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1967-12-22 第57回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月二十二日(金曜日)    午前十時四十三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十二月二十二日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     任田 新治君      赤間 文三君     中村喜四郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 菅野 儀作君                 任田 新治君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 鶴園 哲夫君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  栗山 廉平君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        北海道開発庁総        務監理官     馬場 豊彦君        防衛政務次官   三原 朝雄君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事局長  麻生  茂君        防衛庁経理局長  佐々木達夫君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛施設庁長官  山上 信重君        厚生省医務局長  若松 栄一君        林野庁長官    片山 正英君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        法務省民事局長  新谷 正夫君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君        自治省行政局公        務員部長     鎌田 要人君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○恩給処遇の不合理等是正に関する請願(第六号)  (第七号)(第五七号)(第五八号)(第五九号)(第六  〇号)(第六一号)(第六二号)(第六三号)(第六四  号)(第六五号)(第六六号)(第一一二号)(第一一  三号)(第一一四号)(第一一五号)(第一一六号)  (第一三五号)(第一三六号)(第一三七号)(第一  三八号)(第一三九号)(第一四〇号)(第一四一  号)(第一四二号)(第一五五号)(第一九一号)(第  一九二号)(第一九三号)(第一九四号)(第一九五  号)(第一九六号)(第一九七号)(第一九八号)(第  三〇一号)(第三〇二号)(第三〇三号)(第三〇四  号)(第三〇五号)(第三〇六号)(第三〇七号)(第  三〇八号)(第三〇九号)(第三一〇号)(第三一一  号)(第三一二号)(第三一三号)(第三一四号)(第  三八一号)(第三八二号)(第三八三号)(第三八四  号)(第三八五号)(第三八六号)(第三八七号)(第  三八八号)(第三八九号)(第三九〇号)(第三九一  号)(第三九二号)(第三九三号)(第三九四号)(第  三九五号)(第四四九号)(第四五〇号)(第四五一  号)(第四五二号)(第四五三号)(第四五四号)(第  四五五号)(第四五六号)(第四五七号)(第四五八  号)(第四五九号)(第四九二号)(第四九三号)(第  四九四号)(第四九五号)(第四九六号)(第五〇七  号)(第五〇八号)(第五〇九号)(第五一〇号)(第  五三四号)(第五三五号)(第五三六号)(第五三七  号)(第五三八号)(第五三九号)(第五四〇号)(第  五四一号)(第五四二号)(第五四三号)(第五四四  号)(第五四五号)(第五四六号)(第五四七号)(第  六〇二号)(第六〇三号)(第六〇四号)(第六〇五  号)(第六〇六号)(第六〇七号)(第六〇八号)(第  六〇九号)(第六一〇号)(第六一一号)(第六一二  号)(第六一三号)(第六一四号)(第六一五号)(第  六一六号)(第六一七号)(第六五九号)(第六七五  号)(第六七六号)(第六七七号)(第六七八号)(第  六七九号)(第六八〇号)(第七〇三号)(第七〇四  号)(第七〇五号)(第七〇六号)(第七〇七号)(第  七三六号)(第七三七号)(第七三八号)(第七三九  号)(第八三〇号)(第八三一号)(第八三二号)(第  八三三号)(第八三四号)(第八三五号)(第八三六  号)(第八三七号)(第八三八号)(第八三九号)(第  八四〇号)(第九七二号)(第九七三号)(第九七四  号)(第九七五号)(第九七六号)(第九七七号)(第  九七八号)(第九七九号)(第九八〇号)(第九八一  号)(第九八二号)(第一〇四九号)(第一〇五〇  号)(第一〇五一号)(第一〇五二号)(第一〇五三  号)(第一〇五四号)(第一一〇八号)(第一一〇九  号)(第一一一〇号)(第一一一一号)(第一一一二  号)(第一一一三号)(第一一一四号)(第一一一五  号)(第一一一六号)(第一一一七号) ○退職公務員恩給共済年金等に関する請願  (第二〇号)(第二一号)(第二二号)(第二三号)  (第二四号)(第二五号)(第二六号)(第二七号)  (第二八号)(第二九号)(第三〇号)(第三一号)  (第四二号)(第四三号)(第四四号)(第四五号)  (第四六号)(第四七号)(第四八号)(第五一号)  (第五二号)(第五三号)(第五四号)(第五五号)  (第五六号)(第一〇四号)(第一〇五号)(第一〇  六号)(第一〇七号)(第一〇八号)(第一〇九号)  (第一一〇号)(第一一一号)(第一二五号)(第一  二六号)(第一二七号)(第一二八号)(第一二九  号)(第一三〇号)(第一三一号)(第一三二号)(第  一三三号)(第一三四号)(第一五二号)(第一五三  号)(第一五四号)(第一八一号)(第一八二号)(第  一八三号)(第一八四号)(第一八五号)(第一八六  号)(第一八七号)(第一八八号)(第一八九号)(第  一九〇号)(第二〇六号)(第二〇七号)(第二〇八  号)(第二〇九号)(第二八六号)(第二八七号)(第  二八八号)(第二八九号)(第二九〇号)(第二九一  号)(第二九二号)(第二九三号)(第二九四号)(第  二九五号)(第二九六号)(第二九七号)(第二九八  号)(第二九九号)(第三〇〇号)(第三六九号)(第  三七〇号)(第三七一号)(第三七二号)(第三七三  号)(第三七四号)(第三七五号)(第三七六号)(第  三七七号)(第三七八号)(第三七九号)(第三八〇  号)(第四四五号)(第四四六号)(第四四七号)(第  四四八号)(第四九一号)(第五〇六号)(第五一五  号)(第五三一号)(第五三二号)(第五三三号)(第  五九九号)(第六〇〇号)(第六〇一号)(第六一八  号)(第七〇二号)(第八五三号)(第八五四号)(第  八五五号)(第八五六号)(第八五七号)(第八五八  号)(第八五九号)(第八六〇号)(第八七八号)(第  九七〇号)(第九七一号)(第一〇一〇号)(第一〇  一一号)(第一〇四八号)(第一一〇六号)(第一一  〇七号) ○退職教育公務員恩給共済年金等に関する請  願(第三二号)(第一七九号)(第三六五号)(第三  六六号)(第七五〇号)(第九六九号)(第一〇〇六  号) ○接収解除に伴う借地借家復帰及び権利消滅の補  償に関する請願(第三四号) ○旧軍人の恩給に関する請願(第四一号)(第五〇  号)(第一〇一号)(第一〇二号)(第一〇三号)(第  二八五号)(第三三八号)(第三六七号)(第四四三  号)(第六五八号)(第七〇〇号)(第一〇〇五号) ○福岡県久留米市所在の旧歩兵第四十八連隊本部  建物の残置等に関する請願(第四九号)(第九九  号)(第一〇〇号)(第一二二号)(第一二三号)(第  一二四号)(第二八四号)(第三三九号)(第三六八  号)(第四四四号)(第七〇一号)(第七三三号)(第  一〇六九号) ○国立療養所等勤務者定年制反対並びに老後保  障の拡充等に関する請願(第一五八号)(第一七  六号)(第三三七号)(第四九〇号)(第六九七号)  (第六九八号) ○公務員賃金引上げ等に関する請願(第三四〇  号)(第三四一号)(第三四二号)(第六五三号)(第  六五四号)(第七三五号)(第七五一号)(第八六四  号)(第八六五号)(第九三四号)(第一〇四三号)  (第一〇七五号)(第一一二八号) ○国家公務員給与引上げ等に関する請願(第三  四三号)(第三四四号)(第三四五号)(第三四六  号)(第三四七号)(第三四八号)(第三四九号)(第  六四三号)(第六四四号)(第六四五号)(第六五五  号)(第六五六号)(第七二一号)(第七二二号)(第  七二三号)(第七二四号)(第七二五号)(第七二六  号)(第七二七号)(第七五二号)(第八七〇号)(第  八七一号)(第八七二号)(第八七三号)(第八七四  号)(第八七五号)(第一〇〇七号)(第一〇〇八  号)(第一〇七七号)(第一〇七八号)(第一〇八三  号)(第一〇八四号) ○公務員賃金引上げ等に関する請願(第三五〇  号)(第三五一号)(第三五二号)(第六四二号)(第  八六一号)(第八六二号)(第八六三号)(第八六六  号)(第八六七号)(第八六八号)(第八六九号)(第  八七九号)(第九三〇号)(第九三一号)(第九三  二号)(第九三三号)(第一〇〇九号)(第一〇四四  号)(第一〇四五号)(第一〇四六号)(第一〇七六  号)(第一〇七九号)(第一〇八〇号)(第一〇八一  号)(第一〇八二号) ○元満鉄職員であった公務員等恩給共済問題  に関する請願(第四四二号)(第六九九号)(第七  七八号)(第七七九号)(第九三六号)(第九三七  号)(第九三八号)(第一〇四七号) ○恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (第四七〇号) ○国家公務員賃金引上げ行政整理反対等に関  する請願(第六五二号)(第一〇七四号) ○行政職俸給表(二)等適用公務員労働者に対する賃  金等差別撤廃等に関する請願(第六五七号)  (第七七四号)(第一〇一七号)(第一〇八五号) ○法務局職員の一万名増員等に関する請願(第七  一七号)(第七一八号)(第七一九号)(第七二〇  号)(第七三四号)(第七九八号)(第七九九号)(第  八〇〇号)(第八〇一号)(第九三五号)(第九五八  号)(第九五九号)(第九六〇号)(第九六一号)(第  九六二号)(第九六三号)(第一〇一八号)(第一〇  一九号)(第一〇二〇号)(第一〇四〇号)(第一〇  四一号)(第一〇四二号) ○群馬県月夜野町の寒冷地手当級地引上げに関す  る請願(第九二九号) ○国家公務員労働三権保障等に関する請願(第  一〇三九号)     ―――――――――――――
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、前回に続き三案に対する質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官佐藤人事院総裁尾崎人事院給与局長栗山総理府人事局長、以上の方々でございます。  それでは御質疑のおありの万は、順次御発言を願います。
  3. 山崎昇

    山崎昇君 理事会の申し合わせで、なるべく時間を詰めろということなんで、ほんとうはもっともっと本質的なことを聞きたいんですが、きょうは詰めます。  そこで二、三点にしぼって政府見解を聞きたいと思うんです。  昨日も私はいろんな角度から管理職とそれ以下のものとの矛汚点をかなり質問したわけでありますが、どうしても私が納得できませんのは、まず指定職俸給表についてです。これを調べてみますと、この指定職俸給表というのは甲と乙と二つあります。甲のほうは職そのものが別表によって指定をされておる。ところが乙のほうは人事院の指令できまるということになっております。そうして実情を調べてみるというと、局長の大体三割くらいはこの乙の適用を受けておる。いわば一等級以上の者についてはワク外者というものは一名もいない。下級職員にはかなり給与ワク外者は存在するけれども上級者にはない。それは指定職俸給表というものをつくって救われておるという点がまず第一点であります。そうしてこの指定職俸給というものの沿革を調べてみますというと、中身は、本俸特定手当扶養手当通勤手当というものが令部含まって一応本俸というかっこうになっておる。さらに特別調整額との調整もとられておって、これには特別調整額も入っておると私ども考えていいんではないかと思うんです。こういうものが土台になって期末手当でも何でも支給されておる。ところが一般職の場合にはそうはならない。そこで期末手当部分だけとってみても、管理職以上はきわめて有利に取り扱われておる。こういう点は私どうしても納得できないわけです。  したがって、もしもこういう給与を許すとするならば、一般下級職員についても期末手当等に、暫定から通勤から何から全部含めて期末手当を算出をして支給するなら、私はまだ理解できるけれども、そうなってない。そういう意味で私はこの指定職俸給表というものをなぜつくったのか、どうしてこういうものが必要なのか、なぜ上級職だけこういうものをつくって救わなければならぬのか、厳然と給与法では職務給与関係というものは明確にされているにかかわらず、こういう方法がとられておるということは、人事院総裁にもお聞きしますが、実施をしておる総理府総務長行にまずお尋ねしておきたい、こう思うわけです。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一応私のほうからお答え申し上げますが、いまおことばにありましたように、職務責任というようなことを給与決定基準にしていることは、昨日も申し述べたはずでございます。そういう角度から申しますと、やはり精密に詰めていけば、それぞれの職務というものをとらえて職階的にこれを固定したものとして扱っていくという方向が、究極の姿として想定されるわけでありますけれども、現在ではそこまで徹底した形にするには、実情が許さないということをきのう申し上げたつもりであります。  ところで、この指定職甲というのはいかなる理念からきておるかと申しますというと、まず、いま申しましたような線から申しますと、その形を露骨にとっておるということが言えます。すなわち、事務次官あるいは大学の総長というようなものは、それぞれ職務責任というものは非常に客観的にはっきりしておるということで、一官給与としてこれを押える、そのかわりに指定職には何年つとめても昇給というものはない。その一定給与にくぎづけにされておるという形が出ておるわけであります。ところが、まだまだ一般俸給表全体にわたってそういう形をとるには時期が熟しておらない。むしろ、先日も申しましたように、やはり生活給的な色彩がまだまだ非常に農厚に示されていかなければならぬものが大部分であるということから、一般のほうにはそこまで踏み切っておらぬ。ところが、指定職甲と、いま御指摘の乙というものがございます。乙は、これは率直に言っていわゆる中間地帯だと、各俸給表一等級と甲の間にはさまっての中間的地帯であるということをまあ申し上げざるを得ないと思う。したがって、さらに徹底していけば、甲の次に乙とし、さらには一等級、二等級、ずっとそういう形にいかなければならぬ。これは先ほど申しましたように、職階制の最後においてはそういう形になるであろうということは想定はできますけれども、今日の段階では、いま言ったようなことで、せいぜい指定職の甲がそういう形になるけれども、乙はそれに準ずる中間地帯ということで御了解を願わなければならないと思う。  それから昨日来非常に上の者を有利にするように、われわれがあらゆる手を使ってやっているようにおことばの端々に出るのでありますが、これは、はなはだ私どもとしては心外なことであって、これは先ほど申しましたように、職務責任という冷厳な基準からいってこうなるということと、それからやっぱり、たびたび申し上げますように、民間との対照、対比ということをわれわれはやっております。したがって、民間重役級給与を見た場合においては、上のほうの幹部の人人については、やはりそれにならわにゃいかぬということが言えるわけであります。まあここ数年来は、いわゆる生活面に非常に力を入れて、上薄下厚という旗じるしで勧告を申し上げてまいりました。そのために、また、いま御指摘指定職甲あるいは指定職乙の部類の人々は、相当犠牲を忍んでもらって、がまんしてもらってきたという事実があります。しかし、これも全体の給与体系からいうと、いつまでも許されることではないということが一つ、それから、たまたま今年の民間調査の結果あらわれましたところの、やはり上薄下厚でもない上厚下溝でもない、大体各階層にわたっての均等のベースアップがなされたというようなことも、われわれの勧告一つ土台としてできておるということを、十分御了承を願いたいと思います。
  5. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいま人事院総裁指定職制度について申されましたが、そういうお考えのもとに勧告がなされたわけでございまして、総理府のほうといたしましては、この御研究及び勧告のもとになったお考えというものが、正当なものであるというふうに考えまして、法案に盛り込ましていただいた次第でございます。
  6. 山崎昇

    山崎昇君 いま総裁から理由として三つぐらいあげられているわけです。しかし私はね、責任の度合いだとか職務だとかといっても、現実にこれによって生活をするのですね。下級職員もいま支給されている給与によって生活をしているわけであります。ですから公務員上級職といえども生活を抜きにして、職務給だからといって論ずるわけにはいかない。どうしても私ども生活土台にして給与というものをある程度まで論じなければいけないと思っているわけです。そういう意味でいうと、やはり現実上級職にかなり有利であって、一般職にはかなり不利にできているということを指摘をしているわけです。  職務給のたてまえをあなた方がとっているということは、条文を見ればわかります。しかしこれは私はやっぱりね、とるべき態度ではないのではないかと思う。とるならば、もっと下級職員についても配慮されてもしかるべきではないか。今度の給与の引き上げを見ても、あなたは上級職はかなりがまんしてもらったと言うけれども、本年の場合には二万円も一ぺんに上がるわけです。何も損していない。たとえば一、二年は上がらなかったかもしれないけれども、上がる場合にはやっぱりかなりなものを上げている、そしてバランスをとっている。そうであれば、何にも上級職についてはがまんしたということにはならない。そういう意味で、私はどうしてもいまの指定職俸給表上級職だけにとるということについて納得できない。特に乙表に至っては、あなたのほうで、気ままかってとは言いません、一定基準はあるでしょうけれども人事院指定することになっている同じ局長であっても、片方指定職片方一等級じゃないですか。その基準は何です。私が調べてみるというと、大体昭和二十二年以前の採用者は、ほとんど指定職になっておる。それ以後の採用局長は大体一等級になっておる。だから、あなた方がやっておる基準についても私は疑問を持っておるし、あるいは現実面からいっても、同じ局長、同じ職務をとりながら、片方局長指定職であり、片方一等級である。それについても私は理解ができない。だから、職階給だけであなたがいま説明されても、どうも納得できない。それから、乙表に至っては、中間職だ、中間地帯だ、その理論もまた私は納得できない。どうして給与上、明確に法律一等級から八等級までの職務をあなた方きめておるのに、なぜ一割程度の者だけは中間地帯としてやらなければならぬのか、それもわからない。  だから、私から言わせれば、これは少し極端になりますけれども上級職は頭打ちにならぬように、古くなったら救えるように、定数のワクからはずれるように、そういうこともある程度あってこういう指定職乙なんというものができておるのではないかと、これは疑わざるを得ないわけです。ですから、この点については、論争する意味もありませんけれども、私は公務員給与全体について、もう再検討しなければならぬのではないか。特定の人間だけは何かうまいことなるような体系は心すべきじゃないか、こういう見解を持っておるので、重ねてこの点は指摘をしておきたい。   それから、上厚下厚といういま総裁は答弁されました。しかし、やはりそうはなっていない。現実給与を見るとそうはなっていない。きのうも申し上げましたけれども一等給の何号かの人を調べれば、扶養手当を除いて一万五千円上がるけれども、八等給はわずか二千円しか上がらない。率に直せばなるほど七%になるかもしれぬけれども、あまりにも差があり過ぎるのではないか。私は戦前の賃金の資料持っておるから、昔の身分制度の激しいときの上下の差を、あなたに官吏俸給令によって示してもいいですよ。昔といえどもそんなになっていない。そしてきのう扶養手当で申し上げたように、生活が苦しいので、下級職員に初め支給されたものが、いつの間にか上級職員にも支給になる。その上さらに上級職員については有利なほうに展開をされておる。こういうことがあるから、私はいまの給与体系というのは、あまりにも上厚下薄になっておるのではないか、こういうことをあなたに指摘しているわけです。  さらに、私が給与実態を調べてみるというと、二つ問題があると思うのです。一つは、結婚される時期の人がきわめて苦しい生活に私はあるんじゃないかと思う、これは階層としては。もう一つは、四十四、五歳から五十歳前後で管理職にもついてない方々で、教育関係で、子供を持っておる方々はかなり私は生活的に苦しいのではないか、こう思うのですね。そうすると、総裁の答弁からいっても、管理職以上はある程度職務給でものを見る、課長補佐以下は相当程度生活給的にものを見る、そういうことになるとすれば、ここら辺の手当については、もう少しいまの給与体系の中でも考えなければおかしいのじゃないか、これは端的に指摘しておきたいと思うのですが、そういう意味で、いまの給与体系は、どう総裁が答弁されようとも、やはり上厚下薄になっておる、それが極端である、こういう点についても再度御答弁願いたいと思う。  それから重ねて、これは国家公務員でありません。自治省の調べました地方公務員給与実態調査の表でありますけれども、大体都道府県は国家公務員とやや似ていると、こういうのですね。私は国家公務員の表を持っておりませんので、これで大体の傾向を調べてみます。これは一般行政職の第一表で調べたものでありますけれども、平均給与ですから、必ずしも正確だとは言えないと思う。しかし、大学卒と高校卒と比べてみると、公務員の約半数を占める高校卒というのが、大体五年ないし七年くらいから極度に給与に差がついてくる。いま私が数字を申し上げてみますが、大学卒と高校卒は、入ったときには大体五千円ぐらいの差ですね、初任給で。それが五年から七年となると八千円の差になる。十年から十五年になると一万一千五百七十二円、二十年から二十五年になると一万五千円、三十年以上になると一万八千円の差がある。これは当然大学出ですから、高校卒よりも職制につく率が多いであろうし、あるいはまた年齢も三つ四つ多いであろうと思うから、一がいに私はこの数字で申し上げませんが、いずれにしても、大半を占める公務員というのはやはり低く押えられ、そして大学出なり職制につくというものはきわめて上昇率についてもいい給与をもらっておる、こういう傾向だけは、この表をどう分析してみても出てくる。国家公務員も私は同様でないかと思うんです。そういう意味で、私はいまの給与というのは、どう総裁が、最近は上薄、下に厚いと言っても、そうじゃないのです、現実は。そういう意味で、全般的に給与体系というのを考え直す意思があるのかどうかということと、あわせてこういう不合理というものをどう直されるのか。来年の勧告である程度直すんなら直すとか、そういうお答えができればひとつ願いたいと思うんです。
  7. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今回の勧告については、私ども上厚下厚と申し上げてよろしいと思います。まんべんなくそれは確かに配分しております。しかし、これは先ほど申しましたように、やっぱり母間と合わせるということが一つの大事なことであろうというところからきたわけでございまして、それをまたやっておきませんと、たとえば公務員を志願する人の立場から考えてみると、公務員になっても先が悪いから損だと、民間のほうに入っちまえということで、みんな優秀な人材が流れてしまうということもありますし、あまり上のほうを押えますと、ただでさえ批判の的になっております天下りの趨勢をそっちのほうから激成することになろうというような現実面があるわけです。表立っては申し上げられませんけれども、そういう面も裏に踏まえながら、民間並みにしておかないとまずいということは、われわれが常に申し上げるところでございまして、今度のでき上がりの形も民間並みに一応なっておる。上のほうといいましょうか、指定職のほうは数年間据え置きその他でがまんしてもらっておりますから、この際普通の体系に合わせた措置として多少アップ率は高くなっております。これはやむを得ませんと申し上げておるわけです。  ただいま、たまたま御指摘がございましたが、世帯を持つ時期、これは私どもかねがね一番そこは重点として考えておったところでございます。まあ十分とは申せませんかもしれませんけれども、今回の勧告では、世帯形成時の年齢層のあるところを最も厚くしたということが実は自慢だったわけです。普通のアップ率は六%ないし七%で配分しておりますけれども、世帯形成時に当たるところだけは八%をたしかこしておったと思うんです。そこまで手厚くやったつもりでおりますんで、その点はいま御指摘の御意見に一応かなっておるんじゃないかというふうに考えております。
  8. 山崎昇

