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1967-12-12 第57回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月四日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 和爾俊二郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 門司  亮君       伊東 隆治君    木野 晴夫君       久保田藤麿君    佐々木秀世君       塩川正十郎君    中馬 辰猪君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君       古屋  亨君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    島上善五郎君       華山 親義君    依田 圭五君       折小野良一君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十二年十二月十二日(火曜日)委員長の指 名で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方税に関する小委員       大石 八治君    奥野 誠亮君       塩川正十郎君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    古屋  亨君       井上  泉君    河上 民雄君       山口 鶴男君    折小野良一君       小濱 新次君  地方税に関する小委員長                 奥野 誠亮君  消防に関する小委員       大石 八治君    奥野 誠亮君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       塩川正十郎君    古屋  亨君       太田 一夫君    細谷 治嘉君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君  消防に関する小委員長                 古屋  亨君  地方公務員等共済制度に関する小委員       大石 八治君    奥野 誠亮君       木野 晴夫君    塩川正十郎君       古屋  亨君    山田 久就君       太田 一夫君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    折小野良一君       小濱 新次君  地方公務員等共済制度に関する小委員長                 大石 八治君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十二年十二月十二日(火曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       伊東 隆治君    木野 晴夫君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       折小野良一君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員長 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁交通局長 鈴木 光一君         大蔵政務次官  倉成  正君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         運輸省鉄道監督         局総務課長   岩倉 多門君         建設省道路局企         画課長     豊田 栄一君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 十二月十一日  委員折小野良一辞任につき、その補欠として  春日一幸君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員島上善五郎君及び春日一幸辞任につき、  その補欠として芳賀貢君及び折小野良一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として島上  善五郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事久保田円次君十一月二十八日委員辞任につ  き、その補欠として古屋亨君が理事に当選した。 同日  理事岡崎英城君同日理事辞任につき、その補欠  として塩川正十郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月四日  地方自治法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出、第五十五回国会衆法第二一号)  地方財政法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出、第五十五回国会衆法第二六号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(太田一夫君外七名提出、第五十五回国会衆  法第三五号)  地方自治法等の一部を改正する法律案太田一  夫君外十九名提出、第五十五回国会衆法第三七  号)  都道府県合併特例法案内閣提出、第五十五回  国会閣法第二三号) 同月八日  昭和四十二年度分地方交付税単位費用の特  例に関する法律案内閣提出第六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月九日  地方財政確保に関する陳情書  (第八号)  地方交付税率引下げ反対に関する陳情書外十件  (第九号)  地方財政超過負担解消に関する陳情書  (第一〇号)  地方財政支出抑制反対に関する陳情書  (第一一号)  地方公務員定年制早期実現に関する陳情書  (第一二号)  消防防災体制拡充強化に関する陳情書  (第一四号)  非常勤消防団員退職報償金増額に関する陳情  書  (第一五号)  消防費にかかる地方交付税基準財政需要額単位  費用引上げ等に関する陳情書  (第一  六号)  消防法の一部改正に関する陳情書  (第  一七号)  木材取引税確保に関する陳情書  (第一八号)  地方社会福祉譲与税の創設に関する陳情書  (第二八号)  地方自治体に対する財政措置に関する陳情書  (第  六四号)  日本国有鉄道にかかる公社有資産所在市町村納  付金現行制度維持に関する陳情書外二件  (第一一六号)  国有林野所在市町村交付金増額に関する陳情  書  (第一一七号)  ダム建設関係市町村開発及び財政援助に関す  る陳情書  (第一一八号)  地方交付税率引下げ措置撤回に関する陳情書  (  第一二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置に関する件  国政調査承認要求に関する件  昭和四十二年度分地方交付税単位費用の特  例に関する法律案内閣提出第六号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についておはかりいたします。  理事岡崎英城君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴う欠員一名、並びに委員の異動に伴う欠員一名、計二名の理事欠員になっております。  この際、これらの欠員補欠選任を行ないます。これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。それでは、理事に       塩川正十郎君    古屋  亨君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、衆議院規則第九十四条の規定に基づき、本会期中、当委員会所管に属する事項につき、国政に関する調査を行ないたいと存じます。つきましては、地方自治行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会設置関係方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、地方自治地方財政警察及び消防に関する事項について国政に関する調査を行なうこととし、議長に対しその承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  地方行財政治安行政の当面する諸問題につきまして、赤澤国務大臣から発言を求められております。これを許します。赤澤国務大臣
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、このたび自治大臣国家公安委員長を命ぜられました。所管行政各般にわたり複雑多様な問題をかかえております時期にあたって、その責務の重大さを痛感いたしております。この機会地方行財政治安行政の当面する問題について所懐の一端を申し述べ、各位の御理解と格別の御協力を賜わりたいと存ずるものであります。  現行地方自治制度も、本年をもって施行以来満二十年を迎え、地方自治もようやく地についたものになってまいりました。しかしながら、近時、国政進展とともに地方自治行政を取りまく環境は、急速に変化し、地方行政に対する各種の要請はとみに強まり、地方行政のあり方は、その質と量の両面において大きな変貌を遂げつつあります。私は、このように変貌する地方行政の現実に対処し、社会的、経済的諸条件の変動に即応するため、すみやかに適切な施策を講じ、もって地方自治伸展国民福祉向上に万全を期してまいる所存であります。  もとより、地方公共団体の基礎を強固にし、住民自治伸展を期することは、地方自治発展のための基本条件でありますが、同時に、この際、国・地方を通じて行政運営簡素能率化推進して、国民の負託に応ずることも忘れてはならない課題であると存ずるのであります。このため、国に向かって要請すべきことは、ちゅうちょすることなくこれを求め、この課題推進に力を注ぎたいと存ずるものであります。  ところで、最近における社会経済情勢変化に伴い、行政運営にあたって、これを広域的に処理する体制整備することの必要性は、一そう強まっていると考えられます。政府といたしましては、このような見地から、広域的地方公共団体としての府県の自治能力充実強化を期すべく、第五十一回国会以来、都道府県合併特例法案の御審議をわずらわしているところでありますが、当面、都道府県市町村を通じての事務共同処理方式の活用を推進する等、行政の広域的かつ効率的な運営について積極的な指導を引き続き進めてまいりたいと存じております。  また、人口及び産業の都市集中化に伴って生じておりますいわゆる過密、過疎の問題の解決は、地域格差の是正とともに現在の政治行政の上で最も重要であり、かつ、緊急を要するものであります。私は、この際、変貌しつつある各地域社会の将来を洞察し、その特性に即応した地方自治体の形成、振興策について、地方中堅都市育成構想等をも含め、制度運営両面にわたり再検討を加えてまいりたいと考えております。  なお、最近における行政需要増高に伴い、国・地方を通ずる行政事務は、ますます複雑多岐となり、行政能率向上を阻害している面も多く見受けられますので、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の行政事務の再配分や、補助金整理等推進し、行政責任所在を明らかにし、行政合理化能率化につとめてまいりたいと存じます。  次に、公務員行政につきましては、適正な近代的人事管理確立をはかるため、各般努力を重ねておりますが、本年八月、公務員部設置実現いたしましたので、これを機会に、充実した責任体制と機構のもとに、なお一そう公務員秩序確立、近代的な正常な労使関係の樹立、公務能率向上、適正な給与制度確立、運用、地方公務員福祉の増進などを期するとともに、特別職一般職を問わず、最近ややもすれば問題なしとしない公務員のモラルの向上と士気の高揚に力を入れてまいりたいと考えております。  次に、選挙制度について申し上げます。今日、各方面から金のかかる選挙の実態につきまして強い批判を受けておりますが、それを打破するためには、今後とも政党近代化組織化国民政治意識向上につとめるとともに、個人本位選挙から政党本位政策本位選挙に転換することが要請されているところであります。これらの諸問題については、選挙制度審議会審議をお願いいたし、去る十一月二日、選挙区制その他選挙制度改善につきまして答申をいただいた次第でありますが、さしあたって現行選挙制度に関し改善すべき事項についての改正法案を、次の国会に提案いたす所存であります。なお、前国会以来懸案となっております政治資金規正法改正案につきましても、次の国会に提案いたします。  次に、地方財政について申し上げます。地方財政は、最近におきまして、やや収支の改善が見られるようになったのでありますが、これは御承知のとおり、特別事業債の発行その他単年度限りの臨時的な措置によってもたらされたものであります。地方財政は、これまでも硬直化の打開につとめてまいりましたが、現在もなお、義務的経費の増加が著しく、その構造的な欠陥は是正されないばかりか、さらに硬直化の度合いを強めている状況であります。しかるに、一方におきましては、社会資本整備の立ちおくれを取り戻すとともに、最近の社会経済情勢の激しい変貌に伴い、社会開発地域開発推進することが、現下の急務となってきております。  このような地方財政環境改善するためには、根本的には、地方団体行財政全般にわたり、適切な配慮が加えられなければならないのでありますが、この点につきましては、現在、地方制度調査会においても種々検討を願っているところでありますので、その答申を得て、安定的な地方財政充実強化のための諸施策実現につとめてまいりたいと存じます。  また、地方団体に対しましても、冗費の節減、経費の重点的かつ効率的な使用を徹底させ、地方財政健全化に一そうの努力を払い、いやしくも住民の不信を招くことのないよう、強く期待し、指導してまいる所存であります。  地方公営企業につきましては、その経営基本原則に従い、企業経営健全性を堅持するよう指導強化し、公営企業財政再建を積極的に進めているところであります。  地方税制につきましては、ここ数年来、困難な地方財政のもとにおいて、あとう限りの減税を行ないながら、税負担合理化均衡化を進めてまいりましたが、今後においても、税制調査会長期税制に関する中間答申内容の趣旨に沿って、地方税源充実をはかるとともに、地方財政状況を考慮しつつ、住民税をはじめとする地方税負担の一そうの合理化均衡化をはかってまいりたいと存じます。  さらに、消防行政につきましては、火災および火災による死傷者の増加する傾向にかんがみ、消防力充実強化を一そう積極的に進める必要を痛感するのであります。そのため、消防常備化広域化施策推進するとともに、消防財源充実して、消防施設の増強をはかってまいる所存であります。特に最近の経済の成長と生活環境変化とを反映して、危険物及びプロパンガスによる災害が続出しており、また、超高層ビル地下街等が増加しておりますので、これらに対し、防災上必要な措置を講ずるとともに、最近の交通事故等の激増している状況に対処するため、救急業務実施市町村の範囲を拡大するなど、全国的な救急体制整備に力を入れてまいりたいと考えております。なお、これらの施策と並行して消防職員及び団員の教養、訓練と処遇の改善についても引き続き努力してまいりたいと存じます。  次に、国家公安委員長としての私の所信を申し述べたいと存じます。  私は、治安確保は、国家社会の平和と進歩の基盤であると考えるのでありまして、この意味におきましても、新しい任務につきましての責任の重大さを痛感いたしているのであります。  最近の相次ぐ羽田事件のような、一部学生による集団暴力事犯の発生は、民主主義基本とするわが国発展に重大な支障を及ぼすものとして、まことに憂慮にたえないところであります。私は、この問題の解決は、基本的には文教当局大学当局努力にまつべきものと考えるのでありますが、警察としても、治安維持の立場からどのような事態にも適確に対処し得るよう体制整備をはかってまいる所存であります。  次に、御承知のように、わが国社会経済は、人口都市集中国民生活高度化など急速に変容しつつありまして、これに伴って治安情勢もまた変容しつつあるのであります。したがいまして、これら時代の進展に即して治安確保に遺憾なきを期するよう、外勤警察の再編成、広域捜査体制確立などの方策を積極的に推進してまいる所存であります。  次に、交通事故は、このまま推移すると、本年中の交通事故による死傷者は六十万人をこえることが予想されるという憂慮にたえない情勢にあります。警察といたしましては、このような状況に対処するため、関係省庁と連絡を密にして総合的対策推進につとめるとともに、交通安全施設整備交通安全思想の普及、運転者対策推進交通暴力の排除の徹底、雇用者安全運転に関する責任体制確立などの施策を、特に歩行者保護の観点から強力に推進いたす考えであります。  なお、前国会で御審議いただきました、道路交通法の一部を改正する法律によって創設されました交通反則通告制度につきましては、これが適正かつ円滑に実施できるよう諸般の準備措置を講じますとともに、交通取り締まり適正化につきましても、格段の留意をしてまいる所存であります。  組織暴力取り締まりにつきましては、これまで徹底した取り締まりを重ね、相当の成果を見ていると存ずるのでありますが、さらに、国民各層の御協力を得まして、一層強力な取り締まりを継続して、その根絶をはかってまいる所存であります。  また、少年非行は、量的にも質的にも依然として楽観を許さない状況にありまして、わが国の将来に思いをいたすとき、特に重視する必要があると考えております。私は、関係各機関と協力を密にし、補導活動保護活動強化、有害な社会環境の浄化に努力してまいりたい所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題について所信を申し上げたのでありますが、委員各位格段の御協力によりまして、その実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。
  9. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、新任せられました細田自治政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。細田自治政務次官
  10. 細田吉藏

