○芳賀
委員 これは検討では相すまぬわけなんですよ。よくおわかりでなければ、
食糧庁長官から答弁をさせて、あなたがそのとおりと言ってもらえばいいわけですが、いま食糧庁が指導的にやっておるのは、昨年からそうでありますけれども、国産でん粉の価格維持をする一つの方策として、一定数量のコーンスターチをこれと抱き合わせして販売するという、こういう方法を講じておるわけです。それは、これをやらなければ当然
政府が相当数量のでん粉の買い入れをしなければならぬわけですから、買い上げはしたくない、そうかといって、法律の価格を割るようなことは
政府としてさせられぬということで、それで、この割り安なコーンスターチと国産でん粉を抱き合わせて販売さしておるわけです。これも限界に達しておるわけですよ。だから、こういう場合に一体
政府としてどう対処するかということになれば、具体的にはいま進めておるところのいわゆる関税の、これはタリフクォータでやっておるわけですが、これも外国から輸入する全部のトウモロコシを対象にしているのじゃないのですね。トウモロコシ全体というと、ことしは約四百万トン輸入することになるわけですが、そのうちの八五%の三百四十万トンは、これは家畜のえさ用で無税の措置を講じておるわけです。無税で入ってくる。残り一五%の六十万トンないし七十万トンが加工用としてコーンスターチの原料として入ってくるわけでありまして、これに対しては割り当て関税で、第一次関税が一〇%、第二次の、いわゆる禁止関税であるところの二次関税は二五%ということになっておるが、これは効果を発揮してないですよ、この二五%というのが。もう一つの一〇%の割り当て数量が非常に緩慢に行なわれておる
関係もあって、これが国産でん粉の消流を圧迫しておるということになるわけです。だから、割り当て関税の場合には、これは政令に基づいて関税率審議会にかけて、そして第一次関税の割り当て数量を当然毎次きめるわけですよ。きめる場合の政令の指示するところは、国内のでん粉と消費の面において競合しないように、競合を避けて、コーンスターチの固有の用途だけに限定した分について割り当てをするということになっておるが、これが非常に緩慢な割り当てがされておるわけです。ですから、この際、方法として、こちらから申し上げますが、とにかく八五%は無税な措置で三百四十万トンが入ってくるわけでありますから、これはアメリカにしても南アにしても、無税で自国の農産物を輸出できるというようなことになれば、これは優遇されておると見て差しつかえないわけですよ。これはこのままでいいわけですね、
政策的に無税にしておるわけだから。しかし、残り六、七十万トンの分については、これは国産でん粉を圧迫する。全国のイモ農家が百万戸をこえるという、こういう実態にかんがみた場合、この分だけは切り離して、いま関税割り当てでやっておりますが、これはやはり外貨割り当て制にこの分だけはきちっと規制する必要があると思うのですよ。そうすれば、国内の生産に不足する分だけを一定数量というものを
政府が計算して、それに必要な外貨の割り当てを行なうということは、これは当然できることでありますから、抜本的にはこれをぜひ速急に実施してもらいたいわけです。
もう一つ、緊急措置としては、いま食糧庁が行政的に指導をして抱き合わせ販売をやっておるわけですから、一体どれだけのコーンスターチを抱き合わせの材料に使えば国内のでん粉の
政府支持価格が堅持できるかという、これはやはり計算すれば数字が出てくるわけですから、この必要数量については、この分だけはでき得ればこの際免税措置を講じて
——政府か大量に買い上げするか、それに対応する抱き合わせ分だけについて免税措置を講ずるかということは、これは
政府の選択によることですが、やはりその措置は必要だと思うわけです。
次に、一次関税の一〇%というものは、これは数量の割り当てをする場合に、国内でん粉と用途が競合しないという限界というものを明らかにさして、いまでは水産練り製品のかまぼこの原料であるとか、いままでビールの原料に五万トンも国産でん粉を使っておったのが、ほとんどコーンスターチに切りかわっておる。そういう場合に、コーンスターチが安いから、それではビールが下がるかというと、全然下がっていないでしょう。ですから、こういう点は、やはり用途の規制を厳重にして、一〇%の第一次関税というものはやはり数量をきちっと限定する。そうして残りの禁止関税の
目的を持った第二次分については、二五%では効果がないわけですから、効果がない定率で禁止関税なんというわけにいかぬですから、これは少なくとも倍にして、五〇%以上の第二次関税定率にして、速急にこれは実行してもらいたいと思うわけです。聞くところによると、今月の十九日に関税率審議会が行なわれるということになっておりますし、これは
大蔵大臣が主宰するわけでありますが、農林省としても重大な問題ですから、行政措置としては関税の問題とか外貨割り当ての問題がからみますし、必要な法律の
改正措置も講じなければならぬわけでありますが、ここで
政府の具体的な効果的な方針というものを国会を通じてまず明らかにしてもらいたいと思うわけです。そうでないと、非常な混乱が生じて、明年以降、南九州の畑作地帯とか北海道あるいは関東の千葉、茨城等のイモ地帯ですね、南九州や北海道の場合においては
政府が畑作振興の特別立法を次の国会に出す用意をしておるわけです。そういう主産地における農業の生産というものが、一番収益の低いイモでん粉にたよらなければならぬというような状態があるわけですから、これにやはり農業
政策を通じてあるいは
経済政策を通じて重厚な対策を講じないと、この地域の農業は滅びる、農民は滅びるということになるわけです。ですから、この際、十分検討してとか御説を尊重してなんということでなくて、私が言った加工用分だけを外割りにするというような問題をどうするかとか、抱き合わせ分の特例措置の関税免除をどうするか、それから競合する用途の厳重な数量の規制、第二次関税定率の五〇%以上の引き上げ等について、どうしてもこれはやらなければならぬと思うわけですから、これは特に事前に申し上げてあるわけですから、この際、農林
大臣、
大蔵大臣から、生産者農民が納得できる、あるいは今後の
日本の国内の食糧の自給度を
向上するために努力するということは、これは世界共通の農業
政策上の原則であるということを
大臣は冒頭に答えられておるわけですから、わざわざFAOの総会に行ってりっぱな大演説だけして、国内の農業が滅びるようなことではこれはたいへんなことになると思うわけですから、少し説明が長くなりましたけれども、十分に頭に入ったと思いますから、ぜひ実のある答弁をしてもらいたいと思います。