○渡辺
勘吉君 まあ、あたりまえなことを問答しているようなことでありますけれ
ども、私は、そこで具体的にしからざるゆえんをこれからお尋ねをせざるを得ないことを遺憾に思います。通称で申します。いわゆる農林年金法、この法律の一部改正が行なわれました参議院の
農林水産委員会で四十一年の六月七日に自民党も社会党も公明党も全会一致で
附帯決議をしました。これに対して大臣は、その決議の趣旨を尊重して善処するという
答弁をしております。私は大臣の個人がおかわりになっても
農林大臣という、そういう最高責任そのものはごうまつも変わるものではないと思います。
そこで倉石
農林大臣にきょうこれから限られた時間で農林年金の問題をお尋ねするにあたりまして、この本院で決議をいたしました昨年の六月七日の
附帯決議の要旨を含めて、ここで大臣に頭の中にまず入れてもらいます。次のような決議をしたわけです。「
政府は、老後保障の重要性にかんがみ、今後、公的年金制度の改善に一層努めるべきである。農林漁業団体
職員共済組合については、給付額及び掛金等にみられる他制度との不均衡の是正に努めるとともに、特に次の事項について検討を加えた上、すみやかに、その実現をはかるべきである。」四つをあげております。第一項は「1 旧法組合員期間についても新法の給付率を適用するよう、
昭和四十二年度以降において、必要な
措置を講ずること。2 既裁定年金についても、新法の給付を適用して改定する
措置を講ずること。」これはアベックであります。「3 給付費に対する国の補助率を百分の二十に引上げるよう努力すること。整理資源については、社会保障制度
審議会の答申の主旨を尊重し、かつ、他の共済組合に対する取扱いとの均衡をも考慮して、
昭和四十二年度からこれに対する国の補助を増額するよう
措置すること。4 年金額のスライド制については、その具体的基準をすみやかに明確化すること。」という決議であります。これと多少違った決議をされました
衆議院の五月二十六日の決議は
一つだけ、「農林漁業団体
職員の給与が著しく低位で、給与水準に不均衡が認められる
実情にかんがみ、給与の改善、給与体系の
整備等のため、適切な指導を行なうこと。」、こういういま私が御紹介をいたしました参議院の決議と多少別な柱で立てた決議が
衆議院での決議の項目であります。
そこで私は、この全国の農林漁業団体——この困難な条件の中に農林漁業に従事する
労働者、生産性を高め、所得を向上するためにその職場に労働しておる
労働者の数が、管理者を含めますれば現在は三十六万人をこえております。これらの対象人員に対して、当然、四十二年から新法の給付率を旧法
部分にもこれを遡及適用するという決議、当然これによって既裁定年金を受けておる者とのアンバランスを是正するために、既裁定年金についても完全通算の実をあげなければ不均衡がますます激しくなるので、これを既裁定年金も解決をしなきゃならないという問題、あるいは整理資源という問題については、他の制度よりもこの組織に働く
労働者の給付条件はきわめて劣悪なのに、その負担金が非常に高いわけです。不均衡になっておる。そこで、整理資源というものについて、四十二年から国の補助を増額して、その負担の軽減をはかって、バランス化をしなければならない。年金額のスライド制については、そのスライドの具体的基準をすみやかに設定しなさいと、——これは単に農林年金だけの問題ではございません。他の官業共済三制度を含め全体のスライド制の基準をすみやかに設定して、
政府の施策の誤りによって物価が騰貴をすることに伴い、受け取る年金の相対的貨幣価値の低落からみずからを守る責任があるわけでありますから、これをわれわれは第4の
附帯決議として
政府に申し入れをした。時の
農林大臣は、この
内容については一々ごもっともであるから、検討して善処するという
答弁をしておる。いまは
昭和四十二年をまさに終わろうとしておる。四十二年度からやりなさいと決議をしておる。
衆議院のように、年度を限った決議ではありません。なぜ、これが四十二年度に実現ができなかったか。もしも大臣が冒頭で
答弁したように、この国会の決議というものを尊重されるならば、四十二年度に堂々となぜ
実施をしなかったか、その点をまず大臣のその姿勢と実際とは食い違うのじゃないかという、そういう点は一体どこにあるのですか。