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1968-03-28 第58回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君    理事 福井  勇君 理事 石川 次夫君    理事 三宅 正一君 理事 内海  清君       大石 八治君    岡本  茂君       海部 俊樹君    世耕 政隆君       田川 誠一君    増岡 博之君       渡辺美智雄君    石野 久男君       三木 喜夫君   米内山義一郎君       近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         科学技術政務次         官       天野 光晴君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    清成  迪君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      村田  浩君     ――――――――――――― 三月二十八日  委員小林信一辞任につき、その補欠として石  野久男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員石野久男辞任につき、その補欠として小  林信一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  九二号)      ――――◇―――――
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本案審査のため、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団理事長清成迪君、同じく副理事長今井美材君、及び同事業団理事村田浩君に御出席を願っております。  参考人各位には、御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 大臣がお見えになっておりませんので、次官にお尋ねしますが、ただいま審議されております。法律の一部改正規制問題について改正するという大きな目的はどこにあるのかということをまず伺っておきたいと思います。
  4. 天野光晴

    天野政府委員 加工事業現実の問題となってまいりましたために、工場許可する場合、それに関する設計認可とか工事方法について認可を受けるようにするとか、施設等検査をやるとか、あるいは核燃料取扱主任者を置いて安全確保に万全を期するというのを大体の骨子として、規制法の一部改正を行なうようにいたしたものでございます。
  5. 石野久男

    石野委員 原子力開発が非常に急がれなければならないということは、ここ数年来、特に昨年事業団法ができるときに、本院でも真剣に検討したところです。その中でいまお話しのように、開発安全性を確保するという問題はきわめて重大な問題だと思っております。安全性を確保するという問題についての重要性は、各国とも開発が急がれれば急がれるほど大事なことだ、私はこういうふうに思うわけです。  つきましては、この安全性確保について、特に設計基準などについての問題がアメリカ等でも非常にきびしく論議されているときでもございますので、日本での設計基準についても相当シビアーなものが要求されていると思いますが、昨年も少し本院で、ここで私は聞いたことでございますけれども、現在、日本における炉の設計について、アメリカが昨年七十カ条にわたるところの設計基準を新たに設定したということに関連して、特に注意すべきことが何か出ておるのでしょうか。その点についてひとつ……。
  6. 藤波恒雄

    藤波政府委員 いまお話しのとおり、アメリカにおきましては、七十数カ条に及ぶ設計基準というべきものを発表いたしました。これは、アメリカではすでに相当多数の実用炉が建設されて審査にかかってきておるという関係上、従来の審査基準的なものを整理したものを発表したものでございまして、大部分は従来われわれも承知している内容のものでございます。中には、安全機構等につきまして、さらに重複的に強化するといったような項目も見受けられるのでございますが、現在われわれもこれを検討いたしておりますが、わが国におきます安全の審査につきましては、従来、非常に慎重な態度で基準を厳格にいたしておりますので、アメリカが今度発表しましたような基準とおおむね水準は合っていると考えます。特に、地震等日本特有観点からの規制基準等につきましては、より厳重になっているものと解釈しております。
  7. 石野久男

    石野委員 今回提案されました規制法に関する法律の一部改正について、法案内容を見ますると、物質及び炉の規制ということに大体限定されたような法律改正のように見受けられるわけですが、安全性全般から見ますると、これでもまだ十分じゃないような気もしたりするわけです。そういう点については、政府としては、別にそういう心配はないというふうにお考えでございましょうか。それともまた、炉だけではなく、安全性全般について規制するという問題については別に何か考えているのかどうか、そういう点をちょっと伺いたい。
  8. 藤波恒雄

    藤波政府委員 御承知のように、現在の規制法におきまして、原子炉でありますとか、あるいは製錬事業、それから再処理事業等々につきまして所要の規定の整備がすでになされておるわけでございますが、今回御審議願っております改正の要点は、先ほど政務次官からも御説明いたしましたとおり、加工事業規制につきましては、現在の規制法では許可条項だけはございますけれども、いよいよ加工事業現実の問題として計画されてまいりました現段階において考えてみますと、今後の加工事業におきましては、濃縮ウランとか、さらにはプルトニウム燃料等を取り扱う加工段階に進んでまいりますことを考えますと、安全確保のためには、許可段階での包括的、概括的安全検討だけでは適当でない。加工施設をつくります場合の設計工事方法内容、さらには、その工事ができました暁に行なうべき施設検査、さらには、その工場核燃料を取り扱うことに関連しての安全確保責任を持つ主任者設置というような条項を整備することが必要である、こういう観点から御審議をお願いしておるわけでございますが、ただいま申し上げましたような設計工事方法認可とか、あるいは検査とか主任者設置義務といったような条項は、原子炉につきましては、すでに現在の法令で整備されておりますので、今回お出ししておる改正点を整備いたしますれば、現段階におきましては安全確保体制が万全になるものとわれわれ考えておる次第でございます。
  9. 石野久男

    石野委員 有澤原子力委員にお尋ねしますが、原子力開発について考えなければならない安全性の問題というのは非常に広域にわたると思いますが、少なくともどの程度のことだけは考えておかなければならぬかということについて、やはり一応有津先生の御意見を承っておきたい。
  10. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力平和利用全般にわたっての安全性についてどういう点を考えておかなければならないかという御質問でございます。  これはむろん御指摘のありましたように、非常に各般に、広い範囲に及ぶ問題でございます。むろん第一には、原子力施設そのもの安全性、これは装置、機械、燃料等、いろいろその構成部分がありますけれども、そういうもの自体の安全性は第一に考えなければならぬ問題だと思います。  それから次は、その施設操業に伴って出てくる排気ガスであるとか、あるいは汚染した水であるとか、こういうものについて、敷地内はむろんのこと、敷地外にも悪影響のないようにこの問題を十分考えておかなければならないということであります。  それから、その次には、おそらく使用済み燃料といいましょうか、あるいは廃棄物といいますか、こういうものの処理につきまして十分配慮をしておかなければならない。  こういうふうに考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 安全性の問題について考えられることは、そういうことである。特に操業に伴って、その施設から出るもの、それが周辺地にどういうふうに影響するかという問題、これは事業に携わっておる者、施設をやる者にとっても重要でございましょうけれども、第三者、地域住民にとっては非常に重要だと思います。  そこで、この規制で行なわれるところのそういうものに対する配慮というものは、たとえばここでいわれる核燃料取扱主任者がそういう問題について考えるべきものなのか、それとも、それはそれ以外のだれが考えるのか、こういう問題が一つあると思うのですが、こういう問題については、局長、どういうふうに考えているのですか。
  12. 藤波恒雄

    藤波政府委員 原子炉設置者はもちろんでございますが、その他加工事業、それから製錬事業者、再処理事業者、すべてそうでございますけれども、この法律に基づきまして保安上とるべき措置を講じなければならないという旨の条項もございますし、また、それを受けまして、別の条項で各事業者保安規定を定めまして、いまおっしゃられましたような操業に関する保安上とるべき体制でありますとか、あるいは措置でありますとかいうことをあらかじめ定めて政府認可を得なければならない、こういうことになっておりまして、さらに認可の際に審査をいたしまして、不十分あるいは不適当であるような場合には改善命令を出す。この設置者が定めました保安規定に基づきまして、主任者保安監督の任に当たり、従業者はその主任者指示に従わなければならないというような体系になっております。
  13. 石野久男

    石野委員 二十二条の四の第二項に、この主任者義務ということで、「主任者がその取扱いに関して保安のためにする指示に従わなければならない。」という、いま局長の言われた保安だが、この「保安」の意味するもの、範囲はどの程度のことをさしておるのですか。
  14. 藤波恒雄

    藤波政府委員 ただいま申しました保安規定等で定める保安範囲は、その施設管理区域を定めて、それの立ち入り管理をいたしますとか、あるいは廃棄物処理の問題でありますとか、いろいろな保管の問題でありますとか、あるいは放射線の測定、そういうことによりまして放射線障害の防止のための管理を行なう等々、およそ核燃料物質を取り扱うことによって起こる可能性のある災害を防止するためにとられるいろいろな措置をいうわけでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 この保安に対する責任は、この法案の中では別にだれがどうとこういうふうにはっきり明確に出ていないので、私は読み方がまだ足りないのかもわかりませんけれども、そう思うのですが、主任者がきまりますると、その保安のなには、これは「主任者がその取扱いに関して保安のためにする指示に従わなければならない。」となれば、当然そこから出てくる責任は、この主任者に課せられるのだろうと思いますが、その保安範囲というものは、ただ施設内部的なものだけじゃなしに、対外的に出てくる保安責任も全部この主任者が受けとめる、こういうふうにこの条項は読むことになるのですか。
  16. 藤波恒雄

    藤波政府委員 もちろん施設者が最終の責任を負うわけでございまして、そのために、施設者法令に基づきました保安規定を定めたり、あるいは法令義務づけられる保安上とるべき措置をとらなければいかぬ、こういうことになっております。その体系の中で、主任者が直接の日常の保安監督を、従業員に対する監督をやる、こういう関係になるものと思います。
  17. 石野久男

    石野委員 この保安指示に従わなければならないということになれば、ここで事故が出たりなんかした場合の責任規定している条項は、どこにあるのですか。あるのですか、ないのですか。
  18. 藤波恒雄

    藤波政府委員 たとえば保安の第二十一条の二を見ていただきますと、「加工事業者は、次の事項について、保安のために必要な措置を講じなければならない。」ということになっておりまして、これはさらに、これに関連いたしまして改善命令も出せるようになっておりますし、さらに、改善命令を聞かなかった場合には罰則の適用ということにつながっておるわけでございますが、その条項は、あくまで施設者義務づけておる条項になっております。施設者全般責任を負う、こういうことになろうと思います。
  19. 石野久男

    石野委員 それは何条になるのですか。
  20. 藤波恒雄

    藤波政府委員 加工事業につきましては二十一条の二でございますが、同様な規定原子炉等につきましてもございます。
  21. 石野久男

    石野委員 この主任者施設者との関係、それから、その責任所在の問題については、法文では明確でないような気が私はするのです。  これはあとでもう少し検討を加えなくちゃいけないと思いますが、そのことは別としまして、私は、この保安という問題について、この二十一条の二でなにしているのは、施設保全操作、それから核燃料物質または物質によって汚染された物の運搬貯蔵または廃棄という問題まで出ているわけですね。しかし、保安の問題では、施設の外における安全性の問題についての責任所在というものは、全然明記されていないわけです。そういう問題についての規制といいますか、これはどういうふうになさるのですか。
  22. 藤波恒雄

    藤波政府委員 施設内容操作規制することによりまして、対外的な規制も行なっておると解釈しておるわけでございまして、当然、その施設設置並びにそれに関連する操作等によりまして、外部に対しまして支障を与えました場合には、この法令全般、各条項にわたりまして、監督規制ができる、こういう形になっておるわけでございます。
  23. 石野久男

    石野委員 とにかく加工施設保全設備操作、それから核燃料物質またはそれによって汚染された物の運搬とか貯蔵または廃棄等についての責任は、一応これで規制できるということですが、こういう保全操作あるいは運搬とか貯蔵廃棄というような問題で出てくること以外に、事故が出た場合、あるいは安全性を害せられた場合、そういう場合の規制といいますか、そういう問題は何か別なところで考えることになるのですか、どうですか。この法案は、おそらく原子炉核燃料物質及び炉の規制に関する法律の一部を改正するんでございますから、だから、加工だけではございませんので、燃料物質並びに炉というもの全般にわたっての規制なんだと理解するわけですよ。したがって、やはり加工とかその他施設に関する問題についての規制はそれで行なわれますけれども、それに基づいて起きてくる不測の事態とか何かについての、そういうものについての規制は、どういうふうにして行ないますかということを聞いておるのです。
  24. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先ほど申し上げましたように、保安のために講ずべき措置というのは、たとえば原子炉につきましては第三十五条にございますし、それから、加工につきましては先ほどの二十二条にあるわけでございますが、さらに、それでも万々一災害が起こったような場合には、御承知のように、原子力災害補償法がございまして、それによりまして賠償の関係規定されておるわけでございます。
  25. 石野久男

    石野委員 災害補償法の場合は、事故が、従来原子力研究所とかあるいは燃料公社とかというような時期には、まだこの施設設備がほとんど国家的なものでございましたから、災害補償法は大体それを対象とするような形で企画されている、こう思います。ところが、事業団法ができ、それから、あとでまたお尋ねしますが、今度、原子力委員会におけるところの核燃料懇談会が、ウラン濃縮技術開発のために、新しく五十年へ向けて百五十三億の予算を組んだなにを出してきておりますが、そういうようなものは、ほとんど民間産業仕事をさせていくという形になると思うのですよね。そういうようなときのなには、もちろん災害補償法ですから、これは国がやることになりますけれども、しかし施設者がそういうものに対しての、もっと厳格な規制というものがなくて、ただ事故が起きたときだけ災害補償するのだということでは、規制の本来の意味にならないだろうと思いますので、施設内部保全だけでなしに、そういうものに対する規制のしかたを何か別のところでとる必要はないかどうかということを聞いておるわけです。
  26. 藤波恒雄

    藤波政府委員 たとえば、先ほど触れました保安規定の中には、かりに事故が起こったとか、あるいは起こる危険性があるといったようなときの危険時の応急措置でありますとか、あるいは汚染されたものをすみやかに除去しなければならないとか、あるいは関係方面連絡組織に関することでありますとか、それから、それに関連をいたしまして、必要な場合に炉の緊急停止命令大臣から出されるようにしてあるとか、そういったような関連規定もできておるわけでございます。そういうことによりまして、万々一の場合に対処しておるというわけでございます。
  27. 石野久男

    石野委員 私は端的に申しますと、施設の中についての問題は一応加工とか何かに関連して規制は案外しやすいわけです。しかし、これはすべて安全性を確保するために規制されるものだ、こういうふうに理解しますから、したがって、安全性が確保されなかった場合が予想されるから、この規制が行なわれるわけですね。その確保されなかった場合には、施設内部におけるところの施設と、施設の外に対する処置とが出てくるわけです。それをあらかじめ内部のものについては規制法でいろいろやるわけです。しかし、外に対する規制というようなもの、あるいは外に対する規制責任というものを施設者はどの程度持つのかということが、ここで非常に大事になってこようかと思います。そういう問題はどういうふうにするか。
  28. 藤波恒雄

    藤波政府委員 原子力の安全を確保する場合に、この規制法では施設内部だけの監視管理ではできない場合があることはお説のとおりだと思います。したがいまして、たとえば原子炉施設のまわりの放射性物質の濃度を測定する装置設置でありますとか、あるいはそれを使っての常時監視でありますとかということにつきましては、やはりこの規制法によりまして義務づけておるわけであります。空中の放射能環境監視もそうでありますし、それから、海域への流出水に対する監視等につきましても、同様な観点から設備を設けさせ、それから、それを使っての監視を行なっておるわけでございます。
  29. 石野久男

