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1968-03-08 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅波  茂君       中川 一郎君    水野  清君       井上  泉君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       岡本 富夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         水産庁次長   森沢 基吉君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         郵政省電波監理         局無線通信部長 石川 晃夫君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         日本電信電話公         社営業局次長  中林 正夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月六日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  米田東吾君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員沖本泰幸辞任につき、その補欠として岡  本富夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第三七号)  日本国有鉄道経営に関する件(信越本線の雪  害事故に関する問題)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。米田東吾君。
  3. 米田東吾

    米田委員 私は、大臣所信表明に付随して報告されました、信越本線の越後岩塚塚山間における死傷事故の問題につきまして、若干御質問を申し上げます。時間が制約されておりますから、問題をしぼって質疑をいたしますので、答えもなるべく質問の趣旨に沿って簡潔にお願いしたいと思います。  まず国鉄当局にお伺いいたしますが、この二月十二日の信越本線岩塚塚山駅間における死傷事故原因究明その他につきまして、調査が終わっておりますかどうか。もし終わっておりましたら、大要説明していただきたい。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 去る二月十二日の午前八時四十六分、信越本線岩塚塚山間死傷事故につきましては、当時当委員会事故の概要だけを御報告申し上げました。その後現地の新潟支社におきまして、種々当時の状況等調査をいたしました。結局、塚山信号検査長信号検査掛が、除雪作業に従事する作業員三名を引率して駅を出まして、そしてその作業員は時計並びにダイヤ等は完全に所持したということがはっきりいたしております。また、作業に出かける前に注意を受けて行ったのでございますが、あと一、二分すれば列車トンネルから出るという状態でありましたが、トンネルの中に入りまして間もなく、客三三二列車と申します逆方面から来る列車、これは定時八時四十一分に岩塚駅を出て塚山に八時四十五分に到着の予定で、六十キロの速度で運転してまいりましたが、隧道の中で、一たん逃げかけたのでございますが逃げおくれまして、外側に出るときに列車に触れて検査掛並びに女子作業員二名がなくなったということで、原因は大体判明いたした次第でございます。  もう少し詳細につきまして御質問ございますれば、担当のほうから御説明いたさせます。
  5. 米田東吾

    米田委員 私も資料をもらっておりますので大要はわかりましたが、私が質問する問題点を申し上げますと、この事故責任はどこにあるのか。はっきり言えば、国鉄責任かどうかということであります。その点どうですか。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 事故責任につきましては、純粋に天災とは申せないのでございます。したがいまして、なくなりました検査掛は非常に気の毒でございますけれども検査掛として引率する際の注意についてあるいは欠ける点があったのじゃないかというふうに考えますが、いずれにいたしましても検査長を使っているのは国鉄でございます。その意味で、もしその検査長作業員を指揮する際の過失があったとするならば、それは使用者としての国鉄過失というふうに言わざるを得ないと思います。
  7. 米田東吾

    米田委員 ちょっとあいまいだと思うのですが、副総裁、これは二月十五日付の新潟新聞新潟日報であります。これによりますと、国鉄新潟支社では二月十四日に安全対策会議を開いてこの事故調査をやった。その結果、渡辺恒夫検査掛列車確認を怠ったことが原因である。要するに十分な注意を怠り、国鉄職員として当然——当日の列車運行ダイヤはそう乱れておらない。定時汽車も入っておる。それやこれや、当然果たすべき注意を怠ったということが、この安全対策会議の結論のように出ております。そうだといたしますと、これはやはり明確に国鉄責任であるということを認めておられるのじゃないかと私は思うのでありますけれども、再度お伺いします。
  8. 磯崎叡

    磯崎説明員 その対策会議の結果も私ども十分聞いております。まあなくなりました故人でございますので、個人を責めるような形になることを申し上げることは私としては非常に心づらいことでございますけれども、いま先生お話しのとおり、若干この故人の引率にあたっての注意が足りなかったというふうに認めざるを得ないと思います。したがって、それに対する使用者としての国鉄責任はある、こういうふうに考えます。
  9. 米田東吾

    米田委員 国鉄新潟支社が出しましたことしの新潟支社管内の「雪害対策と概況」、それから新潟県の知事が出しました今度の二月豪雪を中心にいたします「豪雪対策」、これらの資料によりますと、この岩塚駅の事故原因といわれましょうか、除雪人夫の動員の状況が明らかにされておる。あなたのほうも調査をされておると思いますけれども、この資料によりますと、この冬二月二十九日までの国鉄新潟支社が動員した除雪人夫は二十二万六千二百十二名、膨大な数字になっています。それから新潟県の知事資料によりますと、新潟県では大体今度の豪雪で一日約七千八百人が除雪人夫として就労をいたしておる、そういう資料が出ております。それからさらに新潟県知事資料によりますと、新潟県では国鉄当局の要請によりまして、豪雪に備えて除雪組合をつくっておる。これが新潟県内調査をいたしますと、百九十三組合、二万四千二百二十五人が職安を通して登録されておる。国鉄がもうきちっと掌握しておるわけです。こういう状態になっております。特徴的なのは、このうちの約七〇%が婦人であります。男子は約三〇%、そのうち約一〇%くらいは男は出てこない。大体出てくるのはその中の二〇%程度。そういたしますと、大体七五%から八〇%程度は全部女の除雪人夫によってまかなわれておるということが資料によって明らかであります。そういう現状考えますときに、私はこの事故の問題は決して軽視ができないと思いまして御質問をしておるわけであります。  そこで、いま副総裁の御答弁によりますと、大体国鉄側責任を認めておられる答弁だと思います。歯切れが悪いようでちょっとあいまいなところがありますけれども、しかし責任責任として国鉄は負う、責任国鉄にあるということを副総裁答弁されております。それでひとつお聞きいたしますが、この犠牲者に対する補償は、もう一カ月たっておりますから、遺族に支払うなり手続は済んでおると思いますけれども渡辺君とそれから二名の女の犠牲者に対して、国鉄当局がとられました補償金額を示していただきたい。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 すでに補償手続を全部済ましております。ただ、たいへん申しわけないのでございますが、こういう場合の金額は公にしないというたてまえになっております。その点は、いままでのどんな事故の際にも、個人にお渡しいたします金額につきましては公にしないという、実は遺族とのお約束などもございますので、金額実額の発表はお許し願いたいと思います。ただし、算定のしかたにつきましては御説明させていただきます。
  11. 米田東吾

    米田委員 それはおかしいと思います。これは地方新聞に出ております。すでに新聞に、大体の金額、それから特別に国鉄当局がこの事故に対しまして、問題点重要性その他を考えられまして、いろいろ苦労されたその事情等も含めて報道されております。ですから、いまさらこの委員会金額が公にされないということはちょっと了解できないのであります。
  12. 井上邦之

    井上説明員 なくなられました二人の方は、国鉄のほうで申しますと臨時雇用員という立場でございます。臨時雇用員の方が業務上なくなられました場合の取り扱いといたしまして、私どものほうでは臨時雇用員等業務災害補償取扱基準規程という規程をちゃんと設けております。その規程に基づきまして今回のような事故の場合の取り扱いはちゃんときまっておりますが、今度の場合は特に職員も死んでおりますので、実質的には職員事故死と同じであると私どもが判断いたしまして、できるだけ職員に準じた取り扱いをするようにということを、新潟支社のほうに連絡、指示をいたしました。その線に沿って、支社のほうで事務を進めております。あるいは事務は完了いたしたかもしれませんが、まだ金は先方には渡っていないだろうと思いますけれども事務は完了いたしたかと思います。その規程に基づきまして算定をするのでありますから、金額につきましておおよその見当はつくわけでございます。したがいまして、新聞でどのような金額が出ましたか、私それを見ておりませんのでわかりかねますが、規定算定方がありますから、それを見ればおおよその推測はつくということで新聞に出たのではなかろうかと思います。先ほど副総裁から申し上げましたように、実際の金額につきましては、これまでいろいろなところで鉄道事故に関連してなくなられました場合もいろいろございますが、そういう場合の遺族補償金につきましては公表いたさないということにいたしております。
  13. 米田東吾

    米田委員 やはり金額のおおよそでもいいから示していただかないと、次に進まぬのであります。それで、私、いま答弁いただきました国鉄当局臨時雇用員等業務災害補償取扱基準規程、この資料をいただいておりますからわかりますけれども、やはり実際あなたのほうで計算をされて、それぞれの事情を勘案されて、渡辺君には幾ら、それから死なれたこの方々幾ら幾ら計算の結果、答えが出たその金額を私はどうしても知りたいのであります。それで、公表しないということで固執されておりますけれども、ひとつ資料要求いたしてもいいのでありますけれども、これらの審議に間に合わないわけであります。ですから、メモでもいいから、私にひとつすぐ答えを示していただきたいと思います。何でしたら大綱、おおよそのめどでもけっこうであります。
  14. 井上邦之

    井上説明員 繰り返して申し上げるのではなはだ恐縮でございますけれども、具体的な金額については御容赦願いたいと思いますが、大体こういうことで算定するという算定の大筋だけは申し上げられます。  まず、遺族補償一時金というのを出します。これは大体基本給日額に直しまして、日額の千百日分を出します。それから年金を出しますが、年金基本給月額の六カ月分を出します。ただし、これは一時金を出します関係で、六年後、七年目から年金は支払います。そのほかに総裁からの弔慰金でありますとか、あるいは支社長また所属の現場長、それぞれの弔慰金を出します。またそのほかに、葬祭料といたしまして若干金額が出ます。(「その金額はきまっておるのですか」と呼ぶ者あり)それはきまっておりますが、葬祭料だけ申し上げれば、これは十五万円であります。
  15. 米田東吾

