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1967-12-15 第57回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十五日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亭君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 門司  亮君       岡崎 英城君    木野 晴夫君       佐々木秀世君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       折小野良一君    小濱 新次君       林  百郎君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 十二月十四日  日本国有鉄道公社有資産所在市町村納付金確  保に関する請願池田清志紹介)(第二八六  号)  地方交付税率引下げ反対に関する請願(天野  光晴君紹介)(第四〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度分の地方交付税単位費用の特  例に関する法律案内閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度分の地方交付税単位費用の特例に関する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。小濱新次君。
  3. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、きょうは財政に関して若干質問をいたしたいと思います。  赤澤自治大臣が、きょうはおいでになっておりません。きのういろいろと決意を述べられておられました。その模様については、細田政務次官もお聞きになっておられましたので、そういう立場からひとつ方針なり御所見なりを、これから順次お伺いをしていきたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。  昨日大臣は、借りた金はあるときに返したらどうかということでいろいろ検討をした結果、やれると確信ができた、そういう立場から今度の未償還分の二百億円という金が出てきたわけでございます。調子のよいときに返しておこうとも大臣は言われたわけであります。また、大臣は、異常なる決意をもって住民福祉のために大臣としての使命を果たしていきたい、こういうふうにほんとう決意のほどを述べておられました。私はそういう立場から見るならば、今度の二百億円というこの借り入れ金の返済についても、まだまだ時期があるわけです。四十七年度まで、その計画は示されておりますので、何もここであえて取り急いで返す必要はないであろう。それについては、地方自治体としてはもう御存じのように非常に設備投資によって市費持ち出しが多いということで、財政危機を唱えておるわけです。やることはもう山積しているわけです。われわれは優先してその一つ一つを取り進めるように努力をしてきたわけであります。そうした立場から見るならば、私は今度のようなこういう計らいはどうかと思うわけでありますが、その大臣決意を聞けば、もっとほかにやることがあったのではないか、そのことで一つだけきょうはお伺いをしていきたいと思います。  自転車競技法の第一条、これは一般にはいろいろといわれているようで、公営競技といっているようでありますが、金をかけてやる公営競技、どうもわれわれは理解できないわけでありますが、社会では公営ギャンブルあるいはまた公営賭博と、こういわれている競輪のことであります。  細田政務次官にお伺いしたいことは、今後の地方財政健全化をはかるため、これは自治大臣からお墨付がおりまして、そして指定を受けた都市公営競技主催権を持つことになります。この競輪なるものが地域社会に及ぼす有形無形の影響をわが党は重視いたしまして、競輪競馬等廃止論を今日まで唱えてまいりました。(大石委員「あっさり言うなよ」と呼ぶ)いろいろと問題が多い。その問題については、ひとつ大石さんにもあとでうんと聞いていただきたい、こういうように思います。そういう立場から、政府基本的理念に基づく御見解といいますか、そういう方針を最初にお聞かせいただきたい、このように思います。
  4. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま小濱委員から御質疑の中にもございましたように、競輪、競艇あるいは競馬、こういうものについてはギャンブルではないか、賭博ではないか、社会悪の根源みたいなものになるのじゃないかというような御意見が国民の中にかなりな程度にあるということは、私どももよく承知をいたしております。私個人といたしましての私見はいろいろございますが、これは私見を申し上げる場所ではないと思います。ただ、この種のものが、競馬は非常に古うございまして、戦前からあるわけでございます。競輪等は、戦後財政的に非常に行き詰まっておったというような中で出てまいったことでございまして、これが生まれてまいりました経緯等についてはすでに御承知だと思います。二十年というような歴史を持って、そこにいい点も悪い点もございましょうが、とにかく存在をしておる、こういう事態でございまして、政府といたしましても、これの扱いにつきましては慎重を期さなければならぬ、こういうことでございます。そこで公営競技調査会というものを設けまして、各般の角度からいろいろ御検討をいただいたわけでございます。その結果といたしまして、公営競技全般につきまして答申を三十六年にいただいておるのでございまして、ただいまはその答申の線に沿いまして政府としてはこれらに対処してまいる、かような方針で臨んでおるわけでございます。
  5. 小濱新次

    ○小濱委員 競輪は、健全財政化ということのそういう目途に立って、戦後の戦災復興のために、二十三年に九州小倉を手初めに行なわれてきた。二十年たっているわけです。三十六年に大々的に内容の改定が行なわれたということも聞いております。しかしながら、その目途たる地方財政健全化——二十年を経て今日を迎えているわけですが、この地方財政健全化というのは、先ほど申し上げましたように、現在地方財政財政危機です。三割自治どころか、市費持ち出しが多いので、二割あるいは一割五分自治になっておるところもあるわけです。そういう点から、いつのことやら、非常に前途は暗いわけでありますが、次官の言われる健全化というのはどういう状態を言われるのか、ひとつ見通しについてお答えをいただきたいと思うのですが、お願いいたします。
  6. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、この種の収益そのものにつきましては非常に不安定なものがございます。非常にはやりますときもございますれば悪くなるときもある、そういう意味合いにおきまして、財政的に安定した財源というふうには私ども考えるわけにいかないと思っております。そこで、各団体におきましても、いわば現在ございます一般的な財源の外にある財源というふうにみな考えておりますし、また逆にいえば、そこに一つの魅力があると申しますか、そういったような存在であろう、こういうふうに見ております。したがいまして、それぞれの団体におきまして、これらの収益金につきましては、御承知のように、住宅でありますとか、学校でありますとか、あるいは民生関係経費といったようなものにこれを充てることによって、それぞれそれだけその団体の施設の充実をはかっていく、こういうやり方をとっておるわけであります。先般出ました公営競技調査会答申におきましては、御承知のように、現状以上にあまり拡大をするな。存続することは差しつかえないが拡大をするな。それから、やり方その他については徐々に改善をしていけ。それから、収益金等につきましても、あまり一カ所に偏するようなことがないようにせよ、といったような趣旨の御答申をいただいておりますので、われわれといたしましてもその線で進んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  7. 小濱新次

    ○小濱委員 このことについては、あとでもう少しお尋ねしていきたいと思います。  私の調べですと、これは四十一年度になりますが、年間開催指定を受けてこの競技施行している団体は、都府県では、現在四十六ございますが、そのうちで開催したものは十一。市は、十一月現在五百六十四市ございますが、百七十八。三百八十六の都市開催しておりません。町では千九百八十四町ございますが、二十三しかやっておらない。千九百六十一の町が開催してない。村も七百五十五の中で四つございます。あと七百五十一村がやってない。したがって全体の数字では三千三百四十九都市ございますが、二百十六しか開催都市はない。非開催都市といいますか、やってないところが三千百三十三あるわけであります。先ほど次官及び局長の言われた内容とは、こういう面から見るとあまりにも不均衡な面も出ておるわけです。なぜ二十年間開催をして収益をおさめているところと、そうでないところがあるのか。こういう点に非常にわれわれには理解できないような矛盾点が出てくるわけであります。あるいはまた競輪廃止したところがあります。大阪府とか大阪市、兵庫県、その他もあるようですが、大阪府で先見の明をもって競輪廃止したけれども、片方同じ府内の都市では競輪を実施している。こういう例も出てきているわけであります。もうやめたい気持ちはみんな持っているようであります。これは社会悪だということも口にしているようです。こういう点から、まことに不明朗なものがここにも出ておるわけですが、こういう点から、通産省本田次長さんにお尋ねいたします。交付金の明細をひとつ大まかでけっこうですが、お示しをいただきたいと思います。
  8. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  四十一年度の実績で申し上げますと、施行者の純収入が三百四十億七千万円、開催経費は百九十六億五千万円でございまして、日本自転車振興会に対する交付金が八十三億五千万円、自転車競技会に対する交付金が三十一億六千万円でございます。以上でございます。
  9. 小濱新次

    ○小濱委員 四十一年度でけっこうですが、車券売り上げ額とそれから収益金二割五分、この二つの数字をお示し願いたいと思います。
  10. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  車券売り上げ額は二千四百七十九億円でありまして、施行者収益は三百四十億七千万円でございます。
  11. 小濱新次

    ○小濱委員 間違いありませんか。
  12. 本田早苗

    本田説明員 統計の数字はそういうことになっております。
  13. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの数字ですが、地方財政に入った数字収益金の二割五分の数字は違いありませんか。
  14. 本田早苗

    本田説明員 いま申し上げました三百四十億七千万と申し上げますのは、二五%の中から一号、二号、三号交付金、それから開催経費等を差し引きまして施行者である地方公共団体の手元に残った収入という意味でございます。
  15. 小濱新次

    ○小濱委員 収益金二割五分額と私は申し上げた。
  16. 本田早苗

    本田説明員 これは二千四百七十九億の四分の一でございますので、約六百十数億でございます。
  17. 小濱新次

    ○小濱委員 車券で二千四百七十九億円の売り上げがある、そこで二割五分を差し引くわけですが、その収益金が六百十九億七千何がしになる、こういうことで、細郷局長にお尋ねしたいのですが、四十年度と四十一年度に地方財政へ繰り入れられた金額は幾らになりましょうか。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 四十年度におきます競輪収益金は二百五十二億円、四十一年度はただいま通産から申し上げました三百四十億でございます。
  19. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、その金額開催都市二百十六にその力に従って収益となって分けられていったわけですが、あとの三千百三十三という都市は非開催都市でありますから、その収益はないということになります。このいまの金は二百十六の都市で配分されたことになるのでしょうか。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、競輪施行をいたします市が指定になりますので、指定になっております二百幾つの市にそれぞれ帰属をいたしたわけでございます。
  21. 小濱新次

    ○小濱委員 局長にお尋ねしておきたいのですが、これからもなお現状でいかれるのか、あるいは非開催都市に対する何か配分のことでの考え方をお持ちになっておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、施行をいたしております市町村の数がそういうことでございますので、収益金施行団体自身収入となる、やっていないところには全然入らないという問題で、実はかねてから収益の均てんしない団体から少し分けてもらえないだろうかという希望も出ておるのでございます。特に、施行をいたしております団体でも、非常に収益のいいところと並みのところと、やってはいるがあまり入らないところ、いろいろな形がございますので、その実態は複雑でございますけれども、私どもも前の公営競技調査会答申趣旨もございますので、できることならば収益金均てん化をはかってはどうだろうかというような考えを持っておりまして、いろいろと検討をいたしております。
  23. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。  私のほうの調べですと、四十一年度の売り上げ金に対してフアンが、いわゆる車券を購入された方の人数ですが、約三千万人になっている。三千万人の人が競輪場に行って、そして一人平均八千円くらい買っておるようであります。こういう競輪を行なっておるところは世界にもあるだろうと思うわけですが、通産省関係ですが、その模様内容等についてお聞かせいただきたいと思います。
  24. 本田早苗

    本田説明員 日本競輪と同じような内容競輪を実施しておりますのは、デンマークで実施いたしております。
  25. 小濱新次

    ○小濱委員 いま国連に加盟している国がたしか百二十二くらいです。それから独立国が百二十九か三十くらいです。その中で日本と同じような方式で競輪施行している国はデンマーク一カ国しかない。しからば、デンマークではどういう目途競輪をやっておられますか。
  26. 本田早苗

