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1968-05-17 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十七日(金曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    井上  泉君       板川 正吾君    久保 三郎君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         厚生省国立公園         局長      網野  智君         水産庁長官   久宗  高君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省観光局長 深草 克已君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       磯辺 律男君         文部省初等中等         教育局審議官  佐藤  薫君         厚生省保険局企         画課長     宮嶋  剛君         林野庁業務部長 福田 省一君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         自治大臣官房参         事官      皆川 迪夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月十七日  委員渡辺芳男辞任につき、その補欠として井  上普方君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井上普方辞任につき、その補欠として渡  辺芳男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三六号)(参議院送付)  観光施設財団抵当法案内閣提出第七八号)(  参議院送付)  陸運に関する件  海運に関する件  気象に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  観光施設財団抵当法案議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。松本忠助君。
  3. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣出席を待って質問をいたす面が多々ございますが、きょうはいろいろと参議院のほうの関係もあるということでございますので、大臣出席するまでに観光局長お話を伺うことにします。  第一点でございますが、いま議題になっております観光施設財団抵当法が制定されましたときには、観光事業振興に寄与することが大きいと思いますが、その利点を具体的にお聞かせを願いたい。
  4. 深草克已

    深草政府委員 観光基本法にも低開発地域観光開発、あるいは一つ観光地への過度集中の排除というような問題もうたわれておりますし、適所に観光開発をやらなければならぬ問題がたくさんございます。これらはほとんどが民間資金力にたよらなければならない面が多いわけでございます。現在こういった金融をやる場合の担保といたしまして、純粋の不動産、つまり土地、建物以外には担保価値を認められませんので、こういった種類の観光開発は、それ以外に工作物その他がその上に乗っかっておりますので、それらを一体といたしまして担保価値把握してもらうというのがこの制度でございまして、具体的なメリットといたしましては、銀行が金を貸す場合に、その観光施設一体とした企業財産として認めて、それを担保化するということによりまして、金融機関側といたしましても収益還元による評価に、非常に適したものになるわけでございます。で、個々不動産、動産その他の権利の担保価値を合わしたものよりもさらに担保価値が上がるという大きなメリットがあるわけでございます。  それから第二番目といたしましては、財団として一体的に抵当権設定されますために、これはかりに抵当権が実行されてほかの競落人に渡りましても、やはり同じ一体とした企業がそのほうに移るということで、企業の維持がはかられるという利点がございます。  それから第三でございますが、一つ不動産とみなされますので、従来は個々不動産につきましてそれぞれ抵当権設定するという非常に煩瑣な手続を踏んでおりましたが、今度は一つ不動産、またかりに二つ以上異なる地域にありましたものも、これも一つとしてとらえられるという利点もございますので、手続が非常に簡素化される。また、法律にも書いてございますが、登録免許税でございますが、これは抵当権設定の場合に通常の不動産の場合には債権金額の千分の四取られますが、財団抵当の場合には千分の一・五ということで非常に軽減をされるというような利点がございます。  第四には、これも法律に書いてございますが、担保附社債信託法による社債物上担保として不動産財団は認められるということでございまして、社債の募集が非常に便利になる。大体こういった利点があげられるわけでございます。
  5. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、この観光施設財団抵当法案が上程されるその経過からいたしまして、金融業界ではこの抵当法案に対してどのような反応を示しているか、その金融業界反応の度合いをお知らせいただきたい。
  6. 深草克已

    深草政府委員 実はこの法律案を準備いたしましたのは昨年でございますが、昨年は法務省との間の意見が必ずしもまだ合致しませんでした。で、そのあと観光局の中に金融機関、それから法務省関係、それから私ども、これらで研究会をつくりまして金融機関意見十分聴取をいたしました。  その際金融機関から出ました意見は、先ほども申しましたように、自分からも金は貸したいのだけれども、遺憾ながら担保価値が非常に低い、したがって、こういった財団をつくることによりまして日々収入が入るわけでございますので、それを対象といたしまして非常に金が貸しやすくなるというような積極的な意見が述べられたわけでございます。
  7. 松本忠助

    松本(忠)委員 その金融機関でありますけれども、特に大体の対象市中銀行になってくるのではなかろうかと思われますが、市中銀行筋ではこれに対してどういうように言っていますか。
  8. 深草克已

    深草政府委員 先ほど申しました銀行筋意見は、市中銀行意見も代表した意見でございます。
  9. 松本忠助

    松本(忠)委員 研究機関というのは何人ぐらいで構成されて、どのくらいの期間やったわけですか。
  10. 深草克已

    深草政府委員 約十名の構成メンバーで、六カ月ぐらい研究をいたしました。
  11. 松本忠助

    松本(忠)委員 その構成メンバーは、どのような方々が入って研究されたものですか。
  12. 深草克已

    深草政府委員 法務省民事局第三課長、それから民事局の参事官一人、民事局付事務官一人、それから観光局課長補佐官一名ずつ、それから日本勧業銀行調査部顧問、それから日本長期信用銀行審査部次長日本興業銀行法律室考査役、それから西武鉄道の経理部長、富士急行の経理部長、以上でございます。
  13. 松本忠助

    松本(忠)委員 その研究会は官設のものではないわけですね。もちろんその金融機関筋で任意につくったものであって、何ら、運輸省のほうから諮問してそれでできた、こういうものではないわけですね。
  14. 深草克已

    深草政府委員 運輸省の正式の諮問機関ではございませんが、観光局の中におきまして、いわば私の諮問機関観光局長諮問機関という性格のものでございます。
  15. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは次に移ります。  本法が制定され、現実融資をする段階になりましたときには、いまのお話で、市中銀行あるいは開発銀行中小企業金融公庫等も当たるわけでございましょうが、この融資内容、言うならば融資期間というものはおおむねどれくらいに定められるものか、また金利は大体どれくらいに行なわれるものか、それらの点について、個々の状態はいずれも違うでございましょうが、おおよそどの辺に押えていく、指導していく考えを持っているか。
  16. 深草克已

    深草政府委員 民間金融機関がおもでございますので、私ども融資条件その他について、これは希望はいたしたいと思いますが、強制はできません。従来の鉄道事業財団あるいは道路交通事業財団、これらに対する金融機関融資の実例から判断いたしまして、それと同等程度のものは期待できるのじゃないかと思います。それによりますと、金利は日歩二銭五厘前後、年利に直しますと九・一%強、それから社債の場合が年利七分五厘程度でございます。償還期限でございますが、これは民間でございますので、長期といいましても大体五年から七年、これが通例のようでございます。その程度は私どもも期待できるのではないかと思います。
  17. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、これらの金融機関がそれぞれ別個に融資をするわけでございますが、そうなってきたときに、それらの機関がどれくらい融資をしたか、どれくらいの期間にわたってやったか、金利幾らであったかというようなことに対して、それを監督するといいますか、指導するといいますか、それは観光局ではやはり筋が違うのでしょうが、大蔵省関係でこれらの監督をしていく必要があるのではなかろうかと思いますが、その点局長はどう思いますか。
  18. 深草克已

    深草政府委員 先ほども申しましたように、金利あるいは償還条件について、民間金融機関でございますので、要望はいたしますけれども、特にこうしろというような監督的な規制は行なえないと思いますが、もしそういう必要があれば、お説のように、私どもから大蔵省を通じまして、そういうふうにやっていただくということになろうかと思います。
  19. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうしますと、この法律ができました暁に、そういう実際上に融資が行なわれた、その実績の掌握、そういう面については観光局としてはどのようにいたしますか。
  20. 深草克已

    深草政府委員 これは法律のたてまえから申しまして、財団設定をする場合に役所のいわゆる認可とか、こういったことは要しないことになっておりますので、言いますれば、黙っておれば私ども把握はできないということでございます。やはり観光施設をどういうところにつくるかとか、あるいは自然景観との問題もございますし、何らかの形で私どもは、設定をどういうふうにしておるか、あるいはその後の金融関係につきましても、何らかの方法把握したいということで、いま検討中でございます。
  21. 松本忠助

    松本(忠)委員 その局長の言う何らかの方法ということでありますけれども、いずれは政令で定められることと思いますが、何らかこれに対してほんとうにいまから考えておかなかったならば、野放しになってしまうし、そしてまた指導もできない、結局いろいろ問題が起きてくるんじゃなかろうかと思う。何らかの方法ということではなくして、こういうことは当然法をつくり上からも準備があってしかるべきじゃないかと私は思います。その何らかの方法というのをもう少し具体的に、お考えがあれば聞かせておいていただきたい。
  22. 深草克已

    深草政府委員 結局これは銀行——つまり観光施設をやろう人がどこへ行くかということでございますが、まず銀行に行って相談をすると思います。それでは財団設定したら私ども融資をしましようということになると思います。そうしますと、登記所へ行くわけです。したがって、私ども把握できるルートといたしましては、金融機関及び登記所であろうと思います。登記所につきましては、法務省を通じましてそういった情報をぜひ得たいというふうに思っております。
  23. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは融資の実際の問題にあたりまして、抵当対象となる物件査定内容、これをどのような方法によって行なうかということです。たとえば動物であるとか施設であるとか、こういうものの査定はあまりむずかしいとは思えないわけです。大体ライオンが一頭幾ら、あるいはゴリラが一頭幾らというような査定というものは、基準があるそうですからこれはいいと思うのですが、問題は植物園等にあるところの草花や木、これはどう判断し、どう査定するか、非常にこの点はむずかしくなってくる。特に、これは一つの例でありますけれども、ランのはち植え、こういうものは一はち数万円、数十万円するというものもあるわけです。そういった植物査定についてはどのように判断し、どのようにやっていくのか、具体的に伺っておきたい。
  24. 深草克已

    深草政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。植物評価でございますが、結論的に申しますと、一つ銀行のこういったものの評価方法でございますが、個々物件積み上げて全体として幾らあるという把握のしかたもございましょうが、銀行といたしましてはやはり全体としてどれだけ収益を生むかということが、利息を払ってもらう、あるいは貸し付け金を返してもらう一番大切なことでございますので、その施設を総合的に見てどれだけ、つまり入場料その他の問題もございます、あるいはどの程度人が入るかというような問題もございます、むしろそちらのほうから攻めまして、それでいわゆる収益還元方法と申しますか、収益がどの程度上がるかということから逆算をして評価をするのが通例ではないかと私は思っております。
  25. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は金融機関が貸すという場合に、たとえば工場の中に機械が設備されている、こういう機械の一点一点について、モーターが何馬力で幾ら、あるいはこの機械幾らというふうに個々積み上げていったものの合計、そういったものからさらにその何掛け、そうしてまた融資する場合にはさらにその六掛けというような、安全に安全を重ねた方法融資をすると思う。抵当が取ってあるからよろしいというようなものの、その抵当が、機械施設などと違って枯れるおそれもあるし、いろいろとこの点についてはむずかしい問題があると思う。やはり銀行筋なんかに聞いてみますと、一品一品の個々査定積み上げだというようなことを言っているわけです。そうしますと、役所のほうの考えていること、観光局考えていることとだいぶん違うと私は思う。こういう点について、さらに指導する必要があるのではなかろうかと思うわけです。この点どうですか。
  26. 大野市郎

