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1968-03-22 第58回国会 衆議院 議院運営委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十二日(金曜日)    午後一時十八分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 渡海元三郎君    理事 竹下  登君 理事 田中 六助君    理事 安宅 常彦君 理事 勝澤 芳雄君    理事 池田 禎治君 理事 正木 良明君       小渕 恵三君    加藤 六月君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    塚田  徹君       西岡 武夫君    武藤 嘉文君       山村新治郎君    佐野  進君       柴田 健治君    中嶋 英夫君       広瀬 秀吉君    山口 鶴男君       麻生 良方君  委員外出席者         議     長 石井光次郎君         外務委員長   秋田 大助君         議     員 松本 善明君         事 務 総 長 知野 虎雄君     ————————————— 三月十九日  委員佐野進君及び山口鶴男辞任につき、その  補欠として石橋政嗣君及び岡田春夫君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員石橋政嗣君及び岡田春夫辞任につき、そ  の補欠として佐野進君及び山口鶴男君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  懲罰委員会に付するの動議取り扱いに関する  件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  まず、懲罰委員会に付するの動議取り扱いに関する件についてでありまするが、去る八日午後九時十三分、自由民主党の鯨岡兵輔君外四名から、成規賛成を得て、議員穂積七郎君を懲罰委員会に付するの動議が提出されました。  本動議取り扱いについて御協議願います。
  3. 中嶋英夫

    中嶋委員 この委員会懲罰の問題を扱うということは非常に珍しいことで、懲罰の問題というものは軽々に取り上ぐべきものではないというのが私の見解であります。特に今回のように議長発議でもない、委員長発議でもない、議員発議であるということは非常に重大だと思うのです。御存じのように、いま与党議長委員長をそれぞれ推薦し、各党一致の了承を得た上でそれぞれの席についておられる。したがって、もし議長自身が公正な立場から懲罰事犯として取り上げられ、これを議運にはかる、こういろ形のことは、好ましいことではないけれども、十分予想されるものであります。同時にまた、委員会で一応公正な立場に立つ委員長判断で、委員会運営上、議員言動というものが懲罰に値するということで、これが議長に申し出られ、これがまた私ども委員会にはかって取り扱いをきめることもあり得ると思う。しかし与党側議員発議懲罰が提起される、これは非常に重大だと思う。かりに、常任委員会委員長野党から出ておる例が過去にあります。私ども主張しておりますが、いわゆる責任分担ということで、与党以外から委員長が出る場合があります。その委員長野党出身であるがゆえに、自党派議員言動について懲罰としてこれを取り上げないという場合には、その道がない場合には、与党側では持っていき場がない、したがって、議員発議を認めざるを得ない、こういうことが議員発議の道を開いておる根本理由であると思います。議長与党出身で、委員長与党出身で、そのいずれもが懲罰事犯として取り上げない、それを与党議員成規手続と称して懲罰事犯だとして問題を提起する、これがもし一度行なわれると非常に乱用される危険性が多いと思います。こういう意味で、私は、まず第一に、この点に関する石井議長の御見解を承りたいと思います。
  4. 石井光次郎

    石井議長 この懲罰権の発動は、憲法で認めておりますように、議長職権でやる場合と議員動議で出す場合とがあります。今度は委員会において起こった問題でございまして、この問題につきましては、私の職権によってこれを処理するということをいたす考えはありません。ちょうどそこへ議員から動議が出ておりますので、その動議もとにいたしまして議運のほうで処理をいたしていただきたい、こういうふうに考えております。
  5. 中嶋英夫

    中嶋委員 議長は立ってお答えになるから、私も失礼ですから立ってお聞きしますけれども、私の伺いたいのは、議長並びに常任委員長が現在は与党から出ておられる。したがって、議長委員長が、懲罰に値しない、こう考えても、野党側のほうでは懲罰に値するという場合がある、そういろときにいま採用されておる議員の側の発議によって懲罰の提訴をする、こういうことは十分考えられるわけです。ところが、多数派である与党のほうから議長が出、委員長が出、その両者とも懲罰事犯とする考えがない、その必要を認めていない、特に今度の穂積七郎さんの問題については、問題とされてから相当の時間がたって、その間議長に何の意思表示もない、委員長にも何の動きもないというときに、与党側議員から発議されるということは、議員発議を認めた趣旨というものを乱用している結果になる。これを今回先例とするならば、今後野党側発言に対して、ちょっと気に食わぬということで、与党が数がありますから、懲罰だと言えば、これはすぐ委員会に回される。あるいは数がありますから、相当の制裁を加えることができる。逆に今度は野党の側のほうは、委員長懲罰にしない、議長も問題にしない。野党側としてはこれは許せない発言だから、これは懲罰だといっても、議院運営委員会で否決されれば日の目を見ないわけです。しかし日の目を見なくとも、その意思表示をする場があるわけです。与党の場合は、同じ党から出ておる議長委員長がその必要がないと言う場合に、数が多いからといって議員からどんどん発議するということは、乱用の突破口になる危険性が多い。今後の国会運営の円満を期する議長として、この点に対して御心配にならないのかどうか、かまわぬというお考えなのかどうか、それを伺います。
  6. 石井光次郎

    石井議長 妙に法にこだわるようでありますが、議長として扱う場合におきましては、根本的には、国会運営が円満にいくことを期することが一番の願いであることは当然のことでございます。問題として提起された場合におきましては、議長といたしましては、法規に従ってそれを処理していくというよりほかには道はないというふうに、私は考えております。その運び方においてどういうふうに運ぶかという、いろいろ道はあろうと思いますけれども扱い方法規に従って、法に従って出てきたものでありますから、これはどうしてもそうやってお願いするということで提案されたものでありますならば、成規手続を経て皆さん方におはかりをして、そうして順序に従って論議をしてもらうより私はしかたがないと思います。
  7. 中嶋英夫

    中嶋委員 議長がしようがないと言ってしまうと、これから次々に、議長が冒頭おっしゃった国会の円滑な運営をはかることに阻害となるような風潮なり先例というものが、次々と生まれてくる。大体前の山口議長時代に、やはり国会運営についてはお互い各党立場があり、意見の相違があっても、国民の前で国民から信頼を失うことのないような、そういう運営、そういう国民信頼を深め、つなぎとめたワク内において、せり合おうじゃないか、こういう考え方から、議会制度協議会という会をつくっていろいろ話し合いを深めて、非常に好ましい情勢が生まれてきたわけです。たまたま山口議長が、その面で非常に積極的であり、名議長であったと思うのですけれども、不祥の事件に関連があるなしという疑惑の中で、いさぎよく自分から議長をおやめになった。その後石井議長になられてから、私は最近議会制度協議会というものが開かれているのを聞かない。しかも今国会は非常に珍しい渋滞ぶりであります。今国会渋滞ぶりは、何も野党の抵抗があるからではないのです。それはむしろ与党が数の多数の上に、多数だから何でもできるはずだ、できないのはおかしい。だから無理をする、しかも持っている政策は、非常に国民の利益というものに背中を向けたような政策、たとえば健康保険の料金を上げる。国民は喜ぶはずはありません。あるいは酒、たばこを上げていく。国民は喜ぶはずはない。国民の好ましくないことをやるについては、相当納得を得るための努力が要ると思うのです。国民は好まない、しかし国家としては必要だという場合は、十分納得を得るだけの措置が、国会内においても、あるいは国民に対しても、特に与党側のPRがなされるべきである。そういうことが十分なされることによって国会運営が円滑にいく。それは多数だからそんなことをやる必要がない、早くやればいいんだ、こういうかまえが国会運営を渋滞させて、予算がようやくいま参議院の審議に入っておる、こういう状態です。こういうときに、たまたま野党側発言があったからといって、われわれが選んだ議長の御判断でこれは懲罰だと言うなら、議長の御判断もとにして私どもはここで論議します。あるいは委員会責任者である委員長懲罰だと言うならば、それはそれなりに議長がそれを取り上げて、議長がそれを是としてここにおはかりになるならば、私たちはそれをここで議論します。そのいずれも動かないのに、一応党派反対派ですから意見は違いますけれども、そういうときに議員側の発起でできる道は確かにある。本来この道は、先ほど来何べんも申し上げたように、野党側出身委員長がおって、それが懲罰にしない、それはえこひいきだ、自分党派の者だからやらないのだろう、そういう恨みが残ってはいかぬ。そのときにやはり議員多数の中から、それは懲罰にかけねばならぬという場合に懲罰問題を取り上げることができる、本来こういうためにあるものなのです。本来そういうものなのです。もし議員発議でやるならば、これは何も議長委員長なんか要らないわけです。本来は審判官である、アンパイアであるべき議長なり委員長判断が尊重ざるべきが第一。やはり行司が差し違える場合でも、行司は一ぺん軍配をあげる。行司軍配をあげないうちに、前のほうから、あれはあっちが勝ったんだ、こっちが負けたんだということになったのでは、これでは土俵の上でたいへんな血の雨が降るかもしれない。やはりアンパイアがき然たる方針を示す。ただし、人の子だから、遺憾ながら身びいきがないとも限らない。そこで自党の者だからといってこれを黙認し、黙過するというようなことがあってはならないということで、初めて議員発議というものの道が開かれておるわけです。ところが今度の場合は、与党から出ておる議長与党から出ておる委員長が、アンパイアが問題にしないのを、さじきのほうから声があがって、検査役をけしかけて問題にする。まだアンパイア軍配をあげていないのです。軍配をあげないで、問題はうまく進んでおる。勝負は続けていい、踏み越しになっていないから続けておる。そのあと勝負がきまって軍配をあげたあとで問題になったら、あなたがやる。そういう点からいってこういう議員発議の道が確かにある。あなたがおっしゃるように、法規に照らし合わせてやるよりほかしようがない。その道が何のためにあるかという本旨を議長としては十分お考えあってしかるべきだと思うのです。この点を私は伺っておる。もう一度お答えを願います。
  8. 石井光次郎

