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1968-03-18 第58回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十八日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君    理事 石川 次夫君 理事 三宅 正一君    理事 内海  清君       岡本  茂君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    田川 誠一君       増岡 博之君    近江巳記夫君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君         気象庁長官   柴田 淑次君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  山下  武君         科学技術庁国立         防災科学技術セ         ンター所長   寺田 一彦君         科学技術庁国立         防災科学技術セ         ンター雪害実験         研究所長    斎藤 博英君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       大串不二雄君         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         農林省農政局参         事官      中澤 三郎君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         農林水産技術会         議事務局長   近藤 武夫君         建設大臣官房建         設機械課長   圷   質君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道施         設局長     松本 文彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(防災科学に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  防災科学に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。三宅正一君。
  3. 三宅正一

    三宅委員 きょうは委員会のお許しを得まして、雪等の問題を中心にいたしまして、いろいろの点で御質問をいたしたいと存ずるわけであります。問題が各省、各技術分野に関連しておりますので、多数の皆さんのおいでを願いまして、ほんとうに感謝をしている次第でございます。  まず最初に、科学技術庁研究調整局長、それから防災科学技術センター所長その他を中心にして質問を申し上げたいと思います。  雪害ということが非常に大きな産業生活上の問題となりましたのは何もいまからではありませんけれども、特に大きな影響を及ぼしてまいりましたのは近代産業が興ってからだと私は思うのであります。近代産業がなくて米を中心にいたしました封建経済の際におきましては、加賀百万石の金沢市にいたしましても、あるいは天下五港の一つでありまする新潟にいたしましても、決して表日本の都市に繁栄を奪われてはおらなかったのであります。しかるに、明治以来わずか百年にいたしまして、まだ金沢はいまでも三、四十万の人口新潟も三、四十万の人口ということで、富も文化も産業もみんな表日本に奪われましたのは、私は、何といっても、一番大きな原因は雪だと思うのでございます。そういう関係におきまして、雪の害と申しますか、その中においても一番大きな雪の害は、輸送交通関係を阻害しておるという点が根本だろうと思うのであります。もし、日本科学技術政治の力が、道路交通汽車交通、それから飛行機の航空などにつきまして、休むことなしに、平時と同じに交通関係が打開できるところまでいきますれば、私は、雪害問題の大部分が解決したことになると思うのでございます。そういう意味におきまして、実に問題は、交通関係等が一番重大であって、その結果が、金沢にいたしましても、新潟にいたしましても、それこそ表日本の小さな、昔は問題にもならなかった村のようなところの人口の発展にも負けておるというような状態に、そして、裏日本過疎地帯ができる、後進性を持つということになっておるのでありまして、その意味におきまして、私は、ようやく、雪に関しまする科学技術体制だとか、あるいは雪に対する対策体制だとかいうものが、たとえば道路交通確保に関する法律だとか、雪害地振興に関する基本的な法律だとか、いろいろできましたことはそれだと思うのであります。同時に、防災科学センターができましたのもそれだと思うのでありまして、第一に、ひとつ伺いたいのは、雪に関する科学技術的な防除方法が、ここ最近の数年間においてどの程度進んできたかということを、だれに聞いたらよろしゅうございますか、承ってみたいと思うのであります。その進展の模様を調整いたしまして、政策化する努力が一体どのくらい——調整局などがそういう仕事をやるべきだと思う。あるいは、窓口としての経済企画庁総合開発局等がやるべきだと思うのでありますが、それらのことについて、まず承りたいと思います。
  4. 寺田一彦

    寺田説明員 ただいまのお話の、最近、防雪等についての科学技術がどのくらい進歩したかという御質問でございましたが、御承知のように、いままた先生のおっしゃいましたように、雪に関する災害は、交通の問題がかなり大きくなってまいっておりますものですから、そういう意味で、防災センターといたしましても、特に交通確保に関する問題を非常に重点的に近年調べるようになっております。その結果、御承知のように、この数年間におきまして、北陸地方交通状況が、多雪時におきましても非常によくなってきていることは事実でございますが、一方、この多雪地帯交通確保の問題は、とうてい私のほうのセンターだけの仕事ではまかないきれないものでございますから、科学技術庁から科学研究促進調整費をいただきまして、それによって関連の各省研究して進んでおります。  なお、この北陸地方の雪といいますのは、御承知のように、他の地方と違いまして、性質除雪その他に非常に向かないような状態、ややしめっておるような状態でございまして、そういう意味で、その雪に関する基礎的な研究もやらなければならないのでありまして、そういう意味での研究もやっておりますし、また、なだれその他に関する基礎的な問題も研究しておる、こういう状態でございます。それで、今後もこの雪に関するいろいろな問題に多角的に対処していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 三宅正一

    三宅委員 この間も私は災害対策委員会で申し上げましたけれども、確かに昭和三十八年の豪雪のときには、今度のとは違って、雪のかさが多いし、どか雪でばさっときましたから、たいへんな交通の困難を来たしましたけれども、国鉄が、少なくとも主要な列車だけは一回もとめさせずに動かし、国道十七号線などがともかくほとんどとまらずにおりましたことは、えらい進歩だと思うのです。同じ雪であっても、この前の騒ぎというものは、河野建設大臣が、内閣に対策本部を置いて、本部長になって乗り込んできたという非常な騒ぎでありましたのが、今度はそれほどでなかったということは、私は、確かに進展だと思うのであります。しかし、ただいまも所長が申されましたとおり、雪の性質だって日本じゅうではたいへんな違いがあります。北海道の雪はさらさらと軽い雪であるから、冬になれば交通などはかえっていいという状態新潟県の雪は重くてかさが多いからして、非常に難渋だということ、そういう点で、第一に、たとえばそういう雪の性質に関する基本的な調査なんというものはどの程度まで進んでおるのであり、それから、それに対してどういう機関がやっておるのであり、そうして、それに対して一体国がどのくらい金を出しておるのであるかというような点について、ひとつ常識的なことでよろしゅうございますから、お教えを願いたいと思います。
  6. 寺田一彦

    寺田説明員 ただいま雪の質につきましての御質問がございましたが、これは御承知かと思いますが、雪氷学会というところが主になりまして、この雪の質につきましては詳しく調べ出しておりまして、この防災科学技術センターのほうにおきましても、雪害実験研究所長岡にございますが、そこの職員がこれにかなり大きな力を尽くしまして、この分類を大体いたしました。それによりますと、どこの地域はどういうような雪が多いか、どこはどうなっているかということも大体の様子がわかりました。それによりまして、そのそれぞれの雪の性質をどういうふうに進めるかということは、私のほうのセンターもそうでございますが、大学、それから気象庁もそうでございますが、そういう関係者が寄り集まって、一丸となって検討をしておる状態でございまして、近くそういう問題は、どこの雪はどんな状態になっておるかということはすっかりわかってくるかと思います。それによりまして、たとえば除雪機械も、どういうような機械が最もこれに適しているかというようなことの研究もおいおい進め得るんじゃないか、こういうふうに思っております。
  7. 三宅正一

    三宅委員 これはそういう意味で、大学研究、縦横の研究が進みましたものを、応用化し、政策化するのは経済企画庁のほうの任務になるわけですか、一体どこがまとめて政策化する組織になっているのか。あとから申しますけれども、研究機関などにいたしましても、私は、たとえば家屋固定資産税の問題を解決するためには、どういう性質の雪の降っているところは、安全性からいって、柱の大きさはどのくらいなければならぬ、耐用年限は何だとかという基礎的研究があって、その上に立って政策的なものが出てくるということにならなければなりませんから、自然科学的なものと社会科学的なものが総合されて、そうしてそれが技術的にも調整されるが、政策的にもそこから一本になって出てくるという、そういうシステムにならなければ片づかない。何千年もこういう問題を繰り返しておってまだよう片づかないということは、私は、日本政治技術の貧困じゃないかと思うのでございまして、恥だと思うのでありますから、そういう点について、これを応用化するために調整しているのは調整局仕事であるか、あるいはその責任官庁とすれば経済企画庁仕事であるか、そうして国立防災センターというものは、そういうものの政策化のためにも一局でも設けてやっておられるものであるかどうかということについて、それで足らぬところはひとつ補充してもらわなければなりませんので、それらのことについての御答弁を求めます。
  8. 山下武

