運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-18 第58回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十八日(木曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 鍛冶 良作君    理事 小山 省二君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    水野  清君       勝澤 芳雄君    中村 重光君       森本  靖君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         食糧庁次長   田中  勉君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸大臣官房会         計課長     山上 孝史君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本国有鉄道監         察局長     佐々木健吉君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月十八日  委員柳田秀一君及び矢野絢也君辞任につき、そ  の補欠として中村重光君及び鈴切康雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中村重光君辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため欠席いたしますので、その指名により私が委員長の職務を行ないますから、よろしくお願いいたします。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  まず、運輸大臣より概要説明を求めます。中曽根運輸大臣
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和四十一年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳出予算現額一千百三十六億二千八百余万円に対し、支出済み歳出額は一千九十二億五千三百余万円でありまして、差し引き四十三億七千四百余万円のうち、翌年度へ繰り越した額が三十六億七千二百余万円、不用となった額が七億百余万円となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、木船再保険特別会計でありますが、収納済み歳入額は三億六千三百余万円であり、支出済み歳出額は一億二千四百余万円でありまして、差し引き二億三千八百余万円の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定あわせて申し上げますと、収納済み歳入額は一千三十七億九千九百余万円であり、支出済み歳出額は二百四十八億九千五百余万円であり、差し引き七百八十九億四百余万円の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定あわせて申し上げますと、収納済み歳入額は六百十五億五千百余万円であり、支出済み歳出額は五百八十九億七千五百余万円でありまして、差し引き二十五億七千五百余万円の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は二十三億三千二百余万円であり、支出済み歳出額は二十一億六千余万円でありまして、差し引き一億七千二百余万円の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和四十一年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  最後に、本決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾であります。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置等を講じましたが、今後なお一そう厳正な態度をもって、これが絶滅を期する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、日本国有鉄道決算書を御説明申し上げます。  昭和四十一年度日本国有鉄道決算書会計検査院検査報告とともに、国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度における日本国有鉄道収入は、昭和四十年度末に実施した運賃改定影響もあって、旅客収入貨物収入ともに前年度を上回る伸びを示し、雑収入増収も加えまして営業収入は前年度より一千五百九十八億円余の増収となりましたが、予定収入には及びませんでした。  他方経費面におきましては、日本国有鉄道は極力経費の節約につとめ、経営合理化をはかりましたが、輸送量増加に伴う経費増加のほか、仲裁裁定による人件費増加借り入れ金等増加に伴う利子増加減価償却費等増加により営業経費は前年度より九百七十六億円余増加いたしました。  このため、損益計算上は営業外損益を含めまして六百一億円余の純損失となっております。  以下、収入支出内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額は七千九百七十億円余、支出済み額は七千九百二十二億円余でありまして、収入支出を超過する額は約四十八億円でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和四十一年度損失は前述のように六百一億円余となります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額約八千八十六億円に対しまして百十五億円余の減収となっております。その内容は、運輸収入におきまして百三億円余、雑収入におきましては十二億円余の減収となっております。  他方支出におきましては、予算現額約八千二百十億円から支出済み額七千九百二十二億円余を差し引きますとその差額は二百八十七億円余でありまして、そのうち、翌年度への繰り越し額は約二百四十二億円で残額の四十五億円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は約四千四百二十五億円、支出済み額は四千四百三十億円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額約四千三百十三億円に対しまして百十二億円余の収入増加となっております。これは損益勘定からの受け入れ増約二十一億円、資産充当による収入増加約百八億円に対し、借り入れ金及び鉄道債券が十六億円余減少したことによるものであります。  他方支出におきましては予算現額約四千四百九十三億円から支出済み額差し引きますと、その差額は六十二億円余でありまして、そのうち、翌年度への繰り越し額は三十四億円余で、残額約二十八億円は不用額となっております。  最後に、工事勘定におきましては、収入済み額は約三千六百二十三億円、支出済み額は約三千三百九十三億円であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては資本勘定からの受け入れが多かったため、予算額三千五百億円に対しまして約百二十三億円の収入増加となっております。  他方支出におきましては、予算現額三千八百五十五億円余に対しまして四百六十二億円余の差額を生じておりますが、そのうち四百三十五億円余は翌年度への繰り越し額であり、残額二十七億円余は不用額となっております。  この工事勘定決算内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、輸送安全対策を推進するとともに、大都市付近通勤輸送改善し、幹線輸送力を大幅に増強する必要があるため、昭和四十年度から昭和四十六年度までの七カ年間に総額約三兆円にのぼる第三次長期計画を実施しておりますが、その第二年目にあたる昭和四十一年度におきましては、線路増設輸送方式近代化車両増備等の諸工事を実施いたしました結果、事項別決算額は、通勤輸送約五百七十九億円、幹線輸送一千二百八億円余、電化・電車化ディーゼル化百六十九億円余、諸改良・取りかえ七百四億円余、車両通勤を除く)約五百四十一億円、総係費百九十一億円余、合計約三千三百九十三億円となっております。  最後に、昭和四十一年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項二件、改善事項一件、留意事項三件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用一段努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上、昭和四十一年度日本国有鉄道決算につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ、御審議のほどお願いいたします。
  4. 鍛冶良作

  5. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 昭和四十一年度運輸省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が十八件、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものが一件でございます。  不当事項として掲げましたものについて説明いたします。  二八二号は、直轄工事施行にあたり発生材活用についての配慮を欠き、利用可能な石材を投棄したため不経済となっていると認められるものでございます。  二八三号から二九八号までの十六件は、公共事業施行にあたり工事施行が不良であったなど、国庫補助金経理が当を得ないと認められるものでございます。  二九九号は、昭和四十一年度発生災害復旧工事費の査定を了したものに対し早期検査を行ないましたところ、国庫負担の対象とならない経費を含めていたり、積算を誤っていたなどのため、これを修正減額させたものでございます。  次に、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものは、航空保安施設運用に関するもので、航空保安施設完成後、飛行試験及び電波検査適期に行なわれなかったり、または合格していても、その後の運用開始手続が遅延したりなどしているものが見受けられたので、すみやかに対策を講ずるとともに、、今後施設の設置にあたっては試験及び検査適期に行なわれ、早期運用を開始することができるよう配慮の要があると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 次に、小熊会計検査院第五局長より説明を求めます。
  7. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 昭和四十一年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が二件、改善意見を表示した事項が一件、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものが三件でございます。  不当事項として掲げましたものについて御説明いたします。  三三四号は、札幌工事局で、函館本線の山崎−黒岩間の道床砕石運搬散布等工事施行するにあたって、本件工事のように多量の砕石をダンプトラックに積み込む場合はトラクターショベルを使用するのが通例であるのに、これより能率が悪く積み込み費も高いベルトコンベヤーを使用することとして積算したため工事費が高価となっていると認められるものでございます。  三三五号は、東京第二工事局で、四十一年九月の水害を受けた大月−初狩間第一笹子川橋梁付近災害復旧施行するにあたって、鉄筋コンクリート擁壁打設用木製桟橋制水堤に使用する材料、その運搬距離作業困難度等を過大に見込んだなどのため工事費が高価となっていると認められるものでございます。  次に、改善意見を表示した事項について説明いたします。  近年鋼材については形鋼鋼管等が多種類にわたって製品化されているので、これらをそのまま柱、はり等に使用することができ、一般でもそのような取り扱いになっているのに車両検修庫、乗り換え跨線人道橋等の柱、はり等を鋼板を切断し、これを溶接することとして設計したため不経済となっていると認められるものがあるので、これについては形鋼活用した標準設計の作成を促進し設計を外注する場合はその内容について適切な指示を与えるなどの処置をとる要があると認められるものでございます。  また、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認められましたものは、貨物積みおろし場等改良に伴うコンクリート舗装の取りこわし工事は、ほとんどの場合コンクリートブレーカーを使用することとして工事費を積算しているが、これよりはるかに能率がよく経済的な舗装版破砕機があるから、これを使用することとして積算するよう配慮の要があるというもの、仙台電気工事局ほか十カ所で電気工事施行に伴って購入した資材のうち余剰在庫となっているものが一億六千四百二十九万円相当あり、これらのうちには四十一年度施行した工事に振り向けて活用できたと認められるものも相当量見受けられる状況であるので、電気関係資材調達管理にあたっては余剰在庫を生じないよう配慮の要があるというもの、コンクリートまくら木の貨車取りおろし作業等に対する運賃及び料金については、工事局等の各使用個所通運事業者に請け負わせているコンクリートまくら木の貨車取りおろし作業等に対する運賃料金について見ますと、本件まくら木規格及び荷姿が同一で作業内容が類似しているのに算出が区々となっていてこれらの間に著しい開差を生じているので、その実情を調査検討する要があるというものでございます。  なお、以上のほか、四十年度におきまして、自動信号化等工事に伴い撤去した機械、信号機器等の大部分を廃用品としていながら、他方、これと同規格のものを調達しているものもあり、撤去機器活用をはかるよう改善意見を表示いたしましたが、これに対する日本国有鉄道処置状況につきましても掲記いたしております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 鍛冶良作

