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1968-03-29 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十九日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    菅  太郎君       菅波  茂君    西村 英一君       福家 俊一君    水野  清君       井上  泉君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       矢尾喜三郎君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席政府委員         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         大蔵省関税局業         務課長     上月 重雄君         水産庁漁政部長 岩本 道夫君         建設省道路局道         路総務課長   川田 陽吉君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月二十八日  委員小渕恵三君及び神門至馬夫君辞任につき、  その補欠として賀屋興宣君及び河野密君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣君及び河野密辞任につき、その  補欠として小渕恵三君及び神門至馬夫君議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、日本国有鉄道経営に関する件及び港湾に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。木部佳昭君。
  3. 木部佳昭

    木部委員 御承知のとおり、国鉄当局は第三次の長期計画をいま盛んに実施中でありますが、国鉄基本問題懇談会等意見もあって、経営合理化その他改善に関する問題等指摘されて、そして現在労使間で問題になっておりますが、合理化問題等が生まれておると思うのですが、国鉄当局はどう考えておられますか。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 最近におきます各産業近代化機械化テンポは非常に速いのでございますが、私のほうの鉄道もすでに約一世紀余過ぎまして、ここで思い切った機械化近代化をしない限り、結局新しい時代交通機関としての使命を全うすることができないというたてまえから、ちょうど一年前の三月三十一日に具体的な当面の経営合理化方策を十数項目出しまして、その後鋭意組合と折衝してまいりましたが、御承知のような、過般三回にわたるいろいろなトラブルを経まして、十数項目のうち一項目を残しましては、おおむね前向きで実施していくという線に近づいたわけでございます。私どもといたしましては、もちろん経営近代化機械化ということによりまして、鉄道を新しい時代交通機関としてのふさわしいものにしたいという熱意からこの問題を取り上げておりまして、おかげさまで第一歩の前進はできたというふうに考えておる次第でございます。
  5. 木部佳昭

    木部委員 私はだんだん質問したいと思いますが、今回の労使間の紛争を見ておりますと、ただいま副総裁からお話のありましたようないろいろな、機械化であるとか近代化であるとか、そうした国鉄の大きな使命というものが含まれておると思うのですが、私もしろうとでよくわかりませんが、たとえば国鉄赤字というものを見てみますと、一兆七千億近くなるじゃないか、こういう感じもいたすわけであります。そういう意味で、たとえば物価安定推進会議ですか、ないしはまた運輸省におきましても、大臣の諮問機関国鉄の再建問題の委員会もつくろう、こういうふうな構想もあるようでありますが、その他私どもがときどきちまたで伺いますことは、たとえば食管赤字を見てみますと、ことしあたりは大体二千五百億くらいの赤字になるでありましょうか、おそらく食管赤字というものは、今日まで約一兆円くらい一般財政から捻出をしておると思うのです。そういう意味で、おそらく米の問題の次に国鉄の問題をどうするかということが、国家的視野から検討されようといたしておるわけであります。そうした中にあって、たとえば地方赤字線をバスに切りかえるとか、ないしはまた、いままで長い間地域開発のために努力されたローカル線を廃止するとか、いろいろな意見ちまたで聞いておるわけであります。そういう意味で、今回の労使間の紛争というものは、そうした合理化という大前提もあるわけでありますが、国鉄経営のあり方に対する労働組合反発等もあって、問題を一そう複雑化しておるのではないか、こういう気持ちがいたすわけであります。そういう点につきまして、国鉄当局はどう理解されておるかお伺いしたいと思います。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どものほうのような、非常に歴史の古い産業が、急角度近代化機械化をやろうとする場合には、必ずこれは部内部外を通じて大きな摩擦があることは、もう歴史の示すところでありまして、ちょうど私どもは、いまその曲がり角にきておると思うのであります。したがって部内的に申しますれば、いま先生指摘のように、部内職員から申しますれば、なるべく現状維持がいいという気持ちがあることは、これはもう納得できる点でございますけれども、やはりそれを乗り切れるか乗り切れないかという点に大きな問題があると思います。いままで一年にわたりましていろいろ組合と折衝してまいりましたが、組合諸君も、いまのままの国鉄ではだめだということははっきりしております。たとえば、いつまでたっても石炭蒸気機関を使ってやることはもうだめだ、やはり近代化しなければいけないということについては、これはもう両者の意見が一致しておるところでございますけれども、そのやり方なり、そのテンポなりにつきましては、必ずしも意見が一致していない。同じような問題がやはり部外でもあると思うのでございます。すなわち、いままで鉄道の受け持ってきた分野を、当然鉄道以外の交通機関でやってもらって差しつかえない。むしろ鉄道としては、今後その守備範囲に属するものでない分が相当実はあると思うのでございますが、しかし地域住民から申しますれば、やはりないよりあるほうがいいということをおっしゃるのは、これは当然でございます。しかしこれも地域住民の納得を得つつ、外的な原因の除去ができるかできないかということが、国鉄経営の大きな曲がりかどだというふうに考えておるわけでございます。
  7. 木部佳昭

    木部委員 私がいまさら申し上げる必要もないかと思いますが、国鉄の大きな使命というものは、何といっても安全、サービスということになるのじゃないか。やはりいま申し上げましたように、国鉄使命というものは何といっても安全ということが一番である。最近では御承知のとおり事故対策もかなり進んでおるわけでありますが、今回のこの合理化の問題で、国鉄使命である安全とサービスというものが十二分な確保ができるかどうか、こういうことについても一般利用者にも多少の疑問があると思うのです。そういう意味で、国鉄当局でも鋭意努力をされておると思いますが、そうした点について副総裁はいかにお考えになりますか。
  8. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、過般来当委員会におきまして総裁もるる申し上げておりますとおり、私どもといたしましては、安全の問題は経営以前の問題だというふうに考えております。それからサービスの問題は経営そのものであるというふうに考えておりますので、何と申しましてもこの大企業経営を続けていく一番の前提としての安全問題、ことにわれわれ輸送機関としての安全問題は、何といってもその生命でございまして、私ども自身も過去数回にわたって相当大きな事故に直面し、また多数の被害者にじきじきお目にかかり、いろいろ私ども安全問題ははだ身に感じておるつもりでございます。したがって部内部外を通じての機械化近代化に際しましては、何といってもその以前の問題として安全の問題も当然取り上げるべき問題でありますし、また安全の角度から申しまして、一〇〇%安心のできないものはやるべきではないという確固たる信念を持っております。したがって四十年度以降、当委員会の御承認を得まして、いま推進しております第三次長期計画の内容におきましても、まず第一に安全問題を取り上げ、すでに千数百億の金をこの安全対策につぎ込む、その次に通勤問題というふうに、私どもといたしましては相当はっきり割り切って安全問題に重点的に金を入れてきたつもりであります。したがって、ある程度物理的な対策ができたということを前提とし、また日本各種産業が非常に目ざましい発展をしている、その鉄道以外の力を借りて、鉄道を運営していくということは当然なことでございますので、そういったことを十分考えながら、この合理化問題に取り組んできたつもりでございますし、また今後もそうならなければならないということを、常に私ども自分自分に言い聞かせながらやっておるつもりでございます。
  9. 木部佳昭

    木部委員 今回の合理化のいろいろな労使間の問題点を見ていますと、たとえばわれわれ一般国民立場から考えますと、五万人の首切りになるんだというような印象もあるんじゃないかというように私は思うのです。しかし、この間からの委員会で大体の考え方はわれわれもちろん理解するわけでありますが、合理化されて、たとえば職場を転換するとか、また新しい技術をどうするとかというようなことで、当然そういう人たち合理化によって受ける教育も違ってくるのじゃないかという気持ちもいたします。同時にまた合理化することによって、たとえばいままで運転手をやったのが、今度別の職場へ行くというようなことで、いま申し上げましたように安全対策に欠けるようなことがあってはたいへんなことになると私は思うのです。そういう点で国鉄当局は転換される方方の教育といいますか、実習といいますか、そういう点についても、特に最近はいま副総裁が御指摘のように、技術が非常に高度化しておるときでありますから、そういう点についても万全の対策を立てる必要があるのではないか、私はこういうふうに思うのであります。その辺についての対策を伺いたいと思います。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえばことしの秋に、おかげさまで東北線が盛岡から青森まで全線電化されます。そうしますと、電気機関車になるために、蒸気機関車関係の人が相当実は浮いてまいります。しかし、それをなるべく私どもといたしましては、もとの職場に近い仕事をさせたいということで、約二百名の人間を東京付近電車運転にかえるということで、地域的な配置転換考えました。これは宿舎等も準備いたしまして、ほとんど人選も決定いたしました。そうして昔機関車を動かしていた人に今度は電車を動かさせるというふうに転換教育をいたしまして、しかもそれを地域的に、東京に来てもらうという方法が第一である。それから、そういうふうにどうしても地域的に動けない、昔の自分の家からどうしても通いたいという人につきましては、多少職場が違っても新しい職場に入ってもらうというふうなことにつきましても、やはり相当思い切った転換教育をしてやってきたつもりでございますし、ことに、御承知のとおり、数年前に私ども福岡県の志免の炭鉱を閉鎖いたしました。あのとき三千数百名の人員が余ってまいりました。しかしこれは、ごく老齢者は別といたしまして、ほとんど全員に近い九〇%程度の者を、新しい教育をいたしまして全国的にばらまきまして、そうして新しい職場でみな働いておるというふうに、多少の経験も持っておりますので、少なくとも配置転換される人が非常な不安と不利をこうむることのないような配慮でやっておるつもりでございます。
  11. 木部佳昭

    木部委員 いまの副総裁お話でだんだんわかってくるわけでありますが、私は国民立場に立って考えますと、去る二十三日に国鉄労組動力車労組とが、御承知のとおりに、東京周辺地区に大混乱を起こしたわけであります。私は、労使双方にはそれぞれ意見があると思うのです。しかし、あの姿をいろいろテレビや何かで見ていまして、非常な憤激を国民として感ずるわけであります。私は、こまかいことを申し上げようとは思いませんが、やはり国鉄というものは国民的資産でありますから、その国民的資産というものを、いろいろ労使双方意見がありましても——特に私が痛感いたしますととは、一体あのままでもし事故が起きたらだれの責任なのか、この問題であります。そんなことで、いろいろな委員会でもこの問題は議論されたようでありますけれども、とにかく私は国鉄が安全ということを大きなモットーとしているときに、ああいう事態でよく事故がないものだ、こういうふうに思うわけであります。  そういう点で、もちろん国鉄の幹部の苦労もよくわかるわけでありますけれども、とにかくああいう事態が二度三度繰り返されてきますと、私は国民国鉄に対する考え方というものは完全に遊離するだろう。そういうときにこそ国鉄がいかに安全運転サービスだといっても、基本的にいま申し上げましたように国民国鉄が遊離することによって、地域の利益を守るための日本心臓部でありますが、そうした使命というものは全くくずれていく、それを私は非常に心配をいたしておるわけであります。そういう意味でたいへんな大混乱でありましたけれども、いま申し上げましたように国民国鉄が長い間一緒に繁栄してきた、これが離反するということになりますとたいへんなことでありますが、そういう点について特に副総裁はじめ皆さん方の御苦労はよくわかるわけでありますが、これからは一体どういう対策を立てていかれるかということを、私はこの機会に伺っておきたいと思います。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに先生の御指摘のとおり、私どものように国民大衆を相手にしている仕事にとりまして、もし利用者である国民から、端的に申しますればあいそをつかされる、あるいは全く不信感を持たれるということになりましては、もう仕事そのものが成り立たない、もう斜陽化どころか、破滅の一途をたどるのみだということは、国鉄当局者といわず、また国鉄職員といわず同じ考えを持っているというふうに私は確信いたしておるのであります。したがって、常に国民大衆の上に立った企業形態でなければいけないということは私ども考えておりますが、過般の年末あるいは三月の上旬あるいは去る二十三日、この三回にわたる東京付近の大輸送混乱につきましては、全く私どもといたしましても全力をあげてその事態の回避に努力をいたしましたけれども、不幸ああいう事態になりました。ことに三月二十三日の事態につきましては、私どもといたしましては、その前夜までは必ず回避できるという確信を実は持って、私自身交渉の責めに当たっておったわけでございますけれども、いろいろな事情でああいうことになりまして、名目は午前五時何分にいわゆるストライキを中止いたしましたけれども、実際にはほとんど半日の間それに近い状態になってしまったということにつきましては、いろいろな労使双方の手違いがあったということを率直に認めまして、深く国民におわびを申し上げる次第でございます。  ただ、冒頭に申しましたとおり、いまの国鉄経営状態というものは、先生のおっしゃったとおり、すでに累積赤字だけでも、いま御審議願っております予算によりますれば、本年度末には三千億近くなる、長期負債は二兆をこす、こういう膨大な企業で膨大な赤字と借金をかかえている。これではどうしてもやはり思い切った方向転換をしない限り、ずるずるとどろ沼におちいってしまうというきらいがないとは言えない。たとえば石炭産業を見ましても、ほとんど同じような姿でもって没落の一途をたどってしまったというあの姿を見まして、私どもといたしましてはここで何とかしなければやはり国鉄というものはそう将来はない。残念ながら破滅してしまうのじゃないかという多少あせりに似た気持ちもございますので、それらを十分部内職員に徹底させ、結局全職員一丸となって、どうしたらこの経営危機を打開できるか、しかも簡単に一つ二つ施策で打開できるようななまやさしい経営危機でなしに、この日本の文化の発達に伴う大きな輸送機構の改変という、ちょうど石炭といえば動力革命が起こりつつあると同じように、現在輸送革命が起こっているということを率直に認めた上で、しからば国鉄企業というものをどうしたら国民のお役に立つようにできるかという角度でもって問題を進めていかなければならないと思います。したがって、ある場合にはやはり相当働いている組合員諸君にもロードがかかることもあると思います。そういった際にもできるだけみんなの理解と協力の上に立って、結局国鉄を繁栄さすことが即国民のためにもなることだし、また中に働く私たちのためにもなるのだという使命感に徹する以外には、この転換期を乗り切る方法がないというふうに考えまして、その点私ども自身責任者としての微力を感じつつも、何とか駑馬にむちうって、部内全体がそういった国鉄の改革に燃えるという基礎をつくることが一番大事だというふうに考えております。
  13. 木部佳昭

