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1968-05-14 第58回国会 衆議院 外務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十四日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 小泉 純也君 理事 田中 榮一君    理事 野田 武夫君 理事 福家 俊一君    理事 石野 久男君 理事 穗積 七郎君    理事 曽祢  益君       青木 正久君    池田正之輔君       大平 正芳君    世耕 政隆君      橋本登美三郎君    福田 篤泰君       毛利 松平君    山口 敏夫君       山田 久就君    淡谷 悠藏君       木原津與志君    黒田 寿男君       田原 春次君    高田 富之君       帆足  計君    松本 七郎君       伊藤惣助丸君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 穴戸 基男君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         外務政務次官  藏内 修治君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   丸山  昮君         専  門  員 吉田 賢吉君     ――――――――――――― 五月十二日  委員山内広辞任につき、その補欠として穗積  七郎君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として山  崎始男君が議長指名委員に選任された。 同日  理事帆足計君同日理事辞任につき、その補欠と  して穗積七郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とア  メリカ合衆国との間の協定締結について承認  を求めるの件(条約第一八号)      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事帆足計君より理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう許可するに決しました。  これより理事補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認め、委員長理事穗積七郎君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 秋田大助

    秋田委員長 南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  6. 石野久男

    石野委員 外務大臣にお尋ねしますが、条約質疑に入る前に、佐世保入港したソードフィッシュ号の問題に関連して、新聞の伝えるところによると、今度アメリカ調査団が来るようですが、これは日本のほうから要請したのですか。
  7. 三木武夫

    三木国務大臣 御承知のように、佐世保の問題が、放射能の点について国民の関心が高まり、また、放射能というものに対して神経過敏にならざるを得ないことは当然でございます。  そこで、昨日、日米安保協議委員会があった席において、この佐世保の問題について注意を喚起いたしたのでございます。アメリカとしても、原因調査に対しては、できるだけ協力をしたい、したがって、専門家日本に至急派遣してもいいからというアメリカ申し出があったわけでございます。われわれとしても、この問題についてはアメリカ側協力も必要であります。そういう協力を得て調査を進めてまいりまして、国民の持っておる不安を解消しなければいかぬわけでありますので、日本としては、そういう専門家もせっかくやってきて調査協力したいというので、これを受け入れて、日米共同調査というわけではありません、しかし、アメリカ専門家協力も得たい、そういう意味で、アメリカ申し出を受ける考えでございます。
  8. 石野久男

    石野委員 いま向こう申し出による調査団というのは、どういうような編成で来ますか。
  9. 三木武夫

    三木国務大臣 調査団というわけではないのです。向こう専門家放射能調査に対して専門的な知識を持っておる者を日本に派遣して、日本調査に御協力をする用意があるというものでございますので、それは団という性質のものではないと私は思います。
  10. 石野久男

    石野委員 これは調査団ではない、そしてまた共同調査でもないということは、確認しておいてよろしいわけですね。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 一人ではないのですから、おそらく二、三人来るのでしょうが、これは団ということでもない。しかし一人ではない。二、三名来ることになるわけでございます。調査の団といいますか、チームといいますか、要するに二、三名来るのであります。
  12. 石野久男

    石野委員 これは日本との共同調査でないということも確認できますね。
  13. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおりに考えております。
  14. 石野久男

    石野委員 きょうの新聞によりますと、総理は、きのう辻佐世保市長と会って、今後、事前安全性が確認されなければ原子力艦艇寄港は断わるということを言明した、こういうようにいわれておるわけです。これはもう当然のことだと思いますが、総理の言うように、事前安全性が確認されない場合は、これは断わるのがあたりまえだと思うが、それは大臣としても、そのようにお考えですか。
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 総理からどういう話が佐世保市長とあったのかは聞いておりませんが、しかし、原子力潜水艦入港する場合には、安全性というものが前提に立っておるわけであります。したがって、安全性というものが確保できぬということになれば、これはまた入港についての考え方は違ってくる。しかし、入港の場合においては、安全性というものが確保できるという前提の上に立って、われわれは安保条約によってアメリカ原子力潜水艦入港を認めておるわけであります。
  16. 石野久男

    石野委員 いま私の聞いておるのは、総理辻市長に、安全性が確認されなければ、これはもう寄港は認めない、原潜入港を断わるということを新聞に出しておるわけです。辻市長にそういうように言明しておるわけですから、政府態度として、そういうように認めてよろしいのじゃないかとわれわれも考えておるので、それで大臣にそのことをもう一度確認するわけですよ。
  17. 三木武夫

    三木国務大臣 原子力潜水艦日本の港に入港するということは、放射能に対してのある一つ基準がありますから、それ以上の放射能被害を与えないということの前提に立って、入港を認めることになって、安全のための委員会もあるわけですから、そういうことが全然確保されぬということならば、根本的に入港には考えざるを得ない、それは当然のことでございます。
  18. 石野久男

    石野委員 そこで問題は、安全性を確認する委員会等があるということですが、事実、今度の場合、この確認のしかたにはいろいろな疑問があるわけです。いま科学技術庁の方がお見えになっておるかどうかわかりませんが、調査の結果、昨日あたりで一応の資料が全部出ておると思いますが、それがわかりましたら、数量を的確に、判明したところだけひとつ発表してもらいたい。
  19. 秋田大助

    秋田委員長 科学技術庁はまだ見えてないので、あとにしていただきたい。
  20. 石野久男

    石野委員 これはあとで、この質問中にぜひ科学技術庁のほうに来てもらうようにしてほしい。  そこで、問題は外務省態度ですが、新聞の伝えるところによると、科学技術庁としては、やはりこの問題は、いろいろ究明した結果として、原子力潜水艦原因があるように言っておる。外務省のほうは、どうもアメリカ潜水艦には原因だという可能性がないというような態度をとっているやに新聞は伝えておるのだが、外務省はそういう態度で臨むのですか。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 そんな、外務省が科学的な調査をした結果というものも見ないで、初めからこれは原子力潜水艦の結果であるとかないとか、そういうことを言うはずはないわけであります。それは何かの誤解だと思いますよ。調査の結果によらずして、頭からこれはないとかあるとか、そういう独断は、外務省は許されるはずはないと思います。
  22. 石野久男

    石野委員 原子力放射能障害という問題は、これは日本人にとっては、世界のどの国よりも一番身近に感ずることであるし、また、一番その障害をきつくはだで感じている国民である。だから、放射能障害についての危害のある場合は、これは何としても真実を正しく伝えることが一番大事だと、こう思うのです。ところが、やはりいままでの情報で見ると、どうも政府のとっている態度というのは、放射能のなにが正常よりも非常にきついということはわかっているのに、なるべくそれを知らせないようにして、その発表態度にしても、まず機具に故障がないのかというようなことを考えてみる、その次にはやはり溶接のスパークだとか、あるいはレーダーの障害によって出てきているのじゃないだろうかというようなことを考えるとか、いろいろ間接的に、だんだん原因を排除するような形の考慮のしかたをしてきているのは、非常に間違いだと思うのですよ。私は、むしろこの放射能障害については、ずばり事実が出たときには、そのことをまず最初に国民に知らして、それでそのことに対する警戒を明確にした上で、やはりその他の事態については真剣に検討を加えていくというような態度をとらなければいけないのじゃないかと、こう思うのですが、今度の場合は、非常にその方向は逆にいっているのじゃないかと思います。今日までの発表しかた等について、外務省としての考え方、特に大臣考え方をこの前にちょっと聞きましたけれども、なお今度アメリカから専門家が来るということになりますと、この際、外務省としての発表のしかたなり、あるいはこれに対する研究のしかたというものについての態度を明確にしておいてもらう必要があると思うので、大臣からその所信を聞かしておいていただきたい。
  23. 三木武夫

    三木国務大臣 結局は、やはり真実を明らかにされなければいけない。国民の前にいろいろそれを包み隠そうという態度があってはならない。常に、そのことがどういうことであっても、やはり真実国民に知らすという努力が政府基本的態度でなくてはならぬと思います。今回の場合でも、そういう何か意図を持ってしたのではないと思うのです。たとえば、これが原子力潜水艦から出た放射能だという断定は、まだ科学技術庁でもしてないわけでありますから、あらゆる場合を考えてみて検討することは当然であって、検討もしないで、いきなりこれは原子力潜水艦から出た放射能だという断定をすることは、それは科学的な態度でないですから、それはいろいろな可能性というものを検討することは当然でありますが、国民にものごとを包み隠そうという態度は、政府基本的態度としてはよくない、常に真実を語らなければならぬ、これが基本的な態度でございます。
  24. 石野久男

    石野委員 アメリカ側は、政府発表であるかどうかわからないけれども、日本の側はこれは原子力潜水艦原因がないというふうに考えていることに満足しているという報道が伝わっているわけです。今度アメリカから専門家が何人か来られる。その諸君と日本原子力委員会を中心とした調査団との共同作業といいますか、おそらく共同作業でなくして、援助を求めるだけでしょうけれども、そういう中で、日本立場日本での研究が主軸にならなければいけないと思うのです。それはやはりアメリカの側の意見に日本の側が従的になってしまったのでは、原子力放射能障害に対する態度というものは不明確になってしまって、非常に危険だと思うのです。こういうことは厳に戒めなくちゃならぬと思いますから、この点は、あと科学技術庁長官がおいでになったときの態度にも関係すると思いますけれども、外務大臣としては、こういう点についての日本自主的な姿勢というものを明確にさせる心がまえというものは絶対に必要だと思うのです。この点についての外務大臣考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  25. 三木武夫

    三木国務大臣 この放射能というものに対しては、日本は、世界の国々に比べても非常に神経過敏なものがある。ことに原子力潜水艦の問題をきょう問題にしているわけですが、核爆発実験、これがいろいろ方々で行なわれて、これからくる放射能被害、こういうふうなことで、日本方々そういう放射能被害というものを受けるわけですから、日本放射能の問題については非常に神経過敏である。日本はよその国に比較してみて、放射能の谷間みたいになっているのですから、神経過敏でありまして、石野さんの御心配になるような、政治的にそういう放射能というものの研究を曲げるようなことはないと私は信じています。
  26. 石野久男

    石野委員 総理も言っておるように、外務省としては、やはり原子力潜水艦の、あるいはまた空母もそうでありますが、原子力推進力として使っている船舶入港については、放射能障害というものにきわめて鋭敏でなければなりません。そういうときに、この佐世保の事件というのは異常ですから、これが明確にその原因究明され、結論が出るまでというものは、アメリカ原子力を使うところの艦艇なりその他の船舶日本に入ることについては、やはり警戒しなくちゃいけないと思うのです。大臣アメリカとの交渉にあたって、この原因究明されるまでは入港することをアメリカ側に遠慮させる、入港させない、こういう決意で当たるべきだと思うのですが、大臣考え方はどうですか。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 こういう原子力潜水艦放射能障害というものがはっきりしてないわけですね。科学技術庁調査でもまだはっきりしてないわけです。こういうものが原因がどこまで究明できるか知りませんが、こういうことが明らかになることが、やはり原子力潜水艦入港に対しては、そのほうが私は好ましいなという感じは持っておりますが、これはいろいろな場合がありましょうから、断定的にものを申すことはできないけれども、好ましい形としては、一応この問題に対しての調査がある程度方向が出てからのほうが好ましいという感じを持っております。
  28. 石野久男

    石野委員 私は、これは大臣の言おうとしていることはよくわかりますけれども、ただ日本人の感情としましても、それからいま現に寄港しているところというのは、佐世保と横須賀でございますね。いずれも内湾になっているところです。ことに人口の稠密度も非常に多い。それから海上交通も非常に激しいという事情があるから、この佐世保の今度のソードフィッシュ号の放出した放射能日本人に与えている危惧感というものは非常に大きいものがあります。したがって、ここでもし無理を――あえて無理と言いますけれども、原因究明がわからない間に、次から次にまたこの種の艦艇が入ってくるということになりますと、各地で人心が騒擾する状態が出てくるだろうということも私たちは心配する。そういう意味からも、政府としては、やはりそういうことの起こらない事前の策として、対米交渉としては、できるだけこの原因究明されない間は入港させない、こういう方針をとるのが賢明だとわれわれは思うわけです。これは絶対にそういうことは許してはいかぬとさえ私たちは思っておるので、この際、明確な外務大臣考え方をいま一度聞かしておいていただきたい。
  29. 三木武夫

    三木国務大臣 政府としては、原子力潜水艦入港に対しては、やはりいろいろなそのときの事情等も勘案し、慎重な態度を持する、こういうお答えといたします。
  30. 石野久男

    石野委員 放射能問題は、特に原子力潜水艦なりあるいは空母が入るときは、いつも私たちはこれに入港反対の運動をしてきている。そのつど、アメリカが安全だと言うから安全だということで、日本は全然その中に入って立ち入り検査も何もしないできているわけですよね。その立ち入り検査をしないできているということは、国民に対して、アメリカが安全だと言うんだからだいじょうぶだということで、それをたてとして政府がそういうふうに言ってきた。ところが、今度はこういう事態が出たわけです。私は、佐世保内湾におけるいろいろな放射能の累積などというものも、もうそろそろやはりカウンターにひっかかってくる時期だろうと思っていたわけです。たまたま今度はソードフィッシュ号に事故があって、それの第一次冷却水が一部出たものだというふうにいわれておるわけです。こういう事態になってくると、アメリカが安全だと言うからというので、日本がそれを一〇〇%安全だといって受けるという、この態度一つの問題が出てくるわけです。私は、こういう態度は今後とるべきでないと、こういうふうに考えるし、また、佐世保の事実はそういうことをわれわれに教えておると思うのですが、政府はこの点についてどういうふうに考えているか。
  31. 三木武夫

    三木国務大臣 日本政府としては、やはり調査に対して自主的な態度を常に持たなければいかぬ、これは原則だと思います。ただ、石野さん、もうきめてかかっておりますから、あなたの言うのは、原子力潜水艦の出した放射能に違いないと断定しておる。これはやはり徹底的に調査をしてみて、できるだけこの原因というものはどこにあったかということを、国民の疑問にある程度解明を与える調査をやらなければいかぬと思います。したがって、この問題に対しては、もう政治的に考慮する、そんなことは非常に邪道である。非常に科学的な態度からこれを自主的にやることが必要であります。そうでなければ国民に対して納得さすことはできないと思います。
  32. 石野久男

    石野委員 大臣は、まあ慎重なものの言い方をするのはけっこうなんですよ。だけど、この佐世保ソードフィッシュ号による放射能の非常に高度な放出というものが、原潜でないときめてかかるということはよろしくない。私はきめてかかるということはしたくはない。したくはないけれども、しかし、あらゆる原因をずっと見てきて、それで想定された原因がみんな排除されたわけです。結局残ったのは原潜だけだということが一般の世論である。そういうような状態になってきて、そうして結論が出れば、アメリカから来た専門家は、おそらくソードフィッシュ号によるものでないと主張するに違いない。これは彼らの国益の立場からいっても、将来原潜あるいは航空母艦等入港させなければならない条件をつくるためにも、そういう政治的配慮の中の発言が出てくると思うのです。私は、ほんとうに科学的な立場での両者の話し合いができることを望みますけれども、いままで入ってきておる報道なんかによりますと、どうもそうはいかないようだ。ことにソードフィッシュ号が出るまでの間に事実の究明ができないままに、へをひったような形で出てしまったわけだ。こういうような状態のときに、われわれはアメリカの言うことは一〇〇%受けますという態度をとっていることは危険だということを私は申し上げる。いままで日米間の関係、特に原子力関係では、アメリカの言うことだからいいんだ、もう信用してよろしい、こういうことで、原子力委員会はすべての問題で立ち入り検査をやらないできたわけです。今後こういう事態が出てまいりますと、やはり一応わがほうも、大臣の言うように、自主的な立場から、立ち入り検査をするという事態をどこかでつくる、あるいはまたそうしなければ安全性確保はできないということになってきやせぬか。こういう点を私はいま大臣に聞いているわけですから、それについてひとつ大臣考え方を聞かしてもらいたい。
  33. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはり、放射能被害というものは、ただ向こうの言うことだけを信ずるというわけにいきません。そのために安全に対してのいろいろの日本委員会もあるわけですし、そういう意味で、国民のこういうことからくる不安をなからしめるために、やはり政府自主的な態度を持つべきであると思います。それをどの程度にすることが適当かということは、これはやはりいろいろ検討する余地はあるが、常に政府自主的な立場で、その安全確保に対して最善の考慮を払うということで国民の不安にこたえなければならぬ、こういうふうに考えております。  それとまたもう一つは、あなたもこれがもう原子力潜水艦放射能障害であると断定しておる、こう私が言ったのは、私も、原子力潜水艦放射能被害ではないのだと言っているのではないのですよ。みながやっぱり両方の言い分を究明してみようではないか、いろいろ、原子力潜水艦放射能障害ではないのだと言う人がおるし、そうだと言う人もおるから、それこそやはり科学的にメスを入れて調査をやらねばならぬ原因がそこにあるのではないかと言っておるので、私の立場も、ある一つ立場断定するというような立場ではないし、またできるものじゃありませんよ、いま。だれができますか。断定できるものじゃない。
  34. 石野久男

    石野委員 調査の結果を待たなければ、私も断定することはそれはできませんが、しかし、もうおおよそ九九%まではソードフィッシュ号放射能によるものであることは間違いないと思っておる。そこで、問題になりますのは、仮定の事実を言うと、すぐ政府はそれに答えられないと言いますけれども、しかし、放射能障害というのは、仮定の問題として事実に対する対策を立てていませんと、これは救うことのできない被害を人民に与えますから、そこでこの場合は、仮定の事実だから答えられないじゃなくて、これはひとつ考えておいてもらわなければいかぬ。一般人たち政府のことばを信じて、アメリカ原子力潜水艦なり航空母艦には絶対放射能的障害はないのだということで、議会の中では多数派がそれを強引に法律をつくったり何かしてきたわけです。ところが、事実は、そのだいじょうぶだというものの中から障害が出てきたという今日の問題が出ております。そこで問題になるのは、そういう事実に直面して、いま大臣は、自主的な立場を堅持する、こう言われた。これは原子力基本法、そして平和利用の三原則の中に自主、民主、公開ということがあって、自主性というものがうたわれているわけです。この自主性がうたわれてもう十年以上になります。しかし、実をいうと、アメリカ関係では、日本自主性というものはいつでも封殺されているのです。艦隊が入ってくる、潜水艦が入ってくる、航空母艦が入ってくる、これは全部アメリカ資料を一〇〇%そのまま受けるということで処置してきたわけですね。ところが、今度のソードフィッシュ号で不安が出たわけです。そこで私は、自主性というもの、自主的な立場というものは、やはり立ち入り検査をやらなければならぬということにつながってきている。こう思うのです。アメリカ資料だけでは不安である。事実こういうふうに危機に追い込まれてきた。こういう事情ですから、そこで、このことを私は大臣にお聞きしたい。この調査の結果、原潜の放出した放射能であるということが明確になった時点では、日本はやはり立ち入り検査をしなくちゃいかぬ。それはかりに軍艦でありましょうとも何であろうとも、日本の領海の中に入ってき、領域に入ったときには、やはり立ち入り検査をすべきである、このことを明確にしないと国民は安心できないのだが、政府はその心がまえを持っておるかどうか、この点をひとつはっきりしておいていただきたい。
  35. 三木武夫

    三木国務大臣 石野君御承知のように、軍艦の場合は、立ち入り検査はいやだといったらこれはやることはできません。したがって、立ち入り検査ということには問題がありますが、しかし、私もあなたも同じ共通の関心事は、原子力潜水艦によって非常な特別な放射能障害を受けてはならない。われわれがその寄港を認める前提には、そういう放射能障害に対するわれわれ自身としての一つ安全確保についての基準があるわけですから、そういうことが前提になっておるのですから、ただだいじょうぶだというようなことではなしに、今回のこういう事件を一つの契機として、もう少し放射能の問題については十分の調査を、アメリカもこれは協力すべきですよ。アメリカ自身が、そういう障害があってそれに協力せないということは、アメリカ態度としてよろしくないわけですから、アメリカ協力も得て、そしてこの問題をできる限り国民が非常な不安に思うようなことのないような調査をする方法をやはり考えることにいたしたいと思っています。
  36. 石野久男

    石野委員 大臣は回りくどいことを言っておりますけれども、やっぱり放射能の問題については、わが国の領域あるいは領土の中へ入ってきている外国のものであれば、日本のものは直接自分でやりますからいいのですが、外国のもの、特に日米安保条約を軸にしてアメリカ軍艦なりあるいは潜水艦というようなものが入ってくる、それが原子力を使って推進している、こういう場合には、軍艦であるということでこれは立ち入り検査ができないという状態になっっている。私どもは、軍艦だから立ち入り検査はできないけれども、その軍艦放射能を出して日本に危害を与えるということになれば、それは黙っておるわけにいかないわけです。だから、この場合は、立ち入り検査するか、領海の中へ入れないか、どちらかにならなければいけない。そのいずれかをとらなければ、政府国民に対して放射能障害から安全性を守ることができないということになると思うのです。だから、そのどちらかを明確にしなければ私たちとしては納得できない。したがって、入港させる以上は立ち入り検査をする、立ち入り検査ができなければ入港させない、この二つしかないと考えますが、政府はこの佐世保事件に関連してどういうふうに考えますか。
  37. 三木武夫

    三木国務大臣 政府は、そういうふうに、立ち入り検査を認めないから入港は認めない、さように断定的には考えていないわけでございます。しかし、放射能障害については、これはもう徹底的にこれを契機にしてわれわれはこれの調査もして、安全を確保するために万全の処置をとることは、われわれとしても当然のことだと考えております。しかし、それを端的に、立ち入り検査を認めるか、認めなければもう入港は認めない、断定的にこの問題をそういう角度で処理しようという考えではございません。しかし、放射能に対しては、これを一つの契機にして、国民の不安をなからしめるためにあらゆる十分な努力を政府がすることは、これは国民に対して当然の責任だと考えております。
  38. 石野久男

    石野委員 私がしつこく聞く理由は、放射能障害というのは、ことばの上で納得させて済むものじゃないわけです。この障害をもし受ければ、人体の構造まで変えてしまうという非常にきびしいものを持っております。それであるだけに、われわれはやはり、広島や長崎のああいう戦時的な爆弾の被害はともかくとして、平時においても放射能障害というものに対する警戒を十分にしなければならぬ、そういう立場で、これは非常に大きい問題が出てきているわけです。私は、今度の問題で、もしこれが原潜で出てきたものであるということが確定的になった場合には、やはり内閣としては相当程度の責任的な立場に立たされるのじゃないか、こう思います。また、その責任をとるべきだと私は思うのです。今日の段階では、日米の問題における条約上の関係とかなんとかでなしに、政府国民の安全と平和を守らなければいけない。安全と平和を守るということについて、放射能障害が平時においてそういう形で出てくることを守れないようだったら、政府はやはり国民に対する責任はとれないと私は思う。だから、その決意の中でこの問題に当たるとすれば、入港させるなら、立ち入り検査をして国民に納得させるようにし、事前にその障害を排除するような努力を積極的にすべきであるし、その立ち入り検査ができないのなら、入港を、一応国民から障害を排除されるような状態に置かなければいかぬと思うのです。これは政府入港を断わるとか、あるいはその場所を変えるとかなんとかしなくてはならぬことだろうと思います。また、かりに領土の中に入るとしても、人体に危害のない場所を選ぶという配慮もできるはずなんですね。そういうことをやらないで、いたずらに両国の外交関係だなんということだけで納得をしてもらいたいということは、これはちょっともうこの段階までくると聞けないということを感ずるので、私はそのことを聞いているわけです。
  39. 三木武夫

    三木国務大臣 その軍艦に対して立ち入り検査をすることが放射能障害をはかるのに唯一の方法であるということは、あなたは断定的に過ぎるのではないか。それ以外の方法がないというならば、それはやらなければいけないですよ。しかし、軍艦立ち入り検査すること、それ以外には方法がないのだということは、科学者の意見も聞かなければ独断に過ぎるのではないか。それ以外の方法においても、この放射能というものに対してはいろいろな調査の方法があるのではないか。その調査の方法によって、人体に危害を与えるということならば、当然にこれを日本寄港を認めるべきではないことは、これは当然のことであります。しかし、あなたの言うのは、立ち入り検査を認めるか、認めなければもう入港を断わるかという、一切を立ち入り検査にかけるということのようですが、そういう放射能調査の方法がやはり科学的に最も妥当かどうか。私は、あなたの言うことが、科学的に考えてもこれ以上にないというふうに考えないので、これは、今後どういうことが一番調査の方法としては適切な方法であるかということを検討して、今回の事件を解明したいということであります。問題は、どうして国民をこの放射能被害から守るかということが国民に対する政府の責任であります。それを軍艦立ち入り検査の一点に問題をしぼって、これがノーかイエスかでなければ原子力潜水艦入港に対しての考え方を根本的に変えなければならぬというのも、少し独断ではないか。方法がなければしかたないですよ。しかし、それはいろいろ方法はあるのじゃないですか。そういう方法を通じて、今回の事件を契機にして徹底的に調べてみる努力をする必要がある。
  40. 石野久男

    石野委員 大臣は、それ以外に方法がなければと、こう言うけれども、それじゃどういう方法がありますか。私も実は、科学技術はいろいろとやってきておるのですけれども、原子力潜水艦日本に入ってくる、そこへ立ち入り検査をしないで何の方法があります。これよりほかに確認する方法はないのです。あるんなら教えてください。
  41. 三木武夫

    三木国務大臣 原子力潜水艦放射能の測定が軍艦立ち入り検査をしなければできないという、そういう理論が世界的に確立されておるとは私は思わない。それはアメリカ自身だって日本国民に危害を与えることはよくないのですからね。アメリカは与えてもいいのだという前提に立つならば、それは立ち入り検査以外にないというような、そういうあなたの考え方も成り立つのかもしれぬが、アメリカ日本も、日本国民に対して放射能被害から守るという共通の責任を持っていますよ。日本政府だけが持っているのではない。アメリカ政府だって当然に持っているのですから、そういう日米協力ということがあるならば、何も軍艦立ち入り検査をしなければほかには全然方法がないのだというふうに問題を一点にしぼらなくてもいいのではないか。日米協力するなり、ほかに幾らでもある。軍艦立ち入り検査をしなければ放射能をはかれないという、そういう一つの学説が世界的に確立しておるということは、私は承認することはできない。
  42. 石野久男

