運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-23 第58回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 始関 伊平君 理事 福井  勇君    理事 石川 次夫君 理事 内海  清君       大石 八治君    岡本  茂君       海部 俊樹君    世耕 政隆君       田川 誠一君    小林 信一君       三木 喜夫君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁計画         局長      武安 義光君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君     ――――――――――――― 五月十四日  原子力安全確保関連する関係法規の整備に  関する陳情書  (第四二  四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  科学技術基本法案内閣提出第五五号)  科学技術振興対策に関する件(原子力潜水艦の  安全性に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  科学技術基本法案を議題として審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 科学技術基本法に対しまして、簡単に御質問を申し上げたいと思います。  この法律案は、科学技術庁が設置せられましてからの問題でございまして、相当いろいろな方面から論議を重ねられ、今回法案として提案されたのでありますが、わが国の科学技術の進展が世界的に驚異の的となっている最中に科学技術基本法審議を行ない得るということは、まことに慶祝にたえないことであると思うのであります。ただ残念なことは、国会も終末になり、大臣もお忙しいので、長い時間をとって御質問を申し上げるわけにはまいりませんので、簡単に質問を申し上げて、その他は次の機会に譲りたいと思うのであります。したがいまして、御答弁もきわめて簡潔に、しかも、私の質問に対しては、本日御即答をあえて要請いたしません。何らか確定した御答弁をいただけない場合は、慎重審議の上、次回において御答弁願えればけっこうだと思います。  第一に御質問申し上げたいのは、いやしくも立法府で法律審議するにあたりまして一番重大なことは、その立法精神であるということは、申し上げるまでもないと思うのであります。提案せられましたこの科学技術基本法を通読いたしてみますと、その前文立法精神があらわれておると私は認識いたしたのであります。この前文を見ますと、科学技術に関する国家的認識というものが最初に掲げられておる。すなわち「国民経済発展国民福祉向上に欠くことのできない要素であり、また、人類社会進歩の基礎となるものである。」これは科学技術に対する国家的認識だ、そう考えてよろしいかということが一点。  その次には、国策樹立の必要ということがうたわれておると思うのでありますが、第三行目の「われら国民は、」から「必要な諸条件が整備されるよう積極的な努力を尽くさなければならない。」という八行目までが、国策樹立必要性をこの法案に盛ったものであると了解してよろしいかということ。  それから第三点においては、その以下は、右の科学技術に対する国学的認識科学技術に対する国策樹立必要性というものを根底として、国の施策具体的方向をここに明示したものと了解してよろしいか、この点について御答弁をお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  4. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 私より申し上げまして、計画局長よりさらに御答弁を補足いたしたいと思います。  第一点の、いわば科学技術基本法精神は、国民経済発展国民福祉向上にある、そういう国家的認識であるかということにつきましては、そのとおりであると思います。  なお、御承知のとおり、今日の科学技術発達は、従来における個々の発達を考えてみた場合、どうしても国の力あるいは国の資力あるいは国全体、いわゆる官も民も学者の方々も御一緒になった総合的な力を発揮しなければならない多くの命題があるわけでございます。それを何とかして日本として総合的に推し進めていこうという認識のもとに立っているかと考えます。  次に、第二点の国策樹立の問題でございますが、この点も、もういま言われたとおりでございまして、簡単に申し上げますと、いわば研究及び開発、さらにそれを企業化していく、あるいは実用化していくという面におきまして、あくまで国の利益というものを貫いていくということでございます。  第三点も、特に申し上げる必要もないと思いますが、そういう意味におきます具体的な面を明らかにしているというのが前文であると考えます。特に申し上げたいのは、あくまで憲法のもとの科学技術基本法でございますから、平和利用に徹して科学技術開発研究を進めていくということに尽きると考えております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 前文に書いてございますように、国家的認識国策樹立必要性、それからその具体的方向をここに明示されておるのでありますが、これを通読いたしますと、近代国家というもののあり方近代政治というもののあり方というものに対する科学技術存在的価値というものは非常に大きなものだということがここに見出されるのであります。長官近代国家近代政治中核として科学技術振興というものが不可欠なものであり、かつ、非常に重大なものであり、この科学技術振興というものが中核をなさなければ、近代国家並びに近代政治というものが確立しないという立法精神をもってこれを御提案になっているかどうか、この点について簡単に御所信を承りたいと思うのであります。
  6. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま齋藤先生が言われたとおりでございます。  簡単に考えてみましても、現在におきまして、電気というものは、われわれの生活にどうしても必要であり、さらにその需要が増し、あるいは工場で必要とする、そういう事態に対しまして、近代国家として日本が進んでいく場合、いわば火力発電時代水力発電時代から、日本の将来を卜していくときに、どうしても原子力発電に移らざるを得ない、また、それなくしては、日本近代国家として進んでいく発展のめどが立たない。したがって、政治としてこれを取り上げていきます場合には、将来にわたる原子力発電一つ具体案樹立して、それに向かって進めていかざるを得ない、こういう事態であるかと考えますので、いま言われましたように、近代国家中核として日本科学技術発達というもの、特に巨大科学発達というものが必要であることば当然でありまして、これに向かって日本も進まぬ限り、世界に伍して日本発展を進めていくことはできないのではないかと考えます。
  7. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 近代国家中核近代政治中核科学技術振興というものを取り上げなければ、その体系を強力化することができないというお考えにつきましては、私も非常に同感を表するものでございますが、ここで簡単にお伺いしておきたいことは、一言科学技術、こう申しますけれども、その科学技術というものが意味する真意というものは那辺にあるかということでございます。これは徹底して御質問を申し上げますと非常に長くなりますから、次回に譲りたいと思いますが、その概要を申し上げて御答弁を願いたいと思いますことは、科学と申すと、非常に広範多岐分野意味することになるわけであります。私が入手いたしましたサイエンス科学というものに対する定義も、調べてみますと幾通りもございます。しかし、これを集約いたしますと、とにかく人間知識経験を生み、経験がまた知識を生んでいく、そして、だんだん経験知識が織りなされていって、あらゆる環境に対する事象を究明して、それが微細にわたり、また総合されて、そしていろいろな統一した見解がそこから生まれていく、そういうことになりますと、一言サイエンス科学といいますと、この宇宙の森羅万象、人間に関するすべてのものを包含するということが科学ということになる。すなわち、人間英知のほとばしり出るすべての対象というものが科学というものになる。そうなりますと、科学はすべてを網羅するということになりますので、ここで、自然科学であるとか、人文科学であるとか、社会科学であるとかという文句が出てきておるわけであります。私はその定義に対して、いま時間のないのをしいて御答弁をお願いしようとするのではございませんが、問題は、この基本法の冒頭に「科学技術人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)」と書いておるところに問題があるのではないかということを私は考えておるのであります。  と申しますのは、この「科学技術」ということばは、どういうことを意味しているのか。ただいま申し上げました、サイエンスという全般の問題と技術関連性意味した科学技術ということを、ここで表現しているのか。ですから、全部の科学とそれに関連のある技術、そういうことを、意味しておるのであるから、特にカッコでもってその分野をきめたのか、これが一点です。ですから、広範多岐にわたるいわゆるサイエンスというものと技術というものを意味したのが「科学技術」なんだ。しかし、これは非常に広いから、カッコでもってこの基本法意味するところの分野というものをきめたのか、あるいは「科学技術」ということばそれ自体がカッコできめたことを意味するのか、どっちかということなんであります。ちょっと質問意味がおわかりにくいかと思いますが、もしおわかりにくければ、よく検討を加えて、次回に答弁するのでもけっこうでございますが、ひとつ御所信を承りたいと思います。
  8. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 私も実はその点明確に——勉強が足りぬ場合もあるかと思います。少なくとも科学技術というものは、いわば総合されたすべてのものにひっかかりがある問題でございまして、いま言われたように、人間英知から出たいろいろな方法、手段、いわゆる科学、それに伴う技術ということになろうかと思います。したがって、このカッコ書きは、その広範な中において、この分野を除いたというように解釈すべきであると思いますが、さらに計画局長より御答弁をいたさせます。
  9. 武安義光

    武安政府委員 ただいま齋藤先生の御質問のように、科学は、自然科学にかかわるものと、人文科学にかかわるものとに大別されるわけであります。もっともこの分類というのは時代の変遷、特に科学技術進歩過程において若干の相違が出てくるわけでございますが、この法律におきまする「科学技術」というのは、科学技術を、人文科学にかかわるものと自然科学にかかわるものとに二大別しまして、そのうち、人文に関するもの及び大学研究にかかるものを除いたものをもって基本法対象としようと考えております。
  10. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 そうすると、サイエンティフィカル・テクノロジーあるいはサイエンスアンドテクノロジー、どっちを意味するのですか。
  11. 武安義光

    武安政府委員 科学技術という元来のことばとしましては、サイエンスアンドテクノロジーと申しますか、要するに、科学技術全部を含んだものを言っております。ただ両者の関連が非常に密接であり、相互にいろいろ関連しながら発展するという性格を持っておりますので、それを一体化したことば一般的に用いられる、こういうことでございます。
  12. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 そろそろ時間ですということでございますから、あまりくどくは申しませんが、この「科学技術」ということば定義は、私の記憶におきましても、何回も本委員会において論議されたのでありますが、最終段階においては、「科学技術」ではない、「科学技術」というのが一つの用語であるという解釈が、私の記憶においては最後解釈であったように記憶いたしておりますが、ただいま局長答弁を伺いますと、科学技術は別だ、科学技術というとサイエンスアンドテクノロジーだ。私のほうの解釈サイエンティフィカル・テクノロジーだ、そう解釈いたしておったのでありますが、この点は少し食い違っておるようでありますから、この押し問答は後日に譲ります。  ただ、私としてここでお願いを申し上げておきたいことは、「科学技術」ということば、これはよほど慎重を期した定義を加えておかないと、法案全部に影響する問題だと私は思うのであります。この「科学技術」の定義があいまいであった場合における科学技術基本法審議というものは終始あいまいになってくるから、第一に「科学技術」の定義というものはいかなるものであるかということをはっきり明示しておいて、このカッコというものは、こういう意味カッコをつけたのだということになっておらぬと、これは最後まで問題が残る、こう思うのでありますから、この点はひとつ次回までによく御研究を願いまして、確固不動の御回答を願いたいと思う。この「科学技術」という定義にあいまいもこたる点が残ったのでは、とても審議は進まない。これを私は憂慮いたしておるのであります。その理由は時間がありませんから申しません。しかし、あくまでもこの「科学技術」の定義だけは、はっきりとした定義の上に立法精神の組み立てということをやっていただかないと、この法案精神というものがあいまいもことになると思いますから、この点をひとつ十分御研究の上、御答弁あらんことをお願い申し上げておきます。  あとは次回に譲りますが、ただ一点、これも御注意までに申し上げておきたいと思いますことは、第六条の第三項に「第一項の規定により基本計画を策定するにあたっては、あらかじめ科学技術会議の議を経なければならない。」ということがあるのでございますが、これは科学技術会議設置法第二条と対比いたしますと、科学技術会議というものの範疇、権限というものが非常に拡大強化されて、科学技術会議設置法改正を必要とする、こう思うのでありますが、この点に対してひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。  と申しますのは、この第三項は「第一項の規定により基本計画を策定するにあたっては、あらかじめ科学技術会議の議を経なければならない。」と規定しておりますが、科学技術会議設置法の第二条には「内閣総理大臣は、次の各号に掲げる事項に関して関係行政機関施策総合調整を行う必要があると認めるときは、当該事項について会議に諮問しなければならない。」とある。科学技術会議設直法は「関係行政機関施策総合調整を行う必要があると認めるとき」という権限があるわけでありますが、この基本法によりますと、「第一項の規定により基本計画を策定するにあたっては、」すなわち「政府は、科学技術に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。」というのが第一項でございますから、あらゆる科学技術に関する基本計画というものを策定するときは科学技術会議の議を経なければならないということになりますと、この科学技術会議設置法の第二条に定められたる権限なんというものは九牛の一毛ということになってしまって、非常に大きな権限というものが科学技術会議に与えられるということになる。そうすると、当然これは科学技術会議設置法改正を必要とするということになるのではないかと思いますが、この点に関しまして御所信を承りたい。
  13. 武安義光

    武安政府委員 この科学技術基本法におきます基本計画といいますのは、関係各省庁において推進されまする科学技術に関する施策全般にわたりましてその大綱を定めようとするものでございます。御指摘のように、科学技術会議設置法におきましては、科学技術会議関係行政機関施策総合調整を必要とする場合に、科学技術政策の基本的諸事項について審議、答申することを任務とするということになっておりますので、基本計画の策定に際しまして科学技術会議の議を経ますということは、現在の設置法の範囲内で可能である、こう考えておるわけであります。
  14. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 それは根本的に私は違うと思うのです。一方においては、権限規定しておいて、一方においては、科学技術基本政策というものを全般にわたって科学技術会議の議を経なければならないということは、これは月とスッポンほどその権限において差異があると思いますが、これもひとつよく御検討の上、次回において御答弁を賜わりたい。  委員長、これで私の質問を終わります。
  15. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま齋藤先生の御提案になりました「科学技術」というものの字句の定義及び科学技術会議との関連につきましては、次回までにわれわれのほうも十分研究いたしまして、統一的な見解を明らかにいたしたいと思います。      ————◇—————
  16. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、閉会審査申し出に関する件についておはかりいたします。  科学技術基本法案及び科学技術振興対策に関する件について、議長に閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 沖本泰幸

    沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  18. 沖本泰幸

    沖本委員長 なお、現在までに本委員会に参考送付されている陳情書は、仙台市原子力発電所誘致促進等に関する陳情書外一件でありますので、念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————
  19. 沖本泰幸

    沖本委員長 引き続き、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、去る五月十六日の本会議における報告後の原子力潜水艦佐世保港入港に伴う放射能調査経過及びその概要について、鍋島国務大臣より説明を聴取いたします。鍋島国務大臣
  20. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 十六日以降におきまする、本会議経過説明をいたしました佐世保放射能事件につきまして、私も大略存じておりますが、もっと詳しく、田中原子力局次長から御報告をいたさせたいと思います。
  21. 田中好雄

    田中説明員 十五日以降のところがら申し上げていきたいと思います。  十五日に専門家会議に五名の追加をいたしまして、まず五名の名前を申し上げますと、東京大学工学部向坊教授、それから日本原子力研究所動力試験炉管理部村主次長、東海大学宇田教授東京大学理学部浜口教授、同じく東大の都甲助教授、この五名を追加いたしまして、このメンバーは、考え方といたしましては、リアクターの専門のことをよく御存じの方と、それから海洋への影響等に関する問題あるいは測定の大家というようなところを追加いたしたわけでございます。  そこで、なお検討を続けてまいることにしたわけでございますが、十五日、米国原子力委員会専門家が来日いたしまして、名前を申し上げますと、米国原子力委員会海軍用原子炉部次長でございますウニーグナー氏、それから同じく海軍用原子炉部員のギブンズ氏、それから同じく原子炉部員のマイルズ氏、この三人が来日いたしまして、さっそくこちらのほうといたしましては、前回も御報告申し上げましたように、原子力放射能汚染の疑いを持っておりますので、その観点から、十六日、第五回の検討会を催しまして、ここで、先ほど申しました米側専門家出席を求めて、こちらから質問をするという形式で会議を進めたわけでございます。会議経過あとで申し上げます。  それから、十七日にやはり第六回の検討会をいたしまして、ここにも一部米側専門家出席を求めて、同じく聞いてまいったわけでございます。  その後先方は、内部でといいますか、いろいろなデータの整理をしたいという申し出がございまして、二十二日まで会議はとぎれておりましたが、二十二日に第三回——米側との折衝では第三回、当方といたしましては第七回の検討会を開催いたしまして今日に至っております。米側との折衝あるいは専門家検討会方向はさようなことになっております。  この間、十七日に日本分析化学研究所にお願いしておきました海水の分析の結果が出まして、その結果が発表されました。内容を一応精査いたしました結果、異常は認められないという結論になっております。
  22. 沖本泰幸