    石野委員 そうしますとそういう施設の外におけるところの安全性を確保することに対する処置というものも、施設者は相当やらなければならぬという規制が当然これで行なわれなければならない。  そういうことで、結局今度周辺地安全性を確保するという問題が当然出てくるわけです。私は五十年代初期に核燃料確保を確立するために、核燃料懇談会が昨日報告書を出した。それによりますと、百五十三億円の金をつぎ込んで、その目的のために努力する。この仕事の中に、核燃料開発と、それからプルトニウムなどのような燃料サイクル確立のための仕事が入ってくるわけでございますね。その計画に基づいて再処理仕事というものを急がなければならないということは、これは当然のことだと思います。  再処理工場設置の問題でございますが、いまどの程度進んでおるのか、所期の目的方向でそれが進んでおるのかどうか、その間の事情をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  30. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 再処理工場につきましては、かねがね御説明を申し上げておりますように、動力炉・核燃料開発事業団等設計サンゴバンに依頼しまして、その設計がことしの終わりごろにはでき上がる。ですから、予算におきましても、この設計ができました後には直ちに着工するというふうな考え方の予算になっておると私は了承しております。ですから、その点におきましては、一応再処理事業の進捗としましては、順調に進捗していると私は承知しております。  実際の問題は、事業団でやっておりますから、どういうふうになっているか、わかりません。
  31. 藤波恒雄

    藤波政府委員 現在、再処理工場につきましては、御承知のように、一日〇・七トン生産の規模のものをサンゴパン・ヌーベル社に委託をいたしまして、詳細設計をいたしておる段階でございまして、これが今年中にはでき上がる、こういう予定で進んでおります。  建設予定地の問題につきましては、先生承知のように、まだ地元関係等の問題が解決いたしておらない段階でございますが、計画といたしましては、詳細設計が終わり次第着工をして、四十六年度一ぱいの完成を期したい、こういうのが現在の計画でございます。  なお、詳細につきましては、実施責任者の方が来られておりますので……。
  32. 石野久男

    石野委員 この法案で再処理事業者というのが出てきますが、再処理事業者というのは、現在の時点では、どういう事業者が幾つあるのですか。
  33. 藤波恒雄

    藤波政府委員 現在は動燃事業団だけでございます。これは法律に基づきましてそういうことになっております。
  34. 石野久男

    石野委員 再処理事業者事業団だけだということになりますと、もちろん再処理をする工場設置もまた事業団だけがやることになるんだろうと思いますが、事業団のほうでは、いま再処理工場設置の問題についての大方の事情はお聞きしたわけでございますけれども、当面それの直接の担当をなさっております事業団として、いま具体的にサンコバンのほうは――実を言いますと、私、昨年サンゴバンの当事者にいろいろ話を聞いてきまして、大体この四月ぐらいまでには設計はできるんだというようなことも聞いてきました。おそらくそういうふうにいっているんじゃないか、こう思いますが、ただやはり、もし敷地をいまのところでしますと、事業団といいますか、当時の燃料公社は、東海村だけを一応限定して設計が行なわれているように聞いてまいりました。したがって、設置場所を変えますと、若干の設計変更、それは本体の変更じゃありませんけれども、やはり敷地とか建屋の方向とか排水路の問題とか、いろいろそういう設計変更を若干せねばならぬということになろうと思います。  私のお聞きしたいのは、現在の段階でやはり再処理工場をなるべく早くつくるということは、原子力開発のために悪いことじゃないと思っておりますから、それを一日も早くするためには、設計変更がもしあるとするならば、早いことこれは処置して、サンゴバンにその仕事をさせたほうがよろしい。ところが、もし設計変更をやらないままでおって、ある時点、これから始まるのだというときに敷地変更なんかになると、またそれだけ時期がおくれてしまうわけです。その処置をしないでおるということは、事業の促進にとって非常に怠慢になるだろう、こう思うのです。現場で聞いた話では、やはりそういう敷地変更が行なわれた場合、当然設計変更をしなければならぬということを聞いておりますから、したがって、敷地についての選定というものを急がなければならないのだが、その敷地についての選定がどのように進んでおるかということ、これがいま非常に大事なことのように私は思うわけなんです。事業団は、いまその敷地の問題についてどのような作業をなさっておりますか。それをちょっと聞かしていただきたい。
  35. 今井美材

    今井参考人 計画といたしましては、ただいま御指摘のように、第一義的に東海村ということを念頭に置いて設計はいたしております。  その次に、それをもし変更したら変わるだろうという御指摘でございますが、それはやはり敷地内部配置等におきましては、個々の事情がございますから、当然変えなければなりません。しかし、もっと本質的なことを申せばいろいろございまして、多分そういうことは起こりそうにはありませんけれども、敷地の地盤強度がどうであるとか、あるいは地下水の流れぐあいはどっちを向いているとか、さようなこともございます。ですけれども、御承知のとおり、原子炉と違いまして、再処理工場というのはわりあい軽い建物でございまして、敷地の強度などが非常に大きくものをいうことはございませず、ある意味においては、原子炉とはだいぶ違っておると申し上げることは間違いないと思います。  さて、そんなわけでございますが、やはり変える必要があるならば早く変えておかないと、あとでおくれるぞという御指摘は、もうそのとおりだと思いますので、さようなことが考えられまする事態におきましては、できるだけそういう準備はやはりせにゃならぬと思います。ただいまのところそのような準備をしておるかということに相なりますれば、まだ、先ほど申しましたような条件もこれあり、そこまではやっておりません。
  36. 石野久男

    石野委員 そうしますると、再処理工場設置場所というのは、大体最初に考えましたように東海村の地点を考えている、そういうことでございますね。
  37. 今井美材

    今井参考人 ただいまのところは、やはり従来どおりの敷地に、いろいろ問題はございまするけれども、極力、簡単に申せば、地域住民社会の御了解を得るごとくに努力いたしまして、あそこでやらしていただく方針で進ませていただきたいと念願いたしております。
  38. 石野久男

    石野委員 昨年の事業団法の審議の際にも、特にこの再処理工場設置場所の問題については非常に問題になりました。今井参考人にも当時私は再三にわたりまして、設置場所の問題についてお尋ねいたしました。設置場所の問題で問題になるのは、ただいま審議しておりまする規制の問題と関連があるわけでございます。いわゆる安全性を確保するという観点から、事業を行なう側と地域住民との間に意見の相違があって、やはりいろいろ問題点の非常にむずかしいものがあるということに基づいているわけです。  この問題は、あの地域は、ちょうど米軍の射爆場があるということも一つありますけれども、いま一つには、やはり一定の地域におけるところの施設としては非常に過度の集中をしておるじゃないかということも一つの理由になっております。第四十八国会の当時、地域の方々が参りまして、この委員会でこの問題についての非常にきびしい所見の発表がありました。当時、愛知長官から、それらの事情について十二分の配慮をするということを約束されたわけであります。ところが今井さんからは、その後、東海村以外のところは地域の選定について当たってはいなかったという、参考人としての所見が述べられたわけです。二階堂長官も、そのとき、どこがいいか調査しようといったことはありません、というのは、結局東海村一地区が最も有力な候補地である、そういうふうにずっと説明を受けてきたので、私もそのとおり納得しておりました、こういうようにお話がありました。言うなれば、当時の愛知長官がわれわれに国会で約束したことが、皆さんによってほごにされてきておる。全く受けとめられていなかったということを、昨年の本院の参考人の御意見として承ったわけです。これは私は国会に対するたいへんな侮辱だと思います。のみならず、地域住民に対しても非常に不遜なものの言い方だと思うのです。今日また今井さんは、設計変更をすることを考えていないのだとおっしゃいました。私は、やはり何べんも申し上げまするように、わが国におけるところの原子力開発は急がなければならぬと思います。しかし、その急ぐのは、いたずらに事業をやる人の恣意によってやられるのじゃないのです。原子力開発は、明らかに原子力基本法の平和利用の三原則に基づいてやられなければいけない。その中の民主、公開という大きな、われわれも守らなければならない方向づけがあるわけです。民主的にということは、地域の住民とも十分話し合いをしてということになるわけでございますが、当事者である今井さんのほうで、もう変更する必要もないのだというようにおっしゃっておるなら、これは地域住民としても異常な決意をしなくちゃいけない。私は、いままで皆さんが善意に国会に対して対処してくれたと思うし、地域住民に対しても、そのようにこたえてきてくれたと思ったのです。しかし、もうすでに数年間にわたるところの歩みの中では、地域住民の声というものもほとんど聞いていないし、われわれが真剣にここで論じてきたこともほごにされている。昨年、私たちは事業団をつくるときに附帯決議をいたしました。附帯決議の第五項は何を意味しているか。附帯決議の第五項は、少なくともこの事業団法をつくるにあたって、私たちは安全性の確保を真剣に考えなければならないということから、特に東海村におけるところの施設は、それはいろいろな見方はあるけれども、過度の集中じゃないかという野党側の意見が強かったのです。しかし、それを与党側が受けとめて、適切な配置をするということを附帯決議の中に入れたわけです。ただ、適切な配置ということは一般用語ですから、事の内容がわからない。それではいけないからというので、最後に、二階堂国務大臣からこの問題について、これはやはり過度集中を意味しておるものであるということを、あらためて発言をしてもらうという約束で、附帯決議第五項ができたのです。この事情今井さんも知っておるはずです。私は特に野党側の折衝委員となって、いま運輸大臣をしている中曽根君との間でこの問題についても話し合いをしました。そういうような国会におけるところの審議の内容を十分受けとめていながら、事業団がそのことを無視してやるということになりますると、国会の審議は何の意味もありません。あまりにも事業団は不遜です。なぜ東海村に執着しなければいけないのか。皆さんがどうしても東海村に置かなくちゃならない理由は何であるかということを、ここではっきりひとつ言ってください。
  39. 今井美材

    今井参考人 私は先ほど現状を申し上げましたけれども、しかし石野先生のお話の趣旨をはき違えてどうというつもりは全然ございませんことをぜひ御理解願いたいと思います。現状を申し上げました。  さて、それはそれといたしまして、なぜ東海村につくるのかというお尋ねにお答えすべきだと思うわけでございますが、何しろこの設置の問題を考えますのに、安全問題を第一に考えなければいけないという御指摘については、全くわれわれも御意見に承服して、十分慎重にやらねばならぬと思います。  それとは別に、あそこをやりました理由ということにつきまして申さしていただきますならば、何しろ私どもがいまつくらせていただく再処理施設というものは、いわば、パイロットプラントとは申しておりませんけれども、非常に開発的要素がまだたくさんあるしろものでございます。  そのようなことから、二つばかり問題がございまするが、一つは、やはり安全を確保いたしまするについては、自分たちの中でできることのほか、地域全体としてできるだけ便宜の――便宜のというのは安全を確保するための便宜でございますが、そういうところに置かしていただくのが、安全の点を考慮いたしましてもまず非常に好都合であると考えます。  具体的に申し上げますならば、建物の中の安全ではなくて、外の安全というのは、東海村におきましては、たとえば、前からありまする原子力研究所あるいは原子力発電会社等のモニタリングの制度、また原子力局の出店が管理していただく制度等がありまして、わりあいにその他の地域に比べて完備して今日まですでに存在しておるわけでございます。自分たちがあすこで仕事をいたしましたならば、自分自身の組織といたしまして、あるいは施設といたしまして十分なことをやるのは当然でございますけれども、それにも増して、外部にこういうものがあることは、開発途上ということもお考え願うならば、たいへんありがたいことであります。これが一つ、非常にわれわれがあすこに置かしていただきたい理由でございます。  また、従来よく、あすこに置かしていただくのは、原子力センターがあってありがたい、便利であるなぞ申しておりますけれども、その内容を申し上げますればいまのことが一番大きいと思います。  また、これは安全とは申しませんけれども、作業が渋滞を来たすようなことも間々あるかと思います。トラブルが起こることもございます。そのようなときには、これは何のトラブルであろうかということは、いち早く研究して解決をせねばなりませんけれども、それにはやはり自分たちがルーチンに持っている人間やあるいは考える能力では足らないことがある。こういう場合に、いち早く援助を求めることのできるのは、やはり原子力研究所があり、また、自分のところの内部にも試験所がある等、地盤のあるところが好都合であることは間違いございません。  まあ、こういうことを主体にして考えながら、安全の問題をないがしろにするということは、それはあってはならないことですけれども、いまも御了解を求めましたごとく、第一の理由は安全の点でもこれがありがたいのだということでございまして、こういう点で、東海に地を選ばせていただくことが許されるならば一番好都合であると考えた次第でございます。  一応以上でございます。
  40. 石野久男

    石野委員 再処理工場はまだきわめて不安定なものであるということの証左です。再処理工場というのは、今度つくるのは、明確にパイロットプラントということではないけれども、その性格を持っているとおっしゃいました。しかし、再処理工場というのは、明らかにこれは営利会社なんです。営利工場なんです。これは決してそんな研究所じゃないはずです。もしいまおっしゃられるような趣旨であるならば、いろいろな問題が出てくると思います。  第一の、自分たちでもやるけれども、地域全体としての便宜のためにその便益を利用させてもらうということは都合がいい、モニタリングステーションというものを利用さしてもらえば非常に便利だとおっしゃる。これは非常にかってな意味ですよ。これはおそらく東海村だけではなしに、いまから各地にこういうような地帯ができてくるわけでございますから、最初にやるものは相当程度努力してやらなければならぬ問題でございまして、これは非常に便宜主義からきている。地域の安全性というものは二の次になっているということの一つの証左です。  それから作業にトラブルが起きたときには、研究所と近いほうがいい、これは私もそうだと思います。原研が近いほうがいいことも、そうだろうと思います。それは私は否定しません。否定しないけれども、しかしそういうトラブルが起きるであろうということを予想するならば、これは全体としての原子力政策の中で、原子力委員会でもひとつ考えてもらわなければならぬことだけれども、原研では今度再処理に対する研究の範囲を実質的に狭めていきますね。これはどういうことなんですか。もう原研では研究しなくてもいいというほど自信があるのなら、何もいまおっしゃるようなこと言う必要はありませんよ。原研では、この再処理工場についてのプルトニウムの研究という問題については、その研究室を小さくしてきました。人員を縮小しております。全くこれは言いのがれですよ。方針がありません。もし原子力委員会が、この再処理工場をつくるにあたって、いま今井参考人が言ったようなことを是認するとするなら、なぜ原研で再処理についての研究を主張するんですか。人員をなぜ減らしていくんです。もうそんなものは要らないというような態度をとっておりますよ。これはよく見てきてください。人員を減らしていっております。室もなくしていきます。それは事業団にすべておまかせしようという意味かもしれませんよ。そんなのであったら何もそんなに原研さんをたよるとかなんとかいうことを言う必要はないと思うのですよ、率直に言ってこれは全く便宜主義ですよ。いまこの規制法が出てくるゆえんのものは、開発が急速に行なわれるからなるべくそれは急いでやらにゃならぬけれども、安全性を無視しちゃいけないということで規制がきびしくなってくるんだと私は思っております。そういうように、一方では規制をするんだということを言って、非常に大衆を安心させておりますけれども、一方では大衆の気のつかないところのそういう地域の安全性の問題だとか、みんなが心配しているような問題についてはほおかぶりしていく、これではいけないと思うのですよ。ことにこの東海村については、今井さん、射爆場の返還の問題については皆さんは全然お考えになっておりませんか、どうなんですか。何か配慮なさっておりますか。
  41. 今井美材

    今井参考人 私どもが従来直接射爆場の返還につきまして中心的努力をしたと言うことはできないと思いますが、返還に対して私どもも協力いたしておるとは言えると思います。
  42. 石野久男

    石野委員 原子力施設の当面の責任を持っておられるあなた方が、原子力施設安全性の中で確保するということに関連して、射爆場がああいうところにあるということはいいことだとお思いなのですか、どうですか。
  43. 今井美材

