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1968-03-07 第58回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月七日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君    理事 福井  勇君 理事 石川 次夫君    理事 内海  清君       岡本  茂君    海部 俊樹君       増岡 博之君    三木 喜夫君      米内山義一郎君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         科学技術政務次         官       天野 光晴君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁長官         官房会計課長  斎藤 吉郎君         科学技術庁計画         局長      武安 義光君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君         科学技術庁振興         局長      谷敷  寛君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君         科学技術庁資源         局長      鈴木 春夫君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 第五十八回国会における科学技術庁長官所信表明を拝聴いたしたのでありますが、私はこれに対して全面的な賛意を表するものでありますから、あまり立ち入ったむずかしい御質問は申し上げる必要がないと思うのであります。  ただ、提案を予定されております科学技術基本法並びに宇宙開発委員会設置法等が本委員会にかかってまいりました際、そういう問題につきまして御質問を申し上げて、当局の確たる御所信を承りたいとは存じておるのでありますが、まだ法案が本委員会にかかってまいりませんので、本日は主として予算に関する小さな問題に対して御質問を申し上げておきたいと思うのであります。  まず第一に、科学技術庁予算内容をつまびらかにするために、ひとつ資料の御提出をお願いいたしたいと存ずるのでありますが、それは一般会計歳出予算日明細書の九四ページにあります科学技術庁予算の中で、庁費というところに科学技術広報啓発費、以下ずっと項目が並べられてありまして、その総額一億五百三十一万七千円、これの内訳をひとつ資料として御提出を願いたいと思います。  それから放射線審議会海洋科学技術審議会技術士審議会航空技術審議会電子技術審議会資源調査会発明奨励審議会、こう審議会がありますが、このメンバーをひとつ御提出を願いたいと思います。  それから資源総合利用方策調査委託費、これは不溶性酵素によるアミノ酸の連続的製造に関する調査硫酸焼鉱からの製鉄用ペレット製造に関する調査、それから帆立貝の養殖に関する調査、これの計画資料をひとつ御提出願いたいと思います。  それから潜水調査船に関する資料の御提出を願いたい。  もう一つ試験研究費食品照射関連研究費以下ずっと研究費があるのでございますが、その総額は五億二千九百万円、これに対する大体の資料をひとつ御提出願いたい。  私、それだけの資料をちょうだいして、今後勉強して御質問を申し上げたいと思うのでありますが、まず第一に長官にお伺いいたしておきたいのは、私、年来ふしぎに思っておるのでありますが、予算の中に発明実施化試験助成というのがあります。これは四十二年度予算は三千百万円でございますが、本年度は三千二百九十八万円、多少ふえておりますけれども、発明実施化試験助成費というものは、かような小さい金額で、科学技術庁のいわゆる大きな目的の一つであります発明助成というものができるかどうか。私から言わせますと、この発明実施化試験助成というのは、科学技術庁民間発明を仲介として手をつなぎ得る一つの大きな窓口なんです。それが科学技術庁を設立せられましてから十数年たって三千二百万円、これは予算構成として逆だ、こういうものに対して大きな予算を盛って、そして民間発明助成するというところに科学技術庁設置の意義があるのではないか、私はそう考えておるのでありますが、こういう問題に対しまして、長官はどういうお考えを持っておられますか。ひとつ御所信を承りたい。
  4. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 ただいまの御質問でございますが、いま御指摘のとおりであると私も考えます。実は、科学技術庁予算編成の中で、大型プロジェクトと申しますか、宇宙開発あるいは原子力の利用あるいは海洋開発というようなことに目が向きがちでございまして、いま齋藤先生の御指摘になりました発明実施化試験助成というじみな、しかも、おそらく金額としては何億とはならないものの点につきまして伸びていない、前年とあまり変わらぬ金額が入っておるということにつきましては、実は私もいま御指摘のとおりだと思います。しかし、少なくともことしは一応予算を組んでございますから、三千二百万円につきまして、できるだけ効果的に、かつ、それを利用するようにいたしまして、本年度から十分検討を加え、来年度においてはこれを伸ばしていくというふうに考えなければならぬと思っております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 蛇足でありますが、この発明実施化試験助成科学技術庁で取り上げましたのは、この科学技術庁が設置せられましたときに、科学技術振興基本というものは、どうしても創意くふうを土台としていかなければならないのだ、そういう点からいきますと、特許庁は当然科学技術庁に付置せらるべきものであるという構想であったのでありますが、それがどうしても実現できませんので、特許庁にあります発明実施化試験助成という分野だけ科学技術庁に持ってきたわけであります。したがいまして、本来の立場からいいますと、この発明実施化試験助成というものは、広く民間創意くふうを盛り上げるという意味合いにおきまして、科学技術庁一つの大きな行政目標にならなければならなかったわけでありますが、それが残念ながらこういうふうな小さなすみっこに置かれているために、民間創意くふうを念頭にいたしております人々は、どうも科学技術庁はさっぱりわれわれに対して恩恵がない、何らの興味がないという悪評が立っているわけでありますので、どうかひとつこの点につきましては、四十四年度予算構成につきまして十分当局の御考慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。  なお、この発明実施化試験助成に関しまして当局から資料をちょうだいしたいのですが、昭和四十年、四十一年、四十二年にどのくらいこの助成費を要請してきた件数があるか、これに対してどういうような助成措置を講じているか、それに対する資料をちょうだいいたしたいと存じます。  なお、長官にお尋ねを申し上げておきたいのは、特別研究促進調整費の問題であります。私の考えております特別研究促進調整費というものは、ある意味におきましては、科学技術庁の実力を発揮する予算でございまして、年々予算もふえて、昭和四十三年度予算には六億一千五百万円盛られているわけであります。この特別研究促進調整費というものは、科学技術庁としては、受け身でこの調整費を使うべきものでなくて、積極的に調整すべき科目を選んで調整費を使うべきだ、そう私は考えている。近年の内容につきましては、私よくわかりませんけれども、これが科学技術庁科学振興に対して大きな働きをする力だ、そう私は思っておるのでありますが、特別研究促進調整費あり方について長官の御所信を承りたい。
