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1968-04-02 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅波  茂君       中川 一郎君    西村 英一君       井上  泉君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席政府委員         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省海運局長 堀  武夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         運輸省海運局次         長       高林 康一君         日本開発銀行理         事       高野子雅宣君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月二十九日  委員小渕恵三君、菅波茂君及び中川一郎辞任  につき、その補欠として賀屋興宣君、松野頼三  君及び相川勝六君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員賀屋興宣辞任につき、その補欠として小  渕恵三君が議長指名委員に選任された。 四月一日  委員相川勝六君及び松野頼三君辞任につき、そ  の補欠として中川一郎君及び菅波茂君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月三十日  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三六号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。渡辺芳男君。
  3. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 まず、開発銀行関係のほうからお尋ねをいたします。  本年度開発銀行関係資本金増加があると思いますが、私、ちょっとそれ、他の法案を研究しておりませんが、昨年度資本金が二千三百三十九億七千百万円である。で、開発銀行が本年予定をしている自己資金とそれから財政資金、合わせて四十三年度はどのくらいの新規貸し付けができますか、まずひとつお伺いします。
  4. 高野子雅宣

    高野子説明員 お答えいたします。  開発銀行の本年度貸し付け資金は二千五百十億でございます。
  5. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 本年度末、四十二年三月三十一日に想定される貸し付け残高は、大体どのくらいになりますか。  それから現在までのおもな貸し付け企業はどんなものがあるか、これをひとつ明らかにしてください。
  6. 高野子雅宣

    高野子説明員 本年度末におきます想定残高といたしましては、一兆二千億弱という予定でございます。  それから主たる貸し付け先といたしましては、電力海運石炭石油化学、陸運といったようなところが主たる貸し付け先でございます。
  7. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先ほど説明がありました本年度貸し付け資金二千五百十億、そのうち計画造船が本年度二百二十万トン予定をされて、そのうち開銀融資が八百八十九億になっておりますね。あとの残りは一体どういう企業におもに貸し出されますか。
  8. 高野子雅宣

    高野子説明員 お答えいたします。  海運のほかには電力に二百五億、地方開発に四百十億、その他に千二億という予定でございます。その他の中の主たるものといたしましては、石炭それから大都市開発及び流通機構近代化といったようなところが大きなものでございます。
  9. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 二十七年に復興金融金庫から開発銀行発展的に組織がえをして名前を変えた、それで発足をいたしましたが、経済の成長に伴って貸し付け企業がだんだん変わってまいりましたね。先ほど説明がありましたが、今日まで一兆一千億弱の貸し付けがある。最大貸し付け先、それから二、三おもな企業についてどのくらい貸し付けてあるか、これを明らかにしていただきたい。
  10. 高野子雅宣

    高野子説明員 開発銀行設立をせられましたのは昭和二十六年でございます。翌年に復興金融金庫からの債権を承継いたしました。さらに二十七年になりまして見返り資金私企業貸し付けを承継いたしました。二十七年の段階から海運に対する貸し付けを始めたわけでございます。それで一応当初は電力海運石炭、鉄鋼といった四重点産業中心融資をいたしてまいりましたけれども、その後たとえば特定機械であるとか、あるいは地域開発であるとか、あるいは大都市の再開発関係であるとか、そういったその時代の要請に応じまして新しいものを取り上げてまいっております。  ただいま、昨年の九月末の貸し付け残高最大残高海運でございまして、三千八百四十一億でございます。第二番目が電力でございまして三千四百億、その次が地域開発の千二百五十億といったところが大きなものでございます。
  11. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先日新聞にも出ておりましたが、特にこの輸銀関係を見てみますと、政府出資が四十三年度には三千八十八億になる。貸し付け自己資金財政資金を合わせて三千三百五十億貸し付けることができる。一月末の貸し付け残高が八千六百七十三億だというのですね。特に問題になっておりますのは、そのうち造船企業貸し付けてあるのが輸銀関係では六〇%ある、こういわれておりますね。確かに輸出船関係過当競争もいろいろありますけれども、とにかく世界輸出船の総量の半分は日本建造しておる、それを輸出している、それが六億一千五百万ドルになるといっている。これは外貨獲得という大義名分があるから、ある意味では一般的に乗りやすい傾向にあることは事実ですが、しかしこの輸銀も、さらに輸出関係建造が続いてまいりますと、まさに財政融資硬直化傾向にある。この関係は、いまの状態を続けていくと、どうしても回避できないので、利子のほうは少し上げたい、こういうふうに大蔵省でもいっているというのですね。私はただいま開発銀行関係をお尋ねしましたが、この関係外航船舶融資に振り向けられておるものが実績として大体四割近くある、こういうことですね。去年から始まりましたけれども、これから昭和四十五年度までともかく約九百万トン建造をする。それからいろいろ聞くところによると、あるいは海運白書などによってもいわれておるのですが、将来展望としてまだこの計画造船を続けていく必要があるということが海造審でも強調されておるのですね。私はこの開銀融資関係が特に心配になる、というとおかしいけれども、総体的に基幹産業発展を期するという目的でやられていかなければいけないと思うのです。そういう意味で、今後の開発銀行としての融資のバランスといいますか、総合的な経済開発計画の線に沿ってやられると思いますけれども、その調整とか方針がありましたら御説明願いたい。  それから、もしこのまま続けていくならば、当然のこととして開銀融資全体に支障が起こるような傾向にあるのではないか、先ほど言われましたように輸銀関係を見て、私はそう考えるのですが、その点もひとつ明らかにしていただきたい。
  12. 高野子雅宣

    高野子説明員 お答えいたします。  ただいま開発銀行貸し付け残高のうちで海運はすでに三三%を占めるという事態に相なっておるわけでございます。これにつきましては、政府の御方針大量建造といったものに沿いまして私ども融資をいたす関係上、最近のように二百万トンをこえる規模の造船量になりますと、年々少なくとも千億近い貸し付け海運に対して行なわれるという状況でございます。したがいまして、開発銀行といたしましては、これが今後ずっと続いていって非常に巨大な額になるということは、開銀自身として決して望ましいことだというぐあいには考えておりません。ただ、ただいまはいわゆる再建整備期間中でございます。したがいまして、融資比率等財政資金が大型の船舶については八割、その他の船舶については七割、そういう状況であります。これ等につきましては、一応再建整備期間中は助成を変更しないということに相なっております関係上、固定化いたしておるわけでありますが、今後におきましてはこういった財政比率といったものも、逐次海運企業の体力がつきますにつれて、下がっていくべきものであろうかというぐあいに考えるわけであります。
  13. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 その点は私もまだ若干お尋ねしたいのですが、その前に、開銀融資の中で返済不能といいますか、こげつきといいますか、こういう関係は、造船業はいまめんどう見ておりますから、簡単に言えば海運業再建整備に関する臨時措置法どもあって、順調に行っているようでありますが、他の企業ども含めてそういうことがありますか。
  14. 高野子雅宣

    高野子説明員 開銀の場合には、やはり長期貸し付けをいたしております関係上、われわれとしてきわめて慎重に将来の見通しを立てまして、貸し付け条件等を設定いたすわけでございますが、中にはその見通し等が当初の見込みどおりに相ならないというような関係がございまして、一部にいわゆる延滞と称しますか、条件どおり返済が見込まれないものが出てまいることがございます。ただいまのあれでまいりますと、昨年の九月末で大体六十億の期限どおりに返ってきておらないものがございます。そのほかに、開銀の場合には弁済猶予という形で、これは延滞ということではございませんけれども弁済を猶予いたしておりますものが六十六億ございます。
  15. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 その六十億というのは石炭産業ですか。
  16. 高野子雅宣

    高野子説明員 大体において石炭中心でございます。
  17. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一つお尋ねしたいのですが、海運関係がいま十年なり十二年の長期返済になっておりますね。この一番長期関係返済といいますか、貸し付け関係はどの企業であり、それからまた短期に返済をするといいますか、長期といいますと十年以上にわれわれも解釈をしておりますが、輸銀関係では五年でも延べ払いは長期だと言っておりますけれども、比較的短い企業というのはどういうところを考えておりますか。
  18. 高野子雅宣

    高野子説明員 開銀貸し付けの中で最も長期なのは、電力に対する貸し付けでございます。これが二十年から二十五年ということになっています。その次が海運でございまして、十三年と十五年。一般的に開銀の全体の平均の期限は、大体ただいまのところ七年ぐらいでございます。短い期限、五年以下といったようなものは比較的まれでございますけれども機械工業等の一部にそういった貸し付けがございます。
  19. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 わかりました。それではまた本論に入りますが積み取り比率関係についてお尋ねいたします。  外航船腹が最近非常にふえてまいりまして、おそらく今日現在ですと千五百万トンぐらいあると想定しますが、今日の邦船積み取り比率は、輸出が三七%、輸入が四五・九%といわれていますが、四十二年度海運国際収支赤字見通しをひとつお伺いします。
  20. 堀武夫

    堀政府委員 四十二年度見込みは、中東動乱等の影響がございまして、当初の予定よりも三億弱ふえる見込みでございまして、八億四千万ぐらいの赤字になるのではないかというふうに推定をいたしております。
  21. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 四十二年度の二十三次計画造船は、定期船が十五万総トン貨物船が三十万総トンですか、それから専用船が八十万トン油送船が七十五万トンで、合計二百万総トンといわれておりますが、この割り振りから見て、積み取り比率の解消に重点を置いたか、あるいは海運国際収支赤字減少することに重点を置くというふうな計画造船割り振りをしたか、この点の計画についてひとつお尋ねします。
  22. 高林康一

    高林説明員 積み取り比率向上ということと、海運国際収支改善ということは、大体つながる性質のものでございますので、二十四次の割り振りにつきましても、この両方に重点を置いて考えたわけでございます。特に輸出につきましては、自動車等につきましては非常に積み取り比率が悪うございますので、それらの点につきましては、自動車専用船というようなものを相当重点的に考えているわけでございます。また、輸入につきましては、原油というようなもの、ないしは鉄鉱石輸入日本輸入におきましては非常に大きい増加寄与率を持っておりますので、そういうようなタンカーとかあるいは鉄鉱石専用船というようなものに重点を置いて、現在二十四次の作業を進めておるという状況でございます。
  23. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと、これは海運国際収支赤字減少を目途にすることを、当然計画造船の主眼としなければいけないと私は思うのです。単なる積み取り比率だけでは、船腹が多くても本来の計画造船の趣旨じゃないと思うのですが、端的な例として積み取り比率向上をするためには、いまどういう船をつくればいいか、どういう船種をつくるとこが一番手っとり早い話になるか、この点はどうでしょう。
  24. 高林康一

    高林説明員 輸出につきましては、積み取り比率が現在一番低いのは、鋼材積み取り比率が大体二五・六%でございます。したがいまして、この鋼材を運べる船というようなものをつくることが必要ではないかと考えております。さらに、先ほど申しました自動車、これにつきましても最近非常にふえております。この種のものは従来定期船で運んでおりましたけれども、やはり専用船で運ぶことのほうが非常に効率的になるというふうに考えておりまして、そういうような自動車専用船等を相当重点的に考えていかざるを得ないというふうに存じます。また、輸入につきましては、先ほど申しましたように、原油鉄鉱石石炭、これらのものがほとんど大宗貨物を占めております。これらのものについては、やはりそれぞれの専用船というものを重点につくっていくことが、今後とも必要かと考えておる次第でございます。
  25. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと特に鉄鉱石輸入が全世界荷動き量のたしか四〇%程度と考えておりますが、四千六百万トン輸入をしておって、製品である鋼材輸出が大体一千万トン。しかもこの輸入する場合の専用船輸出する場合の専用船、いずれにしても若干この専用船の型が違うと思いますが、北米とか東南アジアに鋼材輸出が八〇%といわれておるのですね。この関係を、専用船をつくると積み取り比率というのは急速に上がるという形になりますね。  もう一つこの点はお伺いしますが、原油の輸送、つまり油送船建造ですね。これはまだ船腹が不足というよりも六、七〇%程度、たしか海運白書によりますと輸送しておる。   〔委員長退席福井委員長代理着席〕 こういうふうに見た記憶がありますが、将来この油送船建造をいままでどおりやっていくと、船腹過剰になる傾向になるんじゃないか。これは国内の石油消費量との関係もありますから、経済発展計画のこれからの伸びもありますから一がいには言えないとしても、この専用船の二つの面はどういう見通しを持っておりますか。
  26. 高林康一

