運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-10 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    小渕 恵三君       加藤 六月君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅波  茂君       中川 一郎君    西村 英一君       福家 俊一君    井上  泉君       板川 正吾君    久保 三郎君       神門至馬夫君    内藤 良平君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席政府委員         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君  委員外出席者         参  考  人         (日本港運協会         会長)     小川 乕三君         参  考  人         (日本船主協会         副会長)    米田冨士雄君         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         専務理事)   斉藤 正年君         参  考  人         (日本貿易会専         務理事)    谷林 正敏君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月九日  委員菅波茂君及び沖本泰幸辞任につき、その  補欠として菅野和太郎君及び伏木和雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員菅野和太郎辞任につき、その補欠として  菅波茂君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員伏木和雄君及び松本忠助辞任につき、そ  の補欠として沖本泰幸君及び近江巳記夫君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾に関する件(港湾運送事業集約に関する  問題)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  港湾に関する件について調査を進めます。  これより本件に関して、参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、日本運協会会長小川乕三君日本船主協会会長米田冨士雄君、日本鉄鋼連盟専務理事斎藤正年君、日本貿易会専務理事谷林正敏君、以上四名の方々であります。  参考人各位には御多用中にもかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございます。本日は港湾運送事業集約化に関する件について特に深い御見識を有せられる参考人各位から、それぞれの立場に立って忌憚のない御意見を承り、もって本委員会調査参考に資したいと存じます。  御意見開陳は、おおむね十五分程度におまとめをいただくようにお願いをいたします。御意見開陳は、委員長指名順に御発言を願うことにいたします。  なお、御意見開陳あと委員からの質疑がありますから、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。  小川参考人
  3. 小川乕三

    小川参考人 小川でございます。  ただいま港湾集約化ということのお尋ねでございますが、四十年の七月ごろだったと記憶しておりますが、港湾運送業者が現在の状況では非常に困る、これをもう少し基盤を高めて、社会的に信用のある港湾運送事業にするのだ、そこで、いままでの作業形態というものが、御承知法律十六条というのがございますが、それまでは、一つの仕事をやっていればいいのだ、あと下請にさせればいいのだということでございましたが、直営体系に改めるべきだ、港湾運送事業作業であるという考え方からの御諮問を、運輸省から受けたわけでございます。そこで、非常に事が重大でございますので、私のほうの業界もいろいろ幹部役員とも相談をいたしまして、全国的な理事会も開きまして、業界の機構を改正いたしまして、まず委員会制、その下に各部会制という制度を打ち立てまして、全国各地区から選出された方々部会役員、あるいは委員会役員という方々を選びまして、本問題と取り組んだわけでございます。  しかしながら、当時の状況といたしましては、一貫直営体系ということは、元請業者が全部やるんだ、また、それができない人は、自分みずからがやらなければならぬということに相なりますと、現在の労務者の払底、あるいはいろいろな事情等々から、これを遂行いたしますと、港に非常な混乱が起こりますので、役所に対しまして、責任体系をとっていただきたいということをお願いしたわけでございます。そこで、責任体系の問題につきまして役所ともいろいろ話し合いをいたしまして、それじゃ、責任体系でもよろしいが、しかし基盤を強化して港運業者の、たとえば下請をさせる問題についても、いろいろな、たとえば資本の提携とか人事の交流とかという問題もやってもらわにゃならぬし、また基盤も強化してもらわにゃならぬということで、両方いろいろ相談いたしまして、われわれのほうも何回か会合を開きまして、四十年暮れに、こういうことにしていただきたいということを運輸省答申をしたわけでございます。自来、港湾審議会等々の議を経まして、いろいろな近代化の問題につきまして、回数を申し上げれば四十年度に六十六回、四十一年度に九十五回、四十二年度には百二十五回、こういう回数を重ねまして、委員会あるいは部会等々を開きまして皆さんの御意見を承りまして、そのつどわれわれといたしまして、協会の意のあるところを皆さんにお知らせしたわけでございます。それで、協会といたしましては問題が問題でございますので、港湾近代化は絶対にやらにゃならぬ、客観情勢考えました場合にそういうようにも考えられます。  しかし一面、私ども協会をあずかる者の責任といたしまして、いろいろな御意見のあることもよく承知しております。それゆえ、何回も相談をしていただいて、摩擦のないような近代化を進めたいということで今日までやってまいりました。最近になりましていろいろな問題があるようでございますが、私どもといたしましては、行政官庁運輸省の言うこと、あるいは港湾審議会のきめられたこと等を大体頭に置きまして、今日までの経過を経たわけでございます。  大体私が申し上げましたのが、近代化に対しまして港運協会がとってきた態度でございます。その間にあらゆる方面意見も承りました。また、ここに御列席の、われわれを利用していただく荷主団体あるいは船会社団体等々の御意見も伺いまして、これが最も正しい方法じゃないかという結論を大ぜいで得たわけでございます。  これは、いろいろいま言われておりますような、幹部が独走するとか、そういうことは全くございませんで、いま申し上げたように、何回も会合を開き、あらゆるところの意見も開き、また全国的に皆さんに集まっていただきまして相談をして、一々それを役所に報告した、重複するようでございますが、かような処置をとってまいりました。  大体、いままでの集約化に関する業界のとった態度ということについて、簡単に御報告申し上げます。
  4. 大野市郎

  5. 米田冨士雄

    米田参考人 米田でございます。海運サイドから見ました港湾事業集約近代化ということについて、申し上げたいと存じます。  私たち港湾業の内部のことについてはよく知らないのでありまして、したがいまして、どういう動きになってどうであるかということについては、あまり知識を持っておりません。ただ、海運サイドから見て一体どうであるか、それから今度は、実際港湾集約状態がどんなになっているか、それからそれに対してどういう方策が講ぜられたかというようなことにつきましては、実は港湾に関する限り、大小を問わず、そこに混乱が起こりますことはやはり港湾機能を麻痺させる一つの原因になりまして、したがいまして船舶の活動を阻害するほうへまいるということで、重大な関心を持って見ておるということでございます。そこで海運業代表として申し上げる一面、私個人が見ているところを申し上げまして、御参考に資したいというふうに存じます。  結論的に申し上げますと、第一は、今度の港湾業近代化ということは、やはりやっていただかなくてはならないという一つ結論を持っております。その次には、しかし、いかに近代化が困難であるかというふうなことについて、私どもとしても一応の認識といいますかいそういうものも受け取っておりますので、その点について少し触れまして、最後に、それならばどうしたらいいかということ——そのどうしたらいいかということになりますと、おそらく政府当局のほうでなおお考えいただくこと、あるいはここにおります諸先生方をはじめとして、国会方面においての御尽力もいただきたいというふうな面もございますので、それを、対策というふうなことでもございませんが、一応申し上げまして、私の責めを終わらしていただきたいと存じます。  第一に、港湾近代化、いわゆる集約が必要であるということにつきましては、私から申し上げる必要もないほど、先生方は御存じのことと存じますが、最近の船舶の非常に近代化されてきていること、それから港湾設備、いわゆる建設面が非常に近代化されてやってきているというふうなことからいたしまして、やはり港湾の能率が非常によくなっていかなくてはならない、それは港湾運営の問題になるということでございまして、その運営の問題が、船舶近代化あるいは港湾施設の新設その他と必ずしもバランスがとれてない、そこに今度の問題が起こるというふうに考えるのであります。  たとえばせっかくいい船ができ、いい施設ができましても、最近の横浜神戸あたりの滞船状況を見ますと、一隻当たり横浜で平均約四十一時間くらいの待ち時間をしいられているわけであります。神戸におきましても、二十七時間から二十二時間くらい船が待っているというような形でございます。これは船舶経済的効用を非常に阻害しているわけなんでございまして、これを何とかしていただかなくてはならない。それをやっていただくためには、いわゆる労務状況のほう、結局労働者不足しているからだということもあるかと思いますが、その労務状況をこれにあわせてちょっと私見てみたのであります。たとえば一日における日雇いの港湾労働者、これは労働省の統計でございますが、それを見ましても、実際求人する延べ数というのは、大体一月八千人前後が必要である、こういっているのに対して、実際職業安定所を通じて紹介されて、なおこれを充足されない数が約二千五、六百人あるというふうな不足状態を呈しておるわけでありまして、その不足のものをどうするかという、各港湾業者が、港湾労働法ではごく例外的に認められておる直接雇用という形で、いわゆる狩り出してまいって、そうしてそれを補っている。その数が大体千三百から千四百くらいある、こういうのがいまの港湾労働状況でございます。海運のほうも、これはおもに船内荷役でありますが、大体これと同じような傾向をやはりたどっておるわけであります。せっかく港湾労働法ができまして、港湾労働のほうの近代化が一応あの法律によってできたといいながら、片一方におきましてはなかなかこういうふうな調達面というもの、あるいは労働者を足どめするというふうな面が必ずしもそれに合っていない。それをやるためには、やはりここで港湾業者近代化していくということ、あるいは集約化していくということで、それをはっきり受けとめていくという一つのものが出てこなければならないということになるかと思うのであります。そういう意味で、一般状態としては、何とかしてその方向に向かわなければならない。現実の問題を見ますと、たとえばここで、いわゆる港湾機能を非常によくするために外貿埠頭公団というようなものができて、そしてコンテナ輸送、それから外航定期船については専用貸し制度というものがとられてきているわけでございます。また、隣におられる鉄関係もその専用の埠頭を持たせる、そういうふうなことにして、船と一般港湾業との間に一貫的な運営体制をとっていくという一つ傾向が出てきているわけなんです。これはほかのほうでもやはり同じ傾向になっていかなければならない。そういう面でやはり、この港湾業との一貫的な一つ運営体制というものが必要であるということがいわれるのであります。これは一つの必然的な傾向であるかと思います。  ところが、こういう状態について、今度は実際面においてそのとおりいくかということになると、今度のいわゆる集約体制近代化に対する、運輸御当局を中心にしたいろいろの各委員会の検討の結果あるいは港湾運送事業法関係というものが出てまいっておるのであります。これがたいへんなむずかしい面があるわけであります。一つは、非常に零細な企業の集まりである。その零細な企業がこういう一つの必然的な方向認識して、それに即応していく体制をとるということは、自分企業そのものの存立と関係してまいりますから、必ずしも簡単にはまいらないというものがあるということは、やはりわれわれとしても感じ取られる。そこでこの複雑なもの、たとえば港湾について見ますと、大企業あり中企業あり小企業あり、それぞれのものが今度の近代化の受けとめ方が違います。違ったものに対して、あるものはこれを受けていく、あるものはなかなかこれは困難であるというふうな形が出る。それがいま非常に近代化のテンポをおくらしていることになるかというふうに、私は感じておるわけであります。  片方で、いわば国とか第三者とか、そういう方面から見たこの近代化のいわゆる認識切実性と、それから港湾業者が受けとめておる近代化認識切実性、そこに一つ差がある。それが、うまくいかない一つのもとになっている。どうもおれの思うとおりにいかないと、片方では政府とか第三者が言う。それから、実際その衝に当たっておる方々からいったならば、何かわれわれの企業を危うくすることを国家目的という名前のもとにやっていかれるというふうなところが、いろいろ今回のようなことになってきたのではないか。これは私があえて申し上げるまでもないことで、先生方は十分御承知のことだろうと思います。  なぜ私がそれを申し上げますかといいますと、私はこれを海運集約の場合と比較したことがあるのであります。海運集約というのはやはり、一つの産業が全体こぞって集約に向かったわけであります。その場合には政府業界も、このままにしておったら海運業は倒れる、あるいは行き詰まるということがはっきりしておったものですから、そこでその考え方がぴったり一致しまして、そしてみんなが同じ方向に向かっていったわけであります。ところ今度の場合は、そういう企業切実性というものが、海運の場合ほどはっきり出てないということがあるのではないだろうかというような感じがいたします。おそらく港湾業界方々はどんな方でも、今後行くべき道はこういう道であるということを十分御承知の上で、なおその切実性の問題でいろいろお考えになるところが出てきているのではないだろうか、こういうふうに私は思うのであります。  そこで今度、これを一体どうやって一致させていくかということが対策一つになるのではないだろうかというふうに思うのであります。冒頭に申し上げましたように、やはりこの近代化というのは一つの行くべき方向であります。その方向に向かう具体的な方法として、それをどうやって一致させていくかということが一つある。こういう点が私としては一つ考えられる点であります。  それから、これは政府に対して非常に耳の痛い、申しづらいことでありますが、あえて私が申し上げますと、一体この近代化というのは一つ国家目的であります。国家がこういうふうな要請をするときには、政府は必ずそれへ導いていく手を差し伸べていくべきであります。たとえば海運の場合についても、集約したものについては船をつくらせる、あるいは金利をこうするというふうなことで、そこで各企業が十分その方向に向かうことを考えるというものがあったわけであります。今回の場合もやはり、この一つ国家目的に対していく場合に、各企業に、あなたたちはこういうふうに行きなさい、こういうふうに行く場合にはこういうメリットがありますよというものを出せるなら出していただいたならば、この問題というのは企業自身が十分お考えになる面が出てくる。その点は私は独断で言っているのではなくて、この集約をきめました審議会答申の中にも、やはり同じように書いてあるのであります。答申を見ますと、国家としても十分な一つ措置、いわゆる財政的援助というテーマを掲げまして、十分な措置をとるべきであるということが出ておるわけでありまして、この点につきましては具体的に言うと非常にむずかしい問題があるかと私は思います。しかし国がやる以上は、近代化のために障害になっているものを取り除く一つ方法を国が援助していくということがやはり必要ではないだろうか。それは財政措置というふうなことでここに書いてございますが、いま予算措置といっても、もうすでにことしは終わっておりますので、そう簡単にできるものではありませんが、何かひとつそこに早急にお考えをいただくということがあってもいいというふうに私は存ずるのでございます。業者といたしましては、こちらに向かうことが必然であるけれども現実の問題としては、こちらに向かうことに対して国がどうやってくれるかそのメリットを計算した上でもって考えるということは、これはいい悪いを越えて一つ方向であります。ですからそれをひとつ持っていくようなことは、やはりきょうは間に合わないとしても、この次には考えていただくものがあるのではないかというふうな感じがいたします。しかしそういうことが今日の段階としてできるかできないかということになると、ちょっとできないということになっていくと思います。しかもこの九月三十日に近代化体制をとれ、こういうふうに法律がきめておられるということでありますから、やはりこの法律にきめられたものは何とかして守っていかなくてはならないということになりますと、ただ理念的にこの必要性を言うということのほかに、これももちろん必要でありましょうが、各業者はこれをやることによってどういうメリットが出るかということを自分でお考えになる機会をお持ちになるということが、やはりこれを実現する方向へ行くのではないか。  じゃ、それは一体どういう形であるかということになりますと、実は私も港湾業界のことはよく知りませんけれども、各地方ごとにわれわれは一体どうやったらいいだろうかということを十分お考えになる、一つ連絡機関なり協議会なりをお持ちになって、そこで十分お考えいただく、こういうふうに思うのであります。そのやり方等につきましてはひとつ十分お考えいただいて、そこで皆さんのそういう考えが出ていく。出てきたものを今度、中央のほうへ反映していく。その中央のほうは、そういうものを尊重してやっていくというふうな形のものができたらばいいのではないだろうか。それをできるだけこの九月三十日までの間に、やれるだけのことはひとつやってみる。やれなかったならば、また法律の解釈というものをできるだけそれに合わせるように、現実に即した対策でお取り扱いを願いたい、そういう方法はいかがかというふうに私は感じております。  時間もございませんのでここら辺にいたしまして、あと御質問でもございましたらお答えいたしますとしまして、私はなぜこんな業界の内容のことまでも触れるかということになりますと、やはり港湾業の中で混乱を来たすということは、船の機能のほうへ非常に大きく響てくるというふうなおそれを感じますから、そういう機能混乱を来たさないような方法近代化をやっていただきたいというふうに考えております。  それをひとつ申し上げまして、根本的には賛成でありますが、なかなかこれはむずかしい。むずかしいが、その方法は何かあるだろうということ、それも九月三十日を限ってもやれるものはある程度やる。やった結果がどうなるかということは、また考える。そういうふうな方法でおいでいただくことをお願いいたしまして、はなはだ潜越でありましたけれども、かってなことを申し上げましたけども、どうぞ失礼な点はお許し願いたいと思います。
  6. 大野市郎

