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1967-12-13 第57回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十三日(水曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 小川 半次君 理事 正示啓次郎君    理事 二階堂 進君 理事 藤枝 泉介君    理事 古川 丈吉君 理事 加藤 清二君    理事 中澤 茂一君 理事 小平  忠君    理事 伏木 和雄君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    有田 喜一君       井出一太郎君    池田正之輔君       江崎 真澄君    川崎 秀二君       北澤 直吉君    久野 忠治君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       中野 四郎君    西村 直己君       野田 卯一君    野原 正勝君       船田  中君    古井 喜實君       松浦周太郎君    松野 頼三君       山崎  巖君    大原  享君       角屋堅次郎君    北山 愛郎君       阪上安太郎君    楯 兼次郎君       成田 知巳君    西宮  弘君       芳賀  貢君    畑   和君       山中 吾郎君    横山 利秋君       麻生 良方君    春日 一幸君       浅井 美幸君    広沢 直樹君       谷口善太郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 赤間 文三君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 園田  直君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 小川 平二君         建 設 大 臣 保利  茂君         自 治 大 臣         (国家公安委員         長)      赤澤 正道君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官・北海道開発         庁長官)    木村 武雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         経済企画庁長官         官房長     岩尾  一君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         法務省刑事局長 川井 英良君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省条約局長 藤崎 萬里君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         国税庁長官   泉 美之松君         文部省管理局長 村山 松雄君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省医務局長 若松 栄一君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         議     員 山中 貞則君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 十二月十三日  委員周東英雄辞任につき、その補欠として塩  谷一夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員塩谷一夫辞任につき、その補欠として周  東英雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十二年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十二年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括議題とし、総括質疑を行ないます。浅井美幸君。
  3. 浅井美幸

    浅井委員 私は、公明党を代表して、総理並びに関係大臣質問いたします。  外交並びに防衛問題はわが党の渡部議員にまかせ、私は、まず政治資金規正という立場から政治姿勢をただし、次いで財政硬直化問題、予算編成姿勢としぼってお尋ねいたします。  いわゆる新聞のいうLPガス課税問題にかかわるタクシー汚職事件について、いま国民は大きな関心をもってこの成り行きを見詰めております。昨年の共和製糖グループ事件をはじめとする一連の黒い霧事件は、国民の批判と激しい憤りの声に、ついに衆議院は解散されたわけであります。そうして改選せられた国会は、出直し国会として、まず政治姿勢を正すことが第一の使命といわれ、佐藤総理もそのことを繰り返し国民の前に誓われました。国民本位政治を打ち立てるために、政治資金規正法改正によってこれを達成しようとして、第五次選挙制度審議会は同法の改正を答申いたしました。しかし、佐藤総理は、国会における成立への再三の確言にもかかわらず、一向にその成立に熱意を示さなかったのは、まことに遺憾なことであります。同時に、国民政治不信はますます強まってきたことは、見逃がすことのできない重大な総理責任と言わねばなりません。いままた、いわゆるタクシー汚職事件の発生を見ました。もし、この事件国民の納得する結果を出さない限り、国民政治不信は極限に達するでありましょう。したがいまして、私は、この予算委員会の貴重な時間をさいて、この事件の真相を国民の前に明らかにされるよう願って、質問をいたしたいと存ずる次第であります。  まず、総理は、今回のLPガス課税問題にかかわるこの疑惑について、どのようにお考えになっておるか。また、このような不祥事件にまたかと国民のひんしゅくを買いまして、われわれ議員の権威を失墜せしめた責任は重大であります。したがって、われわれは、政界の粛正はまず最高責任者たる総理自身の深い反省と自覚に始まると考えるものであります。総理は、事実は事実として謙虚に認め、適切な指導、処置をとっていくべきでありますが、この点について、まずお伺いしたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この点につきましては、過日もこの席から国民に私の心境をお話しいたしました。政治国民からの信頼を高めること、これが私ども政治家として当然考えなければならないことだ、これを不信を買うようなことがあってはならない。そういう際にまたこの種の不祥事件が起きたということは、まことに私は遺憾に思い、残念に思っております。ただいま結論として言われたごとく、事実は事実として、そうして適正にこれらを追及していく、そうして国民の前に事態を明らかにしていく、これが私ども責任ではないか、かように思っております。
  5. 浅井美幸

    浅井委員 総理はいま私の質問に対して、総理自身もそのようなことは考えておる。では、今回のこのような事件の起こったことについて、総理自身が今後とのようにしていこう——新しい決意をもってやるということでございますけれども、どのようにしてやるのか、具体的に教えてもらいたいのです。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 何だか私自身が犯人であるかのような言い方ですが、さようではございません。政治を正していく、これが私の責任でございます。はっきり申し上げておきます。
  7. 浅井美幸

    浅井委員 私は、総理としての責任であるということについて申し上げたのであります。総理自身の問題を言っておるのではないのであります。  LPガスの今度の事件について、前代議士の一名あるいは業者五名が逮捕されて、いま大阪地検取り調べを受けておりますが、現職代議士参考人として数名同じく司直の取り調べを受けたことを新聞が報じておりますが、捜査の進展について、その具体的内容法務大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  8. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  捜査内容並びに捜査見通しにつきましては、私は言明することを差し控えたいと考えております。今日まで、例におきましても、捜査内容その他見通しを発表した例はないように考えております。また、これを発表いたしますと、捜査支障を来たすおそれがありますので、その点は御了承を願いたいと考えます。
  9. 浅井美幸

    浅井委員 それでは、一つ一つ私が具体的に内容を述べてみますから、そのことについてお答え願いたいと思います。  この事件関係する現職国会議員の人数は何人でしょうか。
  10. 赤間文三

    赤間国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、捜査内容に関することは、こういう席では申し上げにくい、その点御了承願いたいと思います。
  11. 浅井美幸

    浅井委員 私ども政治家として、そのような不祥事件議員の中から出てきた、また世間ではいろんなうわさをされております。したがって、国民の前にその疑惑を明らかにしていこう、すみやかにその疑惑を晴らそう、そういう立場から私はいま聞いておるのであります。  もう一度お聞きしますが、何人ぐらいで、どのような人がその容疑の線上にのぼっておるのか、明らかにしていただきたい。
  12. 赤間文三

    赤間国務大臣 ただいまお問いになりましたことは、捜査内容に関する問題でございます。こういう時期に申し上げることは適当でないと考えております。また、申し上ぐることは捜査支障を来たすおそれがあると法務大臣は考えまするので、言明を差し控えたいと考えておりまするので、御了承を願いたい。
  13. 浅井美幸

    浅井委員 現在の捜査段階において、では地検から現職議員逮捕許諾請求がある見通しであるか、また、あった場合にはどのように処置をされるのか、その点について総理並びに法務大臣お答え願いたいと思います。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国会のことを私がとやかく申しませんが、まだ国会逮捕請求許諾の書類が出ていない、かように思っております、かように了解しております。また、出た場合にはどうするか、これは仮定のことでございますが、昨日もお答えいたしましたように、私は国会が、国民の納得のいくような処置をとられることを期待しております。
  15. 赤間文三

    赤間国務大臣 仮想の問題につきましては、ここでお答えすることは適当でないと考えております。御了承願いたいと思います。
  16. 浅井美幸

    浅井委員 いままで私がいろいろと知りたい。これは国民も知りたいということであります。したがって、新聞等にも報じられておる。そのことについて、いわゆるその責任の長たる法務大臣答えられない。新聞等では何やかやといろいろなうわさが出ておる、これを明らかにしてもらいたいと言っておるのです。ところが答えがない。  では、私から、現在公表されておりますところの政治資金規正法に基づく収支報告書、これに記載された政治寄金額あるいは寄金提供者寄金を受けた者及び法案反対運動を展開した業者業界の文書などによって、法案の立案、提案、審議成立の過程を、それぞれ対照しながら申し上げてみたいと思います。  そこで、自治大臣にお尋ねしたいのでありますけれども自治省報告された政治資金規正法による収支報告は、官報に掲載されて公表されたのは、すでに御承知のとおりでありますが、この中にあらわれた政治団体、その団体はいろいろたくさんあるようでありますが、タクシー業者から寄金を受けた団体についてお答え願いたいと思うのであります。  松山会、二十日会、寿政会新生政治経済研究会が比較的多くの頻度をもってあらわれてくるのでありますが、この四団体所在地届け出責任者、そうしてこれらはいかなる国会議員関係があるか、明らかにしていただきたいのであります。
  17. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省届け出を受け付けておりますが、その団体がだれと結びついておるかなどということにつきましては調査いたしておりません。(「所在地は、代表者は」と呼ぶ者あり)何せ広範なものでありまするので、官報に書いてあるとおりでございます。
  18. 浅井美幸

    浅井委員 いま私は官報に書いてあるというお答えを承ったのでありますけれども、はなはだけしからぬと私は思うのです。私はこの席であなたにそのことについて問うておる。しからばあなたの責任においてそのことを答えてくれるのが、私の質問に対する礼儀でしょう。しかるに何ですか、いまは。官報に書いてある。いま私はそのことをただすために、あえてそのことについて聞いておるのです。答弁していただきたい。
  19. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたように、非常に膨大な数のものを届け出を受けておりますので、ただいま申されました所在地等につきましては、私のほうでさらに調査をいたしました上でお答えいたします。
  20. 浅井美幸

    浅井委員 いま世間でとやかく言われておる問題であります。したがって、この松山会あるいは二十日会、寿政会、この文字が、この一カ月間新聞紙上に出なかったことはあるかと言いたいくらいです。その政治資金のことについて、あなたが自治大臣としてそのことに関心を持たない。何せ膨大な数多くの政治団体がある。だから私は知らない、調べられない。そういうことではなくて、では一体どうなっているのか、そのことについて調べるだけの、あなたの自治大臣としての国民に対する義務があるのではないかと私は思うのです。そのことを私は聞いておる。それを官報に載っておりましょう、いままた調査して後日報告しましょう、これは一体大臣として、少しあなた自身が怠っておるのではないかという感じもいたします。いまあなた自身が、何せ数多くわからない、そのように仰せなので、あえてあまり申しますまい。  さらに、政治団体から政治団体への資金の流れが、私の自治省選挙局で調べたその調査によれば、明らかに出ております。その収支報告書の中に、先ほど申し上げた松山会と二十日会の間にひんぱんにその政治献金の流れ、行き来をやっております。このことについて、政治献金を受けた政治団体が、他の政治団体にまた資金が寄付されていく、これはどういうことになっているか、私は判断に苦しみますので、その内容について教えていただきたいと思います。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治資金規正法を議論いたしました間、一貫しておりましたことは、政治資金というものは公開の原則に立たねばならぬということ、骨だとかなんとか、骨抜きだとかいろいろなことを言われておりますけれども、私ども、そういう考え方で委員会では議論が進められてまいりまして、公明正大に政治献金を受け、また使用すべきものであるということでございます。そこで、自治省としての役所の機能というものは、正確にこれを受け付けるというまででございまして、その中身が職務権限と関連しておるとか、あるいはどうとかいったことは、私ども自治省のほうでは調べたりそれ以上のことは進めておりませんので、その点は御了承をお願いいたします。
  22. 浅井美幸

    浅井委員 その金の行くえについて調べていない、こういう御答弁でありましたけれども報告はあってもなかっても、あるいは内容が間違っておっても、いまの政治資金規正法では取り締まりはできないと私は受け取っていいでしょうか。
  23. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 届け出を怠った、あるいは虚偽の記載をしたことが発見されました場合には、それ相当の罰則がございます。
  24. 浅井美幸

    浅井委員 では、今回この件についても、やはり虚偽の申告であるか、あるいはミスであるか、私はその判断に苦しむわけでありますけれども、明らかに間違いの事実はあります。ようく自治大臣はこの届け出を見ていただきたいと思うのです。このようにいまの政治資金規正法届け出が、政治団体が多額の金を受け取っても、あるいは会社、法人から金を受け取っても何ら規制するすべがないというざる法が現在の政治資金規正法であります。先ほどあなたに聞いても答えが出てこなかったように、住所もわからない、届け出責任者もわからない。また、あるものは、何派系研究会のその政治団体である。ところがたずねていったならば、全然違った人がいる、私はそんな人は知らない、そういうあいまいなものもあるわけです。したがって、そういうあいまいなのが現在のいわゆる政治資金規正法であります。私は、いま自治大臣お話を聞いておりまして、確かにおかしいな、確かにざる法だなという感じを非常に深くいたしました。  次に、今回のLPG汚職贈賄あるいは収賄あるいは贈賄容疑、いろいろな名前が出ております。そうして、それがいろいろなことで論議をされております。問題は、贈収賄成立要件にかかっていると私は思うのでありますけれども、そこで、贈収賄容疑事件特別公務員犯罪成立要件及び職務権限について法務大臣の見解を詳しく教えてもらいたいと思います。
  25. 赤間文三

    赤間国務大臣 私は、一般にいろいろと問題視されるものは、いわゆるわいろ政治献金、これがいろいろと実際の場合においては論議せられる場合が大体多いと考えます。おおよそわいろというものは、これは職務に関する不法な報酬、こういうふうに法務大臣としては考えております。言いかえるならば、職務行為対価としての不法の利益ということが、私はわいろの罪になるものと、かように考えておるのであります。  政治献金というのは、御承知のように政治活動のための献金でございまして、私は、これは非常に必要なものではあると存じます。しかしまた、表面は政治献金というような形で、実態は職務行為との関係においていわゆる給付反対給付との対価関係にあるというようなものも間にはあるかもしれぬとか、こういうものにつきましては、私は、名前政治献金でありましても一種のわいろである、かような解釈をいたしておるような次第でございます。  私は、検察事務といたしましては、正しく法律を適用していく、ほんとうに明るい、不偏不党で正しい仕事をしていく、そして検察陣営がすべての国民から信頼を受ける、こういうふうなあり方で仕事を進めていく、そして国民から検察陣というものは実に正しい、明るい仕事をするという信用を今後ますます高めていくように努力をしていきたい、こういう心がまえでおるので御了承願いたいと考えております。
  26. 浅井美幸

    浅井委員 いま法務大臣お話を聞いて、私はとってもうれしいです。  では私は、この法案がいままでの国会において提案されてから、そして審議に入って、そしてどのような経過をたどり、あるいはタクシー業界あるいはいま焦点になっていますところの大阪タクシー協会動き、さらには東京乗用旅客協会ですか、この東旅協動きをあわせてここで皆さんに聞いていただいて、そうして冷静にこの問題についての本質を私はお伺いしたいと思います。  皆さんも御承知のように、このLPG課税意向は、昭和三十九年の六月にこのことについて大蔵省から表明されました。その二カ月後の八月の十八日、大タク協会、すなわち大阪タクシー協会の第三十回定例理事会議事録、これによりますと、LPガス課税問題についてこの議事録でいろいろと資料が出ております。場所は大阪農林会館でやっておりますが、まず、  「LPガス課税問題について。LPガス税新設を大蔵、自治省で考えているとの報があり、全乗連として」これは全国乗用車連合です。「全乗連として全国的な反対運動に発展させて欲しいという要望が出された。そこで全乗連にLPG特別委員会委員長海田氏)をつくり、関係団体を糾合して課税反対運動を展開することとなった。」このようにしるされております。  次に、同じく大阪タクシー協会の第三十一回定例理事会議事録では、  「飯原理事から「東京課税反対の陳情をしてもらっているが事務当局だけではふせぎきれない様に思う。ある程度の政治資金が必要になるのではないか」と質問海田氏から「今具体的にどの位を予測出来ないが、東旅協では一般経費協会通常経費で賄うことに決っており、LPG研究会では取りあえず一台当り三百円集めている。」  さらに、そのあとの部分には、關谷代議士がこの会合に、国際ホテルで行なわれた三十一回の定例理事会には出ておられます。「LPガス課税については、業界意向も良く承知しているので課税反対に援助したい」、このように書かれております。  私は、全部この一つ一つ資料をもって皆さん方に御披露したいと思っておりますから、あしからず御了承願いたいと思います。  第三十三回の同じく大阪タクシー協会理事会では、LPG問題について、「LPGに対する課税については、徴税技術上問題があり、課税したいとする心構えは変っていないが、大蔵省ではまだ具体化していない。課税反対のために関係十六団体税制調査会に対して反対陳情しており、自民党税制調査会にも陳情する事になり、会長出身地である近畿に対し応援して欲しいと連絡があったので、飯原理事を通じ連絡をとりつつある。又自民党交通部会にも税制調査会から照会があると思われるので、交通部会長にもわたりをつけている。」これが十月の六日であります。  十月の十三日には、総理府税制調査会委員会で、LPGに一キロ二十六円課税を検討されております。その後十月の二十八日には、全乗連第十二回緊急理事会議事録であります。これはいま申し上げました社団法人全国乗用自動車連合会第十二回緊急理事会議事録であります。同じく高輪プリンスホテルで、午後一時三十分から行なわれております。この中にいろいろのことが書かれておりますが、来賓あいさつとして、衆議院議員關谷勝利永山忠則田邉國男寿原正一川野芳滿の各先生より業界の各重要問題について力強き激励のあいさつが行なわれ、終わって、小沢専務理事の就任のあいさつが行なわれた。このようにございます。  次に、今度は全国からまた大阪に戻ります。  大阪タクシー協会の第三十五回定例理事会議事録昭和三十九年の十一月の五日、これは協会会議室という場所でやっております。この中には、「臨時行政調査会の答申及びLPガス課税等緊急対策について」という審議事項で行なっております。その中の内容を読ませていただきます。「畑理事から、十月二十八日東京で行われた全乗連緊急理事会の模様が次の通り報告された。会議は関谷、永山、田辺、寿原各代議士を来賓に迎え、各先生から激励の辞をいただいた。」——さっきのあれですね、もうこっちは入っておりません。  「また上記代議士を中心とした議員団をつくり、反対運動を進めてゆくこと、特別委員会をつくることも決った。このほか免許制維持、LPガス課税反対、自動車所得税対策、営業用自動車の物品税撤廃等の諸運動に必要な諸経費ねん出のため、緊急対策運動資金三千四百二十一万三千三百四十三円の負担方について諮られた。当協会は一車当り四百二十五円の負担額で三百三十六万二千五百十五円の割当案を示されたが、帰阪の上諮りたいと宝上理事が発言し、同調する地方理事が多かったが、金額は別として運動資金拠出の決議をしようという意見が出され、これが可決された。LPガス課税反対については、北村氏から報告があり、これまで内閣の税制調査会に重ね重ね陳情してきたが、課税案をつぶすことができなかった。そこで今後は国会で、課税を二年間待って欲しいと陳情する以外にないことが明かにされた。LPガスについては、需給の関係もあり、四十一年度まで課税が延長されると、同じ課税されるにしても、一部はメーカー側に転嫁できるようである。  第二資緊急対策運動資金拠出について、多島専務理事が上記の件について次のとおり説明を行なった。全乗連緊急理事会に出席された畑理事が既に経過を説明のとおり、全乗連としては拠出が決っている。もし負担金を受けるとした場合、会員からの拠出方法として、市域」——市の場合ですね、市の地域です。「市域一台四百円、郡部AB地区三百円とした場合は約三百三十九万三千円。市域及び郡部A一台四百円、郡部B二百五十円とした場合は約三百四十八万円。会費一カ月分の総計三百五十万円等の考え方があり、これで全乗連からの割当額三百三十六万二千五百十五円を負担できることになる。ついで議長から「東京理事会で金額は別として拠出が決っているが、本理事会で拠出の可否を決めていただきたい」と提言全員拍手をもって賛成拠出が決定した。また会員からの集金方法として多島専務の説明した三案のうちどれがよいかと諮ったところ、武田理事から「第三案一カ月分の会費を徴収するのが最もよいと思う」と発言全理事とも異議なく、会費制による集金に決った。ついで議長から「今拠出が決った運動資金は全乗連への送金分で、地元での運動に使用する運動経費が必要であり、必要があれば又お願いすることにする。またとりあえず、全乗連送金分として本日出席の理事に一カ月分の会費を負担していただき、不足分を相互タクシーから立替え願うことにした」と提言、異議なく了承された。」このようにございます。総理はしっかり聞いておいていただきたいと思うのです、あとで、このような背景からあなたにお聞きしたいと思いますので。  次、三十九年の十一月九日に第四十七回の臨時国会が開かれております。十一月十八日にはLPG課税反対業者大会、これが東京で行なわれております。十二月三日に総理府の税制調査会は、四十年の四月一日から一リットル当たり十円の課税を表明しております。十二月十五日は、自民党税制調査会は上記答申案承認、十二月十六日自民党税制調査会で一年延期の意見が出る。十二月十八日、自民党政審総務会で九ヵ月延期を決定、十二月十八日、第四十七臨時国会は終わっております。このような経過を経、十二月の二十一日に第四十八回の通常国会がまた開かれたわけであります。その翌日、大タク協会においては、同じく第三十八回定例理事会議事録、これによれば、「LPG課税問題について」やはりこのことについて行なっております。  「まず、多島会長から「先般来LPG課税阻止について、みなさんのお力添えをいただき感謝している。ご承知の通り課税は九カ月延期されたが、経緯の詳細については、本日午前十時、LPG使用業者に参集願い説明した。本席では飯原LPG委員長及び多田理事から課税延期の経緯等について説明していただく」と挨拶、飯原委員長から大要次のような説明が行なわれた。先般(一一・三〇)の理事会以降の課税問題の経緯を説明すると税制調査会ではLPガス課税額を審議の結果、トン当り二万六千円−一万七千五百円で答申、自民党税制調査会大蔵省税調に押され、十二月十五日の自民党税調会全体会議でも一万七千五百円の線は動かず、十六日の政務調査会でも変更はなかった。十八日には東京課税反対全国大会を開き、最後の運動を行なったが、みなさんのご協力により当協会から六十五名、旧協会から七名−八名が出席、これまでにない盛り上りを見せた。大会後大蔵省主税局長に陳情すべく出かけたが拒絶され、なお強硬に面会を求めたが面会できず、参事官に会って、LPG課税されることは自殺状態に等しいことを強調、陳情した。その後自民党総務会が開かれ、九カ月の延期とトン当り一万七千五百円の課税額が決定された。ついで多田理事からも次のような報告があった。十一月三十日の理事会意向をくんで、東上、田中大蔵大臣には早朝に陳情、全国ハイタク業者への課税は困るので延期して欲しい旨訴えるとともに、徳安、關谷、寿原、村上等の各代議士に会いお願いしてきた。LPG課税問題の審議経過は十一月十五日自民党税制調査会(四十二名で構成)に小委員会(小委員長山中貞則)が設けられ、そこで審議が始まったが、ここでは大蔵省税調会答申どおりに決定された。その日の午後総会が開かれこの席で關谷代議士を始め、お願いしていた関係の先生方から、LPGをハイタク小業者から徴収することは可愛想だとの意見が出され論議された。翌十六日、小委員会と総会が開かれ、一年延期について論議が戦わされ、結論的なものが得られぬまま、十八日の党政策審議会にかけられたが、この段階での情報では同情者は増したものの、問題を残したまま総務会に決定権が移された。総務会では夕刻になって、延期カヵ月、課税六カ月で最終的に話しが決ろうとしていたが、午後八時、総務会が再開され、関係大臣四名も加わって論議、延期九カ月、課税三カ月が決定された。この間、関係代議士に非常な努力を願った。」  このようにいまございましたが、総理あるいは法務大臣は、このような動きについて、自民党内のことであったし、当時総理もおられたことでありますので、この点について御承知かどうか、自民党内のことでもあるし、お聞かせ願いたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私はそれらの点は存じません。しかし、ただいま読み上げられましたように、自民党内の問題でもございます。私は大体いまの民主主義時代、いろいろの各方面から意見を聞くこと、これはしばしばあると思います。また陳情を受けることもあると思います。私は、これはけしからぬとは思いません。しかし、その陳情を受けること、そのいわゆる請託をいれて、そしてそこにわいろが行なわれる、贈賄あるいは収賄、そういうことが実は問題だと思います。したがいまして、ただいま言われましたように、それぞれの議員諸君がそれぞれの方面からいろいろな話を聞くということ、これはおそらく自民党だけではなく、皆さん方のところも同じではないかと思います。ただ、各方面から意見は聞く、しかし、それでその自分たちの職務を左右され、する、しかも金銭あるいは利益で左右され、する、こういうことだけはしてはいけない。これは私どもが気をつけなければならぬことだ、かように思います。
  28. 赤間文三

    赤間国務大臣 ただいま総理がおっしゃったとおりでございまして、重ねて御説明する必要はないと考えております。御了承願います。
  29. 浅井美幸

    浅井委員 では法務大臣、このことについてまたよく聞いておいてください。  同じくその会合の中で報告されておることでありますが、議長がはかっております。  「議長1九カ月の課税延期を成功とみなすかどうか」これは課税反対のあれでしたですね。「2多田理事から運動資金として協会に一千万円の寄附の申出があるがどうするか、3LPG使用業者から運動費として特別分担金を拠出願うのに市域一台当り一万五百円、郡部一台当り六千六百円の負担額はどうか、の三件について審議願いたい。1については全員異議なく成功とみることに決定。3の特別分担金の拠出案について、割当案を諮ったところ、武田、宝上各理事から賛意の表明があり、多田理事からも「協会始って以来の賦課金をとるのに理事会での審議だけではと思い、本日六十名近いLPG業者に参集願い、説明したところ、一同拍手の賛意を得た」  このように何らかの目的を持って動いておりました。このように集めたことについての経過でありますけれども法務大臣、どうでありましょうか。
  30. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいまお話しになりましたことはよく承りましたが、それについて私は私の意見を言うことを差し控えたいと考えております。
  31. 浅井美幸

    浅井委員 先ほど正規の政治献金かあるいはわいろ性を持つものかということで、あなた自身がしっかりした答弁がございました。私は、そのとおりならけっこうだと、さっきあなたを激励したわけであります。ところが、このような具体的な話になってきたときには答弁がない。これは私はおかしいと思います。もう一度再答弁を願います。
  32. 赤間文三

    赤間国務大臣 先ほどお答え申し上げましたわいろ政治資金の問題につきましては、さきに申し上げたとおりに私は確信をいたしております。しかしながら、目下捜査中に属する問題につきまして、それにつきましていろいろと意見を言うことは差し控えることが私はよろしい、かように考えておりまするので、御了承願いたいと思います。
  33. 浅井美幸

    浅井委員 では、やはり答弁がいただけませんので、やむを得ません。私はこの話を続けさしていただきます。  いまは十二月二十二日の大タク協会でありましたが、一転して舞台が東京東京旅客協会でございますが、この十二月の二十一日、これがやはり「東旅協発第四百四十四号」これでありますが、  「LPガス課税絶対反対の態度を決定し「特別委員会」を設置して全乗連と共に協会の総力をあげて反対運動を強力に展開して目的完遂に最善を尽くしました結果、前記のごとく課税延期がなされましたことは皆さまとともに御同慶の至りでございます。この間実行委員会、各委員、会員各位が税制調査会委員及び大蔵省、通産省、運輸省、自治省、建設省、科学技術庁等の官庁に対する数十度の陳情、自民党、政調会、各関係部会、総務会、党三役に対する陳情活動、二回にわたる業者大会等の運動に絶大なる御協力を賜わりましたことを厚くお礼申し上げます。なお課税額につきましては納得いたしかねますので、通常国会審議の段階において運動をいたしたいと思量いたしますので、一そうの御協力をいただきますようお願い申し上げます。」  いろいろとここでございましたのですが、ではこの中の大蔵省、通産省、運輸省、自治省、建設省、科学技術庁に数十度の陳情があったそうでありますが、この辺について各大臣がきょうおそろいですので、もし御存じでありましたら、御返事いただきたいと思います。——御存じであったかなかったか、まだよくわからないわけでありますけれども、では続けさしていただきます。  四十年の一月の七日「大タク協、第三十九回」、この定例理事会は一月の七日に光昌会館二階の会議室で行なわれております。このときに報告事項にLPG課税関係で、  「井上専務理事「十二月二十二日の理事会決定にもとづき、会長、多田、坪井、沢、畑の五氏が上京、田中大蔵大臣ほか関係代議士にお礼を申し上げた」」このようにございます。  「第四十回定例理事会」これは同じく一月の十九日であります。これについては、  「LPG課税の税率について閣議にかけられること。またこの閣議で税率が決定されると、国会での修正は難しいと推測されるとの情報を大蔵省関係筋からキャッチしたので、多島会長とも相談した上、十六日朝海田社長、北村専務(大日本交通)と同道、村山達雄代議士(新潟選出、税制調査会委員LPG委員大蔵省出身)と会い、税率についてリッター十円は経営者にとり重荷となるので考えてほしいと要請したところ、同氏から「その点は審議の過程では聞いてはいるが、当初二十四円の税率が十円になったこと、また課税時期が九カ月も延期されたことは常識的にいって、業者立場も考えられたことと思う」」次に、「LPG問題について、井上専務理事から「LPG関係の特別負担金拠出については、既に一台当り市域一万五百円、郡部六千五百円の拠出が決っているが、手形の振出し日を一月三十一日、支払期限を三月三十一日とさせていただきたい。また前回の理事会での谷理事の発言もあり、各理事がそれぞれの関係会社の手形を集めていただくということで案をつくった。討議の結果、全員異議なく承認となった。」  この一月の十九日の翌々日、一月の二十一日、これは今度は東京であります。東京で同じく「東旅協発第四百八十一号臨時会費」であります。これは、この中に厳秘というしるしがある。総理も見ておいてください。こういう通達が出ております。   〔浅井委員佐藤内閣総理大臣に書類を示す〕  こちらはその同じものの写しでありますが、「東旅協発第四百八十一号臨時会費について、運賃改訂問題、LPガス課税、免許制維持等の諸問題に対処する政治献金として、臨時会費徴収を同日開催の常任理事会で議決。第八回理事会で上記を報告了承。臨時会費(1)LPG車一台につき八千円、上記以外の車両三千円、以上を二回の約束手形として期限二月末日のものと三月末日のものにて分割」このようになっております。  これは中曽根さんにお伺いしたいのですけれども、当時のこのLPG車、いわゆる東旅協関係LPG車の台数、それからそのほかの上記以外の車両の数字を教えていただきたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は数字に弱いものでありますから、事務当局をして調査の上御報告いたさせます。
  35. 浅井美幸

    浅井委員 想像の数字は出ておりますが、東京だけの実態を申し上げますと、四百七十八社、個人は五千四百両、法人は二万七千五百二十両、合わせて三万二千九百両というのがそのときの数字であったそうであります。これは私の調査でありますが、約三万三千台の車が、これはLPGあるいはそのほかの車を含めて車両があったわけです。そしてこの八千円と三千円が出てまいりました。こうなりますと、私の推定は、何といいますか、私も数字に弱いほうでありますが、非常に巨額の費用、いわゆる資金が集まったのではないかと思われるわけであります。  そこで、先ほどのところへ戻りますが、四十年の三月の二十五日、やはり東旅協の旬報第二巻第四号、資料がございます。この中にやはり同じく赤坂のプリンスホテルで三月三日第九回の理事会が開かれております。ここで川鍋会長が、  「われわれ業界国会の諸先生方の指導にもとづいて、われわれに不利益を与える悪法については体当りでぶつかっていかねばならないと考える次第でありますので、皆さまの一致協力をお願いしたいと挨拶があった。」中川税務委員長からは「本年度にはいり、税関係でとりのこされているLPG課税で、トン当り一万七千五百円の高額は圧縮していただくべく、正月から運動している。」  このように、総理、この資料から見ますと、いろいろと自民党のほうに働きかけがあったように思います。この辺について総理は全然御存じないでございましょうか。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど答えたとおりでございます。私知りません。
  37. 浅井美幸