    石井議長 さっきたとえば与党から、どんな問題でも取り上げて懲罰に付するとか、いいかげんなものでも懲罰にするおそれがあるじゃないかというようなお話がございました。そういうふうなことになってもおまえはそのままに通すのか、おかしいじゃないか。
  9. 中嶋英夫

    中嶋委員 そんなことを聞いてないのです。
  10. 石井光次郎

    石井議長 もしそういうふうなものがどんどん出てきたら一体どうなるでしょう。われわれがいいとか悪いとか言う前に、一体天下が許すでしょうか。私はもっと大きなところから批判が出て、懲罰どころの騒ぎでない、そういうことをすることに対する大きな批判が出て、その党は立っていけないと私は思うのです。だから、そんなばかなことは、心ある政党なら、大小を問わず、与野党を問わず、やれることでないだろうと私は考えております。そういうことは別にしまして、今度の場合を考えますと、与野党どこから出たといたしましても、こうやって提案されましたる以上、これは慎重に取り扱うことは当然のことでございますが、出た以上は、皆さま方の議に付しまして、そうしてこれを皆さまの議によって判断をしてもらって、そうしてこれを処理していくというよりほかはない、私はこういうふうに思います。これが一番私どものやる道だと思っております。
  11. 中嶋英夫

    中嶋委員 そうすると、議長考えからいけば、手続をしたのだからしようがないとなれば、この次またあった場合にはしようがないとなるのです。悪い風潮が生まれたときに、おそらく天下の人々はこれを認めないだろうとおっしゃる。そうかもしれません。しかし風潮が出て、国民大衆の中から、ほうはいと起きた世論の中で反省して、そのときにやめればいいのだ、そんな不見識な話はない。そうならない前に、なる可能性があるというならば、ならない前にやめていくというのがほんとうです。いまこの懲罰議長の権限でやめることは確かに規則上できません。しかしあなたの見解は明白にしておきたいと思います。あなたを議長に選んだときは穗積七郎氏もあなたを選んだ。みんなあなたを選んだ。あなたを選んだそれぞれの議員の行動、言動について、やはり一方党派関係もあるし、ある者はこれを法規主義という。私は信じたくないが、仕返しだという者もある。しかしながら、そういう中であなたを選んだ議員がいま懲罰にかけられるときに、私が申し上げたような道が議長にあるが、議長がおやりにならなかった。委員長にも道があるが、委員長もおやりにならなかった。それぞれの御見解があるからやらなかったと思うのです。ただ漫然と知らなかったからやらなかったのではないだろうと思う。補佐している議運委員長なり事務総長なりから報告がいっているはずだ。それをあなたはやらなかった。それをやらなかったのは、あなたのりっぱな見識があってやらなかったと思うのです。ぼやっとやらなかったわけじゃないでしょう。委員長もそうだと思う。そのときに、同じ与党議員の側からの発議ということは、好ましくないか好ましいか。やらざるを得ないのじゃない、やらざるを得ないから会議になっておる。そんなものはいいから、好ましいか好ましくないか、まずお答え願いたい。
  12. 石井光次郎

    石井議長 私はただいま申し上げましたように、議長というものは、こういうものが提案された場合にどうやって扱うかということは、法に従って与党野党というものに偏しないで正しく扱っていくのが、私の仕事だと思っております。したがいまして、今度の場合におきまして、罰せられるという人は——罰せられることになるかどうか知りませんが、この俎上にのる人についてははなはだ気の毒に思いますけれども、しかし、動議が出た以上は、それはお気の毒だが、そういうことはないだろう、あるだろうということをはっきりきめないで、みんなで議するための動議が出ておるのですから、そこでやっていただくという手続をとるのが私の義務だと思っております。そういうことのために、私は皆さん方にはかっておるわけでありまして、皆さん方にそういうことなしに私がかって気ままなことをするということは、私の独裁におちいることだと思っております。
  13. 中嶋英夫

    中嶋委員 手続を聞いておるのじゃない。手続をやらなければならぬといういまの議長さんのお答えは、それはわかっておるのですよ。だから、きょうこうして議運委員会が開かれる羽目になったのです。手続はそうですよ。しかし、議長懲罰としてこれを取り上げる、懲罰に該当するとしてこれを取り上げる道があるのです。この道を議長はおとりにならなかった。では、お答えしいいように、議長はなぜこれを取り上げませんでしたか、このほうが答えいいかもしれません。もし何でしたら秋田大助委員長にも来てもらってもいいですよ。なぜ議長はこれを懲罰事犯として手続をとらなかったのですか。それから伺いましょう。
  14. 石井光次郎

    石井議長 これは、本会議で起こった問題でありますれば、私直接いろいろ問題を見聞するわけでありますが、そもそもが起こったところが委員会でありますから、委員会の問題は委員会関係でやる、そこから起こった問題に関連してこういう問題が起こってきたならば、起こってきたものを受けて、そうして私が出てきたものを間違いないように取り扱う、私はそうだと思っております。
  15. 中嶋英夫

    中嶋委員 では、なぜ外務委員長議長のところに懲罰として取り上げてほしいということを言ってこなかったのですか。この点何かお気づき、お考えはありませんか。もしわからなければ、委員長に来てもらいます。
  16. 石井光次郎

    石井議長 委員長のほうから私のほうには何らの報告もあっておりません。
  17. 中嶋英夫

    中嶋委員 最近は委員会というものと議長との関係が、議会制度協議会でもいまの姿でいいかどうかということが議論されまして、前の議長は、このままではいけない、もっと積極的に常任委員会委員長議長が連絡を深めるべきだというところまで言っておやめになった。お引き継ぎはなさってないかもしれませんけれども、いまの御答弁がありましたから、委員長、ひとつ秋田大助外務委員長にできれば御出席をいただきたい。委員長の御判断を……。
  18. 伊能繁次郎

    伊能委員長 それじゃ、自民党にも異議がないようですから、外務委員長をちょっと。——ただいま外務委員長が見えましたので、疑義の点についてどうぞ。
  19. 中嶋英夫

    中嶋委員 外務委員長においで願いまして恐縮でありますが、議院運営委員会として他の常任委員会に干渉するなどという考えは毛頭持っておりません。ただ、議員の身分に関する重大な案件がいまこの会議に付託されておりますので、その関係でちょっと委員長に御出席願ったわけです。ありがとうございました。  いま私ども議長にお尋ねしたのですが、懲罰として懲罰委員会に付する道としては、議長判断委員会における言動その他の問題について問題にする場合は、アンパイア審判官である委員長の御判断、これでできるわけです。ただ、そんなことはないと思いながらも、人間感情もありますから、与党側発言言動、そういうもので懲罰に付してもいいのじゃなかろうかなと思っても、同じ党の委員長議長である場合には、これが黙過される危険性が多い。といって乱用はできないが、四十人の賛成を得れば議員発議ができるという道がある。いわば、この道は、現在ならば与党側の人が問題になった場合ですね。たまたま与党委員長が取り上げてくれない、やむを得ないということで、野党側のほうが、少数側のほうが連署連名をもって動議を出す、こういうことのために道があけられておる。いま一つは、前にあったことですけれども野党側委員長の場合ですね。具体的に言うと、社会党常任委員長の場合、民社党常任委員長の場合、こういう場合があります。そういう場合に、野党側発言議員言動等が問題になったときに、同じ野党同士だというようなことで、身びいき委員長議長懲罰問題として問題を提起しない。そうすると、多数である自民党は行き場がないわけですよ。この与党のほうは、なまじっか野党委員長のために問題にできない。そのできないものを救う道として議員発議というものが認められておる。これが国会法の精神なんです。今回たまたま議長は、委員長からお話もないことだから、自分としては懲罰問題としては取り上げなかった。自分判断というよりも、委員長からお話がないからやらなかったというお話委員長議長のほうに懲罰に付してもらいたいというお話がなかったようです。そこで、外務委員会委員長である秋田さんは、今回の穂積七郎君の発言について懲罰に付する手続をなさらなかった。なぜなさらなかったか、その御見解を承りたい、こういうことです。
  20. 秋田大助