    山下(武)説明員 経済企画庁参事官でございますが、お答えいたします。  現在、豪雪地帯対策に関しましての根拠法は、豪雪地帯対策特別措置法という法律がございまして、昭和三十七年にできた法律でありますが、これに基づきまして県全域を指定した県が、ちょうど十道県ございます。それから県の一部をしております県が十四府県ございまして、この指定地域に対しまして豪雪地帯対策基本計画というものを策定いたしまして、これに基づいた各種の施策を講じております。なお、関係各省庁とは実施対策につきましての連絡調整を密にいたしまして、施策の万全を期しております。  この特別措置法に基づきまして、経済企画庁は、三十五人の委員をもって構成いたします審議会がございまして、この審議会には関係各省全部委員になっておりまして、施策として十分関係各省の脈絡のとれた施策実施する体制を整えております。  豪雪地帯対策の十分な施策を講ずるためには、その基礎資料が十分得られるということが最も大事でございまして、昭和三十八年から四十二年までいろいろ調査いたしました項目を申し上げさせていただきますと、昭和三十八年度には三つ調査をいたしまして、一つは、積雪が一次産業に及ぼす影響調査といたしまして、気象協会にお願いしております。それから第二には、積雪地帯における冬季間の物資流動の実際と交通体系改善策調査積雪研究会に頼んでおります。三番目に、雪害地域住民生活に及ぼす影響調査国民生活研究所に頼んでおりまして、昭和三十八年度の調査といたしております。  それから、三十九年度になりまして、これも三つ調査を実行いたしまして、第一に、積雪が二次産業に及ぼす影響はどうかという調査国土計画協会に頼んでおります。第二に、豪雪地帯における冬季余剰労働力実態産業振興調査、こういう調査国民生活研究所に頼んでおります。それから第三に、豪雪地帯における総合除雪対策調査日本積雪連合に頼んでおります。  それから、昭和四十年度になりましてから、やはり三つ調査を実行いたしまして、積雪が三次産業に及ぼす影響調査日本積雪連合に頼んでおります。第二番目に、積雪が運輸、通信及び公益事業に及ぼす影響調査国民経済研究協会に頼んでおります。第三番目に、豪雪地帯における産業構造高度化方策調査、これを国土計画協会に頼んでおります。  それから、四十一年度には、やはり三つ調査を実行いたしまして、豪雪地帯以外の後進地域の一次産業の現状と豪雪地帯における一次産業との比較についてという項目で、早稲田大学生産研究所調査を委託しております。それから第二に、豪雪地帯と非豪雪地帯との二次産業比較分析という調査をいたしまして、国土計画協会に頼んでおります。三番目に、豪雪地帯公共投資あり方に関する研究ということで三ヵ年計画で始めておりますが、第一年度としてそういった研究を始めました。これは国民生活研究所に頼んでおります。  昭和四十二年度におきましては、これの第二年度といたしまして、豪雪地帯公共投資あり方に関する研究同様国民生活研究所に頼んでおります。  このようなぐあいにいたしまして、昭和三十八年から昭和四十二年までの間におよそ千八百二十万円の具体的な調査を行なっております。  このようにいたしまして、いろいろこの研究成果が出てまいりますので、これらに基づきまして今後も必要な調査を続けてまいる所存でございますが、やはり今後におきましては豪雪地帯対策の推進のための具体的な計画実施のための調査を具体化してまいる所存でございまして、昭和四十三年度におきましては全体でそういった調査費が五千三百万円ほどついておりまして、できるだけ豪雪実態把握施策に資する資料を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 科学技術庁におきましては、ただいまの経済企画庁政策に基づきまして、それの研究分野の問題について受け持っております。それで、大体雪につきましては三十七年ごろから実際に起こってまいりまして、私たちのほうは三十七年から特別調整費を使いまして各省と御連絡してやっておりましたが、三十九年に防災センターに、御承知のように、雪害実験研究所をつくったわけでございます。この長岡研究所をもとにしまして、各省研究体制中心といたしまして、雪害関係につきましては特別調整費のほうから一番多いときは年間約二千五百万円、少ないときでも手数百万円の金を各省にお渡ししておるわけでございます。現在、ちょうどことしで長岡雪害実験研究所が第一期計画が終わった状態と私たちはみなしております。したがいまして、第二期計画として、先ほどの北陸の雪以外に、雪の性質がだいぶ違いますので、そういう関係を織り込んで、第二期計画として雪の研究体制を進めていきたいということを現在考慮しておるところでございます。
  10. 寺田一彦

    寺田説明員 ただいま経済企画庁科学技術庁梅澤局長からもお話がございましたが、防災センターにおきましても、若干、社会的及び経済的な問題に関しても取り扱ってもいいという一項がありまして、ただしこれは雪害実験研究所ではございませんが、私のほうの第一研究部にそういう分野がございまして、その中に災害研究室というのがございます。そこで、その社会的、経済的な問題も考えていくというような状態になっておりますが、現在まだ十分の人員が充実しておりません関係上、そこまで手を広げることはできませんけれども、この問題は社会的に、経済的に非常に重要でございますものですから、私のほうは研究の結果ができるだけそういう方面に活用できるように、こういうふうな意味検討をしておるものでございます。
  11. 三宅正一

    三宅委員 ただいま経済企画庁から特別措置法の話がありまして、ともかく基本法ができますと、われわれから見ると、何をやっているかと思うほどのんびりしておるようでありましても、それぞれ進んでまいりまして、喜んでおるわけでありますが、今度の雪害におきまして、ともかくなかなか対応措置が敏速でありました一番の原因は、何と申しましても予防体制日本においても相当程度進んできたということでございまして、今度の雪害に対して大きな働きをしたわけですが、われわれの希望といたしましては、さらに緻密な長期予報、それからその際の積雪量予報その他、この体制ほんとうに進めることによって、道路、それから汽車関係等におきましては、この予報をたてにいたしまして、あらかじめ準備体制を整えるということが、非常に大きな雪害防除対策になると思うのであります。その点について、ひとつ気象庁関係から、きょうは長官おいでになっているし、主任予報官おいでになっているし、長期予報関係おいでになっておりますので、その点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  12. 柴田淑次

    柴田政府委員 大雪長期予報可能性及び今後の精度向上に関する御質問じゃないかと思いますが、この大雪長期予報というものは、御承知のように非常に大切でございまして、ことしも大体交通関係の方々には、早くからことしは大雪が降るぞ、降るぞということを申し上げておりましたので、幸いたいした混乱もなかったのでございますが、何ぶんにもこの長期予報そのものがまだ発達の途中にございまして、完全なものではございません。大体のところの見当はつきますけれども、ただいま御質問のように、いつ、どこに、どれくらいの大雪が降るかということを的確に予報するというところの段階までは、まだまいっておらないのでございます。しかし、これは非常に重要な問題でございますので、気象庁といたしましても、今後の対策と申しますか、長期予報精度向上についてはいろいろ考えておるのでございまして、先日も災害対策特別委員会お話し申し上げましたような項目につきまして、今後実施したいと考えております。しかし、なかなか思うようにはまいりませんで、いろいろな施設も増強しなければなりませんし、また、人員の面も十分ではございません。そういうような障害もございますけれども、先日も申し上げましたように、五ヵ年計画を立てまして、長期予報精度を向上するように努力したいというように思っておる次第でございます。
  13. 三宅正一

    三宅委員 その予報関係などにつきましても、観測所の網が荒過ぎるのじゃありませんか。それで県あたりも今度の雪害で要望しておりますることは、全国的にどれくらいになるか知りませんけれども、新潟県の関係については四百七十五ヵ所、県内観測所を設置しているけれども、少なくともこの倍にしなければだめだということ、それからなだれ警報機などの設置の関係だとか、それから県などが気象関係に要望している点は、除雪機構科学的除雪法進歩に対応する豪雪予測と申しておりますから、そういう点が一つ、「あ」といえば「あ」というふうに、あうんの呼吸が合うような観測予報体制を強化してもらいたいという、もっともだと思うのでありますが、そういう点いかがでございますか。
  14. 柴田淑次

    柴田政府委員 現在の観測点の数そのものにつきまして申し上げますと、もちろんこれで十分だというようなことはございません。特に気象庁として重要だと考えておりますのは、新潟県のみならず、裏日本全体を見渡してみますと、北のほうに気象レーダーがない。つまり秋田気象レーダーがないということが、われわれとしては大きな悩みでございます。一つ観測点の増強というようなことの中にも、その観測点の内容にいろいろございまして、一番お役に立ち、最も大きな成果を得ることができるのはレーダーだと思います。この秋田レーダーにつきまして、今年も最後まで建設につきまして非常に努力をいたしましたけれども、何ぶんにも財政硬直化というようなことで一年見送りになりまして、まことに残念でございましたけれども、来年度はぜひ秋田レーダーを備えつけたいというように考えております。  そのほかの、雪の積雪量をはかったりするような観測点につきましても、もちろん、各県内には谷あり、山ありで、非常に複雑な地形を持っておりますので、その点につきましても今後努力していきたいと考えております。  新潟県につきましては、近い将来農業関係農業方面仕事を主としてやります農業気象観測所をつくりたいというように考えておりますので、○雪に対してもその観測所が相当の役割りを占めるものであろうかと考えております。
  15. 三宅正一

    三宅委員 とにかく裏日本全体、それからさらに北海道にまで及びまする雪の害を、今日の科学技術の水準からいきまして、私は、もう毎年陳情にわあわあ騒がせるようなことは必要がない段階にまで持っていけると思います。その第一が、何と申しましても気象予測関係になりますので、われわれのほうでもそういう点については予算を惜しませぬようにしなければなりませんけれども、ひとつ一そう気象台等においてもがんばっていただきたいと思います。  そこで私は次の質問に移りますけれども、雪で問題になります点は、第一は家屋除雪の問題になります。家屋除雪の問題も実にたいへんでありまして、ひとつ資料がありましたらば、研究成果がありましたら出していただきたいと思いますが、表日本の雪のないところから見ますと、たいへんでありまして、一回雪をおろしますときは、ただ、さあっとなでておろせばよろしいのですが、二回目の除雪になると、御承知のとおり、おろしたところに雪がありますから、それを横に平均してまたおろして、家を建てるように積み上げる。そうして三回目、四回目になると、家より高くなる。だからして雪おろしではなしに雪積みということばを使っておりますが、雪積みをやらなければならぬという状態になる。一回目の除雪費用に対して二回目は四倍くらいかかる、また三回目は八倍くらいかかるというような状態で、想像以上に除雪ということがたいへんであります。そのために、ことしなどの雪の関係においては、御承知のとおり、出かせぎをしておる者が、女、子供ではできないからといって、わざわざ帰ってきたということなどもあるし、それから、ある過疎地帯の村においては、そういうことがかなわぬで、雪におおわれちゃって、おばあさんが首をつって死んだというような悲劇も出てきておる状態でありまして、除雪問題を片づけることが非常に大きなことであります。  しかし、これだって、除雪にそんな苦労せずにいける方法を、もう今日の科学技術段階においては考えなければいかぬのじゃないか。第一、いままでも考えられておりましたのは、屋根の傾斜を急にいたしまして自然に落としてしまうという家屋建築方法を考えてやっておられたのがたくさんある。しかし、どういうわけか、あまり普及しない。大いに普及するかと思っておると、普及しない。  それから最近できました、水をポンピングアップいたしまして、その水で屋根の雪を水にして溶かしてしまって落とす。これは市街地などにおきましてほんとうにいいことはもう当然の話でありまして、要するに、市街地道路除雪根本というものは、狭い道で交通は非常にある、家屋は密集している、そこへ屋根の雪をおろしますから、道だけの雪だったら、持って行って捨ててしまうのも簡単だけれども、あとからまたおろすということで、ちぐはぐになりまして、非常に問題が起きておりますので、市街地屋根除雪は水にして落とすのが根本じゃないかと思うのでございます。それから最近においては、屋根のひさしに電気を通してやろうというような実験も出ている。  しかしこういういろいろの方法につきましても、総合的な研究が、それから地域の特質に伴なわぬというと——長岡では民間の創意で発明されました屋根の雪の除雪、湧水除雪もあり、消雪もあり、それから道の融雪パイプもありますけれども、何と申しますか、少し統制をとらずにやったために、地盤沈下が出たり、地下水の枯渇が出たりという弊害も起きているわけでありまして、総合的にやらなければいけない。  ともかく除雪関係、雪に対する関係は、私は、何といっても水を活用することが一番の根本だと思うのでありますけれども、それはあとから御質問いたすことにいたしまして、家屋除雪に関する地域地域のいろいろな研究ができておると思うのでありますが、特に今度は長岡研究所なども、そういう点についてはいろいろ御研究を願っておるようでございますが、長岡研究所も含めて関係のところから、家屋除雪方法について、現段階でどの程度まで科学技術は解明しているか、そしてそれを政策化するためにどの程度のことをやっているか、それをひとつ御答弁願いたい。
  16. 斎藤博英