  6. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 特別研究促進調整費につきましていま齋藤先生の御意見がございましたが、実はいま言われましたように、私も従来の経過から見ますと、ともすれば、いわば受け身といいますか、各省から要求があって、これに対して千万円とか二千万円とか、あるいは五千万円とか分けて研究をしていただく、しかも、それがそのままになってしまうものあり、あるいは科学技術庁において、これをとりまとめるものあり、いろいろな点がございます。したがって、これについては、二つの要素があるかと思います。  一つは、いま言われましたように、積極的に科学技術庁としてこういうものを研究していただきたいというふうに出て、いわば積極的な面において金をやるから、この点の研究を促進してくれというふうに各省その他にお願いをするという面と、それから、たとえば、突発的な事件が起きて、各省からこれの研究をしたいから研究調整費のほうから金を出してくれ、こういった面と二つあるかと思います。  この点につきましては、やはり調整費のほうで現在それぞれ従来までの点から反省をいたしまして、この二つの面について、もう一ぺん再検討を加えて、そうして六億一千万円でございますか、四十三年度の分についてはこの調整費配分等を勘案していきたい、いわば再検討をしなければならないと私は考えております。
  7. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 この特調費に関しましてのただいまの長官の御答弁に対しましては、一応私も納得をするのでありますが、この特調費というものは、外部からこれでもってひとつ特調費を出してくれないかという要求を受けるという前に、これの元来の性質は主として、予算として計上し得なかった問題が、年度内に突発的に起きて、どうしても処置しなければ、科学技術のたてまえから、国家的に問題の解決がおくれるというところにこの特調費というものが出ていって、初めて特調費効果というものがあがるのであって、やはり主としてこれは計画性のない問題であって、緊急を要するものというのが主たる目標になるのじゃないかと私は思うのでありますが、そういう特調費を使うのに、科学技術庁の現在のあり方というものが妥当であるかどうか、積極的に特調費を使えるような体制になっておるかどうかという点に私は非常に疑問があるわけであります。というのは、この従来の科学技術庁あり方に対する一つの考察として、審議官調査官というものは、いわゆる長官、政務次官のブレーンスタッフとして、常に日本全体の科学技術あり方検討して、そうして、予算には盛ることができなかったけれども、これはどうしても将来の日本のために緊急的に試験をしていかなければならないものだ、究明をしていかなければならないものだというような大きな項目を積極的につかまえていって、これに特調費をつけて、各省庁の総合的な力を結集していくというところに、科学技術特別研究促進調整費というものがこういうような大きな金額になりつつあるのだ、私はこう思うのでありますが、現在見ておりますというと、どうもそういう体制にはなっておらないようなんです。何か受け身ばかり、しかも総合研究費といって、ひもつき予算が多いのです。ひもつき予算というのは、これは一年やったら、もう実体がわかれば、これは普通の予算に盛られていくべきものだと私は思うのでありますけれども、どうもそういう体制になっておらぬようであります。これに対して大臣の御所見をひとつ承っておきたいと思います。
  8. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま齋藤先生のいわれましたように、一応特調費の中におきまして、ひもつき予算もございます。しかし、そうでない特別な面もあるわけでございますので、審議官調査官等は、科学技術庁長官として特命事項をお願いしてある面においてははでな面もありますし、非常にじみな情報収集とか、あるいは、そのほか特殊な事態が起きましたときに、あるいは災害が起きたときとか、あるいは何か他省においてどうしてもこれをやらなければならぬという、計画性がないといいましょうか、緊急なものにつきましてのことについて特調費を出すというふうにやっております。ただ、技術庁スタッフが、それではそれに適応するように何でも応じられるようにできておるかどうか、この点については、やはりわれわれもよく考えなくちゃならぬ点がありますとともに、技術庁スタッフが、そういうことを言うと失礼に当たるかもしれませんが、国における最高スタッフ陣であるとは考えられません。したがって、他にこれをお願いして調査をするというふうにもやっていかなければならぬかと思います。したがって、先ほど申し上げましたように、この特調費使い方等につきましては、いろいろ御批判もありますし、それからひもつきと、ほんとうの緊急性に応じ得る金の使い方というふうな、いわば二つに分かれておるわけでございます。したがって、これは全面的にひとつ、もう一ぺん私たちのほうで再検討をして、この使い方につき進めてまいりたい。このように考えております。
  9. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 もちろん科学技術庁最高スタッフが全部おられまして、あらゆる問題に対して、最高の見地から検討を加えられる体制ということは、私は考えておらないのでありますが、いやしくもそういうような気持ちを持つ審議官調査官というものがあらゆる問題に対して思いをいたし、その問題問題に関連する最高スタッフを集めて、そうしてその問題に対処し得る体制というものはつくり得ると思う。そういう体制をつくって、そういう結論によって調整費というものを積極的に使っていく。その効果によっては、これは二倍になっても三倍になっても、私は、科学技術庁の機能を発揮する上において一番大きな有効性をあらわす力だと考えておるわけでありますが、どうもそういう体制にはなっておらぬようでありますので、ひとつその点について十分御検討をお願いいたしまして、この分野にさらに予算の増大を来たして、科学技術庁設立の本来の力を発揮していただきたい。そう思うわけであります。  なお、鉱山局長が見えましたから、私、近江委員質問の順番をお譲りいたしますが、ただ一点だけ伺っておきたいのは、この特調費に関しまして、いままで特調費が出ました大きな項目を調べてみますと、昭和三十五年に「生体環境がん発生におよぼす影響に関する研究」というのがございます。それから昭和三十八年に「制がんに関する特別研究」というのがある。