    高林説明員 原油につきましては、わが国輸入におきましては原油輸入伸び率が一番大きいわけです。ただいま先生も御指摘のございましたように、原油に関しますところの邦船積み取り比率は、邦船のみで考えますと大体五五%、それから用船を入れますと六〇%をこえる積み取り比率になるかと思います。今後の石油輸入見通しというものは、日本中心にいたしまして一番世界の中でも伸び率が大きいと考えます。ただ先生指摘もございましたように、世界的にタンカーの発注が非常に大きく行なわれておりますので、世界全体の船腹量といたしましては過剰傾向になるおそれがあるかと思いますけれども日本中心の場合におきましては、その伸び率一般伸び率よりも非常に高いという状況から見まして、やはり国際収支改善という観点を特に重点を置いて考えます場合、やはり当然原油につきましては七〇%近くの積み取り比率、私ども大体六五%以上の積み取り比率を考えるのが今後とも妥当ではないか、そういうふうに考えれば、やはり当然今後ともタンカー建造というものを進めていかなければならないというふうに考えておるものでございます。
  27. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この点は相当慎重にしないといけないと私は思っているのです。特にタンカーが大型化するし、計画造船以外に自主造船もあると思うのですが、そういう関係もあると思いますから、私がここで言うまでもなく十分検討されておると思いますが、その点は要望しておきます。  それから定期船の三分の二が北米航路に就航しているといわれておるのですが、定期船積み取り比率関係ですね。特に一般雑貨などを輸送すればもちろん運賃は高いのでありますから、海運国際収支には相当貢献をするといいますか、そういうことになると思いますが、この定期船積み取り比率向上船腹増加ですね、こういう関係はどういうふうに考えられておりますか。
  28. 高林康一

    高林説明員 定期船につきましては、現在やはり大体輸出貿易におきましても、日本の場合におきましては年率八%くらいの伸びを示しております。したがって、大体のところこういうような輸出増加というようなものに対応いたしまして、主として輸出を担当いたします定期船増加ということが、積み取り比率関係で必要かと考えられます。日本定期船の大体三分の一程度北米に従事しております。そういうような状況でございます。今後のいろんな世界的な貿易の動向というものを——やはり現在非常に大きく変動する要因もございます。今後これらの定期船建造というものについては、いろいろそういう変動の要因を考慮しながら検討を進めていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  29. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 本年度の二百二十万トン計画造船なんですが、積み取り比率海運国際収支がますます赤字が大きくなってくる。こういう関係から、どういう割り振り船種の決定を考えられているか。この点はいろいろ希望があると思いますから何でしょうけれども、明らかにできたらばしていただきたいと思います。
  30. 高林康一

    高林説明員 本年度、二十四次船といたしまして二百二十万トンを予算的には前提にしております。大体そのうち定期伸びというようなものは、最近コンテナ等関係もございますので、これを予算よりも若干低く押えて十二、三万程度というふうに考えて、さらに定期ではございませんけれども自動車専用船を相当程度考えていく。その他は大体タンカー鉄鉱石専用船あるいは石炭専用船、こういうものを大体考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 昭和四十五年を一応目標にして一応九百万総トン外航船舶建造ということが計画になっておりますが、四十六年以降にも計画造船を進めていきたい。これは相当先のことでありますし、経済発展計画自身も内外の諸情勢を見て修正をしなければならぬと思うんですね。四十五年度末に大体二千百万トン以上の外航船腹を持つことになりますね。その際における海運国際収支赤字をどの辺まで縮めていくか。それから積み取り比率関係も、これも重要だと思うのですが、どの程度まで向上さしていくか。この辺は計画がありますが、特に私は海運国際収支赤字減少というものを主目標にしていかなければ計画造船意味もないと思うのですが、この点をひとつ中心的に考えられていると思いますが、この点はどうでしょうか。
  32. 堀武夫

    堀政府委員 いま進行中の経済社会発展計画では輸出五五%輸入六三%という積み取り比率目標にして進んでいるわけでございます。それでこれが終わりました以後においても、計画造船というものはやはり続けていく必要があると思っております。それで国際収支をどの程度まで改善するという目標で進むかという御質問でございますが、これは一挙に、いま予想されますところのこの八億ドルの赤字を消すとか、あるいは黒字に転ずるということはいろいろな面から非常に困難な面がございます。それでわれわれの目標としましては、せめて運賃収支がとんとんになるという程度くらいには改善をいたしたい。これを目標にしてどの程度船腹をふやせばいいか、そのためにはどの程度積み取り比率向上をすればいいかということをこれから検討していきたい、かように思っております。
  33. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 現在この造船輸出の面だけを考えても、先ほど申し上げましたが、全世界輸出船の半分をわが国建造をしておる。こういう状況から特に輸銀の利用をして、四分の低利で輸出船をつくっておるわけですね。これが一面的には国際競争の場にのぼってくるわけですね。ですから世界的にながめてみて私は、わが国でつくっておるからどうのこうのということじゃないのですが、将来低開発国も船を持つようになる。そして海運競争が非常に激しくなってくるだろうと想定をしなければならぬと思うのですね。甘いような考えでいると、これはえらいことになると思うのです。そこで競争相手をつくっているようなものですが、この中で私が一番懸念をするのは、たとえばドル防衛ポンドの危機から来るポンドの防衛なり、最近は輸入課徴金などというふうなことも具体的に出てまいりましたが、どうもシップアメリカ政策というものがますます強まっていく。対米貿易が三八%を占めている状況でありますから、私はこういうことを考慮に入れていくと、海運国際収支というものが単に机上だけで進められていくというふうな状況にないと思うのですね。海運同盟関係ども、ニューデリーで第二回貿易開発会議が開かれましたが、これの議論を私は存じませんから、わかりましたら少しその方向を明らかにしてもらいたいと思うんです。これからアメリカのこのシップアメリカン政策というものが一体将来どんなに強まってくるか、この点は重要だと思うので見通しをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  34. 高林康一

    高林説明員 第二回の国連貿易開発会議決議内容でございますけれども、大体五点ばかりでございます。  第一は、いわゆる荷主協議会というものをつくるということでございます。この荷主協議会につきましては、海運同盟の中にこれらの荷主協議会というものをつくるということを制度的に定めるということでございます。これによりまして、いわば開発後進国輸出貨物に関しますところの運賃について、いろいろそれらの協議機構を通じてネゴシエートするということが第一でございます。  それからやはり同様の問題でございますが、第二の点は運賃率同盟慣行海運サービスというようなものの適法性につきまして、それぞれ国連貿易開発会議においてその必要な検討を今後進めていくということでございます。  第三点は、低開発国商船隊設立及び拡大する必要があるので、それらの低開発諸国商船隊設立、拡大についてそれらの権利があるということを十分確認するということでございます。  第四点は、港湾の改善ということをさらに先進国が好意的にこれを考えるということでございます。  第五点は国際海運立法でございます。国際海運立法についてはいろいろの、たとえば船荷証券条約その他の国際海運立法というものがございますけれども、これらについてUNCTADにおきまして必要な検討を今後やっていくということでございます。  大体これらの点が、第二回国連貿易開発会議におきまして採択されましたところの決議の概要でございます。まだ非常に抽象的でございます。またテキストそのものがまだ到着していない部分もございます。今後の成り行きというものを考えます場合、なお検討を要する問題があるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほど先生指摘になりましたように、低開発国商船隊というものが拡充され、また海運同盟というものに対して非常に考え方が変わってくる、そして今後の世界輸出におきまして非常に競争が激化するということは、これらの決議を通じてやはり看取されるところであるというふうに考えられる次第でございます。  第二にはシップアメリカンの問題であります。シップアメリカンの問題につきましては、大体米国におきましては、一九三六年の商船法によりまして、政府の資金または借款などにかかわる貨物は五〇%以上を米国船によって運ばなければならないということを規定し、さらにまた一九三四年の国会の公式決議十七号によりまして、米国の援助物資は原則として一〇〇%米船積みであるということを決議し、これらの法律または公式決議を根拠にいたしまして、数年前よりシップアメリカンというものが相当強くいままで打ち出されております。今後これらがどのようになっていくかということは、米国のドル防衛体制というものとも関連してくるわけでございます。現在までのところ、輸入課徴金の問題のように表面的には直ちにこれをさらに強化するという声は、私どもの聞いております範囲では必ずしも強くないようでございますけれども、今後原則的にはやはり政府関係物資は米船積みという考え方、戦前からの米国の海運政策というような点は、今後ともさらに繰り返し出てくる可能性があるというふうに考えておるわけでございます。   〔福井委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 特に日米航路の安定を目的とした今後の日米海運会談というのが、相当努力をしていかなければならぬと思うのですね。去年でしたか、たしかワシントンで行なわれたですね。いずれにしても海上運賃の安定もさることながら、一番影響するのはやはりシップアメリカン政策だと思うのですよ。特に対米貿易が非常なウエートを占めておる現在ですから、アメリカ自身も要するに平和的な、ノーマルな状態における物資というもの、貿易輸出入の関係は黒字なんですね。ただしかし、ベトナム戦争で二百五十億ドルも使っているとか、あるいは世界の各地に駐留軍を置いているとかというところの軍事支出が非常に大きいために、ドルの支出が多くて赤字になって、ドル防衛だと騒いでいる、こういうふうに私どもは解釈をしているのです。ですから、通常いうところの平和的な貿易関係については、私どもがそうひどく腰を低くすることもないと考えているわけです。そういう意味からしても、これからの日米の関係海運会談に臨んで、私どもは、相当やはり国際収支というものが赤字傾向にある、これは、海運収支ばかりでなくして、特に海運輸送の関係では相当強く言っていかないと、これから低開発国開発援助といってもそうそう貿易伸びというものは私は期待できないと思うし、当面対米海運政策というものは相当重視をしなければいけない。そういう意味でひとつしっかりした態度を持っていただきたいと思うのです。この点はぜひひとつ、従来どういう態度をとっておったかということもお伺いをしたいと思うのです。  ついでに、時間の関係もありますから——韓国との海運会談も海運局長出席されて、去年でしたか行なわれておりますね。しかし、これも韓国は非常に高姿勢で臨んでおるようですね。まあ輸送距離も短いけれども、いずれにしてもわが国の主張というものがあるわけですから、その点もひとつ今後の対策も含めて明らかにしていただきたいと思います。
  36. 堀武夫

