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1968-04-03 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月三日(水曜日)    午後一時八分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    塩谷 一夫君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    神門至馬夫君       内藤 良平君    矢尾喜三郎君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       池田 禎治君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君  委員外出席者         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月三日  委員菅太郎君及び春日一幸辞任につき、その  補欠として塩谷一夫君及び池田禎治君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員塩谷一夫君及び池田禎治辞任につき、そ  の補欠として菅太郎君及び春日一幸君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九九号)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三六号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間委員 大臣がお見えになりましたので、主として大臣にお伺いをいたしますが、時間が限られておりますから、重点的に二、三お尋ねをいたします。  一つは、この利子補給の、いわゆる海運に対する助成策を進めてきて、いまその一年間延長をするわけですが、実は、ただ単に助成するだけでなくて、海運企業というものを、つまり再建をして自立体制をつくり上げるということが、助成政策一つの大きな根幹であったと思うのですね。もちろん、国際収支の改善という題目もありますけれども、やはりそれも企業の自主的な体制がなければ目的は達成できないという性質のものだろうと思うのであります。そういう意味からすると、一年間延ばす前に、すでに運輸省として、監督官庁として、自立体制をつくり上げる意味での指導なり政策なりが必要であった。たとえいま一年延ばすにしても、ここまで自立体制ができ、そしてそれを土台にしてこの一年間なお準備を進めて、さて次の段階では当然の形としてかくあるということが明確にされて初めて、この利子補給の一年間延長ということも私は意味があると思うのですね。そういう意味では今回また、表現は適当かどうか、漫然と一年延ばしてこの一年でそういう問題を検討するというようなことのようですが、そこでまず第一に、この五カ年間の助成政策をむだにしないというために、今後海運企業というものをどういうふうにしようとされるのか。そういう問題の基本について、そしてその基本に、さてそれでは国としてどういう方向で、もし助成をするとするならば、どういう意味の、どういう形の助成をしようとするのか。私どもは、すでに助成段階は過ぎた、したがって海運企業そのものの力によって、国際海運収支を赤字から黒字に転換をしていく、国際収支貢献をさしていくという方向考えるべきであるという立場でありますけれども、今日までとりきたった運輸省立場として、さてこれからどういうふうに企業立て直しの完成をしようとしているのか、またもしそれに助成が必要であるというふうに考えているとすれば、その助成政策というものはどういうものであるかという点について、大臣の所見を承りたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 海運に対する国策というものは、非常に相対的な要素があるように思います。つまり国際関係あるいは競争国等がどういう政策をやっているかというものとの見合いにおいて、相対的に政策も変動する要素が非常に多い部面であるように思います。日本の場合は、戦時補償の打ち切りという、ほかの国にないような大きな切開手術を受けて、外国から見れば非常に劣勢スタートを切ったわけであります。その上さらに戦後のいろいろな国際関係、特に敗戦、占領ということによって、航路が閉ざされたり、機能がほとんど凍結された状態で出発した。そういう面から、国際的に見たら著しい劣勢地位からスタートをしたと思うのであります。そこで臨時措置法あるいはそのほかの助成政策というものが唱えられまして、国際的な水準に近づくための努力をいままで鋭意やってきたと思うのです。それは当然の政策であり、かつそれは最近の情勢を見ると、かなり成功してきているようにも思います。  そこで現時点に立って、しからば国際的な趨勢とにらみ合わせてみて、日本造船は別として、海運自体というものの地位、内容というものを考えてみると、まだ必ずしも満足すべき情勢にあるとは思いません。たとえば償却の問題一つ考えてみましても、外国から見れば、まだ非常な劣勢にあるわけであります。その上に、コンテナであるとか新しい要素が最近は非常に出てきて、かなり大型の投資を必要とする段階にもなっております。そういう情勢を把握して、外国との相対的な見比べという考えから、日本海運発展策というものを考える必要があるように思いますし、もう一つは、わが国の社会経済発展政策における国民経済成長度合いというものと見合う海運政策というものも、また他面においては必要なわけであります。そういう幾つかのファクター考えながら、日本海運政策というものをこの段階で確立していかなければなりませんが、私の感じでは、そういう条件下における発展策という、そういう考え方で今度の基準的なアイデアというものをつくっていくのが正しいと思います。いままでは集約というような考え方で、ともかくこの劣勢をカバーして追いつこうということ専一で進んできたと思うのです。完全に追いついたとは言えませんが、この新しい時点に立って社会経済発展政策国民経済成長度合いにマッチするような発展策という考え方、それから新いいコンテナやその他の出現に対応ずる発展策という考え方、そういう考え方に立って政策中心線をつくっていくのが適当であると思います。イギリスその他の助成政策等から見ると、日本助成政策というものはまだそれほど追いついているとは言えません。しかしまた、イギリスのやり方が適当であるとも考えられない要素もあります。そういう日本特殊性考えて、海造審において至急に案をつくってもらいまして、それを検討して実施したいと考えておるのであります。
  5. 野間千代三

    野間委員 確かに、海運の問題ですから対象国がある。対象国助成がコストに影響をしたりして、当然そういう競争関係にあるので、私も諸外国助成政策を無視はできないと思います。そういう意味では、いま大臣の言われることは一つ考え方です。ただ私は、ただ単に外国助成政策、もちろん大臣の答えも、外国助成政策だけを対象にしておるわけじゃないでしょうけれども、外国助成政策だけを対象にして、やはり外国で八〇やっておるので日本でも八〇というわけにはいかない。これはおわかりのとおりなんです。私が申し上げたいのは、今日までの助成政策が非常に手厚いということは、これは他の企業なりから比べてみて、だれしも首肯できることで、もはやこういう至れり尽くせりの手厚い、いわば保護に近い助成政策時代ではない。その手厚い助成政策は、海運企業を自立させるための一つの手段としてとってきたはずであるから、したがって、今後はそういうものでなく、企業そのものの力によって海運企業が進んでいくという政策根幹となるべきではないか、こういう観点なんであります。これは大臣もおわかりになっていただけておると思いますので、今後政策を進めていく場合に、そういう観点を十分に基本にして政策の立案に当たり、実施に当たっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、たいへん大きな問題といいますか、これは大臣も閣議で発言をされておるようでありますけれども、ベトナム戦争がいままでは戦争経済として世界各国影響を与えておる。特に日本の場合に、相当日本経済の中に組み込まれていた。今後、まだ私もジョンソン声明なりそういうもので、いますぐベトナム戦争終息をするということまでは信用——信用といっては語弊かありますが、信用ができないというふうには感じておりますけれども、いずれにしても、やがてベトナム戦争終息段階に進まなければならぬとすれば、そういう意味で、今度は経済的な意味でのべトナムの行く末を見なければならぬというふうに思います。そこから中国貿易の問題や共産圏貿易問題等が大きな問題として浮かび上がってくるんだろうと思うのでありますが、これはやはり海運政策に直接的に影響があるというふうに考えるので、このベトナム見通し、それと海運政策との関連、これは私は一つの面としては、ただ単によくいわれる大量大型建造計画といいますか、そういう方向だけでなくて、これは海運局長にも質疑をしたのでありますが、もう少し、たとえば積み取り比率の向上の問題にしても、きめのこまかい一つ一つの船の形あるいは輸出入の貨物の品目別の積み取り比率、そういうものにまで手の届いた政策をとっていかなければならぬ時代が、これはドル防衛の問題も含めて、来るのではないかというふうに感じるのでありますけれども、こういう面について大臣としてどういうふうにお考えなのか、第二点として承りたいと思います。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国際経済趨勢は、いまより次第にきびしくなっていくように思います。これはドル防衛についての問題等が本年度を通じての大きな課題としてクローズアップしておるからでもあり、かつまた、ベトナム戦争趨勢というものも予断を許さぬ情勢に次第に立ち至ってきているからであります。やはりベトナム戦争というものは、日本海運というものに対してかなり影響を私は持っているだろうと思います。まあ、日本海運も最近は非常に長期契約をやっておって、短期的波動にはかなり耐え得る力を持っておりますけれども、それにしても景気の問題あるいは輸送の問題等を通じて、日本海運にもかなり影響を及ぼすものであると考えざるを得ないと思うのであります。そういうような観点に立って、一つ日本経済というものがどういうふうに推移していくかという見通しかなり的確に見る必要があると思うのです。ドル問題等はSDRその他の問題でいまいろいろ構想が練られておりますが、しかし一方において、この間の金プール会議において、政府間の金の流通はそのまま認めるが、民間政府との流通を遮断した。そういうかげんから金の価格は下がりつつある。よくドルを倍に、七十ドルぐらいにしろ、そういう議論もあると思いますが、私はそういう説にはくみしないのであります。最高に上がったときは、一オンス四十四ドルまでいったわけです。それがきのうあたりは三十ハドルくらいまで下がってきておる。ひょっとすると三十五ドルまで下がるんじゃないか。というのは、政府が買い上げを民間からやらないということになれば、南アその他からの金が相当民間へ入ってくるわけでありますし、そういう面から見ても金は下げぎみになっていく情勢も私はあるんではないかとも考えられます。大体わずか三億五千万ドルくらいの金しかなくても、ともかくこれだけの経済成長をやって、ある意味において金というものを全然顧慮しない経済でこれだけ発展しておるのですから、要するに物価とか国際収支の面をよくにらんでいて経済政策をやっていけば、国家に対する信用とか、国民結束力とか、そういうものからして経済運営できる、そう思います。いわんや世界経済も同じであって、各国、強力な国々がそういう協力意思を持って、物価国際収支をお互いにバランスをとりながら進んでいく協力意思さえあれば、金というものはそれほど重要視すべき要素ではなくなっている、そう私は思うのです。そういう面で一オンス三十五ドルに近づいていくのではないかと私は考えます。そういう面の鎮静は進んでいくだろうと私は思います。しかし、ドル防衛というものは大きな線で貫いてきておりますから、国際経済戦はますます熾烈になるということは、これは当然考えられることであり、日本経済もことしは、予算の執行や運営その他の面も考えてみて、かなりきびしいものがくると思う。そういうことになると海運にも響いてくる。そういうファクター考えてやらなければならぬと思います。いずれにせよ国際経済見通し世界政局動き等をよく長期的に判定しながら日本海運国策というものも考えなければならぬということは、御説のとおりでありまして、海造審答申の中にもある程度そういうことを考慮に入れて答申してもらいたいと考えております。
  7. 野間千代三