昭和三十九年に「発がんに関する特別研究」というように、三回にわたってガンに対する特調費が出ておるのでありますが、この特調費というものの使い方を、しろうとながら見てみますと、これは大体がんセンターとか、あるいはいろいろなところへ特調費がいっておるのであります。それもけっこうだと思う。しかし、私の記憶いたしますところによりますと、この委員会でも、ガン問題は二回取り上げられております。たしか昭和三十六年でありましたか、三十七年でありましたか、なくなられましたガン大家田崎勇博士以下牛山博士等々ここへおいでになりまして、午前、午後にわたってガンの論争が繰り広げられたわけなんです。第一回のガン問答は、牛山博士のSICというものは鼻くそだということを田崎勇博士が言われたというので、この国会で取り上げられた問題であったのでありますが、これに対しても、問題を解決すべく特調費は流れておりません。それから昭和四十一年の四月七日でございますが、このときは私、落選をしてこの国会におりませんでしたので、あとで速記録を見たのでありますけれども、このときもガン問答が行なわれております。しかも、そのときの速記録を見ますと、驚くべき新しい学説が提出されておる。森下敬一という博士ですが、ガン細胞は分裂増殖しないのだ、赤血球がガン細胞に変異するのだ、だから、いままでのガン対策というものは方向が間違っておるんだというように、医学博士の肩書を持っている人がこの委員会でもってガン問答をしておるわけであります。この委員会で、いろいろな参考人が来られまして、そういう問題に対して意見を開陳されますが、そういう意見の開陳がこの委員会でもって行なわれて、非常に新しい説が出た場合に、科学技術庁当局というものは、これに無関心でおっていいかどうかということであります。何で一体三回も特調質ガンのために流しているか。これは金額的にいっても相当な金額であります。それだけ関心を持っている問題に対して、ここにわざわざ参考人として医学博士をずらり並べておいて、その中から、いまだかつて聞いたことのない新しいガンに対する説が出てきた場合に、そういうものをピックアップして、それを追及して、その真偽をただしていくというところに、やはりガンに対する科学技術進歩があるのではないか。せっかく呼んできて、意見を開陳させて、りっぱに速記録に載せておいて、そして、そういうものに対しては馬耳東風、何らの関心当局において示さないというがごときにおいては、特調費を幾ら倍化しても、科学技術庁立場における、科学技術進歩に対する情熱というものは見出し得ないのではないか。そういう点に対して、科学技術庁というものはどこかゆるんでいるところがあるのではないか、私はそういうふうに感ずるのでありますが、そういう点に対して長官はどうお考えになりますか。
  10. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いまガンの例を取り上げて齋藤先生からお話がございましたが、科学技術庁はたるんでおるという御批判もございます。ただ、問題は、要するに、本委員会におきまして取り上げられたいろいろな新しい説、あるいはその論議の中において出てきたところの解明できていない問題について、積極的に特調費そのほかを使用することによって、その解明に当たり、あるいは新しい説の妥当であるかどうかを裏づけていくというような点につきまして、率直に申し上げて、私もよく存じませんが、あるいはいままでそれに取り組む態度において十分なことがなかったという点は十分反省すべきであろうと思います。したがいまして、ただいまお話しのような点もあり、この特調費使用方法につきまして、先ほどから再検討するというふうに申し上げておりますので、この点もひとつあわせまして、そういった点、せっかくここに国の有数な権威者が集まられて、出た問題をさらに掘り下げていくという面にも、科学技術庁としては、これをやるべき任務を持っていると思いますので、その方向に向かっても研究をして実現できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  11. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 まだ質問がありますけれども、私の質問は保留して近江委員質問をお譲りいたします。
  12. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、近江巳記夫君。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 長官所信表明に基づいて質問したいと思います。  まず、長官は、六項目施策を「強力に推進してまいる所存であります。」このようにおっしゃっております。以下、その項目ごとにお聞きしたいと思うのでございますが、長官予算委員会出席等の関係もあると思いますので、本日は一、二点だけについて質問したいと思います。  まず第一点でございますが、第四項目海洋開発利用の点でございます。長官は、「海底資源調査技術海中居住基地等についての研究重要課題として取り上げ、その総合的な推進をはかっていく所存であります。」このようにおっしゃっておられるわけであります。この日本の狭い国土、また、四面海に囲まれた、そういう地形を考えていきますならば、これは当然注目していかなければならぬ問題である、私もこのように思っております。  長官も御存じのように、去年、中東の動乱がございました。それで石油がストップになったわけであります。日本としても非常に危機にさらされたわけでございますが、そこで、結局、今後、原油購入分散化、あるいはまた、新油田の開拓、特に東南アジアあるいはまた日本周辺油田調査開発、このことが非常に重要な課題になってくる、このように私は思うわけでありますが、長官の御意見はどうでありましょうか。
  14. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま言われましたように、もうそのとおりだと考えます。海洋開発につきましては、率直に申し上げまして、多少まだまとまっていないといいますか、観念的にまとまっていない面、あるいはばらばらの点も多少ございます。海洋科学技術審議会というものがあって、ここで大体国の事業としての問題が、海洋開発に関する諸般の問題が論議せられまして、それらの方針によって進めていくわけでございますが、いま言われましたような、石油資源に関連する海洋開発にまた伴っての海洋油田開発、この点は、やはりわれわれとしてどうしても大きく取り上げていかなくちゃならぬ問題であろうと思います。  ただ問題は、現段におきます海洋開発は、率直に言って、十分な体制がまだ整っていないのではなかろうか。いわゆる国として取り上げるべき中枢的機構の問題、あるいはそれに伴う予算、あるいはそれを実行するいろいろな各省、これは現在ばらばらになっておりますが、それを連絡をしながら実行していく問題。海洋開発は、石油等資源の問題、そのほかたくさんの問題、養殖そのほかまで含むわけでございますけれども、要するに、そういう点につきましては、やはり通産省とも関連しまして、私たちは積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  15. 近江巳記夫