    米田委員 いま答弁いただきましたが、私が見たところでは、災害補償取扱規程大綱は、労働基準法の千日分と、それから六十日分という基準に大体合致しているように思うのです。ですから、何だかんだおっしゃっておられますけれども基準法のいわば規定で、一時金については千日分のところにプラス百日分を加えた。それから葬祭料については六十日分の見舞い金その他は、これはどこでもあることでありますから、これは国鉄だけじゃなくて、自動車事故で死んでも見舞い金はあるのですから、これは全然別であります。国鉄当局がお払いになるのは、これと、それから七年目から年金を支払われる、こういうことでございますか。それから同時に、この補償職員である渡辺君と、それから人夫も同列に同資格者として支払いをされる、取り扱いをされる、こういうことでございますか。
  16. 井上邦之

    井上説明員 労働基準法の定めるところとあまり変わりはないのじゃないかというお尋ねでございますけれども、実は遺族補償弔慰金につきましても、計算をいたしました額が最低額に達しない場合には最低額を出すということで、最低額はかなり基準法どおり計算いたした場合よりも上回っておる。それから、葬祭料につきましても、これは基準法どおり計算よりも最低保償額として上回っておるわけでありまして、基準法よりはかなり上回った額であると私は思います。  また、職員に準じた者の場合はどうかというお尋ねでありますが、先ほど申しましたとおり、職員に準じた取り扱いをいたすということで、実質的には同じ算定方法を用いることにいたしております。
  17. 米田東吾

    米田委員 わかりました。念のために聞いておきたいのでありますけれども、この点については、私は遺族と会っておりませんからわかりませんが、民法上の損害賠償、この点につきましては、当局としてはどのようにお考えになっておるわけですか。そういう請求があれば応じざるを得ない。特に私は、これは民法の七百九条、七百十五条等の条文に照らしましても、国鉄当局賠償の責に当たらなければならぬというたてまえが残ると思うわけであります。したがって、遺族が納得されればいいけれども民法上の損害賠償関係に発展いたしますと、国鉄当局としては、これに応ずるという御見解でございますか。
  18. 井上邦之

    井上説明員 ただいま仰せのとおり、民法上の損害賠償請求がありますれば、私どもとしては当然これに応じねばなりません。
  19. 米田東吾

    米田委員 時間があれですから……。補償関係につきましては、大綱はわかりました。責任国鉄当局が認めておられますから、私はもうこれ以上のことは申し上げませんが、問題は、私が読み上げましたように、これは豪雪地帯でないと、実際問題として皆さんにはおわかりにならぬと思うのでありますけれども、とにかく延べ約二十三万人の農村婦人労働者国鉄除雪人夫として、雪が降れば動員されて昼夜を分かたず除雪作業に当たる。そうして国鉄のほうでも人夫を集めるのにいろいろ煩瑣がありますから、除雪人夫組合あるいは職安を通しまして、部落の長とか農事実行組合責任者等に委嘱の形式をとりまして、そうして沿線の部落部落除雪人夫というものを常にかかえておる。そうして、この組合がさっき申し上げますように、百九十三組合新潟県内だけで登録されているのが二万四千二百二十五人という実情である。この雇用契約関係、それからこういうものに対しての安全教育、あるいはその対策、これは基準法上にも明記をされて、使用者責任を負わされておる。基準法第五十条です。とにかく三メートルあるいは四メートルという豪雪の中で、ふぶきの中で、しかもいつ汽車が来るかわからぬという、そういう危険の中で、しかも御婦人であります。こういう方々が、これだけの国鉄に対する協力体制をとっておるわけであります。  そこで、国鉄当局といたしましては、こういう除雪人夫関係につきまして、これは前回のこの委員会でも答弁をされておるようでありますけれども、なお不明確でありますからはっきりさせておきたいと思いますが、どういう契約方法をとっているか。あなたのほうからいただいた資料によれば——これは二十年前のあなたのほうの内規でありまして、職安法にかからぬように考えられまして、中間あっせん業者を入れないとか、あるいはボスを追放するとか、とにかく職安法体制を取り入れながら、形式的にはそういう方法をとって、人夫確保内規をつくっておられるようでありますが、そんなことで私は、この約二万四千人の人夫を常態として雇って、国鉄当局除雪の実効をあげるような体制に至らせるには不十分だと思うし、ほかに何か手を使っておられると思うのであります。したがって、どういう方法でやられておるのか。それから今回の事件にもかんがみまして、一体安全教育なり対策なりというようなものが明確であるのか。それから賃金も、その保線保線区によって違っておるようでありますけれども、平均いたしますと、一日女で八百円、男で約千円の賃金だというふうに私の調べたところでは聞いておりますけれども、この金額等についても当不当をあなたのほうでは検討されておられると思う。そういう点では一体どういうふうに思っておられるか。何よりもこの除雪人夫に対する労働者としての取り扱い契約、それから安全衛生教育、こういうようなものについてどうされているか、ひとつ説明をしていただきたい。
  20. 磯崎叡

    磯崎説明員 総括的に私から御答弁申し上げます。  いま先生お話しのとおり、豪雪地帯の冬期の輸送確保ということにつきましては、私どもは、ほんとうに真剣になってやっておるつもりでございます。何と申しましても、やはり、なるべく人力から機械力にたよるということは当然でございまして、すでに三十八年の豪雪以降二百億近い金を投じまして、除雪についてのいろいろ機械を整備いたしましたり、あるいは融雪溝等の整備をいたしておりますが、お示しのとおり、段切り等につきましては、どうしてもいまの機械力ではできない、やはり人力によらざるを得ないという現状は、先生の御承知のとおりであります。しかしながら、新潟あるいは富山、福井といったような地帯におきましては、現在では農村男子労働力が非常に枯渇いたしております。したがって、ことに冬になりますと、ほとんど男子がおらない、と言っては極端でありますが、非常に少ないということで、私のほうでは、たとえば新潟につきましては、佐渡から三、四百人の人の応援を頼むという形で労働力確保いたしておりますが、その新潟の例から申しましても、過半を女子労働力に依存せざるを得ないということで、たとえば、過般なくなりました女性の方の一人は、実はすでに五年間毎年御協力をいただいておった方でございまして、もう一人の方も三年ほど前から来ていただいておるということで、新潟地方輸送確保するためには、どうしても新潟女性の力にたよらざるを得ないということで、私どもといたしましては、労働力確保につきましては、むしろ輸送確保という面から非常に慎重に、また相当気を使っていろいろ仕事をさしておるつもりでございます。こまかい計画等につきましては担当の者から御説明申し上げさせますが、私どもも、雪については相当苦い経験をいたしております。しかし、やはり何と申しましても、根本は、どこまで除雪機械化できるかということが一番の問題でございます。その次に、どうしても機械で間に合わないところをどうやって人力でカバーするかというこの二点に重点を置きまして、今後とも除雪については十分配慮してまいります。こまかい点につきましては担当者から申し上げます。
  21. 米田東吾

    米田委員 なるべく簡単にお願いいたします。おっしゃるあたりよくわかりますが、ただ、私も雪の中で生まれてきておるのですが、どんなに機械力が発達いたしましても、雪の場合は人夫はやはり必要です。私が聞きたいのは、そういう臨時的な人夫に対して——これは一人や二人じゃないのです。延べにいたしましても二十何万、しかも、登録されているのが二万四千、こういう者に対しては、私は、あなたのほうも、内部規程なり法的な措置としてでも、もう少し労働安全あるいは契約等について確立したものがあってもいいじゃないかということなんです。それで、この点につきまして、私は大臣からひとつ御答弁いただきたいと思いますが、あなたのほうで熱意がないと、私は災害対策特別委員会にこういう問題を提起いたします。これは豪雪地帯でなければわからぬのであります。ひとつこれを特別な立法措置なり何なりをしてもらわぬと、国鉄汽車の危険にさらされて、そうして実際は有線放送や何かで女の人がみんなかり出されておるのです。とにかく汽車を通すために協力してくれ、そうして、まあ一日八百円から千円をもらって、あの豪雪の中、寒さの中で働いているわけです。これにこたえるために、国鉄内部体制というものが必要じゃないか。あなたのほうは、まだいまの国鉄公社になる前の二十年前に、鉄道除雪の実施についてという要綱をつくりまして、それでいまやっておられるようでありますが、労働安全その他については全然考えられておりません。労働者の権利や地位というものは、二十年間にうんと向上しておるわけであります。国鉄だけがこんなものにぬくぬくとして、ただもう皆さん協力してくれればいいんだということだけでは、この婦人の生命の安全を守るなどということは、今日ではもうできないと私は思う。したがって、当局自身内部体制の問題として、こういう除雪人夫に対する取り扱いをひとつ考えてもらわなきゃならぬと思いますが、この点について大臣からひとつお考えを聞かしていただきたい。大臣も群馬県で雪のほうに近いのでありますから、おわかりだと思う。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 実情をよく調査しまして、検討いたしたいと思います。
  23. 米田東吾

    米田委員 大臣実情調査された上で善処しますというお答えでございますから、時間もありませんので、一応それで私は了承いたします。とにかく私は、この問題について少なくとも国鉄当局が私のほうに、ミスがありました、私のほうの責任でありますということを認められた上でのこの措置として、遺族補償その他の提起をいたしましたけれでも、私の真意はそこに問題があるのではなしに、こういう機会に、膨大化しているこの除雪人夫に対する人間的な取り扱い、近代的な雇用関係安全衛生関係というものを国鉄が確立しないと、人夫は集まらぬ、地域の方々はもう協力できない、こういうふうになっておるということをひとつお考えいただいて、どうか当局においては、この機会に万全の措置をとっていただきたいと思います。この点、最後にひとつ磯崎総裁からお聞きしておきたい。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうといたしましても、豪雪地帯輸送をどうして確保するか、結局道路はとまってしまって、鉄道がなければどうにもならぬという現状でございます。ですから、あらゆる手段方途を講じて豪雪地帯輸送確保につとめておりますが、やはりどうしても人力によらざるを得ないという現状でございますので、いまの先生のお話を十分体しまして、極力そういった方面労働者地位が十分安定できるように努力してまいりたいと思います。  先ほどことばが足りませんでしたが、現実に補償金を公表いたしませんのは、いろいろ相続の問題等がございまして、むしろ遺族側であまり喜ばれないという点がございます。決して私のほうで秘密とかなんとかいうことではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  25. 米田東吾