    今井参考人 それより前に、射爆場と再処理との関係のようなことにちょっと触れさせていただきますが、もちろん、なければないにこしたことはありません。しかしながら、あれに対して設計上どの程度のことを考えたかということにつきましては、建物自身の構造上、誤射であるとかあるいは誤爆であるとかいう程度のものを防止することはできる、その程度のことを考えました。  もう一つ非常に違ったことでありますけれども、ただいままでの実情は、あそこは一応飛行禁止区域などにもなっておりまして、その後はあまり危険を感ずるような事態は起こっておりません。  さて、こういう状況のもとに考えておるということを申し上げたのでありますけれども、射爆場があそこに完全にないようにしていただければ、それは、再処理工場のみならず、原子力施設として安全でございます。そういう点からいきまして、われわれもそれはたいへん望ましいことであると実は考えております。先ほど来申し上げたのは、それなら絶対にあそこにあったら不可能と思っておるかどうかということにつきまして、初めに事情を御説明申し上げた次第であります。
  44. 石野久男

    石野委員 今井さんの認識がそういうものだということは、よくわかりました。あなたが原子力施設をするにあたって、安全性の問題についての感覚は、ただ施設を拡大し、そして、なるべく早くその要望を充足するようにということだけは考えておるけれども、地域住民に対する安全性の問題については、全然無だとは言いませんけれども、ほとんどその必要はないというたてまえでお考えになっておることは、よくわかります。たとえば世界のどこを見ましても、こういう施設のあるところは、まず上は飛んではいけないということをいっておりますし、それから周辺地域に、小さな飛行場が全然ないとはいえませんけれども、ある距離を隔ててありますけれども、しかしこの東海村のように、こんなに接近しておるところは、まずありませんよ。あなた、世界でどこかあるなら言ってください。
  45. 今井美材

    今井参考人 残念ながらよく存じておりません。
  46. 石野久男

    石野委員 私もあまり見聞は広くありませんけれども、最近ずっと見てきましたところの十カ国ほどのところでは、まずそんなところはありません。それどころか、アメリカのように、あんなに広域の中に施設を持っておるところでも、市街地からは十二・五マイル離したところに施設を置くようにということが、今度の七十カ条の設計基準が出たと同時に、ニューヨーク州ではそういう規定を、いまつくったかどうか私は知りませんけれども、昨年九月行った段階ではそういうような方向が出されておるといっております。このことはわれわれが使節団として福井団長を団長として行った報告の中にも書いてあります。別に私がことさらに誇張しておるわけでもございません。ちゃんとここにも十二・五マイル以内に、大体都市近郊に原子力発電所を建設することを承認したくないという意向をいっておるのです。あそこは国が広いからとかなんとかいうのではなくて、国が広いだけに、近辺住民との間にはずいぶん距離があるのですよ。あっても、なおかつ、こういう規制をしておるわけです。東海村の人口の配置図を今井さんはよく御存じでございましょうか。あの十キロ以内にはどのくらい住んでいると計算しておられますか。
  47. 今井美材

    今井参考人 ちょっとここに資料を持っておるのでありますが、すぐには出てまいりませんが、勘で申しさせていただければ、御想像のとおり万という数の住民がおると思っております。
  48. 石野久男

    石野委員 これは十キロ以内にはたいへんな人口がいるのですよ。五キロ以内のところで約一万五千人の人がいるわけですけれども、十キロになりますと十一万人ですよ。それで二十キロ以内で五十三万人です。三十キロ以内では六十五万九千人いるのですよ。五十キロになると、土浦のあたりまで行きますと、たいへんな人口になるのですよ。世界のどこの国にこんなに周辺地域に人口のおるところはあるか、さがしてごらんなさい、まず、ないですから。私は東海村が原子力のセンターとして、研究所を中心として国家的な仕事、研究に熱中するということについては、若干の危険があってもこれはやらなければならぬということは、決してそれにさからうものではありません。けれども、たとえば、原発にしましても、あるいはこの動燃事業団が今度やろうという再処理工場の問題にしても、これは明らかに一つの営利事業なんですよ。原発だって、それはパイロットプラントだったということは言えるでしょう。そうしてまた、今度再処理工場だ、こう言うのだけれども、しかしこれは全国に昭和六十年に向かって約四千万キロワットの炉を持つようになってくれば、おそらく再処理工場はあそこだけではとまらないと私は思います。少なくともあれの倍ぐらいのものはあそこに施設する意図があると思うのです。また、そうしなければ能率もあがらないと言うだろうと思うのです。もしその必要がないのなら、いまからはずしておったらいいでしょう。研究所だけでけっこうでしょう。私は、あまりにも便宜主義に走り過ぎているんじゃなかろうかと思う。おそらく、いま今井さんがおっしゃられたような理由だけで東海村に置かなければならぬのだということになったら、茨城県の人たちはちっとも納得しませんよ。やらなければならぬ理由はちっともありませんから。いまから二十年前、三十年前だったら、私は研究の便宜のためとかなんとかいうことは、よくわかります。しかし今日の段階では、通信機関も非常に発達していますし、交通も非常によろしゅうございます。やろうと思えば、たとえば、敷地の中に人がおるよりも、十キロ離れたところに人を呼ぶことのほうが早い場合もあります。十万坪も二十万坪もの敷地の中でいろいろな仕事をやっておって、その作業の中で人を呼ぶよりも、あるいは二十キロぐらい離れたところでヘリコプターで来るほうが、事によっては早い場合があるのですよ。だから私は、事故が起きたとき云々とかなんとかいうことは、一つの言いのがれであって、全く皆さんの便宜主義からきているように思わざるを得ないのです。しかも、地域が施設として非常に単調であれば私は多くを申しませんけれども、ここには原子力関係のある一切のものが一通り整っているわけですよ。現状では、そろえられたわけですよ。そういうふうに、施設としてもそんなに小さいものではありませんし、しかも、原子力については、一貫作業があそこでできるぐらいの施設が全部整っていくわけなんでございますから、施設者としては非常に便利でございましょうけれども、その周辺地域における諸君から見れば、これはたいへんなことになってくるわけです。私どもは、施設者がやはり法規規制によりまして安全を確保するということについての努力を認めないんじゃない。われわれもそれをやらなければならぬと思うから、ここで一生懸命法案の審議をするのです。けれども、われわれの心配しなくてはならないことは、一たん事故があったときということなんです。いま今井さんは、射爆場の問題について、誤射、誤爆を防げる程度のものだ、こう言いました。しかし誤射、誤爆だけが事故の原因じゃありません。飛行機の墜落事故もございます。しかも、ここは演習場です。演習でございまするから、ふなれな者がいろいろな演習をするわけなんでございます。実戦とは違いますから。実戦に飛び立つ者でさえも事故を起こすのですよ。飛行機墜落事故があるのです。それから、たとえば射爆場の射爆して迂回する方向が、研究所なりあるいは原子力施設の上を飛ばないことにはなっておるけれども、たまたまそれが角度を変えて、その上を飛ぶことが何回かあるわけなんです。地域の住民はそれを見ているわけなんです。そういうようなところに施設を置いて、安全だということについて今井さんが何の疑義も持たないとおっしゃることについては、私はあまりにもこれは不感症というのですか、横着というのですか、地域住民の意図というものは全然無視しているとしか思えないのですね。私は大体今井さんたちの考え方がよくわかりましたけれども、地域の住民は納得しないであろうということだけはよくひとつ考えておいていただきたいし、それから、原子力三原則というものの意味は、い今井さんのことばでは守られていないということを、ここに明確に申し上げておきたいと思うのだ。国会はこの問題を憂えて、ずいぶんと長い期間にわたって何べんも何べんもこのことを皆さんに注意を喚起し、そして、敷地選定についてもいろいろと意見も述べておるわけです。地質がどうだとか、あるいは地下水の方向がどうだとか、こういうものを調査もしないで、そういうものをほかに持っていくと不便になるかもしれないというようなことをいま今井さんが言いましたけれども、それはあまりにも横着過ぎます。ある一定の、もうぎりぎり一ぱいのところまで何の調査もしないで、それで、そこへ行ったら、もう国のためだからしかたないから、おまえらがまんしろよというような権威主義でこの敷地を設定しようとするならば、断固として私は反対しますから。そんなことは許しませんから。私もすぐ近くに住んでいる者です。地帯整備の問題については、やはり緑地帯を広げなくてはならないというようなことが現実に起きているじゃございませんか。そういう問題があって地域の人々が問題の提起をしているときに、当事者である今井さんが、どういう理由か知らないけれども、ただ便宜主義だけでそれをやるとするならば、われわれは原子力三原則の立場に立って、民主、公開のその立場から、平和利用の方向をはっきりと守り抜くようにしていかなければいけない。私は、東海村になければ日本の燃料サイクルの開発がおくれるとは思いません。努力をしようという意図がなければどこに置いたってだめですよ。地域周辺の人々に対してこたえようとする意図がないということだけは明確にわかりました。私は、国会で論議する国会議員としての立場と、地域住民という立場でこのことを申し上げましょう。これは有澤委員にもお願いしておきたいのですが、やはり原子力開発の問題は急がなければなりません。私は、この事業団法律ができるときには、やはりこれを急がなくてはならぬというたてまえで論議をしてまいりました。そして、附帯決議をするにあたりましても、そのことをるる当局にも、政府にも申し上げましたし、それからまた、与野党の間でもその間の論議をしたわけです。今日再処理工場設置をするということは急がなければならぬだけに、サンゴバン社におけるところの設計変更がもし行なわれる場合、一月でも二月でもおくらすということは避けるほうが賢明だと私は思います。いまの段階では、二階堂前長官も言っているように、当局側は東海村以外にはもう適地はないのだという趣旨での説明しかしていないわけなんですよね。これは二階堂さんがそういう説明だけしか聞いておりませんと、こう言っているのだから。そういうような方向で行って、もし地域住民が反対して設定できないということになったら、どうなるんです。それから準備を始めたんではおそくなることは明らかじゃありませんか。原子力委員長はどういうような指示をしているのです。そんなことを放置しておいて――東海村における周辺地域の意見というものを無視するという立場で指導しているとするならばよろしい。そうでないとするならば、もう少し善意な対処のしかたをさせるべきじゃないか。いま動燃事業団がとっている方針というのは、もう明らかに、ほかの地域の選定はしていません、そんなやり方はよくないと思うのです。私は、地域のただ単なる感情的な意味における反対をしているのじゃありません。これは全体としての日本原子力開発の意味において、そして、安全性を確保するという意味において、あるいは私の錯覚なりあるいは思い過ごしがあるかもしれませんけれども、しかし、私の思い過ごしは、安全性のためにとって不利になるとは思いません。むしろ有利だと思います。そして同時に、私の考えられる範囲においては、いまかりに、それは主面キロも一千キロも離れたところに施設をするならともかくとしまして、首キロや二百キロの地域なら、まあそんなにもありゃしませんが、求めれば幾らでもあると思うのです。どことは言いません。幾らでもありますよ。いまここにたとえば福島県の大熊なんというところも、ここに地図もありますが、ここらなんかは地域では非常に受けようとしているわけでしょう。そういうところがあっても、そこへは行こうとしないわけなんです。また、その地域に行ったからといって、放射能の関係からいっても、その地域住民に非常に不利になるとは思いません。むしろこの福島の大熊でやっているやり方なんか見ますと、サンオノフレの施設と大体同じような形になりまして、放射能関係ではそれを遮蔽し、あるいは安全性を確保する上では非常に有利だと私は思っております。そして、あの辺だったら地質の調査もしなくていいんだろうと私は思います。これは東電の資料をもらえば大体出ている。しかも、港もあります。水の問題であるいは若干問題があるかもしれませんけれども、それはやろうと思えば幾らでもできることでございますし、しかも、これは二千億という膨大な金を使ってやることでございますから、その中の一部分ですから、やるつもりでさえあれば、私企業がやるのと違いまして将来の安全性を確保するという意味でやれば、率直に言って、できないことはないんです。ただ、やはりあまりにもその事業団に携わる人々の便宜主義だけでこの問題を論議されるということはあとあとよろしくないと私は思います。今井さんによくお考えいただきたいのですが、理事長をなさっている井上さんが芦浜の場所でどんなに苦しんだかおわかりのはずです。私はやはりこの問題は芦浜の二の舞いをやるような前提になるだろうということだけは予告しておきましょう。私は、いままで事をあまり大きくしたくないから、いろんな問題があるけれども、善意を尽くして皆さんに申し上げてきたのです。しかし、われわれの善意が受けとめられないとするならば、やはりわれわれは地域の人々を結集しなければいけない。それは、ことさらに妨害しようという意味で言うんじゃないんですから、それらの点をひとつ原子力委員会もよく配慮していただいて、もう少し誠意のある地域選定に対する行動をさせるべきだと思います。これはとにかく昭和四十年の四月一日でございました、地域の住民がこの問題について大挙して参りまして、われわれの委員会にものを申したのは。もうそれからすでに二年、三年とたっております。全然それを配慮してない。こういうことは私は許すことはできないと思うのです。有津先生、ひとつ地域の問題については次善、三善の策を考えて、そうして、一日も早く再処理問題についての方向が確定し、その仕事ができるようにしていくような指示を与えるべきだと思います。御所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  49. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 再処理工場の建設は確かに急がなければならないということも、むろん私ども十分承知しております。それで、敷地の問題がいま問題になっておるわけでございますが、敷地地域住民の了解を得ないでこれを強行するというつもりは私ども全然ありません。ですけれども、私どもの聞いておるところによりますと、地域住民の方々に接触していろいろ御説明をして、漸次御理解を得つつあるのだ、こういうようなお話でございました。ですから、すぐ結論が出ないにしても、もう少し時間をかしてもらいたい、こういうお話でございました。  それから、射爆場の問題でございますが、これも確かに、再処理工場のほうには特に近いわけですから、これはぜひ撤去といいましょうか、移転といいましょうか、移転してもらいたい。これは私どもずっと考えており、また、そういうふうに政府にも申し入れてあります。政府におきましても、その努力を重ねておると思います。私どもの承知しておるところによりますと、あそこの移転は大体米軍のほうも了承した、そうして、どこですか、これは、政府においてはかわりの地点もいまある程度きまっているのじゃないかと思いますが、その地域の了解を得るようにつとめてやっておるのだということであります。要するに、まだ決定的なところにいっていないように思います。射爆場が移転するということになりますれば、東海村からあの地域の住民も、安全性の点から申しましても、よほど安心されるのじゃないか、こういうふうに思います。  再処理工場ができましたからといって、私は原子炉の場合のような大きな災害が起こるとは考えられません。まあそれは、排水の問題が一つ問題だと思います。しかし、それにつきましても、私どもは十分の安全性を確保できるような措置を考えておるわけです。その上、むろんこれは安全審査会の審査を経なければなりませんから、専門的な見地から、安全性を十分検討してもらう、その結論を得た上でなければなりません。ですから、もう一つ言ってみれば、地域の住民の御了解を得て、そして、他方においては安全審査会の安全性の確認を得た上でなければ、設置をするということはあり得ないことでございます。  それで、設置につきましてはそういうわけでございますから、私どもまだ、言ってみれば決定をしているわけじゃありません。ただ、設計を進める上から申しますと、ある一定の地域を予想して、その地域における設計というものを考えなければなりませんので、一応東海村がいま設計の候補地として行なわれている、こういう関係にあると思います。ですから、ほかの地域をさがすということになれば、むろんすぐさまさがすつもりでおりますけれども、ある程度の結論が出るまでは少し観望していてもいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  50. 石野久男

