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1968-04-09 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 砂田 重民君 理事 徳安 實藏君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅波  茂君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    板川 正吾君       金丸 徳重君    久保 三郎君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         水産庁次長   森沢 基吉君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         水産庁生産部漁         船課長     小島誠太郎君         海上保安庁警備         救難監     猪口 猛夫君         郵政省電波監理         局無線通信部長 石川 晃夫君         郵政省電波監理         局無線通信部航         空海上課長   河野 邦男君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月四日  委員小渕恵三君及び加藤六月辞任につき、そ  の補欠として中村梅吉君及び瀬戸山三男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員瀬戸山三男君及び中村梅吉辞任につき、  その補欠として加藤六月君及び小渕恵三君が議  長の指名委員に選任された。 同月五日  委員米田東吾君、沖本泰幸君及び松本忠助君辞  任につき、その補欠として江田三郎君、小濱新  次君及び浅井美幸君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員江田三郎辞任につき、その補欠として米  田東吾君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員井上泉君、渡辺芳男君、浅井美幸君及び小  濱新次辞任につき、その補欠として久保三郎  君、金丸徳重君、松本忠助君及び沖本泰幸君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員金丸徳重君及び久保三郎辞任につき、そ  の補欠として渡辺芳男君及び井上泉君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月八日  港湾運送事業の集約に関する請願(野間千代三  君紹介)(第三五八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第三七号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三お尋ねをいたしたいのであります。  お尋ねをいたす前にお断わりを申し上げておきたいのであります。私は実は船舶海運やそらしたことについては全くのしろうとであります。勉強不足の者であります。こうした重要な問題につきましてお尋ねをいたすにいたしましても非常におそれるのでありますが、たいへん的はずれの関連になるかもわかりません。また非常に素朴、プリミティブなことにわたるかもしれませんが、その点は御了承いただいて、しろうとというものはそのようなことについてまで首をかしげるかというようなことの中で、簡明にしてかつわかりやすくお答えをいただければありがたいのであります。  そこで初めにお伺いいたしたいのでありますが、今回のこの船舶安全法のねらうところは、喫水線を標示することによって、さらに一そうの航行の安全を期したい、また無線設備を設置することによって航行の安全を期したいということであります。  お配りいただきました資料によってざっと勉強してみますと、ロードラインが直接問題になりましたのは最近ないのではないか。三十七年の改正のときに、これも条約受諾に伴って改正いたして以来のことのようであります。今回さらにこれを改正しようというのにはどんな経緯とまた理由とがあったのか、ざっとお示し願いたいのであります。
  4. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 満載喫水線と申しますのは、船の載貨限度をきめるというしるしでございまして、確かに前は国際満載吃水線条約、これは一九三〇年でございますけれども、この条約船舶安全法に取り入れまして、国際航海に対する船舶につきまして、その載貨限度をきめておったわけであります。ところがその後いろいろ海難事故その他の問題がございまして、たとえば漁船でございますと、相当船は小さいながらも、しかも国際航海しないものでございましても、相当遠方に出かける。それから貨物船におきましても、やはり同じような海難事故がございます。乾舷ゼロの船と言われているのがいい例でございますけれども、そういうことに対しまして、実はだいぶ前から、小型船舶に対しても満載喫水線をつける必要があるのではないか、これが安全の第一の問題であるというふうに、いろいろこの委員会におきましても議論されたことがございます。  それから最初質疑のときに申し上げましたけれども、これは前にSOLAS条約を取り入れまして安全法改正したことがございますが、そのときにも実は満載喫水線に関する問題が出ております。たとえば「沿海区域航行する船舶について無線設備及び適正な乾舷を確保するための事項」こういうことが前の附帯決議にもついております。そういういろいろの経緯がございまして、今回は一九六六年の満載吃水線条約受諾と、それから国内船安全確保のために満載喫水線法律に盛るということを両方一緒にやったわけでございます。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 この満載喫水線法沿革を見てみますというと、当初大正十年三月でありますか、満載吃水線法が制定せられ、このときにも条約があって、その条約受諾に伴って、まあ言ってみますれば国の義務としてこうした法律をつくることになって、自来大体その条約に先行され、条約に右ならえするというような形で本邦におけるロードラインの制度というものはずっと続けてこられたのであります。いままで何回か改正もあったようでありますが、そういうことであり、三十七年の改正もそのままのようであります。  今回の場合におきましては、条約受諾と同時に、その対象になった船はもとよりでありますが、これを機会としてさらにその適用範囲を広げておるんですね。いままでの沿革においてそういう例があったかどうか。それから、今回特にそうした範囲を広げたことについて、何か特別な理由があったかどうか、それを御説明願いたい。
  6. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 船舶満載喫水線と申しますのは、先ほど申し上げましたように、載貨限度をきめるということでございまして、船舶の安全を確保するためのまず最初の技術的な事項でございます。  それで、日本におきましての満載喫水線採用は、確かに一九三〇年の国際満載吃水線条約採用をしたことによって始まったわけでございますが、実質的には国際的にその前からいろいろ満載喫水線に関する実行と申しますか、そういうことはやっておりまして、一九三〇年に初めて国際条約として世界の画一的な基準ができたわけでございます。日本におきましては、非常に最近こまかい船がたくさんございます。そういう点でございまして、まあ船舶の安全を確保する第一の技術基準としまして、この満載喫水線をこの条約以外の船、すなわち内航船舶あるいは漁船、そういうものにつけることによりまして安全を確保するということは、これは適切な措置ではないか、かように考えます。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 日本における海運状況が、沿岸航路その他において比較的小型な船を多く使っておるという事情はわかります。したがって、条約基準以外においても、その安全のための適当なる措置を講じなければならないという事情もわかります。国際的に見ますと、この今回の条約受諾した国はたくさんあるようであります。これもお配りいただきました資料によって勉強いたしたのであります。そうした国においても条約基準以上に広げたという例があるかどうか。また広げたという例があるならば、その広げた程度というものはわが国で今度改正になろうとする程度のものであるのか、それとももう少し広げておるのか狭まっておるのか、その辺のことがおわかりになったらばお示しおきを願いたいのであります。
  8. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 満載吃水線条約以外に採用している国と申しますと、航路によりまして、日本安全法によりまして近海区域に相当する、それが大体国際航海に準ずるものでございますので、それを採用しておるということでございます。したがって、国際条約の内容を国内航海に準じて、その航路に応じて採用しているというのが大体一般の姿のようでございます。ただ、今度日本安全法適用しようとするような、違った技術基準採用するというのはアメリカなどの五大湖におきます喫水線、そういうもので、ちょっとやはり国際条約と違ったマークをつけまして採用している例はございます。その他、どの程度に各国が国内的に別な基準をつくってやっておるか、これがちょっといまのところまだ私も調べが十分ついておりません。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それじゃ大体は、わが国がほかの国よりもその点については丁寧といいますか、あるいはきびしいといいますか、あるいは一歩前進しておるといいますか、いずれにしても進んでおるやの感じを受けるのでありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  10. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 大体ヨーロッパあたりは川をはさんでもすでに国際航海になるという状態もございますので、日本のように非常に国際航海国内航海のはっきりしている国と申しますのは、数から申しますと非常に少ないわけでございます。したがいまして、大体ヨーロッパでも一応国際基準はほとんどの国が、国内航海に近いような船につきましても国際航海という名目でつけておるわけでございます。日本の場合ですと、そういう大きさの船はもうそのまま国内航海になりますので、したがって、その辺の比較が必ずしもぴったりできませんので、日本がほかの国よりもシビアな基準を設けたということはちょっと言いかねるかと思います。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで本改正案によって新たに適用される船の数といいますか、それからして、本改正案によってもさらに漏れておるといいますか、小さいものといいますか、長さの短いものというものがどれくらいあるのか、もっともその五条の船舶といいますか、あるいは五条以外にも船舶というところがあるのかもしれませんが、なぜここにその適用限度を置いたのか、その点をわかりやすく御説明願いたいのであります。
  12. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 貨物船旅客船そういうもので沿海区域と申しますと、距岸二十海里以内を航海する船でございますが、それにつきましては去年の暮れの調べでございますが、四千九百二十隻あります。それからそれ以外にたとえば引き船のような船、これが大体二十六隻ほどございます。それから今度新たに適用になります漁船でございますが、これが大体九千二十五隻、それに国際航海をしている漁労船というのがございまして、これが四隻ほどございます。それから運搬漁船近海沿海を行なうものを含めまして、これは国際航海をするものも含めまして大体百八十一隻あります。  それで新規につけるものが全部で一万四千百五十六隻ございます。新たに適用されるもの、そのうち大きいのが漁労船の九千二十五隻です。  それから従来の義務船舶が千三百二隻ございます。これは前の条約によってつける船でございます。  それから安全法適用船舶でございまして、満載喫水線を今度はつけない船、すなわち沿海区域の小さな船とか、いわゆる今度まだ満載喫水線をつけない船でございますね。これは大体漁船以外の船でございますと、沿海の船が四千七百三十六隻ぐらいございます。それから先ほど申し上げました引き船とかそういう種類のもので特に満載喫水線の必要がないような船でございますが、それが七百六十一隻ほどございます。でございますので、大体船舶安全法適用船舶は以上のように仕分けされるわけでございます。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いま承って大体の感じで受け取れたことは、いままで適用された船の十倍近いといいますか、七、八倍近いものが今度の対象になるということであります。数だけでいいますと非常に重大な改正のように思われるのでございます。  そこで、今回は百トン以上、長さも二十四メートル以上、こんなふうに改正対象をしてあるのでございますが、これを長さを二十メートルにするとか、あるいは総トン数を八十トンにするとか、そういうことにするとそれはどのくらいになるのか。同時に、これをそうしなくてもよろしいとお考えになった根拠がありますれば、これも簡単でいいですからお示し願いたい。
  14. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 漁船につきましては船舶安全法適用船舶全部に一応乾舷マークをつけるということにしましたので、九千隻以上の船が新たに適用になります。しかしこれはいままでだいぶ長いこと技術的に研究いたしまして、目下技術基準を附則として公布しております。これをそのまま今度の改正法律にあげてまいりまして、強制ということになるわけでございます。それで非常に漁船のために多くなったわけでございまして、それ以外のいわゆる貨物船、客船の二十四メートルというのは、大体百トン前後という数字でございます。これにいたしました理由でございますけれども、大体御存じのように貨物船旅客船のようなもので百トン未満と申しますと、ほとんど近回りの船が多いわけでございます。したがいましてそういうものは一応安全航海をやっているというふうにみなしまして、二十四メートルをとりました。それでその二十四メートルと申しますのは、今回の国際条約の一応改正になった基準でもございます。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 実はいままでのこの満載喫水線法沿革から考えまして、大きい船はむろん遠くを走るということもあるのでありましょうが、航行の安全を期するためには自主的に相当配慮しておると思われる。今度の改正につきましても、百トン以上にしたのはそういうところだろうと思うのですが、いまの御説明によると、小さい船のほうが安全航海については自主的にやっているから、対象にしなくてもよろしいという御説明のようであります。いままでとは逆な考え方になっておるように受け取れるのでありますが、その点はいかがでありますか。
  16. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、漁船につきましては、二十トン以上全部ということで非常にたくさんの隻数、ほとんどの漁船が一応これに適用になるわけでございます。これは漁船は小さいけれども、相当遠くまで出漁するという事実によってやったわけでございます。  それから貨物船あるいは旅客船につきましては、先ほど申しましたように、百トン未満でございますとわりあいに限定した航海をいたしております。その意味で、一応安全が確保できるというふうに考えたわけでございます。
  17. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、あまりこれに時間をかけちゃいけませんが、海難防止のためにということでありますので、いまわが国におけるこうした比較的小型が受けておるところの、あるいは起こしておるところの海難事故発生状況というものはどんなでありますか。今回の改正では、御説明によりますと、積み過ぎによる海難を防止するためというようなことを特に強調しておられるのであります。小型の船が起こしておるところの海難は、積み過ぎというばかりでなくて、いろんな原因があろうかとも、これはしろうと考えで、思うのであります。こうしたことについて、どんな原因で、またどんな種類海難を起こしておるのか、同時にその海難というのは最近数年間、三十七年改正以後においてでもよろしいですから、どういうふうな傾向をたどっておりますか、お持ちになった資料程度でよろしいのですが、概数だけでも、傾向だけでも、お聞かせが願いたいのであります。
  18. 猪口猛夫

