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1968-04-15 第58回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十五日(月曜日)    午後零時五十三分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君    理事 石川 次夫君 理事 三宅 正一君       岡本  茂君    海部 俊樹君       渡辺美智雄君    角屋堅次郎君       三木 喜夫君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         科学技術政務次         官       天野 光晴君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君  委員外出席者         文部省大学学術         局学術課長   須田 八郎君     ————————————— 四月十五日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  門司亮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員門司亮辞任につき、その補欠として佐々  木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十三日  宇宙開発委員会設置法案内閣提出第六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  宇宙開発委員会設置法案内閣提出第六〇号)      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  去る四月十三日本委員会に付託されました宇宙開発委員会設置法案を議題といたします。     —————————————
  3. 沖本泰幸

    沖本委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。鍋島国務大臣
  4. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 宇宙開発委員会設置法案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  宇宙開発は、宇宙通信等実用面への利用が大きく期待されているだけでなく、関連する広範な科学技術分野の水準を向上させ、新技術開発を画期的に推進する原動力となるものであります。宇宙開発のこの重要性に着目し、諸外国におきましては、つとに開発体制を整備し、具体的な開発目標を掲げ、国家的な事業としてその積極的な推進をはかっております。一方、わが国宇宙開発も、関係行政機関においてそれぞれに進められてまいりましたが、宇宙開発は、その性格上、多額の経費を要するものであり、また限られた人材を有効に活用する必要がありますだけに、わが国が本格的な宇宙開発に乗り出そうとしている今日、これを特に総合的計画的に推進することが急務となっているのであります。  このような情勢にかんがみ、内閣総理大臣から宇宙開発審議会に対し、わが国宇宙開発に関する長期計画及び体制の大綱について諮問いたしましたところ、昨年末同審議会から、宇宙開発体制については、国として統一ある構想のもとに基本的な計画等審議、決定し、それが国の最高方針として十分尊重されるような委員会を設けることが必要である旨の答申を受けました。  このたび宇宙開発委員会を設置することとし、この法律案を提出したのは、以上の趣旨に基づくものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、宇宙開発に関する国の施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、総理府に宇宙開発委員会を置くものといたしております。  第二に、この委員会所掌事務は、宇宙開発に関する重要な政策、関係行政機関事務総合調整のうち重要なもの、関係行政機関経費の見積もり、研究者及び技術者養成訓練その他宇宙開発に関する重要事項について企画し、審議し、その決定に基づき内閣総理大臣に対して意見を述べることであります。また、内閣総理大臣は、委員会から意見を受けたときは、これを尊重しなければならないものといたしております。  第三に、この委員会は、委員長及び委員四人をもって組織することとしております。委員長は、科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てるものとし、委員は、宇宙開発に関しすぐれた識見を有する者のうちから、内閣の承認を経て、内閣総理大臣が任命し、非常勤の特別職とするものといたしております。  第四に、委員会の庶務は、科学技術庁研究調整局において総括処理するものとし、関係行政機関所掌に属するものについては、その行政機関と共同して処理するものといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  5. 沖本泰幸

