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美濃委員 沖繩の
経済、あるいは前段で申し上げたように、
労働の質が高度でない、
生産性が低い、
技術も幼稚である、そういう
条件のところへ金を入れるわけでありますから、この入れ方はよほど注意をして入れませんとならぬわけです。さっき畜産と言ったけれ
ども、しからば一、二の例を申し上げます。
まず、内地でもありますけれ
ども、具体的な例を北海道にとりますと、
終戦直後北海道の電力が足りなくて、これは
農林省が道へ金を出して、道から四分の一ですか、補助金を出して、小河川をせきとめて小水力をつくりなさいと、太鼓をたたいて、まあ内地でいえば農政局に指導官を置いて積極的に指導した。小水力によって電気がついたときには、一時、一年か二年喜んだ。しかしそんな幼稚なダムは全部洪水や何かで決壊してしまって、結局それをやった農民は、補助残
融資の農林
漁業の
長期資金の返済にあくせくしておる。結局、しかたがないから、それは受電供給という、北海道電力会社から
——その後北海道の電源開発が進んで、北海道電力会社の電源余裕ができました。当時はろうそく送電といって北海道内部で使う電力量がなかったわけです。なかったから、その小水力開発をやるのだという
一つの思いつきのりっぱな
政策ですよ。積極的に進めるということで、担任指導官まで置いてやったのです。その結果はどうです。投資効果どころの騒ぎじゃないです。それに参加した農民はみじめなものですよ。何にもならぬものに農林
漁業の
長期資金を借りた。今日まだ二十年たっておりませんが、それでもう払えないですから、五年据え置きをさらに延長して、再延長五年据え置きをやって十年据え置きましたから、まだまだこれから償還していかなければならぬ。しかしその借りた原因というのは、農民としては何もなってないわけです。また畜産の上でも、ジャージーという牛は粗飼料にたえる、ハギでもササでも食って乳をしぼれるくらいのことをいって、太鼓をたたいてジャージーを入れた。しかしジャージーといえ
ども乳牛ですよ。ササやハギではだめです、綿羊や馬と違いますからね。反すう動物です。やはり牧草でなければだめです。同じ金をかけて畑につくった牧草でなければ飼育ができないということになれば、これは乳量の多いホルスタインでなければね。今日ジャージーは見る影もありません。その
政策の宣伝に踊らされて補助残
融資を、やはり畜産経営拡大
資金で借りていた農家等は、これもまたあわれなものです、役立たぬ牛を買わされて処分するのでありますから。輸入なんかで持ってきて、十三万、十五万で買った牛を、これはだめだということで売ることになったら、六万か七万にしか売れませんわ。こんな小さな牛ですから、肉牛で売ったってキロ数はかからぬわけです。内地の開拓
政策による、開拓者あたりも、あの
政府資金の中で三〇%ぐらいはそのようになっておるわけですね。借りておる農民にしてみれば、投資効果もなければ、全くありがた迷惑ですよ。何にもならないものなのです。それで払っていかなければならぬ。かわいそうだからそれは免除してやると言わないのですね。
政府の失敗であったのだから、これだけは棒引きにしてやると言わないでしょう。こういうことが多いのですよ。
ことし開拓負債整理ということで、何か調査費をつけて
実態を調査するというので、今後この
資金を出すに関連して私は申し上げておくのです。開拓
資金の負債整理というものは、過去の土功組合法と同じように、そういう理由があるから補助金を出して、今日の開拓負債の三〇%ぐらいは
政府が指導上の失敗の責任をしょってやるべきである、こう私
どもは考えておるのですがね。そういうことが必ず起きる。無
計画に金を入れ、将来の見通しもつけぬでただ貧困なものに金を出すのでありますから、そんなことがかなり起きてくると私は思うのです。実際にかわいそうですよ。投資効果が出ないくらいのことだったらがまんできると思う。借りたものにとんでもない迷惑がかかるのです、きちっと
体系が整わないのに金を流すなんというのは。全くこれは、
大蔵省なんかよくこういう金を出すことにきめたと思うのだ。ただ、何か
融資条件とか抵当とか目のかたきみたいに言っていじめるのですね。