    本田説明員 大衆娯楽目的で実施しておるというふうに聞いています。
  27. 小濱新次

    ○小濱委員 だいぶ違いがあるのです。向こうは大衆娯楽という目途でやっておる。だれが主催しているのですか。
  28. 本田早苗

    本田説明員 会社の経営ということになっております。
  29. 小濱新次

    ○小濱委員 よくお調べになっておりますか。御存じなんでしょうか、内容については。もう一ぺんお答えいただきたいと思います。
  30. 本田早苗

    本田説明員 自転車振興会の海外の調査の報告で、そう承知しておるわけでございます。
  31. 小濱新次

    ○小濱委員 デンマークでは大蔵省主催をして年間四回だけ、いま次長が言われたような目的を持って、いわゆる大衆娯楽という、そういう目途を持ってやっておられる。だいぶ違いがあるようですが、もちろん大蔵省主催です。売り上げの中から収益金を納めますが、それは社会事業社会福祉目途に限って使われている、こういう内容です。収益は全部大蔵省のものになる。したがって、日本と違ってデンマークでは、この競輪によるところの犯罪等はほとんどない、もう皆無だ、こういうふうにもいってきております。ひとつ、なぜ世界の中で日本だけが、しかも戦後二十三年以来二十年間行なってまいりました。これからも行なっていかなければならない、こういうことになると思いますが、その衝に当たっておられる一番責任の重い立場にあって運営をしておられる次長さん、もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
  32. 本田早苗

    本田説明員 先ほど政務次官からお答えがございましたが、競輪自転車競技法の制定後約二十年ほど継続して実施しておるわけでございす。その目的地方財政健全化自転車その他の機械工業振興体育事業その他公益の増進を目的に行なっておるわけでございまして、そうした目的に沿う効果は相当あげておるというふうに考えるわけでございますが、先般来御指摘のあったような問題もございまして、三十六年に総理府に特別に設置されました公営競技調査会答申によりまして、これ以上奨励しない、その弊害はできる限り除去するということで、競輪運営上の姿勢を正しつつ存続をしていくということになりましたので、その線に沿うて今後も競輪行政をやっていくというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後はできるだけ運営、監督に十分留意しまして、一そう健全化をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 小濱新次

    ○小濱委員 細田政務次官にお尋ねしたいのですが、払い戻し金はその百分の七十五が払い戻しをされまして、あと、先ほどの二五%が収益になっておる。これは少し妙な話になりますが、少し昔の話でおそれ入りますが、昔、ばくちをやると遠島、島流しになったとか、あるいはまた牢に入れられたとか、いまでも暴力団、侠客、そういう遊び人といわれる人たちばくちをやります。そして手入れがあって逮捕されると何か前科者になる、こういうふうに聞いております。この暴力団やくざ者がいま陰で行なっているそういういわゆるご開帳といわれるばくちは五分テラ、こういうふうにいわれているんだそうです。私もこのことについてはある警察署長にいろいろと聞いてまいったわけでありますが、あのきびしい警察の目を盗んで悪いことをしている人たちテラ銭が五分テラ政府公認公営競技が二割五分テラ、少し表現が悪いかしれませんが、あまりにも相違があり過ぎると思うのです。そして私はこの二割五分テラに対する考え方は、公営にしてはあまりにも不当ではないかというふうに考えているわけです。これはもう一日も早く廃止方向に持っていかなければなりませんが、いろいろと問題もあるようです。たとえば選手がいま三千七百人おるようです。それから施行者のもとで働いている従業員婦人が四万一千人おるようです。こういう人たちのことを考えれば、また、自治体では、ひものつかない財源ということで、非常に大事にかかえているような話も聞いております。ですから、一日も早くこういう人たち救済方法善後処理考えていかなくてはなりませんし、地方財政の面でもそれだけ減額されるわけですから、そういう点も考えていかなくてはなりませんし、一日も早く廃止方向に持っていかなくてはなりませんが、現状としては二割五分というこの収益金があまりにも大きいように思うのですが、こういう点はどういうふうにお考えになっているのでしまうか。
  34. 細田吉藏

    細田政府委員 私どもばくちのテラ銭が五分かどうか実はよく存じませんが、いまのお話だとそういうようなお話でございます。  この自転車競技のできました趣旨というのは、これは賭博というような、ばくちという偶然の運を争うという面に重点を置いてというか、力点を置いて発生したものではないので、これは戦後の、特に戦災復旧その他の地方財政——自転車工業自体振興ももちろんでございますけれども、こうした地方団体への財源をこれによって確保する、こういう見地からできたわけでございますので、これはいまおっしゃった五分テラとかなんとかいうものと比較をいたすことはいかがかと、かように思っておりますし、その二五%を取るということは、みんなかけた人全体が、いわば二五%てんから損をするという意味でございますから、その面から考えると、おっしゃるようにこの二五%をさらにもっと下げるということもあるいは考えられるかもしれませんが、やはり私は、これを下げれば、実は、これはいいものだからもっとやろうじゃないかという話にならぬとも保しがたいという感じもいたします。もともと発生的な理由がそうした理由でございますから、二五%というものは私はいろいろ考えられた結果きめられたものと、かように存じておる次第でございます。  それから、選手の諸君だとかあるいは従業員方々、そういう方々に対してのいろいろな措置が十分であるかどうかという点については、これはよほど考えてやらなければいかぬのじゃないかというふうに思っております。
  35. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども申し上げましたように、世界でただ日本の国だけがこういう形の競輪が行なわれている。しかも戦後二十年行なわれてきている。いま次官の話を聞きますと、戦災復興というそういう目途に向かって、地方財政の確立、そういう目途で行なわれたことであって、これは公営だからという弁明のようでありましたけれども、それならば、自治体でいろいろと記録を見てみますると、公営ギャンブルと言っておる、あるいは一般のいろいろな書物を読んでも、そういうふうに、あるいは公営賭博と言っている。こういうことが堂々と日本の常識になっている。公営競技という名前はだれも使ってない。通産省に正式の名前は何というのかと聞いたら、戸惑っておりました。言うならば公営競技というのでありましょう、こういう答弁でありましたが、これがためにいろいろな事件が起こっておるわけです。   〔委員長退席和爾委員長代理着席〕 だから、そういう点から、いろいろとこれからの将来の計画についてお尋ねをしておるわけであります。  この競輪を通していろいろと刑法犯を犯している一団がございます。こういうことを御存じないかもしれませんが、窃盗、詐欺あるいは横領、もちろん賭博、恐喝、傷害、暴行、こういう数字が出ております。こういう問題が起こっているわけですね。私は、横浜花月園競輪場近所の知人のうちを尋ねてみました。そうしたら、競輪がある日はうちはあけられないのですよ、一人ではいられないのですよ、いつ押し入られるかしれないし、あき巣にねらわれるかしれない。不安で不安でしかたがありませんし、早く終わってくれればいいと思う、こう願っているのですよ。こう話し合って、近所ではたいへん迷惑をしている。  もちろんいろんな裏面がございます。これはある競技場へ行って聞いてきたわけでありますが、小濱さん、表面だけ見ていたのじゃだめなんです。ほんとうに楽しんでいる人は一割しかおりません。あとは中流以下の、中生活以下の人が九〇%なんですよ。この人たちはどういう目的でここへ来ておられるか。それも表だけ見ていたのではわかりませんよ。服装から、その層といいますか、いろいろな点をひとつよく見てください。また陰にはこういうことがありました。その人はこう語っておられました。ある婦人が子供を背負って、あまり人だかりのしてないような隅のほうで百円札のしわを伸ばしていた、何枚か知りませんが。それで一生懸命伸ばしては、その金を持って車券を買いにいった。こういう姿を見ると、ほんとうに何とかして一日も早くこういう姿はなくしていきたい。私はその衝にあって仕事をやっておりますが、命令でやっておるのですからしかたがないと自分では割り切っておりますが、こういう姿をよく見てくださいよ、こういうふうに言っておられました。あるいはまた競輪選手八百長事件とか、まあ起こしてはならないような競輪場での騒ぎも、いままでに何回か起こしてまいりました。そのたびごとにもういろいろと、その問題を通して世間のひんしゅくを買っているようであります。こういう内容について、私は警察にいろいろとただしてみた。ところが警察では、三十九年度まではわかっておりますが、その後は詳細な記録はとっておりませんという答えでありました。もう何かなれ切ってしまったという感じも受けたわけであります。こういう内容をひとつよく知っていただきたい。  次官は、おれはばくちのことは知らないからと、こう言っておられましたが、うしろのほうで、そんなことを知らないのかという声がいまありました。われわれもこまかいことはわかりません。したがって私もいろいろと調べてきたわけでありますが、どうかそういう事実のあることをよく知っていただき、これからの方針を固めていっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、そういう点についてひとつ細田政務次官のお考えをもう一度伺わせていただきたいと思います。
  36. 細田吉藏

    細田政府委員 実は私は競輪場というものに行ったことはないのですが、往々にして新聞紙上等で、いろいろ犯罪事件がありました際に、たとえば会社の使い込みだとか、競輪をやってたいへん困った、だからそういう犯罪があった、こういうようなことはしばしばといいましょうか、よく見受けるところでございます。また帰りの電車賃がなくなるまですってんてんになる。私は鉄道におりましたが、駅へ、金を貸してくれ、切符代を貸してくれなんていうのもあるようでございます。そういったいろいろな弊害がこのことから出ておるということにつきましては、ある程度のことはもとより承知をいたしておるわけでございます。したがって、そうした弊害の点については何らかの形でこれは是正をしていくという方向をどうしても私ども考えなければならぬ、かように思うのでございます。小濱先生のおっしゃっておりますお気持ちにつきましては、私はさっきから申し上げておるように、個人的なことは申し上げませんが、同感するところが多々あるわけでございます。こういう点がいろいろございますればこそ、しかもまたこの存在しておることは、存在しておるというだけで一つの価値を持っておる、こういわれるわけです。複雑な社会でございますので、二十年間これが生き延びてまいっておる、こう思うわけでございます。したがって、そういうことであればこそやはり最大公約数の意見をひとつ固めてもらおう、こういうことで審議会もつくってこれはやってまいったのではないかと思っておるわけでございます。したがいまして当面政府といたしましては、そうした是正——これはもっとも社会全体の倫理といいますかモラルの問題の関連ももちろんあります。大きな問題でありますが、そういう弊害をできるだけなくする。それから、先ほど財政局長お答えをいたしましたが、一部開催のところだけが均てんをして、その他のたくさんなところは均てんしておらない。こういう点についてもこれは是正すべきだと私は思います。この是正の方法は別としまして、これから考えるといたしまして、是正をしてまいる、こういうことはもう絶対必要だ、かように思っておるのでございまして、いま急激にこれを直ちにやめるというようなことにはなっておりません。政府としてもさように考えておらない。その点ではいろいろな御不満もあるだろうと思いますし、おっしゃる点につきましては十分わかるわけでございますが、政府としましてはそういう考え方でいまおる、こういうことでございます。
  37. 小濱新次

