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1968-05-16 第58回国会 衆議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十六日(木曜日)    午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 上村千一郎君 理事 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 本名  武君 理事 川崎 寛治君    理事 美濃 政市君 理事 永末 英一君       大村 襄治君    上林山榮吉君       古屋  亨君    箕輪  登君       山田 久就君    多賀谷真稔君       中谷 鉄也君    帆足  計君       依田 圭五君    沖本 泰幸君       斎藤  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局監理渡航         課長      守谷 道夫君         水産庁漁政部漁         業調整課長   藤村 弘毅君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         自治省行政局振         興課長     遠藤 文夫君     ――――――――――――― 五月十六日  委員西風勲君及び斎藤実辞任につき、その補  欠として多賀谷真稔君及び沖本泰幸君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  西風勲君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十四日  沖繩日本復帰促進に関する陳情書外十三件  (第三七二号)  同外三件  (第四二八号)  沖繩施政権返還に関する陳情書  (第三七三号)  同(第四〇一号)  同  (第四二七号)  嘉手納基地のB五二爆撃機即時撤去に関する陳  情書外七件  (第三七四号)  同  (第四二六号)  北方領土の日本復帰促進に関する陳情書外二件  (第三七五号)  同(第  四〇五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置  等に関する法律案内閣提出第一〇四号)      ――――◇―――――
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。依田圭五君。
  3. 依田圭五

    依田委員 きのうに引き続いて、若干質問を、二点ばかりいたしたいと思います。  一つは、おととい私は補助率の問題について質問をいたしましたら、加藤参事官のほうが、総理府を代表いたしまして、公式の見解を示してくれたわけです。それは奄美方式を下らざる努力をする決意だ、そういうように決定をしておるという意味答弁をされた。これは速記録を調べていただけばはっきりしておるのですが、きのうになりましたら、長官おいでになりましたので、さらにそれをもう一ぺん、むだなことでありましたが、確認を求める意味で申し上げましたところ、今度はあらためて加藤さんのほうが、ぜひ私に先に答弁させてくれという申し出で、実はそれは小笠原村なんだ、私の理解は、小笠原村に対する補助率の問題であって、それは東京都とか国の小笠原群島に対する事務事業についての問題ではない、小笠原村当局に対する補助の問題なんだ、こういうことの答弁で、それならば奄美を下らざる補助を十分にいたします、その決意でおりますし、そういう方針できまっております、こういう答弁をいただいたわけですが、私といたしましては、食言という強いことばまで言うつもりはありませんけれども、総理府公式答弁なるものは一体どこまで真意性があるのかという点について、非常に疑問に思うわけです。小笠原村の事務事業ということになりますと、大体戸籍簿仕事、あるいは小中学校といいましても建物がおもでありますから、建物は全部都道府県の負担になるわけです。小笠原村当局財政収入はないわけですから、歳入はないわけですから、そういうわけで、あとはぜいぜい結婚届けとか死亡届けとか、あるいは選挙関係事務ですか、それ以外にないわけです。あとは幾人かいる——現在は職務代行者しかいないのですから、職員に対して給料を支払う事務、そういうようなことしか小笠原村にはないわけです。あとは全部——ともかくあぜ道ならいざ知らず、少し大きな道路は全部国道であり、都道である。護岸もそうであるし、飛行場建設地方負担すべきもの、国が負担すべきもの、これは全部村当局の関係しないところなんです。それに対して小笠原村の負担については奄美以上にやりますけれども、あとは知りませんというようなことの御答弁では、その前の日にやりましたあなたの公式答弁と全然違うわけです。少なくも総理府長官おいでにならぬときに参事官がなさるときは、当然総理府長官立場で御答弁になるのだし、また事務の中心の仕事についてはむしろ参事官のほうが通暁しておるわけですから、実質的にも形式的にも、われわれとしてはおとといの答弁ときのうの答弁では、もののみごとにうっちゃりを食ったというか、予算委員会等であれば当然二、三日とまるような大事件を起こしてくれておるわけです。  そこで、その問題はそのくらいにして、きのうの質問に引き続き言及いたしますが、あらためて、実際東京都の仕事というものは地下鉄の建設であるとかあるいは道路の拡幅であるとか、都市計画の実行であるとか、都市化現象に伴いまして、いま三十億、二十億の金を引き出すのはたいへんな財政事情なわけです。金があるといえばある、ないといえばない、そういうのが巨大都市実情であります。奄美のときの鹿児島とは若干事情は違うことはわかりますけれども、現在この法令の中には二十五の政令がきめられておりまして、その政令のきめ方によってはどうにでもなるような仕組みになっておるわけですね。私はあえて聞きますが、暫定法の制定の現在の時点におきまして、一体東京都にはどれだけの仕事をさせるのだ、どれだけの仕事を国が直轄事業でやるのだ、どれだけは村当局——村は実際ないのですから、これから無人島に村をつくるのですから、村は眠ってもいると思うのです。東京都にどれだけやらせ、国がどれだけやるのだということについて、事務配分がはっきりしておることが、暫定法を確定される前提の問題でなければならぬと私は思うわけです。そのことについて明瞭になっておりますか。なっておればこれとこれは東京都にやらせます、これとこれは国がやります、公共事業一般でもいいです、その他公共事業に入らない一般事業でもいいですが、国の固有事務、県の固有事務とありますが、それらを含めて、補助率に入る前に、前段の問題として事務配分の問題についてどのような統一見解を、総理府が本法案をきめられるについてまとめられましたかを明確にしていただきたいと思います。
  4. 林忠雄

    林説明員 依田先生のお尋ねは、おそらく現地復帰いたしましたあと復興に関する仕事主体になっておると思います。復興以外の通常行政、すなわち生活保護であるとかあるいは義務教育だとか、これらはそれぞれの法律できめられたところに従ってその主体がはっきりきまっております。ただこれらによって村がやるということになっておりますものでも、村の財政能力行政能力がまだ充実しない間はこれは代行するということが当然あると思いますが、原則としては復興以外の行政についてはそれぞれ現行法に従った事務配分によってなされる、またそれによって何ら支障はないと考えております。  問題は、復興事業内容をなす事業、金もかかるが、それ自体にいろいろ施設その他を整備していく事業、これが問題になるわけでございますが、これはそれぞれの法律に従って、本土におきましてはそれぞれの主体が大体きまっておるわけでございます。現地復興いたします場合にこれをどうするかというのがこの際実は最大の問題になると思います。それにつきましては、現在の段階ではまだ復興事業内容にどことどこがどういう形で取り入れられるものか、まだ調査の済んでない段階なので、実はまだはっきりきまっておらないというのが正直な現状でございます。実際に調査をいたしまして、ここに飛行場をどういうふうにつくる、ここにどういう道路をつくる、そういうものがきまります場合は、その飛行場規模であるとか、経費であるとか、その道路規模港湾規模、そういうものによって、これは国の事業としてやる、これは都の事業としてやる、これは村の事業としてやるということになりますが、村の財政力がないので、村の事業であってもこれを代行してやるということが逐次きまってくると思いますので、実際の復興計画が立てられる段階で具体的に復興事業実施主体をきめる、大体こういうことに考えております。
  5. 依田圭五