    木部委員 私は副総裁決意はほんとうによく理解いたすわけであります。しかし何といってもあれだけたび重なる問題があるわけでありまして、特に私は未解決な問題はどういうことか、この間委員会で伺っておりますと、たとえばアメリカ例等を出しておられました。総裁への質問は、二人乗車を一人乗車にした場合に、アメリカでも事故が多くなっておる。総裁答弁は、踏切事故等もあるのじゃないかというようなことも言っていらっしゃいましたが、日本アメリカとではとうてい営業キロ数が問題にならぬわけです。おそらく十分の一——もっと多いと思いますが、私もちょっとその問題につきまして不安を感じましたので調べてみますと、たとえば交通手段別事故死亡率でありますが、一億人キロ当たりという統計を読んでみますと、アメリカが一九五六年から六五年まで鉄道死亡事故が〇・〇八%、日本の場合には、国鉄の発表によりますと、一九六〇年から六五年で〇・〇四%、こういう数字になっているわけでございます。私は先ほど来申し上げておりますように、この合理化の問題が国民的な注目の中に行なわれているわけでありますから、国鉄当局でもそれぞれ科学的なそういう資料、科学的な調査、そういうものの上に立って私はおそらくこうした二人乗務を一人乗務ということにしておると思うのですが、この間の委員会でも何か野党側委員先生からアメリカの例を出されまして、踏切事故を含んでおるだろうということで答弁がちょっと抽象的な感じがいたしたわけであります。  時間もありませんから、そういう意味で私はやはり結論から申し上げれば、労使双方というものが十二分にいま申し上げましたように、また副総裁からだんだんとお話があったような国鉄経営現状、また将来の展望を見た場合でも、いわば非常に悲観的なんですね。そういう中にあるわけでありますから、私はいま申し上げましたように労使の協調、話し合いというものを十二分にやるべきだ。同時にまたいま申し上げましたように、科学的な調査というものにどの程度まで国鉄確信を持っておられるかということが、ちょっとこの間の委員会で疑問を感じた一人でございますが、あわせていま申し上げましたように二つの点についてどうその処置をとっておられるかということを伺いたいと思います。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 過般来組合との折衝におきまして、引き続き協議ということで妥結に至らなかったただ一つの問題は、いま先生がおっしゃった動力車乗務員の数の問題でございまして、これは今後組合と引き続き具体的に協議しようということになっておるわけでございます。これらにつきましては諸外国現状、あるいは現状に至るまでのいろいろな過程、それから現状に至ったあとの結果ということにつきましても、私どもはいろいろ外国事務所等を使いましての具体的な資料を集め、あるいは国際的に発表されております権威のある機関数字等もたよりにいたしまして、一方部内におきましては単にそういういわゆる技術的な論争だけでなしに、心理学的にあるいは労働科学的にこれを十分検討いたしまして、——そういう機関も幸い持っております。そういう機関の過去のいろいろな研究のデータを積み上げた上でこの問題を取り上げたつもりでおりますけれども、やはり率直に申しまして、二つの目よりも四つの目のほうが確かだというような非常に率直な御意見のあることも、これは確かでございます。それらに対しまして科学的あるいは物理的に絶対だいじょうぶなんだということを国民にも、また乗務員にも十分知悉させた上でこの問題を進めていきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、諸外国のこの問題の歴史もいろいろ各国によって事情が違っております。しかしすでにほとんど世界のどの国も、日本よりずっと鉄道発達のおくれている国、あるいはいろいろな保安装置のおくれている国におきましても、この問題を取り上げて実施に移しているというような段階から見まして、私どもといたしましては、少なくとも物理的に確信の上に立った今後の問題の進め方をしてまいりたいということを考える次第でございます。
  15. 木部佳昭

    木部委員 それでは次に経営全般の問題について、私しろうとでありますが、自分考えを申し上げて副総裁決意を伺いたいと思います。  先ほど来副総裁からお話がありましたように、国鉄は百年近い歴史の上に立っておる。ところが戦後、交通手段というものが完全に変わっていったわけですね。私は、定期運賃の問題なんかもそうでありますが、おそらく、明治を通ずれば第一次産業しか日本になかった、そこで定期サービスします、毎日の人にはサービスいたしましょうということが、おそらく定期理想で出発をしたのではないかというふうに思うのです。アメリカなんかの場合には、大体旅客がだめですから、貨物でどうにかペイしておる。欧州の場合でもいろんな合理化や何か国と協議して、労使間の話し合いをして、全体の営業キロ数を少なくするとかいうふうに、いろいろな施策をやっておるようでありますが、実際の問題としてなかなか理想どおりにはいっておらない。日本の場合には、先ほど副総裁からお話がございましたように、非常に先が暗いような感じだ。私は、日本の場合でも、確かに貨物が御承知のとおりの状態で、しかも運賃の場合にはいま申し上げましたように、交通手段の変革に合っていかない運賃体系じゃないか。一方また地方ローカル線を建設することは非常な地域開発が脚光を浴びることですから、これも促進しなければいかぬ。そういうことで第三次計画というものがおそらく進むんじゃないかというように私は理解いたすわけであります。もちろんいま申し上げましたように、何といっても交通手段というものが変化したというときに、これだけの大きな資産をかかえ、これだけ大きな従業員をかかえている国鉄が、よほど抜本的な対策を立てていかないと、なかなか問題があるんじゃないか。そこで先ほど申し上げましたように、米の場合には大体一億円くらい一般会計から出ているわけなんです。国鉄の場合には二兆円以上の赤字があるわけでありますが、そうした問題を解決するのは私は米以上の大きな政治問題じゃないか、こういうふうに思うわけであります。さりとて国鉄みずからの力によって副総裁の御決意のもとに合理化をし、国鉄使命を果たそうというような気持ちもわかるのでありますが、いま申し上げましたように、一方では交通機関が大きな変革を来たした。たとえば道路で申し上げますと、日本の場合には国土が狭くて山が多い国でありますから、どうしても道路と鉄道と競合するきらいがあるというふうに私は思うのです。たとえば昭和六十年までに建設省のほうは五十三兆円も金をかけて日本の有料道路や国道、府県道、こういうものを改修して、昭和六十年度にはおそらく日本の自動車の保有高は三千五百万台以上になるだろう、こういう想定をいたしておるわけであります。でありますから、これを何とかして解決するために五十三兆円も金をかけて膨大な設備投資をしよう、こういうことであります。そこで、たとえばいま取りあえず建設省が計画しております道路網を見てみますと、東京−青森間であるとか、現在建設しております東名高速道路、中央道路、下関から鹿児島というふうに、そうした五道だけの計画でもたいへんな計画があるわけです。この道路計画を見てみますと、たとえば中国縦断道路の場合には、いまは建設中の山陽新幹線とはあまり競合しませんけれども、地図の上から見てみますと、あとの場合には既設の線と大体競合するわけですね。でありますから昭和六十年というものが、またある意味では日本交通手段を変える大きな変革期だと私は思うのです。そういう意味で、一方では新幹線の場合には私は別だと思うのですけれども、既設の線が、第三次計画で電化したりディーゼル化したり、いろいろなことをしてサービスの精神に徹しようという大きな理想は理解できるのですけれども、いま申し上げましたように、たとえば、こまかい話になって恐縮でありますが、ガソリンが一リットル当たり五十円か六十円くらいだと思うのです。そういたしますと国鉄の場合は大体キロメートル当たり四円ぐらいというようなことを伺っておるわけでありますが、道路がよくなりますと、いまの国民生活から考えてみても住宅までは手が届かぬけれども、車くらいは月賦でも買える、そういうような思想が車の伸びを大きく助長している要因だと私は思うのです。そういう意味で、たとえば一キロメートル当たり国鉄は四円だ、自動車の場合は五円か六円だ。そうしますと、二人か三人で乗りますと国鉄より安くなると私は思うのです。  そこで、いま申し上げましたように、東京−青森であるとか、東名、中央道、新潟、直江津からどこか舞鶴ですかあの辺、それから下関から鹿児島、そういうような高速道路と、国鉄のいま一番利益をあげている大動脈とやがて競合する時代が、十年くらい先に来る。そうしますと、今度国鉄のほうでは十年から十五年先には退職者がうんとふえてくる。おそらくいまの倍くらいになるだろう、こう思うんですが、そういう意味で、私は国鉄経営のことはよくわかりませんけれども、いままで一番利益をあげた国鉄の公共性、独立採算制というものがやがてくずれるんじゃないか。昭和六十年には自動車の台数は三千五百万台になります。大体いま一億十六万ですから、三人に一人くらい、もっと人数は多くなる。そんな意味でこれから十年先というものが、私はいま申し上げましたように国鉄経営全体の大きな変貌期でもあるのではないか。いまの手段よりもっと変わってくるのではないか、こういうふうに思うのです。そうした長期的な視野に立っていろいろな合理化を進めたり計画をされたり、三次計画を進めていかれると思うのです。私はよくわかりませんが、たとえば現在の国鉄の財政をさらっとした気持ちで見てみても、三次計画はなかなか困難じゃないか、無理じゃないか、延長するのではないか、そういうような気もするのであります。それぞれ私見でありまして恐縮でございますが、そういうふうにもっと大きな変貌期に十年先というものはある。そういう意味で私は、国鉄というものが国民の共有財産として今日まで日本交通機関心臓部としての使命を果たしてきたわけでありますから、そういう点等もやはり、あまり競合しないようにどういうふうな総合調整をはかっていくかということも、私は国鉄の将来にわたって一番大事なことだと思う。何といってもこの交通機関の発展競争というものが日本の経済なり、日本の国土開発に非常に大きなウエートを占めておるわけでありますから、競争ということが産業の発展する大きなゆえんでもあるのではないかという気持ちも私はいたすのでありますが、そんなことで副総裁は将来の展望を、何かお考えがありましたらひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃったことは、たいへん私も心配しておるのであります。国鉄がこういうふうに経営状態が急に悪くなったのは、実はわずか五年でございます。三十八年まではとにかく非常によかった。三十九年ごろから急激に悪くなった。この悪くなり方のテンポの速さを見ましても、今後十年間にはたしてほんとうに前向きでりっぱな経営ができるかどうかは、よほど私どもも覚悟をきめなければならない、こういうふうに考えます。道路との調整につきましては、これは国鉄だけでなく、政府全体としてお考えになると思いますけれども、何と申しましても、道路は財源が非常に確定しておる、国鉄のほうは財源が不確定だというような要素もございまして、テンポが合わないということなども考えまして、私どもといたしましては第三次計画をとにかくやってしまって、それからあとは新しい二十一世紀の鉄道の基礎をつくりたい、こういうふうな長期的な考え方を持っておる次第であります。
  17. 木部佳昭

    木部委員 時間がありませんから、あと三問だけちょっと伺いたいと思います。  私は先ほどの副総裁の御決意のほど、よく理解する一人なんです。そこで運輸省でも大臣の諮問機関国鉄の再建委員会か何か知りませんが、仮称でそういうようなものもお考えになっておるようでありますが、同時にまた物価安定推進協議会も、国鉄の再建をどうするかというような意見を大いに出そう、こういう構想が発表されておるわけであります。私は国鉄内部のことはよくわかりませんけれども日本国有鉄道法をさらさらと読んでみますと、監査委員会という組織がある。国鉄と同じような性格の公共企業体として、電電公社もある。電電公社なんかの場合には、常務会の上に経営委員会というものがあるわけなんです。私は国鉄の監査委員会使命というものも、あれだけの大きな資産、それから収入、収益というものがあって膨大な営業をしておるわけでありますから、もちろん大事だと思うです。しかし大体監査委員会というものは運輸大臣が指名して、三人か五人くらいになっておるようでありますが、監査委員会は同時にまた国鉄経営全般にわたって意見を運輸大臣にも述べることができる、こういうふうになっておるようでありますが、私はやはりこの国鉄の問題というものは、いま申し上げましたように国民的資産でありますから、また明治の革新と同じ歴史を持っておるという立場に立ってみて、これはもう政治の責任で解決しなければならぬということ、私はそう思うのですが、それにしてもやはり国鉄がみずからもこの大問題をどう解決するかというようなことを、内部から考えていかなければならぬ時期じゃないかと思うのですね。ですから場合によったら監査委員会の機構を強化するなり、また経営委員会のようなものをつくるとか、外部からながめていても数字や統計だけで核心をつかむことが私はむずかしいと思うのです。米の問題にしてもそうなんです。ですから私はむしろ内部で、国鉄としても労使間が先ほど申し上げましたようによく話し合いをして、そうしてこの国家的資産というものを、こうした交通の大きな変革期に来ているときでも守り抜くというような、そういう姿勢がなければならぬと思うのです。したがって私は、監査委員会でもけっこうでありますが、監査委員会の機能を充実するか、さもなければ経営委員会のようなそういう組織をつくって、みずからもやはりこの大問題と取り組むんだ、そういう姿勢の上に立たなければいかぬ、私はこういうふうに思うのですが、副総裁の御決意のほどを伺いたい。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点、国鉄の監査委員会は、これは運輸大臣の任命でございますので、一応私どもがことばを差しはさむことではないのでありますが、部内的には、実は十年ほど前に当委員会の御決議で、国鉄部内国鉄諮問委員会というものができております。これはいわゆる学識経験者あるいは労働組合の出身者、あらゆる方面の方々を集めて常置的に、年四回ないし五回会議を開きまして、現在は赤字線の問題の検討をしていただいております。そういった部内機関といたしましては、総裁諮問機関として諮問委員会というものがございます。そのほかに部内だけの機関といたしましては業務刷新委員会と申しまして、私どものほうの将来展望に立った業務刷新をやっております。その他いろいろ機関をつくりまして、将来のことを考えつつ現状の改革をやっている次第でございます。
  19. 木部佳昭