  7. 斉藤正年

    斉藤参考人 鉄鋼連盟斎藤でございますが、私も大口荷主団体代表としてこの審議会に参加せよということで参加しておりますが、港湾のことについては全くのしろうとでございます。ただ従来、これは毎年毎年賃上げがございますが、毎年賃上げのたびに港湾運送料値上げが問題になってまいりまして、私が鉄鋼へ参りまして数年、毎年のようにこういう問題がございますが、現在のように、ほとんど作業の大部分を人間の手作業に依存しておる、コストの大半が労務費であるというような場合には、賃上げをした場合に料金値上げを押えるということは実際問題として不可能だということになってまいりまして、どうもわれわれ荷主側としては非常に納得がしにくいのですけれども、実際は毎年毎年値上げに追随せざるを得ないという状況でございます。  これは特に米田さんもお話しになりましたが、海運関係バランスをとりますとその点が非常にはっきり出てまいりまして、たとえば原料関係で申しますれば、豪州の鉄鉱石日本に運んでまいりましても千円かからない。それが、大阪から東京まで鋼材を運んでまいりまして、ちょっと二、三回と言っては言い過ぎかもしれませんが、荷役をやりますと、両方ひっくるめましてその倍くらいかかる。現在すでに決して安いと思われない荷役料金が毎年毎年上がるという状態を、われわれ大口荷主団体としては、何とか改善してもらいたいと思うわけでございますが、結局その解決策としては機械化以外にないのではないか、大がかりな投資をして機械化をしていく。と同時に、労務者あるいは技能者の素質も高めていく以外にないように思われます。そのためにはどうしても、企業体がもう少ししっかりした企業体になるということがやはり必要なんじゃないか。  具体的にどういう形で、そういう状態がもたらされるかということは、これはわれわれの問題でございませんで、われわれは外部の人間でございますから、関係業界なりあるいはそれを指導監督される関係官庁考えられることでございますけれども、一応縦と横の集約化をこういうふうにやったらよかろうという案がすでにできまして、それが業界の方も大体皆さんそういう方向でいくよりしかたがないのじゃないかというようなことでやっておられるわけでございまして、私としてはとにかくできるだけそれがスムーズにいきまして、体質改善と申しますか、根本的には機械化近代化方向へ進んでいただけるようになるということを期待する。そういう道で御協力をしていきたいというふうに考えております。  もちろん、一種の企業整理というようなことでございますから、これはもう戦争中ですら非常に問題が多かったことでもございますし、整理統合されなければならない港湾業者のほうから見れば、これは一番重大な、自分の一生の職業の問題でございますから、たいへんむずかしい問題であるとは私も思います。その点でいろいろむずかしい点があるかと思いますけれども、私としては、もしこれができなければ、おそらく荷主としては新しい荷役方法なり場所なり、あるいはさらに新しい輸送の手段なり、別のものを考えて、従来の荷役業界のごやっかいにならないように考えるというような方向に進むのじゃないか。そうなれば、この際みずから整理統合の中へ入って、新しい合理化自分でになわれない限り、あとに取り残されていってしまうのじゃなかろうかというのが、私らが素朴に考え考え方でございまして、そういう意味ではお役所の原案が、とにもかくにも現在関係している方を一応全部拾い上げて、新しい組織、機構の中で、果たす役割りは違うかもしれませんが、救い上げていこうというお考え方はもっともなんじゃないか。しかし、これはあくまでわれわれ部外者として考えたことでございますから、関係当事者の方にはいろいろ御意見があるかと思いますが、そういうふうに思っておりますので、審議会委員としても、また今度これを推進するために新しい団体ができましたが、われわれの団体もそれに協力いたしまして、できるだけこの問題がスムーズに実現されまして一われわれ荷主としては何よりも、とにかくいまのように毎年毎年荷役料が上がっていくという状態が改善されるということが、一番の望みでございます。同時に、率直にいって、現在の港湾労働者状態が他の産業の労働者状態に比べて決して非常にいいとは考えておりませんので、むしろそういう状態だからこそ、労務者を集めるということがなかなか簡単にできない。そのために絶えず混乱が繰り返されておるような状態でございますから、これは賃金状態が改善されるということはわれわれとしても断わりきれない。それならばどうか荷役料金に反映しない、少なくともわずかな値上げで済むという状態にぜひやってもらいたいというふうに考えるわけでございます。  これは、業界は違いますけれども、われわれ鉄鋼業界では現在、政府がおきめになりました公開販売価格制度というのがございまして、十年にもなりますが、それが現在でもそのままでございまして、実際はこれまでも値段が上がらない、結局ここ十年くらい値段としては全然上がっておりません。賃金は決して上がらないで済んでいるわけじゃございませんから、結局賃金の上がる部分を機械化で補っていく。港運業界としてもこの方向に行くためには、どうしてもやはり何らかの形でそれができる体質をつくるということが大事ではないかという、きわめて素朴な意味で申し上げ、またこれがぜひスムーズにいきますように御協力したいと考えております。
  8. 大野市郎