    沖本委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  6. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより質疑に入ります。  申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣が参議院の予算委員会の合い間を見てこちらへおいでいただいておりますので、時間がそうないと思います。そこで、この宇宙開発委員会設置法案背景についてだけ二つほど質問しておきたいと思います。また、水曜日には皆さんの御努力で総理においでいただいて、総理に質問することもありますから、その前段ともなるかと思いますので、ぜひお聞きしておきたいと思うのです。  そこで、幸い、宇宙開発につきましては、委員会が設置されるということになりますと、緒についた、こういうようにわれわれも解釈いたしまして、これはいいことだと思っております。しかしながら、この中身は、いろいろ非公式に検討してみますと、問題があるわけであります。長い間、宇宙開発については、日本としては一つのかじのない方向だった、こういうふうにいわれておったわけですが、今回この宇宙開発委員会設置、こういう問題が実現化する機会に、宇宙開発位置づけというものを大臣はどういうように考えておられるか、これは私は一番大きなポイントになる問題だと思いますので、この際ぜひお聞きしておきたいと思います。
  8. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 宇宙開発わが国における位置づけと申しますが、国の大きな仕事として今日科学技術がなければ、とうていこれは社会の進歩なり生活向上があり得ないわけでございます。御承知のとおり、各国ともいろいろな科学技術の振興をはかっている中におきまして、ビッグサイエンスとして特に重視されておりますのは、あるいは原子力平和利用あるいは宇宙開発といわれる新しい分野におけるものでございますとともに、これらのものは、単なる民間だけで、あるいは小さな資金のみで行なわれるものじゃなくて、やはり国の大きな力をもって国民の総力をあげて開発に進んでこそ、初めてその成果があがるものであろうと考えます。そのような意味におきまして、わが国における宇宙開発の命題も、将来における通信航行あるいは気象その他国民生活に密接な関係があり、日本社会開発の大きな重要な項目をなすわけでございますので、日本における原子力平和利用と並んだ、あるいはそれに類するものとして海洋開発等もございましょうけれども、少なくとも最も大切な開発一つの課題であるというふうに考えます。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで大臣、この宇宙開発は、原子力開発、それから海洋開発、こういうものと並んで国の大きな一つナショナルプロジェクトである、こういうとらえ方をしておられるわけですね。しからば、このナショナルプロジェクトを進めていく上に何を目標にすべきか、これをはっきりとここにわれわれとして腹をきめなければいかぬと思うのです。今回の委員会設置法を見ますと、私たちは率直な言い分をしますと、これは単に産業界を振興する、こういうような感じがしてしかたがないわけであります。ナショナルプロジェクトとしての大臣のとらえ方ならば、一体この宇宙開発によって日本の国の何をねらうべきかということをもう少し明示していただきたいと思うのです。それがなければ、あと質疑が出てこないわけです。ただビッグサイエンスをどうしてもわれわれとしてやっていきたい、取り組んでいきたい、それは文化の発展あるいは経済の発展技術発展に役立つんだ、これだけでは宇宙開発位置づけがはっきりしないと思うのです。そこでお聞きしておるわけですが、ひとつその点をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 当然ナショナルプロジェクトとしてこれをとらえ、それを強力に国として推進していきます場合におきましては、その終局の目的とするところは国の繁栄であり、しかも、それが当然国民生活向上、そして豊かな生活国民の各位とともに進めていく大きな目的がある。いわゆる社会向上あるいは国民生活向上、ひいては国民個々繁栄から国の繁栄に至る平和的な繁栄——あくまでこれは平和でございます。そういった面を重点に進めていかれるべきものだと考えます。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 事務当局からも、補足的な説明があればやっていただきたいと思います。
  12. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいま大臣が御答弁されたわけでございますが、私たちも、実際、いま大臣がおっしゃったとおりでございます。  具体的に申し上げますと、その間で、いま、宇宙開発の問題でどういうところが国民生活に一番反映するかということが具体的にわかっている点を、まず取り上げるべきではないかという考え方で現在やっております。したがいまして、現在通信衛星その他わが国国民生活に最も大事な点というものを重点的にはかっていくというところを十分解明するのが一番大切なことじゃないかという考え方で進めております。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣、ちょっとそれではこの委員会設置法というものがぼけてくると思うのです。私も宇宙開発審議会答申は何回も読んでみたんですよ。三十五年から行なわれておりますね。答申をいろいろ読んでみた。三十五年の十月に諮問第二号は答申されておるわけですね。それから一号については二年おくれて三十七年の五月に出されたわけですね。こういうような審議会答申をそれぞれ読んでみたわけでありますが、われわれは当面資材もないし予算も少ないのですが、宇宙開発によって一体何をねらうか。以前この委員会日の丸衛星であるか実用衛星であるかという論議が非常にかわされた。新聞もこれについてたいへんに論議を戦わしたことがあるわけです。どうもこれを読んでみますと、国威の発揚というようなこともあるようだし、それから、そうではない、これを契機にして宇宙研究をしっかりやりたいのだというような目的もあるようだし、その辺がさだかでない。この際、宇宙開発基本法なんかの問題はきょうは触れませんけれども、幸いにこの緒についた機会に、宇宙開発位置づけ担当大臣としてはしっかり腹に持っておいていただき、われわれにわかるように言っていただかないと、ぼっとした効用だけを述べておるのでは、これは三十五年ごろの宇宙開発審議会のいっておることと同じことを言ったことになって、大臣のお考えが後退したのかと思わざるを得ないわけです。幸いに四十三年の科学技術庁長官としてさっそうとデビューされた若手大臣の抱負としては、三十五年に逆戻りするのではなくて、新しい一つのビジョンと、それから国民に対する意欲、青少年に対する意欲をこの宇宙開発によって与えるくらいの位置づけをしていただきたいと私は思って、おそらくそれを考えておられるだろうと思って前もって質問の要綱も出しておいて、ごらんになる時間はなかったかもしれませんけれども、そうして大臣に元気のいいところをやってもらいたい、また意義のあるところを言ってもらいたい、こう思ったわけですけれども、いまの答えではちょっと満足いかないですね。
  14. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 率直に申し上げますが、先ほど大局論的には申し上げましたが、さらに進めてまいりますれば、あくまで平和利用に徹すること、しかも、日本の憲法に従って、決して軍事利用といったようなことの疑いを受けないように、逸脱しないようにこれを進めていくこと、それを具体的に申しますと、いま局長も申し上げましたように、日本国民生活向上なり繁栄に資する平和利用でございますから、さしあたりは通信あるいは航行あるいは気象といったような衛星を打ち上げることによって、その恩恵を国民に与えていくという点が必要であろうと思います。  なお、その開発の方法につきましては、あくまで日本において自主的な開発目的にしまして、ただ諸外国から協力を受けて、それに日の丸だけをつけて打ち上げるということがない自主開発をもって進めていく。ただ問題は、そのほかに、御承知インテルサットの仮条約、本条約の調印が目睫に迫っておりますから、それに対して、各国に対してやはり日本自主開発十分発言権を持ち得るようにこれを進めていくという点に重点を置かなければならないと考えております。  大体以上のようなことでございます。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この委員会設置法中身を見ますと、宇宙科学研究ということ、それから実用衛星ということ、こういうものを並列して考えたときには、打ち上げるところのロケット人工衛星になる本体を開発する、そして利用の面もその中に含まれておる、こういう説明はありますけれども、この委員会法というものをよく見てみますと、どうやらそうしたものをつくるだけでいいようなイメージをわれわれに与えるのです。だから問題は、ソ連人工衛星が上がってから今日までもう十一年になるのですが、昨年は、三億数千万キロメートルも飛んであの金星ロケットを軟着陸させるというように、ソ連なりアメリカ宇宙開発技術、こういうものがものすごく進んできたわけですね。その中において、わが国はそれに負けまいとする日の丸衛星的な考え方一つあると思うのです。しかしながら、これだけ見てみますと、宇宙科学研究実用衛星というものが日本としてはどうやら目標のようにも思えるのです。そういう点を明確にわれわれは把握しなければ、何もかも追うて——それは、ソ連のように軍事力背景にし、アメリカのように軍事力背景にして宇宙開発が進歩した国と日本は同じように言えないと思うのです。それらの国が目標としたようなことをもう一ぺんあぶり出しにかけたような、複写したような答弁をしておったり、あるいは解釈をしておっては、宇宙開発はやれないと思うのです。それだけの金もありませんし、もう期間はおくれているのです。大臣のお答えの中に一つ出たことは、自主開発平和目的と、その目的は、いまおっしゃっておられましたが、一体どれなのかという位置づけをしっかりしてもらいたいと思います。審議会もずいぶんいろいろな答申をしております。しかしながら、答申を受けたのは政府、それから総理大臣ですから、どう対処するのか。それは委員会をつくって、委員会に考えてもらうというのでは、三十五年から審議会をつくってやっておることが全部むだになってしまう、空文にひとしくなってしまいますから、それでこの機会にひとつ、さっそうとデビューされた若手のホープの大臣から若々しい意見を聞きたいと思っておるのですけれども、ちょっとそれが聞けないので残念なんですが……。
  16. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 重ねて御答弁申し上げます。  現在、日本におきましての急務は、やはり国民生活につながる実用衛星だと思います。したがって、先ほど申し上げたように、通信とか、あるいは航行とか、気象とかいう、直接つながる衛星重点を置き、それをやっていくべきでございまして、将来においても、また日本のいまの国力からも、月の世界金星世界等はまだとうてい及びません。したがって、これは別途の問題として今後に取っておきまして、現実の問題としては、いま申し上げたような実用衛星を打ち上げることに最重点を置き、また、それに専念するということが今日では必要であろうと考えております。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣もお昼ごはんを上がられなければならぬと思いますので、ちょっと不満足な点もありますけれども、次にいきたいと思います。
  18. 石川次夫