    秋田外務委員長 当時の理事会秘密理事会でありまして、したがって、その内容はまだこの段階では申し上げることは差し控えたいと思います。ただ当日、今月八日午前十時から非常に熱心に各角度から御審議を願いまして、理事会においては妥結の曙光も話し合いでつくやに見えておったのでございますが、最後段階になりまして、どうも話し合いがつきそうにもない。ちょうど当日たしか民社党さんの大会もありまして、曾祢理事最後段階で御出席得られなかったので、社会党さんのほうに御再考を促すと同時に、曾祢さんのお帰りを小一時間近く待つというような慎重な措置をとりまして、曾祢さんにも最後はその会合に御出席を願った上でいろいろ情勢を申し上げたのですが、曾祢さんも、社会党さんがもう少し考えたらどうかというようなお話もありましたが、とうとう話し合いがどうしてもつかないということで、再三再四にわたりまして、最後段階まで話し合いがつくように私としては最善の努力をいたしたつもりでございますが、どうしても話し合いがつかない。しかたがなくて、それでは——十二時間近く話し合ってどうしても話し合いがつかない。当時の社会党さんからの御言い分は、秘密会のことでありますからここで申し上げませんが、それでは本日のところこれ以上やりましても解決のつくめどは認められない、前向きに、今日のところ社会党さんはこの問題を何とか話し合いによって打開しよう、決着をつけようというようなお考えはないように思われると私は判断いたしましたので、話し合いによる委員会内における解決というものを、その時点においては私はあきらめまして打ち切ったわけでございます。そうこういたしておりますうちに、自民党さんの側から懲罰動議が出たということを私は聞いた、これが事実でございます。聞いた以上は、この決着をひとつ待ちたい、こういう心境に私は立ち至ったようなわけでございます。
  21. 中嶋英夫

    中嶋委員 外務委員会委員長さんにあまりくどく質問しては失礼ですが、結局そうすると、穗積さんの発言があって、あなたがこれは懲罰だと思って、すぐ懲罰委員会に付するべきものだとお思いになっておれば、各党話し合いとか、内容は別として、それはなさらなかったと思うのです。やはりストレートでなかったということですね。これが一つ。いま一つは、懲罰委員会に付する動議をお出しになるときには委員長御存じなかった。この二つですね。聞違いありませんね。
  22. 秋田大助

    秋田外務委員長 ええ。
  23. 中嶋英夫

    中嶋委員 どうもありがとうございました。
  24. 安宅常彦

    安宅委員 秋田さん、私は中嶋さんのように礼儀正しくないかもしれませんが、ちょっとお伺いいたします。  これはこういうことになっておるわけです。国会法の第百二十一条で、第一項は議長懲罰事犯ありと認めた場合——これは本会議ですが、これが原則です。第二番目は委員長委員会において懲罰事犯ありと認めた場合。この二つの場合は、簡単に言えば、委員長がこれを報告し、懲罰を求めなければならないととになっているのです。その手続をあなたはやらないわけですね。それでこれはまるっきり別な話ですが、いま戸叶さんと廊下で会いましたら、その善処するということには懲罰は入っておりませんということでした。その  とおり、それは正しいのです。あなたの立場は正しいのです。なぜかということを言いますと、委員会運営懲罰事犯ありと認めた場合は、本会議の例でもわかりますようにいろいろ議場内交渉係あたりが問題にいたしまして、ただいまの発は不穏当である、取り消せという話が出る。これは議運委員の中にも議場内交渉係があるのですから、議長職権で、いまのは不穏当な発言でありますから、懲罰その他、議長は取り消しあるいは議事録削除を命ずる。それから、もし不穏当なことばがありました場合にはなんというのはその次なんです。議事録によってあなたの発言を見てみますと、もし穂積君の発言中不穏当なことばがありましたら議事録を取り調べて善処いたします、こういうことです。これはいまの国会運営からいうと、議事録削除の提案なんです。一つ措置なんです。それで、あなたは善処という意味懲罰は含まないのだという、そういう発言は当然だと思うのです。それは正しい。ですから、あなたが議長に対して、国会法百二十一条に基づいて報告し処分を求めなければならないという行為をやらないで、ずっとそのまま委員会最後まで続けて、委員会が終わったあと——いまあなたが言ったのは、そのあとの話なんですね。
  25. 秋田大助

    秋田外務委員長 そうです。
  26. 安宅常彦

    安宅委員 だから議事手続上、あなたの措置議事録削除考え、そしてそのあと措置しようとした。そうでなければ議事中断をして、懲罰をやらなければならないという措置をしなければならない、私どもはそういうように理解しているわけです。したがいまして、秘密会内容等についてお話がありましたが、そのことには私は触れたくありません。お伺いしてもけっこうですが、触れるといろいろ議論が出てくると思いますから触れませんが、それで、あなたが先ほど答弁された前の段階措置については、あなたは非常に公平な運営をしておられるのです。だから、委員長懲罰事犯として認めない場合は、議員が四十名でやれるということが、衆議院規則にそれを受けて書いてありますから、その場合にはあなたは知らなかった、こういう答弁ですね。したがって、委員長としてはそういう措置を議事運営の中でやる御意思はなかったんだということは確認されるわけですな、これだけを伺っておきたい。そうでなければ、確認されなかったならば、なぜ議長に対し報告懲罰を求めなかったかということになりますから、これだけははっきりしておきたいと思います。
  27. 秋田大助

    秋田外務委員長 前の段階で善処と申しました中には、ストレートにすぐ懲罰にいくということは私は考えていなかった。同時に、したがって最大の努力を、委員会の中で処置をすべくいたしておった。しかし話し合いがつかなかった。その段階懲罰動議が出た。したがって、いまそのさばきを待っておる、こういう心境、これ以外に私の申し上げようがないのですが、あらためて要点はどこでしょうか。
  28. 安宅常彦

    安宅委員 では一つ一つやりましょう。  議事中断をしなかったということは、懲罰をあなたは決意しなかった。そうして議事がずっと続いておって、その続けた中にあなたが発言をしたのは議事録削除手続だと思います。私はそう思いますが、そういうように理解していいですか。
  29. 秋田大助

    秋田外務委員長 単純に議事録の文字削除というだけを私は考えておったわけではございません。善処でございますから、いろいろの措置が速記録を見た上で考えられると私は思っておりました。
  30. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、懲罰考えていなかったのですから、その以外の措置というのはどういう措置だったのでしょうか。
  31. 秋田大助

    秋田外務委員長 委員長理事との話し合いの上で、いろいろな宣告をするとか、あるいは御本人が陳謝されるとか、いろいろあると思います。
  32. 安宅常彦

    安宅委員 正式な議事の運営でありますと、陳謝を公開の場でするということは一つ懲罰です。そういうことになっているわけです。一番軽い懲罰です。だから、委員長においてその懲罰考えていないとすれば、これは当然陳謝ではなくて取り消すなりあるいは遺憾の意を表するなり、この辺が一番内容としては言えることで、その以外は、陳謝になると、これはもう懲罰になるのですからね。この点ははっきりしておいてくださいよ。私の考えでいいですか。
  33. 秋田大助

    秋田外務委員長 陳謝と申しましても、国会法に書いてある本会議場の陳謝は、私は考えておりませんでした。
  34. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、委員会における陳謝はあり得たということですか。先ほど議運理事会で、自民党側の意見としては、自民党が文案をまとめたものがありますね、その秘密理事会で。その要望がいれられないと思いますから、きょう懲罰委員会にかけなければならないという動議をここで採択することに賛成してもらいたい。要望とは何かと言ったら、これは自民党で用意した文案、これが要望であります。こういう話でありました。それは非常に何というか、陳謝どころか、手をついてあやまれという意味の文章です、私から言えば。そういうものだというふうに、あなたもそこまで考えたのかどうか。
  35. 秋田大助