    米田委員 資料を要求しておきますが、その三名の方々だけでけっこうでありますから、個人別の一時金、それから七年後の年金の受け取り分——これにはいろいろ段階があると思いますけれども、その内容、それから見舞い、葬祭料、これの根拠と金額資料として私に出していただきたいと思います。それが一つであります。  それからもう一つは、現在国鉄当局がやっておられる除雪人夫等に対する労働安全教育なり、あるいはそういう対策的なものが、内部規程なり、そういうものとしてありましたら、あるいは支社長総裁の行政命令でもけっこうでありますが、そういうまとまったものがありましたら、資料として私に出していただきたい。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申しました総体の現実の金額だけは、ひとつごかんべん願いたいと思います。個別の葬祭料幾らということは申しますけれども、結局全体で幾らかということだけは公表しないという約束になっておりますので、その点だけはひとつ御容赦願いたいと思います。
  27. 米田東吾

    米田委員 そうですか、それでは根拠になるものでけっこうであります。  これで私の質問を終わります。
  28. 大野市郎

    大野委員長 委員長から一点だけ国鉄総裁質問したいのですが、安全を確保するための方法として、今回の事故で生き残った女性からの報告によると、警笛が聞こえなかったという報告があったそうですか、トンネルの中、それから警笛を鳴らすべき列車の位置、そういうふうな点で、安全教育に、豪雪中にはその点をやはり確かめておく必要があるのではないか、そういうふうに思いますが、この点、委員長から質疑を申し上げておきますから、しかるべき機会に、これに対する検討についてお答えいただきたい。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 承知いたしました。      ————◇—————
  30. 大野市郎