    石川委員 関連して。いまの大臣の御説明ですけれども、一応先導技術としての人工衛星の発射ということの意義というものはわかります。非常にコンパクトなものでなければならぬということで、いろいろな技術、そして先導的な役割りを果たす、抽象的には国民福祉のためにこれを役立たせたい、あるいはまた、人工衛星実用的といいますか、とにかく飛ばしたいという点に重点を置くのだということはわかるのですけれども、率直に言いまして、それだけで一体いいのだろうかという感じがするのです。実は、私も宇宙開発のことはしろうとで全然わかりません。わかりませんけれども、こういう法案が出た以上は、しろうとなりに何かわからなければならぬということで、一、二冊本を読んでみたのですが、読めば読むほどわからなくなるのがこの宇宙科学だと思うのです。しかしながら、わからない中で私がほんとう感じましたのは、地球とか宇宙とかいうものはわからない点があまりにも多過ぎるということなんです。地球の寿命だって、これから科学が発達すれば、推測することも可能だと思いますが、実をいいますと、簡単にことばだけを並べても、太陽の紫外線の状態だとか、地磁気との関係はどうだとか、宇宙線、エックス線、デリンジャー現象、これは最近わかったことですが、バンアレン帯というのが発見された。空気密度というものも、今度一号、二号のスプートニクが出て、初めて、密度というものがロケットではかったのとはたいへんな違いが出た。ロケットで出た数字よりは十倍くらい空気密度が濃い、あるいは電離層も変わっているというようなことが、今度のスプートニクあるいはそれに関連する人工衛星を飛ばすことによって、いろいろと新しい分野開発され、発見されつつあるわけです。そういうような空気密度関係とか電離層関係、これはスプートニクから電波を送らせ、受ける場所が違えば両方で同時にはかれば電離層状態というものも大体わかるし、刻々変化する状況というものもとらえることができるというようなことで、未知分野がこういうものを通じてだんだん解明されるというところに一つ目的があるのではないか。それを忘れて、まず飛ばすのだというようなことでは、目標が狭過ぎるというか、あまりにも短見過ぎるのではないかという感じがしてしようがない。と同時に、実用といっても、とにかくロケットを飛ばすということに重点を置くのだという気持ちからいたしますと、何か科学的なそういう未知分野ほんとうプロジェクトというものは、まず基礎から始めなければならぬというので、地球の、あるいは宇宙の秘密、未開拓分野というものを開発し、発見していくよりも、まず何かロケット開発ということだけに重点を置くのだということにつながってくる危険が多いのではなかろうかと思っております。  これは、またあとで私も質問しようと思ったのでありますが、実は人工衛星というのは、いろいろな定義がありますが、一つの見方としては、これは地球上の一地点から他の地点に達する遠距離のロケットと原理的に何ら変わらない。ICBMと何ら変わるところはない。というのは、地上三百キロくらいのところで誘導装置方向を一回だけ変える。人工衛星になると、もっと高度な誘導装置が必要になってくる、こういうことからいっても、ICBMよりももっとむずかしい技術が必要だ。何かこのロケットを飛ばすということだけに重点を置くのだということで目的を限定しますと、何のための宇宙開発なんだ、単に国威宣揚あるいは考え方によっては軍事利用ということと結びついた考え方ゃないかというふうにとられてもしかたがないのじゃなかろうかという感じがしてならないのであります。そういうことで、私はこの宇宙開発をするという目的は、ただ単にロケットを飛ばして国威を宣揚するのだ、あるいは軍事利用と非常に密接な関係がありそうだということで力を入れるのではなしに、何のために、どういう目的宇宙開発をするのだという基本的な姿勢をまずしっかりさせないと、単なる実用実用といっても——これはやはり基本的なそういう未開拓分野をいろいろ研究していかなければならぬというところから出発しなければならぬ。そこの基本に立ち戻らなければ、何のために宇宙開発をやるかわからぬということになりかねない。そういうことを忘れて、単に目の前の、ロケットを飛ばすということに結びつけて、国民福祉関係があるのだということだけでは、どうも目的というものはあいまいだというふうにしかわれわれにとっては考えられないと思います。この点をひとつしっかりきめてもらいたいと思うのです。
  19. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 宇宙開発につきましては、大きな方針といたしましては、先ほどから申し上げておるとおりでございますが、いまの御議論のように、まだ基礎もはっきりしておりませんし、また、その後におきますいわゆる月ロケットあるいは惑星に対する、たとえば金星に対するロケットというような問題も、今後問題としてあることは事実でございます。したがって、大学におかれては、研究衛星を打ち上げられて、そうして基礎的な研究をなさるわけでございます。一方、いま申し上げましたように、科学技術庁大型プロジェクトとしてこれを推進していく場合は、その研究成果を十分取り入れることによって、さしあたり実用衛星というものを打ち上げまして、そうして、世界衛星に一面おくれないようにこの開発を行なっていく、しかも、その基礎はあくまで平和利用であり、その平和利用の面から絶対に逸脱しないという基本方針のもとにこれを進めていく。いま言われましたように、確かにまだまだ未知分野がたくさんございます。たとえば、基礎的な研究の面においても多くの未知分野があり、現在世界の学者が研究中であることは、私も浅学ではございますが承知いたしております。また、さらに、軍事利用と相重なった面に、あるいは軍事利用の中から、平和利用成果があらわれる面があるいはあるかもわかりませんけれども、しかしその点はその点として、私たち宇宙開発における基本的な態度は、あくまで平和利用であることと、基礎的な研究をあくまで進めていく。しかしながら、さしあたりの目標としては、少なくとも実用衛星にしぼってこれを開発し、しかも、自主的にこれを進めていくという方向にいくのがほんとうではなかろうかというふうに考えております。
  20. 石川次夫

