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1968-05-07 第58回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月七日(火曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 白浜 仁吉君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    水野  清君       赤路 友藏君    森本  靖君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         海上保安庁長官 亀山 信郎君         気象庁長官   柴田 淑次君         気象庁次長   増田 誠三君  委員外出席者         運輸省港湾局港         政課長     向井  清君         運輸省自動車局         整備部車両課長 隅田  豊君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本国有鉄道監         察局長     佐々木健吉君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 五月七日  委員大野明君及び柳田秀一辞任につき、その  補欠として葉梨信行君及び赤路友藏君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員葉梨信行君及び赤路友藏辞任につき、そ  の補欠として大野明君及び柳田秀一君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。水野清君。
  3. 水野清

    水野委員 港湾局長にお尋ねをしたいのでありますが、運輸省港湾局でことしの三月四日でしたか、港湾運送業整備統合に関する答申というものの審議会からの結論が出ました。その実施について少し伺いたいのであります。  まず、ことしの三月四日の答申実施の時期についてどういうふうに考えておられるか。あの答申では九月三十日までに実施をしたいということを言っておりますが……。
  4. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 御承知のように、港湾審議会から港湾運送事業集約化に関しましていろいろ答申が出ております。私ども大体その答申趣旨を尊重してまいりたいと思うわけでございますが、ことしの九月三十日を目途にいたしまして集約体制を整えるというような非常に弾力的な書き方をしてございます。したがいまして私どもなるべくその線に沿ってやりたい。しかしこれは中央でそういうことになりましても、いろいろと実際各港々によりまして——実は港湾荷役というものは非常に特色がございますので、ただいま各港ごとと申しますか、地方海運局中心にいたしまして、港湾審議会答申なりあるいはまた集約化の問題につきまして、いろいろとそういったものの会議を持っております。したがいまして、港湾審議会答申につきましては、一応のそういう体制を整えるというのは九月末というふうに考えておるわけでありますが、これはいろいろ地元にもいわゆる乙仲と申しますか中小業者の反対もあるようでございますので、今後その声も十分聞いてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  5. 水野清

    水野委員 ただいまお話のあった通称乙仲でありますが、あれは限定何種というのですか私もちょっとこまかいことはわかりませんが、この人たちの問題であります。現在の運輸省港湾局答申を漸次実施していきたいというお話でありますけれども、それをもしそのままやるとほとんどのところが倒産をしていく、倒産というよりも免許の取り上げを食うことになると私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  6. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 御承知のように乙仲というのは、私もこまかいことははっきり存じませんが、カストムブローカー、税関の検査を受けるために手続をやるということからスタートいたしまして、港湾沿岸荷役とかはしけ荷役のほうへ進出しておる業界でございますから、零細業界が非常に多いわけでございます。これが非常に基準から下回っているのが多いというお話でございます。この規模を拡大するということが要請されておりますので、こういったものにつきまして目下どういうふうに集約化したらいいか各港ごとで連絡しながら盛んにやっております。ですからお話しのようにこれには各業者ごと規模がすぐに一定の水準に達すればいいのでございますが、そのほかに協業化とかあるいは組合をつくるとかいうような暫定的な問題もございます。それからまたすぐに免許を取り上げるということにはならないのじゃないか。と申しますのは、これは港湾運送事業法のほうでございますが、つまりすでにこれは港湾運送免許を持っている業界でございます。免許を持っておりますので、変更認可を出すときに規模が問題になるわけであります。したがいまして軽微な変更でありますとかあるいはそのままの規模でやっていくという場合には、これは免許を新たに申請しなくてもいいことになるわけでございます。したがいましてすぐ取り上げるということにはならない。また私どもも取り上げるのが目的じゃございませんので、だんだんとみんなの方々企業として大きくなっていただきたい、そして港湾荷役に貢献してもらいたいということが主眼でございますので、そういったことはないと思います。
  7. 水野清

    水野委員 いま乙仲カストムブローカーというふうに言っておられました。これは事実そういう形態でありますけれども、それが組合をつくってどうするとかいろいろな御説明があったのですが、私のところにある資料では、東京港運協会でつくった実際の整備統合後の将来のことが大体一つ想定図になっております。これは港政課長知っているでしょう。これを見ますと、もちろん協同組合のような組織をつくることもいい。運輸省では口ではそう言っているけれども、実際には、私の調べたところでは、いわゆる港湾沖荷役といいますか、ステベといっておりますね、いわゆる船内労働をやる。この労働を握っている会社中心整備統合を考えておられるのじゃないかというふうに私は思うのです。結論としてカストムブローカーでありますから、いま局長の言われたように荷物ブローカーですから、結局船に積んだり船内作業をやる労働力を持っていなければこの人たちは手も足も出ないわけです。この船内作業をやる労働力中心にして、運輸省は口では言っておられないけれども編成をしようとしておられる。  実は私の言いたいことは、もう一つ先に問題があるのですけれども、この労働力を握っているのは必ずしも近代的な経営者じゃない。いまは昔ほどじゃないでしょうけれども港湾のいわゆる暴力組織にかつて関係のあった人たちが参画をしている。具体的に名前を申し上げてもいいのですが、名前を申し上げると問題がありますが、少なくとも横浜港、それから東京港あるいは名古屋港にしましても、そういうような人たちが、現実には運輸省整備統合案結論は、昔の——いまは別に問題はないでしょうけれども、昔は相当に暴力組織なんかに関係があったり、賭博現行犯というような前科のある人たちがいま会社をやっておるわけです。そういう人たち中心になって整備統合をやる、こういう結果になる。この点について港湾局でどういうふうに考えておられるか。
  8. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 ただいまの第一点は、乙仲船内労働力を持っていないから、どうも運輸省としては労働力を持っているほうを中心にして集約を考えているんじゃないか、こういうような意味の御質問のように承ったわけでございますが、御承知のように、乙仲沿岸とかはしけとかそういうところでやっておりまして、船内のほうには手をつけておりません。私どもといたしましては、どれを中心にしてどれをどういうふうにしようと、そういう役所のほうで一つのなにを考えているわけではございませんので、まずやはり集約化が必要だということを認識していただくことがまず第一点です。その次には、やはり各港ごとに自主的に——乙仲と申しましても、はしけと申しましても、あるいは船内のほうと申しましても、いろいろとその後成長をいたしております。またそういうところでないところもございます。したがいまして、こういった集約とか合併という問題はなるべく業界の自主的な見解あるいは御相談、そういったものによりまして一定基準に達していただきたい。  それからまた、その方法としては、こういう方法こういう方法といろんな方法がございますということが審議会のほうの答申にも出ております。その方法を、抽象的なこういうやり方もある、こういうやり方もあるという方法説明申し上げて、実際にどこの会社とどこの会社とどういうふうにするのだということは、これはもう業界自体話し合いにまかせるということになろうかと思います。  それから、やはりどうしても港湾荷役というものは荷主さんから指定の船に積み込むまでの荷役責任を持って一貫的にやらなければならない。そうすることが最も迅速な港湾荷役であるし、また施設の効率的な利用にもつながりますので、一貫的に責任を持った体制でもってやっていただきたい、こういう抽象的なこと、これはもちろん港湾審議会答申あるいはまたその前の三十九年の三・三答申と申しますか、内閣総理大臣あて答申、これにも出ております一貫した思想でありますので、私どもが直接手を下してA社B社とこうしなさい、こういうことはしないつもりでございます。  それから第二点は、暴力の問題が出ましたのですが、私もよく存じませんですが、いま各港に地方海運局を通じましてよく話をさしております。御承知のように、各港ごと港運協会というものがございますので、そこの協会方々とよく話をする、また中央におきましては、日本港運協会というのがございますが、そういう協会方々と話をする。もちろんそういう協会は、私ども、民主的にたしか選挙か何かで選ばれるのだと思います。またそういう協会と話をしたことそれ自体はやはりお互いに連絡しながらやっていく、こういうつもりでおりまして、暴力というような意味がちょっとわからないのですけれども……(水野委員「もしわからないなら、それはあとで具体的に御説明します。」と呼ぶ)そういうことで、そういう御心配はないのじゃないかというふうに私は思いますけれども……。
  9. 水野清

    水野委員 いまの港湾局長の御説明は非常に形式的なんでありまして、そういうことを言っちゃ失礼ですが、港湾局長技術屋さんの御出身なんで、あんまり港の行政について御存じないのかもしれないが、実は私の調べたところでは——いま港湾局でおやりになろうとしておられるいわゆる港運業者整備統合の経済的な必要性ということは、私はよくわかります。これはやらないと、確かに日本の港におけるいろいろな企業合理化といいますか、経営近代化という面について非常におくれをとるということはわかるのでありますが、その問題に実は港湾局は少し性急過ぎて、現実には、私はさっき申し上げたのですが、ここでもう少し具体的に申し上げたほうがいいと思うのですが、横浜に、Fという名前にしましよう、F企業という株式会社があるのです。これは港運協会のあれではすべて並列をして——限定一種であるとか限定一種であるとか、いろいろな免許によって並列をして統合がされておると思うのですが、実際に私が調べたところでは——これは私が調べたのはいいかげんな調べではなくて、警察庁を通じて調べさしたのですが、具体的にやってみますと、実際は株の持ち合いをしていたり、役員の交換をしていたり、しかもそれが昔のやくざの親分、子分関係ででき上がっているというわけであります。このことについては当委員会だけでなくて、運輸委員会においても参考人を呼んで調べたことを局長は御承知だと思います。たとえばこのF企業の問題にしましても、石油会社から荷役会社、それから運送会社ポートサービス、あらゆるものが実際には系列化しているのです。運輸省がいま出しておられる整備統合の案というものは、ことしの九月三十日までには——性急におやりにならないと言っておられるけれども、ここ一、二年のうちに無理にこれをやろうとすれば、結局は昔のやくざ組織——この人たち前科はあるかもしれないが、いまは別に暴力団でも何でもない。そういうことを言っちゃ個人の名誉に関するから具体的に言いませんけれども、たとえばこのF企業の系列のF海運という会社佐藤某という人は、美空ひばりのピストルの密輸事件に関連をして新聞記事になっているわけですよね。そういうのばっかりなんですよ、私の調べたところでは。たとえば警視庁捜査関係にあるいわゆるやくざリストの一覧を持ってくると、全部この中に前科——これは名前を言ってはぐあい悪いですが、これは東京I海陸作業KKと言っておきましょう、かしら文字だけで。そこの、これはいまは死んじまったけれども、前の社長阿部重作さんといって、住吉一家五代目総長と、こう書いてあるのです。この人は死んだんだけれども、現在の社長はこの人の子分なんです。これはあとでお見せしますよ。そうしてこの中には何人かの役員手配師みたいなので、傷害、恐喝、詐欺、器物毀棄等前科何犯なんというのが幾らでもいるのですよ。賭博七犯なんという取締役がいるわけです。もちろんこの人たちは、運輸省認可基準の面では、刑の執行を終わってそれから二年か三年たっていますから、実際には法律上は普通の人とちっとも変わらないし、刑を終えてくればその人たちに対して法律は公平であってしかるべきなんでありますが、そういう人たちが集まっているので、常に警察庁警視庁あたりではリストをつくって、その後の動きはどうだろうかと、こう見ておるわけです。そういう人たちだけが整備統合して——まあカストムブローカーというのはどうせ力が弱くて小さいのだから、この弱い連中は結局沖荷役といいますか、はしけ荷役やそういう人夫稼業を握っていないために、港から追い出されてくるという現実が起ころうとしているわけです。このことについてあまりにも無神経過ぎるのじゃないか。そういう実情はないと思うとかいうようなことをいろいろ言っておられるけれども、それでは私は済まされないと思う。それなら、このカストムブローカーを何とか追い出すためには、追い出すというか、整備統合するためには、たとえば荷主である会社、その会社に新しく、むしろ港運事業を許可をしてやって——倉庫会社でもけっこうです。そういうところに仕事をさせるならいいです。現在あるそういう、前身は暴力組織であろうと思われるような幾つかの会社に対して実際的な便宜を与えるような行政指導をしておられる。私はそこに、経済問題はよくわかりますけれども社会問題としてこれは許しがたい問題がある。港湾局長、その具体的なことについておわかりにならないならしようがないのだけれども港政課長は少しは知っておると思う。いかがですか、どちらでもけっこうですから……。
  10. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 各港ごとにどういう企業があって、それがかつてこういう経験の持ち主だということ、私どうも不勉強にして知りませんですが、お話のように、私ども港湾運送事業というものを監督しておるわけでございます。それにはいまお話にございましたように、その企業役員にこういう刑事事件に触れた人はいけないという条項があるわけでございまして、その条項に当てはまりますれば、もちろんその会社に対して免許をしないということはございます。
  11. 水野清

    水野委員 触れたとは書いていないのです。あれは、触れても何年かたてばいいのでしょう。
  12. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 二年……。免許基準、第六条の第二項にございます。
  13. 水野清

    水野委員 ですから、二年たった人なんですよ。
  14. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 したがいまして、そういう免許基準に触れない限りは、私どものほうといたしましてはそれを免許を取り消すとかどうという問題にはならないのであります。
  15. 水野清

    水野委員 それはいいです。
  16. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 それで、いまお話しのように、乙仲のほうを伸ばすような政策と申しますか、荷主のほうと結びつけるというお話がございましたが、それにつきましてはやはり各港の問題でございますので、港ごとに十分に話し合いをしていただいて——というのは、やはり審議会答申に対しましてもいろいろ誤解があるようでございますし、もっともっと話を煮詰めて、どういうように各中小企業が生きていけるかという問題につきまして、海運局中心にしてゆっくりひとつ話し合いを煮詰めていっていただきたい。決して中小企業を圧殺するとかそういう気持ちは毛頭ございませんので、大きくなってもらう、まじめに働く人はそれなりにひとつ道を講じて港湾運送に貢献していただきたいというような気持ちで、私港湾行政を進めていきたいと考えておりますので、そういう問題が出ましたならばそういう方針でいきたい。  また暴力団を助長するなというようなお話のように思いましたけれども、これにつきましては十分ひとつ気をつけてまいって、そういう暴力を、御承知のように港から暴力を追放するように港湾行政の面におきましても——これはもちろん警察の行政かもわかりませんけれども、私ども業界を監督している立場からいたしましても、暴力港湾から追放されるように努力してまいりたい、かように考えております。
  17. 水野清

    水野委員 私の申し上げたいのは、どうも港湾局長をあまり責めて申しわけないのだけれども、私は、これは一週間かかればこんなものが手に入ったわけです。あなたのほうではそういう努力をしていらっしゃらないのじゃないか。やはりそれは実際に免許を取り上げるということはできないかもしれませんけれども、実際に港湾荷役の中には、これは昔からの常識であって、相当な暴力組織があって、今日でこそ、いわゆる住吉一家だとか何とか一家だとかというようなものは統合できないのかもしれないけれども、それは表面上のことであって、みんな背広を着て、ネクタイを締めてきただけなんだ。それは現在だって賭博が行なわれてないとは言えないわけですよ。そういうようなところを現実運輸省は応援をしていらっしゃるわけではないだろうけれども調べておられないということは問題がある。たとえば具体的に言うと、今度の叙勲——調べてびっくりしたんだ、はっきり言うしかないのですが、大洋作業運輸という会社があります。そこに藤万亀雄、この方は叙勲をせっかく受けられて、非常におめでたかったわけで、こんなことを言っちゃ申しわけないけれども明治三十年生まれですから、相当な年配の方であります。明治三十年二月二十七日なんてちゃんと警視庁のあれに出ているわけですよ。全国荷役振興協会副会長として叙勲を受けておられます。この人はこの警視庁のあれでは前科はありません。ありませんが、さっき私が申し上げたすでに死んだ住吉一家総長阿部重作子分のまた子分くらいになっているわけですよ、いわゆるやくざ系統図から言えば。杯を取りかわしているわけですよ。それは荷役業界ではお役に立ったかもしれないけれども、逆に言えば暴力組織をつくって、子分を集めてピンはねをしておって、明治からずっと生きてこられた方だと思う。これはわれわれの住んでいる社会一つ前の古い社会のことなので、それを言うことはわれわれ自身の恥になるかもしれない。そういう中で生活してこられた方が叙勲を受けて勲章をもらっているということに私はこの行政といいますか——おそらく港運協会あたりから申請があって、いろいろ調べたら特にこの個人については問題はないということで叙勲をされたんだろうと思う。そういうことはちょっと私はおかしいと思うのですよ。港湾局長がいま言っておられる御趣旨はよくわかるけれども現実にはそういう状態じゃないですよ。何べん申し上げてもわからない、これでは押し問答になるだろうけれども現実にはそういう状態である。私はカストムブローカーを、いわゆる乙仲を育成しろとは言ってないのです。こんなものを育成しろと言ったって無理ですよ、いわゆる荷物ブローカーですから。それなら荷物を出す会社、要するに八幡製鉄だとか日本綱管だとかあるいは三井倉庫であるとか、そういう倉庫会社ないしは近代的な企業会社中心にして再編成をするような行政方針をお立てになったほうが、われわれの次の社会に、あと二十年も三十年もして、まだ横浜東京港に行くと、昔のやくざ連中の杯をもらったその孫子分ひ孫子分会社社長さんになっているというより私はいいと思うのですよ。そういう意味で、私は局長に申し上げている。たとえばいまの叙勲の問題なんかどうなりますか。
  18. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 叙勲の問題でございますが、お話の方は横浜港運協会に所属しておられるわけでありまして、横浜港運協会理事でございます。それで大洋運輸でございますか、この社長をしておられます。この方につきましては、横浜港運協会を通じまして、日本港運協会からの御推薦がございました。私どもといたしましては、地方海運局に該当するかどうか、そういったようなものはないかどうか、詳細に調べていただいて、だいじょうぶだということで叙勲に踏み切ったわけでございます。
  19. 水野清