    堀政府委員 最初の、日米の海運関係でございますが、昨年十一月、米国の海運当局と話し合いをするために私が行ってまいりました。その昨年の会談におきまして一つの問題は、航路安定の問題でございます。この航路安定についての日本と米国の考え方は少し考え方が違うのでございますが、日本の考え方は、海運自由の原則ということで、同盟活動というものはできるだけ自由にしていく、それが最も航路を安定させるゆえんであるというふうに考えておるのですが、アメリカ側の考え方は、同盟に対してはある程度規制していく、厳重な監督をしていくという考え方でございます。特にアメリカは独禁法思想の非常に強い国でありまして、アウトサイダーというものをある程度同盟の外に置いて、そしてそれが競争することによってのほうがいいのだ、そういうような考え方が若干あるようであります。このために、従来ともアメリカを中心とする航路はいわゆるオープンコンファレンスになっておりまして、盟外活動というものはひんぱんに行なわれてきたという状況でございます。そのために過去において非常な運賃引き下げ競争というものが起こった例がございまして、そのために各同盟のメンバーは非常に痛手をこうむり、あるいはそれによって貿易の物資の輸送に支障が生じてくるという事例がございます。こういうような観点から、こういうような混乱はできるだけ事前に防ごうではないか、もし起こった場合は、まずその火事をなるべく早く取り静めるということで、両国政府は、必要があれば政府間協議をして、その火を消すことに努力しようじゃないか、こういう話し合いをしてきたわけです。できれば定期会談をして、常に意思の疎通をはかって、そういう問題が起きないようにひとつ情報交換等をやろうじゃないか、こういうことを申し入れまして、大体了承をしてもらったわけであります。そしてそれの申し合わせによりまして、先般もアメリカからFMCの長官がやってきたということでございます。航路安定はその方向で今後進められていくと思います。  もう一つはシップアメリカンの問題でございますが、これは本来自由であるべき国際海運競争というものを阻害するという立場から、そういうことはひとつやめてくれという考えで従来ともきておるわけでありまして、この考え方に対しましては、西欧の海運諸国も同じ意見でございまして、先進海運十二カ国が団結をいたしまして、アメリカに対して抗議を続けてきておるというのが実情でございまして、今後ともその点につきましての米国側の反省を求めていくという考えでおります。  それから日韓問題でございますが、これは昨年の一月ソウルにおいて、これは前局長の亀山君が参っておりますが、日韓会談をやってきておりますし、七月には東京において、これは私が出ましたが、日韓海運会談をやっております。会談におきましては、原則的には、双方は海運の自由を将来実現さるべき共同の努力目標としてやろう、そういう精神につきましては両方とも異論はないわけでございますが、その具体的やり方、そしてどういうようなタイムリミットでやるかということになりますと、なかなか意見がまとまらない。それと申しますのも、韓国の非常に熱望いたしておりますのは、日本側の経済援助等による船舶輸出による船舶建造ということを先に考えておるということでございまして、まず日本船舶輸出を言うとおりにやってくれ、そしたらそのあとにおいて日本側の言う海運自由の原則の実現ということを考えようということでございます。こちらは逆に、まず海運の自由ということから、自国船優先主義というものをやめてくれ、そうすれば船舶輸出の面についても十分考える、こういう意見の対立でございます。その後昨年日韓閣僚会議等がございまして、船舶輸出に対してはだいぶん向こうの意見もいれて進んでおるという状況であります。  それで、昨年韓国におきましては、海運振興法というものをつくりまして、その十一条に、韓国人が物を輸送する場合はまず自分の国の船を使えという非常にきつい条文があります。これに対しまして昨年の七月の日韓会談では強く抗議をいたしたのでありますが、なかなか容易に話はきまりません。向こうの申しますには、これは何も日本だけを相手にしている条文ではない、自国の海運を育成するための条文であるということをしきりに言いまして、韓国と日本海運を比較するともう月とスッポンではないか、そう気にすることはないではないかというようなことで、なかなか話は進まなかったわけでございます。一方、政府間交渉のほかに民間ベースの会談も何回か行なわれまして、とにかく現在の荷物の積み取り状況についてまず調査をしよう、そうしてその調査に基づいて、将来は積み取り比率を五〇、五〇というふうに持っていこうじゃないか、こういうようなことで今後会談を進めていくということにいたしております。それで、ことしの六月中旬ぐらいには船主協会ベースの会談も行なう予定にいたしております。そうしてその後においては、あるいは必要であれば政府間会談も行ないたい、こういうような考えでおります。
  37. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先進国中心にした海運同盟関係は、特に安定を中心にして結ばれておるにしても、この国連貿易開発会議ですか、ここでも問題になったように、海運同盟自身がそう維持できていけるかどうか、あるいは最恵国待遇などの貿易をやるやり方もあると思いますが、特に不安定な航路といいますか、定期航路で運賃が非常に——場合によっては、特に油送船なんかは、まあ定期航路じゃないにしても、何かスエズ運河でもふさがると運賃がたいへんな上昇をするというふうな傾向もたびたびいわれているわけですが、海上の運賃がいままでの経過から見て、戦前戦後を通じて、非常に不安定な航路というのはどういう方面にあるか。将来、この貿易開発会議などの傾向から見て比較的海上運賃の安定するという定期航路、こういう関係は相当慎重に見通しを持って対策を講じられていると思いますが、不安定な航路とあるいは安定した航路、それからわれわれがとるべき態度といいますか、方針というものについて、ひとつ簡単でけっこうでありますからお伺いしたいのです。
  38. 大野市郎

    大野委員長 簡潔に願います。
  39. 堀武夫

    堀政府委員 不安定な航路と安定した航路とはどういうものであるかという御質問ですが、御承知のとおり、同盟にはオープンコンファレンスとクローズドコンファレンスというのがあり、クローズドコンファレンスというのは欧州同盟のごとく、容易に新しいメンバーを入れない。したがってアウトサイダーが出てこない限りは、クローズドコンファレンスというのは非常に安定をいたしております。先ほども申しましたように、オープンコンファレンスでありますと、これは出入り自由でございますが、ときどきアウトサイダーが出没をいたします。やはり自由であるにかかわらず出てきます。それで、見ておりますと、一般的に申しますと、オープンコンファレンスのほうがむしろアウトサイダーの跳梁による不安が多いようでございます。これについては先ほど申しましたようなことで進めていきたいと思っております。
  40. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 本年度計画造船の中に、コンテナ船の建造が入っておるのですね。これはたしか六隻だとお聞きしていますが、対米貿易量の中で、このコンテナ船の拡大強化に伴って、対米貿易関係で、一般の貨物が相当コンテナ船のほうへと移行をするということになりますと、貨物船関係が少しあいてくると思うのです。計画造船とその関連の見通しはどういうふうに考えていますか。
  41. 堀武夫

    堀政府委員 いま進行中の二十四次船でもコンテナ船の希望がございましたが、いま対米航路のコンテナ船六隻を建造中でございます。それで、その様子を見る必要がございますので、二十四次船でははずしまして、見送っております。このコンテナ船が就航しますと、当然従来の定期船船腹が浮いてくることになります。その浮いてきた船はほかの航路に回す、そしてそのほかの航路にあった外国用船をはずす、こういうようなかっこうになっていくと思います。
  42. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 少し角度を変えますが、現在の海運企業の資本比率は、総体的にいって一七%が自己資本である。あとは要するに借金なんですが、この自己資本の比率が戦前はちょうどこの逆ぐらいであるといわれているのですね。これが造船をすればすれほど、他人資本でやるのですから、自己資本の率というのは低下するということになりますね。これは海運白書などにも、自己資本の比率が非常に低位であって、しかも不安定であるから、総体的に全部ひっくるめても、自己資本額が一千億くらいしかない、こんなふうなことを書かれておりますが、私は、こういう援助をして、保護をして海運企業というものを育成しているという立場からいけば、自己資本比率というものはあまり問題にすべき筋合いのものじゃないと思うのですね。ただ、しかし、計画造船がいいか、あるいはかってにもうける船をつくるというのか、これは長期的な展望に立つか立たないかはわからないけれども一般のオペレーターなどはそういうふうに考えていくと思うのですね。一般貨物船、それから雑貨を運ぶ船、こういうものをつくれば、荷物さえあればもうかっていくというふうに考えていくと思うのです。そういう経過を考えていきますと、これは質問が前後しますけれども計画造船最大のねらいといいますか、外航海運関係の秩序維持もあろう、過当競争も防止をしようというふうないろいろな考えがあるだろうけれども計画造船最大のねらいというものは、どこに中心を置いてやられておるのですか。
  43. 堀武夫

    堀政府委員 計画造船が考えられ出しました理由は、戦争によって裸になった日本海運を、どのようにして船をつくらすか、日本海運をどのようにして再建していくかというところがねらいであったと思うのでございます。したがいまして、長期低利の資金を供給するということが、すなわち計画造船の目的でございます。そして、これがやがて日本国際収支につながり、日本貿易の伸長につながっていくのだ、そういうねらいであると思っております。
  44. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いま海運企業から、特に技術の進歩した時代には、年々新しいいい船をつくらなければいけない、こういうわけで、初年度においては一〇%ぐらいの償却を認めるべきだというふうな要求といいますか、動きが出ている。これは私は特に最近海運企業が国家依存という傾向をさらに強めてまいりまして、一そういま審議中の開発銀行融資関係も継続をしてもらいたい、あるいは計画造船も進めていってもらいたい、そして海運国際収支というものも大いに寄与しているんだから、こういうふうなことが強調されていますが、いままでやってまいりました償却というものが一応ことしでピリオドを打つ、そしてまた新たにこれから来年以降についても、さらに再建整備が終了の暁には、当面開発銀行利子補給だけは続けていきたいという要求などもあるんですね。これらの強い要求についてどうお考えですか。
  45. 堀武夫

    堀政府委員 業界からはいろいろな要望がございます。それでわれわれのこれからの考え方といいますものは、やはり日本経済成長に伴う貿易伸び、バランスのとれた船腹というものを建造していく必要がある。そういう意味から申しますと、いま行なっている大量建造というものはやはり当分の間続けなければならぬ、こう考えております。そしてこの大量建造は、やはり国際競争力のある船をつくらなければ意味がないわけでございます。そういう観点からしますと、つくられるその船は一船ごとに国際競争力を持たなければなりませんので、少なくとも輸出船と同程度の競争力というものを持つようにしなければならない。そのためにはどうすべきかというふうに考えていくわけでございます。利子補給も一つの方法かもしれませんし、金利そのものを下げるという方法もあるいはあるかもしれません。あるいは、できるだけ自己資金を投入していくという方法も考えなければならぬというふうに考えております。
  46. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大体海運企業再建整備は、どうやらことし一ぱいで法に基づく所期の目的は達成したと見られますが、昨年来特に主要海運企業が復配をして、六分程度の配当をずっと行なってきていますね。これはけっこうなことだと思うのですが、私は、片方では配当をしている、民営企業ですから当然のことですが、片方では国の助成をもらいたいといふうなやり方が続けられていくような気がするのですね。これは確かに外貨獲得意味においては大義名分は立ちますが、戦前の国策会社的な考え方が特にあるんじゃないかというふうな気がするのです。私は、国内の企業にしたってそうだと思うのです。やはり直接、間接的にも輸出関係に多く貢献をしている企業はたくさんあると思うのですよ。そういうものを考え合わせると、助成政策はいつまでも続けていくというわけにはいかないと思うのです。この点を私はきわめて不満に思うのです。また、特にその中で損失補償法の関係の十二条ないしは十三条、これは水準が少し高いと思うので、現状では私は該当をしないと思うのです。外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法という法律の関係ですね。そういうことなども考え合わせていくと、いいかげんに、この際ひとつ自立意識を持って、たいへんきびしいことではあるけれども、どこの企業もそれは漫然としてやっているわけにはいかないようなきびしい情勢にあるのですが、こういうことを海運企業に対して運輸省として考えられているかどうかということをひとつお伺いしたいと思います。
  47. 堀武夫

    堀政府委員 再建整備期間中の計画造船は二十四次でおしまいになるわけでございますが、すでに海運業界においては空気が違っております。次の二十五次の計画造船からきびしい条件になるであろうということをすでに覚悟をいたしておるのではないか。すでに各業界の空気もそうでございますし、われわれも、これからの計画というものは再建から転じて発展であるということ、したがって、これから自立体制をつくるための施策をしなければならないというふうに考えております。すぐ全部はずすということについてはいろいろ問題がありますので、段階的に自立体制に持っていくべきではないか、かように存じております。
  48. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それでは時間の関係がありますから、これで終わります。
  49. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  50. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ただいま渡辺委員から詳細にわたっていろいろ御質問がございましたから、できるだけダブらないかっこうで質問を申し上げてみたいと思っておるのであります。しかし、ある点においてはダブることがあるかもわかりませんが、御了承をいただきたいと思うのであります。  まず最初に伺いたいと思いますのは、日本開発銀行法の第一条の目的について伺いたいと思うのであります。「日本開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び産業の開発を促進するため、一般の金融機関が行う金融を補充し、又は奨励することを目的とする」。こう目的に規定されておるのであります。したがいまして、開発銀行が助成、奨励等を行なっている産業とはいかなるものがあるか、お聞かせ願いたいと思います。
  51. 高野子雅宣