    依田委員 どうも林課長の御答弁はなかなかりゅちょうで、専門家ですから、むしろ全部きょうは総理府長官にお答えを願わないと、おとといの二の舞になって、どうも参事官でさえ全く百八十度の答弁をしてくれるわけですから、さすがにきのうずいぶん温厚な私もがまんできなかったのですが、これからは総理府長官にひとつお聞きします。  大体林さんの御答弁で、すべては復興法段階において問題になるのだ、現在はきまっておらない、こういうわけなんですね。それで私たち心配するのは、川崎理事がきのうもるる質問をしておりました、この法文には二十五本も政令委任事項がありまして、憲法違反ではないか、あまりにも政令委任が多過ぎる、言いかえれば政府政令に盛りました内容によってどうにでもなる、これは地方団体に対して重大な影響がある。地方団体に対しては、憲法第九十二条の地方自治本旨によりまして、いかなる自治体はどういうようにこれを運営しなければならぬかという大原則がある。にもかかわらず、この法律では所有権のいろいろの制限さえやっているわけです。債権はもちろん、賃借権所有権さえ、一時的には完全な物権を取り上げている。所有権でさえもこの法律で制限している。こういう暫定法の基本的な性格からいいまして、二十五本の政令を配列されたのでは、これは自治団体にも地方自治本旨なんというものは飛んでしまうわけですね。  そこで、お聞きしたいのは、復興法で林さんの言うように査定の段階が重要である、その中に盛り込むのだ、そこで事務配分を明確にするのだ、いまは何もきまってない、こういうことです。復興法というのは、地方自治本旨に照らして、小笠原村当局東京都という中間体、それから政府、こういう団体の中で、三者の討議の中で一番データを持っておりますのは、むしろ密着している地方団体が持っているわけです。これは戦前長い間東京都の伊豆七島の中にあったわけです。したがって、そういうような情勢の中で、いつごろ何人ぐらいの構成でどういう意味審議会をつくるのか、あるいはどうするのか、いかにして民主的な意見を集中して政府が思うままに二十五本の政令を盛るようなことのない、そういうような機構運営にするか、明確にしていただきたいと思います。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、自治省担当官方々なり、私の役所の参事官の御答弁のときに、おった場合とおらない場合がございますが、食い違う場合がありましたらばまたあれですが、問題は、ただいま御審議をいただいているのは復興法の問題ではなくて、暫定法の御審議をいただいているわけでございます。それで三十二条の負担金補助金復興法段階におきましては当然奄美復興法の例その他いろいろな例に徴しましてきまると思いますけれども、何はともあれ、とりあえずこの復興法ができるまでの期間における暫定法特例の問題であろう、こういうふうに考えます。  それで、その場合に国が直接行なう分野がむしろ先行投資的な意味において非常に多いのではないかと類推されるのでありますが、さらにまた国の行ないます分野でなく、他の分野ということになりますと、都なり村なりという自治体の問題が出てくるのは先生のお説のとおりであろうと思います。それでその間において、暫定法といたしましてもまずこの問題はできるだけすみやかに——島民方々の帰島の問題やら、あるいはまた復興法に引き継ぐ、レールを敷くというふうな意味におきまして、どういう表現をとったらよろしゅうございましょうか、前向きと申しましょうか、あらゆる努力を傾注して、一日もすみやかな帰島の前提を形成していかなければならぬ、復興法の前にこれをつくっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  それからいまお話しの審議会と申しますか、官民の方々によりまする本格的な計画のための審議会というものは、暫定法段階ではなくて、復興法段階において審議会はできるべきものだろう、かように考えます。またその時期等々の問題は、昨日来いろいろとお話がありましたように、まず暫定法でもってレールを敷いて、そうしてほんとうの序の口のまた序の口でございますが、あらゆる努力暫定法でいたしまして、できるだけ早い機会に復興法というものを御審議いただくような過程に移していきたいものだ。それではその時期はいつかと、こうなりますが、この点は形式的に考えますと、予算概算要求が八月ということになりますから、来年の通常国会法案を出そう、予算のあれを出そうと思えば、八月三十一日までに一応のめどを立てなければならぬということに相なりますけれども、現実の問題としましては、もうすでに五月で、この暫定法審議に入っておりますが、これから暫定措置をすぐに行ないますにしましても、やはり下半期にかかってくるだろうと思います。でございますから、すでにできておる地域対象と違いまして、やはり概算要求提出時期に間に合うようなきちんとした予算要求なり、あるいはまた復興法の御審議がやっていただけるような段階にこぎつけられるならばよろしゅうございますが、時間的に言いますと、非常に迫っておるということで、その点はどうかこの暫定法意味するところを御了承いただきたいと思います。
  7. 依田圭五

