、先ほどの問題に返るのですが、来年度の計画で非常に持ち家主義が強く出ておるということを言いたいのですが、大臣がおっしゃったように来年度四十九万六千戸、五十万戸にならなかった。その中で持ち家が五四・五%、賃貸住宅が四〇・五%、給与住宅が五%、こういうことになっている。もう少し賃貸住宅を——少なくとも持ち家と賃貸の関係を反対ぐらいにはしてもらいたいと思うのですが、その点どうでしょう。
  17. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの持ち家と賃貸とのパーセンテージの問題でございますが、私どもの計算によりますと、公営住宅改良住宅、公庫住宅、公団住宅、その他の建設省所管以外の住宅を含めまして四十九万六千五百でございます。これの持ち家の比率は四三%でございます。借家、いわゆる賃貸の比率——給与住宅というのはすべて賃貸でございます。したがいまして、賃貸の住宅か持ち家かということになりますと、いわゆる借家というものと給与住宅とを含めて考えるのが至当ではないか。そう考えますと、五七%が賃貸住宅になる。したがって、五七対四三というような比率になっておるということでございます。
  18. 福岡義登

    福岡委員 これはちょっと計算が違うのですけれども、どういう計算で出されたか、ちょっと中身を具体的に戸数をあげてください。
  19. 三橋信一

    ○三橋政府委員 中身を申し上ます。  持ち家住宅につきましては、公庫の持ち家におきまして十九万二千戸でございます。それから公団におきまして一万七千戸、その他の住宅におきまして六千三百戸でございます。したがいまして、二十一万五千三百戸に相なりまして、これが四十九万六千五百戸に対しまして四三%でございます。なお、それ以外のものがすべて公営、改良、公庫の賃貸、公団の賃貸、それからその他住宅の賃貸、あるいは給与住宅の六千三百戸以外のものということになりまして、これを合わせまして二十八万一千二百戸になりまして、五七%ということに相なります。
  20. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。それにしましても、もう少し賃貸のほう、特に低所得者層対策としての賃貸住宅をふやしてもらいたいと思うのですが、これはいずれまた機会をあらためてあれしたいと思います。  今度は公営住宅についてちょっと中身をお尋ねするのですが、今度工事費が八・二%ないし一三・六%、これは要求はたしか八%だったと思うのですが、一応八・二%ないし二・六%引き上げられた。用地費のほうを見ますと、一〇%しか上がっていない。たしか建設省の要求は五〇%されたはずであります。この程度でもやれると思われるのかどうなのか。土地の上昇は御承知のような状態であります。
  21. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かに用地費の問題についてはつらいと思います。一〇%といういまのお説でございますが、確かに一〇%というのが普通の場合の用地のアップの率でございます。ただ、第二種公営住宅のうち、中層耐火のものにつきましては三十七・数%アップをいたしております。一番問題なのは、第二種公営住宅と申しますのは、御存じのとおり、所得が一番低い層と申しますか、そういう階層でございまして、これはやはり都市内の相当なところに建てないと、職業との関係でなかなか問題が多い。そういう関係で、特に第二種公営住宅の中層耐火につきまして用地費の値上げを大幅にすることにいたしまして、そういうことによっていま申し上げましたような関係を解きほぐしてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、一気にこれを解決できませんことはまことに残念でございますけれども、なお国有地なり公有地なり、そういう点の活用等も十分はかりつつ、将来に向かいましてこの関係を解決してまいりたい、そういうふうに考えております。
  22. 福岡義登

    福岡委員 解決されたいとおっしゃるのですが、もともとこの用地費のいままでの査定が低かった。それに対してわずかに一〇%しか上がっていない。だから、あなたのほうが要求五〇%されておるように——この五〇%でも私どもは少ないと思うのです。その少ないと思われた五〇%が、さらに削られて一〇%しかアップされてない。これは別の意味では地方公共団体の持ち出し分がふえる、こういう点もあると思うのです。  次の点は、いまの問題に関連してでありますが、新聞の報道したところによりますと、大蔵省の内示におきまして用地費の補助を打ち切るという記事がありました。その後大臣などの努力もあったと思うのでありますが、一応復活した。しかし、聞くところによると、来年度公営住宅法を抜本的に改正して、この用地費に対する補助を廃止する、こういう話があるのですが、これは事実かどうか確かめておきたいと思います。
  23. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  予算の際におきまして、公営住宅用地費を融資に切りかえるという議論がございましたが、少なくとも来年度四十三年度につきましてその用地費の問題だけを切り離して融資に切りかえる、ほかの手当てをしないでそれだけのことをやるということについては、これはただいまの公営住宅法のたてまえからまいりますと、家賃が値上げになるという法律改正をせざるを得ない。といいますのは、御存じのとおり、補助金以外の部分が家賃の対象になる部分でございます。したがいまして、その部分が多くなれば、償却が同じであるといたしますれば、それだけ家賃が高くなるという理屈に相なります。もちろん、その際にどういう政策家賃をとるかということがもう一つございますが、その場合に、政策家賃をとって家賃を低めますと、さらに公共団体の負担というものが問題になってくる。そこで私どもといたしましては、そのように公営住宅の補助を融資に切りかえるということだけを取り上げて直ちに実行するということについては、非常に問題が大きい、したがって、これは公営住宅法の改正を抜本的に考えたいと思っておりますが、それの一環として、一体補助というものはどうあるべきかということをベースにして考えてまいりたい、そういうことから融資を取り下げてもらったというようないきさつになっております。
  24. 福岡義登

    福岡委員 経過はわかりました。たしかこれは百十九億でしたか、来年度は一応それでいいわけですが、将来一体どういうように考えられるのか。いま抽象的には公営住宅法の抜本改正の中で検討したいというお話なんですが、御説明のとおり、もしこれが補助打ち切りになって融資にでも切りかえられれば、それだけ家賃が上がることは間違いない。地方公共団体の負担分がそれだけふえるということです。ですから、将来の方向として、われわれはこの打ち切りには反対だという気持ちなんですが、どういうように考えられておるのか。
  25. 保利茂

    保利国務大臣 これは福岡さんのほうでもよくひとつ——私のほうは一生懸命で研究してみるつもりであります。問題を提起されたときに、融資に切りかえられる、これは考え方としてはそういうことも十分成り立つ考え方である。その考え方を否定するものではないけれども、しかし、家賃にはね返ってくるということになると、これはどうも建設当局としては了解がつかぬ。そこで、大蔵省のほうでもそういう点については十分の配慮をいたしますからということもあったわけです。しかしながら、いま局長が申しますように、この問題だけを取り上げますと、それは家賃を上げるんだというような無用の誤解を引き起こすおそれもあると存じましたので、あえて今年度はこれを拒否して、そして大蔵省が言うように、財政当局が言うように、融資に切りかえても家賃にはね返る心配がないという具体的措置を一体どういうふうにとる方途があるか、そういう方途が保障されるならば、これは考え方としては、地方公共団体がそれだけの財産形成をするわけでございますから、補助でいっても、あるいは融資でいっても、そうやかましく言うことはないんじゃないかと思うわけであります。それもありまするし、かたがた公営住宅には現在いろいろな問題が起きておるようでございますから、そういう点等をあわせて改正する方向が見出せるならばひとつ見出していこう、それで一年間みっちり勉強してもらって結論をつけたいという、ただいまの状態になっております。
  26. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 関連して。ただいまの用地費の問題ですけれども、この点につきましては、すでに昭和四十一年度の予算編成にあたりまして、やはり用地費を起債に切りかえろ、こういうことで建設省と大蔵省のやり取りが続いておったわけであります。当時公営住宅のために地方で約二百億円をこえる超過負担をやっておる。そこへ、用地費を起債に回す、こういうことで紛争した結果として建物の単価のほうは上がりましたけれども、用地費の単価の是正は全然なされない、こういう醜態を演じたわけですが、二百億円からの超過負担をやっている、この超過負担を解消すべきなのに、建物の単価は上げたけれども用地費は全然上げなかった——というのは問題が決着しなかったからだということで、またまた地方財政に大きな負担をかけた。四十二年度におきましてもこの問題が繰り返されておった。しかしながら、一応ここでは建物の単価並びに用地の単価はわずかばかり上がった。それでも本年度におきましてもやはり百数十億円の超過負担になっておるわけですね。ですから、この問題は非常に重大な問題で、昭和四十一年に問題が提起されてきておる。そのときも単なるかけ引きのために地方公共団体に非常に迷惑をかけてきておる。公営住宅をやるのに用地費を一銭も物価騰貴も地価騰貴の分も見ない。しかも大きな超過負担をしいておる。これは法律違反とも思われることが行なわれておったわけですね。そのときの尻ぬくいを——建設省と大蔵省が意見が一致しなかったから、起債か、あるいは従来どおりということの論争に明け暮れして、何らの予算措置もやらなかった。以来ここに二年間が経過して、三年目を迎えておる。ですから、いま大臣がこれからと言われ、住宅局長がこれからと言われるけれども、問題はすでに昭和四十一年度に大きく提起されておる問題だと思うのです。それに対して、本年度の場合を見ましても、百十九億円ですか、百十九億円の用地費に対して一般会計で一体幾ら見ておるのですか。——ではこっちのほうから言いますかな。十五億円しか一般会計で見ていないでしょう。用地費に対してはいま言われましたようなアップがありますね。しかしながら、公団の利子補給で四十八億円、国庫債務負担行為で三十四億円ですか、こういうような予算のワクのやり繰りにおいて用地費を捻出しなければならない、こういう措置をとられておるのじゃないですか。
  27. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねの点で、まず、四十一年度の予算編成のときに用地費のアップがなかったというお尋ねが一つございましたが、実は私当時在職してはおりませんけれども、用地費の値上がりは若干あったように聞いおります。これは後ほど取り調べます。  それからもう一つ、そのあと、今回の問題におきまして十五億円より用地費の計上がなかったじゃないかという御説でございますが、確かにあとでふえました一般会計の額は十五億円でございます。しかしながら、さきに内示されました大蔵省の内示額を、中を組みかえまして、ただいまお説のとおり国庫債務負担行為等を組み入れまして、それらによりまして用地費を割り出しまして、したがいまして、一般の工事費なり用地費なりの単価アップは、先ほど来いろいろとお尋ねがございましたように上げております。それらを確保し、かつ八万八千戸の戸数を確保し、そして質の向上も、若干でございますけれども確保しつつ、中の組みかえによって十五億円の追加だけによって百十九億円の融資の問題を補助に切りかえていったということでございまして、したがいまして、用地費は百十九億円ということの中に含まれておるということに相なります。
  28. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 その点につきまして、中身の内容を分析しますと、百十九億円というのはことし限りである、それで住宅予算の中からやり繰りをしろ、こういう形で問題は一応とらえられておるんじゃないか、だから四十三年度限りで大体打ち切りということを前提としての何じゃないかという疑問が生ずるのであります。やはり根本的に考えなくちゃならない。そういう大きな問題を持っておるのに、建設省としては具体的な方針を今日までお持ちにならなかったか。局長は先ほど少しは上げたと言っておられますけれども、政府の出しておる地方財政計画説明書の中に、きわめて遺憾である、こういうぐあいにして用地費を見ていないことを指摘しているわけです。これは政府の出している地方財政計画の中で説明されておることです。それはまた後ほど調べてもらってもけっこうだと思いますが、ただここで大臣にも考えていだたきたいと思いますことは、そういう中にあって、東京都の三多摩の五つの市長さんが、公営住宅に対する超過負担に耐えられない、当然国がこれは負担すべきであるという行政訴訟を起こすための会合をやっておられる、その準備を進めておられることは、御承知のことだと思います。そこで、今度の予算編成にあたりましても、約二百億円にのぼるといわれている超過負担、当然の単価なりあるいはまた工事費なり用地費なりの不足分に対する超過負担として二百億近いものがある、この点について、自治省と大蔵省において、四十三年度から三年計画でこの超過負担を解消するのだ、こういう申し合わせが行なわれておるわけですが、ところで一体どうなんですか。いま大臣からもありましたし、局長からもありましたけれども、公営住宅法を根本的に変えなくちゃならない。用地費の問題は非常に重大な段階に立っておる。二年前から大蔵省が主張してまいったものに対して、手をこまねいておったところに問題があるといたしましても、非常に強い態度で出てきておる、ことし限りだぞというような約束があるとかいうことも伝えられておるわけですけれども、それはそれとして、片方におきまして超過負担の行政訴訟の準備が行なわれておる。だから、自治省と大蔵省では、四十三年から三年間で解消の具体策を講ずるんだ、こういうことをいっておる。片方においては、打ち切りだ、これは起債に切りかえるんだというような話が建設省と大蔵省の間に進められているとするならば、非常に不愉快な印象を受けるのですけれども、この点に対してもう少しはっきりした、現在皆さんのとっておられる立場を説明願いたいと思います。
  29. 保利茂