    野間委員 次に三番目に、これは非集約会社というのがだいぶあるわけです。集約会社に対する助成は十分に行なわれておるのですが、当然の結果として、非集約会社については別段の助成はないわけですね。ただ、今後新しい海運政策を出す場合に、この非集約会社の今日まで六年なり、あるいは戦後貢献をしてきた、国際収支なりあるいは海運貢献をしてきた度合いというものも、これは否定ができないというふうに思うので、新しい海運政策の中で非集約会社というものはどういうふうなところに位置づけをしておるのか、これを伺っておきたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の新しい発展策の中の一の大きなポイントは、集約と非集約関係をどうするかということであろうかと思います。新しい構想の中ではやはり自主的な力を大いに活用する、自力更生を行なう、そういう原則は集約であろうが非集約であろうが一貫してとられるべきものであり、強化さるべきものであると思います。その点については非集約船主の諸君はかなり努力をされておるし、私はその努力に対して敬意を表したいと思います。しかし再建整備後におきましてもやはり、社会経済発展政策に見合うような相当量船舶建造ということが当然考えられますので、そういうことを頭に置きながら、できるだけ企業自己資金を調達するということを中心にしつつ、しかも国家助成というものをキーポイントに対しては行なう。そういう考え方で進んでいくのが適当であると思います。集約、非集約関係をどうするかということは、私がここで私見を申上げるのははばかりますが、海造審において、重要なポイントとして検討を願いたいと思っておるところであります。
  9. 野間千代三

    野間委員 時間がありませんので、またあらためて、海造審答申が出た段階質疑をしたいと思います。  これで終わります。
  10. 大野市郎

  11. 内藤良平

    内藤(良)委員 これはしぼってしぼって、時間をかけないようにして大臣にお聞きしたいと思っております。  この前の三月二十六日の当委員会大臣と私と次のような質疑応答をしております。これは念のために議事録を読んでみます。これは大臣、ごらんになっていただけばわかるのでございますが、九号の十一ページでございますけれども、私はこういうふうに聞いております。「それで私は政治献金はいまのところ、資料要求しますけれども、政治献金が相当あった場合は、利子補給のようなことはナンセンスじゃないか、そういうことを局長にも問うたわけでありますけれども、大臣、そう思いませんか。これほどいろいろめんどうを見ておる。ところが一方、相当多額政治献金をする。それだけ業界余裕があるということなんですよ。そういう場合には利子補給をやめてもいいじゃないか、こういうぐあいに私問うているわけでありますけれども、大臣、いかでありますか。」大臣答えていわく「あなたの御意見正論でありまして、私も同感です。」こういうぐあいに言っておるわけであります。  そこで、そのあとに資料の要求のことで二、三ありましたが、自治省のほうに届けられておりますところの資料運輸省でまとめて出しております。これは中核の六社ですね。この関係で四十年、四十一年、四十二年の上期、こういうのですが、これを私まとめてみましたが、こういうぐあいになっております。船主協会を入れまして中核六社ですから、七カ所になりますけれども、四十年は三百七十七万円の政治献金がある。四十一年は五百五十六万五千円ある。四十二年の上期は二百三十二万一千円、これが年度別であります。それから個所別に申しますと、日本船主協会からこの二年半の間に九十万円、大阪商船三井船舶、この会社が三百二十一万円、日本郵船が三百六十六万円、川崎汽船が二百九十二万一千円、ジャパンラインが二十八万五千円、山下新日本が三十六万、昭和海運が三十二万、合わせて一千百六十五万六千円、こういう政治献金があるわけであります。これは出したほうでありまして、受け取ったほうは問題でないと私は思っております。  それから、造船関係はこれは直接でありませんけれども、四十年度だけで約四千七百十六万、こういう献金があります。大臣、こういう実情なんであります。これは間違いないと思います。  そこで、先ほどの私が読み上げました議事録によるわけでございますけれども、金額の多少は別にしましても、いま読み上げましたような政治献金海運中核体をなしておる代表的な六社からと、それから海運業者船主協会からあるわけであります。これに対して大臣は、内藤意見正論であるから、そういう場合には私も同感だ、これは利子補給をやめてもいい、こう思うとおっしゃっているわけでありますが、こういう経緯から見ますと、金額の問題は別にしましても、これだけの政治献金があるという現実でございますから、今回この法案は撤回すべきじゃないかと思うわけでありますが、今日までの審議の中におきまして大臣の明確な御答弁もあるわけでありますから、この点いかがでしょうか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国家から利子補給を受けているような会社が相当多額政治献金をもししているとすれば、それは適当でない、そういう意味で、あなたの議論正論であって、同感だ、そう私申し上げましたのは、いまでもその考えは変わっておりません。それで、いま御指摘になりましたように、中核六社そのほかの政治献金と称せられるものの額を見ますと、私は、現在の企業運営その他の情勢から見て、この程度で相当多額なということには該当しないように思うのです。いま人一人雇うにしても年間三百万や五百万くらいは人件費その他でかかるわけです。それで、利子補給は全額でどれくらいやっておるかといま海運局長に聞きましたら、三百三十億くらい国が出しているそうですか、それくらいのお金を、利子補給を出して、かろうじて日本海運は今日まで回復してきておるという情勢です。そういう点から見ますと、四十年に船主協会が三十万、四十一年に二十万、四十二年に四十万、一番多いと見られているような大阪商船三井船舶等でも、四十年が百二十七万、四十一年が百五十二万というような程度金額であるので、これだけ大きな機構を持っている会社政治献金の額としては、相当多額と言われるほどではないだろう。もちろんどの程度が相当多額で、どの程度が少額だということは一がいには言えないと思いますけれども、まあ、世間の常識考えてみて、この程度ならばそう非難さるべき額ではない、そういうふうに私は考えております。
  13. 内藤良平

    内藤(良)委員 これは、大臣のきわめて幅のある御答弁ですけれども、私は、相当多額政治献金をする場合は云々と言っております。ただ、大臣は、君の読んだような金額は相当じゃない、ごく僅少だ、問題にならぬ、こういう御発言と私受け取りました。金額の問題もございますけれども、しかし、利子補給政治献金、それから業界を育成していく、しかも配当金というものを一つめどにしていろいろ施策を立てていく、こういう関係の今日の施策の場合におきまして、私は金額の多寡だけでなくして、こういう余裕のある、こういう状態になっておる海運会社に対して利子補給をするということは国民的な感覚から見ても、これはやはりとおらないと思うわけですね。その関係についてはやはり大臣は先般、内藤の言うことは正しい、そのとおりだと私も思う、こう御答弁になったと思うのでありますけれども、その気持ち金額がこうなったからといって変わるわけはないでしょう。二十六日の大臣のお気持ちは私はやはり非常に純粋な国民的な、ある意味常識的な考え方で、なるほどおまえの言うとおりだという御答弁になったと思うのです。ここへきて金額を見て、それは少ないからたいしたことはないというのは、あまりにも大臣気持ちを曲げておるのではないか、どうでしょう。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内藤さんの御質問はこういうように言っていらっしゃるので、「ところが一方、相当多額政治献金をする。それだけ業界余裕があるということなんですよ。そういう場合には利子補給をやめてもいいじゃないか、こういうぐあいに私問うているわけでありますけれども、大臣、いかがでありますか。」こう言われておるので、それに対して、あなたの御意見正論であり、私も同感だ、そうお答えしたわけです。という意味は、一方において利子補給を受けていながら、他方において相当多額政治献金をする、そういう話の見合いでこうお答えしたわけなんでありまして、これが利子補給を一方において受けておりながら、何百万も何千万も一社で出しておるというなら不穏当のように思いますけれども、ここにある一年間を通じて三十万とか二十万、その程度、最大でも百三十六万というような数字を見ますと、いまの社会常識社会通念からすればまあそう不当とは言えないだろう、そういうように私は考えるのです。じゃ、精神論内藤さんはおっしゃっておるのかもしれませんけれども、やはりこれは精神論だけでは通用しきれぬものもあると思います。会社企業体としていろいろ国際的にも仕事をしておるという面から見れば、いろいろな活動分野があると思うのでありまして、そういう面から見て会社の存立の目的に反しないような仕事については、ある程度これは認めてやってもやむを得ないのではないか。今度の政治資金規正法審議会答申でも政治資金の拠出というものは認めておりますし、政党によって大体どの程度が適当だという考え方にしましても、一会社二千万円以下というような制限がある案ではありましたが、そういう水準から見ましても、ここにある四十万とか三十万とか百二、三十万というようなものは、まあまあこの程度ではそうしかるほどのものではない、そういうように社会通念的に私考えるわけであります。決して奨励しているわけじゃありません。
  15. 内藤良平