    大野委員長 答弁者は、速記の都合もありますから、大きな声で答えてください。
  27. 深草克已

    深草政府委員 先ほど工場抵当の例をあげられましたが、この法律対象になっております観光施設は、工場とは若干性質が違うのではないかと思います。と申しますのは、先ほど例にあげられました植物が、これは動物にしましても、評価は非常にむずかしいのではないかと思います。工場のように機械その他は現実に転貸もできますし、いわゆる流通性が非常にあるわけでございますが、植物とか動物とか、それを単体としてどこかに持っていくというような場合には、その動物園植物園の中にあるからこそ価値があるのでございまして、それがよそに一個だけぽつっといったって無価値になるようなものもあり得ると思います。したがいまして、もちろんお話しのように、個々物件積み上げ合計額という作業はいたします。いたしますけれども、最終的にその何ヵ月というようなことを勘案するときには、収益がどの程度あげられるか、将来どういうふうに伸びていくかというようなことが、やはり最終的な判断の資料になるのではないかというふうに思います。
  28. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは次に問題を移しまして、観光事業振興のために外国政府がとっております財政的な援助について伺っておきたいわけです。たとえば貸し付け金あるいは貸し付け保証補助金あるいは利子の補給、あるいは免税、こういったような点について御調査があれば答えていただきたいと思うわけです。私も一応これらの点について若干の例を調べてみました。外国ではかなりいろいろの財政的の援助を与えています。それに比較いたしまして、日本財政援助が少し足りない。もちろん今回の法の制定もそれを含んでのことと思いますが、外国では大体こんなふうな例があります。オーストラリアでは、一九六六年にホテル事業に対しまして、一億一千九百五十万シリング貸し付けが認められております。利率は五%であります。さらに一九六七年には四%の低利で一億二千五百万シリング、約五百万ドルの貸し付け金が認められているようであります。またカナダにおきましても、施設増改築希望するホテル所有者に対しては、政府は三年間にわたって二千五百万カナダドルを利率五・五%で銀行貸し付け保証をしております。またフランスにおきましても、ホテル近代化または新築のためにホテル事業に対して政府の行なった融資は、一九六五年には二千四百四十万ドル、一九六六年は三千八百六十万ドルと高額になっております。これらの貸し付け金利息は五%でありますが、援助方式によって、その価値がきわめて高いと認められた計画に対しては、三%まで金利を下げるということができるようになっています。またオーストリアにおきましては、ホテル建設投資を促進するために、観光事業関係の企画に投資するための貸し付け金債務者が支払う利子の引き下げを目的とした補助金を交付しています。この補助金は一九六六年には七百三十万シリングに達し、その結果投資金額は四億六千三百万シリング、約一千七百八十万ドルとなっています。利子は三%から五%であります。免税等措置については、各国ともそれぞれやっております。たとえばフランスでは、ホテル業飲食業については、固定資産への投資額の一〇%が、投資者税金査定の際控除されるようになっている。これらの各国の例からいたしましても、日本援助はまだ非常に少ない。いわゆる外貨獲得という面からいって観光事業に対して相当の力を注いでいる日本としては、非常に少ないように思うわけです。日本では国際観光ホテル整備法によりまして、政府登録ホテル資産減価償却期間が、地方税法の定める期間より短縮されている。このような点が日本ではあるわけでありますが、あまり財政的の援助がないように感じられます。この点についてもう少し当局としてお考えがあるのかどうか、観光局長のお答えをいただいておきたい。
  29. 深草克已

    深草政府委員 外国観光施設整備に対する助成策は、いま先生から詳しくお話がございました。私どももOECDの観光委員会年次報告書としてまとめておりますもので承知をいたしておりますが、ただいま先生がおっしゃったようなことでございます。日本助成策でございますが、地方税、つまり固定資産税の不均一課税の問題、それから登録ホテル旅館に対します減価償却の場合の耐用年数の問題、これは本国会で成立いたしまして、租税特別措置法政令で定めることに相なったわけであります。そのほか金融関係では開発銀行中小企業金融公庫北海道東北開発公庫、これらの金融機関から八分二厘で、金庫によりましていろいろ利率は違います、一定はいたしておりませんが、全体の約三〇%程度割合での融資を受けております。ただいま御質問の、日本助成策は手ぬるいではないかということでございます。私どもも同感でございまして、特に金融措置につきまして、まだまだ金利あるいは融資割合につきまして、私ども希望とは非常にほど遠いのでございますが、毎年予算時期に要望はいたしますけれども、いわゆる政府機関金融のプライオリテイーの問題もございまして、もうしばらくしんぼうしてくれというようなことで、先順位のものがぼつぼつ出ておる程度でございます。私どもこの点は、今後も外国の例などを引きまして強く要望してまいりたいと思います。
  30. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから、関西で観光指定旅館汚職事件発生したことがありました。これはちょうどLPガスで騒いでいた当時でございます。そこで、これもLPガスの問題と並行しまして相当に騒がれたものでありますが、この観光旅館指定について、汚職発生原因となるものは何か、この点をひとつ局長考えを聞かしてもらいたい。
  31. 深草克已

    深草政府委員 この前大阪で、登録をめぐりまして元大阪陸運局総務課長汚職をいたしたわけでありまして、私ども監督者として非常に残念に思っております。原因と申しますか、内容につきましては、御承知のように、大部分がいわゆるせんべつという形で行なわれたわけでございます。いかにせんべつという形にしろ、好ましくないと思っております。問題は、自動車行政あるいは鉄道行政が主体となっております陸運行政の中に、こういった観光行政がぽつんと片すみにあるというような点で、やはり上のほうの監督が十分届いていない点も一あったのではないかというふうに思います。
  32. 松本忠助

    松本(忠)委員 施設等について、観光指定旅館料亭との区別、この点についてはどのようにしているのか伺っておきたい。
  33. 深草克已

    深草政府委員 一番まぎらわしいのが、いわゆる国際観光旅館料亭であろうかと思います。国際観光旅館は、国際観光ホテル整備法の中に基準がきめられております。その中で、風俗営業許可をとっておるところもございます。また県の方針によりまして、旅館には風俗営業許可を与えないというような県もあるやに聞いております。その辺の基準にはっきりいたしておりませんが、私どものとらえ方といたしましては、法律基準に合ったものは、国際観光旅館として登録をするというたてまえをとっております。
  34. 松本忠助

    松本(忠)委員 その区別一般旅行者にわかるようにつけてあるかどうか、この点ははっきり明示してあるものかどうか、この点はどうですか。
  35. 深草克已

    深草政府委員 その点は法律によりまして、観光ホテル整備法に基づく旅館だということの明示を義務づけておるわけでございます。
  36. 松本忠助

    松本(忠)委員 先ほども遺憾の意を表された、地方陸運局長にいろいろ問題があったということでありますが、これは地方陸運局長権限にまかされているわけでありますが、本省のほうに対する報告、これについてはどのようになっているのですか。
  37. 深草克已

    深草政府委員 観光行政関係地方陸運局長にまかしております点は、中小企業金融公庫に対する融資の推薦だけでございます。登録ホテルあるいは旅館登録の問題、あるいは中央の開発銀行に対する融資の問題、これらは書類を経由する機関にすぎないわけでございまして、最終的な権限はございません。
  38. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうすると、書類上は経由するということであって、その指定を与えるということについては全部観光局長権限にあるわけですか。
  39. 深草克已

    深草政府委員 そのとおりでございます。
  40. 松本忠助

    松本(忠)委員 この問題については、地方陸運局長は最終的な権限を持っていない。持っているのは観光局長であるというのはわかりますが、やはりその間にいろいろと汚職発生原因があると思います。こういう点について、一般旅行者が安心してそれを利用できる権威あるものにしていただきたい。そのためには、特に観光局長が一そうの目を光らせてやっていただきたいと思うわけです。  それから次に、文部省の方に伺いたいわけですが、修学旅行観光ルートの問題があります。最近に問題にされているのは、寺院見学をやめて、将来社会に出て実際上役に立つところの工業地帯あるいは産業地帯等見学、これに旅行の力を注いでいる学校がだんだん多くなってきておりますように思います。このような傾向は、いままでよく行なわれております京都であるとかあるいは奈良であるとか、そういうところの寺院回りよりもよほど生徒の実生活に役立っておりますし、また、学校側教員等もこれをすすめているように思うわけであります。観光局もこの点については文部省十分話し合いがあったことと思うのでありますが、こういう傾向のあらわれについて、文部省ではどのように思っておりますか。
  41. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 お答えいたします。文部省としましても、従来から、ルートとしましては政治、経済、産業、文化の重要地を選ぶことが望ましいという指導もしてまいりました。実態は、先生おっしゃるように多うございます。したがって、非常に望ましい傾向と考えております。
  42. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、これについては観光局のほうではどうお考えですか。
  43. 深草克已