    保利国務大臣 来年度の公営住宅用地費の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの面から詰めまして結論を得たい、こういうことで、現在そういう状態でございますから、その点はそう御了承いただきたいと思うわけでございますが、問題になっております超過負担の問題につきましては、住宅関係のみならず、中央と地方との全体のもろもろの問題をかかえておるわけでございます。佐野さん御指摘のように、超過負担のこの遺憾な姿を三年の間には何とか解消したいということについては、政府部内も一致した見解をとって、今年度それぞれわずかではありますけれども解消に向かって一歩を踏み込んだというところでございます。したがいまして、公営住宅用地費の問題につきましては別としまして、建築費等の工事費等につきましても、そういう形で三年のうちには超過負担というような非難が起こらないように持っていきたいということには誠意を尽くさなければならぬと考えておる次第であります。
  30. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私はいずれまた別の機会にお尋ねしますけれども、やはり長期計画、長期政策によるいろいろな目標なり、あるいはまた事業量、こういうような達成を急ぐために、各省ばらばらで、しかも非常に実情に合わない単価なり補助対象なり数量なりをもってやっていく、ただ単なる計画上の数字を合わせる、こういうことに性急であって、実際の対象よりも低目の対象に押えてしまう。標準建設費なんかは、中身を見てまいりますと、単なる数字だけを合わしていく。実際はもう地方自治体に非常に大きな負担をかけておる。こういうことはやはり改めなければならない点だと思います。そういう点を指摘しておきますと同時に、もっと具体的な問題は、きょうは関連でありますので、いずれ別の機会にまたいろいろと深めていきたいと思いますけれども、これらの点に対しましても十分ひとつ検討していただきたいのと、ただそういう意味において超過負担を解消するのだ、そのことのために用地費を打ち切ってしまうとか、補助を打ち切って起債に回す、こういう安易な方向にいくことを——現に家賃に及ぼす影響、低所得者の住宅問題として真剣に考えていただきたい。この二つの点を要望して一応終わります。
  31. 福岡義登

    福岡委員 時間がもう残り少ないので、住宅問題で、答弁は要りませんから、問題だけあと二つほど指摘しておきます。  一つは、公住宅団の関係で、用地買収の方式が従来は三カ年計画で五、四、一という割合だったのが、今度は二、五、三に変わるというように聞いておるのですが、こういうやり方では、御承知のように土地が非常な勢いで上昇しておるのですから、結果的に家賃に影響してくる。ですから、これはぜひ再検討していただきたいということが一つ。  もう一つは、同じく住宅公団の利子補給三十九億ですか、四十二年度にあったのですが、これが削られてしまった。これも家賃にはね返ってくると思いますが、ぜひ再検討をわずらわしたい。  もう一つ、団地サイズの解消ということが問題になっておるのですが、昭和四十二年度では二〇%解消する、昭和四十三年度は五〇%の解消ということになっておったのですが、ぜひ五〇%の今年度解消というものはやっていただきたいということを要望して、時間がないので問題点だけ指摘をしておいて、次に移りたいと思います。  次は自動車取得税の関係、道路予算とも密接な関係があるのですが、この取得税の配分は、県が徴税をして、その徴税費として五%取る、残りを七、三の割合で、県が三、市町村が七という割合で配分するというように聞いておるのですが、そのとおりであるかどうか。
  32. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 私もそのように聞いております。
  33. 福岡義登

    福岡委員 道路財源全体が非常に少ない。さっき、社会資本が立ちおくれておるというときにも指摘しましたが、特定財源だけで、一般財源が非常にない。これは抜本的に——建設大臣保利さんがなられたのですから、自民党の実力者でもあるし、これはぜひ何とかしてもらえると思って期待をしておったのですが、中身はそんなになっていない。ぜひ今後一般財源をふやすように努力してもらいたいのでありますが、問題はいまの自動車取得税の関係なんです。非常に市町村道がおくれておる。国道、県道はある程度改良も舗装も進んでおる。それに比べまして市町村道が非常におくれておる。ですから、今度の場合、ぜひ建設省としてはこの自動車取得税というものを市町村にそのほとんどを回すというようなことに要求される意思はないかどうか、そういうようにわれわれは求めたいのであります。一体どういうように考えられるか。
  34. 保利茂

    保利国務大臣 この自動車取得税の県と市町村の配分の分につきましては、いろいろお説のような御意見もかなり多いように思います。自治省は自治省の見るところでこういう配分をきめることが公正だという考えに立っておられるわけでありますが、これはこれとして、ただしかし、市町村の道路整備が非常に立ちおくれておるというこの現状は、率直に認めなければならぬと思います。したがいまして、そうかといって市町村に過重の負担がこのためにかからないように今度の道路五カ年計画の中におきましても整備を急ぎたい、急ぎたいが市町村に過重の負担がかからないようにという、非常に苦しい計画を盛り込んでおるのもそういうところにあるわけでございますが、しかし、どちらにしましても、幹線道といいますか、国道、県道の整備がだんだん進んでまいり、どうしてもおくれておるのは市町村道でございますから、そこにこれから幾らか傾斜がかかっていくようにしなければならぬ、また必然的にそうなるべきであるということからして、この五%を除いた七、三の配分が適当であるかどうかということにつきましては、一年これでやらしていただいて、どうもおもしろくない、じゃないかというようなことであれば、これは私どももそういう市町村道整備という観点からひとつお説のようなことを努力するにやぶさかでないわけであります。
  35. 福岡義登

    福岡委員 道路予算全体が少ないわけでありますが、そこのところを特に努力をしていただきますようにお願いしておきたいと思います。  それから、建設業法改正の問題が去年ごろからいわれておるのでありますが、審議会が御承知のように答申を出した。いま建設省で検討しておるというふうに聞いておるのでありますが、この建設業法改正のいまの作業状況、今度の国会に出される意思があるかどうかということをひとつまずお伺いしたい。
  36. 保利茂

    保利国務大臣 私はいま頭にえがいておりますのは、とにかく総理大臣の施政演説でも指摘しておられますように、全国の都市化現象に対してどう対処するか、すなわち、土地の問題ないし都市の問題に対してどう対処するかということが当面の大きな課題になっておりますし、したがいまして、現在御審議をいただいております都市計画法都市開発法に対してもいろいろ御意見は多かろうと思いますけれども、せめてこの御審議を進めていただいて、皆さま方のエネルギーをこれに注いでいただくわけにはいかぬだろうかというのが、私の正直な願いなのであります。建設業法につきましてもいろいろ改正の意見もかなり前から上がっておるようでございます。審議会の答申もいただいております。これをただいま事務当局において検討いたしている段階でございます。これらは委員会の皆さま方の御意向もあわせ考えつつ、この国会に間に合うのかどうか、間に合わしたほうがいいということであれば、ひとつ間に合わせるようにしなければなりません。率直なところ、そういう考えでございます。
  37. 福岡義登

    福岡委員 私どもは出してもらいたくない。いまのあのようなものは出してもらいたくない。出さぬということを言明してもらいたいのですが、問題は、審議会の委員の構成を見ますと、いわゆる中小企業者の代表が入っていない。どうも答申の中身というものが大企業中心になっておる。非常に中小の企業者が心配しておるわけです。もし答申の線に従って作業が進められるということになれば、零細中小業者、あるいは特に大工とか左官とかいうものは非常に仕事がしにくくなる。どこかの大企業の系列に入らなければならぬ、そういう心配もしておるわけです。ですから、もし建設業法を改正されるといたしましても、何らかの方法でそういう業者の意見を——大企業の意見は大体答申の中に出ておるのですから、それ以外の業者の意見を聞いた上で十分検討するということにしていただくように、きょうお願いしておきたい。この国会には出さぬということをひとつ大臣から言ってもらいたい。
  38. 保利茂

