○山崎
会計検査院長 昭和四十一
年度歳入歳出決算は、四十二年十月二十一日内閣から送付を受け、その検査を了して、
昭和四十一
年度決算検査報告とともに四十二年十一月三十日内閣に回付いたしました。
昭和四十一
年度の
一般会計決算額は、
歳入四兆五千五百二十一億余円、
歳出四兆四千五百九十一億余円でありまして、前
年度に比べますと、
歳入において七千七百九十億余円、
歳出において七千三百六十一億余円の
増加となっており、各
特別会計の
決算額合計は
歳入八兆六千五百八十三億余円、
歳出七兆六千六百九十八億余円でありまして、前
年度に比べますと、
歳入において一兆四千四百二十三億余円、
歳出において一兆二千六百三十五億余円の
増加となっております。
なお、
国税収納金整理資金は収納済額三兆四千七百四十四億余円、
歳入組入額三兆三千七百九十二億余円であります。
政府関係機関の
昭和四十一
年度決算額の総計は、収入三兆八千六百五十六億余円、
支出三兆六千百二十一億余円でありまして、前
年度に比べますと、収入において五千六百二十三億余円、
支出において四千七百七十五億余円の
増加となっております。
なお、ただいま申し上げました国の会計及び
政府関係機関の会計の
決算額のうち、
会計検査院においてまだ確認するに至っていないものは総計二百五十七億五千万余円でありまして、そのおもなものは、総理府の防衛本庁の項で百三十一億五千二百万余円、航空機購入費の項で五十一億五千六百万余円であります。
昭和四十一
年度の
歳入、
歳出等に関し、国及び
政府関係機関等から提出された
計算書二十二万余冊及び証拠書類五千八百十四万余枚につきまして書面検査を行ない、また、二千七百余の官署等につきまして三万四千余人日をもって実地に検査を施行いたしました。
このようにして検査いたしました結果につきその
概要を
説明いたします。
まず、
不当事項について申し上げます。
不当事項として
検査報告に掲記しましたものは
合計三百三十七件でありまして、これらの態様別の
金額を概計いたしますと、租税収入の徴収不足を来たしたものなどが五億四千万円、工事施行等の計画が適切を欠いたため不
経済となっていると認めたものが千万円、工事費の積算が適切を欠いたため契約額が高価に過ぎたと認めたものが千七百万円、工事の監督及び検査が適切でなかったため
支払いが過大となっているものが四百万円、保険料の徴収不足を来たしまたは保険金等の
支払いが適正を欠いたものなどが一億九千七百万円、補助事業の実施及び
経理が適切を欠いたものが一億三千三百万円、職員の不正行為により国に損害を与えたものが二千七百万円、その他が千二百万円、以上の
合計が九億四千五百万円となっておりまして、前
年度の十一億八千五百万円に比べまして二億三千九百万円
減少しており、また、
災害復旧事業費の査定額を減額是正させたものは三億九千七百万円となっておりまして、前
年度の四億三千六百万円に比べまして三千九百万円
減少いたしております。
これらの
不当事項は、租税、工事、物件、保険、補助金、不正行為などの項目に分けて
検査報告に記述してありますが、特に、工事及び物件、保険並びに補助金に関するものにつきまして
説明いたします。
工事及び物件につきましては、不
経済な結果となったと認められるなどの事例を毎年
指摘しておりますが、四十一
年度におきましても、農林省、運輸省、
日本国有鉄道、
日本電信電話公社におきまして、工事施行等の計画が適切でなかったため不
経済となっているもの、積算が適切でなかったためひいて契約額が高価となったと認められるもの、監督が適切を欠いたため出来形が設計と相違しているのに検査にあたりそのまま竣工検査を了しているものが見受けられます。
保険につきましては、厚生、農林、労働
各省所管のものにつきまして、適正を欠いていると認められる事例を毎年
指摘しておりますが、四十一
年度におきましても、依然として、健康保険、厚生年金保険、失業保険などの保険料の徴収不足を来たしているもの、失業保険、漁船再保険の保険金等の
支払いが適正を欠いているもののほか、
農業共済保険事業の
運営が適切でないものが見受けられます。
補助金につきましては、その
経理が当を得ないものを毎年多数
指摘して注意を促してきたところでありますが、四十一
年度におきましても、農林、運輸、建設
各省の公共事業
関係のものにつきまして、工事の施行が不良となっているものなどがまだ多数見受けられます。また、その他の補助金につきましても、農林省の農業構造
改善対策事業等におきまして、事業費の精算が過大なものなどが見受けられます。
次に、
改善の意見を表示した
事項について
説明いたします。
四十一年十二月から四十二年十一月までの間におきまして、
会計検査院法第三十六条の
規定により
改善の意見を表示いたしましたものは、
日本国有鉄道の検修庫等の鉄骨工事の設計等に関するもの、
日本電信電話公社の保全強化工事等における屋外線、屋内線取りかえ工事費の積算に関するもの、日本
道路公団の高速自動車国道建設工事の予定価格の積算等に関するもの、首都高速
道路公団の高速
道路建設工事の予定価格の積算に関するものの四件であります。
ただいままでに申し上げました
不当事項及び
改善の意見を表示した
事項のほか、検査の結果今後の
予算の
執行等にあたり留意を要すると認めましたものにつきましても、これを
検査報告に記載いたしました。
以上をもって
概要の
説明を終ります。
会計検査院といたしましては、適正な会計
経理の
執行について、機会あるごとに
関係各省各庁などに対し是正
改善の
努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例が見受けられますので、
関係各省各庁などにおいても、さらに特段の
努力を払うよう望んでいる次第であります。
次に、
昭和四十一
年度国有財産検査報告につきまして、その
概要を
説明いたします。
昭和四十一
年度国有財産増減及び現在額総
計算書及び
国有財産無償貸付状況総
計算書は、四十二年十月二十一日内閣から送付を受け、その検査を了して、十一月三十日内閣に回付いたしました。
四十
年度末の
国有財産現在額は五兆八百六十億四千七百万余円でありましたが、四十一
年度中の増が五千七百三十億七千百万余円、同
年度中の減が千四百二十五億九千七百万余円ありましたので、
差し引き四十一
年度末の現在額は五兆五千百六十五億二千百万余円となり、前
年度末に比べますと四千三百四億七千四百万余円の
増加となっております。
次に、
国有財産の無償貸し付け
状況について申し上げますと、四十
年度末には六百九十三億五百万余円でありましたが、四十一
年度中の増が七十九億七千九百万余円、同
年度中の減が四十九億五千五百万余円ありましたので、
差し引き三十億二千四百万余円の
増加を見まして、四十一
年度末の無償貸し付け
財産の
総額は七百二十三億二千九百万余円となっております。
なお、検査の結果、不当と認めた
事項または
改善の意見を表示した
事項はありません。
以上でございます。
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