    沖本委員長 途中ですが、説明を簡単にお願いしたいと思います。
  23. 田中好雄

    田中説明員 そういうことで現在に至っておりますが、五回、六回の会議の点でございますが、先方に、放出するようなことがあるのかどうかということ、あるいはその内容等について質問したわけでございますが、やり方といたしましては、一般原子力船から放出があるのかないのかの質問、これに対しましては、一般にはそういうことになっているということ、それから今回のソードフィッシュの場合には出していないということ、こういうことを確かめておりますが、なお先方は、船のほうにありますデータを精査いたしまして、その結果をもって会議を再開したい、こういうふうに申しております。  現状はそういう次第でございます。
  24. 沖本泰幸

    沖本委員長 質疑申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  25. 石川次夫

    石川委員 時間が非常にないので、きわめて簡単に質問いたしますから、簡潔に答弁をお願いいたします。  この前の外務委員会の席で原子力局長が、アメリカとの口上書を最終的には変更することもあり得る、こういう答弁をしておるのでありますけれども、この変更することがあり得るということについては、外務省では否定はしておりません。あり得るとすれば、どういう点が変更することの対象になるのか、それを伺いたい。
  26. 田中好雄

    田中説明員 その点の詰めが重要なんでありまして、そこで米側との折衝が相当長引いておるわけでございます。もしソードフィッシュから出ていない、その内容が十分つかめますれば、そこで一つ対策が立てられる、かように考えておる次第でございます。
  27. 石川次夫

    石川委員 答弁になっていないですね。口上書を変更するという、その変更の対象はどうなっておるのか。何を変えるのですか。
  28. 田中好雄

    田中説明員 その点の詰めが非常にむずかしいところでございますけれども、ソードフィッシュから出ていないということであれば、そこを今後も確実にしておきたいという感じでいるわけでございます。そこまで詰めませんと、あとのところが出てまいらぬ、こういうふうに考えておるわけです。
  29. 石川次夫

    石川委員 答弁にならぬですね。意味がさっぱりわかりません。それはあとでまた質問します。  それで、いろいろ伺いたいのでありますけれども、汚染源として考えられるのは、まず使用済み核燃料、それからイオン交換樹脂冷却水原子炉周辺のぼろきれその他と、四つのものが考えられますけれども、使用済み核燃料イオン交換樹脂が湾内に捨てられるということはないと思います。結局考えられるのは、冷却水以外に考えられないというのが学者の一致した見解です。これはあなたのほうの調査はどうなっておるかわかりませんけれども、私はありとあらゆる人にずっと聞いてみましたけれども、それ以外には考えられない、こういう結論です。それでアメリカのほうの調査では、冷却水は出していないというのでありますけれども、どう考えてもそれ以外に考えられないとすれば、当然冷却水が出ているはずであるというのが理論的に大体証明できるんじゃないかと思うのでありますけれども、冷却水を出すときには、イオン交換樹脂で一応除染をしておいて、それから放射能チェックして流すというたてまえになっておるわけです。そのときの放射能チェックの状況、その資料をもらえば、あえて向こうの人に来てもらって合同調査をやる必要はないんじゃないかと思うのです。放射能チェックをして流したそのデータというものが信頼できるような形でこちらに提供される、このことが望ましいと思うのです。したがって、いつ、どこの場所で、どのくらいの量の冷却水を流したか。向こうは出さないといっておるけれども、出さないということはどうしても考えられないということになると、直接その資料というものを、向こうが出さないなら出さないでけっこうでありますが、その資料を、チェックしたデータというものをこちらでもらわなければならぬと思うのです。その交渉をしておりますか。
  30. 田中好雄

    田中説明員 いま先生のおっしゃいますような交渉を続けておるわけでございます。向こうの言いますには、おそらくは無線か何かで得たのでありましょう、海軍の情報によればそういうものは出ていない、こういうことをいっておりますが、なお船のほうのデータを取り寄せるなりしてはっきりさせたい、こういうことを申しておるわけでございます。
  31. 石川次夫

    石川委員 これは向こう冷却水は出さなかったとかなんとか、口頭だけではどうも私は納得できない。どう考えても、これは冷却水以外には考えられない、これは常識です。測定器それ自体は、そもそも放射能を調べる測定器であるのにかかわらず、ほかの原因をまず究明してかかるという態度がさか立ちしております。本末転倒です。まず放射能冷却水によるものであろうということを究明して、しかる後にほかの原因を考えるという形でなければならぬものを、アメリカ側の意向に沿って、まずほかの原因を究明してかかる。レーダーだとかあるいは溶接機だとかいうような、態度では非常に国民の疑惑を深めるだけだということをまず申し上げておきます。  結局放射能チェックしたデータというものを、ずっと長期にわたるでありましょうから、それの正確なものを向こうから取るということがどうしても必要ではないかということと、いっ、どの場所で、どのくらいの量の冷却水を出したかというデータがなければ、ほんとうの究明はできないと思うのです。出さない、出さないといっているだけでは、とても事の証明にはならない。こういう点で、その資料を強くアメリカに要求してもらいたい、このことをお願いしておきます。それから、そのときの冷却水の温度は一体どうなっているかということを、あわせて資料としてアメリカに強く要求してもらわなければならぬ。これは軍事機密でも何でもないと思います。軍事機密にかかわることなら出すことは困るというかもしれませんが、軍事機密がもしあるとすれば、原子炉の構造がPWかBWかもわからぬというような、非常にあいまいもこたる形になっておりますけれども、原子炉の構造は、これはなかなか出してもらえないと思うのです。ほんとうは、これが明らかにならなければ事故の原因というものは究明できないと思います。しかし、原子炉の構造それ自体は要求してもなかなか出さぬでありましょう。しかしながら、そのほかの資料は軍事機密ではないのです。こちらは当然要求して出させる権利がある。向こうは出すべき義務があると思いますので、このことを強く要求しておきます。  それから、この間チャートをいただきましたけれども、その時定数は一体どうなっているか、それから観測船のスピードはどのくらいか、これをひとつ御説明願います。
  32. 田中好雄

    田中説明員 時定数は百秒というふうに聞いております。それから、スピードは一秒間に一メートルくらいと聞いております。
  33. 石川次夫

    石川委員 大体二ノットくらいですか、そうすれば一秒一メートルくらいになる。時定数は百秒ですか。
  34. 田中好雄

    田中説明員 百秒と聞いております。
  35. 石川次夫

    石川委員 そうしますと、この調査もずいぶんずさんなものになってくるんじゃないですか。あのカーブが下がっておるのに、百秒の時定数ということになれば、私は専門家じゃないからよくわかりませんけれども、冷却水の拡散状況というものは、一ぺんにぱっと広がるものではない。かたまって部分的に取り残される可能性がある。時定数百秒でやったのでは、すうすうみんなそういうところに逃げてしまう。克明にそれを調べるということは不可能です。しかも八時間もたってから、あとでまた水をとって調べたところで、核の種類が不分明であったというような報告が出ておりますけれども、時定数百秒で一秒間一メートルというふうなことでいけば、ほとんどわからないで見のがしてしまう可能性が相当多いのではないか、非常にずさんな観測になっているのではないか、これは私、専門家じゃありませんから、なおよく調べてみないとわかりませんけれども、そういう感じがいたします。したがって、このような程度の観測のしかたであっては、ほんとうに部分的にあるという場合には、みんな見のがしてしまうという可能性が多いということも含めて、これはあとでまた私のほうで調べてみますけれども、非常にずさんなものであったということを申し上げておきたい。  それから、冷却水の拡散状況というものを調べてありますか。
  36. 田中好雄

    田中説明員 佐世保においてのものはございません。
  37. 石川次夫

    石川委員 海洋のあり方も港、湾によって相当違うということもいえるわけですね。そうすると、佐世保の湾内で冷却水を流した場合には、一体どういうふうになるかというようなことも含めて、拡散状況というものがわかり、時定数と、それから船のスピードというものを調べ、そういうことで観測値というものを出す。もちろん核の種類というものを究明することは必要です。それ以外にもこういう点が明らかにならぬと、これはほんとうにずさんな観測になってしまう。しかも、八時間後に水をとって調べ直したところで、核の種類というものは、放射能は原潜によるものではないということをいっても、半減期というものがものによって相当違うこともあるし、これはわからないのがあたりまえだと思います。そのときすぐにであればどうか知りませんけれども、そういう点で、時定数と冷却水の拡散状況と観測船のスピード、こういうものをよく勘案した上で、核の種類を含めて観測をしていくという体制がとられない限り、ほんとうの観測にはならない。したがって、皮肉な見方をするわけじゃありませんけれども、あらかじめわからないような観測のしかたをしておったということに結果的になると思うのです。いまごろアメリカに来てもらって調査を依頼するといっても、汚染の状況その他の調査というのは、日本は世界で水準を抜いているわけです。別にそんなものをアメリカ調査を要請する必要はない。向こうから正確な、私が先ほど申し上げたような資料を出してもらうということが一番必要なんであって、それに基づいて日本側で幾らでも調査ができる。しかし現時点ではその調査が不可能である、究明は不可能であって、もう冷却水以外に考えられないと断定してもさしつかえないのだということが結論だと思うのです。  そういうことで、結局は口上書に戻るのでありますけれども、この自然放射能以上の増加というものを認めるようなことをさせないという約束でありますから、したがって、そういうような寄港は困るという国民の立場に立って、寄港を拒否するというはっきりした態度をとってもらわなければならぬと思うのです。内閣のほうの態度も、初めは原因が究明されるまでは寄港させないという言い方であったものが、だんだんに安全体制が確保され、保証されるまでは寄港させないというふうにぐらついておりますね。しかし国民の立場からいえば、そういうふうな危険なものは絶対に寄港してもらっては困る。  あと一つ、もっと基本的なことをいえば、原子力潜水艦原子力兵器と規定することがいいかどうかは、これは議論がありましょう。しかしながら、サブロックが載っているということは、これは世界周知の事実です。佐藤内閣だけが認めてない。しかしサブロックは載っております。明らかに載っております。載っていないという証拠があるなら艦内をよく立ち入り検査すればいいと思うのですが、これは世界周知の事実であります。それはまず譲っても、軍事目的のために原子力推進機関が使われているということになれば、これは明らかに日本原子力基本法違反であるということは間違いのない事実であります。これははっきりしていると思うのです。したがって、われわれとしては、そういう形で軍事利用の原子力推進機関をつけた軍艦を日本に寄港させるということは、少なくともわが国における原子力基本法に違反するものであるということだけははっきり言えると思うのです。この点、大臣、どうお考えでありますか。
  38. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 この点につきましては、外務省とも十分打ち合わせなければならぬ問題が多くあると思います。なお、ただいま石川先生のお話につきましては十分伺いましたが、多少政府見解と違う点もあろうかと思います。  なお、原因究明につきましては現在行なっておりますので、これはあくまで自主的に日本で行なっておるのでございまして、それにアメリカ側の協力、データの提出その他を求めておるのが現状でございます。その結果、これは専門委員会の意見をいれ、原子力委員会におはかりをいたしまして、あるいは口上書の変更、あるいは補足的なアメリカ側との取りきめ、あるいはアメリカ側に対してある手段を要求して、たとえば冷却水を出さないというようなことを要求して、その承認といいますか確約を得るというような方法によって進められるべきであろうかと考えます。
  39. 石川次夫

    石川委員 いまの答弁じゃ答弁にならぬと思うのですが、時間がないのが非常に残念です。  二点簡単に質問いたします。  東海村の海洋の汚染調査は、予算がどのくらいかおわかりですか。——そのくらいはちゃんと簡単にわかるようでないと困るのですが、六十万円から七十万円ですよ。こんなことでは東海村の海洋の汚染調査はできません。ぼろ船一つ雇うのがかろうじて——あそこにまた再処理工場をつくるとかつくらぬとかいう問題がありますが、あの観測体制ではまた同じような問題が起こります。どうお考えになりますか。
  40. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 東海村の海洋放射能調査の費用は百万円前後じゃなかったかと記憶しております。違うかもしれません。十分じゃございません。したがいまして、ここらの点も再検討を要する問題ではなかろうかと考えております。
  41. 石川次夫

    石川委員 横須賀と佐世保だけじゃありませんよ、これは東海村のほうもちゃんとやってもらわなければ。ぼくも行ってみましたけれども、あんな形ではとても人民の安全を守るという立場からの観測にはなっておりません。その点を強く指摘しておきます。  それから最後一つ、スヌーク号の問題であります。横須賀に入って四十一年の五月末から六月三日にわたって滞在したときもやはり異常放射能が検出されました。その場合は、これはレーダーであるという結論が発表されておりますけれども、そこに現地で立ち会った学者は、レーダーであるということは一言も言っておりません。レーダーということも考えられるということを言ったのが、いつの間にか、レーダーだという結論になったということに対して、学者は非常に不信感を持っております。どうも私は説明できない、おかしいと思うんですね。どこでレーダーだという結論を出したのですか、これを伺います。
  42. 田中好雄

    田中説明員 当時の人たちにずっと聞きましたけれども、ある程度の専門家を集めまして見てもらった結果、レーダーと判定するということで、そういう判断になったわけでございます。
  43. 石川次夫

    石川委員 それはうそなんですよ。学者はレーダーだということは言っておりませんよ。ただ、いろいろな新聞記者や何かから質問があって、レーダーということも考えられるかという質問に対して、レーダーということもあり得るということは言っています。しかし、レーダーだということは一言も言っておりません。それがいつの間にか、正式な発表になったときには、それをいいことにして、市役所で発表したものか、あるいは科学技術庁が出したものかわかりませんけれども、レーダーの影響によるものであるというふうに断定をされたことに対しては、そこに立ち会った学者が不信感を持っているのです。ですから、私はスヌーク号の問題は再調査を強く要求します。このデータを出してもらって、これがほんとうにレーダーの影響であったかどうかということをあと一回調べてみればよくわかりますよ。レーダーの影響じゃないのです。したがって、そういうことで事をあいまいにするような体制だから、今度の佐世保のような問題も、また三回も四回も起こるであろうということにならざるを得ないと思うのです。この再調査を強く要求いたします。大臣、どう思いますか。
  44. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 当時の資料等も多少は残っております。また、あるいはレーダーを作用さして実験することもできるかと思います。できる限りの調査はいたしたいと考えております。
  45. 石川次夫

    石川委員 時間がありませんから、以上で終わります。
  46. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、三本喜夫君。
  47. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私も、いま話が出ました点を非常に疑問に思っております。四十一年の五月スヌーク号が入港したときに、これはレーダーだという結論を出した。学者結論を出した文書もあると思います。それを出してください。それを立ち会った学者と一応面通しをして、そういう結論を出していないのに結論を出したということになればたいへんですから……。私も、今回の事件が起こってからずっとこれを検討し続け、疑問に思い続けておったわけです。たまたまこの問題も、いま石川さんの言ったように、学者からそういうことを言った覚えがないのに、いつの間にかは知らないがレーダーになっておった、こういう態度が今回こういう不詳事を生んだ原因だったということに私も思いついたわけです。そこで、これは徹底的に究明しなければいかぬと思うのです。なぜあなた方は原潜をかばわれるのか。私、最近出ました週刊誌を見ますと、まずサンデー毎日を見ますと、ここには「五つのナゾ」ということで、「いったい誰のための測定か」という書き出しです。それから、朝日ジャーナルを見ますと、「原潜をかばう技術庁」「異常放射能で虚偽の発表」、何というぶざまなことですか、これが事実とすれば。私たちもこの虚偽の発表を何回もやったことを一つ一つ読んでもいいですけれども、ふてぎわなこと、ぶざまなことを、日本科学技術庁にあるまじきことをやってきた、そして、国民をごまかしてきた、そして、しまいにはこういうことが書いてあります。「科学技術庁は、厚潜と汚染との結びつきを打ち消す態度を終始とり続けたのである。放射能監視体制がいかに整備されても、その担当者が異常値を隠し、ごまかすということであれば、どろぼうに金庫の番を頼んでいるようなもので、全く信用することはできない。この事件は、同庁が管理、監督している全国の平和利用原子力施設の放射能監視体制に対し、周辺住民の不信感を増大することになる」、ここまで言っておりますが、私も全くその感をひとしくするものであります。どうですか。このことは、いままでの経過の中で何回となしに私たちあるいは本会議においても追及したことでありますから、これ以上は触れません。きょうは主として、いま次官が申しましたアメリカ学者三人に来てもらって、きのうはこの学者の立ち会いのもとで検討会を開くはずだったわけであります。しかしアメリカ学者三人は資料を出さない、拒否しておるわけであります。これは事件を長引かす、そういう心組みではありませんか。それならそれなりに日本学者結論を出したらどうですか。資料資料とおっしゃるけれども、簡単ですよ。第一次冷却水を流したか流さないかということさえはっきりしたらいいのですよ。一体いつまでかかってそんなことを聞いておるのですか。原潜は出てしまった。出てしまっても、そのことを責任をもって米軍がやるかやらないかによって、われわれは米国を信用するか信用しないか、今後の態度がきまると思うのです。科学技術庁はその辺、確固たる態度をもってやってもらいたいと思うのです。まずその点をお伺いします。
  48. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 先ほど申し上げましたように、専門家会議におきまして、確固たる態度で日本側は自主的にこの調査をいたしております。したがいまして、アメリカ側の協力を求めて資料の提出を願っておるわけでありますが、そんなに長くなるとも私は考えません。きのうの会議の状況を聞きますと、もうしばらくその資料の解明をしてから提供したい、どの程度提供をしてくれるかどうか、これは軍事機密等の問題もありましょうし、われわれが想像するわけではございませんが、でき得る限りそういった資料も求めて、そうして日本側の調査をできる限り深くやってまいりたいという、真意はそれ以外にございません。したがって、アメリカ側になびいておるとかどうとかということなくして、独自でやってまいりたいと考えております。
  49. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 鍋島長官、あなたはいまはしなくも軍事機密とおっしゃいました。しかしこんなもの、軍事機密じゃないんですよ。第一次冷却水を出港するときに出すか出さぬかということ、こんなことは軍事機密ではないのですよ。なぜこんなところに逃げられるのですか。それさえ言えば、いまの自由民主党の内閣というものは、軍事機密ということを言えば国民の目をごまかせる、そういうさもしい考え方を持ってもらっては困りますよ。冷却水を出すことは、これはもう常識なんです。こんなことは軍事機密でも何でもありませんよ。それをどういうぐあいに処理したかということが資料でしょう。しかし、出したか出さぬか、それを聞くぐらいなことに何で時間がかかるのですか、私にはわかりません。次長、言ってください。
  50. 田中好雄

