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1967-12-22 第57回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月二十二日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       伊東 隆治君    加藤 六月君       木野 晴夫君    菅波  茂君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君      三ツ林弥太郎君    村上信二郎君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    唐橋  東君       河上 民雄君    島上善五郎君       華山 親義君    折小野良一君       小濱 新次君    田代 文久君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員長 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁刑事局長 内海  倫君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         警察庁警務局監         察官      井口 孝文君         法務省刑事局参         事官      吉田 淳一寿         法務省人権擁護         局総務課長   辻本 隆一君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         厚生省医務局次         長       北川 力夫君         建設省道路局高         速国道課長   栗田 武英君         自治大臣官房参         事官      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 十二月二十日  委員華山親義辞任につき、その補欠として石  橋政嗣君議長指名委員に選任された。 同日  委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として田代  文久君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員岡崎英城君、中馬辰猪君、辻寛一君、山田  久就君及び島上善五郎辞任につき、その補欠  として村上信二郎君、菅波茂君、加藤六月君、  三ツ林弥太郎君及び唐橋東君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員加藤六月君、菅波茂君、三ツ林弥太郎君、  村上信二郎君及び唐橋東辞任につき、その補  欠として辻寛一君、中馬辰猪君、山田久就君、  岡崎英城君及び島上善五郎君が議長指名で委  員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十九日  昭和四十三年度地方財政政策に関する請願(吉  川久衛紹介)(第九〇八号)  同(下平正一紹介)(第一二七二号)  飯山市の超過負担解消に関する請願中澤茂一  君紹介)(第九〇九号)  特別区の区長公選及び自治権拡充に関する請願  (依田圭五君紹介)(第一〇五四号)  社会保険等行政事務及び職員地方自治体移  管に関する請願三池信紹介)(第一〇五五号)  地方公務員給与改定実施に関する請願下平正  一君紹介)(第一二七一号)  陸運行政等に従事する職員身分地方公務員  とすることに関する請願下平正一紹介)(第  一二七三号)  地方交付税率引下げ反対に関する請願下平  正一紹介)(第一二七四号) 同月二十日  塩釜市に特別交付税交付に関する請願愛知揆  一君紹介)(第一四六七号)  塩釜市の消防施設整備に対する補助率引上げに  関する請願愛知揆一君紹介)(第一四六八号)  特別区の区長公選及び自治権拡充に関する請願  (門司亮紹介)(第一五〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十九日  交通事故被害者搬送協力促進に関する陳情書  (第一六三号)  交通相談所運営費地方交付税算入に関する陳  情書  (第一六五号)  個人道府県民税にかかる徴収取扱費交付基準改  定に関する陳情書外一件  (第一六九号)  地方交付税率引下げ反対に関する陳情書  (第一七  〇号)  同(第  二一五号)  地方税法の改正時期に関する陳情書  (第一七一号)  地方公共団体超過負担解消に関する陳情書  (第  一七二号)  住民基本台帳法施行に伴う国庫補助等増額に  関する陳情書  (第一七三号)  地方公務員共済組合長期給付費用負担緩和に  関する陳情書外一件  (第一七四号)  公共用地先行取得事業債適用範囲拡大に関す  る陳情書  (第二〇八号)  町村行政水準向上等に関する陳情書  (第二〇九号)  地方公務員定年制早期実現等に関する陳情書  (第二一三号)  電気ガス税撤廃に関する陳情書外四件  (第二一四号)  同外一件  (第二四三号) 同月二十日  電気ガス税撤廃に関する陳情書外二件  (第二五一号)  日本国有鉄道にかかる公社有資産所在市町村納  付金現行制度維持に関する陳情書  (第二五二  号)  自治会指導に関する陳情書  (第二  五三号)  軽油引取税等引上げ反対に関する陳情書  (第二五四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件  請 願   一 大館市、花矢町の合併反対に関する請願    (島上善五郎紹介)(第一六五号)   二 日本国有鉄道公社有資産所在市町村納    付金確保に関する請願池田清志紹介)    (第二八六号)   三 地方交付税率引下げ反対に関する請願    (天野光晴紹介)(第四〇一号)   四 地方公務員給与改定実施に関する請願    (井出一太郎紹介)(第五七六号)   五 同(小川平二紹介)(第五七七号)   六 同(小沢貞孝紹介)(第五七八号)   七 同(吉川久衛紹介)(第五七九号)   八 同(中澤茂一紹介)(第五八〇号)   九 同(羽田武嗣郎紹介)(第五八一号)  一〇 同(林百郎君紹介)(第五八二号)  一一 同(原茂紹介)(第五八三号)  一二 同(平等文成紹介)(第五八四号)  一三 同(増田甲子七君紹介)(第五八五号)  一四 地方交付税率引下げ反対に関する請願    (井出一太郎紹介)(第五八六号)  一五 同(小川平二紹介)(第五八七号)  一六 同(小沢貞孝紹介)(第五八八号)  一七 同(吉川久衛紹介)(第五八九号)  一八 同(中澤茂一紹介)(第五九〇号)  一九 同(羽田武嗣郎紹介)(第五九一号)  二〇 同(林百郎君紹介)(第五九二号)  二一 同(原茂紹介)(第五九三号)  二二 同(平等文成紹介)(第五九四号)  二三 同(増田甲子七君紹介)(第五九五号)  二四 昭和四十三年度地方財政政策に関する請    願(井出一太郎紹介)(第五九六号)  二五 同(小川平二紹介)(第五九七号)  二六 同(小沢貞孝紹介)(第五九八号)  二七 同(中澤茂一紹介)(第五九九号)  二八 同(羽田武嗣郎紹介)(第六〇〇号)  二九 同(林百郎君紹介)(第六〇一号)  三〇 同(原茂紹介)(第六〇二号)  三一 同(平等文成紹介)(第六〇三号)  三二 同(増田甲子七君紹介)(第六〇四号)  三三 陸運行政等に従事する職員身分地方    公務員とすることに関する請願井出一太    郎君紹介)(第六〇五号)  三四 同(小沢貞孝紹介)(第六〇六号)  三五 同(吉川久衛紹介)(第六〇七号)  三六 同(中澤茂一紹介)(第六〇八号)  三七 同(羽田武嗣郎紹介)(第六〇九号)  三八 同(原茂紹介)(第六一〇号)  三九 同(平等文成紹介)(第六一一号)  四〇 同(増田甲子七君紹介)(第六一二号)  四一 昭和四十三年度地方財政政策に関する請    願(吉川久衛紹介)(第九〇八号)  四二 同(下平正一紹介)(第一二七二号)  四三 飯山市の超過負担解消に関する請願(中    澤茂一紹介)(第九〇九号)  四四 特別区の区長公選及び自治権拡充に関す    る請願依田圭五君紹介)(第一〇五四号)  四五 社会保険等行政事務及び職員地方自    治体移管に関する請願三池信紹介)(第    一〇五五号)  四六 地方公務員給与改定実施に関する請願    (下平正一紹介)(第一二七一号)  四七 陸運行政等に従事する職員身分地方    公務員とすることに関する請願下平正一    君紹介)(第一二七三号)  四八 地方交付税率引下げ反対に関する請願    (下平正一紹介)(第一二七四号)  四九 塩釜市に特別交付税交付に関する請願    (愛知揆一君紹介)(第一四六七号)  五〇 塩釜市の消防施設整備に対する補助率引    上げに関する請願愛知揆一君紹介)(第一    四六八号)  五一 特別区の区長公選及び自治権拡充に関す    る請願門司亮紹介)(第一五〇四号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  まず、内閣提出都道府県合併特例法案について閉会審査申し出議長にいたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  次に、太田一夫君外七名提出地方自治法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案太田一夫君外十九名提出地方自治法等の一部を改正する法律案地方自治に関する件、地方財政に関する件、警察に関する件及び消防に関する件、以上の各案件について閉会審査申し出議長にいたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会審査案件が付託になりました場合、本会期調査のため設置いたしました地方税に関する小委員会消防に関する小委員会、及び地方公務員等共済制度に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを存置し、調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、おはかりいたします。  三小委員会の小委員及び小委員長従前どおりとし、委員の異動に伴う小委員及び小委員長補欠選任並びに辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は五十一件であります。  請願日程第一から第五一までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また、昨日の理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員説明聴取等は省略し、直ちに採否決定に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決に入ります。  昨日の理事会において決定いたしましたとおり、本日の請願日程中、第二、第三、第一四ないし第三二、第四一ないし第四三、第四八及び第五 ○の各請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  残余の各請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと思いますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。よって、   〔報告書は附録に掲載〕
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、今国会におきまして、本委員会に参考のため送付せられました陳情書は、地方財政確保に関する陳情書外三十三件であります。念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————
  12. 亀山孝一

    亀山委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 去る十四日のこの委員会におきまして、北九州市の病院事業についての、特に給食関係の下請につきましては法律的にも疑義がある、こういうことになりまして、自治大臣関係三省協議をしてみると、こういうようなおことばがあったのでありますが、その協議の結果はどうなったか、まずお尋ねいたします。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省といたしましては、医療法による医療水準低下しないようにということ、それからまた、地方団体関係省として公営企業の全般についていろいろ指導もいたしておりますので、そういった立場からいたしますと、この前、議論になりました病院給食の一部委託と申しますか、こういう主として厚生行政労働行政に関する御議論でございましたので、自治省としてはいろいろお答えいたしかねる点があったので、三省と申しますよりは、むしろ質問内容からして厚生労働両省でいろいろ御検討願ったわけでございます。きょうはそれぞれ関係各省の方が見えておりますので、自治省よりは、むしろ、この前の質問内容に照らしまして、厚生省からお聞き取りをお願いいたします。
  15. 北川力夫

    北川説明員 お答え申し上げます。  前回質問がございました病院におきます給食業務につきましては、これはその一部を第三者に委託いたしますことは、医療一環としての給食業務の本質をそこない、また、医療法の規定あるいは立法の趣旨に反するものであって、また職業安定法上も問題がある、こういうふうなお話であったと記憶をいたしております。  御指摘のとおり病院におきます給食は、本来医療内容であることは明らかでございます。この限りにおいて、病院責任において患者に供与されるべきことも当然であるわけでございます。しかしながら、病院がそのような責任を果たすことを前提といたしまして、すなわち、医療法に規定する病院管理者が、病院業務遂行に必要な注意を果たし得るような契約内容によって完全な給食業務履行ができるような受託者委託をいたしましても、また、委託をいたしましてその完全な履行を担保されているというふうな場合におきましては、それがすぐに医療内容としての給食内容の質、量というふうなものの低下を来たすようなことがない。したがってまた、病院業務遂行に欠けるようなことがないというふうに考えられるわけでございまして、医療法上もやったことが病院の本来の仕事である、いま申し上げました医療一環としての給食内容の質、量の低下を直ちに来たすことはない、こういうふうにも考えます。また一面、こういうことになりますと、医療法に規定する管理者の義務に違背することもないと思います。また、このような方式において委託されます業務内容というものは、御承知のように専門的かつ技術的な問題でございますし、それが受託者の一貫した責任のもとに行なわれる業務であります場合には、ただいま申し上げましたような契約履行の確認のために行なわれるチェックというものは、受託者従業員に対する業務上の直接の監督指揮の権限と両立するものでありまして、こういう点から考えましても、職安法にいう労供とは矛盾しない、私どもはこのように考えております。  以上が、三者で協議いたしました主として厚生省関係の考え方でございます。
  16. 亀山孝一

