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1967-12-14 第57回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十四日(木曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 小川 半次君 理事 正示啓次郎君    理事 二階堂 進君 理事 古川 丈吉君    理事 加藤 清二君 理事 中澤 茂一君    理事 小平  忠君 理事 伏木 和雄君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    有田 喜一君       井出一太郎君    池田正之輔君       川崎 秀二君    北澤 直吉君       久野 忠治君    重政 誠之君       中野 四郎君    西村 直己君       野田 卯一君    野原 正勝君       福田  一君    船田  中君       古井 喜實君    松浦周太郎君       山崎  巖君    安宅 常彦君       大原  亨君    角屋堅次郎君       北山 愛郎君    阪上安太郎君       楯 兼次郎君    成田 知巳君       西宮  弘君    芳賀  貢君       畑   和君    横山 利秋君       山中 吾郎君    麻生 良方君       田畑 金光君    渡部 一郎君       谷口善太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 園田  直君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         労 働 大 臣 小川 平二君         建 設 大 臣 保利  茂君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣          (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官・北海道開発         庁長官)    木村 武雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 栗山 廉平君         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         北海道開発庁総         務管理官    馬場 豊彦君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省関税局長 武藤謙二郎君         大蔵省理財局長 鳩山威一郎君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         厚生省公衆衛生         局長      村中 俊明君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省医務局長 若松 栄一君         厚生省保険局長 梅本 純正君         厚生省援護局長 実本 博次君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   片山 正英君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         建設省計画局長 川島  博君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 十二月十四日  委員猪俣浩三君、春日一幸君及び浅井美幸君辞  任につき、その補欠として安宅常彦君、田畑金  光君及び渡部一郎君が議長の指名で委員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十二年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十二年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 最初に、大蔵大臣にひとつお尋ねいたします。というのは、これはある主婦から手紙を私はいただいているのですが、私が読み上げますから、この手紙に私を通じてお答えをいただきたい、こういう趣旨であります。  問題は、どういうことかといいますと、「私は、昭和三十七年二月、一生懸命働いてたくわえた十万円の金で山一証券投資信託ユニット)を買いました。そのころは、新聞の半面一ばいに、「銀行よさようなら、証券よこんにちわ」とか、「五年で倍増します」という証券会社の広告があり、十万円を二十万円にして三十坪くらいの土地を求めたいという希望に燃えていました。ところが、五年たったことし五月、いろいろな不安を持ちながら山一証券広島支店に行きましたら、「大蔵大臣の許しを得て、五年の期限を一カ年延ばすことになりました。新聞にも広告しています」というにべもない返事でした。その後半年、やる方ない不満と不安を持って、「返してくれ」と再度申し入れましたら、「それはできませんが、あなたが売られるならば時価で買い取ります。手数料をいただきます」という返事でありました。十万円で五千円券二十枚のユニットが、時価八万円で買い取るというのであります。私は、高度成長所得倍増政策がどういう関係かということはわかりません。しかし、五年あまり前の十万円の力は、いまの十三万、十四万円に当たります。せめて宅地購入の足しにと思い、当時一坪七千円でしたから、五年後に二十数坪買えると思っていたのに、八万円では現在一坪しか買えません。もし十万円を銀行に預けておけば、十三万円余りになっているはずです。あれこれ合わせると、八万円以上の損失ということになって、ばかばかしくてなりません。この二十枚の信託証券を、いま私は売ってしまったほうがよいのでしょうか、山一証券の言うとおり、持っていたらまた倍になることがあるのでしょうか、大蔵大臣に聞いてみてください。」こういう手紙であります。  それで、これは結論は簡単でいいわけです。へ理屈やいろいろなことは要らないわけです。この主婦立場国民立場で、持っている二十枚のユニット、当時十万円で買ったユニットが八万円にしかならぬというこのユニットを、いま売ったほうがいいのか、持っておったら倍になるのかどうか、こういうことで、私はまず親切にお返事をいただきたいのであります。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 投資信託については、元本保証のないものですから、この運用は、よほど慎重を期してやらなければならないということでございますが、いままで、御承知のようなことでございますので、この投資者の利益を保護するために、先般の国会において信託法改正を行なって、私どももその監督に十分を期するという措置をとったわけで、今後は、こういうことのないように運営されると思いますが、いままでについては、とにかく元本割れ償還という事態を起こしたことは、非常に遺憾であるというふうに考えています。
  5. 大原亨

    大原委員 いや、それは私の質問に対して答えていないわけですよ。つまり国民立場、一主婦立場に立って考えたら、どうしたらいいかと迷っている、ほんとうに怒りを込めて迷っているわけですから、それに対して、どうぞお売りなさいとか、あるいは持っていたほうがいいですよ、こういうことを言ってくれ、こういうことなんですよ。それを聞いてもらいたい、こういうことです。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、私としてこうしろああしろという指図をすることは、簡単にできません。
  7. 大原亨

    大原委員 しかし大蔵省監督官庁ですし、そうにべもない返事じゃ困りますよ。売ったらいいでしょう、売らなければだめですよ、これはとてもじゃない、株が下がっているし、よくなることとはありませんよとか、あるいは持っていなさい、これはだいじょうぶです、私は大蔵大臣ですと、こういうふうにあなたがひとつはっきり——みんなたくさんいるですよ。私はあとで材料を出しますが、これはどうなんですか。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、元本割れ償還という事態にならぬように監督も厳重にしますし、また、投資者保護のためのいままでのやり方を変えるために法の改正までやったことでございますので、今後われわれは気をつけるということで、過去においてこういう損失が出たのは、これはさっき申しましたように、遺憾だと思っておりますが、過去の投資者については、御承知のように、みな非常に損をしたというのが実際だろうと思っています。
  9. 大原亨

    大原委員 自治大臣おられますか。——自治大臣にお尋ねいたしますが、これはもう証券会社が倒れかけたときですが、どんどん倒産が出て、現在三十六の登録取り消し、廃業があるわけですけれども、このことを含めて、四大証券その他を含めまして、どれだけ国民が損をしているかということを私は詳細に計算いたしまして、これから引き続いて次の機会にやろうと思うのですが、私があなたに端的にお尋ねすることは、昭和三十九年、四十年、四十一年と、自治省の一千万円以上の政治献金を調べてみました、証券会社関係の。そういたしましたら、日本証券協議会有志が、三十九年ですが二千五百万円ほど国民協会に出しております。それから東証正会員協会が、自民党の各派閥に対しまして一千八百万円出しておる。それから昭和四十年には、東証正会員協会が約三千数百万円の——全部申し上げればいいてすが、これは一千万円以上の献金だけですけれども、集めておるわけです。昭和四十一年に東証正会員協会が、やはり同じように一千三百万円の政治献金をしているわけです。これも簡単なんですが、自治大臣、こういう金は浄財なんですかどうですか、規制する必要のない浄財なんですかどうですか、こういうことについて、ノーかイエスかを御答弁いただきたい。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、差しつかえないと思います。
  11. 大原亨

    大原委員 つまり証券会社は、私が読み上げた実例でわかるように、ものすごい損害を国民に与えておるわけです。しかも、一文といえども、家庭悲劇その他たくさんの問題を起こしておるそういう関係会社が、政治献金を、政治資金規正法があるからといって、そういう脱税やあるいは汚職の隠れみのになるけれども、そういうことをやることを許すということはいけないのではないか、私はそう思うのです。これは、国民立場に立って考える場合には理解できないのではないか、こう思うわけです。これは時間がかかるからあとで質問いたします。  次に、本論に入るわけですが、経済企画庁長官にお尋ねいたしますけれども、あなたが当時水田さんと一緒にやっておられたことにも関係いたしますが、所得倍増十カ年計画は二カ年くらいで行き詰まって、四カ年目にこれをやめまして、そして中期経済計画に移ったわけです。中期経済計画は一カ年でおじゃんになりまして、そして一カ年ブランクをおきまして経済社会発展計画をつくったわけです。その経済社会発展計画は、中期経済計画で、物価は、きのう議論がありましたが二・五%の平均に押える、公債発行しない、こういう方針に行き詰まりを来たしまして、公債発行ということで経済社会発展計画ができた。これは御承知のように五カ年計画でありますが、その初年度において、国際収支から、あるいは物価のしり上がりから、あるいは設備投資から、各般の問題について非常な見込み違いをもたらしたわけです。私は、早晩経済社会発展計画も改定になるだろうと思うのですが、そういうふうに長期中期短期経済見通しを含めて、閣議決定をしておりながら各省がこれを守らない、あるいは計画自体が悪いのか、いろいろな原因でこういうふうになっているわけですが、私は、このことについては真剣な反省があってしかるべきだと思うのです。経済企画庁が立てる計画というものが、このように立てた前から前から——これはふんとし計画とこういうのです。前から前からはずれるから。こういうことになる原因は一体どこにあるのか、この原因についてどうお考えでありますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私も、経済計画というものについていろいろ考えるときがあるわけでございます。いま大原委員の言われましたような疑いを、ときどき自分自身で実は持つわけでございます。この計画をつくりますときに、できるだけのすぐれた頭脳を動員して、このごろは積極的に、エコノメトリックスによって機械も動かしておりますし、ともかくベストを尽くしてやっておることは確かなんでございますけれども、ベストを尽くしてやっておるから、できたものが間違いないものができるかというと、そういう保証は残念ながらないわけでございます。それならば、そういう計画のようなものがむしろないほうがいいのか、それでもあったほうがいいのかということになりますと、やはりあったほうがいいという気持ちになっておるわけでございます。  それで、今回の経済社会発展計画閣議決定いたしますときに、どういう決定をしようかということで結局、これは今後のわが国経済運営指針とするという決定をいたしました。それは、私いまでもそういう気持ちでございます。確かに初年度も、実際の経済計画が適当だと考えております線とは非常にはずれたわけでございますが、しかし、来年度の経済を考えます場合に、経済社会発展計画が八%内外の実質成長率が一番ふさわしいといっておることは、私は、やはりその指針は間違っていないと考えますから、来年度の経済運営をそういうふうに持っていきたいと、いまでも実は考えておるわけでございます。
  13. 大原亨

    大原委員 これは長く議論ができませんが、八%の経済成長率経済見通しというのは、単なる見通しではなしに、閣議決定しておるわけです。昨年の十二月に明年度予算をつくるときに、これは閣議決定ではないけれども、報告をして予算をつくってある。そうして三月に、閣議決定をした見通しをきちっとつくっておるわけです。その見通しはいろんな要素からできておることは、私が言うまでもないわけですが、各省においてはやはりその拘束を受けているわけです。しかしながら、結果といたしてみますと、半年あまりたった後には、もうすでに成長率は八%が一二%になり、設備投資にいたしましても三割も上回る、こういうふうなことで、全くこれは見通しにも何にもなっておらぬじゃないか。経済企画庁というのは、あってもなくても同じじゃないか。見通しを誤るならば、宮澤構想みたいにむしろ勘でやったほうがいい、こういうことになるわけですよ。学者その他いろいろな者を集めて勘でやったほうがいい、こういうことになるわけです。これは全く意味がない。そういうことでは、財政硬直化と関連いたしまして通年予算補正なし予算、これが議論になっておりますが、補正なし予算を組むことはできないのではないか、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 最善を尽くしておるつもりでおります。その結果が、しかしちっとも合わないではないかと言われることは、従来の例にかんがみると、まことに合わないことが多いわけであります。ですから、やはりやり方なり何なりを、これからどういうふうに改善できるかということが問題であって、見通しを立てる、あるいは計画をつくるということを、放棄すべきではないというふうに思います。
  15. 大原亨

    大原委員 つまり安定成長というか、安定成長見通してのいろんなファクター見通しというものがくずれていくということになりますと、結局上がったり下がったり——四十年、四十一年、四十二年と振り返って見ただけでもこれはひどいものですよ。そういうふうになれば、結局は弱いところにしわが寄るわけです。それは統制経済ではないというようなことを、総理やその他がどこかで言われたことがあるのですが、統制経済というのは戦争のために統制したのです。今度の安定成長というのは、格差をなくする、ひずみを是正する、社会開発人間尊重とかというふうに、国民生活安定向上させるためにコントロールするのでしょう。プログラムをつくるのでしょう。それが安定成長でしょう。だから、それが上がったり下がったり、こういうふうになるというようなことは、これは全く政治といたしましては、総理大臣以下の指導性というか、そういうものがないのじゃないか、欠如しているのじゃないか、経済企画庁あり方自体が問題ではないか、私はこういうふうに思うわけです。そういう点は、私は総理大臣その他にお伺いしたいところですけれども……。  ここでもう一つあらためてお伺いいたしますが、経済計画というのは、これから発生する経済政策財政政策、そういうふうなものは、厚生大臣が言われるように、これは手段であって目的ではない、目的国民生活安定向上にあり、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのとおりだと思っております。
  17. 大原亨

    大原委員 そういたしますと、経済計画財政政策硬直化政策目標国民生活の安定と向上にある、こういうことになるならば、国民生活安定向上部面しわを寄せるような、そういう政策というものはいけないのではないか。つまり、安定成長格差を是正していくということは、地域格差所得格差を縮めていくということでしょう。そうして公平な政治をやりながら、公平な分配をやりながら国民生活を安定させていくということでしょう。そういう趣旨については、きわめて明快な御答弁があったわけですが、これからの硬直化政策や来年の予算編成にあたって、私はそれを基本としてやるべきであると思うのです。この点は大蔵大臣にお聞きしたいところですが、大蔵大臣は、経済社会発展計画やあるいは佐藤内閣社会開発その他の政策について、これは放てきをされておるわけですか、こんなものはやめた、こういうことなんですか、いかがですか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 一応、めどであるあの中期計画に沿った財政運用をやろうというふうに考えております。
  19. 大原亨

    大原委員 経済社会発展計画にはたくさんの欠陥があるわけですけれども、私は大蔵大臣の御認識についてお伺いしたいのです。きょうの新聞にも出ておりますけれども、日本国民生活水準というものは国際的に高くない、低い、いろいろなファクター部面において低い、私はそういうふうに考えておりますが、いかがですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 まあそう高いものではございません。まだ先進諸国に比べて相当低い水準でございます。
  21. 大原亨

    大原委員 低いという場合には、これを引き上げるような政策が必要なわけです。経済社会発展計画のこまかな議論はきょうは省きますけれども、そういうひずみを是正して国民生活を安定させ、向上させるプロセス、プログラムというものが、非常に欠けておるという点が私は問題であると思うわけです。  そこで、経済社会発展計画の中で一番の問題は、やはり他の部面においては十幾つかの長期計画が出ているわけです。住宅とか道路とかその他たくさんの長期計画が出ておりますが、最近は、去年のものには資料として出さなかったが、防衛庁のも出ている。港湾、水道その他各般にわたって出ているのですが、社会保障長期計画がないというふうなことは、これはおかしいのではないか、こう思うわけです。この点について、私は最優先的に、指導的に、こういう計画についてはみんなで、総理大臣を中心に閣内一致してこれを推進することが妥当ではないか、こう思うのです。経済企画庁長官の見解をひとつお聞きいたします。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のとおりだと思います。経済社会発展計画においても、社会保障についての長期計画がないということを指摘して、やはり長期計画が必要ではないかということを申しておるのも、その趣旨でございます。
  23. 大原亨

    大原委員 厚生大臣いかがですか。
  24. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおり、経済社会発展計画に基づく長期的構想の線に従って、長期的な計画をつくることは当然であります。特にわが国社会保障制度は、各部門にわたって総合的、体系的な計画をつくり、これに基づいて各部門水準の引き上げ、あるいはいまなおできざるものの拡充、こういう点をやるについては、小刻みにやっておりましてはとうてい効果があがるものではありません。やはり長期的な視野に立って長期計画をつくる必要があると考えておりますが、この点については、わが厚生省のほうに非常に責任がありまして、しばしば委員会等において前大臣及び現大臣も、この長期計画をつくるという言明をしておりまするが、御承知のごとく、社会保障の一番大事な問題である社会保険の抜本的な改正を考えております。これがまとまらなければ、ほかのところに影響してその計画ができません。したがいまして、ただいま事務局案を出しておりまするが、これに基づいて早急に検討を進めて成案を得、これができ次第、御指摘のとおりに長期的な計画をつくって関係各省に折衝し、政府計画としていきたい、このように考えております。
  25. 大原亨

    大原委員 医療保険が、大蔵省やその他の目のかたきになると言っては語弊がありますが、非常に大きな問題となってそのために長期計画ができないということですが、これは法律改正臨時特例法改正によりまして、昭和四十四年を目途に出発をすることになっているわけです。そういたしますと、この経済社会発展計画は四十六年が目標年度です。そうしたら、もう済んじまうんじゃないですか。そういたしますと、たとえば第三次防衛などというふうに二兆三千四百億円などというような、そういう膨大な軍備拡大計画が独走いたしまして、大砲のほうが独走いたしまして、パンのほうはあと回しになって、ひずみの是正や国民生活安定向上はできないのじゃないですか。それは私は佐藤内閣全体の責任だと思うのです。園田さんはこの間大臣になられたばかりでありますから。しかしながら、厚生大臣をごろごろごろごろ一年もたたぬうちにかえるというふうなことの不見識さというものは、これは佐藤内閣は責められなければなりません。園田さんは、これは断固として半永久的にすわってもらいたい、こう思うわけです。  それは別にいたしまして、とにかく内閣の国民生活安定向上とか、社会開発とか、人間尊重とかいうことは、全く池田内閣から佐藤総理が引き継ぐときのスローガンだけであって、スローガンがそのときだけ役に立ったら、あとはほったらかしておるのじゃないか、こういわれてもしかたがないわけであります。昭和四十六年には目標年度が終わるわけですが、それではだめじゃございませんか。私が言うのはそれよりも早く——やはりこれは大蔵大臣に聞きたいところですけれども、日本社会保障制度の中でやられていないのは、児童手当が一つあるわけです。それからもう一つは、年金のおくれがあるわけです。医療保険の停滞と混乱があるわけです。この三つの社会保障の大きな欠陥は、大蔵省の文書の中にも出ておる。財政審議会に出した文書の中にこのことが出ている。これを総合的にどういうふうに立て直して、全予算の中で社会保障費をどういうふうに確保していくか、こういうことについて、国民生活水準は非常に低いということを大蔵大臣も言っているんだから、そういうひずみを是正するような目標を立てることが、政治目標であってしかるべきではないか。その肝心かなめのところが抜けておるのが、佐藤内閣の一番の欠陥とするところではないか、私はこういうふうに思いますが、企画庁長官、いかがですか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 経済社会発展計画では、先ほど申し上げましたように、社会保障について長期計画が必要であるということを指摘いたしますとともに、この計画期間中にもそういうものがつくられることを、実は促す態度をとっておるわけであります。そうして、計画といたしましては、昭和四十六年度において、昭和四十年度から比べまして、振替所得が国民所得の中で二ポイントほど上がるべきであるという想定をとっております。昭和四十年度で振替所得は国民所得の五・五%ぐらいでございましたが、それが二%上がるということを考えておるわけでございますから、かりに国民所得が五十兆といたしますと、これは一兆になるわけでございますが、それだけのものを振替所得の分として経済社会発展計画は留保をして割り当てて、取っておると申しますか、そういう想定を持っておるわけであります。
  27. 大原亨

    大原委員 大蔵大臣大蔵省が先般財政審議会に、大蔵省社会保障の問題に対する考え方といたしまして資料を出しておるのです。その中にはきわめて認識不足の点もあるわけですが、しかし、やはり問題点を指摘いたしております。児童手当がない、年金がおくれておる、医療保険に問題がある、そういう点でそれらの問題について総合的な計画を立てて、この社会保障の問題を考える必要があるのではないかという問題提起をいたしておるのですが、大蔵大臣はその問題についてどうお考えですか。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、いま企画庁長官が申しましたように、振替所得の国民所得に対する比率が、昭和四十六年までに、あの中期計画によったら二ポイント程度上がるだろう、同時に社会保険負担も、同じようにいまの四・六%の負担から二ポイント上がるだろう、また、それくらいにしなければならぬということをいっておりますが、これはどういうことかと申しますと、結局、所得保障が日本ではおくれておりますので、いま言った年金制度というものが非常におくれておりますので、このおくれを取り返さなければならぬということが一つと、同時に、社会保障制度全体としてここで総合調整しなければならぬ。そのためには、税という形で国が直接保障する社会保障制度と、やはり社会保険制度として、国民が保険金の負担ということによって給付を得る社会保険制度、ここのけじめをやはりはっきりつけて、これの総合調整をうまくやるということでないと、社会保障制度を伸ばして、そうしてそれぞれを二ポイント程度上げるという仕事はできないと思いますので、私どもはやはり一方に偏しないで、この国費をもってするものと、社会保険制度を活用してするものと、この関係の合理的な調整をはかるということが、将来社会保障制度を円滑に伸ばしていく基礎をつくることになるのだというふうな考え方から、今後の財政政策についても、そういう点で私どもは十分考慮したいということをいま考えておる次第でございます。
  29. 大原亨

    大原委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、けさの毎日新聞のトップにも、「福祉費にシワ寄せ、来年度予算、生活保護費押える」とこうあるのです。つまり、佐藤内閣が特に特徴的に言いだしたことばの中で、安定成長の中で格差を是正する、ひずみをなくする、こういうことは、いままで議論いたしましたように所得格差をなくする。所得格差が、日本ぐらい開いているのはないです。中小企業と大企業の賃金でも、一〇〇と五〇です。それから性別の賃金格差でも、大体一〇〇と五〇です。五〇%です。生活保護の基準も、一般国民生活水準からいうと五〇%です。これが一つ問題です。つまり、格差を是正するといったら底を上げていかなければならぬ。外国では大体八〇%ぐらいまで、賃金でもあるいはいろんな格差でも是正をして格差を縮めているわけです。縮めようと思えば下を上げていかなければならぬ。  これはずばりとお尋ねするのですが、生活保護については、消費水準の上昇率を基礎として、いままで慣例として、社会保障制度審議会が昭和三十六年に答申いたしました十カ年計画、ただ一つある長期計画、その中の基準に従って、一定の基準というのは何かというと、消費水準の上昇、つまりいままでは、昨年もことしも二二%、これを引き上げることによって——この制度自体の欠陥はありますよ。それは認めるのです。これは救貧政策ですから、貧乏を予防する防貧政策ではないから認めますけれども、そこを宮澤構想のように、物価上昇分四・五%分、あるいはこの新聞によると五%、六%、前の半分、こういうふうにしておくならば、一般国民との一〇〇と五〇、この五〇%の生活水準を上げていくことはできないから、これは全部に影響するのです、あなたよく知っておられると思うのだが。予算査定されればよくわかると思う。生活保護の基準をどうするかということは、いま一日百二十三円が食費だけれども、これをどうするかということが、全部社会保障水準に影響するように日本はなっておる。非常におくれておることも原因いたしておりますがね。これをやっぱりいままで——ようやく朝日裁判以来確立されたそういう基準、消費水準の上昇率、その基準を下回るような、半分になるようなことをあなたはやるのですか。そういうひどいことをやるのですか、あなたは。これは、私は佐藤総理がおられましたら徹底的に議論したいと思うけれども、そういうことをおやりになるのですか。この新聞に書いてあるけれども、いかがですか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 予算の編成はこれからの問題でございまして、まだそういう点私どもはきめてはおりません。本年度のような財政の大きい繰り延べをやらなければならぬという事態のときでも、私どもは公共事業費の繰り延べをやりましたが、社会保障関係については繰り延べをしない、こういうことで重点をそこへ置いた運営をやっておりますので、来年度の予算編成におきまして、これはいろいろの観点から、全体の総需要を抑圧するためにいろいろのくふうをしなければならぬと思っておりますが、その中でバランスをとった予算の配分はやるつもりでございまして、特に社会保障をどうこうする、全体の均衡を害してそこにしわを寄せるというような編成方針はとらないつもりでございます。
  31. 大原亨

