運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-15 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       菅  太郎君    西村 英一君       福家 俊一君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         厚生省国立公園         局長      網野  智君         運輸省観光局長 深草 克巳君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉浦 喬也君         法務省民事局第         三課長     住吉 君彦君         文部省社会教育         局審議官    臼井 亨一君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 五月十五日  委員加藤六月君及び水野清辞任につき、その  補欠として荒舩清十郎君及び内海英男君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員荒舩清十郎君及び内海英男辞任につき、  その補欠として加藤六月君及び水野清君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十四日  大阪国際空港における軍用機離着陸禁止に関  する陳情書(第三  五一号)  国鉄の安全輸送等に関する陳情書  (第三五二号)  第二関西国際空港の建設促進に関する陳情書  (第三九五号)  首都圏高速鉄道の実現に関する陳情書  (第四二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  観光施設財団抵当法案内閣提出第七八号)(  参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  観光施設財団抵当法案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。木部佳昭君。
  3. 木部佳昭

    木部委員 時間がありませんから、答弁は簡潔に願いたいと思います。  文部省にお伺いしますが、昨日も申し上げましたように、日本博物館協会、それからその下部機構として日本植物園協会、それから日本動物園水族館協会、こういう組織があるようなんですが、補助金のことは昨日ちょっとお伺いしましたから、これ以上申し上げませんが、たとえば日本植物園協会というものは、だいぶ組織がちゃんとしていて、そして水族館協会のほうに料金その他の問題までいろいろな話し合いをしてきめておられるようなんですが、その辺はいかがですか。
  4. 臼井亨一

    臼井説明員 お答え申し上げます。  社団法人日本植物園協会というのがございますが、これは昭和四十一年三月にその設立の認可をいたしました。会長は前川文夫という東大の教授でございますが、その構成メンバーといたしましては、各種の植物園が八十一加盟しておられます。また、個人会員といたしましては十九名の学者研究者が入っておられます。この日本植物園協会はその事業目的といたしまして、傘下の植物園研究協議とか研究発表とか講演会講習会とかいろいろな事業をしておられるのでございますが、入園料状況について申し上げますと、植物園の場合におきましては、二十円ないし四十九円とっておるところが六四%、五十円ないし九十九円とっておるところが三六%というような状況に相なっております。もっともこれは成人の場合でございまして、学生の場合、小中学校の児童生徒の場合はさらに若干軽減されております。
  5. 木部佳昭

    木部委員 料金のことはよくわかったのですが、この植物園協会に加入する資格とか規模とかはどうなっておりますか。
  6. 臼井亨一

    臼井説明員 この、加盟いたします場合の資格要件といたしましては、一応博物館法規定がございまして、博物館法規定によりますと、登録施設または相当施設という二つ種類がございます。その二つ種類はどういう場合において認可するかというと、登録施設と申しますのは、公益法人の場合、それから地方公共団体におきまして教育委員会所管に属したいという希望を持っておられるもので、教育的な内容を持っておられるものであります。それから相当施設という概念は、株式会社とか個人経営とかこういうようなもの、また、観光部局に対し、相当施設になりたいというようなことで地方公共団体へ申し出のあったものでございます。
  7. 木部佳昭

    木部委員 私よく答弁がわからないのです。私が聞いていますのは、たとえていえば、植物園協会に加入する場合に、いろいろな、規模がどうなっているか、どのくらいの規模を一体いうのか、たとえば、私が温室をつくって安いゴムの木でも植えればそれで植物園協会に加入できるのかどうか、そういう点を私は聞いておるのです。私は前から委員部を通じて文部省に対して、植物園協会名簿を出してもらうということを言ってあるわけなんですが、それが出てこないわけです。私はあるところでその名簿を見たのですが、中には全く学術上りっぱなものもありますけれども、中にはいいかげんなものがある。その辺の、規模が一体どうなっておるのか、どこを単位として協会に加盟さしておるか。といいますのは、文部省はいやしくも補助金を出して指導されておるわけですね。そういう点を私は伺っておるわけです。
  8. 臼井亨一

    臼井説明員 たとえば登録施設という場合におきましては、どういうようにしてこれを審査いたしますかということにつきましては、博物館法の十二条にございますが、その審査要件といたしましては、まず博物館目的を達成するために必要な博物館資料が相当数あるということ。第二点におきましては、必要な学芸員という専門家を置くということ。それから次に第三点といたしましては、目的を達成するために必要な建物及び土地があるということ。第四点は、一年を通じて百五十日以上開館しておるということ。そういうような四点をあげまして、その規定にどの程度該当しておるかということを当該官庁審査いたしまして、その認可をするわけでございます。
  9. 木部佳昭

    木部委員 たとえば、植物園協会に加盟しておる植物園というものは、売店なんかでもあまり高いものを売ってはいけないということで、ちゃんと指導しておるわけでしょう。そうじゃないですか。私は、そういう点を率直に言ってもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、たとえて申し上げますれば、学術用が中心でなければいかぬと思うのです。もちろん経営されるほうでもいろいろなそういう施設を十分勘案してやっておられると思うのですが、そういう学術用趣旨から最近の植物園なんかを見ますと、多少はずれておるというような気持ちが私はしておるわけです。ですから、文部省だって、これがこういうりっぱな植物園だ、どういうりっぱなものがあるということはなかなかわからぬと思うのです。そういうことで、私は、植物園というものはもう少し学術用に使われなければならぬ。ただ料金だけ押えておれば、それでいいのだということを言っておるわけではないのであります。そういう点ももう少し文部省のほうも、植物園協会ないしはそういう植物園のあり方というものを考えてもらいたい。ただ私の質問に対して、その法律を読んでいれば答弁が済むのだというようなことではいかぬと私は思う。そういう点で、たとえば植物園種類に至るまで、ある意味では考えていかなければならぬと思うのです。一方では売店まで押えておるわけなんですから。私は、これは学術用という趣旨からいって、当然けっこうだと思うのですけれども、その点私は、もう少し、補助金まで出してやっておる以上は、定義を明らかにしてもらいたいと思うのです。  それから先ほどお話がありました、たとえば水族館協会なんかの場合は、講習会を開くとか学術研究会を開くとかいうことをいろいろやっておるわけですね。そういうようなことで、たとえば最近は海外交流というものが非常に多くなっておりますから、植物にしてもいろいろな植物がたくさん入っておるわけですね。それを、ただチャチなものを集めて、そして温室の坪数さえそろえばそれで植物園の許可をもらえるのだ、こういうことではどうかと私は思うのです。ないしは植物園協会に加盟しておる人でも、かなり高い料金をとっておる人がおるわけです。したがって、私は、いま申し上げましたように、一般植物園に対しましてももう少し料金考えなければいかぬ、特にこの間から問題になっております日通の富士見ランドのように、五百円の入園料で、行けばろくなものはないということで、私はそういう点まで多少考えていかなければならぬのじゃないか、こういうように思うのですが、文部省のほうはどうお考えになりますか。
  10. 臼井亨一