    浅井委員 ずいぶんと、まあそっけない返事でございまして、私もあきれ果てるわけでありますけれども、じゃ続けます。  四十年の四月の三十日に、同じく東旅協旬報第二巻第七号、これによりますと、第二回理事会はトラック会館でやっておりますが、「川鍋会長より、政党献金についてはお附合ていどの献金をいたしたいのでご協力を願いたい。」このようなことがやはり東旅協の旬報の中に出ております。  次、第二回の常任理事会ですね、五月の七日であります。これは都市センターポールで、「海田委員長からLPG課税に関しての国会審議の経過報告と、LPG課税の反対委員会としては来週自民党幹部及び大蔵委員会の方々に再度陳情したいのでご協力願いたい。」このようにこの中にはしるされております。  五月の十日、これにはLPG課税反対特別委員会、やはり指導委員会議室で海田健次委員長、これはLPG課税全国の一番の反対委員長であります。この人が「最終段階の強力な陳情を行うことにし、十三日の大蔵委員会開催までに各支部に陳情をお願いすることに決定した。」  次、四十年の五月の十日、これが寿原代議士を中心にグランドホテルで会合が行なわれたらしいのでありますが、このグランドホテルで「寿原代議士を中心にLPG課税軽減に関する打ち合わせを行った。」この出席者は、海田、北村、中川、加藤、この委員が出ておる、こうしるされてあります。四十年の六月の一日にこの法案は継続審議になっております。  次、四十年の六月であります。  この四十年の六月の二十八日の会議録が出てまいります。  その前に、ここに私が自治省のほうで調べてまいりましたこの資料によりますと、四十年の六月は、六月の十日に自民党本部に六千三百六十四万、大阪タクシー協会から政治献金しております。それから千八百十八万、兵庫県乗用車自動車協会、またさらに同じく六月十日に九百九万円、京都乗用自動車協会、同じく九百九万、大阪旅客自動車協会がこの六月の十日に自民党本部に届けられております。そうなってまいりますと、このときの六月の二十八日の第四回大タク協定時総会議事録、この中にはこのことについてきちんといきさつが書いてあります。  「多島会長より」今度のLPG課税、免廃問題に伴う特別負担金について、」——免廃ですよ。そして特別負担金をさしたわけですよ。「一億円余の今までにない多額の献金は、六月十日に当協会より多田、坪井、沢の各理事及び山口(大旅協会長)大山(兵庫協会長)粂田(京乗協会長)の各氏により東京に持参し、自民党(一億円)お届けしました」關谷代議士がこのとき発言しております。この席で「LPG課税は来年度まで延期されたが、次回の国会で議案が通過するようであれば、過日審議未了にした意味がなくなるので、寿原氏と共々手を打って行きたい」同じく寿原代議士はここでやはり話しております。「寿原代議士「特にLPG課税については、結束による協力があれば阻止出来る」と強調された。波多野全乗連会長「LPG課税、更にはLPG価格値上げに直面する昨今、業界全体が一致団結してこれの阻止に当るべきである」このようにございます。  これは一億円の献金の意図が、明らかに目的を持って献金をされておるように私は受け取るのでありますけれども法務大臣、まず御答弁願いたいと思うのであります。
  38. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  私はあなたのような考えは持っておりませんから……、申し上げます。
  39. 浅井美幸

    浅井委員 私も法的に詳しいのでありません。私はあなたに法務大臣としての立場で法の最高責任者として——日本は法治国であります。したがって、その法治国の立場から、あなたは責任者としてこのことについてどのような判断をするのか教えていただきたい。御答弁願いたいと思います。
  40. 赤間文三

    赤間国務大臣 自民党その他の党に対する献金というような問題につきまして、それが正当なものであるとか、いろいろなことを言う自由を私は持っておりません。
  41. 浅井美幸

    浅井委員 いま私がこのようにくどくどと貴重な時間を使って経過を読み上げておるのは、私どもはこの事件のことについていろいろと調べまして、そうしてあらあら経過がわかっておる。ところが、赤間さんがおわかりにならないと思うから、このような同志の委員の人たち、あるいは記者の皆さん方たちのお耳をわずらわして——もう新聞記者の諸君たちは全部承知のことなんです。それを重ねてここであなたに聞いてもらいたい。先ほどの抽象的な話ではおわかりにならないと思うから、具体的な話をもってここに私は申し上げておる。  もう一度申し上げますよ。「多島会長より「今度のLPG課税、免廃問題に伴う特別負担金について、」——免廃ですよ。そして特別負担金をさしたわけですよ。「一億円余のいままでにない多額の献金は、六月十日に当協会より」これこれの人が東京に持参して、自民党に一億円お届けしましたと言っているじゃないですか。このことついての見解を、法務大臣として、私は求めます。
  42. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  そういう点全体につきまして、ただいま検察当局が調査をいたしておるのであります。調査をいたしておる事柄につきまして、私は、その内容を言ったり、あるいはその見通しを言うことは捜査の妨げになる、こういうふうな見解を持っておりまするので、その点御了承願いたいと考えます。
  43. 浅井美幸

    浅井委員 私はいま捜査内容を聞いているのではない。この議事録によって、いま申し上げたこのようなことがあるという事実を私はここでいまあなたに申し上げたのです。したがって、このことについて、この事実をあなたはどう解釈する、あるいは法律的にどのように見るのかと聞いているのです。
  44. 赤間文三

    赤間国務大臣 捜査につながることにつきましては、私は差し控えることが適当であると考えております。しいて捜査に妨げを及ぼすようなことは、お尋ねになりましてもお答えをいたしませんから御了承願いたいと思います。
  45. 浅井美幸

    浅井委員 私は先ほどこの献金が、いわゆるこの課税について運動資金として集められ、明らかに何らかの目的を持って集めた、そうして、そのことについて献金をした、その結果を報告をしておる。明らかに、このことについて目的を持たないで集めているのではない。LPG課税問題について、LPG課税を免じたりあるいは廃止したりするための運動資金として集めたと、はっきりとここにうたわれているじゃないですか。そのことについてのあなたの見解を私は聞いておる。これだけ了々としておる。これをあなたに私は見解を聞いている。答弁願いたい。
  46. 赤間文三

    赤間国務大臣 たびたび申し上げましたように、従来からもそうでありまするし、おそらく今後においても私はそうあるべきと考えております。捜査にかかっておる事件につきましては、内容は一切発表をいたしません。なおまた、将来の見通しにつきましても申し上げるわけにはまいらないのでございますから、どうぞ御了承をお願いします。
  47. 浅井美幸

    浅井委員 私は、あなたの将来の見通しやなんかひとつも聞いておらぬ。この事実に対してどのような見解を持っておるか私は聞いておる。  では、あなた自身がいま捜査中というのならば、自民党の一億の献金を受け取った事実、どのようにしてその金を受け取ったのか、そのことについていま捜査しておるのか、答弁してください。
  48. 赤間文三

    赤間国務大臣 重ねてお答えを申し上げます。  大阪タクシー事件は、全体といたしまして目下検察当局で捜査中でございます。御了承願いたい。
  49. 浅井美幸

    浅井委員 では総理、あなた自身は、このとき総理でありました、また自民党総裁として、このような巨額の献金がこの六月の十日になされておることの事実において御承知でありますか。
  50. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 たいへん無責任だと言われるか知りませんが、私は、党の金は私自身が扱っておりませんので、その事実を知りません。
  51. 浅井美幸

    浅井委員 自民党献金されたお金のことについて、私はお金のことについては扱っていないから知らないということで自民党のほうではお済みになるのですか。ずいぶんおおような政党であります。あなた自身が総裁として、いわゆる自民党の党のその政治献金内容を掌握し、金の使い方についてあなた自身がそれをいろいろと指導したり、あるいは使い方については全然御指示にならないのでしょうか。
  52. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまも前もってお断わりいたしましたように、私、存じません。
  53. 浅井美幸

    浅井委員 いま、このように長々と経過をこの問題について述べました。明らかに陳情も何回か何十回か何百回か繰り返されております。そうして、いわゆる自民党の幹部の人たちのところにもたびたび陳情に行っております。そのような業界動きをあなたは全然御存じなかったのでしょうか。
  54. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、先ほど来申しましたように、各種団体あるいはまた国民からいろんな話を聞くということ、これはもう政党の当然でございますから、そういう意味の陳情はしばしば受けております。しかしながら、ただいまお読み上げになりました一部の者が特に特別な利益を与えるために運動したと、こういうようなことは私は知らない、こういうのを先ほど来申し上げております。おそらく私どものところにもLPガス減税あるいは免除あるいは延期等の書類が来ておるかもわかりません。しかし、私はそのままをただいま記憶はございません。  ただいま申し上げますのは、お読み上げになりました、これが最初から非常によごれている、きたない陳情だと、かようにいま印象づけられましたが、そういう事柄は私は知らないということを先ほど来はっきり申し上げております。おそらくこれは業界のたいへんな問題ですし、こういう問題について業界から反対陳情がある、これは普通考えられることですから、全然陳情がなかった、かようなことを申すわけじゃありません。その辺は誤解のないように……。おそらく、政党であります場合は、あらわる各種団体からあらゆる事柄について、それぞれの利害関係のある事柄については陳情がある。これは民主主義の時代では当然のことだろうと思います。だから、そういうことを聞くことはあり得る。しかし、それを前もって一つの悪質なものとして運動を展開しておる、かように考えるわけには実はいかない。私はそこまでは知らない。そういうようなことは私自身巻き込まれておらないということを実ははっきり申し上げたのでございます。
  55. 浅井美幸

    浅井委員 総理はずいぶんいろいろな方と会うので——きれいな方とはお会いになるけれども、よごれた方とはお会いにならないそうであります。  では、もう一度私は先ほどのお話法務大臣にお伺いしたい。  問題は贈収賄成立要件でありますけれども贈収賄容疑事件特別公務員犯罪成立要件及び職務権限について、法務大臣の見解をさらに先ほどよりも詳しくもう一度御説明願いたいと思うのです。
  56. 赤間文三

    赤間国務大臣 刑事局長をして詳細説明をさせますから、御了承を願います。
  57. 川井英良

    ○川井政府委員 先ほど法務大臣から申し上げたことに尽きるわけでございますが、やや詳しくその間の事情を説明申し上げたいと思います。  法律上、わいろとは職務に関する不法な報酬をいうのであります。一口に申し上げますと、そういうことでございます。言いかえて申しますというと、職務行為対価関係にある不法な利益をわいろというわけでございます。さらにもう少し言いかえて説明いたしますと、提供された金品が、提供を受ける人の職務行為との関係において給付反対給付関係にある場合に、提供された金品をわいろという、これが刑法上定められたわいろの定義でございます。
  58. 浅井美幸

    浅井委員 法務大臣、いまの刑事局長の答弁の中にございました反対給付、これを求めておる、この場合はわいろというという答弁がございました。先ほどのこの場合、あなた自身の見解をもう一度私は問いたいと思います。
  59. 赤間文三

    赤間国務大臣 さきに申し上げたとおりでございます。  いわゆる献金職務行為対価関係があるかどうか、献金職務行為対価関係にあるかどうかということでわいろがきまるのであります。そういう点につきましては、さっきからたびたび申し上げましたように、目下検察庁において鋭意取り調べ中であるのでございますので、私からそういうことについてそれ以上申し上ぐることを差し控えたい、かようにさっきから申し上げておる次第でございます。
  60. 浅井美幸

    浅井委員 先ほど刑事局長についてお聞きした答弁を、私はあなたに見解を求めた。あくまでも正当なる政治献金か、あるいはわいろか、あるいは今回の政党に対しての献金が第三者の贈賄になるのか、いろいろと説がある。だから私は、このことについてもう一度法務大臣に聞きたいと言った。ところがあまりにも不誠意であります。  総理、これは贈収賄にならなければ、贈賄になるのですか。あなたの見解、あるいはこのような不祥事件があったことについて、いわゆる自民党自身が明らかに何らかの目的を持っておるそういう政党の献金を受け取ったことについて、あなたはどのように考えられますか。
  61. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 冒頭に申しましたように、こういう事件がいつまでももやもやすることは困ります。できるだけ早く結末がつくことが望ましい。そうして、その結末がつくということは国民の前に明らかになることだ、かように私は思います。  検察当局もただいま答弁を非常に慎重にかまえておるのも、こういう捜査支障を来たさないように、また捜査を迅速に進めたい、こういうような意向から非常な慎重な考え方で答弁をしておるのだと思います。それらの点については十分御理解をいただきたいと思います。  私自身、また政党の総裁としてただいまのような党献金についてのいろいろのお尋ねがございます。そこいらの点については、私もよく注意をして今後ともまいるつもりでございます。
  62. 浅井美幸

    浅井委員 では、刑事局長にお伺いしたい。  贈賄ということについて、このいまの時点の問題についてはひっかかるかどうか、贈賄ということになるのかならぬのか、この事件について見解を求めるものであります。
  63. 川井英良

    ○川井政府委員 ただいま申し上げましたのは、純然たる法律上のわいろの定義を申し上げたわけでございます。  問題は、その刑法上の概念を具体的な事実関係について当てはめる場合の問題だろうと思います。  法律を適用するにあたりましては、御承知のとおりいろいろな複雑した事情がございますので、ただいま読み上げられましたような一つの事実関係だけをもとにいたしまして、それについて私が申し上げましたような定義を素朴に当てはめて、これが犯罪になるかならないか、こういうふうなことにたたみ込まれましても、ここで直ちに積極ないしは消極とお答えすることは適当でないと存じます。  なお、この問題は、繰り返し法務大臣が申し上げておりますように、すべて含めて大阪地検の特捜部において鋭意取り調べ中でございます。したがいまして、これらの問題の犯罪の成否は、あげて検察官が証拠に基づいて厳格に、公正で、妥当な判断を出すべきものと信じておるわけでございます。  そこで、その前に、私ども法務当局といたしまして、質問答えまして、これが積極になるとかならないとかいうことをあらかじめお答え申し上げることは、捜査に対して何らかの影響を及ぼすものではないか、かように考えるものでございますので、重ねて私からも御了承を得たいと思いますけれども、何とぞこの辺の事情をごしんしゃくくださいまして、この点については御寛容を賜わりたい、こう思います。
  64. 浅井美幸

    浅井委員 では、まだ具体的な答弁が出ませんので、もう少し続けさしていただきます。  四十年の十月五日に第五十回臨時国会が開かれ、十二月十三日にはこの法案審議未了、廃案となったのです。この際、十一月十六日にはやはり大タク協で第五十九回の定例理事会がございまして、「LPガス課税問題に関しては、その後の経過につき今後の見通しとしては、法案の流れる公算が大であるが、大蔵委員会に於いて一部減額修正を又大蔵省では原案の通過を強く望んでいること、」「LPガス課税については絶対反対との基本方針で対処し陳情運動を続けている」、このようにしるされております。  そうして十二月十三日審議未了、廃案となって第五十臨時国会は終わっております。  十二月の二十日に五十一通常国会が開かれて、政府はLPG課税法案国会へ再び提出しております。衆議院の大蔵委員会へ同法案を付託、十二月二十七日、衆議院の大蔵委員会山中貞則自民党)外三十八名による三党共同提案により修正案提出、そして可決されております。内容は、四十一年十二月三十一日まで一キロ五円、四十二年十二月三十一日まで一キロ十円、施行期日を四十一年二月一日まで延ばす、このようなことがございますけれども、このことについて、大蔵大臣、税金の減収分、当初政府案どおりやっておった場合と、このように修正されて可決された現時点においてとどれだけの差額があるか、はっきりと教えていただきたいと思います。
  65. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 昨日御報告いたしましたように、昭和四十二年度、本年度までの累計を見ますと、概略二百二十億円前後ということになっております。
  66. 浅井美幸

    浅井委員 それは何年度まででしょうか。もう一度はっきりとお教えいただきたい。
  67. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 数字でございますので、私から答弁さしていただきます。  ただいまお尋ねでございました修正案による減収は、昭和四十年度は、施行期日が二月に変更になりました関係と納期が延期になりました関係で十六億円程度、昭和四十一年度は、五円と十七円五十銭の差額でございますので九十七億円、それから昭和四十二年度は、十円と十七円五十銭の差額で六十億円となります。  なお、昨日大臣から二百二十億円という御答弁をいただいたのは、私の計算がちょっと違っておりまして、これはさらにその後の政府修正による四十四年度まで十円を延期した分を加えましたものでございますが、これが正確に申しますと、四十四年度まで計算をいたしますと三百七億円でございます。したがいまして、この大蔵委員会の修正だけで申しますと、合計で百七十三億円ということになるわけでございます。
  68. 浅井美幸

    浅井委員 建設大臣にお伺いしたいのですが、ガソリン税が変わってLPG税が登場したわけですが、第五次道路整備負担金ですか、これで、もしいま言われたように三百七億あればどの程度の道路の舗装ができるのか、教えていただきたいと思います。
  69. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。  建設行政に携わっておる者でございますから、そういう数字も心得ておらなければならぬと思いますけれども、相当のキロ数は舗装ができるだろう。それ以上のことは、数字的な根拠を求められようとすれば、ひとつ事務当局に調べさせてお答えさせます。
  70. 浅井美幸

    浅井委員 後日、調査して知らせていただきたいと思います。とりあえず、三百七億という膨大な数字が、このような献金をめぐっての法案審議によって起こっておるということは推測されるわけであります。  先ほどの大阪動きと呼応して、東京においてはどうなのか、これが問題でございます。先ほどの四十年の一月十九日に、大阪のほうでは一万五百円と六千五百円の拠出の決定をしました。東京は一月の二十一日に、八千円と三千円の負担をやはり「約束手形として期限二月末日のものと三月末日のものにて分割」、このようにしるされております。  これがいわゆる全国的な政治献金として動いたことの事実であって、ただ単に大阪タクシー協会だけではなくて、東京にも同じような事実、いや、全国各地においてこのような事実があったのではないかと推定されるわけであります。したがって、このことについて、いま東京のほうの事実がこのように大阪と対応して、すなわち、二日間おいてこの全乗連の指示に従っていわゆる特別負担金なるものの性格を持つLPG課税に反対しようというその運動資金が集められたという事実、これには法務大臣見解を、ただいま捜査中ではないでしょうから、答えていただきたいと思います。
  71. 赤間文三

    赤間国務大臣 たびたび申し上げましたように、大阪のタクシー事件に関する問題は、大阪地検において鋭意捜査中でございます。  その他の地点におけるものについては、私ここでいろいろと申し上げる自由を持ちません。御了承を願いたいと思います。
  72. 浅井美幸

    浅井委員 では、引き続いて東京のことを申し上げます。  四十一年の三月十一日、「東旅協発第四百八十三号、臨時会費について、四十一年二月十五日開催第十二回理事会、三月四日第十三回理事会において緊急運動費(運賃料金改訂問題、LPG課税反対、免許制維持等)として臨時会費の徴収、満場一致で可決。徴収金額、都区内、武三地区一台につき一千円、三多摩、島地区一台につき六百五十円」、このようなことがしるされております。  六月の二十七日第五十一通常国会が終わり、七月三十日五十二臨時国会も終わっております。  そうして、四十一年の十月十四日に、同じく「東旅協旬報第三巻第十二号」、これには「第六回理事会」、東貨健保会館において。「会長より、液化石油ガス課税額据置き問題を最重点にしたい。この課税については、既に法律で決っているが、これを据置きとすると言うことであるから真剣にかからなければならない。若しこの我々の希望が通れば東京では十億程度違うことになる。目的達成のためには渉外委員会を強化し、東京においては各地区の代議士に徹底した運動を進めることにしたい。と諮り、万場一致これを了承した。山岸副会長より、国会関係で経験のある中川、海田両氏を渉外の副委員長にお願いしたい。会長より、液化石油ガス課税額の据置き問題は、臨時国会で解決をする必要があり、緊急に迫られているので差し当り最重点に絞りたい。今後の協会政治運動は慎重にして行かなければならない。政治団体を作って行くことが非常にきれいな方法だと思うが人選については今はっきりと言う自信は持たないので、渉外委員会で検討願いたい。山岸副会長より、この運動は税金の据置き、物品税の免除という難問であり、団結の盛り上りを図る必要がある。運輸省としてもこの問題をとりあげ協力してくれているので今こそ大会を開いて立ち上るべきである。と諮り全員了承した。」  このことについて、いろいろとまださらにございます。この事実を、法務大臣、いわゆる東京の事実、このことについて調べた、あるいは検察発動するかどうか、明確にお答え願いたい。
  73. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  大阪以外の問題につきましては、報告を私はまだ受けておりませんので、お答えするわけにはまいりません。
  74. 浅井美幸

    浅井委員 では、まだあなた自身がそういうようにおっしゃるなら、あなた自身の決意が起こるまで私はいろいろと事実をあげたい。  四十一年の十月二十八日「東旅協旬報第三巻第十二号」のこれによれば、第七回理事会で「自動車関係諸税の減免に関する運動方策について。海田委員長より、LPG課税据置き問題は、一月一日迄に法の改正をしなければ自動的に五円アップされるので、今後の臨時国会でメドをつけねば間にあわない緊急のものであり、既に大蔵省、通産省の陳情を終わっている。富田諸税等対策特別委員長より、LPGの税金は法律で文句なく来年一月一日には自動的にあがる。今日の国会の現状からして下手な手を出すことはできない。服部副会長より、この運動は全員が一丸になってどうしてもやらなければならない。作戦はあろうが、高等政策の問題は会長と四社また大阪を代表して多田社長にやってもらう。」  四十一年の十一月三十日、第五十三回臨時国会を開いております。  「東旅協旬報第三巻第十四号、十二月十五日第八回理事会、於半蔵門会館。海田諸税対策特別副委員長より報告税制調査会を重点に陳情した結果、六百項目の中から二十項目が選ばれ、小委員会に付託された中に、LPG課税据置きが入れられた。去る十二月六日に小委員会が行われることになったので、前日の十二月五日、先生方に組織的に反対運動をしてもらうべく朝食会を開き、二十数名(東乗LPG研究会第四回通常総会議案書によれば国会議員出席二十一名)の有力な諸先生のお集りを戴いた。今後毎日反対運動をして行くことになった。今後の陳情は政策審議会、総務会に向けられる段取り。最高幹部の方々による政府高官、党三役に対する政治的折衝の機会も近づきつつある。」このようにございます。  法務大臣、このような事実、先生方に組織的に反対運動してもらおう、このように書いてありますが、法務大臣の見解を承りたい。
  75. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  大阪以外のところは、法務大臣としてはまだ報告を受けておりませんのでお答えを差し控えたいと、さきに申し上げたとおりでございます。
  76. 浅井美幸

    浅井委員 いま大タク協会のことについては、あなたの捜査中ということで私はやむなくがまんしておるのです。いま東旅協のことについては、捜査は全然しておらぬ。大阪地検も関知していない。したがって、このことについての見解は、あなたも法務大臣として明確に言えるはずじゃないですか。言ってもらいたい。
  77. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいまお答えを申したとおりでございまして、大阪地検からは詳細な報告をそのつど必要に応じて受けておりまするが、東京については私は報告を受けておりません。報告を受けておりませんから、したがってお答えをすることを差し控えさせていただきたい。御了承願いたい。
  78. 浅井美幸

    浅井委員 私がいま申し上げていることは、そのようなことを聞いておるのではないのです。このところの見解はどうなのかと、法務大臣として法律の上においての解釈を問うているのです。先ほど私が大阪タクシー協会のことについて聞いた場合は、これは捜査の範囲だと言うから、私はやむなくがまんしたのです。こちらは捜査の範囲じゃないじゃないですか。法務大臣として、法律の解釈をここで明らかに示せと言っているのです。
  79. 川井英良

    ○川井政府委員 この関連の事件は、大阪地検が端緒をつかみまして、まず大阪の筋から捜査に入っているわけでございます。したがいまして、捜査の進展いかんによりまして、どの方面にどういうふうな形で伸びていくかということについては、私どもといたしましてはあらかじめ予想を立ててここで断定することは適当でないと存じます。それは捜査にワクをはめることにもなりましょうし、また、ただいま御指摘のような面についての犯罪の容疑があるということになれば、あるいは証拠いかんによっては伸びていくのではないかとも予想されるわけでございますので、もしやると言えばまた捜査支障を生ずることになろうかと思いますので、先ほど申し上げたような同様な意味におきまして御了承を賜わりたい、こう思います。
  80. 浅井美幸

    浅井委員 だから、この事実を法務大臣、私は先ほどからるる述べておる。だから、このことについてのあなたの見解はどうなのかと聞いておる。あなた自身が、このような不審な事実があったならば、あなた自身職務として、東京地検に対してそれをやれと言うのか言わないのかと聞いておるのです。
  81. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  刑事事件は警察にまかせておるのでありまして、いま所見を申し上げるわけにはまいりません。
  82. 浅井美幸

    浅井委員 はがき一本、あるいは電話一本でも捜査は開始するのが通例であります。私がいま、これだけのいろいろの参考の書類をここに持参をして、そうして皆さんの前でこのように、国民立場に立ってお聞きしておるんです。それをなぜあなたははっきりと、そのことについてやろうと言わないのでありますか。やると言わないのか。もう一度御答弁願います。   〔発言する者多し〕
  83. 植木庚子郎

    ○植木委員長 静粛に願います。
  84. 赤間文三

    赤間国務大臣 重ねての質問でございまするが、先に申し上げたとおりでございます。法務大臣としては、日本の国内の法秩序の維持には全力を尽くしておるのございます。なお、お話しのような問題は警察において取り調べるものと私は考えております。御了承願います。
  85. 浅井美幸

    浅井委員 大タク協会の行なった事実と東京旅客協会のやった事実と、これは私どもが見ても、またきょうここに聞いておられた皆さん方がみな同じように、これは明らかに似ておると判断してくださると私は思うのです。そうである事実がありながら、あなた自身がまだ検察発動をしないというその根拠をあげてもらいたい。
  86. 川井英良

    ○川井政府委員 贈賄側が大阪におるから大阪地検がその事件捜査するということには検察官の捜査はなっておりませんで、どこの地検におきましても、最初に事件の端緒をつかみまして、内偵の結果犯罪の容疑が濃い、しかも、いまこの時点において刑事事件として処理することが国家的な立場からも適当だ、こう判断したときに捜査の着手があるわけでございます。大阪地検はこの事件につきまして、そのような観点から捜査に着手をしまして、鋭意捜査を進めておりますので、ただいま御指摘の点は、この大阪地検捜査中の事件ときわめて密接な関連を持っておる事件だ、かように存じますので、大阪地検捜査を見守ってまいりたい、これが法務当局の態度でございます。
  87. 浅井美幸

    浅井委員 大阪地検だけではなくて、検察一体の原則から東京地検もそれに合体して、最高検の指示においてこの問題を処理しようとしておるのかどうか、赤間さんの御返事をお願いします。
  88. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  およそ事件が起こりますると、その目的を達するために、全力を尽くして適切な方法を講ずることになっております。  現在のところ大阪地検捜査をやっておる、こういう状態でございまして、東京と連合してやるとか、その他の点につきましては、現在のところまだ考えておりません。さよう御了承願います。
  89. 浅井美幸

    浅井委員 私は先ほどから、これだけの資料をそろえてやっておるのです。はがき一本とは全然違う。だから、このことについて申し上げておる。あなた先ほど、初動捜査は警察でやるとおっしゃいました。では、国家公安委員長である赤澤さんに御答弁を願います。
  90. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 お答えいたします。  御案内のとおり、警察は独立した機関でございまして、国家公安委員長が直接指揮する立場ではございません。末端の刑事担当のほうへは始終たくさんな投書が舞い込みまして、これをどう処理すべきかにつきまして頭を悩ましておるという話は聞いてはおりますが、こういったことにつきまして、国家公安委員長として直接指図はいたしません。
  91. 浅井美幸

    浅井委員 いまあなたがそのようにおっしゃるんでしたならば、もう一度刑事局長、このことについて御答弁願いたいと思います。
  92. 川井英良

    ○川井政府委員 ちょっとその前に、先ほどうちの大臣が警察と検察について申し上げところに問題があるように思いますので、私から釈明さしていただきますが、一番最初に冷房料金の問題を調べているかという御質問がございまして、大臣から、それらを含めて捜査中だと、こう申し上げましたけれども、詳しく申し上げますと、冷房料金の問題は、大阪の府警が端緒をつかんで捜査を開始した事件でございます。それから、大阪地検がやりましたのは、俗に陸運汚職といわれております陸運関係から入ってまいった捜査でございます。しかし、いずれにいたしましても、事件は結局は検察庁に参りますので、私は、両者を含めまして検察庁において捜査中だと、かように大臣からお答えがあったものと了解しておるわけでありますので、その点はひとつそういうふうに御了解を得たいと思います。  それから、先ほどあげました問題について、これがわいろになるかならないかというふうなお尋ねだったと思いますけれども、なるほど、お読み上げになりましたような資料に基づいて聞いてまいりますと、対価関係にあるのではなかろうかというふうな一般的な疑問がないではございません。しかしながら、くどいようでございますが、このしゃくし定木の法律解釈を非常に複雑な事実関係に当てはめて、そうしてこれが積極か消極かというふうなことは非常にめんどうな問題でございまして、事実関係、証拠関係にも基づくことでございますので、これは現場の検察官があらゆる知恵をしぼって、あらゆる資料を収集いたしまして、そうしていろいろな観点から、与えられた検察権の行使といたしまして積極か消極かと、こういう判断を下すのが最も適当だろう、また適当である、かように信じておりますので、法務当局という純然たる行政当局の立場から、大臣ないしは刑事局長としての私の立場から、それはわいろだ、それはわいろにはならない、こういうふうに答えるのはひとつごかんべんを願いたい、こう思うわけでございます。
  93. 浅井美幸

    浅井委員 いままでいろいろと押問答いたしましたが、結局は、このことについてははっきりした答弁がいただけません。大阪地検のほうのいろいろと詰めておられる新聞記者の人々のお話では、東京高検において、同じような事実があるのにそれを取り上げてもらえないというようなうわさもございます。私はこのような不祥事件がありながら、法治国であるといわれ、そうしてこのこと自体がまさに、先ほど赤間さんの話ではないけれども、公明正大に、いわゆる正義のために、このような事実を一日も早く追及し、究明し、そうして国民の前に明白な姿を示してもらいたいと私は思います。  時間もあまりございませんので……。総理をはじめ各閣僚の答弁で、政治資金の規制が必要であることをますます私は痛感いたしました。しかるに、政治資金規正法の担当大臣である赤澤自治相は、十二日の、昨日の参議院公選法改正特別委員会で、政党に対する政治資金は制限すべきではない、そういう意味の発言をしております。これは明らかに選挙制度審議会の答申を無視する考えであり、また先ほどのような政党ぐるみの買収というような形に見える、そういうおそれを再びまた起こすということは明らかであります。したがって、昨日の総理の答弁がございました、いままで私が申し上げた状況を総理も深く心にとめられて、政治資金規正法改正を答申どおり実現することの決意を披瀝していただきたい。答弁を求めます。
  94. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 政治資金規正法案につきましては、先日お答えしたとおりでございます。昨日ときょうと私の考え方は変わっておりませんので、昨日の答弁で御了承いただきたいと思います。
  95. 浅井美幸

    浅井委員 では、なぜこの臨時国会にあなたは提案されなかったか。次の通常国会までに成案を考えておるというお話であった。この国民が待望の政治資金規正法成立であります。しかるにこの臨時国会において政治資金規正法を出そうとしない。そのことについて御答弁願いたいと思います。
  96. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この国会には準備ができませんで、それでこの国会に出さないのでございます。次の国会にはぜひとも準備を整えて提案する、またそうする以上成立を期する、こういう考えでございます。
  97. 浅井美幸