    依田委員 長官の御答弁は全然了解できないのです。なぜかというと、われわれは野党なんで、この暫定法審議だからこそ復興法見通しについてここで明確にしてもらわなければならない。復興法復興法だ、暫定法暫定法だ、こういうように離して、これはそういう考え方に立つべきだということは納骨がいかないのです。暫定法にはたくさんの政令委任事項が多過ぎる。それが地方自流本旨をじゅうりんしたり、地方団体を眠らせる可能性がたくさんあるから、これは事業施行主体性をどこに置くかという問題になるのです。言いかえれば、事務事業配分はできておるかということを聞いたが、それは全然できておりませんというのです。おかしいじゃありませんか。事務事業配分まで想定して、こういう青写真小笠原というものを建設いたします、それについては、当面は前段のかまえとして、こういう暫定法が必要なんだ、その次には、半年なり一年たてば、こういう復興法を提案する予定なんだ、それには二十五本の政令委任事項もこういう角度から重要なんだ、これをまげて御承知願いたいと言ってこの委員会へ出すならわれわれも納得するわけです。しかし、それはそのときだ、いまは暫定法審議過程なんだから、そんなことはわからぬという意味合いでしょうが、いま長官は、非常に市が迫っておるから、間に合わす予定であったが、そこまで準備できなかった、それはそのあとだということであれば、私はさっき理事会に社会党の希望意見として、それなら一年以内に復興法提出するように附帯決議をつけてくれと地方行政委員会の全員の希望として申し込んでおったら、政府側答弁は一年以内に復興法は出します、だから、あれは乗っけることはないというお話なんです。  それに関連して質問をいたしますが、大体事業主体がどこに行くかということが問題なんですよ。言いかえれば、地方自治憲法九十二条をどうして守るか。その事業主体が眠らされるのが、この二十五本の政令委任事項なんですよ。だから復興法を、いつの時点において、どういう衆知を結集して、自治省なり総理府なりどこがイニシアをとって提案するのですか。それによっては、この不確定な問題がたくさんにあるこの暫定法もやむを得ないだろう、こういうことをわが党の仲間では相談をしているんですよ。しかし、われわれの質問することは何ら明確にされぬで、暫定法だけにこだわって、事務配分はきまっておりません、復興法を出す時期についても、審議会を設置するかしないかも、衆知を結集する方法についても何ら腹案はありません、ともかくまかしてくれ、政令が十分にあるのだから、どんどんきめてやっていく、そんなことは——奄美方式による公共事業あるいは公共事業以外の一般事業補助率は全部違うんですよ。たとえば奄美の場合には、道路は十分の十、離島振興では四分の三、離島振興では学校は十分の六・六、奄美では十分の八、全部違うんですよ。東京都あるいは小笠原立場からいうと、たとえ三%や四%の補助をいたしましても、自分がお金を出しても、国のほうの補助がそれだけ少なくなっても、たとえば九五%が国だ、残りの五%が東京都だとしても、東京都のほうに事業施行主体性を、イニシアをとらせてもらえれば、そのほうがよろしいという見解をとっているわけです。ですから、いま全部先行投資で国がやるからいいだろう、こういうつかみの話は納得がいかないんですよ。もう一ぺん重ねて御質問いたします。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 私が申しましたのは、復興法青写真と申しますか、構想というものを全然頭に描かないで、かってにつかみ取りで暫定法をお出ししたというわけでないことは当然でございます。ということは、小笠原についてやらなければならないいろいろな問題につきましては、あるいは案件対象別自分責任でやるべきことである、このことは自治体責任でやるべきであるということは、一応分類をいたしているわけでございます。そういうふうなことから申しまして、ただいまのお話離島振興に対します高率補助の問題あるいは奄美特例法に基づく補助の問題、こういうふうな問題は、奄美の場合におきましても、奄美復興の場合により一そう確定いたしているわけでありますが、いまのこの場合は、一応対象別に相当な分野国自身責任を持ってやっていかなければならないものが非常に多い。必ずしも奄美の前例が適用されるかどうか。つまり向こうにおります人口の問題におきましても、奄美の場合は二十万と相当ございましたが、小笠原の場合は父島に二百人ばかりの人がいるだけで、母島にしましても、硫黄島にしましてもおられないし、同時にまた、ああいう非常な激戦地硫黄島等の場合もある。さようなことで、小笠原に対しましては、よかれあしかれ相当のものを国がやっていかなければならないような立場に置かれておりますことを御了解いただきたいのであります。でございますが、これが暫定措置ということから、一応の軌道に乗せるべき復興法の場合におきましては、さらに分野を明確にして、そうしてあらためて補助率の問題も——単なる離島振興なんかの場合は例にならない。あの小笠原を何とかして早く帰島ができるような段階に置きますためには、国の助成も、手厚い助成をしていかなければだめじゃないか、こういうふうに考えるのでございまして、しかし、この場合は、むしろ、復興法の際に譲らなければならない分野だろうと存じます。  なお、復興法責任主体官庁といたしましては、御質問がございましたが、これは自治省が当たることになるわけでございます。
  9. 依田圭五

    依田委員 それじゃ、ちょっと具体的に聞きますが、一体港はどこへつくるのですか。硫黄島に先につくるのですか。母島へつくるのですか。それとも父島のほうにつくるのですか。飛行場一体どこにつくるのですか。硫黄島の飛行場を直すのですか。それとも父島飛行場の五百メートル、七百メートルのいまの既存のものをやるのですか。それとも隣の夜明山とかなんとかいう山につくるのですか。道路一体母島に先につくるのですか。それとも父島につくるのですか。硫黄島につくるのですか。どこにつくるのですか。それを明確にしてください。
  10. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  いま具体的なお話でございますが、私、いままで御答弁申し上げてきました線と申しますのは、父島に現在、百七十四名でございますが、その方々が住んでいて、しかも米軍が使っていて、ある程度、何と申しますか、人が住めるようになっておる。そういう状態でございますので、父島の特に二見港もある程度使えるというようなことから、二見港をまずさしあたっては整備する必要があるんじゃないか、そういうふうに考えまして、そういう線でまず父島、そういう、少なくとも第一歩は父島とならざるを得ないのじゃないか。ただ、いろいろ先生方お話がございましたように、母島について全然放置するということでなくて、やはりできるだけ早く復興をはからなければならぬわけでございますので、時間的にいつということを言う段階でございませんが、すみやかに母島についても復興の手をのべるということは当然だというふうに考えるわけでございます。  港湾につきましてどこにつくるのか、あるいは飛行場をどうするのかというようなお話につきましては、もちろん専門技術的な調査の結果によって、その可能な限り整備していかざるを得ないわけでございます。
  11. 依田圭五

    依田委員 形容詞はいいのですよ。可能な限りとか、可及的すみやかになんて形容詞を幾ら聞いてもしようがないのです。これは参事官、おとといで私はこりておるから、あまりあなたには質問したくないんだ。しかし、父島二見港をつくるというのは、あなたの見解でしょう。少なくともあなたと、それから、あなたに代表されます総理府当局考え方でしょう。きのう来ました一万人の旧小笠原島民を代表します小笠原協会会長は、きのうの公聴席で、はっきり、この法案には、まあ反対はしない、これはお祭りの法案ですから、うれしい法案ですから、返ってくるのですから……。しかし、非常に苦しい態度を示しておるのですよ。全面的に批判をしております。その一つは、一カ村問題、これは実情を全然ネグっております。一つは、向こうに在島の方々の五十何人については親切だけれども、これから帰ろうとする何千人かの人については不親切な法案である。それから、母島開発方式かおくれるということは、母島に帰る二千人の者にとっては迷惑しごくだ、見通しが立たないということを言っておるのです。そのほか二点も三点も言っておる。小笠原協会は五点あげております。あなたの見解に対してまっこうから挑戦しているわけです。あなたの見解とは違うのです。小笠原協会会長に言わせると、一万人の小笠原島民を代表して、二見港から先に手をつけないという答弁をするかもしれませんよ。だから、私は、審議会なり何なりを復興法に、——これはいいです、暫定法はもうここへ来ておりますから、これは要するに、この事柄がうれしい、ありがたい法案なんですから。次にすぐ問題になってまいります復興段階について、復興法をいかにして衆知を結集する機関の扱いをあなたがお持ちになって、いましばらくは政府にまかせ、二十五本ものべらぼうなたくさんの政令を乱発してかってにつくるけれども、しばらくはがまんしてくれ、しかし、行く行くは十分小笠原協会をはじめ東京都の意見もみなよく聞いて、衆知を結集いたしますよと、こういうことをわれわれは考えておるのに、小笠原協会をもう一ペん呼んで聞いたら、あなたとは全然反対答弁をしますよ。
  12. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 少しことばが足りなかったようでまことに恐縮でございますが、私の申し上げましたのは、物理的にそういうふうにさしあたって父島二見港を使わざるを得ない状態であるということを申し上げたつもりでございます。したがいまして、いま先生の御指摘のように、昨日の小笠原協会の方の御発言、十分参考にして今後の復興計画を立てていくのは当然でございます。  今後の問題といたしまして、先ほど長官が触れられましたように、復興法段階で、法律上の審議会をつくって、旧島民の方、それから東京都の方の御意見も十分その審議段階で反映できるように措置をしたいというふうに思っておりますが、復興法以前におきましても、いままで小笠原協会東京都の方も含めまして、いわゆる対策本部というものを設けて、そこでいろいろ御意見もお聞きしているわけでございます。したがって、この法律施行後におきましても、また、法律に基づかない状態計画ではありましても、十分その対策本部におきまする御意見、対策本部そのものを活用していくかどうかはあれといたしましても、少なくも小笠原協会なりあるいは東京都の方の御意見が今後の措置に反映するように十分考えていきたいというふうに思います。
  13. 依田圭五

