運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-21 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十一日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       井上  泉君    板川 正吾君       神門至馬夫君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       河野  弘君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長濱 正雄君         日本国有鉄道幹         線調査室長   内田 隆滋君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月二十日  委員松本忠助辞任につき、その補欠として岡  本富夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員岡本富夫辞任につき、その補欠として松  本忠助君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  港湾運送事業の集約に関する請願(内海清君紹  介)(第六〇七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、航空に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部喜元君。
  3. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 きょうは大臣たいへん忙しいようでありまして、十分間くらいにしてくれということですから、ひとつ大ざっぱにお伺いいたしたいと思いますが、新幹線中心とした日本の将来の国づくりと申しますか、そういう点につきまして、まあ運輸大臣という立場のみならず、大臣日本の将来に対して大きいビジョンをお持ちだろうと思います。  御存じのとおり、ここ十年間、日本高度成長によりまして非常に飛躍的な発展を遂げておるのでありますけれども、その陰にここ十年間に三千百二十七万人という人が県外戸籍証明を出しておる。県内の移動を見ますと、驚くなかれ、七千百万人であります。十年間に七千百万人の人が移動をしておる。いわば民族の大移動でございます。そういう面に対処いたしまして、この秋ごろには国土総合開発発表するやに聞いておるのでありますけれども、私はやはり国づくりの基本というものは鉄道である、特に新幹線というものが中心にならなくちゃいかぬと日ごろ常に考えておるようなわけでございます。  一方、何といいますか、家庭にたとえれば夫婦の関係にもあるべき道路というものが、閣議決定を見て、七兆円で進捗しておる。新幹線は昨年の九月国鉄当局から発表がありましたけれども、これはあくまでも夢物語でありまして、その点、国づくりをやる上におきまして新幹線役割りというものは非常に重要であろうと思う。そこにやはりただ人が多いから新幹線を敷くというのではなしに、日本をほんとうに総合的に発展させる、こういう観点からあの国鉄発表があったように私はとっておるのでありますけれども、そういう意味から、大臣からひとつ日ごろの抱負を取りまぜて、大きい立場から日本国づくりビジョンをお聞かせ願えれば幸いと思うのであります。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお説のように、日本列島は非常に大きな変貌をしておりまして、人間の移動もあるいは新しい産業の発展等も、世界で一番だと思います。  私はよく、日本最高度濃密社会で、日本くらい激しい高度成長と刺激と摩擦度分子運動の活発な社会はない、しかし日本民族は優秀であるがゆえに、その試練に耐えて新幹線を発明し、あるいは霞ケ関ビルのような高層建築も発明し、その危機を突破していく力を持っておる、こう申し上げたことがありますが、新幹線はそのシンボルでもあります。日本列島構造改革と申しますか、新しい編成がえということを考えますと、新幹線は非常に重要な役割りを果たすだろうと思います。新幹線をつくるとき以上の大きな実績が目の前に出てまいりまして、いま山陽新幹線を鋭意開発しておりますけれども、いずれは青森鹿児島というような縦貫的な新幹線というものができなければならぬだろうと思いますし、またその経済効果等も勘案しながら、たとえば東京−新潟間とか、太平洋及び日本海を連絡する新幹線もいずれはできなければならぬと思います。  道路計画等から見ますと、確かにお説のとおり、新幹線に対する関心がやや薄弱のように思います。今回、国鉄財政のために国鉄財政確立再建推進会議ができましたけれども、この推進会議にもそういう点をはかりまして、長期ビジョンも確立して、的確に新幹線網日本に張りめぐらしていくように努力したいと思いますし、新幹線自体もいままで以上の高スピード、高性能の新幹線発展するように努力していきたいと思っております。
  5. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 いま大臣の話を聞きますと、大体心の中には新幹線全国に網羅したいというお気持ちのあることは了解できるのでありますが、やはりこの高速自動車道実現に着手しておるのでありますから、それに並行して、現在三次長期計画に基づいてなかなか資金の面あるいはその他で苦労なすっておられることはよくわかるのでありますが、この大骨の背骨を早くきめることによって、三次計画という点もある程度考え直す点が出てくるのじゃないか。同時に、大正年間からの新線といわれるのが二千八百キロくらいあるように聞いておりますが、こういう点も、自動車が非常にふえておる時代でありますから、この点はひとつバスでもいいじゃないかというようなことも考えられるのじゃないか、そういう点から二十年後の夢でなくして、背骨として早く考えてもらいたいというようなことですが、いまのところ、その夢でなくして、実現性のあるところははっきりどの程度でございますか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 高速自動車道はある程度の長距離性を持つと同時に、また一面においては、ローカル輸送という面においてなかなか持性を持っておるものであります。新幹線の場合は、中長距離主要都市間の高速大量輸送に大きな効果を発揮しています。特に、その大量一括輸送という面に非常に特色を持っております。したがって、これは当然併存し得るものであると思います。欧米におきましても鉄道は一時衰退いたしましたが、最近また自動車が激増し出しますと、鉄道へまた還元してくるという傾向も顕著でありまして、高速性を持った鉄道ができれば、十分、貨物においても旅客においてもこれは特性を発揮し得るものであるだろうと思います。  そこで、やはり一面において、この日本列島の縦断的な面において、高速自動車道とそれから高速新幹線網、そういうものを張りめぐらすと同時に、ある面においては内航海運にある程度はまた移譲しながら、その両方のバランスをはかっていくということが大事であるように思います。  新幹線計画につきましては、これは先ほど申し上げましたような再建推進会議において考えなければならぬと思いますが、少なくとも青森から鹿児島に至る間というものは、第一段階としてできるだけ早期に達成される必要があると思います。
  7. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 時間があれば、新幹線効用といいますか、そういう点についても大臣の口からいろいろお聞きしたいのでありますが、こまかいことは、副総裁おられますから副総裁から聞くといたしまして、日本人口問題からひとつまた考えてみたいと思うのですが、町村別に見ましても、全国で三千三百七の町村がありますが、二%弱の減少をしている町村が千九百十三、五六・七%、これは二十年か三十年後に人口が半分になる、こういうような町村人口の減り方であります。北陸には百十九の町村がありますが、成長しておるのは九であります。山陽は三百六十四のうち、百七十五が自然淘汰されている。四国におきましては、二百二十五のうち、成長しておるのは七つです。九州においては五百三十七のうち、二十七だけしか成長していない、五%、さらに、自然淘汰現象と申しますか、都市が自然に淘汰されていくというのを県別に見ますと、この淘汰されておる数の一番多いのが大分県、六八・九%、次が島根県、高知県、宮崎県、鹿児島県、熊本県、愛媛県、山口県、広島県、岡山県、こういう順序に、おもに四国九州が非常に自然淘汰されておる。しかし、これは北海道なんかに比べると、気候は非常にいいです。気候という点は、あらゆる力でも置きかえることのできない自然的条件なんです。しかるにかかわらず、こういう格差というものができておる。  そこで、いま新幹線構想をお伺いいたしましたが、四国という答えが大臣の口から全然起こらないはなはだ残念でございますが、将来の国づくりの理想を申し上げますと、やはり九州四国、さらに徳島から和歌山新幹線を引くことが将来考えられるかどうかというようなことで、青函トンネル状況を簡単にひとつ、まずお答えを願いたい。
  8. 増川遼三

    増川政府委員 青函トンネル状況を申し上げます。  現在北海道側本州側両方から調査坑の掘進を始めておるのであります。そろそろ海底部分に達しまして、北海道側はすでに水平坑まで到達しております。地盤の関係で非常に困難な作業でございますけれども、もうしばらくいたしまして相当大きな断層にぶつかります。この断層にぶつかりまして、これの工法がうまく進みますれば、これの成功は相当期待できるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。なお調査には数年要すると考えております。
  9. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 いま聞きますと、大体完成する信念を持っておられると聞いておりますが、大体距離は三十五キロのように聞いております。四国の三崎と佐賀関は一三・七キロであります。三分の一です。そういう観点から、日本の二十年後のビジョンをつくる上におきまして、やはり九州—四国和歌山というような新幹線網というものが考えられないかどうか。せめて佐賀関と三崎を検討するお考えは、大臣はございませんか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 将来は大いに検討さるべき地点であると考えております。もし将来新幹線をいまの大動脈以外につくっていくとすれば、おそらくあの辺にトンネルをつくって四国を縦貫するという構想は出てくるのではないかと考えております。
  11. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 どうもありがとうございました。  そこで、大体新幹線効用というものは、非常に国鉄当局も熱心だろうと思いますけれども、PRが足らぬのじゃないかというふうに私は考えておる。たとえば敷地を取り上げましても、大阪—東京間の敷地といま話題になっておる成田空港と、どちらが広いか御存じだろうと思いますが、成田空港は三百六十万坪、新幹線大阪東京間は三百十七万坪、新幹線のほうが狭い。こういう有利性も天下に公表をされて、大いにひとつ国鉄が国民の新幹線だ、国づくりの骨になるんだというような勇気を持って、秋に発表される二十年後のビジョン計画の中に、いわゆる新幹線ビジョンというものを入れてもらいたい。大体東京人口が三千人ふえると、総合して四千三百億円の金が要るように聞いております。二十年後にはガソリンを五倍使うとして、スモッグが十六倍になるというような話も聞いております。そういうような都市政策も必要でございますけれども、昨日の日本経済新聞は、再開発と新開発とではコストが非常に違うというようなことも報じておりましたけれども、大所高所から、大臣運輸大臣だけで満足されるような大臣でないんで、お年も若いし、将来日本の政治というものを十年、二十年考えられる人だと思うのですから、大いに勇気を持って、今後の発表の中にビジョンを織り込んで、新幹線主体とした国づくりに取り組んでもらいたいということを希望いたしまして、大臣忙しいようでございますから、あとは国鉄総裁に聞きたい。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新幹線の問題は、今後の日本交通動脈の問題として、私は非常に重要な因子をはらんでおるだろうと思います。われわれが考えている以上に、日本特殊性考えますと、鉄道に依存する部面が将来は出てまいりまして、その主体新幹線になるだろうと予想しております。したがいまして、お説のように、いまから的確なビジョンをつくりまして、着々と研究を進めていきたいと思います。  いま聞いてみますと、あの岬の間の距離は十三・何キロだそうですが、国鉄の一番長いトンネルは何キロかと聞いたら十三キロだそうです。だから、技術的にもそんなにむずかしいものではないと考えます。そういう点で非常に有望ではないかと思います。
  13. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 副総裁にひとつ。きょうは少し国鉄太鼓をたたくようになりますけれども太鼓をたたくというよりも、本気でやってもらいたい、勇気を持ってやってもらいたいという気持ちで申し上げるわけなんです。  まず最初にお聞きしたいのは、高速自動車道新幹線輸送力比較ですね。まず、スピードの点についてどのくらい違いますか。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 自動車道新幹線比較につきまして私どものほうがいろいろ申しますと、つい我田引水になりますので、なるべく言うことを差し控えておりますけれども、大体現在の新幹線平均時速は約百六十キロないし百八十キロ最高二百キロまで出しております。私も過般東名道路を厚木まで通ってみましたけれども制限速度キロでございます。しかし、実際雨の降った日その他で百キロ出すことは非常に危険だというようなことで、やはり平均しまして八十から百の間くらいだと思います。速度としては当然専用軌道を通る鉄道のほうが速いということだと思います。
  15. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 二倍とか三倍とか、そういうことは数字で出ませんか。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 大体いまの自動車の性能から申しまして、いま考えておる新幹線は大体倍だというふうに考えております。
  17. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 一時間当たり輸送力比較できませんか。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 専門の幹線調査室長から答弁させたいと思います。
  19. 内田隆滋