    猪口説明員 最近日本沿岸付近におきます海難は、大体総体的に申しまして、横ばいになっております。そのうち、御質問のありました海難原因状況を見ますと、これもあまり大きな変動はございませんが、数字的に例をとってみますれば、昭和四十二年の海難発生件教が二千七百四十七件ございます。そのうち運航誤りと見られるものが千四百九十一隻、それからその次に多いのが、機関の取り扱いがよくないと思われるものが四百十六件、その次には、いわゆる老朽船とか、そういう船体の材質、構造等の悪いと思われるものが三百六十四件、不可抗力によるものとか、あるいはかじの取り扱いが悪いというようなものが二百三十三件、それからただいま問題になっておりました過載によるもの、要するに積みつけの悪いと思われるものが、二千七百四十七件のうち九十六件あるというような状況でございます。  傾向的に申しますると、大体において大きな変動はございませんが、運航誤りに基因するものが、傾向的には多くなりつつあるという点もいえると思います。
  19. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これは、問題になっておるところの積み過ぎによる海難事故が最近特にふえてきておるということではなさそうですね。それでよろしゅうございますか。
  20. 猪口猛夫

    猪口説明員 格別に過載によって海難が多くなったという現象は見られないようでございます。
  21. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、これも私の想像なんですけれども、たとえば陸上などにおいては、貨物輸送その他によって起こるところの事故傾向を見てみますると、積み過ぎなどが大きな問題になって、例の砂利トラとかなんとかいうような現象を来たしておるのでありますが、こうしたことはこれから海上においても起こるのじゃないかという心配を持つ。私は、先ほど八十トン程度の船でも、もしかすると対象にしたほうがいい場合も将来起こるのじゃないかというふうな意味においてお尋ねをしたのであります。先ほどの答弁では、そうした小型は比較的近距離の、比較的安全な航路航海しておるから、こういうことでありますが、陸上輸送状況などの傾向を見ますると、将来砂利船なりその他がたくさん出てくる傾向もあると思います。そうしたものは航海的にいうと、きわめて安全な、もしくは短距離のところをやるかもしれない。しかし満載喫水線法がねらうところの荷の積み過ぎによる事故ということになると、これは比較的心配の種になるように思うものですから、それで一応将来としては、百トン以上の船が心配であるならば、八十トン以上の船もしくは七十トン以上の船というものも問題にすべきではないか、こう思ったものですから、そこで百トンにしたという理由お尋ねをした。ただ単に航路安全性が多いところだから、あるいは近距離だからということだけをもって、そこに線を引くことのよしあしというものは検討されなければならぬと思うのでありますが、いかがでありますか。
  22. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 確かに先生がおっしゃるとおりでございまして、百トンから大体五百トンくらいの間の海難が比較的多い現状でございますけれども、百トンと九十トンとそう差があるというわけでもございません。ただ、われわれのほうが法的規制を行ないます場合には、やはり実行可能なものからやっていくわけでございまして、それで今回はいわゆる二十四メートル、大体百トン前後のものを押えたということでございまして、今後も確かに検討の余地はあると思います。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこでお尋ねを進めるのでありますが、この法律の実施によりまして、船主あるいはチャーターしているものとしますれば運航者なりが受ける利益はよくわかりますが、損害といいますか損失というようなものをお考えになったことがありますか。それに対してどんな措置考えられておりますか、この際承っておきます。
  24. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 満載喫水線による船舶の安全というものの考え方は、非常に前からございました。しかしそういう船主に対する負担と申しますか、そういうことがございまして、なかなかいままでこれを皆さんに納得してもらって、統一的な技術基準で行なうというのには時間がかかったわけでございます。したがいまして、今回の基準は、一応いままでの船主の方々にそういうことの納得を得た線できめたわけでございますが、これによりまして、船によっても積み荷の量が変わってきますけれども、大体六%前後積み荷が減るというのが多いようでございます。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これは相当船主なりそうした人たちは、本法の施行によって窮屈になるということがはっきりいたしておりまするから、そういう意味において何らかの、法のねらうところの趣旨が円滑に達成されるような配慮があらかじめされなければならないことと同時に、百トンと線を引いたことによりまして適用されるものに対して不公平があってはいけないように思うのであります。八十トンあるいは九十トンだったらよけい荷物が積めたんだ、そのために営業状態はよかったんだ、楽になったんだというようなことがあってはいけないと思ったものですから、しろうと心配するままにお尋ねをいたしたのであります。そういうことについて今後十分御研究になって、これはせっかくの航行安全保障という大きなねらいの中からでありますから、そのねらいに合うような結果をもたらすような御配慮が願いたいと思うのであります。それにつきましてはまた、大臣がいらっしゃいましたら最後にお願いをいたすことといたします。  次に、これから無線関係についてお伺いをいたすのでありますが、無線施設小型の船にも設置させるということについては、これは条約受諾に伴うということではなくて、全く国内理由だけと承ってよろしいのですか。
  26. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 仰せのとおりでございます。
  27. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今回の改正案によりまして対象となる船のうちで、すでに自主的に設置したものが相当あるやに承っておるのでありますが、対象船舶全体と、今度この法律施行によって義務づけられて新たに施設しなければならない船の数というものは、どのような比率になっておりますか、それから承っておきたいと思います。
  28. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 新たに無線設備義務づけられる船舶で、すでに任意に無線設備を持っております船の数は、さきに配付いたしましたこの横の資料の三ページにございます。「無線電信及び無線電話施設義務船舶」という表題でございますが、これにございます。現在無線電信または無線電話施設義務船舶は、二千九百七十七隻でございます。それが今度の改正によりまして新たに必要になりましたのが、千七百四十一隻でございます。それからこれのうちもうすでに無線電信または無線電話をつけているものが、これの約八〇%にあたる千三百九十九隻という数字になっております。
  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 すでに自主的に進めておられるような状況でありますから、その点につきましては、漏れた若干のものについて義務づけられるということも、そういう意味においては、私は実情に合うことのように思うのであります。そこで、今回の措置によって、少なくとも三、四百の船に新しく無線電信なり電話なりの施設を設置させることになるのでありますが、これは新しい電波を割り当てるということになりますか、それともそうではなくて既設の電波によって間に合わせるということになるのでありますか。その点はいかがでありますか。
  30. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  このたび新しく強制いたします船舶に使います周波数につきましては、中波におきましては五百キロサイクルの電信でございます。それから中短波におきましては二千百八十二キロサイクルの電話でございます。それからもう一つ、超短波におきましては百五十六・八メガサイクルの電話を強制することになっております。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それでは、全船舶が同じ波長のものを、同じ電波を共用するということになるのでありますか。
  32. 石川晃夫