    依田委員 重ねて質問しますが、小笠原対策本部なんて、きのう来た小笠原協会会長は、何でも、一ぺんも呼ばれたこともなければ、相談にあずかったこともないし、あずかり知らぬということを言っておる。私は、ともかくもっと権威のある正式機関を法律の上ではっきりする意思があるかどうかを聞いておるのです。そんな政府の、総理府の中におけるそういうふうな——これは東京都から千葉主幹が出ておることは知っていますけれども、何が発言ができますか、正式の機関でなくて、政府のお歴々のいるところで。私は、もっと法定をして、法律でもってぴちっとその機関の構成員をきめてやってもらいたいということを重ねて申し上げておるのです。これは学校のつくり方一つ、あるいは、政府のほうでは硫黄島の港湾を先につくりたいでしょう、父島より早く。しかし、小笠原協会母島港湾をつくってもらいたいと言っている。その港湾のつくり方一つ道路のつくり方一つ、これはみんな要求が違うのですよ。これを結集して、政府が、一億国民の総意を反映して、民主的にひとつやるような機関をつくって、その機関の意見を集約して復興法内容を持っていく、これをできるだけ早くやってもらいたい。これについてひとつ長官から重ねて明確に打ち出してくださいよ。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、昨日ちょうど小笠原協会の方のただいまの御意見が出たことは知らなかったのですが、しかし、この暫定法をつくるにあたりましても、また、いろいろと作案にあたりましても、小笠原協会の方なり東京都の担当官の方とはよく御相談をいたしておるはずでございます。一ぺんも呼ばれたこともないなんていうことは、私は考えられないことでございますが、しかし、この暫定法は、お説のように、私ども役人が何ば考えていたって、これは役人の島じゃないんでありますから、実際住民の方々が帰島されて、そうしてその方々の村をつくり、また、自治体をつくっていかなければならぬお世話をするのがわれわれのあれなんですから、その主体でありますそういった現島民、旧島民方々の御希望なり何なりというものが、やはり今後のほんとうの目標にならなければならぬ、こういうふうなことから、ちゃんと法令に基づく正統な姿における各方面の意見を代表する機関を当然つくっていかなくてはならないと存じます。当然そのことは復興法の中には十分書き入れて、そしてりっぱな御意見を聴取し、その御意見のよってきたるところに従ってわれわれは島の開発に御協力をするというのであります。主体と客体と、われわれ役所のものはお世話をするだけであって、ねらいはいまの島民方々でございます。
  15. 依田圭五

    依田委員 どうも頭が悪いのでよくわからないのですが、私がいま長官の御答弁を理解したのでは、審議会、名前はどうあろうとも、そういう性格の一般の朝野の意見を徴する機関をつくって、そして復興法の中に法定をして、その意見を十分に反映をさせるような手続をとって復興法を策定をする、その時期は次の予算編成の時期に間に合わせたい、こういうように理解をしてよろしいですか。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 法律そのものは当然次の国会になりますけれども、しかしながら、われわれとしましては、その前におきましても、やはり島民の御希望なりあるいはまた東京都という行政主体なり、そういうふうな方々とも緊密な御連絡とそれからまた御要望も十分反映できるような姿においてわれわれがお世話をするということであるわけでございます。
  17. 依田圭五

    依田委員 ちょっと加藤さんから耳打ちがあったらすぐ後退する。長官、あなたのお話は、はっきり、つくってもよろしいという意味のことをさっき、いまの答弁の前の答弁では言われたですよ。加藤さん、いいじゃありませんか。私はあなたに対して食言問題を起こしたくはないけれども、速記録を持ってきて読みましょうか。私は全体に対して、国、都、小笠原のすべての復興団体に対して、奄美を下らざる補助をしますかときのう聞いたら、あなたはしますと言って、あれは前の二つはないのです、小笠原村だけだと理解しました、こう言う。あなたの理解はどうであるかわからないけれども、あなたの、村と言ったら、何をやるのですか、死亡届け結婚届けだ、あと何があるのですか、島とはいっても職務を代表して一人しかいないじゃありませんか。そんなことを言っちゃ困るのですよ。いまの長官の御答弁では十分に私の趣旨に沿って——私の申し上げているのは、私のみならず社会党委員全員の意見であります。総理府政令二十五本も預けちゃったのです、身ぐるみ預けてあるのでから、せめて復興法段階においては、これは国会できめるのですから、当然ですから、ただ、起案原局としてはそういう原案をひとつ提案をいたします、その用意ありということであれば、おのずから暫定法についてはわれわれは十分不満等は——われわればかりではない、一万人の小笠原協会が不満だ、さんざんおせじを言って、きのうの答弁ですよ。まあ反対をするわけじゃありません。反対をするわけじゃありませんが、はっきり五つの不満点をぶちまけているわけです。一カ村では困ると言っているのです。それらを含めて、これから先も長い間守谷さんと加藤さんに預けるわけにはいかないです、たいへんな問題でありますから、しかも五百億、一千億、金がかかる問題なのですから。これはあくまでも朝野のあらゆる知識を総結集してやってもらいたい。それを法律の中に盛り込んでいただきたい。そういうことで、ひとつ田中長官の御答弁をいただきまして、この法案は不満でありますが、あと理事におまかせをしていきたいと思います。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 御趣旨のごとくにわれわれも考えておりますし、またさようにいたしたいと思います。
  19. 依田圭五