    山崎昇君 時間もだいぶ迫ってきましたから、次に自治省に二、三お聞きをしたいと思います。  十月の二十八日に公営企業の職員給与等に関して内簡というのが出されましたね。そこで、この内簡というのは、一体どういう性格のものであって、それから、限界としてはどの程度のことまでやれるのか。まず内簡の定義からお聞きをしておきたい。
  9. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 内簡はいわゆる何と申しますか、公文書であることは間違いないわけでございますけれども、たとえば自治公甲、乙、こういう文書の形をとりませんで、所管の課長なり局長なりが、地方団体に対しまする技術的な助言の一環といたしまして、所管行政について当面留意すべき事項についてお知らせをする、こういう性格のものでございます。
  10. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、十月の二十八日に出されたこの内簡というのを私ども見て、これが助言やお知らせ程度のものかどうかですね。かなり中身を見ると、政策的なものも含まっておる。将来にわたって何か規制をするようなことまでここに述べられておるのですが、これでも内簡になりますか。
  11. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 技術的助言ということでございますから、当然指導の内容を含むわけでございます。いま御指摘になりましたこの公営企業一課長名の内簡は、特に当面財政再建にいそしんでおります公営企業を中心にした給与の指導、助言、こういう性格を持っております。
  12. 山崎昇

    山崎昇君 先ほどあなたの答弁は、公文書の一つである。そして技術的な助言でお知らせ程度だと、こう言うのです。ところが、私これを読んでみると、技術的助言やお知らせ程度のものではないのではないかと思う個所がかなりあるのです。端的に一番指摘をされるのは一番最後です。「断固たる措置を講ずる予定であること。」、将来の方針までこれで述べられておる。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 これは単なるお知らせでも何でもないじゃないですか。たとえば、これは省議できまっておるわけでも何でもない。こういうことが内簡でやれることかどうか。内簡というのはあくまでも部内のことであって、一課長が地方に対して省を代表して意思表示をするようなことはできないはずです、内簡では。それならば依命通牒か正規の通達か、権限を持ったものでなければできないはずです。ところが、これをずっと読んでみるというと、現実的に各自治体の給与の取り扱いを、指導というよりは、むしろ制限をするような内容を含んでいるのではないですか。だから、簡単に言えば、この内簡というのは、私は少し内簡の性格を逸脱をしておるのではないか、こう考えさせられるのですが、もう一ぺんお聞きをしたい。
  13. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) いま御指摘になりましたこのおしまいの「法の定める財政再建計画変更の手続きを経ないで給与改定を実施し、又は」云々というところで、「法の定めるところにより、断固たる措置を講ずる」というのは、これはすでに御案内でございましょうが、再建団体におきまして給与改定を行なう、結局自前で――俗なことばで恐縮でございますが、自前で給与改定ができれば計画変更という問題は生じないわけでございまして、たとえば一般会計等からの繰り入れ、こういったような手続をとるということになりますと、御案内のとおり再建計画の変更ということに相なるわけでございます。そうしますと、当然自治大臣の承認ということに相なります。そういう手続を経ないでやられるということになりますというと、この自治大臣の措置といたしまして、当然この再建計画を変更して、その承認を求める行為、あるいはそれを経ないでおやりになられるということになりますと、法律に定めますところの措置命令を出す、こういうことに相なるわけでございますので、そういったことをお知らせをする、こういう意味があるわけでございます。
  14. 山崎昇

    山崎昇君 いまの答弁で私は納得できない。もしもそういう法であるならば、そういうことでありますという程度に言うならいいのですが、講じますということを言っている、あなたのほうは。あるいはまた四項を見ると、いまあなたいみじくも言ったように、「したがって一般会計等からの繰入れあるいは財産処分等の臨時的収入をもって措置すべきではない。」、これは方針になってしまいます。技術的助言ではないですよ。これはお知らせでもないですよ。やってはいけませんということを言っているのではないですか。だから全体に内簡に流れている精神は、あなたのほうはお知らせだの、助言だの、指導だのと言うけれども現実的には自治体のとる処分まで制約しているのではないですか、どうですか。
  15. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ただいまの地方公営企業の財政再建、特に財政再建の主体になっているわけでございますけれども給与改定を行ないますのに、一般会計から金を入れる、それで給与改定をやるべきじゃないということは、これは当初の方針あるいは国全体の方針といたしまして、繰り返し繰り返しこの関係地方団体あるいは管理者に対しては申し上げておることでございます。それを何と申しますか、この給与改定の時期にさらに注意を喚起した、こういうことでございます。
  16. 山崎昇

    山崎昇君 大蔵大臣来たから、自治省のほうははしょれということで、ですからこれでやめます。しかし、いずれにしても、これは私は少しやはり自治省としては勇み足でないか、こういう感じします。しかし、これ以上質問することもできませんし、時間がありませんのでやめますが、将来こういう内簡で政策をきめるようなことまで、内容的にですね、やられるということについては、私はどうしても認めるわけにいきませんから、これは考えてもらいたいし、またこの中身を見ると、第一の給与の性格と、それから第三番目、行政職(二)表の扱い、第五番目等々考えると、いずれも矛盾があります。これもほんとうは指摘をしたいのですけれども、大臣来られたからやめますが、端的に言って、きのうから、いまの公務員給与職務給だとは言い切れないということを人事院総裁も述べておる。なぜ自治省だけが、性格は職務給であり、能率給であると断定をするのですか、こういう点を第一課長が――こういう点についても私はほんとうは聞きたいのですが、時間がありませんからやめますが、とにかく、将来こういう基本的な問題だとか、将来の処分まで含めたような方針的なことを内簡として出すことはやめてもらいたいし、越権行為だということだけ申し上げて私の質問を終わっておきます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大蔵大臣お見えになりましたので、私は時間の制約もございますから、人事院勧告を完全実施するということを前提にして、次年度からひとつぜひ給与改善費を当初予算に組むべきではないかという観点から、この点だけに問題をしぼって二、三お伺いしたいと思います。  申し上げるまでもなく、この給与改定に関する人事院勧告については、昭和二十三年十一月九日のいわゆる六千三百七円ベース、これ以来、もちろん例外は一回ございました。昭和二十九年に経済情勢が悪化しておるという理由のもとに勧告を保留したことが一回ございました。しかしながら、それを除いては今日まで引き続き毎年この勧告は実施されてきておるわけです。ということは、ことばをかえて言いますと、所要財源については年によって多少の差こそあれ、いわゆる既定経費としての性格を持つに至ったということについては何人も否定できないと思うのです。こういう観点からも既定経費化しておる、恒常的にもう既定経費化しておるなら、当初に給与改善費として組むことが、もし政府に完全実施しようとする、そういう考えが固まれば、当然かくあってしかるべきだと思うのです。いずれにしても、これは大蔵大臣の所管ですから、大臣にひとつこの点についての所見を伺っておきたいと思うのです。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  18. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いま大体おっしゃられるような考えのもとに、その方向の予算編成をやってみたいと考えまして、いろいろ検討中でございますが、従来大きい補正要因を残したまま当初予算を組むことをやっておりましたので、これをやるとしますと、そのほかの同じような大きい補正要因の解決方も一緒に考えないとむずかしい問題でございますので、そういうものとあわせていま考慮しておりますので、いまのところまだはっきり、そういう編成をするしないという結論は得ておりませんが、いまそういう方向で努力しております。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先日、当委員会で、大臣はお見えにならなかったと思いますが、この当初予算の問題について私のほうから、ひとつある程度当初予算に組むべきではないかということについての見解をただしたところ、いま大臣のお答えになったように、これは十分検討すべきものであり、また検討をしていかなければならないというお答えがあったわけです。そういう意味のお答えがあった。そこでこのことを、大臣からではなかったので、本日、この機会にまず大臣に確かめたい、こういう意図からお伺いしたわけですが、大体そういう方向で努力なさっておるということであればたいへんけっこうなわけですが、ただここで大事なことは、給与改善費を当初予算にあらかじめ計上しておく、これはあくまでも人事院勧告を完全実施するための一つの方法として、一つの目的として、いわゆる完全実施を前提としての当初予算に組むということでなければ、全く意味がないと思う。いままで財政上非常に苦しいからというようなことで、三十五年以来十年間も完全実施が踏みにじられてきたわけですけれども、ここにこの機会に何とか完全実施を実現するために、その前向きの一つの手段として当初予算に組むということであるならば、これはもちろん当初予算にどの程度組むかということも一つの課題となろうと思いますけれども、これはまあ別問題として、専門家の大蔵省の方々が十分検討されて、ある程度どうせ組むことになりましょうが、その不足した場合には、いわゆる補正で組むとか、あるいは災害対策費のごとく、災害もどの程度どうして起きるかということは全然予測を許さないから、災害対策費なども予備費から支出しておるわけですね。給与についても、どの程度人事院勧告するのか、おおよその幅はわかるにしても、厳密にはわからぬわけですね。というような意味合いで、ある程度組むということが大事になってくるわけですけれども、いずれにしても当初予算に組むということは、政府が、特に大蔵省が来年度はひとつぜひ完全実施しようという、そういう意図のもとに、そういう方針のもとに当初予算に組むことを検討したい、検討するんだと、かように理解してよろしいのかどうか、御意見を伺いたい。
  20. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そう理解してくだすってけっこうだと思います。今年度の例を見ましても、もう年度途中で、とても多額なこの財源を確保するということはむずかしい。まあ完全実施できなかったんでございますが、一カ月さかのぼることについても、相当無理した全般の節約をやっておりまして、まあ大蔵省でいきますと、エレベーター一つとめるというぐらいの覚悟で予算の節約をはかるというようなことでやって、なおかつ一カ月のさかのぼりしかできなかった。こういう事情から見ますというと、相当のものを当初予算に確保しておかなかったら、この人事院からあとで勧告が出たときにも対処のしかたがないということを考えまして、やはり当初予算で用意しなければ、この実施はむずかしいということからきているいろんな研究でございます。実施したいというたてまえからの研究でございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま一つ大事なことをお伺いしておきたいと思うんですが、これは私どもの杞憂であればたいへんけっこうなんですが、最近、補正予算なしの年間予算一本にするという、そういう意図から、給与改善費についても当初予算にあらかじめ何%かを予備費として組む、そういう意味のことが報道されたわけですが、もし補正予算なしの云々ということ、一木でやるということであるならば、これでは人事院勧告の内容いかんによっては、依然として完全実施ということは不可能になろうかと思うんですね。  そこでお伺いするわけですが、いわゆる当初予算に組んだその既定の予算のワク内で改善が行なわれるということになれば、全く人事院本来の意味がなくなってしまうわけですね。人事院の目的が全くうせてしまうわけです。これはもちろん私どもの杞憂であればたいへんけっこうなんですが、この点についてもこの機会に、このことについての大蔵大臣の見解をひとつ明らかにしていただきたいと思うんです。
  22. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 補正予算なしの予算編成といいましても、災害は予期できませんし、いろいろ国会に予算の補正を願わないで済むということはあり得ないというふうに思っておりますが、その場合、従来のように財源を、たとえば税収でこのくらい見込まれるものを、補正財源としてこれだけ残しておかなけりゃいかぬだろうというような考慮を払った当初予算の歳入見積もりをしなくて、やはり経済情勢に見合ってその年度間に予想できる収入見込みというものをもう当初に立てて、そして予算編成するという以上は、いろんな補正要因が出てまいりましても、大きい補正要因は当初予算において解決されておりますから、あとから出るものは全体の、従来もやっておりますが、たとえば節約によるものもございましょうし、不用額に立ってくるものもございましょうし、いろんな予算のやりくりは、これは当然するということを私どもはこれは考えておりますが、ただワクを今年度のように二千億も三千億もふやすというようなやり方というものはもうやらないと、このことを補正予算なしと言っておるんでございますが、全然もう当初にきめたら年度末まで一切さわらないと、こういうようなことは考えておりません。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいと思いますが、ここに切り抜きがあるわけですが、十二月の二十日の大新聞の幾つかにいまお伺いすることが出ておったわけですが、もしこの記事のとおりであるとゆゆしい問題でありますので、いま大臣おいでになっておるこの機会にお伺いしておきたいと思うんです。といいますのは、この記事のとおりだといたしますと、大蔵省としては去る十九日に、来年度予算編成の重要項目の一つである公務員給与人事院勧告について見解を明らかにしたということでありますが、それによりますと、もしこのとおりだといたしますと、人事院民間給与との格差を単純に埋めるために勧告するのではなく、経済情勢次第では五%以上の格差があっても給与引き上げを勧告しなくてもよいとしており、その例として、先ほど私が指摘申し上げた二十九年度の人事院勧告がいわゆる保留の年がありましたが、そういうものをあげておる。もし、このとおりだといたしますと、これはまあゆゆしい問題だと思うんですね。当初予算計上分を越える人事院勧告がもうこれ以上されないように、制約をあらかじめすることがねらいではなかろうかということが言えるわけですね。事前に手を打っておいて、当初予算に組んだそれ以上のことは、もう人事院勧告できないように、もしかりにそういう意図であれば、これは人事院存在の意義がないわけですが、なおこれは、まあ人事院は、私が申し上げるまでもなく、その性格からいって、公務員給与に対する利益を保護するために、労働基本権の代償として生まれた人事院であります。人事院は科学的に民間との格差あるいは生計費あるいは物価、こういうことを検討して科学的に調査研究して、その必要に応じて勧告すると、その勧告することは、あくまでも人事院自体の自主性でやってしかるべきであって、そのことについて大蔵省が勧告するとかしないとか、あるいは勧告の内容まで干渉がましいことはいえないことと思うんです。これはもう当然のことだと思うんです。したがって、この記事は何かの誤解であって、そういうことはないのだと言えば、もう何おか言わんやで、これは問題はないわけですが、もし、こういうことをお考えになっておるとすると、これはゆゆしい問題なので、人事院本来の機構にも関係する重大な問題であるので、大臣にこの点をひとつ確かめておきたい。
  24. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いま申しましたように、人事院勧告が追加財政需要となるというような場合には、経済状況を勘案して、その時点において最も適当だと考える措置をとるというつもりでございますが、さっき言いましたように、補正なしという意味は、私は、どういう補正需要が起こっても、やはり予算のワク内において、ワクを増額させないという形で解決したいというふうに考えております。かりに歳入の増加があったというときには、増加分は全部もう公債の削減に回す、そうしていろんな補正需要は、相当大きい予算のワクになるのですから、ワク内において処理する。だからそういう意味の予算修正ワクをやるという考えでおりますので、したがって、いまおっしゃられるような法律解釈ということを別に大蔵省がやったわけではございませんで、何か新聞記事にもいきさつがあるようでございますので、これは誤解のないように、事務当局から一ぺんそのいきさつを説明させたいと思います。
  25. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) 実は私が給与課長説明といたしまして行ないましたことが、新聞によりましては、いろいろと取り上げ方が違うわけでございます。これは実は新聞を拝見いたしまして、私の日本語がまずかったせいもありましょうけれども、いろいろと受け取り方があるものだというふうに感心をしたわけですが、といいますことは、勧告の問題、財源の準備の問題につきまして、個別に記者諸公がお見えになるわけでございますが、これをやはりこっちも忙しいものですから、便宜お集まりを願いまして、勉強会をいたしました。そこでお話を申し上げておいたのがこの内容でございます。その際は発表であるか、勉強会かということにつきまして、これは発表ではない、なぜならば、この法律につきまして私どもが解釈をするという権限はないわけであります。別段この解釈をもちまして、大蔵省はどう考えておるというふうな評価をされちゃ困る。それからまた、人事院を批判するものではないかという質問もございましたが、これは人事院を別段批判することでもない、ということは、本来私が解釈をして、この確定的な内容をもちましてどなたにも申し上げるべき筋合いのものではない、こういうことであります。  それからもう一点は、来年度の、先ほど来問題になっております給与改善費の財政処理方式につきまして、それと関連があるのじゃないか、何らかおまえはあるねらいをもって言っておるのじゃないか、こういうことを言われました。しかしこれは単純に私は二十九年度、三十年度においては、こういうふうな事情があって報告にとどめられた、あるいは勧告も期末、勤勉手当にとどまったというような事例がありますよ、ということを申し上げたのでありまして、それ以上のことは何ら言ってないことであります。で、その点につきましては、新聞のほうにもお話をいたしまして、それは発表のしかたが事実と違うという点につきましては、相手方に御確認を願いまして、国会で御質問になりましても、明らかにあれは事実と反するということを言ってもらってけっこうだ、ということになっておりますので、この際私は、事実と違うということを明確に申し上げたいと思います。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣の御答弁、いま課長からこういう一、二の説明があったわけですが、これでこの記事はそのまま私どもが危惧せぬでもいい、心配せぬでもいいということが明確になったわけで、この問題においてはこれで了承したいと思います。  なお、この機会に人事院総裁にも確認しておきたいと思うんですが、私が言うまでもなく、いわゆる公務員の利益を守るという本来の使命感に立って、人事院としては何ものにも屈することなく、先ほど申し上げた官民給与の格差とか生計費、物価、こういうものを科学的に正確に調査して、それに応じてこれを自主性を持って、人事院の本来の自主性を持って、これを勧告する、あるいは報告する、こういう立場であって当然しかるべきだと思うんですね。そういう意味勧告でありますから、さてその勧告が出たら、これは必ず完全実施する。三十五年以来政府が十年間も完全実施を踏みにじってきたということについては、これは遺憾の意を表さざるを得ないわけです。幸いいま大蔵大臣から明確になったように、来年度はぜひ完全実施したいという、そういう前提のもとに当初予算にも組み、足らざるは、災害対策費でもそうのように、あるいは補正、あるいは予備費からというところまで御説明があったわけです。そういう方向でいま検討なさっておるということでありますし、おそらく、そういうことに結論がいくであろうということを私ども期待するわけでありまして、そういう点はまことにけっこうなんですが、ただこの十年間ですね、十年間も完全実施が踏みにじられてきたことについては、もう繰り返し遺憾の意を表さざるを得ないわけです。これはまあ勧告については、公社現業と比較すべくもなく、公社現業は、きのうも総務長官から、これは独立採算制の機関だからというような意味の釈明が一応あったわけですけれども、これはもう根本の企業体制については変わらぬわけですから、もうほんとうに政府に完全実施しようとする意図、完全実施しようとする政策が生まれれば、これは簡単に実現できるわけです。来年から実現するであろう当初予算に組むとか、足らざるを予備費と、こういうことであれば易々として実現できるわけです。まあこういうような意味合いから、人事院としては、あくまでそれがぐらつくようなことがあっては許されぬわけで、この点この機会に、当然のことではありますけれども、大事なことでありますから、この際この点についての人事院総裁のひとつ所見をはっきり伺っておきたいと思います。
  27. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いまのおことばでございますが、私も完全実施する方向でまあ研究しているということを申しました。で、まあ人事院勧告が補正要因となった場合についても、これは善処すると申しましたが、いまおっしゃられる中に、予備費を使ってもやると言ったというふうに言われましたが、その予備費がいま私どもの間では非常につらくって、災害に対しても余裕があるかどうか、この予備費問題はいま一番苦労しておるところでございますので、やるとすれば、予算の総額を変えない範囲において、いろんな形で私ども責任持ちたいと思いますが、この予備費という約束はちょっとできませんので、その点御了承願います。
  28. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国家公務員法の私ども人事院に期待いたしております使命は、まことにこれはもう申し上げるまでもない明らかなことでございまして、私どもとしては、そういう重大な使命感のもとに、常に行動しておるわけでございます。したがいまして、ただいま御心配らしい片りんのおことばが出ましたけれども、私どもはしゃんとしておるつもりでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体大臣からのいまの所見で、来年度についてのお考えが明確になったわけですけれども、ただ予備費から足らざるを補うということについてはここでお約束できぬと、そういう意味の釈明があったわけですけれども、まあ私どもは予備費にとらわれることはなくして、予備費であろうと補正であろうと、あらかじめ予備費である程度組んでおくとか、まあ災害対策費などは予備費に入っておると思うんですが、その程度はわかりませんからね。しかし給与については非常に恒常性があろうかと思います。先ほど申し上げたように、二十九年に一回、経済情勢の悪化という理由で勧告を、これはやらなかったのではなく、保留にしたわけで、しかし三十年は勤勉手当とか期末手当の一部を出しておりますから、これは勧告しておるわけで、二十九年だけだと思います、そういう意味からは。そういうわけで長い間、二十九年に一回そういう事例があっただけで、あとは今日まで継続勧告が引き続きなされておるのです。恒常性があるということで、給与改善費としてこれを当初予算に組む、そこまではよく理解あるわけですけれども、ただ当初予算のワク内でということになると、これは非常にきわめてだいじなことで、このワク内操作ということになると、人事院勧告がそれ以上のときは一体どこからその足らざるを補うのか、そこはまたわれわれの立場から言うと憂慮されるわけですね。われわれしろうとなものですから、専門家じゃないですから、どこから一体持ってくるのだろうかという疑問が出てくるわけですが、そういう際はどこから一われわれは予備費にとらわれることはない、どこからでもいいわけです。一体どこから足らざる場合は持ってくるのか、そこを明確にしておいていただきたい。
  30. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そこで最初に、どの程度の準備をしておくかということが非常にだいじな問題になろうと思いますので、そういう点に技術上のむずかしさもございますので、いまいろいろ検討しておるところでございますが、大方のものを大体予想して準備するということができたら、そのあとは大きい膨大な予算でございますので、全くどうにもやりくりがつかぬというような事態に追い込まれることもないじゃないかというようなこともいま考えて、この最初の用意の仕方というものをいま検討しておるところであります。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう私に与えられた時間が参りましたので、これでもう遺憾ながらやめておきたいと思いますが、ただ最後に一点念を押したいのは、そういたしますと、私どもの心配するのは、当初予算に組む方向で努力される、これ、たいへんけっこうで、ぜひそうしていただきたい。この点は異論はないわけですが、ただ人事院勧告は、いわゆる官民給与の格差、生計費とか物価、そういうものをすべて科学的に調査検討して結論を出すわけですから、災害ほどではありません。災害はまあ全然自然のやることですから、全然見当がつかぬわけですね。そこで予備費ということですが、この給与については一応の大よその腰だめの見当はつくわけです。だがしかし、それを明確に出してしまうと、人事院勧告は、たとえば大蔵省で一〇%の給与改善費を組んだとすると、人事院としては一五%これは勧告しなければいかぬという科学的の結論が出たとしても、どうもその一〇%にとられてしまうわけですね。そういうことで、人事院本来の使命が達成できないわけです。そういうことをおそれるわけです。したがって大蔵省で、これは足らぬのは困るが、余るのはいいということで、一五%、二〇%くらい組めば心配ないわけですけれども、そういうことは実際問題としてできないわけですから、そういう場合に、その足らざる場合にどうするのかということが明確にならぬと、どうも納得できないと思うのです。もちろん、必ずしも予備費でなくてもいいわけですが、しかしお答えの意味はそういうこともあるから、そういうことも含めていま検討しておるのだ、そういうことであれば、遺憾ながらそういう点は了解できるわけですが、そういう意味に理解していいのかどうか。
  32. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そういう点の御心配まで入ってしまうと、もう最初一定の金額をとっておくという方式はもういかぬということで、これは話が私は政府部内においてもきまらない問題になってしまいやせぬかということを考えておりますので、いまできるだけそういう方向を現実する形で諸方面との交渉をしているということでございます。非常にむずかしい問題でございます。
  33. 山崎昇