    臼井説明員 ただいま御指摘のような点が、やはり事実問題としてはあろうと存じております。ただ、文部省といたしましてはかなり、いろんな事業者に対しましても機会あるごとに指導いたしまして、植物園なり博物館は単なる観覧施設ではない、そこに多くの学術的あるいは教育的な目的をもっと加重しなくてはいけない。たとえば学芸員を置くというようなことも、こういうような趣旨にのっとっておるわけでございますけれども、遺憾ながら、実際問題といたしましては教育委員会認可しているために、私どもの意図が十分伝わらない点もございますが、今後さらにできるだけ御指摘の点につきましては、趣旨徹底するように取り計らっていきたいと存じます。  なお、博物館法の八条に、博物館の健全な発達をはかるために、博物館設置及び運営上望ましい基準文部省が定めて、これを教育委員会に提示するというふうになっておりますけれども、実は望ましい基準というものを文部省ではつくっておりません。公民館とか図書館においてはつくっておるのでありますけれども博物館は非常に多種多様でありますので、なかなか望ましい基準をそれぞれの種類博物館についてつくるのは困難であるということで、延び延びになっておりましたけれども、最近やはり協会のほうの意向もありまして、また私たちも、望ましい基準をつくりまして、そうして御指摘のような教育的な方向へ引っぱっていくような設置基準、運営の基準というものを示すならば、より健全な方向に馴致することができるかと考えておりますので、望ましい基準の設定につきまして、なるべく早くこれを委員会を設けて検討いたしたいと存じております。
  11. 木部佳昭

    木部委員 私の質問にちょっと反対の立場なんですが、私は植物園協会のことを聞いているんですよ。博物館のことを聞いているんじゃないです。  そこで、時間がありませんから質問を急ぎますが、観光局長にちょっと承りたいのです。私は、先ほど申し上げましたように、最近は世界じゅうの交流というものが非常に激しくなっておるし、また、植物園協会なんかでは熱心に諸外国のいろんな貴重な学術用のものを入れているわけなんですね。したがって私は、財団をつくる場合に、その評価のしかたというものはなかなかむずかしいんじゃないか、こういうふうに思うのです。水族館についても私はそうだと思うのですが、その辺は観光局として一体どうお考えになっておりますか。
  12. 深草克巳

    深草政府委員 財団を設定した場合の評価の問題でございますが、これはたびたび申し上げておるように、債権者債務者債権者といたしますと銀行でございますが、そちらのほうでどの程度それから総合的に収益をあげられるかというようなことを判断いたしまして評価をするのでございまして、その点を私どもは、債権者の力は非常に強いわけでございますので、なるべく過小評価をする傾向もございますが、その辺に信頼を置いておるわけでございます。
  13. 木部佳昭

    木部委員 たとえば、先ほどの文部省のお答えのように、まあ公立植物園なんかは事業税なんというものは免除されておるわけなんですが、私立の植物園にしましても、海外から非常にりっぱな植物を入れて、学術上に非常に大きな貢献をされておる植物園がたくさんあると思うのです。そういう意味で、そうした学術用の場合には、私は事業税なんか、ある場合には免除したほうがいいんじゃないか、それがまた財団に加盟することよりも日本学術に大きな貢献をするゆえんでもあり、また植物園をより国民大衆のために発展させるゆえんでもあると思うのです。そういう意味で、自治省のほうではそうした学術上の植物園等につきましては、公立植物園と同じように免税措置をとるようなお考えはありませんか。
  14. 森岡敞

    森岡説明員 一般論を申しますと、事業税は、御承知のように、県の区域内で事業を経営されております場合、いわば応益的な負担として税負担をしていただいているわけでございますが、いまのお話のようなものにつきまして特に非課税にするということは、現在のところ考えておりません。
  15. 木部佳昭

    木部委員 私先ほど申し上げましたように、たとえば売店なんかも規制されているわけですね。そういう中にあって、いろいろな海外の貴重な資料を集めるというのは、なかなかたいへんなことだと思うのです。だから、私がさっき文部省に申し上げましたように、ピンからキリまであるので、植物園協会に加盟していればそれである意味の恩恵が与えられるのだということでは、日本のそういう意味学術上の発展というものはないと思うのです。その辺をただ型どおりに扱わないで、むしろ財団に加盟することよりも、いま申し上げましたようなそうした思想の上に立って、特に学術用の場合には、自治省あたり考えていただきたいというような気持ちがするのですが、その辺の検討をしていただきたいということを私は要望しておきたいと思います。  そこで、時間もありませんから温泉の問題に移りたいと思います。  御承知のとおり、日本は世界でも有数な温泉国であると言っても過言ではありません。そこで、現在温泉を宿泊して利用する人が一年間に九千三百万人といわれておりますし、温泉総数というものも一万五千くらいもあるわけでありますが、大体温泉定義というものは、温度が二十五度以上ということになっておるわけであります。そこで、観光基本法を読んでみますと、第十四条に、「温泉その他産業、文化等に関する観光資源保護、育成及び開発を図るため必要な施策を講ずる」ということになっておりますが、いま観光局長なんかはそういう点はどういうふうに理解されて施策をとっておられるか、お伺いしたいと思います。
  16. 深草克巳

    深草政府委員 温泉につきましては直接私ども所管ではございませんが、やはり資源というものは永久にあるものではございませんので、たとえば観光基本法に書いてございます特に過度集中の弊害があるのが温泉地でございますので、そういった点を排除することによって温泉のもとを保護するというような副効果もあろうかと思っております。それから温泉利用する権利というものを特に今度財団抵当法財団組成物件として取り入れたのも、そういった観点から配慮したわけでございます。
  17. 木部佳昭

    木部委員 局長の意見もよくわかるのですが、いままで温泉関係といえば、厚生省関係温泉法をつくって、そうして保護利用適正化というものがうたわれておるだけでありまして、いままで何もなかったと言っても過言ではないと私は思うのです。したがって、将来は第十四条の精神を大いに生かしていただいて、温泉施策というものを整備していただきたい、こう思うわけであります。  それから、この法律案にあります財団のいわゆる温泉利用権というのは、どういうことをいっておりますか。
  18. 深草克巳