    亀山委員長 本日の質疑は、質疑の申し込みが多数なため、お一人十五分に限定いたしてありますので、質疑答弁もそのつもりで簡明にお願いを申し上げます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁は抽象的で、私の質問に答えてないのです。  せんだって、二、三日前の社会労働委員会において、この問題についての大臣答弁があっております。時間がありませんから読みますが、病院給食はすべてその業務病院直営で行なうべきであると考えるがどうかという問いに対して、厚生大臣答弁は、病院給食については、それが大切な医療内容でありますので、病院直営で行なうことが原則であると考えます。病院直営であることが原則であると言うのであります。問いの二、北九州市においては病院給食業務の一部請負計画しているが、これをやめさせるべきではないか。厚生大臣答弁北九州市の病院について考えられている給食業務の一部請負につきましては、今後実情調査し、いやしくも懸念される医療低下を招来するような事態を招かないよう十分指導してまいりたいと思います。しかも、この実情調査するというのは、何らの先入観なしに白紙の立場でやるということが確認されております。このことは、赤澤大臣が御答弁なさったそれぞれの省と協議して結論を出すということからいきますと、いまだに実情調査してないわけでありますから、まだはっきりとした結論は出ておらぬ、こういうふうに申し上げる以外にないと思うのであります。  ところで、せんだっての質問におきまして、赤澤大臣に私が質問の最終で、そういう大臣の御答弁があったのだから、その結論が出るまでは北九州市のこれを含んだ再建案についての結論は待ってほしい、こういうことをお願い申し上げたところが、大臣からは、国会におけるこの問題が議論されておる状態を現地連絡をいたします、こういう答弁がございました。そこで私がお尋ねいたしたい点は、そういう大臣状況連絡現地にもたらされたところが——大臣答弁は十四日でこざいました。十四日の夜、午後十時くらいであります、急遽原案どおり再建案議会に提案いたしまして、徹夜で翌日の十時には議決してしまったのであります。このことは全く大臣答弁を無視したことでありまして、一体自治省はどういうことを現地に報告したのか。その間三者の協議ということはどういうことが行なわれたのか。これを明らかにしておきませんと、大臣答弁というのは、ただの答弁であって、全く実のない、しかもここで約束したことが全く空文に帰した、こういうことになるわけであります。時間もありませんから、簡明にその辺をお答えをいただきたいと思う。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 十四日、委員会を終わりしまてから、さっそく北九州のほうへ、本日、委託の問題特に法律問題で議論のあったことを連絡をいたしました。連絡をいたしまして、一方こららでは、関係三者の事務当局議論をいたしました。大体その晩のうらに、契約内容のきめ方によって合法的な措置がとれるという見通しを実は持ったわけでございますが、翌日、なお念のため法制局にも連絡をいたしまして、ただいま医務局次長からお答えしたような結論に達したわけでございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 おかしいですよ。厚生大臣答弁は、まだ結論は出てないじゃないですか。私が承っておるのは、自治省としては、三省協議をした、まず第一には、担当課長段階において協議した結果、何らかの点について手を加えれば、医療法にも職安法にも大体違反しないような形になるのではないか、こういうことが協議されたと承っておる。しかし、それ以上のことは、自治省としては答えることはできないので、厚生省の見解を聞いてくれ、こういうふうに現地お答えをしたそうであります。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席〕 もしそうだとすると、自治省のとった態度は、医療法解釈まで自治省がこまかく言うのは越権でありますから、それはそれでいいです。そうなってまいりますと、医療法の問題をめぐって、厚生大臣は、まだ結論が出ておらぬ、現地実情調査をした上で結論を出すと言っているのですが、北九州のほうでは、十八日ごろに議決する予定のものを、国会で問題になったとたんに、原案どおり出して、徹夜で翌日、まだ法制局協議を始める段階において議決してしまった。厚生省は、北九州市にそれでよろしいとオーケーを与えたのですか。与えたというなら大臣答弁と食い違っているのです。
  20. 北川力夫

    北川説明員 大臣お答え申し上げましたのは、ただいまのお話にもございましたとおり、病院給食は、内容医療一環として非常に大切なものでありますから、本来病院直営で行なうことが原則であります。ただ、諸般の事情からその業務の一部を委託するような場合にも、直営で行なう場合と同様な、医療内容としての給食が確保されてなければならない、こういうふうな趣旨を含めてお答えを申し上げたわけでございます。したがいまして、それの非常に具体的な一つのケースといたしまして今回の北九州の問題があるわけでございますが、この問題につきましては、おっしゃいますとおり、基本的な財政計画一環としてはすでに北九州市議会意思決定がございまして、一応そういう計画所管大臣である自治大臣がこれをどういうふうに受けとめて、どういうふうに判断をされるかということがきまっていくのだろうと思うのでございますけれども、その後におきまして、それぞれの再建計画実施過程というものがあると思うのであります。その実施過程におきまして、私どもといたしましては、事、医療法施行、また具体的には給食業務の一部委託の問題、こういう問題につきましては、なお、そういう実施過程で十分に実情調査をいたしまして、そして、いやしくも遺憾のないような監督指導をやってまいりたい、こういう趣旨のことを申し上げたと思うのでございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 そうなりますと、北九州市の当局が、中央では検討した結果オーケーが得られたので提案いたしますということを言ったのは、うそですね、あなたのいまの答弁からいきますと。いや、問題ありませんということで議会に提案した。議会の与党ですらも、問題があるからもう少し時期を待ったらどうかという意見があったのですけれども、それを押えて、いや、中央のほうのオーケーを得ました、こういうことを言ったものですから、それではひとつ緊急上程、緊急採決しようということで、先ほど申し上げたような採決になったわけですよ。そうしますと、あなたのほうはうそをついておらぬ、北九州当局うそをついた——自治省からもオーケーをとった、労働省からもオーケーだ、厚生省オーケーとったと、こういうことでうそをついた、ということになりますね。イエスかノーか、はっきり言ってください。
  22. 北川力夫

    北川説明員 私が申し上げておりますことは、前回段階で三者協議をして御返事を申し上げると申し上げましたのは、御質問にもございましたように、この医療一環としての給食委託というものが、医療法上ないしは職業安定法上問題がある、そういうことで三者間で解釈の統一をいたしまして、それを御連絡申し上げたわけでございます。この前、大臣が申し上げましたのは、実施過程におきましてどういうふうな態様の委託が行なわれるか、その点を十分に調査をして、そして、いやしくも医療法とか職安法に違反をしないようにチェックをしていきたい、こういうことを申し上げたのであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、この再建案で大体オーケーをとった、こういうことで議会に言い、議会はそれを受けて急遽十五日に徹夜で審議して結論を出したわけですから、あなたのほうの解釈あるいは指示を全く違えた形でやったということになるわけですね。そういうことになりますね。そうです、そうでありません、と言ってもらえばいいんですよ。
  24. 北川力夫

    北川説明員 ただいま申し上げたとおり、私はそうは考えておりません。これは三者間で関係法律の解釈の統一をして、見解を伝えたわけでございます。重ねて申し上げますが、実施過程医療法上義疑のないように、その辺はチェックをしていく、こういうことでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 したがって、現在北九州市の再建案には疑義がある、実施過程において、いわゆる再建案を許可する過程において、医療法上、安定法上違反がないように処置してまいるということでありますから、再建案そのものについて中央オーケーをとったということとは違うでしょう。そうでしょう。
  26. 北川力夫

    北川説明員 私のお答えが少し誤解をされておったかもしれませんけれども、私は、再建計画中央の承認をとったということは申し上げていないのでございます。そういうことは申し上げていないのでございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 もう繰り返しません。はっきりしました。中央の見解はまだほんとうの結論が出ておらぬ。これは大臣答弁したとおり。ところが、三省協議の結果は意見がまとまりました、この案で法律上疑義はありません、こういうことで当局はやったわけでありますから、文字どおり北九州当局の独走、こういうふうに理解せざるを得ません。そうでしょう。財政局長、どうですか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 先般ここで議論になりましたのは、委託契約そのものが職安法に抵触するのではないかということであったわけであります。その点につきまして協議をいたしました結果は、ただいま厚生省からお話のございましたように、委託契約内容によって適法なものができるという結論が出たわけでございます。したがいまして、市当局厚生省の間でそういう応答がございまして、今後その契約を結ぶわけでございますから、その際に適法なものにすることができるということで、今後の実施過程で先ほど先生の申されたような厚生大臣お答えがあったと、私は考えております。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、結論的に言いますと、厚生省の御意見も、それから財政局長の御意見も、やはり職安法に違反しないように、それから医療法にも違反しないように今後やっていくということであります。それは大臣が答えたように、白紙の状態で実情調査して、懸念されるような医療法の問題、職安法の問題等が起こらない・ように処置してまいるということでありますから、もうずばりお聞きしますと、その調査結果を待った上でなければ、再建計画の承認ということはあり得ない。これが一つ。再建計画の変更というのは当然行なわれなければならない、こういうことになると思うのでありますが、そのとおりでしょう。
  30. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私もそのとおりに思います。違法な再建計画というものを許可するわけにはいきません。ですから、違法性があるかどうかということについて、いままで三省ともいろいろ協議をしてまいっておるわけでございます。ですから、再建計画を検討いたします上においても、自治省としては、所管は違うが、厚生省とよく協議いたしまして、医療水準低下を来たさないということに沿うて計画そのものを検討しなければならぬという考え方に立っております。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 大体、この間可決された原案には、ここで議論されたように、そっくりそのままでは、安定法上、医療法上問題が起こっておるわけでありますから、その点は、承認に際しては当然訂正が行なわれるだろう。それから、調査の結果を待たなければ再建計画の承認というのは行なわれない。この二点を確認したいと思う。  最後に、時間がありませんから関係者に申し上げておきますが、これは少なくとも地方公営企業でありますから、十分に団体交渉が尽くされなければならないのであります。ところが、この問題について福岡県の地方労働委員会は調停案というのを出しております。その調停案の1に「交渉中の問題の重要性を勘案すると、その期間、方法回数などは充分と認めがたい。」、2は「病院再建計画案がすでに議会に上程された現時点に於いても、市側は可能な限りの誠意をもって交渉を続行し、双方が基本的な意見の一致が見出されるよう格段に努められたい。」こういう福岡県地方労働委員会の調停案が出ております。このことからいきましても、私は、地公労法の労働条件というのは交渉事項であり、協約締結事項でございますが、それは交渉によるわけでありますけれども、これが現実には十分には行なわれておらない、こういうことを意味すると思うのであります。でありますから、地方公営企業法を審議した際も、せんだって私が指摘した労働者の基本的な問題というのは、あくまでも尊重していくという方針が確認されておるわけですから、こういう点についてもひとつ特段の配慮をして指導していただかなければならないと思うのであります。これが第一点であります。  第二点は、大臣就任早々でありますから、個々についてはまだ御検討になっていらっしゃらぬと思うのでありますが、私は十二月十日現在の地方公営企業における財政再建計画の概要というものを、全国の個々についての資料を持っております。その資料によりますと、病院関係では若干の人員整理というのは行なわれておりますけれども、そのよって来たるのは、多くの場合は、たとえば病院の統合とか、あるいは清掃関係の事業、あるいはスリッパ等のそういう下足番等の下請、こういうのは行なわれておりますけれども北九州市のように、全面的に給食事業を下請して二百六十六名を一気に首切るなんという内容は、この計画の中には一つもないのであります。こういうことからいきまして、たいへんな内容を持っておる。いままで自治省が承認した計画案の内容とは、もう雲泥の違いがある、こういうことでありますから、私が申し上げるまでもなく、十分御検討いただいて、さっき大臣が私にお答えいただいたような基本的態度でこの問題を扱っていただかなければならぬ。  いま病院の話でありますけれども、水道の点も検討してみました。全国五十九団体の水道の再建計画案なるものを見ますと、その中でも北九州のようなむちゃくちゃなやり方はしておりません。問題はありますけれども、検針の部分を委託にして、若干の人間については配置転換する、首切りじゃない、配置転換するのだ、こういう形になっております。北九州は百五名の首切り、こういうことになっております。この二点を強く要望して、私の質問を終わっておきたいと思います。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど御発言の中で、北九州市の財政再建計画案には違法なものを含んでおるような御発言がございましたけれども委託契約につきましては、今後契約を現実に結ぶわけでございますので、その際にその内容を十分関係当局で検討し指導することによって問題の解決をはかるべきものでございます。したがいまして、再建計画案自体は、御承知のとおりに、委託をするという方針をきめておるだけでありまして、契約の中身自体を全部はかつてこれが適法であるときめたものでないという点だけは御承知のことと存じますけれども、念のため申し上げておきます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 そこまで言うとまた大臣答弁がひっくり返るのですよ。厚生大臣は、原則としては給食は下請すべきではない、こういう原則論を医療法上確認しているのです。  第二は、北九州の問題については実態を調査して、これから結論を出しましょう。私の質問に対して、そういう実態の調査の結果が出てこなければ、この再建案を承認することにはならぬでしょうねと言ったら、大臣は、そうですね、こう言っているのですから、あなたは言わぬでもいいのだ。取り消しなさい。
  34. 亀山孝一