    大原委員 それじゃきょうここへ出ております新聞ですね、生活保護基準や年金その他はぎゅっと締めるのだ、こういうパーセンテージを書きました方針というものは、これは事務当局が出した一つの案にすぎない、あるいはどこかエキスパートの新聞記者がかいだにおいにすぎない、こういうことであって、大蔵大臣が考えておることではない、佐藤内閣が考えておることではない、そういうふうに了解してよろしいですか。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はまだ予算の編成方針をきめておりませんので、きょうその表題はちょっと見たのですが、どうせほんとうでないと思っておりましたから、よく読みませんでした。
  33. 大原亨

    大原委員 この問題ばかりに議論を集中するわけにはいかないのですが、厚生大臣、いままで鈴木厚生大臣、坊厚生大臣、その前は神田厚生大臣、小林厚生大臣、これは忘れるくらいかわっておられる。そういう歴代の厚生大臣は、社会保障長期計画を立てる、こう言われながら、昨年以来の医療保険の問題で立たなかったわけです。いままで議論いたしましたように、社会保障長期計画厚生省だけがやるわけではないわけですから、企画庁等も参加されておるわけですから、政府全体の責任、そういう佐藤内閣の公約に従って、万難を克服して長期計画をつくって、昭和四十六年の目標年度までに、やはりこの問題だけが取り残されて、ほかのほうがバランスを失った形で独走するということのないように、硬直化のしわ寄せがそういうところにこないように、こういう点については決意を新たにして計画策定に当たっていただきたい、私はこう思いますが、いかがですか。
  34. 園田直

    園田国務大臣 お指図のとおり、私どもといたしましても全力をあげてやりたいと考えております。前大臣は四十三年度をめどにしてやりたいと言っておりますが、その目標に何とかしてこぎつけるように努力をいたします。
  35. 大原亨

    大原委員 次に、懸案の社会保障の諸問題につきまして、一つ一つ御質問いたしていきたいと思うのです。  第一番は原爆被爆者の援護、これは懸案の問題ですが、問題であります。これは御承知のように昭和三十八年の十二月に東京地方裁判所の判決がおりまして古関判決といいますが、おりまして、アメリカが広島、長崎に原爆を投下したことは国際法の違反行為である。ただし、日本はサンフランシスコ条約で賠償請求権を放棄をいたしておるから国に責任があるはずである。しかし、国に対して個人個人が請求権を発動する法律的な手続もないし保証もないから、これはできない。できないけれども、いまの被爆者の医療法だけの現状にこの問題をとどめることは、人道上からも、経済成長の今日からも許すことはできない。これは政府、国会の責任であるという判決がありました。それを受けて昭和三十九年に、衆参両院で原爆被爆者援護強化の決議があったのであります。それを受けまして四十年から実態調査が進められてきたわけであります。  そこで、私は当時の法律その他の関係を調べておりましたけれども、昭和二十年の四月一日に沖縄にアメリカ軍が上陸した、あるいは八月六日、九日と原爆が落ちた、やはり何といっても、こういうとうとい人柱の上に終戦や平和の今日があるという経過を、私はまざまざと思い浮かべるのであります。そういう点から考えて、沖縄の問題と一緒に、広島、長崎の原爆の問題は、この問題を解決しなければ戦後は終わらない、こういうふうに私は言ってよろしいと思うのであります。いままで幸いにして医療法については相当の進捗があったわけですが、病気と貧乏の悪循環をどう断ち切るかという点において問題があるわけであります。  そこで、私はこの問題に対する主管大臣である厚生大臣のいまの場面における——種々各方面で、与野党その他政府部内を通じて御努力になっておりますが、この点に対する決意のほどを明らかにしていただきたいと思います。
  36. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御指摘の問題は、しばしば国会、衆参両方で決議もなされておりますが、厚生省では先般来実態調査をいたしまして、その結果がまとまりました。この実態調査の結論については、関係団体あるいは被害者の方々には不満があるようではありますが、その実態調査の結果に基づきましても、被爆者の置かれた特別の環境等から考慮をして、いままでは基本法に基づいて診断、健康、治療方面にやってまいりましたが、やはり援護のほうに重点を置いて十分手厚い施策をやるべきだと、このように考えております。
  37. 大原亨

    大原委員 そこで立法の趣旨についてのことでございますが、私どもはこういう立法の趣旨についての考え方をいたしておるわけです。つまり立法の趣旨について明確にしなければ、法内容の前進を期することはできないのではないか。  二つあるわけでありますが、その一つは、やはり国家補償ずばりとは言いませんが、国家補償の精神に基づいてつくるということが一つ。第二点は、原爆が爆発をいたしました当時の原爆は、いまで見れば小さいわけですが、爆発点の中心点は三十万度といわれておるわけであります。その原爆の爆発によって起きた爆風や熱線や特に放射能の人体に及ぼす障害については、政府の三つの系統の各研究機関がありますが、どの機関の報告をとってみましても、これは明らかに因果関係が人体においてはあるわけでありますが、その放射能の被害、いわゆる認定被爆者だけでなしに特別被爆者を含めて二十余万ほどおりますが、その人たちは放射能の被害者である。こういう点を明確にして、いままでの医療法の第一条を改正して立法の趣旨を明確にすべきであると私は考えますが、いかがですか。
  38. 園田直

    園田国務大臣 ただいままでの医療法を一部改正をしてこの目的を達成するか、あるいは他に特別な法律を準備をしてこれに施策を講ずべきか、この点はただいま検討中ではございますが、私といたしましては、医療法の一部改正ではなかなかやっていけないのではないか、したがってその法律案をどのような法律案にするかということはただいま検討中ではございますが、ただいまの御意見その他を十分しんしゃくをして、そのような検討をしたいと考えております。
  39. 大原亨

    大原委員 もう一つ、これはこの際、重要なときですから、気がかりになる点を指摘をしておきたいのですが、去る十一月に厚生省が四千万円の金を使いまして発表いたしました実態調査の結果につきましては、これは非常に各方面で不備があり不満があるわけであります。  そこで私は科学技術庁の放射線影響医学研究所、あるいは厚生省の予防研究所、ABCCに併置しておりますが、それから広島、長崎大学の原医研や原爆後障害研究所等の今日までたくさんの国費を使いましての研究成果というものにつきまして集約をしたものをとってみました。とってみましたならば、原爆の影響は、白血病や白内障やガンやあるいは小頭症や、その他被害があるということを、はっきりとこの調査研究の結果は明らかにいたしておるわけであります。ですから、いままでの厚生省の実態調査は、部分的に一応の価値はあると思いますが、そういう学術的な医学的な研究の成果、これをもあわせて、実態調査の結果というものをもとにして援護法をつくる、こういう方針で事態を進めていただきたいと思いますが、厚生大臣いかがですか。
  40. 園田直

    園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、先般行ないました実態調査の結論に対する各方面の御意見等は十分承っております。したがいまして、ただいま御指摘の研究所あるいは科学技術庁その他の各団体の研究その他は十分参考にいたしまして、必要なものはこれを取り入れ、総合的な見地から施策を講じたい、このように考えております。
  41. 大原亨

    大原委員 これは各方面の要望でありますが、病気の裏づけとなる所得の保障、手当、そういうものだけでなしに、老人ホームその他の施設についてもこの際実情に即したように十分の配慮をしていただきたいという強い要望があることをつけ加えておきます。  それから、この問題に関係をいたしまして、現在戦傷病者戦没者遺族等援護法という法律があるわけでありますが、これは兵役法と総動員法関係を主といたしまして、軍人、軍属、準軍属に分けまして適用をいたしておるのであります。終戦のあの決戦の段階において、戦闘員と非戦闘員を分けることはおかしい、こういうことの前提で私はいろいろ法律を調べてまいりました。昨日も官房長官や総務長官等のはんこが要ったらしいのですが、国民義勇隊関係の資料も閣議決定等も私の手元に入りました。それを調べておりましていろいろな点に気づいたわけです。それは法制局長官にもお伺いしたいところですが、これは法律が非常に間違うておるところがあるわけです。この法律がはっきり間違っているのです。いま申し上げました援護法の第二条第三項第三号におきまして、準軍属といたしまして給与金や弔慰金を支給されますが、そういう人々に対しまして、その対象といたしまして書いてあるところは、「昭和二十年三月二十二日の閣議決定国民義勇隊組織に関する件に基いて組織された国民義勇隊の隊員」、これが対象になっておるのですが、私が調査をいたしておりますると、これは昭和二十年三月二十二日ではない。閣議決定はそうじゃない、昭和二十年三月二十三日が閣議決定だということがはっきりいたしました。この法律はうそである、一本足らぬ。これは一本足らぬということがわかりました。この法律はそういう点では間違っておるのでしょうか、どうでしょうか。あなたに言ってあったはずだから、答弁してください。
  42. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 お答え申し上げます。この規定は、戦傷病者戦没者遺族等援護法が昭和二十七年に当初制定をせられまして、その際いろいろ議論がございまして、第二条に準軍属の規定が入ったわけでありますが、その後全文ほとんど書き改めまして、現在の第二条第三項の規定に、ただいま御指摘のございましたような国民義勇隊の規定が入ったわけでございます。そのまま引き移して入ったわけでございまして、ここに三月二十二日と書いてございますのは、どうも私どもの調査によりましても、昭和二十年三月二十三日に閣議決定が行なわれたようでございます。そうなりますと、この規定自体が働くかどうかという点でございますが、これは閣議決定を引用する場合に、参考としていわば昭和二十年三月二十二日ということを引用したわけでございまして、その内容といたしましては国民義勇隊組織二関スル件という件名の閣議決定——これはもちろん法律でも政令でもございませんが、閣議決定を引きまして、それに基づいて組織された国民義勇隊の隊員については準軍属として取り扱うという趣旨は、十分この法律の規定の上から読みとれるわけでございますので、運用上は万支障はないと存じまするけれども、できるだけ早い機会に、この改正の機会がございましたならば正しく訂正をいたすようにすべきものだと思います。
  43. 大原亨

    大原委員 これは一本足らぬわけですよ。間違いなんだ。この法律は間違いなんです。昭和二十年三月二十二日には閣議決定はされてない。二十三日になっておるわけですよね。これはたいしたことでないからまあ……。  私がこれを調べているのは、申し上げたように戦闘員と非戦闘員を区別することはおかしいではないかということが一点。もう一つは、兵役法と総動員法と閣議決定による国民義勇隊の関係だけを援護法の対象として、軍人、軍属、準軍属として給与金や身体障害者年金を出すということは、これは戦争犠牲者の救援では少し足りないのではないか。法律でできた防空法関係の犠牲者をやはり加えるべきではないか、その例として警防団や医療従事者を私は指摘をしておったわけです。昭和二十年三月二十三日の閣議決定、そのときのことを考えてみますと、三月の九日、十日に東京の大空襲があったわけです。そして続いて東京、横浜の大空襲があったわけです。それから鈴木貫太郎内閣に四月の初めにかわりまして、迫水書記官長が出ております。防空総本部には、古井さんや灘尾さんやあるいは高見三郎さんの名前がずっと出ておる。異常な状況がありまして、国民義勇隊が結成されることになったわけです。これは陸軍、海軍が強引にねじ込んで、防空法関係ではだめだ、国民義勇隊を閣議決定でやれ、こういうことで法律その他はくそ食らえでやったわけです。総理大臣官邸にはイモ畑ができたということが当時の記録にあります。あそこはイモ畑であったわけです。総理大臣鈴木貫太郎は視察をいたしております。そういう状況になったわけであります。竹やり訓練を女性に対してやらせたのもこのころであります。その当時のことを調べてみまして、きのう初めて出てまいりました閣議決定閣議了解を見てまいりますると、お手元にはないかもしれませんが、私の資料の最後のほう、二つ目にありますが、昭和二十年四月十三日、これは鈴木貫太郎内閣になったとき、迫水久常氏が書記官長の当時です。そのときに閣議でいろいろ議論になりました結果こういうことがある。「警防団ハ」——これはいま何らの措置がされておりませんが、防空法上の組織です。「警防団ハ之ヲ国民義勇隊ノ組織二一体化スルコトヲ」云々といたしまして、閣議了解をいたしておるのです。当時は閣議了解であるから力がないというものではない。これは軍の強力な要請によりましてやったので、大政翼賛会や翼賛壮年団や町内会、隣組、学校から青年団組織を全部国民義勇隊に改編いたしまして軍の指揮下に置いて戦闘組織をつくる、吊りいうのが趣旨であります。その一つといたしまして援護の対象となっております国民義勇隊と警防団とを同一にいたしまして運営をしたというふうな文書が、ここに残っておるわけです。そういたしますると、防空法関係の警防団その他の犠牲者、いわゆる民間の犠牲者に対しまして、私は広島、長崎のことを中心に調べたわけですが、これに対して放置するということは均衡上おかしいのではないか、あるいは法の実体上おかしいのではないか、こういう疑問を持ったわけであります。非戦闘員であるから国の権力関係がない、雇用責任がないからといって恩給や年金の対象にしなかった、給与金の対象にしなかった。そういうことは非常に政策的であって、戦争犠牲者の立場から見ればこれはきわめて不公平な措置ではないか、こういう点を私どもは考えたのであります。その点につきまして私は法制局の見解をひとつ聞いてみます。
  44. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 だいぶ政策の問題にわたりまするので、法制局からお答えすることはあまり適当でないかもしれませんが、その法制面に限ってお答えを申し上げます。  先ほど御指摘のございました国民義勇隊組織ニ関スル件、昭和二十年三月二十三日の閣議決定では、防空関係につきましても国民義勇隊がその職務を行なうということが定められております。すなわち、その閣議決定の一の「目的」でございますが、そこの中に「国民義勇隊ハ隊員各自ヲシテ旺盛ナル皇国護持ノ精神ノ下其ノ職任ヲ完遂セシメツツ戦局ノ要請ニ応ジ左ノ如キ業務ニ対シ活溌ニ出動スルモノトス」とございまして、その(一)に「防空及防衛、空襲被害ノ復旧」、というような事項を並べております。したがいまして、これは実質的には防空法によります防空の業務に従事すべき旨を下命して防空の実施に当たらせたのと実質的には変わりはないと思います。これは閣議決定でございますので、あくまで行政上の要請でございますが、その当時の状況におきましては、このような要請に対して国民はいわば喜んで服従して協力をしたというのが実態であったかと思います。したがいまして、この国民義勇隊として活動した者と、防空法のもと防空の実施に従事すべき旨の下命を受けて活動した者との間には、実質的には差はないというただいまの御指摘は、まことにそのとおりだと思います。また三月二十三日以後、この国民義勇隊の閣議決定がございましてからあとは、おそらく防空関係もこの閣議決定に基づいて実施せられたものと思いますので、その関係で不幸にあわれた人に対しましては、現在の援護法の準軍属として取り扱われるべきものだと法制上考えられます。
  45. 大原亨

    大原委員 これはこまかな議論もしたいのですが、それは後回しにいたしまして、あなたの御答弁で一つひっかかるところがあるのです。法制上は趣旨はそうなっておるけれども、実際には喜んでやったのだというようなことを言っておる。防空法というのは、だんだんと罰則その他の制度も強化されまして、防空法には、防空法の命令に従わなかった者は一年以下の懲役または千円以下の罰金、いまでいえば、もう三、四十万円に相当すると思うのですが、そういう罰金の制度があるのです。一方では防空法の第十二条に基づいて防空扶助令という勅令が出ておりまして、当時死んだ人あるいは身体障害者、疾病者に対しましては千円、千五百円の扶助金があるのです。ですから喜んでやったというふうなものじゃなしに、特に国民義勇隊と一緒になりましてからは、これは軍が背景になりまして全部指揮いたしまして、あなたは知っておられぬけれども、ここにある。国民義勇隊はすぐ戦闘隊組織にかわるのです、敵が来たならば。非常事態においては戦闘隊組織にかわる。戦闘隊組織とある。そして軍の命令下において、閣議決定にあるように一億皆兵、こういう立場において決戦に臨むということになる。だから沖縄だって全部やっておる。非戦闘員までやっておるわけです。七月一日のときにはやっておるわけです。ですから、そういう点については、私はここでぎりぎりと責めてとやかく言うわけではありませんが、私は被爆者の問題を調べておりまして、広島、長崎の民間の非戦闘員の死没者が多い、しかし放てきされておることは何といっても了解できない、こういう強い不満があることは、当時のことからいって私は当然だと思う。そしてその後の事務の扱い等については、私はずいぶん議論すべき問題があるわけです。あるわけですが、ここでははしょって、私はその点については後の機会に譲りますけれども、これはまことに政府は不都合なんです。国民義勇隊や防空法の関係の資料は、閣議決定その他法律は、全部中央、地方の資料を焼かしておるのだ、焼却を命じておるのだ。なぜかというと、米軍が上陸してさましたら追放になるからであります。追放の資料は焼けというので全部焼かしておるのだ。ある一部から、これは長崎の一部の人がこの間持っておったやつを私が逆に調べて、防空法関係国民義勇隊関係の資料を全部とったわけです、わかったわけですが、全く不届きなことをしておるのだ。しかも昭和二十一年の一月三十一日に、勅令の防空扶助令は廃止しておるけれども、扶助金の交付については存置するというふうに附則できめておる。しかしながら、政府は窓口も置いておかなければ、大蔵省予算も計上していなかったわけです。ですから、その当時の防空法関係の保護規定すら、扶助規定すら実行されていない、こういう実情にあるわけであります。私はやはり法律の犠牲者の救援というものは公平でなければならぬ。そういう面においては、物的な損害等に対しては在外資産その他で議論いたしましたが、焼夷弾で焼かれた人もたくさんあるでしょう。しかし事人命とか、ケロイドその他で一生涯結婚もできない、そういう人々に対して、被爆者等に対しましては、国は手厚い援護をしてしかるべきである。それであるのに、この新聞を見てみますと、これはけしからぬことが書いてある。非常にこの点について理解がないようなことを言っておるが、大蔵大臣は先ほどの答弁で、だれかが流してだれかが言ったんだろう、私は知らぬ、そういうことを考えていない、こういうことであったわけですが、私はその間の事情について、法理論についてはあらためて別の機会においてやりたいと思うけれども、実情について理解を願って、この被爆者の援護の問題については、私は、重大な決意をもって当たっていただきたい。この点について大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 いままでこの種のことで問題でございましたのは社会保障の体系の問題でございまして、いまの体系では生活の援護をするというものは生活保護費ということになって、そのほかの問題はそのほかのやり方で解決するというふうになっておりますので、戦災者全体に対しても、最悪の場合は生活保護費でこれを助けるというたてまえになっておりますが、ただ、この原爆の被害者は、これは特殊な地位にございますので、その医療についてはいろいろ年々強化して手厚いことをしておりますが、生活援護をするかどうかということになりますと、ほかの社会保障制度との均衡、ほかの被害者との均衡の問題から、これを特別法としてやることのむずかしさが出ておりましたので、したがって、現行医療法を強化するような形でこの特殊な事態に対処できないかというような方向で、一歩一歩毎年この問題を取り上げてきましたが、さっき厚生大臣も言われたように、まだこの方針については、これからやはり政府部内で検討すべき問題であるというふうに私は考えております。
  47. 大原亨

    大原委員 いままでのそういう医療法の経過を尊重しながら、このワクを越えて手厚い援護を——手厚い援護というふうに総理大臣の御答弁があります。そういう点について十分配慮したい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか、大蔵大臣
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、生活援護をするための特別立法というものがほかとの均衡でできるかどうか非常にむずかしいと思います。ですからこの特殊性を生かそうとするならば、医療制度の強化という方向でやるほうがいいのではないかということをいままで考えておりましたが、しかし、これはここまで問題になっておりますので、どういう形をとったらいいかということは検討事項にさせていただきたいというふうに思っております。
  49. 大原亨

    大原委員 つまり、あまり説明は要らぬのですが、前向きでとにかく今回はやりたい、こういうことですね。よろしゅうございますね。  官房長官、あなたはいままで熱心にこの問題については主張してこられたわけですが、お考えを聞かしてもらいたい。これは総理大臣にかわってやってもらいたい。
  50. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 いま大蔵大臣厚生大臣からお述べになったとおり、政府は前向きにこれを考えたいと思っております。
  51. 大原亨

    大原委員 それではその次にまいりますが、今度は、佐藤総理は、うそを言いません、こういうことを最近よく言われるわけで、まことにけっこうなことですが、私は、国会において議論をいたしまして国会を通じてお答えになったことは、ただ私に対する答弁じゃなしに、国民に対する約束だと思うのです。公約だと思うのです。官房長官、そうでしょう、国民に対する公約ですから。ですから、このことは私は実行してもらわなければ困るというわけです。ことしの三月と七月の衆議院の予算委員会において、たび重ねて児童手当の問題をいろいろ議論いたしまして、私どもは、救貧政策としての生活保護の基準が相当あるし、相当最近は前進しておるけれども、なお大切であるけれども、しかし防貧政策としての社会保障制度というものは、つまり年寄りとか身体障害者とか母子家庭とかあるいは失業とか貧乏とか病気とか、そういうようなものに対する防貧的な措置というものが社会保障制度として総合計画がない。これは厚生大臣大蔵大臣も認めておられるところです。そこで、それらの防貧政策の基礎になるものが児童手当であります。外国では六十二カ国が戦後いち早くこれをやっておるのです。日本ではないということで問題になっておるのです。これを三月と七月の衆議院の予算委員会で、四十三年度からやる、こういって総理大臣は確認をしておられるわけです。御答弁になっておる。約束されておるわけです。この点について官房長官に聞きましょうか、厚生大臣に聞きましょうか。厚生大臣、この間の経過と結果についてお答えいただきたい。
  52. 園田直

    園田国務大臣 四十三年度をめどにして法律を提案するということを前任者が言っておられることはよく聞いておりますが、ただいま児童手当懇談会へその具体的構想を尋ねております。したがいまして、この結論を得次第早急に法律案の準備をし、関係各省と折衝したい、こう考えておりますが、正直に申し上げまして、ただいまの段階で四十三年度にこれを実施することは困難な状態に立ち至っております。とりあえず今年度の予算ではその児童手当をつくるための準備金を予算に要求いたしております。
  53. 大原亨

    大原委員 官房長官、総理大臣はうそを言われた結果になるわけですね。総理大臣は二回にわたって確認されておるのですよ。私の所信に変わりありませんといって、七月は言い切っておるのです。けっこうなことだと思っておりました。何かで聞きましたら、参議院で公明党の御質問に対しまして水田大蔵大臣は水をさしたというようなことでいろいろありましたけれども、ともかくも約束されておるのですよ。このことは総理大臣によく言っておいてください。これはあらためて私は総理大臣の責任を追及したいと思います。  しからば厚生大臣、四十三年に、あなたのお話ではできそうにないということになれば、四十四年にはできるのですか。
  54. 園田直

    園田国務大臣 ただいま申し上げましたとおりに、児童手当懇談会に対して具体的構想をお願いしておりまするから、その結論も、いままでの約束もあり、ただいまの御意見もありまするから、私のほうでなるべく結論を急いでいただくことにして、そして四十四年度はぜひやるようなめどにしてやりたいと考えております。
  55. 大原亨