    秋田外務委員長 手をついてあやまれというものじゃ私はないと思いますが、本会議における陳謝でございませんで、委員会において遺憾の意を表し陳謝をする、私はこういう点は措置として十分考えられる。善処という中には、とっさの場合でございますが、そういうことを考えておったわけでございます。それはいわゆる懲罰とは私は考えておりません。
  36. 安宅常彦

    安宅委員 それは重大な発言だと思います。委員長考えてごらんなさい。議事録というものが残ります。ようございますか。あなたの発言は、もし不穏当なことばがありましたならば議事録を調査の上善処する。ということは、議事録の訂正あるいは削除手続、こういうふうに慣行的に院では認められてきておって、懲罰に付さなければならないというときには懲罰を求めなければならない、そういう議事の運営をしなければならない、ここのところを秋田さんはごちゃごちゃにしているんです。  それで、一つここで問題になるのは、そういう措置をあなたがとった場合、議事録削除しなければならない内容が入っておるとしたら、その議事録が削られたものに陳謝をしてみたところで、おかしな議事録になるんですよ。ようございますか。削られたところを当人があやまっても議事録はおかしいです。結局議事録にない陳謝になるわけであります。そうしなければ議事録は調整できません。それはお認めになりますね。
  37. 秋田大助

    秋田外務委員長 それは慣行上ちょっと違うのではないかと思います。事実は事実でありまして、そのことについて論議があって、その後取り消して、その分を棒線にしておくということはあり得る、慣行上あるのではないかと思いますが、これは事務上いろいろ慣行等もございますから、ひとつ御研究願いたいと思いますが、私が考え、かつ伺ったところでは、これはあり得る、こう理解いたしております。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 外務委員長一つだけお伺いしたいことがあるんですが、衆議院規則によりますと、七十二条で、「委員長は、委員会の議事を整理しがたいとき又は懲罰事犯があるときは、休憩を宣告し又は散会することができる。」こういうことになっております。それから七十五条にまいりまして、「委員長は、委員会において、懲罰事犯があると認めたときは、これを議長報告し処分を求める。」こうなっております。そうしますと、あなたの外務委員会運営を見てみますと、穂積委員発言をし、その発言に対して内閣総理大臣は答弁をされておるわけですね。それからまた、そのあと委員長としては、「穂積君、一々発言を求めて発言をしてください。」と言い、穂積委員がまた質問をし、そのあとあなたが、不穏当な言辞があるならば善処する、こういう発言をし、それから佐藤総理がまた答弁をし、穗積委員が質問をし、佐藤総理が答弁をし、穗積委員が質問をし、佐藤総理が答弁をし、今度は政府委員が答弁をし、穗積委員が質問をし、政府委員が答弁し、それから穗積委員が質問をし、それで戸叶さんの質問に入っておる。この議事の流れを見てみますと、多少の、何といいますか、騒ぎはあったようですけれども、しかし「懲罰事犯があるときは、休憩を宣告し又は散会することができる。」ですから、懲罰事犯があるとあなたは思っていなかったように思われる。もしあとでするとしても、「懲罰事犯があると認めたときは、これを議長報告し処分を求める。」だから、あなたは、外務委員会では懲罰事犯はなかった、こう私は思えてならないわけですが、それでいいですか。
  39. 田中六助

    ○田中(六)委員 ちょっと待ってください。中嶋さんが先ほど申しましたように、他の委員長に、内容にわたって次々に究明していくということは、議運委員会でそれほどまで追及するとは思わなかったから私は賛成したんですが、あまりにも行き過ぎの点がそろそろ出てきたような気がいたしますので、ちょっと御注意申し上げます。
  40. 秋田大助

    秋田外務委員長 懲罰事犯に値するかしないか、私はすぐ懲罰事犯に値するとは反射的に考えてはおりませんでしたけれども、さりとて懲罰事犯にするときは必ず騒ぎが起こらなければならぬものとは限っていないと思います。ある程度の騒ぎがありましたが、すなおにおさまりまして、速記録を見た上処置をしたいと考えました。したがって、規定はありましょうとも、騒ぎがなかったから、休憩をしなかったから、それでこれは懲罰事犯そのものの実体がなかったという解釈は成り立たないのじゃなかろうかと私は思います。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 外務委員長私は懲罰事犯——一番疑問になっておりますのは、簡単に言いますと、自由民主党の外務委員長が、この議事録の上で見るならば、懲罰事犯がなかったとしている。しかし、その自由民主党の外務委員長懲罰事犯がないと言っておるにもかかわらず、自由民主党の外務の諸君が懲罰事犯だとして動議が出ておる。この議員四十名からなる懲罰動議というものの出し方は、これはやはり少数党を守るという立場から私はできている法規だと思うのです。そういう立場から言うならば、やはり委員長与党であるにもかかわらず、与党から動議が出ているという点をたいへん疑問に思うわけです。それは、この国会法なり衆議院規則の上からいって、少し例のないことだと思うわけでありますが、そういう点であなたに実は聞いておるわけです。懲罰事犯が、委員長として、あったと認めるのか、認めないのか、この点については明確でないようですね。
  42. 塚原俊郎

    ○塚原委員 勝澤さん、いまあなたは、自民党委員長とおっしゃったけれども、党籍はあるかもしれませんが、衆議院の議長であり、委員長であるということで、自民党ということばはお使いにならぬほうがいいのじゃないかと思います。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは訂正しましょう。
  44. 秋田大助

    秋田外務委員長 私は衆議院規則なりそういう法規に必ずしも明るくございませんから、委員長発議する場合、あるいは懲罰動議を出す場合、こういう場合に限る。いまおっしゃったような少数党擁護のために懲罰動議が四十名で出せるという制度ができている、法の精神はそこにある、そう限定する。いろいろの場合がありましょうが、私はそういう限定はできないものだ。私はこの場合いろいろ理事会にもはかって慎重な結論を出そうと思っておったが、それができなかった。その間に懲罰動議が出た、これだけでございます。
  45. 中嶋英夫

    中嶋委員 外務委員会としては、こういうことだと思うのです。懲罰動議を出すには期限がありますから、その期限がきたから出しておく。外務委員会はその瞬間から何も話し合いできないわけじゃない。話し合いはできると思うのです。しなさいというわけじゃない。干渉するんじゃない。するならいまでもできるし、あすでもできるし、あさってでもできる。  一応私の質問はこれで終わりましたので、次の問題に入ってよろしゅうございますか。
  46. 伊能繁次郎

    伊能委員長 どうもありがとうございました。
  47. 中嶋英夫

    中嶋委員 先ほど外務委員長の御意見、御見解を承れば、少なくともその際ストレートに懲罰委員会に付するだけのものだとは思わなかった、こういうことを明白にお答えがあったわけです。それから、動議が提出されたときには、御本人は事後に知ったということであったわけですが、こうなると、議長が知らなかったのも私は無理はないと思うのです、委員長も知らなかったのですから。ですから、私が議長に伺いたいのは、今回の事の是非を言うのではなくて、先ほど来申し上げたように、決してこれは少数派のためだけではなく、多数派の場合でも、野党委員長の場合救済の道がない、その道をあけようとしてつくったものでありますから、その趣旨はわかるけれども、今度いいとか悪いとかいうことを私は議長に聞くということはひどいと思います。無理だと思います。ただ、こういう形で、議員発議懲罰委員会付託の動議が出るということは、好ましいか好ましくないか、この点だけぜひお答えいただきたいと思います。
  48. 石井光次郎

    石井議長 今度は自民党の側からこういう提案があっておるわけです。私はちょっと立場をひとつはっきりしておきたいと思いますが、私は自由民主党の議長じゃなくして、私は国会議長のつもりなんです。どんな場合でもそれを忘れていないつもりなんです。これがくずれたときは私は議長じゃないつもりなんです。だから、そういうつもりでどんな場合でも処していきます。今後といえどもそうであります。議長である限りにおいてはそうやっていきます。だからこの問題につきましては、さっき申し上げたように、それを皆さま方のところにはかって、そして皆さま方で相談して運んでいただきたい、こういうことをお願いしておるのであります。
  49. 中嶋英夫

