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1968-04-02 第58回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       長谷川 峻君    水野  清君       赤路 友藏君    勝澤 芳雄君       鈴切 康雄君  出席政府委員         科学技術政務次         官       天野 光晴君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁長官         官房会計課長  斎藤 吉郎君         科学技術庁計画         局長      武安 義光君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君         科学技術庁振興         局長      谷敷  寛君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君  委員外出席者         会計検査院長  山崎  高君         会計検査院事務         総局次長    佐藤 三郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 三月二十九日  委員森本靖辞任につき、その補欠として川崎  寛治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 四月一日  委員鈴木善幸辞任につき、その補欠として水  野清君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員勝間田清一君及び柳田秀一辞任につき、  その補欠として勝澤芳雄君及び赤路友藏君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書   〔総理府所管科学技術庁)、会計検査院所   管〕      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、会計検査院所管及び総理府所管科学技術庁について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 会計検査院に対しましてお尋ねをいたしますが、特に私から申し上げた場合は院長から御回答を願いたいと思います。  最近、国のほうにおきまして、政府におきましては、行政硬直化というふうな名のもとに、一般公務員を何カ年かに減少するとか、あるいは事務費節減するとかいうふうなことがいわれまして、独立している会計検査院あるいは国会に対しましても、その協力を求めているということが新聞等に出ておりますけれども、そういうふうなことについて、政府からどういう協力方を具体的に求められたのか、また、これをどういうふうに受けとめられたのか、また、受けとめられようとしておるのか、この点事務局のほうから御回答願います。
  4. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 政府一般的な経費節減に伴いまして、会計検査院にも経費節減協力要請がございました。たとえば、人員につきましてはいわゆる欠員不補充で、補充しないでおきました人数が少々ございましたが、その分を定員から落とす。これは一般行政庁はそういう方針でやられた、私のほうもそういう要請がございましたけれども、その点につきましては、実質的には定員から落とすかっこうには一応はしましたけれども、また増員という方向でその落とした分だけは見てもらいまして、結局トータルにおいては減員なし、こういう措置を講ずるようにいたしております。  それから旅費の点でございます。旅費の点は、一般行政庁につきましては七%の節減要求がございまして、大体そのとおり節減しているようでございますが、私のほうは、それでは実地検査に支障があるということで極力折衝をいたしました結果、一応三%減というところまでいきましたけれども、その後なおそういうことでは困るということで、人件費からの流用増をしてもらいまして、究極においては、当初予算に比べて一・四%程度の減ということで結末をつけまして、実地検査を施行いたした次第でございます。
  5. 華山親義

    華山委員 皆さまの御協力を得まして、過去十カ年間の検査状況を調べていただいたのでございますけれども、それによりますと、証拠書類検了計算書検了、これは三十三年の一〇に対して四十二年は大体一三ということになって、三割の増加になっております。この間に人員増加は私の見たところないようでございますけれども、人員増加はなかったんじゃございませんか。
  6. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 三十三年度の定員は千百七十八名でございまして、四十二年度の定員が千二百十二名ということでございまして、三十四名の増加という数字でございます。
  7. 華山親義

    華山委員 そのようにほとんど変わらない定員で、三割増加証拠書類検了なり、計算書検了をしておられるのであって、相当能率をあげているもののごとくに思われますけれども、なお一そう事務能率、あるいは機械化等によって能率をあげていただきたいと思います。  それからこれも皆さんの御協力によりまして実地検査の状態を十年前からずっと私見ておるのでございますけれども、そのおもなるものを見てまいりますと、租税検査状況を見ますと、三十二年から三十四年までは、要検査個所検査施行個所との比率は大体五〇%前後にあります。ところが三十五年にが然下降いたしまして、自後四〇%を下回る、そういうふうな状況になっておりまして、実地検査割合低下をしておる、こういう実況でございますし、また健康保険及び厚生年金保険について見ますと、三十二年におけるところの全国事業所数に対する実地検査をされた事業所数割合は二・二%でございますけれども、十年たちました四十一年におきましては、その三分の一の〇・七%となりまして、パーセンテージにおいては三分の一を下回っております。それから農林省関係状況を見ますと、三十二年には、工事現場の中から八%を実地検査をいたしておりますけれども、次第に低下をいたしまして、四十一年には五%に減っております。それから公共事業補助検査状況を見ますと、工事現場数に比較する実地検査施行個所は〇・七六%——これはちょっとパーセンテージが違っておるかもしれませんから、あとでまた補足いたしますけれども、大体四分の一にパーセンテージとしては減っております。それから公共補助事業建設省関係におきましても、〇・一四%から〇・〇八%というふうに減っております。このパーセンテージの位取りの点につきまして、あとで私また速記録等で訂正するかもしれません。まあ、とにかく次第に実際に事業場等において実地検査をしたというパーセンテージが減っておる、これはいなめい数字上の傾向でございます。  私は考えますのに、会計検査院は存在するがゆえにとうといのであり、また実地検査をするがゆえにとうといのである。そこに会計検査院価値があるのであって、会計検査院は不正な事項指摘してそこから金を取ろうという国の収入を増加するための機関ではない、そういう意味から言いますと、実地検査個所割合といたしまして次第に減っているということは、会計検査院機能の本質から言って、困る問題じゃないか、こういうふうに考えます。  それで私は、先ほどお尋ねをいたしたのでございます。旅費等の削減によってこの傾向が強まってはならぬのであるし、許し得るならば、人員とか旅費等を増しても検査個所はもっと多くなるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。その点、会計検査院機能に関する問題でもございますので、院長から御方針を承りたい。
  8. 山崎高

    山崎会計検査院長 ただいま御懇篤なる激励の意味を持った御質問を拝聴したのでございます。  おっしゃいますように、実地検査の場所は減っておりますが、私どもがいま持っている資料によりますと、たとえば施行率として三十六年三二・六%が四十一年は三一・四%、四十二年は三〇・九%というふうになっておりまして、何とかして実地検査浸透率三〇%台を維持する、ということにつきましては努力しているわけでございます。要するにこの検査能力充実ということが御趣旨かと思うのでございますけれども、いろいろな面から考えなければいかぬと思いますが、まず第一に人員の点がございます。おっしゃるとおり、最初の御質問でございましたように、予算がふえているわりには人員はたいしてふえてないのでございます。これはどうしても今後われわれは、予算規模がどんどんふえておるのでありますから、やはり増員をはかるように努力しなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。  それから本年度の予算につきまして、結局欠員中の定員はそのまま減にいたしましたけれども、逆に必要な定員を入れてもらったという関係はございます。そのようにしてことしは過ごしたわけでございますが、今後定員増加につきましてはやはり努力いたしたい、かように考えております。  それから定員だけではなくて、実地検査旅費という問題がございます。定員はやはり政府のというか、一般公務員というものの数をやたらにふやさないほうがいいというふうな世論的な要求もございますし、それにある程度協力するといたしましても、それにかわるべきものとしてやはり実地検査旅費を増さなければいかぬ、これはずいぶん努力いたしまして増したつもりでおります。二、三年前にこの旅費の点が改正になりまして上がりました。これは検査院のようなところでは旅費が少ないとどうしても実地検査に行って問題を起こすので、私は実は検査院へ行ったばかりでありましたけれども、大蔵省当局に対して、問題を起こさぬためには十分まかなえる旅費をくれなければ困るということを要求したのでありますが、全般的に考えてくれまして、大幅に旅費定額を上げたのは、四十一年でございましたか、何か二、三年前に上げたことがあります。そのときも旅費の総額は大幅に上がったのでございますが、旅費定額が上がったために、実地検査がやはり思うようにできなかったという点がございまして、昨年とことしはそれを完全に入れて、つまり旅費を増すことによって実地検査を十分にしようというように努力してまいったつもりでございます。かような点まだいろいろとございますけれども、検査充実ということにつきましては、今後ともなお一そう努力してまいりたい、かように考えております。
  9. 華山親義

    華山委員 院長に、あるいは事務次長でもよろしゅうございますが、お聞きいたしますが、会計検査院には陳情というものはございますか。私は現在、非常に嘆かわしい現象と思うのでございますけれども、一般官庁陳情にあふれておる。民主主義だからしかたがないなどということは私は当たらないと思うのでございますが、会計検査院陳情がございますか。
  10. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 陳情という意味でございますが、私のほうには、たとえば建設検査課では、道路あるいはその他の災害復旧相当広範に検査をしておるわけですが、そういう工事検査をした結果、こういう点がまずい、手抜きしているじゃないかというような、あるいはこういう面は便乗工事補助金をつけるべき事態ではないではないかというような指摘があるわけです。そういたしました場合、現地で解決すればそれはけっこうでございますが、お互いの意見が食い違いまして、現地では解決に至らないものもどうしても相当残るのでございます。そういうものにつきまして、先方が検査院に参りまして、あそこの工事はこういうふうになっている、したがって検査院の言うことはこの点において間違っているじゃないかというような意味におきまして、いわゆる陳情というのじゃなくて、むしろ弁明といいますか、答弁といいますか、そういったようなかっこうでは、これはもう相当数ございます。しかしそれ以外、まあ人間でございますから、けしからぬ事態が見つかった場合に、ひとつかんべんしてくれ、これは本人は非常にまじめにやったんだからかんべんしてくれというようないわゆる陳情、これもなきにしもあらずでございます。しかし検査院は、そういう情でもって左右されましては、検査院の本来の機能が果たせませんので、そういった陳情の中でも理由のあるものは別でございますが、そういった単にそれだけの陳情だけの陳情というようなものについては、耳をかすつもりはございませんし、そうしていないつもりでございます。
  11. 華山親義