    石川説明員 そのとおりであります。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういたしますと、現在は、これからふえるのが三、四百の船であるということでよろしいのであるが、この程度小型の船はこれからも陸続と建造され、就航するであろうと思われます。さらに、そうしたものに同じ電波を共用させるということによって、電波の混乱を来たしはしないか、その混乱を来たす心配がありとしますならば、せっかくの航行安全のためのこの法律のねらいが、かえって電波の混乱によってその目的を達し得ない、もしくは目的が阻害されるというような心配もなきにしもあらずと思うのでありますが、こういうことについてはどういうふうな考えを持っておられますか。
  34. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  この無線設備船舶に強制いたします場合は、船の安全ということが目的でございますので、安全のためには遭難通信の使用ということが主眼になるわけでございます。この遭難通信につきまして、すべて船舶は共通の電波を使っているわけでございますが、これは原則でございます。と申しますのは、無線設置を設置いたします船舶がふえるということは、逆に救助体制ができている船がふえるというふうに考える次第でございます。したがいまして安全性の向上に役立つというふうに考えております。  それからまた、無線設備を設置いたします船が増加した場合でございますが、遭難通信を発します船舶が多くなるということは当然考えることでございますが、この遭難通信疏通のための体制は、全沿岸海域におきまして、海上保安庁の海岸局並びに海上保安庁の巡視船の無線局が中心になって、この遭難通信に対する体制を整備しているわけでございます。また、遭難通信は相当厳格な運用上のルールで疏通されておりますので、一時に多数の遭難通信が発せられました場合でも、十分指揮、裁量ができる体制は整っておりますので、この強制船舶範囲を拡大することによりまして無線設備を設置する船が増加いたしましても、既設船の遭難通信の確保というようなことについて別段影響はございませんし、遭難通信の疏通についても心配することはないと存ずる次第でございます。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 電波を共用する船がたくさんふえるということによって、起こるかもしれない混乱に対する措置は十分講じておるというようなお答えのようであります。それはそのとおり承っておきまして、今度の改正によりますと、いろいろ重要な点について省令に譲っておる個所が見受けられるのであります。その省令に譲った理由、それから譲った項目といいますか、どういう点を譲っておるのか、ざっと承れればありがたいと思います。
  36. 石川晃夫

    石川説明員 このたび先生のお尋ねの省令に譲った点は、電波法三十三条などの加重条件の緩和についてでございます。この内容を御説明申し上げますと、まず船の中の連絡設備でございます。現在は法律の三十二条にございますが、この義務船舶無線電信局の連絡設備は主たる連絡設備から独立しており、かつ同時送受話方式のものでなければならないとなっておりますが、ただし、千六百トン未満貨物船及び漁船義務船舶無線電信局については、郵政省令の定めるところによりその加重条件を免除できるというふうに省令に譲っております。この省令に現在はどういうふうに譲っておるかと申しますと、五百トン未満貨物船、それから三百トン未満漁船のものは免除ができるというふうになっております。今度新しく強制いたします場合でも、同じように免除をできるというふうなことに考えておりますので、これを省令に譲ったわけでございます。  それからもう一つは設置場所の問題でございますが、これも電波法三十三条の二に規定されております。現在規定されておりますのは、義務船舶局の無線設備は外部よりの雑音のない場所、できるだけ高い場所、水、温度等の影響のない場所に設置しなければならない。ただし、漁船義務船舶については郵政省令の定めるところにより、その条件を免除できるとなっておりまして、三百トン未満漁船のものは免除されております。これを今度は免除できる道を開きまして、現在の船で、既設船でございますが、現在の船でこういうことが実行困難なものは免除したいというふうに考えております。  それから次に補助設備でございますが、これは主たる設備が障害が起きましたときに使う。これは電波法第三十五条でございますが、これも義務船舶無線電信局には郵政省令で定める条件の補助設備を備えつけなければならない。ただし、千六百トン未満貨物船及び漁船義務船舶無線電信局については郵政省令の定めるところにより、その備えつけを免除できるというふうになっておりまして、現在では五百トン未満貨物船、三百トン未満漁船のものは免除されております。これも免除できる道を開きたいというふうに考えております。  以上でございます。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 免除規定といいますか、緩和規定が多いのであります。私はそれについて別に異存があるわけではありません。ただずっと見てみますると運用義務時間が非常に短縮されておる。それからして聴守義務時間といいますか、第何条でありますか出てくるのでありますが、そういうものも非常に短くなっておるというようなことからいたしまして、これはせっかくの大事な電波を共用するという制度であるにもかかわらず、実際には非常に緩和してしまっておりますので、看板倒れになりはしないか、ただ形だけ整えて、実用には、実効はあまり期せられないような結果におちいりはしないかということをおそれるのでありますが、その点はどうなんでありましょうか。このせっかくの航行安全という大きなねらいでありますから、緩和規定をあまり重視するために仏つくって魂入れなかったということであってもいけない、こう思いますが、こういう点についてはどういうふうな御見解に立っておりますか。
  38. 石川晃夫

    石川説明員 船のほうには聴守時間及び運用時間を義務化されておりますが、聴守時間につきましては船舶局が航行中に遭難周波を常時聴守しておるという体制は非常に望ましいかっこうでございますが、しかし聴守を維持するというためには負担がかかるわけでございます。そのために海上保安庁の無線局などによりましてこの聴守体制を十分整えておりますし、また、この時間を制限する場合にはできましたら法律で規制する範囲を最小限にとどめたいということで、今回の場合は二時間の聴守義務時間を課そうとしたわけでございます。このようにいたしますと、これらの船舶はいつも聴守しないでも、海上保安庁の海岸局のサービスエリア内において運航しているということが考えられますので、この点につきましては常時義務を課さなくともその体制が十分とれるというふうに私たち考えておる次第でございます。
  39. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 時間がだいぶ過ぎましたから進みますけれども、いまのお答えによりまして、比較的沿岸もしくは近海航路であるから常時聴守の設備がなくとも、人員の配置がなくともまあまあだいじょうぶだ、こういうことのようであります。これは今度はたくさんの船にふえますから、そういうことで間に合うかどうかということについては、若干これはしろうと心配でありますが心配もなきにしもあらず、ただ専門家のほうで御研究になってそれでいいということであれば引き下がらざるを得ません。願わくばなるべく船主などに、あるいは船の運航者に大きな精神的負担もしくは物質的な負担をかけずにこの制度が運用できるようなことであれば・それにこしたことはありません。そこでこの一つの設備をするのについて、どれくらいの経費が予定されておりますか。
  40. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  新しく設備を強制することになる船舶でございますが、これは先ほど申し上げましたように五百キロサイクルの中波の無線電信と、二千百八十二キロサイクルの中短波の無線電話、それから百五十六・八メガサイクルを使う超短波帯の無線電話、この三つがあるわけでございますが、これの価格を申し上げますと、五百キロサイクルを使います中波の無線電信の装置といたしましては、おおむね五百ワットの機械といたしまして、工事費も含めまして五十六万円というふうに算定をいたしております。それから中短波の無線電話でございますが、これはSSBの十ワットというのを標準にしておりまして、それの価格はやはり工事費を含めまして五十万円というふうに考えております。それから超短波帯の無線電話でございますが、現在日本電信電話公社におきまして機械の貸し出し制度を実施しております。その使用料は月額、公衆通信と保安通信装置を含めまして二万六千四百円というふうになっております。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その程度の経費でありますと、新しくつくる場合においても船価の上に大きな変化がないということである。したがって、この制度実施によって運賃に響くということもないかのように思われる。ただしかし、そうは言いましてもやはり五十数万円の金がかかる。それから時間はかなり緩和されてはおるといたしましても、それについての人員というものの用意を一応はしておかなければならないと思います。こういう負担を新しくかけるということについては、無線関係におきましてはすでに自主的にやっておるくらいに実効をあげておるものでありますから、残った船についてそれを義務づけてもたいしたことではないようにも思われるのであります。これは大臣にお伺いいたしますが、しかし残った船というものは、ほかの船が確かに自主的につけておった過去の経歴があるにもかかわらず、なおつけなかった。つけなかったのには、つけなくてもいいという理由があったか、もしくはつけることによって経費がかかり、それがまた運賃に影響する、収益に影響するということがあっては困るというようなことでつけなかったかもしれない。そのいずれにいたしましても、新しいこの改正案施行せられることによって、船主もしくは船長その他運航の任に当たる者については負担がかかるわけであります。この制度が海運に全体的にいっていいことはわかっておりまするが、それだけ新しく負担を増すことになりまするので、国としてはこれについても何らかの措置が講ぜられてしかるべきやにも思われるのであります。たとえばその一部を負担してやるとか、若干の助成金を出してやるとかいうようなことについては政策的にお考えになったかどうかお伺いいたしたいのであります。
  42. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 残りは二〇%程度ある由でありますが、政府としましてはかねてからこの問題をPRいたしまして、つけることを勧奨してきておるのでございますが、御指摘のように経済的理由とかそのほかの理由もございまして、まだ二〇%程度残っている由でございます。しかし、いずれこれはつけなければならない問題でございますから、できるだけ勧奨いたしましてつけるように行政指導をしていきたいと思いますが、当面補助金やその他を差し上げるということは非常に困難であると考えます。
  43. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もうこれで質問は終わりますけれども、さっきのロードライン範囲を拡張するということによりまして、このほうはペンキでもって線をかけばいいということでありましょうから、それ自体はたいした金もかからぬと思いますけれども、収益にかなり影響してくるのではないか、したがって、もしかすると、せっかくその対象船舶になったのにもかかわらずこの法を免れるようなものが出てこないとも限らない。  もう一つは、先ほど実は大臣がお見えにならない前にお尋ねをいたしたのであり、お答えを得たのでありますが、百トン以上という対象船舶でありますから、もしかすると百トン未満の船であっても相当の積み過ぎというような結果を来たしておりはしないかというようなものも出てまいるのではないか、こうしたことについて、全体的に見てこの法をしっかりと運用するためには取り締まり方法なり何なり、あるいは指導方法なりを講じてまいらなければなりませんし、次に心配されるところのさらにその下の船に対しましても今後の状況を見て対処していかなければならないと、これはまあしろうとながら思われる。これについて本法施行のための予算というもの、人員の増配とかなんとかいうものはどの程度本年度の予算について考えられておりますか、また、将来そうしたことを念頭に置いて考える御方針でありますか、大体のところを承りたいのであります。
  44. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 満載喫水線のほうにつきましてはもうすでに技術基準もできまして、その技術基準に従ってマークをつけるということになっております。したがいまして、そのためには事務経費が必要でございますが、それ以外に特にこの安全法改正のために必要な経費というものは、その必要がないと考えます。  それから、無線につきましては、まだ日本の周辺に超短波のVHFの陸上施設もございませんので、これは今後海上保安庁のほうで優先的に予算措置を講ずるというふうに話がついておるわけでございます。
  45. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これで終わりますが、実は大臣、先ほど私は、本法の施行が、今度は条約範囲を越えて広げてきた、いままでの満載喫水線のほうの沿革から見ますと、画期的なように思われる、それから、同じような海運諸国の例を聞いたのでありますが、あまり例がないようであります。これは私は海運日本としてその先導をするという意味において、ねらいとしてはよかったと思います。いいことだと思いますけれども、問題は、そういうことによって若干の不公平が起こりそうであります。それから若干の船主もしくは船長その他に損失を及ぼすようなことが、これは経過的ではありましょうが、起こりそうでありますので、したがって法を免れたいとする者も出てきやしないか。そういうことについて、施行の公平を期するという意味における取り締まりといいますか、指導官庁におけるところの体制を整えておく必要がありはしないか。この重要な法律改正を、しかも世界に先立って広げて適用していこうということでありますから、それなりの体制というものを政策の中で確立しておく必要がありはしないかと思われるのであります。いまのお答えによりますと、それについての十分な体制がないやの心配を持つのでありますが、大臣いかがでありましょうか。せっかくの大事な法律改正であります、大臣のお考えを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御指摘のとおりだと思います。そこで、検査であるとかあるいは常時の監視であるとか、そういう点につきまして、できるだけの注意を払いまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えます。
  47. 大野市郎

