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石川委員 時間がありませんし、それから
三宅委員が言われますように、担当の
責任者といいますか、
大臣が集まっておられないので、あまり決定的な
質問ができないと思うのです。日をあらためてやりたいと思っております。聞きますと、最近は対馬のほうでもイタイイタイ病が発見された。御承知のように、渡良瀬川の問題は百年戦争といわれておりますが、ずいぶん長いことかかってなかなか
原因が
究明できない。富山県のほうでも、小矢部川といいますか、ここでは
メチル水銀の魚が発見されたということで、これからその対策を
考えなければならないというようなことで、相次いでこれに類する
公害が出ておるわけでございます。
三宅先生からも言われましたように、資本主義といいますか文明が進みますと、人間性が喪失するという問題と同時に、人間の健康、生命がむしばまれるという現象があちこちに出ておるわけであります。これを阻止するということなしに、ただ、いたずらに
科学技術は
科学技術を推進することだけで事足れりとすべきものではないということ、これは言うまでもないと思うのであります。そういう点で、今度の
阿賀野川の
事件は絶好の機会でございますから、何とかこれを起点として今後の
公害に対する対策を
科学技術の観点から解明していかなければならない、そういう意欲をもって取り組んでいきたい、こう思っておるのでありますけれども、ここにおられる方は全部そうでありましょうが、われわれは残念ながら全くしろうとであります。しろうとの勘にたよるような
質問でまことに恐縮でありますけれども、先ほど、齋藤
委員のほうから
質問がありまして、
水銀の害あるいは物性というものは解明されておらないということでありますが、この前、
農薬問題で私もこの
委員会で若干
質問をしたことがあります。それは主として
フェニル酢酸水銀の
有機水銀あるいはアルキル
水銀のもたらすところの弊害、あるいは人体に及ぼす影響ということでありましたが、これは物性も明らかにされておらないという
お話でありました。まことにそのとおりだと思うのです。しかしながら、これが代謝能力というものを相当阻害して、腎臓とか肝臓とかを著しく脅かす、あるいは白血病の
原因になっているのではないか、あるいはガンの
原因もこういう
水銀がもたらすのではないかということで、少なくとも
農薬としての
有機水銀を絶対に使っちゃいかぬということをわれわれは前々から強く要求し、ことしの四月からは、いもち病にはアルキル
水銀あるいは
フェニル酢酸水銀といった
有機水銀は使わないというようなところまで、言質を取りつけることができたわけであります。
メチル水銀はそういうものとどういうふうに違うのかということはよくわかりませんけれども、一連の
有機水銀であるということは論をまちませんし、また
メチル水銀を蓄積した魚が発見されたという事実も、これは否定することができないと思います。
そこで、私も、前に原子力潜水艦が
日本に寄港するときに、放射能がどう蓄積されるかということについて学者の
意見をいろいろ聞きましたけれども、魚介類とか海藻には相当——そのとき入ってすぐその外に排出されるということではなしに、どんどんどんどん蓄積をされているというような実態が、
日本の学者の手によって初めて明らかにされ、放射能というものはただ単に流れてしまえばそれでおしまいではなくて、魚介類にも海藻類にも全部それが蓄積をされていく、したがって、それを食べることによって、人間に対する影響というものはおそるべきものがあるのではないということが証明をされているわけです。
水銀がそれと同じ性格のものであるかどうかわかりませんけれども、これがやはりある程度蓄積されるということは、人間のからだの例をとっても明らかだと思うのです。頭の毛の中にどんどん
水銀がたまって、それを検査することによって
阿賀野川の問題の
究明をするという順序を経ておるわけでありますから、したがって、
水銀は人間の場合ある程度体外に排出されるということがわかっておるようでありますけれども、しかしながら、魚介類や海藻類などというものは、おそらく放射能の場合と同じような形で蓄積をされる
可能性が大いにあるのではなかろうか、これは全くのしろうとの
意見であります。そういうことで、しかもフェニル
水銀というのは
有機水銀でありまして、
水銀というのは外国では全然使わせておりません。
日本だけが使っておる。
農薬に使っておるということも、これは絶対に使っちゃいかぬというようなことで、何回もこの
委員会その他を通じて
意見が出ておったわけであります。
メチル水銀も、その例外ではないと思うのであります。ただし、それが、はたしてどの程度、どういうふうに、具体的に人間のどの部分に影響するかというようなことについての