    華山委員 私がお聞きした意味は、私もいろいろ会計検査院検査を受ける立場が長かったわけでございますから、これは検査を受ける立場からいいますと、相当うるさいというふうな感じがいたします。しかし私は会計検査院というものは正直な官僚の守り神だと思う。と申しますことは、いろいろな政治家とかそういう連中が、たとえば建設省農林省等関係で、これはとうてい認められませんよというふうなことを言いますと、それならばおれは建設省農林省に行って話をつけでくる、こういうことを言うわけです。それが陳情になってくるわけです。しかしそういうことをやったならば会計検査院指摘されますよ、会計検査院指摘されるようなことは私たちはできません、こういうふうなことを言った場合に、その人は、それならばおれは会計検査院に行って話をつけてくるという人はないのです。それですから、会計検査院立場というのは、私は、役人が正当な仕事を正しくやる上のたてだと思っているのです。そういう意味で、意地が悪いようでございましたけれども、陳情があるかということをお聞きしたようなわけでございます。そういうふうな意味から、やはりき然とした態度会計検査院の本道を守って、いろいろな情実にさらわれがちなことを守っていただきたい、こういうことを、会計検査院院長もおいでになりますので、私からお願いをいたしたいと思う次第でございます。  くどく申し上げますが、会計検査院は存在して、正しくき然たる態度仕事をやっていかれることが、私は会計検査院の存在の価値だと思う。批難事項が多いとか少ないとか、そんなことは問題じゃない。そういうふうな立場を守っていただきたいと思います。それですから、私にはこのように次第に実地検査割合が減っていく傾向が見受けられますので申し上げたようなわけでございます。それから、そのことにつきまして、会計検査院はどちらかといいますと憎まれる立場にあります。まことにその点では会計検査院方々には、ことばは悪いですけれども、お気の毒だと思います。それですから、具体的ないろいろな世の風説を持ってくる人もあります。話を持ってくる人もありますけれども、私はそれを聞こうとはいたしません。会計検査院立場を考えますと、聞こうとはいたしません。しかしあくまでも会計検査院職員というのは、私はとにかく正しくなくちゃいけないのではないか、こんなふうに考えます。その点院長にも希望いたします。  この前も吉田委員から会計検査院職員身分保障の問題について御質問がございましたけれども、会計検査院職員には裁判所職員と同じように、特別の俸給表があっていいのではない。ある程度までいきますと頭打ちになって移らなければいけない。そこにいくと、どうしても移らなければいけないから、上の人をいろいろな公団公社に移して、それでのぼっていく、こういうふうなことがあってはいけないのであって、ある年限がきたならば、その人の能力に応じて、地位とかいう問題にはかかわらず昇給ができていく、そういうふうな制度があってしかるべきものじゃないかと考えますが、この点院長の御意見を承っておきたいと思いますし、御努力を願いたいと思います。
  12. 山崎高

    山崎会計検査院長 会計検査院職員身分の安定、身分保障からさらに大きな意味の特別な給与という点のお話しでございます。会計検査院職員は現在一般職職員範疇に入っております。一般職職員範疇ではございますが、戦前一般官吏と違いまして、現在御承知のように、国家公務員法関係におきましては非常に身分保障がはっきりしております。昔の会計検査院におきましては、二十何名かの会計検査官だけにいわゆる身分保障がありまして、刑事裁判または懲戒裁判による以外は退官させられないという規定が検査院法にございましたけれども、その他の一般の副検査官以下属官までは身分保障がなくて、昔でいいますと、事務上の都合によっては休職もどんどんできたという関係になっております。そういうふうな関係から比べますと、現在の職員は、国家公務員法によって、戦前と比べましたら身分保障があって、本人の意思によらなければやめずに済むわけでございます。  しかし、さらに裁判官検察官というような特別職で、特別の俸給表を持っておる者とどう違うかという問題にもなってくるわけでございますが、俸給のほうの関係は別といたしましても、法律上の身分関係と申しますか、いわゆる身分保障という点は、現在の法律においてはほぼ変わっていないのではないか。たとえば裁判官で申しますと、その意に反して転職とか転任はさせられないことになっておりますが、検査院は東京だけでございますから、そういう関係もなく、この点も事実上ほとんど変わりないわけでございます。しかし、何といってもまだ裁判官というようなものは、これは裁判官の給料に関する特別の法律がございまして、特別の人材を集めるという意味もございますし、特別の扱いになっておるわけでございます。しかし裁判官と申しましても、検察官と申しましても、同じように、検察官の中には検察事務官とか裁判所書記官とか、ほぼ一般職的な者もいるわけでございます。官吏制度のいろいろな問題ということが出てくるわけでございます。たとえて申しますと、裁判官的な特別職という問題になりますと、千二百名の職員を全部裁判官的なものと考えるのは不可能、一般労務職もいるわけでございます。国会職員のように職種をあげて全部特別職、これは政府から独立だからという意味もあるわけです。それでも一つ研究をするべき問題ではないか。いろいろな問題があると思うのでございますけれども、これは現在の職員といたしましても、長い間一般職でおる関係もありまして、やはり職員全部の希望というものも考えなければいかぬという点もございまして、にわかにこれがいいというふうにいま断定はできないわけでございますが、私は、こういうような職員が安んじて仕事ができるという点につきましても、御質問の御趣旨もございますので、今後少し研究さしてもらいたいと思うのでございます。いまにわかに結論的なものはまだちょっと申し上げかねるのでございますが、そういう事情で、今後ひとつ検討いたしたいと思います。
  13. 華山親義

    華山委員 私はそういうことは言いたくないのですけれども、たとえばそういう事実がなければけっこうなのでございますけれども、会計検査院職員は、やはり地方等に行った場合には一切ごちそうになってはいけない。弁当だって、でき得べくんば自分で食べてもらいたい。そういうふうに考えますので、そうするならば、日ごろの身分保障の問題はいまのままでしかたがないかもしれませんけれども、俸給なりそういう面では、日当を別にするわけにもいかぬでしょうけれども、違った俸給が与えられてもいいのじゃないだろうか。片方だけやるな、やるなと言って特別に厳重な要請をするならば、一般官吏よりも特別な手当というふうな、昇給というものがあってもいいのじゃないだろうか、こういうふうに考えますので、私は申し上げたのです。院長もただやるな、やるなと言うのでは困るのじゃないかと思うのですが、あなた方は、とにかくわずかでもこれだけの処遇を志として与えているのじゃないか、それは決していささかも世の疑惑を受けるようなことをしてもらいたくないからやっているのだ、そういう点で気をつけてもらいたいということがまた言えることじゃないかと思うから、私は申し上げておるのです。その点ひとつぜひ御考慮を願いたいと思います。  最近公団公社等に、局長とかそういう方々がしばしばお移りになるということも聞きますけれども、これもやはり上がつかえるから下の方々地位が上がらない。地位が上がらないと現在の俸給関係からいいますと、月給が頭打ちになって上がらない。こういうことから出てくると思いますので、そういう点につきまして、ひとつ打開の方策を会計検査院における特別な仕事として御考慮願いたいと思うわけであります。これはひとつ御希望だけを申し上げておきます。  もう一つ私お聞きいたしますが、会計検査院は違法な支出、不適当な支出、そういうものについて検査をされるのでございますけれども、従来のやり方を見ますと、そのこと自体もありますが、そのことによって国庫に損害を与えたというものを指摘しておられる。しかし不適法やり方によって、国家が国費を出さなかったということについては指摘をしていない。もちろん会計検査院予算単価等に口ばしを入れるわけにはいきません。注意事項留意事項等について指摘する場合があっても、たとえば、一例を申しますと、国会議員選挙につきましては、地方はみな間に合っておる。厳密な計算をしてやりますから……、国の選挙に口ばしを出すとか、出さないとかいう問題はありますけれども、とにかく間に合った限度でやっておる。しかしたとえば自衛官募集ということになると、これは間に合わない。しかし地方財政法十八条にも、国の仕事を委託する場合には、十分なものをやるようにと書いてあるわけです。それから自衛隊法を見たって、国は十分な金をやらなければいけないと書いてある。ところが、人口一万程度のところにまいりますと、八千円くらいの金で自衛官募集仕事をやっておる。講習会を三べんもやれば何も残らない。そういうふうなことを考えますと、単価それ自体会計検査院はいろいろなことは言えないにしても、具体的な支出について、これは法律にもとっておるじゃないかと言っても、私は差しつかえない問題じゃないかと思う。そういう一つ一つの、ある村ならある村、ある町ならある町の具体的な事項について言ったっていいじゃないか、また言うべきじゃないか。その点に国の反省を求めることによって単価を引き上げていく、そういうことになるのじゃないかと私は思うのです。超過負担の問題にも関連いたしますが、会計検査院仕事の範囲というものはそこまで及ぶべきじゃないか。国の支出についての適法、不適法ということを検査されるならば、そこまでもやってしかるべきじゃないかと思います。この点新しい分野かと思いますが、院長どういうふうにお考えでしょうか。
  14. 山崎高

    山崎会計検査院長 ただいま検査院におきましては、おっしゃいましたように、要するに国損といいますか、それを防ぐ、経費節減をはかる、また国の経費が適正に行なわれておるかどうかという見地から検査をしておるわけでございまして、その意味では、国が債務を持っていて払わない場合には、正当なる債務といいますか、契約等をして払わない場合には、当然払わないほうが悪いのでございますから、会計経理の上からいって、なすべきことをしていないという点は、やはりすべきであるということは検査院としては言えるわけでございます。ただ予算の問題、自衛隊法関係はちょっとまだ研究しておりませんので、事実を調べましてから何かの機会にお答えしたいと思いますけれども、超過負担と申しますか、補助単価の問題とか、そういうような予算上の問題につきましては、検査院に権限があるかどうかという点は、これははっきりいたしていないわけでございます。予算そのものの批判ということは、やはり検査院は権限がないのではないか。現在の検査院法のたてまえは私はそうなっていないのではないかと思うのでございます。たとえばそれが行政管理庁的な性格——確かにドイツなんかの会計検査院は、そういうような意味も含めた組織になっていると聞いているのでございますけれども、日本の現在においては高度な政治的な判断とか政策的な見地からやるのもは、一切国会のほうの御批判にまかしているたてまえになっておりますので、現状においてはそういうふうなことはいたしておりませんけれども、しかし制度として今後どうするかという点は、今後われわれとしても検討しなければいかぬ、かように考えております。
  15. 華山親義

    華山委員 私は予算のことをかれこれ言えというのじゃないのです。具体的な問題について予算をそういうふうに立てろと書いてないですよ。地方財政法は十分な金をやれと書いてある。ところが現実にあなたのほうでお調べになったことが、客観的に見て、十分に金がいっていないということがあったならば、それに対して私は政府に注意を促すなり、あるいは出せということを政府に言っていいものじゃないか。具体的の問題について、具体的の事項について、必要にしてかつ十分なる金を出せと書いてあるのだから、必要にしてかつ十分なら予算を組めと書いてある。それですからその支出があった場合に、そういうふうな交付を受けた場合に、必要にしてかつ十分なる金がいっていないじゃないか、客観的に見てどうしてもそうだというならば、私は指摘されるべきことじゃないか、こう思うのですがどうでございましょう。これは少し専門的になりますし、次長からでもよろしゅうございます。
  16. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 いまの地方財政法第十八条違反の問題でございますが、この地方財政法十八条がはたして何をきめているかという問題で、個々の交付決定や支出がこれでなさるべきであるという、そこまできめてあるのか、あるいは一定の支出の場合の準則といったようなものを定めているのか、そこら辺のところがこの地方財政法第十八条の解釈上問題だろうかと思うのでございます。それで私のほうといたしましては、これが地方財政法十八条にはっきり違反しているのだというふうなことでございますれば、もちろん問題にしなければならぬかと思うのでございますが、その法律違反であるかどうか、この点が非常に疑問がございますので、これは自治省当局の見解あるいは法制局の見解等によってむしろきまるべきことじゃないかと思いますが、そうした見解をお聞きした上で、もしほんとうに十八条違反だという線が出ますならば、私のほうとしてはもちろん違法事項として指摘するにやぶさかではございません。
  17. 華山親義

