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伊藤顕道君 公社、現業は団交権があるから、どんどん団交権である程度の要求をいれられる、しかし、
一般職については団交権もスト権ももぎ取られて、何ら労働基本権というものはないわけですね。しかし、その代償として
政府は
考えて
人事院制度を設けておる、したがって、この
人事院の
勧告というのは、公務興に対する唯一の
給与に対する救済手段であるということが断定できると思う。これは長官といえ
ども理解できると思う。そうでしょう。そのために
人事院が設けてある。したがって
人事院の
勧告はこれはもう絶対的なもので、
公務員にとっては、これ以外にもう事
給与に関する限り
一般職については救済手段が何にもないわけです。そのために団交もできないし、手も足ももがれておる。だから、それ以上のことを要求するならまた無理かもしれませんが、ただ
完全実施してほしい、
完全実施すべきだということを要求し続けてきた。なかなか
政府は頑迷で言うことを聞かぬから、時に統一ストなどやろうとすれば、
官房長官命で警告を出す、参加した者は厳罰をもってこれに臨む、
公務員に対しては順法精神を得々として強調しておきながら、憲法の精神に違反するおそれのあるいわゆる
人事院勧告については
完全実施しようとしない、こういう
政府には
公務員に対して警告を発したり、あるいは処罰するなどという資格はどこからも出てこないと思う。しかしながら、そういう不法があえて年々行なわれてきておる。ここに大きな問題がある。しかも、こういうふかしぎなことが毎年繰り返し繰り返し行なわれてきておるわけです、三十五年以来繰り返しこのことが行なわれてきておる。まことに不可解千万なんです。
こういうことについて、もうすでにこれは一般世論も、
人事院勧告については、団交権、争議権を奪い取った
公務員に対しては、これはもう当然
完全実施すべきだ。特に
実施時期について
完全実施すべきだ。ここに参考までに申し上げますが、これは長官といえ
どもお読みになったと思いますが、八月の十六日、これは大きな各新聞みな論調を重ねて、同じような
趣旨のことを言っておりますが、これは朝日新聞の社説の一節ですが、「
人事院勧告は
完全実施を」という見出しでこの点を強調しておる。長いですから、その一節だけを読みますと、「問題はやはり、
人事院勧告が
公務員の
給与を改定するための唯
一つの
方法であり、
給与を決めるための団体交渉権を
公務員には認めていない現状からすれば、
人事院勧告は内容通り
実施されなければならないということだ。とくに
人事院が例年切望している五月の
実施時期にしても、
政府は
財源難を
理由に九月
実施をくりかえしているが、これは筋の通らない話である。同じ
実施するなら、少々のところを値切ったりなどせずに
完全実施した方が、
公務員の勤労意欲を高め、労使
関係を改善する上に効果があろうというものである。この点は、
国会と
政府につよく要望しておきたい。」云々と、これはほんの一節でありますけれ
ども、いまやあげて各新聞、そして世論は、
完全実施すべきことを強く強調しておるわけです。こういう中にあって、しかも毎回当
委員会においては、これは
衆議院も同様でありますが、衆参の
内閣委員会では、法案に対する、いわゆる
完全実施すべきである旨の
附帯決議がなされておる。特に本年の場合、当
内閣委員会においても、十月二十日の
委員会で、いままでになかった
勧告に対して院の決議を上げておるわけです。これは上げたのは
内閣委員会でありますけれ
ども、このことは議運で確認され、議長の手から
政府に申し入れされておるわけです。まさに衆参の
国会の意思といわなければならぬわけです。こういうふうに、世論も、そして報道機関も、
国会も、あげて
完全実施すべきであるということを強調しておるわけです。しかも、この
附帯決議にしろ、
勧告に対する決議にしろ、いわゆる超党派で満場一致で決議がなされておる。ひとり
政府のみが頑迷にこれを退けて、ただ今年の場合は一カ月繰り上げたということだけで、依然として五月までにはまだ三カ月のズレがあるわけです。そこでひとつ、こういう時点、公社、現業に比べてずいぶんおくれておるけれ
ども、やろうとするときにおそいときはないということもありますから、いまからでも決しておそくないと思う。
閣議は何も最終決定はできないわけです。
給与法に対する最終決定は
国会がきめるわけです。
〔
理事八田一朗君退席、
委員長着席〕
十月二十日の
閣議で一応の
政府の
考え方は出たと思う。しかし、これは最終決定ではない。
閣議は最終決定では毛頭ないわけです。
政府の一応の
方針です。したがって、この法案が出た以上は、法案を最終的に決定するのは、衆参の
国会で決定するわけです。便宜上、
内閣委員会で討議しているわけです。という
経緯から見ても、もうこの時点で
完全実施に踏み切ってしかるべきだと思う。どこをどう
考えても、このままでいいという論理は成り立たないわけです。この点は一体どうなのか。ただ努力する、