    石野委員 私は、放射能の測定ができないとかなんかじゃないのですよ。立ち入り検査しなければそれが安全であるかどうかが確認できないということを言うのです。出てきた放射能の測定のしかたは、何も軍艦の中に立ち入り検査をしなくても幾らでも方法はありますよ。われわれは、軍艦が入る、その軍艦安全性があるかどうかということを見なければいけないから――安全だということであったソードフィッシュ号の中に事故があって、その事故の修理をする段階で出たのかどういうことか知らないけれども、いま予想されるところは、第一次冷却水を放出しているだろうということなんですがね。その放出ということについても、従前はそういうことはないということになっているわけでしょう。それでもやはり何かの事故によって出ているわけなんですから、そういうようなことは、やはりわれわれが中へ入らなければ、向こう側が、いや、何でも安全でありました、安全でありましたと言ったら、日本はつんぼさじきになってどうなるのです。いま外務大臣は、共同の調査をすればできるのだと、こう言いますけれども、私たちはその共同の調査を信頼してきた結果、こういう結果が出てきたわけでしょう。だから、こうなれば、やはり原子力潜水艦の中へわれわれが入るとか、あるいはそのデータならデータを見せてもらうとか、何かしなければだめなんですよ。ところが、われわれはそのデータさえも一部分しか見せてもらえないで、まだ十分なものは見られないのですよ。そういうような問題がまだあるわけですな。そこらのところにもう少し強い政府態度が出なければ安全性の確認というものはできませんし、それからまた、今後同じような類似の事件が出てくる可能性をわれわれは憂えるから、だから、そういう問題をもう少し突っ込みなさい。原子力潜水艦というのは、常時佐世保におるわけではないのですよ。よそから入ってくるわけですから、その入ってきたものが安全かどうかということが問題なのでありまして、東海村にある原子力研究だとかあるいはまた原子力発電所が安全かどうかという、固定したところにあるものをどうだこうだという周辺地区の問題と違います。これは移動してきたものに対するその安全性をいうのですから、その移動してくる事物そのものについて安全性の確認ができなければならぬ。こうなれば、やはり立ち入り検査するか、資料を明確にわれわれが得られるかどうかしなければだめなんですよ。それ以外にありはしないですよ。
  43. 三木武夫

    三木国務大臣 資料を要求するのは、それは当然のことでしょう。私は、アメリカもやっぱり協力すべきだと言うのは、日本人の人体に障害を与えていいというアメリカ立場があり得るはずはないじゃありませんか。協力すべきですよ。そうなってきたら、必要な資料でも何でもアメリカは出すべきじゃないか。その善意までも否定してかかるならば国際関係は成り立たない。そういう意味で、アメリカは、これだけの疑問がわいているのだから、専門家もよこそうというのですから、データはすべて出すべきでしょう。国民の不安にこたえるべきですよ。そういう善意はアメリカにないと石野君が言われるなら、われわれは何をか言わんや、国際関係は成り立たない。やっぱり一切の疑問に答えようという態度アメリカ態度であり、日本態度でなければならぬ。そういうことで、われわれは、この問題を何も軍艦の中へ立ち入って全部調べてみなければ放射能障害がわからぬというふうには思わない。一切のデータを明らかに出すべきである。それによって調べれば放射能障害というものはわかるではないか。それを何か――国際的な常識に反しますよ、軍艦の中へ立ち入り検査するというのは。そういうことをやらなければわからぬのだ――方法がなければそれはやむを得ないかもしれない。しかし、その前にいろいろあるではないか。アメリカ調査に対して協力するという立場からデータを出せば、方法はあるではないか。そういうことをやはりわれわれはやって、アメリカも当然に協力すべきで、何かアメリカ日本人に対して放射能障害を与えることをいたして問題にしてないという態度は、私は承服できない。アメリカ日本人と同じように神経過敏さを持つことは当然ではありませんか。だから、向こうだってこういうことが起こったのですから協力すべきで、日本人放射能被害アメリカ自身としてはたいして心を痛めないのだ、そんな態度というのは許されるものではありません。共通の関心事でなければならぬ。
  44. 穗積七郎

    穗積委員 関連して一つお尋ねします。具体的事実はあとからにいたしまして……。  外務省が従来対米関係日本人に安心をさせる論理が非常にくずれてきておると思うのです。これはたとえば、安保条約における事前協議権の平等性の問題、それからいまの放射能に対する不安を除去するための平等の検査権の問題、これらは外務省の論理では、すべてアメリカ日本政府と同様に、それに劣らず日本政府の不安に対して敏感であり、日本国民の生活安全に対して良心的な責任を持ってくれるのであるから、したがって、立ち入り検査も必要がない、事前協議権も相手だけに提、今度は事実が証明しておるじゃありませんか。だれがあれを先に見つけましたか。放射能佐世保湾に流出しておるということをだれが指摘したのだ。アメリカ政府ですか。アメリカの兵隊ですか。案権を与えて差しつかえないのだ、こういうことを言ってきたわけですね。ところがこの信用は基礎からくずれておるじゃないか。そうなれば、事前協議権がないことをもって甘んじておる態度立ち入り検査権は必要がないと言っておる態度は、一体だれのためにそういうことを言っているのです。日本国民の不安というものに立ってまず日本政府が正しい主張をして、それを確保するために考えなければならない。従来は、相手が信用ができるということが前提になって、外務省アメリカ政府との間で、立ち入り検査権は放棄しましょう、こういうことだった。立ち入り検査権の放棄は、相手が日本政府以上に国民の生活に対して責任を持ってくれるという信用が基礎だった。それがくずれた以上は、ここで新たに情勢が変化してきたわけですから、その事実に基づいて、私はこの検査権の問題について再検討する必要があると思う。おかしいですよ。私は論理的に言っているのです。論理がくずれているじゃないか。前提がくずれていますよ。もしいまだにあなたはこんな事実を――日本の技術者が見つけて、それでなおかつ相手が何と言っているかといえば、これは原潜から出たものではない、それをおおいに隠すために、こっちから行って調査してやってもいい、こんな無礼な態度を示している相手に対して、いままでの外務省の論理的な基礎というものが全部崩壊しているじゃないですか。それにもかかわらず、そういうことを言うということは、あなたは自民党内における良識派として恥ずかしくありませんか。国民の期待を裏切るものですよ。まさに従属的売国性だ。そういうことを言うのはおかしいですよ。おかしいから、論理的にぼくは言っているのです。日本の側における論理です。ちょっとしゃんとして答弁してください。
  45. 三木武夫

    三木国務大臣 久しぶりに穗積君国会にお出になって、いろいろ論理――やはり論理性を持たなければいかぬというお話でありました。しかし、あなたの説の中にも承服できぬものがある。もう全部あなたの独断の上に立って、そういうもので論理が進められておるということは、私は承服できません。それはなぜかといえば、アメリカから専門家が来るのも、アメリカ側放射能を出したのをおおい隠すために来るのだとか……(穗積委員原潜から出たものでないと相手が独断しているじゃないですか」と呼ぶ)私が答弁中ですから……。そういうふうに、何かあなた自身が一つの論理、論理と言われるけれども、あなたにはあなた自身の一貫した穗積式論理がある。それは万人がやはりもっともだ――全部が全部私は承服できないわけです。そういうことで、私は、今度の場合はこれをうやむやにしていいと言っておるのではないですよ。日本国民がこのように不安に思っておるのだから、この機会にやはり徹底的にこの不安を解明するために調査したらいい。それに対してアメリカもできるだけの協力をすることは当然でしょう。それは穗積さんいろいろ仮定の上に立って言われておるけれども、アメリカ自身だって日本人放射能被害を受けてそれがいいと思っておるわけではないのですから、そういうことで、アメリカ自身のデータを出すとか、いろいろな協力する方法――アメリカ協力も得なければならぬですから、徹底的に解明をしたい、こう言っておるのですから、それを全部アメリカのやることは悪意に満ちたものだし、日本人の生命というものに対してあまり考慮をしていない、そういうものの考え方は私は承服できませんね。善意というものをお互いに信じ合わなければ国際関係というものは成り立たないですよ。それは放射能というようなものに対しては、原潜に対しても言うけれども、われわれは、やはり各国の一つの核爆発の実験なんかたいへんな放射能ですから、こういうことに対して、政府は核兵器破棄というようなことも常に主張しておる根拠もあるわけですから、アメリカだけが全部悪意に満ちたものだという前提の上に立って議論を進めることは、私は、論理、論理といっても、そういう論理は世界的に通用しないと考えております。
  46. 穗積七郎

    穗積委員 あなたは何を言っているのですか。恥ずかしくありませんか、そんな非論理的な、非良心的なことを言って。私は独断でも何でもないですよ。それでは、日本国民の不安と生活の安全に対する要求に対して、日本政府に劣らず良心的であり、責任を持っておるアメリカが、なぜ佐世保にあんなものを廃棄したり放出したのですか。だれがやったのですか。日本がやったのですか――やっているじゃないですか。私はその事実を言っているのだ。アメリカ原潜から放出したり廃棄したのですよ。そんなものが何で良心だ。あなた何を言っているのですか。だれのためにそういうことを言っているのですか。三木さん、私は独断の論理ではない、事実を言っているのですよ。それで言っているのです。それを一体だれがやったか。アメリカの良心と責任に基づいてああいうものを放出し、廃棄した。その事実だけを答えてもらいたい。事実が前提です。共通のものは事実です。
  47. 三木武夫

    三木国務大臣 これから日本が徹底的に調査しようと言っているのです。調査をして問題を明らかにすることが第一番に必要なことです。その調査に対しては、石野君に私が答えておることは、政治的な配慮は一切加えません、自主的に科学的に、ちょうどこういう事件があったということを一つの契機にして、放射能障害に対する安全の確保ということに対しては、政府はいろいろな外の専門家の意見も徴して、万全の処置を講じたいと考えておりますと、こう言っているのですから、それをもう信用ならぬとか、何だかんだ言わぬで、やはり政府はこれだけ国民のためにいろいろ言っているのですから、政府をあなた方も監視して、政府の言うことをそういうふうにやらすということこそが論理の一貫性があるのではないでしょうか。
  48. 穗積七郎

    穗積委員 関連ですから、主質問者の石野君にまかせますが、私はあとでやってもいいけれども、私が言いたいのは、調査調査と言っても、調査はできていないのじゃないですか。いままでの調査報告は受けていないのですか、日本の信頼すべき科学技術者の調査というものは。その結論に対して、疑わしい点があったら報告してもらいたい。私は、きょうはその事実を基礎にして、だれもが疑うことのできない、しかも共通の、自民党にとっても社会党にとっても事実は一つですから、その事実を前提にしてやりたいのだ。だからほんとうは、科学技術庁の責任者が来て、あの調査の結果というものをここで具体的に報告をして、それを基礎にして政策論争に入るのが順序なんです。それがまだできていないのだ。ところが、信頼すべき新聞報道によれば、これはもうアメリカ原潜以外に考えられない、こういうことが新聞にすら報告されておるのですから、政府には当然報告されておると思う。それでは、あらためて外務省からでもいいから、科学技術庁関係調査委員会からありました報告をここで報告してもらいたい。それがもう全然信頼ができない、だから、これから新たに政府自身あるいはアメリカ自身の調査によらなければ信頼できないというのがあなたのいまの答弁の前提です。おかしいでしょう。のみならず、ああいう事実はきのうときょうとではどんどん変わるでしょう。われわれ専門外の常識からいきましても、あとでやってみたらなかった、あのときあったのは錯覚だろう、あるいはミス調査であろう、そういうばかなことは許されない。いままで行なわれて報告された調査の内容と、それに対して政府はどういう意見を持っているか、それを聞いておきたいのです。
  49. 三木武夫

    三木国務大臣 その調査が信用できぬと私は言っているのではないのです。調査はもっと徹底的に調査する必要がある。いまやっておる調査が信用できぬとかなんとか、私が言わないようなことを、穗積さんは、何というのか、あなた独断でいろいろなことを言い過ぎますが、信用できないなんというそんな僣越な考えはありません。専門家がやっておるのですから……。(穗積委員「それじゃ報告をしなさい。どこが不十分なのか、それも報告していただきたい」と呼ぶ)それは科学技術庁が来てやったほうがいいでしょう。(穗積委員「そんなことの仮定に立ってアメリカのために防御論争をやるのはおかしい」と呼ぶ)発言は委員長の許可を得てやってもらいたい。すわっていて私語するのはいけない。そのことについては、科学技術庁が来て詳細に報告したほうが適当だと思います。私は、いままでの調査を信頼していないというわけではないのですけれども、私のほうは衝に当たってないから、皆さんに対して御報告するのには、科学技術庁のほうが適当であろう、こう申しておるのでございます。
  50. 石野久男

    石野委員 私は、外務大臣の、善意を認めなければ国際的な外交関係は成り立たないという意味はよくわかるのです。わかるけれども、ただ、善意を認めてきた結果として、こういう障害が出てきたから、その善意に対しの限度があるわけでしょう、善意を認めることについての。そういう限度にきているときに、事実を究明しないままでいってはいけないから、その事実を――たとえば今度の場合でも、調査結果がいままだこの委員会には出ていませんから、その結果が出てくれば、いま大臣が言っていることについても、われわれはやはり従来のような形ではもう過ごされなくなってきているのです、実を言うと。したがって、先ほどから言うように、立ち入り検査等については、善意を認めて立ち入り検査をしないことにしてきたけれども、善意がくずれてきたのだから、善意を認めるということについて不安が出てきたのだから、そこで立ち入り検査の必要性が出てきているのではないか。それを再検討しなさいということを穗積君も言っているし、私も先ほどから言っているのです。そういうことを踏まえて、日米間の原子力に関する放射能障害への警戒心を高めていかなければいけない、こう思うのです。アメリカの側でも日本人放射能障害を与えてよしとしないということは、それはそうでしょう。ただ大臣、こういうことを考えてもらわなければならぬ。日本人放射能障害を与えることはよしとしないかもしれないが、しかし、アメリカ原子力潜水艦航空母艦というものを日本寄港させたいんですよ。だから、その障害を与えたくないけれども、寄港をさせたいわけだ。そこに問題があるわけです。その問題は、やはり安保条約関係からくるところの防衛体制の問題として出てくるのであって、そこらのところを明確にさせることが非常に大事だ、そういう意味で、やはり立ち入り検査とか入港拒否というような問題は、当面日本の国益を守り、日本国民放射能障害から守る、安全性確保するために、外務省としてのしっかりした態度が必要だということを言っているわけですから、いま一度……。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはり日本の港だけに来るんじゃないですからね。アメリカだって自分の港に寄っているし、そんなに人体に放射能障害を与えるのだったら、それは世界的にもアメリカ国内でも問題になるでしょうね。日本だけに放射能障害を与えていいということはない。これは自国民であっても、それだけの権限は政府にありませんからね。だから、これは単に日本寄港したいからといって、放射能障害があるのに、日本のことだからと、そんなルーズなことで今日大国がやっているわけはない。そんなお粗末な政治的な考え方でやれるものじゃないので、これは自分の国だってそうですからね。そういう放射能障害に対してはやはり各国とも鋭敏ですよ。しかし、われわれとしては、ただ他国の善意にばかり依頼するというわけにいかないので、われわれとしても放射能障害に対する十分な調査をし、放射能障害から国民を守るという体制に対しては、やはり今後万全の処置を講じたい、そういうふうに考えているということを国民の前に明らかにいたします。
  52. 石野久男

    石野委員 いまから小笠原の返還協定に入るようにという御注意もあるのですが、ただ、いまの大臣のことばがそういうことばだと、もう一度聞いておかなければならぬ。いまアメリカでも寄港しているのだからと、こうおっしゃった。日本ばかりでなく、向こう原子力潜水艦や何かはアメリカにも寄港している。ところが、寄港、母港というのは、日本佐世保とか横須賀というような、ああいう人口稠密のところなどはあまり選んでいないんですよ、率直に言って。なるべく人口稀薄なところ、それから大洋に面しているようなところを母港として選んでいるんですよ。だから、大臣は知ったかぶりを言いますけれども、違うんですよ。アメリカではそういうようなところはちゃんと避けて通っているのです。ですから、それをみそもくそも一緒にされては困るんだ。だから、こういう問題については、お粗末とかなんとか言うけれども、お粗末じゃないですよ。日本のほうがむしろ真剣に考えている。だからこそ、先般、母港として横浜の問題で飛鳥田君あたりが強く反対したのも、やはり人口稠密の地域で危害があったときに困るからというので、それはなるべく大洋面で人口希薄のところへそういう港をつくれということの要求をしているわけなんですから、われわれちっともお粗末なことをやっているわけでもない。これはむしろ、日本国民放射能から防護するために真剣な討議をしておるので、お粗末とか何とか言われたら、これは黙っておるわけにいかぬ。そういう態度だから、たとえば総理が、もし佐世保になにするんだったら、もう一度原子力潜水艦を入れてみて――何だかそういうことをきのう言っているでしょう。衆議院の決算委員会でこういうことを言っている。とにかく、もしそれがあぶないというなら、いま一度日本にそのソードフィッシュ号を入れてみて、それで検査したらいいじゃないかというようなことを、きのう決算委員会総理は答えておるのですな。そういうようなことでは、実に、国民がこれだけ危惧を抱いている問題に対してふまじめだと思うのですよ。もう一ぺん入れてみて、検査してみたらどうだ。事故があったときにはそれは問題になるのであって、事故がなければ問題がないというくらいのことは、われわれだって知っているんだよ。それを、事故を起こしてもう一ぺん検査させようとするのかどうなのか。総理のことばだってきわめて不謹慎だと思う。その不謹慎な態度外務大臣態度にも出てきたんじゃ、われわれたまったものじゃないので、そんなことなら政府の責任を追及しなければならぬ。
  53. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、そういう粗末な政治思想なんかを持ってやれるものではないと言ったのは、石野さんが、アメリカ日本原子力潜水艦寄港さしたい、だから、多少の放射能障害があっても、寄港さしたいという目的の前に、それは犠牲にするのではないかと言うから、そんな低い政治思想を持って今日のアメリカ世界に伍してやっていけるわけはないと言ったんで、ほかの、国会のことに対して、そういうことに触れたわけではないのですよ。それは、やはりアメリカとしたところで、日本に入れたいから、日本ばかり放射能障害が多少あってもやむを得ない、そんな低級な一つの政治思想を持っているのだとは私は考えない、こう言ったのです。  それから、アメリカ自身の港でも、あまり人口があるところに入らぬと言うが、エンタープライズなんかどこにでも入っていますよ。入っているのに――アメリカ自身もニューヨークとかボストンとか、それは世界でももう今日の常識では――たまたまこういう佐世保事件とか、ああいうことがあったんで、国民に不安を与えたから、私は、この機会に徹底的にいろいろ調査をしたり、その原因というものを究明したらいいと思うのですよ。いままでの常識では、あなたのように人口の希薄なところばかり寄っているんじゃないですよ、エンタープライズなんかは。ニューヨークなんかにもやっぱり寄っておるわけです。原子力推進力としたそんな空母でもね。しかし、これを機会に、国民にこういうことの不安を与えることはよくないので、原因究明というものを徹底的にやれという激励ならば、全くそのようにわれわれも考えてやるつもりでおります。
  54. 石野久男

    石野委員 あとで、また科学技術庁が来たときに話しますが、ただ、私が先ほど言ったのは、寄港するという問題と、母港という問題との考え方の違いを大臣は取り違えている。いま佐世保とか横須賀などというのは、母港的性格を持っているから私は言うのでして、ただ寄港するというのと母港的性格を持っているのとは違うのですよ。ただちょっと寄るというのと、母港的性格を持っていろいろな作業をするというのとは違いますから、そういう大臣の混同した見解でものを言わないようにしてほしい。私だってある程度のことは知っていますよ。そんなに全然無知で言っているわけじゃない。やはり母港的性格のものと寄港的な性格のものとは違いますから、もう佐世保とか横須賀なんというのは、明らかに母港的性格を持っているので、問題を提起しているのですよ。これはまたあとでもう一ぺん科学技術庁が来ましたときにこの問題に触れたい、こう思います。  それで、小笠原の協定の問題ですが、小笠原帰還協定というのは、これは昨年の十一月、総理アメリカにてジョンソンとの間に共同声明を出した、その共同声明に基づいて、この帰還の問題が出てきているわけですから、この小笠原帰還という問題は、ジョンソン・佐藤共同コミュニケ、昨年十一月十四日から十五日にわたるこの共同声明の精神を全面的に受けているものと、こういうように見てよろしいわけですね。これは外務大臣に伺いたい。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 そのように解釈されてけっこうでございます。
  56. 穗積七郎

    穗積委員 委員長、ちょっと議事進行で……。小笠原協定の審議に入るわけですけれども、委員会の成立は定足数を必要としておりますね。いま定足数に満ちているかいなか、委員長、お調べになって報告していただきたい。
  57. 秋田大助

    秋田委員長 穗積君、まあひとつ……。  石野君、どうぞ、ちょうどおられるようですから。
  58. 石野久男

    石野委員 小笠原の返還の問題を沖繩と切り離して、こういうふうな協定をしたのですが、なぜ小笠原と沖繩とこういうふうに切り離しての話し合いをするようにしたか。
  59. 三木武夫

    三木国務大臣 われわれとしては、沖繩も一緒に返してもらえばそれにこしたことはないわけです。日本もそういうことを希望するわけですが、沖繩問題は解決に至らなかった。今回は小笠原の返還問題だけが解決をしたということでございます。
  60. 石野久男

    石野委員 サンフランシスコ平和条約の第三条の規定の中で、従来アメリカの施政権の中に置かれていましたが、しかし、実際問題として、日本が国連に参加して、そうして国連の、ある場合には理事国にまでなっておるというような段階になってきた場合に、これはやはり国連憲章の趣旨からいいましても、どうも平和条約第三条の効果というものはもうないのではないか、こういうわれわれの見方があるわけですよ。これはむしろやはり第三条の効果というものは、われわれは認むべきでないという考え方をしておる。そういう考え方から見れば、沖繩も、それから小笠原も、何もそんな別々に扱う必要はちっともないので、一緒に問題を解決するなら解決すべきだ、こういう考え方をわれわれはしておるのだが、それがどうしてこういうふうになっているのか。
  61. 三木武夫

    三木国務大臣 その言われるとおり、一緒に解決できればそれにこしたことはないですが、今回の場合は沖繩問題は解決に至らなかった。それはわれわれが理想的にいえば、一ぺんに両方解決できればそれにこしたことはないのですが、事実問題として、今回は小笠原だけしか返還問題は解決ができなかったということでございます。
  62. 石野久男

    石野委員 いや、だから一緒に事実問題としてできなかったというのは、平和条約の第三条の精神からいけば、われわれは解決するときには、特に国連へ日本の国が参加しているという実情、そういう実情の中で、沖繩と小笠原を別々にするという理由はないわけなんです。それをどうして日本は事実問題としてそうなるというふうな外交の交渉のしかたをしたかということを聞いている。
  63. 三木武夫

    三木国務大臣 これはもう国民もみなやはり理解してもらっていると思います。沖繩問題については、日米間で施政権返還の話し合いがまだつかなかったということでございます。そのかわりに、これから小笠原の協定が国会で御承認を得れば、一つの小笠原問題が片づいたのですから、次は沖繩問題にわれわれは取り組みたいと思っておりますので、施政権返還の方針のもとに日米間の協議が始まる、こういう段階的にやらざるを得ない。それは日米間の話し合いがつかなかったからであります。
  64. 石野久男

    石野委員 日米間の話し合いが特に沖繩についてつかなかったという大きな理由は、一般の施政上の問題としまして、それはたとえば行政的な問題とか何かのことなのか、それとも、いわゆるアメリカがあそこに基地を持っているということ、そういうことが大きな理由なんですか、どっちなんですか。
  65. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、小笠原は、御承知のように軍事的にも、あるいは行政的にも、あるいは産業的にも、問題は非常に沖繩に比較すれば簡単でありますから、話し合いが簡単であったけれども、沖繩の場合はいろいろ複雑な問題、いま御指摘のような軍事的な面もむろんあるわけであります。軍事ばかりでなしに、産業、経済、行政、いろいろな問題で、もう少しこの日米間の話し合いを煮詰めなければならない問題をたくさん含んでおるというところで、小笠原と同時に返還は実現しなかった。しかし、小笠原問題が国会の承認を受ければ、引き続いて問題の解決のために日米間で話し合いをしようということになっているということでございます。
  66. 石野久男

    石野委員 昨年十一月にジョンソンと佐藤氏との間に行なわれた共同コミュニケというのは、戦後の日本の外交の上では、非常に画期的な一つの新しい時代をつくる内容を持っていると私は思うののです。ここで出てきているところの体制というのは、たとえばコミュニケの中の第三項というのは、これは一応コミュニケをつくったときの一番大きな精神をここにうたっていると思います。ここでうたわれている問題は、「両者は、中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況をつくることが重要であることに合意した。」と、こうあるわけです。こういう体制、アジアにおけるところの諸国は中国の脅威からと、脅威というものを基底として発想が行なわれているわけです。それからやはり小笠原とか沖繩というものの返還の問題が出てくるという、こういう発想になっているわけです。この考え方は、われわれはそういうふうに見て間違いないわけですね。
  67. 三木武夫

    三木国務大臣 非常に画期的だというふうに言われることがわれわれと多少感じが違いますことは、私は画期的だと思ってない。この佐藤・ジョンソン共同声明というものは、従来考えておったことを確認し合ったということで、このことによって、日米間にアジア情勢に対する判断が非常に画期的に違ったというふうには私は評価していないのです。したがって、そういうふうな前提に立って考えたならば、このいわれておることばそれ自体に対しても、石野君と私どもの考え方の間には非常に開きがあるのかもしれません。中共の問題について御指摘になりましたけれども、中共が核兵器の開発を進めている事実に注目するということは、これはもう当然のことであって、世界もどこも注目をしておるし、ことにアジア諸国においては――中共がまだ国内建設というものがそう進んでおるような状態ではないですから、このときに核開発というものに国の全力を傾けておる事実は、これはもう世界的に注目すべき事実であります。また、こういうことに対して、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状態――こういう核開発を中共がするということで、アジア諸国が何かそのことが中共から非常な脅威を受けるように受け取って、軍事的な面に非常に重点を置いたりして、国内建設というものを忘れるような、そういう行き方というものがあってはならない。そういうことのないような、しっかり基礎になるものは、やはり民主の安定、向上でしょうからね。その国の平和と安定というために必要なことは民主の安定、向上ということなんで、中共が核兵器の開発をしておるということ、これに注目して、そのために、アジアが軍事的な面でこの核開発に反応するような行き方というものであってはならない。だから、あまりそういう脅威というものに影響されないで、国の本来の、一つの国の基礎になるところの民生の安定、向上、いわゆるその国の体質を強化することが必要であるというようなことがこのコミュニケの背景になっておるものの考え方でございます。核兵器を開発したから、それに対抗する軍事的な連携を強化してという思想は、このコミュニケの中にはないということでございます。だから、最初に申したように、石野君はえらい画期的なコミュニケと言うけれども、われわれは画期的だというふうには思っていないのです。いつもの考え方をただ整理して述べたものである、こういうふうに評価しておるのであります。
  68. 石野久男

