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赤路委員 私は決算には初めてきまして、これから
質問をさしていただきますが、非常にこまかい点に入るかと思いますので、御了承の上でひとつ御答弁願いたいと思います。
科学技術庁の四十一年度の
予算を見てみますと、
予算総額が二百五億八百十三万二千円、まあ二百五億円ですね。その二百五億の
予算の内部を、今度は内容的に調べてみますと、原子力
関係が二十億四千万余り、それから原子力
関係公団への出資がざっと百一億、それから宇宙
関係が二十一億ほどあります。合計しまして百四十二億八千三百三十一万、これが原子力と宇宙
関係と放射能
関係。これを全
予算と比較をしていきますと、四十年度は七〇%が原子力とそれから宇宙
関係に使われている。四十一年度は七一%、四十二年度は七三%、四十三年度は七五%、そうするとこの比率だけから見てまいりますと、
科学技術庁のお
仕事の大半は原子力と宇宙
関係、こういうことになりそうなんです。今日世界的に人工衛星の時代であり、原子力の時代でありますから、これは当然のことと思います。思いますが、あまりにも片寄り過ぎておりはせぬだろうか、私はこういう感じがするわけです。もっとじみな、じみちな、国民に密着したような
予算編成というものが必要ではないのだろうか、こういうふうに思いました。たとえば一例を申し上げますが、三月二十八日に私のほうで水俣病に対するヒヤリングをしたわけです。経済企画庁と
科学技術庁、どなたか、たしかおいで願ったのですが、そのとき答弁の中にありましたのは、まだ水俣病の原因がはっきりと把握されていない。だから経済企画庁としては
科学技術庁のほうの結論をまって、これに対処していきたいという答弁をしておるわけです。これはいささかどうかと思うのですね。水俣病の問題が始まってから何年になります。約十年になる。ではその間一体何をしておったのか、こういうことが言いたくなるわけです。こういう、わりに国民と密接な
関係のあるものが
予算上編成されていない。いま田川君から話がありましたが、海洋の開発。今度アメリカ側のほうが海洋開発に積極的に乗り出す、そうして世界の各国に呼びかける、こういうことを言っておるわけです。この海洋開発に対する田川君の
質問に、いま次官が御答弁になりましたし、どなたかも御答弁になった。海底開発は必要である。そうすると一体
科学技術庁の
予算の中にそれはあるのか。
科学技術庁の
予算を見てみましたら、そんな海洋開発というものはない。これは非常に重要な問題であります。おそらく
科学技術庁の中で、科学技術振興費というので各省へ配分しております。全体の
予算が五百三十億、それを各省へ配分しておる。その各省の中でおそらくやっておられると思うのです。この説明書の四三ページの(3)科学技術振興費、これが五八ページまで科学技術振興
関係をずっと書いてある。これが五百三十億各省へ配分した、これの
仕事の内容実績だと思います。これをずっと見ていきますと、科学技術振興というものを各省でどういうふうにやっておるのか、こういうことが大体記されておるわけです。私の言いたいのは、日本は何といいますか、世界の一流国、こういって先進国としてのいろいろ対外的なアピール等もしておるわけですね。科学技術振興としてはいささか弱いのじゃないか。特に技術庁の
予算に至っては、これは技術庁とは言えぬですよ。日本の技術庁と言えますか。三百億余り。私は
国会に出て十何年になるが、まことに申しわけないのですが、先般
科学技術庁へちょっと行ってみたのです。どこか知らなかったのです。申しわけないと思います。そうすると、文部省の屋上へ上がっていって、あの小屋へ入ったのです。雨の降るときは、屋上へ行ってかさをさしていかなければいかぬ。まことに日本の科学の振興のポイントを握る
科学技術庁の人たちに対して申しわけないと思う。ああいう住まい、それに似かよった
予算、皮肉ではありません、こういうふうに私は申し上げたい。たとえば、いまの水俣病の問題にいたしましても、まだ結論が出ていない。その上に阿賀野川が出てきた。富山のイタイイタイ病が出ておる。公害
関係はたいへんなものですね。公害
関係全体で四千何ぼか見ておるようでありますが、これとてもたいした問題にはならぬ。これでは、