    亀山委員長 田代文久君。時間をどうかひとつ守ってください。
  35. 田代文久

    田代委員 まず北九州再建案につきまして、自治大臣北九州市政の本質をどう見ておられるかという点をお伺いしたいのです。  北九州市は、御承知のように、八幡製鉄を先頭とした多くの大独占企業が存在しておりますけれども、自民、民社を基盤とした谷市政は、これらの大独占の利益を代弁する非民主的な、反動的な市政をやっている。たとえば、昭和四十年度八幡製鉄の利益金は百八十一億円あります。税金は租税特別措置によって三十五億円が免税になっておる。その他土地、道路、港湾の建設においては、至れり尽くせりの優遇を受け、市民の犠牲の上に八幡製鉄をはじめとする大企業本位の市政が行なわれております。  北九州市の水道事業というのは、料金の点で、現在工業用水は十トン当たり五十五円、一般市民の用水は二百四十円です。この再建案では、工業用水料金というのはそのまま据え置いて、上水道分は二三・九%、約二四%の値上げを計画しております。あわせて水道労働者の大量の首切りを計画しておる。水道は営業収支では四十一年度に七千五百万円の黒字を出しておるのに、なぜこの水道事業が赤字であるというのか。これは現在の谷市長が言わざるを得なくなったように、市に最も近い水源をほとんど大企業に握らせ、上水用の水源は遠い市外地に求めて、多額の設備費を投ぜざるを得ない、そういう状態に追い込んでおる。しかも政府は、工業用水建設には四分の一の補助金を出しておるにもかかわらず、上水道にはびた一文もこれを補助しておらない。水道が赤字になるのはこれは当然であります。  市立病院の再建においても、本質は全く同様になっております。市民の生命と健康に関する第一義的な課題というのは、申し上げるまでもなくそれを第一義的な課題にしなければならないにもかかわらず、それが放棄されて、これが市の直営から下請に回すとか、医療機能を低下させるなどということは、これは断じて許すことができません。市が、民間病院でできない施設を持ったり、また伝染病などを防止するためにも特別の施設が必要であり、国や自治体が全責任を持って、このためこの施設運営に市税を使う、あるいは国が必要な資金を出すということは、これはあまりにも当然なことであります。病院事業で四十一年度の累積赤字というのが十一億六千五百万円、水道で累積七億五千五百万円の赤字が出ておる、計画案はそのように発表しておりますけれども、これは政府が市民の利益を無視し、独立採算制を独占企業の利益のために強行させ、一切の犠牲を一般市民に転嫁している、そういう結果であると思うのでありますけれども自治大臣並びに厚生大臣答弁を求めます。  厚生大臣は、直営をやめ、医療低下をもたらす首切り、下請合理化、案を支持するかどうか、そういう点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  36. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 水道だって、全国平均より高い水を飲んでもらうというようなことはおそらくしておらぬはずでございます。医療の面だって、医療水準低下させるようなことがありましてはたいへんです。  やはり医療給付の一環としての給食でございますので、こういった点には十分配意をして、そうして患者諸君に迷惑がかからないようにということは十分考えております。ただ、やはり企業でございますから、不必要な人をたくさん雇えば、どんな企業だって成り立つわけがない。そこでその合理性を求めるという考え方で指導しておるつもりでございまするので、いまいろいろ水道料のお話が出ましたけれども、そんなことは間違っておらぬつもりでございます。
  37. 北川力夫

    北川説明員 先ほどからも申し上げておりますとおり、医療内容の質的なあるいは量的な低下を来たさないように、十分にチェックをしていく考えでございます。
  38. 田代文久

    田代委員 ことばの上で医療低下をしないようにチェックするという御答弁でございますけれども、事実これは直営から下請におろすということは、明らかに低下になるじゃないですか。それは明白じゃないですか。  時間がありませんから先に進みますけれども、この案が十二月十五日に北九州市の市議会採決された経過、これは非常に重要であります。その経過について自治省の報告を求めたいのでありますが、これは赤澤大臣ははっきり記憶があると思いますが、十六日に、私と林百郎議員が、この問題について抗議あるいは要望をいたしましたね。その要望書を提出しております。そのときに赤澤さんは、さっき議論になっておりましたいわゆる前委員会における統一見解なるもの、厚生、労働、自治三省における統一見解なるものはまだ出ておらないということをはっきりおっしゃいました。もし市議会で不法な処置をやっておる、その再建案がそういう内容を持っておれば、自分はこれを承認するつもりはないということを明言されました。これは間違いないですね。ところが、いま細谷委員が話されましたように、私は実際に調査に行きました。そうしたら、この委員会があったその十四日の深夜に、市当局はどのように発表したか。中央からの連絡があって、そうして三者の統一見解がきまった、違法ではないということは明らかになりましたということ、それを衛生水道常任委員会に市当局は発表して、だから中央も承認しておるんだということで、この中央の発言なるものを有利な武器にして、そうして委員会でこれを通過させるというようなことをやっておるが、こういうことは許されますか。現在の自治省現地とのこの食い違い、これは全責任ははっきり政府当局にあると思いますが、この点を明らかにしていただきたい。いま細谷委員質問に対して、全くでたらめな無責任きわまる答弁をいたしております。われわれはこういうことを承認することは断じてできない。はっきりしていただきたい。
  39. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しますように、不法、違法を内容としておる計画というものは、われわれとしては承認するわけにはいきません。そこで、先日来三省でいろいろ協議をいたしましたが、三省と申しますより、問題点は厚生省所管のことでございますので、きょうも厚生省はここにおりますが、その後三省でいろいろ検討いたしました結果を皆さんに御報告しておるわけでございまして、自治省といたしまして、この問題に対処する立場というものは、私がただいま御説明申し上げたとおりでございます。
  40. 田代文久

    田代委員 いま御答弁でございますけれども、前委員会におけるこの委員会の意見の一致と、それからそのときの結論というのは、厚生省がどうとかこうとかいうようなそういうことじゃないのです。ああいう非常に法的にも疑義があり、しかも大量の首切り処分をやるといういままでにないようなこういう問題に対して、これは関係各省がはっきり意見の一致を見て、そうして地方自治を公正に正常に指導するということは中央責任があるし、義務があると思う。そういう重大な問題でありますから、厚生省がどうとかこうとかいうようなことでなくて、当面自治大臣が、いわゆるこの委員会決定意見に基づいて、こういう意見が決定したということを報告するならわけはわかる。しかし、事実十六日に、大臣がまだ意見は一致していないというこの委員会があったとたんにこういうことをかってにやるということは、これは何ごとです。中央のわれわれの審議権、決定というものをこれは全く無視している。どうしてこれは責任とりますか、はっきりしていただきたい。
  41. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 市議会といえども、その審議、議決はあくまで自主性を尊重しなければならぬことは言うまでもないことでございます。それを途中で、そういうことはやめろといってチェックするということは、よほどその内容が違法、不法を含んでおるということでないとそういうことはできるわけのものではありません。ですから、御案内のとおり、これには若干この審議を通じて御議論もございましたので、三省で意見の調整をはかった実情にあることは御承知のとおりでございます。ただいま重ねて申し上げますけれども再建計画の中に違法の部分があれば、これはやり直すしかしかたがない。先ほど細谷さんも申されましたとおりに、地労委でも一つの調停案も出ております。こういったものも尊重しなければなりません。また、医療のことでございまするから、厚生省所管とはいいながら、われわれといたしましても、やはり医療水準低下を来たさないという意味でこの再建計画も検討しなければならぬ、このことは申すまでもないところでございます。しかし、一つの企業ですから、中身を調べてみなければわかりませんけれども、不必要なまでにたくさんの人を雇い入れて、そして企業を経営しろといっても、これはできないことでございますから、そういうことについても、われわれは経営の健全化という一つの立場で、別の目で検討もしなければならぬ。これは自治省として当然のことだと考えております。
  42. 田代文久

    田代委員 地方自治体の行政にわれわれが直接干渉するとかというようなことは、われわれは毛頭考えてない。そういうことをしてはならない。民主主義はあくまで守らなければなりませんけれども、しかし、実際にこの委員会できまったことを、大臣は、自分はそういったことをやったことは知らぬとこの間おっしゃった。しかし、いま厚生省が言われておりますけれども、これを連絡されたこと自体をたてにして、地方自治体で自分の決議を有利にするということが現実に行なわれている。そこが問題だと言うのです。  しかし、時間がありませんから先に進みますが、そういう内容を持っている。それからまた、この十五日の当日にこれが市議会採決された経過、これは非常に重要であります。その当日は、市政の黒い霧とどの新聞も書きました。そうして、議場をのし歩く暴力と西日本新聞は書いたし、また朝日新聞は、問答無用の強行採決云々と書いておりますように、谷市長後援会の明町会というのが、三百人以上白腕章をつけて議会に入り込み、狂暴の限りを尽くす中で採決を強行しておる。日当を二千円から三千円もらってかり出されたというふうにもいわれておるし、その中にはふところに短刀をのんでおるというような、そういう人物もおったということがいわれておるし、便所の陶器製の手洗い器をこわして労働組合員に投げつける、いすを投げつける。また、牧という市会議員を壇上から突き落とすということをやっています。皆さんあとから見てください。これは議場の中ですよ。洗面所の陶器をぶち破って、外部から入ってきた暴力団か労働組合にこれを投げつける、いすを振り回す、議員を壇上から突き落とす、こういうような中でこの決議がなされたということです。許されますか、こういうことが。そういうことから、初め谷市長を支持しておった民社党の安田議員なんかも、こういう暴挙がされるようなことでは、自分たちは党にとどまっていることもいかぬということで脱党されるというようなことも起こっております。また事実、この案に対しては、全有権者が六十六万いる、その中で四十六万という圧倒的な多数者がこれに反対の署名をしております。ところが、そういう市民の声を無視して、いま言ったような状況の中でこれが強行採決されたということになっておるわけであります。私は、このやり方に対しては、自治省は十分責任をたなければならないし、したがって、この議会の運営を民主化し、あるいは審議をやり直させる、あるいは市民の要求にこたえるように指導すべきである、このように考えます。  最後に、私は、地方公営企業の準用指定をやめさせる、あるいは自主的、民主的な再建を進めること、政府の工業用水優先政策、そういうことをやめさせる、また、水道の拡張計画をやめ、近くの水源を確保する、市民のために。料金値上げ、首切り、賃下げ、下請をやめさせる、医師を増強し、設備の改善をやり、一般会計よりの繰り入れをふやす、そういう政策によって真の再建ができると信じます。したがって、このような状況のもとに、不当きわまりない形で決議された再建案というものが自治省提出されるということになりましょうが、そういう場合には、この計画案を承認すべきでないと思いますが、この点ひとつ自治大臣に明らかにしていただきたい。
  43. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 短刀をふところにして議会をおどかすなんということはもってのほかのことでございますが、実は、そこに印刷物なんかあるようでございますけれども、私どもは実態をまだ明らかにしておりません。自治省としても調査をしてみなければならぬと思っております。いろいろな御意見いま承りましたけれども、一つの御意見として拝聴いたしておきます。
  44. 田代文久