    田中説明員 その点でございますが、一般には出すことがあり得る、しかし今回の場合は出ておらぬ、こう言っておるわけであります。そこで、それならば資料を十分整えて私らに示してもらわなければ判断できぬじゃないか、こう言っているわけであります。その資料は、間もなく全部解析が終わればまとめてお話ししましょう、こういうことでとどまっておるわけでございます。
  51. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 妙な話ですけれども、資料を整えるということになったら、それを隠蔽するような資料もできるんですよ。そうでなかったという資料も、向こうまかせにすればできるんですよ。鍋島長官は、このサンデー毎日のおしまいのほうにこうおっしゃっておる。非常に正直で、私はこういうところは、鍋島大臣は、新しくなられた大臣として非常に好感が持てるところなんですが、「米原潜ソードフィッシュによるものとの疑いをますます濃くしている、と発表していますが、それに全面的に同意なさいますか。」これに対して「もちろんです。そして原因を徹底的に究明調査したい」そして、しまいのほうに「調査団が行って実際に測定したが、レーダー、溶接とも異常値の記録とはならなかった。それで原潜以外にないということになったのです。これからは、少なくとも異常値が出た場合は、すぐさま発表します」こういうようにおっしゃって、いままで科学技術庁に私たちがスヌーク号からこちら疑いをかけておった点をはっきりとここで言い切っておられる。それなら今日まで、第一次冷却水ではございません。まだデータを求めておるところです、こういうことでは、これはおかしいじゃないですか。きのうの会議ではいまも言いましたように、資料を出さなかったようですが、そういう態度なら、大臣は、もう原潜を疑う以外にないとここで言い切っておられるのですから、日本学者を頼んで、徹底的な追及をやるべきだと思う。日本側の学者結論を出したらいいじゃないですか。この点、行政当局としてはまことに手ぬるい。したがって、サンデー毎日にもこういうことを書かれておるので、私もほんとうに遺憾に思うのですが、そのことばをちょっと申し上げますと、「いまの測定は、国民を放射能から守るためにやっているのか、原潜を守るためにやっているのかわからぬ」こういうことが書いてあります。有澤原子力委員、ひとつよく聞いておいていただきたいと思うのです。行政当局がやったことに対して、サンデー毎日にこんな書き方で出ておるわけです。これは私はサンデー毎日を非難しておるのではない。サンデー毎日は国民の気持ちを書いています。私も今日この気持ちです。もう一回、アメリカに対する態度をもう少しはっきり答弁してください。
  52. 田中好雄

    田中説明員 先ほども申しましたように、米側データが集まったところで話したいと申しておりますので、近くその話がくると思っております。しかし判断でございますが、先生方はそれにとらわれてどうこうということには私はならないと思います。これは、前に申し上げておりますように、私のほうの調査向こうが手伝いにきておるわけでありますので、そういう面から当然日本側としては独自で検討会のメンバーで判断ができることでございます。
  53. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 先がたの石川さんの質問の中に、口上書を変更するという話がありましたね。口上書の変更はどの個所を、どういうぐあいに変更するのですか、それをひとつ。
  54. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 これは専門家会議結論を出しまして、原子力委員会にかけて、そうしていわば態度を決定いたしまして、外務省そのほかに交渉をして、考えるべき点があれば変えたいというふうに考えるわけでございます。まだ専門家会議結論も出ておりませんし、アメリカ側から資料を取り寄せてといいましょうか、資料を提示すると言いながらまだ資料が提示されておりませんので、どの個所を、どう変えるとかどうとかいうことは、まだ申し上げられないかと思います。そういうこともあり得るということで御了承願いたいと思います。
  55. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 口上書の中に、「周辺の一般的なバックグラウンド放射能に測定し得る程度の増加をもたらすような放出水その他の廃棄物は、軍艦から排出されない。」という項目がありますね。ここが一番問題になっておるのですね。そうでしょう。そこで「測定し得る程度の増加をもたらす」というのは、どこをさすのですか。これは科学技術庁に聞きたい。
  56. 田中好雄

    田中説明員 ここのところに関しましては、私のほうとしては、六日に出ました異常値が、汚染によるものであるかどうか、汚染の疑いを濃くしておるわけでございますが、いまそちらのほうの原因を追求しているのでありまして、平常ならば、いままで非常にきれいなカーブでバックグラウンド放射能だけしか出てないのに、今回だけ特にこんなふうなかっこうに出たのはどういうわけかということをもっぱら調査しておる段階でございます。そこをはっきりしてから、こちらのほうに考えが移ってくるというふうに考えております。
  57. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 非常にくつの上からかゆきをかくような答弁で困るのです、時間ばかりたって。要するに、「測定し得る程度の増加をもたらすような放出水その他の廃棄物」、その増加というのは、平常にずっと自然の放射能がありますね。それにぴくっと出たのがこの間の状況です。これを「測定し得る程度の増加」と考えるのかどうか、こんなものは瞬間的だから増加と考えないというのかどうか、その辺を聞いておるのです。どういうぐあいに解釈するのですか。
  58. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ただいま御質問になっておりますゼネラルバックグラウンドにおけるメジャラブルインクリーズ、一般的なバックグラウンドにおける測定し得る増、こういうことでございますが、この一般的なバックグラウンドという場合のその意味は、アメリカの海軍の規定によりますと、時間と、それからエンバイロンメント、環境、周辺となっておりますが、この二つが含まれておる。アメリカの海軍はそういうふうな規定をしております。ですから、ある地点、地点といっても必ずしも一点ではありませんけれども、ある程度の幅を持った地域ですけれども、そういう地域で、今回は異常数値が出ておる。先ほど来御質問といいますか、御不満がありました測定値といいますか、測定がきわめて不備である。それであの測定器にあらわれた測定値がどの範囲にどの程度及んでいるかということは、あの測定のやり方だけでは必ずしもはっきりしない点があるということは確かだと思います。ですから、その点で、モニタリングについては、私は測定器械ももっと精巧なものを使わなければいけない、そういう点、それから、測定のマニュアルをちゃんときめて、たとえば、とにかくバックグラウンドといいますか、今回のように異常値がちょっと出たときには、すぐさま海水をとるとか、あるいは空気をとるなり、何か異常値が出たそのときに、あと分析をする試料になるものをすぐさまとるというふうなマニュアルが基準としてなければならぬ、そういうことはあると思います。けれども、一般的なバックグラウンドの測定し得る上昇という場合には、いまのアメリカの海軍の規定によりますと、ある時間の幅、ある地域の広がりというものを持っておると思います。それがその地域とその時間において測定し得る増加、こういうものがあった場合には、あの口上書にはそういうものは出さない。口上書といいますか、ステートメントにはそういう意味が書いてある、こういうふうにいえると思います。  しかし、私どもがいま問題にしておりますのは、過去十数回原潜が佐世保に入っておる。その間いまだかつて、非常に能率が悪いともいえますけれども、観測器械にはほとんど一般的な自然的なバックグラウンドと何とも変化がなかった。ところが、今回に限って変化があった。大きな、十倍ないし二十倍の増加があらわれた。このあらわれたということは、どういう原因であらわれたか、また、その原因のいかんによっては今後ももっと高いものが出るおそれがないか、つまり、いままでの過去十数回のものとは違ったものが今回あらわれたというところに非常に注目しておるわけです。ですから、そのためにも原因を十分究明しなければいかぬ。私どもはいま日本調査委員で構成しておる調査会の結論を待っているわけでございます。その上で委員会としての態度を決定したい、こういうふうに考えております。
  59. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そのことはみなわかっているのです。いろいろな報道によりまして、いまおっしゃったことは、みなわかっております。海水を調査しなかったということも手落ちなんです。これは不手ぎわなんです。これは私はよくないと思うが、こういうふうにモニタリングによって異常値が出たということが事実としたときに、この口上書というものをどう解釈するかということだけ聞けばいい。これは外務省を呼んで聞くほうが至当かもしれませんけれども、しかし、科学技術庁もそれをはっきりしておいてもらわなければいけない。こういう出方をした場合は、明らかに米口上書というものは約束違反だということが言える、これを事実と見てですね。それをもっと正確に調べなければいかぬ、あるいは測定する機器に問題もあろうし、時期に問題もあろうと思います。それから、バックグラウンドに測定し得るところの数値を示したということは、要するに、時間的な問題もあるし、地域の問題もある、こうおっしゃいますのは、地域が全部ずっと異常なある程度の高さになってきたときには困ると思うのです。ずっと全体にレベルが上がってしまった、一時間も二時間もレベルが上がって、異常にある程度上がってきたということになると、海水は汚染されきっているわけですから、どこもここもそんなことになったらこれはたいへんです。そんなことをさして、測定し得るところのバックグラウンドの増加というのか、きゅっと上がったものも増加というのかということを言うているわけです。
  60. 沖本泰幸

    沖本委員長 答弁は簡単にお願いいたします。
  61. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 時間的な点から申しますと、今回は非常に短い、おそらく十分あったかなかったか、こういうことだと思います。それから、地域的には、先ほど申し上げましたように、測定器械の関係もありますけれども、しかし、潜水艦から百メートル離れた地域に船が回っているわけです。その間には異常はなかった。その百メートルのところに出たわけです。ですから、これは一般的なバックグラウンドの測定し得る増加と見られないじゃないか、こういうふうにも言えるわけでございます。ですから、地域にもよります。範囲にもよります。それから、たとえば日本の原子炉の設置の場合でも、ある構内だけのバックグラウンドというものも、ときにはある程度上がります。しかしそれは別にわが法律ではそうしてはいけないということを言っているわけではありません。
  62. 沖本泰幸

    沖本委員長 時間が過ぎておりますから……。
  63. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 時間がないのに肝心なところでそらされてしまっているような気がして非常に遺憾なのですが、要するに、これは、ぽこっと出たものは約束違反でないということになると、佐世保の住民は、こんなものが、約束違反でないからといって、何ぼでも来るということになると困ります。  それから、バックグラウンドが測定し得るというのは、全体的に上がったときだというようなことになりますと、長時間上がったということになれば、これは約束違反ですから、明らかにあなた方の解釈もそうだということになりますと、そこで原子力委員にお聞きいたしますが、米原潜は来てもらわない——これていつまで来てもらわないのですか、どうなるときまで来てもらわないのですか。それだけをはっきりしておいてもらいたい。そういうことを原子力委員会は決定なさっているでしょう。
  64. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 委員会としてはまだそこまで決定はしておりませんけれども、この間の委員会の意見書によりますと、今回異常が出た、そういう異常の原因が明らかになるまでは原潜は来てもらいたくない、そのように政府のほうで善処してもらいたい、こういう申し出をしておりますのが一つ。  もう一つは、少なくとも従来の十数回のときには、ほとんどあの観測器械で観測した結果に異常と見られる数値は出てこなかった。そういうことができるはずなんです。私はできると思います。ですから、そういうことをぜひひとつ確保してもらうということを申し入れをしたいというふうに思います。
  65. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これで終わります。
  66. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、内海清君。
  67. 内海清

    ○内海(清)委員 時間がないようですから簡単に御質問いたしますが、私は前回の質問で、四十一年五月の横須賀の異常放射能の検出事件、これは当時はレーダー、こういうものによる障害であるというふうにいわれております。ところが、今度の佐世保の場合、それを現地でやったところが、そういうものにはレーダーとかあるいは溶接のスパークなどは関係がない、こういう結論が出ましたね。この測定器は、四十一年の五月に横須賀で使ったものと、いま佐世保にあるものと同じような性能のものであるかどうか、あるいは違うのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  68. 田中好雄

    田中説明員 モニタリングボートの中にあります観測機器はほとんど同じものでございます。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、横須賀で、これはレーダーによる障害であるということはあやまちであったということが明らかになっておる。したがって、先ほど来ありまするように、四十一年の五月の横須賀のスヌーク号ですか、これに対する調査というものも、これまた徹底的にやっていただかなければならぬ、あるいは今回の調査でこれが明らかになれば、この問題もおのずから解決すると思いまするけれども、前回のものがあやまちであったということ、これまた明らかにしていただかなければならぬと思うのです。そういう点はどうですか。
  70. 田中好雄

    田中説明員 ただいま先生のおっしゃっておられます横須賀のものは、モニタリングボートのほうのものでございませんで、ポストのほうにあらわれたものでございます。したがいまして、ボートは同じ機器を使っておりますが、ポストのほうは、今回は佐世保のほうは出ておりません。何ら異常はない。それから、横須賀の場合は、レーダーと思われるものが出た、こういうのでございます。したがいまして、ちょっと違うと思います。
  71. 沖本泰幸

    沖本委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 沖本泰幸

    沖本委員長 速記を始めて。
  73. 内海清

    ○内海(清)委員 そういうことになりますと、これはますます疑惑が深まるということに私は相なると思います。今回の場合も、最初は横須賀の例を引いて、それに準ずるものではないかというふうな解釈が初め出てきた。この辺はすみやかに明らかにして、やはり国民に十分理解させておかなければならぬ、こう思うのです。  そこで、そういう点から考えまして、今回の場合はこの原因が、そういうふうな測定器の性能その他によるものでないということになるならば、原因はあくまで原潜によるものであるかどうか、こういうことに相なってくると思うのでありますが、いま調査されておりますのは、今回の異常放射能検出というものは大体原潜によるものであるというふうな考えのもとに行なわれておるものかどうか、この点はひとつ大臣にお伺いいたします。
  74. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 専門家会議からの答申も、あるいは原子力委員会の決定も、つまり的確にその犯人をつかまえておるわけではございません。しかし、その疑いが非常にあるという結論のもとにこの調査を進めておることは事実でございます。
  75. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、原因がなかなか明らかになりませんが、アメリカ側の三名の調査員が来ておる。これに対しまして、原子力委員会でもきめられておりますけれども、資料の提供を求めるということが一つあるわけでありますが、この資料の提供も、そうすると、原子力に関するいろいろな資料が中心的なものであるかどうか、もしできますならば、どういうふうな資料を要求しておるか、その点をひとつお伺いします。
  76. 田中好雄

    田中説明員 ただいま要求しておりますデータといいますのは、向こうのモニターしたデータその他でございます。それから機器類関係に表示されているものが、もし手に入るならほしいというようなことを言っておる最中でございます。
  77. 内海清