    近江委員 したがって、長官のただいまの御説明によりましても、海底資源のこうした調査技術、あるいはまた、総合的な開発推進ということが今後非常に重要な問題であると私は思います。  そこで、まず長官にお伺いしたいのですが、昨年、たしか六月と思いますが、ソウルで、エカフェ海底鉱物資源共同探査会議というものが開かれたわけでありますが、その内容をお聞きになっていらっしゃいますか。
  16. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 私よく承知しておりませんので、ほかの政府委員から答弁いたします。
  17. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話のございましたエカフェ鉱物資源共同探査調整委員会は、昨年の六月にソウルで開かれましたが、その後、第四回が台北で開かれまして、両方の会議を通じまして、東南アジア台湾フィリピン並びに韓国にかけましての地域の探鉱に関する勧告が出たようであります。それによりますると、台湾に関しましては陸上並びに大陸だな及び空中についての磁力探鉱地震探鉱その他の調査を行なうべきことが勧告され、また、フィリピンにつきましても空中探鉱勧告が出ております。さらに、東シナ海につきましては、空中磁力探鉱を行なうように勧告されておると聞いております。
  18. 近江巳記夫

    近江委員 鉱山局長のただいまの御説明によりまして、大要がここでわかったわけでありますが、東シナ海、また、日本海周辺海底資源、特に油田のことにつきまして、日本科学者ソウルに出ておりまして、はっきりと、これは日本近海のことでもあるし、日本で今後調査をしていく、そういった発言をしておるわけであります。私もその学者の発言資料を全部ここに手に入れておりますが、東シナ海日本海におきましても、非常に有望な結果が出ておるわけであります。先ほど鉱山局長ことばの中にも、日本海のことはあまり出ておらないわけでありますが、まさか局長が軽く見ておられるとは思いませんが、それは相当大きく日本科学者から主張された、こういうことであります。そういう点において、日本海ということばが出なかったことについて、これを軽視しておられるのではないか、私はそういう危惧を持つわけであります。  さらにまた、長官に関しましては、要するに、このような重要なことを知っておらなかったということについて、私は非常に遺憾に思うわけであります。このような狭い国土で、当然目をつけていかなければならないのは海底資源の問題であります。先ほど長官から、わが国としては海底資源の問題については非常におくれておると率直な見解を賜わったわけでありますが、その点について私は非常に遺憾に思います。  まず、この海底資源の、特に日本近海、さらにはまた、東シナ海にまたがるそうした大陸だなの資源の問題等について、今後積極的にそこに関心を向けて調査、さらには開発を進めていかれる決意であるかどうか、まず長官、それから鉱山局長からお聞きしたいと思います。
  19. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 先ほど申し上げましたように、まだまだ不十分な点が多く残されており、海洋開発については今後特段の努力をしなければならない点については、私どもも率直に認めざるを得ないと考えております。なお、私も、勉強、研究が足りません点につきましては、今後ともさらに十分勉強をいたし、よく事態を把握するように努力をいたしたいと思います。この点につきましても、よく通産省関係あるいは他の省とも連絡を密にしていくことを率直に申し上げまして、海洋審議会と申しますか、この点の活躍等もさらにやっていただきまして、国全体としてあらゆる情報を入れ、海洋開発をどういう方向に持っていくかというような点につきましては、やはり今日まで十分な努力が足りなかった点は認めながら、今後こういった点を強力に進めてまいるようにひとつ努力をいたしたいと考えております。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 エカフェの調整委員会におきまして、日本側の代表から、日本海を含めまして西太平洋地域の海中、海底の開発について積極的な発言がなされましたことは御指摘のとおりでございますが、その結果、わが国といたしましても、台湾の陸上並びに海上の探鉱につきましては、日本側の専門家がこれに参加をいたすということになりました。また、フィリピンにおきまする空中探鉱につきましても、日本側の専門家がこれに参加をいたすということで、西太平洋地域の陸上及び海上にわたる広範な探鉱計画について、わが国が積極的な役割りを果たし得る体制になってまいったと考えております。  特に、日本海域につきましては、このほか、さらに別途、日本石油企業あるいは外国の企業等が積極的な姿勢をもってこの海底探鉱に乗り出そうとしておる情勢でございますので、これらをあわせまして、通産省といたしましても、今後とも積極的にこれを推進をしてまいりたいと考えております。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 先ほど局長からもお話がございましたが、この会議で、日本海また東シナ海等の油田が十分な根拠を持つ可能性がある、こういうことで大きく取り上げられたわけであります。また特にこの点に関して西ドイツ等は非常に積極的でありまして、調査船を派遣して日本海調査をしたい、こういう積極的な申し入れがある。それに対して韓国も、私のほうも力を入れたい——日本のそういう国力から比べますと、韓国はだいぶ下回ると思うのでありますが、そういう韓国ですら積極的なそういう姿勢を示しておるわけであります。ところが、先ほど長官、また鉱山局長お話がございましたように、まだまだ日本のそういう調査開発についてはおくれておる。私はこの点は非常に遺憾であると思うのであります。  ここで一つの問題は、現在は公海であったとしても、大陸だな条約に規定しておるように、沿岸国の主権に属するわけでありますが、その資源を分けるときには調査して経歴の国が一番有利な配分になる、こういうことになっておるわけであります。特に新潟、秋田等の沖に産する石油にいたしましても、非常に硫黄分が少ない。世界でも非常に優秀なそういう品質を誇っておるわけであります。したがって、当然日本海のそうした可能性から考えましても、非常に良質な石油というものが期待されるわけです。また今後もしその予想どおりに油田開発されたとした場合には、その分布面積は新潟、秋田をしのぐ非常に有望なそういう油田が見込まれておるわけであります。こうした点からいきますと、初めに調査した国が非常に有利なそういう点がある。こういう点からいきますと、はるばる西ドイツあたりがそのような積極的な力を入れており、日本はそこにおりながら力を入れない。ほんとうにここは、ただことばだけで今後何とかそうしますということではなくて、日本の資源ということについて、政府はもっともっと真剣なそういう決意をもって臨んでいかなければならない。したがって、これからの調査にあたりましても、あくまでも、国家的な事業として乗り出すべきである、このように私は思うわけです。その姿勢については、先ほど答弁いただいたからけっこうであります。  そこで、私は、さらにこの問題が大きく現実の問題として一歩前進しておる問題について、ひとつお聞きしたいと思うのです。それは鉱山局長もすでにこの問題については検討なさっておりますから御存じと思いますが、ここに私も資料をいただいておりますが、広島通産局及び福岡通産局の管轄でありますが、試掘権出願区域図が出ております。これは長崎、佐賀、福岡の九州三県と、さらに中国の山口、島根、隠岐、鳥取、この広大な——当然この中には対馬を含む海域でありますが、試掘権の出願区域図がここにあります。ここにこういうふうに出願されておる。しかも、出しておるところはどこであるかといえば、これはシェル石油が出しておるわけです。シェル石油はその調査費に二十億を出しましょう、もしもそれで可能であるならば、あと二十億シェルは出す、そうして三菱があと二十億を出す、もしもその可能性がないならば二十億をシェルが捨てましょう、こういうような情勢になっておると私は聞いておるわけです。この件に関しまして、鉱山局長からさらに詳細な報告をひとつ聞きたいと思うわけであります。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のございましたシェルの計画と申しますのは、鳥取、島根の海域から対馬海峡にかけまして、約六万平方キロメートルの海域にわたりまして現在鉱業権の出願がなされております。この鉱業権の出願に基づきまして、シェルと日本側の企業との合弁形態をもちまして探鉱に着手いたしたい。その探鉱につきましては、三段階に分けまして、当初一年を費やしまして航空磁力調査を行ない、次の第二期におきましては、地震探鉱に二カ年間を費やしたい、さらに第三期に入りましてボーリングを行なおう、こういう計画でございます。総額約六十億円の投資予定を持っておるわけであります。  本件につきましては、通産省といたしましては、現在まで正式な申請はまだ受け取っておりませんが、計画の事実上の概要につきましては連絡を受けておりますので、その受けました内容に従いまして、ただいま申し上げた次第でございます。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 長官にお伺いしますが、先どからの日本海の問題、さらに現実にこのような外国系資本をもって日本海開発していこう、こういう案が出ておる。われわれの、言うならば足元にまでその問題が来ているわけです。われわれの資源が、あと、通産省でどういう処置をとられるかわかりませんが、へたをすれば、その石油の何分の一かは外国にとられるかもわからない、そういうような状態にいまなっておる。この問題について、長官は、正直に答えてもらいたいのですが、知っておられましたか。
  24. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 その話だけを概略知っておった程度でございます。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 概略知っておられて、それに対してほんとうに日本の財産を守っていく、その点に関して積極的な対策を立てておられたかどうか。それは初めの答弁にありましたように、まだまだおくれておる現況である、聞きおき程度に終わっておる。私は、何回も申しますが、非常に残念であります。このように、外国が入らなければできないのだというような日本の姿勢であります。  ここで、次にもう少し内容に入りたいと思うのですが、まず一番心配なのは、そういう外国系の資本が入った場合に、もしもここの試掘が当たって石油が産出する、そうなった場合、日本が現在産出する石油というのは一%に満たない量であります。ほとんどは中東方面から依存しておる。そうした場合に、この産出する石油は全部日本で消費するものか、あるいはまた、その何分の一を、当然朝鮮との両海域にまたがる問題でもありますから、そうした外国へ持って行かれるのか、こういう点がまず一番心配なわけです。こういう点について鉱山局としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 会社側から正式な申請を受けまして後に、この認可処分にあたりまして種々慎重に検討いたしたいと考えておりまするが、御指摘の、油田が当たりました場合の産出原油の処分につきましては、われわれといたしましても、日本の内需に優先的にこれを充当いたす方針で処理をいたしたいと考えております。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 最近、大陸だなというようなことが、世界的に非常に問題になっておりまして、たとえば、最近の大陸だな開発の進展に伴って、イギリスあるいはオランダ、西ドイツ、イタリアあるいはオーストラリア、米国等においても、特別法として大陸だな石油開発法を制定しているわけです。この問題に関して局長並びに長官はどのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ今後の姿勢をお聞きしたいと思います。
  28. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 この点は大体通産省のほうでおやりになっておりますから、通産省のほうとよく連絡をいたしまして、日本として日本近海の資源をでき得る限り守っていくというふうに努力をいたしたいと思います。御承知のとおり、日本海洋開発は、先ほどから申し上げておりますように、どうもちょっとおくれをとっております。したがって、これらの点については、ぜひひとつ総合的に日本近海の資源を守りながら、しかも外国等に先べんをつけられないように、まず防御することが必要じゃなかろうかというふうに考えるわけでございますので、今後さらに連絡を密にして守ってまいりたいと思います。
  29. 両角良彦