    田代委員 以上でもって質問を終わります。
  45. 亀山孝一

    亀山委員長 次は門司亮君。
  46. 門司亮

    門司委員 私は、きょうはごく簡単に自治省とさらに大蔵省に、この機会に、予算編成の前に、お伺いをし、お話しを申し上げておきたいことが二、三あるのであります。その一つは、新産都市あるいは特別工業の都市、いわゆる特工、これは全国で片一方が十三、片一方が五つくらいあるわけでありますが、これらの地帯がいずれも所期の目的を、私は完全にとは言いませんが、大体達し得ておらない。したがってこの状況をひとつ詳しく御報告が願いたい。これは全部報告を願うということになるとたいへんでありましょうから、私はある程度書類でよろしいと思いますが、私が聞きたいのは、国が一応そうした地区に指定をして、そして国からの援助が行なわれ、地方の自治体がこれにこたえて支出をして、いろいろな施設をやってきた。工場の誘致をしたが、そこから地方の自治体の財政をまかなう分というのはきわめてわずかであって、そしてこれは当然施設との比率はとれない。税金はその大部分は所得税として国税に取り上げられてしまう、地方に残されたのは公害だけだということで、地方住民がきわめて迷惑をしている。これは政府の一大失敗だと考えておりますが、こうした地方行政に対する政府のあり方についての現状を詳細にこの際ひとつ御報告を願いたい。ごく簡単でよろしゅうございますから、できたらひとつお願いをしたい。また、書類でなければできないというなら、書類でも私はけっこうだと思う。
  47. 岡田純夫

    ○岡田説明員 新産業都市及び工業整備特別地域が発足をいたしましてもう三年ばかりになるわけでございますが、これは先生よく御承知のように、拠点開発によりまして企業の地方分散をはかるということが目的になっております。途中、経済のいわゆる不況等もございましたので、金融その他からの抑制といったようなこともございました。また、発足早々であるというようなことで、非常に好テンポということは言えないと思います。全体の国が見た計画、これは企画庁の資料からでございますが、工業出荷額においても八割程度進んでおります。特にここ一、二年の状況では相当企業の分散立地もなされております。しかし、これからさらに強力に進めませんと、企業の分散なり、あるいは人口の分散ということに十分な力を発揮するところまで至らぬと思いますので、自治省としては、御承知のとおりに、財政の特別措置をいたし、かさ上げ措置なり、あるいはまた起債措置、利子補給等をいたしております。しかし、地方負担というのはやはり少なからずある。事業費の半ば以上、もちろん分担金等はございますけれども、地元負担ということもございます。したがいまして、今後やはりそういう意味から努力すべきものは努力していかなければならぬ。それから新産、工特地域のみならず、やはり低開発地域でございますとか、その他全般的な拠点開発の見地から強力に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  48. 門司亮

    門司委員 私どもそういう抽象的な答弁を聞いても始まらぬ。あと二、三年ぐらいしかないんですよ。実際に工場が分散されて、どれだけこれが地方の自治体の財政上の補完になり、さらに住民にどれだけの利益を与えたかということは、ほとんど私はないと言っても差しつかえないじゃないか。わずかに水島地区だけが、多少の工業地帯らしい姿を、前になくなられました三木さんの県知事時代における非常な努力で実っておるということは、一応私どもも認めております。しかし、これとても、おのおのの地方の自治体の財政を見てみますると、必ずしも満足なものではございませんで、どうにもならない。たとえば宮崎県の日向市などに参りましても、水道その他の施設は非常に大きな施設をしているが、工場の来ておるのは問題を起こした共和製糖でありますか、それがあそこに一ついっておるだけであって、しかも工場からくる所得税はかなり大きな数字にのぼっておりますが、その他の税金というものは、ほとんど施設を償うとか、あるいは施設を見るとかいうものではなくして、まるっきり自治体の持ち出しという形になって、自治体は弱っている。私は、こういうことをもう少し政府も大蔵省も、特に大蔵省に私は言いたいのだが、知っているかどうかということです。財政が硬直化しているとか何とかかんとかよけいなことを言っているようでありますが、実際こういう実態を知っているかということである。もし大蔵省がこういう実態を知っているなら、いまの地方の総括的な自治体の数字がこうだからといって、こんなものを私はほっておけない実情だと考えております。大蔵省はこれを知っているかどうかということが一つ。  それからもう一つは、従来富裕団体と考えられておった大都市が、ほとんど全部赤字でどうにもならなくなってきておる。東京を筆頭として、その次には大阪がどうにもならなくなってきておる。いわゆる政令市といわれておりまする大都市が、ほとんど軒並みにどうにもならなくなってきておるということは一体どういうところからきておるのか、大蔵省あるいは自治省よく御承知になっておるかどうか、私は疑わしい。今日の社会、経済の組織の現状から見てまいりますと、当然こういう現象が起きている。  そこで、問題になるのは、こうした過密都市に対する財政的な処置、あるいは過疎的な地域に対する財政上の処置というものが、特別にどれだけ考えられているかということです。私は今日の地方財政の中で、特にそういう個々の問題をやはりおのおの抜き出して、そうしてその個々の問題の解決をする配慮が行なわれるということが、地方行政を全からしめる一つの大きな問題でなければならないと考えておる。ところが、大蔵省は、何かしらぬ、地方の自治体には非常にお金があるようなことを言って、交付税も削ったほうがいいとか、あるいは、はなはだしいのは、国鉄の納付金でありまするか、これもやめたほうがいいとかいうことを言っておる。一体、そういうことでほんとうに日本の行政が行なわれるというようにお考えになっているかどうかということです。もう少し私は今日の日本の地方の自治体の財政状態というものを——そういう従来の富裕都市であったと考えられたものの転落している実情、あるいは政府が施策として行なってまいりました、先ほど申し上げたいわゆる特別地域に対する配慮というものが全くなされていない。これでは私はどうにもならぬと考えておるのだが、こういう問題について、きょうは一々具体的に申し上げる時間がございませんが、大蔵省としては、こういう問題をどういうようにつかんでおいでになりますか。もしおわかりだったら、そういう点、ひとつ大蔵省の見解をこの機会にはっきりさせていただきたいと思います。
  49. 亀山孝一

    亀山委員長 秋吉君、時間が非常にないので、質疑者は詳細に聞いておりますけれども、ひとつ簡単に御答弁願います。
  50. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まず新産工特についてのお尋ねでございますが、先ほど自治省から御説明がありましたように、新産工特についてのいろいろな見方はあろうかと思います。何せ三十九年に制度が発足いたしまして、まだ時期がたっていないというようなこと、あるいはまだ指定をきめたところが二カ所ばかりあるというような事情がございます。しかしながら、工業出荷資料等のデータを見ますと、必ずしもそう悪くはないというふうに、これは企画庁の数字でございますが、そういうデータもございます。いろいろでこぼこはございますが、その悪いほうの場合、計画に達していないというところはどういうところがあるかというと、それなりの理由がございまして、たとえば新潟地震があったとか、あるいは秋田の場合は指定がおくれたとか、そういった個々的な事情がございまして計画が進まぬところもございますが、そういったようなことを勘案いたしまして、全体的に見ますると、問題の資料でございます工業出荷資料については、まあまあという感じを私ども持っておるわけでございます。いずれにいたしましても、新産工特の問題につきましては、御承知のように、いろいろの特例措置を政府としては講じておるわけでございまして、利子補給であるとか、新産工特の特別事業債の発行であるとか、あるいは減税した場合の交付税の措置とか、いろいろの補助率の引き上げ等々の制度を各般にわたって講じておるわけでございます。これは御案内のとおりでございます。  そこで、これをどう持っていくかという問題でございますが、御承知のように、いろいろの特殊地域立法がございまして、後進地域であるとか、あるいは新産工特であるとか、近畿圏、首都圏の問題であるとか、北海道とか、いろいろございますが、これについて今後どう持っていくかということについては、地域開発制度調査会議というようなことで関係各省集まりましてよりより今後検討してまいりたいということで、検討を進めていく予定にいたしておるわけでございます。
  51. 門司亮

    門司委員 どうも、いまの大蔵省の答弁では、何だか一向わからぬ。大蔵省の仕事をしておる、工場から出るものだとかなんとか、経済的な問題はそれだけでいいかもしれません。しかし、自治体の問題はそれと違うのです。それを助成し、成長させるために、実際はたくさんの出費をしておる。それに償うだけのものが来ていないということ、問題はそこにあるのであります。私は、個々の自治体が、国が施策していろいろな施設を行なう、また、地方自治体の財政が苦しい、あるいは地方の自治体の発展のためにという配慮から、そういうものを引き受けられてやっておる。しかし、事志と違って、最近ではかなり財政的には困り抜いておるというのが現状であります。したがって、これに対してどういう措置をとられるかということであって、いまのお話しのように、法律があるから、この法律だ、審議会にかけてやるというなら、大蔵省だってどっちだっていいです。大蔵省の意見を聞かなくても、そういうものがまとまってから、事業が終わってから話をしてもいい。しかし、三十九年から日がたっていますから、あと何年あるのです。この辺でほんとうに自治体がよかったという印象を持ち、また住民もよかったという安心感を持つようなことになっていないと、成功はしないと思いますよ。残されているのは公害だけですよ。この公害に対して一体どうするかということだ。  私は、もうこれ以上きょうは時間がございません。あと二分ぐらいしかございませんので、これを聞いておきたいと思いますが、御承知のように財政上はどうにもならない。公害だけは置いていかれる。そこで公害を一体どうするかという処置についての財源自体の捻出の関係もございますので、この機会にお聞きをしておきたいと思いますことは、これは自治省からでもどちらからでもよろしゅうございますが、国の産業政策から租税特別措置法で免除されております、ことに大企業を中心とする減税に対して、何も私は地方がこれの犠牲になる必要はないと考えておる。免税あるいは減税をいたしております租税特別措置法に、かりに地方税をそのままかける−住民税あるいは固定資産税その他等の関係からきて、これをそのままこれにかけるということになると、一体どのくらい財源が捻出できるのか、われわれのほうにも多少試算をした数字はございますが、政府の数字があるなら、ひとつこの際示しておいていただきたいと思います。
  52. 岡田純夫

    ○岡田説明員 御承知のとおりに、政府では固定資産税等につきまして高煙突等についての配慮をいたしております。ただ、その金額につきましては、ただいま持ち合わせがございませんので、帰りまして、至急先生に御連絡を申し上げたいと思います。御了承願います。
  53. 門司亮

    門司委員 むろん文書で出してもらいますが、大蔵省はどうなんです。もし文書で出していただいて、いろいろ検討した結果、たとえば一千億なり、あるいは五百億か二千億か知らないが、とにかく数字が出てくると私は思います。それだけは国の産業政策の犠牲に地方の自治体がなっておるということであります。そうしてその産業政策からくる公害は、いまのところ地方の自治体が始末しなければならぬ、こういう実情になっております。したがって、これらの問題を勘案して、財源の一つとしてこれに対して大蔵省はどのようにお考えになっておるか、地方税は一ばいにかけてもよろしいというようにお考えになっておるかどうか、その辺のお考えがあるなら、ひとつこの際聞かしておいていただきたいと思います。
  54. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 租税特別措置法の減税に伴う地方税への影響の遮断については、私ども大蔵省の主税局も、それから税務局も、いろいろの面でくふうをしておるように聞いております。たとえば税額控除の問題でなるべく解決するというふうな方法でいろいろ苦慮しておることは御承知のとおりでございますが、この減免になった分のはね返りを国が補てんするということについては、これは地方財政全体の問題として検討したい、このように考えております。
  55. 門司亮

    門司委員 いま国が補てんすると言われておりますが、国が補てんすることも一つでありますし、もう一つは、地方税として、地方自治体がそれを見越して課税することができるかどうかということ。自治体自身がその地方においてかけることもできましょうし、国が一たん取り上げたものについて、どのくらいのものを取り上げて、これを補完するのにどのくらい国が出せばいいという二つの方法があろうと思うが、自治省のほうはどうですか。課税してとるほうがいいというお考えなのかどうなのか、その辺をもう一つだけはっきりさしておいていただきたいと思います。
  56. 岡田純夫