    細田政府委員 私、このたび自治政務次官を拝命いたしました。  自治省仕事は、ただいま大臣のあいさつにもございましたように、きわめて困難かつ複雑な問題をたくさんかかえております。私、至ってこの方面仕事につきましては不案内でございますが、一生懸命勉強いたしまして、これらの困難な問題と取り組んでまいりたい、かように決意をいたしておるような次第でございます。何と申しましても、当委員会の諸先生の御指導、御鞭撻をいただかなければ仕事が進まないと思っております。どとぞ、この上ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、昭和四十二年度分地方交付税単位費用特例に関する法律案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。赤澤自治大臣
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度分地方交付税単位費用特例に関する法律案について、その提案理由内容要旨を御説明申し上げます。  今回、政府におきましては、人事院の勧告に基づき、本年八月一日から国家公務員給与改定実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定実施する場合における所要一般財源については、物件費等の節約を考慮の上、基準財政需要額算定を通じて措置することといたしたいのであります。  これとともに、去る第五十五回国会において成立した通学路に係る交通安全施設等整備及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法施行に伴い、地方団体において、本年度及び明年度にわたり、通学路にかかる交通安全施設整備等事業を緊急に行なう必要があるのでありますが、これに必要な本年度分財源を、同じく基準財政需要額に算入することにより、同事業の円滑な実施を期することといたしたいのであります。  なお、本年度においては、地方税収入についても相当の増収が見込まれ、その一部が普通交付税の再算定に際し基準財政収入額に算入される結果、再算定後の地方交付税所要額は、予算補正後の国税三税の総額に対応する地方交付税の額を約二百億円下回ることになるものと見込まれますので、この際、昭和三十九年度及び昭和四十年度において給与改定実施に要する経費財源措置を講ずるため交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れた借り入れ金の未償還額三百億円のうち二百億円を本年度に繰り上げて償還することとし、別途予算上の措置をいたしておる次第であります。  その他財源不足額の再算定に関連して昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律に基づく第一種交付金算定方法に関する所要特例規定を設けることといたしております。  以上が、昭和四十二年度分地方交付税単位費用特例に関する法律案提案理由及びその内容要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 亀山孝一

    亀山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋亨君。     —————————————
  14. 古屋亨

    古屋委員 私は、この際、地方財政一般給与改定関係交通安全対策関係地方制度調査会答申等につきまして質問をいたすものでございます。  まず第一に、地方財政一般の問題といたしまして、新聞紙等によりまして伝えられるところによりますと、国の財政硬直化に関連いたしまして、交付税率の引き下げとか、いわゆる出世払いとされております四百八十二億の返還論が見受けられるのでありますが、これに対する見解を承りたいと思うのであります。  特にそれの問題につきましては、四十年の十二月に当時の大蔵大臣自治大臣との間におきまして、「地方交付税については、地方財政現況を考慮して国税三税の減額補正に伴い減額されるべき額を減額せず、当初予算計上額どおりとする。」という第一点の覚え書き、第二点の「前記により減額しなかった額は、将来、地方交付税法第六条第二項の規定による精算額相当多額に上る等、当該年度における地方財政が著しく好転する見込があると認められる場合においては、大蔵自治大臣が協議して定めるところにより、国の一般会計に返済する措置を講ずるものとする。」という四十年の十二月の覚え書きがあるのでありますが、私は、地方財政現況は、まだ出世払いをできるような状況にはまいっていないと考えるものでございます。その当時の奥野委員鳩山主計局次長との速記録を拝見いたしましても、この覚え書きは現在もそのまま認められているのではないかと思っておる次第でございます。これは行政措置の問題でございますけれども、一応その点もあわせてお伺いしておきたいのと、同時に、最近出ました地方税財政に関する当面の措置についての地方制度調査会答申を見ましても、答申の第一の最後には、「地方交付税は、現行税制上では地方独立税源のみでは個々の地方団体の実際の行政需要を満し得ないところから、税源の配分を補完し、地方税に代わるべきものとして設けられている制度である。したがって、これを他の経費と同様にみて、財政硬直化の原因と考えることは誤りである。」という中間答申が出ておるのでございます。これらもあわせまして見解を承りたいと思うのであります。  なお、これに関連いたしまして、地方財政の収支が好転したとの説もあるのでありますが、昭和四十一年度地方財政の決算の状況、また、本年度並びに明年度の収支の見通しはどうなっているか、こういう点につきましてもお伺いをいたしたいと思います。
  15. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  交付税率を引き下げるというようなことが、ただいまの御質問でもございましたように新聞に一部出ておる。私どもとしましては、まだこの問題については、何ら自治省として公式には聞いておりません。政府の部内に一部そういう意見があるらしいという程度のことを聞いておるだけでございます。私どもといたしましては、これはもってのほかのことである、かように考えております。  申し上げるまでもなく、地方交付税法第六条の規定によりまして、いわゆる国税三税の収入額の三二%とはっきりきめられておることでございまして、国税三税の増収があれば、交付税が増加するというのは当然でございます。これは地方制度調査会答申にもございますとおりで、財政硬直化以前の問題であると考えております。元来、ただいまの御質問全般にも関することでございますが、目先のちょっとした動きでいろいろ基本的な制度を変えていく、何か情勢が変わればまた変えていく、こういうやり方は、長い目で見た地方自治確立地方財政確立という見地からして、絶対に避けなければならぬことであると、かように実は私は考えておる次第でございます。  それから次に、いわゆる出世払いの問題でございますが、ただいま御質問の中にもございましたように、昭和四十年十二月四日の大蔵自治大臣覚え書きにもございます。また、そのときに出しました法律昭和四十年度分地方交付税特例等に関する法律の明文にもございます。また、その後の当委員会における質疑応答、いろいろな点から考えまして、これはいわゆる法律上の借金というものではございません。「地方交付税法第六条第二項の規定による精算額相当多額に上る」、「地方財政が著しく好転する」、こういう際に考えるという、いわば道義的なものでございまして、現在の地方財政状況はどうかと申しますと、依然として経常収支率も八〇%をこえるというように非常に高いのでございます。今日の程度の地方財政の実情では、この覚え書きにある、「著しく好転する見込みがある」というような状況にはほど遠いものであると私は考えますし、また「精算額相当多額に上る」というのも、相当多額に上らない、かような見解でございます。  これらの点につきましても、地方制度調査会の御答申にもございますが、私どもとしましては、現在の状況では返還の余地はむしろない。ないのみならず、地方財政としては、先ほどの大臣のあいさつにもございましたが、今後いろいろ考えてまいらなければならぬたくさんな財政需要があるわけでございます。これらの点につきましても、私どもとしましては、覚え書きどおり、また、法律に書いてあるとおりやってまいりたい、かように思っておる次第でございます。  昭和四十一年度の決算並びに四十二年度の見通しにつきましては、財政局長から答弁させていただきます。
  16. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和四十一年度地方財政の決算の結果は、全体として七百五十億円ほどの実質収支の黒字が出ております。この黒字の割合は、歳出規模に対して見ますれば一・五%程度でございまして、私どもは過去の十カ年間におきます繰り越し金の割合等から見まして、決してこれをもって地方財政が好転したというふうには実は見ていないのであります。もちろん黒字であり赤字であるということのみで財政の中身を見るということはなかなかむずかしい問題であります。黒字を出すような運営をする、赤字を出すような運営をするといったような運営の態度自体もございますので、黒字、赤字ということだけでもって、その実態を全部把握できるというものではないと私どもは考えておるのであります。  特に、その中身を見てまいりますと、御承知のように、義務的経費に対します歳出が多額を占めておりまして、一般財源義務的経費に食われる割合も七割あるいは八割という状況でございまして、反面いろいろな投資事業等につきましては、国の補助金とかあるいは起債といったようなものによってこれを行なっているというのが現状でございます。したがいまして、こういう面でもっと住民サービスのための行政をやるという意味で、いろいろな事業をやるためには、なお基本的に国と地方の間の事務の配分であるとか、あるいは財政の配分であるというようなものを是正すべきものであるというふうに私どもは見ておるのでございます。  なお、明年度につきましては、何ぶんにも現在のところ明年の経済見通し等がまだ固まっておりませんので、いまの段階でこれの的確な見通しを立てることは困難でございます。ただ、明年度地方財政におきましては、御承知のように、給与改定の平年度化に伴います歳出の増、あるいは経済情勢の変動によります社会保障費の増、それに過去の地方債の公債償還費といったような、いわゆる義務的経費もやはりふえてまいりますほかに、新しい問題といたしまして、御承知のように交通安全対策の問題でありますとか、あるいは公害の問題であるとかいったような問題の処理も迫られておるわけであります。   〔亀山委員長退席、和爾委員長代理着席〕 反面、多年の議論になっております道路財源、特に市町村の道路財源をどういうふうに確保するかといったようなことも、来年の解決すべき課題の一つであろうと思っております。また、過去の特別事業債の元利償還といったような問題も解決に迫られておるわけでございます。いろいろ考えてまいりますと、来年度地方財政もなかなか多難なものを含んでおる、かように見ております。
  17. 古屋亨

