○細谷
委員 政務次官の前段のおことばをお聞きしたわけですけれ
ども、なお後段のほうで、現
段階における不安定なものを
政務次官おっしゃっておったわけです。この問題は、
委員長、大切な問題でありますし、この
交付税の
単位費用を改定する前提になっておる問題でありますから、私は、この法案の決着がつく
段階においては、もっとはっきりするなり、あるいは
委員会としての適切な意思表示をいたさなければならぬものではないか、こう思いますので、そういう
意味において、この点は保留して先に進ませていただきたいと思います。
次に、お尋ねいたしたい点は、せんだっての
自治大臣の所信表明の中に、四ページでございますけれ
ども、「本年八月、公務員部の設置が実現いたしましたので、これを機会に、充実した責任体制と機構のもとに、なお一層公務員秩序の確立、近代的な正常な労使
関係の樹立」とうたっておるのです。ところが、
大臣はこうおっしゃっておりますけれ
ども、近代的な労使
関係の樹立ということとはほど遠いような問題が現在起こっておるわけです。それをひとつ申し上げてみたいと思うのであります。
いろいろな
地方公営企業
関係の問題が出ております。たくさんの問題が出ております。
地方公営企業
関係の
法律を、昨年ですか、
審議をした際に、
自治大臣は、近代的な労使
関係という形について、こういう
答弁をなさっておる。これは
地方行政委員会の
理事会で
質疑応答の打ち合わせをいたしまして、それに基づいて
大臣が
答弁したわけでありますから、いいかげんなものじゃないわけなんです。
政務次官いらっしゃいますから、よく読みますから聞いていただきたい。問いの五ということで、財政再建
計画の承認と労働基本権との
関係についての
質問であります。
自治大臣は、財政再建
計画の承認を行ない、または指導を行なう場合は、企業職員の有する団体交渉権及び団体協約締結権をあくまで保障すべきだと考えるがどうか。これに対して
自治大臣は、企業員に認められている団体交渉権及び団体協約締結権は、再建団体なるがゆえに制約をされるものではない。しかし、企業の再建は管理者のみの努力で実現できるものではないので、労働組合の大局的見地に立っての理解と協力が要請されるのである。
自治省としては、この見地に立って行き過ぎのないよう、十分留意し善処してまいりたい、こういう
自治大臣の
答弁がなされておるわけです。これは、言ってみますと、やはり
地方公営企業に所属する職員は
地方公務員であり、かつ地公労法に基づいて団体交渉権、協約締結権というのを持っているんだ、これは尊重されなければならぬ、そういう
立場で指導してまいる、こういうことに尽きるわけですね。ところが、これは具体的に場所を申しますと北九州市でございますけれ
ども、現在議会が開かれておりまして、そしてその議会に水道と病院事業の再建
計画案なるものが提出されておるのであります。その
計画案の内容を見ますと、現在おる職員のうち二百六十六名の首を切る、こういうことなんであります。
その市当局の再建
計画なるものを見ますと、こういうふうに書いてございます。「人件費の適正化による節減」「ア 給食業務、清掃業務、警備業務等を
昭和四十二
年度末までに外部に委託し、職員二百六十六名を減員する。」それからほかにありますが、「オ 特殊勤務手当についてば、現在二十四種類のうち十五種類を廃止し、研究手当、臨時調整手当、婦長手当等の九種類とする。」「カ
勤務時間を現行こうそく四十三時間制を、こうそく四十八時間制に改める。」その他ございますが、これは職員にとってはたいへんな問題です。首切りがあるわ、残った人は労働時間の延長であるわ、手当、労働条件は切り落とすわということで、たいへんなことであります。団体交渉は形だけはやりますけれ
ども、これは一寸一分も変えることができないのだということで、断固としてはねのけております。それで、当局原案そっくりそのままのものが、一寸一分も変えないで現在開かれておる議会に提案されております。そうして、聞くところによりますと、ここ数日のうち、あすごろに可決されるだろうということであります。情報によりますと、けさ組合側から