究明は、また、未知の分野に属するところではあろうかと思いますけれども、しかしながら、
メチル水銀がおよそ今度の場合の
原因であろうということは、これはしろうとが
考えてもそうではなかろうかと思わざるを得ないと私は
考えております。
そこで、先ほど来の
お話で、水量が三百トンというふうなことであるから、非常に水量の多いとろに
水銀が流されたって、これはたいしたことがないのだというふうになるかもしれませんけれども、外国では、御承知のように、
フェニル酢酸水銀なんかの許容量をきめております。これは人体一キログラム当たり〇・〇〇〇〇五ミリグラムであります。こういうふうなことであって、もうおよそ
水銀というものは、これはただ数字を出しただけのことで、絶対にあってはならぬというのが、アメリカの学会あたりできめておるところの
一つの基準であります。これは
フェニル酢酸水銀でありますから、
メチル水銀と同じに扱うわけにはいかぬかもしれませんけれども、とにかく猛毒であるということだけははっきり言えると思いまするし、したがって、水量が三百トンもあるのだからということは論拠にならないのと、あるいはまた、
水銀が魚あるいは海藻類、魚介類、そういうものに蓄積をされていく
可能性が大いにあるのではないかという感じがしてならないのと、あるいは水量が三百トンといいますけれども、私は
阿賀野川をよく知りませんが、聞きますと、これは相当水量の多いときと少ないときという変化が激しいというふうに聞いております。したがって、百四十トン以下という水量の場合も一年のうちには相当あるのだというようなことがいわれておりますので、一がいに三百トンを水準として判断をするわけにはいかないのじゃなかろうか、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
厚生省のほうでは、四十一年の三月二十四日に一応の
結論が出ておったわけです。ところが、
通産省のほうから合議をいたしました場合に、どうも一部
資料が足りないのではないかということで、この
結論が順送りになりました。その
あとやっと四十二年四月に、
疫学研究班であります。さらに、四十二年八月に、
食品衛生調査会のほうで、先ほど私が読み上げたような、これは明らかに
鹿瀬工場が
原因であるという明快な
結論が一応出たわけであります。
ところが、
通産省のほうでは、御承知のように、先ほども申し上げましたけれども、
日本ガス化学浜松
工場あるいは
農薬というようなものも、
昭和電工と同じようにその
原因の
一つに数えられて、複数的な
原因であるからこれを断定するわけにはいかないというような話があったわけであります。ところが、
昭和電工の
鹿瀬工場のほうでは、
アセトアルデヒドの製造にあたりまして一ぺんにたくさん出たといいますけれども、相当
生産量が上がっている時期であったというふうなこともあるようでありますが、少なくともその
処理方法というものが
昭和電工と
日本ガス化学とでは全然違っておるようであります。山積みになって、どんどん風雨にさらして、その廃水がどんどん川の中に流れているという状態が
昭和電工であります。
日本ガス化学のほうでは、これを全部ドラムかんに詰めかえて、表に廃水が出ないというふうな
処理のしかたをしているわけであります。したがって、こういうふうな状態からいいますと、
日本ガス化学のほうに
責任を転嫁するわけにいかぬということが客観的に証明されているようであります。
そうなると、
あとは
農薬ということになりますけれども、残念ながら、魚をいろいろ調べてみた結果では、
フェニル酢酸水銀は入っておりません。エチル
水銀も入っておりません。これは明らかに
メチル水銀だけが魚の中に蓄積をされておるというようなところからいえば、これは
農薬の影響ではないということは、ほぼ確実ではないかと思うのであります。
そうなれば、どう
考えても、
厚生省の
疫学研究班並びに
食品衛生調査会のほうで出した
結論が——物性論やその他専門的なことを言われますと、困りますが、私自身もよくわかりませんが、どう
考えても、これはやはり、すなおに、
昭和電工が少なくともおもなる
原因になるということだけは言っても間違いではないのではないかという感じがされてならないのであります。
そういう点で、
厚生省のほうからもおいでになっておるようでありますけれども、もし私がいま申したことについての御
意見があれば伺いたいし、あるいは、いろいろな水の分析その他で
農林省もたいへんこれに苦労をされて
研究をされておったようでありますので、その水の検査あるいは魚の検査はどこでやったかわかりませんけれども、そういったものの
調査の実態というものは一体どうであったかということについて、ひとつお伺いしたいと思います。