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1968-03-19 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十九日(火曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    小渕 恵三君       加藤 六月君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅波  茂君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         外務省条約局国         際協定課長   村上  謙君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月十九日  委員松本忠助辞任につき、その補欠として田  中昭二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中昭二辞任につき、その補欠として松  本忠助君が議長指名委員に選任された。 三月十八日  観光施設財団抵当法案内閣提出第七八号)(  予) 同月十五日  自動車の非常時用具規制に関する請願(松澤雄  藏君紹介)(第二八二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第三七号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。米田東吾
  3. 米田東吾

    米田委員 前回委員会に引き続きまして、船舶安全法の一部改正内容について御説明をしていただきたいと思います。  まず、第三条の改正関係に関連をいたすのでございますが、前回の私の質問に対しまして、特に原子力船の安全ないしは検査関係につきまして御質問をいたしましたが、これにつきましては、原子力局長の御答弁によりますと、大体現行法体制ないしは運輸省の省令その他、行政指導で十分事足りるという御答弁があったように承知いたしております。したがいまして私としては、はたしてそういう状況にあるのかどうか、これから若干原子力船の第一船の建造を中心にいたしまして、まず御質問をしていきたいと思います。  最初に御質問をしたいのでありますが、現在その第一船が建造中だと思うのでございます。したがってこの第一船の現在における建造状況、さらにこれに対しまして検査状況というものがどういうふうに行なわれておるか、そこらをひとつ、まず関係原子力局長のほうから、それから監督の立場にある船舶局のほうからも御答弁をいただきたいと思います。
  4. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答え申し上げます。  わが国原子力船の第一船につきましては、かねてから計画中でございましたところ、諸種の問題が解決いたしまして、昨年の十一月に船体建造石川島播磨造船所へ、それからそれに搭載いたします原子炉につきましては、三菱原子力工業株式会社に発注をいたしまして、現在その両社において建造並びに炉の設計が進められておるのでございまして、ただいまのスケジュールで申しますと、今年末に船体の起工を行ない、四十四年の夏が進水目標でありまして、原子炉につきましては四十五年の五月ごろに艤装を開始いたしまして、四十六年度いっぱいには完成をいたして、その後の慣熟運転等に入るということを目標にしております。
  5. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 本船着工は本年の十一月でございます。ただいま造船所世びに三菱原子力工業におきまして、詳細設計過程にあります。したがってわれわれのほうとしましては、検査図面検査から始めるわけでございます。まだ、その検査申請までに至っておりません。詳細設計ができ次第、すぐ検査申請があり、われわれのほうといたしましては検査にかかるわけであります。
  6. 米田東吾

    米田委員 ちょっと聞こえなかったのですけれども……。そうしますと、まだ実際の建造には入っておらない、船体にしてもそれから原子炉にしても、実際の建造に入ってから運輸省としては検査その他についての対策を進める、こういうことでございますか。
  7. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 検査に入ります前に、図面の詳細な設計から順次見てまいりますので、建造着手前から検査が始まります。
  8. 米田東吾

    米田委員 原子力船開発事業団の年報を実はもらったのでございますが、これによりますと、公団としてまず臨界実験、炉心の構造模型及び燃料集合体模型実験原子炉制御計測器環境試験遮蔽効果実験、大体こういう四件に分けて公団としての研究取り組みがなされておるように聞いておるわけであります。そうしますと、運輸省としてはまだこれらの段階には全然タッチをしておらない、こういうことでございますね。
  9. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 原子力船検査は、原子炉関係措置を含めて船舶検査官検査することになっておりますが、先ほど申しましたように、図面審査というものがございまして、それは向こうの図面ができ上がりますと、申請がございます。それから検査が始まるわけでございます。
  10. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、すでに批准をしております一九六0年の海上人命安全条約、この中には相当こまかく原子力船の安全の確保につきまして規定がございます。第八章の原子力船、それから原子力に利用される勧告、これは主たる内容原子力船についての安全性、こういうものになっておる。この条約の適用がなされるのは、これは公的にはどの段階からになるのでございますか。たとえば、第一船の建造計画がきまっておる。現実にはもう設計その他建造に入っておる。そういう段階からこの条約に基づく安全についての検査なり、運輸省監督というものがなされるのか、いま答弁いただきましたように、まず船体あるいは原子炉にいたしましても、一つの形態が建造されるという段階から、運輸省タッチをするということになるのか、そこらあたりの限界といいましょうか、そこらあたり関係というものはどういうふうに理解をされておるのでありますか。
  11. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 第一船の原子力船は、特殊貨物運送ということでございますけれども、実際、開発船でございますので事業団が実際やっておりますけれども、いろいろな関係で、関係と申しますか事前の調査とかそういうことは、われわれのほうとしても一緒にやっております。そして一応原子船のほうの進捗、いろいろな技術上の進捗に対しては遺憾のないことを期しておるわけでございます。  それから条約関係でございますけれども、条約のほうは先般も申し上げましたとおり、一応技術基準につきましては昨年、原子船特殊規則というもの制定いたしまして、これは条約内容を、いわゆる技術的な基準はほとんど全部網羅してございます。なお一部条約関係でまだ法制化されてないところはございます。しかしこれは大体第三規則一般規則免除禁止、普通の貨物船、旅客船ですと一部免除規定というのがございますが、原子力船に対しては全条文の、ほかのほうの条文免除しないという禁止規定がございますが、これを入れることが、まだ一部残っております。  それから安全説明書の作成、承認でございますけれども、これも手続として残っております。それから操作手引書、これは第八規則ですが、第八規則関係も一部残っております。それから第九規則検査方法及び実施の勧告、これも残っております。それから安全証書の発行、これが第十規則でございますけれども、これも残っておりますが、これはすべて船舶安全法施行規則に盛り込む予定にしておりまして、ただいま作業中と申しますか、この船ができ上がるまでには施行規則の中に全部入れる予定でございます。  それから第十二規則に、海難の通報という船長の義務規定がございます。これにつきましては一応船員法のほうに、これは施行規則になりますけれども、そのほうに入れる予定にしております。したがいまして、条約関係は一応安全法施行規則職員法施行規則、両方の面でほとんど全部カバーできる、かように考えます。
  12. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、法律関係あるいは規則関係等につきましては、いまの御説明によりますと、大体遺憾なく今後とも対処できるということが言えると思うのであります。問題はこういう特殊船検査官養成あるいは研修といいますか、そういうものについてはいまどういうふうに進めておられるのでありますか。たとえば開発事業団にお願いをしているとか、一緒養成をしているとか、あるいは外国のほうに派遣をしておるのか、いずれにいたしましても、こういう原子力船に対する検査官養成というものは、やはりいまから当然対処しておられると思うのでありまして、これにつきましてはどんな状況になっておるか。
  13. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 原子力船に関する一般研修と申しますか、そういうことは科学技術庁と私のほうも予算を取ってやっておるわけですが、結局、いままで毎年数人ずつ原子力研究所あるいは放射線研究所、その他必要のときには外国に対する研修というようなかっこうで、ずっと研修をやっております。したがいまして、将来直接検査が必要になりますので、そういう研修を受けた人を検査官に充てる予定にしております。
  14. 米田東吾