    ○小濱委員 これは自治省と通産省に少しお尋ねしておきたいと思いますが、これも変な仕組みが行なわれているようですが、この競輪競技を通して、事前に大師とかそういう神社仏閣等を利用して選手の無事を願って祈祷が行なわれておる。それは、ああいう縁起をかつぐ社会でありますから、選挙等の希望もあってそうしておられるのかとは思いますけれども、私の申し上げたいことは、その競輪は、目的達成のために施行者から競技会が依嘱を受けるわけですね。そうすると、その業務を行なうその会がこの祈祷料といわれる内容のものを当然支払いをするべきであろう、こう思うわけですが、いろいろと調べてみると、自治体の中で、その決算の折りの伝票を必要としないような、そういう交際費の中からこの祈祷料が払われている。こういう事実があるわけですが、これは調べてみると非常な大きな数字になるようです。一回開催ごとに何か二十五万前後くらい払うらしい。そうすると、多いところでは八回。競輪競馬がそうですが、まあ四、五回から七、八回くらいやるところもあるでしょう。そうしますと、もう二百万からのそういう金を一市でもって納めることになりまして、全県下、全国ということになると膨大な数字になるわけですが、こういう内容自治省あるいは通産省御存じでありましょうか、お答えいただきたい。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 私、実は詳しい内容は存じておりません。しかし、いま伺っておりますと、いろいろ危険も伴う選手競技でもございますので、無事を祈るというような意味でそういうことをしているのじゃなかろうかと思いますが、なおよく詳しいことは調べてみたいと思います。
  39. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  通産省のほうといたしましても、そうしたことがあり得ると思いますけれども現状ではつまびらかにしておりません。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 あり得るということは、認めてきたということでしょうか。
  41. 本田早苗

    本田説明員 競技の際に事故が起こることもございまして、負傷事故等が起こっておりますので、そのあとのレースが円滑に、選手も安心してレースができるということのために、あり得ようかと思っておるということでございます。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、そのことが憲法とか自治法に抵触しないか、違反にならないか、こういうことでお聞きをしているわけですが、お答えいただきたい。
  43. 本田早苗

    本田説明員 あり得ようかと思いますが、実はその辺の事情は現在では詳しく承知いたしておらないのが現状でございます、ということなんであります。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 そういうことであります。  では、もう一点お尋ねしたいのですが、これは競技場の借り上げ料の問題です。全体的には売り上げの千分の四十になっているようですが、中には、私の調べですと、兵庫の西宮では千分の二十五、冨山では三十七、こういう数字になってまいりました。通産省では少し数字が違っておったようですが、こういう違いについてどういうふうにお考えになりますか。
  45. 本田早苗

    本田説明員 競輪場は、御承知と存じますが、民有のものと地方公共団体がお持ちの場合とあるわけでありますが、施行者がいずれの場合でも、一応借り上げ料というものを定率で競輪場の所有者のほうに支払っておるというのが現状でございます。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕 比率は千分の四十、四%が通常の数字でございます。
  46. 小濱新次

    ○小濱委員 事情はわかります。実は私の申し上げたいことは、一つの県、一県ですよ、その中でこの借り上げ料に払っている金額が、大きいところでは二十億円近くになっているわけです。その県は四会場しかないわけです。一会場が民営になっているわけです。全国に競技場はたしか五十四あると思います。その中で民営は十一でしょう。そこで一つの県で四つの会場で二十億円近い借り上げ料が、この千分の四十で計算をして取られているという事実があるわけだ。こんな事実があるわけですが、こういうことに対してどういうふうにお考えになっていますか。次長、お願いします。
  47. 本田早苗

    本田説明員 御承知のように、競輪場がこの開始以来逐次つくられ、改修額を上げてまいったというような事情がございまするので、原則的には、借り上げ料というのは施行者と所有者の間で適正な契約できめられるということが従来からの経緯でございますが、ただ先ほどの公営競技調査会におきます答申でもございますように、環境の整備あるいは施設の改善等によりまして、できるだけ公正、安全に競輪運営されるということが必要だというようなこともございまして、従来とも環境の整備、施設の改善にも所有者は相当な資金を投じておるという現状がございまして、四十二年度では約五十億円ほどの施設改修を行なっております。環境整備、施設改修等は今後も必要であろうと思いますので、こうした事情も含めて、適正な借り上げ料が必要だというふうには思いますが、ただ御指摘は、非常に車券売り上げも伸びてきたから、一定比率ということだけでは借り上げ料が過大になりはしないかという点だろうかと思いますが、これらの点については、いま申し上げたような点も含めまして検討を加えたいというふうに存じます。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。一県で二十億円からの借り上げ料を四会場で払っているということになります。したがって、全国では膨大な数字になるわけですね。そういう点で、千分の四十のところもあるし、二十五のところもある、こういうことの調整をなぜとらなかったのか、とれなかったのか、これからどういうふうに考えているのか、それをもう一ぺんお尋ねしたいと思います。
  49. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、競輪場が逐次つくられてまいった、また改修が逐次行なわれておるというような事情、売り上げの関係等から、若干の差異が出てまいっておるわけでございますが、今後、最近の車券売り上げ状況等も考慮いたしまして検討を加えたいというふうに存ずる次第でございます。従来は、先ほど申し上げたような経緯で、個々の施行者と所有者の間で契約によってきめられてまいったので、その個々の事情に応じて若干の差異が出てまいっておったというふうに考えるわけでございます。
  50. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんおそくなりまして、申しわけありません。  最後に一つ、もう一ぺん次官にお尋ねしておこうと思ったのですが、他の委員会のために行かれてしまいました。そこで私は、こういう内容で進められているいわゆる競輪について、自治体としてもほんとう一つ財源として大事にかかえているようですし、またそれを遠くうらやましく見ておる自治体があります。どちらにしても、犯罪事実をあげましても非常に内容が悪いし、世界的に見ても、申し上げたようにデンマーク一カ国しかないし、その内容もまた日本とは全然違っているということから、一日も早くこの問題については廃止方向に持っていかなければならなくなるであろうと思うわけです。そういう点でお尋ねしたわけでありまして、これからひとつ大臣の言われた偉大な決意をもって、住民福祉のためにというその目的にも、このきょうの内容一つ内容になっているわけでありまして、一日も早くこれが実現されますことを願って、私の質問を終わります。たいへんありがとうございました。
  51. 亀山孝一

    亀山委員長 林百郎君。
  52. 林百郎

    ○林委員 自治大臣兼国家公安委員長としての赤澤国務大臣の施政方針の中に、「近時、国政の進展とともに地方自治行政をとりまく環境は、急速に変化し、地方行政に対する各種の要請はとみに強まり、」こういうことばもあり、さらに、「地方自治の伸展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存」だ、こういう見解があるわけです。本来なら当委員会において自治大臣に、こういう基本的な自治行政の問題あるいは国家公安委員長としての警察行政の問題をお聞きしたいのですけれども、残念ながら予算委員会のほうに行っておられて、最も関係の深い当委員会にいまは大臣もいなければ次官もいないという、これはやはり委員長も責任の一端があると思いますけれども、これで審議をしろと言っておるわけですが、はなはだ残念だと思います。少なくとも次官だけはすぐ返してもらわないと、責任ある当委員会が一番おろそかに扱われているということは、われわれ耐えられないことです。  そこで、私はいろいろ聞きたいことがありますけれども、この大臣の、変動しておる日本の国の自治行政を取り巻く環境ということの中で、二点だけにしぼって、最近とみにわれわれもまた地方行政委員として考えてみなければならない問題についてひとつ聞いてみたいと思います。一つは、警察行政について。沖縄の返還にからんで警察行政がどのように変貌しつつあるかという点が一点です。それからもう一つは、小笠原の行政区域がどうなるだろうかということ。これも自治行政の上にとって重要な問題ですから、本法案には直接的には関係ありませんけれども、本法案の将来の中央と地方自治体との関係ということで基本的には関係があるので、ちょっと質問をしてみたいと思うのです。  日米共同声明を見ますと、総理大臣と大統領は、施政権が日本に返還されることになるときに起こるであろう摩擦を最小限にするために、沖縄の住民とその制度の日本本土との一体化を進め、沖縄住民の経済的、社会的福祉を増進するための措置をとっていくことに合意した、この沖縄の住民とその制度の日本本土との一本化、こういう名目によって、警察行政のほうはいまどのようにこの点が進展しているのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  53. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 沖縄の警察現状というものを見ますと、大体本土の同じような規模の県の警察と比較をいたしまして、特に施設とか装備あるいは通信、そういうようないろいろな面で相当格差があるようであります。したがいまして、沖縄が復帰するということを前提といたしますると、他の一般行政水準も格差があるようでありまするので、その一般の行政水準の格差を少なくするということの一環といたしまして、警察といたしましても、いま申し上げたような点についてそのレベルアップを考えなければならぬというふうに感じておるのであります。私どもといたしましては、警察庁の中に沖縄対策委員会を置きまして、いま申し上げたようないろいろな問題に取り組むにはあまりにも琉球警察現状というものを把握しておりませんので、その実態を十分に知りました上で、いま申し上げたような、特に施設とか装備、通信、そういうところをなるべく早く改善をはかっていきたい。そのために必要な財政援助等につきましては総理府等にも協議をいたしたい、このように考えておるところであります。
  54. 林百郎

    ○林委員 新聞の報道によりますと、総理がアメリカへ出発される前の十一月二日に新井警察庁長官を呼んで、沖縄の治安問題について報告を求めた。それから、当時上京中の松岡主席とも連絡をとって、早急に対策を立てるように指示した。これは沖縄の治安問題を中心としての話し合いだった、こういうように新聞が報道しておるわけですが、この沖縄の治安問題というのはどういうことなのか。また、新井警察庁長官は、首相から訪米前にどのような招きを受けて指示を受けたのか、説明を聞きたい。
  55. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 長官が、総理訪米前に総理に会いまして、これは大体定期的に長官も会っておるわけですけれども、治安、警察関係一般について話をしたときに、当然沖縄の問題も出たようでありまして、沖縄の復帰を考える場合には、当然一体化を進めていかなければならぬ、こういうような話が出たように思うのであります。しかし、特別な指示とか、そういうことは聞いておりません。
  56. 林百郎

    ○林委員 沖縄における治安問題というのは、警察庁の中における沖縄対策委員会ではどういう問題だと考えておるのですか。
  57. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 沖縄における治安問題というものは、私ども格別委員会で取り上げていこうということではありません。先ほど申し上げましたように、琉球の警察現状が、どうも本土の同じような規模の県に比較しまして、相当に格差がある。これを復帰に備えてやはりレベルアップをしていかなければいかぬ、こういう問題を考えておるわけであります。
  58. 林百郎

    ○林委員 御承知のとおり沖縄には、現地の島民の皆さんの間からは、沖縄の祖国復帰ですね、これは基地を撤去して、そして無条件で即時全面的な返還をされたいという大きな動きがあるわけですね。これは政府考えている安保体制を中心として、あそこヘアメリカの基地、場合によっては核基地も認めて、そうして現在置かれているベトナム戦争への基地としての役割りを認める、そういう重要性を認めるといういまの政府考え方、そして福田幹事長の言っておる、沖縄の復帰をおくらせるものはアカだとかいうようなことばも言っている。そういう観点から、首相の指示というのは、こういう島民の運動を抑圧しなければならない、こういう意味の指示がなされているとも考えられますが、警察庁としては見解はどうですか。
  59. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 まあ私、先ほどから申し上げておる意味においての沖縄の復帰を前提とした琉球警察のレベルアップ、こういう問題でありまして、ただいまお話しのようなことは全く考えない、このように考えます。
  60. 林百郎

    ○林委員 沖縄に琉球警察というのがありますね。これはいまの琉球の中の行政機構の中ではどういう機構になっているのですか。
  61. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 私の承知しております限りでは、琉球政府にいろいろな局がありますが、その中に警察局というのがありまして、その警察局長のもとに琉球警察本部というのがありまして、琉球警察部長以下各警察がある、こういうふうに考えております。
  62. 林百郎

    ○林委員 そこの局長は幸地というのですか。——この幸地局長が最近上京した事実がありますね。これはいつ上京してきているのですか。
  63. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 この前の日曜日ですから、十日だと思います。
  64. 林百郎