    浅井委員 その準備はいつまでかかる、あるいは第五次選挙制度審議会の答申案どおり提案するのにどのような準備の時間が要るのか、私には不明であります。その点もう一度答弁願います。
  98. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはもちろん不明、おわかりにならないのはもっともです。私自身まだただいま結論を出しておるわけじゃございませんから、もちろんおわかりにならないだろうと思います。しかしとにかく次の国会には、これは成案を得て、そうして成立さすようにいたしたい、かように申しております。その際に社会党の方からは、二月中に出さないと間に合わないぞと、かような御注意も受けました。それらのこともよく伺っておきます。かように申してございます。
  99. 浅井美幸

    浅井委員 最後に、政治献金職務権限の関連において、国民は常識的な道義感から納得のいかない点が多々あるようであります。この際、法務大臣はこれに関して刑法の改正を考えておられるかどうか伺っておきたい。
  100. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  目下刑法全般につきまして思い切った改正をやるべく勉強をしておると御了承願いたい。
  101. 植木庚子郎

    ○植木委員長 浅井君に申し上げます。時間が参りましたから、この一問で御終了願います。
  102. 浅井美幸

    浅井委員 早急に改正を私は望んでおきます。  これをもって私の質問を終了いたします。
  103. 植木庚子郎

    ○植木委員長 皆さんにおはかりいたします。  衆議院議員山中貞則君から、この際、衆議院規則第四十六条に基づき発言を許されんことを求められております。これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 植木庚子郎

    ○植木委員長 山中貞則君。
  105. 山中貞則

    山中(貞)議員 ただいま発言の機会を与えられましたことを感謝いたします。  私は質問者に答えるという意味でなくて、政府の総理以下閣僚、政府関係者並びに各党の議員を立ち会いといたしまして、国民に対して政治家として真実を告げ、そのことが政治への信頼についていかように判断されるかということを許していただきたいと思います。ということは、わが国においてはあまりこのような例が国会の運営でございません。しかし政治家というものは、現在どのような地位にあろうと、やはり自分自身立場というものを正確に、直接は選挙民たる国民、間接にはその国の政治を心配しあるいは信頼し、希望を持つ国民に対して政治家としての義務が存在すると考えますので、皆さま方の発言の機会を与えられた機会を感謝しながら、事実を述べたいと思います。これが今後のよき議会運営のルールになれば、さらに望外の喜びでございます。  まず、本日は何も指摘はされておりません。私は自民党の党内における税制調査会の、原案を起草いたしまする起草小委員長でございました。そのときの当該年度の原案となるべき案を作成いたしました中に、この法案が、問題の法案が入っていたというときの委員長でございます。その小委員長からさらに、国会に付託をされましたときの大蔵委員会理事として、三党共同修正案の提案理由の説明をいたした立場にございます。さらに参議院の大蔵委員会に参りまして、衆議院案の説明をいたした立場にございます。したがって私自身が、次に述べまするような別な問題においてある事実がございますので、そのことと結びつけられて今日まで相当長期間にわたって、ひそかにあるいは公然と、関係があるんだということを言われておることを私は今日まで、一部新聞等にも報道もされておりまするし、がまんをいたしてまいっておったのでありますが、この機会を与えていただきまして、事実関係並びに、ついでにこの法案の党内から委員会運営の最終段階に至るまでの経過を申し上げておきたいと思います。  第一に、火のないところに煙は立たないと申します。私も火がございます。それは何かと申しますと、四十一年九月に、私の衆議院会館の一室において、關谷勝利君より百万円を受け取っております。何ゆえにそのようだことがあったのか。その数カ月前に關谷君から電話がありまして、税法の問題で教えてくれということでございます。したがって御来室を促しましたらおいでになりまして、私に陳情書を差し出されました。それは自分の顧問をいたしておりまする会社が、税務署と法人税の損金算入の条項について意見が合わない点がありてもめておる。ところが、その陳情書の表紙をめくりますと、中に、私の昭和三十三年から四年、大蔵政務次官をいたしておりましたときの大蔵委員会における、法人税法の解説に対する質議に対する私の答弁が抜粋されておりました。さらに横に並んで補佐的な技術関係の説明をいたしました、当時の大蔵省の主税局の塩崎課長の速記録も抜粋がされておりました。このような、あなた並びに大蔵省の答弁のとおりで解釈されればトラブルはないと思うんだけれども、それが実質上はうまくいっておらない、したがってこの点について指導してくれということでありました。私は読んだのでありますが、私も、税務当局の出身者のような立場にございませんので、こまかな法解釈の具体的な運用については実は知りませんので、そこで、たまたまその速記録に当時の課長として名前が載っております塩崎君が本省に帰ってきておるから、こまかな運用の具体的な問題については向こうに聞いたほうがよろしいでしょう、ではせっかく持ってこられましたから、私の秘書にその陳情書を届けさせますということで、塩崎主税局長のもとにその法人税法の損金算入の解釈をめぐる疑問点についての説明を——説明と申しますか、解明を頼むために、秘書をして届けしめたのであります。その後相当経過いたしましてから、電話で返事がありまして、税法の解釈よりも、何か感情的な対立でもめているようですよという返事がありましたので、その旨、關谷先生に返事をいたしておきました。  ところか、四十一年の九月に——中旬でありますが、關谷先生が私の部屋に来られまして、そろそろ選挙ですね、まあそう、選挙必至でしょうね、という前置きをいたしましてから、金を差し出されました。その場であけたわけではありませんが、何ですかと聞きましたところ、先般、税法の問題で、私の顧問をしておると申し上げた大阪相互タクシーという会社のことで御心配をかけた、したがって選挙前でもあるし、ということでございました。私は關谷先生に、それは私としては関知せざることであります、国会議員として、先輩のあなたがわざわざ来室されて、税法の解釈について相談に乗れと言われたので、私ども同僚の当然のつとめとして、私はそれに対して大蔵省の解釈を頼むために、秘書にそれを持たしてやっただけですから、そのようなことをしていただくつもりはございませんし、お断わりいたしたい、さように申しました。当然、そのときは衆議院選挙直前でございますから、政治資金のあり方をめぐって一連の黒い霧で騒然としておる背景にあるわけであります。全く何も考えないで、ダボハゼみたいにすぐに飛びつくようなことがあり得るはずがありません。關谷先生に再三辞退をいたしました。關谷先生はさらに、いや、それは謝礼ということではない、今後ひとつ税法その他の問題等で、私も知らないし、いろいろと指導していただきたいということでありました。私は、後ほど述べますが、LPG税の推進の先頭でございまして、したがって、その間一切の、大阪タクシー協会も含めまして、個人的に、問題になっておるその渦中の多島会長でありますとか、いまの相互タクシーの社長とも面識はありませんし、今日までなお面識はございません。そのような立場にありましたので、私は全く知らない会社のことだし、あなたがそれだけおっしゃるのならお受け取りになったらどうですかと申しました。關谷先生は、自分は自分が顧問である会社のことをやっておるのであって、私自身は自分のこととしてやっておるのであるから、受け取るわけにいかぬという押し問答等がございました。しかしながら、結局私はそれを受け取りまして、今日のような時世でもあるし、あとに問題の起こらないようにきちんと処理をいたしたいということて、私の後援会——蛟龍会と申しますが、後援会担当者をして關谷先生の部屋に伺わせまして、關谷先生の指示される、指定されるあて名の領収証を発行いたしました。私の後援会は会員制の後援会でございますので、今後会員としておつき合いを願うつもりもありませんでしたので、特別会費としての処理を済ましておるわけでございます。  このような経過でもって、私には、いわゆる疑惑を生む場合において、火のないところに煙の立たないという意味では、火種が実はあったわけでございます。したがって、私は、この問題が公にされましたときに、一部には記事等で、そのようなことも新聞に出たわけでありますが、LPG税法に関係して何かがあったように受け取られるだろう、いずれそういう議論がされる日が来るに違いないと、私は覚悟をいたしておりました。しかし、このような事実が間違いのない事実でございますために、このことのよしあしの議論は別でございます、そのことはまた別といたしまして、LPG事件に関連し、しかも当時推進者の先頭にあった私が、そのような不当なる裏の取引に応じていたということの断じてないことを証明するために、発言をいたしたわけでございます。  その次は、LPG税法の問題でございますが、私は、先ほど申しましたように、党内の小委員長として、また、大蔵委員会の修正案の理由の説明者として、また、参議院における衆議院案の説明者として、行動をいたしました。しかし、ながら某紙に、私は当時委員長であったと書いてありましたけれども、私の委員長は三十八年でございまして、その後委員長は数代交代をいたしましておりまして、このLPG関係のあります間、私は委員長であったことはございません。  そこで、この税法の問題でございますが、御承知のように、税法には、重いか軽いかという問題と、公平であるか公平でないかという問題がございます。LPG自動車というものが考え出されました結果、課税されていないエネルギーによるタクシーというものが出現をいたしました。ところが、一方、タクシーにはガソリン税がかかっておりまして、これは特定財源として、道路整備のための税収として位置づけられております。もちろん企業家はだれだって、同じ力でしかも収入が同様に得られるようなエネルギーがありますならば、課税されていないものを選ぶことは当然でありましょう。したがって、急速にガソリンを使って走る自動車の数が減少いたしまして、非課税のエネルギーであるLPを使う自動車というものが激増いたしました。したがって、国の道路特定財源としての歳入の面においては、急速に減少を始めたのでございます。そこで、税制の立場から考えて、公平に欠けなければいいという議論もありましょうが、目的財源としての財源措置の確保が必要でありますので、したがってどうしてもLPにも課税をしなければならぬという議論に発展をいたしました。税制理論として、私は当然であると考えます。  しかもまた、二十六円の議論はなされていないのでありまして、これはガソリン税のそのままの比率を適用すれば、二十六円という一応の計算はあったのでありますが、政府税調の答申も、またわが党の最終決定も、それは主として営業車であるトラック、バス等の軽油引取税の比率を勘案をいたしましての十七円五十銭というものに、最終的に一致して落ちついておるわけでございます。したがって、十七円五十銭から出発したわけでございますけれども、党の最高首脳の判断による——首脳部会議等もありまして、総務会において最終的に十七円五十銭の課税は九カ月間新税であり、相当の準備も要するということによって、延長をする前提において、施行日がずらされて、法案が作成されることになりました。  したがって、国会に出ましてからは、最初の国会におきましてこれが継続審議になりました。これは大きな理由の一つは、施行期日が明年の一月であるということ、したがって三月三十一日を限度とする普通の税、すなわち参議院まで議了しなければならないという性格のものと若干違いましたことも手伝いましたし、また、出発から、延長して徴収するというようなことがきめられておるような環境もございまして、また、野党におかれても、社会党、民社ともに、これに対しては、運転手の労働過重を来たす、必ず料金値上げにはね返って、それは物価へはね返るではないか、あるいは、道路財源が足らないなら一般財源を充てればいいではないか等々の理由によって、はっきりと反対の立場をとっておられましたので、単独採決というようなこともないわけではありませんが、しかしながら、税法等で単独採決をやったような例はほとんどありませんので、第一回の場合は、施行期日等のもっと先であるということが原因になって、これが継続審議と相なりました。  次の国会は、アジア開銀のためのわずか短期間の臨時国会でございました。アジア開銀法以外は審議をしないたてまえの内定をいたしたのでありますけれども、われわれといたしましては、この税法は、国会に、一ぺん国が課税する意思を表明して出してあるものであるから、これを短い国会であっても出さないということは、政府の意思の一貫性を欠くということになるということをもって、われわれのほうで強く国会に提案することを主張し、したがって、実質審議はアジア開銀法を中心といたしまして行なわれまして、結果は、予想どおり、これは時日から見ても、継続審議と相なったわけでございます。  次の国会は、日韓国会といわれる国会でございまして、いろいろと審議はしたのでありますけれども、会期末においては、非常な混乱のもとに、各種の法案が廃案と相なった経過は、各位御記憶のことと思いますので、その飛ばっちりをもって、この法案も廃案と相なったのが真相でございます。  今日までの過去を振り返ってみて、通常国会が十二月の末に召集をされて、その通常国会の冒頭に、利害関係のある税法、しかも新規の税が、国会で、衆参両院を通過して法定されたという例はほとんどないのでありますけれども、私どもは、たまたまその四十年の末に提出されました財特法——財政再建債特別措置法というものが、どうしても起債市場等の関係から、一月にずれ込んで可決されたのでは困る、したがって、衆参両院で、これを、十二月のあわただしい歳末であるけれども、通してもらいたいという政府側の立場を是といたしまして、野党等の御支持もございましたので、大蔵委員会を招集し、そのときにLPガス課税についても、もう法律による原則の施行期日はすぐ一月一日と目の前に迫っておるのだから、これを通さないというのはおかしいという立場のもとに、三党が意見を一致いたしましたのが、それならば急速なるショックを避けるのだという意味において、第一年度が五円、第二年度が十円、第三年度が十七円五十銭、第三年度において、いわゆる税率のあるべきバランスを、目的を達成するということを共同の修正案の中に盛り込みまして、それを三党で可決をいたした次第でございます。もちろんこの修正案は、三党一致で衆議院委員会並びに本会議を通ったわけでございまするけれども、社会党の抵抗は参議院において、さらに委員会において——衆議院は賛成でありましたけれども、参議院において反対の立場を表明された。事ほどさように、この新しい税をかけるということについては、ただこれがいたずらに延引されたということの反面には、延引されつつも非常な努力をもって、これが成立しなければ、税のバランスがくずれ、そしてまた道路特定財源の確保というものが危機に瀕し、日本の経済成長のボトルネックといわれておる道路の振興というものに影響があるというような立場に徹し切って、推進し続けていったものもあるわけでございます。
  106. 植木庚子郎

    ○植木委員長 山中君に申し上げます。午後の審査の都合もございますので、なるべく簡明にお願いします。
  107. 山中貞則

    山中(貞)議員 わかりました。では簡単にいたします。  最後に、私はそのような立場でございました。したがって、LPガス課税の審査中に、大阪協会の方々とも、あるいは先ほど事実関係で申しました相互タクシーの社長とも会ったことはありませんし、面識もこれまでいまだにございません。私の鹿児島の後援会の幹事は、鹿児島県タクシー業会の会長でございます。たまたま会長でございます。四十年の五、六月ごろ電話が参りまして、一台当たり幾らという、先ほど言われましたようなことを鹿児島にも言ってきたが、あなたが推進の先頭らしいが、どうしたものだろうという話がありました。私はこの税法のあるべき姿というものを述べ、そして国家目的を述べて、これはどのような運動をされても実施されなければならない税法である、そしてまた、そのような拠金をされても、それは役に立たないだろうと返事をいたしました。鹿児島県のタクシー業会は、その会長の意見によって、全国の割り当ての拠金を取りやめた事実がございます。そのことによって、鹿児島のタクシー業会は協会から脱退をいたしたそうでございます。また私だけではありませんが、B君、H君等を含めて、業者の大会その他で、三悪人とののしられたということも、私は聞いております。  このような立場に、私はあったわけでございまして、税法にのっとって、私は理念のもとに、少なくともLPG課税の問題については、終始何ら恥じざる行動をとり、しかもまた、あるべき国家目的に向かって、良心に恥じることなく前進してまいった議員であると、私は自分自身を確信いたしております。  したがって、私自身は、この際一身上の立場を明らかにし、このことの全部を通じての可否について、国民の審判並びに同僚各位の御判断を願えれば幸いでございます。ありがとうございました。(拍手)
  108. 植木庚子郎

    ○植木委員長 浅井君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  109. 植木庚子郎

    ○植木委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  110. 横山利秋

    ○横山委員 私は、物価と減税の二つを焦点にして、総理初め各大臣の意見を伺いたいと思うのであります。  いまこの国会は沖繩とLPガスの汚職問題が中心になってまいりましたが、いわば沖繩は心と頭の問題、しかし、国民全般から考えてみますと、物価の問題は口と血液の問題で、秋から始まりました軒並みの物価の値上げにつきまして、国民は非常な不安を抱いておるのであります。これは、身近に問題が取り巻いてきたという不安はおおうべくもありません。東京では、もう新聞で御存じのように、ふろ代が主婦の悩みの種となりつつある。総理は常に物価と経済安定を前国会以来主張してこられたところでありますが、経済は逆にますます戦後最大の倒産が続出をする、物価は軒並みに上がり始めた、こういう状況であります。私が物価について質問をするという報道がありますと、一、二の主婦から投書が参りました。いわば主婦の気持ちとしては、沖繩ももちろん大事だが、この際ひとつ物価の問題について十分政府の意見をただしてほしいというのが率直な投書の要点であったのであります。  物価問題は、私から申し上げてもおかしな話でありますが、必ずしもきめ手があるわけではありません。それは私も承知をしておるのです。一発で物価がとまるということはないことは私も承知をしておる。しかしながら、すべての政策の中心に、国民生活、物価意識というものが、総理をはじめ各大臣の中に優先して考えられておるかどうかということが私は問題だと思うのであります。その考えがなければ、あれよあれよというままに、そのときばったりにケース・バイ・ケースで押えるということにおちいってしまって、今日の状態を招くのではないかと私は考えておるわけであります。本会議における総理大臣と大蔵大臣の演説をつぶさに見たわけでありますが、遺憾ながら物価について一言も触れていない。これは上がっておるのに、前国会、前々国会、それぞれ物価についての相当な意見があったにかかわらず、今回物価について一言も触れてないということは、一体、弱みがあるから触れてないのか、だいじょうぶだと思っておるから触れてないのか、または物価意識というものがないから触れていないのか、こういう点を私はきわめて疑問に思うわけであります。  まず総理大臣に、この物価について確固たるお考えを承ってから質問に入りたいと思います。
  111. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま横山君が冒頭にお尋ねになりました、またその御意見も、ただいま謙虚に伺いました。私は、これはもう一昨年来、物価と、また経済不況と取り組む、そういう態度で今日まで臨んでおります。しかもその点は、ただいま御指摘になりましたように、——簡単にお答えいたしますが、いわゆるきめ手がない。きめ手がないから何にもできないというのではなくて、一つのこれがきめ手だというものはないが、総合的に施策を立てるならば必ず効果が上がるものだ、かように私は考えております。そういう意味で、いわゆる各大臣とも、この物価問題、これをひとつ取り上げて、この内閣としては、物価の安定、それをひとつ期しようじゃないか、こういうことで、同時に短期の計画、同時に長期見通しに立ちましても、この物価の問題と真剣に取り組んでおるわけであります。  私が申し上げるまでもなく、横山君御承知のように、やはり物価の問題も経済の動向と密接な関係がございます。そういう意味で経済の安定成長をねらった。これが私どもの予想がはずれた。そういうところに物価の上昇の原因があるのじゃないか、かようにまた皆さん方からも責められております。しかし上期における物価の動向、これはやや私どものねらいにふさわしいものがあったと思います。しかし、下期になりますと、また消費者米価を上げる、その他のものが影響した、それらのことも関係するのでしょう、いわゆる物価上昇率は五%程度になっている。今後この一−三月、来年早々の動向、消費者物価等のあり方等も勘案して、とにかくわれわれが予定した年度内を通じては四・五%以内にぜひとめたい。それにはやはり総合的に対策を立てていかなければならない。私は、ことしはともかくとして、来年度の予算編成とからんで、来年度の物価などはたいへんむずかしい状態になるのじゃないだろうか、かように実は心配しておるような次第であります。
  112. 横山利秋

    ○横山委員 ことしの七月の十一日であります。物価対策特別委員会で、総理は、武部委員の卸売り、小売り物価とも堅持する自信があるかという質問答えて、「この物価の問題は、企画庁長官から、おそらくこの委員会お答えしたと思います。私ども最近の動向については、実は絶えず監視しておりまして、卸売り物価の動きも一時やや上向いていた、こういうことで心配しましたが、これも最近は鎮静してまいりましたし、また、消費者物価そのものも、全般として、私どもが予想したよりも、それを下回るような数字といいますか、動き方としては、私どもたいへんしあわせに思っておる、こういうような状況でございます」と答えている。しあわせに思っておるその七月から徐々に上がり出しておる。実は総理答えている背後で、小売り物価も動き始めておる。そういう点について、私は総理の感覚が、まだまだ、おっしゃるけれども、常にあなたが目を光らかしているという、ほんとうの物価意識というものが足りないのではないか、私はこういうふうに指摘せざるを得ないのであります。  経済企画庁長官にお伺いいたしますが、あなたは本会議でも、本年度は消費者物価は四・五に大体とどまるだろうとおっしゃっておる。しかしながら、いま総理大臣もおっしゃるように、この冬の入り口からしり上がりになっておる。年間を通ずれば四・五かもしれぬけれども、しり上がりになっていくのは、一月、二月、三月に軒並みに上がるという想定を立てれば、どうして四・五にとどまり得るのか。その四・五にとどまるであろうという根拠を示してもらいたい。  大体考え方を聞いておきたいのでありますが、一体この経済見通しにおける——物価でも何でもそうでありますが、特に物価について四・五なりあるいは何なりという数字は、そうなるであろうというのか、そうしたいという政策的な考えがあるのか、それによっても違うのであります。おそらく政府は、いつもそうでありますが、結果としては、これは見通しだったんだから、とこう言う。出発点においてはそうしたいんだという考えであります。そこに常に逃げ口がございますから、その点を十分科学的にあなたにひとつ答弁をしてもらいたい。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、今年度四・五%におさまるだろうと考えている理由は何か、どういう計算かというお尋ねでございます。今年度の上半期、四月から九月まででございますが、これが三・一でおさまったわけでございます。そういたしますと、年度間平均して四・五ということになりますと、かりに下半期に六の上昇がありましても、平均いたしますと四・五になるわけでございます。六という上昇は、これはその程度のことは防げるのじゃなかろうかと考えますので、まず四・五と考えておりますことは、おそらく今年度に関する限りは、私は、大きな間違いはなかろう、おそらく達成できるのではないかと見ております。仰せられますように、一月から三月、これは季節性の商品が気候等の関係で需給の狂いやすいときでございます。ただ、これは毎年同じことでございますから、よほど異常な気象でもない限り、まず経験的にある程度のものが見込まれますので、したがって年度間を通じて四・五ということは、ほぼ今回はいけるであろう。御指摘のように、明年度に非常に問題を持ち越すことにはなりますが、今年度はそうであろう。  それから、政府の発表いたします経済見通しの中で、消費者物価というものはその願望を含めているものか、あるいはありそうな姿をそのまま出しておるものなのか、どちらかというお尋ねでございます。ああいうものを発表いたしますと、適当なことばがちょっとございませんが、俗に使われておりますアナウンスメント効果というようなものが実はございまして、かりに六%というようなことを、政府みずからがどうもこうなるのだという発表をすることは、それ自身としてよくない影響を呼び起こすことがございますので、そういう場合には極力政策努力をして、もう少し押えるものにしたいという、そういう願望が含まれることが過去においてもございました。しかし今年度の場合はたまたま四・五という——前年が五でこざいましたから、まあこれはいけるであろう、そういう気持らで四・五というものは発表いたしておりますから、今年度の場合は、まず現実的に達成できるだろうという数字を出したわけでございます。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 重ねて総理大臣にその点を確かめておきたいのでありますが、来年度の物価が非常に上がる危険性がある。だから本年度四・五にとどまり得るかどうか。いや、とどまらせられるかどうかということは、来年度上げられるかどうかという問題につながっておるのであります。私はその意味において注文をしておきたいのでありますが、まず本年度何としても四・五以下に押える、押えるために各方面の施策をする、こういうように総理大臣のお考えをまとめていただきたいと思います。どうでありますか。
  115. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま企画庁長官からも説明をいたしましたが、ことしの物価、これが上期が低い上昇率、下期にそれが上がってきたということでありますから来年度に取りつくそのときの時点の物価というものは相当高いものであるだろうということを考えざるを得ない。そこで、いま横山君が御指摘になりますように、それを高くしてはたいへんなんだ来年度の物価の動向が一そうむずかしくなるじゃないか、だから下期の物価動向についてさらに注意をして、いまのように年間平均四・五というようなことを言わないで、もっと下げられるようにしろという、これはもうお説のとおりでございます。  そこで私どももしばしば会議を持ちまして、これは何とかならないか、さらにもっとそれを低くするわけにはいかないのか。これは結局いま考えられることは、冬の時期における台所消費物資、それらの需給の関係にも非常に影響があるように思う。これらの点については特に注意をして、そうして消費者物価ができるだけ低いところでとどまるようにこの上ともくふういたしたい、かように思います。その他卸売り物価等の問題については、これは国際経済情勢そのものと関連をいたしますけれども、消費者物価そのものについての考え方はお説のとおりこの上とも努力しなければならぬ、かように思っております。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 ことし、大臣のおっしゃるように四・五以下に極力押えるとして、明年の卸小売りは何%ぐらいに経済の見通しを立てるかという問題であります。最近、都市銀行十一行が経済見通しをそれぞれ立てたようでありますが、その中における消費者物価は五・五ないし六になるのではないか、また政府の一部でも五%以上になるのではないかという考えがあるようであります。経済社会発展計画では、成長率八%を維持したとしても消費者物価は年率四・五%以上の上昇をたどるおそれがあるといっておるわけでありますが、来年の経済成長率は幾ら、卸売り物価、消費者物価は幾らに推定をなさるおつもりでありますか、長官にお伺いします。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 来年度の経済見通しはただいま各省からその見方を出してもらっておる段階でございまして、議論をし、調整をいたしますのになおしばらく時間がかかると思います。したがって、まだ正確に申し上げることができない段階でございます。ただ、考え方といたしましては、経済社会発展計画に大まかなガイドラインがあるわけでございますから、成長率の問題につきましてはそれをあまりずれないようにしたい。  それから、物価につきましては、各銀行等の見通しが御指摘のように確かに高く出ておりますが、これは先ほど総理お答えになりましたように、今年度がしり上がりになってまいりましたために、明年度はおそらくその峠の非常に高いところから出発をする。その関係で、かりに明年度内一切消費者物価の動きがありませんでも、年度対比では三%近いものがすでに組み込まれていることになるわけであります。したがって、それを割る見通しを出すとすれば、明年度内に今度は消費者物価が逆に下がったということでなければなりませんから、そういうことはちょっと考えにくい。したがって三を土台にして、明年度内の上昇をそれにどのぐらい上積みするかということにならざるを得ませんために、各銀行の見通しが相当高くなっておる。これはどうもやむを得ないことになっておるわけであります。したがって私どもとしては、三という土台をもとにして明年度内の動きをどうやったらできるだけ小さくできるかということを考えざるを得ない。そういうことになっております。  卸売り物価のほうは、今年度二%以上の上昇がある。これは一見数字は小さいようでございますが、ものごとが卸売り物価でありますので、実は非常に注意をしなければいけないのではないかと思っております。やはりいろいろ原因はございますが、労働需給関係が逼迫してきたということがだんだん卸売り物価に少し影響を持ってきておるのではないかと見ております。したがって明年度、卸売り物価を全く平準である、上昇ゼロだというふうに見ることはちょっと私は危険ではないだろうか、何がしか見ておくのがほんとうではなかろうかとただいま思っておりますけれども、もう少し作業を詰めてみませんと最終的なことは申し上げられません。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 御親切な答弁でありますが、非常にたくさんの問題を聞きたいと思いますから、なるべく簡潔にお願いしたいと思います。  続いて長官にお伺いしますが、長期計画では四十六年に三%への大体見通しをたどっておるのであります。計画によりますと、「消費者物価については騰勢を除々に弱め、計画期間の終りには年上昇率を三%程度にまで低めることを目標とする。これは、過去五年間の平均上昇率にくらべると半分にまで引き下げることを意味しており、」これでも低所得者にとっては生活上の重大な脅威であり、社会保障の充実によって生活に必要な措置が必要であると結んでおるわけであります。四十六年に年率三%にするためには上期の上昇率を思い切って下げなければならぬ。ところが初年度の四十一年度並びに四十二年度、来年の四十三年度を見通してみても、この長期計画による四十六年度に三%に至る道筋が初めからくずれ始めておるのではないか。そういう感じがきわめて濃厚でありますが、この計画の最終年度三%への道筋がこれでできるのかどうか、簡潔にお答えを願いたいと思う。
  119. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 四十六年度の三%というのは、四十六年度を単年度としてとりましたときに大体三%になるようなそういう経済運営をしようということでございます。したがって、簡潔に申し上げますと、計算の方法といたしましてはマクロモデルをつくりましてシミュレーションをいたしましたときに、四十六年度の消費者物価が三%にとどまるようなそういう経済運営はどうやればいいか、こういう計算をしております。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 ここで一言言っておかなければなりませんが、私ども、いまここに三%だとかあるいは四・五%という論争をしておりますけれども、庶民の世界では感覚的にどうしても合わぬと、こういうのであります。これが単に数字で百円のものが百四円五十銭になる、たいしたことではないではないかという感覚では庶民の世界ではどうにも納得ができぬという声がきわめて強いのであります。どうしてこの数字的なものと庶民感覚とが合わないのかという点であります。これにはいろいろ統計上の問題があると思うのでありますが、この間、私にある主婦がこういうことを言いました。いま問題になっている東京都のふろ屋、大人が二十八円である、中人が十五円である、小人が八円。私のところは標準家族だから一日五人がふろに入ると百円かかる。三日おきにふろに入ると月にふろ代だけで千円かかる、これがどうしても苦になる。ふろに行ってらっしゃいと言いながら、やっぱりふろ代ということがちらっと頭をかすめる、こう言うのであります。ふろ屋さんも経営困難であることは私もよく承知をしておる。その主婦も、ふろ屋さんがこのごろ苦しいらしいということは私もよくわかると、こう言うのですね。個々の問題を聞いてみれば主婦としてもわからぬことではないんだけれども、みんなそうではやりきれぬ。この調子では、政府のいう数字、四・五だとかなんとかいうのは実感としてどうにもぴんとこないと、こう言うのです。ここに説得力のない問題が私はあると思うのです。この解明をするには時間がかかりますから言いませんけれども、政府がものをおっしゃる場合に、私ども議論をする場合に、常に、庶民感覚というものを忘れると机の上の議論になるおそれがあります。  そこで、私は各大臣に、いまから来年度の末まで、つまり再来年の三月三十一日までに、各省の物価値上がりとなる懸案の諸問題について、ごく簡潔に一つ一つ庶民の立場からお伺いをいたしたいと思うのであります。時間がございませんから、各大臣は、きわめて簡潔でよろしゅうございます。私の省では、いま、やるやらぬはともかく、こういう課題があります、値上がり率は何%ぐらいでありますが、私はこういう考えです、簡潔にひとつ個条的にお答えを願いたいと思います。  まず文部大臣にお伺いしますが、大学の授業料が大蔵省と文部省との間で論争になっているそうであります。大学の授業料並びに学校給食その他について、文部大臣としてどういう懸案があり、値上げ率はどのくらいで、大臣はそれに対してやろうとなさるのかどうか、簡潔にお答えを願います。
  121. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お答えいたします。  国立大学の授業料につきましては、値上げをしたらどうかという意見も一部にございますけれども、文部省といたしましては現状を維持してまいるつもりでおります。ただ、私立の大学の方面におきましては相当な授業料の値上げということがすでにうわさもせられておりますし、明年度におきましてはある程度の値上がりを見るのではないかと思っておりますが、この点につきましては、授業料そのものを文部省で規制するわけにもまいらないわけでございますし、また実情から申しまして、ある程度の値上がりはやむを得ないような状況もあろうかと思いますが、文部省といたしましては、いわゆる私学振興の予算の増額をはかりまして、私立学校の負担をできるだけ軽減する方向において努力したいと考えておる次第であります。  学校給食の問題でございますが、これは御承知のように、地方の個々の町村あるいは学校等で実はきまっておる問題でございますが、文部省としましては、その中に占める小麦粉あるいは脱脂粉乳、牛乳等の費用につきましてある程度の補助をいたしておるような状況でございますが、脱脂粉乳、牛乳等につきましても値上がりがございますし、また副食物につきまして相当な値上がりがありますので、昨年に比較いたしまして今年度も学校給食費が上がっておる。おそらく、またそのような事情が続けば明年もある程度の学校給食費の負担が増すであろうということを心配いたしておる次第でありますが、何と申しましても、私のほうはむしろそのような物価の値上がりの被害者と、こういう立場にあるいはおるんじゃなかろうかと思いますので、苦慮いたしておるところでありますが、また学校給食費の問題につきましては、このあり方についてなおよく検討する必要があろうかと存じまして、ただいま関係審議会においていろいろ検討していただいておるようなわけでございます。  以上でもってお答えといたします。
  122. 横山利秋