    内田説明員 お答えいたします。一時間の輸送力でございますが、これは二万四千人ぐらいです。高速自動車道のほうは一万四千人くらいで、約倍でございます。これは自動車道のほうは四車線、私のほうは複線ということでございますので、幅一メートル当たり輸送力にしますと、約四倍でございます。
  20. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 安全性については、これはしろうと考えましても、新幹線事故がありませんし、ここ十年間に自動車事故が五百万人ということです。そういう点から見ると、安全性は、われわれしろうと考えてもわかるところなんです。そういう意味からもひとつこの新幹線を土性骨を据えて考えてもらいたい、こういうふうに思うのでありますが、高速自動車道が七千六百キロで七兆円というワクが一応きめられておるのですね。この間発表になった新幹線は大体何キロで、あれは予算はどのくらいになりますか。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 過般発表いたしました私どもの試案は、延長約四千キロでございます。それで三兆九千億。このほかに、東京付近高速通勤新幹線というものが約五百キロでございます。この五百キロ分が約八千七百億。それから全部合計いたしますと、約四千五百キロで四兆七千億。これは車両を入れておりませんが、大体キロで約十億から十二億ぐらい。用地買収の金で多少違いますが、大体キロ十億から十二億。都市部では十二億から十五億、地下になりますと十五億から二十億というぐらいに考えております。
  22. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 結局この四兆円の金ですね、これに苦労されるだろうと思うのですが、いま非常に具体性を持っておるのは、岡山まで。これは三次計画に入っておりますね。そこで、サンフランシスコあたりでは、鉄道をつける場合に、沿線の地価が上がる、したがって固定資産税をふやして、それを交通に使うというようなことを聞いておるのでありますが、将来新幹線をつける場合に、土地買収に非常に苦労されると思うのですが、地元知事あたりと相談されて、国鉄の望む方向に先にできたほうをやる、競争さすというようなお考えはございませんか。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問は、私どもといたしましては一番苦心しているところでございます。問題が二つございまして、一つは現在、たいへん具体的な問題でございますが、たとえば成田空港へ参りますいわゆる新幹線と申しますかは、一応いま計画いたしております。これなどにつきましては極力、地元の空港だけでなしに、あそこにできます印西と申しますか、非常に大きな、印旛沼の西の団地通勤輸送とあわせて考えまして、その開発利益の還元をある程度鉄道建設費に戻してもらうということをいま考えております。これはいろいろ今後の折衝でございますが、千葉県御当局並びに地元関係の方々の御協力を得まして、成田空港並び印西団地通勤の足をぜひ確保したい。それにはいま先生のおっしゃったように、ある程度、借金だけでなしに、方法固定資産税等いろいろあると思いますが、そういった問題を考えて、建設費の一部をぜひまかなわしていただきたいというふうに考えております。  それから、全国的な新幹線網の問題でございますが、これも当然開発利益というものはあるわけでございます。ただ、非常に地域が広いために、どこまでが開発利益の範囲内かということにいろいろ問題がございますが、ただ、私どものほうのいままでのやり方が建設省と違いまして、建設省は非常に力がおありになりますので、大体ルートを早くきめてしまって、そして地元都道府県用地買収業務を委託しておられます。したがいまして、わりあいにスムーズに土地が入手できておられるようでございますが、私のほうは毎年毎年の予算で区切られますので、そういったふうな前広な打ち合わせが地元とできませんので、そのつどそのつど非常に用地買収に困っておりますが、今度はそういうことでなしに、極力いま先生のおっしゃったように、ある程度の目安をきめまして、そうして地元都道府県知事あるいは市町村長にお願いいたしまして、都市計画あるいは区画整理事業等と関連させて土地の入手をしていただくというふうなことで、建設省と同じ、あるいは道路公団と同じような土地取得についての方法考えられれば、私どもが実力で買いますよりはだいぶ安く買えるのではないかというふうなことも考えております。したがいまして、それについて地元市町村その他がどういうふうに、たとえば駅前の土地が上がるということを、固定資産税等で還元されますかにつきましては、今後の問題で、現在大蔵省、建設省等でもいろいろ具体的に考えておられます。サンフランシスコの例なども、非常に貴重な例でございます。あれは大体固定資産税の一割を増徴いたしまして、その一割をそのまま一応固定資産税で取りまして、それを鉄道建設費に充てるというふうな方法をとっております。それから海底トンネル部分は、御承知かと存じますが、橋の通行量海底トンネル建設費に充てるというふうな方法もとっておりますので、今後わが国におきましてもいろいろそういう事例を参酌いたしまして、主務官庁で具体的に方法考えていただきたい、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても、全額借金でやるのでは、これは少し無理があるというふうに考えますので、ある程度そういう利子のない金を使用することを考えなければいけないというふうに考えております。
  24. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 それで、国鉄のほうからも総合計画を秋に発表される中に、だれか出ておられると思うのですが、私はこの新幹線を、やはり地方格差をなくする、言いかえれば地方都市育成に役立たせるというような観点から、高速自動車道のインターチェンジと新幹線の駅をどこにきめるかということで、地方都市というものは決定づけられるだろうと思うのです。そういう意味から高速自動車道だけが突っ走って、新幹線は夢であるということになりますと、非常に問題が複雑になる、こういうふうに考えておるのですが、副総裁地方都市の基準といいますか、大体何万ぐらいを、この構想考えられる上で副総裁の頭の中でお考えですか。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 この問題はなかなかデリケートな問題でございますので、具体的にお答えいたしかねる点もございますけれども、ただ、実績的に申しますと、たとえばいま岡山までつくっておりますが、これはたまたま運転上の必要から非常に駅をふやしました。たとえば明石あるいは相生等の市は、明石はわりあい大きゅうございますが、相生は大体十万前後の町でございます。また、今後西のほうに延びてまいりますが、一応岡山まで四十六年度、博多までは、資金事情さえ許せば五十年度というふうに考えております。その間で、たとえば広島県、山口県の都市をどういうふうに縫うかということにつきまして、あまり駅が多くて、もまた高速性に影響しますので、大体平均して三十キロに一駅ぐらいということで標準をきめてまいりますと、一番小さい町で十五万から二十万くらいの町が入ってくると思います。ただこれはいま申しましたように、山陽道のほうは非常に大きな町が続いているところでございます。こういうところは非常に選択がむずかしいところで、今後いろいろ問題が起きると思いますけれども利用度その他から申しまして、たとえば岐阜羽島等でずいぶんいろいろ問題がございましたけれども、実際に現在非常に利用者がふえております。これはやはり岐阜市という非常に大きな市がそばに控えて、これは人口三十万近くでございますから、これとの道路が非常によくなったというようなこともございますので、いま先生のおっしゃった新幹線ができたことによる地方開発というものは非常に大きな問題で、まだ想像できないような問題が含まれておると思いますので、私どもといたしましても、単に大都市大都市だけを高速で結ぶということでなしに、いわゆる過疎化しつつある地方の中都市も極力これを利用していただけるように考えるのが筋じゃないか。  実は東海道新幹線をつくりますときには、これはもうほんとにざっくばらんなことを申し上げますが、初めは東京と名古屋と大阪だけを結ぶという考え方で発足いたしました。しかし実際にやってみますと、その三駅だけではとても現在線から転化しないというふうなことで、御承知のとおり岐阜ができ、また京都にもとまり、新横浜ができるということで、静岡、豊橋というふうにその後多少計画が変わりました。また、現在三島の駅をつくっている最中でございますが、そういったことから申しますと、単にその都市人口だけでなしに、背後の人口あるいは観光地等も総合的に考えまして、私どもといたしましては極力多数の方に乗っていただけるようなものをつくるべきで、初めの発足のときの、大都市だけを結ぶという考え方から少しいま考え方を変えるべきではないかというふうに考えまして、今度の岡山までの駅の選定につきましても、多少いま先生のおっしゃったような地方過疎化対策にお役に立つような面もあるのではないかという角度から、少し検討いたし直した面もございます。
  26. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 ただいま地方開発等を加味した新幹線という副総裁のお考えを聞いたわけでございますが、ある人の話を聞きますと、大体文明人というものは、汽車に乗って退屈しない時間というのは、どういう計算をしたのか、大体四時間というふうに言っておる人があります。したがってこの構想は、大体東京大阪中心として四時間以内に全国の人が来れるというようなお考えを加味して考えられたのかどうか。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 ごく一部の、北海道あるいは鹿児島等を除きますと、大体東京大阪中心といたしまして約三時間ということで考えております。ただ三時間にある程度アプローチの時間、自動車の時間がございます。大体先生のおっしゃったような四時間というのが——実は私どもといたしましては、それ以上かかりますとやはりビジネスに差しつかえるというようなことで、自動車のほうは大体二百キロというふうにいわれておりますので、そのことも総合的に考えましてレールの上が約三時間、それからアプローチで約一時間あれば相当遠隔の地から東京大阪まで日帰りのビジネスができる。しかし九州鹿児島とかあるいは北海道の旭川等になりますと、これはちょっと無理でございますが、これはある程度飛行機の守備範囲かと存じますけれども、そういった特殊なものを除きますれば、大体東京大阪中心でオンレール三時間、それから道路が一時間で約四時間、先生のおっしゃった数字を実は私どもも使わしていただいておるわけでございます。
  28. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 いま四時間の話が出ましたが、そこで、これは大臣に聞こうと思ったのですが、将来アメリカから五時間で大型の飛行機がつく、こういうことと関連して、新幹線と飛行機の関係ですね。そういう関係から、成田空港だけでこの受け入れができるかどうか。いま言われたような北海道鹿児島あたりに大型の飛行場をつくって、国内は新幹線で結ぶ、そういう構想はお考えになっておりませんか。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は成田空港のきまります前に、浜松付近にという話がいろいろございましたことがございます。そのときもあの付近でおりて、そして新幹線で来れば約一時間半ということになりますので、そういうことも考えたわけであります。今度のいまお話の出ておる淡路島などにつきましては、これは島でございますのでちょっとこれは別でございますが、こういうものは今後飛行場と大都市を結ぶのはやはり道路ではなかなかむずかしい。(私語する者あり)——いまの地名は全部取り消します。私どもが聞き知っておる点だけを申し上げましたが、特に大阪付近だけでなしに相当遠距離にできましても、高速鉄道で運びますれば大体カバーできる。その意味成田空港東京との連絡は一つの試金石というふうに考えて、いま具体的に計画している最中でございます。
  30. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 時間がないようですから、最後に副総裁の口から国民に向かって、新幹線というものは国民にこういうふうに裨益しておるんだということをひとつおしゃべり願いたいと思うのです。  鉄道大阪から東京に初めてできたのが、明治二十二年と聞いております。まず古いことを先に聞きたいのですが、このときの鉄道料金は幾らでしたか。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 大体はがき一枚が一銭五厘になっていない時代でございます。一銭以下の時代でございますので、はがきの値段と鉄道の一キロ当たりの運賃が大体同じでございました。したがって当時、明治二十何年にたとえば一銭といたしますと約五円、しかし明治二十何年は一銭しておらない、五厘ぐらいの時代だったと思いますので、当時は二円五十銭ぐらい、ということは、当時にありましてはわりあいに高級な乗りもので、運賃としてはわりに高かった。その当時、東京大阪間ですから五百キロでございますが、一銭といたしますと約五円でございます。現在特急料金を入れまして約三千円でございますから、明治二十何年に比較いたしますと約六百倍の運賃をいただいておるわけであります。
  32. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 私の調べたところによりますと、三円三十五銭。汽車がつくまで、十五日間もかかって、かご代とか宿泊代が当時の金で十五円要った。それが三円三十五銭で東京から大阪に行けるようになった。国民の鉄道に対する愛着、感謝の念、そういうものが非常に大きかったように先輩から聞いております。そこでこの鉄道というものは、明治百年を迎えて、いま何といいますか、使命が終わったとは言いませんが、新たな新幹線文化を築かなくてはならぬ時代だろうと私は思うのです。そういう点から、国鉄はどうも弱腰でお上品過ぎるというふうに感じておる、何もおべっかかく意味じゃないのですが。だからひとつ、せっかく室長さんも室長さんで部屋もできておるのですから、新幹線というのはこれだけ国民に裨益しておるのだという数字があったら、この際国民に向かって何かの表現をしてお知らせ願いたいのですが……。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもといたしましては、目前のいろいろな問題にすっかり気を奪われておりまして、たとえばいま東北線の復旧はどうするかというようなことばかり頭にございまして、なかなか気宇広大なお話ができないので申しわけないのでございますが、ただ、現在やっております第三次長期計画が一応終了いたしますれば、それでもって十九世紀に発足した鉄道の手直しはやめよう、私どもとしてはやめたいというふうに考えております。その次はやはり二十一世紀に使える、二十一世紀の国民の足としてお役に立つようなものをつくるべきだ、すなわち二十世紀の後半、少なくとも三分の一の後半は二十一世紀の準備をする時代だというふうに考えておりまして、いまやっております第三次計画が完成いたしますれば、あとは次の時代の鉄道の建設に本格的に取りかかるというふうな考え方でおります。その際も、たとえば山陽新幹線につきましても、単に現在の東海道の延長ということだけでなくて、技術的にも非常にいろいろな角度から研究し、安全度につきましても、また速度につきましても、新しい時代の交通機関として決して劣らないりっぱなものをつくりたいというふうに考えておりますが、ただ、いままで、昭和三十九年に開業いたしました新幹線がちょうどことしの秋で五年になりますが、そのときに大体総決算の意味で、いま先生のおっしゃったことをいろいろPRさせていただきますが、どうも、いま片方で災害でとまっておりますので、なかなか大きなことを申し上げられないので、もう少しまとめまして、いろんな角度から、単に速度だとか人間の頭数ということでなしに、それが経済活動にどう響いておるのか、あるいは銀行、会社等のビジネスにどう具体的に響いているのかということをもう少しまとめまして、ことしの秋にでも発表させていただきたいと考えております。
  34. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 大体時間がきたようですが、遠慮してなかなか新幹線効用を言われないんですが、私がしろうと並みにこれを大ざっぱに申し上げますと、いま大体予想された人は一億四千万人ですね。一億四千万人が三時間で大阪へ行ける。これは、かりに三時間、時間が節約されるというと、これを三倍しますと四億二千時間ですか、この時間に、一時間の労働賃金が約四百円とすると、四百円かけますと約千六百億円。千六百億円の仕事をさせておる、時間の短縮によって。それだけ国民に労働時間を与えておる、こういう信念を持って、ひとついわゆる新幹線計画を打ち立ててもらいたい。これは単に、あなた方をおだてたり激励するんじゃないのです。この新幹線というものは、やはり時代の要求にささえられておる。ある雑誌を読みますと、何か、戦後女性か男性かわからないような時代で、とうとう鉄道は女になって道路が男になった、けしからぬというような論をする人がありますが、全くそのとおりでありまして、やはりあくまでも新幹線というものは一家の中心の男でなければならぬ、背骨でなければならぬという一つの観念を持って、大臣、ひとつ新幹線PRを、大臣これから全国を回られるだろうと思いますが、日本国づくりビジョンを大いに語られて、新幹線をPRしてもらいたい。このことをひとつ注文をいたしまして、時間がきたようでありますから私の質問を終わりたいと思います。
  35. 大野市郎