    中嶋委員 私は、議長さんが自民党の党員意識でやっておるとは思わない。ただ党籍がおありのことも事実です。同時に、われわれは議長さんを議長に推戴するときに賛意を表しておる。穗積さんもその一人なんです。ですから、その点は十分御理解をいただきたいと思います。議長は何か私の質問に対して別な御見解、大所高所のお話で、お答えがないのですが、私は、議長は好ましいと思っておるとは思わない。なぜならば、それは立証できると思うのです。人さまの心境を立証するということはおこのさただと思うのですけれども、なぜならば明白な事実があるのです。石井議長が本会議の議場の議長席へおすわりになって、今回の穂積七郎発言と比較して同様の発言がしばしば行なわれた際には、議長はこの問題を取り上げておられない。しかもその際には、自民党議場内交渉係のほうからも抗議すらもない。不穏当云々の議長発言もないという例が幾つもある。  その一つをまず申し上げますと、最近では、本年の一月三十一日——これは決して共産党の発言が悪いということではないけれども、昭和四十三年一月三十一日の国務大臣の演説に対する質疑、共産党の川上貫一君が党を代表して行なっておる。その速記録には、「アメリカの凶悪きわまりない侵略と戦争の政策を擁護し、それに国民を同調させるための売国的な欺隔であると断言してはばかりません。」その際には一切問題になっておりません。むしろ、速記録を見ると、拍手の形になっておる。  次に、昨年ですが、昭和四十二年三月十七日、同様、国務大臣の演説に対する川上貫一君の質疑の中には次のような強烈な表現がある。「自民党内閣が、人命の無視だけではなく、民族の運命をも売り渡し、祖国を破滅に導く内閣」という発言がある。この場合でも、議長は特別の御注意もなければ、また自民党議場内交渉係からの抗議もない。これまた、最後は拍手で終わっておる。  ですから、こういう事例を見ると、私どもが選んだ石井議長は、今回の穗積発言について、議員発議があったということはともかくとして、議長自身がそれは懲罰委員会に付すべきものだとはお考えになっておらないと私は思う。ただ議長にあまりくどくお話しするのはどうかと思いますので、よします。  したがって、自民党の皆さん、民社党の皆さん、公明党の皆さんにもぜひお考えを願いたいと思いますのは、先ほど来のお話からいくと、外務委員長は、その委員長席にすわって、アンパイアとして、穗積発言懲罰委員会に付すべきものだとは思っていなかった。同時に、懲罰動議が出されたのを知らなかった。また、いま申し上げたように、石井議長が本会議議長席におすわりになっておるときに、「民族の運命をも売り渡し、祖国を破滅に導く」という表現があっても、これが不問に付されておる。これは私として当然だと思う。言論の府における発言が軽々に懲罰の対象になるということは、一種の言論封圧に発展する可能性がありますから、私は当然だと思う。しかも売国奴といえば、これは、奴というのは確かにべつ称です。奴隷です。しかし、者というのは、これはべつ称でもなければ、相手の品位を傷つけるものでもない。そういう意味からいっても、もしかりに佐藤総理という人間に対する、人格に対する侮辰だというならば、これは当たらない。議員として、国会の議題を審議するときに使う用語として不当かどうかということになりと、これは文部省で指定しておる当用漢字みたいに、国会議員たる者はこれこれのことばを使っていい、使って悪いときまっていない限り、言論というのは非常に不自由になってくる。こういう観点からいっても、この際特に問題を提起されました発議者を持っておられる自民党さんのほうで、ちょっと休憩をされて、もう一ぺん再考をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 渡海元三郎

    ○渡海委員 せっかくの中嶋さんの休憩して再考せよということの御発議でございますが、われわれ自民党といたしましては、本日までに至る間種々論議をいたしましたが、ただいまの段階では、わが党は本日の本会議でこの動議を上程して、ぜひ御審議をお願いいたしたいと思います。
  51. 安宅常彦

    安宅委員 中嶋さんが非常に理路整然とそういう例まで出して話をされた。日本の国を売り渡すということは、これは国を売る者の行為であります。もしそう言ったならば、これは売国者ですが、そういう表現ならばいいということでしょうが。皆さんお笑いになった方がありますが、どうかひとつ御反論を賜わりたい。本会議議事録を読んで比較をされましたが、片一方は問題になり、片一方は問題にならない。そうすると、何らかの意図があるのではないかということも私は言いたくなる、そういうことも言いたくなるのです。何かしっぺい返しじゃないかということになりますし、それから最近あなたのほうの党の幹事長は、いままで例のないことですが、今度は、国民の血税をもって編成した予算が通って人質がなくなったから、断固としてやるというようなことを盛んに記者会見で発表したりしておる。こういう例はいままでありません。そういう零囲気、ムード、方針、これらに基づいて特別この問題だけを取り上げたのではないかと疑われるような節がありますから、比較をしたことについてその比較論争をしなければ——あなた方のほうではすぐ何とかいって委員長は採決いたしますと言いたいところで、ここまで原稿がきているようですが、しかしこの問題だけは一応はっきりしておいたほうがいいのではないかと思います。中嶋さんのことばの比較、売国者と売国奴の問題の提起がありましたら、そのとき皆さんお笑いになりましたが、笑いごとじゃありませんから、その点についてどういうものか、自民党側の御意見を伺わせていただきたいと思います。
  52. 正木良明

    ○正木委員 それに関連して。中嶋さんのお話を慎重に伺いました。中には感銘するところも多々ありました。結局私たちが非常におそれることは、少数党が常に多数党の数の暴力に屈服しなければならぬということを非常におそれるわけです。そういう意味で、いまいわゆる法律的にも理論的にも、それはあなた方と立場が違うかもしれぬけれども、ちゃんと言ったわけだし、それにはやはり反論してもらわなければならぬ。反駁してもらって、そうして、どうしても懲罰に付さなければならないという理由を明らかにしてもらわないと、このことはいままで検討いたしてまいりましたたが、こんな結果でございます、こんなことでは困ると思うのです。それじゃ今後私たちも、自民党は再々こういうことを乱用するのではないかというおそれをますます強くするので、反論してもらいたい。
  53. 田中六助

    ○田中(六)委員 反論というわけでなくて、私ども見解を申し上げます。  三つに分かれると思います。一つ一つについて言いますが、見解の相違といえば相違ですが、根本的な概念が、この問題に対して私どもと先ほど中嶋さん、安宅さんあたりから聞いておることと違う点があると思います。  第一から言いますと、安宅さんが外務委員長に聞いておられましたが、委員長が処分を求めなかったのはどうしたかということで、認めない場合は今度は議員が云々ということば——メモしてあるから確かだと思いますが、そういうことばがあるのですが、この百二十一条という国会法懲罰の規定は、私どもはこれは議長もあるいは委員長議員毛同列の権限だと見ておるわけです。議長がしない場合は委員長委員長がしない場合は議員だという解釈は、この法文を読んでそういう解釈は私は成り立たないと思います。したがって、安宅さんのそういうこと、あるいはもう一つそれに関連してですが、中嶋さんからおっしゃっておったように、与党出身議長あるいは委員長、したがって議員の四十人以上の発議はむしろ野党に与えられた権限ではないか、端的に言えばそういう解釈のようですが、この法精神はそういうものではないと思います。与野党が少なかろうが多かろうが——議長もそういう見解に立っておられるようですが、私どももこれは与野党が少ないとか、多いとか、そういう問題じゃなくて——この法律が私は戦後にどのように改正になったか知りませんが、私は戦前からこういうものだと思っておりますが、与党の多数を擁護する、あるいは野党の少数を擁護するというような法解釈あるいは法精神はこの条文には少しも見られない、そういう解釈でございます。したがって安宅さんと中嶋さんの言われた問題についてのお答えは第一にできたわけであります。  第二点でございますが、売国者ということは売国奴と意味が違うというふうにおっしゃいますが、表現はもちろん違うのですが、その内容について見たときにどうかという問題をとらえてみますと、私はやはり売国奴と言わなかっただけにむしろ悪質だというふうな解釈を持っております。ということは、そこに意図されておるものは、精神的あるいは心理的な問題として何か逃げ口上で、むしろ自分で意図しておるという気持ちさえ私は持っておるわけでございます。むしろ、そういう点でも、イギリスの国会の例を引いて恐縮ですが、イギリスの国会でも言っていけないことばというものはあるわけです。その中にやはり売国奴——解釈は「者」でも「奴」でも同じですが、そういうことばがあるのです。したがって、私どもも、特にこれは総理大臣、特定の総理大臣に向かって投げられたことばである以上、これを無視することは絶対できない。むしろ、われわれが国民の負託を受けている以上、あるいは私どもが議会の中で総理大臣を指名した以上、これに売国者というようなことばを投げかげるということを無視することこそ、国民に対する私どもの負託という意味からして、これは断じて許されないことばというふうに解釈いたします。  第三点は、この問題は、すでに私が第一に申し上げましたように、国会法百二十一条というものは、議長委員長議員を同等に置いているという解釈が成り立つならば、この議員四十名が、議長あるいは委員長が知らない間に出したからいけないということは問題でないと思う。むしろ、これらの議員四十名が、自分の自主的な権限、しかも法規にのっとってこれを実行した。それである以上、少しもおかしくない。したがって、これをすみやかに処理することこそ、私どものつとめであり、議院運営委員会のつとめであると思います。したがって、その内容について、とやかくそれはどうとかこうとかということは、むしろ懲罰委員会でされる問題でありまして、私どもはこの動議を一日も早く本会議に上程して、懲罰委員会にかけることこそ、緊急要務ではないかと思います。  以上、三点にわたって申し上げました。
  54. 安宅常彦

