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1967-12-12 第57回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十二日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 木村美智男君                 小酒井義男君     委 員                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 岡  三郎君                 中村 順造君                 吉田忠三郎君                 田代富士男君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        運輸政務次官   金子 岩三君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   今野 恒雄君        大蔵省主税局税        制第三課長    横井 正美君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      井上 邦之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政等に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。金丸君。
  4. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は、本日は、大臣も交代になりましたし、また次官もおかわりになりましたので、この機会に、いままでの陸運行政全般について、基本的な運輸省としての態度ということについて若干御質問を申し上げたい。  政府の当面の施政方針として決定せられておるというもので大きいものは、新聞またはその他の報道によりまして承れば、ただいまの財政硬直化の問題である。あるいは国際収支維持改善の問題である。それから第三は物価対策の問題である。こういうものが重点として取り上げられており、これにつきましては、各省とも一致して、きめこまかな対策を立ててこれを実行していくというような方向になっておると承知をいたしておるわけでございます。  運輸省として、まず物価対策に対する基本的な態度ということについてお伺いしたいと思うのです。物価対策が打ち出されるということになりますれば、当然運輸省としてもこれに協力するということになっておるのは当然であります。また国民全体もこれに協力しなければならないということはこれもまた当然でありますが、さしあたりこの物価対策として運輸省がいままでどういうことをおとりになったか、また今後どういうことをやろうというお考えであるのか、こういう点につきましてひとつ御意見をまず承りたいと思います。
  5. 町田直

    政府委員町田直君) ただいま先生からお話のございましたように、政府全体としては物価はできるだけ抑制していく、こういう方針でございますので、運輸省といたしましてもその趣旨物価対策に臨んでいくということでございます。具体的に申しますと、個々運輸関係運賃料金につきましては、原則として経済企画庁等とよく十分に打ち合わせをいたしまして、その上で物価対策閣僚協議会にはかりまして、その意によって物価問題を処理していく。これは従前からとっておった方針でございます。  なお、先般の鉄道自動車等運賃値上げに際しまして、特に自動車関係につきましては今後は標準原価というものを算定いたしまして、それに基づきまして自動車関係運賃個々の場合に当てはめて考えていくということで経済企画庁と話し合っております。こういう方式で、できるだけ物価値上げ抑制するという方針でいきたいというふうに考えております。
  6. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は、ただいわゆる運賃抑制とかそういうばかりではなく、これも一つ具体的方法でありましょうが、それ以外にいわゆる物価抑制していかなければならぬという、この陸運全体にわたりますというと、ただ公共料金を抑えるというだけではなくて、あらゆる施策があると思うんです。こういうものについて具体的にやることはほかにはないのですか、また現にやっておりませんか。その点をひとつお伺いします。
  7. 町田直

    政府委員町田直君) お話にございましたように、物価抑制するだけでは、事業としてそれを運営していくために個々のケースに応じまして非常に問題があると思いますので、まず事業合理化をやってもらうということが一つ。それから、できるだけ物価の上がるような要因を押えていく。たとえば、物価値上げ原因になるようなものの値上げ抑制する、こういうようなこと。それから、その事業によりますけれども、非常に公益的な事業を行なっております場合は、できるだけ国その他公益的な資金あっせんするなり融資するなりという方向考えていくというようなことが具体的には申せるかと思います。
  8. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 いま、合理化を推進しておるといわれるし、あるいはまた、いろいろ合理化に伴う資金あっせんというようなことをやっておる、こういうことでありまするが、私はまだほかにもたくさんある。そういうものを運輸省がお考えにならなければ、陸運に関する限り、いわゆる料金値上げを抑えるという、ただ一本調子でも私はいかぬと思うんです。もう、かようになります以上、物価対策として考えた場合には、ほんとう物価を下げる、その要因を追求して、これを取りほぐして、そうしてその原因一つ一つ押えていくということでなければならぬと思いまするが、率直に申し上げれば、物価対策として考えておられることはいまお話もありましたけれども、これはほとんどみるべきものはないような気がする。これでは私はいかぬと思う。ただ単に公共料金を押えるということに終始しておるような気がする。これは私は非常にもの足りない。今後陸運行政を担当する運輸省といたしましては、全体について、ただ料金も必要な場合においては、これは上げなければならぬ。現に適正料金の確保ということが法律できまっておるのですから。であるが、さらにこの運輸自体を通じて、われわれから見ますれば、陸上運輸に関する限り、これは流通コストというものをとにかく下げるということが物価値上げに対してとる施策に違いないのですから、料金自体を押えるということだけでは私はいかぬと思います。たとえば、いま合理化を言われましたが、合理化運輸省でおやりになったのは、たとえば資金あっせんとか言われるが、まあ、かようなものを取り次いでおられることも、私は非常にまだ迫力が足りない。言いかえれば、ほんとうに口をちょっときいてやる。本気になって心配してやるという態度にはなっておらないように見えるのです。それからまたこのほかにつきましても、いまの実際の陸運関係からいけば、たくさんの業者がおり、その自動車運輸についてはほとんど七〇%に当たる中小企業者がおるわけです。その中小企業者の若しんでおられるところを見ますれば、前国会において成立しました中小企業振興事業団あたり運営内容から、またその方針から考えていけば、お互いの業界の設備を共同に使用するとか、あるいはまた事業については、これを協同組合方式で進めるとか、さらにはまた進めば、協業組合ということも道が開かれたのですから、そういうことをあっせんするとか、あるいは工場その他、あるいはまた整備工場修理工場その他についても、ある地区にまとめて、これを振興事業団なら事業団負担において現にそういうことができることになっておるのですから、そういうことにして共同使用させるというようなことで業者自身負担——七〇%もある中小企業者の部類に属する業者ほんとうにできるようなことをもう少し積極的にあっせんする。あっせんするというか、もう担当するぐらいに考えておやりになる必要があるのじゃないか。私はそういうところにおいて非常にもの足りない状況にあるように思われるのです。要は流通経費を下げる、そうして物価対策に貢献するということで考えてみても、この流通の円滑を期するということが、そうして効率を上げるということが、やはり流通経費が下がるし、そうしてそれによって結局物価の上昇を食いとめるということになるのですから、収入ある公共料金を押えるばかりが能ではない。同時にそういう施策をあわせ考えて、そうしてただいまの適正料金で十分にやれるような方途を別の意味において施策として取り上げていくということは、これはもう非常に大事なことだろうと思います。率直に言いまして、自動車運輸関係考えれば、もう免許の問題及び料金の問題、こればかりで終始しておるのじゃないでしょうか。これは私は大きに間違いであると思う。だから、こういう点についてもう少し幅広くこの対策考えていかれることが、必要であろうと思うのですが、この点についてどういうお考えを持っておるか、ひとつ政務次官の御意見を承りたいと思います。
  9. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) トラック関係近代化なり合理化につきましては、御指摘のとおりトラック関係零細事業が七〇%以上でございまして、その点で非常に非能率の面が多い。したがいまして、御指摘のとおりわれわれのほうのトラック関係の最も現在必要としているところは、そういう零細企業共同化なら共同化していくという方向の問題であろうと思っております。近代化促進法に指定を受けまして、その近代化五カ年計画というものを作成しております。したがいまして、その目標を四十五年に置きまして、すでに第二年目に入っておりますけれども、第一年目はそれの体制づくりというふうなかっこうでございましたけれども、本年度からは本格的にその方面の力を入れてまいりたい、かように考えております。従来とかく免許しっぱなしというふうな批判もございますので、今後は御指摘のとおり、そういう企業経営の安定化なり、あるいは近代化合理化というふうな面に努力してまいりたいと考えております。  なお、最近のトラック企業経営上問題な点は、経済外関係でございまして、特に大都市におきます道路交通の混雑というものに基因します能率の低下というふうな問題もございますので、これはバストラックを含めまして、大都市におきまして、公共交通機関を個人の交通機関よりも優先するというふうな措置について考えていくべきであろうというふうなことで、この前も物価対策閣僚協議会の場におきましても、そういうふうな、今後に検討すべき内容としまして、そういうふうな問題も論議されております。
  10. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 政務次官にお伺いしたのでありまするが、政務次官は御就任早々事情がわからぬというおつもりであろうかと存じますが、これは、私がいまお聞きしているのは、陸運専門の問題ではなくて、全体の問題ですからお考えがあるはずです。この点いかがですか。ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  11. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) 金丸先生の御説を承りまして、非常にいま勉強になったのですが、私は陸運、海運を通じて全くしろうとでございまして、物価対策公共料金抑制とば非常に大きな問題でございまして、運賃コストを下げて物価を押える、物価を安くするという考え方は、すなわち公共料金を押えることであるというような考え方は成り立たないのじゃないかというような感じもいたすのでございますが、非常に運輸省陸運行政にはそういった大きな物価対策をとらえての問題があるということを痛切に感じておる次第でございます。これからひとつ大いに勉強いたしまして、ひとつ諸先生方の御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。
  12. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 いまのお答えにもありしましたが、特に私の考えでは、料金以外の問題について、なるほどトラックターミナル等施策は行なわれております。しかし、結局国家が物価抑制に努力する施策としましては、いま申しましたように、料金関係だけではないのでありましょうから、料金関係自身はまた料金関係の別の問題がある。要は料金を押える、あるいはコストを下げるということの直接の問題よりも、コストを積極的に下げるということよりも、コストの上がらないような施策業者に徹底さしていくというのが、やはり陸運行政の大きいねらいじゃないかと思う。だれしも料金の上がることは、ただいまの物価情勢から考えて、おそらく国民のどなたにおきましても決して希望するものでは私はないと、そういう情勢の中において、しからば業者として一体どう処置するか。料金は押える、おまけにほかの方法について、合理化はもう極限に達したということになれば、収入のほうは押えられて、そうして支出のほうはそれでなくてもどんどん上がっていく。  陸運業者自身は、なるほど収入という点から、公共料金で縛られている、そうして抑制されているが、同時にこの業者は、やはり大きな大口の消費者ですからね。だからどんどん物価——一般物価あるいは燃料にいたしましても、その他の部品にいたしましても、上がってくるということになってくれば、これは支出のほうは、どこまでも一般物価値上がり率以上に非常に上がってくると、そういうことになれば、収支のバランスをどこでとるかという苦しい立場にあるのが、私は現在の陸運業者であろうと思います。だからここで、料金の点もさることながら、その他のいわゆる値上げせずに済む、言いかえれば合理化のことによって現在の料金でがまんし、なおかつ非常に労働事情からいっても、運転者の需給の関係において非常に困難をしておるし、賃金は毎年毎年のベースアップによって非常な負担ができておる。  そういうところを考えて、まずもってやることは、私は何といっても他の施策をひとつ幅広く実際やっていただくということが、現段階における運輸省施策としては、最も欠けており、また大事なことではなかろうかと、かように考えておるわけでありまするが、いま政務次官お話では、そういうことについて大いに今後努力しやっていくというおことばでありまするから、これはその辺にとどめておきます。  ところで、すぐに運輸省物価対策お話を申し上げるというと、公共料金抑制の問題にくるわけであります。もちろんこれは業者にとっては非常に私は大事な問題であろうと思います。国が物価の上がることを押えたいという気持ち以上に、自分の事業ほんとうに何とかして成り立てて、そうして切り抜けていきたいということが、非常に、当然考えることであろうと思うわけです。これは大臣にお聞きするはずでございましたが、まあ、御答弁を願いたいと思うのですが、公共料金の一年間ストップという問題を、先般企画庁長官は、宮澤発言というようなことで、これを閣議にのぼせたということを聞いておりまするが、これは事実でありましょうか。まだはっきりこれを今後実行するのだということは、私どもは耳にいたしておりませんが、その辺のいきさつ、また内容等についておわかりならばこの点をひとつお伺いしたいと思う。公共料金一年間ストップという宮澤発言は一体どうなっておるかということをひとつここに明らかにしていただきたい。
  13. 町田直