    ○岡田説明員 課税してあとから免除するか、環付するか云々といったような問題、税全体の考え方の問題と非常に関連がございますので、これは税務局のほうで検討すべき性質のものと思いますので、帰りましてよく検討するようにいたしますし、その上で連絡いたすようにいたしたいと思います。
  57. 亀山孝一

    亀山委員長 塩川君。  あと四人の方の御質疑がありますので、どうか時間はお守り願うようにお願いいたします。
  58. 塩川正十郎

    ○塩川委員 それでは時間を厳守いたします。  私は、本委員会でただいま継続審議になりました都道府県合併の特例に関する法案につきましてお尋ねいたしたいと思うのです。  最初に、思想的なことをお伺いいたしたいと思うのでございますが、御承知のように都道府県という制度ができまして約百年になるわけですが、その当時の、すなわち、都道府県制度をつくりました当時の社会的、経済的情勢というものと現在とは非常に異なってきておりますし、現在の都道府県制度というものが実情に合わないような点が多々出てきておる。特に社会の活動が広域的になってまいりますと、どうしても自治体の機能も広域的に処理していかなければならない。これが現在目に見えざる行政の区画で区切られておるということになりますと、そこにいろいろな不都合が出てこようと思うのでございます。したがって、それらの広域的な処理をどういう方向でするかということにつきまして、いろいろ方法論はあろうと思うのでございますが、やはりこれは合併をして、ある地域を拡大していくという考え方がもっともであろうと思うのでございます。そういう観点から申しますと、現在提案されておりますところのこの都道府県の合併特例法につきましては、これは全国的なビジョンと申しますか、全国的な背景に立ってこれを推し進めていこうというお考えであるのか、あるいは要件の整った特定地域だけについて、この特例法に準じて処理をしていこうという段階的なものであるのか、お考えをひとつお聞きいたしたいと思う次第でございます。
  59. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前には例の府県連合方式的な提案があったこともありましたが、これは広域行政がだんだん期待されるような状態になってまいりましたので、共同事務処理方式を中心としてそういう案が一時立てられた。それよりは府県合併にいくべきであるという議論が高まったり、いろいろな歴史的な経過もありまして、今度府県合併法案を提案していることは御承知のとおりでございます。  そこで、これにつきましては、何も最初から全国を九ブロックに分けて、将来はこういう形にするのだというイメージを持って、いまの段階で出しておるわけではございませんので、ただ実態といたしまして、東京都周辺がかくのとおりである、それからまた東海三県、また近畿ブロック、こういった地帯では、特にいろいろな強い要請がいろいろな事務上から出てきておることは御承知のとおりでございます。いま御案内のとおりにそれぞれ強い要求がある。原因があって要求があるわけでございまするので、そういう特殊な地域をまず取り上げて、自主的に促進していく道を開き  たい、こういう趣旨でございます。
  60. 塩川正十郎

    ○塩川委員 特定の地域を重点に置いてそういう要件の整うておるところをやっていくということでございますが、これもいずれは、一カ所にこういう合併の機運が起こってまいりますと、数カ所にこれは波及することは当然であろうと思います。そういたしますと、この府県の合併を一つの転機として、この際に府県と市町村との間にいろいろと、二重構造といわれておりますが、そういう自治体の行政の事務配分、こういう問題についても検討し直さなければならないのではないかと思うのですが、こういう点につきましてのお考えをひとつお伺いいたしたいと思います。
  61. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 行政の事務配分につきましては、いろいろな意味から、いま徹底してやらなければならぬ時期にきておると思います。しかし、府県と町村との二重構造は、そういう形で長い歴史が経過しておるのでございまして、先般も地方制度調査会にこの問題をはかりましたときも、二重構造のままで合併すべきであろうという答申をいただいたわけでございます。これはいまの段階で急にどうこうということを考えているわけではございません。
  62. 塩川正十郎

    ○塩川委員 当然その問題は起こり得ることだと思いますので、それは御検討願いたいと思う次第であります。  この府県の合併が、現在現実の問題としましてそういう機運のある地域がございます。そこで行政部長にお尋ねいたしたいのですが、そういう機運のある、あるいはそういう要望の一部起こっておるところは、ほとんどが都市集中化しておる地域でございまして、いわば首都圏であるとか、あるいは中部圏、近畿圏、こういうような都市集中の非常に激しい地域である。ところが、そういうところには近畿圏整備法であるとか、あるいは中部圏整備法、こういうふうに特別法が制定されまして、そういう地域の広域化というものを促進しようとしておる。また一方、国の制度といたしましても、地方行政連絡会議というようなものをいたしまして、ブロックごとで協調して行政を進めていっておる、こういう中において府県の合併をして広域行政を進めるということになりますと、先ほど申しました特別法との関係というか、調整というものはどのようにしてはかられていくものか、したがって、これをさらに極端に申しますと、そういう地域は当然合併を希望しておる、またその他必要性がある地域でございますだけに、そういう地域に対する特別法の扱いというものはどのようになるのかということをお尋ねいたしたいと思います。
  63. 長野士郎

    ○長野政府委員 御案内のように、大都市圏につきましては、首都圏でありますとか、近畿圏、中部圏等についてそれぞれ整備法というような特別な法制があるわけであります。これはそういう大都市圏を中心にいたしました県域の計画的な開発整備をはかるということになっております。現実に起こっておりますところの府県合併の問題におきましてもそういう関係の地域が多い。しかし、それは現在行なわれております県域行政というものの中で、府県の自治能力をふやしていくという形に相なりますので、一応県域行政そのもののあり方とは非常に関係はいたしますが、別個の問題だと思っております。ただ、それは県域行政的な計画的な開発整備というものを、府県の自治能力の強化に応じましてさらに積極的に推進をしていくということができるような体制になってまいりますので、そういう意味で、先生御指摘の国の事務と府県の事務というものも、できますれば府県行政の中にだんだん取り入れまして、充実した機能をもってそういう県域間の合理的な開発に府県が貢献していくことができるようになるように取りはからっていくべきであろうと思います。
  64. 塩川正十郎

    ○塩川委員 もう二問だけお聞きしたいのですが、実はこの特例法の中で、国会議員の選挙区の問題とか、あるいは第九条ですか、府県会議員の任期の特例、いわゆるこういうタッチゾーン的なものが国会議員、府県会議員については設けられておる。ところが、一方、二十条によりますと、各種行政機関は直ちに定められた定員に圧縮しなければならない。そこで問題は、合併を行なうということになりますと、一番問題になりますのは、何といたしましても人情のからむ人事の問題になるわけでございますが、その場合に、国会議員と府県会議員だけがタッチゾーンを設けられておるわけであります。各種行政機関、これはずっとここに出ておりますが、こういうものに対しては、何らそういう措置がとられておらない。できるだけタッチゾーンは避けるべきであります。財政面から申しましても、あるいは人事面から申しましても、避けるべきではございますが、こういうようなものを容易にするためには、ある程度こういう関係のタッチゾーンというものは含みを持たしてもいいのではないか。これは単なる自治省指導だけではできない。そういたしますと、特例法の中でそういう措置を講じるように考えていただかなければならないのではないかと思うのですが、これに対して局長のお考えを伺いたいと思います。
  65. 長野士郎

    ○長野政府委員 合併に際しまして、関係の行政機関が合併の効果といたしまして一つに統合される、これは合併の一つのメリットもあるわけでございますが、いままでは、合併の特例の措置といたしまして、市町村の場合でありますと、市町村会議員につきましても、一定期間なお従来の定員によりまして議会を設けることができるというような特例を設けておったわけであります。今回の府県合併特例法の考え方におきましては、国会議員の選挙区等にも関係ございますので、それは一定期間は認める、県会議員につきましても一定期間はそういうようなことにするというようなことをいたしておりますが、他の行政機関につきましては、執行機関等を含めまして、責任の所在その他の関係もございますので、現在のところはそういう考え方をとりませんで、議会と異なる扱いをいたしております。しかしながら、これらの関係につきましても、何さま広域行政を整備するという大きな目的から申しますと、今後いろいろな面で検討をし、その目的に進むためには、いろいろな暫定的な経過的な措置というものはなお考えていくべき面があろうかと思いますので、今後ともそういう点で合併のメリットとの関連を十分考慮しながらも、大きな目的のために必要な措置があればとってまいることについて検討を進めてまいりたいと思います。
  66. 塩川正十郎

    ○塩川委員 最後にもう一つだけ聞きたいのですが、何も合併の問題だけに限ったことじゃございませんで、自治体の自治行政を進めていく上で、広範にわたって国が協力しなければならないということは当然でございます。この国の協力というのは、結局は自治省を窓口として行なわれるものでございます。ところが、実際には各省官庁多方面にわたっておりまして、これが市町村あるいは府県等の要望がなかなか聞き入れられないという点が多々ございまして、それが自治体の一つの悩みにもなっておる。そういたしますと、こういう合併を進めていきました場合に、自治省がこれに積極的に協力して、そのメリットを出すための努力をしていくべきであろうと思いますけれども、それに対して、現在自治省としては、積極的にこれを推していこうという意思を持っておられるのか、あるいは特例法はあくまでも促進法じゃないという考え方から申しまして、この特例法等もこれに準拠してやったものの範囲内において自主的に解決すべきであるというお考えであるのか、こういう点についてひとつお尋ねいたしたいと思います。
  67. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 縦割り行政になっておる部分が相当ございまして、行政上問題点があることが多いものですから、この前私やはり自治省を担当いたしましたときに、例のブロックごとの連絡会議の法案を長く継続審議になっておったものを通していただいたわけでございます。ですから、今後とも関係各省とも十分緊密な協議をする、連絡がとれるという方向で全体を検討していかなければならぬと考えております。
  68. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、唐橋東君。
  69. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので端的にお伺いいたします。  それは都道府県と道路公団との間に結ばれております自動車道用地取得事務に関する協定についてでございますが、第一の質問は、公団の事業は公共事業であるといたしましても、国の機関のように公団は上部機関ではないと思います。したがって、このような性格の事業団が地方自治体に用地取得という重要な事項を委任するというような問題になりますと、地方自治体として非常に大きな問題だと思いますが、これに対して地方自治法上どのような根拠法令がありますか、まずお伺いします。
  70. 長野士郎

    ○長野政府委員 道路公団の用地取得等の委託につきまして、現在府県でその委託に基づいて用地の取得その他をいたしておるようでございます。その基本になっておりますところの用地取得の委託に関する基本要綱というものを私どもも検討いたしたのでございますが、これはいわゆる私法上の委託と申しますか、委任と申しますか、そういう契約だというふうに考えております。
  71. 唐橋東

    唐橋委員 そうしますと、地方自治法上にはない、こういうように確認していいわけですね。それならば、その他省令上において根拠としておるところは何ですか。
  72. 長野士郎

    ○長野政府委員 地方公共団体といたしましては、従来からその団体の存立の目的でありますところの、公共目的に沿いましたり、あるいはその公共目的を推進するために必要であると思われるような関連した業務につきましては、公法上の問題も含めまして、広くその業務を執行したり委任を受けて仕事をしていくことができるという考え方をとっておるわけでございます。この問題もそういう関係のものになろうかと思います。
  73. 唐橋東

    唐橋委員 そういうことを聞いているのじゃない。その他省令に関係するものをずっと調べてみますと、日本道路公団規程の第十二号による日本道路公団業務方法書というのがありますが、これ以外にはないのではないかと私は思う。こういうことを聞いている。
  74. 長野士郎

    ○長野政府委員 道路公団がどういう形で他に業務の一部を委託することができるかという点につきましては、詳しくは知らないわけでございますけれども、おそらく公団のそういう事業計画の中できめられるものだろうと思います。
  75. 唐橋東