    華山委員 院長にお聞きいたしますが、会計検査院政府とか内閣とは独立したものでありましょう。法制局や自治省の意見なんか聞かなくたっていいじゃないですか。会計検査院自体の法の解釈を打ち立てたらいかがですか。
  18. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 おっしゃるような点でございますけれども、地方財政法はもともと検査院がつくったものでもございませんし、第一次的には自治省が主管しておつくりになったものでございまして、立法の趣旨というものを一応私のほうとしては聴取しないで、一方的に私どもが解釈をするということはいかがか、こういうふうに存ずるので、そういう方々意見を聞きながら検査院検査院独自の判断をしていかなくちゃならぬ、こういう趣旨でございます。
  19. 華山親義

    華山委員 私はそういうふうに思います。たとえば学校を建てるには、場合によっては違いますけれども、二分の一の補助をするというふうに法律ではなっている。ところが現実には二分の一の補助がいっておらない。それはその市町村によりまして建て方がりっぱであったとか、坪数が多くなるとかいうようなことであるならば、これは市町村の責任ですからその分は控除していいと思いますけれども、いかに常識的に考えても二分の一の補助がいってないならば、地方財政法第十八条の違反であることは明白だと思うのです。予算の立て方自体についておっしゃることはできないと思いますよ。だけれども、この学校に対する補助金は客観的に見て二分の一に達していないので二分の一の補助をせよという指摘はあっていいと思う。その指摘が重なることによって、私は予算のほうも、大蔵省のほうも、政府が考えるのじゃないですか、こう思うから私申し上げているわけです。  立法趣旨をお聞きになるのは、研究一つの過程でございますから立法趣旨をお聞きになるのはいいと思いますけれども、立法趣旨なんというものを聞かなくったって、そのときの議事録でも読めばわかるじゃないですか。大体そのときつくった人なんていまいませんよ、法制局にも自治省にも。最も有権的なのは国会の議事録なんです。あれはその当時国会に提出した政府の資料なんです。そういうものによって立法趣旨もわかるであろうし、自治省や法制局の意見を聞いてみてからということは、たいへん私は不満です。ひとつ独立した官庁の気魄を示していただきたいと私は思うのです。  それと、私申し上げるのですが、私の申し上げることが当たっておらなければ幸いでございますけれども、私から見ますと、院長、どうも会計検査院の気魄がこのごろ少し低下しているのじゃないかという気持ちがするのですがね。これは院長もかつての——このごろ明治、大正といいますけれども、明治、大正の当時の官歴を踏まれたことと思いますが、私もそういう時代がございました。昔の会計検査院は、私も軍に関する仕事をやったことがございますけれども、いかなる官庁といえども軍の威圧に圧倒されたときでも、会計検査院は圧倒されなかった。もちろんああいうふうな臨時軍事費等につきましてはもう広大な地域にまでわたりますから、手の届かなかったところもあると思いますけれども、決して私は屈するところがなかったと思うし、私どもその当時軍人から圧力が加わったときには、会計検査院が許しません、こう言ってがんばっていた。そういうふうな気魄が私は何だか昔から見ると、明治大正の時代から見ると、あるいは昭和の初めから見ると、落ちているのじゃないかという気持ちがするのですけれども、院長どうでしょうか、昔から考えまして……。
  20. 山崎高

    山崎会計検査院長 私も実は若いときに二年ばかりでございますが検査院におりまして、陸軍の検査を担当いたしまして、陸軍の全国の造兵廠を検査したことも経験があるのでございますけれども、また戦後検査院に参りまして感じましたことは、これは弁護とか何とかいう意味ではなくて、検査院に参りまして率直に感じたことは、検査院には昔からの一つの伝統といいますか、気風というものがなお厳としてあるのを感じたわけです。つまり、先ほどお話がありましたように、よそから煙たがられる仕事という意味もございまして、孤高の気持ちといいますか、そういう気持ちと、もう一つは、信念に生きるという精神、これが幸いに検査院八十年の歴史の伝統のバックと思いますけれども、私が参りましてからもそういうものを感じたわけでございます。しかしながら、いろいろと戦後制度が変わりまして、公務員も全体の奉仕者というふうに、だんだん変わってきたというふうなこともございましょうし、入ってくる方、それぞれ新しく教育を受けてまいった方が多いのでございますから、漸次変わっておりますけれども、昔と比較いたしましていまどうかというお話でございますが、これもやはり激励のおことばと拝聴いたしまして、今後さらに厳正な検査をやるように努力したい、かように考えております。
  21. 華山親義

    華山委員 私の申し上げたことは、ややもすれば国の行政が乱れがちになる傾向がございますので、その点特にお願いをいたしたわけでございます。  最後に一言だけお願いいたしておきますが、現在、巨大産業、これが随意契約によって行なわれるという傾向がだんだん強くなってきております。特に防衛庁においてそういうふうな問題が出てくると思います。このままでまいりますと、私は、たいへんなことになりはしないか、こういうふうに考えておりますので、特に非常に困難な検査でございましょうけれども、またその方面に向く人の数も少ないようでございますが、それも充実されて、軍事関係、武器関係、そういう面について、特に重点的な検査を励行していただきたい。現在において、私は、会計検査院の最も重要な任務はそこにあるんじゃないかというふうにも考えます。院長の御意見を伺って、私の質問を終わります。
  22. 山崎高

    山崎会計検査院長 特に防衛庁関係仕事が随契が多いということは、ほかのほうに比べまして、これは事実でございます。何一〇%になりましたか、大づかみで三、四〇%になっておりますか、ちょっと数字ははっきりいたしませんけれども、ほかのほうに比べて多いということになっております。そういうふうな関係もございますので、これはケースとしても非常にむずかしい点が、正直に申し上げてあるわけでございます。兵器というものが日新月歩であって、技術というものがどんどん進んでおるという点もございます。それで契約の形態とさらに内容というものにつきましては、実は検査院事務当局も非常に苦心して、何とか実効をあげたい、実際に検査をやっておる者も一生懸命やっております。何とかして悪い点があったら直してやろう、それは報告書なんか出てきますが、非常によく調べているのが実情でございます。議会に御報告するまでは決定的なものにならぬというものもありますけれども、検査することによって非常に効果はあるという点は考えております。御趣旨もございますので、なお今後とも努力いたしたい、一生懸命やるつもりであります。
  23. 華山親義

    華山委員 日本の会計経理面におきまして、新しい時代の重要な問題はその点にあるのじゃないかと私は思う。とにかく非常にむずかしい武器の問題そういう面が新しく出てきた問題である。特にそれが従来のような契約の方式ではいかない。積算も従来のような方式ではなかなかむずかしい、そういうことにいくならば、私はそういう問題について新しく一局起こしてもいいと思う。それくらいのことをやりまして、ここからいろいろな問題が発生しないように、会計検査院がおもしになっていただきたい。そういうふうな気魂をもって、会計検査院はあすこに重点を置いた検査をやっていただきたい。ひとつ十分御研究を願いたいと思います。そうしなければ会計検査院はもうその辺の山の中の——これも非常に大切なことではありますけれども、山の中の工事場を見るだけでは済まされない時代ではないかと思う。私は悪いことだと思いますけれども、財政、予算がそういう方向に重点的に向ってまいりますから、会計検査院機能もそのほうに向けなければいけない。そのためにはいままでのことは軽んじていいという意味ではございませんから、その方面のために一局を設けてでも、重点的な検査というものがあってしかるべきではないか、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  24. 大石武一

    大石委員長 吉田賢一君。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前回の当委員会におきまして、事務的にお尋ねしたい問題点を取り上げまして、事務総長からだんだんと御答弁をいただいたのでありますが、きょうはその締めくくりといたしまして、二、三院長に伺っておきたいと思います。  私は根本的に、会計検査院法の第一条の会計検査院行政から独立するという規定は、これは非常に重要な意義が含まれておる、こう思います。これは前提になるわけです。立法の由来はおそらく憲法の九十条からくるのであって、国の収支の決算を見るということは、執行する行政府に独立の立場を堅持するのでないと完全に行なえない。もしくは国の財政が国民の総意によって、衆議院に優先して議決せられ、国民の負託に沿いまして財政を執行するのでありますから、そういう重要な非常に大きな流れをくんだ法律、こう思っております。そこで私はまだ疑問のまま、私自身も結論を持っておりませんが、いま検査院検査官身分保障をせられておりますが、職員の全員にもっと身分保障をすることは必要であるかないか。あまりに身分保障をし過ぎて、ファッショ的な検査になりましたならば、これはまたたいへんであります。そういうようないろいろな点も十分配慮しながら、十分に身分保障をするということが、真にその使命を果たすゆえんになるのではないだろうか、こういうふうに考えております。検査官につきましては、八条にも身分を保障せられておりますし、それからまた全般といたしまして、検査院立場が、たとえば予算の作成権であるとかあるいは職員の任命権であるとか等々につきまして相当強大な権限を持っておりますけれども、しかし具体的に、身分保障検査官と同じような地位に引き上げるということは必要であろうかどうであろうか、しないほうがいいのであろうかどうであろうか、その辺につきましては私自身も結論を持っておりませんが、院長の率直なお考え方をこの機会に伺っておきたいと思います。
  26. 山崎高