    深草政府委員 修学旅行につきましては、私個人の意見でございますが、非常にけっこうなことだと思います。ただ、いまのいわゆる旅行日程といいますか、これが非常に交通機関も混雑いたしますし、また日数の制限もあるように聞いておりますので、非常に無理をするというような傾向もございます。また観光行政の立場から申しまして、京都とか奈良とかそういった、りっぱなところでございますけれども、非常にシーズンに集中をいたしまして混雑をするということで、一般の観光客の迷惑にもなっておるような点がございます。したがって私どもの立場からの希望といたしましては、これは実質的には年間を通じてならしていただきたいというような問題もございます。ルートについては、ゆとりを持ってやっていただきたいというような希望を持っておるわけであります。
  44. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで佐藤審議官に伺いたいことがございますが、きのうの地震の結果、北海道を旅行する中学生が、旅行が中止になった途中で、駅頭で将棋をさしている写真がけさの新聞に出ております。このような不測の事態でありますからやむを得ないことと思いますが、やはり修学旅行の最中に、はなはだしい例になると花札を持っていったり、それから将棋盤、五目並べ、そういったものまで持って出かけるような傾向があるようです。こういうものを見ますと、観光ということなのか、ほんとうに遊びに行くのか、実態上もいろいろ、勉学のために行くのか、私は非常に疑問に思うわけであります。こういうものに対して、当局としては中学生の修学旅行に対してどのように考えているのか、指導しているのか、この点もあわせて伺っておきたいわけです。
  45. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 従来からそのねらいとして、大体大きく三つ掲げて指導しております。まず第一は、わが国の自然、文化、経済、産業などの重要地を訪れ、さまざまの見聞をすることによって学習の内容を高めるというようなこと、第二に、郊外に出て旅行という集団活動の経験を通じて、健康、安全、集団生活のきまり、公衆道徳などについて望ましい体験を得る、あるいは未知の世界を見聞し、師弟や学友が人間的な接触を深めるという点を中心にして指導しておりますので、お説のような問題は非常に指導に反するものであります。もし花札その他をやっておりますれば、はなはだ望ましくない傾向だと思いますので、十分指導をしていきたいと思います。
  46. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣出席でございますので、大臣に伺いたい。  佐藤総理が言っている一省一局削減問題でございますが、運輸省観光局がその対象となっておりまして、官房の部に入るといわれておりますが、日本観光事業外国からおくれているということで、観光行政の一元化が望まれている。こういう点はお説のとおり、さらにいま審議中の財団抵当法の制定から考えましても、日本観光事業の発展をはかる意味からも、局から部への格下げは観光事業発展にマイナスとなると思う。この点について大臣の所見を伺っておきたい。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点はまことに同感でございます。観光基本法もございまして、観光政策には国としても重点を入れておることになっておるのであります。国内観光、いま中学生のいろいろな話がございましたが、われわれ、国民同胞にわが国土の風光やあるいは人文を知らせるということも非常に大きな行政でございますし、外人を誘致して外貨を獲得し、あるいは日本を知らせるということも大事でございます。観光白書を今明日中に国会に提出いたしますが、大体昨年度におきまして外客との収支は五千六百万ドルくらいの赤字であります。これが昭和四十五年くらいになりますと一億一千万ドルくらいの赤字になる可能性があるわけです。そういう点から申しましても、外客誘致に相当力を入れなければならぬ情勢にございます。そこで今回は、一省一局削減によりまして一応観光部といたしますけれども、この法案が通りましたら、とたんに統合の、さらに強力な、各省を綱羅した一元的な観光関係に関する推進部局をつくる約束になっておりまして、それを誠実に実行してまいりたいと考えております。
  48. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、厚生省の公園局長に伺いたいわけでありますが、昭和三十一年より厚生省が中心となって進めてきたところの国民宿舎のことでありますが、この国民宿舎の設立は世界でも初めてのことであって、一般大衆が納付した厚生年金保険や国民年金の積み立て金の中から融資されてできてきているものです。その国民宿舎の料金ははなはだ安く、健康的であります。これの拡大強化についてどう考えているか。また、国民休暇村についてもあわせてお考えを伺っておきたい。
  49. 網野智

    ○網野政府委員 私ども関係する宿舎といたしまして、国民休暇村と国民宿舎の二つの種類のものがあるわけでございます。国民休暇村というのは、一定の広がりを持った地域を村といたしまして、そこに国がいろいろ公共投資をいたしまして、たとえば駐車場をつくるとか、その他のいろいろなものをつくりまして、国民休暇村協会が宿舎をつくって、家族利用を中心とした、国民の健康的な宿泊施設として提供しておるわけでございます。国民宿舎につきましては、市町村が設置主体になりまして、厚生年金あるいは国民年金の還元融資を受けましてつくり、国民大衆の低廉な健康的な宿泊施設としておるわけでございます。これは、昭和三十一年度から整備が進められておりまして、現在、国民宿舎につきましては二百九十余りの国民宿舎がありまして、利用に供されておりますのは二百くらいで、あとは建設中でございます。利用人員は、昭和四十二年度におきまして大体五百万人くらいの利用が行なわれております。国民休暇村宿舎につきましては、その利用が大体七十万人くらいになっております。  私どもといたしましては、これら国立公園、国定公園の中にあります国民のための低廉な宿舎につきましては、今後とも基本的には拡充整備を促進してまいりたいと考えております。ただ、国民休暇村につきましては、宿舎の設置主体が国民休暇村協会という公益法人でございますので、立地条件とか、やや採算性というような問題も考えて、今後の設置促進についてはいろいろ慎重に検討を進めてまいりたい。さしあたりは、国民休暇村等については内容の充実、改善という点に力を入れてまいりたい。それから国民宿舎につきましては、地方公共団体からの要望も非常に強いわけでありますので、私どもといたしましては、これを積極的に進めてまいりたいと考えております。
  50. 松本忠助

    松本(忠)委員 観光局長に伺いたいわけでありますが、ユースホステルや民宿等についてどう思いますか。これの拡大強化をはかるべきだと私は思いますが、局長考えを伺いたい。
  51. 深草克已

    深草政府委員 ユースホステルにつきましては、実は今年度の予算折衝の際に削られました。理由は、各県少なくとも一つという大方針が昨年度で完結をいたしましたので、新しい補助金という観点から削られたわけでありますが、私どもは、枝葉のものをさらに充実していくという別の構想で、また来年度予算要求をしたいと考えております。  それから、民宿につきましては、非常に普及をいたしておりますし、国民の健全旅行推進上非常にけっこうなことだと思います。ただ、それがあまりにも商業主義に流れるということは警戒しなければいかぬということでございまして、善導の方向に持っていきたいと考えております。
  52. 松本忠助

    松本(忠)委員 それで、大臣に伺いたいわけでございますが、いま、厚生省の公園局長運輸省観光局長にお伺いしましたように、国民宿舎や国民休暇村のほうは厚生省の管轄、ユースホステルや民宿等は運輸省観光局の管轄、このようになっているわけです。国民の健全なる旅行、そしてまた心身の発育を促す面からも大いにこれらのものの拡充強化をはかりたいと私は思いますが、この指導機関といいますか、監督機関がこのように両省にまたがっている。これはやはり一元化すべきではないかと私は思いますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お説のとおりだと思います。
  54. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、最後に希望を申し上げておくわけでありますが、大臣も、先ほどの御答弁にありましたように、この観光施設の問題についても十分意を注いでいただいて、外貨の獲得、そしてまた国民の健全な思想、それから身体を強壮にするために一そう御努力を願いたいと思う。  それから、大臣がお見えになる前に局長に伺っておきましたが、関西で起きました指定旅館汚職の問題これは観光局長からお答えがございましたが、こういうことが再び起きないように、一段と監督を厳重にしていただきたい。この点あわせて希望しておきます。  以上であります。
  55. 大野市郎

    大野委員長 本案に対する質疑はございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  56. 大野市郎

    大野委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  57. 大野市郎

    大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  59. 大野市郎

    大野委員長 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題として、審査を進めます。  本案につきましては、すでに質疑を終局いたしております。     —————————————
  60. 大野市郎

    大野委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  61. 大野市郎

    大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  63. 大野市郎

    大野委員長 次に、気象に関する件について調査を進めます。  この際、昨日の十勝沖地震について、運輸大臣から説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 昨日起きました地震につきまして御報告を申し上げます。  すでに新聞に報道されておるように、関東大震災に次ぐ大きなエネルギーを持った地震でございましたが、先般起こりました、えびの地震とは直接関係はない由であります。えびの地震は局地的な深度の浅い地震でございましたが、今回の地震は、日本列島の太平洋沿岸にありまする日本列島との構造的関係における地殻的な地震であるそうであります。  それで、運輸省関係の被害を申し上げますと、港湾関係におきまして約十三億円の被害が現在計算されております。一番大きいのは八戸の十億円くらいです。それから函館の二億円、あとは青森、釜石、苫小牧、大湊等、東北、北海道にかけて港湾の被害が出ております。  それから鉄道関係におきましては、今朝八時現在におきまして、不通区間が五線区、四十一区間でございます。これらは大体一両日中に開通の見込みでございます。一番ひどいのは青森−盛岡間、特に野辺地—尻内間でございます。この野辺地—尻内間は、やや日時がかかる模様でございます。そのほかは本日開通いたします。  函館港の岸壁に亀裂が生じまして、昨日は航送能力は約半分でございましたが、本日は約九〇%に回復いたしました。  物資輸送につきましては、北海道の生鮮食料品の輸送問題がございまして、自衛隊、地方庁及び現地の陸運局、海運局等々と連絡をさせましていろいろ手配を講じさせております。  なお、救援物資の輸送については、国鉄で運賃の減免を行なっております。  地震予知の問題につきましては気象庁とも前からいろいろ研究をさしておりまして、十カ年計画をようやく最近策定することができまして、約百億円、前期五カ年後期五カ年、毎年約十億円くらい使いまして、測地、地磁気、地電流、検潮、断層、褶曲あるいは地殻の変動、地熱、そのほか地震の動態の分析等を各大学や緯度観測所、東京天文台、国土地理院、気象庁、水路部、地質調査川等の協力によりまして実行して、予知の目的を達するように今後努力をいたすつもりでございます。  以上で御報告を終わりにいたします。
  65. 大野市郎

    大野委員長 ただいまの震災の報告に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  66. 大野市郎

    大野委員長 次に、海運に関する件及び陸運に関する件に関して調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井上泉君。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 まず文部省にお尋ねしますが、最近文部省の方針といいますか、小中学校の統合が盛んに行なわれておるのであります。その小中学校の統合の行なわれておる地域というのは、ほとんど山村僻地の小学校、中学校であるわけです。そこのところの小中学生はほとんどバスを利用しておるわけですが、その山間を走っておるバスについては、それはほとんど赤字路線であるというようなことで、全国的に赤字路線廃止の問題が持ち上がっておるわけです。こういうふうな事態に対して文部省はどういう見解をとっておられるのか、その点をまず承っておきたいと思います。
  68. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 御説のとおりでありまして、文部省としましてはさような事態が起きないように強い希望を持っておるわけであります。もし万一起きた場合については、いろいろな対策をとることを考えております。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 文部省としても、赤字路線だからといってバス廃止にならないようにということを強く希望しておる、こう確認していいのですか。
  70. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 そうでございます。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 それではそのときに文部省としては、遠距離通学者の通学補助に関する必要な経費として若干予算が計上されておるわけですが、こういう事態が生じますとバスの運賃なんかが高くなる関係で、予算上も現在の予算では相当程度少なくなってくると思うのです。そういった場合においても、十分予算的の考慮をするお考えがあるのかどうか承りたいと思います。
  72. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 お説のとおり、実態に応じまして適切な要求をしたいと思っております。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、文部省はそれでいいです。  次に私は林野庁にお尋ねするわけですが、同じように、赤字バス路線の問題は山間部にあるわけです。この山間部には国有林の作業所における家族とか、あるいは小学生とか中学生とかいうようなものが山間部のバスをたいへん利用しておるわけですが、こういうふうな問題について、もしこの赤字バス路線が廃止されるというようなことになりますと、山で働く労働者の家族あるいは子弟、あるいはまたその人たちの足が奪われることになって、たいへんな影響を来たすわけです。その点についての林野庁の御見解を承りたいと思います。
  74. 福田省一