    石野委員 ある結論が出るまではというのは、地域の住民の了解を得て、安全性審査会で確認されるということだと思いますが、先ほど射爆場の移転の問題についても移転の方向が出ているようなお話がありました。それは確かにいまから一年半ぐらい前にそういう方向が出たのです。しかし最近の事情からいうと、移転の方向は出ているけれども、防衛施設庁長官は、ついこの二週間ほど前ですよ、地域の住民の人が来ての話では、移転の方向は出ているけれども、受け入れ先に対する了解がなかなかつかないので、かいもくわかりませんというような話なんですよ。そう簡単にはいきませんよ。それは、米軍と何との間で共同声明が出て、行きますというようなことは言ったけれども、東京都のほうでは簡単には受けてくれませんよ。それだけではない。茨城県の漁民が反対しているのですよ。あの周辺の漁民、ずっと静岡にかけての漁民は絶対に許しませんですから、行こうとするところは。ですから、そういうことで、とてもとても移転なんということは当分できません。前に二階堂長官が岩上知事に対して、何とか了解をつけようというので、昭和四十五年度の段階で、もし射爆場がなくなるという見通しがあるならば、施設だけはつくっておいてもよろしゅうございますというようなことを言わしたんですよ。しかし、そういうようなぺてんにかけるようなやり方をしてはだめなんです。実を言うと。これはおそらくなかなかうまくいきませんよ。  それともう一つは、安全審査の問題で、これは有澤先生にひとつ十分考えておいていただきたいと思いますことは、私は近代工業におけるところの公害の問題について、政府がその施設についての安全性の問題は、みんなそれぞれ慎重に考えていることは多としたい。それにもかかわらず、公害が出るゆえんのものは何であるかということを考えなければいけないと思うのです。一つ一つの施設については、安全性はみんな確保されているのですよ。しかし、ある一定の地域において施設が過度になると、それが必ず公害を起こすわけです。ですから、今度公害基本法の中ではそのことについて論議されているわけなんです。問題は、結局過度集中に対する適正化をどういうふうにするかということが問題なんです。そのことをいみじくも事業団法案が通過するときにわれわれは附帯決議をつけたわけなんです。それをここで配慮せよと私は言うのです。皆さんはあの地域におけるところのあれだけの施設は過小なものだと思っているか、適切だと思っているか、過大であるか、これはいろいろ論議がありましょう。ありましょうけれども、皆さんがもうすでにおわかりのように、五キロ以内のところには一万五千人からの人がおります。十キロ以内のところになりますと十一万人からの人がおるわけです。それから二十キロになると、もう五十万でしたか、こういう人間になってしまうのです。こういう過大なところ、これは原子力発電所ができる段階、コールダーホールのあの発電所を置く段階のときにもずいぶん論議されました。そうして、学者諸君の中には非常にきびしい批判もあったけれども、この学者諸君の意見は取り入れられなかったわけですね。そして政府に協力する学者諸君の意見が取り入れられたということですよ。とにかく、そういうようなことがあって、それ以後あそこの地域の人口は次から次へふえていっているのです。ところが、あそこで施設をやろうとする人たちは、そういう人口規制を受けたのでは、これは、率直に言うと、どうにもならないのです。それというのは、いまは施設をやる人というのは、その施設をやる人たちの立場からすればよろしゅうございましょう。けれども、そのことによって今度は人口がふえてくる、それを受けとめなくてはならない事業者にとってはたいへんな桎梏になってきます。そういうことがいまはわからないから放置されておりますけれども、これがきびしい地帯整備などをやるようになってくれば、住宅地もだんだん制限されてこなければなりませんし、それから、地域の住民の方々が大体受けとめるような、了解するようなふうに聞いておりますという、いま有澤先生のお話でございますが、これは当然やるべきことをその人たちにやらしていないとか、あるいは納得させていない結果としてきていることなんです。  私は前にも申し上げましたけれども、たとえばユーロケミクのあそこの再処理工場、あそこは再処理工場の向こうに原子力研究所があります。けれども、あそこでは、年に二回ぐらいは市民に対して待避訓練をやっているわけですよ。しかも、地域住民というのは、そうたくさんじゃございません。これに対してさえも待避訓練を一しかも、地域としてもずいぶん広いですよ。広いところで、ああいうところの人たちに対してさえも待避訓練をやっているのです。東海村なんかは一ぺん待避訓練をやらしてごらんなさいよ。やらしてみたところで、なおそれでよろしいと言うだろうか。言いはしません。ただ、安全だから、安全だから、こういうことになる。私は、原子力委員会としても考えてもらいたいことは、安全性について施設者は、これこれこういうことで危険なんだから皆さんも注意してくださいよということで了解を得るのと、安全だから君たちは心配せんでいいからという了解の得かたでは全然違います。各国を回ってまいりますと、他の国ではほとんど、これこれこういうふうに危険だから、君たちもこういうふうに協力してくれ、おれたちもこういうふうにやるからということで了解を得ているんですよ。日本だけは、安全だからおまえら心配せぬでいい、こういうことでやっているわけです。これは全く戦争前のいわゆる軍国主義的な立場での権威主義的政治のやり方だといわざるを得ない。私は、そういうやり方をこれから続けてはいけないと思うのです。だから有澤先生がいまおっしゃられたことの中には、もう得られておる資料なりあるいは認識も非常に古い。いまの状態ではございません。いまの状態はそういうものじゃない。そして、私も、この地域における過度集中の問題については、決して意地になっているわけでも何でもございません。私自身の非常に浅薄な頭でも、これは周辺地域との関係では確かに過度に過ぎる、こう思っておるものだから、そしてまた、そういうふうに説明してくださる学者もたくさんおります。そういう学者諸君にささえられて私はこのことを言っておるのでございまして、ただ単に地域の人の選挙の票を得たいために言っているのとは違うのですよ。私はそういうことのために言っているのじゃないのだ。だから、そういうことから考えるならば、もう少し原子力開発というものを、事業者だけが開発するのじゃありません。日本の国民のすべてのものの支持によって原子力開発されなければいけない、こういうように思うので、やはり地域選定については、いま事業団の諸君は、ほとんどもう他の地域を選定するという意図がないようでありますけれども、もしそういうことをやるならば、地域住民の強い反対を受ける情勢が出てくるだろうということだけは、私は申し上げておきます。そういうような、原子力基本法の原則を無視するようなやり方は許してはいけないと思うのです。だから、私は、そういう点で、ひとつ有澤先生が、原子力委員会として事業団の諸君とよく御相談をしていただきたい。これは局長さんのほうでも、ただ進めるんだ進めるんだということだけじゃなしに、われわれのこういう意見ももう少し受けとめてもらわなければ、われわれはなかなか協力できませんよ。別に私は強制するわけではないのです。だから、やるだけのことをやって、たとえば待避訓練なら待避訓練を――十年間も原子力施設があるのだから、しかも、原子力発電所は稼働しておるし、それから原研のほうのJPDRも稼働してずっとやっているわけです。だから一年に一ぺんや二へんくらいは地域の人に待避訓練くらいやってもいいのです。事故なんというものはいつ起こるかわかりはしない。起きてから待避訓練をやっても何にもなりはしない。しかも研究所や公社や発電所におる人たちはみな防毒マスクを持ったり、あるいはガスマスクを持ったりいろいろな装備をしておるかしれませんが、一歩さくの外に出た、たった十メートルと離れてない地域住民にはマスク一つありません。そういうような処置も何もしておりはせんですよ。だから、さくの外に対する安全性を確保するについての事業者責任はどこにあるかというところまで突き詰めていきますと、そういう問題についてみなこれは自治体の責任にするのかどうかという問題も出てくるのです。こういう問題についてはどの程度まで事業者が地域の自治体に対して協力してやるべきかという問題も出てくるはずです。それはきょうはここではお尋ねしませんが、そういうような問題も新しく出てきます。だから、そういう点で、設置場所選定については、いま一ぺん再考していただかなければいけないというように思うので、あらためてひとつ有澤先生の御意見だけ聞いておきたいと思います。
  51. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 地域選定は、先ほども申しましたように、地元の住民の御了解なくて強行するということは、これはできるものではありません。ですから、まず十分協力を得るように、政府のほうの措置も講じますし、他方において、安全性の問題についての御理解も進めていただいて、それでもどうしてもできないということになれば、そのときにまた考えたいと思っています。
  52. 石野久男

    石野委員 法案の中の六十一条の二に核原料物質の使用の問題がありますね。この使用規定の中で、届け出とかいろいろなことをずっと書いておりますが、そんなことをわれわれはあまり心配する必要もありませんけれども、核原料物質開発ということになってまいりますと、われわれはやはりプルトニウムの精製とかなんとかを通じて、平和利用からあるいは軍事利用に転化するということの危険なんかも感じます。この使用に対する規制について、軍事に使用されるというようなものに対する規制というものは、この中ではどういうふうに区分けしていくことになるのですか。
  53. 藤波恒雄

    藤波政府委員 いまお尋ねの六十一条の二で今度新たに追加しようといたすものは核原料物質でございまして、これも、御承知のように、核原料物質を大量に使うのは製錬事業者でございまして、その製錬事業に対する規制は別途またあるわけでございますが、そういう製錬事業者が使う核原料物質以外にも、最近若干の工場核原料物質を使う工場が出てまいりましたので、それに対する規制を整備しようとするものでございます。  なお、核燃料物質につきましては、現在の法律ですでに許可の対象になっておりまして、その許可条件には、御承知のように、平和目的利用の確保その他の許可条件があるわけでございます。  お尋ねの、かりに軍事利用に関係があるとすれば、その核燃料物質を通じてのみでございますので、そのお尋ねの意味の御心配はないのではないか、こういうように考えております。
  54. 石野久男

    石野委員 もちろんいまの段階で、軍事利用についてやはり燃料物質段階から軍事へいくわけですけれども、しかし燃料にいく前に原料があるわけです。だから、原料の段階から、その方向に対する一つの見通しといいますか、規制方向というものをはっきりしておく必要があるだろうというふうに私は実は思うわけです。いまは確かに軍事利用はしません。ただ、われわれが平和利用を強調するゆえんのものは、軍事利用の危険があるからというので、平和利用を強調するのでありまして、だから、そういうことについて、燃料物質に対する規制は、その法の中であるけれども、原料がその方向へ持っていかれるとすれば、これは非常にあぶない、たとえば、わが国で精製されたところの原料物質というものが他の国の軍事工場なら工場に提供されて、そこで今度は燃料物質になっていくというようなことも将来は出てくるかもしれない。いまは確かにやはり原料物質が足りないのですから、これはよそから受けとめなければなりませんけれども、海外でそれを開発して、そしてわれわれがそれをほかに持っていく場合の規制というものは、かりに外国に工場を持ったとしても、そのわが国が外国に工場を持って原料物質燃料物質に転化させていく。それから今度は軍事利用に持っていかれるということなども起きないとも限りませんから、そういう問題に対する規制は、やはり原料の段階で何か規制しなければならぬのじゃないかというふうにも考えられますが、そういうことは必要ありませんか。
  55. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お尋ねにございました核燃料等の海外への流出の場合にいかがか、こういう点につきましては、輸出入の場合には厳重なるチェックをすることになっておりますので、そこで、いまの御心配のないように確保いたしたいと考えております。
  56. 石野久男

    石野委員 私はまだほかにもありますが、一人でだいぶ時間をとりましたから、これは次官に、最後にひとつお願いしておきたいのですが、私は、原子力開発という問題は非常に大事だし、燃料サイクルを確立するということの必要性は、いまほど切実なときはないというふうに思っております。しかし、それが一方においては平和利用を確保することと同時に、安全性の確保を無視して行なわれてはいけないということを真剣に考える一人なんです。そういう意味で燃料サイクルを確立するために、当面やはり急いで設置しなければならない使用済み燃料の再処理工場設置は、これはできるだけ急ぐようにしたほうがいいと私は思います。けれども、急ぐがためにいろいろと起きているところの設置についての地域住民なりあるいは――それはどこでやってもそうですけれども、安全性に対する無関心、あるいはそれに対する、まあこういうことを言っては悪いけれども、不見識な、恣意的な形の便宜主義でこれがやられてはいけないということを、この際ひとつ、あとまた大臣にも私は念を押したいと思っておりますけれども、原子力委員会に対してその指示を適切にやってもらうことが大事だと思いますので、ひとつ次官からもそのことについての所見だけは聞いておきたいと思います。
  57. 天野光晴

    天野政府委員 この問題には相当歴史があるようでございますので、そういう点で四囲の状況から相当スピードアップをしなければならない段階に来ておると思いますが、肝心かなめの問題が解決していない状態でございますので、この問題がスムーズに解決できるかどうかということが解決の大きなかぎになると思いますし、場所の移動その他につきましても、その問題が、いままでの質疑応答の中から聞きますと、当面の責任者の話では、その問題が解決しないうちは他に移動するというような考え方も現在持っていないようでございますので、いま石野先生の言われるように、非常に重要であり、急速を要するものであると思いますので、その点につきましては十二分に、至急に検討を加えて、できるだけ早い機会に結論を出すように努力いたしたいと思います。私の立場でこれ以上申し上げるのもちょっとどうかと思いますので、後ほど大臣もお見えになりますから、そのときに、またあらためて御返答申し上げるようにいたしたいと思います。
  58. 石野久男

    石野委員 いま次官のことばの中でその問題の解決しない間は移動しないとかいうようなことを言われるとちょっとわからなかったのです。移動しないということはどういうことなんですか。
  59. 天野光晴

    天野政府委員 これは場所をいまの東海村以外のところにという考え方が、住民の意思を完全に聞いてからでないとできないというような結論のように聞いたものですから、そういう点で住民の意向を至急確かめるということが最終的な問題であると思いますので、それを至急確かめて善処するような処置を講ずるようにいたしますということでございますので、御了解願いたいと思います。
  60. 石野久男

    石野委員 これで終わります。
  61. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、石川次夫君。
  62. 石川次夫

