○藏内
政府委員 ただいま議題となりました
航空業務に関する
日本国政府と
レバノン共和国政府との間の
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御説明いたします。
わが国航空企業の
世界一周路線及び南回りヨーロッパ路線を拡充するため、同企業の
レバノン共和国への乗り入れの権利を確保する必要が生じましたので、
昭和四十一年六月以降同国
政府と航空
協定締結のための交渉を行ないましたところ、
合意が成立しましたので、
昭和四十二年六月二日に東京でこの
協定の署名を行なった次第であります。
この
協定は、
わが国と
レバノン共和国との間の定期
航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、
両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、
わが国がこれまでに
締結した多くの航空
協定と形式においても
内容においてもほぼ同様のものであります。
この
協定の
締結により、
両国の航空企業は、それぞれ
両国間の定期
航空業務を運営する権利を与えられるのみならず、
わが国と
レバノン共和国との間の友好
関係も一そう促進されることが期待されます。
次に、
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び脱税の防止のための
日本国政府と
セイロン政府との間の
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御説明いたします。
政府は、
セイロン政府との間の
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び脱税の防止のための
条約を
締結するためコロンボにおいて交渉を行ないました結果、
昭和四十二年十二月に至り案文について最終的
合意に達しましたので、同年十二月十二日にコロンボにおいて
日本側在セイロン日向大使とセイロン側ワニナヤケ大蔵
大臣との間でこの
条約の署名を行なった次第であります。
この
条約は、本文二十一カ条及び付属議定書からなっており、その
内容のおもなものは次のとおりであります。すなわち、
相手国内にある支店等の恒久的施設を通じて事業を行なう場合の利得に対する
相手国の
課税につきましては、これをその恒久的施設に帰属する部分に限るという方式によることとし、
船舶、航空機の運用から生ずる
所得につきましては、
相手国において
租税を半額軽減するものとしております。また、投資
所得のうち配当に対する源泉地国
課税につきましては、セイロンが源泉地の場合は、配当支払い法人に課されるセイロンの
所得税及び配当受け取り法人に課される付加税のみを課すこととし、
わが国が源泉地の場合の税率は、二〇%をこえないものとしております。配当以外の投資
所得に対する源泉地国
課税につきましては、銀行業を営む機関が受け取る利子及び著作権の使用料は免税とし、特許権等の使用料は、半額軽減することになっております。さらに、
政府職員、百八十三日をこえない短
期間役務を行なう滞在者、短期滞在の教授、学生、事業修習者が受け取る報酬、手当等は、原則として滞在地国において免税とするものとしております。また、二重
課税の
回避は、それぞれの国の税法の規定に基づき、
日本国及びセイロン双方において
外国税額控除方式によって行なうこととしておりますが、セイロンで生じた配当及び特許権の使用料等に対するセイロンの
租税を
わが国で控除するにあたり、一定要件のもとにみなし税額控一除を認めることになっております。
この
条約の
締結によりまして、二重
課税回避の制度を通じ、貿易、技術輸出、企業進出等の経済
関係が安定的な基礎の上に発展し、また、文化的交流が促進されるものと期待されます。
次に、
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避のための
日本国と
デンマーク王国との間の
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御説明いたします。
政府は、
昭和三十四年三月十日に署名され、同年四月二十四日に発効したデンマークとの間の
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び脱税の防止のための
条約を全面的に改正する新
条約の
締結について、
昭和四十二年七月以来デンマーク
政府との間で交渉を行ないました結果最終的
合意に達し、
昭和四十三年二月三日に東京において
三木外務大臣とデンマーク側シュトフェンアデラー駐日大使との間でこの
条約に署名を行なった次第であります。
この
条約は、本文三十カ条及び付属議定書からなっております。その
内容は、現行
条約の規定の全般にわたって、OECDのモデル
条約案の規定をできるだけ採用しつつ改正を加えたものであります。
条約の
内容及び現行
条約との相違点のおもなものは、次のとおりであります。すなわち、現行
条約では、
相手国に支店等恒久的施設を有する法人の利得に対する
課税は
相手国が自国に源泉のあるその法人のすべての利得に対して
課税するという方式によることとされているのに対し、新
条約は、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ
課税するという方式によることとしております。
船舶及び航空機による国際運輸業
所得につきましては、現行
条約では、一定の登録要件を満たすものにつき、
相手国における
租税を全額免除していますが、新
条約は、そのような要件なしに全額免除としております。また、配当、利子及び使用料に対する源泉地国における税率は、現行
条約では、配当、利子、使用料とも一五%の税率とされているのに対し、新
条約は、親子会社問の配当については一〇%、その他の一般の配当については一五%、利子及び使用料については、親子
関係の有無にかかわらず、それぞれ一〇%と軽減しております。さらに、
政府職員、百八十三日以内の短期滞在者、二年以内の短期滞在の教授及び教員並びに学生及び事業修習者の受け取る報酬や手当等につきましては、現行
条約と同様に、滞在地国で
課税されないこととしております。また、二重
課税の排除の
方法は、現行
条約と同様、
両国とも
外国税額控除方式によることとしております。
現在
両国間の経済
関係は緊密になりつつありますが、新しい
条約の
締結によって、
両国間の経済交流は一そう促進されるものと期待されます。
次に、船員の
厚生用物品に関する
通関条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御説明いたします。
国際海上交通に従事する船員にとって書籍、雑誌、映画フィルム等
厚生用物品は、その航海中の生活において必要度のきわめて高いものであります。この
条約は、このような物品の
外国への搬入、他の
船舶への積みかえ等が円滑に行なわれるようにするため作成されたものでありまして、これらの物品についての再輸出を条件とする輸入税の免除等について規定しております。
世界の主要
船舶保有国の
一つである
わが国としては、この
条約の当事国となることにより、これらの
船舶の船員がその航海中に
厚生用物品について多くの便益を受けることができ、船員の厚生増進上大いに望ましいことであり、また、
外国船舶の船員にも同様の便益を与えることにより、国際協力の
観点からも有意義なことと考えられます。
次に、アジア=
オセアニア郵便条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由の御説明をいたします。
この
条約は、地域的郵便連合の
一つであるアジア=オセアニア郵便連合の基本文書であり、連合の組織、任務、加盟国間の通常郵便物の取り扱い等について規定しております。この連合の目的とするところは、地理的に近接していく多くの面でつながりの深いアジア及びオセアニアの地域の諸国がその地域に特有な郵便上の問題を協力して検討し、連合諸国間の郵便業務の効果的運営をはかるとともに、万国郵便連合の場においてこれらの国の共通の利益を守るための体制をつくろうとすることであります。
わが国は、古くから万国郵便連合の加盟国として郵便業務の国際的発展に努力してまいりましたが、アジアに位置し、かつ、この地域の諸国と密接な協力
関係にある
わが国としては、近隣諸国との郵便業務を一そう円滑に運営することができるようにするためにも、また、これらの国との
関係を一そう緊密なものとして行くためにも、この連合に加盟することはきわめて望ましいと考えられます。
よって、ここにこの
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
以上五件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御
承認あらんことを希望いたします。