科学技術庁の諸君がほんとうに前向きの姿勢で取っ組んでおるのか。いま田川君から、どうも積極性がないじゃないかというお話がありましたが、私もそういうふうに感じます。こういうようなことではどうにもならないと思うのであります。
私この際一言言わしていただきますれば、いま海洋開発によるたん白資源の問題が出たわけです。おそらく、いまのままでは、日本の魚類たん白、魚は七百十万トンを境にして、大きく伸びるということは考えられません。したがって、新しい海洋の開発というものが必要なわけです。その点について
政府も気づいたのだと思いますが、四十三年度の
予算の中では六億ほど新漁場の開発というのがあります。しかしながら、日本の周辺を見てみまして、日本の周辺にはたして大陸だながどれだけあるか。ほとんど皆無と言っていいのですね、日本近海における大陸だなというものは。朝鮮海峡は朝鮮の大陸だなであり、シナ海、黄海は中共の大陸だなである。日本周辺にはほとんどない。ものの三マイルも出れば、もう二百メートルをどんと下へ落ちているというのが日本の周辺海域の実態だと私は思う。それだけに、日本のこの海洋の開発というものは、単に日本の周辺だけでなしに、国際的に一歩前進していかなければならぬ。幸い二月十六日に、
佐藤内閣は閣議でもって、いままで全然見向きもしなかった国際海洋法の、領海および接続水域に関する条約と公海条約に対して批准をするということを決定した。
あと残されたのは大陸だなと生物資源に対する条約との二点であります。おそらくこれも加盟せざるを得ないようになると私は思うのです。だから、この
予算編成がまともにいかないで、何ぼいろいろと
数字を並べられても、これではどうにもならぬと私は思います。
これをごらんください。五七ページの
農林省所管の中に「河川流域における水収支機構」とあって、これが
一つの
研究課題になっております。これは大きな問題です。今日水の資源をどうするかということ、これは大問題なんです。私は、いまもジョンソン大統領は顔を見ただけでも好かぬ、テレビに出てきたって虫ずが走るのです。ところが、ジョンソン大統領が大統領に就任した直後、アメリカの科学技術
研究省でこういうことを言っておるのですね。五十年後のアメリカの死命を制するものは原子力にあらず水だと言っておる。これには私は感心した。何も原子力にまさるという
意味でなしに、それほど水資源というものに対して重要な使命を感じておる。ここに書いております。しかし、
農林省のどこがこれをやっておるのか、こういうことになります。これは追って
農林省の所管のときに私は話をしたいと思う。
農林省がもしこれをやっておると言えば、あの農地課のどこか末端のほうで、何年かかって、河野さんが在世中に言った、農閑期における水を地下水にいかにしてするか、これはそのことでしょう。これを書いておることはまことにけっこうだが、これは問題だ。
それから「沿岸大陸棚の地形、地質」、先ほど言いましたように非常にむずかしい問題です。しかしやらざるを得ないでしょう。
それから、私は不審に思いますのは、
農林省所管の
研究課題の中に「大気汚染防止」というのがある。これは
農林省じゃないと思うのだ、何でも書きさえすればいいというので書いておるようにしか受け取れないのです。これは一例です。私はきょう決算
委員になって初めての発言です。そこで別段御答弁をいただいてどうということでありません。ただ、
予算、この説明書その他をずっと見せていただいて感じたことを、なまでひとつ皆さんにお聞きおき願いたい、それだけなんです。いまのようなことでは、ほんとうに日本の科学の前進というものはどうも危ぶまれてならぬ。いま田川さんから原子力の話が出ました。私は田川氏の言っておることは正しいと思うのです。ただ軍事的にこれを使うということには非常に問題がある。しかし、これを平和に利用する、あるいは熱エネルギー源にしていく、そうして今日の熱価格といいますか、これのコストを下げていくということは、日本の発展のために重要な要素です。ただ言えることは、先般アメリカのほうでコバルト六〇が廃棄物に出ておるということを発表しましたね。人体に影響はないと言っておるが、どこまでかわかりません。私はうかつに聞いておったのですが、東海
研究所のほうでも、十分これらの点では押えて、国民に変なあれをさせないようにやっておられる。ところが何か、PPMの〇〇〇八ですか、〇・〇八ですか、なんというものが出たというようなことを聞いております。たぶんこれはある種のデマだと思いますが、それだけに、
