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石野委員 これは十キロ以内にはたいへんな人口がいるのですよ。五キロ以内のところで約一万五千人の人がいるわけですけれども、十キロになりますと十一万人ですよ。それで二十キロ以内で五十三万人です。三十キロ以内では六十五万九千人いるのですよ。五十キロになると、土浦のあたりまで行きますと、たいへんな人口になるのですよ。世界のどこの国にこんなに
周辺地域に人口のおるところはあるか、さがしてごらんなさい、まず、ないですから。私は
東海村が
原子力のセンターとして、研究所を中心として国家的な
仕事、研究に熱中するということについては、若干の危険があってもこれはやらなければならぬということは、決してそれにさからうものではありません。けれども、たとえば、原発にしましても、あるいはこの
動燃事業団が今度やろうという再
処理工場の問題にしても、これは明らかに一つの営利
事業なんですよ。原発だって、それはパイロットプラントだったということは言えるでしょう。そうしてまた、今度再
処理工場だ、こう言うのだけれども、しかしこれは全国に昭和六十年に向かって約四千万キロワットの炉を持つようになってくれば、おそらく再
処理工場はあそこだけではとまらないと私は思います。少なくともあれの倍ぐらいのものはあそこに
施設する意図があると思うのです。また、そうしなければ能率もあがらないと言うだろうと思うのです。もしその必要がないのなら、いまからはずしておったらいいでしょう。研究所だけでけっこうでしょう。私は、あまりにも便宜主義に走り過ぎているんじゃなかろうかと思う。おそらく、いま
今井さんがおっしゃられたような理由だけで
東海村に置かなければならぬのだということになったら、茨城県の人たちはちっとも納得しませんよ。やらなければならぬ理由はちっともありませんから。いまから二十年前、三十年前だったら、私は研究の便宜のためとかなんとかいうことは、よくわかります。しかし今日の
段階では、通信機関も非常に発達していますし、交通も非常によろしゅうございます。やろうと思えば、たとえば、
敷地の中に人がおるよりも、十キロ離れたところに人を呼ぶことのほうが早い場合もあります。十万坪も二十万坪もの
敷地の中でいろいろな
仕事をやっておって、その作業の中で人を呼ぶよりも、あるいは二十キロぐらい離れたところでヘリコプターで来るほうが、事によっては早い場合があるのですよ。だから私は、
事故が起きたとき云々とかなんとかいうことは、一つの言いのがれであって、全く皆さんの便宜主義からきているように思わざるを得ないのです。しかも、地域が
施設として非常に単調であれば私は多くを申しませんけれども、ここには
原子力に
関係のある一切のものが一通り整っているわけですよ。現状では、そろえられたわけですよ。そういうふうに、
施設としてもそんなに小さいものではありませんし、しかも、
原子力については、一貫作業があそこでできるぐらいの
施設が全部整っていくわけなんでございますから、
施設者としては非常に便利でございましょうけれども、その
周辺地域における諸君から見れば、これはたいへんなことになってくるわけです。私どもは、
施設者がやはり法規
規制によりまして安全を確保するということについての努力を認めないんじゃない。われわれもそれをやらなければならぬと思うから、ここで一生懸命
法案の審議をするのです。けれども、われわれの心配しなくてはならないことは、一たん
事故があったときということなんです。いま
今井さんは、射爆場の問題について、誤射、誤爆を防げる
程度のものだ、こう言いました。しかし誤射、誤爆だけが
事故の原因じゃありません。飛行機の墜落
事故もございます。しかも、ここは演習場です。演習でございまするから、ふなれな者がいろいろな演習をするわけなんでございます。実戦とは違いますから。実戦に飛び立つ者でさえも
事故を起こすのですよ。飛行機墜落
事故があるのです。それから、たとえば射爆場の射爆して迂回する
方向が、研究所なりあるいは
原子力施設の上を飛ばないことにはなっておるけれども、たまたまそれが角度を変えて、その上を飛ぶことが何回かあるわけなんです。地域の住民はそれを見ているわけなんです。そういうようなところに
施設を置いて、安全だということについて
今井さんが何の疑義も持たないとおっしゃることについては、私はあまりにもこれは不感症というのですか、横着というのですか、
地域住民の意図というものは全然無視しているとしか思えないのですね。私は大体
今井さんたちの考え方がよくわかりましたけれども、地域の住民は納得しないであろうということだけはよくひとつ考えておいていただきたいし、それから、
原子力三原則というものの意味は、い
今井さんのことばでは守られていないということを、ここに明確に申し上げておきたいと思うのだ。国会はこの問題を憂えて、ずいぶんと長い期間にわたって何べんも何べんもこのことを皆さんに注意を喚起し、そして、
敷地選定についてもいろいろと意見も述べておるわけです。地質がどうだとか、あるいは地下水の
方向がどうだとか、こういうものを調査もしないで、そういうものをほかに持っていくと不便になるかもしれないというようなことをいま
今井さんが言いましたけれども、それはあまりにも横着過ぎます。ある一定の、もうぎりぎり一ぱいのところまで何の調査もしないで、それで、そこへ行ったら、もう国のためだからしかたないから、おまえらがまんしろよというような権威主義でこの
敷地を設定しようとするならば、断固として私は反対しますから。そんなことは許しませんから。私もすぐ近くに住んでいる者です。地帯整備の問題については、やはり緑地帯を広げなくてはならないというようなことが