検討する、こういうことは三十五年以来毎回繰り返されてきたわけです。これは三十五年から
人事院がたまたまわれわれの要求を入れて
勧告の時期を明確にしたが、三十五年以前は、三十四年まではできるだけ早く、できるだけすみやかに
実施できるようという意味の
勧告がなされた。三十五年から初めて
実施の時期を明確にしてやってきたわけです。その
実施の時期といえ
どもわれわれは問題が大いにあるわけです。四月一日でなければならない。民間との
給与格差を
調査研究したら、
人事院自体が四月現在で民間とかくかくの
格差があったということを発表しておるわけですから、当然五月一日ではおそ過ぎるわけです。四月一日にさかのぼりてしかるべきだが、これは
人事院との問題ですからしばらくこの問題はおくとして、五月一日に一応
考えても、もうこの時点で完全に
実施に踏み切るべきではなかろうか。
公務員の立場は一体どう
考えたらいいのか。これでは
公務員になり手がないわけです。公社、現業ではどんどん団交をすればいい、汽車及び電車をとめることもできる。
一般職の場合はそれが禁止されておるから、
政府に反省を求める意味で、つつましやかなやむにやまれぬいわゆる時間内のストをする。そうすると警告が出る。参加すれば厳罰だ。これでは
一般職公務員は一体どうしたらいいのか、処置がない。しかも使用者である
政府はこの労使
関係を改善する最大の責任がある。こういうことが続けば、いわゆる
一般職の勤労意欲もはなはだ上がらない。非常に勤労意欲の低下する中で、いわゆる国政の効率化なんていうことは望むべくもないわけです。国政の効率化が望めないとすると国としても一大損失を招くという事態にまで発展するわけだ。そういうことが目に見えないから、十年間も繰り返されてきたわけです。
一体、もうこの点で
完全実施に踏み切れないか。いつこれを
完全実施する時期がくるかとうてい予測できない。これは
財源問題。そして当初
予算に組んで、足らざるを補正で補うのか、予備費でまかなうのか、これは
大蔵大臣に追及する問題でありますから、これは明日の課題として残しておきますが、
給与担当大臣に長官は就任されたわけですから責任まことに重いわけです。こういうことはいま現職にある
総務長官に申し上げるだけではなくして、歴代の
給与担当大臣に実は言いたい点なんです。十年間もこういうことを無為に繰り返されてきたわけですから、もうこの辺で、
検討とか、さらに
研究するとか、そういう時点じゃないと思うのですね、
財源がないのだから。問題は
給与政策である。
一般職に対する
給与政策を明確にすることによって、いわゆる政策転換によるわけだ。公社、現業は最初からできたのじゃない。長い間団交が繰り返されて、ついに
政府が折れて、それではいわゆる
完全実施をしようというそういう
給与政策の転換をしたが、そして
給与特例法などで、仲裁裁定があった場合は当初の
予算総額をこえてもよろしいという、そういうところまで完備しておるから、仲裁裁定があれば問題なく公社、現業の場合は
完全実施されておるわけだ。同じ
公務員でしょう。同じ
公務員でありながら、こういうふうな差があるということはどうにも
考えられない。しかも公社、現業に
完全実施しておるのは日本の
政府、また一方で
一般職に対して
完全実施をごまかしておるのも日本の
政府、おかしいじゃないですか。もうこの辺で
完全実施をしてしかるべきだと思うのですが、もう
検討の余地はないと思う、何も
考えることはない。政策さえ変えればよい。
一般職に対しても
完全実施しようという
方針をまず打ち出せばいいわけです。
ことしはこれで、あすかあさって
給与法が通るのです。通らないかもしれませんよ。それはわからない、まだやってみなければ。通るか通らないかわかりませんけれ
ども、かりに通ったとすれば、もう
給与関係閣僚の懇談会なんというのは一回も持たれないで、来年また
人事院勧告が出るころになってそろそろ
給与関係閣僚懇談会が持たれる、また白紙に戻ってまた同じことを繰り返し繰り返しやっていく、これは根気よく十年間やってきたわれわれ
国会にも責任がある、
政府をして、
完全実施せしむる責任があるから、こうやって繰り返し同じことを追及しているわけです。
人事院勧告は
政府並びに
国会に対して
勧告をしているわけですから、この
一般職に対して
完全実施されないということは
政府の怠慢にもあるし、また
誠意のない点にもあるし、いわゆる
国会の
審議も不十分だということにもなる。われわれ非常にその責任を痛感しておるわけです。先ほど読みあげた朝日新聞も、
国会と
政府に対して強く要望するということで結んでおるわけです。全くそのとおりだと思う。われわれに責任があるわけです。責任があればこそこうやって強くこの問題を追及しておるわけです。ひとつわれわれが納得するに足る御答弁を最後にいただきたい。納得し得る答弁がいただければ、まだ問題がございますけれ
ども、この辺で打ち切っておきたいと思います。納得できなければ納得できるまでさらに追及したいと思います。ひとつそういう意図で明快な決意のほどをお示しいただきたいと思います。