    大原委員 財政審議会に大蔵省から、現在の日本社会保障制度の問題点という文書が出ておるわけです。これは厚生省が書くべきものを大蔵省が書いているのです。これは大蔵省厚生省はなめられている証拠です。その中に、大蔵省が書いたといたしましては聞き捨てならぬことがある。日本の年功序列型賃金のもとでは、賃金体系を変えねは児童手当はできないということを言っているのです。主客転倒とはこのことを言うのです。つまり、児童手当をつくって、同一労働、同一賃金というふうな賃金体系ができ上がっていくのです。年功序列型の賃金がある間は児童手当はなかなかむずかしいというふうなことを簡単に結論づけているわけですが、総合計画の点でいろいろ議論いたしましたが、そういう独断をやってはいかぬというのです。これは社会保障の本質を知らないものですよ。たとえば、児童手当ができ、養老年金がよくなれば生活保護や失対事業というものは減ってくるのですよ。失対事業の中には六十歳、七十歳、八十歳、九十歳もおるじゃないですか。生活保護だって、年寄りと病人と子供をかかえた母子家庭、そういうふうな人々や身体障害者が多いのですよ。これは防貧的な社会保障制度ができれば、その基礎の児童手当ができれば、全体の予算が効率的に使われる。だから、総合的な計画が必要だというのです。大蔵大臣のそういう独断的な考え方で財政審議会へ諮問いたしまして、そうして、社会保障制度をぎゅうぎゅう締めて、自民党佐藤内閣の公約をこっぱみじんにしようというふうな魂胆は許すことができない。この点についてひとつ大蔵大臣の見解をお聞きいたしたい。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 児童手当の問題が出ましたので、一応私の考えを述べたいと思います。  わが国社会保障制度は、生活のいい人も悪い人も一律にこれを助けるという方向で発達してきたのではございませんで、生活に苦しい人をどう助けるかというところから出発して今日までいろいろの諸制度が積み重ねられてきたと言っても過言ではなかろうと思います。そういたしますと、児童問題につきましても、特に児童として、生活に苦しんでおられる児童というものは助けなければならぬということから、母子福祉年金とか児童扶養手当とか、あるいは特別児童扶養手当というような諸制度が積み重なってきて、児童に一定の手当を出す制度が順々にできてまいりました。一方また、たとえば税制におきましても、家族が一人ふえれば税制においてこれだけの控除をするというふうに家族がふえる、子供が生まれるに従ってこれを助ける、税制面からも扶養控除制度というものは出て、こういうものが積み重なっていまの制度をつくっておりますので、児童一人について幾ら支給するというような制度をそのままここへ移そうとしたら、なかなかいまの制度の中に植わらない問題がございますので、もし児童手当制度をほんとうにやろうとするのでしたら、きょうまで積み重ねてきた社会制度のいろんなものを一ぺんくずして、最初から調整して組み直さないとこの制度は植わらないというふうに私は思っております。  なぜ西欧にこういう制度が発達したかと申しますと、御承知のように、これは向こうは能率給でございますので、したがって、家族の多い少ないによって賃金が払われていなかった。これに対して、生活の苦しいのを救うために、家族の多い苦しみを救うために、事業者側から自発的に子供が生まれた場合にその手当を出すという、事業者負担の児童手当というものが外国で発達してきた。日本は賃金形態がそういうのじゃなくて、家族がふえるに従って賃金がだんだんに増していく。その人の腕によって、職種、仕事の質によって賃金を払うという制度をとっていない。そういうことから見ましても、これは西欧には発達した制度ですが、日本の社会にこれを植えつけてもなかなかうまく植えつけられない制度であるというふうに私どもは考えておりますので、その点で、この問題は早急にここ一、二年の間に実施できる制度ではなかろう、もう少し社会保障制度全体との関係で研究する余地がたくさんあるだろうというのが、私どもの考え方でございます。
  57. 大原亨

    大原委員 それは総理大臣の意見とは違うじゃないですか、あなたの意見は。あなたは総理大臣の意見を聞いてなかったのですか。総理大臣がどう言ったということは、ちゃんとここに記録にありますよ。つまり、私はそれについて議論すれば幾らでもあるのですよ。所得格差を是正するとか、国民生活を安定させて向上させるとか、そういうふうな考えは、防貧的な社会保障制度を総合的に進めることによっていまの賃金の問題も全体としてこれは解決できる。つまり、日本の若年労働者を非常に各企業が要求して、人手不足が経済社会発展計画の大きな支障になっているということを企画庁長官は言いましたけれども、しかしそれは何かというと、若年労働者の賃金が安いということです。若年労働者の賃金が安い。結婚もできないということだ。家もないけれどもね。そこでその結果が回り回って、出生率というものはハンガリーに次いで日本が世界で第二に低いのだ。二・一四という静止限界、夫婦で子供二人以上生んで初めてこれが存続するわけだけれども、それを割っている。一・九八だ。そういうところからも、児童の人権、子供の人権を尊重するという点からも児童手当をつくるべきである、こういう議論なんです。あなたのはさか立ちしておるのですよ。しかも総理大臣の意見と違うわけです。これは官房長官いかがですか。総理大臣と違う意見をかってに言っている。一両年中にはとてもできやせぬということを言っているけれども、あなた、表裏一体のスポークスマンだけれども、答弁してください。
  58. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 いま大蔵大臣から、財政当局としてのいろいろお考えをお述べになりました。しかしながらまだ政府部内で統一した見解を出しておりませんので、今後政府部分でできるだけすみやかに方針を打ち出したい、こう考えております。現在のところ、総理大蔵大臣の意見には何ら矛盾はございません。
  59. 大原亨

    大原委員 あなた、総理大臣は四十三年からやると言ったのに、一、二年中にはできやせぬと言う。どこが違わないのですか。あなたのスポークスマンはそういうことなんだ。この前からずっと見張っておるけれども、問題ですよ、これは。総理大臣によく言っておいてくださいよ。ここらで厚生大臣の所信を聞きたいところだが、次に進みます。  次は農民年金、これはもう自民党も公約されました。社会党も公約いたしました。農民のための年金とわれわれは言っております。  これは一つだけ聞いておきます。倉石農林大臣は七月の衆議院の予算委員会で、一部には国民年金に上積みすればよいという安直な声の論者もある、しかし農業対策としての基本的な考えに立脚しなければならぬ、こういうふうに御答弁になっております。しかし経済企画庁経済社会発展計画によりますと、国民年金を改善をして農民の要望にこたえるというようになっているのです。坊厚生大臣の答弁を議事録で見てみますと違うわけです。これは経済社会発展計画のほうの意見です。いままで一千万円かけていろいろと御研究になりました。公約にもあります。そこで、いままでの経過と大体所信、考え方、——もう考え方、構想がまとまって、厚生省にお出しになって議論されるときでしょうが、この際、端的に農林大臣のお考えを聞かしてもらいたい。
  60. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農業者年金につきましては、われわれは農業近代化、それからまたただいまのような客観的情勢、農業界の事情を見まして、これの近代化をはかり、加入者を育成する等、いろいろな角度から農業者年金というものを考えておるわけでありますが、ただいま農林省部内でも、それからまたもう一つは権威のある学者たちの集まりであります農民年金研究会等にも委嘱をいたしまして、鋭意検討を続けておるわけでありますが、結局、国民年金審議会等においても別途にいろいろ検討を続けていただいておるわけであります。したがって、なるべくすみやかに成案を得て、ただいま申し上げましたような方向の考え方をどのようにして取り入れることができるかという考えを固めまして実施に移してまいりたい、こういうことで、いま申し上げましたような研究会、審議会等において鋭意検討中でございます。
  61. 大原亨

    大原委員 私が意地悪くいえば、厚生大臣と、前以来農林大臣の意見が違うわけです。経済社会発展計画の中身というものが違うわけです、あなたのお考えは。違うのですが、あなたもしろうとのことですから、あまりこのことは追求いたしません。時間もないので幸いですが……。とにかくああいうことを言っているし、それから経済企画庁もそれに対してコントロールする力がない、せっかく閣議決定しておいて。そういうところに政策目標だけ、ニンジンだけ掲げておいてプロセスがないといわれる。端から端から、前から前から計画がはずれていく。実際に国民生活に密着した、格差を是正して、安定させ、人間を尊重するというふうなたてまえに立った、そういうプ戸グラムやコントロールがない。ここに欠陥があるのです。これは。総理大臣のそういう点に対するイニシアチブの不足です。佐藤総理大臣の、佐藤内閣の責任です、こういうことは。ですから、これは問題は何かというと、大蔵大臣とも議論いたしてまいりましたが、国民年金や厚生年金が非常に内容が低いということなんです。年金が低いということなんです。これは大蔵大臣、認めているとおりです。  そこで、昭和四十四年が厚生年金の再計算期でありますが、国民年金の再計算期は昭和四十六年かと思います。しかし国民年金の再計算期を引き上げて、そうして昭和四十四年に、いまの農民のための年金の問題を含めて、この際国民年金の抜本改善を厚生年金と一緒にやるべきではないか、やるべし、こういう意見があるわけであります。この点につきまして、ひとつ厚生大臣の所信をお伺いいたします。
  62. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおり四十六年になっておりますが、その間における物価の上昇、環境の変化等が著しいので、私のほうでも、やはり四十四年にはこれを改善すべきであるとただいま考えております。
  63. 大原亨

    大原委員 じゃ、国民年金は四十四年に引き上げて厚生年金と一緒に再計算、改善すべきである、こういうお考えのようであります。  これはひとつ大蔵大臣にお伺いいたしますが、山一証券に関する一主婦手紙ということで私は申し上げましたけれども、まことにこの問題はふんまんやる方ない、高度成長とはかくのごときものである、国民不在の政策ではなかったかという疑義があるのは当然です。過ぎたるは及ばざるがごとしということばが昔からある。高度成長、行き過ぎた成長、安定成長でない成長は、国民に非常に大きな犠牲を負わせることになる。物価の上昇もそうです。そこで、年金改正の中で集中的に議論されているのはスライド制の問題です。スライド制を、共済その他各種問題を含めてとらなければ、積み立て金は国民年金と厚生年金で二兆六千億円もいまたまっておるわけです。積み立て金をためるだけであって、もらうときには、二十年、三十年後になれば、かすのようになってくるわけですよ。スライド制をとらなければ年金の改善はできない、こういうふうに考えるのであります。これは経済企画庁長官にも厚生大臣にも聞きたいところでありますが、まず大蔵大臣、ひとつ所信をこの際お聞かせいただきたい。
  64. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、この種類のことにはスライド制というものは実際においてむずかしい、なかなかとれないだろうと思います。大体社会保険の計算が、一定の金利そのほかを全部予定して計算して掛け金の計算もやっておるのですから、スライド制をとるということになりますと、常に掛け金の部類においてもスライド制がとられなければならぬということになりますし、そういう点で、これを実施するというときには非常にむずかしい問題を起こすというふうに考えております。
  65. 大原亨

    大原委員 これはいままでの議論や答弁や決議とは、あなたの意見は違うのです。これだったならは、結局は掛け金をかけて積み立てを——受益者負担、保険主義で、自分がずっと積み立てておいて取りなさいという考えをあなたは言っている。しかし二十年後、三十年後には、かすみたいになるじゃないですか、物価が上がっていれば。山一証券の話をしたじゃないですか。五年前、六年前に十万円出して買っておいたやつが八万円になっているじゃないか。利子もついておりはせぬじゃないか。一方、土地は上がっているじゃないですか。こんな不道義なことはないですよ。このくらい国民を堕落させることはないです。政治に対する不信はないですよ。スライド制はとるべきである、こういうことを計算期における原則としてとるべきであるということが、これが各方面の一致した意見ですよ。あなたはまるで、社会開発とか人間尊重とかいう佐藤内閣とは逆なことばかり答弁しておる。そういうことではおかしいですよ。そういうことでは格差の是正とか国民生活安定向上はできないですよ。これは社会主義とか資本主義の問題じゃないですよ。厚生大臣、いかがですか。
  66. 園田直

    園田国務大臣 物価の上昇率やあるいは被用者保険との均衡を保つ意味におきましても、私のほうではスライド制をやってもらったほうが適当であると思いまするが、しかし国家財政その他の関係もあり、そういう趣旨に基づきながらこの問題の検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  67. 大原亨

    大原委員 長官、経済計画を立てるときにそういうことを……。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いま両大臣がお答えしたことと同じでございます。
  69. 大原亨

    大原委員 まるで骨なしじゃないですか、皆さん。大蔵大臣が一言言えば右へならえして、きょうは総理大臣がいないからさっぱり話が進まないが、これは絶対に納得できない、こういうことを私は一応発言しておきます。  大蔵大臣、いままで総理大臣厚生大臣も、しばしばこういうことを言ってきているのです。社会保障長期計画は、これは一つあるわけだ。昭和三十七年の八月に、所得倍増計画に即応して昭和三十六年から昭和四十五年までの十カ年計画がある。そのときに社会保障の総合調整をする三つの公準といたしまして、政府も加わってきめたやつがある。その中には、その第一の公準には、「社会保障国民生活を安定させる機能を持つとともに、なおそれが所得再分配の作用を持ち、消費需要を喚起し、また景気を調節する等の積極的な経済効果を持つ。この点からいえば、社会保障は国の政策として、公共投資及び減税の施策と並んで、あるいはそれ以上重要な意義を持つのである」という国民経済上の意義を加えていっておるのです。国民生活安定向上とは、かくのごとき社会保障制度、これは十分ではないが、少なくとも保守党であってもそういう考えのもとに総合調整計画を立てるべきである、こういうことをいっておるわけであります。これは総理大臣以下、いままでしばしば尊重するということでございました。経済企画庁長官、このことについて簡単に考え方を述べてください。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、御指摘になっている問題は私にもよくわかっております。実はそういう問題はすべての長期計画にあるわけでございまして、ものごとを不変価格で考えるか可変価格で考えるかという、実は非常に大きな問題を御指摘になっておるわけだと思います。が、いまのわが国の実情から考えますと、やはり先ほど大蔵大臣厚生大臣がお答えになったような結論にどうもならざるを得ない。もう一つ進んだ考え方はないのかといわれれば、私は考え方としてはわからないわけではございませんが、やはりいまのわが国の実情ではそこまでいき得ないということではないかと思います。
  71. 大原亨

    大原委員 それならば、佐藤内閣社会開発とかひずみの是正とか人間尊重ということを言わなかったらよかったのです。これはやはり社会開発の柱は、社会保障、防貧政策で立っていく、こういう考えがあるわけです。なかったらできないわけです。ですから、私はこの議論は将来に持ち越しますけれども、この問題につきましては、大蔵大臣の考え方につきましては、私は総理のいままでの御答弁と比較をいたしまして納得できないという点を指摘しておきます。  時間もだいぶ迫ってまいりましたので、公務員給与の問題、財政硬直化と公務員給与の問題、あるいは制度の問題についてひとつ質問いたします。  大蔵大臣は、衆参両院の本会議やその他の場所において御答弁になっております。通年予算補正なし予算を組むのに際しまして、公務員の給与を補正でやらないで最初の当初予算に計上する、こういう点を検討なさっておる、こういうことです。人事院の勧告の完全実施とも関連をして検討しておる、こういう考えです。これはもう一歩具体的な御答弁をいただけませんか。あなたの具体的な考えを明らかにしていただくことはできませんか。
  72. 水田三喜男

    水田国務大臣 いままでは、年度途中で一定の補正要因が出てきましたときに、これを解決し得る財源が、とにかくいままでは確保されました。したがってこれが一つの慣例となりまして、当初予算のときに、補正要因の大きいものを残して予算を編成するということをやっておりましたが、今年度の補正予算のときに私どもが苦労しましたのは、もういままでのような財源を中途で確保することは将来困難だということがはっきりしてまいりましたので、そういたしますと、いまのような予算の組み方、また人事院の勧告のあり方というようなことをもとにしてやっておりますと、将来勧告が出ても、完全実施どころか、いまよりももっとさかのぼれない、実施ほとんど不可能という事態が起こらぬとも限らないというふうに私どもは考えますので、そうしますと、やはり当初予算の中で予定される歳入の中に、やはりこれは相当優先度の高いものでございますから、その優先度、均衡度を十分に考えて、一番最初から他の経費との均衡、総合判断によって配分をするということをしないと、いまよりも人事院勧告に応じられないという事態が起こりはせぬかということを私どもは心配いたしまして、これをそういうような方向でやることはできないかということをいま中心に検討しておりますが、なかなかむずかしい問題がたくさん出てきまして、まだ結論は得ておりませんが、これは従来よりも何か改善に一歩踏み出したいということで、関係当局といまいろいろ相談しておる最中でございます。
  73. 大原亨

    大原委員 人事院総裁、人事院は経過的に見ましても、憲法二十八条の労働三権に基づいて、公務員の権利制限に対する代償として生まれたのでありますが、この通年予算補正なし予算を組むという考え方の中に、政府が当初公務員の賃金について、給与法を政府の手によって改正をして、そしてこれを一方的に実施をして、宮澤構想のようにこれを四・五%の範囲内におさめて、民間賃金その他の模範を示して規制していこうというお考え、そこまであるのかどうかわからぬが、そういうお考えがあるわけだ。当初予算、これに対する見解をひとつ。それから、政府がそういうふうに給与について一方的にきめることができるのかどうかということが、これに関連をして問題があるわけです。それからもう一つは、人事院は四・五%物価が来年上がって、しり上がりになるだろうけれども、四・五%に給与改善を押えていこう、こういう政府の方針で当初予算から計上するといたしますと、そうすると官民のギャップが五%以上開いたときに勧告するという条件の法律から考えてみて、ギャップができないだろう、こういう宮澤さんらしいりこうなやり方が一つあるわけです。しかし五%開いても、たとえ五%開こうが五%開くまいが、たとえ四%であろうが、賃金はかなり高額であって、四%でも公務員の平均賃金からいえば二千円余りになるわけですから、五%以下であっても人事院の勧告はなすべきであるという御見解にお立ちになっておるかどうか、こういう三つの点について、代償機能としての人事院のお考えを聞かしていただきたい。
  74. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもの立場にとっては非常に重大な御質疑だと思います。  第一点、これは先ほどの大蔵大臣のお答えにも関連することと思いますけれども、その意味で、それに触れながらお聞き取りを願いたいと思いますけれども、私どもかねがね責め立てられておりますのは、年度途中にやられてはかなわぬということであるわけなんです。これはまたこれとして、私ども弁明申し上げるべき筋はございますけれども、これは別といたしまして、そういう点にも触れてかねがね私どもが歴代大蔵大臣その他にお願いしてまいりましたのは、八月に勧告をいたしまして、そこで洗いざらい財源をかき集められるということは、それは確かに御不便でございましょう。したがって、大体翌年度において賃金上昇の傾向が大まかにでもとらえられますならば、あらかじめ当初予算の中で勧告に充てるべき含みの財源をとっておいていただけないものかどうか、そうしておいていただいて、いざ八月に勧告いたしまして、あらかじめ御準備いただいたその財源で全部まかない得るならば、これはたいへんおめでたいことである。しかし、もしそれで足りないということならば、足りないところだけ補正その他の手当でプラスをしていただければ、これはまことに完全実施の面からいって円滑にこれを実現せしめ得るゆえんではないかということをかねがね申し上げておったわけでございます。ただいまの大蔵大臣のおことばの中にはよほどそれと似た面があるわけで、当初予算において準備をしていただくという面においては私どもの主張と完全に一致しておる。ただしそのために、いまのおことばにも触れてまいりますように、予算で何%盛りつけたから、もう勧告はそれ以上はできないよというようなことには、われわれの国家公務員法のたてまえからいうとならないわけなんです。私どもはやはり公務員法の期待するところに従いまして、御承知のように、従来官民の給与の比較ということをきわめて厳密にやっております。六千何百の事業所に一々当たって、四十数万人の民間従業員の四月に支払われた給与をすべて集計いたしました結果、公務員の給与とそれを突き合わせて、民間とこれだけ隔たりがある、せめてこの民間給与の水準までは追いつかしていただきたいということで勧告を申し上げているわけでございますから、そうやって算出いたしました民間水準との格差というものと予算で御準備いただきましたお金の額というものとが、これは先ほど申し上げましたように御準備いただいたお金の中でまかなえるならば、これはまことにおめでたいことでございますけれども、足りないからといって、それはがまんしろ、あきらめろという筋になりますと、私どもの立場からいうと非常に困ることで、したがって一口に申しますと、予算にある程度の額が盛り込まれたからといって、それがすなわち勧告の実態を拘束することになるということでは、これはたいへんなことになりますという気持ちを持っているわけで、したがって、準備していただく分にはたいへんにけっこうなことだということに尽きるわけであります。  そこで、第二点に御指摘になりました例の五%の問題、これは国家公務員法の二十八条に、人事院が毎年国会及び内閣に勧告または報告をしろ、その場合において、公務員の給与を五%以上、上げ下げする必要があると認められるときには必ず勧告をしなければならないという義務づけの規定として五%が出ております。したがっていま御指摘のように、たとえば格差が二%になった、一%になったという場合に勧告が可能であるかということになりますと、もちろん義務はありませんけれども、それは勧告としては可能であるということでございまして、かつて昭和三十二年——三十三年でありましたか、五%未満の際においても勧告をした実例もございますし、今日の段階においてこのパーセンテージを見ますと、一%というのは大体五百円、ちょっと足りませんけれども五百円近い額になります。二%の違いというのは千円になりますからして、私どもその立場に立つものといたしましては、かりに二%であるからといって、これを全然無視することができるかどうか、これは相当またわれわれとして慎重に考えなければならぬことでございまして、場合によってはといいますか、二%くらいといえどもむしろやるべきことになる場合のほうが多くはないかという気持ちでおります。  それから第三点、もうそれだけでしたか。それじゃ終わります。
  75. 大原亨

    大原委員 一つ残っていたのですが、政府が給与水準の引き上げ……。
  76. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一番大事なところを忘れまして、どうも……。  これは仮定の問題としてそういうことが考えられますけれども、私どもは、公務員法の成立の経過から申しましても、昭和二十三年前の公務員法におきましては、公務員は団交権を持っておりました。否認されておりませんでした。と同時に、勧告権というものはございませんでした。ところが、昭和二十三年の公務員法の大改正によりまして、団交権その他の争議権が否認されて、そしてそれと対応いたしまして、人事院の給与勧告権というものがそのときの改正でできました。しかも人事院の独立性というものが、その際に相当強められておるわけであります。そういうことから、人事院の給与勧告は労働基本権の代償機関である、人事院は代償機関であるというようなことが言われておるのは、その沿革の示すところであろうと思います。そういうたてまえでいまの公務員法ができておるわけでございます。  したがいまして、常に私どもは勧告を申し上げ、その勧告にのっとって政府が提案され、国会がこれを御審議いただいておるわけでございますけれども、かりに政府限りの独自の給与法というものをおつくりになることが可能であるかどうかという問題にそれを引きつけて考えますというと、公務員法の中には、政府は人事院の勧告抜きにしてやってもいいという条文はもちろんございません。と同時に、必ず人事院の勧告がなければ政府は給与法案の立案ができないという禁止の規定もございません。したがいまして、この場合に、政府がかりに自主的に独自の案をおつくりになったからといって、公務員法の明文に違反するとか、無効であるとかいうことには、これは私どもの立場としてはちょっと言いにくいことでありますけれども、それは違法、無効にはならないということが正直なところだと思います。  しかし、ひるがえって、先ほど来申しましたいまの勧告制度の根本ということから考えまして、何ゆえに人事院というものを特別に設け、何ゆえに人事院の勧告権というものをあれほど大きく公務員法が取り上げておるかどうかということは、すべてやはりいわゆる労働基本権の代償機関として、人事院が第三者的の立場において政府側にも片寄らず、公務員側にも片寄らず、中立的な立場から公正な勧告を申し上げる、それを尊重していただいて、しかして初めて適正な給与制度ができるということが公務員法のねらいであることは、これは明瞭でございますからして、そういう公務員法の趣旨との関係において、かりにいまのような仮定の問題があるといたしますというと、相当重大な問題性はをらんでおると、こういうふうに考えます。
  77. 植木庚子郎

    ○植木委員長 大原君に申し上げます。  あなたの持ち時間が終わりになっておりますから、なるべく最終質問に入っていただきたいと思います。
  78. 大原亨

    大原委員 はい、わかっています。それで、少し問題が残りましたが、最後に一つ御質問いたしますが、これは朝鮮人の帰国問題についてであります。  これはくどくど申し上げません。世界人権宣言によりましても、居住地選択の自由がうたわれておるわけであります。したがって、私どもは、国会の論議を通じましても、朝鮮人民共和国のオーソリティーを事実上の問題は認めてきたわけであります、韓国との国交回復はともかくといたしまして。したがって、この問題は、人道上の問題として扱うということが国の利益に合致するということを私どもは確信をしておるわけであります。したがって、私どもは、現在セイロンのコロンボにおきましていろいろと話し合いが進んでおるわけでありまして、日赤の代表も出ておりますし、話し合いにおきましても、相当の情勢の変化もあるやに私どもは推測をいたしておるわけであります。  そこで、私は厚生大臣にお尋ねをいたしますが、こういう問題については、人道の問題として、日本赤十字社がその立場に立ってこの問題を十分話し合って、納得できるような措置をとるように事態を推進させるように協力することが、このこと自体について私は必要であると思うのであります。その点につきましては、私は、いままでのいろいろの経過がございましたけれども、こういう点につきまして、ひとつ厚生大臣の所信について、この際簡潔に御表明いただきたいと思います。
  79. 園田直