    木部委員 あと二問だけ一緒に伺います。  先ほど来運賃の値上げの問題で学生定期の問題が、社会でもいろいろな見方をしておるようでありますが、私はやはり国鉄経営の真相というものを国民があまり理解していないんじゃないかという気持ちもいたします。一般の人は、えらい国鉄はもうかっているんだ、あんな新幹線をつくったり何かして、もうかっているんだという印象が私は強いのじゃないかと思うのです。そこで、運賃その他の問題もいろいろ議論がありましたが、学生が日曜日に家へ帰るとか、またレクリェーションに行くとか、国体へ行くとか、その他また佐世保へ行くというようなことで、もっぱら定期の割引をしていると同時に、いま申し上げましたようなそういう百キロ以上の目的地に向かう場合には、無制限にサービスしておるようでございます。伺うところによりますと、一年間に七百六十万人ぐらい学生割引の恩恵にあずかっている、こういうことのようであります。何か国鉄のほうでは割引券を一括して、去年あたり千六百万枚も刷って文部省に渡して、そこで文部省から各大学やその他へいくと思うのですが、もちろん学生は親の負担もありますし、中にはアルバイトをして学校へ行くような学生もいると思いますけれども、大体親のすねかじりが多い。私はそれはけっこうだと思いますし、またこれからも続けていただかなければならぬことだ、こういうように思うのですが、とにかく佐世保へ行った人たちはみな私は学割で行ったと思うのです。ほんとうにまじめに勉強したり、親元へ帰ったりする場合には私はいいと思うのですけれども、ああいう場合に目的が初めからはっきりしているわけですから、そういうものに向かって一体——目的がはっきりしておる場合に、国鉄として従来と同じように無制限に割引を認めるか。たとえば、この間の定期の特例法で生活保護者や何かの場合二十一億といわれておるわけです。ところが、この学割だけで二十二億あるといわれる。私は、数字の問題は、二十二億ですからたいしたことはありませんけれども、とにかく現下の社会情勢、こういうものを考えたときに、一体目的がはっきりしているものもそのまま学割でいいのかどうか。無賃乗車等の問題もありますけれども、そういう問題について副総裁のお考えはいかがなものかと思うのです。これは特に、同じ汽車の中で赤旗を立てて行くわけですから、秩序は保っておられると思うのですけれども、無賃乗車なんかがあっても検札に行ったらおっかないわけですから、そういう点、十分やっているかどうか。  もう一つ最後でありますけれども、私は、先ほど来私自身も日本国民の一人として国鉄経営の将来というものを非常に心配しているわけなんです。そこでやはり結論をいろいろ、しろうとしろうとながら考えてみますと、安全、サービスということが何といっても一番大きな使命である。道路ができて自動車にお客さんをとられましても、サービスがいいということになれば、私は必ず乗ると思う。それは新幹線が一つの例だと思うのですね。この間も通勤の新幹線の計画を新聞で拝見したわけでありますが、そういう思い切った安全とサービスということにより一そう徹していただくことが、この変革期に来た国鉄を守り抜くゆえんでもあるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  いま申し上げました学生割引の問題と、最後に御決意のほどを承っておきたいと思います。
  20. 磯崎叡

    磯崎説明員 学生割引につきましては、これは戦前からございましたけれども、主として遠距離から来ております学生の帰省のためにできたのが事の起こりでございます。その後学校の研究等に使っておりますけれども、実際私どもから一括して文部省に割引証を渡しますので、文部省のほうでもって学校別の枚数あるいは一人当たりの枚数等をきめております。一々その目的を私どもがただすということは、いたずらに出札窓口におきます混乱を生ずるだけでございますので、やはりこれは文部当局のほうで学生に渡す際のいろいろなチェックをしていただく以外に、国鉄として、目的によって制限するということは非常に困難だと思います。しかし、文部省でもいろいろ考えておられるようでございますが、むしろやはりこれは文部行政の問題ではないかというふうに考えます。  それから、通勤新幹線につきましては、一応構想はいろいろ持っております。現在建設省でもいろいろニュータウンの建設等を考えておられるようでありますので、今度は家ができてからあとで足をつくるということでなしに、十分足のことも考えた上で家をつくるというたてまえで、この通勤新幹線問題は、いわゆるニュータウンの建設という問題と総合的にぜひ政府として取り上げていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 大野市郎

    大野委員長 井上泉君。
  22. 井上泉

    ○井上(泉)委員 時間が非常に少ないので、質問もできるだけ簡潔にお尋ねをするわけですから、答弁者もごまかさない答弁で簡潔にお願いしたいと思います。  それから、委員も、質問者の耳へ入らない程度にささやきをしていただくように委員長から注意をしていただきたいと思います。何か質問するのにうしろでがやがや言われると質問しにくいので、そのことを委員長ひとつ注意しておいていただきたいと思います。
  23. 大野市郎

    大野委員長 承知いたしました。
  24. 井上泉

    ○井上(泉)委員 注意しておいてください。
  25. 大野市郎

    大野委員長 委員長 承知いたしましたから……。
  26. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、まず鉄道弘済会の問題についてお尋ねいたしますが、手元にいただいた昭和四十一年度の決算書では、商品の売り上げ高が八百五十四億、商品収入が百九十一億、つまり約二割程度の利益をあげておるのでありますが、二割程度の利益をあげ、そうして営業費、保険費、税金その他を差し引きまして十二億五千万円という金額が弘済会の利益、こういうふうになっておるのでありますが、この金額に間違いないでしょうか。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十一年度の決算で公にした点で、間違いございません。
  28. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この十二億五千五百万円の残金というのは、どういう形で翌年度の会計の中に繰り入れられるのか。それともこれはこれで留保されるのか。どういうような手続ですか。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 十二億五千万円のうち、この収支決算書によりますれば、公益勘定すなわち福祉事業のほうの赤が八億一千万円出ております。それに充てまして、残りの実際の純益、資本繰り入れが四億主千万円になります。その四億三千万円を、一部基本資金に繰り入れ、一部は社会福祉積立金に繰り入れる、こういう形をとっておるわけでございます。
  30. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで総係費二十五億九千四百万円という、こういう金額は、これは国鉄への納付金か何かそういうふうな金額ですか。この収支勘定で、国鉄へはどれくらい払っておるというのは、どの項目に出ておるのですか。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは収益勘定の営業費の中に入っておるのでございます。
  32. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうすると、国鉄への納付金がこの営業費の中に幾ら入っておりますか。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 約十三億でございます。
  34. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、この商品の売り上げが八百五十四億で、これの売り上げ利益というのが百九十一億というと、約二割の利益をあげておるわけですが、それに比例して営業費というものが百六十六億、こういう営業費というものになると、これはかなりある。営業収入のバランスから見て、営業費というものは非常に高いと思うのです。高いと思うのですけれども、これを検討する時間がないので、その点は省略いたしまするが、次の機会にいたすわけでありますが、大体弘済会の販売物品の代金、価格については、これは国鉄当局としてはどういうふうな指導をなされておるのか、この機会に承りたいと思います。
  35. 磯崎叡

    磯崎説明員 弘済会で売ります物品の価格等につきましては、ことに衛生上の問題がございますが、その点は非常に厳格に注意しております。さらに価格につきましても、たとえばごく卑近な例でございますけれども、牛乳の価格を申しますれば、同じ東京都内で売っております牛乳も、弘済会の売店で売っておりますのは十七円という価格を維持さしておりまして、これを上げることを認めないというふうに、一品一品、規格品でない、いわゆるキャラメルとかあるいはガムとか、市販のもので定価のあるもの以外につきましては、厳格に私のほうで販売価格を調べて統制しております。
  36. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、この十七円の牛乳に比較して、二十円のお茶は高いと思わないですか。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点はいろいろ御議論もあると思います。実はお茶につきましては、非常に昔から問題のある問題でございまして、数年前に十五円から二十円に上げた。これは原価よりも非常に人件費、ことに非常にこぼれやすいものでございますので、わりあいに売れる個数が少ないというようなことから原価計算いたしまして、大体——こまかい原価計算はなかなか困難でございますけれども、主としてこの二十円の中に人件費が六五%くらい入っておるというふうに認めておるわけでございます。しかし今後、このお茶の問題は日本人の生活必需品でございますので、いま新しい車には全部車内で冷たい水が飲めるように設備してございますが、できるだけそういう方面に考え方を変えまして、あのいつこぼれるかわからないものを持ってホームの上を走るという原始的なやり方は、なるべく少なくしていきたいというふうな考え方をとっております。
  38. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そのお茶だけを取り上げて、それを独立採算でやれば、それは人件費が六五%になるかもしれないが、買う側にとってみると、これはお茶の二十円と牛乳の十七円を比較した場合に、こんなべらぼうな高い値段はありはしない。これは、副総裁なんかとても二十円のお茶を買うということはないと思うのですけれども国鉄に乗るあるいは連絡船に乗る国民というものは、この二十円のお茶というものがどれだけ旅情をなぐさめるささやかないこいになっておるかわからないわけです。これは昔は陶器類にお茶を入れておった。だから持ち帰って子供のおもちゃがわりのみやげにもなっておった。いまは原価が一円もかからないプラスチックの容器に一合足らずのお茶を入れて、それで二十円で販売するというのは、そういうふうな人件費が六五%、二十円の中にかかっておるから、だから二十円は決して高くないという解釈のしかたというのは、いま木部委員も言われておった国鉄国民との結びつき、信頼の度合い、こういうものから考えて、これはそういう考え方国鉄の運営をされてはいかぬと私は思うのですが、これは考える余地はないですか。
  39. 磯崎叡

    磯崎説明員 お茶につきましては、おもにいわゆる駅弁の販売業者の売っておる面が相当ございます。もちろんこれらにつきましても、お茶だけの原価計算は非常にむずかしゅうございますけれども、何と申しましても、非常にこぼれやすくてわりあいに売れ数が少ないというようなことで二十円を認めたわけでございますけれども、今後もう少し原価を詳しく検討いたしまして、お説のとおり、容器も昔の陶器と違って現在プラスチックの簡単なものにしておりますので、もし下げる余地があれば極力下げるように努力いたしたいと思っております。
  40. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは下げる余地があればというが、原価計算でやったら下げる余地はないですよ。やはりこれは業者に対する指導によって下げさせなければいけない。たとえば国鉄の連絡船の中で販売しておるお茶にいたしましても、容器は何もこわれやせぬです、そこに買いに行かなければ売ってくれぬから。前のようにいまお茶は売りにとない。まあ、くる場合もあるけれども。そういう場合にせめて連絡船の中でのお茶のサービス、あるいは汽車の中でのお茶のサービス、そういうふうなものは、これは私は別に弘済会の利益があるから弘済会の利益でやれというわけではないですけれども、やはり国鉄国民との結びつきの一環という中で、ささやかなものではあるけれどもこれを配慮するということは、私は国民にとっても大きなサービスだと思うのですが、それを単に価格を下げるということではなしに、せめて連絡船の中だとかあるいは長距離の汽車の中だとかというものにお茶を配置するとかというようなことは、私は検討すべきではないかと思うのです。サービスとして価格を下げる面と、湯茶はサービスするのだ、こういうふうな姿勢を国鉄はとるべきでないかと思うのですが、その点についての副総裁の御意見を伺いたい。
  41. 磯崎叡

    磯崎説明員 価格の問題につきましては、先ほど申しましたとおり、もし下げる余地があればこれは下げさせなければいけないというふうに考えております。  それからサービスにつきましては、最近の車では冷たい水はできるだけサービスして、無料で飲んでいただくような設備をつくっております。これは御承知のとおりでございます。また、船の中にも冷たいほうはわりあいにできるのでございますけれども、なかなか熱いというサービスができませんで、ことにお茶になりますと出がらしになるとかいろいろ問題がございますので、まあ冷たいアイスウォーターのサービスということでもってできるだけかえていきたいというふうに考えております。ただ船につきましては、一般の民間の船もずいぶんお茶を無料でサービスしておるところもあるようでございます。もしそういうことが考えられれば考える必要があると思います。十分検討してまいりたいと思います。
  42. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、弘済会の人的な構成等についてもいろいろと御質問したいと思っておりますが、最近天下り人事の排撃論があまりやかましいので、こういう関係の仕事国鉄の関係者が就職をするとかいうようなことを非常にちゅうちょされる面が多々あると思うのですけれども、私はやはり国鉄仕事に長年従事した——えらい常務理事さんとかあるいは局長さんとかいうような者が、また同じずっと高い給料でそこへ横すべりするということはどうかと思うのですけれども、やはり国鉄の労働者を長年つとめて、そうして定年で退職されるとかというような場合には、それぞれの機関にこれの就職をあっせんするだけの気持ちがあってしかるべきだと私は思うのですが、その点についての副総裁の御意見を聞きたい。
  43. 磯崎叡

    磯崎説明員 昔と違いまして、定年でやめましてもなかなかそのまま食っていけない現状でございますので、多数の現業職員あるいはその他の職員につきましても、できるだけ再就職のあっせんをするのは、これは私どもやはり当事者として当然なことだと思っております。その意味で、鉄道弘済会にも毎年約五百人ぐらいの人間をとるようにいたしておりますが、なるべくたくさんの現場で働いた人を入れるようにというふうに考えております。
  44. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうふうな弘済会ですから、しかも財団法人の弘済会ですから、かなりの商品売り上げ利益というものを出しておるのですから、いわば独占企業ですね。その独占企業による利益というものは、やはりそれを支払った側に還元をするような形で弘済会の運営にも留意をしてもらいたいと思うわけですが、その点についての副総裁の御見解を承って、弘済会に対する質問は終わりたいと思います。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 弘済会は財団法人でございますし、もちろん公共目的のものでございますので、利益配分を全然目的といたしておりませんので、いま先生のおっしゃいましたように、収益事業で上がりました金は福祉事業以外には、できるだけいまの退職職員の救済等の面に充ててまいりたい、こういうふうに思います。
  46. 井上泉

    ○井上(泉)委員 次に、本土−四国の架橋の問題が非常にやかましく大きく問題として取り上げられておるわけですが、最近そういう架橋の問題をめぐって、各地でいろいろな自民党のおえら方が談話を発表せられておるのを承知するわけです。たとえば川島副総裁が、関西の第二国際空港は淡路設置が有望だというような談話をする。その川島副総裁に同行した篠原という鉄道建設公団の副総裁が、空港ができるということは、すなわち橋をかけることだ、橋をかけるということは、これは併用橋だ、こういうことを明石−鳴門のルートについて、もう明石−鳴門ルートは併用橋でやるんだといわんばかりの発言をしておるのでありますが、国鉄のほうとしてはそういうふうな方向に固まっておるのかどうか承りたい。
  47. 増川遼三