  9. 石田禮助

    石田説明員 昭和四十一年度日本国有鉄道業務概要及び決算について簡単に御説明申し上げます。  昭和四十一年度は、旅客及び貨物輸送需要消費性向の鈍化、経済界不況等を反映して停滞ぎみでありましたが、昭和四十年度末に実施した運賃改定影響もあって、旅客収入貨物収入とも年度を上回り、営業収入総計では、前年度に対して、千五百九十八億円の増加となりました。一方、営業経費は、前年度に対して、仲裁裁定による人件費及び利子減価償却費等資本関係経費増加がありましたので、総計においては九百七十六億円の増加となりました。この結果、前年度に対しては六百二十二億円経営成績改善されましたが、なお六百八億円の営業損失を計上せざるを得ないことになりました。このため、前年度から繰り越された利益積み立て金を取りくずし五百三十六億円の繰り越し欠損金を計上することとなりました。  このような営業状態でございますが、御承知のとおり、日本国有鉄道といたしましては、国鉄基本問題懇談会意見書に示されたとおり、通勤輸送改善幹線輸送力の増強及び保安設備の強化をはかる必要が生じましたので、昭和四十年度から第三次長期計画に着手いたしまして七カ年にわたり総額約三兆円にのぼる設備投資を行なうこととなり、昭和四十一年度までの二年間に六千七百五億円が投資されました。  この設備資金は、主として外部資金によって調達されましたので、長期負債が著しく増加し、資本総額のうちに占める負債の比率が五八%に至りました。  最後に、昭和四十一年度予算執行につきましては、会計検査院から二件の不当事項改善事項一件、留意事項三件の御指摘を受けましたことはまことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算効率的運用一段努力をしたいと思っております。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 運輸省及び国鉄の四十一年度決算に関しまして若干の質問をいたしたいと思うのですが、その前にまず運輸大臣にお伺いしておきたいと思います。  それは、きょう朝刊で見たわけですが、昨十七日、日通など四百二十四社のいわゆる通運業者が、一挙に通運料金を五〇%ないし七〇%値上げをしてほしい、そういう申請がなされたようであります。その理由は、三十七年五月の時点から原価計算が変わっていない、あるいは経営が危機におちいっているといったような理由をあげておるのでありますが、中小通運業者はとにもかくにも、もう天下周知日通不正事件は、今日毎日のように各新聞、ニュースをにぎわしております。金の延べ棒ですか延べ板事件、あるいは社債山分け事件、あるいは会社の金で愛人の住宅をつくったとか、あるいは参議院の予算委員会指摘せられたように、公職選挙法百九十九条及び政治資金規正法違反の疑いの濃厚な政治献金等々を見ましたときに、よくもまあぬけぬけと日通が五〇%から七〇%の通運料金値上げ申請できたものだ、こういう感じ国民全体が持っておると思います。その申請新聞によると四月十七日、きのう出されたといわれておる。これは運輸省に出されております。運輸大臣、こういう申請書に対して今後どのような方針をもって進もうとしておられるのか。  さらに、現在、東京地検によって次々と国民の前に暴露といいますか、明らかにせられつつある日通のあの醜態といいますか、乱脈ぶり、それとあわせ考えて、通運料金についてどのように考えておられますか。
  13. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘通運料金につきましては、値上げを認可する考えは持っておりません。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 値上げを認可する考えは持っておりません、ただそれだけの答弁なんですが、あなたはかつては定期料金値上げを認めませんと言っておりながら、またぞろ認めたという、なかなか中曽根運輸大臣は秀才だ、だけにまた、一面弱いところがあります。いま言われたことはいつまで貫けますか。この時点においては認めませんが、三カ月もたてば、いや事情が変わったんだということになるのか。少なくともどういう事態が起こるまでは通運料金値上げを認める考えはない、あるいはこういうことでない限り認められない、こういうことをはっきり言っていただきたいと思います。
  15. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通運料金の場合は物価に及ぼす影響が非常に大きいのであります。そういう点も考慮いたしまして、私の考えでは、昭和四十三年度中は認めないほうがいいと思っております。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 それは日通をはじめ四百二十四社全体に言えることですか。
  17. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 申請内容を具体的に一々検討してみないとわかりませんが、私はいまのような基本方針をもって臨みたいと思っております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、通運料金値上げ申請の点につきましては、大臣の明言を、明確な答弁をわれわれは一応信用します。そしてあなたの今後の態度を見守っていきたい、このように考えます。  そこで、もう一つずつあげなくても十分御承知のような日通不正事件といいますか、おかしな事件、これに対しまして、特に運輸省通運Gメンといいますか、そういうものをつくって特別監査に入った、こういうことが伝えられておりますが、まだ日も浅いので、経過をお伺いしてもたいしたものは出ていないだろうと思いますが、この通運Gメンのこれからやろうとしておること、それから、それによって明らかになったことについてどう改善をさせようとしておるのか、そういうような方針、あるいは通運Gメンのいままでの経過等々についてお伺いいたします。
  19. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日通不祥事件が起こりましたことは、監督官庁といたしましてまことに遺憾な次第であります。この日通のいろいろな経理状況事業運営状況等を見ますと、全国的な独占企業体であり、しかも戦争中の企業統合によって全国の中小企業者がのれんをはずされてできた会社という、そういう因縁等考えてみましても、ある場合には法的に、ある場合には道義的に許せない状態が各方面に見受けられます。これらの問題をしさいに点検してみまして、日通というものをどういうふうに改革したらいいか、あるいは日通を契機にいたしまして日本通運行政というものをどういうふうに改革したらいいか、われわれはいま非常に検討を加えているときであります。私は、議会におきましても、司法当局の処断を待って、総合的な特別監査を行なって、兼業の関係とかあるいは資本人的交流関係とか、あるいは自分の本務と思われない仕事にどの程度手を出しているとか、あるいは通運関係における競争業者との関係とか、あるいは国家あるいは政府関係機関との関係とか、そういうあらゆる面をよくしさいに点検してみて、不適当なところは是正しなければならぬと考えておるわけです。そういうような特別監査を行なう前に、できるならば実態を的確に把握しておく必要がある、つまり予備調査を行なって隠されてない事実を一応取り調べておく必要がある、そういう感じを持ちまして、ちょうど定期監査をいまやるシーズンになっておりますから、抜き打ち的にやる考えでおったわけです。それで山梨県の甲府をやりましたが、甲府の場合はいろいろ資料その他の関係もありまして、前に電話で通告しておきまして乗り込ましてやりました。きょうはたしか福島をやっているはずでありますが、これは突然乗り込んでやらせるようにしておるわけであります。そういうふうにしまして事実の状態を明らかにいたしまして、そしてこれから行なう総合特別監査をよく的確に把握できるようにいたしたいと考えておるわけです。  甲府へ行きましたのはきのう仕事がたしか終わったはずでありまして、まだそのどういう状況であるかという報告は受けておりませんが、福島とともにその報告を受けまして、総合監査をどういうふうにやったらいいか、そういう部面についてさっそく検討に入るつもりでおります。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 通運業法によって今日までも日通に対しましては運輸省定期監査あるいは監督をしてきたと思うのです。それが今日次々と明らかにせられているような問題が、税金の問題から国税庁が、そして検察庁がこういうことで手を入れて初めて明るみに出たという感じなんです。いままで定期監査等をしておられて、こういうことについては全然気がつかれなかったのか、それとも運輸省日通に対する定期監査がいわゆるおざなりに過ぎておった、あるいはいろいろの関係からつうつうであった、こういうような印象を持つのですが、いかがでしょうか。
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 つうつうであったということは絶対にございません。いままでは、日通は全国的な企業体ではありますが、昭和二十四年以降というものは普通の純然たる商法上の私企業になっているわけでありまして、その辺にある法人やその他と法的には何ら変わらない存在なのであります。そういう面からこの業法の系統の監督をしてきたわけで、自動車運送事業法とかあるいは倉庫業法とかあるいは通運業法とか、そういう業法による普通の会社と同じような監査をやってきたわけでありまして、特別に会社全体を総合的につかむということは実はやらなかったわけであります。  しかし今度の状態を見ますと、やはり会社全体を正確につかんで、貸借対照表とか決算表とかそういうところまで把握しないと、いまのような業法関係監督もできないということが明らかになってまいりました。そういう点から、総合特別監査におきましては、検察庁の資料もいろいろ見せていただいたり参考にしたりしまして、また運輸省といたしましても独自の立場から監査いたしまして的確な処理をしたい、こう考えておるわけであります。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる通運業法の上に立っての監査を行なう、しかしたくさんな事業をやっております。あとでそれぞれ明らかにしていきたいと思っていますけれども、その大半といいますか八〇%までは、運輸省監督にかかるものが多いと思います。したがって、それはまあ自動車は自動車の立場、あるいは観光は観光の立場というようなことでばらばらに監督、監査が行なわれておったために総合的なことがわからなかったかもしれませんが、しかしこれはすべてにおいて運輸省の管轄する業種なんですね。今日、部分的なものであったからわからなかったということは、少なくとも運輸大臣の立場から私はどうかと思うのです。  そこで、この特別監査をやるという通運Gメンは、総合的にすべてにわたって特別な監査をやるわけですか。いかがですか。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のとおりでございまして、今回は資本関係とか、あるいは人的交流であるとか、あるいは政府との契約問題であるとか、そういう総合的に監査する予定でございます。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 日本通運株式会社日通は一体何をする会社ですか。何を主たる業務とする会社ですか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通運業務を主体とする、そして通運業務を中心とする総合的企業をやっている会社であると心得ております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 少なくとも通運事業法による認可を受けて、それを主たる事業とする。そういたしますと、通運事業法の二十七条、これはもちろん料金等についての規定ではありますが、通運業及びその附帯業務というのが上がっております。たとえば物品の荷づくりとか保管とか仕分けとか、あるいは代金請求及びその立てかえ、これが通運事業法に上がっておりますところの業種なのです。業種というか附帯業務なのです。ところが日通の定款を見ますと、何でもやれるようになっているのですね。こういうことがはたして許されるのかどうか。もちろん民間会社であり、定款に記載するならばそのことはやっていけるのだ、自由だ、こういう意見もあろうと思います。違法かどうかは別といたしましても、大臣弟御承知と思いますが、日通の定款第二条には一から二十までの事業が上がっておるわけです。まず一番最初が「通運事業」、これが日通の本来の仕事だと思うのです。それから「貨物自動車運送事業」とか「貨物車両運送あるいはそれに関連する海上運送、その辺まではまあいいといたしまして、日通が現在やっておりますのは、政府の認可、許可を必要とする業種だけでも十一業種、届け出なしに登録だけでやれるのが十七業種、そして日通の公称資本は現在六百四十八億円ですか。そのうち日通が投資をしている関連会社が七十四社、その投資金額が九十一億八千万円、子会社が四十二社、その投資金額九十六億円、関連会社十五社、投資金額二十五億円、合わせて二百十二億以上の出資金を日通が出していろいろなことをやっておるわけですね。この日通の定款ないし通運事業法の趣旨からいってそういうことはいかがでしょうか。少なくとも通運業務を主たる業務とする会社であるならば、通運業法によるところの認可を与えて、そしていろいろの場合において、運輸大臣あるいはその委任を受けた陸運局長等が監督なり認可、許可をやるわけです。今日このような事態が起きてきてあらためて見たら、よくここまでほうっておいたなという感じを受けるわけです。これだけの会社に関連をし、投資をし、いうならば自己公称資本の三分の一以上を他に投資しておることになるわけですね。そういう状態についてどうでしょう。しかもほとんどが運輸省が認可、許可あるいは届け出、登録をしなければやれない業種になっておるのですね。いかがでしょうか。
  27. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 商法によりましてこのような定款に事業目的を書けばやれることになり、法的には違反しているというようなことはないと思います。しかし道義的に——日本通運自体のいままでの来歴を見ますと、戦時中の企業統合という、全国の中小企業者がのれんをはずさせられて強制的に統合させられた会社であって、普通の会社と性格が違うわけでございます。それらの全国の中小企業者たちは、通運業というものを親代々からしてきた。そういうのれんをはずされたという悲運に泣いた情勢もあったわけであります。そういうことで全国的にできた会社が、通運業というものに主力を置かないでほかに手を出すというようなことは、私は道義的にまず考えなければならぬ問題だろうと思います。そういう点からしまして、御指摘のように、こういういろいろなところに手を伸ばすということは適当でない、このように考えます。今後の監査によりまして、日通に対してそういう面からの適切な指導もしたいと思っております。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 通運事業法二条に通運の定義があがっているわけですね。少なくとも通運会社という日通がやるのは、その二条の定義及び先ほど申しました二十七条の附帯業務、これが主たるものでなくてはならないと私は思います。それを今日、同じ運輸省の管轄下にあるいろいろな仕事を次々に認可し許可する、そこに私は少し——いかに民間、いわゆる商法による株式会社であって、定款に掲げるならば何でもできる、こういうことであるとしても、先ほど申しましたように少なくとも政府、ことに運輸省がおもですか、認可、許可にかかわるものが十一ある。だから、通運のほかに認可する場合に、これを許可することによって本来の業務にどういう影響があるのか、こういうことをチェックしてやるべきではなかったかという感じを受けますが、いかがでしょうか。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通運に関係する貨物輸送とか、あるいはそれに関係する梱包事業とか、保険の代理事業とか、そういうようなものはこれは妥当であると考えられますが、ここにありますように、十七の「建設業」あるいは十八の「各種鉱工物製品及びこれに関連する商品の売買」、こういうようなものは通運事業とそれほど密接な関係あるものとは思われません。よくインスタントラーメンを売っているとかなんとかいわれましたが、ああいうものは元来日通がやるべきものでないと私は思います。ああいうものはやめさせたほうがいいと思っております。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、私も日通定款の二条の十七、十八をあげてお伺いしょうと思ったところ、大臣のほうが先にそれをあげられたのですが、十八の「各種鉱工物製品及びこれに関連する商品の売買」とくると、これは何でもやれるんですよ。こういうことを通運会社がやっていいかということについては、これはもう道義的といいますか、明らかだと思うのです。これは商法上の法人であるから、やろうと思えば定款に書いておればやれるのだということだけでは済まされない。運輸省があらゆる面において許可、認可あるいはそれに関連する監査等をやるのですから、今日に至るまでにもっとチェックをしておれば、今日のようなふしだらは未然に防げた、あるいは傷口がもっと小さいうちに改めさせることができたと思っておりますが、その点については運輸省が、私あえて怠慢とは言わないとしても、手抜かりがあったと思いますが、どうですか。認められますか。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は遺憾の意を表する次第であります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん、物の輸送には保険がつきものでしょう。したがって保険の代理事業といいますか、保険業務をやっておる、これはいいのですが、これが任意保険のやつを強制保険にしたり、あるいはまた自動的に掛け金が高くなる、こういうような仕組みになっておったことが、これも新聞記事等に明らかに出ておりますが、そういうようなことにしても、どうでしょう。たとえば任意保険を強制保険にしたというだけでも、私は保険法の違反じゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 保険約款がきわめてあいまいでありまして、お客さんのほうから保険をかけてくれという明確な意思表示がないのに保険をかけてしまったり、あるいはそういう意思表示らしきものがあるようなないような関係で、自然に約款にサインしてしまったり、そういうことがあったようです。それで運輸省としましては、数件この問題を指摘して不当を是正させたことがございます。そういう点につきましては御指摘のとおりでございまして、保険約款を自由意思で明確に行なうように改善していきたいと思っております。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば、これはきのうのある新聞の記事なんですが、見出しはまず「客泣かせの日通」、「運送保険でも“不正”」、「「自動的」に高い料金」、「警告されても知らん顔」、こういう大きな見出しが出ているわけです。これについて大蔵省及び運輸省から警告を出されたりしても知らぬ顔してやってきた、こういうことなんです。具体的に、たとえば鳥取県のナシの運送保険がどうであったとか、あるいは神奈川県のミカンの運送がどうであったとか、こういうようなことがあがっておりますが、そういうことをも含めて、監督官庁が警告をする、それも知らぬ顔で平気でやっておったところに、私は問題があると思うのです。大臣、そういうことに対しては断固たる処置が必要だと思うのですが、いかがでしょう。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のとおりでありまして、以後改めていきたいと思います。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 こういう大きなマンモス企業になると、監督官庁なんてけつ食らえだ、こういう感じを持っておる。こういう印象を私は受けるのです。しかもまた、あなたがそういうようにおっしゃっても、現に直接に監査なり監督をする人、先ほど私がつうつうだと言ったら、つうつうでない、こう言っておる。日通だからつうつうではないか、こう言ったのですが……。しかし長い間つき合いをしておると、そこに何らかの問題が起きると思うのです。したがってこういうことにつきましては、ほんとうに笑いごとでなく、断固たる処置をしていかねばならぬし、そういうことを望みたいと思うのですが、もう一度決意を伺いたい。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来の監督が不行き届きであった点は多々あると、私も認めます。今後はそのあやまちを犯さないようにしてまいりたいと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 日通の問題に関連をいたしまして国鉄総裁にお伺いいたしますが、会計検査院から出ておる四十一年度決算検査報告、この中に留意事項として三点が指摘されておる。会計検査院留意事項としての指摘、これは間違いなくあったのですね。会計検査院指摘は間違いないのでしょうか。
  39. 石田禮助

    石田説明員 長瀬常務からお答えいたします。
  40. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そのとおりでございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃこの三点の指摘事項、これは間違いなくあった。その一つでありますところの、「コンクリートまくら木の貨車取卸作業等に対する運賃および料金について」、こういうのがあがっておるのですね。そして四十一年度中に、このコンクリートまくら木の貨車取りおろし作業等について七千五十余万円というのが支出されております。そのうち、調べたところによると、通運事業法の二十条によるところの、いわゆる基本料金といいますか、法定の料金とでもいいますか、これによって契約をせられて支払われたのが一千百万円。そしてこの二十条の規定があるにかかわらず、その基本料金に五〇%ないし二〇〇%、二倍ですよ、そういう割り増し金を加算して契約し、支払われたものが五千九百万円、約六千万円あります。そこで、通運事業法二十条によりますと、この基本料金を変えて料金契約をする場合には、運輸大臣の委任を受けた陸運局長の許可を受けなくてはならない、こういうことになっておるわけですね。これを特殊運賃とかそういうようなことばで呼んでおるようでございますが、これを留意事項として会計検査院指摘しております。しかし私はこれは留意事項ではなくて、少なくとも通運事業法の二十条違反の契約である。会計検査院留意事項というようなやさしい指摘、勧告をいたしておりますが、私は違法の契約であると思うのですが、いかがでしょうか。
  42. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 PCまくら木の運送契約につきまして、国鉄昭和三十三年ごろからPCまくら木が新しく試験的に使われ出しまして、PCまくら木が非常にいいので、最近それを使うことにしておりますが、このPCまくら木の運送契約につきましては、通運業者が、いま御指摘のように、地方の陸運局長の認可を得まして、認可料金で契約するようにわれわれいたしておるわけであります。たまたま認可料金の契約期限が切れておったのをわれわれのほうといたしましても承知をせずに、そのまま前年同様の契約をしたものなどがございまして、いま御指摘のような点がありました。そして会計検査院からの御指摘を受けましたこと、非常に遺憾でございます。昭和四十二年度当初にそういう会計検査院の御指摘を受けましたので、そういう認可料金で契約するように、それぞれの地方に指示をいたしました。そういう契約をいましておるような次第であります。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 この会計検査院指摘事項の一節なんです。「本件まくら木規格および荷姿が同一で、作業内容が類似しているのに、」したがって同じような品物であり、同じような単一作業なんです。したがって基本料金で行なうべきところを五〇%ないし二〇〇%の割り増し料金をなぜつけねばならないかという疑問が一点。これを請け負っているのは日通ですね。なぜ二倍もの割り増し料金——基本料金からいうならば三倍になるわけです。なぜその必要があったかということが一つ。先ほど長浜理事ですかの答弁によると、認可を受けた特別料金でやることにしておりましたが、その認可が切れておるのを知らずに引き続きそれでやりました。こういうことなんですが、少なくともこれは注意事項でなくて違法行為であると断定をいたします。いかがでございますか。違法契約です。
  44. 長浜正雄