    深草政府委員 温泉は、先生承知のように、土地所有者がその自分の土地の中にわき出ます温泉を自由に利用、処分する権利がある、これが原則でございます。最近、慣習法といたしまして、土地所有権とは実質的に独立をいたしまして温泉利用する権利というものが存在いたしておりまして、それが一般的に取引対象になっておるのが実情でございます。このような温泉利用権は、近代法物権的なものからはあるいは権利とまではいえないのですが、慣習法利用権というものは存在をいたしておりまして、私どもで四条にこれを入れましたのは、そういった、物権的なもの、債権的なものを問わず、譲渡が可能なもの、これを総称いたしまして温泉利用する権利というふうにいっておるわけでございます。
  19. 木部佳昭

    木部委員 温泉も、物権には認められておりませんけれども、一応温泉が出た場合には登記所登記をするわけなんですね。その場合に、鉱泉地というような名目で登記をされるわけなんです。法務省に承りたいと思うのですが、この鉱泉地とはどういう解釈をしているのですか。
  20. 住吉君彦

    住吉説明員 登記の面で鉱泉地という地目政令で見ておりますけれども、御案内のとおり民法土地所有権は法令の制限内で地上、地下に及ぶということになっておりますので、民法理論上は温泉の排他的な利用権というものは土地所有権に包摂されるというたてまえになっております。したがいまして、当該土地地目鉱泉地という地目にいたしまして登記をする、そういう取り扱いをいたしております。
  21. 木部佳昭

    木部委員 たとえば温泉登記する場合には、県の温泉審議会台帳がありますし、保健所なんかにも台帳がありますし、そして固定資産税なんかもかけるし、相続税なんかもかけるわけですね。しかも、県によっていろいろ違うと思うのですが、それぞれ県の温泉審議会の決定によって、年一回ぐらい、一体どのくらいの評価があるか、また実際に出ておるのか、温度と質は一体どうなっておるのかというようなことを調査するわけです。たとえば、ある市で申し上げれば一本八千万くらいの評価がある。また、同じ都市でも二千万くらいのもある。いま申し上げましたように、質と量によってかなり評価が違ってくると思いますが、源泉はそのくらいにして、今度は利用者立場からしますと、日本国民性民族性からいって、非常に温泉が愛用されるわけであります。たとえば毎分十リットルで権利金だけで二百万くらい取られるわけです。そういう意味考えてみますと、これは学説にもいろいろな学説があるようでありますが、何といっても温泉の一番大きな原理は質と量というものになると思うのであります。でありますから、物権として認めたほうがかえって、財団法に適用されるよりいいんじゃないか。温泉定義温度が大体二十五度といっておりますから、それを登記して物権として認めて、そしてそれがだめになった場合には抹消するというようなことをやったほうが簡単じゃないかというふうに私は思うのですが、その辺は法務省の見解はいかがですか。
  22. 住吉君彦

    住吉説明員 御指摘のとおり、あるいは先ほど観光局長の御説明にございましたとおり、土地取引とは別個に、温泉利用権だけを、排他的に利用する権利慣習でもって取引対象にしていくという事実がございまして、そのかっての慣習につきましては学者調査報告も交換されておりますが、お話にございました温泉組合登録あるいは地方公共団体への登録保健所への登録その他いろいろ各地の慣行がまちまちでございます。せっかく私のほうも、そういう組合におきまして各地慣習をいま材料として集めておりまして、そういうところから、でき得べくんばいま先生指摘方向でこれを検討していきたいと思っております。
  23. 木部佳昭

    木部委員 いま法務省の方が答弁されたように、温泉の問題は慣習その他がなかなかむずかしいわけなんです。そこでたとえば金融機関調査にまとうということになっておるわけですが、観光局としても政令をつくる場合に、両省がいろいろ話し合って、よほど細密な検討をしませんとかえってあとに禍根を残すゆえんが生まれる心配があると私は思うのですが、その辺について観光局長どうお考えですか。
  24. 深草克巳

    深草政府委員 この法律にはいろいろそういった問題を含んでおりますので、それぞれ関係の省とよく打ち合わせまして、政令に盛り込み得るものは政令に盛り込む。あるいは、やはりこれで一番苦心するのは末端の登記所であると思います。それらにつきましては、法務省のほうから逐次解釈通達、こういったものを流していただくように相談もできております。
  25. 木部佳昭

    木部委員 最後に大臣にお尋ねしますが、私はきのうも政務次官にそういうことを申し上げて答弁を受けたわけでありますが、たとえば大臣のおっしゃいますように、観光行政を一歩下がって二歩前進させる、こういうお話もあったわけであります。私は、やはり社会の趨勢、同時にまた長期的な展望に立った国際観光ないしは国内観光、こういうものを見てみますと、そろそろ観光行政一元化と同時に、ある意味基本法も改定して将来のそういうものに備えていかなければならぬじゃないか、こういう気持ちがいたすわけであります。たとえば国際観光を見てみますと、現在は中国のほうは門戸を閉じておりますけれども、これがもし門戸が開かれた場合には、日本観光国としての資格をある意味では失うんじゃないかというような気持ちもいたすわけでありますし、航空機もかなり大型化されて、昭和四十五年くらいには就航する、こういう事実をわれわれが直視した場合に、よほど思い切った施策を抜本的に確立をしなければならぬ時期に到達をしているんだ、こう私は理解をしております。  また国内観光にしても、おそらくあと十年以内には週五日制になるんじゃないか。そうしますと、いかにして国民の健全な体育と保健というものを培養していくかということも、私は観光行政の大きな使命である、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味で、観光行政一元化と同時に、私は基本法も改定して——最近いろいろな基本法がたくさん出ているわけでありますが、その際には必ず、観光基本法は何にも裏づけもないし、だめだ、こう言われるわけでありますが、そろそろそういう意味観光基本法の改定、そして新時代にふさわしいような強力な施策を推進する大きな使命に迫られておるわけですが、その辺の大臣の決意のほどを承って、私は質問を終わりたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 観光は、お説のとおり、客観情勢の変化とともに態様も変わってまいります。国内関係においては、やはり国民の健全な体育やあるいはレクリエーションとしての観光ということを大きく取り上げる必要があると思いまして、その点についてやや足りないうらみがあると思います。  それから国際的にも、いま御指摘のとおり、中国の方面でも将来開けてまいりますと、北京等は非常な魅力を外人に持っておるのでありまして、直通で北京ルートというものもできる危険性もあります。やはり日本日本らしい味を残した風景なりあるいは文物、制度というものを維持いたしまして、日本あるいは北京、あるいはアンコールワットというようなアジアルートというものをつくって、国際的協力で一緒にドルかせぎをやり、東洋の文物に触れさせるという考え方が非常に大事になるだろうと思います。一国が独立して観光をやるという段階でなくなってくると思います。  それと同時に、航空機が非常に発達して、三百人乗り、四百人乗りの大きな飛行機が入ってまいりますと、ホテルを予約しないと飛行機が飛べないという情勢になります。必ず座席券と同時にホテルの予約ということが致命傷になると思いまして、それだけのホテルの整備を日本観光ルートあるいはアジア観光ルートに行なっておくということが非常に大事であると思います。そのホテル争奪戦という問題は、アメリカやその他の外資系の大きな力を持っておるホテル業者と、日本航空会社ホテル会社との競争ということに将来必ずなってくると思いますが、その点に対する配慮もまだ非常に足りないと思います。そういう諸点につきまして、観光基本法はお説のとおり再検討してみたいと思います。
  27. 大野市郎