    ○増川政府委員 本四連絡橋につきましては道路専用の橋をかけるか、あるいは専用でなくて鉄道との併用橋をかけるか、いろいろ問題があります。両者に分かれて調査をしたわけでございます。その結果、鉄道関係といたしましては、いわゆるAルート、淡路ライン、もう一つ備讃ルート、Bルートをやっておりますが、こういったものにつきましていろいろ論議がされておるわけでございますけれども、それぞれ仮定に基づく論議でございます。政府といたしましては、現在なおいろいろの問題点を究明いたしました上で結論を出したいと考えております。いろいろな場合にいろいろなことが言われますことにつきましては、まだわれわれとして責任を持って申し上げる段階ではないということでございます。
  48. 井上泉

    ○井上(泉)委員 自民党の副総裁、これは政府の人じゃないから、何ぼ実力者であろうと、言うのはそれはかってですけれども、やはり建設公団の副総裁がそういうようなことを言うと、明石−鳴門は併用橋にきまったんだ——これは高知県としては大歓迎だから、何も文句を言うわけじゃないですけれども、そういうふうな言い方というものは当を得た言い方であるのか。私は、これが事実ならいいのですよ。事実ならいいのだけれども、これは局長、慎重になにしておるが、こういうことは事実ではないわけですか。かってな放言ですか。
  49. 増川遼三

    ○増川政府委員 飛行場ができるとすればかけざるを得ないだろうという前提に基づいた意見だろうと考えております。その前提が実現するかどうかということにつきましては、保証されたものではございません。
  50. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それと同じようなことが、たとえば四国循環鉄道の問題、これはまた次に質問いたすわけですが、四国循環鉄道の中での阿佐線という、後免からずっと室戸回りの線ですが、その阿佐線は室戸回りにするのか、海岸回りにするのか、山を通るのかということで地元ではたいへん問題になっておるのですが、それを公団の杉大阪支社長の談話によると、もう海岸回りできまったようなことが言われておるのでありますけれども、この阿佐線は海岸回りということにきまったものであるのかどうか、この場所で承りたい。
  51. 増川遼三

    ○増川政府委員 予定表に載りました当初におきましては、山回りあるいは海岸回りということはきまっていなかったのでございますけれども、公団発足後昭和三十九年の四月に、公団に指示しました基本計画におきまして、このルートを安芸市、室戸市経由と決定いたしましたので、現在におきましては、阿佐線は室戸市経由の海岸ルートを通ることになっておるのであります。ただ、このルートの具体的な経由地点につきましては、現在公団で調査検討中でございますので、その結果を待ちまして具体化されるものと考えます。
  52. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはこう言っておるのです。「田野−牟岐間は非常に遅れていたが、公団本社との打ち合わせを終了し、通過地点も承認された。」と言っておるのですが、どういうふうに通るか、きまっているんじゃないですか。それを言ってください。
  53. 増川遼三

    ○増川政府委員 公団のほうで調査しておりますおもなる経由地は大体きまっておりますけれども、まだ具体的な地番までの問題は未定でございまして、報告を受けておりません。
  54. 井上泉

    ○井上(泉)委員 地番はわかるが、地点がきまっておるから、どの地点を通るかという地点がきまったと言っておるが、これはきまってないのか。ないのを杉支社長はかってに言ったのか。これは地元の陳情に言う場合と、国会の委員会答弁するのと食い違った答弁、しかもまた国会の答弁が後退をしたような答弁をせられると、議員として面目ないですよ。もっとはっきり答えてください。
  55. 増川遼三

    ○増川政府委員 まだ詳細の地点というものはきまっておりません。
  56. 井上泉

    ○井上(泉)委員 詳細な地点がきまっていないのに、何で公団の杉大阪支社長は話したのか。こういうことは一つの放言ですか。
  57. 増川遼三

    ○増川政府委員 まだ調査段階でございますので、支社としての考え方調査の方針上の問題でそういった地点が示されたかと存じます。
  58. 井上泉

    ○井上(泉)委員 かと存ずるという程度ですか。
  59. 増川遼三

    ○増川政府委員 まだ具体的にきまっておらないはずでございますから、支社長のほうでの考え方という点だと存じます。
  60. 井上泉

    ○井上(泉)委員 「通過地点も承認された。今後は国鉄との協議段階にはいり、運輸大臣の認可を待つばかりだ。」こういうことを言っておるのです。そうすると、われわれはまだそれがきまらないからと思って、何とか早くきめなくてはならない、早くしなければならないと思って一生懸命やっておるわけです。このとおり、支社長の言われるとおりであれば何も文句はないわけですけれども、国会の中での答弁というものは、もっと事実に即した答弁をしていただかないと、この支社長の話あるいはまた地元の者が陳情に行ったときにはもうきまり切ったようなことが言われておるので、私は高知の地元の者として、この阿佐線が早くでき上がることを期待をするもので、何も支社長がこういうことを言ったからえらい不都合だとは言わない。このとおりきまっておるかということを確認しておるのでありますから、それをあなたのほうでこのとおり私が確認をして差しつかえないものかどうか、そのことを明確に御答弁願いたいと思います。これはまだきまっていないから、そういうことを確認されては困るというならそれでけっこうです。
  61. 増川遼三

    ○増川政府委員 支社長の腹案だと考えます。と申しますのは、その腹案に基づきまして国鉄当局と具体的な連絡調整をとりました上で、当局のほうへ申請をしてまいるわけでございます。
  62. 井上泉

    ○井上(泉)委員 時間がないので、私は次の機会に循環鉄道問題等については質問いたしたいと思いますけれども、こういうふうな地元で非常に関心の強い問題等については、これだけ確定的な談話を発表されておるのですから、これをあなたのほうで何か支社長にも責任を負わさない、自分責任を負わないというような官僚的な考え方答弁をなさらないように、そしてまた官僚的な考え方でものごとを運ばないようにお願いをしておきたいと思います。国鉄関係についての質問は以上で終わります。  次に、海上交通法が予算委員会の分科会での私の質問の際にも、運輸大臣はこの国会に提案をする、こう言われておったのですが、提案しますか。
  63. 金子岩三

    ○金子政府委員 提案のつもりで作業を進めております。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 提案のつもりで作業を進めておるというが、どういう法案の内容になるか説明していただきたいと思います。
  65. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 海上交通の量的……
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは理屈はわかっておるから……。文章にないのですか、法案の要綱か何か、そういうのはないのですか。
  67. 大野市郎

    大野委員長 答弁は簡明に願います。
  68. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 現在私どもが要綱を全部煮詰めるところの段階に至っておりませんが、おもなる点は、港内、狭水道等における船舶の航行規制、それから港内、船舶のふくそうする地点における航行障害となる工作物の規制、港内における危険物積載船舶の停泊、係留、荷役等についての規制、そういうことを内容といたしております。
  69. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう内容に対して水産関係の漁民が大反対をしておることは、あなたは承知しておるのですか。
  70. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 承知いたしております。
  71. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その漁民が反対をしておる点について、この海上交通法はどういう解明を与えようとしておるのか、承りたいと思います。
  72. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 現在その点は未調整でございまして、水産庁と鋭意調整につとめておる段階でございます。
  73. 井上泉

    ○井上(泉)委員 水産庁おいでになっておると思うのですが、この海上衝突予防法では、まず最初には、二十六条で、漁労しておる船については他の船舶が避航しなくてはならないということに規定をしてある。ところが第三十条の第二項の「政令で特例を定めることができる。」という条項を利用して、これを悪用して、特定水域航行令というもので、今度は漁民の、漁労に従事しておる漁船が避航しなくてはならない、こういう義務を課したわけです。これは全く政令ですから——法案はわれわれの前で審議をされる、ところが、審議をされてその中にこれこれということを政令で定めることができるという抜け道があるということ、それを拡大解釈をしてしまって、政令で特定水域航行令をつくって漁民を締め出しておるわけです。  こういう点について水産庁は、これは漁業を守っていくという立場からどうお考えになっておるのか。そうしてまた、いま水産庁との間で調整中というのはどういう点が調整中であるのか、御答弁を願いたいと思います。
  74. 岩本道夫

    ○岩本説明員 水産庁からお答え申し上げます。  まず第一点の特定水域航行令の問題でございますが、現行の特定水域航行令の第四条は、先生指摘のとおり、海上衝突予防法第三十条第二項の規定に基づく政令でございますので、水産庁としましては、法律上は異論を唱えておりません。しかしながら、その運用の実態を見ますると、この海上衝突予防法第二十六条の規定は国際的にも認められております原則でございますし、この原則に反する特例を設けることの必要性や妥当性につきましては慎重に検討をさるべき問題でありまして、いわゆる掃海水域等の問題を含みます現在の特定水域航行令の運用につきましては、問題があるというふうに考えております。  それから第二点の海上交通法案の内容につきましては、海上保安庁と現在いろいろ調整中でございますが、調整の最大の問題点は、避航義務の問題と漁労の制限、禁止に伴う補償問題でございます。
  75. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その避航義務と漁労制限に対する補償については、立案の関係者である海上保安庁ではどう考えておりますか。
  76. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 二十六条のただし書きに、「この規定は、漁ろうに従事している船舶が航路筋において他の船舶の航行を妨げることができることとするものではない。」という規定がございます。航路筋とは何であるかということが一つの問題でございますので、こういう問題を海上交通法においてはある程度明確にさしていくというふうに考えております。なおまた、船舶の交通量が相当増大してまいっておりますので、すべての船についての避航を漁労船に課するということについては問題がある。これを一定以上の操縦が狭い水域において困難な船に限定すべきではないかというふうに考えております。  第二点の制限、禁止による補償の問題は、制限をし、禁止をするということは、漁民の従来の生業に重大な影響を与える問題でございますので、十分に納得のいく処置を講じた上でいたしたい、かように考えております。
  77. 井上泉

    ○井上(泉)委員 納得のいく措置を講ずるということは、そういう補償の関係等についても、あるいは進航義務についてあるいは避航の航路の幅とかそういうようなものが、水産庁との間あるいは漁民との間に話し合いがつかないと法案を出すことにはならないと、こう解釈していいですか。
  78. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいまの補償の問題は当然立法事項、法律で規定すべき事項でございますので、仰せのとおり水産庁との調整がつかなければ法律案になかなかできないわけでございます。それについては水産庁と話を進めております。  また、航路幅その他については、これは一々の場所についてこまかく法律で規定するよりも政令に譲るべきであると私ども考えておりまして、政令の段階でこれは閣議決定する問題でございますので、水産庁の同意を得る。なお、その以前の手続といたしまして、海上安全審議会にこれらの点を十分おはかりして、立案段階においても漁業関係者の意見を反映させるというふうにいたしたいと考えております。
  79. 井上泉

    ○井上(泉)委員 政令でいろいろなものをきめられるような余地を残しますと、漁民が大きな反対を——漁民はこういう海上衝突予防法があって、そして自分ら漁労に従事しておる船は保護されておるつもりであったところが、これは政令をつくって、特定水域航行令で今度はその保護からはずされてしまった。それで水産庁のほうとしても、漁民のそういう状態に対して非常に苦慮されておる、こういうことをなにしておるのですから、私は今度の海上交通法をつくる場合においても、政令できめる余地というものをそれほどつくっちゃならないと思うのです。いまある特定水域航行令にいたしましても、いろいろ水域を指定しておる。備讃瀬戸とか来島海峡とかあるいは釣島水道というものを一、二、三とあげて、そして四号では「前各号に掲げるものを除く外、運輸大臣が告示で指定する掃海が完了した瀬戸内海の狭い水道の水域」とこういうふうになって、もう運輸大臣がこれを指定すれば自由にできるような、そういうことになっておるのですから、政令で指定し、政令で規制をする余地というものは、立法過程においてできるだけ少なくしなくてはならない。そのことをせずに、はやまだ法案も出してこない前に政令でいろいろなものをきめるということをやられますと、これはたいへんなことになる。これは政務次官、どう思いますか。
  80. 金子岩三

    ○金子政府委員 井上先生の御意見まことに適切でございまして、同感でございます。十分ひとつ御意見に沿うような方向で検討をいたし、慎重にこの法案は取り扱いたいと考えます。
  81. 井上泉

    ○井上(泉)委員 時間がないので、私は協力をするわけですが、そうすると保安庁のほうでは、漁船がふえたから瀬戸内海が非常に航行に支障を来たしたというわけで海上交通法が必要になったというふうには考えてはいないでしょう。漁船以外の船がふえたからこの海上交通法が必要になったと考えておるでしょう。どうですか。
  82. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 漁船以外の通航船舶の増加と、通航船舶の内容が大きな変化をしておるということでございます。
  83. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうすると、そういうふえた船舶あるいはその船舶の内容等が海上交通に危険をもたらす大きな要因になっているから、これらを規制するということが海上交通法の立法の趣旨であって、あくまでそこで漁労に従事しておる漁船を保護するという立場で海上交通法をつくらぬで、あなた、それは法律をつくる立法の考え方が全く間違っちゃおらぬですか。
  84. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 先ほど申し上げましたように、本法の主たるねらいは、航行船舶に対する安全を保つための規制が主眼でございます。
  85. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それがためには、漁民の、いわゆる漁労に従事しておる船舶に対してはいささかも被害を与えないという、つまり漁民が納得する、そしてまた漁民の行政的な監督官庁である水産庁が納得をする法案でない限りにおいては、海上交通法の今国会における提出ということはあり得ない、こう考えておっていいですか。
  86. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 本法においては、漁業関係以外の問題に多くの条文を考えておりますので、漁業関係の調節のみが本法の主眼ではございませんが、御趣旨のとおりに、漁船に対して不当に利益を侵害する——われわれは海上交通におきましては、まず第一に、漁船も含めた海上に働く人たちの安全、事故によって起こるべき漁業その他に与える災害を未然に防止するという主眼で考えておる次第でございます。
  87. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは漁民に対する補償、あるいは漁民が納得のいく形において海上交通法というものが立案をされないと、漁民としてもたまったものではない。自分たちが働いておったところに、あとからどんどんどんどん船が入ってくる。だからおまえはあっちに寄っておけ、こういうふうなことを、すでに特定水域航行令で、はや一部そういう漁民の権益というものを奪っておる。その上にまた今度奪うようなそういう立法は、私はなすべきでない。それでこれは、政府が法案を提案をするわけですけれども、いまの段階で、あなたは、自民党が多数だからいつの段階で法案を出してきても通ると思ったらたいへんな間違いだ。やはりこういう国民の生活に、漁民の生活に密接な関係を持つ法案は、これは法案を作成する事前の段階においても、ひとつ十分その内容というものはこういう内容で、それでこの点は政令でやるんだとかいうようなことまで示した上で立法というものをやってもらわないと、これはわれわれ議員というものが、あなたたちの頭の中でつくられたものをただそのまま審議するような形で、しかも最後は自民党の多数でこれを通すとかいうようなやり方をされては、これは国民もたまったものではない。ですからいま考えておられる海上交通法案の要綱というものを、資料として私ども委員にも配付をし、その要綱に基づいて、どういうような作業が進められておるのか、これは部会等でも検討いたしたいと思うので、委員長において、そういう要綱等を定めておるならば、一応法案のまだ前の要綱案、そういうものをひとつ御提出願いたいと思うのですが、どうですか。
  88. 大野市郎

