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1968-04-04 第58回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 四宮 久吉君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君       長谷川 峻君    早川  崇君       水野  清君    赤路 友藏君       勝澤 芳雄君    中村 重光君       芳賀  貢君    森本  靖君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  久保田円次君         文部大臣官房会         計課長     井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         文部省社会教育         局長      木田  宏君  委員外出席者         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月三日  委員森本靖君及び鈴切康雄辞任につき、その  補欠として石橋政嗣君及び浅井美幸君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員勝澤芳雄君、柳田秀一君及び浅井美幸君辞  任につき、その補欠として中村重光君、赤路友  藏君及び鈴切康雄君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員赤路友藏君及び中村重光辞任につき、そ  の補欠として柳田秀一君及び勝澤芳雄君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (文部省所管)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は文部省所管について審査を行ないます。  まず文部政務次管より概要説明を求めます。久保田文部政務次官
  3. 久保田円次

    久保田政府委員 昭和四十一年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算概要を、御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計歳入につきましては、歳入予算額二億六千九十四万円余に対しまして、収納済み歳入額は一億五千六百九十五万円余であり、差し引き一億三百九十八万円余の減少となっております。  次に、文部省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算額五千二百七十一億二千二百五十九万円余、前年度からの繰り越し額二十九億一千五百三十三万円余、予備費使用額十六億七千五百五十七万円余を加えた歳出予算現額五千三百十七億一千三百五十万円余に対しまして、支出済み歳出額は五千二百九十六億二千八百四十七万円余であり、その差額は二十億八千五百三万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は十一億九千三百五万円余で、不用額は八億九千百九十七万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、義務教育費国庫負担金二千七百六十六億一千六百三十一万円余、国立学校特別会計へ繰り入れ千六百三十三億一千九百五十七万円余、科学技術振興費五十四億二千五百二十三万円余、文教施設費二百六十四億六千八百四十八万円余、教育振興助成費三百三十八億六千八百六十五万円余、育英事業費百四億九千六百六十八万円余、青少年対策費二十五億九千二百三十五万円余となっております。  次に、翌年度繰り越し額十一億九千三百五万円余についてでありますが。その内訳のおもなものは、文教施設費で、用地の選定、気象条件設計変更等により、工事施行不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額八億九千百九十七万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、教育振興助成費のうち要保護及び準要保護児童生徒就学援助費を要することが少なかったこと等の理由によって、不用となったものであります。  次に、文部省におきまして、一般会計予備費として使用いたしました十六億七千五百五十七万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、義務教育費国庫負担金に要した経費であります。  次に、文部省所管国立学校特別会計決算について御説明申し上げます。国立学校特別会計収納済み歳入額は千九百八十五億五千二百二十九万円余、支出済み歳出額は千九百七十三億二百八十四万円余であり、差し引き十二億四千九百四十五万円余の剰余を生じました。  これは国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了しました。  その内容について御説明申し上げますと、まず、歳入につきましては、歳入予算額千九百七十一億八千九百五十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は千九百八十五億五千二百二十九万円余であり、差し引き十三億六千二百七十三万円余の増加となっております。  次に、国立学校特別会計歳出につきましては、歳出予算額千九百七十一億八千九百五十六万円余、前年度からの繰り越し額十二億七千八百六十万円余、昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条第一項の規定による使用額三千三百八十一万円余を加えた歳出予算現額千九百八十五億百九十八万円余に対しまして、支出済み歳出額は千九百七十三億二百八十四万円余であり、その差額は十一億九千九百十四万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は四億四千二百三十一万円余で、不用額は七億五千六百八十二万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、国立学校千百三億八千七百三十万円余、大学付属病院二百八十四億九千七十五万円余、大学付置研究所百四十九億二千百二万円余、施設整備費四百十六億五千四百八十五万円余となっております。  つぎに、翌年度繰り越し額四億四千二百三十一万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費で、設計変更用地関係、資材の入手難等により、工事施行不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額七億五千六百八十二万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費のうち学校施設費で、学校財産処分収入予定より少なかったのでこれに伴う施設費を要しなかったこと等の理由により、不用となったものであります。  次に、国立子校特別会計におきまして予備費として使用いたしました金額は一億一千四百六十万円余でありまして、これは、国立学校施設災害復旧費等に要した経費であります。  なお、昭和四十一年度予算執行にあたりましては、予算の効率的な使用経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項三件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところと存じます。今後、このようなことのないよう適切な措置を講ずるとともに、予算執行等にあたり留意を要すると認められた事項についても慎重に検討の上適正な経理を行なうよう、より一そうの努力をいたす所存であります。  以上、昭和四十一年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
  4. 大石武一

    大石委員長 次に、会計検査院当局より検査概要説明を求めます。石川会計検査院第二局長
  5. 石川達郎

    石川会計検査院説明員 昭和四十一年度文部省決算検査概要説明を申し上げます。  検査報告不当事項として掲げましたものは、補助金に関するもの九事項七百六十三万九千十五円でございます。これは文部省所管国庫補助金のうち、初等中等教育助成費産業教育施設整備費社会教育助成費学校給食施設整備費及び私立学校助成費関係国庫補助金経理におきまして、補助金対象とならない経費を含めたなどのため事業費を過大に精算しているもの、補助対象施設が未完成で補助目的を達していないもの、補助対象設備の大部分を購入していないのに購入したこととしているものにつきまして指摘したものでございます。  なお、以上の不当事項のほか、要保護及び準要保護児童生徒就学援助事業の運営及び国立学校土木工事工事費積算につきまして留意を要すると認めたものを指摘してございます。
  6. 大石武一

    大石委員長 これにて説明の聴取を終わります。
  7. 大石武一

    大石委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義
  8. 華山親義

    華山委員 ただいま御説明のありました中で、要保護及び準要保護児童生徒就学援助費、これを含みまして不用額が八億九千万ほど出たのでございますけれども、これは、地方から出てまいりまして、文部省が出すまでにどういう手続を経てなさるものでございますか、伺いたい。
  9. 井内慶次郎

    井内政府委員 検査報告にございます昭和四十一年度文部省関係不用額のうち、その主たるものが学校給食関係でございますが、その中身は、食糧管理特別会計に繰り入れまする金額が、約一億四千三百万、それから要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金に関しますものが約一億九千四百万、その高度僻地学校児童生徒パンミルク給食費補助金約五千三百万、学校栄養職員設置費補助金一千百万、夜間定時制高等学校夜食費補助金二千百万、学校給食施設整備費補助金四千六百万等が不用と相なったものでございます。それぞれ学校給食関係につきましては、ただいま申し上げましたように、いろいろな事項があるのでございますが、要保護及び準要保護児童生徒の数が、予算編成期と比較いたしまして若干変動をいたしましたり、あるいは市町村におきまして、学校給食施設設備整備予定よりもおくれまして、学校給食対象となりまする子供の数、これに要しまする小麦粉の数量等が、当初見込みよりも減少いたしまするので、それぞれの地方団体からの補助申請は、通常の補助金申請と同じ形で出てまいるわけですけれども、特別学校給食関係あるいは要保護、準要保護児童関係で、特別の補助金交付までの手続があるということではございませんで、見込みにおきまして当初の計画よりも下回った、この結果不用に相なったものでございます。
  10. 華山親義

    華山委員 私、伺いましたのは、この要保護及び準要保護児童生徒就学援助費でございますけれども、これは市町村等から文部省のほうに申請があって出されるのかと思いますけれども、あるいは概算でも渡しておいてやるのかどうか。そんなことはあるまいと思いますけれども、地方文部省の間におきまして、どういう手続を経てなされるのかということをお聞きしたわけでございます。要保護及び準要保護児童生徒就学援助費につきましての出し方につきまして、順序をお聞きしたい。
  11. 天城勲

    天城政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘のように、市町村援助費を実施している前提で、それに対する補助金でございますので、市町村から対象児童数その他についての申請前提にいたしまして、それを精査の上で補助金を交付することにいたしております。
  12. 華山親義

    華山委員 この問題につきまして、会計検査院年度末に金がいく場合が多くて、そして予算を立てた目的が達せられない、改善をすべきだということを指摘しておりますけれども、いまのような手続をとってまいりますというと、どうしてもおれがちになるのであって、私は、考えようによってはこの効果が薄れるということはもちろん会計検査院指摘されるとおりだと思いますけれども、いまの手続では救いようがないのではないかとも考えられますけれども、どういうものでございますか。——もう一ぺん申し上げましょうか。いまのような手続でございますと、幾らくらいの金がかかった、かかるということは一年たってみなければわからない。それを文部省のほうに言ってくる。文部省はそれに応じて金を出すということになれば、清算的なことで、年度末に金がいってしまうということになりはしないかということをお聞きしているわけです。
  13. 天城勲

    天城政府委員 これは先ほど私ちょっと申し上げましたように、市町村で就学困難な家庭に対して経済援助をするということを前提に、それに対する補助金でございますが、その援助範囲につきましては、いわゆる準要保護児童というもので、その準要保護児童範囲というものはどういうものかということが制度的には大体見当がつくことになっております。ただ個々家庭認定の問題は別でございますが、ばく然としたものではございません。それで、毎年やっていることでございますので、大体どのくらいかということは町村でも見当がつくわけでございます。私たち、いま御指摘のような点がないようにということで、毎年年度の初めに早く市町村の割り当てをしたい、こういう前提市町村申請を督促いたしておるのでございます。これは全体としてはそういう方向で市町村が動いているのでございますけれども、若干市町村会関係で議決がおくれたりすることが出てまいりますために、やや全体のテンポがおくれる傾向がございますけれども、方法としては、いま御指摘のようなことがないように年度当初からいろいろ指導するなり督促するなりしております。
  14. 華山親義

    華山委員 若干とおっしゃいますけれども、実地検査を見た結果によりますと、相当部分年度末にいっているようでございます。これは文部省が悪いのではなくて、市町村のほうがそういうふうな手続を早くやらないということかとも思いますけれども、これは、どうしたならば会計検査院指摘され、留意を求められたようなことを改善できるかということにつきまして、何か具体的な方法ございませんか。
  15. 井内慶次郎

    井内政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、昭和四十一年度実情を申しますと、大部分の要保護、準要保護補助金交付決定をいたしましたのが、文部省自体が大体十一月の末ごろでございます。それで、いま先生御指摘のように、要保護、準要保護子供認定でございますとか、相当事務もむずかしゅうございます。それで、文部省といたしましては、予算成立後できるだけすみやかに内示の時期を早める、文部省自体補助金交付決定の時期を早めるということが一つの点かと思います。それで、四十一年のことにかんがみまして、四十二年は従来の大体十一月末を八月にまで補助金交付決定の時期を文部省自体も早めることにいたしました。ただし、文部省自体補助金交付決定の時期を早めましても、いま御指摘のように事業を実際にやりまする市町村が早く金を出してくれませんと、結局三月ごろになって出すということになり、その間だれかが立てかえておるということに相なりますので、都道府県の教育委員会を通じまして、市町村に対しまして、本事業につきましては市町村ができるだけすみやかに金を交付するように指導いたすことにいたしまして、四十二年の十二月五日に、こういった趣旨を織り込みました局長通達を発しまして、ただいま指導いたしておるところでございます。  もう一度まとめますが、市町村に可及的すみやかに金を交付させる、そのためには文部省内示を早めて、文部省補助金交付決定の時期もできるだけ早くする、ただいま文部省といたしましてはそのような点を努力しておるところでございます。
  16. 華山親義

    華山委員 大学特別会計施設設備費につきまして、いろいろな点で文部省にこの方面の技術的な欠点があるようなふうに会計検査院指摘をしておりますけれども、その点について御反省はどうでございますか。
  17. 菅野誠