    高野子説明員 お答えを申し上げます。  いま先生の御指摘のございましたようなことで、開発銀行は民間の金融の行なえない部分を補完ないし奨励をいたすということでございます。したがいまして、二十六年に設立せられました当初におきましては、一般的にこれはオーバーローンという形で民間の蓄積がきわめて貧困でございました。したがいまして、四重点産業と申します電力石炭海運、鉄鋼といったものを中心にいたしまして、そのほかにはたとえば、具体的な会社をあげるとあれでございますが、立日でも東芝でも、当時におきまして開銀融資をいたした。その後三十年代になりまして逐次民間の蓄積が進むにつれまして、そういった一般の優良企業、これは全部民間金融でまかなえるようにした。残りました、たとえば鉄鋼も同じように民間金融でまかなえるような形で、三十年代からは融資をいたしておらないのであります。逐次そういった形で減ってまいりまして、ただいま電力等につきましても、電力融資をいたしておりますが、これは一つは石炭火力に対しまして、石炭火力をつくる場合だけ電力会社に融資をいたすというような形になっております。先ほども申し上げましたように、ただいま電力のほかに海運最大のあれになっております。そのほか大都市の再開発あるいは地方開発、そういったようなものが私ども融資中心になっておるという状況でございます。
  52. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうしますと、大体、日本の基礎産業、基幹産業に奨励、援助等を行なっている、こういうことに解釈していいと思うのですが、それではその援助、利子補給、奨励等はそれぞれの産業で異なっておるのでありますか、同一の線で行なっておるのですか、それはどういうことになっておりますか。
  53. 高野子雅宣

    高野子説明員 お答えいたします。  これは各企業ないし産業のそれぞれの特性に合わせまして、いろいろ方法を違えております。たとえば金利でございますとか、貸し付けの期間であるとか、融資の比率でございますとか、そういったものをそれぞれ業種によって異なってやっております。
  54. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 これは法文を読むと「長期」と書いてあるのですが、短期のものもあるのですか。
  55. 高野子雅宣

    高野子説明員 開銀法に期限一年以上のものでなければ貸してはならないと書いてございます。したがいまして、当初におきましては、比較的五年以下の期限のものが多うございましたけれども、だんだん市中が長期を出すにつれまして、開銀もより長期の資金しか出さない、そういう形に相なっております。
  56. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 次に、海運の助成について海運当局に伺ってみたいと思うのですが、経済社会発展計画によれば、政府昭和四十二年から四十五年の四カ年間に九百万総トン外航船舶建造計画されている、こういうのですが、この建造計画というものは、それぞれの海運会社とちゃんと連絡がとれてそれらの目安がきちっと立っておるのでありますか。それともただ、日本の将来の海運関係から考えてこれくらいの総トン数を保有しなければならぬという目安の上に立ったものですか、いかがなものですか。
  57. 堀武夫

    堀政府委員 この九百万トン計画は、各会社と連絡をしてつくったというものじゃございません。いま先生がおっしゃいました後段のほうの考え方でございます。それで、九百万トンのうち百万トン自己資金船というものを期待いたしております。そうすると、計画造船でつくるものは、この四年間に八百万トンという考えになります。そうしますと、大体平均して二百万トンぐらいずつつくっていけば、この目的は大体達成する。ところが四十二年では二百万トン、本年度は二百二十万トンということで進んでおりますから、あとは三百七、八十万トンくらいのものになります。だからこれは目標年度までには十分できるという見通しがございます。
  58. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 わが国海運界というのは戦前と戦後——戦後は御承知のごとく、戦争中船というのはほとんど撃沈とかいろいろな関係からこれはゼロにひとしいようなかっこうになったに違いないと思います。昭和十三、四年ごろ日本の保有した外航船舶の総トン数というのと現在とは、どういう比率になっておるか。
  59. 堀武夫

    堀政府委員 終戦直後の商船隊船腹は百三十五万トンぐらいでございました。それが現在では千六百万トンぐらいになっておりますから、これはもう相当なふえ方でございます。
  60. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 私がもらったデーターによりますと、いまおっしゃったように千六百八十八万三千総トン数ということになっておるようですが、戦前は一番大きいときは幾らですか。
  61. 堀武夫

    堀政府委員 戦前におけるピークは昭和十六年でございまして、これは約六百万トン保有をいたしておりました。戦争中の最高の保有量というのは、昭和十六年で六百万トンでございます。
  62. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうすると現在ですでに戦前を非常に上回っている、こういうことになるわけですね。  そこで、それでは伺いたいと思うのですが、日本のいまいろいろな海外からの輸送、海外へ出す荷物というものの比率というものは、日本邦船によって輸送するものと外国船によって、海外のアメリカ、イギリスその他によって輸送するものとの比率はどうなっておりましょうか。
  63. 高林康一

    高林説明員 輸出につきましては、邦船積み取り比率は四十一年では三六・九%でございます。それから輸入につきましては邦船積み取り比率は四七・三%でございます。
  64. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうすると国内船で輸送するのは半分以下、こういうことになるわけですか。
  65. 高林康一

    高林説明員 そのとおりでございます。
  66. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうしますと、先ほど申し上げました九百万トン建造計画をいたしますと、大体日本の船で一切の輸送がまかなわれるという基礎の上に立っておられますか、それはどうなんでしょう。
  67. 高林康一

    高林説明員 九百万トン建造計画が達成されました四十六年度におきましての邦船積み取り比率は、輸出で五五%、輸入で六三・五%、こういう想定をしております。
  68. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうしますと、さらに引き続いて計画造船というものをお考えになるわけなんでしょうかどうでしょうか。  それともう一つ、時間があまりありませんから急いで伺いますが、今度のこの措置法によりますと、計画は四カ年の計画でございますが、利子補給は昭和四十三年度一カ年間だけにしておられるわけです。そこに二年間のギャップが出てまいるわけですが、これはどういうことにお考えになっているのでしょうか。
  69. 堀武夫

    堀政府委員 計画造船はこの社会経済発展計画が終わったあとも続けるのかという御質問でございますが、これはいまの状況から見まして、やはり財政資金というものは出してやらなければ大量建造というものはできないと思います。自己資金あるいは自己の資金の調達能力ということだけではやはり不十分と思いますので、いわゆる財政資金を入れるという意味計画造船は続けていく必要はあると思うのでございます。  それから、利子補給は続けるかという御質問でございますが、これもいま海運造船合理化審議会に諮問をいたしておりまして、今後の建造方式をどうするかということとあわせましてこれから考えられると思うのであります。いまの利子補給の内容が若干変わるかもしれませんし、あるいは利子補給という形ではなしに、利子そのものを下げるという方法も検討の対象になると思われるのであります。
  70. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 先ほど渡辺議員の質問の中に、海運業はすでに昨年の利益配当を六分行なっておるじゃないか、こういうものに対して、特定のものに利子補給を行なうのは当を得ていないじゃないかというような質問があったと思うのであります。  そこで、私は角度を変えて伺ってみたいと思うのですが、日本の産業、たとえば鉄鋼産業あるいは石炭産業もそうですか、電力産業、こういうものの各企業別、産業別の自己資本保有量というのは一体どういうバランスになっておるのでしょうか。海運の場合は一三%かの自己資本があると、こういわれておるようですが、一三%や一二一%ということでは、これは企業としてまことに将来を憂えるべき姿じゃないか、こう考えるのですが、他の産業等との比較は一体どういうことになっておるのですか。これは海運局に伺うのは無理な注文であるとは思いますが、それをちょっと伺いたい。
  71. 高林康一

    高林説明員 海運業の四十二年上期におきます自己資本比率は一二・八%でございます。同じ四十二年上期におきます全産業の平均いたしました自己資本比率は二二・七%でございます。
  72. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それで大体、日本海運界の自己資金がいかに貧弱なものであるかということだけはわかりました。  そこで、先ほど申し上げましたように、世界競争にうちかっていくためには自己資本の充実をはからなければならぬことは、当然のことであろうと思うのであります。さような考えの上に立ちましたならば、今度の九百万総トン計画というものは、最後まで開発銀行利子補給その他の政府援助の道が開かれてしかるべきじゃないか、こういう感じがするのですが、一体これをことし一年だけと、こういうことで法案を出してこられた根拠、その理由をもう少し詳しく聞かしていただきたい。
  73. 堀武夫

    堀政府委員 海運造船合理化審議会に、今後の海運対策についてということをおはかりした際にも同じような議論がございました。利子補給というものはいまの状態から考えると、まだ一年だけということではなしに、もっと先まで要るのではないかという議論がございましたけれども、とりあえず現行の内容のままの利子補給というものはもう一年ということで一ぺんケリをつけよう、と申しますのは、再建整備期間は五年ということで初めからスタートいたしておりますので、現行の内容の利子補給であと一年やって、そして五年間で一ぺんケリをつけて、そして新たな観点から総合的な海運対策を立てよう、こういうことになったわけでございます。
  74. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 五年という年限で区切りをつけるという理由だけはわかりました。  先ほどの質問の中に配当六分とか、こういう話があったのですが、海運局はそれじゃ政府がこういう支援を送っている、利子補給をやっておる、政府の援助なくして海運業界が立ち行きにくいという実情にあるということがわかっておるなら、配当等に対する制約をして自己資本蓄積にもっと重点を置かすべきではないか、こういう感じがするのですが、それらの点は一体どうお考えになっておるのでしょうか。
  75. 堀武夫

    堀政府委員 御承知のとおり、この利子補給には返還義務というものがついております。そういう観点から監査ということをやるたてまえになっておりまして、そういう利子補給の返還義務という観点から配当制限ということをやっておるわけでございます。それで、自己資本の充実という観点からは、ある程度配当をしなければなかなか増資できません。そういう観点からこれは十分慎重な配慮が必要であるというふうに考えております。
  76. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 もう一つ伺いますが、日本海運業界というものと——海運業というのは国際競争が激烈であることは御承知のとおりでございますが、日本以外の諸外国が海運政策上何らかのかっこうで、利子補給じゃなくとも、海運業界にいかなる国の政策上の援助が行なわれておりますか。大体海運業の大きなのはアメリカ、イギリス、ノルウェー等々あるようでございますが、これらの国とわが国との比較というのはどういうことになっているのでしょうか。
  77. 堀武夫

    堀政府委員 諸外国ではいろいろな手厚い助成策をやっておりますが、一番手厚い助成策をやっておると思われますのはイギリスでございます。これは建造補助を二五%やっております。さらに償却制度には自由償却制度という特利な償却制度をやっております。それからノルウェーにつきましては投資準備金という制度をやっておりまして、税制面で非常に優遇をいたしております。それから西ドイツで見ますと、これは建造補助金をやはり一〇%やっております。それからフランスにつきましても、建造補助を定期船につきまして一二%というような手厚い補助をやっております。その他利子補給制度をやっておる国が相当にございます。フランスもイタリアもそれでございます。それから各国通じて大体言えますことは、耐用年数を非常に短くしておることでございます。日本につきましては十六年ないし十八年でございますが、大体各国の相場といいますか、そういうものを考えてみますと、十年ないし十二年という非常に短い期間の償却制度ということで結果的には税制上の優遇措置が講ぜられておる、そういうことになります。
  78. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ちょっとあとえ戻るようですけれども、先ほどのお話を伺っておりますと、経済社会発展計画の実施期間中は、これは私は非常に強力な政府の援助処置が考えられなければならぬ、こういう考え方の上に立っておるのですが、利子補給が一年延長されただけで、これは五年間の区切りをつける、こうおっしゃったんですが、それじゃ四十四年から先はどうなるかということについては、いま海運審議会にはかって、その答申を待って、こういうお話のようでございます。審議会の答申を待たなければそのケリがつきにくい、いわゆる当局としての考えがまとまらないということでは、えらい不見識な考え方のように、せっかく計画を立てておきながら、それから先はどうも審議会の結論が出なければ政府はよう手を出しませんというようなことでは、確信のないやり方じゃないか、こういう感じがするのです。先ほどからの世界各国のいろんな助成措置、また九百万総トンの完了後の日本の輸送というものの計画が、全輸送量の五〇%前後だ、こういう話から考えて、当局としてはもっと長期の展望に立った日本海運業というものに対する明確な方針というものが打ち出されてしかるべきではないかという感じがするのですが、一体いかようにお考えになっているのでしょうか。
  79. 堀武夫