    内藤(良)委員 しかしこれは重要な問題だし、たいへんな問題だと思っております。私国会へ参りましていろいろ審議に加わっておるわけでありますけれども、やはり国民皆さんから負託を受けたという素朴な考え方で、私たちはものごとに対処していきたいと思っているわけであります。例の利子補給問題はいろいろ論議されてまいりまして、常識的にはなかなか疑問が多い、私は今日までの審議の中でそういう意見が多いというぐあいに受けとめております。そういう中でかりに一般の国民皆さんが、配当もしておる、さらに加えて金額は少ないかもしらぬけれども政治献金もしておる、そういう会社多額利子補給をしなくちゃならぬということは、私はどうしてもこれは国民感情的に見ても納得しがたいのじゃないかと思うわけであります。そういう素朴な気持ちは先般の大臣答弁にもあらわれておる。中曽根大臣はきわめて純真無垢な一国民的な発言をなさったから、これはまさに正しい発言じゃないか。いまのようなお考えでくるなら、この法案そのものをこの際いさぎよく撤回しまして、もう一ぺん考え直してくれ、こういうことが私は今日の国民皆さんから見ても正しいやり方じゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、いかがですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内藤さんは社会党の皆さんと同じように非常に潔癖ですから、こういう点にいろいろ御関心をお持ちになって、潔癖をそのまま通して政治の筋を立てようというお考えと拝察いたしますが、また一面に国民経済全般というものを見ますと、ともかく日本がこれだけ高度成長をして、また今後もそれを持続していかなければならぬということを考えてみますと、国策的な意味において、海運会社助成して外国海運会社に負けないだけのスタートラインには立たしてやらなければならぬというふうに私考えるのであります。こういう臨時的な面と、そういう国策的な非常にラフな荒らっぽい面と、必ずしも吻合しない面もあるかもしれませんけれども、常識的に社会通念的にこの程度は認めてやっていいという程度のことであるならば、それはそのまま認めてやって、その別の面で国策として全国民のために助成すべきものは助成するということが適当ではないかと私思います。
  17. 内藤良平

    内藤(良)委員 どうもだんだん話の筋が曲がってきておると思うわけであります。この三月二十六日の議事録を見ますと、大臣大臣御自身としても、政治献金をしておるような状態であったならば——これは金額が今日ここへ出ましたから、多少の多寡、少ない多いのお感じを持ったかもしらぬけれども、とにかく政治献金をしておる会社利子補給までも、いわば余裕のあるところへ利子補給をする。しかも財政硬直化ということを盛んにいわれており、いろいろな方面において予算的には窮屈になっておる、そういうことしの予算の中におきまして、こういう面だけなぜそういうぐあいにやらなくちゃならぬのか、そういう一般的な、さっき申し上げたような素朴な国民的な考え方で私に対する答えが出たのじゃないか、こう私は思うわけでありますけれども、どうもきょうはお話を非常にこじつけておるような、あるいはまるめてしまうような感じで、私初めて国会へ出たからといってまるめられてば困るわけであります。何かぐるぐる回して、そのうち時間がたったら内藤もやめてしまうだろう、委員長から時間がないと締めてしまうだろう、こういうことでやってしまうと思うけれども、しかし私はそれは中曽根先生に対する私の印象あるいは中曽根先生に対する国民全体の印象から見て、非常にまずいことだと思います。あなたの政治的感覚、いままで国民全体が持っておったものから見ても、この二十六日の議事録といまのお返事、御答弁との食い違いに私は非常に不満といいますか、国民の一人としてもたいへんイメージが汚れたような感じで耐え切れないのです。もう少しすっきりした、中曾根躍進大臣といいますか、張り切り大臣といいますか、そういう御答弁があってしかるべきじゃないかと思う。しつこいですけれども、どうでしょう。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内藤さんのお話の中では、相当多額政治献金ということをおっしゃっておりましたので、私もこれが一社で何百万も何千万円も政治献金しているようだったら、適当でない、内藤さんのおっしゃることは正しい、もしそういう情勢であるならばこれは規制をしなくちゃいかぬ、それは国民常識としても当然である、そういう気持ちがありましたから、あなたの考え正論であり同感だと申し上げたのです。しかし実際の数字を見ますと、相当多額なという概念からはまあかんべんしてやってもいいという程度の数字のように私は見受けるのです。そういう点で、やはり国政全般のバランスというものも考えてみますと、この程度のことはそうとがめだてしないでもいい。これがまたどんどん多額になっていくというようなことになると、これは考える必要があるだろうと思っております。
  19. 内藤良平

    内藤(良)委員 それじゃ、ちょっとあなたのベースに乗りますけれども、大臣はどのくらいならだめだというぐあいに考えられますか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 幾らとは私は言えませんから、政治資金規正の委員会ででも教えてもらったらいいと私は思います。しかし私の考えではここにある数字の程度では相当多額というところまではいってないだろう、そう考えます。
  21. 内藤良平

    内藤(良)委員 しかし大臣、法律でこの関係は出てくるのですよ。外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の第十二条には、会社の経営内容によっては金を国庫に返さなくちゃならぬ、こういうのがあるわけであります。これは大臣が定めるところの政令、運輸省内の一つの率によってこれが出てくるわけですね。それから大臣がこういう面については行政的にこの金を返させるとか、そういうことで動かなくちゃならぬわけであります。こういう面では、大臣としてある一定の金額というものが頭に出てくるわけであります。それでこの政治献金の問題も、どこら辺ならこの会社は一応利子補給してもいいんだ、どこら辺なら利子補給段階じゃないんだ、金を返させてもいいんだ、そういうところまで行政的な見地から持っていなくちゃならぬでしょう。一応私が少し話の角度を変えても……。だからこの問題に関しては、政治資金関係は自治省にまかせるとか資金法にまかせるというだけじゃ済まぬのじゃないか。その点はいかがですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまのお話のとおり、利子補給というのはもらったのじゃなくて、いずれ返さなくちゃならぬ借金であるわけです。それである一定の限度にきて余裕が出てきた場合には、利子補給を途中でも返さなければならぬ、そういう規制が十二条等でもあるわけであります。そういう性格のものでありますから、会社の側としても、国家からそういう借金をしょっているので自粛すべきは当然のことで、お説のとおりであるだろうと思います。そういう国家助成を受けてない会社から見れば、さらに自粛したいろいろな措置を内部的にも行なうべきものであるだろうと思います。そういう意味で、私たちは大体会社の給与はどの程度であるか、あるいは重役のボーナスがどの程度いっておるか。大体同等のほかの種類の会社との比較をしてみまして、その辺もよく監査しております。そういう会社の経営状態自体をよく監査しながら、利子補給を受けているという恩典に、ふさわしくないようなことをしないように、今後も私たちは監視してまいりたいと思っておるのであります。
  23. 内藤良平

    内藤(良)委員 それじゃ十二条の精神にのっとって、政治献金をした場合は、その会社の、いわゆる政令で定めた一定の率を乗じて算出した金額をこえるとき云々とありますね、「当該利益に係る決算期」云々というのがありますけれども、この政治献金は、いままで海運局長の今日までの答弁では全然問題にしなかった、その会社の経理内容から見て全然問題にしなかったということであったわけですけれども、やはりこの会社の経理の問題につきましては当然関係があるわけですね、その会計から出るわけでありますから。そういう面で、決算期の利益云々のこういう中に、政治献金を含めるようなぐあいにやるお考えはないのですか。私の言うことはわかりますね。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法的な解釈は海運局長にやらせますが、やはり会社というものは一個の法人で、いろいろな社会生活の部面もあるように思うのです。しかし、その本務は定款に書いてあるところであり、株主に重役は責任をしょっている存在でありますから、そういう定款に書いてある本務を執行していくために忠実にやるべきものであるように思います。また一方、国家助成を受けている場合には、その面からくる法的あるいは道義的制約というものがあるとも思います。そういういろいろなファクター考えて、一個の法人として社会生活を営んでいく会社の存在というものを考えていきますと、ある一定のワクを越した場合には、これは制肘を加えなければならぬけれども、普通常識的に社会生活の範囲内の活動としてまあまあと思われる程度のものは認めてやるのが、資本主義社会の法の運営の方針である、そう私は思います。そういう点から見まして、いまの限度の程度の問題については、これは許容限度内である、そう考えるのであります。
  25. 内藤良平

    内藤(良)委員 とにかく私の言わんとするところは、大臣おわかりになっていると思います。海国日本、貿易立国の日本ということで、海運の問題につきましては、これは私、社会党員としてもやらなくちゃならぬことはやらなくちゃならぬと思います。また、政府はいままでやってきておるわけですね。ところが、いまのような非常に窮屈な財政の世の中になってきて、国家の財政ももちろん、個人的にもたいへん窮屈になってきた。会社の場合におきましても、これからなお、今後の一年間ぐらいはたいへん苦しい時代ではないかといわれておる。そういう中で、こういう面だけは、配当もする、金額の多少は、大臣はなかなか、どこら辺かわからぬと言っていますけれども、政治献金をする、そういう余裕のある会社が、いかに国策といいながら利子補給を受ける。しかも一年これを延ばしますと、十年間も効力があるということでありますから、たいへんな優遇策ですよ。これはやはり国民的感情から見て受け入れがたいというのですよ。これは政策マンとして、あるいは海運の担当として運輸省大臣局長はこれで行きたいということでしょうけれども、これはどうも私たち一般の国民感情から見ると納得できないのですね。そういう面をなお押してもやらなくちゃいかぬというところはどこにあるわけでありますか、大臣
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 最初に申し上げましたように、海運政策の基調の中には国際的相対性というものがあると申し上げたのです。各国がみんな海運に対して大幅な助成策をやっておるので、日本だけ助成策をやらぬでやったという場合は、相当な損害が国民経済に起こってまいります。特にまた日本の場合は、戦時補償の打ち切り、あるいは占領軍によるいろいろな拘束というものがあって、後発海運国でもあるわけでありますから、それだけに馬力をあげて追いつかなければならぬという宿命にあるのです。それが造船疑獄というような不幸な事件によりまして国民の指弾を受けて、そして海運の発展助成というものは挫折をした期間もありました。そういうロスも回復して、国際水準に早く復帰して——イギリスなんかはともかく船価の四分の一を補助金で出してやる、四はいつくれば一ぱいは国の金で船ができてしまう、その程度海運助成をやっておるという現段階から見ますと、日本利子補給というような程度政策は当然とるべき政策であると私は考えるのです。それで、今後海造審答申がどういうものが出てくるか刮目して見ておりますけれども、私個人の考えから言えば、利子補給という政策は続けられてしかるべき政策ではないか。やり方その他については多少のモデファイも必要かもしれませんが、そういう根本策は私は必要ではないかと考えておるのであります。
  27. 内藤良平