    大野委員長 井上委員に申し上げますが、まだそういうものがあるかどうかも問題が残りますので、資料として提出するかどうか、後ほどの理事会で善処さしていただきたいと思います。
  89. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうふうな状態の中で、いま法案を出すつもりだというようなことを言わずに、まあこの法案は、もっとなんだから、この国会ではどうも出しがたいというくらいのことになりゃせぬですか。  私は、時間がないのでこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に、いまの質疑の過程でも明らかになったとおり、漁民というものは、漁船というものは、そこに最初からおった特権ですから、その特権が侵害されることについては十分その代償、あるいはまたその特権が侵害されないような措置で、この船舶安全の行政をやってもらわなければならないと思うのです。その点について、政府を代表して次官の御見解を承って私は終わりたいと思います。
  90. 金子岩三

    ○金子政府委員 御心配の点、御意見はよくわかりますので、この法案の取り扱いは慎重にいたしたいと思います。
  91. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  92. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が限られておりますから項目的に申し上げて、内容はできるだけ省略いたしたいと存じます。国鉄当局にいたしましても運輸当局にいたしましても、それぞれ専門家でございますから、一を言えば十を悟っていただけるであろうと思いますから、そのつもりで御答弁をお願い申し上げたいと思います。  最初に国鉄のほうからお伺いをいたします。伺いたいと思いますのは、東京には汐留貨物駅、ターミナルがある。大阪には御承知のように梅田貨物駅がございます。ここでこれらの駅の輸送の一切の荷物をさばいておられると思いますが、梅田は大阪における貨物のターミナル、汐留は東京におけるターミナル、こう解釈してよかろうと思うのであります。  そこでお伺いをいたしたいと思いますのは、東京の汐留と大阪の梅田における取り扱いの量というのは、一日の総トン数というのは幾らくらいのものでしょうか。
  93. 今村義夫

    ○今村説明員 ちょっとトン数ははっきり覚えておりませんが、大体一日に汐留では三百車くらい扱って、梅田はやはりその程度のものは扱っておるのじゃないかと思って思います。
  94. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは、そこで働いておられる人たちというのは、何人くらいなものでしょうか。これは国鉄職員が何人くらい、あるいは国鉄以外の輸送関係のトラック会社がいろいろ入っているだろうと思うのですが、それらの人たちがどれくらいおられるものでしょうか。おわかりでしょうか。
  95. 今村義夫

    ○今村説明員 詳しい数字は覚えておりませんが、大体両駅とも国鉄職員は五、六百人でやっておると思います。それから国鉄職員のほかに、もちろん通運業者が相当入っておりますけれども、それらの的確な数字は、私現在資料を持っておりませんので、もしあれでしたら運輸省の自動車局のほうからお答え願いたいと思います。
  96. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 この五、六百人の職員というのは、正規の職員ばかりでありますか。それともあるいは臨時雇いといいますか、そういう者も使用されておるのでしょうか。
  97. 今村義夫

    ○今村説明員 国鉄職員に関する限りは職員ばかりでございまして、臨時の職員は入っておりません。
  98. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは次にお尋ねいたしたいと思いますのは、梅田の貨物駅の場合は一号門から十号門まで門がある、こう伺っておるのですが、それにざっと二千人の従業員がおる、こう私の調べではわかっておるのです。そのうちの構内作業員、これがいまおっしゃるいわゆる鉄道職員に相当するのであろうと想像いたしております。それから事務員、作業員、運転手等を合わせまして大体一千人、合計二千人の人が働いておる、こういうふうに私が調べたところではなっておるのですが、これが東京汐留の場合は日曜日お休みになっておるようであります。ところが大阪の梅田貨物駅の場合は、日曜日の出勤が非常に多いようであります。七〇%は日曜祭日も出勤さしておるようであります。これが、作業員が七〇%、それから事務員、運転手が三〇%の出勤をさしておる、こう思うのですが、生鮮食料品等の関係もありまして、必ずしも一様に全員休むということは困難な場合もあろうかと思いますけれども、最近の貨物のいろいろな進歩等から、冷凍車等もあり、いろいろいたしておりますのに、東京は休んで大阪は休まずに半分以上、七割の出勤ということ、これはどういうわけで相違があるのでしょうか。
  99. 今村義夫

    ○今村説明員 いまのお尋ねは、国鉄の作業は日曜といえどもやっております。それは汐留も梅田も日曜もやはりやるわけでございますけれども、ただ荷主の御要望によりまして、日曜は倉庫が開かないとかいうようなことでの繁閑の差は確かにあると思います。ただ先生のお尋ねは、私ども国鉄職員がそういうことであるということでなくて、むしろ通運業者がそういうふうに汐留と梅田とでは若干の差違があるということではないか、かように思いますけれども、その実態についてはむしろ運輸省の自動車局のほうにお尋ねいただくべき問題ではないかというふうに考えます。
  100. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 先ほど梅田の場合大体三百車とおっしゃったのでしょうか。私の調べでは六百五十六両、こういう調査を私はいたしておりますが、日曜祭日の日になって大体七〇%の貨物が入ってくる。コンテナの数が平均をいたしてみて三百五十個ぐらい取り扱いをされておる、実は私のほうで調べた結果がさようになっておるのですが、そのうち日曜祭日にコンテナの入ってくるのが大体三〇%ぐらい、こういうふうになっておるということです。こういう関係から考えまして、やはり最近の勤務理想というのは、日曜祭日はお休みにする、こういうのが普通の状態であって、輸送業というのは必ずしもそうばかりきちっときまったようにはいかないとは思いますけれども貨物のごときものは、何かそういうような近代的な体制に持っていくというようなお考えはございませんか。
  101. 今村義夫

    ○今村説明員 御承知のように鉄道輸送はストックがききませんので、失なわれた輸送力はもう永久に挽回できないわけなんで、私どもといたしましては、ほんとうならば日曜も平日どおり作業をしていただいて輸送力を活用していただくということが望ましいわけでございますけれども、戦後はそうばかりもいきませんで、大体日曜日お休みになるところが、これは通運業者だけでなくて、荷主さん方もお休みになるというようなことで、自然に日曜日は平日と比べて作業量が低下しておるという現状でございますけれども、まあ私ども、いま輸送力の足りない時期でございますので、全面的に日曜日を休みにするという方針でまいることは、ちょっといまいたしかねる。むしろ逆に日曜日もある程度荷主さんなり通運業者の方に御協力願って、輸送力を活用していただきたいというふうにむしろお願いしたいという気持ちのほうが強うございます。
  102. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 汐留にいたしましても、あるいは梅田にいたしましても、生鮮食料品等の貨車その他は中央市場に直送する路線になっておるだろうと思うのですが、それはどういうことになっておりますか。
  103. 今村義夫

    ○今村説明員 東京の場合でございますと、汐留については東京市場というのは別の線がありますので、そこまで直通で持っていっております。そして東京市場で取りおろしをやる。これは梅田の場合も梅田の市場まで直通で持っていくということでやっております。
  104. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そういうことでしたらあえて日曜にそう大ぜいの人を出勤させなくても事は済む、こう考えられるのです。先ほど、戦後の勤務状態というものは近代的な体制に持っていかなければならない、こういう事情もわからぬわけではないということをおっしゃっておりますから、できるだけさようなことに、日曜祭日は休ませて、常日ごろ十二分な仕事のできるように御配慮をいただくことを希望いたしておきます。  次に伺いたいと思いますのは、梅田の貨物駅を使用している運送会社というのは幾つあるのでしょう。
  105. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  梅田で現在取り扱いをやっておりますいわゆる通運業者でございますが、日通の大阪支店とそれから扇興運輸という会社と、三黄通運、大阪合同通運、この四社がほとんど全部引き受けております。その中で、特に日通大阪支店が六割を占めております。あと、ほかにこまかい中小業者もございますけれども、これは混載関係をやっておりまして、いまの四社の取り扱いの中に入ってしまうということであります。したがいまして、この四社が大部分を占めておるわけであります。
  106. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そうすると、日通が全貨物の六〇%の取り扱いをしておる、こういうわけですか。
  107. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 さようでございます。
  108. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 そういたしますと、あとの三社というものは四〇%しかさしてもらえないということになってしまうのでありますが、これは車の台数やいろいろな関係等から、そういうことにもなっておるのであろうと思うのですが、それで採算がとれて企業が成り立っていく、こういうことに相なっておるんでしょうか、どうでしょうか。
  109. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 これは梅田駅だけの例でございますけれども、ほかの三社はやはり相当大きな業者でございます。したがいまして、梅田駅だけではなしに、ほかの駅もやっておりますので、全般を総合してやっておりますので、引き合わないということはないと存じます。
  110. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 私が伺っておるところによりますと、日通は御承知のごとく国鉄関係からの天下り人事等々があって、いろいろな荷物の有利なもの、量も御承知のとおり全貨物量の六〇%、輸送についてもいいもののみをより好みをしてやっておる。ほかのものは、悪いことばで申し上げますと、かすばかりをつかまされる、こういうかっこうにあるかのごとく伺っておるのですが、これはとんでもない話だと私は思うのであります。どこまでもこれは公平に行なわなければならぬと思うのですが、しかし先ほどの質問の中にもございましたように、国鉄高級幹部の方々が日通その他の会社に天下り人事というのですか横すべりというのですか、定年後それらの要職につかれることは今日まで数多い話でございますが、そういう関係等でかようなえこひいきをすることが行なわれているということになりますと、はなはだもって不都合きわまることだと思うのですが、これらの監督、責任というものはどこが一体やっておるのですか。
  111. 磯崎叡