    ○長浜説明員 そういう指摘会計検査院から受けましたので、われわれとしては直ちにそういうことのないように新しい契約につきまして処置をいたしました。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことを聞いておるんじゃないのです。何がゆえに基本料金を上回るところの五割ないし二十割の割り増し料金を出すような契約をせねばならないのかという点が一点。さらに、少なくとも一部分認可を受けた。しかし、それはもう認可が失効しておる。にもかかわらず通運事業法二十条によらない料金によるときには明らかに違法な料金なんです。その違法料金によって契約したことは違法の契約である、こういうことです。違いますか。
  46. 長浜正雄

    ○長浜説明員 この特別認可料金が出ております場合には、その料金で契約するように定められておりますので、われわれとしてはそれに従ったわけであります。それから期限が切れておりましたものにつきましてその契約をいたしましたが、これにつきましていま御指摘のような点がございますので、それに対する処置をどうすればいいか検討いたしておる次第でございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 私の言ったことに答えて下さいよ。  まず第一点は、何がゆえに同じようなものであり同じ作業をするのに、五〇%ないし二〇〇%の割り増し金を出さねばならなかったのか、その理由をまずお伺いしましよう。
  48. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 運輸省の見解を申し上げます。  このコンクリートまくら木につきましては、これは先ほど国鉄からも御説明ございましたように、特殊なPC、いわゆるポルトランドコンクリートでございまして、一般のコンクリートの製品と違います。非常に重さも重うございますし、それからなお、これを積みおろしする作業の場所が一般の通運の荷役作業の場所ではなしに、たとえば線路の上とかあるいは側線の上とかという非常に危険な場所でやっているような作業でございます。したがいましてこういうものにつきましては特別な割り増し料金というものを法律上認めております。これは通運事業法の施行令がございまして、その一条の十一号にそういう特殊なものにつきまして——なおかつこれは年間を通じてやるものではございませんので、年間ある時期にある個所でやるというものでございます。したがいまして、そういう特殊な作業であるということと、もう一つは時期が年間定期にやらずに臨時的に行なわれるという二点から、施行令一条の十一号に、そういう場合には特別の割り増し料金をとっていいというふうに規定してございます。それにつきましては陸運局長がケース・バイ・ケースによりまして認可をしておるという次第でございます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは運輸省でしょう。契約の当事者じゃないでしょう、あなたは。むしろ監督すべき立場の運輸省が何を言っておるのです。大臣、この姿が日通とあなたの下部官僚とのつうつうのところですよ。契約の当事者が答弁をするのが当然であるのにかかわらず、その契約の当事者が答弁をとちっておるのに、なぜ運輸省から救いの手を出すのですか。契約の当事者は国鉄日通なんです。したがって、こういう場合は割り増し運賃をつけていいということが施行令にあったとしても、それは少なくとも委任を受けたところの陸運局長の認可事項なんです。その認可を受けずにやったのは違法なんです。これははっきりしています。だからその点についてはあとで法律的にまた法制局と論議いたしますが、その前に、何がゆえに五〇%ないし二〇〇%の割り増し運賃をつけねばならなかったかということ、その点だけ。しかも七千五十万円余のうち千百万円というものは規定の料金でやっておるわけなんですね。そういう点からいって、どういうことで五〇%、どういうことで二〇〇%の割り増し運賃をつけたのか、こういうことなんですよ。その理由をお伺いしておきます。
  50. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の契約いたします場合には、いまの通運業者が陸運局長の認可を受けた料金で契約することになっておりますので、陸運局長の認可を受けた料金、それが国鉄の契約単価にそのままなるということになっております。それで、いま御指摘のその認可料金が切れた分につきましては、これはわれわれとしてもはなはだ申しわけのないことをした、こう思っておる次第でございます。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 料金の認可を受けたからやるんじゃないんです。何がゆえに割り増しを支払うべき認可を受けたのか。その理由を聞いておる。
  52. 長浜正雄

    ○長浜説明員 認可料金はわれわれが受けたのではなくて、通運業者が陸運局長の認可を受けまして、それとわれわれが契約しておるわけです。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 だから通運業法二十条及びこれを受けるところの政令ですか省令ですかによって認可を受けるのは日通なんだ。だからそこに一つのつうつうがあると言っておる。しかも認可を受けておるからそれに乗っからねばならぬ、こういうことじゃないでしょう、契約に当たっては。どういうことであるからこの割り増し料金によらねばならないとか、これは必要ではないということになるのじゃないですか。日通がこういう料金にしたからといって国鉄が、それも五割、五〇%ないし二〇〇%という段階があるんですよ。それになぜ乗っからねばならないのですか。契約は当事者の意思によってやるんですよ。少なくとも国鉄は独占企業である。すなわち運送契約は一方的な告示に従っての片務契約ということになっておるんですけれども、これはやっぱり双務契約でしょう。少なくとも日通国鉄が契約するのになぜそういうことになるのですか。その辺がわからない、こう言っておるのですよ。どうですか。陸運局で受けた料金があったからそれを払いました——なぜ高いのを払わなくちゃならないのですか。
  54. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま御指摘の点、その当時そういうふうに認可料金でわれわれは払うように考えておったわけでございますが、御指摘がありましたのでその後認可料金について、われわれとしてもずっと安く契約する方法がないかということで処置しておる次第でございます。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 国鉄総裁石田さん、こういう答弁をしているのですよ。国鉄が赤字だから運賃値上げをしなければならぬとか、定期代を上げるとか言うが、一つだけの契約をとっても、こういうずさんな契約をやっているのです。そこに山があるから登ると同じように、そこに特認料金があったから契約をしたというのでは通らないでしょう。何がゆえに特認料金によらねばならなかったかということがはっきりできないのです。そういうやり方に対して国鉄総裁はどう考えるか、運輸大臣はどう考えておりますか。
  56. 石田禮助

    石田説明員 実は、私はこの問題については下部にまかせまして、私としては全然知らなかった。この点については、私の怠慢のいたすところだということを言われても、これはしかたがない。あなたのおっしゃるところを聞いてみると、どうも国鉄答弁が、はなはだぴんといかぬようでございます。そういう点については、よくひとつ調査しまして、今後善処するということを申し上げておきます。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のように、そこに認可された料金があるからそれに乗っかるというのでは、これはいわゆるお役所仕事というやり方であって、商売人ならば、一銭一厘でも値切ってやるというのが根性だろうと思う。そういう点において遺憾の点があるように思います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 この件につきましては、まず何がゆえに割り割し料金によって契約をしたかということについては、これははっきりしません。そうして大臣も総裁もその非を認められました。そこで私は、善処を要望する以外に、大臣と総裁がいわばあやまった、いわば認めたのだから、これ以上の追及の手はないと思います。そこで第二の、一応認可を受けたものがあったが、認可が切れておるにかかわらず認可料金と同じことをやった。さらに、認可料金とは全然関係なしに、割り増し金をつけておるのもあるわけです。こういうのは明らかに違法の契約ではないのかという点につきまして、法制局はいかがですか、見解を伺いたい。
  59. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答えいたします。通運事業法第二十条に、運賃料金については認可を受けなければならないとございますので、認可を受けないで契約をすれば、少なくとも二十条第一項違反であることは、これは疑いの余地がございません。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、違法の契約だということが明らかになるならば、民法九十条によって、その契約は無効であるということは確認できますか。
  61. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答え申し上げます。法令で、ある行為を禁止している法令がございました場合に、それに違反した法律行為の効力はどうなるかという問題でございますが、民法九十条よりもむしろ九十一条のほうの問題として、普通、論ぜられているかと存じます。つまり強行法規に違反する法律行為は無効だということに相なるわけでございます。そこで、ある法令が一定の事項を禁止している場合に、その禁止法令が、一体強行法規であるか強行法規でないかというのが、問題の分かれ目でございます。つまり、処罰とか行政処分とかいう責任を追及されることは当然でございますが、そのほかに法律行為の私法上の効果をも否定するという性質のものであるかどうかという点でございます。そういうものを強行法規あるいは効力規定と申し、そうでない前者、つまり処罰を受けるにとどまるというものは取り締まり法規と普通いわれているわけでございますが、一体そういう禁止法令がございました場合に、それが取り締まり法規なのか効力規定なのかということは、非常にむずかしい問題で、一がいにはきめかねる性質のものでございます。結局は事件になりまして、裁判所がその法規の目的、趣旨、それからその法律行為をした当事者の信義誠実の問題、あるいは違反の実態等、諸般の事情をよく調べまして、具体的なケースに応じてその効力の有無を決定すべきことだろうと思います。ですから私、ここで断定的なことはもちろん申し上げかねるわけでございますけれども、私の感じといたしましては通運事業法の二十条一項の、つまり認可を受けない料金で契約を結んだという場合に、全体の契約が無効になるとは、ちょっと言えないのではないかという感じがいたします。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 私が九十一条でなくて、あえて九十条を出したのはそこにあるのです。九十一条でいうと、その法律の性格が強行法規なのかどうか、この規定が強行法規なのかどうかということの議論になります。しかし少なくとも通運業法は通運業というものに対する一つの取り締まり的な性格を持つものである。したがって私は強行法規であり、強行規定だと思います。しかしこの論争はあなたとここでやっても、らちがあかないと思ったから、私は九十条を言ったのです。いわゆる「公ノ秩序」「善良ノ風俗」にこれは違反していますよ。認可を受けなくてはならないものを認可を受けなくてやるということは「公ノ秩序」に違反する。そうじゃないですか。だから私は民法九十条で無効だと言ったのです。九十一条ならばその法律の性格論議をやらなければならぬ。しかしそういう通運業務というものに対して、二十条はまず料金というものを認可料金にして、そして二十二条ですかによって、それを公示することになっておる。公の秩序です。その公示をせられていないものにのっとっての契約は、九十一条を論ぜずして、九十条で「公ノ秩序」 「善良ノ風俗二反スル」法律行為だということを私は断定するが、いかがですか。
  63. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほども申し上げましたように、取り締まり法規がございますと、それがすべて民法九十条が働いて私法上の法律行為が無効になるという性質のものではないわけでありまして、これは田中先生よく御存じのとおりのことだと存じます。これはいろいろ判例もたくさんございますし、結局は九十条の「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ」違反する行為は無効とするといっていることの実体は、たとえば非常に不倫な関係内容とするとか、あるいは賭博契約をするとか、人身売買の契約をするとか、そういったことが典型的な九十条違反の法律行為であるというふうにいわれておりまして、本件のようないわゆる行政法でいっている取り締まり規定を設けたからといいまして、それがすべて直ちに当該法律行為の効力を否定するというようには働かないというふうにわれわれは理解しているわけでございます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん賭博行為だとか、あるいは殺人契約とかそれははっきりしています。しかしながら、通運業法二十二条に「運賃料金及び通運約款の掲示」という見出しがあって、公衆のわかりやすいところに掲示せねばならぬとなっておるのです。それは少なくとも一つの秩序じゃないですか、一定の秩序じゃないですか。それによらないということはその秩序に違反しておる。ここで私が違法と断定をいたしましても、法制局はまだ疑問がある。ならば裁判所によって、こういうことにならざるを得ない。  そこで私はここに違法だ。違法であるならば、これはさかのぼって精算をし直すべき性格のものである、このように考えます。そこで国鉄総裁、法律論議につきましては、いまお聞きのとおりであります。それはそれとしても、そういうのは少なくとも違法だ、この法律行為は無効だと私は思いますが、無効であるかどうかは別としても、違法であったことははっきりしたわけです。そういうことによって契約をせられ、支払われたところの料金については、これはどうします。これは当然無効として、もとに戻して精算をやり直すべき性格のものであると考えますが、いかがですか。
  65. 石田禮助