    大野委員長 沖本泰幸君。
  36. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私は本日は、羽田並びに伊丹の国際空港の騒音問題、あるいはSST並びにジャンボジェットに関する問題で、大臣並びに関係者の方にお伺いしたいと思います。質問が相前後するかわかりませんが、この点は御了承いただきたいと思います。  まず第一番目ですが、羽田並びに伊丹の飛行場に対して、最近になっても相当の機数が増加しております。それで、さらに大型化されていくと、限界度がくるのじゃないか。ある人の話では、数年を待たずして限界がくるであろう、こう言っておられるわけです。すでに現在限界度に達しているのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけですが、その現況について御説明いただきたいと思います。
  37. 澤雄次

    ○澤政府委員 四十二年の統計で申し上げますと、東京が離発着回数十一万一千四百五十五回、大阪が九万四千五百二十回でございます。飛行場の離発着の能力だけから申しますと、東京が約十七万回、大阪が十五万から十七万の問ぐらいというふうに推定をされております。それで、この能力の限界に達しますのは、東京は昭和四十五年の終わりぐらい、それから大阪が昭和五十年の初めぐらい、このように計算をいたしております。
  38. 沖本泰幸

    ○沖本委員 その御計算に狂いは生じないでしょうね。
  39. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは過去の離発着回数の伸びを延ばしまして、それに国民総生産あるいは国民所得の伸び等をかけ合わせまして計算いたしましもたので、ほぼ間違いないのではないか、このように考えております。
  40. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それについて、限界がきているから、政府のほうとしては成田の飛行場を計画しておられるし、あるいは大阪の国際空港についても新しい飛行場の建設ということをいろいろと構想を持って御計画になっておられるわけですが、現在のいろいろな諸問題から考えますと、その限界度のピークと新しい飛行場の建設というものの計画時期と、うまく一致していけるものかどうか。そういう点については御成案があるのでしょうか。
  41. 澤雄次

    ○澤政府委員 東京につきましては、四十五年の終わりにピークに達しますので、ぜひ四十六年の初めから成田の新空港は供用開始ができるようにということで、いろいろ御協力をお願いしているわけでございます。  それから、関西につきましては、昭和五十年の初めごろに限界に達しますので、現在建設いたしております三千メートルの滑走路の工事が終わりましたら、それと同時に関西の新空港も調査着工ができるように進めたい、このように考えております。
  42. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それについては、この十八日の新聞では、「ねらわれる日本の空」こういうことで、世界一周あるいは太平洋航路の拡張から、各国の飛行機が日本に乗り入れてくる、こういうような問題が出てきておりますが、現在でさえたいへんなのに、これが日本の空港の計画なんか十分整わない間にこういう問題が続発してきて、たいへんなことになるのじゃないか、こういう危惧が持たれるわけですけれども、はたしてこのとおりの状況になるわけでしょうか。どういう状況になっていくわけですか。
  43. 澤雄次

    ○澤政府委員 御指摘のように、極東におきます日本の経済的、政治的、文化的な地位が非常に高いものでございますので、諸外国の航空機が日本を非常にいい市場として、これへの乗り入れを希望いたしております。  それで、先ほど申し上げました羽田の能力は、離発着回数の能力から申し上げたわけでございますが、飛行場全体の規模といたしましては、そのほかに駐機場——スポットと申しておりますが、飛行機をとめるところ、お客を乗りおりさせるところ、それが羽田では非常に不足いたしております。現在でもごらんのような状態で不足いたしておりますので、とりあえずこの駐機場の数をふやすことと、それからBランが現在千五百七十でございますがこのBランを二千五百に延ばすという工事にことしから取りかかることに相なっております。  それから大阪は、御承知のように三千メートルの滑走路を万博までに間に合わせるようにそれから大阪のターミナル・ビルも、それまでに完成させるようにということで、工事を急いでいるわけでございます。
  44. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ところが、私も現実に飛行場にも行って見てきたわけですけれども、飛行場の中で働いていらっしゃる方のいろんな御意見を伺いますと、まあ伊丹にしましても羽田にしましても、夜間に飛行機が集中して来る。あるいは昼間においても時間的に集中して来て、非常にむらがあるわけですね。特に夜間はひどい。そういう関係から働いていらっしゃる方が極度な過労で収拾がつかないときがあるし、また一時に重なると、この前も御質問しましたけれども、何機も何機も入ってきて入管とか通関の場合、四百人も五百人にもなる。これでは能力一ぱいであり、どうしようもない、こういうことになるわけで、こういう状況の問題がもう現実に出ているわけです。その上加えて、こういう外国の諸問題が出てきている。それに引き比べて、現在日本の飛行機が外国に新しい航路を求めるという場合に非常な難問題が出てきて、なかなか隘路があって解決しないということは、もうしばしば新聞なんかで報道されているわけですけれども、こういうところに非常に日本だけに、あるいは羽田、伊丹のほうへしわ寄せが全部きている。  なぜそういうことになるかというと、結局外国の飛行機の発着に関して向こうの国の都合を考えて、向こうのお客ができるだけ帰りやすい、あるいは出発の時間的な問題を向こうに合わせて考えて、羽田のほうや伊丹のほうは全然考慮に入れられていないから、そのしわ寄せが全部日本にきている。こういうふうな問題点を考えますと、日本の外交あるいは交渉がどういうふうになっているのだろうか、全く弱腰で言いなりではないだろうか、そういうふうな危惧が持たれるわけです。その上に盛んに日本をねらっておる、こういうことになってくると、これはしまいには全部受け入れなければならないのかというような心配が持たれるわけですけれども、こういう問題について大臣はどのような御見解をお持ちでございましょうか。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 タイムテーブルの問題は前から御質問をいただきまして、私たちもできるだけ関係者に迷惑を及ぼさないように心がけている次第でございますが、何せ日本の位置というものが世界の航空場裏において銀座通りみたいなところにありまして、しかもアジアにおいては一番の目の玉みたいなところにある関係上、ほかのほうへ発着していくというかげんからも、なかなか日本の要望どおりには動かないのであります。しかし、一挙に全部というわけにはまいりませんが、ケース・バイ・ケースでできるだけ住民に迷惑を及ぼさないようにタイムテーブルを改めていくように、今後も努力してまいりたいと思っております。
  46. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまのお話でございますが、大臣からは、その質問に対して、新しい観光の立場に立ってもっとそういう面を広げていかなければならない、こういう御見解はしばしば承るわけです。しかし、日本にその観光客を誘致するというについても、まず第一番に玄関に入るとき、あるいは帰っていただくときがほとんど夜である。こういうふうな点は、そういうイメージと全然違った感じを受けるわけですね。それで飛行場の人たちが言うには、これはただ一つ、向こうの時間の都合がいいようになっておるのでしょうということをほとんどの人が言っておられるわけです。ですから、向こうの、アメリカならアメリカあるいはヨーロッパならヨーロッパに朝着くとか昼着くとかいう時間に合わせてこっちを飛んでおるというようなことも言っておられるのですが、その点にだいぶ食い違ったものを感じるわけなんです。この点、大臣、いかがでしょうか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一つは地理的関係と、それから時差の問題がありまして、なかなかぐあいが悪いのでありますが、具体的には航空局長をして答弁させます。
  48. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいま先生御指摘の点、二つの問題があると思います。  一つは、航空協定のいろいろ折衝の問題でございます。これは先ほど大臣が申されましたような御方針のもとに、協定上の不利はこれを改正するようにせっかく努力をいたしております。  それからいま一つ。日本の、特に東京の場合激しいのでございますが、朝と夕方から夜にかけましてスケジュールが混んできますのは、大臣も申されましたように、地理的条件も非常に多いわけでございます。たとえばアメリカから東京に参ります場合に、向こうを朝出ますと東京に夜着く、それから向こうを夜おそく出ますと東京に朝着く、こういう地理的関係になっておりまして、昼間帯があいてくる。昼間帯に東京に入るためには、向こうを真夜中に出なければならない。これは旅客機としてはなかなか損なスケジュールでお客も乗りませんので、そういう昼間帯があくというのは、ある程度日本の地理的関係からやむを得ないのではないか。この間にはなるべく近距離の国際線、あるいはいろいろな特に旅客と関係のない飛行機はこの昼間帯に入るようにする、こういう指導をいたしております。
  49. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間の問題でありますこの点に多く触れたくはないのですが、現実として税関なりあるいは入管なりは、もう限界点にきている、これ以上ふえるとどうにもならないということを言っておるわけです。そのかわり遊んでいる時間もある。忙しいときにはもう手洗いにも行けない、こういうふうな非常な問題が現実にいまあるわけですね。これにさらに大型化されてくるともうどうしようもないということは、この前のときの質問にもそういう問題を申し上げたわけですけれども、これは全くその協定上の問題にだいぶ隘路があるのじゃないか、こういうふうに思われますので、この点はもっとしっかりした交渉をしていただいて、日本の玄関に気持ちのいいときに入っていただくような、うまくコントロールできた内容に改めてもらわなければならない、こういうふうに考えるわけです。  これはこの前も言いましたように、空港を出るときの送迎のところの広場とこっちへ来たときの玄関口の場所が別で、全く裏口から入っていただくようなかっこうでもあるわけです。こういう点について、どうも空港ビルのほうにずいぶんいいところのスペースをお渡しして、かえってそういうふうなもののほうがしわ寄せを食っている、こういうことになりますし、また向こうの現場に、いわゆる空港ビルとの間に白い点線を打ってラインをつけてある、これは全く納得できないというような問題もあるわけですが、この点いかがですか。
  50. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生のおっしゃいますこと、まことにごもっともでございまして、夜の込む時間帯のいろいろな対策につきましては、われわれも一生懸命にこれを解決するように検討いたしておりますが、羽田の総合再開発計画をいま進めておりまして、国のほうも約百十億の予算で総合再開発をやりますので、その際に御指摘のCIQ施設、税関、検疫等の施設、これをまた別につくりまして、そうしてこの混雑緩和に役立たせたい、このように考えております。
  51. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この問題が結局は騒音問題に通じるわけなんです。夜間にテレビを見たいとかラジオを聞きたいとかいうとき、あるいは部屋に帰ってくつろぐときに、はなはだしい騒音に悩まされなければならないということが重なってきているわけです。これはあとで御質問するつもりにしておりますけれども、それはそれといたしまして、さらにこれがジャンボになっていきますと、受け入れ体制につきましてはこの間伺いましたが、聞くところによりますと、現在の羽田空港の施設のガラスが全部割れてしまう、こういうことを空港におる方はほとんど言っていらっしゃるわけなんです。真偽の点についてはわからないのですが、この点、強度がどの程度あり、音がどの程度であり、音波がどの程度、それがどういうふうな影響を受けていくか、現状で耐えられるか耐えられないかということを御検討になりましたか。
  52. 澤雄次

    ○澤政府委員 空港にいる人がガラスが割れるということを言われたというお話でございますが、まず、ジャンボジェット747が昭和四十四年の終わりから四十五年にかけて入ってまいります。この747のエンジンは、推力が現在のDC8の倍以上になります。DC8は推力が八トンでございますが、747は十六トンくらいになります。しかし、その音は現在のDC8と変わらないように、これはアメリカの航空局、FAAと申しておりますが、航空局からボーイング社にこの747を発注する条件として出ております。それで、ボーイングがこれを受けてどういう対策をとっているかと申しますと、これはテクニカルタームで恐縮でございますが、ジェットのエンジンは、バイパスレーショということばを使っておりますが、普通の圧縮機、コンプレッサーの前にファンをつけまして、ファンジェットと申しておりますが、扇風機、これをつけまして、ここから吸収した空気を圧縮機で圧縮しまして、これを大部分燃焼室に入れないで、圧縮したものをうしろに出すわけです。そうすると、現在のDC8で燃焼室に入るのと入らないのとの比率は一・二五対一でございますが、747になりますと、これは五対一くらいになります。五が燃焼室に入らないでうしろに出ていくということで、はき出す空気の力は非常に大きいのでありますが、音は非常に少ない。そのほかにエンジンのうしろに、サイレンサーと申しますが、爆発音を拡散する装置をつけております。これらのことをやりますことによりまして、現在のDC8と747は騒音はほとんど違わないということで、窓ガラスが破れる、そのようなことは絶対にございません。  ただ、将来のSST、超音速機になりますと、これが超音速を出しておるときには非常な爆発音が出まして、これは窓ガラスを破ることもございますが、これは洋上遠く、二万メートルのところを超音速で飛んでいるときに出る現象でございまして、国内に近づきますときにはこれを亜音速、現在のDC8と同じようなスピードにかえって入ってまいります。でございますから、その音も現在のDC8と違いがない。また、窓ガラスが破れるというような現象は絶対に起こさないということでございまして、そのような御心配は絶対にございません。
  53. 沖本泰幸