    山崎昇君 伊藤委員の質問に関連してごく具体的に私は聞きたいと思う。新聞報道だけですから正確なことはわかりませんが、いま大蔵省でやっておるのは、四・五%程度来年度は物価が上がるであろう、したがって、それに見合う賃金の予算として、五百億程度予備費に組んで対処しておきたい、こういう報道なんですが、そういう方向かどうか、まずひとつお聞きをしたい。
  34. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 物価の予想分だけ盛っておくというような方針は、まだ全然きまっていません。
  35. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると新聞報道は全く誤報ですか。しかし、いずれ政府部内ではそういう方向について私はかなり検討されておるのではないかと思うんですが、どうですか。それも検討されていませんか。
  36. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) もう検討は多岐にわたって検討しております。たとえば人事院がこれくらい勧告してくるかもしれぬというものを予想して盛るということもむずかしいことでございますし、そうかといって、今度は物価の予想からこれくらいを当初予算に盛っておいたらというやり方も非常にむずかしい。この当初予算にどれだけを準備するかということで、いろんな角度からやっておりますが、やはり皆さんの納得のいく方法でやらないとこれはなかなかやっかいだと思いますので、そういう点について、こういう形で、こういう考えから、これだけの金額を準備しようということはまだ結論が出ておらないところでございます。
  37. 山崎昇

    山崎昇君 責任ある大臣から結論出てないと言われれば、それ以上私どもは言えないんですが、ここ一カ月ばかりの新聞をずっと見ると、大体公務員給与については物価の見込みを四・五と見て五百億円程度ついているわけですね。その程度予備費に組んで対処をするんだというふうな方向が、ずっとどの新聞でもそう書かれるわけですよ。ですから、私どもは実際にやっていませんから、大臣からまだ結論出てないと言われると何とも言えませんが、そういう方向が大体中心でやられているのじゃないかと推定しているのですが、その推定はずれていますか。
  38. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 物価からの計算でという推定は大体はずれているんじゃないかと思っておりますが、これは各新聞社も非常に関心を持っておりますが、まだ、とにかくむずかしい問題できまらないことでございますから、われわれの個々の検討は盛れていないはずでございます。
  39. 山崎昇

    山崎昇君 はずれていると言われれば実際もう参ってしまうんですが、そこで角度を変えて、具体的に聞きますが、先ほど伊藤委員からもちょっと触れておりますように、来年は人事院がどういうパーセントで、どういう形の勧告を出したとしても、それを完全実施するおつもりですか、これをお聞きしておきたい。
  40. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) さっきから申しましたように、そういう方向へ改善したいための考慮でございます。で、私は先般参議院で言いましたが、人事院勧告は、五月にさかのぼれというのはずっとこの何年かの勧告でございますから、あのとき言いましたように、どうも五月というのが私にのみ込めないのです。ほんとうにさかのぼれといったら、やはり一般企業、公企業と同じように四月一日から実施するのがいいのじゃないかというので、そういう点では人事院総裁よりももっと真剣に考えているような気がいたします。
  41. 山崎昇

    山崎昇君 いまそれも聞こうと思ったんですが、先手とられてしまったですね。  それじゃ、人事院総裁ね、いま直接金を出す大蔵大臣のほうで、五月、実施というのはおかしい、四月実施が正しいのだと、こう言うんですが、来年以降の勧告はぜひ四月実施で勧告をしてもらいたい。そうでなければつじつまが合わないわけです。どうですか。
  42. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) われわれは、先ほど来のお話しのように、中立性を非常に強く持っておる機関でございますから、完全に自主的に判断さしていただきます。
  43. 山崎昇

    山崎昇君 時間がありませんからもう一点でやめますが、人事院総裁にお聞きをしておきたいのは、国家公務員法によると、五%が一応のめどになっているわけですね、民間給与との。それ以下でもこれは報告をしなければならないわけなんです。そこで心配するのは、さっき伊藤委員の質問に、大蔵大臣はそういう心配要らないという趣旨でありましたけれども現実的に予算編成の際にある程度の見込みで予算が編成をされると、私はそれに合わせるような勧告になってくるおそれがあるのではないか。現実的にはそういう作業が行なわれるのではないか。これもまたよけいな心配でありますが、するわけですが、そういうことがないかどうかということと、それから大蔵大臣のほうには――さっき給与課長から釈明がありました。しかし、ああいうものが一たん出ると、どう釈明あろうとも、やっぱり一般の受け取り方は、ああ、これで大蔵省の考えどおり給与はきめられちゃうのではないかという心配が出てくる。  そこで大蔵大臣に最後に詰めとして聞いておきたいのは、あくまでも人事院勧告が出てから完全実施をします、大蔵省独自の判断だけで、予算だけで公務員給与をきめちゃうということはいたしません、こう私は思うんですが、そういうふうに、決意あれば述べてもらいたい。
  44. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 政府が財政上一応この程度の用意をするといったもので、俸給表までつくって、ここに法律のこのあれをお願いをするということでしたら、これは問題が起こるかもしれませんが、そうじゃなくて、人事院勧告を待つという体制をとっておくというやり方をする以上は、そういう政府の越権行為というようなものは全然なくて済むだろうというふうに考えております。
  45. 山崎昇

    山崎昇君 人事院総裁、どうですか。
  46. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いろいろ御心配のようなおことばでございましたけれども、これは、たびたび申し上げておりますように、私どもの立場としては、やはり私ども公務員法上の重大な使命というものがありますから、この使命はまっすぐに正しく守っていかなければならない、そういう決意で臨んでおるわけです。
  47. 山崎昇

    山崎昇君 いいです。
  48. 北村暢

    ○北村暢君 これはくどいようですけれどもね、いまの問題、せっかく大蔵大臣見えておりますから、重ねてお伺いいたしますが、この予算編成の方法として、この現在の財政硬直化の一つの解消策として、公務員賃金がですね、従来のように上がっていくということについては、財政当局としての見解として好ましくないと、こういうふうな見解をお持ちであるようですがね。特にこの財政硬直化というのは、大蔵省から出てきている特異なキャンペーン張ったことばで、これを大蔵省が盛んに宣伝しておるわけなんだが、そういう理由のもとに、公務員賃金は従来のような上がり方でいくということについては好ましくないと、こう考えておるのじゃないですか。この点はどうなんですか。
  49. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この公務員賃金が従来のように上がっていくのは好ましくないというのではございませんで、たとえば食管とか、この公務員給与、この二つの補正だけでも本年度は千八百億円になるということでして、こういう補正要因の大きいものだけを当初予算で残してやっていくというやり方をしますというと、国費全般の均衡、比較というようなものができない。もう別扱いというようなことで予算をきめるということの弊害というものは非常に大きいと思います。やはり今年度の歳入はどれだけを期待できるか、そうして、これに対する財政配分をどういうふうにするかという見通しをはっきりさせて、政策間の均衡をとるということをやらないと、特殊なものだけが一般とは均衡を別に独走していくと、こういう予算査定のやり方というものについては、やはり考えなければならぬ。やはり用意するものがあったら最初において用意して、全般の均衡をとるという予算の編成方針が正しいのだという考えから出ておるものでございまして、一番大きいものだけをあと回しで、それはそれという予算の作成のしかたは好ましくないという考え方からでございます。
  50. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、予算の組み方の問題ですが、これは先ほどおっしゃったように物価によってやるか、人事院勧告を推定するか、非常に内容的には困難な問題ですわね。確かに幾らかの大きなものをあらかじめ組んでおくにしても、その基準というものについては非常にむずかしい問題です。それで、組むとするならば、これは給与担当大臣のほうとも関係するのですが、予備費に膨大なものを組むということは、これはできない。やはりある程度のベースアップというものを想定をして、そして人員を掛けて単価を上げて予算というものができるべきものですわね。そういうことで、予算はそういう方向で組むが、さて給与法改正との関係、これはきのうも給与担当大臣は、勧告制度と予算編成との調整について、いかに調整するかということについていま政府部内で検討中だと、こう言われておる。したがって、四月から上がる予算を組んでおくのだが、人事院勧告を待って給与法というものを提案をして、予算の実際の運用はさかのぼって実施するのか、それとも四月から組むということは、四月に、人事院勧告の出る以前に給与担当大臣は給与法の改正案を国会に出して、四月から実施をするのか、そこら辺はどのように考えておるのですか。予算編成と、四月から相当のものを、期待するものをあらかじめ組んでおくということと、実際に給与法を国会へ出して実施するということとの、どういうような段取りでやられるお考えなのか。
  51. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) それは給与担当大臣がきのうお答えになったとおりでございますが、その調整はまだついておりません。いませんが、私ども考えでは、補正なしの予算という構想をかりに実現しようとするとしたら、大きい補正要因を片づけるということでございますから、おっしゃるとおり膨大な予備費をとっておくというようなやり方は、これはできないと思います。したがいまして、給与については、給与特定した給与の予備費的なものを新しい項目を置いて、そこにこれだけ予定しておるというものははっきりさせて、そうしてあとは人事院勧告を待ってから法律の改正をするというようなやり方でないと、実際にはできないのじゃないかというようなことも考えていますが、これはまだ給与担当大臣のほうと、これでいこうというような結論にまでいっておりません。
  52. 北村暢

    ○北村暢君 給与担当大臣、ひとつどういう考え方ですか。
  53. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま大蔵大臣が仰せられましたように、まだそういうふうな話を詰めるところまでいっておりません。で、しかしながら、人事院の保護機能、公平機能というものは、これは私どもといたしましては非常に高く、尊重もし守ってもらわなくちゃならぬと、こう考えております。ちょうどお話をお聞きになりましてもおわかりのように、私のところは、一方人事院からもいろいろな要請なり、また人事院を守っていくという立場と、他方においては大蔵省の財政の現実と、こういうふうにまあ両方あるわけでありまして、それで、これからどういうふうな法制的な扱いにするかどうかということは、なかなかこれは十分検討しなければ相ならぬと、こういうふうに考えておりますが、ちょうど私のところはサンドイッチのハムみたいなもので、人事院と大蔵省との間に入っておるわけでありまして、しかしながら、給与担当責任者といたしましては、まあそのハムの立場ではありますが、十分あぶらもきかせ、カラシもきかせまして、ひとつうまいものをつくりたいと、かように考えておりますから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  54. 北村暢

    ○北村暢君 それはですね、いまの給与担当大田のその意見というものは、人事院勧告を尊重するという立場と、それから大蔵省のほうからは財源的にあれですね、締めつけがくるという、サンドイッチだというのは、初めからサンドイッチを覚悟しておるのじゃ、完全実施やるやると言うたってまたできない、そういうことでは。  したがって、その問題はあとにしますけれども、いま大蔵大臣のおっしゃっておるように、あらかじめ大幅のこの想像せられる予算というものを、各省の給与費の予備費的なものとして、特別なワクにして組んでおいて、人事院勧告が出てから実施をするようなことになるのではないかと、まあ、こういうことでありますから、大蔵大臣のほうはね、人事院勧告を非常に尊重する意味において、そういう意味であれば、私はさっきから大蔵大臣のおっしゃっておることはわかるわけです。人事院勧告を尊重してそのようにやる、しかしその場合に、完全実施することが――まあ四月からやる予算を持っておるわけですから、その場合に勧告との間に若干の一%か二%の差があったとしても、それは既定経費の節約によってやるとかなんとかいうことで、予備費も若干――全部を予備費でやるということは、先ほど否定されましたから、そういうことでやる。とにかく四月から実施できるように、しかも、あまりべらぼうな補正というものを組まなくてもできるようにあらかじめ組んでおく。それで足りなければ、わずかのものであれば補正もあり得るということを大臣は答えておるわけですから、大蔵大臣の意思は、私は人事院勧告を完全実施する考え方だと思うのです。そういうふうに受け取れるのです。ところが、給与担当大臣のほうは、どうも大蔵省が初めから締めてきて、人事院勧告のほうが高くて大蔵省が低くて、そのうちのサンドイッチのようで、大蔵省に対してカラシをきかして少しがんばりましょうと、こういうふうに聞こえるのですけれども、それは大蔵大臣のせっかく答弁されておることを、私は若干否定するような感じに受け取れるのですが、どうなんですか。
  55. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 私の申し上げておりますことは、もちろんそういうことではございません。これはもうそういうふうにお聞きいただいては困りますが、ただいま申しましたのは、法制上のいろいろなまだこまかい問題もございましょうし、それからまた、大蔵省がそれだけたっぷり財源を取っておいてくださり、またさらに足りないときには補正をしてくださるということなら、非常に私どもは喜ぶことでございます。  私は人事院と同じように、公務員を守っていくのが一つの職責でございます。また、内閣の全体の総合調整ということもございますが、そういうようなことで、これからどういうふうに大蔵大臣に、あるいは人事院のお考えを、法制上の問題やら、その他いろいろの財源上の処理やら御相談をしてまいりたい。まだ政府部内できまっておるわけじゃございませんので、申せないと申しましたのはそのことでございます。
  56. 北村暢

    ○北村暢君 そこでお伺いしておきますが、衆議院段階、予算委員会等においてこの給与問題が論講ぜられておるのは、いずれも財政硬直化問題をやって、先ほど来の五%だの何だのというのは別として、とにかく四月から予算を、ベースアップというものをある程度予期したものを組んでおくということで、それを四月から法律改正で実施をして、そして人事院勧告がそのときにどういう効果になるというのかというような論議になって、実施をしても、たとえば五%の実施をして、人事院勧告が八%であったと、勧告が八%の勧告、これは実施する以前の実態調査で、そうするとあとは、五%実施であるから人事院勧告は三%である。したがって八%というのは、五%実施しているから、三%であっても、人事院は五%以下でも勧告できるということを答弁しておりますがね、人事院はまたやれる、こう言っておる。それは四月実施を前提としておるわけですね。その五%なら五%、六%なら六%上げているということ、そういう論議が私なされておったというふうに聞いておるわけなんですがね。そうではなしに、先ほど大蔵大臣が言われたように、人事院勧告があった後に、予算はあらかじめ組んでおくが、四月から実施する。直ちに実施するのではなくて、人事院勧告を待って、その後給与法を改正をして実施する、こういうふうに、大蔵大臣の説明ですとそういうふうに聞こえるのですがね、それでいいのですか、給与担当大臣。
  57. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 私はたびたびお答えいたしましたように、人事院の機能というものを、ことに勧告権というものを制約しようとかなんとかというふうなことは全く考えておりません。と同時に、いまの四月からよしんば実施という場合に、どういうふうなタイミングの勧告になりますか、あるいはまた春闘というふうなものも、人事院とされましてはいろいろ研究されなけりゃならぬこともございます。その辺はひとつ人事院のほうがいまの経過措置をどうおとりいただくか、これはもう人事院のほうのやはりお考えを伺って御相談を申し上げなきゃならぬと、かように考えております。
  58. 北村暢

    ○北村暢君 そこでもう一ぺん、くどいようですが、従来人事院は八月勧告しているわけですね。これを八月に勧告されたのでは予算当局としては迷惑だから、この勧告をもっと予算編成に間に合うように早く勧告を出しておいてはどうかということも検討したらどうかという意見もあったわけですね、予算編成との関係で。そういうこともあったわけなんです。したがって、いまお話を聞いているというと、八月勧告というものは従来どおりやると、八月から人事院勧告を早めるとかなんとかいうことはしない、八月勧告でやっていく、しかも人事院勧告を尊重するということになれば、勧告以前に給与法の改正ということはしないと、こういうふうに理解していいんですか。
  59. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) なお、そういうふうなことも含めまして、人事院とよく御相談をしなきゃならぬと思います。というのは、勧告の経過措置としては、時期を早めてお出しいただいたらどうかというふうな議論も、ただいまおっしゃったようにあったわけでございますし、人事院のほうでどのようにお考えになっておられまするか、また、給与表みたいなものを、政府が一方的にやるわけではございませんし、十分御相談をしなけりゃなりませんし、そういう点はひとつ人事院によくお考えいただいて、御意見を承って処理したいと、かように考えております。
  60. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ人事院総裁にお伺いしますが、衆議院の予算委員会で質問が出て、総裁は、官民格差が五%以下の場合であっても勧告した例もあるし、勧告もできますと、こういう答弁のあったように伺っていますが、勧告の時期については、四月の調査は、民間給与を調査して八月に勧告するというこの考え方は変える意思はあるんですか、ないんですか。
  61. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いまお話しのように、五%未満の場合でも勧告した例もあるし、十分それは可能であるということを申し上げたわけです。ただ、いまの八月勧告の時期の問題は、総務長官も触れられましたように、従来いろいろと検討の対象とされておりまして、政府も私どももお互いに力を合わして検討いたしましたけれども、これにかわるべき名案はない。ただ、この機会に少し触れておきますけれども、要するに一つのお話としては、予算編成の前に、来年四月以降のことを予測して、その予測のもとに勧告してもらえないかという話が一番最初の段階に起こっております。これは一つの常識であろうと思います。しかし、それについては私どもから申しますというと、大体データをどこに求めるかというと、八、九月ぐらいの数カ月前のデータに基づいて数カ月先の事情を推測しなきゃなりませんから、これはなかなか責任を持っての勧告ということになるとできませんと、困難でありますと、そのぐらいのデータならば、政府部内にもお持ちのはずですから、それじゃ政府部内でそれだけのデータを大いに活用されて、大体予算の含みとしてそれをお使いになって、予算のほうで取っておいていただければ、八月に勧告しても、完全実施は可能になるのじゃございませんかという話から、いまの当初予算にこれを組み込むという話に私どもとしてはつながるものだと、いままで思い込んできたわけでございまして、そういう点で予測の勧告というのはなかなかむずかしい。私どもが四月現在でつかまえた官民格差というものを大きな基盤にして、精密な検討の結果、格差を求めておりましたために、たとえば八十円アップを要求されておりました組合側としては、それだけの大規模な調査をやっての格差なら、はなはだ不満だけれども、やむを得ないということで納得していただける、その反対の側の方々も、いろいろまた逆な意味の不満がありましても、それだけの調査の結果ならば、まあまあ不満だけれども、やむを得ないということで御納得いただいているわけでございます。そういうきめ手があっても若干の御不満があるわけです。そういうきめ手がなしにこれをやった日には、人事院勧告の信頼性といいますか、権威と申しますか、これははなはだ憂えるべきものがありはしないかということから、なかなかわれわれとしてはそういう方向への腰は上げられないということを言って御説明申し上げているわけであります。
  62. 北村暢

    ○北村暢君 ここで大体大蔵大臣、人事院総裁勧告制度と予算の組み方の問題について私は一致していると思う。そういう意味において、給与担当大臣は、勧告以前に予測に基づいて給与法を改正すると、提案をするということはまずあり得ないんじゃないか、このように思いますが、いかがでしょう。
  63. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) そういうことも全部含みまして、ひとつもっとよく人事院とのお話し合いをいたしたい、また、政府のほうでも十分研究いたしたい、こういうふうに考えております。
  64. 北村暢