    両角政府委員 日本海の大陸だなの開発につきましては、今後とも積極的にこれを助成、助長いたす方針でございまするが、法的な問題につきましては、現在わが国では、鉱業法によりまして鉱業権その他の法的基礎についての体制ができておりまするので、これを特に大陸だな問題につきまして改定を助える必要はないかと存じまするが、海底開発助成につきましては、昨年成立をいたしました石油開発公団を通じまして所要の資金の投入、技術の援助並びに機械の貸与等を行ないまして、この推進につとめてまいりたいと考えます。すでに御承知のように、わが国におきまする海底油田開発に関しましては、インドネシアあるいは石油資源開発会社によりまする秋田沖、新潟沖等の実績もございますので、それらの技術ないしは経験というものを今後とも活用する方向で、石油開発公団の業務を積極的に運営をしてまいりたいと考えております。
  30. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、鉱山局長に申し上げたいのですが、去年私がこうした一連の問題を商工委員会質問いたしましたが、そのときに鉱山局長は、大陸だなの有望なものについては助成金、補助金を交付して積極的な姿勢をとっていく、エカフェ会議についても具体的な態度で臨みたい、さらに私が、これは仮称でありますが、調査特別班、そうした要するに政府の一元化の体制をもって今後調査開発に当たっていかれるか、このことを聞いたときに、関係各省とも十分連絡をとり、検討したい、このように申されたわけです。それからもうすでに半年以上は経過している。ところが先ほど長官の御答弁でも、ちょっとその点については聞いただけだ。もうここではっきりと、関係各省との連絡を十分密にしてやっていくとおっしゃったことが、事実連絡をとっておられない、こういう点において、国会でこうした問題が取り上げられたとしても、それが実行に移されない、その場限りの答弁であるという姿勢であっては、これは私は重大問題だと思う。ここにおいて、そうした国会で取り上げられた問題について今後真剣な取っ組みをなされていかれるのかどうか、それがなければ、何ぼここで論議しても何にもならないわけです。ですから、その点を私は特にお聞きしたいと思います。
  31. 両角良彦