    ○林委員 それで、日本警察庁とどういう打ち合わせをしていったのですか。
  65. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 幸地局長が見えた機会に、先ほど申し上げましたような琉球警察の実情というものを時間のある限りいろいろ伺いましたところ、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえばパトカーでありますとか白バイでありますとか、そういうような車両がたいへん足りないというようなこと、あるいは通信施設等につきましても古い形の磁石式の電話を使っているとか、それから特に局長お話の中で、学校が非常に狭くて施設が悪い、教育ができないというような話もありまして、そういうようなことが大体の話であります。
  66. 林百郎

    ○林委員 そうすると、学校というのは沖縄における警察学校の設備が古くていかぬからこれを新しくする、こういう意味ですか。
  67. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 そういうことです。
  68. 林百郎

    ○林委員 那覇市に日本政府南方連絡事務所があることは警察庁も御承知だと思います。そこに警察庁から係官が派遣されていますか。
  69. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 派遣しております。
  70. 林百郎

    ○林委員 これはどういう任務を持った人が何名派遣されているのですか。
  71. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 沖縄の南方連絡事務所は、たしか昭和二十七年ごろに創設されたと思うのでありますけれども、最初から私どものほうから職員一人が派遣されております。それで、そこにはおそらく各省からもみな二十名ぐらい行っているのだろうと思うのですけれども、私のほうも現在警視が行っておりますが、これは法務関係を担当しておるように聞いております。
  72. 林百郎

    ○林委員 警察庁から派遣されているのは一名だけですか。
  73. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 一名です。
  74. 林百郎

    ○林委員 じゃ警視が一名だけで、あとそのスタッフとか何とかというのはだれもいないのですか。
  75. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 ちょっと事務の組織は知りませんので、ほかの省の人が手伝っているかもしれませんけれども警察庁から行っているのはその警視だけです。
  76. 林百郎

    ○林委員 将来それを増員する計画はありますか。
  77. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 目下のところありません。
  78. 林百郎

    ○林委員 これは新聞にも報道されているのですけれども、将来警察関係の人事交流、そのほか、警察官をこちらからも交流するし、それから琉球警察警察官を増員する、こういう計画を知っておりませんか。
  79. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 従来も日本政府の琉球技術援助計画によりまして、沖縄の警察官を内地の学校に研修生として来てもらう、それからまたわがほうから警察の各面の仕事の技術援助ということで、これはもちろん警察だけではなくて総理府のほうの計画に基づいて出しておる、こういうことがございます。  それからただいまの増員の問題ですが、現在二年計画で五百人の増員を実施しております。一九六八年度、これは琉球の会計年度でございますけれども、いわゆる昭和四十二年度予算で二百五十名が認められている、そういうことを聞いております。
  80. 林百郎

    ○林委員 将来五百名で、一九六八年までにはいまあなたが言った二百五十何名、こういう計画と聞いている、こういうことですね。
  81. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 そういうことです。
  82. 林百郎

    ○林委員 それからさっきの人事交流の話ですが、これはもう現に行なわれておるのですか。これから行なうという意味ですか。
  83. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 現に行なわれております。人事交流といいましても、いま申し上げたような、学生を受け入れるとか、こちらから……。
  84. 林百郎

    ○林委員 そういうことでなくて、私は警察関係だけにしぼって聞いておるわけです。よそのことを言わないでください。
  85. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 そういう意味警察関係でやっております。
  86. 林百郎

    ○林委員 いま言った学生というのは、警察学校の学生ですか。普通の学生のことを、文部省の管轄のことをあなたに聞いておるわけじゃないのだ。警察関係での人事交流というのは、具体的にどういうことで、何人ぐらいがどういうふうに交流しておるかということを聞いておる。あなたの所管だけでいいのです。
  87. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。琉球政府との人事交流は全然行なわれておりません。
  88. 林百郎

    ○林委員 警察関係のことを聞いておるのですから、警察関係のことで答えてもらえばいい。あなたは答えなくていい。警察関係の人事交流です。
  89. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 いわゆる各省間の人事交流みたいなものはもちろんないわけですけれども、先ほど申し上げたように、たとえば昭和三十九年度から昭和四十二年度までに八名の研修生、沖縄の警察官が警察大学校か、管区警察学校というのが九州にありますけれども、ここに入りまして教養を受けておるのです。
  90. 林百郎

    ○林委員 こっちから行ったのはあるのですね。
  91. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 それから日本政府の技術援助計画に基づきまして、やはり三十九年度から四十二年度までに交通、防犯、少年、捜査、鑑識、警備、こういうような各部門で十四名が行っております。そういうことです。
  92. 林百郎

    ○林委員 沖縄と本土のいわゆる一体化ということの中で、警察力の増強がそういうように行なわれておるということなんですが、それに関連して、沖縄におけるアメリカ人の犯罪についての警察権はどういう関係になっておるのですか。
  93. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  アメリカ人の犯罪につきましては、琉球警察官は、現行犯であって、しかもその場にアメリカの官憲がいない場合、そういう場合に逮捕できますけれども、それ以外は逮捕できません。それからかりに逮捕いたしましても、すぐにアメリカのほうに引き渡す、こういうことになっておりまして、アメリカ人に対する警察権はその程度でございます。  それから裁判等に関しましては、アメリカが裁判権を持っております。
  94. 林百郎

    ○林委員 警察庁の官房長にお聞きしますが、その外人等に対する事件の取り扱いについては、いまの答弁として、大体極悪犯——殺人、強盗、放火、強姦ですね。これは日本人に対するもの、これが昨年何件発生して、どのくらい検挙があったかということをあなたはつかんでいますか。
  95. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 承知しておりません。
  96. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたの先ほど言った警察力の強化というのは、このことがむしろ大事なんだ、島民にとっては。あとで私は数字を言いますけれども、たとえば一九六六年だけ言いますと、極悪犯——殺人、強盗、放火、強姦の発生数が百二十七件で、検挙か五十一件で検挙率四〇%というのですが、日本の極悪犯の、いま言った殺人、強盗、放火、強姦の検挙率が幾らかということを参考までにいま聞きたいのです。あなたは、島民の治安を確保することは、むしろここを徹底的に取り締まるということが大事だというのに、この点の数字は全然関係がなくて琉球警察の強化をするというのは、これはあなたは言わず語らずに自民党、佐藤内閣が望んでいるような、あそこの民衆的な運動をあのままにしておいたのではまずい、この警備中心の警察力強化ということを日本警察の首脳部は政府と一緒になって考えているといわれてもしかたないじゃないですか。同じ日本人の百何十人もが殺人、強盗、放火、強姦を受けているのに、検挙率が四〇%だ。しかもあなたはこれを知らないでおいて警察力を強化するなんということは、あなた方の考えていることがどこにあるかということは十分わかると思うのですね。参考までに申しますと、一九六六年のごく新しいので、極悪犯の検挙率がそういうわけです。  今度は、窃盗、臓物に関する犯罪、これの発生が二百七十四で、検挙が百三十一、検挙率四七%、こういうことなのですがね。ことに一九六六年には、殺人は検挙率ゼロなんですよ。アメリカがかってほうだいということだ。このことこそあなたは大事じゃないですか。それをあなたが日本と沖縄との警察力の一体化の中で、こういう島民の生命財産が非常に侵されているということを知らないということは一体どういうことなのでしょう。たとえば日本の殺人の検挙率は幾らです。そして沖縄がゼロということはどういうことなのですか。どうお考えになりますか。
  97. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 私の聞いておるところでは、数字的なものはありませんけれども刑法犯全般の発生状況、検挙率は、平均しまして大体本土並み。しかし最近における沖縄警察の問題は、いまお話しのような凶悪事件と少年犯罪、それから交通事故の激増ということが問題であるということをいわれております。先ほど先生の御指摘のように、私の申し上げていることは、警備の強化とかそういうことは全然ありませんで、いまもしそういう問題があるとすれば、そういう沖縄警察現状のレベルアップをしていかなければならぬというような事情があるのじゃないかということを感じておるわけであります。
  98. 林百郎

    ○林委員 官房長が沖縄におけるアメリカ人の犯罪についての認識が全くないということに私は実に驚いたわけですけれども、本土並みなんてとんでもないですよ。これは小笠原返還同盟の出しておる数字で、この資料は琉球政府警察局が、琉球政府立法院の軍事関係特別委員会に提出したものによってつくっているのですよ。いいですか。私が主観的なことを言っているわけじゃないですよ。それが本土並みだといえば、本土の警察も警くべきものですよ。  まず、殺人、強盗、放火、強姦の極悪犯についての検挙率を言いますと、一九六一年が三四.五%、一九六二年が四三・三%、一九六三年が三九・七%、一九六四年が四〇%、一九六五年が三九%、これが本土並みだといえば、本土の警察は極悪犯の検挙率はこういう率ですか。
  99. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 私の申し上げたのは、沖縄における一般刑法犯の発生並びに検挙というような趨勢について申し上げたのです。林委員のお話は、そこに駐留している軍人関係の犯罪のように伺ったのですが、私はそういう意味ではなくて、一般的な沖縄の刑法犯の事情、そういうことを申し上げたのです。
  100. 林百郎

    ○林委員 あなたは私の質問をはぐらかしている。私は、アメリカ人の犯罪についての検挙率はどうですか、あなたはこの認識がありますかと聞いているのです。ということは、いま沖縄の島民がアメリカの基地を撤去し、無条件即時全面返還してもらいたいということは、こういうことを毎日毎日受けているから、この植民地的な屈辱には耐えられない、こういうことで要求をしているわけでしょう。だから官房長、あなたはぐらかしてはだめだ。この点についてはあなたは全然認識がなくて、実はアメリカ人の事件数がこうで、その検挙率は全く半分にも満たない、こういう認識があなたにあってかりに琉球の警察の増強ということをあなたが言われるなら、まだ幾らか私のほうもあなたの認識について評価しようと思ったけれども、こっちは何もなくて、そして五百名の琉球警察の増強、しかも佐藤総理がアメリカに行く前に日本の新井長官にも言っている。そうして現地では、この琉球警察の増強が何を意図しているかということはみなわかっている。これは民衆運動を弾圧するのだ。そういうことではないとあなたさっき言っているけれども、われわれはとうていあなたの——私の短い時間の質問の中からそういうことを信じられないわけです。そうして国民的合意というのは、そういうふうに警察力を増強し、沖縄における民主的な運動を弾圧して、自分の思う方向へ、基地つきの沖縄というものを認めさせるという方向政府が持っていくその一つの手段として、こういう警察力の増強を考えているのではないかと私は思う。ここまであなたには質問いたしません。これはまたいずれ大臣にも聞かなければならないので、あなただけに聞いて、あなたに政治的な責任ある答弁を求めても若干無理かと思います。これで一応警察関係はよろしゅうございます。  小笠原の問題ですが、ほんとうならこれは自治大臣にお聞きしたいのですが、小笠原の問題については、われわれとしては当然前の行政的な関係もあるので、これは東京都に返還すべきものだ。不当に一時中断されていたわけです。その不当なものがはずされた、こう思うのですけれども自治省としてはこの問題についてどういう考えをいま持っておられるのですか。
  101. 細田吉藏