    内藤(良)委員 ひとつ要望しておきます。  大臣政治献金問題は、金額がどの程度云々ということがありますけれども、いま申し上げましたように、いろいろこの助成策をしておる会社側が政治献金をするということは、これは合法かもしれません。あるいは金額はたいしたことはないからこの程度はよろしいという気持ちもあるかもしれませんけれども、私は運輸大臣としてもこの政治献金問題はやはりもう一ぺん取り上げて検討すべき問題じゃないか、かように思いますし、ひとつこれは私要望として大臣にも申し上げておきたいと思います。  時間も経過したようでありますから、私の質問を終わります。
  28. 大野市郎

    大野委員長 米田東吾君。
  29. 米田東吾

    ○米田委員 私は先般の委員会におきまして一般的な質問をいたしましたが、特に大臣からお答えをいただきたいと思います二、三点を残しておきましたので、この機会に御質問を申し上げたいと思います。  時間もありませんから要約して申し上げますが、その一つは、大臣は三月十五日の閣議後の記者会見におきまして、中国向けの船舶輸出の問題について相当前向きの姿勢を示された発言をされておると思うわけでございます。内容は大臣がおられますから繰り返しませんけれども。したがいまして、この大臣発言は直ちに政府部内におきましても、また関係の日立造船等におきましても、それぞれ反応が出ているように思うわけであります。そこで、この大臣発言の真意、それからこの関係につきましては主管大臣でございますので、今後の施策等につきまして、基本的な方針をひとつお聞かせいただきたい、こう思うわけであります。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中共向けの船舶輸出の問題は、昭和三十九年に日立造船が輸銀融資に基づく五年延べ払いの条件で、一万二千五百重量トン型貨物船一隻の建造契約を締結して、政府としてもこの契約をすみやかに履行させる、また国内金融については別途考慮する旨決定いたしましたが、遺憾ながら、中共側は日本政府が本件に関して輸銀融資を確約しないということを理由に、上記契約を破棄してきたのであります。いわゆる吉田書簡という問題が、ここに伏在してきたわけであります。現在のところ、中共側の考え方がどういう考え方であるか私わかりませんが、はなはだ遺憾な事態であって、すみやかに中共向け船舶輸出を正常な状態に促進したいと考えておるのが私の考え方であります。  中共向け船舶輸出を促進したいという考え方には、二つ原因があります。一つは、日本の船の輸出力という貿易上の問題があります。中国はやはりかなり相当な潜在的な需要を持っておる国であり、日本はそういう造船能力を持っておる国でありますから、向こうの必要とするものをこちらが輸出し、また日本が必要とするものを向こうから出していただくということは、隣に住んでいる人間として当然のつき合いであって、政治とは離れて、第一段階としてはそれを促進していくべき筋であると私は考えておるのです。  第二段階の問題としては、やはり外交上、世界平和の問題というものがからんでくるのでありまして、アジア問題の本質的な問題として中国というものが存在していると私は思います。今度のベトナム問題に関するジョンソン声明等も、考えてみますと、やはりあの背景には中国問題という大きな影があそこへ投影しておるのでありまして、ベトナム問題がどういうふうに移行するかわかりませんが、あれが安定する方向にいけば、中国問題というものは必ず出てくる問題である。かように考えれば、北ベトナムが和平をして、あそこを平和な世界にするという場合には、中国というものが国際的にクローズアップしてくることは当然であって、現にジュネーブ会議にもこの前出たところであります。再び国際社会に中国が強く出てくるということも考えられますし。そういうことが平和の一つの条件になるという可能性もあると私は見ております。そういう前途も考え、かつまたアジアの平和というようなことも考えてみますと、日本と中国が国交を正常化するということが、アジアの平和を維持していくために非常に大事なファクターであり、潜在的ファクターであると私は認識しておるのです。特に最近ジョンソン声明等においてアメリカの動向を考えてみますと、アメリカの世論の変化もかなりありまして、ケネディ候補とか、あるいはマッカーシー候補のよう候補も、かなりの支持を国民の間に得てきておる。そういう情勢も勘案してみますと、アメリカがこういうふうに変わったから日本もこういうふうに変わったというのでは、日本人はみじめであります。やはり日本日本独自の思想と政策を持って日本の運命を切り開いて、善隣友好を結んでいくのが日本の外交の本筋であるように思うのです。そういうことを推進していくために、中国の輸銀問題を解決するということは、非常に大事な一里塚にもなると考えるのです。そういう平和という意味からいたしましても、輸銀問題を解決していきたいというのが、私の大臣就任のときからの念願でございまして、可能な限りの方策を講じて、スムーズにこの問題を解決していきたいと考えておる次第であります。今後ともその考え方でこの問題を推進していく決心でございます。
  31. 米田東吾

    ○米田委員 きわめて明快な御答弁をいただきましたが、私どもも大臣のお考えにつきまして、政党の立場は違いますけれども、賛意を表しておきたいと思います。これが単なる記者会見における中曽根運輸大臣一つ発言として終わらないように、また本委員会におきましても、そういう立場で私は特に御質問申し上げまして、そして今後積極的にこの問題は推進をすべきではないか、こう思いまして御質問を申し上げた次第でございます。  特に私は、重ねて大臣の所信を聞きたいのでありますけれども、少なくとも中曽根運輸大臣は、佐藤内閣の閣僚の中では、私は率直に申し上げて、推進力となるべき、実行力を伴う、しかも有力な閣僚として位置づけられておると思います。したがいまして、そういう大臣がこの種の発言を記者会見を通して公にされるということは、それなりにみずからの計算、計算というのは、この発言に対する政治上、政策上の計算であります。この計算と、それから何らかの将来についての見通しを持たれた上で当然発言をされているもの、こういうふうに私は判断をいたしておる次第でございます。まあ現状は、いまも大臣から御答弁ありましたように、国際情勢がきわめて流動的であります。特に四月一日以降の情勢は、大臣がおっしゃるとおりだと私は思います。こういう情勢に対応するという意味ではもちろんございませんけれども、こういう有利な国際情勢というものは、私はやはり政治家としてはこれをタイミングとしてとらえて、そうして日本国策というものを伸長させなければならないものと考えるわけであります。  そこで、大臣は重ねての質問でありますけれども、問題は大臣も御指摘になりましたように、輸銀の延べ払い、これが見通しとして一体どうかということが一番の問題だろうと思います。しかもそれを掘り下げますと、吉田書簡が現在どういう効力を持っているのか。これも政府から出てくるいろいろな発言を聞いておりますと、たとえば水田大蔵大臣やあるいはその他の閣僚の言を借りますと、ケース・バイ・ケースでこの問題は取り上げていこうというような趣旨の発言もあるようであります。しかしまた一方の発言からいきますと、必ずしもそうもいかないような発言も出ているようであります。私としては、この延べ払いの関係、それからケース・バイ・ケースとしての政府経済関係閣僚の態度といいましょうか、そういうものから判断いたしまして、きわめて期待が持てるものと判断をしてよろしいのではなかろうかと思いますけれども、佐藤内閣の内部にある大臣として、さらにもう少し突っ込んだ輸銀の関係、延べ払いの関係政府部内のこれに対する現在の反応といいましょうか、そういうものはどういうふうにいま出ておるのかということを、重ねて御質問をしておきたいと思うわけであります。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の念願としておりますことは、先ほどもちょっと申し上げましたように、アメリカが変わったから日本が変わるというのでは、あまりにも日本民族はみじめである。日本には日本独自の政策がなければならぬ、アジアや世界に対する考え方がなければならぬ、そういうものをはっきり国民の前に示すということが日本の政治家の立場でなければならぬ、そういう考えをもちまして、私はこの問題を推進してまいるつもりであります。  なお、政府考え方は、大蔵大臣もきのう言っておりましたが、議会の答弁では従前のとおりケース・バイ・ケースで処理いたします、こう答えていると言っておりました。それが政府立場であるだろうと私は思います。大蔵大臣は金を扱っているところでありますから、その人が言うのですから、これが金に関係した部分の政府考え方であるだろうと思います。この従前のとおり、ケース・バイ・ケースという考え方をよく分析してみまして、その上で大蔵大臣ともよく話し合ってみたいと思っておるのであります。  それでどういう状況かということでありますが、これも相手のあることでありますから、こっちがいかに力み返っても、向こうが要らないよというのでは、こっちはしりもちをつきますし、やはり情勢をよく把握して、それから台湾その他の反応の問題もございますから、そちらに対する考慮もよく考えて、その上さらに吉田書簡の取り扱いというものが非常に大きな問題になるだろう。この問題がこうなった一つの大きな理由は、中国の体面の問題だろうと思います。せっかく話がきまったのを台湾の横やりでつぶされたというのでは、中国もメンツはない。それはよくわれわれも反省しなければならぬところでもあると思っております。大体吉田書簡とか浅沼発言というようなものは、野べ送りと同時に一緒にお葬式をしたほうがいいと私は思っております。もうお葬式は済んでおるのじゃないかと私は思っております。そういう考えに立ちまして、吉田書簡というものの取り扱いを私はやっていきたい。それには、しかし政府部内の調整やらいろいろな問題がございますから、慎重に、しかもある程度考えをしっかり固めて前進していくつもりでおります。
  33. 米田東吾