    水野委員 どういうお調べをなさったか知らぬけれども、私が警察庁へ行ってちょっともらってくれば——これは警察庁カードをコピーにとったものですよ。ここにあるんです。あとでお見せしますけれども、これは住吉一家系統だと出ているんですよ。これは私はまずいと思うのです。現実には港湾行政をあなた方は残念ながら昔の暴力組織の残存的な人物を中心、対象に置いてやらざるを得ないから、しようがないからそれを認めていこうというふうに考えておられるんじゃないか。実際に新聞社や国会なんかでは、残念ながらしようがありませんとは言えないから、いろいろ言っておられるんだろうけれども、こんな資料はどこだってあるのですよ。これは警察庁へ行けばおそらく全国カードが回っていると思うのです。私も、実に、調べていって叙勲まで受けているのでいささかびっくりしたのです。さっき言ったように、前科何犯という人が刑を終えて、それで会社役員になっているというなら、まだそれは、人間いずれにもそれぞれの場所で生活をする権利を持っているのです。私はちょっとおかしいと思うのです。それはこれ以上申し上げてもしようがないと思いますが、私のところにこの資料幾らでもありますから、ひとつもう少し——さっきのF企業の問題にしてもそうであります。I海陸作業の問題にしてもそうであります。実際は、そこまで言うと大げさですが、やくざのシンジケート的なものを結局つくる結果になってしまうのじゃないか。せっかく警察庁暴力退治をやって成功してきている。神戸港では非常にうまく成功してきたわけであります。名古屋と東京横浜に関しては、むしろ今後は助長する関係になります。これがまあ港湾荷役近代化になるのかもしれません。それは近代化というか、間でリベートや口銭料を取る人が減るという意味近代化するので、社会形態としては逆行するのじゃないか、私はそう思うわけです。  それからもう一つ伺いたいのですが、九月三十日ということをさっき絶対ではないとおっしゃったが、港湾審議会答申であります。答申の内容の実施について、なぜ九月三十日ということを目標にしておられるか。逆に言うと、いわゆる荷役料金改定の問題に関連をしてやっておられるんじゃないか。要するにこの前、料金改定があったのはいまから四、五年前だというふうに聞いていますが、そのときに経済企画庁から運輸省はたしか近代化をしろということを言われておるわけであります。近代化をしないなら、この次、料金の値上げはしない。こう言われておる。料金の改定をしたいんだから、する前提としてあわてて近代化をしよう、私はこういう前提じゃないかと思って勘ぐってみるのですが、局長、その点どうなんですか。
  20. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 九月三十日ということが非常にいろいろと問題になっております。御承知のように港湾運送事業法の例の十六条関係の二カ年延長の法律の期限が、これが九月三十日でございます。つまり港湾運送事業法法律の最低限を確保するという期限ですが、それが九月三十日であるということと、それから港湾審議会のほうもまたその時期に合わせまして、集約化のほうの目標も九月三十日、こういうふうにしておるわけでございます。したがいまして、九月三十日というのはどういうわけで九月三十日にしたんだというお話しでございますが、私どもといたしましては、大体港湾審議会のいろいろな議論を通じて、またそういった法律面の関係もございますので、これは集約化という問題、十六条関係の問題でございますが、こういった関係からやはり九月三十日ということに目標がなったのではないかと私は思います。  次に料金の問題でございますが、料金につきましては、これは認可料金でございますので、なかなか軽々しくは上げられない。慎重に考慮しなければならない。やはりこれは運輸省だけでは実は料金の何ができませんので、一応経済企画庁その他ともお話し合いをしまして、物価に関係がございますので、合理的な料金をきめる、こういうことになるわけでございます。料金を上げるために九月三十日にしたということでは実はない。それはもう三十九年の三月三日の答申以来、そういう大きな近代化方針に沿って議論されてきておりますし、法律の二カ年の延長の期限も九月三十日ということになっておる。そういった関係からのほうがむしろ強い。料金の問題というのは、やはりそれは別問題である、こういうふうに考えたほうがいいと思います。
  21. 水野清

    水野委員 そうすると、料金値上げはいまのところは考えていないということでございますね。
  22. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 いま港湾審議会に対しまして、料金に対しましても、これは料金の額自体の問題もございますけれども、料金体系をどうしたらいいかという問題につきまして諮問をいたしておりまして、実はこの諮問に対しまして答申が出たならばその時点において考えよう、かように考えております。
  23. 水野清

    水野委員 実は、局長の隣の向井さんに伺いたいのですが、四月の二十四日かに日本港運協会で何か懇談会を開かれたその席上、今後の港運行政についてあなたがいろいろ説明をなすったはずです。私は間接に聞いたのでありますけれども、その中で第一の問題は、料金改定の問題があるというふうに説明をしておられるというのです。そこの席ではあなたはどういう表現で言われたか知らないけれども要するに、九月三十日を目途として料金改定を考えている。ただしこれは港湾審議会答申が出ることが前提ではあるけれども、そういうことがあるということをあなたは言っておられるそうですか、その点どうなんですか。
  24. 向井清

    ○向井説明員 お答え申し上げます。お手元の資料は、いま私の手元にある資料と同じ資料だと思います。かような資料を配りまして説明をいたしました。その際質問もいろいろあったわけでございますが、やはり問題点としては、先ほどから御質問になっておられます九月三十日の期限の問題とともに、料金改定の問題についてどう考えるのか。港審との関係はどうなるのかというお話がございましたので、お答えをいたした次第でございます。料金の問題につきましては、このメモの中に書いてございますのは、いま局長から御答弁申し上げましたように、港湾審議会答申が出るということが前提である。料金体系の合理化は、先ほどから局長が申しておりますように、三十九年三月三日の総理大臣あての答申から料金体系の合理化をはかるという趣旨が打ち出されまして、それ以来鋭意いろいろな作業をいたし、さらに運輸大臣から港湾審議会に諮問が出されまして、審議会において審議中の事項でございます。それでこの答申が出まして、料金体系の合理化がはかられるということになりまして、初めて次の料金改定といいますか、料金体系を組み上げて原価計算を行なうということが可能になるわけでございますので、実質的に申しましても、この港湾審議会の料金体系合理化に関します答申が出ることが改定の前提になるということは、これはもう事実としていたし方ないという説明はいたしました。  それから、さらにもう一つ書いてございますのは、その答申が出るということの前提といたしましては、近代化、これは集約化を含むわけでございますが、そのめどがつくことが前提であるということが書いてございます。やはり合理的な料金体系と申しますのは、そこにひとつの合理的、近代的な企業形態というものを前提といたしまして、その企業形態にのっとったところの料金体系を策定する。こういう順序になりますので、どうしてもやはり現実的にそういう近代的な経営が行なわれるという保証がございませんと、実際上そういう合理的な料金体系の策定はできませんので、結果といたしましては、どうしてもある程度の集約化が進み、近代化のめどがつきませんと、そういう合理的な料金体系の審議が終わらないということになるから、これはやはり前記の答申の出る前提としていたしかたないところであるということを、かなりかみくだきまして御説明いたした次第であります。
  25. 水野清

    水野委員 いまの向井港政課長お話が、あなたの御意思かどうかわからないけれども現実には小さな港湾業者いわゆるカストムブローカーなんかには、近代化しろ、九月三十日までに近代化しなければ、あなた方は商売を奪われるのだ、また、運輸省としては料金改定の諸情勢から必要があると思うから、これに向かってやりたいのだ、そういうふうにしか現実にはとらえていないわけです。これは押し問答ですし、これ以上申し上げてもしようがないのですが、そのときに同時に、ことしの三月六日のいわゆる港湾審議会の新しい答申、新答申といっているのですが、三月六日の新答申の内容についても説明をなさったわけです。そこで資本金が幾らでなければいかぬとか、収入額やトン数を二〇%増すようにしろとか、いろいろな集約目標を示されたわけなんでありますが、それは先ほどから局長に伺った内容と同じなので伺いませんが、同時にあなたは、この港湾審議会答申がどうであろうとも、いわゆる港湾運送事業法の十六条関係でやることは、これはもう審議会も何も聞く必要もないし、これは国会と関係ないのだ。国会その他、あなた方が幾ら陳情しても関係ないのだ。いわゆる行政一本なんだというので、十六条関係近代化を進めるというような話をなさったことがあるのじゃないか。ちょっと、そのことを伺います。
  26. 向井清

    ○向井説明員 お答えいたします。  いまの御質問の点、どうも、私もちょっとわかりかねる点があるのでございますが、先ほどのメモに、やはり九月三十日期限の問題にからめまして、二、三行書いてございます。その中に、十六条関係、これはもう法律ではっきりきまっております。期限につきましては、先ほど局長が御説明申し上げましたように本年の九月三十日が期限になっております。その問題と、それから免許基準の充足、これは法律上はっきりしておりまして、それに基づいて省令が出て、局長通達が出まして、それぞれ明定されておるわけでございます。これについては、いまさら行政上の配慮の余地はございません、法律できまっておることでございますから、配慮の余地はございませんということを申し上げました。その意味ではないかと思います。いま申し上げました趣旨につきましては、繰り返しその席でも御説明いたしましたし、十分御納得願ったのじゃないかと、われわれは考えております。
  27. 水野清

    水野委員 私の聞いているところは、聞いた連中の意向を聞きますと、このときは、十六条関係、これは法律できまっているのだからやむを得ない。九月三十日までにこの十六条に規定される元請業者は七〇%やれとか、いろいろ基準があるのだそうですか、その基準に努力しようということを考えておった。ところがそのあと追っかけて、いわゆる三月六日の、さっきあなたに申し上げた新答申が出てきて、さらにその上にまた基準を上げろというふうに言われてきたのだ。資本金も上げなければいかぬし、さっき申し上げたように港湾荷役と組まなければいかぬ。港湾荷役と組むということは、これは逆に言うと、荷役を握っている、さっき言ったような昔のやくざ組織に参加していた人たちに頭を下げることになる。その傘下に入るか、あるいは港から出ていく以外にないのだというふうに受け取ったらしいのです。ですからそんなことなら、この際もう十六条関係についても基本的に考え直してもらいたいというふうに、いわゆるカストムブローカーのグループがそういうことを最近になって言い出したわけです。これはおそらくあなたは御存じない。結局あまりにも荷物を負わせ過ぎたものだから、このカストムブローカー連中は、それなら初めから荷物は背負わないということに逆戻りをしかけているわけです。どうもいろいろな関係で九月三十日という目標を立てて、料金改定であるとか十六条関係であるとか、あるいは三月六日の新答申実施時期であるとか、そんないろいろな形でここに焦点を置いて運輸省はいまあわてて行政をやっておられる。考え方によっては料金改定が最終的な目的だ、それと同時に近代化だと言っておられる。運輸省港湾行政としては近代化だということで済むだろうけれども、さっき私が申し上げたように、経済問題外のいわゆる社会問題として、古い態勢の人たちを引き上げてやる。そういう結果にならないように、これはもうこれ以上申し上げても時間もないし、あとほかの方の御質問があるようですからあれですが、これはほかの運輸委員会でもいいし、どこでもいいから、私ははっきり言って、この実施について監視します。決算は運輸省関係を残してありますから、またこの次質問してもけっこうです。九月三十日という目標についてしゃにむにおやりになると、結局はさっき申し上げたように、F企業のピラミッド体系でもそうですし、シンジケートでもそうです。こういったものをつくる結果になりますから、ひとつもう一ぺんお考え直しになっていただきたい。要望申し上げます。どうでしょうか。
  28. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 ただいまの御要望十分承っておきます。なおまた今後も私ども現地の地方海運局中心に、いろいろなそういう人方との話し合いをなるべく多く持ちまして、誤解のないように、あるいはまた皆さんが協力して港湾荷物近代化のために努力されるような素地をつくるような努力をいたしたい、かように考えます。
  29. 水野清

    水野委員 ありがとうございました。
  30. 大石武一

    大石委員長 丹羽久章君。
  31. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 委員長のお許しを得ましたので、運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。局長あるいは大臣にお尋ねするのがほんとうですけれども、御都合が悪くて出席できないということで、車両課長が出席のようでありますから、車両課長にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  運輸、警察、国民、一体になって、ほんとうに全国民あげて事故防止をする、そういうときにあたって、あなたのほうは自動車の車体構造の安全装置ということについて、非常に御研究をしていただいておるということを私は知っておるわけなんですが、自動車の構造の装置に関しての安全性を高めることは、これはもう事故防止という意味から見てきわめて重大なことだと考えます。運輸省はこの問題の解決にあたって車両保安基準の改正をたびたび取り上げられて、このたびも技術的解決を見た十四項目について、規制を行なうように聞いております。  そこで、お尋ねをいたしたいと思うが、今回の改正のおもな点は何であるか、具体的にひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  32. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答えいたします。  今回、十四項目につきまして保安基準の改正を企図して、目下省令化の作業中でございますが、そのおもなものについて御説明を申し上げます。  大きく分けまして自動車の車体関係、それから運転者の視野の確保の問題の関係、それからブレーキ、一部の灯火類、それから非常用の措置、大きく分けましてこれだけの五つの面について検討いたしております。  車体関係のものにつきましては、まず第一にシートベルトの取りつけを義務づけることを作業中でございます。それから第二番目は、いわゆる俗に言われますところの安全まくらというもの、これの義務づけをいま検討中でございます。それから第三番目には、特に学童、幼児を運ぶスクールバスにつきまして、特別の表示をさせたほうがいいんじゃないかということでやっております。以上が車体関係でございます。  それから運転者の視野を確保するという問題といたしましては、まず第一は大きなトラック等に運転者の直前が見えるように、普通にわれわれアンダーミラーと申しておりますが、そういう鏡をつけさせたいというふうなことであります。それからその次は、いわゆる前面ガラスでございますが、前面ガラスが、従来の規定でいきますと、いわゆる合わせガラスといいますものと、それから強化ガラスといいますものと、二種類の安全ガラスが一応義務づけられて、どちらでもいいことになっておるのでございますが、このうちの強化ガラスといいますものは、傷がつきましたりして割れました場合に、瞬間的に運転者の視野がなくなってしまうと申しますか、目の前が見えなくなってしまうという現象がございます。これを防ぎますために、強化ガラスにつきまして一部運転席の目の前だけは強化度を少し減らしまして、そういうふうに見えないようにならないで、視野が確保できるようにさせる、これはわれわれのほうで部分強化ガラスと申しておりますが、それの両方に変えさせたいと思っております。  それから、直接視野の問題ではないのでございますが、発車時の事故を防ぐというような意味で、ワンマンバスの場合に、ドアが締め切らないと車が発車できないような装置、これもわれわれのほうではアクセルインタロックというような名前で呼んでおりますが、これを義務づけたいと思っております。  それからブレーキ関係におきましては、現在のブレーキ性能は一応保安基準でもって停止距離を性能としてきめておりますけれども、これは停止距離だけじゃなくて、連続にブレーキを踏んだ場合にブレーキが焼けてくるという現象がございますので、これについての性能基準を考えたいというふうに思っております。  それから灯火類でございますが、灯火類につきましては、これはいろいろ問題点がたくさんございまして、基本的に自動車の灯火類がどうあるべきかということについてはまだ研究の余地が多々ございまして、十分な研究が済んでおりませんけれども、とりあえず一応国際的な考え方、あるいはわれわれのほうのある程度の見当のついておるものだけを取り上げたわけでございますが、まず第一に、非常の際に車がたとえばハイウエーなどで停止をしておりますときに、とまっているということをサインをするために、これは普通フォアウエーフラッシャーと申しておりますけれども、非常の際の点滅表示灯を義務づけたいと思っております。  それからその次は、自動車がとまっておりますときに、いまのところ義務灯火がございません。そういう意味で、駐車中の灯火、駐車灯を義務づけていきたいと考えております。  それからその次は後退灯でございますが、これも大きな車については現在も義務づけられておりますが、それ以外の車については、バックのときのうしろを照らすランプというものは義務づけになっておりませんけれども、これも義務づけにしたいと思っております。  それから方向指示器でございますけれども、これは従来は二輪車につきまして交差点その他では片手をあげてそれでもって方向変換の合い図をするというのが普通になっておりますが、やはり危険がありますので、二輪車につきましてもひとつ方向指示器の備えつけを義務づけたいと思っております。  それからもう一つは、いままでの方向指示器は、非常に大きい車を除きますと、前後だけを義務づけておりますが、それを横のほうも義務づけたいと思っております。  灯火類はそれだけでございますが、あと非常用のものといたしまして、消火器についての基準をもう少しレベルアップをしたい。それから、踏切その他で考えられますような場合の非常用の信号用具の義務づけをいたしたい。   以上十四項目でございます。
  33. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ただいま課長からこまかい説明がありましたけれども、これは聞くところによると四月中にこれを整備し、五月から実施いたしたいというような考え方のようであります。そこで私が尋ねたいと思うことは、シートベルトだとか安全まくらだとか、そういうようなものが十四項目改正せられる、それには一年間研究をせられた、その結論がこれだという話だが、そういうようなことは事実ですか。一年間の間にこれだけの御研究を運輸省はせられたのか、一年間かかって、これだけやればこれが非常に大きな効果をもたらすという考え方からそういう研究が発表せられたものであるかどうか、その点お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいまの御指摘のように、この保安基準の改正をいたしてまいりますには、技術的にいろいろ研究の必要があることは、御承知のとおりでございます。この十四項目をやりますにも、いろいろな研究をベースにして取り上げたということも事実でございます。ただいま一年間というお話がございましたが、たとえば研究所とか学会だとか、そういうところで行なわれております研究の始めから終わりまでを考えれば、これは一年というような短いものではございません。一応一年間とわれわれが申し上げましたのは、われわれが一応行政の立場でこれを取り上げようということをきめてから——取り上げるとして、しかもこれは問題として取り上げていいだろうかということを行政の立場から検討していくのに、たとえば学問的にどういうような研究が完成をしているだろうか、それから研究もいろいろな研究がございます。それを一応全部目を通し、あるいは学識経験者の意見を聞き、あるいはわれわれのほうの研究所の意見なども聞きまして、それで行政的に、まず現在技術的な開発の状況が大体どこら辺まで進んでいるであろうか——やはり技術的な開発が進んでおりませんと品物が間に合わぬという問題が出てまいりますので、そこら辺がどうなっておるかというようなことも調べまして、保安基準として取り上げていくわけでございます。それからもう一つは、保安基準の技術的な項目、要するにこういうものをつけなければならぬという技術基準を考える上の研究というものがもう一つございます。これは先ほど申し上げましたような基礎的ないろいろな研究をベースにしまして、その上で、それじゃ保安基準としてはどういうふうに書いたらいいだろうかというようなことをきめる必要がございます。そこら辺をすべて含めますと、実際にこういうものの研究が基礎的に始まってからということになると、やはり自動車が始まって以来いろいろな研究が行なわれておりますので、単純に申し上げられませんが、行政の面で検討するということを取り上げてから一年、こういうような考え方であります。
  35. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 運輸省令の六十七号でこういうようなことが改正せられたことが十六回あるように記憶いたしております。そこでこの十四項目を実施するということは法令でなくて省令でやれるということで省令でおやりになるようでありますが、それにはいろいろ学識経験者や関係者を呼んで、そしてこの問題をよく審議をして、それはいいことだろうという決定がせられたときに初めてそういうふうにあなたのほうから提案せられてき、そうしてそれが省令で定められると思う。それで一番大切な問題をひとつ聞きたいと思うが、それは一体これを施行する上において現在走っておる車に対してはどういう考えを持っておられるかということと、聞くところによると、これはこれからつくっていく車だけにこういうものを適用するのだ、いいですか、これから新しくでかしていく車だけ、そうして現在の車はそのままにして、別にこれは適用せられないというような話を聞いておるが、その点、車両課長、どういうふうになっておるかはっきりしてもらいたい。
  36. 隅田豊