    菅野説明員 ただいま御指摘のように、先ほど検査院からのお話もありましたように、施設関係につきましては留意事項といたしまして、土木工事使用する機械の性能、作業工程等について調査、検討をもっと厳重にしたらよいのではないか、それから土木工事関係積算基準文部省関係においては十分でなかったのではないか、したがって、第三として積算実情に合わない点がありはしなかったかというような留意事項の御指摘を受けたのでございます。  これにつきまして私どもも若干反省するところがあったわけでございます。御案内のように、近年大学工事につきまして、従来は建築工事が主でございましたために大学施設設備関係についての建築技術職員相当数あるのでございますが、土木工事技術職員がほとんどなかったというような関係にありまして、まことに御指摘の点につきましては反省する点があるのでございます。特に、最近大学統合等増加してまいりますと、敷地造成その他の土木工事が逐年増加傾向にありまして、専門技術者の採用が特に内部でも要望しておるところであったのでございます。なお、積算基準につきましてもこのように土木工事が多くなってまいりますと、これについても何らか方法を講ずる必要ありということで、その資料収集などにつきまして鋭意努力してまいったところでありますが、この留意事項趣旨をも考慮いたしまして、さしあたって次のような改善を私ども考えておるところでございます。  第一には、技術系統職員研修をやはり土木関係についてももっと厳重にやる必要があるということでございまして、引き続いて研修計画もしておるのでございますが、去年の秋に各ブロックごと施設部課長会議を開催いたしました際にも、検査院からの御照会を受けた事項等につきましてそれに対する対策等を指示いたしまして、同じような照会を受けないように現場指導徹底につとめるということをいたしました。  第二に、十二月になお全国の国立学校施設部課中堅技術職員を集めまして、この場合に従来建築ばかりやっておったのでございますが、特に土木工事に関する研修の講座を設けまして、関係建設省の講師を招いてこの研修を行なったということもございます。  さらに、積算基準についてでございますが、これについてもさっそくつくるように準備を進めております。最後に、これらのことにつきましては、やはり土木職員を新たに管理局に配置する、いままで専門職員がおらなかったものですから、御指摘のようなことになったのははなはだ遺憾でありますので、この点職員増加することにつきましては時節柄非常に困難であったのでございますが、会計課長のいろいろ御指導等もありまして、内部操作を行ないまして、土木職員が四十三年度からは採用できるという見込になっておりまして、ただいま建設省の担当のほうとも相談いたしまして、四月十六日付で発令予定ということにいたしまして鋭意改善をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。
  18. 華山親義

    華山委員 私、しろうとでございますけれども、建築専門家土木研修をちょっとやったってなかなかそうできるものじゃないんじゃないかというふうな気もいたしますし、それから新しく土木専門職員を採用するといっても、大学を出たばかりのような人を採用したところですぐに役に立つものでもないように思われますし、とにかく、日本には土木専門家がいられるわけでございますから、たとえばある期間だけでも建設省職員とそれから文部省建築関係職員等との交換をするとか、何か相当経験者土木技術者を入れないと間に合わないんじゃないですか、その点、いかがなものですか。
  19. 菅野誠

    菅野説明員 おっしゃるとおりでございまして、土木職員の今度の予定につきましても、初心者ではすぐ役に立たないということもありますので、建設省のほうと相談いたしまして専門職員のものを、建設省としても文部省に移すということでなくて、二年間の出向という形で順次交代して、専門の、上級甲相当優秀な者を文部省に出向させてもらう。もらい切りにするとよくない点があったりすると困るということで、随時また交代するということ、特に文部省関係土木職員としては今回が初めてになりますので、特に優秀な者をもらうという話し合いを進めておりますので、御指摘の点を十分尊重いたしましてやっておるつもりでございます。  なお、建築関係職員土木講習をしてもあまり効果はないんでないかという御指摘もあったのでございますが、やはり現場建築職員が非常に多いものですから、ある程度の常識的な一般土木的なことも技術者としてやはり積算等について十分これを理解する必要がありますので、その意味において十分講習による指導をいたしておるのでございます。
  20. 華山親義

    華山委員 次に伺いますが、最近文部省出版物に掲載されようとした、あるいはされたのかもしれませんが、そういうことにつきまして問題が出ているのでございますけれども、文部省にはどれだけの出版物があるのですか。会計課長からでも総括的に御説明を願います。——お調べになっていられるかと思いますけれども、それにつきましては、一つ一つの不定期なものは別といたしまして、定期刊行物につきまして、もっぱら市販によるもの、それから市販するとともに文部省がこれを買い上げて無料で配布するもの、及び全然市販はなされないでもっぱら文部省で印刷しましてこれを頒布するもの、こういうふうに分けて調査してございますならば、そういうふうなことでお聞かせ願いたいと思います。
  21. 井内慶次郎

    井内政府委員 文部省定期刊行物の件でございますが、無償配布をいたしておりますものと、それから有償で頒布の形に相なっておりますものと二種類ございます。有償で頒布いたしておりますもののやり方といたしましては、文部省で若干部数庁費で買い上げて配る場合と、それからもう一つ文部省版権を持っておりまして、特定のところから発行させる、それで、出版権設定をいたしますので、定価の大体三%を版権料といたしまして国庫に納入させる、そういうやり方をとっております。無償配布のものといたしましては、僻地教育関係資料施設月報教育委員会月報等無償で配布いたしております。それから有償で頒布いたしておるものといたしましては、文部時報統計教育初等教育資料中等教育資料産業教育厚生補導等大臣官房、初中局、大学学術局にまたがっております。  なお、御参考までに申し上げてみますと、ただいま申し上げましたうちで、出版権設定いたしまして販売させておるものがございますが、これにつきましては毎年度文部省予算におきまして一定収入見込みを立てるわけでございます。四十三年度予算に即して御報告申し上げますと、先ほど申し上げましたうちで、初等教育資料中等教育資料産業教育教育委員会月報文部時報統計教育厚生補導、こういったものは、出版権設定をいたしまして、そして定価の三%が印税として入ってまいるということで、歳入見込み予算の中に計上させていただいております。  なお、教育委員会月報につきましては、文部省のほうで印刷をいたしまして、文部省が配布いたしますものが一定部数ございまして、それ以外に同じものを出版権設定いたしまして売らしておる、その二様に相なっております。
  22. 華山親義

    華山委員 私はこの点、財政が現在のような状態でございますし、文部省全体といたしまして、部数なりあるいは重複する点がないのかどうか。私具体的に調べないで申し上げるのは恐縮ですけれども、検討をお願いいたしまして、その点の節約をひとつやっていただきたいと思うのでございますが、その出版のための文部省経費というものは、一体総額どのくらいになりますか。
  23. 井内慶次郎

    井内政府委員 具体的な個々のものにつきましての計数は、後ほど資料で御説明にあがろうかと思いますが、出版権設定等をいたしますものにつきましては、文部省編集をいたしまして出版権設定をいたしますので、編集に要する経費の中心は、原稿執筆謝金とかそういった謝金類が若干必要に相なってまいります。それで、文部省無償配布をいたしておりますものの中で、最もまとまったものを毎月発行いたしておりますのは教育委員会月報等でございますけれども、教育委員会月報につきまして、予算の中身をちょっと御説明申しますと、文部省予算事項の中に、文教施策の普及指導という経費が約二千三百万円ほどございます。この中で教育委員会月報編集し、これを印刷いたしまして、六千部無償で配付いたしておりますが、これに要します経費といたしましては、大体百五十九万五千円を教育委員会月報関係関係予算といたしております。それ以外のものにつきましては、大体先ほど申し上げましたように、謝金類が若干ということでございます。
  24. 華山親義

    華山委員 いま教育委員会月報のいろいろお話がございましたが、教育委員会月報には部外の人に対する謝礼というふうなことはあり得ると思います。部内の人が執筆しているものが多いようでございますが、これは何か出版するほうからなり、これは文部省から出ないと思いますが、出るのですか。
  25. 井内慶次郎

    井内政府委員 文部省は他の省に比較いたしまして、資料による助言と申しますか、それが非常に多い省でございますが、文部省の原稿を書きました場合の執筆謝金の扱いにつきましては、定期刊行物編集いたしております局が分かれておりますので、その定期刈行物を編集いたしております局の人間が書いたときはいかなるときももちろん謝金は出さない。謝金を出す場合は、文部省の省外の、外部の方に依頼した場合、それと省内で他の局の人に依頼した場合、この二つの場合を謝金を出す場合の対象といたしまして全般的に扱っております。
  26. 華山親義

    華山委員 私、それはそういう慣行だと思いますが、省外の人に謝礼を出すということはもちろん考えられますが、主管する局員には出さないけれども、文部省職員でもその局以外の人には謝礼を出すというのは私ちょっと了解しかねるのですが、これはどうなんですかね。そのことによって教育委員会月報の値段も高くなるでしょうし、文部省の買い上げ値段も高くなるということになるんじゃないだろうか。そういうことは同じ文部省の中で、しかし教育行政は相関連するのであるから、たとえその局につとめておらなくともその人が執筆をするということは、文部省職員として当然なことなのであって、謝礼を出すということ、これはおかしいと私は思うのですが、これはなお全部の官庁について、文部省ではそうだとすれば、調べてみなければいけないと私思っておりますけれども、どういうことでございましょうか。何か理由でもあって、沿革でもあってそうなっているのですか。
  27. 井内慶次郎

    井内政府委員 ただいまの華山先生のような御意見もあろうかと思いますが、文部省といたしましては、それぞれの刊行物編集責任と申しますか編集のしかたが、それぞれの局の立場でやっておりますので、局外の人に書かせますときには、その局のほうから執筆依頼の形を形としてもとっております。それで局以外の人が執筆をいたします場合には、整理といたしましては、職務外で執筆をいたしたということで、編集をいたします局以外の者の執筆に対しましては謝金を出そうということで現在扱っているところでございます。
  28. 華山親義

    華山委員 たとえば教育委員会月報につきまして考えますと、地方教育委員会のことを対象にされると思うのでありますが、教育委員会でやっている仕事には、たとえば文化財の保護の問題がある。したがって、教育委員会月報等を通じていろいろ文化財の問題の啓発というふうなこともあると思いますが、その他に、地方教育委員会の仕事についてですから、文化財の仕事をしている人は、自分の仕事上、当然これに書かなくちゃいけない。そういう人に、この月報の所管が初等中等教育局だからといって、文化財関係の人の執筆原稿について謝礼をするというのは私はちょっと解せないのですがね。これは大臣がおいでにならなければ次官でもよろしゅうございますし、天城局長でもどなたでもよろしゅうございます。
  29. 天城勲

    天城政府委員 確かにそういう御指摘はあると思いますが、私たちのいまやっております考え方といたしましては、それぞれの所管の局で定期刊行物を出すのは、その局の行政上の専門的な指導助言の一つ方法として行なうという前提があるものですから、一応所管の担当者が執筆する限りは本来の行政の仕事である、こういう前提があるわけでございます。たまたま教育委員会月報教育委員会という機関を対象にいたしておって、非常に広いために、文部行政に全面的に関係するではないかという御指摘はごもっともでございますが、本来初中局でやっておりますのが、教育委員会の組織及び山方教育行政の運営の問題、それから教職員の問題というのが主体でございまして、それに関しての専門的な助言指導の一環として専門誌の編集、頒布をやっておりますから、たまたまそういうものが教育委員会にいきますので、教育委員会関係者として、ある場合には文化関係の問題、ある場合には文化財問題等をそれを使って指導するなり意思を伝えるということも一つ方法でございますので、それを利用している。そのために、いわば本来初中局の人でないので、そういう方にこちらからお願いして書いていただくという意味で文部省内でも謝金を出すというような形にいたしておるわけでございます。その考え方が妥当でないという先生の御指摘でございますが、私たちは従来からそういう考え方をとっておるわけでございます。
  30. 華山親義