    依田委員 それでは法定の審議会を設置されることを了承していただいたと理解してよろしゅうございますね。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 当然それは復興法におきまして法定いたします。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 関連して——いまの点ですが、復興法において審議会をつくるとなると、復興法ができてから審議会ができる、こういうことになりますね。そこがさっきのと違うのですよ。
  22. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  いまの法定の問題ということになりますと、次の国会ということにならざるを得ないわけでございますが、現在準備対策本部というものをつくっておりまして、そして民間団体の各位並びに東京都の各位、また各省庁の方々も一緒にいろいろの問題に取り組んでいるわけでございますから、いまの法定ができないまでは民意というものが何ら反映をしないのだというようにお考えをいただいてはちょっと困るのでございます。もちろん、われわれはあくまでも旧島民方々の御意思なり、あるいはその他現住民の方々のためによかれと思ってあらゆる努力をいたしておるわけでございますから、さような関係におきまして、この暫定法においてはまずあすからでも手をつけてやっていかなければならない各般の先行投資なり、あるいはまたそういうふうな問題を一応処理させていただいて、そして本格的な問題と取り組む場合は、いまの暫定法からさらに復興法段階においていろいろと検討を重ねてまいらなければならぬ。  いまのお話は、復興法のときに法定の審議会ができるが、それまでの間はどうするか、民意が反映しないじゃないかというようなのがただいまの御主張のポイントだと思うのでございますが、その点はただいま申し上げたような民意を十分反映させる機構といたしまして、準備対策本部なり何なりでもっともっとできないか、かように考えておりますが、いかがでございますか。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃもう少し具体的に詰めますから簡単に答えていただきたい。  では、準備対策本部というもののフルネームを言ってください。まず加藤さんから。
  24. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 小笠原諸島復帰準備対策本部でございます。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 といいますと、復帰に備えた準備対策本部なのですよ。それはいわば暫定措置法のことになってくるわけですね。それからいままでの基礎的な初歩的なといいますか、そういう調査段階でこの法案ができる。そうしますとこの法案の中からは十八条で、附則の四条で総理府設置法から、いままでのこの区域は、今度総理府の権限からはずれるわけでしょう。しかし準備対策本部という、いわゆる復帰に備えての準備対策本部というのは総理府にあるまま残っていくわけでしょう。ところが権限は落ちる。これは自治省のほうに、その他というところで受けるのだ、こういうかっこうになっておりますが、自治省それ自体がきちっとやることについては次の復興法でやるのだ、自治省自体が責任を明確にして進んでいくのは次の復興法からだ、こうなりますね。  そこで先ほどから依田委員が言っていることは、暫定措置法ができる。そして次に復興法並びに復興計画が策定される。それまでの段階に、つまり附帯決議案にも入っておりますが、国、都あるいは帰島者、現地住民あるいは関係団体、そういうものが密接に、緊密に協力をし復興計画を立ててくれ、立てるんだ、こういう決議案になっているわけですよ、これは。そうしますと、問題は、その段階——つまり戦後各種審議会ができた。そのときの各種審議会というのは、いかにして国民が戦前の行政の横暴、独走というものをチェックし、お互いの間の利害調整をやり、そして国民がいかに行政に参加をしていくかということがこの審議会の設置の目的でもあったわけです。だから、依田委員が言っておるのは、暫定措置法ができて次の復興法復興計画というものに入る際に、いかにしてその利害調整をやり、そして関係者、現地住民の人たちがその行政にどう参加をしていくか。つまり復興計画なり復興法に対して、きちんとできたところでどう具体的に参加できるかということなんです。だから、復興法あとは、それはそれでいいのです。それを進めていくのはその機関でよろしい。そのことは、総務長官答弁をされたように、それができるということは確認をするわけです。ところが、その前に暫定措置法が成立をして返還協定が効力を発生しておる、それまでの間の、復興法をつくったり復興計画を策定したりということについてのあれは、先ほどフルネームを言ったように復帰準備対策本部というのがそのままやっていくということはおかしいでしょう、おかしいんだ。だから、そこの機関をきちんとしなさい、それをつくりますかというのが依田君の質問なんですよ。それがないということになると、これは戦前の行政の横暴、そういうものをそのままやるんだ。だから、われわれがこの決議案に際して東京都の主体性を尊重せいとか、あるいは自治法の本旨にのっとってきちんとやれとかいうことを決議案の中でやかましくいっておるのは、その点なんです。それがないわけです。明確にしていただきたいのです。
  26. 田中龍夫

    田中国務大臣 いまおっしゃったとおり、暫定法が通過して復興法ができるまでの間の経過措置……(川崎(寛)委員「いや、経過措置じゃない」と呼ぶ)経過措置でしょう。復興法ができると法定の審議会みたいなものができましょう。その前においても復興法なるものを——いかにして島民の意思や将来のことを十分反映させるかというプランニングをこの復興法の前に一緒にやらなければいかぬということでしょう。つまり暫定措置法が通過して復興法ができるまでの間の、そこに民意の反映の機構的な暫定措置の問題でしょう。そう心得てよろしゅうございますね。それにつきましてただいま申し上げたように、各省庁にわたります非常に広範なものですから、私どもの総合調整の役所といたしましての現在のような対策本部というものは、これは内容的には姿を変えて、今度はその中にいろいろな方の御意見を十分聴取でき、さらにまた各省庁に、そのことが行政上にも反映できるような機構をつくるということでございましょう。違いますか。(川崎(寛)委員「その答えがいままでは出てきていないんだ」と呼ぶ)それを法定するということは、現実の問題としては、現国会と次の国会の間だからできませんけれども、行政措置としましては、いまの私どもの総合調整機能というものを十分活用いたしまして、そうしてりっぱな復興法の作成に十分民意が反映するような措置をとります。それじゃいけませんか。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 だから、あなたは、民意を十分に尊重し、そして総合調整機関としての総理府の役所の性格上の任務においてやるんだ、こう言われる。ところが考え方それ自体に——いま総理府の中にある機関は復帰準備対策本部でしょう。だから、それ自体がこれから復興計画なり復興法なりの策定というものに向かって民意を反映させる機関だという考え方は、それはちっとも衣がえしておらぬわけです。少しも前進しておらぬわけですよ。復帰までの暫定措置法がこれなんだから、それが済んだ次の策定までの間に民意が十分に参加できる、それから、われわれいま各党で話し合っている決議案の中にもある、各関係機関が密接に協力してやろうというのだから、復帰準備対策本部という機関の中でやれますなんという答弁をするから、これはだめだというのです。それを衣がえして、それにみんな参加させる、利害調整をやる、利害関係者の参加を十分させる、そういうことできちんとしなさい。そしてあと復興法ができ復興計画ができたやつは先ほどの答弁で確認をします。それまでの間の問題です。
  28. 田中龍夫

    田中国務大臣 わかりました。復帰準備対策本部という現在のものは、暫定法ができた後は、これはここでもって終了いたしますから、今度は名称も変え、新しい機構として発足いたします。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 確認しますけれども、いまの衣がえはします、これはそれでよろしい。そうすると、その衣がえをした、新しく変わった名称はどうなるかわかりませんが、その対策本部は、現地の人もあるいは帰島の代表者もあるいは各党なり関係団体なりというものも十分に入って復興法復興計画——つまり国会に出すまでの復興法復興計画の策定については十分に調整、参加ができると確認をとっていいわけですね。
  30. 田中龍夫