    磯崎説明員 汐留にいたしましても梅田にいたしましても、どこの通運業者が扱うかということは、これは荷主のほうの選択でございます。したがって国鉄といたしましては、運輸大臣の認可のある通運業者でありますれば、どの業者が来ましてもこれは拒むことは一切ございません。むしろ私どもといたしましては、現時点では、たとえば日通なら日通が荷主から集めた荷物をどうやって鉄道に載せてもらうかという、日通の集荷したものを何とか鉄道に載せてもらいたいというのがこちらの実情でございまして、こちらが日通にこれだけやれというふうな力は全くいま国鉄にはございません。国鉄といたしましては、通運業者は全く荷主が選んでおりまして、荷主の選択によって日通が多い場合、これは当然駅の扱いは日通がふえる、あるいは荷主が新免業者を使えば、これは新免業者がふえるということでございます。国鉄側が、日通が幾らどこが幾らというふうに割り当てることは、これは絶対にございません。むしろ日通が集めた荷物をどうやって国鉄に載せてもらうかということを、こちらが頼まざるを得ないような状況でございます。
  112. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 いま言われることはわからぬわけじゃないですけれども、現実に国鉄側のほうからそれぞれの役職員が日通のほうにおいでになりますと、必然それはそういう結果にならざるを得ないことは、これは理の当然であろうと私は思うのであります。したがいまして、さようなことのないように国鉄当局では今後監督を厳にし、作業というものを公平に行なわしめるようにやっていただきたいということを希望申し上げて、国鉄関係の質問はこれで終わりたいと思います。  次にお伺いをいたしたいと思いますのは、自動車局長お見えでございますか——局長にちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、局長は過般の局長就任にあたりまして就任のあいさつの際に、現在の自動車の認可制を許可制にやっていったらどうかという談話の中の話を新聞記事を通じて私は知ったのであります。貨物といわずタクシーといわず、自動車免許をめぐりましていろいろの贈賄、収賄等のうわさのあることも私は知っておる。かような関係からしてこういうことを言われたのであろうかどうか、実は半信半疑で新聞を拝見いたしたのですが、営業の許可というのと認可というのとどういうふうに違うのでしょうか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  113. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、私自動車局長に就任いたしましたときに、そういうことをはっきり申したわけではございません。その点ちょっと誤解のないようにお願いしたいと思うのでございますけれども、そのときの説明は、要するに自動車全般が最近は数が多くなりました。モータリゼーションということで非常に数が多くなった。これは貨物の面でも旅客の面でも、非常に多くなった。ところが現在の道路運送法という法律は、車が少なかったころにつくった法律でございます。したがって、そういう新しい経済実態なり社会実態というものに合わない点があるのではないかということを申したのであります。それをこの際経済実態に合う、あるいは社会実態に合うように直す必要があるのではないか。その場合にやはり現在の許可制、認可制というものが一体このままでいいのだろうかどうだろうか。たとえばタクシーとかあるいはトラックとか、そういうものの免許制というものがいいのかどうか。そういう点を白紙に返して検討してみる必要があるのじゃないかということを申したのでありまして、免許制なり認可制を廃止すべきだと言ったのではございません。その点誤解を受けたと思います。けれども、真意はそういうところであります御了承いただきます。
  114. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 検討してみる必要があるのじゃなかろうかとお考えになることは、これは運輸当局で現在行なわれている制度の欠陥なんかをお考えになっておるのであろうと思うのであります。その欠陥とは何であるか。たとえば大阪におけるLPガス汚職事件その他、いろいろ最近問題が起きているのであります。局長転任にあたってのせんべつ問題、あるいは認可制に対するいろいろな疑惑等々があって、こういうことを除去し、正しい行政を行なうために何らかの処置を考えたらどうか、こういうことに解するのですが、それとももっと深い根拠があって、考えなければならぬ、こうお考えになっておるのでしょうか。
  115. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 たとえばいま先生お話しの先般もLPタクシー汚職ということがございましたけれども、そういった問題を防ぐために現在の許可制なりあるいは道路運送法を変えるということは、直接結びつかないのでございます。それでむしろ私先ほど申し上げましたように、現在の道路運送法のシステムは新しい経済実態一なりに合っていないじゃないか。合っていなければ、それを直すべきじゃないか。特に非常にこまかい手続の許可なり、認可の事項が多いのではないか。そういうものは必要がないようなものならば、それは切り捨ててもいいのではないだろうかということで検討しようということでございます。したがいまして、非常に汚職が出るとかいうのは、間接的に許認可なりそういう権限に関係がございまして、その結果汚職が出るとかいうようなこともあり得ると存じますけれども、私が申しましたのはそういう意味でなしに、現在の法規が古いのではないか。それからまた、そのために地方陸運局なり何なり非常に手間をとって、むしろ肝心のたとえば都市の交通はどうあるべきかとか、あるいは貨物の動きがどうあるべきかとか、そういうふうな問題をやっているひまがない。あるいは安全行政にもっと力を入れるべきをやれないということでは困るのではないかということで、そういう意味で整理をすべきではないかという趣旨であります。
  116. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 はっきりわからないのですが、整理すべきではないかということと、認可と許可ということばの相違点はどういうところでしょうか、もう一度……。
  117. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま申しましたのは、認可、たとえばタクシーならタクシー業の認可とかあるいはトラックの認可、そういう意味の認可あるいは免許、それもございますし、それ以外にいろいろございます。バスの路線を変える場合に認可が要るとか、いろいろございます。種類が一ぱいございます。その中で一番重いのはやはり、事業ができるという免許でございますね。その免許がなくては事業ができないわけでございますので、これは一番重いものだと思います。それから軽いものは、たとえばバスの停留所を変えるというのは軽いほうの認可ではないかと思いますけれども、全般を通じて私申し上げたのでございまして、そのときにいま一番重いところの営業免許というものをどうするこうする、それを特にそういうものを廃止すべきだと言った覚えは一つもないのでございまして、そういう点まで一ぺん検討してみた結果、廃止すべきものは廃止すべきではないだろうかということなんでございます。そういう趣旨でございます。
  118. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それじゃまた角度を変えて伺っていきたいと思いますが、いま許可とか認可とかそういう細目的な問題の検討も、これは必要でございましょう。それよりもいまバス事業は、民営にいたしましても公営にいたしましても、それぞれの企業赤字で悩んでいる。こういうことでそれぞれ値上げ申請が行なわれてまいっておることは、御承知であると思うのです。去年じゅうに運輸省に申請している数でも、相当数にのぼっておるやに伺っております。私はこういう際に、国民の足である輸送業というのは、これは荷物に限らず人に限らずきわめて国民生活にとって重大な問題でございますから、むしろ許可とか認可とかいう前に、赤字で行き悩むなら同じ道路を何社もバスが通るというようなことを整理し合理化する、あるいは企業合併を行なう、もって企業が健全に成り立つ方針を考えられることが、運輸当局として当然必要欠くべからざる今日の事態ではなかろうか、かように考えておるのですが、企業の健全な発達のために一体いかようなお考えを持っておられるか、その点について伺いたいと思うのであります。
  119. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生の仰せのとおりだと思います。やはり企業が健全に発達するように政策の重点を置くべきだと思います。したがいまして、そういった意味であまり価値のないような認可事項などは整理したほうがいいんじゃないか、すべきではないかという検討をしておるわけでございます。なお、企業の健全な発展につきまては、やはりこれは事業別によって違いますけれども、総じて言いますとトラックでもバスでも、大体中小企業が多うございます。したがいまして、やはり中小企業なりの企業基盤の強化、特に近代化合理化ということを進めていくべきではないか。小さいから別に悪いという意味ではないのでありまして、小さいのは小さいなりのいいところもあるのでございますから、そういった意味で要するに能率的な、しかも利用荷主なり利用客なりが満足いくようなサービスが十分に提供できるような、そういった経営が、しかも企業基盤をしっかりさしてできるような輸送事業というものを育成するように、特に指導すべきではないかと存じております。
  120. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 バス事業等についてはいま仰せのとおり、もっと行政措置の面で企業を生かす道がある、私はこう考えておるのであります。したがいまして、それらの点については今後一そうひとつ御検討をいただき、企業の健全な経営のために特段の御配慮をお願いいたしたいと思うのであります。  次にタクシーの問題についてちょっと伺いたいと思うんですが、個人営業は非常にいいといううわさもあったり、世評もいいようでありますが、しかしなかなか個人営業は許されない。大阪と東京、大都市だけはちょいちょい許しておられるようでありますが、もういなかのほうへ参りますと全然許されていない。むしろいなかのほうが私は個人営業が必要ではないかという感じも持っておるのですが、このタクシーの営業認可について、一体どうお考えになっているのでしょうか。
  121. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまのは個人タクシーのことだと存じます。まず最初の、いなかのほうでは認められないということでございますけれども、これは大体大きい都市では認めておりますけれども地方へ行きますと、個人タクシーというのはやはり流しでございまして、流しで採算が合えばよろしゅうございますけれども、流していて客がないんだと採算が合わないのではないか。そうしますと車庫に始終おるということになりますと、流しじゃなくてハイヤーになってしまうわけでございますね。ですからそういった実情によりまして、流しても採算がとれるというような実態がその地方その地方に出てくれば、これは個人タクシー、流しタクシーをやるように申請があれば免許するという方針でおるのであります。したがいまして、個人タクシーの流しをやる地域をいま指定しておりますので、ある地方がそういう実態になってくればその地域を指定いたしまして、申請があればやっていきたいというふうに考えております。  それから個人タクシー全般の問題につきましてですけれども、やはり個人タクシーをやる方はいままで運転手の経験がございまして、年も来た、自分でひとつ独立してやりたいという方々が多いと存じます。したがいましてそういう方々のため、また法人タクシーに対しまして、個人タクシーもいい長所も持っておりますので、新風を吹き込むというような趣旨から、できるだけ個人タクシーの免許はふやしていきたいというふうに思っております。ただしどんどんむやみにふやしますと、やはり質の悪いのが出てくるのでは困りますので、一定の基準を置きまして優秀な個人タクシーがたくさん出てくるようにということで選んでおります。先生承知かと思いますけれども、ただいま個人タクシー免許で非常におくれておりますところは、東京なんでございます。現在東京ではオリンピックのときに非常に多くの個人タクシーの希望者がございまして、約三千件でございますけれども、それの処理をやっと最近完了するところでございます。ほかの地方は多いところは大阪等ございますけれども、大体長くて一年半、あるいは一年に一ぺんぐらい必ず聴聞をやりまして免許申請のための審査をやっております。したがって、それほど御迷惑をかけてないと思います。いずれにいたしましてもそういうような方針で、いい運転手のいい個人タクシーをもっとふやしていきたいという方針でおります。
  122. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が来たようですから、最後にもう二問だけお伺いをいたしておきたいと思うのであります。  一つは、自動車の台数と道路の整備とがマッチしていない、こう思うのであります。自動車の許可にしても認可にいたしましても、一体道路管理者たる市町村長等に諮問したり、あるいは意見を聞いたりして許可認可の経路をとっておられるのですか。普通自動車は自動車だけの考え方で許可認可をされて、道路はおかまいなしでやっておられるのかどうか、その辺がわれわれに理解できないところがあると思うのであります。  もう一問は、現在自動車の台数は一体幾らになるか。貨物自動車、一般トラックあるいはダンプカー、こういう区別で幾らぐらいずつあるか。あるいは乗用車について、営業用と自家用が何台ずつあるか。合計して一体、日本の自動車台数というものが幾らあるか。そうして、自動車というものと道路整備計画というものとがちぐはぐになって一つもマッチしていない。これをどうしてマッチせしめるような方針がとられないのか、それをとろうとされておるのか、またどこでどういう措置をしておられるのか、その辺のことを伺いたいと思います。
  123. 大野市郎

    大野委員長 答弁は簡潔に願います。
  124. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 御答弁申し上げます。  営業車の認可等につきまして道路管理者の意見を聞いているのかどうかという御質問に対しましては、バスとかトラックとかの場合には、特に路線トラックでございますが、その場合には道路管理者並びに公安委員会意見を聴しまして、それで認可いたしております。  それから車の数でございますけれども、これは四十二年の十二月末現在の登録数でございますけれども、全部で登録自動車の数が七百三十六万台ございます。それから登録自動車でないもの、たとえば軽四輪車でございますとか、あるいは小型の二輪車もございますが、そういうものをいわゆる軽自動車と呼んでおりますけれども、軽自動車が全部で約三百八十四万台でございます。したがいまして、登録しております。百三十六万台と合わせますると合計が一千百二十七万台ということに相なっております。その中で自家用車が一千七十万台でございまして、残りの五十七万台が営業車でございます。したがいまして、まあ六%ぐらいが営業車でございまして、九十四%くらいは自家用車でございます。それからダンプカーにつきましては大体十五、六万台というふうに推定をしております。  それから道路整備との関連でございますが、これは私の省だけではもちろんできませんので、これは主として建設省の関係になると存じます。建設省のほうでも道路整備につきましては将来の自動車の数の伸びというものを織り込みまして、幹線道路なり国道なりの計画はつくっております。私どもだけではこれはお答えできませんので、まことに申しわけない次第でございますが……。
  125. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、やはり自動車の認可、許可等については建設省関係と連絡をとって、道路整備とにらみ合わせてものを考えていくということが、交通事故とかいろんな関係から考えまして、きわめて重要であろうと考えられるのであります。その点について今後一そう検討をお願いいたしまして、質問を終わります。
  126. 福井勇

    ○福井委員 関連して。  タクシーの駅構内の乗り入れについて、関連して質問をちょっと申し上げておきます。それは、新幹線などがとまっておるところの二十万、三十万、四十万程度の駅構内のタクシー、いま新免のことがありましたが、そうではなくて、従来の既存業者のタクシーが、かりに二十万とすれば、二十万の場合には五社ないし六社のタクシー業者があると思います。これは荒づかみのなんですが、その構内への乗り入れの許可について、既存業者の古いのが独占しておってどうしても新しいものが入れないというような実情が現在ある。きわめて不公平だと思いまするから、これは局長もここでいま調べてすぐ答弁してもらうというのも無理な話ですから、これはよく調べて、公平に乗り入れが全部できるようにぜひしてもらうように希望して、関連質問を終わります。答弁要りません。
  127. 大野市郎

    大野委員長 沖本泰幸君。
  128. 沖本泰幸

    ○沖本委員 初めに委員長にお願いいたしますが、私が最終でございますから、時間の点少しオーバーするかわかりませんが、よろしくお願い申し上げます。  私の質問は、初めにタクシー、またトラックの免許について、それからそのあと外貿埠頭公団とコンテナの輸送について、若干御質問したいと思います。  去年の臨時国会で、この委員会でわが党の松本議員から、法務委員会で私が当時の原山自動車局長に、いままで個人タクシーの認可がどの程度残っているのかという点で、東京から大阪、名古屋に関して、残っているのが多いじゃないか、こういう点で非常に運輸省に不信を持っておる、早急に解決するように、こういう御質問をしたところが、現在ある四千件の中で東京に関しては三千件は四十二年度内で解決します、こういう御答弁があったわけなんですが、もう年度末になったわけですけれども、あとどれぐらい残って——おっしゃったとおり年度内にこれは片づくのでしょうか、どうでしょうか。
  129. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  東京、大阪、名古屋が数が多うございますけれども、特に東京につきまして先に申し上げますと、この前、原山前局長が申されました約三千件というのは、東京陸運局におきまして、居残り作業を連日やりまして非常に処理を急ぎました結果、この二月九日現在で三千件のうち約二千二百件を処理いたしました。したがいまして、現在八百件近く残っております。これにつきましては、すでに聴聞も済みまして、当初本省から指示いたしましたとおり、今月の三十日に処分をするということでございます。したがいまして、この三千件につきましては、東京に関する限り、年度末までにきれいに処理できるということでございまして、昨日も私東京陸運局長と会いまして、確認しておきました。  それから大阪でございますけれども、大阪は、大阪市と、ほかに京都、神戸とございますけれども、これは昨年の四月から一年の間の申請が八百件ございますけれども、この八百件につきまして、この二月二十一日に公示を行ないまして、それで四月からこれら事案の聴聞を行なって処分をしていくということを、昨日大阪の陸運局長から電話で確認いたしました。  それから、名古屋につきましては、前回の処分が、昨年の十二月でございますが、昨年末に行ないました。したがいまして、時期の関係もございますので、現在百十五件ございますけれども、これはその後の申請もひっくるめまして、四十三年内に処理するという方針でおるということを聞いております。  以上でございます。
  130. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この個人タクシーの免許に関しまして、もう少し運輸省のほうで方針をはっきりさしていただけたらいいんじゃないか、こういうふうに思うわけです。もともとこの個人タクシーの問題は、運転手さんの老後の生活を安定させるということが起源になっておるわけですから、こういう関係でそういうものに見合って、先ほど局長さんがおっしゃったとおりに、優秀な運転手をここから得ていく、こういうことになってもいきますし、現在の大手業者のほうの日雇い運転手なんかの問題がこの辺にもからんできておるわけです。この点、もう少しどんどん推進していただいてやっていただく、こういう点に関して、まだ大手業者あるいは現在の法人格の業者とのいろんな問題があるわけですから、そういう点もいろいろしんしゃくしていただかなければならないでしょうけれども外国の事例からこれを考えていきますと、大体六割程度が個人タクシーであり、四割が大体法人格のタクシー業者である、こういうのが外国の事例なんです。日本の道路交通あるいは国民感情とか経済の状況から、こういうものと一律にはいかないと思いますけれども。また運転手の資格にしましても、素質にしても、イギリスあたりではタクシーの運転手に現金を預けてそれをちゃんと届けてもらえる、そういうような信用まで運転手についておる、こういうふうに非常に高度化された個人タクシーという内容があるわけです。こういう点をお考えになった局長さんの先ほどの御答弁ではないかと思うのですけれども、既存しておる法人格の業者がおりますけれども、今後これに対して個人営業のタクシーをどういうふうに進めていくか、今後のいろいろな方針についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  131. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 個人タクシーと法人タクシーにつきましては、それぞれの長短があると思います。特に個人タクシーにつきましては、安全の問題とか、あるいは自分の車の点検整備とか、それから無理な労働をしないとかいう面から、サービスもよくなるのではないか。したがって、一般の評判はいいのではないかと存じます。また、そのかわり個人タクシーは真夜中はあまり動いておりません。これはもちろんからだが疲れますので休むわけでございまして、その場合には法人タクシーのほうは交代制でもって真夜中も車を動かしている。お互いに長短があると存じます。そこで私どもといたしましては、従来の方針もそうでございますけれども、両者のいいところは伸ばしていきたい、両方とも存在の意義があるのじゃないかと思います。  特に個人タクシーにつきましては、先生指摘のとおり、運転手もいい年齢に達した場合に自分で事業をしたいという夢を実現させる必要もありますし、サービスの面でも、法人タクシーはたとえば乗車拒否とかいうようなサービスを無視したことも多うございますので、そういうものに対する一つの予防にもなるのじゃないか。もちろん個人タクシーの中にも乗車拒否をした例はありますけれども、非常に数は少ないということであります。したがいまして、多少処理がおくれますけれども、やはりいい意味の個人タクシーが出てもらうように厳選はいたしますが、決してこれは認めないということではございませんので、個人タクシー業者を免許していきたいということの方針は変わっておりませんし、そういう方向でまた進んでいきたいと思っております。
  132. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間がないので先へ進みたいのですが、ちょっといまの話に関連するわけで、いまの乗車拒否の一番ひどいのはこの前なんですよ。現実に目の前でわれわれが乗車拒否をやられているのです。そういう点よく見ていただいて、乗車拒否をするような会社をマークして、そういうところに新しい車の免許を与えないとか、会社自体にそういう方向づけをしていたほうがいいんじゃないか、そういうふうなことを私は考えるわけです。ここからみんな銀座とかあっちのほうへ真夜中の客をとりにいくわけです。ここはおそくなると、全然タクシーを拾えない。国会自体がそういう事態におちいっているわけです。これは局長さんの責任だと思うのです。
  133. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 まことに申しわけないことと存じます。これにつきましては実は私が局長に就任しましてから、特に東京が多うございますので、東陸に対しまして一応口頭で指示を与えました。その結果、これは証拠がないとあとで法廷に持ち込まれました場合に不利になります。たとえば乗車拒否にあった人が証人に立つとか、そういう証拠がないと困りますので、実はこの三月二十三日、つい最近でございますけれども東京都内で証拠のはっきりわかった者だけはつかまえまして処分いたしました。詳しく申し上げますと……。
  134. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御方針だけでけっこうですから……。
  135. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 非常に強い処分でございまして、四両の二十日間使用停止処分の会社が十三社、個人タクシーは四社ございました。文書警告が十九社で、個人タクシー四社、こういうふうにやっております。これは随時そういう場所をきめましてやっていくよう指導をいたしたいと思っております。
  136. 沖本泰幸