    山崎会計検査院長 職員身分保障に関する御質問でございますが、これも実は先ほどちょっと華山先生にお答えしておきましたけれども、現存の国家公務員法の条文の規定では相当強い身分保障があるわけでございます。おそらく昔の会計検査官、二十数名おりましたけれども、それと同じような身分保障といいますか、裁判によらなければ——身分が保障されておった昔の検査官と同じように、今度は公務員法によります欠格事項というものがきまっておりまして、それ以外は身分があるわけでございます。定年の関係もございません。逆にいうと法律上の形ではないですから、いつまでもやれるじゃないかというふうにもとれるわけでございます。逆に、今度は定年の規定を置きますと、定年まであるというような意味も出てくるわけでございますが、現在の一般職関係におきましては年齢には全然触れておりません。  そこで、検査院職員身分関係をどういうふうにしたらいいかということでございますが、これも実は、吉田先生もお話ございましたように、私も率直に申し上げまして、どれが一番いいのかということはもうちょっと検討いたしませんとわかりませんし、また検査院の長い問の伝統がございますので、みんながそういう伝統というもの——やはり働くのはみなでございますので、争ういうようなこともやはり考えなければならないという点もございますので、少し検討させていただきたい、かように思います。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なぜこの御質問をするかというば、いま財政の硬直化と叫ばれております。また財政の紊乱、予算の浪費、乱費ということは年々指摘されておりまするから、実質的には、依然として数字は改まっていっておらないと私は見ております。それほどに日本の行財政には問題があると思うのです。行政、財政とも制度的に改革していかなければならぬ時期が到来しておりますることは、すでに臨時行政調査会をはじめ、あるいはまた池田内閣時代の補助金等合理化整理に関する答申によっても、あるいは現在総理を先頭にいたします閣僚協議会において、行政改革を三年間に相当推進しなければならないという世論の要請にこたえようとしておる点、あれこれと考えてみましたときに、やはりいま日本の行政並びに財政は制度的に相当改革をしなければならぬ時期に来ているのではないか、これに対応する検査院のあり方はいかがか、こういうことに焦点を合わしていかなければ検査院の使命を全うし得ることは困難になるのではないだろうか、実は私はこういうふうに思っておりますのです。  それで公務員並みの身分は保障されている、それはわかります。わかりますが、裁判官あるいは検察官と比較すればはるかに劣るということは申すまでもありません。しかしそうかといって、現在直ちに、ほんとに強固な身分保障をすることがよいか悪いかということは、それは問題です。しかしいずれにいたしましても、検査院のあり方を根本的にもっと内容を強化し、機能を十分に発揮し得るような、そういうふうにせねばならぬときにいまは際会しておるのではないか、こういうふうに考えますので、いま御質問申し上げた次第です。たとえばほかの面から見てみましても、補助金の問題にしましても、補助金の項より目へ細分して、さらに対象まで区別していくと、この間も調べてみましたら、約三十万ぐらいにのぼるようです。おそらくそういうものは全部追及することは困難でございます。そういう必要もあるいはないでありましょう。そういうふうになっておりますので、そういう検査対象、検査の需要に応じていくような体制をつくるということだけでもたいへんだろうと思うのであります。この委員会でもしばしば問題になりましたが、もっと技術者をふやしたらどうですか、もっと技術知識のある人をふやしたらどうですかという議論が起こるのは当然でありますから反面においてこういう日進月歩の技術革新時代に対応するような検査院検査体制の整備、充実、強化をしていかなければならぬという要請がある。マンモス的に予算及び行政は膨大していく、これに応じていかなければならぬ、そうしていろんな浪費とか乱費をなくすためにも制度を改めなければならぬ段階にきておる。それに対応いたしまして検査院を強化していかなければならぬ。私は単なるおじょうずに、検査院を激励して大いにやりなさい、そんなことは言いたくないのであります。やはり検査院批難事項が願わくは最終的にはゼロになってもらいたい、そうして不正もゼロになってもらいたい。日本に刑務所も要らぬようになってほしい、警察官ももっと減ってほしい。それは理想です。願わくはそうあってほしいということだけれども、いまの時代に対応する検査院のあり方といたしましては、私はやはりいろんな点でもっと充実強化することがどうしても必要ではないだろうか、こう考えるので、そう申し上げたのです。  もう一つ、いまちょっと触れましたけれども、たとえばコンピューターなどの使用等により、この間も事務総長とちょっと問答したのでありますが、言うならば財政執行の情報網を全国的に張りまして、ごく簡単に手に取ってそれを全部調べることができるような、ここまで技術革新が検査院でできるようになりましたら、これはもうたいへんなことです。そういうことをすぐ望むわけではありませんけれども、そんな時代に来ておりますので、私はやはり検査院のあり方がこれでよろしいか、もっと強化、充実、進歩、拡充していく必要がないだろうか、こういうふうに思うのでお尋ねするのでございます。多く申しません。大体、先般いろいろと事務総長と問答いたしておりますので、検査院長、あなたの時代に相当思い切ってこれは躍進の体制に持っていってもらいたい。来月は世界の検査院長の会議もできるようでございますので、いずれにいたしましても検査院立場は厳然として最も権威のある存在にして、次第に検査対象は非違がなくなってきたというふうに、ぜひ望む意味でこんな点を御質問したのであります。これも常識じゃ困りますから、ほんとうの決意のあるところを院長お述べいただきたいと思います。
  28. 山崎高

    山崎会計検査院長 まことに御趣旨のとおりでございます。われわれも会計検査院本来の機能を発揮するために今後幾多の検討すべき問題があると思うのであります。ただいまちょっとお触れになりましたけれども、技術的な部面が非常に多くなるので、それに対応する道も考えなければいけないと思うのでございます。あるいは各省にコンピューター等がどんどん導入されますので、それに対する検査の体制も整備しなければいけない。あれこれ考えますと、非常にいろいろの問題が出てくるわけでございます。また、この検査の結果が国会の御審議を受けまして、さらに有効に予算に反映するというようなためにも、それにふさわしい体制をとらなければいかぬ、検査の実効をあげるようにしなければならぬという点も出てまいるわけでございます。そういう点考えまして、私たちもできるだけ今後は努力したいと思います。  来月各国の検査院会議もございますので、いまそれぞれ議題は出しておりますが、それについての各国の討論とか実際の実績等も参照いたしまして、さらに御期待に沿うように一段と今後は努力してまいりますので、何とぞひとつ御支援、御指導をお願いするわけであります。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最後に、検査院が指導的にかつ内閣とも御相談になりまして、それぞれ現在の日本の行政、財政のあり方、実情を基礎にいたしまして、世界の趨勢も一切全部掌握いたしまして、より前進し得るような体制をとるような計画、調査、検討ということを具体的に踏み出していって、すぐにとは言いませんけれども、できるだけ早い機会に検査院が新しい装いと、そしてほんとうの使命に邁進し得るようなすばらしい体制を整える、こういうことを御用意になってはどうか、検討してはどうか、具体的に準備なさってはどうかと思いますが、どうですか。
  30. 山崎高

    山崎会計検査院長 いろいろと貴重なる御意見はありがたく拝聴するわけでございます。ただ検査マンといいますか、一般の調査マンといいますか、そういうような検査する人ということにつきましては、こういうふうに能率をあげたいということも大事でございますけれども、もう一つは実際に検査に従事する人の素質を上げていく。計画だけ先に進んでもいけないのでございまして、人の養成とうまく歩調を合わせていく。たとえばいままでは不当事項検査におきましても、あるいは土木工事でいいますとセメントの配合が悪いとかなんとかいうような点は、これは毎年毎年検査報告に出てまいってきているわけでありますけれども、もちろんそのことはそのことでもってどんどん指摘して、悪い点は直していくことも必要でございますけれども、今度は逆に国会のほうでも御要望があり、御意見がございますように、予算を効率的に使用するという点にどういう点を考えなければいかぬかという点は、やはり検査する人がそういう頭、そういう素養というものもだんだん持っていかなければいかぬといういろいろな点もございますので、第一線の検査する人が検査した結果の集積がその一年の検査報告でございますので、私たちは実際に働く、実際に検査する方々が勉強してもらって、そういうように歩調を合わせていく。それと同時にわれわれもまたいろいろと直すべき点は直すという点、かれこれいろいろのことがございますので、いろいろの点をひとつ総合して、今後できるだけ検査院の本来の目的を発揮できますように努力いたしたい、かように考えております。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 終わります。
  32. 大石武一

    大石委員長 田中武夫君。
  33. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は決算委員会は初めてですからきわめて基本的なあるいは初歩的な質問になるかと思いますが、聞いておきたい。  会計検査院が違法あるいは不当というように指摘したものについては、その後はそれぞれの監督の責にあるものが処理していると思うのですが、会計検査院とすればそういった指摘指摘のしっぱなしになっておるのですか、いかがですか。
  34. 山崎高

    山崎会計検査院長 私も検査院に参りましたときに、いろいろ指摘はするがあとはどうなっているのか聞いたわけでございます。ことに補助工事などは非常に件数がございまして、たとえば農林省建設省関係の排水路等の工事指摘したものの、その後の処置がどうなっているか聞きましたところ、担当の課では、それぞれ手直しをした場合には手直した写真などを取り寄せまして、あとでトレースをして事務当局が確認しておる、そういうふうなことでありまして、できるだけあとトレースして、こちらの指摘のとおり悪い点は直したかどうかということは見ているというのが実情でございます。
  35. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もちろん会計検査院自体にその当事者を処分するとかあるいは追及していくとかというような権限はないと思うのですが、たとえばきょうもらった資料の中に「昭和四十一年度決算検査報告に関する処分処置調書」というのが出ております。これの一枚めくったところに法務省のものがあって、「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」こういうのが出ておりますね。これは法務省のところでお尋ねすることになろうと思いますが、明らかに故意あるいは過失によって国に損害を与えた場合は、もちろん一方において刑事的責任あるいは行政的な処分はあると思いますけれども、そのような損害額に対して個人的な追及はやるのですかやらぬのですか。会計検査院に聞くのはどうかと思うのですが、そういうような場合にいままで個人的な追及をしたような例がございますか。
  36. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 故意により国に損害を与えたということがはっきりいたします場合におきましては、これは一つには予算執行職員等でございますれば、予算執行職員等の責任に関する法律というのがございまして、それによって弁償責任を要求することができるようになっております。そうでなくても、故意になりますとこれは不法行為になりますので、民法上の損害賠償請求ということもできます。これはおのおのそういった重大な問題については、主務省で手を打ちまして弁償命令を出しておりますので、私のほうではあえて弁償命令を出すまでには至っておりません。
  37. 田中武夫

    ○田中(武)委員 たとえば法務省の分ですが、「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」と批難指摘をしているわけですね。これは「不正行為により」と会計検査院が断定している以上は、そこに故意があったと思うのです。それをずっと見てみますと、行政上の措置をしたとか刑事上の処分を受けたということになっておりますが、国に損害を与えた金額についてどうしておるのかというような点については出ていないわけですね。
  38. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 いま御質問の法務省の分でございますが、これは横浜地方法務局の磯子出張所で、登録税として納付されました収入印紙及び登録税として納付される収入印紙にかえまして受領した現金をほしいままに取った七十二万円でございます。そのうち四十二年九月末現在までに十四万三千円が補てんされておりますが、この差額につきましては法務省当局で民事訴訟として訴追しておりますので、私のほうであえて要求する必要はない次第になっております。
  39. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうしますと、会計検査院指摘をした、そのことについてのそれから先の追及というか追跡ということ、あるいは権限に基づて処分するとか、あるいは求償を求めるとか、こういうようなことはそれぞれの役所でやるわけですね。たとえば法務省なら法務省……。
  40. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 これは第一段階的にはそれぞれの主務官庁あるいは監督省として当然やるわけでございますが、もしそれを怠っている場合に、私のほうで問題といたします。
  41. 田中武夫