    ○米田委員 よくわかりました。私は、この問題につきましては、党派を越えて、大臣の前向きの積極的な対処をお願いしたいと思います。なお、この前の委員会でも、私海運局長に申し上げたはずでありますけれども、現在の造船の輸出の状態を見ますと、確かに統計的にいま頭打ちの状態にある。さらに、臨時船舶建造調整法の第二条の規定に基く船舶の建造許可の判断の基礎となる事項、これは昭和二十八年十月二日の運輸省告示第四百三十二号、ここに四項目にわたりまして、船舶の建造と輸出についての許可の基準が示されておるようであります。この趣旨からいきましても、対中国との関係を前向きに解決するということはきわめて重要な問題ではないか、私はこういうふうに思うわけであります。しかも、いま大臣答弁されましたように、中国側に、まだこの問題で、もちろん交渉も煮詰めもないわけでありますから、相手の事情はわかりませんけれども、しかし今回古井、宇都宮両代議士等が中国を訪問されまして、ある程度の意向打診もされてきておられるわけであります。したがって、政経分離ということにつきましてはそうこだわらない。これにこだわっておるのは、むしろ日本の佐藤内閣、こういうことになるわけであります。それはとにかくとして、いわば政治に先行して経済的な対貿易関係というものを強めるということは、これは手段として、私はやはり必要だろうと思いますから、そういう点からいきましても、両々相まって、対中国との船舶の輸出関係というものは、私は、本格的に運輸省として取り組むべき問題ではなかろうか、こう思うわけであります。したがいまして、この問題につきましては、ぜひ大臣並びに担当の各部局のほうにおかれましても、十分な態勢づくりをお願いしておきたいと思います。  次に、時間もございませんが、もう一点だけ大臣にお聞きしておきたいのは、実は入港料の問題であります。さしむき、いま問題になっておりますのは、八大港の入港料の設定の問題が問題になっておりますけれども、内容とするものは、特に港湾対策の面ではきわめて重要な問題を含んでおると思うわけであります。したがいまして、私は先般の委員会でこの問題につきまして、海運局長並びに港湾局長からそれぞれ所信を承りました。しかしその限りにおきましては、運輸省としてまだ統一見解がない。海運局長と港湾局長の間には多少のお考えのズレが、あるいは認識の相違といいましょうか、そういうようなものもあるように、私は答弁の中から受け取っておるわけであります。また新聞報道等を通しましても、そういうことが報道されておると思うわけであります。しかし問題は八大港あるいは港を持っておる港湾管理者の側からいきますと、これは地方自治体の現状の赤字という面からいきましても、港湾整備の責任という港湾管理者本来の任務からいいましても、いっときも早く解決しなければならぬ問題になっておる。したがってこの関係につきましては、この問題の運輸省としての十分な政治的な指導、それからこれはいずれ大臣の認可事項になっておると私は思いますけれども、すみやかにこういう問題が解決されるように大臣の配慮が必要ではなかろうかと思います。そこで大臣にお聞きするわけでありますけれども、この入港料の問題につきましては、大臣はどのようにお考えでございますか、内容は時間がありませんから申し上げませんけれども、まずお伺いいたしておきたいと思います。
  34. 大野市郎

    大野委員長 答弁は簡潔に願います。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 入港料の問題は、港湾管理者は取りたいといっておりますし、海運業者は反対だといっておりまして、部内におきましても、率直に申し上げて港湾局は港湾管理者の味方をし、海運局はその反対であるというふうに、傾向としてはなっておるのは当然であります。そこでいま関係方面の意見をいろいろ聞きながら、利害得失を研究させておりまして、いずれ詰めてまいりましたら、なるたけ早目に判断を下そうと思っております。
  36. 米田東吾

    ○米田委員 私がこの問題を取り上げましたのは、いま審議をしております利子補給基本となる臨時船舶建造調整法並びに今日の海運行政の問題として、この問題を取り上げました。特に日本海運というものが計画造船に入りまして、それから三十八年、九年の集約以来大きな成長を示しておる、国際的にもそれは高く評価をされておる、そういうことを私も認めるにやぶさかではないわけであります。ただ問題は、高度成長を遂げた反面幾つかのひずみがあるのじゃないか。そのひずみの中に港湾対策というものが一体どうかという立場から、私はこの入港料の問題を実は取り上げたわけです。真意はどんなに大きなりっぱな船がどんどんできて、貿易が盛んになるといっても、港との関係を抜きにしてはそういうことを論ずることはできない。その港湾関係の、特に日本の一番大きい八大港において入港料を取らなければやっていけないという問題が出てきておる。したがって問題は入港料をどうするということよりも、基本的には運輸省の港湾対策、そこに問題があるという立場で私は御質問を申し上げておるわけであります。どうかひとつそういう点を大臣にも受けとめていただきまして、いま御答弁いただきましたが、前向きに、しかも港湾整備というものがひずみとしてそういう状態がいつまでも残らないように、ひとつ積極的に解決をしていただきますことを御要望申し上げておきたいと思います。  以上で終わります。
  37. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  38. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に伺うわけでありますが、昨日の質問で、海運局長は、私の主張でありますところの、集約参加の四十一社、これがおおむね減価償却不足も解消した、また元本約定延滞金も解消した、あまつさえ超過償却のところが十六社もある、こういう答弁がありました。そこで局長は、かかる状況から判断して再建整備本来の目的はほぼ達成された、また企業救済の目的は達成されたと認めましたけれども、大臣はどのように思われますか。その点をお答えを願いたい。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままでの状態から見れば、かなり好転しておるとは思います。しかし国際水準から見たら、まだたいへんおくれておるだろうと思います。
  40. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国際水準がどうあろとも、日本の国のことです。日本の問題だけです。日本の国として現在その目的が達成された。もう私どもは利子補給の必要はない、このように思うわけであります。国際水準がどうあろうとも、日本の国としては、私は現在の状態ではもう十分達成されたと見て差しつかえない、このように思うわけであります。さらにきのうの質問で、中核六社の経理内容がすばらしく好転している。これは大蔵省の証券局発行の資料によりまして私が申し上げました。この対資本利益率は四割六分にもなっているわけであります。ところが運輸省のお話によりますと、税法にあるから、その税法を活用して特別償却をして七分九厘程度に押えてある。しかし、もうかったことはもう事実だと思うんです。内容がよくなったことは事実であろうと思うんです。いかにどうあろうとも内容がよくなったということについては、大臣はお認めになりますか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従前から見ますと、この集約は成功したと思います。しかし現在の国民経済的要望を考えてみますと、われわれとしてはさらに発展策考え、また助成も国際水準考えてやらなければならぬと思っております。
  42. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、中核六社の対資本利益率を八分以下に押えてあるという点であります。きのうもさんざんとの点については海運局長とももんだわけでありますけれども、やはり引き続き十年間も八分以下に押えるというような指導を大臣はなさいますかどうか、この点をお伺いしたい。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう点はいま海造審答申を求めておりまして、その海造審政策全般とにらみ合わせた上で考えてみたいと思っております。
  44. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 言うならば八分以下に押えてあるということは、きのうも申し上げたわけでありますけれども、利子の補給を停止するとか、そういう面から考えて八分以上にしてはまことにまずい。そこで故意に八分以下に押えているとしか思えない。そのように指導しているとしか私たちは考えられないわけであります。どうも運輸省の指導が、あくまでもいまの助成策を強行していくためには利益を八分以上にしてしまったのではまずいというところから、八分を押えて七分九厘程度に全部押えてある。こういう点について私どもは非常に不愉快にも思うし、こういう指導をするということは、ことに中曽根大臣としてはしてはならないのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。いずれにいたしましても、税法の計算上どうあろうとも、もうかっていることば事実なんです。よくなったことは事実だということだけはお認め願えば、もうこういう税制の措置をすることは必要ないし、利子の補給をする必要がない、このように私は思うわけであります。この点、もう一度大臣の明確なるお答えを聞いておきたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 経営内容のよくなっていることは事実でありますけれども、私の考え方では、できるだけ自力を培養して、次の段階ではその自力を相当活用する方向政策を展開していきたい、そういうふうに考えておるのであります。
  46. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、次に伺いたいことは、少し問題が違いますが、地下鉄に対する利子の補給でありますが、これは普通償却以前に赤字が出たときのみに利子の補給をしている、このように私どもは聞いておりますが、これと比べたときに、海運業に対するところの利子の補給というものはあまりにも手厚いように私は考える。これほど手厚い保護を加えなければならない理由は、私はないと思う。この点について、大臣どうですか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まあいろいろ対象によって性格あるいは度合いが違ってくるのはやむを得ぬと思うのです。石炭に対する国の助成等を考えてみますと、さらに大きなことを実はやっておるわけでございます。現在の国民経済的必要、社会情勢から来る要請というものを考えて、政治がその緩急、度合いをつけていくべきものであろうと思います。石炭についてはああいう厚い助成その他がとられるのは現時点としてはやむを得ない妥当な措置であると同様に、海運についても戦時補償を打ち切られて、それから占領政策のもとに非常に拘束を受けて、後進国として出発した日本が、海運国でありながらああいうみじめな状態を継続するということは、日本の前途にゆゆしい状態でもありましたし、さらに造船疑獄という不祥事件によって非常な世論の支持を失って、痛手を受けてみじめな状態海運業がなったわけであります。そういう情勢から脱却するためにこの集約整備ということが行なわれた。私はあの政策は正当であり、また成功したと思います。しかし現時点に立って現在の国際競争や国際経済情勢を見てみますと、これで安心する段階ではない。日本経済成長のスケールを考えてみますと、現在のような程度のことをやっているだけでも現状を維持するのにきゅうきゅうたるありさまで、追いつくのに一ぱいだという状況だと思うのです。その積み取り比率を五〇%から六〇%の段階に持っていくというためですらも、さらに大きな国家助成が必要であると私は考えておるのです。現状であったら、もっと積み取りの比率は悪くなってくるばかりであります。日本のように輸出に対して輸入の大きさが、バルキーカーゴーであるために十倍も持っているというこの構造からいたしますと、やはり貿易外収支の赤字というものをもう慢性的に拡大していく傾向にあるのでありまして、貿易外収支の赤字をできるだけ克服していくためにも、船腹の大量建造及びこれに必要な助成というものは、私は必要であるというように考えております。
  48. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 しかし私がいま考えますことは、国民の貴重な血税を一部の特定な会社、言うなれば中核六社、これに大部分を与えているのはおかしくはないかと思う。私は業績のいい会社には助成の必要はないと思う。りっぱに立ち直ったということは、いまも大臣が言明しているわけだ。業績の悪いところに、よく監査した上でこれに補助を与えるのはいいと思います。しかし業績のよくなったところにさらに——ここでこの法案が成立するならば四十三年度の二百三十一億六千七百万円、こういうものは大部分が中核六社に渡ることだと思う。よくなった中核六社に与える必要はない。むしろ私は、まだまだこれからもう一歩力を入れてやったらば立ち直るというようなものに与えるべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。この点についてどう思いますか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本年度利子補給集約整備期間中の仕事でありまして、これはまあ当然行なわるべきものであろうと思います。四十四年以降の問題につきましては、松本さんのような御意見もあり、またそのほかの幾つかの問題、あるいは日本経済の将来のために考えるべきポイントもございまして、海造審にいま諮問している最中でありますので、それらの広い意見をよく勘案した上で確立してまいりたいと思っております。
  50. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 今年度助成金額でありますが、これは中核六社には大体どれくらい行くか。概算でけっこうでありますが、中核六社にはどれくらいか、その他の系列、専属に対してはどれくらいあるか、海運局長にちょっとお伺いしておきたいと思います。
  51. 堀武夫