    保利国務大臣 これは福岡さん同様、私も地元に関係を持っておりまして、いろいろな業態の実態も幾らかは関心を持って承知をいたしておるわけです。まあ福岡さんには福岡さんのいろいろ御存じのあれがありましょう。私も存じ上げて、じかにいま申されましたような方々の意見も聞いております。もう一つ、これはお互いに考えていただきたいと思いますのは、中小企業の倒産ということが非常に大事な課題として出ておりますが、その中小企業として数えられている中の建設業関係の倒産というものは意外に多い。これは非常に注目されるところであります。その実態を把握するのに非常に困難を覚えておるわけでございます。そうかといいまして、建設業は逐年一万ぐらいの増加を示している。倒産していくから減っていくのかというと、倒産してかえって激増しているという状態、この実態が一体どうなっているかということは、お互いに冷静にこれはひとつ拾い上げてみる必要があるのじゃないか。そういうところからして、中小の建設業を育成していく方向からいたしましても、ただ登録さえすれば、それは建設業だ、どの程度の仕事をされておるか、どの程度の経営能力あるいは工事能力を持っておられるか、そんなことは全くおかまいなしに、登録さえすればそれは建設業だというような形でこの建設業が扱われておるということはどういうものか。そういう点について、いや、そんなものは一切かまわぬで、建設業法改正などというのはやめちまえ、やめましょうということは、私も即断的に言明することはできません。よくそこらの実態をわきまえて、もう少し考えさせていただきたいと考えおります。
  39. 福岡義登

    福岡委員 時間が超過いたしましたので、もうこれで終わりにしたいと思うのですが、いまの点は、中小企業が倒産する、その中の相当なウエートを建設業者が占めておる、それはそれなりのいろいろな理由があるので、別な施策を施していけば倒産が救済できる面も相当あるのですから、これは大臣がおっしゃるように、中小企業の業者はあまりよくないのが多いから、それを整理することも考えなければいかぬのじゃないか、そういう意味なら、それには賛成できないのですが、いずれにしても、もし改正されるなら、そういう中小零細企業、大工、左官というような人々の意見が十分入るような方法を講じてもらいたい。そうでなければ改正してもらっては困るという意味なんでありまして、何でもかんでも一切法律改正をやってはならぬという意味ではないのです。  最後に、本州と四国の橋についてひとつ。一々御質問すれば時間が長くかかるので、まとめて二つ三つお伺いいたします。  一つは、先般工期、工費について試算を終わったわけでありますけれども、今度はおそらく経済効果の計算などをやられまして、最終的にルートをきめられると思うのですが、その作業は一体どういうめどといいますか、いつごろまでにやられようとされておるのか。  それからもう一つは、一応はああいう試算の結果が出たのでありますが、橋は六車線、道路は四車線、発表されたとおりなんです。私どもが見ますと、あの試算、計画というものがそのまま一〇〇%再検討を必要としないというものでもないと思うのであります。そこで聞きたい点は、一応ああいう試算の結果は出されたのだけれども、他の、たとえば四車線ならというような想定で、あるいは鉄道併用でない場合、ある場合というような、発表された以外のそういう試算があるのかどうか、また、今後実情に即して、あの試算の結果とは別の試算を考えることができるのかどうか、ちょっと言い回しが適当でないかもしれませんが、あの試算の結果をすべての基本にするかどうかということが一つであります。  それから第三にお尋ねしておきたいと思いますのは、五つのルートについて試算の結果が出ておるのですが、私どもは中心的には三つのルートが議論の対象になっておるというふうに認識しておるのですが、同時に二以上の着工というものは考えられるのかどうか。あくまでも西村建設大臣が話しておられたように、一ぺんに二以上というのは困難だ、一つずつということにならざるを得ぬのじゃないかというようなことに考えられておるのかどうか。  以上三つの点をひとつお尋ねしたい。それから最後に、これはあとで答えてもらいたいのですが、やはり経済効果という面と、それから地域開発という面と、議論の角度はいろいろあろうと思う。そこで、私はいまどのルートをあげてそれを優先すべきだという議論をここでする意思はありませんが、経済効果だけという議論よりも、やはり地域格差が非常に開いているのだから、地域格差是正という意味から、開発という面にもやはり相当のウェートをかけてもらいたい、これはひとつ要望しておきたいと思う。  以上で時間が超過しましたので、大臣のお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 保利茂

    保利国務大臣 建設業法に関しまする福岡さんの御意見のほどはよくわかりました。私としても努力をいたすつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。  本州−四国の架橋問題につきましては、御案内のように、工期、工費の一応の調査の発表をいたしましたが、これは建設省としましてはいずれも六車線の構造として単独橋の試算をいたしております。そして昨年五月の土木学会の一応の結論をいただきまして、それで、かなり長い時間をかけて、事務当局で、今日の施工法をもって安全に工事を進めるとすればどのくらいの工期がかかるか、またどのくらいの経費がかかるかということをすなおに積算して出しておるわけであります。それだけで見ると、ここが割り安だからここへかけようというわけにもいかぬのだろう、それで、経済効果調査とか、あるいは、何せ世界にずいぶん大きな橋があるようでございますけれども、そのいずれよりも、今度の瀬戸内海の架橋というのは、船舶航行上からいたしましても非常にむずかしい工事のようでございまするし、そういう点等もよく考え、その及ぼす経済効果も、ただいまお話しのように、地域格差の是正ということは、お互いこれはもう均衡ある国土の開発発展ということを念願しているものとしましては当然のことでございます。ただ、相当長い工期、示されておりますようにみんな十年以上もかかるような計算になっておるわけですから、十年と申しますと、過去十年のあとを顧みてみましても、四国にしましても中国にしましても、あるいは道路状態にしましても、交通から来るいろいろの障害等、一体どの程度に十年後は交通整備されているか、たいへん失礼だけれども、四国もそうたいして広いところではなし、あの県この県でなしに、四国一体として経済活動ができるような状態も当然考えていいんじゃないかということから私どもとしては当分考えておくべきだと思うのでございます。しかし、建設省の視角から見た経済効果調査というもので一体足りるのか。いまお話しのように、やはり全体の総合計画というか、そういう上からも再検討してもらわなければならぬじゃないか。そこで、建設省の段階の経済効果調査を急いでもらって、そしてその資料が大体でき上がりましたならば、当局者である経済企画庁にこれを移して、経済企画庁でもう一ぺん再検討願って、そして結論を見出すように持っていきたい、こう考えておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。  とにかく、これだけの経済成長といいますか、国の発展をいたしてきておりますことでございますから、よくいわれますように、十年前に今日の日本を想像した者が何人おったかといわれるくらいで、十年後の日本がどういうところまで伸びておりますか、いろいろ長期展望はありますけれども、ああいうふうになりますれば、初めての長大橋でございますから、これをこなし得る技術陣というものは相当のものだろうと思います。そういう点等もどうも未確定の要素が非常に多うございますから、同時に着工できるかどうかということは軽々に申されませんけれども、とにかく、だれが考えてみましても、四国と本州がほんとうにフルに経済交流をするのに一本でいいだろうということを考える人も少ないのではないか、私もそういうふうに考えております。その程度です。
  41. 福岡義登

    福岡委員 どうもありがとうございました。
  42. 加藤常太郎

    加藤委員長 内海清君。
  43. 内海清

    ○内海(清)委員 建設行政基本施策に関しまする大臣の所信表明に関連いたしましてはいろいろ問題があるわけでございますけれども、しかし、今日、先ほどの福岡委員のお話にもございましたように、わが国社会資本開発というものがおくれておることは、これはだれも認めざるを得ぬわけであります。たとえば住宅問題にいたしましても、あるいは道路問題にいたしましても、あるいは都市問題にいたしましても、ひとしくそういうものがあるわけでありますけれども、今日私考えまして、これらを解決いたしますわが国の現状からいえば、地価対策というもの、これがきわめて重要な問題である、あるいは中心的な課題といってもいいのじゃないかというふうに考えておるのであります。したがって、きょうは時間が三十分ということでございますから十分の質問はできませんが、若干これに対しまして御質問いたしたいと思うのであります。  それで、地価が高騰する、そのためにいろいろな障害が起きておるということは、いまさら申し上げるまでもございません。したがって、地価対策が最も緊急必要なものであるということは、すでに御承知のように、当初、住宅の総合対策懇談会、こういうものを計画されましたけれども、それが土地問題懇談会に切りかえられた、こういうことでございまして、これは大臣御自身も十分認識されておるところだと思うのであります。これに関しましては、さきの佐藤総理の施政方針演説におきましても、新しい国土開発を進めるためには、土地問題が公共優先の観点から再検討されねばならない、こう言われております。また、大臣も、土地問題懇談会の初会合で、これからの土地問題は公共優先の認識を徹底させないと解決しないというふうなごあいさつがあったように実は聞いておるのであります。  そこでお尋ねいたしたいと思うのでありますが、土地問題を公共優先の観点から再検討する、あるいはまた、公共優先の認識を徹底さすということ、こういうことは、従来から指摘されてまいりましたように、現在過度に保護されておる土地にかかる私権、これはあるいは語弊があるかもしれませんが、この土地にかかる私権の制限に踏み切るということであるかどうか、こういうことに対する大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
  44. 保利茂