    両角政府委員 私ども、従来とも大陸だなの開発につきましては、科学技術庁基本的な方針に対応しながら、石油についての具体的な促進をはかってまいったわけでありますし、また資金の投入につきましても、ただいま御説明申し上げましたように、石油開発公団を通じまして日本近海の大陸だな開発については助成をしてまいりましたし、今後ともしてまいるつもりでございます。さらに、わが国近海のみならず、海外、特にインドネシア、アラスカ、カナダ等におきます海底油田開発につきましてわが国が進出しておる企業に対しましては、ひとしく石油開発公団を通じまして積極的な助成を行なってまいる具体的な計画を現在立てておる次第でございます。今後とも、御指摘の趣旨に沿いまして一そう連絡を密にして積極的な姿勢を固めてまいりたいと考えます。
  32. 近江巳記夫

    近江委員 今度は外交上の問題になるわけでありますが、この計画を見ますと、朝鮮と、ちょうど海域において約半分のところで線が引いてあるわけです。しかしながら、将来朝鮮との紛争も私は非常に心配するわけです。こうした点について、通産省としてはどういうような見解をまとめていらっしゃるのか、外交上の問題についてひとつお聞きしたいと思います。
  33. 両角良彦

    両角政府委員 今回のシェルの計画の具体的な探鉱地点というものはまだ明確でございませんが、少なくとも御指摘のような国際紛争を起こさないような地域、すなわち水深にいたしまして大体五十メートルから八十メートル程度のところで日本の領土からの大陸だな、日本の領土に接続をしておる大陸だな地域というものにつきまして探鉱を行なってまいる方針と聞いております。さような紛争の起こらないように、今後とも探鉱計画の立案にあたりまして十分留意をしてまいりたいと考えます。
  34. 近江巳記夫

    近江委員 鉱山局長がいままで積極的でなかった、関係各省ともそうした十分な連絡をとり得なかった、そういう点についてお答え願ったわけでありますが、私は、一つ鉱山局長立場としても積極的になれなかった理由もあるのじゃなかろうか、このように思うわけです。  それは、要するに、日本海におきましても、深いところではやはり百メートル以上ある、日本のそういう技術からしても、実際石油を採掘するとしても、大体五十メートルから七、八十メートルという線であると聞いております。ところが、以前に質問したときにも、鉱山局長は、まあ百メートル以上になってくると、日本の技術では非常に無理である、こういう答弁をいただいたわけです。私はその後、世界の各地においてどういう現状でやっているか調査したわけでありますが、北海、ノースシーにおいてはすでに三百メートルというようなところからそういうような試掘をしているわけです。したがって、技術的には、二百メートル以内であるならば、さらにそこで十分な技術開発をしていくならば、これはもう十分可能であることは、もう世界の各国がそれを証明している。そこに日本技術のおくれということが浮き彫りにされてくるわけでありますが、鉱山局長も、実際日本の技術がまだそこまでいってない、そこで積極性がなかった、同情的な見方をすればそういうような根拠があったのではなかろうか、私はこのように思うわけです。この点において、日本の技術開発というものが非常におくれている。それは戦後二十年だから、何もかも長足の進歩ということはいえないにしても、しかしながら、海底資源の重要性から考えても、これは積極的に開発技術を促進していかなければならない。こういう点において、特にこの面において、私は長官に、早急にその研究体制を整え、やっていかれるかどうか、さらにもう一歩突っ込んだ御意見を承りたいと思うわけです。
  35. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま鉱山局長のほうからお話がございましたように、技術の点につきましてはよく連絡をとってまいりたいと思います。現在のところ、予算面からいいますと、先ほど問題になりました特別研究促進調整費特調費をこれらの方向に充てるということはでき得るかと思いますので、具体的に鉱山局とよくお話をして、科学技術庁としての予算がそれらの点に積極的に生かせられるものがあるならば、生かしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 近江巳記夫