    ○沖本委員 SSTの話が出たわけですが、諸外国においてはすでに海上飛行場ということを計画している。音の影響をなくするために飛行場を海の上にして、音を海に散らしてしまう、こういう計画が立てられているわけですけれども、この点についていかがですか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 SSTのようなものが出てくる場合には、騒音の問題を考える必要があると考えます。幸い日本は海に恵まれておりますので、衝撃波が出るのは大洋はるかに去ってからということでありますので、非常に恵まれているわけであります。外国の場合はシカゴであるとか、内陸に大きな飛行場がありますから、衝撃波の問題というのは日本よりはるかに深刻な問題があると思います。しかし日本は国土が狭いものですから、大きな土地を手に入れるということがむずかしくなるので、やはり公有水面の埋め立てという問題は非常に将来大きなベネフィットを日本に与えるだろうと思います。将来飛行場なんかをつくる場合におきましても、その点は十分考慮さるべきであると考えます。
  55. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それにつきまして、羽田空港のB滑走路ですが、これの延長のお話を先ほどなさいました。これはうちの党の鈴切君も質問したことなんですが、延長は飛行機の回数のカバーのための延長じゃないか、こういう点についてまだ十分納得のいく御回答がなかった、こういうことなんですが……。
  56. 澤雄次

    ○澤政府委員 羽田のBランは千七百五十メートル現在ございますが、これを二千五百メートルないし三千メートルに延長してくれということは、ここ十年来地元の方を含めての御要望でございます。それからパイロットの組合、機長会というのがございます。パイロットも航空の安全上それを非常に要望しております。その理由は、東風あるいは南風の場合に、飛行機ははるか大森の上空を回りまして、一五と申しておりますが、大森側からCランに着陸をいたします。これはパイロットにとりましても非常に危険であるばかりでなく、大森上空に、非常に広範な地域に騒音をまき散らしているわけでございます。逆に離陸の場合はCランの東側、これを三三と申しておりますが、三三から離陸いたしまして大森方面に上がりまして、一定高度をとってから海に出るということで、これもやはり相当の騒音をまき散らしております。もしBランが二千五百に延びますと、大森を回って入ったような場合は、このBランの延長先から直接入ることができるわけでございます。そうすると運航上も非常に安全であるし、それから東京都一帯に騒音をまき散らすということもなくなるということで、この計画をぜひ進めてくれということで、関係財政当局と折衝しておりまして、やっとこの延長が政府として決定をいたしたわけであります。ところがBランを二千五百に延ばしますと、Bランの使用回数がふえますので、このBランの基部にあります多摩川一帯の地域が若干騒音がいままでより多くなるということは当然予想をされますし、このことについて大田区のほうからもいろいろ御陳情がございます。それで航空局といたしましては、出発地点を現在よりも二百メートル北にあげるということが一つ、それから海老取川に面しました国有地に二階建ての鉄筋コンクリートの家を建てるということで騒音を防止するというような対策をとりまして、さらにそれでも騒音でたまらないというところには学校に防音工事をさせていただく、あるいは共同利用施設、共同学習室をつくらしていただくというようなことで、いま地元の方とお話し合いをしているわけでございます。
  57. 沖本泰幸

    ○沖本委員 学校の騒音防止をやるとおっしゃっておられるわけですけれども、現在までお約束なさっておるこの付近の学校に対する防音工事はまだ全然できていない、こういうふうにいわれておりますが、この点いかがですか。
  58. 澤雄次

    ○澤政府委員 防音工事の予算は、民間空港におきましては、御承知のように四十二年度に初めてつきましたので、準備その他で苦干おくれております。これは関係市のほうでも準備が苦干おくれておられて申しわけないと思っておりますが、四十二年度におきましては三億円の予算東京周辺の小中学校七校、大阪周辺七校、共同利用施設——これは児童が家に帰ってからみんな集まって勉強する共同利用施設を二つ、計三億円の予算でいま工事にかかっております。四十三年度は五億三千万円の予算がとれましたので、これも夏休みに、学校のあいているときに工事にかかれるように、いま関係市とお打ち合わせを進めております。
  59. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それにつきましては航空機騒音対策法があるわけですけれども、この法律自体だいぶ変えなければならないんじゃないか。九十ホン以上が十回以上あるというのは一〇〇%ということになっておりますけれども、すでにその限界をこえているのじゃないですか。そうすると現在の法律では甘い、こういうことになりますが、この問題についてはいかがですか。
  60. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいま御指摘の民間の騒音防止は、従来防衛庁が終戦以降やっておりました基準と大体同じ基準で実施しておる。日本の国内の十七基地と同じ基準でございますので、これを変える、内容を強化するという場合には十七基地と一緒に取り上げていかなくちゃいけないということで、予算的にも相当大きな額になるかと思いますが、これは常時防衛庁と連絡をとりまして内容の充実強化に努力をいたしております。
  61. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いや、充実強化ということよりも、現在がどうかということなんです。変えなければならないのか、そういう時点にきているんじゃないですかということなんです。
  62. 澤雄次

    ○澤政府委員 学校の騒音防止の基準につきましては、教室内が七十ホン以下になるということで実施をいたしておりまして、この法律に基づきまして、工事をするところは全部七十ホン以下になるように工事をいたします。むしろいま一番御陳情や御不満がございます問題は、夏場、防音工事をしたために非常に暑くておれない、冷房装置をやるべきでないかということの御不満、御要求が非常に強いわけでございます。これについては防衛庁と連絡をとりまして、何とか、冷房装置ができるようにということで、いま努力をいたしております。
  63. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それで今度は、第五十五国会で、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の審議中に、各委員からNHK受信料の減免問題について話があったわけです。相当日がたっておるけれども、その結果はいかがですか。
  64. 澤雄次

    ○澤政府委員 テレビの受信料につきましては、防衛庁の基地におきましてはNHKが半額免除をいたしておりますので、民間飛行場、特にジェット機の多い東京大阪の両飛行場につきましては、何とか実質的にテレビ受信料が基地と同じように減額になるようにということで、懸命の努力をいたしております。
  65. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大臣、この点いかがでございますか。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点につきましては関係住民からの御陳情もしばしばございまして、郵政省当局、NHK当局ともかけ合い、地方団体とも話し合いを進め、また航空会社等ともいろいろ連携をとりまして、できるだけ早期に解決するように努力しております。
  67. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私は豊中に行きまして伊丹の騒音について実際に当たってみたわけですが、豊中の岡町の辺で窓を締め切って対談をしておると、全然話ができない。ひっきりなしなので、大声で話をしないと全然通じない。まあよくもこれでしんぼうできるな、こういうことなんですが、結局、テレビ、ラジオの難聴、聞えない、見えないということから、飛行場どこかに行ってくれ、こういうことに強く反響してきている。こういうことになるわけなんです。だから、全部免除してもらっても、まだまだ運輸省に対するあれは強いわけですね。  そういう点で、これは一案ですが、テレビ等については有線放送をやる。有線放送もやればできないことはないわけであります。実際にやっているところもあるわけです。日本では音楽なんかは有線放送で流しているのがたくさんございますし、海外でもテレビなんか全く有線放送だけでやっているところもあるわけでありますから、技術的には問題ないわけです。そういう点についていかがですか。
  68. 河野弘

    ○河野説明員 郵政省からお答えいたします。  有線放送につきましては、これは有線放送業務の運用の規正に関する法律がございまして、届け出でできることになっております。しかしながら、音声の点につきましては、これは共聴アンテナを利用いたしましても結局現在のテレビジョンと同じではないかというように考えられております。といいますのは、共聴の場合は、結局アンテナを別の場所にとりましてそれから引っぱってくるわけでありますが、やはりテレビジョンから出る音声は現在のテレビジョンと全く同じと考えられます。映像の点は、ほかにアンテナをつくりますと非常にきれいな映像が出る。飛行機の発着によりまして映像にゆがみが生じないという面は、共聴の場合に利益があるかと思います。しかしながら音声につきましてはこれは全く同じで、やはりイヤホーンでもつけない限りは完全に聞けないというふうに考えられます。  なお、この共聴施設をつくります場合は一戸当たり大体一、二万の金がかかりますので、経済的な問題として将来困難な問題もあろうかと思います。将来検討していく問題ではないかと考えます。
  69. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この問題はぜひとも実現化していただきたい。これはただ飛行場だけの問題ではなくて、騒音による公害が非常に多いわけですから、NHKとしてこの点をもっと開発していただけば、もっとできる問題は出てくると思うのです。ぜひともこの点を実現していただきたい。それだけお願いしておきます。  それから、先日関西のほうの新聞で、伊丹の飛行場の防音林について、大阪府のほうが出すことも一応了解ができている。千里川を改修して、川の向こう側のほうに飛行場を置く。それに防音林をつくってそれによって少しでも音を防ごう、こういうことが出ておりました。すでに航空局長御存じなんですけれども、これについてあと残るところは運輸省だけだ。そのほかの飛行場についても防音林の計画はいろいろお持ちだということを聞いておるのですが、もうここまで話の段階がきているのですから、伊丹飛行場の防音林についてはぜひとも実現するようにしていただきたいわけですが、この点、いかがですか。
  70. 澤雄次

    ○澤政府委員 千里川の改修の問題につきましては、関係市長ともたびたびお話し合いをいたしております。先生御指摘のように、前向きで、必ず実現する方向で努力することを確約申し上げます。
  71. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう一つは、伊丹の飛行場周辺で羽田のような事故が起きた場合に、消防力は全くゼロである。この前の局長さんの話では、大体一応国際水準という点の設備はしてある。そうすると、国際水準の消防施設を置いて、それで万全ですか。
  72. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは、消防施設に万全ということはなかなかむずかしいかと思います。たくさんあればあるほどけっこうかと思います。一応ICAOで——ICAOと申しますのは、一国際民間航空機関という国連の下部機関でございますが、これで各飛行場はこれだけの消防施設を持てという基準を示してございます。大阪の伊丹の飛行場は、その基準に合格するだけの施設を用意いたしております。
  73. 沖本泰幸

    ○沖本委員 どうもその辺が納得できないのですよ。その消防施設というものは、現実に災害に即したものでなければならないわけですから、ただ基準、消火器をここへ置いておいたらいい、ここへ置いたらだいじょうぶだというものではなくて、現実に火災の危険度があるというものに対しては、それだけのものをやらなければならないわけですから、そういう点については、はたして伊丹の飛行場で羽田の飛行場のごとき災害があった場合に、現在のもので間に合うかということです。
  74. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは国際基準に準拠した施設を持っておりますので、飛行場内の災害につきましては十分の消火能力があるというふうに考えております。ただ、私のほうだけの消防施設では、これはやはり先生のおっしゃいました万全ということは期しがたいので、関係市の自治体消防の御協力を得るということが一番大事なことではないか。それから消防車が飛行場周辺を自由に走れるようにしておく、道を十分とっておくということも非常に大事じゃないかということで、伊丹の消防につきましては、自治体消防とも随時打ち合わせをいたしまして、不慮の災害に備えるように万全の準備をいたしております。
  75. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この問題については、伊丹のほうではお医者さんも、すぐかけつけられるようにお医者同士でそういう約束ができておって、消防のほうも、背に腹はかえられないというところから一生懸命になっている。そのわりに運輸省のほうがもう一つだという声なんですが、同じ問題が羽田の場合でも言えると思うのです。羽田の場合、羽田の空港の周辺に近いところに、消防車なんかの配置がされておるか。いままでは飛行場内における墜落事故で、火災なんかの点でもそれで終わっておりますが、もしあれがそれてどこか市街地に迷惑がいった場合にはどういうふうになるかということなんですが、それについて万全の対策は整っているのでしょうか。
  76. 澤雄次

    ○澤政府委員 羽田の消防施設、航空局が持っております消防施設は、これはICAOの基準以上の消防能力を持っておりまして、相当の威力を発揮することができるわけでございます。構内の事故の場合はもちろん、構外で事故が起きました場合も、私のほうとしては、自治体消防の要望があれば、私のほうの消防車を外へ出すということをお打ち合わせをいたしております。また近く、羽田の構内に自治体消防の施設をつくるということで、目下打ち合わせをやっております。海老取川のすぐ近くのところに東京都の消防を置くということで、打ち合わせをやっております。
  77. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間も過ぎましたので、まだたくさん質問したいことはあるわけですが、ばらばらで御質問したようなことでまとまりがついていないわけですが、御質問したことはいま非常に差し迫った重要な問題なんです。そのほかに騒音監視等とかいろいろな点があるわけですけれども、これはまたあとの質問に譲りまして、この緊急を要する問題について、大臣、ひとつ実現に全力を注いでいただきたいのですが、いかがでしょう。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 誠意をもって努力いたします。
  79. 大野市郎