    細田政府委員 小笠原諸島の復帰につきましては、御案内のように、先般の佐藤総理訪米の際のジョンソン大統領との会談で基本方針がきまったわけであります。これは御承知のとおりでございます。そこでこの基本方針に基づきまして、アメリカと外交チャンネルによって交渉をする、こういうことでございます。どのような形で返還されるか、あるいは小笠原の現地につきましても、予算委員会で総理がお答えをいたしておりましたが、どうなっておるかというような肝心の点が実はまだ不明確でございます。そこでこれらの点が明確になりました上で、具体的な取り扱いを決定すべきものと考えております。政府といたしましては、十二月八日の閣議で、総理府の中に小笠原復帰準備対策本部を設けておりまするし、またその事務をいたしますために、同じく総理府の中に、小笠原復帰対策準備室というものを設けまして、いろいろな点から急速に小笠原を返してもらうというような点について、いろいろな問題点があるわけでございますが、それらの点の準備を進めておる段階でございます。
  102. 林百郎

    ○林委員 法制局関係の方、見えておりますね。——いま、これは御承知のとおり自治法て規定してあります。これは自治法の五条に「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。」という五条の関係があります。それから一方では国の直轄にするのだ、こういう見解もあるわけですね。まあこの両論があるわけです。私たちがどの立場に立つかといえば、先ほど言いましたように、当然東京都に編入され、そして島民の真の民生安定のために十分の力を尽くすべきだという見解を述べているわけです。この二つの方式について、法制上どういう問題点があるのですか。
  103. 荒井勇

    ○荒井政府委員 その点につきましては、地方自治法第五条の第一項で規定しておりますところの「従来の区域」とは何であるかということの解釈問題がありますし、それから、そういう国直轄という形で暫定的な処理をするというようなことを考えます場合には、憲法九十二条の地方自治の本旨というものとの関係があるというふうに考えられますし、その五条の規定の解釈いかんによっては、憲法九十五条の問題も考えられるということで、それは法制局としては慎重に検討を開始しているということでございまして、いまだ結論は得ておりません。
  104. 林百郎

    ○林委員 憲法九十五条が問題になるといまあなた言われましたね。きょうもある新聞にそのことが報じてあるのですよ。憲法九十五条が問題になるというのは、どういう構想の場合そのことが問題になるのですか。
  105. 荒井勇

    ○荒井政府委員 この地方自治法五条第一項の「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。」と書いておりますその「従来の区域」の中に、小笠原群島というものが入るかどうかという点が問題の出発点でございまして、その場合に、考え方としては二つ成り立つと思いますが、それが肯定的に解せられるということになりました場合に、東京都についてはその肯定的な解釈にかかわらず、それの適用をしないということになりました場合に、それが五条一項の一般規定に対する特別規定ではないかという意味で、憲法九十五条の問題が起こることが考えられ得るということでございます。
  106. 林百郎

    ○林委員 そうすると、地方自治法の五条「従来の区域」によるというのですが、われわれはサンフランシスコ条約が有効か無効かという点については、国連の憲章の規定からいっても、何らアメリカがあすこを、沖縄、小笠原を信託統治として要求する権限もない、またそんなことを日本政府承知する必要もない、こう考えています。ですから、これは違法な取りきめだから、サンフランシスコ条約の三条は、これは廃棄を宣言すべきだ、こういう立場に立っていますけれども、しかし、サンフランシスコ条約、かりに政府がいままで言ってきたことによっても、潜在的主権はあると言っているわけですよ。全然主権が中断されているというわけじゃないですよ。そうすると、「従来の区域」というのは、あれは東京都の支庁があすこにあったわけですから、自治法の五条からいえば、これは当然東京都に編入されるべきだというように考えるわけです。この点がどうか。どうして「従来の区域」ということで東京都へ編入をするということが成り立たないのか。  それから憲法九十五条が問題になるというのは、そうすると、あなたの構想では、小笠原だけに特別立法して、そして政府が直轄をするというような場合には、憲法九十五条の手続が必要ではないか、こういう意味ですか。
  107. 荒井勇

    ○荒井政府委員 五条一項の規定の解釈からして、何らの措置をとらなかった場合には、小笠原諸島の区域は東京都に属するのではないかというのが、まあ多数の意見といいますか、どうも筋合いはそのように考えられるのではないかというのが、目下検討の過程における考え方でございますが、その場合に、特にそれと異なる扱いをするとした場合には、おっしゃるような問題は起こり得ようかと思います。
  108. 林百郎

    ○林委員 だから、その異なるということで、そこをぼかしちゃう。要するに、東京都へ編入しない、政府が直接あすこへ行政権を及ぼすという場合は、憲法九十五条によって地域住民の投票が必要だ、こう聞いていいのですか、そこのところの大事なところがぼけちゃうから……。
  109. 荒井勇

    ○荒井政府委員 その点は、直ちにそのようになるかどうかは目下検討の過程でございまして、結論は得ておりません。
  110. 林百郎

    ○林委員 検討の過程というと、そうすると、憲法九十五条には、御承知のとおり「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共團體の住民の投票においてその過半藪の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない。」こうあるわけでしょう。だから、小笠原地域だけに適用される特別立法をする場合は、当然九十五条の住民投票が必要だ、こういうことじゃないですか。
  111. 荒井勇

    ○荒井政府委員 その点、まず第一に立法政策の問題がありまして、その立法政策の点をどうするのかという点は、主務の官庁において検討中であるというふうに聞いておりますし、その点でまだ私どもが結論を出すのは早過ぎるんではないかと思われます。それから憲法九十五条につきましては、各種の先例があるわけでございます。たとえば東京都を設けるとか、あるいは首都圏についての一つの整備法をつくるとか、あるいは北海道についての開発をつくるとか、各種の先例がございますので、そういうものとの対比においていろいろ検討を要する点があるということで、鋭意検討はしております。
  112. 林百郎

    ○林委員 だから、そういうことをする場合には憲法九十五条の手続が必要ではないかと、こういうように私聞いているのです。
  113. 荒井勇

    ○荒井政府委員 憲法九十五条にいう特別法の意味というのは、非常にむずかしいものでございまして、いま例にあげましたようなものは、憲法九十五条の規定の適用はないものとして国会でも扱われております。そういうようなものとの対比においていろいろ検討を要する事項があるということでございます。
  114. 林百郎

    ○林委員 そうすると、開発的な機構を設けるという場合に、行政区域はどこにするのですか。それは開発の機構でしょう。いまあなたの言ったのは、そういう開発機構を設けるには憲法九十五条によらない。しかし行政区域をどこにするか、どこが行政の責任を持つかということをきめる場合は、小笠原だけを特に国が直轄するという場合には九十五条——これは行政の適用の問題ですよ。行政の適用はきまりても、どこをどう開発するというのは第二段の問題ですよ。当然九十五条が問題になるんじゃないですか。私はその点を質問しているつもりですが……。
  115. 荒井勇

    ○荒井政府委員 どこの行政区域にするかという点は立法政策の問題で、主務省庁の問題であるというふうに考えておりますし、その開発行政とその他の行政という点もどのようにするか、まあいろいろな問題を含んでいると考えられますので、いまのところ各種の事態なりあるいは事例というものを慎重に検討しておりまして、さっき一番最初に申し上げましたように、まだ結論は得ていないということでございます。
  116. 林百郎

    ○林委員 長野さん、あなたこれについて見解を述べているね。新聞に出ている。あなたの言うこともどうもはっきりしないのです。「返還後に小笠原が帰属する自治体を東京都にするか、神奈川県にするか、」これはまた新説だ、神奈川というのは。「いろいろ考え方があろが、常識的には東京都に帰属することになるだろう。しかし、いずれにしても、返還になったからといって一足とびに国内法を適用することは現状からいって無理で、段階的に国内法を適用していくような特別立法措置が必要になってくる、」こういうような見解を自治省は述べていると新聞に出ているわけですが、これはどういうことですか、常識的には東京都に帰属することになるだろうということは。私は常識でなく法律的にもそう思っている、あなたは常識的ということばを使っていますが。
  117. 長野士郎

    ○長野政府委員 新しく返還をされる場合は、どういうふうに内容がきまってくるか、先ごろ政務次官お答えになりましたように、またその現状がどうであるかというようなことを見きわめた上でなければ、なかなか結論は出ないのではないかということだと私どもも思っております。そこで、いずれにしても何らかの法的な措置が必要だというような意味で、あの当時そういうことを申したように記憶しております。
  118. 林百郎

    ○林委員 申したことは間違いないんだね。常識的には東京都に編入されるのが当然だと思う、こういうことですね。言ったことは間違いないですな。私の言わないことを新聞に書いているということじゃないですな。
  119. 長野士郎

    ○長野政府委員 どういうやり方でも考えられるというような意味で私は申したつもりでございます。
  120. 林百郎

    ○林委員 そんなことではちっともわからぬ。今度はそれじゃ次官にお聞きしますが、この問題について、東京都議会で小笠原諸島返還に関する意見書が採択されたことは御承知ですか。
  121. 細田吉藏

    細田政府委員 きのう都議会の代表の方がお見えになったそうでございます。で、事は新聞に出ておりました。ただいま御質問の中にありましたようなことだそうでございますが、私、地方行政委員会のほうに出ておりましてお会いをいたしておりません。したがって、まあ間違いないのじゃなかろうか、こう思っております。
  122. 林百郎

    ○林委員 どうも自治省の最高責任者がそういうことじゃ困りますね。だってあなた、アメリカから返還される日本の領土がどこに帰属するかということについて東京都が決議をしたということぐらいは知っててくれなければ。新聞も見ないのですか、あなた、失礼ですが。
  123. 細田吉藏

    細田政府委員 いや、そういうふうにお答えしたつもりでございますが、何かお聞き違いじゃないでしょうか。
  124. 林百郎

    ○林委員 じゃ、あなた、その意見書の大要はどういうことですか。これは東京都民、日本の首都の東京都民が要望していることを都議会で決議したのですから、そんなことを政務次官知らなくちゃたいへんだ。言ってみてください。
  125. 細田吉藏

    細田政府委員 詳細は私ちょっと記憶しておりませんが、小笠原が返ったら東京都に所属すべきである、肝心なところはそういうことであろうと思います。
  126. 林百郎

    ○林委員 それじゃ私、この中で、いろいろありますが、重要なことを二、三指摘しておきますが、第一が「対米交渉においては、わが国の立場を積極的に主張し、小笠原諸島の復帰をすみやかに実現すること。二、戦前からの経緯にかんがみ、小笠原諸島の帰属を東京都とすること。三、小笠原諸島にたいする施策は住民自治を基盤とし、住民の生活と民心の安定をはかり、軍事施設はともなわないようにすること。」ですね。あといろいろありますけれども、こういうことが盛られているということはあなたは知っていますか。
  127. 細田吉藏

    細田政府委員 新聞で読みましたのは、もうそのとおり読んでおります。
  128. 林百郎

    ○林委員 思い出しましたか。そうすると、この精神ですね、「小笠原諸島の帰属を東京都とすること。」そして「住民自治を基盤とし、住民の生活と民心の安定をはかり、軍事施設はともなわないようにすること。」この都議会の決議をあなたは政府を代表して——ここで政府を代表するのは、あなたが一番上の地位ですから、あなたに聞くよりしょうがない、さんざん委員長に言っても、大臣もだれも出てこないから。あなたはこれを尊重するつもりですか。佐藤内閣を代表したあなたの意見を聞かしてください。
  129. 細田吉藏

    細田政府委員 初めに申し上げましたように、この問題は、いま政府としても非常に大切な問題でございますので、十二月八日の閣議で小笠原復帰準備対策本部というものを設けて、いろいろな各度からこの問題を検討いたしておるわけでございます。都議会の御決議は都議会の御決議として、これは十分尊重されるべきものと私は考えております。政府全体としての意見をここで述べろということでございますが、私にはちょっと荷が重過ぎるわけでございます。また、だれもあんまり行ったこともないような小笠原でございまして、対米折衝もこれからしよう、こういう時点でございます。小笠原復帰準備対策本部で十分に検討される、その際には東京都議会の御決議も非常に重大な御決議でございますから、十分勘案して、政府としての態度は決定されるもの、かように私は考えておる次第でございます。
  130. 林百郎