    ○斎藤説明員 家屋除雪の問題は、だいぶ前に積雪地方農村経済調査所から、急勾配の屋根で自然落下方式が推奨され、そのときにはかなりいいのじゃないかということになっておりました。しかし実際には、三宅先生も指摘されるように、あまり普及しておりません。その原因は何かということになりますと、いろいろな問題がございます。たとえば農村の場合では、わらぶきの家でございますと、急傾斜にしても落ちない。それは、雪が積もり始めるときにはまだ屋根があたたかくて、屋根と雪との接触面が解けておりまして、それが次第に凍っていきますので、屋根に凍りついた形になります。そうしますと、雪は幾ら積もっても落ちないわけです。自然落下方式をやるには、全部トタン、鉄板ぶきにしなければ無理である。しかし鉄板ぶきの場合でも、そういう凍りつきの問題はございます。しかし二、三日待ちますと、その間に寒気が去りますと解けて落ちるということになります。しかし異常な豪雪の場合には一晩で一メートルというふうな形になりますので、その辺の時間的関係は若干問題がございます。しかし一般的に申しますと、トタンぶきで急傾斜にすればよろしいのですが、かわら、特にかやぶきの屋根ではそういうことがむずかしいわけでございます。最近また屋根除雪の問題が非常な重要さを加えてきておりますのは、冬の農村における若い人の労働力がございませんから、それで何らかの形で屋根の雪ほりを、融雪なりあるいは落下させるなりの形でやりたいという要望が強くなっておるわけであります。  現在の方式としては、先ほど御指摘ありましたように、地下水融雪の問題がございます。しかしたとえば長岡でございますと、道路に利用するだけで、地下水の利用はほとんど飽和の状態に達しております。これ以上町の中の屋根に全部利用するというようなことはとうてい不可能な状態にございます。農村の場合には地下水融雪がよろしいと私は思うのですが、それに関する若干の研究をやってございます。  最近トタン屋根の下に電熱装置をつけて、それでもって融雪するという方法も考えられてまいっております。これに関しましても、まだ工法その他について完全な形には研究は完成いたしておりません。若干の研究をやっております。これは経済的には電気料が非常に高くつきますので、そういった面で、実用普及の面では難点があろうかと思います。何か特殊な場所、そういった部面に適用できると思います。  その電熱と落下方式とを併用するという形が、かなり多く積もった場合に、先ほど申しました凍りついて落ちないやつは電熱で下面だけを溶かしてやりますと、すべり落ちるようになります。その方式も研究されております。屋根雪の処理の問題に関しましてはそういうようなわけで、私のところでは四十三年度に融雪の問題を特別研究促進調整費のほうで取り上げたいと計画しておるわけでございます。
  17. 三宅正一

    三宅委員 所員もまだ少ないけれども、ともかく長岡研究所もできまして、いままで民間でやっておる急勾配の除雪方法だとか、地下水くみ上げによる水による融雪の方法だとか、消雪の方法だとか、あるいは電熱の利用の方法だとか、ともかくいろいろ筋道が立って説明していただけるようになりまして、私はそれだけでもたいへんな進歩だと思うのでありますけれども、雪の性質と雪の量といろいろの関係を勘案しながら、この程度まできて、実際においてやっておるものもたくさんありますれば、その利害得失だとか、発展方法を考慮するために、研究所で調べてもらったら、実施機関においては、山村ではひとつモデルで、このやり方とこのやり方とやってみる、もしくは政府の手でそういう住宅をつくって除雪方法を考える、もうほんとうのむだの労力であります除雪が、そういうことでもって労力を使わずに片づくことになりまして、しかも水になって落ちるからして道路交通をじゃましないということになりますと、雪害問題の一大進展であって、やる気があれば、もうここまできているから、そんなことをするのにむずかしいことはないと思うのでありますが、こういうことの政策化についてはどう考えておられるか、そして次の年にはそれをやってもらいたいと思うのです。ことしは予算の関係は片づいたかもしれぬけれども、調整費の関係でもってそういうことの実現の研究をさせるのなら、できぬことはありません。ひとつ家屋除雪と、あとからこれは建設省にも質問しますけれども、道路除雪とがほんとうに解決いたしますれば、私は雪害問題の大きな部分がそれで片づくと思うのであります。もうここまで科学技術が進んできました限りにおいて、そういう点についてもひとつもう一歩腰を入れなければいかぬと思うのであります。その御答弁をいただきますると同時に、建設省はやはり、住宅政策とすれば全体の中心のところでありますが、その研究所等において、家屋の雪に対する構造、除雪の構造、そして強さの構造、それからどれだけの雪が降れば、木造家屋なら柱としてはどれだけの太さが必要だということの研究があるかないか、建設省に聞きたい。  それから文部省の関係につきましては、あとからもう一ぺん申し上げますけれども、雪に関する法律はみんな議員立法です。さっきの特別措置法だって、道路交通確保の立法だって、公共建物の除雪補助に関する立法だって議員立法、積寒法だって議員立法、こういうことについて、私は、議員立法で進むことも非常にけっこうだけれども、何といったって資料やいろいろ持っておる、研究機関を持っておる政府において、ひとつ政府のヘゲモニーにおいてそれらが相当に前進する必要があると思うのであります。そういう点で、災害対策のほうでも、ひとつどうしても今度雪害を片づけるといっておりますが、学校の建物の除雪などに対して法律はできているけれども、実際上ほとんど適用がないという状態についてどう考えておられるか、これを改善する意思があるかどうか、その点も一緒にひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  18. 山下武

    山下(武)説明員 ただいまの水による除雪、融雪という問題が非常に効果があるという点につきましては、現在長岡等において非常に実証されております。したがいまして、これを具体化する方法といたしましては、やはりそういった構造あるいは金額あるいはそれの具体化の方法としていろいろの調査をする必要があるかと思います。できるだけこれは、現在長岡での具体的な効果等を勘案いたしまして、特に審議会等におはかりいたしまして具体化につとめてまいりたいと考えております。
  19. 圷質

    ○圷説明員 建築研究所が所管していると思いますが、本日資料を持ち合わせておりませんので、後刻資料を提出することにいたしたいと思いますが……。
  20. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 それでよろしいですか。
  21. 三宅正一

    三宅委員 しかたありません。  それで建設省の関係で、民間の住宅のことについていままであまり研究されておらぬのじゃないかと思うのでありますが、私は裏日本全体の立場からいきまして、そういうことの研究ほんとうに進まなければいかぬと思います。場合によれば、むしろ長岡雪害研究所あたりがあなたのほうと協力されてやらないと、東京におったって、そんなことには第一気づきません。その点はひとつ、場合によれば一ぺんこの委員会でもまた時間をいただきまして見に行ってもいいし、やってもいいから、ちゃんとした資料を出しておいてください。  それからこの機会に自治省に伺っておきますが、雪の降りまするたびに地方の要望といたしましては、家屋固定資産税に対する不平というものが非常なものであります。私は新潟県におりましても、雪の性質から当然の話でありますが、びっくりするのですが、新潟市の家屋の柱の寸法と、それから三条へ行きましたところの家屋の柱の寸法と、長岡で建てます柱の寸法とは、長い雪の経験からいたしまして、寸法が何寸ずつ大きくなっているか知りませんけれども、ずっと大きくなってきているのであります。斎藤博士からその点がわかっておりましたら、あとで御報告を願いたいのでありますが、違っているのであります。しかも、材木は大きな材木を使わなければならない。しかも、うちの中に物をしまわなければならない、外に置けぬから、納屋は大きな納屋にしなければならない。そうして耐用年限は少ないという状態でありますから、それの固定資産税などをまけてやることは当然でありまして、地方税だから中央でどうこうということはないと言われるかもしれないけれども、表日本で金のかからぬうちをつくって住んでおるものと違いますから、それはそれで安くいたしまして、地方の税金に穴があいたならば交付税で埋めてやるということをいたしますのが、政治の公平の立場からいって当然の話であります。ただ、私がむずかしいと思いますのは、実際問題として何年かの統計がなければ——その統計の結果として、実際上の国民の知恵として、新潟ではわりあいに寸法が細い柱である、三条はそれより太い、長岡も太い、十日町はもっと太いという状態になっておりますのは、経験からきております。したがって、それらのいままでの経験を学理的に研究いたしますれば——大体級地で分けたっていい。寒冷地の手当だって級地で段階があるのですから、厳密にさえやれば、級地で分けまして、そこの固定資産税は、よけいかかっておる分だけは家屋固定資産税を減らしてやる。そのかわりに財源の補てんは交付税でやってやるということで、ほんとうに考えてやらなければいけないけれども、いい資料がないからそれはやっておらないという状態であります。雪害対策を見ておりますと、さっきもお話がありましたとおり、全県指定されておる県と部分指定されておる県とあって、雪が降るかと思うような県までが中に入ってきて、悪平等で、ほんとう豪雪対策が役に立っていない。これが民主主義の一種の弱点ではないかと思うのでありますが、ほんとうになっておらない。だから、この点について自治省に聞きますのは、そういう点について何らかの資料を持って対策ほんとうに立てる準備ができているのかどうか。それから、もしできておらないとすれば、私はきょうはその意味各省に来ておってもらいますから、研究所などがそういうことについてもひとつ調べまして、雪による利益、不利益、そして不利益をなくして利益をだんだん広げるという意味における総合的な政策は、やはり総合的な科学技術研究とその政策化で出るに違いないと思いますので、もしやっておらないならばそういうことを本気にやるように考えてもらいたいと思いますので、その点について関係の御答弁を願いたい。
  22. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 先ほど文部省のほうの答弁がなかったので……。
  23. 大串不二雄