    古屋委員 次に、給与改定関係についてお伺いをいたしたいと思いますが、まず第一に、本年度における給与改定等の財源措置につきまして、いま大臣から提案の説明を伺ったのでありますが、これによりますと、未償還額の三百億円のうち二百億円を償還するというのでありますが、現下の地方団体の行財政の実態から見た場合に、これが大き過ぎはしないかということが、まず第一に御質問をしたい点であります。  また、第二番目には、その節約額九十億円となっておりますが、年度半ばを過ぎてこういうような節約をするということは、地方団体においてはたして実施可能であるか。特に赤字町村におきましては四%節約というのは相当つらいものがあるのではないか。町村の財政運営は困難にならないか。特に住民と結ぶ行政の不円滑を来たさないかという点につきまして、御意見をお伺いしたいと思う次第であります。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 本年度の補正予算におきまして、国税三税の自然増補正増二千三百九十億円に対応するものといたしまして交付税が七百四十九億円出てまいったわけであります。一方、現在の段階におきまして、地方の財政上まかなわなければならないとされておりますものに、給与改定経費、それから交通安全のための経費といったようなものがあるわけでございまして、それらにつきまして、いわゆる交付団体ベースでこれを算定をいたしてまいりますと、給与改定で五百五十六億、それに交通安全対策で九十八億、それから調整戻しとして七十六億、それに節約の九十億、それから基準財政収入額の増百二十四億、こういうものを見てまいりますと、普通交付税において五百十六億必要になる。それに見合います特別交付税が三十二億ございますので、合わせますと五百四十九億、こういう所要額の必要額が算定されるわけでございます。したがいまして、七百四十九億と五百四十九億の差額二百億につきまして、今回、過去において借り入れをいたしておりました給与改定のための借り入れ金の繰り上げ償還をいたそう、こういうふうに考えたわけでございます。  繰り上げにつきましてはいろいろ御議論のあるところであろうと思いますけれども、御承知のように、この三十九年度及び四十年度において交付税の特別会計で借り入れをいたしました四百五十億円は、もっぱら給与改定のために借り入れたものでございまして、いずれは交付税の中からこれを返していかなければならないものであるわけであります。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕 反面、本年度の補正の交付税額が相当多額に計上されました。それに年度半ばに至っております。さらに、本年度におきます地方財政の最終的な収支の見通し等を勘案してまいりますと、この際二百億の繰り上げをいたしましても、地方財政の本年度運営に特に迷惑をかけるということはないものと判断をいたしまして、今回こういう措置をとったものでございます。  なお、節約につきましては、本年度給与改定実施時期を、国におきましても従来の九月を八月に一月繰り上げ実施をいたすことになったわけでありますが、それに伴いまして物件費、旅費、維持補修費等の節約をも給与改定財源の一部に充てようということから、七%の節約を国においては実施をいたしておるのであります。地方におきましては、団体の規模の問題もございますので、旅費、物件費等につきましては、府県では七%、市町村では四%、維持補修費につきましては、府県五%、市町村三%といったような節約率を考慮いたしまして、それぞれ財源をたたき出しておる、こういうことでございます。  これらの結果、それぞれの団体におきます今後の財政運営がどうなるかという点につきましては、別途出ております地方税の自然増収等の関係もございまして、これによって支障なく運営が行なわれるものと考えておるわけでございます。
  19. 古屋亨

    古屋委員 いまの御説明で、二百億の償還は地方交付税の増加と、それから本年度における地方団体の財政状況等を総合的に考えた結果、繰り上げ償還をすることは特に地方財政運営に支障を生ぜしめないというお答えでございます。この際、給与改定財源といたしましての三百億、二百億償還いたしますと百億残るわけでありますが、この償還計画がどういうふうになるんだという点も説明していただきたいのと、それから、先ほどの節約の問題で、赤字町村等はほんとうにこれでやっていけるのだろうか、もう一度その点の御説明を聞きたいと思います。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 今回二百億を繰り上げ償還することによりまして、あと本年度末において百億の未償還額が残るわけであります。その百億につきましては、四十三年度において六十億、四十四年度において残りの四十億をそれぞれ償還する計画にいたしております。  それから、いま一つ節約の問題でございますが、それによって赤字市町村の問題はどうなるかという点につきましては、私どもも、先ほど申し上げましたような節約率の差をつけること。さらに、小さい町村におきましては、交付税によって給与改定が可能になるように実際の需要算定ということを行なっていかなければならぬというような点を十分考慮いたし、かたがた調整戻しというものの額のありますことも考慮に入れてまいりますと、今回の給与改定につきまして、小さい町村におきましても、ほとんどが交付税によってこれを処置することができるというふうに一般的に考えておるわけでございます。
  21. 古屋亨

    古屋委員 給与改定関係につきまして次にお伺いしたいことは、人事院勧告に伴いまして一般職員につきまして給与改定が行なわれます場合に、企業職員の改定についてはどのように考えられておるか。大臣がかわられたのでありますが、独立採算制ということについて従来と同じ考えであるか、あわせて考え方をお述べ願いたいと思っております。特に地方公営の病院等につきましては、医師の給料等は相当高い水準にならざるを得ないのが現在の実態だと考えておりますが、そういう点につきましても、やはり企業職員全般の給与改定、あるいは特に病院等についても同じ考えであるか、こういう点をお伺いいたしたいのと、あわせて地方公営企業財政再建実施状況につきましても、ひとつお述べを願いたいと思います。
  22. 細田吉藏

    細田政府委員 人事院勧告に伴いまして一般職員についての給与改定が行なわれることになったわけでございます。企業職員の給与は、これに関連いたしまして非常に大きな、大切な問題であろうと思います。  申し上げるまでもなく、法律上は、企業職員の給与を決定するにあたりましては、同一または類似の職種の国家公務員地方公務員、さらに同一または類似の民間企業の従事者の給与、生計費、当該地方公営企業経営状況その他の事情を考慮することになっていることはすでに御承知のとおりであります。したがって、国家公務員及び地方公務員給与改定が行なわれたから、それが直ちに企業職員に準じて行なわれることにならないということにつきましては、在来から考えておるとおりであります。  そこで、企業関係の職員につきましては、手当なども含めまして現在の給与水準と改定後の国家公務員あるいは地方公務員の給与水準とを比較検討いたしますと同時に、民間企業の給与もこれを比較検討しなければなりませんし、特に地方公営企業経営状況給与改定財源の長期見通し等を十分考慮して決定しなければならぬ、かように考えておるのでございます。現在、すでに御承知のように、地方公営企業につきましては、非常に多数の再建団体と申しますか、再建計画を樹立いたしまして、再建に努力いたしておる段階でございます。この状況につきましては、財政局長からここでお答えをさせたいと思いますが、こういう時期でございますので、これらの経営状況等を十分考えまして慎重にこれに対処しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。在来の私どもの考え方と同様に考えておる次第でございます。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 地方公営企業の再建の状況でございますが、十一月末現在で再建企業として指定をいたしました事業は全体で百六十三ございます。そのうち、十一月末現在で百五十三の事業について財政再建計画の承認をいたしております。その再建債の額は五百十二億にのぼっております。内訳を申しますと、水道で五十八事業、二十四億円、交通で十三事業四百四十三億円、ガスで八事業一億五千万円、病院七十四事業四十四億円、こういう状況になっております。残りの十事業がいまだ承認をいたしておりません。水道、交通、病院等について十事業が残っておりますが、それらにつきましても、鋭意再建の計画がつくられるようにただいま指導をいたしておる次第でございます。
  24. 古屋亨

    古屋委員 給与改定関係につきまして第三番目にお伺いしたいと思いますのは、今回の給与改定にあたりまして、国家公務員の給与水準を上回る地方団体につきましては、具体的にどういうような指導を行なうつもりか、お伺いしたいと思います。
  25. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 今度の給与改定だけでございませんで、従来の給与改定におきましても同様の経緯があったわけでございます。現在すでに地方公務員、特に都道府県、六大市、中都市あたりでございますが、国家公務員の給与水準をかなり上回っているものがございます。こういったものにつきましては、再三これらの是正方を指導いたしておるところでございますが、高くなっておりまする原因といたしましては、給料表の構造でございますとか、あるいは初任給が国家公務員の場合より高くなっておるとか、あるいはいわゆる「わたり」と申します運用的な面でございますとか、そのようなものの要素が累積して高くなっておるわけでございますので、今回は特にその各地方団体に対しまして、それぞれの団体ごとに給与水準が高くなっておる原因の分析をひとつ徹底して行なってもらう、それに伴いまして給与水準の是正というものを考えていただく、こういう指導をいたしておるところでございます。
  26. 古屋亨

    古屋委員 第四点は、地方の議員など特別職の報酬等を改定する地方団体が多く見られるのでありますが、これに対する所見を承りたいと思います。
  27. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょうどこの春の地方選挙の終わりましたころから、地方都道府県、市をはじめといたしまして、議員の歳費の値上げの動きが実はまた目立ってまいったわけでございます。都道府県の場合でございますと、現在までに茨城、静岡の二県がすでに特別職の給料並びに報酬の改定をいたしております。なお、十四ほどの県におきまして報酬等審議会の意見をすでに求めておる、あるいはこれから求めるといった状態でございまして、いずれ議員の報酬の値上げ問題というものが問題になってまいると思う次第でございます。  この点につきましては、従来とも批判がございましたのは、一つは上げ幅がかなり大幅である、それからもう一つは、その引き上げ方におきまして、いわゆるガラス張りでない、こういった批判があったわけでございますので、昭和三十九年の五月でございましたか、自治省事務次官名をもちまして、特別職報酬等審議会というものを設けるよう指示しまして、そこでいわば第三者的な構成の方々によりまして、広い見地から議員活動の本質、議員報酬の本質といったようなことも含めまして論議をしていただく、そういう過程で決定をしていただく、こういう指導をしてまいったところでございまして、さらにこの趣旨を徹底させてまいりたい。最終的には、それぞれの議会におきまする議員さん方の良識でございますとか、あるいはまた住民の良識、こういうものが最後の担保になるものでございますが、そういった報酬等審議会というものの活用ということをさらに強化してまいりたい、こういう指導方針でおるわけでございます。
  28. 古屋亨