    米田委員 第一船の建造とあわせて重要だと思いますのは、停泊地対策、その面が非常に重要だと思うのでありますけれども、この停泊地につきましては、青森県のむつ市ということがすでに決定されて、その整備あるいは開発というものが進められているように聞いておるわけであります。この停泊地関係につきましては、現在どういう状態になっているか、これもひとつ、原子力局長さんのほうの関係でございましょうか、それとも運輸省でございましょうか、関係向きから説明をいただきたいと思います。
  15. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お話しのむつ市に決定をいたしました母港につきまして準備状況を申し上げますと、大体用地を二万四千坪程度事業団に買い取る、こういうことで現在最後の折衝がなされております。  さらに、岸壁の工事を行なうわけでございますが、これらにつきましても今年度の予算によりまして着工のメドがついておるわけでございます。  なお、今後やるべき問題といたしましては、多少のしゅんせつ工事もございますし、またさらには、将来燃料の取りかえ装置でありますとか、廃棄物貯蔵所でありますとか、そういう上屋の建設もあるわけでございますが、これらにつきましては来年度の計画といたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、ほぼ順調に進んでおると申し上げてよいかと存じます。
  16. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、現在のところ第一船の建造に伴いましての船体並びに原子炉停泊地、こういう関係につきましては、大体政府としては順調に進んでいるという御理解のようであります。  私、そこでひとつお聞きしたいのでありますが、特に原子力船建造にあたって最大限考慮されなければならぬのは、安全性確保とその保障だと思うわけです。いま船舶局長の御答弁によりますと、十分対処されていることはわかるわけでありますけれども、何ぶん専門的でございまして、よほどの専門家でございませんとそれを確認することはなかなか困難だと思うのであります。したがいまして、私は法的な面でまず十二分にその保障体制をつくっておくことが必要ではないかと思うわけであります。そこで、千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約、この内容につきましては、早急に船舶安全法なりその他関係法体系の中に取り入れて、完全な体制というものを敷いておく必要があろうかと思うわけであります。  もう一つ問題になるのは、外国では原子力船建造がどんどん進んでいるわけであります。場合によりますれば、外国原子力船日本に入ってくるという状況も、当然考慮されなければならぬと思うわけです。そういう時期に、国内への入港における検査体制あるいは停泊地関係法体制整備ということが、当然これまた必要になってくるわけであります。そこで、第一船の建造とあわせまして、聞きたいのでございますけれども、たとえば、日本にいまサバンナ号が入ってくるというような、そういう状況はございませんか。そこらあたりどうでございましょうか、船舶局長から御答弁いただきたいと思います。
  17. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 最初に、入港に関する安全の問題でございますけれども、昭和四十年にサバンナ号入港するらしいということでコンタクトがありまして、それに関連しまして、これは原子力局のほうの担当になりますけれども、四十年に原子炉規制法改正をやっております。これの改正によりまして、外国原子力船原子炉にかかる許可、これは本邦水域立ち入り許可でございますが、その許可を受けること、それから第二番目に、原子力船入港届け義務、これは入る前六十日以内に届けることになっておりますが、そういう規制をやっております。  それからまた、同じく四十年には港則法改正いたしまして、港長の航路、泊地等の指定、それから特定港からの退去命令及び特定港境界外の指揮そういうことを規定しております。そういうことでございますので、入港に関する一応の法的な体系というものはできておるというふうに申せます。  なお、サバンナ号そのものの動きにつきましては、原子力局長からお願いしたいと思います。
  18. 藤波恒雄

    藤波政府委員 外国船原子炉取り扱いにつきましては、ただいま船舶局長のほうから答弁がございましたとおり、原子炉等規制法におきましては、第二十三条の二によりまして許可をすることになっております。  先般サバンナ号が入る計画がありましたのが、その後立ち消えになっておることは御承知のとおりかと存じます。  これは一つ申し上げますれば、規制法許可条件一つに、万々一の災害時の損害賠償措置国際約束によって講ぜられておるべきことがあるわけでございますが、この国際約束につきましての内容折衝段階におきまして時間切れになりまして、アメリカ側であきらめまして入港を中止した、こういういきさつになっております。その後われわれのほうには、サバンナ号入港についてのアメリカ側からの申し出はございません。
  19. 米田東吾

    米田委員 条約によりますと、接近あるいは入港停泊、そういう場合については、検査義務を負うことになっておるわけでありますが、この条約上にいう接近ということは、これは必ずしも入港もしくは停泊を意味しないで、日本の近海を、あるいはこの場合は沿海でございますか、通過をする、こういうことも想定されておるのではないかと思いますが、こういう場合における日本検査体制というものは、現在完全に整っておるのであるかどうかをあわせてお聞きをしておきたいと思います。
  20. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お尋ねの点でございますが、外国原子力船わが国水域に立ち入ろうとする場合には、あらかじめ許可申請を出してもらうわけでございますが、そのときの審査対象の中には、安全性審査ということが大きな柱となっておりまして、相当詳細なる資料を求めまして、その安全性を確かめておるわけでございます。その具体的な方法といたしましては、現在原子力委員会の中にございます原子炉安全専門審査会というところに諮問をいたしまして、その答申を待ちまして判断をいたしておるわけでございます。その結果に基づきまして本邦水域に立ち入る許可を与える、こういうことになっております。  なお、検査等段階につきまして申し上げますれば、この規制法によりましても、総理大臣並びに運輸大臣立ち入り検査権というのもあるわけでございますけれども、運輸関係法令船舶安全法関係検査その他はやることをたてまえにいたしておる次第でございます。
  21. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、もう一回確認しておきますが、サバンナ号につきましては、現在日本に対して寄港を前提とする安全説明書等の送付はない、したがって、いまのところ考えられないということでございますね。
  22. 藤波恒雄

    藤波政府委員 サバンナ号につきましては、前回申し出がありましたときに、先ほど私が御説明申し上げました安全審査過程は終了いたしております。一応安全であるので、その点からは許可して差しつかえないという段階まで至っておったのでございます。取りやめになりましたいきさつは、先ほども申し上げましたように、許可条件のもう一つの柱でございます損害賠償措置内容で結論に至らなかった、こういうことが原因であったわけでございます。
  23. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、それはもう現在無効でございますか、継続しておりますか。無効になっておりますね。したがいまして、また寄港予定するとすれば、安全の説明書を送付するなり、日本に対して許可を求める、そういう手続が再度とられるということで理解してよろしいのですか。
  24. 藤波恒雄

    藤波政府委員 安全審査の問題につきましては、前回やっておりますので、内容が変わっておりませんければそれの再確認ということで簡単にいくと思いますけれども、ほかの許可条件につきましてはあらためてやることになります。したがいまして、許可はあらためてやるということになるわけでございます。
  25. 米田東吾

    米田委員 船舶局長にお聞きをいたしますけれども、六0年条約の第八章、原子力船の第九の規則の条項でございますけれども、少なくとも一年に一回この安全検査を行なわなければならないというきわめて明確な義務づけがあるわけであります。そうしますと、こう第九の規則検査関係につきましては、日本国内においては、現在まだ行なわれておらない、その主要な理由は、実際の建造にはまだ入っておらない、そういうことで、この第九の関係につきましては理解をしてよろしいのでございますか。
  26. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 第一船は、客船お客さんを積むというかっこうになりますので、客船取り扱いになります。船舶安全法では検査方法として、定期検査中間検査臨時検査、その他特殊船検査のようなものもございますが、この船は一応客船でございますので、毎年客船並み検査をするというふうに適用しているわけでございます。ただ、もし原子力船お客を積まない船でございますと、その辺の規制のしかたが不十分でございますけれども、現段階では客船条文を適用しますので、年一回の検査をいたします。その点からいきますと、一応法規的にはカバーしておるということになるわけでございます。
  27. 米田東吾