    唐橋委員 時間がないので、どなた、どなたというのは私は申しませんから、質問内容によっては、建設者も来ておりますので、関係があったらそちらのほうからお答え願いたいのです。  私は、いま申し上げましたような業務方法書以外にないと思う。そうするならば、一つの事業団の業務方法書というこの規程、それだけが根拠になっておる。こういう場合に、地方自治法には明確な根拠がない。しかもそれには土地収用という重要な任務を含む大きな仕事を、いま言うように単なる私法上の契約じゃないかというような見解ではほうっておけない、このような観点に立ちまして、この前も八百板委員から問題が出されまして自治省と論議されたようですが、十分検討するということになっております。いまの答弁を聞いておりますと、検討もされていないようにも考えられますが、この契約をするにあたって、私がここではっきり確かめたいのは、この前、八百板委員質問に、自治省行政局としては相談を受けておりませんと答えております。これはその後検討いたしましてもやはりそのとおりなんですか。
  76. 長野士郎

    ○長野政府委員 行政局としては相談を受けておりませんが、自治省の官房におきまして建設省と相談があったようにその後の調査でわかりました。
  77. 唐橋東

    唐橋委員 自治省として相談を受けていないとすれば、各省が、たとえば事業団の規程で、自治法には明確な根拠がないものを、しかも内容的には土地収用を含むようなものをそのまま省できめさせて、いままで御答弁あったように、根拠法令というものを大きく変更させていくような性格のものを省令でつくって、その省令が大きな任務を持ってきた、こういう点については、地方自治体の一つのあり方として非常に大きな問題だと思いますので、この点に対してひとつ大臣の所見をお伺いしたいのです。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席
  78. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 お答えいたします。  実は私、気がつきませんでして、初めてそういう案件を承ったわけでございますが、非常に重大なことでもございますので、至急に検討いたしまして、正確なお答えをいたしたいと思います。
  79. 唐橋東

    唐橋委員 大臣のいまのお答えについて今後十分検討していただきたいと思うのですが、さらにちょっと意見を加えますと、いまこの点について非常に問題が起きているのです。といいますのは、事業団の用地取得の代行を県がいたしますために、いわば地権者、用地を持っている人たちは県に訴えていけないのです、出先機関になってしまったものですから。一つの例を福島県の場合で申しますと、只見川電源開発のときには、知事はあくまでも調停者だったんです。電発が用地取得に入った、そして話し合いがつかない、知事の調停案というものが出されて成立したんです。ですが、いまは全部公団とはっきりしたこのような契約書をもって代行しているわけです。ですから、住民として地方自治体の首長に訴えることができない。しかも事業団というこの性格を——用地取得という重大な問題を代行するというようなことは、地方自治体のあり方として非常に危険だということ、しかも、このような重大な契約を結んでいくのに、いま行政局としては相談にあずかりませんでしたということ、こういう経過の上に立って、新大臣に期待するところは、この点を十分御検討願いたいということをひとつ要望いたします。しかも、それはいま急速に進められておりますので、これも長くかかったのでは私はだめだと思うのです。ですから、短期間の間にこの点の検討をあらためてするという確認をひとつしたいのでございますが、大臣の所見をお伺いしたい。
  80. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 早急に検討してお答えいたします。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 唐橋東

    唐橋委員 さらに契約内容等について非常に問題があるので、これは建設省やその他も来ておりますからお聞きしたいのですが、「用地の取得事務の施行に関して生じた損失は、乙の責めに帰するものは乙が、その他のものは甲が負担する。」とあって、何か用地事務で非常にめんどうな問題が起きた、損失ができた、てまえがってな、損失は県が起こしたんだからおまえが負担しなさいというような、実に公団本位の契約が結ばれているのです。こういう契約を平然と建設省が指導し、自治省を通さないで契約させている。何か後進地域の開発のためには必要じゃないかという必要性の強調によって、このような自治体を圧迫する内容になっておるということを、ひとつこれは御検討願いたい。  その次に、自治大臣以外の方でもけっこうでございますが、委託事務によって超過負担が出てくるのです。いまそういう仕事については公団の費用を持ちます、こういうことなんですが、いまの福島県の事情などで御承知のように、非常に困難して大きな問題になっておる。そうしますと、企画開発部長を頂点とした対策室ができて、それらの人たちが昼夜兼行でこれらの問題に取り組んでおる。そういう場合に、これは建設省のほうにお伺いしたいのですが、あの事務を契約したあとどれだけ現実に金が出ておりますか。あれだけ大動員されている職員の給料あるいは旅費、そういうものは一切あなたたちが出すという契約になっておりますが、どれだけ出ていますか。
  82. 栗田武英

    ○栗田説明員 委託事務費につきましては買収委託費の三%以内ということにしまして、これは年間の計算でなくて、完了までの総額に対してその経費を見ようということにしております。したがって、年度別に見れば多少の過不足は出ようかと思いますが、用地買収進捗の状況というものは年度当初つかめませんので、一応計画に合わせてそういう支出を認めようということにしております。
  83. 唐橋東

    唐橋委員 大臣、これは自治省のほうで十分御注意願いたいのですが、いまのような契約によってあとから金を上げますよということなんです。そして、いま現実は、すべて県の職員が一切の事務に当たっているんです。ですから、俸給も旅費もそういう一切の費用が、私はいま聞いておるんですけれども、あとで精算します。こういうようなことで、地方自治体に対する大きな超過負担の原因をつくっておる。いま自治大臣のほうでは、確かに来年度予算編成の中で地方自治体の超過負担ということについて大きく改善する方針を出されると思うのですが、こういう点からものすごくくずれておるということ、こういうことも十分御検討願いたいし、これに対してどれだけ早く金を出すか、どういうように指導していくかという、自治体を守る立場に立って公団あるいは建設省と今後どういう方針でやっていくのか、このことを私は確かめてみたいと思うのです。
  84. 長野士郎

    ○長野政府委員 公団の委託契約の問題につきましては、私どももさらに検討いたしまして実情を十分把握いたしたいと思います。
  85. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、残った問題等は次回にあるいは機会をお願いしたいと思いますが、少なくとも、いまのような問題が起こっておりますので、これだけひとつ確認しておきたいと思うのです。といいますのは、やはり超過負担の原因になっておるいままでの実態を、あらためてさっそく調査をして、そしてそれを資料で出しますということだけはしていただきたいのですけれども、超過負担の原因になっているかどうかという観点に立った資料、この点は大臣出していただけますか。
  86. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 超過負担が重荷になっておりまして、これを何とか合理的に解決しなければならぬということで、御承知のとおりいま調査をいたしまして終わった段階でございます。いま精査の段階に入っておるわけでございますが、その中でこれがどう扱われておるかよく検討いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  87. 亀山孝一

  88. 太田一夫

    太田委員 私は、消防庁長官の佐久間さんにお尋ねをいたしますが、四十四年前の関東の大震災においては六万五千人の死者を出した。これはもう記録されておりますところの大事件でありましたが、昭和四十一年度の火災によるところの焼死者が千百十一人、そして火事は毎日十一分ごとに一件ずつ発生をし、そうして一日に灰になる財産が一億三千万円、こういうことがいわれておるのです。私も、実際それは過小に見積もった金額だろうと思いますが、そのような中においていよいよ年末を迎えました。たしか、きのうかおととい、東京の消防庁と思いますけれども、高層ビルの避難訓練をやったということが報ぜられております。十七日の日には、池袋の大きな百貨店の屋上において火災が起きて、大事に至らずしてこれは鎮火しましたけれども、非常に憂うべき、心配すべき火災の発生があった。きのう二十一日の朝には渋谷に火災が起きまして、二十一世帯、五十七人が焼け出されておる。きのうの晩は江東区亀戸において四件連続放火事件があった。こういうようなことが最近の例としても顕著なものがあるのでありますけれども消防庁としては年末から年始にかけて非常に混雑するおりから、かつまた非常に不用意な問題が多いおりから、いかに火災に対して対処するか、火災を中心とする災害に対して対処するかまえをつくっていらっしゃるか、これをひとつお聞かせいただきたい。
  89. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 火災の件数が漸増しつつあるということ、特に死者の数が非常にふえておりますことは、私どもといたしましても非常に憂慮いたしておるところでございます。昨年につきましては、いま先生がおあげになりましたような数字でございましたが、本年十二月十六日で死者が千名を突破いたしております。私どもといたしましては、昨年を上回らないように何とかありたいものだと念願いたしておるわけでございます。  そこで、お尋ねの年末年始にあたってどのような体制、心がまえでおるかということでございますが、私は火災がある程度起こることは、これはまあないにこしたことはございませんが、起こりましても、これが大事に至らずにすぐ消しとめられるという備えをいたさなければなりませんが、何と申しましても、それによって、死者を生ずるということは、これは絶対になくするように心がけて、皆さんの協力を得ていかなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。先般十一月の二十六日から十二月の二日まで秋の火災予防週間をいたしましたが、その際も、特に重点的に三項目あげまして、その三項目の徹底を全国に呼びかけたわけでございます。その三項目の中の第一が、火のもと、火のあと始末を確実にするということでありまして、全国に配りました標語におきましても「さあ寝よう、アその前に火の点検」ということでこの点を呼びかけたわけでございます。なおまた、文部省に御協力をお願いいたしまして、教育委員会から小中学校の児童に対しても、そういう点について児童を通じて家庭にも徹底をはかるというような処置もいたしたのでございます。  それから、どうも火災予防週間が始まりまして当初はかえって火災あるいは死者も多く出ておりましたので、私の名前で全国に通達も出しまして、火災予防週間が終了いたしましても、火災の多発する年末年始を迎えまして、特に次の点に注意をするように市町村の指導をしてほしいということを知事あてに連絡をいたしたのでございます。その内容は、就寝中の死者の発生を防止するために、就寝前の火のもと点検を確実に励行すること。同時に、乳幼児、肢体不自由な病人のみを残して外出をしたり、避難の困難な二階以上に就寝させたりすることのないように注意をすること。小規模の併用住宅または共同住宅の二階以上においては避難経路の確保またはロープ等簡易な避難器具を準備すること、という三項目が、特に最近の死者の発生状況にかんがみまして注意していかなければならない重点事項であると考えまして、通達を出したわけでございます。なお、東京はじめ地方消防機関におきましては、それぞれ年末を控えまして、地域の実情に応じて警戒を厳重にする措置をとっておる旨の報告を受けております。
  90. 太田一夫

    太田委員 精神訓話も私は必要だと思うけれども、問題は、火事に対しては科学的な消火器ないしは水である。これはもう明らかな対応策でありますから、それが完備すること、各家庭にどれくらい科学的な消火器があるのか、どれほどの水が常備されておるのか、これは査察しなければいけない。  もう一つ念のために聞きますが、きのうかおとといおやりになった高層ビルからの避難訓練、いま日本の消防力では何階までの建物については自信がありますか。屋上を含めまして、上におる者を救い出す自信というのは、何階までですか。
  91. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 現在高層ビルに対しましてはしご車があるわけでございますが、このはしご車は十一階まででございます。それ以上につきましては、はしご車によって対処するというわけにまいりませんので、それ以上のいわゆる超高層ビルにつきましては、建物の構造、施設の管理等の状況におきまして、自動的に火災が出ないように、また、火災が出てもすぐ措置ができるように、さらにまた、消防機関がはしご車によらずしてすぐ措置のできるというようないろいろな指導をいたしておるわけでございます。ただ、超高層ビルにつきましては、現在、法令上の規制はまだ不備でございますので、これは次の通常国会に適当な措置をとるようにただいま検討をいたしております。
  92. 太田一夫

    太田委員 十階程度のものならばはしご車があるということでありますが、かりに、一つの設例ですが、夜屋上において人が集まっている。それは何かいろいろな会合があり、あるいは飲食をしておる。そのビルの屋上において火事が発生したというときに、そのビルの中の各部屋の階段というのはシャットされておるのが大体の原則でありますから、あるのは上下するエレベーターだけ、そういう場合に、どうしてその屋上の人たちを避難させますか。自信があるのですか。
  93. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 夜間、照明の状況等にもよりまするが、大都市におきましては、相当高度の照明装置も持っておりまするので、避難させることにつきましては、十分可能であると存じております。
  94. 太田一夫