    ○北村暢君 最後に、私もう一ぺんくどいようですが、この人事院勧告の完全実施の問題は、当委員会においても、衆議院におきましても、何回か決議をしてきている問題です。今年も八月実施、財政当局として非常に苦労をされて編成をされたということについては、私は確かにその労は多としますけれども、しかし完全実施ができなかったことについては、これは昨日も伊藤委員山崎委員からも出ているように、あらゆる報道機関、あらゆる論調も全部完全実施というものはまずやるべきだということを主張しているのです。したがって、これはもう国会の意思もそうであるし世論もそうである。したがって、予算編成上のいままでのあり方について、なかなか補正というものを大幅に組むということについてできなかったという事情である。そのためにできなかったので、来年からは補正なしの予算編成ということは、極端に公務員給与というような膨大な補正というものが出てくることのないように、あらかじめ四月実施を目途に予算編成をする、そのことは決して人事院勧告を無視することでもないし、人事院勧告を正しく守る、いわゆる実質的に尊重する、こういう考え方からの発想である。世間で言われている財政硬直化によって公務員給与を押えるための手段ではない。このことをはっきり確認できるかどうか、ひとつ各大臣からそれぞれ伺いたい。
  65. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御意見のように、このことは、ほんとうに誠意と善意をもってわれわれが真剣に考えておる次第でございまして、その点どうぞ御了承いただきます。
  66. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私もそのつもりでいまやっておるのでございます。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣がお帰りになると申しておられますので、大蔵大臣中心に、若干重複するとは思いますが、質問させていただきます。  近代労働法のたてまえで、公務員労働者の賃金というものは、当然近代においては先進諸国においても、労使が対等の立場で団体交渉によって賃金を決定するというたてまえになっておるのでございますけれども、日本においては昭和二十三年七月三十一日の政令二百一号によって、公務員労働者から団体交渉権と争議権を奪い、そうしてその代償、見返りとして、第三者的な、中立的な性格を持つ人事院勧告によって賃金が決定される、このようになったのでございますけれども、残念ながら、過去十九回にわたって実施されていない。特に昭和三十五年以来去年まで、七回にわたって人事院勧告の完全実施がはばまれて、特に勧告時期の問題もありましょうけれども、財源難ということを理由にして実施時期をおくらしてきたわけです。当然財源の有無から実施時期がおくらされるということではなくて、完全実施を目標にして財源をどうするかという考えでなければならないと思いますが、今年度においては去年より一カ月前進したといっても、三カ月おくれの八月実施にきまったわけでございますけれども、どうして五月実施にできなかったのか、その理由を端的に大蔵大臣にお答え願いたい。
  68. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この理由はもう御承知と思いますが、年度途中の勧告をさかのぼって支給すべしという、勧告に応ずるだけの財源を中途で確保することが困難であったということであります。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 来年はどうされるのか、もう一回お願いします。
  70. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 当初予算において一定の額を準備して、そうして人事院勧告に対処できるような措置をとりたいという考えで、いま検討中のところであります。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 来年当初予算に組み込むということでございますけれども、先ほどから論じられておりますが、予備費という形で組み込むのか、その他の形で組み込むのか、まだきまっていないのか、どちらですか。
  72. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) それはいま総務長官も言われましたように、政府の中でこうしようということはまだきまっておりません。おりませんが、技術的にいろいろ考えてみますと、やはり一般予備費じゃなくて、給与の予備費というような項目を貫いて、そうしてそこに一定の予算を準備しておき、人事院勧告を待ってからこの処理をするというやり方が一番いいのじゃないかというようなところまで検討はしておりますが、まだこれがやり方としてきまったわけではございません。
  73. 多田省吾

    ○多田省吾君 当初予算に組み込まれるということになれば、完全実施ができない、難点として政府当局はいつも財源難ということを言ってまいりましたけれども、財源が非常にあったときも完全実施されないこともありますし、また、財源があまりないときだって一カ月前進したときだってありますから、当然財源難という理由は、全然的はずれだと思います。いま大臣のお話によりますと、結局当初予算に組み込んでおかないので勧告時期が八月以上におくれている、そのときにもう財源がすでに確保されていないというようなことをお述べになっておりますけれども、そうしますと、当初予算に組み込めれば、来年からもう完全実施はできるということをここでお約束できますか。
  74. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そこでいま私どもが苦心しておりますことは、来年度の財源全般から見まして、とにかくこの財政需要を完全に満たすだけの財源確保はむずかしいというところに直面しておりますので、したがって、当初予算への盛り込み方についても、ここにいろいろ問題が出てくると思います。で、これだけを準備をしましたとお示ししたときに、この数字は何だと、どういう計算のもとに計上した数字であるかというものについての、私どもは皆さん方に説明をしなければなりませんし、そういうことで、この財政難のときに、一応矛盾のない説明のできる準備のしかたというものは非常にむずかしい。それで、いままでどおりのように、もう勧告はあとからしてください、なかったらことしはもうやりませんという態度で臨んだほうが、財政当局としては、実は私自身は楽だと思っておりますが、これはやはり無責任なことであり、ここで一歩でも改善するといままで言っておりましたから、完全実施ができる方向で努力するのがほんとうだという観点から、もう当初予算で盛るという方向でやっておりますが、なかなか当初予算にどれだけ盛るか、じゃあ不足は全予算のどこにどういうふうにあるかということをはっきり説明するのは非常にむずかしいので、一応矛盾のない予算の編成方針を全般にわたってしようということで、いま苦心しているところでございます。
  75. 多田省吾

    ○多田省吾君 宮津構想では、たしか当初予算に組み込むときに、消費者物価の値上がりに見合ったような組み方をしたらいいじゃないかというようなことをおっしゃっているようでございますけれども、いま大臣がおっしゃったように、あまりにも過小な組み方をすれば、所得政策かと攻撃されるでしょうし、また過大な盛り方をすれば、当然民間給与に対して大きな影響をするということが考えられますし、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、また、一歩前進ということを大臣はおっしゃって、何とかその点をぼかしていきたい、あまりきびしくしていくと、来年の当初予算にもなかなか盛れなくなるというような意味のお話もなさいましたけれども、やはり当初予算に盛るというからには、何らかの根本の方針が必要だと思いますが、この何%盛り込むかという考え方の根底をどこに貫かれるか、お答え願いたい。
  76. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) さっき御質問にもありましたように、まだ考え方が幾通りもございますので、最終の結論を得ておりません。
  77. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ一応人事院勧告の場合は、官民給与の格差が五%以上開いた場合は原則として勧告するというたてまえになっておりますから、当然また、いままでの姿においても五%全部こえてまいりましたし、人事院勧告は毎年出されてまいりました。そういう点から見て、当然五%は下回らないと思いますけれども、これはどうですか。
  78. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これは、これから私どもが名案をもって各関係省と折衝する問題でございますので、この段階では何とも言えませんが、そういう私ども考えのものに組む予算でございますから、そうむちゃな過小なものをもって臨むということはいたさないつもりでございます。
  79. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども山崎委員から質問があったようでございますが、消費者物価の値上がりが四・五%に落ちつくというような政府の見通しから、四・五%程度の盛り方をするのではないかというようなことが言われておりますが、そういうことは絶対にいまきまっていないということは言えますね。
  80. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) きまっておりません。
  81. 多田省吾

    ○多田省吾君 来年の予算編成をいまやっておられると思いますけれども、大体来年度の予算の規模、また来年度の当然増経費はどのくらいになるのか、この二点をお聞きしたい。
  82. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 来年度の予算編成方針につきましては、この二十九日に閣議決定をもって方針をきめたいといういま予定で準備いたしております。で、二十八日には政府与党で一応この意思統一をするということをやって、二十九日に政府の意思を決定したいというふうに思っておりますが、いま財政当局の私どもだけの考えとしましたら、来年度の経済成長の率以下に予算の伸び率を押えたいということがいまの考え方でございます。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 当然増経費は。
  84. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 当然増の経費は、もう義務的な経費とはっきりしているものがやっぱり約七千億円ぐらいになろうと思います。それからこれに準ずる準当然増と申しますか、この経費はそのまま見ますというと二千億円をこすという状況でございますので、大体この当然増、準当然増の数字を足すと九千億近くなるというのが実情だろうと思います。
  85. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、いま財政硬直化というような政府のキャンペーン、あるいはいま当初予算にこの公務員給与の増額の問題を盛り込むという問題から、来年の予算編成にからんで、社会保障の面を一般に切り捨てなければならないというような風潮が大蔵当局にあるように感ぜられるわけでございます。公務員給与を当初予算に組み込むことを一つの理由にして、社会保障費なんかを切り捨てるようなことがあってはかえって非常に重大な問題になると思うのです。  そういう心配から、その当初予算の盛り込み問題とからんでお聞きするのでございますけれども、たとえば学校給食費の補助を打ち切るとか、あるいは中学三年の教科書無償問題を延ばすとか、あるいは生活保護費も増額しないとか、このようなことをもし考えておられるとすれば、これは重大問題であると思います。来年当初予算に盛り込んでも、そういった社会保障一般の経費は打ち切るようなことはないということはお約束できますかどうか、お伺いいたします。
  86. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 社会保障の大部分はもう当然増の中に入っておりますので、これは義務的にふえるものは全部ふえるということになろうと思います。それから、いわゆる準当然増といわれておるもので来年度どのくらいそれではこれを増額する必要があるかといって、われわれの査定の及ぶ経費については、これから伸び率をどうするかというのは具体的にまあ検討によってこれをきめなければなりませんので、そこで十分の伸びを期待するということはむずかしいということになるかもしれませんが、社会保障の当然増経費を変更するとか、削るとかいうようなことは一切いたしません。
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、いま最初に大臣が、完全実施ができない理由として、当初予算にいままで組み込むことができなかったということをあげられましたけれども、来年からそれができるとすれば、完全実施できない理由というものはほとんどなくなるわけでございます。私どもは、あくまでも来年は完全実施すべきであると思いますし、また完全実施に向かって絶対していきたいというお約束をしていただきたいということを重ねて要望したいと思います。  最後に、こまかいことでございますが、いまちょっと申し上げました給食費の問題、教科書無償問題、生活保護費問題、これはいままでのたてまえと同じようにやっていくということかどうか、はっきりお答え願いたいと思います。それと先ほどの要望とあわせて最後に申し上げまして終わります。
  88. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 当然増の問題は、法律制度、慣行を変えなければこれは手を触れることはできませんので、こういうものを削減するということはおそらくむずかしいと思います。しかし、補助金全般、いわゆる補助金というものを見ますと、地方財政に対する補助金的なものでも一兆三千億をこえている。したがって、この零細な補助金については、ここで整理統合していいじゃないかという意見は、これはもう毎年出ておる意見でございますので、そういう意味から今年度は四百項目以上の零細補助金というものを整理いたしまして、ですから一ぺんきめたものでもそういう観点からいろいろな整理統合というものはさらに私どもは続けたいと思っておりますが、いま言われたような、整理統合を特に弱いところへしわ寄せするというようなことは避けながらやりたいというふうに考えております。
  89. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは、午前はこの程度といたし、午後は一時三十分に再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十六分開会   〔理事八田一朗君委員長席に着く〕
  90. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  それでは順次御発言願います。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 教職員の超勤手当について、人事院総裁にこの問題一点にしぼって一、二お伺いしたいと思います。  この問題については、人事院が三十九年の勧告で支給すべき方向を明らかにして、研究の必要を勧告したのだから、あとは文部省が研究して予算化すべきだ、こういう経緯があったわけです。当時の中村文相にこういうことを要請しておるわけですね。そこで、この勧告要請を受けた文部省としては、教員の勤務時間はきわめて不規則で超勤についてははっきりさせにくい、こういう当面上の口実で、しごく当然のこの要求は拒否し続けられてきたわけです。しかしながら、労働基準法が教員にも適用されておる以上、超勤に対しては手当を支給しないわけにはいかないわけです。これは違法になるわけです。なお、教組からの訴えを受けた静岡とか大阪の地裁でも、超勤手当を支払うべきだということの判決が出ておるわけです。こうした中で、前剣木文部大臣は、さきの出委員会で私の質問に対して、調査の結果超勤の実態が明らかになれば明年度予算に必ず計上する。こういう意味の約束を私にされたわけです。この公約に基づいて、文部省としては六十三億円を概算要求に織り込んでいるわけです。ここまではしごく順調にいたったわけですが、もう総裁も御存じのように、一方、自民党の文教部会では、これに対して激しい反対の意向もあり、結局結論が出ず、現在ただいま非常に混乱しておる。こういう情勢があるわけです。  ここで私は人事院総裁に特に見解をお伺いしたいのは、まあ総裁としては一応勧告の手を尽くしたのだから、もう私の関知せざるところで、あと文部省が予算化すればいいことだ、そう言ってしまえばそれまでですが、これは後ほどいろいろ申し上げますが、このままにしておくと憂慮にたえない混乱状態が起きるということは必至であります。したがって、人事院の立場では、ただ勧告をすればいいというのではなく、国家全体の立場から、しかも合法的に行なわれるよう格段の措置を、人事院総裁としてできる努力をお願いしたい、そういう要請を込めてお伺いするわけです。この点についていかがですか。
  92. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 問題の経緯は大体いまお述べになりましたようなことでございますが、もう一ぺん正確を期するために繰り返させていただきますと、御指摘のとおりに、三十九年の勧告の際の報告書の中において、現行制度のもとに立つ限りは、正規の時間外勤務に対してはこれに応ずる超過勤務手当を支給すべきは当然だということ、しかし、他方この問題は教員の勤務時間について現行制度が適当であるかどうかという根本にもつながる事柄であることにかんがみ、関係制度改正の要否についてはこの点をも考慮しつつ、さらに慎重に検討する必要があると考えるということをうたいまして、ただいまお話に出ましたとおりに、勧告のあと中村文部大臣をたずねて、こういう根本問題がありますから、ともあれ実態調査をやっていただきたい、まあ実態を把握せぬことには論究はできませんからという趣旨で、実態の調査をお願いして、まあ最近その調査がまとまったということが事実経緯そのものでございます。私どもとしては、いま報告書の御紹介を申し上げましたように、ひとつのそれは問題点である、大きな根本問題であるという認識に立ちながらあれこれ考えてまいっているわけであります。最近、文部省の調査の結果も明らかになりましたので、それらをも勘案しながら検討をしている次第でございますけれども、いずれにせよ、なかなかこれは大きな問題でありまして、たとえば私どものおあずかりしている関係からいうと、一体、教職員方々だけに限られる問題か、あるいは研究職の方々にも同じような問題がありはしないかというような横の関連もございますから、したがって、そういう関係も見合わせながら、現在慎重に検討しているというのが実態でございまして、ここで結論を得ているというところまで申し上げる段階にはとうていいっておりません。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまおっしゃった経緯のもとに今日まで来たわけですが、文教部会で反対する理由をいろいろ調べてみますと、問題は、これは教員の超勤手当というものは除外したほうがいい、これは号俸二号俸くらい引き上げて、そういう恩恵を与えてこの超勤については、やらぬほうがいい、こういう意向のもとに反対が相当ある、まあ予算的に見ても、とりあえず明年度からやるとすれば六十三億くらいで済むわけですが、これは号俸引き上げということになると、額ははるかに突破して百億は下らない、予算的にも非常に困難な問題もあるわけです。そういうこともありますし、根本的には自民党の文教部会で言われているこの本俸の引き上げということと超勤手当支給とは全く別個の問題です。全く別個の問題であって、本俸を引き上げするから超勤手当を支給せぬでもいいということは成り立たぬわけです。しかも、超勤手当はいわゆる労働基準法を適用されている者には絶対に適用されなければならぬわけですから、したがって、教員にも労働基準法は適用されている現実をながめたとき、教員だけに超勤手当が支給されないということは法的にも考えられない、これはもう法違反ということが明確であるわけです。しかも、先ほど申し上げたように、大阪、静岡等でこれは訴訟問題になって、結論は先ほど申し上げたように、地裁からこの教員に対しても超勤手当を支給すべきであるという判決がもう出ているわけです。そういうことで、もし明年度予算化されないような事態にでもなれば、いわゆる教組としては全国的な規模で四十六都道府県でこの訴訟を一挙に引き起こす、こういうことになって、こういう傾向は避けられない情勢にあるわけです、もし明年度予算化しない場合は。こういう緊迫した情勢化にあるので、特に人事院総裁にもひとつ格段のお骨折りをいただいて、何とかこれを実現してもらいたい。いわゆる理屈を言えば、人事院総裁勧告すればいいわけです。われ関せずえんでいいわけですけれども、なかなかそういう事態ではないようで、やはり法的には人事院勧告をすればいいわけですけれども、ただ法的に解釈されないで、そういう方面に特に理解の深い人事院総裁でありますので、この際ひとつその方面にも格段のお骨折りをいただきたいということを含めてお願いしておるわけであります。この点についてお考えをお聞かせいただきたい。
  94. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 十分御趣旨承りまして、重大問題としての認識のもとに検討を続けてまいりたいと思います。
  95. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから。この問題を要約するとこういうことになろうかと思うのです。この人事院の予算化すべきだという意味勧告が最初経緯報告の中にあったように、こういう事実があるわけですね、そういうことが一つ。それから労働基準法が教員にも適用されておるという現実、それから静岡、大阪の地裁で超勤手当を支払うべきだという意味の判決が下されているということ、それから劔木前文部大臣から、明年度必ず予算化する、現に六十三億は計上されておる、こういう経緯もありますし、自民党の文教部会の言われておる超勤手当支給と号俸引き上げ、これとは全く別個の問題であるということ、だから引きかえにはならぬわけですね。それで、もしこのことが明年度予算化されないと、いま申し上げたように全国的な規模で四十六都道府県で法廷闘争が展開される。かくては文教の府は非常に混乱におちいるであろうことが容易に察知されるわけで憂慮にたえないわけで、こういう幾つかまとめるとそういう情勢にあるし、そういう経緯もあるので、勧告をすればいい立場にある人事院総裁、特に人事院総裁を見込んでお願いしておるわけであります。そういう方面特に御理解深いから、ひとつ何とか解決するように格段のお骨折りをいただきたいと、そういう要請を込めてお願いをしておるのであります。
  96. 山崎昇