    米田委員 もう一つついでにお聞きいたしますが、現行船舶安全法は、大体制定の当初からいたしまして、こういう原子力船というようなものを想定しておらないと私は思うのであります。したがいまして、現在の安全法基準になっているのは、たとえば喫水線だとか、あるいは復原力だとか、あるいは無線だとか、そういうものが人命安全、船舶安全の主要な基準になって法律制定されておると思います。しかし原子力船の時代に入っていくわけでありまして、したがいまして、こういう特殊な原子力船についてのいわゆる安全、そういうことを考えます場合に、根本的に私はこの船舶安全法というものは再検討を必要とする時期にくるのではないかと思うのであります。したがいまして、私の見解では、法律の一部改正という事項だけではまかないきれない、そういうふうになっていくのではないかと思いますが、その点についてどうお考えでございますかということと、それから、現行のいわば喫水線だとか復原力だとか、あるいは無線通信連絡というような面については、この原子力船についての安全はそう私はこの法律の中に盛り込むという要素はないと思いますけれども、原子炉あるいはこの燃料の安全を確保するためのいろいろな施設、さらにはこの船体に対する特別な補強、いろいろ法律的に整備をしなければならないものがたくさんあると思うのでありますが、そういう関係につきましては、運輸省としてはこれからどういう手順で、いつごろをめどにして法律的な体制整備をやられようとするか、このことをお聞きしておきたいと思います。
  28. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、確かに先生がおっしゃるように、最近の技術の日進月歩によりまして、あるいはこの現在の船舶安全法にふさわしくない点も出てまいると思います。しかし、先ほど申しましたように、原子力船について考えますと、いろいろの、たとえば炉の規制法とか、あるいは港則法とか、職員法もございましょう、いろいろな法律がそれぞれやはり関係向きで必要なわけでございます。したがって、安全法だけでこれを律することはもちろんむずかしいわけです。そうしますと安全法の法の目的から申しまして、たとえば構造なら構造につきましては、鋼船構造規程という規則がございまして、その中にすべていろいろな特殊な補強の問題も含めて規制することができるようになっております。したがいまして、非常に十分とはあるいは申せないかとも思いますけれども、大体現状で一応原子力船も含め、あるいは危険物のいろんな運送船その他を含めまして、規制していけるというふうに実は考えております。  それから、全面的にこれを改正したほうが確かにその面ではいいかとも思いますけれども、何せこの船舶安全法関係条文と申しますのは、二千条近い条文でございまして、これを整理するのにいろいろ努力してみたこともあるのですけれども、非常に膨大な時間がかかりまして、われわれとしましても、先生のおっしゃるような御期待に実は沿えないのを残念に思っておる次第でございます。
  29. 米田東吾

    米田委員 私は別に全面改正を督促しているわけじゃありませんから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。ただこの体制でいいかどうかということを聞いているわけです。  それから、今度の造技審答申等によりましても、特に原子力船については一項設けて、たとえば原子炉あるいは試運転についての許可基準、その他船体等関係につきましては、二重底にするとか、あるいは船体原子炉の部分については二重にするとか、きわめてきめのこまかい答申等もしているかと思います。これを必ずしも船舶安全法に全部取り入れなければならないということにはあるいはならないかもしれませんけれども、そこに注目をして、原子力船開発あるいはこの建造に対応するだけの法体制というものは当然つくっておかなければならぬだろう、こう思うわけでありまして、そういう観点で御質問をしたわけであります。再度見解をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 一九六0年の人命安全条約制定のときには、一応原子力船が、もうすでにレーニン号あるいはサバンナ号、二隻でございましたけれどもできておりましたので、これを入れる必要があるということでございまして、そのときに、しかしこの船は開発段階の船であるので、精神規定を設けるべきだという意向が強くて、具体的なほかのほうの、たとえば無線にしろ救命設備、いろんな設備関係がございます。非常に具体的に書いてありますけれども、原子力船に関しましては、わりあいに精神規定的な書き方にしてあるわけでございます。それで安全法の面から見ましても、一応現段階におきましては、具体的に規制できるものは原子力船特殊規則の中に、これを盛り込むという手だてを打ったわけでございますけれども、いま申し上げましたように、開発段階の船でございますので、今後またいろいろ問題が出てくると思います。したがいまして、そういうもので規制する必要があるものは順次規制していって、本船が動く段階になるまでには十分なものにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 米田東吾

    米田委員 次に質問をいたしますが、たとえばこの六0年、六六年の船舶の安全に関係する条約の適用の問題でありますけれども、たとえば沖繩等に対する適用は法律的にどうなるのか、この条約内容の、たとえば人命の安全にかかわる六0年条約の十三条、それから今回の満載喫水線条約の三十二条、これらの関係には、日本が潜在主権を持っているはずの沖繩等に対する適用の関係規定されているように思うわけであります。  そこで、外務省からもおいでをいただいておりますので、この条約の沖繩等に対する適用の関係はどうなっているのか。たとえばアメリカ等と相談をされまして、沖繩に対する適用を配慮されておるのか、これは全く琉球政府にまかせておくのか、あるいはアメリカにまかせておくのか、そこらあたり関係につきましてお聞きをしておきたいと思うわけであります。
  32. 村上謙

    ○村上説明員 一九六六年の条約によりますと、ある国が国際関係について責任を有する地域は、その国と別個に取り扱われております。したがいまして、沖繩につきましては、平和条約に基づきまして、沖繩の立法、行政、司法の権限につきましてはわが国の施政下にございません。したがいまして、六六年条約上は、沖繩と本土との間の航海は国際航海とされるということになっております。
  33. 米田東吾

    米田委員 ちょっと御答弁が違うのじゃないかと思うのでありますが、たとえば六0年条約の十三条には、「いずれかの地域の施政権者である場合の国際連合又はいずれかの地域の国際関係について責任を有する締約政府は、この条約をその地域に適用するため、できる限りすみやかにその地域と協議しなければならず、また、機関に対する通告書により、この条約をその地域に適用することをいつでも宣言することができる。」こういうふうに規定されておるわけであります。したがって、この締約国は当然日本も入るわけであります。ですから私は、この条項からいきますと、おっしゃる趣旨はわかりますけれども、積極的に日本も沖繩に対する適用をアメリカ側と十分折衝する、配慮をするということは、この条約義務からいっても必要じゃないかと思うのでありますが、どうでございますか。
  34. 村上謙

    ○村上説明員 私の答弁ではややあいまいな点もございましたけれども、この六六年条約の三十二条あるいは六0年条約の十三条で申しております、いずれかの地域の施政権者としての締約政府と申しますのは、沖繩の場合は米国政府となると理解しておるものでございますから、その意味におきまして、沖繩の適用については一次的に締約政府であるアメリカ政府がくる、こういうふうに考えております。
  35. 福井勇

    ○福井委員 関連して。御了解を得ましたので、原子力船のことで米田委員から発言がありましたので、関連の質問をして、ほんのわずかの時間でありますが、原子力局長なり船舶局長なりに答弁を願いたいと思います。  いままでに原子力潜水艦やエンタープライズ等も含めて、科学技術庁入港当時における水域の放射能関係の調査をいろいろしたということが新聞に出ておるのですが、その結果いままでに被害があるかどうか。一々数字をここで並べてもらうと時間がかかるから、被害があったかどうかというようなことについて、原子力局長からちょっと答弁をしてもらいたい。
  36. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答え申し上げます。  アメリカの原子力潜水艦は、現在までに約二十回くらい佐世保並びに横須賀に入港いたしております。その場合にはあらかじめ事前の通告がございまして、科学技術庁といたしましては、その入港前、後並びに入港中におきます調査をいたしております。調査の目的は、この潜水艦が入りましたことによりまして、そのまわりの空気中あるいは水域中におきます環境放射能濃度に影響を与えるかいなか、こういうことのチェックをいたしておるわけでございますが、現在までの調査の結果におきましては、全然異常を認めておりません。先般佐世保に入港いたしましたエンタープライズにつきましても、同様でございます。
  37. 福井勇

