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木部委員 それでは次に
経営全般の問題について、私
しろうとでありますが、
自分の
考えを申し上げて副
総裁の
決意を伺いたいと思います。
先ほど来副
総裁から
お話がありましたように、
国鉄は百年近い
歴史の上に立っておる。ところが戦後、
交通手段というものが完全に変わっていったわけですね。私は、
定期運賃の問題なんかもそうでありますが、おそらく、明治を通ずれば第一次
産業しか
日本になかった、そこで
定期を
サービスします、毎日の人には
サービスいたしましょうということが、おそらく
定期の
理想で出発をしたのではないかというふうに思うのです。
アメリカなんかの場合には、大体旅客がだめですから、
貨物でどうにかペイしておる。欧州の場合でもいろんな
合理化や何か国と協議して、
労使間の
話し合いをして、全体の
営業キロ数を少なくするとかいうふうに、いろいろな
施策をやっておるようでありますが、実際の問題としてなかなか
理想どおりにはいっておらない。
日本の場合には、先ほど副
総裁から
お話がございましたように、非常に先が暗いような
感じだ。私は、
日本の場合でも、確かに
貨物が御
承知のとおりの
状態で、しかも
運賃の場合にはいま申し上げましたように、
交通手段の変革に合っていかない
運賃体系じゃないか。一方また
地方の
ローカル線を建設することは非常な
地域の
開発が脚光を浴びることですから、これも促進しなければいかぬ。そういうことで第三次
計画というものがおそらく進むんじゃないかというように私は理解いたすわけであります。もちろんいま申し上げましたように、何といっても
交通の
手段というものが変化したというときに、これだけの大きな
資産をかかえ、これだけ大きな
従業員をかかえている
国鉄が、よほど抜本的な
対策を立てていかないと、なかなか問題があるんじゃないか。そこで先ほど申し上げましたように、米の場合には大体一億円くらい
一般会計から出ているわけなんです。
国鉄の場合には二兆円以上の
赤字があるわけでありますが、そうした問題を解決するのは私は米以上の大きな政治問題じゃないか、こういうふうに思うわけであります。さりとて
国鉄みずからの力によって副
総裁の御
決意のもとに
合理化をし、
国鉄の
使命を果たそうというような
気持ちもわかるのでありますが、いま申し上げましたように、一方では
交通機関が大きな変革を来たした。たとえば道路で申し上げますと、
日本の場合には国土が狭くて山が多い国でありますから、どうしても道路と
鉄道と競合するきらいがあるというふうに私は思うのです。たとえば昭和六十年までに建設省のほうは五十三兆円も金をかけて
日本の有料道路や国道、府県道、こういうものを改修して、昭和六十年度にはおそらく
日本の自動車の保有高は三千五百万台以上になるだろう、こういう想定をいたしておるわけであります。でありますから、これを何とかして解決するために五十三兆円も金をかけて膨大な設備投資をしよう、こういうことであります。そこで、たとえばいま取りあえず建設省が
計画しております道路網を見てみますと、
東京−青森間であるとか、現在建設しております東名高速道路、中央道路、下関から鹿児島というふうに、そうした五道だけの
計画でもたいへんな
計画があるわけです。この道路
計画を見てみますと、たとえば中国縦断道路の場合には、いまは建設中の山陽新幹線とはあまり競合しませんけれ
ども、地図の上から見てみますと、あとの場合には既設の線と大体競合するわけですね。でありますから昭和六十年というものが、またある
意味では
日本の
交通手段を変える大きな変革期だと私は思うのです。そういう
意味で、一方では新幹線の場合には私は別だと思うのですけれ
ども、既設の線が、第三次
計画で電化したりディーゼル化したり、いろいろなことをして
サービスの精神に徹しようという大きな
理想は理解できるのですけれ
ども、いま申し上げましたように、たとえば、こまかい話になって恐縮でありますが、ガソリンが一リットル当たり五十円か六十円くらいだと思うのです。そういたしますと
国鉄の場合は大体キロメートル当たり四円ぐらいというようなことを伺っておるわけでありますが、道路がよくなりますと、いまの
国民生活から
考えてみても住宅までは手が届かぬけれ
ども、車くらいは月賦でも買える、そういうような思想が車の伸びを大きく助長している要因だと私は思うのです。そういう
意味で、たとえば一キロメートル当たり
国鉄は四円だ、自動車の場合は五円か六円だ。そうしますと、二人か三人で乗りますと
国鉄より安くなると私は思うのです。
そこで、いま申し上げましたように、
東京−青森であるとか、東名、中央道、新潟、直江津からどこか舞鶴ですかあの辺、それから下関から鹿児島、そういうような高速道路と、
国鉄のいま一番利益をあげている大動脈とやがて競合する
時代が、十年くらい先に来る。そうしますと、今度
国鉄のほうでは十年から十五年先には退職者がうんとふえてくる。おそらくいまの倍くらいになるだろう、こう思うんですが、そういう
意味で、私は
国鉄経営のことはよくわかりませんけれ
ども、いままで一番利益をあげた
国鉄の公共性、独立採算制というものがやがてくずれるんじゃないか。昭和六十年には自動車の台数は三千五百万台になります。大体いま一億十六万ですから、三人に一人くらい、もっと人数は多くなる。そんな
意味でこれから十年先というものが、私はいま申し上げましたように
国鉄経営全体の大きな変貌期でもあるのではないか。いまの
手段よりもっと変わってくるのではないか、こういうふうに思うのです。そうした長期的な視野に立っていろいろな
合理化を進めたり
計画をされたり、三次
計画を進めていかれると思うのです。私はよくわかりませんが、たとえば現在の
国鉄の財政をさらっとした
気持ちで見てみても、三次
計画はなかなか困難じゃないか、無理じゃないか、延長するのではないか、そういうような気もするのであります。それぞれ私見でありまして恐縮でございますが、そういうふうにもっと大きな変貌期に十年先というものはある。そういう
意味で私は、
国鉄というものが
国民の共有財産として今日まで
日本の
交通機関の
心臓部としての
使命を果たしてきたわけでありますから、そういう点等もやはり、あまり競合しないようにどういうふうな総合調整をはかっていくかということも、私は
国鉄の将来にわたって一番大事なことだと思う。何といってもこの
交通機関の発展競争というものが
日本の経済なり、
日本の国土
開発に非常に大きなウエートを占めておるわけでありますから、競争ということが
産業の発展する大きなゆえんでもあるのではないかという
気持ちも私はいたすのでありますが、そんなことで副
総裁は将来の展望を、何かお
考えがありましたらひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。