    大野委員長 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  31. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 船舶安全法の一部を改正する法律案のいろいろな資料をいただいておりますが、外務省、運輸省の連名で出されておりますこの説明書を読んでみましたところ、「わが国は、千九百六十六年三月の本件条約作成のための国際会議に積極的に参加し、わが国の造船業、海運業の経験に基づいて種々提案を行ない、その採択のため努力したところ、わが国の提案は、広く各国の賛同を得るところとなり、その結果、本件条約は、ほぼわが国が満足すべき内容をもって作成されておる。」こういうような説明が一番最後に出てくるわけでございますが、まずこの問題から中心に質問をしていきたい、こう思います。  そこで、一番最初にお伺いしたいのは、この説明に書いてあります一九六六年の三月の本件条約作成のために日本側からも相当数のデレゲーションを派遣されたと思うのでありますが、この主たる構成のメンバーはどうなっておるかということを伺いたいと思います。
  32. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 政府代表は駐英大使館の宇山公使でございます。同じく前船舶局長の芥川輝孝、それから政府代表代理といたしまして、ロンドン大使館の一等書記官である内村良英、間孝、それから運輸省の船舶局の検査制度課長の内田守、それから、政府代表顧問といたしまして、日本海事協会の会長山県昌夫、昭和海運常務取締役土井由之、日本船主協会常務理事野口悌三、大阪商船三井船舶常務取締役青山三郎、日本海事協会船舶検査員ロンドン駐在佐藤正彦、石川島播磨重工業船舶事業部技監柴田義幸、日本造船工業会技術部長西岡正美、三菱重工業船舶技術部次長山県彰、川崎汽船工務部長高城清、日本鋼管船舶部基本計画部長落合一郎、日本郵船船長、ロンドン支店吉永彦爾、日本海事協会船体部技師浅野順一、日立造船神奈川工場船舶部船舶設計課長加納正義、日本海事協会船舶検査員桝田吉郎、大阪商船三井船舶船長、ロンドン支店三隅田良吉、日本郵船工務部調査課長石井信夫、日本貿易振興会ロンドン・ジャパン・トレードセンター職員今村宏。なお、随員としまして、外務省国際連合局専門機関課外務事務官鬼頭弓月、在英日本大使館三等書記官杉野明、以上でございます。  なお、肩書きは当時の肩書きでございます。
  33. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この条約の改正にあたって、わが国が、造船業、海運業の経験に基づいていろいろがんばっていただいておるわけですが、わが国として主張した点あるいは提案を行なった点は、どういった点でありますか。
  34. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 皆さま御存じのように、日本は過去十年以上にわたりまして、その年の最大のタンカーをつくっておる。一度アメリカでつくられたこともありますけれども、毎年一番大きいタンカーを日本でつくっているという貴重な経験がございます。それで、この条約は一九三〇年の条約を改正したものでございます。したがいまして、当時はまだ船舶が非常に小さかったということでございまして、基準乾舷の表がございますけれども、そういうものが実は、まだ小さな船しかなかったわけでございます。これを日本は、一応その実績に基づきまして大型タンカーの乾舷を提案し、大体日本提案が取り入れられたということが第一点でございます。  それから第二点は、世界の海域を帯域に分けております。夏期帯とか冬期帯とか、そういうふうに分けておりまして、これがいろいろ喫水に影響するということになっておりますが、この帯域で日本の東岸、すなわち三陸沖でございますが、三陸沖、それから日本海、これらをいままでよりは軽減した、こういうことでございます。
  35. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 いま大型タンカーあるいは帯域の問題について主張したというような御説明をいただいたわけでございますが、これを適用船舶の拡大その他についてメートルでやるかトンでやるかというような主張、あるいはもう少し帯域についての主張等で、わが国の主張がいれられなかったのは何々がございますか。
  36. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実はこの条約は非常にこまかい技術基準でございますので、いれられるかいれられないかということは、先ほど申し上げました主要船以外は、いわゆるハッチのつくり方の問題とかそういうこまかい点がいろいろございまして、どの辺からいれられて、どの辺からいれられないのかということは、非常に困難だと思います。ただトン数は、大体いままでは百五十トン以上の国際航海に従事する船舶が適用になっていたわけでございますが、今回は二十四メートル以上と変わった点が、日本としてはいれられなかった、そのようにも申せるかと思います。
  37. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それではこの条約をわれわれが受諾するとしますと、そのメリットと申しますか、日本の海運界あるいは造船界にとってプラスになる面は、いまおっしゃった帯域の緩和とか、あるいは大型船の積み荷の増加等が有利になった。そういった意味合いが出てくるわけですが、ほかに何か、これを受諾することについてメリットになるものが出てきますか。
  38. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 大きなメリットは、先生がいまおっしゃいました、大型タンカーにつきましては、載貨量に換算しますと四、五%有利となり、喫水をいままでより深く沈めることができるわけです。そういう点でございまして、その他の、具体的に特にここが有利ということは、これは造船技術の進歩と相まちまして、特にこまかい点は、ちょっと——これを比較検討しまして、ここが非常に有利だということはちょっと言えないと思います。
  39. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ただいま局長から御説明いただいたのですが、この条約の中の第二十八規則フリーボード表によりますと、A型船舶に対するフリーボード表は、B型船舶に対するフリーボード表ともに日本の大型タンカーのためにがんばって主張したと、こうおっしゃっておりますが、三百六十メートルまでしか表はできていません。それ以上のものは主管庁が定めるところによる、こうなっておるようでございますが、もちろん一九三〇年の旧条約では一般船舶は七百五十フィート、タンカーは六百フィート、こうなっておるようですが、三十万トンタンカーというのは一体長さはどの程度ございますか。
  40. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ただいま三十万トンタンカーというのはございませんが、エッソから注文を受けました四隻の約二十七万六千トンでございますが、これがたしか三百四十六メートルだったかと思います。
  41. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 一九三〇年の条約のときには、タンカーは六百フィートすなわち百八十メートル前後あれば十分であるというてつくっておるわけでございますが、結局これは二、三十年の間に全然使いものにならなくなってきた、こういうわけでございます。そうしますと、三百六十五メートル以上のタンカーが——現在日本ではまだ三百六十五メートルをこすタンカーは正式には受注されていない、こういう御説明でございますが、三百六十五メートルをこすタンカーはすぐ出てくるんではないか、ここ二、三年のうちにあらわれるのではないかということは、もう少なくとも造船、海運に関係しておる者としては常識になっておるようでございます。そうしますと、この条約によりますと、私考えますのに、三百六十五メートル以上のタンカーが出てきた場合、この設計、構造、あるいはいろいろな問題等から見て、経済性を非常に重視して、安全性というものがおろそかになりやしないか。特にそういった船をつくる点から考えられて、こういう大型タンカーが出た場合、各国が主管庁が定めるということになると、国によって若干ニュアンスが違ってきて危険性が増大するんではないか、このようにしろうとながら考えられるのですが、その点はどうでございますか。
  42. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございますが、実はこの技術基準につきましては、政府間海事協議機構というのがございまして、年に数回会議を持ってやっております。この中では、ただ満載喫水だけでなくて、いろいろの海事問題を扱っておりますが、もし問題が起きるとすれば、その中でいろいろ議論しまして、そして各国の合意のもとで一応目安をつくる、それが正式に採択されるまでには相当の時間はかかると思いますけれども、一応内諾は得られるということで平仄は合うというぐあいに考えられます。
  43. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ひとつなるべくこの問題につきましても国際的な基準といいますか統一、話し合いというものを進めておいていただきたい、こう思う次第でございます。  次に、先ほど局長から帯域の問題について、日本側もメリットができた、こういう御説明をいただいたわけでございますが、三陸沖あるいは日本海が冬期帯域から夏期帯域に変わります。これは日本としてはメリットのうちの一つに考えられるわけでございますが、これは安全性の点を考慮してでございますか、それとも経済的な理由からでしょうか。
  44. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 いままで相当な安全的な経験を持っておるわけでございますが、帯域につきましては気象業務法によっていろいろ資料もとっております。それによりまして、この程度は、いわゆるこの条約の基礎となります帯域決定の条件を満足すればいいわけでございまして、最近の気象の観測網の発達によりましてこれが裏づけられたということから、この経済的な面も考慮して提案したわけでございますが、それが採択になった、かように了解しているわけでございます。
  45. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 今回は、これに、法の改正によりますと、内航船も義務づけておるようになっておるわけですが、これはどういった関係から義務づけられたわけでしょうか。
  46. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 いろいろ乾舷上の問題で海難を起こしておる内航船が多々ございましたので、われわれのほうとしては技術的な面を解明しておりまして、大体この線でいけるという目安がつきましたので、一緒にこれを改正の要点としたわけでございます。
  47. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その次に、この安全法第三条の改正から見ていきますと、いまちょっと触れましたが、内航船舶も二十四メートル以上の船舶が義務づけられるようになったわけでございます。私らやはりしろうとでよくわからないので質問が少しとんちんかんになると思いますが、船の設計をする上あるいは用途上から考えまして、トン数は同じであっても、メートルで表現した場合には長さは違うと思うのです。特にこれから私たちがこの安全法の改正を行なったあとの現象というものを考えてみますと、二十四メートルよりか五十センチでも六十センチでも短かったらいいのだ、トン数は百トンあるいは二百トンになってもいいということがあるいは考えられるのではないか、こう思うわけでございます。そうした場合に、砂利船とか小型カーゴ、それからいろいろな特殊船ですね、硫安船とかアンモニア船とかLPG船とか、サラダオイル船というようなものもあると思いますが、こういうものがどんどん出現してきまして、二十四メートルに足らなければいいのだということが出てくるのではないかという懸念を持つわけでございますが、これらの二十四メートルに足らない船に対する、しかもかすかすのものに対する指導というものは、この安全法改正後どのように考えておられますか。
  48. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 メートル、長さで切るということをいたしますと、それより小さいほうというのは必ず問題になるわけでございます。したがいまして、現段階ではすぐというわけにいきませんが、将来、その実態を調査いたしまして、もし必要があればそういうふうにこれと同じように進めていくべきではないかというふうに考えます。
  49. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 最後がちょっとわからなかったのですが、二十四メートル以上のいわゆる義務づける船と同じような何ですか。指導ですか。監督ですか。何をされるというおことばでございますか。
  50. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 二十四メートル以上につきましては法制的に取り入れたわけでございます。それから、二十四メートル未満につきましては、非常に小さな船、しかもいろいろたくさんの船がございますので、その実態を調査しましてそれから考慮したい、さように考えております。
  51. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。  その次に、現行法あるいは改正案、それから航行区域図、これを見た場合にちょっとわからぬ点がございますのですが、沿海区域を航行区域とする船で国際航海に従事するものにも免除するというものがあり、また、沿海区域を航行し国際航海に従事しないものに義務づけるという変な現象が起こるのではないか、こう思うのでございますが、これはどうでございますでしょうか。それで質問の趣旨はおわかりでしょうか。
  52. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ちょっと十分にキャッチしてない面があると思いますけれども、実はこの満載喫水線は沿海上の航行区域を持つものに対してつけたい。したがって、それと同等の海域を航行するものにつきましては、国際航海であると国内航海であるとを問わずこれを適用する、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、たとえば近回りで国際航海というのは、韓国とかそういうところがあるわけでありますが、そういうものは従来は条約の趣旨によって適用しておりませんでしたけれども、これは今度は適用する。なお、条約の面は適用外になるわけであります。
  53. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 条約面では適用外に、日本と韓国の場合はそのままにしておかれるわけですか。私がこれを質問しましたのは、いままでは内航船に対する義務づけがなかったわけですね。範囲の拡大を行なった結果、いわゆる国際航海に従事するものは当然受けなければならない。しかし、二国間の約束があればこれを免除することができております。ところが、いわゆる内航船二十四メートル以上のものについて義務づけを行なうようになった。そうしますと、沿海を航海するものについて義務づけがある面では非常にきびしくなる。もちろんゆるくなるものもあるでありましょうが、一応義務づけられる。ところが、二国間の航海をするものはこの義務づけがないということになると、いわゆる日本の内航船の皆さん方が見た場合非常に不平不満、問題が出てくるのではないか、こういう点で質問したわけでございますが、もう一度その点につきまして詳しく御説明願いたいと思います。
  54. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私の説明が十分でなかったかと思いますが、今度の改正によりまして、韓国を例にとりますと適用になるわけであります。ただ、条約上は免除の規定がございます。それで、条約上は実はそのまま適用しますといろいろな手続——手続と申しますか、そういうことはしなくてもいいように実際は適用をするということでございます。
  55. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 局長手続をせずに実際適用する、こういうことなのですか。実際は適用する、こうおっしゃられるのですか。
  56. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 沿海区域として適用しますということでございます。
  57. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。  この際、ついでにお聞きしておきますが、昭和三十九年一月に出された航行区域図がございますが、このいわゆる平水区域、沿海区域、これを修正あるいは変更されるお考えはいまのところございますか、ございませんか。
  58. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 沿海区域は距岸二十海里という原則に立ってつくっております。それから平水区域は湖、川、港内及び陸岸により囲まれた平穏なる水域ということで、一応の基準でこれをきめておりますので、簡単に変えられないというのが現状でございます。
  59. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 局長、この地図を実際ごらんになったことがありますか、おきめになっているものを。
  60. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 前から変わっておりませんし、私知っております。
  61. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この区域図を見ますと、へたをすると国際問題を起こすような図ではないかと私は考えるのでございますが、あとからもう一度よく見て、修正するものがあるとするならば変更していただきたい。具体的に申し上げますと、これは北朝鮮の豆満江の筋まで、それから同じく鴨緑江の端までが沿海区域に入っておる。もちろん沿海区域とするたてまえ上全然関係はないとは思いますけれども、またどういう問題があげ足をとられる材料になるかもわからないという点で御注意申し上げておく次第でございます。  その次に、満載喫水線と無線設備、いわゆる改正法第三条と改正法第四条を簡単な図にかいていただいておるわけでございますが、これは船舶局ではないと思いますが、これによりますと、第四条の無線設備の設置義務を、旅客船を百トン、旅客船以外の船舶を三百トン、このようにしてあるのですが、これはどういった理由からでしょうか。
  62. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 無線につきましては、一応電波の割り当て及びその有効の通達距離ということを考えてその範囲をきめておるわけでございます。それで貨物船について三百トンと申しますのは、これは一応条約の線をかりましてきめたわけでございますが、大体現状の電波の割り当て、特に無線電話が便利なために使われるわけでございますが、この電波の関係からこれを三百トンというふうにしております。それから客船の百トンでございますけれども、これも大体以上のような見地からきめたわけでございます。
  63. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 本日船舶局からいただいた資料がございますが、その前に、私の調査したもので、「海難種類別発生件数及び海難発生率(昭和四十二年)」という資料が私の手元にございます。これを見ますと、旅客船は、沿海区域で、百トン以上二百トン未満のものは無事故で、総隻数五十二隻あるようでございますが、二百トン以上三百トン未満のものは、衝突三、乗り揚げ一、火災一、総隻数十九隻のうち事故合計は五になっております。ところが、非旅客船の沿海区域の百トン以上二百トン未満を見ますと、衝突三十七、乗り揚げ百七、機関故障二十九、火災二十六、浸水三十七、転覆二十二、推進器故障七、舵故障七、行くえ不明一、その他五で、総隻数三千百八十のうち事故合計は二百七十八。それから二百トン以上三百トン未満の例をとってみますと、衝突十一、乗り揚げ三十、機関故障十四、火災三、浸水三、転覆二、推進器故障四、舵故障一、その他二、事故合計七十、総隻数五百十五。こういうように、旅客船ももちろん大切でございますが、非旅客船の百トン以上三百トンまでの事故が、四十二年だけで合計三百四十八回起こっておる。役所の資料から見ますと、旅客船百トン以上、旅客船以外の船三百トン以上というこの無線施設の設備の義務づけ、これは私はちょっと納得がいかない。それは、こういう小さい船が貨物船あるいは大型船にぶつかる、あるいはこれに具体的にありますように、乗り揚げをやる、あるいは転覆するケースも非常に多いんではないか、こう思うわけでございますが、それをやらなかった理由については、船舶局でもあるいは電波監理局でもどちらでもかまいませんが、もう一度御答弁願いたい、こう思います。
  64. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先ほど申し上げましたように、最近電話が非常に普及いたしまして、非常に便利でございますので、波の割り当てが十分に行きわたるようでございますと、その点は可能になるかと思います。
  65. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それでは電波監理局にお伺いしますが、電電の基幹通信所の整備は——VHFの分でございますが、どの程度に進んでおるでしょうか。
  66. 石川晃夫