    ○福井委員 それほど熱心に調べられたならば、もう少し予算の請求でもして、国民にこうこうこうであったという安全性について、運輸省ともあるいは関係官庁ともよく協議して、こういう過渡期にはPRをしてもらいたい。PRは政府のどこでやるのだということをせずに、そういうような考えではなしに、それには予算がかかる、それにはいろいろ仕事が忙しいとかいろいろのことを言わずに徹底的に知らせる、たとえばいま原子力発電所を鳥羽のほうへ持っていこうというようなときには、何でもかんでもあぶないのだというようなことを盛んに言う。現に、オットー・ハーン号などの建造地域に私たち行ってみても、まるであけっぱなしで、日本の心配の事柄について質問するのに、向こうがびっくりしておる。まるでもう予期しない不安を質問するというようなことが、見学者にあまりにも多いのにびっくりしておるという状態でございます。ぜひ今後——原子力局長にその責任があるとは言いませんが、関係官庁としては特にそれに留意してもらいたいということをこの委員会の席上で希望しておきたいと思います。現にサバンナ号が世界各国の港を回遊するときに、一カ所だけ、つまりコペンハーゲン、デンマークで一時反対の気配があったのでありますが、デンマークは御存じのとおり、かつてはニールス・ボーアを中心として原子力問題の開発について世界的なリーダー格であったときもございますが、その研究所で研究した結果、サバンナ号入港は一切心配はないというので、国民もこれを承知したという一つの実例もある。そして非常な歓迎をしたということがありますので、心配だ心配だという——これは原子力局が心配だと言っているわけではない。国民が心配だというようなことを、たまたま活字にあらわれると、それが大きく数万倍に伝わっていきますから、今後の平和利用的な原子力の発電や原子力船の今後の開発についても、十分そのPRを必要とするということを私は非常に感じておるわけであります。現在寄港した分だけを調査するということになっておりますが、領海区域以外でも、予算を請求して、たとえばソ連の原子力潜水艦が日本海に何十隻いるか、保有隻数が三、四十隻あるか、アメリカのほうが七、八十隻で運航しておるのか、いま四、五十隻あるかという予想がすでについておりますが、大体太平洋にしても日本海にしても、これが航行しておるということはまず想像にかたくない。そういうこともありまするから、そういうところまで出ていって、海洋の調査もして、しかもそのデータが安全であるということが出るにきまっておると私は予想しておる。そういうようなところまでいまの職務上の範囲でやれるとは思っておりませんが、今後やれるように運輸省ともよく相談して、積極的に安全性の今後のPRについて希望しておきます。関連質問でありまするから、これでひとつ政務次官の所見をちょっと聞いておきたいと思います。
  38. 金子岩三

    ○金子(岩)政府委員 福井先生の御意見まことに適切でございます。十分御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  39. 米田東吾

    米田委員 沖繩関係条約の適用につきましては、御答弁で大体政府の考え方についてはわかりました。  そこで、運輸省のほうにお聞きをいたしますが、早晩これは両三年のめどもありましょうけれども、沖繩と本土の一体化という問題は現実の日程に上がってこようかと思うわけであります。その場合にたとえば今日の原子力船の安全の対策、あるいは大型化してきておるタンカーの安全対策、あるいはコンテナ船の対策、とにかく船舶の安全という範疇に属すると思われる船舶関係の安全の問題につきましては、法律的にもこれは沖繩と本土との関係を常に明らかにしておかなければならない問題ではないかと思うわけであります。条約の適用の関係につきましては、外務省の見解として沖繩の適用はアメリカだということがはっきりされたようでありますけれども、しかし日本政府の立場からいきますと、国内法との関連その他琉球政府のこうした海運船舶安全等に対する法体制といいましょうか、そういうようなものについては私は相当関連を持ちながら検討され、また掌握されておるものと思うわけでありますけれども、特にいま審議の議題になっております船舶の安全という関係につきまして、沖繩のほうではどういう体制をとっておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  40. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 琉球政府は一応、琉球船舶安全規則というものをつくっております。しかしこの内容は、ほとんど日本船舶安全法基準にしてつくっているわけでございます。それで先ほど外務省からお話がございましたように、現段階では平和条約によりましてはっきりこれが米国施政権下にありますので国際航海になりますが、これが日本に返還されたときには、これは日本の九州、四国と同じように国内航海になるわけでございます。したがいまして、われわれとしましてもその点から十分に考慮をしております。  なお、琉球政府からは検査官日本検査研修に参っております。また日本からも検査官を派遣するということも考えておるわけでございます。
  41. 米田東吾

    米田委員 ひとつ運輸省としても今後とも対琉球政府との関係につきましては緊密な連絡あるいは、掌握ということばは当たらないかもしれませんけれども、十分配慮しておいていただきたいと思うわけであります。  次に、タンカーの対策でございますが、この間の船舶局長の御答弁によりますと、造技審答申につきましては、運輸省として検討され、とるものは取り入れて、今回の法改正に持ち込んだというような御趣旨の御答弁がなされておったと思うわけでありますが、この前の委員会でもおっしゃいましたように、タンカーの、特に大型タンカー、それから小型タンカーの海水油濁の関係、こういうものは船舶安全という関係だけではないと思いますけれども、政治的には緊急に手を打たなければならない問題を提起していると思うわけであります。  そこで、まず大型タンカーの関係につきましてお聞きをしたいと思うわけでありますが、今度の法改正の中には、どういうところが大型タンカーの安全あるいは規制という関係で取り入れられておるのか。三条、四条の改正だけでは、その部分は全然ないと思うわけでありますけれども、たとえば規則とかあるいはその他の関係で、あるいは船舶安全法以外の関係で、このタンカー対策というものが取り入れられておるとすれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 大型タンカーにつきましては、トリー・キャニヨン号で非常に大きな災害を起こしたわけでございまして、この件によりまして、世界的に一つの大きな問題、いわゆる宿題が課せられたわけでございます。それで、現在われわれのほうとしましても検討中でございますが、政府間海事協議機関におきましても、この問題を処理しようということで作業を進めておるわけでございます。  それで、ただいま先生がちょっと安全法に取り入れられたとおっしゃられましたが、これは私の説明があるいは悪かったのかと思いますが、一般のただいまつくっております大型タンカーにつきましては、従来の鋼船構造という面から規制がなされておるわけでございますけれども、新しく起きた問題で、たとえばタンカーの区画配置の問題とか、あるいは安全設備の問題とか、そういうものにつきましては現在検討中でございます。また、世界的な同じような平氏でやる必要がございますので、政府間海事協議機関、IMCOといっておりますけれども、そのIMCOの検討待ちというかっこうにもなっておるわけでございます。
  43. 米田東吾