  9. 谷林正敏

    谷林参考人 私、谷林でございます。ただいままで利用者側として米田斎藤参考人からいろいろお話がありました。私も同感でございますが、多少見方を変えまして、本件に関しまして述べさしていただきたいと思います。  最近の国際経済の急激な発展に伴いまして、世界における輸送界をめぐるいろいろな情勢というものの変化が非常に著しいものがあることは、御承知のとおりでございます。わが国におきましても、これらの情勢に対応するとともに、従来能率がこれらに比べて比較的悪い輸送体制の改善をどうしてもはからなければならないということになっておりますが、この場合に、一番最初に考えなければならないのは港湾に関するいろいろな条件でございます。これはあえて港運業界合理化集約化というようなことだけではなく、港湾施設にしても、管理運営の面にしても、港湾労働に対するいろいろな手当てにしても、私はまだまだ改善をしなければならない、こう考えるのであります。そういうような状態でありますが、どうも港湾に対して日本の全体としての認識、私どもも含めまして、認識というものが従来それほど強くなかったというので、戦後相当長い間これはそのまま捨てられたというと少し言い過ぎでございますが、あまり対策考えられなかったのであります。  昭和三十一年ごろから港湾労働対策協議会とか、あるいは労働審議会とか、港湾労働に関しましてはいろいろな種類の審議会がございましたが、港湾全般についての審議会考える場というものはなかったのでございます。ところが、御承知の三十六年に船込みの状態がございまして、これが済みましたころ、つまりそのころからどうも港湾については単に港湾労働ということだけではなく、港湾をめぐる全般の問題をあわせて総合的に考えていかなければならないというようなことを痛感いたしまして、政府は昭和三十七年の四月に国会の可決を得まして、総理府の付属機関といたしまして、港湾労働対策審議会というのを設けたのでございます。ところがこれは、名前は港湾労働というのが非常に強く入っておりますが、「労働等」とあるところに御注意を願わなければならないのでございまして、実は港湾労働だけでなく、港湾に関する一般の問題を考え、それの対策考えなければ港湾労働の解決もできないというような意味で、この審議会においては港湾労働のみならず、港湾に関する施設であるとか運営であるとか、その他万般の問題を広く見ようということでこの審議会ができたのでございます。  私は、今日ここで問題になっております港運業界集約化という問題その他万般の問題は、この港湾労働対策審議会でいろいろ考えられ、調査された後出ました、三十九年三月三日のいわゆる三・三答申というものに端を発して、それが糸口となりましていろいろ改善され、対策を講じられておるのだろうと思いますので、この集約化の問題に関しまして、これに若干触れてみたいと思うのでございます。  この審議会は、三十九年三月三十一日までの期間を持っておりましたが、これに出ました委員は、港運業界はもちろん、労働組合側とかあるいは船の側、荷主の側あるいは港湾管理者、あるいは学者及び学識経験者、その他各省といたしましては運輸、通産、大蔵、労働、それから経済企画庁、総理府などの各次官もこれに参画いたしまして、非常な大がかりの会合で、会議を開くこと約四十回の結果、この答申を出したのでございます。この審議会には私も委員になりまして、また現地の実情を詳細に調査することが必要だというので、四人の小委員会ができて、そこにも私参画させていただきまして、神戸と大阪、名古屋、四日市等にじきじきに各委員が参り、現地の皆さまにお会いして、あらゆる陳情、あらゆる申し出を伺ったのであります。そのときに、神戸なり横浜なりに伺いまして、私は港運協会の方にもお会いして、ずいぶんいろいろな御希望なり御相談もございました。非常に参考になりましたが、その結果といたしまして、三十九年三月三日に出ました答申は、前文にこういうことを書いております。つまり、「このような見地から、旧慣を打破する抜本的な対策が必要であり、従来の考え方にとらわれない広域港湾の構想のもとに、総合的な港湾秩序の確立を期すべきである。」またある場所には、「港湾における雇用の安定と港湾運送事業の近代的な育成とが、この諸対策の基底をなしているということを十分に理解するべきである。これらの諸対策を適切に実現するためには、新たに法的規制をなすことを要するものもあり、また、当面国及び地方公共団体の指導、助成を必要とする場合もある。しかし、何より重要なことは、港湾関係者の自覚であり、遠くかつ、広い視野に立って、諸対策を実現する原動力となることを要望する。」こういうことを書いておるのでございます。その中に、港湾労働から港湾管理者といろいろございますが、「港湾運送事業等について」という一つの項目がございます。これは、港湾運送事業近代化を促進するために、事業の集約化をまずはからなければいけない。集約化方向としては、「一貫作業として同一の港湾運送事業者により行なわれることを目途とする事業の集約。」というのと、それから、「貨物の流れる経路、海運業の変化等の諸条件を考慮する系列ごとの集約。」この二つの集約をここではうたってございます。それから「集約化の促進」というところに、「国は、必要に応じて資金の援助等の誘導方式をとる。なお、集約化を促進するため、金融業者の協力を得る方式を検討する。」それから第二に、「事業の集約化を進めるため、暫定的に港湾運送事業者に対する共同免許を考えるほか、」——これはいわゆる協同組合をつくるというようなことを頭の中に予想しておったと思います。「免許基準の改訂を検討する。」「事業の集約化にあたっては、企業及び労働の不安を生ぜしめないよう留意する。」こういうようなことがあります。第三に、「その他」といたしまして、「港湾運送事業者は、近代的な企業会計を採用する。」「荷役近代化について関係者間において研究を進めるとともに、これが実施のための資金確保を図る。」第三に、「港湾運送事業者の行なう兼業については、その実態を的確に把握し、それによって本業の適正な運営が阻害されていると認められる場合には必要な勧告その他の処分を行なう」ということがありまして、そのあとに、「港湾運送事業の運賃及び料金の適正化を図ること。」それから「倉庫業その他港湾運送に関係ある事業の適正な運営を図ること。」こういうようなことがここにうたわれておるのでございます。その後、この三・三答申というものが出ましてから、港湾労働法が出まして、いわゆる日雇い労働者その他の関係についての法律が出た。つまり、これは港湾労働に関しての政府対策でございます。それからその他、管理部門に対しましては、港湾審議会の管理部会におきまして、いろいろやはり審議いたしました。そうして、港湾管理者というものの財政をもう少し強固にするというようなことを主題といたしまして、これは一応の答申を出しております。それから港湾事業者に関しましては、先ほど来皆さまからお話がありましたような港湾審議会の中の港湾運送部会の中で、これを審議しておりまして、何回かこれについては審議を重ね、答申も出、専門委員会の見解も出ております。  私もこの港湾審議会の管理部会あるいは運送部会、両方に関係しておりますが、港湾審議会の運送部会が昭和四十一年に発足いたしましたときに、この委員会において、関係業界港運業者集約化に関してどういう意見を持っておるか、どういう希望を持っておるかという、委員長からの初めの諮問がございました。私はそれに対して、この港運事業者集約化というのは、その事業者そのものにとっては非常に大きな問題だ。ことばをかえれば、生きるか死ぬかの問題をも含んでおる。われわれは、あるいは荷主といい、あるいは船の側といい、あるいは労働の側といい、そういうものは、いわばこれに対しては横の存在であり、局外者である。局外者が最初にこうこうしてくれと言っても、業界の中のいろいろな改変というものはむずかしいのだ。これはやはり当該業の中でお考え願って、そのできた案に対して、これはどうだ、それは、われわれが考えて、この点は非常に困るから、こういうぐあいに改正してほしいというような希望を申し述べる機会を与えてほしいということになりまして、委員会においてもその御承認を得まして、最初に港運業界としてのいろいろな考えをまとめて、それが出てきたのが、現在の港湾審議会において答申をいたしておる案でございます。その間、審議会その他専門委員会で、何回かの討議を本件には尽くされておるはずでございます。  ところが最近になりますと、どうもこれは内容が不満足である、これではできないというようなお話があるやに聞いておりまして、本日私ども参りましたのも、そういうことにも関連しておるかと存ずるのでございます。先ほどから、米田斉藤参考人からもいろいろお話がありましたように、これはわれわれほかの業界から、いますぐやれ、無理がないからやれというようなことを言うべき筋合いのものでもないし、言えるものでもございません。ただこの九月三十日までに、一応これこれの基準でやろうというのが二年前にあったとするならば、やはりこれについては努力をして、ある程度これに合うような施策をなさることが必要ではないか。もしこの部分がどうしてもできないというならば、これは運輸省つまり政府のほうにかけ合って、この点に対する対策を打ってくれというようなことが必要ではないかと私どもは思うのであります。ただいずれにいたしましても、業界混乱を起こしてまでいろいろなことをするということは、これは政治としてもすべきことではないのでございますから、こういう対策を十分に練るとともに、いわゆる審議会答申に対する説明といいますか、これはこういうぐあいに考えるのだということを、もう少し具体的事例をあげて、運輸省のほうから当該業界にも御説明があったらいいのじゃないか、そういう点にまだまだ不足の点があるように思うのであります。  港湾運送事業というものを私ども横から拝見いたしますと、やはりこれについては一つ集約化というものがどうしても心要だ。労働省が昭和四十年四月一日現在として出しております規模別港湾運送事業場数というものを見ますと、三百人以上をかかえておる規模の事業場というのは、全体で二・六%しかない。それからそこで働く労働者数は、全体の三〇・一%である。つまり残りは中小零細規模の事業場で占められておるのであります。また運輸省のほうで調べました資本金額による企業の分布を見ますると、いわゆる中小企業に属する企業が全体の九〇・六%に及んでおるのであります。しかし、この資本金規模という点も必ずしも実態を正確にはあらわしていないのでございまして、港湾労働対策審議会あるいはその後の港湾審議会においても、いろいろ調査の結果は、相当大きい資本の企業は兼業が多いのでございます。そういう関係から見ますと、港運事業にさかれておる資本金というものは、これよりはるかに少ないと思うのであります。このように港湾労働者が主として中小零細企業者によって使用されている、使われているということは、いろいろの弊害を起こしておる。  第一に、経営基盤が弱いために、荷役作業の波動性に対処していくために、どうしても資金を流動的な形で持ちがちとなって、資金が固定するような機械設備への投資が行なわれなくなるのであります。この機械設備への投資が行なわれませんと、それは当然労働力に対する圧迫となってくるのであります。それから第二に、常用労働者はできるだけ少なくし、日雇い労働者に大きく依存するという傾向を生み出しておるのであります。さらにまた事業者として、労働者の福祉施設の整備のために資金を出すという余裕がどうもないのであります。第四に荷役の遂行を下請に依存する度合いが強いのであります。これがたくさんの下請が下にいるという結果、働く労働者に対する賃金にもどうしても影響を及ぼというようなことでございまして、このような弊害を克服して、今後港湾運送事業近代化を進めていくのには、何をおいても中小零細企業集約化しまして、そうして経営規模を拡大して、経営基盤を強化することが必要でありまして、これが先ほどの港湾労働対策審議会以来、数年にわたりまして政府も努力しておるところと存ずるのでございます。  私は各業界が非常にたいへんであるということはもちろん重々お察し申し上げますが、ただ港湾の改革というものは、単に事業者だけが改革してもいけない。ほかの施設であり、管理であり、運営でありあるいは利用者の態度、いろいろございます。また逆に、ほかのほうが幾ら改正しても、事業者というものがこれに合わなければ困るのでございますので、やはりこの際各般の者が各種の対策を一緒にして、同じように進めていく上に、この集約化のほうにぜひ進んでいただきたい、こういうように考えまして、私の陳述を終わりたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  10. 大野市郎