  48. 久保三郎

    久保委員 法案の審議に入る前に、一言大臣にお伺いしたいのでありますが、それはかねてから問題になっております日本通運の問題であります。これはすでに昨日新聞に報道されたように、前の最高責任者が検察庁に召喚されたということでありまして、いずれこの問題は検察陣営の手により、あるいは裁判によって正しく糾明されることだと思うのでありますが、ただ一刻も猶予できないのは、日本の輸送、特に陸上輸送でありますが、その中に占める日通の役割りというのは、今日ただいまでもかなり大きな役割りを持っていると思うのであります。また、最近のように輸送革新というか、目まぐるしくこれからも変転するであろう輸送革新について、通運業のあり方というものも早晩というか、直ちにこれを検討をせねばならぬと思うのであります。その検討にも、いままでの運輸省の態度は、聞くところによれば、検察陣営の一応の取調べというか、そういうものが一段落したあとにおいて監査をしたい、こういうような御意向のようでありますが、私は、いわゆる監査は別としても、制度的な監査というものはこの際やはりお始めになるほうがいいのではないか、こういうふうに一つは考えます。それは繰り返し申し上げますように、通運業の業態のあり方というのは通運業法というか、そういうものができた当初は、言うならば鉄道とそれをつなぐところの輸送、その輸送は、言うならば荷馬車あるいは手車という時代のままの制度が引き続き今日まできていると思うのです。ところが、特に終戦後自動車の発達、その中でもトラックあるいは路線トラックの発達というものがございまして、例を日通の対荷主との間の関係にとれば、荷物を日通に委託するということは、日通側から見れば運送取り扱い業としての取り扱い人としての受け付けであるのか、運送人としての受け付けであるのか、明確でない場合が今日あるわけです。しかし、お客は、言うならば日通という看板、それは運送をとにかくやってくれるのだというばく然たる気持ちで委託する者も数多くあると思うのです。そういうことでありますから、制度的にはだいぶ違ってきていると思うのです。いっとき問題になりました、鉄道と直結してのいわゆる小口混載輸送の問題一つをとってみても、これは裏を返せば、不法ではないが不当な措置があったということを当時から聞いております。これは解釈のしようかもしれませんが、運送人として荷物の委託を受けたのか、取り扱い人として受けたのか、それがごっちゃになって、その裁量は日通そのものの裁量により運送される、こういうことが今日ただいまでもあるわけであります。これは事日通だけではないと私は思うのであります。しかも、海上コンテナを契機として、陸上にまでコンテナ輸送という大きなものが今日入ってくるわけであります。そうしますというと、貨物証券一つをとってみても、これは制度的にいままでとは違ったものを考えねばならぬ。でありますから、いまのような運送人であり、取り扱い業者であるところの運送業というのか、何というのか二つの面を持っている、そういう業者あるいはそういう制度でやっていいのかどうか、私にはたいへん疑問があると思うのです。だからこの際、そういう法律的なあるいは制度的なものを解明する必要がある。そういう意味で、まず第一に日通の行政的な面、制度的な面での監査をひとつ早めたらどうですか。  それからもう一つは、大企業でありまして、いままで新聞等の報ずるところによりますれば、関連会社あるいは下請あるいは出資会社というものが数多くあるようであります。この数多い大きな傍系会社を持っているようなところに、どうも問題があると思うのです。わが運輸界においては、そういうものがほかにもあるのではないかと思う。だから、そういう傍系会社をたくさん持っていること自体に問題があると思うのです。本業でかどうかわかりませんけれども、これは一つの仮定でありますが、本業で吸い上げた利益をそこでは処分できなくて、子会社を通して処分していく、そうなりますと、本業のほうの会社は赤字かとんとんの会社であるようにも見える場合があるわけです。そういうのはえてして公正ではないと私は思うのです。そういう意味を含めて、この制度的なものをやっていったらどうか。それから子会社のあり方についても、これは運輸行政ばかりじゃないが、まず第一に問題が運輸関係から出たのでありますから、そういうもののあり方についてひとつ検討を進められたらいかがでしょうか。もし何でしたならば、運輸大臣の裁量によって省内に早目にそういう制度等をおつくりになって、一瀉千里にこの際一応の検討を遂げたほうがいい、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。  さらにもう一つ、時間もありませんから申し上げますが、今日ただいまの経営陣に対して運輸大臣として何らかの指示なり指導勧告というか、そういうものを与える必要はないでしょうが。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日通は従来通運業法あるいは自動車運送事業法、港湾運送事業法等のいわゆる事業法系統の監督を受けまして業務を運営してきたわけでございますが、資本主義社会においてその業法に基づく監督、監査というものをどの程度行なうべきかという点について、必ずしも明確でなかったように思います。しかし、実際業務を正常に運行して収益もあげ、公共性、公益性も考えてやっているという場合には、そういう特別の監査や監督は必要でないと思いますが、今日のような異常な事態が出てきた状態におきましては、いままで以上にきびしい態度をとって、これらの業法を発動して厳格に監査し監督する必要があるように思います。それと同時に、わが国の総合的輸送体系の中において通運事業、特に日通というものがどういう地位を占めることが正しいかということを根本的に再点検をする必要があると思います。一つの例を申し上げれば、食管関係の輸送の問題とか、防衛庁関係の輸送の問題とか、たばこの輸送の問題とか、ほとんど独占してやっている状態でございますけれども、その独占の弊害が今日のような事態を呼び起こしたとも考えられます。しかし、一方において、日通に対抗するような強い通運業の体制が別にないというのが非常に大きな欠陥であるように思うのであります。そういう面から急に阻止することはできないと思いますが、私は、競争原理を導入するようにするということだけではどうしても至急確立してやる必要があるし、そのために積極的に育成していくということも私は考えなければならぬと思っております。  それから関連事業との関係でございますが、正直に申して、私たちもあの伊豆半島の稜線の上に日通何とかランドという大きな別荘みたいなレジャー地帯ができましたのを見まして、非常に奇異な感じをいたしました。何かわれわれが考えている日通のビジョンからは抵抗を感ずるものがあそこに出てきたということは事実であって、私も野におるころにはそういうことを人に話したこともあるのです。これはおそらく日本じゅうの人がそういう感覚を持ったに違いないと思うのです。そういうふうに世人が何となしに抵抗を感ずるようなものが出てきたということは、やはり日通の本来の使命に対する国民の期待と申しますか、常識の線というものがあると思うのです。そういう常識の線に戻すということも、国の行政指導としてやるべきではないか。現在日通に約七十一ばかりの下請や関連企業がございますけれども、これらの事業法のもとで運営されている日通、それから戦争で国策で統合されて、そうして小さな業者がみんなのれんをささげて国家のために統一したあの日通というものが、戦後そのままその形態を維持し続けられているということは、全国の中小業者の大きな犠牲の上に成り立っておるわけでございますから、そういう因縁から考えてみても、相当な道義性というものを経営の内容やその他について考えていかなければならぬ要素があるのです。そういう面に対する道義の感覚というものが麻痺していたこともわれわれとしては指摘せざるを得ないと思うのでございまして、そういう面から関連企業その他との関係についても精密に監査いたしまして、不適当と思われるものはこれを排除するようにしていくべきであると思います。  それから経営陣につきましては、ともかくこのような事件が起きたということは、長い間の独占からくる弊害、あるいは内部における経営というものが必ずしも民主的に運営されていなかったということが露呈してこういうことになったと思いますので、今後の司法当局の処断を待ちまして、われわれとしてはそれらの問題についてそれが民主的に、正常に運行するように業務を実施させなければならぬと思っております。  全般的に申し上げますと、資本主義体制のもとにおいては、これらの業法のもとにどの程度までこれらの企業に役所が干渉し、制肘を加えることができるか、非常にむずかしいところです。やはり自由企業の時代でありますから、自由なる企業を伸ばす、経営能力は十全に伸ばすという方向に持っていくのが正しいと思うのでありまして、その点について業法でどの程度国家が指導をするかということは、これは研究すべき課題であって、日通のようなそういう特殊のものにつきましては、やはり特殊の体制を国家がとっていいようにも考えられます。そういう点については、運輸省といたしましていま研究を開始するように命じたところでございます。そのほか、ただいま申し上げました全般の問題につきましても、日通の改革について相当思い切った処置を今後講じていきたいと思って、検討していきたいと思います。
  50. 久保三郎