    大野委員長 渡辺芳男君。
  28. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 まず初めに、法案の中身から質問をしていきたいと思います。  この観光施設財団抵当法案がかりに成立をして施行されていきますと、従来の融資の関係から見て、担保価格がだいぶ上がるわけですね。どの程度に想定をして考えられていますか。
  29. 深草克巳

    深草政府委員 二、三の調査でございますけれども、いまの金融機関のこれらに対するいわゆる全体の担保価値に対する融資比率でございますが、五〇%以下でございます。しかも法律でおわかりのように、現在は土地、建物という不動産だけでございますので、今度その上にございます工作物その他含めますと、財団ができなくても、それを合わせますと担保価値が非常に上がるわけでございます。ほかに、これは総合的に収益を生む、したがって銀行としては適時その収入から利息を払ってもらい、あるいは借り入れ金の返済ができるというような一つの安心感がございますので、そういった安心感という要素がこの融資比率の向上に非常に役立つわけでございまして、二、三の調査の結果は、従来五〇%以下であったものが八割ないし九割、こういった融資比率ができるというふうに見ております。
  30. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 二条の定義にあるのですが、観光施設関係について財団をつくるのは、遊園地なり、動物園なり、スキー場その他の遊戯、観賞または運動のための施設である、こういうふうになっておりますが、この観光施設財団を設定をする場合に、一定の範囲と基準というものがあると思うのです。これは政令に委任をされておりますから当然考えられておると思いますが、あまりこまかいことはけっこうでありますから、一応明らかにしていただきたいのが第一点。  それからこの施設財団法ができますと、一体融資を求めてこれを設定をして具体的にできてくるといいますか、この財団の数、全国的にどのくらいの想定をしておるか。これはもちろん、それぞれの業界から要望があって提出されている法案だと思うのですね。もちろん金融機関もこれについて知らなければいけないから、あるいは協議をされたと思うのです。そういう関係から、私は、その見通しというものがあると思うのです。この二つの点を明らかにしてください。
  31. 深草克巳

    深草政府委員 二条にいわゆる政令でございますけれども、私どもただいま考えておりますのは、遊園地につきましては、これはただだだっ広いところにブランコやベンチがあるという程度のものは考えておりませんで、少なくとも遊戯用の機械、工作物が設置されておるというふうに限定をいたしたいと思うわけであります。  それから動物園、植物園水族館、そういったものにつきましては、先ほど木部先生からも御質問ございましたが、なかなか、どの程度までを包摂させるかという技術的な問題はございますが、先ほどの御質問にもありましたように、私どもといたしましては、やはり財団をつくる以上、有効なものでなければいかぬという観点から政令で把握をいたしたいわけでございます。  それからスキー場でございますが、ただ、だだっ広い土地でスロープがあるというだけでは、これはかりにその土地を所有しておりますれば、土地という不動産の提供で足りるわけでございます。それではその財団抵当の意味がございませんので、少なくともスキー客の用に供するリフト等の運送施設を持っておるということを要件にいたしたいと思っております。  それからスケート場につきましても同様でございまして、ただ、池があって冬、氷が張るのでそれをスケート場と称するわけでございますけれども、少なくとも結氷装置があるというようなものに限りたいと思っております。  それから展望施設につきましても、たとえばエレベーターとかロープウェーとかリフト、 こういった運送施設が付属した展望施設というものを考えております。  それで規模基準でございますが、先ほど例を引きましたような、ただ、だだっ広いところに簡易なものがあるというようなところは、もともと財団抵当になじまない性格のものでございます。また取引債権者でございます銀行側ももちろんそういったものを財団抵当としての価値を認めないというふうに考えますので、第一次的にそこでふるいにかけられるというようなこともございまして、あまりこまかい基準を私ども政令段階では書けないのではないかというふうに思っております。  それから数の問題でございますが、その前に要望があったから数がわかるのではないかということでございますが、実は具体的にどこどこの業界とかいうようなところからの要望はございませんで、要望のあったところを申しますと、昭和三十九年に国際観光振興会、それから日本観光協会、それから日本商工会議所が中心となって結成をいたしました総合観光開発推進会議、それから全日本都市観光連絡会議総会、それから日本観光協会総会、それから近くでは再度、日本観光協会あるいは日本商工会議所から陳情がございます。それから地域的には九州・山口経済団体連合会、これから陳情がございます。  それから一方政府関係では、総理の諮問機関でございます観光政策審議会から国際観光ルートの整備方針の諮問に対する答申にあたりまして、地域的な観光事業施設を包括的に対象とする財団抵当制度の創設等の措置を講ずることという意見具申がございまして、さらに四十一年の十月にこれを早くつくれという建議があったわけでございます。  それから金融機関関係でございますが、これはこの制度を法律化するために法務省、それから金融機関、それからこういった種類のことをやっておる業界、団体、これらを含めまして観光局の中に調査会というものをつくりまして、そこでいろいろな意見を戦わしたわけでございます。金融界のほうも、先ほど申しましたように、最近こういった種類のものは非常に金融の要望も出ておるし、なるほど工作物、つまり不動産でないものが相当内容を占めておるので、こういった制度ができることによって金融する側といたしましても、全体としてつまり収益を上げるということで、いわゆる金融ベースに乗るものであるので、できればこういったものをつくっていただきたいというような意見が述べられたわけでございます。
  32. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それで結局は、この施設財団という趣旨は、第三次産業といいますか、レジャー産業の育成ということに尽きるように考えられるのですが、いままでこれらの、第二条による定義で、少し担保価格を上げて金融の道を容易にしてもらいたい、引き上げてもらいたい、借金をたくさんできるようにしてもらいたい、簡単に言えばそういう趣旨ですから、そういう意味では、あるいは金融機関の了解を得れば相当な資金が投資をされる、こういうことになりますね。日通富士見ランドが静岡県の韮山町につくられましたが、山の中腹というよりてっぺんです。膨大な施設をつくりました。ああいう膨大な施設をつくりますと、自然が破壊されるという傾向になりはしないか。今後相当な金融の道を天井知らずに出すというような傾向になりますと、大規模な遊園地なり、ないしはその他の施設をつくる場合に、私はこれが懸念されると思うのです。あの富士見ランドができてから、大雨などが降ると、山の下になるところ、これは韮山町の関係ですけれども、鉄砲水のために水にだいぶつかるという傾向にあるわけです。私も話を聞いて、少し排水の関係をうまくやったらどうかという話を、建設省の出先機関へしたことがあるのです。この法律ができますと、そういう意味で非常に大きな施設といいますか、財団にばかり融資をされるという傾向になりはしないか。これはある意味では、先ほど木部さんがあまりチャチなものは認めるなとか言っておりましたね。これも必要だと思うのです、話は違うけれども。しかし、あまり大きな施設に対して融資をするという傾向になると、これはかえって災害を誘発するというような傾向になるということを懸念するわけです。ある意味では、端的に言えば都市周辺の、あるいはスキー場などは、それぞれの従来あったところについての近代化をする、こういうふうな程度のものに考えているかどうか。これは政令で少し基準をつくるというあなた方のほうの考えがあるのか。これをひとつお伺いをします。
  33. 深草克巳