    田中国務大臣 そのとおりでございます。
  31. 床次徳二

    床次委員長 美濃政市君。
  32. 美濃政市

    ○美濃委員 一点確認をしておきたいのですが、私は今回、農業振興と農地法関係を重点に進めてきたわけです。その中で、きのう農林大臣のこの法案に対する見解を承ったわけですが、私の考えでは、行政措置で行なう面ですね、これは法律と、行なおうとする政策の意図とが多少食い違っておっても、実際の運用で配慮するということでもいいと思うのです。この場合の七条二項ですね。これは政策の意図と法律とはかなり食い違うわけですね。二項をちょっと読みますが、「前項の政令で定める日は、旧島民が帰島して土地を開発し、これを耕作の目的に供することができることとなるまでに要する通常の期間を考慮して定めなければならない。」こうなっております。政策の意図は、土地を開発しということはなくなった。開墾目的に供することができるでなく、耕作の目的に供する計画に要する通常の期間を考慮して定めなければならない、こういうふうに整理されたと思うのです。  それからさらに第七条関係の「政令で定める日」、このコピーによりますと、「農業を営もうとする旧島民の相当数が帰島し、さらに未墾地の売渡しから開墾を完了するまでの期間を考慮している。」当初の政策の意図は七年ないし八年、それではいろいろの不都合が生ずるということで政策の意図は整理された。整理されると法律と合わない問題がある。これはやはり政策の意図とこういう面の法律を合わしておきませんと、土地所有者に与える心理的な影響というものがありますから、単に行政措置だけではない。行政の配慮の中で、本来法律はこうなっておっても運用で注意をいたしますということはちょっと違うので、この点確認をしておきたいと思うのですが、長官考え方、これをどうするかということ、これを承りたい。
  33. 田中龍夫

    田中国務大臣 私、農林大臣と昨日交代しまして向こうの本会議に行ったものでありますから、私の不在中の農林大臣の御答弁の趣旨がよくわかりませんので、ちょっとかわって担当者からお答えをいたさせます。
  34. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  きのうの農林大臣の御答弁、いま先生のおっしゃった点、私もはっきり記憶していないのでございますが、大臣の答弁が、できるだけ早く施行したいという気持ちを表明されたことは私も十分承知しております。したがいまして、この表現自体はまあ、「開発し、これを耕作の目的に供することができることとなるまでに要する通常の期間」、こういうふうになっておりますけれども、その大臣の御意図を十分このことばの中からくみ取っていきまして、一般的に開発、耕作の目的に供することができるような、そういう事態ができるようにできるだけ早く措置いたしまして、農地法の適用が少しでも早くなるように、まあせんだっての御質問に対しましては七、八年というふうに申し上げたように記憶しておりますけれども、そういうふうに七、八年ということにこだわらずに、できるだけ早く施行できるようにしていきたい、そういうふうに思っております。
  35. 美濃政市

    ○美濃委員 速記は見ておりませんが、きのうの農林大臣の答弁は、測量してそうして農業開発をパイロット方式その他で進めるにしても、帰島する意思と開発目標がきまった場合はその時点で農地法を適用する、私は速記を見ておりませんが、そういう概要の答弁だったと思います。それから長官も、開発法の制定と、開発目標が立てば、やはり全部が畑になってからの適用ではおそいから、開発法の制定とあわせて農地法の適用を考慮したい、こういう概要の政策意図の御答弁だったと私は承知しておるわけです。速記を見ておりませんから……。まあ、そうすると、この法律あるいはこの政令で、開墾完了までの期間を考慮していますというと、政策の意図はまたそれとは、実際問題として、たとえば測量が終わり、島民の復島意欲、それからいまの未墾地買収——自作農特別措置法時代の未墾地買収というものは認定で、耕作物の有無にかかわらず、畑地として使用できると認定したものは強制買収した。いまの買収は、その土地を買収することが必要であるという状態を捕捉して未墾地買収するということに昔とは変わっております。自作農特別措置法時代の未墾地認定買収とはちょっと法律の運用が変わっておるわけですね。そういう点を配慮しても、またきのうも平野参考人が言っておったように、体系的な生産性の高い農業あるいはこれからの近代的農業の集団性等、どうしてもやらなければならぬそういうことを配慮すると、どうしてもパイロット方式を適用するとなると、そこに土地問題を解決しないとパイロットというものはできないわけですから、ただ予算措置だけで、土地の所有権や所在というものをないがしろにして国費の高額補助適用するというわけにいかぬわけですから、必然的に農地法の適用ということは、開墾してしまってからという問題でなくなってくるわけです。そういうふうにするということは言っておるわけです。そういうふうにするということになると、この七条の二項とそれからコピーでいただいております七条第一項関係の政令で定める日というものは政策の意図と食い違うから、これは繰り返しますが、内部の行政組織の問題と違って運用で注意しますということだけではいけないから、これはやっぱり整理する必要があるのではないか、こう申し上げておるわけです。
  36. 田中龍夫

    田中国務大臣 このちょうだいいたしました附帯決議案にも「農地法の適用については、復興法の施行に応じて、速やかに適用できるよう措置するとともに、自作農による農業振興を図ること。」この御意見に帰するのじゃないかと思いますけれども、農林大臣が昨日お話をなさいましたその趣旨を十分に生かして、また美濃先生とわれわれとが先般来お話をしておりますことも、やはりこの実施の政令で定める日でありますとか、あるいは通常の期間の考慮でありますとか、いままでの御審議過程を体して農林当局のほうでできまするように、われわれのほうも行政庁といたしまして十分配慮いたします。
  37. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、政府で修正ということはできないし、いまどうするかという結論は私ども出していませんが、たとえば政策の意図に合うようにこの法律の七条の二項を、言うなら疑義があるから削除をするか、もう一つは、政策の意図がはっきりしたわけですから、「旧島民が帰島して土地を開発し」の「開発」という字句を削除し、そして「目的に供することができる」とあるのを「目的に供することができる計画に要する通常の期間を考慮し」と、こういうふうに修正することが、対地主に与える心理的影響もありますし、必要だと思うのです。これは政府から修正するというわけにいかぬでしょうが、そういうふうに直すことが適当だと私は考えるのです。直す直さぬは別として、そこは違っておると私は思うのですが、御意見を伺いたい。
  38. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  この第二項は、実は第一項で「政令で定める日の前日までは施行しない。」というのでは、いつまでも施行しないという可能性もある、むしろ第二項でやはり農地法が施行し得る段階になれば当然農地法を施行すべきだ、むしろそれがこの法律においても農地法の趣旨からいっても当然のことであるということを言わんとしてこの規定を置いたわけでございますので、削除というのには、私、立案をした者としてはちょっと賛成できかねるわけでございますが、先生の御趣旨は、きのう農林大臣がおっしゃった趣旨を私ちょっとはっきり記憶しておりませんので申しわけございませんが、もし農林大臣が言われたことが農林大臣の政策として言われたことでございますれば、この規定はこのままでありましても、農林大臣のおっしゃる趣旨で十分政令を定むるその前提としての問題は読み切れるように考えられますので、一応そういう農林大臣のおっしゃったその政策の方向で十分活用さしていただきたい、そういうふうに考えております。
  39. 美濃政市