    園田国務大臣 仰せのとおりであると考えております。
  80. 大原亨

    大原委員 それじゃひとつ、いまの点は、日赤のそういう立場を、自主性を十分尊重して、赤十字精神、人道の立場においてこれを解決できるように、関係の深い厚生大臣としても、これについてバックアップをしていきたい、こういう趣旨でございますね。
  81. 園田直

    園田国務大臣 さようでございます。
  82. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ————◇—————    午後一時十一分開議
  83. 植木庚子郎

    ○植木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  84. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、非常にじみな問題でありますが、きわめて国民立場から見て重要な災害、公害、交通安全問題、こういう問題を中心にそれぞれ関係大臣から御見解を承りたいと思うわけございます。  しかしながら、まず冒頭に、簡潔に一点だけお伺いをいたしたいと思いますのは、本予算委員会が開かれましてから、いわゆるLPガス法案の問題について、わが党では畑委員あるいはまた公明党の浅井委員等から、この問題の従来の全貌について、かなりはっきり問題の究明が行なわれてまいっておるわけでございます。本問題については、きょうあたりの新聞には、關谷代議士の逮捕に対するところの許諾請求というものがきょうあすじゆうにでも出るのではないか、こういうことが大きく報道されております。わが党がこの問題を取り上げた場合にも、公明党の浅井委員が取り上げた場合にも、直接の赤間法務大臣は、いま捜査の段階であるからして、事件の詳細については言えない、こういうこと一点ばりで来ておるわけでありますけれども、しかし、私ども予算委員会でかつて経験しておりますのは、例の共和製糖問題のときに、重要な時点で、前大臣の田中法務大臣が、かなりその時点の情勢について話し得る範囲で問題をわれわれに国会を通じて明らかにしたという経験を持っておるわけであります。赤間大臣が選挙区が大阪だからという理由はもちろんないでしょう。法務大臣としての立場で答弁をしてもらわなきゃならぬわけでありますけれども、この機会に、私どもは、まさにLPガスの問題で關谷代議士の逮捕されるかどうかという問題は、かつて代議士であった寿原君については逮捕が行なわれておる。公明党の追及からいっても、同じ関連があるというふうに判断をされる關谷代議士の問題については、やはり同様の判断をすべきじゃないかという考え方になっておるわけでありますけれども、この時点においてこの關谷代議士の逮捕問題というのが大詰めにきておると考えていいかどうか、この点端的に御答弁を願いたいと思うのであります。
  85. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  私は、およそ事件につきまして適当なときにこれを発表するということについては、私はその時期をつかまえてやることに何もやぶさかでない。しかしながら、適当でないときには、発表しないことが職務に忠実であり、またいろいろな点において国益に合う、かように私は考えております。  いまお述べになりました大阪タクシー事件は、目下捜査のまつ最中とも申すべき時点でございまして、この時点においていろいろな捜査の内容を言うことは、私は、どうも適当でない、また捜査に害がある、かように考えまするので、申し上げにくい、お答えを差し控えたいと考えております。御了承願いたい。やがて適当なときに適当な方法でこれを明快に言うことについては、私は決してやぶさかでないことをつけ加えて申し上げておきます。
  86. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さらに一点だけお伺いをいたしておきます。  いま発表し得る段階になれば明確にこの問題の内容について発表すると言ったが、それはこの国会の会期中の早い機会にそういうことが期待できるのかどうか。この点は捜査の中身の問題と関連はしておりますけれども、その点について御答弁を願いたいと思います。
  87. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  捜査が進行中でございまして、この捜査がいつごろ大体のめどがつくか、どういう結果になるかということは、まだ予想がいまのところできません。それで、それをいつ発表するかということについて日時を申し上げることは事実上困難でございますので、この点御了承願いたい。
  88. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この事件の内容については、私は、詳細に自分自身はかねてからの追及の程度以上には承知しておりませんけれども、しかし、こういう問題が正面に出ますというと、やはり捜査の一貫性あるいはまた捜査の徹底を期するという立場から、必要な者については逮捕しなければならぬ。でないと、すでに逮捕中の者がかりに釈放されるというようなことになると、捜査上にむしろその点で問題になる。私は、そういう点において、所要の人については逮捕をして徹底的に調べて、国民の疑惑を解いていく。ことしの一月の解散総選挙は、言うまでもなく、共和製糖事件をめぐるところの政治腐敗問題、これが大きく総選挙の焦点になって、自民党たると社会党たると民社、公明たるとを問わず、清潔な政治を実現をいたしたい、そのためには所要の法規制もやらなければならぬ、こういうことをお互いが国民に訴えながら当選をしてきておるはずであります。今日の最大の焦点になっておるこの問題について、政府の責任においても、政治姿勢を正す立場からも、ことに政界の関連がこの事件の一つの大きな焦点になっておるわけですから、やはり法務大臣としては、すみやかな機会に今日までの経過について発表し得ることについては適時適切に発表していく、こういうことが必要である。私は、先ほど聞いたように、今次国会中にもなるべく早い機会に所要の報告をなすべきものである、こう考えますが、重ねて法務大臣の答弁を聞きたい。
  89. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 重ねての御質問でございまするが、適当なときに発表することについては十分御了承願いたいと考えます。ただ、国会中とかいつまで捜査をやるとかいうようなことについては、私はいま言うわけにはまいりません。適当なときに私は申し上げる。申し上げる段階が来たならば遅滞なく申し上げる。さようひとつ御了承をお願いいたします。
  90. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはあす予算委員会でも、さらに総括質問の中でこの問題が取り上げられると思いますので、法務大臣としては、明日の時点までに発表し得るものについては取りまとめて発表する、中間報告をする、こういうつもりで善処を願いたいということを要請をいたしておきます。  そこで、私は、まず、災害、公害、交通安全の問題に入ります前に、前段として、主として宮澤企画庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  過般の特別国会の際に、私は、宮澤さんにいわゆる国土総合開発のあり方、こういう問題について質問をしたことを記憶しております。そのときに、今日首都圏、近畿圏、中部圏をはじめとする各種の整備法があり、あるいは今日多くの問題をかかえておる十六の新産都市の建設問題があり、あるいは八つの工業整備特別地域の問題があり、さらにまた今日大きくクローズアップしているところの都市問題過密過疎問題等々を考えてまいりますと、国土総合計画をはじめ各般の問題については見直す必要の段階に来ておる、こうわれわれも考えておりますし、宮澤長官も、過般の私の質問に対して、この問題については見直したい、こういうことを御答弁願ったわけでありますが、今日再び経済企画庁の長官としての重責をになわれておる宮澤長官としては、今日的重大な課題であるこれらの問題について、どう見直しながら筋道を立てていくのか、この問題の考え方の基本をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過般そういうお尋ねがございまして、さようにお返事を申し上げました。すでに改定の作業を始めております。現在の国土総合開発計画は、たしか昭和三十七年のものでございます。そこで、最近になりまして経済社会発展計画もできましたし、また、その後に経済審議会で地域部会というものを設けまして、過去二年間検討いたしました結果が、地域部会の報告というものが完成いたしました。これは全国を都市と農山漁村と自然保全地域と申しますか、そういう三つの地域に分けて、地域における経済発展、開発の動向を研究したわけでございます。そして全国を九地区にまた分けまして、地域計量モデルというものを初めてつくりまして、これを使いまして、どのような政策をとると九地区の発展がどういうふうに変化するかというようなことを研究した報告でございます。これらのものを基礎及び参考にいたしまして、新しい全国総合開発計画をいま作成中でございます。完成の時期は明年の夏あるいは初秋になるかと思いますが、そのころにはっくり上げたい、こう思っております。
  92. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、かねてから国土の総合開発、地域開発というものが、本来資本の要請であるとかあるいは新産都市に見られるような理想と現実のギャップ問題というふうなことで、地方自治体や地域住民に大きな迷惑を与えるというふうなことのないように、社会資本の整備というものをはかりながら、総合的、計画的に政府が責任を持って総合開発を推進していく、こういうことでなければならぬと思うわけであります。その点から申しますと、今日国会の常任委員会あるいは特別委員会、こういうものが必要に応じてつくられておるわけでございますけれども、これからの問題の中で、やはり衆議院でも参議院でも国土総合開発特別委員会というものを考えて、そういう時点から、交通の問題もありましょうし、あるいはまた公害の問題もありましょうし、あるいは過密過疎、これから大きな問題になるであろう都市問題、あるいはまた財政金融の問題等々を含めて、国土総合開発という観点から基本的に議論を進めて、個別的な問題に入っていく、こういう姿勢が必要な段階に来ているのではないか。私は、その点では、経済企画庁が今日経済の企画あるいはいま言った総合開発の企画というものについての全省的な指導性を持っておるかどうかということになると、機構、人員、いろいろな面から見て、きわめて不十分な段階にあるのじゃないか。機構の問題について、今日一律的な一省一局削減問題であるとか、いろいろなことがいわれておるけれども、やはりこれからの行政の需要あるいは経済の伸展、そういうものに見合って機構問題は考えらるべきであるということは別にして、この際、やはり私は、総合開発問題というのが大きく政治の舞台でもクローズアップされなければならぬ、経済企画庁もその先頭に立つ気持ちで活動を開始しなければならぬじゃないか、こう思いますが、その点では、衆議院に国土総合開発特別委員会という総合的な視点が、今日時点では必要な時期に来ているのではないか、こう思います。宮澤経済企画庁長官の御所信を聞きたいと思います。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地域開発につきまして、従来とかく——どういうふうに申し上げてよろしいのでございますか、とかくおのおの、私なら私の属する地域の開発だけを考えるという風潮が世の中一般にございますので、全国的な視野から国会がそういうことを御検討いただくことは、私どもたいへんにありがいと思います。
  94. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そういう総合的な視点というものと関連をして、各省が今日出しておるところのいわゆる各省の白書というものは、建設省でも、農林省でも、厚生省でも、経済企画庁でも、それぞれ関連をしたそれぞれの省の白書というものを出しております。もちろん基本法に基づいて白書を出す点もありましょうし、基本法に基づかずに白書を出す場合もございます。この点は、経済企画庁という立場というか、あるいは政府立場というか、私、各省の白書をこの機会に大体読み直してみました。そうすると、私の印象では、建設省というのは、建設省だけのことじゃなしに、農林省のこと、中小企業のことまで広げて、非常に長期的なビジョンの中から建設省のあり方をとらえようとする情熱で説き起こしておる。農林省になるというと、今日山積する問題に追われて、今日的な問題についてはきめこまかく書いておるけれども、一体これからの日本農村、農業をどう持っていくのかという長期展望のビジョンを持ちながら今日的問題の解決をどうするんだという点には、いささか迫力に欠けた点がある。厚生省その他各省の問題を見て、各省の白書というもののあり方をこの際総合的に検討しながら、内閣として統一した考え方のもとに各省の白書が出されるということが、われわれが政治問題として取り上げる場合にも非常に利便である、こう思うわけであります。この問題については、内閣官房長官から、今後の問題として——官房長官も勉強家だから各省の白書をひもとかれておると思うんだけれども、ひもといてみると、各省間に白書の取り扱いについて非常なアンバラがございます。また、記述しておる内容についても、各省によってデータの取り方、記述の方法にいろいろ差異がございます。これは何も画一的にやれとは申しませんけれども、長期的展望の中で今日的時点をとらえる、それはやはり内閣からいうならば、経済社会発展計画も関連がございましょう。あるいは先ほど申しました国土総合開発視点というものもございましょう。もう少し白書のあり方について是正をする段階に来ているのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  95. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 各省の出しております白書を拝見いたしますと、各専門的な角度からいろいろ取り扱われております。必ずしもこれを統一的に総合するわけにはまいりません。ただ、その中に扱っておりますいろいろな角度からする総合的な分析が欠けておるように思います。その意味におきまして、将来政府といたしましても、そういう各省庁からばらばらにできております白書の内容を総合分析しまして、統一調整をはかる必要があることは考えております。
  96. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害問題の本論に入ります。  まず、総務長官にお伺いをいたします。本年度の干ばつ、集中豪雨、さらに台風三十四号等を含めて、死傷者あるいは各種の被害の総額、こういうものが概略どうなっておるかをまず御答弁願いたいと思います。
  97. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 お答えいたします。  昭和四十二年に発生しました災害によります被害は、死者並びに行くえ不明が二百八十九名、負傷者が九百二十五名、家屋全半壊四千五百二十九棟、被害額は公共土木施設でもって一千百五億円、農地等八百二十八億円、農作物等千二百六十一億円、商工関係が百五十六億円等、総額が約三千八百九十億円に達しております。  その災害のうち、主要なものは六、七月の豪雨災害、八月の豪雨災害、それから台風第三十四号災害、さらにまた、これに加えまして干ばつの災害がございました。
  98. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 建設大臣にお伺いいたします。  建設白書にも指摘されていることでありますけれども、日本の災害というのは、死傷者あるいは被害の総額、こういうものを比較してみますと、国際的に第一位にあるのか、あるいは第何番目にあるのか。これは、総理はよく工業においては第三番目になったというようなことを言って、盛んにいい面を言っておりますけれども、日本の災害というものは世界でどの辺のランクにあるのですか。
  99. 保利茂

    ○保利国務大臣 角屋さん御承知のように、日本は台風という台風常襲を受ける地帯になっておりますから、災害頻度といたしましては、私は世界の中で相当高い分に入っておると思います。一番でありますか、二番でありますか、(角屋委員「いや一番ですよ。」と呼ぶ)とにかく、しかしまた災害……(角屋委員「建設白書で一番といっているんだ」と呼ぶ)それじゃ、あなたのほうから教えていただいたほうが正確だろうと思いますから……。とにかくに災害頻度の非常に高い国であるということは認めなければならぬと思います。
  100. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 通産大臣、これは厚生大臣でもけっこうですが、むしろ厚生大臣から聞きましょう。  公害のひどいこと、これは国際的に見て日本はトップレベルなんですか、非常に好条件の公害対策の行なわれている国なんですか。その点いかがですか。
  101. 園田直

    園田国務大臣 一番煮詰まっているところだと思います。一番公害が煮詰まって高いところだと思います。
  102. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 運輸大臣、交通の関係は、まあ航空関係あるいは鉄道、海上等含めて運輸大臣の網の中にあるわけですけれども、交通災害、特にこれは自動車災害が多くは比較をされるでしょう。これは世界でトップレベルなんですか、何番ごろにおれるのですか。これは、勉強家ですから、ずばり答えられると思いますが、中曽根運輸大臣からお伺いしたい。
  103. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 人口が多くて、国土が狭隘で、そうして道路が狭いものですから、災害の比率は遺憾ながら世界でも上位のほうであります。ただ、日本の交通事故、特に自動車事故の例を見ますと、アメリカの場合は、自動車が走る棺おけみたいで、中に乗っている人が死ぬ率が多いわけです。ところが、日本の場合は、中にいる者は死なないで、外にいる人をひっかける、それが非常に多い、そういう差が非常にあります。
  104. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま各大臣は、第一番だと言うのはちょっと心もとないものだから、上位のほうだということで逃げられましたけれども、残念ながら自然災害の場合をとっても、公害の問題をとっても、交通災害の問題をとっても、私はこまかい数字までは予算委員会ですから入りません、データをもらっておりますけれども入りませんが、世界でトップレベルである、これは明らかな事実です。こういう立場でやはりこの問題を認識しなければならない。大蔵大臣は、財政硬直化財政硬直化と言って、硬直化だけが頭へきて、頭までが硬直化してしまう。しかし、佐藤総理は、社会開発を言い人間尊重を言っておる。人間尊重の問題から言うならば、自然災害の問題にしろ、公害、交通災害の問題にしろ、これをどうするか、国民の生命、健康をいかにして守るかということが政治の基本になければならない。こういう点では、国際的にまことに不名誉なトップレベルにあるという現状認識に基づいて関係大臣は善処しなければならぬと私は思う。  そこで、経済企画庁長官にお伺いしたいのだが、経済社会発展計画の中において、社会開発あるいは社会資本の整備ということを取り上げられている。たとえば国土保全の問題については、総投資額二十七兆五千億のうちで、一応予定としては一兆八千百億というものを充てておられるわけだが、それらの内容をずっと見てきますと、いいことを言っておられる。国土保全施設の整備を国土利用開発に先行して計画的に行なわなければならぬということを、経済社会発展計画の中では言っておる。ところが、現実の問題として、社会資本の整備というものが、生産第一主義の今日の日本資本主義の体質からいって、絶えずあと回しにされるというのが現在の実態である。経済社会発展計画の五カ年計画の中で、こういう社会資本の整備を開発に先行してやらなければならぬと言っておることをいかなる方法でやるのか、また、経済企画庁としては、いかにこれを各省に、財政当局に要請をするという考え方を実践をしておるか。この点、簡潔にお答えを願いたいと思います。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、ただいまちょうど御指摘になりましたその長期計画、まだできていないものもございますけれども、やはり長期計画を原則として年次に従ってやっていく。非常に財政が悪いときには多少例外があるかもしれませんけれども、原則としてやはりそういうふうにやっていく。そうしますと、全体の経済社会発展計画の計算の中で、ほぼそういう投資がまあまあ先行していく、こういう考え方でございます。
  106. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 運輸大臣にお伺いしたい。  災害対策という場合には、災害予防の立場からいかなる手を打つか。一つは、気象体制の整備問題というのが基礎になければならぬ。台風三十四号の教訓に学ぶというと、もう少し的確に災害予報がなされておったならば、私の選挙区にも関係がありますけれども、和歌山とか三重を中心にしたああいう災害の悲惨というものはもっと軽減できただろう。ことに熊野では、二十二名のとうとい人命まで、建設省の国土工事の中の作業場でなくなっておるという悲惨な事態まで出てきた。こういうことは防げただろうと思う。それはやはり災害問題を考える場合に、気象観測体制の整備というのが社会資本の整備の中でも一つの重要な問題である。ところが、気象庁とかあるいは観測体制の整備というものは、バックアップするところがなかなか少ないものだから、必要であるということを認めながらなかなか推進できないで、気象庁では気象観測整備の五カ年計画というのを来年度から実施をされようという、そう構想を持っておられる。その内容は別として、いわゆる気象観測船を、二千トン近くのものを新しく二カ年計画でつくりたいとか、あるいはレーダー基地を新設したいとか、一連の問題について要請が出ておる。私は、何も機構、人員の問題ばかりでない、いかに的確に正しく国民に気象を報道するかということについては、現在の体制の中でも、改善すべき点については大いに改善をしてもらいたい、こういうふうに思います。そういう点において大きく前進をしなければならぬ。  また、集中豪雨の問題あるいは降ひょう問題、干ばつ問題、いろいろ起こっております。こういうものについて、科学の領域において人工降雨の研究もございましょう。これはアメリカであるとかソ連では非常に経費を使って進んでおる。日本でも、これをこれから、来年度以降、降ひょうに対するところの実験は四十五年度になりますけれども、こういう問題に取り組もうという。台風に対するコントロールということは、非常に至難なことであるけれども、これに対しても科学の領域では取り組まなければならぬ。これは非常に基本的な問題だけれども、なかなかバックアップしない。これは大蔵大臣予算を組むときにも考えてもらいたいと思うのだけれども、日本のように災害の頻度の高いところで、もし気象観測の体制をそこに置く必要があるという場合にはやはり認めることが必要だろうと思う。中曽根運輸大臣が答えていただく場合には、今日小笠原の返還が一年以内にできようとしておる。鳥島が火山活動のために観測が停止になった。小笠原返還に伴って、あそこに気象観測体制の新しいプランというものを今日持っておるのかどうか、こういう問題が一つございます。  さらにこの際、中曽根運輸大臣あと科学技術庁長官に、気象調節の問題について科学技術庁としてこれからどういうふうに取り組む考えであるか。双方とも簡潔に要点をお答え願いたい。
  107. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 気象問題に非常に御関心をいただきましてまことにありがとうございます。  お説のとおり、予報がちょっと間違いますと、何百億という災害を引き起こすわけでありますから、気象予報関係予算というものは実は非常に大事な、効率のいい予算であるわけなのであります。しかしながら、いままでややもすればこの辺が等閑に付されまして、遺憾に存じます。しかし、日本の気象予報の確度を見ますと、打率は大体八割近く当たっておりまして、そんなに悪くないのです。日本は気象条件が非常に複雑でありますが、アメリカやその他に比べて決して劣っていないようであります。これはやはり伝統的に日本の気象学者の腕前がいいのではないかと思います。  そこで、お説のとおり気象関係の体制を強化するために、二千トン級の海洋気象観測船をつくるべく、来年度予算を要求いたしております。  そのほか、秋田に気象レーダーを新設いたしまして、集中豪雨、台風関係の観測に当たらせますし、福岡のレーダーの性能を強化いたしまして、所要の体制の強化をしております。  そのほか、気象ロケットによる超高層気象の実態を把握するため、鹿児島県内の内之浦発射場を利用いたしまして、気象ロケット観測を実施いたします。なお、岩手県三陸町に専用発射場も新設して、定常観測を行なう予定であります。  ただいま御指摘のありました小笠原及び鳥島の問題でありますが、小笠原が復帰しました場合は、あすこは台風、梅雨前線の動向を把握し、災害防止の非常に重要な資料を得るところでありますので、さっそく気象官署を再開し、所要の気象観測通報を行ないます。父島、南鳥島においては、地上気象観測通報、高層気象観測通報を行ない、その他の観測についても同じく行ないます。硫黄島、沖の鳥島においても、観測点の設置を検討したいと考えております。  鳥島は火山爆発のために昭和四十年十一月観測所員を引き揚げましたが、同島における気象観測資料は、同じく台風や梅雨前線等の動向把握のために非常に重要でありますので、昭和四十一年度から夏の台風観測に重点を置いて、用船及び凌風丸による船上観測を鳥島付近で実施しております。  なお、昭和四十三年度から二カ年計画で、ただいま申し上げましたように二千トン級の海洋気象観測船建造を計画しておりまして、昭和四十四年八月以降は、この新観測船を用まいして、鳥島付近を中心として気象観測を行なうことになっております。
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 簡潔に願います。内容はよく知っておりますから……。
  109. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 干害におきます防止策としての人工降雨につきましては、すでに委託調査六カ年を終わりまして、本年度から国立防災科学技術センターにおきまして実際にこれを行なう。打率はまだ十分でございませんけれども、それらの研究を行なうということになっております。  なお、降ひょう、いわゆるひょうの害につきましては、この人工降雨の原理を逆用しまして、早く雨になして、いわゆるひょうになさないで雨によって降らせるというような方法、あるいは集中豪雨について多少分散的にこれを行なうという基礎的な調査、雲量の調査とか気象条件の調査、しかもそれをいかにして気象調節をすることができるかということにつきましては、来年、四十三年度からやはり国立防災科学技術センターにおいて研究を進めるということに予算を要求中でございます。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際、やはり災害対策の基礎的な問題に関連をいたしまして、建設、農林両大臣から簡潔にお伺いをいたします。  ことしの災害の教訓からも痛感をするわけですけれども、建設関係について言えば、呉であるとか神戸であるとかいう所に見られる、いわゆる都市河川の未整備によるところの、あるいはまた、危険な住宅が建設されておるということが関連して、またさらに、全国的には中小河川の未整備ということが非常に災害を大きくしておるという問題がございます。  また、農林大臣関係では、ことしは異常な干ばつであったということもございますが、治山面においてもっと強化しなければならぬ問題が幾多控えておる。山くずれ、山津波、いろいろな問題が現実に生じてきております。緊急治山ばかりでなしに、恒久的にやらなければならぬ、そういう必要性から、来年度を初年度として治山治水五カ年計画を改定をしてやろうということに考えておられると思うのでありますが、これの改定をせざるを得ない条件というものは何か。私は、何も予算規模を拡大するだけが問題ではないと思う。やはり今日の治山の問題についての焦点、これから五カ年なら五カ年で緊急に整備すべき問題は何であるか。これは治水面でも同様であります。そういう面を十分配慮しながら、必要な予算についてはやはり整備をしていく、こういう基本前提に立たなければならぬと思うわけでありますが、治山治水の問題についての両大臣の基本的な考え方について、簡潔にお伺いいたします。
  111. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまのお話しのように、治山五カ年計画につきまして、今回の干ばつ、それから集中豪雨等にかんがみまして、この際、昭和四十年度に定められました治山事業五カ年計画によってその推進をはかっておるわけでありますが、最近の状況にかんがみまして、山地被害の発生状況、それから経済社会の発展に即応いたしますために、新しい構想のもとに、今回の状況を参考といたしまして改定をする必要があるではないか、こういうことで取り組んでおるわけであります。
  112. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいま治水五カ年計画が進行中でございますけれども、今年の特に御指摘のような中小河川等のもたらしました異常な災害、特に地方都市周辺の中小河川からきた災害等もあわせ考えてみますと、治水計画というものは相当長年月を要すると思うのでございますけれども、流域の経済開発とか、あるいは集中豪雨の現象が非常に多くなったとか、あるいは今年の異常干ばつ等のことから、水源涵養の緊要度が非常に高い。そういう上からいたしまして、総合してひとつ来年度から新しい治水計画をそういう観点から立てていきたいということで、各方面の御心配をわずらわしておるようなわけでございます。
  113. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際、大蔵大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、日本の災害の頻度あるいは死傷者、災害総額等が、国際的に見て非常に上位にある、こういう点から見て、防災体制の整備という面については、やはり必要な経費に金を惜しんではいかぬと思うのです。基本的な考え方として、大蔵大臣いかがですか。
  114. 水田三喜男