    古屋委員 給与改定関係につきまして、第五番目にもう一点お伺いしたいのでありますが、人事院が勧告いたしました都市手当の創設につきまして、自治省としてはこれに反対して調整手当としたということを聞いておるのでございますが、その反対の理由並びに調整手当の内容はどうなっておるか、これについて承りたいと思います。
  29. 細田吉藏

    細田政府委員 御承知のように、今回の人事院勧告におきまして都市手当の創設が出てまいったわけでございます。ところが、もう古屋委員承知のとおり、地域給の問題が戦後ございまして、現在では暫定手当という形で三級地、四級地が残っておる。これは額を固定しておりますので、ベースアップがございますと本俸に対する比率は逐年下がってまいっておるというような実情で最近までまいったわけでございます。ところが、人事院といたされては、法律に基づいてやはり地域の格差を考えなければならぬ、こういうことから出たようでございます。ところが、私どもとしましては、地域格差の是正、あるいは諸手当制度の簡素化あるいは人事異動の円滑化、こういった観点から、非常にこの都市手当については問題がたくさん伏在しておる、かように考えたのでございます。また、特に支給地域の指定につきましては、人事院規則で定めることにはなっておるわけでございますが、これもなかなか明白な基準を設定することが困難でございます。そこで、政府部内といたしましては、いろいろな立場からこれを検討いたしたのでございますが、最終的には、人事院勧告の尊重ということはもう当然のことでございますので、今回の答申についてはこれを尊重することといたしますが、実質的には尊重いたしておるわけでございますが、これを都市手当の創設という形でなく、調整手当というふうに名前を変えまして、そして人事院においてさらに調査研究をしていただいて、三年以内にいま申し上げたようないろいろな困難な問題点を十分検討いたしまして、適当と認められる措置を勧告してもらいたい、こういう前提で、暫定的に調整手当を設けることにいたしたわけでございます。  民間における賃金、物価、生計費、特にこういうものの高い地域に在勤する職員を支給の対象とするものでございまして、そういう一方の考え方からいたしますと考えなければならぬ問題でございますし、また、他の反面、異動の問題でございますとか、あるいは地域格差の問題、そういったつまり在来の地域給がだんだん縮減されて暫定手当というふうになった、この一つの傾向もゆるがせにできない問題でございます。そこらはたいへんむずかしい問題でございますが、この困難な問題を調整をして、実情に合う、そしていろいろ今後の人事運用その他にも都合のいいものをひとつ人事院でさらに検討して考えていただこう、こういうことで、いろいろな紆余曲折がございましたが、今回調整手当として新設をいたすことにいたしたような次第でございます。  経緯を申し上げますとさようなことでございまして、実質的には人事院の勧告をそのまま確保いたしておるわけでございます。
  30. 古屋亨

    古屋委員 次に、交通安全対策関係につきまして、今度の交付税所要額にも交通安全対策九十八億というふうに載っておるのでございますので、交通安全施設等整備事業計画、踏切道の構造改良、保安設備計画の概要、特にその財源措置内容はどうなっているかという点につきまして、自治省、建設省、警察庁、運輸省からお話を願いたいと思います。
  31. 細郷道一

    細郷政府委員 計数的な点、私のほうから先にお答えいたします。  通学路等の安全並びに踏切道の改良関係法律によって、政府といたしましてきめました全体事業計画は、事業費で六百十六億、この内訳は交通安全施設等整備計画として五百五十四億、踏切道構造改良計画として六十二億円でございます。そのうち、本年度四十二年度分といたしましては、全体の事業費として三百二十六億円、その内訳として交通安全施設整備計画としては三百十六億円、踏切道関係で十億円ということでございます。したがいまして、残りの全体事業二百九十億円が明年度事業として計画をされておるわけでございます。これらのうち、四十二年度分につきましては、いま申し上げましたように、三百二十六億の事業費を計画いたしておりますが、その中でいわゆる直轄あるいは補助事業というものに当たりますものが二百二十八億円、単独事業が九十八億円ということになっております。そのうちすでに既定の安全三カ年計画等によって処置なされるものが百二十三億ございます。三百二十六億のうち百二十三億ございますので、残りの二百三億につきまして、今回の補正によって措置することになったわけでございます。二百三億のうち補助直轄事業関係が百七億でございます。単独関係が九十六億ということでございますので、直轄補助分につきましては、それぞれの負担率に応じて国庫予算において処理をいたします。  地方のほうにつきましては、本年度のこの追加においてどういうことになっておるかと言いますと、国の補助裏の四十六億と、それから単独の九十六億、合わせて百四十二億円が地方の負担として本年度の追加に必要な額になるわけでございます。したがいまして、その分につきまして、今回交付税の需要額の算定にこれを織り込むことによって財源の保障をいたそうといたしておるのでございます。  中身といたしましては、交通安全施設といたしまして、道路関係の分、それから警察の信号関係の分とございますので、それぞれ警察費あるいは府県市町村の道路費の単位費用にこれを織り込むことによって財政需要の算定をいたそう、こういうふうにいたしておるのでございます。   〔「資料を出さなければいかぬじゃないか」と   呼ぶ者あり〕
  32. 古屋亨

    古屋委員 いま自治省だけの説明を伺いまして、まだ建設、それから警察あるいは運輸の話を伺いたいと思いますが、数字が非常に複雑な数字になっていますから、この関係の資料をできるだけ早くひとつ出してもらうようにお願いしたいと思います。
  33. 細田吉藏

    細田政府委員 これからわかりいい表をなるべくすみやかに出しますから……。
  34. 鈴木光一

    ○鈴木政府委員 通学路にかかわる交通安全施設につきまして、公安委員会関係の分を御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、通学路に係る交通安全施設等緊急整備法の趣旨にのっとりまして、各都道府県公安委員会で作成いたしました都道府県の総合通学路交通安全施設等緊急整備計画、これをとりまとめましたところ、総事業費は六十二億円でございます。このうち、通学路の交通環境、事故発生状況等を勘案いたしまして、自動車交通量の多い交通環境通学路から安全施設の整備をはかるという考え方で、警察費の補助金を計上することにいたしたわけでございますが、先ほど申しました六十二億のうち二十四億円を補助対象事業とすることにいたしまして、去る十二月一日の閣議で、従来ありますところの交通安全施設整備三カ年計画の変更が行なわれたわけでございます。したがって、この補助対策事業の二十四億を差し引きました三十八億が地方の単独事業ということになるわけでございまして、それぞれ地方単独事業につきましては、自治省から御説明のありましたように、地方交付税等の財源措置が講ぜられるということになっておるわけでございます。  なお、この六十二億円の事業内容でございますが、数字だけを申し上げますと、これによりまして、定周期の信号機が二千三百五十六基、押しボタン式の信号機が千六百七十二基、歩行者用の信号機が六百六基、信号機の系統化が百二十キロメートル、それから横断歩道張り出し式道路標識が二万七千百三十五本、それから張り出し式でしかも灯火式道路標識が五千三十本、横断歩道道路標示、これはゼブラでございますが、五万一千七百三十七カ所、道路標示が七百キロメートルという数字になりまして、それぞれ先ほど申し上げましたような補助金地方単独事業に分けて、それぞれの措置を講ずることにした次第でございます。
  35. 豊田栄一

    ○豊田説明員 道路関係交通安全施設三カ年計画の関係について御説明いたします。  先々年、昭和四十一年からの交通安全三カ年計画、これは道路管理者分としては、全体の事業費として五百六十億円の事業費をもって執行してまいりましたが、先般の通学通園及び踏切道の構造改良に伴いますものを入れまして、もとからあります交通安全施設三カ年計画を改定いたしまして、その費用が全体の道路管理者関係といたしまして七百二十二億と改まったわけでございます。先ほど私が申し上げました五百六十億が七百二十二億と改まったわけでございます。通学通園関係だけ申し上げますと、先ほど警察庁のほうからも御説明がございましたように、都道府県のほうから積み上がった数字全体が、通学通園関係でもって四百九十二億円でございます。それを、補助事業、直轄事業、単独事業に分けまして、この補助事業と直轄事業相当するものが三百五十八億円でございます。これを事業量であらわしますと、たとえば横断歩道橋等でございますが、これがいまの通学通園関係で申しますと全体で二百六十八カ所、それから歩道が約三千八百キロメートル、防護さくが千二百キロメートル、道路標識が四万五千本、こういう事業の量でございます。  もう一点、緊急措置法によります踏切道の構造改良でございますが、道路関係といたしましては、舗装の個所が約九百二十七カ所でございます。それから拡幅をいたします個所が二千二百六カ所、合計いたしまして、個所数にして三千百三十三カ所、事業の規模といたしまして六十四億円となっております。これが先般の十二月一日の閣議で決定されました事業の量でございます。  なお、この事業の量の結果、今度御審議願っております補正予算には、通学通園関係として九十七億円の事業費の予算を計上して、現在御審議願っておるわけでございます。
  36. 岩倉多門

    ○岩倉説明員 今回の緊急整備措置法によりまして、踏切関係で新たに保安設備を整備いたします個所は総体で二千七百十三カ所でございまして、この事業費は四十八億ということになっております。これに対しましては、経営状態のよくない中小私鉄に対します補助を明年度予算において考えておりますけれども、今回の補正予算には特別関係はございません。
  37. 鈴木光一

    ○鈴木政府委員 先ほどの説明で申し落としたことがございます。  補助事業として二十四億ということになっておりますが、この内訳につきましては、従来あります三カ年計画のうち七億をこれに振り向けまして、新規に計上されたものが十七億でございます。この十七億のうち、今回の補正予算に計上した額は十億五千五百七十一万円でございます。
  38. 古屋亨

    古屋委員 私は、交通安全対策としてこれだけの費用を計上することに相なったのでございますから、予算決定後、できるだけ早い機会に、具体的にどこをやるかというようなことを各省とも大体示すべきであると思いますが、大体いつごろそういうことをやられるのか、この際お伺いしておきたいと思います。これは警察庁、建設省に伺います。
  39. 豊田栄一

    ○豊田説明員 今回の補正予算によります私どもの関係ですと、九十七億の通学通園関係事業費がございますが、これからの工期、時間を考えますと、非常にわずかしかございません。したがいまして、私どもといたしましては、補正予算に備えまして、地方組織並びに現場のほうの指導を行ないまして、地元との交渉あるいは設計書の作成等の事務を現在すでに準備させておる段階でございます。こういうことによりまして、決定の暁の事業促進の指導に資したいということで計画どおりの事業の促進をはかりたい、かように考えて現在鋭意やっておるところでございます。  以上でございます。
  40. 鈴木光一