    米田委員 この間資料として出していただきました造技審答申によりますと、タンカーに対しましても早急に対策を進める必要があるという前提で、幾つかの問題提起をしております。これは、先ほどの答弁からいきますと、必ずしも船舶安全法改正の部分として持ち込むべき性質のものか、あるいは船をつくるその関係で処理されるべき問題でありましょうけれども、たとえばタンクの容量制限だとか、タンクの配置の基準だとか、あるいは二重構造、船殻あるいは底、そういうものに対する構造上の基準の強化、こういうものにつきましては、今後どこでどういうふうに処理をされようとされますか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  44. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 先生がただいま御指摘になりました点は、造船技術審議会におきまして答申された内容でございまして、その内容につきましては船舶安全法で取り入れる予定にしております。  ただいまタンカーの区画配置ということでございますけれども、これにつきましては、流出油量の算出の方法とか、それから区画の配置も、たとえば二重構造にするとか、区画の大きさを制限するとか、そういう構造上の問題、これは船舶安全法構造規則規制しよう、こう考えておるわけでございます。  なお、そのあとにも安全設備というこれに関する設備問題がございますので、そういうこともあわせて検討しておるわけでございます。
  45. 米田東吾

    米田委員 検討されておるとすればけっこうでございますが、それが具体的に法律改正等になって出てくるのはいつごろになりますか。
  46. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 私のほうは、大体IMCO、先ほど申し上げました政府間海事協議機関ですが、そこでやることになっておりますし、その検討の結果と並行しまして進めていきたい。そうしますと、大体三年くらいかかるのじゃないかというふうに考えております。
  47. 米田東吾

    米田委員 IMCOでも、それに関係すると思われる条約なりあるいは勧告なりはされておるように思いますが、まだこの問題につきましては全然手つかずでございますか。
  48. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 IMCOにおいては、具体的にはこれはまだ勧告その他はしてないはずでございます。ただいま、第一回の会議は行ないましたが、第二回の会議を本年の九月に行なうという予定にしておりますので、まだ具体的な勧告はなはいずでございます。
  49. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  それから、海上における航行規則、それから大型タンカーの基地等の港湾対策関係も関連して重要だと思うわけでありますけれども、そういう関係につきましてはどのように対策をお持ちでございましょうか。
  50. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 大型タンカーの航行に関しましては、現在のところ大型タンカーに対する特別の法制はございません。ただ、港内に入ります場合には、原油を積んでおるタンカーの場合には、これは危険物の積載船舶でございますので、危険物の積載船舶として停泊、停留並びに荷役について種々の規制が行なわれております。また港内の場所につきましては、ある混雑する場合におきましては、一定の時間における一方通行とか、あるいはある場所での大型船の、五万トン以上なら五万トン以上は入ってはならない、そういうふうな各港の中についての規制を行なっております。したがいまして、その他の海域におきましては、現在新たに特に大型船等についての規制を強化するための法案を準備中でございます。さらに港湾におけるタンカー事故に対する防災体制といたしましては、現在石油基地の多く存在するところには、化学消防能力を持った巡視艇を配置するようにつとめております。まだ完全ではございませんけれども、最近建造いたします巡視船艇は、全部科学消防能力を備えるという方針で進んでおります。特に大型タンカーに対処すべく、専門の消防船を四十三年度の予算に計上をいたしておりまして、今後逐次大型タンカー用の特別の消防船を必要なだけ整備をしていきたい、かように考えております。
  51. 米田東吾

    米田委員 大型タンカー専用の港湾等につきましては、特別な何かお考えをお持ちでございましょうか。コンテナ専用型等に対しましては、外貿としての港湾強化の対策が進められておるようでありますけれども、大型タンカーは今後トン数もどんどん大きくなっていくわけでありまして、現在国内の大型タンカーとしてはせいぜい二十万トン程度かもしれませんが、これが四十万、五十万というふうにどんどん伸びていくという趨勢にあることは御承知のとおりでありますから、この大型タンカーに対する特別な港の対策といいましょうか、港湾対策というものもあわせて必要だろうと思うのでありますが、海上の航行規制等に関しましてはわかりましたけれども、この関係はどこになりますか、海上保安庁になりますか、あるいは港湾局になりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいまのお話のように、現在の二十万トンよりさらに大きくなってくるという趨勢に対応して、その石油基地をいかにするかということは、現在通産省及び運輸省の港湾局、また私ども海上保安庁のほうでいろいろ相談をしておりますが、現在すでに通産省においては、工業立地という観点と石油の備蓄という観点から、現在込み合っております既設の港以外の土地に大きな石油基地を設けまして、そこから石油工場へはパイプラインあるいはもっと小型の船で現在の石油工場に運ぶということによって、安全性と経済性を両立させるというふうな観点から、日本の全国の各地についてそういう調査を進めております。すでに数個の候補地があがっており、また特定の会社は現実にそういう意味の石油の中継及び備蓄基地として鹿児島湾の喜入地区に建設を開始しておる状況でございます。今後、通産省はじめ運輸省としては、こういう方向を大いに推進をすべきであると私どもは考えておる次第でございます。
  53. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  そうなりますと、なおその対策上必要になってくると思われますのは、要するにそれ以下の小型タンカーといいますか、そういうものだと思うのであります。これは船舶の安全というよりも、海水の汚濁をいかにして防ぐか、あるいは沿岸その他に対していかにして災害を少なくするか、こういう関係になろうかと思いますが、しかし政治的にはこれは非常に重要な課題に現在なっておるわけであります。この間の保安庁長官の海難に対する御答弁をいただきました際にも、この小型タンカーに対する取り扱いに非常に苦慮していることについて御答弁をいただきましたが、これについて何か法的な規制、あるいは運輸省としての行政指導の面で現在何か考えられているものがあるんではないかと思うわけであります。海水汚濁防止の法律はできましたけれども、これすら現在しり抜けで、ほとんど用をなさない、こういうふうにも言われておりますが、総体的にそういう小型タンカーにつきまして、この海水の汚濁の防止あるいは沿岸の漁民や漁場、その他ノリ等に対する防災の立場から、対策がありましたらいま少しお示しをいただきたいと思います。
  54. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 小型タンカーの海難は大体空船時というときが一番多いようでございます。したがって、これについては一般にタンクにバラストを積んで、多少喫水を深めて航行するというのが常識でございますので、今後空船航行の際には、特に荒天時についてはこの点を十分に周知できるように指導していきたい、かように考えております。
  55. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 私どもは、先般御報告申し上げましたように、タンカーを含めまして小型鋼船の事故が非常に多い、そしてタンカーの事故は間々、単に乗り組み員の損傷だけではなくて、そこから流れ出た油によって漁業等に大きな被害を及ぼすということを申し上げました。私どもといたしましては、小型タンカーにつきましては、いま船舶局長も触れられましたように、運航上の注意を厳格にする——資料としてお届けいたしました中にも出ておると思いますが、やはり小型船における事故はほとんど港内及び日本沿岸、狭水道、内海、こういうところで行なわれております。したがって、運航に十分注意する、その内容を見ても、乗り揚げ、衝突、転覆というような事故が多いわけでありますので、航海上の注意を十分にする、そういう点につきまして行政指導を行なっておりますが、なお念のために、船員の技能の向上等については、船員局のほうでいろいろ対策があると思いますので、船員局長からお聞き願いたいと思います。
  56. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 タンカーの問題につきましては、船舶の運航を人的な面から担保いたしておりますのは、職員法でございます。したがいまして、私どもといたしましては、ただいまのような観点から、特に小型船につきましては、職員法の励行その他につきまして、特段の努力を払っておる次第でございます。
  57. 米田東吾