    ○横山委員 簡潔にお願いします。  自治大臣は、自動車取得税並びに軽油引取税が問題になっておる模様でありますが、そのほかについて、個条的でけっこうでございます。
  123. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方の道路財源が御承知のとおり非常に不足しておりますので苦慮いたしておりますが、ただいま仰せになりました軽油引取税を何がしか上げるということ、ここで一つの財源を求める。もう一つは、新しく自動車取得税と申しますか、新税をつくったらということを考えております。自動車取得税のほうは地方制度調査会のほうでもそういう答申がございますし、これほど自動車がふえる、これを二%か三%上げましても、それで物価に大きな影響があろうとは考えておりませんので、これは実現の方向に向かって進めたいと思っておりますが、軽油引取税のほうは、やはり何がしか上げますれば、運賃収入また物価にはね返りやせぬかということをたいへん苦慮もいたしております。そこらをよく勘案いたしまして慎重に進めたいと考えております。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣はたいへんたくさんあるようでありますが、酒、たばこ、ガソリン税、物品税、土地の譲渡所得等、大蔵省における、あなたの所管における物価値上がりと関連のある問題を個条的にひとつ御説明を願います。
  125. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 来年度のそういう問題につきましては、まだ、いま税制調査会審議を願っておる段階で、与党、政府の意見の統一もやっておりませんし、まだ考え方について結論が出ておりません。
  126. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣だけがたいへん不親切な御答弁でありますが、しかし、いま申しました問題については懸案であることはお認めになりますね。  それでは、運輸大臣は国鉄運賃について上げないという意思表示をされたのでありますが、国鉄運賃、都市交通、タクシー、トラック等について御説明願います。
  127. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お尋ねの一つの点は国鉄総裁と私の意見の食い違いだろうと思いますが、ちょっとこれは親切に答弁をさせていただきたいと思いまして、時間をかけさせていただきたいと思います。  実は国鉄総裁のがんこさにはときどき手をやいておるのであります。(笑声)しかし、国鉄総裁の立場からすればよくわかるのです。何しろ国鉄はいま第三次輸送力増強計画をやっておりまして、一番の問題は通勤輸送の強化ということなんです。現在約百四十万ぐらいの人口が都内へ通勤で流入しているわけですが、いままでの施設ではとても足らぬで御迷惑をおかけしているわけです。そこで複々線にしたり、高架線にしたりして必死の努力をしているわけですが、あれが実は大赤字の原因になっておるのです。なぜかといいますと、ラッシュアワーのときだけ大きな車両が多量要って、あとは寝ているわけです。しかもその車両を置く場所がありませんから、郊外に高い土地を買って車両のアパートをつくっておる。そういうわけですから合うはずがないわけです。しかも、通勤関係はどれぐらいの料金をいただいておるかと申しますと、普通のお客さんが百円いただくところを、学生は十三円しかいただいていない。それから通勤着は三十二円しかいただいていない。法律では五十円までとっていいというわけです。そういうところから、国鉄総裁としては、通勤定期を上げて三百億円ほど増収を得たい。来年は約千百億円の赤字になっておるわけです。そういうこととか、政府から六十五億くらいの利子補給をもらいたいとか、政府出資だけでも三百九十五億ほしいとか、非常な御要望をなすって必死の努力をしておられることは私もよくわかりますし、実にりっぱであり、まあ明治の有形文化財みたいな感じがいたしまして、(笑声)心では敬意を表しておるのであります。確かに国鉄はそういう重大問題をかかえておりまして、通勤者の問題を解決しようと思うと、現在の第三次輸送計画は実行しなければならぬです。私はこれを実行する決心でおるわけであります。  しかし、運輸大臣となりますと、やはり物価の問題を考えなけりゃなりません。私が国鉄総裁と同じ地位に埋没したら国務大臣の資格はありませんから、そういうことも考えまして、物価問題も考え、大局的にこれは処理しなければいかぬ。そこで、まだ実は来年度予算は、いま補正予算を通すに必死でありまして、部内で議論しておらぬわけです。大蔵大臣、企画庁長官とも来年の物価の問題をよく話をし合って、手のうちを見せ合って、そうした上で最終的結論を出すべきものであって、何も運輸省だからといって国鉄の手先になる必要はない、そういう気持ちで運輸省としてはできるだけ最大の努力をして、定期の皆さんに御迷惑をかけないぎりぎりの努力をした上で、やむを得ない場合はあるいは上げることがあるかもしれぬ。その点はまだ未定であります。しかし、私としましては上げない方向で全力を尽くす決心でおるのであります。  そのほかの問題は大体一巡いたしまして、特別な変化がない限り上げるようなものはないし、またなるたけ上げないようにいたしたいと思っております。
  128. 横山利秋

    ○横山委員 建設大臣は、有料道路はこの間上がりましたが、公営住宅の問題と、それから戦後二十年になりますが、大体家賃の更新期ないしは家賃の契約がないままに住んでおるところは、時効で改定期に入るおそれがあります。いまから二、三年の間、家賃の問題が全国で続出すると思うのであります。その点について、建設省の所管について簡潔に御説明願います。
  129. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。  有料道路については、料金に手を入れるような考えは持っておりません。ただ、都市高速は均一料金を取っておるようでございます。したがって、阪神高速のごとく、最近のうちに非常に延びるということになりますと、その延びた料金が幾らかくっついてくる、そのくらいでございまして、料金を値上げするという考えはありません。  公営住宅の家賃の問題でございますけれども、これは安いときに建った公営住宅と、最近七、八万円もかかるようになった公営住宅との料金は、おのずから違います。したがって、今後の建設費をできるだけコストを下げるように努力していかなければなりませんけれども、現在の公営住宅の家賃に手を入れるということは避けていきたいと考えております。
  130. 横山利秋

    ○横山委員 厚生大臣は、環衛料金が軒並みに問題になっておりますが、あなたの所管の環衛料金とかあるいは保育園の問題について、御説明を願います。
  131. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりに、環境衛生関係料金は一般消費物価をわずかに上回る程度に上昇しまするので、特にそれがすべて一人一人の生活に直接関係がありまするから、非常に心配をいたしております。たとえば、先ほど御指摘になりましたフロの料金にいたしましても、物価統制令によって最高額を規制してはございまするが、都道府県知事が実情に応じてきめることになっております。しかしながら、諸物価の上昇等の実情から明年度は各所にこの問題が出てくるのではなかろうか、あるいはその他の散髪はじめそういう問題も、そういうことが予想されます。ところが、直接規制の権限を持っておりませんが、これは資金の援助あるいは行政指導等によって、そういう点をなるべく上昇を押えるようにしていきたいと考えております。  なお、水道料金が非常な問題でありまして、今日のいろんな関係上、特に地方自治団体の財政等とも関係いたしまして、水道料金の値上げをしなければならないようなところが、特に大都市において出てきております。こういう点につきましては、私のほうでは水源地の開発、施設及び水道広域化をはかって、これに対する補助金をふやすように、ただいま予算の折衝をいたしております。  なお、環境衛生料金ではございませんが、十二月一日から実施をいたしました保険の診療費の値上げでございまするが、これにつきましては、さらに中医協で経済実態の調査をいたしまして、適正な報酬の検討を進めております。  それからもう一つは薬価の問題がありますが、これは一般の薬価の問題は再販売価格制でありまして、公正取引委の関係でありますが、保険に使用する薬のほうは私の問題でございますので、これは薬価調査の結果に基づいて、今度の場合はわずかではございますが、薬価を引き下げたわけでございます。  そのほかいろいろございまするが、特にこの際御理解願いたいのは、私の所管事項で生活保護費あるいは保育所補助金、こういう問題は、これは物価の値上がりの原因ではなくて、逆に被害者でございまするから、どうぞ御理解を願いたいと思います。
  132. 横山利秋

    ○横山委員 通産省は石油が問題になっておる模様でありますが、通産関係の物価値上げの要因を御説明願います。
  133. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今年度の石油製品の価格につきましては、御承知の中東動乱によりましてタンカーフレートが上がったので、原油輸入価格が上昇いたしまして、かなり大きな影響を受けたわけでありますが、一般消費者向けの油類であるプロパンガスあるいは灯油及びガソリンにつきましては、ほとんどこれは行政指導によって値上がりをしておりません。ただ、大口需要家向けの重油につきましては、キロリットル当たり五千七百円から六千円に、約三百円ほど上昇いたしました。  明年度以降の見通しでございますが、今後、スエズ運河再開等の諸条件がまだ不確定でございますので、ちょっと予測するのに困難でありますが、タンカーフレートの増高という事態が続くとすれば、その分だけ上昇を免れないと考えております。しかし、この場合でも、便乗値上げはこれを認めないという方針で対処してまいりたいと存じております。
  134. 横山利秋

    ○横山委員 郵政大臣は電報、電話等の問題がございますが、御説明願いたい。
  135. 小林武治

    ○小林国務大臣 電話料金につきましては、四十三年の十月から平均二二%値上げをしたい、こういう要望が電電公社から出ておりますが、値上げは物価に対する影響も非常に大きい、こういう考え方から、私はできるだけ値上げをしたくない、こういう考え方で目下検討いたしておるところでございます。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 ほかの各大臣で、物価値上がりの要因になる問題がございましたら、この際御発言を願いたい。いまここでなくて、来年度予算のときに値上がりの要因になるようなことをおっしゃらないように願いたいのでありますが、よろしゅうございますか。——よろしゅうございますね。それではこれで物価値上げの問題はないというふうに確認をいたします。——ありませんね。よろしゅうございますか。それでは時間の関係上、ないものとして問題を進めたいと思います。  そこで、物価の問題について焦点になります問題は、総理がこの間閣議で、消費物価を押えろと言ったことについてであります。どうも私どもは、政府として、設備投資をかばって、国民生活に必要な公共投資を今度抑制し、そして消費を抑制するという方針になりそうな気がするのであります。きのう通産大臣はえらい簡単に、個人消費を押えるために月賦の規制や消費物資の輸入を押えない、こう言って記者会見をいたしました。だれが聞いてみても、ああ、通産大臣総理大臣の言うことを聞かぬつもりだな、なかなかえらいやつだ、こういうふうに感じて好感か持っておるわけであります。  申すまでもございませんが、経済企画庁長官も私の意見に賛成だと思うのでありますが、この個人消費と設備投資が今度の経済見通しで改定をされましたが、個人消費は二十二兆四千五百億が二十二兆八千億、三千五百億上がっただけである。ところが、設備投資は六兆二千億が七兆一千五百億、単位は一段下がってなおかつ九千五百億上がっておる。だから、これは比較にならぬ上がり方なんですよ。設備投資が主犯で、財政が共犯で、一部にあった賃金が物価を上げたという説は成り立たぬ、賃金は、これは無罪だ、いまや通説になっておるわけであります。通産大臣がおっしゃったことは、何も月賦の規制や消費者物価のことだけではなくて、この消費の規正というものが、実際問題として今日、この間テレビにちょっと映った百貨店のことだけを例に上げて、それで、だから消費規正だと言ったってこれは始まらぬ話で、大体個人消費は安定的なのに、設備が浮き沈みが多い、これが普通であります。抑制しようと思っても、実際は、個人消費の抑制はかけ声だけで、実効はあがらないのではないか。しかも、一般家庭はきわめて健全である。決してぜいたくをしているような家庭は、一般的にいってない、こう私は考えておるわけであります。ですから、総理大臣、理論的にいっても、実際的にいっても、個人消費の抑制ということは、言うべくして行なわれないし、的はずれだ。通産大臣がたいへん勇敢におっしゃったことに敬意を表しつつ、総理大臣の御意見を伺いたい。
  137. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 お答えいたしますが、私はちょっと数字に弱いのかもわかりませんが、いま御指摘になりましたように、国内の消費、個人消費は二十二兆八千億、約二十三兆だ。設備投資の総額は七兆円、それを割っているということでございます。増加率はともかくとして、私は、それだけの金額の相違がある。しかも、わが国の個人消費、これが輸入につながらないものがあるでしょうか。それはきわめて少ないと思うのです。今日、私どもは経済の安定成長をねらっておる。それから見れば、国際収支を改善することが非常な問題なんです。これから、ポンドの切り下げも行なわれた、そういうことを考えると、一そう国際経済はきびしい環境に置かれる。そうすると、やはり原材料になるものは、この輸入はできるだけ抑制する、そうして輸出は伸ばしていく、こういうことでありたいと思います。だから、そういう意味で、これは少し長くなりますが、私は個人消費そのものの——いま必ずしもみんな自動車を使うわけではありませんが、自動車は、その鉄材は一体どこから来ているのか、それを動かすガソリンはみんな外国から輸入するんじゃないのか、またわれわれのこうして、着ておりますものも、国産と言われるものも、その原材料の毛は、あるいは綿は外国から来るじゃありませんか。また、われわれの食べるもの、これは米自身はなるほど国産です。しかし、最近の卵にしても牛乳にしても、それらの飼料はみんな外国から輸入をしておる。私どもが大豆やおとうふやしょうゆ、こういうものを使いますが、これらだってみんな外国の大豆を買っておる。砂糖はもちろんのこと、またコーヒー、これはもちろんですが、私どもそういうことを考えると、われわれの消費生活そのものも、これは外国にとにかく依存しているんだ。私は、国民の生活が豊富になり、豊かになること、これは望ましいことですから、大いに双手をあげて賛成をいたしますが、国際経済をもっと健全にする、こういう意味で、どうかやはり消費でも節約は願いたい。私は、このごろ——戦時中のとやかくのことは申しませんけれども——お互いにずいぶんむだをしておるんじゃないだろうかと思います。このころすべての——私どもはとにかく小さいときから一粒一粒米は大事にしろという、これはもう農民の辛苦の結晶だと言われた、汗の結晶だ、こう言われて育ってきたものですが、このごろはなかなかそうでもない。このごろの住宅あたりで、米なども、ずいぶん残飯などはむぞうさに処理されておる。やはり消費は堅実でなければならない。このことを特に私は申し上げる。ただいまのような金額から申しましても、これはやはり考えなければならない。  それからもう一つは、いま設備投資がけしからぬ、こう言われますが、この設備投資そのものでも、いわゆる大企業ばかりじゃございません。ことに、日本の構造から見まして、中小企業、これの近代化には一そう努力しなければならない。私はそういう意味で、最も輸出振興に役立っておるこの中小企業の設備投資などは、最近の傾向としてこれは当然のことだと思うのです。それで、これは設備投資をいたしましたら、必ず将来報いられる、きっとそれは輸出に貢献する、かように私思います。しかし、ほどほどにしてくれないと困りますから、いわゆる過大なる設備投資はただいま抑制しようとしている。だから、私が申しますこの消費についての規正は、ただいま申し上げるような意味で、とにかく国際収支の改善をはかろうという際に、その大部分が外国の原材料によっておるわれわれの生活、これはもう一度見直してみるということであってほしいのであります。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 感覚的といいますか、気持ちの問題では、決して私も全面的に否定しようとしない。しかし、もう少し科学的に考えるならば、いまの日本人の生活がぜいたくであって、消費規正をすることによって物価が押えられるという延長になりますと、総理大臣としては少し感覚的過ぎるのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。言うまでもなく、日本は、世界で経済の成長率は一、二だ。しかし、言うまでもなく、国民生活水準は二十一、二番である。それから、国民総支出に占める割合にしたって、本年度で五三%ぐらいでしょう。外国では六〇%ですよ。決して日本は高くないですよ。  まあ、こう言い合ってもなんでございますから、この際特に私が敬意を表する通産大臣に、総理大臣がああ言ったから、きのうの記者会見で言ったことは取り消しだとおっしゃらないと思いますが、一ぺんあなたの率直な御意見を伺いたい。
  139. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 少し、何といいますか、屈曲してあなたのお耳に入っているようですね。私は、大いにこの際消費節約などはする必要はないというようなことを言ったのじゃないのです。ただ、先月の三十日に、各主要の港で輸入承認の申請が出たんですね。それがもう前の日の五倍、六倍、件数にしても一万二千件、値段にすると五億六千万ドル、そういったような非常な急騰を示しておりました。それは、どうも輸入制限の措置をとるらしいというようなうわさが伝わったものだから、それでこのときとばかり競ってやったということがその数字になった原因でございますが、結局へたに消費規正をするぞというようなことを不用意に言うとこういう騒ぎを演ずるから、こういうことにはあまり……。(「総理が言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それは必ずしも総理が言ったわけでじゃないのです。それが屈曲してそういうふうに伝わったのです。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 通産大臣が、総理大臣の言ったことは不用意なことばだ、だから消費規正というものはあまり言うべきでない。これはまたなかなか勇敢な——私はますます敬意を表したいと思う。経済企画庁長官がもの言いたげな顔をしていらっしゃるのですけれども、私はこの問題の結論としては、気持ちはわからぬではないけれども、消費規正が物価抑制につながる、何かそれを閣議で特にあなたが発言をされて、これで物価がある程度おさまるかのごとき感覚だと、間違いだと言うのです。一番の犯人は設備投資である。この設備投資が本年の経済見通しの誤り、たびたび長官も実は間違っておったと言われるのだけれども、来年もまた間違えそうな気がする。どうして設備投資を押えるのか、そのきめ手こそ今日の課題でなければならぬのであって、消費の規正は決して実効のあがるものではない、的はずれの問題である、実効のあがる物価の問題については。こういうふうに私は強く指摘しておきたいと思う。  大蔵大臣に少し伺いたいのであります。大蔵大臣は間接税に目をつけていらっしゃるようです。間接税一般論から言って恐縮でありますが、たとえば松下幸之助さんがハイライトを一箱吸っても、裏長屋のおっさんが一箱吸っても、税金は一緒だ。これは簡単な理論でありますが、そこに間接税の大衆課税たるゆえんがある。しかも、ただハイライト一箱の税金、六〇%ですね、六〇%同じように払ったというわけじゃなくて、松下さんはべらぼうもない高額所得者であります。その所得とのつり合いから言いますと、逆累進税なんです。貧乏人のおっさんはべらぼうもない負担をハイライトで負担する、こういうことになるわけであります。ですから、間接税——私どもが、あとで言うのですけれども、百万円の免税点を主張する。どうも逃げ切れなくなってやる。財源がないから間接税だ。間接税というのは取りやすいけれども、ずいぶん過酷な大衆課税であるということについて、あなたはどうお考えでございますか。
  141. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 お答えする前に、先ほどのお話でしたが、私の考えをちょっと述べさせていただきます。  総理が先日消費について言ったことは、物価との関係ということから述べたのじゃございません。その関係でしたら、あなたのおっしゃられるように、需給が均衡しておれば物価の問題ではございませんで、国民の消費がいかに多くとも、これに対応する供給がこれに伴っておるということでしたら、この物価問題は起こさない。したがって、その問題から物価問題を対策しようと総理が言ったわけではございませんで、先ほど総理が申しましたように、国際収支との関係から、総需要と国民消費の問題を言ったというのが真相でございます。  そこで、それじゃそういうものを押えないで設備投資を押えることが本筋だというお話がございましたが、いまの日本の物価問題は、いわゆる昭和三十九年、四十年の不景気といわれたとき、物価が高かった、不景気の物価高ということが、結局、今度は不景気が克服されていまのように経済がなってきたときにも、あのとき六%の値上がりがいまそれよりも低い値上がりだということは、やはり不景気の物価高で好景気のそのわりに上がらないという形がいまの物価だと思いますが、もしそうだとしたら、この物価は需給関係からきていない。やはり生産性の低い部門への合理化投資が少ないという、経済構造からきている一つの物価高というふうに見なければならぬと思います。そういう意味から言いますと、さっき総理も言われましたように、中小企業部門の設備投資というようなものは、むしろ消費者物価にとっては悪い影響じゃなくて、逆の影響を与える要素であるというふうにも考えられますので、そういう意味でこの物価問題というのは相当複雑だと思いますが、そういう意味におきまして、私どもはいま物価問題もさることながら、今度は一面国際収支の問題ということから考えますと、やはり総需要というものについての考え方をここで持たざるを得ない。消費を縮めても解決しない。そこで、消費を縮めようとしても——どうして縮めるかという問題でありますが、結局金融を引き締めるというようなことによって設備投資とかそういう面はある程度押えられ、それに関連する有効需要の問題の抑制にはなると思いますが、やはり全体としてはどうしても財政政策によって全体の需要調整というようなものを考えるよりほかに方法がないのじゃないかというふうに考えております。そうしますというと、この財政政策というものの中にはいろいろ出てきます。思い切って公債をどうするという意見もございますし、あるいは経費全体をもう大きく切るということもありますし、それがなかなかできないという場合には、税をどういうふうに調節して全体の消費抑制の意味に税制を働かせるかというような一連の問題がいわゆる財政政策でございますので、そういう意味から申しますと、いまの国際情勢から見て、今後日本の国際収支をここではっきりさせようというほんとうの考えを持つのでしたら、税についてはそういう意味の政策的な考えをいまする時期だというふうに私は考えております。そのやり方を、いまあなたがおっしゃられるように漫然たる大衆課税というような形でやるか、そうでなくて受益者に負担してもらうものは負担してもらうとか、いろいろなことによって全体の総需要抑制に役立つ税制というものはどうしてもここで考えなければならぬと思いますので、調査会にそういう問題を諮問していまやっている最中でございまして、私は、単純にただ大衆課税をここでやればいいのだとかいうような、そういうことをいま考えておるわけではございません。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 最後のお話の大衆課税をすればいいと考えているのではないとするならば、先ほど申しましたように、間接税の増税にはくれぐれも慎重な注意をしてもらいたい。特に要望しておきます。  総理大臣には消費抑制というものが気持ちの上でわかると申し上げましたが、もしほんとうに消費抑制をするなら、私は六千億になる交際費を抑制をしたほうがいい。あるいはまた日ごと夜ごとまあ広告のはんらんであります。広告はいま電通の調査によれば四千億、これは数年のうちに六千億の交際費を突破する、こういわれておるのでありますから、これが消費を非常に過大に、誇大に、虚偽に刺激をしておる点も争われない事実なんでありますから、そちらのほうにちょっと目を向けたほうがいいのではないか、こう考えておるわけであります。  この際、公正取引委員会にお伺いしたいのでありますが、先般来、公正取引委員会がカラーテレビの問題を中心にいたしまして、世紀の経済裁判といわれて庶民の注目を集めておるわけでありますが、どうも一般の見方として、大産業の非常な抵抗が、企業意識、防衛意識が起こっておる。公正取引委員会全国で三百人ぐらいで、結局は負けてしまいやせぬかという感じを持っている。そしてその結果、あまり抵抗の強いところはやめて、中小企業の問題でもやっておったらどうだということになりゃせぬかという心配を、どうも一般のところで持っておるわけであります。公正取引委員会に対する期待は非常に強いのであります。まだまだなさるべきたくさんのことがある。生産は伸びても価格の安定しているもの、たとえばビールがそうだ、ブリキがそうだ、板ガラスがそうだ、フィルムがそうだ、合成洗剤がそうだ、バターがそうだ。こういう下方硬直性のある問題について、公正取引委員会がまだまだ手が十分についていないという点について一体どうなのか。また再販価格の問題でも、法律をなぶる前にやみの再販価格が横行している事実について、公正取引委員会の手はまだ不十分きわまるものがあるのではないかという庶民の批判と意見があるのでありますが、この物価問題について公正取引委員会の機構なり組織ななりあるいは運営なりが十分であるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  143. 山田精一

    ○山田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、公正取引委員会といたしましては非常にたくさんの大きな仕事を背負っております。御指摘のございました違法な価格協定の取り締まり、また再販売価格維持行為の規制、管理価格の調査のほか、中小企業の保護のための下請取引の改善の方策さらには消費者保護のための不当な景品、不当な表示の規制等の多くの困難な問題に取り組んでおりますのが現状でございます。  ただいま御指摘のございました陣容が少な過ぎはしないかというお話でございますが、確かに率直に申し上げまして、ただいま取り組んでおります問題の大きさに比較いたしまして人手が足りないというのが事実でございます。私どもといたしましては、これらのただいま申し上げましたような問題を一そう適切かつ迅速に処理をいたしまして、国民一般信頼にこたえようと切に念願をいたしております。実は、明年度の予算といたしましては総額四億五千七百万円の予算、さらに事務局の機構の拡充といたしましては二つの課を新設いたしまして、人員といたしましては七十三名の増員を要求いたしておる次第でございます。過去数年間、幸いにしてある程度の人員の増加を見て今日に至っておるのでございますが、現状におきましても、私どもといたしましては機構、人員の拡充のみにたよる気持ちはございません。常日ごろ、事務処理の一そうの合理化、また調査技術、審査技術の向上をはかりまして事務一般の能率をあげまして、小さな機構、小さな人員ではございますが、極力御信頼にこたえてまいりたい、かように存じておる次第でございます。  なお、やみ再販の御指摘がございましたが、これにつきましては御承知のとおり、企業の大小を問うことなく、いかなる大企業であろうとも違法なものは取り締まってまいる、かような決意でおりますことを御了解いただきたいと存じます。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 総理大臣にお伺いするのですけれども、先ほど各省大臣がいろいろと物価値上げの要因になるべきことを列挙いたしました。そうして、これ以上はないということであります。しかし、説明を伺った各種の問題にいたしましても、その波及効果を考えますと、決して来年がうわさをされるところの五%とか六%にとどまるものではないのではないか、こういう心配を私は濃厚にせざるを得ないのであります。いま公取の山田委員長からお話を伺いましたが、私はかつて公取である問題に関与したことがあるのでありますが、名古屋からわざわざ中小企業の忙しいところに、五人ばかり東京へ来てもらいたいという通知が舞い込んで、中小企業はびっくりして、この忙しいときにどうもならぬという話がありました。よく調べてみましたら、喚問する旅費はあるけれども、こちらから調べに行く旅費がないのだそうであります。すまぬけれども来てもらえぬだろうか、こういうばかな話であります。こんなことで公取の運営が庶民的に達成されるわけがないと思うのであります。公取を強化し、そして最初お答え願ったように物価意識というものを総理大臣みずからきちっと持って、先ほど列挙されました諸問題について、物価を上げないように、そして国民生活を守るということが最も急務である今日において、ぜひひとつ総理大臣としては重大な覚悟で当たってもらわなければならぬと思う。最近、物価問題特別委員会で与野党が相談をいたしまして、消費者に関する基本的な法律をつくる作業が進行する模様であります。これらの物価の問題につきましては、冒頭申しましたようにいろいろな問題がございますが、政府の中において物価について常に干渉し、常に権限を持ってチェックをするという機能は、経済企画庁並びに公取の現状の機能、機構をもっては不十分だと痛感をするわけであります。それのみがすべてではないけれども、やはりその歯車の中心になるしっかりした組織、人員、予算というものがなければ、先ほどからるるお尋ねしたことは空中楼閣に堕するおそれがある。これらの点について大臣の御意見を十分ひとつ解明してもらいたい。
  145. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 物価問題についての横山君の所論も、また私が先ほど来申し上げたことも、誤解はないだろうと思います。お話もよくわかります。私どもはいま、経済を安定成長に乗せよう、こういうことでことしも取り組んだのでありますが。これが不幸にしてどうも予想以上の成長率を示した。そのことがやはり各方面に、好景気ではあるが、そのために国際収支の健全性を失う、ひいては諸物価が上がる、あるいは賃金も所得もふえる、まあこういうことで、いい面もあるが、同時に困った面も次々に起きておるわけであります。したがってこれは何といっても安定成長へ持っていかなければいかぬ、かように私は思います。  ところで、安定成長とは一体何なのか。いま言われますような五%や六%の成長率、もしそういうものであれば、世の中はたいへんな不景気だといって、それこそたいへんな批判を受けるだろうと私は思います。わが国の経済構造から見て高度経済成長、そういう形のものに実はなれ切っております。これが九あるいは八%、それ以下になるときっと不景気だ。国民は必ずやその不景気にたえられない、そういう状態になるのじゃないかと実はおそれております。しかし、とにかく私どもがいま考えておる適正なる経済成長を維持する、そうして国際収支の健全化をはかる、こういうことをいろいろ考えておるのであります。  いま言われますように、それには経済企画庁を強化しろとか、あるいは公取の機構をもっと拡大しろ、こういう御注意ございますが、それらの公務員をふやすこと、機構を拡大することも一つの方法でありましょう。しかし、何といっても一億国民がそのつもりにならなければ、これは十分目的を達するものではございません。むしろ私は、機構を拡大するよりも、国民が奮起し、そうして協力する、その事態についてよく理解していただくこと、これが必要なのじゃないかと思います。おそらく横山君の言われることも、これは責任転嫁というような意味ではなしに、機構を拡大しろとおっしゃるわけじゃないのだ、効果のあがることをやれとおっしゃるのだろうと私は思います。そういう意味で十分経済企画庁も、また公取も注意いたしまして、物価の安定に最善を尽くしていく。国民もまたそういう意味で積極的に協力していただきたいと思います。私は機構を拡大することのお約束はいたしません。しかしこの経済の情勢に対処して、そうして国民が協力するような、そういう方向で国民とともにこの問題と取り組んでいく、かような姿勢でありたいと思っております。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 国民に言わせれば、常に物価値上げの先導を切るのは政府の管理価格だ、政府は顧みて国民責任を転嫁する、こういう意見のほうが圧倒的なんであります。しかも今後の物価値上がりの先べんを切るのは、どうしてもいま各省大臣が列挙いたしましたものが物価値上げの先導をする。そういうような状況でございますから、いまおっしゃったことに偽りなくんば、先ほどからの物価値上がりの要因については、物価を上げない、つまり、いろいろと検討されている問題については上げない、こういう立場で進んでもらわなければ困るのであります。これはいずれ通常国会において実績が実証されるのでありますから、その際に譲りたいと思うのであります。  次は、税金の問題であります。  まず最初に、水田大蔵大臣の財政演説であります。この間成田さんの質問で、日銀の問題であなたのこぶがまたちょっと大きくなったようでありますが、もう一つあなたのこぶを大きくせざるを得ない。財政演説にこういう項目がございました。「わが国の財政は、これまで、急速な経済成長を背景として多額の税の自然増収をあげ、これによって、社会資本の拡充、社会保障の充実等各般の施策を推進する一方、その一部をもって大幅な減税を行なうことができたのであります。しかしながら、この間歳出はますます多きを求める反面、税負担はもっぱら軽きを望むという気風が醸成されたことは、健全な財政運営をはかるという見地から憂慮すべきことと考える」これは一言で言えば、大幅な減税をしてやったらつけ上がって、みんなみんな減税だ、減税だと言う、こういうようなものの言い方だと私は思う。あめをねぶらせたらつけ上がって——つけ上がってというか、思い上がったというような言い方であります。軽きを望むというのがなぜ悪いか。軽きを望むのは国民一般の考えであって、日本の今日の税金は決して軽いのではない。重いのですよ。もしも大蔵大臣がほんとうにこれは憂慮すべき風潮だというなら、その具体的事実があるだろうと思うのです。事実を聞かしてもらいたい。また、ほんとうに憂慮すべきことだというなら、対策があるだろう。対策を示してもらいたい。この大蔵大臣の「もっぱら軽きを望むという気風が醸成されたことは、健全な財政運営をはかるという見地から憂慮すべき」だとは、一体何事でありますか。これは考え直しをしてもらわなければいかぬことだと思う。いかがです。
  147. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 財政の上から憂慮すべきことだということでございまして、国民負担は軽いに増したことはございません。しかし軽い場合には、やはりそれに対応した給付が望まれる。できたらよろしゅうございますが、給付のほうが多くなって、それに対応する負担ができるだけ軽くなるということは、いままでは、三十年代のような経済の伸び方をしておったときには何とかやってこれた。したがって、たとえば民間で負担すべきものと思われることであっても、それを国が国の財政において負担して給付を厚くした、しかし負担は、国民負担というものをふやさなかったというようなことでやってこれましたが、財政の運営がそういうふうにすべきものだというふうな気風が一たんできてきますというと、今度は、これからの時代になってきますと、もうやっていけない。これがいま財政硬直化の原因と思われますので、したがって、これからはやはり、公経済の持つ面と民間が負担する分野というようなものが明確になっていくというようないろいろな財政措置をここでやらないで、いままでのとおりのことをやったらたいへんだ、憂慮すべき問題だということを言っておるのでございまして、これは私はほんとうに憂慮すべき傾向だと思っております。
  148. 横山利秋