    華山委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に御検討を願いたいのでございますが、ただいま問題になっておりますことは、これは一例でございますが、教育委員会月報というものがあり牛して、対象地方教育委員会、そういうものに対するいろいろな助言あるいは啓蒙、そういう目的でお出しになっておる。それでこの原稿料は一体どうかということに触れたのでございますけれども、初等中等教育局内の職員の執筆したものには謝礼を出さないけれども、文部省職員であっても初等中等教育局以外の職員につきましては謝金を出しているということでございます。しかし教育委員会の仕事は非常に幅広いわけであります。たとえば文化財の問題にいたしましても、これは教育委員会でやるわけでございますが、文化財関係文部省職員が執筆したものには謝金を出す、私はおかしいのじゃないかと思う。文部省は全体として教育の振興につとめるべきであって、その一つの仕事である教育委員会月報、そういうものにつきまして執筆したからといって、他の局の者であるならば謝金を出すあるいはもらうというような制度は改めるべきじゃないか、こういうふうにいま申し上げているところでございますが、大臣いかがお考えになりますか。
  31. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育委員会月報を初中局で編さんをいたしておるわけでございます。初中局が編さんの主体である、こういう考えのもとに初中局の者が書いておるときには原稿料は出さないが、よその方にお願いして原稿を出していただく、こういうような場合には若干の原稿料を差し上げる、こういうしきたりになっておるように私は聞いておるのであります。実は原稿にもよりけりだろうという気もいたしますが、それが文部省として地方の人たちに対する指導のために、あるいは仕事の解説のために、こういうことで文部省の、たとえば文化財なら文化財としまして、そういうことをやる必要があるというのでこの月報を活用してやっていく、こういうふうな場合になりますと、御指摘のように、いかにもおかしいじゃないか、こういう御感想も無理からぬように思います。おそらく従来は編集の主体ということと、他の方にお願いするというような気持ちから出しておるのだろうと思いますが、いま申し上げましたように、原稿をいただいた関係において考え直さなくてはならぬ点もあると存じますので、これはなおひとつ検討さしていただきたいと思います。
  32. 華山親義

    華山委員 とにかく自分の局のことならやる、しかしよその局のことならお礼でもくれなければやらないという気持ちがあってこの編集に支障を来たすというならば、お役人の方々の気持ちから改めていただかなくてはならぬと思うのです。私は、おそらくそういうことからこういう慣行ができているのじゃないかというふうに考えております。その点、役人の気風の問題からも出ておると思いますので、全体としてひとつ改めていただきたいと申し上げておきます。私、文部省のみならず、ほかの省のことも研究してみます。
  33. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お気持ちはよくわかるわけでございますが、ほかの局だから原稿料を出さなくては書かぬという気持ちがもしあるとするならば、これはしかるべからざることは当然のことであると思いますが、こちらから頼んで原稿を出してもらうというふうな気持ちから従来やっておるのじゃないかと思います。その辺のところはひとつよく検討さしていただきたいと思います。
  34. 華山親義

    華山委員 ときに、最近今村審議官のことでたいへん問題になっておるようでございます。私、このごろ参事官だ、審議官だ、いろいろなものが出てわからないのですが、審議官というのはどういう仕事をする官名ですか。
  35. 天城勲

    天城政府委員 法令に即して申し上げますが、私の局で申しますれば、文部省組織令に、「初等中等教育局に審議官二人を置く。審議官は、命を受け、初等中等教育局の所掌事務のうち重要事項に係るものを総括整理する。」こういう規定になっております。要するに、局長の命を受けまして、初中局の所管事項のうちこれを担当せよ、重要事項についてこれとこれを、各課がございますから、まとめて整理するという特命を受けて仕事をしているわけでございまして、次長というようなことではございません。
  36. 華山親義

    華山委員 そうすると、このたびの教職特別手当ということにつきましては、局長が今村審議官にお命じになったわけですね。
  37. 天城勲

    天城政府委員 私のところ、審議官二人おりますが、一人の審議官が主として行政財政関係、一人の審議官が教育内容関係というふうに、あらかじめ局内の仕事の総括整理を命じてございます。
  38. 華山親義

    華山委員 この教職特別手当の問題について、局長が特命をもってお命じになったのではなくて、そういうふうな仕事の分担があったからやった、こういうことでございますか。
  39. 天城勲

    天城政府委員 いま申した行政財政を主として命じておるわけでございますが、その仕事に地方課の所管の仕事が入っておりまして、いま申し上げた、いま問題の教育委員会月報編集、発行がその他の仕事でございますので、あらかじめ担当の審議官に、その仕事を命じておるわけでございます。特にどういう記事を書けと言って、具体的に依頼しておるわけではございません。
  40. 華山親義

    華山委員 私は感じ上、少しルーズだと思いますね。審議官は局長の命令によってその仕事をやるということになっておるでしょう。ただ抽象的に、おまえはこれとこれをやれということになるのですか。具体的に命じているというようにその規定は見えますけれども、それはどういうことなんでしょう。審議官の仕事のところを読んでください。
  41. 天城勲

    天城政府委員 先ほど申し上げましたように、「初等中等教育局の所掌事務のうち重要事項に係るものを総括整理する」という規定でございます。
  42. 華山親義

    華山委員 ですから、これは重要事項だからあなたやれと言ったのじゃないのですね。ただばく然と、おまえはこことここの課を持っておる、重要であろうと重要であるまいが持っておれということであって、具体的に重要事項というならば、一つの具体的なことがなければいけないのじゃないですか。
  43. 天城勲

    天城政府委員 もっと具体的に指示しているかというお話でございますけれども、いまの御指摘の問題は、具体的な事項について指示することはございます。たとえば関係の法案の準備並びにそれの解説をするとかいうことは具体的に命じております。
  44. 華山親義

    華山委員 そうすると具体的にお聞きしますが、ただいま問題になっております教職特別手当につきましては、今村審議官に、特に具体的に指示したということはない、こういうことに了解いたしましてよろしゅうございますね。
  45. 天城勲

    天城政府委員 教職特別手当の問題は立法の問題でございますので、特にもっと広く教員の給与の問題でございますが、給与それから給与の改善に関しては、担当審議官に総括整理を命じてございます。特に今度の法案の問題につきましては、法案整理については中心になってまとめるようにこれは指示してございます。
  46. 華山親義

    華山委員 わかりました。ここは決算の場でございますから、私は今村審議官の書かれた内容につきまして、かれこれ深くものは申しません。他に文教委員会なり等でいろいろ御審議になることと思いますけれども、もう御承知のとおりに、あまりにもこれは内容がひど過ぎる。たとえばこの中で申しますと、管理職手当というものは今度は出ない、特別手当が出るというと、校長先生や教頭先生は御不満かもしれませんけれども、来年の四月には必ず出るんだから安心していただきたいというふうなことが書いてあるのです。これは何か大蔵省との問ででも、来年からは管理職手当というものは増額するという話し合い、約束でもあったのですか。これはこういうことになると決算の問題になってくる。
  47. 天城勲

    天城政府委員 そういう意味のことはございません。
  48. 華山親義

    華山委員 そうだとすれば、これはきわめて国会に対しても私は越権だと思います。とにかく管理職手当が今度は増額されないけれども、来年の四月からは必ず出るのだから、安心してこの際はひとつがまんしてもらいたいということが書いてある。それからもうあまり言うのもどうかと思いますけれども、今度の教職特別手当につきましていろいろ反対意見を言う者は天来のうそつきだとか、それから精神病院に行く資格のある人間であるとか、まるで反対者というものを、われわれもそうなのかもしれませんけれども、気違い扱いにしている。いまここでこれを朗読いたしませんけれども、こういうふうなものをとにかく重要事項を扱うところの審議官が書いた。そして、先ほどのお話のように、教育委員会月報は、これは文部省の責任をもって編集するものだ、こういうふうなことは、これはもうこの教育委員会月報には載ったのですか。これを見ますと、三月号から何か抜き刷りしたものだと書いてありますが、そうすると、この月報にはもう載っているのですね。
  49. 天城勲

    天城政府委員 ちょっとその問の事情を申し上げますが、三月号に載せるべく原稿を出して印刷製本中でございましたが、その分だけをあらかじめ抜き刷りいたしまして頒布したわけでございますが、その後諸般の事情を判断いたしまして三月号自身にはその記事は載せておりません。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの華山さんのお尋ねでございますが、これについては私からお答え申し上げたほうがよろしいかと存じます。  実は今回の教職特別手当支給に関する教育公務員特例法の改正法律案でございますが、いろいろこの案をめぐりまして各方面から御議論があるわけであります。私は、もとより国会の場で十分御論議を願わなければならぬ問題でございますけれども、案について十分御理解と御認識をいただいた上で、御議論を願うことはけっこうだと思うのでありますけれども、もしまた間違ったといいますか、誤解に基づいていろいろ御論議せられるということになりますと、不本意なことでありますので、実は私が、この案についていろいろ議論もあるようだから、案の趣旨をよく徹底するようにしたらどうかという指示をいたしのであります。その指示に基づいて、御指摘になりましたようなものも書かれたと思うのであります。私まことに申しわけないと思いますけれども、指示はいたしましたけれども、どんなものが出ておるかということは実はよく知らなかったのであります。たいへんその点は申しわけないと思いますが、いろいろ御指摘をいただきまして、私もそのパンフレットなるものを読んでみますというと、これは文部省の出すものとしましては適当でない、不適切なものである、こういう判断をいたしましたので、すでに配付せられておりますものについては回収をするようにという処置をいたしました。同時に三月号に掲載する予定になっておったそうでありますけれども、これは掲載してはならぬということで、そのことも差しとめましたようなわけであります。こういうふうなことになりましたことは、私としましてもまことに不本意でございます。しかしすべては私の責任でございます。私としましては、まことに申しわけないことであったというふうに存じておりますが、具体的なパンフレットそのものにつきましては、すでに配付済みのものはすべて回収するように、また予定せられておった三月号に掲載するということは取りやめるということで処置をいたしておりますような次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
  51. 華山親義

    華山委員 最終的な責任を文部大臣が持っていられるということは当然なことだと思いますし、おっしゃいますことはよくわかりましたけれども、局長はこれを配付する前にあるいはこれを月報に——責任を持って編集されるわけでありますから、編集される際に目を通されなかったのでしょうか。
  52. 天城勲

    天城政府委員 これは私たいへん申し上げるのは恐縮なことでございますが、率直に申し上げますが、事前に原稿に目を通すことをいたしておりませんでした。
  53. 華山親義

    華山委員 それで、これは何か話を聞いたところによりますと、教育長の会議でお配りになった、そうしてその際にこれを啓蒙用ですか、何かとして配付を御依頼なすったというふうに聞きますけれども、私のいま申し上げましたとおりでございましょうか。
  54. 天城勲

    天城政府委員 都道府県の教育長の臨時総会がございまして、その席で私から法案の趣旨を御説明申し上げました。その機会に各県から教育長が来ておられるので、趣旨徹底の一つ資料として配付したと申しますか、お持ち帰り願うという事実行為をそこでいたしました。
  55. 華山親義

    華山委員 それで、これは持ち帰ってみんなへ配りなさいといってある部数渡したのでございますか。
  56. 天城勲

    天城政府委員 さようでございます。そういうお願いをして渡してあるわけでございます。
  57. 華山親義

    華山委員 部数は何部ですか。
  58. 天城勲

    天城政府委員 府県によって数は違いますが、大体市町村当たり五部くらいの数字でございますから、県によっては五十部とかもっと多いところがあったかと思います。
  59. 華山親義