    石川委員 衛星を飛ばすことだけに重点を置いていくという気持ちもわからぬことはありませんが、インテルサット条約が本協定になるというふうなことでありますから、それはわれわれとしてわかるのですけれども、そういうふうに急ぐのは何が目的だということを明確にしてもらいたい。明確にしないで、ただそれだけに当てるということでは、宇宙開発の本義というものが非常に誤解されるという点をひとつしっかり肝に銘じてもらいたいと思うのです。  それで、その一つ関連事項として申し上げたいのは、ロケットを打ち上げないでも、開発することがたくさんあるわけですね。電波なりあるいは光波なりを発振しあるいは単純な形では望遠鏡と関連をさせて研究を進めていくというようなこともある、これはロケットを上げないでやる宇宙研究開発のうちに入ると思うのです。これは一体宇宙開発委員会の中の分野に入りますか、入りませんか。
  21. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいまの範囲の問題でございますが、これはロケットを打ち上げて、追跡と観測人工衛星関係してまいりますその分野としては入りますが、それでない場合のところとしては入っておりません。
  22. 石川次夫

    石川委員 実はそれは非常に疑問だと思うのですよ。だから、ロケットを打ち上げることだけに重点を置かれておるように思うが、宇宙開発というのは、地上でもって研究するものが相当大きなものが伴わなければならない。飛ばすんだといっても、それは電波を発振し、それを受信して、地上観測というものが絶えずついて歩いているわけですね。そういうものが伴わないで、ロケットのほうにだけ力を入れる宇宙開発というものの意義が、どうも国威宣揚型というような感じがしてしかたがない。もちろんこれは、人工衛星を飛ばすことによっていろいろな面が開発されるという効果を否定するわけではございませんけれども、いまのように、とにかく人工衛星を飛ばすのだということだけで、そういうふうに、地球あるいは地磁気の観測とかあるいは宇宙空間のいろいろな研究開発というものについて、それを全然除外するのだというようなことになると、私が心配したように、何か人工衛星を飛ばすことにだけ目的が集中してしまう。もちろんその意義を否定するわけではありませんけれども、これは目的というものがぼかされて、何かロケットを飛ばす技術だけに焦点がしぼられているというような感じがしてしかたがないのです。これは議論はまたあとでいたします。これは三木さんの質問の過程でちょっと疑問に感じたものですから、一言申し上げて、この点はあらためてまた皆さま方と質疑応答をしたいと思います。一言申し上げておきます。
  23. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 ただいまの御質問でございますが、ロケットを飛ばすだけに集中いたすつもりはございません。ロケットはやはり一つの手段だと考えます。したがって、実用衛星を打ち上げるにもロケットが必要でございますから、それに伴う一つの手段として段階的に研究を進めていくというふうに考えておるわけで、他に利用しようというような意図は全然ございませんので、どうぞひとつその点は……。
  24. 三木喜夫