    ○田中(武)委員 たとえば法務省なら法務省が処分をしたとかあるいは民事訴訟を起こしたとか、そういうことについては会計検査院には報告なり連絡はあるのですか。
  42. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 そういった事態につきましては報告がございますし、それから訴訟手続をとりましたものにつきましては、裁判の経過について逐次報告が参っております。
  43. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これを見ましても具体的によくわかりませんが、行政上の処置、すなわち注意を喚起したということで終わっておるのと、それから刑事訴訟に持ち込まれて判決が出たというのとあるわけですね。もしそういうことのやり方が手ぬるかったとか、あるいはもっとこうすべきではないかということについては、会計検査院としてはものは言えるのか言えないのか。
  44. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 会計検査院法の三十一条には「会計検査院は、検査の結果国又は公社の会計事務を処理する職員が故意又は重大な過失により著しく国又は公社に損害を与えたと認めるときは、本属長官その他監督の責任に当る者に対し懲戒の処分を要求することができる。」というふうにございまして、これは要件として故意または重大な過失によるということと著しく損害を与えた、この二つの要件がございますが、こういう条文がございまして、相手方のとり方が非常になまぬるいというような場合には、場合によりましては三十一条によって懲戒処分を要求する事態もあろうかと思います。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまここで立法論を話し合うつもりはないのですが、重過失を要件としておるということですね。当然予算を執行し、あるいは職務を遂行していく公務員が、普通過失でなくて重過失ということはどうなんでしょうね。善良なる管理者の注意の程度でいいんじゃないですか。それを怠ったということだけで過失があると認めてもいいんじゃないか。  それから著しき損害ということはどの程度ですか。重過失あるいは著しき損害ということに対して、会計検査院一つの目安といいますか、ものさしを持っておられますか。それともケース・バイ・ケースと考えておられるのですか。
  46. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 いま御質問は、重過失ではなくして、軽過失でもこういった処置を要求したほうがいいじゃないかという御意見でございますけれども、一般行政官吏と違いまして、特に会計事務職員だけこういう軽過失の場合にも検査院が一方的に懲戒処分を要求することができるんだという体制が、いまの公務員全体の体制から見てバランス上どうかというような問題もあろうかと思います。それでいますぐここで軽過失でいいというわけにはちょっと即断いたしかねると思うのでございます。  それから第二点の著しい損害につきましては、これは懲戒処分というのは役人にとって非常にきつい罰でございまして、厳重に懲戒処分がありますと、本人にとっても将来いろいろと非常な致命傷を負うということにもなりますので、それで著しい国損というような文句が入ったと思うのでございます。さて、しからば著しいとはどの程度のことを言うかということになりますと、これは本院の検査官会議でケース・バイ・ケースでこれから事件が起こったときにきめていかなくちゃならぬ、いわば判例によって積み上げていくというようなケースじゃないかと思っております。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 飛び入りですからまたあらためて私の質問のときにゆっくやりますけれども、ここでひとつ意見を申し上げて資料の要求をしたいと思うのです。  まず第一の資料としては、そういう不正行為があった、しかも、その責めは当該公務員に帰すべきものであった。いわゆる故意または過失、そういうことで指摘をしたことに対してどういうことが行なわれたか、二、三の例でけっこうです、最近のものをひとつあげていただきたい。  それからこの会計検査院法に定める重過失について判例がありましたら、最近の判例をひとつあげてもらいたい。  それから著しき損害とは何ぞや、これまた判例なりあるいは見解がありましたらお示し願いたい。  以上の資料を要求すると同時に、私はまだ会計検査院法というのをあまりよく見ていませんので、これから見ます。ただ国民の血税、これを重過失を条件とするということなら私は手ぬるいと思います。重過失ということで追及して、著しきというような法の締め方については今後議論をしていきたい。その点につきましては当委員会において、与野党の委員の中でもそのようないわゆる会計検査院法の改正、このことについて論議をする機会を委員長に与えていただくよう要請いたしまして、終わります。
  48. 大石武一

    大石委員長 いまの資料はよろしゅうございますか。——ほかに御発言ありませんか。——それでは、会計検査院の方、きょうはけっこうです。     —————————————
  49. 大石武一

    大石委員長 それじゃ、これから科学技術庁質問に入ります。田川誠一君。
  50. 田川誠一

    ○田川委員 大臣がおりませんので、政務次官に一、二お伺いして、あと事務当局に二、三お伺いをしたいと思います。  日本の科学技術の発達はたいへん目ざましいものでありまして、科学技術庁の皆さんもたいへんまじめに、熱心にお仕事に励まれていることに私ども敬意を表する次第でございます。ただ科学技術の関係予算を見ますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、そういう先進各国に比べまして、たいへん乏しいのでございます。特に私ども残念に思いますことは、科学技術に対する研究投資と申しますか、研究に対するいろいろな費用が民間におぶさっているような形になっております。もっと政府が力を入れて、科学技術の発展に積極的にならなければいけないのじゃないか、こういうふうに私どもは思っておるわけです。いま原子力の平和利用であるとか、あるいは宇宙開発の推進というものにたいへん力を入れられておりますが、科学技術庁長官の所信表明を見ますと、科学技術振興の基盤を強化するということをたいへん強調されておりますし、そのほか、原子力の平和利用、宇宙開発重要総合研究の推進という柱を立てて施策を行なうんだ、こういうことを言われておりますが、その中に海洋の開発利用ということをうたわれております。もちろん、この海洋の開発利用ということは重要なことでありますけれども、科学技術庁としてはこの海洋の開発利用ということについて、一体どういう姿勢で、また、今後長期的にどういうような方針でやっていきますか、政務次官に所信をお伺いしたいと思います。
  51. 天野光晴

    ○天野政府委員 田川委員は私どもの先輩で、もうすでに科学技術庁は非常にごやっかいになったので、十二分に御理解願っておることと思いますが、科学技術庁の海洋開発に関する問題は、大臣が基本的に重要問題として取り上げられるという意思表示をすでに国会においてされております。日本の国は古来非常に領土が狭うございまして、人口の密度の多い国でありますから、現在の領土の中だけの開発ではとうていやっていけないということは何人も常織であります。そういう点で、最近諸外国でも政策として海洋開発研究に重点を入れております関係から、わが科学技術庁といたしましては次年度から本格的な構想を立ててやるという考え方でございます。現在は農林、通産あるいは運輸等、各省庁に分かれておりますので、これをやはり一本化をするという段階まで持っていかないとなかなか容易でないのではないか。本来の目的を完全に果たすためには、近き将来、やはり総合的にこれを取りまとめて一本化する必要があるのではないかという考え方を持っております。当分の問は特別研究促進の調整費というものがわが技術庁にございますので、その費用を各省庁に重要問題につきましては流しまして、そして各省庁と緊密な連絡調整をとりながら、本格的に一本化できるまでの間はそういう考え方で強力に海洋開発を進めてまいるという方針でおります。
  52. 田川誠一

    ○田川委員 たいへんけっこうな御方針でございます。  そこで、担当の研究調整局長にちょっとお伺いしますが、いま政務次官が、次年度から長期的に一本化を進めてやっていくという方針を述べられましたが、現在具体的にこの海洋の開発利用についてどういうことをやっておられますか、二、三具体的な例をお示し願いたいと思います。
  53. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先ほど次官が申し上げましたとおり、本格的には来年度といま申しておりますが、実際にはその準備をいたさなければなりません。したがいましていままで一般的な見積もり調整といいますか、予算を出す場合の見積もり調整、そのときの重点課題としての見積もりの強化というのをことしから始めております。  それから先ほど申しましたように各省が相当関係いたします。したがいましてこの四月からは各省の連絡会議と申しますか、連絡を密にする会議を設けていきたい。それから海洋審議会というのが私たちのほうにございますが、それの運営を改めて、もう一度実際的な方向に持っていくということをこの四月から進めたいと考えております。その関係からわれわれの事務局として自主的にやることは、いま海洋に関する資料がばらばらでございます。したがいまして本年度はわずかな金額、二百数十万でございますが、各省にございます海洋関係の資料を統一して集めまして、それを各省に流しますと関連のところがうまく使えるのではないかという仕事にまず着手していきます。  それから先ほど政務次官から申し上げましたが、特調費、われわれの見積もりといたしまして約一億円程度と思っておりますが、各省との打ち合わせのもとに、特に海洋開発の機械化と申しますか、そういう関係等テーマを打ち合わせいたしまして、それにこれを充てて進めていって、来年度の準備段階としての一つの筋を立てていきたいと思っております。
  54. 田川誠一

    ○田川委員 海洋開発の目的、これはいろいろあると思うのです。海底の資源を開発するとか、また海を利用するとかいろいろあると思いますが、その中で食糧の資源の開発ということも相当大きなウエートを占めているのではないかと私は思うのです。先ほど政務次官がおっしゃられたように、相当強力にこの海洋の開発利用を進めていくということでありますが、今度行政整理で資源局がなくなるようなことを聞いておりますけれども、科学技術庁のような歴史の新しいこれから伸びるような官庁に、一律に局を削減しなければならぬ。しかもこれから強力に推し進めていこうという施策に関連のある資源局というものをなくそうということは、どうも私ども納得できないのです。しかしこれは国の大きな方針でありますから、そう簡単にはいかないと思うのですけれども、この資源局をなくすのではないかといううわさ、これについて一体どういうふうにお考えになっておられますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  55. 天野光晴

    ○天野政府委員 田川委員のおっしゃるとおりで、これから大きく伸びる役所、伸びなければならない各省庁に、一律一体に一局削減というような官僚局な行政機構改革には、私たちは了承できるものではありませんが、すでに私が政務次官にたる前にその方針が内定しておるようであります。そこで資源局を廃止はいたしますが、いままで資源局が行なっておった仕事について支障のない形の上において、調査研究所的なものになろうと思いますが、そういうような形でこれは持っていくという方向が大体すでに内定しているような状態でございますので、いまここでどうもだめだというような答弁は私はできかねますし、それについての善後措置につきましては、十二分に機構の前革を行なうときに措置を講ずるようにして、後顧の憂いのないようなかっこうに、資源局の形を伸ばしめるような措置をとるように努力をしてまいりたいと思います。
  56. 田川誠一