    華山委員 全部でです。
  60. 天城勲

    天城政府委員 これは教育長を通じたり、あるいはその他の教育団体を通じたりしまして、全部で配りました部数は一万八千部でございます。
  61. 華山親義

    華山委員 そういたしますと、私は、局長が内容を見ないでこういう重要な問題についての参考の非常な資料になるというふうなものを出されるということは、これは今村さんを信頼したといえばそれきりの話ですけれども、少しひど過ぎるのじゃないか。  次いで伺いますが、これは文部省会計課長の責任であると私は言うのじゃございませんが、このために回収をした、額はどのくらいになりますか。これを刷るための経費なんというものがかかっているわけでしょう。回収したならばそれは何もなくなっちまう。国費がそれだけむだに使われたということになりますね。それだから私はこの委員会でも取り上げているわけです。これを頒布用として買い上げた経費は幾らであって、そしてどこから出たのでしょう。
  62. 天城勲

    天城政府委員 文部本省の文教施策普及指導費の中から十一万五千円をこのために支出したのであります。
  63. 華山親義

    華山委員 郵送費はどうなっておるか。
  64. 天城勲

    天城政府委員 先ほど申し上げましたように、会議のときにお持ち帰り願いましたものですから、特に郵送したわけではございません。
  65. 華山親義

    華山委員 それだからお聞きしたのですけれども、お答えによりますと、会議で持って帰ったもののほかに、いろいろな方面にも配ったというふうなお話がございましたのでお聞きしたのでございますが、その分も便宜一括して教育長にお持ち帰りを願った、こういうわけでございますね。
  66. 天城勲

    天城政府委員 他の分は教育関係の諸団体もございますものですから、それらの団体にみな内容を知っていただくために、その団体にお配りしたわけでございます。みな東京にございます。
  67. 華山親義

    華山委員 会計検査院に伺いますが、金額がわずかのものであるということと筋の問題とは違うのでございますが、こういうふうな場合には一体どうなるものですか。もうまたたく問に役に立たない金が出た。こういうふうなときには会計検査院としてどういうふうにお感じになりますか。
  68. 石川達郎

    石川会計検査院説明員 ただいまお話しの事態は、一口に申しますれば行政上の不手ぎわによりまして国費に不都合を招いた、そういう事態であろうかと存じます。ただしかし、この行政上の不てぎわを是正するために招いた措置でございまするし、それをただ単純に経済的な観点からだけ判断するというわけにもまいらないのではないか、かように考えます。
  69. 華山親義

    華山委員 とにかく私もそう思います。重大な過失があったわけでもございませんから、これをやった人につきまして金を埋めなければいけない、返さなければいけないというふうな程度のものでは私はないと思いますけれども、とにかく国費をむだにしたということは免かれないと思いまするし、それからいままでのお話を聞きますというと、私は、直接の責任といたしまして初等中等教育局長におきまして非常に大きなミスがあったのではないかと思う。ここの中に書かれていたことがおかしい、こういうものを書いたことがおかしいということのほかに、見もしないでこれが参考になるんだといってこれを配布したということに、大きな責任があるんじゃないか。お忙しいかもしれませんが、考えによっては職務上の怠慢ですね。こう言って私はいいと思うのです。その結果国費に損害を及ぼした、こういうことになるわけです。県庁の教育委員会だって返せと言われたって、あっちだって郵便料なり何なりがかかるでしょう。迷惑するのは、額は少額かもしらぬけれども、地方財政なんです。そういうふうなことを申し上げます。ここらは先ほど会計検査院からお話のありましたとおりだと思いますので、会計法上の問題として追及するということは私いたしませんけれども、たいへんな失態を演じたものだということを申し上げておきたいと思います。  それから教育委員会月報というきわめて貴重なものがあるわけでございますけれども、いろいろな趣旨が非常に徹底していないことがございますね。たとえば款項名は忘れましたけれども、遠距離の児童通学費に対しまして補助を出してある。いろいろお話を聞きますというと、四十年度から始めたのであって、四十年のときにやっていたところの市町村に対しましては補助を出す。そしてそれからふえた分につきましては補助を出す。これから学校の統合等のあった場合には通学費のバス代の補助を出す。こういうことでございまして、それも年々ふえているようでございますけれども、それ以外のものについて補助を出さないものだということが徹底しておらない。それで市町村では山間僻地の市町村でございますから、なかなか財政もつかなかったけれども、四十二年、三年になりまして、じゃひとつ文部省から補助をもらって私の村でも始めようじゃないかという段階になってきておりますというと、文部省のほうでは、いやそれは四十年のときに始めたものしかやらないんだ、こういうことを言われた。そのこと自体も私はおかしいと思いますけれども、そういうふうなことくらいは教育委員会月報でちゃんとわからせておけばいいじゃないか。知らなかったと言うなら、教育委員会月報でちゃんとわかるように書いてあるんですよ、それをごらんになっておればそういうことがなかったろうと思うしひとつ読んでいただきたい、こういうふうなことでもいいんだと思うのですが、こういう便利な月報を出しておられるのにかかわらず、そういう点、一例を申し上げましたけれども、不徹底な面が多いですね。その点どういうふうにお考えになりますか。
  70. 天城勲

    天城政府委員 教育委員会月報でいろいろ施策の普及徹底をいたすわけでございますが、お話のように必ずしも必要段階までその趣旨が徹底しない分野があることは御承知のとおりでございます。特に予算上の問題、施策の問題につきましては、担当の課長会議も開きますし、もちろん教育会議も開きますし、よく趣旨は徹底しておるつもりでございますけれども、そういう御指摘のようなケースが起きておるということはたいへん残念だと思っております。また委員会月報におきましてもいま正確に日にちを覚えておりませんが、その当時その施策が始まったときには委員会月報でもちろんこの趣旨は紹介しておるはずなのでございますけれども、いろいろな点で趣旨の徹底の不十分な点は今後十分反省の資といたしたいと思っております。
  71. 華山親義

    華山委員 もうあまり時間を私だけで占めますこともどうかと思いますから、これはやめますが、とにかく初めにやったときに、ことしだけでございますよ、来年からはだめなんです、来年からはその学校で児童のふえた分だけは増してあげましょう、来年からは統合した分だけは出しますよ、こういうことをちょっと書いてあればいいんですよ。文部省の宣伝の意味かどうか知りませんけれども、ことしからこういうふうになりましたと、こう言えば、それじゃ来年からわれわれもやろうじゃないかというところが出てくるのはあたりまえだ。計画すると、それはもう四十年のときにやったものだけしかやらないんだ、こうなるんですよ。
  72. 天城勲

    天城政府委員 二つの点が御質問の中にあるわけでございます。  一つ趣旨の徹底が不十分であったのではないかという点でございますが、それにつきましては結果的にたいへん私も申しわけないと思っております。今後とも趣旨の徹底については十分努力いたしたいと思います。  それから、具体的に遠距離通学という問題につきましては、当時そういう状態で出発したのでございますけれども、その後学校統合等の事情が発展しておりますので、固定しておくことも実情に即さない。実は最初に始めましたときに、この種の補助金を設けることの可否についてきわめていろいろな意見がございまして、本来経常費で町村の負担にすべきものではないかという議論と、特別な統合という事態に即しそれを促進するための国の奨励、両方の意味の議論があったのでございますが、当初は一種の試験的な形でやってみようという形で出発したものですから、十分実態に応じ切れなかった点がございます。しかしその後この経費につきまして地方の御要望も非常に強いし、またわれわれとしては進めることがいいと判断いたしまして、その後逐次直してきて、先生御案内ではないかと思いますが、四十三年度におきましても対象人員はふやしましたし、また対象に関する考え方につきましても従来のような固定的な考え方でなくて、幅のある方法をいま検討していこう、このように思っております。
  73. 華山親義

    華山委員 私はそのことを聞きましたけれども、幅のある検討をしようということはまだ地方まで徹底しておりませんよ。それだったら幅のある検討をするから大いに計画しなさいとでも言わなければいかぬ、月報があるのだから。
  74. 天城勲

    天城政府委員 これは四十三年度からの予算でございますが、これについてはいまその幅のある運用について方向を検討していますので、きまり次第十分趣旨を徹底したいと思います。
  75. 華山親義

    華山委員 大臣、この問題に触れましたが、御承知のとおり、いま山間僻地はバスも通らなくなるだろうなどと言って非常に大きな問題になっているわけでございます。どうぞひとつ、貧弱な市町村ほどこの施行というものはおくれているわけでございますから、バスに乗りおくれたためにバス代が出ないということになっても困りますので、今後こういうことを計画するところは特に財政の貧弱な市町村だと思いますので、小さな問題かもしれませんけれども、心にとめておいていただきたいと思います。
  76. 大石武一

  77. 中村重光

    中村(重)委員 いま、配付されている決算概要説明を読んだんですが、教育振興助成費で三百三十八億六千八百六十五万円余、それから青少年対策費で二十五億九千二百三十五万円余というふうに、翌年度繰り越しだとか、不用額というものがここに出ているわけですが、この青少年対策費が、この前の決算委員会でも、青少年の対策というのが、縦割り行政のために総合的な青少年計策ができないのではないか、費用を相当つぎ込みながらも効果的な対策ができないという点を指摘したわけですが、不用額であるとか、あるいは繰り越しという形になっている。青少年対策についての、私がさきの決算委員会において指摘した総合対策ということを、その後強力に進めてきておるという実績がありますならばお答え願いたいと思います。
  78. 木田宏

    ○木田政府委員 青少年対策につきましては、守部省は青少年教育という観点を主にいたしまして担当をいたしておるわけでございまして、青少年教育の振興のためには、社会教育の観点から考えますと、学校教育との連携ということを十分に考え、さらに社会教育の各部面であります家庭教育あるいは成人教育との関連を密にしながら施策を進めていくということを一つの柱と考えておるわけでございます。また、青少年の団体育成ということを重視いたしまして、青少年の健全な団体活動を助成するという観点から、青少年の健全育成の施策というのを文部省としては進めていきたいと考えておる次第でございます。  経費の面につきましては、社会教育経費として予定されておりますものが十八億ほどの経費でございます。それに文部省の社会教育で考えております青年の家の施策の推進のために約十億の経費をあてがっておるわけでございますが、こうした運用を総合的に進めていくということによりまして、教育の面におきます青少年対策に力を入れてまいる、こういう姿勢でやっておるところでございます。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 私が読み上げた数字は、支出額のうちおもな事項という数字にはなっているのですが、大臣、私は先ほども申し上げたように、青少年対策について御承知のとおり総理府に対策本部はできたんですが、この縦割り行政というのが実に大きな弊害をかもし出しておると私は思うのです。この青少年対策については、総理府にそうした本部ができた。だから相当強力な青少年対策というものが打ち出されていくのではないかという期待を実は持っておる。なるほど総理府でも相当な熱意をもって取り組んでおるようですが、依然としてばらばらですね。青少年対策というのは重要な政策であるわけですから、特に文部大臣この点については関心を持っておられるようでありますし、もっと強力な対策を打ち出していくことが必要ではないかと思うのですが、その点に対して何か構想はありませんか。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 特別に具体的な構想というようなものを持っておるわけではございませんが、青少年対策がほんとうに力強く、また幅広く推進せられなければならぬことは、私も非常に関心を持っておるわけでございます。ことにまた、総理府の事務的な中心になっております者は、文部省から実は出しておるようなことでありますから、その問の連絡は非常によろしいのでございますけれども、一般的に申し上げまして、やはり私としてもいまだしという感じがしておるわけでございます。御鞭撻によりまして、さらに一そうその辺のことについて配慮してまいりたいと存じます。何と申しましても役所がいろいろ分かれておりますので、確かにやりにくい点もあるわけでございますけれども、さりとて、これをまた全部一つにするということも、仕事の性質上むずかしい点もございますので、そこらをどういうふうにあんばいしたらいいかというところが問題点じゃないかと思います。十分ひとつ御注意の点を承りまして進めてまいりたいと思います。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるように、これを一つにするということについてはなかなかむずかしい。しかしながら、総合性を発揮していかなければならないと思うのですね。全く総合性がないのです。ばらばらですね。なるほど会合は一年に何回か持たれているのかもしれませんけれども、実際各省でやっているのを、追及調査といいますか、いろいろお尋ねをしてみたり、私なりにいろいろ見ているのですが、全く総合性がない。それと、青少年対策という名のもとに、青少年には全く関係のないように施設が活用されたり、あるいは予算が使われていたりするということです。全くでたらめだと思うのですよ。ですから、一本にせよとは申しませんが、先ほども申し上げたように、総合的な強力な対策を打ち出していく必要がある。特にこの点については文部省が関心を持って対処していかれる必要があるのであろう。実は具体的な事例を申し上げて大臣の見解もただしていきたいと思うのですが、きょうは時間の関係がございますので、いずれあらためて、大臣のほうで検討しておいていただいて、構想をまとめていただいてから、お尋ねをしてみたい、こう思うのです。  教育振興助成の問題について、これに書いてあります要保護及び準要保護児童生徒就学援助費ということについて、不用となったということがここで述べられておる。この中身についてもいろいろお尋ねしたいと思いますが、後日に回したいと思います。  そこで、原爆の犠牲になられた長崎医大の四百六十七名の人たちの措置について、一言お尋ねしてみたいと思うのです。  御承知のとおり、七万円の見舞い金というのか弔慰金というのか、一時金が支給される——まだ完全に支給は終わっていないのではないかと思うのですが、この状況がどうなっているかということが一点。  いま一つは、この七万円の見舞い金をもって、この四百六十七名の長崎医大の学生に対する措置はこれで終わったとお考えになっていらっしゃるのか、この点ひとつ伺ってみたい。
  82. 宮地茂