    三木(喜)委員 時間がないようですから、そこで大臣、私が最初に申し上げたように、国威宣揚型か、あるいは純粋に宇宙科学研究か、あるいは実用衛星開発か、こういうようにお聞きしておったわけでありますが、大臣はその研究のほうも当然入るべきだというような解釈をされておるようにも思いますので、この次にまた、水曜日の午後一時からあるそうですから、そのときには、もう参議院の総括質問はありませんからひとつ腰を据えてわれわれの質疑に答えていただきたいと思います。  きょうは大臣の時間がおありにならぬようでありますから、大臣に対する質疑はこの程度にしたいと思います。  あと事務当局一つ聞きたいと思いますが、質問要旨にも書いておきましたように一九六六年の秋、経済協力開発機構、OECDの科学政策委員会から「日本科学政策に対する検討調査報告書」が出されておるわけであります。読む必要はないかと思いますけれども、質疑の都合がありますので、大体読んでみて、その中から問題点を拾って申し上げたいと思います。「原子力委員会、放射線審議会宇宙開発審議会および海洋科学技術審議会は法的地位はだいたい同じであるにもかかわらず、原子力委員会のような強力な実施的権限のあるものから、純粋に助言的立場にすぎないものまである、」「政府が助言手段を広い範囲で利用する必要があることは明らかであるが、能力と信望を有する委員と恒久的機能を持つハイレベルの機関が審議だけに労力を費やして任務を終えるべきでない。」こういうように報告書を出しておるわけであります。これはいまの大臣の答弁とも関連があるし、この法案とも非常に関連があるので、この勧告をどういうように把握されるか、ぜひ聞いておきたいと思います。これは大臣にお聞きするのがほんとうだと思いますけれども、しかし、大臣がおられませんから、かわってひとつ局長からお答えをいただきたいと思います。
  25. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私もいまのコンフロンテーションに出させていただいたわけでございますが、そのときに、いまの日本の現状からいきますと、審議会あるいは委員会あるいは予算の問題等について、制度としては非常に世界と匹敵するくらいにいろいろな制度をしている。しかし、その運用の点について、ことに経費の問題については弱いし、あるいは委員会その他についても運用の問題として相当差があるという感覚から、その報告が出ているわけでございます。これを向こうの人が初め数人来られましてやられましたときに、やはり原子力委員会というのは、八条機関ではあるが、行政委員会的なセンスをある程度持っている。宇宙審議会についてはどうしてそうしないのかという議論からそれが出ておりまして、いわば原子力委員会も八条機関である。八条機関としては宇宙審議会も当然八条機関である。ただし、中の審議のやり方、運用面において、そこのところに原子力委員会は法律的にも相当強く書かれておりますし、審議会のほうは審議調査するという形で、意見を聞いて、その意見政府として取り上げるところは取り上げるという程度で、そこに勘案の差があるということで、その点については今後のわれわれのほうの制度の改正その他のときに十分考えていきたいということで、その会議は終わっております。
  26. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これを忠実に読み、あるいは忠実にその報告書というものに対して国なり政府が実施をしていこうということになりますと、今日こういうような委員会設置法案が出てこないと思うのです。勘ぐった言い方をして申しわけないのですけれども、どうも政府としては権限のあまりない審議会をつくってあるいは委員会をつくって、政府の思うままに動かせる、ことによると、その審議会とか委員会とかが答申したものを無視して進んでもこたえない、こういうような考えがあるのではないかしらんと思うのです。したがって、三十七年五月十一日の一号答申を見ますと、明らかに第三章に「わが国宇宙開発基本原則」というものがもう三十七年に勧告されておるわけです。「わが国宇宙開発は、平和の目的に限り、次の基本原則の下に行うものとする。(1)自主性を尊重すること。(2)公開を原則とすること。(3)国際協力を重視すること。」こういうことがあげられておる。これは、総理答申を受けておられるわけであります。その総理の意向を受けて、科学技術庁が、この答申を受けてやるべきことは、この基本原則をどういうぐあいにか生かして、いままでに出しておかなければいけなかった。この意味合いからいけば、基本法をつくるべきだったと思うのです。それに実施機関をさらにつくっていく。宇宙開発審議会というものがあるのに、それをもう一ぺん改組して、委員会をつくって、その委員会を、原子力委員会のように力のあるものにするというならわかるのですけれども、そうでない。これはあとで申し上げたいと思いますが、そうして考えてみますと、審議会を今度解消して委員会をつくりましても、しょせんは政府の隠れみの、こういう委員会をつくろうという意図があったのではないか。一体その考え方は那辺にあったか。自民党の政調会の宇宙開発特別委員会が四十二年の七月二十日に出しておりますものを読みましても、やはりこうした委員会は、ある程度力の強いものでなければならない。そうして「性格及び権能は原子力委員会に準ずる。」自民党でもそういうておる。審議会でもそういうことを指向しておる。しかも、基本法に当たる「平和の目的、自主、公開、国際協力」ということをはっきりうたっておるのでありますから、なぜ、この審議会意見を尊重されないのか。私はどうも合点がいかない。そして、出てきたものは、私たちは自民党の諸君ともずっと検討してまいって指摘いたしましたように、その委員は国会の承認を得なくてもいいような委員会にしてみたり、さらにまた、常勤であるべきのを非常勤にしてみたり、そのあらわれておるところ、一つ一つ、ちょっとしたところを見てみましても、宇宙開発ナショナルプロジェクトとして、しかも、国民的な合意を得て、そして、強力に推進せいという審議会意見や、私たちの考えからは、ちょっとほど遠い、後退している委員会になっておるわけであります。これは、非常に残念に思う。那辺にその考えがあるか、これを明らかにしていただかなかったら、われわれとしては、この委員会設置法というものを進めることはできないわけであります。そういう後退した、単に隠れみの的な委員会だったら、これは意味がないわけでありますから、その点、大切なポイントですから、局長のほうからひとつお答えをいただきたい。
  27. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私たちは、原案をつくります場合に、いま先生のおっしゃいました、前の審議会における答申の精神は、私たち基本的に順守していくという形は当然考えております。ただ、いまの「平和、自主、公開」こういう点につきましては、これは宇宙開発委員会設置法でございまして、したがいまして、設置法として考えました場合に、設置法の中にそういう理念を入れるということが非常にむずかしいということで、設置法の精神としては、私たち当然それを頭に考えて、民主的な運営でやるための委員会であるという考え方から、当然それは入っておるという考え方で進んだわけでございます。  それから、先生のおっしゃいました国会の承認、この点につきましては、政府の今後の方針というものが一つございますが、もう一つは、最近の例でまいりますと、宇宙開発はこれから先推進していかなければならないもので、利害関係者に直接どうのこうのということがないように、そういうことからいけば、学識経験者のしっかりした方にガラス張りでやっていただくということでやっていけるのではないかということで、原案をこうしているわけでございます。  それから、内容として原子力委員会に少し劣っているといういまのお話でございますが、実は、これにつきましては、法律体系のつくり方その他の点から表現に食い違いが出ておりますが、その点は、実体として、原子力委員会に劣らないような強力なものにするという精神で進んでおります。ただ、法律体系をつくりますのに、二十九年、三十年ごろでございましたか、そのころと、現在になりましたときの問題点と、もう一つは、宇宙そのものの発展のしかたの現状と、原子力委員会の当時の行き方というものの食い違いのところに考慮がございまして、その点の表現で、一部そういう点が出ている感じがありますが、私たちは、その点はできるだけやはり宇宙の強力なる推進体制をとっていかなければならないということで、その点は十分加味した考え方でつくっているように自分としては考えております。
  28. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは違うのじゃないですか、そういう点はもう少しすらっと答えていただかなかったらいけないのではないかと思うのです。  それでは、一つ一つ分けて申し上げましょう。  三十七年に、答申第一号が出ておりますね。その中で「平和目的に限り、自主、公開、国際協力」ということを審議会としては、うたわれておるわけです。この中にそういうことが盛れないことはわかり切っておりますけれども、盛れたら私たちも盛っていただきたいと思いましたけれども、これは、あなた方や自民党でも盛れないというのですから、それは認めましょう。そうしますと、基本法を当然先に出さなければならぬわけです。なぜ出さなかったかという、こういう論議になってくると思うので、この中に盛れなかったということを私たちは言っておるのではないのです。それが一つ。  それから、私たちはこれを強力なものにしたい、こうおっしゃっておるけれども、あなた方の意向はわかりますけれども、出てきておるものは強力なものじゃないじゃないですか。これは何回も指摘しておるとおりです。たとえば、原子力委員会は、委員長及び委員六人をもって組織するでしょう。これは四人でしょう。人も少ない。それから「内閣総理大臣は、委員会から前条第一項の意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」ということになっておりますけれども、原子力委員会の場合には「決定の尊重」こうなっておるでしょう。それから常勤、非常勤があるでしょう。国会の承認を得なくてもいいというようなことがあるでしょう。そういうように非常にスケールが小さくなってしまっているが、あなた方が、これは原子力委員会に負けない強力なものにしたいという意図はわかっておるが、出てきているものは、形の上で目に見えるものとしてはこんなに弱いものになっている。これでも委員会を強いものにしたいということを言われるならば、これは強弁にすぎぬと思うのです。なぜこんなことになったのかということを私は言っているのです。あなた方の意図はそうでないかもしれませんけれども、食い違ってしまっている。だから、二つの質問に答えていただきたいと思う。原子力基本法と同じように宇宙開発基本法事務当局として——私は総理にも聞きたいと思っておりますが、なぜ出さなかったか。出す機会はあったし、その答申も受けているじゃないですか。この原因はどこにあったか。自民党がやらなかったのか、あるいは総理に理解がなかったのか、その辺をわれわれは知りたいわけです。
  29. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 宇宙開発委員会の問題を取り上げますときに、実際、いま先生がおっしゃいました基本法の問題というようなものはわれわれも考えました。しかし、いまのインテルサットの問題その他が出て、早く一歩でも前進するという形で考えますときに、申しわけないのですが、基本法が先に立っていく場合が当然だと思いますが、この点についても、ちょっとタイミングの問題としてわれわれは踏み切れないということで、さしあたりどうしてもこの委員会を設置していただいて、一歩前進して宇宙開発をさせていただきたいということに主眼を置きましたので、実は基本法が検討中ながら先に置かれたというようなわけでございます。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それならわかります。それから、その権限がなぜこんな小さいものになったのですか。
  31. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いまの権限の問題でございますが、実は、宇宙開発委員会の設置法と原子力委員会の設置法とをあわせて考えました場合に、実際に原子力委員会のほうはまだ白紙の状態のときに、将来の、しかも利用の問題まで全部入れまして、そしてまた、安全の問題その他いろいろ規制する問題もございます。そういう関係から非常に広い意味で、白紙の状態のところにつくったわけでございます。そういう関係から見ますと、宇宙開発委員会のほうは、今度は各省のほうがある程度宇宙開発を進めております。その宇宙開発を進めております各省とわれわれのほうと一元化した体制で進めていこうというところの勘案から、こういうような表現になったと思うのでございます。それで、いまの審議し、決定しという問題のところでございますが、第二条のこの点につきましては、私たちのほうは、前の原子力委員会法でいきますと、決定するだけでございますが、法律体系として考えました場合に、単にその決定を出すのかというところで、ここのところで内閣総理大臣にその決定したものを出していくのだということを明記して、その点をここではっきりさせたわけでございます。それで、それがついたがためにこの委員会の決定そのものが弱くなったというふうに読まれる形ということがございますが、それをうしろのほうでやはり総理が尊重するということで、この点は、実体的には原子力委員会と同じではないかという考え方をとっております。  それから、委員の数が四名では少ないというおっしゃり方でございましたが、これにつきましては、あまり多人数でやるということは、非常に中が統一的にはっきりしない、少ない人数のほうがやりやすいのじゃないかという点が一つと、それから、そのかわりにこれに参与というものが設けてありまして、その参与のほうに自分たちの知りたいというところを四人の先生方が聞いていただきまして、少数でそれを決定していくという形のほうがいいということで、さしあたり四人という数字をとったわけでございます。  それからあと原子力委員会と違いますところは、ここに勧告権というのが落ちておりますが、これにつきましては、原子力委員会ができましたときには、まだ科学技術庁はございませんでした。科学技術庁がその後できまして、科学技術庁のほうに勧告権というのが入っております。したがいまして、現在宇宙開発委員会をつくろうといたしました場合には、科学技術庁の勧告権を発動すれば十分これは間に合うということで、この点をとったわけでございます。  あと、各省との共同関係でございますが、この関係につきましては、科学技術庁のほうが総括して事務総合調整をやらせていただく。その点でいきますと、この宇宙は、先ほどのように、各省の行政事務とつながりやすい問題でございます。そういう点につきましては密着した形をとるという、各行政機関それぞれとのつながりの体制を見ていったほうがいい。その点を見ながら、科学技術庁が総括調整をしていくということで、この点をとったわけでございます。その点に食い違いがございまして、弱いと言われますが、私たちはこのいまの宇宙開発を一歩前進して進めていくというときに、さしあたりこういう形でやらしていただくのが至当ではないかという考え方で進んだわけでございます。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこをもう少し正直にひとつ言っていただいたらと私は思うのです。科学技術庁としては、そう権限は縮小していないとおっしゃいますけれども、現実にこの表現の面から見ましても、劣っておるように思うわけです。  まず、それを受けて全部関連審議会とかあるいは省庁の見解を拾ってみますと、四十二年十二月二十日の第四号答申によりますと、こういうように書いてあります。委員会の性格は、「国として統一ある構想のもとに、人工衛星の打上げおよび利用による宇宙開発に関し」——利用による宇宙開発」ですよ、「基本的な計画を審議決定し、その実現を期するとともに、計画の進行途上における評価および調整を行ない、それが国の最高方針として十分に尊重されるような委員会を設けることが必要である。」こう原則をはっきり、それから具体的にうたっておるわけですね。これで委員会の性格ははっきりしておるわけなんですが、「なお、委員会委員は、原則として常勤とする。」あなた方が出されたのは非常勤ですよ。常勤にせい、「委員会事務を的確に処理し、委員会の決定に沿って必要な行政事務を遺漏なく遂行するため、所要の機構を整備強化する必要がある。」こういうように、委員会は常勤だということを勧告しておるわけです。  それから科学技術庁としては、四十二年九月二十八日に委員会の性格を出しております。「宇宙開発委員会(1)宇宙開発審議会を廃止し、宇宙開発の実質的最高機関として総理府に宇宙開発委員会を設ける。委員会は、次に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する。」ここにはっきり決定すると出されております。それが違っておるわけですね。「イ 宇宙開発基本方針、ロ 基本計画及び毎年度の実施計画大綱の策定その他宇宙開発に関する重要な政策、ハ 関係行政機関宇宙開発に関する事務総合調整のうち重要なもの」ニ、ホと続いておるわけでありますが、ここにも宇宙開発委員会というものは実質的最高機関としての権限を持ったものにして、そうして審議し、決定するという強い表現がとってあるわけなんです。  それが、さきにも申しました自由民主党政調宇宙開発特別委員会が、四十二年七月二十日に「宇宙開発の最高機関として総理府に宇宙開発委員会をおく。(その性格及び権能は原子力委員会に準ずる。)」準ずるだから、国会の承認人事であったり、あるいは常勤であったり、あるいは決定するものであったりするわけですね。  こういうように、いままではこの委員会の性格が原子力委員会と比べましてかなり強いように思えたが、急にこう弱まっておるのは、一体どこにその原因があるのかということを言っておるわけなんです。あなた方の解釈だけで、こういう表現になっておるから通用するのだという気持ちになっておるのはわかりますけれども、それはどこにあるのか。やはり各省庁の横やりがあったのか。それなら私たちは、そのつもりで、その横やりを入れたところと話をしなければ、あなたたちと話をしておってもどうにもならぬということになるわけです。それの原因を聞いておるわけです。なぜこんなに弱くなったか。あなた方の気持ちを聞いておるわけじゃないのです。ずばりその辺を言っていただいたらどうですか。
  33. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 これをつくりますときにいろいろなところからの御意見その他でこういう状態になったのは確かでございます。それで、いまの常勤の問題につきましては、これは私たちも、最初、常勤ということでお願いしたいというのが委員会の趣旨と考えました。ただ、これは政府方針として今後常勤というものにしないほうがいいということが一つと、それから、その論争をやっております最中に、四人の先生を選ぶという考え方から、実際には、現在常勤になっていただいた場合の俸給その他の点が民間と比べますと非常に低い俸給でございます。そういう関係から、常勤になっていただいた場合には、人選をするのに非常にむずかしくなるのではないかというところがございました。それから、私たちのほうは、それでは、非常勤であってどういう取り扱いをしようかというところの段階も考えました。それで、できるだけ、必ず特別職として責任を持ってやっていただくことを一つ考える、それから、責任を持ってやっていただきますので、相当回数を多く会議を開いていただいてきめていくという形で、予算的にそういうところの措置をして、今度の委員会設置法を出しますに際しましては、非常勤の形で適切にいくかどうか、一応これでやってみようという考え方に実は踏み切ったわけでございます。それは、政府方針をわれわれがどう運用していくかというところから、私たちのほうがこの点を了解いたしまして、そして一応その形でもっていってみようということで非常勤にしたわけでございます。  それから、原子力委員会に準ずるということで、私たちも当然準ずることを考えて進んできたわけでございますが、先ほどのように、どうも宇宙開発の問題につきましては、たとえば通信衛星についは郵政、それから、科学衛星基礎研究にいては文部省から大学、それから、われわれのほうがロケット開発ということで、すでに分担でやっております。それを一元的に進めていくのがいかにうまくいくかというところの考え方から、どうしても原子力委員会が白紙の状態でできたというときと状況が違いまして、その点から、各省との打ち合わせでこういう形の法律になったというのが現状でございます。
  34. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体わかりましたけれども、それでは、宇宙開発審議会が最後の答申を出しておる。いわゆる「国民全般の深い理解と協力のもとに、強い決意をもつて、明確な開発目標を設定し、国の事業として宇宙開発に積極的に取り組む必要がある。」と、しまいを結んであるわけなんですね。このうちの「国民全般の深い理解と協力」を得るという、いわゆる国民的合意というものが、われわれにもまだ、こんな委員会法だけでは説得力がないわけなんで、非常に不満に思います。これは詰めていって、お互いにいいものにしていきたいと思いますが、局長のお話では、宇宙開発が非常に必要であって、国際的にも、あるいは国内的にも脚光を浴びてきたので、当然宇宙開発基本法をつくるべきだ、こういうことをおっしゃいましたので、私たちもその点は了とするわけであります。しかし、委員会の性格については、もっと強いものにしていきたい、こういうふうに考えるわけであります。  文部省から見えておりますか。——文部省からおいでになっておりますから、一言だけ聞いておきたいと思うのです。  宇宙開発審議会から四号答申が出される前に、文部省はこういう所見を出しておるわけであります。私の記憶で申し上げますと、とにかく宇宙開発委員会の性格については、まだもう少し検討する必要がある、そういうようなことを、審議会が四号答申を出す前に、文部省の意見として出しておられますね。そこで、今日、このような宇宙開発委員会設置法案というものが出てまいりまして、その中にこういうような委員会位置づけがされておるわけなんですね。これについて文部省としてはどういうお考えを持っておられるか、これでいいと考えておられるかどうかということですね、その点をひとつ聞かしておいていただきたい。
  35. 須田八郎