    ○田川委員 私どもとしては、こうしたこれから強力に推し進めていく政策に必要な局というものをぜひとも残していっていきたいと思っておるわけであります。  そこで、この資源の開発について局長にちょっとお伺いしますが、いまの世界の人口から見ますと、これから十年先、二十年先人口がどのくらいふえるかわかりませんけれども、国連の食糧農業機構なんか書いてあるものを見ますと、三十年後には世界の人口が六十二億にもなるということをいっております。現在三十三億ですか、倍近くまだふえるのだ。当然食糧問題が重要視されるわけですけれども、食糧に必要な蛋白質、動物蛋白質の供給ということも大きな問題ではないかと思うのです。こういうことについて、事務当局は将来一体どういうふうに動物蛋白質の資源を開発するといいますか、供給に対してどういうふうにやっていくべきか、ひとつ局長のお考えをお聞きしたい。
  57. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 非常に重要な問題でございますが、現在海洋の問題として、アメリカにおきましても海底農場と申しますか、農場を大きく海底に開きまして、そこで蛋白源の作物をつくるという形は非常に進んでおるわけでございます。わが国におきましては宮城県その他のところで大陸だなでごく一部の養魚を行なうという形がとられておりますが、実際的にはやはり海底農場というもので蛋白源の補給を考えることが当然ではないか。そういう関係でいきますと、そういうことを行ないます機械化その他の問題をまずわれわれ研究体制としては十分果たしていきたい。それをやりませんと、たやすく海底農場ができるわけではなく、またあるいは自主的な開発をしてこそ、ほかの産業にも機械化の制度が生きてまいります。そういう関係から、いまの蛋白源をとることにつきましても、海底農場を開く機械化のことがまず最初の仕事ではないかというような考え方を持っております。
  58. 田川誠一

    ○田川委員 もう少しいろいろお聞きしたいのですが、時間がありませんから要望だけしておきますが、海洋開発の一環として海底資源の開発というものはぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。食糧の問題ばかりでなく、日本の近海では大陸だなを開発しなければ、もうよその国が日本の近海まで押し寄せてくるという状態でございまして、そういう点を十分に考慮されて、海底の鉱物資源、こういうことも重要な問題でございますから、ひとつ今後とも力を入れてやっていっていただきたい、このことを要望いたします。  次に政務次官にお伺いしたいのは、これは大臣にお聞きしたいことなんですが、最近佐藤総理が、核アレルギーからの脱却ということをしきりに言っております核に対して正しい理解を持たなければいかぬ、核アレルギーから脱却しなければならぬ、こういうことをわりあい平気な気持ちでおっしゃっておられますけれども、私どもは内心ひやひやしておるわけです。一体、この核アレルギーというもの、核アレルギーから脱却することは、これはいろいろな意味にとれるわけでありまして、野党の皆さん方も、これは軍事的な核利用、そういうものに対する神経質さをとれ、こういうふうにいっているんじゃないかという疑いも持たれております。そこで、原子力の問題を担当しておる科学技術庁は、核アレルギーから脱却しなければならぬというその総理大臣のことばが誤解されることのないように、もっと啓蒙をする必要があるのではないか、私はそういうふうに思うのですが、総理大臣の言う核アレルギーの脱却ということは一体どういうことをさして言っているか、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。
  59. 天野光晴

    ○天野政府委員 総理大臣の発言を、私ここで裏書きするわけにはまいりませんが、現在わが国、特に科学技術庁においてとっておる核アレルギー脱却に対するPR等の問題もございます。御承知のように、原子力の開発、利用は、原子力基本法に基づきまして平和利用を推進するというのが基本的な目的でありまして、軍事目的には絶対にこれは利用しないという基本的な方針がきまっておるわけであります。そういう観点から平和利用を推進するためにも、安全性の絶対確保ということから原子炉等の規制法を施行しまして万全を期しておるわけであります。これを強力に推進するためには、やはり国民に正しい理解を求めなければならないという考え方に立ちまして、衆議院では予算を通していただいたわけでありますが、今年度初めてPR、宣伝に使用する予算を確保することができておりますので、今年度から積極的にこの問題と取り組んで、国民の深い理解を求めるように努力を続けてまいりたいと考えております。
  60. 田川誠一

    ○田川委員 もう一点、政務次官にお伺いしたいのですが、核アレルギーということがいまの日本人の中にあるのかどうか、政務次官はどういうふうにお思いになっておりますか。特に日本人だけが核アレルギーにかかっておるのかどうか。
  61. 天野光晴

    ○天野政府委員 非常にむずかしい質問ですが、核アレルギー——政治的にいうとむずかしくなる……
  62. 田川誠一

    ○田川委員 それでは担当の原子力局長にあなた個人の考えでもけっこうですが、いま日本人は、アメリカや西ドイツやフランスやイタリアや、そういう諸外国の国民に比べて、特に核アレルギーにかかっておるかどうか、あなたの認識をお伺いしたい。
  63. 藤波恒雄

    ○藤波政府委員 非常にむずかしい御質問でございますので、的確に答弁できますかどうか自信はないわけでございますが、実は最近核という字が非常に広範に使われておりまして、一つは核兵器の方面をさして核という字を使われますし、それからもう一つは、平和利用の面におきましても、最近は核エネルギーの利用という表現でなされておるわけでございます。諸外国では、すでに平和利用につきましても、ニュークリア・パワー・プラントといったような使い方が相当普及してまいりましたので、あまり異様に聞こえないわけでございますが、わが国におきましては、従来平和利用の分野は、原子力の開発利用ということばがもっぱら使われておりましたので、核エネルギーの利用と言いました場合に、とかく核兵器と混同されて響くという憂いなきにしもあらずという感じがいたすわけでございます。われわれの原子力開発利用は、先ほど政務次官から御説明ありましたとおり、原子力基本法に基づきまして、平和の目的に限って推進されておるわけでございますが、お尋ねの、しからばそういう分野につきましても、いわゆる核アレルギーがあるかいなか、こういうことになりますが、確かにそういう心配は方々で見受けられると言わざるを得ないと思います。具体的に申しますと、原子力と名がつくとすぐそれが兵器につながる可能性があるのではないか。あるいは原子力発電所に使われるような原子炉も原子爆弾のように爆発する性質を持っているのではないかというような、技術的に見まして、内容を分析すればそうでないものまで過度に心配されている。そのために平和利用のいろいろな仕事も、必ずしも円滑にいっていない、こういう面はあろうかと思います。その過度の部分はアレルギーと言っていいのかと思いますが、しかし私どもは、原子力平和利用に伴いましての安全の問題を軽視してよいとは決して思っておりませんし、そうあるべきではないと考えておるわけでございまして、先ほど政務次官からの御説明もありましたように、基本法に基づきます原子炉等規制法によりまして、軍事利用の防止はもちろんでございますけれども、原子力平和利用の核施設に包蔵されております放射性物質が外へ漏れるというようなことがあって、そのために一般に災害を及ぼすというようなことがあってはたいへんでございますので、その点は十分安全をとった設計をしなければならないし、それを厳重に監督しなければならないし、運用につきましても万全を期さなければならない。そうすれば十分安全に、災害を及ぼすことなく原子力を平和利用に活用できる、こういうぐあいに考えておるわけでございます。その面につきまして、もっともっと国民全般の中に実情なり、その技術的内容というものを理解させることに努力しなければならないと思います。その点はっきり申し上げましてまだ不十分である、そのために必要以上の心配が確かに言われておるということは言えるのではないかと思います。
  64. 田川誠一

    ○田川委員 ちょっと答弁がだいぶ長くてよくわかりませんでしたけれども、聞いておりますと、過度ということばも使われておりますから、核というものに対して過度におそれる、こういうふうにもとれるわけですけれども、私がお聞きしておるのは、核エネルギーというものは兵器にも使われるし、平和的にも利用される、こういうことも含めたそれに対する国民感情と申しますか、アレルギー症状と申しますか、そういうことで質問をしておるわけです。いまのおことばによりますと、どうも日本人は過度におそれておるというふうにも局長のおことばはとれるのですが、そうですか。
  65. 藤波恒雄

    ○藤波政府委員 そういう面も確かにあると考えます。
  66. 田川誠一

    ○田川委員 かりにいま過度におそれておるということが多少でもある、それが核アレルギーとするならば、そういうアレルギー現象をわれわれ国民が持っておること自体がいいことであるか、悪いことであるかということをちょっとお聞きしたい。
  67. 藤波恒雄

    ○藤波政府委員 私個人的には、そういう感情を持っておることは、ある意味においてはいいことであると思います。しかしながら先ほど申し上げましたように、平和利用に関しますそれぞれの計画を推進する場合に、それらの計画の内容をよく理解そしゃくして、こうすれば十分安全に使える、こういうことを理解した上で、計画の推進に協力していただく、こういう形になればよろしいと思います。
  68. 田川誠一

    ○田川委員 私も同感でございます。兵器にかかわらず、平和利用におきましても、核アレルギーということばが適当であるかどうかわかりませんけれども、やはり神経過敏になっていかなければ、なかなか安全性を維持するということはできないと思うのです。あとでこれに関連してもう少しお聞きいたしますが、その前に、いま核アレルギーということばが使われております。私どもは核といえば核エネルギーのことを言っておるのではないか、原子の中の核が分裂した、その連鎖反応によってできるエネルギーだ、こういうふうに解釈をしておるわけですが、日本では一体核ということばを使った場合に、これは平和利用にするものであるのか、兵器に使われるものであるのか、どういう意味にとられるか。核ということばを使いますと、どうも兵器に使われる核エネルギーを言う場合のほうが多いのではないか、こういうふうに私は印象づけられるのですけれども、科学技術庁ではそういう核ということば、核エネルギー、原子エネルギー、どっちも意味は同じだと思うのですけれども、ことばの使い方で核エネルギー、原子エネルギーといった場合に、やはり原子エネルギーが平和的に利用されるエネルギーであって、核エネルギーというとどうも兵器に使われるエネルギーじゃないか。こういうふうにいままで用語の使い方が違ってきておるように思われるのですけれども、この点について科学技術庁はどういうふうにことばの使いわけを解釈しておられるか、お伺いをいたします。
  69. 藤波恒雄

    ○藤波政府委員 先ほど申し上げましたように、わが国では原子力の開発利用ということばをもっぱら使ってまいりましたので、おっしゃるとおり核エネルギーということばはとかく兵器面のほうの利用を連想しがちであるのはたしかだろうと思います。兵器のほうには核兵器あるいは核拡散防止というような表現が使われておりました関係だろうと思いますが、しかし内容的に申しますと、原子力の平和利用分野も核エネルギーの利用であることは間違いございません。それから諸外国におきましては、当初はアトミックパワーということばが多かったわけでございますけれども、最近におきましてはほとんどそれがニュークリア・パワーといったようなことばが多くなっておるというような関係もございまして、すでにわが国におきましても核エネルギーの平和利用というようなことばも使われ出しておりますので、私どもといたしましては、そのことばを使うことによっておっしゃるような混同が、不完全な理解がなされないように、今後核エネルギーの平和利用は即従来われわれが言っている原子力の平和利用のことであるということを、おりに触れてPRをいたしたい、こういうぐあいに実は考えておるわけです。
  70. 田川誠一