    堀政府委員 ごもっともな御意見だと思います。われわれ事務当局といたしましても、いろいろ将来の展望なり今後の海運に対する新対策というものをどうすべきかということを盛んに検討いたしております。昨年の九月に、海運造船合理化審議会に諮問をしてございまして、その答申が出る前に事務当局の案を出すことはいかがかということもございまして、いまいろいろと案を練っておるのでございます。しかし考え方といたしましては、今後の海運新対策は、いままでの再建という旗じるしから転じて、発展という旗じるしに基づいて考えていく。それで日本経済成長とバランスのとれた日本商船隊をどうしても持っていく必要があるという観点から、やはり商船隊の拡充ということは続けていかなければならぬ。そのためにどのような海運発展計画を考えるか。コンテナ船の建造あるいは定期船の拡充、あるいは無保証船の建造あるいはタンカー専用船建造というものをどのように進めていくかという計画をいま検討いたしております。そして、これらの船がおのおの競争力を持った船であるというためには、どのような建造方式が必要であるか、あるいは三国間助成をさらに強化する必要があるのではないか、あるいは企業体力というものを強化していくためにはどのような方策が必要であるか、集約体制を強化する必要があるのかないのか、あるいは内部留保というものを充実するためには、現在の税制をさらに引き続き続けるだけでいいのかどうなのか、そういうことをいま事務的に検討をいたしておるという段階でございます。
  80. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 検討の最中だ、こういうことでございますから、そういう長期展望の上に立って、ひとつ日本海運業界というものの進歩、発展の上に立ってお考えいただきたいと思うのであります。私が調べたところによりますと、海運国際収支は、経済社会発展計画後においても、昭和四十六年約四兆五千五百万ドルの赤字が、あの報告書等を見ますると、見込まれておるようです。まあ現在よりも若干改善されることになることは明らかであると思うのですが、海運国である日本がこのような国際海運の収支ではたいへんなことだ、こう私は思うのであります。そこで、いまのお話を伺っておってまことに残念に思うのですが、海運当局というものは、こういうこと等を考えられて、これに対処する最善の道を講じられなければならぬ、こう考えておるのであります。いまお話しにもなりましたように、運送事業というのは一つの革命期に当たっておるのではないか、私はこう思う。コンテナ輸送というのが始まってまいります。こうなりますと、船の構造改良等も行なわなければならぬでありましょう。あるいはまた一面、科学の進歩によって、原子力船というものも考えられなければならぬであろうと想像をいたします。これらに対して一体海運当局としてどう対処しようとされるのか。コンテナ輸送については岸壁等の改善、改良の必要があるのかないのか、荷揚げのものに対しての改善、改良の必要があるんではないのかどうか、こういう点がしさいに検討されなければならぬときになってきている。これはひとり海運だけではない。陸上においても同じことでございますけれども、特に国際的な関係を持つ海運業においては、そのことがひとしお痛感されるのであります。こういう大きな目標に向かって一体どうお考えになっておるのでしょうか。もし原子力船ができるということになってまいりますと、速力の点において、あるいは荷役その他の点において、従来のままではとても行なわれがたいであろう、こう想像をいたすのですが、これらに対するお考えをひとつ伺いたいと思うのであります。
  81. 堀武夫

    堀政府委員 海運業自体が世界的に一つの曲り角にきておるときに、先生のような説を唱えられる方がだんだん多くなってきております。その一つの大きな革命と考えられますのは、いまおっしゃいましたコンテナ船の出現でございます。これにつきましては、すでに五十隻ものコンテナ船が世界で走っておりまして、さらに計画中のものが百五十隻もあるそうでございます。日本海運界におきましてもこの大勢におくれてはならないというようなことで、いま六隻のコンテナ船を建造中でございます。しかしながら、このコンテナ船の運航につきましては非常に大きな投資額を必要といたしますし、最初からコンテナの貨物がどの程度出てくるか、それによりまして最初の赤字の幅も相当なものだというふうにおそれておる面もございまして、一挙に、各航路一斉にコンテナ船をつくるということよりも、少しずつ段階的にいろいろな情勢を見ながら拡充をしていくという考えのほうがいいのではないか。いまのコンテナの採算見通しでは、最初の三、四年というのはどうしても赤字になるだろう。しかし後半の、十年を前期と後期と分けますと、後期になりますとだんだん黒字が出てきて、十年で見ますと大体黒字に転じるという見通しでございます。そういうふうな観点から、このコンテナ化という方向は間違いない方向でございまして、日本海運界も当然この方向に進む覚悟でおりますし、またそういう方向に持っていかなきゃならないと思っておるのでありますが、その進め方は慎重にやっていかなければならない、こういう考え方をいたしております。  また、原子力船につきましては、すでに第一船をいま計画中でございまして、たしかこの秋に起工が行なわれることになっております。現在原子力船で就航しているものは世界に三隻しかございません。いずれも非常にコストが高うございますし、いまのようなコストではコマーシャルベースには乗らない。しかし将来必ずや改善されていきまして、昭和五十年以降におきましては、だんだん経済ベースに乗っていくのではないかというふうに見られております。そういう観点から、原子力事業団というところで国産原子力船の建造を進めておるような次第でございます。  なお申し落としましたが、コンテナ船の就航に伴いまして、港湾施設の改良という点につきましては、外貿埠頭公団というものができておりまして、これによってすでに計画を推進している段階でございます。
  82. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間もないようでございますが、最後にもう一つだけ伺っておきたいと思うのです。  タンカーがだんだん大型化してまいっておるのですが、過般私は大臣にもお尋ねをいたしたのですが、たとえば三重県であるとか和歌山県であるとか、あるいは鹿児島県であるとか、方々に油の精製工場というのですか、コンビナートというのですか、できて、油送船はだんだん大型化され、いま二十万トンといっておりますけれども、外国には四十万トンの船ができるということも聞いております。かようなことになりますと、これは一たび災害が起きるとたいへんなことになる。私は将来を心配する一人なんですが、むしろそれなら、名前を言うと差しさわるかもわかりませんが、たとえば鹿児島県の種子島のような一つの島、あるいは山のない平地の島、こういうようなところを一つの大きなコンビナートにして、そこに四十万トンあるいは三十万トンというような原油を持ってくる港をつくって、そこで精製をする。そこで精製された油が今度は小さいタンカーによって、東京に大阪に、あるいは千葉に、そのほか各地域に送られる。かように持っていくことが一番安全で、公害問題からいってもいいんじゃないか、こういうことを考えるのですが、海運当局は将来の夢ではなくして、将来さような何かを考えなきゃならぬのじゃないか。こういうことをお考えにならぬでしょうか、お考えになっておるのでしょうか、その辺のことを伺いたいと思います。
  83. 堀武夫

    堀政府委員 タンカーの大型化による災害ということを考えますと、非常に心配なものがございます。それで、いま先生がおっしゃったような考え方で私たちも現在進んでおります。すなわちCTS構想と申しまして、まあ種子島じゃございませんけれども、都市から相当離れた場所、安全な場所に集中的に石油の貯蔵施設を置く、そこからいわゆるフィーダーサービスを行なう、こういう考え方がCTS構想でございます。こういう考え方がだんだんに出てきておりまして、われわれもこの考えでもって推進をしていきたい。これはもちろん工場立地の問題もからみますので、通産省とも十分連絡をとりまして進めていきたいと思っております。
  84. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間がまいったようでありますから、これで質問を終わります。
  85. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、運輸大臣に直接御答弁を期待する向きもたくさんございますが、それらをあとに回しまして、海運局長その他関係の省庁の方々に順次質問を始めたいと思います。  あまりに自民党さんの御出席が悪いので、いささかどぎまぎします。委員長から自民党さんの御出席について善処あられるようにひとつ御配慮を願いたいと思います。  それでは、海運局長に最初に伺いたいことは、利子補給の一年延長の理由でございますが、海運業の集約に対する特典というものが五年間ということは、もう最初からきまっているわけであります。また、利子補給は四年ということも最初から決定していたわけでございますし、これを決定した当時とどのような変化が生じているのか、この点をまずお伺いしたいわけであります。そしてまた、私思いますのに、このどたんばまで来て利子の補給を一年延長せよ、こういうことはまことにどうも虫がいいと言わざるを得ないわけであります。最初から五年、利子補給については四年ということははっきりきまっていたわけです。それをこのどたんばに来て一年間利子補給を延長しろ、まことにこれは虫のいい話だと私は思う。政府見通しが誤っていたのかどうか。四年間ということは最初からきまっていたことなんです。政府見通しが誤っていたというなら、これもやむを得ないと思います。その点をお認めになるのかどうか、その上で一年延長についての理由をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 堀武夫

    堀政府委員 再建整備期間というのは五年ということでスタートをしておるわけでございますが、それと並行して利子補給の強化を行なうという考え方できておるわけでございます。それで再建整備計画のほうは確認日から五年、こういうことになっておりまして、確定した日付できまっていなかったわけであります。ところが利子補給のほうは昭和四十三年の三月三十一日というふうに、しりを確定した時日できめてございます。ところが、最初のスタートが実は再建整備利子補給法とがひとつ狂ってきた。と申しますのは、三十八年から強化された利子補給法をやるということでもって予算を実は組んであったわけでございますが、集約のほうがずれて三十九年になったわけでございます。したがって、三十八年から利子補給の強化ということはできなかったわけであります。したがって三十八年に確保しておりました予算額、その強化された分の予算額は不用になっております。したがって強化された利子補給というのは、予想よりも一年やれなかったということになっております。そこで集約が一年ずれたために、利子補給のほうだけが確定した日付で終期がきまっておりましたので、再建整備期間よりも先に切れる、こういう事態になってきたわけでございます。集約というものは非常に大事業でございます。会社の合併等もございますから……。それがずれた。これはそういうずれるときも考えてこの利子補給法の期限ということを考えていなかったという点におきましては、見通しが悪かったということもあるいは言えるかもしれません。そういうことでございます。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお話のように集約のおくれたのは、私は業者の責任だと思うのです。そうでしょう。それをここへきて利子補給のほうをもう一年延ばしてくれというのは、まことに当を得たことでない。こういうことは最初からわかっていたわけです。もちろん集約のおくれたこと自体は、これは海運業者のほうの責任でもあり、また海運局の指導が悪かったからじゃないか、こうも私は思うのです。ですから明らかにこれに対する政府見通しが誤っていたのだとはっきりお認めになるかどうか。
  89. 堀武夫

    堀政府委員 いま申し上げましたように、集約ということは業界におきましては非常に大手術でございまして、もちろんこれが簡単にできるとはわれわれとしても思っておらなかったのでありますが、予想よりもおくれたという点につきましては、あるいは見通しが悪かったという批判を受けなければならぬのではないか、かように存じます。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 海運局長、もう少し、あるいはなんということばを削ったらどうですか。ほんとうに見通しが誤ったのだと率直にお認めになりませんか。
  91. 堀武夫

    堀政府委員 いまも申し上げましたように、合併等もあることでございますから、これはひとり業界の責任であるというのも、やはり政府が相当強力に指導もしてやらなければならぬ、そういう業界の踏み切りをつけるということについて相当時間がかかったという点は、ひとつ御了承願いたいと思います。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 遺憾であったと言われるわけですね。そうですね。お認めになるわけですな。
  93. 堀武夫

    堀政府委員 あの当時の事情からすれば、最大の努力を払っておったと思います。しかしなおそれでもおくれたということについては、遺憾だと思います。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その一年延長の理由を簡明に、はっきりともう一回聞かせてください。
  95. 堀武夫

    堀政府委員 簡潔に言いますと、再建整備の実施期間中は、初期に考えておりましたように、その間は強化された利子補給をやりたい、そういう考えでございます。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ、次に移りましょう。  本法の成立当初の目的であります。これは企業救済的な法律だったのか、あるいは国際水準に金利をさや寄せするための法律だったのか、この二点について、どちらであるか、その点をお答え願いたい。
  97. 堀武夫

    堀政府委員 この法律の本来の目的と申しますのは、やはり国際金利へのさや寄せというのが一つの大きな理由であったと思われます。それでもちろんそのとき、この法律のできる環境というものから見ますと、いわゆる不況対策と申しますか、したがって企業救済という理由も当然ある、そのときの空気からいたしまして……。したがいまして、これは両方あるというふうに考えていいのじゃないかと私は思います。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかります。確かに両方の理由はあると思いますが、比重はどちらにかかっていたか、その点はどうでしょう。
  99. 堀武夫