    ○石川委員 きょうは動燃団の方がわざわざいらっしゃっているようですから、予算にも非常に密接な関係があるので、本来なら大臣がいるところで御質問したかったわけであります。実を申しますと、質問の要領をあまりまとめておりませんし、この委員会で動燃団の今後の運営についての小委員会設置されているはずであります。したがいまして、その小委員会をいつか開いていただいて、動燃団の今後のプロジェクトの進め方についてのいろいろな検討を一回ぜひやらなければならぬ。そのときにいろいろな詳細の点についての質問をしたい、こう思っておるわけであります。したがいまして、きょうはほんとうの思いつきでたいへん恐縮でありますけれども、二、三感じている点だけを質問をしたい、こう思っております。  この前の動燃事業団法が成立をしたときの決議といたしましては、これはいまさら申し上げるまでもないのでありますけれども、これは科学技術の振興あるいはエネルギー政策の推進の立場からして、「国家的にきわめて重要な課題である。よって政府は、これを重要国策として経済の変動等に左右されることなく長期にわたり強力に推進すべきである。」これは言うまでもないことであると思うのでありますけれども、この附帯決議が空文にならないために、しっかりわれわれは監視をしなければならぬ、そういう責任があるわけでございます。  ところで、この決議に沿ったような形の予算編成なりあるいは今後のプロジェクトの進行というものが円滑に進められるような方向にいっているかどうかという点についての所見を伺いたいわけであります。たとえば、この動力炉核燃料というものに対する事業団を設立したということは、いま申し上げましたような科学技術の推進ということが第一の条件であります。  そこで、これはこの前も申し上げたわけでありますけれども、科学技術の推進といいましても、原子力だけは非常に大きな国家的な事業として取り上げなければならぬ性質の事業ではあるけれども、同時に、これはほかの、宇宙開発その他のプロジェクトと違いまして、大体ほかの国とそうおくれない形で出発したという点で、科学技術の推進のための一つの模範的なモデルケースというものが原子力の科学の場合には確立することができるのではないか。したがって、先導技術としての原子力というものを推進するための動燃団の持つ役割りというものは、私は非常に重要なものがある、こう思っておるわけであります。したがって、もちろん石油、石炭というようなものの将来性というようなものが、もう永久にだいじょうぶだという保障が全然ないわけでありまして、二十一世紀に入れば、当然エネルギーというものは枯渇をするということがもうはっきり見通されておるわけでありますから、どうしても原子力発電というものにたよらざるを得ないという意味でのエネルギー対策は、もちろんこれは重要な課題であることは言うまでもないのであります。そこで、先導技術としての動燃団の果たす役割りは非常に重要でありますけれども、この前の動燃団をつくるときの法案の審議の中で、原子力委員長の有澤さんが、これを推進するための主力というものは、何といっても数百億の経費をかけ、二千人の従業員を持つ、豊富な体験を持っておりますところの原子力研究所というものが主力にならなければならぬ、こういう意見があったわけでありまして、私もまことに同感であると思っております。その原研の問題については、いずれまた、原研から関係者を呼んでいろいろ伺いたいと思っておりますけれども、一応ここでお伺いをしておきたいのは、原子力研究所のほうでは、動力試験炉の出力、上昇計画というようなものも新たに出ておるわけであります。それから、材料試験炉の試運転もやらなければならぬ、こういうふうな新たなテーマをかかえておりますのに、ことしの原子力研究所予算というのは、増員が全くゼロという形で査定をされておるということはきわめて大きな問題ではないか、こう私は思っております。こういうふうに、主体となるべき原子力研究所が、大体基礎研究というものに従事をするわけでありますけれども、これを弱体化しておいて、はたして動燃団の動力炉開発というものが円滑に進むかどうかということを考えますと、私は、今度の増員ゼロの計画、しかも新しいプロジェクトが組み込まれておる。それから、いろいろなところからの情報はありますけれども、これを廃止するテーマが九つもある。それから整理統合しなければならぬテーマが十三もあるという状態になっております。この九つの中には、先ほど石野委員から話がありましたような再処理関係の整備というものも、廃止するテーマの中に入っておるわけであります。それから、JRR1、これも完全に廃止をするという予定になっております。これも初めて試運転をされましたときには、かねや太鼓で、新聞なんかでは何段抜きで書き立てられて、たいへんはなやかな出発をしたわけでありますけれども、火が消えたようにいつの間にかことしは廃止をされる。このJRR1は実際もう必要ないのかというと、決して私はそうじゃないと思うのです。これは原子炉の技術者を養成するためには、研修所としてはこれはどうしても残しておきたい。しかし、これはやはり廃止をしなければならぬのだということで、強引に廃止を余儀なくされておるということであります。それから、JRRの2から三名も人が出る、JRRの3から四名も人が出るということで、これは交換運転になる。それからJMTRのほうには四十名も供出をしなければならぬというようなことになっております。大洗にはいろいろな配置転換の関係で十七名も供出をする。高崎へは四名も供出をする。動力炉開発要員も十七名も出してやらなければならぬ。こういうふうなことで、原子力の基礎研究の部門に携わる原子力研究所の肝心なところがほとんど配転を余儀なくされて、肝心なテーマというものが軒並みに廃止を余儀なくされておるというふうな状態であります。もちろん、大型プロジェクトというものを実施をするときには計画性がなければならぬということは、われわれも認めるにやぶさかではありません。ありませんけれども、大型プロジェクトの計画性がとかく統制に流れて、そして、研究者の自由というものを束縛するというところからは、研究というものの推進をはかることが不可能ではないか。戦争中でも、国家の統制をとるか、あるいは研究者の自由をとるか、というときになれば、研究者の自由というものをどこの国でも主張をしまして、ほとんど工業化には縁のないような基礎研究に黙々として、戦争中といえども携わっていたというほかの国の歴史というものを、われわれは大いに参考にしなければならぬ。まして日本は、戦時中ではないわけであります。しかも、大型プロジェクトの原子力というものは、何としても国家的の使命に燃えて先導技術として、あるいはエネルギー対策として進めなければならぬ。こういうときに、肝心な原子力研究所が、このように強引に配転を余儀なくされて、本人が好まないところにどんどん研究テーマを切りかえられていくというようなことで、はたしてほんとうに動燃団の事業というものが、完全な原研との協力体制のもとに進めることができるのかどうかということを私は非常に懸念をしております。先般、原研ではストライキがございました。この問題については別にここで触れるつもりはありませんけれども、その背景をなしておるのは、決して組合自体の、組合としての性格ではなくて、ここに従事をしておりますところの原研の従業員、研究者というものが非常に先行きの不安におびえているということが、この背景になっておるということは、見のがすことができない現実であります。私はそういう原研の実態というものをつぶさに知っておりますだけに、こういうふうな原研の扱い方をして、原研の基礎研究の上に技術としての大型プロジェクトが成り立つのであって、この基礎ががたついたというふうな状態で、はたしてその上に乗っかる大型プロジェクトというものが砂上の楼閣にならないで済むかどうか。まあ大げさに考えれば、そういうふうなことにもならざるを得ないと思うのであります。そういう点で、この原研を弱体化させるということで、基礎研究が弱体化し、しかも、動燃団の事業というものが完全に原研の協力を書ながら進み得るような体制になるかどうかという点を、私は非常に懸念をいたしておるわけであります。この前の委員会の問答で聞いたのでありますけれども、丹羽理事長が参りまして、この動力炉開発については、原研としては相当研究をしている、たとえば百万キロワットの高速増殖炉というものは、おれのほうは概念設計をやっているのだ、概念設計までは済んでいるというところまで自信をもって言い切っておるわけであります。もちろん、これは概念設計でありますから、現実設計ではないし、また、ほんとうに施設に携わったわけではありませんから、それだけで原研がそういうものに十分力を持っているということは言い得ないでしょう。しかしながら、そこまで少なくとも研究を進めておるというような実態、そういうふうに概念設計まで済ませておるというような研究が進んでおるその人たちが、今度の動力炉開発事業団というものにほんとうに積極的に協力をするという意欲を燃やさなければ、そういう人たちの知識というものを十二分に吸収できるような体制ができなければ、私は動力炉開発事業団というものの前途は非常に暗いものになるのではないかということを懸念せざるを得ないわけです。これは大臣にもあらためてまた伺いたい点でありますけれども、その点について、原子力委員会としては、これはおそらく御承知の上でこういう予算が組まれたのだろうと思うのでありますけれども、そういう点についてどういう指導をされたのか、どういうふうに今後お考えになっておるのか、そういう点についての原子力委員会の御意見と、それから、動燃団のほうの、どなたでもけっこうでありますけれども、これについての御所見があればあわせて伺いたいと思うのです。
  63. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 来年度の予算の中で原研の人員の増がゼロであった、確かにそのとおりでございます。それにつきましては私どもももう少しふやしてもらいたい、特に来年度は、原研につきましては、その他の政府機関も同様でございますけれども、一%の人員減、二千百人ですか原研にいるので、一%で二十一人減ということに一応なっていたのですが、それをまあ二十一人減に対して二十一人プラスということで、増減ゼロ、こういう結果になりました。これは、私ども決してこれでいいとは思いません。もっとふやしてもらいたいということでございました。けれども、いろいろ折衝いたしましたが、最終の段階で、どうも私どもの主張を十分通すことができなかったことはまことに残念だったと私は考えております。  しかし、まあそうなったのでありますから、そして、他方におきましては、動力炉核燃料事業団という仕事がどんどん始まったのでありますから、それにつきましては、新型転換炉にしましても、あるいは高速増殖炉にしましても、かねがねその方面の研究をずっと進めてまいっております原研の研究員、この方々が動力炉事業団のほうの研究開発に十分協力をすることは当然のことだと私は考えております。また、私どもの聞いておるところによりますと、原研のそういう方々もたいへん熱心に御協力くださるような体制になってきておるということでございます。  それで、原研といたしましては、いま御指摘のありましたように材料試験炉とか、そういったものができまして、ここにも運転要員その他が必要であります。そして、いま申しましたように、事業団への協力参加ということも必要であります。その点で、原研としましては、かなりな人員配置を行なわなければならないということも出てくるかと思います。   〔委員長退席、福井委員長代理着席〕 この計画につきましては、いつですか、ごく近くに原研の幹部の方々とお話し合いをしまして、来年度の原研の事業計画をきめることになっております。でありますから、詳細は私どもよく承っておりませんけれども、しかし理事、原研の幹部の方々からは、そういうことで何とか原研の研究全体に支障のないような形においての人員配置を進めるつもりである、こういうお話を承っております。  でありますから、来年度の予算につきましては、以上のように私どももかなり不満足な感じを持っておりますが、再来年度の予算につきましては、もっとその点の補正をいたしたい、こういうふうに考えております。原研を何でも縮小したらいいというふうな考え方は私ども、ごうも持っておりません。依然として日本においての原子力研究の、基礎研究を土台にした研究の中心は原研である、こういうふうに考えております。  なお、もう一つは、来年度から東大を中心としました――東北も入っておりますけれども、東北はまた東北で別でございますが、東大のほうでは、あそこの原研の敷地の中に原子力研究室といいましょうか一つのエクステンションを考えておりまして、その観点から申しますならば、基礎研究は、大学と原研の基礎研究部門とは相当提携して基礎研究を進めることができるんじゃないか。また、進めることのできる土台ができる、こういうふうに私どもは考えております。  以上でございます。
  64. 清成迪

    清成参考人 石川さんからの御質問に簡単にお答えをいたしたいと思います。  原研のことは、いま有澤先生からお話があったとおりでございますが、事業団の特に動力炉部門としましては、先ほど御指摘がありましたように、事業団法の成立のときも、非常にこういう研究開発に適した附帯決議をつけていただいたということで、心強く思っておったのでありますけれども、予算の審議の段階におきましては、非常に不満な形に実は落ちつきました。たいへん困ったのでございますけれども、もともと、この予算は、実はこの事業団が成立する前に要求したものでもありますし、予算の査定の過程におきましては、われわれとしても十分再検討をいたしました。でき得るだけのことは、政府の財政の事情にもこたえていきたいという観点から、いろいろ検討をいたしました。われわれの計画しておるところのスケジュールに大体マッチしてやれるという範囲のところまではぜひ復活を願いたいということで、落ちつきましたのが大体現金約四十五億、債務負担行為が約七十九億というところであったわけでございます。   〔福井委員長代理退席、三宅委員長代理着席〕 一応これにしますというと、最初のわれわれの感じの大体七割という程度でございますので、一応これでもってわれわれの事業は当初の計画どおりに進み得るという確信を持ちましたので、これで四十三年度はやっていくという腹をきめたわけでございます。事実、そういうような形で、その後もいろいろな作業の督励をはかりまして、増殖炉につきましては、もう第二次の概念設計を終えまして、詳細設計を近々メーカーに発注するという段階までいっております。  なお、ナトリウムのループでありますとか、その他のもの、あるいはアルファ・ガンマ・ケーブでありますとかいうようなものも発注の段階に至っておる。なお、新型転換炉につきましては、英国のSGHWRの基礎データの導入ということも、これはもう実を結びまして、いまこちらに到着をしておるところであります。   〔三宅委員長代理退席、福井委員長代理着席〕 そのほかにも大型の施設、こういうものにつきましては着々と発注の準備が整っておりまして、もう発注したものもありますし、すでにもう発注しようというところにきておるものもあって、大体順調にいくことと、こう考えておるわけでございます。  実は、動力炉開発は、こういうところで御報告するのは最初でございますので、もう少し詳細に御報告をするつもりでおったのですけれども、どうも石野さんの再処理の問題でえらい時間を食ってしまったような感じでございまして、私がまたこれを詳細にやっておりますと時間がないということになるのだろうと思いますので、その詳細な御説明は、今後またこの委員会あたりにお召しがあれば出てきまして大いにデモンストレーションするということにいたしたいわけなんですが、さっき伺いますと、何か動力炉開発事業団に対する小委員会ができる。これは絶好の機会なので、この事業団に関しまして、動力炉開発に関しまして、私が六カ月間感じたこと、これはフィロソフィーになるのですけれども、そういうことだけをいまちょっと触れて、ぜひこの委員会の御参考にしていただきたい、こういうふうに私は思うのでございます。  それは、先ほど、いまのところ支障なく計画は進んでおる、こう申しましたけれども、そのとおりでありますが、しかしながら、動力炉開発につきましては非常に大きな困難な点をいま包蔵しておるわけでございます。  その第一は、現在のような国家の行政機関のもとにおいて、こういう未知の領域の緊急開発というものをやっていくというこの困難さ。それからして第二点は、いま石川さんからもお話がありましたような国家の総力を結集する、喜んでこのプロジェクトに協力をしてもらうという、どういうふうにしてそれをやるかという困難さ、この二つでございます。  それで、私はこれをじっと考えてみますと、この一番の問題は、先ほどからるるお話がありましたように、石野さんからもありましたし、あるいは石川さんからもあったのでございますけれども、このナショナルプロジェクトというものは、国家として非常に緊要であるということの、ほんとうの認識を関係各所に持っていただくということであります。みんな口では、これは非常に大事なことだとおっしゃるのですけれども、それは口だけであって、腹からそう思っていただいていないというふうに、私はこれははばかりながら断言することができるのじゃないか。実際に腹から思っていただいておれば、実際にあらわれるはずです。ところが、そういう形になっていないところから見ると、頭の中ではそれはおわかりなんですけれども、腹の底からはわかっていただいていない。そういう点で、われわれのPR不足も大いに反省をしなければなりませんけれども、何とかしてそういう点を関係の人に徹底をさしたいということなんでございます。  そういうことのあらわれから、先ほど申した、いまの行政機構の中でということを申しましたが、いまの行政機構というもの、これはもちろん国家の金でやるのですから、国家の法律、規則に従うことは当然なんですけれども、国の法律、規則というものは、こういう未知の領域の研究開発をやるというようなことを予想してできておるものではありません。したがって、そこに非常に問題が生ずる。それはどういうことが特徴かと申しますと、この点だけをしっかりひとつ考えていただきたいのでございますけれども、こういう未知の領域の研究開発というものの特徴としまして、不確定性が非常に多い。そういうような性格のものだということなんです。  それから第二番目は、それに従いまして、しばしばいろんな計画の修正、変更というようなものが起こってくる、こういうことであります。  それから第三番目には、そういう変更、修正がしばしば起こるものでありますので、それに対して迅速適切な対応策をすぐ講じなければならぬ。それはプロジェクトとしてはターゲットを与えられておる。いつできてもいいものではありません。どうしても迅速的確にそれに応じていかなければならぬ。こういうようなことが現在の行政機構の中ではうまくいかない。国家の法律や規則は、私はほかのことは知りませんから、大いに必要なんだろうと思いますけれども、少なくともこういう未知の領域の研究開発に対しては適応していない。したがって、法律を変えてください、規則を変えてくださいとは申しませんけれども、私はこれに関係するような方はそういうような事実を認識されて、この法律、規則の解釈、運用というものにどうしても柔軟性を持っていただきたい。これができませんというと、非常に私は危惧の念を持つわけなんであります。そういう点が、私、非常な問題点を包蔵しておりますので、これはどことさして言うんじゃございません。大体予算制度そのものがそうかもしれません。あるいは物品の購買の制度、あるいは人事の制度、そういうようなものがすべて関係するわけなんでありますけれども、もう少し私は柔軟な体制がほしい。これは実は私はもう事務ベースのものではないと思う。それは実際にやっておられますところのお役人、と申しては、はなはだここにたくさんおられますので悪いのですが、そういう方はおのおの所管の部面に関しては責任を持っておられる。これはたいへんけっこうなことなんですが、実際にその表面上の責任を万全を期せられるというと、そういう解釈、運用の柔軟性はどうしてもうまくいかない。それで、これは問題でございますけれども、先例になるということを私、非常に聞くわけなんですけれども、私はナショナルプロジェクトに対してそういう先例をつくってもらいたいというのが趣旨なんです。どんどん先例をつくるべきだ。それがいろいろほかの方向にどんどんアプライされるなら別でありますけれども、ナショナルプロジェクトに対してはそういう先例がなくてはならぬ。あるいは宇宙開発に関しても、あるいは将来の海洋開発に関しても、そういう先例を開いていただきたいということを希望するわけなんであります。  それで、申しますというと、われわれが会社でやっておりますときもそうですけれども、経理というのはなかなか厳たる規則があるらしいのですが、経理的に見て百点の経理というようなものは、経営的に見て五十点の経理という場合がしばしばある。こういう点を私はよくひとつお考え願いたい。これが私のいま偽らざる心境でございますので、こういう点を参考にされまして今後の小委員会で反映させていただけば幸いだと思います。  私の意見はこれだけであります。
  65. 福井勇