    ○横山委員 支出の面では、言うことはわからないではない。しかし、減税の問題についてあなたがいままでやってきたことが間違っておるのか、一部をもって減税に充ててきた、そうしたらもっぱら軽きを望むという気風が醸成された、これは憂慮すべきことだ、けしからぬことだ、国民が減税を叫んでおるということが、何が憂慮すべきことであるか。大蔵大臣として減税運動が片一方であり、そして歳出増加する運動がある。減税運動がいかぬということであるならば、これはもう歳出の方向へばかり走る。もしもあなたの考え方が、先ほどから本委員会において議論をされておるLPガス税、ああいうようなことが憂慮すべきことであるというなら、それはわかる。しかしこの財政演説は、国民のすべてがこういうもっぱら軽きを望むというのは憂慮すべきだというのは、一体どういうことなんですか。どういうことでこういう憂慮すべき——何がそういう事態が起こっておるか。憂慮すべきことであるならば、どうしろとあなたは言うのですか。
  149. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように、いま私ども国民各層の陳情を予算編成について受けておりますが、いかなる仕事においても、国がもっと多く負担してください、二分の一はいかぬで四分の三持ってください、何を持ってください、全部あらゆる民間活動ですら国の財政に負いたいというような風潮というものは、これは全く現在できておりますので、そういう一方、税についての負担は、これは日本がいままで国民所得の水準がそう高くないのに、いままでの税負担は重いでしょう。ですから、私どもは毎年減税というものをやってまいりました。従来はできるだけ国の余裕があるときに国が負担しながら、一方、税は、負担は軽くするということをずっと過去十何年か続けてやってまいりましたが、これが一つの気風になって、それが最近では特に国の持つ分をもっと多くしろ、こちらはもっと負担を下げろという、はっきりそういう気風がみなぎってきたということは私はやはり憂うべき現象で、ここらで財政のけじめをつけることをやらなければならぬというふうに感じておる次第でございます。
  150. 横山利秋

    ○横山委員 最近においてはっきりしてきたというのは、何がはっきりしてきたのです。従来とも歳出についての運動がいろいろあることは承知しておるけれども、少なくとも減税という問題について大蔵大臣として憂慮すべき事態が生じたというのは一体何か、具体的な事実があったらあげてもらいたいと私は言っておる。あなたの理論は歳出論だ。減税論じゃない。いま世界の中でも、日本の低所得水準では税金が重いのだから、これの軽きを望むというのが何が悪いか。大蔵大臣立場からいうならば、歳出を一方押える意味においては、減税運動があるということがむしろ均衡がとれていいのではないか。特に財政演説の中で、この軽きを望む国民がけしからぬ、憂慮——憂慮ということはけしからぬということじゃないか。税金の軽きを望むというのはけしからぬという言い方は何が一体原因か。それほどまで思うならば、どういう対策を講じようとするのか、ただここに作文で憂慮すべきことだといって何の対策も持ち合わせてないなら、これは絵にかいたぼたもちであって、何の足しにもならぬではないか。しかもこの言い方は、一方で減税を毎年やってきたから国民がつけ上がったと言わんばかりの言い方ではないか。これはもう問題の提起のしかたがまるきり間違っておる。そういうことを私は言っておるのです。
  151. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私の言っておるのは、減税を求めることが憂慮すべきことじゃない。歳出はますます多きを求める反面、税負担はもっぱら軽きを望むという気風が醸成されてきておることは、健全な財政運営ということから考えて心配すべき現象だということを言っておりますので、税の軽きを望むのが悪いというのじゃなくて、いまあらゆるものは全部国の財政におんぶしたいという空気の反面、今度は自分たちの負担はできるだけ減らしてくれという、この気風というものははっきり現在ございますので、この気風は将来国の健全な財政の運営上心配すべき現象であるということを申しておるわけでございます。
  152. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、ここしばらく財政硬直化というために、あなた自身が硬直しておる、あなた自身が。ここ国会運営の中で、この財政演説の中で、日銀の問題なんか、あなた十分見たんでしょう。見ておりながら、本会議で取り消すようなみっともないことをなさる。そして中期債券の問題でも、ここで答えたらすぐ今度はまた記者会見で、いや買うのはいいんだ、こうおっしゃる。この憂慮すべき問題でも、あなたの腹の中では、百万円減税を何とか値引きしたい、そういう気持ちがほの見えてしかたがない。あなたはもっと、き然たる態度でこの減税をすべきだ。院議となっている減税をすべきだという立場からいうならば、こういう文章が出てくるはずはないと私は思う。何とか減税を値引きしたいという気持ちがこういうところに忍び込んでおると私は思う。  そこで百万円減税の中へ入るわけでありますが、あなたは、四十四年にできればしたいと大蔵委員会でもおっしゃっている。院議は、本予算委員会は附帯決議をもって、可及的すみやかにというのであるけれども、要するにそれは四十五年に標準家族百万円の減税をするということになっておる。  そこで私は、百万円減税の意味についてあなたに確かめておきたいんだけれども、本年四十二年に調整減税が行なわれた。この調整減税は三百億といわれておる。物価が一%上がると七十億が必要であるということが、大蔵委員会でも政府側委員から言われておる。だから本年の四・五%の値上がりは三百億に匹敵をする。これがことしの調整減税である。明年はまあどのくらい物価が上がるかわかりませんけれども、政府もいま確たる方針がきまっていないようでありますが、少なくとも明年五・五%から七%だと銀行側がいうようなものなら、三百八十億から四百九十億、四・五%なら三百億やはり調整減税が必要だ。この推論でいくと、五月二十三日、大蔵大臣も御出席のもとで、大蔵委員会で政府側委員から明らかにされたことは、四十三年が四・五%物価が上がるとすれば、名目八十四万になっても八十万円の値打らしかない。四十四年が免税点九十四万円になっても、これは八十六万円の値打ちしかない。四十五年に百万円免税が実行されても、それは八十九万円の値打ちしかない。こういうことが政府側委員から説明をされた、大蔵大臣の目の前で。これが、来年度が四・五%にとどまらない、もっと物価が上がっていくということから推論をいたしますと、四十五年にかりに標準世帯の課税最低限が百万円に引き上げられても、実際は八十五万円の値打ちしかない、こういうことになるわけであります。  私は、いまいわれておるところの標準世帯五人家族百万円まで課税最低限を引き上げるという意味は、物価が値上、かり長い——だれだってそう考えている——。物価の値上がりしない今日の時点において百万円もらったら、標準世帯では税金がかからぬ、こういう意味に解しておると思うのです。これがあたりまえの話であります。百万円標準世帯免税、課税最低限百万円、税金がかからない。この意味は、調整減税を考えないで今日の物価がそのままであるという意味において百万円免税、こう考えて議論をしなければ誤りが起こると思うが、大蔵大臣、そのとおりでございましょうね。
  153. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、いまそういう税制についての原案の準備者でございまして、これは最後には与党との意思統一もしなければなりませんし、閣議の決定によって全閣僚の承認を得て初めてこれが政府案になるものでございますから、政府案をつくる段階において、自分の意見をそうはっきりいま言わない、まだ言えない段階だということを言っておるわけでございまして、いままでこの国会を通じて、たとえば所得税についてもいろいろ述べた、この方針は変更しないでやりたいと、ただいまのところ考えております。  その場合、百万円ということについての物価との関係でございましたが、これは普通何万円になったらどうするという場合の金額は、いまのこの物価を前提にしてということではございませんで、これは物価は年々若干上がっていくことは当然でございましょうが、その時期における百万円ということを言って、そこを正確に科学的に計算して発言しているのでは通常ございませんので、百万円、四十五年までにやりたいということは、四十五年までには、そのときの百万円の所得者に対して税がかからないようにしたいということでございます。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃまるっきり百万円免税の意味がないわけです。総理大臣、私の言っていることはわかるでしょうね。これは標準所得百万円まで課税最低限を引き上げる、こういうことが院議になっておる。そうだとすれば、一般国民が受け取る印象は、たとえばいま百万もらっても標準世帯では税金がかからぬなという期待である。ところが政府の物価対策が効を奏せずに、年々五%なら五%ずつ上がっていけば、これはもう百万円免税どころじゃないですよ。私の推算でも八十五万円、政府の推算でも四十五年は八十九万円の値打ちしかないのですよ、百万円減税と言っても。もっと物価が上がれば、減税は何の意味もなくなる。だから物価調整減税という意味と純減税という意味とを区別をしなければ、国民を偽るものだと私は考えておる。あたりまえのことですよ、これは。ですから、総理大臣からはっきりお答えを願いたいのですが、あなたもおっしゃっておる。自由民主党の党議もきまったようだ。百万円免税ということは、これは物価調整減税を除外したものの考え方でなければ国民を偽るものだ、こういう点について、どうですが。
  155. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 お答えいたしますが、横山君の言われることがわからないではありません。また、しかし大蔵大臣の言っていることも私はよくわかるのです。どちらかといえば、大蔵大臣の説に私は賛成です。ただいま申し上げますが、いま議論しておられるものが、全部がストップして、物価もストップ、それから月給の所得もストップだ、そういう状態でものが考えられてはおりません。必ずお互いの所得もふえていくだろう、そういうことを前提にして、初めていわゆる百万円減税ということが考えられるのです。だから、いまのままの所得、いまのままの物価の状態で百万円減税しろといったら、この財政状態でできないことはもうはっきりしている。それはできません。しかし、いま言われることが、もしも非常な異常なる物価高を来たしたときに、その際に百万円減税といったら、それはいま横山君の言われるとおりのものになるだろう、かように私は思います。したがって、いわゆる経済成長というものも、これは常識的なものでなければならないと思います。だから、いわゆる七%も、あるいは八%も物価が上がって、そうして百万円減税というものがその意味を失ったという、こういう批判は、私はそのとおりだと思います。しかし、先ほど大蔵大臣の言っておるように、やはり普通、経済は成長していく。そうすると、やはり物価は上がっていく。それらのものをしゃんとそろばんで合わしたように、コンピューターで計算するように、それに合わして減税をやれ、こう言われましても、それは無理なお話じゃないかと、かように私は思います。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 そうすると、大蔵省の塩崎前主税局長が大蔵委員会で言った最低の数字、つまり四十五年の百万円は、この物価上昇の状況から言うならば、八十九万円の値打ちしかないのだ、そういうことを認めながら、この物価調整減税というものを別にせずに、中へ含めてやろうというわけですね。そうだとすると、百万円というのは八十九万円ですよ。もっと物価がこの調子で上がりますから、百万円減税は、実は私の推算で八十五万円減税です。何の意味もない。これでは国民を偽るものだと思う。  大蔵大臣にお伺いしますが、百万円に至る年次計画ですね、きのう、所得税平年度千二百億、八十三万円まで課税最低限を来年からやろうという案が、税調の臨時小委員会で出された模様でありますが、百万円をあなたが大蔵委員会で言った、できるならば四十四年まで、できなければ四十五年、そこに至る年次計画をひとつ示してもらいたい。
  157. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 年次計画はございませんが、公約は四十五年ということになっておりますが、私は、四十五年度になりましたら、いまあなたがおっしゃられるような意味も含めて、できるだけ早めにやりたいと言っておったことは、そういうことも考えておったからでございますので、おそらく四十五年になったら百万円ぴったりということじゃなくて、百何万円までこれが上がったところの最低限の金額になるんじゃないかというふうに考えております。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 あなた約束したんですよ、年次計画を出すということを国会で。忘れているんですか。大蔵委員会で、五月二十三日に山田委員質問答えて、百万の年次計画をすみやかに出す、約束したのを忘れたんですか。それを本委員会に出してもらいたい。
  159. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、年次計画の約束はしなかったように思います。
  160. 横山利秋

    ○横山委員 しておりますよ。五月二十三日にあなたは、年次計画をすみやかにつくって、そうして税調へも出して、こちらへ提出するということを約束しているのです。とぼけちゃいけませんよ。
  161. 泉美之松

    ○泉政府委員 ほかに政府委員がおりませんので、私から申し上げますが、速記録を調べました上でお答えいたします。
  162. 横山利秋

    ○横山委員 議事録ここにあるのです。五月二十三日、山田委員、「しかしながら、国会で答弁をしておられるとおりに、四十五年度に向けて実施をするので、いずれ、きわめて近い日に年次計画を立てて、税制調査会などで審議をしてもらう、こういうふうなことを御計画なさっておるというふうに受けとめてよろしゅうございますね。」「そうでございます。」年次計画を出せということがその前にずっと続いてきた結論として、あなたはそれを了承している。それから、塩崎政府委員もそれについて了承しておる。だから、あれからもうすでに六カ月もたっている。年次計画出してくださいよ。約束したことを実行しないつもりですか。
  163. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 速記録をあとで私ども読みますが、税制調査会にこれをはかる、出すということを約束したというふうに事務当局から聞きましたが、あとで私もそれをよく読んで善処いたします。
  164. 横山利秋

    ○横山委員 それでは税制調査会に出しましたか。
  165. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 税制調査会にはどうすべきかという諮問をして、いま来年度についての一応小委員長の試案というものがわれわれのところへ届いたという段階でございます。
  166. 横山利秋

    ○横山委員 そうではないんですよ。もう一ぺん読みましょうか。「四十五年度に向けて実施をするので、いずれ、きわめて近い日に年次計画を立てて、税制調査会などで審議をしてもらう、こういうふうなことを御計画なさっておるというふうに受けとめてよろしゅうございますね。」「そうでございます。」とあなたが答えている。私は、きわめて近いうちにと言うのだから、六カ月たっているから、もう税制調査会に約束を履行して出しておられる、それをここへもらいたいと言っておる。出してないのでしょうが、あんた。私は結論だけ言っているので、その前にもずっと各委員がこの四十五年をほんとうにやると、予算委員会で院議になった。だから、その詰めた話をしていって、最後に、ずっとそこにしぼって、年次計画を立てよ、実行しろ、わかりました、そういうつもりでございます、と言っているのだから、それをここへ出しなさいよ、税制調査会に出したものを。私がこういう質問を強くするのは、四十五年、百万円免税ということをあなたは何とかしてのがれようとしておるからだ。そして、私の言う物価調整減税も、物価をどんどん上げていけば、百万円免税なんか何の意味もなくなっちゃう。だからそれを心配しておるのですよ。あなたは大蔵大臣として、財政演説で、減税してもらいたいという考えは憂慮すべきことだと言っておる、あなたの性根がけしからぬと言っておる。だから、年次計画も出さないとあなたは腹できめておるのでしょう。出しなさいよ。約束を履行しなさいよ。
  167. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 のがれようとしておるという独断をされておるのですが、そうじゃなくて、もう御承知と思いますが、大蔵委員会におきまして、のがれるのじゃなくて、この問題だけはこういうふうにしたいということをはっきり言ってありますので、したがって、税制調査会にもいま諮問をしておる。とりあえず来年度についての——いまいろいろ意見がありましたが、年次計画は一応こちらでは試算はしております。来年度このくらい、再来年度こうという試算は持っておりますが、御承知のように、こういう経済情勢によって、いろいろ税制については考えが変わっていくべきものでございますので、最終年度における計画はわれわれは変えませんが、その間におけるいろいろな計画で縛るということはどうかと思って、われわれの試算はできておりますが、これはまだ税制調査会にそれをかけて御審議は願わない。とりあえず来年度の所得税についてどうしようかという諮問をいましておるところでございます。
  168. 横山利秋

    ○横山委員 承知しません。これは私の意見じゃないですよ。本予算委員会の附帯決議になって、院議となっておるものですよ。しかもあなたが約束なさったことは、大蔵委員会において承知をしたことです。それをやらないということはない。院議を無視するものですよ。私どもが心配しておるのは、百万円免税が実質価値がなくなり、しかもあなたは、何とかしてこれがのがれられるものなら、財政硬直に名前をかりてのがれたいという気持ちが見えるような気がするから、あくまで主張したい。出しなさい。履行しなさいよ。百万円免税の年次計画を本委員会に提出しなさいよ。
  169. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 のがれようというあれが見えるから、心配だから出しなさいというようですが、のがれようと思ってはおりません。たびたび申し上げておるようでございますが、ただ、こういう先の年次計画、あと三年先のものまで、一応計画をここで数字をきめるというようなことは、いろいろ問題がございますので、私どものほうでは必ずこれを実行するためのいろいろな試案は持っておりますが、今回まだ出さなかった。そして、とりあえず来年度についての諮問を願ったということでございますので、来年度の問題は、大体税制調査会の答申を尊重して、この線に沿って来年度の何をきめたいと思っております。
  170. 横山利秋

    ○横山委員 これは委員長にもおとりはからいを願いたいのでありますが、国会できめて、答弁をして、了承をして出すと言っておいて、しかもその原因となっておりますものは、本予算委員会の附帯決議が一番根底になっておる。この附帯決議と国会における答弁を履行しない大蔵大臣でありますから、私はここで審議を続行する気になれません。この年次計画を出すという答弁を、私はどうしても委員長の御協力を得たい。
  171. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 さっき申しましたように、私どもの考えておる案はございます。しかしただ、税制というものは、財政事情とのまたからみ合いでいろいろきめるべきものでございますので、このわれわれの考えているとおりそのままにいくかどうかはもっぱら経済情勢によることと思いますので、これがこう考えたのがもう全部お約束したんだというふうに思われては困りますが、いま百万円必ず——百万円までの実施案というものを私どもは一応考えておりますので、これはもしあれでしたら税制調査会に私のほうで至急示します。(横山委員「出すのか出さぬのか」と呼ぶ)ええ、出しましょう。一応税制調査会に私どもの考えを示すことはやります。これから示します。さっき申しましたように、いま示していない。来年度だけの諮問をお願いしたのですが、一緒に、百万円実施するためにはわれわれはこう考えておるという案なら税制調査会に私ども示します。
  172. 横山利秋

    ○横山委員 これは、いずれ近いうちにというのはすぐにという意味ですよ、この迫った意味は。税制調査会へこの年次計画を出すということをあなたは了承された。それが今日まで全然履行がされていない。そうして百万円免税についてのあなたの考えが動揺しているように見えて、しかたがない。私の要求は、率直に申し上げればなぜそれを履行しなかったか、履行しておるはずだから、履行しておるならそのコピーを出せ、こう言っておる。直ちに年次計画を——院議としてこれはきまったことなんだ、百万円免税は院議としてきまったことだから、直ちにそれを税制調査会に出すと同時に、本会委員に提出してもらいたい。
  173. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体わかりましたが、百万円減税ができないじゃないかという非常に御心配のようでございますが、これはもう必ずやります。そういう意味で、私ども別に逃げるためにこの諮問をおくらせておるという意味ではございませんが、いろいろの計画を持っておりますので、これはお示しいたします。
  174. 横山利秋

    ○横山委員 出すんですか。税制調査会へ出し、コピーを直ちにこちらへ出す。
  175. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 税制調査会へ出します。
  176. 横山利秋

    ○横山委員 もっとはっきりけじめをつけてくださいよ、
  177. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 もうきょうでもあしたでも出します。
  178. 横山利秋

    ○横山委員 このコピーは本委員会へ提出していただけますね。——御了承願ったものとして次へ進みます。  次は地方税の問題であります。地方税については時間の関係上率直に進めますけれども、地方税の課税最低限がいま四十三万円です。国税が七十四万円。この問題について、藤枝前自治大臣は、今後十分減税をしたいと答えました。  さらに、水田さん、もう一ぺんですよ、あなたの答えは、四月六日、「来年度の予算編成をやるところまでおりましたら、」おりましたらというのは、留任しておりましたらということですよ。「来年度の予算編成をやるところまでおりましたら、十分……。」となっておる。みんなが笑ったのですよ、「……。」というのは。「来年度の予算編成をやるところまでおりましたら、」おるのですから、だから、地方税の課税最低限についても引き上げを十分おやりになると考えてよろしゅうございますか。
  179. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 出せと言ったから出しますけれども、この私の速記録を一ぺん読んでみますから、誤解のないようにお願いします。(「いまは地方税の問題だ」と呼ぶ者あり)終わったんですが、一ぺん参考のために……。「これを一年、二年でやるのには相当の財源を要しますので、私どもは、昭和四十五年度までの三年の間にはこの百万円を課税最低限度にすることは実現できるだろうという考えで、四十五年度を目途にと言っておりましたが、さて、これをあと三年でやる計画を示せということでございますが、財政事情との関係もありますし、実際にやる場合には、この内容をどうするかの問題も、いままでの例によりますと税制調査会にもはかっておりますので、具体的なやり方というものについては、これから税制調査会にはかろうと考えておった問題でございまして、いま三年間にやるという方針はきめておりましても、来年度がどうでその次がどうという具体的な計画は立てておりません。」こういうのが当時の答えでございます。そういうふうに……(「自分の都合のいいところばかりじゃだめだ」と呼び、その他発言する者あり)待ってください……(発言する者あり)
  180. 植木庚子郎

    ○植木委員長 静粛に願います。——静粛に願います。
  181. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 だから——待ってください。そういう考えで述べたので、いま言ったようなことでございますので、出すことは出しますけども、ここに言ったように、これが財政事情もあることであって、出した場合に、これが必ずしももう政府はこう言ったからというものじゃなくて、計画の一つのめどであるというふうに御了解を願いたいと思います。これはすぐ出します。  地方税は、私は、やはりこの課税最低限の問題はある程度これは引き上げるというふうにしなければいかぬ問題だと思っております。
  182. 横山利秋

    ○横山委員 ことばじりを拾いたくないのですよ、大臣。しかし、あなたの答弁は、武藤委員に対して、「大蔵大臣自治大臣はたいへん遠慮しておりますから、ひとつあなたが明年度予算編成まで大蔵大臣の地位におる場合には、いまの一千万人の国税を納めない人たちへの配慮、こういう問題について、十分私は地方税減税にひとつ目を当ててみよう、こういうお気持ちに、水田さん、おなりになれますか。ひとつ心境を聞かしてください。」こう言ったのです。そうしたら、あなたは「来年度の予算編成をやるところまでおりましたら、十分……。」こうなっておる。ここだ、ここだ。そうしたら、あなたいま十分と言わなかったじゃないの。あなたは十分とは言わずに、まあまあ値引きしたいような顔です。十分考える、この速記録のとおりにお答えを願いたい。
  183. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま、この問題も税制調査会審議にかけておるところでございますので、いずれ答申を得ることと思います。
  184. 横山利秋

    ○横山委員 私もことばじりを拾いたくないのですから、これ以上この問題を言いませんけれども、あなた、あの際に、来年度予算編成のところまで大蔵大臣だったら地方税の課税最低限も十分ひとつ考えてみようと言うた気持ちを、どうぞ忘れないようにしてもらいたい。  総理大臣にお伺いします。  私はいま税金の減税についてずいぶん言いました。けれども、物価が上がることは間違いない。その物価調整減税とそれから純減税とを区別してはっきりやらぬと意味がないと言いました。しかし、減税で救われない人々がおるわけですね。この問題については、私は一言言及していかなければならぬ責任を感ずるわけであります。  減税で調整できない人、たとえば年金生活者、たとえば自由労務者、たとえば恩給生活者というのは、その減税では——いま大蔵大臣の最後のおことばにありましたように、何とかまず目星がつけられると思うのですけれども、減税の恩恵を受けられない日陰の人々は、何としてもこれに相呼応して措置をしなければならぬ。これはたいへん大事な問題ですが、お考えを伺いたい。
  185. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いわゆる社会保障の問題、そういうものをさらに今日よりも充実をはかっていく、こういう方向でありたいと思います。
  186. 横山利秋

    ○横山委員 時間もございませんので、この点については特に総理大臣の善処を求めたいと思うのであります。  もう一つ、大蔵大臣質問をいたします。  あなたは財政硬直化を盛んに議論されておりますので、ひとつあなたに建設的な提案をしたいと思うのであります。  歳入の問題について、あなたはもっぱら減税を望むのはけしからぬとおっしゃいましたが、私ども社会党としては随時大蔵委員会なり本委員会で財源論を展開しておるわけであります。もちろん、それは軍事費を減らしたらどうかという基本的な問題もありますが、そのほかにも多くの問題を提起しておる。あなたはそれをお聞きになったことがあるはずであります。私がいま簡潔に列挙をいたしますから、ちょっと聞いておってくださいよ。簡潔に列挙をいたしますから、ぜひこの部面については、まあ増税といいますか、十分歳入面としてお考えを願ったらどうか。一つは六千億の交際費であります。これはもう何回も議論しておりますし、総理大臣の消費の抑制という部面も、これは与野党一致するところでありますから、交際費の税金について再検討をしてもらう。  第二番目には、租税特別措置を二千四百十九億、これは期限が切れてまいったものもありますけれども、この問題にメスを入れること。  第三番目には、先般大蔵委員会で私どもが議論を提起したのでありますが、たとえば金融の既経過未収利息、私どもの提案で四十二年には六十四億、四十二年には百億の増収になりました。しかし、これはまだなまぬるいと私どもは思っておる。  それから、保険の契約者配当金の問題私どもの提起で四十二年度四十億、四十三年度もそのくらいだというのですが、これもまだまだ不十分な問題があると思う。  滞納が、大蔵省の推算でいきますと四十一年度九百九億、四十二年度九百十億、滞納でもいろいろありますから一がいには申し上げせんけれども、この滞納部分について大口所得者の滞納がうんとあるはずだ。  架空名義が議論になっておる。架空名義はあなたのほうの推算でいきますと、三十三件を調査しただけで千三百八十九口、二十九億ある。少し私は誇大にすぎやせぬかとその資料を見ながら考えるわけでありますが、架空名義の問題について金融機関の協力が不十分である。これはどのくらいの数になるか予想もつかぬと私は思います。  その次には利子の問題、これが特別措置二百三十億、それから配当が三百十億、ずいぶん国会で議論した問題であります。この問題についても検討をすべきことだと私は思う。  先ほど言った広告費、総理大臣が消費の抑制だというならば、あの誇大宣伝、誇大広告、そして日ごと夜ごとわれわれの目に広告を見ない日はない。そうして、いま企業として広告宣伝費に使っております金額は、驚くなかれ四千億、これは数年を出ずして交際費の六千億を上回ることは間違いないといわれておる。  次は脱税です。脱税についてはわからぬ。わからぬけれども、四十一年は大蔵省の提示したもので六十二億、サンプルを調査したところ三百二十一億という数字が大蔵省から出ています。  そのほか、土地の税金、これはいま大蔵省が検討中の模様でありますが、ただ、この土地の問題については一言言っておかなければなりませんのは、土地の増税、空閑地税だとかいろいろな開発利益の問題だとか、いろいろなことがあるけれども、税金だけが先行したのでは意味がありませんぞということだけは一言申し上げなければなりませんが、土地政策と相並んで、土地の問題についてまだまだ考えるべき点が多々あると私は考えておる。これらを推進をいたしますことによって、私は、大蔵大臣がほんとうに税制の公平と合理性というものを追及をなさるならば、まだまだ幾らも財源はある。私どもの奥の手の軍事費の削減を言わなくたって、まだ幾らでも捻出できる方途はあると私どもは確信をしておるわけです。  要するに、それは大企業や大口所得者に対する配慮をするかせぬか、金融資本や証券資本から、断固としてはね返して公平論を貫けるかどうかということにかかる、私はこう考えるわけであります。いかがでございますか。
  187. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 交際費につきましては、本年度税制改正をやったばかりでございますので、今年またあらためて改正するかどうかについては、まだ意見がきまっておりません。  それから、広告費の問題でございますが、広告費はこれは交際費と性質が違いまして、これを税によって規制するということは、特殊の企業へしわを片寄らせることでもございまして、これはなかなか簡単な問題ではございません。いまのところ、そう簡単にこの問題はやれないのではないかというふうに私個人としては考えております。  それから、租税の特別措置についてでございますが、今度期限が来るものについては、むろんこれは吟味しまして、存続するものと廃棄すべきもの、この政策効果の問題を見て、これは合理的にきめたいと思っております。  それから、架空名義預金についての問題でございますが、これはもうすでに銀行局から各銀行に通達を行なっておりますし、各銀行ではいま全部窓口に掲示して、そういう架空名義預金は受けつけないというようなことをいまやっておりますので、これは相当大蔵省のいろいろな指導も下まで及んでいるというのが実情でございます。これは実施がまだ不徹底であるとしますなら、さらにわれわれはいろいろ特例の方法を考えますが、いまやるところまではやっております。  それから、大口の脱税については、これはもう御承知のとおり、最近は非常に組織的にこれを行なっておりますので、いままでと違ってだいぶ成果をあげておるというふうに考えております。
  188. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、そんな架空名義が銀行にビラ出したからなくなるなんぞとお考えをなさっておるようでは、もうあなたのお考えはわかったような気がするわけであります。私どもが、野党としても、まだまだこのいわゆる硬直化について財源があるという提示をこれだけしておるのでありますが、それについてもう少し真剣に取り組んで、そうか、知恵をかしてくれた、それならひとつ一ぺん検討してみるぐらいの原則的なお答えがあってしかるべきだと私は思うのであります。  次に、どうしてもこの際、徴税行政に触れていかなければなりません。時間がございませんから、私は、天下一般の納税者にかわって十七項目の問題点を整理をして読み上げます。これを一つ一つお答えをいただこうとは思いません。ですから、大蔵大臣から、先ほどの増徴に対する気持ちを振り捨てて、謙虚に私の意見を聞いて、そしてこれを臨時税制調査会に全面的に検討を依頼されるように、まず前もってお願いしたいと思うのであります。  私の言わんとするところは、要するに、戦後の混乱期から平静になるにつれて、徴税行政の持つ権力的な要素が強化され、そして一方、職員数が少ないことと相まって徴税規定が乱用され、人権じゅうりんのうらみがある。納税者の個別性と自主性が尊重されることが必要な事態となったと私どもは確信しておる。その意味におきまして、私は、これから問題点を整理をして読み上げます。  まず第一に、国税犯則取締法による調査をするときは、憲法上黙秘権が生ずる。ところが、黙秘権の存在を告知していないことは憲法上の問題がある。普通の一般調査とは違うんですから、黙秘権が存在をするということについて納税者に告知する義務があると思う。  その次に、税務署一般の問題として、いわゆるおみやげの慣習がある。税務署に調査をされたから、少しは何とか出さぬと帰ってもらえぬから、また、行くほうも行くほうで、せっかく来たんだから、何もなしで帰るわけにはいかぬという気持ちがある。このおみやげの慣習を絶滅すべきである。  第三番目に、納税者が善意で、何にも税法を知らなかった、税法を知らなかったために、期限切れで恩典や特典を受けられない、そういう場合がある。その点についてはこれは適用すべきである。  その次には、調査にあたっては、常に納税者の人権を尊重をすべきである。この点について、納税者側は、税務署に調べられるとあとがうるさいから、いろいろなことがあってもまあ黙っていよう、こういう気持ちがいまほとんどではないかと思う。  その次は、税務署は何回でもいつでも調査と更正決定ができる。ところが、納税者の減額修正は、申告してから二カ月以内でなければならないということになっておる。税務署は、一たん調査したことを、また何回でも調査できる、何回でも更正決定が、三年なり五年なりできる。ところが納税者は、おれは間違ったから安くしてもらいたいという申告の修正は二カ月しかいけないということは、これは不公平きわまるものである。  その次には、青色申告の場合、帳簿の誤りを指摘してから、理由を十分記述してから更正決定をするのが普通であるのに、これが十分に行なわれていない。  その次は、異議申し立て審査請求に対して、申し立て事項以外のことを調査するのは不当である。私はこれだけの税金を受けた、しかしこの点については違うといって税務署へ行く、あるいは協議団へ行く。そうすると、そんなら一ぺん全部洗いますからねと、こういうわけですね。したがって、異議申し立てした部分についてのみ調査するのが当然である。普通の裁判でも同じである。  その次は、訴願前置主義といって、異議は苦情処理機構を経由しなければ裁判に訴えられないしかけになっておる。この点については、裁判機構を利用するか、税務署の苦情処理機構を利用すべきかは、納税者の自由選択にまかせるべきである。  その次に、質問検査権について乱用がある。税務署が店へやってくる。金庫をあけることを命じたり、引き出しをかってにあけたり、家の中をぐるぐる立ち回ったり、書類をかってに持ち出すことは、質問検査権の乱用である。もしも臨検、家宅捜索、押収に類することが必要であるならば、これは申すまでもなく査察令状、令状を持って行なうべきである。それが、この質問検査権について乱用がある。  次に、納税者に調査の通知をする場合は、担当税理士にも事前に通知することの定めが履行されていない。  その次は、更正決定を受けた部分を後日また更正決定することは適当でない。一ぺんある担当者が調べて更正決定をした。担当者がかわった。また行った。そうして一ぺん更正決定した部分をまた、前のことはわしゃ責任がないといって調べる。一たん国の意思が定まったものとこれは見るべきである。  その次は、白色申告の場合でも、申告をしたなら、その誤りを指摘した後推計課税するのが当然で、申告制度に沿うゆえんであるとわれわれは考える。  その次に、調査担当職員が越権または不法行為があるときは交代を要求することが許されるべきである。  その次は、夜間、早朝、繁忙期に調査を行なわれるべきではない。国犯法の場合でも、日没から日の出まではしない。通常の時間に行なわれるべきである。  その次は、修正申告は納税者の自発的意思によるべきであって、税務行政が手段を講じて誘導するのは不当である。  次は、税務行政の必要上行なわれるモデル業種調査などは、納税者の承諾をもって行なわるべきである。私どもはこう考える。  以上が私の十七項目であり、この一つ一つを議論し始めたらいろいろ議論があるでしょうが、しかし、私は、確信を持ってこの点について、すみやかに納税者と税務署との合理的な関係、対等の関係をして納得ずくの徴税行政が行なわれるためには、これらの項目については真剣に検討さるべきであると考える。ちょうど時を同じゅして税制の簡素化小委員会が、この問題をといいますか、この苦情処理機構を取り上げることにしたという話を聞いております。私は非常に時宜に適したことだと思いますがゆえに、この際考えてもらいたい。  最後に、訴税審判所の創設の問題であります。これはもう時間がございませんから多くを申しませんが、この際それらを総括して、公取に匹敵するような、公労委に匹敵するような訴税審判所について真剣に検討をすべきである、外国にも例がある、こういう点が私の意見であります。いかがでございますか。
  189. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 徴税につきましては、御指摘のようなまだ改善すべき問題がたくさんあると存じますので、十分研究いたします。
  190. 横山利秋