    ○林委員 時間がないので私の質問を進めていきますけれども、そうすると、自治省の政務次官としてのあなたの答弁としては、小笠原が返還になった際の諸施策については、いま鋭意検討中である、しかし、東京都議会でそういう議決のあったことについては、十分尊重するつもりだ、こう聞いておいていいですね、あなたの答弁としては。
  131. 細田吉藏

    細田政府委員 私自身のことよりも、政府としてどうかということですから、都議会のこういう重大な決議があったということについては十分尊重し勘案されるであろう、こういうふうに申し上げたのでございます。
  132. 林百郎

    ○林委員 私たちの党の見解、また佐藤内閣に対して、民主的な勢力ということばで包括して私はここで言わしてもらいますけれども、その人たちの見解を率直に言いますと、政府はなぜ東京都への編入をちゅうちょしているか、そして直轄方式を打ち出してきているかということは、御承知のとおり、あそこにアメリカのロランC基地を初めとしていろいろの基地があるということですね。そこへもっていって、今度はアメリカとの共同防衛の名のもとに、自衛隊の基地もあそこへつくろうとしておる。そして実際は小笠原が返還されたとはいうものの、依然としてあそこにアメリカの軍事基地はそのまま残され、そればかりではなくて、さらに日本の軍事基地まであそこに設置する、そういうことまで考えている。そういう場合に、民主的な美濃部知事では、その政府の小笠原の基地化が思うように進まない、だからあれはどうしても東京都へ行政編入するよりは、政府の直轄にしなければこの方向が遂行できないんだ、こう考えて、東京都への編入をがえんじないんだ、こういうようにわれわれも考えている。これについてあなたはどう考えますか。
  133. 細田吉藏

    細田政府委員 私は、先ほどから繰り返して申し上げますように、米軍の基地がどういうふうになっておるかということについても承知いたしておりません。いまおっしゃいましたような点について、私たいへん申しわけございませんが、答弁の能力を持っておりません。また予算委員会で、直轄にする云々ということも、政府としては、私の承知しておる限りでは申し上げておらないんじゃなかろうかというふうに思うわけでございまして、そういった点、この間佐藤総理帰ってきたばかりでございまして、今後の問題ではなかろうか、かように思っておるわけでございます。
  134. 林百郎

    ○林委員 具体的な方策を、連絡事務所というのですか、あれは何というのでしたか、そこに聞きますが、島民をあそこへ戻すという問題について、あそこは圧倒的に多いのは農家です。あそこから引き揚げた人たちの、引き揚げ時の職業別の内訳が、昭和十九年の三月現在、東京都の調べが出ておるわけですけれども、農業が圧倒的に多いわけですね。この農民があすこへ戻るとした場合に、旧自分の農地が、そのままあすこへ戻った場合保障されるという問題はどうなるのか。あすこには御承知のとおり農地法が適用されておりませんので、地主と小作との関係で、従前の耕作者が農地法の適用を受けるように耕地を保護されるものであるかどうか。それから、あすこは(軍事用地として取り上げられた土地がたくさんあるわけです。これはもう返還されれば当然旧所有者に返還されるべきものだと思うが、こういう点についてはどういうことをいま考えておりますか。同じことは漁民の漁区についても言えると思うのですね。
  135. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  小笠原の現状がどうなっておるか、非常に判断がむずかしいわけでございますが、私らがいろいろな方面から手に入れている情報によりますれば、非常にジャングル地帯になっておりまして、耕地と耕地の境が全然わからなくなっているし、また耕地であったところがジャングルになっておる関係で、すぐにそれが耕地として使えるような状態でないということは、どうも事実のようでございます。したがって、そういうことを考えますと、いますぐに帰島していただいても、そのところを耕地として利用するということはちょっと無理ではないかというような気がいたします。したがって、そういうような状態でございますので、やはり島全体を総合的に開発計画を立てて帰島ができるような状態に持っていくということが必要だろうと思います。そういうような形で、農民の方につきましては農業ができるようにひとつ考えていきたいというふうに思うわけですが、そこが小作地であった場合に小作権はどうなったのか、あるいは、そもそも先ほど申し上げましたように所有権自体の区画がはっきりしないというような状態もございますので、あとの所有権関係につきましてはよく実情を調べた上で、あまり問題が起きないように考えていきたいというふうに、事務当局としては思っております。
  136. 林百郎

    ○林委員 しかし旧所有者の登記簿謄本あるいは農業関係の資料というものはあるわけでしょう。だから、そういう人たちの権利は認められるのか認められないのか。その権利を具体的にどう実現するかということはまだ進んでいないという話ですけれども、そういうものは認めなければしょうがないのじゃないですか。
  137. 加藤泰守

    ○加藤説明員 所有権につきましては、これはもちろん台帳も、不備ではございますけれどもございますので、そういうもので面積その他に抽象的にはわかるわけですが、具体的にどのところがその人の農地だったかということになりますと、現状が非常に複雑になっておりまして、なかなか判断に苦しむだろうと思います。したがって、いま御質問の点につきましては、もちろん既存の権利がそこなわれないように十分配慮して実行していく、こういうことが必要だろうと思います。
  138. 林百郎

    ○林委員 あなたは御承知かどうか、もう東急あたりの観光資本が行って、そういうところをどんどん買っているのですよ。だからそういうものははっきりしなければ、旧土地所有者、旧耕作者は非常に不安なんですよ。それならば二束三文でもいい、せっかく返ってきたものを幾らかでも金になればいいからというので売るという場合もあるわけでしょう。だから早急にそういう耕作権は保障すると言われなければ、小笠原が返ってきたって、もうけたのは大きな資本家と観光資本家で、できたのは軍事基地だけだということになってしまうのじゃないですか。そういう、旧あすこに耕作をしておった農民の権利はどのように保障されるか、これは必ず確立されるならされる、あるいは漁民はどのように保障されるか、あるいは家屋の再建についてはどのような方向で保障されるのか、そのようなことについてどう考えているのか、全然無責任じゃないですか。
  139. 加藤泰守

    ○加藤説明員 無責任と言われますとまことに苦しいのでございますが、現状が何しろはっきりいたしませんので、いまここで、こういうふうになるのだということを申し上げられないのが残念でございます。しかしいずれにいたしましても、そういうちょうど引き揚げの時点においていろいろな権利関係があった、その関係をどういうふうに処理していくかということは、各省と十分協議して、問題が起きないように私ども努力したい、そういうことを申し上げておきます。
  140. 林百郎

    ○林委員 もう時間がありませんので……。細田さん、あなた、これは少なくとも十九年三月ですか、疎開した現在の権利は保障するということを政府の統一見解か何かで出して、その後いわれのない権利の移動や、いろいろいま申しました、現に行なわれておるわけですけれども、そういうものは停止する措置を何らか政府で発表しなければ、これは絵にかいたもちみたいになってしまいますよ。そうして進むのは防衛関係だけがどんどん進んでいってしまって、結局実質的にはあすこの基地を確保するために.基地を拡大するために小笠原が戻ってきたことになって、ほんとうにあすこの島民、七千人ですか何かいた島民の利益というものは全く不安定の状態に置かれてしまう。これに対して政府はどういう措置をとりあえずとるのですか。そうでなければ戻れませんよ。土地関係はどうなるかわからないわ、うちはどうなるかわからないわ、そして漁区の権利関係はどうなるかわからないわ、その資材、資金はどうなるかわからないわということで、そのままにしておいたのでは……。少なくとも原則として、疎開した人たちが戦争という不幸な事態によって中断された権利は回復される、それは保障する、そしてそれぞれの島民は安心して帰島するようにというような方針を早急に政府は見解を適当な方法で表明する必要があると思いますが、どうですか。
  141. 細田吉藏

    細田政府委員 住民の権利は、これはもう国民の権利でございますから、守られなければならない、これはおっしゃる御趣旨のとおりと思います。  具体的にどういう措置をするかということが問題でございまして、これにつきましては実は私の担当範囲をこえております。したがいまして、いまの御意見については、しかるべき政府の担当の責任者に十分お伝えをいたしたいと思います。
  142. 林百郎

    ○林委員 それでは私の質問はこれで終わりますが、いずれにしても、これは日本の地方自治体として重要な問題ですね。小笠原の復帰の問題も沖縄の復帰の問題も、これは軍事基地の確保のために戻るのでなくて、ほんとうに地域の住民の利益のために返還するのがほんとうの返還の意味になるわけなんですから、そういうことで私はきょう質問したわけですけれども、はなはだ残念ですが、こういうそれぞれの責任ある人たちの出席が求められなかったので実現されませんので、はなはだ不本意でありますけれども、私の質問はこれで終わりますが、後日この問題についてはそれぞれの大臣にも来てもらって、日本の民族の運命にとって重大な問題ですから、私はこの質問を深めたいと思いますので、その権利を留保して、きょうの私の質問はこれで終わります。
  143. 亀山孝一

    亀山委員長 門司亮君。
  144. 門司亮

    ○門司委員 私は、ごく簡単に一、二の問題について御質問を申し上げておきたいと思います。  最初に、これは財政関係について御意見を聞いておきたいのでありますが、次官がおいでになりますから、これはきわめて政治の問題だから、政治的の問題としてひとつ考えていただきたいと思います。  このことは、ほかのことではありませんが、いま領土の問題が非常に問題になっておりまして、北方の領土に関する問題であります。これは御承知のように歯舞、色丹、それから択捉、国後というのがあるわけでありますが、ここに対しまして、これが墓参の関係だとか、あるいは漁業の関係であるとか、あるいはコンブの採取であるとかいうようなものの処置について、これがわが国の領土からいま分離されておるという関係で、そこから生じてくるいろいろな行政的の問題の処置について、北海道庁あるいは当該根室市がかなりたくさんのお金を使っておるわけであります。これは全く地方財政の交付税の中に何ら考慮されておらないので、北海道に対するそれらの財政処置の問題をぜひひとつやっていただきたい。具体的に私ども調べました範囲で——これは北海道庁の発表でありますので、私は数字に間違いはないと思いますが、昭和三十八年度から昭和四十年度までの貝殻島水域コンブ採取漁業実施に伴う経費として四千七百五十九万円を使っております。そしてなお本年度見込額として一千三百二十一万八千円が必要であるということで、道庁ではこの数字をあげております。同時に、根室市の場合になりますと、これらの問題に要します費用というのが、さっき申し上げました三十八年度から四十一年度までの間で大体一千九百二十万円の金が使われておりまするし、さらに本年度の見込額が五百五十万円、こう言っております。それから、その他の運動費として、昭和四十一年度において二千五百六十五万円であり、毎年度の経費として大体こういうくらいのものを使わなければならない。これは御承知のように、国と国との間のいろいろな取りきめはございますが、それと同じようにやはりソ連の択捉、国後におります官憲との間に、根室市あるいは北海道庁というような行政機関からいろいろな交渉、あるいはそのことのために、ことに根室の市長は、そういう事件において、おそらくソ連を二、三回訪門しておると私は思いますが、結局直接の地域の担当者としてはこれをほうっておくわけにはいかない。そうすると、その費用というものが当然使われてくるわけでありますが、これらの費用は、実はいま申したような数字になっておるわけでありまして、それに対して自治省が何らかの財政の処置をしていただきたいということは、私は北海道庁並びに根室市の当然の要求だと考えておる。その中で自治省が処置しておりますものは、わずかに歯舞、色丹だけでございまして、これは町役場が花咲郡、例のあの灯台のあるところでありますか、ここに町役場がございましたので、町役場が北海道本島にあったということで、これを認めて、そうしてこれに該当する一応の交付金は出されておるようでございます。しかし出しましても、これは面積だけでございまして、ほとんど人間がおりませんので、人間の対象にもなりませんし、学校の対象にもならない。何らの対象にもならない。きわめてわずかなものが、一応面積、道路というようなものが考えられて出されておるという程度であって、満足なものではございません。こういうことを考えてまいりますと、どうしてもこれに対して何らかの処置をしていただきたいのが一つであります。  それからもう一つの問題は、これらの復帰運動、沖縄の復帰運動も非常に熾烈に行なわれておりますが、北海道における、根室市における運動というものは実に真剣なものである。しかし、それが遺憾ながらこちらに伝わっていないというところに一つの問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、復帰に関しまするこれらの具体的な問題ではなくて、その他の運動でやはりかなりたくさんの経費を道なり市なりが使っております。これらの点についても、やはり御配慮を願いたいということ。  それからもう一つの問題は、国が一応援助をいたしまして、ある程度の資金を出して、これは小笠原も同じでありますが、何か見舞金みたいなものを出しておるわけであります。したがって、それらのお金を基礎にして、北方協会という財団法人の協会ができております。これがそういうお金を積み立てて、そうしてそのお金の金利で運営されて、領土の返還運動等の主体をなしているわけであります。そういう意味で、これも限られた、政府から支給されたお金についての利子だけしか実はございませんので、十分に運動をするわけにいかないというのが今日の北方領土に対する一つの大きな問題点でございます。したがって、これらの問題について、この財団法人に対して何らかの援助ができるものなら、やはり援助をしていただきたい。そうして少なくとも日本の戦争に対する犠牲に対して支出されなければならない、あるいは支出しておりますものが地方負担になるようなことであってはならないと考えるのであって、これらの問題について、ひとつ明確な御答弁を次官から伺えれば幸いだと思っております。
  145. 細田吉藏