    水田国務大臣 そのとおりに思います。
  115. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私もかつて伊勢湾台風以来災害対策特別委員会に長期に席を置いたことがございますけれども、われわれが災害対策特別委員会に席を置いた当時でも、全国的にことしのような相当多くの災害があった段階で、衆議院の災害対策特別委員会は、災害対策の基本問題に関するところの小委員会をつくって非常に熱心な議論をしながら、現行法律について今日時点で改正すべきものは何であるか、あるいは行政措置として前進させなければならぬものは何であるか、あるいは新しい立法制定に何が必要であるかということを議論をされまして、これを与野党満場一致で取りまとめられております。関係大臣、それぞれ御承知だと思うのでありまして、一々は聞きません。御承知だと思うわけでありますが、その中で、今後の災害対策前進のためには、やはり従来の現行法の改正問題も重要であります、あるいは新しい立法措置も重要であります。行政措置の前進も重要でありますが、かねてわれわれ社会党が強く主張し、各党ともにその趣旨においては賛意を表しておる個人災害に対するところの災害対策の問題について、新しく立法をつくって、この際政治のあたたかい姿勢を示そうじゃないか。衆議院災害対策特別委員会の与野党の満場一致の強い要請で取りまとめられた内容というものは、なくなった人、これは災害救助法発動地域に限定をするという考え方をとっておりますけれども、さらにもう少し拡大すべきものだと本来思いますが、なくなった人に対して三万円の葬祭料を払うとか、あるいはまた全壊半壊等、それぞれ家財一切をほとんど失うという者に対して見舞い金を出すとか、あるいは中小企業等で悲惨な状態になった者に対して無担保、無利子でもって二十万円を限度とした融資を新しく、いわば生活保障といいますか、生活再建といいますか、そういう面、いわゆる経営資金あるいはまた新しい仕事に乗り出すときの資金という意味じゃなしに、今日時点をささえるという意味のものを、被災者援護法とも称すべき個人災害に対する対策として考うべき段階にきておる、こういうふうに与野党満場一致でこの問題の申し合わせをしたわけでありますけれども、厚生大臣、来年の通常国会を目ざして、政府みずから、この姿勢で、国会の院議を尊重して善処すべきではないか、こう思いますが、基本的な考え方としていかがでございましょう。
  116. 園田直

    園田国務大臣 ただいま申されました、特別に被災者援護の法をつくって措置をせよとおっしゃることは、もっともであって、総理府を中心にして各省間で検討を進めておりまするが、被害の対象あるいは範囲その他技術的ないろいろな困難な問題がありまして、現在では救助法あるいは融資の制度、減免等の各種の制度を運用してこれに当たっておりまするが、前向きの姿勢で、こういう問題については検討したいと考えております。
  117. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 法制局おいででしょうか。私は、この問題が、災害対策特別委員会で議論されたときに、大蔵省の主計官が、わが党の井手さんの質問に対して答えて、この立法について述べておる見解が少しく問題がある。時間の関係上深くは触れませんけれども、わが国の社会制度あるいは法制度のもとにおいては、こういうことをやることはなかなか困難だ、実際はそうは言ってないで、できないことだと思いますという言い方をしているのは、きわめて問題があると思う。私はこれを深く言おうとは思わない。大蔵省というのは、なるべく金を出さぬ方向で答弁をしようという姿勢があると思うのだけれども、法制上、社会制度上これができないということはないと思うのだが、法制局の見解を聞いておきたい。
  118. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 大蔵省の説明員がどういう趣旨で御答弁申し上げたか、私つまびらかにいたしませんので、一般的な問題としてお答え申し上げたいと思いますが、個人災害に対する国家補償という問題を考える場合に、いわゆる国の行為に基づくものであるという場合には、これは御承知のような制度があるわけであります。個人災害に対して政策的な見地から国家補償をするかどうかという問題につきましては、これは全く社会政策上あるいは産業政策上、そういういろいろな観点から考えるべき問題であって、全く立法政策の問題であろう、こういうふうに考える次第であります。
  119. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害対策の問題の中では、いま取り上げました個人災害に対する新しい立法措置というのが、もう今日時点では真剣に考えられなければならぬ。もし政府にその熱意がないのなら、与野党満場一致の申し合わせをしたことでございますから、議員立法をもってしてでもやはり処置しなければならぬということになる。むしろ政府にあたたかい政治姿勢というものがあるなら、この際、われわれがまとめた最低限の問題については、とりあえず芽を出すというそういう姿勢が、佐藤内閣人間尊重の一つの具体的な実現であろうと思う。保利さん、うなずいておられるが、あなたは佐藤さんに非常に影響力を持った実力者だからひとつ——それはともかくとして、これは政府みずからそういう姿勢を示すということが必要じゃないかと思う。保利さんどうです、うなずいておられたから賛成だということだと思う。
  120. 保利茂

    ○保利国務大臣 私も先般まで災害対策委員会のメンバーで出ておりました。私のほうの七月の集中豪雨で、ある地域で公共災害よりも個人災害が非常に多かった。これは実にどうも何とかならないものかというような気持ちは、角屋さんと同様にいたしておるわけであります。しかし、国の立て方、そういうことが一歩前進していかなければいかぬじゃないかというお説についてはへ同感と申し上げざるを得ないわけでございますけれども、これを現実にどういうふうに行ない得るかということには、それだけの角度からでは解決できないんじゃないか、私もそういう気持ちは強く持っておることだけを申し上げす。
  121. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害問題では、具体的に新潟、山形地方の豪雨による被災者の集団移転対策、これは災害対策特別委員会でかねてから取り上げられて、総務長官が中心になって、建設、農林、厚生、文部等各省にまたがる問題だから、こういう特別な問題については総合的に、やはりこの問題について安心ができるような体制を整備する、この姿勢が強く望まれており、この問題については、衆議院災害対策特別委員会でも、与野党満場一致の決議に基づいて、当時、八木総理府総務副長官が、決議の趣旨を体して善処いたしますと答弁をしておるわけであります。私は内容に入ろうとは思いませんけれども、総務長官として、この問題に今後どう対処していくのか、お考えを承っておきたいと思う。
  122. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 この問題につきましては、よく承知いたしております。関係各省庁と連絡をとりまして、鋭意努力中でございます。
  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に農林大臣に簡潔にお伺いをいたします。  今年は、従来かつてない異常干ばつ、これは春からもうとり秋の時期に至るまで、各地において異常干ばつが発生をいたしました。天災融資法の発動その他旧来からの措置のほか、さらに燃料代についてもこれを地方財源の中でも見ていこうという、そういう新しい前進もとられたわけであります。この際、将来展望を考えますと、地帯によつても差異はありまするけれども、小規模のため池というものを、必要な地域において、大臣の承認を得たプランに基くところの実施というものは、すみやかに実施をしていく必要があるのではないか。これは立法等の整備をやれば一番いいわけでありますが、従来からとってきた採択基準というものを実情に合わして緩和をしながら、農林省もその点については、大蔵省と具体的な折衝をやっておりますけれども、農林省がいっている採択基準を、地域によってはもっと下げなければならぬじゃないか。つまり、受益面積二町、貯水五千トン程度まで下げることが必要な地域があるだろう、こういうことを前提にしながら、本年の異常干ばつ対策の一つの大きな将来展望の方向として、小規模ため池の整備というものを真剣に考えるべきだと思いますが、農林大臣いかがでございます。
  124. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 本年の干ばつにかんがみまして、ただいまお話しのような、全国のため池整備ということは、農林省においても非常に賛成でありまして、したがって、ただいま四十三年度予算の要求中でありますが、採択基準の改定等について、政府部内において検討中でございます。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私はこの機会に、いま集団移住問題あるいは干ばつ問題等にも触れましたが、こまかく法制的に入りますと、いわゆる今日の宅地造成が非常に危険な状態で行なわれておる、あるいはまた、地すべり崩壊等の問題がある、そういうものに対して、所要の立法をしなければならぬ、あるいは建築基準法その他の所要の改正というものをやらなければならぬ等々の問題に入ってまいりますと、やはり非常に問題があります。同時に、衆議院災害対策特別委員会で申し合わされておる現行の立法、激甚災害法あるいは天災融資法、公共土木、農地農業用施設等のそれぞれの関係立法についても、所要の改正の要請が出ております。私はこの機会に関係大臣に望みたいのは、そういう要請の問題を前向きにとらえて、再度災害を発生させないような姿で次の通常国会に対処してもらいたい、このことを強く要請をしておきます。  公害問題に入りたいと思います。もう前段の話は省略をいたしまして、ずばり本論に入ります。厚生大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、公害対策基本法が修正可決をされまして、すでにすべり出しております。私も党の公害対策特別委員長としてわが党の公害対策基本法案を提案をした責任がございます。しかし、日本のようにおくれた公害対策の現状から見て、理想を望むよりも、むしろ政府がやり得る段階のぎりぎりの点で修正をして災害対策の前進の第一歩を期したい、こういうことで、われわれもこれにいわば消極的と言ってはなんでありますけれども、協力してこれが成立した。成立をいたしました以上は、衆議院の災害対策特別委員会の決議にもありますとおり、関連法律の整備をやらなければならぬ等々の問題が出てまいるわけであります。厚生省がこの問題にいち早く着手をいたしまして、関連法律として大気汚染防止法案、騒音規制法案、公害の紛争の処理及び被害の救済に関する法律案並びに公害防止事業団法の一部を改正する法律案等の検討の要綱をまとめられたことは、当然のことでありますけれども、その労苦を多とします。しかし、関連法律は、単に厚生省ばかりにとどまりません。水質二法の問題になれば、経済企画庁あるいは通産が関連をしてまいります。各省ともにわが国の公害の現状から見て、まず第一に通常国会を目ざして急がなければならぬものは、公害対策関連法規の整備問題。さらに公害対策基本法ができた機会でありますから、公害関係予算については所要量を十分確保する。こういうことが前提条件であろうと思います。この点でまだ公に発表されていないところの水質二法の問題については、来年度通常国会目ざしてどういう気持ちで当たられんとするのか、経済企画庁の長官からお答え願いたい。
  126. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 水質保全法でございますが、まずやはり環境基準というものを今度きめないといけないと思いますので、それが一点でございます。それから規制の対象をやはりもう少し広げる必要があると思います。たとえばと畜場のようなところでございますが、この二つを中心にただいま考えております。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 官房長官のお時間を私承知しておりますので、公害関連法規として厚生省から四法案出されたやつは、ポイント的な問題はあとで触れますから、そういうつもりでひとつ勉強しておいてください。  イタイイタイ病の問題に入りたいと思います。  この問題の病状あるいは今日までの経過については、時間の関係上多く触れません。私は、九月の下旬に社会党のイタイイタイ病現地調査団の団長として、富山県並びに岐阜県の神岡鉱山にも行ってまいりました。現地の状況あるいは県、関係市町村、こういうところの当局者あるいは被災者等に会って、いろいろの切実な要請等を聞いてまいりました。それに基づきまして、佐藤総理大臣に対して、わが党の勝間田委員長名をもって四項目にわたる政府に対するイタイイタイ病対策の要請をしたわけであります。私は、官房長官から内容のそれぞれについてこまかくお聞きしょうと思いません。われわれの申し入れに対して関係各省その他にいかに今日まで手を打ってこられたか、この経過だけについてお話を願いたい。
  128. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 お申し入れを受けまして、さっそく関係各省でございますから、厚生省、農林省、通産省、各省に連絡をいたしました。各省におきましていま具体的にいろいろ措置を考究していただいております。調査の最終的な結論は、これは慎重に出さなければならぬと思いますが、その応急的な、たとえば医療救済手段等については、さっそく取りかかっていただくという了解のもとに、現在措置を考究してもらっております。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 イタイイタイ病対策の問題については、私は一つの重要な問題は、この病気の原因究明ということを徹底的にやりながら、その原因を確定をするということが一つございます。この点では、昭和三十年以降にこの問題は大きく社会的にも政治的にもクローズアップいたしましたけれども、本来この病気は、現地の萩野さんの御意見によりますと、大正段階からすでにこの病気があったのではないか。これは父祖四代にわたる地元の開業医のカルテ等から判断をしたのだろうと思いますけれども、大正年代からあったのではないか。国会における厚生省等の答弁からいたしますと、昭和十八年から多発してきている、こういうふうにも言っておりますが、いずれにしても昭和三十年代ごろが一番ピークであります。戦後だけでも二百名の患者、百名近くの死亡者を出すという、イタイイタイ病という名前があらわしておりますように、骨が折れるわけでありまして、臨床例からいくと、多い者では七十二カ所から折れる。そうして骨軟化症の一種だという学者もありますが、いずれにしても骨がある程度溶けるのでございましょうか、身長が三十センチくらい短かくなるという。私が会った患者でも、身長が三十センチくらい短かくなっている。過般厚生大臣に患者がおいでになってお目にかかったわけでありますが、そういう悲惨な病気であります。その病気について、やはり原因の究明がなされなければならぬ。昭和三十六年から富山県が特別委員会をつくって、この調査に乗り出した。四十一年段階で、イタイイタイ病の原因はカドミウム・プラス・アルファであるということを全体の集約として発表した。ただし、富山県の特別委員会のレポートを見ると、カドミウムの由来については神岡鉱山問題を含めて今後詳細に調査がなされなければならぬ、こういうふうに結んでおる。厚生省、文部省では、たしか昭和三十八年からこの問題にかかっておる。着手としては私は相当おそいと思うのでありますけれども、そうして本年度、国立公衆衛生院の重松部長を班長として、大学の教授等の協力を得ながら、イタイイタイ病の原因と関連の多いカドミウムの徹底的研究ということで、サンプルを徴収しながら過般十二月の八日の段階でしたか、現地で重松部長が中間報告という形で新聞に大きく出しておる。つまりイタイイタイ病の原因は、神岡鉱山の排水、こういう形で中間報告が出されておる。今日こういう時点にあります。学界でも、昭和三十年以降約九十にのぼるこの問題に対する研究発表が出ております。多くの研究発表については、私も概略目を通しました。それらも、かねて当初言われてまいりました栄養障害説、あるいはカドミウム鉱毒説、これが最初並立状態でございましたが、だんだん事実の調査究明の中で、カドミウムというものを無視してこの問題を議論することはできない。栄養障害というならば、何も神通川のふちふちを中心にしたあの地点だけにこの悲惨な病気が集中的に起こったことは解明できないはずである。戦前、戦時中、戦後にかけて全国的にあすこだけが特に劣悪な栄養状態にあったとは、断じて言えない。これは富山県のレポートからいっても、富山県でも富裕な農村地帯である、こういうふうに言っておる。したがって、病気でありますから栄養全然無関係とは言えぬけれども、やはりカドミウム問題というものが徹底的に究明されなければ、イタイイタイ病の原因を確定することはできない、われわれは調査の判断に基づいてそう考えておるわけであります。厚生大臣は、今日イタイイタイ病の原因究明について、厚生省として結論的にはどういう時点にきているのか、これを明らかに願いたい。
  130. 園田直

    園田国務大臣 すでに詳細は、経過についても御承知でありますから省略をいたしますが、十二月七日に現地で中間検討会を開いておりますが、調査の結論については、新聞等には書いてございませんが、まだ報告いたしておりません。これは四月までに終了する予定で検討を進めておりますが、しかし、なるべく急ぎましてこの検討を進めて、その検討の結果に基づいて処置をしたい。なお、その検討が終わりますにつきましても、被害者の救済その他については現地、県、市町村と連絡をとり、厚生省としても検討を進めております。
  131. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは後ほどの新潟の阿賀野川の水俣問題とも関連がありますので、いまの原因究明の問題は後ほど触れますが、いま厚生大臣から言われた被災者対策、この問題が日本では全国的におくれておる。これは四日市ぜんそくを見ても、まあ厚生省は最近百万円程度を出したということになっておりますけれども、しかし、この四日市のぜんそくの状態を見ても、実際は医療費自己負担分、これを見る、こういうことでございますから、生活はやっていかなければならぬ。だから、私はまあ地元でありますからよく知っておりますが、とにかく病院には夜おって、朝早くから、磯津の漁業者が多いわけでありますから、朝早くから漁業に出られる者は出て、そして働いている。場合によっては漁業中にぜんそくということが起こったり、途中で一酸化炭素を吸うものだから、ぜんそくでせき込むというと病院に帰ってくる。漁をしにいった者は夕方に帰ってきて、そして酸素吸入その他でまた補う。それからまた翌日、ある程度回復しておれば漁に出なければならぬという状態である。要するに四日市ではある程度のことが行なわれておるといっても、われわれが公害対策基本法でいったように、生活の面までめんどう見るという体制に日本では前進してない。若干のところでやっているのは医療だけである、こういう状態であります。イタイイタイ病の場合は、それさえも今日行なわれていない。私どもの調査したところでは、県も関係市町村も、残念ながらこの点についてはほとんど手らしい手を打っていない。わずかに富山市が患者五名に対して萩野さんというお医者のところへ打ち切り年間五万円で金を出しておる程度である。一番ひどい婦中町においても、患者に対するところの救済対策というものは何ら手を打っていない。県でも非常に消極的である。やっとわれわれが調査に行ったことによって、県が医療保障に乗り出そうとしているということは、まことに喜ばしい。今日そういう点からいっても、関連法律で考えておるところの公害に対する、被災の救済対策というものは急がれなければならぬ、こう思うわけでありますが、こういう点で被害のイタイイタイ病の救済対策というものを今日まで厚生省としてはいかなる手を打ってきたのか、今後いかなる手を打とうとするのか、簡潔にお答え願いたい。
  132. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりでありまするから、そういう点について急ぎ検討を命じております。
  133. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この機会に若干関連がありまするから、現地の強い要請の点を少しく大臣各位にお伝えしておきたいと思います。これをそのまま受けて、県あるいは関係市町村の要請も聞きながら、総理大臣にすでに申し入れをしておりますけれども、善処を願わなければならぬ。  まず第一は、現地で要請しておるところの一つの問題点は、神岡鉱山の排水、これはやはり神通川を通じて流れている。これがイタイイタイ病と大いに関連がある。われわれはカドミウムがイタイイタイ病の主因であろう、こういう判断をしたわけでありまするけれども、そういう現実にありますので、神岡鉱山の排水はパイプラインをもって日本海に流すということを考えてはどうか、こういうことが現地側の一つの要請の問題であります。  さらに、婦中町で現在上水道の建設に着手をしております。現時点では水源調査の段階であります。神通川の水は取れない、どこから取るかということを今日調査をしておる。こういうことと関連をして、上水道については建設あるいは飲む水の代金、こういうものは、現地側の要請からいけば、飲む水については無償にしてもらいたい、こういう強い要請が出てきておる。  さらには、イタイイタイ病でなくなった約百名に近い死者に対するところの弔慰金、今日病床で坤吟しておる患者に対するところの医療費あるいは生活費に対する保障、さらにまたイタイイタイ病の多発地帯といわれる婦中町を中心にして、土壌にもカドミウムを大量に含んでおるということは、検出の結果から出ておる。地力の低下の問題もあるということから、大々的な客土を中心にした土地改良を速急に行なってもらいたい、こういう要請等が出てまいっておるわけであります。これらの点は、それぞれの関係大臣から、これらの問題の御所見を当面お伺いしておきたいと思います。簡潔に。まず農林大臣から……。
  134. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話しの病気につきまして、県当局からもいろいろ報告を取りまして、厚生大臣も申し上げましたように、いま検討中でありますが、その検討の結果、必要な措置はとって善処していかなければならないと思っております。
  135. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 厚生大臣、上水道問題……。
  136. 園田直