    米田委員 小型タンカーの海水の油濁に関しましては、何かもう少しきめ手を持たなければならぬのじゃないかという気がするわけでありますけれども、たとえば、これは新聞なんかにいわれておるわけでありますが、バラストの水の処理、そこらあたりが大体主要な犯人のようにいわれておるわけでありますけれども、これは水をかい出すときに油が一緒に海水に出されるということを技術的に解決する方法というものはないものかどうか。それから、こういうものについては法的には盲点になっているのではないか、そこらあたりが非常に問題ではないかと思うのでありまして、それが沿岸漁民やノリの業者を泣かせておるという主要な原因になっているようにも聞いておるわけでありますけれども、もう少しこれは積極的にこの防止について対策がないものかどうか。悪質なものについては刑事責任を追及する、こういうきびしいものでないと、沿岸の漁民やあるいはノリの漁民あるいはノリ業者というものは救われないし、海水の油濁の防止にはならないと思うのでありますけれども、それらの見解はいかがでございましょうか。
  58. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 海水の油濁に対する対策といたしましては、海水油濁の防止に関する法律が現在できて、それに基づいて私どものほうとしては取り締まりをし得る体制を整えつつございますが、まず第一の問題は、バラスト水を積まなければ、船舶の航行は荒天等の場合は危険であるということでございます。今度そのバラストを処理するということが間々そのままたれ流しをいたしますと、ノリ等に被害を及ぼす、こういう事例だと思いますので、港において、バラスト水を受け入れる施設の建設が現在進められております。これを早く完成をして、所定のところにどんどんこういうバラスト水を陸上で受け入れて処理する施設を整える、これがまず第一でございます。  それから悪質なものに対する摘発ということ、これが第二でございます。これは航空機、船艇を使いまして、現場を押えて、これを取り締まっていくということ、法に基づく取り締まりということが第二点であろうと思います。  第三点は、そういう過失あるいは故意によらない、たとえば海難の場合において油を流すという場合には、海水油濁防止法でもこれについては特に禁止できることではないので禁止をしておりません。その場合にどうしても災害が起こったら、その災害の救済をいかにするかという点でございます。これにつきましては、現在海運局で、いわば保険制度のような形でもって、小型タンカーの船主等に賠償能力がない場合も間々ございます、しかも被害額が相当大きいということで、それに対応し得るような保険制度の研究を進めておるところでございます。
  59. 米田東吾

    米田委員 いま、バラストの処理の設備等をやっているという御答弁がございました。これは運輸省がそういう強制をしておるのか、それとも企業の側が自主的にそういうものの処理能力を備えようといま努力しておるのか、法律的にこの関係についてはどういう取り扱いをなさっておるのか、もう少しお聞きいたします。
  60. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 実は担当の者がおりませんが、私から御答弁申し上げておきます。もし間違っておりましたら、後ほど担当の者が訂正をいたします。  現在油の汚水の処理施設は港湾管理者の行なうもの、これをまず第一に考えております。これに対しましては、港湾管理者は公共団体でございまして、それに対して二分の一の国庫補助が行なわれております。四十二年度においてすでに六つの港において着工しておりますので、近く完成を見る予定でございます。川崎、横浜、水島、千葉、和歌山・下津、神戸、この六港でございます。で、四十二年度の補助予算は三億円、四十三年度、現在御審議中の予算には三億八千万円を計上しておる次第でございます。  なお、民間の行なうものにつきましては、すでに横浜に日本タンカーサービスというものが施設整備して商売としてやっております。その他の地域にも民間事業としてこのバラスト水の受け入れ、タンカークリーニング等の仕事をする企業が数個すでに稼働をいたしております。
  61. 米田東吾

    米田委員 わかりました。保険の対策につきましては、ひとつ今後も積極的に運輸省として指導されますように要望しておきたいと思います。ことに、現在、この沿岸の被害者の補償の措置がないというのが非常に大きな政治問題でもございますので、私はぜひともこの保険の対策関係については、運輸省が十分指導されますように要望申し上げておきます。  次に、コンテナ関係につきまして御質問をいたします。  専用船の対策でございますが、これも船舶の安全という角度からいきますと、大型タンカー等に対する対処のしかたと大体同じだと思うのでありますけれども、コンテナ輸送というものが今後どんどん海運の主要な輸送体系になってくる、こういうことから考えまして一番問題になるのは、専用船はそれに対応するだけの船体設計がなされるわけでありましょうけれども、一般貨物船に対する積み込みということになりますと、ややもすると復元性の問題というものが非常に重要なものになってこようかと思うわけであります。したがって、このコンテナ船の対策というものにつきまして、運輸省として今度の法律改正にあたってどういう配慮がなされたのか、お聞きをしておきたいわけであります。コンテナ専用船ではございませんで、一般貨物船がコンテナの輸送をやる、そういう関係についての運輸省対策であり配慮であります。
  62. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 コンテナに関しましては、いわゆる一般貨物を運ぶ最近の新しいコンテナ船というのと、それからいわゆる危険物関係を大量輸送するためのコンテナ船がございますが、先生の御質問は後者の危険物を大量輸送するためのコンテナ船じゃないかと思います。  危険物の大量輸送に関しましては、現在危険物規則におきまして、コンテナに危険物を収容して運搬することは認めておりません。それから、コンテナに関する積み付け検査というものは、ほかのものに対しては検査を行なっております。  それから復元性でございますけれども、デッキ積みに非常にたくさん積むということから、確かに復元性が問題であります。これにつきましては検討中でございまして、来年にでも規則制定したい、かように考えます。
  63. 米田東吾

    米田委員 このコンテナ船の安全対策につきましても、相当造技審では幾つかの問題提起をいたしております。いまの御答弁によりますと、大体今後規則でこの問題の処理については当たっていかれるように承知をするわけであります。しかし、たとえば造技審が指摘をしておりますような大型倉口による船体の強度あるいは係船、荷役、積み付け設備などの安全基準、それからコンテナ本体の強度、こういうような関係につきましては、これはやはり法律的に整備をし、規制するものは規制するという対策をとらなければならぬのではないかと思いますけれども、これらにつきましてはどういう見解でございますか。
  64. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 コンテナ船につきましては、日本にはまだございませんので、直接これを規制することはちょっと困難でございます。それでコンテナにつきましては、標準規格が、これは輸送でございますが、国際標準機構でいわゆる規格をつくりましてやっておりますので、一応それを参考にして現在つくっておるコンテナの検査を行なっておるという状況でございます。  それから国としましては、ことしの秋に最初のコンテナ船が就航する予定になっておりますので、IMCOのほうでいま検討しておりますので、これと平仄を合わせまして検討を進めるという予定にしております。なおIMCOにおいては、コンテナの一貫輸送体系において国際間の異同性があるということから、ことしの三月から開かれる第十七回の海上安全委員会で検討を始めるということになっております。
  65. 米田東吾