    細田政府委員 具体的にこれまでどうしているかというような点につきましては、事務当局からお答えさせたいと思いますが、おっしゃいますような国と国との関係から北方領土問題が未解決になっている、そのために北海道庁なりあるいは根室市というようなところに特別な負担がかかる、こういう点については十分考えるべきであると存じます。  なお、後段に申されました復帰運動あるいは北方協会の問題等につきましては、まあ役人みたいなことを言って恐縮でございますが、これは総理府、私も実は以前おりましたが、総理府といたしましていろいろやらなければならぬ問題であろうと思います。もちろんこれが地方自治体に関係がないわけではございませんので、地方自治体の分は私どもがやらなければいけませんが、こういう点につきましては、ひとつ十分総理府のほうとも連絡をとりまして、できるだけ善処をいたしたい、かように私としては考えているような次第でございます。
  146. 細郷道一

    細郷政府委員 御指摘のように歯舞諸島については、面積を加えて需要算定をいたしております。そのほかいろいろお話しのございましたような経費については、現在のところ普通交付税の算定上には見られていない、こういうことでございます。
  147. 門司亮

    ○門司委員 いま次官の答弁が先で、説明があとでしたが、大体次官の答弁どおりに理解しておいてよろしゅうございますね。めんどうを見てもらえるというふうに理解しておいてよろしゅうございますね。
  148. 細田吉藏

    細田政府委員 いまお話しのありましたような点、十分現地の調査等もいたしまして善処いたしたいと思います。
  149. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つの問題は、先ほど私もあまりよく聞いておりませんでしたが、小笠原の帰属問題で何かやられておるようでございますが、私は小笠原の帰属問題については、国がこれを直轄するなんていうことは、どこをどう考えても、日本の現行法でやれるかどうかということは非常に疑問がある。これを適用するのは、自治法の例の七条の二項を適用するか、あるいは九条の八を適用するかということしかないと思う。七条の二の中にも割譲された道路とか土地とか書いてありますけれども、これは割譲されたものでも何でもありませんし、問題はないはずである。これがあの法律のできました当時においては、例の秋田県と青森県との境に、海上約二十マイルくらいあったと思いますが、厳密にいうと二十海里ということばが使ってあったと思いますが、海上二十海里くらいの地点にあった久六島、これの所属がきまっていなかった。これをどうするかという問題が一つあった。これは幸いにして青森県に現在所属していると考えております。  それからもう一つの九条の八の事項に該当する一つの問題としては、東京湾の中にあるいわゆる扇島、これは何人が埋め立てたものでもなければ、別に人工でこしらえた島でもない。いわゆる東京湾の中をみな寄ってたかってひっかき回した結果、潮流の関係で寄り州ができて、一つの大きな土地ができた。その土地の帰属に対してどうするかということが当時考えられておった。これが九条の八項に規定されておりますものであって、この条文が適用されて、現在この島は神奈川県に帰属しているという、事例がないわけではございません。したがって、小笠原の問題にいたしましても何もこれがいまごろ、しかも政府の側からどこに帰属するかなんということが議論されることは実におかしいと私は思っている。当然東京都の問題であるし、しかも何といっても昔から東京都に所属しておった。奄美大島が鹿児島県に所属していると同じことである。これもはっきり奄美大島の前例が出ておるのでありますから、これを政府がいまごろ取り上げようと考えておるのは不都合であって、できない相談である。したがって、その点等については明確にしておいていただきませんと、こういう問題がいろいろな問題を生んできて、そうして物議をかもすようなことがあってはならないと思いますので、最初に、先ほどの林委員の質問について何かあいまいな答弁が聞かれたようでございましたが、自治省はもう少しはっきりした答弁をしておいていただきたい。
  150. 細田吉藏

    細田政府委員 在来の都道府県の帰属の問題等の先例あるいは法律的な問題等につきまして、御意見をお聞かせいただきましてたいへん私ども今後の参考になったようなわけでございます。先ほどお答えをいたしておりますように、小笠原につきましてはこれから日米交渉が始まる、あるいは現地についてもあまりよくわかっておらない、こういうようなことでございまして、これがきまるのにそう時間がかかるとは思いませんが、いまの時点といたしましては、、実はまだ何とも申し上げかねておる事態でございまして、小笠原復帰準備対策本部も、なるべく一日も早く外交交渉で返してもらいたい、そのためにはこういう問題点があるということを拾い上げてやっておりますし、もちろん自治省からもこれに参加しておりますので、先生のただいまの御意見も私ども十分ひとつお聞きいたしまして、さらに私どもといたしましても研究をいたしまして、なるべく早い時期に結論を政府全体として出すように自治省として努力してまいりたい、かように思っております。
  151. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つは、これはここであまり先走った話で、これも次官からおこられるかもしれないと思いますが、実は佐藤さんがジョンソン会談との中から出てきた沖縄に対する本土との一体化という問題が当然出てくるわけでありますが、その場合の取り扱いとして、沖縄の問題、いま総理府が受け持っておりますが、これは非常に不自然だと思う。一体化の場合に一番先にどこの省が扱うかということになれば、自治省が当然日本の沖縄県としての立場からそのものを判断していくことが、一番的確な判断ができると思うのです。これは判断の問題でありまして、非常にむずかしい仕事の一つであります沖縄県としての判断の上に立って一体化をはかっていくということが、事件を的確につかむ一番最良のものだと私は考える。これがどこの所属がわからぬようなことで、総理府のいまのような状態でまかしておったのでは、このままではいけない。したがって、日本政府考え方としては、当然総理府のものを取り上げるというとおこられるかもしれませんが、帰属はやはり自治省がこれを担当するという形をとっていただきたいと思いますが、自治省としての意見をひとつこの際聞かしておいていただきたい。
  152. 細田吉藏

    細田政府委員 総理府の中に特別地域連絡局ができましたのはだいぶ前のことでございます。その後沖縄と本土の一体化というものにつきましては、財政援助その他も飛躍的に増大いたしております。特に今回は佐藤・ジョンソン会談も行なわれたわけで、当時の事態とはだいぶ変わってきておる、かように思います。したがいまして、いま門司先生の御意見につきましては、私はもう十分政府としては考えなければならぬ時期が来ておる問題ではなかろうか、かように存じております。ただ、いま自治省の統一的な見解を申し上げるということにつきましては、大臣ともよく御相談も申し上げなければなりませんし、他の省にも関係いたす問題でございますので、いま自治省のはっきりした態度云々ということについてはごかんべんをお願いしたいと思いますが、十分にひとつ御意見のあるところを私ども検討させていただきたい、かように思っておるわけでございます。検討しっぱなしとかなんとかということでなくて、真剣にこの問題と取り組ましていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  153. 亀山孝一

    亀山委員長 太田君。
  154. 太田一夫

    ○太田委員 やるつもりでないような顔をしていたから、御指名がなかったのだと思いますが、質疑だけは通告をいたしてあります。一番最後に回しましたのは御協力したいつもりですから、簡明にひとつお尋ねしますから、財政当局も簡明にひとつお答えいただきたいと思います。  私は、最初不交付団体、いわば地方の非常に富裕だといわれる団体に対して、今度ベースアップに要する費用百九十三億、交通安全に対する費用が四十四億、合わせて二百三十七億要るのだ、この補正をしなければならないのでありますけれども、それは収入の増を見積もりまして、さらに約百億の節約をして何とかやっていこう、こういう計画なんであります。それで私は過密過疎のこの二つの対象に対しまして、今後自治省としては財政上これをどう割り切っていくか。過密地帯は、これは自前でやれというのか、過疎地帯も自前でやれというのか。過密過疎地帯、これは赤字、黒字ということではありません。過密過疎帯に対する財政上の立場から見た将来のビジョン、これを簡明にお答えをいただきたいと思います。
  155. 細郷道一

    細郷政府委員 国土の全般的均衡ある発展ということをどうするかということにつきましては、いろいろむずかしい問題がございますが、当面過密地帯あるいは過疎地帯につきましては、われわれも財政の面におきましても実態に沿うようにその財源充実等につとめてまいりたい、かように考えております。
  156. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことで別にことばの上では差しつかえありませんですね。しかし六大指定都市など見ますと、たとえば道路法から出てまいりますところの当該六大都市の負担すべき事業、費用というものはばく大なものなんです。富裕県だけ考えてみても、これは自治法上から出ておらないたいへんなものがある。そこへ持ってきて公営企業が軒並みに赤字だ。こういうところから、今後給料の引き上げなどということは考えられないで、そこに公務員部長の鎌田さんもいらっしゃるが、払えなければ首切ったらよかろうということで、定年制を考えてみたり、定員削減を考えたり、いろいろなことが考えられておるようでありますが、本末転倒しないで、市民生活の最低という何か一つの基準をつくりまして、それだけのものは確保してやらなければいけないと思うのです、六大都市だろうがどうだろうが。たとえば、大阪には救急車というのはどれだけあるでしょう。これはだれかわかっておる方、おられますか。
  157. 細郷道一

    細郷政府委員 手元にちょっと資料がございませんので、調べて御報告申し上げます。
  158. 太田一夫

    ○太田委員 たとえば十万の基準都市でも一台や二台の救急車は持っておる。大阪あたりで九台しかないということはどういうことであろうか。そこで大都市に参りますと、まず公会堂というような集会施設が非常に少ない、保育所も比較的少ない、それに救急車も少ない、病院も少ない、何もかもが条件というのが——大都市というのは少ないのです。そこで市民生活の最低だけは何か守ってやらなければならないということになれば、相当財源が要る。ところが財源は現在の交付税では見ておらない。交付税は、交付税の立て方に問題があるのではないか。先ほどおっしゃるように、どちらも満足する交付税というものを今後考えていきます場合には、現行交付税法に何か問題があるのではありませんか。基本的にそういう点、何か御検討でございますか。
  159. 細郷道一