    石田説明員 これはひとつ法規上の問題をよく調査させまして、もしも国鉄がそれを日通に対して要求することができるという場合には遠慮会釈なくやるということを申し上げておきます。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、ここで、違法ということだけはっきりした。したがって、それに基づくその法律行為、契約は無効であるかどうかについては、若干私の意見と法制局の意見が違っているということはそのままにしておきましょう。  そこで、法制局、これに基づいて、法制局の統一見解といいますか、これをひとつはっきり示してもらいたい、そういうことを申し上げておきます。
  67. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほども申し上げましたように、違法と無効とは全然違った観念でございまして、違法であることはもう疑いのない点でございますが、それが、当該法律行為の私法上の効果を左右するかどうかという点につきましては一がいには申し上げられないということは先ほど申し述べたとおりでございます。たとえば、契約当事者の間の力関係とか、あるいは、本件に関して申しますと、たとえば通運事業者が認可を受けない料金を押しつけたとかいう場合には、信義誠実の原則が働きましてその効力に影響を与えるということもございます。そういう次第でございますので、これは、具体的なケース、さらに諸事項を十分勘案した上でないと、断定的には申し上げられませんので、御希望でございますけれども、こういうことについて法制局の一般的統一見解ということには実はなじめない性質のものだと思います。抽象的な論議は、ルールは申し述べられますけれども、本件について、一体裁判上返還請求ができるかできないかというようなことは、申し上げることにはなじめない性質のものだということでございます。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 少なくとも通運事業法第二十条違反の契約であるということははっきりしたのですね。その法律行為、契約全体が無効であるかどうかということについては、それでは、まだはっきりとしないままにおいておきましょう。しかし、少なくともそういう違法の契約が有効なりやどうかということについては、法制局としては見解が示されるものだと思います。先ほど力関係云云等のことも出ましたが、片や国鉄、片や日通なんですよ。力関係をどういうように判断しますか。だから、そういうことは別といたしまして、その点につきましてあらためて法制局の見解を示していただくことを私申し上げておきます。  そこで、そうなりますと、運輸大臣、この通運事業法の四十条の規定には、「左の各号の一に該当する者は、これを三万円以下の罰金に処する。」そうして、その中にずっとあるのですが、関係ある部分を読むと、「第二十条又は第三十条第一項の規定により許可又は認可を受けてしなければならない事項を許可又は認可を受けないでした者」となっていますね。明らかに違法の行為であり、少なくとも事業法四十条による処罰はあるべきが至当であると思いますが、いかがでございますか。
  69. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法律関係の適用につきましては、専門家をして検討させまして、もし該当するようでしたら、法規を適用して処罰をしなければならぬと思います。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 それでいいですが、大臣、お聞きのとおり違法だということだけははっきりしたのです。二十条一項違反だ。そして、四十条では、二十条違反は三万円以下の罰金に処す、こういうことははっきりしておるのですよ。だから、事実関係というのは、一体その契約の責任者がだれなのか、日通側はだれなのか、国鉄側はだれなのかというような調査を意味するものと了解いたします。  そこで、次に会計検査院にお伺いいたすのですが、あなたのほうはこれを留意事項、こういうように指摘せられた。先ほど来の議論によって違法であるということだけははっきりしたのですね。  そこであなた方のこの留意事項としての指摘が間違いである、こうきめつけるわけではありませんが、そういう点が一つ。そうなりますならば、会計検査院法三十一条によって、「故意又は重大な過失により著しく国又は公社に損害を与えた」者には「処分を要求する」こういうことになっておりますね。そこで違法の認識があったわけですよ。したがって、これは違法の認識があったのだから、故意である。少なくとも違法の認識をうっかりしておったとしても、当然自分の仕事にかかわることであり、これは認可を受けなければならない者が、認可が切れておるあるいは認可を受けていないことを知らなかったということは重大な過失である。いずれにいたしましても、会計検査院法三十一条に該当するものと思います。したがって、その関係者、日通に対しましては、これは別な問題としても、国鉄は三十一条によって処罰を要求する事項考えますが、いかがですか。
  71. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  まず第一点は、国鉄……。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待ってください運輸大臣が約束の時間が来たそうで退場せられるそうですか、これから展開いたしますこの処分要求等々の問題について、大臣は、ここにおいででなくても、あなたの下僚がその答弁なり、あるいは質疑応答を聞かれるわけですから、その結果を大臣は了承せられますね。それだけ確認しておきます。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法の適用につきましては、専門家の意見をよく聞きまして、該当するようでしたら、そのとおり処分いたします。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 それではけっこうです。  では会計検査院……。
  75. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 まず第一の点は、国鉄側における違法の認識があったかどうかという問題でございますが、会計検査院といたしまして、ここに留意事項として掲げましたのは、ただいまの問題と関連するわけでございますが、相当数の工事局とかあるいは管理局を調べまして、コンクリートまくら木の貨車取りおろし作業につきましての事実関係検査したわけでございますが、その場合の運賃とか料金の決定状況が非常にばらばらになっておる。したがいまして、そういう状況につきまして実情を十分調べて、やはり大体同じような品物を、場所は違うかもしれませんが、大体同じような環境において取り扱うものであるから、実情を調査して適正に、統一的といいますと語弊がありますが、そう大差のないような運賃料金で実施するように、こういうことを申しておるわけでございます。したがいまして、違法の認識があったかどうかというような問題につきましては、もちろんその中にはそういう部分がありますので、われわれとしては、検査の結果、通運事業法によりますと認可を得なければならないということになっておるのに、それをとっていないという事実は認めておりますが、国鉄側にはたしてそういう違法の認識があったかどうかということまでは実は調べておらないわけでございます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 だからあなたのほうの指摘が的確であるとかなかったということは、私はいまここで問題にしていない。少なくとも先ほど来の私の質疑応答の中において違法の契約であったことは明らかになったのです。少なくとも、それでは違法の契約というならば、会計検査院法三十一条に該当するのではないか。したがって、あなたは当局に対しあるいは大臣に対し処罰を要求すべきではないかということが一点なんです。  さらに三十二条によって、その損害の賠償の責任の有無をきめるということなんですね。少なくとも、先ほど来の質疑応答を聞いておられて、三十一条及び三十二条、いわゆる処罰の要求と損害の賠償の検定、これを行なうべきではないかということを私は申し上げておる。だから、過去にどういう検査をして、そのときに違法の認識があったとかなかったとか、そういうことを言っているんじゃないのです。少なくともここで明らかになったのは、違法の契約であったということ、したがって三十一条で、違法の認識があれば故意である。もしその認識がなかったとしても、自己の仕事の範囲内において当然受けねばならぬところの認可を受けずにやったということ、これは重大な過失ではないか。それを知らなかったということ、過失ではないか。そのことによって損害を与えたわけです。五〇%ないし二〇〇%もの割り増し料金を払ったわけです。そこで三十二条による賠償責任の有無の検定をやらねばならぬ、それについてどう考えるかと聞いておるわけです。
  77. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 会計検査院法によりますと、国とか公社の会計事務に従事する職員が故意または重大な過失で国あるいは公社に損害を与えた、こういう場合には懲戒処分を要求することができることになっております。ただ、この場合に、われわれといたしましては、この留意事項にもありますように、先ほどちょっと先生からもお話があったと思いますが、違法または不当ではないかという御意見があったのでありますが、われわれとしては、この留意事項を出した趣旨は、相当の個所においてこういうことが行なわれておる、しかしわれわれといたしましてもこれを一々調査して、どのくらいが適正な運賃であるかということを個々に実態を把握するということになりますと、時間的にも人員的にも非常に時間がかかる。したがって、こういう開差のある状況につきまして指摘をいたしまして、そうして何が適正な運賃であるか、料金であるかということを国鉄側におきまして十分調査して、そうしてそれによって関係当局あるいは関係業者と話し合いをつけてそういう適正な……(田中(武)委員「だから、留意事項としたことを悪いと言っていない。三十一条、三十二条についてどう考えるのか、ただそれだけ言うてもらえばいいんですよ。」と呼ぶ)そういう事情でございますので、国あるいは公社に損害があったということの認定というものがわれわれとしてはできなかった。したがいまして、そういう懲戒処分の要求も出てまいらない、こういうことになるわけであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 先日ちょっとこの問題について、院長にですか、私は三十一条の問題のときに、重大なる過失ということ、さらに著しい損害ということについて、ものさしがないじゃないか、少なくとも抽象的概念といいますか、そういうものが会計検査院で必要ではないか、こういうことをちょっと申し上げたわけなんです。少なくともきょうのこの論議を聞いておって、単に留意事項だけでなくて、三十一条ないし三十二条に関係のある事実としてつかんできたことは確かだと思うのです。したがって、会計検査院において三十一条及び三十二条についてもう一度検討し、必要であるならば再検査を要求いたします。
  79. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  前に院長が御出席のときにそういう話が出たことは承知しておりますが、三十一条の懲戒処分要求あるいは弁償責任の検定の問題でございますが、これはいずれも個々具体的のケースにつきましていろいろな主観的要件あるいは客観的な要件というものを判断せざるを得ないわけでございまして、相当の部局あるいは人員の関係する問題でございます。なかなかそういう面を検討するというのは非常にむずかしい問題であると思うのであります。まあ、その検査報告で出ております趣旨でなるべく早くそういう状態改善していただくというほうがむしろ先決ではないか、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 言われることはわからぬことはないのです、検察庁じゃないですからね。しかし、少なくともあなた方が留意事項として指摘した中に違法のものが出てきた。そこであらためて三十一条あるいは三十二条、処分の要求ないし損害の賠償責任について検定を考えるべき事案だと思うのです。  そこで、もう一度私はそういうことについて会計検査院として検討を要望する。これはもう意見じゃありません。だからあなたの答弁は要りません。要望いたします。  また、国鉄総裁、お聞きのとおりでございますので、そういう違法の契約を結び、そうして少なくとも国鉄に対して損害を与えた事実があるならば、これを断固たる処置をおとりになるよう要求いたします。  さらにまた、運輸大臣おりませんが、運輸省に、そういうことによって——これはあるいは国鉄関係者と日通関係者が合意の上であったかどうか知りませんが、そういう不当なる料金によって違法なる取り扱いをしておったのは事実であります。したがって、日通に対して、業法に基づく何らかの措置を要求いたします。  これで私の質問を終わります。答弁は要りません。要求です。この要求に対していかなる措置をとったかはあらためて後日伺うことにいたしまして、これは国鉄総裁、運輸省会計検査院、それぞれに要求いたしまして終わります。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それでは次の適当な機会に返答されることにしておきましょう。それでよろしいですね。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 ええ、けっこうです。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 華山親義君。
  84. 華山親義

    ○華山委員 ただいま問題になりました件につきまして会計検査院に伺いますが、会計検査院といたしまして、いまの論議の中で違法であるということは明白なんでございますが、違法のことがあった場合には、これは不当事項として指摘すべきものであって、留意事項ではないのじゃないか、そういうふうに考えますが、これを不当事項にしなかったというのはどういうわけでございますか。
  85. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほどもちょっと触れたわけでございますが、通運事業法の規定によりますと、通運事業者運輸省のほうの認可をとる、こういうことになっております。その認可をとらないでやる場合には、先ほどお話がございましたように、罰則の問題もあるわけでございます。とにかく違法になるわけであります。国鉄のほうとしては、これは認可をとるのではございません。われわれが検査いたしますのは、国鉄の財政その他の見地から、国鉄経理検査するわけでございますが、その場合に五割から二十割というような開差が非常にある。そういう点について、もっと実情を調査して、適正な料金にするように検討していただきたいという面で言っておるわけでございます。そういうような事情でございます。
  86. 華山親義

    ○華山委員 認可を受けなかったり、認可の期限を過ぎてしまって認可を得なかったり、そういうことについては、私はこれは違法だと思う。そういうふうな部分については、不当とすべきものじゃないのでございますか。どうなんですか。
  87. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 ただいま申し上げましたように、違法であるのは通運業者であろうと思います。国鉄のほうはその通運業者と契約を結んだわけでございますが、これは特別の料金でございますから、それを幾らにするかということについては、通運業者との間で事実上いろいろお話し合いがあるだろうと思います。したがいまして、これは検査報告にも出ておりますように、その認可をとるといなとにかかわらず——正式に認可をとっておるものについても相当の開差があるわけでございます。そういうもの全般を含めまして、そういう開差が出るのはもっともな理由があるのかどうか、そういう実情を十分調査して、そうして、留意事項があるからひとつ適正なものをきめて実施してほしい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  88. 華山親義

    ○華山委員 鉄道のほうで契約をされる場合に、これは認可を得たものであるかどうか、そういうことにつきまして、特別の料金でございますから当然考えられると思いますけれども、そういう点につきまして、契約をした人は非常に間違えていたのではないか。認可の消えたものあるいは認可を得ないものにつきまして特別の料金を認めたというふうなことは、これは仕事執行上間違いがあったのじゃないかと思いますが、鉄道の係の方に御意見を伺いたい。
  89. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいまの鉄道が契約しますときに、その料金の認可を受けておったかどうかということの確認を怠ったためにこういうことになったわけでございますが、実はいろいろ調べてみますと、それまで料金認可を受けまして契約しておりまして、引き続いてその価格の見積もりを出しましたので、それで契約をいたしました次第であります。これは認可を受けておるのかどうかというようなことを事務的にきちんとやらなかった点について粗漏があったと思うわけであります。  それから認可につきましては、いまのお話のように、通運業者運輸省の認可を受けて、それでこれは認可を受けておるからこれで契約してくれということで見積もり書が出てまいりました。そこでわれわれとしてはそれで契約をしておる、こういうことでございます。
  90. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ日通がうそを言ったということになりますね。認可の期限の切れたものとかまだ認可を得ていないものにつきまして、それを認可を受けておりましたからと言って、鉄道のほうがそれをそのままにしたということになれば、日通があなたのほうにはうそを言ったということになりはしませんか。
  91. 長浜正雄

    ○長浜説明員 日通が認可を受けておるからこれでどうこうということになったのかどうか、その辺の話のいきさつは、そこまでは聞いておりませんけれども、いままでと同じ価格で見積もり書を出してまいりました。それでいままでと同じでございますので、われわれとしては運輸省の認可を受けたもの、こう判断をしてやったわけであります。
  92. 華山親義

    ○華山委員 その点、認可というものは一体何年有効なんです、運輸省に伺いたい。
  93. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 本件まくら木につきましての特別割り増し料金の認可の期間でございますけれども、一年あるいはまた二年というのがございます。
  94. 華山親義

    ○華山委員 そういうふうなことであるならば、そういうことに関する認識というものは鉄道にあっていいのじゃないか。従来からそうだったからもうそれでいいのだというふうなことに私はならないと思うのです。期限をきめているということは、やはりそれだけの理由があって期限を切ってあるのだろうと思う。抽象的にそういうコンクリートまくら木というものはそれでいいのだということを無条件に認めたものでないのであって、一年なら一年ということに期限を切ってあるのだから——ことにいわんや全然認可を受けていないものもあるということであって、私は契約のやり方について鉄道は非常な間違いを起こしておると思うのですけれども、どうなんです。
  95. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま申しましたように、そういう点につきまして、はっきり認可を受けておるかどうかということの確認をせずにやりました点につきまして、われわれとしてははなはだ申しわけのないことをしたということでございます。
  96. 華山親義

    ○華山委員 そういう点も会計検査院はさらに調べられまして——私は不当事項であるべきだと考えますので、再調査をお願いいたしたい。(「違法だよ。」と呼ぶ者あり)違法であるから、会計検査院指摘としては不当になる、こういうふうに私は考えますので、その点は会計検査院に要望しておきます。  それから主としてこの日通の問題でございますけれども、今年の検査報告にはこの問題が起きましたし、昨年はまた農林省で問題を起こしておる。前には俵でもって米を運んでいる。しかるに現在はもはや大部分が麻袋になっている。ところが運賃は俵の時代と同じような単価を用いてやっている。麻袋なれば軽くなるのだから、その点は安くなるべきじゃないかということを会計検査院指摘しているわけです。このたびはこのような指摘がある。私は、何か各官庁と日通、そういうものの間になれ合いのことが多いのじゃないかというふうな気持ちが、この二つの事実から考えられるわけです。それで、その際に申し上げたのでございますけれども、これは日通の独占的な問題にも関連するわけでございますが、とにかくそういうふうな独占それ自体に対する批判は一応別としても、独占的な企業というものとの契約については特に慎重であるべきだ。ところが、従来の農林省の契約のあり方というものはきわめて概括的であって、実績というものに重きを置いておらない。そういうふうなことであるから、私は農林省の米の輸送等についての契約というものは概算的な契約であっても、あとで実績を調べて幾ら金がかかったかという点から、幾らの数量、どれだけの距離を運んだかというふうな、いろいろな要件を加味して後に精算的なやり方でいくべきじゃないかということを申し上げたのでございますけれども、農林省はなかなかお聞きにならなかった。その点につきまして、私の申し上げたこともございましたけれども、農林省当局、食糧庁当局ではどんなふうにこの問題についてはお考えになっておりますか、あらためて今日伺いたい。
  97. 田中勉

    田中(勉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のございました、食糧庁と日通との間におきましての政府食糧運送契約の問題及びその契約の内容になっております運送賃の問題についてでございますが、従来食糧庁が日通と契約をいたしております運送賃の単価の積算につきましては、先ほど先生、概括的ということを申されたようでございますけれども、私のほうといたしまして、たとえばことしの四十三年度の運送契約に用いますところのそれぞれの通運の関係の単価の算定におきましては、過去運送を実施いたしました一年間の実態を、実績を精査いたしまして、それに基づきまして、本年度適用するプール運賃単価というものを算定いたしているわけでございますので、したがいまして、概括的に算定をいたしていることはございません。あくまでも前の年一年間において実施いたしました運送の実態に対しまして、それぞれ倉庫から駅出しの距離の問題とかあるいはトラックを使った場合の距離の問題とか、これらは全部それぞれの料金に該当する、運輸省が定めておりまするところの——それぞれの定額料金が定められておるわけでございますが、それに照合いたしまして、その全体の一年間の総実績を総運送の数量で割って、そうして一個当たりの単価を算出して新年度に適用しておる、こういうことでございます。
  98. 華山親義