    ○須田説明員 ただいま三木先生から御指摘のございました、四号答申を出す前に、文部省としまして意見を申し上げてございますが、そのうちで、宇宙開発委員会につきましては、以下のように申し上げております。  すなわち「わが国における宇宙開発基本方針基本計画等審議策定するために、科学実用の両者の計画を総合的に判断しうる機関を設けることについては異存はないが、その機関の性格、構成等については、さらに検討を要すると考える。なお、その機関における計画の策定に当っては、大学側の意見が十分反映されるよう配慮すべきである。」以上のことを申し上げておりますが、現段階におきまして、この宇宙開発委員会設置法案に関する文部省の考え方といたしましては、以下のように考えておるわけでございます。  宇宙開発は、御承知のように、非常に巨額の経費と多くの人材を必要とする、しかも、長期にわたる事業でございますので、国としての統一された構想に基づいて宇宙開発基本方針なり基本計画を策定し、それに沿いまして、総合的、計画的に宇宙開発推進することが肝要であろうかと考えておりますので、このような趣旨にかんがみまして、宇宙開発委員会を設置し、宇宙開発に関する重要事項を一元的に審議しようとすることにつきましては、異存のないところでございます。なお、具体的な計画の策定とか、あるいは経費の見積もり等に際しましては、大学の自主的な考え方が尊重されるように御配慮いただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、この委員会はいいが、大学意見が反映せなければ困る、こういうように要約できますか。
  37. 須田八郎