    ○石川説明員 電電公社のほうでは大体整備は終わりまして、日本全国を沿海と通信連絡できるようになっておりますが、最近、沿海を航行する船舶の数がふえてまいりましたので、私たちはその需要に応ずるために、一昨年の十二月にチャンネル・セパレーション——周波数をこまかく割ったわけでございますが、それに関します工事がまだ数年残っているわけでございます。それができますと、大体現在の施設を使いまして、約四千四百隻の船を収容できるようになると思います。  海上保安庁のほうにつきましては、保安関係でございますが、現在工事計画を実施中でございますので、この点につきましては海上保安庁のほうから御返事いただきたいと思います。
  67. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 先般、無線設備の適用が拡大されましたものが、大部分電信ではなくて電話を利用する、VHFの電話を御利用になるということで、郵政省のほうからお答えがございましたように、現在では電電公社の交換台を通じて、保安部ということを呼んでいただけばすぐに保安部につながるようになっておりますが、いまお話しのように、電話が相当こんでおりまして、交換台のお話し中の場合もあるということで、一昨年来安全通信については、海上保安庁の出先機関ないし船艇が直接船舶から電話が聞けるようにいたしたいということで、逐次整備してまいっておりまして、四十二年度までは京浜、名古屋、大阪、神戸、門司の五大港港内並びにその周辺、それから瀬戸内海地区の整備を終わりました。なおその付近に所属する船艇百八隻について、いま申し上げましたVHF帯をつけております。四十三年度は、残っております東海地区、南畿地区について、現在御審議になっておる予算の中に含まれております。そういうところに、海上保安庁と直接通信できる専用の施設を保安庁において設備をいたすことになっております。なお四十四年度においては、この法律が施行になるということを前提といたしまして、残りの九州西南端、四国、北海道、房総、日本海、そういう区域について、日本の沿岸すべてを、海上保安庁の聴取体制ができるように整備いたしたい、かように考えております。
  68. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。もちろんこの義務船の施設実施施行日を海上保安庁のVHF整備計画に合わされるように、ただいまいろいろ議論があったように承っておるのでございますが、ぜひ早急にとの問題は実現していただくようにお願いいたしておきます。  次に、検査及び標示について若干お聞きしておきたい、こう思うわけでございますが、船舶検査官は現在何名程度おられますか。
  69. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 二百十六名でございます。
  70. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その配置はどのようになっておりますか。
  71. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 全国に海運局の本局及び支局を合わせて六十カ所ぐらいございますが、そこに配置されております。
  72. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この条約改正の会議にも、日本海事協会から二、三名出席されておられたようでございますが、日本海事協会に委託している事業及び内容はどのようになっておりますか。
  73. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 海事協会と申しますのは、イギリスにおけるロイド、アメリカにおけるAB、フランスのビューローベリタス、そういうふうに、大体船主、造船所、保険会社、そういうところが主体になりまして、船舶保険の大体のもとになる検査をする、いわゆる船級と申しておりますが、その船級をつける仕事をしているところでございます。日本の海事協会もまさに同じ趣旨で仕事をやっております。それで、外国と日本は多少違いますけれども、日本のほうは外国よりも大幅に仕事をまかしておりまして、まかしていないのは船員の設備とか救命設備、消防設備、そんな程度でございます。
  74. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これは委託料を払っておられるのですか、おられないのですか。
  75. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船舶安全法の八条によりまして、船級協会が行なった検査は政府が行なった検査とみなすということでございますので、委託も何もしておりません。ただ船級をとった船については、二重検査を避ける意味で、政府がその検査を省略しているというかっこうになっております。
  76. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 次に標示でございますが、われわれも船が好きで、よく横浜とか神戸へ行くわけでございますが、標示が非常に見えにくくなっている船等もときどき見かけるわけでございます。この標示に使っておるペイントといいますか塗料、あれは何か基準がございますか、ございませんか。
  77. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 見やすい色であれば何でもいいことになっております。
  78. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その標示が薄くなっておる場合は、いままでどのように指導監督あるいは検査をされておりますか。
  79. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 一般には国の検査におきまして定期検査とか中間検査、またものによっては臨時検査というのがございまして、そういう検査を通してやっております。
  80. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。  その次に、この安全法並びに条約に監督ということが出ておりますが、この件について若干お聞かせ願いたい、こう思います。昭和四十年、四十一年度、外国船をどの程度監督されましたでしょうか。その大ざっぱなしかた並びに数字を御説明願いたいと思います。
  81. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 外国船の監督は地方海運局及び海上保安署が当たることになっておりますが、現在のところ、外国船で条約違反をして積み過ぎたというようなことは聞いておりません。
  82. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、監督の決定とかあるいは監督の必要を認めた事情が生じたことはない、こういうわけでございますか。
  83. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 さようでございます。
  84. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと、全部この国際条約に基づく基準の船ばかり、また積載もそのとおりになっておった、日本へ来る外国船は全部そのとおりであったということに裏返して考えますとなるわけでございますが、間違いございませんか。
  85. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 日本から積む積み荷の種類にもよると思いますけれども、大体日本から持っていくものは雑貨類がおもだと思いますので、そう喫水を深くとっていくというものはあまりないと思われます。また外国のほうは、外国の港から出るときにすでに外国の官憲によってチェックされますので、日本に着くときには油の消費、水の消費、その他のいろいろな消費によりまして、すでに喫水が軽くなっておるという状態だと思います。
  86. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 だいぶ時間が過ぎたようでございますが、次に電波監理局にお尋ねいたしたいと思います。本日も表をいただき、前からも表をいただいたのでございますが、いろいろお尋ねしたいことがあるわけでございます。  いままで当委員会においてもたびたび問題が出ておったようでございますが、まず船舶通信株式会社というものがあるようでございますが、この設立趣旨はどうなっておるでしょうか。
  87. 石川晃夫

    ○石川説明員 この件につきましては、電電公社から見えておりますので、そちらのほうから……。
  88. 中林正夫

    ○中林説明員 ただいまの先生の御質問は、日本船舶通信株式会社の設立問題だと思いますが、船舶電話サービスは、港であるとかあるいは沿岸を航行中の船舶から、陸上の加入電話と通信をしたい、あるいは船舶同士が通信をしたい、そういったためのサービスでございまして、このうちの陸上の基地局の関係の建設、保守、運営といったものは公社で直営でやっておるのでございますが、船のほうに電話機器を取りつけるとか、あるいははずすとか、保守申し込み、こういったような仕事につきましては、何しろ昼夜をおかず船が出入しておりまして、非常に特殊な形態の仕事でありまして、何でも直ちに受け付けてすぐに取りつける、あるいは船に乗り込んで保守をする仕事ですので、専門的に会社において運営する、また民間の資本を活用するというような趣旨から、日本船舶通信株式会社がこれを取り扱われておるというふうに考えております。
  89. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 資本構成はどのようになっておりますでしょうか。
  90. 中林正夫

    ○中林説明員 授権資本は十億でございます。それで現在払い込み資本額は六億円でございます。
  91. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 主たる株主はどういうことになっていますか。
  92. 中林正夫

    ○中林説明員 主たる株主は電電公社、それから海運、造船、倉庫関係が八十七、銀行、損保関係が二十五、地方公共団体が二十八、その他三十五ということになっておりまして、全体の六億円のうちの三億二千五百万円が公社出資でございまして、率にいたしまして五四・二%でございます。
  93. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その次は役員構成と、その役員の最終——民間出身の方はよろしゅうございますから、役所出身の方の最終経歴を承りたいと思います。
  94. 中林正夫

    ○中林説明員 役員の中の常勤の役員は、代表取締役鈴木恭一、参議院議員でございます。代表取締役専務取締役山下武、これは電信電話公社理事でございます。常務取締役西山辰巳、これは民間の大阪商船三井船舶株式会社の海務監督でございます。同じく常務取締役の横井大六、日本電信電話公社海外技術連絡室長、同じく常務取締役の大河内靖久、郵政省郵政大学校長、取締役の神戸支店長岩隈勝治、郵政省北陸電波監理局長、取締役横浜支店長佐藤高二、これはずっと前から日本船舶通信株式会社におりまして営業部長をやっておりました。  それから監査役は石井喜高、日本船舶通信株式会社の取締役、横浜支店長、同じく監査役成松馨、財団法人のスポーツ振興資金財団監事を兼ねております。なお、あと非常勤の取締役は省略いたします。
  95. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 電電公社その他がいまおやりになっている、この会社が中心になっておやりになっております問題でございますが、いずれこれは逓信委員会における質疑のときにいろいろお聞かせ願いたい、こう思っておるわけでございますが、船舶安全法の改正の問題だけに問題をしぼってお尋ねいたしますと、いままで方式1をつけ、さらにこの法律改正が行なわれますと方式2をつけるようになるわけでございます。今回は適用範囲の拡大ということで、小さい船にもつけるように、また資本が小さい会社も義務づけられるようになるわけでございます。したがいまして——私が言うよりか当局皆さんのほうが詳しいと思いますが、いままではほとんど五百KCあるいは二千二百八十二KC、ただいまもらいました資料等によるこういうものが、全部自費でつけまして五十万から七十万円かかっておった。今度は方式1と方式2を併用するものを取りつけますと、百万ないし百五十万かかるように聞いておりますが、この金額は間違いないでしょうか。
  96. 石川晃夫

    ○石川説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお話のございました百五十メガサイクル帯の無線電話でございますが、これを自前でつけますと、工事費も合わせまして約九十八万ぐらいというふうに算定しております。これは十ワットでございます。
  97. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この施設をいろいろな船に貸しておりますね。それは間違いございませんか。
  98. 石川晃夫

    ○石川説明員 電電公社の携帯局といたしまして日本船舶通信会社を通じて貸しておりますのは、現在方式1のみの場合は月額二万二千円でございます。方式2をつけ加えますと、それに四千四百円加わりまして、合わせまして二万六千四百円となるわけでございます。
  99. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先に賃貸料をおっしゃったのでございますが、原価も大体九十八、九万円という御説明でございますが、この船舶通信株式会社はこれをどういう契約で各船に貸しておりますか。それとも電電公社が直接にお貸しになっておるのでしょうか。その点を承りたいと思います。
  100. 石川晃夫

    ○石川説明員 この点につきましては電電公社のほうからお願いいたします。
  101. 中林正夫

    ○中林説明員 通信機器につきましては、一般の船舶通信株式会社のほうで年間の販売数というもの、最近は大体六百くらいでございますが、予備も含めまして一〇%増し程度のものを日本無線株式会社及び安立電気株式会社から購入いたしております。それで、船舶のほうへ取りつける方法は、一般の加入電話の場合と同じく貸与するという形でございまして、使用料金につきましては、先ほどお答えいたしましたように二万二千円というふうになっております。
  102. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 通話料はどのようになっておるでしょうか。
  103. 中林正夫