    久保委員 大臣お述べになったおおよその問題については、同意というか、そうだろうと私も思うのであります。ただ、早急に政府といたしましても、運輸省いたしましても本件についてこうあるべきである、こう考えるということは、やはり出したほうが一歩前進であり、改善の方向をそれぞれとれるのではなかろうか。もちろんそれは全部法律的なもので制肘を加えるかどうかは別として、あるべき姿を明示することが一番いいんではないかと私は思うのです。ぜひ早急にそういうものをお出しになっていただくよう、この際は要望しておきます。  時間もありませんので、本件についてはまた後刻同僚諸君からお話があると思うので、法案のほうに入らせていただきます。  きょうは、漁船事故というか、海難を中心にして質問を申し上げたいのでありますが、漁船についてはすでに何回か本席でお話を申し上げ、あるいは最近では予算分科会等でも申し上げてありますので、あらためて事こまかく申し上げる必要はないと思うのです。ただ、最近の漁船海難傾向として多いのは、小型の流し網、これが非常に多くなっている。あるいは北洋転換の底びき船の遭難が多い。つい最近では第八十六大栄丸というか、そういうものが全損に近い海難を受けているわけであります。この原因についてはもはやおわかりのとおりでありますが、一言つけ加えますならば、特に小型流し網であります。これは知事許可の漁業だろうと思うのでありますが、三十七年以来操業区域が拡大された、それに伴って、言うならば海難が多くなっている。だから、この操業区域が、現在の七トン未満の船のそういう性能で耐え得るものであるかどうかは、これはやはり検討の時期に来ているのではないかと思うのであります。だから、この船の性能というものとこの操業区域との関連は早急に検討を開始するようそれぞれの手配をとるべきだと思うのだが、まず第一にこの点を、これは水産庁にお伺いします。
  51. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 久保先生から御指摘がありましたように、最近北のほうにおきます流し網漁業それから北洋転換船の遭難が多いということは事実でございます。いま一例としておあげになりました小型の流し網の漁船の問題につきましては、操業区域と漁船の性能とがどうであるかというお尋ねでございますけれども、これは北海道知事の許可する漁業でございまして、漁業の実態から見て、操業区域が必ずしも漁船の実態に不適当であるというふうには私たちとしては考えておりませんけれども、船型が非常に小さい漁船でございますので、漁船の過載と申しますか、オーバーロードにより遭難の原因をつくっておることが、過去においてもかなりあったというふうに考えております。これは一例でございますけれども、操業区域と漁船の性能、特に小型漁船との関係におきましては、御担当の運輸省とも協議をいたしまして早急に検討いたしたいというふうに水産庁としては考えております。
  52. 久保三郎

    久保委員 私、何かちょっとことばを聞き漏らしてたいへん失礼なんでありますが、性能とは関係ないようなお話がちょっとありましたが、それで過載というか、そういう積み過ぎについては何か関心を持たれておるようでありますが、むしろ性能というのが術語的に私が使っているのが間違っていれば、それは平たく言えばそういう海域にまで操業するには適切でないという船を使っているのではないか。それはもちろん船そのもので用心して行けば行けるだろうと思うのですが、大体操業区域が拡大されまして、この船の性能では片道二日ないし三日かかるわけですね。そういうところに行く。行くからにはそれだけの、帰りまでのいわゆる油その他を積んでいかなければならぬ。でありますから、当然のごとくこれは過載になる。トップヘビーの状態で行きは出ていく、帰りは、遠くまで行くのでありますから、日数に応じた漁獲をしなければならぬというので、いままでなら一日あるいは二日くらいで行ったり来たりできたものを、たとえば一週間から十日、七トン未満の船で海洋にいるならば、二日ないし三日の倍以上の漁獲がなければペイしないというか、採算に合わぬということも一つあるので、帰りには船一ぱいの荷物を積んで帰ってくる、これが遭難の原因になるのじゃないか。海上保安庁等の取り調べというか調査によりますと、海難事故にはいろいろな事故があります。そこで積み過ぎその他についてはあまり大きな数ではないように見られる向きもありますが、大半の原因は過載ではないかというのがわれわれしろうとの見る目であります。たとえば機関の故障、そういうものははっきりわかりますが、それ以外のものは座礁一つとりましても、これは言うならば過載が片方にはあるということだと思うのであります。でありますから、もう一ぺんお尋ねしたいが、こういう操業区域と船の性能、船体の構造、こういうものについて検討をいま加えておるのでありますか、どうですか。
  53. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 先ほどお答えが不十分でございましたが、いま久保先生の言われましたようなことを総合的に水産庁としては検討しております。
  54. 久保三郎

    久保委員 結論はおおよそいつ出しますか。
  55. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 これは漁船の操業実態を詳しくまず調査して、解析をするという作業を前提といたしますので、私たちのもくろみでは少なくとも三ないし四年程度をかけてじっくりやりたい、そういう考え方でございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 実態を解析するというが、実態調査はいかなる方法でおやりですか。
  57. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 実態につきましては、漁船の実態調査でございますけれども、主管の運輸省御当局とも十分御協議をいたしまして、水産庁といたしましても十分御協力を申し上げながら実態調査を進めていくということにいたしたいと思います。
  58. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これからやろうということでありますか。
  59. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 そのとおりでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 そうだとするならば、一つの提案をいたします。これは運輸大臣にもお聞き取りいただきたいが、これは特に漁船と限定してほしい。しかもその解析というか、事故の解析並びに対策を立てるとするならば、私が先ほど指摘したいわゆる北洋転換の底びき及び小型流し網、この二つにまず限定してやってほしい。範囲を広げていろいろやっていただくのはけっこうでありますが、およそピンぼけになるきらいもあるし、早急に結論を出していただきたいので、私はそういうふうに要望をしたいのでありますが、水産庁はいかがでしょう。
  61. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 いまの御趣旨の線に沿って、点的に問題の業種を早く取り上げてやるようにいたしたいと思います。
  62. 久保三郎

    久保委員 そのことはいいとしても、今日ただいま海難が続出しているわけでありますから、これに対する法令違反等は厳重に取り締まらなければならぬ、やめさせなければいかぬということでありますが、たとえば過載、積み過ぎ、これはだれが取り締まる権限を持っておりますか。持っておる人から答弁を願いましょう。
  63. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 現在御審議中の法律施行いたされますと、漁船乾舷マークが強制になりますので、この段階におきましては、私ども海上保安庁がこの違反に対しては、刑事上の違反として捜査をして取り締まりをいたします。
  64. 久保三郎

    久保委員 保安庁長官、この法律が満足に通っても実施期日は、御案内のとおり次の一斉更新の時期であります四十七年であります。ずいぶん気の長い話でありまして、その間に遭難がたくさん出たならば、この法案を提出した者がみんな共同責任を負うべきではなかろうかと私は思うのですが、あなたはどう思いますか。
  65. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 私どもが現在やっておりますのは行政指導でございますが、あらゆる機会をとらえて、特に過載の問題、また荷物を積んだ場合に、天候が激変した場合に荷物を捨てて逃げるようにというふうなことも出漁前に、御指摘の近く五月ごろから始まる北洋の独航流し網については、特にそういう点について行政指導を行なっております。そのほかに、出航前の立ち入り検査を実施いたしまして、現行の法令に違反の点はないかということの立ち入り検査を実施いたしております。ただいま御質疑の共同責任云々については、何ともお答えいたしかねます。
  66. 久保三郎

    久保委員 同じ役所だからそれはなかなか言いにくいことだと思うのですが、これは話のついでですが、一斉更新まで待った理由は何ですか。これは船舶局長に聞いたほうがいいですね。
  67. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 現在ある漁船につきましては積載量を制限するということでございまして、これはきわめて船主経済に影響するところ大きいわけであります。それで、船主経済を、一応各業界の納得を得るといういままでの作業の中で、結局この次の漁業の一斉更新の時期、これまで待とうというふうなことにして、スムースな法の運用をはかっております。
  68. 久保三郎

    久保委員 なぜ一斉更新までお待ちになるのかという理由はどうもわかりません。ちっともわからない。  そこで、いま乾舷マークをつけることになっております。乾舷マークには、さっき海上保安庁長官からお話があったように、これは別に罰則はない。罰則はないが、これは水産庁にお聞きしますが、しょっちゅう乾舷マークを水の下に沈めて歩いている船は、次の一斉更新のときには、やはり許可条件、いわゆる適格条項にはなりませんね。
  69. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 いまの載貨の問題に関連しましてあわせてお答えを申し上げたいと思いますが、船舶安全法が、近き将来漁船の二十トン以上にも適用されるということを予定いたしまして、水産庁といたしましては、運輸省と御相談の上、載貨の基準という技術基準をきめまして、昨年の五月に農林大臣の指定漁業、いわゆる大臣許可漁業、これにつきましては許可の指定の条件として載貨基準を守るということをうたっております。したがいまして二十トン以上の漁船につきましては、現在この載貨基準に違反をしてオーバーロードいたしますれば、漁業法により行政処分ができるということに相なっております。先ほどのお尋ねとも関連がございますのでお答え申し上げます。
  70. 久保三郎

    久保委員 載貨基準を二十トン以上のものにはつけて、それを守らなければいわゆる漁業法の処分をする、こういうことでありますが、漁業法の処分というと五十七条の第一項ですか。
  71. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 五十七条につきまして、「許可又は起業の認可について適格性」という条項がございます。これに大臣が許可を与えます場合には、この条件の適格性を持たないというものは、一応許可の対象からはずれるということでございます。
  72. 久保三郎