    大野委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  11. 砂田重民

    ○砂田委員 たいへん私ども参考になる御意見を、それぞれの参考人皆さんからお述べをいただきまして、まことにありがとうございました。非常に貴重な御意見でございます。  そこで、ひとつまず小川さんにお伺いをしておきたいと思うのですが、二年前に港湾運送事業法の法改正がありまして、年が明けて四十二年の三月三日に、いわゆる新三・三答申が出た。ことしの九月三十日までの間にやらなければならない。この新三・三答申の全文の中に、事業の集約化の意義というものがどうも業界内で理解が浅い、十分でない、事業集約化の趣旨というものを行政的に関係者に徹底させなさいということが書かれている。運輸省はこの新三・三答申が出てから、そういった事業集約化の意義というものを業界内に十分理解をしていただけるような行政指導をしたことと思うのですが、日本港運協会運輸省のそういう行政指導を具体的にどういうふうに受けとめられ、各港々のそれぞれの業者にこの意義の徹底をどういうふうにはかられましたか。それを一つ伺っておきたいと思います。
  12. 小川乕三

    小川参考人 ただいま砂田先生の御質問でございますが、よくわかっております。私のほうの協会といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、私ども業界の組織というものは、いままで会長制という制度でやっておりました。私もその時分は副会長として、東京港運協会会長として会長会議に何回も列しましたが、残念ながら、会長会議でいろいろ議すことが業者方々に十分伝わることが非常にむずかしいのでございます。そこで、こういう大きな問題を掲げましてやらなければならぬという事態になりましたので、先ほども申し上げましたが、業界制度委員会制ということにいたしまして、総務委員会、労務委員会、業務委員会という三つの委員会をつくりまして、委員会のもとに一から八までの各部会をつくりまして、この部会役員なり委員会役員は全国から推薦していただきまして、そこで会議を重ねてまいったわけでございます。もちろん運輸省のほうからいろいろお話のございましたことを委員会部会でいろいろ協議いたしまして、地区に流していただくようにということを、地区から出た方々に再三再四にわたりましてお願いしたわけでございます。それですから、私どもといたしましては、本問題は十分地区に周知徹底しておるものと考えておりました。先ほど申し上げましたとおり、四十一年には集約化関係で九十五回、それから労務関係で十四回、四十二年には集約化の問題で百二十五回、労務の問題で十七回というように会議を重ねてまいっておりますので、十分皆さんおわかりのことと存じておりましたところが、最近に至りまして、そうでもないのだという空気も出てまいりましたので、業界のためにも私はこれは何とかして円満に集約化を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  幸いさきに促進協議会というものが発足いたしまして、ここで集約化を進めていくということがきめられましたので、私どもといたしましては、促進協議会の場を全国の港に設けてもらいたいということで、役所にもお聞き入れ願いまして、役所のほうもそれはもちろんそうであるということで、地区海運局を中心といたしまして、その地区のそれぞれの代表の方がおいでになって会議をしていただくことに相なっております。中央にいたしましても、中央に促進協議会ができましたので、ここで——促進協議会のやり方といたしましては、理事会審議会、審議委員会という制度になっておりましたが、私は特に発言を求めまして、審議会のもとに専門委員会というものをつくってもらいたい。そこでやはり全国から集まっていただきまして、十分研究もし審議もしていただく。いままでいろいろな問題も出ております。そういう問題をよく御審議願いたい。私どもの立場としては、業者業者で、あなた方、こことここは合併したらいいでしょうと言う権限もございません。またそういうことはやるべきでもないと思います。そこでわれわれが運輸御当局にお願いをしてまいりましたのは、先ほど荷主、船のほうの参考人から申し上げましたとおり、結局減税の措置とか経済的な援助とかいうような問題もひとつお考え願いたいということで、審議会に私のほうの業界委員を出しておりますので、要望するように申しつけてありますから、これが答申にも出ておりますので、こういうものが将来実を結んでいくのではないかというように考えております。  これは蛇足でございますが、私ども一番心配いたしますところは、先ほど斎藤参考人のおっしゃいましたとおり、私も本問題に取り組みましていろいろの意見を聞いたということは、大企業さんが流通部門の近代化という問題を強く打ち出しております。結局われわれ自体がいつまでもこの姿でおったら、利用者の方がみずから港湾運送業をお営みになるということになるだろうと思います。現実の姿として一、二出てまいっております。そうなった暁に私ども港湾業者は、どこへ行って何をしたらいいのかということに相なりますので、そういう点等も頭に入れまして、非常に私ども苦しい立場ではございますけれども、これを何とか円満にやり抜きたいと考えております。先生御承知のとおり、たとえば一つの港を例にとりますと、東京の港でございますが、いま七百万坪の埋め立てをやっております。ここに御承知の二十六の外貿埠頭もできます。また鉄鋼団地、いろいろなものができます。いままで沖取りでやっておりました荷物が、おそらくその大半は接岸荷役にかわるだろう。これがそう長くない、二、三年のうちに変わるだろうという現実をしょっております。そのようないろいろな問題を考えまして、何とか一つ当局なり、また諸先生のお力で、われわれ業界全体が円満に紛争なくこの近代化が促進できることをお願い申し上げます。
  13. 砂田重民

    ○砂田委員 私どもも実は二年前の港湾運送事業法改正、あの法改正を通過させたといいますか、われわれにも責任があるわけなんです。あの法改正をいたしましたときにも、港湾運送事業者の内部のいろいろ複雑な事情をわれわれも心配したものでございますから、法律だけではなくて、あの法律に関連しての政省令の決定にまで実は立ち入って、運輸省にお手伝いしたり、助言したりしてやってきたわけでございます。その後、あの法律考えておりますとおりに、ことしの九月三十日を目途にして業界内での言い分ももっと高まり、皆さん方が結束されて、港湾運送業界の中でもっと集約化の機運が高まるという期待をしておったのであります。昨年、小川さん、覚えておられると思いますが、外貿埠頭公団法をここで審議いたしましたときに、小川さんに参考人としておいでいただきまして、港湾運送事業集約化の問題がうまく進んでおりますかということを私御質問申し上げました。中小企業近代化促進法などという役にも立たないことで政府の援助はいいだろうか、何かこの機会に、こういう点で政府が援助、助成してくれれば集約化がうまくまとまっていくというような御希望があれば、いい機会だからおっしゃっていただきたいとお願いいたしましたら、心配してもらわなくても、一人の落後者なしに集約化はやっていける、そういうお答えをいただいてたいへんうれしく思いました。うまくいっておるものだと考えていたのです。ところが、先般の専門委員会意見書なり、審議会の御答申が出てさましたら、たいへんな騒ぎになってまいりました。日本港運協会からは当然審議会に出ておられますけれども、あの答申が出るやいなや東京港運協会横浜港運協会、大阪港運協会神戸港運協会、こういうところから全部反対意見が出てきてしまった。日本港運協会としては、港運協会の中におられる方々からそういう反対意見が出てしまった。実はあれは私どもとしてもびっくりしたわけです。こういうことでは、いま参考人皆さんからお聞きしたように、私も全く同感なんですが、この新三・三答申のビジョンというものは、どうしてもやらなければいけない。日本の産業のために、日本経済のために、また日本港湾運送事業者自身のためにもやらなければならないと思っておりますけれども、テンポの問題ですね。その港湾運送事業者自身にそういう集約化認識がそこまで高まってきてないというのは、これはたいへん失礼な言い分でございますが、商社の方にも船会社の方にも、責任の一半があるような気がするのです。これは谷林さんのほうにも、あなたのほうにもよく伺ってみたいと思うのですが、その港々での港湾別の使用協議会が発足をされたそうですが、運輸省に私どもはやかましく言ってこれを発足してもらったのです。たとえばこれは斉藤さんの関係のことですが、八幡製鉄さんが国鉄にレールを売っておられる。国鉄の用品庫が神戸港と大阪と二つある。それを国鉄が集約化考えて、神戸の用品庫に全部集中してしまう。港湾運送事業者は神戸一つ、大阪に一つですが、それも合併させる。これが合併して集約化をしてみても、長尺物を扱う熟練港湾労働者を持っている企業が二つ一緒になって、大阪港全体の八幡さんから入ってくるレールを全部扱われても、いわゆる免許基準に達しない。そういうところはどうするのだというふうなことが、一向説明がなされていない。谷林さんから、もう少し明確な問題の説明があってしかるべきではなかったかというお話がありましたが、まさにそのとおりであると思う。そういうことも港湾運送事業者に認識が高まらない一つの原因じゃないか。そんなふうに考えるのですが、いまは港湾業者が結束してみんなで集約化をやろうという立場ではなくて、結束して反対しておられるように思う。  そこで、もう一つ小川さんに伺っておきたいと思うのですが、新三・三答申ではモデル方式ということを言っておりますね。行政誘導をもってモデルをつくれ。港湾措置法が改正されて、ことしの九月三十日までの間にそういうことが行なわれるべき筋合いであったろうと思う。適宜に事業者を選定し集約化のモデルを設定しなさい、そのモデルの集約化達成のためには、国の十分な指導と助成がはかられることが望ましい、こう新三・三答申に書いてあるわけですが、どこかの港で、どこかの各段階の港湾運送事業者の中で、モデル的に運輸省の指導と助成が行なわれているものがございますか。
  14. 小川乕三

    小川参考人 ただいま砂田先生のおことばでありますが、これは運輸省から、そういうモデルケースの会社をつくり、またはその意見を聞かしてもらいたいということは再三にわたってございました。私どももその線に沿わなければいかぬと考えておりますが、これは私は促進協議会の場で、このくらいがちょうどモデルじゃないかということを推進し、またお答え申し上げたい、かように考えているわけです。  それからただいま先生がおっしゃいましたように、私この前、たしか外貿埠頭の問題のときであったと思いますが、先生のおっしゃるとおりに答弁をした覚えがございます。私も、何さま日本港運協会といいましても、全国に二千からの業者がございます。それで各地区の代表者あるいは部会代表をお呼びして、ただいま申し上げましたような何回かの会議をやりまして周知徹底していただくようにいろいろお願いをいたしましたが、会議の場ではあまり強い反対もなかったように記憶しております。私は協会責任者といたしまして、会議中は一切発言はいたしません。私が発言いたしますと、もし間違った発言をした場合に皆さん方に御迷惑をかけてもいかぬと思いまして、それぞれの委員長なり部会長なりに会議の指導性をとらしてやっておりましたが、さような問題もございませんので、これはこのままでいくのじゃないかというように考えておりました。それで、審議会委員に出られた谷林先生からもお話がございましたが、結局協同組合とか協業組合とかいうものもつくりまして、港から仕事をやめなければならぬというお店はないはずでございます。そこで私も、一人の失業者もなくすることができるだろうということを先生に申し上げました。しかし最近になりまして、必ずしもそうじゃないということも大体わかりましたし、皆さん方の御意見もわかりましたので、今後促進協議会の場で皆さん方の御意見をよくお聞きいたしまして、お役所にもお願いするということを考えております。
  15. 砂田重民