    ○中林説明員 通話料につきましては、船舶電話の場合には特定地域というのがございまして、そこに対しましては三分まで九十円ということになっております。三分をこえる一分までごとに三十円というものが加算される。なお、基地局の範囲から相当遠いところにかかる場合には、それにさらに市外通話料金が加算される。そういう仕組みになっております。
  104. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私、実は事前に申し上げてなかったのですが、方式1を使った船の年間通話料は大体どの程度になっておるか、もしおわかりなら教えていただきたい。数字が出なかったらあとから教えていただければけっこうと思うわけです。
  105. 中林正夫

    ○中林説明員 ただいまちょっと資料の持ち合わせがありませんので、後ほど調べた上で御報告いたします。
  106. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ちょうどいただきました時間が参りましたのでこれで質問を終わらしていただきたい、こう思うわけでございます。あちこち飛び飛びになりましてまことに恐縮いたしておる次第でございますが、全体的に見まして、今回の条約の改正並びに改正案というものは、いろいろの面について問題等はあると思うわけでございますが、船舶の航行の安全という点について非常にきめのこまかい思量をなされておることを私は感謝する次第でございます。質疑の途中で二、三御要望いたしました点につきましては、今後船舶局あるいは電電公社等においても大いに留意しておいていただきたい、こう思う次第でございます。どうもありがとうございました。
  107. 大野市郎

    大野委員長 米田東寺君。
  108. 米田東吾

    米田委員 船舶安全法の一部を改正する法律案の内容に入る前に、二、三お聞きをしておきたいと思いますので、まずそのことから御質問を申し上げたいと思います。  昭和三十八年の三月八日衆議院の運輸委員会における附帯決議、これは三十八年の法改正のときの附帯決議であります。これが大きく分けて二項、さらにこまかく決議の項目が述べられております。まず、この委員会の附帯決議が今日までどのように措置をされてきたか。それから今度の法改正にこの附帯決議の部分がどういうふうに取り入れられておるのか、おらないのか。まず、そこから御質問を申し上げます。
  109. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 第一点は、「船舶航行の現状に照らし、次の諸点を含む本法の全面改正をすみやかに図るべきである。」ということで、その内容といたしまして、「原子力船に関する必要な事項」、それから、「漁船に対し救命設備等に関し他の船舶に対するものと同様の安全基準確保するための事項」、その次には、「沿海区域を航行する船舶について無線設備及び適正な乾舷を確保するための事項」、それから、「第二十九条、第三十二条に規定する船舶についてもそれぞれ現状に照らし、安全性を向上させるための事項」。  それから第二点としまして、「次の諸点についてすみやかに対策を樹立すべきである。」ということでございますが、第一点は、「船員設備に関する条約に即応するため船員設備基準を早急に制定する等国内体制を整備すること」、第二点は、「小型漁船についての安全性を確保するよう措置すること」、第三点は、「最近における海難事故にかんがみ、船舶検査体制を整備し、検査が一層有効適切に行なわれるよう措置すること」、以上でございます。  これに対します現在までの措置といたしましては、まず第一点の第一番目の原子力船に関する事でございますが、これにつきましては、原子力第一船の建造スケジュールに合わせまして、原子力船の施設基準として原子力船特殊規程というものを制定いたしました。これは四十二年の十二月でございます。  次の、漁船に対する救命設備に関するものでございますが、救命設備は第一に、搭載人員と同数の救命胴衣を備えるほかに、最大搭載人員を収容することができる救命艇、救命いかだを備えつける義務を設けました。  次に、遭難信号自動発信機、SOSブイといっておりますが、備えつけを義務づけました。  次に、消防施設でありますが、機関室、居住区域等における消火器等の備えつけの基準を強化しました。  それから、漁獲物の積み過ぎ、漁具等の搭載物の甲板積みつけ等による転覆浸水等の海難を防止するため、条約の適用を受けてない漁船、すなわち大体いわゆる漁労船でございますが、そういうものに対しまして復原性の基準を適用するというふうにいたしました。  また、載貨のための指針といたしまして、乾舷マークを標示することを義務づけました。  なお、従業制限につきましては、操業区域の制限を含めて安全性と合致するように従業制限を検討すべきだという、これは造船技術審議会の答申の趣旨に沿ってただいま検討しております。  それから次に、無線設備についてでございますけれども、無線設備及び乾舷の確保については、今回の改正を行なうわけでございます。  それから、いわゆる小型船、三十二条に規定する船舶の安全性の向上についてでございますが、これは都道府県知事規則の制定を促進するために、昨年六月、法第二十九条の規定に基づく都道府県規則の規則例というものを運輸省でつくりまして、これに基づいてつくれるように指導しております。  それから第二点の「次の諸点について」という関連事項でございます。一つは船員設備でございますけれども、これにつきましては運輸大臣から船員中央労働委員会に対しまして、その基準について諮問をしております。昨年十二月の十六日に、総トン数二百トン以上の船舶、これは漁船を除いておりますけれども、これについて答申が出されております。この答申の趣旨に従って、関係法令の整備を行なうように目下検討中でございます。  次に、小型漁船の安全性を確保するように措置するということにつきましては、総トン数二十トン未満の小型漁船の安全性の確保について、先ほど申しました造船技術審議会の答申の趣旨に従いまして、これから十分その運航形態を調査いたしまして、安全基準の検討を進めたい、かように考えております。  それから、船舶検査体制の問題でございますけれども、これにつきましては、検査業務量というものが非常に多くなっております。それから検査の内容というものも、技術的に相当に複雑化しております。したがって、それに対する検査官の研修の制度の強化を促進するということ。それから、予算の要求。これは人員要求等が非常にきつうございますけれども、四十二年度には一応四名の増員が認められております。  また、最近タンカーとか漁船に対しまして、定期的な検査以外は就航前の状態で立ち入り検査を行なうという保守状態を検査しております。  以上でございます。
  110. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  さらにちょっと突っ込んでお聞きいたしますが、この第一項の(イ)号、原子力船に関する事項、この項につきましてはあとでもう少し、これは内容の段階で聞きますけれども考え方としてこの機会に聞いておきたいのであります。今度の法改正のいわば前提となるこの国際満載喫水線条約の批准、それから現に批准されております海上人命安全条約についての基準、こういうものからいたしまして、しかも先ほど説明がありました造技審の答申というようなところからいきまして、この原子力船に関する安全という関係については、焦眉の問題として取り組まなければならないと思うし、当然今回の法改正にこれはまず出てこなければならない問題ではないか。この法律は、三十八年以降法改正がなされておりません。そういう点から考えまして、毎年毎年今回のような法改正がなされるとも、これは技術的にも考えられないことであります。どうしてこの関係が、今回のこの改正案の中に入ってこなかったのか。いまの説明では特殊規程というようなものをこの建造に見合って、これはおそらく行政指導か省令だと思いますけれども、出しておられるとおっしゃっておられるのでありますが、法律的にこういう原子力船に対する基準というものは明確にしなければならぬと思うのでありますが、その点について考え方をひとつ聞かしておいていただきたい。
  111. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 原子力船に関する日本の第一船は四十六年に完成する予定になっておりますが、先ほど申し上げました原子力船の特殊規程は、この船をつくるのに支障がない、安全性を確保するための規程であるというふうにつくっております。したがいまして、法律改正の問題は、ただいまの段階では特にしなくてもやっていけるというふうに実は了解いたしましたので、いずれ法律改正の時期がくるかとも思いますけれども、損段階ではまだ法律改正までする必要がないじゃないかと考えましたので、今回はしなかったわけでございます。
  112. 米田東吾

    米田委員 どうもそういう答弁では納得できません。確かに四十六年に第一船が建造されるという計画でございましょうけれども、それまでに当然停泊地あるいは原子炉その他建造に合わせての検査なり、それから建造後の体制というものが、この船舶安全法関係とはあるいは離れるかもしれませんけれども、国内法の整備関係としては当然出てくる問題であります。したがいまして、そういうこととも関係いたしますと、現在のこの省令といいますか、あなたのほうの行政指導で事足りるということについては理解ができません。特に、これはあとでも質問をしたいと思いますが、停泊地の関係等につきましては政治問題になっておる、こういう関係について、もう一回ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  113. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船舶安全法の面から見ますと、先ほど申し上げましたように、一応技術基準の問題だけでございますので、特に出さなかったわけでございますが、確かにいろいろ第三者補償の問題とかそういうこと、原子力船全般として考えますと、原子力船に関するあらゆる法律との関係において十分に検討する必要があると思います。たとえば第三者の補償の問題とか、いろいろの問題がございます。したがいまして、そういうことにからみますと、船舶安全法の面でも考慮しなくちゃならぬということがあるかもしれませんが、現段階ではそういうように認められませんでしたので、改正しなかったわけであります。
  114. 米田東吾

    米田委員 この問題は、またあとでお聞きいたします。  次に(ニ)項について。第二十九条、三十二条の関係、要するに府県知事の規則に基づく小さい船の規制の関係でございます。これは、いまの御答弁では、昨年の六月準則等を定めて行政指導をやっておるという御答弁のようであります。実際にこれは各都道府県知事の段階でそれが受け入れられて促進しておりますか、掌握しておりますか、その点ひとつ御答弁願いたい。
  115. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私のほうから指示しましたのは一つの基準でございまして、いろいろこまかい面におきまして、相当技術的な内容を示しております。これにつきまして各都道府県の受け取り方と申しますのは違うようでございます。ただいま向こうのほうの県の規則として一応承認を求めてきておるのは、済んだのは二県だそうでございます。それからその他いろいろ折衝と申しますか、行なっておりますので、進むものと考えております。
  116. 米田東吾