    園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、現地の方及び直接の被災者の方ともお会いして実情を詳細に聞いておりまするので、御趣旨の方針に従って検討を命じております。
  137. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 通産大臣……。
  138. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 厚生省と共同して現地において水質の検査をしております。水質及びどろ等の検査をしております。その終局的な結論は、厚生大臣が言われるとおり、まだ少しかかるようでありますので、終局的な結論に基づいて善処したいと思います。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは私は現地に行って、非常に悲惨な現地の状態というものに触れて、むしろ現地を見てこの病気の悲惨さを再認識をしたのでありますけれども、厚生大臣はこの間会われましたから感を深くしておられると思いますが、先ほど私の質問の前に、一体イタイイタイ病というのはどのような病気かということを与党でも言っておられた人がありました。これは何も与党の人ばかりでなしに、イタイイタイ病という名前は聞いておりましても、その実態というものは多くの方々は知らぬ人があるのじゃないかと思う。しかし、この水俣病といい、イタイイタイ病といい、その病気にかかっておる人の悲惨さというものは、まことに惨たんたるものです。そういう心がまえでこの問題にはひとつ関係大臣は対処していただきたいと思う。  新潟の阿賀野川の水俣病の問題について、これに関連してお伺いいたします。簡潔にお伺いいたします。  今日、厚生省では食品衛生調査会等の大臣に対する答申等も得て、いわゆる厚生省の段階では、新潟の阿賀野川における水俣病は、昭和電工鹿瀬工場の排水である、こういう判断をくだしておるわけでありますが、これが科学技術庁に持ち越されまして、科学技術庁の今日まで何をやってきたかというレポートを見ますと、関係各省の打ち合わせをやった、農林省、通産省あるいは経済企画庁等々に対してそれぞれの省の意見を求めた、それに対して農林省からは意見が出てきた、その他のところはまだ出ておりません、こういう程度のことを言っておるわけですが、阿賀野川の水俣病については、今日水俣裁判が行なわれておるわけです。しかも私も行きましたが、これまた患者は悲惨であります。こういう問題に対して、厚生省がすでに今日までの調査に基づいて一定の判断をくだした。私は、この判断は、政府の見解にそのまま取り入れられていい根拠を持った調査だと思います、それに対して、科学技術庁が各省の意見を聞きながら結論を延ばしておる。わが党の石田委員がこの問題を真剣に従来からしばしば取り上げられておりますけれども、なぜ政府見解の結論をはっきりしないのか、ことさらに遷延をさしておるのか、あるいはおくれる事情があるのか、現時点の状態はどうであるのか、一体政府としての結論は、科学技術庁長官としていつ出せるというのか、本年中に出せるのか、来年の一月に出るのか、その辺の結論のめどを含めてお答えを願いたいと思います。
  140. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 簡潔にお答えを申し上げます。  ただいま角屋議員が御指摘のとおり、九月に各省に照会といいますか、見解を明らかにしてくれるように依頼をしまして、厚生省からは九月の下旬に、十月の下旬に農林省から、その見解を明らかにしてまいりました。なお現在通産省及び経済企画庁からの見解は参っておりません。したがって、この見解をぜひひとつ出していただくように、現在督促中でございます。それが参りますれば、科学技術庁としては、それを総合して最終的な結論を出したいと考えておるわけでございますが、そのときには、内部的に二、三あるいは数名の専門家等の御意見等も徴することがあろうかと思います。したがって、できるだけ早く各省の見解を、まだ出していない通産及び経済企画庁の見解を文書をもっていただくように督促中でございます。いつごろまでにこれができ上がるかということは、以上のようなことで各省の御協力を得なければなりませんので、私としてまだ正確に申し上げるわけにいきませんが、できるだけ急いでこういうことはいたさなければならないというふうに考えております。
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際意見を求められております通産省、経済企画庁、これはいつまでに意見を出せるのか。
  142. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは技術的に考えられる問題点を取りまとめまして、ただいませっかく進行中でございまして、近く回答する運びになっております。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いつ。
  144. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 近く。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 近くというのは年内ですか。
  146. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 近い……。
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは八月時点で厚生省の手は終わったわけです。九月、十月、十一月、十二月、四カ月、しかもこの阿賀野川の水俣問題というのは、結論が出てから通産省が気がついたわけでもない。経済企画庁でも同様です。これは従来の阿賀野川問題の資料を全部見てみると、事あるごとに調査の段階でも各省打ち合わせておるのです。経過はよく知っておるのです。いまさら通産省の意見はどうだと言わなくったって、通産省はこうでございますと即日にも答えられる問題である。なぜ遷延をさせておるのか。私は今後のイタイイタイ病の原因究明の問題もそうだが、水俣病の問題を見ても、通産省の公害問題に対する姿勢、これはイタイイタイ病の場合の参議院の公害問題を取り上げた場合に、通産省は神通川の排水問題について通産省の調査では何ら問題はございませんという答弁をやっておる。問題はないのかどうかということは、今日時点で逐次明らかになってきておる。これはやはり通産省の企業に対するところの傾斜、公害問題に対する非常に消極さというものがあらわれているんじゃないかと私は思う。今日厚生省が調査をしておる重松君の調査に対しても、当初は神岡鉱山の廃滓場の処理まで厚生省自体がサンプルをとろうという考え方があった。通産省はメンバーを見てみると、小林教授も入っておる、あるいは石崎教授も入っておる、いろいろ考えてみて、もう少し都合のいい者でメンバーをそろえようなんというようなことは——私はそこまでせんさくはいたしませんけれども、通産省のほうが神岡鉱山問題を担当するというようなことで別個にやろうとする。内閣自身が、この問題については総合的にやる姿勢でやるべきである。厚生省が中心になってやるということなら、厚生省に通産省は協力すべきである。なぜことさらに別個にやろうとするのか。ここらあたりにも、公害問題に対する通産省の姿勢そのものに問題があると私は思う。これはもう即日でも出せるはずである。早くちゃんといつだということをはっきりしてもらいたい。
  148. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 年内に取りまとめて回答いたします。
  149. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 科学技術庁長官にお伺いしたい。そこで問題の通産省が年内に出せるという。これは厚生省見解どおりであるというふうにおそらく良心的には出されるものとわれわれは期待するんだが、しからば一月中に政府の見解を取りまとめることが可能であると考えるかどうか、それを明らかに願いたい。
  150. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 通産省から見解がどういうふうに参るか、まだわかりませんが、その結論を得まして、いつまでという期限を切るわけにまいりませんが、いまのような切迫した事態でございますから、そのようなことを十分認識しながら科学技術庁としては慎重に、かつ、すみやかに結論を出していきたいと思います。
  151. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはもう石田委員の質問に対しても答えているのでしょう。来年の一月、できる限りそういう段階で結論を得たいということで答えているのでしょう。はっきり言ってくださいよ、予算委員会では。もう遷延すべき問題でないのですよ。何年かかってこれは調査してきたと思うのです。
  152. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 本日午前の石田委員の科学技術特別委員会におきましても、その点は明確に期日を切ってはお答えしておりません。
  153. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 あなたの責任において、大体一月なら一月とはっきり言ってもらいたい。
  154. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 これはその結論は専門家の方にも伺って、そうして慎重に、しかも重大なことでございますから、間違いのないようにやらなければなりませんので、私がこの場で行政的な立場からいついつかまでというふうに御言明することは、ちょっと妥当じゃないと思います。できるだけ急ぎたいと思います。
  155. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、公害問題の日本的特質というのは、四日市ぜんそくの裁判訴訟、新潟阿賀野川の水俣裁判を見ても、もう今日の救済対策の非常な立ちおくれ、原因究明に対する政府のいわゆる遷延策といいますか、政府全体として遷延策、企業の日本的特質、こういうふうなものがからまって、やむにやまれずして裁判に訴えるということになっておるのですね。しかし、はっきりすべき、またはっきりできる段階に来ておる政府自身の自解が、なぜ水俣で出されないのか、国民から見たって疑問に思うだろうと思うのです。私は現在の総理が、昭和電工の安西さんですか、親戚関係だというようなことを、私はことさらに類推するわけではございません。しかし、そういうことは全然個人的な問題で、そうでないと思うのだが、要するに公害問題というのは、もっとやはり良心的な立場からやってもらわなければならぬ国民的な問題である。また水俣、イタイイタイ病だけに限らない、四日市だけに限らない、全国的な問題である。救済対策、公害の原因究明に徹底的に政府が取り組むということが、公害の防除対策を資本の側を通じて前進させる一歩の道である、このことも考えなければならぬ。厚生省が救済対策をやるという場合に、原因が明らかな場合には企業に八分の五、国、県、市町村で八分の一ずつといっているが、原因が明らかな場合には、企業が全額持てばいいのである。また、公害病と判定できるものについて、原因が全体として不明の場合には、国と県と市町村で三分の一ずつという、企業は無関係に考えておる。これは問題がある。公害病と指定する場合には、企業は無関係ではない。厚生省の案そのものは、今後通産省その他からの抵抗があり、後退をする危険性を持っておるけれども、この案そのものにも、やはり公害の基本的な考え方から見て、救済の姿勢に問題があると私は思う。一体、厚生大臣もそうだが、権威を持ってやった厚生省の調査というものは、内閣の手によってさらに遷延されている事態というのを厚生大臣はどう考えているのか。
  156. 園田直

    園田国務大臣 公害が各所に起こっておりまするが、これについての査定については、現地の方のお困りになっていることに対する人間的な問題、あるいは一個の企業経営の問題、こういう問題とは全然別個に、公平にやるべきものでありまして、やはりやるべき手数は踏むべきだと考えております。しかし、いずれにいたしましても、いままで起こった問題、今後の公害に対しても、企業責任を明確にするということをまず将来の防止についても考えなければならぬ、このように考えております。
  157. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 重ねて科学技術庁長官にお伺いしたい。  やはり新潟の阿賀野川の水俣問題については、目途として一月中には政府としての結論を出したい、こういうき然たる科学技術庁長官としての姿勢がなければ、これはどんどん政治的にもおくらされる危険性がある。この際はっきり言い切ったらどうです。
  158. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 いま経済企画庁長官からも、今年中には回答がくるというようなお話も承りましたから、一月から科学技術庁においてこれの審査をやりたいと思います。私は、決して政治的なことに動かされることはございません。誠意を持ってできるだけ早く御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  159. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 法務大臣に……。法務大臣の出席を要求してありましたが、他の委員会の関係で行かれましたけれども、この機会に、法務大臣にかわるべき者としては、宮澤さんになるのかな、(「総務長官」と呼ぶ者あり)そうだ、総務長官だ。水俣の裁判でもそうですし、四日市のぜんそくの裁判でもそうなんですけれども、四日市の公害裁判の場合には、訴訟者九人の中に七十八歳という老齢の方がおられますよ。大体、今日の日本の裁判の場合は、一審、二審、三審なんというようなことをやられると、従来の例からすると非常に長期にわたる。それまでは待てないんですね。私は公害裁判というふうなものは、できるだけ早い機会に結論をつける考え方がやはり必要だと思うのです。できれば三年、おそくも三年といいますか、十年もかかったらたいへんだ、こういうふうに思うんであって、水俣の問題についても、もう全体的な科学的な判断というものはおおむね出ている。われわれから見れば、ぴしゃりと出ていると思う。あるいはイタイイタイ病についても出てくる。イタイイタイ病は訴訟に出ておりませんけれども、四日市ぜんそくだって同様である。こういうことからいけば、裁判の促進ということが、機構その他の問題も含めて、真剣に考えられなければならぬ段階にきておる、こう思うわけでありますが、法務大臣おられませんので、総務長官に、公害対策全般の姿勢の立場からこの問題にお答え願いたい。
  160. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま法務大臣がおりませんので、ただいまのお話は確かに大臣に申し伝えます。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 見解を聞いているんだ。
  162. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 司法関係につきまして、私がとやかく申すことは、これは差し控えさしていただきます。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 御趣旨に沿うということが入っていない。
  164. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 御趣旨に沿いまして伝えますから……。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この公害問題、事例としては、今日の深刻な問題になっている水俣、イタイイタイ、四日市ぜんそくの問題を取り上げましたけれども、公害全般の問題であります。いわゆる公害に対する関連の法律、四法案の問題の詳細の中身まで入りませんでした。  そこで問題になるのは、企業の姿勢あるいは特に各省の中では通産省の姿勢、こういうものが基本的にやはり問題である。日本の場合は、国際的な考え方からいっても、企業は政府のいわゆるあたたかい庇護のもとにおいて、公害対策に対する積極的な姿勢を示していない。これが現状である。そういう点からいくならば、原因究明の問題、被災者救済の問題というのは、次期通常国会においては公害対策の前進をはかるという方向で、やはり各大臣ともに協力を願わなければならぬ。特に通産大臣、その点については御異議はないと思うんだが、お答え願いたいと思います。
  166. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 あげられました公害の問題解決のためには、今後とも誠意をもって当たるつもりであります。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私、文部大臣にも要請しておいたわけですが、この四日市ぜんそくの場合を見ると、公害病患者に認定された中に、相当数の小学校の児童が含まれているのです。たしか三十九人だったと思うのです。これは低学年、それからもっと上のほう。そこで四日市では、公害教育ということが教育委員会でも言われ、公害教育をやはりそういう地域ではやる必要がある、こういうことで乗り出そうとすると、やはり抵抗が出てくる。これはもう塩浜の小学校の例を見ても、大気清浄装置までつけなければならぬ、マスクも用意しなければならぬ、学校の授業の中でもせき込む生徒がおる。実際これはそういう公害の磯津のような中心地域になりますると悲惨な状態である。なぜ公害教育を正しくやるということについてはばむところの力があるのか疑問である。文部省の立場として、公害という問題についてはいたいけな子供がおかされている問題が、災害対策全体の一つの大きな問題である。これは交通戦争の中での問題もそうでありますが、公害教育を含めて、いわゆる児童教育の問題、学校教育の問題として、公害、交通戦争、こういうものに対して、文部省としてどういう考え方で対処されようとするのか、これを文部大臣からお伺いしておきたい。
  168. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お答えいたします。  角屋君の公害教育という御趣旨が実はよくわからないのでございますけれども、何しろ対象の年齢にもよることでもありますので、したがって、その年齢、成長の程度に応じた教育は、これはなすべきであろうと考えますが、あまりにも年少な子供にむずかしいことを申しましても、これはわかりにくい問題でありますから、この点はその成長段階に応じて教育してよろしいと思うのでございます。  なお、公害という点から申しますれば、申すまでもなく、学校方面はいわば被害者でございます。公害から守るために学校として施設すべきものが決して十分とは言えないと思います。そういう点については今後一そう充実することにつとめてまいらなければならぬと思うのであります。  また、交通の問題にもお触れになりましたが、この問題も、いまもっていたいけな子供の死傷が減らないということはいかにも残念なことでございます。これはいろいろな方面から攻めていかなければならぬと思いますが、学校におきましては、もちろん交通道徳でありますとか、あるいは交通上の訓練でありますとか、子供の交通安全に関する自覚を高めていく、あるいはまた通学下校の際における注意を徹底する、こういうことは従来からも進めてまいりましたが、一そう努力したいと存じております。  なお、この際、国会の総意をもちまして、子供の通学路についての安全装置について、これが強化せられましたことについては、深く感謝いたしております。  それからまた、通学の道筋等につきましても、学校のほうでよく指導する必要があろうと存じます。市町村の当局者あるいは警察あるいは道路管理者、これらの連絡協議会等も各市町村において持ってもらうように文部省からも依頼をいたしておりまして、だんだんと実現いたしておるようでございます。いろいろな力を合わせまして子供を守っていくということに努力いたしたいと存じます。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 自治大臣に、災害、公害問題を含めて、これは実際の問題は、災害でも仕事は地方自治体が現実に進める第一線の重要な責任を持っておる。激甚災の適用に基づくところのいろいろな問題、関係法律に基づくところのいろいろな事業の推進、あるいは自治省でいえば、起債の問題の対策とか財政上の交付税の問題の対策とか、いろいろな問題がございます。そういうことを通じて災害対策の実際の責任というのは、自治省としても非常に重い。また公害の問題については、今日までの地方自治体の公害に対する姿勢というものがはたして正しかったかどうか。工場誘致条例というようなものが、高度成長政策の中でどんどん各県につくられていく。しかしながら、公害防止条例というようなものがそれに伴ってつくられたとは断じて言えない。そういう中で公害対策があとを追わなければならぬというのが、今日の公害を大きくした原因の一つの中にある。地方自治体の姿勢そのものにも、公害対策の点から見てはたして問題がなかったのかどうか。そういう面の指導もやはり自治省立場としてもなさななければならぬじゃないか。経済高度成長といい、安定成長といい、ことばではなくて、住民福祉、国民の健康と生命、こういう立場から真剣に自治体が取り組むことが必要な情勢に来ておると私は思う。こういう点で災害問題あるいは公害問題を含めて、自治省としてのこれらの基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
  170. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公害基本法によりまして、公害防止計画の策定は都道府県知事がやるわけでございますので、自治省といたしましてはやはりその指導を十分にいたしたいと思います。指定された地域内において、工場地帯をどうするとか、それに対して住宅地帯はどうであるとか、こういうことを盛り込むわけでございますが、将来のこういう公害が人心に及ぼす被害というものをよく勘案いたしまして、十分な措置をいたしますとともに、もし起こりました場合には、やはりいろんな措置が必要になってまいりますが、とにかく災害も含めておっしゃいましたけれども、それに対処いたしますためには自治省といたしましては、起債の面におきましても、また交付税の配分にいたしましても十分しんしゃくしなければならぬというふうに考えております。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間になってきておりますので、私はそれに従いたいと思う。  私は、きわめてじみではありますが、日本の全体的な政治の中では基本的に重要な問題である災害、公害、交通安全、こういう問題を含めて、今日的問題あるいは将来において考えていかなければならぬ全体的な姿勢、こういうものについて簡潔に触れてまいりました。今日財政硬直が言われる、そういうことの中で、社会資本の整備という中で重要なこれらの問題が軽視されては断じてならないと私は思う。また今日佐藤総理の命令によって、やれ一省一局削減であるとか、定員の三年間五%の削減であるとか、こういうことが画一的、機械的に議論されておるところにも問題がある。やはりそういう問題についてももっと全体的な立場から、これからの日本政治経済、社会が望んでいる方向でそれにどう対処するのか。臨調答申でいろいろ指摘をしておるところがございましょう、これもやはり十分に判断をしなければならぬ、こういう姿勢が欠除をしておるところに問題がある。  私は、最後に大蔵大臣にお伺いしたいのだが、本年は財政上いろいろ苦労されることは、私ども野党の立場であるけれども判断はされます。しかし、問題の全体的な処理をするときに、やはり基礎的な問題である私が取り上げた問題については熱意を持ってといいますか、正しい判断に立って予算編成に当たられたい、こう思うわけでありますが、最後に大蔵大臣からこれらの問題に対する考え方についてお伺いしておきます。
  172. 水田三喜男

    水田国務大臣 災害はおっしゃられるとおりに重要でございますが、それよりもいま言われました公害の問題、交通の問題これは新たに必要となってきている財政需要でございますので、こういう新しい政策的な経費が計上できるということが、私がこの間申しましたように予算の弾力性を持つことだ。こういうことができないことが予算の硬直性と思っておりますので、この硬面性をできるだけ打開して、こういう新規に要望されてきている財政需要に対処できるように予算の編成をしたいというつもりでございます。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 以上をもって終わります。
  174. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて角屋君の質疑は終了いたしました。  次に、芳賀貢君。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、食管特別会計の補正の内容並びに食管の制度問題、次に農産物の価格安定と貿易自由化の関係、次に農林省がいま作業を進めておる新しい農業構造政策の問題並びに北海道の開発問題等について質問をいたします。  第一に、倉石農林大臣にお尋ねいたしますが、十一月四日、ローマにおきまして、FAOの総会が行なわれたわけであります。その際、農林大臣日本政府代表として出席いたしまして演説をされたわけでありますが、この演説の内容には非常に興味の深いものがありますので、この際主要な点についてここで述べていただきたい。
  176. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 FAOの総会で私が申しましたことは、開発途上国で食糧をほしいというふうなことを多く希望しておる国もあるが、飢餓に瀕しておるようなところに食糧そのものを援助することは、それは必要な場合もあるが、一般的にいえることは、低開発国はやはり自分が奮起して立つという決意を持たなければだめだ、日本が今日のような農業を築き上げたのは百年間の苦労の結集である、したがって低開発国もそういう意識を持って立ち上がるべきである、こういうことが主たる要旨であります。あと漁業の問題がございますけれども、そういうことであります。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局、要約いたしますと、世界の諸国家はまず自分の国の食糧の自給度向上のために政策的な全努力を傾注すべきである、それが容易でない場合に初めて他国からの食糧援助というものが——これは世界の人口問題あるいは国際的な問題として援助を行なうべきである、こういうことですから、これは、後進開発国だけに対して、君たちは自給度の向上をはかれということではないと思うのですね。そのことは、日本におきましても、やはり国民経済の基盤をなすところの国民の食生活については、やはり安定的な食糧の生産と供給をはかる、ここに重大な政治的な責任と使命があると思うわけでありますが、そういうことですか。
  178. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私は演説の中で別にそういうことは申しておりませんけれども、一般的に、いずれの国もあなたがおっしゃったようなたてまえで考えておることだろうと思うし、またそのようにすべきであると思います。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、十一月二日の閣議におきまして農林大臣は、昭和四十二年、今年度の米の実収見通し等について、当然なことですが報告をしておるわけです。その内容の主たるものは、ことしは空前の大豊作で、総生産量が一千四百三十万トンをこえるに至って、これは昭和三十七年の千三百万トンをはるかに、百三十万トン上回っておるわけであります。したがって、政府の買い入れ数量等についても、九百五十万トンをこえる見込みである、これは全国の農民の諸君が、労力不足、あらゆる困難を克服して努力された成果で、感謝感激にたえない、ここまではいいわけですよ。しかし、この際農林大臣としては、今後の食管制度の運営の改善、特に当面の問題としては、来年以降時期別格差の制度というものをなくする努力をする考えであります、こういうことを言われておるわけですね。したがって、ここでお聞きしたいことは、食管制度の運営の改善というものは政府としてどういうことを考えておるかという点と、もう一つは、この豊作を機会にして、たとえば、時期別格差をなくすとか、あるいはまた予約減税をなくすとか、あるいはまた政府の一部には、この際直接統制を緩和して間接統制に移行させる準備をすべきであるというような意見も伝わっておるわけでありますから、これはいずれも非常に重大な問題であります。この点について農林大臣から率直な見解を述べてもらいたいと思います。
  180. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 千四百三十万トンの非常な増収見込みであるという報告をいたしました。閣議の日付は忘れておりますが、そういう報告をいたしました。したがって、政府買い入れ米の量も大体このぐらいにはなるかもしれぬということの報告はいたしましたが、この際食管制度を云々というようなことは、私はそこでは言っておりません。それからして同じ日であったかどうか忘れましたけれども、たぶん同じ日であるかもしれませんが、この際時期別格差については再検討いたしたいと思うということを申しておりますし発表もいたしております。芳賀さんよく御存じのように、時期別格差という制度が生まれました沿革はああいう状態であります。そこで最近になりましては、すでに何代か前の内閣において、時期別格差を段階的に廃止するという閣議決定もありますけれども、その後諸般の情勢の変化で一段階落としただけで足踏みをしております。そこで、いま時期別格差ということをやっております関係で、なるべく早く供出をすることによって所得をふやそうということで、非常に無理をされて火力乾燥などをされたりして、そのために米の品質を悪くしたり等の事情もありますので、この際時期別格差については再検討をいたしたい、こういうことをわれわれは考えておる次第であります。
  181. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、農林大臣の意思として、明年度から時期別格差をなくしたい、そういう検討を進めるということですか。
  182. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 なくするとは言っておりません。これをどういうふうにするか検討いたしておるわけであります。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、現在の食管制度の根幹に触れるような手直しとか改悪ということは考えておらぬ。結局農林大臣あるいは大蔵大臣としても、現在の食管制度というものは政府の責任においてこれを堅持する、こういう基本に変わりはないわけですね。
  184. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 食管制度につきましては、もうよく御存じのように、農業の専門家の間にもあるいは経済界その他労働界等各方面に前々からいろいろな意見が出ております。私どもは、農政審議会等ああいう継続的に勉強しておられる方々の御意見もありますが、ただいまのところ私の考え方では、大体本年非常に豊作でありましても、天候に支配される農業のことでありますから、明年の予測はできないのであります。したがって一年だけ非常な豊作であるからといって、安心して制度を根本的に改正するというふうなことについては、きわめて慎重ならざるを得ないわけでありまして、したがって、ただいまの気持ちでは、食管制度というものを、根幹を動かさないでその運用についてできるだけ消費者その他が納得していただけるような研究をしておる状態であります。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで農林大臣の意思は明快になったわけです。あわせて財政担当者である大蔵大臣について、ただいまの食管制度を政府の責任においてこれを堅持する、この点あわせて御答弁願いたい。
  186. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政当局としましては、いままでのところ補正要因の最大なものがこの食管会計の赤字でございますので、従来のようなやり方をやって今後食管会計の補正の財源が得られないというような事態になったら一体どうするか、この責任は私どもは非常に重いと思いますので、そういうことを予測して無責任な予算というものは組めないという立場にございますので、ここでこれをいまのようなやり方でなくて予算編成の方法があるかどうかというようなことにつきましては、いまの食管法の改善の問題ともからみますので、ひとつそういう問題については主管官庁で研究していただきたいという要望を出しまして、いま農林大臣に研究を願っておるところでございます。
  187. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大蔵大臣としては農林大臣に研究を一任してあるということですか。
  188. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政当局として、食管会計にこういう大きい赤字を出さなくて済む方法について、この制度についての研究は当然主管官庁の農林大臣の意見をおいてはできないことでございますので、研究を願っておるということでございます。
  189. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、当面の問題になりますが、予約減税の問題については大蔵省の所管ですが、この点についてはどういう考えを持っておられますか。
  190. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは御承知のとおり、税制調査会では毎回問題になって、一応答申が出ておる問題でございますが、国会でこれを採用するということをいままでやっておらないで、引き続いてこの問題は懸案になっておる事項でございますが、全国農家における所得税の負担者は全体でもう四%前後ということになっておりますし、米の予約供出者の六%前後ということになっておりまして、しかも、予約供出という制度ももう長く実行されておりますので、一応軌道に乗って、これを集荷するための奨励というような機能は現在一応果たしておりはせぬか。そうすれば、ここらでもうこれは機能を果たした特別措置ではなかろうかというのがずっと税制調査会の皆さん方の意見で、何年もこういう意見を出してきておるのですが、いろいろの事情で、一ぺん実施したことというものはなかなかこれをやめられないで今日に及んでおる、これが実情でございます。
  191. 芳賀貢