    米田委員 危険物の運搬等につきましては、法律的にはいまの御答弁措置されておることはわかるわけでありますけれども、問題は、日本の船といいますか、日本の国籍の船につきましては、この日本法律が適用されると思いますけれども、外国籍の船舶につきましては、日本国内法はそのまま適用されるということにはなかなかならぬのではないかと思うわけであります。特に心配されることは、ベトナム戦が非常に激化をして消耗度合いも激しい、したがって、これはコンテナだけには限りませんけれども、いわゆる危険物というものが当然海上輸送を経て日本に現に来ておるし、これからも当然運び込まれる。それがくず鉄であろうと、あるいは補修であろうと、とにかく入ってくることは現にあるわけでありますし、間違いないわけであります。そういう関係からくる海上における船員なりあるいは港湾荷役者の危険の防止ということも、私は重要な問題ではないかと思うわけであります。したがって、これは直接コンテナ船に対する取り締まりにかかわる問題になるかどうかはわかりませんけれども、こういう国際的な情勢を背景にしての危険物の輸送に関する危険の防止、こういう関係につきましては相当私は配慮をされておるものと思うわけであります。このことにつきまして、事故もあったように私は承知しておりますが、特にこれは船員局長からどのような配慮をなさっておられるのか、事故の現況はどうかということをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました港湾における危険品輸送にかかわります事故でございますが、ごく最近の事例といたしましては四エチル鉛による災害がございました。またガス薫蒸による被害もあったわけでございます。一般的に申し上げまして、船員のこのような災害防止につきましては、船員法に基づきまして労働安全衛生規則というものがございます。これによりまして労務官が常に監督をいたしておるわけでございますが、それにつきましては、危険物規則によりまして労務官が適切なる指導なり取り締まりを行なっておる、こういう実情でございます。この点につきましては、最近の事例にもかんがみまして、別途労務官に対し特別の通達を出す等、の防止に努力をいたしております。
  67. 米田東吾

    米田委員 ただいまの御答弁は、どうも通り一ぺんの答弁のように思うわけでありまして、労務官が監視をしあるいは実際に現場で検査をする、指導をするということでこの対策を進めておられるようでございますけれども、私が承知しているところでは、法的にもなかなかそういう労務官の活動というものは制約をされるし、それから、かりに事故や災害が起きた場合の処理についての責任が必ずしも明らかでない、責任の体制が非常に不十分であるというふうにも聞いておりますし、ことにいま御答弁のありました労務官の活動というものは、おそらく現場段階ではそれを評価するに足らないといいましょうか、そういう状況ではないかと私は承知をしておるわけでありますけれども、その点はもう少し突っ込んで率直なところを船員局長から御答弁いただけませんか。
  68. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま労務官の状態につきまして御質問があったわけでございますが、大体現在船員法施行のための労務官は全国に八十名配置されております。これが大体海運局あるいは支局あるいはその出先機関におるわけでございますが、御指摘のとおり、労務官の体制その他必ずしも十分とは言えないわけでございます。私どもといたしましても労務官の強化につきましては今日まで種々努力をしてまいっておるわけでございますが、まだ具体的に必要なだけの数を確保できないということはまことに申しわけないことだと思っております。今後さらに努力を続けてまいりたいと思います。  なお、具体的に問題になっております危険物関係の取り締まりあるいは取り調べにつきましては、現在は海上保安官が主としてこれを担当いたしておりまして、これはむしろ船員法の労安則の関係も非常に関係があるのでございますが、危険物輸送の規則関係になりますので、こういった点の応援も得まして、できるだけのことはいたしておる実情でございます。よろしくお願い申し上げます。
  69. 米田東吾

    米田委員 危険物船舶運送及び貯蔵規則、この中の第十一条、第八十九条、第九十条という関係で、監督なりあるいは立ち会い義務というものが規定されておるわけでございますけれども、そうしますと、これだけじゃなしに、いまの御答弁によりますと、海上保安官の配置やあるいは任務として、最近の危険物の運送あるいは取り扱い等に対応するだけの配慮をなさっておるというふうに答弁をされておりますが、そういうことで了承してよろしゅうございますか。
  70. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの労務官の体制は必ずしも十分ではございませんが、海上保安庁その他ともよく連絡をとりまして、できるだけこのような種類の事故が再発いたしませんように万全の措置を努力いたしておる次第でございます。
  71. 米田東吾

    米田委員 時間もあれですからちょっと先を急ぎますが、いずれにいたしましても、このコンテナ専用船あるいはいわゆるコンテナ船、こういうものに対する船舶の、安全、それから人命、この人命の中には船員だけじゃなしに、港における荷役に従事する労働者も含めた人命の安全、こういうものにつきましてはいま御答弁をいただきましたが、なお今後、これに対しては十分対策をとっていただきまして、国際的な海運の進歩に合わせるように努力をいただきたいと思います。  加えて、危険物という関係につきましては、私さっきも申し上げましたように、日本の現状に照らしまして、国内関係よりも国外の関係、ベトナムとか沖繩とか、そういう国外の関係に対応して、これはやはり十分な対策というものを必要とするように思います。海上輸送を通して日本にこれは当然入ってくる——日本から出ていくというものは、この安全という面についてはそうたいして問題がないと私は思いますけれども、日本に入ってくる危険物の積み込みの際に確認ができないで、そういうものが手つかずに日本の港に入ってくる、そして日本の港では日本の労働者、船員がその荷役に携わる、そういうことから事故というものが一方的に日本の側に被害として出てくるということがあるわけでありますから、こういう関係につきましては、また十分な対策と配慮を要望申し上げておきたいと思います。  ついででございますから御質問したいのでありますが、特殊船といわれる部類に入るのか入らないのか私よくわかりませんが、水中翼船などというものはどの部類に入るのですか。
  72. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 水中翼船は、船舶の部類で安全の規制をやっております。
  73. 米田東吾

    米田委員 私しろうとでちょっとわからぬのですが、たとえば熱海あたりで初島まで海上を走って行ったり来たりして人を乗せてやっておりますが、そういうものについての安全対策というものは、その適用は一切船舶安全法でありますか。
  74. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 さようでございます。
  75. 米田東吾

    米田委員 そういうものに対する取り扱いといいますか、対策というものも十分行なわれておりますか。
  76. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 水中翼船を例にとりますと、水中翼船を日本で輸入しあるいは開発し、これに関する必要な安全のための基準をつくるのに時間をかけております。それで一切、向こうのたとえば定員を少し減らしたり、そういうことで安全の確保につとめております。したがいまして、船舶安全法としましては、一応暫定的に基準を設けてそれによって律しているという状態でございます。
  77. 米田東吾

    米田委員 あわせて、この前もお聞きしたのでありますけれども、船舶安全法適用外の小さい船、たとえば砂利船だとか石船だとか、あるいははしけのように引かれて——引き船といいますか、そういうものに対する安全という問題もきわめて重要ではないかと思うわけであります。これは船舶安全法の適用外の問題ではありましょうけれども、海上における船舶の安全ということになりますと、これも重要な関係でございます。この前海上保安庁の説明によりますと、東京湾における砂利船については、海難という関係ではきわめてよくなって、ほとんど事故がなくなっておるとうい説明がございましたけれども、たとえば瀬戸内海等にある石船、あるいは臨海工業開発等が進められておる地域、埋め立て港湾形成、そういうところでは、現にこの小船を利用して土砂を運んでおるわけであります。そういうものについての安全対策というものは運輸省のほうとしてはどういうふうに進められておるか、このことについて御質問しておきます。
  78. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 小型船、いわゆる船舶安全法適用外の船舶は、きわめて隻数が多いわけです。その大部分を占めるのは漁船でございますが、そういう意味でなかなかこれの検査その他で安全を政府確保するということにつきましては直接できませんので安全法の二十九条によりまして、都道府県知事にこの規則をつくるようにお願いしているわけでございます。  それから、ただいま砂利船のお話がございましたが、砂利船につきましては確かに相当数の船がございますが、全国的に見ますと、おもに静岡県の大井川、富士川の河口、それから和歌山県の紀ノ川、日高川の河口、それから兵庫県の家島、広島県の似島、徳島県の吉野川の河口、こういうところが大体その中心になっているところでございまして、これの総隻数と申しますと、これは私のほうで調べた数字でございますので、正確を欠くかとも思いますが、大体千二百九十隻ほどございました。それで、そのうち総トン数百トン未満の船について言いますと、実は大体がもう近回りのものでありまして、今度この安全法改正で満載喫水線をお願いした百トン以上の沿海の船につきましては、幾らも数がないという状態でございます。
  79. 米田東吾