    深草政府委員 私ども考え方は、特に大企業だから、あるいは小企業だからというような、そういう意味での差別、あるいは大都会である、そうでないという意味の差別は、いまのところ考えておりません。観光基本法にも、「家族旅行その他健全な国民大衆観光旅行の容易化を図ること」とか、あるいは「観光旅行者の一の観光地への過度の集中の緩和を図ること」、あるいは低開発地域の観光開発、これは積極的な問題でございますが、そういうものをはかれというような命題が与えられておるわけでございますので、そういった趣旨に沿ったものを重点的に考えたいと思っております。  先ほどちょっと申し忘れましたが、むしろ政令に入れたくないというようなもの、たとえば興行場法でいわれております競輪場とか競馬場とか、あるいはプロ野球場とか、そういったものは逆に対象にしない。あるいはゴルフ場、こういったものは対象にしないという考え方を持っておるわけでございます。
  34. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それはけっこうです。繰り返して言うようですが、観光というのは、以前はどうもいろいろ娯楽施設をつくったりして、レジャーを楽しむということ、こういうことが観光の中心ではないかというふうにはき違える風潮があった。最近、一時流行したドリームランドとかいろいろ言われておるようなことが落ちついてきていますけれども、この財団法というものがつくられていくと、一そう商業主義におちいる傾向になるのではないかということも一面では懸念をしています。いや、この法律がつくられてもそんなに心配ないよ、これはそれぞれの見方もあると思いますが、これから大規模に融資がされるということになると、自然が破壊されていく傾向というものも想定をしなければいけない。特に厚生省関係では自然保護法もありますから、自然保護立場から十分検討してもらっておると思いますが、原則的にいままでどういうふうなことをやってきたか、これが一つ。  それから観光局長のほうで、そういう商業主義におちいるということのないように、この点は十分法の運用といいますか、政令の段階でも考えていかなければいかぬというふうに思うのです。これは先行き心配しておるような質問なんですが、私の知っておるある植物園では、大々的なものをやりまして、経営の乱脈から倒産をした。そして数億の借金をかかえておる。ある金持ちがこれを肩がわりをして、あとやっておる。ですから、中小企業の倒産とは違うけれども、こういうレジャー産業でも、やり方によれば倒産をする。あるいは見込み違いといいますか、なかなかお客さんが来ない、こういうことから倒産をする傾向もある。そんなことも特にこういう観光施設の場合は注意をしていかなければならぬと思うのです。その点をひとつ政令の段階で考えていただきたい。いかがなものでしょう。
  35. 深草克巳

    深草政府委員 一般的にレジャー施設というふうにいわれておりますけれども、私どもが知っておりますレジャー施設を見ましても、やはり基本法に書いてございますように、行くことが必ずしも悪いということでなく、むしろ私どもとしては、日曜日あるいは土曜日に子供を連れて行く、おとなだけなら何もない自然のところに行って休むのも何でございますが、子供というものはやはり何かないとそこへ行きたがらないというようなこともございまして、最小限度、健全な意味のそういった娯楽施設というものは、私はあっていいんじゃないかというふうに思っております。ただ先ほど申しましたように、それが悪の道に走るようないろいろな施設があってはいけないので、そういう問題につきましては、この政令を書く段階で配慮してまいりたいというふうに思います。  それから自然保護につきましては、後ほど厚生省からもお話があると思いますが、私ども国立公園あるいは国定公園の中につきましては、厚生省のほうで十分そういった意味を配慮していただけると思いますけれども、その他の点につきましても、いろいろな観点から、そういったことは世論になっておりますので、私どもおりに触れそういったことを十分に配慮するように、行政指導あるいは誘導をしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 網野智

    ○網野政府委員 自然公園法というのがありまして、自然の保護をするとともに、その利用をはかって国民の健康、保養に資する、こういう目的で自然公園法ができておるわけでございます。私どもといたしましては、たとえば国立公園の地域を指定いたしましたときに、保護のために特別地域とか、あるいは、さらにもっと保護すべき地域として特別保護地区、こういうものを指定いたしまして、特別地域、特別保護地区におきまして、工作物を新築する、増改築する、こういうときには厚生大臣の許可を得なければならない、こういうように法律で相なっておるわけでございます。私どもその許可を与えるにあたりましても、自然の風景地あるいは景観等が害されないよう配慮を十分いたしまして、いろいろ許可をやってまいっておるわけでございます。
  37. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 自然保護についてはあとでまたお伺いします。そこで観光局長金融機関から金を借りて投資をする。それがりっぱな施設になっていくことはけっこうなんですが、多額な金を借りていくと、入園料と申しますか、入場料と申しますかにはね返って、これが高くなるということに、結果的に将来なると思うのですが、この点はどう考えていますか。
  38. 深草克巳