    政府委員町田直君) 閣議でそういうことが議論されましたかどうかにつきましては、実は私、大臣から伺っておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねます。事務的にはそういう一年間公共料金ストップという問題で経済企画庁と私どもと今回話し合いなり、あるいはそういう趣旨のことを言われておることはございません。全然ございません。そういうことでございます。
  14. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 事実を聞いておらない……。これはまあ大臣もおかわりになったのでなかなかむずかしいのですが、しかし政務次官閣議または次官会議でこういう問題はすぐに討議せられるはずなんです。ことに御就任あとということになれば、そういうことになっているのがいままでの慣例ですが、こういう点について政務次官自身はお聞きになっておりませんかおりますか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  15. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) せっかくですけれども、私は何もこの問題については承っておりません。
  16. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 もうこれは、結局内容はさっぱりわからぬということでありまするが、来年度の予算編成とからんでこれはおそらく重要な問題であろうと思うのです。少なくとも私は、大臣でありましたならば、事実がないとしたならば、しからばこれに対する陸運管掌運輸大臣としてどういう御見解を持っておるのかということをただしたかったのでありまするけれども、いま政務次官お話のようでありますので、これはもうやめにいたします。ただ一年間ストップという宮澤発言というものは、これは、宮澤長官は御案内のように、池田内閣におきましてやはり企画庁長官をおやりになっておる。その当時におきまして結局、公共料金一年間ストップを強行されたお方である。その当時の長官であります。そうしてその結果がどうなったかというところをわれわれが過去の実際においてこれを振り返ってみますというと、なるほど無理やりに目をおおってこれを押えたという事実について——押し通したその勇気は大いに多とするところもあるわけでありまするけれども、その結果を考えてみるというと、すぐこの期限切れになったあとにおきましては各部別公共料金というものがもう軒並みに値上がりのブームをつくり、値上げせなければならないような状況になって、結局そういう値上げが行なわれたという事実。結局、宮澤長官がちょっと話されておりましたか、これは押えること自体、なかなか無理であるから、期限が来たならはお花畑の花が次々に咲くように、おそらく公共料金値上げというものがやってくるだろうというようなことをちょっと漏らされておりました。まあかようなことを承知の上でおやりになったことは敬意を表しますが、実際の問題としては、やるべきものはやはりやらなければならないということになるだろうと思う。  そこで公共料金の一年間ストップというようなことがいわゆる現政府方針として決定してないというならば、私はやはり公共事業といえどもこれは事業には間違いない。特に公共事業という内容が最近は非常に拡張解釈をされておるようにも思う。少なくとも公共料金ということになるならば、また、それを政府のいわゆる傘下に事業を押えてあるのだからこれを押えてもいいのだということであるならば、まあそれはそれでよろしい。しかしながら、少なくとも押えてその事業が消滅してしまうというようなことではいけないので、それが十分に役立ち、そうして経済上においても、あるいはまた、陸上運輸というものを確保する上においても十分に働き得るようになければならぬと思うのでありまして、この公共料金というものを押えるということでなしに、道路運送法あるいは通運事業法の中にもうちゃんと適正料金を確保させるということがこれは法律できまっておる。そうしてきまっておるところが十分に運営されるということでなければいかぬ。これが地方公共団体経営であるというようなものであれば、直ちに損失はその団体負担においてやるから、公共料金を押えるというようなことで理屈はよくわかるわけでありまするが、これがただいまでは一般的に非常に影響の広い、幅の広い事業であればもう何でもかんでも公共料金だというような考えを持っておられる。こういう点について運輸省においても認可料金、あるいはまた事業認可するということ自体すべて公共事業だと見られておるようでありまするが、実際のあと経営方法や業績などをチェックするとかいうような方法は、全然これは抜けておるわけですね。これは経営自体の困難さというものも考えて、公共料金とはいいながらもおのずからやり方が違わなければならぬと思う。認可事業ということの私は一番基本は、運賃を一般に定額運賃ということですべて縛ることではなくて、その事業をやる人がほんとう資力信用十分であり、事業自身を通じて一般国民、民衆、公衆に対して迷惑をかけない程度の資力信用があるかということを調査し、そうしてそれに基づいて認可をするということの意味だろうと思う。だから運賃自体というものは、ほんとうに業法の八条あるいはまた通運事業法の十条といいますか、その条項にありまするように、適正運賃というものは、これは少なくとも公共料金ということをもってこの事業経営に行政的に臨むとすれば、当然にこれを常に考えて、そうして適正料金で守られておる場合はよろしいが、非常に物価その他が上がったために、いわゆる認可料金自体でもって経営がほとんどできないようになるという場合には、進んで運輸省認可基本に基づいてこれを直すということでなければならぬと思うんですが、この点はそういうことに考えて差しつかえはないんですか。現にいろいろ問題があって、バス料金等の問題の際には裁判ざたまでもなって、運輸省認可申請というものを取り上げるべしというような判決もあったように思っておりますが、これはいまの場合において従来とも変わりはないのかどうか、この点ひとつ自動車局長にお伺いしておきたい。
  17. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 自動車運送事業ないし通運事業運賃なり料金の問題につきましては、それぞれ各事業法に基づきます規定によって処理するわけでございますが、お話トラックなり通達の問題でございますが、前回改定いたしましてから数年たっておりますし、その間いろいろと交通事情なり、あるいは経済情勢等が変化をいたしましたので、その辺のところによって当該事業がどのような影響を受けておるかというようなことを詳しい資料に基づいて検討して、必要があるものにつきましては、所定の手続を経て改定してまいる、こういう考えでございます。
  18. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 あまり従来の答弁と変わりはないように思いますが、私は、少なくとも取り締まりを行ない、そうしてより以上の物価対策にも対処するというようなことを考えるときには、公共料金自体のいわゆる申請というような場合にはよほどひとつ慎重に考えて、ただ押えることばかりに興味を持ち、たくさんの人員をその方面に充てて調査をするというようなことでは、私は決して解決の道にはならないと思うんです。だから、私は、今日の運輸省所管公共料金が適正であるかどうかということを一々追及するつもりはございません。しかし、公共料金の問題としてではなく、先ほどの、たとえば物価対策ということの観点から考えても、前回の労働省のとられた自動車運転者勤務時間の改定というような点についても、これはいわゆる業界に対しては大きい負担になる。あるいはまた、交通事故等が非常に頻発いたしまするので、その観点から、勤務時間を短くすると、あるいはまた、通しの運転というような計画はこれはやっておってもいけないということで、この取り締まりを大いに強化することは、私はそれは当然だと思います。また従業員全般のいわゆる労働条件を改善していくという上においても当然だと思いまするが、これを行なうことによって、これを実施させることによって運輸省はそのあと始末をどういうぐあいにしておるのか。第一この通達自体というものは労働省基準局長の名前だけで出ているわけですね。あれは少なくとも陸運関係自動車運転者ということに限っておるのですから、労働行政ではあっても、運輸省がなぜこれを——少なくとも合議かあったかどうか、あるいは合議があるなしにかかわらず共管というか、そういう意味において通達をすべきであったと思うのだが、いまのところでは、労働省労働省でかってな通達をしておる。受けるところはみな一人で受けて、しかもそれがこの陸運事業運営に非常に幅広く影響をするというようなことについて、全然——全然とは言わないが、ノータッチのような形になっておるようですが、この点について、この実行の場合に運輸省はどういうことを考えられ、またどういう労働省とのやりとりがあったのか。少なくとも、私の考えとしては、共同に両名の名において通達をしなければ意味ないと思うのですけれども、これに対する御意見をひとつ付いたい。
  19. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) お話労働省のことしの二月九日の二九通達の問題だろうと思うのですけれども、これにつきましては、労働基準法の実施に関する通達でありまするので、労働省のほうが単独で出したわけですが、その後労働省のほうからもそういう実施の問題点等につきまして、いろいろと連絡もございますが、われわれとしましては、ああいう基準法の規定を励行するのだということについては、これは自動車関係についてもやるべきことでございますし、そのことによってそれが事業者に、コストの面において非常に著しく影響するというふうな面がございましたら、その面については、やはり収支面をよく検討して運賃料金の問題として処理して考えるということでございます。
  20. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 通達があったから、それから影響があればこちらで考えるということ、そういうやり方が運輸省の行政自体としていかないと思うのです。なぜこういう大事なもので、しかも経営に非常に影響のあるものを、その公共料金自体を担当して認可その他をあずかる運輸省が自分のほうに投げ足を食うような背負い込みになるものについて全く無関心で、その後これを考えたというようななまぬるいこと、それ自体が私は非常に不満に思うのですが、現にこの実施の結果から考えて大きな問題はあなたのほうに関係する問題ばかりですよ。  ここにこのアンケートをとった結果が出ておりますが、まず第一は、荷主に対する荷物引取についての了解ですよ。これが業者側として一番声が大きい。荷主に対する了解を労働省がやってくれますか。運輸省は、いままで何の手を打たれたか、それが一つ。さらには勤務時間が実際において、この乗り継ぎ時間、あるいはまた待ち時間こういうものが厳守されることになったから、従来のように労働組合と一緒に話をしてこれでよかろうというだけにはいかない。また、たとえば時間外その他を協定して、地区労働組合が、いわゆる経営者と話し合いをしてやろうというところまでもう全部今度はいかぬことになっておる。それは労働の時間短縮、またそういうことをきっちりやってもらうということは大いによろしいが、ただそれだけではない。そのためには、収入が大いに減る場合があるかもしれぬ。これは率直な話ですが、居残りその他についても、それから第一、労働協約できまったものを、やれるというたてまえになっておったものを、何ゆえに——それを労働協約で一番スムースにやるということの両者の協定によってきめたものが、おそらくこれなんかは持ち時間とか、休憩時間との関係でありましょう、事こまかに新しい改善通達にはそれがなされておりますからね。こういうトラブルというものを抑えるのは、何も労働省が中に割り込んでばかり解決される問題ではないと私は思う。いわんや、経営の面から考えていきますというと、いままでやっておったものについて、この労働条件の改善によって二交替であったものが三交替、あるいはまた、普通の勤務時間でよかったものがこれが二交替にしなければならぬ。そのために、いま現にその後の状況は、いわゆる自動車運転者の獲得にたいへんな苦労をしておる。これは全体的な労働力不足というだけではない。また、これをやられると、終局は労働者のいわゆる待遇改善の一つ労働条件の改善ということになってまことにいいことですけれども経営の面に響く点はこれは非常に大きいんですね。そういうことを労働省がきめてから、いろいろ差しつかえがあるならばそれからまあ研究してみようというような態度自身が私は運輸行政の非常に後退であると、かように思うのです。なぜもう少し、こういうものがきまる前に、少なくとも一年半くらい研究してこの問題はできておる。その際に運輸省運輸省として、従業員、あるいはまた、経営の立場において、どういう影響があるか、またどういう効果になるのかということを十分に検討せずにおいて、あとでやるとかというようなことははなはだけしからぬと思うのですが。この点はどうです。
  21. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 労働省のその二九通達は、労働基準法の規定の解釈なり、あるいは運用実施の面の通達でございまして、基準法を強化するとかというふうなものとはわれわれ理解しておりません。したがいまして、そういうふうな労働基準法の励行というふうなことで、それが適切に行なわれることが自動車運送事業の事故防止なり、あるいはサービスの改善に寄与することでもございます。したがいまして、その方向自身はそれほどわれわれとしても悪い方向とは考えておらないのでございます。ただ御指摘のとおり、そういうことを厳重にやることが運送事業経営にどういうふうな影響を与えるかというふうな問題があろうかと思いますが、この点につきましては、今後収支面においてどういうふうな影響かを考えまして、それに対する対策考えてまいりたい、かように考えております。
  22. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 であるから私は言うので、労働条件の改善とか、あるいはまた、スムースにいくためということであるならば、スムースにいくように、この通達内容にあなた方のほうが大分参加しなければならぬと思うのだ。参加したのですか。参加せずにおいて、一年半も二年も研究する間は何も首を出さずにおいて、そうして出てきたものをあとから研究してやるというのでは私は行政じゃないと思うんだが、どうですか。
  23. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 研究してやるとかやらぬとかという問題でございませんで、そういうふうな通達に基づく実施が各運送事業者において行なわれて、その行なわれた結果に基づいて、それがどういうふうに経営面で収支面にはね返ってくるかというふうな点等は十分関心を持って、それに対する対策考えて左いりたい、かように考えているわけでございます。
  24. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連。いまの問題ですね、労働基準局の通達のようなものだと思うのですがね。いま金丸さんが言ったように、この問題について、たてまえはいいのですね。たてまえはいいが、実際の現在の日本の実情というものとどういうふうにこれはマッチしてくるのかというのが問題だと思う。たとえばトラックにしても、あるいはダンプにしても深夜業はいけない、簡単に言ってね。ところが荷主のほうは、下請に対して、工事人のほうは建設計画をし、それを実施に移す。何日間にこのどろろを取れと、建物をつくる場合にね。何日間に取ってしまえ。それはいまできませんといえば、じゃあおまえのところはだめだ、こういうことになって、今度はもぐり業者じゃないけれども、どんな無理をしてでもそれをやらせるというのがいままでの工事の実態だと思う。また一方、荷主にしても、貨物にしても、いまのようなこういう道路事情の交通繁雑のときに、昼間これを運行するということは一体どういうことなのか。とてもたいへんだと思う。じゃ深夜運行する。まあいろいろな問題がここにあるわけですが、私はこの前、ダンプの問題で零細業者に聞いたときに、とても労働省の基準局の通達を労働基準監督署の現場でチェックされたならば運転手はもうだめだ、このままじゃやれないからということで、ダンプもやめ、熟練した非常に優秀な運転手がタクシーのほうへ移っていってしまう、こういう話も聞いたことがある。それで結局非常に収入が落ちる、ところが、タコメーターじゃないけれどもどういうふうに運行したかということを調べられるから、その運行表をごまかさないと、労働者のほうとしてはこれは何としても働きにくくて困る。現実がそうなんですぬ。実際は通達内容そのものは何にも悪いところはないのです。労働者に対する非常に何というか、事故を防止するためには休息をよくとってやらなければいかぬ、昼間時にこういうふうに働けと、たてまえは悪くないのですね。ところが、それで働けるかというと、先ほど言ったように、穴を掘る場合に、どろを運ぶ場合に、昼間そんなダンプがばんばん飛ばされたのじゃ困る。また能率もあがらない。それだから夜中にどうしてもかからにゃならぬということになってくると、それはいけぬ。いや、それをやってもいいけれども、一週間の全体的なワクがきまってきておるから、月もきまってきているから、そうするというと、よけいやるというと、次にやれなくなってしまうというふうな、こういうふうな通達になっておると私は思うのですが、どこから見ても現在の工事なり貨物の運送というものとのつり合いというか、実態と、これは中小零細業者なんか特にそうだけれども、マッチしない。だから私はこの前建設大臣に、工事を実際やる場合において、工事計画というものを立てて、そうしてかなり時間的な余裕をもって、そうして通達が守れるような一つの期間というものを与えて、それによって無理が起こらないようにしなければ、幾ら下の業者なりトラック業者なりダンプ業者を規制しようとしても、荷主なり施工主が何日何日までにこれを掘ってしまえとか、運んでしまえとかいうときに、それに対してできませんといえばめしの食いあげになってしまう。上から押しつけられるわけじゃないけれども、やはり強権発動と同じですな。だからそういうふうな面について荷主というか、施工主というか、そういうものをあわせて全体的にこういうものをはっきり考えてもらわないと、実態は逆に業者を苦しめることになって事故の防止にはならぬというふうに私も実態を聞いて考えた。だから、通達そのものはまことによろしいのですよ、いいのだけれども、その通達が厳重に履行されれば、行なわれれば業者は日干しになって実際はやめなければならぬ、そういうふうな実態になり、それから業者自体も、業者はもう営業停止を食らうような形になってしまうというふうなことを痛切に叫ばざるを得ないということを言っております。これは私は直接神奈川県のダンプ業者に聞いたわけです。したがってわれわれとしては、そういう零細業者について営業免許証を取り、正規な方法運営をしていく、そのためには、適正なる料金というかそういうものを、料金運輸省がきめたって、たたかれてダンプの業者なりトラック業者なりは正規な運賃をもらっていないのですよ。自分のところで営業用のダンプ使っていますな、業者はいろいろと、それに対してとにかくいまの実態ということになると運輸省がきめた運賃というものが実際守られていない。これはどのように考えているか知らぬが、それはやっぱり荷主のほうなり、あるいは施工主のほうが強いから、それで小さい業者をまとめてダンピングを防止しなければいかぬというふうな問題もここへ出てくると思うのです。総体的にいって、いま言われたように、労働基準監督署に対してやっぱり業界の実態からああいう通達だけ一ペん出せば事故が防止されるものではない、これは業者泣かせの部分が非常に多い、私もそういうふうに感じておりますがね。この点どう考えておりますか。こういう問題について政務次官もう少し研究してもらわなければいかぬと思う。労働省に対しても……。
  25. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) ダンプにつきましては、大部分——九割方自家用でございまして、その自家用の関係の過当競争が多いということで、いわゆる労働時間を長くし、スピードを上げてかせぎまくるというふうな実情でございます。したがいまして、そういうふうな影響が営業用のほうに影響を与えまして、それで営業用のほうの運賃がなかなか適正な運賃が取れないというふうな実情でございます。  労働基準法の通達関係でございますが、これは通達趣旨は、お話のように労働基準法の規定を当然実施すべきことを書いたものにすぎないというふうにわれわれ理解いたしておりますのですが、それが実情に非常にそごするというふうな問題につきましては、いわゆる三六協定等でもって、それ以外の方法もございまするし、そういうふうな面で労使間で協定を結んで基準以外の方法によってやっていくというふうな方法もございます。また、それぞれの業態で実情に沿わないというふうな問題がいろいろと声が大きくなってまいりますれば、われわれとしましてもこの労働者に対しまして実情を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  26. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 ただいま岡委員からお話になったのは、私これから申し上げようと思っておったことですが、内容は全く同一です。この通達自身は決して間違いではないし、また時間等の分析、あるいはまた割り振り等がありまして改善されたことも決して間違いではないと思うのだが、これ自体通達が労働関係だけでないということはいまのお話のとおり。第一荷主に対して、時間が守られることになれば、荷主自身が荷受けの問題だってこれたいへん影響してくる。ところが荷主に対するいわゆる理解というか、実施に伴ったいわゆるPRというようなものはどこがやるんですか。労働省やっているんですか。やっていないと思う。また、その他の問題にいたしましても、今度は時間か、待ち時間あるいは休憩時間も——待ち時間等はこれは全部いわゆる拘束時間に入るとか、そういうようなことになりまして、現に、まだこれからだいぶほんとうはやりたいんだ、言いかえれば、二人乗りの場合ば自分はシートに乗っておって休む時間になっておるが、しかしながら、われわれはもう少しやりたいんだというようなことも事実できないような、そういう関係で労働者自身もこれに対する修正とかいうような問題を言っておりますし、それからまた、特殊の場合、たとえばいま岡委員の指摘された工事の問題の材料、また土砂運搬の場合のごとき、特に特殊の場合等にぜひ時間の規定に対する例外をもう少しこまかに設けて、そして実情に即したようにやってもらいたいとか、こういう問題がたくさんあるんですね。そうして、これは何も私は労働省はやらぬのだと思うのです。それをやるのは運輸省しかないんですよ。その運輸省が一年半も二年もこの法案を出すために検討しておるときに何ら一指も染めず、出てきたらそろそろ考えるというのは、はなはだ私は運輸省の行政として立ちおくれ、またあまりにも無関心だと思われる。  交通事故防止についても、私まだ詳しく実際のケースは持っておりませんけれども、おそらく、取り締まるというような問題がきまってしまって、そうしてそれをやられることによっての今度は非常な業者の不便とか、あるいはまた、ある程度はその事故防止の大きい方針をそこなわない限度において講じてもらいたいということがたくさんある。あるけれども、そんなものについては全く事前に話がないというようなことになって、結局それが実行されて非常に迷惑する。これはみんな手おくれ手おくれになっておるわけなんですね。もっと行政については、労働省であろうと、あるいは警察庁の問題であろうと、こちらがまずもって踏み込んで、実施の前に十分に検討されるときに割り込んでいって自分の主張をなぜ通してもらえないのか。私はこの点について非常に不満がある。これに対して今後、岡委員の御発言にもあわせて決意のほどをひとつ政務次官からお伺いしたいと思います。もう少し早目にすべてにわたって、運輸省は自分の行政に大いに影響あるものについては進んで出ていって、事前にこの措置を検討するという方向に運輸行政をひとつ強化してもらいたいという私の希望なんですが、これに対する決意のほどをひとつお伺いしたいと思います。
  27. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) 御質問の問題点はよく承知いたしました。ひとつよく検討させたいと思います。
  28. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それから次にもう一つ。これは物価対策、また公共料金に、両方に非常に関係がある問題ですが、いわゆる過当競争の問題ですね。結局業者がたくさんある場合に競争をやっていかなければならぬ。これは善意における競争はまことにけっこうでありますけれども、これが過当競争の範疇に及んでくるということになれば、この弊害のほうがよほど多いのです。言えかえれば、公共料金でも、いま私の知るところでは、いわゆる定期区間のごときにおいては全く守られておらない。それから区域の問題、区域運送については、これまた一定料金と言うけれどもおそらくこれは有名無実というのが現状ではないかと思うのです。もし、ほんとうにお互いが定められた認可料金を守る気になるようにしむける運輸省の政策としては、むしろこのお互いの認可された事業者に対して、輸送における秩序というか、最近、業界におきましても現に一部取り上げられておるこの秩序維持というようなことをもう少し指導するお考えはないのですか。これをやりますれば、ほんとうにいま、トラックの、おそらく通運事業もあわして全部でありましょうが、認可料金の常に一ぱい一ぱい取れる、実際にそれが収入に上がってくるということになるならば、私は認可料金値上げというムードは相当に押えられると思う。これは、あなた方が認可料金のいわゆる値上げ申請を押えるだけの努力があるならば、これをその方面に向けてやっていけば、私は相当に防げるのじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、業界がやっておっても運輸省は全く行政としてはどこ吹く風かというようなことで、相も変わらず個人タクシーの認可、一般の認可、そういうようなことばっかりを夢中になって頭を突っ込んでやっておる。これはもうほんとうにおかしい。笑いものになると思うのですよ。行政としては。こういう点についてどういうことをいままでやられたか。また、これからこの秩序維持ということによって、一方においては輸送自体に非常に秩序が生まれてくるし、同時にまた、皆さん方が苦しんでおるこの認可料金値上げということに対する大きいやはり押えになると思う。認可申請があるというと、一昨年の区域の値上げのごとく、ほとんどは、半分も取っておらないじゃないか。その意味において、値上げなんかまかりならぬ、まかりならぬばかりを言っておる。まかりなるように指導するということは忘れておるのですね。これはどうですか。また、事実いままでこういうことはやったということがあるならば、ひとつそれを承りたい。
  29. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 御指摘の輸送秩序の確立の問題は、これはもう昭和二十年来からずっと引き続き言われておりまして、それが実績があがらないというような実情でございます。業者のほうは過当競争でもって認可運賃を守れない。守れなくて、しかも運賃値上げ申請というようなことでございまして、われわれといたしましては、運賃値上げ申請するくらいなら、まず認可運賃の完全収受に努力せよ、こういう態度でございます。
  30. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 これは業者として考えた場合においても、認可料金を一ぱい一ぱいに取れないから、また値上げをしても認めてもらえないから、それで食うていかなければならない、いわゆる従業員をまかなっていかなければならぬということを考えるならば、これはやはりそういう方面に向かうのも、私は当然そういうことにいくということは、これは理解できるんですよ。しかし、理解できるが、それを値上げを抑えるというほうに回っておる。しかも事業自体の問題について責任を持っておる運輸省がただ断わるだけの問題ではなくて、ほんとうにこうすれば上げなくて済むじゃないか、あるいはこうすれば経営はうまくいくじゃないかと、私は物価対策基本でお伺いしたように、これをやっていくならば、私は少くとも相当業者もよろしいし、また皆さんも非常に苦労しないだろう。あるいは同時にこの関係においてはいわゆる適正だという運賃にしわ寄せがされるということになるだろうと思うんです。何年来秩序維持せいというようなことを言っておる——ただ集会あるいはまたその他の席で訓示の一端に割り込んで済ます問題ではないと思うんです。やはり具体的なやり方を業界に働きかけておるかということを聞いているわけなんです。おそらくいまのお話のようでしたら、やはりそういうことはないと、あまりしてないというように理解される。私はいままでやらなかったというなら、やらなかったのをとがめだてするわけではございません。これからひとつ大いにやってもらったらどうでしょう。そういうことにも少なくとも力を入れてやるということは、同時に業界の秩序も維持し、同時にまた認可料金自体の、あなた方のたてまえとしてのいわゆる定額料金というものに近づいてくる、経営もよくなる、また一般的にも皆さん方がたいへん苦労されておる問題が非常に片づくだろうと思うんです。これからひとつそういう点について考えていただきたい。もうこの点については回答を求めません。  ところで、問題は公共料金というようなことにしぼられてきましたが、最近御案内のように、物価の指数というものも消費者物価の指数は非常に上がってきておる。本年は宮澤長官は四・五%という目標内に最後的にはおさまるであろうと言っておるが、実際は六%、八%という月々の値上がりのあっておる事実もわれわれは無視はできないと思う。それとまた同様に、いわゆる人件費の増加という点については、言うまでもなくベース・アップが毎年ある。しかもその額は相当大きくなってきておる、二千四、五百円が五千円になり、八千円になり、一万円になってきておる。毎年欠かさず行なわれておる。こういう状況、これはまことにすべてができれば、しあわせなことであるし、またそうなければならぬと思うが、こういう状況になっておるときに、業者にしわ寄せをされるこの物価高と、それから労働力不足、同時にまた労賃の値上がり、かようなことだけを考えても、なかなかこれは経営上は容易でないということになるでありましょう。また運輸省としまして認可料金の点を考える場合に、いまの労働条件の改善あるいはまたその他たくさん問題が起こっておりますね、現に今年の問題としては燃料税あるいはまた自動車税の大幅値上げをされるというようなことも起こっておる。私はガソリン税のごときはもうすでに世界の最高といわれるフランス、イタリアあたりにほとんど接近しておる。イタリア、フランスのごときはあれは間接税が主となっておるんですから、日本のように直接税を腹一ぱいとっての上の自動車目内税とは比較にならぬと思う。もうこれは限度一ぱいにきておるということは、おそらくどこも見ておると思う。若干の差はありまするけれども、軽油引取税も同様である。物品税も相当に上げられておる。あるいはまた、自動車税というものは、自動車税の性質自体が非常にわからないけれども、これについても、これは今度は大幅に値上げをするのじゃないかというような話もある。また、いま徳島、京都だけに行なわれておりまする地方税のいわゆる自動車取得税、これなんかは結局自動車のはんらんを押える意味においても大いにかけべきじゃないか、これを自動車利用者である自動車保有者に対して大きく全国的に取り上げていこうというような問題も現に出ておる。こういうことを考えますときに、これは経営についてほんとに負担する問題はたくさん出てまいる、なるほど自動車税の値上がり等については、それ自身業界ではまずもって目的税はわかるが、しかしながら、少なくともアメリカその他のやり方を考えてみて、いわゆる政府の一般会計からの負担ということをやらなければ、またやるべきであるという議論がある。あるいはまた、基本的に考えて道路の今後の改善、特に六兆六千億の大きい計画を進める、これはまことにけっこうであり、業界等も決して反対ではない。また、その意味において応分の負担が増加することも、これはそういなむものではない。今回の建設省の計画としては市町村道の改善ということに重点が置かれるから、特にこの面において、交付税にも限度があるし、どうしても地方税の増徴が必要であるというようなことで、国鉄の問題としては固定資産税の減免というようなことにも自治省は非常に強い反対をしている。また自動車関係においても大幅にこれを値上げをするということを考えて、一般税についても、建設省がガソリン税その他軽油引取税は一〇%、一五%で上げたいという案に対して、自治省はこれを二〇%、三〇%、そういうようなことで上げたいというようなことも言っておられる。これはいずれにしましても相当の負担であるでありましょう。また前回当委員会で私が説明をし、また建策をしました自動車損害賠償の問題についても四割というのが、今度は一割三歩四厘で済むには済んだのですが、これでもやはり増加をされておる。すべてこれ受けるのは業者ということになるのであります。ことごとくが理屈があり、道理があることは間違いないが、さてこれを実際受けて事業経営の上にこれをどう消化していくかという点については、たとえば自動車、特にトラックその他においては、いわゆる大型化、近代化によってこれをなるべく吸収しようということで、最善の努力をしておる、しておるけれども、もう限度に達して、これ以上どうにもならぬというところへきておるのじゃないですか。かような場合に私は少なくとも公共料金というもの、これは何も値上げムードにわれわれが協力するのではありません。しかしながら、従来の運輸省がとってきたいわゆる値上げの実際と、それから最近集積せられたこういう各種の負担増加というものについて平然として押えればいいんだ、押えることができなければこれをなるべく机の中にしまい込んでおけばいいんだというようなことで対処されてはいかぬと思うんですが、現に区間定期運送事業のほうからは十五年間も据え置きになっておる。何とかしてもらいたいというようなことを出しておることも私は聞いておる。あるいはまた通運料金にいたしましても、値上げの際は一割そこそこというような実績のようで、三年または四年目に上がってきておるというようなことで、これは上がればいいとはいうもののその率がきわめて低い、他の輸送関係、たとえば小包とかこういう方面鉄道のほう等いろいろ考えていきますと、自動車運送のほうはほんとうに低率であり、しかも長く放置せられておるというような状況であります。私はあえて一つ一つ値上げムードをあおり立てる意思は絶対にありません。ありませんが、こういう実際突きとめてきたこの結果というものに対して運輸省は一体どう対処していこうとするのか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  31. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) トラックなり通運の運賃改正の問題でございますけれども、われわれ決して押えるだけで何もしないということを言っておるわけではございません。ただ、現在トラック収入状態というものが四十一年度の収支を見ましても、四十年に比べて著しく営業利益が上がっておるというのは運輸経済白書でも指摘しておるところでございまして、そういうようなトラック全般経営の、実情というものについて詳しいデータを集めて、それを検討する必要があるのでございますので、その結果により上げる必要があるのかないのかということを考えてまいりたいのでございまして、ただ検討もせずに上げないということを言っておるわけではございません。
  32. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は別にあなたのほうが一つも検討しておらぬということを申し上げておるのではない、検討なさっておるでありましょう。しかしながら、基本的にその事業を守っていくことが物価対策から考えても、またそれを管掌する運輸省の今後の施策から考えてもこれは当然である、またそうであるべきだと思いますから申し上げておるわけで、個々運賃値上げ等について私は触れることは避けたいわけです。実際の問題として私が言うまでもないが、路線につきましては全く十五年間そのままになっておるという状況であるし、区域につきましては三十九年取り扱いになって改正になった、これはわれわれも承知をいたしております。またその場合約二〇%程度、十数%の値上げになっておるということもわかるのでありますが、いわゆる定期の面については全然そのままになっておる。何年でしたか近距離を若干あれして遠距離を押えるとか、調和するために部分的改正があったかと思いますが、根本的に値上げというようなことは全然されていない。こういうところで、やはり路線関係は非常にやはり不満のようであります。その結果が結局申請になっておるものと思われますが、他の点から考えますると、通運事業については三十七年に一〇%、それから四十年に一〇%という程度で、これは値上げ率というものは非常に少ない、少ないがまあ四年目には変わっておるというような状況でありまするが、もうすでに今回の四十三年ということになれば、いま問題が起こってくるのは当然で、申請も出されたとは聞いておりますが、われわれは問題であろうと思う。しかしながら、こういう問題自体が、私の言わんとするところは、たとえば国鉄運賃に比較しましても、国鉄運賃の改定は、前回のごときは二二%であるというような大幅値上げがあるし、その前におきましても一〇%とか九%というようなものはない。ことに郵便等についてはこれは毎回は出ておらないが、三十七年には六六%も出ておる、さらにこれは四十二年では六七%が出ておる。現に一つ一つの値段にいたしましても、最低運賃の問題についても、路線関係では十キロではあるが九十円、ピース一個です、これは。それから混載小口の貨物、これは通運関係ですが、混載においては三十キロで百八十円です。小口では二百四十円、こういうことになっておりますが、反対にいわゆる小包等の郵便関係においては、これは小包一個、路線関係の九十円とは——そのほとんど三分の一とは言わないが十キロで二百十円ということになっておる。こういうぐあいに改定になっておるが、どうも業者の言をもってすれば、押えることに興味をもっておってこちらは盛んに押えていく、他の官庁はその間を考え経営の実態を大いに考えて、たびたびとはいかないまでも、上げるときはほんとうにいけるように上げるというような政策をとっておる。これは私は黙っているからとか、あるいはまた上げずに苦しんでいるのを押さえがきくからというので放ったらかしておくべきものではない、どうしても根本的に他の振り合い等を考えて、そうしてその業界料金、法に定めたいわゆる適正利潤を得られる適正料金というものを常に考えて処置せられにゃならぬ。また、そうあってはじめて一貫定額運賃の遵守、維持とか、あるいは秩序の維持とかいう根本問題は解決するのではないでしょうか。私はその意味においてこういう問題を事こまかにひとつ取り上げて、そうして基本の運輸行政というもののあり方というものを大いに検討する必要があると思うのであります。いわゆる自動車事業認可という問題に触れましてもこれは非常に過当競争その他との関連もありますけれども認可自身は先ほど私が申しましたように、資力、信用あり、ほんとう業者としてりっぱなものであるということを裏書きして、そうして取引の不安をなからしめるということ、あるいは一たん事故があった場合は全責任を負い得るだけの信用、資力がある人だということをみるのがこれが認可の原則だと思うのであります。ただいまの関係は、いわゆる一貫定額運賃ということになっておりますね。これはアメリカあたりでは、認可されたものに対しての実際の料金は、ICC——インタナショナル・コミッション・コミッティがこれを発表して、金丸運送会社は何ぼであるぞ、あるいはまた木村運送会社は何ぼであるぞということを、いわゆる公告をして、そうしてその間の善意の競争にまかせるという方針だと私は聞いておるんですが、もしそういうことであるならば、かつて宮澤長官がこの認可行政に対していろいろ言われておりましたが、こういう点と私はある程度似かよっておる考え方でもって、これは根本的に、いまの定額、運賃をくずしてそういうことにするのがいいのかどうかというのは、これは大いに検討を要することでありまするから、あえてこれには触れませんけれども、 いずれにしても認可されたならば、その認可料金を守っていけるように、守らせるほうもこの料金内容について常に調査をして、あまりひどいものについてはこれは許すとか、あるいは業界全体としてこの時期ならばもう取り上げるべきだとかいうことをひとつ、当然調査せられ、またその方針に従って実行せられる必要かあると私は考えておるわけなんですが、そうでなければ、この法自身というものの精神にも沿わないし、また事実上今後、先ほどからるる述べましたすべての問題は、これはいわゆる経営者またはその従業員にしわ寄せされてしまうという結果になると思うのです。管掌せられる運輸省としては、これを打開する意味においても、また実際正しい経営をまた安全な経営をやらせるという意味においても、これは、ぜひやっていただきたい。そういう方針で進んでもらいたいと思う。中小企業が七〇%以上もあるということを局長も認められましたが、ただいま非常にこの数もふえておるようですね。七千件、八千件がこの年度における増加数であるようでありまするが、そのうち陸上運送事業等はおそらく——その他のうちに入っておりまするけれども——月に現に最近で五、六十件、本年ただいままでに調べられた数においても三百四十件というようなことが、現に統計に上がっておるということであれば、こういうものはどんどん消えてなくなる、倒れていくんですね。倒れていってちっとも差しつかえないと言えばそれまででありまするが、いやしくも責任を持って認可しておる運輸省としては、中小企業対策においても、また先ほど私がいろいろ申し上げた、物価対策において主張したことも、結局やはり公共料金自体というものをできるだけ上げない、抑制方法にみな帰着するわけです。あまり長くなりますし、このぐらいで切り上げますが、最後に公共料金自体に対する私のいま申し上げたものに対して、ひとつお答えをいただきたいと、かように思います。
  33. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) トラック運賃の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、最近のトラック事業収支状態というものはそう悪くはないというふうに実績に出ております。ただ先生のおっしゃったように人件費、特に人件費の値上がり問題あるいはその他の諸経費の今後の増加というふうな問題もございますので、そういうふうな、最近の過去の実績と今後の原価アップというふうな問題を含めて、トラック収支というものがどういうふうになっておるのかというふうなことを、こまかくひとつ資料を検討いたしまして、それからやる必要があるのかどうかきめたいと思っております。ただ、大都市におきます道路交道混雑に伴う回転率の低下というふうな問題は、確かにお話のとおりあろうかと思いますけれども、一般の路線全般として、本線輸送と集配と込みでございますので、全体として総括原価的にどういうふうなかっこうになっているのかということは、相当こまかく検討する必要があろうかと思います。
  34. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 具体問題をあなたのほうから言われるから、こちらとしても、もう一つ確かめておきたいのですが、そうするというと、路線トラックあるいは通運の申請のあったものについては、そういう調査をしてこれに対して対処をするということだけは、いまのお答えで了解してよろしいですか。  それでは、もう一つ、特にトラック定期便の問題について、いわゆるすそ切りの問題というか、最低料金の問題も先ほど私が指摘しましたように相当に低率にあるわけです。一方において交通事故の点において取り締まりが非常にふえるということ、これはまたこれについての事故を監査するとかいうようなことで、それが若干ある業界はけしからぬというようなこと、これは間違ったかせぎであるとか、あるいはまた料金の取り方に違法があるとかいうような問題を取り締まるのは大いにけっこう。けっこうでありまするが、少なくともそういうことをやらなければどうしてもやっていけないというような認可料金であるならば、これは進んで考えなければ問題は解決しないですよ。ただやかましく言って、それをつつき回すだけが能じゃないと思う。運輸省は警察方面のベテランを大いに何か交換によって受け入れて、そして取り締まりを厳にやるというようなことも聞きました。これは厳にやるのは当然です。しかしながら取り締まるだけで片づくものではない。取り締まる必要のないように、またきん然と指示を守られるようにということのできるような運賃制度というか、認可運賃制度というものに対して、皆さん方が理解を持たねばいかぬと思う。その意味において、いまのすそ切り運賃の問題にしても、これは私はあえてどうこうと言うわけじゃないけれども、ハイライト一つで自動車をこの都市交通の混雑なところで、三輪車を動かして、そうして持っていく、荷受けは、四時過ぎたら、あした持ってこい、持って帰ってまた持っていく、こういうような非情なことをやっているのに、九十円というようなことの定まりを十五年間もほうっておいて、何ら手をつけないという事態に私はまず責任があると思う。だからこういう点について、ひとつ全体としていま調査しておるということであります。調査しておるならば、理屈も通り、またこれは無理だと認めることは、どしどしひとつ改正をするという意味において処理をしてもらいたいと思う。これは何も業界自体の肩ばかり持つわけじゃない。私は取り締まりにしましても、違反の取り締まりにしても、いずれの取り締まりにしても大いに厳にやるべきだ、ことに交通事故がこんな大きい問題になっておるのですから、やるべきである。しかし、やった結果がどうなるかということは、いわゆる管掌官庁としましてば、責任を持ってこれを受けて立って、そうしてその事業のうまくいくように努力するというのが、これが運輸省のおつとめじゃないでしょうか。私はその意味において、ぜひひとつかような点についてさらに善処を強く要望したいと思います。  大蔵省お見えになったですね。私案は物価対策と、それから陸運事業関係につきましていま御質問申し上げておりますところでありまするが、大蔵省の税の関係についてお伺いしたいのですが、今回のいわゆる燃料税——揮発油税、それから軽油引取税、それから物品税——自動車税、あるいはまた新たに考えておるといわれる自動車取得税というような一連の値上げについて、大蔵省は一体どういうお考えで臨むのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  35. 横井正美