    ○堀政府委員 財政資金の約七割が中核体に充当することになっております。系列会社に対しましては二四・七%、専属会社に対しましては四・四%、こういう状況になっております。
  52. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの海運局長答弁でもわかりますとおり、大部分のものが中核六社に行く、七割も行くというわけです。こういう点を考えましても、新しい年度においてはこの点についてとくと考慮すべきであるということを申し添えておきたいわけです。  それから次に、大臣に伺いたい点があります。それは、海運業界からの政治献金の点であります。きょうも内藤委員からお話がございました。しかし、内藤委員のお話は昭和四十年度あるいは四十一年度の、海運会社の経営状態が好転してきてからの政治献金の問題であります。私は経済状態の逼迫していたところの昭和三十七年ごろから現在まで、日本船主協会であるとか、あるいは中核六社及び他の数社から献金がなされている点について申し上げてみたいと思うのです。  先ほど大臣は、金額が少ないからその程度はやむを得ないんじゃなかろうかというような御発言がありましたけれども、金額の点の問題ではないということを私は申し上げておきたいのです。  ざっと申し上げましても、小さなものを省きましても、三十七年の一月から六月までの上半期では、日東商船が内外労働問題調査会、これに対して十万、そのほか小口のものが三井船舶、山下汽船二口あります。それから三十八年の一月一日から六月三十日までの間には、日東商船から国政研究会に対して三十万、森田汽船から同じく国政研究会に対して五百五十一万、日本船主協会から参議院同志会に対して百万、川崎汽船から自由民主党に対して百万、日本船主協会から自由民主党に対して一千万、森田汽船から信友会に対して三百二十万、日東商船から信友会に対して二十五万、森田汽船から永田亮一後援会に対して三十万、日本船主協会から自由民主党に対して五百万、日本郵船から木村会に対して十五万、川崎汽船から同じく木村会に対して二十五万、大阪商船から木村会に対して十五万、関西汽船から木村会に対して十万、大同海運から同じく木村会に対して二十五万、それから三十八年七月から十二月三十一日までの間に川崎汽船から新政治経済研究会に対して二百万、山下汽船から同じく新政治経済研究会に対して百万、大阪商船からも三十万、それから日本郵船から水産経済懇談会に対して二十万、この水産経済懇談会に対しては、先ほどの木村会と同じように各会社から分かれて二十万ずつ出ています。日東商船二十万、三井二十万、川崎汽船二十万、山下汽船十万、こういうふうになっています。また信友会に対しては日東商船から百万、森田汽船から百五十万、それから山下汽船から二十日会に対しては三十万、日東商船、川崎汽船からも同じく二十日会に対して三十万、五十万と出ています。それから日本郵船から文化日本研究会に対して三十万、三井船舶から本邦政経研究会に対して二十万、日本郵船から弥生会に対して二十万、日本船主協会から瓶山会に対して十万、日本郵船から斐水会に対して十万、それから三十九年一月から六月までの間では、日東商船から国政研究会に対して五十万、関西汽船から新政策研究会に対して二十四万、日東商船から信友会に対して百万三十九年七月から十二月までの間では、川崎汽船から経友懇話会に対して五十万、大阪商船三井船舶から四十万、日本郵船から二十万、それからジャパン・ラインから国政研究会に対して百万、森田汽船から国政研究会に対して二百五十四万、日本船主協会から国民協会に対して一千万、ジャパン・ラインから信友会に対して百万、森田汽船から同じく信友会に対して三百万、日本郵船から政策懇談会に対して百万、大阪商船三井船舶から同じく政策懇談会に五十万、川崎汽船から政策懇談会に百万、ジャパン・ラインから本邦政経研究会に対して二十万、また日本船主協会から天野良吉後援会に対して二十万、同じく船主協会から健友会に対して十万、大阪商船三井船舶から白渓会に対して二十万、森田汽船から時局経済問題懇話会に対して二百万、それから、四十年の七月から十二月までの間には、日本船主協会から天野良吉後援会に対して二十万、森田汽船から経友懇談会に対して百万、同じく森田汽船から時局経済問題懇話会に対して百万、川崎汽船から政策懇談会に対して百万、このように出ております。四十一年一月から六月三十日までの間には、大阪商船三井から蚊竜会に対して四十万、同じく大阪商船三井から内外政経調査会に対して十二万、日本郵船から備後会に対して六万、ジャパン・ラインから同じく備後会に対して十二万、川崎汽船からは六万、山下汽船からは三万、こういうふうに小口でも出ています。また、大阪商船三井から自主外交研究会に対して二十五万、日本郵船からは同じく二十五万、また、日本郵船から協同主義研究会に対して五十万、また経友懇談会に対して十万、日本船主協会から経友懇談会に対して三十万、また、日本郵船から町局経済問題懇話会に対して五十万、日本船主協会から政経一新研究会に対して十万、大阪商船三井から政治経済研究会に対して十万、同じく大阪商船三井から白渓会に対して十万、川崎汽船から二十日会に対して二十万、日本船主協会から二十日会に対して五十万、こういうふうな、小口も大口も取りまとめまして、その総額といたしますと、大臣から言われれば金額が少ないかもしれませんが、五千八十七万円の金額が出ているわけです。  こういう政治資金が出ているという点、もちろん現行の政治資金規正法の規定によりましても、選挙についての献金はいけないけれども、政治活動についての献金は一応認められています。また、公職選挙法におきましても同様の趣旨が盛られていることは私も了解しています。しかし、その抜け穴と言っては悪いかもしれませんが、その抜け穴をうまく利用して政治献金が公然と行なわれている。一方、国民の血税であるところの貴重なる資金を国家から補助として受け取り、不況打開をはかっている会社多額政治献金をしているということは、法律には触れないでしょう、しかし、道義的に私は理解できない。常識的に私は理解できないわけであります。特にきょうの内藤委員の質問に対しても大臣は言われました、金額が少ないからこの程度ならいいだろうというようなお考えは、私は納得できない。むしろ、金額は少なくとも業界に対して大臣御自身がたしなめるべき立場にあるのではなかろうか、このように私は思うわけです。その点について大臣はどのように思われるか、お答えをいただきたい。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 利子補給を受けている会社多額政治献金をするということは、私は適当でないと思います。これは当然自粛すべきものであるだろうと思います。  いま御指摘になりました金額その他につきましては、これが適当であるかどうかは、一般の政治資金規正法の問題ともからめまして、よく検討してみたいと思います。しかし、お話しになりました趣旨につきましては、同感するところが多いと考えております。
  54. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 昭和三十七年ごろの経理状態が悪かったといわれるその中核六社が、大臣から言われれば多額でないかもしれませんが、このような金額献金をしている。これは、勘ぐれば、少しぐらい無理してやっても多額の反対給付が期待できるから献金したのかもしれないとも考えられるわけです。あるいは法案の成立を期待した動きであったか、こうもとれるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、当時に比べまして経理状態のよくなっている中核六社に、今後利子補給を続ける必要はごうもない、このように私は思うわけであります。この点、大臣どうですか。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 利子補給は国際海運競争にうちかって、そうして国民経済の発展を期するという点からの、大きな別の観点から私は必要であると思っております。海運会社政治献金その他に関する問題につきましては、これは別個の問題として取り上げて、必要あらば措置していくべきものであると考えます。
  56. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に伺いたいことは、四十三年度から国鉄の財政再建助成としての利子補給が五十四億あります。これを入れましてもなおかつ三百億の不足を生じております点を通勤通学定期の値上げで国鉄はやってくる、こういう状態になっておる。これは必然的に大衆に負担がかかったことになるわけであります。国鉄の総裁は、会社の負担だから一向通勤定期のほうは差しつかえないというようなことを言われましたけれども、やはり私は大衆に負担がかかっていることは事実だと思う。そこで一方海運業界には、今年度だけでも、この法案が成立すれば百十二億、将来にわたっては二百三十一億もの利子補給があるわけであります。しかもこれは、いまお話があったように、その七割が中核六社に渡る分であります。中核六社は言うならば全部法人格を持った会社でありますし、これはいずれも利潤追求の会社であると私は思うわけです。そこで、このことをいま申し上げました国鉄の利子補給、そのような点と考え合わせましたときに、海運業界は、大臣もお認めのとおり立ち直った。であるから、この時点で利子補給の必要はない。せめてこの部分だけでも国鉄に利子の補給を加えられたならば、一般大衆も値上げ幅が少なくて済むし、物価の値上がりの一つの口実にもならないで済むというふうに考えるわけであります。同じ運輸省内で同じ運輸大臣の中曽根さんの決裁で行なわれたことで、このような処置は考えられなかったかどうか、この点についてお伺いしておきたい。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 海運海運、国鉄は国鉄で、これは両方とも利子補給の要望の必然性がありまして、こっちがあったからこっちはなくていいとか、こっちは薄くしてこっちは重くしていいとか、そういう性質のものでないと私考えまして、両方とも一生懸命努力したのでありますが、国鉄のほうはことし初めて五十四億という額を獲得したのでありまして、来年以降はもっと大いに努力をしてまいりたいと考えております。
  58. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんししますので、もう一点だけお尋ねしておきます。  運輸省は、きのうもいろいろやりとりいたしましたけれども、当然増資できるほどの余裕が出てきている、それを増資もさせないでおるということは、まことにこれは不合理じゃなかろうかと思う。外国でも国策として海運助成を行なっているということは、いろいろきょうのお話の中からも出てまいりましたので承知いたしました。しかし、補助を受けていない国の海運会社は発展していないのかどうか。ギリシャやノルウェーでは日本のように助成はしておりませんけれども、発展している、こう私はいろいろの書類から見たわけであります。また、米国ではタンカーや鉱石船は米国籍にしないで、パナマの国籍にして、補助を受けないでやっているという例もあります。またわが国でも、補助も受けずに自力でりっぱに立ち直った会社があります。三光汽船というような会社は補助は受けていないそうでありますけれども、りっぱに立ち直っているそうだということも聞いております。こういうふうな点から考えまして、補助を受けなければやっていけないというような考え方は、これは間違いじゃないかと私は思う。  以上私が申し上げましたとおりに、現在の海運業界は、日本郵船や大阪商船三井船舶のように世界一と言われるような船舶の保有量を誇っております。先ほども申し上げたように、中核六社は配当も始められるような体制に立ち直っています。しかしながら集約の期限があと一年ある、だからこの際一年間だけ延長してほしいということは、まことにこれは国費の浪費ではないかと思う。大蔵大臣も財政硬直化のおりから、こういう不急な計画は繰り延べるべきではないかということで、大蔵省でも最初はこの利子補給については事務当局は反対していたということが、きのう大蔵省の主計官の出席を得まして確認できました。しかし、最後には両大臣の話し合いでこの問題が決定されたということも聞いています。私は、財政硬直化が深刻であるならばあるほど利子の補給や助成をやる必要はない、大蔵省の事務当局の言うのがほんとうだと思うわけであります。こういうときにあたりまして利子補給を続ける必要はない。むしろ、続けるということは明らかなる政治的な配慮だと思うものでありますが、この点について大臣はどう思われますか。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 パナマとかギリシャとかあるいはノルウェーとか、そういう船主国等は、大体中国人とか香港人とか、あるいは外国人を雇ってきて、そうしてこれを運航させるというような関係その他もありまして、非常にコストが安く済むわけであります。また、税金の面においても破格の安い税金を納めておる。そういうかげんに対して、日本の場合は税の問題あるいは雇用関係が海員組合と一本になっておりまして、外国人を雇うわけにまいりません。少なくとも韓国人とか台湾人とか香港人とか、安い労賃の海員を雇い入れておる外国汽船のほうが、はるかに有利な条件にいまなってきているわけです。このままいくとますますその格差が出てまいりまして、日本海運というものの前途は相当憂うべき事態が、船員の側から私は起きてきていると見ておるのであります。そういう情勢その他から考えますと、いまの中核六社や船会社等はあまり規模も拡大しないで、現状程度で小じんまり経営するほうが利益が大きいし、私的経済から見たらそのほうをみんな歓迎しておるのです。しかし日本海運会社がそういう小さな規模で小成に甘んじて、自分の私的利益追求だけやっておれば、国民経済上の大きな破綻がくるわけであります。何しろ社会経済発展計画におきましては、あと九百万トンくらいつくらなければ、現状維持はできない情勢になる。そうして国際収支の面において、貿易外収支の赤字  がもっとひどくなってくるわけです。ことしだけ  でも七億ドル近くある模様です。そういう面を見  ますと、海運会社の私的資本の意向だけで小じんまり利益だけあげられておられたら、国民経済全般としてはゆゆしいことが起こるので、ある程度大量建造を誘発するだけの行政的措置がここに必要になってきて、このような集約制度その他が行なわれてきておるわけなのであります。そういう国家的要請を受けて集約ということも行なわれておるので、私的資本がこのために利潤を多くしているとか、得を予想しているという性格ではないと私は考えておるし、またそうすべきものでもないとも思っております。そういう考えを基準にして、今後とも船腹の大量建造を促進する方策をとっていく上について、利子補給というものはその誘導政策として私は非常に大事な政策ではないかと考えております。
  60. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ、大臣にちょっと一つだけ聞いておきたいことがあります。それは、なかなか大臣は当委員会にも出席がありませんし、お会いすることが少ないので、この機会にお伺いしておきたい。  それは、国民の重大関心事と言ったらばお笑いになるかもしれませんけれども、大衆にとってはたいへんな問題、ということは、一昨日の新聞に、大手私鉄十四社のいわゆる定期運賃の値上げの問題、これは六月実施を目途に運動を開始したというようなニュースが載っております。大臣は、いままでしばしば私鉄の値上げは認めないというようなことを言っておりましたけれども、何か大臣が腰砕けをしてこれをお認めになるのではなかろうかというふうに私どもは感じるわけであります。まあそういうふうにならないことを願っているわけでありますが、この四月の一日から国鉄の運賃も値上げになり、実際世間一般ではたいへんな打撃を受けている。実際定期券を買ってみてびっくりしたという声を聞くわけであります。そこで私鉄の値上げということは大臣の勇断をもって今年中はやらないということを、ひとつ確約を願いたい。この点をひとつお願いしたい。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 認めないと言ったものは認めません。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。
  63. 大野市郎