    ○華山委員 昨年もお尋ねしたと思いますが、それですから、その年の初めに日通と契約をする場合には総額の契約はなさらないで、単価ごとの契約をなさるわけでございますか。
  99. 田中勉

    田中(勉)政府委員 現在政府食糧の運送につきましては日通だけと契約をいたしておるわけでございますが、その契約の内容になっておりますところの運送賃の単価につきましては、その運送賃の一個あたりの単価というものを算定いたしておるわけでございます。そこで、先ほどちょっと御指摘ございました例の包装問題が実はございますが、過去におきまして、まず俵とかかますとか、こういうものであった時代と違いまして、麻袋とか、あるいは紙袋とか、こういう先生が御指摘の軽量の包装がだいぶ最近は普及してまいりましたので、私ども当初におきましてはやはり俵が中心であるというような考え方で、大体それらを俵ということで実は算定をいたしておったわけでございますけれども、最近確かに紙袋なり麻袋というような軽量のものが相当普及してまいっておることでございますので、これらを一括してプールして扱うということは正しくないということで会計検査院指摘もございましたし、昨年度からは俵、かます、それから麻袋、紙袋、あるいは三十キロ、こういう量目ごとにしっかりとその実態に即した単価をきめて契約をいたしておるわけでございます。
  100. 華山親義

    ○華山委員 私お伺いしておるのは、実態に即するといわれますけれども、去年の実態をもとにしてやったところと、ことしでやったところとは違うわけです。それですから、去年あるいは数年来の実態に即してやった契約であって、その年度が終わる際にどれだけのことであったかということによって精算を行なうべきじゃないかということを申し上げたのでございますけれども、その点は御研究になりませんですか。
  101. 田中勉

    田中(勉)政府委員 現在やっておりますのは、先生御指摘のように前年度の実績に基づいて今年度を実施しておるわけでございますが、私ども、先生の御指摘にもございましたように、確かにやはり一年違いというような実際のズレがなくはないわけでございます。全国的にこれだけの運送をやっておりますと、そう毎年大きな違いはないと私ども考えておりますけれども、現実問題としては、極端に申しますと、ことしのそれぞれ実費払いが一番妥当であり、適正だというぐあいに考えておるわけでございますが、何ぶんにも相当広範な範囲におきまして、また相当な量を迅速果敢に運送しなければならぬというようなことがございますので、実際の実費払いというようなことになりますと、私のほうの支払いの事務能力、現地のそれぞれの置かれた組織の事務能力から見ましても、これがなかなか迅速に行なえないというようなことからいたしまして、また、年々多少運送の形態というものも違ってまいるわけでございますので、前年度の実績をもとにいたしまして本年度に適用し、また、本年度におきましてはこれを一年間締めくくったあとにおいて、その単価を見て翌年度にこれを適用していく、こういう形をとっておるわけでございます。本来の理想から申しますと、実費払いができるのが一番よろしいか、こういうぐあいに考えておるわけでございますが、そのいく過程におきまして、昨年度の実績単価によって本年度適用した場合に、それが一体年度の終わりにおいてどういう形になるかというようなことも、これは理想の実費払いというものにいく前の段階におきまして検討していかなければならぬというぐあいに考えておるわけでございます。
  102. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院は、東大の宇宙研究所の不始末があった際に勧告しております。その勧告の中には、まずこういうふうな一つのあるところ以外には競争入札がないあるいはできないというふうな場合につきましては概算契約をしなさい。そしてあとでその概算と契約の様子と違った面についてはあるいは引く場合もありましょうしあるいは足す場合もある、そういうふうにして精算するということを勧告しておる。文部省はそれよりもさらに上回った方法で、来年からはそういう独占的な契約については適用しようとしておるわけです。これが米のような非常に大きな運送、それを一社にやらしておる。私はこの一社にやらしておるということについて批判を持ちますけれども、そのことにつきまして、会計検査院が東大宇宙研究所について勧告したと同じようなことができないはずはないと思う。これはある程度精算までの時間がかかって、そしてその間日通に金の入り方、そういうふうなことがおくれるという場合もあるかもしれません。しかし出すべき金を出さないでその間取っておくということもあるわけでございますから、その辺のところはとんとんだと私は思うのでございます。そういうふうなことを全部の会計について、特に巨大な資金を要する会計につきましてはあっていいのではないかということで、去年もおすすめしたのでございますが、ひとつよくその点につきましてさらに研究を進めていただきたい。一年前のものでやるといったって、運賃が変わればその年のでやるわけでしょう。そうじゃないのですか。そういうふうなことにつきましての研究を進められるかどうか御回答願いたい。
  103. 田中勉

    田中(勉)政府委員 先ほどからほんとうの理想的な支払い方法といたしましては、事務能力とそれからそういう問題が許すならば、そのつど主義の実費払いが一番適当だというぐあいに考えておるわけでございますが、その点は事務能力の問題等から見まして限界もあるわけでございますので、それにいく前の過程におきまして、先ほど御指摘のようなその精算というようなことにつきましても、いませっかく関係方面とも連絡をとりつつ検討を進めておるわけでございます。
  104. 華山親義

    ○華山委員 それから総裁にお願いをいたしておきますが、私は契約のあり方につきまして相当敏感なのでございますけれども、この工事につきまして不当事項として指摘されているところをごらんくださいますとわかりますが、それが全部随意契約なんです。私は随意契約から起きるところの不当事項ということについてはきわめてふんまんを感ずるのです。そこに何らかの情実があるのではないかという気もするわけです。しかし随意契約は例外中の例外で行なわるべきことだろう。そのことにつきまして、不当事項指摘されるようなことは私はまことに残念でなりません。鉄道につきましては、特別な工事もございましょうから随意契約ということもあり得ると思いますが、なおしかし随意契約の一つの面につきましては、随意契約をやったほうが安くあがるということが一つの理由にもなるわけでございます。しかもそれがよけいな金を払っていたというのでは、これは随意契約の意味をなさない。この点につきまして、長い間のやり方でもございますが、この点は総裁からよく部内に言われまして、契約のあり方について特段の注意をするようお願いいたしたいと思います。
  105. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。随意契約の反対はつまり公開入札であります。これは一般には非常に安く請け負わせるのにいい方法だ、こういうふうに考えられておるのでありますが、実際においては公開入札のあるところ必ず談合というものがある。公開入札が公開入札になっておらぬ。それで国鉄といたしましては、公開入札をいたしました場合においてでも最低入札値段であるがゆえに契約するということは決してせぬ、まずわれわれが考え得る適正な値段というものを適正な方法によって考究いたしまして、そうして公開入札の結果その値段が適正値段に達しない場合においては、その最低値段者を相手として交渉し、われわれの積算値段まで引かして契約する、こういうことになっておりまして、一般の場合には、随意契約はどっちかといえば例外なんでありまして、つまり適当な契約者がない、少ないという場合において初めてそれにいくわけでありまして、随意契約というものは本則としてはやらぬ、こういうことに私は考えております。
  106. 華山親義

    ○華山委員 公開とおっしゃいましたが、その間に指名入札もあるわけでございますけれども、指名につきましてもやはり談合がございますか。
  107. 石田禮助

    石田説明員 これは契約者の名誉のためにも申しにくいことでありますが、われわれは談合があると、こういう想定をもとにいたしまして契約しておるのであります。
  108. 華山親義

    ○華山委員 私は総裁からたいへんいいことをお聞きいたしました。私も、建設委員会におきまして談合がもう公然として行なわれておるのじゃないか、談合というものは刑法上の罪に当たる。どういう場合に刑法上の罪に当たるかということまで建設省は知らないような状態であったことを私は指摘したのでございますが、総裁からたいへんいいことをお聞きいたしましたので、さらに私はこれを根拠にしまして、建設省に注意をしてまいりたいと思います。そういうふうな意味で、適正価格に近づける意味で随意契約だというふうなことでございましたけれども、私の申し上げましたのは随意契約から起きるところの不当事項というものはやめさしてもらいたいということなんです。悪意によって——随意契約ということをやる以上は相当鉄道が信用したものでなければいけない。しかもその中に会計検査院指摘されるような問題が起きる、こういうことを私は言っているわけでございます。どうぞひとつ、今後随意契約をする場合には、特に監督を厳重にして不当事項の起こらないようにやっていただきたいということを要望いたします。総裁、御意見ございましたら……。
  109. 石田禮助

    石田説明員 つけ加えて申し上げますが、たとえば随意契約というものは、国鉄では、車輪、車軸等に関する専門部品につきましては一社以外に適当な製造家がおらぬ場合がある。しかもこれにはもう、品質については特段の技術及び注意を要することでありまして、むやみにやるわけにいかない、そういう場合においてはこれはやむを得ぬ。やむを得ぬだけに、われわれとしてはよほど注意をいたしまして、ほんとうに彼らが言う値段が適正であるかどうかということに対しては特段の注意を払ってやっておる次第でございまして、ことにまた、向こうの信用程度というものを考慮いたしまして、国鉄といたしまして不合理な値段を払わぬようにということに特段の注意を払っている次第でございます。
  110. 華山親義

    ○華山委員 長くなりますからこれでやめますが、実は総裁、ここに書いてあります不当事項はこれは工事が悪かったということなんですよ。手を抜いたとかなんとかいうことが指摘されておるわけだから私申し上げたわけでございます。特別なものにつきまして随意契約をしなければいけないということも私当然わかっている。しかし随意契約をされる以上は、鉄道は総裁のおっしゃるとおり信用というものを重んじなければいけないので、そういう会社であるならば工事に手抜きをしましたりいろいろなことがあるはずがないと私は思っておるから御注意申し上げたわけです。  これで終わります。
  111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 小山省二君。  本会議がありますし、まだ吉田君が質問いたしますから、なるべく簡単にお願いします。
  112. 小山省二

    ○小山(省)委員 時間もないようですから、ごく簡単に私この機会に総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。  国鉄では年間どのくらい工事を発注しておるか存じませんが、工事を発注する先に、国鉄の子会社にひとしいような会社が多数設立され、国鉄を退職された職員がその会社経営者となって、国鉄との間にどのような契約を結んでおるか知りませんが、そういう子会社のように感ぜられる会社というものは現在どのくらいあるのですか。
  113. 石田禮助

    石田説明員 国鉄にはいわゆる子会社というものは全然ございません。ただ仕事の質、それからものによりましておっしゃるとおり子会社らしく見えるところが、たとえば電気工事のごときはそれでありまして、これなどは特別な技術を要するのでありまして、それについては国鉄におった者がその中に入っておるということで、世間から見ると何か変なことがあるのじゃないか、こういうような疑惑が起こるのでありますが、これはわれわれとしては特段の注意をいたしまして、醜関係のないようにということについて十分の注意を払っている次第であります。
  114. 小山省二

    ○小山(省)委員 法律によって、官公需の一定の割合というものは中小企業に発注しなければならないというような法律がありますが、国鉄は年間どの程度の工事を発注し、そのうち中小企業に発注しておる金額、件数、そういうものについておわかりでしたら、この機会にひとつお知らせ願いたいと思います。
  115. 石田禮助

    石田説明員 ただいまの御質問の点は、取り調べの上お手元に出すことにいたします。ただいまここではわかっておりません。
  116. 小山省二

    ○小山(省)委員 法律によって中小企業に一定量発注しなければならないようになっておるにかかわらず、依然としてそうした面における発注がなされていないということが、しばしば国会の中で論議され、先般予算委員会においても社会党から強くこの点が指摘をされ、特に国鉄関係については、私はややもするとそういう子会社ということはどうか知りませんが、非常に国鉄関係の深い会社が主としてその発注の大部分を受注しておるというようなことになっておるやに聞いておりますので、この点については十分ひとつ総裁も広くできるだけ中小企業に工事の発注が行きわたるように御留意を願いたいと思います。  それから、四十一年度決算を見まして、なお欠損が六百一億二千二百六十万円ある。これは四十一年三月平均二五%の運賃値上げを行なって、そしてなおかつその年に六百一億の赤字を出しておる。最近通学定期あるいは通勤定期の値上げを行なうという方針を実行されておりますが、将来いつになったら国鉄の赤字というものが解消できるというような御計画でありますか。
  117. 石田禮助

    石田説明員 四十一年度決算におきまして、ただいまおっしゃるとおり大きな赤字が出ましたのですが、これについてはまず第一に、四十一年度における収入予算というものに比べまして実際の収入が五百六十億少なかったということは、これは運賃値上げをするというと必ずそこにレジスタンスが起こるということで、予算に比べて五百六十億も少ないということはありますが、そのほかに経費というものが、人件費が主でありまするが、予想外に大きな支出増になった。さらに最近における国鉄の体制でありまするが、国鉄の独占力というものに大きなひびが入った。その結果収入の増というものが非常に弱い。そこへもってきて経費というものがえらい勢いでふえてきた。御参考に申し上げますが、最近における人件費なんというものは、運輸収入の六割以上を占めておる。さらにもう一つ申し上げなければならぬことは、四十年度から第三計画をやったのでありますが、これに対しては、四十、四十一年度でもって約一兆近い投資をしておる。したがって、それに対しては利息を払わなければならぬ。そしてまた、やった工事に対しては減価償却をやるにかかわらず、それによる果実というものは六、七年たたなければ出てこない。こういうようなところが国鉄のいまの赤字の大きな原因をなしておるのでありまして、実際の結果は、工事が完了して働き出してみないというとほんとうの効果は出てこない、こういうことになるのであります。
  118. 小山省二

    ○小山(省)委員 四十年度を基点とする国鉄長期計画というものが完成して、その投資がほんとうに国鉄の利益となって還元される年というのは何年であり、現在の長期計画から見て何年ごろから国鉄は黒字になるお見込みであるか。
  119. 石田禮助

    石田説明員 さらにつけ加えておきたいのは、第三計画においては約七千億以上の金を通勤輸送につぎ込んでおります。これなんか非常な金がかかるが、収入というものは大きな割引があるがゆえに非常に少ない。これはもうとても収支償わないということなんであります。さらに第三計画で投資した効果がいつ出るかということは、やはり工事が完了して初めてそこに出てくる、こういうことに考えて差しつかえない。一部分は効果が出ることはありますけれども、一〇〇%の効果というものは六、七年、あるいは六、七年では早い、七、八年かかるかもしれない。新幹線のごときはちょうどいいその例なんです。
  120. 小山省二