    ○隅田説明員 御指摘のとおり、確かに保安基準と申しますものが、原則としていま走っておる車まで全部同じように適用さるべきであるという考え方自体は、そのとおりだと思います。私たちは、いま走っておる車を事実上改造を行ないますのに、問題のないものについてはできるだけそういうふうにしてまいりたいと思っております。ただ、たとえば例をシートベルトにとってみますと、シートベルトを取りつけさせるということでも、車両の構造の中で相当大きな部分、要するに簡単に申しますと、シートベルトは座席につけるというものではございませんで、自動車全体の取りつけ部分を、シートベルトに力がかかったときに十分耐えられるだけの補強を完全にしないと、シートベルトの効果は出てまいりません。そういうような大改造をすべての車にさせることが可能かどうかというようなことがございます。  それからもう一つは、たとえばブレーキ関係などの改正をやった場合には、場合によってはこれをすべての車に対してどこで改造をやるか、要するに、普通の整備工場あたりで改造がもし行なわれた場合に、改造方法について十分な手当てが行なわれておりませんと、かえって危険が増すということも考えられます。そういう意味で、われわれとしてはできるだけそういう問題のないものは当然いま走っておる在来車まで全部適用したいと考えておりますが、非常な大改造になる、あるいは改造をさせるということに相当な技術レベルを要する、こういうものにつきましては、非常に遺憾ながら新車からしかやれないという事態があると思います。
  37. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 五月の一日から施行するということにかりに決定したとする。四月の月に売り出す車というのは一体何台あるというお考えを持たれるのですか。たとえば五月の一日からこれが施行せられて、四月中に新車として売り出される車というものは何台あるか、そうして三月に売り出される車というものは……。この二カ月の間に何十万台の車が売り出されるでありましょう。古い車については、それはあなたのお考えになるのもごもっともだと思うけれども、一月や二月では車というものはそんなにいたまない、新車同様のものである。そういう車に、片方はこの十四項目を適用していく、そうして前の車にはそういうのを適用しない。いささか私はどうも納得できないのですよ。二年も三年も前の車なら、いまおっしゃるように、そういう構造を一部改造するがためにその車がかえってよくなる場合があるということは理解できるけれども、そうでない場合、ほんとうに新車と変わらない車に対しての考え方というもの、これはぼくはやはりやらなければいかぬと思うのですけれども、課長はどう考えるか。
  38. 隅田豊

    ○隅田説明員 御指摘のとおりだと思います。私たちといたしましても、技術的に問題のないものについてはできるだけ在来車まで適用していきたいというふうに考えております。
  39. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 もう一点。私は重箱のすみをほじくったような話をするのではない。これは建設的な気持ちで話をするのであるが、外国へ出す車に対してはシートベルト、安全装置ですね、そういうものはちゃんとつけて出しておるはずですよ。それが日本で売る車だけはそういうものの必要を認めなかったということ、わあわ言われるようになってきて初めてこういうものが出てくる。これはほんとうのことを言うと、一体真剣に取り組んでこういう問題をお考えになっておるかどうかということに私はいささか疑惑を抱くのです。そうすると、あなたのほうの答弁は、私が言ってみましょうか、前はそんな百キロも八十キロも出すところはありませんと、こう言いたいでしょう。しかし最近はいろいろのりっぱな道路ができてきたから、車のスピードが早くなってきましたから、これをやはりアメリカ並みあるいは西欧並みにあるいは他国並みにやらなければならぬ、こうおっしゃるでしょう。ところが名古屋から神戸へ行く道路は何年前にできておりますか。その間に死んだ人はどれだけあるか。安全ベルトがあったがために助かったという人はずいぶんたくさんある。それは自分のお金を払って、みずからのからだを守るために安全ベルトをつけて、そうして大きな事故が起きたけれども安全ベルトのおかげで助かったという事例はあるはずです。そういうようなことに対するあなた方の研究というものは、一体真剣に取り組んでいらっしゃるかどうだということです。そして、よそへ出す車だけにはそういうような安全性のものをちゃんと取りつけていて、国内で走る車に対してはこの五月からやるとか四月からやるとかというようなこと……。日本の国の車両がこんなにふえてきたなら、一体どうしたらいいかということのほんとうのもとはどこだといったら運輸省じゃないか。私はきょう自動車局長にしっかり聞こうと思ったが、遺憾ながら自動車局長は都合が悪いので出れないということであるから、あなたにこの問題を申し上げるわけです。一ぺん御答弁願いたい。車両課長だから十分に研究していらっしゃるだろうと思う。あなたのうんちくを傾けた御意見をひとつ承って私は参考にいたしたい。
  40. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生の御意見と私のほうの考えておりますところと違うわけではございません。  いまお話しの、外国への輸出の車との関係がございますけれども、外国への輸出の車と申しましても、アメリカの規制ができまして発効されますのと、それからわれわれのほうで発効いたしますのと、そう時点はずれてはおりません。そういう意味では、外国のものにシートベルトがつくころと日本の車にシートベルトのつくころとはそう違わないと思います。  それから、われわれがもう一つ考えておりますことは、乗用車だけではなくて、今度の場合はトラックサイドまでこれを広げたいと考えております。確かにもう少し早くやればもっと人が助かったんではないかということは御指摘のとおりだと思いますが、結局私たちの持っておりました研究能力にちょっと足りないところがございまして、シートベルトの義務づけと申しましても、技術的な基準としてそれではどういう力がかかったときにどういうような構造のものをつけなければならぬということを保安基準としてきめなければならぬわけでございますが、それをきめるのに残念ながら時間がかかった、こういうことでございます。
  41. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 あなたはアメリカを対象にしていまお話しになったけれども、ほかの国にも車は出ていますよ。製造会社に一ぺん問い合わせてみなさい。それから通産局とも話し合ってみなさい。ほかの国に出すときにそういうものをつけなければ車は買ってくれなかったかどうだということ、そうするとよくわかると思う。課長の答弁は、少し私の調べたのと違う。けれども、それを私の調べたのはこうであるとかああであるとかいって、そこまで追及しようとは思っていない。  それでは次の問題に移りますが、この研究委託費という問題がありますね。研究委託費、こういうことを研究する、これは自動車だけじゃないですよ。船舶の問題に対しても技術研究をする、それから各種の研究を大学等に委託してやっておりますね。その費用は、昭和四十一年には八百三十八万円という金を各大学やいろいろのところへ出して研究をしてもらっている。そこに自動車が含まれているわけです。そうして昭和四十二年には一千八十一万円が交付されておる。いいですか。私の質問が早過ぎるかもわからぬからもう一ぺんゆっくり言うけれども昭和四十一年には八百三十八万円、四十二年には一千八十一万円交付されておる。研究の結果についての報告はいままであまり聞いていない。それから現実の試作の上でどのようにこの研究の結果が反映しておるか。そこのうちで、また同じようなことを繰り返すようでありますが、私が提案したうしろにストップライトをつけるなら、前にもストップをつけようという、こういう問題は、特に整備部長はこの問題に対しては構造がどうだとかこうだとか言われたから、特別に私は自動車局長に会ってお話をした。前回の委員会のときにあなたにお話を申し上げた。交通安全対策委員会の席だったか、あなたにお話を申し上げた。その後あなたはどういうようなお考えを持たれたか、どういうように上司と相談しただろうか。いいことなら実施をすべきことである。私は何度も同じことを言うようだけれども、この東京都内を走っているタクシーの運転手に、八十台の車に乗って、ストップライトがつくのだから、後続車がぶつかってこないという点から考えたときに、道路を渡っていく人が手をあげたら、前にもストップライトがついた、だから私を認めてくれたのだと思って安心して渡れる、そういうことはどうだといって聞いたら、八十人が八十人とも賛成してくれた。いいことですね、何もむずかしいことはありませんよ、それがついたってバッテリーが上がるわけじゃない、あんなライトぐらいのものは何もかまいません、それはいいことですからぜひ実施していただきたいと私どもは思いますと言っている。しかも愛知県の名古屋市で、そういうものを名古屋工大で研究して、それで町を走ったら、みんながそれに非常に関心を持って、たいへんいいことだと言ってほめて、中部日本新聞はそれを写真入りで書き立てている。それは私が質問をしてから約半年後にそういう事態があらわれてきた。私だれにも宣伝したのじゃない、これがいいとするなら——ことに私がパテントをもらって、それを人にどうするのこうするのというのじゃない、もっとそれよりいいあなたのほうに効果が出たなら、道路を渡っていく歩行者に対して何らかのもっといい処置がとれたらそれも研究して、そうしてやってもらいたいと、私は私心を離れて、公共的な、そして事故防止のたてまえからそういうことをあなた方に何度も申し上げておる。一向に、遅々として進まぬではないか。ほんとうに事故防止に対しての真剣さというものが、そういう小さい面からでも取り上げなければならぬはずであるが、一体どういうお考えを持っておられるか。この間、よく上司と相談して御答弁願いたいと言った。幸いにしてきょうは課長が出ていらっしゃるから、この答弁をひとつお願いしたい。
  42. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生のお話の前面制動の件はよく存じております。私たち、自動車の灯火関係の問題といたしまして、前のほうの自動車の灯火、それからうしろのほうの自動車の灯火、すべて結局、自動車の運転者ないし歩行者へいろいろな情報を提供する一つのサインで、同種と考えております。このサインの問題につきましては、私たち一応技術屋でございますが、私たちだけでもいろいろと解決のつかない点がございまして、私たちのほうの船舶技術研究所の灯火関係のほうへ、自動車の現在の灯火関係というものはこれで十分なものかどうか、全面的な再検討をしてもらいたいというようなことは一応頼んでございます。いま一応、鋭意やってもらっているのでございますが、なかなか結論が出ないでおります。と申しますのは、たとえば、いま後方のブレーキライトでもそうなんでございますが、むち打ち防止その他の関係で、後方のブレーキライトをもっと視認性をよくしなければならないのじゃないというような問題が出てきております。それじゃ視認性をどういうようによくするか、この視認性をよくした場合に、ほかの方向指示器とかそういうものとまぎらわしくないようにするにはどうしたらいいか、大体どこら辺まで自動車にそういうサイン類をつけるべきものか、つけたほうがいいという灯火類は実はいろいろと考えられます。この中でどこまでを必需品として取りつけるか。それ以外のものはつけたい人はつけてもいいという考え方もございます。もし危険があるならばこれはつけちゃいけないという考え方もございます。そういう一般的な問題として検討しておりますものですから、非常にお返事がおくれて申しわけないのでございますが、先ほども船舶技術研究所と一応打ち合わせをいたしたのでございますが、まだ船研としても十分な結論は得ていないようでございますが、われわれといたしましても検討は続けてまいりたいと思います。
  43. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 私がその話を言い出してから一年になりますよ。日々事故はもう休みなく起きておる。そういうような問題を一年かかってもまだ結論が出ない。私はこれはいいことだからやってもらいたいという気持ちはあるけれども、あなたのほうが専門的な研究の結果、ほんとうにそれをつくっても事故防止にはあまり大きな効果がない、それはこういう意味であるから効果がないとかどうだとか結論が出てくるなら、こんなにくどい質問を何度も繰り返さない。政府の役人というものは一年かかってこのくらいの問題を研究して、その結論が出ないというのですか。そうしたら、もっと大きい問題は何年かかったら結論が出るかということだ。しかもとうとい人命に損傷を与え、人命を奪っていく。それには少しでも早くそういう問題を解決しなければならないはずだ。それをなぜやらぬかということ。それを徹底的にやりなさいと私はあなた方に言っているんじゃない。研究をして結論を出せ、いいことか悪いことかどうだという結論を出せ、しかし、私の結論は八十台の車に乗って聞いたらみんなが賛成をしてくれたのでいいと思うのだということを申し上げている。だからずいぶん長い間で御迷惑になるというような問題じゃないですよ。何と町に交通安全のために書いてあるか、スローガンというか、ポスターを読んだことがありますか。「注意一秒けが一生」というようなことが書いてあるでしょう。ほんの一秒の不注意のために一生のけがをしなければならないという意味をさしておると私は思う。そういうことから考えてみても、あなた方が委託費を出し、しかも昭和四十一年には八百何十万円の金を出し、四十二年には一千百万円近い金を出しながら、このくらいの結論をあなた方の委託するところで研究してもらえぬのですか。そんなに能力のないところへ出していらっしゃるのですか。私の調べたところによりますと、日本大学にも出しておれば、あるいは各有名なところのりっぱな方々のいらっしゃるところにちゃんと委託をしていらっしゃる。自動車技術協会にも出していらっしゃるし、あるいは東京工業大学にも、東京のそれぞれの大学にも出していらっしゃるし、信号安全協会にも出していらっしゃる。みんなここらはそれぞれ自動車のことを研究しているという部門もあるんですよ。それが答えが出てこないということは、私どもの言うことがそんなに軽視をせられるのか、ほんとうにやっておるけれども、なかなか出てこないというのかどうなんだと私は言いたくなる。上智大学にしたって、あるいはそういうような大学に、わずかな金だって、七十万なりあるいは百万の金が出ておる。これが合計せられて一千万になりあるいは前年度の八百万にも九百万にもなっておるじゃないですか。もう一年にもなりますよ。どこまででもこれを実行せよと私は言っているんじゃない。あなたのほうで研究していいものが出てきたら、歩行する人たちに対する一つの事故防止の考え方をしなさい、それをやってもらいたいと私は何度も何度も言っておる。もう一度あなたのお考えを聞かしていただきたいと思う。
  44. 隅田豊