    ○鈴木政府委員 警察関係におきましても、約十億が補正予算に組まれておりますが、建設省と同様な考え方で、年度内にこれらの事業はできるという考え方で着々準備を進めております。
  41. 古屋亨

    古屋委員 交通安全対策関係につきましては、先ほどのような数字をできるだけ早く資料として配付していただくこと、並びに具体的な配分場所等も早く決定していただくことをお願いいたしまして、次の問題に移ります。  地方制度調査会から、十二月七日でございますか、明年度地方財政に関する答申が出ております。先ほども申しましたように、交付税財政硬直化の原因と考えることは誤りであるというような中間の答申も出ておりますし、同時に、道路目的財源の問題といたしまして、「国から地方団体特に市町村に道路目的財源の移譲を行なうとともに、道路整備計画の策定とも関連し、地方道路税、軽油引取税等の税率の引上げによる現行の道路目的財源の増強を図ることが望ましいが、このほか、自動車の取得に対する課税等についても、あわせて早急に検討を行ない、その実現を図るべきである。」というような重要な中間答申が出ておりますが、これに対する自治省としての所見、並びに大蔵省もおいでになっておりますから、大蔵省の考え方を承っておきたいと思います。
  42. 細田吉藏

    細田政府委員 地方財政の安定した運営確保行政水準の向上は、今日の地方財政の大きな課題であることは申し上げるまでもございません。今次の地方制度調査会答申は、地方交付税と国の財政との関連を明確にするとともに、明年度予算編成において措置さるべき当面緊要な課題であります幾多の問題について触れておるものでございます。特に、ただいま御指摘がございました道路目的財源の問題につきましては、詳細かつかなり具体的に答申をなされておるのでございまして、この点につきましては、私どもは、今後予算編成の段階におきまして、十分趣旨を尊重いたしまして、いわゆる道路整備五カ年計画の完遂、特に地方道の整備ということに努力をいたしてまいりたいと思っております。  なお、特別事業債の事後処理、国鉄納付金のあり方の問題、こういったような点につきましても時宜に適した答申をいただいておるものと考えておりまして、私どもといたしましては、この答申の趣旨を全面的に尊重いたしまして実現努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 御指摘の地方制度調査会答申についての大蔵省の考え方はどうかということでございますが、大蔵省といたしましては、地方制度調査会について御協力できることはできるだけ御協力いたしたいと考えておるわけでございますが、何せ国の財政は御承知のように多事多難でございます。また、内容的に見ますと、私ども大蔵省の考え方と必ずしも一致していない点もありますけれども、そういった点につきましては、今後十分慎重に検討していきたい、かように考えております。
  44. 古屋亨

    古屋委員 以上で私一応質問を終わりたいと思うのでありますが、いまの地方制度調査会答申につきましては、大蔵省と自治省の考え方を承りましたが、早急に調整して地方財政の現状をよくお考え願い、慎重な適切な考慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  45. 亀山孝一

  46. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まず細田政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、地方財政法第七条、これをどうお考えでありますか。まずお尋ねをいたします。
  47. 細田吉藏

    細田政府委員 どうも新米でございまして、至ってふなれでございますが、この剰余金の問題につきましては、地方財政健全化のためにこの条文が設けられておると考えておる次第でございます。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ここにはいわゆる地方財政計画、その歳入の見込み額、それから使用料、手数料、起債額、国庫支出金、雑収入、こういうものが一体どう変わるか。それからまた、歳出についても、種目ごとにどのように変動があるかという計画を作成して、これを国会提出すると書いてあるでしょう。といたしますと、確かに私どもは、昭和四十二年度当初のこの見込み額、こういうものは提出をいただきまして拝見をいたしました。今回補正予算を組んで、いま古屋委員のお尋ねにもありましたように、当然各項目にわたってこれらの要因が変わっておるでしょう。それに対して、国会に何ら提出をされていないじゃないですか。この点については一体どうなんですか。
  49. 細田吉藏

    細田政府委員 いまお話しのは交付税法でございまして、先ほどは地方財政法の七条とおっしゃいましたので、剰余金の問題と考えたわけでございまして、ことばのあれであったと思います。  交付税法の点につきましては、事務当局から一応説明をいたしまして、私、あとからお答えをいたしたいと思います。
  50. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税法の第七条では、「歳入歳出総額の見込額の提出及び公表の義務」ということでございまして、内容はすでに御存じのことと存じますが、これにつきましては、従来から年度の当初におきまして、地方財政のその年度の見通し全体についてこれを提出をいたす、そういう行き方で実はまいっておるのでございまして、年度途中におきます場合の補正にあたりましては、従来からもこの規定による計画の変更は御提出申し上げていないという扱いになっております。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 従来の扱いがそうだというのですが、しかし、先ほど古屋委員のお尋ねを聞いておったと思うのですが、当然各種目について変更があるわけです。そういうものを資料として国会に全然提出しないで、要するに、いただきましたこれだけでは、一体、補正予算によって地方財政計画全体がどう変わったのかということはかいもくわからぬじゃないですか。ですからこれは、あくまでも交付税関係の計数資料であって、このもとになっているいわゆる地方財政計画全体がどう変わったのか、交付税が七百四十九億、歳入として伸びたということになるなら、これに応じてどのような変更があったのかという、計画自体を資料として提出をしなければ、これは国会審議にならぬと思うのです。この点はいかがですか。
  52. 細郷道一

    細郷政府委員 御指摘の点、ごもっともな点がございますので、交付税積算にあたりました基礎の計数について資料として提出をいたします。  また、先ほど申し上げました交通安全の問題も、今回の重要案件になっておりますので、実施計画を各省で取りまとめて一覧表として提出をさしていただきます。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 資料としてお出しになるということですが、いままで交付税法七条がある、当初だけは地方財政計画を出すが、年度途中において変更があった場合出さぬのが慣例だというような答弁ですけれども、国会の本会議に出すか出さぬかは別といたしまして、少なくともこの問題を審議いたします地方行政委員会、本委員会で当然計画全体がどう変わったかということをきちっと報告をする。私は、委員長にお願いをしたいのですが、これからはやはりそういった慣例にしていただくようにお願いいたしたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
  54. 亀山孝一

    亀山委員長 よろしゅうございます。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、時間がありませんから、幾つかの点にしぼりましてお尋ねをいたしたいと思うのですが、まず、古屋委員もお触れになりましたが、特別職の報酬引き上げに関してであります。  このいただきました資料を拝見いたしますと、部長相当の職員の給与が、都道府県分においては現行が幾らであり、改定が幾らである。市町村分についても同様で資料が出ております。特別職につきましても、当然これは交付税算定の基礎といたしまして、自治省としても一応基準があるのではないかと思うのでありますが、その基準は一体どのようなものであり、そしてまた、今回の給与改定に関連をして、この特別職の報酬等につきましてもその改定を考えたのか。また、考えたとすれば、今回の交付税単位費用の改定の中のどの部分に幾らどういう形で入れているのか、この点をひとつお答えいただきたいと思います。
  56. 細郷道一

    細郷政府委員 特別職の需要額につきましては、その他の諸費の中で計上をいたしておりまして、議員報酬につきまして申しますれば、県の場合には月十万円、市町村の場合でありますれば三万円、それぞれ標準団体におきます単位費用積算の基礎にそれを使用いたしております。今回の改定にあたりましては、特別職につきましては単位費用の改定をいたしておりません。これは従来からも年度途中ですることもございますし、さらに先ほども御質疑がございましたように、特別職につきましては、報酬等審議会の議を経るようにという指導等もいたしております関係もございまして、単位費用として本年度のこの時期におきましては改定をいたしておりません。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、都道府県の場合でいえば知事、副知事、出納長、議員、こういうものの改定につきましては、今回の基準財政需要の算定には一切含まれていない、こう解釈していいわけですね。   〔委員長退席、大谷(八)委員長代理着席〕  それでは一般職の給与についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、まず第一は、いただきました一般職の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、この一番末尾に行って「地方自治法の一部を次のように改正する。」附則第六条の二第一項の中に「勤務地手当にかえて」とあるのを「調整手当又は」暫定手当という形に改めるというのが出ているわけであります。私たちは理事会の中で、地方自治法改正一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の中に含めることは、この法の体系からいって全く不届きであるという議論をいたしました。その点についても、またあらためて他の委員等から、あるいは理事会等で議論をいたしたいと思っておりますので、本日はそれは一応おきたいと思います。  さて、そこでお尋ねしたいのは、少なくとも一般職の給与に関する法律の中に地方自治法改正を込みでもって出すということは、これは先ほどの鎌田公務員部長の答弁はいろいろありましたけれども、とにかく地方公務員国家公務員の給与に右へならえをするという考え方があるからこそ、こういった形の法律改正をやったというふうにわれわれは理解する以外道はないわけであります。かように理解してよろしゅうございますか。
  58. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 一般職の給与法の附則をもちまして地方自治法改正をいたしましたのは、全く立法技術的な問題でございまして、御案内のとおり地方公務員法におきましては、給与の決定の原則は定めておるわけでございますけれども、給与の種類といったものにつきましては、地方自治法の二百四条で規定をいたしておるわけでございます。それを受けまして、附則におきまして、当分の間暫定手当を支給する、これは二百四条のいわば例外と申しますか、これの補足的な条項だ、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、今度種々問題になった調整手当を当分の間でございますが、暫定手当と並んで規定をいたした、これは全くそういう趣旨での立法技術的な問題、国で調整手当をつくるわけでございますので、地方団体にも調整手当が支給できる根拠を与えよう、こういう考え方に基づくものでございます。  なお、地方公務員の給与の決定にあたりまして、国家公務員に準ずる云々という点につきましては、地方公務員法の給与決定の原則に関します規定を受けまして私どもの指導方針として行なっておる、こういうことでございます。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁は少しおかしいと思うのです。地方自治法の二百四条がある。そこに給与の種類が書いてありますね。そうして、そのほかに附則の六条という規定がある。ですから、これは二百四条があって附則がある、これは一体のものじゃないですか。そうして地方自治団体が職員に払いますところの給与の種類をきめておるわけですね。それを、国家公務員の給与に関する法律の中で、いわば地方公共団体が職員に払います給与の種類をきめるということは、これはもう、あなたがどう言おうと——地方自治法を無視するかどうかという議論はさておきましょう、そういう議論がある中で、あえてそういうことをやったということは、国家公務員の給与に、地方公共団体が払います職員に対する給与が右へならえする、こういう思想がなければこういうやり方をするはずがないじゃないですか。技術的とかいう問題じゃないと思うのです。そうでしょう。もう一度はっきり答えてください。
  60. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 おっしゃいますように、法律改正方法としては、地方自治法の一部を改正する法律案というものをお出しいたしまして、地方自治法の一部を次のように改正するということで、一般職給与法の附則二十項にございますようなものを単行の改正法として出す、これは当然考えられる方法でございます。ただ、かかわり合いがございます国におきまして一般職給与法で新しく調整手当を出す、その調整手当を地方団体に対しても出す、そこで両方つながっておるわけでございますので、あえて単行法を出すということをいたしませんで、一般職給与法の附則においてこれを行なう。これは全く立法技術的と申しますか、そういうことばがあるのかどうかわかりませんが、私の表現をもっていたしますと、立法経済と申しますか、そういうところから改正をいたしておる、こういう趣旨でございまして、従前にもこういうたぐいの改正の先例はあるわけでございます。決して国の給与法に従属させるとかどうとかということばをもって考えておるわけではないという趣旨を御了解いただきたいと思う次第でございます。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの立法経済とは、何ですか、そのことばは。立法する機関は、憲法にきまっておりますように国会ですよ。国会審議経済的にやろうという、そういう考え方は何ですか。あなたはそういう不見識な考え方なんですか。国会を一体どう思いますか。国権の最高機関であり、立法府である国会をどう思うのですか。経済的にやれというのですか。はっきり答えてください。
  62. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと表現が足りなかったわけでございますが、ものごとはやはり——立法技術ということばがあるわけでございますが、技術というものは、一つの考え方といたしまして、できるだけ——いわゆる訴訟経済ということばがあるわけでございますので、これをもじって申し上げたわけでございまして、表現が適当でなかったかと思いますけれども、気持ちといたしましてはそういうことで、一つの法律改正規定の附則において関連する条項の改正をやる、これは立法の慣行として行なわれておるところであるということを申し上げたかったわけでございます。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あなたのそういう立法経済というような思想は、いわば国会軽視ですよ。それが最近になって出たのじゃないですか。自治省、みなそうじゃないですか。たとえば、細谷委員が質問の中で、内簡みたいなものは出さぬかと言ったら、出さぬと答えてたった四日たったら内簡を出したじゃないですか。明らかに国会に対する軽視ですよ。そういった考え方、そういう中であなた方は国会を軽視して、地方公務員の、特に公営企業等の職員に対して一方的な締めつけだけをやるという考えを持っている。私はそういうことに反省を求めたいと思う。いまの立法経済というような思想に対して次官どうお考えですか。
  64. 細田吉藏

