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参考人(
宇佐美洵君) ただいまの御
質問にお答えいたします。
御
承知のように、
日本では九月から、まあ本格的と申しますか、引き締め政策をとったのでございますが、十一月になりましてから、イギリスのポンド切り下げをきっかけにいたしまして、確かにいま
世界は、通貨の問題あるいは金の問題等について、かなり不安定な
状態になっております。したがいまして、私
どもは、いまでも
日本の国際収支が早く均衡をするようにということを願っておりますが、当初
考えましたときよりは確かにむずかしさが加わってきていると言わざるを得ないのであります。
国際環境もきびしくなってきているわけであります。
で、ただいま御
質問の、
アメリカの公定歩合は、十一月に〇・五%上げたけれ
ども、さらに上げるのではないかという御
質問だろうと思うのでございますが、これは
アメリカの公定歩合でございますので、私からはっきりは御返事いたしかねるわけでございますが、率直に申し上げますと、
アメリカの国際収支が問題でございます。したがって、
アメリカとしては何とか国際収支を改善したい。また各国も、
アメリカの国際収支の改善をぜひしてもらいたいということを申しているのでありますが、御
承知のように、
アメリカの
貿易収支は、非常にいまでも依然として大きな黒字でございます。三十億ドル以上、ことしも黒字ではないか。ただ海外投資であるとか、あるいは
財政支出のために赤字を続けているような次第でございます。したがって、
アメリカとしても、国際収支の改善には努力いたしているわけであります。
金の価格維持の問題がいま大きな問題になっておりますけれ
ども、私
どもは、この金の価格あるいはドル自体の問題につきましては、
アメリカはいろいろな点で確かに悪くはなっております。御
承知のように、通貨量に対する金の準備も非常に下がっておりますし、また海外の、外貨準備としてドルを持っている
諸国を合計いたしますと、やはり
アメリカの金が、いつでも金にかえると言いながら、その量は非常に減っていることは事実でございます。しかし私は、
アメリカの通貨の維持ということは、単に金の量だけの問題ではございません。やはり
アメリカのうしろに控えております
世界にずば抜けて大きい
経済力の強さというものも、これは厳然としてあるわけでございます。ドル自体の通貨につきましては、いまさっそく危機がくるとは思っておりません。しかし、一方におきましては、だんだん確かに数字的に見ますると、悪くなっておりますので、やはり
アメリカとしては国際収支改善に全力を尽くすのではないかと思うのであります。
これについては、あるいは
財政の削減であるとか、増税とか、いろいろのことを議論されているようであります、が、いずれにいたしましても、国内の調整として
——海外との金利その他の問題もむろん重要な問題でございまするけれ
ども、国内の調整をしなければならんということは事実だろうと思うのであります。したがって、これは
アメリカ自身の
判断にまかせるよりいたしかたございませんけれ
ども、その可能性はないとは申し上げかねると思うのです。その可能性と申しますのは、
アメリカの公定歩合引き上げでございます。全然ないとは、私は申し上げることはできないのであります。今後
アメリカがどういう政策をとりますか、私
どもそれを云々はできませんけれ
ども、そんなような感じを持っているわけです。