  80. 野間千代三

    ○野間委員 やはり航空の問題なんですが、初めに局長、いまの御質問の空港における消防体制の問題は、数年前からすでに問題であったわけです。私も何回かお尋ねしたことがありますが、化学消防について車の台数が十分であるかどうかという問題と、それの操作をする職員の配置が当時だいぶ問題になっておったわけです。きょうはその答弁は要らないのです。私もしばらくその方面離れておりますので、消防体制について車の台数と職員のいまの配置状況、特に羽田、大阪状況をあとで文書で御報告をいただきたい。  航空法の問題なんですが、これは大臣、参議院の本会議場で、わが党の木村美智男議員の質問に大臣からのお答えがあったのですが、それなどによると、航空法をいわば改正したいというようなことがありました。最近、航空法を改正したいという考え方が運輸省におありであるというようにも伺いましたし、またATASCO、航空技術安全協力委員会で、四十一年の十一月に「乗員訓練・試験の安全性の維持・向上と合理化並びに訓練専用飛行場に関する要望書」などというようなものが出ております。この要望書の骨子になるものは、乗員の、特に機長の資格を認定するしかた、あるいは機長の訓練、それから知識、そういうものを取得する方法、そういうものを簡素化したいということ。それから航空士を必要でないようにしたい、それから整備の方法をいわば簡略にしたい、そういう問題が含まれておると思うのです。もしこういう問題が中心になって航空法の改正が行なわれると、これは問題じゃないかというふうに私は思うのです。それで日本航空発表によると、日航の事故ですが、日航の事故の過去十五年間の実績で見ると、全損の事故が十一・七万時間について一件。それから、それの同じような世界の平均の実績を見ると、二十六万時間に一件、こうなっております。日航の場合には、世界の平均から見ると、時間が約半分なんだから倍の件数になっているということになるわけであります。訓練飛行を含んでいる死亡事故、これはお客でなくて、これを見ると、四十一万時間について一件、世界の平均は、四十三万時間について一件、これも二万時間ばかりの差がある。これは日本航空が書面で出しておるのですから、間違いがないと思う。旅客の死亡事故は、当時調べたときには過去十五年間なかった。世界の場合には、六十万時間について一件の割合であった。そこでその結論がこうなっているのです。この比率でいくと、将来六年間のうちに九十七件の全損事故が起こる可能性があると予想される。こうなっておるのであります。日本でも一番大きい日航の発表によると、こうなっております。こういうことから見て、航空の安全、こういう問題は将来にわたって相当重要な問題だというふうに考えなければならないと思うのです。これは別に異議がないと思うのです。  そこで機長のことなんですが、航空法の第七十二条によると、路線における操縦の経験、知識、そういうものは大臣の認可が必要である。定期的に機長の審査をしなければならない。それは省令で定める。こうなっていますね。その省令によれば、その審査が通らないというと認定を取り消す。二回くらい審査が通らないと、認定が取り消されておるそうであります。これはやむを得ないと思うのです。  そこで施行規則の百六十三条をひとつごらんをいただきたいのですが、百六十三条は、これは機長さんの資格が書かれております。それからその次の百六十四条で資格の認定のしかたが書いてあるわけですね。それで、問題は百六十四条の第三項なんですが、読んでみると、「前項の実地審査は、」つまり機長を認定をする審査は、「運輸大臣指名する職員を当該認定を申請する者と航空機に同乗させることにより行なう。」こうなっていますね。この際の運輸大臣指名する職員というのは、どういうものなんですか。
  81. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは飛行審査官と申しております。航空局の職員でパイロットでございます。
  82. 野間千代三

    ○野間委員 そうすると、これは運輸省の職員であるというふうに考えていいですか。
  83. 澤雄次

    ○澤政府委員 さようでございます。
  84. 野間千代三

    ○野間委員 条文から見ると当然そうですね。運輸大臣指名する職員なんだから、そうであるべきだと思います。ところで実際は、先ほど私が読みましたすTASCOの要求書にもあるのでありますけれども、この審査をする人が運輸省の職員でなくて、日本航空の職員が審査をしているというふうに聞いておるのですが、そういうことはありませんか。
  85. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは査察操縦士という制度、これは世界各国で使っている制度でございますが、日本航空で、航空会社で非常に優秀なパイロットに査察操縦士という制度を設けまして、これが下審査をやるわけでございます。それでその報告を運輸大臣にいたしまして、それを運輸大臣が認める、こういうケースがございます。
  86. 野間千代三

    ○野間委員 そうすると、日本航空の会社の査察操縦士が同乗をして、そして審査をするわけですね。そうすると、その審査を受ける機長はもう一度、運輸大臣の指定する、つまり運輸省の職員による、しかも同乗をしての審査というのはするのですか、しないのですか。
  87. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは百六十四条の二項をごらんになりますと「書面審査、口述審査及び実地審査(必要があると認める場合に限る)」とございますけれども、必要があると認める場合には、第三項の運輸大臣の指定する職員が実地審査をいたします。査察操縦士の審査の報告を見て、それで十分であるというときには、第二項の規定によりまして運輸大臣指名する職員の実地審査というものは省略いたしております。
  88. 野間千代三

    ○野間委員 その問題なんですが、省略をしているというのだけれども、それはいつからですか。——大体三十年ころからというふうに聞いておるのですが、相当前からでしょう。つまりそのころから、運輸大臣指名する職員でない会社の査察員がもっぱらやっておって、それを主として、つまりいまの局長の話でいうと、書面審査だけだというのですね。そして運輸省の役人さんが実地に審査をするということは、ほとんどないそうであります。これは問題じゃないかと思うのです。それで私も調べてみて、日本航空のいま言われる審査乗務員ですね、これは審査査察官という官名を与えているのですか、日航の人に。
  89. 澤雄次

    ○澤政府委員 官名は与えておりませんで、先ほど申し上げましたように、査察操縦士という名前でございます。
  90. 野間千代三

    ○野間委員 その査察操縦士が日本航空の場合、日本の人で十九名いて、それ以外に外人さんが二名ありますね。この方々で主としてやっておって、それは手続上は書面審査になるのでしょうけれでも、しかし私はこの規定でいけば、あるいは第七十二条の趣旨からいけば、当然これは運輸省の役人がちゃんと同乗をして審査をすべきだと思うのです。しかも私が心配なのは、ATASCOのほうでそういう権限を大幅に委任をしてもらいたいという要求をしているのですね。そうでしょう。したがってこれはまず第一に、ここのところを今度の航空法の改正で民間のほうに委託をしてしまうという、そういう改正の意図はあるのですかないのですか。
  91. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在の査察操縦士制度を現在以上に拡大する考えもございませんし、したがいまして、航空法改正でATASCOが要求しているような内容を改正法の中へ入れるということは考えておりません。
  92. 野間千代三

    ○野間委員 お答えとしてけっこうです。ただ問題は、現状は民間の人が、しかも会社の人が自分の会社の機長を審査をするのです。しかも、それが書面だけで通ってしまう。最近は、そういうルートがあるもんだから、それがほとんどということなんです。これは私は問題だと思うのです。ですからこれは、大臣、お聞きになっておってもおかしいでしょう。大臣のようなきちっとした人が、自分の部下でない民間の人が、かってにと言っては悪いですけれども、そういうことをされるのは、これはやはり人員の関係があれば人員の関係として考えるというふうにすべきだと思うのだが、どうでしょう。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外国の話も聞いてみますと、同じようなことをやっているらしいです。やはり航空機は日進月歩で、実際を言うと、申しわけないですが、航空局の人よりも、日航のほうが、実際は新しい航空機に習熟していますし、経験もありますし、大事なお客さまを毎日扱っているわけですから、細心の注意をして技術をみがいているわけです。ですから、腕前からいったら日航の人のほうが上じゃないかと思うし、時代の進歩に追いつく力もあるのじゃないかとも思うのです。そういう人を使って技量を確認するということは、結果的にもいいと思うのです。ただ、それを監督することがおろそかになっていてはいけない。そういう点では行政措置であるいは再検討の余地があるかとも思いますけれども、いまにわかにやり方を変えて、航空局が直接すべてやるということになると、膨大な予算もかかりますし、ちょっとむずかしいのではないかと思います。
  94. 野間千代三

    ○野間委員 それは、私も実情はわかるのですよ。わかるのですが、まず第一に、大臣の言われる、航空局の役人さんが実際にやっている人よりも技術が上だということはむずかしいと思うのです。ただ結局は役所が責任を持つのだから、実際に査察をしてもらう査察乗員が機長の査察をする、それをいま大臣の言われるように、航空局がきちっと監督をし、同乗をしている、そういう体制、お役所が責任を持てるような具体的な体制をとって審査をするというふうにしなければならぬと思うのです。これがしばらく問題になっておらなかったものだから、最近その辺は、語弊があるだろうけれども、ルーズになっている。したがって、いま大臣の言うように、予算の問題もあるでしょうけれども大臣、これは航空の問題という、きわめて安全の大切な問題ですから、いまのようなことは、これは法規に合っていないのだから、いわば間違いですね。きちっと法規に合う体制になるように、航空局の体制をつくっていってもらいたいというふうに思います。その辺だけ、ちょっとお伺いしたいと思います。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政措置で可能な範囲内に、最善を尽くしてやっていきたいと思います。
  96. 野間千代三

    ○野間委員 時間がないのでぼつぼつやっていますが、次に問題の航空士の削減の問題なんですが、この前ドップラーレーダーを見せていただきまして、たいへん参考になりました。なるほど、あれはりっぱなものだというふうに思ったのです。そこで航空士というのは航空法六十六条によると、五百五十キロメートル以上の区間の航空には、航空機の位置及び針路の測定をするために航空士を置かなければならぬ、こうなっておりますね。そこで問題は、そのドップラーレーダーが航空士としてかえられるかどうかという問題ですね。最初に、ドップラーレーダーによって航空士をかえようという意図がおありなんですか、どうなんですか。
  97. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは航空法改正のときにぜひ御審議いただきたいと思いますが、ただいまお読みになりました五百五十キロメートル以上の場合には一等航空士を乗せなければいけないのでございますが、これにカッコ書きがございまして、「(飛行中常時地上物標又は航空保安施設を利用できると認められるものを除く。)」という規定がございまして、航空保安施設として現在ロランがはずれておりますが、ロランを入れることによりまして、航空法を改正しないで、現在の航空法の規定でも、ハワイと米本土、この間は航空士を乗せないで、ドップラーによって航行することができます。これはもちろん第一点として、ドップラー自身の精度が非常に高く、航空局の評価試験に合格してからでなければなりません。それから第二点、日航のパイロットはドップラーの使用方法について慣熟するということ。それから、ロランの読み方に慣熟するということ。それからパイロットが航空士の資格を持つ、免状を持つということ。これらの条件を具備してまいりましたら、まずハワイと米本土の間、これは現在の一等航空士をおろして、ドップラー航法に移すことを認めてまいりたい、このように考えております。
  98. 野間千代三

    ○野間委員 そこはなかなかたいへんなんですね。ドップラーというのは私も見て、たいへん精巧にできておって、なるほどりっぱなものができたものだというふうには思ったのだけれども、そうするとまず第一に、ドップラーは故障はないのか。将来全くないのかということなんです。
  99. 澤雄次

    ○澤政府委員 ドップラーは御承知のように二重装置になっておりまして、パイロットとコーパイの前にありまして、それが別々に働くわけであります。万一故障が起きましたら、両方のドップラーに差が出てまいりますので、これは故障が起きたということがはっきりわかるわけであります。それから操縦士のすぐわきのところにロランを置きまして、ドップラーを見ながらロランを見てまいりますから、かりにドップラーに万一故障が起こるとしても、安全には支障はない、このように考えております。
  100. 野間千代三

    ○野間委員 機械だから、全く故障がないと言うことはできない。したがってドップラーに対してはそのチェックをするとか、あるいはそれの代替になり得るとかいう意味での、やはり測定をしなければならぬ。それにはいまのところロランがある。したがってロランというものが背景になっておって、そしてドップラーをやるということなんですね。そういう意味で、つまりパイロットはロランに習熟をしなければならぬ、一等航空士、二等航空士の免状を持たなければならぬというふうに局長がいま言われたわけですね。私はそれはわかるのです。わかるのですが、そこで問題はロランの操法なんです。ロランの操法が、機長がちゃんとハンドルを持っておって、ロランをわきに置いて、見ればすぐ簡単にできるというものであれば、一つの考え方としていいと思うのですよ。ロランの場合にはそうはまいらぬのじゃないですか。ハンドル持ったままではできないので、やはり計算したり、それからこの前見せてもらったが、地図に交差する数字が書いてある、その数字のところを算出しなければならぬでしょう。そういうことはドップラーの数字を見るよりは簡単じゃないですね。相当操作が必要であるというふうになるのではないですか、それはどうなんですか。
  101. 澤雄次

    ○澤政府委員 御承知のように、パイロットとコーパイと両方乗っております。操縦をいたしておりますのはどちらかがいたしておるわけであります。しかも最近はこれをオートパイロットに切りかえておりますので、飛行中はむしろ何と申しますか、パイロットは時間が多いわけであります。それでこのロランの操作は、人によっても違いますが、約二週間くらいの訓練をパイロットにすれば十分これをこなし得るようになるということを、日航の責任者は申しております。それでドップラーを見ながらロランを見る、しかもパイロットが二人いるということで、さして非常なむずかしい要請ではない、このように考えております。
  102. 野間千代三