    安宅委員 あなたはたいへん逃げを打っているが、日本共産党の発言が悪いという意味で私らは言っているのではない。いま日本の情勢を見た場合に、これはほんとうに愛国者のやることだろうかということ、これは思想、信条が違いますからね、売国的な行為ではないかというくらいに思っておりますよ。ただ、その表現の問題で、たいへん問題だというならば、川上貫一君の場合には断定しておりますね。それとの比較はどうですか。それをはっきりしてくださいと言っているのを、あなたはそこを逃げては困ります。  それからもう一つは、法律の解釈についてたいへんお詳しい田中さんらしくない法の解釈を、きょうは無理してなさっておるようでありますが、これはどの法律でも、しなければならないという条文と、することができるという条文が、同じだなんということはありません。そうして、これは国会法と衆議院規則を対照してみた場合に、国会法百二十一条と、それからこれを受けて衆議院規則でやっている懲罰の二百三十五条、これと関連して比べてみますと、まるっきりあなたの立論はこじつけ論で、田中さんらしくない議論だと思います。そういうことを私どもははっきりしておきませんと困りますから、言っておきます。議論は、ここではしたくありません。ただ先ほど申し上げたように、例が示されているのでありますから、なぜこの問題についてだけお取り上げになるのか、こういうことを議長にも中嶋さんが質問をされておるのですから、このことについて、自民党さんのほうからはっきりしていただきたいと思います。——中嶋さん、議事録を見せてやりなさいよ。
  55. 田中六助

    ○田中(六)委員 特定の個人、つまり特定の個人といっても、総理大臣は……。
  56. 安宅常彦

    安宅委員 そんなことじゃない。議事録を見てください。
  57. 田中六助

    ○田中(六)委員 あなたの読んだのは抽象的ですよ。
  58. 中嶋英夫

    中嶋委員 それではちょっとこっちから読みます。「明治百年を云々しながら国民に国防を訴え、独立の気概などを強調するのは、ほかでもありません、日本のこのような対米従属を国民の目からおおい隠すためであります。さらに、アメリカの凶悪きわまりない侵略と戦争の政策を擁護し、それに国民を同調させるための売国的な欺隔であると断言してはばかりません。」これは総理に対してですよ。
  59. 田中六助

    ○田中(六)委員 売国者といっても特定の者であります。これが問題ですよ。たとえば、あなたたちの同僚から本会議場で、タヌキだとかキツネだとか、そういう罵詈雑言を浴びせられる。そこに出ていることは、一つの抽象的なことを言っておるのです。総理大臣を目の前に置いて特定に売国者と言ったという、この事態は許すべきではないと思います。
  60. 安宅常彦

    安宅委員 「断言してはばかりません。」と言っているし、これはもっとはっきりしておりますよ。それはそういう解釈ですか。  それではこの際聞いておきますが、あなたは国を売る者であります、こういうふうに言えばかまわないんですか。国を売るものの行為をしている人間である、こう言ってもかまわないんですか。売るような行為、こう言えばいいんですか。これをはっきりしましょう。私はしょっちゅう言いますから。全日本社会党百三十七人、力を合わせてあらゆる委員会で全部やります、それでいいと言うなら。それをはっきりしてくださいよ。はっきりしてもらわないと困りますよ。ただ数で押し切るということでは困ります、そういうことでがんばるならば。あなたは笑ってごまかすけれども、山村君……。(山村委員安宅さん、ここは討論会じゃないよ。そんなことをやる権限があるのですか」と呼ぶ)私の言論を聞いていて笑っているのは無礼じゃありませんか。   〔発言する者あり〕
  61. 伊能繁次郎

    伊能委員長 発言を求めてください。静粛に願います。   〔発言する者多し〕
  62. 安宅常彦

    安宅委員 山村君と言ったのが何が悪いのですか。注意してください。陳謝を要求しますよ。
  63. 伊能繁次郎

    伊能委員長 静粛に願います。
  64. 安宅常彦

    安宅委員 山村君に対してあなたの見解を聞くというのが何が悪いですか。年がら年じゅう無礼なことを言っておると言うなら、それを実証してください。私は無礼なことを言ったと言われて、このまま引き下がるわけにまいりません。どうなんです。   〔発言する者ある〕
  65. 伊能繁次郎

    伊能委員長 静粛に願います。不規則な発言は……。
  66. 安宅常彦

    安宅委員 それじゃ正式に発言を求めます。私は発言を求めて言ったのでありますから、先ほどの発言議事録に載っておるはずであります。その上に立って、私の発言を笑ってお聞きになっておるが、それでは山村君、あなたの意見は、こういう事態だからはっきりしてみたらどうですかと言うのが何が無礼でしょうか。しかもあなたは、年がら年じゅう無礼な行為をしておると言うのですから、これくらい大きな侮辱はありませんので、委員長、この問題については私は陳謝を要求します。
  67. 山村新治郎

    ○山村委員 不規則な発言だから陳謝する必要はない。
  68. 安宅常彦

    安宅委員 不規則な発言だから陳謝に値しないということはありません。前例をお調べください。本会議場その他において、不規則発言において懲罰にかかった例がありますから、これはひとつ御了承願います。私の要求を委員長認めてください。   〔発言する者あり〕
  69. 伊能繁次郎

    伊能委員長 静粛に願います。
  70. 安宅常彦

    安宅委員 年がら年じゅう無礼なことを言って、胸に手を当てて考えてみろとは何ですか。そんなことを言われて、私は野党の筆頭理事として黙っておるわけにまいりません。
  71. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 さっきからいろいろいい議論、国会の権威のため、品位のために、皆さま方から非常に熱心で真摯なる議論が出たということに対して、非常に敬意を表するわけでございますが、われわれは、その内容とかあるいはことばの性質というものを議論されずに、この問題が手続的に有効であるかどうかという問題で議論していただいて、本会議に上程するかしないかということ等につきましてもこの議運できめることでございますから、そういう手続的な問題で議論していただくのが非常にありがたい、こう思う次第でございます。
  72. 安宅常彦

    安宅委員 委員長、善処してください。
  73. 伊能繁次郎

    伊能委員長 ただいま不規則発言がいろいろ出ておりますが、速記録に載っておるわけでもありませんが、不規則発言については御注意を願います。ないものと私どもは解釈をいたしますから……。
  74. 安宅常彦

    安宅委員 あらためて発言いたしますが、ただいまの暴言は許すことができませんので陳謝を要求いたします。
  75. 伊能繁次郎

    伊能委員長 山村君から不規則発言がありましたが、取り消しをされるのが適当かと思います。
  76. 山村新治郎

    ○山村委員 取り消します。
  77. 安宅常彦

    安宅委員 これは取り消しだけじゃ済みませんよ。私は何も議事引き延ばしでこれをやっているのじゃありません。あなた方はどうせ採決しようという顔がずらり見えておりますから、私は堂々と受けて立つつもりです。受けざるを得ないのです。私はけちな考え方は持っておりませんが、いま山村君はお笑いになっておるけれども、あなたの意見を言いなさいというのがなぜ無礼な行為でしょう。さらにことばを継いで、今度はいかに不規則な発言とはいえ、あなたは年がら年じゅう無礼なことをやっておるじゃないか、何をやっておるんだと言ったら、胸に手を当てて聞けと言う。こういうことを言われて、取り消しだけで、ああそうですかというわけにはまいりません。それはほんとうに国会の正常化……。   〔発言する者あり〕
  78. 伊能繁次郎