    石野委員 大臣はいつものようにと言うけれども、この共同声明というのは、やはり戦後の日本外交史上の新時代を画しているものだと私は思うのですよ。外務大臣は、いまの三項の読み方については、極力国内産業とかなんかというふうに持っていきますけれども、しかし、文面は、「中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されない状況をつくる」こうあるわけですよ。これは明らかに核の脅威に対してアジア諸国が情勢をつくれというわけですよ。こういうことが根底になっているということになるわけです。あとで、第五項に、「アジア安定に貢献の用意」ということが、これは新聞の表題になっておりますけれども、ここではこういうふうに書いてある。「日本の安全と極東の平和と安全の確保のため、日米相互協力および安全保障条約を堅持することが両国の基本政策である」これはこういうふうにうたってあるわけです。そして、「首相は、日本がその国力に応じてアジアの平和の安定のため、積極的に貢献する用意があると述べた。」こういうふうにあるわけですよ。これは、安保条約に基づいて、国力に応ずるところのアジアへの平和と安定のための積極的な貢献を約束した、こういうことなんですね。これは防衛庁の関係からすると、この面ではやはり首相が言うようなアジアの平和と安定のための積極的な貢献をする用意をしておるのですか、防衛庁は。
  69. 三木武夫

    三木国務大臣 ちょっとその前に。私は、共同コミュニケの場合でも、文章を読むときに、一つだけ、あるフレーズだけをとって言うということに対して、国際関係の中で正確に理解しない場合が、石野さん、非常に多いと思うのですよ。だから、この第三項をお取り上げになるならば、第三項全体のコミュニケの中に流れておる一つの背景になっておるものの考え方こそ、やはり評価をしたり批判したりすべきものであって、言われますけれども、あとをごらんになれば、われわれはやはりアジア地域の政治的安定と経済的繁栄の促進のためにみなが協力することが必要なんだ、軍事的な面というようなことはここに強調していませんね。また、中共に対しても、中共が非妥協的な態度を捨てて、国際社会において共存共栄をはかるに至るようなことをわれわれは希望するのだということで、何か全体の調子というものは、あなたの言うように、核兵器を開発しておるのだから、アジア諸国がお互いに軍事的に連携を強化してこれに対抗するような、そういう姿勢をとるのだというようなことは、ここには全然ないのですよ。だから、私は、この共同コミュニケが日本に画期的な時代を画するような、そんな評価はしていない。また、安保条約についても、増田さんからお答えがあると思いますが、安保条約というもので日本の安全を確保する、こうわれわれは評価しておるわけです。正当な評価をしておるのです。日本は軍事的にはどうこうできませんから、アジアに対して軍事的に寄与することはできないわけですからね。こういう点でも、何かあなたは、軍事的な面で、日本も入れてアジアの反共軍事体制をつくろうという意図がこのコミェニケの中に流れておるのじゃないかという考え方は、全然違う。そういう意図はない。これだけはやはり前提として、その前提の上に立って今後いろいろ御質問を願うことが、共同コミュニケの精神を正確に把握する道だと私は思ます。
  70. 石野久男

    石野委員 読み方はいろいろあると思うのだけれども、第三項、これは私も全フレーズを読んでいるのですよ。もう一度読みますと、一番最初に、「両者は、中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況をつくることが重要であることに合意した。」と、こうある。あと、「また」ときているわけですよ。「また首相と大統領は、」ということで、これは並列化されていく関係にあるのですよ。だから、前のフレーズとうしろのフレーズの間の関係はそれぞれ孤立しているわけです。だから、これだけ読んでも別に誤った読み方じゃない。そしてこの読み方を五項が受けているわけですね。第五項へいきますと、結局、日米安保条約は両国がこれを堅持することが基本政策だ、こういうふうに書いてあるわけです。そしてそのあとで、「首相は、日本がその国力に応じてアジアの平和と安定のため、積極的に貢献する用意がある」これは首相と大統領が、平和と安全の維持が単に軍事的要因のみならず、政治的安定と経済的発展によることを認めた、そういう中でアジアの平和と安定のための積極的な貢献ということが出ておるわけです。ここで、政府の言いたいことは、この後段だけをとるわけですよ。しかし、実際には、基本政策としては、日米安保条約を堅持することが両国の基本政策だということを前にうたっているわけです。したがって、このうしろのほうにくるところの、その国力に応じてアジアの平和と安定のための積極的貢献というものを防衛庁はどういうようにしているかということをいま私は防衛庁長官に聞くわけです。
  71. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 三項と五項とを両方読み合わせて一致した結論に到達すべきものであるということは、石野さんのお説のとおりであります。そこで、防衛関係におきましては、日米安保条約というものを基本として日本並びに極東の平和に貢献いたしたい、しかしながら、極東関係つきましては、在日米軍が日本の施設並びに区域を基地として使うということはあるべしと、これだけでございまして、極東の関係は三項からも五項からも出ておりまするが、われわれは開発途上国の政治的安定、経済的繁栄をはかるということに主眼を置いておるわけでございます。また、総理がそこまで言及してはございませんが、中国と経済体制、政治体制は違いますが、しかし、中国の国民の皆さまの福祉をはかるというようなことについて貢献できたならばいたしたいということを常に総理は言われておるということを、この際に私は申し上げたいと思っております。コミュニケには出ておりませんけれども、そういうような意味で、別段これは中国敵視政策でも何でもない、ただ、中国のほうが妥協的の心持ちになってもらいたいということを希望として述べてあります。非妥協的の態度を改めることをわれわれは欲する、これは全世界の人が欲しておるのではないかと私は考えております。
  72. 石野久男

    石野委員 中国で妥協的な態度をしてくることを欲している、これは第三項にもそういうようなことが書かれておるわけですね。ところが問題は、やはり中国に対するこちら側の態度が、こちらがもう少し向こうに対して敵視政策をとらないことのほうが、むしろ前段として大事だというふうにわれわれは見ているわけです。ここでその問題の論議をするということでは時間をとりますから、私は多くを申しませんが、ただ、やはりこの段階で、日本の防衛体制として、ここでいうところの「首相は、日本がその国力に応じてアジアの平和と安定のため、」と、こうあるわけですね。平和と安定というのは、これは経済的なものとか産業的なものといったことばの概念とはちょっと違うわけです。やはりこれは防衛関係とかなんとかいうものがどうしても内容的に内包される、こういうことにわれわれは考えているわけですから、そういう立場で、防衛庁としては、首相がいうところの、アジアの平和と安定のために積極的に貢献するという協力のしかた、貢献するという問題、これをどういうふうに具体的にくみ上げているかということを私は聞いているわけです。
  73. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 先ほども申しましたとおり、日米安保条約というものに力を入れておる、これを堅持することが極東並びにアジア全体――日本を含んでです、まあ極東と言ったほうが正確でございますが、極東の平和と安全を確保する基本政策である。これは常々われわれも考えておりまするし、昭和三十二年に決定されました国防に関する基本方針もございます。そこで、昭和三十五年六月二十三日に批准されました新安保には、第六条がございまして、日本の施設並びに区域を基地として極東の安全のために駐留米軍が使うことが承認されておる。あと事前協議その他の問題が起きてきますが、その範囲だけでございまして、極東の平和、安定といえば、いずれも経済的なものでございまして、政治的なものは考えていないし、いわんや軍事的のことは日本の自衛隊は全然考えておりません。政治的のことも、他国の内政干渉になることは、これは外務省の所管かもしれませんが、われわれは毛頭考えておりません。要するに、開発途上国の経済的安定をはかるために協力いたしたい、こういうことを全体としては考えておる次第でございます。
  74. 石野久男

    石野委員 これは外務大臣にもお聞きしたいのですが、たとえば沖繩とか小笠原が返還になった場合に、その場合、現在の日米安保条約の施設とかそれから区域の関係で、いままで沖繩とかあるいは小笠原には米軍がいろいろなものを設置しておったわけですね。それが新しく日本に返った場合に、日本はどういうふうに受け取るのかということですね。日本はそれをどういうふうに受けるかという問題が一つ新しく出てくると思うのです。その場合にどういうような受け方をするかまえであるかということを、ひとつ政府考え方を聞かしていただきたい。これは政治の問題もそうだし、軍事的な問題もそうですが……。
  75. 三木武夫

    三木国務大臣 具体的には防衛庁長官のほうが適当だと思いますが、それは日本が必要なものは引き継いで自衛隊が使うし、必要でないものはやめるということだと思います。
  76. 石野久男

    石野委員 それを具体的に言うと、どういうことですか。
  77. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 沖繩が帰還した問題についての、まだ将来を予想しての御質問でございますが、将来のことにつきましてまず言い得ることは、いま外務大臣がおっしゃったとおり、わが国の施政権下に入るわけでありますから、すなわち本土並みであります。本土並みに自衛隊が自主防衛の線でまず働きます。第二に言い得ることは、日米安保条約のもとにおいて共同の危険に対処するということでございます。それからいつも問題になっておりますのは、沖繩に現存しておると思われるメースB、あるいはナイキハーキュリーズ、これは核、非核の両用でございまして、核があるかどうかわかりません。メースBに核があるらしいというのがわれわれの判断でございます。これらをどうするかということにつきましては、総理がたびたび両院の予算委員会の総括質問の際に申し上げておりますとおり、三つの条件のもとにおいて白紙の状態に現在のところはある。交渉に臨むにあたりましても、おそらく三条件のもとにおいて白紙の状態で沖繩返還のことを交渉する、こういうことだと思っております。
  78. 石野久男

    石野委員 先ほど外務大臣は、沖繩、小笠原におけるところの軍事的な施設等について必要なものは引き継ぐ、不必要なものはやめる、こう言ったわけです。  そこでまた、問題は三項へ戻ってくるのです。三項にくると、「中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況をつくることが重要であること」に合意したのですね。だから、この合意は、これに関連するものの必要性を意味しておるわけですね。そういうふうに理解してよろしいですね。
  79. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、いまの共同声明に言われていることは一般的なことを言ったのです。何もふしぎでない、特別なことを言ったのじゃない。ということは、石野さん、中共が核兵器の開発をしておることは、だれでも注目していることですよ、どこでも。これは注目するということは、当然もうみな世界各国が注目していることですよ。これは当然のことを言っている。われわれしばしばアジアの会議に出まして、中共の脅威ということで、核兵器の開発であるとか軍事的な脅威にあまりとらわれ過ぎると、どういうことが起こるかといったならば、軍事的な一つの反共ブロックをつくろうかというような、そういうことがじきに出てくるでしょう。ASPACなんかでも、皆さんがそういう懸念を持って、あれに対して非常な批判を加えたでしょう。そういう反応のしかたはいけないんだ。やはり軍事的な一面もあるけれども、根本は民政の安定、向上というものがなければ、幾ら軍隊だけ行ったところでその国の安定は維持できるものでもないし、共産主義がいやだからといって、国民の生活水準が向上していかなければ、国民の不平、不満というものはつのる一方だし、そうなれば、やはり共産主義というものの危険は絶えずあるのですから、だから一番大事なことはその国の体質なんだ。共産主義がきらいならば、共産主義というものにつけ込まれないだけの、そういうすき間のないだけの国内体制をつくることが必要であるということに、このコミュニケはアクセントをつけているので、いま次の安保条約と結びつけて、そして沖繩の軍事基地を確保するためにこういうふうなことを言ったというものではありません。一般的なアジア情勢に対する総理大臣と大統領との判断を端的に示したものがこの共同声明でございます。
  80. 石野久男

    石野委員 大臣が各国の国の体質の問題とかいろいろなものを持ち出してきましたが、この三項の、あとのほうを見てください。「アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況を作ることが重要であることに意見が一致した。」そのとおりでしょう。だから、この「作ること」というのは、核の脅威に対して影響をされないような状況をつくるんですから、これはやはりそれが産業的体制なのでしょうか、あるいは行政的な処置なのか。ここで読めることは、やはり核兵器に対して影響されない状況ですから、これは軍事的体制ですよ。そういうものが必要だ。だから防衛庁長官に私は聞くわけなんだ。これに対して合意しておるんだから、これを用意するための防衛体制としてはどういうことなのかということを先ほど聞いた。そうすると、大臣は、沖繩や小笠原を引き継ぐ場合には、必要なものは受け継ぐけれども、必要でないものはやめるんだ、こういうわけでしょう。核に対する脅威を受けないような状況をつくるということになれば、これは防衛庁長官、いま核に対する影響を受けないような情勢というのはどういうことなんですか。
  81. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 コミュニケの「中共からの脅威に影響されないような状況を作る」というのは、さっき外務大臣のおっしゃったとおり、全体の文脈としてお読みを願いたいのでありまして、その次の「アジア地域の政治的安定と経済的繁栄の促進のため、」云々と、ここまで結びつくと私は考えております。そこで、経済的繁栄をはかったり、政治的安定が得られるならば、核の脅威に対して影響されない状況であるというふうに両国代表は認め合ったと私は考えております。
  82. 石野久男

    石野委員 このあとのほうのパラグラフは並列されているものだから、これは関連させてもいい、また、その前の項はそのままで受けとめて。しかもその軍事的な姿勢はここで受けとめられるものだ。先ほど、沖繩の場合にはメースBは核を持っているだろうとわれわれは想像している、大臣はそう言ったわけでしょう。しかし、ナイキハーキュリーズの問題についてはまあ疑問を持っているが、こういうことでした。しかし、沖繩におけるこういうような核、われわれはナイキハーキュリーズの問題についても、これは核を装備している、こう見ますけれども、こういうようなものが今度は必要なものと認められるか、あるいは不必要なものと認められるかという問題について、防衛庁の考え方がここで問題になってくるわけでしょう。同時に、小笠原が今日問題になっておりますが、小笠原についてのこの問題と関連した、いわゆる全アジアにおけるところの安全保障のための日米協力というものがここでうたわれておるわけですから、そういう体制から見たところの小笠原の防衛的位置、軍事的な位置づけというものをどういうふうに見ているかということと関連して、防衛庁長官に御答弁をいただきたい。
  83. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま、石野さんがコミュニケの第三項から説き起こされておりますけれども、これはアジア諸国の状況をつくることが肝要であるということを両代表が認め合ったということでございまして、小笠原島、これは今度日本に返ってきますし、それから沖繩も近い将来日本に返るでしょうが、そのときには安保条約第六条の関係になると思うのであります。安保条約関係も勘案して、同じ白紙といっても、つまり、日本の施設並びに区域を基地として沖繩において使う場合には心して使わなければならぬ、こう考えておりまして、いわゆるアジア諸国とは違うわけでございます。しかし、アジア諸国に関係あるものとしての石野さんの御質問でございますから、沖繩のことは、一応外務大臣も私もお答えいたしました。そこで、小笠原島のことをお答えいたします。  小笠原島につきましては、原則として、従来米軍の持っておったもののうち、米軍が特別に自分で持っていたいというロランC局を除いて日本の自衛隊が引き受ける、これが原則でございます。しかしながら、米軍の持っておった施設その他区域であっても、民生安定のためにでき得る限り開放する。つまり、東京都という自治行政の関係、あるいは国の行政もございましょう。厚生省の行政とか、自治省の行政、建設省の行政、その他直轄行政、営林省の行政等もございます。そういうものは、大体においていまアメリカ軍は基地として使っておりません。ただ原始林のような状態で放任されておりますが。基地として使われておりますものでございましても、自衛隊が全面的に引き継ぐということはせずに、でき得る限り民生安定のために。いま現におる白系の日本人並びにこれから渡島するであろう日本人のために開放する、こういう原則に立っております。  これは総務長官の分もあわせて答えたわけでございますが、そこで、自衛隊といたしましては、本会議のときも申し上げましたが、さしあたり父島には四十名、硫黄島には五十名、それから南鳥島には十名、これだけのものを引き渡しと同時に派遣いたしたい。そのために、準備要員がいま硫黄島に六名、父島に六名行って、向こうで宿直のような状態で、種々の引き継ぎに備えて泊まり込んでおります。そこで何をするかという、父島におきましては揚陸艇等がときどき停泊するわけでございます。これは日米双方で停泊し得るわけでございますが、それを受け入れるという関係をいたします。それからなお、水上機等が水上に着水いたしますけれども、結局陸上に上がってくるわけでございまして、陸上に上がってきますときの設営関係において引き受けをするために、父島に四十名の自衛隊を用意いたしております。それから五十名の自衛隊を硫黄島に用意してあるのは、現在一万フィートのランウエーを持った飛行場がございまして、その飛行場を管理するための要員でございます。南鳥島においては十名、自衛隊を置くつもりでございますが、それは、ロランC局は硫黄島にも南鳥島にもございますが、おのおの米兵が三十名ずつおります。日本の自衛隊は。硫黄島においては五十名、一方の南鳥島においては十名置きまして、千三百メートルのランウエーを持っている飛行場を有効に管理する。いまのところ、百名ということを考えております。  しかし、将来はどうするか。将来は責任を徐々に多くのものを引き受けるということは、コミュニケに書いてございますが、そのとおりでございまして、将来は自衛隊員としては二百名に近い数を置きたい。そうして、米兵はロランCだけしか残っておりません。南鳥島に三十名、硫黄島に三十名でございます。しかしながら、全南方諸島においては、日本本土と同じように日米安保条約が及ぶのである、こういうふうに御認識願えば幸いでございます。
  84. 石野久男

    石野委員 日米安保条約がこの地域に及ぶということですが、防衛庁の関係で、今度日本に返る小笠原諸島の軍事的な位置づけなり、それに対する防衛の意義といいますか、そういうものはどういうふうに考えておりますか。そしてまた、自衛隊としては、防衛する範囲としてどの程度のものを考えておりますか。
  85. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは予算委員会の総括質問の際に、針のような、林のような状態を守るということについて聞かれました。すなわち、父島にしても母島にしても、兄島、弟島、嫁島、聟島、硫黄島、各種の島がございますが、その島の領土、領海並びにその上のものを領空というのだそうでございますが、これらを日米安保体制下において自衛隊が守る、こういうことでございまして、それ以上の意義は考えていないわけでございます。
  86. 石野久男

    石野委員 この地域がやはり日米安保条約の範囲に入って、そういう役割りを受けていくということになりますと、日米安保条約の持っている役割りと、それからこのコミュニケに出てきます全アジアに対する安全保障のための日米協力というものとの関係も、当然その中に含まれてくるわけですね。
  87. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 日本本土が、現在、日米安保条約第六条によって極東の平和と安全に幾分の貢献をいたしております。その程度のものが小笠原その他南方諸島に及ぶのであるということだけは言い得ると思います。すなわち、日本本土並みでございます。
  88. 石野久男

    石野委員 その日米安保条約のなにが入ってくる、やはり範囲がみな入ってくるということになると、この共同声明の第五項にあるところのアジアの全地域におけるところの――日本がアジアの安定に貢献する用意があるということを総理が言ったわけですね。そのことと日米安保条約との関係、それから沖繩あるいはこの小笠原、これの関連性が全アジアの安定のためへの領域として生きてきますと、これは非常に大きな範囲になってきますね、この範囲というのは。全アジア云々というんですから、相当大きい範囲だ、こう思いますけれども、総理がジョンソンとの間で取りかわした第五項のアジア全域に対する安全保障の基本的な考え方、それとの関連性ではどういう役割りを持ちますか。
  89. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは外務大臣からお答え願ったほうがいいんじゃないかと思いますが。あなたは、コミュニケというものによってある程度画期的な変革があったとおっしゃいますけれども、私はそれほどではないと思います。すなわち、安保条約第六条を上回るものではない、現行法を上回るものではないと私は考えております。そこで、アジアの平和と安定のために日本がその能力に応じて貢献したいといえば、すぐ自衛力をさすのであるということにはならないのでありまして、自衛力はあくまで日本本土の自衛だけでございます。それから、日本本土が駐日米軍の極東の平和と安全に役立つために使われることを認めたという六条でございますが、その六条の範囲が小笠原諸島に及ぶんだ、これだけのことを考えております。
  90. 石野久男

    石野委員 あと、時間の関係がありますから穗積君に引き継ぎますけれども、先ほど大臣も言っておるように、コミュニケの中では、この地域の防衛の責任を徐々に引き受けていくということを言っておりますね。徐々にということは、ロランC局がアメリカ側にそのまま残されていて、そして日本で引き受けていくものを徐々に拡大していくという意味はどういうことなんですか。防衛関係のもので必要なものは全部向こうに置いてあるわけでしょう。徐々にこちらで拡大するということはどういうことですか。
  91. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは、小笠原島その他南方諸島が返るか返らぬかというところに力を入れたわけでございまして、そのときのことばの多少あやではなかったかと思います。グラジュアリーという字と多くの責任ということは、大体その責任はこちらに渡してありまして。結局ロランC局は、北海道の十勝というところにあるものはアメリカ軍が管理いたしておりますから、そこで当分は、ロランC局はその徐々にというところに入らないのじゃないか。この協定をごらんになっても、ロランC局はアメリカ軍が管理する、それで、アメリカ軍にわれわれが供与する施設及び区域、援助を含んだ施設及び区域の中に入るものと、こういうのが今度の協定の内容でございますから、そこで、もう徐々でもなければ、多くの責任でもない。多くの責任といったところで、要するに二百名未満ですから、どうもそのとき作文された日本外務省――ここにもいらっしゃいますけれども、それから向こうの国務省の責任者も、マッチとかグラジュアリーという字がありますけれども、大体返すものは返してしまってあるということで、だからよかったというふうにひとつ石野さんも御了解願いたいと思います。
  92. 石野久男

    石野委員 よかったというのはどういう意味ですか。
  93. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 つまり、施政権においては日本の小笠原島になる。元来潜在主権はあるわけですけれども、施政権において日本の小笠原諸島になるわけですから、そこで、防衛の責任を、多くの防衛設備を徐々に返すということをせずに、一緒に多くの責任を返してしまった、また多くの責任を日本では背負うことになったということは、私どもは、やはり栄誉ある主権国家としてよかった、こういうふうに石野さんもお考え願えればしあわせであると思います。
  94. 石野久男

    石野委員 栄誉ある主権国家というのは、いわゆる潜在主権が顕在主権になったということは喜ばしいわけだけれども、まだしかし、その中にロランC局が残っておる。それからまた、飛行場も向こうは使うわけでしょう。ですから、決して全部の主権がこちらに来てしまったというわけではないでしょう。よかったどころか、かえってそういう点は不明朗になってしまったのですよ。今度は向こうが潜在主権を持っていて、こっちに返ったと言いながら、飛行場は向こうで使うし、ロランC局は依然としてやはり残っており、当分はまだこちらのほうに返ってこないのだというのですから、かえって不安じゃないですか。ちっとも無条件ではないじゃないですか。ちっともよくはないじゃないですか。むしろ、われわれはそういう点に問題を残すと見ているのです。
  95. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 わが本土におきましても、北海道の十勝というところにはロランC局がございまして、アメリカ軍がこれを管理する、日本といたしましては、その施設並びに区域を基地として提供しておる。これがいいか悪いかということは、立場の相違でなんでございますが、私は、集団安全保障条約というものは全世界の通常ある現象でございまして、別段主権国家の誇りを傷つけたものではない、国民を守り、国家の存在を守る上には必要である、こう考えております。ですから、十勝のようなものが、ロランC局として南鳥島と硫黄島に残る、こういうわけでございます。それから、あとの飛行場は、使わんと欲せば使えますけれども、大体向こうは使いはしません。全部引き揚げてしまいまして、たまに不時着でもしようとか、そういうために使うのじゃないかと私は考えております。いつでも供用するのであって、そうしてアメリカの飛行機がいつでもあるというふうな状態ではないのでございます。日本のPV2という対潜哨戒機がたまに行くだけでございます。要員も飛行場を管理するためにおるだけでありまして、それでときどき行くために、長さ一万フィートの滑走路を持っておる硫黄島の飛行場を使う、アメリカ軍も使い得るという状態でございますが、少しも私は主権国家の権威を落としたものとは考えておりません。南鳥島は、これはYS11かあるいはUF2くらいがようやく使わんと欲すれば使い得るという、つまり、千三百メートルしかない、非常に小さい、〇・九八平方キロ、一平方キロもないところですから、そこをアメリカ軍も使わんと欲すれば使い得ますけれども、まず使いやしません。ロランC局を維持管理するためにときどき使うでしょうけれども。そういうわけでございまして、われわれの威信とか権威というものを落としたとは全然考えていないわけでございます。
  96. 石野久男

    石野委員 これは立場の違いといいますか、たとえばアメリカに基地を与えておいても、これは集団安全保障の立場からけっこうなことだということで無批判に受けて立つ場合と、しかし、主権が侵害されているというような状態から、これを批判的な立場で見る場合とは、全然違ってくるのです。しかも、この使い方についても、不時着等のような場合にはいたしかたありませんけれども、あらかじめそこに一つの権威を持って、そしてそれを使用するということで許可を与えて入る場合とは全然違いますから、主権の行使の場合において、そういう意味で、私は、今度のロランCの場合においても、あるいは飛行場の使用の場合についても、増田長官が言っているような、そういう考えはとりたくない。受けるなら無条件で返還させるべきである。それをあいまいにしているというところに、今度の場合でもわれわれはいろいろ問題にする点があるし、防衛の観点からいっても疑義を持たなければならぬ。西太平洋防衛協定というような地域というものがそこにできて、その一つの役割りを果たすようなことがいまの中から出てくるのじゃないかという心配をさえ持っているわけですから、増田長官が言うように、そうわれわれは喜んで、これを、はいそうですかというわけにはいかないということを言うわけですよ。そういう点をあとでまた同僚が質問しますから、一応時間の関係がありますので、これで終わります。
  97. 秋田大助

  98. 穗積七郎

    穗積委員 事の順序で、外務大臣に念のために一つだけ事前にお尋ねしておきます。  それは、われわれの解釈によりますと、小笠原に対するアメリカの権利というものは、平和条約第三条に依拠しているものでございましょうか。ここは政府と私どもの立場の違うところですが、サンフランシスコ条約第三条というものは、日本が国連に正規に加盟いたしましてから法理的にこれは失効しているものである、したがって、アメリカの沖繩、小笠原に対する施政権施行は不当であるのみならず、不法である、こういうふうに言ってきたわけです。その認識は別といたしまして、その法の解釈は、アメリカとわれわれとの間においても違いが生じてきておる。だがしかし、今度の返還にあたりましては、アメリカは一方的に権利を放棄して――正当に存在する権利を、日本の利益のために、あるいは日本の要求のために、一方的に放棄するという形式がとられておるわけですね。そうなりますと、第三条の小笠原に関する法律というものの権威並びに効力は残存しておるわけですね。そう解釈しますか。
  99. 三木武夫