    ○福田説明員 お答えいたします。  特に、高知に営林局がございまして局長のほうからも連絡がございましたが、この赤字路線の問題について関係があります場所は、野根、奈半利、小川それから川崎、中村の五つの営林署の管内で、県交通のバス路線がございます。これがもし廃止になるようなことがございますと、事業の執行に非常に差しつかえがございますし、また家族の生活にも非常に影響を来たすということもございますので、ただ営林署あるいは営林局だけの問題ではございませんで、山村地帯全体に関連する総合的な問題でもございます。したがいまして県当局あるいは県交通その他と十分連絡をとりまして、事業の執行に支障のないように対処してまいりたいと存じております。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことは結局、赤字バス路線廃止というようなことにおいて関係者に支障のないように、できる限り赤字バス路線だといっても何らかの方法で運行の努力をしてもらいたい、こういう御意見ですか。
  76. 福田省一

    ○福田説明員 さようでございます。
  77. 井上泉

    井上(泉)委員 時間を能率的に使う意味において、私は各省の見解を聞いて、最後に運輸大臣の方針を承りたいと思ったわけですが、その点については、あとの自治省あるいは経済企画庁に対する質問出席されてからいたすことにして、大臣にお尋ねをするわけです。  大臣は非常に政治的感覚の鋭い人であって、一昨日の新聞では「湘南空中戦 騒音の中の政治」という題で、城山三郎さんが、湘南の上空を宣伝飛行機がやかましくやる、これじゃどうにもならぬということで申し入れをすると、さっそく処置をとった。一方県は、市役所の商工課に話してあるからといって、県のほうは全くやらない。ところが大臣のほうでは航空局と話してすぐやったというようなことが載っておるわけで、私は政治とはこのような姿でなくてはならないと思うのであります。きょうの新聞でも、アメリカが北ベトナムへの配船に対して中止を申し入れてきても運輸省は不介入、こういうふうに日本国の面目を発揮するところの措置をとられるというような点で、大臣の政治姿勢というものを高く評価するわけです。  その点からも赤字バス路線について、さきに参議院で小酒井議員の質問に対して、不採算バス路線には積極的な助成を検討すると運輸省が確約をするというふうな大きな記事が、関連の地元紙にいまの県交通の問題、高知県の赤字バス路線の問題で載っておったわけですが、このことについて、いま林野庁にいたしましても文部省にいたしましてもたいへん困るというふうなことが言われておるのです。これについて運輸大臣としての確約というか、御見解を承り、それについての対策を早急に立ててもらいたいわけですが、大臣の見解をお尋ねしたいのです。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御懇篤なおことばをいただきましてまことに恐縮でございますが、赤字バス路線の問題は、特に山村の過疎地帯の場合は、住民の利益を確保するために政治としても相当慎重に考えなければならぬと思っております。そこで、路線の休廃止をしたいという事業所に対しましては、まず第一に、地方公共団体及び地元の住民とよく話し合いをしていただきまして、十分了解していただくということが大事であります。そして、どうしても廃止しなければ赤字が続いて困る、そういう場合につきましては、ケース・バイ・ケースによりまして、その重要度等を勘案いたしまして、助成措置考えなければならぬのじゃないかと思います。その場合にはやはり府県、市町村というものもかなり御協力願うことが適当ではないかと思っております。現在、離島または辺地の中小バスについてば、車両購入費の一部を補助する制度がございますが、バス事業の経営状況にかんがみまして、輸送力確保のために、また住民生活のために必要な助成措置の拡充強化について検討することといたしたいと思っております。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 それで経済企画庁、おいでになっておるのですが、山村振興法という法律がつくられて、その山村振興法にはどういうことを書いてあるかということは、私が読むまでもなく、あなたたちは御存じと思うのですが、大体聞くところによると、山村振興法は各党一致をして、提案で満場一致できまった法であるそうです。そういうような法であるがために、役人が非常に冷たい。自分のつくった法律だと何か責任を持つような感じがするわけですけれども、山村振興法という法律は議員立法だから、議員さんがやっておるからおれは知らぬ、こういうふうな感がなきにしもあらずですが、この山村振興法の中にも道路その他の交通施設、通信というようなことで、交通施設、運輸施設が山村振興のかなめになるということが出されておるのでありますが、一体こういうふうな山村地帯の交通運輸の問題について、総合開発局としてはどう考えておるのか。せっかく山村振興課という独立した課をつくってあるわけですが、こういう山間の交通運輸機関についてはどういう考えを持って、どういう対策を立てられておるのか、その点を承りたい。
  80. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 山村振興法が制定せられまして以来、私どものほうといたしましては、指定して山村ということで、条件に該当します山村を逐次指定をいたしまして、その指定されました山村について振興計画、関係各省のいろいろの予算措置をこれに応じてつけていただくというようなやり方で、山村振興事業を実施しておるわけでございます。御指摘のとおり、この山村振興事業におきまして、交通関係というのは非常な重要な事業ということになっておるわけでございまして、具体的に各計画におきましても、相当のウエートを占めておるというのが実際であります。ただ、御承知のとおり……(井上(泉)委員「どうしておるか、どうしようかということで、答弁を集約してくださいよ。」と呼ぶ)御承知のとおり、なかなか山村の数も多うございますし、逐次実施をするというたてまえでやっております関係もございまして、ただいま御指摘のような困難な状況が出ておるというところも、これは私もよく承知をしております。実際問題といたしましては、バスの路線の廃止ということについては、ただいま運輸大臣もお答えがございましたように、運輸省でもって措置をしていただくわけでございますが、私どもとしては、それが唯一の交通機関であって、その山村に対して非常に重要なものであるという場合におきましては、これが途絶することがないように御配慮を願うということで、運輸省のほうにも御要望するというような状況でございます。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことばとか、あるいは政策とかいうような問題ではなしに、具体的に山村振興課というものができて、そしてその山村振興上、交通、運輸の問題あるいは小中学校の教育というようなものは不可欠の問題だと山村振興本ではうたっておるのだし、そこにやはり金の裏づけがない場合には、精神教育では人は運べないでしょう。そういう点については、経済企画庁は山村振興について、赤字路線バスがあるといえばそれに対しては、これは赤字路線だからといって廃止をするということはいかぬ、運輸省がどうかということでなしに、やはり財政的な裏づけを与えるような企画をするのが私は総合開発局としての仕事であり、山村振興法が生まれたゆえんだと思うわけですが、どうですか。
  82. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま申し上げましたとおりでございまして、指定山村については、御指摘のとおり道路の建設であるとか、あるいはバ指等につきましては通学バスに対しますところの補助、これは運輸省の予算でやっていただくわけでございます。それから車両の購入に対する補助をするというようなたてまえでございまして、四十三年度の予算では二千五百万円程度を計上されておるということでございます。力及ばぬところはございますが、私どもといたしましては四十五年度までに、いま資格を持っております山村を指定いたしまして、大体四カ年計画くらいでこういった各種の施策を講じてまいりたいという計画で進めておるわけでございます。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 運輸省のほうでやっておるのは避地、離島に対するバスの補助とかいいますけれども、これは現在の補助の対象にはなっておらない。特に山村を指定するといいましても、バス路線というものは一町村だけを通っているわけではなくて、全部に関連しておる。やはりそういう点から、せっかく山村振興法というものができたのだから、それで関係の山間地域の交通路線というものを確保するために、運輸省にただお願いをするだけであっても、あなたたちのほうから、これだけの金というものは出さなければいかぬということの役所間の話し合いというものはなさるべきだと私は思うのです。さきの私の質問に対して運輸大臣は、若干はあるけれども、その点については不十分だ、こういう話をされておったのですが、ひとつ積極的に山村振興法を生かして、山村地帯の唯一の足であり交通機関であるバス路線を確保するような対策というものを、経済企画庁の中においても検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  84. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のような状況であろうかと思います。私どもといたしましては、いま新しく全国総合開発計画をつくろうということでいろいろ作業をしておりますが、この中において、過疎地域に対する対策をどうするかということが非常に大きな問題になっております。計画は実際にはこの秋ごろまでにと思って作業を進めておりますが、この中におきまして過疎地域に対する対策として、現在ありますもののほかにいろいろと施策を打ち出したいということで、現在努力をいたしておるような状況でございます。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 それは高知県だけではないですよ。バスの赤字路線というものは、ほとんど山間部です。だからそういう山村対策の中で——まあこれは地方の新聞ですけれども、赤字路線を三十八路線廃止するということが出ておる。これはおもに山間部であり、きまれば社会問題である、あるいは陸の孤島化する、陸の孤島化に不安、全村あげ反対署名、こういうふうなことで、山村地帯では大きな問題として提起をされておりますが、これを、何年も先の計画を立てておるから、その計画ができて予算を要求してこうやります、もうそのときにはバスはなくなってしまうわけです。これはやはり何年も先を待てる問題ではなしに、現実にここに浮かび上がっておる問題ですから、こういう現実に浮かび上がっておるものに対して手を打つのが、私はやはり山村振興法に基づく経済企画庁の任務ではないかと思うのですが、どうですか。
  86. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほど御説明をいたしましたとおり、山村振興法のたてまえは、条件に該当します山村を調査いたしまして、そうして逐次これを指定していく。指定した山村につきまして都道府県のほうで計画をつくられるわけでありますが、これを私どものほうに上げてまいりまして、山村振興対策審議会の議を経て決定をする、そしてそれを実施していく、こういうたてまえになっておりますので、全国の山村を一気に指定してやっていくということは事実問題としてできませんし、ただいま申しましたように、千数百の町村がございますが、四十五年度までに全部の指定が終わるようにやっていきたいということで、予算の要求その他をいたしておるわけでございますが、現在のところ、計画のテンポとしては若干おくれぎみというようなことでございます。しかし、現にそういった指定されていない山村におきましては、バスの廃止というような困難な問題が生ずるわけでございますが、こういった問題につきまして山村振興法によってどうするということは、いまの法律のたてまえからいくとむずかしいわけでございますが、私どもとしては過疎地域ということで、そういったものに対する施策というものを新たに打ち出していくことが必要である。また、それをどうやるかということをいま検討しておるということを申し上げた次第でございます。
  87. 大野市郎