    伊能委員長 静粛に願います。
  79. 安宅常彦

    安宅委員 議院運営委員の一員として、ほんとうに困る発言だと思いますから、正式に陳謝を要求いたします。あくまでも陳謝を要求いたします。
  80. 伊能繁次郎

    伊能委員長 山村君に御注意申し上げますが……。
  81. 山村新治郎

    ○山村委員 取り消します。
  82. 伊能繁次郎

    伊能委員長 遺憾の意を表して下さい、山村君。
  83. 山村新治郎

    ○山村委員 不規則発言をしたことは遺憾でありますので、取り消します。
  84. 安宅常彦

    安宅委員 それでは最後に、私はこれだけは確認いたしておきます。これはどなたかから発言があると思いますが、中嶋さんが確認をいたしました川上貫一君の言論、これについては、先ほど自民党を代表しての発言がございまして、これは抽象的であって、問題ないんだ、こうお話しになっております。ここを私は確認しておかなければ、いろいろ今後言論の問題で差しさわりがありますから、これを確認してよろしいのかどうか、これだけは伺っておきます。
  85. 竹下登

    ○竹下委員 ただいまの安宅委員発言は確認を求める発言でありますが、たまたま私は、当日の外務委員会に……。
  86. 安宅常彦

    安宅委員 川上貫一君の問題でありますから……。
  87. 竹下登

    ○竹下委員 それに関連しますが、出席いたしておりましたので、事実認識はございます。そこで私がその場においてとっさに感じましたことは、人に対する直接的侮辱であり、議院の品位を汚した発言という印象を受けたことは事実でございます。なかんずく、田中理事が申しましたように、院の指名した首班であり、政党の党首においておやという気持ちももとよりでございます。それと、いまとっさの場合でございますが、中嶋委員から御提示がありました速記録の問題については、いまこれを対比して、これは懲罰事犯である、これは懲罰事犯でないという確認をすることは不適当ではなかろうかと思います。
  88. 安宅常彦

    安宅委員 確認できないというのですか。対比してもらいたいということについての先ほどの発言、それに対応するあなた方の発言は、川上君の発言は抽象的であって、このたびと違う、こういう御発言と私どもは聞きました。それはこの際確認できないという意味なんでしょうか。
  89. 竹下登

    ○竹下委員 抽象的であるという認識は、私も一見いたしたところいたします。その点はそうでありますが、しかしその前後の経過等から見まして、いわゆるそれそのものを比較するということは、直ちには私としては避けたい、こう思います。
  90. 安宅常彦

    安宅委員 くどいようですが、それは対比しなくてもけっこうですが、実例として中嶋さんから出されましたこの程度は抽象的だと感じました。したがって、これは懲罰の対象にならないものだ、こういう議論があったからこそ、そういういまの御発言があったというふうに私は理解をいたしますが、よろしゅうございますか。
  91. 伊能繁次郎

    伊能委員長 この際、各党意見をお伺いいたしたいと思いますが、民社党意見をお述べ願います。
  92. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 何の意見ですか。
  93. 伊能繁次郎

    伊能委員長 本件懲罰動議取り扱いについて……。
  94. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 各党正式に懲罰動議取り扱いについて意思表示をしましたか。
  95. 安宅常彦

    安宅委員 先ほど私が質問したことについて、竹下さん、それから渡海さんが、いいですねと言って、そのままでは速記録に載らないおそれがありますから、これははっきり速記録に載るような表現をしていただきたいと思います。抽象的であり、懲罰の対象になりませんか、川上貫一君の場合には。うなずいた程度では困ります。
  96. 竹下登

    ○竹下委員 はっきり懲罰事犯の対象になる、ならないを対比して、きょう確認はいたしません。
  97. 安宅常彦

    安宅委員 そのあとの答弁で私重ねて質問しましたね、そうしたらいいでしょう、うん、うんということになっておったのです。そこで委員長発言して、池田さんに発言を求められております。そこのところがうなずいただけで、議事録に〔竹下君、うなずく〕なんて書けないですから、これははっきりそのとおりですというふうにあなたが言ったというふうに議事録に載るようお手配賜わりたいと思います。わかりましたと言えばいいんですよ。
  98. 竹下登

    ○竹下委員 わかりました。
  99. 伊能繁次郎

    伊能委員長 それでは、本日上程の件について各党から御意見が出ておりますが、まだ最終的に御意見のないところもございますから、一応民社党さんから……。
  100. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 民社党というけれども、まだ各党から出ていないから、自由民主党から順次やるのが当然でございましょう。
  101. 伊能繁次郎

    伊能委員長 それでは、自由民主党から再度……。
  102. 渡海元三郎

    ○渡海委員 自由民主党といたしましては、この問題につきましては、ぜひとも本日の本会議に上程して御審議を願いたいと思います。
  103. 安宅常彦

    安宅委員 私どものほうでは上程すべきものではない。懲罰に値しない。以下若干の見解を申し上げます。  穗積委員は、外務委員会においても取り消しに応じて、そうして遺憾の意を表することについては同意をいたしております。手続等の問題については、わが党からるる申し述べたとおりであります。しかも、中には本会議の過去における例を申し上げ、いろいろと自民党さんの方々の見解も伺い、努力もいたしました。どだい言論は自由であるべき国会の場でありますが、そういう言論をもって、しかも委員長懲罰の要求をしないときに、議員四十名以上という第三項によるもので懲罰を提起してくるということ自体がたいへん好ましくないことで、将来国会運営に重大な影響があるんじゃないかということを私は憂えます。  この問題については、先ほどもちょっと申し上げましたが、過去の本会議の例から言いましても、何か与党野党に対するしっぺい返しのような意味で持ってきたと断ぜられてもしかたがないようなやり方であります。そういうことについて、私どもは、与党というものは男を女に変えたり女を男に変えたりする以外は何でもできるという有名なことばがありますが、そういうことをこのたびもやり、今後もやるということならば、これは天に吐いたつばが与党にかかる時期が必ずくるということを私は皆さんに申し上げざるを得ません。  しかも、本日は、わが党の島口重次郎君の葬式であります。本来ならば、いままでの例として、議長が霊前に出る日になっておりますが、交代で行った副議長が本日留守であります。こういう日に何を好んで、私どもが今度にしてくださいということについてもはっきり言えないような立場で、数でこの問題を押し切ろうとなさるという態度については、私どもはたいへん遺憾だと存じております。  いろいろ申し上げたいことはたくさんありますが、党の意見というものはいろいろな表現でいままでなされておりますから、私がここで長講一席ぶてば、何か引き延ばしをしたり、あるいは懲罰をおそれて何か弁明をしておるような、そういうことにとられてもいけませんから、はなはだまとまらない代表意見になりましたけれども、私どもは、もし自民党がどうしても強行なさるとするならば、堂々と受けて立たざるを得ない、こういう立場にありますことを表明いたします。
  104. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 本懲罰動議につきまして賛成の意思を表明いたします。  その理由といたしますところは、先ほど来、外務の委員長においでを願ったりいろいろな角度から質疑が重ねられました。その要点を言うならば、穗積委員発言というものは穏当を欠いておったことは私は事実だと思います。一国の総理大臣に対して売国者という表現はこれは穏当でない。しかし、その時点においては各党が間に入って、ことにわが党の曾祢益君が最後まで努力いたしまして、大体の了解を得るところまで到達しておったけれども最後の時点に至ってこれを拒否された。これは自由民主党の拒否ではなく、穂積君の拒否にあった。こういうことは、私どもとしては、外務委員会でこれは陳謝をしなくても、遺憾の意を表明すれば解決すべき問題ではなかったかと想像されます。これは先ほど来外務委員長が率直に申されましたことと私は符合し得ると思います。  そこでそのことばが妥当かということになりますと、これは懲罰委員会委員の方々が御審議なさることであって、私は言語学者でもない、国際的な慣例も知らない。  もう一つ、その点に賛意を表するものの中に、穂積君がそのあとで新聞記者会見をいたしまして、自分は悪くない、正しい、陳謝の必要を認めない、自分は堂々と懲罰を受けて立つ、こういうことを表明なされたのであります。  かくなる上は、私は当然これは懲罰委員会で受けて立つという決意を内外に表明されたのでありますから、これはやむを得ないことであって、当然本人も覚悟なさっておることだ。社会党の方々がこれについていろんなことを聴取し、弁護の立場をとられることも、これまた当然のことであろうと思います。  私は国会の権威について今日ほど暴言暴語が横行闊歩して、なおかつ、はばからざる状態というものははなはだ遺憾である。  第二の点におきましては、社会党が主張しております少数党に対する多数党の圧迫、これをおそれることは全く同感であります。われわれは現に、ある一人の特定の人が暴言を吐いたとしても、それを懲罰に付するだけの人数を持たない。衆議院におきまして四十名、参議院におきまして二十名を持たなければ、懲罰動議発議することとができないのであります。したがって、だれよりも一番先に私は言論の圧迫、あるいは議会政治におけるところの弾圧というものを数において受ける立場にあるだけに、この懲罰だとか、言論の封圧とか、そういう問題については何党よりも関心を有して、そういうことのなからんようにすることが民主政治の要諦であると思っております。しかし、多数党といえども、先ほど議長が申された、あまりにむちゃくちゃなことをするときには、国民はこれをどう見るであろうか、言論界はどう見るであろうか。現に先般議員關谷勝利君の逮捕許諾の請求のときにあたって、自由民主党はいかなる態度に出るだろうかと思ったけれども、やはり自民党の中にも誠意ある人というか、良識ある人があると見えて、これは許諾に踏み切った。もし党利党略だけでやったならばこれは否決できたでしょう。私はなんぼ賛成しても、そのくらいのことはあると思った。それだから、すべてがいいとは申しませんが、少なくとも言論の圧迫をこうむるがごときところの懲罰委員会に付するということに賛成することについては、原則としてこういう条件がある、こういうことを申し上げたい。  第三点として重大な注意を促しておきたいことは、安宅君から先ほどしばしば言明されたけれども、本件は、今月の八日に鯨岡君らが五十四名の賛同を得て懲罰動議を提出されております。国会法の示すところによるならば、なぜその日のうちに自由民主党はその審議をなさるということをなさらなかったか。私はこの前の理事会におきまして、十分注意しておいた。自民党はなぜやりませんか、動議を出しておきながら。懲罰委員会というものは議員の身分に関することである。場合によれば本人は身分を失うかもしれぬ。いかなるものにも先がけてなぜこれをやらないか。やらないということは、あなた方はただ出しておくだけのていさいで出しておるのか。しからずんば、予算が通るまでは何とかこれは黙っておこう、予算が通ったらあとは数でやればいいのだ、こういう考えであるならばひきょうではないか。やるなら堂々とやる。予算が妨害を受けても、これは自由民主党としては忍ぶことができないこととして断じて許せない、この決意があるならばやりなさい。それがなくて、ただごまかしのためにやっておる、あるいは予算が通るまでほおかぶりをしておこう、そういう考えならば私は正しい議会政治の運営とは思わない、こういうことを申し上げておきます。  以上の三点を申し上げて注意を促すと同時に、懲罰委員会において懲罰事犯内容審議する。したがって、私は懲罰委員会に付託するの動議に賛意を表明するものであります。
  105. 正木良明