    ○須田説明員 前段のほうはそのとおりでございますが、具体的に開発委員会が、これから計画の策定とか、あるいは経費の見積もり等についての調整の権能が与えられておりますが、こういう際には、できる限り大学の自主性を尊重していただきたい、かように期待もし、希望も申し上げている次第でございます。
  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 運営の面でですね。
  39. 須田八郎

    ○須田説明員 はい。
  40. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これには、あなたもお読みになりましたように、四十二年の十月二十八日、文部省の見解として「その機関の性格、構成等については、さらに検討を要すると考える。なお、その機関における計画の策定に当っては、大学側の意見が十分反映されるよう配慮すべきである。」いまの御答弁では、性格とか構成等については検討を要すると言われておるが、もうこれでいい、こういうお考えですね。私は、先がたからずっと言っておりますように、権限をもう少し強くして、そして国民的な合意を得られるように、国民に対しても国会に対してもよく理解を求める、その上で、各省庁の隠れみのといいますか、委員会を通したというだけの委員会にするのがいいのか、あるいはもう少し強いものにするのがいいのかという、このことに対して、先がたから科学技術庁のほうとはだいぶやりとりをやりました。その要旨は、原子力委員会ぐらいな権限を持たすべきじゃないか、こういうふうに言っておるわけですが、文部省のお考えとしてはその点はどういうお考え方ですか。
  41. 須田八郎