    保利国務大臣 大きく申しますれば、日本のいわゆる農業国から工業国へ変貌をしてまいりました現在の状態におきまして、特に産業、人口が集中的に集中してまいりました地帯、その土地というものが一体どういうものか。私有財産としてその権利が保障されなければならぬことは、憲法上も当然なことでございますが、さればとて、そういう国情の変化——と申しますか——にこたえて、私有財産として土地は持っておる、しかし、その土地はやはり社会のため公共のために利用されなければならない財産であるということを、土地所有者関係者かそういうふうに頭を——おれのものだから、おれがどうしようと、寝かせておこうと使おうとおれの自由だというような考え方は、今日は通用しないのではないか。それが通用しないように、あたりまえに、土地というものは社会的公共的に利用せらるべきであるという考え方をみんなが持つようにならないと、これに規制、制限等の措置を加えますと、非常な強権的な摩擦を生ずることになるだろうし、まず、この施策の対象となる土地所有の方々に、その持っておられる土地というものにもし余分のものがありとすれば、それは社会のため公共のために利用せらるべきであるという考えを持っていただくことが何より大事ではないか。その点においては、この土地問題というものが取り上げられてから久しゅうございます。まだその辺のところに努力を要するのではないかというような感じが率直にいたしておるわけでございます。
  45. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣の御所見もっともだと思います。しかし、いま、社会資本開発というようなものはいわば至上命令的に進めていかなければならぬ、これもまた事実でございます。そういたしますと、いま大臣のお話のような、すべての土地の所有者がそういう気持ちになるのを待つということのみも、国の施策としてはなかなかできないのではないか。そういうことになりますと、私どもは、今日まで、これはさっき申しましたように語弊があるかもしれませんが、過度に保護されてまいりました私権というものがある程度制限されてくるのではなかろうかというふうにも考えるのであります。もし、公共的な立場からある程度私権の制限に踏み切らざるを得ぬ、こういうことになりますと、 ここで一つお尋ねいたしたいのは、前国会で成立いたしました土地収用法の改正、これは御承知のとおりであります。それから都市計画法案にあります土地の利用計画、これらはいずれも私権がある程度制限されておるわけでありますが、そういうもの以外にどのような方策を今後なお進めていこう、こういうふうに考えられておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  46. 保利茂

    保利国務大臣 問題は、相当長期に展望される日本産業経済、都市状況等を考えまして、国土のどういう利用計画を持つかということが一番大事であろうかと思います。そういう上から、直接的にあるいは間接的にある程度土地を所有されている方々がそういう線に御協力を願わなければ、その利用計画の達成もできないと思うわけであります。そこで、まず私どもとしてやらしていただきたいと願っておりますのは、御指摘の都市計画法都市開発法等をふえんすることによりまして利用計画を持ち、同時にまた、土地税制の面からもそういうことが達成しやすいような税制の組み立てを願わなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  47. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣は非常に慎重な御発言で、ぴんとそのものに来にくいのでありますけれども、税制の問題ももちろんございまが、私はこれはあくまでも補助的な問題だと考えております。直接的にはやはり土地そのものに対して一つの考え方が出てこなければならぬのじゃなかろうかというふうに思っておるわけであります。いずれにいたしましても、いまの大臣のお話を聞きますならば、いわゆる都市計画におきまする土地の利用計画、あるいは都市の再開発法等にあります問題、さらには収用法というふうなもの、これらをさらに拡充して、できるだけ土地利用者の納得のいくような線でこれを解決していきたい、こういう御意向のように承りますが、大体そういうことでございますか。
  48. 保利茂

    保利国務大臣 大体そういうことでございます。
  49. 内海清

    ○内海(清)委員 それでは次に移りたいと思いますが、この異常な地価の上昇であり、また、異常な速度で進行してまいりますところの人口と産業都市への集中、これによりまする土地に対します膨大な需要が原因であることは申すまでもございません。しかし、この都市集中を生み出したものは何であろうか、ということを考えてまいりますと、都市のもたらしますところの集積の利益であるということが言えるのではなかろうか。この集積の利益というものは、都市を形成いたしますところの地域社会、この地域社会全体が生み出したものじゃないだろうか、そういうふうに私は考えるのであります。でありますから、根本的には地価上昇はこの地域社会によって生み出されたものである、かように考えるのでありまして、そういう点から申しますならば、この地価上昇によりまする利益というものは、本来都市を構成いたしますところの地域社会全体に帰属すべきものではないだろうか、こういうふうに私は考えるのであります。そういうふうに考えてまいりますと、地価の上昇による不労所得と申しましょうか、これが一部の地主に帰属しておるという現状であります。これがまず改められなければならないのじゃなかろうか。宅地造成、こういうふうなことが行なわれました場合、あるいは一般物価上昇程度の土地の値上がり分は別といたしまして、土地にかかりまする利益と申しますか、利得と申しますか、これが個人に帰属いたしますことは排除されてしかるべき問題であろう、こう私は考えるのであります。その点に関しまして大臣はいかにお考えでありまするか、これをお伺いいたしたい。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 地価の異常な上昇の主たる原因が内海委員も御指摘になりましたような事情によっておることは、私もそのとおりに考えます。同時にまた、別の角度から見ますると、とにかく傾斜的な産業、人口の集中によって土地に対する需給関係が非常なアンバランスを生じた、そこにまた幾らか思惑的な、投機的な対象物として扱われたというようなことも、ますますこの上昇に拍車をかけてきているのじゃないかと考えるわけであります。それで、理論的には、お話しのように、みんなが集まってその都市を形成して、そしてそのために土地が上がったのだから、これはその地域社会の全体の人たちに均てんせらるべきであるという、これは理論的には私はそうじゃないかという気がいたしますが、しかし同時に、そこに持っておる土地の所有者の権利というものは、やはりまた別の角度から保護されなければならない。そこを社会的公共的にその私権との調整をどうはかって、どの程度に一体押えていくか、現実の問題としましては——いわゆる開発利益の社会還元という考え方を私は否定するものではございません。それをどの程度に現実に調和さして事態の改善をはかっていくかということが問題であろうというように問題を受け取っておるわけでございます。
  51. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん、大臣のおっしゃるように、そのために私権が極端に侵されるということは問題であります。正当な地主というものがそのためにそこに利益を得るということは当然だと思います。だから、それ以上の場合、これが問題になる。よくいわれますゴネ得などの問題は解決しなければならぬというふうに考えるのでございます。きょうは時間がございませんから、なかなか突っ込んだ議論はむずかしいわけでありますが、私は、地価安定のためには、開発利益が不当に——不当にと言うことは当然たと思うのですが、不当に一部の地主に帰属するということはやはり排除されなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、そのためには、もちろん、さっき大臣もお話しになりましたような、これは補助的な役目は果たしますけれども、土地税制の問題もございましょう、同時に、土地の利用計画あるいは宅地の大量供給の問題、さらに地価の公示制度、これは建設省におきましても、公示制度につきましては、今日まですでにそれを実施するためにいろいろ施策をやっておられる。三十九年から毎年地価調査というものをやっておられるわけであります。これは公示制度に踏み切ろうという一つの前提である。こういうような総合的な施策がここに生まれてこなければならぬのじゃなかろうか。そういうような総合的の施策をやろうという建設省の意図は、私どもがこの四十二年度の「国土建設の現況」を見ましても十分うかがえるわけであります。あらゆる面にそういうことが出ておるが、しかし、現在までの建設省施策は、いわば宅地の供給ということに非常な重点が置かれておる、こう言えると思うのであります。しかし、どんどん進行してまいります都市集中に伴う土地の需要に対して、それに見合うだけの宅地あるいは工場用地、こういうふうなものは、需要に応じてこれを供給するということはなかなか困難な問題である。非常な速度で発展しておりますために、このほうがおくれておるのであります。ところが、地価対策が行なわれていない現状におきましては、住宅公団あるいは名都道府県等で公営住宅などを建設いたしておりますが、そういうふうな公的機関による宅地などの造成のために土地を買い入れる、こういうふうな事柄がかえって地価の上昇の一因となっておるのじゃなかろうか、こういうふうにさえ考えるのであります。したがって、そういう状態が続きますと、地価の上昇は一向にやまない。これはもちろん現状そのものでございます。それからまた、土地収用法の改正が行なわれますときに、もちろん一部は考えられております。公共用地の対象となる土地に対しては千二百万円まで控除というようなことも出てまいりました。ところが、この際も民間の私的売買に対してはございません。でありますから、土地収用法の改正と同時に行なわるべきでありました土地の譲渡所得税の強化策ということは、四十一年には提案になったのが、 四十二年には出てこなかった、削られた問題であります。これが行なわれておりません。さらに税制調査会や土地税制特別部会でもまだ結論が出ていないという状態であります。こういう点を考えてまいりますと、ここらにいろいろ問題があると思う。これは急がなければならぬ問題だと思うのであります。土地税制特別部会の結論、これは早く出していただかなければならぬと思いますが、これはいつごろ出される見込みであるか、四十三年度には出ておりませんが、四十四年度からはこの土地税制の改正が可能なのかどうか、こういう点につきまして御所見を伺いたい。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 地価対策につきましては、衆議院におきまして、三十九年の国会でございますが、共同決議案も出されておるわけであります。また、四十年の十一月には、これを受けまして政府も、閣議了解をとりまして、宅地の需給関係から、大量供給をはからなければならぬ、以下数項の決定をいたしました。それに因由しまして、ただいま御審議をいただいております都市計画法ないし都市開発法を成立さしていただきまして、土地収用法一連の施策をお願いいたしておるわけであります。しかし、補助的役割りであるかどうかは問題があろうかと思いますけれども、先ほどからの私権と公共性、社会性との調和をどうはかっていくかという上で一番のウエートはやはり税にかかってくるわけであります。御案内のように、一度は国会の御審議をいただくようなものも出ておりますけれども成立に至らなかったことは、まことに遺憾に思っております。昨年十月、税制調査会に対して、建設省としましては、御指摘の譲渡所得税以下数項にわたって税制調査会で御審議をいただいておりますことについて意見を申し出ておるわけでございます。税制調査会でも非常に慎重に扱われまして、お話のように土地部会で御審議をいただいておるようでございます。七、八月ごろまでには税制調査会の結論が期待できるのじゃないか。そういたしますれば、しょせんこれは国会の御審議を願わなければならぬことでございますが、大体の目標としましては、次の通常国会にはひとつ具体的に御審議をいただくような段取りに持っていきたいものだと願っております。
  53. 内海清

    ○内海(清)委員 その点はよくわかりました。  次に、御承知都市計画法案によりますと、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けている。これによりまして市街地の無秩序な拡大を防ぎまして、計画的な都市づくりをしよう、こういうことであります。ところが、地価対策が何ら行なわれておりません。もし現在のままでこの都市計画法が施行されるといたしましたならば、この市街化区域の地価はどんどん上がってくると思うのです。したがって、この市街化区域内におりますところの地主は大きな利益を得るのに対しまして、市街化調整区域の地価というものは、横ばいか、あるいは場合によれば下落するような現象が出るのじゃなかろうかということを実は私は考えるのでありますが、もしそういうふうになるといたしますならば、その区域の地主はそれを指定されることによってむしろ損害を受けるような場合も出てくるのじゃなかろうかということを考えるのでございます。これでは両者間におきまして著しい不公平が出てくるのであります。そうなりますと、この都市計画区域内のすべての地主はこの市街化区域の指定を受けるようにということで、ここにまためんどうが起きてくる、混乱が起きてくるのじゃなかろうかということを実は心配いたすのであります。  そこで、せっかく計画的な土地利用計画というものを行なうための方法でありますから、合理的な土地利用計画を行ないますためには、どうしてもここに地価対策、ことに、外部経済といいますか、たとえば、その地域に私鉄が敷かれたとか、あるいはその他の高速道路ができたとか、外部経済の力によりまして地価が高騰した、この場合の開発利益の帰属に対する適正化方策、どうしてそれを適正にするか、これはどうしても早急に考えなければならぬ問題ではなかろうかと思うのであります。その点に対しまする御所見をお伺いいたしたい。
  54. 保利茂