    深草政府委員 その点につきましては、こういう考え方ができるのじゃないかと思います。こういった施設は、長期資金が多いと思います。長期の金を貸すところからなかなか借りられないというのが現状でございますので、勢い短期資金でまかなっていくということになりますと、かえって、いわゆる資金コストがかかるわけでございますが、長期資金が率が多く借りられるということになりますと、資金コストは下がるのじゃないか。そういう意味からいいますと、入場料にはね返ってくるということは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。
  39. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それははね返ってきますと言ったらおこられるから、あなたは言わないでしょう。しかし、この十年の間にはたいへんな物価の値上がりもあるかもしらぬが、最近の外人がよく言うのですけれどもホテルや旅館の宿泊費などは非常に高いと言っているのです。日本に来る外人観光客が特にここ一、二年の間に、交通の便のよくなったこともありましょうが、在日日数が非常に少なくなった。簡単にいえば、それによって金を落とすほうが少なくなっている。人数がふえる、観光客が来る割合に落とす金が少なくなってきた、こういわれていますね。その中でも不満の一つは、先ほど言ったように非常に宿泊費が高い。前、オリンピックの関係もあって、温泉観光地などはたいへんりっぱなホテルをつくった。この借金を返すためにつり上げなければいけないというふうな傾向があると思うのです。この法律ができたから、これはひとつ長期低利の融資を受けようじゃないかというようなことでやるかどうかは、やってみなければわからぬことだが、想定をする必要はありますね。入園料、入場料というものを押えなければいかぬと思うのですよ。この点はどういうふうに考えていますか。
  40. 深草克巳

    深草政府委員 こういった種類施設につきましては、全体としてそれを監督する行政機構が実はないわけでございます。それぞれ、たとえば建築であれば建築基準法、あるいは消防法その他でありまして、特に御指摘の入場料などにつきましては、全然規制がないわけでございます。京都あたりでも、たとえばお寺の拝観料なんかについても問題が出てきておりますけれども、今後ますますこういったものの利用の需要がふえてまいりますと、届け出もないわけでございますので、全然規制の届かないこういったものにつきまして、物価対策上どういうふうに対処すればいいかというようなことにつきましては、今後私どもとしても十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  41. 大野市郎

    大野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 大野市郎

    大野委員長 速記を始めて。
  43. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 運輸大臣にお伺いしますが、いまの質問に関連して、国民の大量観光の傾向が戦後非常に強まってきた。これはいいことなんですが、最近は家族旅行という傾向にもだんだん広がってきたのですが、その中で先ほど申し上げましたように、旅館なりホテルなりの宿泊料が高い。これは外国人ばかりじゃなくて、日本人は特に国民所得が低いから、そういう意味では常に不満を持っておりますね。国民宿舎などの増設要求というものが非常に強くなっております。これは厚生省関係ですが、この増設を一そう強めなければいけないと思うのです。  先ほど申し上げました入場料、入園料、これは民間のそれぞれの施設、レジャー産業の関係を申し上げたのですけれども、歴史的な名所旧跡といいますか、この関係も最近はいろいろ国の助成が少ないせいか、ところによれば入園料や入場料をとっている。これは文部省関係もありますが、観光関係の政策を総体的に総理府総務長官がやっているにしても、あとでまたお伺いしますが、やはり観光行政一元化ということの音頭を運輸大臣がとっておるのですね。私は、そういう場所で将来議論をされると思いますけれども、当然のこととして入場料、入園料料金についても、天井知らずということではないけれども、かってに上げられるというわけにいかぬと思うのですね。これらの対策をひとつ考えてもらいたいと思うのですが、これはどうでしょう。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 入場料、入園料を安くするということは全く同感でございます。その一環といたしましてもこのような財団抵当法を設けまして、金融の道をつけてやって経営を楽にしてあげる、そういう考慮もあるわけでございます。そのほか入場料、入園料というようなものは、やや教育的な要素のあるものはできるだけ実費でやるようにして、かりに観光業者が利潤をあげるという場合には、ほかの飲食とかその他で利潤をあげるように、宿泊等で利潤をあげて、できるだけ大衆が、特に子供が植物とか動物を見るとかということ、そういう部面についてはできるだけ実費で見せるように指導していきたいと思っております。
  45. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それはけっこうなことですが、ひとつこの点は懸案の事項として御検討願いたいと思うのです。  それから次に、大臣に伺いますが、三十一年の十二月に観光事業振興五カ年計画を総理府で立てられた。これは閣議の決定に至らず日の目を見なかったが、当時二千九百二十億円の事業費を要するという計画があったようですね。これは予算の問題でお流れになったと聞いていますが、観光基本法が三十八年六月に成立をして施行された。現在までの状態の推移を見てみますと、簡単に言えば、こういう五カ年計画などというものがなくて、基本法という文章的には比較的りっぱなものができたが、仏つくって魂入れずということになっている。こういうことを一つ考えるわけです。  そこで、この前の委員会で井上さんが質問したときに、観光対策連絡会議は年に一回しか開かない。これは何を話し合ったかわかりませんが、いずれにしても、観光行政一元化について集まって対策を立てるというふうなことも必要だけれども、年一回では対策の立てようがないわけですから、三十一年に一応やってみたような観光発展のための五カ年計画というふうなものを立てたほうが、かえっていいのではないだろうか。どうもこれは、政治の場面から忘れられがちになっておる。観光国際収支が赤字で将来たいへんなことになるぞということになると、また議論の対象になる。私はそういうことではいけないと思うのです。大臣、どうですか、五カ年計画というものを総合的に立てるように、音頭をとるということができませんか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 長期計画につきましては、観光政策審議会に諮問しておる由でございます。この問題は一運輸省の問題ではなくして、むしろ総理府で統括して各省関係のことを全部バランスをとって計画すべきものであるように思いますが、お説のとおり、われわれは観光につきましては相当大きな責任をしょっておる役所でもありますので、そういう点につきましては推進力になってやりたいと思います。それと同時に、やはり観光行政一元化するということが先決のように思うのでございます。一元化した上でその長期計画を確立するほうが、はるかに強い施策が行なわれるだろう。ばらばらの情勢で、総理府の一部局くらいでそういうものをつくりましても、結局また各省へ持って帰ってばらばらになってしまって、集中した責任体制というものがとられないような気がいたします。そういう意味におきましても、一元化体制は非常に重要であると考えます。
  47. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 昨年の七月十九日ですか、わが党の内藤さんが衆議院本会議で佐藤総理に観光白書について質問をしたのですね。そのときに佐藤総理は、観光五カ年計画は早急に考えていきたい、こう言っているのです。いまお話を聞きますと、観光政策審議会に諮問している、こう言われましたね。これはいつごろ答申が出て、具体的に何を重点に置いて諮問したのですか。
  48. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 実は、まだ正式な諮問はしておりませんが、これから正式にやりたいと思いますが、昭和四十三年度中に結論が得られるように検討をお願いしておるわけでございます。  内容といたしましては、まず十年、二十年先の観光需要、これは余暇の問題を含めまして、まず長期的な、数量的な予測をしていただく。その予測をもとにしまして、長期的な政策を打ち出していただくということでございます。政策の、これからお願いする予想としましては、一つは、問題点としまして、国民観光の問題、非常に大量の観光事業施設、これに対しましては、まず受け入れ体制、あるいは自然公園等の観光資源の整備の問題、あるいは観光ルートの再検討、こういうような形の受け入れ体制の整備、それをどうするかという問題、それからもう一つは、観光資源保護の問題、産業開発と各種の資源関係で非常に破壊が行なわれておるという点で、これをどのように調和して発展さしていくのか、大体この二点を基準にして検討していただく。あわせまして、当面、国際観光年でもございますので、これも並行して審議していただく。それらの結論を四十三年度一ぱいに出していただくというつもりでございます。
  49. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 いまのお話によると、観光資源保護、自然保護というものを重点にしてやっていく、それはいいですね。あとは、国民観光を中心にやる、これもいいですね。三つ目は国際収支。その三つの柱を中心にして観光政策というものを立てていこう、こういうことですね。——私はこの際、あなたはそれまでずっとやっておるかどうかわからぬが、とにかく中心になってやるのですね、自然保護関係をもっと重点的にやってもらいたい。特に、これは太平洋ベルト地帯と称せられるメガロポリス、人口密集地帯ですな、こういう関係については、観光施設もどんどんできていく傾向があります。自然が破壊されていくということには、私はがまんならぬです。  特に、相当な財力を持った人たちが富士山ろくなどを大量に買っているのですな。これは遊園地か何かつくるという傾向があるのです。ジャンボリー大会などが四十六年にあるけれども、十日間にわたる、これもお祭りでしょう。この世界ジャンボリー大会も、十日間のお祭り以後は、ある程度の施設は、オリンピックのように残る。これは残るけれども、それに関連をして多くの民間業者が寄ってたかってその周辺にいろいろな遊園地をつくるということも、決して悪いことではないが、自然が破壊されていく傾向がどうも懸念されてならない。その規模どもまだ具体的に計画はないけれども、うわさによるとそういうことです。私はこういう太平洋ベルト地帯における将来の展望を考えると、自然保護といいますか、特に今日のような非常に複雑な生活をお互い都市に居住をしている人たちはしておるのですから、自然を求めるという傾向が非常に強い。これはやはり自然に帰るようなレジャーというものを楽しむと思うのです。たいへんよけいなことを申し上げましたが、この点をひとつ特に確認をしていただきたいと思うので、厚生省、どうでしょう、この点は。
  50. 網野智