    ○隅田説明員 ちょっと言いわけのようになるかもしれませんが、四十一年、四十二年、四十三年の時代には衝突関係あるいはブレーキ関係、そういうようなものに重点を置いて研究を船研のほうでやってもらいました。この委託費を出しましたもの、それから船舶技術研究所がみずからやっておるもの、いろいろございますけれども、主として重点がそちらのほうに置かれております。あるいは四十三年は先生のほうから御指摘がございましたし、われわれのほうとしても先ほど申し上げましたとおり灯火類を全面的にやる必要があるという意味で、行政の立場から船研のほうに灯火類の全面的な研究をしてもらいたいという話はしてございます。残念ながら現在の船舶技術研究所の能力のほうで、灯火関係の力が非常に弱い点がございまして、四十二年に一応従来の交通技術部を、交通安全部と交通公害部の二つに分けまして、交通安全部というところで一応そういう関係を全部やることになっておりますが、先ほど御説明しましたとおり、とりあえず衝突の問題あるいはブレーキの問題、こういうようなところに重点が行っておりました。四十三年、四十四年、非常におくれてきておりますけれども、灯火関係についてここで全面的な検討を進めていきたいというふうに考えております。
  45. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 課長さんにそういろいろのことを言っても、あなたでは最初からの話を知っていらっしゃらないからまだわからぬと思うので、この程度でおきますけれども局長が出れない、整備部長が出れない、課長が出ていらっしゃる。そういうことで、課長のただ単なるこの場限りの答弁ではいけないから、この問題は結論を出してもらいたい。やれないものならやれない、やれるものならやれる、もっとこういうふうにやったほうがいいと思いますからそういうふうにやっていこうと思っております。こう言ってもらいたい。なぜならばというと、実は愛知県の名古屋市内の同じところで歩行者が三名死んでおりますよ。どうして三名も死んだかというと、ヘッドライトに映された人間は、自分を知ってとまってくれるだろうと思って渡った、こう言うのです。ところがこの三人が死んだ日は雨の降るような日であった。そしてぼやけていたがため、それを十分に見通しすることができなかった。急ブレーキを踏んだときはもうすでにおそかったということで、それで三名なくなっております。そのひいた一人のうちにはりっぱな大きな会社社長さんもある。事故を起こした加害者の一人だ。それがために、執行猶予になるかと思っておったら、その人は懲役に行かなければならぬということです。大会社をかかえながら、それがために十カ月なり十一カ月の懲役刑を受けなければならない。なくなった人はもちろんのことお気の毒である。けれどももし私が端的に考えた、ストップライトがつかない限りは自分の姿がわからないんだと思えば、歩行者は渡らずに待っておったかもしれない、私はそういう夢のような想像を抱くのです。そうすると、そういうものがあったほうがいいなという感じを持つ。また運転手に聞いてもそういうことを言う。だから私は課長さんにこの問題を、くどいことを言うようだけれども、何度も何度も言うわけなんです。だからこの結論を、どうしてもだめならだめでいいから、もう一ぺんよく研究してもらって、次回に局長が出られるか部長が出られるか知らぬけれども、もう一年になる、こんなぐらいの問題の答えが出ないなんていうようなことでは、ほんとうに政府は一体何をやっていらっしゃるか、しかも委託費を、ばく大な金を出している。そしてこのぐらいの問題を研究してもらうことがどうしてできないのか、そういうことが私は、問題は違うかしれぬけれども運輸省と日通の問題にも一つの関連性が、運輸省のそういうルーズなところから生まれ出てくるんじゃないか、こういうふうにも考えられてくる。先ほど私の同僚である水野君の関係で、運輸省との関係における港の問題、この問題でもそうなってくる。私はその総元締めである中曽根運輸大臣が非常に謙虚な態度で、しかもほんとうに今度の不祥事件に対しては責任を感じておりますと言って、この間答弁をしておられた。私はその姿を見たときに、ほんとうにああこれがりっぱな大臣の心がけだ、これでみな引き締まってもらえるだろうと、私は深い感銘を受けたのですよ。いいですか、だからひとつ課長、私の言うことを軽く考えて帰らず、よく一ぺん局長に話をし、そうして大臣にまでこの話を持ち込んでください。そうして結論を出してください。わかりましたか。  これをもってあなたに対する質問を終わります。
  46. 町田直

    ○町田政府委員 官房長でございます。実は官房におきましても交通安全全般を所管しております。また試験研究機関も所管しておりますので、ただいま先生の御指摘の問題、まあただいま隅田課長から御答弁がございましたように、灯火全般についての検討をいたしておるということでございますけれども、ただいま御指摘の問題につきまして、非常に示唆に富む問題だと思いますので、できるだけ至急に検討いたしまして御返事申し上げたいというふうに考えております。
  47. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それじゃこれから日本国有鉄道に少しお尋ねいたしたいと思います。総裁御出席でありますけれども、総裁までに御答弁をいただこうとは思っておりませんから、適当に関係者で御答弁をいただきたいと思います。  国鉄は、経理関係を聞いてみますと非常に大きな借り入れ金をかかえておるといわれております。また、一方では委託費の払い過ぎが問題にされるなど、経営合理化についてはずいぶんいろいろ論議をせられてきたということは、私が申し上げるまでもありません。私は、きょうは決算委員会でありますから、動力費の問題についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。  動力費の不用額、これが昭和四十一年度の決算を見ますと、動力費の支出予算現額が、すなわち石炭、それから電力、流動燃料等を合わせると四百九十六億三千三百万円、こういうことになるわけであります。そこで、今度は支払ったほうを見ますと、こまかい数字はあげると時間がかかりますが、石炭、電力を合わせて三十億二千六百万円不用額が出ている。これはどういうわけでこの三十億なんていうような大金の不用額が出てきたかということをひとつ説明願いたい。
  48. 小林正知

    ○小林説明員 小林でございますが、御答弁いたします。  ただいま御指摘の点でございますが、四十一年度の決算におきましては、動力費四百九十六億に対しまして三十億程度不用額を計上しております。この内容といたしましては、御承知のように四十一年は三月に運賃値上げをお認めいただきまして、運賃値上げをいたしました。その後また、特に夏場からあと、一般の景気がたいへん後退をいたしまして、輸送量が相当減っております。その結果といたしまして、列車を動かしますいわゆる列車キロでございますが、そういった列車の運転等におきましても、当初の予定に比べまして相当程度の差異を生じております。そういったことから、また列車の牽引トン数等につきましても、若干から引きになるというような点等もございまして、消費率が落ちるというようなことから、トータルいたしまして、電気牽引及び蒸気牽引とも動力費がその程度過剰になった結果になった。これは四十一年度としての決算でございまして、その間の業務は全部完了いたしておりますので、予算額といたしまして不用という処理をいたしたものでございます。
  49. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 どうも、三十億からの金が不用額になったといういまの説明を聞いてみると、いろいろ流動的な点があったからという小林理事説明ですけれども、こういう、超過して払ったというのではなくて、金が余ったということであるから、借金かかえておるのに三十億からの金が余ったというのなら、それはどちらにしても、悪い面よりも金が余ったという節約の面、あるいは物が下がってそのようになったというような状態なら、私はそう追及して聞こうとは思わないけれども、三十億と一口に言っても、ばく大な金ですよ。これはやはり十分に前例があるから、予算を立てるときに、このような大金の不用額が出てこないようにやってもらいたいと思う。そういうことを私は希望するのです。それ以上は追及しょうとは思っておりません。聞きたいことはたくさんあるが、委員長と約束した時間が大体近づいてきたから、スピード的にあれですから、あなたにはこれ以上は聞きません。  それでは、その次にちょっとお尋ねいたしたいと思いますけれども、動力用の燃料の買い入れです。石炭、石油等の燃料の購入に対して、これはどのような買い方をしていらっしゃいますか。この点どなたかひとつ御説明願いたいと思います。
  50. 小林正知

    ○小林説明員 お尋ねの点でございますが、燃料については、動力用の燃料といたしましては石炭と流体燃料といたしましての軽油を中心にしたものとございますが、両方とも、買い方といたしましては、いわゆる日本国有鉄道法四十九条のただし書きの規定に基づきまして、物の性格上、また国鉄におきましてその動力となります石炭、石油関係というものの適正なる入手を可能ならしめる意味をもちまして、随意契約という方式で購入をいたしております。相手方といたしましては、石油の場合から申し上げますと、大体、元売り十四社程度あったと思いますが、そこからの直接購入という形にいたしております。石炭につきましては、御承知の、スクラップ・ビルドの石炭政策もございまして、炭鉱の数もかなり消長がありまして変化がございますが、現今では大手、中小を含めて大体三十社程度の会社から購入をいたしております。
  51. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 いまのお話を聞くと、石炭の購入に対しては約三十社、それから軽油なんかの油類に対しては約十五社から買っている。そして随意契約というのは昭和二十三年十二月二十日の法律第二百五十六号によって「日本国有鉄道が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、公告して一般競争入札の方法に準じ申込をさせ、その最低又は最高の価格による申込者又は申込者との価格その他の条件についての公正な協議を経て定めた者とこれをしなければならない。但し、緊急な必要のある場合、一般競争入札の方法に準じてすることが不利である場合又は政令の定める場合においては、この限りでない。」という「この限りでない。」というのに適合しての随意契約だろうと私は思う。そうすると随意契約というのは、たとえば土木なんかでいうならばほとんどは入札する。そしてパテントを持っておって、だれもできないというようなものに限ってのみ随意契約をする。あとは大体一般入札をするのです。しかし私はあえてこれをどうしても一般入札にしろとは言わない。あなたのほうがこういうような随意契約でやっていってうまく運営して、単価が比較的安く、あなたのほうの指示どおりうまく入ってくるということならばそれでいいけれども、その単価の方法というものは、実はいまは廃止せられたけれども、通産省でちゃんと法律できめたのです。これは石油業法の告示価格というものがある。これは四十年度の単価が一キロ当たり一万一千三百円という単価である。それがそれをもっと下回るような価格で買ったこともある。そうすると安いことで買うことは何も私は反対するわけではないけれども、そういう通産省の告示価格、しかも石油業法による価格がきめられておったにもかかわらず、そのようなことをせられたということはどういうわけかということをひとつ聞きたいと思う。そういうような過当競争をさせなければならなかったその当時の事情というものはどういうわけか、この二つをひとつ答えてください。
  52. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま御質問の石油関係の問題でございますが、ただいまお話がございましたように、要するに石油業法に基づきます通産省からの告示価格というものは四十年まで存在をいたしまして、四十一年に廃止になっております。これはガソリンとC重油について定められておるわけでありますが、国鉄といたしましてこういった燃料油の買い方といたしましての方法は、ときの市況によりましてこれを調達するということで、値段の考え方は市況調達ということに従来とも推移してきております。またただいま先生御指摘のこの通産省の告示価格でございますが、これは一つの目安と言っては語弊があるかもしれませんが、販売価格のD標準額の一つの目安であるというような行政指導になっておりまして、必ずしもこのものずばりでなく、当時の市況とのにらみ合わせで、これを一つの目安にしながら調達すればよいという考え方で当時購入をしてきたものでございます。したがいまして当時の事情といたしましては、三十九年から四十年ごろまでは石油業界の中の元売りは、外国資本系統も含めまして販売のシェア競争と申しますか、販売競争が熾烈でありまして、値段といたしましてはかなり買い手市場のかっこうに推移しておりました。したがいまして資料でも御提示申し上げましたように、通産省の告示価格そのものから見ますと、ある程度下回った値段になっておるものでございます。
  53. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 石油業法、三十七年の法律第百二十八号、第十五条によって販売価格の標準額は昭和三十七年はこういうような価額でやりなさいということは、ただ単なるそういう通達だけで、これをどこまでも守らなければならぬというものではないのだ、これはただ文書できたから読んでおけばいいということでお考えになっておったということですね、いまの説明を聞いておると。私は、少なくともこういうことがきめられたということならば、つとめて、国が模範を示していく上においてそれを守らせるようにしていくことが必要だと思うが、そうではないですか。
  54. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまお話しの点でございますが、これは十五条に基づきましての石油製品の販売価格を示すということでございまして、買い手との関係でその場合の約定価格そのものを拘束するものではないということに解釈をいたしております。また、通産省の当時の御指導といたしましても、これは一つの目安、標準の値段であるということでございますので、もちろん標準価格を出されます以上、その標準価格というものをやはり一つの標準として考えるべきだという考えはあったわけでございますが、全体の市況から考えまして、ただいま申し上げましたような意味に私どもとしては解釈をいたしておるわけでございます。
  55. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 小林理事の考え方と通産省の告示した考え方といささか見解が違っているが、これはもう少し、私も勉強するからあなたのほうも勉強していただく。済んだことであるからもうとやかく言うようなことはないということであるけれども、これからそういうものが出たときに、そういうふうに解釈をせられたり、あるいはそういうふうに思っていられたらたいへんなことになりますから、要はお互いがそれでいいのだということで結論が出ればいいと思いますから、私も勉強するが、あなたたちも勉強していただきたいと思います。  それからもう一つお尋ねいたしたいと思うことは、保線工事等の委託です。これは、国鉄は、新幹線に対しての保線工事については委託会社をつくってその任に当たらせているようであるが、国鉄が直営の場合といずれが経済効果をあげることができるかをひとつ御説明願いたい。こういうことであるが、新幹線に対して国鉄が保線工事の委託会社をつくっておるということ、これはつくっていらっしゃるかいらっしゃらないか。
  56. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま御質問の保線工事の請負会社でございますが、委託といいますか、作業を請け負わす業者として一社できております。
  57. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 請け負わせるといいますかと言って、一体どうなんです。そういうあいまいな、請け負わせるといいますかと言って、委託会社を正式に認めておるのか、その会社に特命的に仕事をさせておるのかどうか、どうだということなんですよ。
  58. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私の答弁が非常にはっきりしないような答弁をいたしまして申しわけございません。  新幹線の保守の件でございますが、保守につきましては、直轄でやっております仕事と部外の力をかりましてやっております仕事と両方ございます。おっしゃるとおりでございます。部外の力と申しますと、在来からございましたいろいろな請負業者が数社ございます。そのほかに、今度新たに、新幹線関係としましては、いままでのやり方ではできないような仕事の部分を請け負わせる業者が一社それに加わりまして、新幹線業務の請負をやらせる、こういうことでございます。
  59. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 この問題は総裁には口をあいてもらわなくても済まそうと思ったが、総裁、この委託会社御存じですか。
  60. 石田禮助

    ○石田説明員 そういう話は聞いております。
  61. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 知っていらっしゃるのですか。そうすると、いまの話だと、委託会社に工事をやらせるということであるのか。この委託会社にすべてをまかしておるのかまかしていないのか。ほかのものにもやらしておるのか、どうなんです。そしてこの委託会社というのは新しくできた会社であるが、この会社にはどういう人たちが入っておるかということをひとつお聞かせいただきたい。
  62. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま私御説明申し上げましたように、新幹線の保守につきましても、在来線と同じように、一般の業者が保線作業の請負として入っておるわけでございますが、新幹線の場合につきましては、特に在来線と違いまして、たえとば非常に精度を必要とするとか、工事の内容が非常に大型であるとかいろいろなことがございまして、一般にやっておりませんいわゆるマルチプルタイタンパーという大型の保線機械がございますが、これによる総づきといいますか、普通は個人個人が、昔はピーターをもってやっておったのですが、最近はタイタンパーという機械で保守をやっております。そういう方式をやっておるのでございますけれども、新幹線の場合には、それでは能力が足りませんのと、精度がよくありませんので、重機械といたしましてマルチプルタイタンパーを使うような作業方式をやっております。これをやらせますのに、国鉄の職員がやります部分と、それから一部請け負わせてやらせる部分とございます。それをその会社に請け負わせてやっております。
  63. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 そういうでかした委託会社に対して機械等は一体お貸しになっておるのか、なっていないのか。国鉄の機械ですよ。それをこの委託会社に貸して、貸し料はお取りになっておるか知らぬけれども、ほんとうにこれはそういうような特別的な仕事であるから、そういう技術経験を持った者を集めて委託会社をつくったというのであるなら、これは一応認められる。しかし、機械まで貸してやる、それまで取り持った委託会社ということは私はふに落ちないのです。  もう一点は、その会社社長、重役、そうしてその会社をでかした内容、資本金はどういうふうになっておりますか。
  64. 長浜正雄

