○佐藤(美)政府
委員 第一点は、「船舶航行の
現状に照らし、次の諸点を含む本法の全面改正をすみやかに図るべきである。」ということで、その内容といたしまして、「原子力船に関する必要な事項」、それから、「漁船に対し救命設備等に関し他の船舶に対するものと同様の安全
基準を
確保するための事項」、その次には、「沿海区域を航行する船舶について無線設備及び適正な乾舷を
確保するための事項」、それから、「第二十九条、第三十二条に
規定する船舶についてもそれぞれ
現状に照らし、安全性を向上させるための事項」。
それから第二点としまして、「次の諸点についてすみやかに
対策を樹立すべきである。」ということでございますが、第一点は、「船員設備に関する条約に即応するため船員設備
基準を早急に制定する等国内
体制を整備すること」、第二点は、「小型漁船についての安全性を
確保するよう
措置すること」、第三点は、「最近における海難
事故にかんがみ、船舶検査
体制を整備し、検査が一層有効適切に行なわれるよう
措置すること」、以上でございます。
これに対します現在までの
措置といたしましては、まず第一点の第一番目の原子力船に関する事でございますが、これにつきましては、原子力第一船の建造スケジュールに合わせまして、原子力船の施設
基準として原子力船特殊
規程というものを制定いたしました。これは四十二年の十二月でございます。
次の、漁船に対する救命設備に関するものでございますが、救命設備は第一に、搭載人員と同数の救命胴衣を備えるほかに、最大搭載人員を収容することができる救命艇、救命いかだを備えつける義務を設けました。
次に、遭難信号自動発信機、SOSブイといっておりますが、備えつけを義務づけました。
次に、消防施設でありますが、機関室、居住区域等における消火器等の備えつけの
基準を強化しました。
それから、漁獲物の積み過ぎ、漁具等の搭載物の甲板積みつけ等による転覆浸水等の海難を防止するため、条約の適用を受けてない漁船、すなわち大体いわゆる漁労船でございますが、そういうものに対しまして復原性の
基準を適用するというふうにいたしました。
また、載貨のための指針といたしまして、乾舷マークを標示することを義務づけました。
なお、従業制限につきましては、操業区域の制限を含めて安全性と合致するように従業制限を検討すべきだという、これは造船技術審議会の答申の趣旨に沿ってただいま検討しております。
それから次に、無線設備についてでございますけれ
ども、無線設備及び乾舷の
確保については、今回の改正を行なうわけでございます。
それから、いわゆる小型船、三十二条に
規定する船舶の安全性の向上についてでございますが、これは都道府県
知事規則の制定を促進するために、昨年六月、法第二十九条の
規定に基づく都道府県規則の規則例というものを運輸省でつくりまして、これに基づいてつくれるように指導しております。
それから第二点の「次の諸点について」という関連事項でございます。一つは船員設備でございますけれ
ども、これにつきましては運輸
大臣から船員中央労働
委員会に対しまして、その
基準について諮問をしております。昨年十二月の十六日に、総トン数二百トン以上の船舶、これは漁船を除いておりますけれ
ども、これについて答申が出されております。この答申の趣旨に従って、
関係法令の整備を行なうように目下検討中でございます。
次に、小型漁船の安全性を
確保するように
措置するということにつきましては、総トン数二十トン未満の小型漁船の安全性の
確保について、先ほど申しました造船技術審議会の答申の趣旨に従いまして、これから十分その運航形態を
調査いたしまして、安全
基準の検討を進めたい、かように
考えております。
それから、船舶検査
体制の問題でございますけれ
ども、これにつきましては、検査
業務量というものが非常に多くなっております。それから検査の内容というものも、技術的に相当に複雑化しております。したがって、それに対する検査官の研修の制度の強化を促進するということ。それから、予算の要求。これは人員要求等が非常にきつうございますけれ
ども、四十二年度には一応四名の増員が認められております。
また、最近タンカーとか漁船に対しまして、定期的な検査以外は就航前の
状態で立ち入り検査を行なうという保守
状態を検査しております。
以上でございます。