    ○砂田委員 改正された港湾運送事業法で定められた一応中間的な目標の期限はことし九月の三十日、これから発足される促進協議会でそういう問題を提起していこうとしておられる。一方、答申は先に出てしまった。あの答申どおりに厳格にやらなければならないというのは九月三十日から——促進協議会はこれからやられることですからね。小川さんさっきおっしゃったように、専門部会をつくって、きめこまかく港湾別のそういった実情も中央促進協議会に各港から集めてきてやろうとしておられる。地方でやる地方協議会も、先週発足したのじゃないかと思うのです。地方港湾での具体的ないろいろな問題を持ち出して検討してみるのに、相当時間がかかるだろうと思うのですね。それを中央協議会の専門部会にまたあげてこられる。それだけで九月三十日になってしまいはしないかという気がするのです。それは私が先ほど申し上げたとおり、ビジョンとしてはどうしてもやらなければならぬことであるけれども、テンポの点に問題がある。私の心配の、スケジュールとしてちょっと無理があるのじゃないかという気がするのです。  そこで、モデルはないとおっしゃったのですが、名古屋でちょっと集約化のようなことをなさっておられますね。三つのグループに分けておられる。この三つのグループに入れてもらえなかったところは、荷物が来ないので全く困っちゃった。輸出船積み貨物の一貫元請行為は、無限定一種業者に限るということをきめておられる。限定の一種業者は、輸出貨物については商売ができない。個品限定業者は、全社が一社、一つだけの共同体をつくってやれという相当ドラスチックな、先ほど斉藤さんのおっしゃった戦争中の企業整備統合のような色彩が強いわけなんです。それからこの三つのグループの中の一つのグループのチーフになっている会社は、直接荷主に働きかけて、乙仲を経由しないで直接うちのほうへ出荷されたいということを荷主さんのほうへ全部連絡をして、運動して歩いておられる。この行き方は、港湾運送事業法では独禁法の適用除外を受けておりますけれども港湾運送事業法の中に書いてある、除外を受けている独禁法と別の問題で、名古屋の場合、公正取引を阻害するということで独禁法に触れるおそれがある行為だと思う。そのおそれが多分にあると思う。これは私は公取にも一ぺん調査していただくように話をするつもりでおりますが、こういうことで業者自身の自覚が高まっていない。端的に申し上げますと、斉藤さんのところも、谷林さんのところもビジョンとして当然のことをお考えになっているわけですが、それぞれの商社さんの窓口、また米田さんのところの船会社の窓口でも、受け渡しの担当の方々は、小さい、今度の集約化の対象になっているような零細港湾運送事業者のおやじさんを呼んで、おっさん、おまえのところとは三十年からの取引だから、うちの荷物だけは絶対に確保してやるから生き残っていけよということを言っておられる。これでは港湾運送事業者には危機感は一つもないと思うのです。コンテナが入ってくるぞ、港湾の埠頭の効率使用をやっていかなければいけないんだ、そういういろんな経済環境の変化というものは、机の上では読めますけれども、実感としては港湾運送事業者には何の危機感もない。しいてあるとすれば、運輸省の行政だけが危機感がある。けっこうみんな商売をやっていっている。斉藤さんが毎年毎年荷役料金値上げがあるのはおかしいとおっしゃったのはそのとおりだと思いますけれども、個々の業者にはちっとも危機感がない。そこに私は、ビジョンとしてはやらなければならないことだけれども、テンポの問題としては大きな問題があるんじゃなかろうか、こんな感じがするわけなんです。  そこで、米田さんにひとつ伺いたいのですが、新三・三答申の中に、縦の集約化をするためには「利用者の系列関係等の中に介在する問題点を解決して」「軽々しくこの縦の集約化の姿を具体的に設定することは適当でない」ということが書いてある。私は、船会社の皆さんもまだ迷っておられる段階ではないかという気がするのです。たとえば乙仲が今度の答申では非常につらい思いをするような答申が出ておりますが、戦争前の乙仲という業種を船屋さんの側の系列下に置いていったがいいかどうか、コンテナの集貨競争というものが当然起こってくるだろうと思います。乙仲の集貨力というものも船会社としては考えなければならぬことだと思いますが、そういった港湾運送事業者の系列を船会社のほうから呼びかけて促進をさせて、船会社側での系列下に思い切ってやっていくのがいいのかどうかというふうなことを、船会社としてはまだ迷っておられるように——各船会社の方々が向こうからおいでになって、十月一日という切りかえのあの時期のテンポではどうも私たちとしてもまだ決心がつかない、私はそういうお話を承るのですが、そういう事情は米田さんどうでしょうか。
  16. 米田冨士雄

    米田参考人 いまの砂田先生の御質問、実は正直に申しましてそのとおりです。船会社も迷っている。ことに乙仲を船会社の中に入れてしまってどうこうということは、戦後のこういう一つ港湾の慣習をドラスチックというとおかしいですけれども、非常に変更することになりますので、なかなか簡単にいかないだろうと思います。したがって、現在のような状態では船会社自身もこの集約化についてまだ機が熟してないというふうな感じが受けられます。  そこで、私が、冒頭に九月三十日までにできるだけのことはやってみたらどうだということを申し上げましたのは、海運集約とこれとは非常に違いますけれども、しかし、あのときの例を多少考え起こしまして申しますと、そこはぎりぎりになるまでものというものは出てこないのでございますね。最後になりまして、それではこれでいこうというふうな形が出てくる。それまではお互いに潜行的にやっておったということだと思いますけれども、そこでやはりこれからが一つの努力のしどころじゃないかという感じがいたしております。
  17. 砂田重民

    ○砂田委員 私あと斉藤さんの時間もあるようですから、一つだけ谷林さんに伺っておきたいと思うのですが、港湾の埠頭の効率的な利用ということが集約化一つの目的であろうと思います。ただいまの現状は、上屋がうまく効率的に使われていない。あっちの上屋、こっちの上屋と荷物が転々と歩いている。むだな費用が使われている。現に私は神戸港で荷物の動きを実際に調べてみたのですが、たいへんなむだをしているわけです。ところが、一つ新しく私が発見いたしましたことは、ずる賢い乙仲がうまくあっちの上屋、こっちの埠頭を動かしてやっているのもあります。そういうのがまさにあります。しかし、荷主さんの側でも、何日出帆の何丸に積むんだということがまだきまってない荷物を出してきておられる。これは船がきまっていれば、その船はどこのバースに入ってくるかわかりますから、その上屋へ入れて効率的に使えるわけです。まだ何丸に積むんだということがきまってない荷物が、どうしても港に出てきてしまう。これも上屋の効率的使用を妨げている、阻害している一つの原因というふうに思うのです。さらに言えば、やはり荷主さんの側は金融の問題もありますから、倉荷証券をつくらなければいけないということもありましょう。早目に荷物を出してきておられるというようなこともあります。そんなようなことがどう解釈されてくるのか。集約化をして、港湾運送事業者というものを系列下に置いてうまくやっていっても、そういう事態が解決されていかなければ、やはり上屋のむだな使用というものが続いていってしまうんじゃないか。それともう一つは、これは米田さんともしょっちゅうお話をすることなんですが、月末、月初めの貨物の集中時期に貨物が集まってきてしまう。コンテナでうんと荷物がふえてくれば、ウイークリー・サービスでもあればそういうことはなくなっていくだろうということなんですが、どうもやはり貿易業者のサイドでの金融上の問題から、あるいは商慣習から月末、月初めにどうしても荷物が集まりがちである。こういうことはひとつ貿易業界として御努力を願うならば、ある程度解決をしていくことなのであろうかどうか。  さらにもう一点。はしけというものが非常にむだに使われているわけですけれども、中には倉庫が足りないから、出てきた荷物は早目にはしけにとってしまって、はしけを倉庫のかわりに使っておられるような事態も、荷主さん側ではあるわけなんです。たいへんこまかいことを言うようでありますが、そういうこともやはり港湾のむだな荷役といいますか、そういうものをつくり上げているいろいろな原因になっておるような気持ちが私にはするのでございます。倉庫にいたしましても、今度の答申には倉庫業者がやる港湾運送事業のことは何にもうたってありませんけれども、やはり倉庫業者は倉庫業者として、食料品については薫蒸装置であるとか低温の装置であるとか、爆発物は危険物の倉庫であるとか、そういう特殊性を持った倉庫を営業しておる人たちが、やはりそういう特殊な貨物の荷役をやっているわけです。こういったものがやはり存続していかなければいけないんじゃないか。たいへん大ざっぱに申し上げましたけれども、そういった点で貿易界として荷主さんサイドでの港湾の円滑な運送のための、あるいは谷林さんの側でのそういう改善が期待できるのかどうか伺っておきたい。
  18. 谷林正敏

    谷林参考人 ただいま御質問の点は三つございますが、それぞれまさにそういう心配がいろいろありまして、また現状はやはりそういうものが残っておると思います。それで上屋を乙仲が使用して、そのために経岸荷役というものが非常にやりにくい。これは神戸あたりは確かにそうでございます。ただ、いろいろ実際商社の側でも調べてみますと、ある品物で、たとえば繊維品であるとかあるいは雑貨品であるとか、あのメーカ「、このメーカーと頼みましてその集貨を乙仲がやって、そしてそれを出すという場合がある。その場合には集貨がその前から来ます。たとえば二月積み出しという場合に、一月ごろからやってくる。」も二月だから二月に出そうということになりますと、その前に乙仲さんが、自分の倉庫を持っておる場合には、そのほうでいろいろそういうことをなさる。たとえば包装がえをするとか、あるいは集貨してその梱包をするとか、そういうことをなさると上屋というものはあくのでございますが、そういうものを上屋でするというところにやはり難点がございます。もちろん荷主のほうでもそういうものはなるべく自分のほうの関係の倉なりその他の場所でやればいいのでございますけれども、何しろ七、八千あります輸出業者で、そういうスペースもない。そういうことをやってもらうために、乙仲さんを非常に多く使っておるというようなことでは、どうしてもそういうことが起こるというようなことが、いまおっしゃったような上屋に対する非常に経岸率を少なくする、あるいは船がついても使いにくくする、こういうことがある。ただこういうことに関しましては、私が先ほど申し上げました旧三・三答申の場合でも上屋の効率的運用ということを言っておりまして、それからちょうど三十八年に行政管理庁かがやはり調査いたしましたときに、上屋が一部集貨しているというようなことに関しまして、私どもと同じような勧告を運輸省にしておる。  それから私昨年新聞で見ましたが、昨年運輸省に対して、依然として一たしかこれは横浜でしたか、同じような状態が続いておるが、改善のあとがないじゃないか。やはりこういう上屋というものは、自分の手倉のようにすることはできるだけ避けろというようなこと、つまりこれは固定している場合でございますね。そういうものは避けなければならぬ。一方、流動しているものによってこれを占める場合は、貿易商社側も大いに努力する、あるいは自分の場所においてやるというようなことは必要だと思います。  それから第二に月末集中の問題でございますが、これは私ども日本貿易会におきましても、三十九年以来、ことに当時いろいろの問題がございまして、何回か貿易商社会員諸君を集めまして、やはり月末集中の点につきましてどうやってこれを変えるか、どうやってこれに対処するかというようなことを話しました。あるいは米田さんのほうの船主協会とも一緒になりまして、これに対して対処したのでございます。ただ、現在でもどうしてもございますが、いろいろそれはおしまいになって金融上の関係であわてて持ってくるというようなことも確かにございますが、いろいろ内容等を調べてみますと、必ずしもそれのみではない。たとえば、これはきょう私申し上げたいと思っておりましたが、横浜あるいは神戸において、この前いわゆる旧三・三答申のときに私見に行きましたときに、本船から揚げるときに雨天に対する設備がない。雨天に対する設備がありませんと、三日に一ぺんくらい、いわゆる軽い雨が降る。もっとひどい雨はもう少し間があります。こういうことがありますと、そのときには休まなければならない。そういうぐあいで休んだものがどうしても、あとになると月末にはやらざるを得ないということにもなる。それが月末近くそういう雨天の日が続きますと、これは当然月末集中にもなる。これが一つであります。これは雨のみでなく、非常な夏の暑さのときにこれがある。昨年の日本海事新聞あたりをごらんになりますと、七、八月あたりになると、神戸横浜、大阪全部において非常な夏の暑さのために荷役ができない。そこで船が詰まる。いまの船待ちといいますか、月末集中に非常に輪をかける、この問題があるというようなことを言っております。ただ、そうは言いますものの、やはり心がけがございますから、荷主側としても、月末集中をなるべく避けるという努力は絶えずみんなやっております。  それからはしけの問題でございます。はしけを手倉化するということは、これは非常に困るので、それほどないというか、全体に対してそうはたくさんない。はしけをもっと有用化しなければならないというので、はしけの手倉化ということも極力避けるようにしておりますけれども、これもやはり貿易商社といいましてもたくさんございますので、全部について強い命令を出す権限も私どもございません。ただ、上屋にしろ、はしけにしろ、おっしゃるような意向というものは、機会あるごとに仲間のほうにも伝えて、これに私どもとしても協力しよう、こう考えております。
  19. 砂田重民