    米田委員 第四条関係でもいずれお聞きいたしますけれども、特に漁船の二十トン未満、これはこの法の適用外だということ、それから、これは二十九条でしたか、これにも入らないこの二十トン未満の船舶についての安全、特に乾舷あるいは喫水の義務づけ、復元性、いろいろ安全についての基準があるわけでありますが、そういうものにつきましてはどこでどういうふうに監督し、それから実際にいまどういう現況にあるか、おわかりでありましたら聞かしていただきたい。
  80. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 総トン数二十トン未満の漁船と申しますと、水産庁の四十一年十二月の統計表によりますと、三十八万九千隻となっております。それでこういう漁船の安全性につきましては、一番大事なことは操業水域に適応した安全基準を適用することでございます。それで、漁船の航行水域規制については、これはなかなか行動範囲も広いということでありまして、二十トン以上の漁船を含めて、一緒にこの辺の現状を把握する必要があるのではないか、こういうふうに考えておりまして、これにつきましては、いま水産庁と協力いたしまして、模型試験あるいは実船試験ということを含めまして、技術的な解明を行ないまして、操業の実態を調査しようということでございます。それでこの結果を待ちまして、総トン数二十トン未満の漁船に対しましても、地域的な特性とかあるいは航行の範囲とか、そういうものを考慮しまして、もし国でどうしても規制する必要があるという結論に達しますれば、そういう線で検討を進めたい、かように考えております。
  81. 米田東吾

    米田委員 検査官体制につきまして若干御質問申し上げたいと思います。  前回委員会説明によりますと、ことしの予算で若干検査官を増員して、現状に対応する体制をつくっていこう、こういうような御答弁があったようであります。この面につきましては、造技審答申等でもこのことを指摘しておるようであります。それからIMCO協力という関係からいきましても、この検査官の制度は国際協力という関係では重要な役割りを果たす必要があろうかと思います。この検査官の現在の配置状況や人員、これからの検査官養成、そういう関係につきまして、ごく簡単でよろしゅうございますから、答弁していただきたい。
  82. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 現在検査官は二百十六名おります。それで昭和四十二年度に四名の増員をいただきました。したがって、その後も多少の事務増ということは考えられるわけでございますので、四十三年度については一応いろいろ、たとえば認定事業場の拡大とか、あるいは型式承認制度の活用とか、それから設計検査における計算の方法、これを合理化するとか、そういうことで極力合理化をはかりまして、現在定員で来年度はやっていきたい、こういうふうに考えております。  なお、検査官の素質の向上につきましては、これもなかなか十分とはいきませんけれども、年に二回その研修を本省で行なっております。
  83. 米田東吾

    米田委員 検査官養成という関係につきましては、ひとつ今後とも十分配慮願いたいと思います。  次に、もう時間がありませんのではしょりましたが、この船舶安全法のいわば目的とするものは、海上における人命の安全、これが基本だろうと思います。そのために船舶の安全を確保する。そこで海上における人命の安全という範疇の中には、当然海上における船舶の上に働く船員労働者の安全ということが基本になろうかと思うのであります。しかしこの船舶安全法というものは、たてまえはそうでありますけれども、航行に必要な船の安全を守るというところに主体がありまして、その海上勤務者である船員の安全あるいは災害対策については従になっている。もっとはっきり言うと、このことについては十分な保護体制というものはなされておらないように思うわけであります。  そこで私は船員局長にお聞きをいたしますけれども、今度の造技審答申の中に非常に画期的なものが一項入っております。それは、私のいただきました資料の十三ページの(2)「居住、衛生設備等」というところに、造技審答申としてこういうことばが出ております。「船員設備に関するものは、運輸大臣から船員中央労働委員会にその基準について諮問しており、総トン数二00トン以上の船舶(漁船を除く。)について答申が出されている。したがって、この答申内容を他の関係法令と調整を図りつつ船舶安全法体系にも取り入れるべきである。」こういう問題提起をしているわけであります。私はこれは非常に画期的な問題提起ではないかと思う。船員局長はこの答申について検討されておると思いますけれども、どういう態度をお持ちでございましょう。私は、前段申し上げましたように、海上における船員ないしは船舶従事者の安全をもっと重視しなければならぬ、この面が現行船舶安全法の中ではきわめて不十分だという前提に立っておるわけであります。そういう立場から、この造技審答申は非常に評価すべきだ、そうしてこれを船舶安全法体系の中に取り入れるという前向きの姿勢が必要ではないか、こう思いますけれども、ひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。
  84. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 一般的に申しまして、船舶で働いております船員の安全、衛生あるいは災害防止の関係につきましては、御指摘のとおり、船舶安全法関係とはこれを切り離しまして、船員法という法律がございます。船員法の中に船員の安全、衛生に関する根拠条文がございます。従来、船員の安全及び衛生につきましては、この条文に従いましていろいろ整備をいたしております。先ほど申し上げました労働安全衛生規則も、この条文によって規定されておるものでございまして、一応船員の安全、衛生に関する体制は、船員局といたしましては万全の措置を講じておるつもりでございますが、なおさらに努力してまいりたい、こう考える次第でございます。  また、ただいう答申に関連いたしまして御指摘のございました船員の船内設備のことでございますが、この船内設備につきましては、この答申にございますように船員中央労働委員会で、すでに総トン数二百総トン以上の船員の船内設備の基準につきましては答申が出ておりますので、これにつきましてはやはり船員法に基づく省令として本年中にこれを省令化するように、ただいま準備中でございます。ただ安全法との関係を十分考慮しなければならないということでございますので、この船員の船内設備につきましては安全法で受け持っていただく部分、それから船員法が本来みずからの仕事で受け持つ部分は、今後船舶局ともよく相談して調整いたしまして、両々相まって船員の安全及び衛生に遺憾のないことを期していくつもりでございます。
  85. 米田東吾

    米田委員 船員局長の御答弁で大体いいのでありますけれども、なお最後に要望いたしますが、おっしゃるとおり、船員の安全対策というものについては法律的には分かれておる、そういうことでございましょうけれども、これは造技審答申の指摘、あるいは船主協会等でも最近はそういう指摘をしておるようであります。要するに船舶安全法というものは船舶の航行の安全にのみ重点が置かれ過ぎて、同時に解決をしなければならない船員の海上の安全対策が埋没をしている、こういう指摘をしていると思います。したがって、法律的にこれを整備するとすれば、いまあなたが答弁されましたように、船員の安全については、船員安全規則でありますか安全法でありますか、そういうところで解決ができるとおっしゃっておられるわけでありますけれども、この船舶安全法というその法律自体についてそういう指摘をしているわけでありますから、そこらあたりの点につきましても十分配慮をしていただきたいし、その前提になるのは、最近においては船員災害が非常に多い。統計的にも非常にこれは多くなっておる。そういう点からの一つの反省として、私はそういう指摘も出ているのではないかと思うわけでありますから、ただいまの御答弁にさらに要請として申し上げたいのは、十分ひとつこの造技審の問題提起等を受け入れていただきまして、今後船員の安全ということについて特段の努力をしていただきたいと思います。  それで、委員長、午後から私、第四条の無線関係について御質問したいと思いますので、もし午後なければ、この次でもけっこうでありますけれども……。
  86. 大野市郎

    大野委員長 了承しました。  午後一時より再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