    説明員(横井正美君) 主税局の第三課長の横井でございます。  基本的な問題といたしまして道路計画でございますが、まだその印次別の内訳、並びに肉、地方、有料道路というふうな工事の内訳の区分がきまっておりません。政府の税制調査会としましては、先般来四十三年度の税制改正の審議に入ったわけでございますが、そういう道路計画の内訳がきまらないという段階でございますので、まだ具体的な道路関係税の審議には入ってございません。今後計画の具体化に合わせまして審議してまいるわけでございますが、過去の経緯を申し上げますと、昨年の暮れに、長期税制の中間答申がございますが、御承知のように、揮発油税、あるいは軽油引取税その他道路関係税について、道路計画と見合いまして検討すべきではないか、こういうことになっておるわけでございます。私ども基本的には、道路の建設によりまして、直接にといいますか、最も受益をいたしますのは、やはり自動車の所有者ないしは自動車の利用者、こういう方であろうというふうに考えておるわけでございます。ただ御指摘ございましたように、現在揮発油税は、地方道路税合わせまして、小売価格中に占める比率が六一%でございます。したがいまして、そういう道路の整備によります受益と、それから現在の六一%という税率、これが適当かどうか、こういう点につきましては、今後慎重に検討しなければいかぬ、かように考えております。片方では、欧州に比べまして若干低い、こういう議論もございますし、また国内的に見まして、他の間接諸税に比べまして高いのではないか、こういう御議論もございますので、慎重に検討したいと存ずるわけでございます。ただ軽油引取税につきましては、揮発油税の負担に比べまして、小売価格中に占める比率が、先ほどお話ございましたように、若干低うございます。四八%ないし四九%でございますが、諸外国の例等をながめまして、また揮発油税と軽油の負担のバランス、こういう点を考えますと、軽油引取税については、昨年の税制調査会答申も、揮発油税よりも軽油のほうを引き上げを優先するようなニュアンスの答申が出ておるわけでございます。以上の燃料税につきましては、もちろんそういう負担力の関係のほかに、先ほど御指摘料金物価へのはね返りの影響、こういう問題も慎重に検討いたしてまいる、こういうことでございます。したがいまして、財政全般状況それから担税力、それから料金物価への影響というものを今後慎重に検討いたしまして、税調の答申に基づいて実施してまいりたいかように考えておるわけであります。  それから次に、自動車税でございますが、御案内のように、自動車税の体系中に占めます諸税間の車の種類によりますところのバランスでございますが、バストラックに対しまして若干負担が低いのではないか、こういう御議論がございます。自動車税につきましては自治省側の説明等私ども何っておる限りでは、固定資産税に見合う部分があるという性格、それから奢侈的な自動車保有であるということ、それから道路損傷負担金、こういうような御議論がございます。最近におきます自動車税の引き上げの経過等を振り返りますと、道路関係税であるということを抜きにしては考えられないのではないかと、かように考えておるわけでございます。そういうことで見ますというと、乗用車とバストラック関係はどうかというような点が問題になろうと思います。もちろんバストラックにつきましては先ほど申し上げましたような公共料金との関係が非常に密接でございますので、それらもあわせまして自動車税の性格とそれから料金物価への影響、そういったものを総合的に検討するということになろうかと思います。  自動車取得税につきましては、実はまだ政府の税制調査会におきましても審議する段階に至っておりません。先般の小委員会におきまして京都、徳島におきまする現在の実施状況について自治省側から説明があったという程度でございまして、非公式には自治省の側では取得価格の三%程度で、三百数十億円の税収を確保いたしたいというふうなことを伺っておるわけでございます。この取得税でございますが、出荷の段階におきまして物品税が課されてございます。これは流通関係で今度取得税を課するということでございますが、物品税はいわゆる奢侈税という体系でできておりまして、バストラックは課税になっておりませんが、それの出荷の段階における物品税と取得税の関係は一体どうなるのかということでございます。  それから自動車税、これはいわゆる保有課税でございますが、流通課税である取得税と、保有課税である自動車税、これらの関係はどういうことになるのか、それから自動車の取得と、都道府県あるいは市町村の関係でございます。自動車は必ずしも一つの地域だけに限定して運行するというものではございませんので、こういう税が地方税として、また特に狭い地域の税として適当なものかどうか、こういうような問題がいろいろあろうかと思います。したがいまして、そういう他の自動車関係の税との関係、それからもちろん担税力の問題、料金物価等との関係、これらを総合的に検討いたしまして、今後税調で審議いただくわけでありますが、その結果を待ちまして、政府としては慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  36. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 大体わかりましたが、いまのガソリンが六一%になっておるとか、それから軽油の引取税が四九%とか言いましても、先ほど申し上げましたように詳しく申し上げませんが税制自体が諸外国の例を引くならば、向こうとこちらが違っているんだから、こちらは一般税でもって、うんと腹一ぱい取った上のこれは税金ですから、そこをひとつよく考えてもらわないというと、いわゆる税金ばかりでは火が燃えんような値上げになってしまう。これはぜひひとつお考え願わなければならぬということが一つと、軽油は御案内のように、いま重油もそうですが、あれはみなトラック方面におもに使われている、まあバスとか。そういうことになっていくというこれを値上げするということは、これはもう公共料金値上げするのと全く連動装置になっておらないとたいへんなことになるわけですね。それからその他の軽油自体はまた全体が中小企業者の、あれが非常に営業用だけでなしに中小企業者が非常に多いのです。ガソリンももちろんそうですけれども、こういう中小企業のいま困っているときにこれにしかけるということは、物価対策から考えて私はもうたいへんな問題になると思うのです。公共料金という壁があればその業者自身は少々これはやりたいと思っても実際上げられない。しかしながら、公共料金のない一般使用者、油の使用者はこれは輪をかけて、これをいわゆるコストの上に積み重ねするというのはこれはもう火を見るより明らかですよ。しかもそれは中小企業者がもう大部分だということになる。先ほどから自動車局長は、いや業界ではいろいろ内容を調べてみるというとなかなかいいのが多いと言いますけれども、あなたのほうで調べているその業者というのは、これは大きい業者です。抜き荷みたいなもので抜き調査でしょう。そういうことになればそういうことで全体のものを私ははかるわけにはいかぬと思うのです。だからあなたが業界は十分にこれでとっている、何々会社はこうだというようなことを二、三の例をあげてみても、これは七〇%以上にやられている一般業者というものは納得いかぬですよ。横道にそれましたがそういうことになる。だから軽油のごときは特に六一と四九の差があるからといってこれに乗っていくことは私は決して妥当でない、こう思われます。自動車取得税はいわゆる物品税とそれから自動車の保有という意味における、両方に関係があるということ、まさにそのとおりですが、しかしながら、いずれにいたしましてもこういうものの税の値上がりということは、これはやはり営業についてはその業者負担増加になる。それから一般についてはいわゆる支出増加ということに、営業以外のものはそれだけの新しい負担ということになるのでありまして、よほどこの物価自体をいまの段階において政府物価対策として大いに押えよう、押えてもおそらく四四、五%というものが、本年は終局のところでは押え得ると長官は言っておられますけれども、この七月、八月からのあの勢いをもってすれば、とうていこれは五%どころの計画でこれが毎年うまくいこうとは私は考えられない。そういう時勢でありまするから、一般物価とそれから税金ということについて大いにひとつその点をよく関心を持ってやるべきである、税制改正ならばやるべきであると私は考えておりますし、また、もしやられる場合にはそのうちでたとえばガソリン、軽油その他の関係で大きく結果において負担になるという場合には、お隣りにおりまする運輸省ともよほどお考えになって善後対策を十分にお考えにならなければならない。私はこれをやることがやはり政府の同時に増税するならば義務だと思うのです。この意味においてひとつ、まだどれがどうということできまっているのではないということでありまするから伺うだけにいたしまするけれども、ただ意見を述べますれば、私ちょっと先ほど触れましたけれども、この段階においてどうしても考えてもらいたいのは、いわゆる道路公債の問題です。一般財源からこれを出すという場合には、あの目的税をきめた当時半分半分、半分は目的税、半分は政府の一般会計から出すんだ。そうしてこれに対処するということを言っておりながら、今日におきましてどうですか。三千億円が四千億円になっても、これは政府の一般会計からはほんとうに雀の涙。これでは六兆六千億の大きい計画をかりに国民全体、特に業者を含めてすべてのものが負担するということを考えてもこれはとうてい不可能ですよ。要するに、われわれが考えられる三分の一方針、目的税三分の一、政府負担三分の一、それからあとの三分の一は少なくとも公債にして出したらどうか、そういうのがいわゆる今日改める道路というものが、すべてこれは消費物資じゃない。すぐにこれは食うてなくなるものでもなければ、使ってなくなるものでもない。大いに後世に残るのです。そうなればこれを後世の者が負担するという意味において公債に依存して、そしてこの大きい道路計画を実現をするということになぜやらないか。まああなたに言ってみましてもちょっとしようがないとは思いますけれども、私どもはそういう考え方を持っている。どうぞひとつ税金の取り扱いについてはわれわれは大いに慎重に考慮せられてこの措置をせられまするようお願いをします。
  37. 横井正美