地方労働
委員会に提訴いたしまして、
地方労働
委員会の調停案なるものが出たそうであります。その調停案の内容は、よく労使双方で話し合いなさい、その間組合のほうは実力行使はやらないようにしてほしい、この二項目を提示されたそうであります。しかし、いま私が聞いているところでは、当局はこれに応ずる気配が全くないと承っております。そういうことになりますと、いま言ったこの
地方公営企業法の審査のときの「問五」に対する問答、これは全く無
意味ですよ。どこに労働基本権がありますか。どこに団体交渉権がありますか。ただ二十分か三十分話し合って、いや、だめだだめだということであります。ただ形式だけのものであります。しかも
政務次官、これの張本人、中心人物というのが、いままで本省の幹部をやっておった人であります。そういうことになりますと、
自治省は、問答を幾らやっても、こんなものは
国会でただ適当に答えておけばいいんだ、やれやれということですよ。これでは、せっかくこの
地方行政委員会の
理事会が、この法案の
審議の際に詰めに詰めて行なった
委員と
大臣とのこの問題についての
考え方、姿勢、こういうものが全く無視されているんじゃないかと思うのですよ。これについてどうお思いになるのかという問題、これはたいへんな問題でありますから、お伺いしておきたいのであります。いますぐ答えろというわけじゃない、
あとでひとつぴしゃっと答えていただきたいと思うのですが、その前にひとつ厚生省にお尋ねしておきたいのであります。
厚生省のほうでは、先ほど申し上げましたように、この再建
計画案なるものは、二百六十六名の病院の人たちのなま首を問答無用で首を切ることになるわけでございますけれ
ども、その中で給食
関係の炊事をやっておる人が百七名おるのであります。そして食器の消毒をやっておる人が五名おります。それから寝具等の消毒をやっておる人が五名おるのであります。洗たくをやっておる人が二名であります。このうち、炊事をやっておる人は百七名全部ばっさりですよ。食器等の消毒をやっておる人は、これは全部ばっさり、寝具の消毒をやっておる人は全部ばっさり、洗たく員も全部ばっさりというのであります。まあそのほかに病棟婦、看護助手というのが九十六名おるのですが、いずれにいたしましても、消毒とか炊事とか、そういう
関係の人は全部ばっさり。残るのは栄養士というのが残るのであります。栄養士は残るのでありますけれ
ども、その他は全部ばっさりですよ。こういうことになりますと、一体、医療法の二十一条では、いろいろな病院の法定人員及び施設等の
規定がございますし、これを受けまして、あなたのほうの規則というものが出ておりまして、規則には「診療エックス線技師、事務員、雑仕婦その他の従事者 病院の実状に応じた適当数」、こういうふうに規則の十九条の一項六号にはうたっておるわけですね。なおかつ、おたくのほうでは、こういうことを言っておるだけです。たとえば「給食管理」については、「給食業務は、治療の一環として行なわれるものであるから、病院の直営としてその業務を行なわなければならない。」これが指導の基本方針です。「止むを得ない
事情により、第三者に病院内の給食施設を利用して、給食業務を委託している場合には、病院に給食係をおき、献立の作成、材料の購入、検収、食餌の調整の監督をこれらの職員が行なう体制でなければならない。」こういうような指導をしておるわけですね。そうして、こういう関連についておたくのほうで疑義についての通達等も出しております。たとえば
昭和三十二年十月二十五日「病院給食制度の疑義について」の回答等もなされておりまして、この指導方針については、一貫して指導なさっておるのですね。こういう厚生省の
態度からいきますと、いま私が数字をあげて申し上げたこの再建のやり方というのは、おたくのほうの医療法あるいは医療法に基づく規則、おたくのほうの指導方針とまっこうからぶつかるものと私は思うのでありますけれ
ども、いかがでございましょうか。