    ○砂田委員 ありがとうございました。
  20. 大野市郎

  21. 野間千代三

    ○野間委員 斉藤参考人は御用事があるようですから、先にちょっと一点だけお尋ねをしたいのですが、おっしゃっておられることはそのとおりで、荷役料金が上がることは荷主とすればできるだけ避けたい、これはもちろんそうだろうと思います。問題はやはり機械化なり近代化なりという形で、できるだけ接岸荷役を中心にして港湾荷役ができるということになれば、一番簡単だろうと思うのです。ただしかし、それになるにはやはり港湾全体の施設をもっと増進をしなければならぬでしょうし、労働面もあるでしょう。いろいろ必要な条件がたくさんあるわけです。したがって、もしそれがなかなか進まないとすれば、やはり現状のようなはしけなりその他船内なり、現状のこの労働集約的な港湾荷役が行なわれるということがなかなか否定できないと思います。しかもこの問題以外に、いま御質疑のあった船込みの問題が相当ありはしないか。荷主から見て船込みの問題がたいへんあるということ、したがって、船込みの問題をどう考えていらっしゃるかということが一つ。  もう一つは、たとえば鉄鋼関係として日本輸送全体についてどうお考えになるか。はたして輸送体制として、港湾荷役だけが問題点が残っておるのかどうか。それ以外に、たとえば鉄道とか、あるいは自動車輸送であるとか、こういう陸上あるいは海の輸送であるとか、そういう陸海を通じての輸送体制としては問題がないのかどうか。そういう二点の問題についてお考えがあれば承っておきたいというふうに思います。  それから最後に、これは新しい輸送手段を考えなければならないというふうにおっしゃられました。これもその気持ちとしてはわかりますけれども、これはやはり港湾の問題だけで新しい手段をお考えになったのでは、問題の解決にならぬじゃないかというふうに思いますので、輸送全体の中での港湾の問題として新しい手段をお考えになるのかどうか、その三点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 斉藤正年

    斉藤参考人 日本の全体の輸送体系についてのたいへんむずかしいお話でございますが、鉄鋼の立場から見ますと、原料関係についてはもう非常に合理化が進んでおる。先ほど申しましたように、豪州の鉱石を日本に運んでまいりましても千円足らずで日本の港まで来てしまうわけでございますし、また港にまいりまして、御存じのように直接工場岸壁に接岸して機械荷揚げをしますので、ほとんど大した金はかからない。それが製品のほうになりますと、これはわれわれ製鉄業者自体のほうにも実はまだ非常におくれている点がございまして、販売組織が御存じのように、商社を通ずる組織になっておりますこと、あるいは価格が非常に大きく変動いたしますので、荷役賃の少しくらいはその価格の変動に比べれば大したことはないというような面もございまして、非常に旧態依然たる点があるという点も確かに関係しておりますけれども、先ほど申しましたように非常におくれておる。   〔委員長退席、福井委員長代理着席〕 たとえば大阪なり八幡なりから船でここまで運んでまいりますのが、大阪でございましたら千円足らずでございますけれども、それを東京に持ってまいりまして船から岸壁におろす。おろしてそれをすぐトラックで運べばいいのですけれども、一ぺんはしけにおろして、岸壁まではしけ輸送して、また河岸に揚げて、それをまたトラックに積んで持っていくというようなことになりますと、たちまちその運賃に近いものがかかってしまう。このシステムは、システム自体が一度再検討を要するのではなかろうかと考えられるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、たとえば受け渡し条件が指定河岸制度というようなことになっておりまして、その指定河岸というものが、明治時代以来の、はしけ回漕が輸送の主要手段であった当時のものがそのまま残っておる、そういうような点もあるものですから、こういうことにもなっている。そういう面は確かにわれわれも認めるわけでございますけれども、とにかく非常におくれておりまして、もう少し機械化すれば、おそらくいまの何分の一かにできるんじゃなかろうか。これは私はしろうとでございますからわかりませんけれども、十分できるはずだと思われますのが一つ。  それから先ほども申しましたように、毎年毎年繰り返し料金を上げていかなければ——いまのような状態ではこれまた上げるな、ノーと言えません。特に船内などと申しますれば、ほとんど労賃そのものみたいな作業でございますから、労賃の値上げを認めないわけにはいかない。また率直に申しまして、港湾労働者作業環境なりあるいは労賃なりが、他の大産業のそれに比べて有利だとは決して私らも考えておりませんから、値上げするなというわけにもまいらない。こういうことでございますから、何らかここで根本的な解決策が見出されなければならぬ。それは当然機械化という線になると思います。その点では、たとえば先ほど申しましたように、鉄道にしてもあるいはトラック輸送にしても、まだおくれている面もございましょうけれども、そういう方向へ——鉄道あたりも最近は特に熱心にやっておられます。私は貨物協会というほうの仕事もやっておりますが、非常に熱心にやっておられる。とにかく何らか労賃問題を解決する、それには機械化をやらなければいかぬという方向は、全体として間違いないんじゃなかろうか。  ただ、いまお話がございましたように、これは荷役業者だけでできる問題じゃございませんから、港湾管理者なりそういうほうの協力がむしろよけい必要な面もありましょうし、また、われわれ荷主側としても相当考えなければならぬところがある。先ほどお話がございましたように、確かに港湾荷役業というのは非常に特殊な業界でございますから、荷主側としても、その担当者は従来ほとんど同じ人がずっと引き続いてやるということで、自然に特殊な関係ができまして、そういう関係から旧態依然としてやっていくという傾向が非常に強いようでございますが、しかしこれはどうしても改めていかなければならぬ。また、鉄鋼のような公共物資は低利、安定でいかなければならぬといわれますが、荷役輸送関係ではその点が一番おくれているわけでございますから、そこのところを何とかやっていかなければならぬのじゃないか、こう考えます。  それから船込みの件でございますが、鉄について申しますれば確かにそういう点がございます。これはここ二年ばかりの間に出荷量が五割もふえたわけでございまして、率直に申しまして、ヤードなり置き揚なり、いわゆる荷役機械なり、そういった関係全体がどうも少し足りないということで、現在そういうことになっております。   〔福井委員長代理退席、委員長着席〕 いまそれぞれのメーカーも、直接なりあるいは系列の商社なり何なりを通じて、設備の拡張を非常に盛んにやっておりますから、そのほうの設備が整備いたしますれば、半分は解決する。しかし半分はむしろ労務問題荷役業者業界の方の特に労務の問題に入るわけでございますから、このほうはちょっとわれわれ荷主としてはどうにもならない。また、その問題を根本的に解決するためにも、そこに集約問題が取り上げられたのじゃないかと私は考えておる次第でございます。
  23. 野間千代三

