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北山委員 まあ自治大臣その他激励をいたしたいと思いましたけれ
ども、時間がございませんので結論のほうを急ぎますが、私がいままでいろいろとお尋ねをしたこと、あるいは御要望をしたこと、これは私
ども社会党ですから、いまの資本主義のベースで基本的にはものは
考えない。しかし、現在の
日本の
経済が非常なひずみができたり、あるいは国家の
経済、国民
経済が破産
状態になったりするようなことは、国民としてこれは防がなければならぬ。いまの国民というベースでもって
政府の正しい
経済運営というものを私
どもは要求したい、そういう気持ちで言っておるのです。したがって、これを集約いたしますと、私はやはり
佐藤内閣には三つの反省してもらわなければならぬ点があると思うのです。
一つは、第一番目に申しましたところの国際
経済の新たな大きな動向、IMF体制が動揺しているというようなこと、
ドル不安のこと、これはやはり真剣に
考えていままでのやり方を反省して、そうして
日本の
経済の自立ができるような方向でやっていかなければならぬ。たとえば貿易にしても、
ドルを使わなくても済むような、円でも済むような貿易を拡大する。中国の貿易についても、もし
ポンドが不適当であるならば、円決済をやるような道を開くというようなことをやはり積極的に
考えて、
日本の
経済が自立になるような方向に
運営していかなければならぬと思うのです。イギリスの労働党内閣が、せっかく労働党の内閣でありながら
アメリカのベトナム戦争に追随せざるを得ないということは、やはり
ポンドが弱いからなんですね。そういう点を
考えた場合に、私
どもは、いままではあるいはこの
ドルに依存してそれで済んだかもしれない。あるいは
大蔵大臣が言うように、そのほうがある程度得だったかもしれない。しかしそのやり方が今後とも有効だということは言えない。そういう情勢になってきているということをよく
考えていただきたい。
それから、先ほ
ども指摘しましたように、ことしの
経済運営については、実はやったはずの景気調整策がさっぱり有効ではなかった。そこにしり抜きがあった。いわゆる資本蓄積型の
日本の税制あるいは財政の中に問題があるということ、これを改めてもらわなければ同じようなあやまちをまたまた繰り返す。
第三点は、やはりそういう非常に最悪の
状態の中で
日本が
ドル防衛に
協力をしいられる。
日本が
アメリカの
ドルに手伝いをしなければならぬような、そんな
状態じゃない。そういう際に、向こうから要望されて、何か
中期債券の問題にもありましたように、何かしら
総理が
答弁したことはあとで緩和しなければならぬような、そういう姿勢の中に、私は政治、外交を含めて一つの問題があると思うのであります。こういう点をひとつ反省していただきたい。
それから、これは
お答えは要りませんが、私は実は
経済問題だけを
質問しようと思いましたけれ
ども、この数日来の沖繩問題あるいは小笠原問題、その他防衛問題を私聞いておりまして、一言私としても自分の
考えの一端をここで申し上げて注意を喚起したい、こう思うのであります。
それは、
総理は非常な自信たっぷりでもって、
アメリカとの安保条約を堅持することが
日本の安全を守る道である、過去においてもそうであったごとく将来もそうだというふうに断定しておられる。そしてそういう自分の意見に賛成しろというふうな口ぶりに聞こえるわけであります。ところが、私のみならず、国民の相当数の人たちと私は思うのですが、相当数の人は、素直に言いますけれ
ども、そのことに、はたしてそうかという疑念を持っている。それはなぜかというと、肝心の
アメリカがほんとうに平和愛好の国であるかどうか。戦争を
外国にしかけたり侵略などをしないような国かどうかということについて、深い疑念を持っているということであります。それはベトナム戦争でもって現実に進行している。ベトナムの戦争は明らかにだれから見ても不正な戦争であり、非人道的な戦争であります。たとえばあの一九五四年のジュネーブ協定、これに基づいて五六年、