    山崎昇君 関連して。いま伊藤委員から教員の超勤の問題が出ているのですが、この前この委員会で文部大臣は、四十三年度からやると私どもに答弁したのですね。だから、いまさらこれがまたごちゃごちゃするのはおかしいと思うのです。ですから四十三年度からまずやるということにしてもらいたいと思うのです。それから二つ目は、これもやはり賃金の歴史から言うと、昔の師範学校卒業者は、同じ中等学校令ではあったけれども一般の中学校卒業者より十円高く採用しておったですね。大学卒業者も同じです。ですから教員の給与については一般公務員よりも戦前であっても高かった、しかし、これが昭和二十年の敗戦と同時に、いまのベース賃金になってからどれもこれも一緒になったわけです。ですから教員の給与というものを高いか安いか、あるいは適当かどうかということは、これは別の問題である、研究者も同じでありますが。そういう意味で超勤と、そしてその二号俸を積み重ねることと何か取引するような考え方は誤りですから、その点はぜひ区別をしてもらいたい、こういうことだけ申し上げて、それで四十三年度から文部大臣は私にやると言ったのだから、その点はどうなのか。文部省が来ておれば重ねて返答願いたいし、文部大臣が来てなければ給与を扱う担当大臣からでも明確にひとつ答弁を願いたい。  それから立ったついでにもう一点人事院総裁に。これは違うのですが、寒冷地給ですね。これはこの前の委員会でもお尋ねしましたが、四十二年度にかなり地元からも要求書が出ておりますし、私どもも主張しておるわけですが、早く勧告してもらって、そして四十二年八月からさかのぼって実施できるようにやってもらいたい。それができるかどうか、いつ勧告を出すのか、あわせてひとつ見解をお述べ願いたいと思うのです。
  97. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) その間の経緯は詳細私存じておりませんので、担当官からお答えさせます。
  98. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 教職員関係は、私はとくと拝聴いたしました。寒冷地の問題ですが、これはたびたび各方面から御催促を受けておりますことは事実であります。何ぶん非常に少数の手不足の中で研究をしておりますことでありますし、こういう給与勧告あるいはそれに伴う調整手当の問題というようなことは、大体同じ人間がやっておるものですから、心ならずも延び延びになっておりますが、決してこれは引き伸ばしをはかっておるというような悪意のものではございませんことを十分御了承願います。この給与勧告がめでたく本日成立いたしますれば、来年早々からでもまた検討を再開して、急いでまいりたいと、こういうつもりでおります。
  99. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 超勤手当の問題で聞きたいのですが、これはどういう場合に実際超勤した人が請求権が発生することになるのですか。
  100. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 超過勤務手当の支給につきましては、正規の勤務時間外におきまして勤務することを命ぜられて、そして勤務したという場合につきまして一時間当たり幾らということがきめられているわけです。
  101. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 実際には命ぜられて勤務をしても全部が出ないわけでしょう。いまのあなたの意見によるというと、命ぜられて勤務時間以外に勤務をすれば、全部実際に勤務した人が支払い請求権が発生するのですか、それはどうなっているのですか。
  102. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 命ぜられまして勤務した場合には支給しなければならないことになっているわけでございます。ただ、問題は実行上の問題といたしまして、普通の行政官庁等におきましては超過勤務予算がございます。そういう関係もございますので、業務の状態をにらみ合わせまして命令をする、そういう関係をにらんで命令をするということが通常行なわれておるように承知いたしております。
  103. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 現実には命令をして実際に勤務をすれば請求権が発生するわけでしょう。そうすると、その何割ぐらいしか払わないというのはどういうわけですか。請求権としては全部あるのですか、そこのところはどういう解釈をとっておりますか。債務と責任の問題になります。これは人事院総裁、専門家ですから。
  104. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 局長のほうが専門家で、実は局長お答え申し上げたとおりなのでございまして、予算との食い違いがございますものですから、命令を出すのについて予算とにらみ合わせながら命令を出しているということで、命令を出した以上は当然いまお話のように債務と申しますか、支払いの義務があるということになるわけでございます。命令のほうを差し控えるという問題がそこに出てくるということになります。
  105. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この機会に給与担当大臣である総務長官に、超勤手当についての要望をかねてお伺いしておきたい。  先ほどのお答えでは、自分はまだ就任間もなく、超勤手当の経緯を承知していないという意味のお答えがあったわけですから、そこで、さっそくひとつその点についてもお調べいただいて、いままでの経緯はいま総裁からも申し上げたし、私からも申し上げたとおりで、問題は、文部省としても予算化しようとしておる、そこまではいいけれども、自民党の文教部会で号俸引き上げをすることによって、超勤手当は支給しないという方向でいま懇談をしておるように聞いております。そこで問題は、たとえこの号俸引き上げをやっても、これは超勤とは全然別個の性格のものですから、号俸を引き上げることによって超勤をなくすということはできないわけです。しかも、教員が他の公務員と同様にいわゆる労働基準法の適用を受けている以上、当然超勤は支払うべきだ。過去も大阪とか静岡の地裁で判決も出ているわけで、明確なんですから、そういうことをよく御検討、お調べいただいて、ひとつそういった混乱をしていますから、やはり給与――広い意味では給与の一環ですから、手当ですから、やはり給与担当大臣としての責任があろうかと思うので、この点早急にお調べいただいて、何とか来年度当初予算に計上されるよう、文部省はその意図でおるようですから、格段のお骨折りをいただきたいという要請を込めて、ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  106. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 御意見を伺っておきます。私のほうもいろいろ検討させていただきます。
  107. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 医療職の適用を受けまする医師の俸給の問題についてちょっと二、三聞いておきたいと思います。これは公務員の中でも相当高い平均額を示していることはわかるわけでありますけれども民間と比べまして、ことにお医者の中での官民ですね、これは非常な格差で、各国立病院なんかにおける医師の充実、あるいは優秀な医者を集めるというようなことについて非常な困難をしております。これは国家公務員ばかりでなくて、地方に行けばもっとひどくて、保健所の医者を集めるとか、そういうことができないということは、いままでたこができるほど聞いておられるとは思いまするが、人事院は医師の待遇改善についてどのような配慮を加えておられるか、まず聞いておきたいと思います。
  108. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一番われわれとしてつらいところを御指摘いただいたわけなんで、私ども官民格差を調べます際には、やはり職種別にちゃんと調べておるわけでございますが、その場合において医師の関係はただいま御指摘のとおりに開いてくる一方でございます。ことしは五十何%という格差で、これはたいへんな格差だろうと思います。したがいまして、これはほっておくわけにはまいりません。そこで、いまどういう手当てをしておるかということでございますけれども、従来もいろいろ努力を積み重ねてまいりましたけれども、たとえば、ことしの勧告の場合におきましては、初任給を相当に引き上げております。それから特に若手の医師の人たちを中心に大幅な改善を行なったつもりでございます。たとえば昭和三十八年まで教育職の(一)の人々と比べた場合に、医師のほうは同額であったのでございますけれども、本年の勧告によりまして、その間、最高二千五百円の差を生ずるまでの努力はしてまいりましたということが一つと、それから運用面におきましても、初任給を決定します場合の方法、前歴を完全にそのまま取り入れる、あるいはそれに伴って在職者の調整もする、これもほかの職種には例のない思い切った措置をとっておるわけでありまして、ことしとくに特色として思い切った措置をとりましたのは、医師について、昨年、初任給調整手当を普通の場合の倍にして五千円ということにいたしましたのですが、ことしさらにこの初任給調整手当を思い切って改善いたしました。特にへんぴな場所に在勤する人々、へんぴな病院へ採用される医師の方々について、あるいは採用の困難性、あるいはまたそういう地域にある民間の病院との格差も著しいというところを何とかカバーせねばいくまいということから、従来、昨年、五千円均一の初任給調整手当にしておりましたのを、今度はその上に二段階、初任給調整手当の段階を設けまして、最高が一万円、それから中間が七千五百円、それから五千円というようなことにいたしまして、そのほうの手当てをしているわけでございます。ただ、この民間の医師と国家公務員である医師の方の給与を比べます場合に、一体民間の医師の俸給と見られるものがどの程度の額のものをつかんでおるかということから申しますと、いろいろこっちでは別建てになっているものが向こうのほうでは一括されているのじゃないかというようなこともありまして、まともに五十何%というのを取られるべきかどうかという問題もありますけれども、いずれにせよ大きな格差のあることは事実でございますから、そういう措置をとっております。じゃ、なぜその格差を完全に埋めないかということについては、いま申しましたような一つの条件もございますと同時に、やはり民間病院はそれだけの問題でありますけれども国家公務員は、御承知のように非常に幅の広い職種をかかえておりまして、研究員の人、あるいは大学の教官、あるいは厚生省の局長などにもやはりお医者さんの方が相当おられます。それからその他の行政職一般関係とのバランスも考えなければいかないというような、いわば公務部内の均衡の問題もございまして、とことんまで思い切った措置をとりますと、そっちとのまたバランスがこわれてしまう。厚生省のお医者さんで局長になっておられる方をどうするかというような問題も手近なところに伺っておるわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、まあできるだけ有利な改善をするように努力しつつあるということが結論でございます。ただ、いかにもこういう実情を見ておりますと、お医者さんそのものが非常に不足のような気がする。たとえば大学の医学部あたりでも、給与人員を拝見いたしますと、非常に少ないのじゃないかという感じもいたします。一方においては供給源のほうをよほど考えて ただかないと、抜本的な解決は見られないのじゃないかという感想も持っておりますので、つけ加えさしていただきます。
  109. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 質問の過程でまだいろいろあったんですが、いま総裁が医者の不足、医師が不足しておるのじゃないかということを指摘されたので、私も前々から医者のやはり絶対数が足りないのじゃないか、ことに辺地で医者が得られないことはもうたいへんなことで、いま辺地ばかりでなしに、一般に病院その他において医者を得ることが非常に困難である。これは極端な例ですけれども、東北のほうでは台湾のお医者さんを、これは現実にぼくらがやっている国民健康保険で、台湾からお医者さんに来てもらっておる。日本は東南アジアの経済援助、技術援助で医療援助をやろうというわけで非常に力を入れておるのですが、台湾のお医者さんを日本に来てもらっているというような現状、これは非常に遺憾、残念に思っておるので、厚生省の医務局長、医者が足りておるのか足りてないのか、どのような手当てをしても医者が絶対数が不足であるということであれば、この問題はいつまでたってもぼくは解決しないと思うので、それらの点についての厚生省のいまの考えをひとつ聞かしてもらいたい。
  110. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 最近の医師の不足がきわめて緊迫した状態になってまいりましたことは事実でございまして、私どもまことに残念に思っております。現実に医師が非常に不足していると思っております。なぜこのような状態になってきたかという一つの大きな原因は、やはり日本の経済生活の向上とともに、現実に国民の健康は総体としてはよくなり、寿命も延び、死亡率も減っているにかかわらず、医療需要というものはそれに比例して多くなっているわけでございます。したがって、昭和三十年ごろ、約十年前に比べますと、国民の医療需要というものは約倍近くに伸びております、現実に医者にかかるという量が。しかも、この需要は昭和三十六年ごろの国民皆保険を契機といたしましてきわめて急速に伸びております。したがって、端的なあらわれといたしまして、ただいまいなかの病院で医者がいなくなったということでございますが、病院だけを見ましても十年前におきます病院の仕事の量と現在と比べますと、大体八五%患者数で伸びております。にもかかわらず、医者は一五%程度しか伸びていないということで、きわめて大きくなったにもかかわらず、医師の供給が足りなかったということが絶対的な要件でございます。これは国際的な立場で見ますと、日本の医師というものは人口十万について現在大体百十一でございますが、アメリカあたりが大体百五十前後、それから、ドイツ、イタリーあたりが百六十ぐらいでございます。そういうことで絶対的には不足に思います。したがって、この医師の供給に対しても、現在計画的に養成をふやしておりまして、昭和三士五年ごろに医学部の定員が約二千八百二十名ぐらいでございましたけれども、本年は三千八百四十名ぐらい、約千二十名ぐらい増加いたしております。来年も若干の増を見込んでおります。そういうことで現在一番苦しいといいますか、古い時代の医学校の卒業生だけで、医療需要だけ多くなっている。これから数年後は若干ずつでも医師の供給はかなり上向いてくるということでございますが、なお総体の医師の逼迫を緩和するにはちょっとまだなかなか困難ではないかと考えます。
  111. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 厚生省でも医者の不足を認めて、医師の増加対策をやっておられる、きょうは文部行からはおいでを願ってないのでありまするが、医者は二年や三年で一ぺんにできるものじゃないんで、教育だけでも数年、一人前になるには十何年かからなきゃならぬわけでありますから、これは何ですか、文部当局と緊密な連絡のもとに年次計画でも立てて、医学生の養成機関を、官公立を問わず相当ふやす計画をもって進められておるのかどうか、こまかいことはあんまり要りませんけれども、その点もう一ぺんひとつ。
  112. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) お話しのように文部省が養成を担当しておりますので、文部省にお願いをいたしまして、医学部の収容定員をできるだけ増加さしていただくということで、現在可能な限り増加さしていただくということで、ほとんど現在は限度一ぱいにまで増加をいたしております。今後はむしろもう医学部の新設ということによらないと、これ以上の増がはかれないという状態になっております。
  113. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 医学部の新設なんかも考えているんですか、これは文部省に聞くべきことかもしれないが。
  114. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医学部を新設したいという声が方々の県で起こっております。これに対して私どもも積極的に文部省にはこれを促進してほしいということを申し入れております。
  115. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほど総裁も述べられたんでありまするが、医者の官民給与の格差ですね、今年度は五二・五%ですね、官のほうが半分にならないということですね。それで公務員の離職率といいますか、やめていく率、医者の離職系というものは年度ごとにだんだんふえちゃって、 いまでは毎年採用する者よりやめる医師公務員のほうが多いというような現状になっているということは、これは人事院でも先刻御承知のことですか。
  116. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 数字はいま持ち合わしておりませんけれども、非常にいまお話しのように離職率が高いということはもう事実だと思います。
  117. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 新たに採用する者よりやめる人のほうが多いというような現状ですね、これをこのまま見ているというわけには私はやっぱりいかないんじゃないか、国立病院なり。国立病院といえば最高の医療機関であるというふうに一般考えているわけですからね。これは人事院というか、ほんとうは総理にでも聞かにゃならぬことですが、総務長官たまたまおられますからね、この現状は政府、内閣においてもはっきり認識、把握して、これに対する方策を真剣に考えておられるのかどうか、ひとつ総務長官から。
  118. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話しのこと、非常に大事な点だと思います。御意見十分拝聴さしていただきます。
  119. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこで総裁、今回は医者に対しては初任給調整手当について特別の考慮をしたと、こう言っておられますが、いま医者の不足というのは辺地に足りないということばかりでなしに、もうあらゆるところで足りないのですね。だから、この初任給調整手当というのをもっと広い考えで、医療職の医師全体について考えてみるというようなお考えはありませんか。
  120. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 全体としては、まあ先ほど触れましたその五千円というものが土台にはなっておりますんで、それをさらに底あげをするかという問題が一つ指摘の問題としては出てくると思います。しかし、まあ今年はその上に二段階設けたということで、すでにまた在職しておる若い者にもそれが均てんするようなことになりますから、そういう一万円、七千五百円口のところには相当行き渡る、五千円のほうもさらにということは次の問題として考えたいと思います。
  121. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、これはほんとうは行管長官がおいでになってから触れたいことだったのですが、医務局長もおられるので、ついでに一言だけ聞いておきたいのだが、今度何だか五%削減というような話も出ておる。これだけ医療公務職が足りない際に、さらにそれが一律に五%も医療職が減らされるというようなことではいよいよ深刻な事態になるのじゃないかと思うので、この点についてひとつ医務局長、厚生省としてどういう態度で臨まれようとしておるのか。それから行管からも局長が見えておるようだから、行管としてのこの問題に対する考え方を聞きまして終わりたいと思います。
  122. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 厚生省関係の医療機関、特に国立病院等におきましては年々医療需要が絶対的に増加いたしておりますので、どうしてもこの定員を削減するということはきわめて困難な実情にございます。しかし、現実には欠員補充の原則がございまして医療職につきましては九割だけは補充することができるようになっておりますので、離職者の一割だけが凍結されるという状態になっております。しかし、また一方新しい需要が相当出てまいりますので、たとえば国立療養所における重症心身障害児の施設であるとか、新設される面もございますので、それらの凍結要員をこういう新規の開設される施設等に振り向けるために凍結解除等をしていただきまして、事実上凍結がきわめて少なくなる現状でございます。そのほかに現実にこの業務量のふえる量に見合いまして、年々比較的少数ではございますが、定員増が認められておりますので、総体としては国立病院、療養所におきましては年々総定員の増加を来たしているのが事実でございます。
  123. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 今回、三年五%という決定がなされたわけでございますが、これの具体的な削減につきましての省庁別の目標は今後作業することになっておりまして、   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 その際、医師、看護婦等におきまして特別な職につきましては十分な考慮を払いたいと思っております。現在の欠員補充におきましても、先ほど厚生省のほうからお話がございましたように、一般職員と比較いたしまして低い、低いと申しますか、高い補充率を認めておるわけです。そういった点も考えまして、十分慎重に検討いたしたいと思います。
  124. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 最後にひとつ要望を。以上述べましたように、医療職の医師の問題につきましては、これはほんとうに人事院政府もやはりもう少し真剣に考えてもらわなければいかぬ。国民皆保険だなんて、制度だけはでき上がったわけでありまするが、いまは保険あれど医療なしということばがややはやっているわけなんです。皆保険で、保険制度はできたけれども、保険の実態である医療はないじゃないかということになっておるので、この医師の公務員の処遇については、これは上げるだけが能でないかもしれませんが、公務員制度全体のワクの中において、ほんとうに真剣に考えてもらわなければ、人命をあずかる、しかも公務員ですから、むしろ言いかえれば指導する立場にあるものが、採用する者よりやめる者が多いというような現状をこのままに放置しておくことは私はできない。それから医師が絶対不足であるということも、人事院なり政府も認めておるのですから、これはあらゆる努力を払って、医師の増加ということを考えてもらわなければならぬと思います。この点を強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  125. 多田省吾

    ○多田省吾君 午前中は大蔵大臣に質問いたしましたので、総務長官には失礼いたしましたが、同じような問題でございますけれども、このたび人事院勧告が、遂に完全実施できなかったわけでございますが、同じ公務員の中にも、いつも言われることでございますけれども、三公社五現業等は、三十二年以来、仲裁裁定どおりの四月実施をしておる。アルコール専売は三十年から四月実施をしているわけでございます。ですから、結局完全実施できない理由を、いつも政府は財源の問題とか、勧告時期の問題に事寄せておりますけれども、結局は政府の姿勢ないしは誠意の問題であると思うのでございます。で、三公社五現業の方々は、政府はいつも独立採算制をとっているから違うのだということを申しますけれども、根本的な考え方においては公務員として同じであると思う。この点で今度完全実施されなかった点は非常に遺憾でございますので、その点はあれとしても、来年は大蔵大臣も言われておりましたように、どうしても当初予算に織り込みたいというようなことをおっしゃっておりますけれども、この人事院勧告に対して、政府は現在どのように考え、また来年の当初予算に盛り込むことにおきましても、ほんとうに来年は完全実施を約束できるのかどうか、どういう姿勢で臨むのか、総務長官にお伺いしたい。
  126. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。  最初にお述べになりました三公社五現業の関係一般職との関係でございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、独立採算制の事業体でございまして、その完全実施をしますにつきましては、相当いろいろ苦しいやり繰りを内部でいたしておるわけでございます。さて一般職の問題に相なりますと、われわれは人事院のその保護機能、公平機能というものをあくまでも尊重し、同時にまた重視しておるわけでございまして、この完全実施という勧告に対しまする気持ちにつきましては、何ら変わりがないのでございます。で、大蔵大臣が答えられましたように、まあ完全実施をするためにこそ、今度のような構想、発想をいたしておるのだというような次第でございまして、われわれは従来のように、補正財源がないからといって施行期日をおくらすというようなことがないように、何とか努力をいたしてもらわなきゃならぬ。まあ、その形式は先ほど来お話がございましたように、予備費に入れておきますか、それともそうでない形をとられますか。これはまあ大蔵省の財政当局のお話でございますが、給与担当の責任者といたしまして、この人事院勧告と、またその機能を十分に発揮していただくように、片やまた財政制度、財政の現実とこれを調整をしなきゃならぬ。今後はあくまでも一カ月繰り上げというだけではなく、来年こそはひとつぜひ勧告どおりやっていただきたい、まあこういうことからいろいろと法制関係やら、あるいはまた行政上の諸問題をこれから検討さしていただくわけでございますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 関連。来年は当初予算に繰り入れてやるというお話でございますが、午前中も伊藤委員から大蔵大臣にその点について強く御質問があっておりましたが、大蔵大臣の答弁はすこぶるあいまいであって、はっきりした結論が出ていないようでございましたが、例年五人委員会とか、あるいは六人委員会というような関係閣僚が全部集まって同じことを――人事院が創設以来、これは昨今にこういうことがわかったことでないんですね。人事院創設以来、年度の途中にこういう勧告があれば、その予算の捻出には当然困るということはわかっておりながら、しかもトップクラスが六人委員、あるいは五人委員と同じことを何回も繰り返して、そうしていまだに実現ができない。来年こそは当初予算へこれを繰り入れてやる、こういうお話でございますが、当然、およそ来年どれだけその予算が要るかという、ほぼその見当はあるいは計数的にもつくかもしれませんが、もし不足した場合にこれをどうするか、また六人委員とか、五人委員というものが集まって五月実施を六月からだとか、あるいは七月からだとか、当初予算に組んだけれども、これは足らなかった。いつも財政の理由ということでやっておられますが、これは大蔵大臣じゃないから、あなたはそういうことは答弁できぬとおっしゃるかもしれぬけれども、当面の責任者として、給与担当の大臣としてどういうお考えを持っていらっしゃるか、またぞろ来年も当初予算に組んだけれども、不足したその分はがまんしろというようなことであっては、これは給与担当大臣として、これはあなたが未年永劫に給与担当大臣であるかどうかわからぬけれども、非常に早くかわるから、またどうなるかわからぬけれども、あなたが少なくとも給与担当大臣である以上、どういうお考えを持っていらっしゃるか、その点をはっきりひとつここであなたのお考えを承りたい。
  128. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 財政担当の大蔵大臣が午前中いろいろとお話になりましたが、まだ大蔵省内部におきましても、どうしたらよろしいかということに対しての最終的な決定がなされておらないというような現状でございます。で、私どもは午前中から申し上げまするように、この人事院勧告をぜひとも受け取って、そうしてそれを何とか御満足のいくように処理しなければならぬという立場でございますので、その点では今回の新しい考え方、構想というものが、どうしたならば勧告どおりに実施し得るような財源をあらかじめ確保することができるか、ということにつきまして、大蔵省自身もまだきまっておりませんし、また関係各省の担当官もいろいろと協議をいたしておるような次第でございまして、まだ確定した結論が出ておりません。しかしながら、われわれはあくまでも誠実に、誠心誠意実現方を期して、これから協議し、また政府の方針も固めてまいりたいと、ただいま検討中でございます。
  129. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは大蔵大臣もまだ決定したことではない、来年は補正予算を組まない、大幅総予算主義でやるのだ、そういうことも決定的なことじゃないかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、この公務員給与のベースアップのことに対しては、もうぎりぎり決着のところまできておるのだ。口を開けば、人事院勧告を尊重する、尊重すると歴代の総務長官は口を開けばそうおっしゃる。しかし、創設以来今日まで完全実施はできないということについては、これは給与担当大臣として、私はほんとうに責任を全うしたとは言えないと思う。今日、政府自体が経済政策を誤っておるからそういうことになるのです。それを公務員にしいるということはこれは無責任きわまると私は思うのです。でございますから、きまっていないから私はお願いしている。あなたが給与担当大臣である以上は、もっと強力にあなたがリードをされて、これを決定づけるという意思とあなたの決意を私はお伺いしている。皆さん安心していらっしゃい、私は全責任をもって努力をしますという決意をあなたにお尋ねしている。
  130. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) そのつもりでおりますることをはっきり申し上げます。
  131. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度都市手当調整手当という名前にして、三年という時限を切っておりますけれども、どうしてそうなったのか、その理由をお述べ願いたいと思います。
  132. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 人事院のほうからは都市手当として、そういう名称で出てまいったのでございますが、御案内のとおりに、政府の方針といたしましては、基本的に都市と農村との格差を是正するという一つの基本的な態度がございまするし、また、都市手当としてその名称を使いますることも、非常に都市偏重といったような刺激的なことばを避けまして、そうして、もっと内容的に申すならば同様なものでございますが、しかしながら、これを調整手当という名称にしたほうがいいのだというようなことで、かようにいたした次第でございます。
  133. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ三年間と区切った理由はどういうわけですか。
  134. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) この三年間と区切りましたのは、御案内のとおりに、人事院のほうにおかれましても、三年間で暫定手当その他の調整をなさるということも承っておりまするし、反面におきましては、この諸手当を精密に御調査、御研究いただいてお調べをいただくのにやはりどうしても三年間ぐらいは最低必要であるということから、三年ということに相なっております。
  135. 多田省吾

    ○多田省吾君 人事院総裁にお尋ねしたいと思いますが、先ほど大蔵大臣並びに総務長官から、当初予算に繰り入れるというお話がございました。予算に繰り入れる量が少ないにしましても、多いにしましても、非常に人事院としてやりにくい面もおありだと思いますし、またいつものとおり中立的にわずらわされないでやっていかれると思いますけれども、その点に関する人事院としての御要望、また二番目には、いまお話のあった都市手当調整手当として、また三年間に区切ったことに対する人事院としての御所見を承りたいと思います。
  136. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 第一段の当初予算に勧告財源を保有することにつきましては、私どもはきわめて単純明快な立場に立っておるわけでございます。すなわち、私どもの念願は、勧告をぜひ完全実施していただきたいということに尽きるわけでありますが、その完全実施の実現のために役立つかどうかという観点からこれを見てまいっておるわけです。その意味から申しますというと、従来出初予算で準備が全然してありませんために、年度半ばに至って財源をあらゆる方面からおさがしになるということであったわけでありますけれども、ただいま、本朝来お話の出ておりますように、当初予算であるけれども勧告に備えての用意と申しますか、含みを持たして編成をしていただきますならば、それはそれだけに勧告の実施にはすぐ使えるわけでございます。決してこれはマイナスではない、プラスであろう。準備された金額によって勧告の完全実施が全部まかなわれるならばそれにこしたことはないわけでありますから、万一不足があれば不足分だけをひとつ何とかお手当を願いたい、こういうことになるわけです。  失礼しました。第二点を忘れておりました。都市手当の問題であります。ただいま総務長官からお答えしましたところで、私どもそういう趣旨だと思っておっておりましたわけですが、名前が変わったこと、それから三年以内の期限がついたこと、これは私どもとして別段異存は持っておりません。
  137. 多田省吾