    ○網野政府委員 自然公園審議会は四月に、総合的な自然行政に関する答申を出したわけでございますが、その中におきましても、人口は将来、先生指摘のような太平洋メガロポリス地域に集中するであろう、そういうことで、利用の分散なり利用適正化をはかるという意味において、大都市近郊における、あるいは、そういう地域における国定公園の指定を新たにやるべきであろうというようなことを言っております。  ただいま先生指摘のような、富士宮市のあたりに大資本をもって広大な地域を買い取って遊園地化しようという話は、実は聞いておりませんが、その地域は、富士箱根伊豆国立公園の中でも、景観上特に重要な地域とはされておりませんで、普通地域に実はなっておるのであります。したがって、風致保護のための規制というものは一般的にはやりにくいのでありますが、一定規模以上の行為を行なう場合には、あらかじめ都道府県知事に届け出るというようなことに法律上なっております。したがいまして、このような計画自体が景観を著しくそこなうというおそれがある場合におきましては、厚生大臣が規制を加えることができるというたてまえになっておりますので、そのようなことが起こるようでございますとすれば、関係の静岡県を十分指導して善処してまいりたいと考えておるのでございます。
  51. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 運輸大臣にお伺いします。前回も、観光行政一元化をやりたいということを言われておりますが、運輸省の観光局長のいすもはずされた。あるいは、厚生省の国立公園局長のいすもはずされた。そうしてまた、文部省関係は、これは文化庁に統合された。どうも一省庁一局削減じゃなくて、局長のいすを削減した結果になりましたね。この観光関係をしているそれぞれの重要なポジションがみんなはずされたんですね。一元化をやるということは、音頭をとっております運輸大臣は一体どういう構想でやられるのか。観光行政というものが、指導方針というものが、これからも並まっていくような組織にしなければいけないと思うのですが、いま考えられていることについてひとつ御披露願えませんか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 期せずしてそういう関係になったということは、私は統合の前提ではないかという気もいたします。一歩後退二歩前進のチャンスではないかとも実は思うのです。ただ、部局を集めることが統合とは必ずしも言い切れませんが、しかし、必要な部局はやはり一つに結集して、力を与えてやるということは必要であると思いまして、この一省一局削減の法律が成立次第、直ちに統合のほうに向かって内閣としては進む考えでおります。
  53. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 あまり具体性がない話ですが、まあいいでしょう。それぞれひとつ基本的に観光行政を強化する。いま当面している問題と真剣に取り組むような組織というものをつくることが前提ですから、ひとつ早急に考えていただきたいと思うのです。  次に、自然林保護関係で林野庁のほうにお伺いします。  昨年の十一月末、観光政策審議会が、富士山周辺のアカマツ、カラマツ、ヒノキなどの天然林を最近非常に乱伐をして、山はだが見えている、特に登山道付近は荒らされていて、これでは困る、厚生大臣はこの伐採計画を承認する立場にあるけれども、県あたりから出てくる資料をうのみにしているんじゃないか、こういうふうなことを指摘されているのですね。これは富士山の景観を守るというふうな表題で新聞にも報道されました。治山治水の関係もあるし、林野庁として特に関東以西といいますか、この地域の国有林野は東北地方、北海道と違って比較的少ないですね、比較論からいえば。富士山といえば世界の富士山というふうに宣伝をしているのですから、こういう立場からすれば、天然林の保護といいますか、保存というものは一番大事だと思うのです。どうもそうは言っても、厚生省が指定をした特別保護地区といいますか——富士山の南側が国有林、北側が県有林、民有林はほとんどない、こういう状況ですね。そのうち九%程度しか保護地区が指定をされていないわけですね、これは私も事情はよく知りませんが、いずれにしてもそれでは少ないと思うのです。この関係はひとつ公園局長のほうからお伺いしますが、初めにひとつ林野庁のほうから、長官、こういう関係はどうなっておるのでしょう。
  54. 木村晴吉