    ○内海(清)委員 そういうふうなものが大体拒否されておるような形に受け取っておりますが、いままでの発表ではそういうふうに思われるのですが、その点どうですか。
  78. 田中好雄

    田中説明員 向こうから出ております資料は、いろいろ一般的なものは四、五冊きておりますが、ソードフィッシュに関するものは一切入っておりません。
  79. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、資料を求めるのに、こちらの調査の中心は、今回の汚染原子力潜水艦によるものであるという大体の判定が出ておるわけでありますから、これの疑いが深いということになっておるのでありますから、その資料が提出されなければ、はたして十分原因が究明できるのかできぬのか、その点はいかがでございますか。
  80. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま資料を求めておりまして、アメリカ側もできるだけ出したいということを言っておるわけでございます。非常に困難な問題であると思うのでありますが、率直にアメリカ側がそういった資料を出し、専門家側のいわば専門家会議結論が出やすいような資料が出てくれば、まことにけっこうだと思いますが、現在のその交渉段階でございますので、できるだけ協力するとはアメリカは申しております。また、こちらも忌憚なく必要資料はたとえ軍事機密であろうと何であろうと、要求はいたしておる段階でございます。この点、どうぞ御了承願います。
  81. 内海清

    ○内海(清)委員 その点は、今後強力に折衝していただいて、こちらの要求する資料が提出されるように、それで初めて私は完全な原因究明ができるであろう、こう思うのです。  それから次に移ります。時間がございませんので簡単に申し上げますけれども、今回の事件によって、いままでの放射能の監視体制がきわめてずさんである、これが明らかになったわけであります。ことに今回問題を複雑にしたのは、その異常値が検出された場合に、たとえば海水のサンプルをとらなかったとか、あるいはまた連絡の手おくれがあったとか、あるいは発表の不手ぎわがあったとか、いろいろな問題がございます。これは今後十分改められなければなりませんが、先般原子力委員会で大体三つの事項、意見書と申しますか、これがきめられたわけであります。これに対しましては、先ほど有澤委員からもお話ございましたが、政府としては、これに対して、特にアメリカに対するものもございます。いまの資料の提供を要求するという問題もあるわけであります。それから二番目は、わが国の放射能の監視体制、調査体制の整備強化をするということであるようでありますが、三番目には、この原因が明らかになるまで、あるいは監視体制が整備されるまでは、少なくとも原子力軍艦の寄港が行なわれないようにしなければならぬということをいわれておる。それらのことは、政府のほうですでにアメリカにどういうふうに伝えられておるか。少なくともこの原子力委員会の三つの意見は、今日政府として行なわなければならない最低限のものだと思う。まずこれだけは行なわれなければ、国民の不安というものはなかなか除かれないと思うのであります。最低限のものだと思いますが、これに対して政府はいかに対処せられるか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  82. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 これは原子力委員会の決定といたしまして、総理大臣に文書をもってまいっておりますとともに、閣議でも報告をそのとおりいたしまして、閣議の了承を得て、政府として、それぞれあるいは外務省を通じてアメリカ側に申し入れをするとか、あるいは科学技術庁で、たとえば観測体制の強化につきましては、さらにこれを各省と連絡をして、これを予算化していくというような——まだそこまでいっておりません。現在その観測体制の準備をやっておりまして、近々に大綱ができると思うのでありますけれども、そういう点にもすでに着手をしておるというのが現状でございます。
  83. 内海清

    ○内海(清)委員 原子力委員会の三番目の申し入れというものは、この調査期間中はもちろんであるけれども、そういう監視体制ができるまでは少なくとも寄港を認めないように、こういう決定でありますから、これはもう直ちに行なわれるべきであると私は思います。その点いかがですか。
  84. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 原子力委員会の意見を尊重して、政府としてすでにそれぞれ手配を進めております。
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、アメリカ側にはまだ折衝していないということですか。
  86. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 アメリカ側には、そういう日本政府の意向であることを通知してあると思います。私は外務大臣じゃございませんので、外務大臣がそういうふうに……。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、申し入れをしておるならば、それに対するアメリカ側の回答は来るわけでありますか。
  88. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 私が非公式に聞いたところによりますと、アメリカ側もそういった意向であって、原子力潜水艦は、調査期間中といいますか、そういう点については、十分考慮するという返事を得ておるというふうに聞いております。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 その点は私ども新聞で見ました。それは、アメリカ側も考慮しておるという情報でありますが、日本政府がはっきりそれをキャッチしておるのかどうか。この点いかがですか。
  90. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 私が聞いたところでは、以上のところでございますから、さらに、その点は正式に通知されて、そして、アメリカ側から正式な返事を得たかどうか、私ば聞きませんが、現実の問題として、観測体制そのほかを整備するまで入港することはないであろうと私は考えております。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣は、その点はまだ聞いておらぬということでありますが、少なくとも責任の地位におられる大臣としては、そのことは的確に把握していただかなければならぬ。このことを強く要望しておきたいと思います。  いずれにいたしましても、この問題は、今回の調査をされるときには、あくまでも科学的に行なわれなければならぬ。いやしくも、政治的な圧力に屈してはならぬと思います。でありますから、科学者あるいは専門家というような方でいま調査されておりますけれども、これはあらかじめ予断とか感情などが入ってこられるべきものではない。ほんとうに科学的な観点に立って十分な調査が行なわれなければならないと思います。しかし、これに対する最終的な判定者というものは国民であります。われわれではありません。国民がなるほどと納得するような原因の解明が行なわれななければならぬと思います。この点は十分そのことを考えて、ことに、いまの状態では、佐世保の現地におきましては、市民というものは非常に不安な状態に置かれている。でありますから、アメリカに対する申し入れもされたそうでありますが、この点を十分に考慮して今後に対処していただきたいと思います。  時間がございませんから、これで終わります。
  92. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、近江巳記夫君。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に時間がないようですので、簡単に明快にお願いしたいと思います。大臣質問を集中いたします。率直にお答え願えるならば、私もすぐ終わりたいと思います。その点は了承願います。  まず、原潜の寄港を安全と認定した原子力委員会あり方、それから政府の方針自体が誤りでなかったか。この点についてお聞きしたいと思います。  原子力基本法の第二条に「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」、第五条では「原子力委員会は、原子力研究開発及び利用に関する事項について企画し、審議し、及び決定する。」このようにあります。しかるに、この原子力委員会は、自己の任務でもない、また権限でもない米軍の原潜に対して、原子炉の安全審査もできないままで、昭和三十九年八月二十六日に、米国政府の確約がそのとおり確保されるならば、寄港地周辺の住民の安全上、支障はないものと判断するという見解を出した。政府は、これに基づいて、二日後に、寄港受諾を米国に返答しているわけです。  今回の放射能汚染ソードフィッシュ号から排出されたものであるという疑いが濃厚となった現在、この決定自体に、一つは越権行為、二つは、判断の根拠のないままに、ただアメリカ政府を信頼して決定した、そういう軽卒さに対する反省が必要であると私は思うのですが、この点どうですか。
  94. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 三十九年八月二十六日に原子力委員会は、普通であれば、計画の設計書のときから、立ち入り検査をしたり、あるいはそのほかすべての安全性を確保してこれを許可するわけでございますが、安保条約によって認められている、いわば施設提供の義務がある、この問題につきまして、慎重に御研究になって、それについては日本側においてできる限りの、あらゆる安全性の確保の条件をアメリカ側に申し入れ、アメリカ側からは、口上書あるいは声明その他におきまして、その安全性を十分確保することを確約したという、その基礎に基づいて、実は、原子力委員会は総理大臣に答申をせられたものだと考えます。今日に至りますと、その解釈上、あるいは先ほどから論議になっておりますが、いわば測定値の問題等も出ておりますけれども、その当時においては、安全のつもりでそういう御答申をなすったものと考えておるのであります。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力委員会は、原子力施設をつくるときに、原子力委員会のもとにある原子炉安全専門審査会で可能な限り十分な資料を整えて、慎重に審査を行ない、その答申に基づいて総理大臣が設置の認可を行なうものと聞いているわけでありますが、一つは、その点、そのとおりであるかという問題。それから、原子力委員会が、原潜の寄港は安全であると認定した際にも、米国側から寄せられた資料、米国政府の声明について、原子炉安全専門審査会あるいは専門家に諮問したかどうかという問題です。  あまり長くなりますとこんがらかりますので、まずこの二点についてお聞きします。
  96. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力委員会が、原潜の入港に際しまして意見書を総理大臣のほうに出したわけであります。普通でございましたならば、いま御指摘のありましたように、安全専門審査会に十分な資料を提供して、その資料に基づいて安全専門審査会が審査するわけでありますが、軍艦の場合はその資料がなかなか得られません。周辺の資料は得られますけれども、直接の資料は得られませんので、そういう不備な資料で安全専門審査会に審査をお願いするということは責任の転嫁になるというふうにわれわれは考えまして、われわれでできるだけのこと、つまり、日本の国内に原子炉が設けられたときに、どういう条件を安全上確保しなければならないかという観点から、幾カ条かをあげまして、そして、アメリカに、この点はどう守れるか、どうして守られるかということを質問いたしました。それが、口上書とか、声明とか、トーキングペーパーというような形になってあらわれました。それに基づきまして、全体として、もし、アメリカの言うことが確保されると政府が考えるならば安全であります、こういう意見書を出したわけであります。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、実際には何ら諮問せずに、原子力委員会の秘密会できめた、私はこのように聞いている。慎重に審議したと先ほども言われましたが、当時の資料を見てみますと、当時の原子力委員会には、委員長の国務大臣、それから財界の出身者等、わずかなメンバーでありますが、そのときに専門家を入れて、その中で審査をしたかどうかという問題なんです。原子力商船のサバンナ号が来るというときには、いろいろと非常に慎重な審議をした。ところが、今回の原潜の寄港に対しては、原子力委員会が単独で秘密裏に検討して、いきなり安全だ、こういうふうに認定しておる。そこで、私はこの原子力委員会あり方が問題だと思うのです。民主、自主、公開、平和利用のこの三原則からいっても、行政手続からいっても、私は不備であると思うのです。この点どう思いますか、大臣。簡単に、明快に答弁してください。
  98. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力委員会はいま六名で構成されておりまして、その六名の審議で全責任をもって決定をいたしております。でありますから、専門家の意見を聞くということは、これはやりますけれども、決定に際しましては、その六名で決定をする。それで、秘密会議と言われますが、これは傍聴人がいるわけじゃむろんありませんけれども、しかし議事録はちゃんと作成しておりますので、公開しております。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 専門家は入れましたか、そのときに。
  100. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 決定に際しましては、これは入れません。というのは、われわれの責任においてきめるわけでございまして、専門家の……。
  101. 近江巳記夫

    ○近江委員 では審査のとき入れましたですか。
  102. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 審査といいますのは、サバンナのような場合には、あれは商船でございますから、資料は全部提供させることもできるわけです。また、させたのです。したがって、その資料に基づいて安全専門審査会でこれを全部審査してもらうわけです。その審査報告委員会が受け取りまして、審査報告並びにほかの条件を勘案の上、安全であるという委員会の決定になります。  ところが、軍艦の場合には、それができない。そこでわれわれは専門家の意見は聞きましたけれども、決定する審議のときには専門家は入っておりません。
  103. 近江巳記夫

    ○近江委員 だからそこが問題なんですよ。資料が足らないからということで専門家も入れずに、何の審議もせずに、そうした六人で決定する。ですから、そういうようなあり方自体が、ただ、そういうような約束になっているからということだけで引き下がっておっていいのかということなんです。現実にこういうような問題も出ておるわけです。今後原子力委員会として、それでは同じ過程を踏むのですか、どうなんですか。
  104. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 委員会が決定をする場合には、委員会として決定したのであります。その前の段階において意見を聞いたりする場合には、原子力委員会が開かれてやるわけではなくて、意見の聴取という会合では、それはやります。
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、今度の原潜の寄港に対しては、それをやっていなかったわけなんです。その点を率直に認めて、今後このようにやっていきたいという答弁を私は聞いているのです。言いわけばかり聞いているのと違うのですから。たとえ原子力商船サバンナ号と同じだけの資料がなくても、それだけの体制をとって、その中で何とかして、それだけの資料の不足の中で安全性というものを検討した、そういうプロセスを踏んでおるかと私は言っておる。そして、それを遺憾と認めたならば、今後どうしていくかという前向きの答弁を聞いているのですよ。
  106. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 原子力関係者として、委員長として申し上げます。  今後におきましては、御承知のとおり、観測体制を強化することはもちろんでございますけれども、専門家会議結論あるいは原子力委員会に付属します安全専門審査会その他のいろいろな意見も聴取いたしまして、そして原子力委員会におきましてこれを決定いたすわけでございます。したがって、さらに、その決定いかんでは、先ほど来言われておりますように、潜水艦入港の場合等におきましては、口上書に対して変更を求める場合、あるいはそれ以外に補足的にアメリカの確約を求める場合、いろいろケースはその際においてまた決定せらるべきと思いますが、万全を期して進めてまいりたい、原子力委員会としてはそういう態度で臨んでおる次第でございます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 もうあまり時間がありませんから、まだこの点聞きたいのですが……。  政府は、今回のこの異常放射能の問題に対して、安全性が保証されない以上、日本に寄港してもらうわけにはいかない、こうした態度をとったわけでありますが、アメリカにも通達してあると思いますが、この保証の内容というものが私は問題だと思うのです。昭和三十九年に寄港を承認した際にも、米国はこの安全性というものを保証しておった。それにもかかわらず、今回放射能汚染が発生した。ですから、口先だけの保証というものは何のたよりにもならない。ですから、この安全性の保証という問題について科学的な根拠が明らかにされ、その根拠となる資料の民主的、総合的な慎重審議が必要だ、私はこう思うのです。この点についてはどう考えていらっしゃいますか。
  108. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 したがって、先ほど申し上げましたように、専門家会議からそれぞれ今後の安全性につきましての意見が出ることと思います。さらにそれを原子力委員会で慎重に調査をして、こういう点、こういう点といういろいろな点を、今回の事件に顧みましてアメリカ側に申し入れること、あるいは確認を求めること等もあろうかと思います。そういう点を慎重に審査をして、今日の段階においてでき得る限りの慎重さをもって安全性を確保するということにいたしたいと考えております。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、監視体制の問題を聞きたいと思いますが、このことを契機に監視体制を強化をする、このような答弁を何回も聞いておるわけでありますが、安全性というものがはっきりと認められない以上は、国民がみんな望んでおることは、この原潜の寄港の拒否だと私は思うのです、それがはっきりするまで。この点が一つ。それから百歩譲って、この監視体制の強化を論じた場合、まず第一に、この事件が起きたときに、科学技術庁があの虚偽の発表を行なった。非常に非民主的な、不明朗な態度があった。この点をどのように考えているか、これは非常に大事な問題だと思うのです。  それから、現在の監視体制に人間や予算をただふやすというだけではなくして、現地住民の代表、あるいは漁民の代表、あるいは日本学術会議の推薦する学界の代表など、そうした国民の代表としての内容に考え直す必要があるのではなかろうか、今後その点をどのように考えていらっしゃるか、この二点をまずお聞きしたいと思うのです。
  110. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 今回の措置で反省すべき点があったことは、本会議で申し上げたとおりでございます。また、従来どういう監視体制であったかも、本会議で申し上げたとおりでございます。したがいまして、今後は、いま有澤原子力委員も言われましたように、いわゆる器材といいますか、観測器具の増強あるいは人間の配置、特に入港時におきましては責任あるスタッフを現地に送っておりまして、そこに各方面の方々との連絡を密にするようにいたして、異常値等が発見された場合、あるいは平常である場合も、即刻その場合において一面科学技術庁に通知するとともに、現地において発表する。そして、もし何かあった場合直ちに即応できる体制を整えるように、現在研究中でございます。その際いろいろな、各民間団体あるいはその他の御意見等があれば、それは現地において伺うこともありましょうし、直接技術庁において伺うこともございましょう。したがいまして、やはりこれは行政の一環でございますから、その責任体制ははっきりきめてこれを進めてまいりたいと考えております。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、私は二点目にお聞きした。そうした代表を入れた新しい体制を考える、そういうお考えを持っておられないかということを聞いておるわけですが、その点についてはどうですか。
  112. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 やはりこれは佐世保市なら佐世保市という市長さんとの連絡でございます。やはりその土地の責任者としての、あるいは長崎県なら長崎県当局、そういうものとの連絡を密にする、御意見を伺うというようなことでまいりたいと考えております。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間もありませんので終わりますが、原潜の安全性というものは全然私は信用していない。もう長官もそれはよく御承知かと思いますが、原潜には原子炉が三基ないし四基、これは秘密に属することですから推定しかできませんが、専門家に聞けば、三基ないし四基積んでいるだろう。それにミサイル、爆雷等を積んでおるわけです。ですから、非常に設計に無理がある。普通の商船とは全然違う。ですから、ほんとうに確実な安全性というのは、まあ五年くらいと違うか、十年くらいになれば非常に心配だという意見も述べておる。現在アメリカは原子炉の規制というものを非常に強めてきています。したがって、コストも大体二割から四割アップしている。したがって、アメリカからそうした技術を受け、日本でもいまどんどん原子炉ができかけておりますが、非常にコストが上がってきてやりにくいと業者も言っていることは、長官もよく御存じなんです。安全基準というものは非常に強化されている。しかし現在の原子力潜水艦は五年ないし十年前につくられている。したがって、そういう点において、安全性という点においては危惧の念が非常に強いわけです。現実に潜水艦も沈んでおるし、あるいはイギリスでも原潜の基地は非常に汚染されている、そうした報告も入っておる。こういう点において国民が非常に不安を持っている。したがって、こうした安全性という問題について、ひとつ徹底的に、これは科学技術庁が責任をもって国民が納得する発表なり体制をすみやかに立ててもらいたい、また処置をしてもらいたい、このように思うのです。アメリカからも専門調査団が来ておるわけでありますが、私がここで一つ申し上げておきたいことは、米国務省のスポークスマンのマクロスキー氏が十三日の記者会見で「佐世保港での放射能増加について調査したが、これが原子力潜水艦ソードフィッシュないし他の潜水艦によってもたらされたものでないことがわかった」、もうはっきりと断定的に述べているわけです。また、ジョンソン駐日大使もこの立場を支持しておるわけです。これに対して政府原子力委員会も、資料提供などいろいろと努力はしておると思いますけれども、アメリカ側が自分に不利なそういう軍事機密等の資料を実際出すかどうかという問題なんです。原潜の原子炉の構造に関する資料あるいは放射性廃棄物の放出状況もしくは一次冷却水の排出状況、こうしたことが明らかにされない限り、ただ単にことばだけで、ソードフィッシュ号ば放射能を含む廃棄物や冷却水は排出しなかった、こんなことを言われたって、納得できるものではないわけです。現在アメリカやまた日本政府が発表しておる段階では、国民は全然納得してない。この点において、納得のできる発表、処置をやってもらいたいと思うのです。この点についてどう考えていますか。
  114. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 現在アメリカ調査団と日本専門家会議とが交渉中でございます。その経緯は、日本側からこういう資料を提供したがアメリカ側から出さなかった、あるいはこういう点についてはアメリカ側の回答はどうであったというふうに、この点は明確にいたしたいと思います。あくまで日本調査でございますから、またアメリカ側も、もちろん現在の段階においてあれこれ不利な資料は出さないとかなんとかという類推はしたくばございません。やはりアメリカ側もできるだけ協力をしてくれるものという立場に立って、この両者の会談を進めてまいるべきであろうと考えます。しかし、その結果どういうことになりましょうか、その結果は忠実に御報告を申し上げて、日本日本専門家会議としての御結論が出ることをお待ちするという態度でございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから、あと一、二問で終わります。  それで、入港の前にソードフィッシュ号について米国側から明らかにされている資料の範囲、これは新聞等で報じておるのは、総トン数、原子炉型式、原子炉の出力、原子炉数、冷却水の処理方法あるいは建造年月日等の内容しかわかっていないわけです。その後、米国側からどのようなデータが提出されましたか、その点ひとつ答えてください。
  116. 田中好雄