    堀政府委員 この開銀に関する利子補給法というのは三十六年にできたのでありますが、このときの事情から申しますと、非常に海運企業自体が危機に瀕しておりましたので、どちらかといえば、このときの情勢から見ますと、企業救済という面の空気が強かったのではないかと思われます。しかしこれはさかのぼっていきますと、二十八年の利子補給法というものがございます。それが一ぺん途中で切れまして、海運利子補給の分を削除いたしまして、そうして別な法律ができております。そういういきさつから申しますと、二十八年の法律をつくったときの事情にさかのぼりますと、やはり国際金利へのさや寄せというのが主目的だったと思います。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 しかし現在のこの法律については、やはり三十八年のときの状態からいえば、いま海運局長が答えられたように、企業救済の比重のほうが重かったと私も思う。海運局長もいまお答えになったとおり確かに、最初のことは別といたしまして、現在のものについてはやはり企業救済の比重のほうが、国際水準に金利をさや寄せするという問題よりも重い。これはいま局長もお認めになりましたね。私もそう思うわけです。その点はよろしゅうございますね。
  101. 堀武夫

    堀政府委員 よろしゅうございます。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、いま私もそれから局長の意見も同じになったわけでございます。確かに金利の面だけ言うならば、私たち考えましても国際水準まで金利をさや寄せしようとする考え方ならば、輸出船と同じようにしてもいいのじゃないか、こうも思うわけでありますが、やはりいまもお認めになったように、海運業のみを助成の対象にしたということは、明らかに海運業そのものが壊滅的な打撃を受けていた、この企業の救済をする、それがだいぶ現在——この委員会におきましていろいろの答弁を聞いておりますと、企業救済の目的をむしろすりかえてしまった、企業救済というものを陰に入れてしまったというふうに私は感じられたわけでございます。そこで特にその点について企業救済が主たる目的であった、こう私も思うし、海運局長も思われたわけでありますが、この企業救済の目的はもう達成された、私はこう考えるわけでございますが、この点について海運局長は企業救済の目的はまだ完全に達成されていない、あるいは達成されたと認めるか、このどちらであるか、ひとつお答えをいただきたい。
  103. 堀武夫

    堀政府委員 昭和三十六年にこの法律ができまして、さらに三十九年に強化されておるわけでございますが、そのときの状況からいえば企業の救済という面が相当あったということを申し上げたのでありますが、これはやはり長期的に、もう一歩ものを考える必要があると思うのです。これは日本商船隊の競争力というものをやはり考えなければいけない。目先のことだけではなしに、いわゆる競争力というものを考えなければならない。そういう点も看過できないのではないかと思います。したがいまして、この償却もでき、配当もわずかでございますができる会社が出てきたということは、この再建整備計画の政策の効果としてわれわれは非常に喜んでおるわけでありますが、これもそれではいまの体力、海運企業が順調に再建整備が進んだとはいえ、これで十分かどうかという点になりますと、いろいろまだ心配な点がございます。一つは先ほども議論がありましたように、自己資本比率とか、あるいは負債比率だとか、あるいは内部留保の程度というものは、外国の企業に比べますと非常にまだまだの感がございます。一風吹けばまた危機に瀕するという心配も十分ございます。そういう観点からわれわれは、まだ目を離せない、やはりある程度のところまでは体力というものをつけておく必要があるんじゃないか、かように存じておる次第でございます。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお説で、海運に対して政府ばかりでなく、われわれも大いに応援をしてあげなければいけないということはわかります。しかし端的にここで一つの事例を言って、私は問題をもとに戻したいと思う。企業救済の目的が達成されたということを私がはっきり言える点は、減価償却の不足額の解消ぐあいを見てもわかると思う。この点を海運局長はどう思いますか。
  105. 堀武夫

    堀政府委員 減価償却の解消状況も順調にまいっておりますことは、非常に喜ばしいことだと思います。しかし、まだ若干残っております。これはやはり全部解消して、その後の体力というものを十分につけなければならぬ。やはり最後までまだ安心できないというふうにわれわれは考えております。
  106. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ではお伺いしますが、整備計画がスタートした基準日に減価償却の不足額が全体で幾らあったのか。それから現在、と申しましてもこの三月三十一日の決算というのはこれは無理な話でありますから昨年の九月の決算、これと比べてみてどのような減少ぐあいになっているのか。この点をひとつお答えいただきたい。
  107. 堀武夫

    堀政府委員 基準日におきましては四十一社で六百六十二億ございましたものが、昨年の九月期では三十一億になっております。
  108. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 未解消の会社は幾つですか。
  109. 堀武夫

    堀政府委員 十七社でございます。
  110. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その未解消の十七社については、私どもがいろいろ調査した結果によると、四十三年度中に解消の見通しである、このように聞いておりますが、局長はどういうふうにそれを考えられておりますか。
  111. 堀武夫

    堀政府委員 同じように、解消するものというふうに見通しております。
  112. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういたしますと、昭和三十八年九月に六百六十二億もあったものが、昨年の九月の末では三十一億ですか、それからまた解消した会社も二十四社ある。未解消の十七社についても今年度中に解消する見通しだ、局長がこう言われる。その事実をもってしても、私は企業救済の目的は十分に達成されたと判断して差しつかえないと思う。この点、局長はどうですか。
  113. 堀武夫

    堀政府委員 償却不足解消と申しましても、日本の船会社の償却制度というものを見ますと、耐用年数を非常に長くとっております。そういう観点から見ますと、この償却の不足が解消したからといって、そうあまり簡単に喜んではいけないのではないか。と申しますのは、外国の船会社ではその耐用年数を十年ないし十二年ということで償却をやっております。ところが日本の船会社では十六年ないし十八年という耐用年数で償却をいたしておりますから、そういう制度による減価償却不足が解消されたからといって、必ずしもこれでまだ安心はいかないのではないかというふうに考えております。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その償却の問題についてはあとでお伺いしたいと思っておりましたけれども、問題が出てまいりましたのでお伺いしておきたいと思います。  確かに貨物船については十八年、タンカー十六年ですけれども、はたしてその十八年あるいは十六年でほんとうにその船が使えなくなってしまうものか。海難にあった船あるいは戦標船、そういうものは別といたしましても、はたして十六年、十八年を経過したならばもう使いものにならなくて解体しなければならないのか。実際に解体した船があるのかどうか。十六年、十八年以上使えるものと私は思うのです。それをもっと短かくしたい、外国はもっと短かい、日本はこういうふうな長期にわたってやっている。しかし十六年、十八年でほんとうにその船が使えなくなるものか。実際に使えなくなって解体したものがあるならば、その船の名前を私はひとつ教えてもらいたいと思う。
  115. 高林康一

    高林説明員 御指摘のございましたように、十六年、十八年を経過いたしましても大体の船はやはりなお使えるというふうに考えます。ただ、それは非常に修繕費がよけいにかかる関係上、コスト高というような状況になりますので、経済的には非常に不利な船になってくるという状況でございます。  なお実際の例といたしましては、タンカーではそれを改装した、船名はちょっと記憶いたしませんけれども、十六年たった後に改装しておるというようなものが若干あるかというふうに記憶しております。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は実際にそういう船があったのかないのか聞いているわけですよ。実際にそういう船があるのかどうか。確かにそれは、採算が割り高になることは認めます。修繕費がかかるとか、いろいろコストが高くなる。私も確かにそれはわかります。しかしはたしてその船が十六年、十八年でほんとうに使えなぐなってしまうのか。そうじゃないと思うのですね。これはやはり陸上の運搬具だって同じことが言えると思うんです。船においても同じことが言えると思うのです。ですからそういうものを私は考えてみたときに、船ばかりここで償却期限を短くしよう——確かに内容はよくなるでしょう。しかしそう短くすることがはたして得策かどうか、私はこれも考えなければならないと思う。私がいま質問しているのは、そういう船が実際にあるのかないのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  117. 高林康一

    高林説明員 タンカーにつきまして、いわゆる経済的耐用年数が過ぎましたようなものは、十六年たたなくても改装した例は、いわゆる不経済船対策として実施したことがございます。三十九年度におきましては、これは三隻ございます。四十年度におきましては二隻、四十一年度は三隻というふうに、標準型タンカーでございますけれども、これを改装いたしまして、たとえば小麦等を積めるようにこれを改装するというふうにやりました例が、先ほど申しました隻数ございます。
  118. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、その改装した船は総トン数が何トンになるのですか。そして、現在の日本船腹の全体の量からいったら、それは何%でしょう。ほんとうにわずかなものでしょう。ほんとうにわずかなものをもってきて、そして使えなくなるのだということは、私は当たらないと思うのですよ。
  119. 高林康一

    高林説明員 非常にトン数は少のうございます。三十九年度におきましては三万九千トン、四十年度が二万五千トン、四十一年度が四万四千トンでございます。したがいまして、現在の外航船は三百万トン近くございますから、パーセンテージとしてはごくわずかなものになるかと思います。
  120. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまお認めのように、そういうふうなわずかなものをもってして全部を、償却をむしろここで短縮すべきであるという意見が最近出ておるようでございますけれども、そういうことは私は間違いじゃないかと思うのです。この点、大蔵省のお方いらっしゃっていますか——主計官ですか、大蔵省の意見として、はたしていまの船舶の耐用年数を短縮すべきかどうか、この点について聞きたいと思います。
  121. 丸山英人

    ○丸山説明員 耐用年数の問題は主税局の問題でございまして、私の専門の問題でございませんので、そういう立場からの答弁であるというふうに御了解願いたいと思いますが、一般的に申し上げまして、物理的耐用年数というものと経済的耐用年数というものは、やはり区別して考えなければならぬだろうと思います。やはり船の十六年が短いか、あるいは長いか、いろいろの意見があると思いますけれども、できるだけそういったものを短くしていくことが企業を強化するという観点からは必要でございますし、また税負担の公平という観点から考えるというと、物理的な耐用年数をあまり下回るような耐用年数をきめるということは、これまた問題があると思います。その辺の調和の問題だろうと思いますので、一がいに物理的耐用年数だけで議論することも、これまた問題ではなかろうかというふうに考えております。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに、経済あるいは物理両面から考えなければならぬと思うのですよ。しかし、はたして経済力が全部だめになってしまうかどうか。日本の造船技術は非常に進歩しているということを聞いております。日本の技術は世界に冠たるものだということも聞いております。そうなってくると、はたして日本の船はそういうふうに力のない船ばかりつくっているのかどうか。相当に力のある優秀な船だということを聞いております。ですから物理的に十六年なり十八年なり経過しても、あながちそこで経済的に全部だめになってしまうということは考えられないので、十分まだまだ経済力があると私は考えておるわけです。きょうの主計官は、専門外のことでございまして、主税局のほうの関係でないから、また主税局の方に来ていただくなりしてこの問題についてはもう一ぺん論議をかわしてみたいと思うのであります。  それで次に参りまして、償却の問題でありますが、超過償却している会社がある。この超過償却している会社というのは一体、解消した二十四のうちに何社くらいあるのか、その社名は何という会社かという点を教えていただきたい。
  123. 高林康一

    高林説明員 超過償却をしております総額は、昨年九月期決算で三百八十三億一千七百万でございます。これは再建整備法上の償却に対しまして超過償却をやっておる総額でございます。その会社数は十六社でございます。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただいまの次長の御答弁でもわかりますが、十六社も超過償却しておる会社がある、こういう点を考えてみても、私は十分企業救済の目的は達成されたと思うのです。ましてや未解消の会社も今年じゅうには解消ができるという見通しだというならば、もう十分に、この面だけを取り上げてみても企業救済の目的は達成された、こう私は認定するわけでありますが、この点を局長はどう思いますか。
  125. 堀武夫

    堀政府委員 昭和三十九年に、ほかの産業は耐用年数を一五%縮めたのであります。海運につきましては、そのときに耐用年数を縮めることはやらなかったのであります。それはちょうど再建整備に入ったところでありましたので、かえって混乱が起きるということでもって、耐用年数の短縮ということをやらなかったわけでございます。もしこの一五%の耐用年数の短縮をやりますと、おそらく超過償却というものはできない。これは計算しますと、逆に十五億ばかり償却不足が出てくるという勘定になります。したがいまして、やはりその耐用年数との関連におきましてこの内容を判断する必要があると思います。したがいまして、いまの超過償却の数字だけでもってあまり安心はできないというように考えております。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長の観点と私どもの観点とは大いに違うわけでありまして、これはなかなか交わるわけはないと思います。分かれておると思います。  それではもう一点私伺ってみたい点は、元本約定延滞金の問題、これが整備計画の開始前幾らあったのか、また四十二年九月、昨年の決算期においては一体幾らあったのか、どれほどに減少しているのか、この点をお聞きかせ願いたい。
  127. 堀武夫