    ○芳賀委員 毎年十二月中にこれは政府が方針をきめるわけです。ある場合には、議員提案として国会に減税特別措置法を出したこともあるが、最近は進んで大蔵省のほうから提案の用意をされたわけです。今度の予約減税というのは、昭和四十二年の産米に対する優遇措置ですからして、ことしの予約制度にこれは付随した措置ということになるので、当然今年度の点についてはいまさらここでぐずぐず言う余地はないと思うのですよ。そうじゃないですか。
  192. 水田三喜男

    水田国務大臣 今年度の分は別に問題ございません。
  193. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではことしの分については政府から予約減税の措置を行なう、こういうふうに承知していいわけですね。  次にお尋ねしたいのは、今年度の豊作等の関係によりまして昭和四十三米穀年度の需給状態というものは相当変わってくると思うわけです。すなわち、ことしの九百五十万トンの買い入れによりまして、おそらく四十三米穀年度においては年度末のいわゆる古米繰り越しが二百万トン台に及ぶということは推定されますし、そうなると、大体現行の三カ月程度の配給をするということになるわけですね。特にここで明確にしてもらいたいことは、このように恵まれた天候にもよりますが、全国の生産農民の偉大な努力によってこういうような成果があがって、国民生活の面に大きな貢献をなしておるわけですからして、そういう情勢の中において、一体明年度における外米の輸入計画というものはどうするかということは、これは国民全体の関心のあるところであります。特にこの点を重点にして来年度の需給計画というものをどうする。特に外米輸入の関係については、どのような方針で農林省としては対処するか、これを明らかにしてもらいたい。
  194. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話しのありましたような豊作でございますから、一般的に申して輸入はさほど必要はないはずでありますけれども、芳賀さんよく御存じのように、特殊な原料にいたします砕け米その他、常に輸入をいたしておるわけです。補完的にやっておるわけでありますが、当然需給状況を見まするというと、輸入米は著しく量を減らして適当ではないかと、このように思っております。
  195. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、今年度の輸入見込みは大体五十二万トンということになっておるわけですが、この変更はないわけですか。
  196. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 五十二万トンというお話でありましたが、まだはっきり私どもはきめておりませんけれども、いろいろこれも御承知のように、国際関係等、それから貿易関係等でも、外国からこれだけの米を買ってもらいたい、そうでないと、わが国の輸出に支障を生ずるとか、いろいろなファクターも出てまいりますので、それらを勘案して適当にきめてまいりたいと思いますが、原則的には、先ほど申し上げましたように、輸入米の量は著しく減少する見込みである、こういうことであります。
  197. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済企画庁長官にお尋ねいたします。  特に先般来世上に伝えられておる宮澤発言、これは来年度の予算編成関係することでありますが、まず物価対策の一環として、生産者米価、消費者米価の凍結、それから公務員の給与については、当初予算で五%以下に押える、こういう措置を講じなければ、消費者物価の抑制はできないというようなことを言われておるわけですが、その答弁をしてもらう前に、十月一日から一四・四%の消費者米価が上がったわけです。この点については、ことしの春の予算委員会におきましても質問をいたしまして、十月から一四・四の大幅値上げをした場合に、この消費者米価値上げが、消費者物価全体に波及する影響というものはいかほどであるかということを尋ねたわけですが、当時経企長官は、通年にすると大体〇・七%、十月以降だから、その二分の一の〇・三五%程度で物価への影響はおさまるということを言われたわけです。しかし、現実には十月以降の卸売り物価、あるいは消費者物価の上昇が急激になっておることから見ても、あるいは国民指摘も、このような大幅な消費者米価を上げることが、いわゆる直ちに食糧関係の品目に対する値上げ、あるいは関連した便乗値上げが行なわれるのであって、消費者米価の値上げがいわゆる物価値上がりの元凶であるというような、こういう非難が出ておるわけでありますが、この点について、どのような反省をされておるか述べてもらいたいと思います。
  198. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過般もそういうお尋ねがございまして、私は通年で〇・七ぐらいでございます、その米価自身の持つウエートはそういうことでございますと申し上げました。そのときにもたしか申し上げたと思いますが、ただ過去の例を見ますと、消費者米価が上がったときに、諸物価がそれを機として上昇する、一つ踏み上げるということが、過去大体常にそうでございましたから、そういうことが起こるのではないかということを心配しておりますと申し上げました。それで、現実に十月に起こりましたことは、十月の消費者物価の値上がりの中で、主食の上昇が寄与しておる部分がちょうど半分ぐらいございます。残りのものは、たまたま干ばつでありましたために、野菜の上がりが寄与したのが二割ほど、それから被服の上昇が寄与いたしましたのが一割ほど、大きなものはそんなことになっております。
  199. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで来年の予算編成関係することですが、政府のおおよその方針によりますと、来年度の予算編成の場合に、まず米価問題については、生産者米価、消費者米価を同時に当初予算に計上する、あるいは公務員の給与についても当初予算に計上する、こういうことが伝えられておりますし、これがまた宮澤発言の基礎をなしておると思うわけでありますが、米価問題について、一体来年度の予算編成の際に、生産者米価、消費者米価を当初予算に、前年度主義でなくて、明年度の米価の見積もり額をきめて計上するようなことを実際に考えておるかどうか、その点はいかがですか。これは大蔵、農林両大臣から答えてもらいたい。
  200. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだおおよその方針というようなものは、いまのところ全くきまっておりません。   〔委員長退席、二階堂委員長代理着席〕
  201. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう点を聞いておるのじゃないですよ。現段階においても財政当局として、予算編成の基本的な構想というものはあると思うのです。特に今年度中に編成を了するということになれば、なおさらだと思うわけなんです。しかも補正なし予算というものでいきたいということを、先日来総理並びに大蔵大臣も言っておるわけですから、そうなれば補正予算の一番大きな題目は、何としても食管の米価の問題、あるいは公務員の給与の問題ということになるわけですから、補正なしということになれば、この問題を当然当初予算に計上するということになると思うのですよ。それをあんた、いま何も考えておらぬというのはどういうわけなんですか。そういう無責任な、でたらめな答弁をするというのはけしからぬですよ。
  202. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、いろいろの編成方針は考えておりますが、事、米価に関しましては、主管官庁がございますので、そこの意見を聞き、相談しなければ、財政当局としても来年度の予算の編成方針が立たない。いまの臨時国会と並行して予算編成の問題については、常時これから関係官庁と相談して、私どものほうは予算編成を急ぐつもりでおりまして、この問題についてもこれから農林大臣、農林当局と私どもは折衝しょうとしておる問題でございますので、したがって来年度、はたしてそういう当初予算に盛れるようなところにいくのかどうかというようなことも、これからの検討事項でございまして、まだ全く結論を得ておりません。
  203. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは担当の農林大臣、お答えを願います。
  204. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほどお話しのございましたように、現在の経済、財政の状態からかんがみまして、あるいは補正なしの予算というふうな考え方、私は傾聴すべき意見であると思っております。しかし、まだただいま補正予算でわれわれは朝から晩までこうやって精励恪勤しておりまして、まだ相談する時間もございませんので、新聞にはいろいろ、あるいは政略的かもしれませんけれども、ちらほらいろいろな意見がアドバルーンとして出ておりますけれども、われわれ一ぺんもまだ相談をいたしておりませんし、いま一生懸命でどのようにすべきであるかということについて検討中でございますので、まだ何もきまった方針はないわけであります。
  205. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは今年度の生産者米価、消費者米価の間におけるいわゆる農林省がよく言う逆ざや現象ですね。百五十キロ当たり五百九十八円、これは消費者米価のほうが生産者米価よりも安い、これを逆ざやというわけですが、この逆ざやをなくするために、たとえば五年間ぐらいの計画で食管の繰り入れをだんだんなくするために、まず第一年目の来年度は当初予算に三%程度の消費者米価の値上げを見込む。その次の時点で来年度の生産者米価が決定して、それがことしのように九%でおさまるか一〇%でおさまるかわかりませんが、生産者米価の値上がり率と同率のものをさらにまた消費者米価の上に加算する。こういう構想は大体やるつもりでおるわけですか。
  206. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これはさっき私が申し上げましたところから出たアドバルーンが、いろいろそういう新聞記事を見ましたけれども、私どもは全然そういうことに関与しておらないわけで、実はこれからみんなで相談をしてきめなければならない、こう思っておるところであります。
  207. 芳賀貢

    ○芳賀委員 事実無根ということになれば、きょうはその程度にしておきます。  次にお尋ねしたいのは、米価審議会委員の任期が十二月いっぱいで切られるわけです。しかし、任期が切れたから米審を直ちに廃止するということはなかなか容易なことではないと思うわけです。そうすると、一月以降新たな委員を農林大臣が選任される場合、まず尋ねておきたい点は、国会議員を今度こそほんとうに締め出す考えでやるのか、その点はいかがですか。
  208. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 前回と同じようなことを申し上げて失礼でございますが、ただいま、いやだいやだと言っておられた方を無理にお願いして米審の委員にお願いいたして、その方がまだ任期中でありますので、その任期中にこれからの委員をどうするかというふうなことを申すのは失礼でありますし、ぽつぽつ考えていかなければならぬと私は思っております。
  209. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点はことしの六月、特に国会から代表として出ておる委員の選任をどうするかという問題に際して、非常に、これは政府と国会側が対立というわけじゃないが、政府の考えはけしからぬじゃないかというようなことになって、その調整役を国会の議運の諸君がやっていただいたわけです。ちょうど安宅委員が当時の担当者でもあったわけですからして、六月に決定したときの経緯といまの農林大臣の発言と、私たちはこれは非常に断層があるように考えるわけですからして、安宅君、関連でやってください。
  210. 安宅常彦

    安宅委員 関連して……。  農林大臣にお尋ねいたしますが、ただいま芳賀委員の質問に対して、これからぼちぼち考えてみなければならない、こんな話なんですね。もともと米価審議会の委員の問題でことしの五月か六月に問題になったのは、もう国会議員がおっては都合が悪い。それで国会議員締め出しなどという表現で盛んにマスコミを利用して農林省がはでに宣伝をし始めた。これまで、これは御存じのように米価審議会令によって学識経験者の中に国会議員を六名推薦するということになって、これは電信電話の料金や郵便料金や、相当そういう公共料金というものを含めて広範囲な料金というものが国会で討論されてきまる、こういう制度になっておるのに、国民の一番大切な主食のこの米の値段を政府がかってにきめるということは、食管法は戦前にできた法律でありますが、今日の制度ではおかしいじゃないかということで議論が起こり、まあそこまでいかないけれども、諮問機関である米価審議会に国会議員を入れることによって、当時、昭和二十六年でありますか、話し合いがついた。こういういきさつがあるわけですから、それで毎年農林大臣が議長に対して六人の国会議員を選任してもらいたい、こういう要望を持ってきたわけです。今度は都合が悪くなったから締め出しだ、要らないのだ、こういうことでは立法府に対するこれは非礼ではないか。こういうことはけしからぬということになって、石井議長が、これはたいへんなことだ。こういうことで、いろいろあなたの御意見もあったけれども、妥協案などを持ち出してみたり、あるいはそういう話の過程で——もちろんあなたの権限でありますが、米価審議会の委員の任期を暦年制にするという理由のもとに、十二月三十一日までに政令でかってにばっときめてしまう。こういういきさつがあったために相当トラブルがあったわけですが、無条件で国会議員を今後とも米価審議会の中に入れる、こういうことで、今度厚生大臣になった園田副議長立ち会いのもとに話し合いがついた、こういうふうになっているわけですから、当時の議長も石井さん、農林大臣も同じ倉石さん、議運の委員長も同じ坪川さん、衝に当たった私どもも現任しておるわけでありす。現在その任にあるわけであります。そういう事態の中で、これからぼちぼち考えてみなければならないというのは、これははなはだかってな答弁のような気がいたしますが、その当時の経過というものを、そして結末というものをはっきり確認をして、今後ともそういうふうにいたします、こういうのだったら話はわかりますが、ぼちぼち何か別なことを考えておるような答弁では、あなたはこれは食言をしたことになり、たいへんなことになるのでありますから、万々そういうような御発言は慎んでいただきたい、こういうふうに考えておるのでありますが、農林大臣の御所見を伺いたい。
  211. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 安宅さんは議院運営委員会ということでお話しになっておるわけではなくて、いま予算委員のお一人としてのお話だと思いますが、その前に、前回のときに国会議員を締め出しとかいうおことばもありましたけれども、それは新聞がかってに書いているので、農林省はそんな失礼なことを言った覚えもありませんし、そういう考えではないわけです。ただ臨調の答申にありますように、ああいうこと、つまり政府の諮問機関等には国会議員は入るべきものではない、こういうお考え、第一、まずわれわれが国民の代表として選ばれて、国権の最高機関という議席を持っておるのでありますから、それに任命されてつくられておる行政府である内閣の、しかも小さな審議会に、国権の最高機関の構成員である議員さんをわずらわすというふうなことはよくない、こういうたてまえでありますから、農林省は小さな審議会からは議員さんをわずらわすことを御遠慮申し上げたという歴史であります。  そこで、今回は、いま安宅さんのおっしゃったように、私どものほうで、これは御委嘱というより、手続が任命ということになっておりますので、任命手続を一月からしなければなりません。  そこで、それをどういうふうにやるか。芳賀さんよく御存じのように、私どもはいままで米審の経過を見ますというと、米の価格を決定する一週間か五日前に緊急に招集して、そうして半ば徹夜のようにして資料を配付したり御審議を願っておる。これは申しわけないことであるから、これからは年間を通じてひとつ諸般の問題について御相談を願うことがよかろうという構想のもとに、いま委員を、学識経験者としてどういう方を御委嘱申し上げたらいいかということについて検討しておる、こういう事情であります。
  212. 安宅常彦

    安宅委員 もう一回。それは、たとえばいろいろなそういう審議会に国会議員が入るのに対する勧告があったとか、いろいろな理由をあなたは申し述べましたが、そのとおりのことをこの前も言ったわけです。あなたは相当強硬に主張されました。強硬に主張されましたが、米価審議会がつくられたいきさつ、そういうものをわれわれがよく説明をして、そうしてあなたは最初の意思をひるがえして、わかった、こういうことになって、無条件で国会議員は今後とも任命するということに同意をされたわけです。先ほど言ったように、当時中に入った議長も、議運の委員長も、あるいは農林大臣であるあなたも、同一人であります。もしこれかまた別な方向に同じ理由のもとに——米価審議会の運営のあり方について徹夜でやるとかなんとかいうのは、これは別の問題、そういう問題について別な方針をお出しになるということになれば、これは朝令暮改というものであります。幾ら倉石でも、石がくらくらされたら困るんです。そういうことがないようにしてもらわなければならない。私は、今日、予算委員でありますが、同時に、議院運営委員会の理事でありますから、そういうことについてあなたのほうで態度を変更されるようなことがあった場合には、これは院の威信にかかわる問題でありますから、権威にかかわる問題でありますから、徹底的に戦わざるを得ないのであります。そういうことはなさらないようにしていただきたい。この件について、それはぐらりひっくら返ったというようなことがあったならば、あるいは、いまの答弁によればそういうことを考えておられるようでありますから、そういうことは朝改暮令でも何でもない、当然のことだ、こういうことで押し通すおつもりか、やはりあのとき話し合ったことは正しいことであって、それを守りますということなのか、これをはっきりこの際、これは私は関連で立ったのでありますから、これ以上は言いませんが、あとは芳賀先生から質問さしていただきますが、明確にしていただきたいと思います。
  213. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまのお話の中に、今後とも永久に議員をわずらわして米審にお願いするということは言っておりません。何かの間違いではないか。  それから、これからやるということにつきましては、さっき申しましたように、どういう先生方をお願いしたら米価審議会としてりっぱなものができるかということをいま研究中である、こういう段階でありますから、全くこちらは白紙であります。   〔二階堂委員長代理退席、委員長着席〕
  214. 安宅常彦

    安宅委員 間違いだと言われたら困りますから、十二月三十一日までで国会議員はまあとにかく任命し、その後はひとつかんべんしてもらいたいという申し入れもあったのですが、それはだめだということで、無条件で国会議員を入れるということになったのですから、今後入れないということは正しいのであって、私が言ったことが間違いだみたいなことを言われたら心外でありますから、そういうこともあらかじめ、そういういきさつがあったということも私は議事録にとどめるために特に発言をいたしました。  先生ひとつ……。
  215. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの米価審議会委員の構成、選任の問題については、同僚の安宅委員から指摘があったとおりですが、別の角度から問題を提起いたしますと、現在の米価審議会のあり方に幾多の困難性がある。たとえば生産者米価の場合においても、ことしの消費者米価の答申の場合においても、あるいは答申不能、消費者米価においても並列答申というようなことで、委員会の意思というものが必ずしも明確に反映できない。こういう状態の中から、一番強力な発言権を有しておったと思われる国会議員を意図的に排除するということになれば、残りは、ごく少数の生産者代表あるいはまた勤労者組織を代表した代表以外は、ほとんど大部分が、政府の意図を支持し、あるいは政府の意図に迎合するがごとき行動を行なうように見受けられるいわゆる御用的な委員だけで大事な米価審議会を構成するということになれば、これは全く権威も機能も失墜するということになるので、こういう形では審議会に期待とか責任をまかせるということにはならぬわけですね。したがって、小さな問題と大臣は言われたが、いまの食管の補正を見ても、食管特別会計の歳入歳出一兆八千億に及ぶ膨大な規模を持っておるわけですからして、これらの予算を審議し、あるいは基礎になる米価を審議するということは、当然国会の責任であるということは言うまでもないわけです。ですから、一段現段階より発展したやり方ということになれば、国鉄運賃や郵便料金を国会できめるよりも重要性を持っておりますので、今後生産者米価、消費者米価の決定については、政府が案を出して国会で審議して、議決を要するということにすれば、これは一番ガラス張りの場所で、国民の総意を代表した立法府において検討するわけですから間違いはないと思う。ここできめた問題は行政府が忠実に実行するということになるわけですからして、いま直ちに米審を廃止しろということではありませんが、国会で議決をするという点については、政府としてはどのような考えを持っておられるのですか。
  216. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府として別にこうということをあらためて申したこともないと思いますが、私どもは、国会で重要なものの価格を決定するということは一つの方法だろうと思いますが、これは国会の問題であります。政府として、私どもの考え方はどうであるかといえば、ただいまのように行政責任において決定することがよろしい、こう思っております。
  217. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の言うのは、政府が案を国会に提出して、審議議決されたものを行政責任において実行する、これが予算の実行についてもそういう順序になるわけだから、一兆八千億の膨大な食管の歳入歳出の内容を十分検討するということになれば、米価というものを一体どうするかということに触れなければならぬわけですから、だから、現状の機構よりも一歩前進した形ということになり、国民の信頼のもとに処理するということになれば、むしろそのほうが発展したやり方であるというふうにわれわれは考えておるわけです。これをきょうは申し上げておきますので、今後米審の新たな委員の選任等についても、単に自分の号令のもとに動くような御用学者とか御用委員だけをかき集めて、何でもかんでも政府のおっしゃるとおりでよろしゅうございますというようなことでは、これは何も意味がないわけですから、その点だけは十分頭の中に入れておいて、善処してもらいたいと思うわけです。  次に、食管の問題で、もう一つ。食管の経費の問題ですが、これがいわゆる。特別会計から繰り入れるたとえば二千四百億円というのは食管の経費ということになるわけですが、経費の内容をすべてここで分析するといういとまはありませんので、ことしの春の予算委員会あるいは七月の予算委員会等において特に食管経費の合理性の上から指摘されました、食管特別会計の持つ食糧の——きょうは米だけに限定いたしますけれども、この運賃が大体ことしの当初予算においても百十七億円、今度の補正によってこの運賃は相当増額になると思うわけです。ですから、この運賃というものは、これはすべて食糧庁と日本通運との間において毎年契約を締結して、いわゆる日通の独占的な運送事業として三十年来取り扱ってきておるわけですが、この内容についてさらに検討し、合理化する点があるとわれわれは考えておるわけですが、この点についていまの時点で、食糧庁としてはどういうような運賃面における検討、合理化を進めておるか明らかにしてもらいたい。
  218. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府食糧の運送にあたりましては、その料金等は御存じのように運輸大臣の認可または届け出の定額料で決定いたしておりますので、これは競争に付する余地はないわけであります。それから食糧運送という特殊性から見まして、契約の相手方としては能力、経験、信用度、それからそれを請け負うべきものの機構等、政府の重要な食糧を輸送するに足りるようなものであるかどうかということを比較検討してきめなければいかぬと思うのでございますが、そこで現在……。
  219. 芳賀貢

    ○芳賀委員 契約の運賃の内容について検討したかどうか。
  220. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 日通との間にですか。——いま申し上げましたように、運輸大臣の認可または届け出の料金で決定をいたしておりますので、これはいつも同じことでありますから、御存じのとおりであります。
  221. 芳賀貢