    田中説明員 もっぱら放射能による影響ではないかということに主点を置いておりますので、船の型その他は実際に聞いておりませんが、手元にありますのは、年鑑その他で手に入ったものはございます。その程度でございます。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 資料はあるのですか。
  118. 田中好雄

    田中説明員 これはただいま手元に持っておりますのは、英国の有名な年鑑がありますが、それからとったものはございます。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは何も専門家まで呼んで、何の資料も受けていない、何の進展もないじゃないですか。まさかもらっているのにもらっていないとは、あなたは国会の席上ではそういううそはつかないとおっしゃいましたから、私はそれを信用しますけれども、そういうようにこれだけ国民が心配しておることについて、もっと真剣に、少なくともその判断の資料になる、もう少しくらい資料の収集等について、はっきりとしたものを現段階においてそろえるべきだと思うのです。これでは何も進展していないじゃないですか。とにかく入れば、私も科学技術特別委員会委員として非常に知りたいわけですから、私のほうへその資料を提出してください。それを要望しておきたい。  もう一つは、原子力の先進国では、どこの国でも、事故時の対策というものがあらかじめ立てられているわけです。ただ、先ほどの政府のいろいろの答弁からいきまして、そういう知識だけでは、ただ放射能を測定するだけで、これに対応したさまざまなそうした事故や放射能汚染の可能性の想定というものは不可能だと、このように私は思うのです。藤波原子力局長は、一万カウント以上の異常放射能が測定されたら、そのときに対策を考える、このように前に述べられましたけれども、私は非常に無責任だと思うのです。この点についてはどう考えますか、大臣、お願いします。
  120. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 事故時につきましては、それぞれ事故がどういう形で起きるかということにも大きな問題がございますので、たとえば直ちに通知をする、あるいは直ちに立ち入りを禁止する、あるいはいろいろ具体的な問題がございます。しかもまた、一応前に規定しておいても、現場において適切な措置がとられない限り、これは非常に危険な場合もございます。出たカウントの問題もございましょう。今回のように十倍、二十倍の場合もあろうし、あるいは一万カウントも出る場合もございましょう。ほんとうに危険だという実害がすでに出ておるという場合もございましょう。でございますから、そういった措置を現地において直ちにとり得るようなスタッフをそろえて、入港時においては現地において、そして現地の市町村あるいは海上保安庁あるいは警察、そのほかと連絡をとって適切な措置がとり得るように今後やっていかなくてはならぬ、観測はもちろんでありますけれども、もし万が一そういうことが起きたときの措置がとり得るような体制を整えたいというふうに申し上げておるわけであります。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんからこれで終わります。  最後にもう一ぺん同じことを聞くようですが、それでは、米国側が安全性を保証すると何回もいっておるわけでありますが、要するに、それを裏づける科学的な資料あるいはデータ等が明らかにされない限り、国民は納得できない、したがって、寄港は拒否するということを明言できますか。
  122. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 原子力委員会におきまして、調査結論を待って、その結論が終局になったとき、観測体制が整備されるときまでは寄港を一時遠慮していただきたいということを申しておりますし、総理の発言も御承知のとおりで、本会議等にあったものでございますから、その間は潜水艦は入港しないものと私は考えております。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  124. 沖本泰幸

    沖本委員長 大臣どうも御苦労さまでした。  質疑を続行いたします。福井勇君。
  125. 福井勇

    ○福井委員 有澤委員専門のお方ですから、短い時間ちょっとお尋ねしたいと思います。  今回の佐世保の問題が起こりまして、国民は非常に心配しておりますということについては同感でございます。ところが、いろいろな報道が統一されておらないために、心配が一そう多くなっておるという印象を私は受けております。これは齋藤委員や前田委員から聞いたことでございますが、先般ニューヨークの空港でトランクを押えられた。それで、押えられた原因はあそこではどうもわからなかったけれども、その押えられたということを調べてみたら、空港の検査官たちがガイガーカウンターでずっと調べたところが、この中にどうも放射性物質の危険なものがあると感じて、ふたをあけさせられた、そうしてよく調べて、前田代議士も向こうも立ち会って見たところが、目ざまし時計か懐中時計か、夜光時計が入っておる。それに当てるとがあっとくる、ああこれだったのかというようなことで、すっかり原因がわかって安心して、向こうも釈明されたり、またこちらも納得して出たということであります。放射能については危険なことは当然でありますから、私たち科学の世界におる者としても、その対策は今後も原子力基本法によるばかりではなくて、だれ以上に注意をいろいろな安全対策に基づいてやっていくのは当然でありますが、要らざる心配をする必要はないということを考えておるのであります、そういう点で原子力委員会でも、科学技術庁でも、要らざる心配をしないように、できるだけ国民が迷わないように、早期に手ぎわよくPRをして、こういう点は安全なんだというようなことについていち早く徹底周知方を特に希望したいと思うのであります。  そこで有澤委員にお尋ねましすが、アメリカ原子力潜水艦の動いておる数、ソ連その他のなにで、こまかいデータでなくて思いつきの程度でけっこうですが、どのくらい動いておりますか。ちょっとその点をまずお尋ねしたい。
  126. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いまはっきりした正確な数字は覚えておりませんが、アメリカ原子力潜水艦は大体百隻くらい、ソ連のほうはどうも数字がはっきりいたしません。そのほかにはイギリスがあったと思いますが、ほんの一、二隻、三隻じゃないかと思います。
  127. 福井勇

    ○福井委員 いま詳細な確実なデータを求めるのは無理でございますから、それは後刻調べるだけ調べてまた報告してもらいたいということを願いますが、アメリカは百隻も動いてはおりません。寄港中のを入れると百隻ぐらいになりますが、動いておるのはそんなにはありません。  それはいいとして、私はアメリカ原子力潜水艦基地を、日本の国会議員としては最初にたずね、また数回たずねております。その潜水艦基地には数隻おるときもあれば、二、三隻だけのこともございましたが、一々きょうこの質問データを持ってきておりませんから、確実なデータとして申し上げるのではなくて、ただ記憶だけで申し上げますが、あるときは真珠湾にも二、三隻おりましたし、あるいはニューロンドンの軍港にも十隻近くのものがおりました。これは年じゅうそういうことがレピートされておると思います。そこら辺の状態も原子力委員会科学技術庁においては、私たちもうんと努力しますから、うんと予算を取って、向こうのほうの調査、返事だけでなくて、現地にどんどん行って、こういうふうだからというふうな報告をどんどんして、幾ら金を使ってもいいと思いますから、国民が安心するような資料も提供してもらいたいし、また保護対策もそれによって当然並行してやってもらうということが必要だと思います。  それでソ連のほうをよくあなたたちの手で調査しておいていただきたいと思います。サバンナ号などについてはよくわかっておるのですが、レーニン号などについて類似したいろいろの報告がどこかにあったでしょうか。御記憶の点だけひとつ有澤委員に御答弁願いたいと思う。
  128. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 軍艦でないものとしましては、サバンナ、レーニン、それからドイツのオットー・ハーン、その三隻くらいで、あとは軍艦だと私は考えております。
  129. 福井勇

    ○福井委員 前段において短くやれということでございましたので、残念でございますが、佐世保の問題について質問するのには、海外で、現に米ソなどで動いて何年間もたっておるのですから、そういう現状をしっかりと把握して、ほんとうの質問をしなければうそだと思いますので、私はあらためて資料を整理して、時間をいただくときに、いずれかの機会に再質問させていただきたいと思います。  いま時間がないということでございますので、本日はこれにてとどめておきます。
  130. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 資料はさっそく十分調査いたします。
  131. 福井勇

    ○福井委員 お願いいたします。
  132. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、齋藤憲三君。
  133. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 有澤委員委員会において相まみえますことはまことに久しぶりで、久闊を叙する意味ではございませんが、一応佐世保の問題について御質問を申し上げておきたいと思います。  私は、佐世保の原潜放射能の問題は、こと原子力平和利用に関しまして非常に大きな問題であるということを考えておるのであります。したがいまして、その原因が原子力潜水艦の炉から放射能が漏れたのだとか、あるいは第一次冷却水が放出されてそれがシンチレーションないしガイガーカウンターにかかったのだというような、そういう想像は一切抜きにいたしまして、そういう現実というものをどうして把握していくかということ焦に点をしぼって考えたいと思って、日夜苦慮しておるのであります。そういたしますと、当然原子力放射能というものそれ自体に対する深い認識というものを持たなければ、この問題の解決はできないと思う。この問題は、サバンナ号が日本に入港いたしますときに、ずいぶんこの委員会において論議をいたしました。安全であるか安全でないかということ等々、いろいろ追及いたしました結論として、あの船の態様においては危険ではないということで入港することに踏み切って、そうして何でもなかったということであります。私も原子力潜水艦の図は見たことがございますが、現物は見たことがございません。ただ想定するところによりますと、あれだけのコンテナないし船壁があって、そうして危険であるという考え方は出てこないわけです。それが証拠に、ただいま福井委員から御質問がありましたように、たくさんの原子力潜水艦が毎日航行いたしておるわけであります。  ただ、ここで私のお伺いいたしたいのは、ああいう原子力放射線というものは、今度モニタリングボートにひっかかったような物性というもの、はたしていかなるときにあれを出し得るか。たとえて申しますならば、あれはどういう測定器を積んでおるかわからぬけれども、海水を調査するときにはシンチレーションカウンター、あるいは船上においてはガイガーカウンター、そういう場合に海の中と陸と一ぺんに、ガイガーカウンターとシンチレーションカウンターが符節を合わせるようにばっと放射線が出るのかどうか。というのは、私の浅薄な知識によりますと、たとえばスイングプールの原子炉において、廃棄物の処理あるいは危険な放射物を取り扱いますときには、みんな水中でやっておる。ですから、放射性物質が水中に入ったときのガンマ線というのは、一体どういう特性を帯びて空気中に出ていくのか、また、第一次冷却水に放射性物質が入っておったときに、これはどういう特性をもってシンチレーションカウンターあるいは空気中におけるガイガーカウンターに感ずるのか、そういうことをよく科学的に突き詰めていかないと、これは想像だけではいかぬのじゃないか、こう思うのです。その点は一体どうですか。たとえば放射線は距離の自乗に反比例する。ですから、水に入っている放射性物質というものは、一体どういう特性をあらわしてシンチレーションカウンターに感ずるのか、そういう場合に、何メートル離れたときにガイガーカウンターに感ずるのか、そういう放射線というものに対するはっきりした物性的な研究データというものがあるかないか、それは一体どうなんですか。
  134. 田中好雄

    田中説明員 ただいまの、たとえば海面に浮いていた場合とか、それから空気中に放射性物質が浮いている場合、海中にある場合、いろいろ考えまして——それにガンマ線というのは、大体十センチ離れれば力が半分に減るということをいろいろかみ合わせて考えますと、今度のような事象がどうして起こるのか、この辺が、詰めになってきますと、なかなかわかりにくいところでございますけれども、油のように浮いたような場合にはあるいは想定できるかもしれぬというところで、検討会のほうで検討を続けている最中でございます。
  135. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 ですから、海中にシンチレーションカウンターをじかに入れて、ある一つのカウントをはかった、それからモニタリングボートの上では海面から何ぼ離れておるか。三メートル離れておったら、距離の自乗に反比例するから、こっちは何十分の一かに減らなければならぬ。それが同じような数値があらわれたということになれば、どこかに欠陥があるのか、放射能はそういう物性か。そうじゃないでしょう。そういうところを突き詰めていかなければ、ただ流れたんだろう、流れたんだろうということで推測して犯人を追及していっても、科学的な判断にはならないんじゃないか。それはどうなんですか。
  136. 田中好雄

    田中説明員 そのところが検討会の諸先生の非常に苦しんでおるところでございまして、そこらの機構さえはっきりすればいいわけでございます。そこで船のほうの関係から見ましてどのような放出があるのかを見てみないとわからないわけでございますのでそのデータをいま追及している最中でございます。
  137. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 わが国は舶用炉というものはないわけです。また軍用に使う、原子力潜水艦に使う炉というものはもちろんない。ですから、第一次冷却水というものはイオン交換樹脂でもって清浄されるといっても、その方法もわからない。ところが、第一次冷却水がかりに放出されるときに、温度というものは一体何度になっているのか、大体、始動時において放出される量というものは一体何ぼだ。それが海水に注下された場合に、真水でありますから、温度の高いものがどういう過程を経て海水の中に溶融していくかということがわからぬでしょう。しろうとの常識からいえば、そういう放射能物性というものは、原子力潜水艦から放出される第一次冷却水の特性というものは、原子力潜水艦に近ければ近いほどカウントが上がらなければならぬ。それが百メートル先に行って、そして海水でもカウントがあるし空気中でもある、それが相一致しているなんという、そんな結論というものは、科学的にはおそらく出てこないのではないかと思っているが、それはどうでしょう。
  138. 田中好雄

