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米田参考人 米田でございます。
海運サイドから見ました
港湾事業の
集約、
近代化ということについて、申し上げたいと存じます。
私
たちは
港湾業の内部のことについてはよく知らないのでありまして、したがいまして、どういう動きになってどうであるかということについては、あまり知識を持っておりません。ただ、
海運サイドから見て一体どうであるか、それから今度は、実際
港湾の
集約の
状態がどんなになっているか、それからそれに対してどういう方策が講ぜられたかというようなことにつきましては、実は
港湾に関する限り、大小を問わず、そこに
混乱が起こりますことはやはり
港湾機能を麻痺させる
一つの原因になりまして、したがいまして
船舶の活動を阻害するほうへまいるということで、重大な関心を持って見ておるということでございます。そこで
海運業の
代表として申し上げる一面、私個人が見ているところを申し上げまして、御
参考に資したいというふうに存じます。
結論的に申し上げますと、第一は、今度の
港湾業の
近代化ということは、やはりやっていただかなくてはならないという
一つの
結論を持っております。その次には、しかし、いかに
近代化が困難であるかというふうなことについて、私
どもとしても一応の
認識といいますかいそういうものも受け取っておりますので、その点について少し触れまして、最後に、それならばどうしたらいいかということ——そのどうしたらいいかということになりますと、おそらく
政府御
当局のほうでなおお
考えいただくこと、あるいはここにおります諸
先生方をはじめとして、
国会方面においての御尽力もいただきたいというふうな面もございますので、それを、
対策というふうなことでもございませんが、一応申し上げまして、私の責めを終わらしていただきたいと存じます。
第一に、
港湾の
近代化、いわゆる
集約が必要であるということにつきましては、私から申し上げる必要もないほど、
先生方は御存じのことと存じますが、最近の
船舶の非常に
近代化されてきていること、それから
港湾設備、いわゆる
建設面が非常に
近代化されてやってきているというふうなことからいたしまして、やはり
港湾の能率が非常によくなっていかなくてはならない、それは
港湾の
運営の問題になるということでございまして、その
運営の問題が、
船舶の
近代化あるいは
港湾施設の新設その他と必ずしも
バランスがとれてない、そこに今度の問題が起こるというふうに
考えるのであります。
たとえばせっかくいい船ができ、いい
施設ができましても、最近の
横浜、
神戸あたりの滞
船状況を見ますと、一隻
当たり横浜で平均約四十一時間くらいの待ち時間をしいられているわけであります。
神戸におきましても、二十七時間から二十二時間くらい船が待っているというような形でございます。これは
船舶の
経済的効用を非常に阻害しているわけなんでございまして、これを何とかしていただかなくてはならない。それをやっていただくためには、いわゆる
労務状況のほう、結局
労働者が
不足しているからだということもあるかと思いますが、その
労務状況をこれにあわせてちょっと私見てみたのであります。たとえば一日における日雇いの
港湾労働者、これは労働省の統計でございますが、それを見ましても、実際求人する延べ数というのは、大体一月八千人前後が必要である、こういっているのに対して、実際
職業安定所を通じて紹介されて、なおこれを充足されない数が約二千五、六百人あるというふうな
不足の
状態を呈しておるわけでありまして、その
不足のものをどうするかという、各
港湾業者が、
港湾労働法ではごく例外的に認められておる直接雇用という形で、いわゆる狩り出してまいって、そうしてそれを補っている。その数が大体千三百から千四百くらいある、こういうのがいまの
港湾の
労働状況でございます。
海運のほうも、これはおもに
船内荷役でありますが、大体これと同じような
傾向をやはりたどっておるわけであります。せっかく
港湾労働法ができまして、
港湾労働のほうの
近代化が一応あの
法律によってできたといいながら、片一方におきましてはなかなかこういうふうな
調達面というもの、あるいは
労働者を足どめするというふうな面が必ずしもそれに合っていない。それをやるためには、やはりここで
港湾業者は
近代化していくということ、あるいは
集約化していくということで、それをはっきり受けとめていくという