    保利国務大臣 都市計画区域内を市街化区域と調整区域に区分けをする、市街化区域に包摂されるところの土地の利用度は高くなるから相当値上がりを期待される、一方においてはいろいろ制限をこうむることになるから、場合によれば損失を受けるようなことになるかもしれぬという御懸念は、これは全く同感でございます。それだけにまた、区域の設定にあたりましては府県知事におかれましても相当これは慎重にやってもらわなければならぬし、そうかと申しまして、そういう区域を設定します理由の一つは、無秩序な都市化を防いでいくということでもありますけれども、一面におきましては、積極的な農業の振興と申しますか——調整区域というものは、多くは農村地帯になるわけであります。したがって、そこの農業の振興という積極的な意味においていろいろの施策が講じられていかなければならぬのではないか。しかし、線を引かれたために、こっちは上がらぬで、 こっちはべらぼうに上がったということでは、たまたま線の中におられた人が、放任しておけば不当な利得を受けるということになりますから、これはどうも公正の理念からいいましても、全部というわけにはいかぬでしょうけれども、ある程度の調整を行なわれなければならぬ。今日の頭でいえば、相当きびしい制約を受けられてしかるべきものじゃないかというような考え方であります。しかし、都市計画区域の設定、その中における市街化区域、調整区域の設定ということは、住民にとってはきわめて重大な利害を伴う問題でございますから、一面においては、これの指定にあたりましては、農政当局者、そういう関係から十分慎重に練り上げられなければならぬ、それを期待をいたしております。
  55. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題はいずれ都市計画法でもいろいろ論議されると思いますのでこの程度にとどめておきたいと思いますが、いずれにしても、この二つの地域の不公平が生じないように、これを適正化するための方策は必ず必要であるということを考えるわけでございます。  次に、土地の税制の問題でございますが、これは地価対策上から申しますならば、私が先ほど申しましたように、むしろ補助的な役割りをになうものじゃなかろうかと思うのでありまして、土地税制特別部会でもそういうふうに指摘されておるところであります。しかし、何といたしましても必要なことは直接的な地価対策であると思うのであります。  そこで、私がまずお尋ねいたしたいと思いますのは、三十九年に不動産鑑定士の制度が発足いたしました。そうして不動産鑑定士及び不動産鑑定士補というものが生まれたわけでありますが、これがいま全国で——四十二年の現状には大体数はございますけれども、現在においては何名登録されておるか、また、これが東京あるいは京阪神あるいは中京圏等それぞれの地域にどのくらいおるか、それから、不動産鑑定士がやるわけでございますけれども、不動産鑑定業者というものがそれぞれの地域別にどういうふうに分布されておるかということがわかりましたら、一応御説明願いたい。
  56. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御質問の不動産鑑定士並びに鑑定士補でございますが、三十九年に法律が制定されましてから本年まで四年たつわけでございますが、その間に特別試験を三回、一般試験を三回やりまして、ただいま不動産鑑定士の資格をとった者が九百五十人、士補の資格をとった者が五百六十人、合計いたしまして約千五百人の鑑定士、鑑定士補の確保ができたわけでございます。また、資格をとりまして業として鑑定を行なっております業者の数は、登録数が約二百五十になっております。これらの鑑定士並びに業者は一応全国的に分布をしておりますけれども、何と申しましても、需要が多い東京、大阪に相当数が集中をしていることは当然でございますが、関東甲信地方で鑑定士が五百四十人ばかり、近畿には百六十七人、相当濃密に関東、近畿に存在しておるわけでございます。しかしながら、鑑定士に需要がございますれば、広域的にどこへでも行って仕事ができるわけでございますので、現在のところ需要に対して供給が間に合わないという状態ではございませんで、大体全国的に活動しておるわけでございます。
  57. 内海清

    ○内海(清)委員 中京圏はどれくらいですか。
  58. 川島博

    ○川島(博)政府委員 鑑定士が七十人でございます。
  59. 内海清

    ○内海(清)委員 三十八年七月に鑑定評価に関する法律でこの鑑定士のこともきまったわけであります。これはいわば建設省が地価の公示制度を実施する一つの前提であったと思うのであります。そこで、建設省は、これによりまして地価の公示制度を実施するために、その準備調査を東京都及びその周辺について三十九年から始められておると思うのです。それから京阪神地域では四十一年から実施されておると思うのでありますが、この地価公示制度に踏み切られるのは、これは私ども新聞を見ますと、四十五年をめどにするというようなことを見たように思うのでありますけれども、はたしていつから地価の公示制度に踏み切られるお考えがあるのか、それをお伺いいたします。
  60. 保利茂

    保利国務大臣 今年から名古屋のほうでも始めておりますから、できれば四十五年度、おそくも四十六年度には実施に踏み切るべきであろうということで、事務当局で準備を進めております。
  61. 内海清

    ○内海(清)委員 これは今日の地価の高騰の情勢から見ましてできるだけ急いでいただきたい、これは強く要望申し上げたいと思います。  そこで、この地価公示制度が行なわれるといたしますと、これはいろいろな対策考えられるわけであります。そこで私は四つばかり考えてみたのであります。  その第一は何かと申しますと、公示価格を統制価格とするということ。それから第二番としましては、公示価格を準統制価格といたしまして、その作用を持たせるために、公共用地につきましては、その公共用地取得価格の最高限度を公示価格とする、それ以上高く買ってはいかぬということ。それから私的取引につきましては、土地の私的取引価格が公示価格を上回ったときには、これは仮称でありますが、土地譲渡差益税、こういうふうなものでも設けて、そうして高率の累進課税によって公示価格以上の売買を自主的に排除していくということ。それから三番目として考えられますのは、今日の地価の評価額でありますが、これは時価と相続税の評価額、固定資産税の評価額、こういうふうなものとございますが、今日の状況を見ますると、時価を一〇〇とした場合に、大体相続税の評価額は七五程度じゃなかろうか、あるいは固定資産税の評価額は五〇%、これはところによれば時価の二十分の一というふうなものもあるようでありますけれども、大体五〇程度の割合になっておるのじゃなかろうかと思うのであります。こういう公的機関の評価額が不統一であるということはいかがであろうか。地価問題に対しても非常な問題があるのではなかろうか。そこで、これを公示価格に統一いたしまして、それぞれの税の性質上、税額について問題があるならば、これは課税比率で調整していったらどうだろうか、こういう一つの案であります。それから第四番目といたしましては、公示価格を一応の目安にしたいということ、この四つ程度が考えられるんじゃないかと思うのでありますが、地価の公示制度が実施された場合に、大体この四つの中のどれをお考えになっておるだろうか、どれをとられるのであろうかというふうなことを考えるわけであります。ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  62. 保利茂

    保利国務大臣 たいへん大事な問題で、また御提案でございまから、十分検討をさしていただきたいと思うわけでございます。  公示価格をもって統制価格にしたらどうかということにつきましては、これはよく研究はいたしてみますけれども、単刀直入に言えば、いうところの公定価格、マル公になるわけでございましょう。それがはたして経済全体の体制とマッチするものかどうかというかなり深い問題が横たわっておるようでございますし、十分検討さしていただきたいと思うわけでございます。  財産評価、土地評価が税種によっていろいろ違ってきておるということは、これはもう御指摘のとおりで、現状はまさにそのとおりでございます。これをどう統一して、実際は同一評価額をもって税額を決定していく、税率がどうなるかということのほうで考えていくことがほんとうだと思うのでございますけれども、これは容易な問題じゃないようでございますし、内海委員の御意見はわかりましたから、十分研究さしていただきたいと思います。
  63. 内海清

    ○内海(清)委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、最初に申しましたように、いますべての社会開発の問題で突き当たっておる問題はこの地価問題だと思うのであります。したがいまして、建設省でも今日まですでにいろいろ施策についてはお考えの点が多いと思うのであります。実は私どももこの問題は早急に根本的に解決されなければならない問題だということで勉強いたしております。したがいまして、今後これらの問題につきまして、ひとつ建設省におきましても早急に結論を出していただきたい。また、私どももその案ができましたらまた卒直にお話し申し上げまして御検討いただきたい、かように考えております。   〔委員長退席、砂原委員長代理着席〕 どうかひとつその点御了承願いたいと思います。  以上で終わります。
  64. 保利茂

    保利国務大臣 いろいろ御提案をいただきましてありがとうございました。十分勉強して——御鞭撻をいただきたいと思います。
  65. 砂原格

    ○砂原委員長代理 小川新一郎君。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣にお尋ねします。  所信表明の中で、大臣は「総合的な土地利用計画を確立いたし」、とございますけれども、この「総合的な土地利用計画」というのは、計画法とか再開発法とか収用法とかいう土地三法だけをさして土地利用計画というのでございますか、どうなんでございますか。
  67. 保利茂

    保利国務大臣 国全体の国土の利用計画というものは、御案内のように、国土総合計画を立てられて、そして利用計画が立っているわけであります。建設省の所管部分としましては、右の三法等を運用することによりまして中身を盛っていきたい、こういうように考えております。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは私、考え方が違うかと思うのです。総合的な土地利用計画というものにちょっと欠けているやに考えるのでありますが、いまも同僚議員、先輩議員から土地に関するいろいろな問題が述べられております。そういうものを包含したところの土地利用計画というものがなければこれはだめでありますし、地価対策という面においても政府はまだ具体的な計画等を発表しておりませんが、そういう点を含まれてないのにかかわらず総合的ということばは、妥当でないように考えられるのでありますが、この点はいかがでございますか。
  69. 保利茂