    ○横山委員 もうせっかくおいで願ったのでありますから、諸君にもひとつ御了承を願いまして、国鉄の問題について若干触れたいと思います。  国鉄総裁にお伺いをいたします。  国鉄総裁は、先ほど運輸大臣の御意見をお聞きになったと思います。せっかくおいで願いまして——委員からもお話がございますか、この際、ひとつ簡潔に、国鉄の財政についてあなたの御意見を伺いたいと思います。
  191. 石田禮助

    ○石田説明員 お答えいたします。  国鉄のいま直面しておる一番大きな問題は通勤通学の改善の問題であります。幹線輸送のほうの問題につきましては、大蔵省が借金のワクさえくださればこれは私は心配ない。それから、通勤通学の問題に関しましては、御承知のごとく、非常にこの工事に金がかかる。しかも、その収入というものはきわめて貧弱であるということで、国鉄というものは、御承知のとおり独立採算というワクをはめられておるのでありますからして、収支というものをやはり合わさにゃいけない。ところが、通勤通学に関する問題は、金はかかるが収入は非常に少ない。したがって、これに対する方法といたしましては、いずれかから安い金を持ってきて工事に充てなければならぬ、これをどうするかということが直面した大きな問題。しかも第三次五カ年計画におきましては、通勤問題というものは五千二百億の予算をもって解決するということに考えたのでありまするが、その後における通勤客の増を見ると、とてもこんなことじゃいかぬ。少なくとも七千百億の金をもってしなければいかぬ。そうすると、その資金をどうするかということがますます重大な問題になってくる、こういうことであります。  これをどうするか。われわれが第一に考えたのは、この通勤通学の割引是正の問題であります。御承知のとおりこの通勤通学というものに対しましては、昭和二十四年以来非常な大きな割引がしてあった。法定では五割ということでありまするが、実際においては、通学においては平均八割七分、通勤においては昨年割引の是正をやりましたが、それでも六割七分の割引をやっておる。これは私はぜひとも是正しなければいかね。ということは、結局、通勤通学に対してそういう割引をやっておるということは、定期以外のお客の負担においてやっているということなんです。これは公平の原則から見て、ぜひとも早い機会において是正しなければならぬ。それで、二十四年以来国鉄がこれがために負担を負うたことは、額は約七千五百億であります。もう相当に国鉄としては犠牲を払っておる。いわんや、いまのような通勤通学の問題を是正する点からいけば、どうしたってこれは安い金を持ってこなければならぬということで、われわれが思いついたことは、四十三年度の予算におきまして、まず三百億というものをひとつ通勤通学の割引の是正によって得る。その体策といたしましては、通勤のほうの割引率の是正につきましては昨年一回やったのでありまするが、第二回目として四十三年度にやり、そして四十四年度にその残りをやる。かくして四十三年度における通勤による割引是正による収入というものは二百七十億円。で、通学のほうは、これは全部が本人の負担になることでありまするので、これは考えなければいかぬということで、まず四年か五年に分けてやる。とりあえず四十三年度においてはこれによって三十億円の収入を得る。合計で三百億円ということにしたいということで運輸大臣に申し上げたのでありまするが、問題はこれが物価問題に相当に影響を与えるのじゃないか、こういうことで、運輸大臣として御心配になるのは当然のことだと思いますが、ただ、申し上げなければならぬことは、三百億円のうちで通学によるものが三十億円、これは全然一〇〇%物価問題に影響してくる。ただし二百七十億円というものは、これは大部分企業家の負担である。本人の負担になるものは私はせいぜい四十億か五十億じゃないか。だからして物価問題に一〇〇%影響を受けるものは七十億か八十億。三百億が全部かかるのじゃない。この点については、運輸大臣にひとつこれからよく御了解を得ようと思うのでありまするが、問題は、その七十億なり八十億なりが物価に影響を与える。しかしこれをやらなかったら三百億の金を通勤通学輸送の改善に使うことができぬ。要するに七十億、八十億の金によって物価に及ぼすマイナスサイドと、それから三百億を通勤輸送に全然かけなくなるがために通勤輸送の改善がおくれたことと、いずれがウエートが重いか、こういうことなんで、国鉄総裁としては、いま直面しておるような通勤通学のあの交通地獄を見るにおいては、ぜひともひとつこれは目的を達成せなければいかぬ、こういうことで、これからひとつ運輸大臣をくどかなければならぬと、こういう段階であります。
  192. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横山君に申し上げます。  お約束の時間がだいぶ経過いたしておりますから、簡単にお願いいたします。
  193. 横山利秋

    ○横山委員 いや、大蔵大臣の答弁がまずかったから延びたので、それは御了承願わなければならぬ。  先ほどの運輸大臣といまの国鉄総裁の御意見を伺って痛感をするのですけれども、私は、この定期の割引というものなり、あるいは地方路線なりというものは、公共性の必要、社会政策上行なわれておるものだ、その観点に立たなければ、とてもじゃないけれども理解ができないと思うのであります。  そこで、時間の関係上、大蔵大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、国鉄がいま大蔵省に要望しております定期の三百億、納付金の百二十八億、財投の三千五百五十一億、利子補給の六十五億、出資の三百九十五億、工事規模の四千百億、これらの問題はきわめて社会的にも重大な影響をもたらす問題を含んでおると思うのであります。端的に言えば、定期割引運賃を受けております学生だとかあるいはサラリーマン、労働者にしわ寄せるか、あるいは働いております人々に、五万人の合理化によってしわ寄せるか、そういうことになると思うのであります。この際、これから予算編成になるのでありますが、運輸大臣並びに国鉄総裁の御意見、いまお聞きになったとおりでありますが、国鉄についてどういうふうに財政的な問題でお考えになるのか、伺っておきたいと思うのであります。
  194. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま国鉄当局と大蔵省事務当局で国鉄問題は相談している最中でございまして、まだ結論を出しておりません。
  195. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことだと時間がかかるわけであります。もう少し親切にお考え願いたい。
  196. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横山君、簡単に願います。
  197. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ総理大臣にお伺いしますが、総理大臣は、申すまでもなく国鉄出身で戦後の混乱期に次官となられて、私もあなたと団体交渉をしたこともあるわけであります。その当時から六十万、いま四十六万ですね。あの当時は一万五千キロ、いま五万八千五百キロ、職員一人当たりの推算車両キロであります。非常な違いがある。そしていま新幹線が世界に非常に喧伝される国鉄になってきて、そしていまや、財政的には三十九年から赤字で、本年、来年については償却前に赤字である。こういう重大な財政的な状況であります。あなたは国鉄の問題をもう戦前から一番よく御存じのはずでありますから、与党の諸君もああいうことを言っているのですから、大蔵大臣のそっけない態度と違って、真剣な体験から割り出した御意見が伺えると思うのでありますが、いかがでございますか。
  198. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまお話しがありましたように、横山君も国鉄の出身者でありますし、私も国鉄の出身であります。そこで、かつて団交した関係もあるということまでお出しになりましたが、ただいま政府部内におきまして、国鉄総裁あるいは運輸大臣と、それぞれの相違もございます。しかし最終的には私が責任を持ちまして全部をまとめていくつもりでございます。それによりましてその財政需要にこたえてひとつ予算を編成する、かように御了承いただきます。
  199. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これについて横山君の質疑は終了いたしました。  これより麻生良方君の質疑を許すわけでありますが、本日の理事会の動議に基づき、同君の質疑に先立ち、昨日留保になりました春日君の質問にかかる沖繩における核基地の有無の問題につき、この際、同君の発言を許します。春日一幸君。
  200. 春日一幸

    ○春日委員 私の昨日の沖繩にありまする米軍基地の核装備に関する問に対しまして、総理の御答弁がきわめて不可解でございましたので、したがって、そのことに端を発してその疑点をただすことができませんでした。本日、理事会の御協定に基づいてその問題をただしたいと思います。  沖繩に核があるかないかというこの問題は、沖繩返還の可否を決するキーポイントとも見るべき基本的な問題であると思うのでございます。この基本の事実認識なくしては、交渉の当事者である総理が、その事実関係を全然知らずして、どうして返還交渉を行なわれることができ得ましょうか。しかるに佐藤総理は、昨日の私の質問答えられまして、核基地があることは知らないとお答えになりました。このことは、沖繩返還の任にある最高の責任者である総理の御答弁としては、まことに不謹慎と申すべきか、誠意なき御答弁と申さざるを得ないのでございます。ここに昨日のこの御答弁を正式に訂正して、総理の明確な認識を国民の前に明らかにいたしていただきたい。  なお、この問題につきましては、これまでの政府答弁では、沖繩に核があることはもうすでにはっきりと認められておるところでございます。すなわち、昭和三十七年五月七日衆議院外務委員会において、当時の池田総理は、社会党の河上丈太郎先生の質問答えられて、沖繩は核武装していることをはっきりとお認めになっております。速記録によって御検討願いたい。また、本年の五月十六日の沖繩対策特別委員会で、外務省の東郷北米局長は、社会党の穗積七郎氏の質問答えて、沖繩が核基地であることを同様にはっきりと認められております。また、これまで各種の話題を招いてまいりました下田前外務次官、現駐米大使、この核基地についての返還論も、しょせんは沖繩に核基地があることを前提として成り立っておるところの所論でございます。したがいまして、前総理大臣が認められておること、さらに、外務省の高官がひとしくこれを認め、かつ、すでに天下周知の事実になっておりますこの沖繩の核について、総理だけが知らないということは、あまりにも不見識であり、言うならば、これは虚構欺瞞の御発言と言わざるを得ないのでございます。総理の理解として、沖繩が核基地であることをこの際はっきりと認めていただきたい。この点をはっきりとひとつ国民の前に総理の認識を明らかにしていただきたいと思います。
  201. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私の昨日の沖繩の米軍事基地についての答弁がまことに不親切だ、まことにそっけないあいさつをしたという、そういうことでおしかりをただいま受けました。また、ただいまも池田総理がどう答えたというお話をしておられますが、池田総理ははっきり認めてはおりません。想像はするというような表現のように私は速記録を実は読んだのであります。  そこで、沖繩の軍事基地につきまして、昨日の私のそっけないお答えから私もあらためてお答えをしたいと思いますが、この軍事基地につきましては、昨日防衛庁長官お答えをいたしましたとおり、情報を含めて核基地があると想像はされますが、公式の通告はございません。したがって、情報を受けたということもありませんので、総理大臣として責任ある答弁としては、私が昨日申し上げたとおりでございます。しかし、さらに全体についてもっと親切に、しさいに説明すればおれも理解ができたんだ、こういうことだろうと思います。あらためて、ただいま申し上げますように、正式な通告だとかいうものはございませんけれども、想像いたしますところでは、昨日も防衛庁長官が申しましたように、ここに核基地がある、かように私も想像ができるのでございます。
  202. 春日一幸

    ○春日委員 潜在主権を持つ日本の総理大臣といたしまして、かつは施政権を日本に返してほしい、この交渉に全的責任をになわれております総理大臣が、いずれにしても、この返還が可能であるか不可能であるかのキーポイント、これが核問題につながるものであるということは、もうすでに論じ尽くされておるところでございます。すでに池田総理が情報であるとかいろいろ言われております。防衛庁長官も、マクナマラ長官の上院における証言等によって述べられております。  ただ、私どもがここで心得なければなりませんことは、その結果がいかがあれ、われわれはその事実に基づいて真実を語り合うのでなければ、一体この国政審議の意義というものはどうなるでございましょうか。ただお互いに音響を発し合ってやりとりをして、その場だけをつくろうていくという、そのようなことであっては相ならぬのであります。昨日申し上げましたように、ほんとうにかたずをのんで沖繩の諸君がこの審議の実情を見詰めておられることをわが身のものとするならば、そのようなでたらめなこと、そんなことでお茶を濁すという態度は許されません。しかし、ただいまそのような御釈明がございました。もとより満足すべきものではございませんけれども、いずれにいたしましても、一国の総理として、何か私どもにはわからないところのお立場があるようでございまするから、いずれこの問題は他の機会においてただしたいと思います。  ただ、問題の核心は、これに基づいて二、三の問題だけをただしていきたいと思いまするので、重ねて御答弁を願いたいと思います。  そこで、お伺いいたしたいと思いますることは、総理は、今回の日米共同声明で沖繩基地の重要性をお認めになりましたが、そうすると、沖繩が核基地であるという現状よりして、その重要性の確認、これは論理的にも、また実際的にも、核基地としての重要性をお認めになったということにならざるを得ないのでございまするが、それでよろしゅうございましょうか。
  203. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 核基地、その核も一つの問題でございます。同時に、非常な補給基地、兵たん基地、あるいは相当の兵力もここにございますから、その応急処置もできるという、そういうような意味で、全体をくるめてこの軍基地がまことに重大なる意義を持つ、かように思っております。
  204. 植木庚子郎

    ○植木委員長 簡単に願います。
  205. 春日一幸

    ○春日委員 そうですね。核基地を含めての軍事基地の重要性をお認めになったということでございますから、ただ問題は、日米共同声明によるその重要性の認め方なんでございますね。きのう総理は、現時点でこれを認めた、こうおっしゃっております。けれども、共同声明にはそういうことが書かれてございません。これをはっきりとして、今後その認識の上に立って対策をお立て願わなければならぬと思うのでございますが、共同声明の正文は英文である。英文を読んでみますると、「コンティニュー・ツー・プレイ・ア・バイタル・ロール」とありますね。これを日本語に訳せば、日本及び極東におけるその他の自由諸国の安全を保障するため、今後とも継続的な役割りを果たしておる。「コンティニュー・ツー・プレイ」ということは、今後とも継続的な役割り、今後とも決定的な役割り、継続して決定的な役割り、こういうふうに訳すのがすなおではないかと思われるのでございます。もしそれ総理が言われるように、現時点というような解釈をしたいというのであるならば、この英文というものはこんな形に表現されてはならない。それはアイランドがアールプレイング、こういうぐあいに、果たしつつあるというふうにしなければならぬのであって、「コンティニュー・ツー・プレイ」ということになりますと、少なくとも将来にまたがって、そういうふうに言い得ないとするならば、今後ともと訳するのが私は当然の事柄であろうと思うのでございますが、すなわち、今後にわたって核基地の重要性、それが必要なものであるということを認めるということが沖繩の返還交渉の上において重大な問題になる、こういうふうに考えるのでございますが、この点はいかがでございますか。
  206. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 なるほど今回は便宜上英文で書きました。しかしこの日本文の訳文も、当然米国の当局と話し合って、そうして日本文を了承した上でこの訳文ができておるのであります。したがいまして、ただいまのように将来にわたってというならば、この訳文の中にも将来にわたってこれをやっぱり認めた、こう書かない限り現時点において私どもが認めた、かように御了承いただきたいのであります。
  207. 春日一幸

    ○春日委員 そのようなことは了承できません。「コンティニュー・ツー・プレイ」といいますることは、将来にまたがってと言わないにしても、今後ともと読むのがこれは平静な訳のしかたでございまして、したがって、あなたが今時点においてそういうような評価をしたというような理解のあり方というものは成り立たないと思いまするが、これは麻生君なり田畑君なりの質問の時間において明らかにいたしたいと思います。  最後に、高辻法制局長官について申し述べたいと思うのでございますが、あなたは変なことをきのう言われておる。新聞に述べられておるのでございます。その問題は、私と内閣総理大臣との間に国の重要な政策の基本について論じ合ってきた。それをあなたが新聞に語られておることろによりますると、安保条約のうち事前協議の交換公文について政府がこれをどう運用するかというそれは行政措置の問題だ。すなわち沖繩に核基地を認めるかあるいは自由使用を認めるか。これは事前協議の対象になる。だから、相手から事前協議を持ちかけられてきたときには、日本がオーケーと言いさえすれば、何ら安保条約にも何も手を触れることなく核基地を設けることができるのだ。あるいはまた自由使用を認めることができるのだ、こういうようなことをあなたが言われておる。あるいは法律の正当な解釈はそんなふうに読み下すことができるかもしれませんけれども、われわれが論じておることは、国の最高の重大問題について、国の政策の大本についてわれわれがここに渡り合っておるのである。核武装をすべきかすべからざるか、この沖繩の返還を早期にいかに日本国民の願望とその条件制約の中でこれを達成するか、それを論じておるときに、あなたがこういうような国政の大本に関する問題について軽々しく現在の安保体制のもとで核基地が持てるのだなんというようなことを言いたいならば、きのうなぜそれを言わないか。われわれは、あなたは法制局長官であるから属僚末輩だとは言わないけれども、しかし国務大臣でも国会議員でも何でもない者が——こういうような渡り合いをしておりまして、われわれは非核武装宣言を歴代政府が行なっておるのである。核の洗礼を受けた唯一の民族として、全人類にかわって非核武装の宣言をしておるのだ。このことを論じ合っておるときに、そんなことはいともたやすくできるのだ、そのような暴論を吐くということがあるか。そういうことを言いたいとするならば、そのような論議が行なわれておるときに、法律の読み方としてはかくのごとき解釈も成り立ちます、とそれこそ言うべきである。国会の外の場所で、しかも新聞を通じてそのような暴論を吐くということは何事であるか。  さらに、私は総理大臣に要請をいたしたいと思いますることは、社会党の質問答えて中期債券の問題、流動性のないものを買う意思はないと言われたやつを、官房長官が買うこともあり得ると直された。このことは木村さんは国務大臣であるから別といたしましても、しかしそれは許されることではない。総理大臣が基本的な方針を述べたら、それをその晩にすぐこの委員会ならざる他の場所においてそれを訂正する。きのう核政策の基本について渡り合っておるものを、属僚末輩とは申さぬけれども、あなたがそれに相反するようなことをその他の場所で言われる。そうすれば、ここにおける国政審議というものが何だかそこであなたによって茶々を入れられたような感じがしてならないのである。不謹慎きわまると思うが、今後このような事柄について総理の発言を訂正したりゆがめたり、チャランポランにしたり、そのようなことのないよう厳にこれを戒めていただきたいと思うが、総理の御所見はいかがですか。
  208. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま総理の資格がないようなおしかりを受けました。部下を十分督励いたしまして、さような間違いを起こさないようにいたしたいと思います。
  209. 植木庚子郎

    ○植木委員長 次に麻生良方君。
  210. 麻生良方

    ○麻生委員 ただいま私どものほうの書記長からだいぶおしかりのおことばがありました。私は、きょうは総理及び関係閣僚を追及するつもりはございません。私は対話を申し上げたい。だから、ひとつ関係閣僚の方も私の意見の中で、もしそれがいいことであるとお思いになったら率直にお取り上げいただいて、それをあなた方の行政の上にぜひ反映をさしていただきたい。そういう立場で御質問申し上げますから、どうぞひとつリラックスにお答えを願い、また御意見をお伺いしたい、こういうふうに思っております。  初めにちょっと総理にお伺いいたしますけれども、いまの私どもの書記長に関連して、昨日総理は本土並みの返還が一般論としては好ましいことである、こういう御答弁をされておりましたが、それはいまでも御確認されますか。   〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
  211. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま麻生君がお尋ねになった点が、おそらく法制局長官の発言ともこれがからんできておるのです。これはいわゆる制度的、基本的な立場という議論と、それから沖繩の問題にどういうように取り組むか、これもやっぱり二つ区別してあのときもお答えしたと思いますが、区別して御理解をいただきたい。この問題が基本的な制度的な問題とすれば言われるとおりだと思います。しかし、沖繩の問題をどういうように扱うかということは、成田君に、ずいぶん長い時間をかけまして追及があったにかかわらず申し上げましたように、白紙だという状況でございます。そうしてもう少しそれは時間をかけてわれわれが結論を出すべきものだ、かように考えております。この点は誤解のないように願っておきます。
  212. 麻生良方

    ○麻生委員 私も、総理のおっしゃることはわからなくもございません。やはりこれからの交渉でございますから、私も理解はできます。しかし一般論として、本土並みの基地つき返還が好ましいというお考えをここに明らかにされた以上は、やはり常識的に見て、その方向で御努力をされるということが当然であろうと私どもは解釈をいたします。  そこで、この問題について外務大臣——あまりリラックスになり過ぎてしまうとちょっと困りますから、ほどほどにひとつ……。いまの総理の御答弁及び昨日の春日質問に対する答弁に関連をして、外務大臣の御所見を簡単にひとつお伺いしておきたいのです。
  213. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまは失礼しました。隣の閣僚からちょっと発言がありまして、失礼をいたしました。  そこで、きのうの総理の答弁は、私も終始聞いておりましたが、総理の述べられておることは、やはり本土並みということがそれは一番原則だろう、しかし沖繩は白紙の状態で検討したいというような、ことばは違いますが、そういう趣旨であったと思うわけです。したがって、これは今後数年の間に日米で協議をする場合に、やはり基地のあり方というものは一番重要な問題だと思います。したがって、総理が言われるように、これは白紙の状態で基地のあり方というものを日米で協議をするということよりほかにない。現状においても大体核基地であろうということが想像されるわけでありますが、現状においてそうでありますから、一体沖繩の基地というものはいかにあるべきか、その現状の上に立って今後これを検討すべきであると私も考えます。
  214. 麻生良方

    ○麻生委員 私はざっくばらんに申し上げますと、総理、ジョンソンとの間に日本の防衛、沖繩の基地返還について今回必ずしも合意が得られなかったという点についての問題は、その辺に問題点があるのだろうと思います。核基地返還をそのまま認めてくるということであればこれはもっと別な角度で進展しておったと思う。私は総理の御苦心のほどはわかります。しかし、一般論として総理お答えになったことはやはり常識でございますから、その線に沿って今後御努力を願いたいと思います。  それからこの問題については、私は、総理大臣と外務大臣だけの問題ではなく、全国民の問題、したがって当然この方向は、全閣僚の御意見をお聞きになった上で総理も最終的なコースを歩まれると思う。  ここで私は、中曽根運輸大臣にちょっとお聞きしたいのであります。中曽根大臣は、かつて佐藤内閣を右翼片肺である、こう批判をされておる。しかし今回大臣におなりになったわけです。おなりになった以上は、いままでの御批判を十分に佐藤内閣の上に実現をされるという御気概でお入りになったのだろうと私は思います。特に中曽根大臣が今回御就任される前に、米国の各地、国内の各地で御講演をされている本旨は、私どももかなり聞いております。それらの観点から、あなた御自身のこの問題についての所見をこの際お伺いしておきたい。
  215. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 自由民主党は自由にして民主的な政党でありますから、党員は大いに自分の意見を述べ合って、それを最終討議にして、まとまった討議には服従していく、そういう慣習がある国民政党であります。この点は麻生さんの民社党と同じであるだろうと私は思います。そういう意味で、自由に民主的な意見を私は表明いたしましたが、やはり政治家国民の願望を表明する使命があると思いまして、かつて大体普通であるならば内地並み返還というものが最も望ましい、そういう意見を表明したことはあります。しかし、これは安全保障の問題そのほかいろいろな問題もからんでくるので、最終的には、これはその時点になって考えるべきである、そういうことも言っておるのであります。麻生さんからいろいろお話がありましたが、やはり沖繩国民の願望をいかにとらえるかということがこの問題の焦点ではないかと私は思っております。  沖繩問題については三つの立場があると思います。一つは、日本政府の立場であって、一日も早く沖繩を復帰させたいということと同時に、日本の安全保障という問題を同時に考えなくちゃならぬ。アメリカの立場は、極東の防衛ということを最も重点を置いて考えているだろうと思いますし、沖繩の考え方は、一日も早く日本並みに復帰して自由な人権を享受したい。ちょうどわれわれが占領下にあったような立場にまだあるわけでありますから、あの人たちが基本的人権の享有を望む声は、われわれは察しても余りあるものがあるのです。そういう意味において、一日も早く本土に復帰したいという気持ちがほんとうの意味の民族主義ではないかと私は考えるわけであります。この同胞の願望をできるだけ早期に達成することが、われわれ内地におる国民責任であると私たちは思います。   〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点から考えると、これは比重の問題ではありますけれども、基地の問題や何かについて、あんまり声が大きく出過ぎているのじゃないかと私は思うのです。ともかく帰りたいというのが本音じゃないかと思うし、帰るということが目の前に出てくれば、基地やその他の問題は、沖繩の人たちにとっては比重が下がるのだろう。基本的人権を享有する、内地の同胞と一体になるという大きな願望から見れば基地の問題は、私は比重は下がってくるのじゃないか。それが基地の問題や何かがあまり大きく出過ぎているというのは、沖繩の民衆の願望から離れて、政策論や何かがかなり表に出てきているのじゃないか、私はそう思うのです。そういう意味からしても、沖繩の人たちの願望がどこであるかということを察して、また日本の政策とも調和させながらすみやかに復帰を完成するということが私たちの責任であると考えます。
  216. 麻生良方

    ○麻生委員 総理にお尋ねをいたしますけれども、この共同声明の中で総理は明確にこういうことを明らかにしております。「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を堅持することが両国の基本政策であることを明らかにした」。このことは、結果的に判断すれば現行条約の固定化ではなくして自動延長である、こう解してよろしゅうございますか。
  217. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この結論はどうでしょうか。私はまだ自動延長という結論を出したわけじゃございませんし、それかといって条約改正論を出したわけでもございません。まだいましばらくあるのでございますから、その間にどうしたら一番いいか、最も望ましいその形を研究したい、かように思っております。
  218. 麻生良方

    ○麻生委員 この文章を私はとらえて言うわけではございませんが、総理、安全保障体系なり体制なりを堅持するというなら、総理お答えはよくわかるのです。しかし条約を堅持する。条約というのは具体的な現行条約をさす。これは明確なことばであります。したがって、これがここにうたわれておるということは、条約を堅持すると判断せざるを得ない。とすれば、現行条約の自動延長に結果的にならざるを得ないのは、これは当然ではございませんか。
  219. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 なるほど、あの日本文を読んでみますと、条約を堅持する、こう書いてございますが、基本的態度とするというころにもまたございますので、いわゆるどういうような形にするか、これはまだ先の問題ですから、これはひとつ研究いたしましょう。
  220. 麻生良方

    ○麻生委員 しかし、おそらく察するに、総理のお気持ちは現行条約にあるのだろうと思いますが、自民党内部でもまたいろんな意見が出ておりますし、政府としての統一した、現行条約に対する基本態度が固まっておらない現状で御答弁はむずかしい。これは私のほうで推察をいたします。しかし、これを文字どおり解釈をすれば、国民がそういうふうに受け取るのは、総理がどうお考えになろうと、どう弁解されようとも、これはやむを得ないことである、条約と書かれている以上は。私はそういうふうに判断をして、質問を先に進めさしていただきたいのです。  少し問題は別ですけれども総理は重ねて、いままで日本の安全保障を守るには、やはり日米の安全保障条約が不可欠な条件である、こういうことを再三繰り返されておる。これはいまでも間違いございませんね。
  221. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 きのうまで答えたことと、きょうと変わりはございません。
  222. 麻生良方

    ○麻生委員 私はここで総理に、国際情勢全般に対する所見を、角度を変えて、ちょっとお伺いしたい。  日米安全保障条約というのは、双方の意思が合意に達して成立しておる条約です。つまり、総理がそうお考えになっても、相手国であるアメリカが永劫不変にそう考えているとは限らない問題である。このことは、従来までいろいろな国際条約が結ばれてまいりましたが、一朝にして、その国際条約が相手方の出方によって破棄されるという事態も、しばしば国際上に起こっておることです。そういう点から考えますと、総理は最近のアメリカの世論の動向というものについて、これを十分に洞察されておられるかどうか、どういうふうにお考えになっておるか、これをお伺いをしたい。
  223. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、世論の動向も、今日日米協力というか、それを一そう進めるべきだ、かように要望しておる、またそれをそのとおり考えております。私が今回もニューヨークに参り、さらにまたスプリングフィールドあるいはシカゴに顔を出し、またシアトル、そういうところの都市、ハワイでもまた特にそういう感が深いのですが、そのいずれの土地におきましても、日米協力体制の必要、これをそのまま申し出ております。私はそのとおりに理解しております。
  224. 麻生良方