    田中説明員 したがいまして、レーダーの影響とかスパークの影響とか、あるいはそのほかの電気ノイズの影響を考えまして、そのほうをほとんど除去したということから、船のほうに疑いをかける、こういうほうにまいったわけでございます。スタートにおいては、先生がおっしゃいましたようなこともいろいろ考えてみたわけでございます。
  139. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 また、第一次冷却水というものは、始動時における真水の熱膨脹によってどうしても外部に放出しなければならないということになっている。だから、佐世保に入港しているときに、ソードフィッシュ号がエンジンをとめなければ、第一次冷却水は放出する必要はないんでしょう。エンジンをとめておったのか、とめていないのか。
  140. 田中好雄

    田中説明員 一般的に申しまして、原子力商船の場合ですと、いまの一次冷却水はためるように設計されておるようでございますが、原潜のほうはその辺がわかりませんが、普通一般に聞いております話では、ホットの状態にあれば出さなくて済む、こういうふうになっております。
  141. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 だから、そういうところをアメリカに対して率直に、一体エンジンをとめておったのか、あるいは冷却水というものは膨脹によって放出しなければならないことになっているのだけれども、そういう状態にあったのかどうか。大体出港するときの現象じゃない、停泊中なんです。その停泊中に、たとえばエンジンをとめておったものをなぜ一体始動したか。始動する必要はないでしょう。始動しなければ第一次冷却水というものは出てこない。また、エンジンをとめなければ第一次冷却水というものは出てこない。私の聞いておるところによれば、あのくらいの原子力潜水艦の始動時における第一次冷却水の放出量というものは大体一トン半か二トンと聞いている。そうすると、ドラムかんで十本くらいのものであって、そういうものがどう処置されたかというようなことは追及していけばわかるはずです。だから、アメリカ側で、これは第一次冷却水じゃないと言うのは、エンジンをとめてないから第一次冷却水が出てこないんだ、これは原理的に考えても出てこない。出そうと思っても出てこないんだ。そういうことを科学的にはっきり追及していかなければ、これは幾らやっても原因なんというものはわかるものではない。神さましか知らないと思うが一体どうなんですか。わかるつもりで調査しているのですか、わからないつもりで調査しているのですか、どっちなんですか。
  142. 田中好雄

    田中説明員 その点につきまして向こうに問い合わせますと、結局船のほうのデータを全部見ないとそこは明確に言えないから、その点はもう少し待ってもらいたいということで今日に及んでおるわけであります。当初においては、向こうの海軍の情報ですとそういうものは出していない、こういっているが、もう一ぺん念のために、そこは船のほうを調べてみたい、こういうのがいまの現状でございます。
  143. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 これは、第一次冷却水を出していないと向こうが言ているのに、こっちは出したのだと想定して、それが犯人だと判定するわけにいかぬでしょう。私は、そういうことは国際的に問題にならないと思うのだ。だから、もう少し科学的に追及する根拠を把握して、追及するなら追及する。だから、いまこういうことば、とにかくわれわれのようなしろうとが口にすべきものじゃない。日本原子力問題ができてから、もうすでに十数年たっている。初めて昭和二十九年に二億三千五百万円の原子力予算を国会において議決したときには、隠れた賛成者はおったかもしらぬけれども、表面にあらわれた学者という学者はみんな反対だった。大新聞が社説が掲げて何といったかというと、あんなばかみたいな国会議員を国会に置いていいか、即時放逐しろという論説を掲げた。私はその新聞をいまも持っていますよ。だから、私は、しろうとは口に出すべきじゃないと思ったからいままで控えておったが、学者の言うことだって、神様と学者では非常な径庭があるんだ。わからないということになったら、われわれも学者も同じことなんだ。ただ想像するということなんだ。想像で、この未開発の部面がたくさん残されておる原子力放射能線に対しての結論をきめていくなんということは、これは出過ぎたことなんだ。許されざることだと私は思っているのですよ。だから、これに対してはもっと科学的な追及を厳密にやっていかなければならない、こう思う。  先ほど福井委員がお話しになりました、ニューヨークにおける夜光時計のあの問題、ちょうど昭和三十二年のアメリカの状態が、いま日本に訪れているんじゃないかと私は思う。ナショナルセキュリティーだ、こう言う。国家防衛の立場から、このかばんを渡すわけにいかぬ、こういうことであって、二時間、三時間の時間を要したのだ。ガイガーカウンターを持ってきて大きなかばんにやると針が動くのです。だから、私は言ったのだ。このぐらいの針の動きが何だ。だけれども、ガイガーカウンターが動くにおいてはナショナルセキュリティーだ、こう言う。そうして、何十人という人が立ち会いの上でそのかばんをあけたのです、別室で。そうして出てきたものが夜光時計でございます。エクスキューズミーですよ。非常にまっかな顔をしている。みんな赤面しておる。  私が科学技術庁に、用語を注意しろ、ことばを用いるのに注意を払えというのは、異常放射能というから、みんなばんとくるのです。そうでしょう。私もいろいろ調べてみましたところが、あのガイガー並びにシンチレーションカウンターにひっかかった佐世保放射能の量というものは、一時間放射を受けたやつを累積して〇・二ないし〇・三ミリレムですよ。それじゃ、それを累積していって人体に影響を与えるのはどうかというと、その量であったならば、一時間ずつ照射を受けて二千回照射を受けても人体に影響はない、こういうことでしょう。それをあなた、異常放射というから、これはすぐ人体に影響があるんだ、生命に危険が及ぶんだという錯覚に陥ってしまう。だから私は、原子力問題を取り扱っている原子力委員会並びに原子力局が核アレルギーの源泉だと言うのです。そうでしょう、あなた。そうでなければ、あんな大きな問題は起きないはずなんだ。  しかも、海水というものはどうかというと、あれを毎日飲んでおっても全然影響のない放射能だという。国際的に許容せられたるところの一年間の照射五百ミリレム、それにはとうてい及び得ざるところの量でしょう。私は、そういう量でも、あっていいというのじゃないのです。あっていいというのじゃないけれども、そういうものが直ちに人体に大きな影響を及ぼして危険だという結論には私はならないと思うのです。それはどうなんですか。そういうことをなぜ一体率直に、国民に不安を与えないように、きちっとした報告書を出さないのですか。それは何十回でも、毎日出せばいいのです。これはマスコミが書くたびに、それに対応して、そういうことを国民の了解を得られるようにしなければならぬじゃないですか。  そうすると、たとえば今後たくさんの原子力発電——昭和六十年には三千万ないし四千万キロワットの原子力発電は、日本の産業の発展のためにどうしてもエネルギー源としてやらなければならぬというときに、あすこにちょいと出た、こっちにちょいと出たといってみんな原子力発電所を閉鎖していくということになったら、たいへんなことになってしまいはせぬかと私は思っている。これは国際的にどう扱っているか。もちろん原子力放射能というものは、これは必要欠くべからざることは私も十分知っております。しかし、いかなる良薬であっても、量が過ぎれば害があるのだ。いかなる毒薬でも用いようによっては一番きくということがある。だから、ここが日本原子力基本法によってねらっておるところのいわゆる平和利用の限界なんです。佐世保がこの域を侵して、原爆の死の灰のような大きな放射能をぱっと降りかけたから危険だというのなら、これはわかる。私はそういうことではないと思うのでありますが、こういう点に対する御見解は、一体有澤委員、どう考えておられますか。
  144. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私どものこの間の意見書の中にも、今回観測された放射能の値ば、これは実害がないと書いてあります。これがまず一つ。それはいま齋藤委員がおっしゃったことを頭に入れて考えておるわけです。  けれども、実害がないけれども、今回あらわれた放射能の値は、従来に比べては異常なところがある。ですから異常値とば言っておりません。異常な現象についてわれわれは着目するんだ、これを究明するんだ、こういうことを申し上げておるのです。ですから、あの意見書を十分よく玩味して読んでいただければ、いまの御心配は全くないと私は思います。
  145. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 どうもきょうは時間、時間でもって追っかけられているのですが、これは重大な問題ですから、ひとつしばらくごしんぼうをお願いいたしたいと思います。  この実態を究明していくには、日本には原子力潜水艦もないし、それから第一次冷却水を放出する方法もないし、だから私はこういう問題をはっきりさせるには、アメリカ日本とが総力を結集してりっぱな測定装置をつくる。そして原子力潜水艦を入れてきたらいい。そして、場合によっては、第一次冷却水を流させてみたらいい。そして測定をする以外に、私はこの真相を究明する方法はないと考えております。  というのは、科学技術結論というものは、実験以外にその真相を究明する方法はないということです。実験をせずしてその真相を究明しようといっても、これはむだだと思う。私はいまやっておるところの論争というものは、これは反対だというのじゃないですよ。いろいろな論議があるのは一応ごもっともでしょうけれども、この問題を解明するには、ほんとうにみんなが得心ずくの測定装置をつくっておいて、原子力潜水艦をどんどん入れてきて、ある場合においては一次冷却水を放流せしめて測定する。そして危険だと思ったら寄港を禁止してもらったらいい。安全であったならばその必要はないと私は思う。それが私は国際的な歩み方ではないかと思うのですが、そういう点に対してはどうお考えになりますか。
  146. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 まあ実験をやるということも一つの手だと思いますけれども、今回の事件につきまして、従来十数回の間全然異常がなかったものが、今回だけぽっと十倍ないし二十倍の値が出ておるわけです。その現象が、たとえば一次冷却水の放出温度とか、あるいは放出量とかというようなものと関係があるのかないのか、そこを究明することが私は一つ必要なことだと思う。ところがいまはまだそこの段階がはっきりしない。これは私どもがやっておるわけではなくて、専門委員会のほうでやっていただいておるわけです。アメリカのほうの協力を得てやっていただいておりますが、それを明らかにすれば、ある程度問題ははっきりしてくる。ですから、一次冷却水が出されなかったということになりますと、そうすると、一体このぽんと出たやつがどうして出たかということを究明しなければいかぬわけです。原因が一次冷却水を出したというのでしたら、量とか温度とかいうことがわかれば、ある程度この現象はこうだということがはっきりする。そうすれば、その現象についてどういう判断を下すかということになってくるだろうと思うのです。ですから、いま私どもは専門委員会の、調査委員会結論を待っておるところでございます。
  147. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 最後に、もうこれでやめます。  私はなぜこういう御質問を申し上げるかといいますと、冒頭に申し上げましたように、放射能というものに対する認識を誤ると、今後原子力平和利用に対して大きな支障を来たすのじゃないかということを心配しているから申し上げるのです。  たとえて申し上げますと、太陽の光線というものの中に放射能が入っていることは、これは事実であります。その放射能が空気中の窒素にぶつかって炭素一四に変えてどんどん植物及び人体に入っているということも、これは事実であります。一体人間も植物も放射能なしでは生息できないのだ。放射能がないという世界には人間というものは生存できないのだ。私は、放射能というものはそういう意味において非常に不可欠な要素だ、こう考えておるのです。その放射能というものをどう取り扱うか、放射能というものに対してどういう認識を国民が持つかということは、今後の新しい世代における重大な問題だと思う。だから、私はこの問題に対して関心を持っているのです。それでなければ、ただ瞬間的に実害がない放射能があらわれたというのは、一時的な現象であるというふうにも軽く考えられるかもしれない。放射能に対する認識いかんというものが私は重大だと思っているから、あえてきょうは御質問申し上げたのであります。  ここでお願いを申し上げておきたいのは、わからないようなことばを使わないで、だれでもわかるようなことばを使って、そして大胆、率直に実態をPRしてもらいたいと思うのです。ミリレムなんとかいうことばを使ったり、何とかマイクロキュリーだとか、やれ、すべった、ころんだと言っても、わからないですよ。これは一体何だ、これとこれは同じだと、イコールをつけて問題にしている。そんなのは一つことばを使って説明したらいいじゃないですか。よけいなことばは使わないで、専門家顔しないで、大衆にわかるように、この佐世保の実態というものを、原子力委員会名前においてちゃんと発表してもらいたいと思うのです。そして、この結末はこういうふうにしてつけるから安心してくれということで、ザッツエンドにしてもらいたいと思うのです。お願いいたします。
  148. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いまの御注意は十分お伺いしておきます。
  149. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、石川次夫君。
  150. 石川次夫

    石川委員 私のほうはたいへん時間を制約されておるようであります。本来なら一時間でも二時間でも徹底的に究明したいところがたくさんありますが、そういうことで、時間の関係でごく簡単な質問だけを申し上げてみたいと思うのですけれども、この問題の究明は、海上保安庁を預かっておる運輸省・それから外務大臣・こういう人たちが集まらぬとほんとうの究明はできないのですよ。きょうは原子力委員だけしかおられないので、原子力委員会関係質問をしたいと思います。  有澤さん個人に対してどうこう言うつもりはございません。原子力委員会結論として、原子力潜水艦の寄港は、安全性を確保されることを前提として寄港を認めたわけです。しかし、御承知のように、原子力潜水艦は明らかに軍艦です。軍用目的であることは、これは否定されないでしょう。軍用目的に原子力を使うということが認められるということは、明らかに原子力基本法の違反ではないか。これはどう考えますか。
  151. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 日本において原子力軍艦をつくれば、これは基本法に反すると思います。
  152. 石川次夫

    石川委員 ですから、安保条約があるからということが前提になるのでございましょうけれども、しかしながら、外国の船なら軍用目的で原子力を使ってもよろしい、日本だけはそれを使ってはならぬというようなことは、私は矛盾だと思うのです。これは、原子力委員会としては、その辺をどうお考えになっておりますか。
  153. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 外国が原子力舶用炉を使って軍艦をつくることがいいか悪いかということにつきましては、それは望ましくないとは言えましょうけれども、これは日本委員会としてはいかんともしがたい、あるいは日本政府としてもいかんともしがたいと思います。
  154. 石川次夫

    石川委員 私はそういう意味質問したわけじゃないのです。そういうものを日本に寄港させるということが、日本の国内における原子力基本法に違反はしないのか、違法にはならないのか、これは安保条約を抜きにして考えた場合です。
  155. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 寄港について、私どもは、委員会としてこれを認めるとか認めないとかいうことを申し上げているわけではありません。これは、入港を認めるか認めぬかは政府の決定でございまして、私どもが申し上げましたのは、この原子力潜水艦が入ってくる場合には、こうこう、こういう条件がなければ安全は確保できません、こういう言い方をしておるわけであります。ですから、委員会が寄港を認めたというようなことはないわけであります。
  156. 石川次夫

    石川委員 私もその辺はつまびらかにしないので、あるいはピントが狂っているかもしれませんけれども、原子力委員会安全性が確認されるということを前提としてそういう答申か何か出された、それを逆手にとったかどうか知りませんけれども、政府は、原子力委員会が認めたから寄港を認めたんだという言い方をしていますね、現実の問題としては。
  157. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 当時の委員会の意見書を読んでいただけばわかりますように、アメリカのこれこれの口上書とか、ステートメントとか、その他トーキングペーパーとか、いろいろありますが、そういうことで言っていることは、政府がこれを信用することができるならば、そうすれば原子力潜水艦は安全であるとわれわれは考えます、こういう言い方をしておるわけでございます。それで、もし入港ということになれば、事故対策というものはこれこれのことを十分にしておかなければなりません、こういう言い方をしておりますので、これを認めたというわけじゃない、あるいは認めなかったとか認めるとかいうことをわれわれは議論したことはないわけでございます。どうぞ御了承願います。
  158. 石川次夫