    説明員(横井正美君) ただいまの後段のお話、財政全般の問題でございまして私からお答えするようなわけにいかないのですが、前段の問題につきましては税制調査会の答申を待ちまして、行政府といたしまして立法いたしてまいるわけでございまするから、その段階におきまして政府部内で十分協議いたしたいと、かように考えております。
  38. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時五十二分開会
  39. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き運輸事情等に関する調査を議題とし質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 ちょっと政務次官がおらぬのですが、午前中の質疑の中で、金丸委員の発言に関連をして、私のほうからも実はこれは要望になるか、委員会として少しやってみなければならぬ必要性を感ずるものですから——それはさっきたまたま二九通達の問題が出ましたけれども、これはざっくばらんに言って、この委員会でも半年ばかり前に私が取り上げたのです。そのときにやっぱり問題だったのは、本来労働行政をつかさどる労働省と、それから運輸行政である運輸省との関係がきわめて密接な連携を欠いておって、つまり行政に一貫性がない。この通達も大体出てしまってから運輸省が知ったといったような実情にあったわけですから。したがって、きょう運輸省だけにこの問題をある程度突っ込んでやってみても、なかなかそのうまい答えが出てこないという状態にあるようですから——私はやっぱりあの通達は相当零細企業における労働者の立場を守るという意味では、労働省の善意というものは、これはよくわかるのですが、しかし金丸委員から指摘をされたような、あるいは岡委員から指摘をされたような面が非常に多いので、これはぜひ、もっとその労働の面を経営の面、関連をさして、そして労働省にもう一回来てもらって、もう少し本委員会として聞いていかなきゃいかんような気がするわけです。一体その通達を出すときに、その後もあるのですが、実態をよく把握していない。あるいはその通達等が出た場合に、それによってその通達に従わなければならぬ人たちに、どういう影響を持ってくるのかということについては、どうも十分な検討がなされてない。だから午前中のようなああいう結果が出てきているということと、さらに悪いことは、この両官庁間のつまり密接な連携を欠いているというところにあるわけですから、私は運輸省だけ責めるわけにはいかんので、労働省と一緒に出てもらって、金丸委員が指摘をしているような不満も——労働者側も不満なんです、あの二九通達は。それは労働基準法の範囲内なんていうものじゃなくて、現在維持している労働条件を逆に引き下げる役割りを持っているということでだいぶあれは問題があるのですよ。ですから、これはひとつそういう意味で、先ほど次官か検討します、というので、先輩了解されたようだけれども、あんなことじゃ、ちっともあんたのおっしゃられたことはほんとうに実効があがっておるかどうかわからぬので、これは一回労働省に出てもらって、しかるべき機会にぜひやりたいということで、私もお願いをしておきます。  これはつけ足しになりましたが、行政管理庁も出ておられますので、ひとつ私、国鉄のほうにきょうはお伺いするのが主なんですが、その前にちょっと前国会で通過をした土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法という問題について、たまたま予算編成の時期にも当たっておりますから、一、二お伺いしたい。  この法律は、すでに公布をされて、実施の段階が迫っておるわけですが、この法に基づく業務を行なっていく要員という問題が、もし実態的に裏づけがなく、できなかったということになると、この法律は全く有名無実なものになってしまって、世の中へ向けて、たいへん事故防止に対して、政府なり国会が熱心にやったというふうに、あるいはそういう対策をとったのだというPRだけはやったが、何も実態は進まぬという結果になるおそれがあるので、そういう意味で、そういうことになってはうまくないと思いますから。大体われわれは、あの法律を実施に移す場合には、少なくとも二百五十名ぐらい要員が必要だということを言いましたら、まあそれはそうだけれども運輸省としては、百名前後というものを確保したいということで、大臣もそれだけは絶対に確保すると、こういうふうにあのとき答弁をされておる。したがって、現在これが予算編成期に当たってどういう状態になっているのかということを運輸省からひとい伺いたい。  それから行政管理庁の立場からは、要員不増ということを方針的に考えて、いろいろ機構をいじっているという状態ではあるが、不増の方針というのは、必要なところでも何でも、人間はもう絶対にふやさぬということではないというのが、前の松平行政管理庁長官答弁であったわけです。そういう立場から、このダンプ規制法については、特に当面の交通事故対策として、天下に公約をしたきわめて大事な法律であるから、これはまさに必要な個所に必要人員を出す筋道の通った話なので、行政管理庁は、今日こういう問題にどうタッチをして、必要人員をどの程度——どの程度というか、確保する方向でやっているのかどうか、その辺の事情をひとつ伺いたい。  それからこれに関連をして、総理大臣が一局削減の方針を出した。したがって、運輸省関係としては、観光局がこれに該当しているように伺っておるわけです。特に自動車局の免許あるいは監査等の事務というものがたいへんおくれておる。これは単におくれておるだけじゃなしに、その原因はやはり人不足というところに大きな原因があるということをしばしば言ってこられたわけです。そういう意味で、大体この観光局削減問題がどういったような状態になっているのかということを、これは行政管理庁のほうから聞きたいと思うのです。大体うまいこと答えてくれれば、次に移ろうと思いますけれども……。
  41. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) いわゆるダンプ規制法の関係でございますが、この法律に基づきます業務は完全に新しい業務でございまして、従来からあります業務ですら、満足に行なわれておらないという状況でございますので、今回のダンプ規制法に基づく業務につきましては、人員をどうしても確保しないことには業務の遂行ができないというふうな気持ちでおるわけでございますが、現在すでにもう大蔵省なり行政管理庁のほうにいろいろとお話し申し上げておりまして、実施の時期が来年の二月からということでございまして、四十二年度分としまして、二ヵ月分がございますのですが、これにつきましていろいろと財政当局ともお話しいたしたのでございますが、補正に立てるほどの額でもない約千五百万でございまして、ということで、これは予備費の使用等でまかなっていくという考え方でございます。それで、大蔵省のほうのお話では、四十三年度の定員をきめるときに四十二年度の定員もあわせてきめたい。といいますのは、大蔵省の立場として、運輸省全体の定員がどういうかっこうになるのかわからないのに、ダンプだけについて先に具体的な数字を固める措置はできがたい、こういうふうなお話でございます。われわれとしましては、先生仰せのとおり、極力人員を確保していきたい、かように考えて折衝いたしておる次第でございます。
  42. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) ただいまお話の増員の問題でございますが、これにつきましては、二月一日からの実施でございます。それで、来年度の要求と非常に関連いたしますし、そういった点で切り離してやる点が非常にむずかしいのでございます。そういった点から、来年度の要求の定員査定の方針とあわせまして検討してまいりたいと思っております。なお、実施の時期は二月一日からでございますので、それには十分間に合うはずで検討を進めておる次第でございます。  なお、先ほどお尋ねの、一般的な定員の査定の方針でございますが、新規の行政需要に応じますものまで全然無視するということではございませんので、やはり行政需要に応じました形で全体の定員のあり方というものとからめまして、この定員の必要なところは、やはりそういった点は十分考慮して定員の査定をするというのが従来からの方針でございますので、そういった点で新しい行政需要が生じましたところにつきましては、それぞれ実態、実情を十分考慮いたしまして検討するということになることと思います。
  43. 木村美智男

    木村美智男君 行政管理庁から二月一日の実施に間に合うようにやりたいということですから、管理庁のほうはそれでけっこうです。それに基づいて、これが実施に遺憾のないように措置をされたい。  ただ、自動車局のほうは予備費をもって二月、三月については措置するという問題ですが、この点は、もちろん大蔵省との折衝の過程ですから、微妙な状態があろうと思いますけれども、やはりこの段階は、予備費の中で操作し得る範囲で、仕事そのものに手抜かりのないようにひとつ実際計画を組んでやってもらうというようなふうに、これは理解をしてよろしゅうございますか。というのは、われわれとしては、先ほど申し上げたように、とうてい百名程度では足りないという考え方を持っておる。それは単に足りる、足りないの問題でなしに、全国とにかく十六ですか、十九ですか、この陸運局と五十何カ所の陸運事務所をかかえているのだからね。そうしてみれば、一つの地方に一名ないし二名ぐらいの定員を張りつけてみたところで、実際には、この法律に規定するような業務というやつは、とにかくそれはたいへんなものですから、そう簡単に処理ができない。表示番号の表示ですとか、使用廃止の届け出、使用の制限、禁止、あるいは自動車の検査証の返納、返付業務、あるいは立ち入り検分、こういうことまで考えていけば、とうてい一名、二名じゃ足りないというふうに考えているだけに、予備費を一つのテストケースみたいな形で、あまり予算要求の問題にむしろとらわれずに、実際にダンプの規制を完全にやっていくとすれば、どういうことになるかという程度の、そういう考え方でひとつ予備費の中でも運用をやってもらうことが必要だ、こう思うので、まあそれが何名かということは、私が申し上げる筋ではないと思いますが、そういう趣旨でやってもらえるのかどうかということだけお伺いしておきます。
  44. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) ダンプカーの規制の実施につきましては、業務の内容について一々こまかくその件数を推定いたしまして、その推定した件数に基づきまして人員をはじき出したわけでございまして、現在要求いたしております陸運局、事務所合わせまして百七十一名、これが獲得できますれば、今回の法律の実施については相当遺漏なく実施できる、かように考えておる次第でございます。  なお、それ以外に、準備段階としましては、政令の公布の問題もございますし、省令の公布の問題もございまするし、それから警察との関係の業務の覚え書きの問題、あるいは労働省との覚え書きの問題もございます。そういうような関係がございまして、実は本日、各地方の貨物課長を招集いたしまして、ダンプ規制の実施についての打ち合わせをやらせておる次第でございまして、人員の獲得を実現しますれば、この業務を円滑に遂行するつもりでございます。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちょっと関連して。一点行政管理庁のほうにお尋ねをしますが、陸運行政の中で、自動車関係の手不足ということがずいぶん前から言われておるのですね。それに関して地方の行政監察局において、実情をお調べになったようなことがあるかどうですか。
  46. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) ただいまのお尋ねの件でございますが、実は監察の関係は私ちょっとすぐ即答できるものを持っておりません。というのは、私は管理局の者でございまして、監察のほうを直接担当しておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
  47. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、いま答えられたような趣旨運輸省のほうも、それから特に行政管理庁のほうは、二月一日に間違いないように強く要望して、この問題の質問を終わります。
  48. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。    〔速記中止
  49. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 きょうは主として国鉄の経営の問題について伺いたいと思うわけですが、財政的な問題は、四十三年度の予算要求とからめて、あとからお伺いをしたいと思うのですけれども、非常に国鉄が、公共性と独立採算制、こういう、まあ板ばさみというか、そういう中で経営陣として、いろいろ国鉄の今日の経営に御苦労をされておる点は、十分わかるわけですが、たまたま予算編成期にもなっておるというような関係から、少しいろいろの問題について、主として考え方あるいは具体的に当面の問題の処理をどうするかというようなことについて少し伺いたいと思います。  そこでまず第一に、いろいろ国鉄当局としても、なかなか国からの財政的な援助というようなものが十分でないというようなことから、内部で相当きびしく合理化といったようなこともやられているようでありますけれども、で、その問題に入る前に、国鉄の勤務の特殊性というか、こういうことからいって、社会的には非常な長時間労働ということが常々いわれておる。これが絶えず今日まで労使の紛争の種になってきたというようなことで、最近はまあ第三者機関を入れて、労働時間短縮の問題についても、一つ方向づけが出ているようでありますが、これを一体どういうふうに、調停案なら調停案に基づいて労使の関係がなっておって、そしてそれを具体的にどういうふうに措置をしようとしているのかということを、大綱でけっこうですから、まずお聞きしたい。
  51. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まず第一の労働時間の問題でございますが、御承知のとおり、調停委員会の調停を受諾いたしまして、その方向に従って、ある程度労働時間の短縮をやってまいりたいということにつきましては、労使とも意見が一致したわけでございまして、ただ、いま御質問のそれをどういうテンポで、またどういうスケールでやるかということが一番問題になっております。もちろん労働時間の短縮につきましては、いま出ている調停案か最終のものではございませんが、とりあえずいまの段階に近くたどりつくにいたしましても、やはり一万数千の人間が要るということでございまして、実は昨年国民の休日がふえまして、その分につきましては、特にどうしても人をふやさなければやっていけないということで、四十二年度予算におきまして約三千数百名の増員をいたしました。これは国民の休日増加のためでございます。しかし、こういう問題でなしに、労働時間を全面的に短縮しようというならば、その所要人員は何とか中の人間でまかなっていきたい。そしてお互いの努力を積み重ねることによって、お互いの労働時間が短くなるというふうな方向でいかない限り、後ほどいろいろ御質問があると思いますが、いまの国鉄の現状は、まことにこのままおいておりますれば、もう一歩一歩悪い方向に進んでいく。これはもうどなたが見ても事実であります。私どもとしましては、その岐路に立ちまして、ここ数年間歯を食いしばっても、何とか経営を建て直さなければいけないという時点でございますので、労働時間の短縮ということはやりたいけれども、それに所要する人員は何とか部内の人間でやりくりしてまいりたい、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 いま大体時間短縮をやるのに一万数千の人間が必要だということは、国鉄当局としても認めている。しかし、そいつをやるについては、できるだけ中の人間のやりくりによってこれをやりたいというお話ですが、その前にどうも私ども外から見ていまして時間短縮のやり方というものが、まあ今回は週二時間という、そういう一つのワクの中でのことですから、したがって、それを一週についてやってみれば、まあ十五分とか二十分を短縮する、こういう方向考えられているのだろうと思うのですが、本来そういうこま切れのやり方というやつは、実際問題としてはあまり労働者側にも喜ばれてないですね。というのは、むしろ労働の密度を強化するというか、そういう関係にだけ結果としてなってしまって、ほんとうの時間短縮ということばなり、あるいはそういうものから直ちに、いや労働時間の短縮かあってよかったという、そういう受け取り方のできないような内容に、実際問題としてはその誠意があるなしの問題を抜きにして、そういう状態に結果としてなっておる。この点は、やっぱり私は今後考えてみなければならぬのじゃないか、労働の質的な強化をするという形で形式的に十五分、二十分の休憩を入れても、それが受け取る側に喜ばれないということであれば、これはほんとう意味でせっかくの時間短縮というものの効果というか、こういうものがやっぱり薄いのじゃないかという意味で、もう少し一日あるいは月に何日といったような、まとめたそういう短縮の方向を、方向としては考えるのが筋道じゃないのか、この点はどうでしょうか。
  53. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) ただいま先生指摘のとおり、この労働時間の短縮につきましては、われわれといたしましても、できるだけ労働者諸君の喜ばれるような方向でやりたいということの本旨に変わりはございません。ただしかし、国鉄の職員の勤務につきましては、これも先生十分御承知だと思いますけれども、非常に勤務の態様は千差万別でございまして、一様のやり方でやるというわけにはやはりまいりません。ある場合には、計算の結果、一日休暇をふやすというような方法をとり得る職務もあると思います。職務によりましては、やはり従来比較的仕事かなくてぶらぶらしておった時間、そういった時間は今度の休憩時間の中へ入れるというような方法でやはり時間短縮を考える、いろいろな仕事によってやり方が違いますので、一様に申し上げかねますけれども、根本においては労働者諸君に対しても十分に喜ばれるような方向で進めてまいりたいということに変わりはございません。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 原則的な方向は、大体私申し上げたようなことで当局側としても考えておるということですから、今日時点の団体交渉の中身にまで触れて私は申し上げようとは思っておりませんが、今後の当局側の考え方も、基本的にはひとつそういう方向において時間短縮に対処してもらう、こういうことで次の問題に入らせていただきます。  いま時間短縮の問題も含めて、ともかく相当大規模な国鉄としては、経営問題として合理化をどうしてもやっていかなければならぬような立場に置かれているということで、非常に熱意を持ってやっておられることはわかるんですが、相当私この合理化をやるについて、国鉄の業務あるいはその要員構成その他いろいろの事情の中から、あまり無理押しをしちやいかぬのじゃないかということを、実は心配しているわけです。たとえば技術職なんかについては、どうやったってある程度その職に向いた転換教育というものがこれは当然必要になりますし、それからいま国鉄の場合には、御承知のように平均年齢は三十七歳か八歳ぐらいです。そういうことになれば相当中高年齢層か多いという、こういう問題をかかえています。それから、いままでの国鉄は相当合理化というものはやってきたわけですね。志免炭鉱に始まってあらゆる部門で相当の努力をしてきているわけですから、人によっては職場を三回も四回も変えているというような人があって、今度こそおまえ鉄道をやめるまでここだぞと言っておいたものが、また合理化で動かさなければならぬといったような実情が出てきているというふうに、いろいろこういう条件を考えてみると、どうも私は——先ほどできるだけ中の人間でやりくりをしたいという、そのことを否定はしませんが、相当無理が伴っているような気がする。むしろ逆に考えれば、ものごとがたいてい新しいケースに移っていく場合には、まあ運用面として、人間の問題ならば運用定員とでもいいますか、そういったようなものがほんとうは多少考えられることのほうが、むしろ配置転換等にあたっては効率的に行なわれるというのが、大体世の中一般の習いなんですね。だから、国鉄当局の場合にも、ほんとうは最小限度は、いわゆるそういった意味での定員をある程度予算化するというか、要員化する必要があるんじゃないか。そういう点については、一体基本的にどういうふうにお考えになっておられるか。
  55. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほども申しましたとおり、非常に国鉄の経営自体がいま大きな壁にぶつかっておりまして、あらゆる角度からこれを踏み越えていかないことには、やはり欧米諸国に見るように、結局斜陽化していくということはもう否定できない事実だと思います。しかし、私ども中にいる人間としては、何とか国鉄が将来とも国民の足として、国民にサービスを提供できるように、ここで何とか曲がりかどを曲がりたいというのが私どもの気持ちでございまして、それから出ました合理化ということでございます。私ども合理化といいますと、すぐ首切りとつながるような感じがしますので、合理化ということばはなるべく使わない。ということは、いかなる難局に直面しても、十数年前にやったいわゆる首切りということは一切やらないということを前提として、まず私はものごとを考えていきたいということが第一点でございます。これをやると、もう非常に事柄が本質的に違ってまいりますので、これは絶対しない。首切りということは一切しない。そうして経営をどううまく持っていくか。ことにただいま先生おっしゃったとおり、私どものほうの職員は平均年齢三十八才でございます。したがいまして、春闘によりますベースアップ、これは各省、あるいは三公社五現業並みでありますが、それに要しますことしの金が実は三百三十億であります。いま御審議願っております補正予算の、そのうちの半分の百六十五億だけはどうしても自前でできませんので、財投を拝借いたしまして、借金でベースアップをするという予算を、補正予算の一つとして御審議願っているというような追い詰められた財政状態であります。これはだれがいいとか悪いとかいう議論をする余地のない問題であります。こういう事態に対処して、私ども部内にいる人間としてどうすれば一番いいか 一方、いま先生指摘のように、毎日毎日の輸送、しかも人命をあずかるという重要な仕事を持ちながら、しかもある程度高い技術を残しておきたいということもあって、これらの問題をどう総合的に考えていくかということで、いろいろ近代化、機械化につきまして諸外国の例も勉強し、ほかの産業の例も勉強いたしまして、結局もうこの時点においては近代化、機械化することによって経営能率的にして、そうしてそこから自然に人が浮いてくる、ちょうど電電公社が数年前に手動から自動にすることによって浮いてくる人間の法律をおつくりになりましたが、結局近代化、機械化すれば人が浮いてくる。その浮いた人を新しい国民の必要とするところに持っていく、こういう作業をやらざるを得ない。その際に、先生のおっしゃったとおり、ある程度時間的に、あるいは人間的に余裕があれば、十分養成定員等を考えてやるのが、これが一番いい方法だと思います。しかしながら、現実に人件費の急激な増高、しかも収入の伸び悩みといいますか、独占性がなくなったことによる収入の伸び悩み、ことに運賃が、一般運賃がほとんど限界に近いところにまできてしまっている。こういうところから収入は伸びない、人件費はふえる一方だ、しかも通勤投資のようなどうしても収支償わない投資をしなければならないという時点においては、やはりいままでの仕事を近代化、機械化することで、そこからおのずから出てきた者を新しい方面に持っていく、あるいは最近鉄道外のほかのものの能力も非常に向上してまいりまして、家庭電器等においてもアフターサービスが非常によくなってきた。同じような意味で、国鉄に納入する機器などにつきましても、私どもが全部じかに、やらなければ気がすまないということでなしに、やはり安全につながらないようなものは、アフターサービスというような感覚で外の方にやってもらう。あるいはあまり高い技能、深い経験を要しないものは、これはよその人間でいいのじゃないかというふうなことを考える、それから先ほどの御質問で伺っておりましたが、政府で問題になっております、いわゆる人間の削減の問題、私どものほうの管理部内における人間の削減の問題、これらを総合いたしまして、なるべくそこから自然に浮いてくる人間は新しい必要な職場に持っていく、あるいは先ほどお話のような時間短縮に持っていくという経営努力をすることが、われわれのいま時点において与えられた最高の使命だというふうに考えて、この問題に取り組んでいきたい、こういうふうに思います。
  56. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  57. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記つけて。
  58. 木村美智男