    三木国務大臣 この三条がまだ残っておるかということですか。小笠原の法律というのはどういう法律ですか。
  100. 穗積七郎

    穗積委員 よく聞いて言ってください。第三条の中において、小笠原の規定がされておるわけです。今度小笠原に対してその部分が削除されたり、撤回されたり、または法律上その効力が消滅して返還ということになるのではない、権利は残存しておるけれども、日本のために、要求に従ってアメリカが一方的にこの権利を日本に放棄し、譲渡する、こういう形式になっているわけだ。したがって、そうなると、第三条における小笠原の規定に関する法律上の権威並びに効力は、返還後においても残存するものであると解釈しておるのかどうかということを聞いておるのです。
  101. 三木武夫

    三木国務大臣 残存はいたしません。放棄したらもうなくなってしまいます。
  102. 穗積七郎

    穗積委員 事のついでにお尋ねいたしましょう。  そうしますと、あと残るのは沖繩だけですね。沖繩に対して同様の形式が、すなわち、今度の小笠原と同じような返還形式がとられたとしたときに、第三条はどういうことになりますか。第三条全体がどうなるのですか。
  103. 三木武夫

    三木国務大臣 第三条の内容は――まだ沖繩問題が解決しないから、三条の関連がありますが、これが返ってくれば、第三条に規定する内容はもう空文化されるといいますか、形として残るけれども、実質的な三条の意義というものはなくなってくる、こういうふうに考えます。
  104. 穗積七郎

    穗積委員 外務省条約局長、その解釈で間違いないですか、統一解釈ですね。あとになっていざこざ言わぬように……。
  105. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 大臣のおっしゃるとおりでございます。空文化すると思います。――大臣のおっしゃるとおりでございます。沖繩が返還された後には三条は空文化すると思います。
  106. 穗積七郎

    穗積委員 第三条の取り扱い並びに解釈については、小笠原が返還された後には、小笠原に関するするその効力並びに条項は消滅したものと理解していいわけですか。
  107. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 この第三条の小笠原に関して書いてあります部分は、空文化したと考えられていいと思います。
  108. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、二点についてお尋ねいたしましょう。  そうなれば、事実関係が消滅したから、法律の条項並びに効力は消滅したということの確認をとる必要があるかないか、これが一点。  それからもう一点。時間を節約するために、第二点を一括してお尋ねいたしておきましょう。その場合に、最後の沖繩が返還されました場合には、第三条はどうなりますか、同様に消滅するわけですね。消滅すると、これは本来からいえば、契約でも法律でもそうでありますが、第三条以外のものは平和条約として残るわけだ。そうなると、第三条は空白になって、削除しなければならぬわけですね。これは法律の取り扱いのテクニカルからいいましても当然だと思うのです。国内法におきましても、事実関係が消滅して、法の規定の対象がもうなくなったというときには、第三条は削除、第何条は削除という取り扱いになるわけです。そう解釈してよろしゅうございますか。
  109. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 最初のお尋ねでございますが、法律関係で申しますれば、平和条約ができまして、その後に、今度の国会で御承認を願っております小笠原の返還の協定ができるわけでございます。これが発効いたしましたときには、その分がかぶると申しますか、その分については、今度の協定のほうがその分を消していくわけでございます。したがって、法律関係におきますれば、小笠原に関して第三条が書いておりますところは、今回の協定で変わられる、こういう関係になると思います。  それから、沖繩に関しましても、これは将来のことでございますが、沖繩返還の場合に同じような形式がとられた場合に、やはりそういう形になって、法律関係としては、この三条の部分が変わられる。したがって、結果といたしましては、三条自体が空文化してしまう、そういう形になると思います。  その場合に、第三条を削除すべきかどうか。これはおそらく、非常にはっきり、厳密にやれば、削除すべきものかもしれません。しかし、条約の場合には、空文化した形がたびたび起こるわけでございます。特に多数国間条約の場合などは、その事実関係がなくなっても、すべての国がもう一度合意しない限りは削除されないわけでございますから、そのまま空文化した形で残っている条約というのはずいぶんあるわけでございます。平和条約自体につきましても、たとえば通商条項などは四年間のことをきめてあるわけでございますが、この四年間が経過した後には、この条項自体は空文化しているわけでございます。そういう形が条約においてはたびたび起こるものと了解しております。
  110. 穗積七郎

    穗積委員 私の言うのは、法理的なことを言っているのです。われわれの理解する法理論からいきますと、削除しないならば、第三条に依拠して施政権を行なっておった小笠原を返還するに伴って、第三条で規定するところの小笠原に関する条項、クローズは失効したものであるということを、何らかの合意文書の上で確認をとるか、しからずんば削除するか、いずれかでなければならない。ところが、条文そのものが形の上でも残存しておるということになりますと、ある意味においては、事実関係で、同じ地域に対して二つの国の統治権が行なわれるということは不可能ですから、一方は消えます。私は消え方を聞いているのです。消えるときに、しかし、法律上の権威並びに効力は消滅していない、実効だけが後退したのだということに解しますと、いままで、ある意味において沖繩諸島に対して日本の潜在主権があったという解釈がされ、統治権はアメリカにある、だがしかし、潜在主権はわがほうにあるのだ、こういう論理があったわけですね。そうしますと、統治権は現実的には日本に譲渡したけれども、しかし、潜在的には、アメリカのこの領土に対する第三条の規定は消滅をしていなければあり得る、こういう実に不自然な、非合理的な解釈がそこにはさまれる余地というか、そういう不明確さを残しておる、こういう意味で、私は心配して伺っておるのです。このことは、私どもは、沖繩の返還の場合を想定して、小笠原の返還の形式、この内容を重視しておるわけで、そういう意味で聞いているのですから、いずれかでなければおかしいと私は解釈するわけです。削除するか、しからずんば、この条項は永遠に消滅したものであるということの了解を議事録なり文書なりでとっておく必要がある、こういうことです。念のために申し上げておきますと、奄美大島返還のときにはその手続がとられなかった。私個人は当時議席がなかった。したがって、私は、国会全体の責任として非合理的な取り扱いであるというふうに考えたわけです。それで、今度のことは将来沖繩問題に関連をいたしますから、そこで潜在的な――顕在的には日本の統治権だ、しかし、潜在的には、第三条に依拠してこれはまだ消えていないのだ、こういうような論理がもてあそばれる現在の段階ではないでしょうが、政治的に、あるいは国際情勢の上でそういうことが生じてきた場合に、この不明確さというようなものを残すために――それは三木さんの個人的な御解釈、条約局長の在任中の個人的な意見であるにすぎない。法理的には、客観的には、こういうものでなければならぬのだという論理は当然用いられるわけです。だから、その点を明確にしておいてもらいたい。私の趣旨を御理解の上で答弁してもらいたい。
  111. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この第三条の問題が小笠原に対して空洞化すると申しましたのは、単に事実関係日本に返りましたから空洞化したわけではございませんで、今度の協定で受益国であるアメリカがこれを放棄し、日本側がこれを受け取った、こういう形で、これは条約という形での法律関係でございます。そういう形での法律関係がこれに取りかわったというふうにわれわれは解釈しておりまして、奄美の場合にも同じように解釈しております。
  112. 穗積七郎

    穗積委員 第三条の形式、経路はわかっています。われわれの考えとは違ったものであって、われわれとしては、その論理並びに法手続が不満であるわけであります。不満でありますからこそ、問題をあとに残してはいけないから聞いておるのです。ですから、そうであるならば、いまの事実関係は、この協定によって新たな日本の権利が生じたと解釈していいと思うけれども、前の、第三条の中における小笠原に関するクローズは、消えたのか消えないのか、削除するのかしないのか、この二つとも不明確に存置されておるわけだ。だから、私は、それは日本としては事実関係が消滅いたしましたし、新たなるこの協定ができたので、それでこれは全部失効したのだ、消滅したのだ、こういう解釈はアメリカと合意の上に立っておるかどうかを聞きたいのです。合意になっておるならば、それの議事録なり文書が残っておるかどうかという二点です。
  113. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 この点は、条約自体と申しますか、第一条で、アメリカが平和条約第三条の規定に基づくすべての権利及び利益を放棄すると書いてあり、日本国が完全な権能及び責任を引き受けるというふうに書いておりますから、この点は、合意議事録でも何でもなくて、協定自体におきまして、そういう引き受けたということが、法律的にそこで明らかになっておると私は考えております。それで、その点が、前の協定と申しますか、平和条約が、それによってどうなるのだというふうなお尋ねだと思いますが、前の平和条約におきましては、アメリカ自体が受益国でございまして、日本が潜在主権を持っておると解釈されております。したがって、この形で受益国であるアメリカが放棄いたしました場合には、当然潜在主権国にその主権が返ってくるというふうに解釈するのがすなおだろうと私は考えております。
  114. 穗積七郎

    穗積委員 その解釈はアメリカとの間で一致いたしておりますね。それを信頼して間違いがない事実をこの際答弁しておいてもらいたい。
  115. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 アメリカとの間は、アメリカは当然そういうふうな解釈に立っております。その点は、先ほどのを繰り返すようでまことに相済みませんが、この第一条においては、アメリカの意思は非常にはっきりしており、また、その解釈についてアメリカ側と意見の相違があったことはございません。
  116. 穗積七郎

    穗積委員 もう一つだけ外務大臣にお尋ねしておきます。  いま石野委員からも御質問がありまして、この協定だけではなくて、昨年十一月の共同声明の中にも小笠原の問題が入っておるわけですね。そういう意味でお尋ねするのですが、共同声明の効力ですね。これが第一問で、第二問は、共同声明とこの協定とはどういう関係にあると政府は理解しておるか、この二点についてお尋ねをいたします。
  117. 三木武夫

    三木国務大臣 共同声明は、総理、大統領という政治の最高責任者が、両方のポリシーといいますか、政策の点について意見を述べ合ったわけで、これが条約とか法律とか、そういうふうなもの以上のものではない。しかし、その時点において最高の責任者が述べ合ったことでありますから、総理とか大統領がかわっても、一つの共同コミュニケにおいて述べられたことに対しては、これはやはり継続性を持っている、こういうふうに考えます。
  118. 穗積七郎

    穗積委員 私は、継続性を聞いているのではないのです。法理的な効力を聞いているのです。
  119. 三木武夫

    三木国務大臣 これは法律的なものよりも、政治的なものじゃないでしょうか。政治的なもの、だから、大統領と総理とがいろいろな問題について意見を述べ合った、そういうことで、これが条約とかあるいは協定とかいうものではなくして、きわめて政治的な見解を述べ合って、これを明らかにしたということでありまして、政治の最高責任者が述べたので、この中で述べ合ったことに対しては、その時点における考え方を表明したものだし、約束したようなことに対しては、将来に対してもやはりそれは継続して拘束をする性質を帯びていると私は思います。   〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕
  120. 穗積七郎

    穗積委員 私は、共同声明、コミュニケというものは、もう少しやはり厳密に取り扱われておるのが国際慣例ではないかと思うのです。したがって、事務当局の御意見を先に伺った上で、あなたにまた再質問いたしましょう。  共同声明の法律的効果をどう考えておられますか。特に具体的には、今度の協定の中に出ていないいろいろな合意がここに列挙されておるわけだ、共同声明の中に。これはいま言ったとおり、ジョンソンがかわり、佐藤がかわったからといって、失効するものではない。吉田書簡とは性質が違いますよ。日本国を代表するものでありますし、継続性のあることもわかっておる。そのときの効力の問題ですね。それをどう考えておるかということを事前に伺っておかぬと、協定だけを対象にして審議したのでは、手落ちのそしりを免れない。そういう意味で、念のために伺っておるのです。
  121. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 これは大臣からもお話しになりましたとおり、両国の首班がお話しになってこういうものができたわけでございますから、そういう意味で、別に佐藤さんであり、ジョンソン大統領であるという意味でなくて、両国の首班の意思の表明であるというふうに私は考えております。法律的効力がどうかというふうなお話でございますが、条約の場合のように、一種の約束と申しますか、国際約束ではございませんから、したがって、いわゆる国際法上の違反になるとかいうような、そういう性質のものではないと思います。条約との差はそこにあると思います。
  122. 穗積七郎

    穗積委員 ちょっとあなたは勘違いしておられるのじゃないでしょうか。共同声明が共通の政治目標を表示しておるならいいけれども、権利義務関係を伴った内容が規定されていますよ。義務規定ですよ、この共同声明の中にあるものは。国と国を代表する大統領並びに首相の取りきめというものが、単なる政治目標をうたったものである、それが実行されてもされなくとも、時の情勢で責任がない、本人もなければ国もない、そういうのとは違いますよ。この中でちゃんと責任がうたってある、日本国が負担すべき責任が。だから聞いているのです。その義務は、一体破ってもいいのか、行なえなければ破ってもいいのか。そうじゃなくて、破った場合には国際協定と同様のオブリゲーションを感じなければいけないのか、違反したものはそれに違反するという事実関係、この解釈が成り立つのか、成り立たぬのか、それを聞いているのです。
  123. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 先ほど、法律的効力がどういうふうなことかというお話だったので、私、先ほどのような御答弁をいたしたわけでございますが、これはもちろん両国の首班がお話しになってきめられたことでございまして、実際上の義務規定と言えるかどうか、私はそう考えませんが、とにかく、アメリカが義務を負い、日本が義務を負うということがコミュニケの中に入るということは可能性がございます。しかし、それはあくまでもやはり政治的な責任の問題でございますし、政治的な義務というものが発生するということでございまして、法律的な、いわゆる国際法上の違反というような形にはならないと思います。
  124. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、共同声明の効力は政治的なものであって、法律的ではない、これでよろしゅうございますか。
  125. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 法律的な責任が発生しないから破っていいとか、そういうことを私申し上げておるわけではないのでございまして、ただ、非常に厳密に法律的なことをお聞きになれば、法律的な違反とか、そういうふうなものは発生しないということを私は申し上げたのであります。
  126. 穗積七郎

    穗積委員 私は、きょうは過去における資料は聞きませんけれども、しかし、これは、共同声明において、義務規定、権利規定については条約と同様である、効力に上下はないという解釈が、従来国会においてとられてきておる政府の解釈であった。私は、政治目標ならいいですよ。しかし、二国間における権利義務関係の内容にわたる取りきめが、これは単なる政治的なものであった、そんな答弁でいいでしょうか。私はそうは思わない。
  127. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 具体的な例をお示しいただかないと、私も一般的なお答えをいたす立場にないのでございますが、コミュニケの場合でも――コミュニケという形の場合は非常に少ないと思いますが、たとえば共同宣言というような形、たとえば日ソ共同宣言というような形の場合には、これは条約でございますから、――条約と私が申しますのは変でございますが、条約として取り扱って国会の御承認も得ておるわけでございます。したがって、こういうものに対して法律的な効力が出ることは、これは当然なことでございます。しかし、いわゆるこの形の佐藤・ジョンソン、具体的なこの例をとりまして私御説明いたしますれば、これは政治的な責任の発生のみにとどまるものと思っております。
  128. 穗積七郎

    穗積委員 それじゃ、過去のことは後の問題としましょう。一般的な問題ですから、それはきょうでなくてもよろしい。  したがって、昨年の十一月に発表になりました共同声明のうち、小笠原問題に関するこの合意は、法律上の効力がないものである、政治的には信義を持たなければならぬけれども、法律上の効力はないものである、こういう解釈を前提にして、これから法律関係はこの協定だけである、こういう解釈で審議を進めて間違いありませんね。
  129. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 お話しのとおりだと思います。
  130. 穗積七郎

    穗積委員 両大臣にもう一ぺんそれを確認いたしておきましょう。これは法律的効力はないものだ、オブリゲーションはないものだということ、そういう理解でよろしいか。この中には特に防衛関係の責任も負っておりますから、増田長官からも、はなはだなんですけれども、大事なことですから、イエス、ノーでけっこうですから、御答弁をわずらわしたい。
  131. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおりに考えております。
  132. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 そのとおりと考えます。
  133. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、内容にわたって少しくお尋ねいたします。  これは当時、小笠原返還協定に関していろいろ推測をされておったところですが、新聞報道等においても、そのことがもう確実な事実であるように報道されておりましたのですが、小笠原協定に関連をしてインドネシアに対する経済協力、援助、これは条件とされて話し合いをされておりますかどうか。そのことがもしありとすれば、どういう形式でそれが確認をされておるか、その二点について、時間節約上一括してお尋ねいたしますから、お答えをいただきたいと思います。
  134. 三木武夫

    三木国務大臣 この小笠原の施政権返還とインドネシアの経済援助は、全然関係ありません。
  135. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、政治的にも全然ないわけですね。そういう話が出たこともない。向こうから希望は申し述べられましたか。
  136. 三木武夫

    三木国務大臣 小笠原の返還に関連して、インドネシアの経済援助がその返還を話し合っておる席上で出された事実は全然ありません。関連も全然ありません。また、小笠原の返還とインドネシアの援助、これは関連をつけて考える意思は政府は全然ありません。
  137. 穗積七郎

    穗積委員 それでけっこうです。  そこで、今度はこの協定における特に軍事防衛の点についてお尋ねをいたします。今度の返還に伴って、わが国の共同防衛地域は拡大するわけですね、安保条約との関連で。
  138. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 南方諸島に関する限り拡大いたします。
  139. 穗積七郎

    穗積委員 防衛庁においては、いわばそれに伴う防衛計画の拡大方針を具体的にも検討しておられますかどうか。また、具体的に検討はしなくとも、一般的な方向として、この返還に伴って、わが国の従来の防衛計画に拡張的な修正を加えなければならないと考えておられるかどうか。
  140. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 従来の防衛計画に、多少ではございますが、先ほど石野さんにもお答えいたしましたけれども、究極のところは二百名、百九十名くらいでございますが、現在のところは、約百名というものをプラスアルファーにいたしまして予備費の請求をしようと思っておる次第であります。
  141. 穗積七郎

    穗積委員 施設そのほかについてはどうですか。
  142. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 施設についても、石野さんにちょっとお答えいたしましたが、父島につきましては埠頭施設、それからいかりをつけるところのブイがございます。そういうようなものの提供を受けます。それから、米軍のほうから宿舎その他の提供を受けるわけでございまして、主として海上自衛艦が参りましたときにこれを受け入れする、水上機が参ったときにこれを受け入れするというのが父島の状況でございまして、約四十名の自衛隊員を派遣することを考えております。それから硫黄島におきましては、一万フィートの滑走路を持っておる飛行場の引き渡しを受けますから、これを海上自衛隊において管理する、そのために五十名。それから南鳥島におきましては千三百メートルの滑走路を持っておる飛行場の引き渡しを受けます。自衛隊といたしましては、これらのものの引き渡しを受けますので、そのために十名、合計百名の自衛隊員を派遣することを考えております。まだ閣議にもかけておりませんで、きまったものではございませんけれども、おおよそ状況は右のとおりになっております。
  143. 穗積七郎

    穗積委員 あとの審議を進めるために、増田長官に安保条約に関する解釈を一点だけ伺っておきたいと思います。  それは、安保条約でいうところの在日米軍の防衛範囲は、日本の自衛並びに極東の安全保障、こういうことですね。ところが、現在のわが国の自衛隊の防衛責任はわが国の自衛だけですね。   〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 自衛隊の防衛責任はわが国の施政権下におけるわが国の領土でございます。そこで沖繩は領土の主権は潜在いたしておりますが、施政権下にございませんから、自衛隊はこれを守らない、こういうわけでございます。それから在日米軍は、日本並びに日本を含む極東、こういうことを使命としております。
  145. 穗積七郎

    穗積委員 それは米軍の対象ですね。
  146. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようです。
  147. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、日本の自衛隊は日本の固有の領土に関する自衛だけが対象である、当然ですが、それでよろしゅうございますか。
  148. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようでございます。
  149. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、あの共同声明内における第五項の日本の首相並びにアメリカ大統領、「両者は、日本の安全と極東の平和及び安全の確保のため、」云々とありますが、これは日本の防衛対象の中にあとの極東は入りませんね。アメリカ軍だけですな。そういう意味ですか。
  150. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようでございます。
  151. 穗積七郎

    穗積委員 それに間違いありませんね。――それから能力に応じてアジアの平和と安定のため、積極的に貢献するという共同声明の文章がありますね。これは経済的または政治的意味だけでございますか。
  152. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私が先ほど石野さんにお答えしましたのは、主としてという意味でございます。主として、軍事的というようなことよりも、むしろ経済的である、こう考えております。
  153. 穗積七郎

    穗積委員 ところが、この共同声明はそうではない。この安全保障というものは、軍事的要素のみならず、政治的安定並びに経済的発展、この三つの要素で成り立っておるものであると、こう明確に書いてある。したがって、政治的または経済的にだけではなく、軍事的なものについても、日本は積極的な貢献の対象の中に入っておる。極東の範囲の安全保障についてですね。これは従来の安保条約日本の軍事的防衛の範囲を逸脱するものである、こう思いますが、増田長官の御見解いかがですか。ここで食い違いますね。共同声明のほうが責任の範囲でも広くなっている。
  154. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私はそうは考えていないのでございまして、第一次の安保は狭い安保でございましたけれども、第二次の安保は相互協力並びに相互の安全保障に関する条約、普通に日米安保、安保といっておりますが、非常に肩書きが長いわけでございまして、そこで自衛隊の守備する範囲は先ほど申したとおりでございます。しかし、在日米軍は極東の平和と安全のために、日米安保条約第六条によって、日本の施設並びに区域を含む基地を使用することができる、その範囲においては日本政府もこれを支援する、こういう状態でございます。
  155. 穗積七郎

    穗積委員 だから、その支援の中には軍事的なものは含まれない。そしてまた、日本の自衛隊本来の目標というものは、わが国の固有領土の自衛行為だけに極限をされている。ところが、共同声明は、そうはうたっていない。両者は、自衛並びに極東の安全保障について――その安全保障の基礎というものは、まっ先に軍事的要素であるということが指摘されておる。そうなると、安保条約を逸脱した共同声明ですね。さっきの解釈によれば、これは佐藤さんの政治的なるあれであるから、あとでそういオブリゲーションというものは行なわなくても法律的にいいのだ、こういう御解釈ですけれども、少なくとも、共同声明そのものについては、これは明らかな逸脱でしょう。
  156. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは主としてアメリカ日本とがアジア諸国のことに言及しているわけでございます。しかし、一般論として申してもいいのでしょうけれども、全体の文脈から見ますと、極東の諸国の平和と安全の維持は、単なる軍事的要因だけではない。その国の政治的安定が必要だし、経済的な発展も必要である。であるからして、日本の「総理大臣は、日本がその能力に応じてアジアの平和と安定のため、積極的に貢献する用意がある」、これは経済を主としておるものである。もとより軍事というところに非常に誤解があるのでございまして、自衛隊が出るということでは全然ないわけでございます。ただ、政治的関係につきましても、アジア諸国が安定しておることは望ましいわけでございまして、われわれは絶対に諸国の内政干渉はいたしません。いたしませんが、政治的安定をアジアのそれぞれの国が得ることが、やはり平和と安全の保持のために必要である、こういうことを言ったにすぎないと私は考えております。
  157. 穗積七郎

    穗積委員 聡明かつ正確な論理を用いることにおいて自信を持っておられる増田長官、いまのあなたの解釈は違います。日米両首脳が共通の責任を持つべき対象として言ったアジア極東の安全保障というものは、まっ先に軍事的要素が含まれておる。それが主である。それはこの文章で明確ですね。軍事的要因が主である。主であるけれども、それがすべてではなくて「政治的安定と経済的発展にもよるものである」と、「にも」になっている。ですから、これはあなたの言われるように、政治、経済の要因が日本協力の主であるなんということじゃないのですよ。軍事的要因、これが主であるということは明確ではありませんか。
  158. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは軍事的と書いてございましても、アジアのそれぞれの国の平和と安全を維持するためには、それぞれの国の軍事的要因というものはやはり考えなくちゃならぬというわけでございまして、日本の自衛隊とかあるいは安保第六条ということをすぐ結びつけて考えることはどうかと思います。それぞれの国が独立の主権国家として存在し、あるいは発展していくためには、軍事的要因が必要である、これは差しつかえないことだと思います。それぞれの国、マレーシアならマレーシアが軍隊を持つことが必要である。しかし、それだけではだめである。政治的に安定しなくてはいけないし、経済の発展も大いに安全と平和に貢献しておる。だから、日本国総理大臣は、その能力に応じて積極的に貢献したいというのは、ニュアンスとしては、どうしても政治的安定と経済的発展に日本は寄与いたしたい、それぞれの発展途上国の足りないところは、経済的や政治的方面でもし力になれるならばなって差し上げたいという用意があることを表明した、これだけでございまして、軍事的軍事的とおっしゃいますけれども、自衛隊とからめて考えたり、第六条がすぐ発動すると考えないで、それぞれの国、タイならタイが、タイの平和と安全を守るためには、タイの軍事的要因が必要だ、タイ国の軍隊が必要だけれども、それだけではないのだ、タイ国の政治的安定と経済的発展がやはりタイ国の平和と安全に寄与していることに両者とも共通の認識を持った、これはもう当然のことだと思います。
  159. 穗積七郎