    ○長浜説明員 機械の貸与でございますけれども、実は新幹線を設置いたしますときに、工期あるいは仕事の量の問題がございまして、マルチプルタイタンパー、マルタイとわれわれ略称しておりますが、マルタイを相当数買いまして、それで建設工事に使いました。建設工事が終わりました後、御承知のように建設早々でございましたので、路盤が相当沈下をいたしました部分もあります。平均的に沈下しませんで、非常にむらのある沈下をいたしましたので、これの保守のために、国鉄の職員が千数百人のほかに、請負関係として二千数百人ないし四千人の人間を使いまして、もっぱら夜間でございますが、全線にわたりまして保守をやってきたわけでございます。その後路盤が安定いたしますと、今度はそういう個々の修繕でなく、定期修繕的な、全体を計画的に端から保守をしていく、こういう方式に切りかえまして、いま持っております機械が、そういうことで線路状態がよくなるにつれてそのほうの余裕もありますので、それをいまのところ貸し与えておる。それからこれがいずれ山陽新幹線のほうに延びていくということになりまして、国鉄の使用いたしますマルタイがそのほうに使われることになりますとともに、今度はその業者がマルタイを新たに購入して使う、こういうふうにしたほうが経済的にいくということで、いまそういうふうにさせております。  それから、いま御指摘のように、この会社は、そういうことで新幹線の保守でございますので、在来線の線路の保守についても同様でございますが、なおそれ以上に速度の問題等がございまして、安全性の確保その他を十分確保しなければなりませんので、この精度の問題その他相当な熟練者を必要とすることでございますので、そういう人たち中心となってこの会社をつくって、実態がそういう人たちでもって保守が行なわれる、こういう状況になっております。ただいまのところ、仕事の内容といたしましては、そういうマルタイによる総づき固め、それからマヤという検測車がございます。これによる検測、いわゆる測定でございます。こういうことをいまやっておるわけでございます。
  65. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ちょっとも私の言っている質問に対しての答えはない。会社幾らの資本金で、社長はだれで重役はだれでということをお尋ねしてもちっとも答弁がない。——これはいい。これ以上は時間がないからおくけれども、片寄ったやり方をしないように——毎日毎日何十万人のとおとい人命を乗せてもらって走っておるのだ。どこでどんな事故が起きてもたいへんだから、あなた方が御研究の結果、委託会社をでかして、そうして最高の技術を発揮して路線を守っていく、そうして事故のないようにやっていくという、そうした信念のもとにつくられた会社なら私はあえて反対するものでない。ないけれども、機械まで貸してやり、あれはやるわ、これはやるはといって肩入れをした。そんなことをするとほかのものが承知しませんよ。ほかの会社が、何だあれは、あの委託会社だけは政府のまるきり特約で、そうして政府とうまく抱き合ってやっているのじゃないかというような非難を受けるようなやり方のないように、ひとつ厳重な考え方をして、そうして総裁のいつも言われる正しい姿勢でいくのだというそのお考えをあなたたちに持ってもらって、この委託会社に対しても十分な監督をしてもらいたいということを希望しておきます。まあそれ以上あなたに御答弁いただこうと思っていません。だからあとで、会社の内容は資本金が幾らでだれがどうだということを文書で私に出してください。
  66. 大石武一

    大石委員長 いまの問題の資料を要求いたします。
  67. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それからもう一点だけ聞きます。駅構内の営業権。すなわち、駅へ行きますといろいろ店がある。ういろうを売っている店もある、食べる店もあれば何かたくさんある。私の立場で言うと、名古屋なんかは一応本筋は乗降客を中心としてあとの余分なところがそういう商店街であるからこれはけっこうです。ところが乗りおりのお客さんのところが狭くて、売店が大きくて、そうして食堂が大きいようなところがあるが、一体これは本末転倒しておるじゃないかと思うような設計ができている駅があるけれども、これは一体どうなんです。
  68. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいま駅の構内が一般の売店あるいは食堂等によって乱雑な状態にあるという御指摘でございますけれども、この点につきましては民衆駅等におきましてそういう事態があるわけです。その点についての整理といたしまして、旅客の公衆部分というものにつきましては明確にこれをしたいということで、現在のような状態がございますならば、これについてさらに検討いたしまして徹底的な整理をする。旅客公衆に迷惑にならないような状態にわれわれといたしましては考えたいと思います。
  69. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 先ほどのお約束のとおりに、大臣がお見えになったので、どなたか質問せられるようでありますから私はおきますが、大臣がこの間委員会で御答弁をせられたときに私は聞いておったが、ほんとうに日通問題に対して今後姿勢を正しくして十分に監督をしてしっかりやっていきたいと考えておりますと言われた。私は、先ほど申したように、大臣の気持ちを察するときに実にりっぱだと思った。そうあってもらいたいと思った。そのことばが十分に表現せられて表にあらわれる、私がいままで申し上げたことは、大臣の気持ちのように一体になって、運輸省は皆さん方、しっかりやっていただきたいことを希望して、私の質問をやめます。
  70. 大石武一

  71. 赤路友藏

    赤路委員 大臣、委員会があるのに非常に御無理を申し上げまして、簡単に一点だけお聞きしたかったわけです。  いままでも論議になりましたが、国鉄ではいま経営を安定するということが一つの大きな課題になっております。そのために、運賃の値上げをし、あるいは合理化ということで五万人の職員整理の発表をやった、こういうことで合理化をいま進めておられる、こういうふうに理解します。  大臣は覚えておられるかどうか、三月十五日にNHKの朝六時のニュースに、大臣がちょっと顔を出しておられる。出てまいりましたのは、宮城県丸森と福島の間の丸森線、これは収入が四千六百万円の予想ですね。支出のほうが四億八千三百万と膨大な差が出ておるわけです。これはNHKが間違ったら別ですよ。そのあとで大臣はこういうことをおっしゃっておる。地元の納得なしに撤去したりやめたりはいたしません。私は、国民のあるいはその地方の方々のためにおやりになるということはわかるわけです。これは国民のために少しでもよりよくしてやろうという、そのことはわかるわけなんですが、しかし、こういうような膨大な欠損をするものをそのまま国鉄のほうが引き受けるというようなことでは、いつまでたったって経営の安定なんてあり得ないと私は思いますので、その点について大臣の御所見があれば聞きたいし、同時に私は国鉄総裁の意見をお聞きしたい。それだけです。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 赤字線につきましては、それは国鉄の再建の問題として大いに検討を加えなければならぬと思っております。ただ、現在、運行しておる赤字線を処理するということにつきましては、やはり地元の皆さんのお考えもよく察知してやらぬといかぬと思います。その地方の公共団体、府県市町村あるいはそのほかの経済その他の諸団体の意見もよく聞いて納得づくでやるということが、私は政治の常道であるだろうと思のです。いかに国鉄が赤字でピーピーしておるからといって、悪代官みたいにむしり取るということは今日においてやるべきでない。したがって、そういう赤字はしばらくはやはりがまんすべきが国有鉄道であり、また運輸当局としてやるべきことであろうと考えております。そういう場面の救済は別の部面で考えてやるべきである、時間をかけてやらなければいかぬ、そう思っております。ただ、将来つくる赤字線という問題は第二に出てまいりますが、これはできるだけ抑制したほうがいいと思います。それでいろいろ御注文やら、予定線とか調査線とかいろいろございます。ございますけれども、現在の国鉄の情勢その他を見ますと、将来できるものについては緊急の重要性のあるものを除いて——みんな緊急で重要性があるとおっしゃっておりますけれども、そうかもしれませんが、その中でも特に緊急重要性のあるものを除いてはできるだけ抑制して、これ以上赤字をふやさないように心がけたほうがいい、そう考えております。しかしこれらの問題も国鉄財政再建推進会議というのをあした八日に発足させまして、その討議を願いまして、その大方の皆さんの御意見をよく拝聴して私たちは最終的な考え方をきめていきたい、このように考えております。
  73. 石田禮助

    ○石田説明員 私が言わんと欲することはいま大臣からおっしゃったのですが、私は国鉄総裁の責任という点から考えましてさらにつけ加えたいと思います。  この丸森線のごとき、四千六百万円の収入を得るがために経費四億八千万円、これは実に悪い線でありますが、これよりさらに悪い線は相当にある。とにかく国鉄といたしましては、いままでの規則によって政府の命によって新線をつくるという場合には、これは採算に合おうが合うまいが命なればいかんせん、これはやらなければならぬということでやった線がずいぶんたくさんある。あまり多過ぎる。ところが最近における国鉄の財政状態を見ますと、収入のふえるぺースはきわめて弱い。しかも経費のふえ方はペースが非常に強い。その結果収支のバランスというのは非常に悪くなります。しかも国鉄は独立採算制でもって経営していかなければならぬということでありますので、赤字線というものは何とかしてもらわなければならぬ。ただいま大臣が申されましたが、すでに赤字線をつくった以上、少なくともこれはその地方の人は利用されておる。したがって英国、フランス、ドイツあたりがやっているように、引き合わぬからといって撤去するということは国鉄としてはできぬし、すでにその地方の人はこれを利用しておるのだ。それを取る分には、それにかわる適当なものを提供する。しかもそれによって国鉄は地方の人には不便をかけず、一方において経済的に得るところがある、こういうような場合においてはぜひひとつ取っていかなければならぬ。そういうことをこれからの国鉄として、ぜひ運輸大臣の了解を得てやらなければならぬ。どうせこれは法律問題になると思いますので、ひとつあなた方の御配慮も得て何とかこれは実行しなければならぬ。ただすでに敷いた以上には、地方の人はこれを利用しているのであるからして、これを引き合わぬからといってひっぱずすということはすべきものではない。それにかわるのに、むしろそれ以上に適当な運輸方便をもってして、国鉄はそれによって経済的な計画で赤字線問題を解決したい。  そういう点から申しまして、いま鉄道建設公団のほうでやっている赤字線は私ども国鉄としては実に困る。また片一方、すでにつくったものに対してそういうことが起こっているときに、さらにその上につけ加えられるということは、これはよほど政府なり政治家のお考えを賜わらなければならぬと思うのです。私どもとしては、忌憚なくいえば、新しいものに対しては国鉄はこれ以上負担する力はないのだから、それをやる分には、一々赤字が出たら政府はこれを補償をしてくれるというぐあいに持っていってもらいたいということが、私の忌憚なき希望であります。
  74. 赤路友藏

    赤路委員 大臣からありのままの御意見を承ったわけです。私たちも、現在すでに敷設されて運行しているのを赤字だからすぐとめるなんということはとてもできるものじゃない。少なくとも大臣が言われるように、今後新線建設の場合はよほど慎重にやってもらいたいということが一つだ。その地方の住民の立場ということはわかりますが、それのために国鉄経営がやっていけない。その無理が職員なりあるいは国民の頭にかかってくるということであれば、これは当然考えてもらわなければならぬのじゃなかろうかと思います。  それから相当大きな経営の不安定が出ておるのですが、いま総裁が一番最後に言ったことば、私が大臣に言いたいのはそれなんですよ。少なくとも私は政治路線だとかなんとかそんなことは申し上げません。ただみすみす経営をやっていけないものを鉄道審議会か何かがきめて、原案は運輸省がお出しになるのだろうと思いますが、それをきめて国鉄に運営さすのです。みすみす欠損なんですね。それを運営さす限りは、私はそれは政府が責任を持って補てんしてやるという考え方があっていいのじゃなかろうかと思う。それが何と言いますか、そんなものには法律的根拠はないのですね。ただ、いまのように次から次に新線ができ、欠損をする、それをやっていけばなかなか国鉄の経営の安定なんというのはあり得ないと思います。もちろん国鉄経営合理化し、よりよくするためには、そういう線だけではない。これはあとで私は国鉄のほうへ注文をつけます。そういう点だけではないが、一番大きな要素は何か、ここにあると思う。その点では大臣にひとつ十分お考えおき願いたい。  同時に国鉄の総裁、なかなか古武士なんですね。かつて私も一発食わされて往生したことがある。変なことを言うようですが、運賃値上げのときに、私はちょうど国会対策副委員長でしたから、ありがとうございましたと言って私のところへ来られた。そのときに総裁に、あなた、運賃値上げするが、余裕金を六十億も持っておるのじゃないか、あれは一体どうしたのかと言った。何とか言いわけするだろうと思ったのですが、言いわけしない。国鉄の世帯は大きいですからね、そのくらいはあたりまえでしょうと言って、涼しい顔をして帰ってしまった。それ以来私はとてもじゃないがさむらいだと思っている。ところがそういうものを押しつけられて黙って引き下がっておるようなさむらいじゃ古武士にはならぬですね。だから私はぜひあなたたち二人に寄っていただいて、この点については運輸省側のほうも国鉄側のほうも真剣になって考えてもらう、そうして国鉄の経営の安定という一つの大きな柱を建てるがいい、これだけだったのです。いろいろ御意見を承っておりますから、お二人の御意見は別段聞く必要はありません。ただそういう考え方があるということをお考え願って、慎重におやり願いたい。これだけでございます。  大臣は私はもういい。あとは国鉄の総裁にまだありますが……。
  75. 大石武一

    大石委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 大石武一

    大石委員長 速記を始めて。
  77. 赤路友藏

    赤路委員 総裁のおられるところで、まあ総裁はあまりこまかいことはお知りにならぬので、ほかの方から答弁をいただいてけっこうです。  減価償却ですが、四十一年度は、予算額が九百七十九億ですね。それに対して約一千億の減価償却、ざっと二十億くらいの超過になっておる。四十年度を見ますと、これは減価償却予算が八百三十億、これに対して千三百六十一億。だから当初予算に比べますと、五百三十一億円も減価償却が大きくふくれ上がっておるわけです。三十九年の予算を見てみますと、これは大体三百億くらいの予算よりも支出のほうが超過しておる。私は、減価償却というものはそう大きくぐるぐる変わるものじゃないと思うのですね。たとえば大蔵省のほうで出しております減価償却基準、これを民間の会社変更するということになるとかなり厳重なんです。国鉄だからといって、それをそう簡単に、減価償却が大きく五百三十億もふえるなんというようなことは、よほどのことじゃないとちょっとおかしいと思うのです。   〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 その一例を申しましょうか。だからこういう計算が成り立つわけですよ。四十年度分の国鉄の損益勘定を見てみますと、この損益勘定でいくと、収入のほうが六千三百七十一億七千八百万円、支出のほうが六千五百六十億三千三百万円で、差し引き百八十八億五千五百万円の欠損、不足という数字が出ておるわけです。ところがいま先ほど申しましたように、減価償却を八百三十億と見ておったものが千三百六十一億と五百三十一億ふえておるということになりますと、この五百三十一億というものは、借金してまで減価償却するということはないはずなんです。どこからこれは生まれてきたのか、こういうことになる。そうすると欠損額の百八十八億五千五百万円というものは、この中で消えるんじゃないか。私たちのように単純な考え方でいくと、そういう考え方が出てくるわけなんです。その点その減価償却がそういうふうに大きくばっとふくれ上がった、何か特別な理由はありますか。
  78. 石田禮助

    ○石田説明員 私はあまり詳しいことは申し上げませんが、実は、減価償却の金額については私自身も現在の国鉄の数字というものに対してはきわめて疑問を持っております。ただ、四十年の減価償却が当初の八百二十億に対して千三百六十一億と五百億ふえた。これは新幹線がつまり三十四年にスタートしまして三十九年に完成したんですね。それまでの減価償却というものはしてなかった。それを三十九年から発足したので、三十四年から三十九年までの減価償却が重なり重なって四十年にきたということです。つまり民間の会社でありますれば、ああいう新幹線、新しい工場をつくるとか仕事をやるときには別個に勘定をつくりまして、そして完成をしたところで初めてそれから減価償却を定率法なり定額法なりでやっていく。国鉄の場合には、工事をやりますと、その工事が芽が出ても出なくてもその明くる年から利息なり減価償却というものはやっていくのですよ。ところがこの新幹線の場合には一つの特例といたしまして、完成するまで減価償却を始めてなかった。三十四年から三十九年のものが重なりまして、四十年に五百億というものが、この大部分が、やはり新幹線のものでもって大きな数字になった、こういうことです。  それからさらにあなたに私は申し上げなければならぬのは、私自身もこれは関係務理事にこの間話したのですが、どうも国鉄の最近の決算というものは毎年毎年マイナスだということで、これはいまのように第三次計画でもって四十年、四十一年、四十二年の間に一兆五百億もお金を使っておる。これをいままでのような調子に、毎年毎年使った金、投資に対して利息はもちろんそうですか、そのほかに償却をやっていくということはこれはちょっと考えものじゃないか。ということは、その投資の芽が出るのは七、八年あとの問題なんですから、別個の勘定をしたらどうだ。そうしないとこれは決算ということになると、ちょっと変じゃないか。ことに国鉄の職員から言えば、自分たちは一生懸命やっているのにかかわらず、毎年毎年大きな損が出るなんということになると、これは士気を阻喪させることになるので、民間式にやったらどうだ、芽が出るまで利息なり償却なりは見ないでやったらどうだということを申しましたのですが、現在はとにかく損は出てもその根本問題が解決するまではいままでどおりやっていこう、こういうことになっている次第でありまして、これは私自身としてもあなたと同じような質問をしたい、こういうことです。
  79. 赤路友藏

    赤路委員 何か説教を聞いているようなあんばいになってしまったのですが、だから私も減価償却がふえることを悪いとは言わないのです。それは減価償却が早く償却されればそれだけ内容がよくなるわけですから、それはいいんです。それはいいんですけれども、そういうふうに減価償却、これはいま総裁の言うようにわかるわけです。説明も何もありませんからね。だから、あまり急激にふえ過ぎるのではないか、こういうことを私は申し上げたので、いま言うように、新幹線のものがそこへちょうど出てくる。四十年度へかぶせられなければならぬ事態になった、こういうことなんでしょうが、しかしそれは工事をずっとやっているんだから、わかるのだから、まあ予算を組むときはある程度慎重にそういう面をも入れて予算を組んでほしいと思います。先ほどだれかと言っておったようですけれども……。  それからこれは本来鉄建のほうかと思いますけれども、新線工事をどんどんやっておりますね。その新線工事を、たとえばここに神岡線というのがあります。これは三十四年の四月から四十一年の十月まで、七年間かかっている。こういうように新線工事をやるのに五年も七年も八年もかかっているやつがあるわけです。その間これは全然使用も何もしていない。というのは、従来そういうのが国鉄にありましたか。国鉄の場合はある程度できたらその区間を運用して、それからまた先らのほうで工事をしていく、たとえば二年なら二年たってここまで工事が進めば、ここまでは運用をして、それから先らをやはり年次計画でもってやっていく、こういうことをやっておったのか、これと同じようなことをやっておったのですか。
  80. 石田禮助