    木村美智男君 いま副総裁、私、いろいろ御苦労されていることはよくわかるんですが、たとえばなぜその運用定員的なものを最小限度とる必要があるんじゃないかというふうに申し上げたかというと、どうも最近欠員の補充もあまり実は——あまりというか、十分にやっていられないという一面があるように聞いているので、とにかく管理機構の中なんかの場合には、比較的障害がないんですが、国鉄のような現業機関の場合には、公共性なり、あるいは安全という面から見て、それでやっぱり欠員があるということは、相当重要な問題じゃないかというふうに実は考えられるものですから、そうなるとやはりこれはある程度幅を持って、配置転換というふうな問題だって考えなければ、実際には業務の運営にも支障を来たすだろうし、安全の問題にもやっぱり影響を持ってくるというふうに考えられたので、いまそういうふうに伺ったわけですけれども、まあ副総裁が、いかなる合理化をやろうとも首は一切切らない、絶対になま首を切るということはないんだということを言われたことは、これは非常に私いいことだと思うので、これは確認しておきたいと思いますが、しかし実際の問題としては、配置転換の過程では、いまはないのかどうかわかりませんが、過去においては首切り同様に、とにかく持っていき場所がなくて、その職場にしばらく置かなければならぬといったようなことも実はあったものですから、そういう場合に、労働者が働きたい意欲を持って遊ばせられるというやつは、非常なこれはもう心痛であり、また不安であり、そういう関係もあるので、そういうことはひとつないように措置をしていただかなければならぬと思う。  ただ私は、最近のこの業務量増加というやつは、少なくとも三十年当時から比べれば五割以上ふえてきているんだから、なるほどその苦しい財政を建て直すために家の中でという気持ちは、これは非常にりっぱだと思うんですけれども、しかし業務量はふえて、多少の機械化あるいは近代化というものを先行投資をしてやってきている部面は認めますが、何でもかんでも家の中の人員のやりくりでということでは、これはやっぱり問題が非常にあるような気がする。という意味は、現に、じゃあ労働者側においてちょっぴりの不満程度ならいいけれども、やはり最近の現場における労働強化なり、あるいはその疲労度合いなりというものも、相当これはひどくなってきて、やっぱりそのことが運行の安全の問題にも影響をするし、やはり何というか、能率的な運営という問題にも騒ぎが出てきておって、そういう面から相当そういうことをできるだけなくするような形で、機械化、近代化というものを進めていかなければ、私はほんとう意味でこの国鉄当局が考えているような国鉄の近代化、機械化というのはむずかしいんじゃないか。アフターサービスの問題で言われましたけれども、アフターサービスについてでも、これは私どもの認識の違いかもしらぬが、本来国鉄がやるべき仕事までも、ちょっとやっぱり民間に委託をする、あるいはその仕事を外注という形でやらせるといったようなことが非常に最近多くなってきて、言ってみればまあタコが自分の足を食いながら命をつないでいるような形態が、最近端的に多くなってきているのじゃないか。こういう面についても、私はやはり労働者側としては非常にさびしいわけですね。ですから大体ここら辺については、まあ本来の国鉄の業務とはあまり関係ないのだから、これはひとつお互いの話し合いの上にこれはどうかというようなことで、たとえば民間委託なら民間委託について、この許容限度というかね、そういうものを、経営権を侵さない範囲で、労使の間で何か事前に相談ができるようなことをひとつ私は考えていくことが、たいへん大事な要素になっているような気がするので、そこら辺はアフターサービスに関連して、副総裁どうお考えですか。
  59. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私どものいまやっておりますいろいろ対策の中の、いわゆる機械化近代化とちょっと違った面で、いま申しました外に仕事を出すという問題が一つございます。これはもちろん、たとえば例を申しますれば、同じ車の中でも運転に直接関係のある部門、これはいま先生のおっしゃったように、どうしても国鉄の責任においてやらなければならない。しかしながら、たとえば客車の中の設備を修繕するとかあるいはガラス窓を修繕するとかいうことは、必ずしも国鉄職員がやる必要はないし、また逆に外にそういう専門家があれば、それを頼むことはそれはそうおかしなことではないではないかというふうに一々、一つ一つこまかく議論していかなければいけませんし、いま先生おっしゃったとおり、ただ外に出せばそれだけそういう頭数が楽になるからといっても、逆にその後金がよけいかかったのでは、それこそ自分の足を食う結果になりますので、それらについても、なお部外にまかしたほうがほんとうに安くなるのかどうかという経済的な問題も一つの問題だと思います。この安全性の確保の問題と経済性の問題とこの二つの点から、部外委託につきましてはいままで相当やりましたので、一々それを具体的に点検いたしまして、そしてはたしてこの仕事について部外委託したほうがよかったか悪かったかということを検討した上で、今後問題をきめるというふうな考え方で、先ほど私は一律にアフターサービス的な考え方だということを申しましたが、ことばが足りませんでそういう意味よりもその中でそのほうが経済的である、あるいは安全度においても必配がないというものについては部外委託等を考えていきたい、こういうような考え方でございます。
  60. 木村美智男

    木村美智男君 そのいまの部外委託の問題で二つばかりお伺いしたいのですが、確かに安全度の問題あるいは技術の問題を、かりに副総裁の言われるように、それを考慮をしたにしましても、どうも最近安かれと思ってやった外注が物価のその後の値上がり等が影響して、実は今日は割り高になっている部分もあるというふうに聞いているわけです。ですから、そこら辺はある程度副総裁も御承知で、もう一回洗ってみなければいかんと思っている。こういうふうに答えられたと思っているのですが、やはり外注についても、一つはその外注を出した先が、やはり労働者をかかえている仕事だから、労働問題もそこには起こってくるし、場合によっては、それが基本的に国鉄労働組合とは別な形で労使問題というものが国鉄の経営影響してくるようなことも、将来展望としては含んでおかなきゃならないのじゃないかと思うのですね。そういう意味で、相当運転関係のあるというこの点は、相当固く守っていかないといかぬのじゃないかということが一つと、もう一つの問題は、運転関係があるものはあまり外注ということは考えてないというが、伝え聞くところによると、たとえば、これはやる気がないんだといえばそれまでですが、電車線のたとえば架線保守の作業であるとか、あるいは閑散線区だからまあ列車の数が少ないから、大体だいじょうぶだろうというふうに人身事故の問題では考えられますけれども、しかし保守作業そのものからいけば、それはやっぱり国鉄の技術というもの、そういう立場で考えると、一まつの安全性の問題で不安があるわけです。そういう意味で閑散線区の保守作業なり、電車線の架線保守の作業といったようなものは、これは外注するんですか、しないんですか。
  61. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) まず最初に、先生が御指摘になりました、以前外注に出したときにはなるほど安かったけれども、いまは割り高になっているのがありはせぬかというお話でございますが、確かに物価全般に上がっておりますから、外注の値段が上がっておるというものはございます。ございますが、しかしその仕事をかりに国鉄で現在やるといたしますと、それよりもやはり高くなるということでありまして、現時点におきましても、やはり外注のほうが大体安くなっておるというのが全般の傾向でございまして、現在国鉄に引き直してやってみても、引き直したほうがかえって安くなるというものは、現在外注に出しているものではございません。  それからもう一つ、たとえば架線の修理であるとか、あるいは保守作業であるとか、そういったものを外注に出せば直ちに国鉄の業務に影響するところが大きくて、危険の度合いもそれだけ増すではないかという御指摘がございましたけれども、これは仕事そのもの、簡単なものをやるということでございまして、むずかしい仕事をやらせるわけではございません。また検査監督はもちろんこちらでやりますから、その辺の危険の面につきましては、国鉄がもちろん責任を持ってやるということでございまして、決して危険の生ずるおそれのあるものまで、私ども外注に回そうというふうには考えておりません。あくまで危険を防止できるという保証があるものだけについて外注をやるという方針で進んでおります。こまかな点につきましては、いろいろ団体交渉でやっておりますので、ここの席上ではしさいなものまで申し上げるわけにまいりませんけれども、根本的な方針としては、検査監督については国鉄があくまで責任を持つ、それから危険のものまで外注に出すという考えはないということだけは申し上げられると思います。
  62. 中村順造

    ○中村順造君 関連して。いまの運転関係業務の部外委託の問題ですが、これはいろいろ先ほど来の木村委員の質問から発展するんですが、ちょっと角度を変えて聞きますが、最近国鉄の中で労使で何か問題がございますか。何かけさのテレビでは、電車が各線かなりおくれている。何かあるんですか。あるならどういうところに原因があってそういうことになるのか——現在ですよ。聞くところによると、何かいろいろ年末にかけて労使の間で非常に紛議をかもしておる。もちろんいまお話のあった部外委託の問題あるいは労働時間の問題、いろいろあるようですがね、それが一つ。それをひとつ井上理事から、どういうことでそういうことにこの年末にみんな忙しいのに、電車がおくれたり汽車がおくれたりするのか。それからもう一つは、いま部外委託のお話があったのだが、いまどういうことをやっているのか、いまからやろうとしているのか、いまやっているものがあるなら、また私、別の質問をしますから、先にその二つだけ答えてください。
  63. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 現在労使間で問題があるのかというお尋ねでございますが、問題はこれは絶えずございます。ことにいま組合側が、きょうから順法闘争をやるということで、多少電車に混乱を生じております。これは組合側の立場からいたしますと、まず第一に繁忙手当をもらいたいということが一つございますし、それからもう一つは、いわゆる職場交渉権ということを前々から言っておりますが、その解決を迫るという問題がございます。一番大きな問題は、ことしの三月に、先ほど来木村先生が御質問になっておりました国鉄の機械化、近代化に伴って約五万人の人間が生み出せるという計画のもとに、これを必要な業務量増に振り当てるという計画を私ども立てまして、これを組合側に案を提示いたしました。自来団体交渉を重ねてまいりましたが、まだ全般的にその問題一つ一つについて解決しておりません。そういう向こう側にいたしますと合理化反対という立場から、そういう全般的な合理化反対という旗じるしを掲げまして、国労がきょうから、順法闘争に入っておるという問題はあるわけでございます。これははっきり申し上げて、そういう問題は現在ございます。  それから外注の実例でございますが、こまかな例を私ちょっといま手元に持っておりませんので、一つ一つの例を申し上げるというわけにはまいらぬと思いますが……。
  64. 中村順造

    ○中村順造君 運転関係だけ……。
  65. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 客車の清掃でありますとか、そういう危険、汚損職でございますね、国鉄職員がいままでやっておりまして非常にいやがるというような仕事、これはむしろ外注に出しましたほうが、国鉄職員としては誇りある仕事といいますか、そういう仕事にかわり得るということでむしろ喜んでそういう仕事を外注に、初めは反対しておりましたが、いまではそういうふうにむしろ喜んでおるというものもございますし、いままでやりましたのは危険職、それから汚損職、そういったものをなるべく国鉄の職場からなくして、若い人たちに国鉄の職場を魅力ある職場にしたいということで外注に回しているのは事実でございます。
  66. 中村順造