    保利国務大臣 いろいろ、あるいは工業を興す地帯であるとか、あるいは商業の地帯であるとか、住居の地帯であるとか、そういうことが総合的に策定されていかなければならないという考え方は、私はいいんじゃないかと思うのであります。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この点について議論しておりますと時間がかかりますので、また後に譲りますが、瀬戸山さんは、土地は商品でない、また西村さんは、特別な商品であるという土地の定義というものを打ち出しましたが、保利大臣はどのような土地の定義をお持ちでございますか。
  71. 保利茂

    保利国務大臣 私は、先ほど来お答えいたしましたように、今日の日本の現状下におきまして土地を持っておられる人は、ほかの私有財産と違った公共性、社会性の高い財産であるということを申し上げておりまして、それが商品であるかないか、どういう商品かということは、これはもう私は別にそういうことを申し上げようというような気はありません。そういう性質のものなんだ、それをいま普通の商品と違うのだということをおっしゃれば、そのとおりだと思いますし、それはもうどちらでも名づけはご自由で、私はこだわりたくないと思います。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣も大体その特別な商品というようなものの定義の考え方をお持ちのようでございますが、大都市問題について建設大臣は総理大臣と意見が少し違うように私思っているのです。総理は分散論、建設大臣は大都市集中論というように、阪上氏の質問の中から、新聞だけで判断すると、そういうふうな答弁のあり方になっておるのですが、現在の都市問題で、大都市集中論か、それとも分散論でいくか、この二つの意見に分かれておりますが、どちらを大臣はおとりになっておりますか。
  73. 保利茂

    保利国務大臣 私もかけ足で勉強しておりますけれども、大体そういうう論議は、大都市集中論と分散論と、これは世界的にあるということを伺っております。けれども、現実の事態を処理すべき任務を持ちます者としましては、たとえば東京なら東京はどうするんだということから考えていくべきじゃないか。それには、中枢部にいなくても大体その目的を達し得るようなものは、できるだけ分散していただいたらどうだろうか。また、今日の都心部にかかる通勤状態から見まして、何とかこの方々がもっと輸送施設を利用しなくても済むところに住んでいたならば、両面から事態の改善がはかっていかれるのじゃないかということから考えますと、職場に近いところに住居をかまえていただくというようなことができないか、それは都市開発論になってくるのじゃないか。それは、あるものについては分散論であり、あるものについては集中論になって、そういうふうに色分けされるとはなはだ私は迷惑ですけれども、そういうふうな考えを持って都市環境整備をはかっていくということが大事じゃないだろうか。議論はいろいろできると思いますけれども、事態はそういうふうに見ていくべきじゃないだろうかと考えております。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 非常に現実的なお考えでございますが、現時点に立ったところの都市開発というものはそれであってしかるべきでありますけれども、やはりマスタープランとか、総合開発計画とか、地域開発計画とかいう一つの未来というものに立ち至ったときには、ここにも大都市論をお書きになった局長さんがいらっしゃいますけれども、私あの本を拝見しておりましても、一体日本の国土というものはどういう方向の視野で進んでいかれるのか、その点において確たる目標というものを与えながら、いまはこういう時点だから困っているから両面もやるけれども、こういうふうに太平洋沿岸ベルト地帯に日本の人口の八〇%も集中するような、経済を基盤とする都市集中というものが行なわれているときには、いまのままでは飽和点になるから、こういう時点ならこうなるという一つの方策というものがおありだと思うのですが、それをお尋ねしたいのです。
  75. 保利茂

    保利国務大臣 これは小川委員の言われる分散論につながるかもしれませんけれども、新産業都市あるいは工業整備特別区域の指定、そういうもので全国土の均衡ある開発発展を遂げていきたいということがこのねらいであったろうと思うわけでございますが、事実また経済的ないしは生産的なねらいは傾向としてはある程度達成せられつつあるようでございますけれども、おそらく新産都市ということをなにすれば、百万都市とかなんとかいう、人口もそこにある程度集中してくるのじゃないかというようなことが目算せられておったと思うわけです。そういうことには人口のほうがなかなか——ということは、生産の施設の合理化、近代化というものが進んで、比較的工場における労働量というものが減ってまいりましょうし、したがって、産業が興っているほど人口の集中は行なわれていない。それは初めから新産業都市をねらったときに一体そういう想定をしておったかというと、そうじゃない。ある程度やはりその新産業都市建設が進んでいけば、人口も相当流れていくという想定だった。ところが、やはり人口は三大都市に向かって集中してくるというような状態が今日まで続いてきたというところに、反省を加えられなきゃならぬじゃないか。それで、そういう上から、国土総合計画もいまは再検討され、そして経済企画庁でその作業を進めているわけであります。そういう上で、お話のように、私ども、当面のごたごた、いわゆる修羅場に立って事態の事後追認的な仕事に追われている状態から、そうでなしに高いビジョンを持って、長期構想を持って仕事に取りかからなければいかぬじゃないかという御指摘は、これはもう私ども痛感をいたしておるわけであります。本州−四国の架橋問題や、あるいは本土の縦貫自動車道等々の開発がそこにねらいを持っておるということは、御了承いただきたいと思います。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 何だか大臣にごまかされちゃったような——大臣はどうも演説がうまいから——私は純情でありますから、そういう点はすなおにものを解決したく考えております。  大臣にもう一点お尋ねしますが、大臣は、自力建設施策住宅、こういった公営でやるのを、六対四の割りでやっておられます。自力建設の六割ですが、一般のサラリーマンが、東京から一時間から二時間くらいの間に土地を買って家をお建てになるとすれば、一体幾らくらいの見積もりで、この六百七十万戸の家を自力建設、民間に依存しているのですか。どういう点に計算をお立てになっていますか。
  77. 保利茂

    保利国務大臣 お互いの社会生活はいろいろの関係の上に立っているわけであります。これを一律にとにかく裸でみんなそこでいるというものではないと思うのです。それぞれの家庭環境なり、あるいは縦の関係、横の関係、みんなそれぞれあると思うのです。小川さんの子供さんでも、かりにいらっしゃるとすれば、小川さんの力というものが子供さんの上にもある程度働くわけでございましょうし、そういうふうないろんな環境が千姿万態であろうと思います。したがって、そういうことなしに、現在とにかく五十キロ地点なら五十キロ地点に家を建てるとすれば、一番安く手に入る土地はどこか、そこで一番安く家を建てたらどうなるかというような計算は、これはできるかもしれませんけれども、私は、それはあまり価値ある計算じゃないんじゃないかと思います。ただ、実際に住宅公庫なんかに融資を希望してこられている人たちは、それぞれの事情を背景として申し込んできておられる。その需要には何とかこたえていって、小さな市民の願いを達成してあげるようにすることが大事じゃないだろうかというような私は考え方なんですよ。しかし、お話のようなことを計算してみろといわれれば、事務当局がすぐ計算するだろうと思うのです。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは大臣、結局われわれが考えなきゃならぬことは、現在の住宅五カ年計画が全部政府がつくるものならけっこうですが、われわれはやはり民間に依存しておる。そういう中で、一時間、二時間ということはたいへんな労働です。二時間を十年間やっておりますと、二年間は電車の中で暮らしている計算になるのです。それで、大体この間も、建設省もよくないですよ、土地の値段を発表しちゃったですね。十キロ圏は幾らだ、二十キロ圏は幾らだ、三十キロ圏は幾らだという、ああいうものを発表したということは、あの土地建設省で認めているということになる。たまたま私の友だちがあれでやりますと、二十五坪の家を建てるのに六百五十万円かかるのです。土地が大体二百五十万、家が三百五十万かかる。一時間四十五分かかるその土地から通って、そのくらいの家を建てなければならぬ。それを住宅金融公庫とか、そういったところから金を借りるにしても、土地がなければ貸してくれない。そういう積算を——保利大臣は住宅をまず表看板に打ち立てられた非常に大衆的な建設大臣であるので非常に評判がいい。そういう大臣が、そういう下々の、また大衆の家を建てる積算がいまどれくらいに見積もりを立てられているか、そういう点をお考えになって、はたしてこの五カ年計画ができ上がるのかという点、これが第一点。  第二点は、施策住宅にいたしましても、現在もう第三年目でまだ計画の半数で、残り百三十四万八千戸をあと二カ年で建設しなければならぬ、こういう見通しに立っておりますが、政府土地の獲得というものが非常に大切で、たいへんであります。早い話が、住宅公団等は、埼玉県、神奈川県、千葉県では、もう入ってきてくれるなという公共団体がある。こういう土地の問題に対しては問題をはらみながら住宅建設していかなければならぬという点に立って、大臣はいまの二点、はたしてこの五カ年計画ができ上がるのかという点について御決意を伺いたいのであります。
  79. 保利茂

    保利国務大臣 要するに、五カ年計画を策定いたしてその達成をはかっておりますゆえんは、何とかこの住宅難を解消したいというところに目的があるわけでございますから、私は、政府の施政方針でもその意図を明らかにいたしておりますように、住宅問題については何とかひとつ大衆の御期待にこたえ得るように、来年度から三カ年でございますけれども、三カ年で所期の期待だけは実現をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、宅地を求めるのにだんだん公団でも公社でも困難を感じてきておる、これはお説のとおりでございます。したがいまして、都心部でもまだまだ家賃の関係が生じてまいりますから非常にむずかしいのでございますけれども、再開発構想が許されるということでございますれば、強力にもう少し都市環境整備しつつ住宅地としての都心部の開発というものが行なわれるべきではないか、そういうふうに考えます。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 住宅の問題で超過負担の問題がありますが、私の計算でいきますと、大体公営住宅で一戸七十万から八十万地方自治体が持ち出していく、こういうことで、現在超過負担の問題で武蔵野とか国立とかいう東京都下の五市で行政訴訟を起こすという動きがあるのです。こういうことは地財法違反にもなるわけです。住宅に関係して私はお聞きしたいのですが、国を相手どって地方公共団体が行政訴訟を起こすなんということは、これはゆゆしい問題です。埼玉県、千葉県の中でも、そういう国に対して超過負担の行政訴訟を起こそうなんという話がある市町村もある。こういう問題は大臣としてはどうお考えになっておりますか。
  81. 保利茂