    ○木村説明員 長官が農水と重複しておりまして、かわりましてお答えいたします。  いま御指摘の富士山ろくの国有林は、約一万二千ヘクタールございます。そのうち約一万ヘクタールが国立公園地域内になっております。先生御案内のように、国有林内における森林の取り扱いの基本は、保続とそれから林力の高い、成長量の高い森林に持っていく方向が基本でございまして、その中で実は資源利用と国土保全あるいは自然保護との調整については一番配慮しておる現状でございます。具体的に申し上げますと、国有林の施業は経営計画で全部縛られておりまして、国立公園内におきましては公園保護計画に乗りまして、さらに森林保護の細目までいま申し上げました経営計画に盛られておりまして、その御趣旨については十分ひとつ今後とも配慮していきたいと考えます。
  55. 網野智

    ○網野政府委員 ただいまいろいろ御指摘先生からあったわけでありますが、富士山の国立公園地域の中で特別地域になっておりますのは、ただいま九%と先生おっしゃいましたが、現状はやや数字が違っておりまして、富士山の国立公園地域の山頂部分が一番保護を強化すべき地域として特別保護地区になっておるわけであります。それが二一・六%でございます。それから、先ほど申し上げました、その次に保護すべき地域としての特別地域、これは七七%でございまして、普通地域があと残りになっております。したがいまして、いま先生がおっしゃいました数字よりははるかに特別保護地区とか特別地域が多くなっております。  それから、ただいま林野庁からもお話があったわけでありますが、特別地域における国有林とか公有林の伐採につきましては、昭和三十四年に林野庁長官と当時の国立公園部長の間で、森林施業制限細目というものが取りきめられまして、それに従って、たとえば林野庁から協議があった場合、あるいは山梨県あるいは静岡県から協議があった場合には、その取りきめに従った協議があるわけでありますので、およそそのとおりに協議に応ずる、こういう形になっておりますので、単に何らの基準もなくしてそれに応じている、こういうことにはなっておらないのであります。
  56. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 そうすると、この富士山の周辺の国有林なり県有林の伐採計画が、あなたのところで承認をしているのは、四十四年度までに四〇%やっている。要するに、天然林の四〇%を伐採計画について承認を与えていることになっている。だいぶ基準が厳正のようなことを言うけれどもあと植林をしても、すぐあした、あさって大きくなるものじゃないのですから、もう少しテンポをゆるめたらどうなんです。
  57. 木村晴吉

    ○木村説明員 いまの御指摘の件につきましては、先ほどちょっと触れましたように、森林の取り扱いの問題で、天然林のままで残す地域と、それから早急に林相を改良しまして造林地に切りかえる地域と、二つに大別できるわけでございますが、先生指摘されておる地域は、たまたま林相改良をする、いまの天然林を早急に何年かの計画で人工林に切りかえるところでございまして、私らのほうも静岡県のほうから連絡がございまして、その問題は、林相改良する、伐開の年々の切る大きさ、これの分散のしかた等が問題でございまして、四月中旬、現地協議会をさらに開きまして、国有林に関しましては、向こう二カ月程度で、今後の五カ年計画的な経営計画の一部修正に踏み切る段階に相なっております。
  58. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 この際長官が来ればもう少し責任ある御答弁を——あなたでもけっこうですが、伺っておきたいと思ったのですが、国有林の伐採計画は逐年伸びていますね。おたくのほうの林業白書の関係によりますと、昭和三十五年には一千百八万立米ですか、それが今度は一千五百三十二万立方メートルの伐採をやっておるのですね。実績としてだいぶ伸びております。これは特別会計の関係もあるし、やっていかなければならぬとしても、自然林の保護、それから治山治水の関係観光資源の確保といいますか、これは特に全国で自然公園法によって国立公園の指定区域が二十三ありますね。それから国定公園の指定区域が二十八ある。この関係、特にせめてこういう国が指定をしたところくらいの伐採計画というものは——ほかのほうをどんどん切ってもいいというわけにはいかぬが、最近は特に集中豪雨の災害が多いですから、私もあまり木を切ることは賛成ではない。こういう関係についてはよく厚生省と連絡をとって、おたくのほうはあるにしても、厚生省のほうがあまりどうも、これはよろしゅうございますということですぐ返事をするようでは困るわけです。これはどうでしょうか、これからの関係について……。
  59. 木村晴吉

    ○木村説明員 舌足らずで失礼いたしておりますが、民有林、国有林とも国定公園及び国立公園区域内におきましては、森林施業の問題については先ほど申し上げた保護計画にのっとりまして、十分厚生省と事前に協議いたしておりますし、それから民有林の地域森林計画、国有林の経営計画は関係地元有識者と五年ごとに十分協議し修正しております。  それから一番御理解しにくいのは、自然保護といえばすべてがそのままに温存される要請が非常に強いのでございますけれども、ある特定の造林し得るところは積極的に成長量増大のために人工造林しているという点はひとつ御了解いただきまして、それの伐開面積の配列等は十分関係所管庁とも協議していきたいと思っております。今後とも十分配慮いたします。   〔発言する者あり〕
  60. 大野市郎

    大野委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 大野市郎

    大野委員長 速記を始めて。  渡辺君——御進行願います。質疑を続行願います。
  62. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 そこで、この特別保護地区が、国立公園なり国定公園を中心にしてそれぞれ指定されているのでしょうが、一体この保護地域の指定が、いまどのくらいの程度のものから、将来拡大をするということを考えられているかどうか、この点をひとつお伺いします。
  63. 網野智

    ○網野政府委員 先ほど私が富士山の国立公園の区域における特別保護地区と、それから特別地域の全体に対して占める面積を申し上げたわけでございますが、たいへん恐縮でございますが、その数字が違っておりまして、いま本省に問い合わせまして数字を取りそろえておりますので、その点はあとから申し上げてお許しを願いたいと思います。富士山一帯の地域につきましては、山ろくから山頂にかけての大部分は自然公園法による特別地域に実は指定されておりまして、これに基づくいろいろな規制が行なわれておるわけでありますが、御指摘がありましたように、この一帯の自然の保護の強化につきまして私どもも必要と考えておりますので、自然の保護をさらに強化するという方向で、きめのこまかい保護計画をいろいろ考えまして、現在関係者である林野庁とか関係の県と折衝中でありまして、御指摘のような方向で実現方に努力してまいりたいと思っております。
  64. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 昭和四十一年から五カ年計画で観光ルートの設定をして、これは観光開発の一環にしていこうという言い方で計画が立てられて進行しておりますが、富士山周遊道路などもいまつくられている状況です。特に主要な観光事業を中心にして、道路による開発が進められておる。この道路沿いなり何なりというものは、特に天然林の保存というものが重視されなければならぬと思うのです。厚生省として特別保護地域の指定を、これを中心に拡大するということを考えておりますか。
  65. 網野智

    ○網野政府委員 御指摘の……
  66. 大野市郎

    大野委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 大野市郎

    大野委員長 速記を始めて。  この際暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