    ○美濃委員 行政組織の中で、内部的には法律というものは読み切っても、さっきから言っておるように、それは行政組織や行政内部を規制する法律の場合は読み方あるいは運用で是正してやりますということも了解できるのですけれども、こういう国民である相手方をある程度拘束するわけですから、拘束期間の問題、こういう場合の措置は、内部で読み切ったからといって、法律にあらわれておる表現というものが、言うならば第三者ですね、第三者に与える影響というものは読み切れるものではないわけです。内部の規制法律とは違うわけですから、行政内部の運用や組織を規制した法律とは違うわけです。読み方はそういたします、運用で注意いたしますということとはちょっと違うと思うのです。  それからもう一つ。そうすると、この政令の期間という問題がもう一つあるわけですね。政令の期間はそういう政策意図に合うような期間でこれをするのか。ここに書いてあることと違うわけですから、未墾地を売り渡ししてから開墾を完了するまでの期間を考慮しておるということとは政策意図は全然違ってきたわけですから、こういう期間適用しないという考え方ではないわけです。政令、これからまだつくるのでしょう。できてしまっているものではないのです。政令の期間について、これが大切だと思うのです。
  40. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 私の申し上げました趣旨は、実は現在現況が農地でございませんので、農地法が当然適用されないということを頭に置きまして、現況が農地になる、一応この第二項におきましては、そういう時点においては、農地法を当然適用していくのだ、そういう趣旨に限定がされているように私理解しているわけでございます。いずれにいたしましても、そういうきのうの農林大臣の御答弁内容、それ私、申しわけございませんが、十分把握しておりませんので、農林大臣の御答弁の趣旨に沿うように政令を制定する段階で考慮をしていただきたいというふうに思っております。
  41. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係がありまして以上で終わりますが、私はやはりこの点の修正が必要であるという意見を申し上げておきます。したがって、どうするかというようなことはここで申し上げませんが、修正する必要があるという意見を申し上げまして、終わります。
  42. 床次徳二

  43. 斎藤実

    斎藤(実)委員 総務長官にお尋ねします。  きのう時間がなくて、一、二点質問が残ったわけですが、先日の水産庁長官お話では、小笠原に対する旧漁業権の補償ということは、あれは六百万ドルは一応見舞い金であるけれども、補償金ということも含まれているのであるというようなお話があったのですが、総務長官としては、御見解いかがですか。
  44. 田中龍夫

    田中国務大臣 水産庁長官の御意見も同じだろうと存じますが、使用できなかった期間におきまする損失の補償と申しますか、やはりそういう考え方であろうと存じます。
  45. 斎藤実

    斎藤(実)委員 これは昭和三十七年に閣議決定をしまして、それで旧小笠原島民に支払いをされたわけです。その後旧漁業に従事しておった小笠原から引き揚げられた方々がまた陳情をしておるわけですね。ちょっと私きょうは資料を持ってまいりませんでしたけれども、都を通して国に補償してもらいたい、御承知のように漁業改革で日本の国では補償されたけれども、小笠原は施政権が及んでいないので、その支払いを受けていないということで何とかしてもらいたいという陳情があったわけですけれども、ところがそれに対する回答として、佐藤総理大臣からは補償するともしないともはっきりわからないような回答をしておるわけですね。きのうも私お尋ねをしたのですが、水産庁長官の、この通達はアメリカからの六百万ドルの支払い以前であったということで、施政権が返ってきた場合の補償ということは、いまとは事情が違うのだというふうな答弁でございました。私がお尋ねをしたいのは、いままで施政権の及ばないところには補償はできないのだというふうに言われてきておったのですけれども、その点はどうでしょうか。
  46. 田中龍夫

    田中国務大臣 属人的な原権によりまする補償の場合でございますときは、施政権が及ばない地域に対しましてもやり得る。たとえば、沖縄なんかの遺族の扶助料とか恩給の問題なんか、ああいうふうな属人的なものは施政権の及ばないところにおきましてもやはりやっております。
  47. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私ちょっとことばが足りませんでしたかもしれませんけれども、私の聞かんとする意味は、見舞い金六百万ドルの一部の二億八千八百万円が旧島民の漁業権として支払われた。その後においても何とか補償してもらいたいという声もあったわけで、実際はその陳情もしておるわけです。ですから、先ほど水産庁長官も言っておりましたし、いま総務長官も、あれは見舞い金であるけれども、補償金という意味も含まれておるのだ、そういうことになりますと、施政権が及んでない小笠原の漁業権というものに対しては補償はいままではできないのだ、こう言ってきたわけです。そうでしょう。それが、補償金も含まれるということは、これはおかしいのではないかということを私は言っておるのです。
  48. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  先生の、施政権の異なるところには補償できないという御質問は、アメリカの施政権行使によって生じた損失、そういうものについての日本政府の補償という問題のように私受け取ったわけでございますが、もしそういう趣旨でございますれば、それは日本政府の問題ではなくて、アメリカ政府の問題であるというふうに判断しておるわけでございます。
  49. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ちょっと意味がわからない。端的に言ってくれませんかな。
  50. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 アメリカ政府の施政権行使の結果としてもし損失が生じた場合には、アメリカの側の法令によって損失補償をどういうふうにするかということが当然考えられるわけでございまして、日本政府がそれに対して補償するという筋合いのものではなかろう、そういうことを申し上げたつもりでございます。
  51. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ですから、総務長官、私は、いまだに、先ほど申し上げましたように、払ったあとでも何とかしてもらいたいという声があるので、これは先日も質問したように、当然戦後二十三年間苦労されて、漁業権を放棄してこっちへ来ているのだということで、何とかしてもらいたいという声が私は陳情という形で出たんじゃないかと思う。ですから、今後政府として、きのう水産庁長官が補償するという気持ちはないのだという話がありましたけれども、そういう声もあるということに対して、やはり何らかの補償ということも考えるべきではないかというふうに私は考えるのですが、どうでしょうか。
  52. 田中龍夫

    田中国務大臣 この問題は、昨日も水産庁長官が客観情勢の変化に伴っての見解の問題もおっしゃいましたが、いまの斎藤さんの御質問のような点につきましては、あるいは生活保護の問題でありますとか、あるいは今後の漁業再建にあたっての振興方策あるいはそれに伴っての融資措置、国の助成、こういうふうないろいろな面でその問題は補われるのではないか、補わなければならぬ問題ではないか、かように考えます。
  53. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いまのお話で、一応アメリカから来た見舞い金でもう打ち切ったのだ、あとはもうそれでおしまいだというのではなくて、やはり今後帰島して漁業に携わる人のためには、いま長官答弁されたような意味も含めて、ひとつお考え願いたいということを要望して、質問を終わります。
  54. 床次徳二

    床次委員長 これにて質疑は終局いたしました。  午後二時再開することとし、この際休憩いたします。   午後零時五十二分休憩      ————◇—————   午後二時五十分開議
  55. 床次徳二

    床次委員長 休憩前に引き続き会議を附きます。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案につきましては、休憩前に質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 床次徳二