    ○芳賀委員 御存じのとおりじゃないから聞いておるわけです。  そこで、時間の関係でこちらからそれでは、「昭和四十二年度政府所有食糧および農産物等運送契約書」の付録の第五に運賃諸掛かりが明細に載っておるわけですが、これをひとつ具体的に取り上げてみたいと思うのです。これは、たとえば生産地の農協の倉庫から貨車積みをして発送する運賃諸掛かり、それから消費地に到達して貨車から積みおろしをしてまた政府の指定倉庫に入れる作業、これが着地諸掛かりということになっておるわけです。そのほか県内の運送運賃とか県外運賃というものが出ておりますが、まずこの際問題を、生産地における農業協同組合の倉庫が全部これは政府の管理倉庫になっておるわけですから、農協の倉庫から貨車に積み込むまでの経費を発地諸掛かり、これは俵、かます、麻袋によってそれぞれ金額が違うわけですが、平均的に見ると六十キロ一俵で約四十円ということになっておるわけです。着地の場合にはそれより若干下回っておるわけですが、それではこの四十円というものが運輸省が認定した通運料金と同様かというと、そうでないわけです。ここに私は問題があると思うのです。どうしてこういうことを言うかというと、私は北海道の農協の組合長をやっておるわけですが、自分の農協だけでことしは十一万俵の米が農協の倉庫に収納されておるわけですね。そのほかアズキが三万俵とかあるいはでん粉が二十万袋とか、これは全部農協が倉庫に管理保管しておるわけです。だから、自分の倉庫から政府米が出て貨車に乗るまでの費用というものが幾ばくかかるかということは、政府の管理米と同じようなアズキとかでん粉というような雑穀類の運送経費というものが同じであるか違うかということは、これはわれわれとしては大臣よりはっきりわかるわけです。そこで問題は、共通な点もあるのですね。発地諸掛かりでありますが、この内容は、貨車の取り扱い料と積み込み料と集荷手数料と倉出し料、米の場合は四つに分かれておるわけです。これを一俵当たり平均にいたしますと、貨車の取り扱い料が一俵二円五十六銭、積み込み料が五円十九銭、北海道の場合には、十一月から翌三月までの間は冬季割り増しがついて大体五割増しということにこれはなるわけです。それから集荷手数料、これは農協の保管倉庫から貨車まで運ぶいわゆる小運搬料、これが十三円四十四銭、したがって基本の諸掛かりは一俵についてここまでで二十一円十九銭、北海道の冬季間の場合には一俵が二十三円五十八銭、ここまでは米の扱いの諸掛かりも、それから政府の管理物資でないところの雑穀、でん粉等も同じなわけです。これはおそらく通運料金に基づいておると思うわけですね。違うのは倉出し料というものが、これは米の場合には一俵について五円五十六銭、これが加算されるわけですね。それから雑穀、でん粉等の場合には、これがない料金で貨車積みができるということになるわけですからして、政府の管理食糧とそれ以外の農産物の場合には、倉出し料の一俵六十キロ、五円五十六銭分だけここに差異があるわけです。これは政府が余分に出しておるわけですね。政府食糧以外はこれを出さなくても、日通も、日通以外のたとえば運送業者も同一の料金で積み込みをやるわけです。そうしますと、現地における日通に支払うところの発地諸掛かりというものは、これは基本料金の場合に一俵二十六円七十五銭、冬季割り増しを入れても一俵が二十九円三十五銭ということになるわけです。ところが農林省が日通と契約しておる内容は、先ほど言いましたとおり俵の場合には四十四円十二銭、麻袋の場合には三十九円六十二銭、かますの場合には三十八円八十一銭で、かりに平均四十円といたしますと、この現地において料金として定められておる基本の二十六円七十五銭との間においては十三円二十五銭の差額が生まれてくるわけです。冬季料金の場合におきましても一俵十円六十五銭の差額が生まれてきておるわけですね。ですから、こういうものは、通運料金ということになれば、現地の日通の業務あるいは他の運送業者が実際に通産大臣の認可を得て行なう料金と大きな差異があってはならぬと思うわけですね。しかも、雑穀でん粉等については、倉出し料が支払いされなくても、完全に積み込みをやってもらえるわけです。それに倉出し料が一俵五円何十銭つく。そのほかに、現地で実際に使用目的の不明な金額というものが、十三円ないし十円まだどこかに保留されておるということになれば、ここに問題があると思うのですね。ですから、政府が特約しました発地あるいは着地の諸掛かりというものは、完全に通運料金としてこれが使用されておれば、これは内容の問題はともかくとして、明らかにこれは理解できるわけです。もしも保留するような余裕があれば、この運送業の現場で働いておる作業員の職員にしても、待遇もよくないし、給与も低い、あるいは非常に悪条件の中で労働しておるというような条件のもとに置かれておるわけです。そういうものを改善する意味も含めて、おそらく一俵四十円という発地諸掛かりというものを、食糧庁は独占契約でこれは毎年日通に払っておると思いますが、こういうところにやはり深く検討する余地があると思うのですよ。しかも農林省の場合には、米の生産地には全部食糧庁の出張事務所があるわけでしょう。この事務所の職員が政府機関として、倉出しとか倉入れを完全に指揮してやっておるわけですから、このきめた料金というものは完全に目的どおり使用されておるかどうかということは、これは契約当事者であるのは食糧庁の経理部長の名前になっておるが、当然農林大臣としては責任があると思うわけです。また、これを監督する運輸大臣としても責任があると思うわけですが、こういう点については、具体的な調査をこれはやっておるわけですか。決して私はこれらの問題を不正とか疑惑があるというわけではないのですよ。せっかく一俵四十円発地諸掛かりとして農林省が支払いしておるにもかかわらず、それが現地の通運業者の手によってその金額が使用されておらないというところに、むしろ問題があると思うわけなんですよ。一俵十円だってこれはばかにならぬですからね。貨車積みのときに十円違うと、積めば必ずおろさなければならないのですから、そこでまた十円ということになるわけですから、ことしの九百五十万トンということになれば、これを米の俵数に直すと大体一億六千八百万俵くらいになるわけですから、この一億六千八百万俵というものが積むときとおろすときに十円ずつ違うということになれば、金額においても三十数億円という金額になるのですよ。そういうものが実際に経費として使用する必要がもしないとすれば、それは契約のときに十分内容の合理化をはかってこれを節減して、運賃の面においても三十億というものが節約できるとすれば、これは国の財政の面から見ても、これほど望ましいことはないと思うのですよ。一体これはどう考えているのですか。  どうしても独占でなければならぬという根拠はないと思うのですよ。しかも、われわれの生産地から見た場合において、何も一社独占という形でなければ生産地から積み込みとか発送というものはできないような、そういう現地の機構ではないわけです。特にこの点について、農林大臣並びに監督の責任にある運輸省から、この点を抽象的なことでなくて明快に答えてもらいたいのです。倉出し料だけ五円何十銭、これは余分に政府は払っておるわけです。その宗に、十円あるいは十二円というものは、現地の諸掛かりとしてこれは使用されておらないわけですから、この二点はどう考えておるですか。
  222. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 通運料金につきましては、前年度の運送実態調査に基づきまして、全国平均したプール単価を出して、それで計算をいたしておるようであります。したがって、地方の地域においては、あるいはいまお話しのようなことがあるかもしれません。したがって、いま申しましたように、全国平均のプール単価で数量に掛けて計算をいたしておるというのが今日の実情であります。しかし、そういうことにつきまして、なお実態にそぐわない点があるといけませんからして、先般来われわれのほうでも、世間にもいろいろな問題が起きておりますし、調査を命じておるわけであります。  もう一つは、独占でなくてもいい、私どもそう思いますが、先ほど申しましたように、従来全国的に組織を持ち、信用度も高いものにやらせることが安心であるということで、継続してまいったようでありますが、最近においては、運輸省等においても、そういうことについていろいろ考え方を出しておられるようでありますから、両省の間で、そういうことについてもただいま検討を進めておるわけであります。
  223. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、抽象的な政治答弁では理解できないわけですから、この契約当事者である食糧庁の長官、それから通運料金を認可して行なわしめておる運輸省の、これは政府委員でいいですから、その両者から、私の数字をあげて説明した点が間違っておれば、こういう点が間違っておると指摘してもらいたいと思うのですよ。間違いがなければ、そのとおりだということをはっきり言うてもらいたいと思う。
  224. 大口駿一

    ○大口政府委員 日通に対しまする運送賃の計算の方法は、ただいま大臣が申されましたように、一米穀年度中にすべての運送形態の実績を全部計算をいたしまして、それで全国の実績を全部計算をしましたものを総個数で割りまして、プール単価というものをきめまして、一個について幾らという単価をきめまして、翌年の契約の際の単価にいたしております。これはたとえば先生がただいま御指摘になりました発地諸掛かり並びに着地諸掛かりということについて、一俵幾らということにきめておるわけでございます。  発地諸掛かりの内容は、ただいま御指摘になりましたような倉庫の入出庫賃でありまするとか、あるいは通運料金、そういうものの積み重ねになっておるわけでございます。  そこで、通運料金の内容は、ただいま先生が御指摘になりましたとおりでございまするが、通運料金は、実際は、駅が現在駅号級というのが一号級から四号級まで分かれております。それから、倉庫から駅までの距離というのは、県によっていろいろ距離が違い得ると思います。そこで、私どもの調べましたところでは、北海道の場合と全国の場合とは、比較をいたしますると、集配の距離、これが私どもがプール単価の計算の基礎にいたしておりますのが、県間運送の場合が六キロ〇八二、県内運送の場合が六キロ七一三、そういうふうに計算をいたしておりまするが、北海道の場合においては、この集配距離がそれぞれ全国プールよりも非常に短い。つまり、県間発送の場合が四・八六七、県内が四・七七五というふうに集配距離が短いことになっております。したがいまして……(芳賀委員「ぼくが言ったのは、間違っておるかどうかということを聞いておるのですよ。」と呼ぶ)したがって、私どものきめておりまするプール単価と、ある特定の土地との単価は違うことがあり得ると思います。そこで、ただいま先生が御指摘になりました北海道の実額と私どものプール単価が、それぞれ食い違っていることは、いま申しましたような理由であり得ると思います。ただ、せっかくの御指摘でありまするので、北海道の実態の金額と全国のプール単価が個々の品目について幾らずつ違っておるかという問題は、私どもも調査をいたしたいと思いまするが、全国プール単価と先生の御指摘の数字との違いは、いま私が申しましたような理由に基づくものと思います。
  225. 原山亮三

    ○原山政府委員 食糧庁と日通との間の食糧の通運料金でございますけれども、これにつきましては、通運料金に関しましては、通運事業法に認めました料金の違反はございません。お話しの倉出し料につきましては、これは通運料金の範囲外でございまして、倉庫料金のほうに入っておる、こういうふうに考えております。  それから、日通だけの貨車の問題でございますが、現在日通とそれ以外の通運事業者との間の企業格差が非常に大きうございまして、それをできるだけ接近さす必要があるということで、最近全国通運に対しましては国鉄が出資をいたしまして、極力駅における近代化の促進をはかりたい、こういうことでもって公正な競争ができるような方法を講じたい、かように考えております。
  226. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ちょっと、いまの倉出し料は違うというのはどういうのですか。
  227. 原山亮三

    ○原山政府委員 私どもの認めました通運料金の認可の中には倉出し料が入ってないのでございまして、これは倉庫料金のほうだと考えております。
  228. 芳賀貢

    ○芳賀委員 倉庫料というのは、これは、政府がたとえば農協の倉庫の場合には農業協同組合に対して一俵幾らの保管料を払っておるわけだから——いいですか、いま言っておるのは、日通の倉庫に入れておる保管料じゃないのですよ。農協の倉庫から貨車に載せる経費が発地諸掛かりということになっておる。米以外の普通の農産物については、そういう倉出し料というものは何も支払いしなくても完全に農協の倉庫から貨車に載るわけなんですよ。ですから、通運料金に入ってないということは明らかになったわけですから、だから、通運料金でないものを五円何十銭どうしてこの発地諸掛かりとして出さなければならぬかということを監督者の——あなたは契約者だからだめ、だけれども、監督者である運輸省、もう少しはっきり言ってください。
  229. 原山亮三

    ○原山政府委員 通運事業法に基づき監督いたしておりますが、その通運事業法に基づいて認めました通運料金の中には、その倉出し料は入ってないということでございまいます。
  230. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうして入ってない。
  231. 原山亮三

    ○原山政府委員 それは倉庫事業法に基づく倉庫料金だと考えております。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いまの問題は、これは倉庫事業法ということになると、倉庫業者に対する保管料の支払いということになるので、これは運送業者に対する料金の支払いということにならぬじゃないですか。そうすると、食糧庁は倉庫業者である農協に対して毎期の保管料を払っておる。倉庫は持っておらない日通に対して保管料と同一のものを倉出し料という形で支払いしておるということになるんですね。  きょうはこの程度に保留しておきますか、もう少し明快に私の指摘した部分についても、数字をあげてこれは次の機会に明らかにしてもらいたいと思います。  次に進みます。  次に、農林大臣にお尋ねしたいのは、農産物価格安定法に基づいて政府が保護しておるところのカンショ、でん粉、バレイショでん粉の価格が非常に不安定になりまして、場合によっては政府決定しましたカンショでん粉三十七・五キロ二千円あるいはバレイショでん粉の精粉二十五キロ千四百六十円、これを下回るような事態も出てくるわけです。そうなれば、無制限に政府が買い上げするからいいということになればそれまでですが、しかし、国内でん粉の需給状態を見ると、でん粉総計で年間大体百二十五万トンぐらいの需要がある。カンショでん粉、バレイショでん粉合わせて大体六十五万トン程度の供給力なしかいという、そういう状態です。ですから、当然需要が伸びて供給が半減しておるような状態の中で、しかも政府が安くきめた農安法価格を維持できないというようなことは、これは普通の経済常識では考えられないことなわけです。この原因は、大臣承知のとおり、トウモロコシを原料にしたコーンスターチの生産が無計画にふえて、これが市場圧迫、流通圧迫をしていることは言うまでもないわけです。  そこで、お尋ねしたいのは、この農安法という法律をもって国内の農業保護をやっておる、あるいは需給度の確保をやっておるという、これが危険に瀕しておるわけですから、この際、国産のでん粉の価格安定と流通の促進とをあわせて、この大きな原因をなておるところのコーンスターチに対して、政府としてどのように効果的な措置を講ずるかということについて、これは事前に通告してありますので、明快に具体的な措置についてお答え願いたいと思います。
  233. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話しのように、需要が伸びておりますが、いまのコーンスターチが、御承知のように、最近世界のトウモロコシの市況が下落いたしてまいっておりますので、いままで二五%であったものを五〇%まで引き上げたらどうだというお話もございますが、需要供給全体から考えてみますと、補完的にはやはりコーンスターチが効用をなしておるわけでありますが、そういうところで、国内産のただいまお話しのようなでん粉との間にどういうふうに調整したら価格安定ができるかということについて、ただいま検討さしておるわけであります。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは検討では相すまぬわけなんですよ。よくおわかりでなければ、食糧庁長官から答弁をさせて、あなたがそのとおりと言ってもらえばいいわけですが、いま食糧庁が指導的にやっておるのは、昨年からそうでありますけれども、国産でん粉の価格維持をする一つの方策として、一定数量のコーンスターチをこれと抱き合わせして販売するという、こういう方法を講じておるわけです。それは、これをやらなければ当然政府が相当数量のでん粉の買い入れをしなければならぬわけですから、買い上げはしたくない、そうかといって、法律の価格を割るようなことは政府としてさせられぬということで、それで、この割り安なコーンスターチと国産でん粉を抱き合わせて販売さしておるわけです。これも限界に達しておるわけですよ。だから、こういう場合に一体政府としてどう対処するかということになれば、具体的にはいま進めておるところのいわゆる関税の、これはタリフクォータでやっておるわけですが、これも外国から輸入する全部のトウモロコシを対象にしているのじゃないのですね。トウモロコシ全体というと、ことしは約四百万トン輸入することになるわけですが、そのうちの八五%の三百四十万トンは、これは家畜のえさ用で無税の措置を講じておるわけです。無税で入ってくる。残り一五%の六十万トンないし七十万トンが加工用としてコーンスターチの原料として入ってくるわけでありまして、これに対しては割り当て関税で、第一次関税が一〇%、第二次の、いわゆる禁止関税であるところの二次関税は二五%ということになっておるが、これは効果を発揮してないですよ、この二五%というのが。もう一つの一〇%の割り当て数量が非常に緩慢に行なわれておる関係もあって、これが国産でん粉の消流を圧迫しておるということになるわけです。だから、割り当て関税の場合には、これは政令に基づいて関税率審議会にかけて、そして第一次関税の割り当て数量を当然毎次きめるわけですよ。きめる場合の政令の指示するところは、国内のでん粉と消費の面において競合しないように、競合を避けて、コーンスターチの固有の用途だけに限定した分について割り当てをするということになっておるが、これが非常に緩慢な割り当てがされておるわけです。ですから、この際、方法として、こちらから申し上げますが、とにかく八五%は無税な措置で三百四十万トンが入ってくるわけでありますから、これはアメリカにしても南アにしても、無税で自国の農産物を輸出できるというようなことになれば、これは優遇されておると見て差しつかえないわけですよ。これはこのままでいいわけですね、政策的に無税にしておるわけだから。しかし、残り六、七十万トンの分については、これは国産でん粉を圧迫する。全国のイモ農家が百万戸をこえるという、こういう実態にかんがみた場合、この分だけは切り離して、いま関税割り当てでやっておりますが、これはやはり外貨割り当て制にこの分だけはきちっと規制する必要があると思うのですよ。そうすれば、国内の生産に不足する分だけを一定数量というものを政府が計算して、それに必要な外貨の割り当てを行なうということは、これは当然できることでありますから、抜本的にはこれをぜひ速急に実施してもらいたいわけです。  もう一つ、緊急措置としては、いま食糧庁が行政的に指導をして抱き合わせ販売をやっておるわけですから、一体どれだけのコーンスターチを抱き合わせの材料に使えば国内のでん粉の政府支持価格が堅持できるかという、これはやはり計算すれば数字が出てくるわけですから、この必要数量については、この分だけはでき得ればこの際免税措置を講じて——政府か大量に買い上げするか、それに対応する抱き合わせ分だけについて免税措置を講ずるかということは、これは政府の選択によることですが、やはりその措置は必要だと思うわけです。  次に、一次関税の一〇%というものは、これは数量の割り当てをする場合に、国内でん粉と用途が競合しないという限界というものを明らかにさして、いまでは水産練り製品のかまぼこの原料であるとか、いままでビールの原料に五万トンも国産でん粉を使っておったのが、ほとんどコーンスターチに切りかわっておる。そういう場合に、コーンスターチが安いから、それではビールが下がるかというと、全然下がっていないでしょう。ですから、こういう点は、やはり用途の規制を厳重にして、一〇%の第一次関税というものはやはり数量をきちっと限定する。そうして残りの禁止関税の目的を持った第二次分については、二五%では効果がないわけですから、効果がない定率で禁止関税なんというわけにいかぬですから、これは少なくとも倍にして、五〇%以上の第二次関税定率にして、速急にこれは実行してもらいたいと思うわけです。聞くところによると、今月の十九日に関税率審議会が行なわれるということになっておりますし、これは大蔵大臣が主宰するわけでありますが、農林省としても重大な問題ですから、行政措置としては関税の問題とか外貨割り当ての問題がからみますし、必要な法律の改正措置も講じなければならぬわけでありますが、ここで政府の具体的な効果的な方針というものを国会を通じてまず明らかにしてもらいたいと思うわけです。そうでないと、非常な混乱が生じて、明年以降、南九州の畑作地帯とか北海道あるいは関東の千葉、茨城等のイモ地帯ですね、南九州や北海道の場合においては政府が畑作振興の特別立法を次の国会に出す用意をしておるわけです。そういう主産地における農業の生産というものが、一番収益の低いイモでん粉にたよらなければならぬというような状態があるわけですから、これにやはり農業政策を通じてあるいは経済政策を通じて重厚な対策を講じないと、この地域の農業は滅びる、農民は滅びるということになるわけです。ですから、この際、十分検討してとか御説を尊重してなんということでなくて、私が言った加工用分だけを外割りにするというような問題をどうするかとか、抱き合わせ分の特例措置の関税免除をどうするか、それから競合する用途の厳重な数量の規制、第二次関税定率の五〇%以上の引き上げ等について、どうしてもこれはやらなければならぬと思うわけですから、これは特に事前に申し上げてあるわけですから、この際、農林大臣大蔵大臣から、生産者農民が納得できる、あるいは今後の日本の国内の食糧の自給度を向上するために努力するということは、これは世界共通の農業政策上の原則であるということを大臣は冒頭に答えられておるわけですから、わざわざFAOの総会に行ってりっぱな大演説だけして、国内の農業が滅びるようなことではこれはたいへんなことになると思うわけですから、少し説明が長くなりましたけれども、十分に頭に入ったと思いますから、ぜひ実のある答弁をしてもらいたいと思います。
  235. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 例の関税割り当て制は来年の三月までございますからして、私どもといたしましては、それについて、さっき申しましたように、政府部内でもいろいろ相談しているのでありますが、御承知のように、自由化品目になっております品目に数量の割り当てをするという場合にはガットの承認を得なければならぬことになっておりますので、なかなかこれはむずかしいと思います。したがって、用途等について抱き合わせをどうするか、あるいは二次関税の二五%というのはほとんどわれわれから見ていままでは禁止的関税であったのですけれども、さっき申しました世界のトウモロコシの下落に伴って、これでは効果がなくなってきた。そこで、五〇%説も出ておるわけでありますが、いまそういうことを前提といたしまして、私どものほうでも鋭意検討中でございますから、近く方向を出したいと思います。
  236. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは農林当局の意見がきまれば、結局は関税率審議会に諮問する事項でございますので、それはそのとおりにいたします。
  237. 芳賀貢

    ○芳賀委員 非常に力強い両大臣の答弁をいただきましたわけですから、これが迅速に直ちに具体化するように、ぜひ年内に努力してもらいたいと思うわけです。いいですね。
  238. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 年内かどうか、とにかくいま継続して部内で相談しておりますからして、なるべく早く、どういうふうにしたらいいかという結論を出したいと思っております。
  239. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間がもうありませんので、途中を飛ばして、最後に、北海道開発の問題について、新任の木村開発庁長官にお尋ねいたします。  お尋ねしたい点は、今年の八月十七日に、北海道開発審議会が、寒地農業開発法制定に関する建議を行なっておるわけです。特にこの建議は、今年の八月の建議と同様の趣旨を昨年も建議したことは御承知のとおりであります。今年の建議については、いま予算の筆頭理事をやっておられる二階堂長官の時代でありましたが、この重要な建議というものは、おそらく前長官から木村長官に重要政策として引き継ぎが行なわれておると思いますので、この点だけに限定いたしますが、この際、北海道開発の担当の長官からお答えを願いたいと思います。
  240. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 芳賀さんの御質問にお答えするというよりは、むしろ御相談申し上げる形でお答えしたいと思いますが、東北のような寒冷地帯に適切な農業、農産物を発明、発見して、これを拡大奨励するということは、非常に大切なことである。そのこと自体が農民の生活に直接影響するだけでなく、北海道開発にも至大な影響を与えるものでありまするから、これは急がなければならない、こういうように自分は考えております。  ただ、ここで御相談申し上げたいのは、それをやることがどうしても法律によらねばならないものかどうか、こういうことなんであります。私は、あまり法律は実は好きでないのです。なぜかと申し上げますると、こういう法律をつくり上げますると、必ず法律には人件費が伴う、それからお役人が何らかの名目で肝心かなめの費用を途中で使ってしまう危険が多分にあるものですから、それがストレートで農民の手に入るようにするにはどうしたらいいだろうか、たとえば、その適切な場所、二十六カ所に直接農民の手に渡るようにするにはどうしたらいいか、それから研究をする、農業地図の作製をするような方々に、研究する場所にお金を直接与えて中間の搾取のようなものをなくするには一体どうしたらいいか、こういうことで相談をしながらやってみたい。しかし、どうしても法律にまたねばならないということであったならば、ひとつ急いでやってみたい、こういう考えであります。
  241. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、あまり詳しいことはお尋ねしませんが、この建議の重要な柱数点だけについてお尋ねして、所見を求めたいと思います。  前長官の二階堂さんの時代も、非常に北海道に熱意を持たれて、まあ南九州と北海道の両端におって非常な御苦労をお願いしたわけですが、特徴的な問題として、過去三年間北海道が冷害を受けまして、それらが原因となって、非常な農家の焦げつき負債が累増しておるわけです。農家一戸平均にして大体八十五万円程度、開拓者だけにすると百五十万平均の焦げつきですから、これは、収益性の少ない農業から返済するということはなかなか困難なわけです。ですから、この建議の中にもありますとおり、農家の固定した負債の整理というものを国の制度あるいは政策努力の中でどうするかという問題、それから農業の面についても、ことしは北海道が百十万トンの米の生産を上げて、全国の約一割近いわけです。二番目の新潟県よりも二十万トンよけいとれておるわけですからね。それから牛乳については、全国の生乳生産量の二二%、それからビートにしても豆類にしても、これは北海道の特産で、あまり宣伝はしませんが、こう考えると、やはり将来、北海道というものは、日本の食糧の供給基地としての国民経済的な役割りを果たす重大な任務があるわけですからして、この地域がしばしば冷害や災害に見舞われるということになれば、まず水稲の問題等についても、災害からこれを守る強力な施策が必要であるし、酪農を拡大するという場合においても、草地の造成であるとか、あるいは経営の拡大に必要な諸施策を進める必要がある。あるいはまた畑地農業の点については、いま農林大臣に言いましたとおり、バレイショでん粉の問題についてもアズキの問題についても、とれれば豊作貧乏というような事態になるわけですからして、農家の生産基盤を十分整備するということと、経営規模を拡大的に近代化するという問題と、農産物の価格の安定というものをすみやかに進める、そうして、先ほど言いました農家の焦げついたいわゆる固定負債というものを解消する、こういう点をやはり重点的な柱としていただいて、そうして、いま長官の言われたとおり、何もかも法律でこれはやらなければならぬという問題ではありませんからして、法律が必要なものは立法措置を講ずる、行政的に積極的にやり得る問題は陣頭に立って、もちろん農業の問題は農林大臣とも関係があるわけですが、この際、強力に方針を打ち出してやってもらいたいし、この建議なるものを長官の手元で二年も握りつぶして何らこれを閣議へも持ち出さぬし、関係の農林大臣にも相談しないであなたの任期が終わるようなことでは、まことに遺憾千万ということになるわけですから、詳しいことはまたいずれの機会に申し上げますけれども、ぜひ骨格に対して理解を願って、強力な行動というものを各省の先頭に立ってがんばってもらいたいと思うのですが、期待をしてよろしいですかね。
  242. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 北海道の日本国民の食糧に持つ役割りは非常に大きいと思います。少なくとも国民の食糧だけは自給自足体制は整えなければならない。そのために果たす北海道の役割りは非常に大きい、こういうことだけは私も確認いたしております。そういう点で、万事万般の点で御相談申し上げながらすべてを解決していきたい。行政には与党野党はありませんから、一緒にやってまいりたいと思っております。
  243. 植木庚子郎

    ○植木委員長 芳賀君の質疑は終了いたしました。  これにて一般質疑は終了いたしました。  明十五日は、午前十時より委員会を開会し、締めくくり質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会