現実に起きているじゃございませんか。そういう問題があって地域の人々が問題の提起をしているときに、当事者である
今井さんが、どういう理由か知らないけれども、ただ便宜主義だけでそれをやるとするならば、われわれは
原子力三原則の立場に立って、民主、公開のその立場から、平和利用の
方向をはっきりと守り抜くようにしていかなければいけない。私は、
東海村になければ
日本の燃料サイクルの
開発がおくれるとは思いません。努力をしようという意図がなければどこに置いたってだめですよ。地域周辺の人々に対してこたえようとする意図がないということだけは明確にわかりました。私は、国会で論議する国
会議員としての立場と、
地域住民という立場でこのことを申し上げましょう。これは有澤
委員にもお願いしておきたいのですが、やはり
原子力の
開発の問題は急がなければなりません。私は、この
事業団の
法律ができるときには、やはりこれを急がなくてはならぬというたてまえで論議をしてまいりました。そして、附帯決議をするにあたりましても、そのことをるる当局にも、
政府にも申し上げましたし、それからまた、与野党の間でもその間の論議をしたわけです。今日再
処理工場の
設置をするということは急がなければならぬだけに、
サンゴバン社におけるところの
設計の
変更がもし行なわれる場合、一月でも二月でもおくらすということは避けるほうが賢明だと私は思います。いまの
段階では、二階堂前長官も言っているように、当局側は
東海村以外にはもう適地はないのだという趣旨での
説明しかしていないわけなんですよね。これは二階堂さんがそういう
説明だけしか聞いておりませんと、こう言っているのだから。そういうような
方向で行って、もし
地域住民が反対して設定できないということになったら、どうなるんです。それから準備を始めたんではおそくなることは明らかじゃありませんか。
原子力委員長はどういうような
指示をしているのです。そんなことを放置しておいて――
東海村における
周辺地域の意見というものを無視するという立場で指導しているとするならばよろしい。そうでないとするならば、もう少し善意な対処のしかたをさせるべきじゃないか。いま
動燃事業団がとっている方針というのは、もう明らかに、ほかの地域の
選定はしていません、そんなやり方はよくないと思うのです。私は、地域のただ単なる感情的な意味における反対をしているのじゃありません。これは全体としての
日本の
原子力開発の意味において、そして、
安全性を確保するという意味において、あるいは私の錯覚なりあるいは思い過ごしがあるかもしれませんけれども、しかし、私の思い過ごしは、
安全性のためにとって不利になるとは思いません。むしろ有利だと思います。そして同時に、私の考えられる
範囲においては、いまかりに、それは主面キロも一千キロも離れたところに
施設をするならともかくとしまして、首キロや二百キロの地域なら、まあそんなにもありゃしませんが、求めれば幾らでもあると思うのです。どことは言いません。幾らでもありますよ。いまここにたとえば福島県の大熊なんというところも、ここに地図もありますが、ここらなんかは地域では非常に受けようとしているわけでしょう。そういうところがあっても、そこへは行こうとしないわけなんです。また、その地域に行ったからといって、放射能の
関係からいっても、その
地域住民に非常に不利になるとは思いません。むしろこの福島の大熊でやっているやり方なんか見ますと、サンオノフレの
施設と大体同じような形になりまして、放射能
関係ではそれを遮蔽し、あるいは
安全性を確保する上では非常に有利だと私は思っております。そして、あの辺だったら地質の調査もしなくていいんだろうと私は思います。これは東電の資料をもらえば大体出ている。しかも、港もあります。水の問題であるいは若干問題があるかもしれませんけれども、それはやろうと思えば幾らでもできることでございますし、しかも、これは二千億という膨大な金を使ってやることでございますから、その中の一
部分ですから、やるつもりでさえあれば、私企業がやるのと違いまして将来の
安全性を確保するという意味でやれば、率直に言って、できないことはないんです。ただ、やはりあまりにもその
事業団に携わる人々の便宜主義だけでこの問題を論議されるということは
あとあとよろしくないと私は思います。
今井さんによくお考えいただきたいのですが、
理事長をなさっている井上さんが芦浜の場所でどんなに苦しんだかおわかりのはずです。私はやはりこの問題は芦浜の二の舞いをやるような前提になるだろうということだけは予告しておきましょう。私は、いままで事をあまり大きくしたくないから、いろんな問題があるけれども、善意を尽くして皆さんに申し上げてきたのです。しかし、われわれの善意が受けとめられないとするならば、やはりわれわれは地域の人々を結集しなければいけない。それは、ことさらに妨害しようという意味で言うんじゃないんですから、それらの点をひとつ
原子力委員会もよく
配慮していただいて、もう少し誠意のある地域
選定に対する行動をさせるべきだと思います。これはとにかく昭和四十年の四月一日でございました、地域の住民がこの問題について大挙して参りまして、われわれの
委員会にものを申したのは。もうそれからすでに二年、三年とたっております。全然それを
配慮してない。こういうことは私は許すことはできないと思うのです。
有津先生、ひとつ地域の問題については次善、三善の策を考えて、そうして、一日も早く再
処理問題についての
方向が確定し、その
仕事ができるようにしていくような
指示を与えるべきだと思います。御所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。