    ○田川委員 それに関連しまして、もう一点お伺いしたいことは核エネルギーというもの、原子力というものに対して過度に神経質になっておるがために、原子力の平和利用というものが阻害されているんじゃないかという考え方もあるわけです。私は実は必ずしもそうとは思わない。ほかにも大きな要素が非常にあると思うのですけれども、核アレルギー現象というものから脱却しなければ原子力の平和利用というものが推進できないのかどうか、こういう点について原子力局長どういうふうにお思いになっておられますか。核アレルギーを脱却しなければ原子力の平和利用を推進することができない、核アレルギーがあるために原子力の平和利用が阻害されているんだということを言われる人がありますけれども、一体そういうことなんですかどうか。その辺の解釈、考え方をちょっとお聞きしたい。
  71. 藤波恒雄

    ○藤波政府委員 アレルギーの脱却というのが具体的にどういう定義になるのか、その辺がむずかしいわけでございますが、もちろん兵器への転用、利用というものを防止することに関心を持たなければいかぬというようなことにつきましては、当然その基本法の精神でそれを守らなければいかぬ、こういうことがまず言えると思いますし、それから放射線災害の防止という観点から見れば、常にその点に関する安全性には最大の注意を払っていかなければならぬ。こういう観点からの態度であれば、これは当然の態度だと思います。ただそれらの態度で、具体的な発電所の建設の推進その他を行なう場合に、科学的判断で取り扱っていけるように国全体としてなりますれば、円滑な推進ができるものと考えております。
  72. 田川誠一

    ○田川委員 核兵器のことはともかくとして——これはもう問題にならぬと思います。核兵器は私どもは持てないわけでありますし、そういうものに対してはこれはもう別問題として、平和利用の場合をもう少しお聞きしたいのですが、裏を返して言えば、原子力の平和利用を阻害しているものは何か。平和利用について、まあ日本人は特に原子力ということについて特別神経質に考えているから、原子力の平和利用というものが阻害さわるのじゃないか、こういうことを言う方もあますが、平和利用を阻害しているもの、たとえば原子力発電所をつくる場合に、原子力ということばを聞いただけで困るということで反対しているのじゃないか。だから核アレルギーというものから脱却しなければならぬということをよく言われるのですけれども、そういうような原子力に対するひとつの神経過敏さが平和利用を阻害しているのかどうかということについては、どういうふうにお思いになっていますか。   〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕
  73. 天野光晴

    ○天野政府委員 先ほど来局長から御説明申し上げておりますように、核アレルギー的な考え方が中心で相当阻害されている点もあるのではないかと思います。しかし、全面的にこのために平和利用というものが阻害されているものであるとは考えておりません。しかし、部分的にはやはり核アレルギー的な思想によって阻害されておる面も多いと思いますので、その点につきましては、先にも申し上げましたように、できるだけ国民に理解を深めるという意味のPR活動を全面的にやらないと、現在、日本の核平和利用というものに対して、非常におくれるような状態になるのじゃないかというような考え方で努力はしておるわけでございますが、考え方では、やはり核アレルギー的な思想によって阻害されておる部分もあるのではないかという感じをいたします。
  74. 田川誠一

    ○田川委員 時間が長くなりますから、もう先を急ぎますが、平和利用を阻害しているものは、こうした核アレルギー的現象というものがそんなに大きな要素をなしていないと私は思っているのです。これは人の見方でいろいろ違いますが、まあこういう狭い日本でありますから、原子力発電所をつくる場合にも、アメリカとかよその大きな国とはだいぶ客観的な立場が違うわけでありますね。そういう意味で、住民が心配しているということもこれは大きな要素になっておるので、ただ単に原子力ということだけで反対をするとか何とかいうことだけではないと私は思うのです。そこで、原子力に対する正しい理解、これはもう確かに今後強調していただかなければならない問題でありますが、この原子力の平和利用というものを阻害していることは、科学技術庁というような、こういうような仕事をされる役所は、長官以下やはり相当みっちりと腰を据えて行政をやっていただかなければ、長期的な行政は行なわれないんじゃないか。科学技術庁長官が一年に一回変わってしまう、政務次官も変わってしまうということで、特に長期的な仕事というものは、なかなかできないんじゃないか。そういうところに原子力の平和利用を阻害している道があるんじゃないか。ちょっと飛躍になりますけれども。むしろ原子力に対する神経過敏さというものは、少なくともわれわれ日本人のような、こういう国土の狭いところでは、もっと神経質になっているほうが、これは平和利用の場合であっても、私は必要なことじゃないか、こういうふうに思うのです。少し抽象論になりましたけれども、どうか科学技術庁におかれましても、そういう原子力の問題に対して、特に安全性というものを強調してやっておられるわけでありますから、むぞうさに核アレルギーから脱却しなければならぬということを言うことは、いろいろな弊害を招くわけです。これはすぐ兵器に結びつけていわれるというようなことにも誤解をされますし、そういうような空気になりますことが、逆に原子力の平和利用をこれから阻害するようなことになりますので、どうかそういう用語の問題、それから核アレルギーから脱却するということは、いろいろな意味にとられるということを十分に認識をしていただいて、原子力政策の啓蒙をやっていっていただきたい。私はこれを要望いたすわけであります。  ほかにまだありますけれども、あとの方がございますので、私はこれで終わります。
  75. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 赤路友藏君。
  76. 赤路友藏