    ○野間委員 それはむずかしい操作ではないと言っているのだけれども、これはだいぶ大きな問題になったことですから御承知でしょうけれども、ことしの二月十三日ですか、太平洋上で、これは機長が航空士の席にいったのだな、そこでロランの操法、取り扱いの練習中に約一万フィート急激に高度が低下した、つまり墜落に近い状況になったということがあったんですよ。(加藤(六)委員「それは失速だよ。」と呼ぶ)いや、一万フィートまでは墜落だ。四十三年二月十三日JA八〇一五という飛行機が一万フィートばかり、加藤君の言うところによれば失速をした。それはロランの操作の取り扱いを操縦士が訓練をしているときだった。(「あれは訓練機じゃないか。」と呼ぶ者あり)訓練機じゃない、旅客機だ。おそらく相当多数のお客が乗っておったはずですよ。ですから、もしこれがこのままであれば——うまいぐあいに副操縦士が操作をしたから回復をしたのだけれども、そうでなければたいへんな問題になったはずなんです。それが起きたあとで、二月の二十六日に、ロランの訓練をする場合には十分に注意をしてくれという日航の通知が出ておるのですね。事実あったんだろうと思うのです。つまり、そういうふうに、ロランの操法というのはそう簡単なものじゃないと言えると思うのです。二週間くらいでロランの操法ができるのなら、何も一等航空士、二等航空士というものの免状は必要ないと思うのですよ。やはりそれだけの値打ちがあるから、ロランの操法ができるのは二等航空士になっておるわけでしょう。したがって私は、ロランの操法というのをそう軽視すべきじゃないと思うのです。そこで、いまのお話で、もし二等航空士をおろすとすれば、いまのような問題がないように、機長あるいは副操縦士もロランの操法が十分に訓練され、しかもその免許を全部持たなければならない。二人そろって持った者が飛行機に乗った場合には、あるいはロランとドップラーとの関係においては、その部分航空士は要らなくなるかもしれないと思うのですね。いまはどうなんですか。この二等航空士というのは国の認定によるわけでしょう。そうですね。そうすると、いま日航におる機長のうちで二等航空士の免状をすでに取得できた人はどのくらいいるのですか。何名のうち何名ですか。
  103. 澤雄次

    ○澤政府委員 いま数字を持っておりませんが、後ほど御報告申し上げたいと思います。  日航の機長のうちで古い、昔からの機長の方は大体航空士の免状を持っております。
  104. 野間千代三

    ○野間委員 ということはつまり、航空士の経験があった人で機長になっておる人が持っておるわけだ。別に新しく持ったわけじゃないですよ。ですから、機長あるいは副操縦士ともどもロランの操法が完全にできる、そして太平洋上で起きたようなことが全くないという確信を航空局のほうで持てなければ、航空士をおろすということは無理なんじゃないかと思うのですね。それはいかがですか。
  105. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、ドップラー航法を認めますには、ドップラー自身の精度が高まること、ドップラーの操法が完全になること、パイロットがロランを読む力が十分にあること、これらの条件を十分に航空局のほうで審査いたしまして、そういう人が乗っている場合に限ってこのドップラー航法を許可する、こういうことで考えております。われわれといたしましても、先生御指摘の点を十分にかつ厳格に監督してまいりたい、このように考えております。
  106. 野間千代三

    ○野間委員 そうすると、最初のお答えでは、航空士をドップラー航法にかえたいというお話ですが、なおまだ相当先のことだということですね。
  107. 澤雄次

    ○澤政府委員 これには二つの問題がございまして、航空法を改正して全面的にドップラー航法に移るということにつきましては、航空法改正の際に十分御審議を願いたいと思いますが、とりあえず現行法のもとでドップラー航法に移りますには、ハワイと本土の間はロランまたはビーコンによってカバーされておる地域が非常に多うございます。現在の航空法の規定でも、ドップラー航法に移して一等航空士をおろすということが可能でございます。これは先ほど申し上げましたような条件の整備次第、ドップラー航法を許可してまいりたい、その時期はおよそことしの六月の終わりごろを考えております。
  108. 野間千代三

    ○野間委員 そうすると、ハワイと本土の間は六月からやるということですね。つまり六月の末にはその路線の操縦士は全部、二等航空士の免許を持っておる者が機長であり、副機長であると考えていいですか。
  109. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在の航空法では、航空士の免状を持って者は一人乗っておればいいわけであります。機長または副操縦士のいずれかが二等航空士の免状を持っておれば、航空法の規定を充足するわけであります。
  110. 野間千代三

    ○野間委員 そこが問題なんです。そこが実は安全上から見ると航空法が不備だということになる、ぼくから言えば。そうじゃないですか。そういうことがあるから、太平洋上で墜落したわけです。墜落と言ったら語弊があるが、そういうことなんです。そのときに、副操縦士がちゃんと二等航空士の経験があれば、機長が訓練をしておるときは副操縦士がやってやればよかった、あるいは副操縦士がロランをやってやればよかった。そうでしょう。いま局長の言うのでは、二名のうち一名、つまり機長が二等航空士の免状を持っておればおろしてしまっていいのではないかと言っておるけれども、しかし、やはりロラン操法は、出発したときと中間と最後のときに見るわけでしょう。三回あるわけです、ロランを操作するときが。そのときに、機長は持っておるからということになると、そうすると、機長がやっておるときに副操縦士が操縦はやっておる。おるけれども、二名持ってないと、不測の事態が起こる可能性があるのではないか。ですから、少なくとも、たとえばやるにしても、二名ともロランの操法ができるようにしておかないと危険じゃないかと思うのです。
  111. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほど野間先生御指摘になりました二月十三日の件というのは、実は私申しわけないのですが、聞いておりませんが、当時ドップラーやロランを航空士の席に置いておったわけです。航空士はうしろのほうにすわっておりまして、そうしてそこに航空士が使う計器類を置いておったわけです。それでおそらくパイロットかコーパイかどちらかが、そのロランの操作に戻ったということではないかと思います。現在は、このドップラー航法を採用するということになりまして、御承知のようにドップラーも機長、副機長の前に移しまして、ロランもパイロットがすぐ見られるようにパイロットとコーパイの間に置いておるわけです。でございますから、パイロットもコーパイもどちらも、すわったまますぐ見られるという状態にございますので、どちらかが航空士の免状を持っておれば十分じゃないか、このように考えております。  それから先ほどの失速というのは、さっそく原因を取り調べてみますが、おそらくこれはオートパイロットのほうの何かのふぐあいかでそのような事態が起きたんではないかと思われますが、さっそく取り調べてみます。
  112. 野間千代三

    ○野間委員 ちょっときょう時間がないので、この問題は六月からというように言っていらっしゃいますけれども、いまの問題で、二月の問題もあり、その原因の究明もあるでしょうし、それから確かにナビゲーターの場所にそれはあったらしい。だから、うしろに行ったわけですね。行ったんだが、しかしこれはわきに置いてあっても、地図を操作したり、あるいはロランを操作するのには、いずれにしてもハンドルを放さなければならないということは事実ですよ。しかも、前を見るわけにいかない、ほかの計器を見るわけにいかないとなるでしょう。そうすると、私は、うしろにあろうと前にあろうと、ロランを操作する場合には同じだと思えるのですよ。ですから、これは六月にすぐやってしまうという端的な話でなくて、もう少しいまのそういう問題を検討したあとで、一つの路線ですけれども、時期についても少し検討したほうがいいじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  113. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生が御指摘になりました安全上のいろいろな条件につきましては、これは厳重にチェックいたしまして、また評価をいたしまして、確信を得たらこれを実施するということにいたしたいと思います。あるいは、その時期が六月末であるか、七月であるか、とにかく確信を得てからこれを実施したい、このように考えております。
  114. 野間千代三

    ○野間委員 御答弁としてけっこうです。日にちをきめてしまわないで、確信を得たらということにしてください。  次に、整備の問題ですが、航空法の百四条をちょっと見てください。運航規程と整備規程は認可事項ですね。つまり、大臣が認可をする、会社はそれをつくらなければならぬ、こうなっておるわけですね。そうして、その認可の基準になるものは、施行規則の二百十六条できめてある、こうなっておるわけです。それで、その二百十六条を見ると、上段のほうに整備規程の内容とすべき項目が書いてある。その下段のほうに技術上こうしなければならぬという基準を示すというふうになっているんだけれども、読んでみると、いまの航空法の施行規則によると、どうも内容は技術上の実際の基準を示していないんですね。これは、いわば上段の項目の説明みたいなものが書いてあると見えるんですよ。これは、実は時間があればそれをちょっとお聞きしたがったのですけれども、そうなっていますね、実際には。そこで、具体的な内容は一切会社にまかす、こういう結果になるわけですね。ぼくは、ここのところが問題だと思うんです。だんだん飛行機の性能もよくなるのだけれども、性能がよくなるに従って、やはり整備がむずかしくなる。整備を厳格にしなければならぬということに、理論上はなってくると思うのですよ。そこで航空法を改正する際に、少なくともこの施行規則の二百十六条の下段はもう少し、会社がここは守らなければならぬという具体的な項目をお書きになるように直したほうがいいんじゃないかというふうに思うのです。  一つだけ例にあげると、これは大臣ちょうどいらっしゃるので聞いておいていただきたいのですが、この整備をする職員は、いま私が言った下段のほうは「交替の要領」と書いてあるんですね。「交替の要領」そうなっておるものですから、その交代の実際の中身は会社の規則にまかせられておる。日航のほうを見ると、会社の規則は就業規則にまかせてある、こうなるんですね。そこで、就業規則というのは労働基準法にある。労働基準法では、これは双方意見を出せばいいんです。組合は意見を出せばいい、こうなっておるわけですね。ですから、極端に言えば会社のほしいままになっているわけです。ですから、非常に重要であるべき整備の技術上の基準が、たとえば交代勤務の例をとるとすると、会社の就業規則にまかされてしまっている。つまり就業規則だから会社がかってにつくれる、こうなっている。それがぼくはまずいと思う。その結果どうなっているかというと、これはそこの会社の流行のことばで四十七士というのだそうですが、四十七人おって、まず最初の勤務は午後の三時から始まって夜中の零時四十分に終わるのだそうです。夜中にうちへ帰るわけですね。その帰った人は、その翌日は夕方の八時に出るのだそうです。八時に出て、そうして翌日の明け方の五時三十分に終わるのだそうです。始発の電車で帰るわけですね。その次は、また同じ勤務を繰り返して、明け、公休になる。つまり、夜中だけしか働いていない。朝早くうちに帰って、おてんとうさんが上がったころに眠る、こうなるわけですね。これを一年八カ月続けるのです。こういうやり方は、ぼくは少しひどいと思うのだね。これは組合のほうと協定してあるのだから文句は言えないわけですけれども、ぼくは組合のほうにも文句を言わなければならぬと思うのだが、これは就業規則だからこうなっちゃうのだ。これはやはりちゃんとした交代勤務のしかたなり、あるいは少なくとも労働基準法を上回るようにしなければならぬと思うのです。これはどうですか、局長
  115. 澤雄次

    ○澤政府委員 日本航空の整備部門の勤務体制にいろいろございますが、ただいま先生の御指摘になったのは、夜間勤務——これは第六運航整備課と申しておりますが、この夜間勤務に従っている人の勤務体制でございます。御指摘のように、第一日が、スイングと申しておりますが、十五時十分から始まります。第二日が夜間勤務、第三日も夜間勤務、第四日は明けで、第五日は休み、こういう勤務体制にしておりまして、これは組合と会社が協定をいたしまして、しかもこの課に配属になる人につきましては、希望者を募って入れております。実際は非常に希望者が多いわけです。給料がちょっとよくしてあるわけですが、ただ、給料が多いから、希望者が多いからということで、それでほっておくわけではございません。航空局といたしまして、これは非常に無理がきているというような事実が出ましたら、十分会社のほうにも注意をしたいと考えております。
  116. 野間千代三

    ○野間委員 これは局長、希望者があるからという言い方はまずいですよ。確かに夜間勤務だから給料は多少ふえる。そのかわり自動車を買わされているのだから、同じですよ。しかも、希望者があろうとなかろうと、四十七人はしなければならぬのだから、その希望のとり方に問題があると思うのです。しかも、この期間には睡眠時間もない。九時間半ぐらいの勤務時間でしょう。その中で一時間近い休憩と休息時間があるだけですね。  それからもう一つ。これはもしできたら調べてもらいたいのだけれども、夜間勤務の体制の中でオーバーホールをした飛行機と、昼間にオーバーホールをした飛行機と、ぼくは多少整備の状況が違うと思う、結果として。これはぼくも調べてみたが、なかなか出ない。これは調べてもらいたいと思いますね。  だから、ぼくの言いたいのは、この基準には、交通機関というのは全部夜中に仕事があるから、夜中のものはこうでなければならぬとか、あるいは睡眠時間を与えなければならぬとかいうふうに、やや具体的に、やはり会社を拘束するような内容を書くべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  117. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは実際上の安全上の行政指導の問題と、法律上のたてまえの問題とあると思います。  乗員の乗務割りにつきましては、これは運航規程に明確に書きまして、運輸大臣の認可が要ることになっております。ただ整備員のほうは、これは整備工場でございまして、一般的なと申しますか、労働関係法のたてまえからいきますと、一般労働法の所管に属しまして、労働大臣の直接認可と申しますか、監督を受ける分野に属するかと思います。しかし、先生御指摘になりましたように、整備士の勤務は交代の要領、これは航空機の安全に非常に重大な影響がございますので、航空局といたしましても、御指摘の点は十分今後監督を続けて、もし非常な無理があるということであれば、会社に行政指導をしてまいりたい、このように考えております。
  118. 野間千代三