    ○石田説明員 それはごもっともな質問だと私は思います。工事をやった以上はできるだけ早く完成して早く運用したい、こういうことなんですが、たとえばいままで国鉄が新線を——建設公団ができる前、赤字線をやっておった時分には、赤字線というのは、完成してこれを運用してみたところで大きな損がいくんだ、しかも限られた予算でもってたくさんの線をやらなければならぬ。それを一本にだけ集中して、そうしてそれを完成したところでほかのところへ移るというようにやると政治家の諸君がはなはだごきげんが悪い。それでしかたがないからやはり総花でもって、はなはだ不経済であるがやらなければならぬ、こういうふうな立場に立って、たとえば神岡線のごときは神岡まで到達して初めてこれが運営の力も出てくる。あそこへ行くまではこれはどうにもしようがない。しかも、早くやりたいけれども予算の少なきをいかんせぬ、こういうことで、はなはだ遺憾ながらぼちぼち行かざるを得なかった、こういう次第であります。
  81. 赤路友藏

    赤路委員 鉄建はどなたか来ていますか。——鉄建は来ていませんな。それではいいです。  それでは、ちょっと変わった面で、少しこまかいことになるかもしれませんが、お尋ねします。  国鉄のほうでは日通から委託されて荷物を輸送しますね。日通との間に何か、輸送賃ですね、何も毎日毎日払うわけじゃないでしょうから、その輸送賃の支払い日であるとかなんとか、そういう面についての日通と国鉄との間の契約というものはありますか。概略でいいですよ。
  82. 石田禮助

    ○石田説明員 日通との問題は、今月分は翌月の末にまとめて払う。
  83. 赤路友藏

    赤路委員 一カ月……。
  84. 石田禮助

    ○石田説明員 一カ月です。それはあなた方から考えると、なぜもう少し早く取らぬか、その日その日に取ったらいいじゃないか、こう言うのですが、日通は荷主から引き受けるときは、その日その日に決済することは事実商慣習としてできない。それはやはり日通というものは、荷主から荷物を引き受けるときにはその輸送賃というものは一カ月払い、だから国鉄もまた一カ月払い。それを国鉄は自分独自の方法として早くやろうとするということになると、路線のほうの業者との関係において国鉄は負けてくる。これは商売上やむを得ざるなり、こういう次第でございます。
  85. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、この月のものは来月支払う、こういうふうに一カ月おきに支払っていく……。
  86. 石田禮助

    ○石田説明員 来月の末でございます。
  87. 赤路友藏

    赤路委員 そういうことになりますね、ずっと。そうすると一カ月おきに支払うわけなんだが、総裁、そんなことはおわかりにならぬだろうが、どなたか……。それは入っていますね。もし延滞した場合はどうなりますか。
  88. 石田禮助

    ○石田説明員 延滞よりも、一番大きな問題は不払いという問題なんですが、それに対してはちゃんと保証会社がありまして、かわって払うということになっていますが、幸いにして、いまだかつてそういう不払いというものが出たことは、最近においてはありません。古いことは私は存じません。私が総裁になってからそういう話は聞いておりません。大体において——大体じゃない、すべてパンクチュアルに翌月の末に金が入っておる、でなかった場合には保証会社が払う、こういうことになっております。
  89. 赤路友藏

    赤路委員 そのときは、延滞に対する金利を取りますか。
  90. 石田禮助

    ○石田説明員 そういう金利というものは初めから問題になっていないのです。そんなことは問題にならぬ。それはあなたは非常に御不審に思いますが、これはもう、たとえば物を売ったからといって、それを一カ月払いにし二カ月払いにしたからといって、金利を見るということは、特別な場合にはありましようけれども、普通の場合には一カ月払い、二カ月払いでいったら、利息はつけないでただ支払いの期日を延ばしてやる、こういうことなんです。
  91. 赤路友藏

    赤路委員 総裁の言うことはわからぬじゃないんだがね。何と言ったって、日通なりその他の運送業者が荷物を集めてきてどんどん国鉄に持ってきてくれるから、国鉄もそれで経営が成り立つわけだからへその点はわかるわけです。ただ私が聞きたいのは、それは運賃が一カ月おきに確実に入っておればいい、もしこれが半分なら半分ちょろっと十五日おくれた、こうなったら、まあ十五日くらいはいいだろうというんで、そんなものが重なってきたらたいへんなことになるわけで、それに対しては契約の上では金利は何ぼ取りますよというのがあるんだね。取るか取らぬかは別にしてそういうものはあるはずなんだな。それでいま総裁の言うように、不払いの場合は保証会社がある。保証会社が支払ってくれるから実際国鉄は損をしないんだ、それはわかる。不払いというのは何も一日おくれたらおまえ不払いだと言って取るわけじゃないから、何ぼか支払いが延びている。はたしてその間の金利はどうなるか、こういうことです。
  92. 石田禮助

    ○石田説明員 これは日通の場合において、関連して御質問だと思いますが、日通に関する限りは全然延滞するというようなことはいままでもありません。したがって、利息をどうするかという問題も起こらなかった。しかし、これはもう延滞するからには利息としてわれわれは請求する権利はあるのであります。しかし、幸か不幸かそういうケースはいままでなかった。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 それでは今度は変わった角度でちょっとお尋ねしますが、日通は翌月支払いなんですね。
  94. 石田禮助

    ○石田説明員 翌月の末日です。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 支払いは一カ月おきでしょう。そうすると、いまの日本交通公社を入れて七社になるわけです。これがお客さんを団体客であるとか何とかいうのを集めますね。これも相当金額にしてみると大きくなっている。よくやってもらっているわけです。そのかわりそれだけの手数料は払っていますね。大体私計算しますと、四十一年度の交通公社関係の手数料分はざっと五十億くらいになります。そうすると、これのほうの契約書、旅客営業に関する業務の一部を委託する契約書というのがある。この契約書を見てみると、「団体乗車券及び貸切乗車券以外の乗車券類の場合」これは「毎旬分の発売額に相当する金銭を翌旬末日」に納める。毎旬といえば一週間か十日か、そういうことでしょう。だから長く見ても十日おきには払う、こういうことになっているんですね。ところがもう一つ「団体乗車券及び貸切乗車券の場合」「当日分の発売額に相当する金銭を翌日中に甲に支払い、」こういっている。そうするとこれと日通の一カ月というのと比べてみると、こっちはえらいきついですね。しかもこう書いてある。延滞した場合、「日歩四銭の割合による延滞償金を甲に支払わなければならない。」だから一日おくれてやれば延滞金四銭取られるわけだ、これからいけば。そんなことをしておるかせぬかわかりませんよ。そこのところ、これは何でもないようなんだが、私は交通公社にせよ日通にせよ、この国鉄の営業に非常に大きな貢献をしていることはこれは認めざるを得ない。しかし契約は契約なんだ。契約したことをいいかげんに見のがして、それが愛情か温情か、見のがしておったんじゃこれは話にならない。別途日通に対して、あるいはそういうような交通公社に対して常日ごろの協力に対して何かするといったのとは別の問題であって、少なくともようやってくれるんだから、少し目をつぶろうじゃないかというようなことで、せっかくある契約を履行せぬということになれば、これがだんだんその他の面へも及ぶのじゃないか、こういう心配があるわけだ。全体の金額からすればこれは大きなものでないかもしれぬ、大きなものでないかもしれないが、世帯が大きければ大きいほど私はこういうこまかい面に目をとめる。それでないと経営の安定なんて太いことばかり言ったって何にもならぬ。そういう点では私はどうも何かちょっと手落ちがあるんじゃないかという気がするわけだ。確実に入っておるかどうかということ。だから答弁を求める前に、委員長、会計検査院来ていますか。
  96. 田川誠一

    ○田川委員長代理 来ています。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 赤路友藏

    赤路委員 それじゃちょっとお尋ねいたしますが、国鉄関係の監査やられましたね。それで四十一年の検査報告に何か出ているわけなんですが、いま私が申し上げたような国鉄関係の運賃のそうした資金受け入れが、契約書に記載されたとおりに入っておるかどうか、調べましたか。
  98. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 ただいま先生から御質問がございましたように、運賃とかあるいは切符の売り上げ代だとか、そういうようなものにつきましても毎年度検査をいたしております。特に指摘するような事態はございませんでした。検査報告でもそういう点には触れてございません。
  99. 赤路友藏

    赤路委員 この検査報告にはない。そうすると、この日本交通公社関係は毎日納金しなければならぬということになりますか。いいですか、そうやっていますか。毎日納金していますか。それをあなたのほうで帳簿をお調べになっていますか。
  100. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 いま先生の御指摘になった点でございますけれども、私、直接検査しておりませんので、その辺のところはよくわかりませんが、全般的にそういう点については、先ほど先生のおっしゃいましたような趣旨で関心を持って検査をいたしておりますが、特に指摘するような事態はございませんでした。
  101. 赤路友藏

    赤路委員 これは私は常識だから、常識でものを言っているから、ひょっとしたらあんたの考えと違うかもしれぬ、合わぬかもしれないが、常識上考えて、たとえば四十一年の四月、日本交通公社は一カ月で八十一億二千三百万円、そうすると、ほかのを入れてみますと、一カ月九十八億八千七百万円、四十一年度は全部で千五十一億七千八百万円です。これを三十日に割ったらどうなるか。それを毎日納めなきゃ——毎日といったって二通りあるんだけれども、十日おき、一週間おきと毎日と二通りある。契約書はあるから、こんなこと言うたらまた総裁目をむくかもしれんけれども、しかし、どう常識上考えてみても、毎日、一日もおくれません、こう言ってやっている状態、ちょっと考えられないんだが……。
  102. 石田禮助

    ○石田説明員 これは赤路さん誤解されていると思うのです。ということは、交通公社の場合においては、団体旅行のやつは翌日ということになっておりますが、普通のやつに対しては十日までにやったやつを二十日までに納める。十一日から二十日までのやつは三十日に納める。つまり十日払いということになっております。  これはさらにひとつ説明を要すると思いますが、実は昔、終戦後は少し長かったですが、これはどうも長くする必要はない。普通のお客というのは現金で払っている。一カ月払いくらいになっていたと思いますが、これはいかぬということで是正した。これはほんとうなら毎日毎日がほんとうなんだが、交通公社にあるフェーバーを与えているというような意味で、利息において彼らはもうける、それはわかっている。わかっているんだが、それはまあいいだろう。しかし、そういうことをわれわれは考えに入れて口銭というものをちゃんときめてある。われわれは全然ただでそういうフェーバーを与えているわけじゃない。その点はひとつ御了承になっていただきたい。それから日通の場合に、今月分を翌月の末に払うということは、日通そのものが荷主から運賃を取るときには決して現金で取るなんてそんなことはできぬでしょう。これはやはり路線業者というものの競争がありまして、一般の慣習で運賃というものは、託送してからまず一カ月後に払うということになっておりますので、日通に対しても、日通が入金するときにこっちに払わせる、こういうことでバランスをとっております。現金で受け取ったやつを一カ月後に払わせる、こういうことじゃないのです。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  103. 赤路友藏

    赤路委員 日通の場合なんですが、農林省関係のお米の輸送、農林省のほうは毎月日通へ対して支払いをしておるわけです。月別に支払いをしておる。もし日通がこれだけに限れば、政府のほうから資金が流れてこないで立てかえて払わなければならぬということになりかねない。もし早ければですよ。いま幸いかどうか、総裁が言われるように一カ月おき、ちょうど政府の金の出方も一カ月、一カ月だからこれはそれで合う。合うが、そうするとこれは総裁に考えようがあるかと思うが、いまの日本交通公社の切符関係、これと日通との取り扱いに対する考え方がちょっと違う。というのは日通は一カ月でしょう。片ほうは十日おき、それで契約書の中に毎日といっておるのは武士の情けでふわっとしちゃったんだろうけれども、いずれにしても国鉄貢献の度合いというものはどういうふうになるか私にはわかりませんが、しかしながら同じように国鉄に対して協力しておるものの取り扱いが違ってくる。私は日通の場合も、もう少し厳格であったのじゃないかと思うのです。ところがいま総裁のおっしゃるように、翌月払いでいくということになると、これとこれとの差というものがかなり出てくる。金利はおそらく全然取っておられますまい。取っていないと思う。私は私なりの、何だおまえ架空じゃないかと言われるとそのとおり架空なんだが、金利をちょっと交通公社のだけ計算してみた。交通公社が一カ月おきにあれすると、日歩四銭で計算すれば二億八千四百万円、一年に三十四億円金利として潤おっておる。だからいまの契約しておるやつを、そんなもの取らなくたって何でもない、日歩四銭だろう、そうはいかぬので、私がいまここで言いたいことは、国鉄がいまの段階でどうでもこうでも経営安定の方向へこれを持っていかなければいけない。そのためには先ほど私が運輸大臣に言ったとおり、少なくとも政治的に、国鉄へ対して欠損承知の上で押しつけるものに対しては、政府がそれの補てんを考えるということは当然だと思う。それを全部国鉄へ押しつけ、それを国鉄が易々諾々とは言わぬが引き受けて、そして欠損をするからというので、あの手この手で合理化をはかって、運賃を上げるとか、これは私は筋が違うように思う。今後の場合においても、いま申し上げましたような点はこまかい点であるかもしれない。こまかい点であるかもしれないが、少なくとも契約書で契約をしてびしっとしているわね、これを守るということでないと、恩情をかけることもいい、愛情をかけることもいい、そしてまたその協力に対して感謝することもいい。それはそれですよ、契約は契約のとおりすぱっとやるという、こういう筋の通ったやり方をしませんと、これだけ大きな経営をやっていく上に、どこかここか穴が出てくる。それでコトコト落ちてくるという結果になろうかと思うのです。こまかいことであるが、大きい所帯であるだけに細心の注意をして対処してもらいたい、こういうふうに私は思うわけです。  ちょうど一時になりましたから——何か総裁がどうも言うことありそうな顔をしている。おっしゃっていただいて……。
  104. 石田禮助

    ○石田説明員 ちょっと誤解されているようですから、誤解を正す意味において私は一言申し上げたいと思います。  日通の場合には、つまり運賃は、今月発送したものに対しては翌月の末払い、こういうことは別に運賃の支払いに対して、武士の情か何か知らぬけれども、特別に延期をしたというわけじゃないのです。要するに日通が払う運賃というものはお得意から取った運賃なんです。お得意から取る前に国鉄に払うということは、日通が出血するわけなんで、これは国鉄としては日通に対して許容すべきものだ。お得意さんから一カ月後に受け取るがゆえにわれわれのところも一カ月後に受け取る。交通公社の場合には、これは毎日毎日の入金なんですから、厳格に言えばその翌日に取るということになりますが、これは全国にわたるものであり、そしてめんどうくさい計算もありますので、これに対してはまず十日という余裕を置いてまとめて払っている。この点においては交通公社としては相当に金利はもうけておると私は思うのです。この点はわかっておるのですが、昔はこれは一カ月払いだったのです。それを十日払いということにいたしましたので、その点についてなお金利の収入があるということはわかっています。わかっていますが、われわれはそういうことを頭に置いておいて、あそこの販売口銭というものをちゃんときめておるわけです。全然知らぬでやっておるというわけではない。だからその点についてひとつ誤解のないようにお願いしたいと思うのです。それで、日通の経営というものの全体からわれわれは考えねばならぬのですが、これは経営はそう楽じゃないのです。たとえば四十一年度のごときにおいては、二億三千万円ばかり出たのですが、そのうち一億九千万円は税金に取られておる。残った部分はたった四千万円、ということで、これはなかなか経費がかかるということ。また経費がかかるぐらいせぬというと、販売力は上がらぬ、こういうふうなことで、金利の上において多少利潤はあるということは知っておりますが、知らないでやっておるのではなくて、知っておってそれだけのものをやっておる、これは私は商売上の普通のお得意さんに対する礼だと考えております。その点は全然わからぬで、めくらでやっておるんじゃないんで、知っておってやっておるんだ、しかもそれは販売口銭のほうで考慮してきめておるんだ、こういうことで、どうぞひとつわれわれのほうもその点は金利だとか、なかなかこまかくやっておるということだけでは御承知願いたいと思います。
  105. 赤路友藏

    赤路委員 これで国鉄の、ほかの問題はありますけれども、総裁のおる間に私が言いたいのは、それだけだったのです。  ここでもう一ぺん重ねて——これはもう答弁せぬことよ、答弁しなくていい、注文をつけるということです。その注文をつけることは、やはり厳格にやるべき点は厳格にすぱっとやる。恩情を持って見るのはその中で見るのでなしに、別に何らかの形において恩情を持って見てやる。約束したものは約束のとおりぴしっとやっていくという厳格さが私はほしい。その点よくそれぞれの係の人におっしゃっていただいて、もう総裁の言うのはわかっているから、一般の人たちにそういうふうに言っていただいて、国鉄の安定化のために総力をあげてやってもらう。まあいろいろのうわさが出たりいろいろするでしょう、世の中というのはそんなものですから。しかしそういう点では国鉄の経営が大きければ大きいほどひとつできるだけこまかい配慮をしてもらって、一日も早くあれをする、こういうこと、それだけ注文しておきまして私の質問を終わります。
  106. 大石武一