    ○多田省吾君 防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案の点で二、三、防衛庁長官もいらっしゃいましたので、お尋ねしたいと思います。  まず初め、この中に防衛大学校の学生の手当の改定を行なうとございますが、その防御大学の学生につきましては定員からはずされているわけでございますが、その理由並びに、卒業いたしましても義務づけが全然ないわけでございます、また返還の義務ももちろんないわけですが、この防衛大学の学生というのは法的にどういう立場にあるのか、その点をお伺いしたいんです。
  138. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 防御大学の学生は、自衛隊法にも規定されておりますように、学生という官職名を持ちました国家公務員であるわけでございます。防御大学校の学生は、三等陸尉、三等海尉または三等空尉以上の自衛官になるべく教育訓練を受けておるわけでございます。したがいまして、その身分につきましては、自衛隊法に規定されておりますように、防衛庁の職員といたしまして、学生であるということの特性に基づきまして特殊な別定がある以外は、防衛庁職員について規定されているところの規定が適用されているわけでございます。ただその職務は、先ほど申しましたように、幹部自衛官として必要な知識なりあるいは識見なりを養い、また将来幹部として十分な部隊の長としての体力とかあるいは気力を養うということに主眼がありますので、それに即したようなものといたしましてこの学生手当というものを考えたわけでございます。学生手当は、いわゆる俸給という考えではございませんで、学生が修学をするにあたりまして必要な学用品その他の日常生活上の購入品に充当するのに適当な額ということでこのような学生手当を設けてきているわけであります。
  139. 多田省吾

    ○多田省吾君 自衛隊員の充足率の問題でございますが、いつも言われることは、不景気になると充足率が向くなる、また景気がよくなると充足率が低くなるというような傾向も強いようでございます。どうしても充足率が少ないような場合には、また多いときもほぼ同じでありますが、現在新憲法によって、憲法の精神に従えば軍隊はないのが当然でございますけれども、自衛隊に応募する方々は、もちろん心の中では日本の防衛ということを考えて、安全保障ということを考えて応募するわけでございますが、人間でございますから、中にはどうしても、給与が低ければ、民間給与に比べて公務員給与が低ければと思う人もこれは当然いるわけでございます。その充足率を最初にお伺いしたいわけです。
  140. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) それでは、最近におきます、すなわち十一月末におきます自衛官の充足状況について御説明いたしたいと思います。陸上自衛隊につきましては充足率は八九・六%でございます。それから海上自衛隊につきましては九二・九%、航空自衛隊につきましては九四・八%でございます。自衛隊全体に対します充足率は九一%になっております。  なお、つけ加えて御説明いたしますと、自衛官の募集にあたりましては、当然募集目標を掲げて募集活動をやっているわけでございますが、その募集目標の達成率について申し上げますというと、今日のところ、陸上自衛隊につきましては一〇〇・五%、海上自衛隊につきましては一〇七・四%、航空自衛隊につきましては九八・九%、全体の目標達成率は一〇〇・七%になっております。大体募集目標の達成率は順調な歩みを続けてきているということが申し上げられます。
  141. 多田省吾

    ○多田省吾君 それにしましては、この前もこの委員会で柳岡委員から、千葉のカービン銃持ち出し威嚇問題等で追及がございましたけれども、最近また鹿児島で海上自衛隊員が短銃を使って無理心中をやったということも報道されておりますが、こんな詳しい説明は必要ございません、きょうは趣旨が違いますので。ただ、そういう自衛隊としての教育の面で非常にたるんでいるのではないかということが十分考えられるわけですが、せっかく大ぜいの自衛隊の方が教育を受けながら、こういった問題ばかり引き起こしているのでは、国民がますます自衛隊から離れていってしまうということが十分考えられます。防衛庁長官として、簡単でけっこうですから、どのようにお考えになっておられるのか。
  142. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は平素の訓示といたしまして、自衛隊を愛してはおるけれども、しかし同時に規律はきわめてきびしい、そのつもりでおれということを、幕僚長以下全制服組に対して申しております。もちろん内局についてもそうでございますが、しかるに、また今回のような事件が起きまして、まことに遺憾にたえませんということを皆さまにつつしんで申し上げる次第でございます。  それから、この前と同様なことは、武器、弾薬等使用したということでございます。これは自衛隊の歴史からいってもあまりないことでございまして、自分の持っておった、あるいは演習に行っておった同僚のものを使ったというのがこの前のカービン銃事件でございますが、今度は武器庫、弾薬庫から武器、弾薬を窃取いたしまして――窃盗でございます、そうしてこれを使用して無理心中をはかったという事件でございます。  そこで、武器庫、弾薬庫のところを、私がいつも隊を視察します場合には、武器、弾薬等の管理保管、宿直等につきましては特に命がけでこれを守れと、非常にきびしくいたしておるわけでございます。国民の皆さまの武器であり、また隊員でございます。それがほかの目的に使われるなんということは許し得ないことでございまして、非常にきびしくやっておりますが、詳細なことはほかの政府委員から答弁申し上げますが、武器、弾薬庫から拳銃が盗まれた、弾薬が五十六発盗まれた、このことは非常に遺憾にたえないわけでございまして、武器、弾薬の当番、宿直等の連中と話をしておりまして、平素から顔なじみでございますから、その宿直の連中が交代におもむいているわずか数分の間に、平素よく心得ておるものですから、かぎを盗み、かぎでさらに武器室、弾薬室へ入りまして、これを窃取いたしまして乱用したという事件でございます。まことに皆さまに対して申しわけないと思っております。特に厳重に武器、弾薬の保管につきましては将来とも臨むつもりでございまして、部下にも強くこのことを訓示をいたした次第でございます。
  143. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 関連。隊長の充足問題についていま問題がありましたが、私はその充足とちょっと違った、医官ですがね、昨年度、それから本年度の医官をどれだけ充足したか、充足率です。現在、自衛隊の隊員に対して医官の率がどういうふうになっておるか、また隊員の健康管理というのがどういうふうに行なわれておるか、はっきりひとつその点を、医務局長が見えておれば国務局長、はっきり説明していただきたい。現地を私は詳細に調べておるから、はっきりひとつその点を承りたい。戦前は、あるいは戦時中は、軍医というものがおって、隊員の健康管理、保健というのは全きを得ておった。今日はたくさんの自衛隊員が医者がいなくて非常に困っておる。そして、隊員を優遇するとか、あるいは自衛隊を愛する自衛隊だとか、国民の自衛隊だとか、その自衛隊員を冷遇しておる。あとで防衛長官に私その点お伺いしたいが、一次防とか二次防、三次防というが、兵器づくりが国防ではない。なぜ隊員の保健、健康管理を十分やらないか。これは私が数年来叫び続けてきておることです。どういう経緯になっておるか、その点を明らかにひとつここで承りたい。
  144. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 先ほど石原先生からも一般の医者の問題について御質問がありましたが、自衛隊におきましても、医官の確保ということに対しましては非常な困難に逢着し、また非常な努力を払っております。先ほど御質問がありました医官の充足の状況は、大体定員に対しまして約四〇%程度でございます。ただこの四〇%も、病院のほうの率が約八〇%近くでございまして、部隊におきます医官の率は二〇数%でございます。したがいまして、先生が御指摘になりましたように、部隊において配置されておりまするところの医官が十分に充足されていない。そのために隊員に対するところの診療なり健康管理というようなものに対して十分な施策が徹底しておらないということにつきまして、われわれ非常な憂慮をしておるわけであります。したがいまして、庁内といたしましても、医官対策というようなものを設けまして根本的に考えることをいたしまして、地方の医科大学等との連携、あるいは、医官が採用されましたあと、地方の大学とも連携をとりまして、修習というような制度によりまして医官が十分確保できるようにいろいろな努力を払っておる次第でございます。しかし、何ぶんにも、医官全体の問題といたしましては、先ほど申しましたような充足率でありまして、これが充足には非常な困難を感じておるというのが現状でございます。
  145. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 医官の充足率は非常に悪い、隊員の健康管理というのは遺徳ながらできていない、はっきりあなたいま申された。まことに遺憾千万だ。防御長官は何とこれを考えられるか。単にこれを兵器を増強する、一次防、二次防、三次防だとか――隊員こそ安んじて国防に従事できるように、戦前、戦時中は軍医がたくさんいましたよ。できないことはないわけです。民間の医者を委託して頼むなんて不見識きわまりない。もう少し防衛長官は、ほんとうに自民党でも元老で何でもおわかりになっている方ですから、もう少し、ほんとうに隊員をかわいがっていくのだ、さすれば私はりっぱな自衛隊になると思う。なぜ隊員を優遇してやらないのですか。防衛庁職員給与改定なんて――なぜそういうところに、人命を預かるところの医官をなぜ防衛庁に招聘しませんか。増田防衛長官のような、あなたのような大元老ならできるはずだ、自民党で。おれは先輩だ、実力者だなんて、いままでの防衛長官と何ら変わるところがない、そういうことは元老の元老たるところではない。いかがですか、その点。防衛庁長官にはっきりひとつ、あなたの真に隊員を思う長官としてのお考えを承りたい。
  146. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 鬼木先生が自衛官の健康のことについて御配慮くださいまして、また叱咤激励いただきまして、まことに感激にたえない次第でございます。そこで、民宿の充足対策ということはかねてからの懸案でございまして、何とかして医官を持ちたい。私といたしましては、昔は各連隊に衛戌病院があったものだが、そういうしかけのものをしたっていいじゃないかとだいぶ強く言ったわけでございますが、いまのところ十人来てよいところを四人しか来ておりません。いたし方なく、営外の一般病院その他で診察を受け、そして治療を受ける、こういうことになっております。その診察、治療ということは国で配慮しているわけでございますが、私の心がまえといたしましては、まず第一に、自衛官自身の生命、身体、健康、そのことにきわめてあたたかい配慮をしろということをそれぞれの上官に希望いたし、また監督いたしておる次第でございます。しかしながら、一面、精強なる部隊でないと有事の際に国民の御期待に沿える働きができないわけでございますから、訓練は怠ってはいけない、こういう態度で臨んでおります。しかし、外部的の、外傷的な疾患というのはわかりやすいのですが、内部的な疾患というのはなかなかわかりにくいし、本人も無理をしたり、また上官も無理をしているということがわからない点も多々あるのだから、その内部的疾患のことも配慮しろということを、きょうは衛生局長来ておりませんが、各幕僚の衛生部長、また内局にある衛生局長等にも強く言っております。また、それぞれの部隊を見た場合には必ず、内部的疾患というのはちょっと目に見えないのだから、そこまで察してやらなければいけない、無理をして最後にばたっと倒れて一生再起できないというようなこともあり得るから気をつけるようにということを言っておりますが、各般のことを講じたい、こう考えております。最近は多少医官の充足率は上がっております。しかし、何と申しましても、お医者さまはほかのほうが経済的にも恵まれておりまするから、自衛官としての医官になることをあまり好まないという傾向もございまして、そこで経済的方面のことも何とかして配属して、お医者さまに対してはほかの幹部職員とは特段の待遇をするようにということも研究せよということをいま申しつけておる次第でございます。
  147. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 衛生局長が見えておりませんので、この問題私は保留いたしまして――防衛庁長官のお気持ちはよくわかりました。衛生局長にまたお目にかかって、次回に譲ります。  事実、隊内におけるところの健康管理ということができておりません。あたら有望なる隊員が、半ば不具者のごとくなって、それを数年間放置しておる。まことにもって不都合千万です。だから、毎日毎月の健康管理はどのようにしてあるか、また本庁ではそういう月報でも取って報告を求めておるかどうか、そういう点について詳細に私は承りたいと思っておる。これは次回に譲ります。どうもありがとうございました。
  148. 多田省吾

    ○多田省吾君 人事院総裁いらっしゃるまで、もう一点防衛庁長官にお伺いしたいわけでございますが、この法案に直接関係がありませんが、機会がありませんので、申しわけありませんが一点だけお願いしたいと思います。  この前の十四日の衆議院内閣委員会で、社会党の楢崎委員の質問に答えられて、アメリカから全国十二の基地周辺に電波障害緩衝地帯を設置したいという申し入れがあったことを明らかにされたそうでございますが、いま神奈川県の上瀬谷ですか、そこで行なわれているわけですが、非常に弊害がはなはだしくて、周辺の住民がラジオさえ聞けないという状況です。神奈川県では今度その中に三カ所含まれておりますので、県が絶対反対を表明しておりますし、また千葉県柏等におきましても、地図もございますが、周辺から一・五キロ以内が影響されるということになりますと、周辺に柏市の工業団地等も造成中であります。国道十六号線も建設中でございます。また常磐高速道の構想や研究学園都市、茨城県の総合開発構想も全部くずれてしまい、また千葉県の北部における主要道路も麻痺するというので、結局、県の総合的な都市計画というものがすでに許可されておりながら、途中の段階でそういった都市計画が全部むざんにもくずれてしまうという結果におちいってしまうというわけであります。私どもは前から日米安保の段階的解消を唱えまして、特にいまアメリカ軍は合理化のために基地を減らしておるようでございますけれども、結局日本側から、政府からアメリカに対して不用基地の撤廃とかあるいは基地の早期撤去を求めたことは一回もない。またそういう姿であっては戦争に巻き込まれるようなおそれもあるし、また日本の国土の開発という点においても非常に遺憾な点であると思います。そうしてさらに、このように住民の生活を麻痺させるような緩衝地帯を設けるということは非常に遺憾である、こういうような点からこんな申し入れを私どもは絶対断わっていただきたい、このように強く希望するわけでございます。防衛庁長官としてこの米軍の申し入れに対してどういう判断をなされるのか、お答えを願いたいと思います。
  149. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 米軍の電波関係の通信施設等からいろいろ電波発進の障害になるそういった施設あるいは建物等があるということはぐあいか悪いというようなことで、かねてそういう申し入れが米軍から出ております。したがいまして、これにつきましては、どういうふうな制限をする必要があるか、あるいは実際にあるとしたらどの程度にやったらいいかというようなことを、目下特別の委員会をつくりまして研究し調査いたしておる段階でございます。したがいまして、米軍施設でありましても、かような施設でありますれば、そういう要望のありますことは、 これはもっともなことでございます。しかしながら、みだりに国民に御迷惑をかけるようなことをしてもぐあいが悪いということで、いま研究中でございます。ただこういう施設を全部撤廃してしまえというようなわけにはまいらないと考えております。しかしながら、全然必要のなくなったようなもの、あるいは使い道のないようなもの等につきましては、過去講和発効後今日までだんだんに施設そのものも返還を受けておりまして、当時の状況よりは現在はすでに四分の一程度に実際的に減っておるような実情でございます。今後もそういうような点で努力をしてまいりたいと考えております。
  150. 多田省吾

    ○多田省吾君 事前協議事項等もありながら、全然事前協議が行なわれたことがないし、米軍の基地を撤廃し、また自衛隊に移譲したような問題は、全部アメリカ軍の合理化の問題であって、日本側から申し入れたものは一つもない、こういう現状です。さらに、現在十二カ所の電波の緩衝地帯に関して申し入れが行なわれておる現状です。ですから、根本的な姿勢として防衛庁長官はどのようにこの申し入れに対して対処なされようとしておられるのか、明快にお答え願いたいと思います。
  151. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 米軍の通信施設等で通信がじゃまされるようなことは困る、そういうわけで施設庁において考慮いたしております。その場合には、テレビ、ラジオのわれわれが視聴を出するということは、これは別段通信施設と関係がないのでございまして、テレビ、ラジオ等は幾らでもかまわないわけでございます。その点は誤解のないように願いたいと思います。ただ、高層建築物等をつくって、通信がきて高層建築物等でじゃまされるということもごさいますから、そういうようなところは、こちらから申し進めまして、なるべくこの辺は控えていただきたいというようなことはございます。しかし、多田さんのおっしゃるとおり、全体の都市計画とかあるいは総合開発計画というものがあると思います。そういうようなことに非常に支障を来たす、著しく支障を来たして、そこはまるきり繁栄から取り残されてしまうというような場合には、私はこれはワクで申し上げておって非常に恐縮でございまするが、そういうような場合には、私はどこかへ移転してもらうというようなこともあえて辞さないつもりでございます。
  152. 多田省吾

    ○多田省吾君 結局、移転してもらうということは、米軍施設を移転してもらうということでございますか。
  153. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) そういう意味でございます。
  154. 多田省吾

    ○多田省吾君 防衛庁長官は終わりまして、最後に人事院総裁に二、三お尋ねして、これで終わりたいと思います。  この前も給与局長にお伺いしたのでございますけれども、また先ほどから問題にもなっておりまするが、大蔵大臣も五月実施ではなしに四月実施が当然だろうというような話でございます。大蔵大臣からそんなことを言われれば、人事院総裁にしても非常にやりにくいということはよくわかっておりますけれども給与局長もこの前は、現在両案あることは確かであるけれども、なお五月とは隔たりがありますから、そのほうの問題がやはり先決だというような答弁でございました。自主的にやられるということは、これは当然であろうと思いますけれども、来年は当初予算にも繰り入れてやるというような政府の姿勢でございますので、こういった観点から四月実施にしても別段支障はないと思いますけれども、重復しておそれ入りますが、もう一ぺん御答弁をお願いしたいと思います。
  155. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 従来、ことに最近そういう御指摘がたびたびありました。これに対して私どもも率直に、これはむしろ謙虚に反省して検討すべきことであろうということを申し上げまして、しかも四月実施というのも一理はあると思うというところまで気運が多少動いてきております。しかし、それから先なおまだ十分踏み切るにはよほどの検討と決意を要することでございますから、大蔵大臣がどうおっしゃったというようなことではなしに、独自に自主的にわれわれの判断を下してまいりたいと、こういう気持ちであります。
  156. 多田省吾

    ○多田省吾君 前からたびたび言われていることでございますけれども等級別標準職務表におきましていわゆる公務員のほうと民間職務が相対応していないではないかということがずいぶん言われてまいりました。その分類する場合も、公務本省課長民間の中小企業の支店長であるとか、公務出先課長民間の中小企業の上級係員であると、非常にバランスがとれていない現状です。そのほかに経験年数とか年齢とか学歴を同じに備えたような比較をいたしますと、当然同一比較を行ないますと、公務員のほうが給与の点で非常に損をしているのではないかということが十分考えられます。この点に関し総裁はどのようにいまお考えでございますか。
  157. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 官民給与の比較をいかしますについては、ただいま申されましたようなところにまで立ち至って精密に対比をしていくべき筋合いのものであることは必然でございます。ただしかし、何分にも役所関係の組織と民間企業体の中の組織とは仕事の性質も違いますし、また企業体それぞれの間においてもまたいろいろな違いがございます。同じ係長といい、同じ課長という職名を持っておりましても、その実態は直ちにもってこれが同一であるというわけにはまいりません。したがいまして、私どもも、その実態をとらえて、たとえば部下を何人かかえておるというような点をも勘案いたしまして、そうして対照関係をつくっておるわけでございまして、きわめて精密に言いますというと、もう一つ一つシラミつぶしに聞かなければなりませんけれども、そうもまいりませんので、大体そこらを包括した形がいま御指摘のような対照表の形になってあらわれておる。それ自体いかにも不均衡であるというようなふうには、私ども考えておりません。
  158. 多田省吾