    ○小山(省)委員 総裁は通勤混雑緩和のために七千億の資金を投入する、その投入された結果どの程度緩和されるかは存じませんが、現実にいま国鉄の朝晩の通勤ラッシュの状況はどうであるか。私は選挙区は三多摩ですから、毎日通っておりまして、ほとんど殺人的と申しましても過言でない現状なんです。二十日から三多摩の議員さんが集まって国鉄状況を視察するという。それは、このような状況で毎日通勤していてはからだの疲労が激し過ぎる、とても仕事に耐えられないという苦情が非常に強く訴えられておる。総裁はいまおっしゃったように、非常に多額な資金を投入して、これを緩和するためにいま鋭意国鉄努力しておるということを一応釈明しておるわけですが、一例として、中央線、青梅線を含んだこれの混雑が緩和されるということは一体何年先であるか、その計画についてお示し願いたい。
  121. 石田禮助

    石田説明員 第三計画におきまして、国鉄は約五千三百億の予算をもって通勤輸送改善をやる、こういうことで始めたのでありますが、その後における年々の乗客の増加のぐあいを見ますと、国鉄で初め想定したものを超過しておる。とてもこんなことではだめだということで、五千三百億を七千百億以上にして工事部門を拡大し、かつ促進するということでいまやっておるのでありますが、かりにこれが完了いたしましたといたしましても、じゃどういうことになるかというと、現在は多いところは定員の三〇〇%以上になっておるところがありますが、完成いたしましたところでわれわれの目標は二四〇%、それ以下にするということはいまの国鉄の力をもってしてはとてもできない。それは第三計画、この輸送力増強ということからくるものでありますが、そのほかにさしあたりの問題として国鉄がやっておりますことは、たとえば一列車の増結両数をふやすということ。そして列車と列車との運転間隔を短くする。たとえば昔は五分とか十分とか言っておったのが、一番短いところは二分十秒にするというようなこと、さらに車両の改造をいたしまして、乗りおりを早くやる。そして早く車を出す。それによって輸送力を増強するというようなこと、しかしこれがなかなか手っとり早くはいかぬということで、われわれ国鉄といたしましては最善を尽くしておるのでありますが、いまの国鉄の力をもってしては、満足にいったところで六、七年後においてようやく二四〇%ということに緩和する、これが目標でありまして、それ以上のことはできない。そこで運輸省あたりに交渉いたしまして、ひとつ別な輸送力をつけるというようなことを願っておる次第でございまして、はなはだこれは自分の足らざるところを白状するようなもので、どうもいかんともすることができない。しかしそれは正直な告白であります。
  122. 小山省二

    ○小山(省)委員 総裁ほどの人が最善を尽くしてなおかつ解決が困難だ、こうおっしゃられると、運輸省では国鉄以外これらの混雑の緩和をはかるために、どのような対策考えていられるか。その最も責任者である国鉄総裁がさじを投げておるのです。しかしさじを投げておるといって、それだけで私は許されないと思う。ことに中央線を中心とする沿線は、今後さらに一段と開発が進められようとしておる。したがって、当局としては新しい民間の会社にそういう開発をゆだねるか、あらゆる手を尽くしてこれの緩和をはかるべきが当然だと私は思いますが、それの具体的な対策をちょっとお示し願いたい。
  123. 増川遼三

    ○増川政府委員 当局といたしましては、国鉄によります輸送力の増強に加えまして、地下鉄の増強並びに私鉄の輸送力の増強ということに力を入れておるわけでございまして、それぞれ国鉄長期計画に対応いたしまして、現在地下鉄におきましても私鉄におきましても、昭和四十六年度までの計画をもちまして、それぞれ四千億ないし五千億の資金計画をもちまして輸送力の増強をはかっておる次第でございます。現在の段階では、おおむね計画当初のテンポで進んでおるわけでございます。特に都心部におきましては地下鉄の輸送力の増強が喫緊でございまして、これに国鉄並びに私鉄の乗り入れということをはかることにいたしておりまして、地下鉄といたしましてはつい最近都市交通審議会からも答申をいただきまして、十二路線の整備を行なうことに相なっておりまして、このうち現在銀座線をはじめといたしまして丸ノ内線あるいは日比谷線等、相当の輸送能力を発揮しておるわけでございますが、これらの既成線の増強並びに新線の建設につきましては極力資金の手当ても財政的に配慮いたしまして、これの実現方をはかる見込みでございます。国鉄総裁が、先ほど国鉄が第三次計画を遂行した場合に、やはり二四〇%くらいのラッシュ時の込みぐあいだと申されておりますが、地下鉄並びに私鉄におきましても、やはり大体二〇〇%から二四〇%くらいの混雑度というところまで現在の混雑を下げていけるものと考えております。
  124. 小山省二

    ○小山(省)委員 どうも御答弁を承ってたいへん心もとないような状況に私は感ぜられるのです。一体現在の通勤ラッシュを緩和するために国鉄にどれだけの責任を持ってもらう、そしてそれ以外には民間なら民間のどういう企業がどれだけ持つ、あるいは地下鉄なら地下鉄、営団がどれだけ持つというような具体的な対策を立てて、そうしてそれに対する所要資金を確保して、そして昭和何年までには通常人間が通勤し得る範囲——いまは通勤時においては人間が乗る状態じゃないですよ。それはあなたは毎日、専門家だからごらんになってわかるでしょう。あの中にはめ込むのに駅でどういうことをしているのです。ああいう状態通勤して満足な仕事ができると考えられている人はないと思うのですよ。当然これは何らかの対策を立てなければならぬことはもう自明の理なんです。そうだとすれば、運輸省はその責任者なんですから当然何年何月までにこれを具体的にこう緩和するんだというような対策がなくて、四千億地下鉄では資金を確保したから十分だ——そのころには一体どれくらいの人口増を見込んでいるのですか。私はもう少し関係機関とも連絡をとって、総合的にこの通勤緩和のための具体的な対策というものをひとつ早急に立ててもらいたい。それでわれわれに示してもらいたい。現在のようなばく然たる対策ではわれわれは関係者に会って、何年君たちが待って、何年しんぼうしたらばこんな姿でなくて通勤ができるんだという具体的な回答がわれわれはできないのですよ。  それでは具体的に言って中央線は一体何年後に——五年でも、十年でも運輸省考えている対策で、何年後に現在のような混雑が解消されるかそれを具体的にひとつ……。
  125. 増川遼三

    ○増川政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、国鉄並びに地下鉄、私鉄ともに昭和四十六年度末までには大体、現在それぞれ持っております計画を完遂させる見込みでございますが、これによりますと、現在の二七〇%から三〇〇%程度のあるいはそれ以上の混雑度を二四〇%程度までの混雑度に緩和することができる。こういうふうに考えております。これらにつきましては関係各省ともいろいろと御協力をいただきまして協議の上、住宅政策等ともからみ合わせまして、都市開発と都市交通の関連性を十分考慮いたしまして現在の計画を立てておる次第でございます。
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 私もひとつ質問いたします。  去年は総裁にも申し上げたんですが、いま二四〇%と言われましたが、いま小山君が言われるように、都会の人口——東京だけにしておきますが、どうですか、どれだけふえる予定ですか。あなた方は輸送力を二四〇%に増すが、人口の稠密してくるのが三〇〇%だったら負けてしまうんですよ。それに勝てるだけの自信がありますか。去年も私は申し上げたのですが……。
  127. 石田禮助

    石田説明員 これはどうも、東京の周囲の人口がどのくらいふえるかということは、われわれとしては計算がつかぬ。これは神さまに聞いてみなければわからない。国鉄として一番困るのは団地の問題でございます。これは私は建設大臣にも言ったのですが、えらい勢いで団地というものをつくっていく。つくっていく場合にはその足をどうするかということを考えてやっているか。考えてやっていないじゃないか。まるで多産の婦人が生めよふやせよで子供を盛んに生んでおいて、できたから何とかしてくれというのが今日の状態です。こういうことじゃいかぬ。だからして建設省と運輸省と、それから住宅公団と国鉄と寄ってひとつこの対策をきめようじゃないか。私は運輸大臣に対しては、国鉄としてはいまの計画をとにかく猛進してやる、国鉄としてはとても採算が合った話じゃないのだが、これは公共事業ということにかんがみて、われわれとしては最善を尽くしてやるのだが、それが完成してみたところですぐ大きな山ができておる、これはいまからやらなければならぬ、こういうことで、運輸大臣としてもいま一生懸命で都市交通審議会その他を糾合いたしましてやっておるところなので、私は、運輸省としてはそのうちに適当な案が出てくるだろうと思う。  さらに申し上げておかなければならぬのは、国鉄輸送増強について一番やっかいなのは土地の問題なんです。たとえばいまわれわれのほうは、東海道線をやらなければならぬ。えらい勢いで団地ができる。それで通勤客がふえておるのだが、土地の買い付けがとてもできない。いかに地主を口説いても言うことをきかぬ。それですから、この上はひとつ神奈川県知事と横浜市長に談判して、何とか公の力をもってやってもらわなければならぬ。こういうことでやっておるのですが、これは、そういう点において非常にわれわれは悪戦苦闘しておるということもひとつ御了承願わなければならぬ。東海道線のごときは、品川までは地上を来ますが、あれから下にもぐらなければならぬ。まず第一われわれは四十六年中には完成するというような見込みでやっておったのでありますが、現在の土地の買い付けということその他の状況からして四十六年中にはできない。四十七年までかかるというようなことで、われわれとしてはとにかく力のあらん限りを尽くし、最善を尽くしてやっておるのだ、採算なんというものは全然度外視してやっておるのだ、こういうことをひとつ御了承願いたい。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 総裁一生懸命やっておられることはわかりますが、一生懸命やられますと、だんだん交通が便利になればなるほど人間は寄ってくるんですよ。人間の寄ってくるのにあなた方のやっておるのは追っつかないんですよ。私は、いまの状態ではとうてい追っつかれないと思う。それならばなるべく東京に人を寄せぬことをひとつ考えてみたらどうですか。これはこの前も申し上げた。それには地方を便利にすることですよ。地方の通勤列車をもう少しじょうずにやられると、ここに出てこないで地方でとどまるんですよ。地方を不便にしてここばかりよくするものだから、みな地方から出てくる。東京に人口が寄りつくということは地方がさびれるということですよ。この点を、この前も申し上げたんだが、ひとつ考えてもらいたい。
  129. 石田禮助

    石田説明員 地方の通勤輸送増加するということで東京の問題が解決するなら、これはきわめて簡単なことだと思いますが、私はそう簡単なものじゃないと思う。いかにして東京の近所へ来る人口というものをチェックするかということが根本問題で、これは国鉄の力でもってはとてもできない。政府の力をもってお願いする以外に方法はない。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 ひとつ御考慮ください
  131. 小山省二

    ○小山(省)委員 ひとり国鉄のみにその責任を負わせるということではないわけです。輸送の大部分の責任をしょっておるから、われわれも国鉄にいろいろお尋ねしておるわけですが、何といっても、運輸省が総合的に計画を立てない限りにおいては、解決はできないものだというふうに、われわれも考えておるわけであります。  時間がありませんので、あまりこまかく質問ができませんが、それではさっき話題が出ました、改善事項留意事項指摘されたまくら木の割り増し料金、これは法律的にはどういうことであるか。当局の不注意で——善意に考えて不注意だとしても、その支払った料金が不当な料金であるとすれば、国鉄は当然その返還を要求する権利というか義務というか、それがあると思うのですが、返還を要求するお考えなのかどうか。
  132. 石田禮助

    石田説明員 この問題は法律上の問題になりますので、よほど徹底的によく調べまして、もしもわれわれが返還を要求する権利があるということならば、遠慮会釈なしに返還を要求することにいたしたいと思います。
  133. 小山省二

    ○小山(省)委員 ここにしるされた範囲ではこまかくわかりませんが、この通運事業法によって割り増し運賃を、認可をとってないで請求し、当局はとってあるものとして払っているのです。そういうのが十八カ所あるというのですから、そうだとするならば、それは調査も何もないでしょう。当局があやまって、通運法の許可を得たものとして支払っているのですから、当然これは回収しなきゃならぬわけでしょう。事務的にひとつ……。
  134. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま総裁申しましたように、法律的に請求の見通しがつけばするように、いまおっしゃるように十分いま調査をしております。
  135. 小山省二

    ○小山(省)委員 それでは一応これで終わります。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 吉田賢一君。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうはひとつ総裁にずばりと伺ってみたいと思います。  第三長期計画が完成しますのは昭和四十六年度。その当時における国鉄負債総額はどれほどになりましょう。またそのころには一年間どのくらいの支払うべき利子負担があるか。またそのころ赤字は解消する見込みかどうか、その三点について、簡単に事務の方でもよろしゅうございます。
  138. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。四十二年度における国鉄負債は一兆七千億であります。それで四十三年度の借金が四千四百億になっています。二兆一千四百億。その後四十四年度からどのくらいの程度で工事をやっていくかということは、まだ決定しておりませんが、かりにいままでのように、まず一年に四千億と仮定しますというと、二兆一千四百億プラス一年に四千億、それで四十六年まで、こういうことになるのであります。  それから収支の計画を申し上げるのでしょうか。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四十六年度における累積する赤字の数字、それから支払い利子の年間の額、それから赤字の解消といいますか、四十六年現在として収支はどういう状態改善されておるか、この三点について。
  140. 石田禮助

    石田説明員 四十三年度における利子の支払いは約三千三百億。そのほかに元金の償還がやはりそのくらいあるのであります。それでこれから一年に約四千五百億というものの工事費を使うということになりますと、自己資金というものはもう何もありませんので、全部借金でやっていかねばならぬ。さらにこれからの収支の関係はどうなるか知りませんが、いまのような状態でいくと、普通の収支の関係でも金は要る。工事資金に要する利子ばかりでなくて、そのほかの借金に対しても利息はついてくる、こういうことで、そう考えるというと、収支状況から見た国鉄の将来というものは、はなはだどうも心配すべき点があるのでありまするが、しかしこれは私は前々から言っておりますように、国鉄の計画につきましては、国鉄としましても最善を尽くして合理化——政府がやはり合理化してくれなければ困る。それはやはり公共負担の問題、地方納付金の問題、赤字線の問題というようなことについて、政府がひとつ合理化をやってもらいたい。これをやらなかった日には、国鉄の将来の赤字というものは、ふえこそすれ減ることはない。ただ四十六年くらいになるというと、いまやっておる投資というものがだいぶ芽をふいてきますので、その点については相当なプラスがあるのではないか。そのときになってからの国鉄状態はどうかというようなことは、いまちょっと私としては申し上げかねる。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと事務の方に伺いますが、そうしますと本年、来年と、四十六年まで毎年元利どれくらい払うのですか、ちょっとそれだけ伺います。概算でよろしい。
  142. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 お答えいたします。  四十三年の利払い、これは大体千三百億でございます。それから返すほうは四十三年度におきましては千二百九十四億。そういうような状況で、今後このまま推移するとなりますと、四十六年末におきましては、利払いが大体二千二百億程度。それから元本、借金の残高が大体三兆弱ということになろうか、これは現状のまま推移したという仮定でございます。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 監査報告書も、毎年財政につきましてはなかなか深刻な報告がされておりますが、読ましていただきましたが、やはり国鉄の赤字問題は相当重大なような感じがいたします。もう一つは、鉄道が始まって以来約百年になるのですが、いまはもう単に運営のみならず体質を込めて過去の残滓を整理し、また、新しい社会経済の大きな変動に対応してどう生き延びるかというよりも、昔の、国の交通の動脈というような大きな自負を取り戻すことが可能なのかどうか、やはり根本的に体質の再検討をするという段階に来ているのじゃないか、こうも考えられるのです。つまり赤字対策の基本対策いかんということに帰すると思いますが、この点総裁はどのようにお考えになりましょうか。
  144. 石田禮助