    ○大串説明員 除雪事業に要する費用の特別措置に関する法律の適用につきましては、いろいろ御心配をおかけしておるのでございますけれども、この法律は、蛇足のようでございますけれども、一応趣旨を申し述べさせていただきますと、平年時の除雪に要する費用に比して著しく多額を要する場合ということと、地方公共団体の財政事情を勘案しまして、特に必要があると認める場合に補助をするという法律の趣旨になっておりまして、これは御案内のとおりと存じますけれども、そういうような趣旨でございますので、三十八年度の豪雪を契機といたしましてこの法律が成り立ったのでございますが、今日まで幸いと申しますか、これに該当いたしますような豪雪が幸いございませんでしたので、まだこの法律は実際に適用された例はございません。この点につきまして、本年度かなりな豪雪が起こっておりまして、それとの関連などにおきまして、先般の衆議院の災害対策特別委員会でも三宅先生から御指摘を受けましたような次第もございますので、検討いたしたいと存じておる次第ででございます。  なお、この法律は、法律提案者は大蔵省でございまして、それからこの補助金の所管につきましては、文部省だけではなく厚生省関係がございますし、それから地方公共団体の財政負担という問題は自治省の関係もございまして、関係する省庁がいろいろございますので、関係省庁ともよく相談をいたしまして、御指摘の点につきまして早急に検討いたしたいと存じております。
  24. 山下稔

    山下(稔)説明員 家屋の評価にあたりまして、積雪もしくは寒冷の地域にありますために、損耗の度合いが増大するという事情を考慮いたしまして、積雪寒冷補正によりまして普通の評価より減点して評価するように技術基準がきまっております。その減点する度合いにつきましては、積雪の度合い、寒冷の度合いによりまして級地を分けまして、最高二五%まで減価補正できる仕組みになっております。
  25. 三宅正一

    三宅委員 私は、寒冷地の寒冷補正はありますけれども、地方の非常な不平というものが、これが何と申しますか、たいして降らぬところも降るところも、これは寒冷地の公務員の給与のあれでも出ておりますけれども、あれはわあわあ、わあわあ言って何ですけれども、なかなかわけがわからぬ。それは私どもの考えでは補正をもっとふやせふやせということが出ているけれども、一番いいのはやはりもう少し的確な資料にのっとって、そして寒冷地補正というものはいまの御説明でも、固定資産税関係だけではないと思いますので、そうだとすると、入れるべき項目は何々かというような基準、あるかもしれないが、あれば聞かしてもらいたいのですが、そういう点を加えて、しかもそれが科学技術的にも、つかみ勘定でなしにいくようにひとつ考える必要があるのじゃないかと思っているわけです。そういう意味で自治省のほかに、科学技術関係のほうで考えがあるかないかということを承っておきますが、それもひとつお教えを願いたいと思います。
  26. 寺田一彦

    寺田説明員 ただいまの固定資産税の問題に直接関係があるかどうか存じませんが、私どもといたしましても、実はいろいろな研究をやっておりますつもりでございますが、一応は長岡研究所も第一期の整備を終わりましたので、今後第二期の整備にかかるつもりでございますが、その際に先生方からのいろいろのお申し出を勘案いたしまして、そしてどういうふうに、どういう点に重点を置くかということをやっていきたいと思います。いまお話のありました、たとえば民間の家屋研究というような問題これは私どもとしても前から考えてはおりましたが、ただいま先生からのお話がありましたように、たとえば建設省と共同でやる問題というような問題があるいは出るかもわかりません。そういう場合につきましてもこれを検討したいと思います。  それから先ほど経済や社会問題についてもちょっと申し上げましたが、先生からお話がありました家屋の柱の問題その他は、これはある程度われわれのほうも調べ得る状態ではないかと思います。そういう点で今後の施策の参考になるような点はできるだけ力を尽くしたいと思っております。
  27. 山下稔

    山下(稔)説明員 木造家屋に対します減点補正を行なっております点につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、その程度の差につきましては、積雪地域、寒冷地域の区分ごとに、一級地から四級地もしくは一級地から五級地まで分けまして、積雪の度合い、寒冷の度合いが低いところは率を低く、その程度の高いところは率を高く減点補正するようにきめているわけでございます。  なおこの級地区分は、地方交付税で交付税の算定上用います級地区分を固定資産の評価の場合にも用いているわけでございますので、ただいま交付税を担当いたしております課長からこの級地区分の算出の基礎について御説明申し上げたいと思います。
  28. 横手正

    ○横手説明員 現在交付税でとっております積雪の級地区分でございますが、これは過去三十ヵ年間にわたります気象庁調査を基礎にいたしまして、気象協会積雪度と申します形で図を描いていただいておりまして、これによりまして市町村ごとの級地指定を行なっております。  現在私ども各市町村からいろいろ要望を聞いております点を申し上げますと、一つは雪質といいますか、雪の質による差を加えてほしいという点でございます。それからいま一つは、実はこれは普通交付税といいますものが、非常に客観的に算定する仕組みになっておりますので、積雪の級地指定にあたりましては、市役所なり町村役場の所在地を基準にとっておりますために、その所在地が市町村によりまして、簡単にいいますと南のほうへ片寄っておりますと、非常に北のほうには雪が多いのに、南に片寄っておりますために級地が一級地下がるというような点がございます。いわゆる級地の基準に市役所なり町村役場の所在地をとっておる、こういう点から生じます問題点でございます。  この二つの問題点があるわけでございますが、最初の雪の質によりますほうにつきましては、いま少し基本的な研究が進みません限り、なかなかこれを取り入れてかかるのが非常に困難な点がございます。後者の点につきましては、これは普通交付税の算定技術上そういう形になりますので、極力そうした面はこれを補う意味の特別交付税の算定の際にも考慮してまいるよう、今後検討してまいりたいと存じます。
  29. 三宅正一

    三宅委員 級地の問題についての不平はずいぶん多いのです。この間も実は参議院の雪害対策の方が来られたので、栃尾に一緒に行ったのですが、そうしますと、栃尾と柏崎が同じ級地で四級です。われわれが見たって海岸の柏崎と——聞いてみると、柏崎は町村合併でだいぶ雪の降るところが入っておるからじゃないかと言っておりましたけれども、とにかくそれはたいへんな違いですから、これはどこで修正するのか知らぬけれども、もう少し、さっきのお話のとおり、雪質のことを考えたりいろいろで、もうちょっとこまかい線に進んでいただきたいと思います。希望いたします。  その次に一つ道路の問題について今度は建設省を中心に、それから研究所関係と一緒にお伺いしたいと思うのでありますが、先ほどからもお話しいたしましたとおり、何といったって鉄道と、それから道路が動きさえすれば雪害問題の少なくとも半分は片づいたということになると私は考えるのであります。そういう意味でも道路除雪の問題は実に重大であります。ただ私どもは、技術的に、これは土木研究所等においても相当に研究されているんじゃないかと思いますので、研究の結果等についてもお教えを願いたいと思うのでありますが、実際のところで見まして、道路除雪についても、一番道をこわさずにやれるのはやはり水の利用だと思うのであります。長岡などでやっております融雪パイプと申しますか、そういうやり方、それからそれよりももっと昔からやっておりました流雪溝の活用であります。やはりこれが活用できれば一番じゃないかと思うのです。それからその次に考えますのは、もしだんだん経済的にも技術的にも可能になってきますればロードヒーターと申しますか道の下に電力が入っておって自然に消えるという状態が一番いいんじゃないか。ともかくブルドーザーで持っていったり、あるいはそこの横にたまっておるものをトラックに積んで遠い所に持っていって捨てるやり方、それから圧雪というやり方についても、やはり雪については機械排除、ブルドーザー圧雪等よりは水を活用するほうが根本的にはいいのじゃないか。それから電気じゃないかと思うのでありますが、その道路除雪に苦労されて、そうして研究もされておると思うので、いままでに得た成果として大体どういう結論でいったらいいというふうにお考えになっているか、まずそれを承りたいと思うのであります。
  30. 圷質

    ○圷説明員 ただいま御質問のありました水を利用する除雪につきましては、流雪溝の問題とそれから消雪パイプ、この二通りを実施いたしております。  まず消雪パイプにつきましては昭和三十九年度長岡市で初めて防雪事業といたしまして実施をいたしました。その後四十一年度、四十二年度の実施の分につきましては小千谷市、それから高田市、それから富山の小矢部市、それから直江津市、柏崎市、こういうところで消雪パイプの設置を行なっております。それから、そのほかに一級国道で三ヵ町村、地方道で四ヵ所実施をいたしております。  もう一つの流雪溝につきましては降雪害防止事業といたしまして昭和三十九年から一部実施をいたしております。各地で実施いたしておりますが、実施いたしました個所は、国道につきましては約九キロメートル、それから地方道につきまして約十キロメートルほどの流雪溝が現在あるわけでございます。  そういう水を利用する除雪につきましては、一番の問題は水が得られるかどうかということでございまして、この水の量と水の温度、それからもう一つは水の流末と申しますか、流末処理の問題があるかと存じます。そういう条件が整ったところでは、水を利用する防雪ないしは除雪がたいへんに有効であろうということで施策を進めておるわけでございます。  次に電気を利用します場合、これにつきましては、ただいまは八号国道で新潟県の曽地峠、柏崎市、それから青森市内、そういうところで一部試験的にロードヒーティングによる除雪実施いたしております。それから北海道におきましても、同じようにロードヒーティングの試験的な実施をいたしております。  そのほかにつきましては、やはり機械力を主といたしました雪の道路からの排除という形で実施をいたしておりますが、特に研究的なものといたしましては、高速除雪という、雪を路面から排除する際に非常に早い速度で雪を片づけるということ。それからもう一つは、水の利用とちょうど折衷したようなことになりますが、都市街の道路におきましては、先ほどお話しのございました屋根の雪おろし、それから路面からの雪を路肩に寄せておきますけれども、これがだんだん大きくなりまして路面の交通を阻害する。そういうことで、ただいまではその市街地の人家連檐地区におきます雪の排除、これは雪の積み込み機械とダンプトラックというような組み合わせで、天気予報、雪の状況等に応じまして実施をいたしておりますけれども、これは一部には路面の交通を一時停止しなければならぬというような場合もありまして、ただいま研究をいたしておりますのは、雪をタンクの中に積め込みまして、そうしてそれを溶かして水を流すというようなメルターと称するものをただいま数ヵ所で試験的に使っております。
  31. 三宅正一