    細郷政府委員 地方団体三千五百、それぞれ立地その他特徴がございます。それらの需要を全国的なひとつの客観的指標でとらえて、できるだけ実態に沿うようにしていきたい。そこで、さらに国土の均衡ある発展といった大きな視野からの配慮も加えてまいりたいというようなことで、交付税の需要算定もなかなかむずかしい問題をかかえておることは承知をいたしております。一発で全部の問題を解決するということもなかなかできませんので、さしあたりましては、先ほど申し上げましたようなことで、過密地帯あるいは過疎地帯といったようなものについて需要の算定を充実する。また過密地帯につきましては、地方債等の充実によって仕事をしてもらうようにしよう、こういう方法をとっておるわけでございます。
  160. 太田一夫

    ○太田委員 でございますから、地方債の額もウナギ登りにのぼっておる、そういう祭に、たとえば九十九億の節約をしなさい、そうして賃上げの原資にしなさいということは、これは非常に冷たい計画だと私は思うのですよ。だったら足らない分はどんどん借金しなさい、こういうことで、借金で間に合うなら、地方団体の借金というものをあなたのほうで無制限に自由化なさるならば、いわば地方債の自由化が実現されるなら、それは因らないでしょう。けれどもそうじゃない。ワクは規制がある。だから、そういうときにあなたのほうは不交付団体に対して、九十九億節約をしなさいとは、あまりにもひどいじゃないだろうかという気がするのです。  それからもう一つ。交付税というのは元来は、税配分というのがあまりうまくいっておらないから、それを補完する音加味でできておるのでしょう。してみれば今日の大都市の実態から考え、あるいは過疎地帯の実態から考えて、本来なら交付税を平衡交付金のほうにやったらいいだろうという意見が何べんも出ているけれども、平衡交付金にしてしまえば大都市に行かなくなりますね。そうすると大都市には何をやったらいいかというと、新しい財源を与えなければいけません。将来こういう財源を与えますというようなことを、あなたのほうに素案でもあるとすれば安心するのですが、何か大都市に特別財源を与えるというようなことが議論されておりますか。
  161. 細郷道一

    細郷政府委員 節約の点につきましては、別に不交付団体だけではなく、交付団体もその団体の規模に応じて行なってもらおう、特に今回の場合、給与の改定財源ということでございますので、これをいきなり借金に求めることは財政の姿勢としてもよろしくない、こういうふうに考えているわけでございます。大都市財源をということは、実は言われて久しい問題でございます。私どもも常に念頭から離れない問題として考えておるわけでございます。先般、地方制度調査会におきまして、明年度の一つの目標として市町村の道路目的財源をふやせという御答申をいただいております。この御答申はごもっともな点がございますので、私どもとしてもひとつ明年はそれが実現できるようにということで、実は努力をいたしておるわけでございます。これはどこの市町村へも行くから同じではないかと言われればそれまででありますが、やはり大都市の道路問題ということにも寄与するものと考えているわけであります。
  162. 太田一夫

    ○太田委員 たとえば事業税、料理飲食税、入場税ないしは不動産取得税等は指定都市には当然与えてもしかるべき法体系下にあるのではないだろうかと思います。そういうことについてはいかがですか。
  163. 細郷道一

    細郷政府委員 やはりそれぞれ持っております行政事務というものとの比較において、自主財源である税制は考えていかなければならないと思います。したがいまして、財政運営の姿だけを見て財源の配分というわけにはまいりません。もちろん新しい時代の方向として、都市施設というようなものを充実しなければならないことは承知をいたしておりますので、そういった方向も見ながら、また事務配分ということも検討しながら、そういうことに対策を立てていかなければならぬ、かように思います。
  164. 太田一夫

    ○太田委員 細田政務次官、実際、過疎地帯においては、人口幾らに幾らという単位費用の計算では、だんだん人口が減少する場合にはぐあいが悪い。といって、その人口に対して特別の引き上げをすれば、やはり市と山間部とのバランスがこわれるという点がありますから、特別態容補正等の発動をさらに厳重にして、そして山間僻地と言っては何ですが、山間部等の人口の少ない地帯に対する交付税の配分は、強い傾斜配分ができるように考えられるのがしかるべきだ。そうすれば全体の原資が少なくなるから、そこで大都市、特に指定市等におきましては、いま申し上げました県に所属する財源の中で一部指定市に回してしかるべきものがある。単なるガソリン税なんという問題ではなしに、あると思いますが、そういう基本の問題について、いま交付税の仕組みがいいからといって、自画自賛だけでなくて、あらためて出発点に戻って考えていただく、こういう点が必要であろうと思いますが、いかがですか。
  165. 細田吉藏

    細田政府委員 過疎地帯につきましては、おっしゃるように、私どもの選挙区も非常な過疎地帯でございまして、たいへんな問題がございます。人口の急減した地域については急減補正ということを一部やっておりますけれども、十分であるとは私ども考えておりません。特に、昨日も河上委員からの御質問等にもございまして、大臣お答えいたしましたが、大都市問題というのは現在のわが国における最も大きな問題の一つであると言ってもいいと思います。これは結果的にはたいへんな金がかかるが、これが立ちおくれている、いわゆる都市政策というものはおくれている、こういうことが言えると思うわけでございまして、地方制度調査会では、これらの点については一応御答申の中にも触れられておりますけれども、昨日も大臣が申しましたように、もっといま太田先生のおっしゃったような点を根本的に考えていかなければならぬ問題がたくさんあると存じております。税金をどうするかという問題もございます。また、支出の合理化というようなことで、現在国の仕事が、野方図と言うと語弊がございますが、どんどん地方に人手をふやさなければやっていけないような負担をかける超過負担の問題がある。いろいろなそういう点がございまして、いまおっしゃっているようなことは将来地方自治の根本の問題で、当面している大問題であると思います。こういう点につきまして、地方制度調査会の御意見もさらに具体的にいろいろ御検討いただく、私どものほうもそういう方向で進めてまいりたい、かように思っているような次第でございます。
  166. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、交付税法そのものの立て方、その内容等を一ぺんばらして見直す必要がある。  もう一つは、指定都市等におきましては、自治法上その府県の業務がまかされておる仕事もあれば、その他の、単独法から管理を委任されている国道、県道の管理のような仕事もある。それぞれ予算がついているのですから、そういう点などについて一応、例の過疎地帯をどうする、過密地帯をどうする、そしてまた交付税の立て方としてはどうするのだ、態容補正があるからよかろうということだけではないと思います。  あと二点ほどあるのですが、十月二十四日に前の大臣お答えになったことばの中に、地方公営企業の職員に対する賃上げについては、地方公営企業というのはたくさんあるのだから、それぞれケースバイケースというようなことばをお使いになったと思いますが、善導いたします、善導するというおことばがありました。善導するということはどういうことですか、ほんとうに善導しておりますか。
  167. 細郷道一

    細郷政府委員 文字どおり善導でございまして、私ども公営企業の将来を考えまして、いま経営の健全化と申しますか、財源についていろいろやっておるわけであります。そうした大きな方向のもとで、それぞれ団体によりましていろいろな特殊な事情もございます。したがいまして、その状態に応じつつ善導をしてまいりたい、こういう意味大臣の発言を解しております。
  168. 太田一夫

    ○太田委員 細田政務次官大臣にかわってお答えいただきたい。前の藤枝さんは、とにかく公営企業の職員の賃上げに対しても理解あるがごとき印象をわれわれに与える善導ということばをお使いになりました。それに対していまの財政局長は、最後の最後ということじゃないでしょうが、いろいろと出された何かを見ますると、肝心なところは、なかなかむずかしい、やるなと言わんばかりのことばも所々に散見をされる。しかしわれわれは大臣が善導するとおっしゃった以上、悪導じゃありませんから、ぶちこわそうというわけじゃないと思いますから、ひとつ善導をするということ、このことに肉づけをして具体案を早急に、その名前にふさわしいものをお示しをいただきたい、具体的な例をお示しをいただきたいと思います。
  169. 細田吉藏

    細田政府委員 前の大臣が善導するというふうに御答弁申し上げたようでございますが、ただいま細郷局長お答えいたしましたのも、太田先生のおっしゃるように、非常に冷たいものであるというふうに私は聞かなかったのであります。ことばの先でいろいろ言いましても、これはよくないことかと思います。先ほども答弁がございましたように、公営企業はいまいろんなのがございます。また再建計画進行中あるいは目下再建計画樹立中といったようなものもございます。いろいろ事情が違いますので、具体的に私ども善導してまいるということをいたしたい、かように思っております。
  170. 太田一夫

    ○太田委員 それでいいです。あなたのおことばはそれでいいと思いますけれども、具体的になると、おまえのところは赤字だから、あるいはいままで少々よけい取っているように思われるから、賃上げなんかは必要ないよという指導をなさってはいけない。それで不可能の中に可能な道を見出していただく。地方公営企業の職員は、だんだん電車は動かなくなってくるわ、それを廃線にしてしまってもう要らなくなるわ、バスにかわってきたらば交通渋滞で動かないわ、したがって水揚げは少ないわ、そこでまた赤字になるわ、自分のほらでそれをかぶらなければならないわということは、これは実際上現象そのものはそうであるかもしれませんけれども従業員、職員に対してそれをしわ寄せをするという結論は間違いなんです、ですから、善導するということは、そういう中から可能なものを見つけるということです。どうしたら可能か、多くを輸送するという本来の使命に立ち返れるように、警察当局とも十分連絡の上、交通規制をして、大衆輸送の優先政策を打ち出されることだ、こう思います。ぜひその点をお願いする。  それから最後に、きのうでしたか、有澤廣巳さんが会長をやっていらっしゃる何とかという団体が、交付税は三二%から三〇%に下げるべきだ、それから地方にいく補助金は半分にせよ、こういうことをおっしゃっていらっしゃるのを発表されておりますが、そういうような時代逆行もはなはだしいようなことを学者がおっしゃることは、私は、自治省のPRの不足だと思う。大蔵省の手先であるかどうか知りませんけれども自治省はもっとしっかりして、いままでに超過負担は何千億あるのだ、それから余分の負担はこれだけあるのだというような点を十分PRして、本来のあるべき地方自治の裏づけになる地方財政を確立してもらいたい。そういう有澤さんの何々団体のせっかくの御忠告であるが、われわれ地方財政に対してはなはだ理解がないと思います。もしそういうことがあったとしたら、これに反発をしていただきたいと思いますが、次官、いかがでございましょうか。
  171. 細田吉藏

    細田政府委員 私は、有澤先生が会長をしていらっしゃるどの委員会かよく存じませんが、交付税率を引き下げるとか、補助金をぶった切るとかいうことにつきましては、私ども同調するわけにはまいりません。絶対反対でございます。  なお、自治省の地方財政に対するPRが非常に足らぬのじゃないかということで、たいへん力強い御激励をいただいたわけでございますが、こういう点につきましても、私、新任早々でございますが、大いにやらなければならぬと、かように存じておる次第でございます。正しい事情を国民の皆さんにわかっていただく、こういうことがPRの本義と思います、そういう点につきましては、さらにひとつ努力をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  172. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。   午後一時十四分散会