    ○麻生委員 現在の総理が御把握されておる状態がそうであるとしても、アメリカの国内には微妙な世論の動向があらわれ始めておることは、私がここで具体的な事例をあげるまでもないと思います。たとえばリップマンとかマンスフィールド等々はアメリカがあまりにも極東の事情に介入し過ぎているという意見をかなり公に公表し始めておる。さらに総理承知のように、アメリカの国内には、現在の日米安全保障条約をきわめて片務的なものであるとする不満な階層がかなりあります。これをもっと日本は、お互いの相互条約であるならば、日本自身がアメリカが攻撃を受けた場合でもこれに協力できるような体制に切りかえるべきだという意見もなくはございません。こういうような二つの意見はともに総理がお考えになっておられる現行安保条約とは逆な方向に、いずれの場合をとってもアメリカの世論が動いていくということも想定される。そういうことについて総理は洞察されたことがございますか。
  225. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 麻生君が言われるように、いろいろな方があります。マンスフィールドさんも日本に来たとき私も会いました。特別な考え方を持っておるようだが、しかし率直な話の、意見の交換はできる方であります。また国会内に保護貿易論者もある、またアメリカ自身が昔のモンロー主義とは申しませんが、やはり自分のところだけに立てこもろうというような、こういう意見もあります。しかしながら私が申し上げておるのは、大多数の意見というか、多数の意見をただいま申し上げたのでございます。もちろんアメリカにもいろいろな方がありますから、そういう点は無視はできない。
  226. 麻生良方

    ○麻生委員 そういう判定、そういうお考えでまいりますと、私はある意味においてきわめて危険もある。やはり国際情勢の推移というものを、特に戦後二十年のアメリカの極東政策の推移というものを顧みても、率直に言えば、二十二、三年前は日本とアメリカとは敵対関係であったことも事実であります。その後アメリカは、たとえばキュバを頂点としてソ連との間に敵対関係がありました。しかし、キューバを頂点として以来、米ソは急激に雪解けの方向をたどって、今日ではむしろある意味における国際政策の合意点をこの両国が見出し始めているということも事実である。こういうような過去の歴史の事実を積み重ねていくと、今日のアメリカの極東政策が百年先、二百年先というわけではございませんよ。ここ五年先、十年先にやはりある変化があらわれてくると洞察することは当然なことである。とすれば、私は、総理のお考えの日米安全保障条約にだけたよって、日本の安全を守っていくことはきわめて危険であるという気がいたすのでありますけれども、その点についての総理のお考えをお伺いしたい。
  227. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまアメリカと同盟をし、日米安全保障条約を結んでおる、これは申すまでもなく、核の谷間にある日本として当然のことだと思います。同時に私どもがいまたよりにしておるもの、これは力があるとかないとか申しますが、いわゆる国連中心、国連機構のもとにおいて、やはりわが国の安全を確保する、こういう考え方でございます。ただその国連内における活動その他を通じてみましても、日米間はいまたいへん緊密な関係にある、かように思います。もちろん今後の情勢の変化はそれはありましょう。ありましょうが、前ケネディ大統領あるいはその前のアイゼンハワー大統領、引き続いて三代のときから見まして、今日ほど密接な関係ができたことはないように思う。またこの関係をそこなわないように、お互いに注意していく、そういう心がまえであってほしい、かように私も考えております。しかし、ただいま言われますように、国は独自の立場において、その国益を守っていくという、この立場でなければならない。ときにアメリカ大統領といえども、幾ら信頼するといいましても、意見が一致しないことがあるし、それが日本の国益に反するというようなことも考えられるだろう、そういうおそれなしとしない。そういう場合の総理責任というものはやはり何といってもわが国益優先、その立場において話を進めるべきだ、かように思っております。
  228. 麻生良方

    ○麻生委員 私は、これまた総理の心中を推測して申し上げるのですけれども、いまの御答弁のようなお考えの上に立ってアメリカ首脳部といろいろと懇談をした結果、やはりこれはそういうことが万が一あるかないかは別として、信頼しておったアメリカが、いつの間にか他国との間に関係ができて、わが国との関係が別な角度になってきたという場合も想定しながら、総理はやはり自主防衛ということが必要であるということにお気がつきになったのではないか、こう推測するのですけれども、私のこの推測についての御所見をお伺いしたいのです。
  229. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 自主防衛、これはことばがあるいは不十分だと思います。自主防衛という限りにおいては、みずからの手でみずからの国を守る、全部が全部そうなっている、完全なものでなければならない、こういうようにどうもとられやすいのですが、自主防衛と申しましても、平和憲法のもとまた私ども国民と誓った事柄もございますし、それなどを考えると、わが国自身が国力、国情に応じた自衛力の整備ということを申しております。それだけに自主防衛といってもこれはたいへん不十分なものだと思います。私どもいま日米安全保障条約を必要としておるのは、核の谷間にいる国だ、そういう立場にあるこの日本の防衛体制は、安保体制がやはり必要だ、こういうことでありますし、またそれは今日の日本の立場、また日本と同じような国から考えると、みずからがその道を選んだ、こういうところに自主的なものがある。これは他からしいられて、アメリカ自身からしいられて、おれのほうはおまえのうちを守ってやろう、こういうものじゃなくて、これは日本人自身がこの道を選ぶ、そこに私は自主防衛というものがあるので、それで差しつかえないのだと思っております。これは自分のところで核も持ち、何もかもみんな持って、そうして一国でどこの国からも侵略を受けないような、そういう防衛体制をつくれ、こういうものでない、かように私は思っております。
  230. 麻生良方

    ○麻生委員 いずれにしましても、総理がアメリカから帰国後に自主防衛を盛んに口にされ始めたという根拠について、いろいろこの国会でも意見がかわされ、質疑が続けられ、また国民もその辺が一番知りたがっているところであります。ただ、本日私はこれだけの質問ではございませんので、その点はこの程度にしておきます。  もう一つ、この中でお伺いしたい問題がありますが、この間、国会会議における与党の代表質問の中で、日本は本来核保有の能力がある国である、それにもかかわらず核を持たないことをきめているんだ、こういう代表質問がございました。総理は、日本の潜在的な核保有能力はどのぐらいあるとお考えになっておりますか。
  231. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 質問をちょっと私解しかねるのですが、どのくらいあるというのはどういう意味かと思いますが……。いま日本が核の平和利用をいたしております。したがいまして、この核についての技術をもってすれば、いわゆる核兵器の開発もまた可能だ、かように実は考えておるのございます。どのくらい持っているかというそでの評価のしかた、なかなかむずかしいのでございますけれども、いま平和開発をしておる、その立場から申すのでございます。
  232. 麻生良方

    ○麻生委員 総理も一応日本が核保有の潜在能力があるということは、お認めになるわけですね。私はそれはもちろん専門家でないからわかりませんけれども、私どもが聞いておるところでは、現在の東海発電所ですね、この東海発電所が発電の機能を犠牲にしてその操作を切りかえさえすれば、二百キロ以上の純度の高いプルトニウム二三九ができるというような結果が出ておる。これは長崎原爆に比べると三十個以上に相当する量になるであろう、こういうことが専門家筋から出されておりますね。そういうことを踏まえたときに、総理が共同声明の中で取りかわしてこられたこの「核兵器拡散防止条約の早期締結を含め、軍備の管理及び軍備拡大競争の緩和を促進する」という共同声明が出ておる。この日本の核兵器保有の問題とそれから拡散防止条約の問題とをジョンソンとの会談の中で相当突っ込んでお話をされた結果、かような共同声明になったと思われますが、その内容を明らかにされたい。
  233. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、ジョンソン大統領と私どもの時間は、たいへん短い時間でございます。この間に十分の意見の交換をする、こういうことはもう時間的にも御想像がつくようにございません。しかしながら、もうかねてからいわれておりますように、核拡散防止条約、また日本が核兵器を持たないということ、持ち込みも認めないということ、いわゆる核に対する三原則といいますか、これはよく知っておる。しかし、同時に、日本自身がこの平和利用で立ちおくれることは困る、そういう意味で進んでいるアメリカの協力を求めなければならない、このこともすでにもう前提の知識として相互にあるわけでございます。したがいまして、それらに基づいてただいまのような共同声明ができた、かように御理解いただきたい。
  234. 麻生良方

    ○麻生委員 そうしますと、この共同声明の内容の趣旨は、これは率直にお伺いしますけれども、この共同声明を盛ることの発意は、アメリカ側から提案されたのか、あるいは総理のほうから御提案されたものか。
  235. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この共同提案、私のほうが出かけたものでございますから、当方が主軸になって話をした、かように申しても差しつかえないかと思います。しかし、最も強く出ておりますのが第七項でございまして、それ以外の項におきましては日米両方で意見が一致したものだ、かようにお考えをいただきます。
  236. 麻生良方

    ○麻生委員 総理も御承知のように、核拡散防止条約の内容というものは、まだ固まっているわけでもございません。しかし、私が一つお伺いしたいのは、いま総理の言われた核の三原則ということですね、つまり日本は核兵器を持たないということをジョンソンとの会談の中であなたは共同声明としてうたわれたということは、アメリカに対して日本は核兵器を持たないということを約束をしたという意味にとってよろしゅうございますか。
  237. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、私は、いま申しますように、そういう三原則を前提とした、まあ前もっての知識、こういう立場だということを申したので、いわゆる三原則をジョンソン大統領に約束した、こういうものではございません。
  238. 麻生良方

    ○麻生委員 そこは私はことばのあやになると思いますけれども、少なくとも共同声明の文章としてこのことを明確にうたった以上は、やはり総理とジョンソンとの間の誓約としてこれは受け取られるという結果になると思いますけれども、その点についての拘束力、これをお伺いをしたい。
  239. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 コミュニケというものは、いわゆる条約だとか協定だとかいうものとは違います。しかし、両国首脳者の基本的な方針、ものの考え方、これを明示したものだ、かように御理解をいただきます。
  240. 麻生良方

    ○麻生委員 そうしますと、この核防条約について、総理は、まだその条約の内容が草案すらできていない段階において、しかも閣内の統一意見もない段階におはて、また国論の統一のない段階において、このジョンソンとの会談の中で一歩先んじてこのことをある意味において二人で約束したという結果にならざるを得ないと判断しますが、その点についての重ねての総理の御答弁を要求したい。
  241. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように、わが国の態度は核拡散防止条約のその精神には賛成だということは、もうしばしば外務大臣が述べております。その趣旨に基づいてのものでございます。
  242. 麻生良方

    ○麻生委員 その精神においてわれわれ全日本国民はこれに賛成であっても、問題は、日本は核保有潜在能力を持っている国である。このことを絶対にしないと他国との間に約束を取りかわすということと、日本がみずからの意思として核兵器を持たないということとは別問題でありますけれども、この共同声明の中に総理がこれをうたったということは、やはり何と解してもこの核防条約に対して日本がある意味での一歩先んじた義務づけを世界に表示をしたと受け取られる結果になりますけれども、その点、重ねて総理の御所見を伺いたい。
  243. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、核兵器がなくなることがわが国の理想でもあるかまうに考えております。したがいまして、核拡散防止条約、この精神には賛成であり、多数の国がこれに参加すること、これを心から願っております。同時に、それが核兵器がなくなる第一歩だ、かように考えておる次第でございまして、私が今日このわが国の考え方、態度を明確にすることは、世界に先んじてはおりますけれども、望ましいことではないか、かように思っております。
  244. 麻生良方

    ○麻生委員 しかし、総理がもうすでに御承知のように、この核防条約は精神においてだれも反対する者はありません。しかし、問題はその内容であります。日本が持っている潜在能力というものをアメリカであろうとどこの国であろうと、それを持たないということを他国に誓約すべき筋のものでは、絶対ございません。内容の吟味なしには、その是非は検討されないことであります。そういう点から考えますと、総理がこの条文をこの中に織り込まれたその真意は、私どもの今後の日本国としての核防条約に対する態度にある意味での規制を与えたことになる。これはきわゆて重大な結論になると思うが、この点について外務大臣の御所見を伺いたいのであります。
  245. 三木武夫

    ○三木国務大臣 このコミュニケは、核兵器の拡散防止条約、条約そのものに総理大臣がコミットしたというような意味はありません。この項目は、世界の平和促進に対する大統領と総理大臣の意思を言っておるので、前段に国連の強化をうたい、核防条約のような条約が早期に締結されることを望み、同時に軍縮、あるいは国際的な軍備の管理、あるいはまた軍備競争の緩和、それから東南アジアに対する経済協力、一連の平和に対する意図を両方の首脳者が言ったので、このことは核防条約に対する拘束力は持たない。当然に核防条約は国会の批准を受けなければならぬのですから、条約がどういうふうになるかならぬかする前に、総理大臣がこれをコミットするわけではない。世界の平和を促進するために、公正なそういう条約ができることが好ましいという意図を述べたと解釈をされて私はしかるべきだ。当然にこういう条約が出たならば、国会において十分の御論議を願って、それが日本の利益にならぬものであるならば、こういう精神に賛成しても、反対することは当然だと思います。
  246. 麻生良方

    ○麻生委員 そうしますと、結論といたしましては、この共同声明の条文は、精神としてこれに賛成したのであって、内容についてはアメリカに約束したものではないということの結論として判断をしていいですね。
  247. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま外務大臣が申しますように、国の最終的意思決定をする、それはもちろん国会だと思いますし、私はただいまの状況におきましても、私自身の方針といいますか、私の考え方をコミュニケにすると、このとおりでございます。
  248. 麻生良方

    ○麻生委員 下田大使がアメリカにおいて、この問題についてこういう発言をされております。「日本の核保有の選択を将来の世代にまかせるべきだという見解は、日本政府の基本的立場から、はみ出していない」と、こういう見解をアメリカで表明されておりますが、いまの総理並びに外務大臣の御答弁は、この下田大使の見解を肯定するものであると解してよろしゅうございますか。
  249. 三木武夫

    ○三木国務大臣 下田大使の発言は、これは考えてみれば、あたりまえのことを言ったわけでして、条約には改正の手続規定もあれば、期限もあれば、脱退の規定もある。フューチャーゼネレーションということばを使っているのですから、五十年ぐらい先でしょうね。フューチャーゼネレーション、これをわれわれが全部拘束する権利はない、こういうことは言わなくてもわかっていることであって、条約はやはり将来を拘束することは、実際にできない。しかし、われわれとしては、そういうことが、将来そういう核兵器の開発をしないというわれわれの考え方が、やはり将来においてもこれがわれわれの子孫において継承されることを望みますけれども、しかし、そういう将来のわれわれの後世のゼネレーションが国の方向うといものをきめる権利を持っておることは、それはそのとおりだと考えます。
  250. 麻生良方

    ○麻生委員 ここで別な問題として、駐米大使が出先においてかくのごときことを言うことについての是非の問題がございます。しかし、それは本日の私の質問からははずします。しかし、下田大使はなぜこれをアメリカにおいてあえて言わなければならなかったかということについての、アメリカの国内世論の背景というものを見のがしてはならない。よろしいですか。大使はこう言うておるのですよ。「日本が中共の核脅威という問題がありながら、条約に加盟しようとしている。その犠牲の大きさを米国人に理解してもらいたかったからだ」と、こういうことを言っておる。このことは、下田大使が大使としてアメリカにおるときに、アメリカの国民はこの日本が払う犠牲についての理解がいまだに乏しいという背景のもとにこの発言が出ておるということを、お忘れになってはならない。このことについて、総理の所見をあらためてお伺いしておきたい。
  251. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 下田君がどういう背景で申したか、いまその記事を読み上げられたのでございますが、ただいまのような点については、麻生君のお話を謙虚に伺っておきます。
  252. 麻生良方

    ○麻生委員 防衛問題につきましてはまだまだ御質問を申し上げたい点、また、いままでの先輩、同僚議員質問の中で幾多の疑義がございます。しかし私は、国会というものは防衛問題だけではない、他の幾多の山積みしている問題があると思いますから、防衛問題についての質問はここで打ち切らしていただきますけれども、重ねて総理にお願いしておきたいことがあります。やはり日本の安全保障を考えていく上には、他国というものを固定化して考えてはならない。国際情勢は流動的でありますから、どんなにアメリカの態度が変わっても、中国の態度が変わっても、日本がそれによって振り回されないような、そういう観点からお考えを願いたい、これが一つであります。  それからもう一つ、私は核に反対であります。核兵器に反対である。しかし、私も反対であり、日本国民の大多数も反対でありましょう。同じように、日本は憲法において戦争放棄を宣言しておる。しかし、この基本的なわが国の考え方は、他国との外交問題の折衝の具に供したり、他国と誓約をしたり、他国によって強要されたりすべきものでは絶対にない。日本人自身の意思によってきまっていることであるという点だけは、今後特に核防条約に対する総理の態度として堅持をしていただきたい。この旨を御要望申し上げて、総理の所見をお伺いします。
  253. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの一、二の点についての御要望でございますが、私も全然同感でございます。大体わが国の安全を確保するのに、非常に固定して、今後の情勢の変化も考えないで、ただいまからもう真一文字に進む、そういうことであっては、なかなか安全確保はできない。そこにやはり情勢に応じた判断をすべきだというお考え方、これには賛成であります。  また第二の問題として、私も核がきらいだ、しかしどこまでも自主的にものごとを考えろとおっしゃる。これも私もう間違いなく同じ考え方でございます。はっきり申し上げておきます。
  254. 麻生良方

    ○麻生委員 それでは次の質問に移りたいと思います。私は、きょうは主として都市問題について総理大臣及び関係閣僚にお伺いをいたしますから、これまたひとつぜひリラックスに、いろいろ一緒に考えながらお答えを願いたいと思うのです。  総理、あなたは東京都に住んでいらっしゃるでしょうが、この東京、住みよい東京だとあなたはお考えになっていらっしゃいますか。
  255. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 住みにくいとは言えませんが、なかなか問題は多いようです。私は週末に鎌倉へ参りますが、とにかく鎌倉へ出かけると、たいへん休みやすい、眠れるところでございます。そういうことを考えても、一つもうすでに空気がよほど違っている。ここらはやはり都市生活者として公害問題、これは大きく出ている。その他交通問題、道路問題、住宅問題、何やかやとたいへんな問題がある、かように思っております。
  256. 麻生良方

    ○麻生委員 そのように総理自身でさえ、東京が住みいい東京であるとはゆめお考えになれない状態である。そこで、この住みよい東京という問題を考えたときに、総理はこれを一地方自治体だけの問題であると、こういうふうにお考えですか。
  257. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 矢つぎばやにお尋ねですが、現行の制度上は、やはりそう考えるのが筋だと思います。しかし、もちろん中央政府もこういうことに無関心であってはならない。また皆さん方も、都会だけの問題ではない、こういうことでやはり公害基本法もつくろうという、またその他それぞれ社会保障その他のこともいろいろ考えられるのですから、いわゆる自治だけの責任ではない、かように考えます。
  258. 麻生良方

    ○麻生委員 総理東京の問題が一地方自治体だけの問題であるお考えなら、私はここで質問をやめます、それは東京都議会の問題でありますから、しかし、そうは考えないとおっしゃいますので、私はあえてこの問題を本委員会質問をさせていただきますから、御了承願いたい。よろしいですね。——この住みにくい状態、これはかつて犬養道子さんが、もう東京はほとほといやになったと言って京都に移ってしまいました。私も選挙区が東京でありますから、これもやむを得ず東京におりますが、そうでなければ、正直に言ってこんな町には住みたくないと思うている。しかし住まざるを得ない。住まざるを得ない人の数は、たくさんにのぼっております。そこで最近、これは日本だけではなくて、国際間においても過密都市の問題というものが新たな政治課題として大きくクローズアップされてきております。この過密都市対策にこれからの政治の焦点が大きなウエートを占めていくであろうということがいわれておりますが、この傾向について、総理はこれは御得心されますか。
  259. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私もさように考えます。
  260. 麻生良方

    ○麻生委員 それでは、きょう少し関係閣僚おいでになりますから、関係閣僚と御一緒にこの住みにくい東京の現状の分析を少し御質問しながらここで引き出してみたい、こういうふうに思うのです。  総理、私のところに実はある中小企業につとめている二人の青年男女が相談に来たのです。結婚するというのですよ、恋愛が実を結んで。それで先生、住宅を何とか心配してくれ、こういうわけです。先生は国会議員だから、裏から手を回せば都営住宅か公営住宅に入れるのではないかと思うから、何とかひとつ世話してくれ、こういうふうに言ってきたわけです。私ははなはだ困ったわけです。私が幾ら国会議員であるからといって、公営や都営住宅を抽せんを抜きにして入れるわけにはいかない。実は私はこの二人の青年男女の相談に乗ってやれなかったのですけれども、これは総理のほうに向けたいと思いますから、総理はこの青年男女に住宅問題についてひとつどういう導きをしていただけるか、御質問したいのです。
  261. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 住宅団地について代議士に割り当てもございませんが、総理大臣にももちろん自由になる割り当てがございません。したがいまして、今日不足しておるこの状態はやはり解消する、こういうことで住宅問題に積極的に前向きに取り組まなければ、問題は解決しない問題だと考えます。
  262. 麻生良方

    ○麻生委員 そういう説明では——この二人の青年男女の問題は切実なんですよ。切実なんです。この二人の青年男女、いま政府でおつくりになっている公団住宅がありますね、この公団住宅に申し込めば入れるということには、なかなかならないのですね、建設大臣。公団住宅に入るには一定の収入基準というものが必要でございまして、なかなかいまの公団住宅のように一万百千円もする家賃のところには、町に住む中小企業者の青年は入れない。とすると、総理、これは結局相談に乗ってやるとすれば、都営住宅に申し込みなさいという以外にないんですね。そうすると、その青年男女は、いつ入れますかと、こう聞くのです。いまの現状で、いつごろ入れると総理お思いになるのですか。
  263. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 自分で入りたい場所に入るということは、なかなかむずかしいかわからない。あるいは最近の新聞その他では、全然応募のないところ、あるいは相当あき間のある団地もあるというようなことが言われておりますが、これはよほど交通不便であるとか遠隔の地に違いない。したがいまして、こういうようなところではみんな困るんでしょうから、どのぐらいかかるか、それも私まだ計算したことはございませんが、とにかく非常な住宅不足だ、かように思います。いまほかのことはともかくとして、住宅建設に力を入れようじゃないかと、この内閣で実は申しておるのです。それで、この住宅問題と取り組むとなると、同時にそれが道路の問題であったり、上下水道の問題であったり、交通の問題であったり、病院の問題であったり、全部がそれに関連を持つわけでございますので、家だけつくればいいという、そういう簡単なものではない。そこらにこの問題の取り組み方もございます。しかし、いまの建設大臣としても、政府から見ましても、衣食住と申しますが、現状ではこの住居の問題と取り組むということ、これが最も必要ではないだろうか、かように思っております。
  264. 麻生良方

    ○麻生委員 総理質問したことだけにお答えいただいて、施策はあとでまたお伺いいたしますから……。  いまどのぐらいで入れるか、総理自身まだ計算してないと言われるから、建設大臣からちょっと教えていただきましょうか。いま東京都営住宅の申し込み率、何人に一人ぐらいの割合で当たることになっていますか。
  265. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えします。  麻生さん、対話だというかまえで先ほどからたいへん緊張して伺っておるわけでございます。ありていに言いまして、もはや数字の問題じゃないと私は思うのでございますよ。とにかく個々の例をあげてみますと、遠く見知らぬ方々のことはもちろんでございますが、お互いに身近な家庭の中におきましても、住宅問題というものは非常な切迫した問題だというように感じておるわけです。公営住宅の当選率あるいは住宅金融公庫の貸し付け率というもの、ちょっと率を申し上げてみましたところで、そういうことで私は問題を考えるんじゃない。(麻生委員「逃げてはいかぬ」と呼ぶ)いや逃げもしません。それはもう逃げる必要もありませんし、まっとうに取り組んでいかなければならぬと思っております。あなたは特に東京を基地としておられるし、私どもも長いこと東京におりますけれども、今日の打開は——これはロンドンでもパリでも同じ、あるいは東京よりはまだいいかもしれませんけれども、とにかくこれらの先進諸国の都市に比べまして東京はあまりにひど過ぎるんじゃないかという感じを非常に強くいたしておりますから、ひとついい御提案をいただいて、お知恵を拝借して、何とかやっていかなければならぬというような気持ちでおります。
  266. 麻生良方

    ○麻生委員 建設大臣数字の問題じゃないと言われましたが、この二人の男女にとっては、いつ入れるかが切実な問題なんです。ところが、私が答えざるを得ないとすると、現状においては、その当選率は七十人か八十人に一人であるという答えをせざるを得ないのです。そうすると、二人はがっくりして帰っていくんですね。だから、いまの日本では——哲学者は、結婚は恋愛の墓場だと言うた。これは精神的に言うたんですよ。しかし、日本では、結婚は恋愛の墓場だということは、精神的じゃない。現実的にそういうことになっておるのですよ。せっかく結婚したって入るところがない。八十人に一人、待っていたら、これは総理大臣と保利さんと同じように二人はしらがになってしまうのです。いいですか。いま建設大臣は、これは切実な問題だと言われたが、建設大臣、この二人の男女が結局落ち行く先はどこだか御存じですか。まさか野原に住んでおるわけではないのですよ。どこに住んでいると思いますか。
  267. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほどもお話しでございますが、とにかく公営住宅の抽せん率が約四十倍ぐらいになっておるんでございますね。したがって、その住宅を求めておられる方々の御難渋のほどは、お互いにこれはわかる。(麻生委員「どこに住んでいるか」と呼ぶ)それはしかしまさか野原になにしておられるわけじゃないでしょうから、その住まいの状況というものは非常な最悪の条件の中におられるということを知らなければならぬと思います。
  268. 麻生良方

    ○麻生委員 なかなか御名答の答弁です。最悪の条件に住んでおる。その最悪ということは、建設大臣、具体的にどういうことか。いいですか。この二人は結局どこに住んだかというと、現実として、やむを得ず民間経営のアパートに住んだのです。四畳半一間で、家賃が六千五百円ですよ。いいですか。そこに住んでおるのです。そこで夫婦生活を営んでおるのです。やがて彼らに二人ぐらい子供ができます。四畳半一間に家族四人住んでおる。大臣は四畳半アパートに住んだ御経験おありですか。
  269. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えします。  私のことを申しては悪いですけれども、とにかく私も子供を持っております。世帯を持たせまして、非常な難渋をしたアパート生活をいたしております。よく承知しております。私自身も若いころは四畳半、三畳に下宿したこともありますから……。しかし、そんなものじゃないと思うのです。ときどき新聞やアレビ等で散見します、あの住宅難からくる市民生活の悲劇というものに目をおおうわけにはいかぬと、私もそのように思っております。
  270. 麻生良方

    ○麻生委員 いま、こうやってわれわれは笑いながらお話をかわしておりますが、現実問題としてこの二人は低額所得者です。しかも家賃においては、高額所得者より以上に高い家賃の民間アパートに住まざるを得ない。この民間アパート四畳半の家族四人の生活が、総理、あなたは憲法を守るとおっしゃるが、憲法で保障された健康にして文化的な生活であると総理はお考えですか。
  271. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、二人はたぶんたいへんしあわせな夫婦生活をしているのじゃないか、形の上から見れば、なるほどいまお説のように非常に狭いところであり、非常に苦しい思いをしているが、しかし二人はやっぱりしあわせなんではないか、かように思います。
  272. 麻生良方

    ○麻生委員 これは総理、たいへんな御答弁をされる。何なら、この二人を総理のところに向けましょうか。いまの総理の答弁をされたら、びっくりぎょうてんいたしますよ。彼らは愛し合っておることにおいてはしあわせである。しかし、まさか総理は、愛し合っていることだけですべてのしあわせがかちとれるとお思いになっておられないでしょう。つまり政治というものは、精神的な愛情を保障するためにあるのではない。よろしいですか。もし総理が彼らに注がれる愛情があるとするならば、彼らがその精神的な愛情を十分に享受し得る生活環境をあなたはお与えになる義務があるのだ、憲法の上において。これは私が言うまでもない。総理承知の上で御答弁されておるだろうと思います。つまり、そのような物質的な上において憲法の保障する生活ができないような状態にある世帯が、建設大臣東京だけでどのくらいあるとお考えですか。
  273. 保利茂

    ○保利国務大臣 差し急いでとにかく建てなければいかぬのが、五十万戸くらいはどうしても大急ぎでやりたいというところでございます。
  274. 麻生良方

    ○麻生委員 五十万世帯あるのですね。  この間社会党の勝間田委員長が、どこやら公団においでになって対話をされた。建設大臣もひとつ、私が御案内をいたしますから、これらひしめいている四畳半住宅に住んでいる人々の意見を一度聞いてごらんになるお気持ちはございませんか。
  275. 保利茂

    ○保利国務大臣 勝間田委員長の団地御訪問のなに、私も拝見いたしておりました。私も公団総裁に、とにかく一ぺん、できているところ、取りかかっているところ、できればその公営住宅の申し込みをされる抽せんの情景等をよく見せていただきたい、場合によれば、ひとつ麻生さんと一緒に出かけたいと思っております。
  276. 麻生良方

    ○麻生委員 それのみならず、いま問題にしているのは、四畳半で、おしめがぶら下がっているところに住んでいる人たちの実情をひとつあわせて見てください。お約束できますか。——お約束いたしましたから、これはあとで、予算委員会としてでなくてけっこうですが、一度ぜひその実情をあなたはごらんになっていただきたい。  そこで、いま大臣お答えになったように、さしずめ五十万世帯ほど、これはどうしてもあります。しかし、これらは住んでいないわけではない。いずれも民間アパートに住んでおるのですね。しかもこの数は年々増加をしております。一生懸命で政府が住宅をつくっているのは、追っつかないのであります。そこで、私はあとで御提案申し上げたいのですが、建設大臣がこの住宅問題を解決される具体的なお考えを、ごく短い時間で明らかにしていただきたい。
  277. 保利茂

    ○保利国務大臣 私も正直申しまして、就任しましてから、実はこの問題に没頭いたして、役所の方々の勉強も願って、何とか住宅問題を中心として、お互い東京のことで頭一ぱいでございますけれども、同時にそれは大阪のことにもなってまいりますし、何とか市民生活がいま少しく快適に行なわれるような基本的な道をひとつ切り開いていかなければいかぬじゃないかということで、一生懸命勉強いたしているわけですけれども、ひとついい知恵があったら、ほんとに貸していただきたい。これは、私はイデオロギーとか、それぞれの党派を離れて考えなければならぬ、国政に参加している者のみんなの責任じゃないかというような感じすらするわけでございますから、御名案があらばひとつどうぞお知恵を貸していただいて、鞭撻をしていただくようにお願いいたします。
  278. 麻生良方