    ○宮地政府委員 旧制の長崎医大の原爆被爆学生の遺族に対しまする特別支出金、一応特別支出金という名目でございますが、それにつきましては、御承知のように昨年来いろいろ地元の議員の先生方並びに遺族の方々、その他関係者等の多数の御要望等もございまして、文部省といたしましては、厚生省とも十分話をいたしまして、四十二年度予算に計上いたしました。で、その支給につきまして、支給要領を定めまして直ちに支給事務を開始いたしたわけでございます。大体、今日までのところ大部分の方につきましては認定をいたしました。ただ、若干の者につきましては、これは七万円でございますが、一応遺族であることの証明並びに優先順位が定めてございますので、そのあと順位の者につきましては、それに優先する順位の人がいないといったような証明をつけさせるとかいろいろな書類を必要としますので、大部分認定いたしましたが、ごくわずか、現在九件でございますが、いろんな必要書類の提出を求めたりいたしておる段階でございます。  それからこの問題につきまして、これで終わったと考えるかという御質問でございますが、事情といたしましてはいろいろ同情すべき点もありますし、また七万円の金額が適当かどうか、こういうことにつきましては、もちろんこれは私情におきましてはいろいろな感じもございますが、私どもといたしましては、この問題につきましては一応これで終わったということで処理いたしたい、このように考えております。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 この問題は前局長天城さんが一番よく知っておられるのだが、いまお答えのように、特別支出金という名目で会計処理上はやっておられる。特別支出金とは何かということなんですね。総動員法によるところの対象としての扱いでもない、かと言って防空法に基づくところの防空従事者としての扱いとして処理しておるのでもない。だから七万円を支出したという根拠が必ずしもいまのお答えでは明確ではない。原爆によって尊い生命をなくした、しかも防空法によって防空業務に従事しておった学生、それならば当然防空法によってそれぞれの一時金、弔慰金等が支出されなければならない。だからそれはそれなりにやらなければいけない。そうでなくて、これはかっては学徒動員令によって動員をされておった。ところがいわゆる医師にならなければならないという当時最も緊急であった教育訓練をしなければならない、そういう貴重な役割りを果たすところの学生を工場等の業務に従事させるということは適当でないということで、一時これを戦時教育令によって解除して、特別の訓練をやった。そうしてその業務に従事中生命をなくしたのだから、当然これは動員の延長として措置していくということになってくると、國家総動員法によるところの動員学徒と同じような措置をしていかなければならない。そのいずれもやらない。そうして二十数年間これをほったらかして、それで国会からやかましく言われて、そこで特別支出金とかわけのわからぬような形で七万円支出をしてこれで事足れり、こんなばかな話はないですよ。   〔委員長退席、華山委員長代理着席〕  特に文部大臣は、原爆の問題については閣僚中最大の関心を持っていらっしゃる方でもあるので、私はむちゃなことを言っているわけじゃないのです。資料だって持って言っておるわけですが、そこらあたりを十分検討して措置したのですか。
  84. 宮地茂

    ○宮地政府委員 正直に申しまして、私も昨年、先生方の御要望等、またこれの予算化について直接、私、その当時このポストにおりませんので、あるいは先生のほうがお詳しいのに私が答えるのもいかがかと思いますが、一応私どもといたしましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、当時の医学部の学生は動員対象にしないで、それぞれの大学で医療に従事するといったようなことから、それぞれ自分の大学の付属病院等でいろいろ医療業務に当たって、国家の動員体制に、形式的には動員されておりませんが実態としては同じような形になっておったというようなことから——ただ、そのことに対しましては、その後のいろいろ、先ほど来御指摘の動員学徒とかあるいはいろいろな諸法規の盲点になったもので、いずれの対象にもなり得ないというようなことから、文部省といたしましては、当時動員学徒援護会を設置して動員学徒に対して処置した、それに準じた趣旨で今回の措置をとったというふうに考えておる次第でございます。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 だから、いまあなたお答えになったこと、あなたもこれでいいのだという確信を持ってお答えになっておるのじゃないと思う。まあ処理してきた経過というような形でお答えになった。どっちにもつかないのじゃないですよ。これははっきりしているのですよ。防空法によって防空の業務に従事したことは事実なんだ。現に医師と一緒に、たとえば焼夷弾が落ちた、そこで負傷者が出た、直ちに相当長距離のところにでも行って、そうして救護業務に従事しておったのだ、ちゃんと救護班というものもできてそういう業務に従事しておったのですよ。それは防空法という法律によってやっているのです。そういう組織もできておったわけだ。それならば当然防空法の従事者としてこれは扱っていかなければいけないのです。一方、これは総動員法の対象にもなる。総動員法には「國家総動員上必要ナル衛生、家畜衛生又ハ救護ニ關スル業務」というのがはっきりあるわけだから、その業務に従事していたことは間違いない。それから私が申し上げたように、これは動員令によって動員学徒として工場等において働いている。しかし医師がどんどん召集されていく。それでもう速成でもいいから医師を早くつくり上げなければならぬ、こういうことになって、一応戦時教育令においてこれを解除して、今度は速成の医者をつくり上げるために特別訓練もしてきたわけです。そして、いまいう防空法上の業務にも従事させた、それで早く戦場にも送るということであったわけです。だから、学徒動員令において動員されたのだけれども、業務を終わってこれが解除されたという意味ではないのですよ。より重要な任務についたのですよ。だからしてこの総動員法の対象にもなるのです。そういうことを追及することなく、何とかして金を出すまい、出すまいというような考え方から、あいまいな形で特別支出金か何か出して、そしてこれを糊塗するというような、そんなでたらめな話がありますか。しかも、二十数年間ほったらかしですよ、大臣。こんなばかげたことはないですよ。ほかの閣僚ならいざ知らず、これは灘尾文部大臣だって、これをこのまま事済んだとして放置さるべき筋合いのものではないと思うのです。どうお考えになりますか。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題になりますと、私もそっちにすわりたいような気持ちがする問題でございますが、お話のとおりに、当時の医学生に対する処置というものにつきましては、いかにも不十分だったと申し上げたいような気持ちも私もいたしております。ただ、文部省としましても、おそらく今度のこの措置だけで、これであえて十分だというふうな考えのもとにこの措置を講じたものではないというふうに私は思うのであります。いろいろ政府部内でも相談した結果がこのようなことになったというふうに受け取っておるわけでございます。この問題は、中村さんだから率直に申し上げるのでありますが、結局事務当局だけの考えではなかなか解決のつかないいろいろ困難な要素もあろうかと思います。私もひとつかかわりあいの深い人間の一人といたしまして、十分今後も研究をしてみたいと思いますが、また、先生のお力も拝借をしたい、お互いにひとつ研究して、問題の解決に一歩でも二歩でも前進することができれば幸いだと思います。何さま、どうもおっしゃるような事情がございますけれども、法律を適用するというふうなことになりますと、どこで線を引いたらいいかとか、いろいろな問題があろうかと思います。さらにひとつ研究させていただきたい、この程度でごかんべんを願いたいと思うのであります。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 これは大臣、むずかしくないのです。警防団、それから防空監視員、これも大学関係になるのですが看護婦さん、こういうはっきりした防空法による防空従事者が殉職しているのです。これは実は四十三年度予算で二十万円の調査費をつけまして消防庁で調査をすることになりました。だからこれは四十四年度予算の中においてなんとかしなければいけないのです。それからこの問題はさきの特別国会、臨時国会でございましたか、実は総動員法として扱えという請願書が出ましてこの後、この七万円で処理したあとに社会労働委員会で採択しておりますから、院の意思を尊重するということで、大臣がこれに取り組む足がかりができておりますから、ぜひ取り組んでいただきたい。  もう一つ、この四百六十七名の中の二名を総動員法の対象にして、動員学徒と同じように手当を支給している事実があるのです。これははっきりしている。これは動員学徒と同じような扱いをしているのです。実績ができているのです。これは間違いでございましたということは言えないでしょう。もうあなたのほうはこれはわかっておられるので、あえてその点はきょうここで私は触れませんが、そういう事実がもうでき上がっている、どういう形でやったかは別として。だから、いま大臣のお答えもありました。それから私が申し上げたとおりに請願書も採択にもなっております。文部省がこれで終わったというような態度をとってはだめです。この種のものは一応七万円という弔慰金が出て、あとで扶助料等の対象にして扱ってきていますが、ほかにもこれと類似のようなものがたくさんあります。だから文部省関係のことは文部省が強力に救済措置を講じていくということでないと、ほかの省は抵抗しますから、これを救済していく道は文部省にある、こういうことでないと、あなたのほうで閉ざしてしまっては話しになりませんよ。閉ざすとおっしゃるならば私はとことんまできょうはやりますよ。しかし大臣が前向きの御答弁をなすったから、それに信頼をして、きょうはこの程度でこの問題は一応おさめておきたいと思います。  次にお尋ねをいたしますが、教職員に対する超過勤務手当の問題です。これも私はやはり文部省関係決算処理の際、前文部大臣にお尋ねをいたしました。超過勤務手当を支給する。ただ超過勤務手当という名称にするかどうか。超過勤務手当は支給するけれども、その名称についてひとつ検討をさせてもらいたいというお答えになっている。ですから形式は問わないとは私は言わない。はっきりもう超過勤務手当を支給すべきであると思う。名実ともに葬り去られるということになっては話になりません。ですから先ほど華山君も、特別手当という形で、直接的な質疑じゃありませんでしたが、関連をした問題で質疑が行なわれておったわけですが、どういうわけで当然超過勤務手当を支給しなければならぬのに支給しないのですか。超勤をしておらないということであれば別ですよ。しかし、これはもう天城局長のもとで調査をしておられて、そして超勤をしているということがはっきりした。そうした実体をつかんでおられるわけです。それに超勤を支給しないというのは筋が通らない。大臣、この点どのようにお考えですか。
  88. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題は、法案審議の段階において大いに議論のある問題だろうと存じております。教員の時間外の勤務というものに関しては、文部省も調査をいたしまして、時間外勤務の実態があるという前提のもとにこれに対してどう対処するかという問題でございます。その一つは、いわゆる超過勤務手当という方式がその一つであろうと思います。ただ超過勤務手当という方式でやるのがいいのか悪いのかということについて、実は政府部内あるいはまた関係方面におきましていろいろ議論がございまして、どうも教員の時間外勤務の実態から申しまして、通常行なわれておりますような超過勤務手当を出すのは必ずしも適当でないのじゃないかというような議論のもとに、今回御審議をお願いする教職特別手当という方式を考えまして、時間外勤務という実態に対しての給与ではございますけれども、その給与の支給の方式というものを、何時間残ったらどうするとかいう時間で区切って給与するという方式をとらないで、一律にそういう実態を踏まえて、教職員に対して一律に——本俸の大体四%程度になろうかと思いますが、その程度の給与を支給することによって、この時間外の勤務に対する給与措置としよう、こういう考えをとったのです。これはいろいろ議論があろうと思いますけれども、方式として従来の超過勤務手当という方式よりも、このやり方のほうが教員の職務の性質、内容あるいは時間外勤務手当の実態というものについて何らかの措置をするとすれば、このほうがより適当なんじゃなかろうか、こういう考え方のもとにやっておるわけでございますので、その趣旨だけはひとつ御了承いただきたいと思います。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 そうした特別手当の支給の法律案がまだ提案になっていないのですね。
  90. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府としては国会に提出いたしておりますが、まだ実際の審議の段階に至っておらないように承知しております。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 私はきょうこれが正式に付託になっておると、当該委員会の中で質疑をするということでいいと思ったわけです。ですけれども、きょうあの表を国会対策で見まして、あそこへまだ入っておりませんでしたから、そうした正式な提案が文教委員会の中になされていないのではないかと思いましたので、前の決算委員会における質問との関連で出てまいりますから、私はお尋ねした。それで具体的な問題については、それは提案された文教委員会においてお尋ねすることにいたします。したがって、きょうは時間もございませんから触れませんけれども、いま大臣がおっしゃった教職員に対して時間外手当を支給することは必ずしも適当でないという考え方ですね、そのことが私は適当でないと思うのですね。聖職とかなんとかといって、聖職とは何ぞやという議論も当然出てまいります。それから労働基準法の問題が出てくるわけです。そうすると、時間外手当を支給しない、法律によって特別な手当を支給する、それは時間外手当ではない。じゃ、時間外勤務をすればそれは基準法上どうなってくるかという問題が出てくるわけですね。しかもいまおっしゃったように、金額にして二千円程度ということがいわれている。だと、その一律の手当によって、校長の命令、いわゆる管理者の命によって、教職員は何時まででも時間外をやらなければならない。それに縛られてくるのか。このことは簡単な問題じゃないと私は思うのです。ですから、あらためてお尋ねをいたしますが、いま私が指摘いたしましたようなことについての一応のお答えを願って、次に進みたいと思います。
  92. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いろいろの御意見があることを十分承知いたしておりますが、いわゆる時間外勤務というものの実態があることに立脚いたしまして、それに対処する給与の措置として、従来の超過勤務手当というふうなものにおいて支給するよりも、ある程度の給与を教員全体に一律に支給するほうがより適当ではないか、これについての議論は別としまして。そういうふうな考え方のもとにやっておるわけであります。したがって、そうなればのべつまくなしに校長が時間外勤務を命ずるというふうな事態になりはしないかという御懸念でございますけれども、私どもはやはり教員の勤務というものはそうだらだらとやらせるようなやり方はよくないと思っております。できる限り時間内で勤務は処理してもらいたいと思います。必要に応じて時間外の勤務をやってもらうというあり方でなければいけないので、校長は自分がかってに毎日毎日時間外勤務を命ずるというふうなあり方は、教員の労務管理と申しますか、そういう点から見ましても決して望ましい姿ではないと私は思います。ことにまた教員の健康の問題あるいは家庭生活の問題その他の私生活の問題もあるわけでございます。そういうふうなところは十分配慮して、教員のいわゆる勤労あるいは労務に関する管理というものはなされなければならぬものでございます。そのような御懸念はないようにお願いもいたしたいと思いますし、われわれとしましても、学校の校長に対しまして合理的な労務管理をやるようにということは十分徹底さしてまいるつもりでおりますので、どうぞその点はあまり御心配にならないようにお願いしたいと思います。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 御心配にならないようにとおっしゃるのだけれども、問題を指摘しなければならぬようなことをおやりになるものだから、これは心配もするし、問題指摘もせざるを得ない。いまあなたがお答えになった、教員に対してだらだら勤務しないように、そうならなければいけないと思うのですよ。しかし、これはいまの教職員に対して、実際教壇に立って教育をするというようなこと以外の仕事、いわゆる雑務というものが多過ぎるんじゃありませんか。まずそういうことから大臣、整理していかなければいけませんよ。用員が不足している。事務職員が不足している。そういうことでもこれを充足していかれるならば、教員の負担というものはずいぶん軽減されてくるわけですよ。そしていま大臣がお答えになったように、教育そのものに専念するということ、それは教職員だって望むところでしょう。しかしほかの雑務をやらせるものだから、肝心の教育に専念をするということにはならない。宿題の整理なんかでもいたします場合に、学校ではできないでしょう。家に帰って、八時も九時も十時までも——これはほんとうに私もまのあたりに見てきておるのですが、そういう形に追い込まれているのですよ。ですから、本来の問題についてはあらためてまたお尋ねをいたしますが、いまの事務職員の問題、いわゆるだらだら勤務をさせない、そしてほんとうの教育効果を教職員にあげさせていく、そういう観点から、いわゆる事務職員あるいは補助員というものをもっとふやしていくということでなければならない、どういう基準でこれは配当しておられるのか、また私が申し上げたようなことに対しての考え方はどうなのか、ひとつお答え願いたい。
  94. 天城勲