    赤路委員 私は決算には初めてきまして、これから質問をさしていただきますが、非常にこまかい点に入るかと思いますので、御了承の上でひとつ御答弁願いたいと思います。  科学技術庁の四十一年度の予算を見てみますと、予算総額が二百五億八百十三万二千円、まあ二百五億円ですね。その二百五億の予算の内部を、今度は内容的に調べてみますと、原子力関係が二十億四千万余り、それから原子力関係公団への出資がざっと百一億、それから宇宙関係が二十一億ほどあります。合計しまして百四十二億八千三百三十一万、これが原子力と宇宙関係と放射能関係。これを全予算と比較をしていきますと、四十年度は七〇%が原子力とそれから宇宙関係に使われている。四十一年度は七一%、四十二年度は七三%、四十三年度は七五%、そうするとこの比率だけから見てまいりますと、科学技術庁のお仕事の大半は原子力と宇宙関係、こういうことになりそうなんです。今日世界的に人工衛星の時代であり、原子力の時代でありますから、これは当然のことと思います。思いますが、あまりにも片寄り過ぎておりはせぬだろうか、私はこういう感じがするわけです。もっとじみな、じみちな、国民に密着したような予算編成というものが必要ではないのだろうか、こういうふうに思いました。たとえば一例を申し上げますが、三月二十八日に私のほうで水俣病に対するヒヤリングをしたわけです。経済企画庁と科学技術庁、どなたか、たしかおいで願ったのですが、そのとき答弁の中にありましたのは、まだ水俣病の原因がはっきりと把握されていない。だから経済企画庁としては科学技術庁のほうの結論をまって、これに対処していきたいという答弁をしておるわけです。これはいささかどうかと思うのですね。水俣病の問題が始まってから何年になります。約十年になる。ではその間一体何をしておったのか、こういうことが言いたくなるわけです。こういう、わりに国民と密接な関係のあるものが予算上編成されていない。いま田川君から話がありましたが、海洋の開発。今度アメリカ側のほうが海洋開発に積極的に乗り出す、そうして世界の各国に呼びかける、こういうことを言っておるわけです。この海洋開発に対する田川君の質問に、いま次官が御答弁になりましたし、どなたかも御答弁になった。海底開発は必要である。そうすると一体科学技術庁予算の中にそれはあるのか。科学技術庁予算を見てみましたら、そんな海洋開発というものはない。これは非常に重要な問題であります。おそらく科学技術庁の中で、科学技術振興費というので各省へ配分しております。全体の予算が五百三十億、それを各省へ配分しておる。その各省の中でおそらくやっておられると思うのです。この説明書の四三ページの(3)科学技術振興費、これが五八ページまで科学技術振興関係をずっと書いてある。これが五百三十億各省へ配分した、これの仕事の内容実績だと思います。これをずっと見ていきますと、科学技術振興というものを各省でどういうふうにやっておるのか、こういうことが大体記されておるわけです。私の言いたいのは、日本は何といいますか、世界の一流国、こういって先進国としてのいろいろ対外的なアピール等もしておるわけですね。科学技術振興としてはいささか弱いのじゃないか。特に技術庁の予算に至っては、これは技術庁とは言えぬですよ。日本の技術庁と言えますか。三百億余り。私は国会に出て十何年になるが、まことに申しわけないのですが、先般科学技術庁へちょっと行ってみたのです。どこか知らなかったのです。申しわけないと思います。そうすると、文部省の屋上へ上がっていって、あの小屋へ入ったのです。雨の降るときは、屋上へ行ってかさをさしていかなければいかぬ。まことに日本の科学の振興のポイントを握る科学技術庁の人たちに対して申しわけないと思う。ああいう住まい、それに似かよった予算、皮肉ではありません、こういうふうに私は申し上げたい。たとえば、いまの水俣病の問題にいたしましても、まだ結論が出ていない。その上に阿賀野川が出てきた。富山のイタイイタイ病が出ておる。公害関係はたいへんなものですね。公害関係全体で四千何ぼか見ておるようでありますが、これとてもたいした問題にはならぬ。これでは、科学技術庁の諸君がほんとうに前向きの姿勢で取っ組んでおるのか。いま田川君から、どうも積極性がないじゃないかというお話がありましたが、私もそういうふうに感じます。こういうようなことではどうにもならないと思うのであります。  私この際一言言わしていただきますれば、いま海洋開発によるたん白資源の問題が出たわけです。おそらく、いまのままでは、日本の魚類たん白、魚は七百十万トンを境にして、大きく伸びるということは考えられません。したがって、新しい海洋の開発というものが必要なわけです。その点について政府も気づいたのだと思いますが、四十三年度の予算の中では六億ほど新漁場の開発というのがあります。しかしながら、日本の周辺を見てみまして、日本の周辺にはたして大陸だながどれだけあるか。ほとんど皆無と言っていいのですね、日本近海における大陸だなというものは。朝鮮海峡は朝鮮の大陸だなであり、シナ海、黄海は中共の大陸だなである。日本周辺にはほとんどない。ものの三マイルも出れば、もう二百メートルをどんと下へ落ちているというのが日本の周辺海域の実態だと私は思う。それだけに、日本のこの海洋の開発というものは、単に日本の周辺だけでなしに、国際的に一歩前進していかなければならぬ。幸い二月十六日に、佐藤内閣は閣議でもって、いままで全然見向きもしなかった国際海洋法の、領海および接続水域に関する条約と公海条約に対して批准をするということを決定した。あと残されたのは大陸だなと生物資源に対する条約との二点であります。おそらくこれも加盟せざるを得ないようになると私は思うのです。だから、この予算編成がまともにいかないで、何ぼいろいろと数字を並べられても、これではどうにもならぬと私は思います。  これをごらんください。五七ページの農林省所管の中に「河川流域における水収支機構」とあって、これが一つ研究課題になっております。これは大きな問題です。今日水の資源をどうするかということ、これは大問題なんです。私は、いまもジョンソン大統領は顔を見ただけでも好かぬ、テレビに出てきたって虫ずが走るのです。ところが、ジョンソン大統領が大統領に就任した直後、アメリカの科学技術研究省でこういうことを言っておるのですね。五十年後のアメリカの死命を制するものは原子力にあらず水だと言っておる。これには私は感心した。何も原子力にまさるという意味でなしに、それほど水資源というものに対して重要な使命を感じておる。ここに書いております。しかし、農林省のどこがこれをやっておるのか、こういうことになります。これは追って農林省の所管のときに私は話をしたいと思う。農林省がもしこれをやっておると言えば、あの農地課のどこか末端のほうで、何年かかって、河野さんが在世中に言った、農閑期における水を地下水にいかにしてするか、これはそのことでしょう。これを書いておることはまことにけっこうだが、これは問題だ。  それから「沿岸大陸棚の地形、地質」、先ほど言いましたように非常にむずかしい問題です。しかしやらざるを得ないでしょう。  それから、私は不審に思いますのは、農林省所管の研究課題の中に「大気汚染防止」というのがある。これは農林省じゃないと思うのだ、何でも書きさえすればいいというので書いておるようにしか受け取れないのです。これは一例です。私はきょう決算委員になって初めての発言です。そこで別段御答弁をいただいてどうということでありません。ただ、予算、この説明書その他をずっと見せていただいて感じたことを、なまでひとつ皆さんにお聞きおき願いたい、それだけなんです。いまのようなことでは、ほんとうに日本の科学の前進というものはどうも危ぶまれてならぬ。いま田川さんから原子力の話が出ました。私は田川氏の言っておることは正しいと思うのです。ただ軍事的にこれを使うということには非常に問題がある。しかし、これを平和に利用する、あるいは熱エネルギー源にしていく、そうして今日の熱価格といいますか、これのコストを下げていくということは、日本の発展のために重要な要素です。ただ言えることは、先般アメリカのほうでコバルト六〇が廃棄物に出ておるということを発表しましたね。人体に影響はないと言っておるが、どこまでかわかりません。私はうかつに聞いておったのですが、東海研究所のほうでも、十分これらの点では押えて、国民に変なあれをさせないようにやっておられる。ところが何か、PPMの〇〇〇八ですか、〇・〇八ですか、なんというものが出たというようなことを聞いております。たぶんこれはある種のデマだと思いますが、それだけに、科学技術庁の取っ組んでいただいておる仕事というものはたいへんなものだと私は思う。  私はここで申し上げたいのですが、決算委員会といえばもう金は使ってしまったんですね。これは四十一年の決算の審査をやるわけです。そんなものはもう金を使ってしまって、済んだあとの話なんです。だからともすると、それは済んだあとの話だからそんなぶうぶう言ったってもうもとへ戻るか、こういう単純な考え方が官庁の皆さんにあるんじゃないかという疑念を私は持つわけなんです。私は、決算委員会とはそんなものじゃないと思っている。今度ずっと調べさせていただきました。ほんとうにいままでにない勉強を私はさせていただきましたが、その中で感じたことは、非常に重要だ、決算と予算とのつながり、予算がどう正しくつけられておるかということは決算の審議でないと出てこないと私は思うのです。決算審議でそれが初めて出てくる。そうして皆さんと国会議員の私たちと、みんなが寄ってここで議論をし合っていく、その中から予算をつけた間違った方向というものを是正していくというのが決算委員会の役目ではなかろうか。ところが、もし皆さんがいいかげんな軽い気持ちで御答弁になり、あるいは処置されていくと、これはたいへんなことになると思うのです。一般の見方というものは、決算委員会といえば何か黒い霧だとかスキャンダルを掘り出してばあばあ言うのが決算委員会だというように考えておる向きがあるようです。私はそんなものではないと思うのです。それだけに、皆さんとともに語り合ってやっていきたい。だから決算委員会の審議に時間制限なんてもってのほかだ。いけなければ何日間でもやっていく、そうしてお互いに話し合って是正すべき点は是正していく、間違いは間違いで手直しをやっていくということでないとならぬと私は思うのです。一番最初、初めての発言で科学技術庁の皆さんに申しわけありません。現実の問題として一つだけ申し上げて、ひとつそれだけは御答弁を願います。  皆さんのほうでLPガスエンジン、これを利用して冷蔵装置をやる、この研究をやっておられるわけです。そうして実験の結果これは成功しておるのですね。これは大革命です。少なくとも、沿岸の漁業にとっては、これが完成しますと大きな革命です。実験の結果はよかったわけです。ところが水産庁は、それは危険だというので手を広げて押し戻しておるというのが現在の情勢なんです。LPガスですから、しかも、それを扱うのが漁師でしょう、へたにたばこでもくわえてちゃんちゃんやってぼいんといったらそれは海の中で一発だ。その危険性があるからというので、手を広げて水産庁はなかなかそれを受け付けようとしない。しかし、いま沿岸へ三トン、五トンの船で魚を釣りに行く。この三トン、五トンの船は全部氷を積んで出ていっているのです。これがもしLPガスの液体からシリンダーの中へ入り、エンジンへ入る、ガス体になる、その前の段階を利用しておるのですから、実に大きな革新です。これはぜひ完成してもらいたい。いま成績があがった、実験の結果はよかった、ところが受け付けないという、その安全性の問題だけが残っておる。そうすると、それは一体何かといいますと、私に言わせれば、まだ一段階いったところでとどまっておるということなんです。したがって、LPガスの安全確保ということがこれからの大きな仕事になる。これに今後どう取っ組んでいただけるのか、どう取っ組んでいくつもりがあるのか、それをひとつ——私はどうも取っ組んでいく気魄というものですか、積極性というのですか、もう研究はこれで済んだんだと言って、もうそれで科学技術庁は終わり、こういうことになるんではなかろうかと思うわけです。申し上げることは、私はもう一ぺん行きたいと思いますが、すでにその船は払い下げられたのですね。もちろんこれは東海大学へ払い下げていますから、東海大学のほうでは十分これを駆使して、実際東海大学がこれからこの面についての研究はやっていくでしょう。しかし、それを開拓し、成功さした、これは科学技術庁なんですよ。そしてそれがいま一段階です。安全性を確保すればこれは世界的なものになる。あるいは問題は小さい。しかし小さいが数は多い。特に漁業を世界一と称して立つ日本では、これは大きな収穫になる。このことをどういうふうにお考えになっておるのか、それだけです。あとは私の言いっぱなし。前段のところは答弁する必要はありません。いまのLPガスの一点だけを御答弁願いたい。
  77. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ただいま先生から伺いましたLPGを利用いたしましての冷凍の問題でございますが、所管局長がおりませんので、私正確に存じておりませんが、四十一年度から二年がかりで、いわゆるコールドチェーンの普及のための事例的調査というのを資源局が中心になりまして実施をいたしております。ただいまお話しの件もあるいはその一環であろうかと存ずるのでございますが、これはいろいろコールドチェーンの事例的調査と称して魚介あるいは各種の遠隔地の野菜等をそういう特殊の冷凍装置を施した船もしくは貨物車等によって運送してみまして、それが十分実用に供せられるかどうかということの調査でございます。これは二年がかりで行ないまして、大体見当はついておりますので、本年度には、科学技術庁として一応その取りまとめを行ないますと同時に、それを実証できましたものについては具体的に農林行政なりあるいは水産行政に移しまして、その成果を普及していただく、こういう段階にきておるのでございます。ただいまのお話もその一環であろうかと思いますけれども、われわれは今後具体的に水産庁なり農林省のほうと十分連絡を密にいたしまして、ここでやられました成果をそのままで終わらしめることなしに、十分普及してまいるということにつきましては、農林省その他と十分連絡をとって進めてまいりたい、かように考えております。
  78. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっといまの御答弁で少し気になることがあるのですが、これはコールドチェーンの運搬といいますか、これとは別ですから、これと混同しないように。   〔鍛冶委員長代理退席、委員長着席〕 これは魚の冷蔵です。だから、大きな船になりますと、それぞれ別途冷凍機を据えます。これの一番のいいところは、エンジンを取りかえないでやれるというところに大きな改革のポイントがあるわけです。エンジンを取りかえるのだったら、これは意味ありません。——意味ないと言ったら語弊がありますが、非常にに大きな金額を要するわけです。それはないのですから、コールドチェーンの一環としての運搬船とは違う、このことをひとつ御了承おき願いたい。  もう一つ、この資料を、私実は調査室でとりました。この資料の中に、ずっとそれぞれ科学技術振興の予算、それから国立大学の科学関係試験場のもの、それから予算と科学振興とのパーセンテージだとか、世界の、日本、西ドイツ、イギリス、フランス、ソ連、米国というような比較、これはあなたのほうからお出し願ったものだと思います。これで見てみますと、四十一年度の科学技術振興関係費が千四百四十八億円になっております。これは注釈がついておりまして、科学技術振興関係費とは、科学技術振興費として一般会計予算に特掲された種々の経費に国立大学の研究費、防衛庁の研究費を加えたものが科学技術振興関係費、こういうことになっておるわけです。ところが四十一年度の防衛庁の研究費は三十七億ある。そうしたものを全部入れますと、数字が合わぬのですよ。これは末端のほうの数字の合わぬのはいいわけです。億以下が少々こうなってもいいのですが、大体合わなければどうもおもしろくないのですが、ちょっと合いません。ひょっとしたら私のほうの計算の相違があるかもしれません。非常にこまかいことを申し上げるようですが、ここは決算委員会ですから、それはひとつお許し願いたい。もうラッパを吹くのはほかの先輩の先生におまかせいたします。こまかく押えてお話を申し上げたわけです。で、そういう点も一応計算していただきましてあれしていただきたい。  それから次官は、私の言ったことを、もう長いおつき合いだからおわかりだろうと思います。少なくとも日本の科学技術庁が文部省の屋上に小屋組みしているというようなことではほんとうにこれは恥ずかしいですよ。外国からどなたか来て、科学技術庁は、はいこちらでございますと言ってあんなところに連れていかれますか。少しは考えていただきたい。それだけで終わります。
  79. 大石武一

    大石委員長 答弁、要りませんか。
  80. 赤路友藏

    赤路委員 答弁は要りません。
  81. 大石武一

    大石委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会