    石田説明員 過去の残滓をこの際清算するにはどうしたらいいか、こういうことは、私は、これまで予算委員会その他でたびたび申しておることであります。要するに、一体どうして国鉄がこういう状態になったかということをまずもって申し上げる必要があると思います。  その一番大きな問題は、終戦後において、国鉄が公共企業体ということになってから、一体政府なり国会というものが国鉄にどういう態度で臨んだか、こういうことなんです。時まさにインフレーション時代。インフレーションということであれば、物価騰貴ということだ。それで、国鉄というものは、つまりインフレーションのために、人件費その他によって経費というものがえらくふえた、そこで、収支を合わせるために運賃値上げをやる。ところが、政府なり国会というものがどういう態度をとったかというと、インフレーションなら物価政策、物価政策ということになれば国鉄運賃ということで、しょっちゅう国鉄運賃というものが虐待に虐待をされた。その一番いい例が、終戦後ときどき運賃値上げをやりましたが、国鉄の要求はしょっちゅうえらいところで切られている。昭和二十九年度における国鉄の、たとえば旅客運賃の上げ幅を見ましても、昭和十一年を一とすると、国鉄旅客運賃というものは百十六倍だ。これに対して、電電公社なんか二百三十三倍だ。たまたまあそこに敏腕なる総裁がおったがゆえにここまで上げてきた。国鉄というものは、政府なり議会でもってしょっちゅう頭をこづかれるということで、虐待に虐待だ。その結果がどういうようになったかというと、今日の通勤地獄は全くそれに原因していると私は思う。また、国鉄輸送力の増強やなんかにいたしましても、そういうようなことで、自己資金をもって輸送力を増強することができぬ。その結果は、昭和四十年ごろにおける状態を見ましても、国鉄の路線拡大というものは昭和十一年に比べて一・六倍だ。それがつまり輸送力の根本だ。それに対して、旅客というものは六・五倍になっておる。貨物にしたって三・五倍になっておる。そこにおいて、つまり過密ダイヤとなり、スピードアップするというようなことで、全く、原因というものは、過去において国鉄がかわいがられなかったということ、そのほかに、私がしばしば申し上げる公共負担ということです。昭和二十四年以来四十二年までの公共負担というものは一兆二百億ですよ。そうして、たとえば地方納付金なんというきわめて不合理な筋の立たぬもの、固定資産税というものも払っておりますよ。それだのに、国鉄というものは、つまり地方開発のために犠牲を払って線路を敷設し、犠牲を払って経営しているということで、国鉄輸送施設に対しては地方税をかけぬ、こういうことであるのに、たまたま地方の町村の財政が非常に苦しくなったということで、昭和三十一年から地方納付金というものを国鉄におっかぶせてきた。こんなものは政府がやるべきだ、この理屈はだれも否定することはできない。まったく国鉄というものがいくじがなかったというか、おとなしかったというか、全く哀れなる羊になった次第です。これを是正しなければ国鉄の再建はできない。これは私が言うばかりでなく、三十九年の十一月に出された交通基本問題調査会あたりでも、とにかく国鉄の今日の状態というものは政府及び議会の国鉄に対する態度がよくないということからきておるのでありまして、特に通勤輸送の問題については、これは住宅政策の一端であるがゆえに、政府が出資したらいい、さらにまた公共負担というものをこの際根本的に直したらいい、地方納付金なんというものに対しては政府として考えなければならぬ、こういうことを言っておるのでありまして、この点についてはだれも反対し得る根拠はない。ただ、問題は、納付金のごとき、これを是正するにおいては地方の町村が困る、全く筋道が何も立っていない。これを根本的に立て直していかなかったならば、国鉄というものの立て直しは百年河清を待つにひとしい。  だから、私は吉田さんに申し上げますが、運賃というものを圧力で押えつけてきた。そのために国鉄が自己資金というものをつくることができなかった。ということは、子供に親がめしを食わせなかったということだ。さらにそのほかに、公共負担だとか納付金だとか、何だとかかんだとか、荷物をおっかぶせたということは、大きなおやじさんがやせこけた子供さんにおんぶしたようなものである。これを是正しなければ国鉄の立て直しというものは私はできぬと思う。この点は、今後政府並びに国会において大いに考えてもらわなければならぬ。これはここで私がこういうことを言うばかりでなく、予算委員会なんかでしょっちゅう言っておる。これはひとつぜひあなた方の御尽力によって、国鉄が根本的に立ち直ることができるように、今後とも御協力を願わなければならぬ。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄の赤字問題、これはまことに重大なことでございまして、国鉄当局としてはみずからの立場にかんがみて、国の冷淡なあるいは虐待とか国会の無関心とかそのような感じをお持ちになることも無理からぬことなんですよ。ただし、公共性を持ち、独立採算性を持つという使命、法律の趣旨から考えてみましても、やはり国鉄はかくあらねばならぬ、国鉄の財政はきょうはこうだが、この原因は何か、かくすることによって健全化するということの具体的な詳細な、事実に基づく、データに基づく対案がやはりあってしかるべきだと私は思います。しかし、国会で御答弁になるのはよろしいけれども、五十万近い職員を持っておる国鉄なんですから、もっと大胆に積極的に対案を社会に公表なさってしかるべきではないかと思うのです。その点は強く御要望申しておきます。近ごろ白書がはやります。国鉄の白書等によって精細なその根拠、対策等を明らかにせられんことを強く御要望をいたしておきます。  それから、今度対策の問題でございますが、私は、一つや二つのきめ手で即効薬というものはないと思います。やはりあらゆる角度から検討して対策が立てられなければならぬ。たとえば赤字路線がずいぶんとあるようであります。さらに新線の計画もずいぶんあるようであります。こういった赤字路線の将来を考えますと、やはりこれは重大な赤字源になることは必至と思うのであります。この場合に、鉄道敷設法ですか、法律によって大体固有名詞の線まで予定されておるようでありますから、その順位が具体的に審議会その他できめられるようでありますが、こういう方面に対しましても、去年の国会においてあなたにも御進言をし、あなたも同感とおっしゃっておりましたが、たとえばバス交通というところもあるのですから、何もそんな——ずうたいの大きい鉄道が唯一の交通機関というのは、これはもう馬車馬時代の社会です。今日のように超音速ジェット機の飛ぶ宇宙時代に入って、唯一の最重要な交通機関だということはもう取り消さなければいかぬ。だから、赤字路線につきましても大胆に何らかの方法で、たとえばこれをバスにかえるとか、今後は自動車にするとか、時期を見てまた鉄道を敷くとかなんとかいろいろな手を打ってしかるべきと思うのですが、こういう点につきまして国会みずからも積極的、能動的にあってしかるべきと私は思いますけれども、国鉄の当局として、赤字路線が赤字源の重要なものであるということの御認識があるならば、これが対策としてたとえば法律の改正とかあるいはその扱い方の改正とか、そういった面について強く私は対策がなければならぬと思うのですが、この点どうです。
  146. 石田禮助

    石田説明員 第一、国鉄の現状及び将来というものにつきましては、すでに御承知のとおり内閣によってつくられました交通基本問題調査会というもので、よく会合してうたってあるのであります。現在私が申し上げることもあの範囲を出ることはないと思うのであります。さらに、最近また運輸省国鉄問題について特別の委員会というものをつくりまして検討するということになっておりまするが、その結論はやはり同じことなんです。問題は、その実行をどうするかという問題にやはりその解決のめどはかかっておるわけです。これをやらなかったならば、何べん委員会をつくってみたところで、帰着するところは同じところなんです。  それから、今後の国鉄の問題でありまするが、まず私がさっき申しおくれたのでありまするが、国鉄自身の合理化に徹するということです。第一はやはり積極的の合理化、これは一生懸命に私がしりをたたいてやっておるのでありますが、企業精神を高揚して国鉄の投資効果をあげるということ、つまり旅客及び貨物運輸収入を上げるということ、この点につきましては、労働組合なんというものは、最近の国鉄人は営利にきゅうきゅうとしてとかなんとか言うが、私はけっこうなことだと思うのです。まだこれでも足らぬ。もっと営利心を出せというようなことで一生懸命にやっておるのであります。  さらに消極的の合理化というものにつきましては、これはすでに御承知のとおり、五万の人間を必要とするものを、新たに入れないで合理化によってこれをしぼり出して充てるというほどに、ずいぶん思い切った消極的の合理化というものをやっておるのであります。  さらに申し上げねばならぬことは、つまり終戦前における国鉄というものは日本輸送というものを独占しておった。その独占力というものは実に完全であっただけに、その収支というものは実にいい状態にあって、しょっちゅう政府に献金をする、しかも投資や何かにしましても、しりを追った投資でなくて、先へ先へ投資をして設備をしていったということでありますが、終戦後における国鉄というものは、独占力というものに非常に大きなひびが入りまして、収入というものは、増は増だが非常に鈍い。そこへ持ってきて、経費の増というものは、人件費の増が主因でありますが、この六、七年における増というものは一割以上ある。現在においては、人件費だけで経営費用の六割一分、六割二分を占めている。昔はこれが五割ぐらいだったというところに、国鉄収入の問題、さらに経費の問題というものが非常に悪化してきている。それでわれわれはさっき申したような、国鉄というものを、昔の頭のようにいかぬ、新しい頭でひとつ立て直しをやらなければいかぬということで、公共負担の問題であるとか、地方の納付金の問題であるとか、政府の出資問題であるとかいうことで申し上げたのでありますが、そのほかにただいまおっしゃった赤字線の問題がある。国鉄が現在やっておる二万七百キロのうちで、ほんとうに黒字というものは二割足らず、あとの八割というものは赤字線であります。その点からいくと、黒字線のプラスが千億に対して赤字線のマイナスが千四百億になっておる。しかし、この千四百億というものの中には、赤字線の中には黒字線に対する特別の扶養効果をなしておるものがありますので、実際に赤字線ということについて根本的のメスを入れなければならぬのは、まず七千キロから八千キロぐらいじゃないか。そうすると、それによる損というものは約六百億ぐらいになるのじゃないか。この点につきましては、われわれはいまの赤字線というものを、これは大勢からいくというと、収入は減りこそすれふえやせぬ、経費というものはますますふえていくということで、損は年々拡大するばかり、これはいかにして軽減するかということで、最大の努力を払っておるのでありますが、しかしやはり根本にメスを入れる必要があるということで、ただいま有力なる委員会をつくりまして、赤字線の始末をどうするかということを検討しておるのでありまして、近くこれは報告書が出ると思いますので、その上で政府なり国会にお願いしてこの解決をせねばならぬということに考えております。  さらに、つけ加えておかなければならぬのは、建設公団のつくる赤字線、これは国鉄としては、鉄道建設審議会の命ずるところによってやっているのでありますから、どうしろこうしろということはありませんが、少なくとも私としては国鉄のいまの財政状態から見て、現在の赤字線だけでも苦しんでおる国鉄に対して、これだけのものをまたおっかぶせられるということはたまらぬ、これをあえてやるという分には、政府がこれに対して補償するとかなんとかしてくれなければならぬということで、いまから予防線を張っておるのであります。ただ、この始末をどうするかということは、これは国鉄の力の及ぶところじゃない。鉄道建設審議会あたりできめる、あるいは国会なり政府がきめる、こういうことにお願いしなければならぬのであります。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はさきに、赤字線の解消の対策として、一方法として、法律の改正までいかねばなるまいと言ったのですが、これは例の鉄道敷設法の改正のことをさします。  そこで、赤字線が大半であり、人件費経費の六割以上維持、三年後には負債三兆円、利子支払いが二千億円をこえる、これはまさに企業なら倒産ですね。それならばこれをどう健全化し、回復するかということは、たいへんな問題だと思うのですね。そこでお考え方は、大体一貫してうかがえることは、やはりよってきたるところは国に責任があるということが相当強く打ち出されておるらしい。私は、これも一面もっともなことと思います。しかし、あなたは経済人ですから、釈迦に説明ですが、あえて申すのでありますけれども、昨年のポンド切り下げによる財政経済の斜陽化したあのイギリスの実態にかんがみましても、一切が国でやる。この間イギリスを視察してきた人のなまの話を私聞いたら、監獄を見せてもらったら、悪いことをして監獄に入った囚人が、どうも壁がきたないから塗りかえてくれ、はいはいと塗りかえる。テレビなんかもずっと見ているのだそうです。テレビを見て、壁を塗りかえて、そして社会保障は至れり尽くせり、働かぬでもよろしいというのがイギリスの風潮で、何もかも国だより、何もかも財政だより、親方日の丸で、国民みんな一緒に破産してしまいます。このことも私はやはり他山の石としてほんとうに頭において考えていきたい。  そこであなたのほうがすでにやっておいでになる座席予約券の売り出し、電算機を利用なさっておるあの制度であります。これは一つの卓見と申しまするか、当然といいまするか、非常に私どもあれは称賛をするのであります。四、五秒で座席の有無がわかりますからね。ぱっと打つとつっつっとすぐわかってしまいます、というようなことであります。  そこで、これは赤字路線の解消の問題、人件費解消の問題、建設費、金利負担の問題等々、具体的に取り組んでいく問題でありますが、もう一つ国鉄の体質、経営、財政的な体質にまでメスを入れる段階がきておるのじゃないだろうかと私は思うのであります。これにつきまして、すでにアメリカにおきましては、例のマクナマラ国防長官の導入によって有名になっておりますPPBSの方式でございますね。私は、国鉄は建設計画といい、資材といい、人間のそれといい、生産の実態といい、資産のあり方といい、そういう投資効果を測定するには絶好の場のような感じがしてならぬのです。あなたは財界人だからこの辺は——さきにも合理化、企業精神の発揮をしきりにおっしゃっておりまするから特に申し上げたいのでありますが、国鉄はこの際赤字解消の抜本対策といたしまして、予算作成にPPBSの方式を取り入れて、そして改善してはどうだろうか、ただし、これは最近、今月の九日、大蔵省の財政制度審議会にも一応の報告がされております。二月には大蔵省からアメリカに視察に行った結果も報告されておるのでありまするが、要は右から左にぱっと電算機を用いて座席をつかむように簡単にはいきますまい。幾多の豊富、精細な、かつ正確なデータが前提となって計画は立てられねばならぬ。しかし、いずれにしても国鉄財政の赤字硬直を打開するのは、私どもはこれ以外に手がないと見ておるのでず。大蔵大臣も大体において賛成、了承なんです。でありまするので、あなたは財界人だから、あなたの在任中にやはり赤字解消の抜本対策としてこの制度を取り入れるということになさってはどうだろうか、こういうふうに思うのでございますが、これは私自身もしろうとでありますから、そのこまかい精細な技術的な面等々はよく存じません。よく存じませんけれども、いずれにしましても詳細正確な資料が用意されて、そしてこれにたんのうな適切な技術者が用意され、いたしますと、この制度は国鉄などは絶好の導入の場でないか、こういう感じがいたしますが、これはいかがなものでございましょう。   〔鍛冶委員長代理退席、小山(省)委員長代理着席〕
  148. 石田禮助