    天城政府委員 私から最初に事務的な点についてお答え申し上げます。  御案内のように、義務教育学校の教職員の定数の標準法がございます。これはちょうど三十九年から五カ年計画で、本年度、四十三年度で第二の五カ年計画が終了するわけでございますが、学級定数を小さくしていくという努力を続けてきたわけでございます。この中で学校全体の定数の配置並びに事務職員の配置の基準を定めておりますが、事務職員に限って申しますと、現在のところ小学校で四百人以上の学校に一人、中学校で三百人以上の学校に一人という目標で、三十九年から四十三年の五カ年間で五千名の定員増加をしてきたわけでございます。もちろん財政的には国庫負担金と、それからこの基準をもととして地方財政計画を定めて、それに必要な財政措置を地方財政でするというやり方をいたしたわけでございますが、いま前段にお話のございました学校の管理につきまして合理的に行なうということは、われわれも一番中心の問題として配慮いたしておるところでありまして、この点先生の御意見と全く同感でございます。本来勤務時間というものが定められている以上は、勤務時間で処理できるようにすべきものが勤務時間でございますから、勤務時間をはみ出なければできないような仕事を命ずることがそもそも間違っているわけでございます。したがいまして、学校の仕事を合理的に行なうということを極力進めるということが大前提でございまして、そのためには定数の問題それから学校の仕事の問題、両面からひとつ合理的な方法を考えていくようにしておるわけでございます。一応四十三年で従来の五カ年計画が完了いたしますが、引き続いて今後現場における教職員の負担を軽減し、合理的な教育が展開されるようにするための定数の改定につきましては、われわれの宿題としていまいただいて検討しておるところでございますが、現状はいま申し上げたような姿で事務職員の面も進んでおります。  なお、定数の問題につきましては、教職員の仕事自身についてもいろいろな新しい動きがございますので、それに即応していかなければならないわけでございますし、事務の面につきましても、それに応じて考えていくというつもりで次の検討に入る段階でございますので、御了承いただきたいと思います。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 考え方としては、教職員に対して教育に専念させるため、大臣が言われたように、だらだら勤務をやらせないという方向に立って、いまの事務職員の配当について計画的にひとつやりたい、そういうことですからそれはいいわけですが、現状でいまの配当基準をお示しになったのだけれども、そのとおりに配当されておられますか。追跡調査していますか。
  96. 天城勲