    ○野間委員 いや、お答えはいいのですが、ちょっとひっかかるのは、乗員のほうは特別だが、整備のほうは普通でいいのだ、一般労働基準法だということではまずいのですよ。それは先ほど局長の答えたICAOの中にあるでしょう。ICAOの八−三−一では、整備規程はこれこれのものを含んでなければなりませんと書いてありますから、これはやはり直さなければならぬと思うのです。大体そこだけお考えいただけば……。したがって、航空法を一もう少し実はおたくのほうの内容を聞きたかったのですが、時間がないので省略しますけれども航空法を改正をするときには交通安全基本法の中に含むべきだ、そうしてそこに航空の安全をきちんとして、それからその下の法律として航空法というふうに社会党は考えておるのですけれども、それはそれとして、航空法を改正する際には、いま言ったような問題もあるので、十分に慎重に扱ってもらいたいというふうに思いますので、これは大臣、ちょっとお答えいただきます。
  119. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 よく慎重に取り扱ってみたいと思います。
  120. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  121. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間も相当たっておるようでございますから、できるだけ簡潔にお願い申し上げたいと思うのであります。  まず第一に、国鉄関係新幹線の公害と、いま新しく計画を進めておられる大阪岡山間の工事の進捗状況等について伺いたいのであります。  その次に同じく国鉄関係で、過密都市市内を通っている国鉄、私鉄等の今後の対策、すなわち高架とかあるいは地下線とかということ等に対する対策等について、これはまず最初に大臣のお考えを伺いたい、こう思うのであります。  国鉄総裁には地元からそれぞれ陳情書、あるいは大臣にも陳情書が参っておるであろうと思うのですが、御承知のとおり、新幹線については、先ほど大臣もなかなか賞讃をされて、できれば日本海から南の太平洋に通る線もほしいとおっしゃる、そのとおりであると思うのであります。しかし、そういう新幹線の便利なことと同時に、これに伴う弊害は大きな公害の問題であると思うのであります。公害の問題をどう除去するかというところに、ポイントがなければならぬと思うのであります。いま大阪東京間の新幹線は、二百キロの速力でございます。二百キロの速力ですら、大津付近の新幹線から約三十メートル以上離れたところで相当の被害を出しておることは、おそらく御承知であろうと思うのであります。振動のために、あるいは家の壁にひびが入る、あるいはかわらがずる等の被害が起きて、いろいろ問題が起きていることも御承知であろうと思うのであります。こういう経験からいたしまして、岡山大阪間に対する施工上何らか改善を加えられなければならぬというお考え、あるいはその方法等についてどういうお考えを持っていらっしゃるか、ちょっと伺いたいと思うのであります。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄新幹線の建設につきましては、地元にいろいろ御迷惑をおかけし、また御協力をいただいておりまして、まことに恐縮にたえず、また感謝申し上げている次第でございますが、公害の問題につきましては細心の注意を払いまして、できるだけ地元の御要望に沿うように努力してまいりたいと思います。
  123. 長濱正雄

    ○長濱説明員 山陽新幹線の建設に際しまして、列車が走行しましたときのいろんな騒音だとか振動だとか、そういうものに対する具体的の対策としましてわれわれはどういうことをしたらいいかということを、東海道新幹線の例もございますのでいろいろ勉強いたしまして、まだいま引き続いて勉強はしておりますけれども、いまとりあえず対策といたしまして、まず第一に一番音が大きく出ますのは道床のない橋梁、いわゆる鉄げたの橋梁、こういうものから発生することが非常に大きいものでございますので、すべて道床を持った構造物にしてまいりたい、こういうことに考えております。あるいはまた、音が高架橋あるいは盛り土高架のところから発生いたしまして、それが民家に影響いたしますので、こういうことに対しましては、十分な高さを持った防音壁をいたしまして、それを所要の延長をいたしたい。そしてまた、同じ防音壁にいたしましても、張ります材料はどういう材料を張れば音が吸収できるかというような点もいま研究を進めて、それに合うような材質のものでやりたい、こういうふうに考えております。あるいはまたレールも、現在東海道新幹線の場合には五十三キロレールを御承知のように使っておるのでございますが、やはりレールから発生する音もございますので、これを六十キロレールに山陽線の場合にはしたい。そうすると、レールから発生します音も小さくなるであろう。あるいはまた、レールとまくら木との間に入れておりますパットでございますが、このパットの材質も研究いたしまして、振動なり音なりが発生しにくいようなものにしたい、こういうように考えております。あるいはまた、車両から発生する音もございます。で、これにつきましては、車両から発生する音をなるべく外に発散させないように、御承知のようなスカートを東海道新幹線の場合にしておりますが、このスカートの長さを長くする、こういうような対策をとりたい、こういうように考えております。そういうふうにして騒音をなるべく小さくするようなくふうをいたしまして、在来の鉄道程度の騒音以下に押えるようにわれわれとしては最善の努力をしていきたい、こういうように考えている次第でございます。
  124. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 大臣は参議院のほうにおいでになるそうですから、大臣にお尋ねすることだけを先に伺っておきたいと思うのであります。新幹線のあとのこまかいことについては、国鉄当局に伺いたいと思うのです。  その次に大臣に伺っておきたいと思うのは、過密都市、いわゆる大都市周辺を御承知のごとく国鉄、私鉄等が平面交差でいまだに走っているところも多いのであります。東京大阪、神戸等、大都市はほとんど高架あるいは地下等に私鉄、国鉄それぞれなっておるようでありますが、たとえば私の地元を申しますると、西宮、尼崎等においてはまだ平面を通過いたしておるのであります。これは踏切等においてたいへんな混雑をいたしておるのでありますが、こういうところはぜひ高架ないしは地下方式を早急に採用されるべきではないか、こう思っておるのですが、運輸大臣としていかようにお考えになっておりますか。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 交通安全等を考慮いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように計画を進めてまいりたいと思います。
  126. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 あまり通り一ぺんのことばで何だか……。そのとおりですが、なかなかそのとおり簡単に、ことばで言われるように実行できるかどうか疑問に思うから実はお伺いをいたしておるのであります。  それじゃ、今度は引き続き、自動車の問題を伺ってみたいと思うのであります。  御承知のとおり、自動車が最近東京都内ははんらんをいたしまして、運転手もノルマがあって、運賃がなかなか上がらない、こういうところから乗車拒否が多いのであります。日比谷の交差点を私は考えてみますると、銀座のほうから西のほうに参りますのには、片方は地下道を掘っております。これはなかなか便利がいいのです。ところが、今度は北側のほうになりますと、これは掘っていない。平面を通っておるのであります。こういう観点から考えて、都市自動車道というものの要所要所にああいうぐあいに必要な設備というのですか、施工すれば交通の流れというものがなかなかうまくいくのではないか、こういうことを実は痛感するのであります。そこで、日本の天皇は国家の象徴であるのと同じように、宮中は国家の象徴であろうと思うのですけれども、たとえば東京駅からまっすぐ皇居の下をずっと通って麹町に通り抜ける、あるいは今度は半蔵門かどこか、あの付近からずっと九段下のほうに通り抜ける、こういうような方法をとったならば、この東京周辺の交通というのは非常に緩和するのじゃなかろうか、こういうことを想像ができるのですが、こういうことに対して、そういう大きな構想は運輸当局としておありでありましょうか、ないでありましょうか。また、将来そういうような方法——ひとり皇居だけではなく、銀座のいま申し上げたような例等から考えて、必要なところには実行していきたい、こういうお考えをお持ちであろうかどうであろか、ちょっと伺いたいと思うのであります。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまの山下さんのような御構想は、七環あたりを見ておりますと、各所に適用されて始められていると思います。これを拡充して、できるだけ各方面に適用するということは好ましいことであろうと思いますし、建設省とも相談して推進していきたいと思います。  それから皇居の地下の問題でございますが、地上のほうにそう影響がなければ、これは宮内庁にもお話しして、もし、できるならば地下を通させてもらえば非常に交通は便利になるだろうと思います。
  128. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それも通り一ぺんで、便利になることは間違いないのです。その見通し、その確信について、運輸行政の長として、一体いかようなお見通しとお考えをお持ちか伺いたいのであります。
  129. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は建設省とも関係いたしますから、建設大臣ともよく相談してみます。
  130. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 押し問答をしてもしようがないのですが、運輸大臣一人の力でできる問題ではございません。これは建設大臣と相談をされたからということだけでもできる問題ではなかろうと思うのであります。これは政府としての考えも必要であろう、私はかようにも考えます。関係大臣が相談をし、内閣で相談をし、さらに宮内庁とも相談をして、将来そういう実現に向かって努力をする決意をお持ちであるかどうか伺っておきたいと思います。
  131. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 皇居の地上に対する影響がないならば私は好ましいことであると思いますので、せっかくその方向に向かって努力してみたいと思います。
  132. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは、その辺にいたしておきたいと思います。  もう一つ伺っておきたいと思いますのは、個人タクシーの免許を大幅に緩和されるかのごとき新聞記事を拝見いたしました。いままでは大体が大都市中心に個人タクシーというものが許されていたのですが、これを中都市その他にも許可し、許可基準というものをゆるめる。いままでは経験年数を十年、年齢四十歳以上云々というようなこと、無事故何十年というようなきびしい規定があるようでございますが、それを多少緩和して、最近の交通事情からして個人タクシーを許そうというお考えがあるやに新聞で拝見いたしましたが、これに対してどういうお考えを持っておられるか伺いたいのが一つ。  先ほどの野間さんの質問の中にもあったかとも思うのですが、最近の交通災害、交通事故等を考えまして、私が頭の中で浮かぶことは、ダンプカーまたは大型トラックの運転免許資格、これが十八か十九歳の若い子供——子供というと失礼でしょうが子供が運転をして、そのために事故が発生しているというのを新聞でしばしば見受けるのであります。これらに対してもう少し何らかのきつい規制をすることが、交通事故防止の一つの方法ではないか、私はこう考えておるのですが、この二つに対して大臣は一体どうお考えになっていますか、お伺いいたしたい。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず個人タクシーの問題につきましては、首都圏の周辺等でかなり交通の激しくなっているところ、需要のあるところ等におきましては、たとえば千葉のような場合は個人タクシーを免許していきたいと思いますし、埼玉県でもそれに近いところがあれば広げていきたいと思います。ただしあれは流しでありますから、流しとしてそろばんが合う場所でないとそれはできないので、その点では需要の状況もよく調べてみないと、許可したからといってすぐそろばんが合うという情勢ではないと思うのであります。  それから資格要件でございますが、私が一番緩和してやりたいと思っておりますのは年の問題で、十年間無事故で成績がいいということはくずしたくないと思います。個人タクシーはそういうところで人気があり、信用があるわけであります。資格が厳格であるという点が、また人気の原因でもあるわけです。ですから資格の厳格である点を簡単にくずそうとは思いませんが、年の点だけは三十五歳くらいまで下げていいだろう、これは体力やその他から見ましても、二十から入って十年やって三十になる、二十五から入って十年やって三十五になる。それでもまだ四十にならぬからだめだ。片方は三十から入って十年やって四十になった。片方は十五年やっても二十年まじめにやっても、まだだめだというのでは不公平のように思うのです。三十五くらいになれば家族も持って、判断力も円熟し、また体力もありますから、その辺に下げていいだろうと考えたわけでございます。  それからダンプの規制の問題ですが、これは先般の事故その他がありまして、免許要件を少し厳格にして、年齢その他を上に上げたと思います。最近の事故の三郷運送の例を見ますと、十九歳の少年がやったようですが、あれは前の既得権でございまして、規制は遡及しないわけであります。そのためにああいう事故が起こった模様でもあります。この点は法律の取り扱いの問題でむずかしい点もありますが、御趣旨は私も同感でありますので、誠意をもって検討してみたいと思います。
  134. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 いまの答弁は案外実のある答弁でございますから、私も了承いたします。トラック、ダンプカーの運転免許資格については十分御考慮を願いたいと思います。  大臣、お急ぎですけれどももう一つ伺っておきたいと思うのは、先ほどから問題になっておりました空港の問題であります。これはおそらく中曽根運輸大臣の手元にも陳情書が参っておるんじゃなかろうかと思うのですが、私の手元にも陳情書や申し入れ書等がたくさん参っておるのです。大阪の伊丹空港でございます。あの空港の離陸は年じゅうきまったように、都市の一番密集した川西から宝塚のほうへ向かって飛び出していくのであります。御承知のとおり、伊丹の飛行場というのは伊丹市、豊中市、池田市、川西市、宝塚市、尼崎市とちょうど六市に囲まれたまん中にある飛行場でありまして、そのために、離着陸のたびごとにテレビが見えない、会談もできない、いろいろの苦情があって陳情を伺っておるのであります。というて、これをどうこうするといっても、なかなかそう簡単にできるわけじゃなかろうと思うのです。先ほど航空局長が、あそこの川を埋めて離着陸の方向を変える、こうおっしゃったと思っておるのですが、離着陸の方向を変えたくらいでそう簡単に騒音が防止できるとは私は想像いたしておりませんけれども、過般国会でできました法律に基づいて、せめて公共施設だけは防音装置等の完ぺきを期せなければならぬ、こう思っておるのです。ことしの予算にも御承知のごとく三億あまり出ておることは、私も承知いたしておりますが、それくらいのことではどうにもならぬと思っておるのですが、これらに対する運輸当局としての対策。すなわち淡路に新空港建設の方針があるとかないとかいうことで、地元でも騒いでおりますが、ぜひ淡路に持っていってもらいたい。といって、淡路に持っていったからといって、伊丹の空港を廃止するわけじゃなかろうと私は想像いたしておりますけれども、淡路に新しく国際飛行場を新設するというお考えをお持ちであるのかどうか、当局としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほどの川を埋めて云々という話は、あそこに千里川という川があるそうでございますが、地元の公共団体において、治水目的と航空機の騒音防止目的、両方のために千里川の改修計画と防音林の建設計画が真剣に検討されているという由でありまして、その点につきましてはわれわれのほうも十分協力をして万全を期したい、かように考えておるのでございます。  それからあの辺の騒音の問題でございますが、この問題につきましても陳情もいただいておりますし、引っ越しの問題とかいろいろな問題、私も拝聴しております。非常に胸を痛めておりますが、とりあえずNHKの受信料を減免することをできるだけ早期に実現したいと思いまして、それで誠意の一端も示し、それから次のいろいろな仕事に取りかかりたい、そう思いまして、いませっかく努力させております。ある程度見通しもつきつつあります。  それから新空港の問題でございますが、先ほど航空局長も申されましたように、大体昭和五十年くらいでいまの伊丹空港は一ぱいになってしまう。だから、東京の羽田の場合よりはまだ余裕はあるわけでございます。しかしいずれにせよ、早く敷地の手当てをするということは大事でございます。そういう点からも、地元の御要望もよく承りまして調査をやっていきたいと思っております。
  136. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは大臣はけっこうです。  引き続いて、航空局長に伺います。いま大臣からああした答弁がございましたが、川を埋めて防音林をつくったくらいで、役に立たぬとは申しませんが、どれほどの効果があるものでありますか、そのお考えのほどを伺いたいと思います。
  137. 澤雄次