    ○麻生委員 どうも建設大臣、たいへん謙譲でいらっしゃる。  政府が本年度発表している住宅建設予定は、もうここで議論するまでもなくよく存じております。せっかく建設大臣がそう言われるのでありますから、私もそう言われて何も考えがないというのでは、はなはだ都民に対して相済まぬから、私の考えている一つのアイデアをいま御提案申し上げますから、ひとつ建設大臣の所感をお伺いしたい。  私は、この住宅問題の解決ということは、いま政府がやっている施策を見ると、新たに土地を買って、その土地に公団を建てるという施策を試みております。したがって土地の買収費が全住宅建設予算の実に倍近い比率を示しておる結果になる。しかもこの結果、土地の値上がりを著しく招来しておる。土地の値上がりは、東京だけでここ十年間に十一倍とはね上がっておりますよ。この土地の値上がりによって、また思わざるいろいろな問題が派生しております。こういうように政府が土地を買ってそこに住宅をつくるといういまの政府の基本構想は、どんなに土地の価格の値上がりを規制していっても、その方針を推し進めれば勢い都外地に延びざるを得ない。現状において、ここ一、二年の統計によると、住宅公団で建設しておる住宅はいずれも都心部から通勤一時間半を要する地区になっております。そこで、私の車の運転手もようやく一時間半の千葉県に入ったのですが、朝私を迎えに来るのに五時起きをしなければならぬのですよ。そして私が国会活動が終わって帰る。帰るのは十一時過ぎですよ。私の運転手は最近結婚したばかりですが、それこそ、総理、お楽しみどころではないんだ。もうくたくたですよ。そしてこのようにだんだん遠方になっている住宅から都心に通勤している勤労者の数は年々増加の一途をたどっている。これがまた運輸大臣、派生的に交通麻痺を起こしておる。交通麻痺を起こし、人体に対して著しい健康阻害を与え、しかも家庭生活を破壊をしておる。これがいま直面している大きな魔ものですね。こういうことを考えますと、建設大臣、私はいまの政府の施策の根本的な考え方を改めていただかなければならぬ、いまのような住宅建設の方針を、と私は思うのです。ではどうしたらいいかといえば、これは自民党の田中さんのやっておられる委員会で、都心を再開発をして、そして都心部を高層化するという案が出ております。私も賛成であります。しかし、都心部の再開発で、そこに高層住宅をつくるということには非常な難点がございます。もしそれ、土地を買い取るとしたら、これは現在の土地を買い取る価格の十倍、二十倍の予算を要してもなお足らないのである。と同時に、土地を収用するということになると、徹底した権力によって収用法を適用させなければなかなか収用はできません。私は自民党の案をちょっと拝読をいたしますと、公共事業に供するのであるから、地主は当然土地を供給すべきである、その結果によってその周辺の土地が上がるのであるから、見返りとしてはいくではないかというような考え方が潜んでおりますが、これを推し進めるということはなかなかむずかしい。  そこで、結論として私のアイデアがあります。それは、いま現に住宅困窮者の八割が民間アパートに住んでおるんです。現在どこに住んでいないわけではない。いずれも四畳半で六千円、七千円もかかる民間アパートに住んでおる。私の調べた統計によると、この民間アパートの八割が木造二階建てであります。そして、そのアパートの所有者は、いずれも自己資金によってこれを改造し得る能力を持たないのです。したがって、改造したいと考えても、自己資金でこれが改造できない。つまり高層化することができない。私は、民間資金を導入して東京都の都心部の再開発をするという政府並びに自民党の案に賛成です。しかし、民間資金の導入ということは、大企業からの民間資金を利用することを考えるのではなくて、直接土地を持っている地主の土地提供を促進していくような方法によってこれを解決していかなければならない。  率直に具体的な例を申し上げますと、私がここに二百坪の民間木造アパートを持っているとします。いまこれを高層化しようとすると、政府のいろんな制約のある資金を借りなければならない、住宅建設資金を。しかも、その所有権は自分のものにならないのであります。だから、これを利用する者ははなはだ少ないのであります。しかし、もし私がここに二百坪の土地に朽ち果てた二階建ての木造アパートを持っている。その土地を提供することによって、政府が資金を投入して、もしそれを六階建て七階建てに建てかえてくれる。そうすれば、建物は政府の所有である。土地は私の所有である。このことを認めてくれるならば、私は喜んで土地を提供したい。と同時に、そのことによって入ってくる家賃は当然規制できます。政府が出資をするのでありますから、家賃規制が行なえる。そして家賃規制をされた家賃の収入を、私も土地を出資しているのでありますから、私にも応分の配当をいただきたい。と同時に、政府が建物を出資したのでありますから、政府にも応分の還元があってしかるべきでしょう。私の計算によれば、十五年から二十年の間に、この方法が成功するならば、政府が出資した額は家賃の収入によっておおむね回収されます。回収されたと同時に、私はなお人間の所有権というものを否定できない、とすれば、政府の出資額が回収されたときに、その建物の所有権は政府が私に譲渡をするというような方法をおとりになることをお考えになると、私は、都心部にある民間アパート経営者のかなり積極的な協力が得られると判断しておりまます。このような考え方は、考え方の基本としてありますけれども、現実にはまだそれは行なわれてないのです。たとえば二階建てのところを、げたばきの三階建て以上の住宅をつくるならば、政府は金を貸してやるというが、借りた金はあくまでその本人、私が返さなければならぬ。しかも、利息をつけて返さなければならないから、東京にできるマンションの家賃は、いずれも三部屋で五万円台にならざるを得ないのです、私が返していくとすれば。いいですか、そういう方法を、私はアイデアとして建設大臣に提供をいたしますから、これをぜひ建設省としては御検討を願う。つまり、極端に言えば住宅不足数のものが、五十万世帯が民間アパートに住んでおる。それが都心部に住んでおる。私の調査では、新宿、杉並、豊島、中野、品川、いずれも副都心ないし都心部であります。これを五階建て六階建てに高層化して、そこにいままで住んでいた者が同じように住み得る。しかも家賃は規制されて安くなる。しかも、地主である私は将来その建て物が自分のものになる。こういう方法によって都心部の高層化構想を進めていただいたらいかがか、これは私のアイデアであります。アイデアでありますから、その是非をここで検討していただく必要はございません。しかし、建設大臣としてのこの私の考え方に対する御所見だけは賜わりたいと思う。
  279. 保利茂

    ○保利国務大臣 御提案は十分ひとつ検討さしていただきたいと思いますが、ただ、さなきだに家賃が高い。いまの御提案の趣意も、民間アパートの家賃を何とか引き下げる方法はないか、これがねらいであろうと思う。帰するところは、結局住宅が払底しておる、需給バランスを失しておるというところにあると思う。そこで持ち家になるべく力を入れたほうがいいじゃないか、いや、そのいとまはないと、いろいろ議論があるわけでございますが、とにかくみんなが内容の吟味に入れるように、住宅を大量に提供することを考えることが第一じゃないだろうか。そういう意味からいたしまして、都市再開発法もただいま国会に出されており、都市計画法の改正も出されておるわけです。これを成立させていただいて、そういうものの運用でどの程度の効果をあげ得るかは、これも非常に問題は残ると思うわけでございますけれども、そういうこともあわせて考えていきたい。  ただいまの御提案はたいへんけっこうな御提案だと思うのですけれども、公営住宅の——私もなまかじりと申し上げたほうがまだ正直だと思うのですが、なまかじりで聞きましても、大体公営住宅の今日の家賃は、耐用年数を越える七十年の償却ということで家賃を設定しているようであります。(「そんなことがあるか」と呼ぶ者あり)いや、そうです。そこで、そうしますと、それは十分検討いたしますよ。検討いたしますが、七十年という償却年数を置いて家賃を設定してきている。高い安いという議論はありますけれども、そこで現行の家賃がつくられておるわけでございます。いまお話しのようになりますと、地主さんにも土地相応の利潤を与える。政府も回収する。お話しのように、十五年や二十年でうまく償却、還元できて、そしてあとは地主さんにお渡しするというようなことができれば、これは最良の策だと思うわけでございますが、七十年もたってから、地主さんにお渡しするときにはもう役に立たぬ、こわし賃がよけい要るというようなことにもなりかねないというようなところにも問題があろうかと存じますから、ひとつこれは麻生さんじきじきお話しを願って、お知恵もいただき、われわれのほうも真剣に検討するようにいたしてみたい。ともあれ、とにかく公営住宅にもう少し力を入れて考えていかなければいかぬじゃなかろうかと思っております。
  280. 麻生良方

    ○麻生委員 私にも私なりの計算している数字がございますから、これはあとで建設大臣、十分にひとつ御相談さしていただいて、お取り入れいただけるなら御検討願いたいと思います。いま申し上げましたように、特に関係閣僚も一緒にお考えを願いたいのですが、住宅問題一つ取り上げましても、土地問題を取り上げましても、東京はもうある意味でどうにもならない。それがいろいろな問題を派生的に起こさしめているという状況は、大体御理解をいただいたと思うのです。  次に私は、東京の過密化の原因として取り上げられる交通禍と公害の問題がございます。中曽根運輸大臣、新大臣でありますが、自動車、特に日本は、東京で問題になるのは自動車でありますが、自動車の増加率が一年どのくらいの率になっておるか、もしおわかりでしたら……。
  281. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 東京におきましては、いま月に平均一万四千台くらいふえております。
  282. 麻生良方

    ○麻生委員 それは率でまいりますと、大体一四%一年間でふえているという計算。したがって、十年後の東京というビジョンを設定すると、これは完全に倍以上になるという計算になる。そうすると、これをこのまま放置して東京都の現状がもてると、運輸大臣お考えですか。
  283. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 数学的計算ではなかなかむずかしいのですけれども、しかしその間に道路あるいは地下鉄、高速道路そのほかを整備いたしまして、でき得べくんばニューヨークのように地下鉄網をできるだけ発達させて、通勤その他は地下鉄を利用するようにする、自動車はなるたけ使わないようにするようにいたしたいと思っております。
  284. 麻生良方

    ○麻生委員 施策の点についてはあとでまたお伺いをいたしますが、いま申し上げたように、一つの現実問題として把握しただけでも、自動車の増加率が十年後には倍になる。とすれば、駐車場の問題、その交通禍の問題もそれにつれて増加していくであろうということだけは推測できます。いま一番東京都民が不安におののいているのは、この交通禍の問題であります。私のごく身近な者の中にも、車に飛ばされた方々の数はおびただしい数字にのぼっておりますが、本年度だけで、この交通禍にあって死傷をされた人々の数がどのくらいにのぼると推定されておりますか。
  285. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 正確に記憶しておりませんので、あとで調べて御答弁いたします。
  286. 麻生良方

    ○麻生委員 五十九万一千六百八十人に現在時点においてすでに達しておるのです。六十万人が交通禍で死傷を受けておる。しかもこの中で、死者もかなりのウエートを占めておりますが、傷害を受けた者のほとんどが再起不能な状態におとしいれられておる。総理、われわれが日本の安全問題をここで論議すること、大切です。日本の安全保障をどうするか、日本の平和をどうするかということを外交問題として論議することは大切ですが、現実に一年間に六十万の人が平和を脅かされ、かつ平和を破壊されておる、家庭の平和を。生活を失っておる。この現状から考えますと、私はやはりこれはたいへんな問題だと思わざるを得ないのですね。したがって、こういうような交通禍と、公害の問題もあります。  いま私の調査によると、この霞ケ関周辺で人体に害毒を及ぼすであろうと思われる大気汚染の比率は年々増加しております。もうすでに三年前からこの霞ケ関周辺においては、われわれが意識するとしないとにかかわらず、呼吸器、目、鼻、これを完全に脅かされつつある、侵されつつあるという実績は、厚生省の統計調査から明らかに出ております。だからこれは人ごとじゃないのです。われわれがそうなんです。私も目がまっ赤です。都心に来ると、のどをやられます。全部の問題ですね。だから公害の問題、これまた私が強調するまでもないのですが、大気汚染あるいは水質汚濁、騒音、これらのものが今日の都市生活者の平和を著しく破壊している侵略者であるという判定も当然成り立つわけですね。したがって、これに対する対策が当然厚生大臣としておありになると思うが、厚生大臣、あなたの一番重要な新しい課題はここにあると思われるけれども、いかがですか。
  287. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりに、大気汚染については、降下ばいじんはやや減少の傾向にありますが、亜硫酸ガスはここ数年間増加いたしております。なお、ただいま指摘された自動車の排気ガスからくる一酸化炭素と相まっておそるべき状態にあって、これがスモッグの原因になっておる。気管支あるいは目、鼻、こういうものをそこなっておる具体的な原因になっております。そればかりでなく、都市内の河川、これの汚染は御承知のとおりであって、水源、水道の汚染、浄水費の増高。それから子供、おとなのレクリエーションの場所を奪われる。その上に自動車、飛行機、特に建設工事等の騒音は、また今日の健康上一番大事な神経系統を侵すことになっておって、東京都のこういう苦情受付所では、騒音に対する苦情申し込みが一番多いと承っております。したがって、厚生省としましては、先般おきめ願いました公害対策基本法を基準にして、早急に環境の基準を制定をし、これに基づきまして総合的に公害を防止するために、公害防止計画を策定しなければならぬと考えておりますが、とりあえずは、まずこの大気汚染の防止、騒音の規制、紛争の処理及びこの救済についての具体的な方法を考えておりまして、法律案を策定するために、ただいま関係各省と検討を進めております。  しかし、いずれにいたしましても、御指摘のとおりに、この公害というのは、人間のためにつくられたる都市の過密、あるいは工業、こういうものによって逆に人間が押し詰められて、生きる権利が危うくなった状態であって、いま必死になって人間が生きる権利を押し返そうとしておるのが公害対策であると考えております。したがいまして、この公害対策は、防衛と違って、追っかけておっては永久に片はつかない、やはり先に進んで、職場と住宅の分離、あるいは工業地帯と住宅の間を緑地帯または公園地帯で包囲をするなど、総合的な都市計画あるいは新しい環境の整備等を考えて、公害対策については厚生大臣はときたましか心配がないというようになることが公害対策の重点であると私は考えております。
  288. 麻生良方

    ○麻生委員 厚生大臣の御答弁、私はそのとおりであろうと思いますが、それはそのままにしてお聞きするだけにしておきます。  次に、都市問題としていま重大な問題は、総理、予想し得ないことでありますけれども、天災、災害が起こったらどうなるかということなんです。これはたいへんなことなんです。いまこうやっている最中にでも天災、災害は起こらないとは限らない。しかも日本は特に地震、津波にはもう見舞われがちな国であります。もし地震、これは関東大震災があって、東京が灰じんに帰した記憶をわれわれはなまなましく持っておりますが、地震の権威学者の河角理博によれば、周期的に来るであろうという予想が成り立つと言っております。これは学者の意見であります。そうすると、この博士の理論によると、あと十二、三年後に、関東大震災に類似する震災が日本に起こり得る可能性が統計学的にあり得るという警告を堂々と発表しておるのですよ。そういう状態がもし起こった場合、あるいはそういう遠い十二、三年先のことではなくて、九月あるいは秋、台風が来るかもしれない。東京湾というところは津波に弱いところであります。湾が入り込んでおる。したがって、もしこれが満潮時に台風が来て、大阪がこの前襲われたと同じような条件下に東京湾が置かれたとしたら、これも権威ある筋の推定によるなら、大阪の受けた被害の三倍に達する高潮が押し寄せるであろう。残念ながら、この推定によると、今日の東京都の堤防、六メートルないし七メートルの堤防では防止し得ないのです。しかし、現実においては防止し得ると判断しておるが、もしこの推定が実現した台風が押し寄せてきたら、防止できない。とすれば、東京都は一瞬にして水の海であります。こういう状況になったときに、一体東京はどうなるかということを関係閣僚は推定されて、それの対策をお考えになった方がおありになったら、ここで御答弁を願いたいのです。
  289. 保利茂

    ○保利国務大臣 なるべく天災の起こらないことをこいねがうわけでございますが、大阪の災害やら、特に伊勢湾台風が非常な教訓をもたらして、ために、東京の一番弱い地帯といわれております江東三角地帯で、あれから東のほうでございますか、そのほうにつきましては政府は非常に力を入れて、ともかく江東の三角地帯の海岸堤防、荒川から新中川に至る海岸堤防、伊勢湾台風級の最悪の状態でまいりましても十分守り得るという工事はほぼ達成できておるようです。まだ隅田川の上流でありますとかあるいは神田川の一部等は工事が残っておるようでございますけれども、このほうも急いでおりますから、そのほうは、まあとにかく今日予想し得る事態に対しては相当の備えができたものと、都民の方々にもそういう意味では御安心願っていいんじゃないかと思うわけです。  しかし、地震のお話になりますと、東京消防庁や公安当局も万全の体制は用意はしてくれておると思うのですけれども、どうも関東大震災のような震災がきた場合のことを想定すると、ある程度の出火、火災等を覚悟しなければならぬのじゃないか。その場合に、どういう避難場所、空地、広場等にまずどういうふうに都民の人命を守るかということに重点を置いて考えて、対策を講じていただいておるようでございますから、心配はせねばならぬですけれども、あんまりまた神経過敏になってもいかがかと、万全を期してまいらなければならぬと考えております。
  290. 麻生良方

    ○麻生委員 大震災とまでいかなくても、小さな火事で逃げおくれて死んだ実例は、建設大臣、昨今の社会面の記事に充満しておりますよ。これらがもし退避場の設備あるいはその他がきらんとあれば助かっているものが、現在それができておらない。  それから堤防の問題でも、建設大臣が御答弁のように、都民が安心しているかどうか、これは都民のアンケートを見ればおわかりになる。政府は毎年災害のたびに堤防をつくる。その堤防が毎年こわれている事実を国民はよく知っておりますよ。いいですか。新潟にしてしかりですよ。毎年災害がある。そして災害予算をわれわれがここで一生懸命検討してつくる。その災害予算の半分がどこかに流れてしまって、そしてあいまいな堤防ができる。それがまた決壊する。それの繰り返しがいままで戦後二十年の連続であった事実をわれわれ東京都民はよく知っておるから、建設大臣がいかにここで御安心を願えるであろうと御答弁をされても、なかなか安心はできないのです。  と同時に、いまの火災の問題になれば、もうこれはどなたでも常識でお考えになっておわかりになるように、いまは地震で物が倒れるだけではない。至るところにガスストーブがある。石油ストーブがある。それから可燃性の衣類をわれわれはたくさん持っておる。あらゆるところに火がつきやすい状態が今日の新しい近代生活の実態です。したがって、地震は、そのままそれは大火に通じているということになれば、一部の損害だけでは済まなくなってくる。そういう状態が予想されておるのです。  したがって、これらの天災地変からどうやって国を守るかというこの古代社会における政治の素朴な課題が、実は皮肉にも近代社会における新たな政治的課題として登場しているということは、もう私が言うまでもないのです。  そこで、いま申し上げたように、そのほかいろいろあります。水資源の問題その他ある。つまり、今日の過密都市現象としてとらえられる問題を数えあげれば切りがございません。しかし、いずれもいまここで質疑応答した中で明らかなように、総理、これはたいへんなことだ。これは東京だけではない。大阪しかり、横浜しかり、つまり、日本の大都会が多かれ少なかれこれと同じような運命にあるとすれば、防衛問題は、さしずめ、安全保障条約もさることながら、われわれ身近なところにある。生活防衛、平和の防衛ということにならざるを得ない。  そこで、私は、関係閣僚に、これらの重大問題として登場した政治的課題に対して、いまのような各省がそれぞれ独自な立場でお立てになっている対策だけで事足りるとお考えになるかどうか、そのことだけについてのイエスかノーを運輸大臣から順々にお伺いしたいと思います。
  291. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運輸省のほうでは、交通通勤対策を中心にいたしまして、十年計画、二十年計画くらいの想定を持っていまいろいろなデザインをしております。それと同時に、緊急対策といたしましては、最近の機会に、五年くらい以内に地下鉄を、いま一号線から六号線までできておりますけれども、七、八、九、十と、これは運輸審議会を通って、七号線はもう着工をしておりますが、これを至急完成させる。そのほかに、それだけでは副都心を結ぶのはまだ足りないので、渋谷、新宿、池袋から宮城方面に向かって三本また追加する、これは、運輸審議会に近くかけて、これも可決する予定であります。そういうふうにいたしまして、交通通勤を目途にいま一生懸命当面の問題及び十年、二十年対策等をかけて検討しております。
  292. 麻生良方

    ○麻生委員 大臣に私がお伺いしたのは、それらの諸対策は、運輸省だけの諸対策で十分に完成されるとお思いになっておられるかどうか、その点について一言でけっこうです。
  293. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろん運輸省だけではこれはできませんので、首都圏整備委員会あるいは建設省その他と連携しながらこの案を進めているわけであります。
  294. 麻生良方

    ○麻生委員 建設大臣も、おそらく建設省だけでこれらの問題が解決できるとはお思いになっていらっしゃらないでしょう。そうですね。そこで、御答弁いただければけっこうです。うちだけつくるのが建設大臣仕事ではない。うちをつくってみたところが、それにいろいろな思わざる障害が発生しておる現状から見て、たぶん建設省だけではできないとお考えですか。
  295. 保利茂

    ○保利国務大臣 とにかく、ただいま運輸大臣から御答弁がありましたことでも、でき上がったら相当改善されるだろう、でき上がるまではどうするか、このままか、そういうわけにはいかぬのじゃないか。私は、やっぱりいま一番問題は、都心に向かっての通勤量はまさに飽和点を越えておるのじゃないか、これ以上都心に向かって、いま運輸大臣が言われるような施設が完了するまでは、今日以上の通勤者を入れる余地はないのじゃないか。これはやはり政府だけでなしに、民間側も御協力をいただいて、そうして、どうしても都心になくてはならぬものは別として、場合によったら都心から出ていったほうが仕事の経営上もいいのだというような方は、ひとつできるだけ——いわゆる都市再開発とそれを申すのでございましょうが、工場であるとか、事業場であるとか、教育機関であるとか、そういうのはできるだけひとつ出ていっていただいて、通勤者が手近なところから通勤できるようなことも考えていかなければならぬのじゃないか。これは運輸省当局と非常に密接な関連がありますから、十分話し合いを尽くしてひとつできるだけの道を発見してまいりたい。かように考えております。
  296. 麻生良方

    ○麻生委員 総理がお立ちのようでございますから、最後に総理に御質問したいのですが、その前に、自治大臣、これはなかなか微妙な問題でございまして、地方の自治権というものがございます。したがって、原則的にその自治権の考え方でいけば、初めに総理お答えになったように、これは東京都の問題であります。しかし、いま関係閣僚の御意見を総合すると、これは東京都だけの問題ではないという結論にならざるを得ない。その場合に、自治大臣として、この東京都の問題を、つまり、一般的概念としての自治問題として対処したほうがいいのか、もっと高度の計画性を持った方向で、言うならば地方自治体と政府とがある意味で一体になって推進をすることのほうがいいとお考えになるか、この点についてだけの自治大臣のお考えをあらかじめただしておきたい。
  297. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今日の東京都の実態は、都だけで片づかない問題が山積しております。そのために、東京都も含んで首都圏の整備委員会もできておりますし、また、もっと広い立場に立って、高い立場に立って諸問題の解決をはかっていかなければならぬというふうに私ども考えております。たとえば、いまの交通問題にいたしましても、運輸省とも協議はいたしておりまするけれども、もう数年先が目に見えておるわけでございまするから、いまそんなばかなことができるかと言われる事柄を取り上げて真剣に検討しないと、悔いを千載に残すようなことになりはしないかということをおそれております。東京都が直面しておりますいろんな問題を取り上げても、みなそういう姿であるということを私は痛感しておるものでございます。
  298. 麻生良方

    ○麻生委員 そこで、総理、ひとつこれはぜひ総理にお考えを願いたい。いままでの過程の中で、住みにくい原因、また不安定な原因、生活を脅かしている原因の一端を私は質疑の中でかなり明らかにしたつもりであります。そして関係各省の大臣の御意見も、要するに、これは東京都だけの問題ではない。また、各省だけがやってもそれが行なわれ得ることでもない。とするならば、当然これは総理として、新しい角度から総合的な都市計画に取り組まざるを得ない状態に来ておると思うのです。そのことについて、総理はいままで東京都の美濃部都知事とひざを交えて対話をされたことがおありになるかどうか、お伺いしたい。
  299. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 結論だけ申せば、美濃部君とひざを交えて話ししたことはございます。それはともかくとして、私、国内問題として、ただいま片一方で過密対策、いわゆる都市対策、これが再開発と言われる。同時にまた、過疎対策というものが国内の開発から見ましても非常にむずかしい状況であります。この二つをかみ合わせるとりっぱな国土ができるのではないだろうかと思います。先ほど来いろいろお話がありました。その過疎対策のほうは全然お触れになりませんでしたけれども、過密対策には当然それがあるのだというように心得て、先ほど来各大臣からもお答えしたようでございます。ことに、その中でおあげになりましたように、このままでいってそれだけでもたいへんなことだと思いますが、万一これが災害、言われるような不幸な大地震が起こるとか、あるいはまた戦火に見舞われるとか、こういうようなことを考えると、ほんとに身の毛のよだつような思いがするのです。そういう点をも考えまして、都市再開発、これは当然必要なことだと思います。しかし、私しばしばそういうことを申しながらもたいへんふしぎに思いますのは、最近は恩給生活者というか、もう一応用事の済んだ方も実は都会に住んでおる。ここらにやはり都会の住みいいものがあるとか、あるいは住みいいとまで言わなくとも、やはりどうも都会に集中する、そういうのが一つの経済的要請であろうかとも思います。こういう点を考えて、国内全体がもっと均衡がとれた、そうしてもっといま申し上げるように、ほんとに活動する場所が都市でなければならないのか、もっと地方にその活動する組織自身も分散してしかるべきじゃないか。もう現に小田原付近にも第一生命ですか、特別な団地ができておる、こういうような、都会でなくてもそこらに行くような工夫もされておる。また、われわれがいま計画しておる学園都市を地方につくろうとしておる、こういうことに積極的に御協力願って、やはり過密対策を現状のままで考えないで、新しいものを取り入れてみる。先ほど麻生君は住宅についての一つの提案をなさいました。私は、これは十分考慮に、検討に値するものだ、かように思いまして、ありがたく拝聴いたしましたが、その他何事によらず、現状のままではとにかくこれはいけないのだ、新しい道をとにかく考えていく、そうしてそれには何といっても各方面の協力がぜひとも必要でございますから、ほんとうに積極的に取り組んでいくことだ、かように私は思います。ありがとうございました。
  300. 麻生良方

    ○麻生委員 総理、もう一つだけ。いまの総理お答え、私もきわめて率直な御意見で感銘します。ただ、総理が御意見としてではなくて、それを実際に行動として移していく場合には、当然政府と東京都並びに近郊県の一体的な総合計画の基本構想というものがなければならない。こっちにはみ出したから、はみ出したものだけ処理をすればいいという状態ではないということはもうすでにおわかりだと思います。  そうしますと、いまの総理の構想、これは東京をどうするかということには三つあります。その一つは遷都であります。いい悪いは別として、東京都を移してしまうという遷都論があります。それからもう一つは都市改造、つまり、都市の中だけでこれを改造していくという考え方があります。それからもう一つは衛星都市を含む首都圏構想で、将来それを首都圏として扱っていこうという構想があります。この三つの構想にこれはもう総合的に学者の意見は集約されております。このうちのどの基本構想により総理のお考えは近いか、お伺いしたい。
  301. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、二と三がわりあいに実際的ではないか、かように思います。
  302. 麻生良方

    ○麻生委員 よくわかりました。都市改造か衛星都市を含む混合体制、これは私も同感であります。とすれば、これはいまのような首都圏整備委員会の権限では推進できるものではございません。御承知のように、首都圏整備委員会は何の権限も持っておりません。ただ計画において意見の調整をはかるというだけであります。あとは個々ばらばらであります。したがって、総理の最後の御見解として、この首都圏整備委員会をより強化していくお考えはないかどうか、この点を確かめておきたいのです。
  303. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまの制度自身でも実効はあげ得る、かように思います。さらに進んで特別な権限が付与されればなおけっこうだと思います。しかし、いまの時代は民主的な民主政治でございますから、中央だけで権力的にものごとをきめるべきでない、かように思います。  なお、先ほどの美濃部君との問題でお話し申し上げておきますが、あるいは高層建築の問題であるとか、あるいは地下鉄の建設の問題であるとか、最近は小笠原の問題であるとか、これらについても意見を交換しております。特別に誤解を受けやすい私でありますけれども、とにかく大事な首都東京、これを住みいい町にする、こういう意味におきまして、いわゆる十分胸襟を開いて話をするつもりでございます。
  304. 麻生良方

    ○麻生委員 どうもありがとうございました。どうぞ総理、御予定の時間のようでございますから、お引き取りください。  もうしばらく、あと十分ほど与えられておる時間がございますから、与えられておる時間の中で質問を続行さしていただきます。  いま総理お話しになりましたこの首都圏整備委員会の問題でありますけれども自治大臣、いまの首都圏整備委員会の構想では私は不十分だ。また、総理も、その不十分な点があって、より強化されれば好ましいという御答弁が出ております。より強化されることが好ましいということになると、それはどういう方向で強化することが一番好ましいと思われるか、自治大臣の所見を、これはけ単にひとつお伺いしておきたい。
  305. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおりに、首都圏整備委員長は建設大臣がおやりになっております。しかし、どなたがおやりになろうとも、やはり自治省としましては、この自治体というものにつきまして一番接触もしておりますし、その開発だとか発展とかにつきましては責任を持っておる省でございまするので、いまも特にわがことのようにこの首都圏整備委員会には接触をして、連絡は強く保っておるつもりでございます。最終的にどういう形がいいかということは、私がここで発言いたしますのはいかがかと思いますけれども、私は、そういった意味で特にこの首都圏の委員会は重視をしておることを申し上げておきたいと思います。
  306. 麻生良方

    ○麻生委員 この首都圏の問題、これからどういうふうにこれを発展強化さしていくかという問題は、地方自治の自主性とからんできわめて重要な問題になると思います。しかし、本日は時間がございませんから、この問題を一つの課題として私はきょう御提案を申し上げておるのでありまして、十分にまた所管委員会において御検討いただいて、総理の趣旨に沿った総合的な東京都及び首都圏に含まれる県及び政府との一体の総合計画が後手にならないように——いままでの政府の計画は。すべて都市対策は後手後手でございます。私はその経過をつぶさにここに持っておりますが、時間がございませんから、その説明は省略をさしていただきますが、後手にならないようにお進めをいただきたいと思います。  以上、都市問題について私の質問は終了さしていただきますが、最後に、文部大臣にちょっとお伺いしておきたいことがございます。  私は、過日文教委員会において、芸術院制度の問題について劔木文相に御質問をしたことがあります。その際、劔木文相は、芸術院問題について前向きの姿勢が検討すべき時期に来ておるという御答弁が出ておりますが、そのことについて文部大臣は御了承されておるかどうか。さらに、それがその後どういう検討を進めておられるか、この点をお伺いしたいのであります。
  307. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 芸術院の改組の問題につきまして、麻生君と劔木文部大臣との間に質疑応答が行なわれた、そしてそれに対する劔木文部大臣答えがどうであったかということは、私も伺っております。また、私も劔木前大臣と同じような考え方をいたしておりますが、劔木大臣の時代に、芸術院に対しまして国会の論議の模様等も十分伝えまして、まずひとつ芸術院のほうで改善、刷新の問題について考えるようにということを促しておるようでございますので、私はそれに期待をいたしております。同時に、この問題は芸術院だけの問題でもないと思います。皆さん方の御意見も十分伺った上で結論を得たいものと考えております。
  308. 麻生良方

    ○麻生委員 ただいまの文部大臣の御答弁で、さらに前向きで芸術院制度の問題は検討する、しかも、芸術院の内部においても検討すべき小委員会が設置されて進められておるという答弁と解してよろしゅうございますか。
  309. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 そのように御了承願いたいと思います。
  310. 麻生良方

    ○麻生委員 それで私は了承いたします。  ただ、文部大臣、今度の芸術院会員の選考の問題についても、補充七名がついに選考できなくて、三名を推薦いたしました。ところが、そのうちの一名の内田百聞氏は、芸術院会員なんかなるものかということで辞退をされておる。はなはだ醜態であります、この事実は。と同時に、私が入手した資料によりますと、この芸術院会員を選考する、つまり、国の最高の栄誉をになう芸術家を選考する委員会に、実に八十三名のうち四十名が委任状を送って済ましておるという事実があります。かくのごとき無責任な状態で国の最高栄誉をになう芸術院会員を選ぶということになるならば、われわれは芸術院問題から手を引くということを提唱せざるを得なくなる。いいですか。この問題が解決されなければ、やがて私どもは、特に私は、この問題について政治が介入せずという形を打ち出さざるを得なくなると思いますから、その点十分御考慮に入れた上で、時間をおかけをいただいて、この問題の改善をはかっていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  311. 植木庚子郎

    ○植木委員長 麻生君の質疑は終了いたしました。  これにて総括質疑は終了いたしました。  明日は午前十時より委員会を開会し、一般質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。   午後六時四十二分散会