    大野委員長 関連質問の申し出があります。板川君
  88. 板川正吾

    ○板川委員 関連。これは運輸大臣も経済企画庁もひとつぜひ聞いていただきたいと思うのです。  いま井上君が取り上げた問題ですが、まず第一は、議院は御承知のように国家の最高機関です。ところがこの議員立法に対して、行政府というのはまことに抵抗しています。法律は通したけれども、実際は活動させないような抵抗をしているのです。この山村振興法でも同じです。それからまた、私鉄に地方鉄道軌道整備法というのがあります。これも議員立法で成立したのですが、条文はまことにいいんだけれども、運用基準でほとんど動かないように縛って、せっかく法律ができてもその法律を動かさない。こういう点、私は行政府として国家の最高機関に対する侮辱じゃないかと思っておるので、ぜひひとつこういう法律の趣旨を生かすように最大の努力をすべきだと思う。  それから、いまのバスの赤字路線の問題ですが、確かに都市に人口が集中して、いなかのほうでは人口が減少してきております。そして道路が相当なスピードでいなかでも整備をされる、自動車は普及してくる、こういう状況になりますと、輸送需要というのが違いまして、バス経営者というのは、当然のこととして年間やはり賃金は上げなくてはいけない。しかしバスのお客さんは、一時間に一本、一時間半に一本くらいのところじゃもう需要の価値がなくなってきて、そういうときは自家用車で走る。夜おそくなれば自家用車。農村でもライトバンなりそういうものがあって、家族の輸送がそういうものでできるようになってきます。賃金は当然上げなくてはならないのですが、収入は意外と減る。  そこでどういう手を考えるかというと、この高知県のバス会社のように赤字路線を全部やめて、もうかっておるところだけやっていくという形になってくるのです。こういう手に出るよりほかないでしょう。こういう場合に運輸省は、どういう対策を具体的にとろうとするのか。大臣がさっき言われたように、住民でバスを運転するという方法もあるかもしれません。あるいは地方自治体で補助するという方法もあるかもしれません。離島バスのように、国が補助するという方法もあるでしょう。実際そういう対策をとらなければ、もう地方のバスは赤字路線からどんどん切っていって、いいところだけでやるというほかなくなってきている。こういう実態の上に立って、地方交通の運営等をどうすべきかということをひとつ真剣に考えてもらいたい、こう思うのです。言いたいことは、せっかく議員がつくった法律を、ぜひ働くような最大の努力をすべきだということであります。
  89. 井上泉

    井上(泉)委員 経済企画庁の方が山村を指定をしても、こういう交通施設というものは一町村に限らないから、たとえば西土佐村を指定をして十和村を指定しないということをしたならば、西土佐に行くには十和村を通らなければ行けぬ。どこへ行っても交通機関というものはそういうものですから、ただ指定が万能でないということを頭に入れて、そして山村振興法ではどうすることもできないといっても、山村振興法の中に条文として出ておるので、それを具体化していくのがあんたらの任務だ。それをそういう法の中でできなければ、その法によってどういうふうなことをするかというのをやっていくのが、あんたたちの仕事だと思う。いま板川委員の言われたように、議員立法には冷淡な態度だということについてはけしからぬことと思いますので厳重にひとつ……。その点について運輸大臣の見解を承っておきたい。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 議員立法につきましては、私もそういう経験がありまして、原子力基本法というものを議員立法でやって、それから、いろいろな法体系がそこから出てきたわけでありますが、やはり議員さんがつくった法律には、役人さんというものはどうも冷淡なようです。板川さんのおっしゃることはよくわかりますから、戒心いたしまして、大事な法案でもありますから、充実させるようにしていきたいと思います。  それから山村のバスの問題でございますが、私は小酒井さんにもお答えいたしましたが、それはやはり一律にどうということはきめにくいので、ケース・バイ・ケースで、どこの村の何路線が大事である、あるいはそれの代替輸送はこういうものがあるとか、私、一番大事なのは学童の輸送の問題だろうと思っております。それ以外の問題はわりあいに、ライトバンが発達したり、農家でも近ごろは車を持っておる人が多いので、情勢によっては、普通の交通はそういうものでやってもらって、学童の輸送だけは何とかその時間は通すとか、あらゆる形態に応じてやることが好ましい。何も国にばかりおぶさると、全国がおぶさられたらよほど膨大な金が要るので、とてもやり切れるものではございません。ですからやはりケース・バイ・ケースによって、十分学童なんかを大事にする政策をやっていきたい、そう思うわけでございます。
  91. 井上泉

    井上(泉)委員 自治省にお尋ねするのですが、高知県の知事が、こういうふうな問題についてバス路線を運休することは絶対まかりならぬ、この赤字バス路線を廃止、休止する権限というものは知事にあるということで、知事としては強い決意を示しておるわけです。私は、自治体の長としてはもっともなことだと思うわけです。そこで問題になるのは、そのバス路線の休止を知事は認めない。一方では、赤字路線だからやめたいと言っておる。その間を埋めるためには、自治体がある程度そういうバスに対する助成というものを考えなくてはならないわけですが、そういうことについては自治省はどうお答えになるのか、御答弁を伺います。
  92. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 山村過疎地帯における交通問題については、確かにお話しのようにむずかしい問題があろうと思います。ただ、バス事業につきましては、全部の路線をいろいろ見まして、総合的に会社が経営していけるかどうか、もうかる路線もあるでしょうし、非常に欠損の出る路線もある、こういうものを総体的に見て料金を決定する、こういう仕組みになっておるわけであります。したがって地方団体が一つの路線だけをとって、この路線が赤字であるからそれに補助をするというようなことはなかなかむずかしいんじゃないか。また地方団体として、特に町村などの場合には全体的なバス経営がどうなっているかというようなこともなかなかわからないわけでございます。私たちとしては非常にむずかしい問題で、簡単に結論は出しにくい点がございますけれども、せっかく運輸省のほうにもそういった山間地方における赤字路線に対する補助という制度が、金額は少ないにしてもあるわけでございます。なるべくこれをひとつ充実していただいて、基本的なそういう方法で処理をするようにしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは運輸省にお願いをして、というだけではなしに、やはり自治省として自治体がどうするかということについては、頭を働かしてもらわぬとそれは困りますね、運輸省運輸省と言って、運輸省だけにおっかぶせられちゃ。バス事業という公益性のあるものを、会社が赤字だからといって廃止をすることは、これは世論が許さぬ。世論が許さぬわけですけれども、バス路線全体の中ではもうかるところもあるし、損するところもあるけれども、赤字路線をたくさんかかえておるとどうしてもやっていけない、こういうふうなことになっているのだから、そういう場合に廃止をする路線については、大臣の言われるようにケース・バイ・ケースでそれぞれ検討してやるわけですけれども、やはり知事にこういう権限がある限りにおいては、公益性を持っているというこの論拠の上に立つならば、知事もこれに対してある程度のてこ入れをせねばならぬ、私はこう思うのです。  そういう点について、むしろ自治体が、その会社の財力を強化する意味において、会社が資本力をふやすという場合には、自治体としては電力会社にも出資をする場合があるし、あるいは港湾の倉庫事業に出資をする場合もあるし、あるいは地方の開発事業に出資をする場合があると同じように、こういう公益性のある事業に会社としての再建計画を——これはもう一つ赤字の問題もかかえておるのですけれども、会社として公共性をもって再建をさせ、そして赤字バス路線も住民間の要求があればこれを運行するというような場合には、自治体としてある程度財政援助をするということについては、自治省としては、まあことばが悪いかもしらぬけれども、けちをつけるということはないと思うわけであるし、むしろそういう場合に財源の許す限りにおいて積極的に助成をはかれ、こういうふうな考え方に自治省としては立つのが、過疎地域における地方自治の振興の上で大切なことだと思うのですが、その点どうですか。
  94. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 地方団体がその地区における実情に応じていろいろな措置を行なう、これはまあ地方団体自体でバス事業もやれるわけでございますから、したがってそういうものに対して独自の見解で出資をするなり、そういうことも、国のほうから積極的に阻止するというような考え方を持っていないわけでございます。なお、財政措置につきましては、先ほども言いましたように、まず現在のたてまえがございますので、そういう方向で国として努力をしていただく。それからそういった山間地方に対する財政措置につきましては、自治省としては、まず第一にはいまお話のございました山村振興法に基づくいろいろな事業、こういうものに対する財源を十分見てやる、こういう方向でつとめておるわけでございます。なおそのほかにも、独自に市町村が行なうというものに対して、県が助成をするというようなやり方をいたしておるところもございます。そういうものについても、場合によれば起債をお世話をするというような考え方でおりまして、できるだけそういった地区の財源の充実に力を尽くしていきたい、かように思います。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひひとつそういう地域の財源の確保については、自治省の御協力を——御協力でなく、自治省の積極的な態度をお願いするわけであります。  そこで、時間が参りましたのでもうすぐ終わるわけですが、こういう赤字路線を、かりに三十何線か整理が出ておる。高知県の場合も出ております。これはもう廃止してもよいというふうにいろいろ出てきても、結局はいまの状況から考えますと、廃止を承諾する市町村というものはほとんど一カ所もないと思うのです。そうすると、総合的に見た場合には、どうやってもこの中小バス会社としては赤字にならざるを得ないわけです。その点で考えられるのは、一部運賃の値上げということが中小バスの場合には考えられるわけですが、この点について、さきに地方のタクシー、ハイヤーについては値上げも考慮するとかいうような談話も見たわけですが、運輸大臣としては料金の値上げの問題については、こういう赤字路線をたくさんかかえておる地域の中小バス会社の運賃値上げについては、どういうお考えを持っておられるか。
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運賃値上げにつきましては、物価政策に協力する意味もありまして、原則として上げないように皆さんに御協力を願っておるのであります。バス事業についても同じ原則を適用してやっていきたいと思っておりますが、これはケース・バイ・ケースによりまして、その事業体がどういう経営をやっているか、真にやむを得ない事情があるかどうか、そういうような情勢をよく勘案をいたしまして、その結果を見てから関係各省、企画庁その他と協議してみたいと思うのでございます。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 その大臣の答弁というものは、まあケース・バイ・ケースでやる、それで、一概に全面的に値上げを認めぬ、こういうふうな御意見ではないようです。それで、バス会社から出ております運賃値上げ、これは昨年の八月に出ておるわけですから、これが必要であるかどうかということを早急に審議をしていただきたいと思うのですが、その点について自動車局長の御見解を承っておきます。
  98. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま地方の山間路線の件についていろいろ御意見がありましたし、また各省のほうからもいろいろ御意見が出ております。特に高知県につきましては、高知県交通という会社が高知県全般をやっておりまして、市内のみならず、山村の奥までやっております。したがいまして、四十年の九月に実は改定したのでございますけれども、二年余りたちまして、早また赤字というようなことでございます。この原因は、やはり輸送人員が減っておりますことが最大の原因でございます。それから、実車走行キロがずっと減っております。そういうことで営業収入が落ちておるということで、これは会社内部の企業努力でなしに、要するに企業外的な要因、企業内部で吸収できないような原因によるということは、御指摘のとおりと存じます。したがいまして、不採算路線につきましては、地元の市町村等とお話いたしまして、もしできれば市町村のほうで補助金を出していただくとかいう手を打っていただく、あるいは補助金を出せなければ、先ほどお話がございましたように、マイクロバス等を、自家用なりあるいは特定の旅客輸送ということで、自分でやっていただくということについては、私どもも積極的に御協力申し上げたいと思っております。  なお、全般的に申しまして、やはりそういったような状況でございますので、実はバス運賃の値上げにつきましては、経済企画庁とも前から相談いたしておりまして、全国を数ブロックに分けまして、標準運賃制度という制度で今後やっていこうということで作業しております。しかし、高知県につきましては、非常に深刻な状況を呈しておりますので、そういった標準制度を作成するまでもたぬと思いますので、ひとつ高知県交通につきましての全般の再建計画を一ぺん立てていただきまして、それによって運賃はどうなるんだということを見きわめて、その上で、標準運賃制度を適用する前にでも経済企画庁と御相談いたしまして、適当な値上げをしていくべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
  99. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、この赤字バス路線の問題については、それぞれの方の御答弁を承ってみまして、私はたいへん地域の住民として明るい展望を得たものとして了解をするわけです。  そこで、この赤字バス路線の問題とは別ですが、これは運輸大臣にひとつ見解をお尋ねしておきたいと思うのです。  修学旅行のバスの衝突事故については、たいへん問題になって、それで運輸省としては特別に調査をする、こういう見解が出されておるわけです。先日も交通安全委員会でずいぶん論議をされたわけですが、私は論議の中でいろいろ意見を聞いておりますと、バス会社が交通事故を起こすと運輸省がすっと表面に出てくる。攻撃を受けるのも運輸省、その対策についても、運輸省の運行管理の問題とかあるいは輸送管理の問題とか、営業許可問題とかが出てくるわけですが、このことは、原因というものを調査究明しても結論は、大型免許証を取った十九歳の者が運転をしておったというところに最大の問題があるわけです。こういうふうに、運転免許というものが道路交通法の中で都道府県の公安委員会で出されることになっておるわけですが、そういう点で非常に矛盾した状態が出ておると思います。昨年道交法が改正をされて、大型の車を運転する者については二十歳以上、そしてそれが経験年数が三年以上とかいうように規制した。ところが、たまたまその事故を起こした少年が免許を取ったのは二月、法律ができたのは昨年の八月。だからこういうふうな運転手がやれば、事故を起こすことはあたりまえだ。やはりそういう点から自動車の運転免許の仕事というものは、自動車運送の所管庁である運輸省がこれに対して何らかの発言力というか、何か運輸省は——これは警察は取り締まったらそれでいいですから、むしろ運転免許の業務というものはこれは運輸省に移管したらどうか、こういうふうに思うわけですが、この点についての大臣の見解を承っておきたいと思います。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運転の免許という関係はやはり取り締まりとも関係がありまして、にわかに運輸省が取り締まりまでやるわけにもいかぬ、これは警察本来の仕事でありますから、警察に与えるものは警察に与えるということはいいと思うのです。ただ、いまのようなダンプであるとかあるいは大型トラックであるとか、そういうものに対する免許の基準、管理等については、これは運輸省相当な発言権を持って、その発言を尊重してもらう体制をつくってそれを警察が執行する、そういうやり方が望ましいのではないかと思います。
  101. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは最後に、これはローカルで恐縮ですが、たまたま自動車局長からローカルのことについて特に力点を置いた御答弁をいただいたわけですが、高知県交通は赤字バス路線のモデル的な会社ですから、この点について運輸大臣のほうからもひとつ特別に関心を寄せていただいて、自動車局をして監査に当たらしめる、再建に当たらしめるという御配慮を願いたいと思うのですが、その点についての大臣の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 井上議員はかねてから高知県の交通問題に御心配をして御発言をなさっていることは、よく承知しております。高知県の特に山村地帯の交通の問題につきましては、われわれも重大な関心を持ちまして、円滑にいくように措置したいと思います。運賃の引き上げということをいますぐお約束するわけにはまいりませんけれども、実情をよく調査いたしまして、真にやむを得ないという場合につきましてはケース・バイ・ケースによって、関係官庁とも協議の上認めるということも考慮してけっこうであると考えます。
  103. 大野市郎