    ○福井委員長代理 きのうの理事懇談会の際に、鍋島大臣が参議院の予算委員会の昼食の時間があれば来てもらいたいという申し入れをしてありましたので、その後いろいろの打ち合わせばちょっと変わりましたが、ちょうどわずかな時間ではございますが、約束どおり来られましたので、そのことを御了承願って、石川君。
  66. 石川次夫

    ○石川委員 じゃ、大臣が来ておられますから、いま申し上げたことを蒸し返すような形ですが、要約して申し上げます。  動力炉開発というものは、科学技術の推進の先導技術としての日本の代表的な使命を持っておるという点、それから、将来のエネルギー対策としてはどうしても国家的の使命として早急に解決をはからなければならないということで、たいへん重要な使命を持っておるわけでありますが、それにはやはり基礎研究部門としての原研がこの推進の主力になる。この前も若干触れましたけれども、この内容を見ますと、いまも申し上げたことでありますけれども、二十一名減員になるというのが、かろうじて増員ゼロというところにこぎつけたというのが実態であります。これは大臣みずから予算の折衝をされたから、よくおわかりだと思うのでありますけれども、いかにも増員ゼロというこの決定は情けない。再来年度のことについては、原子力委員会としても十分に配慮しなければならないという御答弁はありましたけれども、しかし、ともかく問題は、来年それ自体は増員ゼロで、しかも新規計画というものが次々に出ておるということで、研究者個人個人の意図を無視して強引に配置がえといいますか、テーマを切りかえさせられたというようなことで、原研の中では、労働組合はストライキなんかもやりましたけれども、こういうことの背景は、組合としてではなくて、研究者の個人個人の不平不満の相当うっせきした形が今度の労働争議というものにもあらわれておったというふうに私は見ておるわけです。そういうことで、たとえばJRR1というものは廃止、JRR2と3というのは交代運転、JMTRのほうには四十名出す、大洗にも十七名、高崎も四名、動力炉開発十七名というふうに、どんどん人を出しておるという状態です。ですから、いままでの研究テーマというものがもう九つも廃止をされて、それでそういうふうな原研が実質的には弱体化されるということの中で、はたしてその基礎研究の上に成り立つところの動力炉開発というものが円滑に進み得るかどうか、完全な協力体制が、こういう不満の醸成されている原研に対して得られるかどうかという点を私は非常に懸念をしているわけです。これも、大型プロジェクトとしての動力炉というものを絶対に成功させなければならぬということの前提条件として、ぜひとも原研というものの積極的な協力体制をつくらなければならぬ、こういう点で私は非常に心配しておりますので、これはいま有澤さんから御答弁をいれだきましたけれども、どうもいまの御答弁だけでは心もとないという気がするわけであります。清成さんからも話がありましたように、動力炉開発はどうしてもやらなければならぬ、これは非常に緊急焦眉の急務だということを身にしみて自分たちは考えなければならぬということを前提として考えても、その前段の条件としての原研の協力体制を得、また、その協力体制を得るための原研の強化ということが考えられないような今度の予算内容というものを見るとき、私は政府としての取り組み方が非常に弱いのではないか。施政方針演説では、御承知のように原子力の平和利用というふうなことを非常に強調し、科学技術の振興ということを大蔵大臣も総理大臣も言ってはおりますけれども、何かことばだけではないのか。この予算の実態から見ると、ことばだけで、ほんとうに清成さんがおっしゃったように、真剣にこれに取り組まなければならぬのだ。これは別に私は原子力だけの問題ではないと思うのであります。科学技術全体の問題でありますが、そのことを非常に痛感するわけであります。  そこで、大臣に決意の表明という形で伺いたいわけでありますけれども、この動力炉開発というものは、どうしても日本としては、特にエネルギー源を持たない日本としては、なさなければならぬ使命というものがあることは言うまでもないと思うのでありますが、それに対しまして、いま御説明がありましたけれども、大体要求に対して七割――おそらく清成さんは遠慮して言われたのだと思うのでありますけれども、七割ならまあまあだ、こういうことでやむを得ず立場上言われたのだと思いますけれども、政府がほんとうに真剣に取り組むということからいえば、こういうような予算の組み方じゃ私は非常に不満です。施政方針演説には、三〇%、科学技術庁の予算が増額をされたからというふうなことで、たいへん得意になっておられたようなふぜいに見えたのでありますけれども私はとてもそういう考え方じゃ、これからの日本のほんとうに重要な科学技術の推進ははかれないのではないかということを、この前も申し上げたわけであります。   〔福井委員長代理退席、委員長着席〕  話はちょっと飛躍するようで恐縮でありますが、私は建設のほうもずっとやっておりまして、たとえば道路の五カ年計画は、六兆一千五百億円という中期経済計画を乗り越えまして、六兆六千億円というふうにふくれ上がっております。これは政府はたいへん熱心です。これは票につながるからじゃないかと私は思うのです。日本の将来の死命を制するようなエネルギーの問題の解決をはかるための――大体歴史的に見て、エネルギーを持たない国は全部衰亡しています。したがって、このエネルギーを自主的に持つことはいかに重要かということが、歴史的にも証明されている。こういうふうな重要な問題で二千億円の金がとれるかとれないかわからない、こういうような予算の組み方というのは、どこか私は国として軽重を誤っているのではないか。私は道路は決して軽視していいというつもりで言っているわけではありません。しかしながら、たとえば万博の問題があります。これは、関連の費用を全部入れますと大体一兆円ぐらいになるだろう、こういうわけであります。これは二、三年のうちにおそらく一兆円の金を使い切るでしょう。しかし、これは国威の宣揚にはなるかもしれないけれども、日本の国家百年の計にとって、はたして万博がそれほど金をつぎ込まなければならないような緊急性があるのかどうか、私は別に万博をいまの段階で反対しようという気持ちはありません。ありませんけれども、万博で一兆円の金をつぎ込むというくらいだったら、この動力炉開発予算で要求の七割しか組めないというような情けないことでは、政治家として軽重の判断を明らかに誤っておる、私はこう思わざるを得ないと思うのですが、その点についてひとつ大臣の所見を伺いたい。
  67. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 いま言われましたとおり、私もそのように実は考える点も十分ございます。弁解がましくございますが、今回の予算折衝におきましては、御承知のとおり、いわば全体的な抑制予算であったこと、それから新しく動力炉・核燃料開発事業団が出発するというので、急激に科学技術庁関係で膨張する段階になったこと、あるいは人員を減らそうという一般的な風潮の中で、いわば行管と政府仕事として、人員をふやさない、配置転換でいくのだ、しかも五万人ぐらい減らしてそのうちで新規だけに一万人ぐらいこれを入れていこうというような政府の大きな方針のワクが一応ございましたので、プラス私の微力もあって、十分予算が取り得なかったことは、まことに申しわけないと考えております。原研の問題にいたしましても、率直にいって、大蔵省、行管との交渉の中で約四十名、五十名の増員を主張しましたのですが、片一方マイナスがあって、そのプラスマイナス二十一名というような形になってしまいました。また、七割といいましても、おそらく七割よりかもうちょっと減ったぐらいの予算になっておるのじゃないかと思います。予算というものが、どうも交渉の際に一〇〇%ということがなかなか取り得ない状態になり、そのうちで、いわばどのくらい片一方は削ってくるか、あるいはこちらが一〇〇%を主張する、そうしてその中に妥協点を見出していくわけでございますので、どうしても不利になりがちでございます。  ただ問題は、いま御発言がございましたように、特別な問題としてこれを推進していくためには金が要りますし、そのためには、ゆったりした資金の中で働いていただかねば大型プロジェクトはでき得ないということは、もう事実でございます。したがって、今後におきましても、政府部内におきまして私は最善を尽くしてその面に努力をいたしてまいるつもりでおります。  なお、道路計画との関連においての御発言の中に、やはりこの点はどうしても今後の大型プロジェクトをやり、特に動力炉関係開発をするためには、将来において少なくとも覚え書きなり何なり、あるいは科学技術基本法でも通れば、その基本計画のもとに、動力炉開発に関する二千億円あるいは二千五百億円というものを年次別に計画を立てて、あるいは道路あるいは建設関係のように五カ年計画、三カ年計画というものをつくっていくような方向へ、ぜひこれは持っていかなくちゃならぬと私も考えております。おそらく今後における動力炉開発政府としてやるべき、また私としてやるべき仕事の一つであろうと考えております。そのようなことで、科学技術基本法を幸いにして通していただければ、それに基づいてりっぱな計画を立てますし、もしそうでない場合でも、動力炉等重要なプロジェクトについては、やはり数カ年計画を立てて、これを大蔵省、財政当局にある程度確約をさせていくという形をとるべきであろうと考えるわけでございます。  いま御指摘の点は身にしみてそのとおりでございます。私自身としても全力を尽くして努力をいたすつもりでございます。
  68. 石川次夫

    ○石川委員 大臣の所信表明を伺いましたけれども、いかに努力をしたかということは認めるにやぶさかじゃありませんけれども、結局は政治というのは結果責任でございますから、結果がはっきり出なければ、いかに努力をしたといっても、それだけでよろしいということにはならないというのがわれわれに負わされた宿命であります。そういう点では、残念ながらことしの原子力に関する予算というものは、私は満点、合格点をやるわけにはいかない。道路や万博なんか、よけいなことを引き合いに出しましたけれども、とにもかくにも、この動力炉というのは、どうしてもやらなければならぬ、こういうふうな使命感に燃えて、原研を含めての体制を強化する、あるいは予算を獲得をするという点でひとつ今後ともその実現に努力をしてもらわなければなりません。  あと一つ、基本法が通って基本計画を立てるというお話でしたけれども、別にこれは基本法が通らなくたって政府がそのつもりなら、やってできないことはないと思うのです。これは動燃の清成さんに伺いたいのでありますけれども、これから二千億円をどういうふうに配分をし、どういうふうに計画をするかということは、大ざっぱな案は、この前の計画でもって伺いました。そういう点であるいはこれには人員なんかもくっつけて、事こまかな詳細な何かプロジェクトの内容というものを設定をされておると伺っておるわけでありますが、そういうものを見れば、十年先のここまでに完成させるためにはこれこれこれだけはどうしてもやらなければならぬというデータはちゃんとそろっていると思うのです。そうすれば、この時点で新型転換炉あるいは高速増殖炉を完成させるための内容としては、これこれこれだけのものは要るのだという、ごまかしのない、非常に精密なデータというものはできているはずなんで、別に基本法が通って、それによって基本計画ということではなしに、そういう権威のあるものが裏づけになってできるわけでありますから、これで私はりっぱに予算は一〇〇%取るという決意を持っていただきたいと思うのです。  ということは、科学技術基本法の問題は、実を申しますと、これから提案になるわけでありまして、これについては私は大いに異論があるわけです。とてもこのままじゃ、この基本法を直すまで通さないという気持ちを、率直に言って、持っております。したがって、今度の国会でおそらく通ることは不可能じゃないか、こういう見通しを持っておりますので、基本法が通ればその基本計画によってということではなしに、動燃団のほうの詳細な計画に基づいてぜひともその実現をはかる、こういうことで行ってもらいたいと思う。そういうふうな計画についてどうなっているか私わかりませんが、清成さんのほうでそういうふうな現状がどうなっておるかということの御説明をいただいた上で、大臣のひとつ所見を伺いたいと思うのです。
  69. 清成迪

    清成参考人 いまお話がありましたように、このプロジェクトを成功させる非常に大きなファクターは、綿密な計画を持つ、そうして、それに従ってこれを間違いなく管理していくということだと思います。したがいまして、これはいろいろ諸外国の開発計画の例も調べまして、われわれとしても完全な体制に持っていきたいということで、私どもの計画管理部というところに主としてその仕事をやらせることにしております。幸い、原子力研究所のほうから一名、米国の大学に一年間留学をしましてそういう研究管理を専門に調べてきた人間がおる、それを私のほうへもらいまして、現在着々とその基礎づくりをやっておるところでありまして、大ざっぱなものはもちろんできておりますけれども、しかしながら、これからほんとうに責任をもってやるためにはどこからもうしろ指のさされないような形の組織をつくり上げたいということで、おそらく数カ月のうちにはそういう形にだんだん整備されていくと思います。  それで、先ほどの、事業団のほうの計画は何も科学技術基本法を待ってきまるものではありませんので、われわれとしてはもう現在でもその計画は持っておりますが、これをもっと確かなものにずっと整備をしていく段階にあるわけでございます。ただし、水も漏らさぬというお話がありましたが、きちんときめましても、先ほど申すように、研究開発という問題は非常に不確定要素が多い。したがって、私たちのその計画は、現在においては非常に考え得る正確な要素を持っておりますけれども、次の時点になると常にこれは変更していく、そうして、新しい予定というものはいつも目の前にあらわれているという形にしていきたいと思っておるわけでございます。したがいまして、いま石川さんがおっしゃったような形で、われわれとしては今後、たとえば大蔵省なら大蔵省が十分御納得がいただけて、予算を出していただけるような計画というものを早く樹立していきたいということで、現在着々と進んでおるわけでございます。  大体以上でございます。
  70. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 いま動燃事業団のほうからお話がございましたが、私も大ざっぱな計画等は伺っております。なおこの問題につきましては、原子力委員会におかれまして、さらに審査されて、その計画を御決定になるかと考えておりますが、その御決定に従って今後における、来年度予算の場合におきましては、まずその計画政府当局として決定する、つまり具体的には大蔵省として了承させる、そうしてその計画に基づいて初年度、二年度、三年度という形においての約束を取りつけながら予算をできるだけ組んでいくという方法をやはりとらざるを得ないし、科学技術基本法等がまた少しおくれますれば、そういう方法ででもとってまいりたいと考えております。
  71. 石川次夫