    大石委員長 田中武夫君。
  107. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は主として運輸省に伺いたいんですが、いまの赤路委員の質問に対する国鉄総裁の答弁を聞いておりまして、一言だけ申し上げたいと思うのです。  先ほどの日通との運賃の精算の問題ですが、一カ月払いということは、商慣習がそうであるならばやむを得ぬと思う。しかしいままでそのようなおそれがなかったから利息のことは考えていない、こういうことなんですが、少なくとも運賃の精算についての取りきめなりあるいは契約になるかわかりませんが、あるはずだと思うのです。そのときに、かりにそれがむだな条文であるならばなおけっこうだと思います。しかし、もし期限に運賃が支払われない場合は、日歩四銭なら四銭ということを契款なりあるいは契約なりに書く必要があると思います。私はそれ自体はやっておられるんだと思いますが、総裁は利子のことなんか考えたことはない、こういうことであったので、もしそうであるとするならば、当然延滞利息ということは書いておくべきだと思うのですが……。
  108. 石田禮助

    ○石田説明員 それはごもっともな御注意だと思います。実は私がその利息のことは考えておらなかったということを申し上げたのは、ちゃんと、きちんきちんと入っておるので、利息という問題は起こらなかった、こういう意味で申し上げたのでありまして、一カ月払いであるというのに必ず延滞するということになれば、当然これは日歩四銭か三銭か知らぬが、適当な利息を取るということは当然なのでありまして、この点についてはもしも今後そういうことがありましたら必ず間違いなくやる、こういうことです。  それからさらに、これはよけいなことなんですが、御参考までに申し上げておきたいと思う。国鉄には預託金というものがある、国鉄は金が入ると銀行へ預けることができない。みな日本銀行へ持っていく、大蔵省に持っていきます。これはちゃんと法律できまっている、あなた方が法律をつくったんだ。そこでこの預託金というものですが、この預託金というものに対しては金利八厘ということだったんですよ。私が監査委員長をしておりましたときに、こんなばかなことはないじゃないか、国鉄は高い利息で借りた金を使っているのに、余った金に対して金利八厘とはこれいかに、これでは問題にならぬということで、大蔵省に談判しまして、そして預託金の金利を変えてもらおうじゃないかということで、いろいろ交渉しまして、正示君が理財局長のときに、結局預託金高のいかんにかかわらず八厘だったやつを、四十億までは八厘、四十億をこした場合には短期公債に利用することができる、短期公債になると一銭六厘だ。これは大きいですよ。私が監査委員長のときに総裁に言って理財局長に談判して、四十億までは八厘、それを超過したやつは短期公債に利用することは勝手たるべしということで一銭六厘。その当時何でも十二、三億出ましたよ。そうすると国鉄総裁のいわく、これは監査委員長の功績なるがゆえに、半分あなたにあげましょう。これはあまりに多いからごめんこうむりますと言ったが、これは年々いまでもやはり七、八億の金が出ているということで、いかに、利息というものに対しては、私はいままで物産会社でやってきて訓練されておりますので、かっちりときちょうめんに、できるだけ損のないようにやっておるということについては、十分の注意を払っているということを、この際ひとつ申し上げておきたいと思います。
  109. 田中武夫

    ○田中(武)委員 わかりました。どうぞお引き取りください。国鉄はこれでけっこうです。  運輸省その他で私が要求した人を……。もう時間が一時十分を回っておる。二時から本会議がある予定でございますので、本会議までできるだけ早く終えるように簡単にやりたいと思いますが、もし本会議までに終わらなかった場合はまた事後において質問を続ける、そういうことにいたしたいと思います。  今日各新聞の社会面あるいはその他の面にも出ておりますが、日通の問題が出なかった日はないくらいなんです。そこで、そういうような新聞の記事、私はここに主として読売を持ってきておりますか、この新聞の記事のうちに——これはすべてでありません。二、三摘出いたしまして、法律違反という点について二、三をお伺いしたいと思うわけです。  まず第一点は、陸運局が、これは東京陸運局ですが、日通に対して繁忙期の便法として、いわゆる白トラ、これを認めておった。それを公認する縦十五センチ、横五十センチのステッカーを張って、そのステッカーに日通のマークと陸運事務所長の文字を入れたやつを張っている。そうして、それは主として自家用車にそれを張って営業さしておる。こういう記事が出ておるわけです。それに対して警視庁から警告があった。こう記事が出ておるのですが、これは道路運送車両法の違反ではなかろうか。これからそういうように法律の違反と思われる点を新聞記事から抜き出していくわけなんですが、これは東京陸運局と日通とが手を組んだところの道路運送車両法違反である。このように思うのですが、どうなんでしょうか。  さらに、そのことについて警視庁が警告等を出しておる。その後どう改めようとしておるか。あるいはそういうことが四十一年ころから行なわれておるわけですが、それについて運輸本省としてはどういう監督、どういう指導をしたのか伺います。
  110. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのステッカーの問題でございますけれども、先生のいま御指摘になりました新聞は四月の新聞だと存じます。   〔田中(武委員「四月二十四日」と呼ぶ〕
  111. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 それにつきましては実は先生も御指摘のとおり、四十年に東陸の管内で日通がそういう白トラを使った事例がございまして、それに対しまして警視庁が警告を発したのでございます。そこで、私どもといたしましても強い警告を発したのでございますけれども、さらに翌年の四十一年にまた同じようなことが起きがけたというので、当時の運輸省といたしましては、あまりにもひど過ぎるのではないかということで、直ちに日本通運の社長に対しましてきわめて厳重な警告を発しましたのでございます。これは文書もちゃんと手元にございますし、それの中でこういうことを言っております。これは四十一年七月の十六日付の当時の自動車局長名前で、日通の福島社長あてに出した公文でございますけれども、それによりますと、「最近、政府の物価抑制策とも関連して、流通部門に対する社会的関心が非常に強くなっており、貴社のごとき流通部門の代表的大企業の一挙手一投足もまた社会の監視の的となっている。従って、いやしくも違法又は不当な営業行為或は社会の疑惑を招くような行為を行なうことのないよう、通運事業の使命及び流通部門における大企業としての社会責任を自覚して、特に下記諸点に留意の上、業務の改善を図られたい。」ということを申しまして、その記の中に2といたしまして、ただいまの先生の御指摘のような「手小荷物配達の一部についてみられるような違法な配達体制を改め、全面的に適法な集配体制を確立すること。」ということを言っております。そこでこういう警告を発しまして、なお東京陸運局を通じまして実際の行政指導をさしたのでございます。その指導は何かと申しますと、実はこういったような白トラを使うというケースは、たとえば年末の繁忙期でございますね。たとえば新宿駅などに荷物が一ぺんにどかっとくる。こういう場合に、新宿の日通支店が持っておりますトラックだけでは足りない。といってそういうもののために年中トラックを持つわけにもいかないという事態が発生いたします。これは新宿のみならず、そういう点はただいまよく各所に起こりますのでございますけれども、そういう場合に一体どうすればよいか。そういう経済実態に合わせるにはどうしたらよいかというので、違法でないようにそういう経済実態に合わせる手を行政指導したのでございます。それは実は道路運送法の百一条というのがございまして、ここで自家用自動車が営業自動車を営業しておる会社に対しまして車を貸し渡すということが許可制になっております。そういう制度がございます。したがいまして、そういったような、特別に年末のように一ぺんに荷物が出てくる。一ぺんにさばけないというときには、そういう経済実態に合わせるように、そういったいわゆる白ナンバーの自家用自動車に貸し渡しの許可をとらせて、日本通運なりあるいは別の通運でもそうでございますけれども、それを別の通運会社が借りるという制度を適用したのでございます。それでまたその貸し渡しを受けましたほうの通運業者は、そのための臨時の増車の認可というものを受けるのでございます。そういう制度がございますので、こういった制度でもってそういったような格別なピーク時の輸送をカバーしようという手を打ったわけでございます。そこでその場合には、特に一般とは、この車はそういう意味で特別の貸し渡しの許可を受けたものだということをはっきり識別できますように、事業者のマークを入れたわけでございます。それで、したがいましてこれらを日通だけに特にやらしたわけではございませんでして、たとえば新免業者でもほかの旧免業者でも、そういうようなピーク時で車が足りないというときには、そういう手続を合法的にやっておればこれは認めるという趣旨でございまして、日通だけにそういうものを認めたという趣旨ではございません。そういう申請があればやるという趣旨でございまして、そういうような方法で実はやったわけでございます。したがいまして、特に日通であるから東陸と日通がつうつうでやったという趣旨では毛頭ございませんので、私どもはそういうふうに合法的な措置をとったというふうに考えておる次第でございます。
  112. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういたしますと、他の業者でもそういったような経済実態に合わすためにそういう申請をすれば許可をする。そうですね。
  113. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 はいそうです。
  114. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうような繁忙の、普通ならばそんなに要らないやつが急に要るという場合、そういう方法が合法的なのかどうかは別として、いまの説明を聞いておると合法的のようです。一方において臨時の増車の認可をとる、それから道路運送法の百一条でそういうことができるということなら合法かもわかりませんが、これが走っているのを見た場合には、一体一般の人がどう感ずるでしょうか。したがって私は、それならそれではっきりと法的根拠を持ってこれを公示すべきではないか、こういう方法によって認可をします、こういうことは告示でもなさいましたか。一般の業者にもわかるように、たとえば合法的な方法によって一度に滞貨を集積したような場合に、こういう方法でやりますよというようなことを一般に告示をするとか知らすというようなことをやりましたか。
  115. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 特に特定のそういったケース、ケースにつきまして公示はしたことはございません。これはたとえばいまの話は都内のそういったような人口過密地帯の荷物の場合でございますけれども、たとえば奄美大島のような非常にたくさんサトウキビがとれてしまった、そういう場合にサトウキビを運送するのに営業車、要するにトラック業者だけでは間に合わないというときにも、地元の自家用車を借り上げてやるという例もございましたけれども、いずれにいたしましても、そういう先生おっしゃいましたような全般にわかるような公示ということはやっておりません。
  116. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今後もこういう方法はやっていくと考えておられるのですか。それとももうこういう方法はやめると考えておられるのですか。もしこういう方法を継続するとするならば、これは運輸省の通達でもあるいは省令か何かでいいですが、その点をはっきりと、一般がわかるようにする、こういうような方法をとるべきではなかろうか、そうでなければ、やはり運輸省と日通とは特別の関係があった、こう見られますよ。これもいま日通が、ああいう事件でいろいろ日通の内部がめくれてきた。だからこういうことも出てきたと思うのです。そうでなければ、それは日通だけの特権としてまかり通るということであったのではなかろうかと思うわけです。もし続けるならば、はっきりと通達なり省令を出しなさい。
  117. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 いかにも日通だけに認めた特権という誤解を、あるいは疑惑を招くことは私ども非常に残念でございます。したがいまして、この点は世間がはっきりわかるように、先生のおっしゃいましたような点を考えまして、はっきりするような措置を考えたいと思います。
  118. 田中武夫

    ○田中(武)委員 同時にこれは法の改正を伴うかどうかは検討してみないと、道路運送法の百一条でそうあればいい、こういうことになるのか、これはもう少しお互いに検討してみたいと思います。しかし日通だけの特権であるというように世間で思われないような方法だけは、はっきりと公式にとっていただきたい。  次に運送事業法の違反ですが、これはたくさんほかにもあるようですが、一つは最近いわゆる運送通運Gメンですかによって、北海道の日通を監査したときに、もぐり委託営業所があった。当然認可を受けずにやっておったということ、あるいはそれが岡山県では営業所を廃止をして、そしてある特定のこれも日通をやめた人がやっておる小さな運送店のようですが、それをまるがかえにして、月三十二万円ですかでやっておった。これは私は一つの大きな問題点を含んでおると思う。と申しますのは、日通が営業所の認可を受けてやる場合は、すべての責任は事故の場合、あるいは計算上とか人件費の問題すべて日通の責任においてやられるわけです。ところがこの岡山の場合は、もっと詳しくは新聞に出ておりますが、加茂営業所ですか、四十二年十一月になくして、そうして元日通の社員がやっておる運送店に月三十二万円で請け負わせて、事務所、看板、トラックなどはそのままで営業させておった。そうすると、でもあった場合、その他は日通の責任でなくて、個人営業であるのかどうか知りませんが、その看板を掲げたところへくるわけですね。こういうことは事故の問題その他を考えても私は大きな日通として抜け穴だったと思う。そのことは言うまでもなく通運業法の違反ですね、二つとも。どうされますか。
  119. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生御指摘の岡山県の加茂の件でございますけれども、これにつきましては実は警察のほうで取り調べがございまして、それで私どものほうと、つまり広島の陸運局でございますけれども、共同してどういう実態なんだろうということでいま調べさせております。  そこで私は、その内容が一体どういうものなのか、ここではっきり申し上げるまでにまだ事態は立ち至っておりませんので残念でございますけれども、もしもかりに先生おっしゃったようにこれが違法な行為であって、いわゆる下請をさせておる。要するに名義だけ貸しましてそういう人にやらせておるということであれば、これはもちろん通運業法違反でございます。それからそうじゃなくて、手続をとりまして——管理の委託、受託という制度がございます。これはたとえば相当山の奥とかいうところで荷物の出る量が非常に少ないようなところにつきましては、そのために店舗をかまえてあるいは施設を持つということは通運業者としては非常な経済的負担である。といって利用客に不便を与えてはいけないということで、実は通運事業法に管理の受委託という制度がございます。そういう制度は陸運局長の、あるいは大きいところは運輸大臣でございますけれども認可の手続を経まして、認可をとれば認めてやるというシステムになっております。したがいまして、ただいま先生御指摘の、たとえば岡山の例がほんとうのもぐりというか、ほんとうの名義貸しでやったのか、あるいは認可をとらないでそれでその管理委託をやったのか、この点はよく実態を把握しませんとまだ私は何とも言えないと思います。しかしもしそういうような結果かりにそれが名義貸しということであれば、これは断固たる処分をすべきだと思っておりますしなお、管理の受委託というのを認可をとらずにやっておるということであれば、直ちに認可をとらせますとともに、その責任者を私は社会的に処分さしてもらいたいという気持ちでおります。
  120. 田中武夫

    ○田中(武)委員 岡山だけでなくて北海道のもぐり委託もそうですね。認可を受けるべきものを認可を受けずやっておる点だけははっきりしておるのですね。そして警察と相談してということですが、警察のやるやつはいわゆる刑罰のほうですね。刑事罰のほうです。と同時に行政罰があるわけですね。そういうものは当然運輸省が独自でやられると思うのです。その処分にはその二つがあるのですが、いまの答弁もその二つを含んでいると解釈してよろしいか。
  121. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 その処分につきましては、要するに車両の停止処分とかそういったような行政処分もあります。それからひどいのはもちろん免許取り消しでございます。あるいは営業停止ということもございます。要するに非常なひどい悪質な違法行為であれば、私は一罰百戒という効果で処分したいと思っております。  そこで、ただ問題は要するに実態をよく見きわめなければいかぬということと、もう一つはかりにそのために流通がとまると、これは利用客に非常な不便を与えるではないかと思います。そういうことを考えながら、断固たる処置をとりたいと思っております。
  122. 田中武夫

    ○田中(武)委員 認可を受けなかったことはもうはっきりしておるのじゃないですか。認可を受けなかったこと自体が違反ですよ。それから先、どういう実態であったのかということはまた変わってくると思う。しかし、認可を受けずにやったということだけでも違反が出ておるのですよ。この点ははっきりしておるのですよ。調べますというのは、認可を与えておるかどうかがまだわからないのですか。
  123. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 認可を得ずにそういうことをやっておる。それをいまシラミつぶしに調べております。そしてその結果、非常に悪らつである、つまり、認可を申請しようと思って手続中だったというのはやむを得ないかもしれませんけれども、もうまるで法を無視し、監督官庁を無視するというようなことであれば、これは責任者を社内的に処分してもらうつもりであります。さらに、名義貸しのようなひどい場合には車両の停止、そういう処分までしたいと思っております。
  124. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私の指摘しておること以外のことについても言われたわけですね。北海道と岡山は認可をとっていないことははっきりしている。あなたの御答弁は、ほかにもそういうのがあるのを調べて、悪質なものについては措置する、そういうように理解します。そうしてまるがかえの下請にやらす、こういうようなことであって、そのくせ日通商法は、あくどい下請の搾取をやっております。  ここで、一、二点下請代金支払遅延等防止法の違反の事実をあげていきたいと思います。まずその一つは、これは東京の事件。本社が相当な印刷物を注文するわけです。そしてそれが印刷屋から納品せられます。これは下請代金支払遅延等防止法からいうならば、検収、受け取りは終わった。ところが、その代金支払いは、いわゆる使用後払い。たとえば、百冊のものを納品した、そのうち今月は十冊使ったからといって十冊を払う。中には、納品してから五年、十年支払いを受けないものもある。これは明らかに下請代金支払遅延等防止法の違反であると思います。さらにもう一つは福岡での事件ですが、これは倒産寸前の零細企業です。四台か五台しか持っていない。その運送屋を下請にして、たばこを小売り店へ配達させる仕事をやらせておる。福岡の陸運局のきめた認可料金というのは、たとえば二トン車、これで一日四千一百八十円だそうです。ところが日通は三千二百円の金しか払っていない。二割以上の搾取をやっておるのです。しかも、その零細運送屋は倒産寸前である。しかも、もう一つ奥へ見るならば、これはあらためて大蔵省のとき、専売公社のときにその問題を取り上げますが、独占契約によって、相当高い料金を専売公社から日通は受け取っておる。そしてそれを下請にやらして、それが陸運局の認可料金を二割も下回るものによって買い上げておるという事実、こういう事実はほかにもたくさんございます。そこで少なくとも東京の場合は下請代金支払遅延防止法の違反である。公正取引委員会はいかがですか。
  125. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま先生御指摘願いました二点の問題のうち、初めの問題でございますが、そういう事実がございますれば、これは確かに下請代金支払遅延等防止法違反になります。私どもといたしましても直ちに調査いたしたいと存じます。  それからあとの件の問題は運送の下請の問題でございまして、下請代金支払遅延防止法には……。
  126. 田中武夫