    床次委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  57. 床次徳二

    床次委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が小渕恵三君外三名から提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小渕恵三君。
  58. 小渕恵三

    ○小渕委員 ただいま提案になりました小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して、私がその趣旨の説明を行ないます。  案文はお手元に配付のとおりでありますので、案文の朗読はこれを省略いたしますので、御了承願います。  昨年十一月、佐藤総理大臣、ジョンソン大統領、両首脳会談の結果、小笠原諸島の早期返還について合意を見、引き揚げ旧島民方々のみならず、全国民待望の夢が、平和時における領土返還という画期的事実として歴史の上に定着することになったことは、まことに喜びにたえないところであります。  本法案審査の経過を顧みて、多くの政令事項があり、また今後検討調査を要する事項がきわめて多いので、特に次の諸点に関し、政府に対し適切な配慮を要望したいのであります。  第一は、小笠原諸島復帰に伴い、同諸島が旧島民の引き揚げ後二十数年間自然の荒廃のままに放置されてきた現状にかんがみ、冬暖く夏涼しい海洋性気候の島々の美しい自然を生かし、全国民の願望にこたえ、広い視野から自然と産業の融和した新しい村づくりを目ざして、小笠原諸島復興計画の早期確立とその開発の促進に十分な努力をいたすよう要望するものであります。  第二には、父島に居住する現島民の生活の安定についてであります。御承知のように、現島民米軍施政下で医療、教育、住宅、生活環境施設等、米軍依存の生活になれてきたのでありますが、米軍撤退に伴う生活不安に困惑を感じていると思われます。政府は、この現住民の生活激変に対する不安をできるだけ解消する責任があると考えます。特に、日本語教育と本土教育への接続並びに就業機会の供与については、特別の努力を要望したいのであります。  第三に、復興計画及び復興法の策定についてであります。荒廃の極にあるとさえいえる小笠原の島々は、おのおの特殊な事情がある点は理解できるところでありますが、土地所有権の確認、病虫害防除対策その他復興開発計画の樹立のための基礎的な調査であって、長期を要しかつ徹底した調査を必要とするものは、どうしてもこれを早期に着手し、的確な判断をなし得る措置を急ぐことは、当面緊急のものと考えるのであります。  的確な資料に基づいて明らかとなった小笠原各島の特殊事情を適切に盛り込んで復興計画をつくり、復興法の調整に当たるよう政府は最大の努力をいたされたいのであります。  この過程はきわめて困難なものがありましょうが、計画の策定にあたっては、国、東京都は、同島復興開発のにない手である旧島民の意向を十分に反映することにつとめるとともに、国は、地方自治法の本旨にのっとり、東京都との分担を明確にしつつ、緊急かつ適切な協力を行なうことを要望するものであります。  また、計画は、小笠原の各島の実態に基づく総合的な計画として策定されるよう特段の努力をいたされたいのであります。  第四に、復興計画の実施についても、前項に述べたように、関係者の緊密かつ効率的な協力を前提として、各島の実態に応じた施策をできるだけ同時に進めるよう、一刻も早く帰島したい旧島民立場を考慮に入れ、適切な配慮を望むものであります。  これらの所要の経費については、強制引き揚げさせられた旧島民の帰島援護の問題と、荒廃の極にある小笠原の特殊事情をも勘案し、現行法上長高率を下回らない補助等、特別の財政措置を講じられたいのであります。  第五は、硫黄島における特殊事情として、その不発弾処理及び戦没者の遺骨の収集は、復興開発ないし旧島民帰島の前提とも考えられます。特に戦死者御遺族の立場から見て、その遺骨の収集をすみやかに実施されるよう要望するものであります。  第六は、本法における権利の調整に関し、旧小作人に対する特別賃借権、漁業の操業制限、土地使用権の設定、緊急事業のための土地使用等の措置に関連し、本土における現行法体系の立場から、また復興開発段階までの措置について、本決議の趣旨に応ずる配慮を特に要望するものであります。  第七は、日本軍の命令に従って強制引き揚げを余儀なくされた旧島民が帰島し、その生活の再建をはかるために、これに必要な再建資金に関しては、特別の長期低利の融資を行ない得るよう特段の措置を講じ、引き揚げ旧島民の長期にわたる忍苦の生活にこたえるよう特に要望するものであります。  最後に、本土より千余キロを隔てた小笠原の島々は、その交通、通信施設の早急整備がその復興開発のキーポイントとなるので、政府は、当面の交通確保はもとより、将来の小笠原の交通、通信の整備に最大の努力をいたされたいのであります。  以上をもって趣旨の説明を終わります。(拍手)     —————————————   〔参考〕    小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当つては、次の事項に関し、遺憾のないよう適切な配慮を行なうべきである。 一、小笠原諸島復帰に当り、その荒廃の現状に鑑み、政府は国民の願望に答え、その自然と産業が融和した新たな村づくりを目指し、復興開発を促進すべきである。 一、復帰に伴う現島民の生活の激変に対し、その不安の解消に努め、就業並びに子弟の教育等生活安定につき、適切な措置を講ずること。 一、復興計画及び復興法については、これに必要な基礎調査の実地を急ぎ、これに基づく小笠原の特殊事情に即し、国・東京都並びに旧島民など関係者の緊密かつ適切な協力により、各島にわたる総合計画としてこれを策定すること。 一、復興計画の実地に当つては、各島の実態に応じた施策をできるだけ同時に進めうるよう配慮するものとし、必要な経費は、現行法上の最高を下廻らない効率補助をとる等十分な財政措置を講ずること。 一、硫黄島における戦没者の遺骨は速やかにその収集を図ること。 一、農地法の適用については、復興法の施行に応じて、速やかに適用できるよう措置するとともに、自作農による農業振興を図ること。 一、漁業者の生活安定を図るため小笠原諸島周辺海域における漁業秩序の確保、乱獲防止等について万全の対策を講ずること。 一、本法による土地使用権の設定及び緊急事業のための土地使用等については、土地所有権者等の権利の保護に充分配慮すること。 一、島民の生活の再建を図るため、その特殊事情を勘案し、特別の長期・低利の融資を行ないうるよう措置すること。 一、本土及び各島間における交通・通信施設を早急に整備すること。  右決議する。     —————————————
  59. 床次徳二

    床次委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  別に発言の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  小渕恵三君外三名提出附帯決議を付すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 床次徳二

    床次委員長 起立総員。よって、本動議は可決いたしました。  この際、田中総務長官から発言の申し出がありますので、これを許します。田中総務長官
  61. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてこれを尊重いたしまして、十分御方針に沿い善処いたしたいと考えております。  なお、この復興計画の策定につきましては、御議論を十分に考慮いたしまして、奄美方式に準じましてこれを行なうようにつとめる所存でございます。何とぞ御了承賜わりたいと存じます。     —————————————
  62. 床次徳二

    床次委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  63. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  64. 床次徳二

    床次委員長 次回の委員会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十九分散会