    三宅委員 ともかく、そういういろいろの企画をやっておられる話を聞くだけでも私どもたいへんうれしいのでありまして、ひとつ本格的にこういう点が進みまして、冬になったって道路がとまったり家屋除雪で困らないというところまでは持っていきたいと思うのでありますが、そういう点から考えますと、私はかねて要求をしておった流雪溝の問題などについて、私の見ているところでは本格的に考えておらぬのじゃないかという感じがいたします。というのは、いまも話があったように、小千谷の国道でどうしたとか——小千谷あたりは前からやっておったのですが、私は、国道十七号ができますときに、当時高野君が道路局長じゃなかったかと思うのですが、どうし流雪溝をつけなさいという要求をいたしまして、つけましょうという話になってつけられたのですけれども、見ておりますと、あの三国国道のところなどは、つけておるのはおざなりにつけておるだけで、きっと研究所のほうじゃよくわかっておるのだろうと思うのだが、やはり流雪溝が役に立つためには、流量と落差の関係が相当ものをいって、そして雪の量との関係で、ほんとうに溶けてじゃまにならぬようにしなければならぬ。見ておりますと、あれなどはおざなりにつけておりますから、ほんとう豪雪にはかえってじゃまになる程度で役に立たぬようです。そういう点について、流雪溝の利用などについてももっと研究をして進めてもらいたいと思うのであります。  それとともに、もう一つ私はいつもやかましく言っておりますのは、川の堤防をひとつ除雪道路としてほんとうに利用しろ、川の堤防と道路とを一緒に利用することが、技術的に堤防を弱くしたりいろいろ心配があるかないかということについて、数年前に河川局長と道路局長と一緒においでを願って、技術的に検討してもらったんですが、そんなことはない、かえってかたくなってよくなるという話です。そういう点についての、私は役所の予算のとり方とか、いろいろな関係で、むずかしいんじゃないかと思うのだけれども、盛んに主張いたしまして、それができておらぬのです。たとえばそれは、河川の道路をバイパスにでも使いますと、これはもう川のほうにはうちはできはしませんから、機械で排雪されましてもそれで流れてしまうので非常によろしい。災害対策委員会でも実は私は言ったのでありますが、この間見にいきますと、長岡から自動車で見附を通って栃尾へ入りますのに、見ていきますと、狭い見附の町のところが交通路になっておる。それで、屋根から雪をおろして道ばたに雪がたまっている。ちょっと大きいのが来ると三時間もとめられるというようなばかなことをやっておる。栃尾なんというのは、御承知のとおり繊維産業で生きている町であって、だから輸出するのが間に合わぬで、自衛隊が出てきて手伝って、ようやく神戸の荷積みに間に合ったという話をしておりまして、どうしても、ひとつあそこはバイパスをつくってもらわなければいかぬ。バイパスをつくるには刈谷田川の堤防の改修をやっておられるのだから、あそこをひとつ使ってくれれば一番便利だということを言っておったのであります。その点について、これは具体的な問題は具体的な問題としてのみ込んでやってもらいたいと思うのでありますが、要するに、基本的に、もう少し堤防を、少なくとも積雪地帯においては、除雪を兼ねた道路として使うことが、住家がないのですから、一番よろしい。  同時にもう一つ建設省に注文したいことは、できておるかもしらぬけれども、できておったらもっと徹底してもらいたいと思いますが、県道を指導いたしますにしても、市町村道の建設を指導するにいたしましても、国道はもとよりでありますが、機械排雪をやられるということになりますと、道幅は雪のないところよりはちょっと広げておかなければ問題にならない。私は、今度の雪で、新潟県で、国道のない市が三つあると言っておいた。その一つが栃尾でありますが、主要地方道として県道がようやく改修になった。この前は、田中角榮君が社長をやっておった栃尾鉄道も動かぬし道路も動かぬから、塚田君が知事で、ヘリコプターで物を持っておりて、ようやく人心が安定した。市がですよ。そんなばかなことをしておって、そしてあそこは、何十億という織物の輸出をやっておる町だ。そういう状態でありまして、県道しかないのであります。そして、国鉄も通っておらぬし、国道もないというところなんです。それで、市長がいつも言っておりますが、せっかく県道の改修をやってくれたけれども、うちが建ってしまったらまた二車線で通れる除雪ができない、だから、あらかじめ少くとも二メートルくらいのものは余分にとっておいてくれなければ問題にならぬ。国や県に金がないのなら、市が借金しても買っておかないと、ほんとう産業の基盤ですから、と言っておるのでありまして、ひとつそういう点について、もう少し、かゆいところに手の届くようなあれをやってもらいたい。そうして、先ほどお話がありましたとおり、長岡の例を見ましても、あるいは小千谷の例を見ましても、十日町が流雪溝をやったそうでありますが、ともかくそれはもうその費用が、二年くらいの除雪費で出るというのであります。だからして、それに対する助成等をほんとうにやると同時に、雪寒道路基本計画の中に、水をとる初めのところと流末の処理とかいろいろの処理についても指導と助成の対象に入れることによって、もう少しひとつ道路関係は完全にいくようにしていただきたいと思うのであります。よくそれだけをひとつ。
  32. 圷質

    ○圷説明員 ただいまの御趣旨のほどを、帰りましてよく御報告をいたしまして、御趣旨に沿うように努力したいと考えております。
  33. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連して。私の秋田県の南部の積雪道路関係は、非常に消えたり積もったりする度合いが激しいわけであります。一年のうちに何回雪が消えて何十回雪が降るか、そのたびに自動車はみんな四輪にチェーンを巻きつけるわけです。そうしますと、舗装の完備いたしました国道を走るときは、アスファルトの上をチェーンを巻きつけたまま走るわけです。というのは、国道をはずすと雪が積もっておるわけです。私、国道七号線の早期建設のためにはだいぶ努力をした一員でありますけれども、完成をしてみると、あのチェーンを巻きつけて、重量十トンに余るトラックがガァーツと走っていくのでありますから、あれはすぐこわれてしまうのではないか、こう思うのです。そうするとチェーンをはずして走ってくれという規定を設けられるものか、設けられないものか。  そのトラックが今度国道をはずして町村道ないしは県道に入るというと、もうチェーンを巻かなければ走れないという。また逆に今度はその県道、町村道でも、山のほうに行かないで海岸に近いところのほうは早く雪が消えるわけでありますから、山のほうへ行く場合には、やはり雪のないところのトラック、乗用者はチェーンを巻いて走っていかないと、雪道へ入ると危険である。そうすると、雪が消えたところをチェーンを巻いて走りますと、一ぺんでそろばん道路になってしまう。ですから私のほうの県では、舗装したところは雪が消えるとチェーンでもって早くこわれてしまう。それから舗装しないところは、だんだん山奥深く行くと、雪が消えるに従って道路はそろばん道路になってしまう。でありますから、東北及びその他の積雪地帯に対する道路政策というものは、よほど考えてやっていただかないと、雪の降らないところの道路と雪の降るところの道路というものは、自動車に対しては全然状態が違うわけであります。でありますから、一年ごとに、舗装をしてない道路は、どんなに砂利を食わしておいても、そろばんになってしまう。非常に危険であります。それに雨が降ると水が一ぱいたまるのでありますから、そういう状態に対して、道路政策上どういう考え方を持っておられるか、もしきょう御回答を得られなかったら文書によってでもいいですから、ひとつ御回答願いたいと思います。
  34. 圷質

    ○圷説明員 前段にお話のございましたタイヤチェーンは制限ができないかどうか。タイヤチェーンでございますが、そのお話は、いまの制度上はタイヤチェーンは制限できないということでございまして、現実には軽いほうの車——乗用車系でございますが、大体はスノータイヤないしはスノータイヤにまたスパイクという鉄のびょうの打ってありますスパイクタイヤというようなものに置きかえられつつあるわけであります。しかし大型車等におきましては、まだタイヤチェーンをかけて走るというのが多いようでございますので、おっしゃるような状態だろうと思います。  ただいま、舗装のチェーンによる摩耗につきましては、たいへん役所としても困っており、大体アスファルト系の舗装の場合は、三年ぐらいたちますと、また舗装を打ち直しまして摩耗層を取りかえるという形で処理している。それから一部東北等の地区におきましては、アスファルト舗装をコンクリート舗装にかえていく、新設いたします場合にはコンクリート舗装のほうにかえていくというような傾向が見られます。  先ほどお話しのございました砂利道につきましては除雪というものが非常にむずかしい、それから路面まで全部雪をとりますと、凍上その他の問題が起きるというようなことで、路面に幾分雪を残せば今度は解けた場合にでこぼこになります。また、夜になると凍りますから、非常に異常な形で凍るというようなことで、その対策がむずかしいのでございますが、本質的にはやはり路面の舗装を急ぐということが本格的な対策であろうと思うのでございます。
  35. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私はそこが非常に研究の必要なところだと思うのであります。スノータイヤにかえて、いまのスノータイヤを乗用車につけて雪道を走りますと、大体の雪道は行けるのです。しかし坂道にかかって車と車がすれ違うときに一ぺんストップすると、それで立ち往生する。あと、スノータイヤはきかないのです。それですから、普通の、平たい道路を走るというときには、大体の雪はスノータイヤで行けますけれども、ブランチロードを入ってちょいと坂道があるというようなところで、うっかりスノータイヤをつけてストップすると、もうあとその車は動かないということになってしまうのですね。だからスノータイヤに切りかえるのはいやだ、どこでストップを食うかわからぬ、こういうことであります。ですから、そういうところに、大体いままで何メーターぐらいの道幅でどのぐらいの傾斜のロードであればどのくらいの雪はスノータイヤで行けるのだ、そして融雪度合いですね、どのぐらいの雪の状態のときにはスノータイヤで行けるのだということになると、非常に便利になるかと思うのです。何かいまですと、どんどん道路政策が進んで、舗装道路がたくさんできますと、ある場合にチェーンをかけて走っておると、チェーンはアスファルトとかコンクリートとの摩擦によって三キロぐらい走るとぷつぷつ切れちゃうのです。切れたところで、今度はチェーンなしで雪の道路へ入っていかなければならぬというような非常にやっかいな場面ができる。だから人知の進むにつれて道路政策が進み、それに適応して自動車が安全に運転できるということが、私は科学技術進歩だろうと思っておるのですから、ひとつこういう点に対しましても十分研究をしていただきたいと思います。
  36. 三宅正一