    久保委員 載貨基準というものを不勉強で、まだ読んでいないのでよくわかりませんけれども、二十トン以上には、たとえばついこの間、三月三十一日の夜、千島のほうで遭難した第八十六大栄丸、こういうものは、まだ原因はよくわかっておりませんけれども、トン数は三百十四トン、この場合には載貨基準はたとえばどのくらいになりますか。三百十四トンの船で載貨基準はどの程度基準までいいのですか。
  73. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 いま御指摘の北洋転換船の問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、許可の指定の条件として載貨基準適用になっております。したがいまして、原因がよくわかりませんけれども、もし過積みにあるということであれば、当然漁業の許可条件の違反ということになることが予想されるわけでございますが、これはまだ原因が確定いたしておりませんので、断定的なことは申し上げられません。どの程度基準であるかという問題につきましては、こまかい技術的な問題でございますので、これは漁船課長からお答えを申し上げます。
  74. 小島誠太郎

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  ただいまの八十六大栄丸につきましては、乾舷の規定の量が三十九センチメートルでございまして、この乾舷を保有しますようにした場合の、重量の中の魚の量は約二百二十トン、このような計算になっております。
  75. 久保三郎

    久保委員 そこで、いまお話があった過積みの問題でありますが、漁業法五十七条によって処分をするんだということでありますが、現に、たとえばある港に今日ただいま乾舷マークを沈めた船が入ったのを水産庁が見た場合、あなたのほうはどういうことをしますか。
  76. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 過積みの漁船につきましては、従来から水産庁として載貨基準の厳守ということにつきまして、漁業の許可の条件にもなっておるわけでございますので、それの励行方につきまして、通達等で関係都道府県を通じまして業界を指導いたしております。したがいまして、そういう漁船が発見されました場合には、われわれといたしましては極力その順守について指導をいたしたい、こういうふうに考えております。
  77. 久保三郎

    久保委員 指導もけっこうでありますが、これは、これからまた五月、六月は小さい船が出漁期になりますね。そうですね。そこでこういうことをしてみたらという提案なんでありますが、一斉にこの点検をする一なかなかむずかしいと思うのですよ、能力がないようでありますから。しかし一斉に点検する。その場合、出ていくものについてはもちろんこれは乾舷マークを見るわけですね。だから、そういうものは荷物をもちろんおろさせる。入ってくる船については、なかなか途中で見つけるわけにはまいらぬと思うのです。海上保安庁が見つけたら、それは所轄の水産庁関係に通報するということ、それから港についた場合は一斉に帰ってきた船を調べる。というのは、港につき番をする必要はないですね。いわゆる幾ら水揚げしたか、それはすぐ調べればわかるですね。どういう船は幾ら水揚げしたか、何トンだ、これはわかりますね。だから、たとえばさっきの船が二百二十トンだとするならば、三百トン水揚げしているということがすぐわかれば、これは処分の対象になりますね。そういうことはいままでやつておらないと思うのですが、これはやっていくべきだろうと私は思うのです。せっかく乾舷マークをつけ、海難したときにはそれぞれ国家の力でこれを救助してもらわなければならぬ。そういうことを考えれば、それはやはりある程度のきつい指導をすべきだと思うのです。そこで、そういうものを二回以上やったものは一定期間これは休漁、いわゆる出漁を停止する、魚とりにやらせない、船をつながせる、こういう措置くらいは私はすべきだと思うのです。これは一ぺんにすぐに返事はできないと思うのでありますが、私は少なくとも一斉に点検を、出入りを一ぺんにやってみたらどうか、こういうふうに思いますがどうですか。
  78. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 漁業許可の条件にしておるたてまえから見ましても、水産庁といたしまして御指摘のとおり絶えずその結果をトレースするという責任があるわけでございます。ただ一斉に行なうということにつきましては、現在の体制から見ましてなかなか簡単な問題ではございませんので、特に過載のよく予想される漁業等につきまして極力、いまの御提案の趣旨に合うような方法で点検を行なうことができるかどうか、前向きに研究さしていただきたい、こういうふうに考えます。
  79. 久保三郎

    久保委員 この甲板積みですね。すでに水産庁ではわかっておると思うのでありますが、こういう場所にこんなかっこうで積んではいけない。これは運輸大臣に一ぺん見てほしい。(久保委員、中曽根国務大臣に写真を示す)これは北洋転換のトロールですが、そういうものをやっているわけですね。これでは船がどうかしないのがふしぎなくらいであります。いま水産庁次長は、なかなかむずかしいということをおっしゃいましたが、一斉にできるかどうか、それは私にもわかりません。だけれども、ある一定の期間これを抜き打ち的にやってみたらどうか、これはぜひ検討してほしい。  それからもう一つは、四十二年でありますから去年、一斉更新があったはずなんです。一斉更新した場合に、漁業法関係、安全法を含めた法律違反あるいは労働法規、船員法違反、そういうようなものをやった船主、そういうものが一斉更新からはずれておりますか。一つもはずれていないと私は見るのですが、これはどうです。
  80. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 適格性に関連いたしまして、漁業関係の法令の順守の精神を欠くもの、それからさらに労働関係の法令の順守の精神を欠くものというものは、指定漁業の許可につきまして当然考慮をするというたてまえでございます。一斉更新のときにおきましても漁業関係の委員会からもそういう強い御意見が出まして、いろいろ検討をいたしましたが、そのために漁業の許可を切るという程度のものまでは昨年の一斉更新の時点においてはないということがわかりましたので、御指摘のとおり、そのために許可を切ったというものはございません。ただ次の一斉更新までの間におきまして、漁業法関係の違反のみならず、関係各省からいろいろ資料をいただきまして、ほかの法令順守の精神を欠くものというものにつきまして十分検討いたしたいというふうに考えております。
  81. 久保三郎

    久保委員 この次の一斉更新でも、やはり適格条項はありながらも、何か三回以上とか五回以上というようなことを、水産庁が通り抜けができるような基準をそのときまたきめますよ。そうしてみんなスムーズに一斉更新をしてしまうのじゃなかろうかと思うのです。また、これは実態がそうだろうと思うのです。それでいいのかどうかですよ。そういうことをやっていて、それは指導するといったって指導できくはずがありません。だから私が言うように、これは今日ただいま、やったらば厳重に処分するという法律改正をしなさいということです。出漁の停止、これは当然だと思うのです。それが船員であれ船主であれ、だれがやろうとも、こんなことをやって国家や社会に迷惑をかけて、それまでして魚をとる必要はどこにあるかということです。だからこれはぜひそういうことができるようにしてもらいたいし、それから一回でも法令違反をやった者は五十七条に照らして次の一斉更新は一切しない、そういう言明をしない限りは私はあとを断たぬと思うのですが、乾舷マークをいろいろな抵抗があってつけたけれども、あなた御承知のように何の処罰もないから、公然と水面下に沈めて航行しているじゃありませんか。こういうのを取り締まる適格性でなければ、これは何にもなりませんよ。実効があがりません。  それから、あなた一斉更新、いわゆる漁業の実態からいってこの次まで体制を整えてもらうといいますが、いまのような考え方、いまのようなやり方でいるものを、四十七年まで待ったところで何にもなりませんよ。罰金は一万円でしょう。一万円ぐらい払ったってへとも思いませんよ、実際は。それよりもっと漁業の許可を取り消す、あるいは一定期間は漁業をさせない、こういうような処罰のほうが的確なんです。だからむしろこれは水産庁が責めを負うべきものだと思うのです。私は処罰を重くしろとあえて言いませんけれども、少なくとも実効があがる——いわゆる法律を実施する担保力がないものを通してみたところで何になるのですか。これはぜひ漁業の停止を食らわせるということを考えるべきだと思うのです。今国会中何らかの機会にまたその回答をもらいます。  それからもう一つは、そういう海難をやらせないためには、操業計画を事前にチェックする方法も一つだろうと私は思うのです。ピストン操業が多いのですね、いわゆる往復に長時間とるものでありますから……。港に帰ってきてからの休養その他を十分とらないまま、折り返し漁場へ持っていく。この過労からくる海難も必ずしも少ないわけではない。たとえば海上での転落などは過労からくるものだと私らは見ているわけです。だから事前に操業計画をチェックする、それからできますならば、漁業協同組合等が中心になって適正な操業計画というものを示して、業者間の協定というか申し合わせによってこれはやっていったらどうかというふうにも考えます。そういう方法はどうですか、水産庁。
  82. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 操業計画のお話が出ましたが、ごもっともだと思います。特に指定漁業等につきましては、漁業の中でも特に企業的の色彩の非常に濃い漁業でございますので、お役所がそれをチェックするしないにかかわらず、当然経営者といたしましては、年間の操業計画あるいは漁業中の操業計画というものを十分立てて、それに基づくいろいろ仕込みの問題、それから乗り組み員の手当ての問題、資金の問題というのをやるべきでございますし、また指定漁業等につきましては、おのおの船主におきましてそういう措置を従来も講じております。強制的に操業計画を水産庁に提出をさせてチェックをするということは私たち考えておりませんけれども、おのおのの業界団体を通じて、いま先生の申されましたような計画的な操業を励行させるということは、従来からもやっておりますし、また今後もそういう線で業界を十分指導していきたいというふうに考えております。  それから、先ほどの御質問、私いささか説明が不十分であった点を補足をさしていただきますが、たとえば過載等漁業の許可の条件違反につきましては、規定によりまして港に停泊を命ずるという行政処分を行なうことができますし、また従来からもやっております。初犯の場合、再犯の場合等、その違反の内容に基づきまして、操業停止の期間を長くしていくという考え方でございます。ただ、漁業の許可を取り消すということは、これはいわば死刑にも匹敵する処置でございまして、よほどその内容を十分点検し、著しく法令の順守を欠くという線に照らしまして慎重に行ないませんと、経営者はもちろんのことでございますが、その漁業に依存している多くの乗り組み員並びにその家族というふうな人たちの生活の問題にもつながりますので、この点につきましては十分慎重にやりたいというふうには考えております。
  83. 久保三郎

