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森下参考人 いまおっしゃられましたように、大気汚染であるとか、あるいは排気ガス、ばい煙というようなものが肺
ガンの
原因になっているであろうということは、十分に想像されるところであると思います。私が
調査した範囲では、去年上野動物園の動物が四十何匹か、これはいろいろの種類の動物でありますが、肺
ガンだけではありませんが、
ガン性の
病気で死んでいるということであります。もちろん、こういう動物は別にたばこを吸っているわけではございませんが、実際に肺
ガンで死んでいる。その
原因は那辺にあるのかということでありますけれども、やはり一番大きな問題は、彼らが自然な環境から離れて人間がこしらえた不自然な食べものをあてがわれながら、しかも、こういう不自然な大気汚染の中で生活を強制されているというところにあると思います。したがいまして、動物の文明病といいますのは、これは
ガンだけではございません。たとえば、豚がコレラにかかるとか、あるいは牛が結核にかかるとか、あるいは動物園などではキリンが胃かいようで死んだりカバが糖尿病で死んだり、犬がノイローゼぎみであったりというように、人間社会の中でいろいろな
病気を起こして死んでいっている、その動物たちの文明病の起源というものが人間の文明病の起源でもあるというふうに
考えるべきだと思います。そういう広い立場に立って私たちは、特に
ガンだけをということではなくて、文明病対策というものはもっと大きな立場でわれわれ
考える必要があるのではないかというようなことをいままで唱えてまいったわけであります。たとえば、
栄養問題もそうであります。現在唱えられておる
栄養学に対しましては、私自身非常に大きな間違いがあるということを長年唱えてまいりました。そのほかにも、いろいろ問題があるわけでありますが、とにかく、もっと巨視的に、大きな観点というものを踏んまえて、そうして、こういう
病気の対策というものを
考えていかなければ、コップの中の小さな思索では問題は解決しないというような気がいたします。
それから、ついでにここで私、はっきり申し上げておきたいと思いますことは、ただいま
塚本先生が
血液の問題についていろいろ
意見をお述べになっていらっしゃいました。これは全くそのとおりであります。現代
医学のピークに立っておられる先生でありますから、既成概念の頂点に立っていらっしゃる方でありますから、既成概念を否定するということは、とりもなおさず、御自分の存在を否定するということにもつながるわけでありまして、それはとうてい私はできないことだと思います。しかし、たとえば、いま
塚本先生がおっしゃられた
考え方の中に、赤血球が成熟その極限に到達した細胞である、これは現在の
血液学の定説でありますが、この
考え方が私はそもそも間違いである。私の
考え方では、食べものが材料になって腸でつくられた細胞でありますから、きわめて原始的な細胞であります。しかるがゆえに赤血球の中には何十種類もの酵素があり、しかも、エネルギーがプールされている。最近これはわかった事柄であります。いままでは極端に成熟をした、老いぼれの、死の一歩手前の細胞であるという
考え方で赤血球を見ていたわけでありますが、その
考え方にそもそも大きな間違いがあると思います。最近の生化学の進歩は、赤血球の中の無数の酵素が含まれている、あるいは、エネルギーがちゃんとプールされていて、死ぬまぎわの細胞がなぜそういうものを持っているのか、いまの
医学的な常識では
説明がつかないという段階であります。そういうことから
考えましても、もう根本的にやはり
考え方の土台が違っているというような気がいたします。
それから
ガン細胞の分裂についてであります。いま
塚本先生がおっしゃいましたように、
ガン細胞というものは、体細胞が突然変異を起こして異常な細胞になって、その細胞が無限に分裂増殖をする細胞であるというふうに
説明をされました。これは現在の
ガンに関する定義であります。世界の
学者が、
ガンとはそういう
病気であるというふうに信じております。そういう意味ではもちろん間違いのない
考え方でありますが、しかし私の立場から申し上げますと、そういうことももちろん承知の上で、からだの中にある
ガン組織というものは、私は分裂増殖をしておらないというふうに見ております。しかし、実際に
ガン細胞の分裂がきれいに映画の中にとらえられたりしております。
東京シネマでつくられました
ガン細胞に関する映画などを見ますと、
ガン細胞の分裂というものは実にみごとにとらえられております。が、それはそういう特殊な
ガン細胞が示す行動であって、すべての
ガンがそういうふうに体内で分裂増殖をしているのではないと思います。もし
ガン細胞がほんとうに分裂増殖をしているのであれば、たとえば、現在
がんセンターで入院あるいは手術をされた
ガンの
患者さんのその組織の一片を持ってきて、そして顕微鏡の下で
ガン細胞の分裂というものは観察されてしかるべきであります。しかし、そういう観察がなされたという報告は、私は一例も聞いておりません。実際に手術をして、
