○久宗
政府委員 漁船船員の問題につきましては、
先ほど御指摘のございましたように、新しい漁業法におきまして、漁業産業の基礎といたしまして
許可、免許の条件にまで組み入れておるわけでございますので、労働問題の位置づけが御理解いただけると思うのであります。
実態は、御指摘のございましたように、はなはだ不十分でございまして、特に二十トン未満の漁船の労働条件あるいは社会保障の
関係が、正直に申し上げまして、各省でもたいへんうまくいっておらぬのが実情でございます。
水産庁といたしましては、この問題につきまして、
運輸省なり労働省といろいろ御相談いたしまして、今日までいろいろ指導につとめてまいったわけでございます。何ぶんにも二十トンという切り方がよろしいかどうか問題がございますけれ
ども、この辺のところからあとのところは、質的に非常に違いがあって、雇用条件、雇用の
関係すらはっきりしない問題もございますし、また経営者におきましても、経営そのものが非常に不十分でございますために、また労働者の側におきましても、ほとんどが未組織であるというような事情もございまして、はなはだ不備であるわけでございます。したがいまして、この問題につきまして本格的に取り組むべきだというふうに
考えるわけでございますが、かりにその整備充実を
考えます場合に、いろいろな
考え方があると思います。
ただいま
お話のございましたように、船員法体系の拡大を
考えていくといういき方もございましょうし、また労働
基準法等の改正をいたすいき方もあろうと思います。あるいは、これはまたいろいろ議論がございましょうけれ
ども、船員のみを
対象といたしました別個の法制の創設ということも、一応問題になり得ると思うのでございます。いずれにいたしましても、漁船船員の条件に最も適合いたしました方途を決定するためには、それらの利害得失を
相当突っ込んで検討いたす必要があろうと思うわけでございます。ざっくばらんに申し上げますと、こういう観点から見ました場合に、何ぶんにも数が非常に多いわけでございます。したがいまして、船員法体系を活用いたします場合にも、
運輸省からも御指摘がございましたけれ
ども、船舶安全法の改正あるいは船員保険法等の拡大適用がどういうふうになるかといった問題を
考えますと、
関係官庁といたしましても、また検査の体制といったことを
考えましても、実施の体制につきまして想像を絶する困難があると思うのであります。このことは、かりに労働
基準法の改正をするといたしましても同様でございまして、あるいはもっとむずかしい問題があろうかと思うのでございます。
私
どもといたしましては、現在の二十トン以上に適用になっております船員法体系につきましても、正直に申しまして、
一般の商船を中心に全体ができておりますので、何となく漁船
関係にはふぐあいな点があるようにも思うわけでございますが、こういった点が、二十トン未満になりますと、非常に顕著な形で出てくるといったふうに思うわけでございます。
〔
委員長退席、砂田
委員長代理着席〕
しかしながら、この問題につきましては、いずれにいたしましても、実態の
把握が十分できておりませんので、ぜひこれを精密化いたす必要がございましょうし、また
関係者の
意見を十分聞きまして、利害得失を検討いたしますれば、漁船あるいは漁船船員に最適な方向が見出されることと、これに対して前向きに努力いたしたいと
考えておるわけでございます。
なお、御
質問にございました、こういう検討をいたします場合に船中労委のほうに御諮問になるという問題につきまして、先般も
お話があり、私
どもも
運輸省といろいろ御相談いたしたわけでございます。ただいまのように、その
内容につきまして根本的にそこで御検討いただけるということでございますれば、私
どもは異論はないわけでございます。前回の形といたしましては、それぞれの改正
意見を詳細に拾っていただきまして、それに対します
運輸省としての総合的な御
意見を諮問するという形をとったわけでありますが、私
どもはさような形式でございますれば何ら異存はないわけでございます。