    天城政府委員 私たちは定数基準を定めているわけでございまして、こういう考え方で各府県の総定数を考えておるわけでございます。個々の県内の学校にどういうふうに配置するかにつきましては、県内の事情がいろいろございます。先生御存じだと思うのですけれども、いまいわゆる環境上教育の実施が非常に困難な条件の学校がございまして、たとえば産炭地ですとか、極度な過疎地帯とか過密地帯とかいろいろございます。こういうところによって学校の教員の配置、事務職員の配置について各県なりの特別な努力、措置をされるわけでございますので、個々の学校がこのとおりだということをいまの法律が規定しているわけではございませんし、われわれは、そこから先は各府県の実情に応じて措置していただきたい、そういうつもりでおりますので、いま申しました、たとえば三百人の学校に必ずおるかということになりますと、府県の実態から多少の出入りはあろうかと思います。
  97. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがおっしゃるように、離島であるとか僻地であるとか、小規模の学校というものは主としてそういうところにあるわけですね。そういったところに事務職員を配置しておる。実は、文部省のほうではそういうところは配当基準になっていない形だけれども、現場においてはやっている。そのために、たとえば学級数が二十五とか三十とか、あるいはそれ以上の学校に対して二名なり三名なり配置する。一名しかいないというならばある程度わかります。ところが、おっしゃるようなことになっていない、私の調査している範囲では……。そういう小規模の学校に対しては、小規模なるがゆえに事務職員が配当にならないんだといって配当していない。そして大きい学校については、これは一名しか配当しないというので、高校を卒業したような賃金の安い者をPTAの負担によって採用している。これが実態です。そうすると、いまあなたがお答えになったような形になっていない。だから、総数において配置するのだけれども、それから先はまかせるのだと言われるが、しかしそれは正確に不足であっても、その不足を十分配当する、そういう形であるならば、私はもっとふやしなさいと言ってあなたのほうにこれを計画的にふやしてもらうという形であってよろしいと思うけれども、しかし現実に私が指摘するようなことで、そういうこともある、私はこう思っておる。それならば、追跡調査というものは当然なされなければいけないのだ、こう思います。  実は中村文部大臣のときだったと思いますが、私は長崎ですが、長崎は離島が非常に多いのです。それで、国としては離島と本島との教員の交流をうまくするため、三年間一号俸という手当を支給しているのです。ところが実際は、末端にいくと、県にいくとそれを支給しない。それでこれは追跡調査をしてきびしく指導しなければいけないじゃないかということになりまして、ほんとうに文部省熱心に指導してもらって、それで昨年でしたか、三年一号俸という形に、これは文部省の配当のとおりにようやく実現をした前例がある、こういうことです。だから、いま申し上げた事務職員等も同じような例が必ずあると思う。こうしておるのだから、それはまかしておるのだからというようなことで、私は文部省の責任は済まないと思う。やはり追跡調査をやり、そしてほんとうに大臣お答えになったように、教職員の負担を軽減して、教育に専念させ、教育効果を上げさしていく、そういう努力がなされるべきじゃないでしょうか。大臣どう思いますか。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話のとおりだと私は思います。文部省としましてもただまかしておるというだけで、それでいけるというのでは、いかにも努力不十分という気もいたします。御指摘の点につきましては、事務当局に対しましても十分督励いたしまして、できるだけ実情を把握するようにいたしたいと思います。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 それからこれも関連してくる問題ですが、教職員の給与のアンバランスです。これもこういうことをやってよろしいのかと思うのです。具体的なことで申し上げなければなりませんから、私は具体的な事例で申し上げますが、長崎のことばかりであまり名誉じゃありませんけれども、長崎は御承知のとおり九州においては経済力において福岡に次ぐ。従来もそうした給与等も福岡に次いでおる。ところが長崎県の給与というものは現在九州で一番下位です。こんなばかなことがどうしてあるのか。これはどういうことでアンバランスになっていくのか。文部省はこれに対して、それもその県の実情によってやっているんだからいいのだというようにお考えになっていらっしゃるのか。私が何かわからないのかもしれませんけれども、どうも理解に苦しんでおるのは、二分の一負担をするわけでしょう。そうなってくると、その県で支給しておる給与の二分の一でなくて、文部省の当然これだけ支給すべしという形の二分の一支給しているとすると、県の負担分がそれだけ不足してくることになるんだろうし、ところが県が負担するその二分の一ということになってくると、文部省が福岡県に対してはこれだけ、あるいは鹿児島県に対してはこれだけ、長崎県に対してはこれだけ、そういうアンバランスの二分の一負担をしてよろしいのかどうか。どうもそこらあたり私理解に苦しんでおるのですが、ひとつお教えを願いたい。
  100. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと制度と実情を御説明申し上げます。  公立学校の先生の給与でございますけれども、これは教育公務員特例法上、国立学校の、小中学校の先生の給与の種類と額、これを基準として条例で定めるという制度になっております。ですからたとえば、国立学校の教員について、人事院勧告があってベースアップいたしますと、それに応じて公立学校の先生もベースアップするというようなことも行なわれますし、新しい給与費目ができますと、地方もそれに準じて新しい費目ができるという形で、義務教育でございますので、基本的な考え方は、教員の給与について同じ水準に持っていきたい、こういう制度にしておるわけでございます。ただ、いま先生のおっしゃる高い、低いの問題でございますけれども、それはその実績に応じて各県が給与条例を定めまして給与を支払いますから、その実績の半分を国が負担するということになっております。したがって各県の高い低いということが現実に起こります。しかしその高い低いがどういう意味で高い低いか、いろいろあるのでございますけれども、学歴構成とか年齢構成によって平均給与が非常に高くなっておる県も確かにございます。ですから、学歴構成とかあるいは年齢の若い方の多い県の平均給与水準、それは低い場合もあるわけでございますので、高い低いということはいわば同一学歴、同一勤続年数の人を比較してみなければほんとうはわからないわけでございますけれども、いまの制度としてはそういう形で二分の一を国が負担しておる。基準は国立学校の先生の給与に関する制度を基準として、条例で定めておる、こういう形にしております。それは各県なりに従来からやはり教員の給与については長い伝統がございますし、その地域の他の公務員との関係とか地域の生活水準、いろいろなことがございますものですから、全国一律の給与表を使わない、基準は基準だけれども、具体的には各県の実態に即して条例で定める、こういう制度がいまの実態に一番即するという考え方でこれをやっているわけでございます。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 いまのお答えで疑問は解けないばかりか、かえって疑問は深まっている。学歴あるいは年齢、そういうことによって変わってくるのはわかります。しかしそうじゃないですよ。国立学校の給与に準じて条例で定めていく、こうおっしゃる。国立学校の場合は、これは国がきめるのですから、そんな地域によってのアンバランスなんというものはあまりできてこないはずだと思う。そうすると、具体例として長崎のことを申し上げたのですから、これが一番わかりやすくなるわけです。長崎が九州において一番下位であるということは、学歴とか年齢というような点からいって、学歴がそんなに低い先生が長崎にいるとは思いません。またそんなに若い先生ばかり長崎にいるとは思いません。そうすると、長崎が低いということは、これは不自然だということになりますよ。やはりそういうことに対して、実績によって二分の一を負担するんだ、それで事足りるんだというふうに文部省がお考えになっていることが適当でないと私は思う。やはり衣食足って礼節を知るということばもあるんだけれども、そんなにひもじくては満足な教育だってなかなかできるものじゃないですよ。給与が低い、物価は上がる、生活が苦しい。ところがある県はこうだ、人口数の少ないところとか、県民所得水準も低い、そういうところが自分の県より高いんだ、こんなばかなことがあるかといった不満だって出てくるでしょう。そうすると教育熱にだって相当影響すると思います。だから、教育効果をあげていかなければならぬということを文部省がほんとうにお考えになるならば、積極的にこういうことについての調査をし、これを是正させるというような方向にこそ、強力に指導される必要があるのではないか、そういう指導は決して自治権侵害にも何にもならぬ。本来はこういうことは国の責任においてやらなければならぬことですから、自治権の侵害じゃないわけだから、もっと国はみずからの責任を感じ取って、こうしたアンバランスを直していくということをなさる必要があるのではないかと思いますが、そうはお思いになりませんか。これはひとつあとで大臣からもお答えを願います。
  102. 天城勲

    天城政府委員 現在の制度で申しますと、国立学校の基準よりも高いところも低いところも出るわけでございます。若干は出入りがあるわけでございます。それを認めたのが現在の制度ですし、それが地方の実際に即する。学校も地方の社会の中に存在するわけでございますので、小中学校の先生も、その地域の公務員その他の水準と合わせて考えられるべきじゃないかという余地を残したのが現在の制度でございますので、いま先生のお話は、確かに教員の給与水準を高める努力をしろという点につきましては、私も全く同感でございますし、文部省も及ばずながら毎年努力いたしておるわけでございますけれども、東京と長崎の先生が全く同じ給与でなければならぬということを私たちが言うのは、いまの実態から必ずしも適していない。むしろ現在のように若干の出入りはあるけれども、基準をはっきり定めておくというほうがいいんじゃないか、かように考えておるわけでございます。もちろん何か非常に制度的に不合理な点がございましたり、趣旨に反することがございますれば、われわれも十分気をつけますし、指導もしなければならぬと思っておりますが、制度の基本からは、いま言った制度のほうがむしろ実態に即するんじゃないか、このように考えております。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 局長、私は東京都と同じであれとは言わないのです。それは物価だとかその他の経費というのも、いわゆる生活費というのも非常に高いというのですから、当該教職員だってそういう注文はしないと思いますよ。しかし、私は具体的に話をせぬと抽象論になるから、九州という一つの地域を限って議論をしているのですよ。東京都ということで私の質問にお答えにならないで、そうした一つの地域を限ったところで、生計費の関係等においてあまりに大きな変化がないところの問題として取り上げているのだ。そうせぬとこれは議論がかみ合わないと私は思う。それと、大臣もこれはお聞きになって感じられるでしょうし、私もその点肯定しているが、若干のアンバランスはあるであろう。しかし、長崎県の場合はそうではない。不合理であるから県も困って、いま三短制というので、三カ月間の短縮というような形で改善しようとしている。そうして少し上がってきているのです。しかしそれはびほう策です。根本的な解決はやはり初任給の問題で解決せぬと、根本的な解決にはならないのです。ですから、確かに問題点なのだから、もう少し私の申し上げることをすなおにお聞きになって、そうしてわかっておられるから特に局長はこだわっておられるんじゃないかと私は思うんだけれども、まさかあなたがそういう実態を調査せぬような不勉強じゃ、私はないと思う。調査をしているので、問題を感じられるからいろいろと煙幕を張ったような答弁をしておられるんじゃないかと思うんだけれども、もしそうでないとするならば、積極的にそこらを調査され、そして確かにこれは不合理であるというふうにお感じになるなれば、これが是正をされるように指導をしていく、そうして国がこれは二分の一負担するのだから、そういう国の負担というものを、不合理な中において二分の一負担されるということは適当じゃありませんよ。これは、われわれも決算委員会において質問をする以上は、やはり決算上も問題であると感じるのだから、そのことは教育行政上も問題が出てくるわけだから申し上げておるのだから、この点についてはもう少しすなおにお答えを願いたいと思います。
  104. 天城勲