    久保委員 その停泊させるという行政処分、これを政令か何かでおやりになっておると思いますが、その内容、それからその実績、それをあとで資料として出していただきたいと思います。  それから、あまり厳重にやってはめしの食い上げになってしまうという話でございますが、命を落とすよりはめしの食い上げのほうがまだ救済されはしないかというふうに私どもはとる場合があるのです。私は、命が一番大事だと思っているのです。めしの食いはぐれがあっても、次の機会に食える期待があるのです。死んでしまったのでは、永久に食う機会がない。そういう観点からいって、この漁業法の五十七条は、あいまいとして、水産庁長官の裁量で「著しく」というのをやっているのですね。これは、政令か何かできちんとすべきだと思うのです。きちんとしないから、一斉更新のときに、上へ上げたり下へ下げたりして見のがしていくという態度は、あまりにも行政官庁としてとるべき態度ではないのじゃないですか。そういうふうに思います。  それから、船員局長にお尋ねというか、提案するのでありますが、大体過載など、あるいは事故を起こして座礁したりなんかするのは、漁労長が権限を持っていて、船長が資格を持っていながら、船長は漁労長の意のままに動かざるを得ない。そういうときには、船舶安全法による届け出ですか、船舶職員法か何かでやる告訴というか、そういう方法もあるようでありますが、もう全然発言の能力もないというのが遭難の主たる原因にもなっているわけです。だから、こういうものに対しては、そういうのが原因として究明された場合は、船長も漁労長もその資格を剥奪する。漁労長は船舶職員法の資格は別段にないようでありますから、これは水産庁のほうからやるほかないかもしれませんが、少なくとも、これは乗船を拒否するというような一つの制度を確立すべきだと私は思うのです。なるほど漁船にとっては魚をとるというのが至上命令でありますから、漁労長の権限の大きいのは当然であります。しかし船舶航行、しかも安全にということになりますれば、船長の権限を十分に行ない得られるような体制を船内においてとるべきだと思う。ところがこれに対してはいま、何らその体制を整えるくふうをしてやっておらないのですね。そうでしょう。何にもない。いや、漁労長が強いものですから船長も困っちゃっておるのですよ。そんなことでいいのかどうか。だからこれは、そういう船長の職務が行ない得られるような体制をくふうすべきだと思うのですが、何か考えがありましたらお述べをいただきたい。  それから、もう一つ続けて申し上げますが、昨年か知りませんが、北海道沖で小さい船が、船長とか資格のある者が乗らないで、むやみやたらに集まった者が乗っかってどこかへ行って海難にあって始末に負えなかったという話があります。これは全然問題にするのもおかしいような問題ですね。これなどは事前に、船員局の末端労務官でありますか、これを使って出漁前に、船舶職員法によるところの船員が乗り組む体制にあるかどうかということを点検すべきだと思うのです。そうすればある程度、船長がいなくて出ていったというようなことは防ぎ得られるのではなかろうかと思う。事前に、そういう人がいないのだということになれば、これまた船員職業紹介所ですか、そういうものを通して、業界とも提携してあっせんしてやって、安全な出漁ができるように指導すべきだと思うのです。事前に点検の用意があるかどうか、この二点。
  84. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました、船長と漁労長の関係でございますが、現在船員法では、漁労長につきましては一般の海員ということになっておりまして、特段の規定を持っておらないわけでございます。しかしながら、船長につきましては、その第二章におきまして、公法上の職務権限を有する船舶運航の最高責任者としての十分な規定をいたしております。したがいまして、このような船長の職務に関連する面におきましては、漁労長の場合でも他の海員と同じように船長の指揮命令に服すべきものであるという船員法の規定は疑いの余地のないところではないか、こういうふうに考えております。ただ御指摘のとおり、漁船の場合におきましては、船が漁労を目的とするものであるという関連から、いまお話のございました漁労の責任者たる漁労長が重要な存在であることは事実でございます。したがいまして、そういった漁労の職務と船長の船員法上の職務というものの間におきまして調整を必要とする場合がしばしばあることもまた事実であろうかと存じますが、このような場合におきましても、船舶運航の面につきましては、漁労長は最終的には船長の意見に従うべきであるということが法の意図するところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような現実の問題に関しましては、労務官その他を通じまして、厳重に現場を指導していくということを従来も怠らずやっておりましたし、またしばしばそういう問題で実際問題としてトラブルが起こることも考えられますので、今後も特段の努力を払って、船の運航の安全に遺憾のないように期してまいりたい、こう考える次第でございます。  その次にお話のございました、いわゆる船舶職員法上必要な職員を乗せないで船が出ていくというようなことにつきましては、そのような事例があるとすれば、これはまことに遺憾なことでございまして、私どもといたしましては、あらゆる機会を通じまして、そのような事態が起こらないように特に労務官を督励いたしまして、今後さらに努力してまいりたい、こう考える次第でございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 いまのお話もやはり、水産庁と少し似ているところがあって徹底しませんね。もう少し徹底して厳重にやれないものかと私は思うのです。くつの上から足をかくようなもので、むずかしい文句は並べませんけれども、もう少し徹底した方法を考究すべきだと私は思うのです。だから、五月、六月の北洋漁業の出漁を前にして、これはさっき冒頭に言ったように、一ぺん関係省庁というか、運輸省、保安庁、海運局、船舶局、それから船員局というのを全部集めて、対策をきちんと立ててもらうべきだと思うのですが、どうですか。これは水産庁がやはり中心ですよ。次長どうですか。
  86. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 先ほどの御提案につきましては、水産庁といたしまして、やはり漁業行政を預かる責任官庁でございますので、積極的に関係各省庁と御相談をして対策なり方法を考えたいというふうに思います。
  87. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣、いまのように関係するところがかなり多いのでありますが、これはどうもいままでの運輸省あるいは水産庁の答弁を聞いていますと、いまの法体系からいってむずかしい面もかなりありますけれども、徹底を欠くきらいがあります。より具体的にこれは対策を立ててもらわなければ、実効があがらぬと思うのです。すでに原因はわかっているのです。だからいま申し上げたのは、水産庁がとにかく本もとだから、ここが中心になって運輸省の各局あるいは海上保安庁は、出漁がたくさん出る五月、六月を前にして一ぺん会合をして、具体的な対策を立ててほしいという要望をいましたのでありますが、運輸大臣からも農林大臣等にもお話しをいただくと同時に、関係の局長を督励して具体的な海難防止対策を立ててほしいと思うのですが、いかがでしょう。積極的にやっていただけましょうか。
  88. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御趣旨のように措置いたします。
  89. 久保三郎

    久保委員 それでもう大体終わりに近づくわけでありますが、ラジオブイ、SOSのブイの運搬式というのは必ずしも有効適切ではないですね。この間の第八十六大栄丸も持ち運び式を持っていたのではなかろうかと私たちは思うのでありますが、その問題は別として、これは膨張いかだにくっついている自動式のブイに全部切りかえたほうがいいし、また切りかえさせるべきだと思うのであります。もちろん費用の点で多少の違いはあるようでありますが、万が一のことを考えれば、これはそんなに問題はないのではないかと思うのです。これは特に漁船の場合についてどうですか。
  90. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 SOSブイを船舶安全法で強制するようになりましてからだいぶになるわけでありますが、確実性ということでいままでは手動式でございます。しかし一方自動的な式も開発中でございまして、最近ようやくそのめどがついたということでございまして、今後自動的なSOSブイを船舶に備えつけるかどうかということを十分検討の上、あるいは規制まで持っていきたい、かように考えております。
  91. 久保三郎

    久保委員 それじゃそういう制度に切りかえてもらうように、これまたあわせてお願いしたいと思います。  もう一つは、これは運輸大臣並びに海上保安庁長官お尋ねするのでありますが、救難警備体制というのは最近はわりあいに立体的になりつつあるとは思うのでございますけれども、ただどうもいま話を申し上げたように、漁船一つとりましてもかなり沖合いというか、遠距離まで行って操業する。遭難した場合に、いまの巡視船艇では二日ないし二日半くらいかかる場合もあるというのですね。それではラジオブイがSOSを発信しても、行くまでの間に命がなくなってしまう場合もある。ビーチクラフトなんかの到達距離では、行って発見はできるが実際に救命する場合には用が足りない。そこで最近開発されているそうでありますから、多少金はかかりますが、いわゆる飛行艇をこの際備えつける検討をしてみたらどうか。最近PX−Sという飛行艇が開発されたそうでございまして、ビーチクラフトその他のものと比べてかなりの金額かと思うのでございますが、これまた近代的な救命ということを考えれば、当然こういうものを備えつける必要があろうと思うのであります。新しい装備としてPX−Sのような飛行艇を備えつけることについて検討を加えてほしいと思うのだが、運輸大臣どうでしょうか。水産庁も……。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 遠距離救難対策としましては、YS−11を改造いたしましてそれに充てるためにいま着々と準備を実行しておりまして、近くこれが実施できる見込みでおります。しかるにPX−Sという優秀な飛行艇も出てきまして、最近自衛隊でこれを使用する向きでございますが、自衛隊の使用の結果等をよく参考にいたしまして、必要あらば購入する方向に進めていきたいと思います。
  93. 久保三郎

    久保委員 また戻りますけれども確認の意味で申し上げたいのは、北洋転換の底びき、先ほど運輸大臣の席まで写真をあげましたが、こういう積み方をしてくるのが実態だとすればゆゆしき問題だと思うのです。しかも写真に堂々ととられているわけでありますから、これはひとつさしあたり厳重な方針を立ててもらわなければいかぬと思う。これはむしろ船舶安全を通り越した水産行政の問題だと思うが、水産庁次長としてどうですか。
  94. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 実は私もだいぶん前にその写真を見まして、実態が非常に積み過ぎておるので驚いたわけであります。直ちに関係団体には警告を発しましたけれども、水産庁といたしましてもこれは捨てておけない事態だというふうに考えております。
  95. 久保三郎