    ○野間委員 斉藤さん、お急ぎですから、けっこうです。
  24. 大野市郎

    大野委員長 どうも御苦労さまでした。
  25. 野間千代三

    ○野間委員 次に小川さんにお伺いします。  一つは、先ほどお話がありましたように、日本港運協会でも相当何回か各種の会合を開いてこの種の問題を検討してこられたとおっしゃられたのですが、いま鉄鋼の方の言われる御意見や、それから世界の全体の輸送体系のあり方なり経済全体の動きから見て、港湾の運送事業のあり方あるいは港湾全体のあり方あるいは船込みの問題そういうものを含めて解決をしなければならない。その一つの問題点として、現在のようにやや複雑な状態にある港湾運送業界の整理というか、集約というか、近代化というか、そういう体系をつくらなければならぬということは、これはわかっている。そしてまた、企業基盤を強化することによって、働いている労働者の地位なり経済条件を引き上げることも必要だろうと思う。そういう問題について、私は否定はいたしません。それはそうすべきだというふうに思っている。  ただ問題は、まず第一に、二年ばかり前に十六条の改正をして、それからそれぞれ関係者が取り組んではいたんだが、一つは、砂田さんの言われる危機感の状況が必ずしもぴったりしていない。それともう一つ、危機感が感じられていないということは、つまりいろいろな条件がまだまだそこまで成熟していないということだろうと思うのです。もう一つは、しかしながらやがてくるのだから、したがってそれに即応する体制をつくる準備をしなければいかぬということになるわけですね。その準備のテンポが、砂田さんの言うように必ずしも一致していないという問題があるわけですね。したがって、両面を解決しなければならぬと思うのです。ですから、やがて港湾業者も近代的な業界整理統合していかなければならぬけれども、それに至る道程をどうするかというのが、いまの問題だろうと思うのです。  そこで、九月三十日が一応満限の日に法律上はなっているわけです。日本港運協会会長として、いまの経済の動きなり荷主、船主の動きなり、そういう状況を見て九月三十日までに答申のような形にしなければならぬかどうか。つまり、バスに乗りおくれてしまうかどうかということですね。それをまずどういうふうに考えておられるか。できれば九月三十日にやってしまいたいと考えておるのか、あるいは九月三十日は延期をして、もう少し体制を整えたいと考えておられるのかどうか。この件が一つであります。  もう一つは、私も横浜の港が出身なものですから、いろいろ勉強させていただいておるのですが、港湾審議会輸送部会の専門委員会でまず具体的な集約について討議が始まって、そして部会あるいは審議会答申ということになってまいります。この時点に、地方あるいは日本港運協会一つ部会、そういうところからたいへん問題が出ているのですね。その問題を出しておられる方は、たとえば東京港運協会であるとか、あるいは地方の港運協会あるいは日本港運協会の何々部会の部会長、そういう方々代表をして、しかもその方々は、港湾審議会の名簿を見るとちゃんと委員になっておられる。そういう関係の中で、たとえば、ちょっとこれは重要なので申し上げておきますけれども、四十三年二月九日、東京港運協会理事長大石信二さんの名で日本港運協会理事長藤川種男殿あてに、集約の実施に関する質問が出て、この辺から問題がたいへん複雑になって発展をしているのですね。そのあと四十三年二月十三日に横浜港運協会長の伊夫伎さんから小川さんに、これでは、この二月十三日の伊夫伎さんから小川さんへの、つまり横浜港運協会から日本港運協会長に対する書面では、今回の実施要点とその時期的及び具体的な内容について疑問があって納得できない、こうなっているのですよ。これは二月十三日であります。二月の二十日に、日本港運協会の海貨分科会がありますね、海貨分科会が臨時総会を開いて協議をしておって、そうして重要な問題があるので、協同組合の内容については重要な問題があるので、これはわれわれの意見を十分尊重してもらいたいというふうにいっております。あとは日程だけ申しますが、四十三年の二月二十二日、横浜の限定一般の方が、横浜回漕協会長あてに、これはもしわれわれの意見が反映されないならば、日本港運協会からいっている港湾審議会部会委員は総退場してもらいたいという強い要請をしております。四十三年二月二十六日には、京浜海貨の同業会の会長がやはり臨時総会を開いて決議をして、これを日本港運協会に送っております。二十六日にはこれ以外に兵庫県それから神戸それから二十七日には横浜の海貨の同業会、同じく二十七日に日本港運協会の海貨分科会の大橋さん、それから同じく二十七日に東京の港運協会、同じく二十七日に横浜港運協会、越えて二十八日に大阪の港運協会、同じく二十八日に東京の港運協会、三月の上旬に横浜地方海運組合、三月六日に横浜の限定一般業者、三月十一日に東京港運協会が三・四の答申に対して、こういうふうに言っていますね。三点ばかり要望をして、上記の趣旨が無視されるならば、当協会としては重大なる決意をせざるを得ない、こういうふうに小川さん、あなたあてに出しております。三月十一日に横浜港運協会。  以上、専門委員会の報告から答申が出て、その答申が出たあとまで日本港運協会に対していま言ったように激しい内容をもって、しかも相当強い希望を持った意見が、地方の港運協会あるいは日本港運協会一つ部会、そういうものから出ておるわけです。これはそれぞれ回答を求めておる部分もありますけれども日本港運協会では回答を出していないようです。私はまだずいぶん集めたのですが、日本港運協会のこの質問なり要求に対する正式な書面としての回答は出ておりません。したがって、そういう関係はどうなっておるのか。それからもう一つ。こういうことになっておるんだが、したがって、日程を見ると二月の九日から三月の十一日までですから、この期間に専門委員会なりあるいは審議会なりが行なわれているわけです。この専門委員会やあるいは港湾審議会の運送部会なりの議事録はないのですね。ないようです。ですから私は委員の方に聞く以外にない。委員の方にそれぞれ会議のあった日の内容について、多少勉強さしていただきました。それから、港湾審議会の本会議での議事録みたいなものはあります。これも拝見いたしました。ただ、残念ながらそれらの資料によると、日港協の役員の方が港湾審議会の機関で、いま私が申し上げたような実態に下部なりあるいは協会の内部があるのにかかわらず、出ておられる委員方々の発言は、いま言ったような希望、要求、決議を反映をした意見が出ておりません。あるいは、たとえば運送部会では藤川理事長、高嶋さん、大久保さん、鶴岡さん、石川さんというように、部会の中から委員が出ておられる。こういう方々の発言を見ても、別段いま言ったような内部の実態についての意見はないようであります。北見委員業界としてはどう考えておるかということを反問しておられますけれども、これに対する意見も、別段いま私が読み上げたような内容についての御発言はないようであります。したがって私は、こういうふうに見ますと、いま地方でたいへん問題になっているこの問題を、日本港運協会の首脳部、あなたを含めた首脳部はどういうふうに把握しておられたのか、それをどういうふうに反映しようとされておったのか、またどういうふうに反映したのか、また反映の結果が答申の中でどうなったのかという点について、実はたいへん疑問に思っております。したがって、その件についてひとつ御回答をいただきたいと思います。
  26. 小川乕三

    小川参考人 まず一番のお尋ねの、時期でございますね、この問題につきましては、こういうことを私が申し上げるのはどうかと思いますけれども、これは二年という時期もありますし、いろいろ答申等の問題も考えられて役所が打ち出されたと考えております。結論は、この問題は先ほども米田先生からお話がございましたが、これは九月三十日までにうちはつくらにゃならぬ、しかし工事がおくれれば若干の日にちの延びはあるだろうというふうに私は考えております。これは私見でございますけれども、そうせざるを得ないと思います。どうしても九月三十日にやるんだといっても、いま言いました促進協議会の中でいろいろ意見が出て、結局大体納得してもらって線に乗っけるということになりますと、それまでに問に合うか間に合わないかという問題については、私だけでなく、どなたもここで、三十日に間に合うんだということを言い切れる人はないと思います。こういう答弁でいかがでしょうか、これしか私は言えないと思います。  それから第二の点でございますが、これは御当局を前にいたしましてはなはだ言いづらいことばなんでございますが、現在港運業界が置かれている立場、またいろいろな利用者団体の強い御要請等を考えれば、先生のお説のとおり、確かに近代化してやらにやならぬ。われわれ自体もこのままでは死んでしまうんだ、このままでは三年、五年ともたぬだろう一そこでわれわれ自体の防衛をやるためにも、これはどうしても近代化して、基盤を強化して、大企業に信用してもらって、仕事はわれわれの手に握っていくんだという考え方は、これはどなたも持っていると思うのです、港湾運送業者である限りは。ところが、さて現実自分の店がどこかと一緒にならにやならぬということになりますと、なかなか先ほど申し上げたような意見にはならぬと思います。そこでいろいろな問題が、所々方々に最近になって強く起こってきたというように考えております。私は、最初この問題を出されたときに、当時の役所に向かいまして、これを遂行するのはなかなかたいへんな問題だということで、最初申し上げましたとおり、直営体系というものはこれはノーだ、もしこれをすぐ遂行すれば港はとまるだろう、そこでどうしても責任体系にしてもらいたいということで、お役所に私は半年かかって責任体系ということをお認め願ったわけでございます。その間に、一種部会とか——ただ、当時は全港振とか全沿岸とかいう港運協会の友好団体もたくさんありましたので、その方たちの御意見も聞いて御当局とお話し合いをしなければならぬという立場にございましたので、そういう措置はとりましたが、どうもこの時期じゃやらざるを得ないだろう、しかしやっていく上においては、いろいろな反対等々も出るだろうということでございましたが、三団体とも結論的に受けよう、それで、責任体系にしてもらうならばその線でひとついこう、しかし基盤という問題等々は業界がやるべき問題じゃない。これは要するに行政官庁でやっていただく以外にない。それからもう一つ経済的の問題、減税の措置とかいろいろそういうあたたかい行政指導、これはどうしてもお役所にやってもらわなければならぬということで、前任の局長さんなり参事官さんなりにいろいろ申し上げまして、協会としてはこの問題に取り組んだわけであります。  そこでいろいろございますが、東京港運協会とか横浜港運協会というものからいろいろな陳情等々の出たことも知っておりますし、若干読んでもみました。しかし、さて全国の担当者会議を開いて、これはどうですかと業務委員長が言うと、ほとんど無質問です。出ている委員のほうから質問がほとんどなくて、若干の質問はありますけれども委員長が説明しますと納得するわけですね。そして何日もたたぬで、すぐ反対の書類が出てくるわけです。これは要するに観念的にどうしても賛成ができないということだと思いますが、しかしわれわれとしては、日本人ですから、法治国の国民ですから、皆さん会議をしてもらって、これが正しいと思う方向に進まざるを得ない。それにはお役所の指導も聞き、皆さん意見も聞いて問に入ってやっていかなければならぬというふうに考えておりますが、港運協会幹部不信の声は私は全部知っております。私のうちにもかなりいろいろなおっかない電話やら、いろいろな手紙も参りました。しかし私は手紙はすべて切り捨てる、電話で聞いたことは頭の中に入れておくということでございますが、実際問題としまして私は、促進協議会ができたとき、その場でひとつ皆さん意見を取り上げていただく。港運協会会長としては、どうすることもできないわけです。ただお役所に行ってお願いするとか、それぞれの委員に、こうしたほうがいいじゃないかという意見を出すくらいのことで——二千軒とある協会でございますから、私の意見でこうするとかああするとかいう権利もございませんし、またそんな力もございませんし、結論的に言って、今度できた促進協議会の中で地方もいろいろやっていただくし、そしてそれが中央に上がってきてどうきめるかは今後の問題だと思いますが、この問題を取りきめていきますのに、賛成の人があります。やらなければならぬという人もかなりあります。賛否両論です。その間に立ちまして、要するに陳情あるいはいろいろな問題等を一々取り上げておりましたのでは、とてもこの会議も継続もできませんし、やむを得ないので、私はなるべく業界混乱しないように、簡単なことばでいえば紛争を起こさないように、裏でかなりな努力をしてまいりましたけれども、しかしこれは先ほど諸先生並びにいろいろ参考人からも御意見がありましたが、これはどうしてもやり遂げなければわが業界はどうなるのだという根本をひとつ考えていただきたい、かように考えております。  そういう私のところの店も、今度の基準に一〇〇%合格しているかというとしておりません。しかしこれはいろいろ充足をして、何とかこの線に持っていきたい。私のところもこの問題から船内と沿岸の業者を二軒吸収合併いたしました。合併のための努力もずいぶんやってまいりました。それに従いまして資金等も非常な苦しみをもってやってまいりましたけれども、結局反対するための反対とか、感情だとかいう問題じゃないと思うのですね。これは二、三年も前から一生懸命にわれわれはやっているのだ。しかし、会議には出てきてくださらぬ。向こうを向いて、最後にきてから猛烈と反対する。お気持ちは私はよくわかります。そこで結局審議会の場へ皆さんに出ていただいて、いろいろやって、促進協議会の場でこれを解決する以外にないじゃないかというふうに私は考えております。  それから第三点の審議会でございますけれども、これははっきり申し上げまして、審議会委員に出ておられる方々は、私の目で見ては全部、それぞれの部会代表者としてりっぱな方だというふうに考えております。非常に熱心でございますし、業界の事情も知悉しておりますし、これも委員を選ぶとき、たとえば一種部会は一種部会方々と御相談いたしまして、おことばにございました高嶋さんを推薦いたしました。二部会は二部会の推薦の鶴岡さんを御推薦申し上げました。それから四の沿岸は四部会推薦の大久保さんを御推薦申し上げました。特に海貨の問題も非常にたくさん問題があるだろうと思いまして、特に石川さんを御推薦申し上げましたという推薦の経緯をたどっております。それぞれ業界代表者が審議会委員に出ておりますので、これはいろいろ問題はあろうと思いますけれども委員としてはいろいろ様子を聞いてみますと、学者もございますし、労働組合の代表の方もありますし、協会の内部でいろいろ言うような点もなかなか言い切れなかった苦しいこともあったと思います。それですから私は、要するに当協会から送りました委員の人選につきましては、間違いなかったというふうにいまでも考えております。  いろいろ協会幹部不信のおことば等がございますが、幹部といえども、高嶋君なんかは名古屋の伊勢湾海運の副社長ですけれども、昨年度は二百五十日東京へ来ております。それで会議をやっております。それほど熱心です。東京港運協会の方もおいでになるようですけれども、私は東京港運協会会長を十六年やりまして、東京港運協会の内部というものはよく知っておりますけれども、こういう問題でスタンドプレー的なことをやる協会ありとせば、私はひざをまじえて相談をしていただきたい、こういうふうに考えております。
  27. 野間千代三