    近江委員 日本近海石油が非常に当たったとしても——いまの日本の産出量からいいますと、確かに相当な増量が見込まれます。しかしこれからの使用量を考えていきますと、まだまだ足らない。当然これからも東南アジア方面においても積極的な海外探鉱というものをやっていかなければならない。これは私は当然であると思います。そういう点におきましても、ばく大な国費が探査に使われている。そういう点からいきますと、この技術の開発をしていかなければ、投じた金というものが非常にむだな、言うならば能率のあがらないそういう技術をもってやっていったのでは、これは国費のほんとうにむだ使いになってしまう。こういう点についても、先ほど長官お話しありましたように、すでに海外の探鉱を積極的な姿勢をもってやっていこうと通産省もしておられるわけです。そういう点からいっても、これは非常に急を要する問題です。これは将来の問題ではない、いまの現実の問題です。現実をどうするか、この問題なんです。そういう点において最重点で探鉱技術のこうした開発をしていかなければならない、このように私は思うわけです。いままでの日本政府の姿勢というものは、かつての黒潮調査におきましても、外国から指摘されて、それから行なっている。こういうように常に外国におくれをとっている。こういう点は非常に私は情けないと思う。これからの、さらに日本近海、さらには諸外国における探鉱、そうした点を実際に進めるにあたって、科学技術庁、また通産省は、今後どういうような積極的な、そういうタイアップの姿勢をとっていかれるか、ただ連絡をとりますだけでは話がわからないわけです。たとえば、両省で特別研究機関を設けるとか、そういうような具体的な考えを持っていらっしゃるかどうか、この点をひとつ長官並びに鉱山局長からお聞きしたいと思います。
  37. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 これは通産省と連絡をとりながら、特別研究組織といいますか、班がよければそれをつくるにやぶさかではございません。  なお、先ほど申し上げましたように、日本一つの大きな命題として、黒潮調査等もそうでございましょうし、海流調査そのほかございますので、技術庁としては大局的に海洋審議会といいますか、それらの点もできておるわけでございますから、これをひとつ開いていただいて、ここに重点を置くという形で一つ大きな網をかぶせ、さらに具体的には、まだ私も承知いたしておりませんが、いま御指摘もございましたので、班をつくるのがよければ班をつくるとか、あるいは研究会をつくるとか、そういうような形で積極的に進めてまいりたいと思います。
  38. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま長官の御答弁のとおりでございますが、なお、通産省といたしましては、あわせて、一つは海外の先進技術の導入ということにつきまして、今後ともつとめてまいりたいと思います。特に、ただいま御指摘の北海におきます海底探鉱及び掘さくの技術、それから今回シェルが計画を持っております技術等は積極的にわが国に導入をいたしまして、今後の日本海開発に活用ができるように、これを消化吸収してまいりたいというふうに考えております。  あわせて海底探鉱、掘さくの最大のネックは、海底掘さくバージ、いわゆる船の問題でございまして、これは巨額の資金を要しますので、これにつきましても、石油開発公団を通じまして、国の資金助成を行ないながら、大型の、かつ深い堀さくの可能な設備をわが国としても一刻も早く保有をしまして、これを通じてわが国の近海の大陸だなの開発に役立てたい、かように考えております。
  39. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 ただいまの近江委員の御質問、まことに重要な質問だと思ますので、関連質問をさせていただきます。  大陸だな二百メートルというものが大体目標になっている。最近はソ連などは二百メートルをオーバーして、ただいま御質問がございましたように、もっと深海を探査しておる。これに即応する日本の技術というものはきわめて貧弱であるということは、私もよく知っておるわけであります。科学技術庁におきましては、資源局が月並みな一局削減によってこれは消えてしまった。私はやはり、科学技術庁というものは自然科学を対象として、科学技術進歩により国民経済に寄与する分野が非常に大きい、こう考えて、資源局は大切にしなければいけないものだと考えておったのでありますが、残念ながらこれは一局削減にあってその名前がなくなって、いまは資源調査所というものになっている。しかも予算はきわめて貧弱であります。ただ、ここに資源調査会出席及び調査旅費というものが七百三十二万四千円盛られている。それから資源調査会委員手当というのが五百三十八万円予算に盛られておる。資源その他直接こういうものがどういうふうに使われるかわかりませんけれども、資源の調査というものは非常に大切だ、こう思うのでありますが、ひとつそういう点から立って、ただいまの海洋の資源開発、特に大陸だなにおける石油、天然ガスの開発というものは、これは日本でも相当計画はいたしておるようでありますけれども、それに対する国家の予算面にあらわれる力というものがきわめて貧弱なようであります。昭和四十三年度予算におきまして、石油開発公団が要求しました予算は百六十九億円、これに対する査定はわずか六十億円であります。これで第二日竜号をつくる、つくらないという問題も非常に大きな問題になるわけであります。いまの第一白竜号はわずか三十メートルしか掘さく能力がない。三十メートルしか掘さく能力がないものによって大陸だなの石油開発をやろうということは、これはやはり竜車に刃向かう何とかというたとえと同じように、不可能な力をもって可能にしようというようなことである。まずほんとうに海洋掘さくというものを本式にやろうとするならば、せめて百メートルぐらいの深海を掘さくする能力を持った船の五、六そうも用意して、そうして物理探鉱その他の近代的な力を合わせて開発していくというなら、これは何とかなるのじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、第一白竜号、わずか三十メートル掘さく能力しかないものでやろうといっても、これは無理だと思うのです。ところが、そういう点に対して、現政府は、はたして総合エネルギー対策としてはっきりした施策を持っているのか持ってないのかという点に対しますというと、これは私は非常に疑わざるを得ない、こう思うのでありますが、科学技術庁長官におかれましても、ただいま御質問がございましたように、有望な地区と目せられる海底の資源開発というものに対しては、現在の科学技術のたてまえからおいても、これは当然日本はやるべきだ、やればやれるのだ。だからそういう点に重点的に予算を盛って、そして、その力を発揮し得るような体制を早急に整えるべきだという点について、ひとつ閣議においても大いに主張をしていただきたいと思うのでありますが、そういうことをひとつ今後十分御主張願えるかどうか。  それから鉱山局長にもお願いいたしたいと思いのでありますけれども、とにかく日本の斜陽産業といわれておるところの石災には、石油関税が、一年に少なくとも六、七百億円というものは注ぎ込まれておるんじゃないか。でありますから、そういう日本で必要欠くべからざる総合エネルギー対策の観点から見ても、どうしても日本では手に入れなければならないという石油でありますから、これを北スマトラとかアラスカとか、そういう外地に手を伸ばして、その資源の獲得に努力をすることも大切でありますけれども、もっと手近にある日本の海域、これに対して開発をし得る財源というものをひとつ政府部内においても検討を加えて、もっと大きな予算を獲得するようにしていただきたいと思うのであります。近江委員お話のごとく、シェルは二十億円、六十億円を持ってきて、そして基礎調査をやっておる。また、秋田沖あたりでもシェル等はすでに触手を伸ばして、深海の鉱業権というものを獲得したのか、しようとしておるのか、みんながぼやっとしておるうちに、日本が外地に行って石油資源をとろうと思う、それよりも大きく日本近海は外国の権利の中に入ってしまうということじゃ、これは何にもならないことじゃないかと思うのであります。そういう点に対して、ひとつ御所信を承っておきたいと思います。
  40. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 いま齋藤委員の御主張につきましては、私も積極的に閣議なり、あるいはその他の場におきまして、海洋開発の問題と日本の資源の積極的利用ということの二点の問題につきまして努力をいたし、また、私のできる限りの力をもって微力を尽くしたいと考えております。
  41. 両角良彦