    久保委員 もう一つ、これは大臣にお尋ねというか要望を兼ねてお尋ねいたしますが、この間も海上保安庁の飛行機を出して云々という場合に、ソ連領ですね、この間の第八十六大栄丸なんというのは、ああいう海域ではどうも日本の海上保安庁の飛行機で行くこと自体問題が何かあるようにわれわれは聞いていて、それでソ連に頼んだという話も聞いているわけですが、それはそうですか。
  96. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 日ソ海難救助協定がございまして、私どもは遭難の通報を受けて当庁の巡視船艇を出動せしめると同時に、それぞれの通信経路を通じてソ連側にも救助依頼をいたしました。それと同時に、海上自衛隊にも捜索方について依頼すると同時に、海上自衛隊機がソ連の主張する領海もしくは領空にまで当然進入しなければなりませんので、その点についての連絡をいたしましたが、ソ連側としてはこれを拒否いたしました。ソ連側において六隻の艦艇と一機の航空機を当海域並びに島に派遣をいたしまして、わがほうと協力して捜索に当たったというのが実情でございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 それでは続けて聞きますが、いまのような実態を基礎にした協定ですね、これは満足ですか。満足と言ったらおかしいが、自分のところでやれるならそれでも間に合いますが、間に合わぬなら何も別段に現協定を変える必要はないかと思うのでありますが、それ以上に自分の艦艇並びに航空機というものによってやったほうがいいということならば、この現協定を改定してやっていくほうがいいと思うのです。これはどうですか。
  98. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 仰せのとおり、わが国漁船が多数出漁している海域におきまして、私どもの船艇並びに航空機の勢力を増強するということがまず第一だろうと思います。足らざるところを、ソ連の領海もしくは領域に非常に近いところでございますので、人道上の見地から双方いずれもがそういう義務を持ち合うという現協定の精神は、私は正しいと思っております。しかし、最初に申し上げましたように、人に依頼するよりまず、自分のところの船でございますから、自分のところの航空機並びに船艇を増強して、これによって救難活動を十全にするということが第一であると考えております。
  99. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、はっきり申し上げて現協定を多少改定したほうがいいというお話ですか。
  100. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 当庁の航空機の入域をわれわれは要請したわけではございません。自衛隊機の問題でございます。当庁の航空機であれば、救助機関でございますから、日ソの救助機関が相互に緊急の場合には入れるということになっておりますので、当庁の航空機であれば改定の必要はございません。
  101. 久保三郎

    久保委員 それは自衛隊の自衛艦、自衛隊機が拒否されたということですね。これはちょっと検討してみなければいけませんけれども、もしも現協定の中でさらに改善する必要があれば、これも検討していくべきだと私どもは思っているわけですが、一応いまのお話だと満足というか、大体やや満足のていでありますので、これはやめておきましょう。  それから最後に船舶局長にお尋ねするわけですが、小さい漁船無線関係はどういうふうになっていますか。というのは、大体二百海里くらい遠くへ行く小さい船がありますね。たとえばいままでだんだん申し上げた七トン未満くらいの船が持っている通信能力は、いわゆる基地まで到達できないような通信機だとわれわれは思うのでありますが、これはどこか途中で通信機能のいいものを持っている船に依頼して仲介的にやっているようでありますが、これはどういうふうになっていますか。
  102. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 今回の改正では、漁船の無線につきましては、一応改正する意思はございません。したがいまして、郵政省のほうから一応お答え願います。
  103. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  これは四十二年一月一日の統計でございますが、五トンから九トンまでの漁船の総数は八千二百四隻でございます。そのうち無線を持っておりますものが二千五百二十四隻でございます。したがいまして、まだ船舶局を、無線を持っておりませんものが五千六百八十となっております。したがいまして、普及率といたしましては大体三〇・八%という状況になっております。これはいずれも大体十ワット程度の無線局を持っておりまして、通達距離といたしまして大体二百五十ないし三百五十キロ程度の有効通達距離を持っております。
  104. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いまのお話は、十ワットくらい持っているから二百五十キロくらいは通信可能である、こういう意味ですか。
  105. 石川晃夫

    石川説明員 七トン程度の船でございますが、その程度は可能でございます。
  106. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、お話では、結局無線を持っていない船が多いのですね。これは強制的でないと思うのですが、もしも強制的ではないにしても、それぞれの漁船が持つ場合に、別に電波関係ではこれの許可をとめるというようなことはありませんね、どうですか。
  107. 石川晃夫

    石川説明員 その点はございません。
  108. 久保三郎

    久保委員 それじゃ水産庁並びに船舶局長に伺いますが、いまのようなお話で、足が非常に遠いところまで行くのに、耳なり口が全然ないというのは、やはり海難の大きな原因になると思うのです。だから、これは行政指導か何かでやるだろうと思うのでありますが、これはどういうふうにかして取りつけさせなければ、許可してはいけないだろうと私は思うのです。何の通信設備も持っていないでやっているなんというのは、たいへん無謀な話だと思う。どうですか。
  109. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 確かに先生がおっしゃるように、一応無線設備がございますと安全に関する確保ができるということになりますけれども、これにつきましては航行の実態に応じまして電波を割り当てるということにしておりますし、操業区域を今後十分検討いたしまして、それの再検討とあわせて検討したいというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。  なお、SOSブイは全船持っておりますので、海難防止の面から十分に役立つ、こういうふうに考えております。
  110. 久保三郎

    久保委員 いまの局長のお話は、無線通信部長のお話とは少し違うのでありますが、電波の割り当て云々というか、電波の割り当てについては問題がないような話ですね。さっきは、許可するとしたならばこれは支障がありませんかと聞いたら支障がない、ないというのは電波割り当てについては問題ないということです。だから、そういうこととはちょっと違う。  それから、局長、ブイのほうは持ち運びはだめです。完全自動式に全部切りかえさせる。これは水産庁の次長もオーケーを言っているようでありますから、これをやらせる。いまの無線電話はどうですか。——これは打ち合わせして返事してください。どっちからでもいいです。
  111. 河野邦男

    ○河野説明員 ただいま石川部長の申し上げました、五トンから九トンまでの漁船が八千二百四隻ございまして、そのうち船舶局を、無船局を持っておるのが二千五百二十四、あとの五千六百八十が持っていないというふうに申し上げましたが、小さい船の無線につきましては、その船の漁業の実態によりまして、七トンくらいの船でございますので、大部分はその付近しか漁をしないというような船が多うございます。そういう船に割り当てます周波数は二十七メガ、一ワットのDSBというような小さいもので足りるわけでございますが、久保先生の御指摘になりました北海道なんかの流し網で三百キロ、四百キロというような船もございますが、これらの船には、電話が中短波の二メガのものを持たさないと役に立たないというような点がございまして、これらの船は、実態といたしましてはすでに全部方探からロランまでみな持っておるというような重装備で、七トンくらいまで出ていっておるというような状況でございます。したがいまして、もしそういうふうな船が遠くまで行きますから二メガの波をもらいたいというような希望がございますれば、現在のところそれに対してはその周波数を割り当てておるということでございますが、そういう船は数においてはたくさんないというようなのが電波監理局から見ました漁船の実態でございます。
  112. 久保三郎

    久保委員 ところが私の手元に来ている情報では、言うならば、沿岸、距岸百海里から二百海里沖まで出漁して直接基地と交信できるのは十ワット以上、というのは二メガでしょうね、これはそうですね、以上の中短波無線電話機を持った約二百隻であって、その他は全部中継通信にたよっているという情報もありますので、これは水産庁も運輸省も、もちろん郵政省電波監理局ですか、当然タッチしていただいて実態をお調べいただいて、必要があるとするならばこれに二メガの波が与えられるのかどうか、これまた検討してもらわなければならぬと思うのです。いずれにしても実態を調査して対策を急いでほしい、こういうふうに思いますので、まず郵政省からお答えいただいて、そのあと水産庁、これは銭のかかることですから水産庁に聞きます。
  113. 石川晃夫

    石川説明員 このたびの、この船舶無線設備を強制することによりまして、幾らか体系が変わってくると思う次第でございます。したがいまして、その周波数の使い方もそれに応じた周波数の使い方をしないといけないと存じますが、その実態は、今後の状態調べまして、それに適応した対策をとりたいと存じております。
  114. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 特に七トン型の流し網につきましての御指摘かと思います。  先ほどの郵政省のほうからのお話しのとおりで、実態としては、かなりこういう漁船に無線機を装備する——水産庁としましては、いま先生の御指摘になりました二メガの波の割り当てが与えられれば、それらの漁船につきましてなるべくすみやかに無線機の普及をさせるという指導をいたしたいと思いますし、業界のほうにもそういう強い希望がございます。
  115. 久保三郎

    久保委員 それじゃいまのお話しのとおりですから、これは郵政省もひとつ実態を見た上で急いでもらいたいと思います。  きょう、いろいろ要望、提言をいたしましたが、それらについては、まだ今会期も少なくとも一ヵ月くらい残っているようでありますから、全部が全部完結しなくても、おおよその問題の方針というか、そういうものを取りまとめて、あとで一ぺん当委員会を通じてわれわれに報告を願いたい、こういうふうに要望すると同時に、委員長にお願いしますが、従来から何べんもこういう問題をこの席でやっているのです。しかし、なかなか実効があがってこない。多少はあがってはきているのでありますが、目ぼしいあがり方をしない。それはわれわれのほうにも責任があると思うのです。法案を審議する際には、あるいは何か起きたときには声を大にしてやるということでありますが、少なくともそれが過ぎれば、あとは次の何かが起きるまで、黙っていると言ってはあれですが、関心をあまり持っていない、こういうことでありますが、これであってはならないと思うので、むしろ問題点をさらに追跡をしていくということがわれわれの任務であろうかと思うのです。本件については、私が関係各省庁にただいまお話し申し上げたような点を中心にして、ぜひ今後も当委員会でその結論に到達するまで追跡を続けていき、適切な措置をとっていただくよう要望して、質問を終わります。
  116. 大野市郎

    大野委員長 次回は明十日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会