○
石野委員 いま中国問題については、
大臣も大体わかると思いますけれども、
日本では、非常に友好的な部面のものと、それから非常にそれを阻害し妨害する面と、両方あるわけですよね。それから、ジェトロなんかも、私は、そうだということは言いませんけれども、とにかくやはり非常に好意的に見ている場合と悪意で見ている場合、ことに確かな資料に基づかないで資料を出しているような場合が多い。これは非常に確かな資料で出ている参考資料というようなものはけっこうなことですけれども、間違った資料を資料として使うということほどばかげたことはございませんし、また、それは非常に将来を誤るものだと言わなければいけないと思うのです。私は、資料として使う場合は、それは信憑性がいずこにあるかということを明確にしなければいけないと思います。
これは余談ですけれども、たとえば私は今度中国に行きまして、特に中国の諸君が言っておったことは、たとえば中国のほうで「大字報」が
一つ出る。その「大字報」が中国の外で
報道されるわけでですね。その
報道されたときに、その「大字報」がいかにも中国の実情を示したように
報道されます。ところが、中国の「大字報」というのは、もう御
承知のように、百家争鳴で大衆討論をする。その大衆討論する場として「大字報」が出るわけですよね。だから、「大宇報」というのは、討論の過程なんです。結論じゃありません。討論の、結論でない、過程であるからこそ、
新聞記者諸君に対しては、写真をとっちやいけないなどということを
向こうでは言っているんですよね。したがって、やはり出ているものが結果として否定される場合もあるけれども、また肯定される場合もあります。いかにも
日本に確かなように
報道されたことが、大衆
討議の中で否定されてしまって、きょう出ておった「大字報」はあした消えてしまう場合がたくさんあるわけですけれども、そういうようなことで、中国をあたかもそれが真実であるかのような
判断をしておりますと、全く見当違いの中国政策というものが出てくるわけです。私は、そういう点で、中国の諸君が、
新聞記者諸君が「大字報」を
新聞に出して、それをあたかも真実のように
報道しているのについて、怒りをもって、激怒の形でものを言っていることを聞いてまいりまして、まさにそうだと私は思っておるのです。だから、信憑性のないものを事実として
判断するということは非常に間違いだと思います。
それで、現実に中国
貿易をしている諸君が、中国の
関税上の差別のために非常に不利をこうむっているというようなことが業者の間にあれば、
政府当局が言うまでもなく、業者自身がよくわかるわけなんですよ。ところが、現在、
日本の中国
貿易をやっている業者諸君は、そういうことをこれっぽっちも感じていないのですよ、
各国との取引の問で。むしろ感じていることは、吉田書簡だとかいうようなものの障害を感じているわけです。あるいはココムというもの、扱いの上で非常に障壁が出ている。それは
向こう側の障壁ではなくて、
日本側の障壁ということを
日本商社ははだで感じているのです。こういう事実を
日本の
政府が知らないと、日中の
貿易はなかなか進まないと思う。先ほどからお話のあります
ケネディラウンド実施にあたって、国内産業に
影響するということなどについても、あたかもそのことだけを聞けばそうかと思うけれども、事実調べてみると、そんなものはほとんどないのですよ。実を言いますと、ありません。それからまた、いまのように
関税上の差別というようなことを言うけれども、これだって、調べてみたら、そんなことはほとんどないですよ、業者自身はですね。それは書類として数字か何か出ているかもしれぬが、そういうのは
日本の政策を誤らすことです。
政府は、そういう誤った路線の上を歩んじゃいけないのじゃないかと私は思うのですよ。そういう
意味で、その
ケネディラウンド実施にあたって、
政府があげているいろいろな、われわれから言えば格差のついてくる
条件というものは、いうなれば、故意に捏造されているといっても、これは言い過ぎでないほど、われわれにとっては笑止千万なことなんです。こういうような実情、しかも、そのことの中では、商社がつぶれていくわけですね。現実につぶれていきます。先ほど通産の
川田さんからのなにでは、これは五年間にわたって分割してやっていくから、そんなに急な打撃ではないと、こう言っておりますけれども、商社はそうは言っておりません。商社はそんなに甘っちょろいと考えていないです。それは、公定歩合を一厘上げるか下げるかによって敏感に
影響するのが
日本の事実上の
経済ですよ。
関税率が五%、八%、場合によれば一五%違うということが、敏感に
影響しないとかなんとかいうものではありますまい。かりに四分の一ずつにしたところで、それが四%になったり五%になったりするわけですから、だから、私は、もう少し現実にこれによって打撃を受ける商社諸君の、あるいはそれに関連する産業の立場というものを好意をもって考えてやる必要があるのではないか、こういうように思うのです。そういう
意味で、ただ紋切り型の
処置のしかたというものは間違いである。何かやはりこの問題を緊急に対策を講じないと、商社が十数年間、二十年にわたりまして
努力してきた今日までの業績は、みんなそのことのために商社がつぶれちまうんですよ、実のことを言うと。これはほっておくという手はない。これをほっておくということは、
政府は大商社とか大資本に対しては非常に好意的な立場をとるけれども、中小、零細の資本に対しては全く冷淡無比だ、残酷なやり方である、こういうふうに言わざるを得ない。しかも、それはやはり中国に対しては敵視的に見える面がありますから、それはひとつ
大臣、何か資料をもらって答弁するだけでなしに、政治家としての立場で所見を聞かしてもらいたい、対策を。これはきわめて大事なことなんです。