一つのものが出てこなければならないということになるかと思うのであります。そういう
意味で、
一般の
状態としては、何とかしてその
方向に向かわなければならない。
現実の問題を見ますと、たとえばここで、いわゆる
港湾の
機能を非常によくするために
外貿埠頭公団というようなものができて、そして
コンテナ輸送、それから
外航定期船については
専用貸し制度というものがとられてきているわけでございます。また、隣におられる
鉄関係もその
専用の埠頭を持たせる、そういうふうなことにして、船と
一般の
港湾業との間に一貫的な
運営の
体制をとっていくという
一つの
傾向が出てきているわけなんです。これはほかのほうでもやはり同じ
傾向になっていかなければならない。そういう面でやはり、この
港湾業との一貫的な
一つの
運営体制というものが必要であるということがいわれるのであります。これは
一つの必然的な
傾向であるかと思います。
ところが、こういう
状態について、今度は実際面においてそのとおりいくかということになると、今度のいわゆる
集約体制、
近代化に対する、運輸御
当局を中心にしたいろいろの各
委員会の検討の結果あるいは
港湾運送事業法の
関係というものが出てまいっておるのであります。これがたいへんなむずかしい面があるわけであります。
一つは、非常に零細な
企業の集まりである。その零細な
企業がこういう
一つの必然的な
方向を
認識して、それに即応していく
体制をとるということは、
自分の
企業そのものの存立と
関係してまいりますから、必ずしも簡単にはまいらないというものがあるということは、やはりわれわれとしても
感じ取られる。そこでこの複雑なもの、たとえば
港湾について見ますと、大
企業あり中
企業あり小
企業あり、それぞれのものが今度の
近代化の受けとめ方が違います。違ったものに対して、あるものはこれを受けていく、あるものはなかなかこれは困難であるというふうな形が出る。それがいま非常に
近代化のテンポをおくらしていることになるかというふうに、私は
感じておるわけであります。
片方で、いわば国とか
第三者とか、そういう
方面から見たこの
近代化のいわゆる
認識の
切実性と、それから
港湾業者が受けとめておる
近代化の
認識の
切実性、そこに
一つ差がある。それが、うまくいかない
一つのもとになっている。どうもおれの思うとおりにいかないと、
片方では
政府とか
第三者が言う。それから、実際その衝に当たっておる
方々からいったならば、何かわれわれの
企業を危うくすることを
国家目的という名前のもとにやっていかれるというふうなところが、いろいろ今回のようなことになってきたのではないか。これは私があえて申し上げるまでもないことで、
先生方は十分御
承知のことだろうと思います。
なぜ私がそれを申し上げますかといいますと、私はこれを
海運の
集約の場合と比較したことがあるのであります。
海運の
集約というのはやはり、
一つの産業が全体こぞって
集約に向かったわけであります。その場合には
政府も
業界も、このままにしておったら
海運業は倒れる、あるいは行き詰まるということがはっきりしておったものですから、そこでその
考え方がぴったり一致しまして、そしてみんなが同じ
方向に向かっていったわけであります。ところ今度の場合は、そういう
企業の
切実性というものが、
海運の場合ほどはっきり出てないということがあるのではないだろうかというような
感じがいたします。おそらく
港湾業界の
方々はどんな方でも、今後行くべき道はこういう道であるということを十分御
承知の上で、なおその
切実性の問題でいろいろお
考えになるところが出てきているのではないだろうか、こういうふうに私は思うのであります。
そこで今度、これを一体どうやって一致させていくかということが
対策の
一つになるのではないだろうかというふうに思うのであります。冒頭に申し上げましたように、やはりこの
近代化というのは
一つの行くべき
方向であります。その
方向に向かう具体的な
方法として、それをどうやって一致させていくかということが
一つある。こういう点が私としては
一つ考えられる点であります。
それから、これは
政府に対して非常に耳の痛い、申しづらいことでありますが、あえて私が申し上げますと、一体この
近代化というのは
一つの
国家目的であります。
国家がこういうふうな要請をするときには、
政府は必ずそれへ導いていく手を差し伸べていくべきであります。たとえば