    ○中村順造君 問題の紛議は一年中あると言われるのだが、一年中あっては困る。国民の立場から言うなら、いま十二月に入って忙しいので、汽車や電車がとまるとかおくれるということがあってはいかぬ。しかしそれは労使の中で——時間がないから私はずばり言うけれども、相手側がいいとか悪いという議論ではない、問題をなくすることが、これは労使の努力でなければならぬはずです。私の聞くところによると、この部外委託の問題、あるいは新して検修態勢といわれている新検修態勢、これはずいぶん中身は部外委託の問題も含まれているようだが。それからいわれている五万人合理化、これはいろいろ国鉄がそういういまこの段階でそういう主張をしなければならぬというこのことはわかるのだけれども、しかし、その主張をする、しかもそれがまとまらなければ一方的にやると、こういうことを再三再四あなたのところの若い課長は、組合に挑発をかけておるという話だね。しかし、これは私が言うように、いまけしからぬという話を観念的に言ってもしようがないから、これはちゃんとあるのですよ。四十一年の十二月二十二日の、いわゆる去年の十二月二十二日だね、職員局長とこれは組合のほうが「運転関係業務の部外委託の問題については、国鉄近代化等に伴う事前協議に関する協定(昭和三十九年三月十五日)に基づき、中央又は地方において事前に協議し、労働条件については意見の一致を期するものとする。」となっているから、一方的にやるなんということは考えられないわけだね、これは協定というものは神聖なものだから。それから三十九年の協定というものは、もう少し具体的に言うと、まあいろいろあるのだが、国鉄近代化等に伴う事前協歳に関する協定というのが、当時の職員局長の谷伍平局長と組合とが結んだ協定の中で、「近代化等に伴い労働条件に変更がある場合は、甲は、計画中のものを含めてその概要を提示し、事前に団体交渉を行ない、双方意見の一致を期するものとする。」こういうことになっているわけです。この二つのことが明確にされておるにもかかわらず——あなたは言われておるかどうか知らぬ、副総裁はそういう非常識なことはないと思うが、職員局、あなたの直接系統の下の職員局の、きょうは職員局長来ていないようだが、職員局は一方的にやる、組合がつべこべ言うなら一方的にやるのだ。しかも年内に一方的にやるのだ。そういうことを大言壮語しているわけだ。それを聞いたことありますか、そういうことを。  それから運転関係の業務、それはいまあなたは汚損職だとか、あるいは危険なものだとか、きたないものだとか、そういうことを言っておるが、それだけではとどまらぬわけでしょう、将来の問題は。そうすると、これはやっぱり少なくとも運転関係については団体交渉をやって意見の一致をしなきゃいけませんよ。それはお前たちは言うことを聞かなきゃ一方的にやるというなら、特に労働条件のつく問題については、これはちゃんと書いてあるのですね。ちょっとあなた方、たとえばあなたがそういうことを言わなくても、職員局長なり課長というものは、ちょっと頭がどうかなっているのじゃないか。
  67. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 決して当方の職員局長は頭がどうかなっているわけじゃないのですが、先ほど先生の御指摘になりました近代化計画に対する事前協議ということと、それからそれに伴う労働条件関係、この二つの問題ですが、特にその協議ということばを使っておりますのは、これは団体交渉ではありません。近代化計画については当方が説明をいたしまして、そして納得していただくのはもちろん本旨でございますけれども近代化計画そのものは、こちらの責任においてやるということでございます。それに伴う労働条件については団体交渉をやるというのが本旨であります。その点はひとつはっきりいたしておきます。  それからもう一つ、職員局がやみくもに一月から何んでもかんでも実施する、実施すると言っておるというお話でございますが、これは若干話の食い違いがあるようでございます。と申しますことは、私どもはやはり要員の需給計画を立てますのは、少なくとも年末にはちゃんとして、来年度の計画としては計画は持っておらなくちゃいけません。それで年末に計画ができておるということは、机の上の準備の期間も必要でありますし、それからいろいろ近代化をやってまいります設備の改善ということ、これの準備がやはり若干の期日を要します。そういう準備の期間を逆算してまいりますと、やはり年内には少なくとも大筋の了解がついていなければ、来年早々からその具体的な設備改善等の準備に入れない。こういうことで、できるだけ年内に話をつけていただきたい。お互いに精力的に団体交渉を重ねて年内に話をつけるように努力しようじゃないかということを申したわけでございます。そこで、団体交渉をできるだけやりまして話がつくということが、もちろん私どもとしては望ましい姿でございますけれども、やはりこれは相手があることでございますから、組合側が何としても納得していただけないという問題がございますれば、設備の改善等の準備については、当局の責任において来年一月から設備改善等の準備にはかからざるを得ないということだけを申し上げたので、やみくもに来年の一月一日からいま計画しておるものは全部やるのだ、こういうことを申し上げたのではないのでございます。
  68. 中村順造

    ○中村順造君 木村委員も私も、昔のことを言っては悪いのだけれども、そういうことをやったことがあるのですよ。井上理事も前は職員局長だったし、お互いに経験者なんでね。そこで協議ということは交渉とは違うとか、そういうことを言っているから、電車や汽車がとまるわけですよ。実際は、協議するということはここにもちゃんと書いてあるわけだからね。何のために協議をするかと、ここに書いてあるわけだ。この場合の協議というのは、「相互に了解をはかることを目的とする。」これは協定ですよ、協定をして協議の目的まで書いてあるわけです。相互の了解、相手側の了解をはかることを目的とするという協議だから了解がなければ、はかることを目的とするといって書いてあるから、了解がなくてもやれるという理解はおかしいのだよ。それはもう三百代言だ。そこまで詳しく書かなければならぬ当時の情勢から書かれたわけだから、やはり将来の近代化合理化、あるいは人減らし、あなたの考えておる人減らし、それを全部やはり協議をする限りにおいては、何とかして相手側の了解をはかる。ただ通告と違うのだからね、協議するということは。あなたのほうの態勢にも問題があるのだ。ぼくはしばしば現実に見ておるわけだが、ほんとうの協議の態勢じゃないのだよ、実際。ぼくは具体的なことは場所が場所だから言わないけれども、実際かつて何年か前われわれがやっておったときには、総裁も副総裁も、職員局長も理事も自分の責任においてあくまでテーブルにちゃんと着いて、そうして交渉協議をしておった。いまはそういう態勢はないじゃないですか。あなたのほうは全然課長の言いほうだい、ときには課長補佐の言いほうだい、そうして相手に誤解を与え、問題の解決どころではない。むしろ問題をこじらかしておる。だからこの年末に、テレビを見ると、国鉄は電車がおくれる、汽車がおくれる。それではあまり無責任じゃありませんか。しかも、私が言っているのは、そういうことが将来問題になるので、もうすでに去年の十二月なり、あるいは三十九年の三月、こういうときにあらかじめ今日を見越して、協定なり、あるいはいろいろな団体交渉の中でそういうものはどうするということをきめておるわけですよ。それをやらずに一方的に、お前が了解しなければおれのほうで一方的にやるのだ、こういう言い方をするから、不必要な摩擦を起こすわけですよ。一体いまの状態を抜本的にそれでは解決するということになれば、あなた方はそのとき総裁が組合に警告を出せばやれるくらいに思っておるかもしらぬが、それでは井上理事、済まぬですよ。副総裁どうですか、何回も私は同じことを委員会で言うのだが。
  69. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど木村先生の御質問にお答え申し上げましたとおり、私どもとしましては、いま全く時々刻々国鉄の経営状態が悪くなっていく。一日とにかく一秒おそらく五千円くらいの利子がついていく、こういう非常に関頭に立った経営に追い込まれているわけです。これはいまだれがいいとか悪いとかいうことを申す段階ではなくて、どうやってこの追い詰められている経営を守り切るかということに、これはもう使用者側といわず労働者側といわず、それを考えなければ、結局自分で自分の首を締めるだけだということだと私は思うのです。ですから、私どもといたしましては組合の幹部諸君に直接会っていろいろ全般情勢を話をし、もちろんいわゆる企業の危機感というものに対する関心の度がそれは私どもほど厚くないし、かといって、私どもといたしましても、たとえばベースアップのときには、国鉄職員なるがゆえに金がないから上げないということはこれはできない。どんなことがあっても公務員並みあるいは二公社五現業並みに上げたい。しかしその要する金額といえば、三公社の中で一番高いという、そういう膨大な人件費を払い、しかも仕事量はあまり大きく伸びない、残念ながら収入にはね返ってこないという時点で、この経営をどう持っていくかということが一番問題で、その点から私どもといたしましては全勢力をあげて、組合員諸君もやはり放っておいたら国鉄はつぶれてしまうのだという、これは組合が悪いとか何とかいうことでなしに、やはりいまの時点に置かれた鉄道企業の私は一種の歴史的宿命だというふうに思います。それをどう打開するか、それが打開できるかできないかで国鉄はつぶれるかつぶれないかという、私はぎりぎりの境目がそろそろ見えてきているような気がするのでございます。したがいまして、そういう角度から組合員諸君にもできるだけの協力も頼み、たとえば今度の機械化、近代化にいたしましても、実は去る三月からいろいろ話し合いいたしております。そういうことでもちろんこれをほかの人の力でやるというのは、これはもう愚の骨頂で、やはり企業内の人間の努力でやるべきだというたてまえから、全力をあげて私ども——組合の諸君はやはり職場が変わるその他でいろいろ不平不満も、また苦しいことも多い。しかし、私どもも、使用者なら使用者なりにやはりそれにふさわしい努力、これをしなければならぬということで苦労をしなければならぬ。そういうことでやっておりますが、力足らずしてきょうのような事態がたまたま起きますが、やはり大きな曲がりかどを曲がるには、ある程度のことは起こってもやむを得ない、と言うと非常にしかられますが、起こり得る可能性がある。しかし、それはお互いにやはり事態をよく認識した上で、よく冷静に考えた上で、国鉄というものを結局将来どうするかという立場から、この問題を解決していく以外にないと思います。もちろん、さっき井上常務理事も申しましたように、こまかい紛争は絶えずございますけれども、いままでの紛争は、国鉄全体がどうなるこうなるという大きな紛争ではございませんでしたけれども、これから起こるであろう紛争というものは、もう残念ながら、ここで国鉄が一歩間違えば谷底に落ちるか落ちないかという、非常に質的にむずかしい紛争が、私これから出てくると思います。これは一年二年では済まないと思いますが、そういう紛争に対しまして、私ども使用者側として、あるいは政府のお力を拝借し、あるいは国会のお力を拝借して、どうこの問題を切り抜けるかということについては、やはり一人一人の諸君の国鉄企業に対する理解を深めるという以外に私は努力する方法はないと、こういうふうに考えております。
  70. 中村順造

    ○中村順造君 関連質問ですから、この問題はこれで私はやめますが、いまの副総裁の話を聞いておりますと、なるほど仲裁裁定が出る際にも、本委員会で、いろいろそういうことであなたも御苦労なさった。われわれも国鉄なるがゆえにどうこうだということであってはならぬという主張をしたわけです。いまの話を聞くと、何か危機感というのは、国鉄の首脳部だけにあって、労働組合には一つもないように聞こえるわけです。ところが、労働組合も非常な危機感を持っているわけです。私ども幹部といろいろ話してみると、なるほど国鉄はこれじゃいかぬ、しかし、これは従来——ことしも大蔵省いまいろいろ折衝段階で苦心なさっておるかと思いますが、その点も、労働組合と国鉄の幹部と、そういう点は違わないわけです。いわゆる国の方針として、このままの国鉄でいいのかどうかということは、それは副総裁がお考えになっている以上に、労働組合も考えている。だから、言うならば社会党を中心にして、前からいろいろ言っているように、公共負担法だとかいうようなことを、国鉄なるがゆえに何でもかんでも全部しょい込むということではなくて、国鉄といえどもやはり公共負担のものは国が見るべきだ。これは抜本的な問題、一秒間に五千円という利子そのものも、そういう問題が解決されれば解決するわけですよ。だから、それは経営者だからその御苦心はなさっておる、これはまた当然しなければならぬと思うのですよ。それでも何か、いまたとえて言うならば、佐藤総理がアメリカから戻られて、どこかの国が攻めてくるから守らなければいかぬ、守らなければいかぬというような、そういうふうに聞こえるわけです。それはいまに始まったことじゃないのです、国鉄は。非常に抜本的に考えるならたくさんの矛盾を持っているわけですよ、赤字線の経営にしても、あるいは公共負担の問題にしても。しかし、だからといって、労働組合と、何かそういう問題を、真剣にそれじゃ話し合って、どうするのか、野党のほうがやはりそれぞれの立場の人がおりますからね、話し合ってどうすればいいかということを、抜本的に真剣に、私は国鉄の経営そのものについては話し合うべきだ。ただ、問題が五万人人を減らすのだという打ち出しをしてみたり、あるいは業務の切り捨てをやって部外に委託をさす。井上理事は、きたないものをよその者にやらせるから、みんなが国鉄に希望を持って入るなんという、それはそんなことじゃ通らぬでしょう、それはだれかが、人間がやらなければならぬ仕事ですから。そういうことじゃなしに、抜本的にどうすればよろしいのか、あるいは協議だから、これは意見の一致を見ようが見まいが、最終的には一方的にやるのだ、そういうことではなしに、ほんとうにどうすればいいのかということを、これは一つの、前から提案しているのだが、むしろそういう考え方に立つならば、国鉄の部内に全然非生産的なものがあるわけです。全然生産に関係ない職種があるのです。これはどうなっていますか。あとで私は伺うことにして、この問題についての質問、やめますが、井上理事に私はお聞きしますが、鉄道公安職員というのがありますね。何千人いますか、いま。これは全く鉄道業務の生産点にはついていないわけです。おそらく何千人という人が私はいると思う。こんなものはやはり考え直す時期じゃないか。それだけの危機があるなら、全く非生産的な、生産的な位置についていないものを、どろぼうの番なら警察官にまかせればいい。それは言えばいろんな言い方、ありますよ。ありますけれども、そういう点をじっくりひとつ、国鉄の経営の全体の問題についてどうすればいいか、また大蔵省がどういう無理を言っているか、政府がどういう考え方をしているか、これはみんなが考えればいい。一方的にやるとかなんとか言うから、汽車がとまったりおくれたりするわけです。だからいますぐ来年からやることで、いまから準備しなければならぬ。きめたことは、協議だから、協議さえすればいいのだ、協議はおれがやらなくても、課長補佐でよろしいのだ、そういうやり方じゃまずいと思うのですね、私は。それは私はいま端的に鉄道公安職員を全廃せいという、いまこの席では主張をしておらないけれども、ものの考え方としては、犯罪の防止なら警察官がある。だから別にあなた、専売だとか電電なんかには、公安職員なんて、挙銃を下げたりこん棒を下げたりした職員はおらない。国鉄だけに限ってなぜ必要かということを考えなければならない。あなたがそういうふうに一方的にやるなどと、あるいは協議だからととのわなくてもいいということを言われると、そういうふうにやはり言わざるを得ない。まあ、ひとつ答えてもらって、あとは関連質問だから、木村委員にまた質問始めてもらいますが、その考え方はどうなっているか。国鉄首脳部も、国鉄危機というお考えがあるなら、ほんとうに腹をぶちまけて、全面的に、こういう条件で、こういう条件で、こういう条件で労働組合も協力してくれという立場に立たれるのかどうか。いやもう協議がまとまらなければ、一方的にやるという従来の方針なのか。ひとつここで明確に話をしてもらいたい。
  71. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 協議と団体交渉との区別について申し上げましたので、先生のおしかりを受けましたけれども、もちろん協議といいましても、私どもできるだけ組合側との了解のもとにすべてをやっていくということは、これはもう基本的な態度でございます。常にその態度に変わりはございません。ただ申し上げるのは、やはり相手のあることでございますから、相手方がどうしても納得していただけないという場合には、当局の責任においてやらざるを得ない場合があるということだけを申し上げたので、基本的な精神については、協議であろうと何であろうと、やはり組合とできるだけ話をつけて、円満な経営をやっていきたいということに変わりはございません。  それからその態勢につきまして、ざっくばらんに腹をぶちまけてやっていないじゃないかという御指摘でございますけれども、さようなことはございません。常にわれわれといたしましては、国鉄財政の苦しさも訴え、実情も訴えて、話をしてまいっておりますので、そういった点は、従来もし足りない点がありますれば、なお一そうつとめます。その点につきましても、先生の御指摘どおり、別に私ども違った考えを持っているわけではございません。
  72. 中村順造

    ○中村順造君 公安職員の数をちょっと教えてください。
  73. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 約三千だと思います。
  74. 木村美智男

    木村美智男君 少し順序を追ってもう少し聞きたいのですが、井上さん、組合が何か合理化反対という全般的な方針でやっているものだから、きょうのようなごたごたになっているような答え方をされたのでね、少しどうも間違っているのじゃないかと思うのですね。で、組合は、まあ私どもがいて、今日三、四年たっているから、方針が変わったなら別だけれども、私はまあ、方針を聞いてないので、組合のほうはできるだけみんなにわかりやすく、その組合の労働条件その他要求がある程度満たされなければ、それをそっくりそのまま認めるわけにはいかぬという意味で、合理化反対ということは言っているがね。さっきおっしゃられたようなニュアンスで、何でもかんでも合理化反対でね、だから列車のおくれまで出してやっているのだという言い方をされると、たいへんこれは誤解も起こるしね。またそういう立場では、私は今日の労使関係は、うまいことこれはやっていけないのじゃないか、こう思うものだから、少しいま常務の言われたようなことの考え方は、これはちょっと直して、訂正をしておいてもらわなければいけない。むしろ今日の問題は、常務の言ったように、繁忙手当なり、あるいは機械化、近代化の改善の準備であるとか、そういったようなことに対して提案をしたことが、その後の問題があるにしても、繁忙手当以下、組合側が要求しておる問題が十分に交渉の中で煮詰まっていないというところに、今日の紛争があるのじゃないですか。だから私は——しかしその問題の解決は、常務の言っているのと私の言っている違いが、合理化反対という立場だとするならば、年末の諸要求の問題が解決されておっても、合理化反対の立場での紛争はずっと継続されるということになるけれども、私は、そういうふうに理解していないので、ある程度年末段階で労使の話が一致点を見出せれば、今日の紛争もやむし、またあらためてそういう問題を協議をする時期というものは出てくると思うけれども、そういう意味で、もう少し、中村さんも指摘されたようだけれども、本腰を入れて、常務が先頭に立って、いま言ったような考え方で、事態収拾をはかっていくという、まず基本的な姿勢をとられるかどうか。そこからが問題だと思う。ただ合理化反対ということでやってきているのだから、話し合ってもむだなんだ。こういうふうにもし前提として考えられているならば、これはなるほど副総裁は控え目な言し方をしているが、労働組合はやることはやるのだから、そういう問題はしようがないのだというふうに、副総裁決して考えていられないと思うので、だから、ぼくはもう少し常務自体がやっぱり先頭に立って、そうして本腰を入れて、年末の労使の関係の中で、要求事項を——それは、組合だって一〇〇%通らなければ何でもかんでもいやだと言っているわけじゃないから、そこをまず解決していく熱意があるかどうか。そこからひとつ聞かしてもらいたい。
  75. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 私は、先ほど申し上げましたのは、組合側がいわば対外的に、宣伝ということばはちょっときついかもしれませんが、対外的に言っておる旗じるしとして、三つあるということで三つを申し上げた。その合理化反対で、何でもかんでも合理化反対をやっているのだという気持ちは、私は持ってはおりません。もちろん基本的には、組合の方ですから、合理化反対という気持ちはあるかもしれませんけれども、やはり内容によりましては話のつくもの、すでにつきかかっておるものもありますし、全部が全部、組合だから反対反対ということで解決できるものだとも私どもは思わない。もちろん私どもとしましては、話がつかないからしかたがないのだという投げやりな気持ちでやっておるわけではございません。全般の問題について、できるだけ話をつけてやっているのだということを、前々から私どもも申しておりますし、またその立場に変わりはない。まだ若干の時日がございますから、年末までに話をつけてまいりたい。その話をつけていく途中で、今日のような事態ができてきたことははなはだ遺憾であるということを副総裁は申したのだと思います。その解決に努力をするということには、もちろん全力をあげてやってまいりたいと思います。
  76. 木村美智男