    両角政府委員 海底資源開発を中心とします財源の確保につきましては、今後ともわれわれといたしましても万全の努力をいたしたいと考えますが、よろしく御支援を賜わりたいと思います。
  42. 近江巳記夫

    近江委員 私は、どんな仕事でも思うのでありますが、スタッフと現場という問題があると思います。先ほど鉱山局長は、先進諸国のそういう技術を積極的に導入していきたい、そのようにおっしゃったわけです。そこは私は、その次にさらに日本の技術を推進開発していくように今後連携をとってやっていきます。そういうことは聞けなかった、私はこの点非常に残念に思う。あとで答弁を聞きますが、そういう点において、一つは、日本の技術というものはいまから一生懸命やったって、そんなものはだめだ、これだけ開発をせいていかなければならない段階において間に合わない、鉱山局長自体が科学技術庁のそういう力というものをばかにしておると私は思いませんが、そういう一種のたよりにならないという気持ちがあるのじゃないか、私は、実際の現場に携わる鉱山局長の気持ちをそのように思うわけです。  またさらに、先ほど長官は、たとえば、仮称でありますが、調査特別班等も設置していきたい、このように明確な答弁をいただいたわけでありますが、鉱山局長はそれについては触れておられなかった。結局連携をしてもそれだけの結果が出ないから、連携をしてもしかたがないのだ、そういう気持ちでことばに出なかったのではなかろうか。私はやはり日本の技術を開発していくのは、何としてもその立場にあるのは科学技術庁だと思う。現在いかにそれだけの内容がなかろうとも、やはりそういう現場とスタッフが連携をとってやっていってこそ開発できる。日本は過去の状態から考えても、そういう技術を導入して消化していくというのは、確かにそれは一つの過程としてあります。確かにその点はうまいわけです。私は、どんどんいいことは取り入れていってもいい。しかしながら、ただ安易に導入だけにたよっておってはならない。さらにそれを踏み越えて世界最高のものを目ざしていく、これが今後に課せられた大きな責任ではないかと思うのです。そういう点について、さらに両者の密接な連携という点において一種の不安を持ちます。こういう点において、鉱山局長から再度見解を聞きたいと思います。
  43. 両角良彦

    両角政府委員 先ほどの御答弁が多少表現が足らなかったといたしましたら恐縮でございますが、わが国自体によります自主的な技術開発、特に大陸だなに関連します技術開発につきましては、長官の御答弁申し上げましたのと全く同じ意見で通産省も努力してまいりたいということを冒頭申し上げまして、あわせて海外からの技術導入等につきましても考えてまいりたい、かような趣旨で申し上げた次第でございます。御了承願いたいと思います。
  44. 近江巳記夫

    近江委員 時間もないようでございますので、これを最後に終わります。要するに、日本近海周辺に外国がどんどんと入ってきておる、これは私は非常に残念に思います。金額にしても、幾らかといえば、日本予算から見ればほんとうにわずかなものです。これはまだ許可にもなっていないわけです。したがって日本独自でこの日本周辺開発をやっていく、そういうような気持ちがないかどうか、この点を最後にお伺いしたいと思うのです。
  45. 両角良彦

    両角政府委員 わが国独自の手でわが国周辺の大陸だなの開発については、現在まで公団の事業本部によりまして秋田沖、新潟沖の海底油田の探査が行なわれておりますし、また、より深い海域につきましては、出光興産によります探査が現在行なわれておる最中でございます。今後ともこれらの企業もしくは開発公団がさらに積極的にわが国周辺の大陸だなの開発に取り組むことを私どもは期待いたしております。シェル計画につきましても、日本側の企業がこれに参加をいたしまして、わが国として十分これにメリットを得られるように努力をしてまいるわけでありまして、これらすべての計画をあわせまして、日本海、もしくはわが国周辺の大陸だな開発を今後とも促進をしてまいるというのがわれわれの方針でございます。
  46. 近江巳記夫

    近江委員 日本は狭いといっても、周辺の海域というものはまだまだ広大であります。たとえば間宮海峡などにおきましても、あるいは東シナ海におきましても、学者の説によりますと、世界でも非常に有数の油田地帯がある、こういう発表も私は聞いております。こういう点におきまして、今後大陸だなのいろいろな問題を解決していく、そういう問題もあるでしょうし、さらにこうした周辺の海域を開発していく、こういう積極的な姿勢に立ってやっていただきたい、このように思うわけです。先ほどお話がありましたが、従来そういう姿勢において、他のものに比べると非常におくれておった。ひとつ今年度からは他よりも先がけるくらいの決意を持ってこの海底資源開発に向かっていただきたい、このように思うわけです。そういう姿勢に関して、最後に長官の見解を聞きたいと思います。
  47. 鍋島直紹

    鍋島国務大臣 海洋開発につきまして、特に油田の問題につきましては、ただいままでいろいろ御論議があり、また、われわれ啓発される点が非常に多くございました。この問題につきましては、技術のおくれとともに、積極的な姿勢、体制あるいは研究等におきまして、いままで、ともすれば不十分な点があったことを深く反省いたしております。なお、通産御当局が現地において実際やっておられるわけでございますから、ほんとうに連絡を密にいたしまして、今後さらに努力をいたしたいと思います。
  48. 近江巳記夫

    近江委員 以上で終わります。
  49. 沖本泰幸

    沖本委員長 質疑はこれをもって終わります。  次回は来たる十一日月曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会