    ○正木委員 ただいま議題になっている懲罰委員会に付するの動議取り扱いに関する件についての公明党の見解を申し述べます。  まず第一に、懲罰委員会に付するということは、国会議員の身分について非常に重大な影響を及ぼすものである。したがって、懲罰に付するということについては慎重であらねばならぬ。軽々に扱ってもらっては困る。  第二には、先ほどから各党からも意見が出ておるようでありますが、私どもは多数党によってなされる言論封殺のおそれが非常に濃いということを心配いたします。したがいまして、この観点からも懲罰委員会に付するということについては慎重な態度をとってもらわなければならぬと思います。  なお第三点といたしましては、先ほども議運理事会において何とか、本会議に上程され、それが懲罰委員会に付されるということに至らない前に、いわゆるとの問題が起こった当該の外務委員会においてなお収拾の機会を見つけるべきである。そうして、そこで何らかの形でこの問題が解決できるならばこれに越したことはないという意味で、公明党から最終的な案として調停案を提出いたしました。  この内容は、私どもは売国者ということばは不穏当であるという見解もとにこれを取り消していただく。なお不穏当な言辞を弄したという意味において遺憾の意を表明していただく。ただしこれは外務委員会議事録に載せなくてもよろしいという意味での調停案を出しました。  社会党のほうはこれをのまれたわけでありますが、自民党のほうでは拒否なさった。しかし非常に短い時間でありますので、私どもはこの問題について、できれば公明党のこの調停案についてなお検討の時間をかけるべきであるという見解をいまだに持っております。  以上の理由から公明党といたしましては、懲罰委員会に付するの動議、この件を本日上程することについては反対の意を表明したいと思います。  以上であります。
  106. 伊能繁次郎

    伊能委員長 共産党、簡単に……。
  107. 松本善明

    ○松本(善)議員 結論は、反対であります。この問題については、単に個人の問題だけではなくて、院の運営についての将来の問題をやはり考えなければならない。それは、議会というものは言うまでもなく言論の府である。その議員の言論が圧迫されるというようなことがないように、この内容を論議するという懲罰委員会のみならず、どこの委員会においても、どこでも議員発言が自由にできるように最大限の努力を払うというのが本来のたてまえであるというふうに考えます。そういうことから考えますと、この件については、すでにその経過の中で遺憾の意を表するというようなことについてはやってもいいということが言われております。それでもう十分である。それをさらにこの段階懲罰に付するという動議が出されるということは、今後の議員の言論の自由が圧迫されるという危険がきわめて多いという点で、共産党は反対であります。
  108. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これにて各党意見が明らかにされましたが、安宅理事から発言を求められております。
  109. 安宅常彦

    安宅委員 簡単に申し上げますが、先ほどの民社党発言を非難する意味ではありませんが、民社党のほうの発言の中で、外務委員会秘密理事会でまとまりかけて曾祢さんの御協力を賜わったことは事実で、感謝いたしておりますが、まとまりかけたのを穂積君がこれをけった、こういろ表現がございましたが、そうではなくて、いろいろ野党同士でこの辺ならばという案をつくり、それから自由民主党の理事側と話し合いをしようということであって、自民党がそれを拒否すればどうか、あるいは受諾すればどうかというその状態はわからないので、先ほど議運理事会でもそのことを発言しまして、渡海理事のほうから、自民党の要望には応じられないようだから——要望は何かというと、当時自民党がつくった自民党側の文書、これは秘密理事会ですからその案は私は言いませんが、それが達成されない場合は要望に応じかねるという意味だということをはっきりおっしゃいました。したがいまして、単なる穗積君がけったんだという表現がそのまま議事録に残ることをおそれます。したがって、そういう段階でまとまりかけたのを穗積君がけったんだということにならない。これだけは弁明さしていただきたいと思います。  最後に、先ほど言い忘れましたが、本日の理事会において、公明党さんから、いろいろ何とか解決すべく道をさがすための案が出されましたこと、このことについては私どもは敬意を表し、たいへんありがたいことだと考えておることを先ほど申し忘れましたので、一言発言をさしていただきます。
  110. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 いま安宅さんの申されましたことについて、穗積君が拒否ということがもし不穏当だというならば、回答を一日待ってもらいたい、その結果が自由民主党として、懲罰動議提出の期限が切れるので、それはできない、これは事実上の拒否である、こういうふうに表現したものでありますから、もしそれが不穏当であるとすれば、穗積君が回答を延期をされた、その間につきましては私どもの党の理事としてはできる限りの努力をした、こういうことを記録に残しておきたい。
  111. 安宅常彦

    安宅委員 ただ、そこの点はなるほどそのとおりでわかりましたが、自民党もオーケーが出ておるのにという意味にとれる。つまり、まとまりかけたというのはそういう意味です。それを穂積君がけったというのではなくて、野党の案をつくった段階ですから、そこのところを誤解のないようにしていただきたいと思いまして、議事録に残そうと思って、非難をするとかという意味ではなくて弁明さしていただいたのでありますから、御了解願いたいと思います。
  112. 伊能繁次郎

    伊能委員長 それでは、各党の御意見が分かれておるようでありますから、やむを得ず採決いたします。  議員穂積七郎君を懲罰委員会に付するの動議を本日の本会議において議題とするに賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  113. 伊能繁次郎

    伊能委員長 挙手多数。よって、さよう決定いたしました。  なお、本動議の趣旨弁明は、自由民主党の鯨岡兵輔君が行ない、次いで、穗積七郎君から身上の弁明のため発言の通告がありますので、これを許可することとし、本動議は、衆議院規則第二百三十七条の規定により、討論を用いないで採決いたします。  この採決は、記名投票をもって行なうことといたします。  それでは、本会議は、午後四時予鈴、午後四時十分から開会することといたします。     —————————————
  114. 伊能繁次郎

    伊能委員長 また、来たる二十五日月曜日午前十一時から理事会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十六分散会