農林省が持っていったものでもさんざん難くせをつけて、制度
資金なんかつくるときにはきびしいことを言う。そうして投資効果だとか、そういうものの測定は全然ない。今日
沖繩援助資金で、その点を私は一番心配します。私は二十億や三十億のはした金が
政府の責任でほんとうにこれは
援助資金でやってしまうんだったら、私はもうこんなことを言いませんよ。それは
日本の財政の中でいま二十億
沖繩に
援助資金をくれてやるのであれば、私はこういう余分なことは言いません。貸して、返済させて、取るというんだから、
融資期間に。そこに問題が起きるということを言っておるんですよ、かわいそうな貧困な農民や漁民やそういう者に将来つめあとを残すじゃないか。過去の開拓
融資やそういうようなものの中に私は実例を申し上げているわけです。くだらぬ
政策を立てて
政府資金を貸して、そうしてその返済をずいぶんいじめておるじゃないか、農民や漁民に。あるいは二次
産業の中にも一部あります。公庫
資金というものを入れる。入れるときには一人前の顔をして指導するわけだ。えらそうな顔をして審査して、ああでもない、こうでもないといって指導する。指導責任はたな上げしてしまって、その失敗の残りかすというものは借りた者のみにしわ寄せして、いじめつけるわけだ、払えと言って。それが起きるから私は言っておるわけです。貧困なところへ金を出す。かわいそうだから言っておるんですよ。
沖繩にそういうことを起こさせてはならない。
終戦後今日までやってみて数々の
——全部が悪いとは私は言いませんよ。開拓で三〇%と言っている。七〇%は効果が出ておりますから、全部が悪いと言うんじゃないが、そういうつめあとを残す。具体的な
長期経済計画というような見通しを立てないで、ただ金だけを出していく、貧困なところへ。必ずつめあとが残ります。その失敗を起こさせてはならないから私はこれを言うのです。過去において、
本土において数々の問題が起きておるわけです。どうしてこういう無
計画なことをするんだ、こう言いたいわけですね。確実に将来の見通しをつけてやっていきませんと、そういうつめあとがかなり残ると思います。そこでまだせめて
返還後出すのであれば、やはりこの
本土の
状態を知っておる、たとえば
沖繩が県になってやるのであればその中でいろいろな問題とからんできますけれ
ども、いま直接に手が伸びないわけです。私が
糖業振興法で申し上げたように、かなりそういう
状態のエゴイズムの中で、そういう
状態にとらわれておる
民政府の方々が審査をして出すのですよ。かなり起きますよ。私の予想では五〇%くらいに及ぶんじゃないか。二年後、三年後
返還され、
本土の
一体化の中で
沖繩の
長期経済計画が動き出すと、いま出した
資金のおおよそ半分近いもの、いまのエゴイズムの、役に立たぬものに金を出しておいて、それが廃棄すべき
条件になってきて、金を出しておるものが廃棄すべき
条件になって、あとへ残るのは償還責任だけが残る。こういう
状態が、悪くすれば五〇%起きると思います。あの
終戦直後の実例の中で三〇%起きておるものがあるのですから、
本土の場合に。
日本の
政府がやったことなんです。その
状態で今日
経済成長政策とかなんとかいって世の中の移り変わりの中で、あの
終戦直後の昭和二十年から二十五年ごろまでに入れた
財投というものはおおよそ、さっき申し上げた開拓というのは今日まできた開拓の残債の三〇%と言っておるんです。その昭和二十年から二十五年の間に入れた
資金は約五〇%ですよ。投資効果を失い、今日償還の手足まといになっているのは約五〇%と言っても私は過言でないと思います。あの経過から見ると、
沖繩の行政の
考え方、あの貧困なエゴイズムにとらわれておる行政感覚のところへぽんと金を出してやる、そして三年後に
本土に復帰して、そうして
日本の行政と
一体化に関連の
長期経済計画が立って動き出したときに、ことし出した二十億の十億くらいは、かわいそうに
沖繩の貧困な農民のいたずらにできた負債である、ほんとうの
沖繩の
長期経済計画が入ったときに、その借金が、伸びようとするものの足を引っぱる
資金になる、こう私は思います。
現実はそうなんでありますから、
本土の中でそれが
現実なんでありますから、そういうことをしてはならない、こう思うのですね。これはどうですか。