    天城政府委員 先生長崎の例を具体的に出されておるんですけれども、ここの県の事情というのは非常に特殊な事情が入っておりまして、ですから制度として私はお答えしたわけであります。長崎は離島が非常に多いし、それから戦後の教育の発足のときにも有資格の先生が十分行かなかった事情、その先生方がもう二十年たってかなり経験を踏まれている事情とか、そのためにくる給与のいろいろな特殊な事情もわれわれは存じております。しかし低いといっても九州で長崎と福岡ということになりますと、やはりその地域の条件で、福岡のほうが高い現象が出てまいりますし、長崎とおっしゃると、ほかの県のことを例に出してはいかがかと思いますが、鹿児島でも同じような問題が実はあるのでございます。鹿児島と長崎は同じように低いということがよくいわれますが、わが国の基準ということを前提に考えまして、国立学校前提に考えますと、これは正確な数字をいま持っておりませんが、それを下回っているような事情ではないと思います。そういうようなことを一応前提に置きまして、いまの制度におけるたてまえを私は申し上げたいのでありまして、なお教員の給与を基本的に改善しなければならぬということは、われわれの宿題でもございますし、また当面特にその議論が強く出ておりまして、私たち、四十三年度で公立学校の教員の給与実態を調べ直すつもりで実はおるのでございます。  いま御指摘のように各県のいろいろな事情がございますので、学歴とか勤続年数に応じてよく言われている高いとか低いとかいう問題についても的確な状況を調べたいと思います。それから地域によって教員構成がいろいろ違った実情もございますので、そういう点も調べたいと思いますので、四十三年度予算的に約一千万ほど準備いたしまして、今年度かなり綿密な調査をいたすつもりでございますので、それらの点を通じていま御指摘のようなことを明らかにしながら、結論的には教員の給与の改善のために努力いたしたい、かように考えております。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 その最後のおことばはわかる。そうあるべきだと言って私は先ほどから申し上げたのだけれども、あなたがあくまで合理的である、これは不合理じゃないのだとおっしゃるなら、それでは九州各県の公立学校の教員のその給与をお示し願いたい。それじゃ九州各県の教員の学歴であるとか年齢とかそういうものをお示し願いたい。そういうことで資料要求しなければならない。その資料要求の上であなたが言われたことがほんとうに間違っていないのか。私が指摘しているのは、国が二分の一負担しておるというこの問題に重点を置いて申し上げておるわけですから、やはり国の二分一負担というものは、相当この点については公平な形において負担されていくということでなければならないと思います。その考え方の上に立ってお尋ねもしておるし問題提起もしておるわけです。だからして、資料資料として私はいただきますが、私が申し上げたことに対してどうも私がわけのわからぬことを言っているのかどうか、ひとつものの考え方として、大臣お聞きになっていかがですか。
  106. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと補足させていただきます。負担の公平ということも確かに考えなければならぬ点でございます。それで現在、さっきも東京の話が出ましたように、東京のように給与も高いし負担力も総体的に高いところにつきましては一応制限をいたしておりまして、二分の一そのまま見ないという特例があるわけでございます。この例を受けている県も四県ほどあるわけでございまして、先ほど来申しているように、二分の一という負担の制度の中でも考え方としてはできるだけ各県の負担力というものを考えていこうという趣旨も出しておるつもりでございます。しかし、なお給与水準につきましては今年度かなり綿密な全国調査をいたして実態を明らかにした上で次の施策にかかりたいということを、最後にまた付言いたしておきたいと思います。
  107. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 中村さんの御指摘になるような事実は確かにあると思います。局長は現在の制度のもとに動いておるわけでございますが、また現在の制度も決して理由なくできたわけでもないと思います。その点でその立場に立ってお答えを申し上げておるのでございます。おっしゃるとおりに、どの県もどれもこれも一様にというわけにもいかぬと思いますけれども、私もかつて九州につとめたことがございます。同じ九州であっても公務員の給与がかなり違っておるという事実を痛感したことも実はあるのでございます。そういうふうに県々で給与の出し方というものが長い間のこれは沿革だろうと思いますけれども、違ってきておるという実態もあるわけでございます。その実態に即して各県でそれぞれ教員の給与というものについてもきめておる。それが御指摘のとおりにいかにも不合理なアンバランスを生じてきておる、こういうことになっておるのじゃないかと思うのであります。政府の立場から申しますというと、やみくもに給与をかってに上げられても実は困る。財政的にも困るという問題がございますが、現に非常に高いようなところ、富裕なところについては、いま局長の申しましたように政府のほうの出す金をある程度二分の一以下で押えておるような例もございますけれども、基準に照らして低いというふうなところは、その俸給を支弁しておる各県において給与水準を上げてこられれば、もちろん幾ら上げられてもその二分の一は出さなければならぬから、こちらのほうから言えばその点は実はそう大した問題じゃないと私は思いますが、現実に各県ごとに給与水準を上げていくというようなことに相当困難を感ぜられる向きもあるのじゃないかと思います。私も九州なら九州、中国なら中国、隣接府県があまりアンバランスのような状態であることは、給与の姿として望ましいことではないと思います。何とかそういう点については各県ともにそれぞれ隣接府県の様子も見ながら、互いにバランスのとれた給与にしてもらうように、むしろ希望をいたしておる、こう申してもよろしと思います。  いずれにいたしましても、いま局長が申しましたように、教員の給与の問題あるいはまた給与体系の問題、こういうふうな問題はいまの状態では決して望ましい姿とは言えないのではないか。先ほど教職特別手当の問題についての御意見もございましたが、あの制度にしましても実はさしあたり暫定的な意味で法案の御審議をお願いしたいと思っておるのです。どんな結果が出るか存じませんけれども、われわれできるだけ努力をいたしまして教員の給与の実態等についても正確なところを把握いたしまして、教職員にふさわしい、何かもっといい給与体系というものはないかというふうな点も検討していきたいと思うのでございます。そうしてできるだけりっぱな人材が教育界に集まるというふうなことを目標にいたしまして、給与体系というものを考え直してみたらどうかというふうな心持ちで、実は調査をお願いしておるようなわけでございます。せいぜいそういう点についての調査を急ぎまして、各方面の御意見も十分承って、できることならば教職員らしい給与体系というものを確立してみたいというのが実は私どもの希望でございます。これは事務当局もそのような考え方をいたしておるわけでございます。その際にはもちろんいまのような問題は当然取り上げられる問題ではないかと存じます。いずれにいたしましても、御指摘の点は実は長い問の一つの給与制度といたしましてそういう基礎の上に立っておりますので、いわば基本に触れる問題ということにもなろうかと思うのであります。そういうふうなことでございますから、いま御指摘になりました状態が決して私は歓迎すべき姿とは思いませんけれども、これが是正のために何らかの措置を講ずるといたしましても、いまのままではそう簡単にはいかない、こうも思いますので、できるだけ各村県が隣をよく見ながら給与をやってもらいたいと思いますけれども、根本的な問題もあろうかと思います。ひとつその意味においては十分御鞭撻いただいて検討してみたいと思います。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 確かに私も教育の基本に触れる問題であると思うのです。大臣がいま、実績によって国は二分の一負担するんだから幾らでも上げてきたならば負担しましょう。こうもいかないと思う。現に東京都は高いからチェックしているとおっしゃる。高いところは押える。低いところはその県の実態によってやっているんだからこれはそれにまかせるんだ。それではいけないのだ。やはり国が教育に対する最終の責任があるわけなんで、そこでそれに基づいて二分の一を負担しているんだ。そういう場合には大臣のお答えの中にもいまございましたように、できるだけアンバランスがないようにしていく。そういうことがいわゆる教育効果をあげていく上についても非常に重要な問題ともなってくるわけだから、文部省としては教育に対する責任をさらに痛感されて、そうした問題のアンバランスを直していくということに私は十二分の指導性を発揮してもらいたい、こういうことで実は申し上げるわけです。長崎県の例を申し上げたのも、実はこういう問題は抽象的ではいけないので、具体的な問題を中心にして話をしませんと、これは核心をつくことになりませんから、私はあえて申し上げたわけです。  それから最後にお尋ねをいたしますが、PTAのあり方ですがね。どうも最近特に教職員の十・二一とか十・二六の問題等ストライキの問題をめぐって各県、これもまちまちではございましょうけれども、いわゆる日P連というのがありますが、そこで日P連スト対策委員会とかいうのができておる。それからある県によっては教育正常化委員会とかいうものができている。それから来年もまたストライキがあるであろうということをあらかじめ予想して、そうしていろいろな対策を立てるというより、むしろこれを挑発するような傾向すらある。ところが、こういうようにPTAが事面に、いろんな問題に介入してまいりますと、いわゆる教育あるいは人事にまで介入する、教職員の人事権はPTAが持っておるかのごときことすら無責任にも放言をするといったようなことで、実は教育上これはゆゆしい問題だというふうに思っておるわけですが、PTAのあり方としてはどのように大臣はお考えになっておられるのか。PTAがそうした労働問題あるいは教育問題に、あるいは人事問題に介入する、くちばしをいれるといったようなことが、これはいいことでないことはわかっていると思いますが、それらに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ承ってみたいと思います。
  109. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 PTAもだいぶ長い年月を経過してまいりました。御指摘のように、同じくPTAと申しましてもいろいろ状態は違っておろう。中には、あの姿ではPTAとしてはおかしいじゃないかというふうなものもございましょうし、中にはまた名前だけで十分な活動もしていないというふうなところもございましょうし、いろいろあろうかと思うのでありますが、私はやはりPTAは何と申しましても子供のいわば健全育成といいますか、いわゆる子供教育のためにこれを中心にして、学校当局と十分密接な関係を持って、この目的達成のためにいろいろ御尽力を願うというところにPTAの意味があるんじゃないかと思いますが、このPTAのあり方につきましてはいろいろ文部省のほうでも検討もいたしておりますし、また最近の実情等につきましてはひとつ主管の局長から御説明を申し上げさせたいと思います。
  110. 木田宏

    ○木田政府委員 PTAのあり方につきましては、実は昨年の六月に社会教育審議会で「父母と先生の会のあり方について」という見解のお取りまとめをいただきまして、文部省にその御提示をちょうだいしたわけでございます。  従来問題とされておりましたことは、PTAが端的に申しまして学校の後援団体である、むしろPTAの会費は学校の施設とか教職員に対する資金の援助という方向に行き過ぎてきた、これはやむを得ない事情等もございましたけれども、そういう後援団体的な性格からやはりPTA本来の姿としての児童生徒の健全な成長ということに焦点を置きまして、親と教師とが協力して学校と家庭とのパイプ役になるということを第一に考えるわけでございます。学校教育家庭教育の双方の立場をお互いに理解し合うような場として考える、と同時に児童生徒の校外におきます生活指導という方向に力を入れてやっていきたい、これは最近の例でも登下校の児童の交通安全等のことにつきましてPTAとしてかなり積極的な協力をしておられるものがございますが、そういう校外におきます児童生徒の安全あるいは教育環境の整備ということをやはり大切な課題にいたしまして、そうして学校に対する単なる後援団体というだけでなくて、むしろ学校を離れたあとの学校と家庭との問、放課後の子供の健全な遊びの育成であるとか、そういう面に焦点を置いた事業活動を促進していく、これを主たる目標とし、本来の目標でもありますために、そのことを再確認して進めていこうということにいたしておるわけでございます。もっとも、当初PTAが親の団体であるということの関係から、教育問題についていろいろの観点で学習をする団体だということもございまして、子供教育を中心に議論するだけでなくて、かなり多彩な社会的問題についても論議をした時代が、発足当初にあったわけでございます。それがその後の学校行政の御案内のような事情で主として後援団体という方向に進んでまいりました。これを私どもはいま子供中心の校外活動、学校教育家庭教育のつなぎの場所という方向に進めていきたい。ちょうどPTAも本年で発足二十周年を迎えるわけでございますので、日本のPTAの団体とともに、本来のそういうあり方を再確認し、末端に徹底していく、このような施策を進めたいと思っておるところでございます。
  111. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのとおりだと思うのです。これはPTAだからPとTですね、教師と父兄が話し合い、地域の教育子供教育というものに十分成果をあげていくような話し合いの場でなければいかぬ。私が申し上げたような、労働運動にくちばしをいれたり、教育の中身についていろいろくちばしをいれる、ましてやそれが人事介入というような、そんなでたらめなことは私はいけないと思う。それから、来年もストをやるだろうとあらかじめ予想して会合を持って対策を立てる、あるいはいろいろなパンフレットを出すなんというような、そういうことはきわめてこれは行き過ぎだと思う。おっしゃるように学校後援団体的な色彩を持ってはいけない。その点について大臣にお考えを願わなければならぬことは、PTAに廃品回収をさせたり、あるいは学校のいろいろな器具器材を整備するために寄付を集めさせたり、いろいろなことをやらせるから、後援団体的な色彩を持つようになるのですよ。そしていろいろなことにものを言う。校長も、世話になっているものだから何にも言えない、そういうことになるのですね。だから、厳にそういうことは戒めなければならぬということで、税外負担が非常に大きいというので、これを排除するという通達等もお出しになっておられると思うのですが、それがどういうことになっておるのか。それから、いま申し上げた、そうした廃品回収あるいは器具器材整備のための寄付集め、そういうような財政負担の役割りをPTAに持たせる、そういうことは改めさせなければならぬと思う。その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、これを伺って私は質問を終わりたいと思います。
  112. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 PTAに対する文部省の考え方は、いま局長から申し上げましたようなことでございます。その趣旨をできる限り徹底をいたしたいと存じております。いろいろそれぞれの学校をめぐるPTAのあり方につきましては、あるいは行き過ぎがあったり、あるいはまた間違った方向で動いたりということもあろうかと思います。こういう点はとにかく是正をすることにつとめて、本来のあるべき姿のPTAとして、ほんとうに子供のために、また日本の教育の前進のために役立ってほしいと思うのであります。PTAがただお金を負担する団体になってしまった、あるいはまたそのためにPTAに余分な、本来の姿でもないことをやらせる、そういうふうなことは反省をいたしまして、やはり節度のある姿で学校も考え、またPTAという団体も考えていくということでなければならぬと思います。学校のほうから申しましてもやはり私は大事な組織であり、団体だろうと思うのであります。その意味におきましては、学校の職員諸君もやっぱりPTAの人たちと打ち解けた間柄として常に親密な関係を持ってものごとを相談し合うというふうな気持ちで接してもらわなければ困りますし、PTAのほうは何かボスにでもなったようなつもりでやられてはもってのほかだということにもなるわけでございますけれども、要は関係者がそれぞれ良識を持ち、節度を持って、この種の組織の健全な発達のために協力していただきたい、そのように考えております。
  113. 木田宏

    ○木田政府委員 PTAは団体といたしましては自主的な団体でございますから、私どものほうで直接PTAに対してああしろこうしろというような措置は従来とっておりません。ただ、PTAのあり方につきまして、そのときそのときにいろいろな見解を表明し、PTAの団体がそれを自主的に受け入れるということで団体の下部に徹底さしていく、こういう方向を一面ではとっておるわけでございます。もっとも、学校教育関係で校費でまかなうべきものにつきまして、PTAの寄付に依存するということの抑制策につきましては、校費についての財政上の措置と、それに対します行政上の都道府県、市町村に対する指導を初等中等局のほうでとってまいったわけでございます。現在までのところ、PTAの集めておりますいろんな資金の状況は、自主的な団体でありますだけに的確なデータというものを持っておりませんが、サンプルで大まかに見てみまして、PTAの集めております資金がPTA会費として昭和四十年度現在で大体小中学校の生徒一人当たり年七、八百円、そのくらいの見当になっておる状況でございます。この経費のほかに相当の資金が出ておりましたものにつきましては、校費負担の抑制ということで措置を進めてまいっております。私どものほうでは、むしろPTAが本来そのPTAの資金で健全な事業をやる、そのPTA会費の使われ力が、ほとんど学校に対する校費のような予算の組み方になっております点を、PTAの各県協議会等と一緒になりまして、個々の単位団体に対してもう少し本来の事業活動、校外における子供たちの健全な育成という方向での事業活動にPTAとして集めた会費を使うように、そのようにいま、昨年の答申を受けて以来関係者に呼びかけまして、一歩一歩機運を進めておるわけでございます。
  114. 華山親義

    華山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会