    木村美智男君 私も率直に、これはなんぼ誠意をもって労使でやったって、いまの国鉄の置かれている立場というか、あるいは財政の現状というか、こういう重荷をきれいに労使間で解決できるなんていう、そういう事態じゃないのだから、そういう意味では、私は十分な解決ができるとは思わないんですよ。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕  しかし、いま問題になっている労使の紛争だけは、これはお互いに話し合いを煮詰めることによって、相当誠意をもってお互いにやり合うことによって、この解決だけは私は可能だと、こう見ているわけです。だから、そのときに問題になるのは、たとえばこれは山手やなんかでそうですが、満員電車のときに見切り発車をすればけが人か出るのでしょう。それと同じことであって、中村さんも言われたけれども、何も見切り発車とか、何月何日からはもう一方実施だとかいうようなことは、交渉が最後までいって、とにかくそれは場合によったら副総裁まで出て、そうしてとにかく当局側の誠意を披瀝をして、いってみればひざつき合わして、国労と動労の三役を呼んだっていいのじゃないですか。副総裁が来て、最終的にこういうところまでいって、そうして見切り発車やむを得ないから、こうするの、ああするのというなら、ぼくはわかる気がしますし、これは労使関係としていまの国鉄の置かれている立場からすると、そういう努力はあり得るのですよ。しかし、まだことしじゅうだって二十日近くあるのだし、さらに年度末まで準備せんければならぬといってみたところで、それはやりようであって、それだって一月いっぱいくらいとにかく精力的にやれば、何とかそれはやはり抜ける方法というものはあり得るわけです。そこへ見切り発車だ、何月何日以降は待てないのだということを先に出してしまうから、そのこと自体が逆に紛争の種になって、問題を突っ込むよりも、そのことでごちゃごちゃ言い合っているというようにどうも受け取れてならぬから、ひとつ私は、その意味では姿勢をかえてやってみる気はないか。その結果、出るべきものがみんな出てしまって、なおどうにもこうにもこれはならぬということになれば、これは見切り発車みたいな事態だって、労使関係はできますよ。そこまでのことにまだ触れてないのだから、それもいま井上さんの、出先でやっている人たちの間でそういうことが出されるということから、そういうことが出ている。一般的な合理化反対の旗じるしといったって、実際に国鉄の労働者がみんな了解してしまうようなことになったときに問題は解決する。ほかの関係から、おれのところはストライキをやるのだというようなこととは、これはちょっと違うのですよ。ざっくばらんに言って、ベトナム戦争反対だというような話じゃ、これは何ぼ団体交渉をやったって解決できないですからね。そういう場合には、これは一般論としてのつまりストライキという関係は、それは出てくるかもしらぬですよ。しかし、お互い労使の経済問題を中心にして紛争が起こったときに、これはぼくからお説教みたいなことを言わぬでもわかることで、お互い経験してきておるところだから、それはぼくはもう少し両方とも粘り強く誠意を披瀝して、とにかく出るべきものが出て、やはりやるところまで持っていく。そういう基本的なやはり考え方に立って今日やってもらわなければ、きょう以降、ここしばらく見切り発車というようなことばはひとつ慎しんでもらうというふうにしてもらわないと、ぼくも組合のほうにいろいろやはり言う必要もあるし、それからぼくらだって、これは特に運賃値上問題等の場合でも、よく国鉄当局も知っているように、どっちかといえば、それはあなた方は、私らが何でもかんでも妨害しているみたいなことだけれども、筋の通るような話を引っかけている——佐藤さんと約束したような話が半分できていないから、これはあとで伺うけれども、それだから、この運賃値上げ問題というようなものは——半分というか、まるまるできていないから、それで言うだけであって、そこら辺の立場というものはぼくらもよくわかっているつもりだから、とにかくきょうからしばらくここでひつと約束してもらいたいのだな。一方実施なんていうことはやらない。まず全力をあげて団体交渉で問題を煮詰める、そうして当面の紛争を解決すると同時に、当局が言うこの合理化の問題について労働者側の了解を得るために一生懸命やる、というふうにひとつはっきりさしてもらいたい。
  77. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 一方的実施とか、あるいは見切り発車とか、そういうことはの意味について、まだ十分に御納得いただいてない点があるのでなかろうかという気がいたすのでありますが、私どもいま組合側に提示しております近代化の実施計画そのものを一月一日からやみくもにやるのだ、ということを申し上げておるのではないのでございます。それに必要な設備改善等の準備だけはやらしていただきたいということであります。それまでにできるならば、お互いの了解がつくように話を精力的にやろうではないか、というふうに努力しようではないかということでやっておるのでございます。その点については、木村先生指摘のとおり今後も努力いたすことに変わりはございません。ただ、実施、実施というのは、一月一日からすべていままで二人でやっておった仕事が一人になるのだというふうに、近代化計画、そのものが一月一日から実施するのだ、こういう意味でないことは御了解いただきたいと思います。
  78. 木村美智男

    木村美智男君 井上さん、井上さんが言っておるように理解しておりますよ。一月一日から何でもかんでも実行に移してしまうというふうにはとっていないのですよ。問題は、設備改善の準備をしておるというその準備だって、何かただ紙ペラに書いているだけなら、なるほど何の影響もないから、これは問題にならない。設備改善のやっぱり準備をするということ自体の中に、労働条件、その他の問題がやっぱり関係をしてくる。だから、それはその点の理解のしかたは、一月一日なら一月一日から実行に入るとはぼくらも理解はしていない。理解はしていないが、いわゆるその設備改善の準備というやつは、全く紙の上で字を書いている、だけの話じゃないじゃないか。だから、そこにやっぱり労働条件という問題が関係してきておるから、したがって、そういうことはあまり準備だとか、実施だとかいうことを、それは説明上、区分けをしたのだろうけれども、要するに基本的にいま言ったように一方実施とか、見切り発車とかいうようなことが、そういうことをとにかく一切この際たな上げをして、とにかく四つに組んで、団体交渉を集中的にお互いにやって話を煮詰めてみようじゃないかという基本的な立場にひとつ当局が立ちなさい、こう言っておるわけですよ。そして、その中で最終的にどうなるかは、もうしばらくいきさつを見て、その結果、なるほどこれは今日の労使関係の中で、国鉄のおかれておる現状から、こういう結果になるのもやむを得ないだろう。それは、多少短気過ぎるという話は、そのときに出てくる話であって、いま今日、少なくとも見切り発車だとか、一方実施とか、話がそれが表に出ちゃって、とにかくごたごたしておるその状況はよろしくないというのです。もし、それがそうでないというのならば、それは井上さんなり、副総裁の意図というものは下の者に伝わっていない、一つも。だから、そういうふうに姿勢をひとつきちっとしてもらえば、下のほうもそういうふうになるだろうから、そして当面の重点をひとつ交渉に置いてもらうということで、この辺はすっぱり、じゃそうしよう、こういうことにならぬのかね。
  79. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 姿勢と基本的な態度については、先生のおっしゃるとおり変わりはございません。そのとおりでございます。
  80. 木村美智男

    木村美智男君 そういうことで、ひとつ当面の年末諸要求の問題について、よく組合と精力的に団体交渉をやって事態の紛争を解決してもらうということで、それはぜひ粘り強くやってもらうように、いまの答弁でひとつ私はきょうは了解をしておきます。  ただ、いま私いろいろやりとりの間で感じたことは、とにかくいまの赤字が、たとえば国鉄の人間が、まあいまの国鉄がおかれている輸送業務なり、背食っておる仕事に対して余っておるほどの人員をかかえて、そのために人件費が相当かさんできて、それが今日の国鉄の赤字になっておるという、これだけの問題であるとすれば、これは私は比較的問題がみんなによく簡単に映るから処理はしやすいと思うのです。ところが、実際の国鉄の赤字というのは、私はいまの人間は、これはもうどうしてもこうしても何というか、必要最小限の人間であって、国鉄当局だって、当初は第三次五ヵ年計画を策定した際には、十二万何がしかの要員をどうしてもこれは一緒にとっていかなければ、この計画というのは遂行できないのだという方針をとっておったのですから。だから、そこからいえば多少むしろ何というか、対外的な関係やその他のことも考えながら、国鉄の誠意を披瀝するという立場に少し変わったのじゃないかと思うのだよ。そのことはまあしばらくおくとして、とにかく、いまの国鉄のおかれている現状が膨大な借り入れ金だ、利子だ、あるいは租税公課だ、こういったようなことが重なり重なってきて、やっぱり赤字というものの大きな要素になっているという、こういう事態から考えれば、私は少し国鉄当局の上層部が、何か自分自身たちだけが、とにかく国鉄の全職員を含めて一生懸命やれば何とかなるのじゃないかというふうに思い込んでいるとは思っていないけれども、何かそこにばかり一つ気持ちを注いで、もう少し政府や大蔵省に向けてやっぱりいま労働者が求めていると同じぐらいのものを求めていかなければ、ぼくは国鉄の再建はできぬのじゃないか、そう思うのですよ。その点になると、何となく労働者とか、労働条件を大事にするというようなところが少しやっぱり私は軽視しているとは言わぬけれども、ちょっと足らない。もう少し国鉄というのは、どうせ外国ば斜陽化しているとかなんとかいったって、日本の今日の状況の中では、まだ二十年や三十年で国鉄が斜陽化してなくなってしまうという状況じゃないですから、もっとやっぱり労働者を大事にして、そうして国鉄が将来にわたって安定的な運営がなされるようにしていくためには、やっぱり内部に対してきつい人員削減だの、近代化、機械化だけに目を向けているように少なくとも第三者にはとれる。もう少し、たとえば利子補給の問題であるとか、石田さんが言ったような政府出資の問題であるとか、いろいろあるでしょう。そっちの関係が、ぼくは何としてもこれば気持ちの中ではおそらく相当強く持っておられるのだろうけれども、表へ向けての動き方なり、それを確保するための国鉄全体としての何か映りがちっとも世の中に向けて映らない。たまに新聞に載る程度になっている。ここら辺もむしろ私はこういう委員会の席上で苦しいところをどんどんやっぱり出してもらって、ざっくばらんに、そうしてわれわれのほうもやっぱり運輸行政をあずかる立場としては、今日の国鉄の運営の仕方、これは世界にもないですよ。イギリスだって、オランダだって、みんなやっぱり国営である国鉄というようなものは、たいていどこだって利子補給はしているし、あるいは補助金も出しているし、それは十分当局側御承知のとおりだろうと思う。そういう面が足らぬのじゃないか。だから、私は決して内部をいじめつけているというふうに言っているのじゃなくて、もう少し大事にする気持ちを持って、そのかわり、また政府、大蔵省に対してやはり内部に合理化、機械化、近代化を求めていると同じ、やっぱりあるいはそれ以上に財政的な面で、あるいは企業経営基盤強化をする意味で、そっち側の関係をもっともっと訴えるべきだし、この委員会の中でもどんどん苦しいところをざっくばらんに国鉄の考えていることをやっぱり言ってもらっていいと思う。そうしなけりゃ、何ぼそれは労使でほんとうに真剣になっても、どうにもならない部面が今日国鉄の場合にはあるのだという関係で、私ぜひそこら辺について、特にこれは副総裁の意見を伺いたいわけなんです。
  81. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話はまことにごもっともで、実は私どもも御承知のとおり、ここ数年間、昭和三十六年が実は経営の頂点でございまして、過去の数字を見ると、実際びっくりするくらい、わずか四年か五年で非常に急激に状態が悪くなってきておる。この状態ならば、ずいぶん、きょうも実は夕方、これから各社の経済部長を集めて話をするつもりですけれども、非常に急激に状況が悪くなってきているものですから、なかなか世の中の人にわかってもらうことがむずかしいし、また部内の人にもなかなか説明しにくい。非常に皮肉な話でございますが、石田さんと私が責任の地位についたら、急に実は非常に状態が悪くなったという結果になっておりまして、この点は、まさにわれわれの能力の不足以外に何ものもないと思います。今度、四十三年度の予算編成につきましては、去る五月から、実は運輸省経済企画庁、大蔵省の局長クラスのずっと会合を待ちまして、私は七、八月ごろから主計局長と二人だけで、実は数回にわたってだれも入れないで話をして、ほんとうに腹を打ち割って事務と事務の話をつけて、そして事務でできないところは、政治に持っていこうというところまで、ことしは持ってきたつもりでございますが、やはり力足らず、また政府当局は政府当局でいろいろ財政上の問題もあるようでございます。また国際的な問題もあって、なかなかわれわれの要求が、全部が全部、一度には入れられませんが、多少大蔵省の考え方もまあいままでよりはごくわずかではございますが、変わってきたというふうに私は考えております。しかし、まだまだこれだけではやっていけないし、何といっても、いまの苦しい国鉄の財政状態、経営状態が、これは決して私どもの職員がサボっているとか、あるいは経営者がだらしなかったとは、私案は思ってない。あるいはそういうことは非常に不遜な言い方でございますが、やはり鉄道事業というものは、一世紀たって性格が変わりつつあるのだということのあらわれとして、これを見て、そして、どういう角度からこれを直していくべきかというふうな見方をすべきだというふうに思っておりますので、今後とも、実は明日も予算委員会でいろいろと御質問がある予定になっておりますけれども、できるだけそういう場を拝借いたしまして、私どもの窮状を訴え、また私どもも部内的に一生懸命やるかわりに、ぜひここしばらく苦しいときだけは力を貸していただきたいと、まあ率直に言って、国民の税金を国鉄に回していただきたいということをお願いし、いままでもしてきましたし、今後とも強力にやってまいりたいというふうに考えます。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっと関連。副総裁がずいぶん苦労されて、努力されていることはわかりますが、現在長期債務幾らあるんですか。
  83. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 四十二年度末で一兆六千七百四十七億でございます。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これの利子はどのくらいになりますか。
  85. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 千四十七億でございます。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはいまの国鉄の経営事情、財政において、私は返還できなんじゃないかと思うんですがね。その辺の見通しはどうなんです。
  87. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、この中でも長期のものは、まだ二十年、二十五年のものがございますけれども、短期の七年というものが相当ございます、七年償還というものが。これはたとえば利用債とか国鉄債になりますと借りかえができませんので、ほかの政保債ならば借りかえますけれども、一般民間から拝借している金は借りかえができません。したがって、その分はどうしてもやはり財政投資を借りて民間債を返すという形をとらなければいけないということで、たとえばことしの予算におきましても、長期借り入れ金の返還期には約九百億でございます。ですから、たとえば二千億財政投資で借りましても、九百億だけは右から左へ通り抜けで返す、こういう形で元本の返還が毎年二百億ずつくらいふえてまいります。ことしが八百九十三億、四十三年度がちょうど千億ちょっとこしまして、千二百九十億、約千三百億円というふうに利子とほとんど同額に元本の償還がある。これは借金をして、政府のすなわち財政融資を借りまして、その金で返す、こういう形になります。ですから、表面は返しておりますけれども、借金は減らないわけでございます。借りかえ借りかえになるわけですから。しかも困ったことには、民間にお返しするお金のほうは完全に民側から借りられませんので、財投で借りて民間に返す、こういう形になっております。私どもとてもいま現在の一兆七千億の債務の長期返還計画は、ちょっとまだ立ちませんと申しますか、これからまだどんどん借りてまいりますので、大体たとえば四十六年度だけで、もうことし一ぱいで借金しないというふうにいたしましても、あと五年たちますと、借金の返還だけで約年間三千億くらい返すということになるわけでございます。
  88. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だんだん副総裁の説明を聞いてまいりますと、結局、債務の悪循環ということより出てこない気がするのですが、そういうことですね、理解は。  そうしますと、この四十二年度の、全部終わっていませんが、見込み決算でけっこうですが、営業収入はどのくらいですか。
  89. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 四十二年度は大体予算どおりの収入をあげ、ショートといたしましても、せいぜい四、五十億のショートで、約八千二百億くらいの、大体予算に近い収入をいまのところ、これからよほどの雪害でもない限りあげられると思っております。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 営業収支の場合はどうなりますか、バランスのほうは。
  91. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点で、本年度は先ほどちょっと申し上げましたが、ベースアップの所要資金が約三百三十億ございます。四十二年度のベースアップでございます。もうすでに実施いたしております。この分が自己資金でまかなえませんで、そのちょうど半分百六十五億を大蔵省が非常に珍しく貸してくれまして、その分だけ財政融資で借りまして、そしてベースアップした。すなわち三百三十億の所要資金のうち自前は半分しかできない。あとは借金でベースアップしたということ、その予算を実は補正予算で、予算委員会でお願いしている補正予算でございます。それをごらん下さいますと、結局借金をしてベースアップをして、そうして減価償却は非常に少ないと申しますか、自己資金はこの予算の結果、約六百億くらいしかないという形でございます。
  92. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、来年度予算の編成期でありますけれども、そういう段階で資本勘定の繰り入れがあるというようなことは考えられませんですね。
  93. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 一応、来年度予算は、実は一番大きな要素の収入は大体見込みが立ちますけれども、ベースアップの問題がまだきまっておりません。それから、たとえば、たいした金額ではございませんが、私どもとしては、大問題の市町村納付金をどうするかという問題が実はきまっておりません。これらを全部要求どおりいたしまして、ベースアップがないと仮定いたしますれば、やはりことしくらいの、六百億くらいの繰り入れ金、これはございますし、これは償却前の黒でございますから、償却費は大体来年、千七百億くらいでございまして、償却費を計上いたしますれば、約千億くらいの来年は赤字になるということでございます。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
  94. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ベースアップはないということになりませんね、これはいまの政府物価を押えていくというような手だてというものは何もないわけですから。ですから、これは来年のベースアップ当然あるべきものだし、あることを予測しなければいかぬ。そうしますれば、資本勘定に繰り入れるということは不可能だと思いますね。そこで、いままで聞いてみると、国鉄の副総裁がおっしゃったように、総裁以下職員がなまけたりでたらめをやったり、放漫経営をやって財政が悪化したということにはならないですね。これは追って私は予算委員会で、予算編成の時期ですから、いろいろ総理大臣あるいは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、木村委員も申されたように、今日の国鉄の財政が非常に急ピッチに赤字になったという最たる原因は、やはり政府経済政策、産業政策にあると思うんですね。国鉄がかってにいまの二次計画あるいは三次計画をしているわけじゃなくて、佐藤さんになってから、中期経済計画というものを立てましたが、その中における国鉄の、つまりこの経済発展の中における位置づけというものが示されているわけですね。それが三次計画になっていると思うんですね。したがって、そういう計画に基づいて、国鉄がいろいろ事業を行なったりあるいは設備投資をしたり、あるいは線増をやったり、輸送改善をやったりしているんだと思うんですが、そこで、国鉄だけのいまワクの中では、私は始末のつかない問題だと思う。たとえはこれはいつか副総裁が何かに書いておったのを私ちょっと拝見さしていただいたわけですが、通勤輸送、通学輸送ですね、こういう問題にしても、何も国鉄、あるいは国鉄じゃなくて私鉄でもけっこうですが、運輸交通機関のみが一切何でもかんでもあと始末をしなけりゃならぬ、その責任を負わなきゃならぬというものじゃないと思うんですね。わが国の産業経済政策の発展過程の中において、こういう問題は都市問題として私は出てきたと思うんですよ、通勤輸送にしても通学輸送にしても。したがって、ひとり国鉄というものをはずして、運輸省だけの考え方なり感覚でこれは始末するべきものではなくて、国全体として、将来のことを含めて通勤あるいは通学の対策というものを抜本的に政府が立てなきゃならぬと私は思うんですがね。ですから、そういう点で、やはり国鉄の今日経営者がより積極的に政府並びに大蔵当局にこうした面の悪循環を迫るべきだと私は思うのです。それから、現にわれわれがいろんな国会調査とか、あるいはその他視察に参りますれば、非常にまだまだ国鉄に対する期待感あるいは国鉄に対する要請というものが強いのです。それは何かというと、これは何だかんだ言っても、産業経済のわが国における——これは立地条件等々もあろうと思うが——つまり動脈になっていると思いますね。それだけに、つまり、経済要請があれば、社会要請も国鉄にされていると思うんです。ですから、こういう点を、たとえば従前行なわれた公共負担の問題だって、この際やはり抜本的に——国は財政の硬直化とか何とかいろんな理屈を言われております。それについては、私なりに意見を持っておりますけれども、この場はそういう場ではありませんから申し上げません。財政膨張化の問題は、別にやはり機会がありますから申し上げませんけれども、国として、私は考えてみれば、国鉄にこの段階で少なくとも四百億や五百億くらいの支出などというものは、そうさして困難ではないと思うんですね。ですから、そういう点で、十分私は、この公共負担の問題であるとか、あるいは市町村納付金にしても、当初、あの法律ができたときとは全く変わっておりますよ。市町村自体においても、やはりこの財政再建を行なわなければならぬという、指定された団体というものは、ごく少数になっちゃった。この段階でなおかつ借金だらけになって、いまの副総裁のお話を聞けば、とてもじゃないけれども、いまの国鉄のいわゆる営業収益画だけ、いわゆる自力では借金を返せないようになった段階で、なおかつ当然国は見なければならぬ、市町村の赤字を補てんしていかなければならぬということは、国策としてナンセンスだと思うんですね、こういうことは。こういう点だって、あるいは当初都市問題として触れましたけれども、これは東京あるいは大阪等に限ったことではない、国の経済政策のやり方が私どもは誤っている、間違っていると、こう言うんです。結果的には、都市集中という現象がもう全国至るところに大なり小なり出てきているのです。ですから、それに伴って既存の国鉄が非常に投資問題としてじゃまになってくるという、こういう問題があって、高架化の問題だと、そうして高架化の負担金は依然として何年前にきめたものか知らないけれども、国建協定なるものがあって、これが改善されていない、こういう矛盾がいつでもあるのですよ、この国鉄の基本問題を調査したり、あるいは研究していくと。ですから、そういう問題点を赤裸々に、国民の前に国会を通じて明らかにすべき段階ではないかと思うのですか、副総裁どうですか。
  95. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点、御説のとおりでありまして、大体ただいま問題は先生がおあげくださいましたので、この問題を一つ一つ取り上げて、たとえば市町村納付金一つにいたしましても、私のほうは、ああいう記事を新聞に出しますと、全国の市長会、町村長会から絶対反対という猛烈な陳情が来たりするくらいで、なかなか向こうも強いので、なかなかうちのとおりになりませんが、やはり一つ一つ問題を片づけていって、そうしてとても一年、二年では、長期安定の経営状態には持っていけないとは思いますけれども、やはり少なくともその十年くらいの間にきちんと先の見通しがつくような企業にするのが必要だと思って、一つ一つ努力を積み重ねますけれども、何といっても力が弱いので、どうか当委員会におきましても、できるだけ御支援を賜りたいということをお願いいたします。
  96. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、副総裁、あとのいろいろ関係があるから、簡単にこう一問一答みたいにして聞きたいと思うのですが、政府出資、それから利子補給の関係、これは予算折衝の段階で、どうにもこうにもという事情があれば別なんですけれども、そうでなければ、現状どういうことになっておるのか、ちょっと聞きたいわけです。
  97. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はまだ内閣かわりましてから、大臣がかわられましてから具体的な折衝に入っておりません。やはり臨時国会中は、どうも前進を見ないのじゃないかというふうに思っております。事務の段階では、いろいろな話をいたしておりますけれども、いずれも金額も大きいし政治問題でございますので、とても主計局長段階ではきめられない問題だということで、ほとんど保留の形で、ただ、いままでの話のつきかけているのは、利子補給の程度は、まあある程度考えなければいけないかなという程度で、それ以上のことは、とても主計局長単独できめられないし、たとえば市町村納付金にいたしましても、自治大臣、その他もおかわりになりまして、まだ意見もきまらないということで、結局やはり毎年の例のように二十日前後になりませんと、ほんとうの折衝段階にならないと思います。ただ大蔵省といたしましても、例年になく深い理解を持っておるということは、これは事実だと思います。
  98. 木村美智男