    大野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  64. 大野市郎

    大野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。菅波茂君。
  65. 菅波茂

    ○菅波委員 私は、自由民主党を代表して、本法案に対して賛成の討論を行なわんとするものであります。  わが国海運の置かれている実情、体質、問題点等については、すでに今日までの委員各位の熱心な審議の過程で明らかになり、その問題把握については各委員ともほぼ同様の認識を持たれたものと承知いたすものであります。  今回の改正法案は、現在実施されている開銀融資分の利子補給再建整備計画期間中である昭和四十三年度についても実施し、四十四年度以降の海運自立発展計画への基礎がために資せんとするものでありまして、以下申し上げる理由により、賛成を表明いたしたいと存じます。  その第一の理由は、今回の整備計画の進捗に伴い、海運企業は相当程度企業力を回復したとはいえ、その内部蓄積は欧米の海運企業に比しきわめて少なく、企業の総合競争力の観点からすれば、内外企業の間に相当の格差が存すること、並びに回復したとはいえ、系列、専属会社の中には、まだまだ不十分な会社が多数残っている実情がある点であります。  第二に、さらに一船別の国際競争力を考慮した場合においても、今日のわが国計画造船の金利体系と、輸出船で代表される諸外国の建造金利水準とを比較した場合の優劣は明らかであり、現行の利子補給制度をもってカバーして、ようやくほぼとんとんとなる実情であります。したがって、ようやく再建より立ち直りつつある現在の海運業に二百二十万トンの建造が計画されている四十三年度分について、すでに利子補給の必要なしとする論旨は全く成り立たないと思われるのであります。  第三に、諸外国海運助成策の動向を勘案した場合、欧米諸国がそろって海運助成を強化している中で、わが国のみが何ら海運助成についての総合対策も決定されないままに、現在の助成の最大の柱である開銀利子補給を四十三年度より打ち切るのは、日本海運の国際競争力を弱め、海運収支を一そう悪化させるものと勘案される点であります。  第四に、わが国海運を取り巻く国際環境は一段ときびしいことが予想せられ、コンテナ方式の採用、巨大船化、自国貨自国船主義の盛行等、海上運賃競争はますます激化しつつあります。かかるとき、政府当局は四十四年度以降の再建より自立への発展計画を立案中であり、私どももその成果に大いに期待しておるものでありまして、それまでの、すなわち四十三年度一ぱいの利子補給制度の継続はきわめて当然と勘案いたす次第であります。  以上、賛成理由の大要を申し述べて、私の対論を終わります。(拍手)
  66. 大野市郎