    石田説明員 私は、国鉄の立て直しというものは、吉田さんがお考えになるようにそう悲観することはないと思うのですよ。要するそうむずかしい問題じゃない。解決は具体的に言うといろいろ問題がありますが、根本的において、さっき申し上げたように、政府というもの及び議会というものが、これまで国鉄にとったああいう冷ややかだ態度でない、もう少しあたたかい、ほんとうに育て上げるというような態度を持ってくだされば、私、そうむずかしい問題じゃないと思う。いままでは何でもかんでも国鉄に押しつけている、その態度がいかぬ。全く愛のないおやじが子供に対するようなもんです。だから子供はうまく成長するはずがないですよ。要するに、私は政府なり議会がもう少し合理的にそういう態度をとってもらいたい。そうして、いま申されたいろいろのことに関する問題でありますが、御承知のとおり、今度われわれがやっておるこの五万人の合理化というものは、ほんとうに近代化、機械化に即して徹底してやって初めてこの五万人の人間というものを、ふやさない、わきから入れないで、現在の人間をもってして五万人の人手を要する仕事がこれでできていくということなんで、この点については、私は国鉄としては御意見のようなことについてはほんとうに徹底してやっておる、今後ともやるつもりであるということを申し上げておきます。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカは一九〇〇年に入りまして初頭から、予算制度の改革につきましてはずいぶんと苦心した歴史を持っておるようでございます。すでに二〇年代に入りましてから、連邦の財政のごときも不正、乱費を防止するというコントロールのシステムを強く打ち出していくというふうな姿になったらしいですね。これはやはりいまの日本の財政制度、予算制度と類似しているようにも思われますが、しかし不正を防止する、乱費を防止するというのは大体この決算委員会が追及してきた目標でございまして、会計検査院もその点について力を入れていかれるのでございますけれども、私どもはその後、例の第一フーバー委員会が四九年に答申して、五〇年に例の事業別予算制度が法律化いたしまして、あれから投資効率というものが強く打ち出されてまいったようでございます。しかし、これすら日本におきましてはなかなか実施導入をしない。この予算、財政の制度はなれたやり方、なれた法律をうまく使っていくという人々は、なかなか新しい制度を導入することは容易じゃない。だからうまくいってなかった。うまくというか、なかなか容易に導入されなかった。ところがもう最近の実態は電算時代に入っておりますし、アメリカでは電算機四万台とかいっておりますね。まあそういうような時代に入っておりますので、あらゆる資料が合理的に整理されて、そうしてこれがデータとして集まってきて、準備をせられて事業の計画をして、そうしてその計画に必要な予算を組む。   〔小山(省)委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 ただし、これは唯一の方法ではなしに、一つの代案をいつも用意しておるようでございますね。これでいかなければこれというのでありますが、ということでありますので、その弾力的な道を開いておるようであります。そういうようなこともありますので、これは私は建設省あるいは運輸省運輸大臣にもこの点は申し上げてみたいと思うのでありますが、行政改革に伴いまして、当然わが国におきましても日程にのぼらねばならぬ時期が来ておると思うのでございます。これはすぐに導入、実用化にはいきますまい。いきますまいけれども、比較的早く実現し得るのが国鉄であって、もしこれが行ない得るならば、実行に移りましたならばむだがどこにあるか、効率があがっておるのかおらないのか、予算効果がどうか、そして、これはまずやるべきかやるべからざるか、あとに残すべきか先にやるかということを、たとえば運輸審議会においても新線というのは、こんなものはあと回しにしてもらいたいということをどんどん出して、一々それを受けなければならぬということはない。赤字路線をかかえて、また来年も借金がかさんでいく、そんなことでなしに、それではきりきり舞いしているだけですよ。根本、抜本対策として私はこの方法に踏み切るという時期に来ているのじゃないだろうか。あなたが官僚出身だったらこう強くいいませんけれども、国鉄は条件として一番いい総裁を持っておると思うのです。ですから、こういうような合理的な予算の効率を重視するところの予算制度、これをもって今後の計画に乗り出して、また国鉄の膨大な財政処理に当たるということになさってはどうだろうか。御準備がなければそういう技術、それからデータあるいは人間等々、そういうスタッフの養成なんかも、どこへでもやって勉強させたらいいと思うのです。そういうふうにして、人間も資材も資金も知能も一切をひとつ総合的に計画的に科学的に動員なさって、そうして抜本対策の一つとなさってはどうだろうか。これは総裁、御研究になってはいかがでございましょうか。
  150. 石田禮助

    石田説明員 ただいま吉田さんのお話のアメリカの鉄道、これは私的鉄道であるがゆえに私は別に申しませんが、われわれとしては国有鉄道である。いわゆる日本の国管鉄道である。これも始終見て、一体これに対して、政府というものは鉄道に対してどういう態度で臨んでおるかということを始終見ておるのでありますが、日本の国会にしましても政府にしましても、欧州における国有鉄道と政府との関係がどういうふうになっておるかということをひとつ研究をしてくださったならば、私は今日までの冷々淡々な態度というものは必ず是正せられることは大なるものがあると思う。要するにこの国鉄のいまの制度というものを根本的に変えるということは、これは大きな問題でありまするからして、現在の制度のもとにおいてでも、私はさっきから申し上げるような公共負担の問題と地方納付金の問題、あるいは通勤輸送の問題のときに、全く住宅政策の一環であるものに対しては、政府はこれは出資をするとか、さらに赤字線の問題をどうするとか、そうしてさらにさっきお話のあった運輸審議会の問題というものに対しても、何とかひとつこれを考えてくだされば現在の制度のもとにおいてでも国鉄の立て直しというものは十分にやっていける、こういうことに確信しておるのでありますが、まずひとつ隗より始めよで、政府や国会がもう少し態度をヨーロッパの政府並みにしてくれとは言わぬが、あれに近いように近寄ってもらいたい、こういうことをお願いせざるを得ない。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうもその辺はひとつ議論になってしまうのでありますが、私も、国会が輸送問題だけをやかましく言って、そして国鉄の財政問題に真剣に取り組むことが足りなかったようなことはやはり反省すべきだと思うのです。というのは、やはり国会は御承知のとおりに、山の上へでも鉄道を敷きますということを国会議員が奔走したならば、その議員は当選するのです。しかし、五千ある駅、そのうち何ぼか知らぬが、なくてもいい、人間がおらぬでもいい、そんなものはやめちまえということになりますと、村の陳情は、そんな議員さんは今度は落とさなければならぬということになるわけであります。そういうことでありますので、国全体の利益にかんがみまして行動するということについてとかく多くの制肘を受けるというのがいまの国会議員の実情でございます。これはみずから反省しなければならぬということはわれわれは絶えず思うし、また語り合っておる実情でございますので、これは言うならばまた国全体の体質の問題でもあります。でありますから、こうなってまいりますと目くそ鼻くそになってしまいますので、この点はわれわれも深く反省しながら、国は国として当然負担すべきもの、措置すべきもの、考えるべきことはほんとうに考えなければいかぬ。そうして公共の重大な輸送責任を持っておられる国鉄でございますから、よりよい状態改善していくということは、いずれにしましても全力をあげることは当然でございます。そういう意味におきまして、私はあなたの御意見をよく拝聴しておきたいと思います。  そこでちょっともとに戻るのですが、御出席になっている理事の方で、予算、財政の専門はどなたですか——それではあなたに伺いますが、いまのPPBSの問題ですが、これはもうすでにあなたのほうは電子計算機を入れて、そして座席の調査もおやりになるような非常に先覚的な一種の企業的経営をやっておられますが、これをさっそく導入いたしまして、研究して——私はアメリカの鉄道のことを言っているのではないのであります。マクナマラ国防長官、あの人が導入いたしましたあの予算方式を申し上げておるので、言うならばこれは第三次予算改革といわれております。フーバー委員会が第二次というなら、これは第三次といわれております最も進歩したものでございます。でありますので、やはりこれは国鉄は他に率先しておやりになるべきじゃないか、こう思うのであります。日程にのぼせることは当然です。これをしなかったら、おそらくいまの国鉄は何をぼんやりしておるのだと言われますよ。私は運輸大臣にも建設大臣にも言うつもりです。これがいけないのは一部の教育とかあるいは特殊な文化とか外交とかそういうものは効果、効率の測定はなかなかむずかしいと思います。それ以外のものはみないけます。労働省なんかもそうやっていると思います。一流の銀行はやっているでしょう。一流の銀行は、全国のどの支店、どの出張所に何ぼ預金があるかということがぱっとすぐわかるようになっているのです。でありますから、あなたのほうにしたって、たとえばいろいろな工作機械がありますね。大きな工作機械が遊んでいます、大きな土地が遊んでいますよ、大きなものが遊んだりいろいろしています。遊ぶものを置いておくようなことはおよそ不合理、不経済、ものの経済性を没却したことであります。全国のどこにどんな人間が、どんな機械がどれだけあってどうやっているかということがぱっとわかるようにしなければだめです。それをしなさいというのです。必要でないところはやめなさいというのです。ぱっと機械でやるならば、たとえば電子計算機を用いたことによって五百人の人が百人で済むということがあるのです。そうしたら四百人をもっと有効なところに使いなさい。一々首切りなさいとは言いません。しかし若い者を要らぬところに使うということ、能力のある人を要らぬところに使うということは、人間に対する冒涜です。要らぬ者は首を切ったらいいでしょう。けれども人間として生活できるだけちゃんと保障しなさいということになります。  要するに合理化というのは、縦、横立体的にやらなければいかぬと私は思うのです。その辺を申し上げているのです。だからこれはどこよりも当然一番先に取り組まなければいかぬところです。建設省はいよいよやりますよ。企画庁も一生懸命やっております。通産省も特殊な事務官が一生懸命取り組んで研究しております。おもしろいことに法務省まで研究しようとしております。  それから外国のいろいろなデータが出ていますが、たとえば交通被害、そういうデータなんかずばりずばりと出してきますね。こういうような時代ですから、国鉄みたいなところは百年間の企業体験を持った国鉄が、財政についても先べんをつけて改革していくということなくして、赤字でござい、国がどうの、国会がだらしない、そんなことを言うておる時代じゃありません。みずからの体質を改善なさって、そしてほんとうにやり切って、そうでなかったならば対決するくらいの姿勢でいきなさい。へっぴり腰はだめですよ、私はそう言いたいのです。だから、あなたもその当局なら、その点責任を持って答弁さい
  152. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいまの先生の御意見でございますが、国鉄ではすでにコンピューターにつきましては、そうした部局がございます。それに対する職員の養成というような点につきましても、学園に設備をいたしております。  現実には、先ほど御指摘のように旅客輸送では座席予約装置、貨物におきましても郡山のヤードを自動化するという点について、コンピューターを導入いたしております。さらにことしの秋からの時刻改正におきまして、列車の到着予報あるいは地域間急行等につきましての到着予報という点も営業面にも取り入れております。  さらに内部の管理につきましては、ただいま御指摘のように資材の管理あるいは決算の管理、この前提といたしましては、もちろん勘定体系と申しますか、伝票の近代化、電算機に合うようなものを考えなければならぬと思うのであります。これも現在準備いたしております。すべての職員管理につきましてコンピューターを導入しつつございます。  ただいま御指摘予算の問題につきましても、先般大蔵省あるいは企画庁の方面からもそういう示唆がございますので、私どもといたしましては前向きにそういうかっこうで、予算その他につきましても考えていかなければならない、こう考えております。
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わりますが、ちょっと一言……。私責めようとするのじゃございませんが、コンピューターの使用につきましては、日本でも大体三千ぐらい使っているらしいのです。これもわかっているのです。それから国がいろいろとあっちこっち、労働省その他使っているので、数十億の金を出しているのです。これもわかっておるのです。わかっておるのですけれども、その段階じゃないと言うのです。それなら、アメリカでは四万使っていますよ。しかし、きのう聞いた話ですが、たとえばニューヨーク市の財政をやはりPPBSを導入したいというので、ハーバード大学なんかへ行って研究しておる。つまりそういうスタッフを養成しておるのです。だから、それは四万もコンピューターの使用はされて、断然世界的に群を抜いていますよ。それでも研究し調査して、そしてPPBSをいかに財政的にほんとうに活用していくかということの努力をしておるようです。ですからそれを私は言うのです。だからいまごろ電算機を使っていますということをえらい大きな声で言われても、そんなにほめたことでも何でもありません。あたりまえのことです。珍しく思うだけまだそのほうはおくれているわけですね。そういう意味におきまして、国鉄はやれると思うのです。すぐには全部できますまい。しかし国鉄ならやり得る条件がずいぶんあるようにどうも思われますので、しろうとながらこれは総裁に進言いたしたのです。ひとつこの点は専門家も十分にお集めになりまして、世界の優秀な実績を取り入れて、そして国鉄改善の根本施策、国鉄財政改善といいますか、さらにまたそれは同時に輸送の完ぺきを期する、昔の、国鉄こそ誇るべき国の交通動脈なりというようなそういう時代の再現でもひとつ夢みて、この財政改革と取り組んでいただきたい。総裁の御決意を伺って、きょうはこれで終わります。
  154. 石田禮助

    石田説明員 吉田さんのおっしゃることはごもっともであります。それでさっきも申し上げましたように、機械化、近代化の問題につきましては、来たる十月一日には五万の人間を要するやつを現在の四十七万のうちから機械化、近代化によってしぼり出していくということで相当にやっておるつもりでおります。  そのほかの経営改善につきましては最善の努力を尽くしますので、どうぞひとつ政府及び議会におかれては何とか御尽力願いまして、もう少し国鉄をかわいがってくださるようにお願いいたしたいと思います。      ————◇—————
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十一年度決算外二件中外務省所管の審査のため、海外技術協力事業団及び海外移住事業団より参考人として関係者の出頭を求め意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人出頭の日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十七分散会