    細田政府委員 公務員部長が立法経済と申したのは、どういう意味か私にはよくわかりませんが、誤解を招きやすい、国会軽視につながるというふうな論争を起こさせるような、こういうことばは慎むべきものだと考えます。立法技術としては、これまでにもこういう先例はあったと思います。これは、等の一部を改正するというので、附則でずらりと他の関係法律を直す、特に関連のあるものについてはそういった例があった、こういうことを申し上げたのだと思いますが、いやしくも国会を軽視するというような考え方は、自治省の役人は——自治省だけではございませんが、ないと私どもは確信をいたしております。そういう点につきまして、今後お気づきの点はひとつ十分おっしゃっていただくようにお願いしたいと思います。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 等であっても、たとえば国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案、こういうものは給与法に含めてもいいと思うのですよ。地方自治法地方自治体の憲法です。先ほども、大臣所信表明の中で、地方自治を守るために全力をあげると言ったではないですか。その憲法である地方自治法一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の中に入れるということは、だれが考えても不合理だと思うのです。しかも、それを立法経済というような思想でやるというようなことについては、これは次官、今後とも断固戒めていただくようにお願いをいたしたいと思うのです。  次に、問題を進めますが、鎌田公務員部長さんも、たてまえとすれば法律を別立てにするほうがいいのだということはお認めになる。後段のことは、また繰り返すことになりますからやめますが、本来地方自治法は別立てにすべきものなんだ。ところが、あえてこれを入れた理由を、私ども検討をするのに、これは先ほど申し上げたように、国家公務員の給与に右へならえをしていく、こういうことでなければ、こういうことをあえてする理由というものは、私はないと思うのです。  そこで、私は財政局長さんにお尋ねしたいと思うのですが、地方公営企業の職員に手当を支払いますその根拠は、やはり地方自治法二百四条ないしは附則できまっている手当、これによって条例で地方公共団体地方公営企業の職員に給与を払う、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  66. 細郷道一

    細郷政府委員 地方公営企業の職員の給与につきましては、御承知のように、地方公営企業法で、生計費でありますとか、あるいは民間の同種の企業の職員の給与でありますとか、あるいは公務員の給与でありますとか、そういったような諸条件を勘案して条例をもって定める、こういうことになっております。したがいまして、それぞれの団体におきまして企業のための給与の関係の条例をつくる、こういう行き方になっております。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、地方公共団体が職員に手当を払う場合には、これは地方自治法の二百四条、それに基づかなければ払えぬじゃないですか。公営企業法三十八条には、どういう手当を払うというようなことは書いてないですよ。そうでしょう。地方公共団体地方公務員等職員に払うその根拠はここしかないじゃないですか。自治法しかないじゃないですか。
  68. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業法を基礎といたしまして、条例をそれぞれの団体がつくるわけでございます。その条例の際の企業ごとの手当の種類等につきましては、私どものほうでは準則を示すことによって指導いたしております。したがいまして、企業体でございますので、他の一般の地方公務員にないような種類の問題も起こるわけでございます。必ずしも地方自治法二百四条に基づく手当の種類だけというわけではございませんものですから、その点は立法的な根拠としては公営企業法によっておる、こういうことでございます。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点の議論はまたあらためてすることにいたしまして、きょうは時間もありませんから一応おきましょう。  次は、先ほど古屋委員もお触れになりましたが、今回、交付税の伸びます分が、国税三税の増収二千三百四十億円の三二%に相当する額七百四十九億円、そしてこのうちから各種項目によりますところの補正要因を除きまして二百億円余る。二百億円余るから、交付税並びに地方譲与税等の特別会計に対してこの二百億円を返済する、こういうことをお考えになっておるようであります。  そこで、お尋ねしたいと思うのですが、昭和四十二年度の当初の計画において、昭和三十九年に借りました百五十億、昭和四十年度に借り入れました三百億円、この合計四百五十億円の返済については、当然返済計画があるはずだと思うわけです。その返済計画が具体的にどのような計画になっているかをお示しをいただきたい点と、その計画に基づく返済額というものは、昭和四十二年度の当初計画で当然すでに返済をされている、かように私は了解するわけですが、この点はいかがでしょうか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 計画によりますと、四十二年度は六十億円、四十三年、四十四年、四十五年もそれぞれ六十億円ずつ、四十六年が七十億円、それから四十七年が五十億円というのが計画でございます。なお、最後の年の四十七年五十億円は、当初は七十億円でございましたが、昨年二十億円の繰り上げ償還をいたしました結果、五十億円になっておるものでございます。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昭和四十二年度の返済計画に基づく返済は、当初計画でやっているかやっていないか、その点の御返事がなかったですね。
  72. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度の計画によります六十億円は、当初において償還をいたす計画になっておりました。そのとおりに実行いたすわけであります。したがいまして、いま申し上げました四十二年以降の分三百億円が本年度末の未償還額になるわけでございます。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 三月末までにその特別会計に入れればよろしい。当初計画の中にその六十億円は見込まれておって、まだ返していないけれども、当然三月末までに六十億返せるお金は現にあるのだ、かように了解してよろしいわけですね。といたしますと、何もこの際二百億返す必要はないじゃないですか。計画はきちんとあるわけでしょう。その計画を常に忠実に実行してきたわけじゃないですか。また、忠実に実行するだけの用意はあるわけじゃないですか。この二百億円をことし無理に返す必要があるのですか。それほど地方財政は豊かだと自治省はお考えですか。
  74. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども、別に地方財政が豊かであるという考えではございません。地方財政の体質その他につきましては十分な認識を持っておるつもりでございます。ただ、今回こういう措置をとろうといたしますのは、本年度の三税の自然増収、それに伴います交付税の補正増加額が相当多額に出ておりますこと、年度も半ばを過ぎておりますこの段階でございますので、この金をどういうふうに地方財政として処理をし、あるいは個々の団体でどういうふうにこれを処理するかということにつきましては、やはり私は財政運営年度間調整といったような考え方のもとに処置をすべきではなかろうか、かように基本的に考えておるわけでございます。  しかるところ、御承知のように、いま御指摘のございました特別会計におきます借り入れ金は、確かに償還の計画を持っておるわけでございますけれども、この金自体は御承知のように給与改定財源として使われたものでございまして、普通の借り入れ金と違いまして、それぞれの団体において資産としての形は残っていないものであるわけでございます。したがいまして、そういう点を考慮いたし、かつ、先ほど申し上げましたような年度途中であるということ、そしてまた、いずれこれを返さなければならないといったようないろいろな事情を勘案いたしまして、今回こういう措置をとったわけでございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 償還計画があるのですからね、いまのようなお考え方は何もとる必要はないと私は思うのです。しかもこの金は無利子でしょう。国のほうが一般会計として利子分は持っていて、この交付税会計からは金利を払わぬでいいわけですね。そうですね。とすれば、いまのような考え方をとるとするならば、むしろこれを地方自治団体に配り、そして起債の償還等を繰り上げ償還する。起債の場合は自治団体が金利を持たなければならぬのですから、そういうことに充てるほうが合理的じゃないですか、地方財政運営を考えた場合に。これはいかがですか。
  76. 細郷道一