    大野委員長 久保三郎君。
  104. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんから簡単に、自動車に関係をして一言大臣にお尋ねをしたいのですが、先般予算委員会等でもお話しを申し上げた、いわゆる自動車損害賠償責任保険の保険金の限度引き上げの問題です。  これは当時大臣から、前向きで検討するというお話がございました。もはや二カ月程度たっておりますし、その間世論もこの限度額引き上げについては、かなり強い要望であります。この際、国会も実質的には間もなく閉会になりまして、次の国会まで多少の時間もございます。そういう関係もありまして、この限度額引き上げについて、少なくともこういう世論にこたえるとするならば、年内くらいにはめどをつけていかなければいかぬじゃないか、そういう気持ちをわれわれ強く持っておるわけです。もちろん早いに越したことはございませんが、いろいろな手続もあるだろうし、複雑な計算というかそういうものもあることでありますから、早くといっても時間的に間に合わないものもあろうかと思うのでありますが、その引き上げについてどういう、ふうにお考えであるか。  私先般来申し上げておるように、この際、かなり思い切った額かもしれませんが、現在三百万のものを、言うなれば倍額の六百万程度には手直しをしたらどうか。いままでの例から見ればかなり思い切った額だと思うのでありますが、世論は、そうでもしなければこのせっかくの制度が、全体の被害者に対して救済がなかなかむずかしいというふうにも思えます。そういうことでありますので、この自賠責の限度引き上げ、少なくとも年内にそういうめどをつけるための作業をおやりになるかどうか、御見解を承りたい、かように思います。
  105. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この問題につきましては久保委員をはじめ各党からの御質問もございまして、鋭意検討を命じておりますが、御趣旨を体しまして大体五、六百万円という線が妥当ではないかという感じもしておりますので、その辺を一応の目標といたしまして結論を出すように、鋭意努力をいたしたいと思っております。大体年内に引き上げ額及び料率等の検討を完了いたしまして、来年早々に保険審議会にかけまして、来年春から実施する目途で、これから作業を実行させるつもりであります。
  106. 久保三郎

    ○久保委員 大臣からかなり具体的なお話をいただきまして、やはりそういうふうな形で作業を進められることが一番適切だと思うので、そういうふうにお願いしたい。ついては、銀行局というか大蔵省にもこれは関係深いことだと思うので、われわれ自身はいま申し上げたような方針でやってほしい、銀行局もいまの運輸大臣の答弁のように大蔵省として協力をしてもらいたいと思う。いかがでしょう。
  107. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 ただいま運輸大臣から御答弁がございましたけれども大蔵省といたしましても、絶えずこの問題につきましては運輸省のほうと意見を交換しております。その線に沿いまして鋭意努力いたす考えでございます。
  108. 久保三郎

    ○久保委員 わかりました。せっかくの御尽力をいただきたいと思います。  次には、漁船船員に関係した問題について二、三お願いをしたいのでありますが、これまたすでに予算委員会等で、あるいは先般の船舶安全法の改正にからんで、漁船船員の問題に言及をしたわけであります。水産庁からもお見えであると思いますが、最近における漁船船員の労働事情、需給の実態は、陸上労働についても同様の傾向でありますが、漁船船員についてはかなり深刻な、若い労働力の導入に非常に困難な面があるやに、われわれは伺っているわけです。その原因はいろいろあるけれども、大まかに見て、一つには漁船船員の、特に零細な漁業に従事する者の労働条件が法的にも必ずしも十分守られていないということ、さらには、もう一つは、労働条件の中でありますが、言うならば賃金形態等について問題があるということでありましょう。それは逐一いろいろな施策があると思うのでありますが、最も見のがしてならないのは、社会保障制度について、これまたあまり十分でないと言っては語弊がありますが、かなり問題がある、こういうことであります。  現在の船員法では、御案内のとおり数年前に、三十トン限界を二十トンまで切り下げてまいりました。そこで十トンの幅の漁民が救済されて今日に至っているわけでありますが、最近の漁業の実態、いわゆる漁船の性能なりその他等からいきましても、もはや二十トンで、それ以下のものについて何ら考慮しないではいられないような実態かとわれわれは思っております。そういう面からいって、なおかつ、二十トン以下がいわゆる労働省管轄であり、以上が運輸省あるいは水産庁の管轄であるというのでは、どうも行政的にも多少問題があるということで、先般来、船員法の適用漁船二十トン以上というのをさらに拡大する方向で質問を続けてまいりました。いままで必ずしも十分なお答えをいただいていないわけでありますが、この際、船員法の適用拡大にはっきり踏み出していくべきではないか、そのためには船員法の拡大というか、その中には安全の問題もあるだろうし、あるいはいま私が申し上げたような労働の問題も含むことでございますが、いずれにしても船員法の拡大をしていくべきであろう、こういうふうに思うのでありますが、運輸大臣といたしまして、今日いかような考えをお持ちでありますか、あらためてお尋ねしたいのであります。
  109. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この点につきましては、久保委員から先般来御質問もございましたが、運輸省といたしましては、関係各省とも協議いたしまして、二十トン未満の漁船に船員法を適用することについて前向きの方向で検討する考えでおります。このためには船員法を改正する必要がありますが、船員法改正の手続としては、船員中央労働委員会に改正するかどうかを諮問しなければなりません。この場合、運輸省としましては、現在行政対象でない二十トン未満の漁船については、その実態を必ずしも十分把握しておりませんので、関係各省庁と共同でその操業実態に関する資料を準備するとともに、船舶安全制度との関連をも検討いたしまして、でき得るならば年内に船員中央労働委員会に諮問できるように努力をいたしたいと考えております。
  110. 久保三郎

    ○久保委員 適切な御答弁をいただいたわけでありますが、ぜひ年内に諮問の手続ができますように引き続いて御尽力をいただきたい、こういうふうに思います。  ついては、関係する省庁がいろいろございます。特に深い関係は、まず第一に水産庁と思います。いま運輸大臣の御答弁がございましたが、水産庁のこれに対する見解を念のために、しかも、私から申し上げる必要もないのでありますが、運輸大臣の答弁まことに適切だと思うのでありますが、ついてはこれに御協力をいただけるかどうか、あわせてお話しをいただきたい。
  111. 久宗高