    三宅委員 ただいま齋藤さんからもお話しがあったわけですが、ともかく、国道、それから県道までは大体いくようになりましたけれども、県など、ちょっと雪が多いと、道路除雪の費用というものは非常な大きなものであります。  同時に、市町村の、主要な学校、役場その他部落の中心までの道路というものは、どうしたって冬だって通るようにしなければなりませんので、これをやらせるのには、機械の助成についても、いまもやっておられますけれども、もう少しやかましいことを言わずに機械の助成をする。同時に、やりました費用についてもひとつ見てやる。それから、融雪後いたみました道路の補修について、これもやはり雪害一つですから、見てやる。そして、最終的には除雪が完全にできる道路に、幅にしても、それから流水溝が使えるところは使うし、流雪溝が使えるところは使うし、いろいろのくふうをしていく、そして舗装道路にする、こういう交通政策の推進ということがやはり必要だと思うのであります。新五ヵ年計画にはひとつそういう点もほんとうに織り込んでやっていただきたいと思います。御返事がありましたらひとつ伺っておきたいと思います。
  37. 圷質

    ○圷説明員 府県道につきましては、ただいまの除雪費——除雪機械除雪費、改良費等の除雪に関する費用が、すべて国の三分の二の負担において実施されておるわけでございます。  市町村につきましては、ただいまのところ除雪機械の補助ということで五ヵ年は計画されております。
  38. 三宅正一

    三宅委員 新五ヵ年計画もそういう計画になっているのですか。もう少し広がらぬか。
  39. 圷質

    ○圷説明員 市町村につきましては、除雪機械ないしは先ほどの流雪溝、消雪パイプ、そういうものに限られております。
  40. 三宅正一

    三宅委員 道路交通の問題と同じ、あるいは以上に大きな役割りを果たしますのが、鉄道の運行の正常化であります。  これも、三十八年のときのあのひどい状態、あれから画期的に、機械の整備もできる、線路の整備もできる、流雪溝の利用などもできるということで、確かに相当に進んだと思うのでありますが、先般の災害対策委員会のときにも申しましたとおり、第一次規制、第二次規制から第五次規制まであって、ローカル線が、それによって、ひどい目にあうとか貨物が間引かれるとかいうことなしにいけることが一つほんとうに大事であります。それから、新潟の鉄道局の関係などが、雪害対策ほんとうになれてもきたし、進んでもきた。また、長野の鉄道局になると、飯山線が相当不通期間が多い。只見線も、越後側は一回もとめずにおりましたのに、福島県側がとまっておる。私は行ってきたわけじゃないけれども、雪の量からいったら、むしろ小出から出て阿賀野川のそばまでいっております越後側のほうが雪が多い。これは、なれと施設、それから鉄道局が雪の多いところだから機械を持っておるというような、いろいろの理由だと思うのですけれども、こういう点がもうちょっと進みますようにひとつ特段の御配慮を願いたいと思うのであります。飯山線のほうについては、場合によったら、新潟県の中を歩いておる線ですから、除雪に関する限り新潟の鉄道局も初めから責任を負う体制にするというようなことはどうだろうかと私のほうは考えておりますが、いかがでございますか。
  41. 松本文彦

    ○松本説明員 大部分は国鉄の新潟の、あの辺の線路の除雪ということについての御質問でありますから、お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたのは、私どもの管理体系によって除雪の技量と申しますか、それに巧拙があるのではないか、あるいは設備についてのいい悪いということがあるのではなかろうかというふうな御指摘だと思います。  まずこの設備の問題、確かに御指摘ございましたように、会津線のうちの新潟県側と福島県側で相当列車の運行状況その他に差が出た、これはおっしゃるとおりでございます。これにつきましては、あの線の福島県側というものは、先生も御案内かと思いますが、要するに電源開発のための材料運搬の線路を国鉄の線路として引き取ったものでございまして、当初の建設当時から防雪の設備というものの考えられ方が非常に少ないということで、私ども引き取りましてから、鋭意これの防備の体制の強化というものに努力してまいっておりますが、どうもまだ不十分な点がございます。そういう点で若干不通時間が長くなるというふうなことでございますことを御了承願いたいと思います。  それから、飯山線の除雪のじょうず、へたということにつきましては、現在長野の鉄道管理局がこれを管理してやっておるわけでございますが、当然新潟に非常に近い部分につきましては、新潟の支社もこれに十分協力しておるはずでございますし、また長野の管理局というのは、国鉄の中では少なくとも除雪に対しては非常にじょうずといいますか、非常に経験の豊富な管理局になっておりますので、そういう点の違いによる御不便のかけ方という点については、別に差異はないのではないかというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  42. 三宅正一

    三宅委員 飯山線の問題はその程度にしておきますが、ともかく鉄道の関係を見ておりましても、二月の十五、十六日に関東で降って、そして電車とあれでこの区域で五千回ぐらい間引いたと聞いております。転轍機が凍って動かぬようになった。転轍機などについては、少なくとも雪害地方は三十八年ぐらいまではどうだったか知らぬけれども、転轍機が凍りついたために動かないようなことのないように、保護施設をちゃんとやっておるのでございまして、そういう点が雪害を非常に少なくしておる。しかし東京なんというものはあの程度であれだけに混乱を来たすというようなことでは、これはまた経済、産業中心であるだけになお困るわけでありますから、そういう点についての寒さに対する警戒とか、雪に対する警戒というようなことについて、なれない地方にも、転轍機の問題などは、私は、もうあなたのほうで解決されておかなければならぬ問題じゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  43. 松本文彦

    ○松本説明員 まことに適切な御指示をいただいたわけでございまして、この点につきましては私どもも実は大いに反省はしております。現在の段階ではどういう設備をやったらいいかということについては、いま先生御指摘のように何も疑問はございませんので、問題は平素あまり雪の降らない、十年かに一ぺんしか降らないところに対して、そういう設備をするかどうかということに尽きるので、国鉄の予算事情がいままで窮屈でありましたために、いろいろな雪に対する設備というものが主として雪国に限定されておりましたという点で、そういう点の反省といたしまして、東京辺あるいは大阪辺の非常に交通量の多い区間、そういう区間に対する基本的な設備というものは、もう少しなお今後考究していく必要があるということでは十分反省いたしております。
  44. 三宅正一

    三宅委員 時間がだんだんなにでございますから、主として農林省の関係についてお伺いしたいと思うのでありますが、ともかく道路交通関係、国道、それから国鉄の幹線の関係が、たいへん雪害対策が進みましただけに、山村地帯が非常に立ちおくれを感ずるわけであります。特に最近の経済、社会の動きからして、農村は過疎状態になっておる。葬式をしても、雪の中じゃ棺おけをかつぐ者が足らないというような状態まで出てきておりまして、実にびっくりするわけでありますが、今度積寒法ももう少し拡充して続けさせようという意味で、きょうあたり本会議を通ると思いますが、予備費をつけていただいて、そうして年限も延ばすことにいたしたわけでありますが、農林省として、雪害対策研究機関としてどういうものを持っておられて、そうして実際の施設としてはどういうことをやっておられるか。特にこれからはなだれの問題、それから融雪期における洪水の問題、それから、雪が解けるのがおくれるために農作物の問題が起きる、それからおそらく果樹の関係が、枝が折れた、どうしたというようないろいろな関係が起きてくると思いますので、これらの点について、いままでやっておられることその他について伺いたいと思います。
  45. 近藤武夫

    ○近藤説明員 農林省関係雪害に対する試験研究といたしましては、農作物なりあるいは林木に対する雪害を主として対象として取り上げてやっておるわけでございます。  それで、雪害といたしましては、大きく分けまして、果樹とか林木に多く見られますところの機械的な雪害でございます。第二番目には、麦類とかあるいは牧草類、そういった越冬作物に主として見られますところの生理的な雪害の問題。第三番目に交通通信が停止いたしますとか除雪に労力がかかるとか、融雪時に出水いたします。それから消雪が遅延する、そういったことに伴いまして播種とかあるいは植えつけ作業が遅延する、こういったことによる被害、こういったものがございます。  これらの雪害に関しましては、北陸農業試験場あるいは林業試験場、園芸試験場というような国の研究機関対策研究をやっておりますし、それから多雪地帯の各県の農業試験場なりあるいは林業試験場等に対しまして研究の助成を行なっておるわけでございます。  以下、これらの雪害に対する研究の内容をごく簡単に申し上げますと、まず第一に融雪の促進の関係がございます。融雪の促進法には、雪面の黒化法と雪面のうね立て法という二つのものが用いられております。雪面の黒化法と申しますのは、黒化剤を雪の面に散布する方法でございます。それから雪面のうね立て法と申しますのは、外気に対する接触面を増加いたしまして、自然融雪を促進する、こういう方法でございます。いままでの試験結果によりますと、融雪の初期には雪面の黒化法が有利であり、末期、特に融雪遅延の年には雪面の埋め立て法が有利である。また大規模な消雪法といたしましては両方を併用することが適当というような結論が出ております。  この雪面の黒化法につきましては、黒化剤に何を使うか、あるいは散布法といたしまして、非常に大きな規模のものといたしましては、ヘリコプターを使うということもできるわけでございますが、やはり地上から散布する方法が実用的であると考えられておりまして、雪上車による散布等につきまして検討中でございます。それから黒化剤といたしましては、主としてカーボンブラックを用いておりますけれども、さらにあれよりもすぐれた融雪性能を持つところのある種の工業副産物、たとえば微粉炭の燃焼灰を使うというような研究をいたしております。  それから第二番目の研究の柱といたしましては、機械的な雪害の防止に関する研究でございます。  先ほど言いましたように、主としてこれは果樹でありますとか林木に用いるものでありまして、枝折れとか倒伏が問題でございますが、最近測定器の発達によりまして積雪の沈降力あるいは匍行力あるいは冠雪の荷重等を遠隔測定記録することが可能になりまして、これらの力の大きさなりあるいは発生消長の状態がわかるようになりました。それによりまして雪害防止の基礎資料がだいぶ整えられつつあるのでございまして、これらの沈降力、匍行力、冠雪の荷重等と雪害との関係が明らかにされつつあるのでございます。そこでこれらの資料に基づきまして、樹種の選定の問題でございますとか、あるいは栽培の管理法、林木の場合にはそういう保育、造林の保育上の対策、そういったものに関する研究が行なわれつつある現状でございます。  それから第三番目に、生理的な雪害の問題といたしましては、やはり一番中心は牧草関係でございまして、イタリアンライグラスというものを中心研究を行なっております。大体いままでにわかりましたところでは、積雪が三ヵ月以上続きますと雪腐れ病という病気が出てくるということで、その対策研究しておるわけでございます。第一に、降雪前の刈り取りの時期によりまして雪腐れ病の程度が違ってくる。根雪の一ヵ月前までに刈り取ればだいじょうぶというような結果が出ております。それから耐雪性の牧草の種子の育種をやっております。  大体そういうようなことでございますか、なお、なだれ研究につきましては、林業試験場が十日町試験地等を利用いたしまして、防災林の機能に関する研究をずっと以前からやっております。営林局等においても行なわれておるわけでございます。最近におきましては空中写真によりましてなだれ防止の機能を判定する方法というような方法研究いたしております。また、なだれの防止方法に関する研究もいたしておる、こういうような状況でございます。  大体以上のとおりでございます。
  46. 三宅正一