    保利国務大臣 中央政府に対する財政需要が非常に高い、何とかその需要に応じていかなければならない。しかも、いわば国のつくりかえをやっているという状態でございますし、おのずから中央政府のやらんとするところのものも、国民の力にはそこに限度があるということは当然でございます。そこで、昨年から財政硬直がいわれる中において、中央の財政は非常に苦しいけれども、むしろ地方のほうが財政的には幾らかゆとりを生じておるんじゃないかというようなことが、この予算編成の過程においても一つの問題点に上げられておったようでございます。しかし、そういうことは別としても、とにかく超過負担を地方財政に大きくかけている現状は、政府もはなはだ遺憾とするところであるから、何とか向こう三年のうちにはひとつ解消したいということで、各般の施策について、今年度を初年度に、三年計画の第一年計画としてその意図をあらわしているわけでございますから、まあ、地方でもほんとうに困難を感じられておるところは私ともよく承知を——私も地方の関係からしましてほんとうに弱っているところがあるのでございますけれども、みんながお互いにしんぼうし合って、よき国をつくっていくようにということでしんぼう願いたいものだ、政府の誠意をくんでいただきたい、かように思います。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 年間一千四百億も、二千億に近い超過負担が、三年間で必ず解決できるのですか。
  83. 保利茂

    保利国務大臣 財政当局、自治省あわせてそういう意気込みで取り組んでおることを承知いたしております。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この点はまたあとで本会議でも聞きたいと思っていることなんですが、先ほど、大臣が、土地について公益優先の観点に立っていろいろと御検討なさるということになっておりますが、どの程度私権の制限をお考えになっておりますか。
  85. 保利茂

    保利国務大臣 公益優先という見地で再検討をしなければならぬ段階にあるのじゃないかと総理が呼びかけておりますゆえんは、持っておられる土地というものは相当公共性、社会性の高いものであるということをひとつまず認識していただきたい。それで、いろいろの土地の利用計画を策定して、それを達成していきます上においても、それだけの余裕を持っておられる土地については、社会的、公共的に利用していただくというような気風が馴致されるということが第一の必要なことじゃないかということを総理は訴えているところだと私は思うわけです。そこで、どこそこの土地についてはこういう制限をつけるというようなことを、直接法的には私はそんなことは考えておらない。ただしかし、出したくはないけれども、みんなのために、世の中のためになら出さなくちゃなるまいというようなふうには、それは国が制限するという場合もありましょうけれども、ある意味においては自分が自分の利用を制限するというような気持ちを持ってもらわないと、なだらかにいかぬのじゃないだろうかというような考えを持っています。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 土地の制限ですけれども、三十坪とか五十坪の生活の本拠を取られる人と、何百坪と取られる人では違うと思う。生活の本拠を取られる方々に対しての制限というものは、私は考えねばならぬ。二十坪とか三十坪やっとためたところが、たまたまそこが公共の用地に買収される、そのために私権が制限されるようなことがあったのでは、保利大臣のせっかくの御構想もだめになる。そういう点、生活の本拠を取られるものと、そうでないものとの段階は、大臣としては考えられておりますか。
  87. 保利茂

    保利国務大臣 そういうところはもちろん——そうかといって、そこへどうしても道路をつくらなければならぬ、都市計画上どうしても道路が必要である、そこがひっかかるという場合には、それはそれに見合う十分の補償が講じられなければならないということはもう当然でございましょうけれども、二十坪か三十坪のわずかなところだから、そんなものはよけて通れというような場合には、計画としてはできない場合が多かろうと思いますし、そういうことに対しては十分の補償を講ぜらるべきであるというように考えます。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは土地収用法なんかでも、強化された収用法でもってやっていくわけですか。
  89. 保利茂

    保利国務大臣 よく言われますけれども、土地収用法というものは非常に強権的なものでございますから、どうしても話がつかない場合のことであって、収用法ができているからといって、話し合いを続ければつけられるところに収用法なんというものをひらひらさせるものじゃない。できるだけ当事者間の相談を任意にできるように——それがどうしても社会的、公共的、国家的に話がつかない、やむを得ないという場合にこそ、これこそいわゆる伝家の宝刀的な役割りをしなければならぬものだと考えます。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、やはり私の希望している点には沿えないように考えてくるのですが、その点についてはまたあらためて大臣に追及していく考えであります。  私はきのうまで地震のほうを見てまいりましたが、東京がいま一番地震に弱い。町じゅうが掘っくり返されて、地面の下が空洞になっている。これが震度五とか震度六とかいうえびの地震のような地震がきたとき——東京の地面の下は、地下鉄だ、やあ共同溝だとかいう穴があいておりますね。そういう場合にどの程度まで大臣は安全度ということをお考えになってこれから都市計画をやっていかれるのですか。
  91. 保利茂

    保利国務大臣 これは十分やっていると思うのですけれども、事務当局のほうから……。
  92. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ただいまの御質問の、地下鉄なりあるいは共同溝なり、その他の地下の施設があるから、地震が起こった場合に東京の場合は特に不安心じゃないかという御指摘でございますが、私ども地下駐車場なり地下鉄なりつくりますときには、都市計画上の配慮はもちろんでございますが、どれくらいの地震がきた場合にそれが耐え得るかどうかという構造上の安全度は十分考えて施設をしているものと考えておりますので、他の場合と比較して、そういう施設があるから安全じゃないというふうには考えておりません。私自身専門的な技術屋でございませんので、こまかい点はわかりませんけれども、そういうふうに見ております。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大事なことだと思うのです。大臣、磯村教授も、その他の都市工学の教授たちも、口をそろえて、現在の東京ほど危険な都市計画はないんだ、こんなに下を掘っくり返されていって、さらにまた掘っている。掘って掘って掘りまくって、地下にもぐることはいいけれども、日本のような地震国においてははたしてどの程度まで安全なのか、われわれはそういうことを言いたくないけれども、絶対大危険が起きるということを予言するということが新聞に出ておりますが、そういう何か人心が不安になるような、火薬庫の上に立っているような、いつどさっと落っこってくるかわからないような大都市の中にわれわれは集中している。先ほどの大臣のお話でいきますと、まだまだ分散論でもないらしいし、集中論のほうに力を注いでいる。確かに、都市計画をやられて再開発をなされて、どんどん上へ上がっていく、下を掘っていく。重量もかかってくる。三十六階だなんて相当な目方です。その下をまた掘ります。そうなってくると、われわれはやはり安全、快適、繁栄、こういった都市の五つの要素を含んだ都市生活者としての権利がなければならぬ。こういう点については私は非常に不安を感じておるので、実は大臣から、だいじょうぶなんだ、まかしておけ、絶対そういう点だけは皆さんに御心配をかけないという確信に立っての都市計画ならば、これは国民も安心していけますけれども、現在のような、学者の方々は、あぶない、大危険が起きると言っている。けれども、都市工学のほうの権威者である執行部のほうはだいじょうぶだと言う。われわれは一体どっちをとったらいいか、いま思い悩んでおりますが、この点について大臣……。
  94. 保利茂

    保利国務大臣 言論の自由時代ですから、どういうことでも言われておるようですけれども、とにかく大事な人命にかかわる施設でございますから、想定される危険に対応して十分安全の措置を講じて行なわれなければならぬことは、もう申すまでもないことでございます。   〔砂原委員長代理退席、委員長着席〕 私は、現状のもろもろの施設がそういうことに対して不安を感ずるようなものでないということは確信をいたしますけれども、小川さんのお説はごもっともでございますから、十分さような点についてはこの上とも私の及ぶ限りはひとつ配慮を尽くしてまいりたいと考えますから、御了承願います。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 木造賃貸しアパートの不良が非常に目立っております。非常に高いです。こういった木造の不良、便所が一つしがなくて、一部屋しかない、そういうアパートの建設もこれは一世帯住宅に計算されているのですか。   〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕
  96. 保利茂

    保利国務大臣 私もこの間——何もこと新しく見に行くまでもなく承知いたしておりますが、また江東方面に見にも行ってまいりました。実際そういうところがあります。しかし、当局で指導いたしておりますのは、とにかく小家庭は小家庭なりの水準、多数家庭は多数家庭の水準で民間住宅が建てられるように指導いたしております。これはひどいじゃないかというようなものを決して奨励しているわけじゃございません。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 でも大臣、便所が一つで、五人も六人も朝順番を待っている——きたない話ですけれども、お勝手も共同でお使いになる。これは人間の基本的生活の基準じゃないですよ。朝トイレの前へ並んで青い顔をしているような、近代国家の憲法で保障されている明朗にして快適な文化生活とはまことに言えない。そういう中に、六畳一間で一万二、三千円も払っている。私の現に使っている者でありますが、これだって一万二千円もする家賃を払っている。月給が四万円足らず、ほんとうに収入の四〇%も家賃に食われている。こういう建物を一世帯住宅政府が見ていくということは、私は基本的人権に関係していると思うし、また、これに対してはどういう適切な指導の手を伸ばされ——大臣も一応ごらんになっておりますが、保利大臣はごりっぱな大きな家にお住まいになっておりますから、そういう便所が一つしかない、朝こうやってバンドを押えて並んでいる悩みはわからないでしょうけれども、こういった若い人たちはこのために結婚もできない。佐藤さんは、自主防衛だ、国防だなんて言っていますが、まず第一にわが家の防衛からはかっていかなければならぬ。こういう点は保利大臣がほんとうに本格的に取り組んでもらわなければならない問題だと思いますが、この点について……。
  98. 保利茂