    ○久宗政府委員 漁船船員の問題につきましては、先ほど御指摘のございましたように、新しい漁業法におきまして、漁業産業の基礎といたしまして許可、免許の条件にまで組み入れておるわけでございますので、労働問題の位置づけが御理解いただけると思うのであります。  実態は、御指摘のございましたように、はなはだ不十分でございまして、特に二十トン未満の漁船の労働条件あるいは社会保障の関係が、正直に申し上げまして、各省でもたいへんうまくいっておらぬのが実情でございます。  水産庁といたしましては、この問題につきまして、運輸省なり労働省といろいろ御相談いたしまして、今日までいろいろ指導につとめてまいったわけでございます。何ぶんにも二十トンという切り方がよろしいかどうか問題がございますけれども、この辺のところからあとのところは、質的に非常に違いがあって、雇用条件、雇用の関係すらはっきりしない問題もございますし、また経営者におきましても、経営そのものが非常に不十分でございますために、また労働者の側におきましても、ほとんどが未組織であるというような事情もございまして、はなはだ不備であるわけでございます。したがいまして、この問題につきまして本格的に取り組むべきだというふうに考えるわけでございますが、かりにその整備充実を考えます場合に、いろいろな考え方があると思います。  ただいまお話のございましたように、船員法体系の拡大を考えていくといういき方もございましょうし、また労働基準法等の改正をいたすいき方もあろうと思います。あるいは、これはまたいろいろ議論がございましょうけれども、船員のみを対象といたしました別個の法制の創設ということも、一応問題になり得ると思うのでございます。いずれにいたしましても、漁船船員の条件に最も適合いたしました方途を決定するためには、それらの利害得失を相当突っ込んで検討いたす必要があろうと思うわけでございます。ざっくばらんに申し上げますと、こういう観点から見ました場合に、何ぶんにも数が非常に多いわけでございます。したがいまして、船員法体系を活用いたします場合にも、運輸省からも御指摘がございましたけれども、船舶安全法の改正あるいは船員保険法等の拡大適用がどういうふうになるかといった問題を考えますと、関係官庁といたしましても、また検査の体制といったことを考えましても、実施の体制につきまして想像を絶する困難があると思うのであります。このことは、かりに労働基準法の改正をするといたしましても同様でございまして、あるいはもっとむずかしい問題があろうかと思うのでございます。  私どもといたしましては、現在の二十トン以上に適用になっております船員法体系につきましても、正直に申しまして、一般の商船を中心に全体ができておりますので、何となく漁船関係にはふぐあいな点があるようにも思うわけでございますが、こういった点が、二十トン未満になりますと、非常に顕著な形で出てくるといったふうに思うわけでございます。   〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕 しかしながら、この問題につきましては、いずれにいたしましても、実態の把握が十分できておりませんので、ぜひこれを精密化いたす必要がございましょうし、また関係者の意見を十分聞きまして、利害得失を検討いたしますれば、漁船あるいは漁船船員に最適な方向が見出されることと、これに対して前向きに努力いたしたいと考えておるわけでございます。  なお、御質問にございました、こういう検討をいたします場合に船中労委のほうに御諮問になるという問題につきまして、先般もお話があり、私ども運輸省といろいろ御相談いたしたわけでございます。ただいまのように、その内容につきまして根本的にそこで御検討いただけるということでございますれば、私どもは異論はないわけでございます。前回の形といたしましては、それぞれの改正意見を詳細に拾っていただきまして、それに対します運輸省としての総合的な御意見を諮問するという形をとったわけでありますが、私どもはさような形式でございますれば何ら異存はないわけでございます。
  112. 久保三郎

    ○久保委員 水産庁長官お話、中には漁船労働というものの体系をどういう法体系でいくかという問題もございました。多少この中身の問題については私どもにも異論がございますが、そういうものも含めて論議をされることはけっこうだと思う。結論として、運輸大臣からの御答弁に御異議はないようでございますから、ぜひそういう前向きの姿勢で、船中労委に諮問をいたしますことの前段の事務的な手続等についてもやってほしい、こういうふうに思います。  ついては、次に労働省の関係も、現在は二十トン未満は労働省の管轄であります。これまた労働省としてはいろいろ意見もあることだと思うのでありますが、一応先ほど来運輸大臣から御答弁があった線でこの際ひとつ協力してもらうことが、一番いいのではないかというふうにわれわれ考えているのであります。その点で、労働省の見解はどうでしょうか。
  113. 藤繩正勝

    藤繩説明員 船員法がありますのは、海上労働の特殊性ということに着目して存在いたしておるもの、こう理解いたしておりますが、御指摘のように、原則として二十トン未満の小さな漁船につきましては船員法の適用が及んでおりませんで、その結果として、一般産業に共通の労働立法でありますところの労働基準法が適用になっておるというふうに理解をいたしております。そこで、零細な漁船の労働条件について、労働基準監督機関におきましてももっと厳重な監督、指導を行なうべきではないかということが、先般来先生からもたびたび御指摘がありました。私どもも努力をいたしておるところでございますが、正直に申し上げまして、全産業二百四十万の事業場、三千万人になんなんとする労働者を対象としております一般の労働基準監督の機能をもってしては、なかなか十分なことができないという実情でございます。そこで、結論を申し上げますと、私どもは、運輸省が、いま大臣から御答弁ありましたような方向で措置されることについては賛成でございまして、先般、漁船員の雇入契約に関する条約の批准問題に関連いたしまして、関係労使と話し合いの場が運輸省のごあっせんでありました際にも、私からもそのことをはっきり申し上げてあるわけでございまして、私どもは縄張り根性というようなことはさらさら持っておらない。むしろ積極的に船員法が拡大さるべきものであるという考えでございます。
  114. 久保三郎

    ○久保委員 まことにめずらしい——めずらしいといってはたいへんなんでありますが、そういうふうにやはり割り切っていくことが、本来的に持っている労働行政の中で前進が遂げられるのだろうと思うし、やはり区別はきちんとなさることは、全くそのとおりだと思います。敬意を表します。よろしくお願いいたします。  最後には、社会保障制度で厚生省保険局の見解を承りたいのですが、これは予算委員会の中でも厚生大臣から、そういう態度にフォローするというお話もございましたが、念のために先ほどの運輸大臣お話に対して同調というか、協力してもらえるかどうか、御回答をいただきたい。
  115. 宮嶋剛

    ○宮嶋説明員 この問題につきましては、かねがね運輸省のほうと私のほうで十分な連絡をとってやっておりますけれども、今後も先ほど運輸大臣から御答弁がありましたような趣旨のもとに、共同歩調をとりまして検討を進めたいと思います。
  116. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ、一わたりそれぞれの前向きの、しかも運輸大臣の御答弁を中心に御回答をいただきましたので、つけ加えるものは何もございません。ひとつ、恵まれないというか、きょうも北洋で、小さい船で、地震の余波ではないが、波にもまれて板子一枚下は地獄という、昔ながらの漁労をしている漁民の方に思いをはせて、一刻も早くそういうものが実現するように強く要望をしておきます。  さらに、ついでではなはだ恐縮でありますが、労働省の藤縄監督課長にここでちょっとお願いしておきます。  というのは、今度は全然別な話でありますが、先般修学旅行のバスが、先ほどお話が出たトラックの無免許運転というか、そういうもので先生や学童がなくなったという大きな事故がございました。あの事業所そのものの労務管理というか、労働基準法あるいは二・九通達等に照らして、どんな実態であったのか、来週まででけっこうでありますから、資料を出していただきたいと思うのです。よろしくお願いします。  以上です。ありがとうございました。
  117. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 野間千代三君。
  118. 野間千代三

    ○野間委員 急の問題ですが、正和海運の光徳丸がホンゲー炭を輸入するために北ベトナムへ出航しているということに関連をして、アメリカ合衆国政府から日本の外務省に対して、この配船を中止してもらいたい、つまり、四十年四月から北爆によって停止をしておった北ベトナムとの通商の配船を中止してもらいたいという申し入れがアメリカからあったというふうに聞いたのでありますけれども、外務省の方、まずそういうアメリカ政府からの申し入れがあったのかどうかについてお答えをいただきたいと思いますが、外務省見えていますか。——ちょっと待ってください。それじゃ、外務省のほうから聞いていくつもりでおったのですが、それでは端的に、運輸大臣、外務省のほうから、そういうことがあったものだから、運輸省のほうに、そういう配船を中止してもらいたいという申し入れがあったというふうに聞いておるのですが、それはどうですか。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ホンゲー炭を積み込むために船が出航して、現在航海中であるということは事実であります。しかし、その船が北ベトナムへ行くことは困るとか、あるいはどうかという米国側からの申し入れがあったとかなかったとかいう、そういうことについてここで言明することは、私は差し控えたいと思います。ただ、運輸省といたしましては、この問題については、船会社の判断にまかしておくべきことで、運輸省からとやかく介入するということはいたしません。そういう方針でございます。
  120. 野間千代三

    ○野間委員 運輸大臣の御答弁はたいへん明快で、けっこうだと思います。ただ、今度の場合、正和海運の光徳丸がいま行っておるのだけれども、ほかに、かつてはたとえば第一中央汽船であるとか、あるいは山下新日本汽船であるとかいうように、相当多数の会社がやっておったわけですね。北ベトナムとの間の通商をカムファ港を中心にしてやっておったわけです。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、いまの大臣の御答弁は、正和海運ばかりでなくて、あらゆる海運会社が、北ベトナムとの間に、四十年四月から中止になっておった配船を再開するということについて、すべて同じですね。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現在起きているのは、いま航海している最中の船の問題でありまして、将来どういう問題が起きてくるかはわかりませんが、その際は、外務当局ともよく相談をして、また運輸省運輸省の自主的判断によって処置をいたしたいと思います。
  122. 野間千代三

    ○野間委員 それでは、運輸省のほうの考えはわかりました。  外務省の鶴見経済局長お見えですね。それでは、初めの問題に返って、アメリカ政府からいまのような問題で外務省に、中止をしてもらいたいという申し入れがあったということは事実なんですか。
  123. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 先ほど運輸大臣から御答弁がございましたごとく、アメリカ側からこれを中止してくれという申し入れはございません。
  124. 野間千代三

    ○野間委員 ベトナムとの配船の中止をしてもらいたいという申し入れが外務省にあって、それが外務省から運輸省のほうに、運輸省の担当なので、それを中止してもらいたいということであったというふうに、これは各社の新聞でも報道しております。これはアメリカから直接運輸省にあるわけはないので、当然外務省を経由するというふうに思いますが、全くなかったのですか。
  125. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 外務省のほうから運輸省にお願い申し上げた事実はございます。そのことは新聞等に「対米考慮」と書いてございますが、先生も御存じのとおり、現在アメリカの国内におきまして保護貿易の動きが非常に高まっております。アメリカの行政府のほうはその業界方面の保護貿易の動きをできるだけ押えようと努力しておりますが、そういったアメリカの行政府の努力に若干でも水をさすようなこと、たとえば保護貿易の口実を与えるようなことは、この段階ではなるべくしないほうがいいのではないかというふうに私ども判断いたしまして、そういう判断に立ちまして運輸省のほうにお願いを申し上げたということでございます。
  126. 野間千代三