    三宅委員 いろいろ融雪の促進について機械的に、それから園芸等の分と、それから苗しろ等についてあれでございますが、何といったってやっぱり基本的には基盤整備が雪国においては本格的にやられなければならぬ。私ども、小さいことだけれども、この間も話を聞いてびっくりしたのは、圃場整備事業をやる。圃場整備事業をやって、あぜですが、なるたけ高いあぜをつくりますと、秋づくりまして、次の年に雪が降ると落ちちゃう。初めからコンクリートのあぜにする指導をしておりますればそれはなん、だが、それには金がよけいかかるからというようなことになると、助成の関係ほんとうに考えなければだめで、そういう点についても、おそらく試験研究機関ではどれが長もちしてどうだということは調べておいでになると思うのでありますが、そういう点だとか、さらにひとつ考えなければならぬのは、最近は農村対策というのは雪害地などは一つ過疎地帯対策としてほんとうに考えなければならぬことになってきておる。この間も、さっきも申しましたとおり、孤独に耐え得ずに年寄りのおばあさんが一人で留守居しておって首をつって死んだということがありました。どうしてもひとつ思い切って、たとえば部落が方々に点在しておってそこまで道をつけるのもたいへんだというような事情のところ、そしてさびしいためにむしろますます過疎化しているというところについては、少なくとも道路がちゃんとついて、そして雪上車ぐらいは必ず行くし、そうでなくても、もっといいのは、普通の車も入れる程度のところへひとつ集団的に住宅を移して、除雪の費用もかからぬような県営の住宅にするとか、そこに診療所もちゃんと置くとか、そういう意味のもう一歩進んだ農村における雪害対策というものを考える段階に来ておるのではないかと思うのであります。厚生省等も考えておられるだろうし、農林省も農民の生活問題ですから考えておられると思うのでありますが、それらについてのお考えをひとつ聞かしていただきたい。だんだん人がおらぬようになりますから、したがいまして、戸数が減ってまいりますから、酪農地帯などといたしますれば、炭焼きに使っておった雑木林をほんとの牧草地帯にいたしまして少し大規模なあれをやる。そういうことをするには、やはりたとえばパイプでもって雪の降ったときには下までおろせる施設をやってやるとか、それから無医村の診療所について、雪上車をつけただけでなしに、雪上車と同時にその付属の設備などについてもちゃんとやるとか、いろいろやはりもう少しかゆいところに手の届く、それもひとつ科学技術研究で裏づけをされた政策というものが思いつきでなく出てこなければいかぬと思うのであります。ひとつ農林省と厚生省の関係においてその点について御説明願いたいと思います。
  47. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話の初めに御指摘のございました畦畔の問題でございますが、確かにお話のようにコンクリート畦畔にいたしますれば、その点は堅牢になりましていいのでございますけれども、圃場一整備等を行なう場合に、コンクリート畦畔はいけないというようなことを言っておるわけではないのでございまして、かつては一部の地域でだいぶコンクリート畦畔等もやりましたけれども、最近の傾向は、むしろコンクリート畦畔をいたしますと、機械等が入って耕作する場合に、逆に非常に不便であるというようなことから、むしろそういう畦畔でなしに、やはり土で固めた畦畔というものを望まれる地域が非常に多いのであります。そこで、そういう方法をとった場合に雪害その他災害のおそれもございますので、要は今度は比較的圃場の区画も大きくなったりいたしますと畦畔をじょうぶにいたしまして、できるだけ災害を未然に防止するような設計施工、そういうことにさらに研究を進めていかなければならないと思っております。
  48. 上村一

    ○上村説明員 大雪地方の医療を確保するためには、先ほど来お話が出ておりますように、道路除雪でございますとか、あるいは道路の改良といったことが根本的な対策だろうと思いますが、それにあわせまして、私どもにおきましては僻地に対する医療対策の一環としてこの仕事を進めております。と申しますのは、私ども無医地区を調べましても、鹿児島のように島の多い地区は別といたしまして、北海道とかあるいは青森とか福島といった雪の多い地区に無医地区が多うございます。これに対しましては、従来から、診療所を建ててその運営費を見るとか、あるいは患者をもよりの診療所に運ぶための車を整備するとか、あるいは特に大雪地帯に特殊なことでございますけれども、雪上車を整備して巡回診療をするとかいったような対策を立ててきております。四十三年度におきましても、従来の対策に、より機動力を加味してこういった仕事を進めるつもりでございます。
  49. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連。いま三宅先生のいろいろな雪に対する御質問、当局よりお答えになっておるわけでありますが、消極的な豪雪対策とそれから積極的な豪雪対策、それの関連質問として科学技術庁に伺っておきたいのであります。  積雪地帯における経済の貧困の最も大きな原因は、十二月から三月まで最小限度四ヵ月は農家においては何にも仕事がないということで、いかに豊作であっても、この四ヵ月の間に黙っておればみな食いつぶしてしまう。これはもし労力が活用される余地があるとすれば、どうしても出かせぎという形になり、冬はよその地帯に行ってしまう。出かせぎ対策もずいぶんやったのでありますけれども、これはやはりプラスの面とマイナスの面があって、社会問題としてわれわれの秋田県のごときは非常に大きな問題となっております。でありますから、結局雪の降るときにいかなる仕事を農村に与えて、そうして収入の道を講ずるかということが、積雪地帯に対する積極策として、ぜひとも科学技術上のたてまえから解決をしなければならぬ問題である。ですから家内工業でこれをどれだけ補えるかということであれば、その土地土地に適応した仕事冬季間は国策として積雪地帯に持っていく。そしてそこにある管理制度を設けておいて、家内工業としての商品をつくり出して、そしてこれは労力不足の生産状態に間に合わしていく。また私のほうの秋田県は穀倉地帯である。これは食糧基地として将来の日本の独立国家における食糧の重大面を受け持たなければならないということがしきりに唱えられておりますけれども、冬になりますと、野菜その他一切が汽車によって逆送されてくるのであります。おかしなことには、アズキもやしでも豆もやしでもみんなビニールの袋でもってわれわれの家庭にやってくるわけであります。一体豆もやしぐらい、アズキもやしぐらいどうしてこしらえられないのかというと、農家の家庭が、雪に対しては、生産状態というものに対して何らの考慮も払われてない。だから作業場の床を高くして、そして床下で電熱によってもやしをつくるようなことをやれば、もやしぐらい逆送されなくても、それは一つの食料品として収入の道があるんじゃないかと思われるけれども、そういうこともやっておらない。雪が降るというと何にもしないでめしを食っているということでありますから、これはどうしても出かせぎというものをしなければならぬ。出かせぎをやりますと、そこへ大きな社会問題が生まれてくる。でありますから、こういう点は農村地帯であれば農村地帯として農林省が担当して、そういうものを大いに考究していかなければならぬし、それから通産省もまたそういう点から、農村の家庭においていかなる副業が成り立つかということも研究してもらわなければならぬ。そういう点がいろいろ研究されて適切な収入の道がふえますと、積雪地帯の経済状態というものの何割かは私は上昇しようと思うのです。これは必ずできるはずなんです。四ヵ月間何にもしないでめしを食っているのと、それから働いて収入を得るのとでは、一ヵ年の生計から見るというと、経済的にはそこに大きな変動があるわけでありますから、必ずプラスの面が出てくる、こう思うのです。そういうことには一つも手を打ってないのです。  そこで私は科学技術庁に伺いたいのですが、こういう点に対していかなる処置を講ずべきかというような研究体制に対してその調整費を使うというのが、私は一番調整費の価値を生み出すのではないか、こう思うのですけれども、そういう点に対して徹底的にひとつ研究をしていくということであれば、これは農林省、通産省、厚生省、あらゆる省庁に関しての問題でありますから、ひとつ思い切って調整費を出す。各省庁からこれに対するいかなるアイデアがあるかというようなことを積極的にやる。そして積雪地帯におけるところの家計に対してプラスする道というものはどういうふうな道があるかということに対しても、どうせ防災に対して調整費を出しておられるのでありますから、積極面に対してもひとつ調整費を出して各省庁に呼びかけて、こういう収入の道を増していくということをやったらいいんじゃないかと思うのでありますが、局長、一体どういうふうに考えられますか、御答弁願います。
  50. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 斎藤先生のおっしゃることまことに同感でございます。ただ私どもの現在までの特調費で考えましたところ、いままでいわゆる技術の面があるところまで伸びてきた、それがどこに使えるかというような考え方で進んできたと思います。いま先生の御希望といたしましては、社会面あるいは国民生活面、そっちのほうからこういうものをやったらどうか、そういうことに対して各省が一体になってこれを緊急に片づけるというものに特調費をお出しになるというように私は聞きましたが、確かにその面においてはそうやるべきだと思います。現在特調費の使い方につきましても、前々からいわゆるそういう緊急に役立つものにできるだけ主体的につけて、二年かかってもそれを片づけるという考え方をとりたいと思っておりまして、できるだけそういう技術から考える以外にいろいろな他の方面から出た要求を緊急に片づけてその技術をつくり上げるという方向に進ましていただきたい、こう思っております。
  51. 三宅正一