    太田委員 とにかく、エレベーターだけの昇降設備において、上部において大火災が発生して避難させるということは、私は困難だと思う。ビルなどは、百貨店などは全部商品を守るために鉄のとびらが締められておるから、どうしようもない。貸しビルも同じことだ。してみるならば、消防庁としては、屋上にたくさんの人が上がっておる、それで災害が起きたらどうするんだ。これは十分配慮をして、確信をもって対策を講じておかなければいけないと思うのです。  そこで、もうちょっと手近な話をしますが、ここに政府関係の各ビル、これにはたとえば防災業務計画というようなものを決定して出すことになっておりますが、そういうものは完備しておるのでしょう。各省庁とも防災業務計画は確定しておりますか。
  95. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは法律上策定することになっておりますので、完備いたしておりまするが、ただ率直に申しまして、これは形式的には一応整っておりまするが、内容的にはなお検討を要する点があろうと思います。
  96. 太田一夫

    太田委員 そこで大臣にお尋ねをいたしますが、中央防災会議というものがあるのを御存じでございますね。防災会議はそういう意味において、地震、雷、火事——おやじまでかどうか知りませんが、すべての災害に対して中央防災計画をお立てになるのですが、そこにおいて、ひざ元の官庁さえもその防災体制というものが不十分だということになれば、一般の民間がどれほど不十分かということも想像できるわけです。金がない、懐中電燈さえ用意されない状態、これは中央防災会議において——今後乾燥季を迎え、しかも歳末、正月等におきましては、非常に混雑の度を増すわけでありますから、その際に思いがけない火災でも発生したときには、たいへんな混乱を生ずると思います。中央防災会議においてもひとつ根本的にお取り上げをいただいて、何か早急に実効のある対策をお立ていただく必要があろうと思いますが、御所見はいかがですか。
  97. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 中央防災会議は、私がこの前自治大臣をやっておったときに、例の新潟地震なんかありまして、ああいう地方的な大きな災害なんかありましたときは、すぐこれが頭に浮かんで活動することになるわけでございますが、いまのは官庁の建物のことでございますから、これは各省の管理の問題じゃないか。やはり中央防災会議というより消防の問題であり、また各省のそういった火元の管理の問題になると私は感ずるわけでございます。
  98. 太田一夫

    太田委員 それは各省でおやりになることでけっこうですよ。しかし、中央防災会議としては手綱を引き締めていただかなければならぬわけです。中央防災会議がいささか昼寝状態になっておりますから、末端はやはり曠日弥久の態度をとります。そこがいけないと私は申し上げておるわけです。ひとつ中央防災会議の任務というものを再検討していただきたいということです。私は、特に自動車が最近はんらんしております際において、どこかで火災が起きると、やじ馬が集まる。それからまた、避難するには自動車を使おうとしてさらにそこに混乱を増す。こういうことで何か総合的に警察消防と住民とがそれぞれ完全な連絡をとって、そういう災害を最小限度に食いとめる方策を機動的にやるべきだと思うのです。そういうことについてひとつ十分御検討をいただいて、体制に万全を期していただきたい。佐久間長官、あなたはいつも遠慮深いから、遠慮深い人が長官になっておられると予算があまりとれないということになるとたいへんです。特に私は申し上げたいのだが、消防費などについて、市町村の一般財源の強化と、それから国費によるところの国庫補助の増額などということを盛んにいっておりますけれども地方消防体制に傷を与えることのないように、十分予算上の配慮をして強く主張してほしい。長官としてよろしいですね。もう一ぺんあなたの決意を明らかにしてください。
  99. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 最善の努力をいたします。
  100. 亀山孝一

    亀山委員長 次は小濱新次君。
  101. 小濱新次

    ○小濱委員 私はLPガス法案にかかわるタクシー汚職事件について内海刑事局長、最後に自治大臣お答えしていただきたいと思います。  最初に局長にお尋ねしたいことは、私どもがどう資料を集めてみましても、今度の事件の震源地、中心はやはり東京にあるように思われます。ところが、現在まで東京捜査は行なわれていないし、報告も聞いていないというような内容のようでありますが、私はやはり細心にして大胆、勇気を持ってこの問題に当たらなければならない使命を持っている警察として、その後東京捜査はどのように進められているか、御報告をいただきたいと思います。
  102. 内海倫

    ○内海政府委員 大阪で行なわれているLPガスの課税問題に伴います反対等に関する捜査は、大阪地方検察庁でやられているところであります。もしその大阪の事件と関連して東京に問題がありとするのであれば、おそらく大阪地検が担当されている事件の広がりとしてやられることがあるかもしれないと思いますが、この点につきましては、私どもがとやかく申すところではございません。  次に、警察におけるこういうふうな問題について東京で捜査をしておるかという御質問であるとするならば、警視庁においてこの大阪におけると同様な事件を捜査をし、あるいは捜査に着手しようとしているというふうな報告は聞いておりません。
  103. 小濱新次

    ○小濱委員 まことに私どもが納得できないようないまの御答弁であったわけです。すでに大阪では、十一月にこの問題に対するいろいろな内容の発表がありましたけれども、それ以前に、四カ月以前に大タクの会長、宅を捜査をしている、こういう発表であります。それについてはわが党の浅井議員が、いろいろと長期にわたって調査をした資料を示して委員会当局の考えをただしたわけでありますが、そのときは、いまのように、警察としてまだ何ら行動を起こしておりませんという答弁でありました。しかしながら、それからもうすでに十日たっております。はたしていつの段階にこの問題に手をつけられるのか、あるいはまた、世間で疑惑の目でもって見ているようなそういう結果になってしまうのであろうか、私どもはいろいろと心配するわけであります。  一つその例をあげてお話しをしたいと思いますが、まず最初に局長にお尋ねしたいことは、三十九年の五月前後に、全国乗用自動車協会連合会、これが中心となって六大都市、それから各府県の団体、一つの県で五つないし六つぐらいありますが、それの支部長あるいは理事を東京に招集をして、分担金の割り当て、その決議をされた内容を持って、参加した支部長あるいは理事が地元に帰って、そのことを徹底して、そして一つの方法をもってその分担金を納めている。その全乗連が会議を開いた日にちと場所を御存じでしょうか。
  104. 内海倫

    ○内海政府委員 承知いたしておりません。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 こういう書類がございます。これは東旅協発第四八一号、昭和四十年一月二十一日付でありますが、この書類の冒頭には「厳秘」と書いてあります。そして、臨時会費について、この内容が示されているわけでありますが、これによると、最後に「本書の取扱は厳秘と致されたい。」どうもここらが問題の中心になっていくように思えてならないわけです。もちろん、LPG車問題の内容は時間がありませんので省略いたしますが、もう一つは、昭和四十一年三月二十一日、同じものでありますが、「会員各位」に対する、やはり頭に「厳秘」と書いてある。「臨時会費について」これも全部出されております。この内容について私のほうで調べたところによりますと、この大タク協の動き、大阪のタクシー協会、ここのいろいろな資料を見てみますと、三十九年八月十八日付で「LPガス課税問題について」、これに  ついて「全乗連として全国的な反対運動に発展させて欲しいという要望が出された。」という見出しでいろいろと内容が示されております。これには、その会合に出席された代議士の名前も全部載っております。そういうことで全乗連とはっきりと明示されておるわけです。大阪の地検が中心になっていま調査を進めているようであります。この問題については、六大市は当然ですが、これはいまは北海道は札幌から九州は福岡に至るまで非常にこの利用者が多くなりまして、そして普及されていった、こういう内容でありますが、そこに各府県から、あるいは都市からこれに参加した人たちがこの全乗連の指示を持って、そうして帰って分担金の提出をしておるわけです。これが発端となって今度の事件が起こっているわけです。こうした内容を示されながらも、全乗連のその日付も場所も調べてない。大阪でやるんだろう、われわれには関係ないのだ、何らかの指示があれば動きを起こそうかというような、まことに何か意味のあるような、あるいはまた消極的な態度のようにとれてならないわけです。警察としてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。もう一度お答えいただきたい。
  106. 内海倫

    ○内海政府委員 お答えを申し上げますが、警察は、犯罪の容疑を警察において探知いたしまするならば、犯罪の捜査に当たるわけでありますが、探知するためにはいろいろ諸情報も集め、調査もいたすわけでございますが、いずれにしましても、捜査という形をとって活動を開始するのは、やはり犯罪の容疑を探知した後の問題でございます。そういう意味で、先ほども申しましたように、警視庁におきまして、あるいは大阪府警察におきまして現在、大阪タクシー協会あるいは全乗連の問題について犯罪の捜査をしておるというふうな報告は聞いておらないと申し上げておるわけでございます。  それからなお、現に大阪地方検察庁におきまして、対象は大阪タクシー協会を対象としての問題であろうと思いますけれども、しかしながら、それもいろいろな角度で捜査をおやりになっておると思いますから、もしかりに警察がこういう問題についていろいろ情報等を得ましても、やはり一方において地方検察庁において捜査が行なわれておる段階におきましては、その捜査というものと絶えず見合っていくということが検察、警察の捜査の一体化という上において、きわめて大事な問題でございます。  もとよりいまのは仮定の問題で申し上げたわけですが、そういう意味合いにおきまして、私どもはLPガスの問題に関連する犯罪の捜査という面は、大阪地方検察庁のおやりになっておるその捜査に、何と言いますか、よく推移を見ておるということが一番大事なことであり、もし警察庁において、それと関連するような情報あるいは資料等がありましたならば、場合によれば最高検を通じて大阪地検のほうに御協力を申し上げる、こういうふうな体制が一番適当なものではないのか、かように存じておるわけでございます。
  107. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどの三つの点、もう一つは献金の問題でありますが、こまかいその配り先等は省略をいたしますが、三十九年には、この自動車関係の献金が四十二件であります。七百六十二万円。四十年度はぐっと上がって八十二件、一億七千四百七十二万円。四十一年度は七十一件で三千百六十九万円。四十二年度は四件しかございません。これは御存じのように一部改正が国会で行なわれてきましたが、それで一応終止符を打ったような内容になっておりますが、それ以後は全然献金がない。この前勾留された五人の方々が許されて出てまいりました。そして記者会見をやったときに言うには、お中元の意味である。こう言われたけれども、お中元にしては、まことに片寄った内容のように思える。この一億七千四百七十二万円という数字が、こういうふうな内容になって、こういう事実がある。こういう点を不思議に思わないのだろうか、しかも、この間予算委員会質問をされました浅井議員の質問に答えられた中に、赤間国務大臣は、「刑事事件は警察にまかせておるのでありまして、」と、こう言っておりますが、これについては内海局長、いろいろとまた答弁をしておられるようですけれども、そのあとでまた「法務大臣としては、日本の国内の法秩序の維持には全力を尽くしておるのでございます。なお、お話しような問題は警察において取り調べるものと私は考えております。」あなた方がやるべきであると、はっきりおっしゃっておる。このことについて、こういう事実がありながらも、ここまで資料を示されながらも活動を起こさないということは、私どもはどうしても納得できないわけであります。国民も一日も早くこの疑惑を晴らしてもらいたい。このように願っておるでしょう。この点についてもう一ぺんお答えをいただきたい。
  108. 内海倫