    ○沖本委員 次に免許に関しまして、申請する側は地方陸運事務所に申請書を出し、そこを経由して陸運局のほうで審査をして運輸省が認可を与える——認可のほうは陸運局ですか、そういうふうになっておるわけですけれども、ちょっと二重行政じゃないかと思うのです。地方陸運事務所で何でもできるはずなんです。ただ書類を集めて、調べてきてもらったものだけそこでチェックするだけのことですから、そういうことであればむしろ地方陸運事務所のほうへ権限を譲ってしまったほうが、陸運局の仕事一つ減ってくるわけなんです。こういう点、新しいお考えはないかと考えるわけですけれども、そういう陸運事務所に対する不正とかなんとかが起きる場合がありますから、そういう点をがっちりと運輸省のほうの陸運局で指導監督をしていただく、こういうふうになったほうが私は理想的じゃないかと考えるわけです。この点いかがですか。
  137. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 おっしゃるとおり、陸運事務所で受け付けまして陸運局が免許をいたします。したがいまして、場合によったら二重行政ということもあるかもしれません。実はいま行政のやり方につきまして私どものほうで検討しております。特にそういう点につきまして二重行政の点があれば改正したいということでいま検討しておりますので、いましばらくお待ち願いたいと思います。
  138. 沖本泰幸

    ○沖本委員 今度はトラックの免許に関してですが、既存の営業者の権利も守ってあげなければならない、こういう点もあるわけで、なかなか認可の点がむずかしい、こういうことでトラック営業をしたい、特に小型、中型のほうなんですが、こういう人たちがメジロ押しにおるけれども、さっぱり認可が間に合わない。ところがさて認可の申請になると、営業実績を資格の中に入れられるわけです。実績がなければ許可をしない、こういうことがちゃんと中にあるわけです。ところが新しく免許を受ける人は、実績があるのがおかしいのです。実績がなかったら審査の資格の中に入らないわけです。そうすると、営業実績に対する証拠書類とかなんとかということになると、どこかのところに入ってやみトラック、いわゆる白トラをやらなければならない。これが現実なんです。そういうことが現場ではわかっているはずなんです。わかっているけれども旧態依然としてこういうふうな認可のしかたをやっておるというところに、私は矛盾を感じるのです。制限して許可しないのでしょう。許可しない者に対して、今度許可にあたっては営業実績を出せと言うのですから、言っているほうに矛盾があるわけなんですね。その点局長さんはどうお考えですか。
  139. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 そういう御指摘の点があるかと存じますので、この点は実態を調べまして、そういうおかしなことのないように直していきたいと思います。
  140. 沖本泰幸

    ○沖本委員 こう言ってはほかの局長さんに差しさわりがあってはいけないのですけれども、新しくほかからお越しになったのだから、新しいことをどんどん耳に入れておけばよくくんでいただけるのではないか、こういうことで、これはどこでも公然の事実なんです。みんなやいやいとおこっているわけです。この点よくお調べになっていただいて、こういう矛盾した免許のしかたをするということは是正していただきたいわけです。きちっとしたガレージも持ち、資格を持ち、経験を持つ者に対して——数のほうで制限しなければならない場合もあるでしょうから、そういう点もいろいろ勘案していただいて、道理に合った免許のしかたに改善していただきたい、こういうふうに考えるわけです。自動車に関するそのほかのことは、また論議することにいたします。  次に、外貿埠頭公団についてお伺いしたいと思うのです。それとコンテナ輸送なんですが、だいぶ話が長くなりますから、まず外貿埠頭公団について、問題点だけを引っぱり出してちょっとお伺いしたいと思うのです。  いわゆる民間のほうから、受益者のほうから四〇%持ってもらう、こういうことになっておるわけですね。それで今年度は何とか応じましょうというわけなんですけれども、来年以降に対してはちょっと渋っておる、約束しかねる、こういうふうなのが船会社あるいは受益者のほうの言い分でもある。これはみなそれぞれのところに聞いているわけです。こういうふうになってくると、ここの資金面で受益者のほうが出し渋って行き詰まってくるということになると、埠頭のバースの建設とかそういうものが勢いおくれるのじゃないか、こういう点と、それから使用者の注文を聞いて付帯施設等を設計するという話を聞いているわけなんですが、これはどうかという点、それから使用者をいつごろおきめになるのか、その点と、いわゆるこういう資金の借り入れ方と関連性があるのかということが心配の種になるわけですが、りっぱにおつくりになったのですけれども、えてしてこういうのはつくるのは急いでおつくりになるのですが、あとのほうがよく抜けておる場合が多いわけですね。そういう点に関しましてこういうふうな矛盾点が出てきて、実際のコンテナ埠頭が建設されるのがおくれていくんじゃないか、こう考えるわけですが、その点についてお答え願いたいと思います。
  141. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  埠頭公団をつくる際の建設費の民間の受益者負担金みたいなもの、民間から金を借りる、つまり船会社等から金を借りる問題につきまして、来年はむずかしいんじゃないかというようなお話でございます。御承知のように、ことしは事業費が五十億でございましたので、二十億だけ船社の負担でございました。船社のほうもなかなか出しにくいというようなお話でしたが、船社等ということになっておりますので、そのうちの八億は全共連という、これは港湾の受益者でございますが、これに出していただいておる。船社側は十二億出しておる。そして事業のほうが、実は公団の設立が人選その他で多少おくれておりまして、やっと、たしか現場の仕事は三月の初めからやっておると思いますが、来年度は一応いま百億事業費を予定いたしております。したがいまして、受益者から四十億の金を借りることになるわけでございます。これにつきましては、まだ公団のほうで一応船社側とこれから御相談しようというところでございます。私ども船社並びに港湾運送事業者のほうに広く話をして、なるべくそのような四十億の線が確保できるように努力するように公団に申してございます。  第二の点は、その使用者の注文とどういうふうな関係にあるのか、つまりバースをつくって、上物のほうは使用者の注文に応じてつくるんじゃないか、こういうようなお話でございました。もちろんこのバースのほうは規格と申しますか、水深が十メートルあるいはまた延長はワン・バース二百五十メートル、そういうことで各港に合った岸壁の構造、最も経済的な構造につくるわけでございますが、いわゆるその基礎工事と申しますか、基礎工事ができましてから、うしろのフレートステーション、そういった上屋をどこへ建てるとか、どの程度の舗装をするとか、こういうことはある程度使用者がきまらないと実はできない問題もあるわけであります。したがいまして、私どもは目下基礎工事のほうを一そういった港湾の基本施設でございますが、そっちのほうを急いでおりまして、こういうフレートステーションとか、あるいはどういう種類の荷役機械を使うかという点は、少し先でもいいのではないかということで目下検討はいたしております。しかし、これはやはり先ほど来お話しのように、使用者をきめた段階ではどういう形になるということはきめなければならぬと思っております。大体いまのところ、おのおの両公団ともツー・バースを四十四年度から使えるようにというふうに考えておりますが、スタートが少しおくれましたので、多少おくれるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  142. 沖本泰幸

    ○沖本委員 えてしてこういう仕事はお役所仕事になりやすいのでして、私は大阪におりました関係から——現在もおりますけれども、そういう関係で、第一、大阪港の内港整備なんかにつきましても、計画面は十分できたわけですが、それについて雑貨埠頭であるとか鉄鋼埠頭であるとか、それぞれの荷役設備とか、あるいはコンベヤーであるとかということをきっちり分けて、新しい企画のもとにやったわけですが、さてそのでき上がる段階になって、これからいろいろな話を聞いてからやっていく、あるいはその使用面について、契約書に何も十分きまっていなかったとか、あるいは陸地のほうにどういうものを置くのかという点ができていなかったとか、そういうふうな欠点が、ただ一つの大阪港の内港整備だけでも相当問題点が出ておりました。そういう点を一緒にするということはおかしいですけれども、そういう観点から考えてみましても、初めの構想は立ったけれども、いろいろ諸般の事情でだんだんおくれていく、こういうふうなことになりがちになるのです。ところが、問題点は、この外貿埠頭公団、もちろんその定期、不定期の輸入品とかいろいろなものの上屋とか、そういうものも付帯したことになるわけですけれども、コンテナ、こういうふうなものもあわせて考えていきますと、これはもう時期的にだんだん迫ってくるわけです。そういう時期的に迫ってくるものとタイミングを十分合わしてその計画を立てていきませんと、ちぐはぐになっていく。こういう面がすでにこういうところで出てきているのじゃないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、もう少し全体観に立ってすべてのものを共同で進めていく。いわゆる内陸輸送に関しても、あるいは外国の船が入ってくる時期に関しても、あるいは日本の船ができ上がっていくに関しても、そういうものの進行状況ですね、こういうものと埠頭の建設時期と、それから使用者の関係あるいは運送業者の問題だとか、いろいろな問題が一緒になって片づけられなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのです。そこにちぐはぐのものが出てくると、せっかく新しい構想のもとに、新しい感覚で一大改革をもたらそうとして始めたものが変わってくる、こういうようなことになるのじゃないか、こういう危惧があるのですが、その点どうでしょう。
  143. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 ただいまの御心配につきましては、工事自体を考えてみましても、海の中の港湾工事でございますから、先生もよく御存じのように、大阪港の過去の港湾の事業というものは計画どおりできたのかどうかというような御疑念もあろうかと思います。これは私ども人間の力ではできない面もございます。予想以上に地質が軟弱であったとか、あるいは工事中に失敗したとか、こういう面はございます。しかしながら、私ども、いま先生お話のように、実は公団の幹部を毎月一回ずつ東京に呼びまして、そういう点のいろいろな問題の打ち合わせをいたしておりまして、先生の御疑念のないように努力いたしております。  なおまた、御存じかと思いますけれども、現在コンテナ埠頭は東京と神戸の摩耶で臨時的に使っております。したがいまして、これはまあ本格的な公団埠頭ができるまでということでございますが、少々おくれても、いま私どもそういう港湾の基本施設の建設に邁進いたしておりますが、臨時的な埠頭はございますので、その点は少しぐらいおくれてもまあ安全と申しますか、心配はないんじゃないか。しかしながら、先生がおっしゃるように、利用者の側と船をつくるタイミング、そういったことは慎重に検討して、おっしゃる線で努力したいと思います。
  144. 沖本泰幸