    ○野間委員 私も多少団体の役員をやったことがあるから、役員の方の苦労はわかります。ですから、ただ単に反対せんがための反対のことを言っているわけじゃない。つまり、この問題はただ単に団体の問題ではなくて、それぞれ長年やってきた企業をどうするかという、いわば死命に及ぶ問題なので、それだけにせっかくある日本港運協会であるから、そこで十分に討議するなり、あるいは討議のできる環境にするなり、政府との間の審議会で十分に意見を吐くなりすれば、あるいはもう少し現状のような、このように無数に出るようなかっこうにはならないできておれたのじゃないかという気がするわけですね。  そこで、そうは言っても、全国的に会長の言われるように首脳部に対する不信感がある。これはやはりこれから仕事を進めていく上に、障害であることは間違いないと思います。そこでやはり、日本港運協会内部のこういう地方と中央との関係を解消するとともに、いわばこの集約を促進をするならば、促進をする一つの要素になると思うのです。そういうことで私は、東京港運協会会長さんなどに来ていただいたときに申し上げたのだが、日本港運協会の組織の内容を変える、つまりこれから地方の協議会なり中央協議会なりで仕事を進めていくようにしなければならぬのでしょうが、やはり日本港運協会がどうであるかということが最終的には問題になると思うのです。そこで日本港運協会の内部を改組する、つまり直接大きな影響を受ける方々意見が、日本港運協会の中で十分開陳ができる。これは、意見を言うことはなかなか勇気が要るのですよ。その会議の構成なり、あるいはそこに立っていらっしゃる首脳部なり、そういう方々の位置なり立場なり、そういうもので会議の論議が左右されるというのが団体の会議の性格なんです。やむを得ないところなんだね。そこで、日本港運協会の内部の機構なりそういうものを、この機会に、直接にしかも甚大に集約の影響を受ける方々意見が十分に反映できるような、企業の大きさというか、そういうものの横割りの組織を十分に活用できるように、協会の内部組織を改定したらどうかというふうに思うのですけれども、それはどうですか。
  28. 小川乕三

    小川参考人 この問題は、先ほど申し上げましたとおり、私副会長をやっておりました当時、会長会議ということでやりました。これはおしかりを受けるかもわかりませんけれども、これは一つ参考として申し上げますが、私たちは認可料金という制度でやっておりまして、それには原価計算をやる。これは二月も三月もかかるわけです。これは、われわれとか高嶋さんとか、たくさんの人に各方面からお手伝い願ってやりまして、それを役所へ持っていって、経済企画庁の認可を得て、荷主さんの了解をとるという一番苦しい過程におきまして、港湾運送業者方々は、荷主さんに行って、料金を上げてもらわなくてもいいのだ、協会役員がいるからしょうがないから持ってきたのだということを言うわけです。会議の場で、絶対やらないのだ、船をとめるのだという極論さえありました。これが残念ながら私ども港運協会のありさまです。こういうことをいつまでも続けておっては繁栄もないし、信用もしていただけないと考えております。いま御指摘のございました協界内部の人事構成につきましては、私といえども今度の総会で他の人にかわるやもわからぬし、また私が再選されるやもわかりませんが、その上で皆とも協議いたしまして、なるべく御期待に沿えるような、みんながついていってくださる協会に改組したい、かように考えております。
  29. 野間千代三

    ○野間委員 実は、あと米田さん、それから谷林さんにも、せっかく来ていただいたので二、三準備をしたのですが、時間もありませんので、いずれまたこういう問題について審議をする機会があろうと思いますから、その際にまた承ることにしたいと思いますが、ただ一点だけ……。  これは鉄鋼斉藤さんにもお願いしたがったのですが、私は党の籍は社会党でございます。企業基盤を強化するという点では、やがて集約をしなければならぬと思います。問題は、これは米田さんが経験されましたように、きわめて重要な問題なのでそう簡単にいかないということだろうと思うのです。したがって、船主あるいは荷主あるいは貿易会というようなところは、いまの集約によってある程度メリットを得るところですね。これは否定できません。したがって、その方々集約をすみやかに促進してもらいたいという気持ちはあろうと思います。ただ、米田さんが言われるように、そうかといって混乱さしたのではそれは何にもならないということなんです。さて、一方集約をされるほうは、米田さんが言うように、はたしてどういうメリットがあるのかということですね。これは、私は、やりようによっては全くメリットがなくて、残った者だけがやがてメリットが得られるということだけにすぎないことになる危険性が十分にあるわけです。したがって、そういう意味から国の十分な助成なり、あるいは皆さんのような外部の方からのあたたかい援助なり、そういう点が必要だろうと思うのです。特に船込みの問題とか、そういう点では必要だと思うのです。ですから、これからそれぞれの該当する業者の努力を含めて、あらゆる関係者が丁寧に集約方向に進めていくというふうにしないわけにいかないのじゃないか。そのためには、九月三十日という時期もやはり考えなければならないのじゃないかというふうに思うのです。  そこで、そういう状況にあるので、ひとつ船主さん、荷主さん、その他関係される方々は、先ほどの斉藤さんの言うように、他の人のことも考えなければならぬということではなくて、やはり同じ企業なので、企業が十分に成長しながら所期の方向に進んでいけるような、全体としての協力、そういう点をぜひ望みたいというように思いますので、米田さん、ちょっとその点だけ……。
  30. 米田冨士雄

    米田参考人 いま先生のおっしゃるとおりであります。鉄の場合はよそと違いまして、自分のことだけ考えて、自分の港の施設だけでやっていける、だから、ほかさんを相手にしなくてもできるわけでございます。ところが船のほうは、やはりそこにある港湾業者と手を組んでいかなければいけない仕事なんです。したがいまして、両々相まって一つのものができてくるということ、これはずっとこれから先いく形だと思います。ただ、そういう場合に、一体どういう姿になってもらいたいかということが、いまこういう姿のものがいいのだということなんでしょうが、そこへいくのに、さっき砂田先生のおっしゃったように、海運業者自身がまだ、一致した協力体制ができておるかというと、なかなかそうそううまくいっていない。これは無理に一致した協力体制をとれということだと、おまえ損得なしにこっちの方向へ行け、これはちょっと戦時統制的なことになりますので、やはりそこは、企業としての採算を考えながら一緒になっていくという一つ方向だろうと思います。それはこれからいく一つの問題だと思います。私は、非常に口幅ったいことで、根拠のないことなんですが、これだけ反対論が、いままで出なくて、これだけ盛り上がったということは、この問題を真剣に考えるようになってきたと思うのです。そこで、いまの時期でやれることは、ここで最後の追い込みをみんなでひとつ勉強していただきたい。それを政府も十分に考えて追い込みにいく。その追い込みをする方法は、政府が強圧的な指導性を持ってはいかぬと思うのです。やはり業界自身が、こういう形にならなければいかぬという一つの空気を盛り上げていく、その時期がそろそろ来ておるのではないか、こういうふうに考えまして、これは趣旨はそれでいいと思います。私は、政府のほうもそういう意味でこの際ひとつ最後の力を出していただきたい、そういうふうに考えております。
  31. 野間千代三

    ○野間委員 谷林さん、ちょっと一言。
  32. 谷林正敏

    谷林参考人 ただいまおっしゃいましたのは、荷主のほうとしてもこういうものに協力体制をやる、協力の努力をする、私そのとおりだと思います。  実は二年ほど前にいまの港湾運送協会が始まりましたときに、いわゆる乙仲さんとかいろいろ御心配がございまして、私のところへもお見えになったことがございます。私はその際、乙仲業者というものは荷主と一番関係が深いということから、いろいろな点で荷主とよく御相談になって、そして将来の体制がこれに合うように力をかりたらどうだというようなことを申し上げたのです。それでやはり荷主といたしましても、乙仲さんがいろいろやっておられる仕事に均てんするところも多いので、両方相助け合っていかなければならないということで、さっきおっしゃったとおりだと思います。  ただ、ついでに言わしていただけば、先ほどおっしゃったような、あれだけの反対があるということは私ども全然知らなかった。ということは、私も港湾審議会委員でございますから、これは港湾審議会の名誉のために言わなければならぬ。といいますのは、あれだけの反対がもしもございましたら、私どももやはりどういう理由かその反対の理由を聞いて最後の決定をやったらどうだということを当然言うはずでございます。もちろん最後の段階に、乙仲代表の方が最後にありました条項について、どうしてもこれではのめないということがござまして、それではこういう文句を入れたらどうかということで、これも賛成になったのでございます。  それから、私は専門委員会には出ておりませんが、私のほうの者で専門委員会に出ておる者からいろいろ聞きましても、ずっと何回かの会議には港運業者代表さんも皆さんおいでになっておる。もちろんその間にいろいろ些少な反対もあったし、いろいろあったでしょうけれども、先ほどおっしゃったようなたくさんの陳情があるほどの強い反対をやはり聞いておらなかったという報告を受けております。それで先ほど小川参考人からもおっしゃいましたように、もしもこれだけの大きな反対があるならば、まず日本港運協会の中で御反対になり、またそれを、代表委員がおられますので、その委員を通してお出し願ったらよかったのじゃないか。私は、反対が必ずしも間違っているとは決して申しません。いろいろな理由があり、非常にむずかしい状態があるということは私とくとわかります。わかりますけれども港湾審議会というものがあり、そこでいろいろな論議を長年かかってやっておりますときに、最後にきまったものを最後の期間になってあれは困るんだというようなことでは、やはり港湾審議会の権威というものに突き当たると思いますので、そういう場合には、何かの方法でそこにも反映してほしい。これは小川参考人にもそのことを申し上げて、私のお答えといたします。
  33. 野間千代三

    ○野間委員 たいへん御貴重な御意見の御開陳があり、私どももたいへん参考になりました。ありがとうございました。  最後に、これからが実はこの問題でなかなかたいへんな時期だろうと思いますので、いまここで私が述べました意見も、単なる反対ではないのでありますので、そういうものも今後十分政府なりあるいはそれぞれの必要な機関に反映ができるようなことをするようにして、間違いのないようにしたいというふうにも思います。  たいへんありがとうございました。
  34. 大野市郎

    大野委員長 参考人に一言申し上げます。  本日は御多用のところ御出席をいただき、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は来たる十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会