    堀政府委員 確認日におきまして九百三十四億でございましたものが、昨年九月期では百十八億というふうに減っております。
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほどと同じようにお伺いしたいわけですが、解消した会社は四十一社中、何社あるわけですか。
  129. 堀武夫

    堀政府委員 未解消の会社が十九社でございます。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、解消は二十二というわけですね。これを見ても私は十分主たる目的である企業救済の目的が達成された、こういうふうに思うのです。この元本約定延滞金にしろ、あるいは減価償却の問題にしろ、こういう点を二つ取り上げてみただけでも企業救済の目的は十分達成され、これ以上利子補給をしてやる必要がない、こういうふうに私は考える。その点を局長はどう思いますか。端的にひとつあなたの腹を打ち明けて、まだまだどうしてもやらなければならないものかどうか。私どもはもうこれ以上やる必要がない、これ以上助成をする必要がない、こういうふうに考えているわけでありますが、この点の局長の腹を聞かせてもらいたい。
  131. 堀武夫

    堀政府委員 かつて三十二年に利子補給を一ぺん打ち切ったことがございます。ちょうどスエズブームの直後でございましたが、非常に市況が好転いたしまして相当たくさんの会社が復配に転じましたので、利子補給を打ち切ったわけであります。その年の八月から、たちまちにして非常な不況に入りました。それでもって三十五年から再び利子補給の復活ということになったわけでございます。これは、なぜ一風吹くとすぐそうなってしまうという状態であったかというと、それはやはり非常に底が浅い、不況耐久力というものがあまりついてない、そういう状況利子補給を打ち切ったからではないかと思うわけであります。  それでいま先生のお話で、約定の延滞も非常に減っておるし、償却不足も減っておる、もういいではないかという御議論でございますが、国際海運環境というものを見てみますと、非常にまだ楽観を許さない状況があると思います。たとえばコンテナ問題一つとりましても、今度のドル防衛の問題、それからベトナム戦争の終結というような問題になりますと、いろいろ情勢が変わってくる。南北問題もございますし、いろいろきびしい状況も十分考えられます。なお、いま申しましたように約定延滞も百十八億残っております。やはりまだそう簡単に油断はできないというふうに考えております。
  132. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに国際情勢も大きな変動を見ておりますし、海運を何らかの形で応援しなければならないということはわかりますけれども、現在のような利子補給というような形でこれを助成するということについては、私は大きな疑問があると思うのですよ。それではほんとうに利子補給を受けない会社は全部だめなのかと言いたい。利子補給を受けない、いわゆる非集約の会社は全部だめなのか、全部一本立ちできないのか、みんな会社が疲弊こんぱいしてだめになってしまっているのか、そういう議論が出てくるわけです。確かに中核六社は立ち直ったと思うのです。しかしそれは、親方日の丸があるからなんです。親方日の丸のない、自力で立ち上がった会社もあるわけです。ましてや非集約の中には、いろいろ苦心をしながら立ち上がったものがある。そういう点を考えてみたときに、今回のこの利子補給というものがあと一年間継続することははたしてどういうものかと私は思うわけです。  問題点を次に移しますが、中核六社の営業利益、この点についてひとつお答えをいただきたいと思う。この三月の決算はまだ済んでないわけでありますから、一番最近の一年間といえば結局四十二年の三月期と四十二年の九月期、この二期を合計したものを最も近い一カ年間の営業利益を算出する基礎にして考えてみてもいいと思う。そこでその一年間について、中核六社の営業利益はどれくらいあったものか、この点をひとつお答え願いたい。
  133. 高林康一

    高林説明員 中核六社の四十一年度の当期損益は三十億五千二百万、これは六社合計でございます。
  134. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私のお伺いしているのは、四十二年三月期と四十二年九月期、それを合計して、中核六社のそれぞれの会社別にお知らせを願いたい、こういうふうにお願いしているわけです。
  135. 高林康一

    高林説明員 いまの点につきましては、それぞれの会社の対資本利益率によってお答えしたいと存じます。  四十二年三月期におきますところの日本郵船の場合におきましては六・七%、大阪商船三井船舶は六・九%、川崎汽船が七・六%、ジャパンが七・〇%、山下新日本がゼロ、昭和海運が〇・六%ということでございます。四十二年九月につきましては、郵船が六・七%、商船三井が六・九%、川崎汽船が七・一%、ジャパンが六・九%、山下新日本六・九%、昭和海運七・五%というような対資本利益率になります。
  136. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私のお願いしているお答えが出てまいりませんが、一応いいでしょう。対資本利益率が、これを見るといずれも八分以下ということですね。この点私が調べましたものとだいぶ違うのです。その一つは、私のほうでも、実際にそうなのかどうか非常に疑問に思うわけですよ。私のほうで調べたものといま次長のお答えになったものとが、あまりにも差があり過ぎるのです。それでもう一ぺん中核六社の最近の一年間の実際の営業利益が、金額で明示できないものかどうか。少なくともその監督をなさっていらっしゃる海運局で、各社の最近一年間の収益が金額でいったら幾らになるのか——パーセンテージではいま示されたように六・九とか七・〇とか七・五とかいう数字になるのですが、金額で一体幾らなのか、それをお知らせ願いたい。
  137. 高林康一

    高林説明員 四十二年三月期におきましての中核六社の当期利益は十八億ちょうどでございます。
  138. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 六社全体ですか。
  139. 高林康一

    高林説明員 六社全体でございます。
  140. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 個々には出ませんか。
  141. 高林康一

    高林説明員 個々に申し上げますれば、郵船の場合は五億四千八百万、大阪商船三井は四億五千万、川崎汽船が四億二百万、ジャパンが四億ちょうど、昭和海運及び山下新日本はゼロであります。合計十八億でございます。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは私が調べましたものとあまりにも違い過ぎると思う。一応申し上げてみたいと思うのです。もし私の申し上げるものが違っていたら御訂正願いたい。いま次長は、半期分の六社の合計が十八億とおっしゃるわけです。私のほうは一年間を調べてみましたので、その一年間の分について申し上げてみたい。すなわち、四十二年三月期と四十二年九月期と、この両方の合計の一年間の営業利益を申し上げてみたい。これは間違っていたら訂正してください。  日本郵船は七十二億九千七百三十万円、大阪商船三井船舶は八十二億九百二十万円、川崎汽船は四十二億一千万円、山下新日本は二十九億九千四百八十万円、ジャパンラインは三十四億七千八百万円、昭和海運は二十一億五千二百四十万円、私の調べたところによるとこういうふうになるわけなんです。この点はどうでしょう。  しかもまた、いまあなたのほうで言われたところの対資本の利益率というものが八分以下でございますけれども、郵船の場合は対資本利益率は五割、大阪商船三井船舶は六割三分、川崎汽船は三割一分、山下新日本が五割七分、ジャパンラインが一番低くて二割九分、昭和海運は四割八分、こういうふうになるわけなんです。これは間違いでしょうか。私が調べた基礎は、ここにございますけれども、有価証券報告書総覧、これは大蔵省証券局企業財務第二課監修となっております。これが間違いなのかどうか、あなたのおっしゃるのが合っているのかどうか、いずれが正しく、いずれが間違っているのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  143. 高林康一

    高林説明員 ただいま先生の御指摘になりました営業利益は、おそらく特別償却の引き当ての関係が損金処理をするか、それともそれが当期純利益に含まれるかということの違いではないかと思っております。それで、日本銀行統計局でやっております主要企業経営分析等におきましては、特別償却引き当て金は当期純利益に含まれて計上しております。したがって、これが益にあらわれてまいるわけでございます。一方、海運業再建整備法の規定によりますところの処理のしかたといたしましては、特別償却引き当て金は損金処理になっております。したがって、これは計上利益に入っていないということ、その特別償却が先ほど申しましたようにかなりの額にのぼりますので、その辺の違いが出てくるのではないかと考えております。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではお伺いしますが、これらの六社の特別償却の金額は、一体幾らですか。
  145. 高林康一

    高林説明員 いま詳しく調べますけれども、六社では大体四百億になると考えております。
  146. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 少なくともここに出ているものは、大蔵省のほうへ提出するからには、やはりこの中にもありますように、公認会計士がちゃんと監査報告に自署捺印して出してあるわけです。こういうものは大蔵省へ出せばいいのであって、運輸省のほうにはこういうものを出す必要がないんですか。この点はどうなんでしょうか。大蔵省にはこういう報告を出している。一方運輸省に対しては特別償却をした——それは確かに規定でされているのですから、それもいいでしょう。しかし実際の姿として、大蔵省にはこのような特別償却以前のものはこういう利益がございますといって報告してありますように、これは少なくとも船舶を監督するという運輸省の側にも当然連絡があり、報告があってしかるべきじゃないかと私は思うのです。その数字をいま次長も承知しておられない。これは非常に私は疑問に思うわけですよ。それは確かに特別償却ということは認められておりますけれども、その額もあまりにも膨大でありますし、普通だったらこれだけのものはなかなかできないわけであります。しかも、こういうものを特別償却をして、特に対資本利益率を非常に低くして運輸省のほうには提出をしているという、その根底には何かがあるんじゃなかろうか、こんなふうに勘ぐりをするわけです。これはあまり邪推をしてはいかぬのかもしれませんけれども、本来なれば、当然大蔵省に提出してあるものと同じものは運輸省にも提出していいんじゃないか、こう思う点が一つ。  それから、なぜそのように対資本利益率を八分以下にして報告をするように——どれもこれも言い合わせたように八分以下になっているわけですよ。この辺のところが私はまことに理解に苦しむわけです。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  147. 高林康一

    高林説明員 公認会計士によりますところのそれぞれの貸借対照表その他は、運輸省にも参っております。  それから先ほど数字をちょっとあいまいに申しましたが、四十二年九月期の六社の特別償却引き当て金は四百八十億円でございます。  それは海運業再建整備法あるいは利子補給法によりまして、それぞれの利益の計上のしかたが法律または政令できめてございます。それがいわゆる企業会計準則ともちょっと違う場合もございます。たとえば償却のとり方等においても違います。それから利益の算入のしかた、それらのことについてもそれぞれ違うわけでございます。そこで再建整備法、利子補給法に基づきますところの海運企業会計準則によりまして計上いたしましたものが、先ほど申しましたような数字になるわけでございます。企業会計と税務会計とが違いますように、またこれらのものがそれぞれ会計の処理のしかたが違うのでございますけれども、先ほど申しましたような利益率その他の問題は、それぞれ海運業再建整備法によるところの算定の方法によるということでございます。
  148. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応その御説明を私も理解します。理解いたしますが、私は、やはり特別償却以前のもの、これが世間一般に通用するところの営業利益じゃなかろうかと思うのですよ。私は当然そうあるべきじゃなかろうかと思う。確かにいまお話しのように、再建整備法あるいは利子補給法によって定められたところの特権を利用して、そうしてそのように八分以下に押えているという操作を海運局で指導してやらせているんじゃなかろうかと思う。どうして言い合わせたように八分以下になるんですか。この点について私は全くふしぎだなと思うのです。なぜ八分以下に押えておくのか、中には特別償却をしてみても、あるいは一割以上出るものもあるんじゃなかろうかと思う、あるいは一割二分になるものもあるんじゃなかろうかと思うのですけれども、そこをなぜ八分以上にはしないで、なんなことごとくが八分以下にしてあるのか、この点私は非常にふしぎに思うのですが、局長どうですか、この点ひとつ……。
  149. 堀武夫

    堀政府委員 先生のお手元にある財務報告書、これも天下に公表してあるものでございますし、公認会計士がちゃんと目を通したものでございます。ただ先ほどの食い違いは、先生も御理解いただいたように、計算方法の違いだけでございます。これは違ったルールでもって計算をしたわけでございます。それで、決してわれわれも作為的にそういうことをしてはおりません。そして監査室というものがございまして、これは利子補給法によりまして、会社の経理内容は厳重に監査をいたしておりまして、そういう点はそういう妙なことはないというふうに私は信じております。
  150. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 定期的な監査をしているのですか、この点についてはどうなんですか。
  151. 堀武夫