    三宅委員 ただいま斎藤さんからもお話がありましたが、いまは豪雪過疎地帯対策総合政策というものをまとめる任務をどの省が持っておるのか知りませんが、そういうようなことを技術的にやるのには、いまの齋藤さんの御質問のように科学技術庁が考える、あるいはまた、経済企画庁雪害の窓口であるから考えることになるのか、どこかでそういうことをやっておりますか。やっておらないとすれば、ひとつ本気に考えてもらいたいと思うのです。たとえばその過疎雪害地帯でいろいろの陳情書をよこしているのですが、消防に関しては、消防が困るから小型の動力ポンプの増設を促進したい、防火水槽のスタンドパイプの設置等に国庫が助成してもらいたいという希望でもあるかと思いますと、学校の通学、それからお医者さんの関係で、雪上車だけでなしに雪上車の付属の設備としてスノーボートをつけてもらいたいという注文がある。ともかくばらばらに小さい予算をとってやったのじゃしょうがないので、農林省とすれば、農民の住んでおる地帯ですから本気にそれを考えなければならぬし、厚生省とすれば、環境の整備で考えなければならぬし、いろいろでしょうけれども、ともかく横の連系をほんとうにとらなければならぬ。そのために調整費なんというものができてきて、役に立つからだんだんふえてくるという事情で、これは頭の調整も横の連絡も大いにやらなければならないので、そういう点についてさっきもいろいろ聞きましたけれども、農林省の関係でも一日だけ返事してしまって、あと聞いたことに返事しておらぬというのは無理もないと思うのです。それは大臣でも来ておりますればお答えもできるだろうけれども、それぞれの局ですから無理もないと思いますが、その点についてひとつ御答弁いただきましょう。
  52. 中澤三郎

    ○中澤説明員 ただいま三宅先生から御質問の点、先ほども同趣旨の御質問があったかと思うのでございますが、先ほど先生のお話の中でたとえばいわゆる積寒法の延長の問題にお触れになっておられましたが、私たち積寒法の延長が行なわれている間に、ただいま御指摘になりましたような問題意識を離れるわけにいきませんので、そういう観点からの実態調査、問題がどういう形であるかということを十分調査してみたいと存じます。もちろん過疎地帯における農業生産の増強という問題をどう考えるかということに関連いたしまして、単に生産力の増強というような観点だけでなくて、生産力増強そのもの、社会的な各種の関係あり方いかんが、また逆に生産を成り立たせるか成り立たせないかというのが農業生産の性質だろうというふうに考えるわけでございます。御指摘のような問題はまさに頭から離すわけにいきませんので、そういう観点からの調査も十分にし、なおかつ、これらの問題から出てまいります問題の処理につきましては、もちろん農林省だけで処理できない点もありますので、しかるべき官庁等とも連絡、協調をとりながら対処していきたい、こういうふうに考えております。
  53. 三宅正一

    三宅委員 科学技術庁の局長、どうですか。
  54. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 雪害の問題は非常に広く考えざるを得なくなっております。広く考えますと、雪害ということから起こるほかの問題に対することの解決まで考えなければいけない、この点われわれもそう考えておりますが、実は、実際にこの研究をしていただきます場所というのは研究所になりますが、研究所の所員、研究者はそれぞれ専門がございまして、いまの研究者の方々にすぐその関係をやっていただくということはなかなかむずかしく、人の入れかえと申しますか、増強と申しますか、そういう関係も考えさせて、なるべく早くこの問題は解決させていきたいと思っております。
  55. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 大臣が来たときにこれは三宅先生にあらためて質問していただきますが、この防災に対して科学技術庁はいま相当の意欲を燃やしておるわけですね。これは年々防災センター研究体制のために予算を使っている。海洋科学もやる、原子力もやる、あるいは宇宙開発もやる、それは近代国家建設のために非常にいいことだ、大いにやってもらいたいと思うのでありますけれども、日本の大きな分野豪雪のためにどれだけ悩まされておるか、これの生活水準を上げるということが科学技術のたてまえから見て、これは生活に直結したほんとう科学技術進歩だと思うのです。それはやりやすいものからやって、やりにくいものは残しておいていいのだということであれば、これはだれでもできることなのです。しかし、一国の科学技術の向上というものは国民生活に直結して、その国民生活に豊かさを与えていくというのがやはり科学技術進歩でなければいかぬ。条件のいいところは条件のいいところで科学技術進歩によって利益を得る。条件の悪いところはよけい科学技術進歩によって収入を増していくということがあってこそ初めて後進地域の開発というものが私はできるのだと思うのです。科学技術のたてまえから、やはりそういう不合理な面というものを打開していく必要があると思うのです。それは各省庁にまたがっている問題なのです。農林省だけでやれといったってやれはせぬ。われわれのところは、農林省で計画してきた大規模草地改良なり有畜農業、酪農などは、いまの状態からいえば、ほとんど全部失敗であります。一体どこにその失敗の条件があるかといえば、これはみんな雪のためにやられてしまう場合もあるし、いろいろな要素があって自然的な悪条件を構成して、それで失敗している。べらぼうな金を使って失敗している。だからよほど意欲のある若い青年でも、この失敗している状況を見ると、そこに住まって農民として農村の新しい体制に対して意欲が出てこないからみんな都会へ行ってしまって、三ちゃん農業になってしまうのです。だから、そういう困難な場合をどうして克服していくかというめどがいまちっともないのです。このままにしておけば収入が減るし生活が苦しくなるし、結局はおれの人生はゼロだ、こう思うから農村にはだれもいなくなってしまう。これに一体どうして収入の道を講じてやるかということになれば、それは科学技術も必要であるし、いろいろな政策も必要なのです。そこへ総合的な入力が加わらなければ、自然的な悪条件の場所というものは更生しない、こう私は思っている。そういうところに科学技術庁というのが意欲を燃やして、経済企画庁その他農林、あらゆるところと相談をして、豪雪地帯に対するところの収入の増加というものはいかにあるべきかというようなことをやってこそ初めて科学技術庁というものは生きていくのじゃないか、そういうことをやるための調整費なのです。きまっておるようなものに調整費をいま出しておるのだ。あんなことは要らないことなのです。ほんとうに現実の問題に必要な、しかも各省庁にわたって、だれも単独ではこれを解決することができないような大きな問題に対して意欲的に金をつぎ込んで研究体制をしいていくというのが調整費のあり方じゃないか、こう思っているのですが、担当局長として一体どうお考えになりますか。
  56. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在までは、先ほど経済企画庁から御答弁がございましたが、いまのいわば農村地区の実態調査、雪からくる実態調査、そういうものは三十八年からやっていただいております。そういう関係と結びつけながら私たちのほうでは技術面の解決という形をとっておりますが、しかしいま先生もおっしゃるように、技術面の解決をそこに使う場合には、この農村地区のいわば生活環境の条件というまでこっちから考えて、それを十分進めていけというお話でございますが、できるだけ今後事情を調査させていただきたい、こう思っております。
  57. 山下武

    山下(武)説明員 先ほど来の、豪雪地帯に対する対策につきましての関係各省の連携が非常に必要であるということの御指摘はもっともでございまして、経済企画庁の中にあります審議会等は関係各省が一体となって政策を行なうべき非常によい場所でございますので、今後さらに関係各省との連絡調整を密にいたしまして、政策の総合化、また効果の非常にあがるように努力をしてまいりたいと考えております。
  58. 中沖豊

    ○中沖説明員 消防施設の整備につきましては、御承知のように、消防施設強化促進法によりまして、昭和二十八年から助成をいたしてきております。しかし、私どもの定めております国の消防力の基準からいたしますと、まだ十分とはいえない状況でございますので、今後私ども一そう市町村の消防施設の整備強化につとめてまいりたいと思っております。来年度におきましては、一般の消防施設の強化のための助成金が離島分を含めまして九億六千万円計上されております。
  59. 三宅正一

    三宅委員 もう時間がありませんから長くお伺いしませんけれども、やはり豪雪交通が途絶したりいろいろいたしまする地帯というものは、特別な配慮をしなければいけませんから、そういう意味で特別項目をつくっておりますか。九億六千万円計上されておるということですが、その配分についてやはり特別の項目をつくっていますか。
  60. 中沖豊

    ○中沖説明員 私どものほうといたしましては、消防施設の整備強化の補助金の配分につきましては、特に豪雪地帯におきましては火気の取り扱いが多うございますから、十分配慮いたしております。
  61. 三宅正一

    三宅委員 きょうは非常に大ぜいの忙しいお方においでを願いましたが、本会議がありますので、まだ聞きたいことがたくさんありますけれども、これで失礼をしたいと思うわけであります。  ただいま齋藤君からも御指摘がありましたとおり、私はもうこの辺で日本の、裏日本から東北にかけた寒冷雪害地帯のハンディキャップというものをわれわれの政治力、科学技術の力でもって克服しなければならぬ時期だし、克服できる時期だと思うのであります。それについては結局各省がそれぞれ縦の一そして日本政治の欠陥がそこにあるのでありまして、それを横が完全に連携いたしましてやらなければだめだと思うのでございまして、そういう意味においては調整局というものができたということは一つ大きな進歩であります。それから経済企画庁自体ができましたことも、大蔵省だけで見識なしに予算の配分をきめるのでなしに、ほんとうにやはり高い見地でそういうことについての調整をとるために経済企画庁ができておると私は思うのであります。どうかひとつ、ともかく非常に進んでまいりました雪害対策ほんとうに進みまするように御協力を願いたいと思うのであります。長岡にできました雪害研究所なんかにつきましても、人が足りないのにりっぱな業績をあげておられるようでありますけれども、なおそちらのほうの人もふやされるとか、同時に社会科学関係政策化については非常に必要ですから、負担だとかいろいろな関係がありますから、そういう方面研究もできるような総合研究所機関にひとつ持っていっていただきたいと思います。御答弁がありましたら承りますし、なければ本会議が始まりますので、これで私は質問を終わります。
  62. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいまの御質問の御趣旨に沿いますように、できるだけ今後雪害につきまして強化さしていただきたいと思います。      ————◇—————
  63. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  科学技術振興対策に関する件調査のため、来たる三月二十一日、参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 沖本泰幸

    ○沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、来たる三月二十一日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会