    ○石川委員 いま動力炉開発事業団のほうでいろいろと将来計画を立てられるわけですけれども、話はちょっとこまかな話になりますが、実はこの前の動燃団の法案を審議するときに、人材確保という問題が相当大きな問題になっておったわけであります。村田さんが局長でおられまして、大体十年間に二万七千人から二万九千人くらいの人が要るであろうということで、現在一万名であるから一万七千から一万九千、こういうふうな増員をはからなければならぬ。まあ大学の原子力関係、そういう学生関係では大体年間二百名卒業するけれども、これを三百名くらいにふやせばあとはいろんな関係がありますから、工科の関係もあるでしょうし、あるいはいろんな関係の人を集約するわけでありますから、まあそういうことで増員をすれば大体間に合うんではなかろうかというふうなお話もありましたが、詳細な内容については私も検討しておりませんけれども、こういうことで要員が大体高速増殖炉とそれから新型転換炉で十年間で延べ八千六百名で、ピーク時には大体千二百名くらい要る、こういうお話がありました。その中で動燃団としては三分の一から二分の一という、まあえらい大ざっばなお答えであったわけでありますけれども、そういう人間を確保しなければならぬというのは、いまの詳細な計画の中にはおそらく費用とかテーマだけではなくて、人間を全部くっつけていかなければ、これは絶対成功しないと思うのです。そういう人間をくっつけて、しかも、基礎研究にまでそれが及ぶというところまでいかなければほんとうのものにはならぬと思うのですが、そこまでは要求しませんまでも、そういう人間とそういうテーマと、それから設備とか、それから予算とか、そういうものを含めての予算になっておるかどうか、この点を一応伺いたいと思います。
  72. 清成迪

    清成参考人 いまの点はごもっともでございまして、私がさっき申しましたのは少しことばが足りなかった。詳細に計画を立ててネットワークを組んでいくということは、全部のところの仕事を網羅しておるわけでございますので、その中には、各メーカーに委託する仕事あるいは請け負わせる仕事、あるいは原研、大学その他に委託するような仕事、全部が網羅されておる計画のことを実は申したわけでございます。したがいまして、これらの計画はわれわれ、でき上がりましたらばこれを関係のところには発表いたしまして、それに従ってメーカーはメーカーで、こういうふうな時期に、こういうふうな人間が要る、それでこういうふうな金額の委託があるということを考えて人員計画を立てていくわけでございます。それから、事業団事業団で、それを遂行していくためにはどれだけの人間が要るということで、どういう時点に、どういう人間が要るということを考えて実は処理していくつもりなんでございます。それでさしあたり動燃事業団――少し訂正をしておきますけれども、千数百人の人がピーク時に要る、そのうち約三分の一が動燃事業団というようなお話が前に出たそうでありますけれども、これらは始終検討を加えておりまして、それは事業団それ自身の性格にもよるのであって、事業団がどういうふうな仕事をやっていくかということによって、この人間は多分に増減があるということで、現在では私は動燃事業団のほうの処理にはまあ二百人もあればよかろうか、そういうような仕事をしていくつもりでございます。それで、ほかの部面は、各メーカーなりあるいは関連の機関に委託なり、請負なりということでもってやらしていく、そうして、大綱を握って中枢的な役目を達していきたい、こういうふうに考えております。
  73. 石川次夫

    ○石川委員 いまの人間の確保の問題も非常に重要でありますが、これは原子力局長あるいは大臣のほうにお願いしたいのでありますけれども、この人材の確保がなされなければ、原子力全般としての推進というものができないということで、これは前にも再三問題になったことでありますからここで繰り返しませんけれども、相当精密な、国全体の立場に立っての人材確保という点について、十分ひとつ配慮をしてもらいたいということをお願いしておきたいのです。  それから清成さんのお話しの中で、私の質問が前に進まなくてたいへん恐縮なんでありますけれども、行政機関の問題と国家の総力をあげる問題と二つあげられました。この点については、いずれ機会を改めて詳細にひとつ御説明を伺いたいと思っておりますが、清成さんも民間の事業におられまして、国の予算というのは、特にことしは財政の硬直化ということで、補正予算も認めないというかっこうで、一年間びしっときめてしまうというようなこともありまして、なかなか流動性がないわけであります。これは実は大型プロジェクトについては特に不確定要素が多いから、何かプールした金を何とか使えるような予算措置をしてほしいという気持ちはわかりますけれども、実は科学技術それ自体が、全般としてやはりそういう制度をとらなければいけない性質のものだというふうにわれわれは考えておるわけです。特に大型プロジェクトの場合には、そういうことが言えるでありましょうけれども、大学の研究、あるいはまた、基礎研究なんかの部門でもそういうことが往往にしてあるわけで、そういう点の科学技術の推進をはかるためには、今度の科学技術基本法の中にはそういうことをうたっておりませんけれども、私は、やはりそういった自由に使える金、しかも、それを重点をきめて、だれかが査定をしてどんどん出していけるあるいはまた、ころがす予算というふうな制度がなければ、科学技術のほんとうの推進にはならない、私は非常にそのことを痛感をいたしておるわけであります。その点につきましては、大型プロジェクトの分については、特に当面の焦眉の急務でありますから、この点についてどうするかということは、この委員会でも集まりまして、いろいろとその対策についても考えてみたい、こう思っております。  それと同時に、原子力の場合には、ほかの国と同じようなところでスタートした、まあおくれてはおりますけれども、ほかのビッグプロジェクトほどはおくれないで出発することができたという意味で、原子力委員会というものの権威をつけるということで出発をしたわけでありますが、これはこの前の法案の審議のときにもいろいろ問題になりました。丹羽さんなんかは歯にきぬを着せないで、とにかく、原子力委員会は、行政委員会でも政策委員会でもない、単なる諮問委員会で、決定をしたものを総理大臣が尊重をするというだけだ、これではとても推進はできぬ、こういう強い意見があったことを私は記憶をいたしております。そういう点で、原子力委員会の強化というものもあわせて考えないと、原子力の総合的な開発というものはできないのではないかということを私は痛感をいたしておりますが、きょうはそういう議論をする場所ではないようでありますから、あらためてその点については申し上げたいと思っております。  たとえば、英国の原子力公社のような形のものがいいかどうかという点についても、いろいろ問題はありますけれども、少なくともあれに近いような形の力だけは原子力委員会というものが持たなければ、総合的な指導力は持ち得ないのではないか。動燃団自体が、国家の総力をあげるためにいろいろ苦労をされておるということはよくわかりますが、これも、もとをただせば原子力委員会それ自体がそれ自体のスタッフを持ち、それから事務機関を持って、自分たちの決定でもってどんどん進めていけるという力が持てれば、相当そういう点でもカバーできる問題ではなかろうかというふうに思っておるわけであります。  その点についてはその程度にいたしまして、実はこの法案のことに全然触れないでしまったわけでありますが、時間も相当経過いたしておりますので、質問はあとにするといたしまして、燃料の関係で若干伺いたいのでありますけれども、この前も私は伺いましたが、実はガス拡散法というものでもって燃料の濃縮を現在やっておるわけでありますが、これはアメリカで三工場だけでもって大体五百五十万キロワットアワー、年にすると、電力だけで大体二億ドルも使うというふうに、日本ではほとんど考えられないようなばく大な電力を食っておるわけであります。したがいまして、アメリカと同じような発展は、当然ヨーロッパも同じことでありますけれども、望めないにいたしましても、何とか濃縮技術というものを日本で確立をしなければならぬと思いますけれども、ガス拡散法も当然これはおやりになっておるでしょう。しかし、どうしても私は、私個人の考えといたしましては、ドイツと日本が比較的進んでおるといわれておりますところの遠心分離法というものは、何とかして日本において成功させたいものだ、こう思っております。ところが、これがまことにささやかな予算でありまして、こんな予算ではたして遠心分離法が成功できるかどうかということについて非常に私は懸念を持っておるわけであります。回転速度を上げなければならぬとか、軸受けの改良とか円筒材料の開発とか、いろいろな問題があります。日本ではアルゴンを使っておやりになっておりまするし、田中正之助さんが相当熱心に取り組んで、かなりの成果をあげているという点は認めるのにやぶさかではございませんけれども、私は試験設備を見た感じでは、何かちゃちな設備で、こんなもので一体遠心分離法の成功をほんとうに期待しておるのだろうか、ほんとうに研究室のささやかな実験だけで済ましてしまうような心細い感じを強く受けるわけであります。ガス拡散法は当然研究されておるでありましょうけれども、何としても電力というものを考えますと、日本で成功させたいのは、遠心分離法をどうしても成功させたいような気がするわけであります。それについて、ことしの予算はどうなっておりますか、私詳しくは知りませんけれども、現状がどうなっていて、この見通しは一体どういうふうなのかというようなこと。これはアメリカあたりでは民間で開発をしてはいけないとかなんとか、いろいろなことがあるようでありますけれども、日本ではたよりにするのはいままでの燃料公社、この動燃団に引き継がれたあなた方の部門が一番たよりになる部門でありますので、これについてひとつ見通し、現状というものを、簡単でけっこうでございますから御説明願いたいと思います。
  74. 藤波恒雄

    藤波政府委員 まず私から概括的に申し上げますと、先生いまお話しのとおり、現在わが国では、将来のためにウランの濃縮技術につきましてもその基礎研究に着手いたしておる次第でございまして、その中で、特に遠心分離法につきまして重点を置いて進めております。現在事業団のほうで二号機目を運転し、さらに三号機の設置計画しておるという段階でございます。現在四十三年度の予算は一億一千四百万円で、わずかでございますが、実は先般来、原子力委員会の中に核燃料懇談会設置いたしまして、燃料全般にわたる基本的問題につきまして討議されたわけですが、その中で、ウラン濃縮の技術の開発につきましても取り上げられておりまして、最近固まりました案によりますと、昭和五十年までに約五十億近い研究費を投じまして、その時点までに技術的、経済的な見通しを立てる目標で、研究開発を進めるべきことが提案されておるのでございます。  なお、最近の研究の進捗状況等につきましては、今井理事長のほうからお聞き取りを願いたいと思います。
  75. 今井美材

    今井参考人 原子力局長から概要の御報告、いい御回答がございましたので、補充いたすことは幾らもないと思いますが、申し上げることは大体これからどうするかということでございます。  いままでの成果というものを要約いたしますれば、高速回転のできるしろものが一応できた、たいへんちゃちでございます。しかしながら、このものを研究いたしていきます方法といたしましては、まず第一に、できるだけ効率のよい高速回転体というものを身につけることが一番基本的でございます。いままでそれについては一方式を積み上げて、今度ようやっと第三番目の機械をつくらしてもらうということになっておりますが、この辺で、将来、たとえば昭和五十年には見当をつけるのだということがありまするからには、ここで一台一方式ずつシリーズにやっていくということでは間に合わないということにも相なります。間に合わないということはたいへんことばが悪いわけでありますが、ここで方式そのものについて一段と努力をいたしまして、幾つかのパラソルなものの中から最適のものを選ぶという努力をしなければいかぬと思っております。これが当面やることでございます。  実はこの問題は、外国の事情というものが全然わからないのでありまして、自分自身の現状を批判するのにはなはだ困難でございます。しかしながら、日本のこれからの要求といたしましては、先ほど来お話がございましたように、とにかく濃縮技術を確保するための手段としてどうしてもこの道を選ぶということが必要でございますので、今後人員の増強あるいは予算の増強等をお願いしながら格段の努力をしたいと思っております。  以上でございます。
  76. 石川次夫

    ○石川委員 遠心分離の方法は、アメリカから公開を禁止されているというふうな問題もあります。こういう問題については、あとであらためて伺いたいと思っておりますけれども、何といいましても、昭和六十年になりますと、三千万キロ、四千万キロということになれば、千八百トンから二千三百トンくらい三%濃縮ウランということでかかるわけです。現在でトン九千万円くらいかかりますから、たいへんな事業になるわけですね。こういうことでありますので、この燃料をアメリカに全部依存しなければならぬということであったのでは、せっかく動力炉それ自体を日本開発いたしましても、燃料を首の根っこを押えられたということになれば、非常時のことを予想する必要もないわけでございますけれども、中近東の石油ではございませんけれども、完全に首の根っこを押えられるということになるわけで、どうしても日本自体で濃縮の技術というものを確立することの必要であることは、動力炉の完成と同時くらいには必ずできなければならぬ、こういう目標をやはり一応立てまして、濃縮技術というものも、動力炉開発と同じようなスケジュールをもって進めてもらわなければならぬ性質のものじゃなかろうかと思っておるわけであります。  ほかに、私は海外探鉱の問題、核融合の問題で伺いたいことがたくさんあるわけでございますけれども、実は二時から本会議がございまして、内海さんが法案内容についての質問があるものですから、私はそれらの問題については機会をあらためて質問をしたいと思っております。  きょうはたいへんざっぱくな質問でまことに恐縮でございましたけれども、非常に参考になりましたことを感謝をして、私の質問をきょうはこれで終わりたいと思います。
  77. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、内海清君。
  78. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろ御質問申し上げたいと思っておりましたが、二時から本会議がございます。したがって、この法案内容について若干お伺いいたしまして、いろいろ関連の問題についてはまた機会を得てお願い申し上げたい、かように考えております。  そこで第一番に、この法案についてお伺いいたしたいと思いますことは、二十八条の問題であります。この問題は、旧法におきましては「施設検査」と「性能検査」が分かれておった。それを今度は「使用前検査」ということで一本にされたわけでございまして、今回の法改正の一つの重要な点になっておるわけです。この検査のチェックポイントという問題は、これは従来わが国で行なわれてまいりましたものを、技術関係の方は十分御承知だと思うのです。一般的に検査は、私どもが従来考えてまいりましたのは、第一番は、その設備が完全であるということ、それから二番目は、しかるのうちに性能が保証されるということ、この二階段、これを分けて検査するのが大体普通であると思うのであります。今日までの一般社会通念あるいは慣例から考えてまいりますと、設置者あるいは製造業者というものは、設備の完全であることを検査される。そうして、その装置が完全であることをオーソライズされまして、そして、安心してこの試運転を行なう、こういう段階に相なっておると思うのであります。この試運転というのは、これは大体従来の慣例からいうと、黙認の形で業者の手で行なわれておるようでございます。その性能が十分出る、こういう見通しを得ましてから正式に性能検査を受ける、大体こういうことに相なっておる。これがいままでの慣例として行なわれてきたものだと思うのであります。このことは、あるいは正常ではないかもしれませんけれども、社会慣行として、いままで検査官もそれを黙認してきて、いわばその裏面のことも十分承知されておるはずなんであります。ところが、今回ここに改正されようとしておりますように、技術的に見ましても、あるいは経験もまだきわめて浅い、しかも最も安全性というものを重視しなければならぬこの原子力関係におきまして、この二つの重要なチェックポイントを一つにしたということ、これはどういう意図があるのか、その点についてひとつお伺いいたしたい。従来の慣行については、技術者の方は十分御承知のことだと思う。それも技術的に見ましても経験のきわめて浅い、安全性を重視しなければならぬこの原子力の問題について なぜ一本にしたかということであります。
  79. 藤波恒雄