昭和三十一年にあのジュネーブ協定のとおりに南北の統一選挙が行なわれておったならば、今日の悲劇は起こらなかった。そのジュネーブ協定をぶちこわしたのは
アメリカなんですよ。そういうことは歴然としておる。また何かいわゆるベトコン、南ベトナム解放民族戦線が
アメリカに攻撃をするからというようなふうに聞こえますけれ
ども、
アメリカが出ていって、そのあとで、これに抵抗する組織として、民族解放の組織として一九六〇年の暮れごろに組織されたのが南ベトナムの解放民族戦線なんです。
アメリカが行ったからベトナムの民衆がこれに抵抗しているわけですよ。それはもう全体を
考えたって、ベトナムが
アメリカを攻撃し、
アメリカを侵略していますか。しかも、
アメリカは何らの正当性がないばかりではなくて、その戦争のやり方は、その残酷さはまことに言語に絶する。私は、朝日
新聞の現地へ行った特派員の
記事を読んで実は驚いておる一人でありますけれ
ども、あの中で特に私は切り抜いておいたものは、
アメリカの兵隊がベトナム人の死体から耳を切り取って記念品に持ち帰るという。私が思い起こすのには、あの蒙古のジンギスカン時代に、ある国を攻めて、そして何十万も全部殺戮をして、その何十万の耳を切り取って、これをじゅずつなぎにして持ち帰る、こういうようなジンギスカン時代以来の残酷な戦争だと思うんです。私だけが言うんじゃない。せんだって
アメリカのフルブライト上院外交
委員長が、上院の本
会議でもって演説しているじゃないですか。ベトナム戦争は非道徳的であり、かつ不必要な戦争で、ベトナムを納骨堂に変えてしまうものだ、こういうふうに
アメリカの上院で外交
委員長が演説しているじゃないですか。私だけが言っているんじゃない。国民の多数がそう思っている。そういうふうなことに抗議をして由比さんが自殺をされ、また四人の米兵が脱走したんです。全世界に、ワシントンにおいてすら、あのような激しい反戦運動が起こっている。そういう戦争なんです。そういう戦争を
アメリカがしておる。ですから、そのような
アメリカと手を組んで、はたして
日本の平和と安全が守られるか。
総理が言われるように、私
どもは自由と平和をどこまでも徹底的に守りますと言っておるけれ
ども、肝心の
アメリカそのものがそのようなことでは、これは不安心ではないかというのが率直な意見です。そういうことがある限りは、どんなに
総理が声を大にして言っても国民は
納得しない、そういう点を十分私は
考えていただきたい。
それから、この際、三木外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、これに
関連をして例の下田
発言であります。下田大使のあの
日米協会における演説、この
発言に対して私
ども社会党は非常に憤慨しておるわけであります。なぜかというと、その中に特に大使が、
日本政府の
政策として
アメリカのベトナム戦争を支持しているとか、そういうことを言うならまだこれはいいでしょう。ところが、
日本国民の大多数は静かに
アメリカの
政策を支持している
——自分で当ってもみないで、調べもしないで、
日本国民の意思は
アメリカのそういう戦争を支持しているなんということを言う、これが私
どもは許せないのです。世論を調べないで、一部少数のまわりの人の意見を聞いて、そしてものを言っている。
アメリカに追随する、あるいはおべっかを使う態度であります。私
ども日本人として、やはり人間として、正しくない戦争は正しくない、残虐な戦争は反対だ、こういうことを言うのが私
どもは
日本人だと思うのであります。それを
日本の大使が、
外国でもって公開の席上で、
日本人の大多数は
アメリカのそういう戦争を支持している、とんでもない話ですよ。しかも、
総理が言われるように、
日本がベトナムの和平のために努力するというならば、けんかを仲裁するならば、片一方を支持したり片一方を励ましたり、そういうことをしちゃならぬはずでしょう、外交的に見ても。どの点から見ても、私は下田
発言は許せない。私
どもはそのために、下田大使を召喚をしてほんとうの真意をただしたい、こういうことを要望するんですが、三木外務大臣のこれに対するお
考えを聞きたい。