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堀政府委員 最初の、日米の
海運関係でございますが、昨年十一月、米国の
海運当局と話し合いをするために私が行ってまいりました。その昨年の会談におきまして一つの問題は、航路安定の問題でございます。この航路安定についての
日本と米国の考え方は少し考え方が違うのでございますが、
日本の考え方は、
海運自由の原則ということで、同盟活動というものはできるだけ自由にしていく、それが最も航路を安定させるゆえんであるというふうに考えておるのですが、アメリカ側の考え方は、同盟に対してはある
程度規制していく、厳重な監督をしていくという考え方でございます。特にアメリカは独禁法思想の非常に強い国でありまして、アウトサイダーというものをある
程度同盟の外に置いて、そしてそれが競争することによってのほうがいいのだ、そういうような考え方が若干あるようであります。このために、従来ともアメリカを
中心とする航路はいわゆるオープンコンファレンスになっておりまして、盟外活動というものはひんぱんに行なわれてきたという
状況でございます。そのために過去において非常な
運賃引き下げ競争というものが起こった例がございまして、そのために各同盟のメンバーは非常に痛手をこうむり、あるいはそれによって
貿易の物資の輸送に支障が生じてくるという事例がございます。こういうような観点から、こういうような混乱はできるだけ事前に防ごうではないか、もし起こった場合は、まずその火事をなるべく早く取り静めるということで、両国
政府は、必要があれば
政府間協議をして、その火を消すことに努力しようじゃないか、こういう話し合いをしてきたわけです。できれば
定期会談をして、常に意思の疎通をはかって、そういう問題が起きないようにひとつ情報交換等をやろうじゃないか、こういうことを申し入れまして、大体了承をしてもらったわけであります。そしてそれの申し合わせによりまして、先般もアメリカからFMCの長官がやってきたということでございます。航路安定はその方向で今後進められていくと思います。
もう一つはシップアメリカンの問題でございますが、これは本来自由であるべき国際
海運競争というものを阻害するという立場から、そういうことはひとつやめてくれという考えで従来ともきておるわけでありまして、この考え方に対しましては、西欧の
海運諸国も同じ意見でございまして、先進
海運十二カ国が団結をいたしまして、アメリカに対して抗議を続けてきておるというのが実情でございまして、今後ともその点につきましての米国側の反省を求めていくという考えでおります。
それから日韓問題でございますが、これは昨年の一月ソウルにおいて、これは前局長の亀山君が参っておりますが、日韓会談をやってきておりますし、七月には東京において、これは私が出ましたが、日韓
海運会談をやっております。会談におきましては、原則的には、双方は
海運の自由を将来実現さるべき共同の努力
目標としてやろう、そういう精神につきましては両方とも異論はないわけでございますが、その具体的やり方、そしてどういうようなタイムリミットでやるかということになりますと、なかなか意見がまとまらない。それと申しますのも、韓国の非常に熱望いたしておりますのは、
日本側の
経済援助等による
船舶輸出による
船舶建造ということを先に考えておるということでございまして、まず
日本の
船舶輸出を言うとおりにやってくれ、そしたらそのあとにおいて
日本側の言う
海運自由の原則の実現ということを考えようということでございます。こちらは逆に、まず
海運の自由ということから、自国船優先主義というものをやめてくれ、そうすれば
船舶輸出の面についても十分考える、こういう意見の対立でございます。その後昨年日韓閣僚
会議等がございまして、
船舶輸出に対してはだいぶん向こうの意見もいれて進んでおるという
状況であります。
それで、昨年韓国におきましては、
海運振興法というものをつくりまして、その十一条に、韓国人が物を輸送する場合はまず自分の国の船を使えという非常にきつい条文があります。これに対しまして昨年の七月の日韓会談では強く抗議をいたしたのでありますが、なかなか容易に話はきまりません。向こうの申しますには、これは何も
日本だけを相手にしている条文ではない、自国の
海運を育成するための条文であるということをしきりに言いまして、韓国と
日本の
海運を比較するともう月とスッポンではないか、そう気にすることはないではないかというようなことで、なかなか話は進まなかったわけでございます。一方、
政府間交渉のほかに民間ベースの会談も何回か行なわれまして、とにかく現在の荷物の積み取り
状況についてまず調査をしよう、そうしてその調査に基づいて、将来は
積み取り比率を五〇、五〇というふうに持っていこうじゃないか、こういうようなことで今後会談を進めていくということにいたしております。それで、ことしの六月中旬ぐらいには船主協会ベースの会談も行なう
予定にいたしております。そうしてその後においては、あるいは必要であれば
政府間会談も行ないたい、こういうような考えでおります。