    ○野間委員 それはアメリカからあったのかなかったのかということについては確認をしておりませんけれども、それはそれとして、何も外務省からわざわざ運輸省のほうに——当然民間の貿易がやっておる、民間ベースでやっておる問題ですね。別にこれは——中国の貿易と違うのです。民間ベースでやっておる問題について、アメリカのほうの考え方をそんたくして運輸省のほうに申し入れるということは、これはおかしいんじゃないですか。きのうの本会議でも、三木外務大臣は、アメリカのことを考えたり何かしないで、日本の自主的な、しかも日本の国益に関することで、自分で考えていくというふうに言っておるのですよ。そういう考えでいけば、北ベトナムのホンゲー炭は、これは日本の石炭を入れる業界なり、あるいは日本と北ベトナムとの間の貿易業界等から要求があって、しかも北爆という関係から中止をしておる。別段これは貿易上の問題なりあるいは国が損するとか、そういう問題で中止したのじゃないのだ。船員の保護の関係から中止した。それが最近ベトナム戦争の和平機運から再開をしようというので、自動的に、自主的に再開をしておる。そういう問題を、アメリカのほうのことを考えてわざわざ外務省のほうで中止をするなんということは、これはいわばわれわれがよく言う、これこそまさに対米従属なり、そういう外交になるのではないですか。
  127. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 先ほど御答弁申し上げましたごとく、保護貿易の動きが非常に強いので、私どもといたしましては、それに対しましていろいろな手だてをとりまして、そういうことが現実化しないように、具体的なあらわれとしてケネディラウンドの関税引き下げの実施ということもその一つでございますが、アメリカが保護貿易的なことをすることによって日本の対米輸出が非常に影響を受けることがないようにという考慮に立っているわけでございまして、私どもはそういう考え方に立ちまして運輸省に、できればこれを見合わしてもらいたいというふうにお願いしたということで、対米従属というふうな感じは持っていないわけでございます。
  128. 野間千代三

    ○野間委員 それはおかしいですよ。アメリカの輸入課徴金の問題は、これはケネディラウンドの問題なりあるいは正規の国交の問題として、国のそれぞれの関税の問題として取り扱うべきです。それを考えれば、日本と他の国が自主的に貿易をすることを押えるなんということはあり得ないですよ。そういうことでやるべきじゃない。それはまさにわれわれが言う対米従属じゃないですか。もっとちゃんと、きちんと筋道を立てて、輸入課徴金の問題は課徴金問題として交渉すべきだ。それをおかしなほうにまでふえんにして考えていくから、だんだんアメリカになめられるという結果になる。しかもいまの方針は、外務省がかってにやっているのでしょう。外務省からかってに運輸省に言っておるのでしょう。政府の方針できめておるんですか。どうなんです。
  129. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 先生御存じのとおり、ホンゲー炭は引き続きずっと輸入されておりますので、それを別にとめているということではございません。ただ最近の動きによりまして、新しくまた配船を復活するというお話がありましたので、アメリカ側のそういった保護貿易の論者に対しまして、さらにそれに何らかのきっかけをつくるといいますか、口実を与えるようなことは、いまの段階ではあるいは少し差し控えたほうがいいのではないかというふうに私どもは判断いたしまして、これはお願いしたわけでございますので、別に政府の方針としてきまったということではないということを御了解願います。
  130. 野間千代三

    ○野間委員 その保護貿易の問題のことでもし考えるとすれば、そんなことをやっておったら、これはその保護貿易の問題の交渉もできませんよ。しかもホンゲー炭の問題は、これは北ベトナムの、一番良質のホンゲー炭で、したがって日本の業界ではこれをほしいということなんです。それで貿易をしているのです。しかもアメリカの政府のほうでは、いまようやくパリ会談も開かれて、北ベトナムのほうとの交渉も始まって、ようやく世界で望んでいるベトナムの平和の方向に進んでいこうという機運になっている。その機運になっているときに、何も北ベトナムとの間の貿易を中止しろとか、あるいは配船を中止しろとか、そんな理屈がどこに立つのですか。もし、あるいは百歩下がってそれを考えるならば、まさにベトナム戦争が激化をしているとか何かのときのことであるならば、それはあなたの言っていることも一理ないとは言えない。しかし、いまやアメリカ自体で、しかもジョンソンさんが自分で大統領をやめるというふうに言明をして、北ベトナムとの間の国交を回復しよう、戦争を中止しよう、そうして平和に持っていこうというふうに進んでいるのでしょう。そのときに日本が北ベトナムに配船することが、何が悪いのですか。もしそれがあなたの言うように貿易の問題でするとすれば、これはまさに見当違いで、アメリカにおせじを使っているだけじゃないですか。媚態外交ですよ。そうではなくて、課徴金の問題は課徴金の問題、保護貿易は保護貿易の問題としてやるべきだ。その筋でやっていかなければ、これは保護貿易の問題も解決つかぬじゃないですか。どうなんですか。
  131. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 ホンゲー炭の輸入は、引き続きずっと続いております。それを中止するようなことは、育っておりません。その点は誤解がないようにお願い申し上げたいと存じますが、先ほど申し上げましたとおり、私どもも保護貿易の問題あるいは輸入課徴金の問題、それぞれの問題につきまして、そういうことが行なわれないように強くいろいろと措置をしてまいりました。先ほども申し上げましたが、ケネディラウンドの引き上げ実施ということも、ほかの国と交渉いたしまして、そういう方向でアメリカのそういった動きをとめよう、抑えよう、押えさせようということでやったわけでございまして、そのアメリカの行政府の努力というものを、私どもはぜひできるだけ突っかい棒をしまして、保護貿易的な業種あるいは議会方面筋からの圧力というものを行政府がはね返すように、そのための一環としてこれが役立てばという考え方でやったわけでございます。
  132. 野間千代三

    ○野間委員 実は外務大臣を呼んでおったわけですけれども局長でははっきりしません。これは、保護貿易の問題は確かに関心がある。関心があるけれども、それは保護貿易の問題、課徴金の問題として、外交ルートなりそういうものを通じてやることじゃないですか。しかもアメリカから言ってきたなら、それは一つの問題がある。それはアメリカの政府に問題がある。アメリカでそういうふうに考えやしませんかというふうなことを推測しながら——つまり全くのこれは媚態じゃないですか。どっかの農林大臣が、日本の憲法はめかけだと言っておるけれども、まさに日本政府そのものが、外務省がおめかけじゃないですか。微笑でおせじを使いながら、何とかしてくれませんか、こんな話がありますか。まさに国辱ですよ。ホンゲー炭の輸入をしておるならば、何もその配船をとめることないでしょう。  それではもう一回聞きますけれども、これは三木外務大臣から中曽根運輸大臣に言ったんですか。
  133. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは、たしか事務レベルの話だろうと思います。
  134. 野間千代三

    ○野間委員 こういう問題は、これは事務上の問題じゃないですね、もし申し入れるとすれば。鶴見局長に聞くけれども、これは外務大臣が外務大臣の資格で運輸省に申し入れをしたのですか。どうなんです。
  135. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 私ども措置をとります場合、外務大臣とは十分相談した上でやっておるわけでございます。
  136. 野間千代三

    ○野間委員 これは外務大臣から運輸大臣に申し入れをしておるというふうに見ていいですね。それじゃ、外務大臣はきのう国会で、しかも各党の質問に対して、自主的に日本の国のことで、外務大臣が自分で考え、自分の国の国益を考えて外交をするんだ、こう言っておったけれども、いまのこの問題はその言明とは全くうらはらだ。したがって、ここは外務委員会じゃないけれども、当然これは運輸関係の問題ですから、あらためて外務大臣出席を求めて外務大臣の所信を追及することにします。  そこで、これは次の問題としてやりますけれども、運輸大臣に最初に明確にお答えをいただいたので、これは私は正和海運の光徳丸の一件としてお伺いをしました。しかし、光徳丸はすでに出航しておって、十九日にはカムファ港に着くということであります。したがって、これは何ぼ何でも外務大臣としてその船までとめてくれということは言いにくいでしょう。  しかし問題は、正和海運の問題だけでなくて、あと何社かある。あるいは正和海運の光徳丸の場合でも、何回かやりたいと思っているかもしれない。したがって、先ほど大臣のお答えは、単に今度の光徳丸の十九日着の問題だけではなくて、これは当然民間貿易の問題でもあり、また私がいま申し上げましたように、日本の国の方針の問題として、運輸大臣としては、こういう問題について、どの会社に対しても、配船を中止しなさいというようなことは言うべきじゃないと思いますが、そういう考えでよろしいですか。
  137. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 将来起こる問題につきましては、先ほど申し上げましたように、外務省とも相談をいたしまして、そのときに判断をいたしたいと思います。いまどうするこうするということは、まだ問題が起きてないものですから言明の限りではないと思います。
  138. 野間千代三

    ○野間委員 それは大臣違うのですよ。その辺はあまり明快じゃないですね。将来起きて——もちろん今回はこのケースがあった、光徳丸のケースがあった、これは容喙はしない、こう言っておられる。この次にまた、たとえば第一中央汽船が何々丸を配船したという場合には、いまのように三木外務大臣からお話があるかもしれない、それはそのときに外務大臣に聞いて考えます、こういうことでは、これは答えが首尾一貫しないじゃないですか。この問題は、先ほどお答えのように、繰り返せば、これは容喙すべき問題ではないという考えで、中止をするように申し入れるつもりはありません、こう言っておられるわけですね。したがって、同じケースが続いていった場合に違った形をどうしてとるのですか。
  139. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が申し上げましたのは、こういう国際関係に関する問題は、いま外務省は外務省の配慮があると思うので、アメリカ側が課徴金問題や何かでどういうふうな反応があるかもしれぬし、あるいは。ハリ会談がどういうふうに推移するかもしれぬし、あるいは国内の世論がどういうふうに動くかもしれぬし、いろいろそういう情勢の変化というものを織り込んで最終判断は行なうべきものであります。したがって、そういう点に関する関係各省の意見も一応聞いて、自主的判断は私がやります。これはさっき申し上げましたように、運輸省は自主的判断を持ってやりますということを申し上げたのです。やはり、国務大臣ですから慎重な発言はしなければならぬと思っております。
  140. 野間千代三

    ○野間委員 最後のほうのおことばがだいぶ本音のようですから、一応お答えとしては承っておきます。  ただ希望としては、先ほど申しましたように、日本ではホンゲイ炭というたいへん優良な性質の無煙炭は、練炭をつくったり何かするのにたいへん必要なものだそうであります。したがって、それはその意味で日本の国益に十分に基礎があるというふうに考えられるので、ただ単に課徴金の問題、保護貿易あるいはアメリカのドル防衛の問題——それがもしそうであれば、日本の輸出をとう伸ばしていくかということを考えればいいことだと思うのです。しかも、アメリカだけが貿易の相手じゃありません。もしアメリカがそういうことをすれば、やはりわれわれのほうではわれわれのほうの考えとして貿易を拡大する方法、たとえば大臣のこの前言われた中国の貿易なりに発展をしていくというようにすればいいと思うのです。したがって、将来にわたって、今回の問題の措置のように、運輸大臣として自主的にとられるように、そういう考え方で各省との折衝も、あればされるように希望しておきたいと思います。  時間がないので、以上で終わります。
  141. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる二十一日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十五分散会