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小林武君 いまの問題に
関連して。さっき
灘尾文部大臣から、よくもこんなに金を出すものだというような、そういう私たちから見ればたいへん意外な御答弁をいただいた。これは、その金を出した者の立場、あるいは大学教育のいまの現状というものをお考えになった御発言だとはちょっと私は思われないわけです。そこで、一番その根本になる問題として、一体、教育というようなものをどうお考えになっておるのか。教育にお金をかけるというようなことが、
政府においてはこれが何かむだ金を使っておるようなお考えなのかどうか。少なくとも
日本の現在の状況は、問題点は多少あるにしろ、産業の面でも、その他の面でも、学問、文化の面でも、
日本の戦後のあの状態から現在までなった状況を考えれば、その中における学校教育の果たした役割りというものは非常に大きいと思う。ある
意味での非常に有効な投資をやったと私は思っておる。そういう観点からしたら、私はいま大学の例を一つとれば、国立大学というようなものを考えた場合、私立大学と国立大学の学生の収容数のことを考えにゃいかぬでしょう。ここで私立大学が
日本の学問の上において果たした役割りというものを考えてもらわなければいけない。その際、先ほど来千葉
委員からるる申し上げておるように、一人の学生の費用の問題さらには入学のときにおけるところの国立と違った大きな負担、そういう問題をいままでも何べんか取り扱って、そのために私学はどうあるべきかということについて審議会を設けていままでおやりになったでしょう。その抜本対策がいまにわからぬということはない、そんなことは。私は、そういうことを言うなら、これは非常に怠慢な話だと思っている。でありますから、
政府はこれに対してどういう手当てをするのか、そういう根本の問題についていまどんなお考えを持っているか、私は第一にお伺いをしたい。
それからまあ七千億足らずの文部省の予算であります。大学について、私立大学が年中行事のように授業料値上げでごたごたやっているでしょう。これは学生と学校側に幾らまかしておいたって解決できない問題だと思う。その際に、授業料を上げることによって学生の日常勉学する上においてどれほどの苦労をしているかということは、おわかりになっているはずだ。出す親にしても、出せないからそういうことになっている。それが各大学において非常に大きな問題を起こしている。それを言われたところで、大学の
当局は、学生にもっともだと思ったところで、その対策はないわけであります。そういうことを考えますと、一体幾ら金を出したらいいのか。そういうめどをはっきりあなたたちは対策上どうあるべきかということをお考えになっているかどうかということです。幾ら金があったならばそういう問題の解決になるとお考えになっているか、金額をあげてひとつはっきりと述べてもらいたい。
それからいま起こっている対策ですね。あなたたちがびっくりするほどよくもまあこんな金を出したものだと言われるような、そういうことをやらなければならないことになっているわけでありますから、いつからあなたたちはそれに手をつけるんです。文部省としては、四十三年度、四十四年度、四十五年度と考えて、どういう計画的な対策があるのかどうか、それを明らかにしなければいかぬと思うんです。これはしかし大学のことだけ申し上げましたけれども、私立学校の経営者の面からいえば、大学偏重だと言っているんです。私立の高等学校あるいは幼稚園、中学校等を経営している者からいえば、大学に偏重されている。非常に困難を起こしている大学の側以上に困っているところの初等、中等の教育の私学の経営者があるわけです。それをどうするかという問題です。私は、この私学の問題が解決しなければ、
日本の教育の問題の根本的な解決はないと思う。それに対する
政府の具体案がない。わりあいによけいなところに精力を使うくせがある。研究や学問上の問題についてさまざまなこと——よけいなことと私は言いたいくらいのことをやっている。もっと学問や教育が進展するという立場から文部省がやるべきことがあるんです。戦後、文部省というものは、教育が最もよい環境のもとに置かれるようなそういう仕事をやるサービス機関である。その大事な仕事を忘れて、現在はよけいなところに手を伸ばしているような傾向が非常に強いと私は判断しています。そういうことからいって、私学の問題について、どういう計画を持つのか、審議会の
結論からどういう
結論をいま立てつつあるのか、いつそれが実を結ぶのか、明らかにしてもらいたい。