科学技術庁の取っ組んでいただいておる
仕事というものはたいへんなものだと私は思う。
私はここで申し上げたいのですが、決算
委員会といえばもう金は使ってしまったんですね。これは四十一年の決算の審査をやるわけです。そんなものはもう金を使ってしまって、済んだ
あとの話なんです。だからともすると、それは済んだ
あとの話だからそんなぶうぶう言ったってもうもとへ戻るか、こういう単純な考え方が官庁の皆さんにあるんじゃないかという疑念を私は持つわけなんです。私は、決算
委員会とはそんなものじゃないと思っている。今度ずっと調べさせていただきました。ほんとうにいままでにない勉強を私はさせていただきましたが、その中で感じたことは、非常に重要だ、決算と
予算とのつながり、
予算がどう正しくつけられておるかということは決算の審議でないと出てこないと私は思うのです。決算審議でそれが初めて出てくる。そうして皆さんと
国会議員の私たちと、みんなが寄ってここで議論をし合っていく、その中から
予算をつけた間違った方向というものを是正していくというのが決算
委員会の役目ではなかろうか。ところが、もし皆さんがいいかげんな軽い気持ちで御答弁になり、あるいは処置されていくと、これはたいへんなことになると思うのです。
一般の見方というものは、決算
委員会といえば何か黒い霧だとかスキャンダルを掘り出してばあばあ言うのが決算
委員会だというように考えておる向きがあるようです。私はそんなものではないと思うのです。それだけに、皆さんとともに語り合ってやっていきたい。だから決算
委員会の審議に時間制限なんてもってのほかだ。いけなければ何日間でもやっていく、そうしてお互いに話し合って是正すべき点は是正していく、間違いは間違いで手直しをやっていくということでないとならぬと私は思うのです。一番最初、初めての発言で
科学技術庁の皆さんに申しわけありません。現実の問題として
一つだけ申し上げて、ひとつそれだけは御答弁を願います。
皆さんのほうでLPガスエンジン、これを利用して冷蔵装置をやる、この
研究をやっておられるわけです。そうして実験の結果これは成功しておるのですね。これは大革命です。少なくとも、沿岸の漁業にとっては、これが完成しますと大きな革命です。実験の結果はよかったわけです。ところが水産庁は、それは危険だというので手を広げて押し戻しておるというのが現在の情勢なんです。LPガスですから、しかも、それを扱うのが漁師でしょう、へたにたばこでもくわえてちゃんちゃんやってぼいんといったらそれは海の中で一発だ。その危険性があるからというので、手を広げて水産庁はなかなかそれを受け付けようとしない。しかし、いま沿岸へ三トン、五トンの船で魚を釣りに行く。この三トン、五トンの船は全部氷を積んで出ていっているのです。これがもしLPガスの液体からシリンダーの中へ入り、エンジンへ入る、ガス体になる、その前の段階を利用しておるのですから、実に大きな革新です。これはぜひ完成してもらいたい。いま成績があがった、実験の結果はよかった、ところが受け付けないという、その安全性の問題だけが残っておる。そうすると、それは一体何かといいますと、私に言わせれば、まだ一段階いったところでとどまっておるということなんです。したがって、LPガスの安全確保ということがこれからの大きな
仕事になる。これに今後どう取っ組んでいただけるのか、どう取っ組んでいくつもりがあるのか、それをひとつ——私はどうも取っ組んでいく気魄というものですか、積極性というのですか、もう
研究はこれで済んだんだと言って、もうそれで
科学技術庁は終わり、こういうことになるんではなかろうかと思うわけです。申し上げることは、私はもう一ぺん行きたいと思いますが、すでにその船は払い下げられたのですね。もちろんこれは東海大学へ払い下げていますから、東海大学のほうでは十分これを駆使して、実際東海大学がこれからこの面についての
研究はやっていくでしょう。しかし、それを開拓し、成功さした、これは
科学技術庁なんですよ。そしてそれがいま一段階です。安全性を確保すればこれは世界的なものになる。あるいは問題は小さい。しかし小さいが数は多い。特に漁業を世界一と称して立つ日本では、これは大きな収穫になる。このことをどういうふうにお考えになっておるのか、それだけです。
あとは私の言いっぱなし。前段のところは答弁する必要はありません。いまのLPガスの一点だけを御答弁願いたい。