    穗積委員 外務省事務当局にお尋ねいたしましょう。この原文は、外務省事務当局とアメリカとの間で、もう佐藤・ジョンソン会談以前につくられておったのでしょうか。そういうことと、イニシャは外務省が握っておる。防衛庁はこの共同声明をつくるときに何のイニシャも持っていなかったわけでしょう。だから、あえて軍事的要因云々ということを避けられようしておられますけれども、この文章が共通の対象として、目標として取り上げた極東の安全については、主要因は軍事的要因である。それから補足的に、政治的安定、経済的発展にもよるものである、こう規定がしてある。この文章解釈には間違いがない。ただ、そこで増田長官は、この軍事的要因に対しては日本の自衛隊は全然責任を持たないのだということを言われるわけだ。そんなことは、どこをもってこの文章構成上証明されるか、私はそう思わない。そうであるならば、外務省とこの共同声明の作成会議の途中で、これは一般的に言ったことであって、両国の軍事防衛上の責任は含まれないものである、特にわが国の自衛隊については、極東の安全保障については、経済並びに政治の問題だけに限る、そういうことの取りつけがあってこそ言われることであって、私はおそらくなかろうと思うんですね。しかも問題になるのは、この文章でしょう。それから見まして、外務省の意見をこの際伺っておかないと、増田長官の一方的解釈をもって私どもはこれを受け取るわけにはいかない。
  160. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 このコミュニケができます前には、コミュニケはジョンソン大統領と佐藤総理とお会いになって書かれるわけではございませんで、その会談の実現に至るまで両方の事務当局におきましていろいろ相談し、準備を進めて一応の案をつくって、そこで総理大臣及び大統領が見られまして意見を加えられまして、確定するものでございます。したがって、総理及び大統領の会談の前までには、こういうものの案はむろんできておるわけでございます。その案の作成につきましては、両事務当局が相談の上書くわけでございまして、いまの第五項に関しましては、もとより安全保障の問題というのは軍事的の面だけではなく、政治的、経済的の面もあるんだという思想に立っております。いわば軍事的面という点におきましては、前段におきまして日米安保条約体制に言及しておる。後段は、しかしながら安全保障の問題は、さような軍事的問題のみならず、政治的、経済的の面もあるんだ、わが国はそういう政治的、経済的の面においても大いにできることをやりますということを書いてあるわけでございまして、先ほど防衛庁長官のおっしゃいましたように、安保条約以上のことがここに書いてあるとか、あるいは日本の自衛隊が憲法のワクを越えて何かやるということは、一切この五項には入っておりません。
  161. 穗積七郎

    穗積委員 現在の安保条約条約構造として改正されないでそのままでおる、それに対して、これがどういう法律的効果を持つかということを私は聞いておるのではないのです。さっきも言うように、共同声明は政治的なものである、目標も含まれるし、権利義務関係も政治的な責任があるだけである、こういうふうに言われたわけです。そこで、この共同声明は、安全保障に関する軍事的要素を主とする、だがしかし、それのみではない、この表現は、すぐ法律違反であるということを私は言うのではない。しかしながら、目標としては、この日本国だけが、日本国のみが軍事的要素に対する努力目標の政治的責任は除外をされておるという意味には、この共同声明は解釈されない、そういう意味ですよ、私の言うのは。あなた、いまの安保条約を修正するものであるとか、あるいはまたそれを逸脱するものであるとかいうことではないのです。政治目標として、これは明らかに日本側の軍事的協力を阻害するものではない、当然それが期待されておる、それを佐藤さんは目標としておる、こう解釈せざるを得ない。いかがですか。
  162. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 先ほど安保条約あるいは憲法以上のことはないと申しましたのは、御質疑を伺っておりまして、そういう点が問題だと思ったものでございますから、さように申し上げたわけでございます。このコミュニケにおいて申しておりますことも、広い意味の安全保障あるいはアジアの平和ということについて日本も応分のことをしてもらうという趣旨でございまして、その点は先刻来防衛庁長官のお話しのとおりであると考えております。
  163. 穗積七郎

    穗積委員 いま与党の理事さんから、一時三十分になったら休憩をしようというお申し入れがありました。委員長においてさようであれば、私どもこれに異存はございません。さよういたしましょう。
  164. 秋田大助

    秋田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  165. 秋田大助

    秋田委員長 速記を始めて。  この際、午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      ――――◇―――――    午後三時十三分開議
  166. 秋田大助

    秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。穗積七郎君。
  167. 穗積七郎

    穗積委員 防衛庁長官、小笠原が返還された後に、防衛関係から見て、現在ある米軍の防衛体制と、返還した後の日本が担当する防衛関係は、どういう相違がありますか。相違の生ずる点を説明してもらいたい。
  168. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 原則として、米軍の防衛しておる責任を自衛隊が引き継ぐ、こういうわけでございますが、しかし、おおむね自衛隊の隊員の数から申せば、われわれが平常どおりというぐあいに考えたときには百九十名くらいでございまして、いまのところ約百名ということを想定しておるわけでございまして、百名の自衛隊員が増員できればけっこうでございます。それだけの相違があるだけでございます。
  169. 穗積七郎

    穗積委員 米軍が引き続いて使用し得ますロランC基地の設備並びに機能は従来どおりですね。従来どおりになりますね。
  170. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 従来どおりでございます。
  171. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、それ以外の、アメリカの現在あるロラン基地以外のものはこっちに返るわけですね。施設基地並びにその他は撤去になるわけでしょう。そこで、われわれが引き受け、それでダウンしますか、アップするわけですか、こっちの担当するものは。
  172. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 原則として、アメリカのロランC局以外のものを引き受ける、こういうことでございまして、しかも、アメリカ軍が基地として使っておる部面でも、民有地として相当解除いたしたい、それで民生の安定をはかりたい、こう考えておりますから、地域的には現在アメリカが基地として使用しておる範囲よりも、自衛隊の関係は狭くなりますということは申し上げていいわけでございます。
  173. 穗積七郎

    穗積委員 先ほど石野委員も尋ねていましたが、共同声明によると、徐々に引き受けるということでございますね。それはどういうことでしょうか。現在の米軍のレベルはそのまま受け継いでダウンしないのでしょう。そうすると、徐々に引き受けるというのはできないで、一挙に引き受けるわけじゃないですか。そうすると、将来これが膨張、発展する可能性があるという意味になるわけですね、徐々に引き受けるというのは。
  174. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 先ほど石野さんにもお答えいたしましたが、コミュニケの草案あるいはコミュニケ自身を声明する段階におきましては、徐々に多くの責任を引き受けるものとする、こう書いてございますけれども、ロランC局以外のものはもう全責任をこちらで引き受けるわけでございまして、それからロランC局は、施政権が全般的に日本に返りまするから、今度は日本側がロランC局を提供する。その提供する関係で、費用やその他は米軍で持つでございましょうけれども、しかし、わが領土における区域並びに施設を提供して、ロランCの範囲においては基地として提供する、こういうふうに考えられておるわけでございまして、そこで徐々に多くの責任と申しましても、一挙に全責任が日本へ返ってきたというふうに考えてくださってけっこうでございます。
  175. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、徐々に拡大したリミットは現在の米軍のレベルということですか。現在のレベルをそのまま一挙に引き受けるのでなくて、徐々に引き受けるということは、スタートはちゃんとダウンして引き受けて、それから徐々に引き受けたその最高のリミットというものは、現在米軍の機能よりはさらにアップするという意味ですか。そういうこともあり得るわけですね。
  176. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 あらゆる機会において申し上げておりまするが、施政権が返ってきた場合に、わが国の自衛隊が守備する範囲は、小笠原島その他南方諸島、たくさん島がございますが、面積にいたしますと百二平方キロでございます。百二平方キロ及び各島々の沖合い三海里以内が領海でございます。その領海と領土と、それからその上を領空と言っておりますが、その領空とを守備する。この範囲は、具体問題としては、自衛隊員の数は、ちょっとアメリカの軍隊の数よりも、二百名未満でございますからややふえますが、責任自体は増減はないものと考えております。
  177. 穗積七郎

    穗積委員 それでは二つに分けて、将来への展望でお尋ねしたいのです。それは、米軍のロランC局ですね。これは実はわれわれの判断では、アメリカ側のABM体制と機能的には不可分のものだと思うのです。そうなりますと、この施設並びに機能というものは、将来は現状よりはアップされる場合があるわけですね、引き上げられる場合が。
  178. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 穗積さんの御質問がちょっとわかりかねますが、ロランC自身が機能をアップするかという御質問でございましたならば、ロランCは、外務大臣がしばしばお答えしておりますように、いわゆる電波灯台でございまして、正確に言うと、ロング・レインジ・ネビゲーション、結局相当長距離に向かって電波を発信しておりますから、それで飛行機なりあるいは汽船なり軍艦なりが自分の地位がわかる、そういう光線によらない電波による灯台でございまして、その電波の波長等は国際通信法の関係で全世界にわかっておるわけでございまして、どこの国でもこの利益に均てんできるしかけでございます。ただ、いまのところ、よそで使っておるかどうかということはわかりませんが、ABMと密接不可離という関係はございません。   〔発言する者あり〕
  179. 秋田大助

    秋田委員長 静粛に願います。
  180. 穗積七郎

    穗積委員 ちょっと自民党席が私語が多くて、せっかくの答弁がよく聞こえません。私語を全然しないでということも――常識的に、やる人はちょっと外へ出てくれるか、すみのほうでやってもらうように、そうでないと答弁が正確に聞こえないのです。  将来、小笠原には核兵器に関連をする兵器または基地は、当然厳格に入れませんね。持ち込ませませんね。
  181. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 非核三原則は小笠原には厳格に適用するわけでございます。
  182. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、核兵器関係とのその機能的な連関関係はないという御答弁でしたが、将来はいろいろな技術開発並びにABMその他のアジアにおける防衛体制から見て、それ自身は核兵器ではない、または攻撃的核兵器ではないけれども、他の地域の基地にある米軍の核兵器、それは攻撃的または防御的を問わず、そういうものの機能と、小笠原に置かれる電波その他と、これから将来どういうものが置かれるか、それは制限がないわけですから、それ自身は核兵器ではないけれども、その兵器または基地の機能が、他の地域にある核基地または核兵器の機能に総合的には一環をなしておる関連がある、そういうものはこれは非核三原則に抵触をする。核兵器の補助的なものであっても、核兵器としての機能を果たすものである。そういたしますと、非核三原則からいたしまして、こういうものは設置、装備あるいは施設を持ち込ませない、施設は建設をさせない、そういうのが当然であると思いますが、非核三原則は当然堅持されるというお答えでありますれば、論理的に説明発展させればそういうことになると思うのです。その点についてちゃんとした確約をいただいておきたいと思うのです。
  183. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この一月に、日米安全保障協議会の専門的な下部機構というものはございませんけれども、しかしながら、時々協議するということが安保条約第四条に書いてあるわけでございまして、事務レベルで時々協議をいたしております。そのときに、ウォンケという国防次官補が参りまして、ABMのそのまた先のレーダー――ABMで一応ICBM等を撃ち落とすしかけになっておりますが、スパルタンとかスプリントでございます。そのためには、レーダーで相当キャッチをしなければなりませんが、そのレーダーは日本に置くつもりはないということの確約を得ておることを申し上げておきます。
  184. 穗積七郎

    穗積委員 核兵器の補助的な機能も、すなわち、核兵器体系の一環をなす兵器またはいまの電波その他の情報機関というものは、いまは置かないということですけれども、将来についてもその点は確約できますね。
  185. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 そのことは、まず結論から申しますれば、確約できます。  それから、ロランC局というものは、やはり誤解のある方があるといけませんから申し上げておきますが、こちらで電波を出して、そして船舶の操縦なり飛行機の操縦に利便を与え、しかも電波の波長等は各国にわかっておりますから、その利益は各国が均てんされ得る、こういうわけでございまして、受信をするというしかけはないわけでございまして、発信、つまり電波を送るだけのしかけがロランC局でございます。
  186. 穗積七郎

    穗積委員 私は、武器の体系そのものについて専門的な知識はないわけですけれども、われわれが現在の開発されておる核兵器の体系から見まして、ABM体系というのは、たとえば人工衛星、それからポラリス潜水艦、あるいは原水爆の塔載機等々が総合的にコンバインされて、初めて核兵器体系というものができるわけでしょう。それはある場合においては防御的な役割りを果たし、ある場合には攻撃的役割りを果たすでしょう。いずれにいたしましても、そういう一環としての通信基地またはロランC局というものがあるとすれば、それ自身は核兵器としてのあれはないですけれども、核兵器の補助的な役割りを果たす。そういうことになりますと、これは核戦略体系の一環としての通信基地あるいはロラン基地であるとすれば、これは当然非核三原則立場から見て、そういうことに利用される――それ自身が核兵器であるかどうかは別として、そういうことできまるのではなくて、その作用、効用が核戦略体系、核兵器に利用されるということになれば、私は、これは核兵器の一環としての通信基地あるいは電波基地である、こういうふうにいわれると思うのです。これも私は非核三原則に違反抵触するものである、こう思いますが、そこのところを明らかにしておきませんと、非核三原則、すなわち核兵器ではないということは、それ自身が核兵器でなければ何でもいいということはない。全体の機能から見まして、核兵器に補助的であろうと主動的であろうと、いわゆる核兵器戦略体系の中で、小笠原に置かれておるいろいろな基地なり施設なりが利用されるということになると、これは核兵器体系に利用されるものとして当然持ち込ませてはいけないし、もし持ち込んでおってそういう活動をすれば、これは撤去を求める、あるいはその活用を停止せしめるということになるのが当然だと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  187. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 繰り返して申し上げますが、ABM体制の一環になることは、たとえばレーダーでキャッチすることも、日本は将来とも拒む、こういう方針を堅持するわけでございます。そこで、ロラン局というものは、ロングレインジということでおわかりのとおり、普通の灯台よりも距離が長くいくというだけの話でございまして、灯台自身が受信をする能力というものは、それは別に無線電信か何かあれば別でございますが、ロラン自身は二千四百キロも向こうへいく電波を発信する灯台である、これだけの話でございまして、受信をするしかけというものはないわけでございます。そこで、ABMにはまずレーダーを使って受信をして、そしてICBMかなんかをキャッチする。そしてある一定の角度に来たときにスパルタンを飛ばし、その次になお近距離に来たときにスプリントを飛ばしてこれを撃砕する、こういうしかけでございまして、当然耳として目としてレーダーが要るわけでございますが、そういうレーダーではないわけでございまして、ロランCというものはレーダーと関係ないのだ。ただ電波で灯台の役目をしておるのであって、世界各国ともその利益にはあずかり得るのであるということをこの際明確にいたしておきます。
  188. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、いまは残存するアメリカ基地の施設の問題、装備の問題であったのだが、日本が引き受ける基地またはこれからつくる基地、あるいは開発する施設あるいは兵器、その領域の中で、たとえば第三次防で開発を計画しておるレーダーのようなものがあそこに設置されて、それでいまおっしゃったのとは反対の核戦略体系の主導的なあるいは補助的な役割りを果たすようなものは、日本の担当の地域の中にも置かない、こういうことですね。これは確約されますか。
  189. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ABMの一環をなすレーダーによってキャッチするという、そういうしかけも、ABMの一環をなすと思いますから、これを拒否する、こういう考えに変わりはございません。わが国のレーダーというものは二十四カ所ございますが、いずれも到達距離は二百海里でございまして、二百海里先のもの以上はレーダーの目に写ってこない、こういうわけでございます。一方、おそらく数千キロの先のものをキャッチしないと間に合わないということになると思いまするが、これはあるほかの機会においても申し上げましたが、アラスカとかハワイ等にABMの目を設ける、レーダーを設けるということだそうでございます。それ以上のことはアメリカも全然要望もいたしておりませんし、必要がないとはっきり言っておるわけでございます。また、必要があってわれわれに要求した場合でも、われわれは拒むということは、この際明瞭にしておきます。
  190. 穗積七郎

    穗積委員 最後に、防衛庁長官の核兵器に関する基本的な考えを伺っておきたい。  現在の段階においては、保守党の政府は、いかなる核兵器も、言いかえれば、防御的なあるいは小型の核兵器であってもつくらない、持たない、持ち込ませない、こういう非核三原則を堅持する。しかし、これは政治原則ですから、法律上の原則ではないわけですよ。そこで、憲法に禁止されている核の限界ですね、核兵器の限界、これと非核三原則との間には径庭というか、開きがありますね。それについて、非核三原則と、憲法の禁止する、法律的に禁止するものとの開き、あるいは両者の限界について、防衛庁長官の御理解というか、解釈を伺っておきたいと思うのです。
  191. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは、政府全体といいますか、法制局長官を含んだ政府全体の従来答えておる範囲のことを申し上げます。  まず、戦略核兵器でございますが、これは、日本が持ち込むことは憲法違反である、こう考えております。日本政府の管理しない外国軍隊が、日本本土において戦略的核兵器を持つことは憲法の関知するところではない、こういうふうになっております。  それから戦術的核兵器でございますが、戦術的核兵器は、外国に脅威を与えるわけではないから、日本国憲法第九条から見て憲法違反ということは言い得ないであろう、これは法制局長官が言っていることを申し上げます。しかしながら、日本の自衛隊は持つことはいたさない。これがいわゆる非核三原則に入ってくるわけでございます。しからば、外国の軍隊、日本政府の管理しない外国軍隊が日本本土において戦術的核兵器を持つことはいいか悪いか、これは憲法上は差しつかえない、こういうことになっております。  そこで、今度は穗積君の言われる政府の問題に入るわけでございますが、憲法、法律の認める戦術的核兵器をわが自衛隊は持つか、全然持たない。製造するか、製造しない。保有するか、保有しない。それから、外国軍隊をして日本本土において戦略的核兵器を持たしめ、持ち込ましめ、あるいは製造せしめる――製造せしめるという点は、ちょっとこれは憲法上疑義があると私は思っておりますが――疑義がない、憲法の関知するところではないと言われておる。しかし、外国軍隊の、すなわち、日本政府の管理しない外国軍隊が戦略的核兵器を持ち込みあるいは保有するということも、わが日本政府はこれを拒む、こういう政治原則を立てておるのがいわゆる非核三原則でございます。
  192. 秋田大助

  193. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田長官にまず劈頭お伺いしたいのは、米軍が日本から提供されております基地を返還する場合の事務的な正当な手続をひとつ御説明願いたい。
  194. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 まだ正式にはいたしておりませんが、略式にはしばしば相談をいたしております。そこで、正式に申しますれば、日本における外国の、つまり駐留軍の地位に関する協定がございまして、その協定によって、日米合同委員会なるものが設けられております。合同委員会日本側の議長は、ここにおるアメリカ局長でございまして、正式にそういうところで話がある。それから私のほうの施設庁長官が議長代理をつとめておるわけでございます。そこで話し合いがあるものと考えております。
  195. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはいま問題になっております沖繩もしくは小笠原と離れてお聞きしておるわけなんですが、国内では、提供しました米軍の基地が相当多数返されているようです。その場合に、一体土地はどういう形になるのか、その後の使用はどういうふうになるのか、そういう点で、もう従来例はございましょうけれども、これは法令的にも事務的にもはっきりした線をお出し願いたい。私があえてこう言うのは、数年前からしばしばお伺いしておりましたが、成規な返還の手続をしないうちに、いつの間にか自衛隊がそっと入り込んでしまっておる例がずいぶんあるのですね。少なくともそう見える事例はたくさんあります。したがって、一たん返還されたならば、その土地が一体どこへ帰属すべきものなのか、その施設は  一体どうなるのか。それをたとえば自衛隊が借りる場合にはどういう手続を踏み、どういう事務的な処理をすべきものなのか、ちょっともうおそいけれども、これはもう正式にというふうに言うのが当然の話なんで、あまり一時的な便法が多かったと思います。その点を明らかにしておきたい。
  196. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいま防衛庁長官がおっしゃいましたように、施設の提供及び返還は、地位協定の第二条におきまして、合同委員会を通じて取りきめることになっております。提供の場合にもむろんそうでございますが、返還の場合にも、合同委員会の合意を経て日本側に返還されるわけでございます。その場合に、たとえば自衛隊もこれを使うというような施設は、同じく第二条において、米軍の施設を自衛隊が共用し、あるいは自衛隊の施設を米軍に使わせるというような取りきめも合同委員会でできることになっております。お話しのように、その手続を経ずして返ってしまったというような例はないと私は存じますが、その場合にも、返還と同時に、たとえば共同使用の取りきめをするとか、あるいは米軍が持ったまま自衛隊が共同使用をするということはございますが、それはそのつど合同委員会で取りきめて、官報にも出るはずでございます。
  197. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは実態をお知りになってないのじゃないですか。一たん返還しようとする場合には、日米合同委員会でこれを取りきめるというのでしょう。取りきめる前に、ジョイントユースがあちこちにたくさんありますね。そのジョイントユースがそのままにずっと継承されておる例が非常に多いんじゃないか。はっきりした例を申し上げましょうか。北富士は国有地じゃありません。その場合に、正当にいうならば、個人の土地を使っている場合には一たん個人に返し、国の土地を使っている場合には一たん国に返す、たとえ大蔵省の所管であろうとも一たんこれを返して、あらためてこれを使用目的によって個人なり国なりに要求すべきが、提供された基地が返った場合の措置じゃないですか。違いますか。
  198. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 私がいま申し上げましたのは、確かに原則でございますが、北富士の場合も、私のいま承知します限りでは、現在まだ米軍に提供された形になっておりまして、その返還にあたりましては、むろんもとの所有者に返るわけでございますが、返還後これを米軍と共同使用するというようなことをもし合同委員会で両方が認めますれば、返還と同時に、やはり二条によりまして共同使用の取りきめをするという形になっているわけでございます。   〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕
  199. 淡谷悠藏

    淡谷委員 少し具体的な例を出しましたから混同しますけれども、返還する場合の事務的な措置というのは私の言うとおりなんでしょう。米軍が返還した場合に、これは無条件に個人に返す、もしくは国に返す、そうしてあらためて国から所管がえを受けて防衛庁が使うなりあるいは他の省が使うなりするのが正しい行き方じゃないですか。どこどこの場合ということを申し上げたのは一例ですが、事務的にはそれが正しい措置じゃないですか。それとも、アメリカの言いなりになって、これは返すけれども、防衛庁が使えだとか、農林省が使えということを日米合同委員会で取りきめるのですか。米軍が返す場合の条件つきというのはそういう絶対的なものですか。その点をお聞きしたい。
  200. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 返還自体は、いま先生のお話しのように、合同委員会の合意で取りきめるわけでございます。通常の施設でございましたら、返還後は所有者に返ったままでございますが、たとえばそれを自衛隊が使う、あるいは自衛隊が使いつつ米軍と共同使用したほうがいいとアメリカ側も希望し、わがほうもそれが適当であると認める場合には、手続的には、返還と同時に、なるべく同じときに、さような共同使用の取りきめをすることもあるわけでございますが、その場合に、返還後そのような使い方がわが国から見ても適当であるということで、合同委員会の合意ができるわけでございます。
  201. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのときの返還の条件などがつく場合の当事者というのは、厳密にいってどうなんですか。たとえば、私有地であっても、私有地の所有者がその取りきめには参画し得ないのか、あるいは同意を得なくてもいいのか、一体合同委員会というのだけれども、メンバーは相当に限られておるでしょう。その構成をひとつお聞かせ願いたい。
  202. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 合同委員会ではいろいろ地位協定実施上広範な問題を扱っておりますので、いろいろな分科会がございます。いまのような第二条の施設の提供、返還というようなことは、施設分科委員会というのがありまして、防衛庁の施設庁がもっぱらこれを担当しておられます。そこで、いま提供いたします場合には、提供の主体は日本政府でございます。施設庁が、国の財産、あるいは私有財産の場合には所有者との了解の手続を経まして、日本政府から提供するという形になります。
  203. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その手続を経ましてというのは、同意を得てですか、無理やりやるのですか、どっちですか。
  204. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 同意を得てということでございます。
  205. 淡谷悠藏

    淡谷委員 したがって、返った場合、返った基地の使用については権利者の要求が入るわけですね。たとえば小笠原の場合ですが、今度の小笠原の場合は同じように考えてよろしいですか。それともまた、従来の国内における基地提供とは別なケースでやるべきものですか。
  206. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 返還後、たとえば共同使用いたしますという場合には、むろん所有者の同意を得て共同使用という取りきめをするわけでございます。小笠原の場合には、いままで施政権がございませんでしたので、これは協定発効と同時に施政権が日本に返ります。そこで、地位協定の手続に従って提供するということになりますので、その提供の手続と申しますか、実態は本土の場合と同じでございます。   〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私があえてこういうことを伺うのは、さっきから同僚委員の質問に対する増田長官のお答えを聞いていますと、もう小笠原はどうでもやれるんだといったような答弁が多いのですね。たとえば自衛隊の派遣にしましても、ロランCはアメリカの条件がついておったようです。条件がついておるようなロランCは除いて、あとの返還された小笠原全島というのは、やはりそういう正当な手続を踏むべきものではないかと思うのですが、いかがですか。もう返す前からちゃんときまっておるんですか。
  208. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 小笠原諸島には現在施政権がございませんから、むろん安保条約の地位協定の適用はございません。そこで、返ってきます場合には、これは地位協定とは関係なく返ってまいるわけであります。すなわち、これらの現在米軍が小笠原に持っております施設は、今回の返還協定で新たに提供しない限り、これは地位協定関係なく日本側に全部返ってくるわけでございます。そこで、引き続き提供するものをこの第三条であげてあるわけでございまして、ここにあげてないものは全部地位協定とは関係なく日本側に返還されるわけでございまして、これには使用条件とか、そういったようなものは何もないわけでございます。
  209. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまの御答弁ですが、返ってきた小笠原島を、返ったあとでどういうふうに使うべきかを決定するのはあたりまえではないですか。  増田長官にお聞きしますが、あなたはまだ返りもしない小笠原に自衛隊を百名出すとか、あの基地の滑走路はおれたちが守るのだとか、占領したような気持ちになっていますね。アメリカに取られたものを奪還したわけではないでしょう。これはやはり地位協定に従って日本に返してもらうのですから、返してもらったら返してもらったように、正当な国の決定があるまで、自衛隊そのものとしては何もそういう権利がないじゃないですか。これはいかがです。
  210. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 でございますから、最初から、防衛計画はいずれ閣議決定になりますけれども、その下打ち合わせ等の意味におきまして申し上げると言ってお答えいたしておるわけでございます。
  211. 淡谷悠藏

    淡谷委員 下打ち合わせの場合は防衛計画だけでしょう。これは外務大臣にお伺いしますが、返ってきた小笠原島に対する総合的な開発計画なりあるいは使用目的なりというものは、もう閣内ではきまっているのですか。
  212. 三木武夫

    三木国務大臣 これは総務長官がやはり中心になりまして、とにかく二十三年もアメリカの秩序の中にあったものですから、これから実際の計画を――計画の輪郭はできておるようですけれども、これを実行に移すというまでの間には、まだやはりいろいろ具体的に検討せんならぬものがありますので、大体の輪郭はあるけれども、これがいますぐに具体的にもう開発計画が立っておるという段階ではございません。もう少し時間が要るでしょう。
  213. 淡谷悠藏