    ○田中(武)委員 福岡の例は、いわゆる運送は現在の下請代金支払遅延防止法の対象でないことはわかっています。そこまでワクを広げよ、こういうことは議論になっておるが、それはいいとして、第一の場合ははっきりしていますね。そういう事実があればでなしに、ここで申し上げますが、四十三年四月二十八日の読売新聞、これによって調査をしてください。何ならこれを上げます。  次に独禁法の違反です。独禁法の十条は、会社が他の会社の株式を取得することに対して定めておりますね。ところが日通はライバル会社の株を買い占めておる事実がある。たとえば新潟臨港開発海陸運送株式会社、これは発行株式の四三%三百万株、島根県の石見運送、これは小さいと思うのですが九九%で八万株。岡山県貨物運送会社、それが九十万株で三六%、大阪通運では四四%二十二万株、名古屋通運梱包KK、これは一〇〇%六十万株岩国運送、これは山口県ですか八八%九万株、こういう事実を三十四年に公正取引委員会も知りまして、これに対して独禁法第十条の違反であるということで、関係者を呼んで事情を聴取したか、しょうとした。ところが運輸省が通運事業の監督指導は私のほうの権限だ、そういうことであったので、公取委員会は一応引いた。ところが運輸省はただ一回警告をしたにすぎない、こういうことが伝えられておりますが、そういう事実があったのかなかったのか。ことにその後改善せられておるかどうかを見ますと、新潟臨港開発海陸運送ですか、あるいは岡山県貨物運送等々においては、一向改善せられておりません。はっきりした独禁法の違反です。それを運輸省が私のほうで行政指導をしますから、私のほうの権限だといって、さようでございますかと、事情聴取に乗り出しながらそれをやめてしまった公正取引委員会の態度にも問題がある。公正取引委員会は言うまでもなく経済憲法だといわれる私的独占禁止法の番人です。それが行政官庁が何かいったからといって、それをやめるということはおかしい。少なくとも公正取引委員会はいわゆる行政庁から独立した行政委員会です。またそれに対しておれのほうの権限だ、おれのほうで指導するといって、ただ一回しか警告をせず、その事態改善に何らの努力もしていない運輸省はどうです。これでもまだ運輸省と日通とはつうつうでないといえますかどうですか。
  127. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま先生が御指摘の事件は確かに過去にございました。私どもも新聞紙上で最近こうした過去の事件のあったことを知りまして、若干当時の資料を調査いたしたわけでありますけれども公正取引委員会といたしましては、昭和三十五年の八月ごろから本件の調査に入りまして、ただいま御指摘の独占禁止法第十条一項に違反する疑いがきわめて濃厚であるという事実をつかんだわけでございます。これに対しまして昭和三十五年の十月ごろ、運輸省から日本通運に対しまして勧告が出されました。日本通運はこれに従いまして新潟臨港その他の株式の処分を三十六年の二月から三月にかけて行ないました。この辺は新聞記事と若干違いますけれども、それでそれぞれ独禁法第十条に違反しないような処分をいたしましたことが確認されまして、それ以後におきましても運輸省の指導に服するものと認められましたので、昭和三十七年の三月一日に公正取引委員会といたしまして本件を不問と決定して、その後の審査を打ち切ったような次第でございます。
  128. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私どものほうでいまの点でございますけれども、事実、昭和三十五年の七月二十日付の文書をもちまして、公取に対しまして当時の全国通運業連合会会長濱野清吾氏の名前で、先生御指摘のような方向につきまして独禁法十条違反のおそれがあるという理由で提訴がなされております。それでこれにつきまして運輸省が、これは公正取引委員会の問題であるにもかかわらず、運輸省のおれのほうのことだと言って日通をカバーするためにこっちへ持ってきたというような事実は私はないと思います。おそらくこれは、その当時の記録はございませんけれども公正取引委員会等とも十分お話し合いをいたしまして、行政指導をやっていこうじゃないかということになったのじゃないかと私は思います。実はそれを証明する書類はございませんのです。  そこで先ほど公正取引委員会から御説明がございましたように、当時の運輸省の自動車局長がひとつ中へ入りまして、それで勧告を出したわけでございます。それで、これらにつきましてもおそらく公正取引委員会のほうとお話しした結果と私は思います。その勧告の内容はここにございますけれども、これによりますと、要するに名古屋通運とかあるいは大阪通運とか石見通運、塩釜通運、岡山県貨物運送、岩国通運、これらに対しまして日通の持ち株を適正価格で処分すべしということを言っております。それから新潟海陸運送に対しましては日通の持ち株を四〇%までに下げよ、それから役員を四名派遣しておるのですが、これを減らせということを言っております。それからなお今後株式の取得等によって通運事業の公正競争維持の趣旨に反するごとき事態を起こしてはならないということを言っております。これを勧告したわけでございます。これは当時三十五年十月三日付でこういう勧告をいたしたわけでございます。  そこでこれによりまして、日通とそれからそういった名古屋通運梱包以下の会社話し合いをいたしまして、その結果、四十三年、ことしの三月現在の結果を見てまいりますと、大部分のところがこの趣旨によりまして直っております。ただ直っておらないのは二件ございまして、これはたとえば大阪通運が現在なお日通商事という日通の投資会社が六七%持っておりますし、それから岩国通運、これは日通の投資会社である日通トラックという会社が七九%持っている。その他はたとえば石見運送は当時一〇〇持っていたのをいま三割に減っておる。塩釜通運は全部持っていない。それから新潟臨港はつい最近、四十三年三月末現在で、従来の五二%であったのがわずかに一割になってしまった。つい最近これもまた全部買ってもらうというふうに、私最近報告を聞きましたけれども、残念ながら二件だけ残るわけであります。これにつきましていろいろ指導したのでございます。一時はずいぶん減ったのでございますけれども、価格が折り合わないということと、それからその業者が買う資力がないということでそうなっております。しかし私どもはこれにつきまして今後とも極力これを戻すように指導をしていきたいと思います。どうしてもだめな場合には、これは公正取引委員会の御意見も聞きまして、どうしたらいいかという点につきまして善処したいというふうに考えておる次第でございます。
  129. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまのお話では二社だけだというけれども、ほかにもあると思う。前に私が申し上げた七十一社か二社に出資しておるのです。そこで公正取引委員会の意見を聞きましてではなく、公正取引委員会こそそういうことを調査すべきである。したがっていま申し上げました六社あるいはその他について一応現状を、いまの公取の機能では無理かもわかりませんが、日通についてはそういうことを全部一ぺん調査しなさい。できますか。やれますか。
  130. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま運輸省のほうから申し上げました件につきましては、現在公正取引委員会といたしまして調査中でございます。さらに先生の御指摘もございますので、公正取引委員会といたしましては調査を拡充してまいりたいというふうに考えております。
  131. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの話で一割に減ったとか三三%に減ったとか、こういうことなんだね。これは金融業者は公正取引委員会認可なくしては一〇%でなければいかぬのだ。十条一項のほうは何%とは書いていない。けれどもそれは三〇%ならばいいんだということも言えないと思う。いわゆる実質上競争会社の株を持つことによって自由なそして公正な競争が行なわれないということのないようにする、これが独禁法の精神なんですから、その上に立って公正取引委員会のほうで十分独禁法の趣旨を体して日通の調査をやられるよう要望します。いかがです。
  132. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  133. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、いわゆる通運Gメンで抜き打ち的等々で全国的にわたっていま支店、営業所等を監査しておられる。その結果悪質なものに対しては検察庁へ告発するあるいは行政的処分をする、そういうことを運輸省は考えておられるようにも新聞等に出ております。そこでその営業所または支店等々でそういうもぐりの営業あるいはまたその他の悪質な法違反をやった場合、その責任はどこへまいります。責任者を処罰する、いわゆる検察庁に告発する、こういうことになっておる。ちゃんといわゆる支店の所在地に登記をしておって、そこに支配人というものがおれば、それは裁判上、裁判外の代理権を持っておりますからいいです。そうでないところに対して、単なる主任だとかあるいは課長だとか所長だとか、そういうものは、それが責任者になるのですか。それはどうなんです。責任者の追及はどうなんです。いいですね。言っておることはわかりますね。登記をやっておる場合、そこに支配人を置いてある場合、裁判外、裁判上の代理人ですから、これは当然処分の対象になると思うのです。そうでない場合には単なる所長だとか支店長——支店長はおそらく登録していると思うのですが、それはどういうことなんですか。処罰の対象はどこへ行きますか。
  134. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 たとえば営業所等は、大体小さなところではそういったような責任者でないと思います。大体統括している支店でございますが、そこの支店長は名前を登記いたしましてそういう責任を持っているとわれわれは判断しております。それは実態を調べませんといけませんけれども、そういうものをつかまえてしかるべき処置をしたいというふうに考えております。
  135. 田中武夫

    ○田中(武)委員 当然、支店、営業所等の登記をしておるならば、そこに支配人として商法上の責任者が登録せられておると思います。でない場合は、私は、やはり日通という、法律の上に立って法人として責任をとるべき人、それが処分の対象であろうと思うのです。ただ単に何とか課長だとか何とか所長だとかいうのがそこの責任者であったからといって、法律上の責任——その人個人においてそれが刑法上の問題等々があるなら別です。少なくとも通運事業法あるいは道路運送車両法等々の違反があった場合、いわゆる行政罰に対しては、当然責任者いわゆる法的責任を持つ者に追及がいくものであると私は理解します。いかがです。そうですね。そして、もしそれがかってになったというならば、それは部内的な処罰の問題です。その点はっきりしておきましょう。法律責任を持つ者……。
  136. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生のお説のとおりと存じます。
  137. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、時間の関係もありますから、次にいきます。  陸と空と海を聞くつもりであったのですが、あとは簡単に言います。  空の関係ですが、大阪空港に透過率計というのですか、いわゆる航空機の離着陸に対しての新兵器、こういう新聞の記事が出ております。これは一千万円をかけたらしいのです。ところが人手がなくて、あるいは設置場所が悪くて十分機能を果たしていない。そして、外国のパイロット等から非能率的だ、あるいは前近代的だというような批判を受けているというような記事を見ました。一千万円もかけた透過率計が現在どのように動いているのか。あるいは新聞で言っておるような雨ざらしのままであるとするならば、どのように改善するのか、せっかくの新兵器を眠らしてはいけない。  それから、今度は海のことですが、神戸海運局の造船疑獄といいますか、そういうのがいま検察の手によって追及せられつつあります。そのことによって、海運局と業者とのいわゆるくされ縁、さらに大手造船会社とのくされ縁、そういうことで、先日四月三十日に石川島播磨相生工場のような大造船会社が手入れを受けています。そのような問題について、運輸省としてはどのように事態を把握し一もちろんこれは検察の手によって、司直の手によってやられておるのですから、そのことはそれとして、監督の立場にある海運局は、これをどのように把握し、どのようにしようとしておるのか。時間の関係もありますので、海と空と一度に聞きました。お答え願います。
  138. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 最初の透過率計の問題でございますが、現在そういう新聞記事が出たということは私も存じております。ところで、その大阪空港の透過率計そのものの機械には故障は全然ございません。いま正常に作動しております。ただこの透過率計の設置場所に問題があるわけでございまして、ほんとうはこの透過率計というものは、飛行機が着陸する地点の付近に備えつけるのがほんとうでございますけれども、現在の透過率計はそれよりもう少し滑走路を先に行ったところに備えつけてございます。なぜそういうことになりましたかと申しますと、昨年この透過率計を備えつけましたときに、先生も御承知かと思いますが、ちょうど大阪空港の拡張工事がございまして、新滑走路をつくるあるいはビルディングを新しくつくるというような関係でございましたので、正式のほんとうの場所にこの透過率計を備えつけることができなかったのでございます。しかし、この透過率計が正式な場所に備えつけられていなかったというような状態でも、この透過率計は現在有用に使われておりまして、管制官のほうにも常時分岐はされております。したがいまして、航空保安には有効に役立っておるとわれわれのほうは考えております。しかし、正式な場所に備えつけるということにつきまして、その後大阪空港の改築工事の進捗を見ますと、大体本年度中にはこの透過率計が正式のところに備えつけられるというような現状になっております。  なお、人員の問題でございますが、透過率計というのは、従来は肉眼で視距離を測定しておったのを、この透過率計は自動的に機械がやってくれるというのでございますので、視程と申しますか、視距離の問題については、人員は従来よりも必要はなくなるのでございます。ただ、こういった透過率計のみならず、すべての大阪空港の業務の体制、勤務体制その他をひっくるめますと、現在の人員では決して十分ではございませんので、これは早急に改善したいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 神戸海運局船舶部の汚職につきましては、現在まで四名、海運局の技官が三名と洲本出張所の船員が労務官、計四名が逮捕せられて調べられたわけでございます。それにつきましては、その内容は新聞で知るところでございまして、まだはっきりしたところは私どものほうも実はわからないわけでございますけれども、そのうち一名が五月二日に起訴を受けております。  なお、業者の関係は、造船所——いま御指摘のように石播のほうの方も調べられまして一応帰ってきたそうでありますが、その点につきましては、今後容疑が明確になると思います。非常に世間をお騒がせしたことについては、まことに遺憾で、深くおわびしたい気持ちでございます。  なお、容疑の事実が、以上のようでまだ明確でございませんが、今後とも社会の指弾を受けないように、われわれとしては一そう綱紀の粛正に努力することにつとめていきたいと思っております。
  140. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もう一点だけ……。  そこでまず大阪空港ですが、人手の問題と位置の問題が出ておる。いま人手のほうは解決しておるのですが、そうして位置の問題についてもどうするのですか。一千万円かけたものが十分に能力を発揮しないというようなことならば、考える必要があると思うのです。  それから、海のほうですが、いま明らかにせられておるほかにも、石川島播磨重工等では、神戸海運局の保官の幹部数名を相生市内のゴルフ場へ招待した、あるいは去年の秋からことしの春にかけて神戸の料亭とかバーで多数もしなした、そういうこともいわれておる。しかも、その中には、もらったものを返したらそれでいいじゃないか、こういったような無感覚な人もおるようです。さらに、いまあなたは、新聞のみで知る、こういうことであったが、それでいいのだろうか。少なくとも監督の立場にある本省として、そういう問題が起きておるのに、私たちも新聞のみでその事情を知っております。この程度でいいのですか。なぜ出かけていってその真実を監督本省という立場から調べないのですか。この二点をお伺いしておきます。それでこれは答弁だけ受けたらやめますから、あとはまた大臣等のおる場所であらためて質問することを留保します。
  141. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 誘過率計に対する人手の問題でございますが、これは先ほどちょっとお話し申し上げましたように、従来人手でやっていた仕事が機械でやれるということでございますので、誘過率計に対する人手の問題は相当減少いたします。しかし大阪空港の全体の業務でございますね。全体の業務について考えてみますと、現在の大阪空港の人員ではやはり十分ではございません。したがいまして、全体の問題として増強していきたい、強化していきたいというふうに考えております。  それから、もう一つ位置の問題でございますが、これは現在あるところを正式のところへ移転するという方向でもうすべて予算につきましてはその承認を願っております。したがいまして、工事関係の進捗によりまして至急にそのほうに持っていくというつもりでございます。御了承願います。
  142. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私が申し上げましたのは、内容につきましては新聞の程度の内容でございまして、実際は毎日私のほうに電話で連絡を入れてもらいまして、その内容を聞いておるわけでございますけれども、その内容については大体新聞で言われておるような程度でございます。そのほかに向こうの海運局長が二度ほど上京しまして、そうしてやはりいろいろ説明を聞いております。内容としましてはやはり新聞で言われておるような程度でございます。
  143. 田中武夫

    ○田中(武)委員 石川島播磨が手入れを受けたのは二十九年の造船疑獄以来です。この進展いかんによっては二十九年の造船疑獄にまで発展するかもしれない。そういう問題でありますから、監督の立場にある者がそういうのんきなことであっては困る。もっと積極的に内部においても監督すべきだと思います。そういうことで、あらためてまた質問することにして、きょう終わります。
  144. 大石武一

    大石委員長 次回は公報をもつてお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三分散会