    ○内海政府委員 予算委員会において法務大臣が御答弁された内容につきましては、私まだ詳細承知をいたしてはおりませんが、捜査につきましては、検察庁は検察庁の指揮系統において、検察庁の判断において行なわれるものであり、警察はそれぞれ都道府県警察におきまして、都道府県警察の指揮権のもとに犯罪の捜査を行なうものでありまして、両者の間におきましては、捜査の協力、あるいは捜査の間の密接な連絡というふうなことは、もとより必要でございますが、捜査の主体におきましては、全然別個のものでございますから、したがって、私どもは先ほども申しましたように、警察において犯罪の容疑を探知いたしました場合におきましては、独自の捜査をいたすべきものでございます。しかしながら、繰り返しますけれども、今回のLPガスの問題につきましては、大阪地方検察庁においてすでに着手をされており、現に犯罪捜査が進行しておる段階であり、したがって、これに関連する問題は大阪地検においておそらくは処理されるものと考えております。また一方、警察においてそういうふうなLPガスの問題に関していろいろ資料なり情報等がありますれば一方において独自の捜査とともに、他方において検察庁に十分協力申し上げるという体制も必要であり、現段階におきまして、もし警察がそういうふうな情報等がありますれば、地方検察庁のほうにそういうふうな資料を連絡申し上げるというふうにして、捜査の協力というものの実をあげていくことがいいのではないであろうか、かように考えております。したがいまして、法務大臣が予算委員会において御答弁になりました事柄が、具体的にどういうことを意味されておるのか、私まだ詳しくそこは承知いたしておりませんが、私どもはそういうふうな考え方でおりますので、御了承願いたいと思います。
  109. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、簡単に自治大臣にお尋ねしたいのですが、こういう汚職の禍根を断つためには、どうしても政治資金規正法の一部改正案を通過させる以外にはないわけでありまして、その点については一番責任の、その衝に当たっておられる自治大臣からお答えいただきたいと思います。
  110. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は自治大臣であるとともに国家公安委員長でございまして、警察を直接指揮監督はいたしませんけれども警察行政に対して責任を負うております。大体その最初の御質問ですけれども、少し誤解があるのではないかと思います。もちろんこういう事件が起こりますと、検察、警察いずれも不正を摘発するために努力をします。しかし、大体検察と警察とが競争すべきものではないのでございまして、これは検察当局のほうでいろいろ取り上げたわけでございまするから、要請があればどういう協力でもするわけでございまして、相互協力関係にあるけれども、競争関係にないということはひとつ御理解をいただきたい。こういう仕組みになっておるわけでございます。ですから、実に機密重大資料を発見したとおっしゃってよくこういうところで御説明になりますけれども、それは遠慮なく、警察あるいは検察庁へ提示してくだされば、もちろんその捜査の中心にそれを送りましてその資料といたすわけですが、それは日本の検察当局も抜かっておらぬから、ちゃんとそのくらいのことは入手してやっておるものと私は信じております。いまからでもそれは、御提示になりましたら捜査の中央のほうへすぐに送りますから、そういうふうにひとつお考え願いたいと思います。  それからいま一つ、非常に不愉快な事件です、お互いに。政界からこういう黒い霧だのなんだの発生いたしますことは、同じ仕事をいたしております者にとってみれば、顔にどろを塗られたよりもっと不愉快な感じがするわけですがいまの一番の悩みは、こういう政治献金と議員の職務権限というものがどう結びつくかということで、非常に結びつけがむずかしいわけでございまして、かといって、政治活動に金がかかり、金を受け取った者は、何かその議員の行動発言にからんでおるだろうというようなことをやられたのでは、とても国会活動というものはできるわけのものじゃないわけですから、それはまた司法当局が、検察当局が非常に慎重に検討するのは、これまた当然のことだと思う。日本の検察当局も、司法当局全般としても決して抜かってはおりません。私たちはあくまで摘発して、そうして法に照らして処罰するという決意は持っておるわけでございますので、ただ、あれこれあまり国会で火の手を上げられますと、世人がそれはもう日本の検察当局がふざけておる、なまけておる、もっと国会議員の半分くらいひっくくればいいものを、こう思ったって、事実はそうでないわけなんですから、検察当局の苦労というものをよく御賢察いただきまして、こういったものは慎重に御発表いただきたいし、もちろんきょうおっしゃったことなんか決しておろそかにはいたしません。よく捜査当局にも通じたいと考えております。
  111. 亀山孝一

    亀山委員長 山口鶴男君。
  112. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまむち打ち症対策の問題につきましては国民の関心もきわめて重大であります。この問題に関連をいたしまして時間もありませんからごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、交通対策本部のほうで作成をした資料だと思いますが、交通安全対策あるいは損害賠償等の国の援助等に対する資料をいただきました。この昭和三十八年、三十九年、四十年の統計資料を見ますと、交通事故件数に対しまして、いわば損害賠償に対する司法手続、訴訟事件件数というものが、非常に少ない。昭和四十年の資料によりますと、〇・七九%しか訴訟事件に持ち込まれていない。したがって、大部分がいわゆる示談という形で処理されている、かように考えるわけであります。ところが、この資料によりましても、こういう形で示談として処理されるものが非常に多い。その場合間々被害者のほうが弱い立場にあり、あるいは法律知識もない交渉能力が乏しい、こういうことから、非常に不満足であってもいわば生活に追われ、いま申し上げたような事情もあって示談に持ち込まれ、いわゆる泣き寝入りに終わる状態がことに多い。こういうことをこの資料でも書かれております。そうして政府としては、財団法人法律扶助協会に対して国費の援助を行なって、こういったいわゆる泣き寝入りというものがなくなるように国としても積極的に力を入れたい、かようにこの資料でも書いておるわけでありますが、いわゆる法務当局並びに警察当局のお考え方としては、いま私が申し上げたような考え方でよろしいと理解しているか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  113. 鈴木光一

    ○鈴木政府委員 御指摘の交通事故に関連いたします民事的な事件につきまして、確かに御指摘のような点がございます。そのような考えで私どもも臨んでおるわけでございますが、警察で交通事故の相談を取り扱っておりますけれども、これにつきましてはいわゆる民事不介入という原則からいたしまして、きわめてそういう御指摘のありましたような泣き寝入りあるいは示談屋の介入といったような事態もございますので、適正に、民事不介入の原則を保持しながらも適正な窓口的な、初期的な相談に応じておるという実情でございます。
  114. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいまの御答弁了解いたします。  その上でお尋ねをしたいと思うのですが、実は本年の三月でありますが、群馬県の高崎市内で一つの交通事故が発生をいたしました。被害者は県内の警察署長の奥さんであります。加害者はだれかと申しますと、群馬県の現在の知事さんの後援会長をいたしておるむすこさんの奥さんであります。これは追突事故でありますが、その被害者は残念ながらむち打ち症にかかったわけであります。むち打ち症は御案内のように治療が非常にむずかしく、しかも完全治癒に至るまでには非常に長期にわたる病気であります。ところがこの事故に対して、たまたま被害者の御主人が警察署長さんであったわけでありますが、この御主人に対して、御主人の上司である群馬県警本部の交通部長が当該署に電話をかけるとか、あるいは直接署長室へ参りまして、そうして加害者の方は警察関係でも非常にお世話になっている方だ、ぜひこれは示談にしてくれないか、こういう話をした事実があるわけであります。こういうことは、先ほど局長さんの御答弁からいきまして、警察がこの示談屋あるいはそういったものの介入を許すべきでない、民事については警察は不介入だ、こういう方針から見ますと非常におかしな事柄ではないか、私はかように考えざるを得ないのであります。これに対して、そういう事実を承知しておられますかどうか、また、そういうことに対する御感想をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  115. 鈴木光一

    ○鈴木政府委員 ただいま御指摘のありましたような事実につきましては承知しております。この問題につきましては、いろいろ問題がございましたので、私どものほうの人事当局のほうでも詳細に調べておりますので、監察官から答弁してもらいます。
  116. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいまお話がございましたように、三月に、元大間々警察署長の坂口松太郎警視の奥さんが追突事故にあいまして、加害者が、県の商工会議所の連合会の副会頭の方のむすこさんの奥さんという関係になっておったわけでございます。事故当日は両名はそのまま別れ、そのうち首が痛んでまいりまして、むら打ち症ということでとりあえずまいりました。元の署長から管轄署のほうに電話連絡がございまして、事件の真相を初めて知ったというかっこうになっております。その後示談の話を進めたのでございますが、被害者側のほうが全治の見込みが立たないということで、話し合いがつかない、長引いて話がつかずにおったというような状況のところへ、たまたま井桁という県警本部の交通部長が、両者を知っておるというような関係から口添えをしたというようなかっこうになっております。非常に強く、幾らの線でもって妥結しないかとかいうような話はしていないというように聞いておるわけであります。ただ、両者の間で話し合いが円滑にいくように、また自分も両方をよく知っておるので、話を進めたらどうかという立場で口添えをしたというように聞いております。
  117. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まあ言い方というのは、いろいろ人によって取り方はあると思うのですが、十万円か十五万円ぐらいで示談にしてやってはどうか、仲介は私がやってもよろしい、こういう趣旨の話をしたようであります。片方は部下であり、片方はいわばその上司であります。そういう間からして、そういうお話があることは、受け取る側からすれば相当心の重荷になったであろうということは、これは常識としておわかりいただけるのじゃないかと思います。  そこで、時間もありませんから簡単にしたいと思いますが、そういう形で示談の話があったが、そのとおり示談が成立するという段階に至らなかった。その過程でたまたま、この大間々の署長に対して県の警務部長から、警務部付の、今度は警察官ではない、事務官としての参事になれ、これはいわば降格であります、いわば給料も減るわけですからね。そういうお話もあり、それはどうもおもしろくないということで、結局当該被害者の御主人は退職をしたわけであります。結局、片や県の有力者の引き起こしました事故に対して警察の上司が示談に入り、それがうまくいかなかったという過程において、この被害者の御主人が警察を退職されるということは、私はその間の事情はここでこまかく議論するつもりはございませんが、はたから見まして、何か示談がうまくいかなかったということによってやめたのではないか。何か警察というものが、本来、いま全国的に問題になっているむち打ち症というものに対して、しかもこの被害については本来法律的な訴訟手続でやるのが正当であるべきなのに対して、何か水をさしたと申しますか、何か警察の体制というものに対して、国民なり県民が疑惑を持たざるを得ないということが私は言えるのではないかと思うのです。  そこで、私は国家公安委員長にお尋ねしたいと思うのですが、いまのような経過であります。私はこういう事態に対しては、警察がほんとうに国民から信頼されるというたてまえからいって重要な問題ではないかと思うのですが、かかる問題について、今後国家公安委員長としてどういう態度で臨まれるか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  118. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 実は私初めて聞いたことでございまして、いろいろな感想はあるわけでございますけれども、重大なことでもございますので、警察が国民の信頼を失うようなことがあってはたいへんでございますので、十分検討して善処いたしたいと思います。
  119. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 事務当局にお尋ねしたいのですが、ただいまのように、国民の側から見れば疑惑を持つことは常識ではないかと思うのです。かかる事態を引き起こしたことに対してはどうお考えですか。これに対しておたくのほうとしてはいろいろ御調査もされていると思うのですが、今後この問題に対してどう措置すると申しますか、どういうお考えでありますか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  120. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいまお話がございましたような事実は、そのとおりでございます。一方において交通事故の示談が進行中でございまして、それに県警の交通部長が口をきいておるという事実はあるわけであります。それと直接全く関係なしに、片方で警察本部長が人事異動を行ないまして、たまたま時期がその最中であったということで、たいへん誤解を世間に与えたということであろうかと思います。私はその間の事情をかなり詳しく当事者からも聞いたのでございますけれども、人事そのものは全く厳正、公平、かつ外部勢力のいかなる影響も受けておらない、やるべきことはやったというように聞いております。ただ、たまたまそういった事情から、また、その間のいろいろなやりとりから、世間に誤解を受けるようなやり方をしたという点については、たいへんまずい点もあったのではないか、こういう点については、やはり人事というものは非常に慎重にしなければいけないということで、今後の手続の進め方の点については配慮しなければならぬ、われわれ警察のそれぞれの衝に当たる者にとりまして、今後十分指針としていきたいというふうに考えております。
  121. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間があれは−私はいまお答えありましたように、人事と示談の問題とは別だと言われましたが、これは常識的に見てもお聞きになっている方もそう感じたのではないかと思いますが、これはタイミングがあまり合い過ぎておって、疑惑を持つというのが私はあたりまえだと思うのです。しかも、具体的に議論をすれば決してそれが別個ではない、関係があったということも私は立証することができると思いますが、時間もありませんからやめておきます。国家公安委員長から先ほどございましたように、かかる事態は私は遺憾なことだと思うのです。こういう事態が起きないように今後の指導をいただくと同時に、この問題につきましては、ひとつ委員長からも十分実情を究明いただきまして、当委員会でまた明らかにしていただきたいと思います。その点を保留いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  122. 亀山孝一

    亀山委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会