    藤波政府委員 御説明申し上げます。  御指摘の点につきましては、お話しのとおり、現在の法律の第二十八条の「施設検査」と二十九条の「性能検査」を一本に合わせまして、新しい案の第二十八条の「使用前検査」ということにまとめたわけでございます。  この理由は、実は性能検査施設検査とを同時に行なったほうが適当であるというケースが、この法律を運用してみました経験からいいまして、非常に多いので、これを一本に合わせまして、使用前検査といたしたわけでございます。したがいまして、検査をするチェックポイントとか、あるいはその精度でありますとか、合格基準等は、従前のとおり行なうわけでございますので、検査の軽減とか緩和ということを考えておるわけではございません。具体的に申しまして、新しい案の使用前検査の合格基準は、その工事が「前条の認可を受けた設計及び方法に従って行なわれている」こと。もう一つは、「その性能が総理府令で定める技術上の基準に適合するものであること。」ということを二つ並べまして、したがいまして、現在の法律の第二十八条と第二十九条の合格基準を両方取り入れてあるわけでございます。  なお、先生のお話の中に、一般の施設検査の慣行につきましてお話がございまして、実際起業者が国の検査官の検査を受ける前に、大体全部テストをして、でき上がったものの段階検査を受けるのが慣行であるというお話があったわけでございますが、確かに一般の発電所等につきましては、そういう部分もございますことはおっしゃるとおりだと思いますけれども、この原子力設備につきましては、非常に精細に行なうことが省令できめられておりまして、たとえば溶接等につきましては、メーカーの工場において溶接されるものについては、その段階において行なうことになっておりますし、それから、原子炉につきましては、燃料を最初に装入する前に、燃料装入前検査と称しまして、その段階でも機能の検査をやる。その後におきまして出力を順次上げまして、最大出力までに段階を追って試運転的な運転をしていくわけでございますが、その各段階ごとに性能検査を行なう。こういうようにきめこまかくやられておるのが現状でございます。  実は、現在の法律を立案するときの趣旨は、二十八条で、原子炉の場合を例にとりますと、全体の設備ができますまでの各種段階の材料検査とか、全体ができました場合の施設の寸法、機構等を全部やりましたあとで、実は燃料を入れて出力を上げる段階でのいわゆる動特性的なもの、反応度がどうであるかというような動特性的なものは、施設検査で見られないので、性能検査ということで別条に分けてやるのが合理的であるという趣旨から、二条に分けてきたわけでございます。  実は、実際運用してみますと、そういう完全の一体としての原子力プラントができ上がっていくときはそういうことでよろしゅうございますけれども、部分的な変更許可というのが出てまいります。そういうものになりますと、原子炉の本体そのものでなくて、関連施設部分的に検査の対象になる場合がある。たとえば、燃料取り扱い設備でありますとか、貯蔵設備でありますとか、そういうものが単独に変更として出てまいりますような場合には、実態的に、現在の法律でいう二十八条の施設検査でその機構まで一緒にやってしまうというのが実態であり、それが合理的である。しかしながら、二十九条というものがあります関係上、どうしても二本に分けて、二本の合格証をつくって――同時にやっても二本に分けて処理手続をするという場面が非常に多く出てまいりましたので、そういうものにつきましては一本の合格証でやれるようにするために今度の改正をすることにしたわけであります。  しかしながら、今度の使用前検査という一つの条にまとまりましても、原子炉検査をやる場合には、この「使用前検査」という中で、材料の検査、溶接の検査、燃料装入前検査というあらゆる段階のものをすべてやりまして、最後に、いまやっておりますいわゆる「性能検査」をやりまして、その上で合格証を出す、こういうことにいたした、こういうことでございます。
  80. 内海清

    ○内海(清)委員 実際いろいろ旧法によって検査を実施された結果、このほうがいいということだと思うのですけれども、従来のわれわれの観念から申しますと、いささかどうであろうか、特に先ほど申しましたような、最も技術的経験の浅い、しかも安全性が重視されるこの原子力関係で、こういうふうに一本にされるということはどうであろうかということであります。やはりこれは施設検査ということは、あくまでもそれが完全でなければならぬということは申すまでもございません。完全な施設の上に立って今度は性能検査を行なうわけでありますから、私は、従来のわが国の慣行、あるいは検査をするに当たっても認められてまいったこの段階を踏むことが、現段階では、なおこれが最もいいのではなかろうか、こういう気がいたすわけであります。しかし、これは検査を実施された結果、他のものよりはおのずからその辺に差があるということであるならば、あれでありますけれども、その点に一つ私は疑問を持つわけであります。そういう点につきましては、従来の経験の結果、こうやったということで、これが最も正しいのであるという確信の上に立っておられると思いますけれども、これからこういう検査はだんだんふえてくるわけであります。したがって、これは業者その他としては、やはり関心を持たざるを得ぬのではないかという気がいたします。その点につきまして、重ねて御所見を伺いたいと思います。
  81. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、今度の改正によりまして、検査内容につきまして、緩和その他のことをいたすものではございません。重ねてその点を申し上げますとともに、今度の改正によりまして、設置者側のほうも、それから、国の検査をする側のほうも非常に合理的になりますので、ぐあいがよくなるという点もあるのでございます。
  82. 内海清

    ○内海(清)委員 別に検査を緩和するのではないということでありますが、こういう改正について、私も一部聞いたことでありますけれども、使用前検査で一本化したというのは、あるいは業者側の圧力があったのではないか、かようなこともあるわけであります。その点はいかがですか。
  83. 藤波恒雄

    藤波政府委員 さようなことは、全然ございません。
  84. 内海清

    ○内海(清)委員 これがなければけっこうでありますけれども、あくまでも、これは特にひとつ原子力関係でありますから、この点は厳重に行なわれなければならぬ、こういうことでございます。  それから、この検査関連いたしまして、もう一つお伺いしておきたいと思いますのは、これはたいへん失礼でありますけれども、検査官の能力の問題ということであります。現在原子力関係検査官は何人おられますか。同時に、その経験、能力、こういうものは……。
  85. 藤波恒雄

    藤波政府委員 現在、私のほうの局におります検査官は十人でございますけれども、実は原子力発電所の原子炉は通産省、それから、原子力船に設置されます原子炉検査は運輸省のほうで、それぞれ行なわれることに法律上なっておりまして、そちらのほうにはよりたくさんの検査官がおるのでございます。
  86. 内海清

    ○内海(清)委員 その経験、能力大体はわかりますか。
  87. 藤波恒雄

    藤波政府委員 学歴と、それから、こういう保安業務に従事した経験年数とによりまして、ある線を引きまして、任命をしております。
  88. 内海清

    ○内海(清)委員 学歴あるいは経験で一つの線を引いてあるということでありますが、御承知のように、原子炉の主任技術者は決定しておりますが、この検査官は、少なくとも原子炉の主任技術者に匹敵する、あるいはそれ以上の人でなければならぬと私は思うのですが、その点はどういうふうになっておりますか。
  89. 藤波恒雄

    藤波政府委員 原子炉の運転あるいは研究でありますとか、あるいは原子炉をつくります技術者でありますとかいうものと、若干業務の内容観点が違いますので、全然同じとか、あるいは同等以上でなければならないということには必ずしもならないかと思います。やはりみずから炉を設計する能力とか、あるいはその炉を動かしての研究をやるということになりますと、その面では相当高度なる技術が要求される、こういうことになろうかと思いますが、設計されたものをチェックするとか、あるいは話を聞いて審査をして、それを判断する能力だとか、あるいは検査に参りまして、一定の技術基準に適合しているかどうかを判断し、それから、寸法等につきましては、それを測定するというような判断をする検査官の能力というものは、必ずしも設計能力、あるいは炉を運転する能力、あるいは研究能力というものが足らなくても、ただいま申し上げました検査監督に関する能力が備わっていればいいものとわれわれは考えております。
  90. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろお話ございましたが、はっきりわかりかねますけれども、いずれにいたしましても、少なくとも国の検査官というのは、私の考え方によれば、いわゆる原子炉の主任技術者に匹敵するだけの人であってほしい、こういうふうに思います。それだけの技量を身につけた者でなければ、きわめて技術経験も浅いわが国の原子力関係でありますから、十分の検査ができないのではなかろうか。同時に、この検査ということは、安全性の面から申しましても、非常に重要なことに相なる、かように考えるのであります。この点につきましては、ひとつ今後十分御検討いただいて、検査官の採用にあたっては万全を期していただきたい、こう思うわけであります。  さらに、それに匹敵しまして、私は、検査官の採用にあたって経験、技術を持つ民間出身者というものを登用することを考えたらどうだろうかという気がいたしますが、その点について御所見を伺いたい。
  91. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先ほど私が、いわゆる検査官の要件について申し上げましたのは、主として一般論的な表現で御説明申し上げたのでございますけれども、現実には私どものほうの局には相当な学歴と経験を持った者がたくさんおります。大部分は、外国の原子力学校であるとか、研究所等に留学などをした者でございますということを、この際申し上げておきます。  なお、検査にもいろいろな種類や段階がございまして、単に遮蔽コンクリートの厚さがどのくらいあるか、技術基準が守られているかいないかをチェックする仕事から始まりまして、原子炉に燃料が装入されて出力上昇するときの動特性等をチェックするというような高度なる検査まであるわけでございますが、それぞれの段階に応じまして適当な数の検査官を派遣するということに努力しておるわけでございます。  なお、民間の技術者の活用についてのお話でございますけれども、このような検査は、やはり第三者的立場でやるところに大きな意味があると考えております。もちろん、企業者自身でも社内検査という段階で慎重なる検査も当然行なわれるわけでありますけれども、この法律に基づきます検査は、やはり第三者的立場でチェックするという観点から申しまして、民間の人たちを直接検査官のかわりにお願いするということは現在考えておりません。
  92. 内海清

    ○内海(清)委員 民間の技術者の登用ということは、私の申しました意味がよく御理解になっておらぬと思いますが、もちろんこれは登用してやるのであって、民間企業に属したまま検査をするということでは意味がないと思います。その点はひとつ御理解いただきたい。  それから、六十一条の二でありますが、これは核原料物質の使用の届け出の件でございます。こういう場合には総理大臣に届け出る、こういうことに相なっております。先ほども多少お話があったと思いますけれども、たとえば、最近の石油化学などにつきましては、触媒にかなりの核原料物質が使用されておる場合があるわけであります。ことに劣化ウラン二三八のものが使われるということが出てきておるわけであります。これらを、すべて原子力関係法律で律することは、その必要があるだろうかどうだろうかという気もをいたすのであります。これは私どもしろうとの考えでございますが、これを原子力関係法律で律して、届け出てやることは多少問題がありはせぬか。今後こういう面はますます広がっていくと思う。それが、核原料物質の他の部門への利用を阻害することがあっては相ならぬと思うのであります。でありますから、たとえば石油化学などへの利用というものは、もし核燃料物質が有毒であるというふうな場合には、通産省の所管の法律で考えていくのがいいのじゃなかろうか。でありますから、原子力関係法律としては、あくまでも原子力利用に限ってこれを律していくという行き方はどうだろうか、こういう気がいたすのであります。この点につきましては、あるいは米国あたりではこの問題をどういうふうにとらえて処理しておるかということもあるかと思いますが、ひとつ御所見をお伺いしておきたいと思います。
  93. 藤波恒雄

    藤波政府委員 六十一条の二の核原料物質の使用の届け出についての御質問でございますが、この規制のおもなる目的が、放射線による災害の防止であることに着目いたしますと、普通の放射性同位元素を別の法律放射性物質の障害防止法で規制いたしておりますのに含めまして規制をするという考え方もあるわけでございますが、実は、十年前に原子力関係法律を制定いたします際から、核燃料、核原料に関するものは、同じく放射性物質でありましても、障害防止法のほうでなくて、こちらのほうに一括整理して規制をする、こういう方針を立てまして、自来、その分け方にのっとってきております。その関係で、こちらの法律によりまして届け出制を設けようと考えておるわけでございます。  アメリカでは、先ほど私最初に申し上げましたような形で、放射線障害防止法の体系のほうで一括しておるようでございますが、障害防止の観点から申しますと、どちらかに入っておればよろしいという考え方で、先ほど私申し上げましたように、わが国ではこのような整理のしかたをしておる、こういうことでございます。  それから、なお、こういう規制のために利用が阻害されてはいけないではないかという点はごもっともでございまして、したがいまして、規制は必要最小限度にとどめる、こういう意味から、核燃料物質の場合のような許可制度はとりませんで、単に届け出にとどめる、あとは一般的な技術基準を制定いたしておきまして、それを守るべきことを義務づける、こういう程度にとどめた次第でございます。
  94. 内海清

    ○内海(清)委員 いまのお話もわかるのでありますけれども、原子力以外の他部門への利用というものは今後ますますふえると思うのです。したがって、そういうふうなものは、やはりそれぞれの別途の関係の役所のほうでひとつこれを律していくということで、原子力法律はあくまで原子力一本というふうな考え方がどうだろうか、こういうふうに考えるわけです。十年以前にきめられたようでありますが、その当時よりも、他部門への利用というものはおそらく非常にふえてきているだろう。今後これはますますふえる傾向にあるわけでありますから、そういう考え方もどうだろうかということを考えるわけであります。これは今後やはりどんどん出てくる問題でありましょうから、十分御検討いただきたい、こういうふうに考えます。  それから、もう時間がありませんから簡単に申し上げますが、二十三条の、設置許可のところの2の四号「原子炉設置する工場又は事業所の名称及び所在地」こういうようなのがございます。それから「(原子炉を船舶に設置する場合)」はどうかということでありますが、これは発電所の場合には、たとえばこれは東京電力の福島発電所、こういうことになると思うのです。船の場合に「(造船事業者工場又は事業所)」とするということがいかがであろうかと思うのでありまして、船の場合には、これは原子炉設置を行なう際の船舶がおります場所、たとえばむつ市であるとか、あるいはどこどこの造船所、もしくは、さらにそれに加えまして、船籍港、これでいいのじゃないかと私は思うのです。だから、この点は一ぺん御研究いただいたらいいと思う。われわれがいままで造船所関係で考えてみますというと、そういうことではなかろうかという気がいたします。この点は、もう時間がありませんから議論するあれもありませんが、一ぺん御検討願ったらいいと思います。  ついででございますから、それに関連いたしまして、原子力船ができますと、それの補修、いわゆる修理ですね、あるいは、燃料の交換、こういうことがあるわけです。あるいは、現在は、これはむつ港だけが対象であると考えておられるかもしれませんが、将来のことも考えておられるかどうか、その点をひとつお伺いします。
  95. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お話し原子力船の修理でありますとか、燃料取りかえ業務でありますとかいうものは、現在のところ、むつ市だけを考えております。将来のことにつきましては、現段階では計画がございませんが、必要な場合に検討いたしたいと思います。
  96. 内海清

    ○内海(清)委員 それでは、この二項の四号の問題につきましては、一ぺん御研究おき願いたいと思います。船の場合は、私のいま申し上げましたような原子力設置を行なう際の船のおるところ、たとえばむつ市であるとか、何々造船所ということですね、それから、もしくは船籍港、これでいいのじゃないかという気がいたします。  それから、これで終わりますが、もう一つは、七十一条の六項であります。「通商産業大臣は、前項の協議を求められた事項に関し特に調査する必要があると認める場合においては、当該加工事業者から必要な報告を徴することができる。」こういうのであります。これは私は、いま行政の一本化というようなことが言われて、行政の簡素化ということが非常にやかましいときでありますので、官庁の窓口というものはなるべく一本にしぼるべきである、こういう気がいたします。必要があれば省間の協議事項でやればいいのであって、どこもかしこもみな報告を徴するというふうなことはやめるべきではなかろうか。それで、今日までの状況を見ましても、通産省と科学技術庁の意思の疎通というのは必ずしも私はよくないと思うのであります。たとえばアイソトープの工業利用について見ましても、科学技術庁は、通産省の了解を得るために、通産省に提出書類を回覧しておられるようでありますけれども、これはずいぶん時間がかかっておるようであります。でありますから、これはその前に、通産大臣あるいは運輸大臣の同意というふうなこともございますし――こういうふうなものも最小限にしていただかなければならぬと思いますが、そういうふうに、できるだけ窓口は一本にして、事務能率の向上をひとつ考えてもらいたい。したがって、通産大臣への届け出というようなことは必要ないんじゃなかろうか、省間のあれでできるのじゃなかろうかという気がいたします。こういう点も、これはまあ事務のあれの問題でありますので、十分御検討いただきたい、こう思います。  時間がございませんから、一応以上で法案に対する私の気づきました点の質問を終わりたいと思います。
  97. 沖本泰幸

    沖本委員長 参考人の方々には、長時間にわたりどうもありがとうございました。  次回は、来たる四月一日月曜日午後一時より理事会、散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会