ガンの組織というものは
幾らでも、いつでも、随意にわれわれは取り出すことができるわけでありますから、そういう
ガン細胞が分裂増殖をしているかどうかということは、確かめようと思えばいつでも確かめられるはずであります。そういう実際の
ガンの組織というものを取り出して、そして、顕微鏡の下でそれを観察した
学者というものは、私はいないと思います。実際には、われわれのからだの中では、定説は
ガン細胞の分裂ということでありますけれども、赤血球が
ガン細胞に変わっていることは、ほぼ間違いのない事実だと私は確信いたします。実際に、最近フランスでも、
ガン研究の権威であるアルぺルン教授が、
ガン細胞というものが分裂しているかどうかということについては、これは詳しく触れておりませんけれども、小さな
ガンの種になる細胞が寄り集まって、そうして一個の典型的な
ガン細胞に発展をしていくのだという説を唱えまして、そういう報道がヨーロッパではなされております。そういうことを見ましても、分裂増殖だけではなさそうである。分裂増殖一辺倒ではいけないのではないか。たとえば、現在の
ガンの治療薬にいたしましても、
ガン細胞は分裂増殖をするから、その分裂を抑制するような化学物質であれば
ガンはなおるであろうというふうに、きわめて単純に、機械的に
考えてその開発が進められているわけでありますが、こういう
考え方のもとでは、私は
幾ら研究費をつぎ込んでもしかるべき抗
ガン剤というものはできないというふうに見ております。また、いままで長年私はそういう
考え方を講演会で述べたり、あるいは私の著書の中ではっきりと明記いたしております。
ガン細胞が赤血球からできるということにつきましては、私が八年前に書きました「血球の起原」という本の中でそれをはっきり述べております。たとえば、吉田肉腫の場合でありますが、あの吉田肉腫の細胞というものは、実際にはほとんど分裂増殖をしておりません。種を動物の腹腔の中に植えつけますと、まず必ず腹膜に出血性の炎症が起こってまいります。そして、腹腔の中にまず
血液が浸出する、赤血球が腹水の中にたくさんまざり始めるということを前提にして、初めて
ガン細胞はふえるのであります。吉田肉腫の細胞というものは増殖していっております。その
過程を、私は八年前に書いた私の本の中ではっきり指摘いたしております。吉田肉腫の増殖というものも、私は、腹膜の炎症が起こらなければ、腹膜の炎症を起こさないように処置してこの吉田肉腫の種を植えつけたのでは、絶対にこの肉腫細胞は増殖をしないであろうというふうに想像いたしております。炎症というものが背景にあって、
血液が腹水の中に出てくるということが前提条件である、そうしなければ
ガン細胞はできない、その赤血球がお互いに融合し合いまして、そうして
一つの
ガン細胞に発展をしていくということであります。
また、実際にこの吉田肉腫の細胞を観察してみますと、形がまちまちであります。もし一定の分裂方式で細胞が増殖していくのであれば、ほとんどきまった形の細胞ができなければならないのに、増殖している細胞は全く千差万別であるということも、でき方が単に分裂増殖ではないということを物語っているように思われます。
それから、話はだいぶ前にさかのぼりますが、さっき斎藤議員が申しておられました無菌的な
血液を培養して、そうして点状の小さなバクテリアが発生をし、これが
球菌になり、
桿菌に発展をしていくことが実際にあるのかどうか、これは国の機関でひとつはっきりさせろということを申しておられましたが、この問題につきましては、私自身すでに、
SICの
牛山氏とは全然別個に
実験を行なっております。私は
SICの問題とは一切無
関係に、
血液というものは無菌的な条件のもとで、試験管の中で放置しておけば、
一体最後にはどういうふうに変わってしまうものであろうかというようなことを追求する目的で、大学時代に大ぜいの
研究員を使いまして、こまかく探索をいたしました。その結果は、この八年前に書きました「血球の起原」という本の一〇〇ページ、それから今度出しました「
血液と
ガン」という本の一五ぺ-ジに、その写真も掲載をいたしまして、その結論を披瀝いたしておりますが、これは無菌的な
血液であっても、
血漿の中に、これは実は赤血球の中にそういう点状のバクテリア様のものが発生をいたしまして、これがだんだん発育をいたしまして、そうして
球菌になり、かつ、
桿菌にまで発展をするという事実を私は認めております。
この問題は、国家の機関で追求せよということでありますけれども、私はその必要はほとんどないのではないかというような、むしろ逆の
考え方をしております。といいますのは、はっきりとそういうふうになるのでありまして、
牛山氏が無菌的に
血液を培養して、ああいう
桿菌様のものが得られたというその事実に対しましては、私は絶対に間違いがなかったというふうに判定できると思います。
ただ、そういう
桿菌様のものを材料にしてつくられた
SICという化学物質が
ガンにきくかどうかということは、私は臨床医でありませんので、これは全くわかりません。そういうことをこの際つけ加えておきたいと思います。