○小山
説明員 戦争が全くなくて、あるいは占領という事態がなければ、当然
小笠原にも農地改革が行なわれたであろうということは
先生のおっしゃるとおりであろうと思うのであります。そこで、直ちに農地法を
適用して、そういう農地改革と同じようなことの内容のことをやっていくということをかりに想定いたしますと、御
承知のように、買収、売り渡しの
制度で引き上げてそれをやるわけでございますが、旧自作農創設特別
措置法にいたしましても、現行の農地法にいたしましても、地主といいますか、
土地所有者が小作地を持ってはいけないという制限がございますので、それを越えておりますと買収をする、今度売り渡しをするときには、その小作地において農業をやっておる小作人が、りっぱに農業をやっておるという事実を踏んまえまして、農地法の
規定でいえば自作農として精進する見込みのある者に売り渡しをするということになるわけでございます。そういう方式を現状の
小笠原に当てはめますと、現在は農地の
状況になっておらないし、小作人がそこにおいて現実に耕作を行なっておって、その人であればりっぱに、農地さえ売り渡せば自作農として精進する見込みがあるというふうに個々のケースについて判断ができる、そういう現実がございませんので、直ちに直接的な買収、売り渡しという方法で、
小笠原において農地改革式のことをやることはむずかしいわけでございます。私どもがそういう、
先生のおっしゃるような趣旨のことを、どういうふうな手順でやれば終局においてそういうことができるであろうかということを
考えますときに、ほんとうにその小作地をその耕作権を持っております人に売り渡しをすれば、その人がほんとうにりっぱに自作農として精進をしてもらえるかどうか、その判断の問題になるわけであります。その認定が直ちにはできないものですから、今度の
暫定措置法で、ともかく島に帰ってりっぱに農業をやろうという意思と
能力のある方にとりあえず帰ってもらって、開墾をしてもらって、農業をやってもらう、その現実をまずつくっていただいて、そのために必要な
規定は、制限
措置にしろ、緩和の
措置にしろ、必要なものを全部
手当てをいたしまして、そういう
人たちにりっぱに農業をやっていただくという現実をつくっていただく。通常の農業経営がそういうふうにして
小笠原で一般的に行なわれるような時期になりますれば、直ちに農地法を
適用する、こういう段取りを
考えております。農地法を
適用いたしますと、御
承知のように不在地主は全く小作地の所有は認められませんし、それから在村にしても、
東京都でございますと〇・七ヘクタールという制限面積がございますので、それを越える小作地の所有があれば直ちに買収をして、りっぱにその農地について農業をやっておられる小作人にその
土地を売り渡すという買収、売り渡しの
規定が働いていくわけでございます。そういう途中の、暫定の経過的な手順を経ませんと、現在のように長い間のブランクがあって、現況が農地でなくなっているという事実があるものですから、買収、売り渡しということが、事務的に技術的に直接的にはできないということでございます。