    ○須田説明員 私が申し上げるには非常に大きな問題でございますが、やや個人的な主観が入ろうかと思いますが、意見を申し上げさしていただきたいと思います。  先ほど先生が御指摘になられました四号の答申におきましても、いまおっしゃられたと同様のことが規定してございますし、なお先ほど研究調整局長からお話もございましたように、原子力委員会に準ずる方式の委員会ということで概算要求もなされておりますし、そういうことから、文部省としまして、その考え方に反対というようなことはございません。なお、さようなことで考えておりますので、いま提案されておりますものが、その線からややはずれておるということで御指摘があったのかとも存じますが、私どもとしますれば、最初に考えたものがそのまま提案されるほうが趣旨にも合っておりますし、適当ではなかったかというふうに考えてございますが、その間の事情がどういうことでお変えになったかは、先ほど研究調整局長からお話のあったとおりでございまして、詳しい説明については実は私どものほうでは存じないわけでございます。
  42. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、原子力委員会に準じたそういう委員会のほうが、最初からいわゆる審議会あたりの考えをそのまま出したほうがよかったのじゃないかという考え方が文部省としてはあるわけなんですね。それでこれは多少弱まっておるという考え方を持っておられる、こういうように解釈していいのかということと、それからもう一つは、大学側の意見が十分反映されるように配慮すべきだということは、どのように——私も、研究段階というものは、これは十分に尊重しなければならぬ。特に東大のいままでやってこられた研究に対する功績というものは、やはり大切にしなければいかぬと思うのです。それをどのように反映したらいいか、その辺のお考えをひとつ聞かせておいていただきたいと思います。二つです。
  43. 須田八郎

    ○須田説明員 前段の、この委員会の性格につきましては、十月二十八日に提出しました文部省の文書の際には、その点が必ずしも明確でないようになっておりましたし、それはその当時の審議の経過で、原子力委員会方式の機関にしたほうがよろしいのか、あるいは多くの構成員から自由な意見がたくさん出るような、もっと人数を多くしたような機関のほうがよろしいのか、その際にもいろいろ論議のあったところでございますので、なお今後の検討を要する、こういうことで申し上げておるわけでございます。したがいまして、文部省としましては、さような考えでおったわけでございますが、科学技術庁から出されました案が特にその線からはずれておるということでもございませんので、私どもとしましては賛成をし、また国会提案につきまして御協力、御賛成を申し上げた次第でございます。  なお、後段のほうの、大学の自主性がどういうふうに具体的に反映するのかという問題でございますが、これは具体的に委員会が発足いたしまして、審議が進捗することに伴って、個々具体的に申し上げるべき性質のものであろうかと思いますので、包括的にいまこういうふうにするということは申し上げかねると思いますが、ただ、基本的には、大学研究というのは、御承知のとおり、研究者の創意と自主性によってなされるべき性質のものであろうかと思いますので、そういった大学における研究の自主性というものが阻害されないように御配慮いただきたい、かような気持ちで申し上げておるわけでございます。
  44. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省の考えと科学技術庁の考えがそごしておるというようなことで、両者言い争いの起こるような問い方をしておるわけじゃ私はないのです。ただ、原子力委員会のような形のものに私たちはしてもらいたいということで話をいまずっと詰めておるわけなんです。そこで、それでもいいのかどうかということです。これは初めから論議を聞いていただいておりましたか。
  45. 須田八郎

    ○須田説明員 はい。
  46. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四点ほど、委員会の性格として、法律案の上には出てきておるわけなんですね。たとえば国会承認人事であるかどうかということ、あるいは常勤であるかということ、あるいは決定するということ、それから人数等、原子力委員会と比べると見劣りがする、こういうことを言っておるわけなんです。そういうことになっても文部省としては差しつかえないわけでありますか、その点、どうでございますか。
  47. 須田八郎

    ○須田説明員 非常にむずかしい問題でございまして、私から文部省の見解として申し上げるのは実はお許しいただきたいと思いますが、科学技術庁におきましても、当初はそのような構想で概算要求もされ、そういう構想をお持ちだったのが、諸般の事情から、一歩後退といいますか、その線からはやや後退しておるように伺っておりますので、まあ万全の策ではあるいはないかもしれませんが、しかし次善の策としてはやむを得なかった措置ではなかろうか、かように考えております。非常にあいまいで恐縮でございますが、私から……。
  48. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたが言えないなら、きょう来て答弁してもらうのも当を得ないわけですから、だれか当を得た人に来てもらわぬと困るですね。あなたがお答えできぬようでは、私たちはいま、自民党の諸君、それから民社、公明の皆さんと寄って、少なくとも原子力委員会ぐらいの権限を持たしてもらいたい、そういうように話をして、だいぶん詰めておるわけなんです。質問はきょうから始まっておりますけれども、過去七回ぐらい寄って相談をしておるわけなんです。文部省はこれでぐあいが悪いということなら、私たちが直したいと思っているところがぐあいが悪いということなら、また話は別ですし、あなたのほうでそれが言えないということなら、言える人に来てもらわなければならぬと思う。その点どうですか、だれかかわっていただけますか。
  49. 須田八郎

    ○須田説明員 たいへん重要な問題であろうと思いますので、課長の範囲で答え得ませんので、たいへん恐縮でございますが、実はきょう、局長は国立大学の教養学部長会議に出かけておりまして、ちょっと手を放せない状況になっておりますので、次回にお答え申し上げることを、できますればお許しいただきたいと思いますが……。
  50. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次回にひとつそういう点について聞きたいと思いますから、局長審議官に来ていただくようにお願いいたします。  それから、あとはまた大臣なり文部省の局長さんがおいでのときに聞きたいと思いますから、きょうは一応この辺でおいておきたいと思います。
  51. 石川次夫

    石川委員 この際、資料をひとつ御提出願いたいのが二つばかりあります。  それは、宇宙開発委員会設置法案審議にあたりまして、この科学技術庁関係予算は一応わかってはいるのですけれども、通信衛星関係でやっている分があるわけですね。それから、その他にも、文部省で調べているというか、宇宙航空研究所、そういうところでやっている予算もあると思うのです。宇宙委員会ではそれを総括するような形になるかどうか、これから検討するわけですけれども、そういう宇宙開発関係予算を一括した資料ですね、予算関係、これをこの委員会に出していただきたいということが一つであります。  それから宇宙開発委員会とちょっと関係が違うのでございますけれども、阿賀野川事件がだいぶ前から問題になっております。その取りまとめ、総括の発表を科学技術庁のほうから出されておるということが最近の新聞に報道されておりますけれども、厚生省なり通産省なりの見解がだいぶ違うようであります。これはちょっと重要な問題であると思いますので、これは新聞に発表されておる問題でありますので、調整局長関係ではないと思いますけれども、ひとつこの資料もこの次の委員会に御提出を願いたい。できるだけ至急お願いしたいと思います。委員長、ひとつお取り計らい願いたいと思います。
  52. 沖本泰幸

    沖本委員長 わかりました。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時十二分散会