    細郷政府委員 実は私どももそういう方法も考えてみたのでございます。ところが、実際問題といたしまして、年度の途中において個々の団体においてどういう起債を償還させるかということをある程度一律的にいたしませんと、われわれのほうが財源配分がうまくいかないといったような技術的な問題もございます。償還につきましては、それぞれの団体がそれぞれの借り入れ先から借り入れておりまして、償還の時期等も必ずしも統一されていないものもございます。そういった意味合いから、この際、先ほど申し上げましたような給与のための特別な借り入れ金であるという特殊性にも着目いたしましてこういう措置をとったわけでございます。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 考えたけれども、どうもやらなかったということは、その考えを通させなかった他の別な圧力があったということを、問わず語りにお答えになったのじゃないですか。その点はあとでまたお尋ねしますから、一応おきましょう。  さらに方法だってあると思うのです。いま公営企業は非常に苦しい。これはもう財政局長の一番よく御案内のとおり。もし一般会計から地方公営企業に対してもっと出資金を出すならば、もっと地方公営企業経営を楽にすることもできるはずじゃないですか。地方自治団体が地方公営企業に対して出資金を出している。しかし、その額は地方財政計画上十分に見られていますか。いないでしょう。実態の半分くらいじゃないですか。とすれば、そういった方面の基準財政需要をふくらまして、そして地方自治団体の苦労をその分だけ減少するとか、あるいはその分だけ地方自治団体がさらに公営企業の会計に出資ができるようにしていけば、困難に直面している地方公営企業の実態を救うということだってできるはずじゃないですか。そういうことはお考えにならなかったのですか。
  78. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう御議論もあろうかとは考えたのでございます。公営企業会計とそれぞれの団体の一般会計との間には、御承知のように、先般の法律改正によって負担区分の政令も出ております。それに必要な額は、財政計画上当初において全部措置をいたしております。さらに、金が余ればそっちに回してもいいじゃないかという問題がいまの御指摘であるわけでありますが、公営企業の現在置かれております環境ということを考えてまいりますと、私は、やはり公営企業の将来の生き延びる一つの方法として、この際、公営企業会計の健全化ということが非常に重要な問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。それぞれの公営企業会計におきまして、独立採算のたてまえによって企業運営がはかられるべきであるという問題がやっといま緒についたばかりの段階でございますので、この段階におきましては、やはり私は、その原則に立ってそれぞれの公営企業会計というものの指導をしていくべきであろう、かように考えたわけでございます。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 かつてこの委員会で宮澤経済企画庁長官を呼びまして、いわゆる宮澤構想に対して議論をいたしました。その際、同僚の細谷委員から、公営企業経営の実態が苦しい、その実態の苦しい点について一体どう考えておるのか、こういうことを宮澤長官にお尋ねをいたしました。宮澤長官も、その点については認めまして、現在の国の制度、特に交通事業等の特別会計においては、国の施策の不備なために、結局膨大な赤字なり困難な経営なりに直面せざるを得なくなっているという事実については、認めているじゃありませんか。細郷さんはそのことは聞いておったと思うのです。自治省の財政局は、そういうことは一番わかっておらなければならぬのに、しかも現在二百億という、まあ余裕といってはおかしいのでありますが、そういう金があるときに、なぜ自治省として、やり得る範囲において出資金なりを増額をする、現在出資金について財政計画で十分見ていないものについてこれを補てんをする、こういうことは当然考えるべきじゃないですか。次官、どうなんですか。いま自治省は、地方財政の現状が非常に困難である。いまそこに大蔵省の政務次官がおいでになりましたが、大蔵省のほうは、財政硬直化というようなことを盛んに言って、財政硬直化の一番の犯人が当然増であり、その当然増の主たるものは地方交付税付金がその比率において一番高い、言うならば、財政硬直化の一番の犯人は地方財政であるかのごとき議論すら大蔵省はやっているじゃないですか。それに対しては、自治省は、いやそんなことはない、財政が硬直化しているのはむしろ地方財政ではないか。特に、地方財政においては、緊急になすべき問題が山積しているし、そればかりではなく、地方財政では増加財源義務的経費に大部分が食われる、地方財政の経常収支率は七五%をこえて八〇%にも近いじゃないか、国の財政硬直化の原因を地方財政に求めることは全く不届きである、こういう議論を一生懸命自治省はやっておられるわけでしょう。そういう議論をやっておって、二百億、返済計画をこえて本年度無理に払う必要があるのですか。そうではなしに、私が指摘いたしましたような、地方財政を困難にしている種々な条件、ないしは地方公営企業を困難にしているいろいろな条件、それを改善するために自治省は全力をあげるべきではなかったのですか。なぜこういう返済をやることになったのですか、計画をこえて。
  80. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  実は、私参りました際には、大体こういう線がもう出ておりましたあとでございます。地方財政の見地から申し上げますれば、山口委員のおっしゃるようなことが、たったいまも第一に私が申し上げたような趣旨から考えまして、そういったようなことが十分考えられるべきである、かように思っておるわけでございます。  そこで、私はかように考えております。一番おそろしいと思いますことは、地方財政がゆとりがあるのじゃないかというふうに、このことによって見られる、こういうようなことになることは、これはもう非常に重大な問題でございまして、先ほど来申し上げておりますように、また、すでに山口委員十分御承知のように、いろいろな点で困難な問題をかかえているわけでございます。そこで、今回の措置は、先ほど来財政局長がいろいろ事情を申し上げておりましたが、これはやや長い目で見ますと、いずれにしても返さなければならぬというものでございます。そういう点で、私どもがむしろほんとうに警戒しなければならぬのは、将来の負担は軽くなるわけでございますが、こういうことによって地方財政全体が何かゆとりができてきて、どうにでもなるのじゃなかろうかというような感じを持たれる、そういうことは絶対に私どもは排撃してまいらなければならぬ、かように実は考えておるわけでございます。事情につきましては、いま財政局長から申し上げたとおりでございますが、私自身はそういう観点から、この問題につきましては、非常に重大な問題であると思っておるわけでございますが、私参りましたときは、実はこれはきまっておりまして、自治省としても、そういう点も十分考えた結果こういうことになったということでございまして、そういう説明を聞いておるわけでございます。将来の問題としては、私どもいま申し上げたような点を十分考えていかないとたいへんなことになるのではないか、かように思っておるわけでございます。
  81. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵省の政務次官にお尋ねをしたいと思うのですが、大蔵省は財政硬直化の犯人が地方財政である、村上主計局長はそう言っているのですが、そうお考えなんですか。それは大蔵省の省としての方針なんですか。それから、現在地方財政はゆとりがある、かように思っておるのですか。そういう中から二百億の償還を求めたのじゃないかと思いますが、返済計画がすでにきまっており、しかも昭和四十二年度の六十億円は返済をする予定で資金がすでに取ってある、その上にこの計画をこえて二百億を返済させる、そのことをなぜ要求をなされたのか、この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  82. 倉成正

    ○倉成政府委員 お答えをいたします。  まず第一の地方財政がゆとりがあるかどうかという問題でありますが、この点については、やはり相対的な問題ではなかろうかと思うわけです。地方財政自体から見ると、いろいろ問題があると思いますけれども、国の財政の現状から見ると、国の財政の中身と地方財政の中身と比較すると、やはり国と比較してはゆとりがある、さような認識を持っております。  第二番目の問題は、財政硬直化の犯人であるというような点でありますけれども、地方交付税がやはり国の歳出の中で相当大きなウェートを占めておる。しかも三税の一定の率でありますので、どうしても財源の国・地方を通じての適正配分という意味で非常に縛られる、そういう意味において、やはり硬直化の一つの要因である。地方財政がすべて財政硬直化の原因であるというようなことは申しておりません。そういったものも含めて財政硬直化の問題に取り組まなければならないのじゃなかろうか、かような考え方であります。御了承いただきたいと思います。
  83. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実は、前に宮澤長官を呼びまして、いわゆる財政硬直化に対応して宮澤長官は宮澤長官としての私案をお出しになったものですが、その際に同じような議論をいたしました。宮澤長官の言うのには、問題は、いまの国と地方との財源配分が非常に片寄っている、地方が三割で国が七割である、しかも実際に支出をする額は地方が三分の二であって国が三分の一だ、全く税源と事務とが逆転している、これを根本的に直すことが必要である、そういった意味で私は宮澤構想を出した、こういう御答弁があったわけです。しかも、地方交付税については、これは地方財源である、国の財源ではない、こういう見解を明確にお答えになったのです。  それでは聞きましょう。大蔵省は地方交付税は国の財源であると思っていますか、地方財源であると思っているのですか、どちらですか。
  84. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 事務当局としてまずお答えさしていただきますが、これは非常に哲学的な問題ですが、しかし国のものか地方のものかについては、いろいろ議論があることは私も承知しております。私ども大蔵省の考え方といたしましては、これはいろいろの学説等もございますが、やはりこれは地方財政調整資金であるという考え方に立脚いたしております。したがいまして、国のものか地方のものかという議論になりますと、そういう御質問でございますと、やはり地方財政調整資金であるというお答えをせざるを得ないかと思います。
  85. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おかしいと思いますね。調整資金ということになれば、少なくとも現在の市町村を見てごらんなさい。九割以上の市町村が交付団体になっているじゃないですか。これは調整機能なんというものはなくなっているわけですよ。そうでしょう。大体、地方自治体のうちの四分の一なり三分の一程度の貧弱団体が交付税をもらうとか、あるいはさらに言いますならば、四割なり五割の貧弱団体がいわゆる財政調整機能としての交付税をもらうという段階であれば、これはそういう意味では調整機能ということもいえるかもしれません。しかし、現実はそうじゃないじゃないですか。もうほとんどすべての、九割をこえる地方自治団体がこの交付税をもらっているという段階では、交付税は財政調整の機能などというものは通り越してしまっているという現実を、大蔵省は一体どう考えるのですか。
  86. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 やはり私どもの考え方といたしましては、従来の地方配付税あるいは地方財政平衡交付金と同じように、本質は地方財政調整資金だと思います。ただ、従来の平衡交付金と違います点は、従来は積み上げ計算をいたしまして平衡交付金の積算をいたしたのでございますが、これを一定の三税に準拠いたしまして、しかも使途を制限しない独立財源という意味では、地方財政調整資金としての地方交付税というように私どもは理解いたしておるわけでございます。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあいいでしょう。このことをやっていると時間をとりますから……。ただ、自治省地方財源だと考えている。大蔵省は国の財源だと思っている。中間に立った宮澤経済企画庁長官は、これは地方財源だと軍配を自治省のほうにあげたのですから、二対一で、これはもう政府においても地方財源というふうに見ているということになるのですから、その点だけはひとつ大蔵省のほうもよく承知しておいてもらいたい。  さて、そこで、二百億ですらかように問題になっているときに、これは古屋委員も御指摘になりましたが、出世払いと称して四百八十二億を返すとか返さぬとかということがちらほら新聞に出ております。それから、先ほどの古屋委員のお尋ねでは、何かこの問題に関して大蔵大臣自治大臣との間に覚え書き昭和四十年の十二月四日にかわされているかのごとき御答弁が次官からございました。そのような覚え書きは現にあるのですか。一体どういうものですか。あったらひとつお示しをしてください。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和四十年の十二月に、その年度の半ばにおきます税収の落ち込みを交付税に影響させないという措置をとる際に、両大臣の間で覚え書きがかわされております。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あったというわけですね。私はそのことを非常に懸念をいたしまして、当時の地方行政委員の方々に、そういう覚え書きがあったということを地方行政委員会に報告がなされたのかという点を聞いてまいりました。わが党の当時の地方行政委員会理事の方々、地方行政委員の方々は、そういう覚え書きについては一言も委員会では報告を受けていない、もちろん理事会でもそのような事実を知らされていない、かように言っているのです。ところが、一方、当時の大蔵委員会の議事録を拝見いたしますと、この点は古屋委員もお触れになったわけでありますが、奥野委員がこの問題について大蔵委員会で質問されたようです。そして、これを見ますと、奥野委員は、そういう覚え書き承知しているということから質疑をされておるわけであります。私は、このことは非常に重大だと思うのです。この問題について一番関心を持つのは、当然地方行政委員会ではないですか。地方財政が一体どうなるかということにおいて当然大きな問題を残すこの問題について、当該の地方行政委員会が一言の正式な連絡も受けていない。たまたま地方行政委員会の与党の委員であり大蔵委員であった一委員の方だけが、この覚え書きについて承知をしておった、こういうことは私は非常に重大だと思うのです。なぜこの覚え書き国会に対してひた隠しに隠したのですか。なぜかような問題を残す覚え書きについて、先ほどの話じゃありませんが、どうも自治省は、国会軽視はしないというけれども、一つ一つ見れば、みな国会軽視じゃないですか。先ほどの経済的な問題といい、この覚え書きといい、そうじゃないですか。なぜこれを隠したのですか。その点をひとつはっきりお答えをいただきたいと思います。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 私も当時その関係でございませんでしたので、詳しいことは承知いたしておりませんが、ただ、この覚え書き自身は、中身は別に債権債務という法律上の問題ではなくして、いわば当時の両大臣間の道義的な約束、こういうふうに私どもは受け取っておるのでございます。いわゆる行政大臣としての両大臣間のそういう約束であるというふうに考えられるものでございまして、したがいまして、当時から現在に至るまでこの覚え書きについてひた隠しに隠すというような態度は、私どもとしては別にとっていなかった、こういうことは申し上げられると思います。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうですか。そうすると、当時の福田大蔵大臣永山自治大臣、この二人だけの約束であって、法律的には何ら関係のないものということですね。そういたしますと、いまや福田大蔵大臣大蔵大臣をやめておられます。永山自治大臣自治大臣をやめておられる。とすれば、もうこの覚え書きは、お二人がおやめになった現在、何ら関係ないもの、二人同士の単なる口約束、こういうものであって、自治省大蔵省の間を拘束する、ましてや国会の議論を拘束するようなものでは一切ない、こういうふうに了解してよろしいわけですね。これは次官からひとつお答えをいただきましょう。
  92. 細田吉藏