    米田委員 これもあとの内容でまた触れていきたいと思います。一応答弁いただきましたから了承します。  次に二項の「次の諸点についてすみやかに対策を樹立すべきである。」という決議であります。この項の(イ)項につきまして、いま御答弁いただきましたが、御答弁の中で、私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、これは造船技術審議会ですか、造技審の答申があったように聞いておるわけでありますけれども、答申があったのですか。いつ答申があったのですか聞かしてください。
  117. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船員設備につきましては、船員中央労働員委会にこの基準について諮問をしまして、そして昨年の十二月十六日に答申を受けておるわけでございます。
  118. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、船舶の安全という関係あるいは検査というような関係での造技審の答申はまだございませんか。大臣の諮問に対する答申はあったかないかお聞きいたします。
  119. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船員設備につきましては、船中労で行なうということになっております。
  120. 米田東吾

    米田委員 いや、私が聞いたのは、昨年ですか、大臣が諮問されておりますね。それに対して答申があったかどうか、こういうことであります。諮問されたのはたしか昨年の六月だと思います。「船舶の安全性の向上を図るため、船舶の検査制度の改善に関して、当面とるべき対策について」という諮問がなされております。これの答申があったのかないのか。
  121. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 答申がございました。一月の三十一日でございます。
  122. 米田東吾

    米田委員 答申をひとつ資料として出していただきたい。
  123. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 了解いたしました。
  124. 米田東吾

    米田委員 引き続き質問いたしますが、その答申の趣旨というものは、今回のこの改正の中に織り込まれておりますか。改正の趣旨は三条と四条の改正のようであります。この船員設備その他に  ついては出ておらないようでありますが、これはどうでしょうか。
  125. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 去年の六月の諮問でございまして、並行して仕事を進めてまいりましたので、できるものは大体今回の改正に入れたわけです。その大きな問題が結局、今回の満載喫水線の改正と無線電信の改正でございます。  なお船員設備につきましては、先ほど申し上げましたように船員労働委員会のほうでやられておるわけでございます。
  126. 米田東吾

    米田委員 わかりました。いずれまたあとで御質問いたします。  それではこの措置模様につきましては、不十分さもあると思いますから、この委員会の審議を通じまして、いずれ再度、現状に即して附帯決議が必要であるかどうかをあとでまた御質問をしながら検討したいと思います。  次にお聞きいたしますが、条約の批准、要するに国際満載喫水線条約、この批准に基づいて、国内のいわば法体制というものを整備する、またその基準以上に拡大をする、こういう趣旨だろうと思うのでありますが、この条約の審議はまだ国会では手がつけられておらないと思うのですね。外務委員会に出されておらないように聞いておりますが、おくれておるのはどういうわけでありますか。それから、これはいつごろ国会に出されるのですか。その点お聞きいたします。
  127. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 われわれの了知しているところでは、今月の中ごろには外務委員会に付託されるのではないかと聞いております。おくれました理由は、御承知のように非常にこまかい技術基準でございますので、ミスプリントがあるとかなんとか、そういったことだったように思います。
  128. 米田東吾

    米田委員 基本的にこの国際条約は、要するに人命の安全、船舶の安全というたてまえから、その基準が質的に高まるわけでありますから、条約の批准も、それから今回の法改正もそう私は問題はなかろうと思います。ただ心配されるのは、条約関係は外務委員会であります。私どもは国内法の関係で、船舶安全法の一部改正という問題を審議するということになると思う。外務委員会で審議するのは、これを批准するかしないかということだけでございましょうけれども、われわれが審議する段階ではやはり関連する問題等が出てくると思うのであります。そういうことにつきましては、運輸省のほうとしては、この船舶安全法だけはばかに手回しよく出されておりますけれども、どういうふうにお考えでございましょう。場合によればこの委員会は審議をストップしなければならぬと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  129. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 外務委員会のほうに対しましても早く御提出するという外務省の意向でございましたが、事務的な手続でおくれておるというだけのようでございます。したがって、審議をお願いしている間に外務委員会に付託になり、すぐ御審議をいただく、かように考えております。
  130. 米田東吾

    米田委員 これは委員長にお願いをしておきますが、とにかく外務委員会はまだ条約の審議に入っておりません。私どもは審議にはもちろん協力いたしますし、きょうも発言をし質問をしておるわけです。今後理事会等におきまして、外務委員会のこの問題についての取り扱い、また本委員会との関連等お考えいただきまして、情勢によっては審議を一時押えてもらいまして、あるいは連合審査等の方法もあると思いますから、そういう方法をひとつ委員長においてお考えいただきますように、冒頭お願いしておきます。
  131. 大野市郎

    大野委員長 了解いたしました。
  132. 米田東吾

    米田委員 そこで条約の関係では、これは外務委員会に入りますが、一応運輸省の考え方をお聞きしておきますけれども、いままで船舶の安全に関する国際機関の勧告なり条約なり、そういうものは相当出されておると思います。これはそのつど国内法の改正あるいは省の規則とか規程とか、そういう省令によりまして指導がなされておると思いますけれども、今回のこの法改正にあたりまして、特に一九六〇年の海上における人命の安全に関する条約、これは現に批准しておるようです。それからあわせて今回批准されるわけでありますが、国際満載喫水線条約、さらにそれ以前の船舶の安全、人命の安全という関係の国際機関の勧告なり条約なりにつきまして、国内法の体制がまだそろっておらない、取り残されておる、あるいは批准しておらない、そういう関係のものがありましたら、参考までにひとつ聞かしていただきたいと思います。
  133. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 一九六〇年の海上における人命の安全の国際条約と、それから今度批准の承諾をお願いしています一九六六年の満載喫水線の国際条約、これは全部船舶安全法に入るようになっております。  それから関連します条約といたしまして、ILOの船員設備の条約及び荷役設備の条約、こういうものがございます。それでILOの関係は先ほども申し述べましたように、一応入れるものは船員法とそれから船舶安全法、両方の面でいままで盛ってきておりますし、もし今後そういうことがあればもちろん盛っていくわけでございます。それから荷役設備につきましては、すでに船内の設備として船舶安全法に盛るものは、その実体は盛っております。それからいわゆる船外の労働者作業行為と申しますか、そういうことにつきましては労働基準法のほうに盛っておりまして、実際的には条約の違反というようなことは出てこないわけであります。
  134. 米田東吾

    米田委員 さらにお聞きをいたしますが、国際海上危険物基準の承認の勧告、それからばら積み貨物に対する安全積みつけ基準の承認の勧告、これらにつきましての国内法の関係は、どういうふうに現在取り入れられておりますか。
  135. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 危険物につきましては、船舶安全法の省令としまして、危険物船舶運送及び貯蔵規則というような規則がございます。これに全面的に取り入れております。なお、この規則は条約以上に非常にこまかい規則になっております。  それからばら積みでございますが、これは特殊貨物運送、貯蔵規則という規則でばら積みその他の規制をやってまいっております。
  136. 米田東吾

    米田委員 船舶の安全、今回の法律と直接関係があるかどうかわかりませんけれども、お聞きしておきたいのでありますが、ILO条約の三十二号条約、船舶の荷役に従事する労働者の保護に関する条約、これについてはどうでございますか。
  137. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船内設備として安全法に規定したほうがいいと思われるものは、船舶安全法の規則に詳細に規定してございます。
  138. 米田東吾