海運の場合についても、
集約したものについては船をつくらせる、あるいは金利をこうするというふうなことで、そこで各
企業が十分その
方向に向かうことを
考えるというものがあったわけであります。今回の場合もやはり、この
一つの
国家目的に対していく場合に、各
企業に、あなた
たちはこういうふうに行きなさい、こういうふうに行く場合にはこういう
メリットがありますよというものを出せるなら出していただいたならば、この問題というのは
企業自身が十分お
考えになる面が出てくる。その点は私は独断で言っているのではなくて、この
集約をきめました
審議会の
答申の中にも、やはり同じように書いてあるのであります。
答申を見ますと、
国家としても十分な
一つの
措置、いわゆる
財政的援助というテーマを掲げまして、十分な
措置をとるべきであるということが出ておるわけでありまして、この点につきましては具体的に言うと非常にむずかしい問題があるかと私は思います。しかし国がやる以上は、
近代化のために障害になっているものを取り除く
一つの
方法を国が援助していくということがやはり必要ではないだろうか。それは
財政措置というふうなことでここに書いてございますが、いま
予算措置といっても、もうすでにことしは終わっておりますので、そう簡単にできるものではありませんが、何かひとつそこに早急にお
考えをいただくということがあってもいいというふうに私は存ずるのでございます。
業者といたしましては、こちらに向かうことが必然であるけれ
ども、
現実の問題としては、こちらに向かうことに対して国がどうやってくれるかその
メリットを計算した上でもって
考えるということは、これはいい悪いを越えて
一つの
方向であります。ですからそれをひとつ持っていくようなことは、やはりきょうは間に合わないとしても、この次には
考えていただくものがあるのではないかというふうな
感じがいたします。しかしそういうことが今日の段階としてできるかできないかということになると、ちょっとできないということになっていくと思います。しかもこの九月三十日に
近代化体制をとれ、こういうふうに
法律がきめておられるということでありますから、やはりこの
法律にきめられたものは何とかして守っていかなくてはならないということになりますと、ただ理念的にこの
必要性を言うということのほかに、これももちろん必要でありましょうが、各
業者はこれをやることによってどういう
メリットが出るかということを
自分でお
考えになる機会をお持ちになるということが、やはりこれを実現する
方向へ行くのではないか。
じゃ、それは一体どういう形であるかということになりますと、実は私も
港湾業界のことはよく知りませんけれ
ども、各
地方ごとにわれわれは一体どうやったらいいだろうかということを十分お
考えになる、
一つの
連絡機関なり
協議会なりをお持ちになって、そこで十分お
考えいただく、こういうふうに思うのであります。その
やり方等につきましてはひとつ十分お
考えいただいて、そこで
皆さんのそういう
考えが出ていく。出てきたものを今度、
中央のほうへ反映していく。その
中央のほうは、そういうものを尊重してやっていくというふうな形のものができたらばいいのではないだろうか。それをできるだけこの九月三十日までの間に、やれるだけのことはひとつやってみる。やれなかったならば、また
法律の解釈というものをできるだけそれに合わせるように、
現実に即した
対策でお取り扱いを願いたい、そういう
方法はいかがかというふうに私は
感じております。
時間もございませんのでここら辺にいたしまして、
あと御質問でもございましたらお答えいたしますとしまして、私はなぜこんな
業界の内容のことまでも触れるかということになりますと、やはり
港湾業の中で
混乱を来たすということは、船の
機能のほうへ非常に大きく響てくるというふうなおそれを
感じますから、そういう
機能に
混乱を来たさないような
方法で
近代化をやっていただきたいというふうに
考えております。
それをひとつ申し上げまして、根本的には賛成でありますが、なかなかこれはむずかしい。むずかしいが、その
方法は何かあるだろうということ、それも九月三十日を限ってもやれるものはある程度やる。やった結果がどうなるかということは、また
考える。そういうふうな
方法でおいでいただくことをお願いいたしまして、はなはだ
潜越でありましたけれ
ども、かってなことを申し上げましたけ
ども、どうぞ失礼な点はお許し願いたいと思います。