    大野委員長 渡辺芳男君。
  67. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されております日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について、簡潔に反対の討論を行ないます。  わが国の海運企業は、第二次世界大戦で壊滅的な打撃を受けました。敗戦の結果、海運企業に限らず、一般国内産業も戦時補償は打ち切られ崩壊に瀕したのであります。そして、占領政策により政治、経済、産業、文化の各般にわたって民主化政策がとられました。海運企業もその例外に漏れず、企業再建は困難をきわめたのであります。政府は、昭和二十六年第五次計画造船以来外航海運再建に着手したのでありますが、その再建をめぐり政治家と企業家との結びつきが深まるにつれて、あの忌まわしい造船疑獄が発生し、国民の多大の不信を買ったのであります。もとより海運企業再建は、当初におきましては国の保護育成を必要としたのでありますが、わが国の経済復興の進展とその後のめざましい経済成長に伴って、海運企業本異常な発展を遂げたのであります。特に昭和三十八年の海運企業整備に関する臨時措置法及び開発銀行融資に対する利子補給法などの成立によって、海運企業は一段とその内容が充実してまいりました。これはもとより国の助成政策の力があずかって大きかったものと思います。私は、今日もなお海運企業が戦前の国策会社考えを持って相変わらず国の援助を求めるとするならば、遺憾だと思います。私は、海運に限らず、わが国の産業はあらゆる分野にわたって、今日きびしい国際競争の場に立たされていると考えております。したがって、海運企業はこの際一そう自立意欲を持って、きびしい国際競争にうちかつ心がまえが必要であると思います。  私はここに、注目すべき点を指摘いたします。  現在大手海運企業国家助成を受けながら配当を行ない、また特別償却を認めて内部蓄積を増加させております。さらにまた、政治献金をも行なっております。国家財政が硬直化のおり、また各主要企業もその例外に漏れず、貿易の自由化、資本の自由化段階にあって、経済事情はきわめてきびしくなってまいっておりますが、私は、今日各企業が経営がきわめてきびしくなっている段階に思いをいたし、相変わらず海運企業が国の助成を求めたり、あるいは政府が率先して援助するような措置を続けるのは筋違いであると思うのであります。  かかる観点から、私はこの改正法案に対して反対をいたします。(拍手)
  68. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  69. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題にのぼっております日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論を行なわんとするものであります。  本案に対する今日までの審議の過程におきまして、わが党の見解をるる申し述べてまいりましたが、国家の補助を受けている中核六社を主体とする集約グループは、減価償却不足及び元本約定延滞金の解消をおおむね終え、中には、郵船や商船三井のごとく世界第一の船腹保有を誇る会社に成長したものもあり、なおかつ、株主配当も十分できるほどにりっぱに立ち直っております。しかるに、一方では非集約船主のように、国家の補助を受けなくとも多くの外貨をかせぎ、船腹増強に邁進し、自主自立で立ち直った会社も多々あるのであります。よって、集約グループも自主自立を旨としてわが国海運の発展に努力すべきでありますが、政府助成をあえて行なうならば、金利を輸出船と同じに引き下げるべきであると強調するものであります。  確かに海運の発展はわが国の経済発展に寄与するところが多く、外貨獲得に多大の影響を及ぼしていることは、われわれも否定するものではありません。これを助成する方法としての利子補給のあり方に対しては大きな誤りがありますので、根本的に再考慮する必要があります。よって、本法に対し、反対の意思を表明いたすものであります。
  70. 大野市郎

    大野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  71. 大野市郎

    大野委員長 これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  72. 大野市郎

    大野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  73. 大野市郎

    大野委員長 ただいま議決いたしました、本案に対し、小渕恵三君外一名より、自由民主党及び民主社会党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず提出者から趣旨説明を求めます。小渕恵三君。
  74. 小渕恵三

    ○小渕委員 私はただいま議決されました日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党及び民主社会党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。   日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   現行海運業の再建整備に関する臨時措置法の下に、わが国海運業は敗戦の痛手を克服し再建整備は順調に進捗しつつあるが、政府は海国日本としての今後のわが国経済に占める海運政策の重要性を一層認識し、速かに国際海運界における指導国としての水準を確保させるため、業界の自主自立を前提として新たなる観点に立った海運発展振興策を樹立すべく、業界体制整備、体質の向上、国際競争力の強化等、財政、税制、金融全般にわたり検討を行い、昭和四十四年度より新政策の出発を期するべきである。 以上であります。  提案の理由については、各委員の本日までの審議の経過によってすでに明らかでありますので、省略いたします。  何とぞ、御賛成をお願い申し上げます。
  75. 大野市郎

    大野委員長 以上をもちまして趣旨説明を終わりました。  これより採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  76. 大野市郎

    大野委員長 起立多数。よって、本案は附帯決議を付することに決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。中曽根運輸大臣
  77. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま、慎重御審議の結果、御採決をいただきました。まことにありがとうございました。  また、決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもって実施に当たる所存でございます。ありがとうございました。     —————————————
  78. 大野市郎

    大野委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等については、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  80. 大野市郎

    大野委員長 次に、港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を一括議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  81. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま議題となりました港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  港湾は、経済活動の重要な基盤でありまして、外国貿易を拡大し、生産の増強につとめ、地域格差を是正し、もって国民経済の健全な発展に寄与するためには、港湾の緊急かつ計画的な整備を推進する必要があることは申すまでもないところであります。このような見地から、政府は、昭和四十年度を初年度とし昭和四十四年度に至る港湾整備五カ年計画を策定し、これに基づいて港湾整備事業の実施を鋭意推進してまいったのであります。  しかしながら、近年におけるわが国経済の高度成長に伴い、港湾取り扱い貨物量は予想外の伸びを示し、当初の想定をはるかに上回っております。さらに、海上コンテナ輸送の開始、超大型船の就航等、海上輸送の合理化の必要性、船舶の大型化と航行船舶のふくそうに伴う海難の防止の要請等、新たな情勢が生じてきたのであります。このような事態にかんがみ、昭和四十三年度を初年度とする新港湾整備五カ年計画を策定し、港湾の整備を強力かつ計画的に推進する必要があります。  つきましては、昭和四十年度を初年度とする港湾整備五カ年計画を策定することとなっております現行の港湾整備緊急措置法を改正し、昭和四十三年を初年度とする新しい港湾整備五カ年計画を策定し、閣議決定することといたす必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  現行の臨時船舶建造調整法は、昭和二十八年に制定され、外航船舶の建造を許可制としてその建造調整を行なうことにより、わが国の国際海運の健全な発展に寄与するとともに、ひいては、わが国造船業の発展にも資してきたのであります。今回の改正は、本法の存続期間が現在昭和四十四年三月三十一日までとなっておりますのを昭和四十八年三月三十一日まで延長することとしたことであります。  わが国造船業の現状を見ますに、昭和四十二年十二月末現在、その輸出船手持ち工事量は、約千三百万総トンに及んでおり。この中には、昭和四十四年度、四十五年度着工予定のものが相当量含まれているばかりでなく、超大型船については四十六年度以降のものについても引き合いが寄せられている状況であります。しかるに、国内船の建造契約は、着工二三カ月前に行なわれるのが通常でありまして、このまま放置しておきますと、わが国外航船腹の整備に支障を及ぼすおそれもあり、国内船建造のための船台を確保するよう調整する必要が強くなっております。  また、外航船舶の建造にあたっては、それが予定航路の輸送需要量、積載貨物の種類等に適合し、国民経済の要請に適合したものとなるよう調整するとともに、わが国からの輸出船の増大に伴って、これら輸出船とわが国船舶との間に競合関係を生じるおそれが強くなっていることにかんがみ、輸出船の建造にあたっては、それがわが国国際海運の健全な発展に支障を及ぼすことのないよう調整する必要があります。  さらに、最近需要が活発化している超大型船、コンテナ船等、特に高度の技術を必要とする船舶の建造に際しては、一船ごとに、それを建造する造船所が適正な能力を有しているかいなかを検討し、もって、わが国で建造される船舶の船質を確保する必要があります。  本法の存続期間につきましては、邦船積み取り率の低下及び海運国際収支の悪化の現状から見て、今後とも外航船腹の大量建造を必要とすると思われること、並びに西欧諸国の建造能力の整備状況から見て、大型船の建造については少なくともここ五年間は日本が独占的地位を占めるものと予想されることにより、本法による建造調整も少なくとも昭和四十八年三月三十一日までは必要であると見るのが妥当であります。  なお、現行法は、昭和四十四年三月三十一日まで効力を有するのでありますが、その有効期間延長についてのこの法律案を今期通常国会に提出いたしますのは、造船の場合におきましては、着工の相当期間前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和四十四年四月以後に行なわれます建造について混乱を生ぜしめないためであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  82. 大野市郎

    大野委員長 これにて両案に対する提案理由の説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。  次回は、来たる九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会