    米田委員 わかりました。外務省の条約の関係の方もおられませんし、これ以外の問題はいずれまたあとで、外務委員会の審議を見まして御質問していきたいと思います。  次に、海上保安庁がおいででございますので、この法改正の参考としてぜひお聞きしておきたいのでありますが、海難の状況につきまして、ひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。特に私は、外航、内航、漁船含めまして現在の状況がどうなっておるのか、それからそれに対する対策というものがどういうふうに海上保安庁において進められておるか。これらの関係につきましては、関連の部分は水産庁からもお答えをいただきたいと思うわけでありますが、これをひとつまず聞いておきたいと思います。
  139. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 最近における海難の発生状況について概略御説明申し上げます。  当庁で救助を要する海難、要救助海難といっておりますものが、四十一年におきまして二千八百二十四件、四十二年、一月から十二月まででございますが、二千七百四十七件でございます。そのうち漁船につきましては、四十一年は千百四十五件、四十二年は千百九十六件、機船と申しますものが四十一年は八百八十九件、四十二年が九百七十三件、機帆船が同じく四十一年五百十七件、四十二年三百三十一件、こういう状況でございますが、さらに長い目で見ますと、漁船の海難は最近においてやや横ばいである。終戦直後から比べますと、全体の海難件数のパーセンテージは非常に低くなってきております。これは漁船の装備が非常によくなってきた、ことにエンジントラブルというものの絶対数が減ってきた。しかし、憂うべきものはまだまだ多数ございます。  最近の海難で目立ちますものは、機船の海難、特に五百トン以下の海難は絶対数が非常に増加をしてまいっております。それからなお注目すべきことは、海難の起こり方によっては船舶あるいは積み荷、乗り組み員だけの被害でなくて、よそへ及ぶ可能性のある海難、海難というよりはすでに災害というべきもの、これは現実に京浜運河においても室蘭においても、タンカーの大事故が起こっております。また外国におきましても、昨年の三月におけるイギリス海岸における大型タンカーの大事故、最近においてはアメリカ近海のプエルトリコにおけるタンカーの港内における沈没、わが国におきましても小型、大型のタンカーの事故、幸いにして昨年一ぱいは大きな被害を及ぼすに至っておりませんけれども、小型タンカーでは依然として沿岸の水産業に対して相当な打撃を与えた海難が起こっております。  私どもは、最近の海難の状況を達観いたしまして、まず機船につきましては小型船の海難を減少させるにはどうしたらいいか、それから漁船については遠距離海難が増加している、これは漁船の出漁が相当遠海、遠い海に行っておるということでございます。それから最後には、先ほど申し上げました危険物、原油をはじめLPG、LMGその他危険物を輸送する専門船の型が大きくなると同時に、数が急激にふえております。これらに対処する方法考えております。  小型船につきましては、今回の船舶安全法の改正で、乾舷を、満載喫水線を決定するということによって——実は乾舷マークの指導が昨年から始められて、この近辺でいいますと、東京湾近辺における砂利船の沈没件数は最近皆無になっております。これはおそらく指導の結果であろうとわれわれ非常に喜んでおります。今回はっきり法律として、施行期日までには若干問があるようでございますから、海上保安庁といたしましても、船舶局の検査官と協力いたしまして、現場の乾舷の維持ということについて指導いたしたい、かように考えております。  なお、小型鋼船の海難は、やはり交通が非常に増加してきたという点も着目しなければならぬというふうに考えております。  なお、漁船につきましては遠距離海難がふえておるということでございますので、これに対応するために救助のための船艇の整備ということで、遠距離海難に対処するために昨年、二千トン型の遠洋で救助し得る巡視船一隻の完成を見ましたが、引き続き今年予算が成立しますれば、もう一隻二千トン型の巡視船を完成させたい。なお、航空機につきましても、遠距離海難用の長距離を飛べるYS11型というものを本年内に完成いたしたい。これも現在国会の予算審議にかかっておるわけでございます。  最後に、まだ国会に提出段取りに至っておりませんけれども、危険物、ことに大型のタンカー、あるいは大型のLPG船等の航行規制、あるいは港内における荷役の規制等を含む海上交通法案というものを準備いたしまして、事後における救助措置のほかに、事前における海難の防止、ことに海難が第三者に影響を及ぼす、つまり水産、動、植物に及ぼす被害、あるいは沿岸の公共、住民に対する被害、海難の様相が変わってまいったというのに対応した新たな海上交通に関する法規制の準備を鋭意進めておるところでございます。
  140. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 水産庁からもお答えを申し上げます。  漁船の海難事故現状につきましてはいま海上保安庁長官から詳しく御説明がございましたので、私からつけ加えるものはございません。亀山長官が言われましたように、大体漁船の遭難事故というのは、過去の経緯から見ると減る傾向にございましたが、最近やや横ばい、そのとおりでございますが、一般海難の中に占める漁船の遭難の比率というのは四割以上、非常に高いものでございます。最近漁場の拡大等を勘案いたしまして、水産庁といたしましても、海難の防止、さらに人命の保全、そういうものにつきましてはできるだけの努力を続けているつもりでございます。  具体的なことにつきまして若干御答弁を申し上げますと、漁船の遭難事故は、台風時のものを除きまして、一般海難ではいろいろ原因があると思いますが、私たち水産庁の立場から見ておりまして、やはり多いのは、船体とか機関の酷使の問題、それから積み荷の積み過ぎ、さらに荒天をおかしてあえて出漁するというふうなことが原因になっておる場合が非常に多いというふうに見ております。したがいまして、ちょうど昨年、農林大臣の許可で、われわれ漁業法で指定漁業と申しておりますが、これの一斉切りかえをいたしました区切りもございまして、一昨年から研究してまいりました漁船の適正な載貨の基準、先ほど船舶局長お話しになりましたけれども、こういうものをきめまして、漁業法の許可に基づく場合に、これは二十トン以上の船舶でございますけれども、漁船の建造許可をいたします場合の基準として、さらに漁業の許可を出します場合の適格性、条件、制限というものに関連をさせまして現在指導を行なっております。  それから、特に漁船の中でも小型の漁船につきまして、今回改正を提案されておりますものの対象になりません二十トン以下につきましても、かなり比率的には事故が多いわけでございます。こういうものにつきましては、特に機関の事故が多いという点にかんがみまして、四十二年度におきましていろいろ技術的に研究もしました。小型漁船の機関の安全基準というものを設定いたしまして、現在これの普及につとめております。先ほど安全法二十九条の都道府県知事による規則の話が出ましたけれども知事がいろいろ小型船につきまして規則をおきめになる場合にも、こういう機関の基準というものは一つの目安になるだろうという考え方もございましてやっております。それからさらに機関だけでございませんで、小型漁船の船体等につきましても、さらに小型漁船の安全基準というものをつくるべく、現在調査を取り進める計画を持っておるのであります。実態を十分つかみました上で、機関の問題だけでなくて、小型船の安全基準というふうなものにも取り組みたいという考え方でございます。このほか乗り組み員の訓練の問題でございますとか、沿岸漁業の構造改善事業を通じまして沿岸の無線施設の整備、さらに漁港、特に避難港に当たります第四種漁港の整備、こういうものはほかの整備計画の中でも優先的に取り上げるというふうな手を打っております。さらに漁船保険関係では、巡回指導員の制度がございますので、特に沿岸の漁船保険組合に巡回指導員を置く制度を持っております。こういう指導員を通じまして極力事故の防止につとめるというふうなことを現在やっております。現在御案内のとおり、非常に漁場も拡大いたしてまいりましたので、今後ともますます運輸省御当局とも十分御連絡をとりながら、漁船事故の減少さらに防止につきまして努力していきたいというのがわれわれの考え方でございます。
  141. 米田東吾

    米田委員 再度わずらわして恐縮でございますが、海上保安庁に、海難の件数について、外航、内航別にはいますぐ出ませんか、それから二十トン未満の漁船の海難状態はどうか、ひとつ海上保安庁長官からお聞きをいたしたいと思います。それからもう一つは区別をいたしまして、法二十九条、三十二条関係の、この小さい船の海難の状況はどうか、この四段階でいまわかりましたら教えていただきたい。
  142. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいま数字を持ち合わせておりませんが、これはすでに統計は出ております。すぐお手元に差し上げるようにいたします。
  143. 米田東吾

    米田委員 それでは、その資料をあとでお願いいたします。  さらにお聞きをいたしますが、この海難の状況で承知したいと思うのでありますけれども、船舶の性能あるいは構造上の問題として海難が起きているというような事例がございましたら、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  144. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 海難の正確な原因につきましては、海難審判庁の裁決をもって国としては公にきめるわけでございます。私どももそれぞれ現場で海難救助に当たった際に一応原因と思うものを突きとめるということをいたしております。いまこれの資料が手元にございませんので、たいへん恐縮でございますけれども、やはり構造上というよりは機関故障というものが、いろいろな種類の船舶を通じて数からいくと相当多いということでございます。それから最近目立ちますのは、数はそう多くはございませんけれども、小型タンカーの転覆事故でございます。この点につきましては船舶局でも種々御検討いただいておりますが、これも今後の重大な問題ではないかという感じを持っております。  海難原因でいま一応われわれのほうの調べでは、先ほど四十一年に二千八百二十四件の海難があったということを申し上げましたけれども、そのうち三百六十七隻、一三%は材質、構造に起因するという推定をいたしております。なお、この詳細につきましては資料をもって御説明できるように提出いたしたい、かように思います。
  145. 米田東吾

    米田委員 この関係では資料をいただかないとあと質問がちょっと続かぬのでありますけれども、タンカーの関係につきましても、できれば資料をいただく際に、その海難の件数、状況等聞かしていただきたいと思いますし、それからこのタンカーの場合は、巨大タンカーはもう大体新聞に出ますけれども、いまおっしゃったようなそういう小型タンカーにつきましては私どもなかなか理解ができませんので、お願いしたいと思います。  それから砂利船につきましては、さっき御答弁いただきましたから東京湾につきましてはわかりましたが、同じような性質の、たとえば瀬戸内の石船だとか、あるいはやはり瀬戸内に多いと思いますが、海岸埋め立てに使われる土の引き船、特に神戸周辺等については盛んに行なわれておるように聞いておるわけであります、ああいう関係の海難も起きたというふうに聞いております。ですから、砂利船に関係いたしまして、そういうものの海難がどうか。  それからコンテナ船は日本においてはまだ持っておりませんから——これは持っておりますか。
  146. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 コンテナ専用船はまだできておりませんが、在来の定期船で船倉内にコンテナを若干個数積むという、これは普通の船でございます。コンテナ専用船はできておりません。
  147. 米田東吾

    米田委員 私の言うのは専用船であります。外国等でそういう海難の例がありましたら、海上保安庁で知っている限りを資料として出していただきたい。  それから、特殊船もしくは危険物運送船、これも日本の国際情勢に即応いたしまして、だいぶ危険物の積載あるいは特殊貨物船、そういうものがふえておるようでありますし、この面での海難と、船内におけるいろいろな船員の労働災害あるいは作業員の労働災害、そういうものもあるわけでありまして、これは海上保安庁の所管ではないと思いますが、要するに特殊船、危険物運送船、こういう関係について、あわせて資料をいただきたいと思います。  それから、できればもう一つ、これはお願いでありますが、海難の発生個所を知りたいのであります。どういうところに海難が多いか、あなたのほうは専門家でありますから、それがわかるような資料をつくっていただければつくっていただきたいし、航行中の海難と停泊中の海難も私はあると思うので、これもひとつ出していただきたい。この発生個所の関係では、おそらく航路別等の件数が出てくるんじゃないかと思いますし、また航域の件数等もわかるんじゃないかと思いますが、とにかく私の求めておるのは、発生個所を知りたいということで資料をお願いしておりますので、そういう関係につきまして御迷惑でも資料を出していただきたいと思います。
  148. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいま御指摘の資料は、昭和四十一年のものについてはすべてまとまっておりますので、早急にお手元に差し上げるようにいたします。
  149. 米田東吾

    米田委員 四十一年でけっこうであります。できれば四十一年以前にさかのぼって、ここ二、三年のものがわかればなおけっこうだと思います。それから四十二年につきましては、現在統計が出ておる部分だけでもけっこうでありますから、お出しいただきたいと思います。  きょうは時間が限られておりまして、まだほんの入り口しか入っておりませんが、きょうはここで一応質問を終わらしていただきたいと思います。
  150. 大野市郎

    大野委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会