    石川委員 そうすると、そういう安全性の問題だと思うのです。安全性の問題でこういうことが認められれば寄港するかしないかは政府にまかせる。政府安全性が認められた、こう確認をした上でこの寄港を認めたということになっているわけです。そうすると、安全性を認めたのは一体どこですか。政府だけでやったのか、原子力委員会は全然関与しなかったのか。
  159. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 委員会としましては、安全性を確保するに必要な条件というものを検討して、それでアメリカ側からそれに対する回答を求めておるわけです。ですから、アメリカがこうこう言っておる、たとえば先ほどの、一般的なバックグラウンドのメジャラブルインクリーズが起こるような排出はいたしません、こういうことを言っておるわけであります。そういうことを言っておるわけですから、それを政府が信用することができるならば安全であります、こう言っております。
  160. 石川次夫

    石川委員 こまかにやっていますと時間がかかるので、非常に残念なんですけれども、実はこの原子力潜水艦の構造問題については公表されておりませんけれども、先ほど来近江委員のほうから話がありましたように、それは軍事目的のために簡易化されておる、取り扱いが非常に簡便化されておる。私の見た本では大体制御棒は十三本だったが、最近聞いてみますと、もっと少なくなっているのじゃないかという話もあるくらいで、非常に簡便化されているという点で、普通の陸上の設備あるいは原子力関係の商船などと比べて、相当構造上に安全性に欠けるところがあるのではないかということは、世界の常識であります。それから、サブロックというきわめて精巧な爆雷が載っかっている。これに普通のTNT火薬を積むということは、まず常識としては考えられない。これを信頼しているのは日本政府だけです。世界じゅうの国民で、原子力潜水艦は核弾頭の魚雷を載っけておりませんなんて言っているのはどこにもない。日本政府だけがこれを信用しているというようなことでありまして、明らかに核兵器を持ち込まないという佐藤内閣の言明とは相反している。これは明らかだと私は思うのです。これは答弁を求めても、そういうことは答弁できないと思いますから、あえて答弁は求めませんけれども、これは世界じゅうの常識です。そういうことで、原子力基本法は、その点において明らかに侵されておる、こうわれわれとしては考えておるわけでございます。この点を別にいたしましても、今度の原子力潜水艦は、少なくとも原子力商船と違って貯蔵タンクがないのです。だから、どうしても一カ月に数回は冷却水を出さなければならぬという構造になっていることば、これは明らかになっておるわけです。ノーテラス号やスケート号などは、そういう形でもって約二トンぐらいが艦外にあふれ出るんだということが現実に証明をされておるわけであります。先ほど齋藤議員のほうからのお話にありましたように、異常放射能ということばが悪いというおことばでありました。しかしながら、これは日本科学者がよく調べておるように、大体放射能は微生物あるいは魚介類、海藻類において十万倍から百万倍くらいまで蓄積されるという可能性がある、こういうことが証明されておるわけです。したがって、この蓄積をされるということを前提とすると、少しぐらい異常だっていいじゃないか、こういうことにはならないと私は思うのです。そういうようなものが積み重なっていくと、私はどこの港かわかりませんけれども、たしかこれはアメリカのニューロンドン港じゃなかったかと思いますけれども、おそらくこれはICRPの基準より十倍に上がっている、こういうようなことも私はどこかの文章で見たことがあります。これはニューロンドン港だったかどうかわかりません。しかしこれから未来永劫に原子力潜水艦というものが寄港される、常時駐留するということになれば、これはこれから先もうずっと積み重なっていく問題でありますから、少しばかり何でもないんだ、核アレルギーじゃないかということは私は通らないと思うのです。この魚介類に対する蓄積の問題もあわせまして、これはやはり相当厳密に考えていかなければならぬ性格のものだ。決してそれは核アレルギーとは言えない、私はこう思うのです。今度の場合は、確かに人体に対する影響のあるようなものではないと思いますけれども、そういう問題と口上書違反ではないかという二つの問題がからんできていると思います。だから、国民がこれに対して非常に心配もし、あるいは憤慨もするということにならざるを得ないのじゃないかと思います。  いま、空気中と水中と両方で同じような影響が出たのはおかしいじゃないかという議論もあります。それでほかの理由をあえて探し出そうとしたという経過もわかっておりますけれども、しかし原子炉の中であたためられて水蒸気を含んでおるのが海水の中にぽかっとかたまっていることは、真水の場合にはあり得るわけですね。水蒸気があるいはかたまって下に行かないで上に浮いている。ガンマ線というのは、一メートル違うと千分の一になってしまうのです。ぽかっと浮いていてそれが水蒸気になって出ている。それをカウンターでもってキャッチする。あるいは下のほうは非常に少なくなっているけれども、上のほうは普通の場合よりは非常に高くなっているということも考えられるわけです。この場合は非常に高いものが上に浮いていたかもしれないということも考えられるので、私はそう簡単にこの問題は原因不明だといって決着をつけるべき問題ではなくて、とことんまで原因を究明しなければなりませんけれども、そういう可能性が十分にあるということを前提として、やはり正確な資料をアメリカに要求しなければならぬ性質のものではないか。  私は繰り返して申し上げますけれども、この冷却水が、いつ、どの時点に、どこの場所で、どのくらいの量出ているかということのはっきりした向こうからの資料というものを提供させるべきである。それからあと一つは、原子炉の構造、これはなかなかうんとは言わぬでしょうけれども。それとあと一つは、イオン交換脂樹でもって除染をしてから流すということでチェックをしている、その資料があるはずだと思うのです。これは軍事機密ではないと思うのです。これはつくられた資料では困るのですけれども、この正確な資料を日本側が手に入れなければ、アメリカ側が出さないとかそういうものはないとか言っても、ほんとうの証明にはなり得ない、こう思うのです。そういう資料を私はびしっと要求してもらいたい。それをはっきりお願いしておきたい。  あと一つは、今度の原子力潜水艦は故障だということで二日間ばかり出港が延びております。姿をくらましてしまってよくわからぬようなかっこうになっておりますけれども、この故障の原因は一体何だ。これは向こうでは、ソーナーが悪かったとか何とか言っておりますけれども、これも向こうがそう言っているからそう信用するというだけであって、具体的にはっきりとこの証明というものは成り立たない。この故障の原因が一体何であったかということもはっきり確認する必要があると私は思います。  それから、冷却水の出るときの温度というのは一体どうなんだということを私はあわせて確認をしなければならぬと思う。  こういう点が明らかになれば、それが原因であったか、原因でなかったかということもほぼ解明できと思いますけれども、こういう資料なしに、そのほかの原因が幾らも考えられるのだ、まあ人体に影響のある程度のものでないということだけで済ますべき問題でないということははっきり申し上げておきたいと思うのです。その点の資料をアメリカ側に強く要請して確保してもらいたい。それなしに、原子力潜水艦ではないのだというようなことは、私は絶対に言えないと思うのです。ほかに原因ば考えられないというのが、私の聞いた範囲における各学者の全員一致した意見です。全部が全部そう言っています。大体、放射能を測定するカウンターなのに、ほかに原因を求めるということ自身が本末転倒なんです。  そういうことになれば、先ほど申し上げた汚染源というものは四つの場合が考えられるけれども、イオン交換樹脂と使用済み燃料というものはまず湾内に投げるということはあり得ない。ということになれば、冷却水以外にない。あるいは、部分的にそういうことになったということになれば、これは原子炉の周辺にあったぼろきれその他というものが表に投げられたということの可能性がないとも言えない、ということも考えられると思うのであります。  そういう点でいまの資料をぜひアメリカに強く要求するということと、それからあと一つは、観測体制が非常に不備だったということは前々からいわれておる。ガンマ線とベータ線だけ調べて、あと核の種類が何だということを全然突きとめない。これでは初めから原因不明な原因というのはそこにつくられておるわけです。そういうことで結局は原因がわからぬということによって、原子力潜水艦の寄港を認めるような体制をあらかじめつくったのではないかという勘ぐり方も、やろうと思えばできないことはない。というような、それほど不備な監視体制であったということになるわけです。  そういう点で、これからの監視体制をどうするかということも今後に残された重要な課題でありますけれども、大体海上保安庁あたりのそういう観測の体制のものを見ると、その場で水をとってすぐ調べるなんということは全然指令してないです。ただ、カウンターでもって調べるということだけで、異常値が出たのであわてて命令を受けて、またそこへ行って水をとったといっても、これはもう時期おくれですよ。どうにもならない。原因の究明はできっこない。そういうような体制で監視体制をつくってあったということは、これは原子力委員会としても非常に手落ちであった。しかも、そういうふうな手落ちの監視体制をつくっておきながら、安全が確保されたという前提で原子力潜水艦の寄港を認めるということ、これは政府の大失態であった、こう言っても私は過言ではないと思うのです。そういう点で監視体制については十分に究明をして、これから体制を立て直してもらいたいと思います。  それから、いま言ったような資料と、それからスヌークの場合、これは三木さんからいろいろお話がありましたけれども、私は名前は言いません。言いませんけれども、そこに立ち会った二人の学者から私は伝え聞いた話であります。これは新聞記者などのいろいろな会合があって、まあほかの、レーダーということも考えられるということは言ったそうでありますけれども、決してレーダーであるという断定は一言も言っておりません。したがって、それがいつの間にかまことしやかに、非常にもったいをつけた表現で——これは新聞記者がそういうふうに思い込んじゃったわけでありますから、新聞社の責任でありませんけれども、レーダーであるということを言っておる、ということは、どう考えても私は不可解でしかたがない。何かもう原子力潜水艦を寄港させるための観測体制であって、ほんとうに国民の安全の立場で観測体制がつくられておらなかった。特に私がけしからぬと思うのは、今度の問題が出ると、外務省は——外務省にも、そのうちに来ていただいて私は言わなければならぬと思ったのでありますけれども、原子力潜水艦ということは考えられない、こういうふうな見解を出しておるわけですね。まことに言語道断だと思うのですよ。だれの立場で一体安全の監視をやっておるか。観測をやっておるか。  大体、外務省というところはエリート意識が非常に強く、外交のことはおれにまかせろ。われわれ国民とか議員なんというものはばかに見えるのじゃないかと思うのでありまして、しかも、アメリカべったりです。アメリカの言いなりほうだいです。こんなことで、ほんとうに日本人の立場で、エリート意識とともに民族的な誇りを持っておればいいですが、誇りがなくしてエリート意識だけを持っておる外務省なんて、とんでもないと思うのです。そういう立場で、原子力潜水艦ということは考えられないという。何ですか、この見解は。私はもう言語道断だと思う。そのことは、きょうは外務省が来ておりませんから、いずれ私はあらためてとことんまで究明したいと思っておりますので、その点は省略します。  意見だけ申し上げてたいへん恐縮でありますけれども、この時定数と冷却水の拡散の状況と、観測船のスピードに関連しての研究は、私のほうでまた別個にいろいろやってみたいと思っておりますけれども、この冷却水の拡散の状況、これは資料がありますか。
  161. 田中好雄

    田中説明員 これは、この場合のものはございません。
  162. 石川次夫

    石川委員 冷却水の拡散の状況とか、時定数とか、観測船のスピードとか、そういうものの関連した上でチャートというものは判断をしていかなければ、ほんとうの判断にならないのですね。そういうことが全然抜けておった。いまさら言っても始まらないことでありますが、しょせん、これは、今度の場合は原因が全然わかりません。断定することは不可能であります。しかしながら、冷却水であることは間違いない、こう私は判断をしております。私ひとりの個人の判断ではなくて、あるいは党のためにする立場の判断では絶対にありません。これは学者全部に聞いた満場一致の結論だということをはっきり申し上げます。そういうことで、今度の場合、異常放射能が測定をされたということは、完全に冷却水に基づくものである。その冷却水がどういう形で出てきたかというような拡散の状況その他について、あるいはまた、その放射能チェックをした状況がどうなっているかということについて、この資料を厳然として、強い態度でアメリカに要求をして、これを確保してもらいたい。このことをお願いいたしまして、それからスヌーク号については再調査を絶対にやるということを前提にして、私の質問を終わりたいと思います。
  163. 沖本泰幸

    沖本委員長 関連質問があります。田川誠一君。
  164. 田川誠一

    ○田川委員 いまちょっとスヌークのお話が出ましたけれども、横須賀で一昨年異常放射能の反応があって、このことがやはり相当の反響を呼びましたね。私は、先ほど齋藤委員が言われましたように、平和利用に非常に大きな影響を及ぼす、それから同時に、日本アメリカとの関係にも大きな影響を及ぼす問題だと思うのです。そこで、やはり原因をはっきり究明していただかなければならぬ。横須賀で測定器に異常の計数が出たというこの原因が何であったかということ、これはアメリカのほうに、科学技術庁なり原子力委員会が何か調査をしたことがあるのかどうか、ちょっとお聞きしたい。こういう反応が出たんだ、一体一次冷却水を出港するときに出したのか、こういうことの調査政府のほうでアメリカに要求したことがあるのかどうか、お伺いしたい。
  165. 田中好雄

    田中説明員 ないと思います。
  166. 田川誠一

    ○田川委員 どうもこの横須賀に過去起きた測定器の反応というのは、聞いても私どもにもよくわからないのですね。判断できないのです。そこに非常に不安があるのじゃないかと思うのです。もうすでに二年たっておりますけれども、やはり米軍のほうに、政府、あるいは科学技術庁原子力委員会なりがこういう問題の一応の調査を要求するようなことでなければ、国民の不安というものは取り除けないと私は思うのです。これからでもいいと思うのですが、米軍関係によくこの調査を要求していただきたいと思うのですけれども、そういうことをされる意思がおありになるかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  167. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 横須賀の問題は、科学技術庁説明では、一応レーダーということになっておりますけれども、これについては、先ほど来だいぶ疑問があるようだというお話もありますから、この際ひとつあらためて同様に調査をして、アメリカからの資料もできるだけもらうようにして、調査をいたしたいと思います。
  168. 田川誠一

    ○田川委員 それと、もう一点お伺いしたいのですけれども、軍事利用に使われている船、軍艦、潜水艦、それから一般平和利用に使われている商船、そういうものが港に入った場合に、平和利用の船については相当の規制や安全審査調査をいたしますね外国の軍艦の場合には、制限を受けて十分できない、こういうことになっているわけですね。そうすると、私どもの常識としては、どうしても軍艦のほうが不安になるわけです。いま佐世保に起きた異常放射能の本体について国民が非常に不安を持っているということは、どうも安全審査が十分なされない、情報も提供されない、こういう点が一つあると思う。それからもう一つは、アメリカに対して何でもおまかせするというような傾向が非常にあるんじゃないか。そういう点で、原子力委員会なり科学技術庁なりがもっと純科学的な立場に立って、アメリカとの覚え書なり国上書なり、そういうようなものを修正するようにしていかなければならない。平和目的に使われるものと軍事的に使われるものと、危険度は同じだと思うのですね。むしろ軍艦のほうが危険の場合が多いんじゃないか、われわれしろうと判断でそういう感じを受けるわけです。ですから、何でもかんでもアメリカにまかせるということでなくて、もっと安全審査調査ができるような方向に持っていくべきではないかと、私どもしろうと考えに思うのですけれども、そういう点について、有澤委員にひとつ考え方をお聞きしたい。
  169. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いまお話しになりましたように、平和利用の商般の場合でも軍艦の場合でも、言うならば、安全性の問題については、私は全く同様だと思います。ですから、商船——サバンナならサバンナについては十分調査をして安全審査をやるわけですから、軍艦においてもぜひそれをやりたいということがわれわれの願いでございます。それでいろいろ交渉しますけれども、アメリカのほうでは軍事の秘密といいますかで、これは出せない、これは出せない、こういうふうな形で——データが出さえすれば、日本学者なら学者の判断でこれの審査も十分できますけれども、データを出してもらえない。そこで、外務省を通じてですけれども、アメリカ側とわれわれとの間にやりとりをして、そうしてだんだん固まってきたところでわれわれが判断をするわけであります。ですから、隔靴掻痒の感は確かにあるわけです。ですから、最後にはアメリカがこの口上書、ステートメント、その他トーキングペーパーでこうこういっておる、そのことを信用する以外にないわけです。   〔委員長退席、石川委員長代理着席〕 現物を見たわけでもないし、現地に立ち入り検査をやったわけでもない。信用することができるならば安心である、住民の安全を害することはなかろう、こういう意見書を出したわけであります。時間的に言いますと、最初のときには、そのやりとりにおそらく二年くらいの時間がかかっている。そういう点でなかなか進捗しない。なお、いろいろ突っぱね、突っぱねして、われわれが最小限必要だと思う点についてのアメリカの保証を得ておる、こういうふうに考えます。
  170. 田川誠一