    ○澤政府委員 防音林につきましては、新東京国際空港公団が成田に防音林をつくろうというので、いろいろな学会に研究委託をしております。その結果によりますと、少し小山をつくりましてその上に木を植えて、しかもその木の高さは空港の転移表面というものにひっかからない程度の高さにいたしまして、約五ホンから十ホンの間騒音が低くなるという結論が出ております。
  138. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ところが飛行機は、御承知のとおりずっと上に上がってしまってからその音が聞こえるのでありまして、離陸の際はそうたいしたことはない。上に上がってしまってからの音が実際問題としてひどいのですね。そういう場合に、防音装置の丘をつくって木を植えて、それだけで効果があるとは、私はわからないけれども、学会が研究されて、それが着陸の場合なら多少防止できるかもしれぬという想像がつくのですが、離陸の場合はとても想像できぬのじゃないか、私はこういう心配をしておるのであります。それよりも、私が先ほど申し上げましたように、いま離陸をいたしますのは、一番人家の密集しているほうに向かって離陸しているのですね。川西の上空や宝塚のほうに向かってばっと出て、東京に行くのに、東のほうに行くのかと思ったら西のほうに向かって離陸するのですね。そして回転をしますから、広い範囲に非常な騒音の障害を与えるわけです。あれは東のほうに向いてさっと出たら、案外家はないし、いま滑走路をつくりつつある、まだたんぼですから、よさそうに思うのですが、これは技術上あるいは気流の関係上できないのですか、どういうわけですか。
  139. 澤雄次

    ○澤政府委員 御承知のように離着陸は、風に向かって離陸し、風に向かって着陸いたしますが、あの辺の飛行場の恒風といたしまして神戸側からの風が非常に多いわけであります。したがいまして、やむを得ず川西、宝塚のほうに向かって離陸するというケースが非常に多いわけであります。風が大阪のほうからきます場合には、おっしゃるように大阪のほうに向かって離陸するわけでございます。
  140. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 羽田の場合は、さっき大臣も言われましたように海のほうに向かいますから、人畜に対する騒音の被害は、案外少ないと申したらえらい言い過ぎかもしれませんが、伊丹よりも楽だと言えるわけです。伊丹の場合は全く人家のほうへ向かっていくというやり方ですから、羽田とはまた逆のやり方、いき方だ、こういうことになるわけなんです。そこで、幸いに日本は海が多いから便利だとおっしゃったけれども、あそこは海に面していないから、そういう方法がとれない、こういう姿です。そこで、第二空港というものを、海に面して離着陸のできる、いわゆる人畜に案外被害の少ない方法考えてもらいたいというのが地元の要望であることは、御存じのとおりであると思います。おそらく地元からそれぞれ陳情書等も参っておると承知いたしておるのですが、あの陳情書の趣もよく玩味を願いまして、騒音対策——いま大臣も言われましたように、もうとてもいたたまらないからどこかに移転をしよう、宿がえをしよう、こういう人もあるようであります。その場合に、一体補償をしてくれるのかくれないのかという問題等も、実際問題として起きておるようであります。こういう問題等はやはり、それぞれ実情に即したようにお考えを願いたい。せっかく長年会社、工場につとめて定年になって、そうしてまあまあ余生の安住の地を求めて家を建てたけれども、どだい飛行機でどうにもならぬ。騒音でろくすっぽ寝られない。夜の夜中でも飛行機が飛び立っておる。こういう苦情もわれわれ聞くのであります。せめてそういう夜夜中離着陸のできないような方法でも、——いろいろ方法はあろうかと思うのです。そういう点もひとつお考えおきをいただきたい、こういうことをお願いをしておきます。  時間がないようでございますから、それでは次へ移らせていただきます。  もう一つ次に伺いたいと思いますのは、新幹線の被害の問題であります。先ほど大臣にもお伺いをし、理事からも御答弁はいただいたのでありますが、いま進捗状況は一体いかようになっておるのでしょうか。私のおる尼崎から西宮に至る間はまだ測量もおそらくできていないのじゃないか、私はこう想像をいたしておるのですが、やはり地元の協力の得られるような体制をとられなければ、これはなかなか実現困難ではなかろうか、こう思うのであります。地元の要望とは、すでに先ほども申し上げましたように、石田総裁あてに陳情書も申し入れ書も出ておると思うのでありますが、五十メートルのいわゆる緑地帯をつくってもらいたい。いま飛行場の話を伺いましても、丘をつくって樹木を植えるだけでも多少の防音装置になる、こういうお話でございますから、私は、新幹線の両側にポプラの木か何かざあっとこう植えていきますならば、騒音を防止できる、風圧を防止できる、こういうことも想像いたすのですが、そういうことに対する計画、そういうことに対するお考えというのが那辺にあるか伺いたいのが一つ。  時間がありませんから続けて伺いますが、もう一つは、御承知のごとく神戸、六甲、あるいは西宮におきましても同じでございますが、それぞれトンネルを掘らなければなりません。この土砂の搬出、これ等が、いま申し上げましたダンプカーその他が非常に沿道の住民に迷惑をかけ、あるいは場合によれば事故のもとになっておるのであります。これらに対する対策をいかようにされておるか、この二つを伺いたいと思うのであります。
  141. 長濱正雄

    ○長濱説明員 初めの御質問の、大阪を出まして六甲トンネルにとっつきます間の仕事の進みぐあい、先生のおっしゃいますように、非常に残念ながらまだ進んでおりません。われわれとしましては、地元の皆さんに山陽新幹線の公共性あるいは有利性というか、お役に立つという点をなるべく御理解をいただいて、できるだけ早く現地に立ち入りし測量をさせていただき、用地の買収に応じていただきたい、こういうふうにいろいろ現地の県、市の理事者あるいは地元の皆さんにお願いしておるところでございますが、残念ながらいま申し上げますように、まだそういう事態に立ち至っておりませんで、鋭意お願いを続けておるわけでございます。それにつきまして、地元の御反対しておられる理由は、いま先生おっしゃいましたように、騒音とか振動とかそういうことでございますので、私どものほうといたしましては、なるべくそういうものが少なくなるようなくふうをいま鋭意、最初に申し上げましたような騒音に対する対策その他を進めるようにしておるわけでございます。それ以外に、いま先生のおっしゃいました幅五十メートルという緑地帯を設けたらどうだというような地元からの御要望も承っております。われわれといたしましては、実は山陽新幹線の——これは山陽線に限らないわけでございますけれども新幹線を敷きますについて両側にそれだけの緑地帯をとる、あるいは道路幅をとるということは、国鉄独自といたしましては鉄道本来の事業の体系上、あるいは財政上の理由からとうていそういうことができませんので、われわれといたしましてはできるだけ建設省あるいは県、市の御協力を得まして、少しでもそういうことに近づけるようなくふうをしたい、努力をしたい、こういうふうに考えております。  現在われわれといたしましては、高架線あるいは盛り土、町の中を通りますことによりまして、その地域を両方に遮断するというようなことがございますので、それによってこの地域の将来の発展を阻害してはいけませんので、そういうことに対する対策、あるいは、われわれ実際工事をやります場合の側道も要ることでございますので、そういう点につきまして両側に新たに、所要用地の外に、市街地では両側に、地方では、必要のないところは片側だけでも、四メートルの側道を、これは国鉄の経費でつくりまして、そういう地域の隔絶に対して、せめてそういうことがないようにというようなことをいま計画しております。  あと、それ以上のことにつきましては、私申し上げましたように、建設省あるいは県、市の御協力をいただくようにいま鋭意努力をして、皆さんにお願いしておるわけでございます。非常にこの点につきましてはそういう方面の方々も御理解をいただいておるわけでございますが、まだ具体的にまでなっておらないのが非常に残念でございます。何とかこの六甲までの用地買収に一刻も早く着手できますように地元の御協力を得たい、こういうふうに念願しておる次第でございます。  それから土砂の搬出の件でございますが、これは何ぶん、さいぜんもお話が出ましたが、十六キロ余りの六甲トンネルでございますので非常にたくさんの土砂、いわゆるズリと称するものが出て参ります。これをどこかに運ばなければなりませんので、できるだけ交通に支障のないように、あるいはまた住民の皆さんにおじゃまにならないようなくふうをするということで、山の中に土地を求めて捨てるとか、あるいは一部ベルトコンベヤーによりまして混雑する道路を避けるとか、あるいは道路をこちらで指定いたしまして、道路の混雑を生じないように、あるいはまた交通事故を起こさないようにというようなくふうをしております。それにつきましては特に山陽新幹線の工事の場合——まあ一般の場合においても十分努力しておりますが、今回は特に搬出土砂が多く、しかも非常な繁華街を通ります関係上、山陽新幹線工事安全対策協議会というようなものをつくりまして、市当局あるいは警察当局、あるいは学校の関係の方々、あるいは地元の代表の方々、そういう方々に中心になっていただきまして、委員会をつくりまして、その委員会にいろいろおはかりいたしまして、各建設業者に安全に対する専従者を定めてパトロールするとか、あるいは国鉄自体においてパトロールして指導をするとか、あるいはダンプカーにはすべてタコメーターをつけさせるとか、いろいろなことをいたしまして、そういう困るような事態の起こらないように、いろいろ住民の方々に迷惑のなるべくかからないようなくふうをするように、いまやらせておるわけでございます。それをいたしましても、やはり通過交通はその分だけはふえることでございますので、この点につきましては、地元の御協力をぜひ得たい、こういうふうにあらためてお願いする次第であります。
  142. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が来たようでございますけれども、もう一つだけ残っておりますから、伺っておきたいと思うのであります。  いま東京大阪間を走っている新幹線は、時速二百キロであります。その二百キロの時速ですら、京都市の南区上久世あるいは大津市の田辺町等の例に見ましても、路線から約三十メートル離れた地点で九十五いし九十六ホン騒音を出しておるのであります。さらに四十五メートル離れた地点でも九十六ホンの騒音を出しておる。こう私の手元に参りました陳情書では書かれてあるのであります。さらに路線より約十三メートル離れた地点では、振動のあまり家の壁にひびが入ったり、あるいは建て具がずったり、あるいはかわらがずったり、いろいろの公害が生じている。こういうことを実は地元の諸君が現地に調査に行かれて、二十七世帯について調べておられるのであります。こういうことから考えまして、私は、今度の新幹線は時速二百八十キロ、こういうのでありますから、これは風圧にしても振動にしても、東京大阪間よりもはるかにひどいと見なければならぬと思うのであります。こういうことに対して万全の措置を講じられなければならぬ、かように考えるのであります。おそらく新幹線さえつくれば住民に迷惑をかけてもかまわないというわけではないだろうとは万々承知はいたしておりますが、その辺を深くお考えいただいて、地元の要望というものを十分ひとつお聞きいただいて善処されますよう、心からお願いを申し上げまして私の質問を終わります。
  143. 大野市郎

    大野委員長 次回は明二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会