    ○多田省吾君 不均衡であるとは考えられないというお話でございますけれども、この点は総裁が一番よく御存じの問題でございますので、私どもとしてはもう一回願いたいということをお願いしたいのでございます。  またさらに、いわゆる、春闘の積み残し分の算出というものをやられまして、このたびも二・二%の調整をなさった、それも事業所の数による算出のしかたをしておりますけれども、もっと公平を期するためには当該従業員にウエートを置いた算出のしかたをしたほうがよろしいのではないかということはよく言われることです。  次に、このたびは各俸給表等の下級の方が伸び率が少なかった、いわゆる上厚下薄ではないかという批判もございますけれども総裁として今後どのように考えていかれますか。
  159. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 春闘の積み残しの計算方法については、いろいろ御批判、御指摘がございますけれども、私どもとしては、これは本則から申しますと、大体四月調査ということであります以上は、おくれて支払われたものはすべてこれはもう調査の外に出してしまうという鉄則になるわけです。しかし、それではあまりに現実とかけ離れ過ぎますから、要するにわれわれのとらえ得る限りをとらえて積み残し分を算定して、そうしてことしのうちにそれを消化しておこうというたてまえでやっておりますからして、そうその基本調査と同じような精密さの結果を得られないことは当然であります。したがって、事業所単位で押えているわけでありますが、これは御承知のように、労働省の春闘の調査についても事業所単位で押えているわけであります。別にたいした隔たりはないと思います。  それから上厚下薄は、これは先ほど来申し上げましたように、ことしの勧告は私ども上厚下薄とは申しません。あえて言わせていただけば、上厚下厚と申し上げたいと思うのでありますけれども、いずれにせよ上のほうはいままで数年間据え置かれたりあるいはわずかな手当に済まされまして非常にがまんをしていただいておるという面もあります。また、民間との対比という関係からいいましても、公務員部内の秩序から申しましても、ことしのような勧告の形にしてまず調整をとる必要があろう、そういうことでかような形になったわけでございます。
  160. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、都市手当のことについてお伺いいたします、調整手当でございますか。その調整手当はいわゆる本俸に対する割合でなっておりますけれども、その中に特別調整手当も入っておるわけです。当然管理職手当というものが入っておりますけれども、そうすれば、結局管理職が、上になればなるほどこの都市手当も多くなる。この問題からいっても、上厚下薄に拍車をかけるような姿ではないかと、このように思われるのです。ですから、都市手当に関しましてももっと、管理職ではない、下のほうも率が多くなるような考え方をすべきではないか。都市の生活等におきましても、何も管理職の人だけが苦しいということではなしに、むしろ下の人のほうがずっと苦しいのです。そういう点からこの都市手当の算出方法というものをお考えを願いたいと思いますが、総裁の御所見を承りたいと思います。
  161. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも、前回御指摘のありましたところであり、お答えも申し上げたのでありますけれども、上と下との関係についてアンバランスができておるというふうには私ども考えませんので、超過勤務手当をもらっておられる方々と、特別調整額をもらっている方々と、掛け算の段階においては位置が違うだけなので、でき上がりの形においては均衡を得ておる、こういうふうに考えております。     ―――――――――――――
  162. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。  赤間文三君及び熊谷太三郎君が辞任され、その補欠として中村喜四郎君及び任田新治君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  163. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  164. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。  木村行政管理庁長。
  165. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 一言ごあいさつをさしていただきます。  このたび行政管理庁長官と北海道開発庁長官になりました木村武雄であります。行政はずぶのしろうとでありまして、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。ただ、有能とは言われないまでも、必要な行政管理庁長官として私はありたいと考えておりますから、どうぞ御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  166. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 行政管理庁長官に、この間閣議決定がありましたですね、「今後における定員管理について」という閣議決定についてお尋ねをしたいわけなんです。実は、これは十月にこの委員会でやる予定でおったのです。私のノートを見ますと、十月の十三日ですね、やる予定になっていたわけですよ。ですが、これが中止しまして、閣議決定が行なわれる前に盛んに新聞等に報道されましたので、これは非常に重要だから閣議決定の前にぜひひとつこの委員会でやろうと思っておったわけですが、今回閣議決定になりましたですが、三十八年に同じような決定をいたしましてやらなかったことがあるのです、政府は。そういう経緯もありますので、今回、おそくなりましたけれども、若干の時間を内閣委員会でさいてもらってお伺いをしよう、こういうわけです。  この場合、申し上げたいことはいろいろあるんですが、時間が十分にないわけです。そこで、きわめてかいつまんで、これから重要な問題でございますからお尋ねをいたしたいと思いますが、それは「今後の定員管理について」という閣議決定は、まあ私読んでみまして、これは定員管理という決定にはいささかどうかと思う内容になっておるわけであって、まあすっきり言えば、定員削減の閣議決定という意味ですね、言っていいように思うんですよ。管理というものはこういうものじゃなかろうと私は思うんです。ですから、いずれにいたしましても、こういう閣議決定を行なわれたわけで、骨子とするところは、今後三年間に五%の定員を削減するということ、新しい定員法をつくるということなんですね。私は、長官にぜひひとつ考えていただきたいことは、この定員の管理ですね、政府全体としての定員の管理、これは非常に重要な問題だと思うんですよ。ところが、この定員の管理について、どうも政府は非常におざなりなんだというふうに、私は始終考えておるわけです。今度のこの閣議決定もそのとおりだというふうに思うのですけれども、御承知のとおり、国家行政組織法のいまの法律で言えば第十九条に基づきまして、昭和二十四年に定員法というものができたわけです。ところが、この定員法というものは、これはもういまや周知の事実で、当時の行政整理のために定員法というものはできたわけですね。ほんとうは定員の管理というものをやらなければならぬわけだけれども、行政整理のために定員法というものはできてしまった。したがって、定員の管理の考え方が初めからはなはだしく曲げられてしまった――何ともならないように曲げられてしまった。それが、昭和三十六年にその定員法を廃止したわけですね。廃止しまして、新しく定員の管理というものは各省の投資法できめるということになりましたですね。各省の設置法に、それぞれ各省の定員を法律で管理するということになったわけです。それから二年たって三十八年に、それはよくない、定員は一本だ、ひとつまた定員法というものを新しくつくって、そうして各省の内部の配分は政令できめるのだという閣議決定をやりましたですね。決定はしたけれども、実際はこれは国会には出さなかったわけです。そのときの閣議の決定は、四十四国会に提出するという閣議決定を行なったのだけれども、提出しなかったのですね。今回――四十二年、またほぼ同じような内容の閣議決定を行なったわけなんです。今回は何がゆえにこういうような閣議決定をなされたのかというのを見ますと、これは長官は途中からなられたわけですから御存じない点もあると思いますが、初めは行政管理庁は、新しく定員法というものをつくるのだという構想を出されたのです。それとほとんど同じに大蔵省が、三年間に五%定員削減という方針を新聞に報道するようなことになりました。私は見ておって、ははあ新しく定員法をつくるのだな、どういうふうに大蔵省が今度は定員を三年間に五%削限するのが一緒に出てきたのかなと思っておったところが、御承知のとおりに、閣議決定では、行政管理庁の考え方というものと大蔵省の考え方というものが一本になりまして――これは大蔵省の考え方と行政管理庁の考え方が一本になったというのじゃなくて、行政管理庁としての方針が閣議決定になったわけですね。このねらいとするところは、これは定員を削減するための方針ですね。ですから、私はいまここで経過を申し上げたわけなんですが、定員の管理というものとついての行政管理庁の考え方が非常に一貫したものがない、あいまいだ。首切りのために、行政整理のために定員法というものを設けられる、さらに今度はそれをやめてみる、また今度は閣議決定で出そうとしてそれを取りやめる、今度はまた五%の人員を削減するということで定員法をつくるということで、財政上の理由から定員法というのが新しく設けられる、こういうことで、定員についての、定員管理というのは最も重要なことだと思うんですけれども、これについての考え方が非常にあいまいだと、一貫しないというふうに思っているんですけれども、長官はどういうふうに見ておられますか。
  167. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) いま鶴園さんのおっしゃったように、定員管理の問題は幾変遷を経てきておるようです。やっぱり行政としてもずいぶん悩んだことだけは、足跡から見てもおわかりだと思います。非常にむずかしい問題だったがために悩んだに違いないんであります。それからなお、定員管理になりますけれども、管理の内容を削減に置いておる、そのこともまあ非常に悩んで、削減ということばは使わないで、りっぱなことばで、定員管理ということで表現しておるのじゃないかと思っておりまするが、そういうことばづかいから見ても、歴史に顧みましても、非常に悩んだことだけは事実だと私は思っております。そして、悩んだ結果、今度はまあはっきりして悩まないで進んでみようという結論が今度の結論だと、こういうようにまあ御判断くださったならば間違いないと、こう思います。
  168. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三十八年の十月に、いまと同じような、ほぼ同じよう閣議決定をしたわけですよね。新しく定員法というものをつくると、そして総体で、総定員を規制をして、中の各省庁の配分は政令できめると、今度のやっと非常に似ているわけですよね。そういう閣議決定をされたのですが、そのときに異論がだいぶ出ましたね。結局出さなかったわけですよね。なぜ異論が出たかという点については、これは御承知だと思うんですよね。今度は条件が相当違うようですけれども、同じような閣議決定が行なわれているわけなんですよ。あのときは閣議決定に際していろんな問題が出たのだが、そういう問題は消えてなくなったわけなんですか。非常に重要な問題を含んでいると思うんですよ。消えてなくなったわけですか。
  169. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 三十八年の閣議決定の模様は存じ上げませんが、今度の閣議は異論がなくすすっと通ったんです。満場一致、反対もなければ、すなおにすすっと通って、もう風通るひまもないような早い時間にすっと通ってしまいました。ですから、異論のなかったことだけは事実なんですね。そいつは何も異論がないわけではないと思います。いままでの歴史に顧みまして、ずいぶん内部では議論しておったに違いないんであります。そして、まあ議論し尽くされた集積が結局閣議にあらわれたときに異論なしに通った、こういうことだったろうと思います。ただ私は、異論のない光景だけよく承知をいたしております。異論のないままで、今度まあ皆さまに疑惑を持たれないようにすなおに受け取ってもらうように進みたいと、こういうふうに考えております。
  170. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、いま長官が、すらりとアッという間に通ったようなお話で、それがいけないのだと私は思うのですよ。つまり、この定員の管理について、政府全体が、閣僚が意識がないのでしょうね、残念ながら。だから、まあアッという間に通ったのだという、それが非常に遺憾だと思います。したがって、最も大切な国家公務員の定員管理、政府全体としての定員管理というものが、そのときそのときの情勢でいつも左右される。財政硬直化だといえば削れということで、定員の管理というものが、しかも法律まで変わってくるという遺憾な状態なのですね。ですから、私はそれを申し上げて、もう一つ、この間も、三十年のときも閣議決定はすらっといったのです。おっしゃるとおりなんです。これもまた、そのあとワアワア出まして、結局あれは国会に出さなかったのですよ。その理由としますのは、いろいろありましたけれども、結局国会対策上、各省設置法で人間をきめていると、十人ふやすのでも十人削るのでも各省設置法全部出さなければならない、国会対策に非常にまずいという意見が一つですよ。それからもう一つは、これはまあそういう国会対策上そういうものを出すということはよくないという考え方ですね、国会対策とは別にやるべきだ。それからもう一つは、文字どおり朝令暮改だ。そうでしょう、三十六年に定員法をなくしたのですから、いけないといってなくした、二年たったら今度はまたつくりますというのですから、無定見もはなはだしいから、朝令暮改のおそれがあるというようなことやら、いままで法律で規制しておったものを行政措置でやることはよくない。つまり各省の配分ですね、これは法律でいままで規制しておったわけですね。それを今度は政令で、行政措置でやることになるわけですから、それもよくないというようなことで、これあとから文句が出て、今度はどうもそういう常識のある閣僚はいらっしゃらないのかもしれませんが、そういった面でいろいろ考えなさる方々が。ですが、私は、三十八年の十月の閣議決定が未提出、つまり実らなかった、つまり国会に出さなかった、出なかったという条件というものは、今日も消えてないというふうに思っておるわけです。これはまあいずれあとでやりますが、そこで今度のこの閣議決定を見ますというと、各省の配置は政令で、いわゆる行政措置でやることになっていますね。それから、一局削減、各省庁の一局削減についての閣議決定を見ますというと、いままで法律できめておったものを、政令で、行政措置でやるということになっていますね。すみやかに検討するということになっていますね。定員とその機構ですね、行政機構、行政組織、それから定員、この重要な二つについていままで法律できまっておったものを、これを政令で、行政措置で直すというのは、一体どういうところに理由があるのでしょうか。これはもう閣議決定しておられるのですから、お尋ねをしたいわけです。
  171. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 二つとも、まあ法律を出しまして通った後、処置は政令できめる、こういう方針をとったのです。これは私の体験から申し述べたいのですけれども、私も衆議院で一年間内閣委員長をしておりまして、そして各省設置法の一部改正法律案というやつが各省から出てくるのですね、その小さい大きいの議論はいたしませんけれども、そういうようなことに国会議員がまあいろいろ議論をしておるということがはたしていいことかどうかということに私自身も実は疑問を持ったのです。それですから、こういうようなことはやっぱりまとめたほうがいいのじゃないか、そしてもっと、お役人に毛のはえたようなことでなく、大きなことで国会議員が議論してみたほうがかえって国会議員としての値打ちが出てくるのじゃないだろうかと、私自身が一年間の体験から切に考えたこともあったのです。それだけでなく、こういうように各省からいろいろな法案が出てまいりまして、それを審議いたしてまいりますると、法律の数というものがあまりに多過ぎる、少しも国民の知らないような、国民とあまり関係のないような法律というものが出過ぎて、一体法律で窒息して死ぬような時代が来やしないか。よく昔は――私もシナに行っておったことがありまするが、日本人のお役人が向こうに行きまして法律をつくるのですね、満州で。そうすると、その日本人を称して法匪といったものです。法律の匪賊といったものですね。やたらに法律をつくって、わけのわからない――やっぱり無学な支那人から見たならばわけのわからないものだったかもしれませんよ。そういうようなものをつくってそして自分たちの生活を束縛するようなやり方はけしからぬと、こう言って法匪ということばがはやったのですが、同じような傾向がなきにしもあらず、私自身もこういうように考えていたわけです。法律は多いほうがいいか少ないほうがいいかといえば、少ないほうがいい、少なくてこと足りればそれにこしたことはないと私は考えます。いわんや各省設置法のようなものは一本にまとめれば一本にまとめられるものである。そして人員の配置なんかもそんなに各省単独でやれば、それだけセクト主義が出てまいりまして、非常にそれが災いになるということになりますから、やっぱり一本にまとめてやったほうがいいんじゃないかということを私自身が内閣委員長をしておりまして考えたものですから、この法案がいいと思って自分で賛成して自分でもやろうというふうに決心をしたのであります。しかし、あなたのおっしゃるとおり、いまの大臣は人員管理という問題について知識がないのじゃないかとこうおっしゃいますと、そのとおりなんです。私も生まれて初めて大臣になったものですから、たとえば行政管理庁の人員管理はどうするんだなんて言われて、何人で一体有効適切な行政管理を行なうことができるんだなんて問われてみても、的確な答弁ができるものじゃないのです。北海道開発庁長官をつとめておりますけれども、何人でりっぱな北海道の開発ができるんだと言われてみたって答えはできないものなんです。それが実情だと思いまするから、あなたのおっしゃったとおりに、いまの大臣の連中はそういう点で有能か無能かといえば、あまり有能じゃないと思いますが、しかし、政治家は方向を誤らない、総合判断して、国家的な見地にも立ち、局部的な見地にも立って的確に判断して、そして方向を誤らないような態度を取り入れたならばそれでいいのじゃないか、こう思って大ざっぱにやってはおりますが、鶴園さんなんかはそういう点では大先輩なんですから、おしかりはおしかりとして、こういう点は足りないぞとこうおっしゃってくださいましたならば、われわれはそういう点では足りない点はたくさんありまするから、あなたのお知恵と裁量を尊重してりっぱな行政をやってみたい、こういう考えを持っております。ですから、そういう点は遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。私は、行政管理庁長官になったからといって、その立場でものをあなたに押しつけようというような気持ちは毛頭持っておりません。それですから、足りない点は足りない、不足の点は不足だと、すぐにそういう点は認めてやることにやぶさかではありませんから、どうぞひとつ……。
  172. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま長官の話がありまして、長官が初めて行政管理庁長官になって、わが行政管理庁は何名定員があればいいのか、あるいは北海道開発庁はどの程度の定員があればいいのかということはさっぱりわからないと。それはいままで定員管理が非常におざなりだったから、そのときそのときの政治情勢のためにするための法律がつくられてきた。首を切るために定員法をつくる、今度は財政硬直化のために定員法をつくるということで、ほんとうの定員管理というものが行なわれてこなかったから、したがって、長官になられても何をやったらいいのかよくわからない、北海道開発庁長官になられても一体何をやっていいかわからない、こういう実情になっていることを長官にひとつ申し上げておきたいと思うのです。  それから法規の問題が出ましたが、長官だけにこだわっておっても時間とりますから、国がともかくたいへんな税金を取って予算をつくる、そして行政をやる、法律をつくる。つまり、法律をつくって、予算をつくって、行政をやる。その行政の機構というものに、そこにどのように公務員が配置されているかということは国民が非常に重要視すべきことなんだと私は思うのです。ですから、国民の目から見て、行政はどの方向に向いておる、機構と定員がどういうように配置されているかということが一目にわかるような、そういう制度がなければならないと私は思っておるわけなんです。ところが、今度はそうじゃなくて行政措置でみなやってしまう、こういうやり方です。従来は法律案ですよ。国民の目で見えるようにつくってこられておるわけです。今度は行政措置をやられたら、そういうやり方は、行政の方向なり、行政の規模なり、あるいは行政の組織なり、国家公務員の配置の状況というものを、これはやっぱり国民の目からこれを遮断するというおそれが出てくる。それだけでなくて、定員を管理するという立場をみずから弱めるものなんだと、私は思っておるわけです。ですから、定員の管理についても、いま長官のおっしゃったようなやり方もあるのですよ。大政治家という立場から見れば、そういう言い方もあるかもしれない。しかし、もっと目を見開いて見れば、私の言うような言い方もあるのだ。そういう点については、また別に法案が出ましょうから論議したいと思いますけれども、そういう考え方なんだということです。  それから次にお伺いをいたしますのは、今度の閣議決定の模様を見ますと、ねらいはやはり三年間に五%の定員を削減する。まず毎年、毎年定員は切っていく。ですから、結論としては三年間に五%定員が削減されるわけです。行政の需要の多いところ、需要の少ないところ、これは配置転換をやる。その配置転換をやるために、今度の閣議決定による新しい定員法というものができるということになると思うのです。ねらいはそこだと思うのです。ですから、そういう配置転換というもののためにこの設置法というのができるわけですよ、私に言わせますと。しかし、それで配置転換ができるかどうかという問題ですよ。私は役人を十九年間やっておったのです、もう九年くらい前にやめましたけれども。それから内閣委員会で行政問題にずっと携わっているわけですが、国家公務員といいましても、国家公務員と同じことばで言うのですけれども、会社員は全部会社員と言うくらいなもので、三菱もあれば、住友もある、あるいは東芝もあるというくらい、会社といっても相当な数があるわけです。国家公務員といいましても、そういうふうに非常に違いがある。ですから、なかなか配置転換をやろうと思ってもやれない。これは官庁のセクトとか縄張りという問題があるかもしれませんが、もっと私は複雑なものだと思うのですよ。そういうものを廃止していくような努力がなくして、ただ法律でその配置転換をするというやり方は、これは迷惑しごくだと私は思っておるわけです。このねらいからいきますと、どうもこれは全く迷惑しごくな話で、そういうようなものを国会をわずらわす必要がないじゃないか、政府が全体として自分でやればいいじゃないかと私は思うのですよ。法律にする必要がないじゃないか、そんなものは。配置転換をおやりになるなら、配置転換をやっていくという方向でおやりになったらいいじゃないか。わざわざ国会にこういう法案を出して国民の手数をかける必要がないじゃないか、こういうふうに思っておるのです。  時間がだいぶきておりますから答弁は求めませんで、あと自衛隊の問題について聞きたいのですが、先ほど防衛庁のほうから充足率は九一%だというお話があったのですけれども、これは制服のほうですね。それから三万おります非制服、非自衛隊――文民といいますか、文官ですか、これらの充足率が、欠員が五%くらいになっておる。そこで、今回閣議決定によりますと、非現業国家公務員、それから三公社五現業、公団・公社、それから地方自治体、こういうところが国家公務員と同じような方針でやるというのですね。ところが、自衛隊だけは、制服だけは別なんだ、こういうきめ方になっておるわけです。従来から定員の凍結とかいろいろなことを言われてきたのですが、そのたびに国家公務員考えることは、どうもせびろを着ている国家公務員をだんだん減らしていって、そのかわりに制服のほうですね、制服の自衛隊員がふえていくのじゃないかという非常に疑惑を持っておったわけなんですよ。今度のきめ方なんというのは、露骨にそれを示しているわけですね。つまり三公社五現業をやり、公社・公団までやっていくというのだけれども、自衛隊だけは別でございますと、それで防衛庁の中でも、せびろを着ている三万の者はやはり削減をするのだが、制服を着ている自衛隊のほうは別でございますというこのやり方は、あまりにも露骨過ぎると私は思うんですよ。約九%も欠員があるんですからね。医務員の人たちは四〇%しか充足していないそうですよ、さっき答弁がありましたけれどもね。予算上もなんでしょう、予算の上でも自衛隊の場合は予算定員というものは一〇〇%組んでないでしょう。初めから差っ引いたものを予算に組んであるはずですね。どうですか、大蔵省のほうが賢明じゃないですか、行政管理庁よりも。初めから定員を差っ引いて組んである。どうですか、防衛庁のほう。
  173. 佐々木達夫

    政府委員佐々木達夫君) ただいま先生の御指摘のありましたように、自衛官につきましては、予算上いわゆる充足率というものを設定しておりまして、各自衛隊の自衛官の充足状況というものに即応して予算上の人件費を積算しているという状況でございます。
  174. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ですから、自衛隊の場合には、予算上は大体二十五万おることになっておりますね、この定員は。二十五万定員はおることになっているが、予算は幾ら組んでありますか――二十三万五千くらい。
  175. 佐々木達夫

    政府委員佐々木達夫君) お答えいたします。  予算上につきましては、四十二年度予算におきまして、陸上自衛隊の場合には九〇%、それから海上自衛隊の場合には九六・五%、航空自衛隊の場合におきましては九七%という平均的な充足率でもって予算を積算している次第でございます。
  176. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま防衛庁のほうから答弁がありましたように、定員管理は大蔵省のほうがうまいですね、これは。大蔵省と行政管理庁とは違った定員管理をしなければならない。いまは似たような定員管理をしているんですよね、遺憾ながら。それは長官、行政管理局というのは人間が少ないんですよ。三十二、三人しかいないんですよ。それが百何万の国家公務員の定員を管理するんですから、どだい無理なんですね。ですから、各省から定員要求がありますと、その査定だけで手一ぱいなんです。その百何万がどういうふうに配置されているかということはわからないんですね。大蔵省と似たようなやり方をやらざるを得なくなるということになるのですね。それで大蔵省は、いま言ったように、初めから切ってあるのですね。こういうのを見ますと、これは私は、やはり一ぺん――非現業国家公務員と同じように五現業もやるのだ、三公社もやるというのだから、自衛隊のほうも一ぺん冷たい水を味わせたほうがいいんじゃないですか。年じゅうあったかい世の中にされておるということは、これは問題があると思いますね。これは私は前に内閣委員をやっているときから、つまり五、六年前からこういうしきたりになっている。つまり、予算定員では初めから切ってある。陸上自衛隊であれば、九%切ってある。これはやはり定員を管理する行政管理庁としては真剣になって考えていかなければならない問題だというふうに思うのです。若干横道にそれましたが、それでは行政管理庁の設置法ございますね。行政管理庁の設置法の第二条の第二号に行政管理庁の権限の一つが書いてあるわけですね。行政管理庁というものは定員の総合調整を行なう、機構の総合調整を行なう、行政運営の総合調整を行なうという、総合調整の機能が第二号にあがっておるわけなんです。この意味ですね、この定員の総合調整という意味は、結局定員は行政管理庁が所管をしているのだと、行政各省庁はそれぞれの専門分野の行政を行なう、したがって定員の管理については各省庁に一任することなく行政管理庁が総合調整の機能を持っているのだと、政府全体としての総合調整をやるのだと、こういうように私は思うのです。ですから、定員の管理について矛盾やそごがあってはならない、均衡のある定員管理をやっていかなければならないということだと思うのですけれども、長官どういうふうにお考えですか。
  177. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) あなたのお説のとおりであります。
  178. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、これは長い経緯があるのですけれども、そういうものは省略をいたしまして、私も三十四年からこの定員をやっているわけですけれどもね、今日まで。定員の管理、定員のいろいろな問題をやっているわけなんです。そういう中で、どうしてもやっぱりきょう長官にはっきりさせておいていただきたい点があるわけなんです。それは定員に非常に矛盾な点があるという点ですね。林野庁長官お見えになっていますかね。農林省に林野庁という五現業の一つ、事業官庁です。その林野庁の現場で、トラックとか――これは事業官庁ですから、木を切って、木を積み出してくるやつですから、したがって、トラックとか、ブルドーザーとか、ダンプカーとか、それから集材機とかいう機械があるわけなんです。その操作員がいるわけなんですね、それに乗っている人が、操作している人が。で、北海道開発庁とか、建設省とか、それから運輸省の港湾建設局とか、こういうところも同じように、トラックとか、ブルドーザー、ダンプカー、自動シャベルというような機械を持っているわけですね。ところが、林野庁と北海道開発庁なり建設省との間にはその取り扱いが根本的に矛盾しているわけなんです。相反しているという状況なんですね。ですから、私は、先ほど行政管理庁長官もお答えがありましたように、政府全体としての定員の管理が矛盾なく行なわれるようにしていくという総合調整の機能の立場からいって、これらについてしかるべく配慮をしていただかなければならぬのじゃないかと、こう思っておるわけなんです。  その前に、林野庁長官にお尋ねをしますけれども、こういう人たちについてこれを何かの形でそういう矛盾のないように解決をする必要があるのではないかと私は思うのです。これは非常に職場に不満がありまして、われわれのほうはこういう状態なんだが、北海道開発庁なり、運輸省の港湾建設局なり、あるいは建設省なりというところのトラックの運転手はりっぱにやっているじゃないか、われわれのほうはいつまでたってもこういう状態じゃ困るのだ。しかも、林野庁というのは、これは現業官庁じゃないか。仕事をすること、トラックを動かしていく、あるいは集林機を動かして木を切る、それが仕事じゃないか、それなのに差のある取り扱いを受けているということに非常に不満があるわけです。したがって、そういうふうな問題についてぜひ林野庁長官としては積極的に解決するために努力をしてもらいたいと私は思うわけなんです。長官、どうですね、御答弁をいただきたい。
  179. 片山正英