    堀政府委員 大体一年に一回くらいのベースで各社を回って監査をいたしております。
  152. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 形式的にせよ監査をしている、その監査を信ずる以外にないわけでありますけれども、税法上の規定だ、あるいはその規定を利用する権利があるから、特権があるからやったまでだ。しかしながら、どうあっても私が言うところの対資本利益率は四割六分もあるわけですよ。それをおたくのほうでは七分九厘だ。これは確かに税法上の各種の特権を利用しての、作為ではないと局長は言われましたけれども、八分以下にぴったり押えたということは、何かしら私は疑問に思うのですけれども、この点はどうでしょうか。なぜそろいもそろって八分以下にしてしまうのか。相当の余力がありながら、ほんとうにそれを各会社に臨んで、実際に計算を当たったことがあるかないか。確かに一年間に一ぺんは監査に回っていらっしゃる、私はその監査を信用いたします。しかしながら、出てくる報告というものがそろいもそろってその辺におさめておく。八分以下に押えておけば何か特典が、別の特別の利点があるのかどうか、こう勘ぐりたくなる。それで私もその点について調べてみましたけれども再建整備臨時措置法の第八条及び施行令の第五条によりますと、対資本利益率が八分以上になると利子の猶予が停止されるという一項があります。また、利子補給及び損失補償法の第十二条及び施行令の第九条、同じく第十条によると、対資本利益率が一割以上になった場合には利子補給が停止されるということになっている。こういうことがあるから、猶予が停止されたり補給が停止されたりしたのでは困るから、このことを未然に防ぐために対資本利益率を七分九厘程度に押えてあるのだろう、そうとしか私は考えられない。先ほども申し上げましたとおりに、特別償却以前の中核六社の営業利益はばく大なものです。対資本利益率は平均しても四割六分にもなっている。それを特別償却をして故意に八分以下にしているいるというのは、ばく大な利益が上がっているにもかかわらず、社内留保をして、利子の補給を引き続いて受けまうとする考えがあるからやっているのじゃなかろうかと思う。この点どうですか。おそらくいままでもこのような処理をして、すでに二十三次までで七百五十六億も利子の補給を受け、さらに今回の一年延長によって二百三十二億も、合計いたしますと、約一千億近い数字、正確に言えば九百八十八億でありますけれども、一千億近い額の利子補給を受けている。このことは全く私は理解できない。明らかに国費の乱費ではないか、こう思うのでありますけれども、局長はどう思いますか。
  153. 堀武夫

    堀政府委員 税法上許されている範囲内において特別償却をしておるわけでございますが、その点では違法ではないと思います。そして先ほども申しましたように、いわゆる耐用年数の問題が根本にあるわけでございます。それで、三十九年に一般産業が耐用年数を短縮したときに、ちょうど海運業再建整備に入ったばかりのところでありましたので、混乱を避けるために耐用年数の短縮をやらなかった。もしそのときに耐用年数の短縮をやっておるならば、逆に十五億の償却不足を生ずる。そういう事情から考えますと、この税法上許されている範囲で特別償却をやっておる、それをはずして資本利益率を計算するということは許されていいんじゃないかと私は考えております。
  154. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに局長のおっしゃるとおり、税法上許されたからいいんだ、それだけの特権があるのだからいいんだ、こう言います。しかし私はいろいろの観点から考えてみても、あまりにもそれでは国庫におぶさりっぱなしで、自分で自力をもって立ち上がろうというようなことがなく、あくまで社内蓄積をし、そうして内容をよくしよう、そうしてあくまでも期限のあるうちは利子の補給を受けていこう、こういうお考えとしかとれないわけです。最近ちょっと聞いた話でありますけれども、減価償却の問題についても、この償却の期限を短縮したいという考えが業界にある。貨物船の十八年、タンカーの十六年は長過ぎるから、これを二年ほど短縮しようじゃないか、そうして十六年と十四年にしよう、そうしてさかのぼって計算をすればこんなに利益が出ないのだ。だから少なくとも早い時期においてこの減価償却の期限の短縮をはかろうではないかという機運があるというようなことを聞いたわけでありますけれども、この点はどうなんですか。
  155. 堀武夫

    堀政府委員 再建整備以後の海運政策としてどのようなことを考えるか、これはいろいろな部面がございます。もちろん大きな一つの面といたしまして、税制の面がございます。その税制に関連をいたしまして、償却制度あるいはいまの耐用年数をどうすべきかという問題は、当然検討する必要があると思うのでございます。そうして日本だけが特殊な長い耐用年数でもって計算をすることがいいか悪いかということは、これはもう十分考えなければならないと思うのでございます。それで、税制は当然内部蓄積の問題にからんでいきます。そういう観点から、やはり外国の企業並みということは十分考える必要があるのではないか。といいましてあまり急激に一ぺんに短くすることも、これもまた別な問題を含んできますので、ある程度の耐用年数の短縮ということは十分これから研究をする題目ではないかと思っております。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういう空気があるということも承知しておりますけれども、これは明らかに利益を隠匿し——隠匿ということばはまずいかもしれませんけれども、少なく見せかけるための操作である、そうとしか考えられないわけであります。  そこでもう一点、もう時間もございませんししますから、だいぶ質問も残っておりますが、きょう主計官も来ておられますので、主計官の御意見だけ聞いておきたいと思います。  それは大蔵省の考えとして、このようなものが当然報告されている、対資本利益率は平均して四割六分にもなっている、内容が非常によい、こういう中核六社に対して利子補給の必要があるかないかという点について、大蔵省のお考えを聞かせていただきたいのです。
  157. 丸山英人

    ○丸山説明員 先生おっしゃられますように、基準日におきます減価償却の不足額を解消するという、そういう海運企業再建整備の目的は、おっしゃるように大体において達成しているというふうに考えてよろしかろうと思います。しかしながら、先ほど来海運局長から御答弁がございましたように、やはり再建整備の期間があとまだ一年残っておる、まだ中には完全に再建が終わっていない会社もあるというような点を考えまして、一年間延ばすことは必要じゃなかろうかということで、大蔵省といたしましても、一年延長することの必要性を認めたわけでございます。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 再建整備の期間が一年残っている、ですけれども、これはやはり企業の集約がおくれたからこそ一年そういうふうにずれてきておるというわけでしょう。それは海運会社の責任である、そう突っぱねてもいいと私は思うのですよ。どうですか。
  159. 丸山英人

    ○丸山説明員 その点につきましても、先ほど海運局長から答弁申し上げましたように、先生のおっしゃるような点はあろうかと思います。しかしながら、そういう点は別といたしまして、基準日から五カ年間というふうに法律で書かれておりますと、やはり五年間というのは再建整備の期間として、会社はその五年間というものをやはり期待してよかろうかというふうにも考えられるわけでございます。
  160. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 しかし、整備期間は五年間ですけれども利子補給は四年間ということは最初からきめてあったわけでしょう。それに対して大蔵省は疑問を持たないのですか。その点どうですか。
  161. 丸山英人

    ○丸山説明員 その点につきましてはいろいろ内部でも検討いたしたわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、そもそも海運に対します利子補給の強化措置が再建整備と表裏一体として発足いたしたという、そういう実際的な経緯もございますものですから、先ほど申し上げましたように、確かに内容的には海運も非常によくなっております。海運企業が非常によくなったと思いますけれども、やはり一年間残っているという点を考えざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私の聞くところによりますと、大蔵省では当初から、利子補給は一年延長すべきではない、それが事務当局の大部分の意見であった、こういうことを聞いているわけです。しかも大蔵大臣がよく口に言われるところの財政硬直化、こういう時点からするならば、利子の補給の一年延長というのは、事務当局とすれば反対するのが当然だったと思うのです。また事実反対されたということも聞いております。それがどうしてそのように——確かにいまのお答えが理屈といえば理屈になりますけれども、そんなふうに変わってしまったのか、私はその点を少しく疑問に思っているわけです。私どもの聞いた話では、四十二年の夏から暮れにかけての大蔵省と運輸省の間の予算の折衝の過程におきまして、大蔵省の事務当局は、ただいま申し上げましたように、利子補給の一年延長には全面的に反対していた。ところがそれが急にと申しますか、とにかく復活したと申しますか、一年延長することについての予算が計上されるようになった、これは大臣折衝の段階で復活したのだということを私は聞いております。それを証明するのは、第一次の大蔵省の内示には、この金額も科目も計上されていなかった。それが急に大蔵大臣、運輸大臣の両者のいわゆる予算折衝の頂上会談において決定された。大蔵省の事務当局は涙をのんで、財政硬直化のおりからそういうものは必要ないのに、ここでまだまだ出さなければならないということに対して、事務当局では非常に憤慨しておるという話を聞いたこともあります。そこで、第一次の内示に計上してあったのかなかったのか、この点をひとつはっきりしていただきたいと思う。
  163. 丸山英人

    ○丸山説明員 最初の大蔵原案には入っておりません。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その大蔵原案に最初なかったということは、事実、事務当局としてはもうそういうものを必要がないと認めたからですね。
  165. 丸山英人

    ○丸山説明員 利子補給の問題につきましては、途中におきましていろいろ議論があったわけでございます。いろいろの観点から検討いたし、また運輸省ともいろいの点につきまして検討いたしたわけでございます。その過程におきましてはいろいろの意見がございました。しかしながら、最終的にはやはり必要であるということになったわけでございます。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、第一次の内示にはなかったということははっきりしましたし、そしてまた、それが最終的にはあなた方もその必要性を認めて出すようになったというわけですね。まあ、確かにいろいろの問題もあるでしょう。しかし私は、なぜそこまでしなければならないのか。こんなにりっぱに立ち上がった海運会社に対して、これ以上の利子補給あるいは補助をする必要が何にもないと思うのです。だから当然大蔵省とすれば、最初から最後まで反対するのがほんとうに良心的じゃなかろうかと思う。ところが、それが途中でその節が曲がってしまった、腰くだけになってしまった、こういう点は事務当局に対して圧力がかかったのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、これはあまりと言えばあまりにも勘ぐりでしょうか。
  167. 丸山英人

    ○丸山説明員 先ほどお答え申し上げたとおりでございます。いろいろ議論いたしまして、最終的にはやはり必要だということになったわけでございます。
  168. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、だいぶ残っておりますが、もう一点だけお伺いしておきたい。それは海運会社の増資の点であります。大蔵省関係の方にお伺しておかなければなりませんので、この点だけはお伺いしておきたい。  先年山下汽船や昭和海運が、六分の配当で増資を計画して問題になったことがある。中核六社も十分にいまの採算ベースからいくならば、一割配当は私は可能だと思う。そして一割配当を認めて増資を許可したならば、自己の資本が増加をする、そして資本構成をよくして利子補給をやめる、こういうふうにすれば百方うまくいくと思うのです。それを増資もさせないで利子補給の継続をはかられるという、この点について私は納得できない。事実山下汽船や昭和海運は、たいへんな問題をかかえながらも増資に踏み切った。そしていろいろその点については、監督官庁からも横やりが入ったということも聞いております。しかし、当然力があるのですから、増資に踏に切ってもこれの払い込みはスムーズにいくと私は思うのです。それをわざわざ、できる体制にありながら、それだけの力を持っていながら、増資もさせないで、あくまでも国家助成にたよっている、利子補給にたよっているということは、あまりにも私は情けない次第だと思うのです。本来からいうならば、日本海運魂などというものはそんなものじゃなかったと思うのです。もっともっと自立して、もっともっと自分の力で立ち上がって、そうしてりっぱにやり切ってこそ、ほんとうの日本海運魂じゃないかと思うのです。それをあまりと言えばあまりにも去勢されてしまったように、政府の助成にたより過ぎて、自分自身で立ち上がる自立の力がありながらそれをやらないでいるということを、私は非常に残念に思うわけです。この増資の点を大蔵省としては許す考えがあるのかないのか、この点についてひとつお答えいただきたい。
  169. 丸山英人

    ○丸山説明員 その問題、たいへん申しわけございませんが、私直接聞いておりませんものですから、この席で何とも申し上げかねる次第でございます。
  170. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、その問題についてはまた担当の方に出席をしていただいてお伺いすることにして、きょうは保留しておきます。  時間もございませんし、予鈴が鳴りましたので、きょうはこの点でとどめておきますが、まだだいぶん質問が残っておりますので、これを次回の冒頭にさしていただくように、ひとつ委員長にお願しておきます。
  171. 大野市郎

    大野委員長 次回は明三日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十一分散会