    ○田川委員 アメリカを信用するかしないかという問題、これはいま外交の問題で、信用できないいろいろな問題がたくさん起こっておるわけですね。そういうこともからまって、今度の放射能の問題が、ますます国民の不安を高める要素になっているんじゃないかと思うのです。そこで私は、今回の事件は、なかなか原因がわからないままに過ごされるんじゃないかというふうに心配しているのです。それを解明していかなければ、将来の原子力平和利用の問題について大きな影響を及ぼすんじゃないか。  そこで、原子力委員会並びに科学技術庁にぜひともお願いしたいことは、今回のこういうような事件を、これを一つの大きな、いいほうに持っていくという意味で、今回の事件をアメリカにもっと強く言って、将来もっと調査ができるように、そういうような努力をなすべきではないか。何かアメリカにまかせっきりで、アメリカの言うことならもう何でもかんでもいいのだという考えがやっぱりあるから、国民が心配をするわけであります。ですから、こういう事件が起こったのを一つのチャンスにして、こうしたアメリカ日本との原子力船の入港の問題についてはもっと対等の立場でやれる努力を、専門家科学者として、原子力委員会としてひとつぜひともお願いしたいのです。いかがですか。
  171. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私も、この問題はいままで申し上げました点からも御了解願えると思いますように、アメリカ日本との間の信頼の関係にかかってくると思います。それだけにアメリカにも、この点で、問題を明らかにする必要なデータは極力出すようにということを局を通じて申し入れてあります。ですから、それは結果を見ないとわかりませんが、私はこれはその点で非常に重要な問題を持っておるというふうに考えておりますので、なお今後その点に十分努力します。
  172. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 データですね、要求しておる点を明らかにしてもらいたいと思うのですが、私の申し上げておるのはスヌーク号の入ったときに、あれはレーダーであるというようなことを言っていないと学者は言っております。そういう学者の言った書類、そういうものが残っていますね。それからその当時科学技術庁なり外務省が発表した文書に違いが出ておるのが非常に不信感になっていますから、それを出してもらいたい。
  173. 田中好雄

    田中説明員 学者が言ったデータというのはどの程度のものがありますか調べてみないとわかりませんが、ございますればお出ししたいと思います。それから、あとのほうのデータは、これはございますからお出ししたいと思います。
  174. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 この点は有澤先生、いま田川先生の質問に対して、なるべく調べてみます、アメリカを信用して、とこういう話でしたけれども、だいぶ時間がたった問題をいま調べてみたって——これは裁判でもむずかしいのですから、検事がずっと警察官を派遣して調べてみても、犯罪の場合でもむずかしいのですから、とてもできることではないと思うのです。ただ今後そういうような態度でいってくれということを望まれたのだろうと思うのです。それができれば非常にけっこうですけれども、私は、少なくとも学者が言ったことが一番いい証明ですから、そういうことを言っていないのに言ったような発表をするということは、国民を惑わすものですから、やはり齋藤さんがおっしゃる、明らかにすべき点だと思います。そういう態度が今度のこういう疑問を生んだので、出ました放射能がどうこう、カウントがどうこう、人体に影響がどうこうという問題ではないのです。  それから、先がた中途はんぱに終わった口上書の問題ですね。この口上書は、有澤さんどういう場合にそれなら約束違反ということになるかひとつ……。われわれは約束違反——この間四分三十秒ですか、すっと上がった、その期間でも、これにいうところの「測定し得る程度の増加をもたらすような放出水その他の廃棄物」——増加をもたらしたと私たちは思うのです。しかしながら、非常に短いから増加ではない、もっとずっと長く、これだけのレベルのものがもう少し上に上がって、これがずっと続いたという場合は、どのくらいの時間という時間帯の問題になってきますね。そういう点、どういうようにお考えになりますか。どういう点が口上書に違反したか。  もう一つついでに質問だけしておきます。この調査の結果が明らかにならない限り、また測定の体制が完備されない以上、原子力潜水艦の入港は断わります。いまも大臣は、来ないでしょうと思います、こういうことだったのですが、さて、どういう点が明らかになったら断わるのですか、あるいは来てもらうのですか、その限界点を言ってもらいたいと思います。いまは来てもらわないのですね、当分は来てもらわないようにと言いましたね。しかし、いつまでもほっておくわけにまいりませんから、どんなことになったら来てもらえるのでしょうか、監視体制がどんなぐあいになったら完備したことになるのでしょうか、これだけお尋ねいたします。
  175. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 横須賀の件につきましては、これはだいぶ過去になってわかりにくい点もあろうかと思いますが、やはり私はできるだけこの際あわせて調査をしたいという気持ちでございます。  それから、発表がどうもおかしかったということでございますが、その点は私あまりよく存じなかったのですが、これも十分調査をしまして、今後そういうことのないようにいたしたいと思います。  それから、はかり得べき増加の問題でございますが、これは、放出物につきましては、ステートメントにもありますように、ICRPの基準に従う、「増加」の次の文章にそうあります。その点、あそこは、やかましくいえば、コロンで出ておりますので、言ってみますれば前文のところを後文である程度説明しておるものだとわれわれは理解しております。ICRPの十分の一以下、これは日本法律にも範囲内であるわけですが、これは基準的にいえば、そういうことになるかと思います。  しかし、はかり得べき増加ということは、もう少し低いところではないだろうかと私どもは考えております。それが時間も——ICRPですから、みな時間が入っておるわけです。バックグラウンドの点からいうと、ある領域が入っておるわけです。   〔石川委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点も、しかしICRPの十分の一ならばいいというふうにはあの文章ではすぐには読めない。メジャラブルインクリーズということになっておりますから、もう少し低いところではないかというふうに考えております。なお、その点で原因調査をしまして、そういう問題をもあわせて私どもの意見を取りまとめたい、こういうふうに考えております。  それで、どういうふうになれば認めてもいいかどうか、そういう時点ですが、その一つの点は、むろん調査をしなければなりません。調査をやっておりますから、その原因を明らかにしなければなりません。その点がどの程度できるかということもいまちょっとわかりませんけれども、明らかになれば、そういう原因は今後排除できるようにしてもらいたい、そういうことはいえると思います。それから、原因が非常はっきりしないような場合があるかもしれません。けれども、疑いは非常に濃厚だということもあろうかと思います。そういう場合には、監視体制の問題もむろんあります。監視体制の問題につきましては、監視体制を整備するということを申しておりますが、その監視体制の場合には、ああいう異常放射能を測定するいまの器械が、先ほど石川さんのおっしゃったように、時定数だとか、その他のようなものがなかなかうまく——今度の計器ではちょっとつかみにくい点があるようでございます。ですから、今度のあの専門調査団が実際この問題について調査しまして、いろいろその原因を追及する点からいいまして、欠陥と考えられる点が、モニタリングの点においてあると思います。そういう点を指摘していただきまして、そういう欠陥を除去したモニタリングシステムができるまでが一つ。もう一つの場合は、従来十数回入ってきてバックグラウンドに何の変化もなかったのですから、そういう変化のないような姿において入港してもらいたい、こういう要望を出すことはあるだろうと思います。ですから、そういうような時期で入港を認めるというか、私どもはその間は希望しないと言っている、その時期、期限があるということでございます。
  176. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 時間が限られておりますからこれでおきますけれども、いままで異常がなかったということも私たちは疑問に思うのです。ああいう監視体制とああいう測定のしかたでしろうとを乗せて走らせて完全でなかったのですから、ただ異常がなかったと原子力委員がおっしゃることも、ちょっと私はこうべをかしげたくなりますけれども、これは水かけ論ですからいいです。しかし、そういうことをあちこちで言われるということば、ちょっと反省がこの際足らぬじゃないかと思って遺憾に思います。
  177. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、内海清君。
  178. 内海清

    ○内海(清)委員 時間がないようでございますからごく簡単にお聞きいたしたいと思います。先ほど来からもいろいろ議論がございましたが、結局今回の場合の原因をほんとうに究明するのは、前の委員会でも私は実は質問したわけですが、この原子力潜水艦の、あの時点においてこれがいわゆる冷態起動であったか温態起動であったか、これは実は明らかになっていないのです。しかも、これは軍艦であるからなかなかつかみにくいということでございました。しかし、この点が明らかにならなければ、ほんとうに今回の原因究明ができ得ない。したがって、先ほど来、その点、齋藤委員もお話がございました。これは冷態起動であったならば、あの時点はあと修繕するのでエンジンの起動ということはなかったとも思われますけれども、そういう点が明らかになれば、今度の原因は私はきわめてはっきりしてくると思うのです。したがって、この点は何も軍の機密に属するものじゃないだろうというふうに考えるわけです、冷態起動であったか、温態起動であったか。だから、この点はひとつ十分アメリカ側にもただしていただきたい、こう思うわけであります。これがまず第一点であります。もしそういうことが明らかにされなければ、今後、もしかりに今回の事件がすべて解決して、入ってくるにしても、よほど監視体制というものが十分にいかなければ、今後再びこういう問題を起こすということでありますから、監視体制の問題につきましても、私、この前かなり技術的に詳しく質問したわけですが、これはほとんど十分なものができてない。反省、反省という御答弁があったわけです。今回の場合におきましても、もし一次冷却水が出たということであるならば、異常値が出たときに海水のサンプルをすぐとれば十分検出できるわけであります。石川さんからも話がありましたけれども、かなりの温度のものが一トン半ないし二トンも出るのでありますから、出たときは水面に膜になっておるか、あるいはかたまりになっておる、こういうものなんです。したがって、これが一時間もたてば、温度が下がりまして拡散してしまうということなんです。ですから、この監視体制については、今後ひとつ原子力委員会におきましても、あくまでも十分あらゆる面に対処して監視ができるような体制をとっていただきたい。これはひとつ要望を特にしておきたいと思う。  なお、こういう原子力潜水艦入港というものは、いわば根本的なものは日米安保体制です。したがって、私は先般の本会議質問で、一九七〇年の改定期において、どうしても政府としては、現在わが国が認められておらないところの拒否権の設定あるいは発議権の確立というふうなことが考えられなければ、今後再び問題を起こすのじゃないか、こういう質問をしまして、政府は、この改定期にはそういうものも含めて検討するという答弁でございました。でありますから、私はこの問題をきょうここで議論するあれではありませんけれども、そういうふうなことが確立されるならば、日本が得心いかないものについては、もちろんアメリカとの信頼関係になりますけれども、今回のような場合を考えると、なかなか信頼が置けないというのが国民感情です。でありますから、その時分には拒否ができる、あるいは問題があれば日本の発議権によって向こうと協議ができる、こういう体制ができなければならぬと私は思う。これに対しまして、これは委員会の外の問題だと思いますけれども、有澤委員の個人的なお考えでもありましたら、ひとつ聞かせていただきたい。
  179. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 第一問のモニタリングですが、確かにいままではサーベーというか。測定はできていたけれども、監視はできていなかったと私は非常に印象づけられて、これは徹底的にモニタリングについて立て直すというか、拡充をしなければいかぬ、こういうふうに考えております。それにつきましては、専門家の意見も十分聞いてやるつもりでございます。  それから第二の問題は、これは委員会の直接の問題ではありませんけれども、私も全く、個人といたしましてですが、個人としては同感です。
  180. 内海清

    ○内海(清)委員 この点は、委員会としても、できる範囲においてそういうことが実現するように御努力願いたい。こういうふうに考える。  それから次にお尋ねいたしたいのは、これも私実はこの間の本会議で述べたのですが、本会議でやる前に科学技術庁に実はちょっと尋ねてみたところが、原子力委員会の中に放射能専門部会というのがある。ところが、原潜がわが国に入港しだしてから後に、この部会が一度も開かれたことがないということです。この点は、この席でもう一ぺん確認しておきたいと思う。
  181. 田中好雄

    田中説明員 放射能専門部会は、これは原子力委員会に付属してといいますか、原子力委員会専門委員会でございまして、今回の問題は、先ほど有澤先生からお話がありましたように、政府の問題ということになっておりますので、この問題には触れておらないわけでございます。
  182. 内海清

    ○内海(清)委員 この放射能専門部会というものがどういうふうな権能を持ち、どういう役目を持っているかということは、私は明らかにいたしておりませんが、これはどういうことなんですか。——わからなければ、時間がもうないようですから、あとから御返事をいただいてけっこうなんですが、少なくともこれは放射能専門部会でありますから、放射能に対するいろいろな調査なりあるいは研究ということがあるかもしれません。それが原子力潜水艦が入港しだして以来一度も開かれていない、このことはどうかと思うのであります。はたして放射能問題に対して原子力委員会はどういうふうな態度でおられるのか。ただ、これはいろいろ理由があるかもしれませんが、その点だけを考えますと、はなはだ遺憾に思わざるを得ないのであります。でありますから、これは必要がないなら、もうやめたらいいのです。ある以上は、一つの使命をもってつくられたことに違いないのであります。少なくとも私は放射能関連あるものと想像いたしております。したがって、これらの面を見ましても、いままで原子力委員会をはじめとして、科学技術庁というものは、こういう放射能関係に対してそれほど重要な関心を持っておられなかったのじゃないかというふうな、これは一つの疑いかもしれないが、この一事をもって、そういうふうに思わざるを得ないのであります。でありますから、こういう機会がございましたので、これらにつきましてはひとつ今後十分対処してやっていただきたい。これを私は質問の前に他から聞きましたので、科学技術庁へ電話で尋ねました。そうしたら、そういうことだということであったわけです。だから、間違いないと思います。これらの点につきましても十分ひとつ反省していただきたい。こういうことが一般に出ますと、原子力委員会なり科学技術庁に対しての国民の感情というものはまた特別のものが出てくるんじゃないかというふうな気がいたします。  時間がございませんから、いま一つ有澤委員にお尋ねしておきたいと思いますのは、先ほどからアメリカあるいはソ連等の原子力潜水艦などの常に入っておる港の問題がございました。私が調べたところによりますと、先ほど石川委員からいろいろお話がございましたアメリカではニューロンドン、イギリスではホリーロック、こういう常に原子力潜水艦の出入りしておるところ、これは差はありますが、海水の中から自然環境より高いいわゆる異常放射能、これが検出されるような傾向になっておるということ、したがって、これは一つの国際公害というふうなことでいわれておるようであります。したがって、これに対しては安全許容量の基準というもの、あるいはいまの災害補償限度というもの、これもひとつ考え直さねばならぬのじゃないかという考え方が出ておるというふうにも私は承っておる。国際的に検討されつつあるというふうに考えておるのでありますが、これにつきまして日本原子力委員会としてどういうふうにお考えになりますか。
  183. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ニューロンドンにおきましても、つまりバックグラウンドは自然放射能の水準よりはより高くなっております。ホリーロックのほうもむろん同様で、ホリーロックのほうがもっと高いかと思います。それで、いま御指摘のありましたような問題が出ておると思います。日本の場合におきましても、先ほど申しましたように、ICRPの基準よりはさらに十分の一の基準を一応とっておりますけれども、国民感情の点をも考えてみますと、もっと低く考えるべきものじゃないかというふうにも思います。それで先ほどの、測定し得べき増加という問題をもそういう観点からひとつ考えていかなければならないのじゃないか、そういうふうに思っておるわけであります。
  184. 内海清

    ○内海(清)委員 その点はやはり十分御検討いただかなければ相ならぬと思うのであります。現在のものが多少にしても、人体にはさらに影響ないのだというふうなことでも、特に原子力に対して日本国民は感情の特別なものがあります。でありますから、特にこの点はひとつ考えていただかなければ、ただ単に今回の問題でなしに、今後の日本原子力平和利用に大きな影響がある、これも心配いたすわけであります。でありますから、ひとつこれらの点につきましても、世界的に、国際的にそういう方向に向かいつつある、まして日本はより一そうこの点については敏感でなければ相ならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。この点は今後原子力委員会におきましても十分御検討いただいて善処願いたい。  いずれにいたしましても、できるだけ早く今回の原因を明らかにしていただいて、そうして国民の納得いくような線に、あくまでも科学的な根拠によって結論を出していただきたい。  時間がありませんからこれで終わります。
  185. 沖本泰幸

    沖本委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十七分散会