    淡谷委員 よくわかりました。そこで増田長官、あなたはさっきの御答弁で、閣内のさまざまな交渉でやっているのだ、こう言っておりましたが、それでさっきのお答えは、交渉の結果大体まとまった線ですか。自衛隊百名の派遣あるいは硫黄島における基地の確保、こういうのは大体閣内で了承を得た既定の事実なんですか。
  214. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 まだ御了解を得ておりませんが、私が申し上げたのは、多くの責任を徐々にとございましても、急に防衛力をあそこに増強するわけではないというような意味合いにおきまして、数を言いますとわりあいにわかりがよろしゅうございますから、そこで数を申し上げたわけで、おおよそ百名、それから最後の場合でも二百名に十名くらいが満たないでございましょうということを、例として申し上げておるわけでございます。
  215. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは百名でも多い場合と少ない場合がございますけれども、これは小笠原島というものの今後における国防的な位置です。一体、アメリカがあの島を領有した場合と、日本が返還を受けた場合、国防上から見た目的なり方向なりは同じものでしょうか、違うものでしょうか。これは防衛庁長官、どうお考えです。
  216. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 日本日本の自衛の見地から見ますし、ただし、日米安保条約という線から見れば、今度はアメリカの軍隊も日米安保という線から見直さなくてはいけないと思っております。それから日本の自衛隊は、自衛隊という線から新しく南方諸島を見直すわけでございます。
  217. 淡谷悠藏

    淡谷委員 安保による共同防衛といいましても、何もアメリカがきめたものに自衛隊がのこのこ鉄砲をかついでついていくということではないだろうと私は思う。賢明な増田長官がいるのですから、これは日本独自の国防の見地から取り上げられると思うのですが、その場合に、しからば、小笠原の国防的地位というもの、小笠原の国防的な方向というものは一体どうお考えになっていますか。いま長官は、日本日本独自の自衛の目標があると言うのですから、小笠原島というものの日本の国防に対する位置は一体どうなりますか。百名自衛隊を派遣してよろしいというのは、一体どういう必要があってやるのですか、お聞きしたい。
  218. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 まだはっきりときまったことではございませんけれども、海上自衛隊の者を派遣いたしたいと思っております。陸上自衛隊あるいは航空自衛隊の見地からは、あまり自衛と申しましても意味を持っていないわけでございます。海上自衛隊の見地から、これら諸島の領土、領海、領空を守る、こういう立場でものを考えております。
  219. 淡谷悠藏

    淡谷委員 硫黄島の飛行場というものも、それじゃ海上自衛隊が使うという構想ですね。民間使用はしない。
  220. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この線がまだ閣僚全部のコンセンサスを得ていないのですが、私は夢の島として民間機も共用するような飛行場にいたしたいということを本会議でも述べたのですが、運輸省では検討された結果、どうもあの滑走路は不十分であって、民間機の航空路に指定することはまだ困難であるといったような、ちょっとニュアンスの相違はございますが、私は、あそこは転地療養なんかするのに非常にいいところではないか。そういう療養関係のホテルなんかをつくるのに非常によろしいし、滑走路も三千三百メートルあるわけでございますから、滑走路のあんばいが羽田に比べてはよくできていないそうでございますが、しかしながら、その長さというものが三千三百メートルもあれば、ジェット機が行っても十分である。ですから、ダグラスDC8とかボーイング727というものに乗って一時間十分くらいで、向こうに療養ホテルでもできれば私は行きたいし、そういうふうにいたしたいということを私は一生懸命言っているのに、ほかのせっかくの厚生省や運輸省はいやいやというようなことをおっしゃっているのもちょっと困るのでありまして、やはり夢の島にするという見地でものを考えていただけば、ハワイへ行くより安上がりで、しかも旅券をもらわずにすぐ行かれるし、新婚旅行なんかにも非常によろしいところであると私は考えております。
  221. 淡谷悠藏

    淡谷委員 非常にいい答弁で、これは増田防衛庁長官がみずからそう言われるのですから、あとの閣僚もやはり聞いてほしいと思います。硫黄島なども非常に暗い思い出のまつわっている島でございますから、そのあとをまた昔の軍国主義を思わせるような自衛隊が専用するなどという線は出していただきたくないということをくれぐれも希望として申し上げておきますが、ただ、百人の海上自衛隊はあそこで何をやっているのですか。やはり船を乗り回すわけですか。まさか海上自衛隊が陸に上がってしまうわけでもないでしょうね。船を持っていくわけですね。
  222. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いまのところ、まだ草案の域を脱しませんから、ここで言ってしまって、また淡谷さんにいじめられると困るのですが、ひとつ前提として、こういう草案を考えておるということを、御参考になることを申し上げますから、それだからいかぬというふうにおっしゃらないでお聞き願いたいと思います。  硫黄島は、海上自衛隊のうちの航空関係のものに管理させる。航空群というものの出張所みたいなことにいたしたいと思っております。そこで、飛行場を管理するのは、ときどき飛行機が行って着陸いたします。また、発進もいたすわけでございます。発着をいたす関係で管理をしておる。管理をしておるといっても、ただ宿直がいるだけではいけませんから、適当な状態に飛行場や滑走路がないといけませんから、そのためにはセメントなんかも相当積んだり、いろいろいたさないといけないと思います。五十名ということを考えております。これがいまのところ一番多いのです。  それから父島は四十名ですが、これは海上自衛隊の横須賀の地方隊が行きまして、航空群の出張所みたいなものではございませんで、横須賀の海上自衛隊の地方隊が出張いたしまして、そして揚陸艇その他の米軍の船も着くことがございましょう。また日本の自衛隊の船も行くことがあると思います。そのときの航路標識を管理しておくとか、それから水上機が一たん着水いたしましても、今度は陸上に上がってこなければなりませんが、陸上に上がってくるときには、私も現地に参りましたが、ずっとななめに海の中に入っていくコンクリートの道があるわけですが、その道を管理しておる。それから補給部隊がおる。油その他を管理する補給部隊がおるということで、四十名であります。  南鳥島は千三百メートルの滑走路でございまして、これはYS11が行くのでも、父島から行くのでもなかなか困難ではないか。将来PX―Sでも日本で開発されれば、PX―Sなんかは車輪の足が出ますから、それが一番安全である。その他の場合は、船で行く以外はどうも……。南鳥島の飛行場にはあまり関心ないのですけれども、向こうさまがぜひ返すから管理してくださいということを頼まれまして、そこで頼まれたのをいやだというわけにはいきませんし、十名で管理しようという計画を持っているわけでございます。将来二百名未満の百九十名になった場合でも、南鳥島の飛行場の管理は自衛隊員十名以上のことは考えていないのでございます。
  223. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうもさっきのせっかくの名答弁が死んじゃうじゃないですか。あそこの飛行場はなるべく民間――なるべくじゃない、民間で使って、保養なり新婚旅行なりに十分使いたいのでしょう。それじゃ自衛隊はそこで新婚旅行を監視するのですか。そんな目標で使うならば、何も海上自衛隊というだいじな任務をしょっている人にやらせなくてもいいじゃないですか。民間でも十分管理がやれるじゃないですか。いま早くやめろやめろということが来ていますけれども、そう御答弁が矛盾したままじゃ了解できないことあたりまえでしょう。時間の問題じゃないですよ。もっと真剣に考えてもらいたい。一体、平和目的のために使うべき飛行場に海上自衛隊をやって番をさせなければならない理由はどこにあるのですか。危険に瀕しているのですか。
  224. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 九州の板付をごらんになればわかるのでございまして、板付はアメリカの軍隊が管理しておりまして、日本の自衛隊はこれを共用さしてもらっております。それからまた、民間機も発着さしてもらっておるわけでございまして、非常に幸福な姿を実現しております。ああいうことを私は頭に置いて考えておるのでございまして、自衛隊がいるからといって、平和を守るための自衛隊でございますから、花見る人の長刀ということではないと私は考えております。
  225. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはまさに花見る人の飛行機みたいなものですね。何もそう平和利用するところに板付みたいになっては困るでしょう。板付でも実際は困っているのですよ。羽田さえ困っているじゃないですか。そのために三里塚であんなことが起こっているのでしょう。平和利用するなら平和利用するように、何も防衛庁がやらなくても運輸省があるじゃないですか。中曽根さんのような強引な運輸大臣があれで一体承知しますか。平和のための飛行機の発着に海上自衛隊が行ってやらなければならぬという、一体そんな航空行政ありますか。どうせあきらめるならあっさりあきらめちゃって、民間管理にしたらいいじゃないですか。それをあくまでもあそこを海上自衛隊が航空方面で押さなければならないというところに、どうも私は長刀じゃなくて、衣の下のよろいを感じるのですがね。これはもう大体わかっているのですか、増田長官。はっきり言ってほしい。
  226. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもはあそこに海上自衛隊の飛行機を常駐させようとは思っておりません。ただときどきは、おそらくPX―Sなんかは車輪の足が出ますから、水上滑走によって離水できますけれども、着水しないで着陸できる、そういうところには一番よろしいのではないかと考えております。しかしながら、これもときどき行くだけでございまして、やはり自衛隊が管理する以外に――ほかの人はいやがっておるのですから、結局自衛隊が管理いたしまして、そして民衆がまた一般の民間の飛行場と同様に使うというようなことで共用できれば、一番平和な姿になると私は考えておるわけでございまして、別に矛盾したことを申しているわけではございません。
  227. 淡谷悠藏

    淡谷委員 航空行政は運輸省の所管でしょう。いまの御答弁だと、海軍機は持っていかないという。海上自衛隊が船を持たないということはあり得ましょうけれども、航空方面をやる海上自衛隊が飛行機も持っていかない。それじゃやはり完全なる民間航空でいいじゃないですか。民間航空は運輸省の所管でしょう。中曽根運輸大臣、やはり硫黄島こわいのですか。あなたに押しつけたわけじゃないでしょう。これはやはり行政の本質に従って、平和な航空は平和な航空の担当省である運輸省でやったほうがいいんじゃないですか。何もわざわざ飛行機も持たない、船にも乗らない海上自衛隊が、夢の島などにおって新婚さんを見ておったら、また頭に上がりますよ。もうあっさりそれは民間に移したほうがいいじゃないですか。これは何と強弁されようと、長官の言うことは少し筋が通りませんね。裏に何かあるのでしょう、演習をやるとか監視をするとか。一体どうお考えなんです。
  228. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、運輸省のほうで進んであそこを民間に共用させてくれと言ってくることを待ち望んでいるわけですけれども、それをいやがっているのですから、やはり運輸大臣も運輸省ももっと前向きになって、それで観光施設として利用してもらうことは、もうとにかく、父島にしても硫黄島にしても、転地療養としては一番いいところでございますから……。そこで、われわれのほうは、あの長いランウエーを持っておる飛行場は、いまのところP2Vは着陸いたします。私も行ってきました。約三時間で向こうへ行きます。しかしながら、将来もっとしっかりしたものにしないと、ボーイング727も行かないといいますし、それから現実の問題として、ダグラスDC8も行かないという。なるほど距離だけは長距離かもしれないけれども、アスファルトその他が根元からしっかりとできてないからごめんだということで、運輸省は逃げられている形で、運輸省が喜んで、やはりあそこは観光施設の一つとして使うということになれば、私どもは自衛隊の専属なんというようなことは決して考えていないのでございまして、夢の島にいたして、民間の方面からも、なるほどよいリゾートホテルができたといって、一般国民がハワイやグァムへ行くより安上がりでいいというところにぜひ実現いたしたい。父島についてもそういう考えを持っております。
  229. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうもこれじゃ、だんだん答弁が出るたびにこれは変なところへ行っちゃうんですね。最初は、あそこは民間で使いたいのだが、こう言うのだが、海上自衛隊が行って航路を監視して、飛行機は持っていかないと言ったり――P2Vというのは行くのでしょう。P2Vは対潜哨戒機じゃないですか。りっぱにあの島を基地にして行動できるでしょう。あなたは出動ということばがきらいだから、行動と申し上げますが、P2Vというのは対潜哨戒機でしょう。潜水艦に対する監視でしょう。それが目標じゃないですか。もしそうじゃなくて、増田防衛庁長官がほんとうにあそこを平和利用しようとする場合に、他の平和な閣僚たちがかえって反対するとなってくれば、これは閣内の不統一ですよ。これは総理にその点はっきり統一してもらわなければしょうがない。いま大事な、返ってくる小笠原の法案を上げたいばかりに、時間がない、時間がないといって、この大事な答弁が食い違ったままで、一体承認できますか。私は、国会の権威を汚すのはそれだと思う。便宜主義一方で、肝心かなめの質疑応答というものを途中でぶっ切るというのはけしからぬですよ。この前だって、あの答弁に対して途中でやったでしょう。御承知でしょう。依然としてあれはまだ解決がつかないままに残った問題です。運用はよくても、そんなことができませんよ。米軍が、日本へ返す前にあの島を領有しなければならなかった共同作戦上の理由は一体何なんです。おそらくアメリカといえども、安保条約がある限りは、日本との共同防衛を考えているでしょう。その場合に、日本に返す前のアメリカの共同防衛上の目標というのは一体何だった。これはあなたがわからなかったら、アメリカに聞いてみてもいいと思う。共同防衛をやる理由は何だったのです。
  230. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これから日本に返ってきた場合に、日米安保条約が適用される。それについてのアメリカ考えはどうかという御質問と一応前提してお答えいたしますが、その前に、私は、運輸省関係その他観光関係で将来使ってほしいと思うことについて、あなたがおしかりになる心持ちがわからないのでございまして、現在の飛行場の施設ではまだ不十分であるから、将来りっぱな飛行場になって、たとえば厚さが一メートルなくちゃいかぬというところを、いまは五十センチしかないということであれば、どうしたってDC8やボーイング727は行かないのですから、そこで、そのままほったらかしておけというのもおかしな議論で、まさか淡谷さん、そんな飛躍はされないと思うのです。そこで、さしあたり、われわれは米軍の管理しておる飛行場その他を引き受けて管理いたします。しかし、将来民間と共用できるようなりっぱな飛行場になれば共用することにやぶさかではないというときに、けしからぬとおっしゃったのではもう話にならぬわけでございまして、そこまで前向きで考えておるということを賢明なる淡谷さんも御了解いただいておるのではないかと思うのです。別に答弁に食い違いはないわけでございます。
  231. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、最も尊敬する増田防衛庁長官を決してしかったりするようなまねはいたさないつもりでありますが、そうお聞き取りになったらおわびいたします。私はやはりあなたの平和構想を支持するのです。支持しますが、あなたは防衛庁長官であるとともに、閣僚の一人でしょう。少なくともあなたが防衛庁長官として処理する以上は、閣内の統一した見解に立つべきが当然なので、それをあなたのせっかくの提案を受け入れないような閣僚のいることは遺憾にたえませんといって私はおこりたい。あなたにはおこっておりません。ただ、その構想にしても、どうもあとの人がやらないからさしあたり海上自衛隊をやってやらせるのだというのは、あまりにも便宜主義じゃありませんか。国政というのはそういうものじゃないでしょう。閣僚の中で意見が一致しないで困るならば、統一するように骨を折るのが総理大臣の責務じゃないですか。増田防衛庁長官という最もタカ派であるべき人が平和論を唱えておる場合に、ハト派であるべき者がタカ派になってあれを基地にしようという構想を持っておるのは、これは閣内の大きな問題だろうと私は心配をしておるのです。  そこで、防衛庁の在日米軍に対する考え方ですね。これをはっきりさせておかないと、今後返された場合の共同防衛にも非常に大きな問題が起こると思うですが、一体、在日米軍とはどういう軍隊なのです。在日というのはどういうことなのですか。
  232. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 在日米軍というのは、日本におる、すなわち、陸軍は補給部隊がおります。それから海軍は補給部隊並びに修理部隊が厚木、横須賀、佐世保等におります。それからマリーンの関係は山口県の周防におるわけであります。それから空軍の主力は三沢と横田におるわけでございます。それが在日米軍でございます。在日というのは、日本本土におる。しこうして日本本土というのは、法の上から申して、本土といえば離島でも同じ本土でございまして、つまり、わが国の施政権下におるということでございます。そこで、小笠原島においては、ロラン局関係においてアメリカ軍がおる、これが在日米軍になるわけであります。
  233. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは英語のお得意な増田長官にぜひお伺いしておきたいのですが、在日米軍とは英語では何といっておるのです。在日ということばを使っていないでしょう。
  234. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 英語ではユナイテッド・ステーツ・アームド・フォーセス、こういうことになっております。そこで、一九五六年のアームド・フォーセスに関するアクトがございまして、そのアクトには、五つのものがアメリカのアームド・フォーセスである、軍隊である。それは陸軍、海軍、空軍、マリーン、コーストガード、沿岸警備隊、これが軍隊である。軍隊とは五つのものをいうというアメリカ合衆国の法律がございます。そこで、日本にはこれらの五つのものが、実力部隊としては米空軍が一番大きい部隊でございますが、あとのものも多少ながらみんなおるわけでございます。
  235. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はどうも学がないので、英語はよく存じませんが、いまお読みになった英語には在日ということばはないようです。在日ということばは直接ないでしょう、軍隊の名前で。
  236. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 「日本の領土における」と書いてございます。「イン・ザ・テリトリー・オブ・ジャパン」と書いてあります。
  237. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこまで入っておるのですか。そうしますと、やはり在日米軍の在日ということばは、あくまでも一つの位置に関する形容詞的な使い方ですね。日本にいる米軍だから在日というわけですね。これは在日米軍という固有名詞じゃないでしょう。固有名詞ですか、それとも在日というのは形容詞ですか、どちらです。
  238. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 在日米軍というのは俗称ではないかと思っております。お互いに常識上使っていることばではないかと思っております。
  239. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきのあれを見ると、日本に進駐した軍隊というふうにとれるのですがね。その場合の「イン・ザ・テリトリー・オブ・ジャパン」というのは、位置に関する形容詞的な使い方じゃないですか。日本にいる軍隊だから在日米軍と日本では使っているわけなのでしょう。そうしますと、在日米軍というのは、明らかに、日本で使う場合に、在日という形容詞をかぶせた米軍というふうに考えていいですね。それを確かめておきたいのです。
  240. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ことばじりをとらえるわけではございませんけれども、進駐という字じゃないのでございまして、駐留とわれわれ言っておりますが、日本の領土におるときのアメリカの陸軍、海軍、空軍その他のものを合衆国軍隊の構成員という、正確なことばでいえばそういうことになっております。結局そのアームド・フォーセスというアメリカの軍隊は五つのものから成り立っておるというのが、アメリカの法律から演繹した私の解釈でございます。
  241. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは進駐じゃなくて駐留だということに、私は異議を言うわけじゃございませんけれども、少なくともこれは日本にいるということばでしょう。今度返還される小笠原でロランCの基地は従来どおり残るわけです。残りますが、一たんは日本に返したものを日本がさらに提供するという形をとるのが正しい方法だと思いますが、それはいかがですか。――そうらしいですがね。そうとすれば、もしロラン基地で日本の労働者を雇用したいという申し入れがあった場合は、他の基地におけると同じように防衛施設庁が主になって労働者を雇い入れてこれに提供する、これは間違いないでしょうな。
  242. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようになると思います。
  243. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その場合は、あくまでも在日米軍に対する供与、役務の提供、こう考えてよろしいですね。
  244. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようになると思います。
  245. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この米軍がかりに本国へ帰った場合に、駐留軍の労務者がついていきますか。
  246. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ついていくかどうかということはわかりませんが、在日駐留軍労務者、つまり日本人の労務者の地位というものは、合同委員会その他で決定されるわけでございます。駐留軍労務者も労働組合をつくっておりますが、それがアメリカへ行くか行かぬかというようなことは、これは交通自由の原則もございますし、一般日本国民と同じ立場だと私は考えております。そこで、駐留軍に雇われたいから駐留軍の被雇用者になる、これだけのことであって、別段特別の権力関係に服するということはないと思います。
  247. 淡谷悠藏

    淡谷委員 在日米軍が日本を去った場合は、日本政府にはこの駐留軍労務者を提供するような義務はもうないと思ってよろしいですか。本人の自由意思で行くのは別として、米軍が日本を去った場合は、日本政府に駐留軍の労務者を提供する義務はないでしょう。いかがです。
  248. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さように思います。
  249. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実はこの前、私は非常に遺憾に思ったのは、駐留軍の労務者が米軍の輸送船に乗ってサイゴンまで行っている例がありますね。これは在日米軍がサイゴンまで行ってもやはり在日米軍ですか。
  250. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 どんな形で行くかわかりませんけれども、サイゴンに行っている場合には、在日米軍とは言えないと思います。そこで、労務者に日本人がいたとすれば、これは本人の自由意思で雇用されたというわけで、いわゆる在日米軍労務者ではないと私は考えます。
  251. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは非常に重大な御答弁です。いま次官をされております小幡さんが、防衛施設庁長官時代に、昨年の社会労働委員会ではっきりそうだと答えているのです。これは三木外務大臣も御承知じゃないですかな。ここに速記録がありますよ。在日米軍というのは、これはあくまでも米軍で日本にいるという形容詞的なことばだと私は主張し、小幡さんは、そうではない、在日米軍はどこへ行っても在日米軍だ、こういう答弁なんですよ。時間が来たという紙がここにも二枚たまっておりますから気がひけているのですが、次官と長官との間に答弁の食い違いがあったらしようがないじゃないですか。確かめますか。それとも読みますか。時間をいただければ私は読みますよ。委員長いいですか――昨年の四十二年六月十三日の社会労働委員会です。しかも、これは人の質問じゃなくて、私の質問ですから、はっきりしています。これは私の質問ですが、ちょっと大事なことですから、もう一ぺん読みます。「MSTSに乗り組んでどこへ行くかは、労務者にとっては死ぬか生きるかのせとぎわですよ。」というくらい戦闘地区に入っているのです。ジョンソン基地に入っているのです。「戦闘行為をやるかやらないかということは、応募する際の最大の要件ではないですか。それを雇用するあなた自体が、戦闘行為とは何か、戦争危険とは何かということを的確に把握しない間に役務を提供することは、非常に危険な行為である」これはMSTSの場合のように、自由雇用ではないのです。MSTSは政府が雇用して駐留軍に労務者を提供している船なんです。それが戦闘地区に入り込んでいる。危険手当が出ている区域に入り込んでいる。しかもサイゴンに。これはどうも私にとっては間違いだというふうに考えて言ったのですが、「私は、やはり直接対敵戦闘をするだけではなく、広範な戦闘を助ける行為は全部戦闘行為であると考えておる。」これはおそらく長官とは意見が合わないでしょう。あなたはそうは思っていないでしょう。「これはおそらくあなたはそうだと言い切れないでしょう。したがって、在日米軍に提供した駐留軍関係の労務は限界点が非常におぼろげになってくるし、在日米軍という範囲もおかしくなってくる。あなたは極東の範囲とおっしゃいますけれども、一体極東の範囲とは終局的にはどこをさすのですか。十分私も調べましたから、用心してお答え願いたい。あなたは、この前の加藤万吉君の質問に対して極東の範囲を持ち出されましたから、私はあぶないと思って聞いておったが、やはりあぶないですよ。」というような質問ですが、小幡政府委員は、はっきりこれはもうジョンソン・ラインへ入っても在日米軍だからといって、在日米軍を固有名詞として使っているのです。どこへ行っても在日米軍だ。ちょうど昔の病院船が赤十字の旗を立てさえすれば、軍隊が乗っていようが武器を積んでいようが、これは赤十字の旗を立てたんだから、病院船と同じだという詭弁まで出てくる。これは事実に基づいた質問なんです。どっちの答弁が正しいですか。
  252. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 駐留軍労務者がサイゴンへ行くという形にかりになったといたします。それは法律を離れて一般的に社会現象として見れば、同じ人が行くのですから、在日米軍の労務者みたいに見えるかもしれませんが、法律的に見れば、日本の領域を離れたときから、私は、本人の志願によって進んで労務に服しておる、いやならやめる、こういうようなことであらねばならないと考えておる次第でございまして、法制的関係は、日本の領土を離れたときに変わってくると私は考えております。そこで、前の政府委員の答弁がもしそういうことを意味するものであるならば訂正を要する。ただし、そこまで法制的にこまかに考えたわけではないのではないかと私は考えておるわけでございます。すなわち、在日米軍というのは、あくまでテリトリー・オブ・ジャパンでありますから、日本のテリトリーと関係のないところに行っているときに、在日米軍の雇用者とは言えない。しかし、社会的、客観的に見れば、同じ甲野太郎なら甲野太郎という人が船に乗っていくのですから、同じ人が行っているじゃないかというけれども、法制的な関係は、日本のテリトリーを離れたときにはすでに在日米軍でない、ほかの米軍の雇用者になっておるのであって、しかもその関係を律するものは、本人の自由意思に基づく直接契約であるというふうに法制的には考えるべきものであると私は考えます。
  253. 秋田大助