    木村美智男君 それから、去年と比べて、特別債なり利用債、縁故債というものについては、窮屈になってきたのじゃないかと思うのですが、そういう関係で、たとえば工事経費等の不足するやつはどうするのかということと、この前大臣が場合によったら、工事繰り延べというようなことをちょっと言ったのですが、われわれはやっぱりあれは天下の公約であるし、今日の時点の中では、とにかく労働問題という問題は別にして、基本的な方向としては、やはり三次計画というものはやるべき筋のものだというふうに、全体の関係からいけば、今日のこの通勤輸送なり、輸送力増強というような問題から考えれば、やらざるを得ないようなものだと思うが、これは、大臣がちらっとそういうことを言ったから、国鉄の関係はそういう点どうなっておるか。  それから、赤字線廃止という問題ですか、これは私はやはりただ単に赤字だから廃止するというだけでは、国鉄の公共性なり、今日のそれぞれの地域で果たしている役割りからいって、これはやはりこの方針はうまくないと思うので、それなりの改善の努力もしたし、実績も出ているところもあるようだけれども、やはりこれは慎重にひとつしてもらいたいという考え方なんですね。  それからもう一つは、新線建設の問題で、何か国鉄がやっていたときとさっぱり変わりなくて、かっこうだけ変えただけで、借金がどんどんふえていくような新線建設の関係になっているから、ここは特に財政問題で悩んでいる国鉄として、ざっくばらんに新線建設について考えを、きょうきちっとしたものがなければ、あとでいいですけれども、聞かせてもらいたい。結局、建設公団は、運輸省が立案して、運輸省は国鉄からぴちっと聞いてやっておるのかどうかわからぬけれども、最近はどうもせっかく公団をつくって、国鉄の財政を何とか緩和していくような方向というものが事実問題としてもう消えちゃっているという状況にあるから、まあわれわれはわれわれなりに考えていますけれども、もともとこういうものをつくることを反対したのだから。だけれども、いま国鉄当局としては、どういうふうにこの新線建設問題を考えられておるか。  市町村納付金はいま出ましたが、その四つ、開かしてほしい。
  99. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 第一の工事経費のワクの問題でございますが、私どもはやはり先生おっしゃったとおり、第三次計画を予定どおり遂行するだけの工事経費ワクがほしいということを、いま主張いたしております。次に、その原資の問題でございますが、四十二年度は利用債、縁故債合わせまして、約千八百億の予算でございまして、いま極力消化につとめておりますけれども、やはり全額の発行は少し無理じゃないかというふうに考えられます。私どもといたしましては、まあこれを何とか千億以内におさめたいというような気持ちでやっております。その程度なら、やはり何とか自前で金を調達するということをしなければいけない。しかし、千八百億はとても無理だから、千億がもう最高だというようなつもりで今後折衝いたしますが、その程度ならば、都市銀行その他に頼み込んで、何とかいまの金利の関係でも持ってもらえるような気がいたします。これは、もう少し事務的に大蔵省と詰めなければならないと思っております。  それから赤字線の問題でございますが、これは、先生もおっしゃったとおり、私どもも赤字なるがゆえにやめるんだということならば、これはきわめてやさしいので、そうすれば北海道の鉄道なんか、開闢以来全部赤字でございますから、こういうものは切ってしまったらたいへんなことになってしまいますので、私どもといたしましては、いわゆる赤字線の中でも、鉄道の守備範囲でなくなった赤字線があると思います。それからどんなに赤字であっても、鉄道でやるべき赤字線と、二種類あるのじゃないかというような気がいたします。で、鉄道の守備範囲でないものは、これは徐々にほかの交通機関に置きかえていく。しかし、鉄道の守備範囲のものについては、たとえば北海道の赤字線のごときはできるだけ機械化、近代化して、そのコストを減らすと同時に、しかし、終局的にはその赤字はなくならないと思いますが、しかし、その赤字は東海道、その他なりでうんともうけて、それを北海道の赤字につぎ込むことが国鉄の使命だと考えますが、そういう努力を今後続ける。そういうことについてのやはりPRの意味で、国鉄の諮問委員会の中にこの小委員会をつくりまして、来年六月ごろまでに何とかひとつ赤字線の問題についての、一つの諮問委員会としての結論を出そうとして、いま勉強していただいている最中でございます。  それから建設公団の問題でございますが、私どもといたしましては、建設公団が国鉄要望線と申しますC線D線の建設に非常にいま力を注がれ、またさらに法律も改正されて借金もできるようになりましたので、私どもといたしましては、建設公団が極力D線、国鉄要望線を早くやってもらいたい、たとえば京葉線あるいは湖西線とか、こういうほんとうの幹線筋の、しかも通勤輸送に間接に関係のあるような線を早くやってほしい、こういう強い要望をいたしております。A、B線のいわゆる開発線につきましては、国鉄でやっておりましたと同じ七十五億の、私ども出資だけは出然いたしておりますが、これについては、いろいろな角度から検討され、結局建設審議会において、皆さん、お入りになった上で、御議論なさるだろうと思いますが、これはいわゆる開発線、A、B線については、去年どおりの七十五億の出資が最高限であるというふうに考えます。  以上でございます。
  100. 木村美智男

    木村美智男君 いまの四つの問題は、ちょっと考え方、現状をきょうだだ伺うだけにとどめておきます、時間の関係もありますから。  ただ、今度の予算要求に多少関連して、三つばかり、小さい問題ですが——小さいといっては語弊がありますが、仲裁裁定の実施については、詳しいことを別に伺うつもりじゃないのですが、当然補正をもって完全に実施するということで理解してよろしいかどうか。それから、政府のほうでは来年度予算に、場合によったら、人事院勧告を予定をして予算に盛り込むということを、まあ米価の問題も同じようなケースで考えるということなんですけれども、もしそうなった場合、国鉄としても当然右にならえをするようなことに、先ほどもちょっと答えられましたが、なるのか、それともどうするのか。それから勧告で、年度末手当か〇・一ふえましたね。そうして公務員のほうは今度〇・五になった。これは年度末がきてからでもいい話なんですけれども、やはりできるだけ事前にね。それで国鉄は〇・二しか現在出ない。そうすると、財政の必要額が、大体九十億からの金ですが、これはどういうふうに措置されるか。差しさわりがあればしいてお答えいただかんでもいいのですが、その三つをちょっと……。
  101. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 仲裁裁定の実施は、今度の補正予算で完全にあと始末ができたわけでございます。ただ、来年度については、先ほど申しましたとおり一応定期昇給を昨年のとおりみるというだけで、仲裁分は全然入っておりませんので、もし仲裁裁定が出ますれば、これは来年度でございますが、来年の四月なり五月の時点で仲裁裁定か出ますれば、私どものいまの予算の現状から見まして、やはり公労法十六条による国会承認の手続をとっていただかなければならないのじゃないか。いまの予算上、資金上からはやれる見込みはないのじゃないかというふうな気がいたしております。これは来年度予算が、現実に組まれてみないとわからないと思いますが、一応そういう余力は大体ないと思っております。  それから人事院勧告につきまして、大蔵省がある程度の人事院勧告を予想して、公務員の年度予算に入れて補正を組まないということも言っておられるようでございますが、まだ私どもにそれと同じ歩調を合わせろというようなお話はございません。ただ、もしありましたとしても、結局、公務員のほうは税金が原資でございますから、簡単に税収を見ればいいのですが、私どもは原資がございませんので、もしその分だけ、たとえば三百億なり二百億みるとすると、その原資をどこから持ってくるか。いたずらに収入を水増しするわけにもまいりませんし、結局、原資の見方ということで問題になって、ちょっと公務員なみに年度当初の予算に入れることは無理じゃないかというふうにも考えます。一ぺんこれは主計局長と個人的には話をしたことはございますけれども、非常に原資的にむずかしいなということで話が打ち切られました。  最後の問題は、もうしばらくひとつ経営の推移を見させていただきたいというふうに考えます。極力、しかしいままでの気持ちを捨てないでやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  102. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃまだ吉田委員のほうから二、三あるようですから、時間の関係で、私は特に最後に、先ほど副総裁もうなずかれながら井上理事が答えておったように、とにかくきわめて大事な年末に差しかかって、しかも国鉄自体としても、労使ともに表からけんかの種を投げかけられて、うちの中でけんかしているような状態ですからね、これは客観的に。だから、もう少し問題を投げかけたほうにしりぬぐいをしてもらわなければならぬというのが、ほんとうは今日の国鉄の客観的な位置だと思う。そういう意味で、やはり当局も、でき得れば副総裁も最後の段階には出るくらいの態勢をとって団体交渉を煮詰めてもらって、年末の要求を誠意をもって解決する、そうして来年度に続く合理化問題等については、とにかく見切り発車とか、一方実施とかというようなことをひとつたな上げをして、全力をあげて話し合いを煮詰める。こういうことで、きょう、そういう趣旨で了解をして、長い間質問に答えていただきましたが、これで終わりにしたいと思います。
  103. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  104. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記を始めて。
  105. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも委員長心配しているようだが、心配の要はない。で、いろいろ同僚の木村委員から御質問がありましたが、せっかくただいま来年度予算編成期になっておって、副総裁以下各幹部の方々、関係者といろいろ折衝しているわけですね。その中で私は一つ注文をしておきたいのですが、これは心にとめて十分そこでがんばってもらいたいと思います。一つは、国の支出の問題とか、あるいは利子補給の問題とか、たくさんありますが、そうした中で債券の問題が出てくるわけですね。で、木村委員も指摘したように、たとえば縁故債、副総裁、いま一千億程度なら消化可能だと、こうお答えになったようですが、私は一番問題なのは特別債券です。この特別債券は、何で一体特別債券というのが出てきたかというと、たしか私の記憶では、四十年のときにすでに、先ほど来副総裁も答えたように、三十九年から経営事情というのは、財政の事情というのは悪化の方向にはっきりなってきたからというので、それで運賃値上げというものを主張したのじゃないかと思うが、そのときにたまたまいまの総理大臣の佐藤さんがバトンタッチしたのじゃなかったかと私は記憶しているんですよ。これは記憶違いであれば別ですかね。したがって、その運賃値上げを当初、極端なことばで言えば、押えるという反対給付の関係で特別債券というものは出てきたんですね。これは全く臨時的なものなんですよ。ところが今日、それ以来ずっと年々歳々、特別債券の額も国鉄の工事経費が増大するに伴って金額が増大してきておる。言ってみれば、恒常化されてきておる。私は、これは政治的に見ても非常に問題があるところじゃないか。したがって、この特別債券というものは基本的にはこの際改めてもらい、なくしてもらう、かわりの財源を求めるというようなことになるわけですが、不幸にして予算折衝の段階でどうしてもそれが改めることができないということであるならば、無責任な政府の今日のような債券制度にしないで、少なくとも政府の保証債に私はしてもらわないとたいへんだと思うのですよ。実際この債券を額面でただちょうだいし、予算面でちょうだいしたら、国鉄経営はたいへんだと思う。これが一つですね。  それから二番目は、これもたいした金額ではないのかもしれませんが、建設公団に国鉄が年々歳歳七十五億ですか、出資していますね。七十五億という金額は国鉄財政全般から見ればたいした金額じゃないのかもしれませんけれども、さて、その新線が建設されて、まあできのよしあしは別ですよ。先ほど木村委員が指摘したように、公団法が制定されて以来、新線の建設状況というものは従前国鉄でやっておったと何にも変わらぬじゃないかというそういう批判あるいは理屈は別として、いまの建設線で、つまり国鉄があの法律に基づいて譲渡なり、あるいは貸与されるという関係になったとしても、即採算がとれるというものではないと思うのです。のみならず、副総裁先ほど北海道を例にとりまして、これは例のとり方が非常にまずいと思いましたが、北海道などは、もうこれは全部赤字線で取っ離したほうがいいなんという、これはまあ一つの例だから私はさして気にしませんがね。しませんが、一つの例をあげますと、これもまた北海道ですが、美幸線というのができたのですね。これなんとどうですか。営業開始して、営業係数がたしか八百幾らだと思うのですがね。百円働くに八百何十円かかけなければ百円が収益にならないという線ですね。これは建設完了と同時に国鉄が貸与でこれはもう経営しているわけですから、借金に借金です。ですから、言ってみれば、借金せんがためにその公団に出資をしているというのは、何かこう私は今日の国鉄の財政事情から考えれば割り切れないものがあるのですね。ですから、金額の大小は別にして、当初の建設公団法という法律をつくるときのこの委員会における政府答弁運輸大臣答弁あるいは大蔵大臣——当時田中角榮さんが大蔵大臣ですが、大蔵大臣答弁からいきましても、国鉄から出資を求めていくという方向じゃなかった。当初ある程度暫定的に従前国鉄が七十五億ぐらいで新線建設をしておったわけですから、過渡的過程の一つとしてそのまま出資というようなことがなされたのですね。自後は政府は責任をもって、つまり財政上の問題については解決をする、めんどうみるのだから国鉄でやらせるより、公団でやったほうがより資金的に大きなものが確保されて、そうして国民から要望される新線建設が促進される、こういうことを言われておった。ですから、そういう面から見ればこれは市町村納付金と同じような性格にややいまなってきているのじゃないかと思うので、この点についても国鉄の出資というものは再検討してもらう、肩がわりに政府が当初法律をつくったときの精神に立ち戻って措置をしてもらう、こういうことに私はなるのじゃないか、ならなければならぬのじゃないかと思うので、これもひとつあわせて、予算折衝の段階でございますから答弁はけっこうですから、積極的に関係者に交渉していただきたい、こう思うのです。
  106. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 答弁申し上げませんが、先ほど私が申し上げたこと、ちょっと先生誤解なさったので。私は、北海道の鉄道は開闢以来赤字だけれども、赤字だからといって捨ててしまっていいという線じゃありません、こういうふうに申し上げたので、誤解のないように、東海道その他でもうけて、また一方、北海道の鉄道を電化、機械化してコストを減らして、どうしても赤字が出ればそれを埋めるのが国鉄の責任であるというふうに申したので、どうか地元の方にも誤解のないように願います。あとの二点は十分心いたし、折衝いたします。
  107. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時十分散会