    細田政府委員 この覚え書き地方行政委員会にかかったか、かからなかったか、出したか、出さなかったか、私よく承知いたしておりません。私は、先ほど御説明申し上げたり、あるいは古屋さんの御質問の中にもありましたが、当然そういう話は出ておったものと考えておったわけでございましたが、そうでないというお話でございまして、私、その間のことは、事情をもう少し調べてみませんと何とも言えないと思います。ただ、これはあくまでも大蔵大臣自治大臣のお申し合わせでございまして、国会を拘束する云々ということは、これは国会は拘束いたさないと私は了承しております。行政部内における申し合わせにすぎないものである、かように考えております。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 行政内部の申し合わせといいますと、それでは自治省大蔵省を拘束するのですか。その点ですよ、問題は。もう二人ともおやめになったのですから、この覚え書きでは、著しく精算額が多額に上る等、地方財政が好転したときに、いわゆる出世払いというようなかっこうで返すことを考慮するというようなことが書いてあるだけであって、お二人ともすでにいないのです。そういう当時国会にも示されなかったやみの文書ですよ。やみの文書があるのですから、やみの文書としてひとつ資料として国会に出していただきたいと思います。それはともかくといたしまして、そういう文書で、次官のお話では、返すつもりがないというのだから、これはお二人の話し合いがあっただけで、自治省としては知りません、こういうお考え方だと思いますが、そういうことなんですね。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 当時の大臣同士の約束でございますから、自治省は知らないということは申し上げられない。そういう事実のあったことは事実だろうと思います。ただ、その性質がどういうものであるかということにつきましては、いろいろ議論が分かれるかもしれません。少なくとも、先ほど申し上げましたように、いわゆる法律上の債権債務ではない。将来、いわゆる出世払いといったような意味合いにおいて結ばれたものである、こういうふうに理解をいたしております。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 出世払いですね。それでは大蔵省は一体どう思っているのですか。この覚え書きはどういう性質のものだと思っているのですか。
  96. 倉成正

    ○倉成政府委員 大蔵省としましても、ただいまの覚え書きは、法律的な意味の債権債務ではないと心得ております。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 関連して。政務次官、当時在任してなかったのですけれども、四百八十二億だというのでありますけれども、当時の法律は五百十六億か八億だったと思うのです。これだけの、当初に計上いたしました交付税の総額から、昭和四十年度穴があいたわけですね。その法律は、当初に計上した交付税の総額を保障いたします。これが一つであります。第二は、年度の最終で国税三税の実績収入額で精算をするわけでありますけれども、精算をいたさない、こういうことが法律に明記されておるわけです。その際に、きょうは議事録を持ってきておりませんけれども、私どもの川村委員から、五百十数億の穴埋めをしてもらうことはたいへんけっこうなことであるが、地方財政は危機に立っているのだから、年度末に精算すべきプラスのものがあったらば、金額のいかんを問わずやはり精算をして地方財政にプラスしてやったらどうか、こういう意見も出たわけです。しかし、その際には、法律で明記しておりましたので、精算はしません、この穴埋めをするのです、こういうことを言明したわけですよ。いまの四百八十二億というのは、おそらく精算した結果五百十何億が四百八十二億の穴を埋めたことになっているのだ、こういうことだろうと思うのですが、それほどの議論がこの委員会で行なわれておったにかかわらず、覚え書きについては覚え書きのおの字も言わぬで、出世払いということを約束したということは全く不当で、これはやみですよ。委員会の軽視ですよ。どうしてもこれは許せない。しかも最近の新聞を見ますと、大蔵省は四十年度に貸した四百八十二億は、今度の補正はともかくとして、来年度交付税率の引き下げか、あるいはできなければその穴埋めは是が非でもやるということを新聞にも書いてあるのですから、たいへんな問題を投げかけておると私は思うのです。その投げかけておる張本人は覚え書きですよ。やみの覚えき書ですよ。たいへんな問題ですから、そういういきさつからいってこれはもう許せないですよ。ですから明快に答弁してもらわなければ、これは引き下がるわけにいかぬです。
  98. 細田吉藏

    細田政府委員 当時の地方行政委員会でこの覚え書きが議論されたかされなかったかというような点につきましては、私もさらに詳細に調査もいたしますし、当時のいきさつ等もさらに十分検討さしていただいてからお答えをさしていただきたいと思います。ただ、いまお話しにございましたような、貸したものだから今度返せとか、あるいは私最初に古屋委員にもお答えいたしましたが、こういうものがあるから交付税率を下げるのだ、こういうような議論があるといたしますと、私どもはもちろん、先ほど申し上げたように大問題だ、こう思っております。この覚え書きはいずれ提出いたすことになると思いますが、いわゆる出世払いでございまして、地方財政が著しく好転した場合にこれは考ようということでございまして、これは必ず返すとかなんとかいう法律的な義務を負ったものである、そういうものには考えておらないわけでございます。私どもは、現時点においてこの覚え書きにかりに——いまこの覚え書き自体が問題があるとおっしゃいますが、かりにこれに当たっておるかどうかということになりますと、これは両方の意味から全然当たっておらない、こういう考え方に立っております。で、これまでの経緯その他につきましては、私もう少し研究さしていただいてお答えをしないと、おっしゃるように大切な問題でございますので、さらにひとつ十分勉強さしていただきたい、かように思います。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一点。先ほど山口委員から指摘されたように、ここでは全然そういう話はないずくで、大蔵委員会で当時地方行政委員の一人であった人がその覚え書きの全文を持って質問をいたしておるわけですよ。これは非常に重要な問題を含んでいると思うのですよ。与党だけで国会審議をやっているということですよ。この重要な問題を含んでいるものを、与党の議員だけにやみの覚え書きを渡して、そうして国会の主管委員会ではない委員会の場で議論をやっているというたいへんな問題です。この辺の事情も明確にしてもらわなければこれは審議できませんよ。
  100. 細田吉藏

    細田政府委員 いまおっしゃいましたように、当時のいきさつ等、大蔵委員会では、私も速記録を持っておりますが、出ておるようでございまして、与党だけは何か問題がわかっておるが、野党はわからぬというようなことは、これはよくないと思っておりますので、その間の事情は、先ほど御答弁申し上げたとおりですから、十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  101. 大石八治

    大石(八)委員長代理 山口君、時間のことを頭に置いてください。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの点、非常に不明朗な経過があるようです。われわれ社会党とすれば、いま申し上げたような点が明らかにならない限り、この問題ちょっと審議するわけにいかぬと思うのですよ。しかも、出世払い云々といっておりますが、やみのそういった覚え書きに対して、何か自治省当局のほうは、一応それに対して責任を持たなければならぬというような考えであるようです。出世払いをするような段階であるかないかという地方財政状況判断は別として。とにかく、いまの次官のお話しでは、著しく好転したら、四十三年度になるか、四十四年度になるか、それはわかりませんが、何か借りたものは返さなければならぬというような気持ちでおるということになれば、この覚え書き自体をやはり認めているということでしょう。とすれば、その覚え書きを、その当時の地方行政委員会に何ら提示せず、そうしてまた、与党の委員だけにそれをこっそり見せたということであれば、これはわれわれたいへん遺憾に思うのですよ。そういう国会運営をされるというのならば、今後これはわれわれとしても考えなければならぬということになるわけです。したがいまして、この点の経過が明らかになりません限り、私の質問を進めるわけにまいりませんので、これで打ち切っておきます。      ————◇—————
  103. 大石八治

    大石(八)委員長代理 質疑はそれでとめておきまして、小委員会設置の件についておはかりいたします。  固定資産税、住民税等の地方税全般について調査するため、小委員十一名からなる地方税に関する小委員会消防関係法令の整備及び消防施設整備強化をはかるため、小委員十一名からなる消防に関する小委員会地方公務員等共済制度全般について調査するため、小委員十一名からなる地方公務員等共済制度に関する小委員会、以上三小委員会設置するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 大石八治

    大石(八)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 大石八治

    大石(八)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、委員長において後ほど小委員及び小委員長指名し、公報をもって御通知いたします。  なお、ただいま設置いたしました三つの小委員会の小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 大石八治

    大石(八)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会