    秋田委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  254. 秋田大助

    秋田委員長 速記を始めて。
  255. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、それは非常に大事な問題ですから、実は機会があったら一ぺん質問したいと思って待っておったのです。これはただ見解の相違とかいうふうに逃げられない問題ですよ。今後小笠原が返ってきても問題が出てくるでしょう。こういう質問をしているのです。「MSTSの問題です。MSTSに乗り組んでおる人たちはやはり在日米軍の労務者ですか。」という私の質問に対して、小幡政府委員は「MSTSには私のほうで雇用しておるのがございますが、政府雇用しておるほうは在日米軍の労務者でございます。」とはっきり答えているのです。「LSTはこの前だいぶ聞きましたけれども、MSTSの問題なんですが、」と私は言っているのです。「これは政府が雇用して在日米軍に提供しておるんですか、」これに対して小幡さんは何を言っているかというと、これはまさにあなたの答弁と同じですが、「在日米軍に提供しております。」とはっきり言っているのです。百八十度食い違うじゃないですか。どうなさいます。あなたの次官ですよ。それがいままで一年にわたってこの矛盾が何ら解決されていない。どうなさいます。
  256. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 こまかいことまでほんとうにこれが純民法的あるいは労働関係法的に正確を期して言えない場合があればお許し願いたいと思います。ただ一般社会常識をちょっと上回ったという法律関係から申し上げますと、駐留軍の労務者とは言えないと私は思います。サイゴンあたりへ出かけていっている人は、たとえば政府があっせんして本人が志願いたしたところで、その関係では駐留軍労務者とは言えない。でございますから、当時の小幡施設庁長官が答えた線は、社会常識的に見て答弁したのではないかと思っております。同じ甲野太郎なら甲野太郎がずっと行くわけですから。ところが、日本の駐留軍労務者が出かけていった場合に、おまえこれ承知か、サイゴンに行くのだが、承知です、だから新しく雇ってくださいというように法制関係は変わってきたんだ、その関係は。暗黙の意思表示をお互いに法律行為として交換したかもしれませんが、法制関係は変わってきたものと考えなければおかしな話だと思います。知らないうちに駐留軍に雇われておりながらサイゴンへ行っておったということは、人道上も許すべからざることでございまして、君たちはサイゴンに行く軍事輸送部隊に乗って行くんだぞ、承知しました、そこで、月給は従来の倍くださいとかあるいは五割増しくださいとかなんとか、そこに新しい法律行為をお互いに示し、表示し合ったというふうに考えるべきである、私は民法上そう考えております。また、労働関係法上もそう考えるべきであると考えます。
  257. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんな答弁はとうてい成り立ちませんよ。施設庁長官というのは、駐留軍の労務者を提供すべき直接の責任者でしょう。その直接の責任者が最も明瞭に答えているんです。「MSTSには私のほうで雇用しておるのがございますが、政府雇用しておるほうは在日米軍の労務者でございます。」いま長官は駐留軍の労務者じゃないと言うのですが、一体、政府に駐留軍労務者以外に在日米軍に提供すべき労務というものが何かあるのですか。あったらお聞かせ願います。
  258. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 淡谷さんに若干の訂正をいたします。それは、在日米軍指揮下の艦船は、日本領域から公海あるいは第三国の港に入ることがありましても、その艦船が輸送任務に従事しておる限りにおいては在日米軍というのだ、こういうことでございますから、訂正いたしておきます。これが戦闘行動等に入る場合にはそうではないと私の先ほど申したことも、これは事実でございます。輸送任務に従事しておる限りにおきましては、日本国の領域から公海あるいはは第三国の港に入る場合がありましても、それは在日米軍指揮下の艦船であるということでございます。訂正いたしておきます。
  259. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官はどうしていままでそうじゃないと言ったのですか。あなたは長官になって以来ずっと、私に問われて答えられたような線を正しいと思ってこられたのでしょう。はっきりこの席上で、私の答弁は誤りでしたと言ってくれなければしょうがない。
  260. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私が若干の訂正をいたすというのは、戦闘行動ということをおっしゃいましたから、戦闘行動に出るようなものは、日本のテリトリーを離れれば在日米軍とはいえない。日本の施政権における本土を守るために在日米軍はあるのでございますから、たとえ極東であって、安保条約第六条の許す範囲でございましょうとも、あるいは極東の周辺でございましょうとも、それは在日米軍とはいえない。あなたが戦闘行動云々ということで私に聞かれましたから、その範囲のことは在日米軍とはいえないし、在日米軍の駐留軍労務者とはいえない。そこで、もし戦闘行動に出るという場合であるならば、本人自身が、被用者、エンプロイーが承知した上でなければ行けないと私は思うのです。また、そんなことを承知日本の施設庁が世話をするということはあり得ないと私は考えます。しかしながら、輸送任務に従事しているだけである場合は、在日米軍の艦船、輸送船が公の海または第三国の港に入りましょうとも、在日米軍指揮下の輸送船団である。MSTSはそういう意味の輸送船団である、こういうことでございますから、その点はつつしんで訂正をいたしておきます。
  261. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、そんなことを言い張ったら、また取り消さなければなりませんよ。輸送の仕事に関係している間はどこへ行っても戦闘行為じゃないと言うのですね。そうはっきり言えますか。どこまで行こうとも輸送任務である限りは戦闘行為ではない、したがって、在日米軍なんだ、こう言うのですね。これははっきりしてください。答弁によってはまた食い違いますよ。
  262. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 戦闘行動と輸送任務との範囲のことは、あなたと私とで範疇に狂いがあるかもしれませんが、輸送関係は戦闘行動にあらず、戦闘行動ときまれば在日米軍とはいえないという従来の説は、私の確信でございます。
  263. 淡谷悠藏

    淡谷委員 また食い違っていますよ。質問いたしますが、そのあとの速記録をごらんになれば、こう書いてあることがわかるのです。「LSTはこの前だいぶ聞きましたけれども、MSTSの問題なんですが、これは政府が雇用して在日米軍に提供しておるんですか、」という質問ですが、小幡政府委員は「在日米軍に提供しております。」という答弁をしておる。「このMSTSがベトナム現地に行った場合に、在日米軍といえますか、どこへ行っても在日米軍ですか。」と、私は質問をさらに突き詰めて言っている。これに対して小幡政府委員は、「先生御承知のように、安保条約に極東の平和、安全維持のために、直接極東そのものでなくとも、その周辺の関係の深い地区に在日米軍は輸送の任務を負っておるわけであります。その任務の範囲内におきましては船舶は行動し得るし、それに従事する範囲内で労務を提供しておる。これは先生も御承知のようなことをしておるわけであります。」といって答えておるわけであります。私は重ねて「ジョンソン・ラインというのは正確に言うとどこをさすのですか。」と尋ねたのに対して、江藤政府委員は、「南ベトナムのドンホイから北緯十七度ラインを通り、東経百十一度ラインで交わる地点から南下しまして北緯十一度、東経百十一度ライン、さらに南下しまして北緯七度、東経百五度、そういう線を結んでおる南ベトナム周辺の海域をさしております。」と答えておる。そのあとが大事なんです。私の質問は、「このジョンソン・ラインに出ておる米軍の船員は特別手当が出ているでしょう。これは危険手当じゃないんですか。そうしますと、同じ米軍で働く日本の労務者も危険手当を受けているはずですね。どうですか。」と言うのに対して、小幡政府委員は「しかるべき手当をもらっております。」――戦時手当をもらっていますね。輸送とか戦闘行為じゃないが、戦時行為であることは事実です。さらに私は、「しかるべき手当をもらっております。」という小幡政府委員の答えに対して、「この区域は明らかに戦場じゃないとはおっしゃらないでしょうな。危険手当を受けておる以上は、戦闘行為による危険手当だと思う。そうしますと、ジョンソン・ラインに出動しておりますMSTSの乗り組み員は、米軍にかかわらず、日本の労務者にかかわらず、これは明らかに戦場内で働いておりますね。」という私の質問です。小幡政府委員は、「ことばの厳密な意味で戦場とは考えておりません。したがいまして、輸送に協力しておるというのが実情であります。」「ことばの厳密な意味で戦場とは何をさしておるのですか。」という私の質問に対して、小幡政府委員は、「ベトナムですと、ベトナムの陸上並びにベトナムの戦闘行為が直接及ぶ範囲だと考えております。」私はさらに「LSTでは、この前に戦争によって死んだ人がありますね。MSTSはLSTよりは危険度が少ないと言っておりますが、この危険度の少ないというのは、船の構造自体が少ないのかあるいは――上陸用舟艇じゃないということをおっしゃいましたが、たまの飛んでこないというような保証はないはずですね。戦争による被害を受けるはずですね。幾ら厳密に言っても、緩慢に言っても、戦争の被害の及ぶ範囲、戦争が行なわれておる区域、これは陸地であると海上であるとを問わないじゃないですか。戦争の危険があるからりっぱに危険手当を払っておる。これはどんなに言いくるめましてもやはり戦場に出ておるのです。そう思いませんか。」この次の小幡政府委員の答弁は、長官のいまの答弁とはっきり食い違っておる。「サイゴン川を遡航するということになれば、当然戦場だと思います。」どうです、これは。
  264. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お説はだんだん拝聴いたしましたが、サイゴン川なんということを私は何も言ったことはありません。
  265. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それで長官の責任済みますか。小幡さんは現次官ですよ。長官と次官との間に、将来日本の海外出兵にさえつながるような危険な解釈の相違を一体許しておけますか。しかも、しろうとならいざ知らず、駐留軍に労務者を提供する当の責任者じゃないですか。いま小笠原が返還されますと、あるいはロラン基地にこういう駐留軍がたまるかもしれない。まだあるのですよ。長官自体の言っていることがある。(「小笠原に関係があるか」と呼ぶ者あり)小笠原に関係ありますよ。この行き違いはどう解決します。
  266. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 その行き違いはないのでございます。先ほどの修正によって調和がとれております。すなわち、輸送部隊の範囲においては戦闘行動ではない。そこで、輸送部隊である場合には、在日軍の輸送部隊、輸送船というものがございましょうし、その場合、駐留軍の労務者が海外において働く場合もございましょうということで修正しております。そこで、サイゴン川という川は、私はよく存じません。メコン川ということはよく聞いておりますが、サイゴン川を遡航するというようなことがあれば戦場でございましょうということを小幡施設庁長官が言ったとすれば、私はその説は賛成でございます。ほとんど内陸地帯と同じでございますから、戦闘作戦地域に入っておるのですから、メコン川を遡航するというようなことがあれば、これはもう戦闘行動に入っておるのではないか。サイゴン川という川も同じだと思います。ですから、別に私は自分の部下と意見を違えておるわけではございません。
  267. 淡谷悠藏

    淡谷委員 サイゴン川は、私が言ったのではなくて、小幡さんの答えていることなんです。これはあなたのほうが確かめたほうがいいと思うのです。サイゴン川とメコン川と違いますか。そうすれば、あなたは食い違いがないというのだけれども、あなたは、輸送行為である以上は、どこへ行っても、戦場の中へ行っても戦闘行為じゃないというのですね。
  268. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 それは小幡君が言ったように、サイゴン川を遡航するというようなことになれば、戦闘行動に参加したことになるでしょうということを淡谷さんにお答えしておる。その線は私はそのとおりだと思います。
  269. 淡谷悠藏

    淡谷委員 サイゴンはいま戦場になりましたね、文字どおり。それじゃいまサイゴンに行っている駐留軍の労務者はおりませんか。
  270. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 要するに、先ほど申した、駐日米軍に雇われて、それからその輸送部隊に参加しておる、その輸送の範囲においては、公の海におきましても、外国の港へ着くだけの範囲ならば輸送行動であるということで、私は、戦闘行動ならばおそらく日本の領域を離れたときに労務関係は変わってくるべきものであるということを申しましたが、一方の小幡次官が施設庁長官のときに申した線もそのとおりでございますということで私は修正しておりますから、淡谷さんもお聞き願いたいと思います。修正いたしております。ここで、事実問題として、いまMSTSが幾らおるとか、あるいはLSTが幾らおるとかいうことは、なかなかむずかしいことで、現時点で幾らおるといったって、それはちょっと無理難題ではございませんでしょうか。私のほうの労務部長だってそこまではわかりません。いま何隻サイゴンの港におるなんてことを答えなければならぬということになると、これは難問題だと思います。難問題にはすぐはお答えできなくても、あと調査の上お答えしていいという国会の慣習になっておりますから、これが私の答弁でございます。
  271. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田防衛庁長官、あなたのさっきから言っていることを速記録で一ぺん読み返してください。あなたの言っていることが非常に変わってきておりますよ。あなたは、輸送行為というのはあくまで戦闘行為でない、それがいつの間にか戦場へ行った輸送行為は戦闘行為だと言い始めている。戦場というのは、戦闘の推移によってどんどん変わっていくのです。少なくとも在日米軍じゃないとあなたが誤認するほど疑わしい問題です。こんなことを許しておけば、これは在日米軍の行動を援助するのだという形で、いつ自衛隊が合法的に行動するかわかりませんよ。だから、戦場における軍事物資その他の輸送、補給物資ですね、この輸送行為もやはり戦闘行為だというふうにあなたははっきり確認できるでしょうな。サイゴン川かメコン川か知りませんが、小幡長官の言ったことに一致するといえば、これが戦場になったとすれば、労務者を政府としては戦場には提供すべきではないでしょう、戦闘行為を助けるのですから。その点をあいまいにしておきますと、私は将来大きな難問題を残すと思うのです。その点をはっきりさしてもらいたい。
  272. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 観念的にはいくらでもはっきり申し上げますが、事実問題と観念論と法理論とを一緒に淡谷さんお聞きになるから、それでごちゃごちゃしてくるわけでありますから、ひとつあとのこまかく検討して答弁しなければならぬ点は、どうか内閣委員会のほうでまた有益な御質問等を承ってお答えいたしたい、こう考えておりますから、よろしくどうぞ……。
  273. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これ一問だけ。  私は、きょう時間がいただければ、増田長官御自身の答弁についても言いたいことがあるのです。それは船の国籍の問題です。特に海上自衛隊を小笠原に派遣し、ロラン基地等がそこにあるとすれば、なおさら船の国籍の問題が大きくなる。この船を護衛する意味で出発し、行動する海上自衛隊は合法的だとあなたは答弁をしているのです。しかし、これはあとにしましょう。さっきからどんどん時間のことだけ請求されますけれども、私は、これは一法案が上がるか上がらぬかということよりも重要な問題だと思います。条約ですからね。それをいいかげんにして、時間だからやめろやめろという与党の皆さんの意思は私にはわかりませんよ。(「約束は守ったほうがいいよ」と呼ぶ者あり)きょうはひとつ守りましょう。しかし非常にはっきりしないものが多いですから、私の質問は他の機会にお聞きすることにいたしましょう。
  274. 秋田大助

    秋田委員長 曽祢益君。
  275. 曾禰益

    ○曽祢委員 本協定に関する最後の防衛庁長官に対する質問の前に、当面この委員会において私も二回にわたって取り上げました佐世保港におけるアメリカ潜水艦放射能汚染の問題については、私は初めから、これは単に科学的な問題だけでなく、高度に政治的な問題であることを指摘いたしまして、外務大臣に対し、内閣全体の責任においてすみやかに対処することを要請しておきました。いろいろ政府発表が二転三転する等の関係から、いま一番に緊急に最大の大きな問題は、まず第一に、放射能の汚染の問題については、わが国がアメリカ協力を要請することはいいですけれども、あくまで自主的に原因を徹底的に究明すること、そうしてその結果をまたすみやかに公表いたしまして、国民の疑惑と不安とを解消する、これには寄港の阻止、反対、いろいろありますけれども、当面まず自主的な徹底的な科学的調査、そしてその結果を発表してすみやかに国民の疑惑と不安を解消せよ、これが私は第一だと思う。第二に、その結果、もしソードフィッシュにこの汚染が関係ありという結果だったとするならば、この問題についてしばしば言ったように、政府の汚染対策あるいは放射能測定の対策その他が非常に手違いとかあるいは足らざるところばかりであったので、それに関する政治的責任の問題が起こる。と同時に、政治的責任の問題とともに、関係ありといった場合には、放射能測定その他の安全対策の確立までは少なくとも入港に同意しない、特に入港中の冷却水の放出等をどうするかということを含めて測定の科学的方法、それから安全対策、これについての確固たる対策を確立すること、それまでは、いかなる事情においても、政治的の反対、あるいはこれを許容する、いろいろ問題はあろうが、現実の問題としては、アメリカ原子力を推進機関とする艦船は入港に同意しない、これを私は申し上げたい。それで、もしソードフィッシュに関係がないという結論が出たといたしましたならば、その場合においても、その測定対策、それから安全対策において非常に欠けるところがあったのでありますから、すみやかに測定対策、安全対策を確立する、このことについては何ら変わりないわけです。  以上の点もう一度言うならば、自主的な徹底的究明、そうしてこれを発表する。第二には、もしソードフィッシュに関係があるならば、あらゆる安全対策等が整うまでは入港に同意しない。第三には、そうでなくとも今回をいい警告に受け取って、真に国民の安心するような中央の安全対策、測定対策をすみやかに確立する。以上の点は私は当然必要だと思いますが、この時点における外務大臣のお考えを明確にお答え願いたいと思うのです。
  276. 三木武夫

    三木国務大臣 大体において曽祢君の言われるようにわれわれ考えております。
  277. 曾禰益

    ○曽祢委員 ぜひそのようにお取り計らいを願いたいと思います。次に、本件に関連して防衛庁長官に伺いますが、いやしくもわが国の領土が日本に返ってくるのであるし、しかもその領土たるや、非常に遠い海の向こうにある島から成っておる領土でありますから、こういうかなり本土から離れた領土が日本に返ってくる場合に、この返ってくるわが国の領土に対するわが国としての自主的な防衛対策はどうあるべきか、これが基本であって、アメリカの基地をなくすとか引き受けるということだけに中心が置かれているのは、ちょっといささか本末転倒のきらいがありやせぬか。ただ、この地区が幸いにしてと申しましょうか、沖繩の場合と違って、いま極東その他の緊張の焦点にないのですから、したがって、私の申し上げておることは、何も量的、質的に現地における防衛体制を確立しろとか、そんなことを言っておるのじゃありません。また、この硫黄島のようなかつての戦場がむしろ平和のパラダイスのシンボルになることはわれわれも大賛成。しかし、基本的なかまえとしては、これはアメリカの施設を引き受けるとか引き受けないとかいうことだけでなく、基本的な日本の防衛方針、わが国より非常に離れた領土、公海によって非常に離れておるけれども、わが国の領土、これを守るのには基本的対策はどうあるべきか、このことをまず確立してかかるのがほんとうではないか。そういうことがあって、現地にはこれだけの施設を引き受けられる、あるいはこれだけの人員を派遣する、こういうふうになってこなければおかしいと思う。さっき同僚委員の御質問あるいは質疑応答を伺っていると、まだそこら辺の閣議決定がないやに聞いております。これはいまからでもおそくはないので、わが国の領土が返ってくる、それに対する自衛体制は何だ、どういう基本的体制で臨むか、これがきまらずに、百人あるいは百九十人をこえざる、これこれの地点にそれだけのあれを派遣する、それはさまつのことですよ。基本的な姿勢は何ですか。防衛庁長官は運輸大臣ではないのですから、そんな硫黄島の飛行場を民間が引き受けるとか引き受けないとか、パラダイスだとか観光だとか、そんなことはあなたの所管事項ではありませんよ。防衛庁長官のお考えをお聞きしたい。
  278. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は閣僚としての立場もございますから、そこで、夢の島にしたいということは、かねてから、あそこに一月二十五日に初めて参りまして、リゾートホテルをつくるのに一番いいところであるという感じがしたものでありますから、別におじょうずを言っておるわけではなくて、夢の島にいたしたい。また父島は、五月四日に私は水上飛行機で参りまして、そして生まれて初めて離水、着水ということをいたしたわけでございますが、やはり車のついた飛行機が離着陸できるように、離着水ではなくて――離着水というのは非常に危険な感じを与えますので、離着陸できるような、やはり観光の対象にいたしたいという私の考えがあったものでありますから、自然そこに出ましたが、しかし、本来的に防衛庁長官として、遠く離れた島が日本の施政権下に入ることになったらどうあるべきかということを考えろということは、お説のとおりでございます。そういう原則的な立場に立って私どもが考えまして、まず二百名以内の者を飛行場なりその他上陸施設なりあるいはブイなりの管理に任じて、そして日本の防衛艦がときどき巡視に参ります。それからPV2等もときどきは参ります。そうして、有事には小笠原あるいは南方諸島の領土、領海、領空を守り通すということが、われわれの自衛隊を率いておる防衛庁長官の職責である、こう考えて、飛行場を管理するわけでございます。
  279. 曾禰益

    ○曽祢委員 私はその最後のことばが聞きたかった。わが国に領土が返ってくるのだから、アメリカに頼むのではなくて、日本として、地理的には離れておるけれども、まず第一義的には、わが国の自衛隊の力でこの離れた領土を守る、この基本的観念のもとに立って、幸いにこの緊張の焦点から離れておるところであるから、通常、非常にヘビーな現地における自衛組織は必ずしも要らない、主として海上自衛隊及び海上自衛隊を補う航空力等を中心に緩急の体制を考える。その上の現地における通常の体制としてはこれこれのきわめて限定された防衛力の常置で足りるというお考えであるか、この点を伺いたいわけであります。
  280. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 曽祢さんのおっしゃったとおりの線で、通常の状態においては二百名に満たない数を常置しておけばよろしい。しかしながら、有事に備えまして、やはり自主防衛の線で、われわれは施政権の返ってくるこれら南方諸島を守らなければならないという自主的な立場をとっておることをこの際明確にいたしておきます。
  281. 曾禰益

    ○曽祢委員 それとうらはら関係でございますけれども、ある意味では防衛上の一つの新たなる任務がふえたこと、同時にまた、わが国の特に海上自衛隊の主たる任務については、やはり一たん事あるときを含めてのなし得る限りの海上輸送の補給の安全確保ということにあると思うのですね。特に対潜水艦の防衛ということが主になる。そのために必要になる海上艦艇あるいは航空その他のいろいろな自衛に必要な装備等を持っておられると思う。ところが、そういう意味から言うと、南方の輸送ルートで、いま言ったような海上自衛隊の目的を遂げるためには、やはり地理的に見て小笠原諸島等は一つの有力な防衛上の拠点になり、またこういうプラスの面もあろうと思う。そういう点で、つまり、この南方に対する海上輸送の安全、これに果たす小笠原のプラスの面ですね、この点をどう強化されておるか、この点を伺っておきたい。
  282. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 曽祢さんの御指摘の問題、もし西太平洋において事があったという場合には、小笠原諸島のほうを迂回して、そうしてオイルルートを確保するということにも相当役に立つ、意味のある諸島が施政権下に入るわけでございます。
  283. 曾禰益

    ○曽祢委員 したがって、そういう意味で、南方の安全輸送確保の上から、やはり価値を認めてそれを利用していく、こういうお考えであるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  284. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 御指摘のとおり、オイルルートを確保するという意味において、非常に有意義なる地点を占めておるということは認めておる次第でございまして、また、その範囲のことも考慮の中に入れておるということを申し上げておきます。
  285. 曾禰益

    ○曽祢委員 重要な問題でいろいろ伺いたいこともあるのですが、前同僚諸君が熱心のあまり時間を使い過ぎてしまって、私がこれ以上やることはほかの諸君に非常な迷惑がかかりますので、私はこれでやめたいと思います。
  286. 秋田大助

    秋田委員長 伊藤惣助丸君。
  287. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 きわめて短い時間でありますので、非常に大事な佐世保原潜の問題について伺います。どうか簡単に、またはっきりと御答弁願いたいと思います。  佐世保の異常放射能事件に関する科学技術調査団の十日から十二日までの調査の結果、米原子力潜水艦の周辺で去る六日記録した異常放射能値の原因考えられた米工作艦上の電気溶接作業、それから近くにいた米掃海艇のレーダー電波も、異常測定値の原因ではなかったことを明らかにいたしました。その結果、米原潜ソードフィッシュ号による放射能の排出説が強くなったわけです。  そこで、伺いたいわけでありますが、このような異常な測定値を検出したときに、その海水をサンプルとしてなぜ採取できなかったか。そのときの海水を採取しておれば、汚染があったかどうかはすぐにわかったはずでありますが、それに対する安全性を確認する測定基準はどのようになっているのか、伺いたいと思うのです。
  288. 三木武夫

    三木国務大臣 海水の点は、私もそのしさいな点はよく聞いておりませんが、海水は放射能の汚染を測定する重要なものですから、ちゃんと海水を確保していないとしたならば、それはやはり確保すべきだというあなたのお説には全く同感でございます。今後気をつけなければならぬ点だと思います。  それから、放射能の算定の基準については、科学技術庁のほうの者が来てお答えしたほうが正確だと思いますので、きょうは間に合いませんけれども、外務委員会でそれを詳細にお答えする機会を持つことにいたしたいと思います。
  289. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 原子力委員会では、米原子力潜水艦日本寄港を認めるときに、米国の言うことが信用できるならば安全だ、この見解に立っていままで入港を許可してきた、こう言われております。そして今度の汚染事件については、米原潜が安全だということは一度も言ったことがない、このようにも言われておるわけです。そこで、ただいま外務大臣から御答弁がありましたが、そのようなアメリカの言う安全を日本がそのまま確認して入港させてきた。これは非常に大きな政府の怠慢でありますし、また、何らその安全性の測定基準はなかった。これはたいへんな問題であります。そのことについては、後ほど科学技術庁から詳細にということでございますが、国民が、不安と、また放射能についてはいろいろな疑問を持っている関係からも、いつごろそのことをはっきりと発表するのか、これを伺っておきたいと思います。
  290. 三木武夫

    三木国務大臣 これは今週と申したいのですけれども、今週といったらあまり日がございませんから、来週中にはこの放射能の汚染のいろいろな基準、そういうデータを中心にして外務委員会に報告するような手配をいたします。
  291. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 米国のアカデミーの資料によりますと、米原潜のノーチラス号等によれば、第一次冷却水、その中には放射性コバルト60だけでも自然放射能の二千倍もある、そのくらい汚染されている、このように発表になっているわけです。今度の入港問題で一番問題になりますことは、その原潜の一次冷却水がはたしてどのようになっているのかということであります。たとえば原潜が出港する場合には、その一次冷却水というのがあたためられて、蒸発して出る水が大体二トンくらいある。これは原子力商船であるサバンナ号などは、その放射能の入っている一次冷却水を一時保管しておく――保管しておくというよりも、貯蔵しておく、そうして、その国の領海、領域を通り過ぎたときに公海上で捨てる、このようになっているといわれております。ところが、原潜にはこれがないといわれております。さらに新聞報道によれば、今度の潜水艦は沸騰水型であるというふうにも報道されておりますし、また加圧水型である、このようにもいわれておりますが、どちらの原子炉なのか。さらに、そのような直接海水に捨てるような、いわゆる放射能の非常に強い一次冷却水を貯蔵しない、そういう装置なのかということであります。この点が疑いの直接の原因になっているといわれておりますので、国民はこの点について明快な政府の答弁を期待するわけですが、その点について伺いたいと思います。
  292. 三木武夫

    三木国務大臣 来週、いろいろ冷却水の問題あるいは汚染の度合い、それに対する調査測定の基準、こういうものをひっくるめて、現在の体制を詳細に御説明して、今後こういう改革を加えるということを一緒に報告させていただきたいと思います。外務省からも科学関係の者が来ておりますけれども、やはり原子力局の者が答弁したほうがいいと思いますので、お許しを願えば、そういうように取り計らいたいと考えます。
  293. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 非常に残念でありまして、実は、きょう明らかにしたかったわけでありますが、そういうのでしたら、またあらためて質問したいと思います。  そこで、今度は政府側の姿勢の問題でありますが、安全性を確認する放射能監視のあり方が問題である、このようにいわれておりますが、これはどのようになっているのかということです。これは聞くところによれば、その体制が非常にあいまいであり、なっておらない、こういうふうにもまたいわれているわけです。そこで、その体制をまず確立することが大事である。そして、そのような放射能がたとえ薄くてもどんどん数多く入ってくる中には、その放射能の種類によっては、そこに定着している貝類とか魚の体内なんかに蓄積されて危険になる、このようにもいわれているわけです。そういう意味からも、放射能の監視の体制のあり方、特に第三者によってつくるべきである、このように思うわけですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  294. 三木武夫