    保利国務大臣 小川さんにつり込まれてつい言うわけじゃございませんけれども、私も子供を独立させるためにほんとうに因っているので、つくづくそれをわかっているわけで、決してよそごとには考えていない。お互い市民生活の多数の中にそういう姿があるということを認めなければならない。したがって、いろいろ理屈も多うございますけれども、何としてもやはり施策住宅の率をふやしていく。もちろん、民間住宅につきましても、小家庭は小家で、多数家庭は多数家庭なりの水準をひとつ想定して指導はいたしておりますけれでも、やはり全体の住宅レベルが上がり、少なくとも公営住宅のところにまでは、どんな民間のいわゆる賃アパート等にしましても、そういうものではそれにだれも入り手がないというところまでいかなければならぬじゃないか、それでも入り手があるような状態をいつまでも続けておいたのではだめじゃないか。それが私の一番切実な願いであります。
  99. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま大臣のお答えで大体尽きておるのでございますけれども、御存じのとおり、一世帯住宅と申しますのは、二、三人の小家族では九畳以上の居住、それから四人以上くらいの家庭では十二畳以上、これを称して一世帯住宅と言っております。したがいまして、統計的に見まして六十何万戸建ったとか七十何万戸建ったと言っております民間住宅、その基準に合致したものだけを拾っております。それ以下のものは拾っておりません。しかしながら、なおそういうおかしな姿のものがそれ以外に建って、そこにいまお説のように非常に高い家賃で入っておられる方がおります。これは大臣もお答えのように、施策住宅のシェアをふやしまして——なかなか一気にまいりませんけれども、この五カ年間においてそこへ到達するように努力してまいりたいと思っております。
  100. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 なお、法的には建築基準法違反とかなんとかで取り締まったり指導したりするわけにいかぬですかという点が一点と、結局、二階木造では補助の対象になっておりませんし、鉄筋の三階以上が助成の対象になっておる。そういった一番建築のパーセントの高い不良木賃アパート、いまの大臣のおことばだと、そういうものは必要ないというふうに早くするのだと言いますけれども、それまでにはなかなか時間がかかると言っております。そうすると、そういうものを建てさせていく、それを押えるという方法がない、規制がない。ただこれはしようがないというのでは、私は現在の日本住宅問題というものがあまりにも底辺の犠牲者におっかぶさっていくのだと思うのですが、その点、局長どうですか。
  101. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お説のとおり、そういう住宅がかなりある、これは私も否定できない事実だと思います。現在、住宅建設計画法におきまして住居の居住水準をきめることになっております。実は私どもこれを住宅対策審議会に諮問いたしまして、居住水準というのは一体どうあるべきだということにつきましていろいろ議論していただいております。そこで住居はかくありたいという水準が出ると思いますけれども、しかし、それだからといって、それ以下のものが絶対いかぬのだ、建てちゃいかぬのだということまでは、これは私はなかなか言い切れない、そういうふうに考えます。したがいまして、やはり施策として建てるものをふやしていく、そういうものがなくなるようにしていくよりしようがないのじゃなかろうかと思います。  そこで、お尋ねの第二点でございますが、しからばこういう民間のものを補助できないかというお尋ねでございますが、これは実は個人補助に対しましてはいろいろほかにも議論がございまして、これらにつきましては、現在の融資の制度がいろいろございますので、施策住宅公営住宅なり改良住宅をふやすとともに、公団、公庫の住宅、これは建てて貸すもの、あるいは融資をするもの、いろいろありますけれども、そういう道を拡張していく。一口で申しますれば施策住宅を拡充するということで補っていくということが、やはり今後の進むべき道ではなかろうかと思っております。
  102. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことによく話はわかりますが、結局、とうとい、少ない土地不良住宅に占拠されていく、スラムは続々できていく、こういう点は、国土総合開発計画地域開発計画という一つのマスタープランがありながら、現在なおかつこういった都市問題が指摘されるゆえんであると思うのです。こういう点はやはり強力なる措置をとっていかなければ改正できない。すなわち、政府が責任をもって施策住宅を完全にできるのかと言えば、公営住宅に入るのに一千倍も二千倍もの競争率を持っている、これがいまの偽らざる国民の住宅問題の世相だ。この点について私は大臣に今後前向きの姿勢で前進していただきたいことをお願いしたいのです。時間がないのでその次に道路問題をお聞きしますが、道路問題で、五カ年計画がございますが、ことし、一般会計予算ですね、この予算が減って、目的税のガソリン税のほうだけがふえていくというようなことはどういうわけなんですか。これは道路建設の後退じゃないですか。
  103. 保利茂

    保利国務大臣 昨年一般会計から今年度八百二十二億の繰り入れが行なわれ、それが来年度は四百七十億に減りました。同時にまた特定財源のガソリン税等も増徴がなにされますから、全体としては、幾らですが、〇・七%ですか、そのくらいの伸びになっているかと思います。いませっかく特定財源以外の一般財源を八百億までも繰り入れるようにしていただきました与党の努力が積み上げられておりましたのに、これが四百七十億にあれしましたということは、これは全く私の微力のいたすところでございますけれども、御承知のような財政事情のもとで、最後までがんばってみましたし、また、与党の御心配をいただいてわずかでもかち取ることができておりますけれども、このことにつきましては私は非常に残念に思っております。しかし、なおひとつこれは深い御理解をいただきたいと思いますのは、特定財源の揮発油税等が、やはりこれは消費が伸びますから、ふえてまいります。そうすると、道路の特定財源に今日は確保せられておりますが、、財政当局は、苦しいものですから、もうこれを少しほかのほうに転用しようというような意見が出ておることは、御案内のとおりでございます。そういうことは、道路整備を急がなければならぬ現状においては、どうしても食いとめていかなければならぬ。のみならず、一般財源をもう少し入れてもらってほしい。そして、何といっても国民生活安定向上させていきます。また国力をさらに充実させていきます基盤の道路であるという上からして、道路整備は手をゆるめてはならないという考えを持っております。そういう考えでございます。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 道路重点を置きたがる大臣が多い中で、じみちな住宅問題にも力を入れている保利大臣としましては、——与党はかりじゃないのです。私は野党の立場から道路問題は大事だということをいま述べているので、与党与党とおっしゃっていますけれども、与党ばかりじゃないのです。野党だって、それは大臣に対していろいろ注文もあるし、応援もしたいと考える。住宅に対して非常に重点的にやっていただくことに対して、普通道路重点を置く方が多い中で、まことにわれわれとしては見上げた大臣であると感心しているのでありますけれども、それはそれとしましても、一般会計予算からもう少し道路予算に導入させていかなければならぬじゃないか、こういう点についていま質問したわけであります。  次に、これは地元のことでまことにおそれ入りますが、東北道の外環道、実は埼玉県の問題でありますけれども、東北縦貫自動車道の岩槻以南の基本計画の決定がなされておらないやに聞いておりますが、これは一体きまるのでございますか。また、外郭環状線の基本計画の早期の決定というものはいつごろ行なわれますか。この二点をお伺いしたいと思います。   〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 東北縦貫道の基本計画については、実は岩槻から以北を出しておりまして、岩槻から南は、いまのところ、御承知のように出ておりません。この理由は、やはり東京の外郭環状線をどの辺にするか、どこを起点として東北縦貫道を出すか、さらに外郭環状より中まで持ってくるか、この辺が実はまだ決定されないためにおくれておる次第でございます。実は岩槻の手前の東京側につきましても、もとの二級国道の東京−日光線でやっております際に、その中に高速自動車道が入るような用地はすでに確保してございます。そういうことでございまして、やはり外環の位置、この位置がはっきりきまるようになれば、できるだけすみやかに基本計画及び整備計画を出していきたいというふうに考えております。  次に、外郭環状につきましては、これは都市局におきまして都市計画の決定を急いでおります。いまいろいろ地元との調整を終わりまして、大体五月くらいまでには計画決定をしたいというふうに聞いております。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは埼玉県の地域計画ができないから、おまえのほうでそういうことを計画しないから決定しないんだということを、新聞では、吉兼さんですか道路局の次長さんがおっしゃっていますけれども、埼玉県の責任なんですか。そういうわけじゃないですか。
  107. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは別に埼玉県だけの責任ではもちろんないと思います。外郭環状になりますと相当大きな規格の道路でございます。それに合わせてどういうような都市計画をつくるかというようなこと、これは土地の利用計画も入ってくるかと思いますが、そういうことでわれわれもいろいろ検討しておる次第でございます。埼玉県だけの責任でおくれておるわけでもございませんで、慎重に検討しておるためにおくれているようなわけでございます。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いつごろできますか。
  109. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 大体五月末にはできるように思います。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に大臣に都市河川についてお尋ねしたいのですが、大都市並びにその周辺地域を流れている川ですが、その川はもう河川としてだけとらえるのではなくて、下水道も含めた有機システム、両面から合わせていく都市河川法というものをつくって、この都市の下水、排水また河川の問題等をとらえていかなければならないと思いますが、都市河川については私ども公益都市河川法というものをいま議員立法で出す考えを持っておりますが、こういったものの考え方についての建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  111. 保利茂

    保利国務大臣 小川さんの御提案がどういうものであるかまだよく承知いたしません。いまお話を伺ったばかりで……。とにかく都市河川を少し見直さなければいかぬじゃないか。これは昨年でございますか、佐藤総理大臣も、都市河川、中小河川等については特段の施策を講じていかなければいかぬということを、災害当時に言っておられたように記憶いたしておるわけでございますが、今度お願いしようと思っております。新しい五ヵ年計画の中に、都市河川、中小河川重点を置いた五ヵ年計画を策定しようということになっておるわけでございますし、御提案の内容がどういうふうなものでございますか、とにかく都市河川を一ぺん見直して重点的に施策を講じていかなければいかぬという考え方をとっておるわけであります。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では最後に建設大臣にお願いしたいことは、いままで種々述べてまいりましたが、地価問題についていろいろと民社党の方からもお話がございましたが、大臣としてはこういう方法で地価を抑制していくんだというお考えを大臣からお聞きいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  113. 保利茂

    保利国務大臣 すでに先ほど申し上げますように、衆議院におきまして各党一致の決議もございまするし、内閣の閣議決定の線もございまするし、それをどういうふうに実行してまいるかということについて着実な方途を考えなければいかぬじゃないかということで、はなはだどうかと思いましたけれども、土地問題懇談会等もお願いしまして勉強いたしておるところでございます。私も、仰せをまつまでもなく、ひとつ自分なりの道を求めたいと思っておりす。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 具体的にはまだございませんか。
  115. 保利茂

    保利国務大臣 できるだけすみやかに……。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いつごろまとまるのですか。大体予想としては大臣の考えはいつごろまとまりますか。
  117. 保利茂

    保利国務大臣 いまお話がございますように(「すみやかに」と呼ぶ者あり)すみやかにと言ったって、そうすみやかにというわけにはいかないので……。とにかく勉強を詰めておるつもりでございます。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一カ月以内……。
  119. 保利茂

    保利国務大臣 いやとても話になりません。できるだけ早く……。ひとつまたいろいろあなたのお知恵をお借りして結論を出すように……。      ————◇—————
  120. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際おはかりいたします。  本件調査のたす、来たる八日金曜日午前十時三十分より、日本住宅公団当局から参考人の出頭を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  121. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御了承願います。  本日はどうも各員とも御苦労さまでございました。  次回は、来たる八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十二分散会