    ○沖本委員 外貿埠頭に関してですけれども港湾全般に関してもこれに対する公共事業の補助率という点は、昨年もいろいろ御答弁なさっていらっしゃいましたけれども、旧特定港であった横浜と神戸とに対する補助率は大体十割から七割をやっていく、そのほかの港に対しては五割くらいである、あるいは今度は六割もらっておる、こういうような点の不均衡があるわけです。これは地方債の問題なんかとからんで、自治省とよく相談してこの点は改善しなければならないという局長さんの御答弁があったと思うのですけれども、この点はどうなっているのでしょうか。
  145. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 大阪と神戸というふうに焦点をしぼって御説明したほうがわかりやすいと思いますが、大阪は戦前はほとんど国費が入っておりません。室戸台風の復興計画のときに国費が入ったのですけれども、大体二、三千万円くらいしか入っておりません。ほとんど民間と市、府で大阪の港というものはつくり上げたわけでございます。神戸のほうは、国の必要性から当初全額国庫で税関施設としてつくった、そういういきさつがございます。したがいまして、港湾というものは過去のいきさつ、伝統と申しますか、そういうのがございます。したがいまして、なかなか一挙には変えられぬわけでございますが、しかし、戦後になりまして港湾法ができましてから、大体そういう線に沿って私ども努力してまいっております。  大阪港につきましては、昔は一割五分というような臨港交通施設の補助もございました。それが三割になり五割になり、先年は暫定的にではございますけれども、六割になっております。また神戸のほうは、高率補助のほうは七割五分ということになっておりますけれども、これは御承知のように公団埠頭ということになりましたので、この点はほとんど神戸のほうはなくなりまして、いわゆる総合的な補助率を考えてみますと、大阪で、つまり埋め立てや荷役機械といった総合的な港湾事業というものを考え——これは私どもの大蔵省に要求しました五カ年計画でございますが、今度また少し改定しないといかぬのですけれども、一応一兆二千億の案によりますと、大阪港の国庫支出の割合というものが神戸港の国庫支出の割合と大体同じくらいにいまなっております。四一%くらいということになっておりまして、総均衡論ということからいけばまあまあいいんじゃなかろうかと思います。しかし、具体的にいろいろ問題がございますれば、補助率という問題はまた大蔵省とも御相談いたしますし、今後地方においてもそういった問題が出てくれば検討してみたいと考えております。
  146. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまの御答弁について込み入って申し上げると、大阪のほうはいわゆるコンテナ埠頭に至る航路のしゅんせつ工事で補助事業が十割ほどもらわないと、非常に軟弱だという点と、航路のしゅんせつが予想より非常に多いという点から必要だというようなことを言っておりましたけれども、これはまたいろいろ御検討していただきたいと思うのです。  この前の外貿埠頭公団の法案を通すときにあたっても、私のほうの松本議員が質問してお答えになっておられたのですが、中京工業地帯を控えた名古屋港というものは、非常に進んできておるわけです。港自体も伊勢湾台風からこっち。そういう点と、神戸、横浜、名古屋、こういうふうに三つ結んだ線というものに、北米航路では最も重点を置かなければならない。また、この辺から出てくる陶磁器はもうほとんど北米向けであるというようなことを考えると、ここの果たす使命というものは神戸、大阪、横浜と比べてひとつも劣ったところはないわけなのです。土地の意向とかいう点も考慮しなければならないという御答弁もあったわけですけれども、この際、名古屋も外貿埠頭公団をつくるべきである、こういう考えを私持っておるわけですけれども局長さんのほうではいかがでしょうか。
  147. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、コンテナ輸送というものが導入されましたのが、実際にやりましたのが昨年の十月ころでございますか、実はまだ緒についておりません。実績を調べてみますと、日本から積み出すのは全体の一二、三%、向こうから入ってくるのは二五%くらいというようなことで、これもウイークリー・サービスと申しておりましたけれども、大体二週間に一回入ってきております。したがいまして、神戸、横浜でも今後は非常に伸びるだろうと思います。そういうことで、私、神戸、横浜、東京、大阪、そういったところがまずやはり先になるべきじゃないかということは万人認めるところだと思いますが、名古屋につきましてはこれがどうなるのか、陶磁器の関係でどうしても必要だいう議論もございます。したがいまして、私どもやはり岸壁をつくりまして——外貿埠頭をつくりましてから船が来ないというのでは非常に困る、あるいはまた採算割れしたのでは困るわけでございます。いま一応、金城埠頭という埠頭が名古屋にございます。そこで、公共事業でやっておりましたのを一応セミコンテナ・バースとして、試みにひとつどのくらいセミコンテナで来るかどうか、それを一応やって、その結果を見まして、コンテナ化がどんどん促進されて公団の採算ベースに乗る、それでコンテナ船を就航させるに十分であるというような確信が得られましたならば、そのような方向でいきたい、かように考えております。
  148. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間も迫りましたので一問一答ができませんので、これから、せっかくお呼びして来ていただいたわけですから、関係の方それぞれに御質問しておきますから、それに対してお答えしていただいて、そのお答えをいただいてから、またこの次にそういう問題を検討してみたい、こういうふうに考えるのです。海のほうのコンテナの問題もあるのですが、これはまた長くなりますので、内陸の問題にしまして、先ほどの御質問にありましたけれども、まず国鉄から……。  外貿埠頭公団から当然引き込み線になって線を引かなければならない、こういう事態になっておるわけですけれども、そういう点はどうも渋っていらっしゃるんじゃないだろうか。また品川とかああいう方面のことを考えてみると、いわゆる本牧のほうの線の引き方についても問題があるんじゃないだろうか、こういう点と、それから、いわゆるドア・ツー・ドアという考え方からいきますと、直接荷主さんのところから受け取るほうへじかに入ることがこの目的を達する一番の根本問題なんですけれども、この問題が、結局途中で積み直ししなければならない、これは日本考えられる一番の問題なのですけれども、そうなってくると、包装とか荷役とかいろいろなところに問題点が出てくる。こうなってくると、所期の目的が半減も三分の一にも減ってしまう、こういう隘路がある。あるいは今度はいわゆる港は全部太平洋岸にきちっとそろって、こういうところで工業都市は発展しましたけれども、しかし、輸入ということよりも輸出ということを考えていくと、いろいろなところから集配してこなければならない、こういう問題が出てくるわけです。そうなってくると、そういうものの輸送が十分できるのですかできぬのですか。国鉄に関してはこういう問題点がある。  それから八・八・二十とか八・八・四十というものに対して、貨車積みのほうは十分あるでしょうけれども、トレーラーということになる点。それから日通との関係ですが、日通は大いに力を入れてまたここが独占してしまうんじゃないか。いままでのところはコンテナはほとんど日通が運んでいる、こういうふうに、おもに車のかっこうから見ると見受けられるわけです。こういう点どういう構想を持っていらっしゃるか。  それから建設省のほうには、いわゆる埠頭と主要幹線道路を結ぶ計画はどうなっておるのでしょうか。これも一貫してできてこなければならないわけです。そうすると、現在ふくそうする交通事情と、それからトレーラーに積んだ荷物というものは、それぞれのところばかり行くわけじゃないわけですけれども、そういうものに対する道路計画はどうなるのか。現在外国から持ってくるところの八・八・二十とかあるいは四十のそのままのコンテナがそのまま載った場合に、現在の道路幅員とか許容量で済むのか、こういう点のいろいろな問題点があると思うのです。こういう点、いろいろと計画あるいはそれぞれ立案した運輸省、建設省の話し合いが十分できていらっしゃるのかどうか。あるいは、もう一つは、大蔵省もお見えになりますからお伺いしておきますけれども、いわゆるコンテナの中の品物の通関はどういうふうになるのですか。こういう点、いま免除措置なんかいろいろありますけれども、どういう時点でチェックなさるのか、こういう点、一応のところをお伺いして、これは言いっぱなしでけっこうでありますし、お話によってはこの次また質問させていただきたいと思います。
  149. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 ただいまの御質問の中で、私のほうからお答えしたほうが適当かと思います分だけをお答えさせていただきます。  御承知のように、このコンテナというものはドア・ツー・ドア、それが一番能率がいいわけでございます。しかし、アメリカのほうはドア・ツー・ドア、日本はドア・ツー・ドアにはたしてなるかどうか、これは貨物の予測でございます。つまり、大きな工場からだけ非常にロットの大きな貨物が同じ方向に流れますと、このドア・ツー・ドアが行なわれるわけでございますが、いまの実績ですと、ドア・ツー・ドアでなくて、ドア・ツー・ポートになるのじゃないかという感じが私は個人的にいたします。これはたった十回だけの東京港における経験でございますけれども、つまり、日本のほうは、ドア・ツー・ドアもございますが、港頭地帯で大部分が開かれてそこへ行く、つまり抱き合わせといいますか、一つのコンテナの中に行き先の違ったものをどんどん詰めてくるという場合があるのではないか。現実に品川の場合にはそういうことがございます。それから、大阪とか富戸になりますと、外貿から入ってきたものが全部陸上輸送にかわるのかどうなのか、そういうことで、大阪あたりにいたしますと、あるいはこれは瀬戸内海を経済圏とした——大阪、神戸は瀬戸内海の中心でありますから、あるいは国内海上コンテナというような形で港頭地帯で積みかえるとか、そういう形にもなるのじゃなかろうかというような感じはいたしております。しかしながら、いずれの場合でも、そういった場合を考慮いたしまして、実は港湾計画には港湾審議会という会がございまして、これは運輸大臣の諮問機関でございますが、国鉄のほうも建設省のほうも大蔵省のほうもおいでになりまして、たとえば大阪について見ますと、大阪港の計画というのがきちっと管理者のもとで実はでき上がっております。それを審議したものが、冊子がございます。それによりますと、実際の工事のペースはどうか、私も道路のほうは存じませんけれども計画といたしましては、内陸にそういうドア・ツー・ドアでできた場合には、私どものほうから、港から大きな道路まで、たとえば大阪ですと中央環状線まで行くような道路の計画はきちっとできておる。それらと、工事がどの程度どうなっておるのかということは、私、詳細は調べておりませんけれども、そういうことで、計画の上から申し上げますと、コンテナ輸送がドア・ツー・ドアが行なわれても、まずだいじょうぶじゃないか、かように思います。
  150. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄といたしましては、根本的な態度としては、ぜひ実はこのコンテナは鉄道を利用していただきたいというのが私どもの根本的な態度でございます。いまのお話東京、大阪、神戸おのおの多少進展状況が違いますけれども東京につきましては、いずれ大井の埠頭に移りますが、大井埠頭はすでに私どものほうでもコンテナヤードをつくることにいたしまして、土地をきめまして、東京都に対してお金を払って造成しておるところでございます。コンテナの埠頭のすぐうしろ側に鉄道のほうのコンテナヤードをつくるという計画になっております。神戸は、いずれポートアイランドの埠頭のほうにいくようでありますけれども、さしあたり摩耶埠頭につきましてはいま専用船を入れるように計画中でございます。大阪はまだ具体的にはっきりしておりませんが、いずれにいたしましても、根本的な態度としてはぜひ国鉄に載せてほしいということで、貨車も、八・八・二十が載る貸車をすでに試作いたしまして、現在四両使っております。しかしいま港湾局長が言われましたように、全体のコンテナ需要のうち、せいぜいドア・ツー・ドアになるのは一割以下じゃないかという想定もされますが、私どもといたしましては、何とかぜひ鉄道を利用してほしいというのが根本的な態度でございます。
  151. 川田陽吉

    ○川田説明員 総括的なお答えは港湾局長からございましたので、具体的な道路との関係について申し上げますと、東京の関係におきましては、湾岸道路の長期計画がございます。これは木更津から三浦半島を経由しました、全路線で百五十キロの全体計画でございます。さしあたり京浜の外貿埠頭の計画につきましては、十四キロ半程度の幹線自動車道路の計画をいたしております。特に今度の第五次五カ年計画の範囲内では、沈埋トンネルを東京湾の港の入り口で計画いたしておりまして、昭和四十三年度にすでに調査費も五千万円程度計上してございます。これによりまして直ちに環七と連絡できるような計画をいま推し進めている最中でございます。  また大阪港について申し上げますと、大阪南港から築港枚岡線ですね。これは大阪南港を橋梁でまたがなければならないのでございますが、築港枚岡線に接続いたしますと、直ちに伝法大橋を通り、第二阪神及びその上手の国道二号に接続する、こういう計画でございまして、これも有料道路計画の中に含めまして第五次五カ年計画中に所要の事業量を計上してございます。  また構造上の問題といたしまして、八・八・二十フィートのコンテナにつきましては主として強度上の問題でございますが、主要地方道以上の道路につきましては何らの心配はございません。ただし八・八・四十フィートという規格の外貿コンテナをそのまま陸送するということになりますと、現在の車両制限令の長さで、十二メートルの基準で大体すべての道路がつくられておりますので、その基準を十八メートル程度まで伸ばさなければならなくなるということも予想されますので、この問題につきましては、なお運輸省当局と折衝を続けてまいりたい、こういうふうに存じております。
  152. 上月重雄

    ○上月説明員 現在までに、昨年の九月からフルコンテナ船が十二船入っておりますが、それの外貿貨物につきまして、東京税関の扱いに基づきまして実績を申し上げますと、まず輸出につきましては、幸か不幸かきわめてドア・ツー・ドアの件数が少のうございまして、あまり問題になっておりません。  それから輸入につきましては、ドア・ツー・ドアの件数がかなりございますけれども、これも幸か不幸かと申しましょうか、大部分がレモンその他のフルーツ、それから冷蔵したチキン、鶏肉でございます。それからエビ、こういったいずれも食品検査ですとか、動物検査それから植物防疫、こういった厚生省、農林省の関係の検査を必要とするものになっておりますので、そういったものは港頭地域におきまして開梱して、どうしても検査せざるを得ない。その際にあわせて税関の検査を行なうというのが実情でございます。  それからこういったドア・ツー・ドアが限られておる現状がだんだん変わってまいりまして、将来これがふえてまいったらどうなるかということについて簡単に申し上げますと、まず第一に言えることは、これは一般の話でございますが、税関としましては現品検査というものはきわめて限定的に扱っております。輸出につきまして現品検査をいたします率というのはきわめて低い。輸入につきましては輸出よりは高うございますけれども、やはり税関が必要と認めた場合に限っております。したがいまして、コンテナの場合におきましてもかなりのものが、たといドア・ツー・ドアでありましても、港頭地域におきましてインボイスその他の書類だけを税関に見せていただきまして、それでもって通関の許可が行なわれるということがかなり多いと思います。  それから、ドア・ツー・ドアのものにつきましてどうしても現品検査が必要であるという場合につきましては、税関の職員が、詰め込みの行なわれます、あるいは輸入につきましては開梱の行なわれます内陸地域に出張いたしまして検査をするという体制を進めていく。  さらに遠い将来について申し上げますと、そういうことを専門に扱う内陸税関というものが必要になってくるかもしれないと思いますが、そういったことであります。
  153. 沖本泰幸

    ○沖本委員 たいへん長いこと、ありがとうございました。これは少し聞いただけで、今後まだだいぶ続きそうですから、そのときはよろしくお願いいたします。
  154. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる四月二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会