    三木国務大臣 これからやはり推進力原子力によるということは、日本でも原子力商船をつくろうという計画があるわけでありますが、これはアメリカ潜水艦にしたところで、日本の商船にしたところで、どこの国の国民にも放射能による被害を与えてはいけないのですから、これを機会に、体制というものを再検討して、放射能から国民を守る、こういう点について再検討を加えまして、万全を期したい。いままで放射能被害世界的にもないということが常識であった点で、少し安易に流れた点もあるのではないかという反省もしなければならないと考えております。
  295. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今度の異常放射能の事件につきましては、専門家を派遣して徹底的に究明すべきである、このように一部の報道にはございますが、この公席において、大臣からまたはっきりとそのことについて伺っておきたいと思うのです。  なお、汚染されたときの処置要綱でございますが、先ほどは監視体制を申し上げましたが、たとえば放射能の強弱によって、非常に明快に科学的に基礎を出していけば、この場合は監視をするとか、この場合は船の入港拒否をするとか、いろいろ測定ですか、算定ですか、そういうものをつくって、国民の前に安全性はこのようにやっていくのだということを示すと同時に、汚染されたときの処置要綱というようなものをつくるべきである、このように思うのですが、大臣の所見を伺いたい。
  296. 三木武夫

    三木国務大臣 世界各国が核爆発の実験を非常にひんぱんにやっておったときは、放射能に対してストロンチウムが幾らあるとか、いろいろな点で、非常にみな一般に関心を持っておったのですが、その後、大気の実験というものがある少数の国を除いてはなくなって、地下爆発になったものですから、放射能に対する国民の警戒というか、関心というものが薄らいだような感じがある。そこで、これは一つのいい機会だと思いますので、もう一ぺん放射能の汚染に対する対策、いろいろ調査の測定の体制とか、もしも汚染されたときの処置とか、ひっくるめてこれを機会にしたいと考えております。
  297. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから急ぎますが、午前中の答弁にもありましたけれども、たとえば、このような状態の中に、原潜にその疑いがあるという状態において、国民はほんとうに原潜による汚染ではないかと心配をしております。しかし、総理は、こういう状態があっても入港を拒否しないのかと言ったときに、拒否しない、また大臣も、入港については拒否しない、こう言われたわけですが、率直な国民の感情としては、はっきりするまでは入港を拒否すべきである、このように考えておるわけです。大臣の所見を伺いたいと思います。
  298. 三木武夫

    三木国務大臣 この原因というものが究明されて、その体制ができるまで、入港については慎重であるべきことが当然である、こう考えております。しかし、拒否とかなんとか、そういうのでなしに、国民放射能から守るということは政府の責任ですから、慎重な態度でこの入港問題を処理することが政府態度である、こういうふうにお答えをいたしておきます。まあ、拒否だなんだということはわかりやすいのかもしれませんけれども、しかし、そう一がいに、そういういろいろな場合に最大限度のことばを使うよりも、やはり慎重な態度で臨みたい、こういうことが、私は政府態度としては穏当であろうと考えております。その慎重ということは、何でも認めるという意味ではございません。
  299. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 非常に慎重な発言でありますが、私は、国民感情からいえば、いま一歩進めて、注意を喚起したのだから、当分入港は見合わせてもらう、こういうことを国民は期待していると思うわけです。さらにまた、もしか入港の通知があった場合には、これを拒否できない理由がそれではあるのかどうかということであります。そうしてこのことは、時間がありませんから簡単に申し上げますと、たとえばコレラというような伝染病患者の疑いが出たものについては、たとえば医者は、それが真性コレラかどうかがわからずとも、一たんは隔離するわけです。そうして慎重に診察の上、初めてコレラではない、また真性コレラだということをちゃんと見きわめた上で、そうして処置するわけです。私は、今度の原潜の場合についても、同じように、いわゆる原潜がこの汚染事件を引き起こしたのではないか、言うならば、そういうような形で言えるのではないかと思うわけです。そうして総理並びに外務大臣等については、国民の前に、疑いがあるいはあるかもしれない、しかし、はっきりはしないけれども、一時隔離しましょう、入港を待ってもらいましょう、注意を喚起したということは、入港を控えてもらいたいということなんだということを期待しているわけなんです。その点について大臣の答弁をもう一回伺いたいと思うわけです。
  300. 三木武夫

    三木国務大臣 国民放射能の汚染から守るということに対しては、きわめて厳重な態度政府がとるということを申し上げておきたいと思います。
  301. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは米国との口上書であります。三十九年八月二十四日の口上書でありますが、「周辺の一般的なバックグラウンド放射能に測定し得る程度の増加をもたすらような放出水その点の廃棄物は、軍艦から排出されない。」このように約束しているわけです。これを越えた場合には、約束を破るものとして入港はしない、またはその点について厳重な処置をする、このようにアメリカ自身が言っているわけであります。この口上書からも、私は、入港を拒否することができるのではないか、アメリカは反対できないのではないか、外務大臣からそのことをはっきり言っていただきたい、こういうふうに考えているわけです。その点について大臣の答弁をいただきたい。
  302. 三木武夫

    三木国務大臣 私の申しておるのは、放射能の汚染から国民を守るという見地から、政府アメリカに対してもきわめて厳重な態度をとる、こういうことを申し上げておるのでございます。
  303. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 残念ながら答弁を聞けないわけですが、最後に伺っておきます。  それは佐世保港内や沿岩の漁民に対しての問題であります。これは第一回の原潜入港のときに、原潜が入ってきて、放射能安全性が非常に問題であるということから、魚が売れなかった。沿岩の漁民は嘆いたわけです。今回もおそらくそのようなことになるのではないかということを心配している佐世保市民が大ぜいおります。そういうような影響があった場合には、政府としてはどのような処置をとるか、その点を伺って、私の質問を終わります。
  304. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはり、あの佐世保港には漁民などいろいろな生活の場があるわけですから、そういうことに対しても今回十分な調査をいたしまして、どういう影響があるのか、どういうところに原因があるのか、その対策はどうすべきかということも全部ひっくるめて、政府調査の場合に検討を加えたいと思っております。
  305. 秋田大助

    秋田委員長 松本善明君。
  306. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、先日の委員会でロランCが軍事目的のためにつくられたということを認められました。しかし、現在ロランCが軍用以外にも使われているかのような答弁もされました。ロランCが軍用以外の一般の航空機や船舶に使われているという事実があるのかどうか。また、四月の二十四日に参議院の本会議で、佐藤首相が「ただいまの状態では軍用のみにこれが使われる」と言った答弁を取り消すつもりですか、この点ひとつはっきりお答え願いたいと思います。
  307. 三木武夫

    三木国務大臣 いまは軍用以外には使われていないと思います。しかし、受信装置を持てば、これは使い得る余地はある。いまは軍用が中心である。
  308. 松本善明

    松本(善)委員 防衛庁長官に伺いたいのですが、小笠原のロランCは、いま外務大臣が認められたように、軍事目的のためにつくられたものであり、ポラリス潜水艦も使用しております。これはアメリカの極東核戦略に欠かすことのできないものであり、今回の協定は、第三条でこれを存続させるということを認めております。そこで、小笠原諸島が果たしておりますアメリカの極東戦略上の役割りでありますが、先日防衛局長は、昨年五月二十九日に発表されましたアメリカ国防総省の声明に尽きるというふうに答弁をいたしました。つまり、自由世界の主要な海路の防衛と監視、第二次防衛線、日本、沖繩、フィリピンなどの基地をバックアップする重要な戦略的役割りを果たしているということを認めたわけであります。防衛庁長官もこの点異論がないと思いますけれども、長官自身から明確な御答弁をいただきたいと思います。
  309. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 松本さんにお答えいたします。  私どもは、ただいま一九六七年の五月二十九日のアメリカ国防総省の声明を信頼いたしておるのでございます。すなわち「戦略的見地から小笠原諸島は自由世界の主要な海路の防御と監視という点で、また第二次防衛線として重要な位置を占めておる同諸島は、日本、沖繩、フィリピンなどにある複雑な機能を持った基地をバックアップする役割りをなしている。」そこで、小笠原にございますロランCは、南鳥島のロランCと硫黄島のロランCでございますが、この両方とも、ロランCは各国の船舶が使おうと思えば使い得ます。得ますが、いまのところ、アメリカの海軍が使っております。各国の航空機も使おうと思えば使い得るわけでございます。というのは、波長なり信号なりは全世界的に明瞭になっておりますから使い得ますが、いまのところは、総理大臣外務大臣のおっしゃったとおり、軍事目的に使われておるということを認めるものでございます。
  310. 松本善明

    松本(善)委員 先ほども同僚委員の質問で問題になったのですが、なぜ自衛隊が管理をしなくてはならぬのか。長官はたびたび自衛隊が管理するということを言われますが、だれのために、何のために自衛隊が管理をしなければならないのか。運輸省の航空局ではなぜいけないのか。この点についての明確な答弁をもう一度お聞きしたいと思います。ほかのところではやれぬからやむを得ぬということではなくして、当然に政府として、これはどこが管理をするかということをきめられたと思うのです。なぜ自衛隊が管理をすることになったのか、それをお聞きしたい。
  311. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは、この協定をつくる前の閣議了解のようなものがございまして、自衛隊といたしましては、主として米軍の施設並びに区域を継承する、こういうことに相なっておりますが、その目的とするところは、施設権が返ってきます南方諸島の領土、領海、領空を自主防衛の線で守る。そのためには、硫黄島におきましては飛行場が必要でございますし、父島におきましては各種の埠頭施設、それから補給部隊というようなものが、護衛艦が入港したとき、水上機の発着するとき等において必要でございますというわけで、われわれが自主的にこれを防衛するということに大体閣議了解ができておるわけであります。細密なる防衛関係のこと、ことに予算を含んだ防衛関係のことはまだ決定をされておりません。南鳥島につきましては、当初は、日本に施政権が返ってきましても、アメリカの軍事基地でやっていけばいいじゃないかくらいのことで実は考えておったわけでございますが、日本でやってくれということで、飛行場の管理は海上自衛隊においてその任務に当たる、こういうことに相なっております。
  312. 松本善明

    松本(善)委員 結局、やはり軍用に使うということになるのではないかと思いますが、四月十五日の参議院の予算委員会で、防衛庁長官はわが党の岩間議員の質問に答えて、飛行場の管理方も米軍から頼まれている、米軍と自衛隊とで共用するということを答えております。これは間違いないですか。
  313. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 管理はわれわれのほうでございまして、あと日米安保条約によりまして、ときどき米軍も使うことがある、こういうことでございまして、その点は間違いございません。
  314. 松本善明

    松本(善)委員 そうしますと、米軍がときどき使うということで管理をやっている、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  315. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようでございます。
  316. 松本善明

    松本(善)委員 先日の委員会で、外務大臣は、米軍から頼まれているというふうな発言はおかしいんじゃないかというふうに答えられましたが、いかがでしょうか。
  317. 三木武夫

    三木国務大臣 日本へ施政権が返ってくるのですから、アメリカから頼まれておるという表現はおかしい。
  318. 松本善明

    松本(善)委員 防衛庁長官、いかがでしょう一か。アメリカから頼まれているというのはおかしいというのが外務大臣の見解なんです。防衛庁長官は発言を取り消されるでしょうか。それともどうなされましょうか。
  319. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは世俗的のことばで言ったわけでございまして、そのことばが妥当でないならば、修正するにやぶさかではございません。
  320. 松本善明

    松本(善)委員 小笠原諸島アメリカの極東戦略に果たす重要性を政府は否定しませんでしたけれども、昨年の日米共同声明では、小笠原の施政権返還にあたって、この地域の安全をそこなうことは許されないことになっているというふうにいわれております。結局、緊急事態の場合だけでなくて、米軍が今後とも随時に使用できるように、日本が米軍施設を整備管理しておくことにほかならないと思います。つまり、アメリカのドル防衛とも関連をして、基地の管理を日本に肩がわりをさせるという結果になっている。日本がその結果アメリカの極東戦略に加担をし、協力を深めるものであるというふうに私は考えます。  ところで、昨年の十一月九日付の東京新聞では、防衛庁が硫黄島に海上自衛隊の対潜哨戒機P2V機一飛行隊を進出させ、父島二見港には駆潜艇の基地を建設する。それから硫黄島と父島に四隻から六隻の駆潜艇を派遣して、太平洋海域での日米両軍の対潜能力の向上をねらっておる。また、ナイキハーキュリーズ、ホークの試射場建設をも計画しておるという東京新聞報道であります。こういうような計画は防衛庁には全くないのかどうか、これを伺っておきたい。
  321. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 その新聞の記事は、あることはほんとうでございまするし、ある問題は違う。すなわち、硫黄島におきましては、P2Vがときどき離着陸することを予測してこれを管理しておるのでございます。それから父島等には、別段われわれは護衛艦等を派遣し、常駐させることを考えておりません。ただ、ときどきあそこへ参りますから、そこで上陸用の各種のブイだとかその他の施設を管理することが必要でございます。また、水上機も離着水いたしますから、その離着水した水上機が陸の上に上がっていくための埠頭施設を管理することが必要でございます。その他ナイキハーキュリーズとかホークの試射場ということは、全然考えていないのであります。
  322. 松本善明

    松本(善)委員 三次防では、周辺海域の防衛能力及び海上交通安全確保能力を向上するということを重点にしておりますが、小笠原の施政権返還に伴って、この点について新たな対策を立てられるでしょうか。
  323. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 しいて言えば、そのプラスアルファというアルファは、ごく小さいアルファでございまして、約二百名足らずの自衛隊を派遣するということを考えているわけでありまして、そのための予算措置等も予備費で要求しようという段階になっております。
  324. 松本善明

    松本(善)委員 それから、P2Vは領空外を飛行し、それから哨戒し、また板谷海幕長に言わせますと、この海域は日本にとって輸送のための重大なパイプラインの役目を果たしていると言っております。輸送路のパトロールをするというようなことになりますと、結局、行動は領海内に制限をされないということであれば、この地域において日本が分担する防衛責任というのは、単なる領土、領空、領海にとどまらず、小笠原周辺の広範な地域の防衛を受け持つということになるのじゃないかと思います。その点について防衛庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  325. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 平時においては、訓練としてP2Vが飛んでおることはございますが、いわゆる対潜哨戒の上において行動する場合においては、自衛隊法八十二条に基づく行動が命ぜられたとき初めてやるわけでございます。しかし、平素の訓練としては、P2Vは、日本本土において海上自衛隊の飛行機が飛行して歩くと同様な飛行をする、こういうわけでございます。
  326. 松本善明

    松本(善)委員 この協定の第五条で、「日本国及びその国民のすべての請求権を放棄する。」ということになっておりますが、アメリカの二十三年間にわたる軍事占領によって小笠原住民が受けました被害は、非常に大きいものがあると思います。この間、小笠原諸島は荒廃し、政府の小笠原調査団も、旧村落がジャングルの中に埋没してしまったという現実を指摘しております。こういう責任は、やはりアメリカ政府が負うべきであり、日本の人民は、その被害の補償を要求する権利があると思いますが、なぜ政府はこの協定五条でアメリカの責任を免除し、こういう屈辱的な態度をとらなければならなかったのか、この点について外務大臣の見解を聞きたいと思います。
  327. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題については、見舞い金という形で処理ができておるということで、今度の協定の場合に請求権というものを放棄したものでございます。
  328. 松本善明

    松本(善)委員 最後に、わが党は、小笠原の返還については戦後一貫して主張してきたことであり、この協定で、アメリカがサンフランシスコ条約第三条に基づく不当な権利、利益を放棄し、施政権を返還することになったことは、きわめて当然のことである。しかし、この協定には、質疑で明らかにしましたとおりに、日米安保条約と昨年の日米共同声明を前提とし、アメリカの極東核戦略の目ともいうべきロランCを存続させ、自衛隊を派遣して、小笠原諸島日米共同作戦の新たな展開を目ざす根拠地にしようとし、また、日本人民の正当な請求権を放棄する条項を含んでいます。したがって、わが党は、この協定に対する態度を留保し、この協定の採決には加わらないことを表明して、質問を終わります。
  329. 秋田大助

    秋田委員長 帆足計君。
  330. 帆足計

    帆足委員 私どもにはまだ不十分でございますけれども、相当な質問の機会を与えてくださったことを感謝し、私のこの意見をもちまして終わりにいたしたいと思います。  このたび南方小笠原諸島の祖国返還は、とにもかくにも一億国民待望の日でありまして、また、返還のために努力し、先頭に立ちし先駆者諸君に深い敬意を表する次第でございます。  さて、小笠原の島々、特に父島、母島、硫黄島、その他の島々につきましては、このたび調査団の報告をいただきまして、私どもは大いに啓蒙されました。また、知事も率先してみずから現地におもむきました。これら調査の結果をお聞きしますと、何ぶんにも二十数年の歳月を経ておりますので、島々は予想以上に荒廃に帰し、特に硫黄島の状況のごときは、洞窟の至るところに戦死者の白骨がいがいとして累積し、鬼哭啾々として調査の人々の胸中万感こもごもであったと報ぜられております。ある詩人が南海の海を歌いまして、「浜は静かに潮満ちて、藻草も昼を香りけり、これかや父の母の海、涙流れてとめあえず」まさに父島、母島を訪れし調査団方々の感慨のほどもしのばれる次第でございます。  さて、当初におきましては、小笠原諸島の軍事的価値が誇大に伝えられまして、米軍部の一部は、南方諸島を返還する以上は、日本は当然担当すべき自衛費を増大せねばならぬと呼号し、また、自衛隊の一部には、いまや防衛線は二千キロ延びたのであるから、一大空軍、一大艦隊に拡張せねばならぬと大言壮語するがごとき軽率なる発言もなされまして、私たちを驚かせました。さらに一部には、軽率にも平和憲法を厳守する美濃部東京都知事に風当たりが一時強くなり、一時はその所管を東京都から切り離そうとするような動きさえ見られたのでありますが、その後、漸次正確な調査報告が伝えられるに至って、その所管は東京都とし、担当政府諸機関はその開発に緊密に協力するという正常なルートに落ちつくことに至りましたことは、これまた党派を越えて御同慶の至りであります。願わくは、政府、都庁一体となって、密接な連携のもとに、当面まず必要な水道、衛生、医師、学校、住宅、開発計画の推進等々、合理的なる計画の設定と着実な段取りにより、一日も早く帰島を要望せられる島民各位の御希望にこたえられんことを切望する次第であります。  さて、政府といたしましては、敗戦のわが国としてアメリカ政府に対して賠償等の要求はできないといたしましても、国民としての島民としては、国際法に従いまして、当然こうむった個人的損害に対しては、政府協力のもとにこれをアメリカ政府に要求すべきだという論もあるのでございますから、このことは特に心にとめて御研究を願います。  小笠原諸島の軍事的価値につきましては、遠くアジアより離れて日本本土の裏側にあり、戦略的に見ても、平和の島たる以外には何らの利用すべき必要なきものと私は戦術的に考えております。いやしくも、核兵器、直接出撃等のごとき、沖繩におけるようなことがあってはならぬということについては、防衛庁長官が肯定されたことで、その点は私は満足いたしました。しかし、今後とも、不安なる軍事基地の拡大、軍用機の使用、艦砲射撃、ロケット砲の実験等はもとより、漁業、熱帯植物の栽培、観光事業等の平和な島たる性格を撹乱するがごときことなきように、先ほど淡谷議員がるる説明いたしましたように、われわれはそのことを要望し、また警戒いたす次第でございますから、とくと心におとめ願いたいのでございます。  以上のことに加えまして、私どもがこれまでの論議においていまだ釈然といたしませんことは、南方小笠原諸島が祖国復帰しましたその法的手続と、国際法上の意義なり、また、これに関連する沖繩祖国復帰問題との関連につきましては、残念ながら御答弁はきわめて不十分でありました。そもそも、今日まで小笠原諸島が米軍の支配下にありましたこと自体が、沖繩同様に国連憲章、ユネスコ、世界人権宣言、植民地廃止宣言等々の違反でありまして、当然、小笠原の諸島は、これら現代国際法の大原則に従ってもっと早期に祖国に返還さるべきものであったとわれわれは思っております。しかるに、今次小笠原返還は、かかる正規の国際法的な確認によらずして、いわば沖繩返還延期の身がわりのごとき感もあり、あるいはまた、われわれへのスズメの涙ほどの恩恵としてアメリカ政府より与えられたような印象もあるという現実を必ずしも無視することができません。今日私どもは、小笠原の返還をアメリカ政府から受けることをいささかも恩恵とは考えておりません。これは国際法上当然の措置であり、かつ、同様の国際法の論理に従いまして、沖繩の祖国復帰も当然早急に実現するものと信ずるのであります。この点につきましては、政府はもっと御検討願いたいのでございます。  以上述べましたことは、各位の御高承のごとく、ライシャワー博士、フルブライト米上院外交委員長、マンスフィールド民主党上院院内総務の論証にまつまでもなく、すべての国際法学者の指摘し、指弾するところであります。  そもそも、当初ダレス国務長官の胸中に沖繩占領の野望が生じましたとき、まさか反ファッショ連合軍に沖繩軍事占領の継続を承認せしめるがごときことは思いも及ばざる当時の情勢でありました。そこで、浮かびましたのが沖繩に対する信託統治という構想でありました。しかるに、国連信託統治のもとでは、特定国のための軍事基地を設けることは許されません。かりに軍事信託統治にいたそうとするならば、安保理事会においてソ連の拒否権にあうことは必至であることが予想されますので、ダレス国務長官はここに一計を案じ、信託統治を実現するまでの暫定期間において軍事占領を続けることを許してもらいたいという名目で列国の目をかすめたのが、当時の歴史的実情でございます。しかるに、当時、インドのネール首相は、烱眼にもその真意を見抜き、しからば、その軍事占領の暫定期間とは何年ぐらいであるかという質問に対し、ダレス国務長官は憤然として回答を避けました。かくしてインドの代表は退席し、アラブ並びにビルマ代表は平和条約における沖繩条項に反対し、留保したのであります。私は、これらの事情に対して、この際政府の再認識を要望いたしたいのでございます。  最後に、かくてサンフランシスコ平和条約の結果、沖繩同胞の自治権は奪われまして、司法権並びに行政権も奪われ、少女が米軍兵士に暴行を受けましてもこれを裁判する方法もないのであります。(「討論じゃないか」と呼び、その他発言する者あり)質問しているのです。しかも、通貨に至るまでドルに切りかえられ、沖繩の子供たちは、可憐にも一セントのことを一銭と呼んで祖国をなつかしがっておる状況でございます。いまや、九十六万の同胞の居住する沖繩の置かれておる状態は、ベトナムの火薬庫を前にする完全植民地の状況でありまして、ジェット機の直接出撃も、ポラリス潜水艦の出入も自由自在、かくのごとき例は、マダガスカルにも、アフリカの象牙海岸にも、世界広しといえども今日いかなる場所にもないのでございます。まさに、みずから称する友邦アメリカは、東京においては自称紳士、沖繩においてはギャング同然の姿というべき状況になっておるのであります。  かつてアルサス・ローレンがドイツの支配下におりましたときに、フランスの教師たちは教職員会を構成し、親鳥のひなをはぐくむがごとく、夜間ひそかに子供たちにフランス語を教えたということです。沖繩では、屋良教職員会長、喜屋武事務局長を中心に、全沖繩教師が一丸となりまして二カ年の悪戦苦闘の後、ついに弁務官に迫って、沖繩の子らは日本国民として教育するという輝かしい教育基本法を米政府承認せしめたのでございます。このことにつきましては、この際、思いを新たにする必要があることを切に要望するのでございます。  かつて、中国の志士岳飛は、祖国が金に侵略されましたときに、「わが山河を還せ」と呼号してやまず、ついに政府の忌諱に触れ、獄に投ぜられ、痛ましい生涯を終わりました。今日湖南に遊ぶ人々は、西湖のほとりに岳飛の廟を訪れ、墨痕りんりたる「わが山河を還せ」という石刷りをあがなうことができるでありましょう。  繰り返し申しますが、今日小笠原諸島の祖国復帰は、世論の要望と国際法上の正義と権利によるものでありまして、断じてアメリカの恵みと解すべきものではありません。佐藤総理にして、深く、かつ切に国を愛するという精神があるならば、沖繩の返還をもっときびしくアメリカに要望すると同時に、国際連合に対しても私は要望すべきであると思います。これは小笠原の問題に関連して、外務大臣考えねばならぬ重要な問題であります。  以上が……(「これは質疑じゃない、いままでないよ」と呼び、その他発言する者あり)いままであってもなくても、これからつくればよろしい。かつてインドのゴアの紛争がありましたときに、ネール首相はゴアを返せと言いました。国連の専門家たちは、もし佐藤首相が沖繩を返せと叫んだならば、沖繩は戻るであろうと申しております……。
  331. 秋田大助

    秋田委員長 帆足君、質問に入ってください。結論に入ってください。
  332. 帆足計

    帆足委員 私は質問を一緒にしておるのでございます。  したがいまして、佐藤首相は、何ゆえに中国の岳飛のごとく、わが山河を返せ、祖国を返せと、国際連合に正規の手続をもって迫られないのでありましょうか。もしそうしないならば、穗積君ならずとも、首相のいわゆる愛国心なるものの正体はまことにあやしいと発言せざるを得ないのでございます。もとより保守党の立場から言うならば、友好国と軍事同盟を結び、友好条約を結ぶということは、私は十分に認めます。しかし、だからといって、住民を売り、自治権、立法権、行政権、司法権を他国に売る権利というものはないのでありまして、それはあたかも児童憲章、母子福祉法のように、母はわが子であるからといってこれを他に売ることはできず、また、その子を買うことも相手は禁止されておるのでございます。
  333. 秋田大助

    秋田委員長 帆足君、どうぞ結論に入ってください。
  334. 帆足計

    帆足委員 最後に、私は、一両日前ラジオの放送を聞きまして、佐藤首相への庶民の印象はきわめて悪く、首相はうそつきであるということばがたびたび出ましたことに心を痛めました。  以上のような次第でありますから、寝撃ちのジョンソン、うそつきジョンソンといわれるジョンソン大統領も、次期大統領立候補を辞退し、そうして国際情勢の変わった今日、小笠原の問題に連関いたしまして、どうぞ沖繩の問題を国際法学的にも真剣に取り上げていただきたい。私どもがこれまで論議した過程におきまして、遺憾ながら、沖繩に関する国際法的な論議と、その歴史的経過に対する国際法的な勉強が不足しておることを痛感いたします。  以上のことを警告し、お答えを願い、私の最後の質問にいたす次第でございます。
  335. 三木武夫

    三木国務大臣 いろいろと歴史的に説き起こされて、よく承りました。
  336. 秋田大助

    秋田委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  337. 秋田大助

    秋田委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  338. 秋田大助

    秋田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  340. 秋田大助

    秋田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後五時四十七分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