    政府委員(片山正英君) ただいま鶴園先生のお話のありました問題は、おそらく、トラックなり、あるいは集材機なり、あるいは自動車なり、そういう機械要員のことをおっしゃっていると存じます。これにつきましては、先ほども先生お話しのように、だいぶ前からいろいろ議論をしておったところでございます。しかし、私はいまそういう問題につきましては詳細の説明は省略いたしますが、定員内に任用するというようなことで努力してまいりたい、かように存じております。
  180. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がありませんのでまずいんですか――いまの任用ということばは、私は若干問題があるように思うのです。ですから、やはりいまそういう矛盾がございますから、それを積極的に解決するという答弁をいただきたいと私は思うのです。任用では若干問題が出ると思います。いかがですか。
  181. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 先生の話をもう少し具体的に私考えますと、これは、林野庁のやっている仕事というのは、御存じのように、季節的にいろいろ仕事をやっております。造林から、粗材生産から、いろいろ季節的な事業でございます。季節的な事業で雇用しております姿というのは、御存じのように、臨時的に雇っているもの、あるいはそれが少し延びました形における日雇いという形で雇っております。あるいは定期というような形で雇っております。あるいは常用という形で雇っておるもの、さまざまでございます。これは事業の内容、季節によりまして非常に変わってくる性格のものでございまして、定数的に常用であるというふうに考えられるものではございません。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、トラックならトラックという問題が、これはほかの官庁と林野庁との関係において同じものが違うふうに扱われているのじゃないかという御指摘と思います。しかし、私のほうの現場の仕事というのは、林野の、山林の仕事というのは、先ほど申しましたような仕事でございます。そこに若干の違いはあると思いますが、ただ、いま申しましたように、同じ仕事というような観点から、関係官庁と協議いたしまして、ただいま申しましたような定員内に任用するという形で努力したい、こう申し上げているわけでございます。
  182. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間があるといいのですけれども、時間がありませんので、最後に行政管理庁長官に伺いたいんですが、もう少し詳しく申し上げないと長官も御判断しにくい点もあろうかと思いますが、そういう行政管理庁の権限であります、定員を総合的に調整していくという、そういう立場から、いまの問題についてぜひ御努力を願いたいと思っているわけです。
  183. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 私長官になりまして一番最初にぶつかった一番大きな問題がその問題なんです。要するに臨時雇いの問題なんです。これは四十三年度はそれを定員に繰り入れるなんということはやりません。やりませんけれども、四十三年度の私の課題として、この問題と真剣に取り組みたいと思っております。そうして現実を握って、何か対策を考えなければならないと思っております。やはり働いている人には働いてもらうだけの一つの希望を与えなければ働いてもらうというわけにまいりませんから、私は四十三年度の課題はこの問題と取り組むことだ。しかし、それは四十三年度に編入するということではありません。現実をかっしと握ってから、自分は自分なりにこの問題は解決策を立てたいと、こういう気持ちを持っております。
  184. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 若干、長官、私も少し具体的に申し上げなかった点もあるかと思いますが、臨時雇いとか、そういうものでは全然ないわけです。一年じゅう働いているわけです。それはもう建設省のトラックの運転手、あるいは自動シャベル、あるいはブルドーザーの運転手と全然変わらないのです。そういうものについて定員の管理上矛盾がありはしないか、したがって行政管理庁としては総合調整の立場からこれは解決のために努力をする必要がある、こういうふうに言っているわけなんです。
  185. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) いまのお話も同じだと思いますが、私はそれをみな含めて言ったつもりであります。ですから、このこともほんとうに、林野庁とも相談いたしまして、現場を私は私なりに把握してみたいと思っております。そして的確な解決策を立ててみたい。無責任に御答弁申し上げているのじゃないのです。私は自分でやってみる覚悟でこう御返事を申し上げているのであります。どうぞ御了解いただきたいと思います。
  186. 北村暢

    ○北村暢君 いまの定員問題に関連しまして、私は、林野庁の関係の定員とはちょっと性質が異なるのでありますけれでも、法務局関係の定員についてお伺いいたしたいのでありますが、まず、法務局の仕事の内容からして、これは法務省設置法のところでも前の特別国会でいろいろ質問しておりますから、私はごく簡潔にお尋ねいたしますが、法務省の法務局関係の業務量というものは、メートル法の改正等の臨時的な業務以外に、登記業務そのものの件数というのが非常に多くなってきている。それで、現在の職員で処理し切れないで、いわゆる国鉄職員であるとか、市町村職員であるとか、そのほか司法書士、行政書士、こういう関係のない部外者の協力を得なければ処理できないくらい今日業務量がふえている、こういうふうに見ております。私は事実業務の実態がそうであると思うのですが、前の法務大臣田中さんは、その実態を事実末端へ行かれて調査をされて、視察をされて、その実態をよく承知せられて、何とかこの点については善処しなければならない、大臣はそう言っておられるようであります。そういうような点について、根本的に私は定員が業務量に合ってない、非常に過重になっている。このことについてまず法務局の考え方、この点についてお伺いしておきたい。
  187. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 法務局の事務量が非常にふえておりますことは、御指摘のとおりでございます。経済活動が活発になりましたり、あるいは公共事業が盛んになりまして、そのしわ寄せがすべて登記所のほうへまいるわけでございまして、近年仕事の量がたいへん増加いたしております。たとえば、昭和三十年を基準にしまして、四十一年の実情をながめますと、登記所の事務量が、たとえば登記簿の謄抄本の請求事件等は約五・七倍ぐらいになっております。一般の本来の事件数の一・九倍――約二倍ぐらいにふえているわけであります。これに対しまして、登記事務の従事職員の数は約一五%の増加にすぎません。したがいまして、その事務負担量も極端に多くなっておるのであります。私どもといたしましては、この現状を打開するため、もちろん定員の増加も問題でございますけれども、そのほかにさらに事務そのものの合理化、さらに機械化、そういったこともはかり、あわせてまた執務環境の改善、庁舎の合理的な設計等も考えまして、事務がスムーズに動くような配慮を加えつつ何とかこの窮状を打開したい、このように考えて努力してまいっておるわけでございます。ただいま御指摘のように、部外の応援者が非常にたくさんあるのでございます。これも正確に把握できませんけれども、推定いたしますと、年間の延べ人員が約五十万に近い数に達するであろうということを言われておる次第であります。登記所の現状はきわめて窮屈になっております。増員その他の措置によりまして何とかこの窮状を打開し、国民に不便の起きないようにいたしたいというのが、私ども考えでございます。
  188. 北村暢

    ○北村暢君 簡単にいたしますが、事務の合理化、機械化、そういうような手段、方法でこの定員の不足というものを、事務量の過剰というものを解消するような方向に努力していきたい――それはわかるけれども、それにしてもなおかつ絶対量の定員ではどうしても私はさばき切れない状態である。これは少々の事務の援助じゃないのですよ。膨大な司法書士の当然職員がやらなければならないものを応援を得てやっておる。これは公務員じゃない者がやっているわけなんです。この実情はもう確かにある。したがって、機械化、近代化では処理できないものがありますので、来年度予算で七百二十六名ですか、大蔵省に対する要求として出しているようですけれども、これ自体が私は少ないように思うのですが、これはどういう根拠で要求しているのか。これは今後行管なり予算の段階できめられる問題だと思うのですが、この要求した根拠、私は少な過ぎるのじゃないかと思うのですが、どういう根拠でこれを要求したのですか。概算要求としてやっているのか、このことをお伺いしておきたい。
  189. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 来年度の増員の要求といたしまして、登記事務職員の増員数は七百二十六名になっております。これは、先ほど申し上げましたように、事務量の増加と一人当たりの負担量、さらに事務の合理化あるいは機械化、あるいは超過勤務、そういったものを総合的に計算いたしまして、その結果不足人員が約千五百人になります。これを二年計画で充実していただきたい。その第一年度の要求といたしまして、ただいま七百二十六名という数字が出たわけであります。
  190. 北村暢

    ○北村暢君 いまの法務局の要求というのは、私は、いろいろなことを配慮しての千五百名を二年間でやりたいという意図のもとにということのようですが、若干少な過ぎるのじゃないかと思うのです。それは、現実に置いてはならない臨時職員が――先ほど行管長官のおっしゃった臨時職員、ここにはさっき言った臨時職員がおるわけです。しかし、これは置きたくて置くわけではなくて、置かなければ事務処理ができないから置いているんだという問題。ですから、これに対して行政管理庁としては、法務局の人員要求に対して、今後五%の削減とも関連をして、私は各省一律の五%削減というのは妥当ではない。人事院も事務能率の低下ということで批判があるようでございますがね。一律ということは私は妥当でないと思うんですが、その五%削減との関連において、今後法務局の定員に対してどのような態度で臨まれるのか、態度だけでいいですから、ひとつお答えを願いたい。
  191. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 実情はあなたのおっしゃったとおりらしいのであります。私もこの問題と出っくわしまして、ほんとうに実情を把握したい。現場を視察するわけにはまいりませんけれども、法務省の労働組合の代表者の人には二度お目にかかりました。実情は詳しく聞こうと思ってお聞きしてみたんです。お話のとおりなんであります。それに対する対策をどうするかという問題は、もっともっと自分で調べてみないとわからないんです。これはその人員だけでいいものやら悪いものやら、それから管理庁で考えておる内容でいいものやら悪いものやら、法務省で出しておいでになる要求でいいものやら悪いものやら、自分ではいまだ判断いたしかねておるのでありまするが、私は、何と申しましても、ものの判断のしかたは現場中心でやっていきたい、こういう考えでおりまして、いまこの問題をどういうように解決しようかと、実は現場中心でものの考え方を取りまとめ中なんであります。いま即答はいたしかねるのであります。ただ、こういう問題だけはおろそかにはしない、在来と違っておろそかにはしない。そうですからこういう困難な問題は就任早早から最初から取り組んでおります。まあ任期の終わりごろになって取り組んでは逃げことばになりますから、最初から取り組もう、こういう考えでおりますから、どうかこの点御理解いただきますようお願いいたします。
  192. 山崎昇

    山崎昇君 最後に、ごく簡単に、北海道地下資源開発会社を民間改組することになったんですね。それで問題になっているのは、そこに二百名ばかり勤務しているんですが、そのうちの百五十名は首切るというわけでしょう。だから、今日まで一生懸命――会社が赤字であろうがなかろうが別として、一生懸命働いてきた者が路頭に迷うことのないように、ひとつ北海道開発庁長官でもある木村長官にぜひ配慮してもらいたい。それから、退職金を何か払わないということを言っているそうですが、そういうことは私は誤解だと思うんですが、いずれにしても勤務した者が路頭に迷わぬようにしてもらうことだけを私から要望して、質問を終わります。
  193. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) いま一番頭を痛めております。きょうも従業員の人にお目にかかりましたが、十分考慮して、やはり政治ですから、人を苦しめないようにやるつもりでおります。
  194. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  195. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  それでは、三案に対する質疑は尽きたものと認めます。  これより三案を一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  196. 北村暢

    ○北村暢君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております給与関係三法案に対しまして反対し、社会、公明、民社三党共同提案にかかわる修正案を提出いたします。  本来、給与は使用者と労働者が対等の立場で団体交渉できめるというのが原則でありますが、公務員については、この団体交渉にかわって第三者的な公正な機関として人事院が設けられ、この人事院勧告を実施することによって公務員生活が擁護されることになっておるのであります。しかるに政府は、昭利二十三年以来二十回にわたって、ただの一度も人事院勧告を完全に実施したことがないのであります。この法案もまた同様でありまして、私どもは断固反対せざるを得ないのであります。勧告の実施期日については、人事院は三十四年まではできるだけ早く、できるだけすみやかにという表現で実施期日を明確にしないまま勧告をしてきたのでありますが、三十五年以降、勧告実施の時期を五月一日と明示するようになったのでありまして、このことは大きな前進であるわけであります。しかしながら、官民格差の取り方の筋からいいますと、四月から実施すべきものでありますが、この問題はしばらく別として、政府人事院勧告どおり五月から実施する責任が当然にあるわけであります。当委員会においても、しばしば附帯決議を行なって政府にその完全実施を強く要望し、また、本年十月には当委員会及び衆議院の内閣委員会におきまして、各党共同提案により、人事院勧告の完全実施についての単独決議を行なっているのであります。それにもかかわらず、依然として完全実施がなされていないことはきわめて遺徳であります。  以上の理由によって三法案に反対し、この際、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する社会、公明、民社三党の共同提案による修正案を提出するものであります。この修正案の内容につきましては、お手元にお配りした案文で御承知願いたいと存じます。  修正の要旨は、原案の内容にも幾多不満な点があるのでありますが、今回はそれらの点は一応おくとし、実施期日にしぼってこれを人事院勧告どおり五月一日から実施することに修正しようとするものであります。  以上をもちまして私の討論を終わります。
  197. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となっておりまする三案に対し、原案に賛成し、修正案に反対するものであります。  この給与関係の三法案は、国家公務員給与について民間給与との均衡を得るための措置を講じようとするもので、すみやかにこれらの法律案を成立せしめ、一日も早く改定分の追加支給ができるよう配慮すべきであると思うのであります。  次に、審査中に論議の中心となりました人事院勧告の実施時期につきましては、本年も実施時期が勧告よりずれていることは私もまことに遺憾に存じます。しかしながら、政府におきましても財政硬直化の防止、景気抑制策としての財政引き締め等、きわめて困難な財政事情に直面している際にもかかわらず、本年は昨年より一カ月繰り上げて八月一日実施に踏み切ったことは、政府として最善の努力を払ったものと思うのであります。しかしながら、この点については今後においても引き続いて努力を重ね、人事院勧告の完全実施がすみやかに実現いたしまするよう、勧告の時期、財政上の措置等について特段の考究をお願いし、その成果に期待いたしたいと思うのであります。  なお、公務員給与の改定に関連いたしまして、公務能率の向上と国民負担の軽減をはかるため、政府におきましては行政運営の能率化と人員の適正配置についてすみやかに成果を得られるよう特に要望するものであります。  以上で私の討論を終わります。
  198. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出の三法律案に反対し、三党共同提案の修正案に賛成の討論を行なうものであります。  人事院は毎年官民給与の格差是正を行なうため、公務員給与改定の勧告をいたしておりまするが、最近における消費者物価の高騰、生計費の上昇、あるいは民間給与の上昇率を見ますると、人事院勧告の内容は、公務員生活の安定、向上をはかる上においてはなはだ不十分なものがあります。しかも、今回の改定にあたりましては、上厚下薄の傾向が一そう明瞭になっておりまして、上位等級の改善に比し、下位等級の改善ははなはだ低額になっております。昨年の改善額にも及ばないという事実を示しております。今回の給与改正案の内容にはこのような大きな欠陥、不満な点があります。ことに私の最も遺憾に思いますのは、本年もまた勧告の実施時期が尊重されていない点であります。政府は従来より口を開けば人事院勧告を尊重すると言明いたしておりまするが、人事院発足以来、いまだかつて一度も完全実施が行なわれていないということは、まことにもって遺憾きわまりないと私は存ずるものであります。  いまさら申し上げるまでもなく、人事院勧告公務員の団体交渉権、争議権の代償として人事院を設置したものであります。これを完全に実施するのが原則であり、政府の義務であります。いまさら当然のことでございます。政府政府自体の経済政策の失敗により現下経済界の不況を招き、極度に生活の逼迫している公務員生活を擁護し得ないということは、まさに政府・自民党の私は重大なる責任であると断ずるものであります。政府は完全実施をしない理由といたしまして、毎年同じように財政事情をあげておりまするが、完全実施をしない真の理由は、財政問題でなく、政府自体の怠慢であり、無責任きわまる政府の態度であると言わなければなりません。この点につきましては、しばしば当委員会において指摘され、明らかになったところであります。政府がこれを完全に実施しようという誠意と努力があれば実現できる問題であると私は信じております。政府は完全実施の方針をすみやかに樹立して、来年度よりこれが実施に出たることを強く私は要望するものであります。  以上申し述べました理由によりまして、わが党といたしましては三党共同提案による修正案に賛成いたしまして、人事院勧告を無視した政府提出による三法案に対しては遺憾ながら反対の意を表するものであります。
  199. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております三法案の原案に反対し、修正案に賛成するものであります。  いまさら申し上げるまでもなく、人事院は団体交渉権を取り上げられた公務員にかわって、その給与を適正に擁護すべき唯一の代償機関でありますが、今年の勧告を見ましても、例年のごとく必ずしも満足すべきものではございませんでした。当委員会におきましては、当面する公務員生活の実態にかんがみまして、さらに十月、各党共同提案による人事院勧告の完全実施についての決議を行なったのであります。しかるに、政府はこの決議をも無視いたしまして、改正の実施期日を三カ月もずらして措置しようといたしておるのでございます。このことは、政府がしばしば言われるように財源云々の問題からではなくして、公務員はもちろん一般の労働者をも含めて、これを低賃金のままに押えていこうとする政府の基本的な政治姿勢から来るものであると考えざるを得ないのでございます。  この法律案の具体的な内容の批判については、他の委員方々からそれぞれ御指摘されたとおりでございますから、あえて多くを申し上げませんが、今回の改正案に見るごとく、俸給表の改善率が一律七%程度ということでありましては、上下の格差はますます拡大するばかりで、公務員の大多数を占める中級以下の公務員にとっては、政府の責めに帰すべき諸物価の高騰の前に、その生計費すら赤字を累積していくことは明らかでございますし、しかも、改定の実施時期を三カ月もずらすというに至っては、年間所得をもってすれば、官民給与の格差をますます拡大せしめるものであることを特に指摘いたしまして私の討論を終わらしていただきます。
  200. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 北村君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三により内閣から意見を聴取いたします。田中総理府総務長官
  201. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまする御修正につきましては、政府といたしましては、本年度の財政事情にかんがみまして賛成いたしがたいということを申し上げておきます。
  202. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより三案を順次採決いたします。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案の採決に入ります。  討論中にありました北村君提出の修正案を問題に供します。北村君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  203. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 少数と認めます。よって、北村君提出の修正案は否決されました。  次に、本案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  204. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  205. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はこの際、ただいま可決されました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして附帯決議を付することの動議を提出いたします。
  206. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまの石原君の動議を議題といたします。
  207. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいま議題となりました附帯決議案は、自民、社会、公明、民社各党の共同提案にかかわるものでありまするが、便宜私から申し上げます。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   人事院勧告に基づく公務員給与の改定は漸次改善されつつあるが、その実施時期については未だ完全実施されていない。よって政府は、これが完全実施のための財政上の措置等について速やかに考究し、今後の給与改定に万全を期すべきである。   なお、調整手当の支給地の決定に際しては、法改正の趣旨にかんがみ、現在の暫定手当支給地区分を十分考慮の上、差し当り現状を変更せざるよう配慮すべきである。  右決議する  この附帯決議案の前段につきましては、案文により明らかでありまするので、説明を省略させていただきます。  次に、後段の調整手当につきましては、民間における賃金、物価及び生計費が特に高い地域に在勤する職員に支給されることとなっており、実質的には人事院勧告の都市手当と同様のものでありまするが、なお問題がありまするので、今次の改正法におきましては、本法施行後三年以内に、必要と認める措置を国会及び内閣に勧告することを目途として人事院が調査研究を行なうこととなっております。したがって、今回設けられました調整手当の支給地の決定に際しましては、過去十年来にわたって行なわれてまいりました暫定手当の支給地域区分を十分考慮し、混乱を生ぜしめないよう、さしあたり現状を変更せざるよう配慮すべきものと存ずるのであります。  以上が附帯決議案を提出する理由であります。
  208. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 別に御発言もなければ、附帯決議案の採決をこれより行ないます。  木附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  209. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田中総理府総務長官から発言を求められております。この際、これを許可いたします。田中総理府総務長官
  210. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨に沿いまして努力をいたしたいと存じます。  なお、調整手当の支給地域の件につきましては、法律の規定に基づきまして、人事院規則によって定められることに相なっておりますので、御趣旨のほどを人事院に連絡いたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  211. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手々願います。   〔賛成者挙手〕
  212. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     ―――――――――――――
  213. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  214. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、これら三案に対しまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     ―――――――――――――
  216. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は、第六号、恩給処遇の不合理等是正に関する請願外四百三十二件でございます。  これらの請願の審査は、慣例により懇談によって御協議を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  217. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  御懇談中協議検討をいただきましたとおり、定員関係請願二十二件、国家公務員関係請願七件、恩給共済関係請願三百十三件、その他十四件、以上総計三百五十六件の請願は、議院の会議に付し内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      ―――――・―――――